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    <title>BNL（Business Network Lab）</title>
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    <updated>2020-11-27T02:51:57Z</updated>
    

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    <title>政治、スポーツ、ビジネス、アート。 各界のトップランナーは、難局をどう乗り越えてきたのか - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-11-25T06:00:00Z</published>
    <updated>2020-11-27T02:51:57Z</updated>

    <summary>河野太郎、松井秀喜、中田英寿━━先駆者・挑戦者がブレイクスルーを実現した背景やマインドから、私たちは何を学べるのか。各界のトップランナーが集結した「クライマーズ2020」は、期間限定でアーカイブ動画を配信中だ。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="イベント" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="climbers" label="Climbers" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
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    <category term="キャリアストーリー" label="キャリアストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>2020年11月23日（月）にオンライン開催された「<a href=" https://2020online.climbers-evt.com/" target="_blank">Climbers 2020 （クライマーズ）</a>」 では、様々な壁を乗り越えてきた各界のトップランナーが人生の特別講義を行った。Climber（= 挑戦者）は、何を目指し、何を糧にいくつもの壁に挑戦し続けることができたのか。</p>

<p>イベント当日は、彼らを突き動かすマインドや感情を探り、進み続ける力を本質から思考した濃厚な時間となった。現在、Climbersは、当日の特別講義の動画※を期間限定で配信している。見逃してしまった方は、ぜひこの機会に視聴してはいかがだろうか。</p>

<p><small>※河野太郎氏のセッションはどなたでも無料で視聴可能。その他の登壇者のアーカイブ動画は、ログイン後に視聴可能です。アカウントをお持ちでない方は、チケットをご購入ください。</small></p>

<div class="event-btn"><a href=" https://2020online.climbers-evt.com/" target="_blank">Climbers2020 アーカイブ動画視聴を申し込む　</a></div>

<p><br>
<br></p>

<p>ここでは「Climbers 2020 （クライマーズ）」に登壇した、9人のトップランナーを紹介する。</p>

<hr />

<p><br>
<strong>河野太郎 「揺るぎない心で愚直に邁進し、自ら道を拓く」　</strong>
<br>
<br>
先を見据えた確かなビジョンと確固たる信念を携え、挑戦し続ける。世界で学び培った、その突き抜ける力と価値観の根底に迫る。</p>

<p><img src="/uploads/6.jpg">
<aside><strong>規制改革担当大臣</strong>
<p>1963年生まれ。米国ジョージタウン大学卒業後、富士ゼロックス株式会社に入社。
1996年に第41回衆議院議員総選挙にて神奈川県15区初当選以降、8期連続当選。法務副大臣、国務大臣、外務大臣、防衛大臣を歴任後、2020年9月現職に就任。
SNSやライブ配信を駆使して積極的に政界の情報発信及び国民との情報交換を行い、現場目線と効率化を重視したスピーディーな改革を展開する。</p></aside></p>

<p><strong>松井 秀喜「困難は新しい自分に出会えるチャンス」</strong>
<br>
<br>
圧倒的な存在感で世界を席巻した稀代のバッターは、人知れず数多の挫折や失敗と真摯に向き合い続けた。チャンスをものにするために、何を心掛けたのか？継続した努力が生み出す、成績以上の本当の価値とは。</p>

<p><img src="/uploads/1_.jpg">
<aside><strong>NYヤンキースGM特別アドバイザー Matsui 55 Baseball Foundation 代表理事</strong>
<p>1974年生まれ。石川県出身。現役時はニューヨークヤンキースや読売ジャイアンツ等でプレー。MLBでは、ワールドシリーズ優勝1回、ワールドシリーズMVP1回、オールスター2回 等々。プロ野球では、日本シリーズ優勝3回、日本シリーズMVP 1回、リーグMVP 3回、オールスター9回等々。2013年には国民栄誉賞受賞。今現在はヤンキースにてGM特別アドバイザーおよびMatsui 55 Baseball Foundationの代表理事を務める。</p></aside></p>

<p><strong>小巻 亜矢 「挑戦するのに、遅すぎるということはない」</strong>
<br>
<br>
子供の死・離婚・2度の大病というどん底を経験しながら自分の存在価値を模索し続け、辿りついたもの。"人を笑顔にしたい"という強い思いが、周りを動かし奇跡を起こす。</p>

<p><img src="/uploads/2.jpg">
<aside><strong>株式会社サンリオエンターテイメント代表取締役社長 サンリオピューロランド館長</strong>
<p>東京出身、東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。1983年株式会社サンリオ入社。結婚退社、出産などを経てサンリオ関連会社にて仕事復帰。2014年サンリオエンターテイメント顧問就任、2015年サンリオエンターテイメント取締役就任。2016年サンリオピューロランド館長就任、2019年6月より現職。子宮頸がん予防啓発活動「ハロースマイル（Hellosmile）」委員長、NPO法人ハロードリーム実行委員会代表理事、一般社団法人SDGsプラットフォーム代表理事。</p></aside></p>

<p><strong>小出 伸一 「社会をよりよくするトレイルブレイザーになるために」</strong>
<br>
<br>
テクノロジー業界を歩むなかでの挑戦、経営者としての信念と挑戦とは。よりよい社会をつくっていくために企業経営者として大切にしていること。</p>

<p><img src="/uploads/3.jpg">
<aside><strong>株式会社セールスフォース・ドットコム 代表取締役会長 兼 社長</strong>
<p>1958年福島県⽣まれ。⼤学卒業後、1981年⽇本IBM に⼊社。⽶国本社戦略部⾨ への出向、社⻑室⻑、取締役などを務めたのち、2006年⽇本テレコムに⼊社 し、ソフトバンクテレコム副社⻑兼COOに就任。 その後、2007年12⽉、⽇本ヒューレットパッカード 代表取締役社⻑に就任し、2014年4⽉、株式会社セールスフォース・ドットコムの代表取締役会⻑兼CEO（最⾼経営責任者）に就任、2018年6⽉より三菱UFJ銀⾏の社外取締役、2019年3⽉より公益財団法⼈スペシャルオリンピックス⽇本の理事に就任。</p></aside></p>

<p><strong>中田 英寿 「『成功』ではなく『完璧』を追い求める」</strong>
<br>
<br>
常に完璧でありたい。だが、できないから面白い。積み上げてもなお先にある孤高の生き方とは。</p>

<p><img src="/uploads/4.jpg">
<aside><strong>株式会社 JAPAN CRAFT SAKE COMPANY 代表</strong>
<p>1977 年生まれ。山梨県出身。2006年、29歳でプロサッカー選手を引退。2009年4月から、全国47都道府県をめぐる旅をスタート。この旅をきっかけに日本文化に可能性を強く感じたことから、日本文化を発信する事業を多数手がけ、2015年には、日本酒の需要振興を図る各種イベントの企画・制作・運営・管理などを手掛ける「株式会社 JAPAN CRAFT SAKE COMPANY」を設立。全国を旅して出会った人・モノ・コトを公式 WEB メディア「に・ほ・ん・も・の」を展開するほか、多言語での書籍の出版、全国の優れた生産者を紹介するラジオ番組「VOICES FROM NIHONMONO」のナビゲータも務める。さらに、全国の逸品を取り扱う「NIHONMONO SHOP」を展開。2020 年 4 月には立教大学の客員教授に就任し、「伝統産業とマーケティング」を担当する。日本の伝統文化や食・人に注目し、その魅力を伝えるために、幅広い活動を行っている。</p></aside></p>

<p><strong>佐々木 一之 「財務のプロからある日突然CEOに。逆境を力に変え、道を切り拓く」</strong>
<br>
<br>
36歳 GE JapanのCFOが「もっと挑戦したい」と選んだ次のステージ 「WeWork」。逆境の中受け取ったCEOのバトン。培った経験を活かし、日本の働き方を変える。</p>

<p><img src="/uploads/5.jpg">
<aside><strong>WeWork Japan 最高経営責任者</strong>
<p>カリフォルニア大学ロサンゼルス校経営大学院（MBA）修了。2003年ゼネラルエレクトリック（General Electric）に入社し、GEキャピタル及びGEパワーにおいて複数のファイナンス職を歴任。2016年にGEジャパン株式会社にて執行役員 最高財務責任者（CFO）に就任。2018年1月にWeWork Japan に入社、CFOに就任。2019年10月より最高経営責任者（CEO）となる。2020年現在6都市で36拠点を運営。日本での事業開始から2年弱で、WeWorkコミュニティーを22,000メンバーが利用するまでに広げた。</p></aside></p>

<p><strong>井上 尚弥 「毎日の積み重ねが今の自分を作る」</strong>
<br>
<br>
強さにこだわり、諦めや妥協を一切許さない。世界中からモンスターと評される彼を何がここまで駆り立てるのか。強さと精神力の原点に迫る。</p>

<p><img src="/uploads/7.jpg">
<aside><strong>プロボクサー</strong>
<p>高校時代に史上初のアマチュア７冠を達成。2012年に大橋ジムでプロ転向を果たすと、2014年当時日本人男子最速となるデビュー6戦目での世界王座獲得。その後跳び級でスーパーフライ級に転向。当時の世界最速となるプロ8戦目で2階級制覇を達成し、2017年9月9日にはボクシングの本場アメリカのリングで衝撃KOデビュー。2018年5月にはバンタム級に転級し当時国内最速16戦目での3階級制覇を達成。2018年秋～2019年秋、日本人として初めて参戦したボクシング界最大のイベント『WBSSバンタム級トーナメント』で見事優勝。 今後アメリカを中心に世界のリングにあがる。</p></aside></p>

<p><strong>宮田 昇始 「失敗と苦悩からの学び。11回の事業転換を乗り越えた先に見たもの」</strong>
<br>
<br>
業界シェアNo.1の「SmartHR」は、11回の事業転換を乗り越え生み出された。スタートアップ経営者が数々の失敗から学んだこと、そして「働く」の源泉とはなにか。</p>

<p><img src="/uploads/8.jpg">
<aside><strong>株式会社SmartHR 代表取締役・CEO</strong>
<p>代表取締役CEO。2013年に株式会社KUFU（現SmartHR）を創業。2015年に自身の闘病経験をもとにしたクラウド人事労務ソフト「SmartHR」を公開。登録企業数は公開後約5年で30,000社を突破。2019年にはシリーズCラウンドで海外投資家などから62億円の資金調達を行う。</p></aside></p>

<p><strong>西野 亮廣 「日本で一番嫌われた男が創った、日本で一番愛される物語」</strong>
<br>
<br>
挑戦するほど叩かれる世界で、一切の迷いなくひたすらに進み続けた努力の傑物。先を見据えた信念ある行動は、やがて大勢を巻き込み壮大な夢を実現する。</p>

<p><img src="/uploads/9.jpg">
<aside><strong>お笑い芸人 絵本作家</strong>
<p>1980年兵庫県生まれ。芸人・絵本作家。 著書は、絵本に『Dr.インクの星空キネマ』『ジップ&amp; キャンディ ロボットたちのクリスマス』『オルゴールワールド』『えんとつ町のプペル』『ほんやのポンチョ』、小説に『グッド・ コマーシャル』、ビジネス書に『魔法のコンパス』『革命のファンファーレ』『バカとつき合うな』（堀江貴文氏と共著）『新世界』があり、全作ベストセラーとなる。 最新作絵本『チックタック～約束の時計台～』、最新文庫『新・ 魔法のコンパス』も大きな話題を呼んでいる。 2020年12月公開予定の『映画 えんとつ町のプペル』では脚本・制作総指揮を務める。クラウドファンディングでの合計調達額は4億円を突破。オンラインサロン「西野亮廣エンタメ研究所」 は会員数7万人を超え、国内最大となっている。 芸能活動の枠を越え、さまざまなビジネス、表現活動を展開中。</p></aside></p>

<div class="event-btn"><a href=" https://2020online.climbers-evt.com/" target="_blank">Climbers2020 アーカイブ動画視聴を申し込む　</a></div>

<p><br>
<br></p>
]]>
        
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    <title>財務のプロから、ある日突然CEOに━━ WeWork Japan 佐々木一之は、逆境をどう乗り越えるのか - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-11-12T04:00:00Z</published>
    <updated>2020-12-21T02:41:13Z</updated>

    <summary>親会社のセンセーショナルなニュース、前CEOの辞任、コロナ禍での働き方の変化。逆境の中、果敢に挑戦を続ける WeWork Japan 佐々木一之が、CEO就任から一年、その思いを語る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>佐々木一之</strong><small><a href=" https://weworkjpn.com/" target="_blank">WeWork Japan </a>最高経営責任者（CEO）</small>
<p>カリフォルニア大学ロサンゼルス校経営大学院（MBA）修了。2003年ゼネラルエレクトリック（General Electric）に入社し、GEキャピタル及びGEパワーにおいて複数のファイナンス職を歴任。2016年にGEジャパン株式会社にて執行役員 最高財務責任者（CFO）に就任。2018年1月に WeWork Japan に入社、CFOに就任。2019年10月より最高経営責任者（CEO）となる。</p></aside></p>

<p>2020年11月23日（月）にオンライン開催される「<a href=" https://2020online.climbers-evt.com?utm_source=BNL" target="_blank">Climbers 2020 （クライマーズ）</a>」 では、様々な壁を乗り越えてきた各界のトップランナーが人生の特別講義を行う。Climber（= 挑戦者）は、何を目指し、何を糧にいくつもの壁に挑戦し続けることができたのか。このイベントでは、特別講義を通して、彼らを突き動かすマインドや感情を探り、進み続ける力を本質から思考する。</p>

<p>コミュニティ型ワークスペースを提供する <a href=" https://weworkjpn.com/" target="_blank">WeWork Japan</a>・最高経営責任者(CEO)の佐々木一之もまた、Climber（＝挑戦者）の一人だ。</p>

<p>WeWork Japanといえば、2019年、親会社の米国 WeWork で起きた前CEO更迭、IPO申請の撤回など、そのブランドを揺るがすような出来事が話題を呼んだ。佐々木がWeWork Japan のCEOに就任したのは、その渦中の2019年10月のことだった。</p>

<p>翌年、2020年になると新型コロナウイルスの影響で、世界中の働き方が大きく変わる。リモートワークが普及し、オフィス自体の必要性が改めて問われるようになった。国内6都市30拠点以上でコミュニティ型ワークスペースを提供する WeWork Japan もまた、その前途に注目が集まっている。</p>

<p>実は、佐々木はCEOに就任して以来、メディアや外部イベントでの登壇も少なく、その人物像はまだあまり知られていない。しかし、混乱の中でのCEO就任から約一年、苦境を乗り越えようと猛進しているであろうことは、誰もが推測できるだろう。イベント当日は、いままさにClimbしている佐々木の、強い信念に触れることになりそうだ。</p>

<p>今回記事ではイベントに先んじて、佐々木という人物を少し紹介したい。</p>

<h2>36歳でグローバルカンパニーの日本法人CFOへ</h2>

<p>埼玉県で生まれた佐々木は、10歳のときに父親の仕事の関係で渡米、大学までをアメリカで過ごした。「とにかくよく遊ぶ子供だった」と佐々木は当時を振り返る。幼少期は勉強より遊びに夢中だった佐々木少年が、自分のスタイルを形成する上で一番影響を受けたのは、両親の存在だった。</p>

<p>両親に幼少期から言われ続けたことがある。「自分の人生は自分で決めて、責任を持ちなさい」。</p>

<p>人に進路を決められると、うまくいかなかった時に人のせいにしてしまう。自分で決めたのなら、失敗しても納得がいく。だから勉強しろとか成績がどうとかを、両親から言われたことは一度もない。習い事も進学も全部自分で決めた。就職を機に日本に帰国することを決めたときも、どこに就職するか、何をするかについてではなく、息子が「自分で決めたこと」をただ喜んでくれた。</p>

<p>就職してからは、財務畑一筋だ。2003年、新卒で、アメリカに本社を置くゼネラルエレクトリック（General Electric Company／以下GE）日本支社に入社した。GEを選んだ理由は、GE元CEOジャック・ウェルチの「自分の運命は自分でコントロールすべきだ。さもないと、誰かにコントロールされてしまう。（Control your own destiny or someone else will.）」という言葉に、両親の言葉、そして自分の人生が重なったから。</p>

<p>入社すると「CFOになり、経営に関わる」ことを目標に掲げた。そのために努力と経験を積んでいく。当時さまざまな業態とつながりがあったGEで、佐々木は原子力部門や素材のシリコン部門、金融、ヘルスケアなど、様々な業界の財務を経験した。</p>

<p>数年後、自らの希望でアメリカ本社に異動し、27歳で初めてチームのマネージメントを経験する。そこでアメリカ人、フランス人、中国人、ブラジル人......と、さまざまなバックグラウンドを持つ人材と働いたことで、多様性がチームのアウトプットの質を高めることを知った。この経験は後に、WeWork Japan の事業でも価値を発揮することになる。</p>

<p>ところで、進路を自由に選べた佐々木が、なぜ財務という仕事にこだわり続けたのか。</p>

<p>「大学で会計学・金融学を勉強して、会社の状態が数字で読み取れることがすごく面白いなと思いました。数字って会社のいたるところに散らばっていますが、ある時に、その点と点がつながる瞬間があるんです。これが起こるなら次はこうなる、とつながって、見えていなかったものが見えてくる。それがすごく楽しいんです。特にCFOというポジションは、会社の事業と数字を分析してインサイトを抽出し、それを元に会社の戦略を練ります。周りの部門のアクションも促して会社を前進させていく、すごくやりがいのある仕事だと思います」</p>

<p>結婚を機にアメリカ本社から異動し、日本でアジア諸国のファイナンスのヘッドとして活躍する。佐々木は「自分の成長曲線は2、3年で緩やかになる」という。2、3年経つと「今度はこれをやってみたい」というものが見えるから、自ら手を挙げて異動を申し出る。こうして「やってみたいこと」すべてに挑戦した結果、2016年、36歳という若さで当初登っていた山の頂上に到達した。</p>

<p>「大手グローバルカンパニーの日本法人CFOという、当初目指していた頂上にたどり着くことができました。それから2年間務め、頂上からの景色を十分に望むことができましたので、また新しい山に登ってみたくなった。それが WeWork Japan というスタートアップのCFOでした」</p>

<p>佐々木はこうも続ける。</p>

<p>「幸い私は、最初の山の頂上に到達したのが36歳で、まだ下山する気力と時間があったので次のチャレンジができました。でもスタートアップに入るという選択肢には、賞味期限があったと思います。もし20、30年後だったら、そんなオプションはなかったかもしれない。人生100年時代といわれますが、それは長いようで短い。だから、やりたいと思ったときにやる。ぼーっとしていたら、あっという間に終わってしまいますから」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC4802.jpg">
<figcaption>目指していた場所に到達してみたら「もっと挑戦したい」という気持ちが芽生えた。だから、また新たな山を自ら見つけ、登ってみたくなった。</figcaption></figure></p>

<h2>熱意を持って働く人がたった6％という日本の現実</h2>

<p>2018年1月、WeWork Japan で働くことを決めた。理由は3つある。「ミッションへの共感」「自分自身の学び」、そして「日本の働き方を変えたいという思い」だ。</p>

<p>「ある日、ヘッドハンティングの連絡が来ました。恥ずかしながら、その時初めて WeWork を知りました。調べてみると、ミッションに『ただ生きるのではなく、生きがいを感じられる世界をつくる（To create a world where people work to make a life, not just a living）』と掲げられていた。 私も人生を楽しむために働いてきたので、すごく共感できました」</p>

<p>15年間大企業の仕事に携わった佐々木にとって、スタートアップの立ち上げ段階だったWeWork Japan は、何もかもが新鮮で魅力的だった。新たなチャレンジをしたい、新しいことを学び、成長したい、そう思った。</p>

<p>さらに佐々木のモチベーションを高めたのが、ずっと抱いていた「日本の働き方を変えたい」という思いに本気で取り組める環境だ。世界中をフィールドにビジネスを行ってきた佐々木は、日本人にはもっと活力が必要だと思っていた。朝の通勤電車の中での表情も、皆、なんだか暗い。日本はGDPが伸びず、生産性も世界と比べると低いといわれている。その現状を打破するためには「テクノロジーも大事だけれど、まずは人」と佐々木は言う。働く人が元気でなくてはいけない。</p>

<p>「ある統計によると、日本には熱意を持って働いている社員は、たった6％しかいないそうです。いったいどうすれば日本で働いている人を元気にできるのか。そう考えていたときにWeWork Japan に出会い、そのポテンシャルがあると確信しました」</p>

<p>WeWork は、全世界38ヶ国150都市840拠点（2020年6月時点）にコミュニティ型ワークスペースを展開している。そこには働きやすい空間だけでなく、業界業種や企業の壁を超えた多様なつながりから構成されるコミュニティもあり、アイデアやオープンイノベーションが生まれやすい環境が整っている。</p>

<p>「出会いは、人の価値観を変えるものだと思います。自社オフィスで毎日同じ人たちと会うだけでは、なかなか意識までは変えられない。業種や職種を越えて多様な人と出会うからこそ、『こういう生き方や考え方があるんだ』と気づきが生まれたり、共感できる仲間と新しいアイデアを生み出せたりして、仕事や人生をもっと楽しめると思うんです」</p>

<p>こう熱く語る佐々木だが、実は、WeWork Japan に入社した当初、大手企業での経験とスタートアップの現実とのギャップに戸惑い続けた。当時の WeWork はまだ、日本上陸直後。オフィスらしいオフィスもなく、WeWork Japan 前CEOが住むマンションの一室で働いた。あらゆる仕組みやリソースが足りておらず、すべて自らの手でやらなければならない。久しぶりに自らエクセルを叩き、資料をパワーポイントにまとめ、請求書や給与の支払いも全てこなした。</p>

<p>大手グローバルカンパニーの日本法人CFOまで登りつめた人物が、こうした広範囲にわたる作業を自らの手で行うことに抵抗はなかったのかと聞いてみる。</p>

<p>「実際入社してみて、ここまで自らやらなくてはいけないのか、と思うこともありましたが、『私がやらないと誰がやるんだ！』と、逆にすごく燃えました。前職と比べるとスピードが桁違いに早く、どんどん前に進まないといけないし、決断する回数も多い。しびれましたね（笑）」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC4822.jpg">
<figcaption>周りの人からは「スタートアップに行くんですか？」と驚かれた。しかしこの時の佐々木にとって大事なのは、会社の規模やポジションではなく、自身が掲げた「日本の働く人を元気にする」というミッションの実現だった。</figcaption></figure></p>

<h2>CFOでもCEOでも、目指す先はブレない</h2>

<p>WeWork JapanのCFOとして入社した佐々木は、マネージングディレクターとして、WeWork Japan のオペレーションの統括を行うポジションを経て、2019年10月、CEOに就任する。それはあまりに突然のことだった。</p>

<p>「ある朝、普段通りに出社したら、WeWork Japan 前CEOが辞任したと聞かされて、ものすごく驚きました」</p>

<p>同日に、WeWork Japan の親会社である米国 WeWork とソフトバンクから「WeWork Japan のCEOをやってくれないか」と打診がある。佐々木はその場で承諾した。急転直下の展開だが迷いはなかったのかと聞くと佐々木は笑顔でこう答えた。</p>

<p>「IPOの取り下げなど、混乱している中でのことでしたが、即決しました。『日本で働く人を元気にする』という私自身のミッションを突き詰めることには変わりませんから。CEOとしてなら、より幅広く社会にインパクトを与えることができるかもしれないと思いました。それに『私がやらなきゃ誰がやるんだ』という気持ちもありました」</p>

<p>立場は変われども、佐々木の目指す先にブレはない。</p>

<p>ただそうは言っても「新米CEO」の前に立ちはだかる課題は決して少なくないはずだ。これまで順調に道を歩んできた佐々木の仕事人生において、こうした時期のCEO就任はさすがに「壁」と感じざるを得ないのでは？ という問いに、佐々木は素直にこう答える。</p>

<p>「引き継ぎも全くない状態でのスタートです。30分刻みで会議が入り続け、その中で会社の運命を決めるような決断を次から次へとする。最初は本当に苦労しました。会社自体が混乱する中、メディアでもいろいろな記事が出て、従業員も自信を失くしかけているようでしたし、取引先からも心配される状況ですから、もう大変で。とにかく必死で、会社を前に進めることだけを考えて取り組んできました」</p>

<p>重大な意思決定は最終的には自分でする。その方法はさまざまだが、佐々木は「数字とロジックで選択肢を7割狭めて、残りの3割をアートで決める」という。「これは危ない」というものを数字やロジックで排除できるのは、紛れもなくCFOの経験が役に立っている。ただしそこからの絞り込みは、佐々木曰く「アートの域」だ。「メンバー様のためになるか」、「社員、会社、そして社会のためになるか」、そして佐々木自身のミッションに基づき「日本人の働き方のためになるか」と考えながら定性的な判断をする。</p>

<p>「解がないものを数字だけで突き詰めることはできないし、逆にアートだけでも無理。決断で大切にしているのは、そのコンビネーションです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC4923-Edit.jpg">
<figcaption>「何をするか」よりも「なぜ働くのか」「なぜここにいるのか」を理解することが大切だと佐々木は言う。佐々木にとってミッションはいつも、挑戦し続ける原動力になっている。</figcaption></figure></p>

<p>CEOとしての決断においてはこれまでの経験が活きている。では、リーダーシップにおいてはどんなことを意識しているのだろうか。</p>

<p>「数字とロジックで物事を判断する財務部門で経験を積んできた私が言うのもおかしな話ですが、常にポジティブであることを意識しています。成功をイメージし、周りに対してポジティブに接する。ポジティブでいさえすれば、必ず何かが起きると信じています」</p>

<p>新型コロナウイルスの影響で、リモートワークの普及が早まった。こうした流れの中でときどき耳にする「オフィス不要論」。しかし佐々木はポジティブだ。</p>

<p>「オフィスの役割は変わってきていると思います。自分の席に座って作業をするだけの場所ではなくなりつつある。これからのオフィスは、人と話し、コラボレーションをして、新しいものを生み出す、そんな場所になるのではないでしょうか」</p>

<p>1つの高い山から下り、新たな別の高みを目指す。その頂きが見えてくるのはこれからだ。佐々木が突如CEOに就任し、立ちはだかる「壁」を乗り越えようとしているこの話は、多くの読者の方々が気になるところだろう。</p>

<p>グローバルで培った財務の視点を今後の WeWork Japan の経営にどう応用し、起死回生を図るのか。そして、自らのミッションをどう実現していくのか。イベント当日、佐々木自身の話をじっくり聞きたい。</p>

<hr />

<p><br>
<strong>WeWork Japan 2.0始動。月額39,000円(税抜)で国内30拠点以上使い放題の新プラン「<a href=" https://weworkjpn.com/lp/allaccess/cl " target="_blank">All Access</a>」開始</strong></p>

<p><small>WeWork Japan 合同会社は、ニューノーマル時代のより自由な働き方を見据え、働く人々の柔軟性かつ生産性の向上を支援する事業を展開していくため、WeWork Japan 2.0として始動する。その第1弾として、12月1日より、国内30拠点以上の共用エリアが1人あたり月額39,000円（42,900円／税込）で使い放題となる新プラン「<a href=" https://weworkjpn.com/lp/allaccess/cl " target="_blank">All Access（オールアクセス）</a>」を開始。</p>

<p>テレワークやサテライトオフィスを中心としたこれからの新しい働き方のニーズに応える、ニューノーマル時代に適したプランだ。従業員にとってはより自由な働き方と快適な仕事環境が実現でき、企業にとっては従業員の生産性向上とオフィス費用の削減が可能となる。</small></p>

<hr />

<p><br>
<br>
<strong><a href=" https://2020online.climbers-evt.com?utm_source=BNL" target="_blank">Climbers 2020 （クライマーズ）</a></strong><br>
日時：2020年11月23日（月・祝）10:00〜19:00（予定）<br>
開催形式：オンライン配信<br>
参加費用：3500円（税込）<br>
内容：Brave LIVE〜ビジネスマインドが奮い立つ人生の特別講義〜</p>
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    <title>宮田昇始の判断基準は楽しいかどうか。社会の非合理をハックする精神が、SmartHRを成長させ続ける - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-11-11T00:50:00Z</published>
    <updated>2020-12-21T02:40:30Z</updated>

    <summary>世の中の不条理と戦っていきたい━━そう語るのは、株式会社SmartHR代表取締役・CEOの宮田昇始だ。複雑で形骸化した人事労務の手続きの在り方を、テクノロジーを駆使して変えていこうと奮闘する宮田が見据える未来。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>宮田昇始</strong><p>代表取締役CEO。2013年に株式会社KUFU（現SmartHR）を創業。2015年に自身の闘病経験をもとにしたクラウド人事労務ソフト「SmartHR」を公開。登録企業数は公開後約5年で30,000社を突破。2019年にはシリーズCラウンドで海外投資家などから62億円の資金調達を行う。
</p></aside></p>

<p>2020年11月23日（月）にオンライン開催される「Climbers 2020 （クライマーズ）」 では、様々な壁を乗り越えてきた各界のトップランナーが人生の特別講義を行う。Climber（= 挑戦者）は、何を目指し、何を糧にいくつもの壁に挑戦し続けることができたのか。特別講義を通して彼らを突き動かすマインドや感情を探ることで、進み続ける力を本質から思考することになるだろう。</p>

<p>本イベントの登壇者である、株式会社SmartHR代表取締役・CEOの宮田昇始は、そのキャリアを通して"Climb"し続けてきた経営者だ。</p>

<p>クラウド人事労務ソフト「SmartHR」は、業界シェアで1位を誇り、その登録企業数は3万社を超える。また、国内のみならず、米国からも支援を募り、累計資金調達額は82億円。投資家やベンチャーキャピタルからの信頼も厚い。まさに飛ぶ鳥落とす勢いで成長を遂げている同社だが、宮田自身の歩みは決して平坦ではなかった。まだ働き盛りの20代で大病を患い、命の危機に瀕したことも。また、同社の前身となる株式会社KUFUでは、事業の失敗を幾度も経験した。ここ数年は挑戦の連続だったことは想像に難くない。そんな考えを巡らせながら、宮田のClimberとしての一面を探ってみた。キーワードは「不条理との戦い」だ。</p>

<h2>世の中の不条理と戦っていきたい</h2>

<p><strong>――まずは宮田さんの学生時代から教えてください。後に起業にいたるマインドはどのように形成されたのでしょうか。</strong></p>

<p>昔から変わっていないのは、世の中の不条理と戦っていきたいという気持ちです。私の実家は熊本県の山奥にあるのですが、中学生になってからは中高一貫の進学校に通うことになったので、寮で生活していたんです。そこはルールがすごく厳しくて。中学生はテレビを観てはいけないとか、中学1年生はお風呂の椅子を使ってはいけないとか、朝起きたら急いで食堂に行ってマヨネーズを出さないといけないとか（笑）。いわゆる縦社会的な決まり事が多かったんですけど、どれもすごく理不尽じゃないですか。</p>

<p>ただ、そうしたルールの中で抜け穴を見つけて破るのが楽しかったんですよね。夜中になると電気を消されてしまうのでトイレの換気扇から電源を引っ張ってきたり、雨樋をつたって脱寮してみたり。そうやって何かしらの形で抗っていた気がします。</p>

<p>それで反発心を植え付けられたのか、「学歴・職歴なんてクソ食らえ！」と斜に構えるようになりました。「学歴に頼らずとも自分でできること証明してやる」と。</p>

<p>大学受験のときは友人から願書を何枚かもらって、その中から選んで送ってみたり、就職活動でも友人に企業を３社ほど選んでもらって面接を受けに行ったり。今から考えるとけっこうヤバいことをしていますよね......。結論から言うと、両方とも大失敗だったんですけど（笑）。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/201009_BNL 0033.jpg">
<figcaption>反骨精神をにじませながらも、語り口はいたって柔和な宮田。失敗談もあっけらかんと語る。
</figcaption></figure> </p>

<p><strong>――それはどうしてですか？</strong></p>

<p>学歴は関係ないと思いつつも、ちゃんと目的を持って大学に行くことで得られる繋がりってけっこう大きいんですよ。それを社会人になってから痛感することが多くて。職歴に関しても、20代中頃にめちゃくちゃ後悔しました。なんで適当に会社を選んでしまったんだろうと。</p>

<p>ただ良かったのは、IT業界に身を置いたことでした。僕は2007年新卒の代なんですけど、内定をもらった会社でインターンとして働かせてもらうまでインターネットに触れる機会が全然なくて。むしろ、敬遠していた面がありました。でも、経験を積んでいく中で面白さや可能性を知ることができて、インターネットで一生食っていくぞと思うようになったんです。</p>

<p>そのタイミングで「ハント症候群」という難病を患い、数ヶ月間働けなかった期間に人生を見つめ直し、今の会社で働くよりも好きなことをやりたいと考えて2013年に起業しました。</p>

<h2>SmartHRというホームランをどこまで遠くに飛ばせるか</h2>

<p><strong>――SmartHRという会社としての挑戦、そして宮田さん個人としての挑戦、それぞれどのように考えていますか。</strong></p>

<p>SmartHRというサービスをつくったときは、50名未満のIT企業がコアターゲットになると思っていました。でも、サービスをはじめて１年半ほどで1,000名を超える会社に使ってもらえるようになって、その1年後には10,000名を超える会社、そして今年は数十万名規模の会社にも導入されました。業種もどんどん広がっていて、これまでは飲食とか小売チェーンが多かったんですけど、最近は一部上場企業や大学、病院、金融機関でも利用していただいています。</p>

<p>それでも、日本全体の労働人口で考えたら導入率はまだ1%程度なので、これを5年以内に15%ぐらいにまで伸ばしたいと考えています。そのためには、ソフトウェア的にも、サポート体制的にも、大きなジャンプが必要なので、メンバー全員で挑戦している最中です。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/201009_BNL 0003.jpg">
<figcaption>近年は、一般企業だけでなく、大学、病院、金融機関などにもSmartHRの利用が広がる。それでも、日本全体の労働人口で考えたら導入率はまだ1%程度、向こう５年で大きなジャンプアップを目論む。
</figcaption></figure> </p>

<p>私個人としても、このSmartHRという会社をどれだけ大きくできるかに挑戦しています。ただ、その大変さも痛感していて......。これは私の周りの経営者の間でホットな話題になっているのですが、一度掲げた目標を達成したときに、身の振り方をどうするのかを考えることが多くなっています。すべてをやり切ってから、より高い別次元の目標を掲げて動き出すのってすごく難しいんですよね。あるシーズンに好成績をあげたスポーツ選手が、翌シーズンには成績を出せないことってよくあるんですけど、ある種の燃え尽き症候群に陥ってしまうんだろうなと。</p>

<p>起業した頃は「1億円くらいで事業を売却できたらラッキーだね」みたいな話をしていたんです。でも、事業が大きくなるにつれて、視座も高くなっていて。2017年頃は「"強くてニューゲーム（*）"が早くしたい」とよく言っていました。というのも、SmartHRというサービスを立ち上げるまでの2年くらいは不可逆的な失敗の連続で、ものすごい数のピボットを経験しているんです。だから、ある程度ノウハウがある状態で起業したら、もっと簡単に成功できる気がしていて。野球でたとえるなら、ツーベースヒットが打てたので、次の事業で早くスリーベースヒットを打ちたいと思っていました。ところがその後も、自分たちが想像している以上にSmartHRの事業は伸びています。</p>

<p><figure><figcaption>（*）コンピュータゲームのシステムのひとつ。進行中またはクリア後の状態で最初からゲームを開始することができる機能</figcaption></figure></p>

<p>たまたま選んだ市場が良くて、すごく能力のある人たちがすごく良いタイミングで入社してくれて、みんなでつくったプロダクトがたくさんの人に使われるようになった。こんなにいろんな条件が一気に揃うことってほぼないと思うんですよね。だから今は、SmartHRというホームランをどこまで遠くに飛ばせるのかに注力したいと考えています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/201009_BNL 0082.jpg">
<figcaption>「一度掲げた目標を達成したときに、次の目標に向けてモチベーションを上げるのは難しいんですよね......」と語りつつも、SmartHRというホームランをどこまで遠くに飛ばせるか━━という挑戦に気持ちは向かっている。
</figcaption></figure>  </p>

<p><strong>――宮田さんが考えるホームランとは？</strong></p>

<p>少し前まではユニコーン企業になることがホームランだったんですけど、最近はもっとできるかもしれないと考えるようになりました。数年前だったら「無理じゃない？」と思っていたことが、最近は「できるかもしれない！」という感覚になっていて。高尾山を登っていると思ったら、いつの間にか富士山を登っていて、次はもしかしたらエベレストに挑むかもしれない。これまでは、エベレストに登ることは選択肢にも入っていなかったけれど、今だったらうまく登れる気がする......そういう感覚なのかもしれません。</p>

<p><strong>――宮田さんは「楽しいかどうか」を大切にされている印象があります。それこそ、理不尽なものやレガシーなシステムは「楽しくないもの」。だからこそ、それを変えていきたい気持ちが強いのかなと。</strong></p>

<p>そうですね。楽しいか、面白いか。それが判断基準になっている面はあると思います。みんなと目標に向かって進めていることが楽しいんですよね。だから、そこまで挑戦というものを意識していないというか。</p>

<p>おかしな話なんですけど、たまに会社のことを学校と呼んでしまうことがあって（笑）。この前もCFOの玉木（諒）に「玉木さん、明日は学校来ます？」と聞いてしまって、ツッコミを入れられてしまったんですけど、それくらい会社のことを学校だと思っている節があるんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/201009_BNL 0277.jpg">
<figcaption>挑戦はみんなで楽しむためのアトラクション。みんなでワイワイやれる場所をつくり続けることが、宮田自身の挑戦でもある。
</figcaption></figure>  </p>

<p><strong>――どうして会社を学校だと思うことがあるのでしょうか？</strong></p>

<p>小学生とか中学生の頃、同級生とうまく馴染めなかったことが影響しているのかな......。実家が建設業を営んでいたんですけど、すごい田舎だったので周りにそういう家庭はなく、それを理由に私のことを特別扱いすることが多かったんです。それで「自分を正しく見てほしい」という思いが強くありました。そうした背景があり、親友になる友達はなかなかできないし、中学生の頃は上級生からもいじめられたし、小中時代は楽しかった思い出がほとんどない。だから、その反動で会社のことを学校のように考えているんだと思います。社内の部活もすごい数がありますし。</p>

<p>採用面接で会社の様子を聞かれるときも「文化祭の2週間前くらいにバイト入れてもギリギリ怒られないくらいの空気感」とか「緩めな部活とガチめなサークルの間くらい」ってよく言うんですよね。みんなで楽しくワイワイがやりたいし、挑戦はみんなで楽しむためのアトラクションくらいの感覚で働いているかもしれません。</p>

<h2>社会の非合理をなくすために、旧態依然の価値観をハックする</h2>

<p><strong>――最後に、SmartHRが見据える未来について教えてください。</strong></p>

<p>社会保険や労働保険の手続きって年間1.6億回ほどあるのですが、そのほとんどがいまだに手書きや郵送で行われているんですよ。その電子化率は約15%と言われていて、税務や登記の電子化率と比較すると4倍以上の差がある。言葉を選ばずに言えば、すごく遅れているんですよね。そういう形骸化した手続きの在り方を、テクノロジーを駆使して変えていきたいと思っています。</p>

<p><strong>――「社会の非合理を、ハックする。」をミッションに掲げているのも、そうした理由があるからなんですね。</strong></p>

<p>自分自身が社会の非合理をなくしていきたいと本気で考えているので、そういう思いを持った人たちが集まってきやすい場所にしたかったんです。加えて、SmartHRはソフトウェアの会社なので、エンジニアに刺さるメッセージがいいなって。</p>

<p>ハックというと「クラッキング」みたいな悪いイメージを連想することが多いと思うんですけど、本来は「うまいことやる」という意味の言葉なんですよね。だから、業界を牛耳ってやるみたいなことは全然考えてなくて。軋轢も生みたくないですし。むしろ、これまで業界を支えてきた社労士の先生や行政と共存しながら、次の時代を模索していきたいと思っています。</p>

<p>実際、行政の担当者がヒアリングに来てくださることもあるのですが、彼らが使いにくいところがあればどんどん変えていきたい。そうした積み重ねが、旧態依然とした価値観を変える端緒になるはずなので。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/201009_BNL 0244.jpg">
<figcaption>旧態依然とした価値観を変える。ルールの中で抜け穴を見つけることに面白さを見出していた中高生の頃と、一貫してそのマインドは変わっていない。
</figcaption></figure> </p>

<p><strong>「Climbers 2020 （クライマーズ）」</strong></br>
日時：2020年11月23日（月・祝）10:00〜19:00（予定）</br>
開催形式：オンライン配信</br>
参加費用：3500円（税込）</br>
内容：Brave LIVE〜ビジネスマインドが奮い立つ人生の特別講義〜</br>
<a href="https://2020online.climbers-evt.com" target="_blank">https://2020online.climbers-evt.com</a></p>
]]>
        
    </content>
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    <title>「引き算の人生デザイン」が挑戦の舞台を選ばせる━━小出伸一が新しい領域に進み続ける理由 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/11/sfdc-koide.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9428</id>

    <published>2020-11-09T00:30:00Z</published>
    <updated>2020-12-21T02:39:42Z</updated>

    <summary>セールスフォース・ドットコムの代表である、小出伸一は並々ならぬ競争心の持ち主だ。そんな彼がいま挑むのは、グローバルに通用するようなイノベーションを日本から生み出すこと。ビジネスを通じて世の中を変えようとする、そのマインドの源泉に迫る。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>小出伸一</strong><p>1958年福島県生まれ。大学卒業後、日本IBMに入社。米国本社戦略部門への出向、社長室長、取締役などを務めたのち日本テレコムに入社し、ソフトバンクテレコム副社長兼COOに就任。その後、2007年12月、日本ヒューレットパッカード 代表取締役社長に就任し、2014年4月、セールスフォース・ドットコムの代表取締役会長兼CEO（最高経営責任者）に就任、2018年6月より三菱UFJ銀行の社外取締役、2019年3月より公益財団法人スペシャルオリンピックス日本の理事に就任。</p></aside></p>

<p>2020年11月23日（月）にオンライン開催される「Climbers 2020 （クライマーズ）」 では、様々な壁を乗り越えてきた各界のトップランナーが人生の特別講義を行う。Climber（= 挑戦者）は、何を目指し、何を糧にいくつもの壁に挑戦し続けることができたのか。特別講義を通して彼らを突き動かすマインドや感情を探ることで、進み続ける力を本質から思考することになるだろう。</p>

<p>本イベントの登壇者のひとりである株式会社セールスフォース・ドットコムの代表取締役会長兼社長 小出伸一は、「壁を感じたことはない」と言う。しかしそれは、挑戦がなかったという意味では決してない。むしろ挑戦は、彼の人生のテーマであるといっても過言ではない。</p>

<h2>幼少期から培われた「一番を目指す」精神で選んだ進路</h2>

<p>福島で事業を営む父親のもとに一人息子として生まれた小出。跡取りとして期待されていたが、甘やかされて育ったわけではない。むしろ父は、競争相手となる兄弟がいないからこそ小出に厳しく接した。また、小学生の頃に始めたボウリングは全国大会にも出るほど真剣に取り組んだ。「競争に打ち勝って勝利者になる」「一番を目指す」という精神が自然と培われていった。</p>

<p>プロボウラーになりたかった。大学の4年間、授業に出るよりもボウリング場に通うことの方が多い毎日だったと振り返る。ただ、経済的なことを考えると、プロボウラーを目指す道より、父の跡を次ぐのが現実的だった。しかし、大学卒業のタイミングで小出の進路は大きく変わった。自動車部品や用品を扱う卸問屋という父のビジネスは時代とともに難しくなっており、「今はまだ帰ってくるな」と言われて就職することにしたのだ。</p>

<p>小出が卒業したのは1981年。当時の就職人気企業ランキングはほぼ日本企業で占められていたが、選んだのは日本アイ・ビー・エム（以下、IBM）だった。</p>

<p>「普通の企業に行ってもチャレンジャー・スピリットを感じられないのではないかと思った」と選択の理由を語る。</p>

<p>小出が入社したその年に、人々の生活にPCが浸透していくきっかけとなるIBM Personal Computerが発表される。小出の目にIBMは、世界を舞台にITの新しい夜明けをもたらすチャレンジングな企業に映ったのだ。</p>

<p>「いつかは実家に帰るのかもしれない。それなら新しい風を感じられるところに行ってみたかった。それに、既にたくさんの競争相手がいるところよりも新しい領域で戦う方が勝率は高い。それを子どもの頃から経験を通じて感じ取っていたので、いつも『新しいところの方が面白そうだ』と感じる」</p>

<h2>過去の自分が積み上げてきたものが今の挑戦を支える</h2>

<p>小出にとって挑戦とは勝ちを目指して行うもので、無謀とは異なるものだ。だから、「その人が背負っているものによって挑戦の価値は違う」と考える。</p>

<p>「経営者である私にとって、51％以上の確率があれば挑戦だと言えるが、49％以下ならそれはギャンブル。私は従業員、お客様、パートナー様、地球環境、家族など、様々なステークホルダーに責任を負っている。そんななかで、20％しか可能性のないものにリソースを投入したりすれば、ギャンブルになってしまう。</p>

<p>でも、立場が違えば背負っているものも違うので、挑戦の意味も変わってくる。例えばゴルフでバーディを取るために、10センチしかない木と木の間を狙う。タイガー・ウッズにとっては、これは十分にやってみる価値のある挑戦かもしれない。いずれにしても、前向きにチャレンジするかどうかが非常に大事になってくる」</p>

<p>また、小出には自分の中で自信と不安のバランスが7対3、あるいは8対2くらいのときに、最も挑戦するエネルギーが湧いてくるという独自の方程式があるという。十分に自信がないとやってみようという勇気や力が出ないが、全く不安がなくても慎重さに欠けて無謀に傾いてしまうというわけだ。</p>

<p>この自信と不安のバランスは、自分の経験の上に成り立つものである。つまり、今の自分の挑戦を支えるのは過去の自分の積み重ねである、というのが小出の持論だ。</p>

<p>「過去からの小さな努力や経験の積み重ね。そこから生まれてくる信念が、挑戦するときに非常に重要な要素だと考えている」</p>

<p>そんな小出は、IBM時代は「サイボーグ」と呼ばれていたという。バブル期の同社では、夜中まで働くこと自体は珍しくもなかった。その中で「トップパフォーマーになる」という強い思いを持つ小出は、文字通り寝る間を惜しんで人の何倍も働いた。そして実際に、入社6年目にして営業成績でトップに上り詰めたのだ。</p>

<p>「今の時代には合わないし、人それぞれなので自分のやり方を押し付けるつもりはない。けれども、限られた時間でどれだけお客さまのこと、ビジネスのことに時間を使ったかが、最終的な結果に現れると思う」</p>

<h2>社員それぞれが力を発揮し化学反応が起きるような環境づくりに注力</h2>

<p>猛烈に働いて結果を出してきた小出だが、セールスフォース・ドットコム（以下、Salesforce）の社員に同じような働き方を求めているわけではない。</p>

<p>良いものを作れば売れた高度成長期には、とにかく効率的により多くの仕事をすることが求められた。しかし今は、革新性やイノベーションが必要とされている。それは効率性や量の追求からは生まれない。社員それぞれの多様な能力をいかに引き出し、活かすことができるかが鍵になってくる。</p>

<p>「特にIT業界は人材獲得競争が激しいので、いかにしてトップタレントを採用し、彼らが離職しないようにするか、ということが重要だ。したがって私が力を入れるべきなのは、社員が働きがいを感じられる環境を真摯に考え、提供することだと思っている。それによって社員がそれぞれの力を発揮し化学反応が起きれば、持続的な成長を実現できる」</p>

<p>Salesforceはアメリカに本社を置くグローバル企業だが、その中でも人材やワークプレイスへの投資割合が大きいのが日本法人の特徴だ。それは、上述のような考えをもった小出の経営判断によるものなのだという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/salesforcetower.jpg">
<figcaption>国内企業のデジタルトランスフォーメーションの支援をさらに強化していくために、2024年までの5年間で3500人規模まで増員することを発表。「日本生命丸の内ガーデンタワー」の全てのオフィスゾーンをセールスフォースが借受け、「Salesforce Tower Tokyo」の呼称で2021年下半期より稼働する予定。　</figcaption></figure> </p>

<h2>セールスフォースに感じたチャレンジャー・スピリット</h2>

<p>小出はかつて「55歳で引退する」と公言していた。実際にその歳になって選んだのはセールスフォースの日本法人トップ（代表取締役会長 兼 社長）という道だが、そこに矛盾はないという。</p>

<p>「55歳でデイ・トゥ・デイのビジネスを離れたら、それまでの経験を生かして優秀な人材を育成したり、スタートアップ企業の支援をしたりしようと考えていた。そうすることで、それまでお世話になったIT業界に自分なりの貢献ができるのではないかと考えたからだ」</p>

<p>最近の日本ではグローバルに通用するようなイノベーションがなかなか生まれないと言われている。しかし日本にも優秀な人材がいる。彼らが日本のビジネス環境の中で本来の発想や能力が発揮しきれていないことに問題があると感じていた小出は、自身の経験を生かして人材やスタートアップを育てたいという強い思いがあった。セールスフォース創業者のマーク・ベニオフに「日本法人の最高責任者に」と請われて承諾したのは、同社に自分と同じスピリットを感じたからだ。</p>

<p>「Salesforceは、会社自体がチャレンジャーだ」と小出は語る。</p>

<p>「Salesforceが最初にやったことは、ITの民主化。PCの登場によってコンピュータは個人でも持てるものになったが、それを動かすソフトウェアを買ったり開発したりするには、ある程度の資金が必要だった。マーク・ベニオフはそうではなく、ソフトウェアも電気や水道やガスみたいに必要な分だけリソースを使えるようにすべきだと考えた」</p>

<p>Salesforceはソフトウェアをクラウド化、サービス化することによって資本のない中小企業でも手の届きやすいものにした。そんな会社に参画することで、小出はビジネスを通じて世の中を変えるという目標を追求することにしたのだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/sfdckoide_2.jpg">
<figcaption>「Salesforceは道なき道を行くトレイルブレイザー（先駆者）。マーケットにイノベーションを真摯に提供してきた」と語る小出。その企業としての姿勢に共感し、セールスフォース・ドットコムの日本法人トップの道を選んだ。　</figcaption></figure>  </p>

<h2>30代で始めた「引き算の人生設計」</h2>

<p>「55歳になったら引退し、人生の後半はIT業界への恩返しを」という目標は、小出が30代の頃から考え始めたことだ。</p>

<p>きっかけはIBMでトップの営業成績を収めた20代後半、先輩に「日々の努力の積み上げだけでは、大きなものにならないよ」と言われたことだった。</p>

<p>「それまでは日々忙しいことが楽しくて、目の前のことに一生懸命だった。でも『人生は引き算で考えなさい』と言われて、55歳を区切りとして自分の人生をデザインするようになった」</p>

<p>「55歳で経営者としてビジネスの現場を卒業したい」と考えた小出。「そのためには1期3年を2期やるとして49歳には社長になる」「49歳で社長になるには◯◯歳で取締役になる」「そのためには......」と引き算で人生のデザインを描いていった。IBMの後は日本テレコムでCOOを務め、48歳で日本ヒューレット・パッカードの経営者として迎えられた。着実なキャリアアップの背景には、「引き算の人生設計」があったのだ。</p>

<p>区切りとした55歳を迎えたらやろうとしていたことをSalesforceという舞台で実践している今は、とても充実している。だが、「日本からグローバルに通用するイノベーションが生まれている」というビジョンは実現していない。「まだまだ経営者としてやるべきことは多くある」と語る小出は、若い挑戦者たちとともに今後もClimbを続けていくのだろう。</p>

<p><strong>「Climbers 2020 （クライマーズ）」</strong></br>
日時：2020年11月23日（月・祝）10:00〜19:00（予定）</br>
開催形式：オンライン配信</br>
参加費用：3500円（税込）</br>
内容：Brave LIVE〜ビジネスマインドが奮い立つ人生の特別講義〜</br>
<a href="https://2020online.climbers-evt.com" target="_blank">https://2020online.climbers-evt.com</a></p>
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    <title>世界中の紛争地で命と向き合い続ける国境なき医師団。リーダーは、極限状態のチームをどうマネジメントするのか - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/10/msf.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9427</id>

    <published>2020-10-12T00:00:00Z</published>
    <updated>2020-12-21T02:38:56Z</updated>

    <summary>国境なき医師団のプロジェクトには、文化的背景も専門分野もまるで違うメンバーが集結する。しかし一刻を争うミッションでは、チームワーク構築に時間を使っている暇はない。そんな中でリーダーが大切にしているものとは。会社の中では学べない、マネジメントのヒントを見た。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<p><aside><strong>萩原健</strong><small>国境なき医師団 緊急対応コーディネーター（Emergency Coordinator）兼 活動責任者（Head of Mission）</small>
<p>1967年生まれ。石油開発会社でアラブ首長国連邦に駐在。退職後、エジプト留学を経て、2008年から国境なき医師団に参加。派遣先は中東やアフリカ、東南アジアなど11カ国、24回に及ぶ。
</p></aside></p>

<h2>日本でただ一人の「緊急対応コーディネーター」</h2>

<p>「国境なき医師団（Médecins Sans Frontières=MSF）」で「緊急対応コーディネーター」として活動する萩原健（53）は、2020年7月、中東の国・イエメンから帰国した。</p>

<p>90年代から内戦を繰り返してきたイエメンでは、2015年の政変でサウジアラビア主導の連合軍が軍事介入し、再び内戦が激化。犠牲者は現在までに10万人以上にのぼり、「世界最悪の人道危機」と言われている。</p>

<p>活動歴12年になる萩原は、緊急対応コーディネーターの肩書きを持つ、唯一の日本人だ。現在はスイスにあるオペレーション・センターの緊急対応デスクのもとに活動する。</p>

<p>紛争地や被災地に医療を届けるMSFのミッションは常に緊急だが、そのなかでも、48時間以内の対応を迫られるような非常事態（emergency）に対応するのが、緊急対応コーディネーターだ。</p>

<p>「例えば、イエメンは紛争地ですから、すべてのミッションが緊急といえば緊急ですが、フロントラインが動いていって、小競り合いから大規模な戦闘や攻撃に発展した場合、通常のセットアップでは間に合いません」</p>

<p>紛争や災害に見舞われた人々に、敏速に医療を主とした支援を提供するために、短時間で、必要なヒト・モノ・カネを集中的に投入する。緊急対応の際の俊敏さ、柔軟さと機動力はMSFの活動のなかでも核となる部分だ。それに先んじて、限られた時間内に現地調査を行い、ニーズを確定させる。こうした初動対応の現場での指揮をとるのが、緊急対応コーディネーターの役割だ。</p>

<p>「今回のイエメンは、緊急対応コーディネーターと活動責任者（Head of Mission）を兼務するかたちでの派遣でした。活動責任者は、より幅広く、各国で展開するプロジェクトを統括する立場です。活動責任者として経験を積んでからでないと、本当の意味での緊急対応はできません」</p>

<p>MSFにはじめて参加したのは2008年、41歳のとき。ロジスティシャン（物資調達、設備の保守管理などを行うスタッフ）としての派遣だった。</p>

<p>「それまで15年以上サラリーマンとしての生活をしていましたが、ロジスティシャンとしての技術的な専門性があったわけじゃないんですね。ただ、学生のころから、理想的な人道支援とは何か、途上国の開発はどうあるべきかに、強い関心がありました」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSF6422.jpg">
<figcaption>萩原が人道支援に関心を持ったのは大学生の頃だった。41歳で人道支援の道へと進むことになる。　</figcaption></figure></p>

<p>大学卒業後、石油開発会社に入社。事務方のビジネスマンとして、産油国との折衝やプロジェクト管理、現場操業のコーディネーションなどに携わった。</p>

<p>「石油開発ビジネスは国家間の政治的利害が交錯するビジネスなんです。いまの国際政治って矛盾だらけじゃないですか。中東を追いかけているとそれがよくわかる。ビジネスの世界で海外援助といっても、利潤の追求という枠から外れることはないですよね。そういった世界と対極にあるのが、人道や医療です。特に国境なき医師団は、活動資金の90パーセント以上を民間からの寄付でまかなっていて、政治的・経済的な利害から一線を画すという明確なポリシーがあります。青臭いようですが、自分が理想とするものを実現したいと思いました」</p>

<p>41歳でサラリーマンをやめた。「定年まで勤め上げてからでも、人道支援はできるじゃないか」と言う人もいた。</p>

<p>「でも、自分が50歳になったときに、果たして同じモチベーションを持っていられるか、自信がなかった。日本にいるといろいろ考えますからね」</p>

<p>２年間エジプトでアラビア語を学び、再び数年間サラリーマン生活に戻った後MSFに応募。「医師団以外は考えなかったですね。自分自身が理想とした人道支援と医師団の憲章に謳われている理念が合致していましたから」と言う。</p>

<p>MSFに参加する動機の一つとして、「現場から離れたくないから」と言う人は少なくない。萩原も当初は、「管理職には興味がない」と思っていた。しかし、ロジスティシャンとして3回ミッションを重ねた頃から、考えが変わってきた。</p>

<p>「日本からの派遣者数が多くない状況で、日本人の発言力が高まっていかないもどかしさがありました。一人ひとりはいいものを持っているのに、意見が通らないんです。やっぱり、理想を実現するためには意思決定に関わるポジションをとっていかなくちゃいけないと思うようになりました」</p>

<p>2010年12月から翌年6月まで、南スーダンへ「プログラム責任者」として派遣された。はじめての「責任者」と名のつくポジションだった。</p>

<p>「医師団のチームって、本当にバラバラなんですよ。文化的背景も違えば、専門によって個々に関心事も違う。現地スタッフもまとめていかなくちゃいけない。緊急対応コーディネーターに応募したとき、『求められる素質は、カオスのなかにピースを見いだすことができる人』と言われたぐらいですから（笑）」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSF6361-Edit.jpg">
<figcaption>MSFで経験を積む中でたびたび、日本人スタッフがMSFの活動運営の意思決定に関わることが少ないと感じることがあった。自分の理想を具現化したい、そんな思いから、意思決定に関わる立場に立とうと考えるようになったという。</figcaption></figure></p>

<h2>萩原流マネジメントは「事前に察知し、プロアクティブにアプローチする」</h2>

<p>南スーダンのプロジェクトは、7〜8人の海外派遣スタッフと、100人近い現地スタッフで運営されていた。海外派遣スタッフの内訳は、医師・看護師・助産師が各1人、それにアドミニストレーター（人事・財務担当者）とロジスティシャンである。</p>

<p>「チームって本当に『生き物』で。うまく回っているあいだはいいけど、ちょっとした火花で爆発することがあるんです。というのも、僕らはふだん、緊張状態で活動をしているけれど、自分たちが背負っているプレッシャーを忘れているようなところがあるんですね」</p>

<p>銃声が響くような場所なのに、「プレッシャーを忘れている」とはどういうことか。</p>

<p>「緊急で現場に入ったときは、それこそ24時間、集中していますから。自分にかかっているストレスを度外視しているんです。アドレナリン全開状態。ただ、気づいていないからこそ、何かちょっとしたことでチームが崩壊する危険性があるんです」</p>

<p>1カ月2カ月経ち、3カ月目ぐらいになると、みんな疲れてくる。南スーダンのへき地で、十分な設備があるわけでもない。ちょっとした電気系統のトラブルが人命に関わることだってある。設備の整わない僻地であることがわかっていても、真剣勝負で人の命と向き合っている医療関係者だからこそ、つい声を荒らげてしまうことだってある。</p>

<p>一方、ロジスティシャンも必死だ。足りないものを「ちょっとそこまで行って買ってくるよ」というわけにはいかないのだ。あくまでも一例だが、チームが崩れやすいのは、そんな不満が表面化してくるときだという。</p>

<p>人間関係のトラブルに、MSFの責任者はどう対応するのだろう。萩原は、「マネジメントのスタイルは人それぞれ違いますが」と前置きした上で、「僕が大事にしているのは、チーム内不和の兆候を見落とさないよう、過小評価をしないことです」と言う。</p>

<p>「どんなささいな兆候でも過小評価せず、実態を把握するべくアクションをとる。不平や不満はだいたい水面下でふつふつとたまっていきますから、事前にある程度察知して、プロアクティブに対応するのは本当に大事ですね」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSF6434.jpg">
<figcaption>人間誰しも、何日も集中し続けることはできない。その集中が切れたとき、普段なら気にならないぐらいの小さなことがきっかけでチームが崩壊する可能性は十分あるという。だからこそリーダーはささいな違和感を見逃さず調査しなければならない。</figcaption></figure></p>

<p>MSFの活動は、日々さまざまな壁にぶち当たる。設備や医療機材の不足といったことはもちろん、MSFの医療支援がすんなりと地元住民に受け入れられないとか、現地国の医療政策が必ずしもMSFの医療プロトコルと合致しない場合とか、友好的だった武装勢力が急に敵対的になるとか、ジレンマにさいなまれるできごとは枚挙にいとまがない。</p>

<p>「僕らの世界は、それをぶち破るしかないんです。『仕方がない』じゃなくて、『じゃあどうする』と考えていくしかない。ただ、チームにはいろんな人がいますから、中には、常にネガティブで悲観的な反応をする人もいるんですよね。『どうせ無理だ』とかね」</p>

<p>せっかくチーム一丸となって活動をポジティブな方向にドライブさせていこうとしているのに、たった一人のネガティブな意見で、全体の士気が下がってしまうことがある。萩原は「手でその人の口をふさぎたくなるときもあります（笑）」と冗談めかして言うが、なんらかのチームリーダーを務めたことのある人なら共感できる話だろう。</p>

<p>「僕は、そういったスタッフだからこそ、心してより密にコミュニケーションをとるようにします。大勢でのミーティングでも、できるだけその人の近くに座って意見を求めるとか、工夫をします。否定的、悲観的な意見を言うからって、その人が必要ないわけではないんですよね。みんながアドレナリン全開のなかで、冷静な目で見て、違った意見が出てくることは実際にあるので」</p>

<p>そもそもMSFは「やりたいからやる」人たちが集まっている組織だ。モチベーションが低いわけではなく、「やりたいことができない」「思うようにできない」ことが不平不満につながる。活動責任者として経験を積んでいくうちに、萩原は、「不平不満を言う人は、方向性を失っている場合が多い」と考えるようになった。</p>

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<p>「特に医療従事者は、医療活動の最前線にいます。必要とする人々に医療を提供するという気持ちにおいては、医療従事者でもそうでなくても同じ目的を共有していますが、やっぱり日々の活動で、人の命に向き合っているのは医療従事者なんです。MSFは活動する際、活動内容、目的、対象を明確にしたうえで、必要な資源を投入し、チームを作って態勢を整えます。例えば栄養失調プログラムと外科プログラムにはそれぞれ異なる態勢が整えられる。だから皆、外科治療に特化したチームが、栄養失調の子どもを受け入れないことは、理屈ではわかっています。</p>

<p>しかし、常にヒトの命と向き合っている医療従事者にとって、人道医療危機の現実はあまりに厳しいものです。目の前にいる栄養失調の子どもを、本来のプログラムの目的に合致しないから患者として受け入れられないジレンマがそこにある。『なぜ私はこの患者さんを診ることができないの？』と、無力感にさいなまれる人もいます。そういうことが重なると、なぜこの活動をやっているのか、わからなくなってくるんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSF6446.jpg">
<figcaption>人を助けたい。その気持ちに正直であるほど、やりたいことがなんらかの理由でできなかったときに、無力感から「なぜこの活動をやっているのか」がわからなくなってしまう。MSFにおいて不平不満を言う人は、モチベーションが低いのではなく、ただ道を失ってしまっているのだ。</figcaption></figure></p>

<p>一人か二人、道を失えば、チーム崩壊の危険性はぐっと高まる。活動責任者はそうならないために、いろんな工夫をする。例えば、毎晩みんなでごはんを食べて、ざっくばらんに話し合える場を作る人もいるという。</p>

<p>「僕はそんなに社交的ではないので、じゃあどうするかというと、毎日のミーティングで、自分たちが何のためにここにいて、いまどういう状況になっているのかを話すんです。毎日のことだからみんな慣れてきて、『また言ってるよ』となるんですが、常日頃からそれを共有することで、チームが爆発するのを防ぐことができる。そうすると、何かあったときもパニックにならないから、安全管理の部分でも功を奏することがあるんですよね」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/hagiwara_IMG_20180313_145913.jpg">
<figcaption>イエメン紛争の縮図とも呼ばれるアッダリ県での活動地にて（2018年）。その後、MSFスタッフと宿舎を狙った事件により活動終了を決定した。（写真提供：MSF）</figcaption></figure></p>

<p>日々、自分たちの現在地を確認する。チームのメンバーはそれでいいかもしれない。では、責任者である萩原自身が判断に迷ったときはどうするのだろう。</p>

<p>「欧州にある運営本部には相談できる経験者がいますから。どれだけサポートを求め、受けられるか、それも責任者に求められる能力の一つかもしれません。その上で、最終的には自分で考えて、現場で判断するしかない。そのときはMSF憲章に照らし合わせます。中立、独立、公平とは何か。そして、医療と人道は普遍的なものである。そこに戻るんです」</p>

<h2>コミュニケーションのダイナミズム</h2>

<p>MSFの活動運営の方向性を定める意思決定に直接的にかかわるポジションには、日本人がまだまだ少ない。</p>

<p>「仕事に真摯に向き合う姿勢も実務能力もあるから、評価されるのは当然です。しかし、どこまで意思決定に関わっているかというと、まだまだ声は小さいですよね。でも責任者というポジションは、日本人の方にも絶対にできる役割だと思うんですよ。時間をかけた状況分析と把握する力、石橋を叩いて渡る慎重さなど、日本の組織で鍛えられた部分もある。ただ一方で、医師団のような活動では、組織の枠にとらわれないダイナミックな行動が必要とされます。そこは、"失敗を恐れるな"って、誰かが背中を押してあげないといけないと思うんですけどね。」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSF6503.jpg">
<figcaption>自発的に集まっている集団であるからこそ、そこで生まれるコミュニケーションは、いわゆる会社組織のそれとは全く違うという。日本人はその違いに一瞬面食らうが、本当は意思決定に積極的に関わることができる力を持っているはず、と萩原は言う。</figcaption></figure></p>

<p>「ダイナミズム」は、萩原がMSFについて語るときのキーワードだ。</p>

<p>「MSFの面白いところの一つは、コミュニケーションなんです。『コミュニケーションのダイナミズム』と、僕は呼んでいるんですけど。ふつう、組織というものが作られると、それに合わせてコミュニケーションラインというものが作られるじゃないですか。そこでは、新入社員と社長が直接仕事の話をして、物事を進めてしまうと、組織として非常にややこしいことになる」</p>

<p>若手社員と社長との"ざっくばらん"な懇親会があって、自由に意見を言いなさいというから自由に言ったら、あとで直属の上司に怒られた、といったことは良く耳にする話だ。萩原自身、会社員時代に似たような経験をしたことがある、と笑顔で話す。</p>

<p>「だけど、MSFはちょっと違っていて。僕らは一人ひとり自発的に集まった集団で、『現場のスタッフ、責任者、理事長、会長など関わる全ての人が、MSFのムーブメントをけん引していく個々の人間として対等だ』というのがベースにあるんですよね。もちろん、指揮系統は必要ですが、例えばあなたが小児科医だとして、何か困ったことがあったときに、チームのメディカルコーディネーターに相談することもできるし、それで不十分なら、欧州の運営本部に直接連絡して技術的なサポートを受けることもできるんです」</p>

<p>「議論と行動」という文化を強く持っている団体だから、どんどんものごとが進んでいく。日本人はまず、そのダイナミックさに面食らうという。</p>

<p>「組織で働くことが染みついている人なら、何か問題があるときに、とりあえず自分の上司を通して、さらにその上の上司を通して......となりますよね。だけど、個が強い文化だと、そんなの関係なく、ものごとがどんどん決められていくんです。自分から輪に入っていかないと、何もわからない」</p>

<p>もちろん、いい面と悪い面がある。栄養失調のプロジェクトなのに、現場が勝手に外科の患者さんを受け入れ始めたら、責任者としては「おいおい、ちょっと待て」と言わざるを得ない。</p>

<p>「だけど、例えば道端に、差し迫る命の危機に瀕している人がいたとします。MSFのプログラムの枠を超えて救命に手を貸したとしたら、その行為に対し組織としての議論はあっても、その行為の奥にあった気持ちは非難されるべきじゃないと思うんです。人道医療援助団体として、MSF憲章に共鳴して活動をしているスタッフが、行き倒れになっている人を助けたいという気持ちを持っていることは自然なことですから。ただ、われわれにはマンデート（使命）があって、それを無視することはできません。僕なんかは、責任者として、現地保健省との合意に反しているとか、法に抵触する可能性があるとか、組織としてまずいとか、いろんなことを考えるのですが、そういうことを言うと『ケンは冷たいな』と言われることもあって（笑）」</p>

<p>規律や規則を重んじ、例外を認めることに躊躇する、またはその理由づけに長けていない気質は、個をより尊重する価値観を持つ人たちからすると、かえって冷たく見えるのかもしれない。</p>

<p>「『ケンのそういうところ、責任者としてはどうだろう』って（笑）。そういった諫言（かんげん）は甘んじて受けます。自分が取った決断と行動に対する批判は当然あるわけだし、そこから学ぶことがあるわけですから。打たれ強くなくちゃダメ。自分がパーフェクトだなんて思っていないですからね」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSF6443.jpg">
<figcaption>「自分は完璧」とは決して思わないと萩原は言う。その自己認識は、MSFであっても会社組織であっても、リーダーという立場に立つすべての者にとって、大切なことなのかもしれない。</figcaption></figure></p>

<p>萩原は、「"危機的な状況にある人々に寄り添いたい"という、情緒的な何かが推進力になっている一方で、合理的、実利的に判断ができなければやってはいけないこともある」と言う。矛盾しているようだが、それが、萩原がこれまで見てきた人道医療現場の現実だ。</p>

<p>「チームメンバー一人ひとりが異なる動機と考えを持っています。それぞれが、それぞれのジレンマや障壁と闘っているんです。それでも僕らが常に意識を向けるべきは、苦境に立たされている人々であり、患者さんですからね。どんな崇高な理念があろうとも、支援を必要としている人々にたどりつけなければ意味がありません。チームスピリットっていうのは"求めて得られるもの"じゃない。時にはケンカし、悪戦苦闘しながら日々の業務をこなしていって、あとあと考えてみたら、あのときのチームはよかったね、そういえばチームスピリットみたいなものがあったなぁと振り返る、そういうものだと思います。それが望ましいチームの姿かなと思っています」</p>

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    </content>
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    <title>相手からの依頼を丁寧に断るフレーズ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/09/English-VOL14.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9425</id>

    <published>2020-09-23T04:33:25Z</published>
    <updated>2020-09-23T06:52:39Z</updated>

    <summary>ビジネス上での誘いや依頼を断るときは、できるだけ丁寧な断り方をしたいと思うもの。英語ではどんなフレーズを使うと良いのだろうか。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ひとこと英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="英会話" label="英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>こんにちは、ルーク・タニクリフです。</p>

<p>今回は、英語で誘いや依頼を断るときのフレーズを紹介します。日本では、依頼をはっきりと断ると相手にネガティブな印象を与えてしまうと考え、丁寧な断り方をする人が多いように感じます。</p>

<p>これは、実はアメリカでも同じことが言えて、「はっきりと断ることが良い」と思われがちなのですが、丁寧な断り方も意外と重要です。実際に、「The Art of Saying No(断り方のテクニック)」という本が、去年アメリカでベストセラーになりました。はっきりと「いいえ」と断らない方法がいくつもありますので見ていきましょう。</p>

<p><br></p>

<h2>メールなどで丁寧に断りたいとき</h2>

<p>最初は、I regret to inform というフレーズ。とてもフォーマルな英語で、メールなどのテキストで丁寧に断るときに使います。regret は「残念に思う」、inform は「知らせる」という意味です。
<img src="/uploads/14_text_01.png"></p>

<p>regrettablyは、会話ではあまり使いませんが、I regret to inform youと同じような意味でregrettablyをよく耳にします。これは「残念ながら」という日本語に似ています。
<img src="/uploads/14_text_02.png"></p>

<p><br></p>

<h2>カジュアルに断りたいとき</h2>

<p>rain checkは文字通り、雨で中止になったという意味ですが、雨とは関係なく相手の誘いを断りたいときに使えます。このフレーズは少しインフォーマルですが、ビジネス上でも耳にします。</p>

<p><img src="/uploads/14_text_03.png"></p>

<p><br></p>

<h2>他の会社からの依頼を断りたいとき</h2>

<p>会社として他の会社の依頼を断るときに、「合わない」を意味するIt's not a good fit. というフレーズが使えます。
<img src="/uploads/14_text_04.png"></p>

<p><br></p>

<h2>遠回しに断りたいとき</h2>

<p>I'll think about it. は「考えておきます。」という意味になります。</p>

<p>このフレーズは断るときによく使われますが、はっきりしない言い方なので、遠回しに断りたいとき役に立ちます。</p>

<p><img src="/uploads/14_text_05.png"></p>

<p><br></p>

<h2>やる気はあるのに、事情があって断らなければならないとき</h2>

<p>I wish I could　は、断りつつも「ほんとうはやりたかった」という気持ちを表現できます。</p>

<p><img src="/uploads/14_text_06.png"></p>

<p>手伝いの依頼を断るときには、I wishが役に立ちます。</p>

<p><img src="/uploads/14_text_07.png"></p>

<p>「また次回」を意味するsome other timeは、断わりながらも「やる気はある」ことを示すことができます。</p>

<p><img src="/uploads/14_text_08.png"></p>

<p>some other timeは文章の主語としても使うことができます。</p>

<p><img src="/uploads/14_text_09.png"></p>

<p>「今のところ」を意味する、at the momentを使えば、「次回はできるかもしれない」というニュアンスを伝えることができます。
<img src="/uploads/14_text_10.png"></p>

<p>断る際、ひとことでも「残念ながら」や「また次の機会に」などの言葉を加えるだけで、相手をがっかりさせず、丁寧な印象も与えます。意識して取り入れてみましょう。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>リモートワーク。どうやって自分をアピールすればいいかわからない問題━━連載：横石崇の「自己紹介2.1」Vol.5 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/08/yokoishi-Vol5.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9423</id>

    <published>2020-08-28T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-08-28T07:10:03Z</updated>

    <summary>オンライン上で自分のことをどう伝えるべきかと悩んだら、「自己紹介の目的」に立ち戻ってみるといい。「自分を知り、相手との未来を築いていく」こと。その目的さえ果たせていれば、オンラインでもオフラインでも、自己紹介に正解なんてないのだ。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="横石崇の「自己紹介2.1」" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>コロナの影響もあり、少し間が空いてしまったが、連載を再開することになった。みなさんはいかがお過ごしだっただろうか。</p>

<p>僕は人と対面する機会がすっかりなくなり、自己紹介をする機会もめっきり減ってしまった。ただ、今年の春から大学教員をやることになったこともあり、もっぱらオンライン授業に勤しむ日々だった。</p>

<p>期せずして、全国一斉にオンライン授業が始まったわけだが、僕はどこの先生よりも遠隔授業を楽しんだ一人であろう。学内からも「今期ナンバーワンの遠隔白熱教室だ」と騒がれた。学生たちに向かって遠隔で教えることがこんなにもグルーブ感を感じるものだとは思いもしなかったし、なんなら来年以降もオンライン授業専門の教員でありたいぐらいだ。ちなみに、そのコツは<a href="https://comemo.nikkei.com/n/nda3ad71f0fb5" target="_blank">こちら</a>にまとめてあるのでよかったら読んでみてほしい。</p>

<p>とはいえ、オンライン授業にはトラブルがつきものだ。ある授業では、講師が入室する前にZoomの参加上限数に達してしまい、授業を開始しようにも講師が入れなかった、という笑い話もある。僕の授業でもそんなトラブルはしょっちゅうあった。授業中にパソコンのカメラをオンにしてもらうと、ベッドに横たわったカップルの男女が肩を寄せ合って授業に参加してくれていることもあった。</p>

<p><strong>EXILE風の彼</strong> 「大学のオンライン授業ってどんな感じなんだよ？」</p>

<p><strong>BLACKPINK風の彼女</strong> 「なんかよくわからないけど、いっかい一緒に見てみてよ」</p>

<p><strong>EXILE風の彼</strong> 「どれどれ、なんか冴えなそうな先生だけど見てやるか・・・こいつ、おもしろなっ！」</p>

<p>そんな感じかどうかはわからないが、男女が肩寄せあって、大学の授業に出席できる時代になったのは歓迎するべきことだ。なんてニューノーマルな世界。コロナは教室の壁を溶かしたわけだ。教える方にも自然と力が入る。</p>

<p>他にも「いつも母親と一緒に授業に参加しています」「ペットの犬が先生の声を聞くと鳴きます」なんてことも言われたりして、もはや家族やペット、親戚もろとも一族総出で楽しんでもらえるなら教師としても本望である。</p>

<p>そんなこんなで、オンラインを駆使していると、生徒たちからリモートネイティブ世代ならではの自己紹介や自己PRについての悩みや相談を受ける。「オンラインでどうやって自分をアピールすればいいかわからない」「オンラインだと理路整然とした話を求められて苦痛」「リアルのときのように上手くいかない」などなど。</p>

<p>自己紹介に決まりもなければ、正解もない。ニューノーマルというよりもノーノーマルな時代である。オンラインであれオフラインであれ、自分を知り、相手との未来を築いていくことが自己紹介の究極の目的なんだから、
TikTokよろしく、踊ってもよし、カップルや家族と一緒に挨拶してくれてもいい。</p>

<p>とはいえ、オンライン時代ならではの自己紹介の作法（テクニック）があるのは確かだ。先日、「プロテインひろこ」さんを紹介された。なんてノーノーマル。誰がどう見てもプロテイン愛好家であることに疑いの余地はなかろう。プロテインを検索すれば上位に出てきて、彼女はマツコ・デラックスのテレビ番組にも出演を果たした。名は体を現すという格言はまさに今の時代のためにある。</p>

<p>あなたもZoomの氏名欄にいつも旗を掲げられるようにリングネームを考えてみよう。それこそが究極のブランディングだ。いずれ僕の氏名も「自己紹介たかし」に改名する日も近いかもしれない。いやちょっと待て、それは逆効果だな。</p>

<p>さぁ、今日も、あなたの自己紹介にトキメキがありますように。 ヴィヴィデヴァヴィディヴゥ！</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/11/BNLBooks-VOL23.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/bnl-books-visual_v2%203.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>要約：肩書きに頼るのはもうやめよう。相手の心を掴むのは、過去ではなく未来から語る『自己紹介2.0』</strong></div></a></div>

<div class="profile-box"><a class="open">執筆者・横石　崇のプロフィール</a>
<div class="hint">
<div class="profile">
<div style="background-image: url('/uploads/yokoishi_profile.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>横石　崇</strong>
<p>＆Co.代表取締役／「Tokyo Work Design Week」発起人・オーガナイザー</p>
<p>1978年、大阪市生まれ。多摩美術大学卒業。広告代理店、人材コンサルティング会社を経て、2016年に＆Co., Ltd.を設立。ブランド開発や組織開発をはじめ、テレビ局、新聞社、出版社などとメディアサービスを手がけるプロジェクトプロデューサー。主な仕事に、グーグル、ソニー、アドビ、ポーラ、東急電鉄、ワイアード日本版などとプロジェクト実施多数。また、「六本木未来大学」アフタークラス講師を務めるなど、年間100以上の講演やワークショップを行う。毎年11月に開催している、国内最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」では、6年間で、のべ３万人を動員した。鎌倉のコレクティブオフィス「北条SANCI」支配人。著書『これからの僕らの働き方』（早川書房）、『自己紹介2.0』（KADOKAWA）がある。
</p><a href="https://8card.net/p/yoktak">Eightプロフィールはこちら</a></div></div></div></div>
]]>
        
    </content>
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    <title>日本のメディアのサブスク化を阻む二つの壁 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/08/piano-japan.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9422</id>

    <published>2020-08-27T06:00:00Z</published>
    <updated>2020-08-28T01:32:11Z</updated>

    <summary>メディアの収益をあげるために、編集者や記者にもマーケティングの知識が求められている。ユーザーを知り尽くし、その媒体ならではのデータを集める。ファンになってもらう施策を重ねる。それができれば、広告もサブスクリプションも効果は断然変わってくるという。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>江川亮一</strong><small>PIANO Japan株式会社 代表取締役</small>
<p>日本オラクル、日本IBM、ファストサーチ＆トランスファ、日本マイクロソフトなどを経て、2010年、オンラインメディア企業向けに収益の最大化・ユーザエクスペリエンス向上ソリューションをクラウドで提供するシーセンスの立ち上げに参画し、日本法人の代表取締役に就任。2020年2月、PIANO Softwareによるシーセンス買収合併に伴い現職。</p></aside></p>

<h2>「Web記事は無料」の「当たり前」を疑う</h2>

<p>「Apple MusicやAmazon Musicができるまでは、楽曲データはインターネット上に転がっていて、お金を払わずに使うのが当たり前だったわけです。そこを思い切って『お金を払わないと使えないですよ』ということにしたら、みんながお金を払うようになりました。Webメディアの記事も、同じだと思うのです」</p>

<p>PIANO Japan代表、江川亮一はそう語る。</p>

<p>1997年から一貫してIT企業でトップセールスとして活躍してきた江川は、2010年にデータマネジメントプラットフォーム（DMP）会社Cxence（シーセンス）の立ち上げに参画。日本法人の代表として、オンラインメディア企業の収益化やユーザエクスペリエンスの向上にコミットしてきた。</p>

<p>2020年2月、PIANO Softwareとの買収合併によりシーセンスはPIANO Japanになったが、メディア企業とのタッグはゆるがない。PIANOが得意とするサブスクリプションプラットフォームを得て、より強力に支援できるようになった。</p>

<p>日本では「Web記事はタダで読めるもの」という認識が根強い。「日経新聞 電子版」の有料会員数が70万人を突破したり、「NewsPicks」が15万人の有料会員を集めたりといった例はあるが、オンラインメディア全体の課金率は低水準にとどまる。</p>

<p>ニュースだけでなく、スポーツや旅行、ファッションといった、これまでなら雑誌を購入して読んでいたような記事も、「ネットなら無料」が染みついている。</p>

<p>「きちんと取材をして作り上げた記事は、紙の時代と同じく価値があるはすだし、対価を払うユーザーはいるはずです。にもかかわらず、そうなっていない。思い切って課金すべきだと思うんですよね」</p>

<p>メディアの側からすれば、そうはいっても無料に慣れきったユーザーが課金してくれるとは思えないだろう。有料メディアをユーザーは利用するでしょうかと問うと、江川はこう答えた。</p>

<p>「何もしないで待っていてもしかたがありません。ユーザーを変えるのはメディア側です。払わないと読めないという状態を作らない限り、ユーザーは変わりません」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/edit_L1130916.jpg">
<figcaption>江川は、インターネット創世記から今日まで、その歴史とともに歩み続けてきた。常に時代の最先端のテクノロジーやデジタルマーケティングに触れて培った知見により、いまのサービスが成り立っている。</figcaption></figure>  </p>

<p>江川から見れば、出版社は、宝の山を持っているようなものだ。個々人の趣味や関心に合わせたさまざまな雑誌そのものが、多様なポートフォリオである。新聞社も同様で、政治・経済といったジェネリックな記事もあれば、スポーツや囲碁・将棋、エッセイ・小説といった文化的な記事まで、幅広くカバーする。</p>

<p>ではなぜ日本では、オンライン上の記事コンテンツのサブスク化が進まないのか。そこには、二つの「壁」があるという。一つは、リスクを恐れること。もう一つは、B to Cの経験が浅いことだ。</p>

<h2>サブスク導入が進まない二つの「壁」</h2>

<p>もともと紙の媒体からスタートした出版社や新聞社では、デジタルへ乗り出すときも議論があった。記事のインターネット配信が、紙の売り上げを圧迫することが懸念されたからだ。しかしその後、ニュースのネット配信が一般的になり、さまざまな新興オンラインメディアが立ち上がると、「記事コンテンツ」は主に広告モデルによって収益化されるようになった。</p>

<p>パブリッシャーは、ページビューを稼いで広告で儲けるために、紙媒体なら有料の記事を、どんどん無料で読めるようにした。</p>

<p>だが、現在のインターネット環境では、これ以上の広告の伸びは期待できない。ページビューは頭打ちだし、タイアップ広告がそれほどスケールしないということもすでにわかっている。GDPR（EU一般データ保護規則）などの個人情報を保護するための規則や、プラットフォーマーのサードパーティクッキーの制限により、広告料金そのものも値下がりしている。</p>

<p>そこで、次の有力な収益モデルとして注目されるようになったのが、サブスクリプションモデルだ。日本ではdマガジンや楽天マガジンといった雑誌読み放題サービスはあるが、媒体ごとに会員制で記事コンテンツを配信するサービスはまだそれほど多くない。</p>

<p>一方で、メディアがサブスクに移行しようと思うと、ジレンマが生じる。有料会員になってくれるユーザーを囲い込むことはできるかもしれないが、引き換えにページビューが減少し、いまある広告収入を失うかもしれないからだ。</p>

<p>このジレンマが、一つめの「リスクを恐れる」という「壁」だ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/edit_L1130877.jpg">
<figcaption>サブスクリプションに興味はあるが、広告収益を一時的に失うかもしれない。そうなると社内を説得しにくい。だから多くのパブリッシャーは新しい施策へとなかなか踏み出せないというのが現実だ。</figcaption></figure>  </p>

<p>「この10年ほど、メディア企業にとって苦しい時期が続いていると思います。いまこそ新たな収益モデルを作らなければいけないのですが、失ったものをどう補てんするかという発想だと、新しいものを生み出していくことが難しい」</p>

<p>そう言って、江川はこう問いかける。</p>

<p>「例えば、ページビューやインプレッション数を上げるために、がんばってサイトにユーザーを集めます。ではいったい、ユーザー一人あたり、いくらの広告売り上げになるのかというと、アメリカのある調査では、1年間で一人あたり100円程度と報告されています。少ないでしょう？ それぐらいのボリュームなのです。その収益はそんなに必死に守るべきものなのでしょうか？　それよりも、広告をなくす代わりに自信をもってユーザーに『私達の記事に100円払ってください』とお願いしてもいいのでは？」</p>

<p>今後、記事コンテンツを収益化していくためには、パブリッシャーが直接、ユーザーである読者に課金することは避けられない。そして、ここに二つめの「壁」が潜んでいる。</p>

<p>日本の出版社や新聞社は、販売・流通を、取次会社や書店、販売店に依存してきた。つまり「B to B to C」のビジネスモデルだ。既存の流通網を通さず、媒体ごとに自分たちでサブスクを立ち上げるなら、「B to C」のプロモーションが必要になる。ところが、パブリッシャーの多くは、「B to C」の経験が少ないと江川は言う。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href=" http://info.piano.io/ja/piano-recital2020?utm_source=BNL" target="_blank">
<h4>関連イベント</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/Pianoevent.jpg">
<div class="info"><strong>PIANO Japan年次イベント PIANO Recital 2020</strong><date>2020年10月6日（火）/<span>受付中</span></date></div></a></div>

<p>「ユーザーに直接課金することをやってきていないのです。そのためノウハウがなく、どう課金すればいいのかがわかっていないのです。記事コンテンツの世界でサブスクの導入が進んでいないのは、単純にそういう理由が大きいと思います。パブリッシャーには優秀な方が大勢いますから、本当はもっと様々なことができるはずです」</p>

<h2>サブスク成功のカギは「ファン」を育てること</h2>

<p>二つの「壁」を打ち破るにはどうすればいいのか。江川は「小さくてもいいから、成功体験を積むこと」だと言う。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/edit_L1130817.jpg">
<figcaption>小さな挑戦を重ねていくことがとても大切だと江川は言う。実際、細かな施策を何度も繰り返すことで、1年で収益が10倍以上になったクライアント企業もあるという。</figcaption></figure>  </p>

<p>「最近だと、2019年10月から『文藝春秋』が、メディアプラットフォーム『note』を使っています。記事ごとに課金もできるし、月額読み放題プランも選べる。最初はそういうかたちでいいと思います。そこで、『お金を払ってくれる人がいるんだ』『自分たちの記事を買ってくれるのはこういう人たちなんだ』という体験をしてから、自分たちのサイトを作るなりしていけばいい」</p>

<p>江川の口から他社のサービス名が出てきたのに面食らう。</p>

<p>「もちろん当社のサービスを使っていただきたいですが、それ以上に、お客様の成功が一番だと考えています。システムは導入して終わりではありません。理想のシステムは、人の知恵や経験、アイデアをどんどん入れていって、うまくいったものを残し、成功パターンを作り上げていくということだと思います。当社もコンサルテーションは惜しみなく行いますし、パブリッシャーの皆さまの知見や自由な発想を意見交換していく事で、最適化されたシステムを構築できると信じています。いまは経験が少なくても、成功体験さえ積めば、アイデアはどんどん出てくるはずなのです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/piano_ppt copy.jpg">
<figcaption>ストラテジック・サービスの概要（PIANO Japan資料より抜粋）</figcaption></figure></p>

<p>シーセンス時代の2016年に、毎日新聞社デジタルメディア局が、DMPおよびパーソナライゼーション・ツールを導入した。前年6月に月額制の電子新聞サービス「デジタル毎日」をスタートしており、「ロイヤルティの高いユーザーを発見し、会員獲得に向けて迅速、かつ柔軟にアクションを起こせる効果的なツールを探していた」という。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/edit_L1130925.jpg">
<figcaption>原宿駅から道路を挟んだ正面にあるPIANO Japanのオフィスにて撮影。「利益も大切、でもそれよりもまず顧客のメディアの成長が先。だから私たちのサービスは、導入してもらって終わりではないんです」と江川は語る。</figcaption></figure></p>

<p>江川は、サブスク成功への道のりをこう語る。</p>

<p>「ページビューだけを眺めていてもダメで、個々のユーザーのエンゲージメントをいかに上げていくかが重要です。ロイヤルティの高いファン層が増えていかなければ、会員獲得にもつながりませんから」</p>

<p>エンゲージメントを上げる施策は、オンライン上のものに限らない。オンライン施策はすでに、さまざまな企業でトライアルが行われているだろう。その先で江川が重要視するのは、「リアルとオンラインをクロスさせること」だ。</p>

<p>「我々はサブスクと特典はセットだと思っており、記事以外にもユーザーに提供できるものがあると思います。例えば、有料会員でないと応募できないイベントを開催するとか、特別なプレゼントを用意するとか。媒体によっては、編集長や記者とのオフ会に参加できるとかでもいいかもしれない。そうすればエンゲージメントは高まっていく。応募のときに、記事やサービスに対するアンケートに答えてもらったりしたら、ものすごく貴重な情報になると考えています。パブリッシャーだからこそできることがたくさんあるのです」</p>

<p>ここにあげた以外にも、1回だけ立ち寄ったユーザーにどう課金するかとか、サブスクの値付けはワンコイン・ワンメニューでいいのかとか、入会の確度の高い人と低い人でどうプロモーションを出し分けるかとか、江川から次々にアイデアが出る。</p>

<p>「いちばん大事なのは、せっかくなんらかのデジタルツールを入れるなら、その媒体ならではのデータをとってほしいということです。年齢や性別ももちろん大事ですが、例えば、IT系のメディアだったら、年収などはどうでもよく、役職や部門がわかっていたほうが、広告主にアピールしやすい。あるいは、ファミリー向けのメディアであれば、お子さんの有無や学年がわかるとよさそうとか。自分たちのメディアの価値を表現するためにはどういうデータがあるといいのかを考えてほしいのです。そういうデータがたまってはじめて、施策に落とし込める。純広告の販売時の説得力や売り方自体が変わってくる」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/L1130841.jpg">
<figcaption>媒体によって、ユーザーのタイプもニーズも全く異なる。「あのメディアがこういうデータを取っているからうちもやろう」ではなく、その媒体ならではのデータをとることが大事だと江川は言う。</figcaption></figure></p>

<p>シーセンスで10年間、メディアにおけるDMP活用とパーソナライゼーションを徹底的に磨いてきた江川にとって、サブスクと広告は対立するものではない。</p>

<p>「先ほどお話しした広告も、捨てているわけではなく、ちゃんと売りましょうということです。そのためにはやはり、ユーザーのことを知らないといけない。ユーザーを知れば、片方では有料会員獲得につなげることができるし、もう片方では広告の精度や成果を上げることができる。さらに言えば、広告主のためにいろんな施策を打っていくと、今度は自分たちのサービスにユーザーを集めたいときにどういうことをすればいいかわかってきます」</p>

<p>そうだとすれば、「リスクを恐れる」という一つめの「壁」も、「ユーザーを知る」ことで乗り越えられるはずだ。</p>

<p>「極端なことを言えば、適正な値段を払ってくれるユーザーは、数％でいいと思います。いまのユーザーのうち、2割を会員化すればいい。そのときに、一時的にでも売り上げを下げたくないなら、ページビューをキープしながらサブスクを始める方法もある。そこは両輪だと思っています。」</p>

<p>コンテンツづくりに邁進していればよかった編集者や記者にも、マーケティングの知識が求められる時代になった。江川は何年も前から、「パブリッシャーはマーケッターにならないといけないし、マーケッターはパブリッシャーにならないといけない」と言い続けてきた。</p>

<p>「当時からわりといいこと言っていると思っていたのですが（笑）。いまのほうが共感してくださるパブリッシャーが増えていると実感しています。シーセンス、そしていまのPIANO Japanになっても、我々は時代のちょっと先のことを伝えてきていると思っています。そのときは刺さらなくても、メディアの後押しをする提案を続けたい」</p>

<p>江川が目指すのは、メディアとユーザーがきちんと関係を結べる世界だ。</p>

<p>「巨大プラットフォーマーに頼るのではなくて、自ら立ち上がってユーザーとの接点をつくる。ユーザーを理解するために、会員にもなってもらったり、アンケートに答えてもらったりする。ユーザーと接点を持つことが、広告というかたちの売り上げもつくってくれる。さらに、ロイヤルティユーザーの意見を聞くことで、有料会員向けのサービスが充実する......というように、いいことづくめで回る世界をつくってもらいたいというのが、我々の考えです」</p>

<hr />

<h2>関連イベント情報</h2>

<p><strong><a href=" http://info.piano.io/ja/piano-recital2020?utm_source=BNL" target="_blank">PIANO Japan年次イベント PIANO Recital 2020</a></strong> </p>

<p><strong>概要</strong><br>
今年のテーマは「真のデジタル改革を実現するために」。サブスクリプションに関する成功事例や、画期的なマネタイズ戦略を紹介するセッションを展開する。</p>

<p><strong>日時</strong><br>
2020年10月6日（火）13時〜17時（12時受付開始）<br></p>

<p><strong>場所</strong><br>
WITH HARAJUKU HALL</p>

<p><strong>費用</strong><br>
無料</p>

<p><strong>登壇者</strong><br> <br />
＜基調講演＞<br>
デジタル市場競争に係る中期展望レポートについて<br>
内閣官房デジタル市場競争本部事局次長<br>
成田 達治氏</p>

<p>＜導入事例紹介＞ (あいうえお順)<br>
イードにおけるこれからのメディアマネタイズ戦略と企業がメディアを活用する意味～イードが目指す360°ビジネス～<br>
株式会社イード メディア事業本部 副本部長<br>
森 元行様</p>

<p>キリンホールディングスが考える今後のデジタル戦略について<br>
キリンホールディングス株式会社 情報戦略部<br>
進野 耕二様</p>

<p>『WIRED』日本版が考えるサブスクリプションとその価値<br>
合同会社コンデナスト・ジャパン マネジャー<br>
オーディエンスグロース/デジタルプロジェクト<br>
高橋 努様</p>

<p>目指すはデジタル収益最大化　産経新聞のDX戦術<br>
株式会社 産経新聞社 取締役 DX推進担当<br>
鳥居 洋介様</p>

<p>モデレーター：PIANO Japan 江川　亮一</p>

<div class="event-btn"><a href=" http://info.piano.io/ja/piano-recital2020?utm_source=BNL" target="_blank">PIANO Japan主催　イベントの詳細はこちら</a></div>
]]>
        
    </content>
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    <title>「ポストコロナ時代の出会いとつながり」を考える、オンラインイベントを8月27日に開催。ゲストは日比谷尚武 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/08/bnl-session-01.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9424</id>

    <published>2020-08-25T04:50:00Z</published>
    <updated>2020-08-28T00:29:46Z</updated>

    <summary>コロナ禍によって、ビジネスの在り方は大きく変化している。BNLでその価値を訴求し続けてきた、「出会い」のカタチもまた然りだ。ポストコロナ時代に、私たちはどのように出会い、そしてつながりを活かすのか？様々なつながりやコミュニティを生み出してきたオピニオンリーダーに、その思考と実践をうかがうオンラインイベント「BNL Session」をスタートする。
</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="イベント" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>コロナ禍によってビジネスシーンの「出会い」のカタチは大きく変化した。会議や商談だけでなく、イベントやセミナーなどもオンラインへ移行、もはやそれが「当たり前」の風景として定着した。</p>

<p>しかし、場所を選ばずにつながることができるようになった一方で、出会いの「偶発性」や「セレンディピティ」が生まれにくくなっているのではないだろうか？</p>

<p>ビジネスにおける出会いの「偶発性」は、イノベーションを起こすための大きな鍵のひとつだ。オンラインでのコミュニケーションが常識となった時代に、「出会い」への意識はどのように変わったのか......？出会いから生まれる価値を探求してきたBNLでは、改めて「出会い」というものを考えていくため、「BNL Session」と題したオンライントークイベントを定期開催していきたい。</p>

<p>「BNL Session」は、様々なつながりやコミュニティを生み出しているビジネスパーソンに、BNL編集長・瀬尾陽をファシリテーターとして、ポストコロナ時代の出会いとつながりについて問いかける公開インタビュー形式で展開する。</p>

<p>第1回のテーマは、「ポストコロナ時代の出会いとつながり〜オンラインにおけるセレンディピティを考える」。「人と情報をつなぎ、社会を変える主役を増やす」ことをテーマに活動してきたkipples代表の日比谷尚武をゲストに迎える。</p>

<p>一般社団法人at Will Work理事、一般社団法人Public Meets Innovation理事、Project30（渋谷をつなげる30人）エバンジェリスト、公益社団法人 日本パブリックリレーションズ協会 広報副委員長、ロックバーshhGarage主催......と、多方面で活躍する日比谷に、オンラインにおけるコミュニケーションで求められること、オンラインとオフラインのそれぞれの出会いの価値、そしてどのようにして予期せぬ「偶発性」を生み出すのか、様々な活動の中で培われた日比谷の思考を紐解いていく。</p>

<p>また、イベント終了後には、当日の内容をまとめたレポートも作成予定。なにかひとつの「解」を得るというよりは、ヒントや案を探りながら、ゲストやユーザーとともに良質な「問い」を生みだす時間にしていきたい。</p>
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    </content>
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    <title>名刺アプリから、ビジネスのプラットフォームへ━━Eightが描く「名刺のない世界」とは？ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/08/eight-shiomi.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9421</id>

    <published>2020-08-07T00:30:00Z</published>
    <updated>2020-12-21T02:38:00Z</updated>

    <summary>今年で誕生から8周年を迎えた名刺アプリ「Eight」。立ち上げ以来、事業戦略を指揮してきた塩見賢治が考える、Eightの現在の到達点とこれから描く未来の姿とは？
</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="http://8card.net/p/kenji.shiomi">塩見 賢治</a></strong><small>取締役／Eight事業部 事業部長</small>
<p>株式会社物産システムインテグレーション（現・三井情報株式会社）で、大手携帯キャリア向けのメールシステムの設計・開発責任者などを務めた後、2007年にSansan株式会社を共同創業。現在は、名刺アプリ「Eight」の事業責任者として事業戦略を指揮する。</p></aside></p>

<p>「日本のビジネスで世界を変えたい、Eightはそんな思いから始まりました。その実現のために、まずはビジネスパーソン一人ひとりをエンパワーメントしたいと思ったんです」</p>

<p>名刺アプリEightの事業責任者、塩見賢治はこう語る。</p>

<p>「もちろん、私たち自身が世界を変えていくんだという意気込みもあります。でも日本のビジネスで世界を変えるなら、その主役は日本で働くすべての個人なのではないか、とも思う。一人ひとりが適切な場で最大限に強みを発揮する、その蓄積が世界を変えるようなイノベーションにつながるのではないかと。だから私たちは、ビジネスパーソン一人ひとりの成功を支えたい。そのために何ができるのかを考えていました」</p>

<p>そこで着目したのが、名刺交換によって構築される個人のつながりだった。ビジネスは、人と人とのつながりで成り立っている。決まった人とだけで仕事をするような予定調和な世界では、ビジネスは発展しにくい。偶発的な出会いにこそ、イノベーションの可能性が眠っている。だから、新たな出会いを生み出し、つながりを上手に活用できる環境さえあれば、働く一人ひとりのビジネスはより深く豊かなものになるのではないか。そうすれば、日本はもっと強くなれる。</p>

<p>実際、塩見自身、名刺交換で築いた人脈を活用できていないことに、もどかしさを感じていた。どうすれば解決できるのかと考える中で生まれたのが、紙の名刺をデータ化し、オンライン上でつながる場を作るというアイデアだった。</p>

<p>当時、ビジネスネットワークの領域では、海外のサービスが入ってきていたが、名刺を起点としてネットワークを構築できるサービスはなかった。だからこそ挑戦する価値があった。そこから今日に至るまで、Eightは名刺を管理するだけでなく、ビジネスの新しい出会いをつくるためのサービスとして、8年間、突き進んできた。</p>

<p>2020年、ビジネスの世界は目まぐるしく変化し、オンライン化が急速に進んでいる。そして誕生から8年経ったいま、Eightもまた、変わろうとしている。いったいどんな世界をつくろうとしているのか。塩見が描く未来を語る。</p>

<hr />

<p><br></p>

<h2>出会いの瞬間を、もっと豊かにする</h2>

<p>私たちはずっと「名刺のない世界」を目指しています。「名刺アプリが、名刺のない世界を目指す」と言うと、矛盾しているように聞こえるかもしれないのですが、決して名刺自体を排除したいわけではありません。名刺を進化させたいのです。</p>

<p>Eightを立ち上げた当初から、名刺交換はそのうち何らかのデバイスを活用して行うようになるだろうと思っていました。しかし、紙の名刺は思った以上に手強くて、8年経ったいまでも当たり前に存在している。紙って便利な媒体なんですよね。手軽に持ち歩けて、ビジネスとして必要十分な情報が載っていて、誰に渡しても違和感がない。</p>

<p>でも紙の名刺は、その時点の情報しか載せられません。もし紙の名刺をデジタルに置き換えられたら、名刺には載せきれない情報を付加できたり、名刺交換以外のシーンでも個人IDとして活用できる。例えば過去の仕事やスキルなども可視化できれば、出会いの瞬間はもっと豊かになるかもしれない。私たちが目指しているのは、こうした奥行きのある、いわば個人のビジネスIDのようなものが当たり前に活用される世界。それが「名刺のない世界」です。</p>

<p>でも現時点の到達度は、登山で言えば二合目ぐらい（笑）。紙の名刺から完全に脱却するのは、とても難しいのです。ただ、事業を進めていく中でいつも面白いなと思うのは、頂上を目指して登れば登るほど、いい回り道ができること。ビジネスパーソンが抱える課題の中には、出会いを生み出すことで、解決に近づけることはたくさんある。だから、やりたいことも増えていくのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/15-46-5720-07-22IMG_1077.jpg">
<figcaption>名刺ではなく個人のビジネスIDが当たり前に使われる世界では、タクシーに乗るのも、ホテルにチェックインするのも、イベントに参加するのも、そのIDひとつで完結すると塩見は言う。　</figcaption></figure></p>

<h2>アナログとデジタルの交差が、進化につながる</h2>

<p>ここ最近、オンライン化が急速に進んでいます。初対面がオンラインということも当たり前になってきているからこそ、これからは、オンライン上の出会いもより大切にしていかなければいけない。そこで価値を発揮するのが「オンライン名刺」です。</p>

<p>名刺をデジタル化することで、直接会わなくても名刺交換ができ、相手の情報を知ることができる。過去のビジネスログなど、紙の名刺以上の情報も付加できる。ネットワークもつくりやすくなるので、より一層ビジネスが広がっていく。</p>

<p>もちろん、日本の文化に根付いた紙の名刺を、いきなり全てなくすことはできません。アナログからデジタルへの過渡期であるいま、大切なのは紙の名刺とオンライン名刺を共存させながら、徐々にオンライン名刺が活用される幅を広げていくこと。これは、前で述べたような「名刺のない世界」をつくる入り口なのだと思っています。</p>

<p>一方で、すべてをデジタル化すれば良いという話ではないとも思います。オフラインにはオフラインでしか得られない出会いの価値がある。フィジカルな情報や、偶発的な出会いは、いまはまだオフラインでないと得られません。ですから、名刺のデジタル化は進めていますが、Eightから生まれるサービスをすべてデジタル化するということは今後もないでしょう。アナログとデジタルの良いところを取り入れて、さらに進化する。それが、いまEightが取り組むべきことです。</p>

<h2>ビジネスパーソン一人ひとりの成功に寄り添う</h2>

<p>Eightに追加される機能も、良い出会いにつながるものであることが大前提です。例えば、2020年5月、Eightは自分の過去のビジネスログ（過去の自分の名刺）から推測されるスキルをタグにして蓄積できるようになりました。</p>

<p>この機能をリリースした背景には「自分の強みを正しい場所で活かせていない人が多い」という日本社会の課題があります。一生懸命働いてきたけれど、自分は何が得意なのかがよくわからないという人が多いのです。だから、本当にマッチする仕事と出会えず、力を最大限に発揮できない。それはとてももったいないし、ビジネスも発展しにくい。</p>

<p>スキルタグの機能は、その課題を解決する糸口になると考えました。自分がこれまで積み重ねてきたスキルを認識でき、また、つながっている相手に自分の強みを知ってもらうこともできる。仕事の機会を広げやすくなり、転職や副業などでも、よりマッチする会社と出会えるかもしれません。</p>

<p>また、Eightが提供する企業向けの採用サービス「Eight Career Design」は、企業がEightのユーザーにダイレクトスカウトを送ることができるサービスです。このサービスもまた、人と仕事の出会いを後押しするために誕生しました。企業の採用を支えることはもちろん、ユーザーがビジネスチャンスに対して向き合う機会もつくることができる。すでにいま、少しずつではありますが、人と仕事の良い出会いが生まれています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/topimg.jpg">
<figcaption><a href="https://materials.8card.net/for-company/career-design/">「Eight Career Design」</a>は、Eightの持つ国内最大級のビジネスネットワークを活用し、270万人の転職潜在層にダイレクトリクルーティングが可能になる採用サービス。ユーザーは、過去の名刺からスキルを判別、タグとして付与される。そのスキルを見た企業からダイレクトにスカウトが送られてくる仕組みだ。
　</figcaption></figure></p>

<h2>新しい「出会い」の形をつくっていく</h2>

<p>私たちはこれから、ユーザー一人ひとりが、出会うべき人や企業に出会えることをもっとサポートしていきたいと思っています。</p>

<p>例えば、どこが知らない土地を訪れるときに、人づてで「この人に会うといい」と勧められた経験はありませんか。将来的にはそれをEightで再現したいんです。ユーザーの最近の仕事や触れ合ってる人から類推し、正当な理由をつけて出会うべき人をレコメンドする。新たなイノベーションを生み出すタネにもなると思います。</p>

<p>もしかしたら、いまでもすでにあるのかもしれません。「Eightで知り合うことができました」という出会いが。それがいま、年間で500人ぐらいなら、これから1万人、100万人と増えていくのが理想です。</p>

<p>Eightの価値として「Eightの名刺管理機能は正確」「ビジネスの役に立った」と思ってもらえるサービスであることは、これからも変わらず目指していきます。それに加えて、ユーザーの、学生時代から始まり引退するまでのビジネス人生を支え続けたい。その要所要所で良い出会いを生み出し、働くシーンをより豊かにする。そんなビジネスのプラットフォームになることを、私たちは目指しています。全てのビジネスパーソンが、世界を変える主役になれるように。</p>
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    </content>
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<entry>
    <title>人に共感されるものには必ずストーリーがある。土屋尚史が選ぶ、再読の３冊 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/08/saidoku-2.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9417</id>

    <published>2020-08-06T01:00:10Z</published>
    <updated>2020-11-09T00:38:11Z</updated>

    <summary>連載「再読のすすめ」の第2回は、UI/UXデザインを強みに数々の企業支援を行う、株式会社グッドパッチ CEOの土屋尚史。企業成長に必要なヒントが詰まった3冊を紹介する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="再読のすすめ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h2>困難に直面したときこそ、読みたい本がある</h2>

<p>本は普段からたくさん読んでいますが、ビジネス書はいわゆるハウ・ツー本ではなく、起業家・会社の成長軌跡が描かれている本が好きです。漫画もたくさん読んでいて、特に週刊少年ジャンプの王道とも言うべき漫画は大体読んでいますね。ジャンプは全作品に「友情・努力・勝利」の三大原則が盛り込まれていますが、そこで描かれる、大きな目標に向かって仲間と一緒に挫折しながらも、逆境を乗り越えて這い上がっていくようなストーリーに魅力を感じます。図らずも、グッドパッチの創業期から今に至るまでの軌跡と重なるところがあります。</p>

<p>井上雄彦さんの「SLAM DUNK」は勝負ごとの前に必ず読み返しています。特に山王戦は外せないですね。勝ち目のない相手に逆転勝利をする王道ストーリーですが、仕事においても厳しい状況に直面することがあり、そういうときに「SLAM DUNK」が自分を奮い立たせてくれました。</p>

<p>私たちグッドパッチは6月に上場をしたばかりですが、過去には組織存続の危機に直面することもありました。そうした会社の軌跡をいつでも追体験できるように、私はブログを通して社内外に発信するようにしています。そこでは王道の漫画から学んできた、人に共感してもらうストーリーという視点が役に立っていると思います。</p>

<p></p></aside><figure>
<img src="/uploads/saidoku_tsuchiya_1.jpg">
<figcaption>写真提供：株式会社グッドパッチ</figcaption></figure></p>

<p><aside><strong>土屋尚史</strong>
<p>株式会社グッドパッチ　代表取締役 兼 CEO。長野県佐久市出身。Webディレクターとして働き、2011年3月にサンフランシスコに渡りデザイン会社でスタートアップ支援に携わる。2011年9月に株式会社グッドパッチを設立。UI/UXデザインを強みとしたプロダクト開発でスタートアップから大手企業まで数々の企業を支援。新規事業の立ち上げからデザイン組織構築支援まで幅広く手がける。自社開発のUIプロトタイピングツール 「Prott」は2015年度グッドデザイン賞を受賞。2020年6月、デザイン会社として初の東証マザーズ上場。</p></aside></p>

<h2>理想とする企業カルチャーの全てがここにある</h2>

<p></p></aside><figure>
<img src="/uploads/saidoku_tsuchiya_2.jpg">
<figcaption>『ピクサー流　創造するちから』著： エド・キャットムル /エイミー・ワラス（ダイヤモンド社）
</figcaption></figure></p>

<p>グッドパッチの企業カルチャーの土台は、初期からピクサーに影響を受けているんです。
いつか起業をしたら、こういう会社を作りたいと思っていた理想像が全てこの本に書かれていました。</p>

<p>例えば、「失敗に向き合う」ことです。失敗のコストは将来への投資でもあるため、できるだけ早く失敗すること。そして、社員が失敗を恐れずに立ち向かえるようになるには、リーダーが自らの失敗について果たした役割をオープンにすることが重要だと書かれています。</p>

<p>この考え方に影響を受けて、グッドパッチでも社内で起きた失敗を隠さずオープンにしてきました。失敗を良しとするカルチャーを作り、それをあえて世の中に発信することで、共感を得られるようになってきました。あとは、「チームで働く」という考え方ですね。一人の天才ではなくて、チームでクオリティを上げていく。「偉大なプロダクトは偉大なチームから生まれる」という、私たちが大切にしている価値観も全て、ピクサーから学びました。</p>

<h2>時代が変わっても、大事なことは変わらない</h2>

<p></p></aside><figure>
<img src="/uploads/saidoku_tsuchiya_3.jpg">
<figcaption>『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』著： ダニエル・ピンク（三笠書房）
</figcaption></figure></p>

<p>この本自体は、2006年に発行されていたのですが、私が最初に読んだのは2019年。実は最近になって読んだ本なんです。ずっと読もうと思っていたけど、実際に読む機会がなく積読していました。読んでみたら、この本を読んで起業したのでは......？と思うくらい、これまで行ってきたことの考え方や価値観に近いことが書かれていました。</p>

<p>例えばここで語られている新しい時代に必須となる6つの感性（1.「機能」だけでなく「デザイン」 2.「議論」よりは「物語」 3.「個別」よりも「全体の調和」 4.「論理」ではなく「共感」  5.「まじめ」だけでなく「遊び心」 6.「モノ」よりも「生きがい」）は、まさにグッドパッチが掲げているバリューが具体として示されているなと。今、デザインの仕事をしていることが、この本によって導かれたんじゃないかという錯覚に陥りました（笑）。</p>

<p>でも、ハイ・コンセプトに書かれていることは、必ずしも新しい考え方ではない気がします。高度経済成長期に、お金を稼いで、いい家に住むことが幸せである、というような価値観が生まれた。それも大事なことだったのかもしれないけれど、モノの価値が相対的に下がっている今、経済的な観点からの価値だけではなく、相手の状況に自分を置き換えて考えられる「共感」が大事だということがちゃんと書いてある。それって実は、昔から変わらない大事なことですよね。</p>

<h2>経営者としてのスタイルに影響を受けた</h2>

<p></p></aside><figure>
<img src="/uploads/saidoku_tsuchiya_4.jpg">
<figcaption>『不格好経営』著：南場智子 （日本経済新聞出版）
</figcaption></figure></p>

<p>南場さんの飾らない、チャーミングでオープンな人柄に憧れているので、何度となく読んでいる1冊です。まるで南場さんが語りかけているような文体で綴られています。新卒でマッキンゼーに入社されて、輝かしい経歴で成功を約束されているような人なのに、DeNAという会社を起業して、最初から失敗しまくるわけですよ。苦しいことしかなかった、創業初期の歴史を全てさらけ出している、等身大の南場さんの考えがここに収められています。</p>

<p>最近になって読み返したとき、まえがきに書かれている言葉にはっとさせられました。</p>

<blockquote>
  <p>「私は苦しいときふたつのことを意識する。ひとつはとんでもない苦境ほど、素晴らしい立ち直り方を見せる格好のステージと思って張り切ることにしている。そしてもうひとつは、必ず後から振り返って、あれがあってよかったねと言える大きなプラスアルファの拾い物をしようと考える。うまくいかないということは、負けず嫌いな私には耐えがたく、単に乗り越えるだけでは気持ちが収まらない。おつりが欲しい。そういうことだ。3番目を付け加えるとすれば、命をとられるわけじゃないんだから、ということだろうか。たかがビジネス。おおらかにやってやれ、と。」（不格好経営 まえがきより抜粋）</p>
</blockquote>

<p>私がこれまでグッドパッチで行ってきたことも、まさにこういうことだったんですね。この本を穴が開くほど読んできたけれど、このまえがきに南場さんのメッセージが凝縮されていることに改めて気がつきました。私自身、南場さんに強く影響を受けてきた自覚はありますが、知らずしらずのうちにこの通りにしてきていたんだなと思いましたね。</p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>コンサルティングとBPOが密結合した「インテリジェント・オペレーション」。その鍵は&#8220;テクノロジー&#8221;と&#8220;やりきる力&#8221; - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/07/accenture-2020-3.html" />
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    <published>2020-07-29T01:30:00Z</published>
    <updated>2020-12-21T02:36:12Z</updated>

    <summary>「BPO（ビジネス・プロセス・アウトソーシング）」は、企業活動における業務プロセスの一部を専門業者に外部委託することを指すが、アクセンチュアの考え方はそれとは異なる。BPOはあくまで「BPRやDXを実現する手段」なのだという。同社においてBPOを担う、オペレーションズ コンサルティング部門の仕事から、その意味することを紐解いていく。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>コアとなる業務以外を外部に委託し、自社のリソースを戦略的に活用しようというBPOが、日本で本格化したのは1990年代のことだ。そのBPOで、アクセンチュアはグローバルにおいても、日本においてもトップのシェアを誇る。その最前線では従来のBPOの概念を打ち破り、AIやRPAなどを駆使してクライアントのデジタルトランスフォーメーション（DX）を実現するなど、日々進化している。オペレーションズ コンサルティング本部所属のコンサルタント、池永高志と梅原里美の両名に、この仕事の醍醐味を聞いた。</p>

<h2>BPOはあくまで手段のひとつ</h2>

<p><strong>――アクセンチュアがBPOを手掛けるクライアントは、どのような課題を抱えていますか？</strong></p>

<p><strong>池永高志（以下、池永）：</strong>日本の歴史ある企業の多くは、ホールディングス体制下のシェアードサービス子会社がグループの総務業務や人事業務などを担っています。労働人口が減少する中、いかに人員を確保し、いかにDXを進めて効率的な仕事の仕方に変えていくのかといったことが、最近の課題です。</p>

<p>我々は、そういった企業に入り込んで運営をサポートさせていただいたり、一般的なBPOのイメージとは異なるかもしれませんが、場合によってはジョイントベンチャー化したりしながら、クライアントと一緒に走ることで業務改善をし、DX化していくということを推進しています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/200715_BNL 0201.jpg">
<figcaption>池永高志<br>2003年アクセンチュア入社。製造・流通業系のコンサルティングやシステム導入を経験した後、アウトソーシング事業へ。業界を問わず、IT、経理、人事等多岐にわたるアウトソーシングプロジェクトに従事。現在、業務改革コンサルティングおよびオートメーション推進の専門チームを率いている。
</figcaption></figure></p>

<p><strong>――それは、アクセンチュアならではなのでしょうか？</strong></p>

<p><strong>池永：</strong>そうですね。一般的にアウトソーサーは委託された業務を確実に履行することに重きを置き、業務そのものを変えることには消極的です。変えたことによる責任が降りかかってきますから。しかし我々は、BPR（ビジネス・プロセス・リエンジニアリング）やDXを実現する手段のひとつとしてアウトソーシングを提案させていただいており、BPOプレイヤーとして張り合おうとはしていないんです。</p>

<p>例えば、ホールディングス側で戦略的に特化したことにリソースを集中できるように、それ以外の業務をどんどん引き剥がしてシェアドサービスセンターに集約する。一方でシェアドサービスセンターは、業務の標準化やデジタル化のスペシャリストとして業務範囲を拡げていく。そういった形でDXを実現していきましょう、というお話をさせていただくことが、最近は増えています。</p>

<p><strong>梅原里美（以下、梅原）：</strong>BPOに対して、「明確な結果責任を負わない」というイメージを持っていらっしゃる方も多いと思います。でも私たちは、どこまでやりきるのかということをサービス・レベル・アグリーメントという形で具体的な数字で握るんです。人であれば百何十人相当の余力を創出しますとか、作業時間で言えば3分の1になります、といったことを合意した上で3年から5年、長い場合は7年くらいかけて実行していきます。</p>

<p><strong>――その際、おふたりは具体的にどのような役割を担うのですか。</strong></p>

<p><strong>池永：</strong>自動化やAIを活用して業務を高付加価値化していくことを、業界や業務に関わらず横断的に行うチームの運営をしています。私自身もフォーカスするクライアント企業様と一体になって改革を推進していきますが、それ以外にも他のメンバーが従事する案件のサポートをしたり、セールスフェーズでの効率化のプランニングに関わったりしているので、多くのクライアントを見ているという立場です。</p>

<p><strong>梅原：</strong>私は以前、製造・流通業界のサプライチェーンマネジメントの分野で、マネジメントコンサルティングの仕事をしていました。昨年、オペレーションズ コンサルティング本部に異動してからもサプライチェーンや調達の領域で、コンサルティングを行ったり、BPRにつながるBPOを担う部門が中国の大連やフィリピンのマニラにありますので、クライアントの業務を理解した上でそちらのメンバーに移管していくこともしています。</p>

<p>池永同様、自分がメインで担当するところは、クライアント先に常駐もするなど、深く関わっていきます。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/200715_BNL 0243.jpg">
<figcaption>梅原里美<br>2007年アクセンチュア入社。メディア・ハイテク業界や製造・流通業界でのSAPの基本設計～インプリ、調達改革、営業改革、企業総合支援などのプロジェクトを経験、改革案の策定や定着化サポート・効果創出までを支援。現在は、某製造業で調達改革のコストReductionのDeliveryおよび、某大手Global素材メーカーJV推進の購買（調達）領域を担当している。
</figcaption></figure></p>

<h2>ブラックボックス化させず、クライアントが自走できる状態をつくる</h2>

<p><strong>――アクセンチュアが標榜する「インテリジェント・オペレーション」とは、どのようなものですか？</strong></p>

<p><strong>梅原：</strong>AIやRPAといった、ITツールを用いて業務を自動化したり、高付加価値化したりすることを指して「インテリジェント」と言っているのですが、それを実現するには我々のようなコンサルタントが現場に入り、現状をしっかり把握した上で業務をマシンに置き換えていくということが必要です。</p>

<p>我々のクライアントは、標準化が容易な部分はすでにBPOや自動化が終わり、残っているのは「ここは外には出せないかも......」というようなこだわりが強い部分だけであったり、何年かプロジェクトをご一緒した上で、さらに二巡目のBPRをしようというフェーズであったりします。つまり、非常に難易度の高い部分に踏み込んでいかなければいけません。その際に「人間」と「マシン」の業務を融合させながら、これまでのBPOよりも高度なことを実現していくのがインテリジェント・オペレーションだと考えています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/OperationsBiz.jpg">
<figcaption>超自動化とインテリジェント化が組み合わさることで実現する「インテリジェント・オペレーション」。あらゆる業務ステップにデジタル技術が組み込まれ、担当者（つまり人間）の主な役割は、そのデータを活用した計画策定や分析・評価へと変化する。
</figcaption></figure></p>

<p><strong>――「人間とマシンを融合させる」ということですが、融合した先にはどのようなことができるようになるのでしょう？</strong></p>

<p><strong>池永：</strong>実は、AIを使った業務オペレーションは、やっと形になり始めたところなんですよ。例えば、紙に書かれた内容をAIエンジンが読んで文字情報をデータ化するという「AI-OCR」という技術があります。これがあればパンチ入力の業務は一切必要なくなると思われるかもしれませんが、まだ読み取り精度は100％ではありません。「文脈的に、これはこの字だ」とか「人の名前でこの漢字は使わない」とか、人間が見れば分かることも、AI-OCRが判断できるようになるのはまだ先です。ですから、そういった間違いがあるということをAIにフィードバックする必要があります。現状ではAIで出した結果を人が補正、あるいは補正するロボットを設計しています。</p>

<p>一方、マシンは飛躍的に進歩し続けます。我々が常に最適な「人間＋マシンの協業」のプロセスを具現化し、それをクライアントに提供するのです。</p>

<p>https://www.youtube.com/watch?v=Ey6HmEoEWrI</p>

<p><strong>――AIを教育しながら使うということも含めて、新しい業務のあり方を提供するわけですね。</strong></p>

<p><strong>池永：</strong>BPRの契約が終わったら、オペレーション業務をクライアントにお返しするのも一つのオプションだと考えています。その場合、AIなどのテクノロジーを使って業務をブラックボックス化してしまうと意味がありません。テクノロジーを使いこなす方法も共有し、数年後にはクライアント自身がDXのチームとして自走していけるよう、"人"も変えていくことができるのが、アクセンチュアならではの価値ではないかと思います。</p>

<p><strong>梅原：</strong>アクセンチュアのアプローチの良いところは、人間からマシンに業務を移すときのプロセスをすべて開示し、過去の経緯も追えるような形でお渡しできるところだと思います。「現状はここまでやっています」ということを隠し事なくお伝えし、もっとアップデートできるのか、やるべきなのか、ということもクライアントと共に考えて改善をしていくというスタンスなんです。</p>

<p><strong>――「業務の高付加価値化」というキーワードもよく出てきますが、具体的にはどのようなことでしょうか？</strong></p>

<p><strong>池永：</strong>例えば経費清算処理の際に、「これは本当に正しい経費の使い方？」といったチェックをして不正利用の可能性を示唆することができます。AIが蓄積された過去のデータを分析し、これまでの傾向と比較して、例外的な申請にフラグを立てるようにします。そうすると、オペレーターの負荷を高めることなく、伝票処理業務にプラスアルファの価値が付けられるわけです。</p>

<h2>ロジカルシンキングだけでは通じない、必要なのは粘り強く語りかけること</h2>

<p><strong>――クライアント企業の"人"を変えていくというお話もありましたが、その点で苦労されることも多いのでは？</strong></p>

<p><strong>梅原：</strong>そうですね。ことBPOに関しては、クライアントの経営層と話を握るのはそれほど大変なことではないんです。アクセンチュアとしてBPOの成果に事前にコミットすればいい話ですから。ただ、現場に入っていって、今やっている業務を引き剥がすとか、変えるというのは、とても大変です。</p>

<p>最初は首切りのために来たかのように思われて、常駐先の席に居づらいことがあるくらいで（笑）。ですが、親会社は子会社の社員の首を切りたいわけではなく、もっと付加価値の高い仕事をしてほしいというケースが多いわけです。そういうことをきちんとお伝えし、今の業務をそのままやり続けるよりも、より高度化された仕事や需要のある仕事をできるようにした方が5年後、10年後に未来がある、それくらい世の中は変わっていくんだ、ということを理解してもらえるまで粘り強くお話していく必要があります。</p>

<p>大変なことではありますが、その結果心を開いてもらい、みんなが同じ方向を向くことができたときのパワーはものすごいものがあって、非常にやりがいがあります。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/200715_BNL 0301.jpg">
<figcaption>「オペレーションズ コンサルティング部門の仕事に向いている人は？」という問いに、「みんなが喜んでいる状況を喜べる人」という答えが返ってきた。長いスパンでクライアントの課題に向き合い、諦めずに実現させようとする仲間の存在にも触発されるそうだ。
</figcaption></figure> </p>

<p><strong>池永：</strong>そこで必要なのは、ロジカルシンキングじゃないんですよね。</p>

<p><strong>梅原：</strong>そう思います。人間の心情の問題ですから。</p>

<p><strong>池永：</strong>経営者と目的やゴールを握り合ったり、プロジェクトを進める段取りを考えたりするのにロジカルシンキングは必要ですが、それだけだと現場はついてきません。現場で一体になって同じ方向を向くとか、人の心を変えるということができるかどうかは、コンサルタントの人間力にかかっています。その点がアクセンチュアの中でも特殊なところかと思います。</p>

<p><strong>梅原：</strong>コンサルタントって、キレイな図式やプロセスを描けることが武器になったりしますが、私たちはプランを描くだけでは終わらないんです。5年や7年の契約をして、最初に言ったことを実現できなければ自分たちに責任がのしかかってくるので、忍耐強くやり切る力が求められます。</p>

<p><strong>――実際、現場の方たちはどのように変化するのでしょうか？</strong></p>

<p><strong>梅原：</strong>業務を大連チームに移管し、そこからさらに5年くらい経つと大連のオフィスでも人はいなくてパソコンだけが自動で動いている、という状態になっていたりします。</p>

<p>そのようなBPOを進めながら、もともとその業務をやっていた人に対してはリスキルのためのトレーニングを実施し、現在ではより高付加価値の業務に移ってイキイキと働かれているという例があります。</p>

<p><strong>池永：</strong>アクセンチュアのメンバーが入ってRPAやAIなどの導入をしたことで、クライアントの方から次の改善テーマを出してくれるようになることもありますよ。クライアント側で実際に作業をしていた派遣社員の方々と一緒にワークショップを開いたことがありますが、我々が入る以前には出てこなかったような新しいアイデアがどんどん出てきた、ということがありました。</p>

<p>「業務を自動化しましょう」といきなり言っても、どういう業務が自動化できるのか、自動化された後の世界がどういうものか、見たことがなければ想像がつかないわけです。我々はその実例を見せ、「こういう業務って自動化できるんだ」「私がやっている判断はAIでもできそう」と実感してもらうと、次から次へと改善案が出てくるんです。</p>

<p>「オペレーションする」という役割だった人が「オペレーションの高度化に寄与できた」という成功体験を得られると、考え方も変わるしモチベーションも上がっていくのだと思います。</p>

<p><strong>梅原：</strong>クライアントと寄り添いながら、アジャイルで改善していくというのが我々の特徴ですよね。個人的な経験上、長期間やっていると、途中で絶対にもめるんです（笑）。それでも、最後は「この業務を大連に持っていこう」とか「ここはもっと改善できるのでは？」といったことを一緒に話せるようになる。それがとても嬉しいことです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/200715_BNL 0089.jpg">
<figcaption>チームメンバーだけでなくクライアントも全員巻き込んで行く。ひとつの成功体験をつくることで、モチベーションや考え方も変わり、業務の高度化の第一歩となる。
</figcaption></figure>  </p>

<h2>コンサルティングとBPOはいっそう密結合していく</h2>

<p><strong>――おふたりのお仕事の醍醐味がよく分かりました。オペレーションズ コンサルティング本部という組織の強みやユニークさついては、改めてどのように考えられていますか？</strong></p>

<p><strong>池永：</strong>同じ社内にテクノロジー部隊があるというのは、我々の強みのひとつです。本部の中にもエンジニアがいますし、札幌にあるアクセンチュア・イノベーションセンター北海道のメンバーや、大連のテクノロジーのデリバリーメンバーと一緒に仕事をすることも多いです。コンサルティング面、業務面、テクノロジー面の全部を社内の仲間と進めていけるというのは、とてもやりやすいですね。</p>

<p><strong>梅原：</strong>我々がクライアントと約束する5年から7年後のビジョンというのは、正直に言うとその時点では「無理じゃないかな......」と思うようなものも多いんです。でも、そのくらいの時間があるとアクセンチュアの専門部門が予見する通りに世の中もテクノロジーも発達・浸透するし、アクセンチュアというグローバルネットワーク内の最先端の知見を持った人たちと助け合ってやっていくことで、自分だけではできないことも実現できるのだと思えます。</p>

<p><strong>池永：</strong>ものを作っておしまいとか、プランを作っておしまいではなく、やりきるところまでが仕事だというのは、アクセンチュアの中ではよく言われることですが、それを最も実感できるのがオペレーションコンサルティング本部だと思います。成果を出すためには粘り強くやらないといけないし、逆に成果を出すための手段には自由度があります。発想の柔軟さと粘り強さがある人に向いている仕事です。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/200715_BNL 0340.jpg">
<figcaption>クライアントとの中長期の関わりの中で、当初思い描いていたとおりにいかないことも当然ある。そのときに改革を止めるのではなく、新しいテクノロジーにアップデートし続け、柔軟性をキープしていく、そうしたプロセスの試行錯誤が重要だ。
</figcaption></figure>  </p>

<p><strong>――最後に、オペレーション コンサルティング本部の中で、今後おふたりが目指していく方向性について教えてください。</strong></p>

<p><strong>梅原：</strong>グローバル全体で"One Accenture"になろうとしていることを、最近すごく肌で感じています。これまでは、アクセンチュアといっても「日本はこうだよね」とか「北米はこうだよね」と言った感じで、国や地域ごとに戦っていたようなところがあると思っていたのですが、グローバルで一緒にやっていこうという気運があるし、そこに課題があるならそれはなんなのかということが問われていると思うので、そこを活かしてクライアントにより高い価値提供をしていきたいと思います。</p>

<p><strong>池永：</strong>そのとおりですね。我々の本部がスタートした当初は、BPOはあくまでコスト削減を目的とした取り組みとしてクライアントに提供していた時代です。それがだんだんとDXの手段としてのBPOという考え方に変わってきて、我々もアウトソーサーとしてだけではなく、時によってストラテジーコンサルタントやテクノロジーコンサルタント、場合によってはチャットボットの専門家としての立場を求められる場面も出てきます。さまざまなコンサルティングスキルとBPOが掛け合わさって密結合し、今後、ますますダイナミックな変革を実現していくのが楽しみです。</p>

<div class="link-box"><a href="https://8card.net/c/3154/requirements/2671">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/accenture-default.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>採用情報：Service Delivery Lead 【東京・大阪・福岡・熊本】</strong></div></a></div>

<div class="link-box"><a href="https://8card.net/c/3154/requirements/2670">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/accenture-default.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>採用情報：Operation Transformation Conlustant</strong></div></a></div>
]]>
        
    </content>
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    <title>私たちは何者で、何を守るのか━━正解が見えない世界で最後に問われるのは、リーダーの「生きる哲学」 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/07/globis-dialogue-3-2.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9416</id>

    <published>2020-07-28T03:00:00Z</published>
    <updated>2020-07-28T09:19:03Z</updated>

    <summary>情報の正しい理解に極限まで努めても、確たる正解が見えてこないときがある。それでもリーダーは、前に進まなければいけない。その意思決定において必要なものとはなにか。それは、リーダー自身の「生きる哲学」だという。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="リーダーシップ" label="リーダーシップ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="組織開発" label="組織開発" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
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        <![CDATA[<p><a href="https://bnl.media/2020/07/globis-dialogue-3-1.html">前編</a>に続いてデロイト トーマツ コンサルティング邉見伸弘とグロービス西恵一郎の対談をお届けする。</p>

<p>不確実性の時代と言われるが、そうしたビッグワードを前に思考停止するのではなく、正しく情報を読み解くことで一定程度予測や方向性のシナリオを考えられる部分がある。反対意見を当たったり、歴史を遡って大きな流れの中に位置付けてみたりすることで、情報を多面的・立体的に見る能力が、この時代を生きるビジネスリーダーには不可欠であると二人は語った。</p>

<p>しかし、そうやって情報の正しい理解に極限まで努めたところで、どこまで行っても確たる正解が見えないのも事実である。最終的にどんな決断を下すのかは、結局のところリーダー自身に委ねられている。そこで大切になるのが「生きる哲学」であり「プリンシプル」であると邉見は言う。それは西がBNLで繰り返し語ってきた「ビジョン」「志」の話でもある。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2020/07/globis-dialogue-3-1.html">
<h4>前編</h4>
<img src="/uploads/_DSC6917.jpg">
<div class="info"><strong>VUCAを免罪符に思考停止していないか？ 国際情勢分析のプロと考える、リーダーが身につけるべき情報との向き合い方</strong></div></a></div>

<h2>問われるリーダーのビジョン、哲学、プリンシプル</h2>

<p><strong>邉見</strong>　ここまでオーナーシップとかアンテナが大切である、あるいはカウンター・インテリジェンスの必要性について話をしました。もう一つ大事なのが、生きる哲学とかプリンシプルといったものです。さまざまな情報がある中、どの判断軸でどれを選び取るかは、その人自身に委ねられている。よくビジョンが大切と言われますが、私自身はそこまで大仕掛けなものでなくてもいいと思っています。むしろ何を守るのかという、ある種の矜持、これがこれからの大事なポイントになってくるのではないかと。</p>

<p>例えば地方創生みたいな話で言えば、今後通信システムが5G、6G、7Gと変わっていくと、リモートの働き方が当たり前になり、同時通訳機能も進化して、海外ともやりとりができるようになるでしょう。そうやって居場所の制約がなくなった時、それでも残るその土地・ソサエティの価値はどうなっていくのか。恐らくはその地の言語や物理的制約で守られてきたものではないと思います。何を大事にして生きていくのか、どういうコミュニティに所属するのか、あるいは作るのか。そういうことを考えていかざるを得なくなるのではないでしょうか。</p>

<p>これは地方に限らず国単位でも、あるいは企業についても同じでしょう。今回のコロナ禍が私たちに突きつけたものもまさにそれだと思います。経済をある程度優先させて世界を舞台に戦っていく社会を作るのか。あるいは相応の距離を保ってのどかに暮らしていくのがいいのか。こうした問いを否が応でも突きつけられていますよね。見方を変えれば、価値の再定義みたいなものを真剣に考えるチャンスであるとも言えます。いま与えられた時間でそれができるかどうか。不安なのは皆同じ。今後の成否を分ける分岐点に立たされていると思っています。</p>

<p><img src="/uploads/_DSC6728.jpg">
<aside><strong>邉見伸弘</strong><small>デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 執行役員　チーフストラテジスト 国際ビジネスインテリジェンスリーダー　 ハーバード大学国際問題研究所研究員　 Deloitte Global Economist communityメンバー</small>
<p>国際協力銀行（JBIC）にてプロジェクトファイナンス、経営企画部門で国際投融資統括、カントリーリスク分析、アジア債券市場育成構想等に従事。その後、米系戦略コンサルティング A.T Kearny（現KEARNY）を経てデロイト トーマツ コンサルティングに参画。国際マクロ経済・金融知見を軸に、国際情勢分析を専門とする。メガトレンド分析、シナリオ及びビジョン策定、新興国参入戦略、M&amp;A案件等をリード。日本政府、外資投資ファンド、総合商社、国内外金融機関及び大手製造業等を中心に業界横断型、クロスボーダー案件に多数従事。</p></aside></p>

<p><strong>西</strong>　きょうのお話の前半では、主に不確実な未来について考えるための情報の取り方について伺いました。でも結局は、自分たちが何者であるか、何を大事にするかという軸足がないとキツいということですよね。私自身、日本企業のリーダーたちと接する中で感じるのが、まさに「志」と「ビジョン」が圧倒的に欠けているということ。トップのリーダーシップで方向性を出している企業は強いんです。方向性さえ決まれば、日本企業は調整ができるからすごく強い。ですが、実際にはその方向性を出せないリーダーが多い。その結果、現場が右往左往してしまって力が一つになっていかないことが多いと感じます。</p>

<p>以前聞いて「なるほど」と思ったのですが、体の小さい日本人がなぜラグビーのスクラムで強いのか。それは足が同じ方向に揃っているからだそうです。そうすると力が前に伝わる。足が違う方向を向いていると、日本人は体が小さい分、パワーで負けてしまう。でも足並みを揃えれば団結出来る。ビジネスにもおそらくは同じことが言えますよね。世の中はもう、誰かの後追いをすれば勝てる世界ではなくなってきています。それぞれが旗を立てないといけないし、組織はそこに向かって団結していく。だからリーダーには、旗を立てる力が求められているんです。</p>

<p>そのために必要なのが、不確実な中でも確実に起きていくことを考えていく力。そして、そのために求められるのが正しく情報を読み解く力だと思っていて。だからこそ、そうした情報に対する関心が日本企業の中で下がっているというお話を最初に聞いて、実はショックを受けたんです。</p>

<p><img src="/uploads/_DSC6814-Edit.jpg">
<aside><strong>西恵一郎</strong><small>株式会社グロービス 　グロービス ・コーポレート・エデュケーション部門マネジング・ディレクター </small>
<p>三菱商事株式会社にて、不動産証券化、コンビニエンスストアの物流網構築、商業施設開発のプロジェクトマネジメント業務に従事。B2C向けのサービス企業を立ち上げ共同責任者として会社を運営。グロービスの企業研修部門にて組織開発、人材育成を担当し、大手外資企業のグローバルセールスメソッドの浸透、消費財企業のグローバル展開に向けた組織開発他、多くの組織変革に従事。海外法人を立上げ、現地法人の経営を行う。現在はコーポレート・エデュケーション部門マネジング・ディレクター兼中国法人の董事を務める。</p></aside></p>

<p><strong>邉見</strong>　なるほど。そういうことでしたか。おっしゃる通り、企業人となると確かにそういう話になりますよね。ただ、個人レベルでは話は異なってくるのではないでしょうか。</p>

<p>立ち上がり方という点では、今回のコロナ禍に際して、日本人の動き方は世界的に見ても見事だったのではないかと。マスクはどこで売っている、何を買い込むといいとか、個人が自分で情報収集する。そういうことを日本人は真っ先にやりました。ほぼ混乱も無くです。もちろん行列もできましたが、他国と比べれば相当マシでした。これは個人が本気で情報収集をしたことにもよるかと思います。</p>

<p>もはや国や行政には頼れないとの逼迫した状況がそうさせたのかもしれません。社会同調圧力が効いたという考え方もあるでしょう。しかし個人の力、日本人一人一人が持っているアンテナとか情報収集能力、状況適応能力は想像以上に強い。日本の強さは集団力と言われることもありますが、本当にそうなんでしょうかね？　個人の負担で企業なり社会なりが支えられている部分もあるのではないでしょうか。問題はそれをどういう形で組織の力に変えていけるか、だと思うのですが、そこは西さんにお聞きしたいところです。</p>

<p><strong>西</strong>　それこそがまさにリーダーの力が問われるところだと思うんですよね。おっしゃるように、各個人、あるいは各家庭レベルで言えば「こうしたほうがいい」というものはもう持っていて、それに基づいて行動しているのでしょう。</p>

<p>でも、一方で大阪府知事が明確に方向性を示した瞬間に、あの地域は明るくなったと思うんですよ。当時の不確実性の高い状況でわざわざ方向性、つまり旗を立てにいくのは、かなりのリスクだったと思います。ですが、リーダーがリスクを負ってでも旗を立てたことで、そこに向けて頑張ろうと思えたのではないでしょうか。仮に旗がなくても各人は頑張ったかもしれませんが、府知事の行動によって力が湧いてきた。リーダーの力というのはああいったものを指すのだと私は思いました。</p>

<h2>「完全ではない」という自覚が、リーダーを育てる</h2>

<p><strong>邉見</strong>　非常時に問われるのはリーダーの力量いかん、その通りですね。西さんはまさに未来のリーダーを作ることにも取り組んでいらっしゃるわけですが、リーダーを育てるとはどういうことですか？ どんな資質が大切になるとお考えですか？</p>

<p><strong>西</strong>　未来が変わっていく、新しいものを作り出していかないといけない状況にあると考えると、リーダーにとって大事なのは「自分は完全ではない」と謙虚になることではないでしょうか。ビジョンであり軸が重要という話と少し矛盾するように聞こえるかもしれないですが、もはや自分一人が全部を知っていて、全部を決められる状態ではなくなっています。</p>

<p>だとすると、そのことをまず自覚し、みんなに頼りながら知恵を集めていくことが非常に大事。そういうマインドセット、頼ること、知らないことを聞くのがいいことなんだときちんと認識してもらえれば、リーダーは育成できるのではないかと思います。逆に言えば、そういうマインドセットを持った人を選んだほうが思いますね。</p>

<p><strong>邉見</strong>　なるほど。</p>

<p><figure>
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<figcaption>「自分は完全ではない」と自己認識し、周りに頼れることこそが、リーダーに必要な素質だと西は言う。　</figcaption></figure></p>

<p><strong>西</strong>　組織に対して次にやるべきことは心理的安全性を作ることです。要するに、この組織では何を言ってもいいという状態を作ること。いくらリーダーが「皆さんの本音が知りたい」と言ったとしても、意見や情報を伝えた際に否定されることがあれば、誰も何も言えなくなってしまいます。</p>

<p>でも、意見を述べることにリスクはない。「何を言ってもいい。失敗しても大丈夫」という空気を組織全体に作っていけさえすれば、いろいろな人がいろいろな意見を出してくれる。多様な意見を聞いて、それぞれの目線や角度から見ることで、お互いがいま考えるべきものの中心を理解できるようになるし、組織が納得できる判断も作れるだろう、と。もちろん、中には意見がばらつく状況で、それでも決めなければならないこともありますが。そこは決める勇気が必要ですよね。</p>

<p><strong>邉見</strong>　決める勇気もそうですが、人の意見を聞く、「自分が完全ではない」と自覚することは結構大変ではないかと思うんです。そこはどういう自己訓練で磨くのですか？ それとも素質によるものですか？</p>

<p><strong>西</strong>　難しいですが、失敗から学ぶ経験は大きい気がします。そう思う理由には二つあって、一つは失敗した経験を通じて、自分の現状を正しく受け止める力、自分がよくなかったと受け止められる自己認識の力が備わること。もう一つは、そう受け止めた上で、改善していけばうまくいくのだという自己効力感もはぐくめることです。この二つがあることがリーダーにとっては大事だと思います。こうした経験が原体験としてあれば、ちゃんと現実を直視して受け止めることができるし、それを乗り越えられれば良い世界を作れるという信念を持って、方向性を打ち出していくこともできるのではないでしょうか。</p>

<p><strong>邉見</strong>　面白いですね。西さんはリーダーシップという観点から取り組まれていく中で、価値観とかビジョンとかに行き着かれた。私は国際情勢分析を専門とするので、情報戦からアプローチしてプリンシパルの重要性を感じた。真実の解明とまでは言いませんが、不都合な事実も含めて情報の取捨選択をした上で、進路を選んでいく。ただ、最後に何かを選んでいく際には、やはり何らかの基本的な視点がなければいけない。やはり究極的には人がどうあるべきかという哲学に行き着くのでしょう。哲学という点で、西さんが特に大事だと思っている要素には例えばどんなものがありますか？</p>

<p><strong>西</strong>　すごく難しいですが、「真・善・美」みたいなことなのかなと思います。まず「真」というのは、いろいろな情報がある中で、何が真実なのかを自分なりに探っていくということです。ここはもしかしたら、邉見さんのやられていることに近いかもしれません。次に「善」というのは、何が善いのか、自分は何を善いと思うのかという世界です。これには価値観も入ってくる。ただし、独善的だと誰もついてこないから、みんなが善いと思うものを自分も善いと思えるかどうかが大事でしょう。最後の「美」も真に繋がると考えてますが、とりあえず置いておいて（笑）、経営者の方が後継者を選ぶ際に「最後の決め手になるのは人間力だ」とおっしゃるのは、まさにこの二つの世界のことを言っているのかなと思います。</p>

<p><figure>
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<figcaption>国際情勢分析を専門にする邉見と、組織と人の専門家としてリーダー育成に取り組む西。専門分野は違えども、「最終的には人がどうあるべきかという哲学を持つことが大切である」という結論は共通している。　</figcaption></figure></p>

<p><strong>邉見</strong>　最後はスキルセットでは勝ち抜けないということですね。まして危機的状況においては、限られた情報で意思決定しないといけないわけですからね。燃えさかる炎を前にして、そこに自分なりの価値判断がなければ、立ちすくんで焼け死んでしまうことになる。やはり詰まるところは、スキルセットを超える、何らかのプリンシプル、哲学があるかどうかが大事ということでしょうか。</p>

<h2>一見無駄に思える情報をあえてとっておく</h2>

<p><strong>西</strong>　我々のリーダー教育も、経営課題をプロジェクト形式で取り組んでもらいますが、対象者にとっては常にチャレンジングなんです。本来の階層としては二つくらい上の人が考えるはずのテーマを扱うので、この人たちからするとイメージが沸かない。それ以前に、そもそも経営には正解がないですし、答え探しをしても仕方がない。手探り状態でプロジェクトは進んでいきます。ぼくはこれを「暗闇のトンネルを走り続ける感覚」と言っていて。暗闇で前が見えないからと言って、トンネルの途中で立ち止まってしまっては絶対にゴールにはたどり着かない。だから、暗闇の中でも全力疾走できる人は強い。</p>

<p>そこで歩く人なのか走れる人なのかでも全然違うわけですが、それでも前に進めば絶対にゴールにたどり着く。暗いとどうしても立ち止まってしまうけれど、どこかにゴールがあるはずと信じて進んでいける人が強くなれる。これを「トンネルを全力疾走する力」と言っています。</p>

<p><strong>邉見</strong>　うーん、どうだろう、暗闇を全力疾走する力か......。どうもそれは私には難しいですね（笑）。</p>

<p><strong>西</strong>　いやいや、それは邉見さんが"見えている人"だからじゃないですか。情報を扱うプロで、光の位置がちょっとでも見えているから。</p>

<p><strong>邉見</strong>　いやいや違いますよ。暗闇を全力疾走することはできない。暗闇だったら...一旦私は寝ますね。「風と共に去りぬ」のスカーレットオハラではないですが、「明日は明日の風が吹く」（笑）。でも、それも結構大事なことだろうと私は思うのです。わからない時は一旦休んで、明日また考える。情報戦をやっていてすごく重要なのは、この"寝かす行為"だと思っています。わからない時はわからないので、あえてそこで判断しない。そうすると、味噌のように"発酵"してくることが結構あるんです。時間が経つと、そこに新しいものが加わって、線になったり、さらに面になったりすることもある。</p>

<p><strong>西</strong>　情報は発酵するんですね、腐ってしまうのではなく。</p>

<p><figure>
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<figcaption>リーダーは、どんなに暗いトンネルでも全力疾走する力が求められる。しかし、わからないことはすぐに判断せず、しばらく寝かすことも必要だ。それが後に、暗闇に差し込む光となることもあるからだ。　</figcaption></figure></p>

<p><strong>邉見</strong>　そうなんですよ。これに関してはずっとやり続けてきたことがあります。最近は紙からだいぶオンラインに変わってしまいましたが、以前は新聞の切り抜きを毎日やっていました。15年くらいにわたって。毎日世界中のメディア10～15誌に目を通す。気になった記事はビリっと破いて、スクラップブックにはさむ。カテゴリごとにフォルダに入れて寝かせておく。もちろんそこには自分の意見も書いておきます。溜まってきたら、それをまとめて読み直す。そうすると違うアイデアが出てくることが結構ある。</p>

<p>ですから、暗闇の中を全力疾走できないかもしれないが、"情報の貯金"をしておくことは出来る。短期的には利益を生んだり成果に繋がったりはしないが、アンテナに引っかかってきたものを一旦フォルダに置いておくことは一定の意味があると、経験上からは思うのです。</p>

<p>私は北東アジア情勢や経済協力、通貨危機への対応が元々の専門ですが、専門がズバリ生きるなどということは滅多にない。たまに自分にとっての「1丁目1番地」で起きたと思ったら、次の日の1面はゴシップ記事だったなんてことがザラです。一方で、たまたまスクラップしておいたネタが忘れかけたころにまったく別の文脈で蘇ってくるということが結構起こる。ですから、これは長い人生においても言えることかもしれませんが、無駄だと思うけれど引っかかるものを置いておく。短期では合理的に見えないけど、結構重要な行為なのだろうと私自身は思っています。地味な作業ですけど、続けていかないと。すみません、余談になってしまいましたが。</p>

<p><strong>西</strong>　いやいや、全然余談じゃないですよ。結構きょうの話と繋がった気がします。やはり何かの判断にはストーリーが大事です。でも、ストーリーを作っていくためにはある程度情報をストックしておかないといけない。振り返ればそれがストーリーになることもあるという話ですよね？</p>

<p><strong>邉見</strong>　ストーリーは作ろうと思っても、なかなか思うように出来ないものです。私は長く国際情勢分析をやってきましたが、もともと大学ではダブルメジャーで国際関係法に加え、元映画監督の教授に師事していました。そこで「ヒッチコック・トリュフォーの映画術」を学んだ。映画の脚本やストーリー、演出について書かれた対談集です。それがいまになって結構役立っている。</p>

<p>例えばヒッチコックは、暗闇の中で恐怖を煽る時は、ただ暗闇を撮るだけではダメだと言っています。それでは怖さにならないのだと。まず、一見無関係な猫を歩かせる。そして猫が振り返って、また戻っていくシーンを入れる。そうすると観客は、何かあるのかもしれないと意味を感じる。一見無駄に思えるけれども、人のエモーションを刺激しているのです。だからフィルムカットには必ずそういう遊びを入れておけという議論があります。</p>

<p>似たような話はコンサルティングの先輩からも教わりました。起承転結のロジックだけではダメ。引きがある「ヒカリモノ」をどう入れるかというのが一つのポイントで、ロジカル・シンキングだけではストーリーとしては不十分であると。一見、無駄に思えるこうした学び、遊びが後々のキャリアに活きているという話です。そうしないとバイアスに支配されて、見たいものを見てしまう。ですから、その時点では意味がわからなくても、遊びとしてとっておく。すると、まったくの暗闇にしか思えなかったトンネルにも、ある時ふと光が差し込むということもあるのではないでしょうか。 </p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2020/07/globis-dialogue-3-1.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_DSC6917.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>前編：VUCAを免罪符に思考停止していないか？ 国際情勢分析のプロと考える、リーダーが身につけるべき情報との向き合い方</strong></div></a></div>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2020/05/globis-dialogue-2.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/TOP_DSC5139-Edit.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>グロービス関連記事：対話に関する、大きな誤解とは？ ━━真の組織改革は「わかりあえないこと」からはじまる</strong></div></a></div>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2020/04/globis-dialogue-1.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/TOP_globis_042002.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>グロービス関連記事：組織成長の要は、ブレない「軸」。いま取り組むべき、リーダーの意識改革について考える</strong></div></a></div>
]]>
        
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    <title>VUCAを免罪符に思考停止していないか？  国際情勢分析のプロと考える、リーダーが身につけるべき情報との向き合い方 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-07-27T06:00:00Z</published>
    <updated>2020-12-21T02:37:03Z</updated>

    <summary>たとえ不確実と言われる時代でも、確度の高い予測を立てることはできる。そのためにリーダーは、どんな局面であっても情報に対するアンテナを立て、不都合な事実にも目を向けて比較検討し、本質は何かを判断する力が求められるという。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<p>VUCA<small>※</small>、先の見えない時代、不確実性の時代などと言われるが、不確実という言葉を免罪符に思考することを止めてしまってはいないだろうか。確かに不確実性の高い時代ではあるものの、しっかりと情報を収集し、吟味し、自分なりに思考することを止めなければ、そんな中でも確度の高い予測を立てられる部分はあるはずだ。国際情勢分析を専門とするデロイト トーマツ コンサルティングの邉見伸弘はそのように言う。</p>

<p>とはいえ、これだけ情報があふれる時代。正しい判断を行うための情報の取り扱いには、ある種の技術が必要なように思える。邉見の言う、「ビジネス・インテリジェンス」とはどのようなものか。グロービスで組織変革やリーダー育成に携わる西恵一郎との対談から、リーダーが持つべき「情報との向き合い方」を探る。</p>

<p><small>※VUCA：（ブーカ）Volatility 変動、Uncertainty 不確実、Complexity 複雑、Ambiguity 曖昧、の頭文字を取った呼称</small></p>

<h2>不確実な中にも予測可能なことは一定程度あるはずだ</h2>

<p><strong>西</strong>　まずは邉見さんのやっている国際情勢分析、ビジネス・インテリジェンスとはなにかというお話から伺えますか？</p>

<p><strong>邉見</strong>　ひとことで言うなら、マクロの政治・経済と企業の経営戦略を結合させて、意思決定の支援をしています。マクロ経済は経済学者やエコノミストと呼ばれる人たちが、またマクロ政治は政治学者や政治分野を専門とするジャーナリストの皆さんが研究し、それぞれ情報を発信している。ところが、こうした専門家からはビジネスという観点はあまり出てきません。</p>

<p>例えば、「世界経済がいま3%の成長です」という情報は発信するけれど、それがそれぞれの企業にとってどういう意味があるのかまでは、解説してくれません。政治面も同様です。米中の貿易戦争、ブレグジット（イギリスの欧州連合離脱）という事象が起きた時に、企業の経営にどういう影響があるのか。チャンスと捉えればいいのか、それともリスクと捉えればいいのか。こうしたことはビジネスの現場であまり真面目にというか、明示的に語られてきませんでした。専門家は専門家の分野で閉じていたように思います。</p>

<p>私はもともと国際金融の世界にいて、その後アカデミックな世界も経験し、いまは経営コンサルタントとしてビジネスの世界にいます。三つそれぞれの立場の理屈もわかるし、経験もある。それをつなぐのが私の仕事です。</p>

<p><img src="/uploads/_DSC6707-Edit.jpg">
<aside><strong>邉見伸弘</strong><small>デロイト トーマツ コンサルティング合同会社 執行役員　チーフストラテジスト 国際ビジネスインテリジェンスリーダー　 ハーバード大学国際問題研究所研究員　 Deloitte Global Economist communityメンバー</small>
<p>国際協力銀行（JBIC）にてプロジェクトファイナンス、経営企画部門で国際投融資統括、カントリーリスク分析、アジア債券市場育成構想等に従事。その後、米系戦略コンサルティング A.T Kearny（現KEARNY）を経てデロイト トーマツ コンサルティングに参画。国際マクロ経済・金融知見を軸に、国際情勢分析を専門とする。メガトレンド分析、シナリオ及びビジョン策定、新興国参入戦略、M&amp;A案件等をリード。日本政府、外資投資ファンド、総合商社、国内外金融機関及び大手製造業等を中心に業界横断型、クロスボーダー案件に多数従事。</p></aside></p>

<p><strong>西</strong>　この10年でビジネス・インテリジェンスに対する顧客ニーズの変化はありますか？</p>

<p><strong>邉見</strong>　ありますね。まず、日本企業以外からの照会は劇的に増えています。世界で見れば、専門家の数や新しいサービスの形も増えている。ところが日本に関して言うと、トランプ政権の誕生、ブレグジット騒動、今回のコロナ危機の問題など、この10年で世界的に時代を画する大変化が相次いで起きた。にもかかわらず、ビジネスの世界では意外ですが、それら大変化に対しても、びっくりするほど関心が下がっている。シンクタンクや企業の調査部等も人数が減っています。</p>

<p>その理由は何かと考えると、ジリジリと経済体力が下がり、目線が近視眼的になっていることがあるのではないでしょうか。日本経済自体が低成長である中、周辺国はそれをはるかに超える勢いで爆発的に成長している。中国や新興国はむろん欧米もマクロ経済レベルで成長を続けていた。そのような中で、相対的に見て日本のプレゼンスが下がっている、存在が薄くなっていることが関係しているのではないかと思います。</p>

<p>ミクロレベルでも日本企業の存在感低下は知られるところですよね。例えば1989年時点では、企業の時価総額の世界トップ50社のなかに日本企業は32社も入っていましたが、2020年6月時点ではトヨタ１社のみ、という下落状況です。当然それは情報量や質にも影響してくるでしょうし、海外からの情報取得という面でも、変化に対する感度が鈍っていると思います。</p>

<p>総合商社などで海外に駐在している方も、同じ人で長期固定化していて、彼我の認識落差感に疎くなっていたり、逆に赴任期間が2、3年の短期で専門性を高められていない、といった面もある。加えて、海外組には権限も与えられていないケースが多い。故に、ビジネス上で不可欠な判断材料が不足し、他国企業に差をつけられてしまう。そういった状況が続いているのかなと思っています。</p>

<p><strong>西</strong>　世の中ではよく「VUCA」というキーワードが使われますよね。不確実性が高まっている、先行きがわからなくなってきていると言う。経営者の皆さんも「だからそれに対応しなくては」とおっしゃる。一方で海外の政治・経済の動向をちゃんと見に行こうというニーズが落ちているのだとすると、実際は必要な情報が得られてない。それでは将来に対する最適な判断が出来てない可能性があるということですね。</p>

<p><img src="/uploads/_DSC6732-Edit.jpg">
<aside><strong>西恵一郎</strong><small>株式会社グロービス 　グロービス ・コーポレート・エデュケーション部門マネジング・ディレクター </small>
<p>三菱商事株式会社にて、不動産証券化、コンビニエンスストアの物流網構築、商業施設開発のプロジェクトマネジメント業務に従事。B2C向けのサービス企業を立ち上げ共同責任者として会社を運営。グロービスの企業研修部門にて組織開発、人材育成を担当し、大手外資企業のグローバルセールスメソッドの浸透、消費財企業のグローバル展開に向けた組織開発他、多くの組織変革に従事。海外法人を立上げ、現地法人の経営を行う。現在はコーポレート・エデュケーション部門マネジング・ディレクター兼中国法人の董事を務める。</p></aside></p>

<p><strong>邉見</strong>　そう思います。海外の政治・経済の動向は日本にも関係するし、企業経営の未来を構想する上で大前提になる。ただ、意識していないと情報は集まってこないし、未来構想の精度も上がりません。</p>

<p>もちろん未来は不確実ですが、そうは言ってもかなりの確度で予想できるもの、推測できることはあるはずです。洞察に必要な情報に対しいろんなアンテナを張るのは当たり前のこと。車を運転している時も、渋滞情報や、遠出の場合には道の駅情報とか、いろいろな情報を収集、分析し、いくつかのシナリオを考えながら道を進んでいるものですよね。国際ビジネスもそうです。ある種の羅針盤というか、それなりの地図や海図のようなものを参考にしながら、やっていくはずです。全部が全部、不確実な中でやるものかと言えば、そんなことはない。どの部分が不確実で、どれが限りなく読めそうなのか、といった色分けをしないと、何か失敗するたびに、「不確実性のせい」「想定外の事態」といった理由で片付けられてしまう。それではいつまでも失敗を繰り返すことになる。</p>

<p>不確実性の時代とよく言われますが、不確実な中にも確度の高いものを見ていく姿勢が重要なのだと思います。そのための技法は、経営者のリテラシーとしていくつかあるのではないでしょうか。ビジネス・インテリジェンスの世界で使っている技法も、不確実性の世界の中で不確実の要素を減らしたり、見通しの精度を上げたりという点で、お役に立てているのではないかと思います。</p>

<h2>結果を残す経営者は、人生のオーナーシップを持ち、常にアンテナを張っている</h2>

<p><strong>西</strong>　クライアント企業の役員の方々と議論する時に感じるのは、意外と皆さんが共通したファクトを持っていないということです。例えば、他部門の定量数字、全社の財務諸表など、意見交換の土台となる共通ファクトがないと、定性的な意見で議論をせざるを得ない。その結果として、空中戦や、議論のしやすい部分最適な内容に陥りやすかったりする。役員同士が集まっているのだから、本来は未来を考えたり、会社全体のことを考えたりしないといけないのに、既存事業や、皆が共通で議論しやすいテーマに話が引きずられていく。邉見さんもそういう立場の方々とお話しする中で何か感じる部分はありますか？</p>

<p><strong>邉見</strong>　ありますね。オピニオンはたくさんあるけれども、ファクトがないので、議論の発展性がないなど。あとは、それっぽい経済統計を集めてきては、自社の数字とにらめっこしたり、PEST分析の枠にとりあえずあてはめたり。意味のあるファクトになっていないことが散見されます。また、気をつけねばと感じることですが、いまはメディアが発達し、容易に情報を取れるようになりましたよね。しかし、この「取れる」という中には、いくつかのトラップがあります。</p>

<p>例えば「レコメンデッド」。よく「人は見たい情報しか見ない」と言いますけど、自分の好みの情報、自らに都合のいい情報ばかりを集めがちというワナに陥りやすいということです。それに対し、自分にとって不都合なものや見たくないものを、あえて俎上に載せて議論し比較検討して意味を見いだすことを、私たちは「カウンター・インテリジェンス」と呼んでいます。そのスキルがいまの時代には圧倒的に欠けているように思います。都合の悪い情報から目を背けたくなるのは当たり前ですが、だからこそ「カウンター・インテリジェンス」を行うことは極めて重要です。　</p>

<p>ブレグジットのケースを例にとってみましょう。ヨーロッパの立場に立つかイギリスの立場に立つかで見え方は当然違います。賛成派と反対派でも違いますし、同じ賛成派・反対派でもどの程度賛成・反対か、何を根拠にしているのかは人それぞれ違う。しかしそこまで噛み砕いて考えずに、「要はヨーロッパとうまくいかなくて、イギリスが出ていくんでしょ」程度の話として理解してしまっています。100年近い歴史を紐解けば、イギリスとヨーロッパ大陸との間には非常に難しい関係があったことが事実としてある。かつて世界をリードしたイギリスが、ドイツ・フランスによって主導されるEUにいるというポジション、居心地の悪さも説明できるのではないでしょうか。</p>

<p>しかし、今日の断面だけを捉えるからセンセーショナルなニュースとして取り上げられてしまいます。でも、長い目で見れば、ただ元に戻っているという話なのかもしれない。捉え方の射程を変え、他の要素を加味して比較してみれば、同じ事象でも見え方はずいぶん変わってきます。こういったことは基本的な思考パターンとして身につけておかなければならない話かなと。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC6821.jpg">
<figcaption>オピニオンではなくファクトを見つけること、自分にとって不都合な事実にも目を向けることを意識するべきだと邉見は言う。　</figcaption></figure></p>

<p><strong>西</strong>　いまみたいな思考、物事の捉え方ができる人は限られているのだろうと思います。なかなかそういう視点にはなりにくいのではないかと。邉見さんはプロなのでできて当然として、邉見さんから見て、ビジネスパーソンの中で意識的にそういうことができる人とできない人の違いはどんなところにありますか？</p>

<p><strong>邉見</strong>　一つは、これはビジネスに限らず人生全般でもそうなのではと思うのですが、自分の決断に責任をとるということ。これが出発点になると思います。今の世の中、何事にも多様性があり、どれが正解かは分かりづらい。しかし選び取っていかないといけない。この選び取るという行為は基本的には自己責任に由来するからです。「自己責任で生きていかねば」となれば、世の中で何が起こっているかを、自らアンテナを張って情報を集めようとする。それが即、情報感度を高めることに繋がっていく。自己責任とはビジネス世界では「オーナーシップ」ということになりますが、まずそれを持つということ。もう一つは、「アンテナ力」を高めること。この二つを持っていると、どちらへ進んだら美味しい餌があるか、どうすれば死なないで済むかといった判断が段々できるようになる。「自分の人生だからどっちでもいい」という行き当たりばったり主義とか、「みんながやっているから」という付和雷同のような生き方をしていると、うまくいかないのではないでしょうか。</p>

<p><strong>西</strong>　新型コロナ感染症に関しても情報が溢れていましたね。まさにいろいろな方がいろいろな立場からものを言う。こうした状況を見ていて、私は情報感度の高い人が、それぞれのSNSで情報を発信すればするほどインフォデミック<small>※</small>につながるのではないかと感じましたが、どう思いますか？　 <br>　<small>※真偽を問わず大量の情報が氾濫し、社会に影響を及ぼすこと</small></p>

<p><strong>邉見</strong>　確かにその懸念はあります。情報過多の中で、取捨選択の感度をどう培うかということが問われていると思います。この2月、私はシンガポールにいました。華僑からの情報が集まる現地では当時すでにコロナ禍が大問題化されていました。また中国本土に根を張った情報網を持つ台湾では、一早く感染拡大阻止に向けた動きに着手し始めていた。</p>

<p>しかし日本では"対岸の火事"状態。私は当地の切迫した情報を日本やアメリカにいるビジネスエグゼクティブ、官僚、ジャーナリストに電話やメールで伝えました。ビルに入るたびに体温測定があり、入館誓約書を書かされ、シールを張られる。防護服を着た方が歩いている光景まで目にしたら、誰が見たって普通じゃない状況がやってきていると思いますよね。程度の差はあれ、早晩どこでも似たような事態が起こることは必至でしたから。そうしたらびっくりするほど叩かれまして（苦笑）。アメリカに関しては「大統領選の真っ最中。そんなことはイシューにもなっていない」、日本についても「東京オリンピック準備で大変なんだから、ややこしい話を持ってこないでくれ」と言われたりした。</p>

<p>でも全員がそうだったわけではない。10%くらいの人は真面目に聞いてくれました。それはオーナー系企業の人や、常に決断を強いられているようなグローバルニッチ企業の経営者、それと機関投資家の皆さんでした。リスクをとって勝負している、情報が命の人たちです。こうした方々は真面目に情報に耳を傾けてくれて、3月末の時点で既に相応の対応準備を終えていました。人によっては、その時点で1年分の収益を稼ぎ終わっていたとの話もあります。やはり直接的に責任を負う当事者意識を持てるか否かが、情報過多の中での選択眼の有無を決めるのではないでしょうか。</p>

<p>ただここで重要なのは、彼らがアクセスしているのは、別に知る人ぞ知る特別な情報ではないということです。誰もがアクセスできる一般情報だけであっても、それを比較検証し、一方でしっかりと自分なりの考えを持ち合わせていれば、的確な判断はできます。そういう作法に素直な人たちが、結果として生き残っている気がします。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC6840.jpg">
<figcaption>誰も知らない特別な情報を得ることが重要なのではなく、誰もがアクセスできる一般情報を多角的な視点で比較検討し、自分の考えを持つこと。それが正しい判断につながるという。　</figcaption></figure></p>

<h2>不都合な事実も俎上に載せるカウンター・インテリジェンスの重要性</h2>

<p><strong>西</strong>　不確実な未来というビッグワードで思考停止しなければ、昔から言われているシナリオプランニングのようなものは依然として通用するということですね。一方で情報は溢れていて、その中から選択することが個々人に委ねられ、情報感度の個人差が相当出てくる時代になってしまったと実感しています。その感度を働かせるためには、日頃から潮流を読む習慣を身に着けておく必要がある。そうでないと、それが一過性のイレギュラーな出来事なのか、それとも本質的に重要なことなのかの判断が難しい。そういう理解で正しいですか？</p>

<p><strong>邉見</strong>　そうですね。一体この情報はどういう文脈で出てきているのか、意味を自分なりに考える事が重要だと思います。分かった気になって、情報のシャワーを浴び続けると判断が鈍ってくるし、キャッチーなメッセージを都合よくつまんでいたら、文脈を読む力は身につきません。ただ言うは易く、行うは難しですよね。シンプルでもいいから物差しを持って考えていくだけでもずいぶん違った世界が見えてくると思います。</p>

<p>例えば「景気がいい」「株価がすごい」と言われていたとして、どこと比較した話なのか、どれくらいの期間を想定するのか、誰が得をするのかなどとチェックしていくだけでも、物事の文脈が理解出来るようになると思います。あとは、その情報のそもそもの出発点はなんだったのか、誰から始まったのか、などを抑えること。これは何にでも通用する話だと思います。</p>

<p><strong>西</strong>　おっしゃるように情報自体は平等に取れるという前提に立つと、あとはどういう視点で問いを立てて、どういうアンテナで情報を取っていくのかに尽きる。これからのビジネスリーダーにはまさにそういう力が欠かせないと感じます。</p>

<p><strong>邉見</strong>　リーダーに必要な能力として「クリティカル・シンキング」とか「アナリティカル・スキル」といったものが取りざたされることが多いですよね。もちろん大事なものだとも思います。ですが、実際にはそういった分析技術の手前でそもそも何が「問い」なのか、適切な情報にアクセス出来ていないことが多いじゃないですか。「なんで、こんなことになっているの？」と。その問いは「差分」を見ていくことで修正され、深まっていくんです。そのうえで自分の物差しをあてる。「おかしいな、自分の経験と違う」というような。そういう意味で、反対論なり異論をチェックしていくことには一定の意味があると思います。</p>

<p><strong>西</strong>　その「差分から生まれる問い」に関しても、メディアが次から次へと投げ込んでくるから、どれが本当に大切な論点なのか、しっかり比較検証できる人とそうでない人の差はますます広がりそうですね。</p>

<p><strong>邉見</strong>　そうですね。ここでカウンター・インテリジェンスの観点が大事になってくると思います。例えば、「巣篭もり期間」にたくさんのオンライン・ウェビナーが開催されていますが、どのイベントも登壇者や参加者が大体似てきていますよね。だから、その場の議論にも、ある種のバイアスがかかっているのだと言えます。「NEW NORMAL」とか「新たな生活様式」といった言葉をたくさん目にしますが、「新しく変わる」と言われている時こそ、「いままでと同じ」、「既に変わり始めていた現実」に目を向ける重要性が高まると思います。変化することと、変わっていく過程が加速することは同じようで違う。そもそも物事が一夜にして変わることなどほとんどないのです。</p>

<p>人間はある種の慣性で元あるかたちに戻そうとするのが当たり前。そのバランスを見ていくのがリアリズムだと思います。リーマン・ショックの時も、リーマンが倒れる以前からパリバショックだったり、ノーザンロックが潰れたりという流れが1、2年前にあった。予兆なく、ある日突然崖から落ちるみたいなことはほぼないのです。ですから、「今日を境にこれからは新しい時代だ」というような極端な流れが起きた時には、気を付けるべきだと。これには逆のことも言えて、「安定だ」と言われている時にはむしろ危機についての議論をしておく。逆の立場や、正反対の見方・事態について気を配る、注意することがポイントです。</p>

<p><strong>西</strong>　大きな流れがある中で、何かしらのイベントが起きると、人々の思考は一旦どちらかに大きく振れる。その振れた時に、そちら側に立つのではなく逆サイドについてもちゃんと考えることが大事ということですよね。ものすごく卑近な例ですが、ちょうどいま、私の組織も「今後の働き方をどうするか」という議論をしていて、いまの時点だと「じゃあどのくらい出社しようか」という話になる。3ヶ月前に議論したら「どのくらい在宅勤務にしようか」と言っていたはず。2ヶ月の巣篭もりを経て、出社がイレギュラーになっているんです。おそらく8月に同じ議論をすると、また違った話になるでしょう。</p>

<p>ですから、いまこの瞬間だけの視点で議論するのではなく、「でも3ヶ月前は違う視点だったよね」と視点をフラットに戻すとか、「この先1年で見るとどうあるべきなんだろう」というかたちで議論をしないと。多くの人はいまこの瞬間のいい悪いでものを言うけれど、それはもしかすると、大きな流れで見ればすごくイレギュラーな地点に立って物事を決めている可能性がある。リーダーは「大きな視点で見ると違う見方ができるよね」ということを常に投げかけられる存在でありたいですよね。
 </p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>覚えておきたいビジネス英語の略語フレーズ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/07/English-VOL13.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9413</id>

    <published>2020-07-27T04:32:13Z</published>
    <updated>2020-09-23T06:49:19Z</updated>

    <summary>日本のビジネスでも「FYI」や「ASAP」などの略語を使うが、英語圏のビジネス上ではどのような略語がよく使われているのだろうか。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ひとこと英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="英会話" label="英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>こんにちは、ルーク・タニクリフです。</p>

<p>今回は、ビジネスメールやチャットでよく使われている英語の略語を紹介します。
英語圏の職場では、同僚などとのカジュアルなコミュニケーションの場で略語が使われます。日本のビジネス上でもよく目にしますが、まだまだ知られていない略語もあるようです。この機会に覚えてみてはいかがでしょうか。
<br>
<br>
<br></p>

<blockquote>
  <h1>FYI</h1>

<p>(For Your Information)</p>
</blockquote>

<p>FYIは「ご参考までに」を意味します。この略語は日本のビジネスメールでもよく見かけますが、英語圏では使う状況によって意味が異なります。</p>

<p>要件だけを手短に伝えたいとき、メールで本文を書かず、件名のみに伝えたいメッセージを入れることがありますが、FYIを
件名に入れると「返事は必要ありません。」を意味します。</p>

<p><img src="/uploads/13_text_01.png"></p>

<p>件名のFYIはコロンと一緒によく使われています。</p>

<p>メールの本文で書かれているFYIは「ご参考までに」の使い方に似ています。</p>

<p><img src="/uploads/13_text_02.png">
<br>
<br>
<br>
<br>
<br></p>

<blockquote>
  <h1>FYA</h1>

<p>(For Your Action)</p>
</blockquote>

<p>FYIと同じように、FYAもメールの件名でよく使われています。FYAが付いたメールを受け取った場合は、重要な内容のため、すぐに対応したほうが良いでしょう。</p>

<p><img src="/uploads/13_text_03_1.png">
<br>
<br>
<br>
<br>
<br></p>

<blockquote>
  <h1>EOM</h1>

<p>(End Of Message) </p>
</blockquote>

<p>EOMは「メッセージの終わり」を意味します。
メールの件名の最後に付けると、メールの本文はないことを伝えます。</p>

<p><img src="/uploads/13_text_04.png"></p>

<p>メールの本文の最後に付けると、意味は「以上」になります。</p>

<p><img src="/uploads/13_text_05.png"></p>

<p><br>
<br>
<br></p>

<blockquote>
  <h1>BTW</h1>

<p>(By The Way)</p>
</blockquote>

<p>メールで、これまでの話題とは関係のない話をしたい場合、BTWという略語は役に立ちます。BTWはby the wayの略で、「ところで」「そう言えば」という意味になります。</p>

<p><img src="/uploads/13_text_06.png"></p>

<p><br>
<br>
<br></p>

<blockquote>
  <h1>ASAP</h1>

<p>(As Soon As Possible)</p>
</blockquote>

<p>ASAPは「出来るだけ早く」という意味の略語です。
よく相手に何かを指示するときの言葉として使われていますが、場合によっては少し失礼な印象を与えることがあります。自分が何かを急いで行うことを伝えるときに使う方が無難でしょう。</p>

<p><img src="/uploads/13_text_07.png"></p>

<p>ASAP は、BTWなどの略語と異なり、文末に入れます。</p>

<p><img src="/uploads/13_text_08.png"></p>

<p><br>
<br>
<br></p>

<blockquote>
  <h1>TBD</h1>

<p>(To Be Determined)</p>
</blockquote>

<p>TBDは「未定」という意味になります。この言葉は、ミーティングについて場所や時間が未定なときに、よく使います。</p>

<p><img src="/uploads/13_text_09.png"></p>

<p><img src="/uploads/13_text_10.png"></p>

<p><br>
<br>
<br></p>

<blockquote>
  <h1>np</h1>

<p>(no problem)</p>
</blockquote>

<p>npは「問題ないよ」、「どういたしまして」、「大丈夫」という意味で、よく英語圏のチャットやメールなどで使われています。</p>

<p>np が最も使われるのは、thank you を意味する thx に対する受け答えかもしれません。thxと同じようにnpはインフォーマルな英語で、よく小文字で書く略語です。</p>

<p><img src="/uploads/13_text_11.png">
<br>
<br>
<br></p>

<p>最後に、最近流行っているビジネスの略語を紹介します。</p>

<blockquote>
  <h1>WFH</h1>

<p>(Working From Home)</p>
</blockquote>

<p>昨今の新型ウイルス感染拡大の影響で、在宅勤務を行う人が増えています。相手に自分が在宅勤務であることを伝えるために、この略語が使われるようになりました。皆さんも、是非活用してみてください！</p>

<p><img src="/uploads/13_text_12.png"></p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>つながりの構造と、つながることの価値を改めて考える━━変化するビジネスネットワークの形 Vol.2 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/07/business-network-vol2.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9412</id>

    <published>2020-07-14T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-07-14T03:10:55Z</updated>

    <summary>社会ネットワーク研究から得られる知見をもとに、これからのビジネスネットワーク構築のヒントを探る連載。二回目は、BNLが2018年に公開した寄稿「ネットワーク研究の世界」の内容をおさらいし、つながることの価値について改めて考える。
</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="変化するビジネスネットワークの形" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>前回、2020年1月から4月末までの名刺交換枚数のデータ※から、対面での出会いの数が変動していることがわかった。</p>

<p><small>※2020年1月から4月にかけて、名刺交換枚数は減少傾向にあったが、その後、5月の連休あたりから増え始めている。</small></p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2020/05/business-network-vol1.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/main_2.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>【緊急レポート】データで実証。新型コロナの影響で、ビジネスの「出会い」はどのくらい減ったのか</strong></div></a></div>

<p>こうした状況の中で私たちが取り組むべきネットワーク戦略を探っていくのが、この連載の目的だ。二回目の今回は、社会ネットワーク研究の世界に触れる。つながることにはどんな価値があるのかについて、「弱いつながり」と「強いつながり」の本質から、改めて理解したい。</p>

<p>以前BNLでは、Sansan株式会社のデータ統括部門、DSOC（Data Strategy &amp; Operation Center）の研究員、前嶋直樹に、つながることの価値について解説した記事を寄稿してもらった。前嶋はDSOCでネットワーク理論を研究し、普段は名刺交換の織りなすネットワークの価値を最大化するためのサービス開発に取り組んでいる。本記事は、その寄稿を元に改めて編集したものである。</p>

<h2>「弱いつながりの強さ」の本質</h2>

<p>社会ネットワーク研究の世界では、つながりには「強いつながり」と「弱いつながり」がある。つながりの強弱は、時間、感情的な強さ、親密さなどで決まる。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/06/socialnetworks-vol1.html/">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/34444129113_96eece51f0_o1094.jpg">
<div class="info"><strong>「弱いつながり」の誤解と本質──社会ネットワーク研究の世界（前編）</strong></div></a></div>

<p>「<a href="https://bnl.media/2018/06/socialnetworks-vol1.html">弱いつながりの強さ</a>」という言葉を聞いたことがある人も多いだろう。1973年、社会学者 マーク・グラノヴェッターは、論文で「よく会う親密な人よりも、あまり親しくはない知人からの方が、転職に役立つ情報を得られる確率が高い」という研究結果を紹介している。情報という面で利益をもたらすのは、親しい仲の「強いつながり」よりも、さほど親しさを感じない「弱いつながり」であるという主張だ。</p>

<p>この理論はのちの研究でアップデートされている部分も多いのだが、「弱いつながりの強さ」という印象的な言葉だけが一人歩きしてしまったのか、「微妙な知り合いをとにかく増やしておけば良い」という誤解も見受けられる。そこでまず、なぜ「弱いつながりは強い」のか、その理由から考えてみたい。</p>

<p>社会ネットワーク研究の世界には「情報は社会ネットワークを通して巡回（circulate）する」という考え方がある。そして、各クラスタ（集団）の中でも、それぞれ情報が巡回している。グラノヴェッターは「弱いつながり」が、2つのクラスタにおいて情報の「橋渡し」の役割を担っていることに注目した。</p>

<p>ビジネスの現場における「橋渡し」とはどういうことを意味するのか？　図と例を用いて説明してみよう。ITエンジニアのクラスタと、営業や商社マンなどのクラスタは、職能や活動が全く異なるため、それぞれのクラスタでは独自の情報が流れている。ITエンジニアのクラスタに属するAが、営業・商社マンのクラスタに属するCとつながると、これら二つのクラスタを「橋渡し」することになり、それぞれのクラスタから異なる情報が入ってくる。ゆえに、「橋渡し」を行う人は、自分の属しているクラスタの外から、貴重で有利な情報が得られる。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/socialnetworkgraph_1.jpg">
<figcaption>互いが密につながったクラスタの内部では、それぞれ異なる情報が共有される。Aは、B、Cとつながっているが、BとCはつながっていない。営業・商社マンのクラスタと唯一つながっているAを介して、情報はITエンジニアのクラスタから、営業・商社マンのクラスタへ「橋渡し」される。Image: BNL</figcaption></figure></p>

<p>この考え方を転職という場面に置き換えてみよう。親しい相手の方が転職を手助けするモチベーションが強いため、一見、「強いつながり」を持っている方が有利だと思われる。しかし「強いつながり」の相手は、同じようなクラスタにいる可能性が高く、流通している情報も似通っている。一方で、「弱いつながり」の相手は、異なる情報が流れるクラスタにいる可能性が高く、多様な情報をもたらしやすい。とりわけ「どこに職があるか」という情報が重要な転職に関しては「弱いつながり」の方が、情報を得るという意味では有利に働く。</p>

<p>グラノヴェッターは、これを「構造の意思に対する優位性」といった。相手が「いい情報を与えたい」と思っても、情報を持っていなければかなわない。逆に動機が強くなくても情報を持っていさえすれば転職を助けることができる。転職に有利な情報を得る面では、動機の強い相手がいることよりも、情報を運ぶネットワークの有無が重要であることを示している。</p>

<h2>弱くないと「橋渡し」できないのか</h2>

<p>ここでひとつの疑問が湧く。つながりが弱くないと「橋渡し」は成立しないのか。</p>

<p>「強いつながり」で結ばれている場合を考えてみる。「友達の友達は友達」というケースだ。AさんとBさんが親しく、AさんとCさんも親しい。するとBさんとCさんも知り合いになる可能性が高く、BさんとCさんのクラスタは結束してひとつのクラスタになりやすい。クラスタがひとつになれば「橋渡し」は成立しない。</p>

<p>一方で、つながりが弱いとこうした状況は起きにくく、「強いつながり」に比べ、クラスタとクラスタを「橋渡し」しやすくなる。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/socialnetworkgraph_2.jpg">
<figcaption>もしつながりが強ければ、BとCのあいだに新たなつながりが誘発される可能性が高まるが、つながりが弱ければ、Aは「橋渡し」的な役割を担い続けることができる。Image: BNL</figcaption></figure></p>

<p>しかし、次のような状況も考えられる。例えば、父親が製薬会社で働いていて、子供がIT業界で働いている場合。親と子は「強いつながり」だが、それぞれが別のクラスタに所属しているため、親と子の関係は「橋渡し」になり得るのだ。</p>

<h2>「微妙な知り合い」が多ければいいわけではない</h2>

<p>この考え方をさらに発展させ、「橋渡し」をするかどうかと、そのつながりが強いか弱いかは「相関事象」でしかないと指摘したのが、社会学者 ロナルド・バートだ。つながりが弱いから多様な情報が得られるわけではなく、つながっていないもの同士を「橋渡し」するから、多様な情報が得られる。</p>

<p>バートは、つながりが弱いことは重要ではなく、異なるクラスタ同士を「橋渡し」することが「弱いつながりの強さ」の本質だと主張した。このことから、微妙な知り合いをやみくもにつくることは、「弱いつながりの強さ」という観点からは、あまり意味がないことがわかるだろう。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/socialnetworkgraph_3.jpg">
<figcaption>つながりにおける強度と構造の関係。発生確率が低いだけであって、強度が強い場合でも、「橋渡し」的な構造になる可能性はある（左下）。逆に弱い場合であっても、結束の構造になることはある（右上）。Image: BNL
</figcaption></figure></p>

<p>さらにバートは、「橋渡し」されている二者の間にある隙間を「構造的空隙」と名づけ、そこには、新しい情報を得られる「情報利益」や、つながっていない二者間を競争させることで漁夫の利を得られる「統制利益」など、さまざまな利益があると主張した。実証研究からも、構造的空隙を多く持っている人の方が、新しいアイデアを生み出しやすく、早く昇進しやすいということがわかっている。</p>

<h2>「強いつながり」は、深く新しい情報が入ってきやすい</h2>

<p>では、「強いつながり」には意味がないのだろうか。ここからは「強いつながり」の強みについても見ていきたい。「弱いつながりの強さ」の本質は「橋渡し」にあると紹介したが、それに対し、「強いつながり」において発生しやすい構造は「結束」である。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/natalie-pedigo-wJK9eTiEZHY-unsplash.jpg">
<figcaption></figcaption></figure></p>

<p>結束性に富んだネットワークは、コミュニケーションが活発になるため、より複雑で更新頻度の高い情報が流通しやすいという。また、お互いのことをよく知っているので、複雑な情報や専門性の高い情報を共有するモチベーションが高まる。</p>

<p>それに対し「弱いつながり」の間柄では、多様な情報はもたらされやすいが、その複雑性は低く、更新頻度も高くはない。相手がどういう情報を持っているのかもわからないことが多いため、情報共有に対するモチベーションも低い。</p>

<p>この考え方は「多様性-帯域幅トレードオフ理論」に基づいている。「帯域幅」とは、一定の時間に伝達される情報量を表す概念である。前述の通り、「橋渡し」に富んでいるほどネットワークの「多様性」は高まる。それに対し、「結束」が強くなると「帯域幅」が広がる。これが「多様性-帯域幅トレードオフ理論」と呼ばれる所以だ。この理論は、いくつかの研究結果を参照し、導き出されている。</p>

<p>例えば、スタンフォード大学の経営学者モルテン・ハンセンは、「強いつながり」の方が、相互のコミュニケーションが活発になるため、複雑な知識を伝達しやすくなることを示唆している。また、MITの経営学者レイ・リーガンスとトロント大学の社会学者ビル・マケビリーらは、協調的な規範を育み、個人が時間・エネルギー・知識を相手と分かち合う意欲や動機を増やしやすくすることを実証した。</p>

<p>さらに、アメリカの社会心理学者、ダニエル・ウェグナーが提唱した「交換記憶」も帯域幅への影響を想定できる。「交換記憶」とは、メンバー間の過去のやり取りにもとづき、「誰がどのような知識をもっているか」について組織内で共有された記憶のことだ。「交換記憶」が濃い緊密なネットワークでは、誰がどういう情報を欲しているか、誰にどのような情報について尋ねればよいかが容易に分かるため、接触の数が増え、帯域幅が広くなるということだ。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/socialnetworkgraph_4.jpg">
<figcaption>ネットワーク構造と帯域幅の関係。帯域幅が十分に広ければ、情報5と情報6のように少し重複は発生するとしても、〈結束〉の構造の方が、伝わる新情報の総量は多くなることを示している。Image: BNL</figcaption></figure></p>

<p>前述の通り、多様な情報を得るという面では「弱いつながり」が優位である。しかし、そもそも情報を与える側の人は、相手が「情報を与えるだけの信頼に足る人物かどうか」がわからないと、情報を与えない。こうしたことを加味すると、結局、転職には「弱いつながり」だけでなく「強いつながり」も重要であるということがわかる。</p>

<h2>組織においても、重要な役割を果たす</h2>

<p>ここまでは個人にとっての「強いつながり」の価値について解説してきたが、組織の中のネットワークにおいても、大きなメリットがある。</p>

<p>社会学者のジェームズ・コールマンは、結束的なつながりが豊富な集団の中では、相互監視がよく機能し、恩義や期待を裏切った時のサンクション（罰）を行使しやすくなるため、信頼関係が醸成されやすいと主張している。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/06/socialnetworks-vol2.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/14233520928_0bde29194f_o-1094.jpg">
<div class="info"><strong>「強いつながり」と「結束」の強み──社会ネットワーク研究の世界（中編）</strong></div></a></div>

<p>また、社会学者 デイヴィッド・クラックハートは、組織内の重大な変化において「フィロス的な関係性」が必要不可欠だと主張した。「フィロス的な関係性」とは、相互作用・愛・長期間の持続性という条件を満たした関係性のことをいう。「仲の良い友達同士」のようなものだ。</p>

<p>会社の組織の中には、ビジネス上のフォーマルなネットワークと、友人関係のようなインフォーマルなネットワークがある。クラックハートは、組織の中で重要な意思決定がなされようとしているときは、多くの人とインフォーマルな信頼関係を結んでいる人の働きがないとうまくいかないと主張した。普段ビジネス上で相談役になる人が、組織の大きな意思決定でも頼られるかというと、そうとは限らず、「フィロス的な関係性」を多く持つ人こそが重要な役割を果たすという。</p>

<h2>「橋渡し」と「結束」のバランス</h2>

<p>「橋渡し」と「結束」、「弱いつながり」と「強いつながり」について見てきたが、実際どちらを重視すると良いのか。人の性格にはそれぞれ特性があるため、個人が橋渡し的な関係と結束的な関係の両方を同じぐらい持ち合わせることは、そもそも難しい。ここでは組織全体のネットワーク形成における「橋渡し」と「結束」のバランスについて考えてみたい。</p>

<p>ブロードウェイミュージカルの製作チームのネットワークに関する研究がある。そこでは、チーム内で「橋渡し」と「結束」のバランスが取れているチームほど、よりクリエティブな作品がつくれていたことがわかった。チーム内のパフォーマンスを上げるには、外からいろいろな情報や新しいアイデアを持ってくる人と、それを具体化するためにチームの結束を強める人のバランスが取れていると、チームの活動は円滑に進む。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/ahmad-odeh-TK_WT3dl2tw-unsplash.jpg">
<figcaption></figcaption></figure></p>

<p>「橋渡し」に偏った、信頼や合意形成が不十分なチームでは、異なる意見を取り込む余裕がなく、新しい情報を取り入れても無駄になる。逆に「結束」に偏れば、情報や知識はタコツボ化したり、外部の意見を取り入れにくくなったりするので、視野の狭い合意形成が行われ、早合点による判断ミスも起こりやすくなる。</p>

<p>そこで「橋渡し」と「結束」のどちらに偏ることもなく、バランスを保つため必要なのが、全体のネットワーク構造を俯瞰しながら行動する調整役だ。例えば、結束力の強い集団内部で拙速な合意形成が進んでいれば、外部の人物とのつながりを作り、早熟な意思決定を防いだり、逆に、多様なメンバーだが関係性がバラバラなら「強いつながり」の形成することが重要になる。こうした調整役の働きによって、仲介と閉鎖性のバランスを取れているチームはより発展する。</p>

<p>また、外からもたらされる情報を内部に伝えるときは、そのままの言葉で伝えると、齟齬が生まれる可能性がある。外部から情報を取り入れるときは、内部で使われている共通言語なようなものに言い換えることが大切だ。その翻訳作業をできる人が「橋渡し」の役割を担うと、より良いだろう。</p>

<h2>結束的なつながりを多く持つ業種は？</h2>

<p>最後に、業種単位のネットワークについて触れたい。2019年、DSOCでは、結束度の高さを業種毎に比較する研究（名刺交換ネットワークのつくる企業間ネットワークの業種間での異質性）を行った。その結果、メディアやIT産業、マーケティング、調査、ファイナンスなどの業種は、結束的なつながりを多く持つことがわかった。</p>

<p>逆に結束的なつながりが少ないのは、建設業やインフラ、製造業、運輸、倉庫業など。この結果は、結束度が高い産業は、知識集約型サービス産業（ナレッジインテンシブビジネスサービス）、つまり複雑でかつ更新頻度が高いような情報を生産したり、流通させたりする産業であることを示している。</p>

<p>結束度が高い業種は、いま以上に密につながるよりも、橋渡し的なつながりを増やす方が、多くの情報を得られる可能性がある。例えばIT業界なら、これまで関連性がなかった他業種と新しいビジネスに取り組むと良いかもしれない。逆に製造業なら企業間での情報ネットワークをつくってみるのも良いだろう。その産業のベースラインが、「橋渡し」と「結束」のどちらに寄っているのかによって、ネットワーキング戦略は変わってくる。</p>

<hr />

<p>今回は、「橋渡し」と「結束」、「弱いつながり」と「強いつながり」を軸にしたネットワーク研究の世界から、つながることの価値について解説した。</p>

<p>次回は、一度出来たつながりを、保ち続ける方法を探る。特に昨今は、オンラインファーストの出会いも多い。簡単につながることができる一方で、保ち続けることが難しいという側面もあるだろう。オンラインでもオフラインでも同じようにできる、つながりのメンテナンスについて考える。</p>

<p><aside><strong>参考文献</strong>
<p>Burt, R. S. (1992). Structural holes: the social structure of competition. Harvard University Press.<br>
Burt, R. S. (2004). Structural holes and good ideas. American journal of sociology, 110(2), 349-399.<br>
Buskens, V., &amp; Van de Rijt, A. (2008). Dynamics of networks if everyone strives for structural holes. American Journal of Sociology, 114(2), 371-407.<br>
Granovetter, M. (1973). The Strength of Weak Ties. American Journal of Sociology, 78(6), 1360-1380.<br>
Granovetter, M. (1983). The Strength of Weak Ties: A Network Theory Revisited. Sociological Theory, 1, 201-233.<br>
Padgett, J. F., &amp; Ansell, C. K. (1993). Robust Action and the Rise of the Medici, 1400-1434. American journal of sociology, 98(6), 1259-1319.<br>
Burt, R. S., Bartkus, V. O., &amp; Davis, J. H. (2009). Network duality of social capital. Social capital: Reaching out, reaching in, 39-65.<br>
Coleman, J. (1988). Social Capital in the Creation of Human Capital. American Journal of Sociology, 94, 95-120.<br>
Krackhardt, D. (1992). The Strength of Ties: The Importance of Phiros in Organizations. Networks and Organizations: Structure, Form, and, Action, 216-239.<br>
Uzzi, B. (1996). The Sources and Consequences of Embeddedness for the Economic Performance of Organizations: The Network Effect. American Sociological Review, 61(4), 674-698.<br>
Uzzi, B., &amp; Spiro, J. (2005). Collaboration and creativity: The small world problem. American Journal of Sociology, 111(2), 447-504.<br>
Aral, S., &amp; Van Alstyne, M. (2011). The Diversity-Bandwidth Trade-off. American Journal of Sociology, 117(1), 90-171.<br>
Aral, S. (2016). The future of weak ties. American Journal of Sociology, 121(6), 1931-1939.<br>
Hansen, M. (1999). The Search-Transfer Problem: The Role of Weak Ties in Sharing Knowledge across Organization Subunits. Administrative Science Quarterly, 44(1), 82-111.<br>
</p></aside></p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>創造性と効率性の融合にある未来。「つくる」と「着る」の意識を変えるべく、川崎和也はファッションを思索する - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/06/amu-kawasaki.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9411</id>

    <published>2020-06-09T04:23:00Z</published>
    <updated>2020-11-09T00:41:39Z</updated>

    <summary>ファッション業界で、「サステナブル」や「エシカル」といったキワードが浸透した背景には、大量消費を前提とした産業構造からの脱却を目指すという明確なビジョンからだ。この大きな転換期に、「スペキュラティヴ・ファッションデザイナー」という耳慣れない肩書きで活動する川崎和也。彼の活動の軸にある「編む」という行為について紐解く。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="編む" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>川崎和也</strong>
<p>スペキュラティヴ・ファッションデザイナー、デザインリサーチャー、Synflux主宰。 1991年生まれ。慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科エクスデザインプログラム修士課程修了（デザイン）、現在同後期博士課程。バイオマテリアルの可能性を模索する「Biological Tailor-Made」、機械学習のアルゴリズムとの共創を目指す「Algorithmic Couture」など、ファッションが持つ未来志向・思索的な創造性を探求する実践を行う。 主な受賞にH&amp;M財団グローバルチェンジアワード特別賞、文化庁メディア芸術祭アート部門審査委員会推薦作品選出、Dezeen Award Design Longlistなど。監修・編著書に『SPECULATIONS 人間中心主義のデザインをこえて』（ビー・エヌ・エヌ新社、2019）がある。
</p></aside></p>

<h2>肩書きは自分に課した使命でもある</h2>

<p><strong>──川崎さんは、スペキュラティヴ・ファッションデザイナー、デザインリサーチャーという二つの肩書きを持たれていますよね。それぞれどういう役割を担っているのかを教えてください。</strong></p>

<p>では、スペキュラティヴ・ファッションデザイナーというあまり耳慣れない肩書きから話します。おそらく「スペキュラティヴ」というこの頭の形容詞が何なのかという話だと思うのですが、この言葉は日本語に翻訳すると「思索する」。「できるだけ遠いところに（抽象的な概念で）思いを馳せていく」という意味合いが強い言葉で、とりわけ2000年代後半ぐらいからデザイン・アートの領域で盛んに用いられるようになりました。</p>

<p>またAIやバイオテクノロジーの領域では、技術を短絡的に売り込んでいくことは簡単だけど、そうではなく、より長期的な視野を持ってスペキュラティヴに考えていこうという運動がありました。それをファッションにも応用したいと考えたんです。</p>

<p>ファッションデザイナーは、春夏・秋冬といった「シーズン」という強固なルールに合わせて服をつくっては売ることを繰り返しています。でも、社会が劇的に変化している中で、「とにかく消費を加速させる」という、当たり前になってしまった命題にとらわれることなく、より長期的な視野で考えていく必要があると思ったんです。それで「スペキュラティヴ・ファッションデザイナー」と名乗って活動しようと考えるに至りました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/kws0051s.jpg">
<figcaption>⻑期的な未来に対してファッションはなにができるか、理論と実践の両サイドからアプローチしている。
</figcaption></figure></p>

<p><strong>──それは自分に課した宣言みたいなニュアンスなのでしょうか。</strong></p>

<p>川崎：そうですね。変な肩書きを使う人って昔から一定数いますよね。あれって他人の気を引くためというよりはむしろ、自分に使命を課している面が強い気がします。「これをやらなきゃ死ねない！」みたいな表れというか。カタカナが連続してしまって、自分で言う時に噛むことも多いのですが（笑）。この肩書きで掲げたミッションに共感してくれる友人や後輩と立ち上げた「Synflux」を拠点に、プロダクトとしての衣服からデザインプロセス、サービス、システムまでをAIやバイオテクノロジーの応用を前提として研究開発しています。</p>

<p>この「スペキュラティヴ・ファッションデザイナー」が実践のための名前だとすれば、「デザインリサーチャー」は理論の領域を担っています。「人間にとってつくるとは何か？」というテーマを、現場で見たり聞いたり、文章を書いたりして研究できないかなと思っているんです。というのも、「デザイナー」は専門的な職能だということもあって、一般的に特別な存在だと思われているところがあるかもしれないのですが、デザインは我々の生活を構成するものとしてとても身近なものでもあるし、地球環境に多大な影響を与えているものでもある。建築とかはまさにそうですよね。そんなデザインが歴史の中でどのような役割を担ってきたのか、そしてこの先どのような役割を担っていくべきかをリサーチして、テキストを書いたり、いろんな場所で自分の活動について話したり、実際に洋服を作ったりしています。そのような観点から、国内外の研究者と一緒に『SPECULATUIONS：人間中心主義のデザインをこえて』という、デザインリサーチに関する本を出版しました。</p>

<p><strong>──どうしてデザインをリサーチすることに興味を持ったのでしょうか。</strong></p>

<p>僕は慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス（SFC）エクスデザインプログラムの出身なのですが、そこでは「社会とどうやって接点を持つか」に重きを置いたデザイン教育がされていました。ただ同時に、僕が師事したデザインリサーチャーの水野大二郎（京都工芸繊維大学KYOTO design lab特任教授）さんは、イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アートで勉強され、「どうやって美しい表現をするか」「どうやったら精度の高いものがつくれるか」という、表現や技術もとても大切にしながら指導されていたんです。その影響もあって、「実践」と「理論」、「表現」と「社会との接続」、一般的に対立構造として捉えられている観念を融合させていきたいと思うようになりました。</p>

<p>デザインリサーチの領域においても、まだまだデザインとリサーチが対立する概念だと思われているのも事実です。「リサーチなんてしていないで、ものをつくった方が早いじゃないか！」という人もいるし、「つくる前に歴史を知る方が重要！」という人もいるので。僕個人としては、どちらもやりたい。まさに互いのポジティブな点を編集するように、相乗効果を生み出して、「デザインリサーチ」という領域を盛り上げていきたいと思っています。</p>

<p><strong>──川崎さんの取り組みは編集的だと思うのですが、「編集者」ではなく「デザイナー」として活動しているのはどういった理由があるのでしょうか。</strong></p>

<p>もともと本を読むのが好きだったので、「編集」から影響を受けているのかもしれません。でも、編集者はまた高度な専門職なので、正直自分なんかが名乗れる肩書きじゃないなって。</p>

<p>ただ、最近になってデザインと編集は近い存在なんじゃないかと考えるようになりました。ヴィヴィアン・ウエストウッドというパンクカルチャーを先導したイギリスのデザイナーは、自身の過去のコレクションを見直して、そこに新しい要素を組み合わせて発表したりするんですよ。それって編集的な行為ですよね。コラージュやリミックスに近い感覚です。「編集」という言葉ではなくとも、コンテキストやテキスタイルを「編む」という職能でありたいなとは思っているんです。</p>

<h2>創造性と効率性の融合に未来がある</h2>

<p><strong>──ファッションという産業が抱えている問題や課題はたくさんありますよね。環境もそうだし、労働もそう。それらを川崎さんはどのように捉えているのでしょうか。</strong></p>

<p>現在のファッションが直面している一番大きな問題って、「産業」と「環境」の間に衝突が起きていることだと思うんです。洋服って人間一人ひとりが着用するもので、おそらく全裸で生活を送ることは当面起こり得ない。だからこそ、年間でとてつもない量が生産されていることが問題なんです。実は2000年から2015年までの15年間で、洋服の生産量って倍以上に膨れ上がっているんですね。にもかかわらず、使用量は半減している。</p>

<p>生産は2倍になっているのに使用が2分の1なわけだから、完全に過剰生産なわけです。しかも、どれだけ安くつくれるかを重視した結果、物流は複雑化し、人件費の安い途上国にばかりに依存するようになって、たくさんの人が低賃金で働いている。そして、拍車をかけるようにメディアには「たくさん買え」というメッセージが絶え間なく流れ続けている。そういう構造的な問題に対する解決策を構想しています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/kws0242s.jpg">
<figcaption>強固に大量につくるシステムと、購入を促進するメディアからの止まないプッシュ、 産業の構造としての問題に対して、なにができるのか考えを巡らす。
</figcaption></figure></p>

<p><strong>──具体的に取り組んでいることはあるのでしょうか。</strong></p>

<p>H&amp;Mファンデーション主催のグローバル・チェンジ・アワードでアーリーバード特別賞を受賞した、デザインで排出される布の廃棄を最小化するAIシステム「アルゴリズミック・クチュール」を応用して、展覧会での作品発表や、製品化に取り組んでいます。</p>

<p>最近では、伝統的な「織り」の技術とAIを組み合わせて、新しくテキスタイルをつくるプロジェクトに挑戦しました。表参道のGYRE GALLERYで、4月10日から開催される予定だった「<a href="https://gyre-omotesando.com/artandgallery/histopolis/" target="_blank">ヒストポリス - 絶滅と再生 - 展</a>」（新型コロナウィルス感染拡大防止のため延期 ※6月8日から再開）で、新作「XENON」として発表予定です。設営が完了したまま、パンデミック下で作品が冷凍保存されてしまいました（笑）。</p>

<p>インターネットを漂っている動物の画像2000万枚をAIが学習し、架空の動物柄を生成しました。そういう人智を超えた巨大な数字を人間がどうやって表現に落とし込むのかについて試行する中で、デジタルの原理に回帰する意味も込めて「ジャガード」に着目したんです。</p>

<p>デザインの過程で興味深かったのが、職人の手作業からAIの出力データまで、多次元の情報を扱うことです。その中で、機械学習の振る舞いと熟練の職人の解像度の違いを活かすかたちで、より良い協働を促進する方向性や世界観をデザインすることが必要になります。深い歴史がある伝統的な技術から、最先端の機械学習まで、アトムとビット、二次元から三次元、過去、現在、未来を反復横跳びしながらデザインすることになります。ぼくはこれを「多次元のデザイン（マルチバーサルデザイン）」と呼んでいます。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/kws0127s.jpg">
<figcaption>2000万枚もの動物の画像を学習し、AIが架空の動物柄を生成。虫や植物の要素も感じさせる、異形の生物といった趣だ。
</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<figcaption>https://www.youtube.com/watch?v=uTihzOp7fLc
</figcaption></figure></p>

<p><strong>──AIが架空の動物を生成するということですが、最終的なアウトプットのジャッジは、人間が判断するのでしょうか。</strong></p>

<p>まさにそこが論点になっているところです。AI領域の諸研究を概観してみると、人間の美的判断に関わる変数をも定量化し、工学的に計算可能とする事例もあります。ただ、文化的な観点から、人間による審美眼はこれからも重要なものとして残ると考えています。2000万枚の画像を全て見返すことはできないけれど、「この柄が美しい」という美的判断はできるので、デジタルテクノロジーと共進化しながら、デザイナーやアーティストとの重要な役割として維持されると思います。</p>

<p>「ヒストポリス - 絶滅と再生 - 展」では、先ほどの「ジャガード」の一つである「多色ジャガード織り」というテクニックでタペストリーを制作しました。細かいディテールや色彩など、けっこうな無茶振りを職人さんにしてしまったのですが、職人さんもデータを独自に解釈して想定外のデザインを提案してくれる瞬間があったんです。工芸と先端技術の「衝突」と同時に、ギリギリの境界線で「融合」が起きた機会に出会えてとてもワクワクしました。そうした衝突と融合からファッションの未来を生み出すのが、スペキュラティヴ・ファッションデザイナーの役割なのかなと少しずつ確信し始めています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/kws0167s.jpg">
<figcaption>工芸と先端技術の「衝突」と評する、「多色ジャガード織り」というテクニックで織られたタペストリーの前で。
</figcaption></figure></p>

<h2>つくる側だけでなく、着る側の意識も変えていきたい</h2>

<p><strong>──最後に、川崎さんが思い描く未来のようなものがあれば聞かせてください。</strong></p>

<p>ファッションデザイナーのみならず、ファッション産業に関わる多様な利害関係者はいま大きな転換期を迎えていると思います。パンデミック下でソーシャルディスタンス前提のファッションについて考える動向もあり、VRやARの技術を駆使して洋服を発表するブランドも出てきて、個人的にとても注目しています。 </p>

<p>ただ一方で、パンデミックはファッションが前提とする「集会の自由」や「移動の自由」などを制限することも事実で、「ソーシャルディスタンスのままでいい」という考えは楽観的すぎるなと。スペキュラティヴ・ファッションデザイナーとしては、ポスト・パンデミックのビジョンについても検討する必要があると思っているんです。</p>

<p>そもそもパンデミック以前にも、ファッション産業はいくつもの問題を抱えていました。これから、より自律的で多元的な仕組みを再設計していく必要に迫られると考えています。その中で、作り手と使い手の両者に、創造的な価値を提供するためのプラットフォームがいま要請されていると考えています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/kws0151s.jpg">
<figcaption>服を着る、以外のファッションとの関わり方を川崎は模索している。それは過剰な消費構造から自律する道を見つけることに他ならない。
</figcaption></figure></p>

<p>かつて日本の洋裁文化が戦後に花開いたことからもわかるように、いまでは当たり前になっている「着ること＝買うこと」は、1970年代以降に高度消費社会に移行する中で一般化した、比較的最近の観念です。いま現在、服を着る人がファッションに関わる方法としては、「買って、着て、捨てる」ということ以外にはほとんどありえないわけですが、そのオルタナティブを作りたいんです。</p>

<p>ただ、「つくることを取り戻す」ということが、いまではとてもハードルが高くなっているのも事実です。正直3Dプリンタを毎日使う人は多くはないですよね。パーソナルファブリケーションを制度やビジネスとして発展させるべきだという意見も多いけど、そればかりでは文化は豊かにならないのでとても難しい問題です。</p>

<p>ストリートカルチャーやDIY文化、インターネット文化を参照しながら、次代のファッション・カルチャーを提案することが次の10年の最大のミッションです。いまのところ、デジタルカスタマイゼーションの潮流が、大量生産・大量廃棄を乗り越えるファッション文化の苗床になることに期待しています。人々が、過剰な消費構造から自律する道を見つけることができれば、きっと未来は大きく変わるはず。そのためのファッションを思索し、実装していきたいです。</p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>編集とは異なる価値観をつなぐもの。影山裕樹が模索し続けるローカルの可能性 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/06/amu-kageyama.html" />
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    <published>2020-06-09T04:20:00Z</published>
    <updated>2020-11-09T00:37:25Z</updated>

    <summary>編集者・影山裕樹は、ローカルを軸にさまざまなプロジェクトに取り組んでいる。その活動の根底には、東京を中心に動くマスメディアへの失望と、小さなコミュニティを活性化させるローカルメディアへの期待があった。彼の言葉を足掛かりに、これからの編集者に必要とされる能力や役割について考える。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="編む" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>影山裕樹</strong>
<p>編集者、合同会社千十一編集室代表。1982年東京都生まれ。アート・カルチャー書の出版プロデュース・編集を行うほか、「十和田奥入瀬芸術祭」（2013）、「CIRCULATION KYOTO」（2017）など各地で様々な地域プロジェクトに編集者やディレクターとして関わっている。著書に『大人が作る秘密基地』、『ローカルメディアのつくりかた』、編著に『ローカルメディアの仕事術』、『あたらしい「路上」のつくり方』など。2017年にウェブマガジン「EDIT LOCAL」を立ち上げ、ディレクターを務める。
</p></aside></p>

<h2>マスメディアの射程圏外に、ローカルのおもしろさが潜んでいる</h2>

<p><strong>──影山さんがローカルを軸に"編む"という行為をするようになったのは、いつ頃からなんですか？</strong></p>

<p>ターニングポイントになったのは、2013年の秋に開催された「<a href="http://artstowadaoirase.jp/" 
target="_blank">十和田奥入瀬芸術祭</a>」ですね。もともとアート系の出版社に勤務していたので、独立してからも美術館や芸術祭の図録を編集する機会が多かったのですが、会社員ではなくなったことで、ひとつの地域に長く滞在して仕事する機会が増えました。いわゆる芸術祭やアートプロジェクトに編集者が関わる場合、"業者としての編集者"という役割になることが多いのですが、十和田奥入瀬芸術祭ではキュレーターやディレクターと同じディレクションチームにジョインさせてもらったんです。それで、単に編集者として図録や広報ツールを作るだけでなく、芸術祭のコンセプトやストーリーを考えたり、『十和田、奥入瀬　水と土地をめぐる旅』（青幻舎、2013年）というものがたり集を制作したりと、言葉にまつわる業務全般に携わらせてもらいました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/kageyama-1.png">
<figcaption>影山がエディトリアル・ディレクションを務めた、十和田奥入瀬芸術祭（2013年9月21日〜11月24日）ではプログラムの一つ「ものがたり集」編集・制作。複数の時が重なる青森の土地を、気鋭の作家たちがめぐり物語をつむいだ、地誌とフィクションが融合する新たな試み。
</figcaption></figure>  </p>

<p>半年〜1年くらいの時間をかけて、一つの地域とじっくり関わっていくと、東京のメディアが取り上げないローカルのおもしろさがあることに気づき始めたんです。観光客や取材者の目線でしか捉えることができないうちは、ローカルのおもしろさってなかなかわからないんですよ。そうした経験を元につくったのが『大人が作る秘密基地』（DU BOOKS、2014年）です。地元ではちょっと変わった人、言葉を選ばずに言うとあまり関わりたくないタイプの人っていますよね。そこが実はおもしろいんです。そういうはみ出し者って、東京のメディアに取り上げられることはもちろんない。完全にマスメディアの射程圏外に、おもしろい人たちが地方にはわんさかいることに気づいた。</p>

<p>実はこの本を書くまでは、東京のメディア業界で仕事していることに対するプライドが少なからずあったんです。でも、都心の居酒屋で業界人たちが繰り広げるネタ合戦に、疑問を感じるようになっていました。</p>

<p><strong>──その疑問というのはたとえば？</strong></p>

<p>本当におもしろいものを掬いきれてないんじゃないかと思うんです。雑誌では毎年のように京都特集が組まれますが、京都の中心部のお店紹介ばかりなんですよ。その方が売れるのかもしれないですが、その外側のエリアが見えてこないし、メディアが繰り返し京都の中心部を取り上げることで、結果としてオーバーツーリズムの問題が生まれてしまった。また、東京に集積するマスメディアでは、地域の人にとって本当に必要な情報が取り上げられない。だからこそ、地元の人が自分たちの手で必要な情報を発信するメディアを紹介したいと思って、『ローカルメディアのつくりかた』（学芸出版社、2016年）をつくりました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/kageyama-2.png">
<figcaption>全国各地で発行される雑誌、フリーペーパー、書籍などの紙媒体を中心とした「ローカルメディア」の作り手たちを取材し、一冊にまとめた『ローカルメディアのつくりかた』。内容面だけではなく、デザイン、流通、読者とのコミュニケーションの仕方など、様々な工夫により地域と人をつなげているメディアの可能性を三章に分けて紹介。
</figcaption></figure> </p>

<p>ローカルでは東京的なメディアのルールが通用しません。編集者は編集だけしていればいいわけじゃない。地元の企業に挨拶して協賛を募るところから始めないといけない。編集者はコンテンツをつくるプロフェッショナルですが、クリエイティブ産業が集積しづらいローカルでは、コンテンツが生まれる土台、編集者やライター、デザイナーなどのクリエイターが自らお金の稼ぎどころを生み出すところから始めないといけない。これって大変な一方、すごく魅力的な仕事じゃないですか。</p>

<p>『ローカルメディアのつくりかた』がきっかけとなって、「<a href="https://circulation-kyoto.com/2017/" 
target="_blank">CIRCULATION KYOTO（サーキュレーション キョウト）</a>」というワークショップを2017年に京都で開催しました。地元の視点で、京都の魅力を掘り下げていくローカルメディアを作ろうというワークショップです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/kageyama-5.jpg">
<figcaption>京都市左京区にある劇場「ロームシアター京都」がプロデュースした、一般参加型のメディア制作ワークショップ「CIRCULATION KYOTO」。1年かけて市民とともに京都のローカルメディアを構想・発表した。
</figcaption></figure> </p>

<p>このシリーズは全国に巡回していて、現在は「<a href="https://circulation-saitama.com/" 
target="_blank">CIRCULATION SAITAMA（サーキュレーションさいたま）</a>」というワークショップに取り組んでいます。埼玉が抱えている問題って、実は京都と同じだったりするんですよ。結局、中心と周縁の構図なんです。東京とのアクセスが良いために、地元を省みなくなっている埼玉市民が、埼玉の中で仕事もプライベートも完結するような、人の循環を生み出したい。それがCIRCULATION SAITAMAの目標です。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/kageyama-4.jpg">
<figcaption>CIRCULATION SAITAMAの参加者が、半年間のワークショップの成果を発表した公開プレゼンテーションの様子（Photo by Mika Kitamura）
</figcaption></figure></p>

<p><strong>──ちなみに、影山さんは"ローカル"という言葉をどのように捉えているのでしょうか？</strong></p>

<p>ローカルって、そこで暮らしている人たちの小さなコミュニティのことなんですね。なかには特有のしがらみが嫌で離れる人もいますが（苦笑）。でも、今回の新型コロナみたいな災害やトラブルが起きた時に重要になってくるのは、距離的に近くにいる、相談できる小さなコミュニティの存在だったりする。</p>

<p>かつて一億総中流階級幻想が成立していた時代は、国民国家という大きなコミュニティを支える新聞とかテレビのようなマスメディアが力を持っていたと思うんです。でも、社会の成熟とともに格差が広がり、外国人も増えて、今の日本社会は、大衆というひとつの大きなコミュニティで括ることができません。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/kgy0106s.jpg">
<figcaption>「そもそもメディアはコミュニティに奉仕するもの」。お互いが認め合う機会をつくることこそ、オーソドックスな編集者の仕事だと影山は考える。
</figcaption></figure></p>

<p>だからこそ、小さなコミュニティに複数所属して、そこに属する人たちが互いに支え合って自発的な活動を生み出していくことが価値になる時代が来る。その時に大きな役割を果たすのが、これまでのように、情報を均一に、一方通行に発信するメディアではなく、相互に情報を交換しあうためのツール＝メディアなのです。</p>

<p>僕はこれを「コミュニティメディア」と呼んでいるんですけれど、そもそもメディアって、特定の価値観を持つ人たちがお互いに承認し合うための媒体だったと思うんですね。商業誌だって、もとを辿れば同人誌なわけじゃないですか。それと同じで、誰かががんばっているとか、何かに取り組んでいるとか、そういう小さな活動を支えたい人たちが、自然とコミュニティを形成していた。そのコミュニティをドライブさせるために、メディアが必要だったにすぎないわけです。</p>

<h2>編集者の顧客提供価値は「異なる価値」をつなぐこと</h2>

<p><strong>──では、コミュニティメディアの時代において、編集者はどういう役割を担っていくことになるのでしょうか？　</strong></p>

<p>逆のことを言っているように聞こえるかもしれませんが、僕は「異なるコミュニティをつなぐ」というミッションを大事にしています。たとえば、雑誌の座談会記事で原発反対派同士をセッティングしたら、目次を見ただけで結論がわかるじゃないですか。そんな雑誌、わざわざ買わなくてもいい。賛成派と反対派を呼んで、議論に着地が見えなそうなところに初めて人はお金をベットする。編集者の顧客提供価値って、単に情報を届けることではなく、普通に生活していたら巡り合わないような人と人、価値観と価値観のぶつかり合いを見せてくれるところにあるのだと思うんです。</p>

<p>これまでのマスメディアの世界では、視聴率やPVなどの目に見えない量的価値にばかり関心が集まっていた。より多くの人に見てもらっているということに、価値があった時代です。でも、果たしてその数字一つひとつにどれほどの価値があるのか。本当は、1万人が見たということより、一人の人の人生が変わったとか、失われていたお祭りが復活したとか、質的価値のほうが重要な時代だと思うんですよね。</p>

<p>ローカルメディアの話でいうと、幅允孝さんが率いるBACH（バッハ）が兵庫県の城崎温泉だけで流通する本を作る出版レーベル「本と温泉」の企画・編集に携わっていますが、これは本自体に城崎温泉の魅力が詰まっているだけでなく、城崎温泉にわざわざ行く導線をつくる役割も果たしています。なぜなら、ネットでも書店でも買うことができず、城崎温泉街の店舗でしか買うことができないからです。本を"読む"体験だけでなくて、買いに行くまでの体験をプロデュースしている。</p>

<p>マーシャル・マクルーハンは「メディアはメッセージである」と言いましたが、「好き」というメッセージを伝えるにしても、手紙なのか、LINEなのか、電話なのかで相手への伝わり方は変わりますよね。メッセージ（コンテンツ）そのものではなく、どんなメディアを選ぶか、どのようにコンテンツ体験を提供するかという、コンテンツの外側を考えるのも編集者の役割になってきた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/kgy0077s.jpg">
<figcaption>「あまり人付き合いはいいほうではないんだけど...」と語りつつも、よそ者としてローカルに赴き、「コミュニティ」の価値を模索していくのが影山の姿勢だ。
</figcaption></figure></p>

<p><strong>──ただ、東京を拠点にしている人が地方で仕事を得るためには、一定のハードルを越える必要があるように感じます。</strong></p>

<p>地方は「金より信頼が流通している」なんて言われるくらいですからね。「一升瓶を持ってこい」っていう世界なんです（笑）。信頼されればいくらでも仕事はあるし、逆を言えば信頼されないと生きていけない。ある意味で息苦しいんですけど、実はインターネットが持つ軽やかさと上手く組み合わせることで、適度な距離感を保ちながら地域コミュニティとうまく渡り合う方法もある。「媒介物」としての「メディア」はまさに、よそ者と地元の人をつなぐうってつけのツールになります。だから、そういう「異なる立場にいる人」をつなぐためのメディアづくりやコミュニティづくりワークショップを全国で開催しているんです。</p>

<p><strong>──とはいえ、言葉で言うよりも信頼を勝ち取るのって難しいですよね。</strong></p>

<p>今、コロナ禍の影響で直接会えないことに悩んでいる人は多いと思うんですけれど、そもそも都市に住んでいる人って、地域コミュニティと関わることってほとんどなかったんですよ。仕事場とコンビニと家の往復だけで、ローカルと関わってこなかった。そのことに改めてみんな気づき始めている。コロナ前から、都市に暮らす人々は、マスメディアやSNSが発信する情報ばかりを追っていて、足下のリアルな人とのコミュニケーションを存在しないものとして避けてきた。</p>

<p>家族や親戚以外との、面倒なコミュニケーションを怠ってきた都市の住人が、コミュニティの価値に気づいていくべき時代なのだと思います。弊社で企画運営している「<a href="http://edit-local.jp/" 
target="_blank">EDIT LOCAL</a>」でもオンラインコミュニティ事業を昨年からスタートしています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/kageyama-3.png">
<figcaption>風土や条件がまったくことなる各地で、まちを"編集"するために必要なスキル、人材、メディアを立ち上げるために必要なメソッドを、実践者の言葉を通して紹介するウェブマガジン「EDIT LOCAL」。千十一編集室で企画制作を行なっている。
http://edit-local.jp/
</figcaption></figure></p>

<p>オンラインサロンって虚業みたいなところもあるし、基本的には受け身で参加する人のほうが多いと思うんですけど、家族や職場、親戚、同級生などとは違った、別のコミュニティに所属する訓練を僕も含めて多くの人がやらないといけないと思う。コミュニティは災害の際にセーフティネットとして機能します。悩んでいる時に相談に乗ってくれます。僕らがこれまで避けてきた「コミュニティ」の価値を模索していきたい。最近は「サードコミュニティ」というキーワードを提唱しています。</p>

<h2>「作り手」と「ファン」という非対称な関係から「共創者」へ</h2>

<p><strong>──影山さんはウェブメディアの運営に携わることもありますよね。ここ数年は閉鎖するウェブメディアも少なくないですが、この状況について考えていることはありますか？</strong></p>

<p>僕は「マスメディア病」と呼んでいるんですけど、要は長いものに巻かれる心性。マスメディアからSNSの時代に変わっても、いまだにメンタリティが変わってない。芸能人がインフルエンサーに置き換えられただけで、結局みんな、声の大きい人に集まっていく。オウンドメディアが流行っているからといって、みんな安易に飛びついて失敗していますが、オウンドメディアって広報予算で運営している企業が多いと思うんですね。ただ、企業のブランディングって、1年で結果が出るわけがないんですよ。CMを出したら売り上げが何%上がったなんていう話は、刹那的なものでしかなく、10年くらいかけてブランド価値を育てていかないと、本質的には企業の利益に結びつかないと思うんです。</p>

<p>『ローカルメディアのつくりかた』でも紹介したのですが、滋賀県近江八幡市で老舗菓子舗を営む「たねや」では、『La Collina（ラ コリーナ）』という広報誌の発行を7年以上続けています。しかも、10年は続けていくようです。自社のPR媒体ではなく、たねやさんが根ざす近江八幡の魅力を地道に発信していくことで、結果として「たねや」のブランド価値が高まっている。メディアを広告の重力から引き剥がしていくことがオウンドメディア運営に大事なポイントだと思います。</p>

<p><strong>──広告の収益がなければ成り立たないメディアもたくさんありますよね。そういう意味では、これまでのメディアと広告の関係は表裏一体だったと思います。だからこそ、メディアと広告を分けて考えるのは難しいのでは？</strong></p>

<p>わかります。でも最近のローカルで発行されるメディアの多くは東京の広告代理店が絡んでいて、地方自治体や地元企業の予算が東京の企業に還流する悪しき流れを作ってしまっています。メディアと広告業界の関係を引き剥がしていくには、メディア自体の本来の役割、つまり、「コミュニティを育てる」ということに常に立ち返ることが大切だと思っています。</p>

<p>広告収入って、PVや視聴率など、エンゲージメントの少ないユーザーの数字に広告主が払っているお金のこと。そうではなく、企業や人、自治体のがんばっている取り組みを「応援したいから」とか、「自分も手伝いたい」というコミットメントの欲望をもって、お金をベットしてくれる人をどうやって増やすかを第一に考えるべきです。</p>

<p>『現代農業』という月刊誌があるんですが、農家一軒一軒に定期購読をお願いしに行く際に、ちょっとした世間話をするんです。その世間話で出てきたネタが東京の編集部にデータとして集まり、それを元に編集部が特集を考える。そうすると、農家さんは自分が話したネタが記事になるわけだから、「自分が作っている雑誌」という意識を持てるわけですよね。「作り手」と「読者」という非対称な関係ではなく、「共創者」を仕立て上げるのが、これからのメディアのキーワードだと思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/kgy0124s.jpg">
<figcaption>コンテンツのことだけを考えていればいい時代は終わった、コンテンツの外側からメディアそのものを考えていく必要がある。作り手と読者が共創する関係性にあるローカルメディアはそれを実践している。
</figcaption></figure></p>

<p><strong>──最後の質問です。影山さんが関わった企画や書籍を拝見すると、『秘密基地の作り方』だとか『野外フェスのつくり方』だとか、『ローカルメディアのつくりかた』もそうですけれど「つくり方」というキーワードを目にすることが多いと感じています。これが意味することは何なのでしょうか？</strong></p>

<p>既存のエンタメ業界って、日本人が横並びに成長していた大量生産・大量消費の時代に右肩上がりに肥大化し、そのなかでプロフェッショナルのディシプリンが継承されてきた。職人的なクリエイターを社員として雇用することができていた。映画会社なんて監督から俳優まで雇用されていた時代がありましたから。これからの時代は既存のジャンルがどんどん崩壊していくだろうし、フリーランスも増えていくはず。まさに出版業界もそうです。かつてのような、優れたコンテンツをつくる職人としての編集者も、継続的に雇用するのが難しくなってきている。</p>

<p>そうなると、これまでの職業にはなかった、新しいディシプリンを作っていかなといけないんじゃないかなという気がしていて。建築家ではないのに、なんか面白い秘密基地つくっちゃう人だとか。ミュージシャンなのにフェスをやって地元コミュニティを巻き込んでいる人だとか。日本社会が、特に大衆文化を支えていたエンタメ業界がものすごい勢いで衰退している時代に、新しいクリエイターを見出し育てていく文脈をつくっていきたいですね。</p>
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    <title>「すべきと考えることは一つだけ、それは希望をつくること」脇田玲──特集：不確実な未来を生きる言葉 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-06-05T00:20:00Z</published>
    <updated>2020-06-08T07:39:44Z</updated>

    <summary>新型コロナウイルス感染症の影響によって、社会にどのような変化が起きるのか、この先の未来をどう捉え直していくのか。本特集「不確実な未来を生きる言葉」では、さまざまな分野の識者の思考を通して、「不確実な未来」について問う小さなきっかけをつくりたいと考えている。私たちは考え続けることでしか前に進めない、考え続けることが人間の根源的な力だと信じて。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="不確実な未来を生きる言葉" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>新型コロナウイルスが猛威をふるい、世界に大きな影を落とした。日々状況が変化するなかで、さまざまな分野の識者がどのようなことを思考しているのか。本特集では、さまざまな意見を集積していくことで、なにかヒントとなるような小さなきっかけをつくっていきたい。</p>

<p>科学と現代美術を横断するアーティストであり、慶應義塾大学 SFC 環境情報学部 学部長でもある脇田玲に4つの質問を投げかけた。</p>

<p><figure>
<figcaption>※本記事は2020年５月7日にオンラインで取材を行いました</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Any Project-0792.jpg">
<figcaption>脇田玲<br>
科学と現代美術を横断するアーティストとして、高度な数値計算に基づくシミュレーションを駆使し、映像、インスタレーション、ライブ活動を展開している。これまでに Ars Electronica Center, Mutek, WRO Art Center, 清春芸術村, 日本科学未来館などで作品を展示。2016年からは小室哲哉とのコラボレーションを開始し Ars Electronica Festival や RedBull Music Festival で作品を発表。慶應義塾大学 SFC 環境情報学部 学部長 教授。（撮影：小田駿一）
</figcaption></figure></p>

<h2>Q.コロナ禍による影響で社会や生活のなにが変わったか、またその変化をどのように捉えているか。</h2>

<p>人々の心の変化が一番大きいのではないでしょうか。不寛容になり、対立と分断が進んでいるという印象があります。</p>

<p>ネットで我々が感じる距離は、物理的な距離とは異なる、離散空間における位相的な距離です。感覚的には、誰でもワンホップでつながってしまうので、近くなりすぎたが故の分断が進んでいるのかもしれません。マーシャル・マクルーハンが60年代に「グローバル・ヴィレッジ」という言葉で表していた世界が実際に訪れていて、部族を基盤とした分断、もしくは思想を基盤とした分断が顕在化しているように感じます。ネットのコミュニケーションは隣人が増えやすいし、隣人同士は喧嘩をしやすい。距離が近すぎると争いが生じ、殺し合いに至ることもあります。</p>

<p>一方で、人間の想像力を遥かに超えるスピードで世の中が進んでいて、時代の変化の激しさを実感しています。たった数ヶ月でこれだけ世の中が変わる、それに人間の想像力が全くついていっていない。</p>

<p>とは言え、個人的にはいまの生活にも慣れてきたところもあります。例えば、「Zoom飲み」に違和感を感じなくなりました。こんな部屋で生活しているのかといった相手の見たことのない一面を知る機会がありますよね。最初はおもしろく感じたけれど、これにもまた慣れてきて日常化しつつある。</p>

<p>Zoom飲みは一例に過ぎませんが、オンライン生活に慣れていく自分に正直驚いています。ストレスよりも、新しくできることが増えていく喜びを感じるほうが多い。先日、初めて職場のデザイン系教員とオンラインで定例会議を行いましたが、ZoomとSlackで高度に連携して、普段の会議よりよっぽどスピーディかつクリエイティブで生産的でした。スチュアート・ブランドは「全地球カタログ（Whole Earth Catalog）」をつくるときに「Access to Tools」というコンセプトを掲げました。世の中には驚くような様々なツールがあり、それにアクセスする手段を提供することで、個人がかつてないほどにエンパワメントされるという思想ですね。その時代から比べると、格段にツールは強力になり、個人ができることの幅と深さが広がっていてすごいな......と。子供みたいですけど、そんなことを思っています（笑）。</p>

<h2>Q.いま自身の置かれている状況でやれることやすべきことはなにか。また、「すべき」という言葉が持っている重さをどのように考えるか。</h2>

<p>乗り越える、生き残る、といった言葉はとても強い。自分でも違和感を覚えながら使うことがあります。学部長という社会的立場と、アーティストとして好き勝手に生きている立場と、矛盾した二人の私がいるからだと思うのですが。</p>

<p>最近、衝撃を受けたのは、環境哲学を提唱しているティモシー・モートンの論考。そのなかで語られていたのは、生き残るという意味の「サバイブ（survive）」と、いまを生きる「アライブ（alive）」の違い。世の中でよく聞くのは「サバイブ」のほうで、この状況をいかに生き残るかということが盛んに語られます。首相や知事など組織を統率する人はサバイブを使いたいですよね、国家の究極の目標は生き残ることなので、国家にとって個人の幸福は実は二の次なのです。しかし、個人がいかに幸福に暮らすかということを考えると、「アライブ」が先にくると思うんですね。</p>

<p>「アライブ」の上に「サバイブ」が上書きされてしまう社会は怖いなと思っています。自粛警察なんて言葉があるようですが、お互いが監視しあうような状況がまさにそうで、政府とマスメディアが作り出した圧力というのか空気というのか、みんながサバイブのほうばかりを見てしまっている。</p>

<p>これはアーティストの立場として、個人として思うことですが、いかに生き残るかも大事だけれど、それ以上に、いかに納得して死ぬかが大事なのです。私が5年間病気と向き合って作品を作ってきた理由もそこにあります。死を理不尽なものとして避けるのではなく、いかに納得してその状況を迎えるかというマインドが生まれると見方が違ってくる。</p>

<p>国の政策は死生観に深く関係していると思います。かつての日本は森と神社が遍在しており、生態系のあり方に影響を受けた死生観を持っていたはずです。森が日常にあれば、個体が死して朽ちても、すぐに分解され、新たな生命の一部になる、死は終わりじゃなくて、大きな流れの中に自分が入っていく循環であるという考え、そのような死生観が根底に根付きます</p>

<p>しかし、近代化の中で森や神社は取り壊され、日本人の死生観はゆらぎ、その後のアメリカ化で快適で安楽な生に固執するようになった。そうなると死は理不尽でしかなく、人体にたくさんの管を繋いで延命を図る。政策としてもサバイブが全面にでてきて、外出自粛、ロックダウンという政策を打つことになる。</p>

<p>あと、「すべき」という言葉は軍隊的に感じてしまうんですよね。その言葉を使うことがあるとすれば、私が「すべき」と考えることは一つだけで、「希望をつくる」ことだと思っています。それ以外は「すべき」とは思えなくて。すべきという言葉を乱用するのは思考停止に繋がる危険性がありますし、結果としてその組織の魅力を弱めると思います。</p>

<p>そもそも、ウイルスってよくわからないものじゃないですか（笑）。なぜ、人に入り込んできて、宿主が死ぬまで増え続けるのか、到底理解できない。それが生命なのか非生命なのかも曖昧です。無限の自己増殖を夢見る謎だらけのミクロな対象。身体が違えば、意味世界も違うわけで、人間が理詰めで考えたところで到底乗り越えられない気がするんですよね。</p>

<h2>Q.社会的な分断が起きているいま、つながりをどのようにつくるのか。</h2>

<p>いま世の中は政治主導で動いているのだけれど、分断を語るときに「政治」と「アート」という2つの視点が欠かせないと思います。それは本当に広い意味での「政治」と「アート」についてです。</p>

<p>「政治」はある種の敵と味方をつくるもの。その区別に基づいて戦略的に、時に感情的に行動していくのが広義の政治だと思います。それは職場にも家庭にも趣味の世界にも存在していて、必然的に分断を生み出します。一方、「アート」は個人の特異性に着目することですから、そもそも他者を理解することは難しくて、それをどうやって乗り越えていくかが興味の中心になります。言い換えれば、敵との間にさえ新しいコミュニケーションを模索し、可能であれば友人になろうとすること。それがアートの一側面ではないでしょうか。</p>

<p>政治的なつながりの限界をいまほど感じている時期はないでしょう。そして、これほどリアリティを持ってアートを基盤としたつながりの重要性を意識する時もないと思います。</p>

<h2>Q.いま、読み返したり見返したいと思っている本や映画などがあれば教えてください。</h2>

<p>スタニスワフ・レムの小説『ソラリスの陽のもとに』（ハヤカワ文庫、1977年）は、5年前に病室で読んだのですが、人類とは全く異なる価値や意味をもった生命体とのコンタクトをテーマにしていて、死と向き合う日々の中で随分と救われました。アンドレイ・タルコフスキーが映画化しましたが、そちらも大好きです。新型コロナという理解しがたい対象と対峙するいまの状況に少し似ていると思います。</p>

<p>あと、大学の新入生向けの授業で参考文献としてあげているのは、漫画の『風の谷のナウシカ』（徳間書店、1982年-1994年）。これはいまの状況で読むと味わいが違う。腐海のほとりで瘴気を避けるためにマスクをして慎ましく暮らす人。そんな状況でも戦争や政治に明け暮れる人。対人の世界に固執せず、自然との繋がりに喜びを見出す主人公。本質を描こうとしたからこそ、未来をも描くことができたのだと思います。その意味では漫画の『AKIRA』（講談社、1982年 - 1990年）も必読ですね。ナウシカやAKIRAを読み返すと、聖書や経典とは最初はこうしたSFのようなものだったんじゃないかとさえ思うことがあります。2000年後にはナウシカは聖典になっているかもしれません。</p>

<p>漫画を単なる娯楽として消費するのもよいですが、数百年に一度のインシデントの中で向き合うとちょっと違って見えてきますよね。例えば、巨大隕石が落ちるとか、火山が噴火するとか、地球規模のインパクトがもたらされ、人類の生存が危ぶまれるような状況では何が起きるのか、そういうテーマを描いた漫画は多くあります。そのなかで描かれている生き方、溢れ出す人間性があるわけですよね。それこそが、先ほど言った「すべき」こと、希望をつくることなんだと思います。</p>
]]>
        
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    <title>既知のものを未知化して見えるもの。Takram渡邉康太郎が提唱する「コンテクストデザイン」の真髄 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-06-03T04:38:00Z</published>
    <updated>2020-08-06T13:36:27Z</updated>

    <summary>デザイン・イノベーション・ファーム Takramの渡邉康太郎は「コンテクストデザイン」を提唱している。それは、作り手と使い手の立場の区別が曖昧になることであり、いつのまにか消費者が表現者になること。これからの世の中に求められているクリエイティビティとは？</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <![CDATA[<p><aside><strong>渡邉康太郎</strong>
<p>コンテクストデザイナー/Takramマネージングパートナー。慶應義塾大学大学SFC特別招聘教授。個人の小さな「ものがたり」が生まれる「ものづくり」＝コンテクストデザインの活動。趣味は茶道、お酒、香水。J-WAVE TAKRAM RADIOナビゲーター。
</p></aside></p>

<p>渡邉康太郎が提唱する「コンテクストデザイン」という考え方。同名の著作によると、それは次のような意味合いをもつという。</p>

<p>"──コンテクストデザインとは、それに触れた一人ひとりからそれぞれの「ものがたり」が生まれるような「ものづくり」の取り組みや現象を指す。換言するならば、読み手の主体的な関わりと多義的な解釈が表出することを、書き手が意図した創作活動だ。"</p>

<p>コンテクストという言葉は、ラテン語の「コン＝共に」「テクセーレ＝編み上げる」を語源とする。「作り手と使い手、書き手と読み手、社会と個人が一緒に、ひとつの創作を編み上げられているといい」と語る渡邉に、その意味を問うた。</p>

<p><figure>
<figcaption>※本記事は2019年12月に取材を行いました</figcaption></figure>  </p>

<p><figure>
<img src="/uploads/photo_088.jpg">
<figcaption>渡邉康太郎著『コンテクストデザイン』</figcaption></figure>  </p>

<h2>誤読して、主語を自分にする</h2>

<p><strong>──「コンテクストデザイン」は、どのような意味を持つのでしょうか？</strong></p>

<p>きっと多くの人は「コンテクストデザイン」と聞いたとき、企業の文脈を使い手に伝えるとか、ブランドの文脈を正しく顧客に伝える、ということを想像すると思うんですが、実はまったく逆なんです。</p>

<p>大きな組織では数字の裏付けが重んじられるので、意思決定のときに量的な指標が重視されます。例えば、マスマーケティングであれば、基本的にはサンプル数が大きいほどいい。"n=1000"だからある程度信頼できる、とか。でも、本来あらゆるスタートアップや作品制作、思想の発端となるのは、一人、つまり"n=1"の動機だったはずです。1という小さい数字は不確かで、裏付けが得にくいものです。すぐに数字に現れないし、まだ評価できない、類型にはまらない。でも、この"1"も、"1000"と同じように大事です。</p>

<p>この二つにはどんな違いがあるのか。生活の中で触れる"n=1000"の例には、ショッピングサイトのユーザレーティングなんかがあります。星の数が５に近いお店や商品ほどよい、というもの。これはあくまで「平均化された評価」なので、n数が大きいことが意味を持ちます。一つの価値軸として意味がありますが、1000人の意見が全て「星の数」という一律のものさしに当てはめられるのには、少し無理がある。同じ4.5点評価のお店があったときに、数字の上では同一に見えてしまいます。内容や意味、背景が蔑ろになってしまう。そして、数字はあくまで平均なので、歪んだ現実に過ぎません。</p>

<p>他方、"n=1"はたった一人の意見です。だから一見とても弱い、すぐには価値を生まない、不確かなものに見えます。でもここには、平均値に丸め込まれていない「個別・固有の物語」があります。「確かさ」はないかもしれないけど、それはある真実を映しています。</p>

<p>企業の論理では、前者のマスマーケティングが勝つことが多く、後者の一人の物語は蔑ろにされがちです。この、"n=1000"と"n=1"のバランスにすごく気をつけないといけない。数字の裏付けのあるものしか採用しないと、世の中は均質化してしまいます。もちろん"n=1"だけをやっていこうっていうわけでは全然なくて、よいタイミングでどちらも使いこなせるのが大切なんです。着想はあくまで"n=1"に立脚していて、それをどのように届けるかという方法論の部分で、マーケティングといった"n=1000"の力を借りる感じでしょうか。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/photo_067.jpg">
<figcaption>「コンテクストデザイン」は、企業やブランドの文脈を正しく顧客に伝えるということを想像しがちだが、「企業側の文脈と使い手側の文脈の両方が主語になっている状態をつくりたい」と渡邉は語る。</figcaption></figure>  </p>

<p>そう考えると、企業が人にメッセージを届けようとするとき、「ひとつの意味」を同じく万人に理解してもらおうとする行為に、そもそも無理がありそうです。大勢がブレずに理解できるよう努力するより、むしろ誤読してもらった方がいいんじゃないか。ここでいう「誤読」というのは、なにも「間違った」というだけの意味ではなくて、個々の解釈という意味です。</p>

<p>届けたものが一人ひとりのなかで独自に解釈されて、咀嚼されて腑に落ちている、自分の持ち物になっている状況です。大事なのは、主語がちゃんと自分になっているかどうか。提供する側の文脈と使い手側の文脈が両方存在している。両方が主語として成立する、バランスの取れた状態。「コンテクストデザイン」が目指すのはそういう状態です。</p>

<h2>全員がモチベーションを発揮できている組織は強い</h2>

<p><strong>──「コンテクストデザイン」という考え方が生まれた背景を教えてください。</strong></p>

<p>きっかけのひとつは、組織でのモチベーションについて考えたことでしょうか。組織で企画やものづくりをするときには、大抵一人の発案者がいて、複数人がそれに乗っかっていく構図になります。このときに問題になるのが、作品（企画）と作者（発案者）が過度に紐付いてしまうことです。発案者にとってその企画は「自分の作品」だから、他の人から指摘を受けると、「作品に対するコメント」も「作者に対する指摘」だと感じてしまう。そうなると、建設的な批判も受け入れづらくなります。これは作者と作品がアタッチ（結合）し過ぎているから起こる。そういう状況ではコミュニケーションにズレが生じて、他の人たちはどんどん離れていってしまう。他人事だと言って、作品からデタッチ（分離）してしまうんですね。でも本来、みんながしっかり自分ごとできなければうまくいきません。</p>

<p>ではどうしたらいいか。むしろ作者は作品からデタッチし、他の人たちはアタッチしていくという、関係性の逆転が求められる。そうして初めて、誰も作者じゃない、もしくは全員が作者である状況が生まれます。みんなが主語になったような主体性のある関わりができるはずなんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/photo_082.jpg">
<figcaption>"n=1"の個性やクリエイティビティを尊重している例として、いくつかの書籍を持参してくれた。どれも一般の生活者が語る物語が収録されている。「いままで表現活動をしてこなかった人でも、こういったアンソロジーに小さな物語を残すことで、大きな表現活動の一端を担います。このような小さな創作体験がきっかけになって、人もなんらんかの表現を世に投じていけるはずです」。（上から）『ナショナル・ストーリー・プロジェクト Ⅰ』ポール オースター、『捨てられないTシャツ』都築響一、 『本当の話』ソフィ・カル、『Worn Stories』エミリー・スピヴァック。
</figcaption></figure>  </p>

<p>いま、企業にとって最も重要な経営資源の一つはモチベーションだと言われています。企業に属する個々人は、単にお金を稼ぐだけじゃなくて、仕事に意味を見いだせなければいけない。自分の人生の大事な時間を投資するだけの意義があるかどうか。企業側から自社のミッション・ビジョンやパーパスを発信して、個人に伝えていくことは、もちろん大事です。でも個人の側にも、自らの働く意味を積極的に仕事に投影する姿勢が求められます。企業と個人、両方がバランスよく働き掛け合っている組織は強い。</p>

<h2>文明がやるべきは「余地」を作っていくこと</h2>

<p><strong>──「コンテクストデザイン」という考え方を実践するときに、先ほど話のあった「主体性のある関わり」が重要かと思うのですが、様々な物事が便利になっている状況において、どういう姿勢でいることが求められるのでしょうか。</strong></p>

<p>道具によって「便利」を追求するときって、大抵、人間の関わりをなくすことになりますよね。でも必要なのは本当にそれだけなのかな？という疑問があります。</p>

<p>例え話ですが、トーガという古代ローマの一枚布の服は、着る人によって着方を変えられたり、場面によって袖の部分を日除けにしたり砂よけにしたりできる。布と人間の関係性のなかにクリエイティビティが潜んでいるし、人間に知が溜まっていく構造なんですよね。</p>

<p>一方で、サイズさえ合えばピシッと着られる普通の「便利な」洋服は、もののほうに知が溜まっていく。後者は既にいろいろあるので、今後は前者のようなものや取り組みがもっと求められていくのではないでしょうか。または再発見されていく。ベーシックインカムの整備やAI・ビッグデータの興隆、限界費用ゼロ社会の到来で、人は働くより遊ぶ時間が長くなる。Useだけでなく、Playする余地を作っていくことが、今後文明がやらなきゃいけないことだと思います。</p>

<p><strong>──「余地」は気になるキーワードですね。余地を作っていかないと、均質化している世の中で変化は生まれないと思います。</strong></p>

<p>「余地」に関することだと、日本特有の文化である「見立て」も今後さらに大事になるなと思っていて。例えば、枯山水は、砂が水に見立てられているし、岩が島に見立てられています。しかもそれが説明されているのではなくて、あくまで見る側が自発的に水を想起するような「余地」があるんですよね。そこで思い浮かべる水の流れやうねりは千差万別です。ここでも、クリエイティビティが作り手と使い手の両方に宿っている......。作り手は作品という「場」をしつらえ、使い手は自らの感覚でそれを完成させる。全員が「見立て」を発揮していくことが今後もっと求められていくのではないでしょうか。</p>

<p>クリエイティビティというのは、仕事の場で発揮されるものというよりは、日々の生活の中でこそ発揮されるものだと思います。だから、提供者とかクリエイター側だけじゃなくて、全生活者のためのもの。作り手は、使い手のクリエイティビティを惹起することが仕事になります。想像したり創造したりする力は、元来誰もが持っている。それを発揮したくなるような仕掛けが必要です。ひとつのものであっても、使い手の数だけ、「n通り」に解釈されるようなものに価値があると思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/photo_073.jpg">
<figcaption>「社会はものごとを分類して理解しようとすることで進んできたが、今後は積極的に"未知化"する、"分けない化"することに価値が宿るように思います。」
</figcaption></figure> </p>

<p><strong>──作り手と使い手が曖昧になるような現象は、日常生活でも起こりますよね。</strong></p>

<p>僕、「好きなもの」について人にしゃべるのがけっこう好きなんです。例えば映画だったら、自分の語りが効果的な予告編になったらいいなと思う。聞いている人の頭の中でその予告編がありありと再生されて、続きが知りたいとか、そのシーンを観てみたいと思ってもらえたらうれしい。</p>

<p>そう思っているとき、僕はいつのまにか映画の作り手側にまわっている。勝手に宣伝して、観て欲しいと思ってるわけですから。あるシーンを取り出して語るだけで、実はクリエイティブな"編集"や"見立て"が起こっている。独自のキュレーションが働いている。小さな規模で、読者が作者の側に回ることが起こっているのかもしれません。そういう"語り直し"を通して、物語には新しい息吹が吹き込まれていくと思います。</p>

<h2>文脈はリレーされることで強弱が入れ替わる</h2>

<p><strong>──"語り直し"によって新しい息吹が吹き込まれていく、とても興味深い考え方ですね。もう少し詳しく教えてください。</strong></p>

<p>詩人のオシップ・マンデリシュタームが「投壜通信」という言葉を使っています。詩はメッセージボトルのようなものだと。難破しつつある船のクルーが自らの死を悟ったとき、最期の言葉を書きつけて壜に入れ、海に投げるわけですが、そのときその壜は、自分の知っている人に宛てられているわけじゃない。未だ見ぬ誰かに、出会うことのないであろう誰かに宛てられています。世の中のあらゆる作品っていうのは、そういう側面があります。</p>

<p>例えば誰かが本を書いたら、その価値を見出してくれるのは大抵、身近な家族ではなく、遠くにいる知らない人だったりします。ある種の「誤配」ですね。メッセージボトルのように、知らない読み手に届けていくことの積み重ねは、「文脈のリレー」であると言えます。リレーされて再解釈され、誰かの口に再びその話題が乗せられる。そのたびに、作者と読者が入れ替わっていきます。繰り返しこそが、物語を生かし、意味を吹き込んでいく。</p>

<p><strong>──そうした"文脈"についての考えが生まれたのはいつ頃からですか？</strong></p>

<p>常々考えてきたことで、明確な「いつ」というタイミングはありませんが、数年前、森岡書店 銀座店の立ち上げに携わっていたとき、思いを新たにしました。</p>

<p><strong>──森岡書店は、1冊の本だけを売る少し変わった本屋。渡邉さんはブランディングディレクションとアートディレクションで携わられていましたね。</strong></p>

<p>森岡書店は2015年に立ち上がりました。出版業界のニュースというと出版部数が下がっているとか、本屋が潰れているとか、暗いものばかりでした。唯一の勝者として見える存在がAmazonです。Amazonの勝利の秘訣は、物理的なスペースを持たず、無限の在庫を持っているところですよね。森岡書店はそのどちらも逆をいっていて、実店舗という物理スペースを持ち、本は1タイトルしか在庫がない。マスマーケティング的な考え方に従うと、いかにも「やっちゃいけない」プロジェクトです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/morioka_image.jpg">
<figcaption>Takram がブランディングおよびにアートディレクションを担当した「森岡書店 銀座店」。「一冊の本からインスパイアされる展覧会を行う書店」として2015年にオープン。東京・銀座の賑やかな中心街から少し離れた静かな場所に店舗を構えている。 Photo: Miyuki Kaneko
</figcaption></figure> </p>

<p>もし「社会」という仮想的な"書き手"がいるとすれば、出版ビジネスについて「今の時代、多くの本屋はつぶれるもの」「場所を持ったらつらい」「在庫が無限にあるECが強い」と書いているかもしれない。これは僕が『コンテクストデザイン』で"強い文脈"と呼んでいるものです。でも森岡さんという社会のいち読み手は、それを"誤読"して、「そんなことないはずだ」と。たったひとりの"n=1"の取り組みとして、1冊だけの本屋を始める。社会による"強い文脈"を誤読した森岡さんの"弱い文脈"が花開いたわけです。強い文脈とは、書き手の側が込める意図で、弱い文脈とは、読み手による解釈のこと。</p>

<p><strong>──強い文脈と、弱い文脈。</strong></p>

<p>おもしろいのは、その文脈の強弱はリレーされ、入れ替わっていくことです。森岡さんがついに書店を開いて人が来るようになると、森岡さんは「書店」という自分の作品を書き上げた作者になっています。森岡さんの側が今度は"強い文脈"を所有しているんです。そして、訪れる人による解釈や感想が"弱い文脈"になる。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/context_image.jpg">
<figcaption>「一冊、一室。森岡書店」のステートメントに込められているのは、「弱い文脈の強さ」を最大限に発揮するメッセージだ。無限の在庫を持つAmazonの時代にこそ、一冊だけの書店が必要だ。デジタルリーディングの時代にこそ、物理的な場所が必要だ。こうした社会の誤読から森岡書店がはじまっている。 Illustration: Maki Ota (Takram)
</figcaption></figure> </p>

<p>さらに、森岡書店に訪れたお客さんは、その本があたかも自分に宛てられた本かのように思ってしまう。本屋さんには本が複数あるものですが、一冊しかないと、どうしてもその本に目がいく。目がいくと思考が始まり、自分との繋がりを見出してしまう。「いまの僕のために置かれたような本だな」という誤読です。もしかすると、これで人生変わっちゃうかもっていう勘違いさえ起こるかもしれない（笑）。そうして本に影響された彼がなにかアクションを起こしたら、彼こそが次の"強い文脈"の所有者になります。文脈は、誤読によって少しずつその強弱が入れ替わっていくんです。</p>

<h2>ちょっとした態度や習慣がクリエイティブを生む</h2>

<p><strong>──文脈における"強い"と"弱い"は、良し悪しとはまた別のものでしょうか。</strong></p>

<p>強弱は直接良し悪しを意味しません。「一冊だけの書店」というコンセプトは、大手の書店でもできたかもしれません。でも実際は森岡さんという個人がひとりで始めた。誰かの弱い文脈から始まったからこそ、遠くまで届くものになったのではと思います。実際に、いまは海外からも多くのお客さんが訪れてくれています。それから、世の中が全部一冊の本屋になればいいとも、誰も思っていない。つまり、弱い文脈は強さを持つことがあるし、強い文脈も弱さを持つことがあるんだと思います。</p>

<p>弱いものに強さを見出すとか、強いものの弱さを見つめることって、さっきの"見立て"につながると思います。千利休が漁師が使っていた魚カゴを花入れにしたように、今までとは違う用途に見立ててみる。いわば"価値の転倒"ですよね。「こういうこともできるんじゃないか」という、未知の回路をつないだとも言えます。</p>

<p><strong>──すでに知っているものに対して、視点を変えて捉え直すということですね。</strong></p>

<p>当たり前じゃないものをゼロから作るよりも、すでに当たり前としてあるものごとを再発見することのほうが、実はハードルが高い。森岡書店は「一冊だけの本屋」という奇抜なアイデアに価値があるようにも思えますが、実は「そもそも本屋には複数冊の本が置いてあるものだ」という常識に気づくほうが難しい。当たり前なことって、なかなか言語化できないものです。</p>

<p>身の回りの出来事は、毎日劇的に変化したりはしません。そんななか、日常に新たな視点を持ち込むことは、いかに可能なのか。例えば、ある朝雪が降って、自宅から駅までの景色ががらりと変わることってありますよね。その景色の変化に気付くのは容易いことです。むしろ雪が降らずとも、景色の違いを想像できるか、思い描けるか。これこそが、本当のクリエイティビティだと思います。</p>

<p>どうやったらアイデアが出せるようになるの？どうやったらクリエイティブになれるの？っていう質問をする人がいます。でもたぶん、クリエイティビティっていうのは才能じゃなくて、生活の態度とか習慣だと思うんですよ。既知のものを未知化してなにかを見出そうっていう態度が少しでもあれば、人はいくらでもクリエイティブになれるはずです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/photo_095.jpg">
<figcaption>自著『コンテクストデザイン』について、「本当はいろいろなビジネス的なノウハウのかたちでまとめることもできたかもしれません」と前置きしつつ、「でもむしろ、ぱっと見てわかるものよりも、読んだ人が途中で迷子になってくれるほうがおもしろいんじゃないかなと思ったんです」と語る。
</figcaption></figure> </p>

<p>渡邉康太郎『CONTEXT DESIGN』通常版<br>
<a href="https://aoyamabc.stores.jp/items/5e8bf78c2a9a4261d0c99e75">https://aoyamabc.stores.jp/items/5e8bf78c2a9a4261d0c99e75</a><br>
<figure>
<figcaption>※同書は、一般流通をさせず、トークイベントを行った書店のみで販売を行っています</figcaption></figure> </p>
]]>
        
    </content>
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    <title>キュレーターの仕事は「宝探しと自慢」。ポジティブな未来を描く実験場で「問い」を提示し続ける - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-06-03T04:37:00Z</published>
    <updated>2020-08-06T13:34:50Z</updated>

    <summary>日本科学未来館のキュレーター、内田まほろは、自身の仕事を「&quot;宝探し&quot;と&quot;自慢&quot;」と表現する。科学と異分野をクロスさせた展示を企画するうえで軸となっているものとは？これからの時代を見据えながら場所としての存在意義をつくり出している、その思考に迫った。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
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        <![CDATA[<p><aside><strong>内田まほろ</strong>
<p>日本科学未来館 事業推進課課長 キュレーター。アート、テクノロジー、デザインの融合領域を専門として2002年より勤務。2005～2006年から文化庁在外研修員として、米ニューヨーク近代美術館（MoMA）に勤務後、現職。 企画展キュレーションとして企画展では、「時間旅行展」「恋愛物語展」「チームラボ展」、常設展示「ジオ・コスモス」、ビョークやジェフミルズとのコラボレーション企画を行うなど、大胆なアート＆サイエンスのプロジェクトを推進する。ロボットや情報分野の常設展示開発および、「メイキング・オブ・東京スカイツリー展」「The 世界一展」など、技術革新、日本のものづくり文化の紹介にも力を注ぐ。
</p></aside></p>

<p><figure>
<figcaption>※本記事は2019年12月に取材した内容を元に、2020年5月に編集を加えたものです</figcaption></figure></p>

<h2>なにを届けるかよりも、誰に届けるか</h2>

<p><strong>──内田さんはキュレーターという仕事をどう捉えていますか。</strong></p>

<p>自分なりのキュレーターの定義は「"宝探し"と"自慢"」です。宝物を探して、それがどれだけ素敵かということを人に自慢する仕事。キュレーターは「キュラトス（cutatus）」というラテン語が語源なんですが、英語の「care」、つまり「面倒をみる」とか「労わる」という意味も持っているんです。そういう意味では自慢するだけじゃなくて、モノや人物、さらに空間や時代といったいろんなものを宝として捉え、広く人に伝えていく仕事なのではないでしょうか。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/photo_008.jpg">
<figcaption>2002年より日本科学未来館に勤務してきた内田。以来、科学と異分野をクロスさせたユニークな展示を企画してきた。</figcaption></figure>  </p>

<p><strong>──展示テーマの設定といった「宝探し」の部分は、普段どのようにしているのでしょうか。</strong></p>

<p>極端な話、なんでも展覧会になるんですよね。すべてのものには美があるし、つくられた背景やつくってきた人、歴史、そしてその先の未来があるので、展覧会化することは可能なんです。</p>

<p>重要なのは、宝物を自慢する相手は誰か？つまりどういうお客さんと対話したいかということです。日本科学未来館（以下、未来館）の客層は今でこそだいぶ広がっていますが、最初の頃は、科学好きな人だけしか来ない状況をどうにか変えたいと思っていました。だから、どんな宝物を扱いたいかということ以上に、「この層に科学的なものの見方を伝えたら、みんなもっと楽しくなるんじゃないか」みたいなことをすごく考えます。</p>

<p>たとえば、女性に来てほしいと思って『恋愛物語展』（2005年）を企画したり、建築やものづくりのおもしろさを広く知ってもらうために『メイキング・オブ・東京スカイツリー®』（2011年）を開催したり。いっぱいあるテーマ候補のなかから、なにをどこで出すかというジャッジは、お客さん主体だったりするかもしれないですね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/miraikan_4.jpg">
<figcaption>世界一の高さを誇る自立式電波塔の建設を可能とした、先端科学技術を紹介する『メイキング・オブ・東京スカイツリー®』</figcaption></figure>  </p>

<p>最近は、新聞社やテレビ局などの事業者さんの提案を受けて、一緒に作っていくというパターンも増えています。マンモスの冷凍標本を展示した「マンモス展」（2019年）は、提案いただいたものの、当館よりも自然史、生物史を扱う博物館のほうがふさわしいと思い、いったんは検討を見送りました。</p>

<p>でもその後、やはり未来館で新しいマンモス展ができないだろうかという検討がはじまりました。近畿大学がマンモス復活プロジェクトに取り組んでいるのを知っていたので、それも含めて紹介するといった思い切ったことができたら、未来館でやる意義が生まれると提案したんです。そのあと近畿大学の教授に会いに行って交渉し、無事に協力してもらったという流れです。</p>

<p><strong>──2019年には新たな常設展示「計算機と自然、計算機の自然」を公開しましたね。</strong></p>

<p>総合監修を務めていただいた落合陽一（メディアアーティスト／筑波大学准教授）さんは、彼が学生だったときからご縁があって。おもしろい活動をしていることはもちろん、中学生からずっと当館を利用してくれていますし、展示監修者としては特別に若いということもお誘いする理由の一つでしたね。これまで監修者には、どうしても館長の毛利衛と話せるレベルとして年配の方が並んでいましたので、それを変えたいと思ったんです。声をかけたのは、彼が今ほど、メディア的には有名ではなかった3年前。人という宝を探し出すのも、意識的に世間に先駆けて動き出すようにしています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/miraikan_1.jpg">
<figcaption>コンピューター（計算機）やそこで動作する人工知能が高度に発達した未来、人間の自然観や世界観がどう変わるのかを問いかける、落合陽一総合監修による常設展『計算機と自然、計算機の自然』。いけばな：辻雄貴（株式会社辻雄貴空間研究所） 撮影：西田香織
</figcaption></figure>  </p>

<h2>ポジティブな未来を描き、科学技術で実現する</h2>

<p><strong>──普段、情報というものにどう向き合っていますか？</strong></p>

<p>いろんな情報が集まりやすい環境ですし、科学の専門家チームと情報交換することもありますが、わたしの仕事は科学のコンテンツをそのまま展示にすることではないんですね。館全体に関わるプロデューサーとして、「未来館をもっとおもしろくするには？」という視点で見ているっていうのはいつもあって。</p>

<p><strong>──館名に「科学」と「未来」が並んでいるのが象徴的ですが、展示テーマを考えるときに、大事にしていることはなんでしょうか？</strong></p>

<p>"悲観論じゃない未来"、でしょうか。未来をポジティブに描くことは、人間だけに備わっている能力なのかな、と。それを、想いだけじゃなくて、ちゃんと実（じつ）を持って前に進められる力が科学とテクノロジーにはあると思うんです。たとえば地球温暖化のようなすごくヘビーな問題であっても、科学を用いれば少しは解いていける。ポジティブな捉え方で、いろんなものをみんなが理性的に受け入れながら未来をつくる。それが、未来館が提示すべき「科学×未来」だと思っています。</p>

<p><strong>──展示に関わるメンバーには、どうやって企画イメージを伝えていますか？思い切ったテーマの企画も多いので気になるところです。</strong></p>

<p>企画立案に協力してもらう研究者は、それこそノーベル賞を獲るような、世界的に著名な方ばかりです。そんな方たちとコミュニケーションをとる際には、「まず自由に考えてください」と伝えていますね。その中からなにを採用するかを判断する材料は、時間とお金です。その方が思い描いたことを充分に実現できないと判断した場合は却下することもあります。だって、本当にやりたいことのほうが絶対にすばらしいから。</p>

<p>もうひとつ大切にしているのは、お客さん目線です。たとえば科学系の専門家に書いてもらった文章が難しすぎたら、半分に削って、さらに半分にしてという作業を繰り返し、一般の人にも伝わるように変えていきます。「先生、ごめんなさい、わたしが理解できなければ、お客さんは絶対理解できませんよ」と。ただし、難解であってもそれが、とても大切なメッセージや研究、技術的な背景であったとしたら、徹底してどうやったら伝わるか、ぎりぎりのラインを考えます。その時もお客さんがどこまで許容してくれるだろうかと。</p>

<p>普段は絶対に交わらない人たちが同じチームにいることも、当館ならではの特徴です。物理学者と映像作家といった、異分野の人同士をつなぐ機会が時々やってくる。みなさん、人の話を解釈して自分のものにしたうえで、再び編集して表現する能力がすごく高いんですよね。だから、社会のために役に立とうとしているか、知を共有しようとしているか、そこの動機がちゃんと合いさえすれば、コラボレーションが起こってキラキラする瞬間が生まれるんです。</p>

<p>企画が成功するかしないかは、どういうチームが組めるかでほぼ決まると思っています。いかにその人たちに、興味をもって、テンションあげて参加してもらえるかが、結果を決めると言えると思います。ですので、実は、最初にオファーするときが一番緊張します。</p>

<h2>答えを提示するのではなく、問い続けることが大切</h2>

<p><strong>──ユーザーに伝えるメッセージは変化してきましたか？</strong></p>

<p>最初は先端科学を伝えるっていうことが目的だったんですが、2016年に常設展をリニューアルしたときに、もう"答え"を提示するのは違うんじゃないかと。今の時代、答えはネットで調べればわかる感覚がありますから、逆に、"問う"力がないといけないと考えました。ですから、展示の目的やメッセージを変えたんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/photo_018.jpg">
<figcaption>未来館のスローガンは「科学がわかる、世界がかわる」。「問い」を見つけて、「考え」て、「アクション」する、"未来をつくる思考法"を提案している。</figcaption></figure>  </p>

<p>たとえばニュートリノの展示は、以前だったら「宇宙で一番小さな物質は素粒子です。素粒子とは......」みたいに解説、説明が中心だったと思うのですが、「自分が存在する一番元はなんでしょうか？」といった哲学的な問いにしてみる。メッセージを押しつけるのではなく、その人の心の中にちゃんと考えが湧いてくるようなアプローチを大切にしています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/miraikan_3.jpg">
<figcaption>スーパーカミオカンデの模型でニュートリノをとらえる様子を体感できる常設展『ニュートリノから探る宇宙』</figcaption></figure>  </p>

<p><strong>──2016年だと、そういう考え方はまだ新しかったんではないでしょうか。</strong></p>

<p>そうですね、今は世の中に増えてきた視点ですが、当時はあまり見られませんでした。そういう意味では、科学技術の発展と人間のメンタルはけっこう関係していると思っていて。答えってすぐ変わっちゃうんですよ、実は。</p>

<p>実用化されつつある量子コンピュータでは、確定しない情報、状態が前提です。人間の細胞も7年で入れ替わってしまうように、世界は、本当は常に変わり続けている。だけど近代の妄想として、科学はビシッとした不変の答えを見つけられると思われてきたわけです。</p>

<p>それがやっと今、そうじゃないよねとなってきていて。難しいことはAIが解いてくれるし、コンピュータは量子になるし、地球は安定した状態じゃない。そんな時代がきているから、答えを見つけるのではなく、問い続けないといけないんだと思います。</p>

<h2>科学はグローバルでありローカルである</h2>

<p><strong>──展示内容が想定を超えた伝わり方をしたケースはありますか？</strong></p>

<p>普段はあまりないことなんですが、「恋愛物語展」のとき、お客さんからけっこうお手紙をいただいたんです。「結婚しました」とか、「彼氏と別れたあとに展示を見て、すごくすっきりしました」とか。ひとつの展示が誰かの人生に強烈な影響を与えのかと、感慨深くなりました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/miraikan_2.jpg">
<figcaption>「恋愛」というものを、あえて科学的な立場からとらえ直した、『｢恋愛物語展｣ -どうして一人ではいられないの？』</figcaption></figure> </p>

<p>奥さんに未来館でプロポーズをしたという元職員がいて、身内でもあるくらいだから、そういうことが意外にあるかもしれません。未来館っていう場所が、人生の転機のきっかけになり得ることもあるんではないかと思います。</p>

<p>わたしが担当した球体ディスプレイの「ジオ・コスモス」は、科学の知識に関係なく、自分の内面を開いたり、普段とは違う時間軸でなにかを考える瞬間を提供できていると思います。以前、修学旅行で来たちょっとだるそうな中学生の男の子たちが、ジオ・コスモスの下のソファに5人くらいで固まって寝っ転がり、ゲームをしながら過ごしていたんです。ただ、それだけなんだけど、きっと、彼らはその時間を忘れないと思った。展示を通して得られる知識というよりは、ここでの体験や時間が人の本質的なところに語りかける、そんなことができている気がしました。</p>

<p><strong>──今後、未来館をどのようにつくり続けていきたいですか？　見据えているものについて教えてください。</strong></p>

<p>わたしはすごく空間を大事にしていますが、テクノロジーの面からすると、空間は本当に必要なのかが問われている時代です。そして、音も含めて360°空間を記録できる時代でもある。これまでは平面でしか捉えられなかったから、みんな我慢して平面で理解していたわけじゃないですよね。紙とか、モニターとか、スクリーンとか。でもわたしたちは、本当は生活を立体的に理解している。それが手軽にアーカイブできる時代が、もうすぐくると思うんです。この先、それを意識してミュージアム業界に関わっていきたいと考えています。</p>

<p>ミュージアムはいろんなものを何百年にもわたって記録しておく、つまり数百年後の人類に向けて、なにをとっておくか決めるところです。そこに個人的な興味があるので、コレクションをもたない未来館でもそういう活動を先駆けてできたらと思っています。</p>

<p><strong>──取り巻く時代とともに、館としての存在意義も変わってきたのですね。</strong></p>

<p>そうですね。未来館はオープンから20年近くが経って、みなさんがおもしろいところだと感じてくれていると思っているので、次段階としてさまざまな地域の科学館にも興味があります。規模は小さいかもしれませんが未来館のように、一流の知やクリエイティブの世界を用いて、知的好奇心をかっこよく見せられたら。"自分の未来を考える"ことが、日本全体にもっと広がったほうがいいなと思うんです。</p>

<p>あともうひとつ。日本は、特に自然観やテクノロジー観がすごくユニークなので、ここ数年、海外で話をしたりするときに、日本の文化や哲学を意識しています。具体的には、八百万の神的な考え方、食事のときに「いただきます」「ごちそうさま」と言う話とか。人間は自然の一部であって、様々なものとつながっている、それを感謝して生きているような感覚や、暮らし方。それはもしかしたら、今世界が抱えているいろんな問題に少し貢献できる思想や美意識ではないかと思っています。当然、その美意識は、科学や技術の面にも関係しているはずです。せっかく日本にある科学館ですから、オリパラなどとも連動して、普段のアクティビティにももう少し意識していきたいです。科学はグローバルであり、ローカルなものでもある。それをしっかり示して、未来館を一段高みに上げられたらいいですね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/photo_038.jpg">
<figcaption>内田が担当した、有機ELパネルを使った球体ディスプレイの「ジオ・コスモス」は未来館のシンボル的な存在。1000万画素を超える高解像度で、宇宙に輝く地球の姿をリアルに映し出す。「宇宙から見た輝く地球の姿を多くの人と共有したい」という館長毛利衛の思いから生まれた。</figcaption></figure>  </p>

<h2>ポジティブな未来の実験場として、アフターコロナに想うこと</h2>

<p><strong>新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、取材時（2019年12月）から社会は大きく変化した。科学未来館も2月28日以来、休館を余儀なくされている。これから未来館はどのような情報発信と提案をしていくのか、内田に改めてうかがった。</strong></p>

<p>昨年のインタビューでは、未来館ではポジティブな未来を描きたいとお話しましたが、コロナが変える世界に対して、ポジティブであるべきだと思います。感染症自体は歴史上何度もあったもので、うれしいことではないけれど、人類の未来にとって悲観的な事象ではないと思います。わたしたちの生活の仕方、都市の在り方、経済の在り方、医療システムの在り方などを見直す、更新する必要があるだけです。苦労は伴うけれど、ポジティブな未来を描けると思うし、特に、工学系、情報系の研究者の方たちは、なんだか生き生きしている気がしています。情報化、都市集中問題、もしかしたら環境問題までも解決し得るのではないかと、期待しています。</p>

<p>日本の文化や哲学、美意識の話もしましたが、このコロナ禍でそのことを毎日考えています。対策の良し悪しには賛否両論ありますが、現時点では大国の中で日本の被害は不思議なほど少ない。わたしは、これは偶然とかまぐれではないと思うんです。自然に対するリスペクト、災害に対する考え方、知性、文化力がこの結果につながっていると思っていて、しばらくしてファクトが出てきたら、考察してみたいと思っています。</p>

<p>最後に現在ですが、6月3日の<a href="https://www.miraikan.jst.go.jp/info/2005291425826.html"  target="_blank">再開館</a>が決定し、「risk≠０」（リスクはゼロではない、だから）というスローガンのもと、新しいルール作りも含めて館内で検討を進めてきました。また、わたしの部署は、東京オリンピック・パラリンピックも延期になったことで、向こう3年分くらいの企画の組み換えをしていて、なかなかしびれる状況が続いています。</p>

<p>わたしたち未来館は、空間を主用な活動としていますので、今後のコミュニケーションの在り方、空間の在り方、ミュージアムの在り方、体験展示の在り方、対話ベースのアクティビティの在り方など、考えなくてはならないことが満載です。再開館後に、走りながら気づくことが多くあると思いますし、考えるための企画を仕込んでいます。あくまでポジティブな未来の実験場として、変化を楽しみながら、お客様をお迎えしたいと思っています。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>特集「編む」━━序文：社会に成熟をうながすために（編集家・松永光弘） - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-06-03T04:35:00Z</published>
    <updated>2020-06-04T00:37:01Z</updated>

    <summary>「編集」という言葉がビジネスの現場で目にする機会が増えた。ビジネス関連の書籍タイトルによく使われることからも、注目の度合いはうかがえる。本特集「編む」では、いわゆる編集の活用術の話は出てこない。コンテクスト（分脈）をいかにして編んでいくのか、異なる価値をいかにして編んでいくのか、そうした行為の実践者の思考に着目していく。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <![CDATA[<p>情報を整理する、要約する、連想させる、「らしさ」を発見する、異なる要素を掛け合わせる......いずれも「編集」という行為に含まれていて、さまざなビジネスの現場でアイデアを生むときに求められる考え方のひとつといえる。</p>

<p>本特集で「編む」というテーマ設定したのは、企画力や発想力を引き出すためのツールとして、いわゆる"編集術"の話をしたいからではない。「編む」という言葉は、少し抽象的だけれど、自分に手繰り寄せていくと思考の推進力となる、そんな予感からだ。一見すると異なる要素を結びつけることで、新しい意味や価値を与えることができるのではないか、と。</p>

<p>まずは本特集の序文として、広義の「編集」の研究家および実践家であり、広告やデザインなどのクリエイティブジャンルの書籍の多数手がけている、編集家の松永光弘に「編集とはなにか？」を具体的に紐解いてもらった。</p>

<h2>序文：社会に成熟をうながすために（編集家・松永光弘）</h2>

<p><figure>
<figcaption><strong>松永光弘</strong><br>
編集家。「編集を世の中に生かす」をテーマに、書籍づくりだけでなく、企業の広報・ブランディング、研修やスクールの立ち上げ、講演や司会など、さまざまな「モノやコトの編集」に取り組む。自著に『「アタマのやわらかさ」の原理。クリエイティブな人たちは実は編集している』（インプレス）。</figcaption></figure>  </p>

<p>「編集」という言葉は、もはや知らない人がいないくらい世の中になじんでいる。だが、その定義は......という話になると、じつは急に存在がおぼつかなくなる。多くの人が漠然ともっているイメージはおそらく「本をつくること」だろう。実際に、市販されている辞書のなかにも、そう定義づけているものが少なくない。出版にかかわる編集者の仕事をそのまま「編集」ととらえる向きもある。</p>

<p>しかし「編集」は、これまでも出版以外の分野で重要な役割を果たしてきている。映像制作にとって「編集」はなくてはならないプロセスだし、テレビやラジオの番組制作でも、かならずといっていいほど「編集」がおこなわれる。PCやスマートフォンのアプリケーションのメニューにも「編集」という文字が並ぶ。「本をつくること」でないのは明白だ。</p>

<p>では、「編集」とはいったいなんなのか。</p>

<p>ぼく自身、長いあいだ「編集」の仕事にたずさわりながら、ずっとそのことを考えてきた。出版の編集作業にも含まれていて（あくまで「含まれている」）、かつ映像制作などの他ジャンルの編集作業にもあてはまる定義はなにか、と。そこがつかめかれば、もっと確信をもって「編集」という営みをさまざまな分野で活かすことができると思ったのだ。</p>

<p>そうしてたどり着いたのが、つぎの定義だった。</p>

<p>「編集とは、組み合わせのなかで、価値や意味を引き出すこと」。</p>

<h2>「遊びの時間」なのか、「恵まれた子どもたち」なのか</h2>

<p>具体的に説明しよう。ここに1枚の写真がある。写っているのは、大きなプールで楽しそうに遊ぶ子どもたちだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/matunaga0.jpg">
</figure>  </p>

<p>この写真のとなりに、鉛筆を片手に宿題に取り組んでいる子どもの写真を並べてみる。すると、最初の写真は「遊びの時間」という意味を帯びてくる。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/matsunaga1.jpg">
</figure>  　　</p>

<p>では、となりにアフリカで撮られた小さな子どもの写真を並べるとどうなるだろうか。今度は最初の写真に「恵まれた子どもたち」といったニュアンスがにじみはじめる。</p>

<p>　<figure>
<img src="/uploads/matsunaga2.jpg">
</figure> </p>

<p>左側の写真には、なんら手を加えていない。２組とも、まったく同じものを用いている。しかし、となりに並べる写真を変えるだけで、その意味が一変してしまう。「組み合わせるもの」を変えることによって、ちがった「価値や意味」が引き出されてくる──これが「編集」の基本形である。</p>

<p>もちろん、写真だけにあてはまるものではない。組み合わせる対象が文と文でも、同じことが起こる。</p>

<p><strong>「私はあなたに恋をした。毎日が光のなかにいるようだわ。」</strong></p>

<p>という組み合わせなら、幸せそのものでしかなかった１つめの文が、</p>

<p><strong>「私はあなたに恋をした。すべてを失ったわ。」</strong></p>

<p>という組み合わせでは、文面が変わらなくとも、後悔を意味するものになる。</p>

<p>実際に、出版の編集者が文章を「編集」するときには、こんなふうに文と文の組み合わせを吟味しながら、書き手の意図がきちんと引き出されるよう、組み合わせに調整を加えたり、文の修正を書き手に依頼したりしている（その編集者が「組み合わせを扱っている」と意識しているかどうかは別として）。映像の「編集」も同じだ。カットの組み合わせのなかでストーリーという意味を描きだしていく。</p>

<p>扱う対象がなんであれ、「編集」とは、組み合わせをコントロールしながら、モノやコトから価値や意味を引き出していく営みなのである。</p>

<h2>「編集」にはモノやコトを"異化"する力がある</h2>

<p>それにしても、ただ組み合わせをつくるだけで、なぜこんなふうに意味を変えることができるのか。じつはここには「モノやコトは関係性のなかで解釈される」という前提がある。</p>

<p>たとえば、ぼくという人間は、いまこの原稿を書いている時点では「執筆者」と解釈される。しかし、妻がとなりにいれば「夫」であり、子どもと向きあえば「父」になる。プロジェクトのメンバーたちと話しているときは「仕事仲間」だし、かつて通っていた学校を訪れれば「卒業生」だ。</p>

<p>ぼく自身が変わるわけではないが、関係づけるものが変わるだけで、価値や意味がちがってくる。モノやコトは関係性のなかで解釈されているのである。そして、ここでいう関係性とはすなわちコンテクスト（文脈）のことでもある。モノやコトの価値や意味はコンテクストが手がかりとなって発現する。「編集」という営みは、これをうまく活用している。</p>

<p>こうした "編集の原理"を生かせば、ぼくらが慣れ親しんできたモノの価値や意味を再発見することもできる。</p>

<p>たとえば「コーヒー」は、「飲食」というコンテクストのなかで解釈すると「飲み物」という意味になる。「睡眠」というコンテクストのなかでは「眠気を妨げるもの」「眠気覚まし」などと解釈される。だが、「人間関係」「コミュニケーション」というコンテクストのなかで解釈すれば、「コーヒー」に「人と人の気持ちの距離を近づけるもの（＝コーヒーを一緒に飲むことが仲よくなるきっかけになる）」という意味を見つけられたりもする。</p>

<p>組み合わせるものを変え、コンテクストを変えることで、見慣れたモノの価値や意味を塗りかえることができるのである。「編集」には、既存のモノやコトの価値や意味を「異化」する力があるのだ。</p>

<h2>社会に成熟をうながすために</h2>

<p>この「異化」こそが、近年、さまざまな分野で「編集」が求められてきた最大の理由のひとつでもある。</p>

<p>個性的であることが称賛され、価値観にひもづいたコミュニティがいたるところに存在するいまの時代は、すべてを解決できるたったひとつの正解をのぞむのが難しくなっている。逆にいえば、個々の生活者が満足すれば、それが正解になるわけで、正解はひとつではなく、複数存在するということになりがちだ。ビジネスの世界でも、かつてのようにマスとしての生活者の嗜好をさぐり、そこにぶつけにいくように商品やサービスを提供するやりかたは通じなくなりつつある。</p>

<p>だが、「編集」の考え方をもちこめば、"正解"への対応がしやすくなる。すでに見たように「編集」を用いれば、ひとつのモノやコトから多彩な価値や意味を引きだすことができる。多様な生活者、コミュニティに対して、多様な価値を提案しやすいのである。</p>

<p>それをうまく実現している例のひとつが、スマートフォンだろう。ときにはカメラ、ときにはコミュニケーションツール、ときには仕事道具......と、アプリとの組み合わせのなかで、さまざまに価値や意味が引き出されていくスマートフォンは、まさに編集の時代の象徴的なプロダクトだ。</p>

<p>あるいは無印良品の取り組みも、近い例かもしれない。装飾を減らして、"素"であることを心がけた彼らのプロダクトは、いろいろなシーンで多様なモノと組み合わせをつくりやすく、意味合いを変えやすい。</p>

<p>こう説明すると「編集」という営みが売るための方法論のひとつのように思えるかもしれないが、本質はそこにはない。「編集」の真骨頂は、あくまで物事の存在や意義自体を問いなおし、そこに新しい魅力を見いだすことにある。それは同時に、人びとの多様な価値観や生きかたを肯定することであり、それぞれに充実をもたらしもする。</p>

<p>「編集」とは、社会に成熟をうながす思想なのである。</p>

<p>そして、世の中はさらに変わりつつある。あっというまに世界を席巻した新型コロナウイルスは、平坦だった日常を力づくでねじまげた。ぼくらが働き、遊び、暮らしてきた"舞台"自体に大きな変化が生じたわけじゃない。ただ、かつてと同じようにそこで振る舞うことが、突然できなくなった。すぐさま社会をつくりなおすわけにもいかないだけに、しばらくはこの状態がつづくのかもしれない。</p>

<p>「できない」をつきつけられると、人は萎縮しがちになる。そこにないもの、かつてあったものに思いをはせて、無力感にさいなまれたりもする。</p>

<p>でも、ほんとうに「できない」のか──その自問から創造ははじまる。</p>

<p>"クリエイティブ"には遊びごころが大切だといわれるし、それは嘘じゃない。しかし、暮らしや文化を救うような芯のある提案は、むしろ絶望や落胆から這い上がろうとするときにこそ生みだされる。</p>

<p>いまぼくらに問われているのは、そんな切実さをともなった本物の創造性の発揮だ。見なれた物事のなかに、必死で新しい可能性を見いだしていく。きっと「編集」は、その助けになるはずだ。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>「人間はそもそも不要不急を本質にしている動物」千葉雅也──特集：不確実な未来を生きる言葉 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-06-01T05:10:00Z</published>
    <updated>2020-06-04T11:25:32Z</updated>

    <summary>新型コロナウイルス感染症の影響によって、社会にどのような変化が起きるのか、この先の未来をどう捉え直していくのか。本特集「不確実な未来を生きる言葉」では、さまざまな分野の識者の思考を通して、「不確実な未来」について問う小さなきっかけをつくりたいと考えている。私たちは考え続けることでしか前に進めない、考え続けることが人間の根源的な力だと信じて。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <![CDATA[<p>新型コロナウイルスが猛威をふるい、世界に大きな影を落とした。日々状況が変化するなかで、さまざまな分野の識者がどのようなことを思考しているのか。本特集では、さまざまな意見を集積していくことで、なにかヒントとなるような小さなきっかけをつくっていきたい。</p>

<p>初めての小説「デッドライン」が第41回野間文芸新人賞を受賞した、哲学者・千葉雅也に4つの質問を投げかけた。</p>

<p><figure>
<figcaption>※本記事は2020年4月28日にオンラインで取材を行いました</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/uncertain_chiba_profile.jpg">
<figcaption>千葉雅也<br>
1978年栃木県生まれ。東京大学教養学部卒業。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論コース博士課程修了。博士（学術）。立命館大学大学院先端総合学術研究科教授。著書に『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』『勉強の哲学――来たるべきバカのために』『意味がない無意味』『アメリカ紀行』など。『デッドライン』が初の小説作品となる。
</figcaption></figure></p>

<h2>Q.コロナ禍による影響で社会や生活のなにが変わったか、またその変化をどのように捉えているか。</h2>

<p>こんなに大事になるとは思っていなかったのが正直なところですが、僕はこれをきっかけに世の中が大きく変わるとはあまり思っていないんですよ。すごく率直に言うと、単に疫病が流行っているだけなので、できる限り元の世界に戻ることを希望しています。僕の生活において大きな変化は、夜に飲みに行きたいのにお店が閉まっているとか、普段は喫茶店でタバコを吸いながら原稿を書いたりしていたけれど、いまは家で作業をしているとか。喫茶店で集中できるので、家と喫茶店の半々ぐらいで仕事をしてきたけれど、行かなくしているということが執筆のペースに影響を与えているし、ニュースでもコロナの話ばかりだし、大学（立命館大学）も休講になっているので、全般的にストレスがかかっていると感じますね。</p>

<p>僕の仕事は大学に教えに行くことと原稿を書くことで、それぞれを切り替えることで気分転換になっているので、いまの状況ではそれがしにくい。散歩したほうがいいとか言いますけど、僕はそもそもあまり出歩くのは好きじゃないというか......。でも、やっぱりこの生活にも慣れますよね。家でも原稿を書けるようになってきたし、Zoomを使って学生と面談しているし。人間はそういう状況になれば順応できるものだと思います。</p>

<p>とは言え、人と会うのはやはり大事なこと。その上で何が変わるかというと、これまで打ち合わせのためにわざわざ新幹線で大阪に来てもらうことがありました、それはある種の誠意を見せるという意味を含んでいるのかも知れないけれど、実際のところは遠隔のビデオ通話でいいわけですよね。ビデオ通話での仕事は増えて、ハンコが減って電子署名が普及する、そういう流れにはなっていくと思う。テレワークが取り込まれ、働き方がアップデートされ、多少効率化するんじゃないですか？</p>

<p>わざわざ会うということはエネルギーを使うし、非合理的なことが多いけれど、人がリアルに集まることにはそれなりに意味がある。むしろ非合理的なものが大事なんだと。例えば、会議はその場で意見を出し合ってなにか決めるというより、すでに上位機関である程度決まったことが下りてきて、いちおう質疑応答を形式的にしてOKということにする場。儀礼的要素が強いものなんですね。いまは、組織の仕事をオンラインで行なって、儀礼的な機能はオンラインでも果たせている......というよりそれに置き換えるしかないわけですが、また状況が許すようになったら、わざわざお越しいただくことによる、決定の後押しや承認みたいなことがまた行われると思います。</p>

<h2>Q.いま自身の置かれている状況でやれることやすべきことはなにか。また、「すべき」という言葉が持っている重さをどのように考えるか。</h2>

<p>とにかくいまはやり過ごす時期なのであまり無理をしない、というのが僕の意見。だって非常事態ですからね。正直なところ、ある種の未来予測的なことを言うノリにはついていけないものがある。</p>

<p>この状況下で、かつてできていたことをテレワークで100％再現しようとしても無理な話だし、仕事のやり方が変わってくる。それはしょうがないわけですよ。人間の歴史にはそういう時期もあるし、人生にもそういう悪い時期はあるわけで。だから「いまこそ○○すべき」とかあまり思わないですね。だって、非常事態ですよ？色々と無理があるのはしょうがない。原稿も滞ることもあるし、夜もお酒を飲みはじめる時間が早くなってきてるし......それはしょうがないですよ（笑）。インフルエンザがなくならないように、なんとか対処しながらとやっていくことになるが、少なくとも生活のけっこうな部分は以前のように戻るでしょうね。</p>

<p>僕がいま危ういと感じているのは、管理社会的な動きが強まっていること。管理社会を批判していたリベラル層の人までも、「こういう事態になった以上は仕方ない」という風潮になっている。それはとんでもないことです。日本の法律では、強い休業命令は出せない、あくまで要請なんですよ。本当はどこを出歩いたっていい。だから、休業をしていない店に対して、草の根の自警団的な人たちが、まったく法的な根拠もなく「これ以上店を開くなら警察呼ぶぞ」と脅迫じみたことを言うような、一種のファシズム的な動きが出ていることには日々苛立ちを感じていますね。</p>

<p>こういう状況で、いかに新しい社会を考えていくかみたいな話より、今回の感染拡大防止のために人々が管理社会を求めた結果、草の根のファシズムが広がっていくことの行方のほうが問題。ウイルスの状況が落ち着いたところで、管理社会を支持するような空気が残ることのほうが恐ろしい。</p>

<p>そうした管理社会的な方向性が強まることを警戒しているので、そういう意味で「以前のほうがいい」と僕は思っている。そういった管理社会化に抵抗して、みんな勝手に生きろと言いたい。法的根拠もない圧力をかけられることに負けず、ちゃんと自由に生きなさい、そう言いたいですね。</p>

<h2>Q.社会的な分断が起きているいま、つながりをどのようにつくるのか。</h2>

<p>今回の件で分断が生まれたと考え、その分断をさらにつなげようとするから話が余計にこじれるんですよ。元に戻せばいい、前のように振る舞えばいいんです。だから、分断されたものをまたつなぐという発想ではなく、相変わらず自由にふるまうということが僕は大事だと思っている。</p>

<h2>Q.いま、読み返したり見返したいと思っている本や映画などがあれば教えてください。</h2>

<p>気分転換にOculusのVRヘッドセットを買って、スキューバダイビングの360度の映像を楽しんだり、巨大な湖に行ってみたり、パラグライダーに乗ってみたり......そんなことをしています。普段から家の周りでしか行動してないけれど、それでもこんなにストレスが溜まるのは、「しない」ことができなくてもいいかというと、全然そんなことはなくて、しないにしても「できる可能性がある」ことが抑止されていることが問題。「できる可能性がある」ことが人間にとってすごく大切。必要なことだけできればいいんじゃない。</p>

<p>人間というのは、他の動物より脳神経が複雑だから、必要性だけで生きてる動物ではない。必要なことと、満たすことが1対1対応してないわけですよね。ある動物は食べるものが決まっているが、人間は同じ食欲という欲求を満たすためだけでも、無限の行為の可能性が広がっている。例えば性欲についてもそうで、欲求を満たすための条件が複雑化しているので、通常の動物のように生殖の目的のために雄と雌でつがいになるだけじゃなくて、それがすごく複雑なルートに展開した結果、同性愛なども成立している。</p>

<p>人間はそもそも「不要不急」を本質にしている動物なんですよ。それをこのコロナの状況下で、できるだけ効率的に必要なことだけすればいいという風になっていくと、すごく人間にストレスを与える。人間の定義に反するわけです。逆にいうと、僕はいま無駄な会議に出たいくらい。無駄な対面の会議に出たら、きっと清々しい気持ちになると思っている（笑）。人間性を取り戻されたという感じがして。そうした奇妙な欲望と、不要不急なものが実は必要だということが、つながっていると気づかされますね。</p>
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    <title>「弱音こそがポジティブなニーズ。苦しみを分解すると処方箋が見えてくる」堀潤──特集：不確実な未来を生きる言葉 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-05-22T05:40:00Z</published>
    <updated>2020-06-04T11:26:27Z</updated>

    <summary>新型コロナウイルス感染症の影響によって、社会にどのような変化が起きるのか、この先の未来をどう捉え直していくのか。本特集「不確実な未来を生きる言葉」では、さまざまな分野の識者の思考を通して、「不確実な未来」について問う小さなきっかけをつくりたいと考えている。私たちは考え続けることでしか前に進めない、考え続けることが人間の根源的な力だと信じて。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="不確実な未来を生きる言葉" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>新型コロナウイルス感染症が猛威をふるい、世界に大きな影を落とした。日々状況が変化するなかで、さまざまな分野の識者がどのようなことを思考しているのか。本特集では、さまざまな意見を集積していくことで、なにかヒントとなるような小さなきっかけをつくっていきたい。</p>

<p>市民投稿型ニュースサイト「8bitNews」を主宰し、2020年3月には監督作の映画「<a href="https://bundan2020.com/" target="_blank">わたしは分断を許さない</a>」を公開した、ジャーナリストの堀潤に4つの質問を投げかけた。</p>

<p><figure>
<figcaption>※本記事は2020年4月27日にオンラインで取材を行いました</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/uncertain_hori_profile.jpg">
<figcaption>堀潤<br>
ジャーナリスト・キャスター。1977年生まれ。NPO法人8bitNews代表理事／株式会社GARDEN代表。元NHKアナウンサー、2001年NHK入局。2012年UCLA客員研究員、日米の原発メルトダウン事故を追ったドキュメンタリー映画「変身 Metamorphosis」制作。2013年NHKを退局。NPO法人「8bitNews」代表。2016年株式会社GARDEN設立。2020年3月映画「わたしは分断を許さない」（監督・撮影・編集・ナレーション）公開。出演中の番組、TOKYO MX「モーニングCROSS」キャスター、J-WAVE「JAM THE WORLD」ニュース・スーパーバイザー、ABEMA TV「ABEMA Prime」コメンテーター。
</figcaption></figure></p>

<h2>Q.コロナ禍による影響で社会や生活のなにが変わったか、またその変化をどのように捉えているか。</h2>

<p>現場に行けないことがいちばんの変化ですね。移動ができないというのは、直接対面で取材ができないということ。それは同時に、これまで同じような思いを強いられてきた人たちがたくさんいて、まさにこのような状況だったんだなということを感じている。これまで取材してきた現場だと、パレスチナのガザは居住エリアの全ての周囲が囲われているようなところ。情報は入ってきても外には出れない、自分の些細な欲求を満たせない、先行きが見通せない......そうした状況があるということに、関心がある人とない人とがばっさり分かれていた。</p>

<p>また、差別やレッテル貼りに苦しんでいる立場の人への思いも強くなりました。例えば、「難民です」と言っただけで、「偽装難民なんじゃないか」「治安を悪化させるんじゃないか」と、奇異な目を向けられている人々がいます。少し前に東京から県外に取材に行ったときに、「東京からウイルス持ってこないで」という眼差しを悪意なく向けられた時に、やっぱり自分もレッテルを張っていたことがあったんじゃないかと気付かされた。分断される側の当事者として気付かされることがありますね。</p>

<h2>Q.いま自身の置かれている状況でやれることやすべきことはなにか。また、「すべき」という言葉が持っている重さをどのように考えるか。</h2>

<p>イメージの言葉化でしょうか。不安や恐れ願望、自分自身はなんなのかを丁寧に見つめてみること。それを言葉にしてみること。</p>

<p>「苦しい」というのは、分解すると何で構成されているのか、不安なのか痛み、もどかしさ、それとも苛立ちなのか......。そうやって言葉にしてみることで、実態が認識できると思うんです。その実態が認識されたものを、お互いに交感し合うことができれば初めて処方箋が見えてくる。</p>

<p>イメージがイメージのままでぶつかり合うということは非常に危うい。誤解とか偏見はそういうところに起きやすいので、一人でいる時間が増えたからこそ、いまこそ自分との対話をする時間に当ててみるべきだろうなと。</p>

<p>コミュニケーションの話になった時、まわりにどう理解してもらうかということが中心で、ベクトルが外に向いてしまうことが多かったように思います。僕は自分のほうに問いを向けて、会話を成立させることが重要だなと思っている。いざ、自分のなかで問いを立てるにしても、それを表現するボキャブラリーが足りなかったり、そこに至るまでの発見の種さえなかったりする、そういうことを補ってくれるのが音楽や映画、詩などの芸術。</p>

<p>「不要不急」というのはとても便利な言葉だが、ある人にとっては不要でも、ある人にとってはとても必要、ということが往々にしてある。文化や芸術というものを、本当に不要不急のカテゴリーに当てはめていいのか......？誰にとっての不要不急の話をするのか......？そこまで落とし込んでみたら良いと思う。</p>

<p>いま、みるべき世界がどうしても限られてしまっていますよね。体験ができないということは発見ができない、発見ができないということは想像する種がない、種がないと慮れない、慮れないと固定観念に閉じ込められてしまう。そうした固定観念は疑心暗鬼を生みかねないし、恐れや不安から排除を生みかねない。こういう閉ざされた状況で、目をつぶるから見えてくる感性の世界とか、心に耳を傾けるだけで見えてくるなにかの可能性、そういったことに触れることは不要ではないし、むしろ一番急ぎで必要な手当なのかもしれないですね。</p>

<h2>Q.社会的な分断が起きているいま、つながりをどのようにつくるのか。</h2>

<p>僕はメディアに関わる立場として、やっぱり離れ離れになっている人たちの媒介役、仲介役に徹底してなるべきだと思っている。いま、「コロナに負けるな」とか、「コロナに打ち克とう」というスローガンに染まっていきそうな気配がある。そういう考え方も必要だと思うけれど、やっぱりしんどいし、不安だし、苦しい。そういう流れについていけないという弱音を吐ける場所が必要だと思ったから、僕のLINE IDを公開しているんです。様々な分野のNPOと連携し、不安を少しでも和らげる知恵を発信しています。</p>

<p>果たして弱音はネガティブなのか？実はそれこそがニーズだと思っていて、これが足りない、これができない、こうしたことに困っているという、社会に対する呼びかけをすると、世界中どこからでも、こういうサービスやプロダクト、あるいは考え方がある、と誰かが提案してくれる。いますぐに解決できるものがなければ、それを生み出そうというようなムーブメントにもつながる可能性がある。だから、弱音こそがポジティブなニーズなんだと。</p>

<p>メディアが情報を届けるときに、国だとか、経済団体だとか、政府や自治体......と大きなグループのところにニュースソースが偏っていたような気がしているんですね。本当は、もっと個々の人たちと結びついた発信できるし、媒介者としての役割が問われている。そこで、一番何が大切かというと、伝え手のIDが明らかになっていること。「堀です、経歴はこうで、こういう考え方で、こういう意図を持っていて......」という発信。</p>

<p>農業で言うとトレーサビリティですね。この野菜は誰がどのようにつくっていて、どういう流通で消費者に届くのか。いままで情報発信については、編集権の問題であったり、取材者を守るという観点から、トレーサビリティが効きにくい分野の一つだった。いま、これだけ離れ離れになって、オンラインを介して情報を入手することが当たり前になってときにこそ、情報発信をするメディア側がトレーサビリティを意識していくことが大切だと思う。</p>

<p>キーワードは、「Engaged Journalism（エンゲージド・ジャーナリズム）」です。個と個がお互いにきちんと関係を築いて、あなたの発信したいことを、あなたに変わって一緒になって発信していきたい、と。その悩みや不安をどう改善できるかを専門家を結びつけて提示していく。ゆりかごから墓場までではないけれど、ただ不安だけを表に出すのではなく、ここにニーズがあります、誰か解決策を答える人いますか、それがあるならば実行もしていきましょう。それを政治に投げかけて、政治から変えていきましょう、もしくは役所そのものを動かしていくところまで、一気通貫でできるんじゃないかなと思っている。</p>

<p>コロナ禍に関わらず、自分が見たい未来をきちんと言葉にして伝えられるか。私はこういうことがしてみたい、こういう未来を描きたい、なぜならこういう理由だから。そんなことがきちんとわかりやすく伝えることができれば、きっとどこかの誰かが手を上げてくれる。</p>

<p>そして、人の判断や決断を笑うなということを、お互いルールとして持っていませんかと思っている。「なにそんなことを言ってるの？」と、笑われなかったとしても、好奇な目で見られることは人を萎縮させる。もし、すごく突拍子のないことを言ったとしても、一度心のなかで拍手をする。「よく勇気をだして言えたなあ」と。そこから自分の意見を共有していくことが良いのではないでしょうか。</p>

<h2>Q.いま、読み返したり見返したいと思っている本や映画などがあれば教えてください。</h2>

<p>カフカの「変身」ですね。主人公の男が、ある朝目覚めると巨大な毒虫になっていたという作品。突然起きてしまった変化に対して、周りが右往左往しながら、一体どんな顛末を迎えるのかというのが描かれている。</p>

<p>100年以上前の作品ですが、カフカが描いた世界は、いま私たちが直面している問題に通じるものだと思っている。カフカ自身、起きている不条理を否定しているわけでなく、淡々と第三者として描いている。ウイルスをテーマとした映画はあるが、僕はカフカが描いた世界がいまの時代を象徴しているようで、まさに読むべきだなと。</p>
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    <title>「ずっと先の未来だと思ったことは、すでに起きているのかもしれない」石川俊祐──特集：不確実な未来を生きる言葉 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-05-21T04:21:00Z</published>
    <updated>2020-06-04T11:27:11Z</updated>

    <summary>新型コロナウイルス感染症の影響によって、社会にどのような変化が起きるのか、この先の未来をどう捉え直していくのか。本特集「不確実な未来を生きる言葉」では、さまざまな分野の識者の思考を通して、「不確実な未来」について問う小さなきっかけをつくりたいと考えている。私たちは考え続けることでしか前に進めない、考え続けることが人間の根源的な力だと信じて。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="不確実な未来を生きる言葉" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<p>新型コロナウイルスが猛威をふるい、世界に大きな影を落とした。日々状況が変化するなかで、さまざまな分野の識者がどのようなことを思考しているのか。本特集では、さまざまな意見を集積していくことで、なにかヒントとなるような小さなきっかけをつくっていきたい。</p>

<p>デザインコンサルティングファーム「IDEO Tokyo」の立ちあげに従事し、デザイン思考やイノベーション創出の普及に努めてきた、<a href="https://kesiki.jp/">株式会社KESIKI</a>のPartner石川俊祐に4つの質問を投げかけた。</p>

<p><figure>
<figcaption>※本記事は2020年4月24日にオンラインで取材を行いました</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/uncertain_ishikawa_profile.jpg">
<figcaption>石川俊祐<br>1977年生まれ。英Central Saint Martinsを卒業。Panasonicデザイン社、英PDDなどを経て、IDEO Tokyoの立ち上げに参画。Design Directorとしてイノベーション事業を多数手がける。BCG Digital VenturesにてHead of Designを務めたのち、2019年、KESIKI設立。多摩美術大学TCL特任准教授、CCC新規事業創出アドバイザー、D&amp;ADやGOOD DESIGN AWARDの審査委員なども務める。Forbes Japan「世界を変えるデザイナー39」選出。著書に『HELLO,DESIGN 日本人とデザイン』。
</figcaption></figure></p>

<h2>Q.コロナ禍による影響で社会や生活のなにが変わったか、またその変化をどのように捉えているか。</h2>

<p>自分の中で生まれはじめている問いとしては、「本当に必要なものってなんだろう」とか、「なんでこんなに仕事をがんばっていたんだっけ」とか（笑）。そういうそもそもの問いがすごく出てくるようになった。いい意味でも悪い意味でも。そういうことが、いろんな人たちに起きているといいなと、僕は勝手に思っているんですね。</p>

<p>このタイミングに来て、20年後に実現していたらいいなと思っていた未来の鍵となるよう事柄が、いまけっこう浮き彫りになった気がしているんです。僕ら（KESIKI）は「やさしい経済」というミッションを掲げていて、それはかんたんにいうと他者を思いやる経済の仕組みをつくることなんですね。効率をとことんまで追求したり、右肩上がりの成長を目指したり......経済の世界にいる人たちの多くは、こうしたことを当たり前だと信じてきました。でも、いろいろと遮断されてしまっているからこそ、その当たり前を考え直す人たちが増えているんじゃないでしょうか。本当に大切な人たちと、強い絆を維持していく。こうしたことの価値が見直されるんじゃないかと期待しているところもあります。</p>

<h2>Q.いま自身の置かれている状況でやれることやすべきことはなにか。また、「すべき」という言葉が持っている重さをどのように考えるか。</h2>

<p>この環境において、仕事だったり、生活だったり、それこそ夫婦での家事の分担だったり、ひとつひとつのことを再定義していかないとしんどいですよね。だからこそ、僕はクリエイティブマインドが必要だと感じている。夫婦の家事分担ひとつとっても、働く仕組みや制度を整え、社会通念を変えていかないと、なかなか解決できないこともあります。自分たちだけではどうにもならない大きな課題に対して、それを手助けするようなインスピレーションのソースがないから、取りまとめた場所が必要だなと思っています。</p>

<p>社会に対して何か貢献をしたいという人にとってはアクションにつながるような、解決策が欲しいけど見つけられない人にとってはきっかけとなるような、そういうインデックスのようなサイトを僕らはいまつくろうとしているところです。ライゾマティクスと我々で「Powerful Questions」というプロジェクトとして進めています。</p>

<p>ここでは完成した答えを与えるというよりは、みんなが自分の頭で考えるきっかけをつくることができたらいいですね。粒度の異なる問いに対して、地球レベル、国レベル、社会レベル、会社レベル、個人と、視座の高さを整えていこうと考えています。</p>

<p>いま、悲しいなと思っていることのひとつに、医療従事者が差別されるという話がありますよね。一体どうしてそういうことになってしまうんだろう......みたいな気持ちになります。例えばイギリスだと、一日のうち何時になったら、NHS（National Health Service、イギリスの国営医療サービス事業）の人たちに拍手を送る時間をつくっていたりする。それがベストなソリューションなのかわからないけど、前向きになにかを取り組むということに関して、アクションを起こせるような問いやきっかけが少ないんだろうなと思っていて。</p>

<p>これは今回のコロナ禍の影響に限ったことではなくて、この国の人々は、はっと立ち止まって考える癖を身につけるきっかけが必要なんじゃないでしょうか。僕はそれをクリエイティブという枠組みに入れて考えていくべきだと思っています。</p>

<h2>Q.社会的な分断が起きている状況で、つながりをどのようにつくるのか。</h2>

<p>僕自身はそこにまだ答えがないんですけど、個人の自由と安全性みたいな話は、ある意味で危機にさらされていると感じます。個人的に危惧しているのが、自由に生きることの境界線みたいなものが危うくなり、この機会で監視社会みたいなものが進んでいく。そういうことになってほしくないという思いはすごくありますね。</p>

<p>あとは透明性をどう担保するか。具体的にいうとプロセスの可視化、物事がどう決まっていっているのか見えてこない。今回のマスク配布にしても、10万円の給付にしてもそうですが、どうやって決まったのかわからない、かつ誰にもそんなに刺さらないサービスが展開されている（笑）。その辺りの可視化がきちんとできたら、情報の偏りによる権力の維持みたいな不均衡もなくなっていくんじゃないかと思います。</p>

<p>僕個人のつながりという意味では、元々気持ちを入れてお付き合いすることを大事にしてきました。よく言われる信頼と信用みたいな話でいうと、信頼を構築できる人と仕事をしてこられた。ここ1～2ヶ月の仕事をふりかえってみても、コミュニケーションの質と量は明らかに両方とも上がっている。あと、Face To Faceと同じかそれ以上に、仕事を超えた本質的な話をするようになってきていますね。コロナ前から僕らが問い続けてきた、共感、共振みたいなことが、まさにこの状況で重要になってきていると感じます。</p>

<p>先日、ある企業のリーダーシップ研修をオンライン上で行ったんですけど、そこで3つのことを話しました。1つ目は「Powerful Question」。人を突き動かす理由をどう投げるか。2つ目が「Creative Feedback」。相手がハッとする、目からウロコじゃないんですけど、自分がやってきたことに対して、そういうやりかたもあるのかという別の視点から投げかける。</p>

<p>3つ目が「Story Telling」。これは日本にすごく足りていない。コンテクストや背景をストーリーとして伝えることを、きちんとやれている企業は少ない。先ほどの透明性の話ともつながりますが、「コレコレすることにしました、以上」みたいなコミュニケーションが多すぎる。単に「what」だけを言われても、根本的なストーリーを語らないことには伝わりません。それによってエンゲージメントや、モチベーションの高さが大きく変わってくる。よりよい方向に物事を動かしていくスキルやリーダーシップは、コロナ禍があってもなくても必要だと思っていました。</p>

<h2>Q.いま、読み直したい本や、改めて観たい映画などがあれば教えてください。</h2>

<p>本や映画ではないけど......雨の音や虫の声など、ただ自然の音を集めただけの「Nature Sound」というのがめちゃめちゃいいんです（笑）。普段から使っておけばよかったと思うくらいよく眠れます。いま、Zoomとかのオンライン会議ツールを頻繁に使って、テクノロジーを浴びすぎているじゃないですか？通勤していた時とはまた違う、頭の疲れ方をしているような気がしていて。仕事のはじまりと終わり、週のはじまりと終わり、そうした境界線がだんだん不明瞭になってきて、いままで問う必要のなかった問題が出てきている。なんだか不思議な感覚です。でも、けっこう慣れてくると大丈夫なのかもしれないですね。</p>

<p>在宅の生活が続き、家でごはんを食べるのはいいなと実感しています。一方、こうした状況だからこそ、外で誰かがつくってくれたご飯をたべることの尊さを感じたり、その先で様々な食材を生産してくれたり、それを届けてくれたりする人たちのことを想像するようになりました。</p>

<p>未来を創るのは、人々の想像力です。これからの世界では、一部のエクストリームな人たちの想像力が、現実になっていくかもしれません。『ニューロマンサー』で知られるSF作家のウィルアム・ギブスンは、世の中のほとんどの人には知られていないけれど、すでに起こっている未来の兆しを見つけ、小説にするそうです。僕たちがずっと先の未来だと思っていることは、実はすでに起きているかもしれません。いま、未来の兆しを捉えている人たちの考えを、どれだけ議論の爼上にのせられるか。それが、より良い未来を創るために重要ではないでしょうか。</p>
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    <title>「不安を認めて、心を少しでも楽にしていく」犬山紙子──特集：不確実な未来を生きる言葉 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-05-20T04:20:00Z</published>
    <updated>2020-06-04T11:28:21Z</updated>

    <summary>新型コロナウイルス感染症の影響によって、社会にどのような変化が起きるのか、この先の未来をどう捉え直していくのか。本特集「不確実な未来を生きる言葉」では、さまざまな分野の識者の思考を通して、「不確実な未来」について問う小さなきっかけをつくりたいと考えている。私たちは考え続けることでしか前に進めない、考え続けることが人間の根源的な力だと信じて。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="不確実な未来を生きる言葉" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<p>新型コロナウイルスが猛威をふるい、世界に大きな影を落とした。日々状況が変化するなかで、さまざまな分野の識者がどのようなことを思考しているのか。本特集では、さまざまな意見を集積していくことで、なにかヒントとなるような小さなきっかけをつくっていきたい。</p>

<p>2020年3月に「すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある」（扶桑社）を上梓した、コラムニストの犬山紙子に4つの質問を投げかけた。</p>

<p><figure>
<figcaption>※本記事は2020年4月28日にオンラインで取材を行いました</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/uncertain_inuyama_profile.jpg">
<figcaption>犬山紙子<br>仙台のファッションカルチャー誌の編集者を経て、家庭の事情で退職し上京。東京で６年間のニート生活を送ることに。そこで飲み歩くうちに出会った女友達の恋愛模様をイラストとエッセイで書き始めたところネット上で話題になり、マガジンハウスからブログ本を出版しデビュー。現在はTV、ラジオ、雑誌、Webなどで粛々と活動中。2017年1月に長女を出産。著書に『すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある』他多数。
</figcaption></figure></p>

<h2>Q.コロナ禍による影響で社会や生活のなにが変わったか、またその変化をどのように捉えているか。</h2>

<p>全ての人に不安がある状態なので、不安との付き合い方について、メンタルケアの知識が、このタイミングでアップデートされたらいいなと。</p>

<p>働き方に関しては、リモートワークが浸透したことで、これまでコストをかけすぎていた部分が浮き彫りになったと思います。直接会ったほうが良い案件と、この場合はリモートでも大丈夫だな、というのがすごく見えてきましたね。これまでは、現場感覚を持っている人がそう思っていたとしても、上の世代の人が理解していないとなかなか動かないじゃないですか。今回、上の世代の人たちも強制的にリモートワークせざるを環境になっているので、ここまでの状態になってやっと、働き方というのが変わっていくんだろうなと思っています。</p>

<p>私自身の働き方で言えば、より育児と仕事の両立の方法が問われています。いまは子供を保育園に預けられないので。でも地方の仕事がリモートになったりと移動時間が減ったので、前よりも本を読んだりするインプットの時間が増えています。もちろん不安はあるけれど、私はフリーランスが性に合っているので、人に会わないことのストレスの無さも感じています。仕事で人と話すことにはぜんぜんストレスを感じないのですが、人見知りというか、待ち時間や移動時間などの、仕事なのか仕事じゃないのか、なんとも言えない微妙な時間にどうして良いかわからないんです（笑）。</p>

<p>ただ、ここからが仕事、ここからがプライベートという、切り分けが以前とは違って難しいですね。パートナーである夫と仕事の時間の相談など、よりコミュニケーションを綿密に取らないと、こういう非常時にお互いが支え合う関係を築き上げない、このコロナが終わった後に、大事な家族との絆が壊れてしまう可能性もあるよな......と思います。</p>

<h2>Q.いま自身の置かれている状況でやれることやすべきことはなにか。また、「すべき」という言葉が持っている重さをどのように考えるか。</h2>

<p>いまやるべきことは、自分が不安を感じていることを認める、それが大事なんじゃないかなと。第一にメンタルケア、自分のメンタルはもちろん、パートナーのメンタルにも気を配れるようになっておくべきです。</p>

<p>「自分は強いから」と不安をつっぱねるのではなくて、自分がどんなことを不安に思っているかを一回認めてあげることをして、どうするかをパートナーや友人に傾聴してもらうことが必要だと思う。これはコロナの時だけじゃなく、仕事でも、プライベートでも、本当にピンチの時にまずやったほうが良い。自分の心を少しでも楽にする、軽くしていく作業が必要だと思います。</p>

<p>「〇〇すべき」という考え方は、要するに「〇〇していない」人のことを許せないとなってしまうものだと思っていて、あくまで主語を小さく考えていくほうがいい。臨時休校で仕事ができない保護者への助成措置が、フリーランスは会社員に比べて支給額が半額になるという話が出た時、「フリーランスは自分の好きなことやっているんだから、文句言っちゃダメだろ！」という、"べき論"をTwitterで見た時は地獄だなと思いました（笑）。「おれはこう思う」「私はこうする」だったらいいと思うんですけど、フリーランス全員に「そういう姿勢でいろよ」というのは、ものすごく違和感を感じるし、人の意志を無視することになるのでは......と思いながらインターネットを見ていましたね（笑）。</p>

<h2>Q.社会的な分断が起きている状況で、つながりをどのようにつくるのか。</h2>

<p>大切にしている親しい友人とは、自分が不安に思っていることをLINEで開示するようにしていて、普段からお互いがSOSを出し合えるような関係をつくっておく。「いつでも困ったときに連絡してね」と言っても、なかなかSOSを出せるものではないんですよ。自分が困った時、相手が困ったときに助け合える関係を築いていたいので、そういうこと積極的にするようにしてきたんですね。</p>

<p>一方で、SNSのタイムラインで子育てに悩んでいる人の言葉が目に入ってくる。「子どもにYouTubeずっと見せてしまった」「自分はダメな親だ」とか書いているわけですよ。そういうのを見ると、いま私が悩みをヒアリングしておくことで、根本的な解決にはならないかも知れないけど、誰かに共有できることで孤独な気持ちがぐっと楽になる。</p>

<p>Twitterで「保育園・幼稚園がおやすみ。親が休み時間を確保する小技教えてください」アンケートを取ったりしているのは、色んな人に聞いてシェアできたらいいなと思って。最初は「ああ〜私も休みたい！教えて！」って私利私欲からですが（笑）。でも、同じようなことで悩んでいる、小さい子どもと暮らしている親御さんの顔が浮かぶ。自分に分不相応な数の方がフォローしてくださっているので、そこへの還元みたいなことはやっていかなきゃいけないと思っていて、一緒に楽になれたらいいなという感じですね。</p>

<p>やっぱり、You Tubeを子供に見せることへの罪悪感がある親御さんは多いですよね。この親が追い詰められている非常時に、この1〜2か月You Tubeを見せることにそこまでなにか問題があるのかなと思うんですね。問題点があるとしたら、コミュニケーションを取らなくなってしまうことと、エルサゲートと言われている不適切な動画を見せてしまうこと。これって、You Tubeを見せながらでも改善できると言えばできるんですよ。リビングのTVとつなぐのもひとつの手だし。動画を見ながらコミュニケーションを取るのもいいし、自分で視聴を終わりにする練習をするのも良い。付き合い方で毒にはなるけど、「You Tube＝悪」という、罪悪感を非常時に感じさせすぎるのはいかがかなと。子供が側にいて、かわいいいし、楽しいけれど、ずっと子供の遊びにつき合っている訳にはいかないし、一人の時間を確保することも大事なこと。本当に草の根ですけど、親が抱える罪悪感をつんで行ければなと思っている。</p>

<h2>Q.いま、読み直したい本や、改めて観たい映画などがあれば教えてください。</h2>

<p>最近だと、「経済政策で人は死ぬか?: 公衆衛生学から見た不況対策」（草思社、2014年）ですね。大不況のときに政府がとった経済対策として、よく例に挙がるのはルーズベルト大統領がとったニューディール政策。家賃保証、食費保証、医療への投資......そういったことをしっかりやった州とやらなかった州で面白いくらい結果が分かれている。緊急時に緊縮をしてしまうと、その後の自殺率や、子供の死亡率が高くなって、経済が悪化することがデータで出ている。いま、国がやろうとしている経済政策について、いい政策なのか冷静に見ていかなければならない。国や時代は違えど、めちゃくちゃわかりやすかったです。</p>

<p>きっと別のことを考えたいからなんでしょうけど、個人的には勉強が捗っているんですよ。停滞している状況だと感じている人が多いと思うけれど、ちょっとでも知識を得ている感覚がすごい気持ちいいというか、精神衛生上とても良いですね。</p>

<p>経済学だけではなくて、いま必要だなと感じるのはメンタルケアの情報ですね。家族のコミュニケーションが増える時だからこそ、家族の不安を丁寧に汲み取って、自分の不安も汲み取ってもらって、お互いコミュニケーションし合うという土壌をつくるためにも、そういう知識を持つことが大切。</p>

<p>あと、自著になるんですが「すべての夫婦には問題があり、すべての問題には解決策がある」（扶桑社、2020年）がマジでおすすめです（笑）。まさにコロナ禍において、家事や育児の悩みもそうですし、夫婦関係をどう話し合っていけばいいか、どう夫婦でメンタルケアするのか、3年かけて取材して書いたので是非読んでほしいです！</p>
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    <title>「不確実性との付き合い方の中から発想する」渡邊恵太──特集：不確実な未来を生きる言葉 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-05-20T04:15:00Z</published>
    <updated>2020-06-04T11:29:04Z</updated>

    <summary>新型コロナウイルス感染症の影響によって、社会にどのような変化が起きるのか、この先の未来をどう捉え直していくのか。本特集「不確実な未来を生きる言葉」では、さまざまな分野の識者の思考を通して、「不確実な未来」について問う小さなきっかけをつくりたいと考えている。私たちは考え続けることでしか前に進めない、考え続けることが人間の根源的な力だと信じて。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="不確実な未来を生きる言葉" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>新型コロナウイルスが猛威をふるい、世界に大きな影を落とした。日々状況が変化するなかで、さまざまな分野の識者がどのようなことを思考しているのか。本特集では、さまざまな意見を集積していくことで、なにかヒントとなるような小さなきっかけをつくっていきたい。</p>

<p>情報と身体を結びつける自己帰属感とそのインタラクション手法の研究をする、明治大学総合数理学部准教授の渡邊恵太に4つの質問を投げかけた。</p>

<p><figure>
<figcaption>※本記事は2020年4月23日にオンラインで取材を行いました</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/uncertain_watanabe_profile.jpg">
<figcaption>渡邊恵太<br>明治大学総合数理学部　先端メディアサイエンス学科 准教授。博士（政策・メディア）（慶應義塾大学）。シードルインタラクションデザイン株式会社代表取締役社長。知覚や身体性を活かしたインターフェイスデザインやネットを前提としたインタラクション手法の研究開発。近著に『融けるデザイン　ハードｘソフトｘネットの時代の新たな設計論 』（BNN新社、2015年）。
</figcaption></figure></p>

<h2>Q.コロナ禍による影響で社会や生活のなにが変わったか、またその変化をどのように捉えているか。</h2>

<p>普通の感覚というもの、その感覚すら忘れてしまうような状況なので、そうした変化について正直あまり考えないようにしている。</p>

<p>葛藤しているのは、自分の置かれている職業やスキルが、なにか役立つんじゃないかなと、研究者やデザイナーは考えて、実際に色々と行動されている人がたくさん居ると思うんです。一方でそれをやろうとしたときに、あんまり大胆に活動できない。僕もなにかしようと思うんだけれども、移動を伴うと行動を制限されるので、あまりできていない。そうした難しさがある。</p>

<p>また、コロナの収束後に社会は変わっていくという話をしている一方で、意外と普通に戻っちゃうんじゃないの？と思うところもある。IT系を推進する人たちは、これを機に変わっていくと言ったほうが都合いいので、そりゃ言うよねって思うんですよね。僕自身も、教育は変わっていくと言ったほうがいいような気がするのですが、なんでしょうね......その辺りも含めて悩ましいです。</p>

<h2>Q.いま自身の置かれている状況でやれることやすべきことはなにか。また、「すべき」という言葉が持っている重さをどのように考えるか。</h2>

<p>個人的にやっている小さなことで言えば、ずっと家のなかにいると空間として均質な状態になるので、Google Homeで環境音みたいなものを再生してそれを防ぐようにしている。</p>

<p>教員としての目線で言えば、場や機会が奪われていると強く感じています。発表する場があって、そこに意識が向かっていくことが、学生にとって大事な気がしていて、つまりモチベーションづくりですよね。会社や組織は「場」を中心とした集まりなわけですよね。あらゆる活動が「集まる」ということ前提として成り立ってきたわけですが、それって一体なんなんでしょうね、よくわからなくなってきました（笑）。</p>

<p>だから、学生はメンタルケアの部分が大事になってきている。メンタルがやられてしまうと学ぶということに非常に大きなダメージがある。幸いにも情報系の学科なので、コンピューターさえあればできることはあるんですけれども、場所を変えることをトリガーとして活動するモチベーションとなり得る。一方で、Slackなどのオンラインのツールは研究室で昔から使っているので、そんなに日常は大きく変わっていない感じもあります。</p>

<p>いまは、「アフターコロナ」「with コロナ」などと、なにか名前をつけて納得したいという状況があるんでしょうね。ここ数年使われることの多い「不確実性」という言葉は、僕自身もよく使うのですが、まさに「不確実性のかたまり」に世界が漬かっちゃうという状況がすごいなというか。</p>

<h2>Q.社会的な分断が起きている状況で、つながりをどのようにつくるのか。</h2>

<p>初めましての人同士のつながりの構築は、インターネット上では難しいのではないかという話もありますが、デーティングサイトはそれ自体が目的だったりするので、サイト設計においては、初めまして同士のつながりを作っていくことがされていると思うんです。新入生や新入社員に対して、良い設計ができるヒントがあるんじゃないかと。とは言え、デーティングサイトとはそもそものゴールが違うので、何かできるか思いついてはいないのですが、応用ができればいいですよね。</p>

<p>私が教えている先端メディアサイエンス学科は、「まだ誰も体験したことのないものを世の中へ」というキャッチコピーを掲げています。不確実性というものとの付き合い方の中から、未来のことを考えていきましょう、という発信をしていく側なのですが、誰も予想していない状況が向こうからやってきてしまった。</p>

<p>これまでの「未来」という考え方自体が、連続的な発展を前提としている時にしっくりくる。それよりも、我々にとっては不確実性と常に向き合っていくことが、それが未来と向き合うことではないのかなと。だから、安易な未来予測みたいな話には、コロナ禍の前からモヤモヤしていましたね。</p>

<p>パーソナルコンピュータの父といわれるアラン・ケイは、「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ。」と言っています。未来を予想するということは馬鹿げている、試してつくってみればいいじゃんという話ですが、「未来」を「不確実」という言葉に置き換えて、不確実なものを除去してみることが、未来につくるべきものをというような発想をしていく時代なのかも知れない。</p>

<h2>Q.いま、読み直したい本や、改めて観たい映画などがあれば教えてください。</h2>

<p>昨年、「ジョーカー」（トッド・フィリップス監督作、2019年）を観た流れで、「ダークナイト」（クリストファー・ノーラン監督作、2008年）を改めて観たんです。その中で、「真実だけで人は満足しない、幻想を満たさねば」という、バットマンのセリフがあるんですね。幻想はともかくとして、真実だけで人は満足しないということはまさにそうだなと。例えば、コロナで1日に100名以上の人が感染したというニュースは事実だけれど、人々が求めているのは、その情報を用いてどうしていきたいのか、どういう対策を取るのかということではないか。</p>

<p>これは研究していても思うことで、研究自体は何らかの真実を探求して、客観的な方法を用いて、世界の真理を読み解こうとするのですが、事実というものが仮にデータとして出たとしても、その「事実」は使い方次第だなと。包丁の使い方次第で魚を捌く道具にもなるし人を殺す道具にもなるように、要はどう使うかという「技術」だと思うんです。我々がやっているインタフェースやインタラクションの研究は、人が「使う」ことを設計する研究しているとも言えます。ですから、我々の分野は「事実」や「技術」に加えて、それらを「使う」望ましい世界観、倫理観を持って議論することが他の分野以上に重要だと思うんです。むしろ、それこそが我々の研究の本質かもしれません。</p>

<p>最近求められているアート思考というものは、真善美のような自分の価値観が備わってないと、その有効な使い方がわからないですよね。科学も万能ではないのですが、これまで得られてきた事実をどう使って学生を育ていくのか、悩みつつチャレンジしていきたいと思っています。</p>
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    <title>「できることの組み合わせによって常識をシフトさせていく」菅俊一──特集：不確実な未来を生きる言葉 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-05-20T04:10:00Z</published>
    <updated>2020-06-04T11:29:57Z</updated>

    <summary>新型コロナウイルス感染症の影響によって、社会にどのような変化が起きるのか、この先の未来をどう捉え直していくのか。本特集「不確実な未来を生きる言葉」では、さまざまな分野の識者の思考を通して、「不確実な未来」について問う小さなきっかけをつくりたいと考えている。私たちは考え続けることでしか前に進めない、考え続けることが人間の根源的な力だと信じて。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="不確実な未来を生きる言葉" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>新型コロナウイルスが猛威をふるい、世界に大きな影を落とした。日々状況が変化するなかで、さまざまな分野の識者がどのようなことを思考しているのか。本特集では、さまざまな意見を集積していくことで、なにかヒントとなるような小さなきっかけをつくっていきたい。</p>

<p>人間の知覚能力を基盤とした新しい表現の研究開発・問題設計を軸に、社会に新しい価値を提案する活動をする、コグニティブデザイナー／多摩美術大学統合デザイン学科講師の菅俊一に4つの質問を投げかけた。</p>

<p><figure>
<figcaption>※本記事は2020年4月22日にオンラインで取材を行いました</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/uncertain_suge_profile.jpg">
<figcaption>菅俊一<br>1980年東京都生まれ。表現研究者／映像作家、多摩美術大学美術学部統合デザイン学科専任講師。人間の知覚能力に基づく新しい表現を研究・開発し、さまざまなメディアを用いて社会に提案することを活動の主軸としている。おもな仕事に、NHKEテレ「2355/0655」ID映像、21<em>21 DESIGN SIGHT「単位展」コンセプトリサーチ、21</em>21 DESIGN SIGHT「アスリート展」展示ディレクター。
</figcaption></figure></p>

<h2>Q.コロナ禍による影響で社会や生活のなにが変わったか、またその変化をどのように捉えているか。</h2>

<p>人と対面で会わなくなったことが最大の違いですね。オンラインで会うことがメインになりつつあるんですけど、果たしてオンライン上で上手く話せているのか......という新しい問題が出てきているように感じています。</p>

<p>例えばビデオ会議では、お互いに画面上で目を合わせているようで、実は全然合っていないというコミュニケーションの状況が起こっているわけですが、本当に伝わっているのかなとけっこう不安になります。これまでは、マナーのような文脈で、「話すときに目を合わせる」ことを良しとしてきたわけですが、画面とカメラの位置関係というハードウェアの制約からそれが不可能になり、「そういうの（目と目を合わせること）はどうでも良くない？」というようになってきている。マナーや常識を基準に組み立ててきたものが崩壊して、新しいルール、デフォルトを考えていかなければならないタイミングなのかなと思っています。</p>

<p>仕事と生活が混ざってきている状況で、長時間の集中が難しいと感じています。この10分でどう集中するかという考え方に変わってきている。そうすると集中力のコントロールというのがとても重要なスキルとなる。これって実は、いままで僕らが蔑ろにしていたことなのではないかと。</p>

<p>これまでは、自分の集中できるパラメーターを調整するために、場所や空間を変えるというのが多くの人の振る舞いとしてありました。それがもうできなくなっている状況なので、集中するためにはどういうギアのチェンジをしなければならないのか、もう1回考え直さなければならない。「いつでもどこでもすぐに集中できる」ということが、仕事ができるかどうかの条件になってしまっているので、リモートワークにおける生産性を考える上で、集中力のコントロールに関する研究や知見が重要になってくるように思います。</p>

<h2>Q.いま自身の置かれている状況でやれることやすべきことはなにか。また、「すべき」という言葉が持っている重さをどのように考えるか。</h2>

<p>「すべき」というよりは、「適応していく」というイメージに近いですかね。例えば、両手がふさがった状態でドアを開けるときに足を使うとか、手の届かないところが痒くなったら手の延長になりそうな長い棒を使うみたいな、その場その場で現実にできることを積み上げて、困っていることを解決していくことって、みんな日常的にやっていますよね。いまの状況の変化に関しても、みんながこの生活や環境に慣れて適応していく段階だと思うんです。多分、行動を無理やり変えるということはかなり難しい。できないことよりも、徐々にできることの組み合わせによって常識をシフトさせていくようなことを、手探りでやっていくという感覚ですね。</p>

<h2>Q.社会的な分断が起きている状況で、つながりをどのようにつくるのか。</h2>

<p>大学の授業において、一人が話して多くの人が聞くという講義のスタイルを再現するのは、オンラインでも難しくないように感じています。ですが、さっき言ったような集中力の問題は出てきます。対面の授業だろうがオンラインだろうが、そもそも人間は90分も集中力がもたなかったんじゃないかと。オンライン化によって人間の苦手な部分がクローズアップされてきたとも言える。それに合わせて講義のスタイルを変えていくという、改善のほうに進んでいくんじゃないかと考えています。</p>

<p>合わせて、なにか一つの方向に同期させるようなコミュニケーションは難しいので、非同期型コミュニケーションを考えなければならないと思っています。それは、掲示板に貼っておいたから見ておいてね、というかつて行われてきたコミュニケーションに近いものなのかもしれない。同期するということは、いまこの瞬間にココに注目しないと、取り残されるよということなんですね。いままでは、即レス最高、同期が最高、つまり早いということに価値が置かれていたのですが、非同期だったら、「いつのタイミングでもいい」ということにこそ重要性が出てくる。それは、システムや他者ではなく、個人に時間のマネジメントが委ねられるようになるということです。しかしそうなると今度は、モチベーションのコントロールができるかどうかが問われるようになってきます。これまでは、強制的に時間を同期させることで、ある種義務感の中、モチベーションの有無にかかわらずできていたことが、自分でモチベーションを発揮しないと何もできないようになってしまうというのは、懸念点としてあります。</p>

<p>さらに授業で言えば、私の所属している美術大学の場合は、ものをつくるということにおける問題があります。それをオンラインで代替するというのもけっこう難しい。特にフィジカルなモノづくりの現場においては、機材を使うための場所や、素材に直接触れなきゃいけないといったことに、オンライン環境でどう対応するのかは難しい問題です。でも、もしいまここで、デザインや美術の新しい学び方をつくることができたら、それは今後何十年にもおける学びを開発していることになるかも知れません。美術大学は新しい価値を生み出す場だと思うので、そういうことに率先してトライアルすることは、すごく意味のあることになると思っています。</p>

<p>もう一つ大学において気にしていることは友達の存在です。友達って大学生活でとても大切なものじゃないですか。いま、Zoom飲み会のようなものが成立しているのは、「既に知っている友達」というこれまでのリソースを利用しているからコミュニケーションが取れているだけであって、いきなり初対面の人同士が仲良くなれる場は生まれにくくなっていると思います。これまでは、たまたま入学式で隣の席に座っていて、声をかけたことから仲良くなるみたいな、強引なランダムさがきっかけで仲良くなっていたわけです。オンラインだと、そういった強制的に隣に座ってしまうみたいなことは難しい。それぞれが意識的にアクセスして声をかけなければならなくなっている。でも、そういうコミュニケーションへの意欲が高い人ばかりではないので、うまい仕組みをつくって行かなければと思っています。</p>

<h2>Q.いま、読み直したい本や、改めて観たい映画などがあれば教えてください。</h2>

<p>質問の答えになってないかも知れませんが、いまテレビを観ると面白いと思っていて。「これは3月○○日に撮影されたものです」というようなテロップが出たり、TV画面内でモニターとモニターで人が話すというのが当たり前になっている。複雑にメディアをまたいでいる状態にみんなが慣れつつありますよね。</p>

<p>「いま自分は何を見ているんだろう」と不思議な気持ちになるし、すごく面白い瞬間に遭遇しているなと。メディアとメディアの関係性とはなんなのか、常識だと思っていたことと非常識だと思っていたことが、どんどん入れ替わる瞬間を体感できているなと感じます。</p>

<p>とは言え、10年ぐらいしたら、いま変だなと思っていたことにも慣れてしまうと思うんですよね。そうなると、変だなと思っているいまの気持ちはもう思い出せなくなってくる。なぜ変だと思ったのか、それをきちんと記録して残しておくということは、重要なことじゃないかと思っているんですよね。それが遡れることは、きっと後世にも役立つことになると思います。</p>
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    <title>対話に関する、大きな誤解とは？ ━━真の組織改革は「わかりあえないこと」からはじまる - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <id>tag:bnl.media,2020://125.9399</id>

    <published>2020-05-18T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-08-03T13:01:56Z</updated>

    <summary>いま、組織づくりにおいて、対話的なアプローチが重要視されている。しかしそれはわかりあうことや、人間関係を良くするためではないという。わかりあえなさと向き合い、理想論ではなく現実に即して組織を変えていく。この思想こそが組織改革に必要な真の対話である。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>会社組織における「対話」の重要性が指摘されることが増えている。一緒に働く仲間同士が「わかりあう」ことなしにいい仕事はできないだろうということが、よく言われるようになった。</p>

<p>しかし、組織づくりと対話やナラティヴ（物語）の関係性にいち早く注目してきた経営学者の宇田川元一は、こうした「わかりあうためのものとしての対話」という論調に、「それでは組織はよくならない」として異を唱える。</p>

<p>BNLで過去数回にわたって取材してきたグロービスもまた、組織改革の手法として対話的アプローチを重視する。「練り上げられた戦略が真に有効なものになるには、組織やその構成員一人ひとりが、戦略を実行できる状態へと変わる必要がある。この『人・組織が変わる』のに対話が非常に有効なのだ」とグロービスの西恵一郎は言う。</p>

<p>そこで今回は、宇田川と西の二人に、いま組織に真に必要な対話とはなにかをテーマに対談してもらった。「組織改革はむしろ、わかりあえないとわかることから始まる」と語る両者。ぼくらは対話に関して、どんな誤解をしてしまっているのだろうか。</p>

<h2>対話とは、改革の思想である</h2>

<p><strong>西</strong>　我々の仕事はクライアント企業のいわゆる組織開発のお手伝いをすることですが、企業によって組織のあり方は一つひとつ異なるし、組織の構成員も一人ひとり違う。なおかつ常に変化しています。だから、ぼくは普段から「組織は生き物だ」と思うようにしているんです。経営者の人たちは、そうした生き物のような組織をとある方向へと成長させたいと思っている。そのサポートをするのがぼくらの役割です。</p>

<p>具体的には、「個人の能力を伸ばすこと」と「ベクトルを一つの方向に向けていくこと」の二つのお手伝いをするのですが、この後者に「対話」がすごく大事になるというのが、私の認識です。というのも、「やらなければならない」というコミュニケーションは、放っておいても上から降りてくる。けれども、多くの人はそれに納得しない状態で動いています。だからパワーが出ない。「やらなければならない」ではなく、その人自身が「やりたい」状態をどうにかしてつくる必要があります。「対話」はそのための有効な手段だと捉えています。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　ということは、西さんのお仕事はトップも含めての改革ということになるわけですね。それは私が考えていることと非常に近いと感じました。最近の私の知的関心は、まさに改革に向いています。私が言っている「対話」とは「改革の思想」なんです。よく言われるような「わかりあうためのもの」ではない。わかりあえなさがある中でどう改革していくか、変革していくか、という話です。</p>

<p>となると、変わらなければならないのは組織を構成するメンバーの側だけではない。そのように働きかける側もまた変わらなければならない。双方が変わることによって初めて、やれることも変わっていくわけです。ですから、西さんのお仕事は便宜上、「経営トップが新しい戦略・方向性をつくるプロセス」と「できたものを組織に浸透させ、メンバーがコミットできる状態をつくるプロセス」の二つに分けられると思うんですが、その両方が対話的である必要があります。</p>

<p><img src="/uploads/_DSC5098-Edit.jpg">
<aside><strong>宇田川元一</strong><small>埼玉大学経済経営系大学院准教授</small>
<p>2000年立教大学経済学部卒業。02年同大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。06年明治大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得。 06年早稲田大学アジア太平洋研究センター助手、07年長崎大学経済学部講師、准教授、10年西南学院大学商学部准教授を経て、16年より埼玉大学大学院人文社会科学研究科（通称：経済経営系大学院）准教授。  専門は、経営戦略論、組織論。 ナラティヴ・アプローチに基づいた経営変革、戦略開発を中心に研究を行っている。また、様々な企業のアドバイザー、メンターとして、その実践を支援している。 2007年度経営学史学会賞（論文部門奨励賞）受賞。19年、著書『他者と働く━━「わかりあえなさ」から始める組織論』を出版。</p></aside></p>

<p><strong>西</strong>  ええ。そうですね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　前者の例としては、マイクロソフトのCEOサティア・ナデラが、同社と自身の関係が再構築されていった過程を描いた『ヒット・リフレッシュ』という本がおもしろい。彼のお子さんは奥さんのお腹の中にいる時に窒息して脳に障害を持って生まれてくる。それで人工呼吸器につながれるのですが、その人工呼吸器が自社のOSで動いていることを知り、ナデラは自分たちのプロダクトにどんな価値があるのかを改めて実感したそうです。</p>

<p>一方で彼自身はエンジニアだから、技術の動向をいろいろと知る中でクラウドの重要性が見えてきたという話、あるいはアップルなどとの競争に負けていく痛みや、セクショナリズムが進んでどんどん不愉快な会社になっていくのを変えたい思いなども描かれる。この本では、そういうさまざまな状況に取り組む中で新たな戦略・方向性が見えてきたということが語られている。私が前者の意味で言う対話的なプロセスとは、まさにこのようなものです。</p>

<p><strong>西</strong>　トップが発する戦略の背景や、トップ自身の価値観や思いをメンバーに伝える必要があるということですね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　はい。後者に関しては、よく「巻き込む」という言い方をしますが、これは物事の片面しか見ていない。一方ではトップ自身が「巻き込まれる」必要もあります。そうでなければ、メンバーにとって意味のある言葉として語ることはできないからです。「巻き込む」「巻き込まれる」の二者が不可分になって初めて対話的と言えるんです。トップがつくった方針をただメンバーに向けて発信して......というのは、対話ではない。</p>

<p>だから、先ほど便宜上二つに分けさせてもらいましたが、実はこの二つはくっついているんです。これまでの過程でメンバーがどんな痛みを抱えていて、どういう苦しみがあり、でもどういう可能性を感じていて、そこにはどんな市場があるのか。さらには、トップ自身はどう感じていたのか。そうしたさまざまなナラティヴの接点をつくっていくことが対話です。一見するとトップがメンバーを巻き込んでいるように見えるけれども、同時にさまざまなナラティヴにトップ自身が巻き込まれ、参入していなければ、両者に橋はかかりません。</p>

<h2>ロジックを包むナラティヴが共感を生む</h2>

<p><strong>西</strong>　我々としてもそうやって橋をかけなければ組織は動かないと思ってやっているのですが、クライアント企業の経営層とお話をしていると、その優先順位は決して高くない印象です。経営者はコミュニケーションを疎かにしたいとは思ってはいないものの、実際には社員の「自主性」という言葉のもとに、「方針は出した。あとは理解して実行していくのが社員の役割だ」というコミュニケーションになっていることも多い。ここに日本企業の一つの課題があると感じます。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　論理思考力が高い"優秀な人"からすると「こちらは正しい論理に基づいて方針を打ち出しているのだから、現場はそれに従いさえすればよい」という意識があるのでしょう。そういう人の論理自体が間違っているとは思いません。思わないが、実践的ではない。どれだけ正論を言ったところで効果を生まなければ意味はないわけです。リーダーがメンバーを動かし、本当に理想的な状態をつくっていくためには、自分から見て正しいというロジックだけではダメ。メンバーみんなが登場人物になっていけるような物語がなくては、そのロジック自体が機能せず、結果的に人は動きません。</p>

<p><strong>西</strong>　おっしゃる通り、我々も最終的には組織のメンバーみんなが物語の登場人物になっている状態を目指すんです。けれども、いきなりそこにはいけない。まずやらなければならないのは、リーダー自身が自分の言葉で物語を語れるようになることだと思っています。</p>

<p>日本企業の多くのリーダーは自分の言葉で語ることが苦手です。企業がどうしたいか、組織がどうなったらいいかというロジックは語れても、そこにその人らしさのようなものが出てこない。だから、ぼくらが大企業の人と向き合う際にはまず「あなたはどうしたいのか？」と聞くことから始めます。社会と会社と組織と個人という四つのレイヤーがあるとすると、それらが線でつながって初めて物語は生まれます。まずはリーダー自身が自分の言葉で語れるように働きかけ、その上でいかに共感をつくるかをお手伝いするというのが、我々のやっていることです。</p>

<p><img src="/uploads/_DSC5078-Edit.jpg">
<aside><strong>西恵一郎</strong><small>株式会社グロービス 　グロービス ・コーポレート・エデュケーション部門マネジング・ディレクター </small>
<p>三菱商事株式会社にて、不動産証券化、コンビニエンスストアの物流網構築、商業施設開発のプロジェクトマネジメント業務に従事。B2C向けのサービス企業を立ち上げ共同責任者として会社を運営。グロービスの企業研修部門にて組織開発、人材育成を担当し、大手外資企業のグローバルセールスメソッドの浸透、消費財企業のグローバル展開に向けた組織開発他、多くの組織変革に従事。海外法人を立上げ、現地法人の経営を行う。現在はコーポレート・エデュケーション部門マネジング・ディレクター兼中国法人の董事を務める。</p></aside></p>

<p><strong>宇田川</strong>　「自分の言葉で語れない」というのは、要は自分が述べていることが、実は他人事になっているということですよね。それなのに、メンバーに対してだけ「他人事のように仕事をするな」と言うのは、欺瞞でしかない。</p>

<p>組織がうまくいかないことの背景には、おっしゃるような経営者自身の違和感を覚えた出来事はもちろん、社員や顧客の反応など、さまざまなことが「点」として存在しているはずです。組織としてよい実践をするためには、自分の中の正しいロジックは一旦置いておいて、なぜうまくいかないのかを「観察」し、こうした「点」を集める必要があります。それらを結ぶことで初めて、背後にある物語が像を結び、なにが起きているのかが見えてくるのです。</p>

<p>医療には、「ナラティヴ・メディスン＝物語医療」と呼ばれる領域があります。医師や看護師が患者をケアする際には、患者が「よくわからないこと」を言ってくる。それが科学的に見れば意味のないことや間違っていることだとしても、患者は患者としてなにかを物語ろうとしている。つまり、医療者と患者との間にはナラティヴの溝がある状態です。これを医療者側の正論で切り捨ててしまうのは、よい医療とは言えません。特に、慢性疾患の場合は顕著で、医療者だけでは問題が解決できません。慢性的に続く病気は、患者自身にも参加してもらわないといけないし、場合によっては患者の家族の参加も必要だからです。</p>

<p>こう考えると、専門知識はありながらも、それだけではよい医療を行うことができない慢性疾患ケアの専門家と、経営戦略や大局的な視座からの論理はありつつも、一人の力ではどうすることもできない経営者というのは、近いものがある。ここで大切なのは、正論を振りかざさず、起きていること、特におかしいなと思うことをよくよく観察してみて、それが一体相手のどんなナラティヴにおいて合理性があるのかを探っていこうとすることです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC5068-Edit.jpg">
<figcaption>エビデンスに基づく正しいロジックで解決しようとするよりも、物事がうまくいかない背景にある物語をまず探る。それが「変わること」につながるという。</figcaption></figure></p>

<h2>組織はリーダーを映す鏡である</h2>

<p><strong>西</strong>　リーダーがメンバー一人ひとりの背後にある「点」を読み解けなくなっているのには、働く従業員の価値観の変化が大きいと感じます。ぼくらの10個上の世代の時代は当たり前のように体育会系の世界で組織が運用されていました。40歳過ぎのぼくらはギリギリそれがわかる世代ですが、30代前半ともなると、もはやまったく理解できない。そこにギャップがあります。</p>

<p>ギリギリわかる世代の多くは自分が教えられたのと同じように、体育会系のやり方で下と接しようとします。そこに悪気は一切ない。良かれと思ってやっているんです。けれども、価値観のまったく異なる若者からすれば、それはすごく押しつけ感があるし、フィットしない。だからパフォーマンスも上がらない。この、押しつけている側に押しつけている自覚がないことが大きな問題なんです。自覚がないままだと相手について理解しようとはならない。だからいつまで経っても解決しない。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　おっしゃる通り、世代間ギャップはバカにならない問題ですよね。世代のナラティヴというものがどうしてもあるから。ただ、いくら読みづらいとは言っても、「観察」していれば違和感くらいはあるはずで。その違和感に気づけないのはリーダー自身に「準備」ができていないからだと思う。</p>

<p>その「準備」とはすなわち、「自分自身が問題の一部なのだ」と自覚することです。マネジメントで言うなら、「人が育たないのは自分のせいでもある」と気づくこと。それをせずに、ただ教えられたように教え、育てようとすると、相手は動かない。それで「部下が育たない」とただ嘆き、自分でカバーしようとしてプレーイングマネジャー化していく。するとどんどん忙しくなって、部下がどんな思い、どんな考えでやっているのかを見る余裕はますますなくなっていく。でも、最初のところで「自分にとって困ったことが起きているのは、自分が部下のことを理解できていないからではないか」というところにちょっとでも目が向くと、そこからやりようが見えてきます。</p>

<p><strong>西</strong>　我々がリーダーと接する際にしているのも、まずは「知らず知らずのうちにそういう状態になってしまっているよ」と伝えること、そして「組織はリーダーを映す鏡である」と伝えることなんです。部長や課長の人たちはよく「うちの組織はあまり挨拶をしないんです」「雰囲気がちょっと暗いんです」とおっしゃる。でも、それはあなたが挨拶をしないからだろう、と。リーダー自身が挨拶せずに仏頂面で座っていれば、それは組織も暗くなりますよ。結局、組織で起きていることはリーダー自身の行動の結果です。ここに向き合って自分を変えていけば、組織も変わっていくことになる。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC5025-Edit.jpg">
<figcaption>組織の雰囲気の悪さは、リーダーそのものを写している。西は、組織変革を後押しする過程において、リーダー自身に「まず自分に矢印を向ける」ことを促すという。</figcaption></figure></p>

<p><strong>宇田川</strong>　ただし、自分一人ではこの自覚は難しいですよね。そのために必要なのも対話だし、まさに西さんのように、外から働きかける存在なのだと思います。ぼくはよく「孤独はいいが孤立はダメだ」と言うんですが、その際に例に出すのが、映画『ボヘミアン・ラプソディ』。あれはフレディ・マーキュリーの孤独との戦いを描いた作品です。なぜ孤独はいいのかと言えば、孤独とはその人のオリジナリティだからです。ほかの人と違う道を選ぶから孤独になる。天才であるゆえんとも言えます。けれども、あの映画でもよく描かれていたけれど、孤立はダメ。孤立すると、自分一人でぐるぐると考えて、どんどん変な方向に行ってしまう。ダイアローグではなく、モノローグになってしまうから。</p>

<h2>「わかりあう」とは、「わかりあえない」とわかること</h2>

<p><strong>西</strong>　もう一つお話ししたかったのは、組織と組織の関係です。経営者の方は組織と組織を結びつけることで「シナジー」を生もうとするのですが、ぼくは「シナジーはファンタジー」だと思っていて。</p>

<p>そう思う理由は二つあります。一つは構成員の意識。別の組織にいる人のことは「所詮、自分たちとは違う人たちなんだ」と分ける意識が生まれやすい。そのせいで、組織同士の仲が悪いということが、どの会社でも起こっています。そのままでは当然、シナジーなど生まれようがありません。もう一つは、組織によってKPI、つまりは背負っている目標が違うこと。組織はどうしたって目標に対して最適化されますから、KPIが違う組織がシナジーを生み出そうと思っても、それは無理なんです。その無理なところに橋をかけるのもぼくらの役割なのですが、この点に関して、宇田川さんはどう思われますか？</p>

<p><strong>宇田川</strong>　ぼくは大学では経営戦略論を教えているのですが、アンゾフ・マトリックスを使って経営統合によるシナジー効果の説明をする際には、ぼくも裏話として「シナジー効果なんて疑わしい」という話をよくします。その時に例に挙げるのが、ダイムラー・クライスラーの合併の失敗です。例としては少し古いですが、この合併は、教科書的にはシナジーが大発揮されるはずでした。ダイムラーは北米の販売網が弱いし、クライスラーはヨーロッパの販売網が弱いから、お互いの弱点を補完できる。次世代の自動車開発で共通の研究開発投資ができるし、部品の共通化もできる。ところが、実際に蓋を開けてみたら、高級車と大衆車では部品のクオリティに差がありすぎるなど、いろいろと問題があって、額面通りにはいかなかったんです。</p>

<p>けれども考えてみれば、同じことは様々な企業のグループ化がうまくいったフォルクスワーゲングループにも当てはまるわけです。ということは、大事なことは「一見してありそうだったシナジーが思ったほどなかった」という話の先にあるのではないか。理屈の上であるとなっていたシナジーがなかった時になにをするのか。ダイムラー・クライスラーはそこに失敗していたのではないかと思うのです。</p>

<p><strong>西</strong>　ああ、なるほど。買収前に分かるに越したことはないですが、難しい時もある。大切なのは、シナジーが効かないと分かってから、どのように戦略をアジャストして、そして組織が戦略に呼応して新しい価値を創れるかですね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　対投資家向けのロジックとして「戦略的にはこうだ」と言うこと自体はいいんです。ですが、マネジメントというのは本来、それをどうリアライズするかに本当に大事なところがあるはずです。お互いに全然違うカルチャー・価値観で車を造ってきた2社だし、KPIも当然違う。大事にしたいものも違う。という中でどうすればいいのかと言えば、「合併したのだから、理屈の上ではこういうふうに協力して、こういうものを造らなければならない」という綺麗事を言うのは一回やめて、お互いなにが違うのか、その違いと向き合ってみる。その上で、「少なくともこういうことをやっていったら、なにか価値がつくれるのではないか」と、現実に即して考えていくことだったのかもしれません。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC5127-Edit.jpg">
<figcaption>ロジックではシナジーが生まれるはずの組織同士でも、カルチャーも価値観も目標も違えばシナジーは生まれなくて当然というのが二人の考え方。大切なのは、シナジーが生まれなかったその先で、お互いの違いと向き合って、現実に即した戦略を進めることだという。</figcaption></figure></p>

<p><strong>西</strong>　我々がお手伝いしているクライアントの中には、シナジーを生み出すことに成功している企業もあります。積極的に買収し、背景も事業領域も異なるいろいろな会社がグループに入ってくるにも関わらず、シナジーを生み出せている。なぜかと言えば、その企業には理念があり、そこにストーリーがあるから。その考え方・価値観に対してはみんなが共感するから、やっていることは違っても「そこでつながっていればいいよね」という状態が出来上がっている。だからシナジーが生まれるのではないか、と。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　それは逆説的に言うなら、お互いの違いをちゃんと見られる状態にするために、ある一点においては同意していこうということなのだろうと思います。「違うけど、ここは仲良くしよう」「ここを基盤にしよう」ということなので。「なんで話が通じないんだろう」みたいな時に、「違うのはしょうがないよね。その上で、じゃあどうしようか」となることが大事なのだと思う。自分が事前に思っていた理屈が通用しなかったというのは、たしかにその時はショックだけれど、でも、それはもっとやりようがあることを告げてもいると思うのです。ぼくは平田オリザさんの『わかりあえないことから』という本がすごく好きなんです。日本人はお互いを同じだと思っているから対話が起きない。逆に「おんなじじゃないけど、それでも一緒になにかを生み出していこう」となった時に対話は生まれるし、それぞれがもっている差異が価値になり、リソースになる。</p>

<p><strong>西</strong>　それこそがダイバーシティの本質的な部分ですよね。その違いをどう経営に活かすのかを意識して対話をつくらなければ、ダイバーシティも意味がない。正論を言うだけで対話をしない人は、目的が「多様性をつくること」になっていて、「多様性を活かして成果を出すこと」ではなくなっています。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　ぼくの本を読んだ後輩の研究者が「これは大人になる本だ」と言ってくれたのですが、言い得て妙だなと思いました。自分にとって不都合なこと......例えばいまだって新型コロナウイルスで、どうすることもできないことがたくさん起きているけれど、「そんな状況でもやれることはなにか」と考え、やっていくのが大人じゃないですか。「わかってほしい」と思う気持ち自体はわかるんです。でも、「じゃあ自分は向こうのことをどれだけわかっているのか」という話もあるわけで。わかっていないのはお互いさま。だから、非常にトリッキーな言い方ではありますが、「わかりあえないことがわかる」というのが、対話の中核に据えられているものなのではないでしょうか。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC5116.jpg">
<figcaption>2019年に出版された宇田川の著書『他者と働く━━「わかりあえなさ」から始める組織論』には、ナラティヴ・アプローチの重要性が書かれている。今回の対談では、時折、本書の内容について触れる場面があった。</figcaption></figure></p>
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    <title>常に自分をアップデートし続けるために本を読む。児玉昇司が選ぶ、再読の書3冊 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-05-13T01:15:57Z</published>
    <updated>2020-06-09T04:25:02Z</updated>

    <summary>新連載「再読のすすめ」の初回は、シリアルアントレプレナー（連続起業家）であり、現在、ブランドバッグレンタル「ラクサス」 を展開するラクサス・テクノロジーズ株式会社の代表取締役社長・児玉昇司がセレクトした、常に変化する市況で「思考し続ける」ための3冊を紹介する。
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        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="再読のすすめ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<h2>まだ越えられない壁を越えていくために本を読む</h2>

<p>私が読書をする意味。それは自分をアップデートするためだと思っています。18歳のときからビジネスを始めて、立ち上げた会社がある程度は成功はするものの、いつもそこには越えられない壁のようなものが現れるんです。その壁を越えて次に行きたい、もっと視野を広げていかなくては、と思ったときに本を手に取っています。</p>

<p>仕事に活かすために本を読むということは、興味のない本も読まなくてはならないこともあるので、ほとんど脅迫観念で読まなければならないと思っていた時期もありました（笑）。</p>

<p>ですが、最近本を読むことについて解き放たれてきたように感じています。これまでは、本の最初から最後まで読まなくてはならないと思い込んでいたのですが、今では、本の中から１行でも自分のためになることがあったら、もはやそれで十分なのではないかと思い始めています。それから読書をすることが楽しくなりましたね。</p>

<p><img src="/uploads/saidoku_1.jpg">
<aside><strong>児玉昇司</strong>
<p>ラクサス・テクノロジーズ　代表取締役社長。広島市出身。シリアルアントレプレナー。早稲田大学EMBA修了。 1995年、早稲田大学入学半年後に最初の起業。 会社売却などを経て、自身4度目の起業となるラクサス・テクノロジーズ株式会社を創業。 2015年2月、毎月定額でラグジュアリーブランドのファッションアイテムが無限に使い放題（貸したり借りたり）になるC2Cシェアリングプラットフォームアプリ「Laxus（ラクサス）」をローンチ。</p></aside></p>

<p>今回選んだ3冊に共通するテーマは「思考停止禁止」。</p>

<p>どの本も、ビジネスをし続けるかぎり現れる「壁」を越えていくために、思考し続けていかなければならないときに、ヒントを得られます。</p>

<h2>物事は複雑化せずシンプルに考えていく</h2>

<p></p></aside><figure>
<img src="/uploads/saidoku2_83A0736.jpg">
<figcaption>「ThinkSimple アップルを生み出す熱狂的哲学」著：ケン・シーガル（NHK出版）
</figcaption></figure></p>

<p>本のタイトルの通り、ビジネスにおいて本当に大事なことは、すごくシンプルだと思うんです。そう考えるようになったのは、これまで私が起業してきた健康食品や英語教材などの通信販売ビジネスで得た経験が元になっています。</p>

<p>これらのビジネスを起業してから、順調に伸びていた売上が落ちてくることがありました。そこで私は、社員がどんなプランを顧客に提案するのか知りたくて、顧客のフリをして、自分の経営している会社に何度か電話をかけてみたのです。すると、私が顧客としてオーダーしている内容は同じなのに、電話対応をするオペレーターによって提案するプランはバラバラだったのです。つまり、この時点でもう複雑化が起きていて、売る側が最適なプランを分かっていなかったのです。</p>

<p>世の中の多様化に伴い、ついたくさんのプランを作ってしまいがちですが、実はコンシューマー向けのビジネスで、私たちが本当にやらなければならないのは一つだけだと思っています。それはユーザーが求めていることだけを提案すること。そういった考えがこの本には的確に書かれています。</p>

<p>実際、顧客に対して提案すべきプランをシンプルに絞るようにしたところ、売上が上がるようになりました。こうした経験から、この本は私の人生のなかで何度も読まなければならない本だと実感しましたね。</p>

<h2>人間の不合理な選択にこそビジネスのヒントがある</h2>

<p></p></aside><figure>
<img src="/uploads/saidoku3_83A0746.jpg">
<figcaption>「ダニエル・カーネルマン　心理と経済を語る」著：ダニエル・カーネルマン（楽工社）
</figcaption></figure>
この本には、人間は合理的に動くものではない、ということが語られていると思います。例えば、自分が進む道として2つ選択肢があるとしたら、険しい道を選んだほうが良いと言われたりしますよね。しかし、現状に変化を起こすということには、悪化する可能性もあります。現状維持を選択すれば、そのようなリスクを負う必要がないと思い込み、そこに居続けようとしてしまう。身近なことだと転職することも同様ですね。変化することが茨の道に思えてしまいがちです。しかし、変化しないことによるリスクも当然あるわけです。これらのことは全て行動経済学につながってきます。</p>

<p>ラクサスは、サブスクリプション方式のビジネスで、顧客にサービスを毎月継続してもらうことが大切なんです。この本を読んで、一つヒントにしたことがあります。当社が提供するサービスは、月額6,800円で始められるのですが、初回で顧客に10,000円分のポイントを付与します。そうすると、2ヶ月目に退会するとき、約3,000円分のポイントを捨てることになり、損をしていると感じます。人間は損をするときのほうが心理的ダメージが大きいため、2ヶ月目に自分でポイントを足して継続し続けようと考える人が多いのです。この「損を回避する」ということに焦点を当てた、ビジネスのヒントはこの本から得ています。</p>

<h2>何かを決断しなければならない理由を教えてくれる</h2>

<p></p></aside><figure>
<img src="/uploads/saidoku4_83A0737.jpg">
<figcaption>「HARD THINGS 答えがない難問と困難にきみはどう立ち向かうか」著：ベン・ホロウィッツ（日経BPマーケティング）
</figcaption></figure></p>

<p>この本は起業家向けの内容ですが、全てのビジネスパーソンにも響く、リーダーシップについて書かれている本だと思っています。</p>

<p>例えば、マネジメントの視点で言えば、部下に対してとても言いにくい話をしなければならないとき、つい逃げ道を探してしまいがちです。この本の中では、言わなければならないことは先に言う、つまり結論として揺るぎないことに関しては先に言いなさい、ということが書かれています。何かを決断するとき、勇気がいりますよね。その決断するための説得力のあるアドバイスを与えてくれているんだと思っています。</p>

<p>もちろん、起業家としてこの本を読んでも得るべきことは多い内容です。この中で書かれている、これから企業を成長させていくなかで起こりうることを、まだ自分は全て経験していないので、想像するだけで震えてきますね......（苦笑）。「一難去ってまた一難」という言葉がありますが、自分が成長していると、必ずその一難は訪れるということだとも思っています。この本を読んでいると、人生に何か起きたときの、ある意味でマニュアルになるとも思っています。</p>
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    <title>新連載「再読のすすめ」はじまる - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-05-13T01:14:49Z</published>
    <updated>2020-05-13T01:22:39Z</updated>

    <summary>さまざまな分野の著名人が人生で出会った繰り返し読む良書を紹介する、新連載「再読のすすめ」がはじまる。
</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="再読のすすめ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>見聞を広げる、知識を増やす、自己を知る......本を読む理由は様々だが、人は本から何かしらの学びを得ることを楽しみに、読書をするのかもしれない。</p>

<p>かつて、自分が読んできた本を「再読する」ということも、読書の楽しみの一つとしてあるだろう。</p>

<p>例えば、学生時代に分からないなりに読み通した本を、大人になって再読することで新たな発見を得たり、とある一節がずっと心の片隅にあるからこそ、折に触れて再読するということもあるだろう。はたまた、なにかの節目にこの本を再読する、と決めている人もいるかもしれない。そして、これから再読することを予感させられる本もあるだろう。</p>

<p>このように再読したくなる動機は様々だが、本は読む状況や心持ちによって新しい価値を生むということ。それは、取り上げられている題材が古かったとしても、再読される本に書かれている価値の本質が変わらない、むしろ強固なものになっているということなのではないか。</p>

<p>当連載「再読のすすめ」では、研究者から経営者、文化人まで、さまざまな分野の著名人を選者に迎え、心の傍らにある「再読する」良書について紹介する。本の選者にとって、いつ読んでも価値のあるものは、恐らく誰かにとっても価値がある。こうした思いのもと「再読」をテーマに、豊かな読書体験について考えていきたい。</p>
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    <title>【緊急レポート】データで実証。新型コロナの影響で、ビジネスの「出会い」はどのくらい減ったのか - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-05-07T03:00:00Z</published>
    <updated>2020-05-08T01:08:29Z</updated>

    <summary>直接対面できなくても、オンラインでビジネスの出会いはつくれる。新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が提言した「新しい生活様式」でも、その実践例としてオンラインでの会議や名刺交換が挙げられた。これからのビジネスネットワーク形成について、改めて考える緊急特集。
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="変化するビジネスネットワークの形" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネスネットワーク" label="ビジネスネットワーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>Sansan株式会社のデータ統括部門、DSOC（Data Strategy &amp; Operation Center）の分析で、新型コロナウイルスの影響により、Eightユーザーの名刺取り込み枚数が大きく変動していることが明らかになった。</p>

<p>Eightで見られるこの変動は、コロナ禍のビジネスにおいて、対面で会う機会が減っているということを意味している（ここでは便宜上、直接会うことを「対面」とする）。しかし、対面で会えないからといって、出会いをあきらめる必要はない。Zoom、Google Hangoutsなどの会議ツールや、Eightの名刺交換機能など、さまざまなコミュニケーションツールが存在するいま、それらをうまく活用すれば、出会いを見つけ、広げていくことは、対面でなくても可能だ。</p>

<p>実際、5月4日に新型コロナウィルス感染症対策専門家会議が提言した、感染拡大を防ぐための「<a href="https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_newlifestyle.html" target="_blank" rel="nofollow">新しい生活様式</a>」でも、働き方の新しいスタイルの実践例として、オンラインでの会議や名刺交換が挙げられている。</p>

<p>そこで今回BNL編集部では、改めて「ビジネスネットワークの価値」と、変化する状況下におけるネットワーク形成について特集をはじめることにした。ひとりでも多くのビジネスパーソンが、直接会うことができない状況でも「出会い」をあきらめず、新たなビジネスへとつなげていけるように。</p>

<p>これから数週間にわたり、社会ネットワーク理論の基礎を学びながら、オンラインファーストの世界で出会いをつくり、継続させるために必要なことを紐解いていく。</p>

<p>初回はまず、DSOCの分析レポートから、実際にいまビジネス上で対面の出会いがどのくらい減っているのかを見ていきたい。今回の分析では、新型コロナウイルス関連ニュースの影響や、業種別・都道府県別の名刺取り込み枚数の推移データを活用した。</p>

<h2>前年比45％まで落ち込む</h2>

<p>まず、2020年1月から現在までにどんな出来事があったかを想起しやすくするため、以下に、新型コロナウイルス関連の出来事をまとめた。グラフ中、カラーの縦ラインと合わせて見ていきたい。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/2_dekigoto.png"></p>

<p>2020年1月1日〜4月25日までの実際の名刺取り込み枚数と、昨年と同じ経済状況が続いた場合の同時期の名刺取り込み枚数をシミュレートした値との比較データを活用した。便宜上、その比較を「前年比」と表記する。</p>

<p>最新データである、4月19日〜25日週の名刺取り込み枚数は、前年比44.71%まで落ち込んだ。政府が人々の間の接触を8割減らすことを求める中で、ビジネスにおいては「出会い」が5割以上減少したことになる。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/3_meishitorikomi_yosokuhi.png"></p>

<p>1月16日に日本国内初の新型コロナウイルスの感染者が発表されたが、そこから1ヶ月後の2月中旬までの名刺取り込み枚数は、例年と比べて約3％の減少にとどまっている。</p>

<p>変化が起きるのはここからだ。主に二つの大きな波がある。グラフ中の濃いグレーで色づけしている部分で、一つ目が2月23日〜29日の週。この週は、2月26日に安倍首相により発令された「文化イベントやスポーツの自粛要請」を含んでおり、前年の79%に減少している。</p>

<p>二つ目の波は、3月29日〜4月4日の週。ここで急降下し、例年の69%ほどに落ち込んでいる。過去のデータを参照すると、例年この週は4月1日を中心に、入社式や入学式の影響で名刺取り込み枚数が増加するタイミングだが、今年はほとんど伸びなかった。この二つ目の急降下は、最新のデータである4月25日週まで続いている。</p>

<h2>各社のプレスリリースによる影響か？ 名刺取り込み枚数が変動</h2>

<p>減少トレンドの兆候を掴むため、新型コロナウイルスにまつわるニュース（法人向け名刺管理サービスSansanで配信対象としているニュースから取得）との関連性も分析した。ニュースには、世界経済、感染、学校に関するトピックなどが含まれる。なかでもテレワークに関するトピックの中の「当社」という語の比率が、先に示した名刺取り込み枚数が急降下した2月23日〜29日の週、3月29日〜4月4日にピークに達していた。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/4_news_2.png"></p>

<p>テレワーク関連で「当社」という言葉が見られるニュースは、企業の新型コロナウイルスへの対応に関するプレスリリースである可能性が高い。各企業が、新型コロナウイルスの対策に関する公式的な見解を発表したと同時に、従業員が訪問を伴う営業活動を停止させたため、名刺交換の機会も減ったと予想される。</p>

<h2>業種は保険業が32%、地域では山形が35％まで減少</h2>

<p>続いて業種別の影響について。Eightに取り込まれた名刺を業種別に見ていくと、4月19日〜25日週の集計値は、保険業が前年比32.09%まで低下。その他、投資業32.26%、郵便業・電気通信業32.6％、広告業33.03％と減少している。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/gyoushu_big.png"></p>

<p>一方で、減少してはいるものの、比較的変化が小さい業種もある。職別工事業や総合工事業などの建設業、小売業などの一般の消費者との接点が多い業種だ。例えば職別工事業は68.65%、総合工事業業では63.51%。大手ゼネコンでは事業所閉鎖の発表もあったが、現時点で名刺取り込み枚数の減少幅は大きくない。こうした業種は、目的の場所に行かなければならない仕事で、テレワークがしづらい状況であることが予想される。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/gyoushu_small.png"></p>

<p>さらに、都道府県別でも見てみよう。取り込まれた名刺の枚数が大幅に減少している県は、山形県で前年比34.56%、東京都 36.54%、沖縄県 39.01%、富山県42.53％まで減少。</p>

<p>山形、富山は新幹線で東京とつながっているため、東京での行動変容の影響を受けており、また沖縄は、企業研修の中止や、ゴールデンウィークのイベントの中止により、沖縄へ出向くビジネス パーソンが減っていることなどが要因と考えられる。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/todoufuken.png"></p>

<h2>対面できなくても、出会いはあきらめなくて良い</h2>

<p>コロナ禍のビジネスにおいて、出会いが減少していることは明らかだ。しかし、冒頭でも述べたように、Eightは「出会いをあきらめる必要はない」ことを主張する。むしろ「会いに行く・来られる」ための準備に時間や手間をかけずに済むという点では、これまで会ってみたかったけれどアポを取ることができなかった相手や、仕事の相談をしてみたかった相手とコンタクトを取れるチャンスとも捉えられる。</p>

<p>例えばEightで会いたい人を探して、名刺交換リクエストを送ってみる。それが新しいビジネスが始まるきっかけになるかもしれない。この先、オンラインで初めて会う人や、まだ対面では会ったことがない人と名刺交換をするのも良い。お互いに新しい発見があるかもしれない。名刺には、氏名、部署、役職、企業ロゴなど、確かな情報が記載されている。また名刺を差し出すという行為は企業を背負っていることを暗に示すものでもあるため、信頼につながりやすい。だからこそオンライン名刺交換は、対面で会えない状況下における、ネットワーク形成の新たな方法のひとつと言える。</p>

<p>これから数週間にわたり、社会ネットワーク研究の世界をのぞきながら、いま行うべきネットワーキング戦略について考える。当然そこでは、「対面すること」の意味も見直すことになるだろう。この特集を通して読者の方々が「出会い」についての議論に興味を持ち、また「出会い」の価値を再認識してくれることを期待したい。</p>
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    <title>音楽家たちの収益を絶やさないために。世界中のリスナーとの接触機会をつくる「origami Home Sessions」 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/04/origami-home-sessions.html" />
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    <published>2020-04-28T02:00:00Z</published>
    <updated>2020-04-28T02:00:56Z</updated>

    <summary>新型コロナウイルスが音楽業界に与えた影響は決して小さくない。多くのライブハウスが営業自粛せざるを得ない状況で、音楽家は活動の場を失うこととなった。この危機になにができるのか......？腕利きミュージシャンを抱えるorigami PRODUCTIONSは、業界に還元できる方法を考え、即座に行動に移すことを選択した。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>いま、音楽をはじめとするエンターテインメント業界は、かつてない危機を迎えていると言わざるを得ない。２月末に、全国的なスポーツや文化イベントの中止、延期または規模縮小などの対応を要請されて以来、多くのライブハウスは営業を自粛してきた。それはライブハウス自体の収益も当然ながら、そこで活動するミュージシャンたちの収益もストップしてしまうことを意味する。イベントをオンラインに代替したり、クラウドファンディングを実施したりと、さまざまな手を尽くしているものの厳しい状況は変わらず、だ。</p>

<p>そんな中、mabanua、Kan Sano、Shingo Suzukiといった、実力派のミュージシャンたちを擁するorigami PRODUCTIONSが、所属アーティストの楽曲を無償提供する「<a href="http://ori-gami.com/home-sessions/">origami Home Sessions</a>」を3月31日に始動した。</p>

<p>同プロジェクトは、ライヴができず収益が当面見込めないアーティストにインストトラックやアカペラのデータを無償提供するというもの。楽曲のパラデータ、ステムデータもダウンロード可能で、構成を変える、サンプリングする、ラップや歌を乗せる、楽器を足す、といった方法でコラボ楽曲を制作できるというものだ。制作した楽曲はネットにアップするだけでなく、CDやストリーミングで販売でき、収益は100％リリースしたアーティストに提供される。</p>

<p>また、origami PRODUCTIONS代表の対馬芳昭は、自己資金2,000万円を全て音楽シーンに寄付する「<a href="https://note.com/yoshiorigami/n/n565042212e67">White Teeth Donatin</a>」を4月3日にスタートさせた。誰でも笑えば白い歯（white teeth）が見えることから名付けられた。</p>

<p>音楽業界に20年以上身を置き、自身を育ててくれた業界への感謝と問題意識を同時に抱えていた対馬は、システムや意識も含め構造改革が必要だと考え、2年以上前から貯蓄や投資を積み重ねてきた。しかし、新型コロナウイルス感染拡大という想像を超える危機が突然やってきたことで、いまこそそのタイミングだと決断した。</p>

<p>「レーベル所属のアーティストに対してではなく、自分たちのいるフィールド（畑）を耕すこと。それはいずれ私たちレーベルにも帰ってくると思っています。」と語る対馬に、いまこの状況下における率直な思いを聞いた。なお、この取材は4月13日にオンラインで行った。</p>

<h2>いま、恩返しをしなくてはならない</h2>

<p><strong>――origami Home Sessionsをスタートさせた経緯</strong></p>

<p>いま、音楽業界はライブができないというのがいちばんの問題です。音楽にはいろんな収益のモデルがあるんですけど、ライブを収益の主軸にしているアーティストが数多くいます。ウチのチームは収益的な部分でいうと、ライブに加えて裏方仕事っていうんですかね、実はそこも大きいんです。プロデュース業やアーティストのバックでの演奏、映画やCMなどの映像に音をつけたりとか......実はいまも締め切りに迫られているくらい忙しかったりします。</p>

<p>だから、音楽業界とひと言にいっても状況が全然違うんですよね。とはいえ、全員なにかしら指針型コロナウイルスの影響は受けている。ウチはふだん、いろんなアーティストやレーベルにお世話になっているので、この状況でなにか恩返しができないかと思ったのが、origami Home Sessionsをスタートさせたきっかけなんです。</p>

<p><iframe width="100%" height="450" scrolling="no" frameborder="no" allow="autoplay" src="https://w.soundcloud.com/player/?url=https%3A//api.soundcloud.com/playlists/1021693963&#038;color=%23252525&#038;auto_play=false&#038;hide_related=false&#038;show_comments=true&#038;show_user=true&#038;show_reposts=false&#038;show_teaser=true"></iframe></p>

<p>origami Home Sessionsは、origami PRODUCTIONSのアーティストによるインストトラックやアカペラのデータを使って、コラボ楽曲をネット上にアップするというものです。インストの上に歌を乗っけてもいいし、ラップをしてもいい。演奏家だったらセッションしてもいい。それを自分の楽曲としてリリースすることが可能で、収益は全てリリースしたアーティストに提供します。</p>

<p><strong>――プロジェクトスタート当社は、どういう広がりを想定していましたか。</strong></p>

<p>特段、想定していたことはなかったのですが、希望としては各アーティストの収益につながってほしいという思いはありました。ただ、それはこちらでお手伝いできる限界もある。各アーティストがいい作品をつくり上げて、それをどこでリリースして、それがいくらになるのかは、それぞれの力になってきます。</p>

<p>いち早くBandcampを使って、楽曲を販売した人はけっこういますね。あそこは本当に一瞬でデータをアップできて、自分で値段を設定して販売できる。そういうカタチですぐに収益を生むカタチになっているのを見て、すごくいい動きだなと思いました。それを見つけるたびに内容がよかったら買うようにしています。</p>

<p>あとは、SpotifyとかApple Musicとかの聴き放題のサブスクリプションサービスがどう波及していくか、これからがすごく楽しみですね。</p>

<p>たとえば、Ed Sheeranの「Shape Of You」は、spotifyでもっとも再生された曲として記録されているんですけど、それは単純な一曲としてのカウントではなく、いろんなリミックスによるバージョン違いによるものなんです。spotifyやapple music上に、いろんなバージョンがあるっていうのは、それだけユーザーとの接触率が上がるんですよね。今回の「origami Home Sessions」も、同じ楽曲のバージョン違いがいくつもアップされることで、ヒットにつながる可能性があると思っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/origami-artist.jpg">
<figcaption>origami Home Sessionsに参加した、origami PRODUCTIONS所属のアーティスト。（左上から時計回り）、Kan Sano、Shingo Suzuki、Hiro-a-key、Michael Kaneko、mabanua、関口シンゴ。</figcaption></figure></p>

<p>いま、ウチのアーティストのリスナーの内訳は、国内が30%弱に対して、海外が70%を超えている状況です。この差は、サブスクリプションのシステムができてから顕著に現れました。だから、上手くウチのアーティストと紐付けるごとで、海外のリスナーにも届く可能性もあるんじゃないかなと。100万フォロワーぐらいの海外のプレイリストに入ると、ものすごい再生されるんですよね。もちろん、BGMとして流れているだけのこともあるので、アーティストとしてどこまで認知されているかの検証は難しいところではあるんですけど。</p>

<p>収益の面でいうと、サブスクリプションは長いスパンでお金になっていきやすい。ベーシックインカム的な金額が毎月固定で入ってくるので、ツールをいかに上手く使うかということで広がり方は全然変わりますね。</p>

<p><strong>――そうしたツールの使い方にアーティストは自覚的なものでしょうか？</strong></p>

<p>それは人によりますね。日本は小さな国と言われますけど、意外とマーケットが大きいんですね。いまはイギリスより大きくて、世界で2番目のマーケットなので。1番は当然アメリカなんですけど、CDが売上という意味では日本のほうが売れてるくらいなので、国内でヒットすればOKになってくるんです。ただ、いずれ人口が減っていく中で、世界で少しずつファンをつくっていき、その集合で成立させるという音楽のほうが、長い目で見たときにいいのではないかと思っています。</p>

<h2>音楽業界の構造を変えるための準備をしてきた</h2>

<p><strong>――音楽関係者に向けたドネーション「White Teeth Donation」について</strong></p>

<p>今回、自己資金2,000万円で「White Teeth Donation」を立ち上げたんですけど、この新型コロナウイルスの前からプランとしては考えていたんですね。単に寄付をするというよりは、音楽業界の構造を改革ができないか、そういうことにお金を使えないかと。</p>

<p>なぜ、そう考えていたかというと、日本の音楽業界って偏りがひどいんですね。かんたんにいうと、どこかにすべてが一点集中してしまう。アイドルとか子供向けの音楽があるのは全然いいと思うんですけど、売る側（レコード会社）も発信する側（メディア）も、「これしかない」みたいな極端な状態が何年か起きていました。ビジネスの仕方もそれに合わせている部分もあるので、いま売れているものに1点集中でお金をかけて、メディアからの情報も1点集中してしまう。</p>

<p>ぼくは音楽を専門に扱っている人間として、それはやっぱり問題だと思っていたんですね。ビジネスだけではなく、やっぱり文化としてもう少し伝えていかないと、結局最終的には飽きられてしまうんですよ。世界にはいろんな音楽はあり、そうした多様性を認めていけるような価値観をつくりたいと思っているんですね。そのために、小さな額ですけど資金をつくってきたのですが、そうこうしているうちにこうした事態が起こってしまいました。</p>

<p>いま、音楽で生活できなくなってしまう人たちを助けないと、そもそもの「構造を変える」という目的が達成されなくなってしまう。国がアーティストの救済をしないと明言した以上、じゃあ自分たちでやるしかないな、と。</p>

<p>結論としては、僕のまわりの素晴らしい音楽家の活動が止まってしまうことを防ぎたい。だから、音楽をやっていれば誰でも寄付しますというものではないんです。新人のアーティストからもいっぱい連絡は来ているし、感情としてはむしろそっちを重視したいんですけど、今回の意図はそういうことではない。</p>

<p>ここではっきり言っておきたいのは、誰もたかっているわけではないんですよ。こんなことが起きなければ、誰も僕のお金を1円も渡す必要なかったはずです。これはもう緊急事態だから行動に出てるだけの話なんです。</p>

<p><strong>――見通せない状況をどう乗り越えていくのか。</strong></p>

<p>ウチはいま14期目に入っているんですけど、一度も事業計画なんか立てたことないんです（笑）。ふつうは年間の事業計画があって、この時期にはこれぐらいの売上を想定して......ということをすると思うんです。僕も元々ビクターにいたので、それはすごく理解できるのですが、ウチは小規模でやっているからこそ、むしろそこの真逆をいったほうがいいなと。「今なにができるんだろう」を繰り返してきた結果、ここまで続いてきたという自負があります。</p>

<p>2007〜2008年あたりにJAZZY HIPHOPと呼ばれるものが流行った時期がありました。ウチのアーティストが、そこのムーブメントに親和性があったので、そこのファンに向けて最初は売り出していたんですね。あえて、アーティスト写真とかを見せず何人なのかもわからないような状態で。そうした一連のブームみたいなもの去った時に、実は演奏家でしたというところを打ち出して、一気に主戦場をフェスカルチャーにシフトしていったんですね。そこで今度はフェスまわりの人に興味を持ってもらい裾野が広がりました。その後はアイドル全盛みたいなものが何年か続いたときは、今度はプロデューサーとして腕を磨いていこうと、裏方に潜ったりした時期もありましたし。</p>

<p>先を見越したところでわからないので、「これをやろう」と決めることにあまり意味を感じていなくて。時代に合わせてなにができるのか、僕らができることと時代の接点を探すようにしています。ウチのアーティストに実力があるからというのが大前提なんですけど。</p>

<p>だから、いまはアフターコロナ的なことは一切考えていなくて。これが一年続くならこういうやり方をしよう、あるいは2年続くのか3年続くのか、はたまた明日終わるのか、それによって舵を切るようなスタイルですね。</p>

<p><strong>――最後に、音楽業界になにか新しい兆しのようなものはありますか？</strong></p>

<p>今回の新型コロナウイルスに関係ないところでいうと、オリジナリティのある表現をしている新人アーティストがピックアップされるようになってきた。それはすごくいいことだなと思っていて。一時期は、アイドル系JPOPの3グループだけでTOP20が全て埋まるみたいな状況があったじゃないですか。そこから考えると、いいバンドがチャートに入ってきるし、フリースタイルからHIPHOPも盛り上がってきている、新しいカルチャーが日本でも根付いていきそうな兆しは感じています。</p>

<p>こういう状況下で改めて感じたのは、音楽でお腹を満たすことはできないし、医療関係者のように病気を治すこともできない、だけど食事と医療だけでなくて精神面もすごく大事なんだということ。みんなが家にいなくてはならないという特殊な状況で、いろんな音楽家がみんなの精神を少しでもいい方向に持っていこうとする努力がすごく見えるので、そこは音楽の仕事をしていて誇らしいなと思っています。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=Y7s2B6cHiBo
<figcaption>Gotch - Stay Inside feat. mabanua - MV</figcaption></figure></p>

<p>インタビュー取材後に、「origami Home Sessions」は着実に広がりを見せている。そのひとつとして、Gotch（後藤正文 of ASIAN KUNG-FU GENERAITON）が origami Home Sessions に賛同し新曲をリリースした。Gotchのソロプロジェクトに参加しているmabanua、ライブサポートをしている Shingo Suzuki の楽曲をそれぞれ使用し制作。OTOTOYのチャリティー配信「SAVE OUR SPACE」で販売している。さらに、その売り上げをWhite Teeth Donationに寄付するとのことだ。</p>
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    </content>
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    <title>自らが変化し未来の創造をリードする━━アクセンチュアが目指すリキッドな世界とテクノロジーの役割 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/04/accenture-2020-2.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9394</id>

    <published>2020-04-27T05:10:00Z</published>
    <updated>2020-05-21T08:20:51Z</updated>

    <summary>「答えのない時代」において、企業の課題はますます複雑化している。そして、それは1社では太刀打ちできない状況とも言える。複数の組織や多様な人材の協働が不可欠ないま、コンサルティングファームはどんな価値をクライアントに提供していくのか。キーワードは「リキッド」、そして「変化」にありそうだ。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>いまや、どんな業界であれデジタル技術の活用なしに企業は生き残れない。しかし、日進月歩の技術を把握し、それを使いこなせるほど理解するのも容易なことではない。それゆえ、求められる変化を自社の力だけで成し遂げるのはもはや不可能であり、複数の組織や多様な人材の協働が不可欠だと断言するのが、アクセンチュアのテクノロジー コンサルティング本部でインテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービス グループを率いる山根圭輔だ。</p>

<p>1社では太刀打ちできない状況に対して、アクセンチュアはクライアントにどんな価値を提供するのか。そのための体制をどのように構築し、必要となるスキルやマインドをいかにして醸成しているのか。キーワードはリキッド、そして変化だ。</p>

<p>山根が目指す、エンジニアリングとテクノロジーの専門家集団のあり方を聞いた。</p>

<h2>求められる「変化」のスピードと質が変わり、1社では対応できない時代に</h2>

<p><strong>ーーテクノロジー コンサルティング本部の役割は、どのようなものですか？</strong></p>

<p>我々は、デジタル・テクノロジーの力をベースに3つの柱で価値を提供しています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/200312_BNL 0021.jpg">
<figcaption>山根圭輔<br>東京工業大学生物工学科・東京大学大学院生化学専攻出身。金融機関を中心に、先端テクノロジーおよびプロジェクトマネジメントのスペシャリストとしてコンサルティング&amp;デリバリーを実施。テクノロジーはエンタープライズアーキテクチャからFinTech分野にわたり、プロジェクトマネジメントは大規模統合プログラムマネジメントからアジャイルデリバリーまで幅広く推進する。現在、日本のアクセンチュアにおける、インテリジェントソフトウェアエンジニアリングサービス グループ日本統括を務める。</figcaption></figure></p>

<p>ひとつはデリバリー・エンジニアリング。クライアント企業の中でシステムの導入を推進します。ウォーターフォール型でデリバリーする大きなシステムもあれば、最近はエンタープライズ・アジャイルと言って、ユーザーのフィードバックを得ながら短いサイクルで改善を繰り返していくアジャイル型の開発も増えています。</p>

<p>2つ目はテクノロジー・アーキテクトです。企業のデジタル・トランスフォーメーション（DX）においてテクノロジーとビジネスが融合するようになってきている昨今、システムのアーキテクチャは非常に重要なポイントになっています。</p>

<p>3つ目はテクノロジー・コンサルティングです。近年、DX、DXと言われますけれど、単にクラウドを使えば、あるいはAIやRPA（ロボティック・プロセス・オートメーション）を入れればデジタルトランスフォームされたことになるのかというと、違いますよね。企業のビジネスモデル、プロセス、システムといった全体のアーキテクチャを考えて、それらをいっぺんに変えるのがDXで、これを引っ張っていくのがテクノロジー・コンサルタントです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/accenture-a.jpg">
</figure></p>

<p>この3つを束ね、アクセンチュアの中でも最先端で推進しているのが我々の組織です。</p>

<p><strong>ーー2020年現在において、クライアントに共通する課題というものはありますか。</strong></p>

<p>これは私の個人的な意見ですが、変化の"スピード"と、求められることの"質"が変わってきています。</p>

<p>"スピード"が速くなっているというのは、分かりやすいですよね。デジタルにしろビジネスにしろ社会情勢にしろ、グローバルに影響しあってどんどん変わっています。</p>

<p>"質"というのは、端的に言うと「1社では変われない」ということなんです。</p>

<p>今までなら社内でR＆Dをして、そこで5年10年生き残ったものが製品開発の企画になり、製造、営業へとつながっていったわけですが、そのサイクルが短くなっている上に、全部のプロセスを内製することができなくなっています。テクノロジーにしても、1社でやりきれるのはMicrosoftやGoogleなど、限られたいくつかの会社だけでしょう。1社ではできないから、色々なところと溶け合って繋がっていかなければならない。そういう変化が求められています。</p>

<p>それはアクセンチュアも同じで、1社ではできないからベンチャーや大学などと一緒にやります。社内においても、他の組織といかにタッグを組むかが重要ですし、東京一極集中でも日本人だけでもダメだから、北海道、会津、大阪、福岡、大連、上海、インド、フィリピンと、色々な場所のメンバーと繋がってやります。下流工程を下請けに渡すような従来のSIerの感覚とは違って、みんなが溶け合ってリキッドにスクラムが回っていくような、そういう働き方が求められているんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/200312_BNL 0001.jpg">
<figcaption>「1社では変われない」。ベンチャーや大学など、他の組織といかにタッグを組むかが重要だと山根は語る。そうした状況では、溶け合って繋がっていくような働き方が求められている。</figcaption></figure></p>

<h2>混乱のないところに変化はない。混乱Loverであることが仕事を楽しむコツ</h2>

<p><strong>ーー働き方が変わる時代に、組織づくりで心がけていることは？</strong></p>

<p>2つあります。ひとつは変化を前提とした組織アーキテクチャです。この10年来ずっと、変化に耐えうるリキッドな働き方を追求してきました。</p>

<p>固定の場所、固定の人材でないとできない、ということをなくすために、全てをクラウド上に集め、メンバーが分散していてもひとつのチームとして動けるようにしてきたんです。</p>

<p>アジャイル開発というと、一箇所に集まってホワイトボードに付箋を貼って進捗管理するというのが典型的なやり方ですが、はっきり言ってそれは簡単なんですよ。もはやそんな簡単なことができる時代じゃないんです。スクラムチームのメンバーが、東京と大阪と会津に分散していたとしても普通に働ける、そういう状態を目指してきました。</p>

<p>もうひとつ組織づくりにおいて意識していることは「インクルージョン＆ダイバーシティ」です。一般的には「ダイバーシティ＆インクルージョン」ですが、アクセンチュアでは逆の順番で言っています。というのも、我々にとってダイバーシティ（多様性）は当たり前ですから。</p>

<p>カルチャー、組織、人種......色々なダイバーシティがありますが、いかにインクルージョン（包含）していくのか、つまりお互いに認め合い一体となって働くことにこだわっています。そうじゃないと、物理的に離れている人たちとコラボレーションなんて絶対できません。特にアクセンチュアの外のベンチャーとタッグを組んでやるとなった時に、異なるカルチャーを持った人たちをどうインクルージョンするのかが重要です。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/200312_BNL 0258.jpg">
<figcaption>組織づくりにおいて意識していることは「インクルージョン＆ダイバーシティ」。グローバルで50万人もの社員がいるアクセンチュアは、個々の違いをいかに包含していくかを重視している。</figcaption></figure></p>

<p><strong>ーー多様性があり、かつ拠点が分散している状態だと、組織の目的やカルチャーを共有することが難しいのでは？</strong></p>

<p>たしかに、アクセンチュアにはグローバルで50万人いますから、色々な考え方の人がいて全然話が噛み合わないこともあります。でも面白いことに、私がアクセンチュアに在籍している20年ほどの間ずっと、ゆらがないキーワードというものがあるんですよ。</p>

<p>誰かに教えられるわけでも紙に書いて配られるわけでもなくて、基本的には口伝なんですけど、「これがアクセンチュアだよね」というものがあるんですね。そういう意味では、変わらないカルチャーがあるんです。</p>

<p><strong>ーー具体的にはどういうキーワードですか？</strong></p>

<p>例えば「イコールパートナーになっているのか」。これは日本語だけでなく英語でも散々言われます。</p>

<p>アクセンチュアのミッションはシンプルで、「チェンジ・リーダーシップ」なんです。クライアント企業は色々な事情を抱えていて、自ら変わるのが難しいところもある。だから我々がリーダーシップを取ってクライアントを変化させるんです。それには「お客様から要件を承る」という立場ではダメで、イコールパートナーでなくてはいけないわけです。そのために必要なこととして、「Think straight, talk straight. （シンプルに考え、ストレートに伝える）」もよく言われますね。</p>

<p>それから「Why Accenture?」も、あらゆる国で言われます。「この仕事は実行できるし、儲かるかも知れないけれど、なぜアクセンチュアがやる必要があるんだっけ？」ということを自らに問います。我々がやるからには、チェンジ・リーダーシップの仕事をやるべきである、楽な仕事をするな、と。</p>

<p>もうひとつは「自らのチェンジを日常にする」ということ。自ら変われないと、クライアントに対して変化をリードしていくことができないですよね。弊社は3年から5年ごとに大きな組織改編をしてきています。クライアントの幅広いニーズと市場の変化をより精緻に読み取り、継続的にイノベーションを創出し進化し続けるために、その時々で経営判断が下されたわけですが、私個人としては、我々社員に変化を与えるという点で非常に効果があると思っています。</p>

<p><strong>ーープロジェクトごとに最適なメンバーを集めてチームを作れるのがアクセンチュアの強みだと思いますが、個々の能力を発揮しやすいチームを作るために注力されていることはありますか。</strong></p>

<p>「いいチーム」というと、みんなが理解しあって仲がいい、みたいなものをイメージされるかもしれません。でも、そんなに簡単なことではありませんよね。ひとつのチームにマーケターとデザイナーと戦略コンサルタントとテクノロジーアーキテクトが集まってそれぞれの立場から意見を述べれば、喧々囂々になるわけです（笑）。</p>

<p>でも、みんながハッピーで混乱もしないという状態では変化は起きません。だからメンバーには「混乱やコンフリクトを楽しめ」というメッセージを出しています。あえて混乱させたいわけではないけれど、変化に混乱はつきもの、それでもチェンジ・リーダーシップができたらいいじゃないかと。</p>

<p>特に大企業から中途入社された方は、「どうやって責任を取るのか」「誰が承認するのか」といった形で整理して混乱を避けようとしがちです。そういう人には、「アクセンチュアでは"混乱Lover"であることが、仕事を楽しめるコツだよ」なんて話をしたりしています（笑）。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/200312_BNL 0153.jpg">
<figcaption>"混乱Lover"という、ある種の矛盾を孕んだパワーワードが自然に出るのは、自らの仕事と積極的に向き合うからこそ。「混乱やコンフリクトを楽しめ」という山根のメッセージは、彼らが大切にしている「Why Accenture?」とキーワードと繋がっている。</figcaption></figure></p>

<h2>クライアントのその先にいる顧客を見て変化をリードする</h2>

<p><strong>ーー混乱さえも楽しんで変化をリードするというのが、アクセンチュアで必要とされるマインドなんですね。では、技術的な面での要請に応えるためにはどのようなことをされていますか？</strong></p>

<p>変化のスピードと質が変わっているという話をしましたが、エンジニアリングやテクノロジーの知識についても同様で、常に新しいものについていかなくてはいけませんし、そのためには深い理解が必要です。</p>

<p>要は、エンジニアリングとテクノロジーのニーズがどんどん広く深くなっているんです。だから、例えば、今フィーチャーされているAI人材に限らず、あらゆる分野でエンジニアの価値が上がっています。逆に言うと、1人で広く深く、というのは無理がある時代になってきているんですね。1社で変革を実現できないのと一緒で、1人ではできない。</p>

<p>組織としては、最先端のテクノロジーに特化した集団もいれば、そういったソリューションをクライアントのビジネスに適用できるようにアーキテクチャを描くチーム、それをアジャイルにデリバリーするチーム......といった形でそれぞれのチームで専門性を深め、互いにタッグを組んで価値を出せるようにしています。</p>

<p><strong>ーークライアントのビジネスや環境を理解するために心がけていることはありますか？</strong></p>

<p>数年前に「Accenture FORM」というメソドロジーが世界中の拠点で展開されました。ここで明確に示されているのは、「クライアントを見ていたらダメだ。クライアントの先のクライアントを見るんだ」ということです。もはや、直接の顧客の要望に応えているだけでは価値を提供できない、ということですね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_FORM_.jpg">
<figcaption>ロジカルシンキングとデザインシンキングを組み合わせたAccenture FORMを土台に、新規ビジネスや新製品・サービスの創出、組織・企業変革の支援を行っていく。</figcaption></figure></p>

<p>例えば、自動車会社の競合は従来の自動車会社ではなく、電気自動車の会社やUberなど、自動車を持たない会社になってきます。世界がどうなっていくのかということを見て変化をリードしていかなければいけない、そういう意識をもってやっています。</p>

<p><strong>ーークライアントの先のクライアント、社会の変化を見据えて仕事をするということに面白みを感じている人が、アクセンチュアには多いのでしょうか。</strong></p>

<p>「変化の先を見てみたい」という思いはあるでしょうね。個人的には、パーソナル・コンピュータの父と言われる天才エンジニア、アラン・ケイの「未来を予測する最善の方法は、それを発明することだ」という言葉にとても共感します。</p>

<p>我々が変化をリードするということは、未来を創り出していくということです。クライアントのその先の顧客の新しい世界を予想し、それを我々が創り出すんだ、ということが大きなモチベーションになっていると思います。</p>

<p><strong>ーー未来を予測するだけでなく、創り出そうという意思があるんですね。</strong></p>

<p>アクセンチュアでは毎年「テクノロジービジョン」という調査レポートを発表しています。我々のクライアントであるエンタープライズ企業がどんな変化にさらされていて、どういう方向に変化するべきか、我々の仮説を示しているんです。直近のテクノロジーのトレンドを定期的に発表する会社は他にもありますが、アクセンチュアの場合はそのトレンドをベースにしてどういう変化に向かっていくべきなのかを示しているのが明確な違いです。</p>

<p><strong>ーーどういう未来を創りたいと思っていますか。</strong></p>

<p>私が会社を代表して語ることはできませんが、リキッド、液体化して溶け合っている世の中にしたいというのは、会社としても私個人としても一致している方向性です。</p>

<p>そのために、アクセンチュア自身も、よりリキッドな会社になっていきたいと考えています。それは「インクルージョン＆ダイバーシティ」というメッセージや、リキッドワークフォース（労働力の流動化）を提唱しているところにも表れています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/200312_BNL 0578.jpg">
<figcaption>液体化して溶け合っている社会を目指して、自分たちで実験しながら未来を創り出していこうとする姿勢に、コンサルティングファームのこれからの役割を見た。</figcaption></figure></p>

<p>国、場所、性別、カルチャーといったダイバーシティがある状態でリキッドに混ざって、混乱はするけれど全体的にはうまくいくーーそういう状態を目指して、私たち自身が実験をしているつもりです。</p>

<div class="link-box"><a href="https://8card.net/c/3154/requirements/1897">
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<div class="info"><strong>採用情報：Management Consultant/Digital Strategy領域</strong></div></a></div>

<div class="link-box"><a href="https://8card.net/c/3154/requirements/2554">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/accenture-default.png');" class="img"></div>

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<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/accenture-default.png');" class="img"></div>

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<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="7010401001556"></div>
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    <title>組織成長の要は、ブレない「軸」。いま取り組むべき、リーダーの意識改革について考える - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/04/globis-dialogue-1.html" />
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    <published>2020-04-20T03:00:00Z</published>
    <updated>2020-04-22T02:27:56Z</updated>

    <summary>従来のヒエラルキー型の管理やマイクロマネージメントが前提では、メンバーの自主性が妨げられ、イノベーションなど起こるはずがない。組織を変えるためには、まずはリーダー自身が「軸」を持ち、それをさらけ出して、メンバーと本音でぶつかり合うことが大切だ。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="組織開発" label="組織開発" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>多くの日本企業を外部パートナーという立場から支えてきたグロービスの西恵一郎は以前、BNLの取材に対して、日本企業の経営幹部に足りないもののひとつに「志」があると語った。</p>

<p>会社が社会に対してどんな価値を提供できるのかは語れても、自分が成し遂げたいこと、その会社で働いている意義を語れないリーダーが多いのだという。個人の「志」を言語化できるように寄り添うこともまた、グロービスの仕事であるということだった。</p>

<p>ではなぜいま「志」を明確にすることが大切なのか。なぜ人は「志」が明確なリーダーについて行きたくなるのか。今回はリーダーに求められる意識改革について、Googleやモルガン・スタンレーなどで人材開発に携わってきたピョートル・フェリクス・グジバチと、西の同僚で、グロービス法人部門において戦略人事として組織開発に携わる福田亮に語ってもらった。</p>

<p>二人の掛け合いは、この日のピョートルの服装という意外なところから始まった。スティーブ・ジョブズさながら、毎日同じ上下のセットで過ごしているというピョートルだが、そのこととリーダーのあるべき姿とには、どうやら深い関係があるらしい。</p>

<h2>正解のない時代。自分なりの軸で決め切る以外にない</h2>

<p><strong>福田</strong>　ピョートルさんは毎日同じ服のセットを着ていると聞いたんですが、本当ですか？</p>

<p><strong>ピョートル</strong>　本当ですよ（笑）。同じ黒いシャツを15、16枚持っています。ジーンズも同じものを4本くらい。朝起きたらそれを入れ替えるだけです。</p>

<p><strong>福田</strong>　じゃあクローゼットを開けたら真っ黒？</p>

<p><strong>ピョートル</strong>　真っ黒。みんな同じです。太ったり痩せたりするとシャツを入れ替えないといけないけれど。下着や靴下も含めて、いつも渋谷・道玄坂の同じ店で買っていて。どこになにが置いてあるかを全部把握しているから、買い物は5分で終わりますよ。</p>

<p><img src="/uploads/13-38-2120-03-11IMG_3049.jpg">
<aside><strong>ピョートル・フェリクス・グジバチ</strong><small>プロノイア・グループ 代表取締役</small>
<p>2000年に来日。ベルリッツ、モルガン・スタンレーを経て、2011年GoogleJapanに入社。アジアパシフィックにおけるピープルディベロップメント、2014年からグローバルでのラーニング・ストラテジーに携わり、人材育成と組織開発、リーダーシップ開発などの分野で活躍。2015年に独立して現職。コンサルティング、エグゼクティブ、コーチング、講演などを行う傍ら、執筆業も行う。最新著書「CREATE WORK」を2020年1月に出版。</p></aside></p>

<p><strong>福田</strong>　なぜそこまで徹底を？</p>

<p><strong>ピョートル</strong>　パフォーマンス理論の用語に「マイクロ・ディシジョン・メイキング」というものがあります。たとえば、コーヒーを飲むのにどこの店にしようかとか、水はどの銘柄を買おうかとか。小さな意思決定のことをいうんですが、特に経営者にとっては、そういう些末なことについて「どちらにしようか」と考える時間がもったいないじゃないですか。</p>

<p><strong>福田</strong>　無駄なことは極力考えないで、大事なところに集中力を使う。いわゆる「フロー状態」をいかに作るかという話ですね。</p>

<p><strong>ピョートル</strong>　まさに。ちょうど今日、ここへ来る前に当社のメンバーと「個人のフローを作るサービスが必要なのではないか」と話していたんです。というのも、いま世の中は新型コロナウイルスのせいで暗い雰囲気になっているじゃないですか。ビジネスがすごく嫌がられているところがある。ナスダックもダウも下落していて、「この先どうなるんだ」「いつまで続くんだ」「どうやって自分のビジネスを保っていけばいいんだ」と不安に思っている経営者がすごく増えていると思うんです。</p>

<p><strong>福田</strong>　そうでしょうね。</p>

<p><strong>ピョートル</strong>　一方、働く個人も家でテレワークをやるようになったのはいいけれど、コミュニケーションの取り方がよくわからず、「本当に仕事をしているのか」と上司に思われていないか、疑心暗鬼になっている。そんな状況においては、まさに「軸」が大事です。ぼくはフローのことをよく「夢中になっている状態」と表現するんですが、自分の軸を持ち、夢中な状態で仕事をしていれば、こうした不安は感じないでいられますよ。さらに、経営者が軸を持ち、フロー状態を保つことができれば、会社の売り上げは最大で4倍まで上がることが、マッキンゼーの研究でもわかっています。ユニクロの柳井（正）さんみたいに、会社を大きな成功に導いている経営者はみんな強い軸を持っていますよね。</p>

<p><strong>福田</strong>　フロー状態には二つの状態があると考えています。一つは集中できている状態。もう一つは、アンテナが張っていて、認知の限界を越えることができる状態のことです。いまのコロナウィルスの状況がまさしくそうですが、これからは、ますます予測が不可能な、自分が見えている世界だけではその先どうなるかがわからない世の中になる。その状況では多様な意見が出てきます。「いまは自粛すべきだ」という人もいれば、「いやいや、そうではない」という人もいる。これはどちらがいい悪いと即断できない問題です。経営者はそういう矛盾したところでなにかを決めなければいけない。自分なりの軸、つまりは判断基準とか価値観を持って最後は決めなければならないわけです。</p>

<p><img src="/uploads/13-50-5020-03-11IMG_3110.jpg">
<aside><strong>福田亮</strong><small>株式会社グロービス　グロービス ・コーポレート・エデュケーション部門ディレクター</small>
<p>慶応義塾大学経済学部卒業後、三井化学入社。機能性素材の開発営業、クライアント企業との東南アジアにおける合弁事業の設立、新興企業の経営支援・人材育成に携わる会社設立・立ち上げに従事。2010年グロービス入社。法人研修部門ディレクターとして人材育成に関するコンサルティング、プログラムコーディネーター、講師など、企業内の人材育成全般に携わっている。</p></aside></p>

<p><strong>ピョートル</strong>　先日、当社のメンバーが星野リゾートに泊まりに行ったんですが、コロナ対策など一言も謳っていないにも関わらず、満室だったそうです。一方、その隣にあるどこかのリゾートホテルは「コロナウイルス特別プランで1泊3000円」などとやっていても、ガラガラ。つまり、問われているのはまさに軸です。経営者と管理職が軸を持ってブレない時に、新しいチャンスは見えてくるんですよ。</p>

<h2>軸を持たない日本人のアウトソーシング文化</h2>

<p><strong>ピョートル</strong>　けれども、多くの日本人には残念ながら軸がない。最近気がついたんですけど、日本ってアウトソーシング文化じゃないですか。たとえば、先日テレビを見ていて象徴的な場面がありました。学校が休校だから子供たちが家にいて、ゲームをやっている。そこに会社に行っているお母さんが電話をかけてきて、「宿題をやれと言っているのに、なんでゲームをやっているんだ！」と怒鳴りつけるんです。でも、子供たちはなにも答えずにゲームを続ける。</p>

<p>なぜこうしたことが起こるのでしょうか。ガイジンであるぼくの目から見れば、親が子供をアウトソーシング的に学校に預けていることに問題があります。親が子供と関係をしっかり構築し、勉強の仕方や学ぶ喜びを教えていれば、こうしたことは起こらないですよね。普段から両親も主体的に関わって、子供の自主性を引き出していたら、家で放っておいても子供たちは学べるはずですよ。</p>

<p><strong>福田</strong>　なぜ日本人は自主性が高くないのかと言うと、日本では子供のころから社会や世の中と調和しないといけないという考え方で育てられるからではないでしょうか。家庭でも社会でも同じ力学が働いていて、そのまま周りに合わせることに適応しすぎてしまう。本来は学校なり社会活動のどこかのタイミングで自主性を育めるように、周りが促してあげる必要があると思うのですが、日本はその環境が十分ではないというのが実態ですね。</p>

<p><strong>ピョートル</strong>　そうですよね。</p>

<p><strong>福田</strong>　いまの会社組織についても同じことが言えます。日本企業も同調性や協調性を非常に大切にしてきました。また、タスク中心の考え方でマイクロマネジメントをしがちなことも、社員一人ひとりの自主性を妨げてしまっている。さらにそのタスクも、継続することに加え、変えていくべきこともあり、増え続けている。その結果、やるべきことを選びきれず、ただ目の前にあるタスクを粛々とこなすだけになっているのではないでしょうか。当然ですが、それでは成果は上がりません。組織運営の複雑さに悩んでいるリーダーがすごく多い気がしますね。</p>

<p><strong>ピョートル</strong>　いま「テレワークがうまくいかない」と言っているのは、まさにその問題ですよ。なぜそうした状態が起きるのかと言えば、まずマネジャーとメンバーの関係性が整っていないから。信頼関係ができていない。だから先ほどのお母さんのように、いちいち電話をして「なにをしているんだ!?」とやらなければならなくなる。</p>

<p><strong>福田</strong>　まさにマイクロマネジメントですね。</p>

<p><strong>ピョートル</strong>　それをやらないで済むためには、人間関係を構築するのともう一つ、プロセスがしっかりとデザインされている必要があります。たとえば、ぼくが経営するプロノイア・グループではOKRを導入していますが、OKRでは、メンバー一人ひとりが会社のビジョン・ミッション・戦略にどう貢献していくのかを自発的に約束します。これが第一段階。次に、メンバーは自分のOKRに基づいて「今週はなにをやった」「来週はなにをやる」と、チームミーティングのある金曜日の朝までにスニペッツ（＝週報）に記入します。その上で、ミーティングや1on1では、ほかのメンバーに伝えておきたいことやサポートしてほしいことなどを話す......というように、テレワークに限らず、仕事を機能させるには必要なプロセスをちゃんと踏まないといけない。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/13-26-5820-03-11IMG_2988.jpg">
<figcaption>OKR（Objective and Key Results）は、Googleが導入したことで広まった目標設定・管理のフレームワークだ。目標（Objective）を決め、達成のために必要な成果指標を（Key Results）分解する。会社の目標と個人が挑戦するべきこととのつながりが可視化されるため、エンゲージメントの向上、メンバーの自発性を引き出すことにもつながる。</figcaption></figure></p>

<p><strong>福田</strong>　おっしゃる通りですね。「プロセスをしっかり踏む」というのは、別の言い方をするなら「各階層のリーダーがしっかりと自分の役割を果たす」ということだと思います。たとえば、経営者であれば、さまざまな選択肢があり、リスクもある中でも、ビジョンや方向性をしっかりと打ち出せることが大事でしょう。一方でミドルマネジャーは経営者が示したビジョンに理解を示しつつも、日々の仕事の流れやプロセスを見える化して、成果はなにで、いかにしてその成果を最大化するかを考え、同時にメンバー一人ひとりがやりがいを感じられる状態に持っていかなければいけない。リーダーは、状況に応じて自分の役割を再認識することを求められているのだと思います。</p>

<h2>管理統制された組織では、イノベーションなんて起こらない</h2>

<p><strong>ピョートル</strong>　OKRがいい仕組みなのは、マネジャーと議論しながらも、メンバー一人ひとりが「自分はこれをやるんだ」という目標を設定するところ。自分から約束するからこそやり切れるんです。それはまさに軸の話だし、フローの話。でも、多くの日系企業はKPIやMBO（目標管理制度）を使って、「あなたのゴールはこれです」と上から下ろすじゃないですか。</p>

<p><strong>福田</strong>　確かにそうですね。</p>

<p><strong>ピョートル</strong>　そうやって非常に固定的な目標を上から下ろしておきながら、一方では「イノベーションを起こせ」「新しいものを作れ」と言う。これは心理学でいうところの「ダブルバインド」の状態ですよ。ダブルバインドというのは、二つの矛盾した命令をすることで、相手の精神にストレスがかかるコミュニケーションの状態のこと。日系大手企業のマネジメントはまさにそれですよね。</p>

<p><strong>福田</strong>　それは従来のヒエラルキー型の上意下達を前提にした組織のまま、いまの時代に適応しようとしているから起こることですよね。組織形態やカルチャーは従来のまま。でも、時代はそうではないものを求めているから、「自由にやれ」「考えろ」「フレキシブルだ」というスローガンだけが繰り返される。旧来のパラダイムと新しい変化へのスローガンの二つに挟まれて立ちいかなくなっている組織は多いのではないでしょうか。</p>

<p><strong>ピョートル</strong>　そもそも「イノベーションを起こすぞ」と言っている時点でアウト。本来は、日常業務の中にいろいろとブレーンストーミングをする機会があり、顧客と直接会ってエンパシーを感じられる場面があり、トライアルできる環境があるからこそ、一人ひとりが自然と「新しいことをやってみよう」となって、その結果として起きるのがイノベーションじゃないですか。「これがあなたのゴールだからやりなさい」と言われている中では、そうやって弄り回す時間も余裕もないから、イノベーションを起こすのは困難です。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/14-42-3920-03-11IMG_3278.jpg">
<figcaption>「晴れの日の方が良い意思決定ができるから、天気が悪い日は決めないんです」とピョートルは言う。しかし管理統制された組織では「決定を別の日にする」などという自由さは当然、許されない。</figcaption></figure></p>

<p><strong>福田</strong>　イノベーションが起こるためには、たとえば組織内の心理的安全性が担保されていて、そこにいる誰もが率直に思ったことを言えるようなカルチャーも必要と言われますが、ピョートルさんは、カルチャーは変えられるものだと思いますか？ 日本ではカルチャーは変えられないものだという感覚も根強いです。よく「会社のDNA」といった言い方をされますが、DNAなのだとすると、それは書き換えられないものということになってしまう。</p>

<p><strong>ピョートル</strong>　変えられると思いますね。その際に重要なのは、「とりあえずやってみる」ことじゃないでしょうか。とりあえずやってみて、フィードバックを受けて、また変えてみて......。これを繰り返すことで徐々に変わっていくのが物事だと思う。なのに日本人はPDCA、それもPばかりですよね。プラン、プラン、プランで、DCAは一切やってないと言ってもいいくらい。プランもある程度は大事ですけど、なにかを変えたいのなら、DCAを猛スピードで回していくのがポイントだと思うんです。要は、ラピッドプロトタイピング的な考え方。ラピッドプロトタイプって、ものづくりとかプログラミングのためのものだと思われているけれど、そうじゃないんです。たとえば人間関係に関しても、ラピッドプロトタイピングは可能なんですよ。</p>

<p><strong>福田</strong>　面白い捉え方ですね。</p>

<p><strong>ピョートル</strong>　たとえば、新入社員の中には怒られるのが嫌で、わからないことがあってもなにも聞けず、そのままうつ病のようになってしまう人がいます。そうではなくて、まずは怒られてもいいから、とりあえず聞いてみる。その結果、「なんでそんなことがわからないんだ！」と怒鳴られるかもしれないけれど、その反応を受けて「じゃあ次はこういう対応をしてみよう」と変えていけるじゃないですか。そうやってタブーを破って破って破った先に、人間は少しずつお互いを信用できるようになっていく。最初は「キー！」と怒っていた先輩も、その頃には「しょうがない。教えてやるか」となっているかもしれない。そうやって積み重ねた先に作られるのがカルチャーですよね。</p>

<p><strong>福田</strong>　そのためには、やはり「カルチャーは変えられるものだ」という立場に立つことが大前提になりますね。そうすれば当事者意識が生まれる。だから「とりあえず」という動きも起こる。日本のリーダーにはこの「カルチャーは変えることができる」という前提の認識と「自分からカルチャーを変えていくという当事者意識」が不足しているのではないでしょうか。この背景には、企業活動が合理性の追求、言い換えれば分析的、論理的な振る舞いに偏りすぎてしまい、自分や周囲の本音・本心に関心を向けることを忘れてしまっているように感じます。</p>

<h2>始まりはリーダー自身の自己開示から</h2>

<p><strong>福田</strong>　「とりあえずやってみる」ことから始まるラピッドプロトタイピングのプロセスは、「学習」とも言い換えられます。この「学習」の要素を組織に取り込んでいく上では、1on1がとても効果的ではないかと考えていますがいかがでしょう。</p>

<p><strong>ピョートル</strong>　ええ、わかります。ぼくもちょうど今日、メンバーと1on1をしてきたところですし。</p>

<p><strong>福田</strong>　1on1では、直近の経験を振り返りながら、その経験から物事の理解や行動のあり方を学び取っていくプロセスを、上司（コーチ）と共に繰り返し体験します。その際に重要なのは、棚卸しした経験と一緒に出てくる「感情」ともしっかりと向き合うことだと考えています。たとえば「あの時の自分はこう思っていたのに、実際にはこういう行動を取ってしまった」とか。その感情に対しても「そういうこともあるよね」とか「そのままでいいんだよ」といったふうに、上司から働きかけをしていく。</p>

<p><strong>ピョートル</strong>　そうですよね。そうすることで初めてダブルバインドや迷いも晴れていく。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/13-25-3220-03-11IMG_2973.jpg">
<figcaption>従来の日本の組織にはまだ、論理的に説明できない感情は、語るべきではない、という雰囲気が残っていると二人は言う。</figcaption></figure></p>

<p><strong>福田</strong>　グロービスが組織開発をお手伝いする際、リーダーの意識変革において大切にしているのも「一旦、共感を示すこと」です。「この状況だったら、確かにそういうことも起こりえるよね」と一旦受容することで初めて「この人なら自分の置かれている状況を理解してくれるかもしれない」と思ってもらえるし、さらに「私も同じように日々悩みながら正解のない世界に向き合っているんです」と共感することで心を開いてもらえる。そうなって初めて、相手が自分とは違う意見だったとしても受け入れられるようになり、自らよりよく変わっていくことに意識が向くようになるのです。それをせずに「あなたは間違っている。こちらが正しい」という判断を押しつけしてしまうと、変化は生まれない。この「メンバーの経験を棚卸しし、感情と向き合い、本音を聞く能力」が、これからのミドルマネジャーにはとても重要になると考えています。</p>

<p><strong>ピョートル</strong>　おっしゃる通りで、いまリーダーに問われているのはまさに「会話の質」ですよ。限られた時間でちゃんとした会話ができるか。それがない限りは仕事なんてできない。テレワーク、テレワークと言われ出して、ようやくみんながそのことに気づき始めているんじゃないですか？</p>

<p><strong>福田</strong>　本音でぶつかるというのは、言い換えるなら、「さらけ出す」ことが組織変革の大事な要素の一つになっているということですよね。それはいまやっている活動、すなわち情報をオープンにするという意味でもそうですが、それに加えて感情や思っていることをいかにさらけ出せるか。これが大きな力になる可能性がある。特に、まずはトップオブトップのリーダーのさらけ出す力が大事ではないかと。</p>

<p><strong>ピョートル</strong>　その通りです。英語では「Go First」と言いますが、要は、人の自己開示が欲しいのであれば、まず自分が自己開示しないとダメだということ。自分はこういう人間で、こういう体験をして、こういう挫折を超えて、いまここにいると説明する必要がある。</p>

<h2>組織内の思考の多様性がすなわち変わる力になる</h2>

<p><strong>福田</strong>　グロービスで「志」と呼んでいるのは、まさにいまおっしゃった、リーダー自身の「自分がなぜここにいるのか」「なにを一番大切にするのか」というところなんです。ぼくたちは「志」には三つの要素が不可欠と考えています。一つは、現在だけでなく、過去や未来も含めた長期的な視点で捉えているか。二つ目は、私利私欲ではなく利他の視点で捉えているか。そして最後の一つがとても面白いのですが、その人自身が「やる」「そういう生き方をする」と自分で決めているか、です。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/last_globis_0420.jpg">
<figcaption>私利私欲ではなく、自分は社会に対してなにを成し遂げたいのか。グロービスは、組織改革に関わる上で、リーダーそれを導き出し、実現へとつなげられるような後押しをしている。</figcaption></figure></p>

<p><strong>ピョートル</strong>　ああ、それはまさにぼくが普段言っていることですよ！ ぼくは常々「やりたい」という言葉はおかしいと思っているんです。「ミュージシャンになりたい」と言っている人は、おそらくミュージシャンにはなれない。そうではなく、音楽が好きなのであれば、まずは「自分はどんな音楽が好きなんだろうか」といろいろと聴いてみる。「自分はジャズが好きなんだ」とわかったら、次は「どんな楽器がいいだろう」とか。サックスがいいと思うのであれば、お店に行って触ってみよう。でも高くて買えなかった。 それならサックスを持っている知り合いに相談してみようか......そうやってマイクロ・ディシジョン・メイキングで行動をとり続ける。先ほどのイノベーションの話と一緒で、このディシジョン・ツリーがずっと続いていけば、おそらく自分でも気づかないうちにサックスが吹けるようになっているはずですよ。</p>

<p><strong>福田</strong>　ええ、そうですよね。だからこそぼくらも「志」の三つめの「自分で決めること」が一番大事だと思っているんです。</p>

<p><strong>ピョートル</strong>　ぼくは「モヤモヤ」という言葉が本当に嫌いなんです。だって、結局は意思決定し続ける以外にない。モヤモヤしている暇なんてないはずなんですよ。新型コロナウイルスにかかってしまうかもしれないし、株価がこのまま暴落したら、勤めている会社で働き続けることが難しくなってしまうかもしれないのだから。</p>

<p><strong>福田</strong>　人間だからモヤモヤしてしまうこと自体は仕方がないとしても、そこからいかに立ち直れるかが大事ですよね。その際には理屈ばかりじゃなくて、「なんとなく面白そうだ」とか「自分と合っていそうだ」といった内なる声に従うことも重要なのではないでしょうか。我々としても、知識を提供することでリーダーの時代認識をアップデートするお手伝いもするけれど、一方でその人自身の内なる声を引き出すために、対話を非常に大切にしているんです。ダブルバインドのような状況で過ごし続けていると、だんだんと自分の本音とは違うものが内臓脂肪のようについていってしまう。それを取り除き、「自分は本来こういう人間なんだ」と気づく働きかけをする。</p>

<p><strong>ピョートル</strong>　そうやってそれぞれの人がしっかりと自己認識し、自分の価値観や信念を持っていれば、たとえ相手が異なるフィロソフィーや宗教を持っていたとしても、「ああ、あなたはそう考えるのか。面白いね」と思えるはずだから。自分の進め方や考え方を押しつける必要はなくなりますよね。その上でどうアウトプットを出していくのかを、お互いに素直に自己開示・自己表現しながら、一緒に考えていく。そうすれば、組織としても真のダイバーシティが活かせるようになります。ダイバーシティとは思考の多様性。思考の多様性の高い組織こそが柔軟性をもって変わっていけるんです。</p>

<p><strong>福田</strong>　その通りですね。そして繰り返しになりますが、それはリーダー自身の軸から始まるということ。ぼくらとしても、その人自身が大切にしている軸を探り出す、見つけ出せるよう働きかけるということが、組織をよくしていくためにいまとても大事なことだと考えて、取り組んでいるんです。</p>

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    <title>感染拡大を防ぐ情報を集積し、ウィルスの脅威を可視化して伝える「PANDAID」 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-04-16T05:20:00Z</published>
    <updated>2020-05-19T12:25:28Z</updated>

    <summary>コロナウィルスの脅威は自分自身が感染源になってしまうこと。太刀川英輔率いるNOSIGNERによる「PANDAID」は、こうした状況下でいち早く立ち上げた、パンデミック対策の情報サイトだ。見えない脅威をわかりやすく可視化する、デザインだからこそできるひとつの形ではないだろうか。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="デザイン" label="デザイン" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>デザインストラテジスト・太刀川英輔が率いるデザイン活動体「NOSIGNER（ノザイナー）」が、パンデミックから命をまもるための対策情報サイト「PANDAID」を4月5日に公開した。きょう明日にも緊急事態宣言が発令されるのでないか......そんな雰囲気がピークに達していた頃だ。</p>

<p>PANDAIDは端的に言えば、感染症対策のためのwikiのようなもので、PCとGoogleアカウントがあれば、誰でも編集に参加することができる。マスクの作り方や手洗いの方法などの対策を整備し、情報をまとめ、オリジナルコンテンツを発信しはじめている。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/pandaid-image.jpg">
<figcaption>PANDAID<br><a href="https://www.pandaid.jp/">https://www.pandaid.jp/</a></figcaption></figure></p>

<p>NOSIGNERは過去にも緊急事態にいち早く行動を起こしていた。2011年の東日本大震災発生から40時間後に、災害時に有効な知識を集めて共有するwikiサイト「<a href="https://sites.google.com/site/olivesoce/">OLIVE</a>」を開設した経験がある。その後、東京都が都内各家庭に配布した防災ブック「<a href="https://www.bousai.metro.tokyo.lg.jp/1002147/index.html">東京防災</a>」（NOSIGNERがディレクションを担当）へとつながっていくアクションとなった。</p>

<p>建築・プロダクト・グラフィックなどの専門性を越えて、総合的なデザイン戦略を手がけるNOSIGER代表の太刀川英輔に、PANDAIDというプロジェクトの概要、そして「見えない脅威」に対してデザインだからできることを聞いた。なお、本取材は4月8日にオンラインで行った。</p>

<h2>「見えない脅威」をデザインで可視化する</h2>

<p><strong>――PANDAIDはなにを伝えるためのものか？</strong></p>

<p>感染症のパンデミックに対して、我々自身がどうやって行動変容を起こせるのかというのを、いろんなカタチで情報訴求するWebサイトです。</p>

<p>これと同じようなことを、東日本大震災が発生したときも取り組んでいて、災害時に有効な知識を集めて共有する「OLIVE」というプロジェクトです。「<a href="https://sites.google.com/site/olivesoce/dan-wo-toru/kairo---yutanpo/pettobotoru-yutanpo-no-kotsu">ペットボトル湯たんぽ</a>」とか、「<a href="https://sites.google.com/site/olivesoce/nichi-youhin/tan-3denchi-kara-tan-1denchi-wo-tsukuru-houhou">単3電池から単1電池を作る方法</a>」とか、被災地にすぐ届く、その場で使えるようなオープンデザインの情報を伝えることも目的としています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/olive-image.jpg">
<figcaption>災害時に有効な知識を集めて共有するwikiサイト「OLIVE」。「生きろ日本」との願いから、O（日の丸）＋ LIVE（生きる）で、OLIVEと名付けられた。</figcaption></figure></p>

<p>アメリカには「<a href="https://www.cdc.gov/">疾病予防管理センター（CDC）</a>」という、感染症対策の専門チームによるWebサイトがあるんですけど、ここにはどのように対策したらいいか、それこそソーシャルディスタンスなんかもそうですけど、基本的な情報がけっこうわかりやすく詳細に書かれています。ほとんどの国にはCDCのような専門の特務機関はありません。日本の行政も様々なコロナ関連の情報を発信していますが、それらのWebサイトが見やすいかというと必ずしもそうではない。だとすると、価値ある情報を集積して、CDCがない国にも情報をわかりやすく発信するのには意味があるんじゃないかと。</p>

<p>OLIVEのときは、3週間くらいで100以上の投稿がされて、その間に100万PVくらいのアクセスがありました。PVの問題ではないんですけど、それによって多くの人にOLIVE由来の情報が伝わった。OLIVEをつくったことで、最終的にそれが「東京防災」につながっていて。紆余曲折があったにせよ、我々がなにか発信することは無力ではないと。そんな気持ちで取り組んでいるつもりです。</p>

<p>今回のPANDAIDも、震災のときと同じように、いてもたってもいられない気持ちからはじめたんですよね。</p>

<p>僕のまわりでも、いろんな人がすでに動いていて、たとえば、「<a href="https://www.code4japan.org/">Code for Japan</a>」の関治之くん、彼らが「<a href="https://stopcovid19.metro.tokyo.lg.jp/">東京都 新型コロナウイルス感染症対策サイト</a>」を構築しました。またPANDAIDにも関わってくれている福井の福野泰介くんが、COVID-19のヴィジュアライゼーションダッシュボード「<a href="https://www.stopcovid19.jp/">新型コロナウイルス対策ダッシュボード</a>」をつくったりしていました。大変素晴らしいなと思って応援しつつ、そういう彼らの情報もひとつひとつはすごく役に立つけど、どう行動すればよいのかはわからない。では、それらを包含して情報の束にして、行動指針のようなサイトを構築できたらいいではないのかなと思ってPANDAIDをはじめました。ゆくゆくは8カ国語対応にしていくつもりです。</p>

<p><strong>――PANDAIDを立ち上げた理由</strong></p>

<p>特段なにかきっかけがあったわけではなく、先ほどもお伝えしたように、とにかくいてもたってもいられなくなってはじめちゃったんですよね。</p>

<p>こうして「PANDAID」を公開してから、「行動が速い」と言ってもらうことも多いんですけど、もっと早くできたんじゃないかな......という思いもあります。本当は2月くらいにつくっていたらよかったのかもしれない。でも、まだその頃はどういう段階にあるのかもわかっていなかったんですね。ウィルスという、色も臭いもないものが対象なので、どういう脅威があるのか、なかなか実感としてわかなかった。</p>

<p>今回のコロナ禍に対して、日本の対策が早かったとか、あるいは対策がよかったとか、そういうことは、残念ながら特になかったと思うんです。でも、日本はまだ世界的に見るとマシなほうなので、そのマシな間に良いコンテンツをつくっておきたい。それはやっぱり、東日本大震災のときの恩返しがしたいという気持ちがあるんですね。震災のときにすごく外国の人たちに助けられたと思いがあります。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/eisuke_portrait.jpg">
<figcaption>太刀川英輔<br>デザインストラテジスト。慶應義塾大学理工学部隈研吾研究室にて、デザインを通した地域再生と建築とプロダクトデザインの研究に携わり、在学中の2006年に「見えない物をつくる職業」という意味を持つデザインファームNOSIGNERを創業。社会に機能するデザインの創出（デザインの機能化）と、デザイン発想を体系化し普及させること（デザインの構造化）を目標として活動している。平面／立体／空間を横断するデザインを得意とし、新領域の商品開発やコンセプトの設計、ブランディングを数多く手掛け、数多くの国際賞を受賞している。経済活動としてのデザインのみならず、科学技術、教育、地場産業、新興国支援など、既存のデザイン領域を拡大する活動を続けている。慶應義塾大学大学院SDM 特別招聘准教授、NPO法人ミラツク理事、地域ブランディング協会理事、ナオライ株式会社 社外取締役、47PLANNING 社外取締役。
</figcaption></figure></p>

<p>実は、オリンピックも控えた2020年に「マスギャザリング（一定期間に限定された地域において、同一目的で集合した多人数の集団）」の際、進行感染症の蔓延をどのように防ぐことができるのかという日本感染症学会の「FUSEGU2020」プロジェクトのデザインに関わっていて、そこで専門家の人たちとやり取りしていたので、ふつうのデザイナーより感染症について知る機会が多かったんですね。今年の序盤くらいに、進行感染症の蔓延はすごく怖いけど、その怖さって実感しづらいから、「どうやって啓蒙していったらいいのだろうか？」と考えはじめていたんですね。</p>

<p>ただ、その啓蒙の時期はとうに超えて、すぐ近くに「見えない脅威」はきている。そういう進行感染症の脅威を、デザインでなら可視化できるかもしれない。細かいところで言えば、手の洗い方から、ソーシャルディスタンスのとりかた、大きなところでいえば感染症が蔓延する仕組み、あるいはそれを防ぐための工夫。そうした情報は、いろんなカタチで可視化できるわけで、デザインにはその力があると思っています。特にコミュニケーションデザインの領域、具体的なソリューションではインダストリアルデザインやプロダクトデザインの領域で、デザインは役立てるはずです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/pandaid-2m-1.jpg">
</figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/pandaid-2m-2.jpg">
<figcaption>感染を防ぐソーシャルディスタンスの距離が直感的にわかるポスターをPANDAIDの有志と制作。サイト上からダウンロード可能。</figcaption></figure></p>

<h2>自分が感染源にならないために必要な、意識と行動の変容</h2>

<p><strong>――情報の真贋や有用性をどのように見極めるのか</strong></p>

<p>今回の感染症は専門性が高い医療・疾病の話、あとは複雑系のネットワーク理論、どう感染が広がっていくかというクラスターの話なので、基本的には専門家がはっきりしているんですね。</p>

<p>OLIVEの時って必要とされる情報がもっと曖昧で。例えば、避難所で寝ているときに周りの音が気になるとか、そういう状況になって初めてわかることをどう考えるかみたいなことも多かったです。あと、身の回りものでつくれる「<a href="https://docs.google.com/document/d/1CJmK7rw4IQwV-6BL_Ai6NpolqqIYjsf-8jRHr8d_aoc/edit">おもちゃ</a>」のこととか。</p>

<p>今回はすごく明確ですよ。衛生的に過ごす手段、なるべく人と接触しない手段、かつ接触しないで過ごすためのノウハウですね。あるいは、そもそもどういう疾病で、罹患してしまったときにすべきこと、あるいはかからないための免疫力の高め方などの情報があればよく、必要となる情報のトータルがそう多くない。そういう視点では言えば、確かな情報が得やすいし、対策を立てやすいと思っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/pandaid-3days.jpg">
<figcaption>新型コロナウィルスは物の上で３日間生き残る。ひと目で危険を喚起することができるのがデザインの力といえる。
</figcaption></figure></p>

<p>東日本大震災のときは課題が一気に押し寄せてきたんですよ。家もない、仕事もない、お金もない、温かい場所もない、健康でもない。東日本大震災のときは、津波が敵だった人もいるし、寒さが敵だった人もいる。だけど、今回はウィルスが「共通の敵」なんです。このウィルスが悪さをしたり、ウィルスに悪さをされたりするかも知れないという状況は世界共通なんですよね。</p>

<p>むしろ、今回恐れなくてはいけないのが、自分たちが感染源になってしまうかも知れないということです。我々の意識と行動の変容がすごく重要です。この状況が何ヶ月続くのかわからない、1年では収まらないかも知れない。届けなくてはいけない情報は少ないけど、自分たちが気をつけなくてはいけない範囲が大きい。震災とは別の種類の脅威ですね。だからこそ、情報デザインがとても役に立つと信じています。</p>

<p><strong>――これからの社会にどんな変化が起こるのか</strong></p>

<p>今回はすごい騒動になっていますし、歴史に残る大事件です。でも少し前にオーストラリアの大きな山火事で、コアラやカンガルーなどの動物たちが数億匹も死んでしまうという痛ましいできごとがありました。あれは人災だったとも言われていましたけど、僕らは気候変動がやばいなと感じていながらも、何がやばくて、それがその後、私たちの未来にどう関連しているのか、実感を持って理解できていなかった気がするんですよね。</p>

<p>なにが言いたいのかというと、人間は「縁」を読み取る能力が弱いんですよね。たとえば、オーストラリアの山火事があって、木々がなくなったことで洪水が起こり、たくさんの人が亡くなる......そこで初めてまずかったんだと理解する。そこまでのタイムラグに数年かかります。悲しいかな、人間はそういう生物なんだと思うんです。ミラーニューロン的にも、隣にいる人や、目の前にいる人のことはなんとなく理解できるけど、その隣の隣、次のつながり、クラスターの先のクラスターはわからない。だけど、今回のように自分や友人が死ぬかも知れないとなったら、そこに対しては大きな危機意識を持つことができる。</p>

<p>大きな悲しみとともに、コロナは実感を持って社会が変わるきっかけになっている。これから社会に劇的なトランスフォーメーションが起きます。これはいい意味でも悪い意味でも。その先でどういうカタチの未来になるのか読みにくいんですけど、いまの厄災をちゃんと乗り越えられれば、必ずしも悪い未来ではないんじゃないかと思っているんです。</p>

<p>ただ、ここで注意しなければならないのは、いま起きていることは100年前のスペイン風邪と状況がよく似ているんですね。その先で怖いのは、今回の緊急事態宣言のような社会的分断によって、そのスキをついてくるナチスのような動きが生まれかねない。</p>

<p>そうした分断を広げる方向ではなく、遠くの人を接続していく必要がある。この状況でクリエイティビティは発露すると思うので、こうやってインターネットという別のパスを使ってつながることができるから、遠い距離のパスとかコミュニケーションのつながりを保っておく。そうしないと、取り返しのつかないことになってしまうんじゃないかと。そういう意味では、遠くとの縁をつなげるデザインをちゃんとがんばろうって思っています（笑）。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>リモートワークは突然に ━━連載：横石崇の「自己紹介2.1」Vol.4 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/04/yokoishi-Vol4.html" />
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    <published>2020-04-09T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-04-09T03:39:54Z</updated>

    <summary>面白いアイデアは、誰かとの他愛のない話や脱線した雑談から生まれることが多い。リモートワークの環境でもその「偶然」は起こせるのか。 横石崇の連載、第四回。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="横石崇の「自己紹介2.1」" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>新型コロナウイルスの影響もあって、世の中が突然とリモートワーク体制になったわけだが、結果として僕は、仕事がごんごん進むようになった。打ち合わせは効率化され、溜まりに溜まった原稿や、いつもなら間に合わない経費精算、デスクトップのフォルダ整理までやれてしまう始末だ。</p>

<p>でも、リモートワーク推奨の流れは、僕にとって死活問題でもある。よいアイデアが生まれる瞬間というのは、いつも誰かとの他愛のない雑談や脱線がきっかけになるものだが、いまのリモートワークではなかなかそれが得難い。作業は進んでも、新しい出会いからセレンディピティが舞い降りてこなければ、絶対いいものなんて生み出せない。</p>

<p>例えば、宇多田ヒカルがデビュー曲で中腰になって歌ったのは、"たまたま"安価で借りれたスタジオが狭かったからだそうだ。Twitterというサービスは、エンジニアたちが社内用の遊びで使っていたショートメッセージのツールから"たまたま"派生を遂げたものだ。ニュートンは落ちるリンゴをみて世界の真理に気付いたのは、"たまたま"学校が休みになってフラフラしていたからだ。</p>

<p>そう、偶然の出来事から新しい発見をする力「パワー・オブ・セレンディピティ」こそが、人類を一歩前に進めてきたといっても過言ではない。</p>

<p>このままではまずいと思い立ち、ある人にオススメされて始めてみたのが、ソーシャルラジオアプリだ。これがまたセレンディピティがすごい。DJとリスナーそれぞれがリアルタイムに音声とチャットでやりとりできる音声ライブ配信プラットフォームなのだが、もうこのネクスト・ラジオ・ワールドでは思いがけない出会いしか起きない。</p>

<p>チャンネルをいくつか紹介しておこう。深夜になかなか寝付けないときに聞くための「寝落ちチャンネル」とか、人前で一度も披露したことがないミュージシャンによる「弾き語りチャンネル」とか、ただただ一人で延々と自己紹介しているだけの「自己紹介チャンネル」とか。誰がこんなものを聞くんだと思うような雑談コミュニティにも、しっかりとリスナーたちがたむろっている。ここに来れば24時間365日いつだって「パワー・オブ・セレンディピティ」を味わうことができる。セレンディピティのセブンイレブンである。</p>

<p>だから、僕はここで2020年代の自己紹介力を鍛えている。ソーシャルメディア時代の自己紹介は、いままでのやり方ではうまくいかない。インターネットに常時接続された世界では、むしろ自己紹介が邪魔になることもある。自己紹介のような儀式性があり、緊張感が生まれるものよりも、もっと日常的でゆるくてぬるい、シームレスなコミュニケーションが好まれる。だからこそ、自己紹介もわざわざ持ち時間をつくるのではなく、雑談の端々で自分の物語をサッと差し込んで、少しずつ自分の輪郭をつくりあげていくような進め方が必要になる。</p>

<p>これから時代、どう働き、どんな出会い方をして、どんな自己紹介をしていけばよいのか。そう悩んでいるのは、決してあなた一人ではないはずだ。孤独化は僕らの敵だから、ぜひ、みなさんのオンライン・セレンディピティにまつわる悩みや鍛え方についても聞かせて欲しい。リモートワーク時代のセレンディピティを探す旅はまだ始まったばかりだ。</p>

<p>では、最後となりましたが、ここでセレンディピティを代表する一曲を聞いてください。
小田和正さんで「ラブ・ストーリーは突然に。」</p>

<p>今日も、あなたの自己紹介にトキメキがありますように！ヴィヴィデヴァヴィディヴゥ！</p>

<hr />

<p><aside><strong>著書について</strong><small><strong><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4046043083/">『自己紹介2.0』（横石崇／KADOKAWA）</a></strong></small><p>自己紹介をアップデートせよ。「共創」や「越境力」が問われる時代。ひとつの会社や組織でしばられず、様々な分野の人々とつながり、新しい価値を生み出すことが求められています。では、どうやって「つながり」をつくっていけばよいのでしょうか。答えは、コミュニケーションの第一歩である「自己紹介」にあります。かつての「肩書き」「会社名」を武器に自分を見せる時代はもう終わりました。これからは「未来」「役割」を語れる人こそ、本物の「信頼」を勝ち取ることができるのです。いますぐ自己紹介をアップデートして、自分の仕事と人生を切り拓いていきましょう。<br>
<br>
本書は、3万人を熱狂させた働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」を主宰する著者が編み出した、新しい「自己紹介」のメソッドを紹介。誰でも簡単に自己紹介をアップデートできる「最強の型」を伝授します。</p></p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/11/BNLBooks-VOL23.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/bnl-books-visual_v2%203.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>要約：肩書きに頼るのはもうやめよう。相手の心を掴むのは、過去ではなく未来から語る『自己紹介2.0』</strong></div></a></div>

<div class="profile-box"><a class="open">執筆者・横石　崇のプロフィール</a>
<div class="hint">
<div class="profile">
<div style="background-image: url('/uploads/yokoishi_profile.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>横石　崇</strong>
<p>＆Co.代表取締役／「Tokyo Work Design Week」発起人・オーガナイザー</p>
<p>1978年、大阪市生まれ。多摩美術大学卒業。広告代理店、人材コンサルティング会社を経て、2016年に＆Co., Ltd.を設立。ブランド開発や組織開発をはじめ、テレビ局、新聞社、出版社などとメディアサービスを手がけるプロジェクトプロデューサー。主な仕事に、グーグル、ソニー、アドビ、ポーラ、東急電鉄、ワイアード日本版などとプロジェクト実施多数。また、「六本木未来大学」アフタークラス講師を務めるなど、年間100以上の講演やワークショップを行う。毎年11月に開催している、国内最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」では、6年間で、のべ３万人を動員した。鎌倉のコレクティブオフィス「北条SANCI」支配人。著書『これからの僕らの働き方』（早川書房）、『自己紹介2.0』（KADOKAWA）がある。
</p><a href="https://8card.net/p/yoktak">Eightプロフィールはこちら</a></div></div></div></div>
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    </content>
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    <title>売れる売れないより、やりたいかどうか。社員を信じ、自分たちの商品を信じ抜く、木村石鹸の経営哲学 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/04/kimurasoap.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9389</id>

    <published>2020-04-07T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-06-09T04:24:08Z</updated>

    <summary>「管理」もなければ、職種ごとの明確な役割もない。製品を自由に作れる環境がある。利益を優先せず「これは絶対にいいものだ」と心から思えるものだけを作る方が、きっと会社はうまくいく。木村石鹸の経営は、社員も商品も「信じること」から立ち上がっていた。

</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>木村石鹸工業</strong><p>1924年、大阪にて創業。家庭用洗剤、業務用洗剤などの企画開発から製造までを自社で行う老舗石鹸メーカー。創業以来、自社工場で釜焚き製法により石鹸成分を一から製造している。現在、三重・伊賀に新工場を建設中。新工場には、製造工程を見学、体験できるスペースも設ける予定。</p>
<strong>木村祥一郎</strong><p>1972年、大阪府八尾市生まれ。同志社大学在学中の95年、サークルの仲間とIT企業を起業。副社長として、東京でインターネット検索エンジン開発やウェブサイト制作などを手がける。2013年家業の木村石鹸工業に転職、16年代表取締役社長に就任。ハウスケアブランドを立ち上げる。2020年、シャンプーの新商品『12/JU-NI』でクラウドファンディングを行い、予想をはるかに超える大ヒットを記録。</p></aside></p>

<p>木村石鹸は創業96年の大阪の老舗石鹸メーカーだ。従業員41人の小さな町工場。いまでも釜炊きと呼ばれる伝統的な製造法、職人による手作業で石鹸を作り続けている。</p>

<p>その木村石鹸が「本当に髪にいいシャンプー&amp;コンディショナー」を徹底追求して開発したのが、新商品『12/JU-NI』。クラウドファンディングサイト『Makuake』で今年1月に行った先行販売で、達成率1699%の大ヒットを記録した。</p>

<p>だが、徹底していいものにこだわったがゆえに、品質を担保するのは非常に困難に。最適な製造法を見つけるため、2018年10月の開発成功から初出荷までには1年半もの歳月を要した。価格も高く設定せざるを得ず、2020年4月からの一般発売を予定しているが、当面は限定した数量の販売になる見込みだ。</p>

<p>ものやサービスの作り手であれば、誰だって少しでもいいものを世に送り出したいと考えるはず。けれども、ビジネスである以上は採算や効率も考えざるを得ない。そうやって妥協して、現実と折り合いをつけている人は少なくないのではないか。</p>

<p>木村石鹸の4代目社長・木村祥一郎はそうは考えない。一切の妥協をせずに自分たちが信じられる商品を追求することが、ビジネスとして、経営としても正解であると考えている。</p>

<p>木村石鹸の「信じることから立ち上がる経営」の一端を知るため、ものづくりのまちとして知られる大阪・八尾を訪れた。</p>

<h2>ただひたすらに理想を追い求めることができる開発環境</h2>

<p>木村石鹸には、普通の会社であればあって当たり前のものがいろいろと見当たらない。</p>

<p>たとえば、ジョブディスクリプションというものがない。新人だろうと営業担当だろうと、社員は誰でも、自分が作りたいと思ったものを作ってよいことになっている。</p>

<p>「職種ごとに明確に役割を決めて、ということはやっていません。なにをやるかは、それぞれが自分で決めろというスタンスです。だから『こういう新商品を作りたい』と思えば、営業担当であっても開発していい。自分ではできないのであれば、その人が直接、開発者を口説きます。やりたいと思った人がやりたいことをやればいい。それがうちのルールなんです」</p>

<p>『12/JU-NI』の開発者である多胡健太朗も、2013年に木村石鹸に入社して以来、一切の制約を受けることなく、ひたすら理想のシャンプーを追い求めて開発を続けてきた。そうして5年の歳月が経ったある日、ついに完成したのが『12/JU-NI』である。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/12_ju_ni.jpg">
<figcaption>ブランド名の『12/JU-NI』には様々な意味がある。例えば、髪の適切な水分量が「12％ぐらい」と言われていること。髪に抱えるストレスから「自由に」なること。傷んでいたり、まとまらなかったりと、髪に悩みを抱えている人たちが少しでも楽になれるように。そんな思いから誕生した商品だ。　</figcaption></figure></p>

<p>木村はその日のことを次のように回想する。</p>

<p>「自分の仕事をよく見せようというところが一切ない人間なんです。その多胡が社内チャットにただひと言『すごいものができました！』と。それには社内中が色めき立ちました。実際に使ってみると、案の定これが素晴らしい出来で。ツイッターで呟いてみたら、『ぜひ使いたい』という声もたくさんあった。サンプルを配ってみたところ、評判は上々でした」</p>

<p>多胡は大学、大学院で畜産を学び、新卒でヘアケアの原料メーカーに就職。そこで原料の開発に従事した後、化粧品OEMの会社に転職し、主にヘアケア製品の処方開発に携わってきた。細胞・組織、原料レベルから製品開発までを知る、いわばヘアケアのプロフェッショナルだ。</p>

<p>その彼が木村石鹸の門を叩いたのは、一切の制限のない、自由な開発環境を求めてのことだった。彼はひとえに「本当に髪にいいシャンプー」を作りたかった。木村石鹸は当時シャンプーを作っていたわけでも、社員を募集していたわけでもなかったが、多胡の申し出を快く受け入れた。</p>

<p>木村によれば、ヘアケア商品は安く作って大量に売るモデルが多いので、原価を安く抑えるために、効果は二の次で安い原料が使われることも少なくないのだという。</p>

<p>多胡は、売ることからの逆算で製造法や成分処方が決まるこうした"常識的"な環境では、理想のシャンプー開発ができないことを知った。もっと正直な開発がしたい、本当に効果のあるもの、いい原料をたっぷり使っていいものを作りたい━━。自分のそんな"非常識"な思いはどこであれば成就するだろうかと考えた末に、たどり着いたのがこの小さな石鹸メーカーだった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_2242.jpg">
<figcaption>「本当に髪にいいシャンプーを作りたい」という真っ直ぐな思いを持っていた多胡は、石鹸の会社を探していたという。その中で、「自分たちがいいと思えるものだけを作っていく」という木村石鹸のやり方がぴったり合ったのだ。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0905.jpg">
<figcaption>木村は、ある日突然やってきた多胡と面接で話をしていく中で「面白い人だな」と感じたという。だから、シャンプーの開発に関する求人を出していたわけではなかったが採用を決めた。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_2144.jpg">
<figcaption>工場を見学したのはちょうど昼時だったが、時より大きな音を立て、機械が動き続けていた。現在建設中の三重・伊賀の新工場が完成したら、家庭用の石鹸や洗剤の製造は伊賀に移る。大阪・八尾の工場では、業務用洗剤などの生産を続けるという。</figcaption></figure></p>

<p>木村石鹸では大手メーカーとは逆に、まずは自分たちが信じるいい商品を作ることに徹し、その後、それをどう売るか、という順番で考える。</p>

<p>作った本人たちが本当にいい商品であると信じられる状況を作る。それができれば、彼ら彼女らは放っておいても、それを世の中に広めようと努力するはずである。木村石鹸が、売れる・売れないとか、製造のコストとかいったことは一旦置いておいて、作りたいと思ったその人が自由に作れる環境を整えているのは、そのためである。</p>

<p>「ありがたいことに、現場に任せていると、管理などせずとも最適な役割分担が勝手に決まっていくんです。会社があらかじめ枠を設けて指示するよりも、よっぽどうまくいくというのがぼくの実感で。それに、時には『12/JU-NI』のように、ぼく自身も想像もしていなかったような商品が出来上がってくる。商品開発の面白さって、そういうところにあるんじゃないかと思うんです」</p>

<h2>採用で第一に考えるのは「性格がいい」かどうか</h2>

<p>木村石鹸が「管理ゼロでうまくいく」のには、一つの前提がある。それは、同社には「いい人」しかいないことである。木村は人を採用する際に「性格がいいこと」を第一に考えているのだという。</p>

<p>「どれだけ能力があったとしても、性格の悪い人と働くのは大変です。その人のために周りが調整したりして疲弊すれば、結果、全体としてはうまくいかないことも多い。仕事をする上では、なにをやるか以上に、誰とやるかが大事だと考えています」</p>

<p>だから、石鹸メーカーではあっても、石鹸ということにもそれほどこだわっていないのだという。会社を必要以上に大きく成長させたいという野望もない。こだわっているのはただ一つ、関わる人たち全員が幸せな状態のまま、会社をいかに長く続けることができるか、だ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0982.jpg">
<figcaption>工場見学中、木村は「社員に任せているので、僕は現場のことは詳しくわからないんです」と繰り返した。この言葉からも社員全員を信頼し、それぞれの職場を任せ切っていることが伝わる。</figcaption></figure></p>

<p>木村は家業を継ぐ前、大学の友人たちと一緒に起業している。その会社、ジャパンサーチエンジンは、誰一人会社で働いたことのない「モラトリアム学生」が集まって作った組織だった。</p>

<p>「創業当初は日本語検索エンジンの会社でしたが、その仕事がやりたくてやったのではありませんでした。どちらかというと、仲間と仕事をするのが面白い、自分たちにとって居心地のいい場所が欲しいというのが、起業の動機だったと思います」</p>

<p>だから、生き残るためにはいろいろなことをやった。業態変換も何回かした。それでもメンバーがついてきてくれたのは、なにをやるかより誰とやるかを重視してきたからだと木村は言う。</p>

<p>「明日これを支払えなかったら終わるというピンチも何度か経験しましたが、その度に『仮にこの会社が潰れても、同じメンバーでまた別のことをやろう』と自然と言い合える仲間でした。逆説的ですが、だからこそ最後まで頑張ることができた。危機を乗り越えられたのは、その結果であったと考えています。木村石鹸にもこの先、何度となく危機が訪れるでしょう。その時に最終的に救いになるのも、会社と人の関係、働いている人同士の仲のよさといったことだと思っているんです」</p>

<p>現在の木村石鹸には、木村の社長就任より前から働くメンバーも多くいる。その意味でこれは、木村の就任以前から続く「木村石鹸のDNA」であるとも言える。先代である父・幸夫が大切にしてきたことも、木村の哲学と通じるものがあった。</p>

<p>「父が会社を経営する上でテーマに掲げていたのは『親孝行ができる社員を育てる』ことでした。自分が生きていられるのは、親がいて、周りで支えてくれる人がいるからである。そういう当たり前に感謝しよう。感謝をしたら幸せになるというのが、父の教えでした」</p>

<p>毎月1回は道徳の勉強会を行い、毎年4月は「親孝行強化月間」として、親孝行をするために社員全員にお金を渡す。5年に一回は親孝行についての社員文集まで作る。こうした慣習は木村が会社を継いだいまも変わらず続けている。</p>

<p>「親孝行が大事だなんてわけがわからないし、経営となにが関係あるんだと思っていました。でも、そうした積み重ねがいまの木村石鹸を作っているのかもしれません。そうやって当たり前にいいことをする人たちを育てていてくれたから、戻ってきた時もめちゃくちゃやりやすかったんです。いや、やりやすかったというより、ぼく自身、仕事がすごく面白かったんですよ」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_1959.jpg">
<figcaption>昔から変わらず守り続けているのがこの釜場だ。釜焚き製法で石鹸を一からつくっている会社は、国内ではもう数少ない。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_1974.jpg">
<figcaption>大きなタンクから石鹸の材料を注ぎ、人の手で釜の中をかき混ぜていく。「いまはもうやっていませんが、親父の時代は実際に味見をして石鹸の出来具合を見ていたんです」と木村は言う。</figcaption></figure></p>

<h2>責任は「失敗して取るもの」ではなく「最後まで持つもの」</h2>

<p>木村石鹸は木村の就任当時から「いい人」揃いだったが、一方でチャレンジが足りないという問題を抱えてもいた。</p>

<p>木村石鹸は木村の就任以前に、事業承継に失敗した経緯がある。新しい経営者が持ち込んだのはマーケティング重視の姿勢、能力主義、評価制度など。先代とはまったく違う方針だった。その結果、一生懸命だが不器用なベテラン社員が会社を去ることを余儀なくされた。そして、社内が混乱した。</p>

<p>このままではダメだと言って幸夫が現場復帰。ただ、一度は引退を考えたほど体調が悪い父を見ていられなかったことが、木村に家業を継ぐことを決意させた。</p>

<p>「能力主義の"暗黒期"を経たことで、ぼくが家に戻った当時、社員からはチャレンジする気持ちが失われていました。売れなかったら責任を取らされる、自分の評価が下がる。そうした経験をたくさんしたことで、開発メンバーはみんな、開発したくなくて仕方ない状態だった。営業から提出された開発依頼書には、なにかしらのケチをつけて差し戻すことが常態化していました」</p>

<p>そこで木村は「責任の定義」を変えることから始めた。責任とは、失敗や問題が起こった時にペナルティを受けることではない。成功しようと失敗しようと、自分ごとと捉えて最後までやりきることである、と。「だからやりたいことをやろう、失敗しても大丈夫だから」と呼びかけた。</p>

<p>開発依頼書は廃止。営業担当は、やりたいことがあるなら自分で直接、開発者を説得することとした。開発者も納得した上で作りたいものを作るという、現在のやり方に変えた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_2131.jpg">
<figcaption>2019年の新卒で入社した開発者の女性。「なぜ木村石鹸に？」と聞くと「やりたいことに自由に取り組めるから」と答えた。入社1年未満だが、すでに他社と共同で新商品を開発したという。</figcaption></figure></p>

<p>すると、徐々に社員の意識が変わっていった。正しい・正しくないでも、売れる・売れないでもない。自分がやりたいかどうか、楽しいと感じるかどうかの基準で選ぶよう促したら、開発に着手する数が段違いに増えた。1年間で生み出される新製品の数はそれまで、クライアントから依頼されて作るせいぜい10アイテム程度だった。それがいまでは、毎年50以上の新製品が出てくるようになっている。</p>

<p>「みんな、できるかどうかわからないものにもチャレンジするようになって。結果として完成しないものもたくさんありますが、その完成しなかったものも含めて『でもここになら使えるかも』ということが起こるようになった。もちろん、商品の数が増えればいいというものではないですけど、自分が作ったものが世に出るとなると、やっぱり嬉しいじゃないですか。そこから社内に活気が出た。リスクヘッジで後ろを向いていた社員が、前を向くようになったんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_2326.jpg">
<figcaption>木村石鹸の商品は、配合成分を全て明記している。「ネット上にある成分の評価は、その根拠が曖昧なものも多い。だから消費者が自分に合う成分を自分で判断できるようにしたい」と木村は言う。「こんなにいい成分を使っている」と主張するのではなく、情報を全て開示して、選択を消費者に委ねる。社員を信じるのと同様に、消費者のことも信じているということだ。</figcaption></figure></p>

<p>現状の課題は、製造部門のモチベーションをどう上げるかだという。製造の仕事は、そもそもが言われたものを作る請負仕事。開発や営業が前向きになり、やりたいことをやればやるほど、製造にしわ寄せがくる。なかなかモチベーションを上げにくく、若い人も働きたがらない難しさがあった。</p>

<p>約8億円を投じて三重県伊賀市に作った新工場「IGAスタジオ」は、この課題に対する打ち手の側面を持っている。「IGAスタジオ」は製造工程が見える作りになっており、外部からの見学を受け入れている。ここでは、製造部門は「ただ、ものを作る人」ではない。</p>

<p>「外から来た人におもてなしをする、スタジオの『キャスト』と位置付けました。どうおもてなしするかは彼ら彼女らが自分で考える。自分でコントロールできる裁量を増やすことで、モチベーションを高めたい狙いがあります。まだ立ち上げたばかりで大変な時期ではありますが、一から作り上げる感覚で楽しんでくれているみたいです。こうした空気が伝わったのか、先日は工場見学に来た高校生の女の子が『ここで働きたい』と言ってくれて。それまでであれば考えられないことです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_2583.jpg">
<figcaption>新工場「IGAスタジオ」では、製造工程を見学できるつくりになっている。写真提供：木村石鹸</figcaption></figure>
<figure>
<img src="/uploads/IMG_2768.jpg">
<figcaption>「IGAスタジオ」で働く製造部門のスタッフはキャストという位置付けだ。見学に来てくれたお客さんをどうおもてなしするかを考え、工場をつくっていく。写真提供：木村石鹸</figcaption></figure></p>

<h2>「悪い人」に合わせたルールなんて本末転倒</h2>

<p>木村石鹸には「くらし、気持ち、ピカピカ」という標語がある。「単に汚れを落とすというだけでなく、それを使う人の気持ちもピカピカにしよう」といった意味が込められている。「自由に開発できる」のは、それに外れない限りというわけだが、とはいえ、木村がこうしたビジョン、ミッションのようなものを重要視しているかといえば、そうでもない。</p>

<p>それよりも、心掛けているのは「文化祭前の雰囲気をいかに作るか」だという。</p>

<p>「ものを作ったりサービスをやる時には、当然大変なこともあります。でも、その大変なことも含めて、やっていることそれ自体が楽しいところがあるじゃないですか。気心の知れた人間と一緒にやっていると、大変なことも含めて面白いと思える。そういう状態があれば、大きなミッションやビジョンがなくても、大きな成功や成長がなくても、もうそれだけで面白い。そういう経営の仕方もアリなんじゃないかと思っているんです」</p>

<p>社員を信じ、自分たちの作った商品を信じ抜くのが木村の経営哲学だ。「信じた末に、裏切られたらどうするのか？」という意地の悪い質問に対しても、木村の姿勢にはブレがない。</p>

<p>「前の会社でもいろいろありました。騙されたことも何度もありますよ。でも、それでなにかを変えるのもおかしいじゃないですか。たとえば、そういう悪い人に合わせて新たなルールを作ったとして、いい人がそれで働きにくくなったら本末転倒だから。悪い人なんて全体から見ればほんの数%。大部分はいい人なんですよ。悪い人に振り回されてどんどん働きづらく、生きづらくするよりも、いい人が入って来やすい環境をいかに作るかが、経営者としてのぼくの仕事だと思っています」</p>
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    <title>緊急事態のときに従うのはルール？ それとも行動指針？ ──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.20 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/03/habuchi-vol20.html" />
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    <published>2020-03-31T03:00:00Z</published>
    <updated>2020-04-16T05:34:20Z</updated>

    <summary>ビジネスにおいて、予測不可能な緊急事態や大きな変化が起こったとき。「ルール」に従うことよりも大切なのは、一人ひとりが自分で決断し、最適な行動をとること。「行動指針」は、その判断のヒントになるだろう。羽渕彰博の連載、第二十回。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
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        <category term="ととのう職場、自然体のキャリア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>緊急事態のとき、皆さんが所属する組織は、ルールに従いますか？　それとも行動指針に従いますか？</p>

<p>ここで言う行動指針とは、会社としてあるべき言動を一言にまとめたものです。例えば、私が関わった企業の中で好きな行動指針を挙げるとすると、「おもろいアイデアで、未来の定番を創ろう」とか「思ってるだけじゃ伝わらない」とか。会社によってはコアバリューやクレドとも呼ばれています。</p>

<p>言葉にすると短文ですが、どこの企業も時間をかけて作りあげています。作るのも大変ですが、「行動指針」を社員全体に浸透していくのはもっと大変です。短文がゆえに、いかようにも解釈されてしまうし、何よりなかなか浸透しません。</p>

<p>「行動指針」は、平常時の仕事ではそこまで必要を感じない方が多いからです。例えば資料を10部1時間後までに印刷してくださいという作業があったとします。わざわざ「行動指針」に立ち返らなくても目的は達成できますよね。納品物や納期、作業プロセスがある程度決まっているような、確実性の高い仕事では、「行動指針」に立ち戻る必要はありません。では、「行動指針」はどういう場面に必要なのでしょうか。そもそもなぜ会社や経営陣は「行動指針」を定義するのでしょうか。</p>

<p>必要になるのは、不確実な状況で行動しなければならないときです。「行動指針」に立ち戻ることで、決断や行動のヒントが得られます。例えば、コロナウイルスの影響で予定していたイベントを急遽キャンセルせざるを得ず、顧客からクレームが来て怒られるとします。パニックになってしまいますよね。ルールに載ってないことを決めなければいけないとき、社員によって意見がバラバラだとなかなか決まりません。そんなときに行動指針が、自分で判断をするヒントになります。</p>

<p>もちろん、ルールに従っている方が成果が出しやすいこともあります。しかし、その状態に慣れてしまうと、いつのまにかルールがないと行動ができなくなります。緊急事態が起きても、上司が新しい指示を提示しないと動けなかったり、自分は悪くないと責任の押しつけあいが始まったり。ルールに最適化しすぎると、緊急事態に対処できない、脆い組織になってしまうかもしれません。</p>

<p>そしてさらなる問題は、緊急事態が終息したときに、再び問題が起きないようにと、また新たなルールを増やしがちだということ。管理業務が増え、社員の自由度は下がるばかりです。ルール通りに動かなければいけない仕事が増えれば、顧客に価値を生み出すことの優先順位は下がる。実際、何事もルールに従って考えることが良しとされる環境では、新しい価値を生み出そうとすることが評価されにくい傾向にあります。</p>

<blockquote>
  <p>何かあるのが当然としてこれを解決しようとする組織は変化に対応できる。変化に対応することを主眼とするから、ルールは最小限になる。ルールは機動力を下げると>知っているからである。柔軟かつ機動性をもって解決しなければならない。問題を解決する能力は長けていく。ただし、これだけで終われば同じ問題が何度も起こることへの解決にはならない。両方の力をバランスよくもつことが重要である。</p>

<p>『その島のひとたちは、ひとの話をきかない━━精神科医、「自殺希少地域」を行く』森川すいめい著</p>
</blockquote>

<p>経営陣がなぜ行動指針を大切にするかというと、経営陣の仕事のほとんどが不確実な仕事だからです。緊急事態やトラブルが起きたときに判断して片付ける仕事。社会の変化に合わせて新しい事業を考える仕事。</p>

<p>緊急事態のときは未来が予測できないので、一瞬一瞬の決断や行動をどうするか考えざるを得ません。そのときに助けてくれるのが「行動指針」です。社員が行動指針に基づいて自律的に行動できるようになれば、最小限のルールで、変化に適応しやすい組織が生まれます。</p>

<p>コロナウイルスの件が少し落ち着いたら、自分たちの組織はどうあるべきか、タイワしてみるのはいかがでしょうか。緊急事態のときに従うのはルール？　それとも行動指針？</p>

<div class="profile-box"><a class="open">執筆者・羽渕彰博のプロフィール</a>
<div class="hint">
<div class="profile">
<div style="background-image: url('/uploads/fixed_habuchi-profile.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>羽渕彰博</strong>
<p>reborn株式会社代表取締役CEO</p>
<p>1986年大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事しつつ、アイデアを短時間で具現化する「アイデアソン・ハッカソン」のファシリテーターとしても活躍。2016年4月に独立し、リレーションシップデザインを軸とする株式会社オムスビを設立し、組織変革したい企業様向けの組織コンサルティングサービス「reborn」を提供。2020年、株式会社オムスビをreborn株式会社に変更。</a></div></div></div></div>
]]>
        
    </content>
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    <title>状況に応じて使い分けたい「とりあえず」のフレーズ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/03/English-VOL12.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9387</id>

    <published>2020-03-30T05:16:47Z</published>
    <updated>2020-05-29T09:00:47Z</updated>

    <summary>日本語での会話でよく使う「とりあえず」には、英語の直訳がない。この微妙なニュアンスを伝えるには、どのようなフレーズを使えば良いのだろうか。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
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        <category term="ひとこと英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="英会話" label="英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>こんにちは、ルーク・タニクリフです。
日本では、物事を前に進めたいときなどに「とりあえず」や「まず」などの言葉をよく使いますね。英語圏でのビジネス上でも同じような表現があって、例えばto begin with、let's start with、for now、for the time being、tentativelyなどをよく耳にします。しかし、これらのフレーズには、それぞれ微妙なニュアンスの違いがあります。状況によってどのような使い分けができるのか、一緒に見ていきましょう。</p>

<p>「とりあえず」を英語で表現するときによく聞くのが、begin 「始める」を意味する英語です。</p>

<p><img src="/uploads/12_text_01.jpg"></p>

<p>Let's begin withと同じように、Let's start with という英語も使います。</p>

<p><img src="/uploads/12_text_02.jpg"></p>

<p>これらは英語圏の会話でよく耳にするフレーズですが、少し強引な印象も与えます。もう少し丁寧に伝えたい場合は、質問形にするとよいでしょう。</p>

<p><img src="/uploads/12_text_03.jpg"></p>

<p><img src="/uploads/12_text_04.jpg"></p>

<p>offを入れて、to start off withを使うこともあります。</p>

<p><img src="/uploads/12_text_05.jpg"></p>

<h3>もっとフォーマルな場面で使うとき</h3>

<p>first of allはビジネス上のフォーマルな場面でよく使われる「とりあえず」です。</p>

<p><img src="/uploads/12_text_06.jpg"></p>

<p>また、プレゼンテーションを行う際はこのフレーズをよく耳にします。</p>

<p><img src="/uploads/12_text_071.jpg"></p>

<h3>暫定的な計画を進めたいとき</h3>

<p>正式な決定がなされるまで暫定的に計画を立てるときには、tentativelyとtentativeという単語をよく使います。tentatively はよくschedule という動詞と一緒に使います。</p>

<p><img src="/uploads/12_text_08.jpg"></p>

<p><img src="/uploads/12_text_09.jpg"></p>

<p>形容詞のtentativeも、a tentative plan 「仮の計画」、a tentative appointment「仮の予定」など「仮の」という意味でよく使います。</p>

<p>計画を立てるが、あとで状況が変わる可能性があるというときに、 for the time beingというフレーズもよく使います。</p>

<p><img src="/uploads/12_text_10.jpg"></p>

<p>この例文のニュアンスは「今後もし事情が変わったら、違う計画を立て直す可能性がある」ということを表しています。</p>

<h3>複数の選択肢から一つを進めたいとき</h3>

<p>いろいろな選択肢があるなかで、とりあえず一つのことをしたいときには、for now、for the moment、for the presentを使うのが良いでしょう。これらのフレーズはよくjustと一緒に使います。この場合のjustには「これだけ」というニュアンスがあります。</p>

<p><img src="/uploads/12_text_11.jpg"></p>

<p>momentは「瞬間」という意味で、for the momentは「とりあえず」という意味を表現します。このフレーズは少しインフォーマルな印象を与えます。</p>

<p>気をつけたいのは、for a moment ではなく、for the moment であること。for a momentは「少しの時間」という意味で、Can I see you for a moment? 「少しの時間、会ってもいいですか」と使います。</p>

<p><img src="/uploads/12_text_12.jpg"></p>

<p>justは動詞の前に入れます。</p>

<p><img src="/uploads/12_text_13.jpg"></p>

<p>いかがでしたか？ 微妙なニュアンスの違いですが、状況に合ったフレーズを使うことで相手へより正確に伝わります。英会話のなかで積極的に使ってみてください。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>空港カウンターでスタッフを支援する「日本的AI」とは？━━知見と技術が高度に融合するアクセンチュアの提案力 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/03/accenture-2020-1.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9386</id>

    <published>2020-03-25T04:30:49Z</published>
    <updated>2020-04-24T00:03:03Z</updated>

    <summary>「答えのない時代」において、企業の課題はますます複雑化している。コンサルティングファームに求められる役割も自ずと変化してきている。顕在化していない課題を、どのようにして価値あるカスタマーエクスペリエンスにつなげていくのか？ JALとの共同プロジェクト「空港旅客サービス案内支援システム」から、同社の提案力と実行力の秘訣を紐解く。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ai" label="AI" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="テクノロジー" label="テクノロジー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>かつてコンサルティングファームといえば、顧客の課題に対して業界分析などをもとにひとつの"正解"を示し、その実行を支援するのが主流であった。しかし時代は変わった。今のコンサルタントには、「取り組むべき課題は何か」という"問い"を探すところから顧客と協働し、顧客自身が主体的に進む方向を見つけることをサポートし、新しいソリューションを生み出してビジネスを変革するところまで寄り添うことが求められる。</p>

<p>2019年3月、まさにそのような協働の末にアクセンチュアと日本航空株式会社（以下、JAL）が生み出した「空港旅客サービス支援システム」が、成田空港と羽田空港の国際チェックインカウンターに試験導入された。</p>

<p>そのシステムは、乗客からの多岐に渡る問い合わせに対し、空港スタッフが発言した内容をAIが正確に解釈し、スタッフのタブレット端末に適切な情報を表示させるというもの。従来は紙の資料や他の情報端末で探す必要があった情報が瞬時にタブレットに表示される。これによって乗客を待たせる時間が短縮され、顧客満足度の向上だけでなく、スタッフの満足度向上にも寄与することが期待されている。</p>

<p>特にAIを活用するという点で、従来のシステム開発とは異なるプロセスが求められた本プロジェクトについて、長年にわたってJALを担当するコンサルタントのKei T.と、AIに関する専門家として関わったAIエンジニアのQifeng C.に聞いた。</p>

<p><figure>
<figcaption>※アクセンチュア株式会社の意向により、本記事では同社社員の氏名をイニシャルで表記します
</figcaption></figure></p>

<h2>コンサルティングと技術のスペシャリストがチームに</h2>

<p><strong>――JALのプロジェクトにおけるおふたりの役割を教えてください。</strong></p>

<p><strong>Kei T.（以下、T）：</strong>私はアクセンチュアで航空業界のお客様や空港に関わる仕事に長く携わっていて、JALに関しては2013年から様々なプロジェクトに参加してきました。今はJALに関わるプロジェクト全体の責任者をしています。今回お話するAIの導入プロジェクトでは、プロジェクトマネージャーも兼任しました。常時10ほどのプロジェクトが動いていて、それぞれJAL側の担当部門が異なるので、部門を超えた横の連携が必要になることもあります。そこをうまく支援するのも私の役割です。</p>

<p><strong>Qifeng C.（以下、C）：</strong>私は2018年頃に今回のプロジェクトに入りました。その中で私はAIやデータ分析の技術を使ってお客様の課題を解決する役割を担っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/200214_BNL 0133.jpg">
<figcaption>Qifeng C.<br>アクセンチュア シニア・マネジャー。AI活用プラットフォーム"AI Hub"を中心としたChatbot、音声、画像などAIを活用するサービスの実現支援を行う。
</figcaption></figure></p>

<p><strong>――おふたりは異なる組織に属しているんですね。</strong></p>

<p><strong>T：</strong>そうです。アクセンチュアは「ストラテジーおよびコンサルティング」「インタラクティブ」「テクノロジー」「オペレーションズ」の４つの領域ごとに組織が分かれていますが、我々コンサルティングがお客様を理解し、お客様の課題を解決するために適切なスキルを持ったメンバーを組織横断で連れてきてチームを組成するんです。</p>

<p>ドラクエでいうと、コンサルタントは勇者みたいなものですよね。魔法も使えるし戦えるけれど、魔法使いには勝てない。AI領域のスペシャリストであるQifeng C.は、魔法使いです（笑）。彼らのような人材をうまく組み合わせてチームを作れるのがアクセンチュアの強みですし、それをうまくやるのがコンサルティング／ITサービス企業の役目です。</p>

<p><strong>――強いチームを作るために、どういうことを意識されていますか。</strong></p>

<p><strong>T：</strong>ひとつには、良い人材を採用することです。実は、Qifeng C.を採用したのは僕でして（笑）。彼はもともとコンサルティングの部門に所属していたんですが、AIの方にものすごく強みがあったので途中で専門部署に移りました。そうしたら水を得た魚のように大活躍するようになり、今回のプロジェクトで再び彼と仕事をすることになったわけです。</p>

<p>ですから、良い人材を採用することと、その人材にいかに活躍してもらうかということがとても重要ですね。そのために、会社としては各自が働きやすい部門を見つけてもらうような支援もしていますし、個人的には、いろいろなイベントに顔を出して社内的なネットワークを作るようにしています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/200214_BNL 0177.jpg">
<figcaption>Kei.T<br>アクセンチュア シニア・マネジャー。日本航空株式会社担当統括責任者。エンターテインメント業界での経験を皮切りにグローバルの各地域（北米、インドなど）でのコンサルティング実績を有す。 日本では航空（旅客・貨物）・自動車・エンターテイメント・小売業界のプロジェクトに従事。業務改革・ PMO/チェンジマネジメント・レベニューマネジメント・アナリティクスに強み。
</figcaption></figure></p>

<h2>複数のAIの組み合わせでできることを模索</h2>

<p><strong>――AI導入のプロジェクトは、どのような経緯で始まったのでしょうか。</strong></p>

<p><strong>T：</strong>JALは、2016年頃からIT部門を中心にAIの活用を検討されていました。ただ、AIを業務に使える状態にするのに、ものすごいコストと手間がかかってしまうという状況で、なかなか実用には至らず、閉塞感を抱えていらっしゃいました。</p>

<p>そんな時、たまたま弊社の「AI HUBプラットフォーム」をご紹介する機会がありました。</p>

<p>「AI HUBプラットフォーム」は、複数のAIエンジンを組み合わせて使うところに特徴があります。アクセンチュアは特定のAI製品を持っているわけではないので特定製品に縛られず、お客様のニーズに応じて最適なAIを組み合わせてソリューションを提供可能です。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=JQ6DDy18xxU
</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/200214_BNL 0440.jpg">
<figcaption>取材が行われたアクセンチュア・イノベーション・ハブ東京は、各分野の専門家と設備が集まり、最適な機能とタレントを組み合わせ、構想から実現までを顧客と共に進めるための拠点だ。
</figcaption></figure></p>

<p>例えば今回の取り組みでは、音声を聞いてそれをテキストに落とし、その中から必要なワードを拾い出し、それを検索するという形で、3つのAIを組み合わせています。これをひとつの製品でやろうとすると、音声認識は得意なんだけれど検索のところは弱いなど、性能に凸凹があるんですね。そうなると、全体の精度は弱いところに引っ張られてしまいますから、業務に利用できる状態になるまでAIを育成するのに大きなコストと時間がかかります。</p>

<p>我々の場合、それぞれの機能に対して最適なAIを組み合わせるので、育てる手間が大幅に減るんです。そのようなご説明をしたところ、「ぜひやってみたい」と。ただ、技術検証だけではビジネス課題の解決にはつながらないので、空港本部を巻き込み一緒にプロジェクトを始めることになりました。それが2018年の4月頃です。</p>

<p><strong>――空港旅客サービス支援にAIを使うというのは、アクセンチュア側から提案したのですか。</strong></p>

<p><strong>T：</strong>いいえ。お客様側の空港本部としては困っていることがたくさんあって、プロジェクトの開始段階では、どの課題をAIで解決するかまでは決まっていませんでした。</p>

<p>そこで、まずは現場の方を巻き込み、一緒にワークショップをして空港でのペインポイントを顧客目線で挙げてもらいました。それをジャーニーマップに落とし込み、Qifeng C.からはそれぞれの課題に対してどういう打ち手があるのかということを説明しつつ、お客様と議論しました。その結果やりたいことがいくつかに絞られ、そのうちのひとつを今回のプロジェクトでお客様と一緒に形にしました。</p>

<p><strong>――そういうやり方は、クライアントにとっても新鮮だったのでは。</strong></p>

<p><strong>T：</strong>はい。これまでのコンサルティング・アプローチは、ロジカルシンキング、つまり左脳で考えて理詰めで進めていくようなものが多かったのですが、AIを活用する場合は、実際の空港でAIがどこまでの精度を出せるのかも未知数なので、最初に計画を立ててそのとおりに進めるというわけにはいかないんですね。少しずつ開発してはうまくいくのかどうかを試し、うまく行かない点を直しながらさらに開発を進めるというアジャイル的なアプローチになります。また、今は存在しない新しいサービスを作るという観点からも、右脳と左脳をうまく組み合わせてアイデアを生み出していく必要があります。</p>

<p>当時、そのようなアプローチでプロジェクトを進めるための「Accenture FORM」という方法論ができたところだったので、それを使って進めていきました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_FORM_.jpg">
<figcaption>ロジカルシンキングとデザインシンキングを組み合わせたAccenture FORMを土台に、新規ビジネスや新製品・サービスの創出、組織・企業変革の支援を行っていく
</figcaption></figure></p>

<h2>顧客との協働が可能にするスピーディな開発と改善</h2>

<p><strong>――開発期間2週間で試験導入したということですが、かなり速いペースなのでは？</strong></p>

<p><strong>T：</strong>デジタル系のプロジェクトはいかに早く価値を刈り取っていくかが重要です。そのため、ワークショップで取り組む課題を決めた後、2週間ほどでプロトタイプを開発できたのは大きな成果でした。それはQifeng C.のような技術者がいないとできないことです。</p>

<p><strong>――Qifeng C.さんたちが持っている強みは、どのようなところにあるとお考えですか。</strong></p>

<p><strong>C：</strong>いろいろなプロジェクトを経験して技術力を高めているということもありますが、それ以上に重要なのが、そもそも何を作るべきなのか、プロトタイプで何を検証するのか、というところの理解力だと思います。ワークショップの段階からコンサルタントだけではなく、AIに詳しいエンジニアのチームが参加することの意味が、そこにあるんです。</p>

<p>よくあるプロジェクトでは、顧客と直接やりとりして提案する営業側と開発側がはっきり分かれていて、お互いの情報伝達がうまくいかないんですね。我々は一緒にワークショップに参加することで、ユーザーの細かいニーズやニュアンスがわかります。開発期間は2週間だとしても、その前からだんだん「こういうものを作るんだな」ということが見えてきます。そして、ただプロトタイプを作るのではなく、何を試してもらうのか、試したユーザーのフィードバックに基づいてどう直せばいいのか、ということが理解できるんです。</p>

<p><strong>T：</strong>お客様は自分たちの業務のことを一番よくわかっており、我々は他社の事例やテクノロジーのことをわかっている。そこをつなげるのがコンサルティングの仕事なのですが、Qifeng C.のようなエンジニアがお客様の仕事を理解した上で、こういう機能があったら便利ですよね、といったことを提案し、素早く形にできるのが我々の付加価値だと思っています。</p>

<p><strong>――クライアントだけでは気づかなかったようなソリューションとしては、どのようなものがありましたか？</strong></p>

<p><strong>T：</strong>実は、最初のワークショップで出てきた要望をもとに作った機能は、実際に空港のカウンターに持って行ってみるとあまり使われなかったんです。「じゃあ、カウンターにいてよく尋ねられるのはどういうことですか？」と聞いてみると、飛行機内の座席の情報だと。「いつも紙のシートマップを出して説明しています」ということなので、「それなら、シートマップをタブレットで見せられるようにしましょう」と提案しました。</p>

<p>そのタブレットについても、それまではスタッフが閲覧することしか考えていませんでした。でも、タブレットが置いてあると、乗客の方に「それは何？」と聞かれることが多いという話が出てきて、「お客さんと一緒に見て、コミュニケーションするツールにしてみては？」というアイデアにつながりました。</p>

<p>現場でプロトタイプを使いながら話し合うことで、新しい使い方や目的が見えてきます。それをクイックに開発し、また使ってもらう、というサイクルでサービスが進化していきました</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/200214_BNL 0274.jpg">
<figcaption>開発前から一緒にワークショップを行なうことで「こういうものを作るんだな」という全体像が見えてくる。つまり「プロトタイプで何を検証するのか」の理解力が重要だと言える。
</figcaption></figure></p>

<h2>「失敗」を「大きな失敗」にしないために</h2>

<p><strong>――プロジェクトを進める中で、クライアントとはどうやって進捗状況を共有されていたのでしょうか。</strong></p>

<p><strong>T：</strong>大規模なシステム開発プロジェクトでやるような進捗管理は一切しないと、始めに宣言しました。「そこにかける工数があったら、モノを作る方にかけます」と。進捗については、頻繁に作ったものを見てもらうことで理解していただくということになります。とにかく、先方に足繁く通いました。</p>

<p><strong>――そこは、アナログに泥臭くやっていくことが大事なのでしょうか。</strong></p>

<p><strong>T：</strong>そうですね。デジタルのプロジェクトほど、お客さんの熱量やシンパシーがすごく大事なんです。お客様のモチベーションを下げない、飽きさせない工夫が必要ですね。</p>

<p><strong>C：</strong>業務の現場である空港にもよく行きましたね。プロトタイプを使ってうまくいかないところを聞いて、その場で直したこともあります。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/200214_BNL 0084.jpg">
<figcaption>カウンターでお客さまがなにを求めているのか、現地でチェックして改良を重ねた。「一時期は毎日空港に出勤していました（笑）」と当時を語る。
</figcaption></figure></p>

<p><strong>――現場に行くことによって得られた気づきがありましたか。</strong></p>

<p><strong>C：</strong>スタッフの音声を収録するのに、最初は指向性のあるスマートスピーカーをカウンターに置くことにしていたんです。かなりスペックの高いものなので、デザイン段階ではそれで問題なく音声を録れると思っていました。でも現場に行ってみると、スタッフの方は会話をしながらかなり動くんですね。カウンターから出てお客さんを迎えに行くとか......。そうなると、指向性があることで逆に音声を録りづらくなりますから、イヤホンマイクに切り替えてシステムの調整をすることになりました。</p>

<p><strong>――AIを使うプロジェクトは、最初に計画を立ててその通りに進めるようなことはできない。うまくいかないこともある前提でやっていくものだというお話がありました。その点をクライアントにも理解してもらうにはどうしたら良いのでしょうか。</strong></p>

<p><strong>T：</strong>デジタル系のプロジェクトをやるときは、PoC（Proof of Concept：概念実証）はもちろん大事なのですが、それと並行して将来像を描くことが大事です。</p>

<p>PoC病というのがあって（笑）、PoCだけで成否を判断すると、目の前の小さな課題が解決されるだけで終わってしまうんですよね。そうならないためには、将来的にどういう姿になりたくて、そのためにこのPoCをやるんだ、という位置づけをきちんと示していくことです。</p>

<p>それと、最近の経営者の方は「失敗は大事だ。どんどん失敗していこう！」とおっしゃるのですが、実際に目の前で大きな失敗をすると、やはりがっかりされることもあります。それは仕方ないことです。</p>

<p>ですから、大きな失敗をしないことは大事です。アクセンチュアでは「ガードレール」と言いますが、転んでも大丈夫な範囲をきちんと設定して、その中で転ぶのがポイントですね。そして転んだ後は、可及的速やかにリカバリーして「この失敗からこういうことを学んで、こういう成果が出ました」ということをクイックに見せる。失敗したこと以上の学びをすぐに見せることによって、小さな失敗を過去のものにし、成功に向かって進んでいるという状態にするんです。</p>

<p><strong>C：</strong>小さくてもいいから最初に成功を見せることも大事ですね。そうすると、ある程度安心してもらえて、チャレンジできる範囲が広がります。自由度が広がることで、発想も広がり、面白いものが作れるようになるんです。</p>

<h2>尖った個人のネットワークが組織の力に</h2>

<p><strong>――今回のプロジェクトは、同業他社と比べても先端的なものなのでしょうか。</strong></p>

<p><strong>T：</strong>ありそうでなかったソリューションだと思います。というのも、AIを使ったシステムというのは、例えばチャットボットのようにAIだけで完結するものが多いのです。欧米の会社であればそれでも良いかもしれませんが、日本の航空会社というのはサービスレベルがとても高いので、AIだけで顧客サービスを済ませようとするのはとても難しいです。</p>

<p>今回は、AIが人をサポートし、より高いレベルのおもてなしやサービスを提供できるようにするものですから、とても日本的なAIの使い方だと言えるでしょう。そういう意味で非常にユニークで、ほかの航空会社にもあまりない取り組みだったと思います。</p>

<p><strong>――クライアントの反応はいかがでしたか。</strong></p>

<p><strong>T：</strong>これまでは、ご案内するのに紙の資料が必要であったり、その資料もいろいろなところに散らばっていたりして、スタッフの経験や知識によって対応の品質に差が生まれていたそうです。それが、誰でも必要なときに必要な情報を手にすることができてお客様をお待たせする時間も短くなり、応対の品質が総じて上がったと伺っています。</p>

<p>スタッフの方からも、「こういうものが手元にあると心に余裕ができて、接客することが楽しくなった」というような声をいただきました。</p>

<p><strong>C：</strong>IT部門のリーダーにも、すごく感謝されましたし、特に印象的だったのは、最初にプロトタイプをもって空港に行ったとき、カウンターでそれを使ってみたスタッフの方が「泣きそうなくらい嬉しい」と言ってくれたことです。</p>

<p><strong>T：</strong>ワークショップにも参加していて、一緒に作ってきたものがカタチになった、それを実際に現場で使うことができて、お客さんにも「すごいね」と言ってもらえたのがすごく嬉しかったようですね。「アクセンチュアが作ったシステム」ではなく、「自分たちが作ったもの」だと捉えてくれたのが、私たちもすごく嬉しかったですね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/200214_BNL 0245.jpg">
<figcaption>「アクセンチュアが作ったシステム」ではなく、「自分たちが作ったもの」と感じられること。これからのコンサルティングあるべき姿のひとつではないだろうか。
</figcaption></figure></p>

<p><strong>――最後に、アクセンチュアだから提供できる価値、そしてここで働くことの醍醐味はなんだと思われますか。</strong></p>

<p><strong>T：</strong>自分にないものをもっている尖った人がたくさんいることですね。そういう人たちをうまくまとめてチームにすることで、他にはない価値を提供できると思っています。</p>

<p>今は答えのない時代ですから、昔のようにベストプラクティスを持ってきて適用するということには、あまり価値がなくなっているんですよね。そうすると、「答えがなにか」ということではなく、自社はどうしたいのか、意思をもつということが大事なんです。日本の企業はその部分が少し弱いことが多いので、僕らの方で「こんなことができるんですよ」ということを見せながら、チームで一緒に作り上げていくことができるのがアクセンチュアなんです。</p>

<p><strong>C：</strong>変化が激しくて答えがないという時代には、やりながら決めていくことが重要ですよね。リスクを取らないと遅れをとるだけです。いかに効率よくリスクをとって、効率よく失敗し、そこから学ぶことができるか、ということだと思うんです。</p>

<p>その点、アクセンチュアは失敗できる雰囲気があるのが良いですね。個々のプロセスでの失敗があまり問題視されず、そこから何を学ぶかというところが重視されています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/200214_BNL 0374.jpg">
<figcaption>「答えがなにか」ではなく、自分たちはどうしたいのか、その問いが企業側には求められる。そこの軸があることで、チームで一緒に作り上げるアクセンチュアが提供していく価値が発揮される。
</figcaption></figure></p>

<p>また、いろいろな技術や知見を持った人たちがいて、社内ネットワークが強固なのも良いところです。僕は中途入社をしたのですが、入って間もないときでも必要な情報を持っている人を探すことができ、コンタクトを取れば親切に教えてもらえました。逆に、AIの技術に対してアドバイスを求められることもよくあります。それぞれが持っている技術や知見をうまく融合できていると感じます。</p>

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    <title>いけばなは、最先端の経営学に通じる━━華道家・山崎繭加の仕事は、ビジネスと日本の叡智をつなぐこと - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/03/mayuka-yamazaki.html" />
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    <published>2020-03-10T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-06-03T04:40:03Z</updated>

    <summary>マッキンゼー、東大を経て、ハーバード・ビジネス・スクールで最先端の経営学に触れた山崎繭加は、趣味で20年間続けてきたいけばなと経営学に共通項を見出し、華道家の道を歩むことにした。ビジネスにつながるといういけばなから、いま何を学べるのだろうか。

</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>山崎繭加</strong><small>華道家／ハーバード・ビジネス・レビュー 特任編集委員</small>
<p>1978年生まれ。19歳より古流松麗会家元梶川理仙に師事。2017年、華道家として独立 し、いけばなの叡智をビジネスや教育界につなげる活動「IKERU」を開始。いけばなの個人レッスン、企業や学校でのワークショップ、展覧会など、活動は多岐に渡る。マッキンゼー・アンド・カンパニー、東京大学先端科学技術研究センターを経て、ハーバード・ビジネス・スクール（HBS）日本リサーチ・センター勤務。東京大学経済学部、ジョージタウン大学国際関係大学院卒業。</p></aside></p>

<p>華道家・山崎繭加が主宰するいけばなコミュニティ「IKERU」には、経営学や教育の専門家、ビジネスパーソンらが多く集う。生徒の3割は男性で、一番多いのは20代だという。</p>

<p>いけばなは戦後、女性のたしなみ、花嫁修行として広まった経緯があり、一般的ないけばな教室の生徒はほとんどが女性だ。また、多くのほかの伝統文化と同じく高齢化が進んでいる。そんななかにあってIKERUは極めて異色の存在といえるだろう。</p>

<p>実は、山崎が華道家として本格的に活動し始めたのはわずか3年前のことだ。マッキンゼー・アンド・カンパニー（以下、マッキンゼー）でキャリアをスタートし、東京大学・先端科学技術研究センターの助手を経て、米ジョージタウン大学の国際関係大学院を卒業。帰国後はハーバード・ビジネス・スクール（以下、HBS）の日本リサーチ・センターに勤めていた彼女にとって、いけばなは長らく趣味の一つでしかなかった。</p>

<p>だが、HBSで10年にわたって最先端の経営理論に触れるなかで、自分が感じていた「いけばなの叡智」と経営の世界で扱われていることとが徐々にシンクロし始めていることに気がついたのだという。そこから、いけばなをビジネスや人材育成につなげるという現在の活動が始まっている。</p>

<p>山崎の言う「いけばなの叡智」とはどんなもので、それが「経営に通じる」とはどういうことなのか。</p>

<h2>いけばなと最先端の経営学のシンクロ</h2>

<p>山崎は大学生だった19歳の時にいけばなと出会い、華道家として独立するまでの約20年間は趣味としてこれを続けてきた。</p>

<p>いけばなには500年以上の歴史があり、流派や担い手によって定義・考え方はさまざまだ。そのなかで山崎がもっとも共感し、大切にしてきたのは「花を生かす」という考え方だという。これは19歳から師事していた古流松麗会家元の花の向き合い方から受け継いだものだ。</p>

<p>「人が花を使って自分の思うように創作するのではなく、人は花を生かす。主体は人ではなく、あくまで花であるといういけばなの考え方、心構え、自然との向き合い方が、自分にはしっくりきていたんです」</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_DSC0108-Edit.jpg">
<figcaption>いけばなは、流派だけでなく担い手によっても捉え方や考え方はさまざまだ。</figcaption></figure></p>

<p>一方で山崎は2006年から10年間、HBSに勤務。主に教材として使うための日本企業の事例を作る仕事や日本で行われるHBSの授業の設計に従事してきた。</p>

<p>そうやって一流の研究者たちに囲まれ、経営学が身近にある環境で過ごすなかで、経営学で大切だとされる考え方にある変化を感じるようになったという。</p>

<p>「非常にざっくりとした言い方ですが、経営学の世界では長らく、まずは外部環境をしっかりと理解し、その上で自社をどう差別化するかと考えるのが正しいとされてきました。ところが、その外部環境が劇的に変わり続ける昨今では、大切なのはその企業自身がどうありたいかであり、事業はその結果としてできてくるものという考え方が目立つようになりました」</p>

<p>そのシフトと並行するように、それまではアメリカ西海岸の「一部の進んだ人たち」がやるものだったマインドフルネスが、多くのビジネスパーソンに受け入れられるようにもなっていった。</p>

<p>HBSに象徴されるアメリカ東海岸は非常に保守的というのが山崎の認識。その彼らでさえ、自分のありのままを理解することの重要性を当たり前のように受け入れ始めた。こうした光景を目の当たりにしたことが、山崎を現在の活動へと突き動かしたのだという。</p>

<p>「いま経営学の世界で大切にされている考え方と、いけばなにおいて実現する心のあり方とが、すごく連動するものだと思うようになりました。自分がずっと大切にしてきたいけばなの精神が、世界から必要とされる時代が来たように思えたんです」</p>

<h2>始まりは「エゴを捨てる」ことから</h2>

<p>山崎が主宰するIKERUは大きく二つの活動からなる。</p>

<p>一つは、山崎が自宅で開催している個人向けのレッスン。ここでは一般的ないけばなのイメージ通り、参加者は一人ずつ自分の作品に向き合い、純粋に「花を生かす」ことに集中する。</p>

<p>山崎によれば、いけばなはまず花の「ありのまま」を理解することから始まる。個々の花ごとに「こうしたら一番美しくなる」という角度や挿し方がある。まずはそれを見極めるということだ。</p>

<p>だが、花を生ける人間の側に「こう生けたい」という思いが強いと、それが歪みとして花に伝わってしまう。それでは「ありのまま」は見極められないのだという。「エゴを捨て、透き通った透明な心になって初めて、花の声は聞こえてくるんです」と山崎。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_DSC0035-Edit.jpg">
<figcaption>花には「一番可愛く見えるところ」がある。それは、まず自分の欲を捨て、透明な心で向き合うことでわかるようになる、と山崎は言う。</figcaption></figure></p>

<p>エグゼクティブが日本の叡智にビジネスのヒントを求めるという意味で、山崎のIKERUは京都・妙心寺の春光院に似ている。</p>

<p>「マインドフルネスの寺」として知られる春光院の川上全龍はかつてBNLの取材に「たまには木を見て、たまには森を見る。その両方ができる柔軟性を持つには自分のバイアスをどれだけ外せるか」だと語った。</p>

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<div class="info"><strong>バイアスを外して「自己認知力」を磨こう──妙心寺春光院・川上全龍が説く、禅の哲学</strong></div></a></div>

<p>花の「ありのまま」を理解するためにまず「エゴを捨て、透き通った透明な心にならなければならない」という山崎の話は、これと通じるように思える。</p>

<p>「私自身、華道家としてある程度のキャリアを積んだいまでも『こんなふうに生けたい』という欲が生じてしまうことがあります。そうするとどこか流れが滞ったようになって、ダメな作品ができてしまうんです。そんな時は、目的は自分を良く見せることではないはずと言い聞かせて、もう一度花と向き合います。するとまた、だんだんとすべてがつながっていく感覚が得られます」</p>

<p>「●●道」と名のつくほかの日本文化同様、こうした修練に即効性はない。花と向き合い、ある種強制的に無心になるプロセスは、繰り返し行うことによって初めて日常的にも「使える」ものになる。山崎はそう考えている。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/mayuka_yamazaki.jpg">
<figcaption>『ティール組織』の著者、フレデリック・ラルー氏を招いた会議でいけばなを担当。　写真：坂上彰啓</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/mayuka_yamazaki2.jpg">
<figcaption>湯島聖堂でのIKERU展覧会の作品。 写真：玉利康延</figcaption></figure></p>

<h2>花を生かし、人も生かすことでたどり着ける世界</h2>

<p>最初に無心になるプロセスを踏むという意味でいけばなは瞑想と似ている。逆にいけばなが瞑想と異なるのは、無心になった先にクリエイティブなパートがあることだと山崎は言う。</p>

<p>これは、同じ創作活動でも主に自分を表現する絵を描く行為などとも異なる。</p>

<p>「花を生かしながらも、その人にしか作れない空気と世界観を作っていく。心をまっさらにした上で、さらに創造という行為を行う。その両方があるのがいけばなの特性ではないかと思います」</p>

<p>この点で興味深いのが、IKERUのもう一つの活動の柱である企業向けのワークショップだ。</p>

<p>通常、いけばなは一人で一つの作品を作り上げるが、このワークショップでは3〜5人1組のチームで一つの作品を作る。一人は枝、一人はメインの花、一人はサブの花というように必ず一人一花を担当する。</p>

<p>その際にはいくつかの決めごとがある。まず、どういうものを作るのか、あらかじめチーム内で話し合うことはしない。また、ほかの人が生けている時に残りの人が介入することもない。枝を担当する人は枝を、花を担当する人は花を生かし切ることに集中する。</p>

<p>「そうすると一人で生けるのとはまた違ったものができます。多くの場合、一人で生けた場合よりも圧倒的にいい作品ができる。ほぼいけばなが初めての人たちで作る作品の出来栄えには私自身も毎回感動させられるんです」</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/workshop.png">
<figcaption>IKERUワークショップの風景。　写真：玉利康延</figcaption></figure></p>

<p>このやり方が一人で一つの作品を作る場合と大きく異なるのは、自分が担当する花を生かすだけでなく、前の人が生けた花、前の人が作った流れも生かす必要が生じることだ。</p>

<p>たとえ前の人の生け方に納得がいかなくても、一度受け入れないことには先に進めない。だからしぶしぶでも受け入れることになる。そうやって一度受け入れて前に進んでみると、結果として自分だけで作ったのでは見えなかった世界、思いもよらなかった素晴らしい作品が出来上がる。</p>

<p>この点でもまた、ビジネスの世界で言われることとのシンクロを見ることができる。</p>

<p>「あらかじめ決まったアジェンダをタスク分解して割り振るトップダウンのアプローチでは、どうしても届かない世界がある。一人ひとりの持つ感性で世界を見てそれぞれが判断した先に企業の道があるというのは、最近の組織論などでよく言われることでもあります」</p>

<h2>AI時代に必要な「身体性の回復」</h2>

<p>マッキンゼー、東大、ハーバードと、山崎がこれまで歩んできたキャリアは華々しい。だが、そんな彼女にも挫折はあった。</p>

<p>「ジョージタウン大学院で国際関係学を学んだ後、自分としてはそのまま国際問題の研究者の道を歩むつもりでいたんです。けれども思うようにはいかなくて。それなりのお金と時間を割いて進もうとした道が閉ざされてしまい、それまでの自分の人生はなんだったのかという気持ちになりました。自分がなにをしたいのかもわからなくなって、しばらくは無職の時間を過ごしました」</p>

<p>そんな時に自分を救ってくれたのが、趣味として続けていたいけばなだった。マッキンゼー時代にはあまりの忙しさに一度離れたこともあったが、「あらためて素直な心で向き合ったら、再び花の声が聞こえてきて......」</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_DSC0098-Edit.jpg">
<figcaption>山崎の経歴は、他人が聞けば華々しい。しかし本人は「だんだんと、思うようにいかなくなり、辛い時間があった」と振り返る。</figcaption></figure></p>

<p>「思えば、それまでの自分は頭だけで生きてきた」と山崎は振り返る。頭で考えてすべての意思決定をしようとしていたし、そのこと自体に気づけてもいなかった。その結果、心と体が頭についていかなかったのが、この時の挫折だったのだろう、と。</p>

<p>「現代社会は頭偏重の社会。そうした社会のあり方に高く順応してきたのが、それまでの私の歩みでした。けれども、頭で考えているだけではうまくいかない。それだけでは人は弱ってしまう。人は頭でできている生き物ではないのだと、この時に深く学んだんです」</p>

<p>頭だけならAIの方が勝るとするのなら、頭だけで生きてきた人間はこの先どう生きればいいのか。望むと望まないとにかかわらず、ぼくらはいま、そのことを突きつけられている。</p>

<p>「私自身の軌跡に照らすなら、花のありのままを理解し、自分の手を使って創造するいけばなは、身体性の回復という側面も持っています。自分で行動し、経験するというのは人間にしかできないこと。頭は一旦置いておいて、もう一度体を通じて経験するということに立ち返る必要があるのではないかと思うのです」</p>

<h2>世界が日本の叡智に注目している</h2>

<p>山崎がやっていることは、いけばなという「日本の叡智」を現代に合った形でアップデートする試みとも表現できる。</p>

<p>いけばなに限らず、日本にはもともとさまざまな叡智があった。それは思想としてではなく、「行動として日常に溶け込んだものだった」と山崎は言う。</p>

<p>「例えば、着物を着ているだけで気が整うというのもそう。日本はかつて日常が『気が満ちる動作』で溢れていた国だったと思うんです。けれども、これだけ体を動かすことが少なくなり、社会全体が頭型へとシフトしたことで、こうした叡智は、もはや誰もが知るものではなくなりつつあります」</p>

<p>いけばなも然り。戦後に「女性ならやらなくてはならないもの」として義務化された結果、ピークは3000万人ともいわれるほどいけばなをやる人が増えた一方で、いけばなは楽しいから、好きだからやる、という部分が薄れていってしまったのではないか。それが、若い世代がいけばなからどんどん遠ざかり、いけばな人口も減少している原因の一つだと山崎は考えている。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_DSC0122-Edit.jpg">
<figcaption>しなやかに動く山崎の手を見ていると、かつては当たり前だった「気が満ちる動作」の美しさを感じ、それがいま、失われつつあることに改めて気づかされる。</figcaption></figure></p>

<p>時代が移ろうものである以上、伝統文化もまた、時代に合った形へとアップデートし、叡智を抽出して伝えることが必要になる。そして、こうした「日本の叡智」こそが、海外の人たちがいままさに日本に求めているものではないか、と山崎は言う。</p>

<p>山崎はHBS時代、教材として日本企業の事例を紹介する役割を担っていた。だが、いくつかある魅力的な企業を紹介すると、すぐにネタが尽きてしまう。HBSの教授を連れて日本の大企業を訪れても、一向に面白い話が出てこない。「日本はいい国だが、もはや経営の先端とは言えないのではないか」と思い始めていた。</p>

<p>そんなある時、HBSの教授十数名が来日した際にいけばなのワークショップをやらせてもらう機会があった。すると、こちらが驚くくらいに受けが良かった。</p>

<p>「頭が良くて、なんでも知っているような先生たちが、すごく反応してくれて。これはいけるかもと思ったことが、その後、華道家として活動を始める大きなきっかけにもなりました。かつては最先端の経営ノウハウが求められた時代もあったでしょう。でも、いま世界が日本に求めているのはそこではない。精神性や歴史、カルチャーにこそ注目が集まっていると感じます」</p>

<p>戦後日本のいけばなは「女性のため」「花嫁修行のため」にあるものだった。山崎が再定義したいけばなは「ビジネスのため」「リーダーが自分を、組織を、社会を豊かにしてくため」のものとしてある。両者をつなぐ役割を担ういま、山崎は人生で初めて自分の略歴が役立っていると感じているという。</p>

<p>「私の略歴や経験を踏まえていけばなを紹介すると、企業の人もビジネスにつながるものとして『じゃあやります』と言ってくれる。自分にしかできない橋渡しの役が、きっとあるのではないかと思っているんです」
<br>
<br></p>

<hr />

<p><strong><small><strong>関連イベント情報</strong></strong>
<br><br>
<strong><a href="https://wisdom2japan.com/">「Wisdom2.0Japan」</a></strong>
<br><br>
2020年10月17、18日（土日）開催、世界最大のマインドフルネスの祭典。「Wisdom（叡智）＝内なるテクノロジー」を再発見し、AIなどにより発展していく外側の世界をより良く（Well-Being）生きるための「気づき」と「つながり」が得られるイベントだ。山崎も登壇予定。また当日の会場装飾として、いけばなの作品の展示も行う。</small></p>
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    <title>若者がナンパ離れをした結果━━横石崇の「自己紹介2.1」Vol.3 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-03-06T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-03-06T06:35:00Z</updated>

    <summary>いまやナンパでさえ、テクノロジーの力によって、効率的で快適な出会い方に変わりつつある。しかしそれによって人間的な感性が失われてしまっては本末転倒だ。横石崇の連載、第三回。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="横石崇の「自己紹介2.1」" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>近頃、街を歩いていてもナンパしている人を見かけない。ナンパだけじゃなくて、いわゆる「モデルハント」と呼ばれる、ヘアモデルを探す美容師のナンパ行為も見かけなくなった。いわゆる若者のナンパ離れだ。</p>

<p>友人の美容師によれば、どうやら美容師とヘアモデルを結びつけるマッチングアプリに移行したらしい。覗いてみると、若手美容師たちがこぞって登録している。自分のスキルやメニューを御品書きにしてカットモデルを無料や格安で募っていた。「食べログ」のように★がついた評価欄もあるので、街角でナンパされるよりも信頼できて怖くない。実に現代的な出会いの方法である。</p>

<p>一方で、年配の美容師たちからしたら「街角に立って、モデルをハントして一人前のスタイリストになるもんじゃい！」と怒り心頭かもしれない。しかし、コスパの悪いモデルハントという仕事に精を出すぐらいなら、自分のスタイリングの腕を磨くための時間にあてたほうがよっぽど理に適っているのではないだろうか。テクノロジーの力によって、浮いた時間を本来使うべき時間に代替できるのだから。</p>

<p>そんなことを考えながら、こないだ髪を切りに行った時の話だ。いつものスタイリストがたまたま休みだったので、若いスタイリストが代わりに相手をしてくれた。僕としては自分のスタイリングの希望や悩みは言わずして、言葉の裏側にある思いを察してほしいわけだが、それがなかなか伝わらない。</p>

<p><strong>若手</strong>「今日はどうしましょうか。ご要望ありますか」</p>

<p><strong>僕</strong>　「うーん。そうだね。グランドメゾン東京みたいな感じでやってください」</p>

<p><strong>若手</strong>「キムタクみたいな感じですね！じゃあ、カタログを持ってきたので、ここから近いものを選んでもらえますか？」</p>

<p>そうじゃない、そうじゃない。僕はキムタクになりたいわけでもなければ、なりたい髪型があるわけでもない。欲しい髪型が明確にあるのであれば、写真を持って駅前の千円カットに行っている。僕は「旅をしてでも食べる価値がある料理をつくりあげていく、あのチームの雰囲気を身にまといたい」と感じているからこそ、このオーダーなのである。自分は何が欲しいのか、似合っているのかなんて、わかっていることはほとんどないのだから。</p>

<p>SNSやマッチングアプリの普及で、突然の自己紹介や会話をするシーンは減ってきている。ナンパも死語となる日がくるかもしれない。だからこそ危機感がある。ナンパをしていたからといって、僕のような面倒な客を相手にする力が身につくわけではないだろうが、効率的で快適な出会い方がある一方で、人間的な感性や野性がトレードオフになっていることも知っておかないといけない。アルゴリズムやテクノロジーが時として、自分自身を、そして人間性をも奪ってしまうという話だ。</p>

<p>ということで、街角にナンパはなくなるかもしれないが、自己紹介で相手の心を掴めるような人間力を磨く場は、もっと増えてほしいと願う今日この頃である。</p>

<p>今日も、あなたの自己紹介にトキメキがありますように！
ヴィヴィデヴァヴィディヴゥ！</p>

<p>追伸<br>
若手美容師さんの腕が良かったせいか、ついついキムタク愛用のサングラスを買ってしまいました。</p>

<hr />

<p><aside><strong>著書について</strong><small><strong><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4046043083/">『自己紹介2.0』（横石崇／KADOKAWA）</a></strong></small><p>自己紹介をアップデートせよ。「共創」や「越境力」が問われる時代。ひとつの会社や組織でしばられず、様々な分野の人々とつながり、新しい価値を生み出すことが求められています。では、どうやって「つながり」をつくっていけばよいのでしょうか。答えは、コミュニケーションの第一歩である「自己紹介」にあります。かつての「肩書き」「会社名」を武器に自分を見せる時代はもう終わりました。これからは「未来」「役割」を語れる人こそ、本物の「信頼」を勝ち取ることができるのです。いますぐ自己紹介をアップデートして、自分の仕事と人生を切り拓いていきましょう。<br>
<br>
本書は、3万人を熱狂させた働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」を主宰する著者が編み出した、新しい「自己紹介」のメソッドを紹介。誰でも簡単に自己紹介をアップデートできる「最強の型」を伝授します。</p></p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/11/BNLBooks-VOL23.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/bnl-books-visual_v2%203.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>要約：肩書きに頼るのはもうやめよう。相手の心を掴むのは、過去ではなく未来から語る『自己紹介2.0』</strong></div></a></div>

<div class="profile-box"><a class="open">執筆者・横石　崇のプロフィール</a>
<div class="hint">
<div class="profile">
<div style="background-image: url('/uploads/yokoishi_profile.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>横石　崇</strong>
<p>＆Co.代表取締役／「Tokyo Work Design Week」発起人・オーガナイザー</p>
<p>1978年、大阪市生まれ。多摩美術大学卒業。広告代理店、人材コンサルティング会社を経て、2016年に＆Co., Ltd.を設立。ブランド開発や組織開発をはじめ、テレビ局、新聞社、出版社などとメディアサービスを手がけるプロジェクトプロデューサー。主な仕事に、グーグル、ソニー、アドビ、ポーラ、東急電鉄、ワイアード日本版などとプロジェクト実施多数。また、「六本木未来大学」アフタークラス講師を務めるなど、年間100以上の講演やワークショップを行う。毎年11月に開催している、国内最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」では、6年間で、のべ３万人を動員した。鎌倉のコレクティブオフィス「北条SANCI」支配人。著書『これからの僕らの働き方』（早川書房）、『自己紹介2.0』（KADOKAWA）がある。
</p><a href="https://8card.net/p/yoktak">Eightプロフィールはこちら</a></div></div></div></div>
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    </content>
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    <title>仕事は誰かのおせっかいから始まっている──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.19 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/03/habuchi-vol19.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9381</id>

    <published>2020-03-02T07:30:00Z</published>
    <updated>2020-03-03T00:20:44Z</updated>

    <summary>言いにくい内容をフィードバックしたり、プライベートに踏み込んだり。そんなおせっかいから、いい仕事が生まれるのかもしれない。羽渕彰博の連載、第十九回。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ととのう職場、自然体のキャリア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h2>大人も、子ども扱いする</h2>

<p>誤解を恐れずにいうと、最近いろんな人を意識的に子ども扱いしています。妻や一緒に働くメンバー、クライアントを子ども扱いしています。「子ども扱い」というと、世間一般的には「何もわからない人だと思って軽く見くびる」という意味で使われていると思います。しかし私は全く逆の意味に解釈しています。</p>

<p>実際に子どもを育てるようになり、周りにいる子育て中の人たちを見ていても、世間一般的な意味での「子ども扱い」をしている人は、ほとんどいないことに気づきました。子どもが言うことを聞かないときは、言葉で丁寧に説明し、なんとか理解してもらおうと試行錯誤しています。</p>

<p>僕自身は、頼まれたわけでもないのに、子どものためによりよい社会を作りたいと思って起業しました。頼まれていないのに、海に歩いて行ける街に引っ越しました。今年は、保育園の外部理事になって保育園の運営のお手伝いをしています。真の意味での「子ども扱い」とは、相手のことを想い、自分事としておせっかいをすることではないでしょうか。</p>

<h2>「大人の対応」も大事なのですが</h2>

<p>大人になると、仕事の範囲で割り切って付き合い、それ以外は本人の問題だから踏み込まないという「大人の対応」をする場面が多いように感じます。実際、相手にとって耳の痛いことをフィードバックするときは、言う側の心身の負荷も大きいし、言われた側も「おせっかいだな」と感じ、最悪の場合は関係性が分断することもあるでしょう。適当に肯定しておいた方が、差し障りないのかもしれません。</p>

<p>しかし、たとえおせっかいだと思われても、相手にもし「人としてどうなんだろう」と思う言動があったら、一歩踏み込んでフィードバックする。仕事とは関係のないプライベートのことで悩んでいる人がいたら、自分にできることを手伝う。心身の疲労が溜まっている人がいたら、休日にリラックスできるプランを考えて、オフの時間を持てるように働きかける。私の実体験として、相手を想う気持ちさえあれば、おせっかいを悪いように受け取る人は少ないように感じます。（僕が勝手に自己満足している可能性もあると思いますが）</p>

<blockquote>
  <p>お互いに甘えて、さわらずに、そうっとしてればうまくいくような感じだし、優しさが一番のぞましいと思われている時代だから。きびしく自分というものを追求していこうとすると危険だ。親子関係だけじゃなく、すべてにそう言える。無難な方へ、無難な方へと行く。そういうところに今日の空しさがある。だから一見幸せなようだけれども、その裏側に何ともいえないうそ寒さがある。ぼくは生きるからには、歓喜がなければならないと思う。歓喜は対決や緊張感のないところからは決して生まれてこない。そういった意味で、親子の間にも、人間と人間の対決がなければならない。</p>

<p>岡本 太郎『自分の中に毒を持て』新装版より抜粋</p>
</blockquote>

<p>起業家は、誰からも頼まれたわけでもないのに、事業を始めます。それは、社会にとってみればおせっかいかもしれません。でもそのおせっかいから始まった事業が成長すれば、社会はもっと良くなっていく。仕事は、おせっかいから始まっているのかもしれないなと思いました。</p>

<p>みなさんも周りの大切な人たちに、おせっかいをしてみるのはいかがでしょうか。</p>

<div class="profile-box"><a class="open">執筆者・羽渕彰博のプロフィール</a>
<div class="hint">
<div class="profile">
<div style="background-image: url('/uploads/fixed_habuchi-profile.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>羽渕彰博</strong>
<p>株式会社オムスビ代表取締役CEO</p>
<p>1986年大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事しつつ、アイデアを短時間で具現化する「アイデアソン・ハッカソン」のファシリテーターとしても活躍。2016年4月に独立し、リレーションシップデザインを軸とする株式会社オムスビを設立し、組織変革したい企業様向けの組織コンサルティングサービス「reborn」を提供している。</p><a href="https://8card.net/p/39752398032">Eightプロフィールはこちら</a></div></div></div></div>

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    <title>「街の記憶」の継承から考える、明日の連続である未来──ダイアローグ：齋藤精一×渡邉英徳 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-03-02T06:01:00Z</published>
    <updated>2020-06-03T04:39:20Z</updated>

    <summary>「ダイアローグ」の第2回のゲストは、齋藤精一（株式会社ライゾマティクス代表）と渡邉英徳 （東京大学大学院情報学環教授）。「街の記憶と余白」をテーマにした&quot;対話&quot;の記録。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="ダイアローグ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="テクノロジー" label="テクノロジー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="街づくり" label="街づくり" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
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        <![CDATA[<p>もし、街や都市に記憶が宿るとしたら、私たちはその記憶を正しく継承できているのだろうか？再開発が進み続ける東京においては、カタチを持たない"文脈"はともすれば見過ごされてしまう。ともに建築出身でありながら、従来の建築とは異なるアプローチで、土地に集積する情報、そこに「在る」人の暮らしの痕跡を立体的に可視化してきた、齋藤精一と渡邉英徳。「街」から「社会」という大きなフレームワークに思考を広げた時、「経済合理性」や「最適化」といった、ある種のシステムからの逸脱にこそ、次の時代の社会のあり方を考える鍵になるかもしれない。</p>

<h2>未来に必要な「道具」を考える</h2>

<p><strong>自身のプロジェクトを通して、ふたりはどのように街や都市に集積する情報と向き合ってきたのか。</strong></p>

<p><strong>渡邉英徳（以下、渡邉）：</strong>僕は、被爆者の体験談や、被爆直後から現在に至る風景の変遷などをデジタルアースにまとめた「ナガサキ・アーカイブ」「ヒロシマ・アーカイブ」などを、2010年からつくってきました。最近では、人工知能技術を使って、モノクロ写真をカラー化する活動も進めています。2017年に、「ヒロシマ・アーカイブ」のメンバーだった広島在住の高校生（当時）の庭田杏珠さんにこの技術を教えたところ、戦前の広島の白黒写真をカラー化し、戦争体験者との対話の場をつくる活動を、自主的に始めました。</p>

<p>たとえば、原爆で家族を亡くされた方に自動カラー化された写真をみていただきながら、よみがえった記憶をもとに、Photoshopで色を補正していきます。この過程で、モノクロ写真では思い出せなかった記憶が語られ始めます。カラー化された写真がもたらす効果について考えている中で、この実践から「記憶の解凍」という言葉が降りてきました。目下、この「記憶の解凍」は活動のテーマのひとつになっていて、庭田さんと共同で進めています。</p>

<p><strong>齋藤精一（以下、齋藤）：</strong>現在、僕の仕事で都市に関わるものは4割程度ですが、最近は多くの人が語る都市の未来やスマートシティというものが、まるでロボットがロボットのためにつくっているような、人が介在しないディストピア的な世界のように感じられてしまうんです。</p>

<p>スマートシティやICT化の流れ自体は否定しませんが、もっと人間があるべき姿で存在し、道具を使っている状況を考えなくてはいけないと思っています。最近は、「人間とは？」「 道具とは？」 という根源的な問いに立ち返り、多くの人たちに使われる道具やエンジンをつくりたいという意識が高まっています。そういう意味で、渡邉さんにお話しいただいた女子高校生のエピソードからもわかるように、写真の自動カラー化の技術もそれぞれの人が自分なりに使える道具なのだと思います。</p>

<p><strong>渡邉：</strong>僕はネット世代ゆえに、サイバー空間が大好きで（笑）、カラー化写真をTwitterに投稿してたくさんリツイートされたり、リプライがつくことにモチベーションを感じていました。でも、先ほど紹介した庭田さんはこの技術を「実空間の」コミュニケーションのために使っています。高校生の彼女に向けて、7～80年前の記憶を楽しそうに話すご老人たちの、とても幸せそうな表情をみていると、世代を越えて共感しあう高齢者と若者に、僕らのような「ネットをかじった」世代は、いつのまにか置いていかれているのでは？という感がありました。</p>

<p>自分が主戦場にしてきたウェブ・サイバー空間のありようは大きく変わりつつあります。僕らのミッションに即していえば、自分がかつて学んだ「建築」のように、人々が親しみ・対話する空間をいかにつくり、記憶を継承していくのか、という役割が、サイバー空間にも求められているように感じています。</p>

<p><strong>齋藤：</strong>いまはデジタルとアナログが荒波の中でせめぎ合っているような状態で、これがさざなみになった時に両者はどんな融合を果たしているのかを想像することが現在の自分のテーマです。我々はAIなどさまざまな技術を扱っていますが、その先にあるのは人が涙を流したり、記憶が引き出されるというミクロな現象です。昨今、若い人たちがカセットテープやアナログレコードなどに興味を持っているのも、それが楽しいものだからだと思うのですが、最近僕は、かつて日本の発展を支えた繊維産業の始まりに注目しています。当時の産業を支えたジャカード織機や紡績機など、昔の「完成された道具」のドキュメント映像を撮っているのですが、一度道具レベルまで視線を落とした上で、それが人に何を与えるものなのかを考え、本当に必要なものを選択していくことが大切だと感じています。</p>

<h2>街の記憶をストックする</h2>

<p><strong>再開発などによって都市が大きく変わっていくなか、継承されてきた文化や人々の思いなど、その土地が持っている無形の情報が失われつつあるようにある。こうした現状についてどのように考えているのだろうか。</strong></p>

<p><strong>渡邉：</strong>SNSが浸透したことで、日々、たくさんの情報が日常に流れ込んでくるようになりました。たとえば「この場所で過ごした、こんな瞬間が愛おしかった」とか「この街のここにあった、あのコーヒー屋さんで過ごす、こんな時間が好きだった」といった人々の「瞬間」の記憶が、膨大な情報の波に埋もれ、流されていってしまう傾向があります。路地の奥にある、知られざる「行きつけの定食屋」のようなもの、簡単にたどり着けない場が、そこを愛する人々にとっては大事な意味を持っていた。「一見さんお断り」などもそうです。でも、いまとなっては、グーグルマップで店にナビされて「しまった」り、Uberで行きたい場所にたどり着けて「しまう」ようになった。情報技術の進化によって「便利」になった反面、街におけるコミュニケーションのプロセス・手続きがショートカットされてしまっている。</p>

<p><strong>齋藤：</strong>『電波少年』のプロデュースなどで知られる日本テレビの土屋敏男さんが、街の古い写真を集め、アプリ上で現代の同じ場所・構図の写真と見比べられる『鎌倉今昔物語』というアプリをつくっています。これにインスパイアされて、過去の東京の写真をもとに当時の街の3Dデータを生成することを目的に、 『1964 TOKYO VR』という団体を土屋さんたちとともに設立しました。押し入れの奥にしまわれているような古い写真は持ち主が亡くなると、棺に一緒に入れて燃やされたりすることが多いんですね。そうなる前に写真を一度スキャンし、データのマトリックスに入れ、街の記憶を残していくということにもっと取り組んだ方が良いのではないかと考えています。</p>

<p><strong>渡邉：</strong>『WIRED』創刊編集長のケヴィン・ケリーは『〈インターネット〉の次に来るもの』（NHK出版）の中で、情報はすべからく「フロー」化し、流れゆくものになる、そのことに価値が見いだされる、と主張しています。元来、情報はさまざまな場所に「ストック」されてきたものです。いまはそうした「ストック」とその受け皿がほとんど注視されることなく、人の心を煽る、刹那的でフロー的な情報が氾濫しています。そうした「フロー」を主体にしたプラットフォームが世界を席巻しているからです。一方で「街の記憶」というと少し大仰な気もしますけれど、人々のちいさな記憶を一つひとつ丁寧に「ストック」し、共有することができるプラットフォームも必要なのだろうと思います。</p>

<p><strong>齋藤：</strong>テクノロジーの進化によって、大きかったものはどんどん小さくなった、スマホなどはその象徴的な存在です。こうした流れがあるにもかかわらず、都市には次々とビルが建ち、容積が増え続けているというおかしなことになっている。今後はこうしたいびつバランスをリセットするようなことが必要だと思うし、その時にカギとなるのが街や土地の記憶ではないかと。経済合理性ばかり優先してきたことでこれらの記憶がどんどん捨てられ、どこもかしこも同じような構造になっている現代の都市開発や街づくりに僕は疑問を持っています。土地のコンテクストを引き継いでいくこと、データのマトリックスに残していくことが必要で、それなくしてこれからの街は議論できないのではないでしょうか。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/dialogue-2-1.jpg">
<figcaption>齋藤精一　</br>1975年神奈川生まれ。建築デザインをコロンビア大学建築学科(MSAAD)で学び、2000年からNYで活動を開始。その後ArnellGroupにてクリエティブ職に携わり、2003年の越後妻有トリエンナーレでアーティストに選出されたのをきっかけに帰国。その後フリーランスのクリエイターとして活動後、2006年に株式会社ライゾマティクスを設立。建築で培ったロジカルな思考を基に、アート・コマーシャルの領域で立体・インタラクティブの作品を多数作り続けている。2015年ミラノエキスポ日本館シアターコンテンツディレクター。現在、2018-19年グッドデザイン賞審査委員副委員長、2020年ドバイ万博クリエイティブアドバイザー。2025年大阪・関西万博People's Living Lab促進会議有識者。</figcaption></figure></p>

<h2>未来は明日の連続である</h2>

<p><strong>少し先の未来でさえイメージすることが難くなってきたいま、私たちはどのようなスタンスでこれからの社会と向き合うべきだろうか？</strong></p>

<p><strong>齋藤：</strong>考えるべきは、テクノロジーが社会をいかに良い方向に変えていけるのかということだと思います。いまはSDGsというグローバルなガイドラインもありますが、日本はこの先20～30年をどうするのかということにフォーカスが定まっていないように感じます。それを考える上で大切になるのは思想や哲学で、かつてはこれらを持った建築家などが社会の指揮者的な役割を担っていましたが、もはやそうではなくなっている。だからこそ、デザインやものづくりをしている人間、あるいは研究者などがロングスパンのスコープを定めていく必要性を感じています。そして、そこで忘れてはいけないのは、「未来は明日の連続である」という感覚だと思っています。</p>

<p><strong>渡邉：</strong>マット・リドレーは『進化は万能である』（早川書房）の中で、トップダウンの意思決定による人類の取り組みはことごとく失敗してきた、と主張しています。人間が生み出してきた文化やイノベーションは、あまたの人々の営みから創発したボトムアップのものであり、生物の進化の原理に基づいていると。</p>

<p>また、テッド・チャンのSF作品には、代表作『あなたの人生の物語』（早川書房）をはじめとして、過去も未来も決められていて変えられない、という決定論的な世界観で書かれたものが多くあります。かといって「何をしても無駄」ということではなく、日々、僕たちが「あがく」ことも織り込まれて、過去も未来もつくられているのだ、過去を大事に、未来を楽しみに待とう、という、ふしぎにポジティブな世界の捉え方です。</p>

<p>こうした作品からは、まずは、名もなき営為＝種をまき、水を注いで栄養をあげ、育ってきたものの世話をする、という姿勢の大切さを感じることができます。どんなに努力しても未来は変えられないのだ、と絶望するのではなく、すべての人は世界・宇宙の時空間において何かしらの役割を担っている。それを果たすためにいまここにいる。と考えると、色々と楽になれそうです。</p>

<p><strong>齋藤：</strong>その辺はまさにいま、僕が苦しんでいるところです（苦笑）。例えば、インクというのは配分の違いによってさまざまな色になりますよね。リーマンショックの時よりも先行きが見えない中で、オリンピック・パラリンピックというナショナルイベントも控えている日本はいま、まさにそのインクの配分を決めていかなくてはならない時期だという気がしています。</p>

<p>明日の連続である未来を考える上で僕らが議論すべきは、理想郷としての未来ではなく、個人個人が自分の幸せに向かってどうしたいのかということだと感じています。それぞれが自分でインクの分量を決めること、つまり自分の哲学や思想を持つということをサポートしていかなければ、未来はおかしな方向に進んでいってしまうのではないかと。</p>

<p><strong>渡邉：</strong>万物は進化であり、自然の流れに任せた方が良い、というマット・リドレーの主張も、必ずしも放置しておけという意味ではないように思います。いかに介添えしていくのか、という論点もありますね。</p>

<p>またジョージ・フリードマンが『100年予測』（早川書房）で述べているように、たとえば第一次世界大戦で敗れ、どん底の状態にあったドイツがそのわずかのちに、飛ぶ鳥を落とす勢いで盛り返し、ソ連にまで侵攻するとは、当時、誰も予測できませんでした。そして、その数年後、焦土となった極東の島国の日本が、経済大国として再興することも、誰も思ってもみなかった。そして、いま、日本はふたたび没落しつつあるわけです。</p>

<p>僕はこうしたことから、50年、100年先の未来をマクロに予測することは不可能だと考えます。だからこそ齋藤さんのように、現場で「何とかしよう」という人たちの、こまかな努力の積み重ねからしか、創発・進化は起こらないと解釈しています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/dialogue-2-2.jpg">
<figcaption>渡邉英徳 </br>東京大学大学院情報学環教授。東京理科大学建築学科卒業（卒業設計賞受賞）、筑波大学大学院博士後期課程修了。博士（工学）。株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント（現：ソニー・インタラクティブエンタテインメント）での勤務経験も。首都大学東京システムデザイン学部准教授を経て、現職。「ヒロシマ・アーカイブ」「ナガサキ・アーカイブ」「東日本大震災アーカイブ」などのデジタルアーカイブを制作。他に「ほぼ日のアースボール」コンテンツの共同研究・開発なども行なっている。</figcaption></figure></p>

<h2>既存のシステムから逸脱する思考</h2>

<p><strong>明日の連続である未来を考える上で、それぞれが果たすべき役割をどう捉えているのか。</strong></p>

<p><strong>齋藤：</strong>これまでデジタルテクノロジーは、あらゆるものを最適化する魔法のように捉えられてきましたが、アワードの審査などをしていると、最近はデジタルのマトリックスから抜け出し、人間本来の感覚を取り戻そうとするというアイデアが増えていると感じます。必ずしもそれが正解というわけでもないですが、こうした思考に基づいたオプションを社会に増やしていくことは大事だと思うし、そうすることで経済合理性だけではない次の時代の社会のあり方や、人間の進化の可能性が見えてくる気がしています。要は、それが「道具」をつくるという話にもつながっていくのですが、肝になるのは、利害関係を超えて業界がつながることです。</p>

<p>行政にしても、研究にしても、デザインにしても、良い土管は通っているのに、そこに付着しているトゲをそのままにしていることで色々なものが阻まれている気がするんです。こうしたトゲを外していくために、競合関係にあるところが手を組んだり、企業のIPを開示して共創することが大切で、それぞれの業界、あるいは日本全体が、社会を動かす根幹の哲学となるような羅針盤を合わせるということに取り組んでいく必要があると感じています。</p>

<p><strong>渡邉：</strong>そうしたトゲやしがらみのことを、職場では「カルシウム」と呼んでいます。そうしたややこしいものが水道管にこびりつくと、水の流れが悪くなる。そして、こそげ取るためにもコストがかかる。結局、流れが悪くなった水道管を使い続けざるを得なくなり、エネルギーの消耗によってみんながイライラし、元気がなくなってしまう。世の中には、苦労して得た立場を失いたくない人もたくさんいますし、彼らを保護してくれるシステムもできあがっている。だから、否応なく、そこに身を委ねることになります。</p>

<p>本当は、こうした体制から逸脱してもいいはずなのに、いざ、そうしようとすると、既存のシステムそのものが足を引っ張ってくる。ウォシャウスキー兄弟の『マトリックス』ではありませんが、一度、体制から逸脱し「外」に出ることができれば、それまで「世界」だと思っていたものが、より広い「世界」のいち断面に過ぎなかったことに気付けるのではないでしょうか。そうした機会を生み出していくことが、クリエイターや研究者のできることではないか。そういう気がしています。</p>

<p><strong>齋藤：</strong>歳を取ってきたということもあるのですが、「ここに向かうためには、いま何をするべきか」というバックキャスト思考であらゆることを考えるようになりました。研究者をはじめ、さまざまな領域の方たちとコラボレーションする時にも目的から逆算して、業界の縦割り構造をなくそうとか、デザインプロトコルを合わせて同じ言語で話そうという具合に必要なことを洗い出し、それに取り組んでいくことが多くなりました。「あちら側」を見ているだけではダメで、その道筋において必要なことを考えることが大切だと思っていて、いまはそれを1レイヤーずつつくっている感じです。</p>

<p><strong>渡邉：</strong>齋藤さんと僕の共通点は、みずから主役になろうとするのではなく、徐々に、裏方にまわろうとしているところではないでしょうか。既存のシステムから逸脱しようとする人があらわれた瞬間に、僕は喜びを感じます。その象徴的な存在が先ほど述べた高校生です。彼女は、白黒写真は過去のもので、私たちの日常とは離れたものであるとか、あるいは、AI技術を扱うには専門知識が必要で、プロ以外には無理だ、といった固定観念を軽々と飛び越えて実践し、成果を出している。</p>

<p>先日、コンピュータグラフィックスのトップカンファレンス「SIGGRAPH ASIA 2019」で、彼女と共著で執筆した論文が採択(＊)され、発表してきました。これまでは、論文執筆は研究者の領分でしたが、ひとりの高校生が自らの情熱に動かされ、目の前にあったAIの技術を使いこなして、多くの人の心を打つ活動を生んだ結果、国際会議でも評価された。建築など、他の領域でも同じ状況が生まれているように思います。かつてプロフェッショナルが担っていた特権的な技能が民主化されていて、市民一人ひとりのクリエイティビティを、テクノロジーとプロフェッショナルがバックアップしていく、そういう社会になりつつあると感じます。</p>

<p><figure><figcaption>(＊)Anju Niwata and Hidenori Watanave: "Rebooting Memories": Creating "Flow" and Inheriting Memories from Colorized Photographs; Proc. of SIGGRAPH ASIA 2019 Art Gallery/Art Papers (Full art papers), Article No. 4, 12 pages, 2019. <br />
<a href="https://dl.acm.org/doi/10.1145/3354918.3361904">https://dl.acm.org/doi/10.1145/3354918.3361904 </a></figcaption></figure></p>

<p><img src="/uploads/dialogue-2-3.jpg"></p>
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    <title>計算論的思考、そして均質化を乗り越えるために──ダイアローグ：久保田晃弘×脇田玲 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-03-02T06:00:00Z</published>
    <updated>2020-05-20T04:25:51Z</updated>

    <summary>「ダイアローグ」の第1回のゲストは、久保田晃弘（多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース教授、アートアカイヴセンター所長）と脇田玲（慶應義塾大学 SFC 環境情報学部 学部長 教授）。「均質化していく世界を越境していくために」をテーマにした&quot;対話&quot;の記録。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="ダイアローグ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="テクノロジー" label="テクノロジー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="教育" label="教育" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>世界の均質化が進み、同時に分断が起こる時代。それを乗り越えていくために、どのような知恵が求められるのだろうか。アートとサイエンスの領域を行き来しながら、表現や教育の現場で挑戦を続ける久保田晃弘と脇田玲。複眼的に物事を見つめるふたりの対話から見えてきたヒントは、「わからないもの」との共存だった。</p>

<h2>蔓延する計算論的思考</h2>

<p><strong>ふたりが研究者と活動を始めた頃から現在にいたるまでに、世界はどのように変わってきたのか、まずはその変化をどのように感じているのかをうかがった。</strong></p>

<p><strong>久保田晃弘（以下、久保田）：</strong>僕は1992年から東京大学で工学における設計の研究を始め、その傍らで音楽に関わる活動も続けてきました。やがて、コンピューターの進歩によって工学と芸術がより密接になると考えるようになりました。その頃ちょうど、多摩美術大学から新しい美術教育を始めたいと声がかかり、1998年に立ち上げから携わった情報デザイン学科に移りました。</p>

<p>翌年には、東京芸大でも領域を超えた美術教育を標榜する先端芸術表現科が設立されるなど、90年代は美大教育の現場が大きく動いた時代でした。振り返ってみると、既存の教育システムからの脱却を掲げて1990年に慶應義塾大学 湘南藤沢キャンパス（以下、SFC）が設立されたことが、とても大きかったと思います。</p>

<p><strong>脇田玲（以下、脇田）：</strong>僕がSFCの学生として過ごした90年代は、ネットワーキングによって空間や時間が短縮すると期待されていた時代でした。そこから30年経ったいま何が起きているかというと、インターネットが世界をつないだことでローカリズムやナショナリズムが刺激され、争いが生まれる状況になっています。これは、メディア論で知られるマーシャル・マクルーハンが60年代に「グローバル・ヴィレッジ」という言葉で表していた世界で、個人を基盤としたフェイズから部族を基盤とした分断の時代に突入した感があります。</p>

<p><strong>久保田：</strong>90年代には、これからの大学も文理融合が進むと、多くの人が考えていたはずですが、実際にはそうならなかった。その理由のひとつは、ある種のシステム化や、計算論的思考が浸透したことだと思います。端的に言うと、自分の学力に応じて最適化された目標に向かって、効率よく一直線に進むことが推奨されたことで、逆に領域の横断が起こりにくくなり、極端な話、理系を目指す人は詩や小説なんか読まなくても良い、ということになっていきました。</p>

<p><strong>脇田：</strong>SFCが日本で最初に導入したAO入試というのは、突出した人間力や特異性で合否を決めるようなものなので、本来対策を講じるようなものではないのですが、年々AO入試のためにパターン化、最適化された受験生が増えていると感じます。最近は、信用スコアが話題になっていますが、これは人の生き方を数値化し、ランク付けする考え方ですよね。こういうものが入試にも導入されるようになると、試験の前までに何をしたかによって合否が決まることになる。生きること自体が採点されることを意識しなくてはならない人生とは一体なんだろうと（笑）。</p>

<p><strong>久保田：</strong>本当にそう思います。AIやビッグデータなどに漠然とした恐怖を感じる人もいますが、本当に怖いのはこれらを活用することで、計算論的、定量的思考を持ってしまう人が増えることです。データはこれからの産業の原動力になるとも言われますが、計算論的思考の影響で、人と人との関係にデータを活用していくことは、非常に傲慢なことだと思います。</p>

<p><strong>脇田：</strong>最適化が果たして本当に人生とって良いことなのか、もっと考えるべきだと思います。いまはSNSのフォロワー数が多いインフルエンサーを見本にしている人もいますが、将来はスコアラーという存在が現れ、「あの人はスコアが高いから真似をしよう」と人々が考えるようになりかねない。それこそ何のために生きているのかという話になってしまいますよね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/dialogue-1-1.jpg">
<figcaption>脇田玲　</br>1974年東京生まれ。科学と現代美術を横断するアーティストとして、高度な数値計算に基づくシミュレーションを駆使し、映像、インスタレーション、ライブ活動を展開している。これまでに Ars Electronica Center, Mutek, WRO Art Center, 清春芸術村, 日本科学未来館などで作品を展示。2016年からは小室哲哉とのコラボレーションを開始し Ars Electronica Festival や RedBull Music Festival で作品を発表。慶應義塾大学 SFC 環境情報学部 学部長 教授。</figcaption></figure></p>

<h2>世界の均質化を乗り越えるために</h2>

<p><strong>「世界の均質化」は見えないうちに進んでいる。それに抗っていく姿勢が必要だとしたら、どんな姿勢で立ち向かっていくべきなのか。</strong></p>

<p><strong>久保田：</strong>均質化というのは、ある意味楽な状態なんです。なぜなら、均質化した世界では皆がマジョリティとなり、言わば言葉を交わさなくてもわかり合えるような、「和を以て貴しとなす」世界が実現するからです。しかし、移民やマイノリティ問題が当たり前のものとなった現代は、むしろ「異を以て貴しとなす」という考え方が必要です。自分がアウェーとなる場所に身を置くことで、異なる分野の人たちと一緒に、何ができるかを考えられますし、教育の場では、積極的にそうした場をつくることが必要です。</p>

<p><strong>脇田：</strong>僕にとって久保田さんは偉大な先輩ですが、我々に共通しているのはサイエンスとアートが個人の中に共存し、これらを越境しているところだと思っています。ただ、そうするべきだと思ってやってきたというよりは、そうしたかった、そうであっても良いんじゃないか、という思いがあったからなんですね。こうするべきだ、こうでないといけないという西洋的な思考のフレームも均質化を招いた要因だと思っていて、こうであってもいいんじゃないかという、ある種の優しさが大切ではないかと感じています。</p>

<p><strong>久保田：</strong>最近は一億総活躍社会なんてことが言われていますが、一億のうち"20％"活躍社会くらいが良いと思っています。その20％は常に入れ替わっていて、残りの80%の人はその間にじっくり力を蓄えている。研究や創作の世界では、30年ひとつのことを続ければ、きっと一度は浮かばれる時がくるといわれていますが、今現在は社会に理解されていなくても、こつこつと続けていれば、何かが起こるはずだと信じられる。そういう人たちを寛容してくれる、優しい社会であってほしいですよね。</p>

<p><strong>脇田：</strong>福沢諭吉が、「一身にして二生を経るが如く」という言葉を残していますが、まさに久保田さんはキャリアの前半を物理の世界に費やし、その後メディアアートに捧げるという２つの人生を生きているように感じます。こうした生き方もあるということを認識していくことが、世界の均質化を防ぐことにつながるのではないでしょうか。</p>

<p><strong>久保田：</strong>数値化が重視された社会は、「これからはこうすべきだ」「こんなことをしたら先がなくなる」というように、未来を決める物言いが強くなります。ノストラダムスの大予言や、『2001年宇宙の旅』のように、未来を描いたものは、ほとんどが外れています。未来予測なんて当たらないのだから、聞き流せばいいんです。それをあたかも賢者のご信託のように受け止め、一喜一憂するようなことだけはやめた方がいい。未来を予測すると吹聴している人は、基本的にペテン師です。先ほども話に出たマクルーハンは、「最近自分が気づいていないことは何か？（What haven't you noticed lately?）」と言いましたが、未来よりも、いま目の前にあるもの、起こっているのに見えていないものについて考えることの方がよっぽど重要なんです。</p>

<p><strong>脇田：</strong>意志の力に気づくことも大切だと思っています。ヘヴィメタルの様式を作り出したブラック・サバスのギタリストのトニー・アイオミは、若い頃に右手の中指と薬指の先端を事故で切り落としてしまったんです。それでもどうしてもギターを弾きたくて、樹脂製のパーツを自作して、弦も変えたのですが、それでまだ指が痛いから音を下げてチューニングした。このような特異性がヘヴィでダークなメタルの様式を作り出したんです。もしAIが人の人生を決めるような社会だったら、確実にギターをやめろと言われたはずですが、ある種の欠損から生まれる意志の力によってとてつもなくユニークなものが生まれ、そこから新しい様式やマーケットが生まれることもあるんです。</p>

<h2>日本の大学をハックする</h2>

<p><strong>表現者でありつつ、大学教育の現場に長く身を置くふたり。いま教育者として何を伝えようとしているのか。</strong></p>

<p><strong>久保田：</strong>いま日本の教育というのは、どんな学校に入っても同じようなカリキュラムのもとで学び、決められた数の単位を取って卒業し、社会に出ていくというシステムになろうとしています。それは言わばコンビニやチェーン店のようなもので、僕は大学が目指すべきは、ここでしか食べられない饅頭、ここでしか飲めない珈琲があるような名店街だと思うんです。その中で脇田珈琲、久保田珈琲どちらを飲むのかという選択肢が自由にあっていいと思うのですが、逆にランキングやスコアなど定量的な指数によって選択させようとしているのが現状だと思います。その動きに飲み込まれて、自分を変えられないようにしなければいけない。</p>

<p><strong>脇田：</strong>小学校から成績がつけられ、時間割に沿って授業を受けることが良しとされ、大人になったら年収やブランド力が高い企業に入ることが良い人生だという考え方がありますよね。こうした価値観を形成する一端を担ったのは間違いなく学校であり、ここを根本的に見直さなければ何も変わらないと思っています。</p>

<p>5年前に病気になって以来、自分の人生に納得して死ねるかということを考えるようになったのですが、現在の日本の教育には個人の幸福という視点が抜け落ちているように感じます。例えば、世の中を上手く生きていくには秘訣があり、それは著名な予備校教師や知識人など一部の人だけが知っていて、それを学ばなければ負け組になるという発想は、個人の幸福を差し置いたスコア優先の考え方だと思いますし、大学がそうした発想を誘発する一因になっていることには忸怩たる思いがあります。</p>

<p><strong>久保田：</strong>色んな道があるということを自ら探す能力を培うには、どうしたら良いのでしょうか？決められたカリキュラムや時間割にただ従うのではなく、こういうことも可能なんじゃないか？他の方法はないのか？ということを考えていく、ある種のハッキング・スピリットのようなものの大切さを伝えるにはどうしたらいいのでしょうか？何かが得られた時に、その使い方を自分なりに考えていくマインドが非常に大切で、知識よりも知恵が大事だと言われるのは、そういう意味だと思います。</p>

<p><strong>脇田：</strong>久保田さんは『メディア・アート原論』（フィルムアート社）という本でも、新しいメディア技術が現れた時に、技術者が想定していなかった使い方を発掘していく「ハック」の精神について言及されていますが、いま学校にもそうしたマインドが求められていると感じています。例えば、124単位を満たせば大学での学びを修めたことになるという国が定めたルールについても、一体何の根拠があるのかと疑ってみてもいいと思うんです。</p>

<p>いま僕がSFCの執行部と一緒に考えているのは、学習履歴をブロックチェーンで記録し、それを持って自分はこういうことを学んできたという経験を示しながら就活ができるようにならないかということなんです。学習履歴と単位のレート変換が可能な仕組みを作ります。</p>

<p><strong>久保田：</strong>それは面白いですね。カリキュラムにしても何にしても最適解はないのだから、学生に合わせてどんどん変えていくべきです。持っている資質がそれぞれ異なり、変化し続ける眼の前の学生たちは言わばフローとしての存在であり、彼・彼女たちを大学が用意したフレームの中に入れてしまうと、ダイナミズムはたちまち失われてしまう。常に変化する学生と向き合うためには、常に教員の側が自分たち自身を磨き、流動的な状態にしておく必要があって、それは僕らにとって楽しい恐怖でもあるんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/dialogue-1-2.jpg">
<figcaption>久保田晃弘　</br>1960年生まれ。多摩美術大学情報デザイン学科メディア芸術コース教授、アートアカイヴセンター所長。東京大学大学院工学系研究科船舶工学専攻博士課程修了。工学博士。数値流体力学、人工物工学（設計科学）に関する研究を経て、1998年から現職。世界初の芸術衛星と深宇宙彫刻の打ち上げに成功した衛星芸術プロジェクト「ARTSAT.JP」をはじめ、バイオメディア・アート、芸術の数学的描写、ライブコーディングによるライブパフォーマンスなど、さまざまな領域を横断・結合するハイブリッドな創作の世界を開拓中。</figcaption></figure></p>

<h2>わからないものを受け入れる</h2>

<p><strong>大学が「公共」の場所であるとするなら、そこに戻れるあるいは参加できる仕組みやきっかけが必要なのではないだろうか。</strong></p>

<p><strong>久保田：</strong>まさしくそれが、多摩美でスタートする社会人向けのプログラム「TCL-多摩美術大学クリエイティブリーダーシッププログラム」立ち上げの、僕にとっての動機になっています。2年間かけて学位を取る大学院ではハードルが高いし、いまは大学以外の場所で学べることも多いから、まずは何らかのきっかけをつくる仕組みが必要だ、と考えれば、TCLが3ヶ月間のプログラムであることは重要です。新しい情報や知識を得ることが目的ではありません、むしろすでに身の回りにあるものをいかに再解釈し、変容できるかが大切で、そこで求められるのは、やはりハックの精神だと思います。</p>

<p><strong>脇田：</strong>決まっているからそれをする、ではなく、なぜそれをするのか、から考えていくことが大切で、そうした思考を実践しているのがそれこそアーティストなのです。ただ、最近はアート思考などと言って、アートにも役に立つことが求められるご時世です。作品というのは、つくり手の強烈な思想や批評精神が現れたもので、つまりアートは生き方だと言えるのですが、それを便利なものとして消費しようとする社会のマインドセットは果たしてどうなんだろうと、少し悶々としています（笑）。</p>

<p><strong>久保田：</strong>役に立つと言っても、明日役に立つことと、50年後に役立つこととは大きく違います。だからこそ、今の価値観や先入観だけで判断してほしくはないですよね。最近強く感じるのは、「わかりやすさ」は時として悪になるということ。陰謀論や風評も、物事を単純化してわかりやすくすることで広がっていきます。わかりやすくすることによって失われるものもたくさんあるし、世界を単純に理解することはそもそも不可能です。だからこそ、たとえいまはわからなくとも我慢して耐えるための知力、頭の筋力が必要だと感じています。</p>

<p><strong>脇田：</strong>最近お医者さんと話をしていて気付かされたことなのですが、美術の授業では色相を環状に配置した「色相環」について学びますが、人間というのは可視光線の波長の違いによって色を識別しているので、色が円周上に循環することはありえないのです。色相環という考え方には矛盾があるし、人間には見えていない不可視領域というのも非常に大きいんです。人間はそれらをないものとして自分たちを納得させている。わかりやすい世界を作り出そうとしている。</p>

<p><strong>久保田：</strong>人間には理解できない言語を、AIソフトウェア同士が話しているような状況がすでに生まれているように、わからないものと共存することについて考え、議論していくことが必須の時代になりました。そこで大切だと思うのは、答えを出すという強迫観念にとらわれず、時には保留をしたり、ある種の曖昧さを自分の中で保ち続けることです。すべてを白黒ハッキリさせて生きていても面白くないですし、この世界には、正しさよりも大切なものもある。</p>

<p><strong>脇田：</strong>人間が認識できない領域について考えさせてくれるという意味でも、AIは面白い存在だと思うんです。人間には解釈不能なことがあること、普遍性とは実は動的に変化していくものであって、客観的だと思っていた正しさが必ずしもそうではないことを理解することが、先に話した優しさにもつながっていくのではないでしょうか。</p>

<p><strong>久保田</strong>：正しさに向けて最適化しようとすること以外にも、たくさんのアプローチがあります。たとえ、今の時点で無駄に見えることでも、本人からみれば、それを行うことが人生の幸せに繋がるかもしれないし、客観的に無駄なこと、役に立たないものがあったら、逆に教えて欲しい（笑）。</p>

<p><strong>脇田：</strong>ミッション・ドリヴンであることを要求されがちな時代ですが、もっと「キュリオシティ・ドリヴン」な社会になるといいですよね。これを解決するためにどうすればいいかという考え方にとらわれすぎず、もしかすると30～40年後に何かの役に立つかもしれない、あるいはその過程で副産物が生まれるかもしれないということにも目を向けていくことが大切なのだと思っています。</p>

<p><img src="/uploads/dialogue-1-3.jpg"></p>

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    <title>新カテゴリー「ダイアローグ」のスタートにあたり - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/03/dialogue0.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9375</id>

    <published>2020-03-02T05:58:00Z</published>
    <updated>2020-03-02T07:44:43Z</updated>

    <summary>BNLの新カテゴリー「ダイアローグ」をスタートする。ダイアローグ、訳すと「対話」ということになる。昨今、対話の重要性はさまざまな場所で見聞きするが、ここで発信していきたいことはそうした重要性を説くことではない。あえて言葉にするなら「探求の記録」だ。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="ダイアローグ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>いきなり唐突な切り出しになるが、「会話」と「対話」は似て非なるものだ。</p>

<p>「会話」はあらゆる時間にあらゆる場所で行われている。そのいくつかは日常の何気ないやりとりであり、時として真剣で厳しい交渉が必要な場面もあるだろう。</p>

<p>では、「対話」とはなんだろうか？</p>

<p>その本質は「隔たり」にあるのではないかと考える。片方が話し終えてから、他方が話をはじめるターンテイキング（話者交替）によって、双方の差異が明確になっていくからだ。ある種の緊張感の連続の中から言葉が紡がれていく、その隔たりの間には不確実な「問い」がある。それは少し大げさに言うならば「探求」と呼べるのではないか。</p>

<p>異なる意見や思考を検討しあう「対話」は面倒なものだ。互いに話を合わせて、ひとときの交流を楽しむためのものではない、むしろ文脈や枠組みの異なる考えを対峙させることも必要となるからだ。</p>

<p>しかし、だからこそ探求には価値がある。</p>

<p>BNLの新カテゴリー「ダイアローグ」（＝対話）では、いわば「知の探求」をドキュメントしていきたい。「対話」の導入として設けたテーマは単なる入口にすぎない。そこにあらかじめ欲しい答えはないし、予定調和も求めない、そうした約束事からできるだけ離れることを良しとしていきたい。</p>

<p>また、この「ダイアローグ」では、濃密な対話の時間をつくるために、対話する双方の文脈から切り離された場所で行うことにした。その場所として選んだ外苑前の「<a href="http://voice-flower.jp/">VOICE</a>」は、フラワーショップでありギャラリースペースでもある。そこには生花とそう大きくないテーブルと椅子だけがある。通り沿いからは見逃してしまいそうな、この小ぢんまりとした店舗は、生々しい言葉が生まれる入口となった。</p>

<p>さて、前情報はこれくらいにしておくことにして、「対話」の差異が生み出すグルーヴにぜひ身を委ねてほしい。</p>
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    <title>「器用貧乏な自分にしかできない仕事がある」有國恵介──連載：自分の仕事をつくる - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-02-28T08:13:00Z</published>
    <updated>2020-02-28T11:53:22Z</updated>

    <summary>「働き方」の多様化が進んだことによって、必ずしも仕事が効率化されたわけでない。むしろ求められる知識やスキルはより複雑化していった。本連載では、モデルケースのない時代に自らのキャリアを切り開く次代のリーダーに焦点を当て、「自分の仕事」をいかにしてつくるのか、そのリアルな声を集めていきたい。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="自分の仕事をつくる" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="エンターテインメント" label="エンターテインメント" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="テクノロジー" label="テクノロジー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>有國恵介</strong>
<p>株式会社ライゾマティクス／Rhizomatiks Design・Rhizomatiks Architecture兼務。プロジェクトディレクター／プランナー。1981年生まれ。東京造形大学卒業後、イベント制作会社、大手広告代理店を経てライゾマティクスに入社。東京駅100周年記念TOKYO COLORS総合演出、経済産業省『FIND/47』企画制作。常設インスタレーションSHIBUYA CASTの『AXYZ』の企画制作、心斎橋大丸『D-WALL』企画制作。2019年11月にオープンした渋谷の展望施設『SHIBUYA SKY』のプロジェクトディレクションなどを担当した。</p></aside></p>

<p>Webから空間におけるインタラクティブ・デザインまで、テクノロジーを駆使した新しい表現を手がけているライゾマティクス。テクノロジーやエンタメ色の印象が強い同社だが、近年では空間づくりの仕事も増えてきているという。そうした仕事を中心となって進めているのが、プロジェクトディレクターの有國恵介だ。</p>

<p>有國は、2017年4月に開業した渋谷キャストの貫通通路に常設されたインスタレーション『Axyz』、2019年9月にグランドオープンした大丸心斎橋店のシンボル『D-WALL』、2019年11月に渋谷駅直上に誕生した渋谷スクランブルスクエアの展望施設『SHIBUYA SKY』など、話題の施設の空間づくりを数多く担当している。「プロジェクトのために必要なことはすべてやる」と語る有國。相手の期待を超える提案をするための仕事観を聞いた。</p>

<p><img src="/uploads/237A9610.jpg"></p>

<h2>学生時代から培われてきた、一気通貫スタイル</h2>

<p><strong>――「プロジェクトディレクター」という聞き慣れない肩書きですが、どのような仕事をしているんですか。</strong></p>

<p>ライゾマティクスは、エンジニアやデザイナーなどの実際に手を動かしてつくる人と、それ以外の仕事をつくり、進行してゆく人でざっくり分かれています。僕の立ち位置はその後者ですが、ちょっと特殊で、通常の制作プロダクションでは、営業、プロデューサー、プランナー、ディレクターと役割が分かれていると思いますが、それらを一人でやることが多いんです。チームも自分で編成するし、クリエイティブディレクターの時もあれば、プロデューサーやプランナーの時もあって、器用貧乏というか（笑）。何でもやるけど何なのか分からない存在だと悩んでいたんですが、最近は「ひとりで全部やれる人もなかなかいないでしょ」とポジティブに捉えています。</p>

<p>あと、僕が担当するクライアントはリピーターが多く、一度お仕事をご一緒すると継続的に依頼されることが多いんです。それはなぜかと考えてみたんですが、「早い」というのが理由のひとつだと思います。通常はまず相談する窓口があって、そこから考える人やつくる人を調整して、ようやく提案がくる。僕はプランナーやプロデューサーの経験もあるので、おおよその判断が自分でできます。それは自分の売りだなと、ここ数年でようやく思えるようになりました。そうした意識の変化もあって、「プロジェクトの入口から出口までクライアントと並走しながらプロジェクト全体の舵を取る」ポジションとして、「プロジェクトディレクター」を名乗っているんですが、誰も突っ込んでくれないんですよね（笑）。</p>

<p><strong>――プロジェクト全体を俯瞰して見るような意識はいつから？</strong></p>

<p>大学時代からかも知れないですね。入学したのは東京造形大学のデザイン学科環境計画専攻で、デザインマネイジメントを学びました。そこでは、デザインプロセスと方法を学びながら新しい価値をつくることをテーマに、さまざまな企画を考えていました。企業と一緒に取り組む授業も多く、時計メーカーと「新しい未来の時計を考える」といったものもありました。自分でプロジェクトを企画して、デザインに落としてプレゼンテーションをする、という一連の流れを学びました。大学時代からの友人からは、僕の仕事を見て「あの頃のまんまだね」って言われるんですよ（笑）。ただ、就職活動をまともにしなかったので、卒業後はプー太郎でした。</p>

<p>ある時、広告代理店に努めている友人の職場に遊びに行くことがあって、広告の仕事って面白そうだなと思ったんです。それで、どうせ広告をやるなら大手の電通か博報堂に......と図々しくも思ったのですが、どうやったら入れるかも全く想像が着きませんでした。お金も無いのでどうしようかと考え、ベンチャー企業に名刺やフライヤー制作の飛び込み営業をして、仕事をもらうということで食いつないでいました。そこから潜り込むような形でイベント制作会社に就職したのですが、そこには代理店の人がけっこう出入りしていて、社長が「こいつ、若くてイキがいいんですよ」と、僕のことを紹介してくれたんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/237A9631.jpg">
<figcaption>「器用貧乏」な自分に悩んでいた有國だが、プロジェクト全体の舵を取りしていくことに強みと活路を見出した。</figcaption></figure>  </p>

<p>それからあれよあれよという間に、電通テックに出向になり、最終的には電通の中に席をつくってもらって、4年間ほどいました。</p>

<p>電通でもまた特殊な立ち位置というか、ひとりプロダクションみたいな感じでしたね。色々なポジションで携わらせてもらいましたが、最終的には企画書を書く仕事をやっていました。</p>

<p>コンペになると打ち合わせに呼ばれて、チームでの議論の内容を次の打ち合わせまでに紙にまとめる。プレゼンまでこれを何度も繰り返し行うのですが、当時から企画書を書くのが好きだったので良い修行になりましたね。制作会社、プロダクション、代理店の3箇所のお金の流れの整理をして、各社にちゃんと利益をつくることも同時に進めていたので、あの経験は確実に今に繋がっていますね。</p>

<p><strong>――ライゾマティクス入社のきっかけは？</strong></p>

<p>もう10年ぐらい前になるんですかね。電通の若手で面白いことをやろうというプロジェクトがあって、そこに僕も混ぜてもらえて、打ち合わせに参加したら大学の同級生の木村浩康（株式会社ライゾマティクス／Rhizomatiks Design）もいたのが、ライゾマティクス入社のきっかけになったかも知れないですね。当時、木村君とは、仕事が終わった後に深夜から明け方まで一緒に飲んで、帰宅したらすぐに会社に行くという悲惨な生活をしていたんですが、仕事の話は全然していなかったので「なんでお前がここにいるんだ」とびっくりしました（笑）。</p>

<p>ライゾマティクスには、自分たちだけで全部つくって世に出すという、広告業界のヒエラルキーを構造から壊してくるチームというイメージがあって。代理店の中で書類ばかりつくっている仕事に違和感を覚えていたタイミングだったので、ライゾマティクスのストレートなつくる姿勢のかっこよさに惹かれて入社することになりました。</p>

<h2>空間の体験全体をストーリーから設計したい</h2>

<p>入社した頃はいまのような大型の空間演出の仕事はまだほとんどなく、基本的にはウェブ制作やイベント演出がメインで、サイネージや展示のインスタレーションなどの仕事がたまにあるくらいでした。ただ、サイネージの形状の変化や大型のプロジェクションによって表現できることが増えてから、空間の仕事がぐっと増えてきました。例えば、2012年に渋谷ヒカリエの吹き抜けにあるリングサイネージを担当したんですけど、直径17mの大型LEDモニターともなると、コンテンツだけでなくハード面にも携わる必要が出てくる。もっと空間自体と関わってゆくことでできることが広がるなと感じました。</p>

<p>そこで、提案のやり方を根本から変えていったんです。コンテンツ制作だけでなく、そのコンテンツの容れ物やその空間自体のあり方から考えて提案する。例えば、3週間限定といった要件をあえて無視して、ずっと残していくことを前提とした提案をしたりしていました。イベントや広告の仕事では、数週間で壊してしまうのは当たり前でしたが、毎回一生懸命つくるのにもったいないですよね。</p>

<p>単発のイベントであっても、そのイベントが来年も継続できるようなテーマや手法を考えています。毎年変えること、新しくしていくことが良いことのように思われがちですが、別のアイデアを0からやるよりも、普遍的な表現を毎年積み重ねていくほうが結果的にその場所と人の関係性は強くなると思うんです。</p>

<p><strong>――最近の有國さんのお仕事ではSHIBUYA SKYが印象的です。このプロジェクトでは、どのような提案を？</strong></p>

<p>SHIBUYA SKYは、そもそもは「コンテンツ」のコンペだったんです。でも、ディスプレイの中だけ考えてもしょうがないし、オリエンの与件では求められていなかったのですが、「SHIBUYA SKYの全体の体験のプランニング」の企画書を130ページ超で段ボールに入れて納品したんです。それにはさすがに窓口の方も引いてましたね（笑）。そこに残るものをつくりたいという思いがずっとあったので、コンテンツだけでなく一連の体験づくりから携わりたかったんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/237A9637.jpg">
<figcaption>時にオリエンの与件を無視してでも、その場所と人の関係性を考えた、一連の体験づくりに携わりたい。</figcaption></figure>  </p>

<p>もともと渋谷駅のそばにはプラネタリウム（天文博物館五島プラネタリウム、2001年閉館）がありました。駅のすぐ近くの一等地に文化施設があることが、渋谷のカルチャーの源泉にもなったと思うんです。SHIBUYA SKYも同じように、あの場所に「ずっとあるもの」にしたかった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/02_D_01_1920px.jpg">
<figcaption>渋谷から広がる東京の街を一望する、SHIBUYA SKYの絶景エリアの「SKY EDGE」。 photo by KEITA SINYA（ROLLUPst.）</figcaption></figure>  </p>

<p>昔の人は高いところに登り、視界を遮るものがない景色を見て、この先になにがあるんだろうと世界を想像し、そこに神話を生み出しました。世界中の聖地をリサーチする中で、そこには、より感覚を開くためのフローの構造があることを知りました。街にもそういう場所が必要だとおもったんです。だから、展望台自体を「日常から非日常に行って、また日常に戻る」という体験を共有するための装置にすることを提案の骨子にしたんです。</p>

<p><img src="/uploads/sky_tark34.jpg"></p>

<p>その装置をつくるために、「分離→移行（抑圧）→解放→統合」という流れを空間に落とし込んでいきました。まず、14階から45階まで登るスカイゲートは、日常から分離し、そこを通る自分を意識させ、体感として少しキュッとなるような移行（抑圧）の体験を設計しています。屋上のスカイステージは空の舞台として、抑圧からの圧倒的な解放感を与えてくれる場所に、その後の46階を回るスカイギャラリーでは、登って開放された意識で新たな視点に気づいてもらうためのコンテンツを配置しています。時間という概念や目に見える景色の先、また街のビックデータなど目に見えない情報を渋谷の景色と重ねながら体験できるようにしています。</p>

<p><img src="/uploads/sky_tark37.jpg"></p>

<p>さらに、これらの体験の流れは、実は入口からのライン照明でつながっているんです。空間も演出も映像もコミュニケーションも、一貫した体験としてつくることを大切にしました。こうした体験は目に見えて解りやすいものではないですが、体験者と空間を共有しながら、意識の奥に訴えかけるものだと思います。ずっとそこにあることで、その場所の意味性は深まります。SHIBUYA SKYから地上に戻ってくると、いままで当たり前に見ていた風景に新たな視点が生まれる。この場所で想像力が育まれることで、街へと循環していくと良いなと思っています。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=WX9jp21AA4k
<figcaption>SHIBUYA SKY のプレオープニングイベントでは、jan and naomi によるスペシャルライブが行われた</figcaption></figure></p>

<p><strong>――D-WALLもSHIBUYA SKYのように、その街の文脈や「そこにある」意味を意識したものですよね？</strong></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/20190922_daimaru_p2.jpg">
<figcaption>2019年9月にグランドオープンした大丸心斎橋店本館の1F～10Fのエスカレーターサイドに設置されたD-WALL。高さ約50m、幅約4mの大型LEDモニター装置で、大丸のシンボル的存在となった。 photo by Ichiro Mishima
</figcaption></figure>  </p>

<p>そうですね。D-WALLももともとはLEDモニターの映像コンテンツの依頼だったのですが、情報媒体をつくっても体験は生まれない、体感させる装置をつくりましょうと提案しました。D-WALLの設置場所となる吹き抜けの空間は百貨店の中心となる場所にあるので、ただの展示物ではなく、「継承・創造・発信」という新生大丸のコンセプトに即した"シンボル"となるようなものを意識しています。ただ、最初は全面の彫刻パネルをキネティックに動かそうと思ったんですけど、そこは予算とスケジュールの関係もあって......。</p>

<p><strong>――最初の要件以上の提案する場合、予算はどのように調整しているのでしょうか？</strong></p>

<p>エスカレーターから映像を高精細に見せようとすると、何億円もかかるような数ミリピッチのLEDが必要です。ですが、エスカレーター空間全体の体験を考えたときに、具象的な映像をしっかりと見せることよりも、全体の印象やその存在感の方が大切になります。何のための演出なのかを明確にすることで、映像ハードにお金をかけるよりも、その前に彫刻パネルを創り、抽象的な映像と掛け合わせたほうがよりシンボリックな物になる。そういった予算の使い方から提案しています。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=Zd3jaCQBJ34
<figcaption>彫刻×映像の融合によって生み出される大丸心斎橋店本館のシンボル「D-WALL」の制作ストーリー</figcaption></figure></p>

<h2>子供に見せられるものをつくるために</h2>

<p><strong>――この先、「自分の仕事」を通してどんな状況をつくっていきたいですか？</strong></p>

<p>長期のプロジェクトって、アウトプットにチームの関係性のようなものが出るんですよ。いかに気持ちよく進められるかが最終的なクオリティに直結するので、できる限りフラットにいるようにしています。打ち合わせは仕切るものの、最終的にチームで決めることを大事にします。育ってきた環境も働いている現場も違うから、何を目指すかはやっぱり熱く語り合わないとダメだし、チームのモチベーションをつくっていくことも僕の仕事だと思っています。なので、どうしても僕の企画書は重く熱苦しくなってしまうのですが（笑）。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/237A9652.jpg">
<figcaption>新奇性よりも場所に定着するものを。ライゾマティクスの先進的なイメージをいい意味で裏切る有國らしい考え方だ。</figcaption></figure>  </p>

<p>あと、オリジナルなものを目指そうとすると、つい新しいものをぽんと置きがちなんですけど、そういうやり方ではその場所に定着しないと思います。その街の歴史やそこに集う人の思い、そういったものを大事にしたいですね。生み出して終わりじゃなくて、ちゃんと責任を持って残していけるものをつくりたいんです。長く残るものだったら、自分の子どもにも見せられるじゃないですか。</p>

<p><strong>――これからのご自身のキャリアについては？</strong></p>

<p>有國：それ悩んでるんですよ......どうしたらいいですか（笑）。ずっと器用貧乏だと思っていたけど、それが自分のやり方だし、実は武器だなと思えるようになってきました。今もいくつか大きなプロジェクトが動いているので、子どもに見せることのできる、意味のある場をつくり続けていきたいですね。</p>
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    </content>
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    <title>「街の未来の体力となる、現在進行形の小さな動きを最大化させる」坂本彩──連載：自分の仕事をつくる - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/02/aya-sakamoto.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9378</id>

    <published>2020-02-28T08:11:00Z</published>
    <updated>2020-02-28T08:43:18Z</updated>

    <summary>「働き方」の多様化が進んだことによって、必ずしも仕事が効率化されたわけでない。むしろ求められる知識やスキルはより複雑化していった。本連載では、モデルケースのない時代に自らのキャリアを切り開く次代のリーダーに焦点を当て、「自分の仕事」をいかにしてつくるのか、そのリアルな声を集めていきたい。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="自分の仕事をつくる" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="街づくり" label="街づくり" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>坂本彩</strong>
<p>2010年一橋大学経済学部卒業、三井不動産入社。商業施設本部に従事し、ららぽーとシリーズをはじめとする大型郊外型施設のリニューアルを営業・運営それぞれの立場から推進。2016年より日本橋街づくり推進部に所属し、日本橋エリアのエリアマネジメントの事業企画・運営推進に携わる。</p></aside></p>

<p>東京・日本橋に本社を構える日本最大の不動産会社、三井不動産株式会社。オフィスビルから商業施設、ホテル・リゾート、マンション等幅広い不動産開発事業を中心に、総合ディベロッパーとして街づくりの「企画・開発・営業・運営」を手掛けている。</p>

<p>少々お固めな大企業のイメージを持つ人も多いであろう同社で、三井グループのルーツ・本拠地である日本橋の街づくりを担当している坂本彩。彼女の名刺の肩書は「日本橋街づくり推進部 事業グループ 主事」。一体どんな仕事をしているかうかがうと、日本橋という街のサポーターであり、エリアマネージャーでもあった。イベントを開催したり、メディアを運営したりとその業務内容は多岐に渡るが、それらはすべて、歴史ある街がさらなるチャレンジのもと激動の時代をサバイブするために街の体力をつけることへと繋がっていた。</p>

<p>「日本橋を、大きなパワーを持つ小さな動きがたくさん生まれる街にしたい」と話す坂本に、その考えに至るまでの背景とディベロッパーとしての街づくりの新しいかたち、そしてそれらを通して描く未来について話を聞いた。</p>

<p><img src="/uploads/191212_BNL 0037.jpg"></p>

<h2>カタチのあるもの、意味のあるものが、仕事だ</h2>

<p><strong>――三井不動産に入社された理由は？</strong></p>

<p>大学は一橋大学の経済学部だったんですが、ラクロスに明け暮れる日々で、真面目に勉強した記憶がありません（笑）。そして「いざ就活！」となっても、何がしたいかが分からなかったんです。建築士である父の影響から「カタチのあるものが仕事」という概念だけはあったのですが、「ものづくりに携わりたい」という漠然した考えだけだと、業種も職種も多岐に渡り、選びきれない。なので、「何をするか」ではなく「どう働くか」という軸を重視することにしたんです。三井不動産には前向きに仕事に取り組んでいて、自分で新しいことを始めようという姿勢の社員が多く、風土に惹かれ入社を決めました。</p>

<p>入社後は商業施設営業部に配属となり、郊外型物件のテナント営業をしていました。関東・関西のららぽーとシリーズやラゾーナ川崎といった大型物件のリニューアルを担当しましたが、勉強不足なこともあり、「自分だからできる仕事」みたいなレベルにはなかなか到達ができなかった。最初の部署では自分自身に対してフラストレーションを感じていましたね。一方、営業部の後に配属になった商業施設の運営会社では、お客さまと近い場所で、様々なコミュニケーションが発生する仕事にとてもやりがいを感じていました。ルーティーンが少なく、日々様々な課題に対し解をつくっていく業務はとても楽しかったです。</p>

<p><strong>――どんなきっかけで日本橋の街づくりに関わるようになったんですか？</strong></p>

<p>入社六年目に日本橋街づくり推進部に異動辞令が出たのが、私が日本橋にどっぷり浸かるようになったきっかけです。その頃の日本橋は「COREDO室町」などの開発がどんどん進んでいるタイミングで、街のイメージも大きく変わりはじめている頃でした。「絶対忙しいんだろうなあ......」といやな予感がしましたね、正直（笑）。</p>

<p><figure>
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<figcaption>日本橋街づくり推進部への異動辞令に「いやな予感がした」とあっけらかんと話す坂本。インタビュー中も終始笑顔での受け答えが印象的だ。</figcaption></figure></p>

<p>案の定、社員二人でやっていた業務を一人で引き継ぐという、キャパオーバー確実の状態からスタートしました（笑）。日本橋のプロモーションとイベント関係、エリアマネジメント法人の運営・事業企画を担当することとなり、最初の一年は考える時間もなく、日々業務を回していくのに必死でした。</p>

<p>また、街の方たちとのリレーションづくりも最初は大変でした。私たちの部署は地元のみなさんとの関係をとても大切に考え、何をするにも地元の方々との連携を重視しながら進めます。なので、ひとつイベントをやるにしても、地元のみなさんの協力をもとに推進することが求められました。ですが、何も知らない若者がご依頼にうかがうわけですから、当初は厳しい反応をいただいたりもしまして......。でも、頻繁に顔を合わせて、一緒に汗をかいていくうちに、だんだんと認めてくださるようになってきて。イベント後に「坂本さん、街のためにありがとうね」みたいな言葉もいただくようになり、何かのプロジェクトを一緒に、チームとして進めることの大切さに気づきました。</p>

<p><strong>――坂本さんから見て、この数年の日本橋にはどんな動きがありますか？</strong></p>

<p>地元の中で、さまざまな個人や団体が主体となった動きがたくさん生まれています。例えば、人形町の酒屋さんが周辺の数店舗とはじめた「日本酒利き歩き」というイベントは、いまや100近い店舗が参加し、一日に8000人のお客さまが来るイベントにまで成長しています。我々デベロッパーによる街づくりはドラスティックに街を変えていく活動。街の機能を高め、来街者を増加させるパワーが確かにあります。けど、想いのつまった個の継続した動きこそが、街づくりにおいては大きな力になると感じています。地元の方たちの自発的な動きや、そうした動きを生み出す地元の「人」こそが、街をつくっているんですよね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/event_3.jpg">
<figcaption>地元のイベントやお祭りにも積極的に参加し、街の小さな動きへと目が向くようになっていく。</figcaption></figure></p>

<p>なので、我々デベロッパーも、集客性の高い企画を推進するだけではなく、小さい動きを増やしていくようなことにも投資を行うべきなのではと思うようになったんです。派手なイベントをして起爆剤的に機能させることも時に重要かもしれませんが、継続的に街がにぎわうには、街の内部に「人」の活力がみなぎっていることこそが必要だと思って。街の人と人が繋がる新しい場を生み出したり、街の人が新しくチャレンジしようと思える機会があること。そうしたきっかけづくりに、力を注ぎたいなと思いはじめたんです。</p>

<p>そんな想いを抱いていたときに、面白い出会いがありました。クリエイティブチームのバスキュールさんです。</p>

<p><strong>――バスキュール側からのアプローチだったそうですね。</strong></p>

<p>そうなんです！それまではいわゆるイベントの企画は、私たちがオリエンをして、代理店さんに提案いただく形が多かったんですね。けど、そのスタイルだと意思疎通がうまくいかなかったり、ともすれば受発注の関係での仕事になりがちでした。そんな課題を感じているなか、バスキュールさんは全くそんな感じではなくて（笑）。最初に朴さん（株式会社バスキュール 代表取締役／クリエイティブディレクター朴正義）にお会いしたときも、「僕はこれがやりたいので、三井さん一緒にやりませんか」というスタンスで企画を持ってきてくださったんです。最初のお打合せの際もめちゃめちゃ楽しそうにお話されていて、こちらも思わずわくわくしたのを憶えています（笑）。</p>

<p>朴さんたちとはその後、イルミネーションのイベントでご一緒したのですが、仲良くなって色々お話をしていくと「どうやらバスキュールには他にも色んな得意領域をもった方がいそうだぞ」と見えてきて。デジタルコンテンツのイメージが強い会社ですが、コミュニケーション設計をする人もいれば、ハード開発をする人もいるようだな、と。</p>

<p>当時私は、「街の情報発信強化」という課題に取り組んでいて。これまで運用されていたWebやSNSの基盤の課題を整理し直し、外部の方にご相談を差し上げているところでした。色々な方からアドバイスをいただきましたが、基本的には「メディアにのせるコンテンツをつくる」「そのコンテンツをのせるためのメディアを買う」というものがほとんどでした。「うーん、それでいいのかな。」ともやもやしていて......ふとバスキュールさんにもご相談してみたんです。</p>

<p>それを受けて、後に一緒にお仕事をすることになる佐々木さん（株式会社バスキュール コミュニケーションプランナー佐々木大輔）がこのお題を一緒に考えてくださることになり、それまでとは全く異なる考え方に触れることになりました。街の中にチャレンジを生み出し、街の内外の「人」を発信源に変えていく、そんな企画をしてくださったんです。それまでに感じていた私自身の街づくりへの考えにもとてもフィットして、「あ、これはとても良い議論をさせていただけそうだな」と心強く思ったことを覚えています。佐々木さんはコミュニケーションという観点から、活動に構造的な意味をつくることに本当に長けていらっしゃって、同僚じゃないかというくらい頼りにさせていただいています（笑）</p>

<h2>日本橋に新しいチャレンジを増やしていく</h2>

<p>日本橋はご存知のとおり老舗が多い街なんですけど、街の皆さんは「のれんは"守る"ものではない」っておっしゃるんですよ。色んなチャレンジと変化を続けてきたからこそ、老舗になっている。挑戦することが街のDNAに染み込んでいるんですよね。それがうまく可視化されていない、むしろ保守的なイメージが街についてしまっているのはもったいないね、と。そうした議論を重ねていく中で、「OPEN」「CHALLENGE」「COLLABORATION」というキーワードにたどり着きました。</p>

<p><img src="/uploads/20200227105515-dc886933dcd0a38c15cbbdb17958bd642e0a1ff2.jpg"></p>

<p>日本橋には少し保守的なイメージがあるかもしれませんが、実際街の方たちは、若い人にも入ってきてほしいと思っているし、新しい繋がりも持ちたいと思っている。そうした想いを表現していくために「OPEN」という言葉を掲げて、多くの方が参加できる「隙間づくり」を企画の中で意識するようにしました。また、「CHALLENGE」は、日本橋に根付く「挑戦を続けてこそ老舗」という考えそのものですね。「COLLABORATION」は、日本橋ならではの歴史や文化を尊重しながら、新しい要素とのコラボレーションで、これからの日本橋を発信していこうという考えです。</p>

<p>そして、これらをアクションとして体現しようとはじめたのが、若手クリエイターと街をつなぎ、日本橋の未来をつくる共創プロジェクト『nihonbashi β』と、新しいチャレンジやコラボレーションを伝える『Collaboration Magazine Bridgine （以下、Bridgine）』というメディアです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/82001466_597432537497649_3467786925849444352_o.jpg">
<figcaption>日本橋を舞台に生まれている、新しいチャレンジやコラボレーションを伝えるメディア『Collaboration Magazine Bridgine（ブリジン）』</br><a href="https://bridgine.com/">https://bridgine.com/</a></figcaption></figure></p>

<p>渋谷では、拠点を構える企業やクリエイターが自らイベントを企画して発信し、それが街の発信力にもつながっていますよね。それぞれが個性的な発信を行うことで、渋谷のカオスな発信力が増しているという側面もあると思います。一方、日本橋の街は発信が苦手なんです。自分で自分のことを話すのは「粋じゃない」みたいな考えもあって。けど、面白い活動をしている人はたくさんいるんですよね。なので、これをうまく可視化していくことで、少しずつ街の面白さが表出されるのではないかと思ったんです。そうした可視化機能として、Bridgineを立ち上げました。この記事コンテンツをもとに個々の発信を後押しできれば、小さな積み上げが大きな発信力に変わっていくんじゃないかと思っています。</p>

<p>一方、nihonbashi βでは、日本橋の街に「余白」をつくって、若手クリエイターが活躍できる機会づくりをおこなっています。彼らが参加しやすい公募のフォーマットを使ったり、企業とコラボレーションできる場所を用意したりしながら、様々な共創活動を生み出しています。そうすることによって日本橋の「OPENでありたい」というメッセージを表現できればと思っていますし、参加したクリエイターの方々が新たな発信源となってくださるのでは、という期待も持っています。また、若手のクリエイターの方々の参加により街に刺激や活気を生み出すことも目指しています。</p>

<p><strong>――今後、日本橋という街をどう盛上げていこうと考えていますか？</strong></p>

<p>街を継続的に支えてくためには、小さくても活動主体をたくさんつくっていくことが大事だと思っています。先日、nihonbashi βの開催したイベントをきっかけに、老舗の店舗さんから「街の店舗とのコラボレーションの商品をつくっていきたい」と相談を受けたんです。このご相談を受けて我々のリレーションのあるホテルにお繋ぎしたら、新しいスイーツをつくることになって。街全体からみたら小さい話かもしれませんが、街の中にこうした新しい繋がりをつくっていくことや、小さいアウトプットを積み重ねることが、十年後の街の体力を変えるんじゃないかと思っています。こうした活動がどんどん生まれる、そんなきっかけづくりに力を注いでいきたいと思っています。</p>

<h2>もっと属人的な仕事をしていきたい</h2>

<p><strong>――坂本さんが仕事の軸としていることはありますか？</strong></p>

<p>ひとつは「意味をつくる」ということです。自分の中でちゃんと仕事に「意味」を持たせて、納得した状態で動くこと。たとえ上から降ってきたような仕事であっても「こういう意味がつくれるんじゃないか？」と文脈を生み出すことができれば、プロジェクトが走リだしたりもするので、「意味をどう持たせるか」ということ、自分自身が納得して仕事に取り組むことは大切にしています。</p>

<p>もうひとつは人と現場レベルでしっかり向き合うこと。うちのように配属変更が多い会社の場合、継続性を考えると良くないのかもしれませんが......やっぱり、仕事は人なんですよね。属人性があってこそ仕事だなと。「個」で動く時代になってきている中で、自分の名前で仕事をするのは大事だと思ってるので、仕事の結果だけではない、その過程も大切にしたていきたいです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/191212_BNL 0048.jpg">
<figcaption>「個」で動く時代に、仕事にどう意味を持たせるか。坂本の仕事の軸であり問いだ。</figcaption></figure></p>

<p>色々なところで新しい知り合いができると「三井不動産と仕事している」という方より、「三井不動産の誰々と仕事している」とおっしゃる方が多いんです。個人の名前で関係性を築いている人が多いのは三井不動産の財産だなといつも思っています。ただ、私はそういう社員とは違って、もともと人見知りで......シンポジウムのパーティーとかでも本当は端っこでビールを飲んでたいんですよ。それでは良くないのもわかっているので、シャイを捨ててがんばらないと、といつも自分を奮い立たたせてます（笑）。</p>

<p><strong>――自分の仕事を通してつくっていきたい未来はありますか？</strong></p>

<p>まず、自分自身が先ほどいった「街の小さな活動主体」の側になりたいですね。三井不動産という会社の名前でやっていると、色んなルールを順守していることが大前提として大事なので、良くも悪くもできないこともでてきます。街づくりって、実はゲリラ的な小さな動きで成り立つ部分もあるので、三井不動産の名前を持たない方が動きやすいこともたくさんあるとは思っていて（笑）。そうした小さい動きをつくるということを、私個人としてやってみたいです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/191212_BNL 0146.jpg">
<figcaption>Bridgineを立ち上げて以来、「街づくり」とメディアの相性の良さを感じているという。「街の小さな活動主体」の側になるべく、もっと多様な関わりを増やしていける可能性を模索している。</figcaption></figure></p>

<p>また、もっともっと街の活動をオープンにしていきたいと思っています。これは日本橋に限らず。街って、みんなが関わるものですよね。だからいわゆる「街づくり」ももっと関わる人の業種や職種が多くていいはずだと思っています。街づくりをオープンなものにしていく時に、それこそメディアが機能する部分も多いと思うんです。街づくりのアーカイブやアイディアを蓄積するメディアを立ち上げて、街へのアクセスハブ的な役割をつくりだしたりとか、したいんですよね。小さい動きを生み出す仲間、社内外問わず募集中です！</p>
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    <title>「つくることができる環境そのものを、ゼロからつくる」武井克弘──連載：自分の仕事をつくる - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/02/katsuhiro-takei.html" />
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    <published>2020-02-28T08:10:00Z</published>
    <updated>2020-02-28T08:28:32Z</updated>

    <summary>「働き方」の多様化が進んだことによって、必ずしも仕事が効率化されたわけでない。むしろ求められる知識やスキルはより複雑化していった。本連載では、モデルケースのない時代に自らのキャリアを切り開く次代のリーダーに焦点を当て、「自分の仕事」をいかにしてつくるのか、そのリアルな声を集めていきたい。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="自分の仕事をつくる" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="エンターテインメント" label="エンターテインメント" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
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        <![CDATA[<p><aside><strong>武井克弘</strong>
<p>1984年7月9日生まれ。東京都出身。2009年、早稲田大学第一文学部卒業。同年、東宝株式会社入社。2013年より映像事業部映像企画室に所属。主な仕事に、『干物妹！うまるちゃ ん』（2015年放送）プロデューサー、『リトルウィッチアカデミア』（2017年放送） プロデューサー、『宝石の国』（2017年放送）プロデュース、『HELLO WORLD』（2019年公開） 企画・プロデュース、『BNA ビー・エヌ・エー』（2020年放送予定）企画などがある。</p></aside></p>

<p>「映画」「演劇」「不動産」を柱にエンタテインメントを提供している東宝株式会社（以下、東宝）。映画や演劇を企画製作し、映画館チェーンのTOHOシネマズや演劇劇場の帝国劇場などの劇場を有する「ワクワク」をつくる会社である。日本の映画業界を牽引してきた同社では、アニメ映画の配給も数多く手掛けてきたが、長い休止を挟んでアニメ製作そのものに本腰を入れたのは実は2012年の話。アニメレーベル「TOHO animation」にて、話題作を次々と手掛けている。</p>

<p>そんな東宝で、入社時からアニメをやりたいとアピールし続け、アニメプロデューサーとして頭角を表しているのが武井克弘だ。『新世紀エヴァンゲリオン』に衝撃を受け、サブカルチャーにどっぷり浸かって東宝に入社した武井はいま、アニメプロデューサーの仲間を増やし、さらにはアニメ業界の構造を変えていきたいと語る。</p>

<p>日本のお家芸ともいえるアニメは、その歴史が長いからこその変革のときを迎えている。新しい技術も取り入れながら、作品を世に出し続けることができる状況からつくっていく必要がある。作品を本当のゼロからつくるべく奮闘する、若きプロデューサーの仕事観を聞いた。</p>

<p><figure>
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<figcaption>取材場所となった東宝株式会社の会議室「ゴジラ」。TM &amp; ©︎ TOHO CO., LTD.  </figcaption></figure>  </p>

<h2>作品のゼロから生み出し、一生の責任を持つ</h2>

<p><strong>――プロデューサーという職業は業界によって意味や役割が異なるように思います。武井さんはプロデューサーとしてどのような仕事をされていますか。</strong></p>

<p>プロデューサーの仕事の第一歩は作品をつくることです。普通、作品づくりは監督の仕事だと思われるでしょう。確かに監督は制作作業のすべてを見ますが、プロデューサーにとっての作品づくりは監督より時系列的に前から始まっています。</p>

<p>もちろん監督が企画することもままありますが、原則的にはプロデューサーが企画を用意するもので、それを監督に提案する、つまりアイデアだけあって他には何もない場に監督を迎えるところからプロデューサーの仕事が始まります。企画を立ち上げ、ゼロからカタチにしていくのがプロデューサー。環境を整えて、作品をつくることができる状況そのものをつくるんです。環境とはすなわち、人とお金です。何を作るのにも必要なのは当然、人とお金ですから。</p>

<p>ただ、これは「制作プロデューサー」と呼ばれる人にも当てはまる仕事であって、実は僕のやっている仕事は同じ「せいさく」でも漢字が違う「製作プロデューサー」の方なんです。「制作プロデューサー」と比べると、より業務範囲が多岐にわたるタイプです。人とお金を集めて作品をつくる──ここまでは「制作プロデューサー」もやる仕事です、さらにその後お金を回収する──ここまでやるのが僕の仕事である「製作プロデューサー」です。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/191219_BNL 0104.jpg">
<figcaption>企画を立ち上げ、ゼロからつくるのがプロデューサー。そのためには「人集め、資金集め、作品づくり、資金回収」の業務を回すことが欠かせない。</figcaption></figure> </p>

<p>もう少し具体的に言うと、「人集め、資金集め、作品づくり、資金回収」。「人集め」は出演者のキャスティングや、監督や脚本家のスタッフィングです。「資金集め」は自分の所属する組織......僕の場合は東宝という会社の社内稟議を通し、製作委員会の一員として作品に出資してくださる企業パートナーを探すことです。当然ながら次の「作品づくり」が一番大事で、原作がある場合は出版社など版元に提案をして映像化権を獲得、原作がないオリジナルの場合はアイデアを練り、企画開発を進め、現場の仕事が滞りなく進んでいるか制作管理をし、最終的な完成品を納めるべきところに納めるまでがこれに当たります。</p>

<p>これもまた大事な仕事ですが、「資金回収」では、作品から生まれる各権利、例えば映画では興行以外にビデオグラム、テレビ番組への販売、VOD配信、グッズ商品化、時にはゲームや音楽展開など、収入に繋がるあらゆる権利を運用し、作品づくりに投じた資金を回収します。ライセンスは半永久的なものなので、作品の一生分の面倒を見ると言えるかもしれません。現場の責任者が制作プロデューサーだとしたら、製作プロデューサーはプロジェクト全体の責任者。より「売れる」を重視する立場とも言えます。でも作品づくりを続けていこうと思ったら、制作プロデューサーも売れるものを作らなければいけないのは同じですよね。なので、制作プロデューサーと製作プロデューサーが互いの立場を理解した上で職務を果たし、両輪として上手く回っていくことがアニメの成功に至る道だと思います。</p>

<h2>人生を変えた『新世紀エヴァンゲリオン』の衝撃</h2>

<p><strong>――そもそも、なぜプロデューサーという仕事に興味をもったんですか？</strong></p>

<p>僕は水泳とアニメ、それぞれに没頭する時期を波のように繰り返してきた人生なんですけど（笑）。幼いときは毎日泳いでいてテレビもろくに見ず、学校の友達の話題についてけない子どもでした。例えば僕が小学5年生だった1995年はアニメ『新世紀エヴァンゲリオン（以下、エヴァ）』がクラス中の話題でしたが、当時はみんなが何に騒いでいるのかよく分からず横目で見ていました。ただ、中学に上がった1997年ごろに水泳で挫折を覚え、一度泳ぐのを止めてしまうんです。そんなとき、ちょうど劇場版をきっかけに深夜に再放送していた『エヴァ』を見て、言葉にならないくらい衝撃を受けて！ ほぼ初めて見るテレビアニメが『エヴァ』だったんです。ショックの反動でそれ以降、中学時代はずっとアニメを見ていました。その頃って国内のアニメがすごく豊かな時代だったので、いい思い出です......。</p>

<p>1997年と言えば、同じ年に公開されたスタジオジブリ制作の『もののけ姫』は、日本の映画史上ですごく大事な作品です。洋画が強い時代が長かった中で、一気に邦画の流れができた。当時メディアでお見掛けすることも多かったので、初めて認識したプロデューサーとなると鈴木敏夫さんになるかもしれません。そこからスタッフを気にしながら作品を見るようになり、大好きな『エヴァ』や『機動戦艦ナデシコ』、僕の卒論テーマでもある『少女革命ウテナ』にクレジットされていた大月俊倫プロデューサーを知るようになって。でも、高校に入ってまた泳ぎ出したので、またしばらくアニメからは遠ざかるんですけど（笑）。</p>

<p>その後、早稲田大学第一文学部に入学したのですが、そこには様々なカルチャーのエキスパートみたいな連中が集まっていて。映画に詳しいやつ、アニメに詳しいやつ、ゲームに詳しいやつ、演劇に詳しいやつ......。色んなものを教えてくれる友人に恵まれたので、新たに映画にはまり、音楽の趣味も広がりました。</p>

<p><strong>――それでも、やっぱりアニメ業界を志したんですね。</strong></p>

<p>そうですね。やっぱり一番好きなのはアニメなのかなと。そこで2007年に、アニメーションスタジオ「GONZO」を有していたGDHという企業に、デジタルコンテンツ協会という一般財団法人のアテンドでひと夏の間インターンにいきました。座学が中心ではありましたが、実際に現場のハードさを目の当たりしつつも、ものづくりの最前線はやっぱり面白そうだ、スタジオっていいなとも思いました。けれど、そのインターン期間の終わりに「仕事を発注する側の人間になって業界の状況を変えてほしい」と、現場の制作プロデューサーに言われたんです。大きいフィールドと広い視野で業界全体を良くできる人間になってほしい、と。確かにそういう目線での就職もありえると思い、東宝と縁がつながり2009年に新卒で入社しました。</p>

<p><strong>――入社当初はどんなお仕事を？</strong></p>

<p>当時、東宝はアニメの企画製作はせず、基本的には配給会社やビデオメーカーとしての立場でアニメ製作に参加するスタンスでした。とはいえ映画は好きだったし、家族の影響でミュージカルは子供の頃から観ていたし、学生時代に小劇場にハマっていた時期もあったので、東宝ならどこでも好きなことできるかなとも思いました。実際配属されたのは、最初の2年間は演劇宣伝、その後の2年間は関西支社の映画宣伝の部署でした。そうこうしていたら僕が関西にいた2012年、本社の映像事業部にアニメ事業室という部署ができ、東宝がアニメの企画製作に本格的に乗り出すことになったんです。幸いにも声をかけてもらい、2013年に合流してからいまに至ります。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/191219_BNL 0063.jpg">
<figcaption>武井は自身が受けた影響をそのまま仕事の血肉としてきた。</figcaption></figure></p>

<p><strong>――「アニメをやりたい！」というアピールを社内でしていたんですか？</strong></p>

<p>まずは企画の仕事を覚えたい、ということでアニメに限らず企画書はずっとつくっていました。東宝には毎年、企画募集月間というものがあり、企画部門の部長がすべての企画に目を通して面談をしてくれるという、若手がチャレンジしやすいシステムがあるんです。その仕組みを利用するのはもちろん、募集時期じゃなくても企画書を送ってアピールはしていました。「武井はアニメをやりたいらしい」みたいな話が何となく広まりはじめ、関西宣伝の時も『おおかみこどもの雨と雪』、『青の祓魔師─劇場版─』などアニメ作品を担当させてもらうことが多かったんです。そこでがむしゃらに頑張っていたら、スタジオ地図の齋藤優一郎さんやMBSの丸山博雄さんなど、アニメ業界で活躍するプロデューサーの方々と知り合い、色々話がうまく回っていきました。</p>

<h2>その判断は、業界全体にいい影響を与えるか？</h2>

<p><strong>――武井さんがプロデューサーとして目指したい理想の姿は？</strong></p>

<p>僕が2013年にいまの部署に来た時に、周りの先輩プロデューサーを見渡すと、みんなそれぞれに得意技というか、スタイルがあったんです。実写映画でのノウハウを活かして有名クリエイターと意外な原作で企画開発する先輩、『週刊少年ジャンプ』連載作品に代表される人気原作をメインでやる先輩、小さいバジェットながら丁寧なプロデュースで的確にスマッシュヒットを狙う先輩......。そんな中で自分の武器を考えたときに、駆け出しの半人前であることを逆手にとって、ただのアニメファンに過ぎないという「アマチュアリズム」みたいなものが強みになるんじゃないかと。この気持ちでぶつかっていって、もし現場の皆さんに「自分たち側の人間」として認めてもらえたら、一緒に熱い作品づくりができるんじゃないかと。現場に寄り添って二人三脚でものづくりができるような、現場主義の製作プロデューサーになりたいなと思ったんです。そういう、自己プロデュースじゃないですが、着任して早々に自分のスタイルを見定められたのは良かったと思います。</p>

<p><strong>――ご自身が手がけた作品で、印象深いものはなんですか？</strong></p>

<p>一番印象深いのは......2017年に放送したテレビアニメ『<a href="http://land-of-the-lustrous.com/">宝石の国</a>』ですね。自分のスタイルが出た企画だったのかなとは思います。</p>

<p>思い返すと、当時から「武井はこの企画が勝負だね」と先輩プロデューサーから言われることが多かったです。確かに難易度の高い作品で、原作はすごく素敵なんですけど、アニメになった時にどうなるかは正直なところ未知数でもあって、映像なりのアイデアが必要だと感じていました。そもそもCG表現を選ぶのもチャレンジングだったし、そのCGを元請け（製作会社からの発注により、実制作全般を請け負うこと）が初めてという制作会社・オレンジにお願いしたのもある種の賭けだったと思います。ただオレンジさんは力のあるスタジオだと知っていましたし、代表の井野元英二さんがいずれ元請けをやりたいとおっしゃっていたことも頭の片隅にずっとあって。それこそ現場に賭けるプロデュースになったのかなと。</p>

<p><strong>――『宝石の国』で得た経験は自身の考え方になにか影響を与えましたか？</strong></p>

<p>企画デビュー作である『干物妹！うまるちゃん』でもある程度手応えを感じていましたが、事業全体の青写真をイメージした上で制作をコントロールするようになりました。『宝石の国』の場合、原作は漫画なのでモノクロですが、アニメになったら当然色も声もつくので、キャラクターの個性がより立つことが予想できました。キャラ人気が増せばグッズによる収入も見込めるかもしれないということで、監督はキャラクターの魅力をうまく見せられる人にお願いしたいと思っていました。結果、当時『ラブライブ！』でキャラクターを上手に描き、作品を大ヒットさせていた京極尚彦さんに監督をお願いできたのですが、これは製作プロデューサーの目線で作品の出口から逆算したからこそのスタッフィングだと思います。</p>

<p>それから、作品単体の成功だけでなく業界全体にとっても良くなるような判断、というものを意識し、実践するようになっていったと思います。『宝石の国』で3DCGを採用したのも、宝石の表現としてCGが向いていたのはもちろんながら、ロストテクノロジー化していく手描きアニメとは別の表現を探りたかったという狙いもあります。アニメーターの高齢化が進み、なかなか技術継承がうまくいかないという業界全体の悩みがあり、例えば四足の動物の動きを描けるアニメーターは業界でも数人しかいないと言われています。</p>

<p>波の表現なんかもそうです。特に映画専門のアニメーターに顕著ですが、現状のアニメ業界は限られたパイの奪い合いにしかなっていないんです。もちろん僕も手描きアニメに感動してきた人間ですから、きちんと社内で2Dのアニメーターを育てようとしている心意気のあるスタジオさんとは積極的にお付き合いしようとしています。ただ業界全体のことを考えれば、わざわざレッドオーシャンに飛び込んで場をかき乱すよりは、3DCGという別の可能性を探ること──より正確に言えば日本におけるユニークな2Dアニメの表現史を3DCGアニメへと橋渡しすることが、アニメの未来に繋がるんじゃないかと思ったんです。そういう狙いや仕掛けを、製作プロデューサーとしてのひとつひとつの作業に意識的に込めることができたと思います。</p>

<p><strong>――では、『宝石の国』を経て、直近の『HELLO WORLD』に込めた狙いがあれば教えて下さい。</strong></p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=shoWFRnNoWw
<figcaption>映画『HELLO WORLD（ハロー・ワールド）』予告</figcaption></figure></p>

<p>引き続き3DCGの表現方法を探るとともに、僕が言うのもおこがましいですが、日本におけるCGアニメの地位を向上させられればと思いました。もともと東宝の配給してきたCGアニメ作品は、『friends もののけ島のナキ』や『STAND BY ME ドラえもん』など、ファミリーやお子さんを意識したトゥーン調の作品がメインでした。そこへ、東宝映像事業部の配給するアニメ版の『GODZILLA』や『亜人』といったハイエンドな劇場アニメシリーズが出てきたのが2015～2017年ごろです。『HELLO WORLD』は、表現的にハイエンドでありながらもターゲットは広げたいという意味で、その間を狙う作品にしたいと思っていました。日本では、どこまでいってもCGってなかなかメインストリームではない扱いの中で、この作品を東宝というメジャー配給会社のラインナップに乗せられたのは意義深いのかなと思います。</p>

<p>東宝はTOHOシネマズという映画館チェーンを持っていることもあり、作品によってターゲットの違いは多少あれど、どんな層にも安心して観てもらえるというラインナップの強みは間違いなくあります。だからと言って似たような作品ばかり作っていては表現の幅が広がらないですし、お客さんに飽きられてしまうのではないかと思います。入社試験のときから一貫して行っているのが「現状はマイナーかもしれないけれどメジャーに化ける可能性のある、そういった分野に明るい武井」という自己アピールです。会社所属のプロデューサである以上、会社の得意なところと、自分の得意なところの関係性は常に意識しています。</p>

<p><strong>――『HELLO WORLD』は音楽の面でも面白い取り組みをされていますよね。</strong></p>

<p>「今もっともおもしろいアーティストたちによって、新しい映画音楽のかたちを創造する」というコンセプトで、映画『HELLO WORLD』のためだけに「2027Sound」という音楽ユニットを立ち上げました。3曲の主題歌は、OKAMOTO'S、Official髭男dism、Nulbarichが担当し、その他にも個性豊かなアーティストに43曲の劇伴を制作してもらいました。自分は東宝というメジャーな配給会社にいるからこそ、お客さんにきちんと良いものを届けるという義務があると思っています。DJが曲を紹介するみたいに、僕自身も紹介者の立場でありたいんです。原作のある作品をやるときも、「この原作をもっと世の中に知ってほしい！」というのが最初にして最大の動機です。フックアップっていうと偉そうですけど、東宝の作品をいつも見てくださっているお客さんがまだ知らないような表現者たちと、なるべくたくさんご一緒したいと思っています。東宝というステップを利用してもらいたい。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=l2ikvoCP7mE
<figcaption>映画「HELLO WORLD」/2027Soundトレーラー</figcaption></figure></p>

<p>僕が一番好きな音楽ジャンルはヒップポップで、反抗の音楽という精神性にすごく影響を受けています。Notorious B.I.G.にとってのJunior M.A.F.I.A.みたいな、ヒップホップの、オーバーグラウンドにいったアーティストがアンダーグラウンドな才能を紹介する流れ、めちゃくちゃいいですよね。僕の趣味嗜好って必ずしもメジャー志向ではないと思うんですけど、それを東宝というメジャーな会社でやるのも、そういった精神の表れかなという気もしています。そして時代の流れなのか「どうやらそれが求められてないわけでもなさそうだ」という肌感もあります。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/191219_BNL 0163.jpg">
<figcaption>PCに貼られた「HELLO WORLD」のステッカーから本作への矜持と愛情が感じられる。</figcaption></figure></p>

<h2>プロの看板下げたNo.1ファンでありたい</h2>

<p><strong>――プロデューサーとして、仕事の軸としていることはありますか？</strong></p>

<p>何だろう......心がけているのは「とにかく考え続ける」ことでしょうか。僕の仕事って、突き詰めれば「考える」ことだと思うんです。絵も描けなければ原画を集めることもできない、やれることと言えば考えることくらいしかない。だからこそ、そこだけはサボらないで、とにかく考え抜く。企画はもちろん、宣伝のやり方、販促のやり方、ビデオのつくり、あらゆる部分にこだわる。そういう熱量って、お客さんにも伝わると思うんです。若輩ゆえの幻想かもしれないけど、お金や時間は有限で、アイデアや思考は無限、と信じています。あと、一言で言えばお客さん目線ってことですが、いちファンだった頃の自分の目線が常にあります。昔の自分もそうですが、大学時代に一緒にアニメを観ていた仲間にダサいって思われたくないんですよね（笑）。それが軸と言えば軸かもしれません。</p>

<p><strong>――最後に、自分の仕事を通してつくっていきたい未来をお聞かせください。</strong></p>

<p>単純に、僕自身がおもしろいアニメを見続けたい。僕が享受してきたような幸福なアニメ体験が、未来にもあってほしい。そのために、おもしろいアニメがつくられる状況を守っていかなきゃいけない、と思います。僕、最近まで社内のアニメプロデューサーの中で末っ子だったんですが、この1、2年で急に後輩が増えたんです。後進を育てると言うほど偉くないんですが、僕が叶えたいアニメの未来にはいろんな人の協力が必要なので、仲間づくりをしていきたい。社内外問わず、年齢の垣根を超えてどんどん交流していきたいですね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/191219_BNL 0034.jpg">
<figcaption>ビジネス側のプロデューサーが全然足りていない状況をまず変えていきたい。そのためにはプロデュサーの仕事の醍醐味を伝えるのも自分の役割。</figcaption></figure></p>

<p>これだけ世の中にアニメ作品が溢れているにもかかわらず、僕みたいなトータルの製作業務をこなすプロデューサーの数は全然足りていないと思っています。このインタビューもそうですが、志を同じくした人にもっと出てきてもらう活動は惜しみたくありません。企画の一番大きい枠組みをつくる、状況自体から変えられるプロデューサーという仕事の醍醐味についてもっと知ってもらいたい。黒幕として何かを仕組む「裏方の美学」みたいなものってあると思うし、僕自身がファン丸出しなのもありますが、最前列で作品の全部が見られるって単純にいいじゃないですか（笑）。そこに立ち会えるのは、いちアニメファンとしてはこれ以上ない喜びですよね。RHYMESTERのMummy-Dが、『ザ・グレート・アマチュアリズム』という曲で、「プロの看板下げたNo.1ファン」と言っているんです。僕はそれを目指しています。</p>

<p><figure><figcaption>HELLO WORLD 4 月 8 日 Blu-ray&amp;DVD 発売　</br>©2019「HELLO WORLD」製作委員会</figcaption></figure></p>
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    <title>「What?」「Pardon?」で本当に良いの？話を聞き返すときのフレーズ - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-02-28T08:00:00Z</published>
    <updated>2020-03-30T06:16:21Z</updated>

    <summary>相手の言ったことを聞き返したいときは、どんなフレーズを使うと良いだろう。よく見かけるシーンを取り上げる。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="ひとこと英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="英会話" label="英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>こんにちは、ルーク・タニクリフです。
日本人の方には、相手の言ったことが聞き取れなかったり、内容を理解できなかったりすると、恥ずかしいと感じる人もいるかもしれません。</p>

<p>しかし「よく聞き取れない」ということは、英語圏の人同士の会話でもよくあることです。そんな時、どんなフレーズを使うのでしょうか。</p>

<p>まず、「もう一度言ってください」という意味をそのまま英語で伝えたいときは、One more time.  や More slowly.と表現できますが、この聞き方は命令系なので、相手に失礼な印象を与えてしまいます。Could youなど質問形の英語を使って丁寧な聞き方をしましょう。</p>

<p><img src="/uploads/11_text_08.png"></p>

<p>repeatは、相手が言ったことをもう一度聞きたいときに「繰り返す」という意味で使います。このフレーズにpleaseを付けるとより丁寧な聞き方となります。</p>

<p>相手にもっとゆっくりと話をしてもらいたい場合は、more slowly「もっとゆっくり」というフレーズが役に立ちます。More slowly.やMore slowly please.などのフレーズを使う日本人が多いですが、以下の英語を使うとより丁寧な印象を与えます。よくthat を忘れる方がいるので気をつけてください。</p>

<p><img src="/uploads/11_text_09.png"></p>

<p><img src="/uploads/11_text_10.png"></p>

<p>もう一度言ってもらうよりも、書いてもらうほうが理解しやすくスムーズにコミュニケーションが取れるときは下記のフレーズを使ってみましょう。</p>

<p><img src="/uploads/11_text_11.png"></p>

<h2>Excuse me や Pardonを使った丁寧なフレーズ</h2>

<p>英語で会話の内容を聞き返すとき、使う言葉次第では失礼な印象を与えてしまいかねないので、気をつける必要があります。例えばWhat？ は丁寧な英語ではないので、ビジネスシーンでは使わない方が良いでしょう。聞き返すときは、Pardon?  や Excuse me? を使った方が丁寧な印象を与えます。</p>

<p><img src="/uploads/11_text_01re.png"></p>

<p>また、ネイティブはExcuse me? や Pardon? の後に、以下のフレーズをよく付けます。</p>

<p><img src="/uploads/11_text_02.png"></p>

<p>より丁寧な印象を与えるにはquiteを入れると良いでしょう。</p>

<p><img src="/uploads/11_text_03.png"></p>

<p>What did you say? を使うネイティブもよくいますが、口調によっては相手に伝えたいニュアンスが異なってしまうため、気をつけて使った方が良いです。優しい口調で言うと「なんと言いましたか」というニュアンスになりますが、少し激しい口調で言うと「いったい何を言ってるの？ 」と、怒っているように受け取られるかもしれません。</p>

<p><img src="/uploads/11_text_04.png"></p>

<h2>相手の声が聞こえなかったとき</h2>

<p>英語を呟くように話すネイティブの人もいます。この場合は英語の言葉の意味がわからないというより、相手の声が聞こえなくて聞き返しているので、以下のフレーズを使いましょう。</p>

<p><img src="/uploads/11_text_05.png"></p>

<p><img src="/uploads/11_text_12re.png"></p>

<p>また、周りの声や物音が騒がしい部屋で会話をするときも、相手の声を聞き取れないことがありますよね。そのような場合は以下のフレーズが良いでしょう。</p>

<p><img src="/uploads/11_text_07.png"></p>

<p>いかがでしたか？　様々なシーンに合わせて使えるフレーズはたくさんあります。聞き返すことができれば会話が続きやすくなるので、ぜひ使ってみてください。</p>
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    <title>人は習慣なしでは生きられない━━極地建築家・村上祐資が「火星」で見つけた、暮らしに本当に必要なもの - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-02-25T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-05-13T13:04:16Z</updated>

    <summary>効率的に働き、自由に生きることができる世界は本当に幸せか。極地建築家・村上祐資が極限の暮らしに見た、生きるうえで「本当に大切なもの」は、効率性や自由を追求する現代社会では真っ先に不要とされる、意外なものだった。
</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/yusukemurakami">村上祐資</a></strong><small>極地建築家　特定非営利活動法人フィールドアシスタント 代表</small>
<p>1978年生まれ。南極やヒマラヤなど様々な極地の生活を踏査。2008年、第50次日本南極地域観測隊に越冬隊員として参加し、昭和基地に15ヶ月間滞在。The Mars Societyが計画を発表した長期の模擬火星実験「Mars160」では副隊長に選ばれ、2017年、模擬火星環境、米ユタ州ウェイネ砂漠のMDRS基地および北極圏デヴォン島のFMARS基地で、計160日間の実験生活を完遂。2018年「MDRS Crew191 TEAM ASIA」で隊長を務める。2019年には退役した元南極観測船を活用し、日本で初めての閉鎖居住実験「SHIRASE EXP.」を実施。</p></aside></p>

<p>極地建築家・村上祐資は「暮らすとはどういうことか？」という問いを解きたい人である。南極観測隊やエベレスト登山隊、あるいは模擬火星生活実験の国際プロジェクトなどに参加し、いわゆる極地と呼ばれる環境で暮らしてみることを通じて、ぼくらの暮らしに「本当に必要なもの」を探し続けている。</p>

<p>村上の極地生活が始まったのは2008年。第50次日本南極地域観測隊に帯同し、約15カ月にわたってミッションスペシャリストとして地球物理観測に従事した。</p>

<p>極地の暮らしは、あらゆる無駄が削ぎ落とされた極限の暮らしだ。村上は当初、そうした環境に身を投じれば、自分の探す「本当に必要なもの」は案外簡単に見つかるだろうと考えていた。玉ねぎの皮を一枚一枚剥くように不要なものを捨てていけば、最後に残る"芯"がそれにあたるはずだ、と。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC3665_edit.jpg">
<figcaption>村上が第50次日本南極地域観測隊に帯同した際に使用したブーツとヘルメット。ブーツの底の厚さから、極地で屋外を歩くことがいかに大変かがわかる。</figcaption></figure></p>

<p>「けれども、これは大きな思い違いでした。実際にそうやって一枚一枚皮を剥いていったら、最後に残るはずの"芯"まで剥けてしまった。あとにはなにも残らなかったんです」</p>

<p>そうして村上は今日に至る長い旅路を続けることになるのだが、極地生活がのべ1000日を超えたいま、おぼろげながらわかったことがあるという。</p>

<p>「ぼくらの暮らしに本当に必要なもの、それは玉ねぎの"芯"ではなく"表面"にあったということです。誰もがいらないと思って最初に捨てる、あの"茶色い薄皮"こそがもっとも大切だったんですよ」</p>

<h2>極限の生活で、容易に失われる心身のバランス</h2>

<p>村上の言う「茶色い薄皮」とはなにか。その答えを明らかにする前に、村上が身を投じる極地生活とはどのようなものなのか、簡単に説明しておきたい。</p>

<p>村上は2016、17年に北極と米ユタ州の砂漠で実施された火星生活実験「The Mars 160 Mission」に副隊長として参加している。外界から遮断された荒野を火星に見立て、実際に火星に暮らすことになった際に想定される環境の中で160日間生活するというもの。そうした生活が人間の心理や行動にどのような影響をもたらすのかを見るのが実験の主目的だ。</p>

<p>火星着陸船をイメージした実験施設は直径8メートルほどの筒状の2階建て。プライベートスペースは人ひとりが横になって寝られるほどの広さしかない。水は使用制限があり、シャワーを浴びられるのは週に1回。新鮮な食材はほぼ存在しない。施設を離れるには必ず宇宙服を着なければならず、外部との通信には厳しいデータ容量の制限がある。</p>

<p>「こう聞くと過酷なものをイメージするかもしれませんが、実際は全然過酷じゃないんです。課されたミッションさえこなせていれば、あとはなんでもない日常が続く。でも、この『なんでもない日常』というのが曲者で。そうした環境に身を置くと心と体がバラバラになって、人は3カ月もたないんです」</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=ZiGTtz8L7b8
<figcaption>「The Mars 160 Mission - A Close-Up Look at Simulated Living on Mars - video」 By The Mars Society</figcaption></figure></p>

<p>村上はこうした生活を実際に経験し、またほかのクルーの様子をつぶさに観察することを通じて、ぼくらが取るに足らないものだと思っているものの中に、実は暮らしに「本当に必要なもの」が含まれていたことに気がついたのだという。村上の言う「玉ねぎの茶色い薄皮」、それは「習慣」だ。</p>

<p>「ぼくらの生活に当たり前に存在する習慣が極地にはまだありません。たとえば、出勤を含むあらゆる移動（の必要）がないし、月曜から金曜まで働き、土日に休み、また月曜から働き出すという1週間のサイクルもない。また、クルーはそれぞれ一人棟梁のようなものだから、誰かのペースに合わせる必要もありません」</p>

<p>縛られる生活に嫌気がさしている人からすれば、すごく自由で理想的な働き方として映るかもしれない。だが、完全なる自由には大きな代償がある。そうした一切の習慣のない中で生活をしていると、リズムが取れなくなり、心も身体もバラバラになってしまう。これが、村上が極地で見た現実だった。</p>

<h2>ぼくらは「本当に必要なもの」に気づけない</h2>

<p>具体例を示そう。「Mars160」のクルーにはロシア人とインド人の女性がいた。前者はいまどきのブロンドのショートヘアーで、ボディトレーニングにも熱心、「男と同等に扱ってもらって構わない」と言わんばかりのタイプ。一方の後者は古風な長い黒髪で、極地生活に入ってからも自慢の髪をとかすのが日課、つまりは習慣だった。</p>

<p>普通に考えれば、極地生活にふさわしいのは前者だと思える。ロングヘアーなどいかにも極地で仕事をするのに向いていなさそうだ。</p>

<p>「でも実際には、生活を始めてしばらくするとロシア人女性の様子がおかしくなった。周りからなにを言われたわけでもないのに自分の髪の毛を気にし出して、『髪がベタベタでごめんね』とぼくらに毎日謝るようになったんです」</p>

<p>一方のインド人女性はシャワーの排水溝に髪がつまろうがお構いなし。自慢の髪をとかし続け、まったく動じることなく極地生活を続けた。「古臭いし、一見すると極地には似つかわしくない習慣が、人の平静を保つのに機能している可能性がある」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC3565-Edit.jpg">
<figcaption>習慣が一切ない世界での生活を続けていると、心と体がバラバラになってしまう。例えば満員電車に毎日乗るなど、普段「嫌だ」と思っている習慣でさえ、私たちの生活にとってなにかしらの意味を成しているのかもしれない、と村上は言う。</figcaption></figure></p>

<p>多くの人は「欲しいもの」や「足りないもの」にばかり意識がいってしまって、「本当に必要なもの」に気づけない。そこに落とし穴があると村上は言う。「古いしきたりや習慣はその典型。ぼくらの生活の中に当たり前にありすぎて、その価値に気づくことができない。だから、効率性とか合理性を追求する過程で容易に捨てられてしまう」</p>

<p>だが、効率性や合理性に照らせばいらないものにしか思えない「玉ねぎの茶色い薄皮」が、実は重要な役割を果たしている可能性がある。どんなに難しくてもそこに目を向ける努力をしなくては、ぼくらは知らず知らずのうちに、自分たち自身の暮らしを苦しいものにしてしまうことになる。</p>

<p>「習慣とは、人間と環境の境目、人間と人間の境目に形成される皮膚のようなもの。合わないものを捨てるのはいいんです。でも、それが果たしていた役割をいまに合う形で埋め合わせないと大変なことが起こる。たとえばいま鬱になる人が増えていて、社会問題にまでなっている。これも、一見すると無駄に思える古い慣習を捨て、行き過ぎた自由を追求したことが一因かもしれません」</p>

<p>最近では「ルーティンワークはAIやロボットに任せて、人は人にしかできない創造的な仕事に専念しよう」とも言われるが、そうやって人から「習慣」としての仕事を奪うことが、人間の精神を崩壊させることだってあり得ると村上は危惧する。</p>

<h2>火星生活実験が失敗続きのワケ</h2>

<p>村上が「習慣」を「本当に必要なもの」だと考える理由は一つではない。個人の心身のリズムを保つこととは別に、「習慣には、チームを一つにまとめ上げるものとしての側面もある」と言う。</p>

<p>「たとえば南極観測隊にはその昔、アッパカマシと呼ばれる習慣がありました。いわゆる排泄物をかき混ぜる嫌な仕事ですが、この重労働を共にするとクルーは不思議と仲良くなるんです。大変だし、誰もやりたがらない仕事なので、いまではこの習慣もなくなってしまいましたが」</p>

<p>村上が参加した「Mars160」のほかにも、同様の火星生活実験は多く実施されてきた。ところが、その多くは"失敗"に終わっているのだという。村上によれば、その原因は人間関係。最悪のケースでは、チームが崩壊して、設定された期間を全うできず、解散に至ることもあった。</p>

<p>こうした閉鎖空間実験のメンバーは厳しい選考をくぐり抜けた優秀な人間ばかりのはず。にもかかわらずチームがうまくいかないのはなぜなのか。「優秀な人間ばかり『なのに』ではなく、優秀な人間ばかり『だから』失敗するのではないか」と村上は言う。</p>

<p>「極地には習慣がない。でも、ないのであればその環境下における新たな習慣を作ればいいだけのことです。ところが、選び抜かれたスーパーマン揃いの閉鎖実験環境では新しい習慣が生まれにくい。なぜなら彼らは本質的に、同じことを繰り返すことをよしとしない人たちだから。高い問題解決能力ゆえに、個人間の小さな諍いもすぐにみんなの問題として議論の俎上に載せたがる。問題を処理して、問題でなくしようとするんです。そうして『次』へ行こうとする」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC3632_edit.jpg">
<figcaption>同じことを繰り返すことで均衡が保たれている環境において、必要以上の問題解決は、時に人間関係の崩壊につながることもある。</figcaption></figure></p>

<p>同じ人たちが同じ環境で顔を突き合わせ続けるのが閉鎖空間の暮らしだ。ということは本来、問題の根本解決はあり得ない。問題は常にそこにあるものとしてうまく付き合っていく必要がある。「人間関係とは本来そういうものであり、むしろ問題がちゃんと起こるようになっていないと、そのことが忘れられてしまう。ちゃんと因果応報になっている必要があるんです」</p>

<p>議論をして問題を処理することは、人間関係崩壊のトリガーになっている可能性さえある。議論を経ると、新たな規律ができる。閉鎖空間で一つの規律ができると、そこに従えない人は排除されることになる。そこから暮らしはどんどんと苦しいものになり、人間関係は崩壊していく。</p>

<p>「人間が2人以上いれば問題は常に起こるもの。それを解決するというのではなく、問題はそのままに、でもなんとなくうまくやるということも時には必要ではないでしょうか。日本人のはっきりと意見を言わないとか、その中で空気を読むとかいった特徴はネガティブに言われがちですが、その意味ではあながち悪いことばかりではないかもしれません」</p>

<h2>優れた個人を集めれば集団としてうまくいく、とは限らない</h2>

<p>宇宙へ行く人をどう決めるかは現状、「個人」を選抜する発想で行われている。そうすると必然的に、「Mars160」のような"スーパーマン"ばかりのチームが出来上がる。ここまで見てきたように、それではうまくはいかないというのが村上の主張だ。「個人」を選抜する発想をやめ、「最初から集団としてうまくいくことを考えたほうがいいのではないか」と村上は言う。</p>

<p>村上は「Mars160」後の2017年に、同じユタ州の砂漠で再び火星生活実験を行っている。「CREW191」と名付けられたこのプロジェクトが「Mars160」と違うのは、参加メンバーを村上自身が選考していることだ。</p>

<p>この時に村上が選んだのは「Mars160」とは対照的な「普通の7人」。その中には火星生活を行うには明らかに能力の足りない19歳の少年も含まれていた。そんな19歳をあえてメンバーに選んだのには「個人としての能力は低くても、彼がいることで問題は常にそこにあるものとしてみんなの意識に上り続けるはず」という意図があった。その分、自分のほかにも南極観測隊の経験者を入れるなどして「集団としてうまくいく」ことを念頭に置いたチーム編成を行った。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/s_DP3Q1119.jpg">
<figcaption>「CREW191」と名付けられたこのプロジェクトも、「Mars160」と同様にユタ州の砂漠で行われた。</figcaption></figure>
<figure>
<img src="/uploads/s_DP1Q1443.jpg">
<figcaption>屋外に出るときに着る宇宙服は、一人で着るのが難しく、必ずメンバー同士で手伝い合う。</figcaption></figure>
<figure>
<img src="/uploads/s_DP0Q9760.jpg">
<figcaption>「CREW191」の実験施設の中で、各々の作業をするメンバーたち。</figcaption></figure></p>

<p>来たる宇宙時代に向けてこうした考え方に再現性を持たせるため、村上は「宇宙時代の三つの職業」を提案する。優れた個人を選抜する代わりに、役割の異なる三つの職業をバランスよく選ぶことで、集団としてうまくいくことを目指す発想。三つの職業は登山になぞらえて、それぞれスペースエクスプローラー、スペースポーター、スペースシェルパと名付けている。</p>

<p>スペースエクスプローラーとは特殊能力を持ったスペシャリストで、なおかつ自分の名前（目的）を持って宇宙へ行く人のこと。たとえば論文を書きたい科学者や名を上げたいタレント、自分の作品を作りたいアーティストなども含まれる。</p>

<p>スペースポーターも同じくスペシャリストだが、エクスプローラーと違って自分の目的を持っていない。地上の職能を使うことでエクスプローラーが目的を果たすのを助ける。同じジャーナリストでも自分の名前で本を書く作家タイプはエクスプローラー。逆にエンドロールくらいにしか署名が載らないドキュメンタリータイプはポーターに分類される。</p>

<p>エクスプローラーとポーターがスペシャリストであるのに対して、最後のシェルパはジェネラリストとして「エクスプローラーとポーターの間をつなぎ、チームがうまくいくよう采配する」役目を担う。とにかくいろいろなことに目が向いていて、必要に応じてあらゆる道具をただただ使いこなしていく。客を楽しませもするし、一方で危機の予兆を感じたら鬼と変わる。そのため、山岳ガイドさながら宇宙の面白さと怖さの両方を知り尽くしている必要があるという。</p>

<p>「Mars160然り、現状はエクスプローラーだけ、あるいはエクスプローラーとごく少数のポーターだけで宇宙へ行こうという話がほとんどです。2、3日行くくらいならそれでもなんとかなるかもしれませんが、長期になるとそうはいかない。必ずコンフリクトが起こります。シェルパの重要性を世の中に伝え、職業として確立することが急務であると考えています」</p>

<p>さて、村上が極地生活を通じて導き出した二つのポイント「人間は習慣なしでは生きられない」「優れた個人の集まりが集団としてベストとは限らない」は、宇宙時代を待たずとも、ぼくら一般のビジネスパーソンにとってとても大切なことであるように思える。</p>

<p>副業解禁などで会社や職業の枠があいまいになり、フレックス、リモートワーク、フリーランスと働き方はどんどん自由な方向に進んでいる。会社の看板や肩書きではなく、個人の名前で生きていけることを良しとする風潮も強い。実際、BNLでもそうしたメッセージを発信してきた。</p>

<p>だが、そのあまりの自由さが個人の精神を蝕んでいる可能性はあるし、そうやって優れた個人を集めてチームを作ったところで、集団としてうまくいくかは別の問題の可能性もある。村上が極地という最前線の暮らしに見た現実は「一方ではそうしたことにも目を向けたほうがいいのではないか」とぼくらに強く訴えかけている。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC3636_edit.jpg">
<figcaption>取材は村上から指定された「冒険研究所」で行った。オフィスには普段目にしないアイテムがたくさんおいてあったが、村上が極地で見た現実は、私たちの普段の生活やビジネスにも通じるものがあるように思えた。</figcaption></figure></p>
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    </content>
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    <title>音楽を聴くことで集中力は上がるのか？ 「無意識」をハックする脳神経科学者・藤井直敬の企て - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-02-19T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-04-17T06:33:42Z</updated>

    <summary>2019年12月、デジタルハリウッド大学駿河台キャンパスで開催された公開実験イベント「音で脳に働きかけるBrain Music」に潜り込んだ。音楽を聴くだけで集中力は上がるのか。脳神経科学者 藤井直敬が関心を寄せる「無意識への働きかけ」から、まだ見ぬ人間の可能性を探る。
</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/"></a>藤井直敬</strong><small>一般社団法人 XRコンソーシアム代表理事　デジタルハリウッド大学大学院 教授</small>
<p>東北大学医学部卒業。同大大学院にて博士号取得。1998年よりマサチューセッツ工科大学（MIT） McGovern Institute 研究員。2004年より理化学研究所脳科学総合研究センター所属。2014年 株式会社ハコスコ設立。適応知性および社会的脳機能解明を主要研究テーマとする。主な著書に「つながる脳」（毎日出版文化賞 自然科学部門 受賞）、「ソーシャルブレインズ入門」「拡張する脳」など。</p></aside></p>

<p>突然だが、読者の方々は普段どんな時に音楽を聴いているだろうか。</p>

<p>朝、満員電車に揺られながら？ 仕事に集中すべく外界の音を遮断する時？ あるいは心地よい眠りにつくための"入眠剤"として？ 目的やシチュエーションはさまざまでも、あらためて振り返ってみると、音楽を聴くためだけに時間をとるケースは実はあまりないことに気づく。多くの場合、ぼくらは「●●しながら」「●● × 音楽」という形で音楽を視聴している。</p>

<p>では、そうやって聴いている音楽は「●●」のパフォーマンスとどのような関係があるのか。特定の音楽を聴いたら気分が上がるとか、逆に落ち着くといったことが感覚的にはあるように、もしかしたら音楽には音楽性とは別に、脳になんらかの影響を与える機能性が備わっているのかもしれない。</p>

<p>脳神経科学者・藤井直敬が代表を務めるVRベンチャー「ハコスコ」が、Spotify ・JINS ・楽天ピープル&amp;カルチャー研究所とのコラボレーションで実施している実証実験プロジェクト「音で脳に働きかけるBrain Music」は、まさにこうした仮説を検証するためのものである。その<a href="https://brainmusic.peatix.com/" target="_blank" rel="nofollow">公開実験イベント</a>が2019年12月19日、デジタルハリウッド大学駿河台キャンパスにて行われた。</p>

<p><img src="/uploads/brainmusic0115@2x.jpg"></p>

<h2>「ゾーン」に入るための音楽</h2>

<p>今回の実験は、音楽をトリガーにして、脳の状態とタスクパフォーマンスを意図的に変容できるかの検証を目的に実施された。平たく言うなら、検証したいのは「音楽を聴くことでゾーンに入れるか」。実験の概要は以下の通りだ。</p>

<hr />

<p><strong>・一般公募で集まった80人が被験者として参加</strong>
<br>
<br>
<strong>・10分間の簡単な計算課題を2回行う。1回目はそのまま、2回目は実験用に用意された音楽を5分間聴いた上で計算を行い、計算量と正答率にどのような変化があるかを見る</strong>
<br>
<br>
<strong>・一部の被験者は脳血流量計測装置「NIRS」で脳波を計測。別の一部の被験者は「JINS MEME」で目の動きのトラッキングを行い、集中度を計測する</strong></p>

<hr />

<p>Spotifyはユーザー一人ひとりに最適化された音楽体験を提供するため、配信5000万曲すべての特徴をキー、ポピュラリティ、テンポ、アコースティックネス、ダンサビリティなど、14個のパラメーターで分析している。今回はこのパラメーターをもとに「集中力を高める＝ゾーンに入りやすい曲」を導き出し、実験に用いた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC2758.jpg">
<figcaption>実験に用いた曲も含めた<a href="https://goodbrain.jp/brainmusic/" target="_blank" rel="nofollow">「ZONE」「BOOST」「CALM」</a>の三つのプレイリスト、および視聴履歴に基づいて自分好みのプレイリストが作れるジェネレーター機能はSpotify上で公開されており、誰でも利用することができる。
</figcaption></figure>
<figure>
<img src="/uploads/_DSC2762.jpg">
<figcaption>計算課題は、音楽を聴く前と聴いた後の2回行った。隣合う数字を足し、合計数の一の位だけを書き込む単純な計算だ。</figcaption></figure></p>

<p>公開実験の結果は記事執筆時点でまだ出ていないが、先駆けて行われた予備実験では一定の傾向が出たという。まず、安静時を比較すると、実験用音楽を聴いている時のほうが、聴いていない時と比べて脳活動の量を示す値が低かった。また、その後計算を始めるとどちらの場合も数値は上がるが、音楽を聴いた上で計算を始めた場合のほうが、聴かなかった場合と比べて上がり幅が小さかった。</p>

<p>藤井はその意味するところを次のように説明する。</p>

<p>「ゾーンと呼ばれる超集中状態では、頭の中が非常にクリアに感じられることが知られています。我々の意識は普段はさまざまなことに拡散していますが、ゾーンに入るとそうした無駄が減る。だから、脳の活動量は減るのに、パフォーマンスが保たれるのだと考えられます」</p>

<p>脳活動を計測した研究はさまざまあるが、音楽とパフォーマンスの関係性を調べた研究は、これまであまりなかった。「ただ音楽を聴いただけで脳活動をコントロールし、パフォーマンスを上げられるのだとしたら、相当実用的だし、おもしろいのではないか」と藤井は言う。</p>

<p>公開実験はプロジェクトのキックオフを兼ねて行われたデモンストレーション的なものだったが、2020年1月から3月にかけて実施される本実験は、楽天でウェルビーイングの研究・実装を行う楽天ピープル&amp;カルチャー研究所の協力のもとで行われ、結果次第では論文として発表する予定だという。うまくいけば数年後には、オフィスでは音楽を聴きながら仕事をするのが当たり前になっているかもしれない。</p>

<h2>死の谷に架かった「ダンボール製の橋」</h2>

<p>そもそもなぜこんな実験をやっているのか。その説明の仕方は大きく二つある。</p>

<p>藤井はもともと理研やMITで研究をしていた脳神経科学者。理研にいたころに実験ツールとしてSR（代替現実）技術を開発したことがきっかけで、いわゆるXRの世界に足を踏み入れることになった。そこからダンボール製VRなどを扱う会社・<a href="https://hacosco.com/" target="_blank" rel="nofollow">ハコスコ</a>を立ち上げ、現在は研究者でありながら会社経営も行っている。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=zratzFg89QE
<figcaption>藤井がかつて開発したSRシステムの事例動画。（2013年）</figcaption></figure></p>

<p>「なぜこんな実験をやっているのか」という問いに対しては、一つには、藤井の経営者としての顔に注目した説明ができるだろう。</p>

<p>「Brain Music実験プロジェクト」はハコスコが新たに立ち上げた、ブレインマネージメントソリューションを提供するブレインテック事業「<a href="http://goodbrain.jp/" target="_blank" rel="nofollow">GoodBrain</a>」の一環と位置付けられている。</p>

<p>「GoodBrain」のタグラインは「脳と生きる」。藤井が「GoodBrain」でやろうとしているのは、培ってきた脳科学の知見をサービスに落としこみ、ぼくら一般人の生活に活かすことだという。</p>

<p>「脳神経科学の研究と一般人の生活とにはこれまで大きな隔たりがありました。あまりにも大きな隔たりがあるため、科学者たちには研究成果をビジネスにつなげようという発想はあまりなかった。研究業績にならないからです。一方でビジネスサイドにはアカデミズムに近づこうとする強者も中にはいたのですが、そのほとんどが"谷"へと落ち、スタートアップの死屍累々が積み上がっていました」</p>

<p>このような状況が長く続いてきたが、ハコスコを創業してからの5年で、ブレインテックのビジネス活用に光が差し始めた感覚があるという。これまで観光・福祉・教育・不動産など300社以上で使われてきたハコスコVRプラットフォームが、死の谷を渡るための文字通り「ダンボール製の橋」になりつつある。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/GoodBrain_1.jpg">
<figcaption>崖の上がアカデミズム、坂の下がビジネスサイドを示す。ビジネスサイドはアカデミズムに近づこうと坂を登るが、もう少しのところで谷に落ちてしまう。谷底に落ちたスタートアップは屍と化すと藤井は言う。その谷に橋をかけようとしているがハコスコだ。画像提供：ハコスコ
</figcaption></figure></p>

<p>「GoodBrain」は具体的には「アプリ」「実験」「商品開発」の三つのサービスを提供する。実験サービスでは、NIRSやEEGを使った脳活動やホルモン量の計測による、脳機能をベースとしたさまざまなサービスの効果検証を企業に代わって行う。Spotify・JINS・楽天ピープル&amp;カルチャー研究所とのコラボレーションによる「Brain Music実験プロジェクト」はその最初の事例というわけだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC2801.jpg">
<figcaption>今回の実験では、集中時間をデータする「JINS MEME」も使用された。</figcaption></figure></p>

<p>「脳活動の計測は、これまでは非常に大掛かりな装置や環境を必要としたため、簡単には実施できませんでした。その昔、ぼくが光トポグラフィーの技術を日立から買った時の値段は1億円ですよ。それがいまでは1チャンネル2万円で使えるようになっています」</p>

<h2>五感を通して「無意識」に働きかける</h2>

<p>だが、藤井は経営者である以上にやはり最先端を行く科学者だ。科学者としての藤井を突き動かすのは「おもしろい」とか「狂っている」とか「まだ誰も考えていない」といったキーワード。こちらに注目すると、「脳科学と一般人の生活に橋をかける」というのとはまた違った説明の仕方ができる。</p>

<p>「GoodBrain」でやりたいと考えているのは「五感を通じて脳にいろいろな情報を与え、これまで知らなかった脳のいろいろな機能を引き出す」ことだという。その中で、聴覚を刺激するのが今回の「Brain Music」。今年8月に売り出した「脳に働きかける体験型食品・エナジーバーグ」は味覚を刺激する仕掛けと位置付けられる。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/PR_main_visual.png">
<figcaption>脳に働きかけるというエナジーバーグは、熟成肉で人気の「格之進」とのコラボ商品だ。</figcaption></figure></p>

<p>「五感を通じて脳に情報を......」と言った際に、藤井がターゲットにしているのは「人間の意識」ではなく「無意識」だ。例えば「エナジーバーグ」はハンバーグの中に玉露パウダーが入っていて、食べると高濃度のカフェインが知らず知らずのうちに脳に直接届き、「食べた30分後も眠くならない」「その後も空腹を感じない」という体験を提供する。</p>

<p>本人がそうした効果を知っていようといまいと関係がない。食べるだけで知らないうちに脳が操作されてしまう。まさに「無意識」に働きかけている。「Brain Music実験プロジェクト」の「音楽を聴いただけでパフォーマンスが上がる」体験も同様だ。藤井はこの「無意識に働きかける」ところに科学者として最大の関心を寄せている。</p>

<p>なぜ「無意識」なのか。「多くの人は自分が見ている世界（つまりは意識世界）がすべてだと思っているかもしれないが、実は違う」と藤井は言う。</p>

<p>「脳は意識が処理している情報の何倍もの情報を処理しており、そのうちのごく一部が『美味しい』とか『この音楽が好き』といった形で意識にのぼっているに過ぎません。その背後にははるかに巨大な無意識の情報処理があります。我々はこの無意識のレイヤーにあるものを理解できるのでしょうか？ 大変興味深い問いですが、現時点でその答えはわかりません。なぜなら、これまでの人間の取り組みのほとんどが意識のレイヤーをターゲットにしたものだったから。エンタメもそう。ビジネスツールもそうです」</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=YJg02ivYzSs
<figcaption>ARやVRが進んだ世界を表す動画。このような世界も、意識に対するアプローチだと藤井は言う。</figcaption></figure></p>

<p>「ARやVRが進んだ先の未来は？と言うと、多くの人は上の動画のような煩雑な世界をイメージする。でも、ぼくはこういう世界はまったくおもしろいと思わない。なぜなら、ここでも狙っているのは意識に対するアプローチだけだからです。意識が処理できる情報量は限られている。もしも人類をもっと進化させ、より豊かな世界を作り出したいと思うなら、無意識にこそ働きかけないとダメだろうと思うのです」</p>

<h2>「主観」に閉じ込められた人間を解放せよ</h2>

<p>藤井は1年半前にデジタルハリウッド大学大学院の専任教授に就任。「現実科学ラボ」なるものを開講した。「現実科学」とは文字通り「現実」を「科学する」こと。だが、どこまでが現実でどこからが非現実なのか、人間には判別できない時代がすでに来ていると藤井は言う。</p>

<p>例えば下の犬の写真。偽物の犬が一匹混ざっているのだが、どれだかわかるだろうか。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/small_dog_pixel.jpg">
<figcaption>この中にいる偽物の犬はどれか。</figcaption></figure></p>

<p>答えは、左上の1枚。「GAN」という人工知能が自動生成したものだという。人工知能には見分けられても、どれが本物でどれが偽物か、見分けられる人間はおそらくいない。それどころか、そもそも偽物が紛れていると疑うことすら普通はしない。</p>

<p>これは単に「作り物が本物そっくりに見える」という話ではない。ぼくらが当たり前に「そこに存在する」と思っているものだって、本当にそこに存在するかは、実は定かではない、と藤井は続ける。</p>

<p>「例えばスカイツリーの先端部分は間違いなく存在するものだとぼくらは思っているけれど、触って確かめたわけでもないのにどうしてそう言えるのか。存在とは、そこにあるものとぼくらが信じているに過ぎない。信じている人にとっては存在するし、信じていない人にとっては存在しないんです。疑い始めたら一歩も動けなくなるので、とりあえずあるものとして信じているだけで」</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/13633803993_65853517ac_o.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/darakero/13633803993/">"スカイツリー"</a> by DaraKero_F(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>そんな"頼りない"世の中にも確かなものがあるとすれば、それはなにか。このことを突き詰めて考え抜いたのがデカルトだ。有名な「我思うゆえに我あり」の言葉の通り、デカルトはすべてを疑っている自分の存在そのものは唯一確かだろうと考え、それを公理として世界を再構築しようとした。</p>

<p>だが、デカルトの言うように主観的な自分を起点に世界を理解しようとすれば、すべてが主観にならざるを得ない。「つまり、ぼくらは自分自身の主観という膜に包まれてこの世の中に存在している」</p>

<p>主観とはなにか。それを考え抜いたのが現象学の祖と言われるフッサールだ。フッサールは「この世界はすべて主観的な意識体験に過ぎない」と言ったとされる。ポイントは「無意識」ではなく「意識」体験というところ。なぜなら、ぼくらを主観という膜の内側に閉じ込めているのが「意識」の仕業であるのなら、テクノロジーが「無意識」に作用することができれば、その外側に行ける可能性が出てくる。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A1205.jpg">
<figcaption>人間の脳はそのほとんどが無意識の領域だという。もしもその無意識に作用することができれば、予想もしなかったイノベーションだって期待できるかもしれない。</figcaption></figure></p>

<p>これこそが「GoodBrain」というプロジェクトに込められた、科学者・藤井の企てだ。人類がこれまで閉じ込められてきた狭い世界から飛び出せる可能性がある━━。それが人に残された最後の希望ではないか、と藤井は言う。</p>

<p>「テクノロジーを持たない野生の身のままだったら、人間は1000年以上前にやっていたのと同じように、主観的な世界に閉じこもったまま殺しあったり愛し合ったりするだけだったでしょう。でも、いまのぼくらには人の能力を拡張するテクノロジーがある。それがすなわち、脳へのアプローチです。こういう話をすると『怖い』と言う人もいるけれど、そのためのテクノロジーがすでにあるんだからしょうがない。使わないのは損だ、とぼくは思う」</p>

<p><small><strong>「Brain Music 実験プロジェクト」実験協力企業</strong><br>
 スポティファイジャパン株式会社（Spotify）<br>
株式会社ジンズ（JINS）<br>
楽天ピープル&amp;カルチャー研究所</small></p>
]]>
        
    </content>
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    <title>仕事ができない人は辞めてもらうべきか、否か──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.18 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-02-17T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-02-18T04:33:01Z</updated>

    <summary>優秀な人だけを集めた組織が成長するとは限らない。「仕事ができない人」にも大切な役割があるのだから。羽渕彰博の連載、第十八回。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ととのう職場、自然体のキャリア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h2>様々な要因で人は仕事ができなくなる</h2>

<p>仕事ができない人は辞めてもらうべきか、否か。この問いは、それぞれの会社が持つ価値観で分かれるのかもしれません。私も組織づくりのお手伝いをさせていただく中で、この問いに向き合うことがよくあります。</p>

<p>「仕事ができない」にはいろいろなパターンがあり、要因もさまざまです。例えば、もともとの能力が原因で仕事ができないタイプ。得意な部分と不得意な部分が極端に分かれるので、不得意な部分で何度もミスをしてしまい、信頼関係を失いがちです。かくいう僕がそのタイプ。極端に事務作業が苦手なので、パートナーに委託することで成り立っています。（パートナーに感謝！）</p>

<p>子育てなど家庭の事情で、働きたいけど時間が足りなくて、仕事ができなくなってしまうタイプも当てはまります。女性で優秀な方が多いので、仕事を頼まれやすいのですが、仕事に時間を割けない状態にフラストレーションを感じてしまう傾向にあります。</p>

<p>自分がそうだという人もいれば、誰かを思い浮かべる人もいるかもしれません。それでは改めて問いますが、仕事ができない人は辞めてもらうべきでしょうか。</p>

<h2>組織づくりの観点から見ると、立派な仕事をしているのではないか</h2>

<p>仕事ができない人が辞めて優秀な社員だけで成果を追求すれば、利益が上がり、人件費は減ります。これは一見、良い結果のように見えますが、本当にそれで良いのでしょうか。組織づくりの観点から見ると、仕事ができない人の中には、組織づくりには欠かせない立派な仕事をしている人がいます。</p>

<p>例えば「組織内に心理的安全性をつくる」という仕事。社員の中には、常に成果を出さなければならないというプレッシャーと闘っている方もいらっしゃいます。責任感が強い方ほど、「仕事ができない人だ」と思われることに恐怖を感じる傾向があります。</p>

<p>もし仕事ができない人が辞めさせられる組織であれば、プレッシャーや責任感はより強くなるでしょう。責任感が強いことは大切ですが、強すぎると部下に厳しくあたったり、新しいことに挑戦することができなくなったりします。体調も崩しくやすくなる。体調を崩した途端に、自分が何よりも恐れていた「仕事ができない人」になってしまうので、自尊心までも失ってしまう可能性もあります。</p>

<p>そんなときにどうでしょう。隣で考えられないようなポンコツをしでかしているのに、テヘペロってしている同僚がいたら。腹が立つこともあると思いますが、ポンコツぶりがおもしろくて、組織の空気がゆるくなる瞬間があります。</p>

<p>また環境が原因で「仕事ができない」状態の人には、働きやすいポジションを確保すれば良い。安心して働くことさえできれば、本来の実力が発揮され、より一層の成果につながるはずです。</p>

<p>もちろん仕事ができない人ばかりが集まってしまうと会社は傾きますが、組織づくりの観点から見ると、その存在にも大きな価値があるのです。</p>

<p>仕事ができない人は辞めてもらうべきか、否か。あなたの職場はいかがでしょうか。</p>

<p><br></p>

<div class="profile-box"><a class="open">執筆者・羽渕彰博のプロフィール</a>
<div class="hint">
<div class="profile">
<div style="background-image: url('/uploads/fixed_habuchi-profile.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>羽渕彰博</strong>
<p>株式会社オムスビ代表取締役CEO</p>
<p>1986年大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事しつつ、アイデアを短時間で具現化する「アイデアソン・ハッカソン」のファシリテーターとしても活躍。2016年4月に独立し、リレーションシップデザインを軸とする株式会社オムスビを設立し、組織変革したい企業様向けの組織コンサルティングサービス「reborn」を提供している。</p><a href="https://8card.net/p/39752398032">Eightプロフィールはこちら</a></div></div></div></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="2030001113721"></div>
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    </content>
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    <title>退職することは「逃げ」なのか──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.17 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/01/habuchi-vol17.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9361</id>

    <published>2020-01-27T06:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-28T09:19:02Z</updated>

    <summary>退職することは「逃げ」なのか、それともいまの会社から動かないことが「逃げ」なのか。その答えに迷ったら「自分の気持ちから逃げないこと」を意識してみよう。羽渕彰博の連載、第十七回。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ととのう職場、自然体のキャリア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>年が明けてから、電車の中で転職サービスの広告をよく目にするようになった。読者の方の中にも、新しいキャリアを考えている方はいるのだろうか。</p>

<p>頭の奥底にしまっていてあまり取り出したくないのだけれど、この機会だからひとつ考えてみたい問いがある。</p>

<h2>退職することは、「逃げ」なのだろうか</h2>

<p>正直に告白すると、僕は前職の会社を退職するときに、その判断が「逃げ」なのではないかという後ろめたい気持ちがあった。新規事業の立ち上げなど未分不相応のポジションで活動させてもらっていたから、中途半端なまま辞めるのは無責任ではないか、恩を返しきってから去るべきではないかという考えが、頭の中でグルグルしていた。</p>

<p>退職後は新しい仕事に忙殺され、「逃げ」について考えることはなくなった。しかしPCの中で放置されている未完成のドキュメントのように、頭の片隅には存在していた。</p>

<p>いま僕は、企業の組織づくりに携わる中で、様々な視点から「退職」を経験している。僕自身も組織の代表として、ある意味メンバーから「逃げ」られる側にいる。まさかここで僕の「逃げ」ドキュメントを晒すことになるとはお恥ずかしい限りだが、この場を借りてそのドキュメントと決着をつけたい。</p>

<h2>「事実」と「解釈」を切り分けて考えてみる</h2>

<p>まずは「事実」と「解釈」を切り分けるべきだとは思う。人が退職するというのは紛れもない「事実」である。しかしそれが「逃げ」かどうかは「解釈」次第で変わる。例えば応援してくれる人なら「退職」は「挑戦」と考えるかもしれない。ちなみに当時、私の妻は「不安」と解釈していたと思う。</p>

<p>では「退職」を「逃げ」と解釈するのはどういう場合があるか。例えば会社の居心地が良過ぎて仕方がないという人が「退職」を「逃げ」と解釈するだろうか。きっと「逃げ」というよりも「理解不能」だろう。</p>

<p>では、会社にいることが嫌で我慢している人が、同じ悩みを抱えている同僚に先に退職されたらどうか。この場合は「逃げた」と解釈したくなるかもしれない。</p>

<p>僕自身は、メンバーが退職するとき、決して「逃げ」とは解釈しない。むしろ、活躍できる環境を用意できなかったことを申し訳ないと思うし、他に活躍できる環境があるのであれば、そこで挑戦した方が社会にとってもいいと思う。自分のエゴで変に引き留めてしまう方が、お互いにとってよくないのではないかと考えている。</p>

<p>つまり「退職」は、見る人の視点によって「挑戦」にも「逃げ」にもなり得る。それでは改めて、僕の「退職」はどうだったのか。</p>

<h2>自分の正直な気持ちからは「逃げ」られない</h2>

<p>結局、僕が退職を決めたのは「このまま前職に残ることも『逃げ』ではないか」と思ったからだった。組織にいながらでも自由に活動させていただいたが、組織という枠を外したときに自分がいかほどまでできるかを試したかった。（結果、いかほどでもなかったんだけど、それはさておき。）でも一方で自信もなかった。だから悶々としていた。</p>

<p>さらに、プライベートでは第一子がまもなく産まれるタイミングだった。子どもを育てるという責任が増える中、「子どもを育てないといけないから、我慢して会社に残っている」という言い訳だけはしたくないとも思っていた。</p>

<p>「無責任に辞めるのは逃げではないか」と悩む一方で「このまま前職に残ることこそ逃げではないか」と、もうひとりの自分が問いかけてくる。まるでコーナーに追い詰められるボクシング選手みたいだった。あのとき、もし「退職」せずにいたら、未だに悶々と格闘していたと思う。</p>

<p>退職すれば、誰かは「逃げ」と言うかもしれない。しかし前職の会社に残っても自分自身が「逃げ」と言ってくる。退職したら、その誰かは物理的に縁遠くなるけど、自分からは逃げられない。だったら、自分の正直な気持ちから「逃げ」なければいいのではないか。</p>

<div class="profile-box"><a class="open">執筆者・羽渕彰博のプロフィール</a>
<div class="hint">
<div class="profile">
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<div class="info"><strong>羽渕彰博</strong>
<p>株式会社オムスビ代表取締役CEO</p>
<p>1986年大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事しつつ、アイデアを短時間で具現化する「アイデアソン・ハッカソン」のファシリテーターとしても活躍。2016年4月に独立し、リレーションシップデザインを軸とする株式会社オムスビを設立し、組織変革したい企業様向けの組織コンサルティングサービス「reborn」を提供している。</p><a href="https://8card.net/p/39752398032">Eightプロフィールはこちら</a></div></div></div></div>

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    <title>仕事の状況を英語で確認するフレーズ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/01/English-VOL10.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9359</id>

    <published>2020-01-24T05:37:30Z</published>
    <updated>2020-01-28T05:22:25Z</updated>

    <summary>仕事の進捗状況を把握することはビジネス上で欠かせないことの一つだ。相手に配慮しながら仕事の状況を確認したいとき、どんなフレーズを使うとよいのだろうか。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ひとこと英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="英会話" label="英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>こんにちは、ルーク・タニクリフです。今回は、仕事の状況を確認するときに役立つフレーズを紹介します。</p>

<p>日本では、一緒に仕事をしている人に進捗状況を聞くとき「状況はいかがでしょうか？」などと質問をすることがよくありますよね。このように、相手に配慮しながら丁寧な言葉で状況を確認したいとき、英語ではどんなフレーズを使うとよいでしょうか。様々なフレーズがあるので見ていきましょう！</p>

<h2>同僚に仕事の状況を聞くとき</h2>

<p>仲の良い同僚に対して仕事の進捗状況を聞くときには、How is everything? とHow are things? をよく使います。</p>

<p><img src="/uploads/10text01.png"></p>

<p>アメリカでは、greatは一般的に使われていますが、イギリスではgreatを使うと少しスラングのような印象を与えます。</p>

<p><img src="/uploads/10text02.png"></p>

<p>everythingは単数で、thingsは複数形ですが、意味に変わりはありません。この質問に答えるときは、主語にeverythingやthingsを使います。</p>

<p>これらのフレーズはインフォーマルな表現なので、基本的に、社外の人や目上の人に対しては使いません。</p>

<h2>仕事について具体的に聞きたいとき</h2>

<p>プロジェクトの進捗状況やプレゼン内容の確認など、仕事について具体的に聞きたいことがあるときは、How is  the work? や How is the project? を使います。これらのフレーズの最後にgoing やcoming alongをつけて、フレンドリーな聞き方をしているケースもよく見かけます。</p>

<p><img src="/uploads/10text03.png"></p>

<p>この質問に答えるときに通常goingやcomingも使います。</p>

<p><img src="/uploads/10text04.png"></p>

<p><img src="/uploads/10text05.png"></p>

<p>「計画通り」を意味するgoing to planというフレーズも会話のなかでよく耳にします。</p>

<p><img src="/uploads/10text06.png"></p>

<p>仕事の状況についてより丁寧に質問をしたい場合、may I askというフレーズを先に入れます。</p>

<p><img src="/uploads/10text07.png"></p>

<p>すでに終わった仕事の話をする場合、How is の代わりにHow wasを、How is ...going? の代わりにHow did ...go? を使います。</p>

<p><img src="/uploads/10text08.png"></p>

<p>答えるときは、goの過去形のwentを使います。</p>

<p><img src="/uploads/10text09.png"></p>

<p>より丁寧に答えたい場合は、答えの最後にthank youをつけます。</p>

<p><img src="/uploads/10text10.png"></p>

<p>このthank youは、「聞いてくれてありがとう」という意味合いで使うとよいでしょう。</p>

<h2>仕事の進捗に問題はないか聞きたいとき</h2>

<p>進めている仕事に問題がないか聞きたい場合は、any problemsやanything wrong? というフレーズを使います。</p>

<p><img src="/uploads/10text11.png"></p>

<p>より丁寧な言い方をしたい場合、Isにanything wrong? や Have there been に any problems? を付けます。</p>

<p><img src="/uploads/10text12.png"></p>

<p><img src="/uploads/10text13_1.png"></p>

<h2>社外の取引先などに仕事の状況を聞きたいとき</h2>

<p>社外の取引先などに対してプロジェクの進捗状況を聞くときは、フォーマルなフレーズを使うとよいでしょう。</p>

<p><img src="/uploads/10text14.png"></p>

<p><img src="/uploads/10text15.png"></p>

<p>この場合、個人からではなく会社としての立場からなので、give meではなくgive usを使うとよいでしょう。</p>

<p>いかがでしたか？ 嫌な印象を与えずに仕事の進捗状況を聞くためには、丁寧にかつ相手を思いやるフレーズを使うと良いのではないでしょうか。今回紹介をしたフレーズを使いこなして、仕事を円滑に進めていきましょう！</p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>キャバクラ嬢のデジタルトランスフォーメーションから、大切なことを学んだ━━横石崇の「自己紹介2.1」Vol.2 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/01/yokoishi-Vol2.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9360</id>

    <published>2020-01-22T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-03-06T06:36:05Z</updated>

    <summary>デジタルトランスフォーメーションが実現すれば、コミュニケーションの形も当然変わる。しかし忘れてはいけないのは、時代が変わろうとも、生身のやり取りで信頼関係を築くことが大切である、ということだ。横石崇の連載、第二回。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="横石崇の「自己紹介2.1」" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>昨年末の話だ。連れられて六本木にある高級キャバクラに行ってきた。小心者の僕は相変わらずどうやって愉しめばいいのかわからないので、隣の嬢を横目に空間観察をしていると、女の子たちが名刺を配っていないことに気がついた。以前までは名刺を配るのがお馴染みの光景だったはずだ。家族がいる手前、こういった場で名刺をもらってもどうしたものかと困っていたので有り難い。</p>

<p>そして、その名刺代わりになっていたのがインスタだ。自分のスマホでインスタ画面を見せながら話題を振り撒き、フォローをせがめば紳士たちがおいそれとフォローする。</p>

<p><strong>嬢</strong>  こないだ地元にできたケーキ屋さんなんです。スーン、スーン（スクロール音）。</p>

<p><strong>隣の紳士</strong> 　へー！これ、どこにあるの。美味しそうだね。</p>

<p><strong>嬢</strong> 　六本木にも美味しいケーキ屋さんあるんですよ。ほら。スーン、スーン（スクロール音）。</p>

<p><strong>隣の紳士</strong> 　いこう、いこう♡　ポチ（フォロー音）。</p>

<p><strong>嬢</strong> 　スーン、スーン（スクロール音）。</p>

<p>だいたいこんな感じで二人の時間は流れていく。私が何者で、何が好きなのか（欲しいのか）は、もはや名刺ではなく、インスタを見てくれというわけだ。実に現代的で、効率もよく誠実な自己紹介かもしれない。</p>

<p>もはや夜の社交場であっても、デジタルトランスフォーメーション（DX）の大きな波に飲み込まれていく。しかし、DXが進んだとしても、彼女たちとやりとりをするのはハードルが高い。特に最初の挨拶なんかは、嬢に対して「お世話になります」では重々しいし、「こんにちは」というのものなんだかこそばゆい。かといって「おいっーーす！」「やっほー！」っていうノリも年甲斐がない。そんなことにモヤモヤしていたとき、ハッとさせられる話を聞いた。</p>

<p>日本マイクロソフトが社内コミュニケーションにまつわる調査をした結果、社内チャットでも、文頭に「お疲れさまです」をつける若手社員が多くいることがわかったらしい。</p>

<p>ここでは生産性や創造性の向上を目指す中で、形骸化された儀式的コミュニケーションの是非を問うているわけだが、そもそもなぜ社員たちは「お疲れさまです」という常套句をつけてしまうのか。</p>

<p>その理由は、普段のオフラインにおいて、しっかりとした人間関係や信頼関係が築けていないからではないかという指摘だった。なるほど。雑談であれ何であれ、普段の何気ないコミュニケーションが土台にあれば、儀式的作法は不用だ。そう、オフラインのコミュニケーションなくして、真のDXは望んではいけないのだ。</p>

<p>いろいろ回りくどかったが、何が言いたかったのかというと、世界中でDXが進めば、これまでの自己紹介や名刺交換などのコミュニケーション作法もあまり必要とされなくなるのかもしれない。しかし忘れてはいけないのは、結局のところ、信頼関係が築けるような生身のやり取りが大切であるということだ。それをおざなりにすると、会社の仲間でもキャバクラ嬢でも、コミュニケーションなんて上手くいくわけがないという話である。</p>

<p>更に言えば、このコラム自体は生身のキャバクラ嬢とステキな信頼関係を築けなかった僕の言い訳でもある。さぁ、六本木の美味しいケーキ屋さんを探すとしよう。</p>

<p>今日もあなたの自己紹介にトキメキがありますように。
ヴィヴィデヴァヴィディヴゥ！</p>

<hr />

<p><aside><strong>著書について</strong><small><strong><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4046043083/">『自己紹介2.0』（横石崇／KADOKAWA）</a></strong></small><p>自己紹介をアップデートせよ。「共創」や「越境力」が問われる時代。ひとつの会社や組織でしばられず、様々な分野の人々とつながり、新しい価値を生み出すことが求められています。では、どうやって「つながり」をつくっていけばよいのでしょうか。答えは、コミュニケーションの第一歩である「自己紹介」にあります。かつての「肩書き」「会社名」を武器に自分を見せる時代はもう終わりました。これからは「未来」「役割」を語れる人こそ、本物の「信頼」を勝ち取ることができるのです。いますぐ自己紹介をアップデートして、自分の仕事と人生を切り拓いていきましょう。<br>
<br>
本書は、3万人を熱狂させた働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」を主宰する著者が編み出した、新しい「自己紹介」のメソッドを紹介。誰でも簡単に自己紹介をアップデートできる「最強の型」を伝授します。</p></p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/11/BNLBooks-VOL23.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/bnl-books-visual_v2%203.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>要約：肩書きに頼るのはもうやめよう。相手の心を掴むのは、過去ではなく未来から語る『自己紹介2.0』</strong></div></a></div>

<div class="profile-box"><a class="open">執筆者・横石　崇のプロフィール</a>
<div class="hint">
<div class="profile">
<div style="background-image: url('/uploads/yokoishi_profile.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>横石　崇</strong>
<p>＆Co.代表取締役／「Tokyo Work Design Week」発起人・オーガナイザー</p>
<p>1978年、大阪市生まれ。多摩美術大学卒業。広告代理店、人材コンサルティング会社を経て、2016年に＆Co., Ltd.を設立。ブランド開発や組織開発をはじめ、テレビ局、新聞社、出版社などとメディアサービスを手がけるプロジェクトプロデューサー。主な仕事に、グーグル、ソニー、アドビ、ポーラ、東急電鉄、ワイアード日本版などとプロジェクト実施多数。また、「六本木未来大学」アフタークラス講師を務めるなど、年間100以上の講演やワークショップを行う。毎年11月に開催している、国内最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」では、6年間で、のべ３万人を動員した。鎌倉のコレクティブオフィス「北条SANCI」支配人。著書『これからの僕らの働き方』（早川書房）、『自己紹介2.0』（KADOKAWA）がある。
</p><a href="https://8card.net/p/yoktak">Eightプロフィールはこちら</a></div></div></div></div>
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    </content>
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<entry>
    <title>年末年始に立てた目標はみじん切りにしてしまえ──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.16 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2020-01-14T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-14T08:54:37Z</updated>

    <summary>一年間で目標を達成しようとするよりも、一日でできることを積み重ねた方が、大きな成果が得られるかもしれない。羽渕彰博の連載、第十六回。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ととのう職場、自然体のキャリア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。</p>

<p>皆さんは、年末年始に目標を立てたことはありますか？　僕が去年（2019年）立てた目標は、痩せることでした。独立して在宅で働くようになってから10kgくらい太ってしまったからです。</p>

<p>言い訳をするつもりはないのですが、家の中は甘い誘惑だらけなのです。ちょっと一作業終わったら、光に引き寄せられる虫のように、冷蔵庫に引き寄せられていました。いただいたお菓子とか、何かしら甘いものが入っているから食べてしまうのです。</p>

<p>さらに、通勤することがなく、打ち合わせもオンラインで済ませると、普段の生活の中で体を動かすことが少なくなります。成人男性は一日一万歩くらい歩くのが理想らしいのですが、私の歩数を測ってみたら、たったの2000歩程度でした。</p>

<p>気づけばぶくぶくと太り、誰かに会うたびに「太ったね」と言われる始末。そこでダイエットをしようと決めました。</p>

<p>でもダイエットは、年末年始に立てる目標とは非常に相性が悪いのです。正月はご馳走が出てくるので、いつもより多めに食べることになります。年末年始に立てた目標を、さっそく破ってしまっているわけです。</p>

<p>このままだと目標は達成できない。ぐうたらな私は、どうすれば目標を達成できるのか。そこで考えたのが「目標をみじん切りにすること」でした。目標を一年ではなく、365分割して一日の目標になるまで、みじん切りにしてしまうのです。コツは「目標」を「自分ができる行動」に落とし込むこと。</p>

<p>たとえば一年で10kg痩せるという目標を、単純に365分割にみじん切りすると、一日約30g痩せる計算になります。一日30gならいけそうな気がしますよね。でもよく考えると、一日30gずつ減らしていくのはけっこう難しい。</p>

<p>そこで私の場合は、一日の糖質の摂取量を、一般社団法人食・楽・健康協会が提唱する適性糖質70g~130gに絞ることにしました。糖質なら、食品の栄養成分表示を見れば、ある程度自分でもコントロールすることができるからです。これを毎日続けた結果、独立する前の体型まで絞ることができました。</p>

<p>成果だけを追っていると、気持ちが焦ってしまったり途中で諦めてしまって結果につながらないことがありますよね。「塵も積もれば山となる」ではありませんが、毎日小さな変化を続けていると、大きな成果につながっていくはずです。だからこそ、「目標」のみじん切りがオススメです！</p>

<p><br></p>

<div class="profile-box"><a class="open">執筆者・羽渕彰博のプロフィール</a>
<div class="hint">
<div class="profile">
<div style="background-image: url('/uploads/fixed_habuchi-profile.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>羽渕彰博</strong>
<p>株式会社オムスビ代表取締役CEO</p>
<p>1986年大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事しつつ、アイデアを短時間で具現化する「アイデアソン・ハッカソン」のファシリテーターとしても活躍。2016年4月に独立し、リレーションシップデザインを軸とする株式会社オムスビを設立し、組織変革したい企業様向けの組織コンサルティングサービス「reborn」を提供している。</p><a href="https://8card.net/p/39752398032">Eightプロフィールはこちら</a></div></div></div></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="2030001113721"></div>
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    </content>
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    <title>ローカルの課題はグローバルにも通じる。&quot;課題先進県&quot;が時代に先んじて取り組む「高知ビジネスデザイン塾」 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/01/kochi-bds.html" />
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    <published>2020-01-10T06:17:00Z</published>
    <updated>2020-03-02T06:43:40Z</updated>

    <summary>全国平均より高齢化が10年先行し、人口の自然減に至っては15年早く進んでいるという、&quot;課題先進県&quot;高知。こうした状況を打開すべく、高知県の産業などの資源とスタートアップの知見をかけ合わせた、人材育成プログラムをスタートさせた同県の取り組みに迫る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>2020年代を迎えたいま、地方自治体が抱える課題はかつてないほど山積している。</p>

<p>少子高齢化によって労働者人口が減り、逆ピラミッド型の人口分布が加速、2025年には日本企業全体の3分の1が後継者不足による廃業リスクを抱えている。</p>

<p>都市圏ではスタートアップに対する投資や助成が加熱しているが、地方ではスタートアップが起業する土壌が育たず、そうした流れからは取り残されつつある現状がある。</p>

<p>こうした課題を解決すべく多くの自治体が地方創生政策に取り組んでいる。その中でも高知県は地元からスタートアップ人材を育成することに積極的だ。</p>

<p>新しい事業・起業に取り組む人材をサポートする「KOCHI STARTUP PARK」を2017年6月に設立。2019年からは東京圏のスタートアップを招き、高知の起業家人材を育成するプロジェクト「高知ビジネスデザイン塾」を開始した。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Kochi_BDS__WS0_190804-1.jpg">
<figcaption>既存価値と革新的技術をハイブリッドさせながら新しい未来を開いていく、共創型のビジネスデザインプログラム「高知ビジネスデザイン塾」。</figcaption></figure></p>

<p>「高知ビジネスデザイン塾」は、オープンイノベーションの支援をしているEDGEof（エッジオブ）とプロダクト開発やデザイン戦略開発に強みを持つREDD（レッド）が運営している。高知県の産業などの資源、そして地域課題と、AIやドローン、ロボティクスなどの新しい技術を持つスタートアップの知見を組み合わせたビジネスアイデアを約半年かけて作り、2020年2月には高知県と東京都で成果発表会を予定している。</p>

<p>地域からスタートアップ人材を育成し起業を支援したいと語る高知県の思いと、それに共鳴したメンターたちとの半年間の活動を伺った。</p>

<h2>課題先進県・高知にスタートアップの知見を</h2>

<p><strong>――高知ビジネスデザイン塾を始めるに至った経緯を教えてください。</strong></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_191204_0039.jpg">
<figcaption>久保英子</br>高知県 産官学民連携・起業推進課  課長補佐　兼　産学官民連携センター　プロジェクトマネージャー。 内外の大学、企業、国、関係団体などとの連携による、起業・新事業展開への支援などを行う。</figcaption></figure></p>

<p>久保英子（以下、久保）：高知県は人口が全国平均よりも15年早く自然減となり、高齢化は10年先行しています。人口減は県内経済にもダメージを与え、負のスパイラルがさまざまな面に表れていました。こうした状況を克服すべく、2009年に高知県産業振興計画を策定し、地産外商を中心とした産業振興策を開始しました。</p>

<p>その産業振興策の一環として、県内での起業を促進する「KOCHI STARTUP PARK」というプログラムを2017年に立ち上げました。このプログラムでは、起業や新規事業創造を目指す方のサポートを目的に、各種イベントやセミナー、メンタリングを提供しています。</p>

<p><strong>――そうした取り組みのひとつとして、2019年から「高知ビジネスデザイン塾」という研修プログラムがスタートしたわけですね。</strong></p>

<p>久保：はい。「KOCHI STARTUP PARK」を開始して2年半の間、アイデアを形にして起業する人は着実に増えましたが、都市圏に比べて産業の多様性がないこともあり、自分の手が届く範囲でのビジネスが多かったのが実情です。中長期的に考えると、成長性が高いスタートアップのような起業も必要だという考えに至ったのですが、スタートアップの文化に触れたこともなければ、テクノロジーを活用する機会もほとんどありません。であれば、スタートアップの技術や知見を高知県内の産業や人材に取り込むことによって、スタートアップ人材や新産業の創出を担う人材の育成ができるのではないかという狙いで研修事業の一環として始めました。</p>

<p><strong>――どういったコンセプトでプログラムを設計しているのでしょうか。</strong></p>

<p>REDD 望月重太朗（以下、望月）：まず大前提として、知識と実践を増やすことが重要だと思いました。知識面ではスタートアップがどういった意図で開発し、どのようにドライブさせるかという方法論を一社ではなく複数のスタートアップを招いて学べる環境を構築しました。</p>

<p>実践面では、アイデアを作り、プレゼンテーションし、フィードバックを得て、肉付けしていくという作業を繰り返すことで、スタートアップ流の事業創造を、身を持って経験するカリキュラムにしています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/bnl_interview_logo_list.png">
<figcaption>高知ビジネスデザイン塾の参加したスタートアップ5社。（左上→右下）株式会社Empath、エアロダインジャパン株式会社、株式会社椎茸祭、SOLTILO Knows株式会社、X-mov Japan株式会社</figcaption></figure></p>

<h2>アイデアを出し続け、アップデートすることで起きる心の変化</h2>

<p>高知ビジネスデザイン塾は半年間を通じて、アイデア創出のプロセスとスタートアップ流の事業開発を体験し、起業に必要なスキルを身につけることを目的としている。自治体、県民、スタートアップという普段交わる機会の少ない3者の間にはギャップも少なからずあったはずだ。</p>

<p>久保と望月は一方的にリードするのではなく、参加者の気持ちに寄り添いながら進めることが重要だったと振り返る。</p>

<p><strong>――都市圏で活動するスタートアップが地方の人材育成に関わる座組を作る上で、考慮した点はありますか？</strong></p>

<p>望月：スタートアップ側がリードする状況を作らないこと、そして、高知県からの参加者自身が自発的に向き合う状況を作ることをこころがけました。こうした取り組みにありがちなのは、スタートアップが参加者の「こうしたら良いと思う」という意見に寄り添ってしまったり、声の大きい人に背中を預けたくなる状況になりがちなことです。できるだけスタートアップの関与が全てに及ばないようにプログラムを設計しました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Kochi_BDS__pic2.jpg">
<figcaption>高知ビジネスデザイン塾のコンセプト。一次産業など高知の持つ既存価値と、スタートアップのテクノロジーに高知県民の情熱が混ざり合うことで、新しいビジネスアイデアの創出を目指した。</figcaption></figure></p>

<p>久保：参加したスタートアップ5社には事前に高知を知ってもらうべく、興味のある場所には全て案内しました。保育園や学校、介護施設や、JAや漁協といった一次産業に関わる場所を視察して、新しいビジネスを考えるという軸と、彼らが今手掛けているビジネスに生かせるポイントを考えるという軸でインプットしていただきました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Kochi_BDS__3.jpg">
<figcaption>土佐町中学校でのスポーツセンシングデバイスを活用した実証実験の様子。（写真提供：高知県）</figcaption></figure></p>

<p>望月：初日は、参加者に高知にどんな課題があるか、何をしたいのかを壁に書き出してもらい、それとは別にスタートアップが持っているソリューションを紹介してもらいました。そこからやりたいことや課題と、ソリューションを組み合わせたアイデアを一人につき10案出してもらいました。</p>

<p><strong>――アイデアを短時間で出すというのは、慣れていないと難しい作業ではありませんでしたか？</strong></p>

<p>望月：確かに最初は参加者のなかには戸惑いも覚える人もいました。このためやっていたのはアイデアを書き出し、スタートアップに一人1分程度でアイデアを説明しフィードバックを受ける。そうして肉付けしたアイデアを別のスタートアップに説明するという「繰り返し」の作業です。こうして壁打ちをひたすら繰り返す作業を続けていくと、1時間程度でもアイデアを出して磨くという筋肉ができてきます。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Kochi_BDS__WS0_190804-10.jpg">
<figcaption>一連の4つのフェーズを繰り返し、アイデアの強度を高めていく。</figcaption></figure></p>

<p>久保：最初は自分の考えを発表するのを恥ずかしがったり、「こんなアイデアは大したことない」と遠慮したりする参加者もいました。そういう状況でアイデアをとにかく出してアップデートするという体験は良い意味でカルチャーショックだったと思います。</p>

<p>スタートアップに会うのも初めてという参加者もいましたが、スタートアップの言うことに感心することもあれば、自分たちのアイデアの中には既にビジネスになっているものもあるんだといった気づきがあり、これまでの気持ちに変化が起こっていたように思います。</p>

<p>望月：その後、出てきたアイデアをグルーピングし、関心のある人同士が即席チームを作って、グループでワークを進めました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Kochi_BDS__1.jpg">
<figcaption>アイデアを考える前に「アイデアの種」（高知の中に眠る、他の地域に負けないネタ、特産、技術など）を付箋に書き出し、壁に張り出してカテゴリー分けしていく。（写真提供：望月重太朗）</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Kochi_BDS__2.jpg">
<figcaption>アイデアをグルーピングして4つのチームに。参加者は各自の関心で参加チームを決めていく。（写真提供：望月重太朗）</figcaption></figure></p>

<p><strong>――自分以外のアイデアも混ぜ、結果的に当初やりたいと思ったことと異なるアイデアにグループで取り組むというのは、参加者にとって新鮮な体験のように思います</strong></p>

<p>望月：高知ビジネスデザイン塾でやったことをシンプルにまとめると、物事を具体化するフレームに架空のアイデアを置いてひたすら向き合うというハッカソン（※1）やアイデアソン（※2）に似た形です。都市圏であればハッカソンやアイデアソンに慣れた人は一定数いますが、今回の研修では戸惑いを覚える人もいました。</p>

<p>高知県の課題をいくつか出した上で、似たような志向を持つ人がチームを組み、自分だけのプランではないものに取り組むということに対して、どこまでやるべきなのか、誰のためにやるのかというのが想像できない状況が初期にありました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_191204_0047.jpg">
<figcaption>望月重太朗</br>株式会社REDD 代表取締役／Creative Director。武蔵野美術大学 非常勤講師。UMAMI Lab 主宰。デザインR&amp;Dをテーマに、サービス／プロダクト開発、デザイン戦略開発、クリエイティブ教育の開発、海外との協業によるメソッド開発などを行う。資生堂fibonaや東洋製罐グループなど、企業向けの新領域ビジネス開発にも多く携わる。</figcaption></figure></p>

<p><figure><figcaption>※1..."ハック"（hack）と"マラソン"（marathon）を組み合わせた米IT業界発祥の造語。もともとはプログラマーやデザイナーから成る複数の参加チームが、マラソンのように、数時間から数日間の与えられた時間を徹してプログラミングに没頭し、アイデアや成果を競い合う開発イベント</figcaption></figure></p>

<p><figure><figcaption>※2..."アイデア"（Idea）と"マラソン"（marathon）を組み合わせた造語。特定のテーマを決めて、そのテーマについてグループ単位でアイデアを出し合い、その結果を競うというイベント</figcaption></figure></p>

<p><strong>――そうした状況をどのように解きほぐしていったのでしょうか。</strong></p>

<p>望月：講師だけでなく、高知県の方も含めてワークショップ以外の時間でも丁寧にメンタリングしながら、ローカルで起きていることがグローバルに通じるという話をしました。例えば林業に従事する人が減っているという問題は他の地域でも起きているし、フードロスという面だと、高知では柚子を絞った皮を再利用しているのは一部で、多くを廃棄しているわけですが、これは他の国でも転用できる話です。</p>

<p>目の前にある課題に取り組むことは、実は世界の課題に繋がるという話をすると、参加者にも納得感が生まれました。そうなると仮説を組み立てる際でも、身近に起きていることに対して調査・分析を経て気づくことが多い。それは、自分たちにもできることがあるという自信にも繋がりました。</p>

<p>また、スタートアップ側にもありのままを話してもらうように心がけました。リラックスして話せるような場作りをした上で、ハイリスクなチャレンジをしているからこそ起こる危機が過去にあったという話や、失敗の山で築いた希望や成功があるという話をセッション形式で行いました。</p>

<p>久保：参加者にスタートアップのリアルなビジネスの話をしていただき理解が深まったことや、県がスタートアップが希望する場所にも積極的に案内することで、スタートアップに対して、リアリティのある地域課題のインプットができたこともあり、高知県、参加者、スタートアップの三者が同じ土俵で話せる状況ができたのも大きかったと思います。</p>

<h2>地域の資産とテクノロジー、そして県民の「情熱」を掛け合わせる</h2>

<p>高知ビジネスデザイン塾ではスタートアップならではの思考やアイディエーションを持ち込みつつも、一方的な「上から目線」や、聞こえの良いストーリーだけを並べるのではなく、参加者の気持ちに寄り添いながら背中を押すように心がけたメンタリングや、泥臭いストーリーを惜しげもなく共有した。</p>

<p>高知県から参加した人たちの自発性を引き出すことを最優先にするプロセスは、地方創生を実現する上で、あらゆる地方自治体でも参考にすべき点だろう。</p>

<p><strong>――ビジネステーマの中に「高知県民の熱き情熱」と入っているのも特徴的ですよね。</strong></p>

<p>久保：高知は郷土愛の強い人が多く、生涯県外に出なくてもいいという人もたくさんいるのですが、それほどの郷土愛がありつつ、課題の多さもあり地域の課題解決がなかなか進んでいないという現状がありました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Kochi_BDS_WS0__190804-7.jpg">
<figcaption>「高知県が持つ価値」「スタートアップが持つ経験／技術」「高知県に根付いた県内起業家の情熱」、この3つを有機的に繋ぐことが高知ビジネスデザイン塾のミッションだ。</figcaption></figure></p>

<p>望月：課題を技術で解決するのは珍しくありませんが、「想い」は外から持ち込めません。言い換えればオーナーシップにも繋がります。高知が好きで、高知を良くしたいというマインドがあるからこそ可能なコミットメントの形があります。</p>

<p>そういう人が集まると、外からやってきたスタートアップも彼らの情熱にほだされて、「こういう人たちがいるなら、自分がバックアップしよう」という気持ちになる。参加者が持つ「情熱」が外とのつながりの強い推進力になっていました。</p>

<p><strong>――発表会ではどういった事業アイデアが披露されるのでしょうか</strong></p>

<p>望月：高齢化社会対策として、ヘルスケアなどのデータを入力して、終活に必要な準備を提供するサービスを開発するチーム、フードロス対策として、家庭から出た生ゴミをコンポストで堆肥にして、農家に提供するとリターンが得られるサービスを開発するチームがいます。</p>

<p>また、高知には共働き世帯が多いので、家事の一部をコンビニのように気軽にアウトソースできるサービスを考えるチームもいれば、親から相続した山林の有効活用を第三者に委託して、資産価値を上げる――そのための土地調査にドローンを活用するチームの計4チームのプレゼンテーションを予定しています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Kochi_BDS__idea.jpg">
<figcaption>2月の発表会ではブラッシュアップされた4つのアイデアがお目見えする。</figcaption></figure></p>

<p><strong>――高知県ではスタートアップ人材育成は長期的に取り組むとのことですが、この「高知ビジネスデザイン塾」をどのように評価していますか？</strong></p>

<p>久保：初日の段階では粗かったアイデアが回を追うごとにブラッシュアップされていくことに驚きました。2月の成果発表会（高知会場：2月7日／東京会場：2月14日）までには、今よりもさらに完成度が高いアイデアになっていると思います。</p>

<p>スタートアップとテクノロジーに触れることで、起業の多様性を拡げるという目的で言えば収穫は大きかったと思います。今回参加した12名の方をきっかけに、次年度以降もスタートアップの呼び込みを継続して行いながら、高知において成長性の高い事業に取り組む人材の育成や新事業を生み出す機運醸成したいと思います。</p>

<p><strong>――発表会で披露されるアイデアは、いずれも高知県だけの課題ではないので事業としての発展性を感じます。</strong></p>

<p>久保：県としてはビジネスデザイン塾はあくまでも架空のアイディアをベースにしていますので、ビジネス化を進めなくてよいというスタンスです。ここで学んだアイディエーションの方法やアイデアを形にするプロセス、スタートアップとしてビジネスを進める方法を、自身の起業に生かしてほしいと考えています。もちろん、継続して事業化することも大歓迎です。</p>

<p>高知のような太平洋と山に囲まれた閉ざされた県は、意識して外の情報を取りにいく必要があると思います。今後も都市圏で起きている情報をうまく県内に取り込みながら、起業家人材の育成を進めていきます。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_191204_0023.jpg">
<figcaption>次年度以降もスタートアップ人材を増やす取り組みを継続して、新事業を生み出す機運醸成したいと久保は語る。</figcaption></figure></p>

<p>望月：スタートアップと参加者もSNSでつながったことで、新しいプロジェクトの話も出ています。今回受講した12人は学んだことや培ったネットワークを生かして、自分のビジネスを育てるための行動範囲が大きく広がったと思います。人とのつながりも大事ですが、自発性を高めて、自分たちの課題にきちんと向き合う場所を作ることも重要です。</p>

<p>久保：県としては単年で終わらせるつもりはなく、今後も継続的に起業家人材を育成する取り組みを続けます。課題先進県として、県民が自ら課題を解決する事業を立ち上がることを期待しています。</p>

<p><strong>高知ビジネスデザイン塾 最終公開プレゼンテーション</strong></br>
高知県開催</br>
日時：2月7日（金）14:00～16:00（開場は13：45）</br>
場所：ココプラ（高知市永国寺町6番28号）</br>
<a href="https://kbds01.peatix.com/" target="_blank">https://kbds01.peatix.com/</a></p>

<p>東京都開催</br>
日時：2月14日（金）13:00～15:00（開場は12：45）</br>
場所：EDGEof（東京都渋谷区神南1丁目11−3）</br>
<a href="https://kbds02.peatix.com/" target="_blank">https://kbds02.peatix.com/</a></p>

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    </content>
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    <title>「美味い不味い」だけで判断するのはチープ。世界に名を轟かす新宿の小さな薬草酒バー「BenFiddich」の美学 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2020/01/benfiddich.html" />
    <id>tag:bnl.media,2020://125.9354</id>

    <published>2020-01-09T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-06-07T23:12:47Z</updated>

    <summary>開店と同時に全席が予約客で埋まる薬草酒バー「BenFiddich」。この店が唯一無二なのは、薬草酒というジャンルが珍しいから、だけではない。過去や源流に遡り、カクテルの本質を追求する姿勢と、そこに添えられた浪漫的思考。それこそが人を魅了して止まない理由だ。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/"></a>鹿山博康</strong><small>Bar BenFiddich（バー ベンフィディック） オーナー</small>
<p>1983年生まれ。専門学校を卒業後、都内のホテルに就職。バーに配属されたことをきっかけにバーテンダーとしての腕を磨く。ホテルを退職後、西麻布のバー「Amber」の店長を務めながら、地元・埼玉に自分の畑を持ち、カクテルに使うハーブなどの栽培をはじめる。その後独立し「Ber BenFiddich（バー ベンフィディック）」を開店。わずか半年で海外メディアから取材を受けたり世界的に有名な料理人が訪れたりと、その名を世界へ轟かせる。国内外のカクテルイベントでもゲストバーテンダーとして活躍、現在は日本バーテンダー協会六本木支部長も務める。</p></aside></p>

<p>西新宿の一角にある、看板もない雑居ビル。存在を知らなければ100%通り過ぎてしまうであろう場所に、バー「BenFiddich（ベンフィディック）」はある。</p>

<p>木製の重い扉を開くと、決して広くない店内には薬草やスパイス、それをすり潰すためのすりこぎとすり鉢、100年以上前の古い酒瓶や自家製アブサンの入った巨大な甕......。普通のバーとは明らかに様子が違う。</p>

<p>BenFiddichは、アブサンに代表される薬草酒に特化したバーだ。バーテンダーの鹿山博康は地元・埼玉に畑を持ち、そこで40種以上のボタニカルを栽培している。客からのオーダーが入ると、自家製のハーブをその場ですりつぶし、調合し、オリジナリティ溢れるカクテルとして提供する。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/aL1000724.jpg">
<figcaption>カウンターの裏から出して見せてくれたこの道具は、ハーブをすり潰すときに使うもの。家庭はもちろん、飲食店でもなかなかお目にかかれない年季の入ったものだった。</figcaption></figure>
<figure>
<img src="/uploads/aL1000560.jpg">
<figcaption>店内の床に無造作に置かれた籐のカゴの中には、古い酒の空き瓶が投げ込まれている。中には100年以上前の代物もあるのだとか。</figcaption></figure></p>

<p>なんともマニアックな趣向だが、ウィリアム・リード・ビジネス・メディアグループが発表する「世界最高のバー50」で36位。「アジア最高のバー50」にも初年度から継続してランクインしており、その名は世界に轟いている。午後6時の開店と同時に、すべての席が予約客で埋まってしまうほどの人気ぶりだ。</p>

<p>世界が注目する人気店の薬草酒とは、一体どれだけ美味いのか。特別な酒好きではなくても、その味に興味をそそられる。ところが、「美味い不味いで酒を判断するのはチープだ」と言って、鹿山はこうした考えを嗜める。</p>

<p>酒の価値が「美味い不味い」でないとすると、この店が提供している価値とはなんなのか。世界の客はなにを求めて、BenFiddichを訪れるのだろうか。</p>

<h2>酒は嗜好品だから、勉強しない客は「まだ飲むに足らない」</h2>

<p>ひとくちに薬草酒と言ってもいろいろな飲み方があるが、リキュールを水割りで飲もうという人はそういないに違いない。だが、鹿山によれば、19世紀ヨーロッパの都市部でよく飲まれていたのは、その水割りだった。水道事情が悪く、もともと水を飲むのにもアルコールを入れて殺菌するのが一般的だった。その名残で、19世紀後半になって酒が嗜好品になってからも、同様の形で飲まれていたのだという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/aL1000672.jpg">
<figcaption>「リキュールを水割りで飲んだことありますか？」そう聞かれて「そういえばないな」と改めて気づく。19世紀後半を生きた人たちはリキュールを水割りで飲んでいたという話を聞き、自然と酒の歴史にも興味が湧いた。</figcaption></figure></p>

<p>生水が危なかったのは、その少し前の時代のアメリカも同じ。代わりによく飲まれたのがビールだった。ただ、ビールと言ってもいまあるような洗練されたものではなく、いわゆる「どぶろく」に近いビールだ。</p>

<p>鹿山はこうした酒を現代に再現することも試みている。再現したビールを飲んでみると、実はまったく美味くない。むしろ不味い。だが、「美味い不味いだけで判断するのはチープな考え方だ」と鹿山は言う。「なぜならぼくらが提供しているのは嗜好品だから」というのがその理由だ。</p>

<p>「織田信長のことをなにも知らない人をゆかりの地に連れていったところで、なんの感動もないでしょう？ それと同じで、受け取り手にその時代に思いを馳せる姿勢がなければ、嗜好品を楽しむことはできないんです。お酒で言えば、美味いか不味いかという尺度と、見た目のデコレーションくらいしか残らなくなってしまう」</p>

<p>鹿山はコレクターとしての顔も持ち、BenFiddichには100年以上前のアブサンの古酒が置いてある。客の中には、古酒についてよく知らないのに、1杯1万5000円〜2万円はするそうした酒を飲ませてくれと言う人もいる。そんな時、鹿山は大胆にも「まだ飲むに足らないですよ。アブサンの歴史、文化背景をもっと知った上で飲むことをお勧めします」と言って断るのだという。</p>

<p>「お酒って難しいんです。例えば30歳の人はいわば食歴30年ですが、飲酒歴はまだ10年のひよっこ。それに、食と違って酒は生きていくうえで必要不可欠なものではなく、あくまでも嗜好品です。だからこそ、楽しむためには勉強が必要だと思うのです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/aL1000539.jpg">
<figcaption>店内にはいたるところに古酒が置いてある。アンティークの家具やランプに囲まれ、グラスを眺めていると、ここが新宿であることを忘れてしまう。</figcaption></figure></p>

<p>BenFiddichには「これからバーを覚えていきたい」という若い客も来る。</p>

<p>そうした客に対して鹿山が出すのは「カクテルの王様」と称されるマティーニだ。初めてマティーニを口にした若い客に「どうですか？」と聞くと、目の前に作り手がいる手前、「美味しい」と答えが返ってくる。だが、美味しいはずがないのだと鹿山は言う。</p>

<p>「なぜなら、初めてマティーニを飲んだ彼らには基準がない。基準がないのに美味しいか不味いかを判断できるわけがないじゃないですか。マティーニはジンとベルモットという、たった二つのリキュールから作られる。にもかかわらず、作るバーテンダーによってすべて違った味になるんです。その奥深さが、マティーニがカクテルの王様と呼ばれる所以。飲み手にも資格を求めるんですよ」</p>

<p>だから鹿山は、その夜初めてマティーニを口にした客に対して「これから100軒のバーへ行き、100人のバーテンダーが作ったマティーニを飲んでほしい」と伝えるのだという。100杯飲めば、それなりの基準ができる。その時、初めて味の違いがわかるようになる。</p>

<p>「バーは101軒目から楽しくなる。そうすると、1杯1500円もするバーへ行くのも全然高いとは思わなくなるでしょう。1500円......それだけあれば、牛丼屋に3回行けるじゃないですか。下手すれば、3日食いつなげるんですよ。嗜好品を提供するぼくらは、それだけのお金をもらっているということ。だからぼくらには、その楽しみ方を伝える責任がある」</p>

<h2>「noma」のシェフを引き寄せた虫入りカクテル</h2>

<p>鹿山は「畑をやっているバーテンダー」としても知られている。実際に埼玉にある実家の畑でさまざまなハーブを育てており、それを使ってカクテルを作る。</p>

<p>「ぼくが畑をやり始めたのは、醸造がきっかけなんです。例えばヨーロッパで作られている薬草酒も、原料となる薬草は日本でも手に入ります。ただ、質がよくない。ぼくは実家が農家で、子供のころから半強制的に仕事を手伝わされてきたから、土いじりはお手の物でした。幸い、実家へは東京から通えない距離でもなかった。であれば、自分で育てるところからやってみようかと。独立する随分前から、そういうことをやっていました」</p>

<p>こうして誕生したのが、栽培・乾燥・抽出・蒸留を一貫工程として酒を出す唯一無二のバーテンダー。その後、BenFiddichの開業を機に本格的にほかのハーブにまで手を広げて、現在に至るというわけだ。</p>

<p>鹿山とBenFiddichの名が一般にまで、そして世界で広く知られるようになったのには、二つの出来事があった。</p>

<p>「ひとつめは、開店から半年ほどが経過したタイミングで。どこから聞きつけたのか、『アブサンを作っているクレイジー・ジャパニーズ・バーテンダーがいる』と言って、ニューヨークタイムズの記者が取材にやってきたんです。これがきっかけとなって徐々に外国人客が増え、また業界紙以外からの取材も増えていきました」</p>

<p>そして、続く2015年のセカンドインパクトで、BenFiddichの名は一気に世界に轟くことになる。「世界一のレストラン」として一世を風靡した「noma」のシェフが、日本でポップアップレストランを出した際に連日通い詰め、帰国後に「日本滞在時のグッドエクスペリエンス」としてBenFiddichの名を挙げたのだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/aL1000563.jpg">
<figcaption>ニューヨークタイムズの取材、そして「noma」のシェフによる情報発信がきっかけで、BenFiddichには多くの外国人客が訪れるようになったという。</figcaption></figure></p>

<p>「よく知られるように、『noma』はその土地の食材しか使わない。柑橘類が取れない北欧では酸味を出すのに蟻酸で代用していました。ちょうど同じころ、偶然ぼくもまた虫を使ったカクテルを作って店で出していたんです。カンパリのリキュールを使わずに、その主原料から作る『フレッシュカンパリ』がそれ。歴史を辿れば、カンパリの赤はもともとコチニールカイガラムシから取られていた。ぼくはそこまで遡って、分解・再構築みたいなことをやっていました。『noma』のシェフはその噂を知って訪れてくれたようです」</p>

<p>2015年と言えば「noma」がもっとも存在感を示していた時期。そのシェフの発言となれば影響力は絶大だった。同じタイミングで「世界最高のバー50」などに選ばれたこともあり、BenFiddichの認知度は一気に爆発することに。鹿山本人としてやっていることは、その間も基本的には変わっていない。それでも環境は激変していった。</p>

<h2>「流行」ではなく「源流」を追う</h2>

<p>鹿山は朝、バーを閉めると、週に1、2度は始発に乗り、約1時間半かけて埼玉の実家を訪れる。昼過ぎまで畑でハーブをいじり、短い仮眠をとったら、再び新宿へととんぼ返り。午後6時の開店に備えるのだという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/0811108014404253783.jpg">
<figcaption>実家の畑で育てているハーブ。朝埼玉まで帰って畑仕事をし、そのまま寝ずに新宿に戻る。ハードな生活のように聞こえるが、鹿山はそんな生活について楽しそうに語る。</figcaption></figure></p>

<p>昨年からは新たに養蜂も始めた。「自分で育てたハーブを使い、そのハーブを求めてやってくる蜂からとった蜜で甘味をつけられたら、ロマン的整合性が爆発するじゃないですか」。そう言って鹿山は楽しそうに笑う。</p>

<p>鹿山のこうしたユニークなやり方は独立開業するより前、20代を西麻布のバー『Amber』で雇われ店長として過ごしていた時から一貫している。「いまでこそ自分で酒を蒸留するバーテンダーは世界中に増えましたが、当時はそんな価値概念さえない時代。小型蒸留装置もまだなかったから、やかんを使って蒸留していました。あるいは、世の中に発酵ブームが来るよりもずっと前から、ジンジャービアーやイースト菌を仕込んだ発酵酒を作ったりもして」</p>

<p>カクテルを作るのに必要なリキュールはいくらでも手に入る時代だ。一方で、アブサンに代表される薬草酒は、誰もが日常的に飲むような計算のできる商材ではない。BenFiddichが今日の名声を築くのにユニークなやり方が奏功したのは確かだが、鹿山はなぜ一見非合理的にも見えるこうしたやり方を貫こうとするのだろうか。</p>

<p>21歳ですでに「いつかは自分の城を持ちたい」という野心を抱いていた鹿山。ただ、働いていたのは決して有名店とは言えないし、手取り足取り教えてくれる師匠もいなかった。バーテンダーとしての基礎は、いろいろなバーに足を運ぶことで学んだ。「あそこのサイドカーが美味いと聞けばそこに行き、挨拶をしてサイドカーを飲む。次の日は早めに店へ行って、前夜の味を再現しようと試行錯誤しました」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/aL1000537.jpg">
<figcaption>店名のBenFiddichはゲール語で、意味は「Ben＝山」「Fiddich＝鹿」。壁に飾ってある鹿の剥製もまた、異世界のような雰囲気を作り出している。</figcaption></figure></p>

<p>ある時、同年代の他店のバーテンダーと、銀座の有名バーへ出かけたことがあった。一緒に行ったもう一人は有名店で働いていたから、名刺を差し出しただけで話が通り、会話も盛り上がる。一方、鹿山が名刺を渡しても反応は芳しくなく、一人だけ蚊帳の外に締め出されたと感じた。</p>

<p>「まだ若かった当時の自分にとって、この時の悔しさは深く心に刻まれました。名店出身ではない自分が評価されるためには、どうにかして目立つ必要があったんです」。鹿山がいまのスタイルに行き着いたのには、業界内でのプレゼンスを高めるために、誰も手をつけていなかったことをするという、生存戦略の側面があった。</p>

<p>ウイスキーが流行ったらウイスキー、クラフトジンが流行ったらクラフトジン......。そうやって多くのバーテンダーが流行、つまりは「最新」を追う中で、鹿山が進んだのはその逆だ。「ぼくは歴史好きでもあるので、こういうところからのオマージュが多いんです」。そう言って取り出してきたのは、1890年代のフランスにおける薬草酒のメイキングマニュアル。どれだけ読み込まれてきたかは一目瞭然だった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/aL1000581.jpg">
<figcaption>「これを参考にしているんです」と言って見せてくれた分厚いフランスの古書は、100年以上前のもので、慎重に扱わないとページがバラバラと落ちてしまいそうなほど使い古されていた。</figcaption></figure></p>

<p>「いくらぼくが奇抜なことをやっていると言っても、所詮はバー業界の中の話であり、お酒の範疇にあります。スパイスをすりつぶして作るのも、偉大な先人たちが過去にやってきた歴史ある作り方です。歴史は螺旋的に進んで繰り返すもの。ぼくも決してゼロからなにかを作り出しているわけではない。みんなが時代に寄り添いすぎなんですよ」</p>

<h2>１本のワインボトルから溢れ出す好奇心</h2>

<p>このようにして聞いていくと、彼の振る舞いが単なる生存戦略、目立つためのスタンドプレーに留まらないことがわかる。「カクテルとはなにか」を大元まで立ち返って本質を考える姿勢と、そこに添えられた浪漫的思考に、客は胸を打たれるのかもしれなかった。</p>

<p>「例えばこのワインボトル。なんでもない普通のボトルですが、手吹きの時代から機械でガチャコンと作られる時代に変わると、ボトルの横に線が現れるんです。フランスだと、その境目は1920年ごろ。ボトルの側面を見るだけで、そうした時代の変わり目がわかります。1920年代と言えば、ベルエポック期が終わり、さらに第一次世界大戦も終焉を迎えた時期。それに伴い文化も一気にチェンジします。するとカッティングの文様も変わるんですよ。あるいは......」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/aL1000725.jpg">
<figcaption>鹿山のこだわりは酒だけに止まらない。例えば酒の瓶からもその時代の歴史を感じ、雰囲気を楽しむ。それこそが嗜好品なのだという。</figcaption></figure></p>

<p>鹿山の話はここから堰を切ったように止まらなくなる。それが最高に楽しい。朝まで聞いていたくなる魅力がある。</p>

<p>「嗜好品を楽しむには、客もまた勉強しなくてはならない」と鹿山は言った。そうだとすれば、嗜好品を扱うバーテンダーの側も、その世界を魅力的に映し出す語り部でなくてはならない。</p>

<p>顕在化された「現在」のニーズにただ応えるだけでは、ビジネスとしては成立しても、客と酒との関係性に広がりは生まれない。まだ人々が気づいていない「未来」や「理想」を示すこと。あるいは「過去」「源流」にまで遡って本質を見つめ直すこと。鹿山の仕事ぶりは、そうしたことの大切さをぼくらに教えてくれる。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/aL1000719.jpg">
<figcaption>カウンターに立った鹿山から話を聞いていると、その時代の情景が思い浮かんでくる。店の雰囲気も相まって、まるで100年以上前の異国にタイムスリップをしたかのような気分になった。</figcaption></figure></p>

<p>「大事なのは知識があることではなく、興味を持つことです。そうすれば、こういうものはどんどん楽しくなる。1本のボトルが起点となって、だったら1920年代の映画を見てみようかな、とか。興味の対象は際限なく広がってゆく。それが嗜好品の世界なのだとぼくは思います。例えばこれは1880年代のものでね......」</p>

<p>鹿山はそう言って、蝋で封をされたボトルの先に穴を開けた。プスッと小さな音がした。</p>

<p>「ほら、いま出てきたのが19世紀の空気です。あの日あの時あの場所のものが、現代の日本にある。これってすごいことだと思いませんか？」</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>「Excuse me」や「Sorry」ばっかり使ってない？  話しかけるときのフレーズ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/12/English-VOL9.html" />
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    <published>2019-12-20T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:10:38Z</updated>

    <summary>ビジネス上で、人に話しかけるときによく使う「いま、よろしいですか」。英語ではどんなフレーズを使うのだろうか。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ひとこと英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="英会話" label="英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>こんにちは、ルーク・タニクリフです。今回は、ビジネス上で誰かに話しかけるときのフレーズを紹介します。</p>

<p>日本では、相手をの状況を見ながら「いま、よろしいですか」と声をかけることが多いですね。英語では、excuse me や sorry をよく使いますが、その他にも状況に合わせたり、より丁寧に伝えたりと、フレーズはたくさんあります。</p>

<div class="hint-box">
<a class="open">ルーク・タニクリフのプロフィール</a>
<div class="hint">1982年イギリス生まれ。イギリス人の父とアメリカ人の母を持つ。13歳までイギリスで暮らし、その後アメリカのノースカロライナ州の高校に転校、イギリス英語とアメリカ英語の違いを経験。米ウェズリアン大学を卒業後、雑誌編集者／記者の仕事を経て、2005年、JETプログラムで来日。新潟の中学校で２年間英語教師をつとめ、その間に日本語を学ぶ。2008年に再来日。英会話講師とビジネス翻訳の仕事をしつつ、東京大学大学院にて翻訳論を学ぶ。2010年に開設したブログ「英語 with Luke」は、初心者から上級者までレベルを問わず楽しめる記事で人気を博し、月間150万PVを記録する人気サイトとなった。
</div></div>

<h2>Excuse me と Sorry の使い方</h2>

<p>まずは、excuse me と sorry の使い方について見ていきましょう。</p>

<p><img src="/uploads/9text01.png"></p>

<p>実は、excuse me と sorry には、微妙なニュアンスの違いがあります。excuse me は「失礼なことをしたが、自分に責任はない」、sorry は「自分の非を認めていて、残念に思っている」。しかし実際のところ、ネイティブは明確に使い分けていないので、深く考える必要はないでしょう。</p>

<p>excuse meとsorryは、excuse me / sorry  + for + 動詞ing のパターンでもよく使います。</p>

<p><img src="/uploads/9text02.png"></p>

<p>sorryの場合、sorry + to + 動詞 というパターンもよく耳にしますが、excuse me の場合はこの使い方はできません。</p>

<p><img src="/uploads/9text03.png"></p>

<p>excuse meやsorry より丁寧な印象を与えたいときは、bother を使うとよいでしょう。bother には、話に割って入っていくときなどに役立つ「邪魔」という意味があります。ネイティブはよく以下のパターンを使います。</p>

<p>Sorry to bother you + but + 依頼</p>

<p><img src="/uploads/9text04.png"></p>

<p>sorry to bother youはフォーマルな表現ですが、もっと丁寧なフレーズを使いたい場合は、I hate to bother you と表現すると良いでしょう。</p>

<p><img src="/uploads/9text05.png"></p>

<h2>手短に話をしたいとき</h2>

<p>quick word には「短い話」という意味があります。</p>

<p><img src="/uploads/9text06.png"></p>

<p>このフレーズを just a quick word だけで表現するネイティブもたくさんいます。</p>

<p><img src="/uploads/9text07.png"></p>

<p>より丁寧な表現にしたい場合、質問をする形のMay I have a quick word? がよいでしょう。</p>

<p><img src="/uploads/9text08.png"></p>

<h2>簡単な質問をするとき</h2>

<p>quick question というフレーズもよく耳にします。quick question はすぐに答えることができるような、簡単な質問をするときに使います。</p>

<p><img src="/uploads/9text09.png"></p>

<p>この内容を短く伝えたい場合、just a quick question と言うことができます。</p>

<p><img src="/uploads/9text10.png"></p>

<p>quick question や quick word だけではなく、quick reminder もよく使う言葉です。</p>

<p>reminder は「思い出させること」という意味です。相手が覚えているかどうかを丁寧に確認したいときは、 quick reminder のほうがより丁寧な印象を与えます。</p>

<p><img src="/uploads/9text11.png"></p>

<h2>話を途中で遮るとき</h2>

<p>話などを途中で遮るときは、one secondや just a minute というフレーズがよく使われています。</p>

<p><img src="/uploads/9text12.png"></p>

<p>これらのフレーズはそれほど丁寧な表現ではないため、職場では May I have a second? や May I have a minute? のほうがより丁寧な印象を与えます。</p>

<p><img src="/uploads/9text13.png"></p>

<p>of your time をつけると、より相手への配慮がより伝わりやすくなるでしょう。</p>

<h2>大勢の人に対して伝えるとき</h2>

<p>ちなみに、日本人のなかではattention, please や may I have your attention というフレーズを使う人もいます。これらは英語のフレーズとしては正しいのですが、少人数に対しては使いません。スピーチをするなどの大勢の注目を集めたいときに使うフレーズです。駅構内のアナウンス放送などもそうですね。</p>

<p><img src="/uploads/9text14.png"></p>

<p>相手の状況に合わせて、今回紹介したフレーズを使えばコミュニケーションがよりスムーズになるかもしれません。是非使ってみてくださいね！</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>仕事を楽しみたいなら、石を拾え──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.15 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/12/habuchi-vol15.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9346</id>

    <published>2019-12-16T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-12-17T04:50:30Z</updated>

    <summary>何気ない日常の中で、おもしろい出来事はないかと意識してみよう。「ありきたりにあるもの」から見出した価値にこそ、ビジネスのヒントが隠されているかもしれない。羽渕彰博の連載、第十五回。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ととのう職場、自然体のキャリア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h2>石拾いが「商売」になる！？</h2>

<p>砂浜で友人家族とバーベキューをしていたら、子供がビーチグラスを拾う遊びを始めました。ビーチグラスとは、波に揉まれて曇りガラスのようになった、半透明のガラス片のことです。子供たちは、緑や透明や茶色の美しいビーチグラスを集めて楽しんでいました。</p>

<p>友人家族いわく、集めたビーチグラスはフリマアプリや水族館に売ることもできるそうです。海の近くに住んでいる子供たちは、ビーチグラスを拾って仕入れ0円でお小遣いが稼げるかもしれません。</p>

<p>ここで、「石拾い」をビジネスにされている方のことを思い出しました。青森のインバウンド事業で、11月の寒いときに海岸で石拾いをするツアーを販売されている方です。</p>

<p>聞くところによると、石拾いツアーの参加費はウン万円もするのに、ちゃんと応募が集まったそうです。どうやら青森では「津軽錦石」というレアな石が拾えるそうで、石マニアの方にとってはたまらないのだとか。石の世界は奥が深いですね。</p>

<p>こうして「石拾い」業界の一端を知るうちに、ふと、「石拾い」は商売の基本なのではないか、という考えが浮かびました。もしかすると僕も、すでに「石拾い」業界の人間なのかもしれない、と。</p>

<h2>「情報」だって石ころである</h2>

<p>僕は「石拾い」の本質を「価値がないとされているありきたりものから、価値を見出すこと」と定義しました。しかしその価値は人によって様々で、「無料でもいらない」という人もいれば、「ウン万円でも欲しい」という方もいらっしゃいます。つまり、価値を見出し、価値を感じる人のもとに届けることができれば商売になるのです。</p>

<p>では、現在における「ありきたりなもの」とは何でしょうか。例えば、そのひとつに「情報」があります。米IDCの調査によると2020年には1年間に流れる情報量が40ゼタバイトと予測されています。ゼタは10の21乗、1ゼタバイトは「世界中の砂浜の砂粒の数」といわれているので、膨大な量ですね。</p>

<p>私がBNLで書いている記事は、プールや美容師や石拾いなど、普段の何気ない暮らしにまつわる「情報」を集めて編集したものです。これはまさに「石拾い」的と言えるのではないでしょうか。</p>

<p>それに、私のメインの仕事である組織づくりにおいても、組織づくりにまつわる情報や、組織づくりで得られた事実を基に、構造化して、新しいクライアントパートナーに価値を提供しています。知識を扱うナレッジワーカーも、プロの石拾い、通称「石拾イスト」といえるのかもしれません。ないものねだりではなく、あるものを活かして「仕事」にしているのです。</p>

<p>僕は「石拾イスト」になってから、常におもしろい出来事や新しい発見がないかと意識をしながら暮らしています。何気ない日常をおもしろがれるか、そして言語化できるかが「石拾イスト」になれる鍵です。</p>

<p>これを読んでくださった方が、何気ない日常の中から、おもしろい「石」を拾えたら嬉しいなと思います。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>若者の「肩書き離れ」、中高年の「肩書き頼み」━━横石崇の「自己紹介2.1」Vol.1 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/12/yokoishi-Vol1.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9345</id>

    <published>2019-12-12T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-03-18T07:54:17Z</updated>

    <summary>アジア最大級の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」のオーガナイザーで、注目の本「自己紹介2.0」の著者でもある横石崇の新連載がスタート。本書では語りきれなかった「出会い」と「自己紹介」のこぼれ話から、自分らしく自由に生きるヒントを見つけよう。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="横石崇の「自己紹介2.1」" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h2>「肩書き離れ」の時代がやってきた</h2>

<p>いわゆる高度経済成長期以降、個人の「信用」は会社名や役職という「肩書き」で成り立っていました。サラリーマンの多くは、「肩書き」という称号をつかむために、いい大学に入って、いい会社に入社し、出世レースで必死に闘う。いい会社で高い給料をもらえば、社会から「信用」されて有利にローンも組め、立派な自邸を所有できる。それが、一族の誉れにもなった時代です。</p>

<p>しかし、いまや日本が誇った家族型経営の柱である「終身雇用制度」は終わりを告げられました。社会を支えていた「会社」という基盤は劣化が著しく（詳しくはこの連載で述べていきますが）、もはや会社名や役職などを追い求めない「肩書き離れ」した若者たちが新しい社会を築こうとしています。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2019/04/self-introduction-vol1.html/">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/20190315-132726__TY16937-1094final.jpg">
<div class="info"><strong>問われているのは役職ではなく存在理由。パーパスの時代における究極の自己紹介とは？</strong></div></a></div>

<p>そんな新世代が台頭する一方で、肩書きで苦しむ中高年が多くいます。つい先日も、とあるイベントで酸っぱい体験をしました。</p>

<p>「こんにちは。私は元◯◯（誰もが知る大手通信会社）の部長をやっていました山田と申します」と言って５０代に見える男性は名刺を差し出します。その名刺をよく見てみると、本物そっくりの名刺ではあるのですが、肩書きの部分が「元部長」という役職がついたパロディ名刺でした。</p>

<p>「な、なな、なんですか！ これは！？」　</p>

<p>初めてこんなパロディ名刺を見たので、尋ねてみました。当然ながらオフィシャルではないようです。55歳で役職定年をされたそうで、いま次なる道を探しているとのことでした。周囲にも似たようなパロディ名刺を持たれている方は結構いるようです。</p>

<p>長く勤めていた会社を辞め、いままでの立派な肩書を捨てて、新たに自分の未来を切り拓こうとする姿勢に共感しつつも、どうしても「元◯◯名刺」には哀愁が漂い、酸っぱさすら感じます。他人から「元◯◯」と呼ばれるのならまだしも、自分で「元◯◯」と語りきってしまうことに背徳感さえ感じてしまいました。</p>

<h2>過去は信用を築き、未来は信頼を築く</h2>

<p>もちろん、決して過去の実績や栄光を否定するわけではありません。過去は、「信用」を築いていく上では重要な評価軸です。しかし、自分を説明するときに「過去」だけに囚われてしてまっている人に、成長はあるのでしょうか。出会った相手は、その人と信頼関係をどう築いていけばいいのでしょうか。</p>

<p>「肩書き」を背負っていた「信用」の時代から、「未来」を背負っていく「信頼」の時代の幕が開こうとしています。過去に生きるのではなく、いまを生き、未来を語るにはどうすればいいのか。</p>

<p>次回から、新しい時代に世代を問わずもっとも必要とされる無形資産の「信頼」づくりにフォーカスをあてていきます。</p>

<p><img src="/uploads/minakata_katagaki1.jpg"></p>

<p>いまから約120年前に菌類学者・民俗学者の南方熊楠氏が残した金言です。</p>

<p>この連載は、熊楠が語ったように、肩書きがなくても「自分が何者なのか」を知ることで、新時代で自分らしく自由に生きていくための指南の書を目指します。</p>

<p>今日もあなたの自己紹介にトキメキがありますように☆　</p>

<p>ヴィヴィデヴァヴィディヴゥ！</p>

<hr />

<p><aside><strong>著書について</strong><small><strong><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4046043083/">『自己紹介2.0』（横石崇／KADOKAWA）</a></strong></small><p>自己紹介をアップデートせよ。「共創」や「越境力」が問われる時代。ひとつの会社や組織でしばられず、様々な分野の人々とつながり、新しい価値を生み出すことが求められています。では、どうやって「つながり」をつくっていけばよいのでしょうか。答えは、コミュニケーションの第一歩である「自己紹介」にあります。かつての「肩書き」「会社名」を武器に自分を見せる時代はもう終わりました。これからは「未来」「役割」を語れる人こそ、本物の「信頼」を勝ち取ることができるのです。いますぐ自己紹介をアップデートして、自分の仕事と人生を切り拓いていきましょう。<br>
<br>
本書は、3万人を熱狂させた働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」を主宰する著者が編み出した、新しい「自己紹介」のメソッドを紹介。誰でも簡単に自己紹介をアップデートできる「最強の型」を伝授します。</p></p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/11/BNLBooks-VOL23.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/bnl-books-visual_v2%203.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>要約：肩書きに頼るのはもうやめよう。相手の心を掴むのは、過去ではなく未来から語る『自己紹介2.0』</strong></div></a></div>

<div class="profile-box"><a class="open">執筆者・横石　崇のプロフィール</a>
<div class="hint">
<div class="profile">
<div style="background-image: url('/uploads/yokoishi_profile.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>横石　崇</strong>
<p>＆Co.代表取締役／「Tokyo Work Design Week」発起人・オーガナイザー</p>
<p>1978年、大阪市生まれ。多摩美術大学卒業。広告代理店、人材コンサルティング会社を経て、2016年に＆Co., Ltd.を設立。ブランド開発や組織開発をはじめ、テレビ局、新聞社、出版社などとメディアサービスを手がけるプロジェクトプロデューサー。主な仕事に、グーグル、ソニー、アドビ、ポーラ、東急電鉄、ワイアード日本版などとプロジェクト実施多数。また、「六本木未来大学」アフタークラス講師を務めるなど、年間100以上の講演やワークショップを行う。毎年11月に開催している、国内最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」では、6年間で、のべ３万人を動員した。鎌倉のコレクティブオフィス「北条SANCI」支配人。著書『これからの僕らの働き方』（早川書房）、『自己紹介2.0』（KADOKAWA）がある。
</p><a href="https://8card.net/p/yoktak">Eightプロフィールはこちら</a></div></div></div></div>
]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>「海の境界線が変わる」。解なき問題にサイエンスとデザインの双方からアプローチする、亀井潤の描く未来 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/12/jun-kamei.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9344</id>

    <published>2019-12-06T06:00:00Z</published>
    <updated>2020-03-02T06:42:05Z</updated>

    <summary>人間がエラ呼吸する時代が来るかもしれない......そんな未来を思い描くのが、ロンドンを拠点に活動する亀井潤だ。生態系と生物の仕組みに着想を得るバイオミメティクスを軸に、研究者とデザイナーという2つの視点から海洋問題にアプローチする亀井の現在地とこれから。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="テクノロジー" label="テクノロジー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>亀井潤</strong>
<p>バイオミメティクス・デザイナー。大阪府生まれ。2011年東日本大震災を受け、東北地方初のTEDxカンファレンス TEDxTohokuを共同設立。東北大学にて材料工学バイオミメティクスの分野で研究に務める。2015年にロイヤル・カレッジ・オブ・アートに留学後、RCA-IIS Tokyo Design Labに特任研究員として合流し、現在はDESIGN ACADEMYで講師を務める。2018年に、人工エラの基礎技術を開発し、海と人が共生する世界を目指して、英国にてAMPHIBIO LTDを起業。</p></aside></p>

<h2>自然に学び、テクノロジーに変換する「バイオミメティクス」</h2>

<p>生物の形態や構造、機能などから着想を得て、新たな技術や製品を開発する科学技術「バイオミメティクス」。生命が誕生し、進化を続けてきた38億年分のプロセスからヒントを得た製品は少なくない。</p>

<p>カギ状のトゲを持つオナモミから 着想を得たマジックテープや、カワセミのくちばしを参考にして設計された新幹線、鮫肌を表面に反映した競泳用水着など、自然は着想の宝庫とも言える。</p>

<p>亀井潤はバイオミメティクスに特化したサイエンティスト/デザイナー/起業家として、英ロンドンを拠点に活動している。彼は自らを「Biomimicry designer（バイオミミクリー・デザイナー）」と称する。科学者とデザイナー、両方のスキルを融合させた作品が彼の特徴だ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/237A9010.jpg">
<figcaption>ロンドンを拠点に活動する亀井潤。インタビューは一時帰国中のタイミングで行われた。</figcaption></figure></p>

<p>亀井は東北大学工学部でバイオミメティクスを学んだ後、イギリスのロイヤル・カレッジ・オブ・アート（以下、RCA）とインペリアル・カレッジ・ロンドンの共同運営による、イノベーション・デザイン・エンジニアリング学科に留学。RCAではエンジニアとデザイナー、2つのバックグラウンドを持つことは珍しくないという。</p>

<h2>研究者でありデザイナーでもある。複数の職能が推奨されるRCA</h2>

<p>「デザインと材料、デザインとブランディング、デザインと機械工学といったように複数の職能を持った人がRCAには多い。一つの物事に対して視点が増えるので、少数のチームだとしても、さまざまな観点で検証しやすいというメリットがあります。プロジェクトに対して今まで気づかなかったような指摘をもらうことも珍しくありません」</p>

<p>一つの専門領域を掘り下げるスペシャリストや、関わる領域を広く浅くカバーするゼネラリストとも違う職能だが、複数の視点を持つことのメリットは多いというのが亀井の考えだ。</p>

<p>たとえ今までに無かった革新的なテクノロジーを生み出したとしても、実社会に応用する先が無いと、世に出ることがなく終わってしまう。そうならないように研究者自身が社会の全体図をイメージしながら、自らの取組を客観的に捉え、時には自らユーザーの視点に立って考えられるようになるべきだという。そういった客観性を獲得するためにも、研究者とデザイナーという異なる視点をもつことは意義があると亀井は話す。</p>

<p>「その逆も然りで、デザイナーが白衣を着て検証するということも重要です。デザインが関わらない作業において、デザイナーは不要かと言えば、そんな事はありません。高い理想を掲げて、未知のプロダクトを生み出すためには、多くの技術が必要になる。スピードの早い時代において、一人が複数の視点・バックグラウンドを持つことは優位に働きます」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/DSC01995.jpg">
<figcaption>イギリスのロンドンにある国立美術大学ロイヤル・カレッジ・オブ・アート。修士号と博士号を授与する世界で唯一の美術系大学院。（写真提供：亀井潤）
</figcaption></figure></p>

<p>一つの技能を身につけたスペシャリストであっても、新たな技能を学ぶ最初の段階はビギナーだ。亀井もRCAに留学した当初は、Illustratorやphotoshopなど、デザイナーなら使えて当然のツールの使い方すらおぼつかなかったという。</p>

<p>「いま思えば、もっと学んでからRCAに来てもよかった」と当時を振り返って苦笑する亀井だが、直感を信じて飛び込むことも大事だと語る。</p>

<p>「純粋に化学が好きで東北大学に進み、バイオミメティクスを学んでいたけれど、研究しているものが必ずしも形にならないもどかしさを感じていました。そんな中で、デザインという全く異なるアプローチに興味が湧き、単純に『面白いな』と思って飛び込んだ。その直感を大事にしたかった」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/237A8990.jpg">
<figcaption>技術が好きで研究者の道を選んだ亀井にとって、2011年の東日本大震災はテクノロジーのあり方を根本から見直す大きなきっかけとなった。</figcaption></figure></p>

<p>元々、バイオミメティクスに関心を持ったきっかけは2011年の東日本大震災だったという。豊かな自然に囲まれた東北地方を一瞬で変えてしまった未曾有の大災害を目の当たりにした亀井は、自然と対立しない暮らし方とは何かを深く考えるようになった。</p>

<p>自然に学び、テクノロジーに変換するバイオミメティクス――それを社会に還元するには、自らのスキルを拡張し、研究の上流段階からデザインを意識することが重要だった。亀井には国内の化学メーカーに就職する選択肢もあったが、「就職はいつでもできる」と判断し、RCAの門を叩いたのだった。</p>

<h2>解は無くとも、課題を持つことから始まる</h2>

<p>現在、亀井が取り組んでいるのが海洋問題に関するプロジェクトだ。</p>

<p>太平洋でプラスチックごみが約70万平米キロメートルに渡って滞留している問題や、温暖化による海面上昇や生態系への影響など、近年さまざまな問題が海を中心に巻き起こっている。</p>

<p>米国の気候研究機関Climate Central（クライメート・セントラル）によれば、このまま海面上昇が進むと2050年にはベトナム南部メコンデルタ地方のほぼ全域とホーチミン市の大半が浸水する恐れがあると発表するなど、危機的な状況になりうることを予測する報道も年々加速している。</p>

<p>亀井がロンドンで創業した「AMPHIBIO LTD」は、海で身につけるものを通じて、社会課題にアプローチするプロダクトを開発している。</p>

<p>目下、注力している技術「Biomimetic Artificial Gill」は、水中の酸素を取り込み、二酸化炭素を排出して水中でも呼吸できるというもので、水中昆虫の呼吸メカニズムから着想を得たという。開発のきっかけは海洋汚染や温暖化である。「海の境界線が変わってきている」と亀井は捉え、変化を受け入れるための服を考案した。水面上昇により水中での生活を余儀なくされた人間のための服というコンセプトで開発をスタートさせた「AMPHIBIO Biomimetic Artificial Gill」は、現在スクーバダイバーやフリーダイバーの協力を得てプロダクト化に向けて取り組んでいる。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/jun_0103.jpg">
<figcaption>amphibious（水陸両用）から名づけられた、「AMPHIBIO Biomimetic Artificial Gill」はマスクと人工エラが一体となったスーツだ。特殊な多孔質疎水性材料を使うことで水中から酸素を取り込み、二酸化炭素を排出する。複雑な形状の造形には3Dプリンターを活用している。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Dive.jpg">
<figcaption>水没した未来は必ずしもディストピアとは限らない。水没した都市に人類が適応した未来では、日常的に人類は水中散歩を楽しんでいるかも知れない、亀井はそんな未来を思い描いている。
</figcaption></figure></p>

<p>「身につけるものと、海洋という2つの関心が交差するポイントにある」というAMPHIBIO LTDを通じて、個人の関心だけでなく、世界規模の課題となっている海洋汚染に対するソリューションにも取り組もうとしている。</p>

<p>ニュースでプラスチックごみや海面上昇の問題をテレビやインターネットで見ても、モニターの向こう側にある話で、自分自身の問題としてなかなか認識できないかもしれない。しかし、実際に大量のプラスチックごみが無人島に漂着しているのを目の当たりにすると、捉え方が一気に変わると亀井は語る。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/PAPUA_ISLAND2.jpg">
<figcaption>亀井が訪れたパプアニューギニアの無人島の美しいビーチにもプラスチックごみが漂着していた（写真提供：亀井潤）
</figcaption></figure></p>

<p>「プラスチックの最大の問題は、生産から消費、廃棄した後のサイクルが循環できていないこと。人工物は自然の循環サイクルに戻すことはできない。だからこそ、人間が廃棄までのサイクルに責任を保つ必要がある。たとえば、現在使用されているウェットスーツの素材は、ゴムと発泡させたスポンジの組み合わせで、何十年も変わっていない。人工的に作られた素材なので自然には還すことはできず、自然由来の素材に置き換えることも難しい 」</p>

<p>プラスチックを廃棄した後のサイクルを循環させる、その具体的な解決手法は完璧には描けていないかもしれない。しかし、高い理想を実現させるために「解は無くとも、課題を持つことが大事」だと亀井は未来を見据える。</p>

<h2>アイデアの源泉は情報の整理と、日々の体験から</h2>

<p>常にグローバルな視点を持ちながら、バイオミメティクスという切り口で解決方法を模索する亀井は、日々どのようにアイデアを研ぎ澄ませているのか。</p>

<p>生物の生態を模倣する技術であることから、自然から受けるインスピレーションは大きいが、人間の身体からも影響を受けるという。AMPHIBIO Biomimetic Artificial Gillの開発には素潜りやボンベを使った潜水、ウェットスーツを着ての競泳など、潜水する際に受ける身体感覚から着想を得た点も多い。</p>

<p>そうした非言語的な経路から着想と並行して、世界動向や論文のリサーチも欠かさない。</p>

<p>「世の中がどう動いていて、どのように考えられているのか、常にウォッチしています。気になるトピックは論文にも当たり、情報を常にストックしています」</p>

<p>ストックした情報は時間を置いて振り返ったり、過去と現在のデータと比較したり、時には図式やイメージに起こすなどして、俯瞰的に情報を把握しつづけることを絶やさない。そうすることで、アイデアの源泉となる情報に多面性を持たせているという。</p>

<p>研究者やデザイナーというよりはリサーチャーのような作業だが、先端的なプロダクトを生み出すにあたって、現状を常に把握し続け、その中から自分なりの未来に対する仮説を作ることが重要だと亀井は強調する。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Amphibio-Gateway2-06.jpg">
<figcaption>AMPHIBIOのコンセプトリサーチに利用した未来スコープ</figcaption></figure></p>

<p>そうした情報の蓄積を経て、「未来に対する仮説と自分の興味が重なる部分が海であり、そこで身につけるもの」だったことが、AMPHIBIOでの開発にもつながっているという。</p>

<h2>出自の異なる人々との関わりから得られるインスピレーション</h2>

<p>導き出した仮説を多様性のある環境で磨くことも重要だ。</p>

<p>活動の拠点としているRCAは美術大学院でありながら、最先端のデザイン手法に留まらずイノベーションの方法論についての研究も活発だ。学内にはスタートアップを育成するインキュベーション機能もあり、亀井のオフィスもRCA内のインキュベーション施設の中にある。</p>

<p>開発にはRCAの卒業生も関わっているが、チームで一体となって物事を実践的に進めるという志向が強く、亀井も大いに影響を受けたという。</p>

<p>「これはRCAに限らず、美大全般に言える特徴だと思いますが、自分とはぜんぜん違うことをやっている人が周りに山ほどいるのがいいところですね。お互いにやっていることを雑談することからも刺激が得られるし、自分の専門ではない分野でも工房や大学のテクニシャン（技術職員）に気軽に相談できます。自分と異なる人が周りにいるということが、モノを作る上で非常に重要だと感じます」</p>

<p>過去にはハッカソンに参加し、多様なバックグラウンドを持った人たちとの共同作業に勤しむこともあったという。亀井は自分とは異なる能力をもつ人々との関わりを重視し、自らのアイデアを磨き上げることを欠かさない。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/237A8976.jpg">
<figcaption>学内にテックベンチャー向けのインキュベーション施設を有しているのがRCAのユニークな特徴。亀井自身も多様性のある環境で存分に活用して研究開発を進めている。</figcaption></figure></p>

<p>しかし、それは進行中のプロジェクトにも当てはまる。AMPHIBIOではダイバーに対するヒアリングを欠かさないが、その調査にもデザイナーや技術者が関わるという。</p>

<p>「実現可能か未知数な状況で道筋を定めるべく調査して、その結果を振り返りながら開発の方向を議論することは非常に重要で、その際に複数の職能を持った人が関わることで、間違った方向に自分たちが進まないような抑制や、一人では気づかなかった発見があります」</p>

<h2>希少性の高い苦労を選ぶ方が楽しい</h2>

<p>研究者とデザイナーというバックグラウンドを持ち、バイオミミクリー・デザイナーという道を定めた亀井に、クリエイターとしての活動の判断基準を尋ねると、明確な回答が返ってきた。</p>

<p>「世の中の関心の逆を行くこと、周りが選ばないほうを選ぶことを心がけています。RCAに留学する際にも、日本で就職するという選択肢もありました。でも、就職はいつでもできるし、研究者から海外の美大に飛び込むほうが面白そうだし、今しかできないと思った」</p>

<p>研究テーマに海を選んだのも自身の指向に加え、多くの研究者が宇宙関連のテーマを選ぶ中で、世の中の関心とは逆方向を選ぶという発想からだという。</p>

<p>「日本ではなくイギリスに会社を作ったのも、周りにイギリスで起業する日本人がほとんどいなかったから。ダメだったら日本に戻ればいいし、その経験が糧になる。人と違う選択肢のほうが一見苦労するようにみえるけど、どういう選択をしても同じような苦労はついてまわる。それならば、より希少性の高い苦労を選んだほうが楽しい」</p>

<p>世の中の逆を進むということはリスクが高く、多くの苦労が待っているかもしれない。しかし、同じ苦労を背負うのであれば希少価値が高い方を選ぶ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/237A9000.jpg">
<figcaption>トライアスロンが趣味で、体を動かすことからもインスピレーションを得ることが多いと語る亀井</figcaption></figure></p>

<p>インタビューの終わりに、トンガの無人島にあるカルデラ湖で泳いだ体験を喜々として話してくれた。その表情からは、大多数でないところからアプローチを試みる亀井のクリエイターとしての本質が垣間見える。</p>

<p>「向こう岸まで泳ぎたくて、最初は湖の縁にそって泳いでいたけど、横断したほうが早いと思い、湖の真ん中に向かって泳ぎ始めてみたんです。そしたら、岸がかろうじて見える場所を一人で泳ぐのってやっぱり怖い。海底に火山があるけど大丈夫かなとか、変な生物はいないかなとか、足がつったらどうしようとか考え始めてしまう。でも、よく考えるとそんなことが起こる可能性はすごく低くて、単純に自分から恐怖の対象を生み出しているんですね。それからは、泳ぐという行為自体には変わりはないと自分に言い聞かせて、淡々と早くたどり着くルートを泳いでいました（笑）」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/TONGA_VOLCANO_LAKE.jpg">
<figcaption>2014年に起きた海底火山の噴火で２つの島がつながって誕生した、トンガの無人島（フンガトンガ・フンガハアパイ島）のカルデラ湖。（写真提供：亀井潤）
</figcaption></figure></p>

<p>自分なりの仮説を持ち続け、大多数ではないところからのアプローチが自身の活動の源泉だと亀井は断言する。クリエイティブなプロダクトを生み出すためには強い意志と、継続的な努力が重要であることが伺えた。 </p>
]]>
        
    </content>
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    <title>ボーナスが決まる仕組み、知っていますか？──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.14 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/12/habuchi-vol14.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9342</id>

    <published>2019-12-02T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-12-03T08:02:20Z</updated>

    <summary>給与についてみんなで「タイワ」をしてみよう。給与や評価の仕組みを知れば、もっと自然体で働けるようになるし、組織への理解も深まるはずだ。羽渕彰博の連載、第十四回。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ととのう職場、自然体のキャリア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h2>自分の給与がどのように決まっているかご存知ですか？</h2>

<p>ボーナスの季節になりました。会社員の方はどのくらい貰えるのかソワソワしますよね。ちなみに私は独立してからボーナスとは縁遠い生活をしているので、羨ましいなと横目で見ている今日この頃です。</p>

<p>組織づくりの仕事をしている関係上、他社の社員のボーナスをどのように配分すべきかを考える機会があります。いかに不満なく、納得してもらえるかが大事なことだと感じています。</p>

<p>組織づくりに携わる前は、「ボーナスは会社の業績と自分の成績に連動して支払われるもの」だと、なんとなく思っていました。しかし様々な企業の組織の制度に関わる中で、そもそもボーナスがない企業もあることや、配分や計算方法が企業によって異なることもわかってきました。もっと言うと、ボーナスだけでなく給与や賃金に対する考え方も、企業によって解釈や意味づけが異なります。</p>

<p>さて、ここで皆さんに質問です。自分の給与やボーナスはどのように決まっているかご存知でしょうか。もしご存知でなければ、どのようにすれば知ることができるのか。皆さんがこの記事を読み終える頃、少しそのヒントが見えていると嬉しいです。</p>

<h2>「仕事を頑張れば給与があがる」とは限らない</h2>

<p>私は前職で営業をしていて、たまたま運も重なってMVPを取った経験がありました。売り上げ目標の1.5倍の成果を出しましたが、給与が1.5倍になったかというと、なりませんでした。私が以前にいた職場では、業績と給与は必ずしも連動しているわけではなかったのです。</p>

<p>一方で、ある外資系の生命保険会社の営業職では、自分の業績と給与が連動しています。いわゆる成果主義ですね。係数は企業によって異なりますが、自分が頑張れば頑張るほど給与は上がっていくわけです。もちろん自分の業績が低ければ、その分給与も下がってしまいます。</p>

<p>他にも基本給とボーナスを「一律同額」にしている企業もあれば、サイコロで給与が決まる企業もあります。給与やボーナスに対する考え方に「正解」はなく、組織の給与に対する価値観によってバラバラです。</p>

<p>ここで大事なのは、自分がいま所属している組織が、「給与」をどのような価値観で設計しているかに目を向けることです。給与を上げたいからといって、仕事をがむしゃらに頑張ったとしても、ルール次第では全く上がらない可能性もあるからです。</p>

<h2>報酬の定義について、みんなで「タイワ」しよう</h2>

<p>とはいえ、給与がどのようにすれば上がるのか、どういう仕組みになっているのかを経営陣や人事に聞くのは憚られると思います。「お前はお金に目ざとい人間だ」と思われるのも嫌ですよね。</p>

<p>そこでオススメしたいのは、個人的にコソコソ聞きに行くのではなく、みんなでオープンに「タイワ」することです。ここでの「タイワ」とは、相手の発言にある背景や価値観を含めて受け入れ、自分の背景や価値観を含めて相手に伝えて、双方が納得する解を見出すコミュニケーション手法のことを指します。一方的に自分の主張を相手に伝えるのではなく、企業側がなぜそのような仕組みにしているのかを伺いましょう。</p>

<p>問いはいくつかありますが、例えば「給与は何に対する対価なのか」とか「みんなの報酬も増えるためには何を指標にするべきか」など、考えてみるのも良いと思います。仕組みを知ることで、「売り上げを上げないと評価してくれないと思っていたけど、実は直接的に成果にはつながらないプロセスや取り組みも評価してくれている」ということがわかったりします。すると、お互いの期待値がととのい、自然体ではたらけるようになっていきます。</p>

<p>しっかり考えている経営者は、給与の定義について考えていますし、なぜいまのような仕組みになっているかを説明できます。給与について質問することは、悪いことではありません。むしろ社員自らが会社目線で給与の分配について考えてくれることは、嬉しいことだと思います。経営者が独りで考えた制度を導入し、社員から不満を言われるような結果になれば、きっと寂しいでしょう。</p>

<p>逆に、組織づくりをさせてもらっている立場の人間から言うと、給与の仕組みを開示してくれない組織や、パッと答えられない組織は、ハッキリ言って怪しいです（笑）。自分たちの組織がどういう組織なのか、一度「タイワ」をして考えてみませんか？</p>

<div class="profile-box"><a class="open">執筆者・羽渕彰博のプロフィール</a>
<div class="hint">
<div class="profile">
<div style="background-image: url('/uploads/fixed_habuchi-profile.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>羽渕彰博</strong>
<p>株式会社オムスビ代表取締役CEO</p>
<p>1986年大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事しつつ、アイデアを短時間で具現化する「アイデアソン・ハッカソン」のファシリテーターとしても活躍。2016年4月に独立し、リレーションシップデザインを軸とする株式会社オムスビを設立し、組織変革したい企業様向けの組織コンサルティングサービス「reborn」を提供している。</p><a href="https://8card.net/p/39752398032">Eightプロフィールはこちら</a></div></div></div></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="2030001113721"></div>
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    </content>
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    <title>「Sure」でいいの？　状況に応じて使い分けたい「承知しました」のフレーズ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/11/English-VOL8.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9343</id>

    <published>2019-11-29T06:00:00Z</published>
    <updated>2019-12-19T06:29:05Z</updated>

    <summary>ビジネス上で、返事をするときによく使う「承知しました」。英語では、どんなフレーズを使えばいいのだろう。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="ひとこと英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="英会話" label="英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>こんにちは、ルーク・タニクリフです。皆さんは、「承知しました」と英語で返事をすることがあったら、どんな言葉を使いますか？</p>

<p>日本では、相手の立場に合わせて「了解」や「承知しました」という使い分けをしますが、英語ではそのような使い分けはしません。その時の相手や状況に合わせてフレーズが変わります。今回は、３つの状況で使い分ける「承知しました」のフレーズをご紹介します。</p>

<div class="hint-box">
<a class="open">ルーク・タニクリフのプロフィール</a>
<div class="hint">1982年イギリス生まれ。イギリス人の父とアメリカ人の母を持つ。13歳までイギリスで暮らし、その後アメリカのノースカロライナ州の高校に転校、イギリス英語とアメリカ英語の違いを経験。米ウェズリアン大学を卒業後、雑誌編集者／記者の仕事を経て、2005年、JETプログラムで来日。新潟の中学校で２年間英語教師をつとめ、その間に日本語を学ぶ。2008年に再来日。英会話講師とビジネス翻訳の仕事をしつつ、東京大学大学院にて翻訳論を学ぶ。2010年に開設したブログ「英語 with Luke」は、初心者から上級者までレベルを問わず楽しめる記事で人気を博し、月間150万PVを記録する人気サイトとなった。
</div></div>

<p><br> </p>

<h2>１.カジュアルに返事をするとき</h2>

<p>日本語で、同僚や後輩などに対してよく使う、「了解」という言葉。辞書で調べると、understood, noted, will do というフレーズが出てきます。これらは確かに「了解」という意味ですが、実は、日常生活で使うとぶっきらぼうに聞こえてしまうのです。相手に不快な印象を与えてしまうかもしれません。</p>

<p>「了解」を英語で表す場合は、みなさんに馴染みのある Okay. All right. Sure. Got it. が適切です。</p>

<p><img src="/uploads/English-VOL801.png"></p>

<p>くだけた英語では、all rightは、alright と書くこともあります。厳密に言えば、これは正しくないスペルなので気をつけましょう。</p>

<p><img src="/uploads/English-VOL802.png">
<img src="/uploads/English-VOL803.png">
<img src="/uploads/English-VOL804.png"></p>

<p>これらのフレーズはカジュアルな印象を与えるので、ビジネスの正式な場で使う英語ではありません。ビジネス上では、状況を考えて使うと良いでしょう。</p>

<p><br> </p>

<h2>２.丁寧に返事をしたいとき</h2>

<p>「了解しました」を丁寧に表したい場合、自分のやる気や熱意を見せるフレーズを使います。この場合、「喜んでやります」を意味する I would be happy to.  や「もちろんできる」を意味する Of course I can.  というフレーズが良いです。</p>

<p><img src="/uploads/English-VOL805.png">
<img src="/uploads/English-VOL806.png"></p>

<p>　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　</p>

<h2>３.依頼を受けたとき</h2>

<p>依頼を受けたときに、「全く迷惑ではないですよ」ということを丁寧な言葉で表すのもマナーです。この場合、「問題ございません」を意味する That won't be a problem. が良いでしょう。</p>

<p><img src="/uploads/English-VOL807.png"></p>

<p>No problem. も使えますが、これは少しくだけた表現です。</p>

<p><img src="/uploads/English-VOL808.png"></p>

<p>「承知しました」をYes だけで表す場合もあります。しかし、Yes だけを使うと、素っ気なく聞こえてしまいがちです。「もちろん」を意味する of course や「直ちに」を意味する right away をつけると少し丁寧な印象になります。</p>

<p><img src="/uploads/English-VOL809.png">
<img src="/uploads/English-VOL810.png"></p>

<p>YesやNo の後に、人の名前や sir,ma'am をつけるケースもあります。</p>

<p><img src="/uploads/English-VOL811.png"></p>

<p>ちなみに、Yes. Of course. Understood. Sure. は相槌としても使えます。日本人はよく相槌を打ちますが、英語ではそれほど重要ではありません。日本語で相槌を打つのと同じ感覚で Yes. Of course. Understood. Sure. を使わなくても、コミュニケーションは問題なく取れるでしょう。</p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>肩書きに頼るのはもうやめよう。相手の心を掴むのは、過去ではなく未来から語る『自己紹介2.0』 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/11/BNLBooks-VOL23.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9341</id>

    <published>2019-11-25T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-11-25T09:54:46Z</updated>

    <summary>はじめて出会った相手の心を掴めるか否かは「どう自分を語れるか」にかかっている。組織の時代から個の時代へと変化しているいま、肩書きではなく、自分の存在理由や描いている未来を語ることが、人生を切り拓く出発点になるという。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>横石 崇</strong>
<small>&amp;Co.代表取締役 「Tokyo Work Design Week」発起人・オーガナイザー</small><p>
1978年、大阪市生まれ。多摩美術大学卒業。広告代理店、人材コンサルティング会社を経て、2016年に&amp;Co.,Ltd.(アンドコー)を設立。ブランド開発や組織開発をはじめ、テレビ局、新聞社、出版社などとのメディアサービスを手がけるプロジェクトプロデューサー。主に、グーグル、ソニー、アドビ、ポーラ、東急電鉄、ワイアード日本版などとのプロジェクト実施多数。また、「六本木未来大学」アフタークラス講師を務めるなど、年間100以上の講演やワークショップを行う。毎年11月に開催している、国内最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」では、6年間で、のべ3万人を動員した。鎌倉のコレクティブオフィス「北条SANCI」支配人。編著書に『これからの僕らの働き方』(早川書房)がある。</p>

<p></p></aside></p>

<h2>誰にでも、語れる未来がある━━BNL編集部の選定理由</h2>

<p>たとえ組織に属していても、一人ひとりが信念や目的意識を持つことが求められる時代。人と人との関わり合いも、いままで以上に重要になるだろう。</p>

<p>だからこそ時代の流れに合わせて自己紹介をアップデートする必要がある、というのが、著者の横石崇の考え方だ。肩書きではなく、存在理由や未来を語る。そうして相手に期待感を抱かせ、信頼してもらう。これからの時代を生き抜くための、
新しい自己紹介だ。</p>

<p>しかしここで疑問が浮かぶ。相手に期待をしてもらえるような未来を、誰もが語れるのか、と。</p>

<p>2019年3月に開催されたカンファレンス「Sansan Innovation Project 2019」で、横石が登壇したセッション「自己紹介のイノベーション」のイベントレポートに、以下のような内容がある。</p>

<blockquote>
  <blockquote>
  <p>そもそも人はなぜ自己紹介をするのか。古今東西さまざまな自己紹介の実例と文献に当たったという横石が出した結論は「自分が平凡だから」。非凡な人はわざわざ自分を紹介しなくてもすでに十分に知られている。だから自己紹介をする必要があるのは凡人だけ。だがここに一つのジレンマが生じる。平凡な自分を紹介したところで何にもならないという矛盾だ。</p>

<p>BNL「問われているのは役職ではなく存在理由。パーパスの時代における究極の自己紹介とは？」より抜粋</p>
</blockquote>

<p></blockquote></p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2019/04/self-introduction-vol1.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="/uploads/20190315-132726__TY16937-1094final.jpg">
<div class="info"><strong>問われているのは役職ではなく存在理由。パーパスの時代における究極の自己紹介とは？
</strong></div></a></div>

<p>このジレンマを解消するのが「自己紹介2.0」だ。相手に期待してもらえるような未来は、自分の内側と向き合って「存在意義や目的は何か」を明確にすることができれば、どんな人でも語れるようになるという。</p>

<p>つまり「自己紹介2.0」は、すべてのビジネスパーソンが対象なのだ。そして本書には、「自分とは何者か」を探る方法が詰まっている。</p>

<p>自己紹介は、人生やキャリアをより豊かにするための自作のツールと言える。積極的に外に出て、知らない文化に触れ、初めて出会う人に自分の存在意義や目的を語ってみよう。その出会いから、思いもよらなかった新しい価値が生まれるかもしれない。</p>

<p><strong>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4046043083/">こちら</a>。（Amazon）</strong></p>

<hr />

<h2>要約者のレビュー</h2>

<p>「自己紹介」のハウツー本かと思って手に取ると、良い意味で予想を裏切られるのが本書だ。いまの時代に必要とされる「自己紹介」とは何かを問い、自分の生き方について考えるよう、読者を駆り立てていくのだ。</p>

<p>会社組織が疲弊しているいま、もはや「1つの企業、1つの人生」という時代は終わった。社会の変化のスピードは年々速くなっており、企業や職業の寿命が人の寿命よりも短くなっている。働く個人一人ひとりが自分のキャリアを考えなければならない。こうした社会では、コミュニティや業種、分野などを「越境」することが、新しい価値を創造するカギとなる。越境において重要なのは、人と人をつなぐツール、「自己紹介」だというのが著者の考えだ。</p>

<p>著者は、自己紹介のあり方そのものを問い直し、時代に合わせたアップデートが必要だと呼びかける。バージョンアップした「自己紹介2.0」では、肩書きや経歴はさほど重要ではない。なぜなら肩書きや経歴は「過去」のものだからだ。それよりも、自分が提供できる価値である「未来」を語るほうが、相手からの信頼を得ることにつながる。</p>

<p>自分がどんな目的意識のもとに、社会への貢献をめざしているのか? 「自己紹介2.0」では、こうした点まで自問し、自己の内面を深く掘り下げていくことが重要となる。その際、本書のワークシートが大いに役立つだろう。自己紹介をアップデートし、より豊かなつながりを育てたい方にうってつけの一冊だ。</p>

<hr />

<h2>本書の要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> <br />
時代は「組織」から「個」の時代へと変わりつつある。「人と人とのつながり」の価値が重視されるいま、「個」と「個」をつなぐツールである自己紹介もアップデートしなければならない。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong> <br />
自己紹介は自分を覚えてもらう場ではない。相手との信頼関係を築く場である。信頼を得るためには「期待」のマネジメントが重要だ。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong> <br />
「自己紹介2.0」では、肩書きや経歴など「過去」をベースにした一方的な自分語りはしない。かわりに、自分が提供できる価値を提示して相手との「未来」を語る、対話型の自己紹介をめざしていく。</p>

<hr />

<h2>要約</h2>

<h2>【必読ポイント!】 なぜいま「自己紹介」なのか?</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/16909085476_e679d94707_c.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/koisny/16909085476/">"Shadow"</a> by Koisny(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h4>組織の時代から個の時代へ</h4>

<p>世の中は「組織の時代」から「個の時代」へと変わりつつある。「個の時代」とは、フリーランスになることや起業することを必ずしも薦めるものではない。会社組織に属していても、一人ひとりが信念や目的意識を持って仕事をしなければならない社会になるということだ。</p>

<p>戦後の高度経済成長期を支えた終身雇用や年功序列といったシステムは、制度疲労を起こし始めている。生涯で1つの仕事、1つの会社という時代は終わりつつある。一方、テクノロジーの発展により、ソーシャルメディアやクラウドファンディングなど、個人と個人をつなぐ基盤ができている。そして、個人単位で活躍する場が広まり、会社組織中心から個人中心へと、社会は大きく変化しているのだ。</p>

<p>しかし、個人中心の社会でも、人は組織やコミュニティなしでは生きていけない。複数のコミュニティを行き来しながら、個と個がつながっていく。そのつながりから新しい価値が創出されていくだろう。そこで、個と個をつなげるツールとして、「自己紹介」を見直す必要がある。</p>

<h4>「役職から役割へ」</h4>

<p>組織構造には、ピラミッド型とプロジェクト型の2種類がある。ピラミッド型は社長をはじめとするトップが君臨し、細かくヒエラルキーを形成する組織だ。旧来型の組織ともいえるだろう。一方、プロジェクト型は、管理する人間を最小限に抑え、必要に応じてスタッフを外部から呼び込んで編成する組織だ。プロジェクトが完了すると、チームも解散となる。プロジェクトに応じて、それぞれの道のプロフェッショナルを招集するのだ。</p>

<p>昨今では、プロジェクト型組織が注目されており、「役職」よりも「役割」が重視されるようになっている。社長や部長といった役職ではなく、自分に何ができるかという役割を意識し、チームで仕事をするようになるからだ。自己紹介もそれに合わせて、「役職」ではなく「役割」を軸にしなければならない。</p>

<p>また、世界の最先端企業では経営戦略の主軸は、「プロフィット（利益）」から「パーパス（目的）」へと変化している。「パーパス」は、顧客、従業員、外部パートナーやその家族など、その企業に関わるすべての人が共有できる唯一の価値を指す。金銭的な報酬だけでなく、「会社は何のために存在するのか」「なぜこの会社で働くのか」が重要となる。それゆえ、あらゆる企業が、社会全体に貢献する目的意識を持ち、発信しなければならない。</p>

<p>個人にとっても、「自らの目的」がこれまで以上に問われるようになる。自己紹介を考えることは、自分だけのパーパスを見つける一歩となるだろう。</p>

<h4>人と人とのつながりをつくる自己紹介</h4>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/4175199668_503ba73321_c.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/danielcoy/4175199668/">"conversation"</a> by Daniel(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>今後は人生100年時代を迎える。人生を「教育」「仕事」「老後」の3つの段階で考えた場合、必然的に「仕事」の期間が長くなる。会社や職種自体が先に寿命を迎えるケースも増えるだろう。すると、個々人が様々な職業を経験し、複数のキャリアを持つ可能性が高くなる。</p>

<p>こうしたマルチキャリアの時代では、人の職業や職種といった肩書きが1つに固定されることは減っていく。自己紹介においても、世界の変化に応じて自分自身を流動的に変化させ、いくつもの肩書きや職業を使い分けることが求められるだろう。</p>

<p>さらに、これからは「越境する力」が求められる。それぞれの専門領域が固着化している現在、新しい価値を創造するには2つ以上の領域に精通し、領域を横断しなければならない。</p>

<p>人生100年時代では、「人的資本」、つまり「人と人とのつながり」が中心になる。そこで最も必要になるのは「信頼」である。個人の能力や人としてのあり方によってつながるネットワークが財産となる。そのネットワークを広げるためには、自己紹介のアップデートが欠かせない。</p>

<hr />

<h2>自己紹介の目的は「覚えてもらうこと」ではない</h2>

<h4>最大の目的は「信頼」を得ること</h4>

<p>自己紹介で重要なのは「覚えてもらうこと」ではない。最大の目的は「良好な信頼関係を築くこと」である。すなわち、初めて会う相手から「信頼」を得ることなのだ。「信頼」は、相手の今後に期待できるという、未来へ向かうベクトルである。</p>

<p>自己紹介で信頼を築くために重要なのは、「期待のマネジメント」である。「期待」とは、良い結果や状態を、前向きに待つ感情のことだ。初めて何かを試すときには必ず「期待」がある。よって、新しく会った人と関係を築くには、「期待」というポジティブな感情の創出が必要なのだ。</p>

<p>通常の自己紹介では、自分の「過去」に基づいて自分を「記憶」してもらうことに注力してしまう。しかし、必要なのは自分と相手の「未来」を見据えて、自分に「期待」してもらうことだ。そのうえで、相手の気持ちを適正な状態にコントロールしなければならない。</p>

<h4>期待をマネジメントするための秘策</h4>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/2803510721_32835f99fe_c.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/savaughan/2803510721/">"jungle Jim"</a> by SeRVe Photography(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>自己紹介をするとき、ただ役職や職業を伝えるだけでは、相手は興味をもたないだろう。ポイントは、相手に心地よいノイズ、すなわち興味をそそる違和感を与えることだ。</p>

<p>例えば、「キャリアコンサルタントをしています」というよりも、「ジャングルジム型のキャリアづくりを応援する仕事をしています」というほうが、話の広がりが生まれる。自分の価値を抽象化して別のものに見立てたり、たとえたりして意味付けをしてみよう。すると、相手の心に引っかかりをつくりやすくなる。こちらが一方的に話すよりも、相手が思わず質問したくなるように促し、対話型の自己紹介をめざすのが望ましい。</p>

<p>また、良い人間関係には「良い貸し借り」がある。人間関係とは恩の貸し借りで成り立つ面がある。自己紹介でも、ちょっとした貸し借りがあるほうが、関係を続けやすい。</p>

<p>例えば、SNSでつながる、自分の実績を見てもらう、企画のアドバイスをもらうなど、小さなことでいい。相手にしかできないことをお願いすると、信頼を少しずつ築けるだろう。</p>

<hr />

<h2>自己紹介の最強の型</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/8193368751_002fed1ab0_c.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/dielis/8193368751/">"Jos Dielis"</a> by Ball in green(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h4>過去ではなく未来から語る</h4>

<p>自己紹介には最強の「型」がある。口下手でも、自分の個性を突き止めて「型」に当てはめていけば、オリジナルの自己紹介をつくることができる。</p>

<p>最強の型とは、「未来→過去→現在」の順に語ることだ。まずは、相手との「未来」の中で自分が「提供できる価値」を明らかにする。次に、いままでの実績や経験といった「過去」によって、提供できる価値の裏づけをする。そして結びでは、普段どんな貢献を自分がしているかという「現在」の内容で締めくくる。その先の展開へと続くような、相手との言葉のキャッチボールが生まれる表現を使うとよい。</p>

<p>もう1つのポイントは、名詞ではなく、動詞で語ることだ。一方的な自己紹介では、役職や肩書きなど、名詞が中心になりがちだ。これに対し、未来を語る自己紹介では、「何ができるか」という動詞が主役となる。「どんな未来をつくりたいのか」「それはなぜなのか」「めざす未来に向かうためには何をすればいいのか」。こうした問いについて考えを深めていく。そのうえで、自己紹介のなかで動詞を多く使うようにすれば、より相手の興味を引く自己紹介となるはずだ。</p>

<hr />

<h2>個の越境</h2>

<h4>個の越境がイノベーションを生む</h4>

<p>今後は、一人ひとりが自分自身のキャリアパスを描き、生存戦略を立てることが必要になる。そこでキーワードとなるのが「個の越境」だ。</p>

<p>社会には多くの境界線が存在する。地位や階層、部門や部署、会社の内外、性別や人種、年齢や学歴、場所や文化などである。境界は分断された文化をつくり、世代間論争や縦割り構造、パワハラ、セクハラなどの社会問題を生み出してきた。</p>

<p>日本人は旧来、1つの狭い領域を深く突き詰めていくことを得意としてきた。その中で生み出された価値もたしかに存在する。しかし、現代では、他の領域と連携せずに自己完結すると孤立してしまう。新しい価値創造、イノベーションは、既存の知識や資源の新しい組み合わせ、人と人の結合から生まれる。よって、イノベーションの原点は、個人が越境し、組織に多様性をもたらすことだといえる。</p>

<h4>何をやるかよりも誰とやるか</h4>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/5442311420_28108a7781_c.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/al-mohanna/5442311420/">"Jump"</a> by Hamad AL-Mohannna(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>考え方が似ている仲間同士で仕事をするのは心地よい。しかし、それは危機感を持つべき状況だ。多様性がない心地よい環境下では、新たな結合や新たな価値は生まれない。新たな価値は、異なった背景を持つ文化同士を越境するところから生まれるのだ。</p>

<p>越境は摩擦やストレスを伴う。しかし、それを恐れてはいけない。未知なる世界へ飛び込む勇気が必要だ。自己紹介はその勇気を支えてくれる。どんな環境であっても相手を信じて心を開き、未来を語る。相手の語る未来と交わるところに、必ず新しい機会や成果が生まれる。それは予定調和からは生まれることのないものだ。ワークショップに行ったり、異業種の人と話したり、新しい本や映画、食べ物に挑戦することも、小さな越境である。こうした経験を重ねることが「越境力」を上げてくれる。</p>

<p>また、「何を」やるのかよりも、「誰と」やるのかを意識することも重要だ。「誰と」「なぜ」やるかを主体にすることで、その人の独自性が生まれやすくなる。「何をやるか」よりも「誰とやるか」が問われる時代だからこそ、自己紹介で未来を語ることがますます重要となるのだ。</p>

<hr />

<h2>一読のすすめ</h2>

<p>本書は、自己紹介のハウツー本とは一線を画している。現代社会における自己紹介とは何かを考え、丁寧に自己分析をすることで自分自身の価値や働く目的を突き詰めていくのが、本書ならではの魅力である。本書には自己分析のための書きこみ式のワークシートも収録されている。腰を据えて自分を見つめ直したい人は、ぜひこちらのワークに挑戦し、自己紹介のアップデートに役立てていただきたい。</p>

<p>（1冊10分で読める本の要約サービス <a href="https://www.flierinc.com/">flier</a>）</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/07/BNLBooks-VOL22.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/7d8b968e2dec3a6df81fc0569c9a7bc0a4451728.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>要約『THE VISION』：いいビジョンは、いつの間にか「周りの人の夢」になっている</strong></div></a></div>
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    <title>ドラクエで説明する「型」と「ルール」の違い──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.13 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/11/habuchi-vol13.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9340</id>

    <published>2019-11-19T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-11-19T07:33:21Z</updated>

    <summary>「型にハマる」ことは、規定に従うこととは違う。「型」は、状況に合わせて使い分けられる、成功の法則のようなものだから。羽渕彰博の連載、第十三回。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ととのう職場、自然体のキャリア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h2>ドラクエで「型」と「ルール」の違いを説明したい</h2>

<p>VOL.8で「型にハマる」という話をしたところ、「型に縛られたくない」という感想をいただきました。いろいろな考え方がありますし、私も「型」にハメることを強要はしていないのでご安心ください。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2019/06/habuchi-VOL8.html/">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/vol81094.jpg">
<div class="info"><strong>センスを疑え。型にハマれ──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.8</strong></div></a></div>

<p>ただ「型」という言葉の意味について、具体的に定義するべきだったと思っています。「型」を使ったことがない（あるいは使っていることを認識していない）人にとっては、「型」は概念的でわかりにくいものです。</p>

<p>それに僕は、細かく行動を規定されることが苦手なので起業をしているのですが、もし規定された行動が「型」に含まれるのなら、僕も「型」にハマりたくない人間です。</p>

<p>そこで例えとして、RPGゲームで有名な「ドラゴンクエスト（以下ドラクエ）」を用いて説明します。より言葉の定義を明確にするために、「ルール」という言葉と対比させて考えてみましょう。</p>

<h2>「ルール」とはゲームの世界そのもの</h2>

<p>まずはルールから。ルールは守らないとゲームが成立しない、決まり事のことです。例えばドラクエでは、壁に当たったら先には行けないというルールがあります。もし壁に当たったのに、関係なく進むことができたら、ゲームは成立しません。</p>

<p>他にも、王様からお姫様を助けるミッションを与えられたのに、もしスライムがお姫様を助けてしまったらどうでしょうか。なんでやねん！ ってなりますよね（笑）。自分が主人公だったはずなのに、ただモンスター狩りをするのが趣味の人になってしまいます。</p>

<p>このようにゲームには前提となるルールがあります。そのルールがゲームの世界そのものを規定していると言っても過言ではないでしょう。現実の世界でも、法律というルールのほかに、企業には企業ごとに独自のルールがあります。組織をつくるとは、独自のルールをどのように設計するかに他なりません。</p>

<p>それでは「型」は、ドラクエでいうと何にあたるのでしょうか。</p>

<h2>「型」はドラクエでいう「じゅもん」</h2>

<p>「型」とは、世の中の成功事例を抽象した法則のことです。その法則を使うことが成果につながります。たとえば映画のシナリオには、「神話の法則（ヒーローズジャーニー）」という法則があり、その法則をうまく活用することによって、いろんな映画が生まれています。</p>

<p>ドラクエで例えるならば、「じゅもん」だなと思いました。「じゅもん」を使うことによって、HPをあげることができたり、一瞬で城に戻れたりと、いろいろなことができるようになります。</p>

<p>「じゅもん」は使わなければいけないものではありません。HPをあげることは「やくそう」でもできるし、自力で城に戻ってもかまいません。</p>

<p>「型」も同じように、働く中で、使いたくなかったら使わなくてもいいのです。このような定義であれば、「縛られる」という感覚から少し解放されるのではないでしょうか。</p>

<p>以上がドラクエで説明する「型」と「ルール」の違いです。「型」は強要されるものではないので、状況によって使い分けられると良いですね。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/03/naraclub-nakagawa.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/IMG_8840.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>関連記事：伝統工芸からサッカー界へ。中川政七の「学びの型」で、クラブと選手はどう変われるか</strong></div></a></div>
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    </content>
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<entry>
    <title>先読みしたコミュニケーションで「特別な体験」を顧客に提供。いま企業が取り組むべきパーソナライズのあり方とは？ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/11/eight-business-solution-forum01.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9339</id>

    <published>2019-11-15T06:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:27:32Z</updated>

    <summary>デジタル領域のマーケティング活動で重要視される「パーソナライズ」。しかし、企業が施策として導入するときには必ず障壁が存在する。10月9日に開催された「Eight Business Solution Forum」は、いま企業が取り組むべきパーソナライズについて改めて考える2時間となった。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="イベント" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>去る10月9日、Sansan株式会社のイベントスペースで初開催された「Eight Business Solution Forum」は、識者が実践によって得た「気づき」をシェアすることでビジネスにおける課題解決へのヒントを探るトークセッションだ。</p>

<p>今回、設定したテーマは「Personalized Experience」。登壇したのは、1年前より「Adobe Target」（ターゲティングによる表示の最適化、レコメンド機能を持つアドビ社の製品）を活用したパーソナライズに取り組む株式会社ジェーシービー・マーケティング部の大串昌博と、近年のデジタルマーケティングを牽引するアドビ システムズ 株式会社・プロダクトエバンジェリストの安西敬介。</p>

<p>デジタル領域におけるマーケティング活動として無視できないキーワードである「パーソナライズ」について、それぞれの視点からその手法のみならず、パーソナライズによる効果、AIなどの活用事例について語られた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/191009_0009.jpg">
<figcaption>Sansan株式会社のイベントスペース「Garden」で初開催された「Eight Business Solution Forum」。デジタルトランスフォーメーションやデジタルマーケティングに関心のある、企業のマーケティング担当者などが集まった。</figcaption></figure></p>

<p>ファシリテーターを務めたのはBNL編集長・瀬尾陽。「顧客にどのようなメッセージを発信し、どのようなコンテンツを提供するのか。本質はその"企業らしさ"を届けるための施策、つまりパーソナライズはブランディングに近い活動だと感じています。テクノロジーとアイデア、そして"らしさ"の掛け合わせが顧客にとっての〈特別な体験〉を生み出す鍵かもしれない」と語った。</p>

<h2>マスではなくセグメント化したコミュニケーションへの転換</h2>

<p>Session1では、「クレジットカード事業における顧客体験管理」と題し、大串が最初の講師を務めた。</p>

<p>株式会社ジェーシービーは日本で生まれた唯一の国際カードブランドとして、加盟店事業、カード事業、ブランド事業、プロセシング事業という主に4つの事業を展開する。今回話題の中心となったのは、JCBカードの発行拡大を図るカード事業におけるパーソナライズの施策と効果について。「新規カード入会申込」と「カード利用促進」という2つのKPIにおいて、それぞれどんな施策を行っているのか。</p>

<p>「新規カード申込は、お客様の情報がないため、アノニマス（匿名）の訪問者をパーソナライズするのが難しい。その課題をどうすればクリアできるかと考え、昨年から取り組みを始めています」と大串は切り出した。</p>

<p><figure>
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<figcaption>大串昌博</br>株式会社ジェーシービー マーケティング部 マーケティング戦略室。Sierからネット系ベンチャー企業を経て2006年にジェーシービーに入社。入社後はポイントモール立ち上げ・SNS開設などを手掛ける。またOki Dokiポイントの運営など従来型のマーケティングも経験。現在はマーケティング中長期戦略策定に携わる。
</figcaption></figure></p>

<p>「従来は新規顧客と既存顧客の出し分けのみを実施していましたが、会社視点での売りたい商品の訴求のみを行ってきたため、離脱者が目立つという実情がありました。旅行好きの人には航空系の提携カードを配信したほうが圧倒的に訴求力はあるのに、そこまで握れていなかったのです」</p>

<p>そこで、従来活用していた解析ツール「Adobe Analytics」に加え、現在「Adobe Target」も活用したパーソナライズを実践している。「Adobe Analytics」で顧客を把握し、「Adobe Target」によるウェブサイトでのコミュニケーションをすることで、セグメントによる出し分けの実践を行う。ちなみにサイトの閲覧履歴が全くない人に対しては自動最適化による配信を行い、この部分にAIとマシンラーニングが顧客ニーズを予測する「Adobe Sensei」を活用した自動パーソナライゼーション機能を10月から適用。「今後、何か面白い結果が出るのでは」と大串はみている。</p>

<p>パーソナライズのメインどころともいえる「カード利用促進」における、顧客とのコミュニケーションについては、各部署がKPI達成のために行う企業視点のコンテンツを提供するのではなく、顧客ときちんとコミュニケーションを取るためのルールづけを議題に掲げ、1年前から実践している。それは従来のようなターゲティングなしのマスアプローチではない。例えば利用金額帯やカードの保有年数、利用業種割合など、最大50ほどのセグメントに顧客を分類し、それぞれに訴求すべきサービスや機能を洗い出す。年間を通じたサービスの提案を行うコミュニケーション方針に切り替えたという。</p>

<p>「お客様を理解するという意味でペルソナを設定するのはもちろん、設定したら誰に、何を、いつ、どんな風にコミュニケーションするのかを具体的にします。その定義をした上でカスタマージャーニーマップを作成し、年間コミュニケーション計画に基づいてPDCAを回していくようにしました」</p>

<p>さらには、初期会員向けに入会のお礼やポイントの仕組みなどシナリオを区切ってメールをオンボードでセグメントし、カードの利用があった顧客にはカード利用者向けのフォローを、利用がなかった顧客に対しては違った角度から利用を促すアプローチをした。その結果、お礼メールの開封率が70%、会員専用サイトへのログイン率が43%アップしたという。</p>

<p><figure>
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<figcaption>年間コミュニケーション計画に従って実績を積み上げていくことが重要だと語る大串。部門横断型の施策となるために、これまでの営業手法とパーソナライズの両輪で考えていくことで、社内にカルチャーとして浸透させていったという。
</figcaption></figure></p>

<p>「従来のメール施策対象者と今回実施したシナリオ対象者で、エンゲージメントの差異を比較したところ、キャンペーン登録率と入会後半年のカード利用額がともに10%、アプリのログイン率が15%上がりました。このように、きちんとセグメントしてオンボードでシナリオを組み、お客様とコミュニケーションをとれば、自然とコンバーションは上がります。当然といえば当然ですが、実際に結果が出たことで一気に舵を切り、社内を説得しながら進めているところです」</p>

<h2>顧客に「特別な体験」を提供するために企業が考えるべきポイント</h2>

<p>Session2では、「最高の顧客体験を届けるためのパーソナライズドコミュニケーション」をテーマに安西が講師を務めた。</p>

<p>安西はまずパーソナライズによる効果を提示することで、参加者の興味を引きつけた。『ハーバード・ビジネス・レビュー』に掲載された情報によると、パーソナライズがヒットした場合、獲得コストを50%削減、売上が15%向上、マーケティングによる支出効率を最大30%向上させることができるという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/191009_0104.jpg">
<figcaption>安西敬介</br>アドビ システムズ 株式会社 アドビカスタマーソリューションズ統括本部 プロダクトエバンジェリスト。2001年から国内大手航空会社にてウェブ解析やデジタルマーケティングを担当後、2008年にオムニチュア入社。2009年、アドビのオムニチュア買収によりアドビシステムズへ。エンドユーザーとしての経験を生かし、解析・パーソナライゼーション・デジタルマーケティングCoEなどのコンサルティングを実施。2017年3月よりプロダクトエバンジェリストを務める。
</figcaption></figure> </p>

<p>安西によるとパーソナライズでやるべきことは2つ。「関係性の高いコンテンツの提示」と「効率性を向上させる」ことだ。これらをうまく組み合わせていくことが鍵だという。</p>

<p>「正しい人（Right Person）に、正しいタイミング（Right Timing）で、正しいコンテンツ（Right Contents）を、正しいチャネル（Right Channel）で提供することを、僕らは"4R"と呼んでいます。この4R実現のためにはお客様のコンテクストやニーズを知り、正しいオファーを提供していく必要がありますが、皆さんがビジネスの視点でパーソナライズをしていく時には、何を考えていけばいいのでしょうか」</p>

<p>ここから安西は、企業が行うべきパーソナライズの実現に向けた4つの要素を展開した。</p>

<p>1つ目が「顧客データの利用」。データを統合・活用できるようにすることで顧客のコンテクストを理解し、最適なコミュニケーションにつなげていくのだが、「顧客属性」「登録された関心事」「ウェブの閲覧状況」「キャンペーンの反応」というカテゴリの中で、顧客属性に基づいたパーソナライズの比重が最も高い。しかし安西は、「属性よりも顧客の行動で出し分けた方が効果的かつ簡単」だと指摘する。つまり、「ウェブの閲覧行動」をパーソナライズに取り入れない手はない。</p>

<p>2つ目は「最適なコンテンツ」。PC、スマートフォン、アプリ、IoTといった多様なデバイスに合わせて適切なコンテンツを提供するためには、どれにおいてもきちんとパーソナライズできる環境をつくる必要がある。そこでアドビシステムズが力を入れるのがアプリだ。「Adobe Target」を利用することでアプリ内でのパーソナライズが可能になり、アプリ修正の際も、アプリストアへの申請という時間のかかる作業を省くことができるため、素早いPDCAの実現につながる。</p>

<p>3つ目が「最適な体験の提供」。ある一定のルールをベースにしたセグメントの場合、それまでの知見がベースになるためバイアスがかかってしまうケースがあるが、「今後はこうした部分を〈Adobe Sensei〉のテクノロジーを使って支えていきたい」と安西は言う。「Adobe Sensei」を使ったパーソナライズを実施した際に何が効果的であったかをレポーティングすることで、パーソナライズに重要な属性情報を知ることが可能に。</p>

<p>4つ目は、「パーソナライズの検証」。セグメントを細分化していけばパーソナライズの効果は出るが、その分運用コストも嵩むため、パーソナライズの効果を可視化して運用とのバランスを考える必要がある。パーソナライズを行った場合と行っていない場合でABテストを行い、3ヵ月や1年続けた場合に売上がいくらになるか。こうした効果検証をしていくことが大事なポイントとなる。</p>

<p><figure>
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<figcaption>
「最適な相手に（Right Person）、最適なタイミングで（Right Timing）、最適な内容を（Right Content）、最適なチャネルで（Right Channel）」の4つ「R」から、企業が行うべきパーソナライズの実現について説明した。
</figcaption></figure></p>

<div class="link-box"><a href="https://www.adobe.com/jp/experience-cloud/use-cases/personalized-experience.html" target="_blank">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/a.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>一人ひとりの体験を最適に「Adobe Experience Cloud」</strong></div></a></div>

<h2>パーソナライズの現状とこれからのあり方</h2>

<p>大串、安西、BNL瀬尾の3者によるパネルディスカッションでは、まず「パーソナライズに取り組む時の障壁や課題、またそれをクリアしていく時のヒントは？」という瀬尾の問いに、両者は次のように答えた。</p>

<p>「部署ごとにKPIをもっているので、顧客とのコミュニケーションを変えていくにあたり社内を説得するのが一番の課題でした。ただ結果が出れば賛同する部署も出てきたので、時間はかかりますが、地道に成果を見せることで理解してくれる仲間を増やしていくしかないなと」（大串）</p>

<p><figure>
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<figcaption>やはり「社内の説得が一番の課題」と語る大串。「小さく実績を積んでいき、それを関係者が理解できるように可視化していくことも社内調整のテクニック」。
</figcaption></figure></p>

<p>「まさに、社内の説得が全て。その上で成功事例をなるべく金額に紐づける。例えばABテストをした場合、このくらいの積み上げで、金額に換算するとこのくらい、というのをきちんと社内に見せていくことが重要かと思います」（安西）</p>

<p>また、「パーソナライズ＝個人情報を取得していると問題視された場合に、どう社内で説明されていますか？」との瀬尾からの質問に大串は、「嘘をつかないし騙さない。素直にこういう形でやっていると伝えることが一番重要と感じます。法令にかかるのでテクニカルに誤魔化そうとすると後々大変です。ただ、今後どのように法令が変わってくるか読みきれないので、難しい部分ではありますね」</p>

<p>安西は国内外の法令の違いついてこう言った。「一番厳しい法令がGDPR（EU一般データ保護規則）なので、これに準拠するのが一つのポイントかと思います。現在個人情報に最も厳しいのがEU、比較的緩いのがUS、その中間が日本。一番厳しい法令の内容を理解しておくと、日本での許容範囲を整理しやすくなります」</p>

<p><figure>
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<figcaption>Session1とSession2の内容をさらに深掘りしていく。パーソナライズを実践する企業側の視点と、それをサポートしていく側の視点、それぞれが感じる課題感と、「パーソナライズの未来」の展望について語られた。
</figcaption></figure></p>

<p>「Adobe Sensei」を利用した機能の導入を開始した大串から、安西にAIを使ったパーソナライズを社内に浸透させる具体的な方法について問いかけた。</p>

<p>「まず、Adobe SenseiのAIはいくつかフォーカスしている部分があります。その一つとして見えない何かを見つけ出すことにフォーカスしています。これは先ほどのバイアスの話もそうですし、分析する際もこれまでに人が気付かなかったインサイトを〈Adobe Sensei〉に見つけてもらう。例えば操作に1週間かかるものを分析してもらえば、マーケターの作業効率がアップします。ただ私が関わっているお客様ですと、これまで積み上げてきたパーソナライズがあった上で、次のステップとして〈Adobe Sensei〉を使ったパーソナライズを考えられるケースが多いですね」と安西。</p>

<p>最後は瀬尾から両者に「パーソナライズの未来」についての問いがあった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/191009_0236.jpg">
<figcaption>Sansan株式会社 Eight事業部 BNL編集長 瀬尾陽
</figcaption></figure></p>

<p>「パーソナライズの取り組みを始めて1年足らずですが、1年タームでPDCAを回すという施策を2〜3年続けてみて、継続できればこの取り組みは成功だと思うんです。まずは今の取り組みを継続できるよう社内に根付かせるのが近い将来においてのパーソナライズの目標です」（大串）</p>

<p>「いまは顧客のその場の行動に基づいてパーソナライズするのが現状ですが、それが予測型というか、少し先読みしてコミュニケーションできるようになると思います。それからフィジカルなデジタルデータもとれるようになってきているので、オンラインでのコミュニケーションを垣根なくパーソナライズできるようになるかなと。さらには"お客様の体験"を考えた時、例えば航空会社だと飛行機に付随する宿泊や観光情報までを含めたカスタマージャーニーを描いた上で、どうコミュニケーションできるかが肝になってきます。自社だけでなく他社と一緒にパーソナライズ体験をつくることが技術的に可能になってきているので、今後はもう一つのステージとして広がっていくのではないでしょうか」（安西）</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/191009_0040.jpg">
<figcaption>各登壇者のセッションでは、来場者がメモだけでなくスライドを撮影する姿が多く見られた。
</figcaption></figure></p>

<p>会場では、来場者がパネルトークに真剣に耳を傾ける一方で、時にPCやノートに熱心にメモを取る姿が印象的だった。これからパーソナライズを実施したいと考える企業の担当者にとって、大きなヒントが得られる機会になったのではないだろうか。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>英語で電話をかけてみよう！ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/11/English-VOL7.html" />
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    <published>2019-11-11T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-11-29T07:09:50Z</updated>

    <summary>前回の「英語で電話を受けるとき」に続き、今回は「英語で電話をかけるとき」のフレーズを紹介する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="ひとこと英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="英会話" label="英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>ビジネスでは、電話よりメールをコミュニケーションツールとして利用している人も多いようですが、急いでいるときなど、電話で素早く連絡をとりたいこともありますね。</p>

<p>今回は、英語で電話をかけるときに使うフレーズを見てみましょう。</p>

<p>電話は対面で話すときよりも、聞き取りにくいと感じるかもしれません。慣れるまでは、電話をかける前にノートとペンを準備して、話しながら書き取るのもおすすめです。</p>

<div class="hint-box">
<a class="open">ルーク・タニクリフのプロフィール</a>
<div class="hint">1982年イギリス生まれ。イギリス人の父とアメリカ人の母を持つ。13歳までイギリスで暮らし、その後アメリカのノースカロライナ州の高校に転校、イギリス英語とアメリカ英語の違いを経験。米ウェズリアン大学を卒業後、雑誌編集者／記者の仕事を経て、2005年、JETプログラムで来日。新潟の中学校で２年間英語教師をつとめ、その間に日本語を学ぶ。2008年に再来日。英会話講師とビジネス翻訳の仕事をしつつ、東京大学大学院にて翻訳論を学ぶ。2010年に開設したブログ「英語 with Luke」は、初心者から上級者までレベルを問わず楽しめる記事で人気を博し、月間150万PVを記録する人気サイトとなった。
</div></div>

<h2>最初の挨拶</h2>

<p>日本語で電話をかけるときは、名乗る前に「お世話になっております」と言うことが多いですが、英語では「お世話になっております」や「お疲れさまです」などを意味する言葉は特に使いません。Hello.の後、自分の名前と会社名を伝えます。これは電話に出るときと同様で、This is + 名前 + 自分の会社名を使いましょう。</p>

<p><img src="/uploads/english_edit_re1.jpg"></p>

<h2>用件を伝える</h2>

<p>How can I help you？と聞かれたら、名乗った後に用件を伝えましょう。I am calling about ＋ 用件 . を使います。</p>

<p><img src="/uploads/english_edit_re2.jpg"></p>

<h2>取り次ぎを頼む</h2>

<p>用件を頼む前に担当者につないでもらう場合もありますね。そのようなときは、Is + 名前 + there? という英語を使います。</p>

<p><img src="/uploads/english_edit_re3.jpg"></p>

<p>より丁寧な英語が使いたい場合はMay I speak to + 名前 ? が良いでしょう。</p>

<p><img src="/uploads/english_edit_re4.jpg"></p>

<p>担当者につないでもらう際、保留になることがあります。保留になる前に、前回紹介した、Could you please hold?と聞かれるはずです。その場合は、Of course. や Certainly.  Yes. などと答えると良いでしょう。</p>

<h2>話をしたい相手が不在の場合</h2>

<p>話したい相手が不在の場合は、どのような英語が良いでしょうか？</p>

<p>Tell her to call me back. というフレーズをときどき聞きますが、少し失礼な印象を与えてしまうかもしれません。かけ直してもらいたいときは、質問の形を使うと丁寧です。</p>

<p><img src="/uploads/english_edit_re5.jpg"></p>

<p><img src="/uploads/english_edit_re6.jpg"></p>

<p>担当者に緊急の連絡をしたい場合、以下のフレーズが役立ちます。</p>

<p><img src="/uploads/english_edit_re7.jpg"></p>

<p><img src="/uploads/english_edit_re8.jpg"></p>

<h2>メールを送ったことを伝える</h2>

<p>相手とメールではうまくコミュニケーションがとれない場合や、メールの内容について話したい場合、電話でのコミュニケーションが必要です。</p>

<p>例えば、先週メールを送ったけれど返事がない場合。</p>

<p><img src="/uploads/english_edit_re9.jpg"></p>

<p>この場合、ネイティブはfollow upという動詞もよく使います。follow upは引き続き調べるという意味ですが、follow up on my emailは「メールに続き、電話をする」という意味になります。</p>

<p><img src="/uploads/english_edit_re10.jpg"></p>

<p>メールに関する伝言を残したい場合は、以下の英語が使えます。</p>

<p><img src="/uploads/english_edit_re11.jpg"></p>

<p>最後に、よく電話をかける会社がある場合。同じ相手と何回も話すことがあったら、small talk（雑談）も取り入れると良いでしょう。</p>

<p>電話やメールでよくやりとりをする人だと、How are you?   How are things going? 「元気ですか？」などと聞くと、丁寧な印象を与えます。また、It's good to hear from you. 「またあなたに連絡ができて嬉しいです。」という挨拶もおすすめです。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>企業と行政、そして個を「シェア」でつなぐ。石山アンジュが見据える「日本型シェアリングエコノミー」のカタチ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/11/anju-ishiyama.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9338</id>

    <published>2019-11-08T04:55:00Z</published>
    <updated>2020-02-25T10:52:25Z</updated>

    <summary>「この3年間は準備期間だった」、そう語るのは内閣官房シェアリングエコノミー伝道師の石山アンジュだ。今年で4回目を迎える「SHARE SUMMIT 2019」では、その先を見据える「シェアリングエコノミーの未来」について語られることになりそうだ。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>石山アンジュ</strong>
<p>1989年生まれ。「シェア（共有）」の概念に親しみながら育つ。2012年国際基督教大学（ICU）卒。新卒で（株）リクルート入社、その後（株）クラウドワークス経営企画室を経て現職。 シェアリングエコノミーを通じた新しいライフスタイルを提案する活動を行うほか、政府と民間のパイプ役として規制緩和や政策推進にも従事。総務省地域情報化アドバイザー、厚生労働省「シェアリングエコノミーが雇用・労働に与える影響に関する研究会」構成委員、経済産業省「シェアリングエコノミーにおける経済活動の統計調査による把握に関する研究会」委員なども務める。2018年米国メディア「Shareable」にて世界のスーパーシェアラー日本代表に選出。ほか NewsPicks「WEEKLY OCHIAI」レギュラーMC、拡張家族Cift メンバーなど、幅広く活動。著書『シェアライフ-新しい社会の新しい生き方』（クロスメディア・パブリッシング）」がある。</p></aside></p>

<p>「所有」から「利用」へ。そんな言葉が耳目を集めるようになって久しい。実際に私たちの身の回りには、AirbnbやUberなどの世界的な企業をはじめ、日本国内ではメルカリなど、「シェアリングエコノミー」を前提としたサービスがこの数年で広く普及した。</p>

<p>一般社団法人シェアリングエコノミー協会と株式会社情報通信総合研究所が、共同で実施した「シェアリングエコノミー市場調査 2018年版」によると、2018年度のシェアリングエコノミー経済規模が過去最高となる1兆8,874億円を超えたことや、2030年度には11兆1,275億円と、約6倍の予測になることが分かっている。また、政府が定める「未来投資戦略」では3年連続重点施策として位置づけられていることからも、シェアリングエコノミーが注目を集めていることがわかるだろう。</p>

<p>シェアリングエコノミーへの期待感が醸成されてきたタイミングで、国内最⼤のシェアリングエコノミーの祭典「SHARE SUMMIT 2019（以下、シェアサミット）」も次の段階へ向かおうとしている。シェアサミットでは、共創と共助による新しい経済・社会「Co-Economy」を実現し、日本が直面する多くの課題を解決していくことを掲げている。過去3回は新しい産業として生まれてきたシェアリングサービスの可能性について議論することが主な目的で、言わば「啓蒙」のための期間だった。今回は、様々なセクターの登壇者と共に、大企業のシェアサービス参入事例や、シェア事業者との連携・取り組みなどの話を元に、これからの経済のあり方を考えていくものになる。</p>

<p>このシェアサミットを主催する、シェアリングエコノミー協会で事務局長を務める石山アンジュは、内閣官房シェアリングエコノミー伝道師として、シェアリングエコノミーを通じたライフスタイルのメディア発信だけでなく、ベンチャー企業と政府の官民パイプ役として、法律の規制緩和や政策推進などに従事してきた。</p>

<p>「シェアリングエコノミーはイノベーションの社会実装である一方、人と人とのつながりを取り戻していくマインドセットでもある」と石山は語る。シェアサミット開催を間近に控えた10月末に、石山アンジュが見据える、これからのシェアリングエコノミーの可能性について聞いた。</p>

<h2>自然と育まれた「シェア」という価値観</h2>

<p><strong>──石山さんの中で、「シェア」という価値観はどのように育まれていったのでしょうか？</strong></p>

<p>もともと父が二世帯住宅の1階でシェアハウスを運営していたんです。私は一人っ子なのですが、このような環境のもと、さまざまな人たちとのつながりの中で育ってきたので、血縁に限らず、周囲の人たちと色々なものをシェアしていくことで、より豊かで幸せな人生が送れるのではないかと漠然と思っていました。また、2011年に東日本大震災が起き、企業が提供するサービスがストップした時に、個人の弱さを痛感したことも大きな経験になりました。</p>

<p>社会人になってからは東京で一人暮らしを始めたのですが、隣に誰が住んでいるのかわからない状況がとても不安で孤独を感じるようになったり、企業に所属して働く中で、個人の幸せよりも組織の論理が優先されてしまう社会の構造に違和感を抱くようになったんですね。こうした経験の中で、個人が自由な意思のもとで色々なことを選択していける社会をつくるためにはどうすれば良いのか。そうしたことを考え始めるようになった頃にちょうど『シェア  &lt;共有>からビジネスを生みだす新戦略』（NHK出版）が出版され、自分が漠然と考えていたことが肯定された感覚がありました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/191028_BNL 0068.jpg">
<figcaption>海外のシェアサービスを使ううちに、「シェア」の可能性をより実感するようになっていった。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──シェアリングエコノミーという新しいビジネスのあり方が注目され始めていた頃ですね。</strong></p>

<p>はい。その頃から、私も海外に行く度に「Uber」や「Airbnb」などのサービスを利用するようになったのですが、例えばAirbnbに宿泊した際にホストと一緒にお酒を飲んだり、SNS上でつながって、帰国後彼らが日本に来る時は家に泊めてあげるということが起こるようになりました。こうしたシェアを通して生まれる新しいつながりを日本にも広めていきたいと思うようになりました。</p>

<p><strong>──その頃から比べると、日本でも「シェア」という考えや「シェアリングエコノミー」はだいぶ浸透してきていますが、その間に石山さんはどんな活動をされてきたのですか？</strong></p>

<p>海外のシェアリングサービスが日本に進出するためには、ビジネス環境の整備や利用者の保護などをしていく団体が必要だということになり、私もその立ち上げに関わりました。それがシェアリングエコノミー協会です。一方、人口減少によって、公共のサービスやインフラの維持が難しくなっていく中で、これらの課題がシェアリングサービスによって解決できるのではないか？という議論が活発になり、数年前からシェアリングエコノミーは国策としても推進されるようになりました。それを受けて、私は「シェアリングエコノミー伝道師」の任命を受け、各自治体などに向けてシェアリングエコノミー導入推進のサポートもしています。</p>

<p><strong>──シェアリングエコノミーを推進していくためには、法律面などの規制緩和も必要になりますね。</strong></p>

<p>そうですね。いわゆる業法と言われる法律は、企業が守るべきルールを定めたもので、近年誕生しているCtoC（個人間取引）のシェアサービスの対象は、そもそも企業ではなく個人なので、これまでの業法を参考にすることが難しいんです。一般的なルールづくりでは、リスクを排除していくことが基本ですが、責任の主体が企業ではなく個人にあるシェアリングエコノミーサービスにおいて、新しいルールをゼロベースでつくる必要があるので、大きな挑戦でもあります。</p>

<h2>シェア消費から始めてみる</h2>

<p><strong>──日常の暮らしの中で、「シェア」に関する活動への参加の仕方がわからないと感じている人もいるはずです。そういう人が最初の一歩踏み出すためにはどうすれば良いのでしょう？</strong></p>

<p>何もない状態から人とつながり、シェアを実践していくのはハードルが高いと感じる人もいると思いますが、そういう人でも、消費からシェアを始めることは比較的しやすいはずです。宿に泊まるとか、車を借りるという消費行動を、シェアサービスに切り替えてみることから始めてみるのはどうでしょうか。例えば、メルカリなどもシェア消費のひとつですが、いまでは多くの人たちが気軽に使っていますし、最近ではモノの売買だけではなく、メッセージのやり取りなども一緒にされることが多く、これはシェア消費から始まった新しい体験ですよね。</p>

<p>家族がバラバラで暮らし、町内会の加入率が下がり、フリーランスで働く人が増えるなど、時代の変化とともに地縁、血縁、所属組織というかつての人との接点が少なくなっています。そんな中、シェア消費から生まれる人のつながりというのは、社会的にも求められていると思っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/191028_BNL 0176.jpg">
<figcaption>宿に泊まるとか、車を借りる、まずはそうした消費行動を「シェア」に切り替えてみる。そこから人との新しいつながりの可能性が生まれる。</figcaption></figure> </p>

<p><strong>──一人ひとりがシェアの体験を積み重ねていくことで、新しいつながりが生まれるということですね。</strong></p>

<p>もともと日本には、調味料の貸し借りをするようなご近所のコミュニティや人間関係があったのに、都市化が進むことでいまでは隣に誰が住んでいるのかもわからないような状況になっていますよね。だけど今の時代、何のラベルも貼られていないお醤油を隣の家から渡されたら、きっと身構えてしまう人が多いと思うんです。かつてはそんなことが普通に行われていたはずなのに、どんなメーカーで、安全基準をしっかり満たしているのかという、第三者が定めた指標を信じるような世の中になっています。本来、人とのつながりや信頼というのは相手に依存するものではなく、「自分自身が世の中をどう受け止めているのか？」という前提にある価値観に左右されるものだと思うんです。</p>

<p><strong>──かつてあったような、ゆるやかな信頼関係が失われてしまったのはなぜだと思いますか？</strong></p>

<p>資本主義というのは、もともとはみんなの共有物だったものに境界線を引いて所有者を決め、そこから生まれる競争の原理によって経済を発展させてきたという歴史があります。そして、製品やサービスを提供する企業の影響力が大きくなり、人口が都市に集中していく中で、相手の顔がどんどん見えなくなり、社会に不安を抱くようになったのだと思います。私はいま東京と大分の2拠点生活をしているのですが、どちらも周りにいる人たちの顔が見えているから「お互いさま」の意識が働くし、地域の治安も守られているように感じます。</p>

<p>今年フィジーに行って、ホームステイさせてもらったのですが、フィジーにはもともとシェアの文化が根づいていて、所有という概念がないんです。そういう文化を肌で感じ、最後にお世話になったそこのお父さんに「信頼とは何か？」と投げかけたら、「信頼とは自分を信じることだから、他人を疑うという概念がない」と言われたんです。ここまでいくと悟りレベルですが（笑）、シェアを前提とした信頼があるからこそ、フィジーは世界幸福度ランキングで何度もトップになっているんだなと感じました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/191028_BNL 0228.jpg">
<figcaption>人が直接見える関係性があることで「お互い様」の意識が働く。そこに自分の責任やリテラシーが生まれるからこそ、地域やコミュニティが健全に形成されるのではないか。</figcaption></figure> </p>

<h2>幸せな未来をつないでいくために</h2>

<p><strong>──「シェア」は、国連が定めた「SDGs（持続可能な開発目標）」と紐づけて語られることも多いですが、この目標に示されている2030年まで約10年です。石山さんは、より良い未来を実現するにはどんな視点を持つことが大切だと思いますか？</strong></p>

<p>例えば、近年空き家の活用は大きなテーマになっていますよね。持続可能な未来を実現するためには、こうした遊休資産に新たな価値を与えていく。社会全体を俯瞰した時に足りていないものを補っていくような視点を持つことが、ビジネスにおいても、暮らしにおいても重要だと感じます。</p>

<p><strong>──11月11日に開催される「SHARE SUMMIT 2019」も、そうした未来について考える一日になりそうですね。</strong></p>

<p>シェアサミットは今年で4回目を迎えますが、過去3年間は新しい産業として生まれてきたシェアリングサービスの可能性について議論することが主な目的でした。その間に、消費傾向が「所有」から「利用」へと変わり、SDGsをはじめとした、持続可能なあり方が求められるようになり、日本を支えてきた大企業もシェアリングエコノミー市場に参入してくるような状況になりました。そうした中で迎える、今回のシェアサミットのテーマは「Co-Economy」。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_SHARE-SUMMIT-2019_20190620.jpg">
<figcaption>過去最大規模で開催となる「SHARE SUMMIT 2019」。様々なセクターの登壇者と共に、大企業のシェアサービス参入事例や、シェア事業者との連携・取り組みなどの話を元に、これからの経済のあり方を考えていく。</br>
<a href="https://sharesummit2019.com/" target="_blank">https://sharesummit2019.com/</a></figcaption></figure> </p>

<p>欧米では、テック企業が既存のビジネスや市場を崩壊させるようなことも少なくないですが、それに対して日本では新旧の企業、行政、個人が手を取り合って日本型のシェアリングエコノミーの形を考え、社会のさまざまな課題を解決できる産業をつくっていこうというのが、「Co-Economy」の考え方です。そのため、今回は各セッションのスピーカーに、企業、行政、個人などそれぞれのセクターに入ってもらうようにしています。</p>

<p><strong>──来場者には、どんなことを持ち帰ってほしいですか？</strong></p>

<p>今回は、各セクターのアセットや責任を持ち寄り、日本社会の未来について議論するだけでなく、「これから一緒にこういうことをしていこう」という宣言する場にしたいと考えています。オーディエンスの方たちには、未来に向けたさまざまなコラボレーションのスタートを見届けていただきたいですし、シェアを通じて日本の未来を考えていくためのヒントを持ち帰ってもらえたら良いですね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/191028_BNL 0007.jpg">
<figcaption>各セクターのキーマンが集まって、「Co-Economy」の未来が語られる機会はいままでなかった。そういう意味では、集大成的な形となる今回のシェアサミットは未来に向けたスタート地点となるだろう。</figcaption></figure> </p>

<p>シェアリングエコノミーは、消費としての手段だけではありません。「シェア」という思想や価値観は、日本の未来にとって重要かつ、今後それらをどうとらえていくのかということが、私たちの幸せにもつながっていくはずだと信じています。</p>

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    </content>
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    <title>職業はなんだっていいんじゃないか？──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.12 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/11/habuchi-vol12.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9336</id>

    <published>2019-11-06T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-11-07T02:10:11Z</updated>

    <summary>職業をスキルとタイプに分解して考えてみよう。自分のタイプを活かせたら、どんな職業でも楽しく働けるかもしれない。羽渕彰博の連載、第十二回。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="ととのう職場、自然体のキャリア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h2>同じ職業でも、さまざまなタイプの人がいる</h2>

<p>キャリア支援の業界では、自分がどのような職業に向いているかを提案してくれる適職診断サービスがあります。いくつかの質問に答えると、「あなたのタイプは〇〇タイプで、〇〇や〇〇のような職業に向いています」と提案してくれるものです。私も試しにある適職診断サービスを受けたところ、「仕事内容」重視タイプで、科学者や建築家が向いているという結果が出ました。</p>

<p>確かにタイプによって向いている職業はあるでしょう。しかし私は、10分カットでお馴染みのQBハウス京急新逗子店で、髪を切ってくださっている美容師さんを眺めていて、ふと思いました。「自分のタイプを活かせるのなら、職業はなんだっていいんじゃないだろうか」と。なぜなら、同じ職業でも、さまざまなタイプの人がいるからです。</p>

<p>実際、私は数々の美容師さんに髪をカットしてもらってきましたが、タイプは見事にバラバラでした。それもそのはずで、厚生労働省が出している平成29年度衛生行政報告によると、日本に美容師さんは52万3543人もいらっしゃるそうです。全員が同じ価値観や性格だったら逆に恐ろしいですよね。</p>

<h2>あなたがもし美容師さんだったら</h2>

<p>日本にはいま、美容室が24万7578店店舗あると言われています。これはコンビニエンスストアの店舗数5万6374店と比べると約4倍です。（経済産業省・平成29年商業動態統計調べ）</p>

<p>コンビニエンストアは、セブン-イレブンとファミリーマートとローソンの上位3社がシェア90％以上を独占していますが、美容室は一人か少人数で店舗を運営しているケースがほとんどです。</p>

<p>つまり美容師は、価値観や性格など、その人のタイプを活かしやすい職業だということです。もしあなたが一人前のスキルを持った美容師さんだったら、どのような美容室にしますか？</p>

<p>例えばあなたが仲間と一緒に仕事をすることに価値を感じるタイプであれば、気の合う仲間と美容室を始めるでしょう。自分の好きなスタイルにこだわりたいタイプなら、専門店を開いていいかもしれません。ちなみに原宿にはリーゼント専門店があるみたいです。</p>

<p>僕は新しい仕組みを考えることが好きなタイプなので、美容室にサブスクリプション型のビジネスモデルを導入したいです。既存顧客と長く付き合っていくために、年間契約の定額制にします。</p>

<h2>職業＝スキル×タイプとして捉えて考える</h2>

<p>そもそも職業とは一体何なのでしょうか。一旦、職業をスキルとタイプに要素分解して考えてみます。あなたが重要視しているのは、スキルの方でしょうか、それともタイプの方でしょうか。</p>

<p>先ほどの「あなたが美容師さんだったら」の例えでは、スキルを固定化し、タイプを自由に変動させて考えてみました。自分のやりたいことができるような気がしませんか？</p>

<p>私が組織づくりを一緒に取り組んでいる企業の中には、やむを得ず家業を継いだ経営者の方もいらっしゃいます。それでも自分のタイプに合わせて組織づくりをしながら、事業を成長させていらっしゃいます。この事例もまたスキルは固定で、タイプが活かされている好事例と言えます。</p>

<p>スキルは、そのときの環境や需要供給バランスによって求められるものが変わります。なりたい職業があっても、自分の意思や努力だけではどうしようもできないときもあります。絶対になりたい職業があるのもステキだと思いますが、一方でその職業に就けなかったときに落胆される方もいるかもしれません。</p>

<p>もし周りでなりたい職業につけなくて落胆されている方がいたら、この記事をシェアいただければ幸いです。どのような職業になっても、自分のタイプを活かしてやっていけば楽しく働けるかもしれませんよ！</p>
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    <title>フランスで酒蔵設立を発表したWAKAZEは、世界でSAKEをどう造り、どう広めていくのか - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/10/wakaze.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9294</id>

    <published>2019-10-29T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-02-19T04:26:16Z</updated>

    <summary>クラフトビールやクラフトジンの製造法からアイデアを得て、発酵過程に副原料を加えることで注目を集めるSAKEベンチャー。毎年、新しい挑戦をしている彼らは、今年いよいよフランスに酒蔵を立ち上げ、現地の原材料で新たな「SAKE造り」に挑戦する。
</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="イノベーション" label="イノベーション" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="スタートアップ" label="スタートアップ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="飲食" label="飲食" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/shoya.imai">今井翔也</a></strong><small>WAKAZE 三軒茶屋醸造所 初代杜氏</small>
<p>東京大学農学部卒業後、食品EC企業オイシックスに入社し、在籍中に代表稲川と出会いWAKAZEを創業。退職後、秋田・新政酒造、富山・桝田酒造店、新潟・阿部酒造、群馬・聖酒造で蔵人として修行を積み、酒造りの知識と技術を横断的に会得。実家は天保12年（1841年）創業の群馬・聖酒造で、父が蔵元杜氏、長兄が聖酒造8代目社長、次兄は愛知・丸石醸造にて酒を醸す酒造一家。（母の実家は岐阜・千代菊）。WAKAZEでは醸造技術担当として、《ORBIA》《FONIA》の開発を技術面から支え、「WAKAZE 三軒茶屋醸造所」では醸造責任者として酒造り全体を統括。</p></aside></p>

<p>「日本酒を世界酒にする」</p>

<p>このビジョンを掲げるSAKEベンチャー「WAKAZE」は、4年前に創業した当初から世界を見据えていた。単に日本で作って世界各国へ輸出したいという意味ではない。醸造責任者として酒造り全体を統括する今井翔也が、その思いを語った。</p>

<p>「ワインやビールは世界中で造られています。でも日本酒は日本だけ。それは造り手の問題なんじゃないか。世界中でSAKEが愛されて飲まれるようになるためには、世界中に酒蔵ができてSAKEが造られているのがゴールなんです」</p>

<p>ちなみにそのゴールへ向かうためには、これまでの日本酒・お酒の枠を飛び越えたものを造らなければ、という思いから「SAKE」という英語表記にこだわっているという。</p>

<h2>SAKEのファントムブリュワリー</h2>

<p>WAKAZEを創業後、今井はまず自分の実家である群馬の酒蔵「聖酒造」と組んで「委託醸造」という形から酒造りを始めた。</p>

<p>「委託」といっても、決して製造を丸投げするわけではない。コンセプトや商品設計に深くコミットし、新しい技術の開発に関しても自ら手を動かし、酒蔵側とすり合わせていく。</p>

<p>海外のクラフトビールの世界だと「ファントムブリュワリー」と呼ばれている仕組みに近いという。最初は自宅のガレージで、趣味レベルの「ガレージブリューイング」から始める。しかし、本格的な設備がないと限界があるので、やがて製造拠点を間借りして造るようになり、ファントムブリュワリーとなる。そこで商品開発に成功すると、ようやく自社醸造を始めることができるようになって「マイクロブリュワリー」となり、さらに成功すれば醸造所の規模を拡大していける。</p>

<p>そうした成長過程が海外のビール業界ではすでに確立されている。だから毎年新進気鋭のブリュワリーが注目を集め、さまざまな味のバリエーションが楽しめるようになり、消費量が増えて業界全体が発展している。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Y1002211_edit.jpg">
<figcaption>実家の酒蔵は兄が継ぐことが決まっていた。それならば、自分はもっと自由で新しい酒造りに挑戦してみたいと思うようになったという。</figcaption></figure></p>

<p>しかし日本酒には委託醸造の前例はほとんどなかった。今井の実家が酒蔵だったからこそ実現できたことだという。</p>

<p>「実家だったのでハードルが低かったんです。その中で経験を積むことができて、クラウドファンディングのプロジェクトを成功させたという実績もできました。海外輸出の経験までさせてもらいました」</p>

<p>実家での実績を携えて、WAKAZEはいよいよ法人化し、他に委託醸造をお願いできる酒蔵を探し求めた。現在の主力商品が造られているのは、山形にある二社の酒蔵と千葉の一社。特にいまも本社がある山形には強い思い入れがあるという。</p>

<p>「山形は米処・酒処で、食文化がとても豊かなんです。特に庄内・鶴岡は、ユネスコの食文化創造都市に日本で最初に指定された先進的なエリアでもあります」</p>

<p>日本酒には数年前から「GI（地理的表示）」の取り組みが進められている。いままでは「日本で造られているから日本酒」というくらいの曖昧な定義だった。それが最近では「日本のお米を使って日本で造られたお酒」に限定して、海外産と区別するようになっているという。</p>

<p>「なかでも一番先進的なのが山形なんです。将来的にフランスワインでいうところのブルゴーニュとか、ボルドーに匹敵するような位置づけにしていきたいということで、県を挙げて先進的な取り組みを推進しています。その懐で、WAKAZEも委託醸造という形で育ててもらえことになりました」</p>

<p>ただ決してすぐに良い縁に恵まれたわけではなかったという。</p>

<p>「最初はどこにお願いしても断られました。たまたま歴史的に多くの挑戦を重ねている酒蔵と出会えて、『やってもいいよ』と言ってくれたので始めることができたのです」</p>

<h2>「その他の醸造酒」の発見</h2>

<p>今井にとって、生まれた時からずっと酒造りは身近な存在だった。父親の後継ぎは長男が担うことになったため、三男である今井は違う形を模索し始めた。そして掲げた目標は大胆にも「フランスでSAKEを造る」というものだった。</p>

<p>なぜその目標にたどり着いたのか。それは国内の厳しい規制が大きな要因としてあった。日本酒は保守的な世界で、国は新規免許の発行に関して非常に厳しい条件を設けている。いま新規で清酒の免許を取得することは事実上不可能だと言われているほどである。そのため今井は修行が終わったら単身パリに行こうと決めていた。海の向こうならルールに縛られず、自由に酒造りができると考えたのだ。</p>

<p>しかし、その予定を延期することになったのは、ある条件を満たせば日本でも道が開けることに気づいたからだった。副原料を加えて発酵させるという製造法である。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Y1002280_edit.jpg">
<figcaption>今夏から立ち上げたパリの酒蔵では、現地で栽培されたお米と硬水を使うことになる。原料が変わるので、製造工程もいちから考え直さなければならない。</figcaption></figure></p>

<p>世界で流行りのクラフトビールやクラフトジンでは採用されていた手法だが、日本酒の世界ではまだほとんど誰もやったことがなかった。法律上の区分がどうなるかですら知る者はいなかったという。そこでWAKAZEは山形の工業試験場でプロトタイプを造り、国税庁にどのような区分になるか問い合わせてみた。</p>

<p>後日伝えられた区分は「その他の醸造酒」。さっそく調べてみたところ、お米を濾さない製法により濃厚な味わいが人気の「どぶろく」も同じ区分に含まれていた。もし「その他の醸造酒」に限定するのであれば、新規免許取得に最低限必要な製造量も「清酒」区分の10分の1でよいなど、条件としても比較的厳しくないことが判明した。</p>

<p>「いきなりフランスに行かなくても、日本でまだできることはありそうだ」</p>

<p>今井は、酒造りに興味のある仲間を集めて創業したWAKAZEのメンバーと共に、まずは東京で酒造りに挑戦することを決意した。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Y1002169_edit.jpg">
<figcaption>WAKAZEのメンバーは皆、今井と同じ「日本酒を世界酒にする」という志を持ち、新商品の開発に取り組んでいる。</figcaption></figure></p>

<h2>毎年、全く新しい挑戦を</h2>

<p>WAKAZEが自らをSAKEベンチャーと呼んでいるのには訳がある。「日本酒を世界酒に」という大きなビジョンを掲げ、毎年、全く新しい挑戦をして、既存の酒蔵と比べて驚異的なスピードで成長していくことを目指しているからだ。</p>

<p>最初の2016年にはクラウドファンディングで約400万円の資金調達に成功し、初のフラッグシップ商品「ORBIA」を発売した。</p>

<p>翌年には「ボタニカルSAKE」の開発に挑戦した。ボタニカルとは植物由来の素材のこと。アメリカのクラフトビールやロンドンを中心に流行ったクラフトジンなど、当時世界的に地元の植物素材を使って造ることが流行していた。それと同じことが日本酒でも実現できないかということで、いままでは禁忌とされてきた副原料を入れて一緒に発酵させる製法に挑んだ。これもクラウドファンディングに成功し「FONIA（フォニア）」という人気商品が誕生した。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Y1002238_edit.jpg">
<figcaption>WAKAZEの人気商品「FONIA」と「ORBIA」。普段あまりお酒を飲まない人や、これまで日本酒に親しみのなかった人にも楽しんでもらえるような商品を目指しているという。</figcaption></figure></p>

<p>2018年には初めて自社醸造に挑戦した。三軒茶屋で「三軒茶屋醸造所」を開設し、そこに併設する飲食店「Whim SAKE &amp; TAPAS」をオープン。このプロジェクトもクラウドファンディングに成功した。1月から構想を練り始め、同年7月にはもうお店をオープンしていた。まさに驚異的なスピードである。</p>

<p>そして今年は、いよいよ最初の目標であったフランス進出に向けて本格的に動き始めている。これほどのスピードで毎年挑戦を仕掛けている酒蔵は他に聞いたことがない。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Y1002274_edit.jpg">
<figcaption>2018年、三軒茶屋にオープンした「三軒茶屋醸造所」と、併設する飲食店「Whim SAKE &amp; TAPAS」。</figcaption></figure>
<figure>
<img src="/uploads/Y1002261_edit.jpg">
<figcaption>「三軒茶屋醸造所」では、醸造の様子を見学することができる。ここで商品開発に成功したものを、懇意にしている酒蔵で本格的に醸造する。</figcaption></figure></p>

<h2>ワインの国フランスに挑む</h2>

<p>だがそもそも、なぜフランスなのだろうか。ワインの国に乗り込めば多くの困難に直面することは、どんな素人の目にも明らかである。初の海外拠点としてはいささか無謀ではないだろうか。しかし今井は遥かに大きな志を抱いていた。</p>

<p>「日本酒が世界酒になるというゴールを考えた時に、そこから逆算していくと『ここでターニングポイントがあったよね』という瞬間が絶対にあるはずなんです。これが実現したことによって人々の意識が劇的に変わって、世界でSAKEが造れることにみんなが気づいたという瞬間です。だから旗揚げの場所はインパクトのあるところじゃないといけない。フランスはワインに誇りを持っているから排他的な面もきっとあるでしょう。でも食文化発信の国でもあります。革命の旗揚げをする場所として、これほどふさわしい場所は他にないんです」</p>

<p>原材料の米や水は現地で調達するため、酒蔵の立地は非常に重要な経営判断となる。最初はフランス南部の米処として有名な町カマルグに拠点を構える方向で検討を進めていたという。だがやがてフランスにおいては「そもそも日本酒とはなにか」を伝えることから始めるべきではないかと考えを改めた。パリ周縁部の「グレーターパリ」と呼ばれる領域に含まれる街に最初の拠点を設ける予定だという。</p>

<p>「ただ透明な液体がテーブルに運ばれてきたところで、それがお米を発酵させて上澄みのところだけをとった贅沢な飲み物なんだということは想像しづらい。実際に造り方の工程を見せながら、啓蒙の段階から丁寧に取り組める場所を探しました」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Y1002186_edit.jpg">
<figcaption>「Whim SAKE &amp; TAPAS」の店内に描かれている、醸造の工程図。日本酒になじみのある人も、醸造の理解を深めることで、いままでとは違った日本酒の楽しみ方ができるかもしれない。</figcaption></figure></p>

<p>予定地の近くには世界最大の生鮮食品市場の一つであるランジス市場がある。いわばフランスの台所だ。またルイ13世が「この水を飲みたい」と言って、パリ中心部まで水路を造ったという水源も付近にあるという。</p>

<p>「まだ現地でどういうお酒を造るかとか、どういうストーリーを込めるかは決めていません。でもそこはフランスの中でも食の源流にあたるようなところです。食の流通という意味でも、水源という意味でも、フランスにおいて非常に大事なエリアでお酒を造ることになります。まずパリに届けて、やがてはフランス全土へと展開していく拠点として、ふさわしい場所になるはずだと期待しています」</p>

<p>米は日本酒用に栽培されたものは手に入らない。水も日本で主流の軟水ではなく硬水になる。研究開発は困難を極めるが、全く新しいSAKEが生まれるポテンシャルに満ち溢れていると捉えることもできる。規制に縛られた日本の枠から飛び出し、海外から日本酒の造り方・飲み方を変えていく、注目の挑戦になることは間違いない。</p>

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    <title>サッカー界の「特別な存在」であり続ける━━中町公祐は横浜F・マリノスの契約延長を捨て、ザンビアを選んだ - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <id>tag:bnl.media,2019://125.9334</id>

    <published>2019-10-23T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-10T08:50:59Z</updated>

    <summary>競争が激しい業界の中でどうすれば「特別な存在」になれるのか。元横浜F・マリノス中町公祐は、同チームの契約延長オファーを断り、遠くザンビアの地でサッカーを続けることにした。年俸10分の1以下を覚悟して挑むその姿勢に、業界のスペシャルワンになるヒントを得る。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="キャリアストーリー" label="キャリアストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="サッカー" label="サッカー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="スポーツ" label="スポーツ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>中町公祐</strong>
<p>1985年生まれ。プロサッカー選手。ポジションはミッドフィールダー。群馬県高崎高校卒業後、湘南ベルマーレに入団、同年に慶応義塾大学に現役合格、在籍しながらJリーガーを続ける。2007年戦力外通告。後にサッカー部に入部し、1部昇格に貢献。同部在籍中、ユニバシアード日本代表として世界大会銅メダルを獲得。大学卒業後、アビスパ福岡に入団。2012年、横浜F・マリノスに移籍。2014、横浜F・マリノス選手会長に就任。2016年、日本プロサッカー選手会副会長就任。2018年末、アフリカ東部ザンビアプレミアリーグに挑戦。現役選手初のJFA国際委員となる。</p></aside></p>

<p>日本にプロサッカーリーグであるJリーグができて26年。いまではJリーグを飛び出し、海外のリーグに活躍の場を求める日本人選手は珍しくなくなった。だが、そのほとんどが目指すのはサッカー先進地域であるヨーロッパの国々だ。</p>

<p>そんな中、昨年までJリーグ1部の横浜F・マリノス（以下、マリノス）に所属した中町公祐が、シーズンオフに下した決断は異例と言っていい。彼が新天地として選んだのはアフリカ。中町はいま、アフリカ南部ザンビア共和国のサッカークラブ「ゼスコ・ユナイテッド」の一員としてボールを追う日々を過ごしている。</p>

<p>プロアスリートの価値を測る重要な指標のひとつが「年俸」であることはたしかだろう。その点で言えば、今回の移籍で中町は、プロアスリートとして第一線から大きく後退したのかもしれない。自身が公言する今季の年俸は「マリノス時代の10分の1以下」だ。
けれども、この移籍は決して"都落ち"を意味しない。なぜなら中町は、現実にマリノスから2年間の契約延長オファーを受けている。アフリカ行きは、それを断って自ら選び取ったものなのだ。「これは自分がサッカー界でスペシャルワンになるために下した決断」と中町は言う。</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/BNL_1.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>マリノスからの契約延長オファーを断り、年俸が10分の1になる覚悟を決めて、自らアフリカへ足を運んだ。</figcaption></figure></p>

<p>トップアスリートは短い現役期間に一般のビジネスパーソンの生涯年収以上を稼いでしまう。その間に味わう喜びや苦しみも、おそらくぼくらが経験したことのないレベルの濃密なものだろう。その意味では彼らは、"濃縮還元"された人生をぼくらに先んじて歩む、人生の先輩と言えるのかもしれない。</p>

<p>まして、いまや日本を代表する大企業でさえ「終身雇用は保証できない」という時代。組織に属していようといまいと、ぼくらは等しく自分の人生を自分なりにデザインしていくことを迫られている。そんな時代において、究極の個人事業主たるアスリートから学べることは少なくないはずだ。</p>

<p>では、どうすれば替えのきかない「特別な存在」になれるのか。異色の選択をした元Jリーガーの言葉にそのヒントを探ってみよう。</p>

<h2>改めて問い直した、サッカー選手としての自分の存在価値</h2>

<p><strong>━━移籍して約半年。ザンビアでの生活は楽しめていますか？</strong></p>

<p>いやー、なにもないですね（苦笑）。なにもないっていうのは、日本みたいに選択肢がたくさんある中で、あえてなにもしないのとは違って。ちょっと知り合いに会うとか、どこか美味しい店に行くとか、そういう選択肢がそもそもないんです。日本の「選択肢があることの豊かさ」は、向こうへ行って改めて思い知りましたね。</p>

<p><strong>━━そんな「なにもない」中で、どんな日常を過ごしているんですか？</strong></p>

<p>もちろん、サッカー選手としての活動が軸で、医療とスポーツの面から現地の子供たちを支援するNPOの活動もやっているんですけど、なにせ予定が立たないんですよ。</p>

<p>午後に練習があるかどうかも、その日の午前練が終わって、監督がなんて言うかを聞くまではわからない。「アフタヌーン」と言えば「あり」だし、「トゥモローモーニング」と言えば「なし」という感じで。加えて、向こうの人は総じて時間にルーズだから、朝、迎えに来てくれるはずのスタッフが時間通りに来ない。で、仕方なくタクシーを呼ぶんですけど、そのタクシーもやっぱり来ない...‥。そういう日本の当たり前が通じない難しさは日々感じています。</p>

<p>移籍して数ヶ月して、ようやく住むところが決まったんですけど、生活面は充実しているとは言えないですね。チームが用意してくれるはずだった冷蔵庫はいまだに届きませんし。おかげでこの4ヶ月はずっと、ご飯にオリーブオイルと塩胡椒を振っただけの朝飯で。体重は5キロ落ちましたもん。</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/_L2A2007-Edit.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>日本とは違う文化や価値観の中で生きていくことの難しさを感じていると言う中町だが、その話しぶりは、むしろその過酷な環境を自ら楽しんでいるようだった。</figcaption></figure></p>

<p><strong>━━普通ならピッチの中のことに集中したいと考えるのがアスリートじゃないですか。そのような大変な思いをしてまで、なぜこの選択を？</strong></p>

<p>最大の理由は、自分の現状に対してほかならぬ自分自身が物足りなさを感じていたということです。</p>

<p>ぼくは日本代表選手ではないので。本田圭佑選手とか香川真司選手とかに一サッカー選手としてのキャリアで挑んだのでは、どうしても同じ土俵に上がらない。そんな自分が、キャリアの折り返し地点を迎えたここから、サッカー界の「スペシャルワン」になるにはどうすればいいだろうか。そう考えたんです。</p>

<p>一方でぼくは2013年から、試合に1回勝つたびにアフリカにサッカーボールを5球送るというボランティア活動を続けてきていました。その背景には、サッカー選手として大切にしてきたさまざまな想いがあるんですけど、その想いと、自分をどうブランディングしていくのかという部分、この二つが重なって行き着いたのが今回のアフリカ行きでした。</p>

<p><strong>━━「大切にしてきた想い」というのは？</strong></p>

<p>ぼくには、高校を卒業して最初に入った湘南ベルマーレをたった4年でクビになり、その後、大学を経由してもう一度プロに戻った経緯があります。戻った先のアビスパ福岡は当時J2だったんですけど、ぼくがプロとしての足がかりを掴んだのはこの期間だと思っていて。サポーターからの愛情を一身に感じながら、一丸となってJ1昇格を果たしたことは、サッカー選手としてのぼくの価値観に大きな影響をもたらしました。</p>

<p>さらに、マリノスに移籍した後にも大きな出来事がありました。2015年の12月に長男の彪護（ひゅうご）を亡くしたんです。彼は生まれてからたった43時間しか生きられなかった。それはもちろん大変なショックでしたが、この時にぼくを支えてくれたのも、サポーターの存在でした。試合に出場してもいない選手に対して、彼らは横断幕を掲げ、真っ先に応援してくれました。</p>

<p>このころの自分は、サッカー選手としての存在価値をある程度示せていた時期だったと思うんです。それは主に給料という意味で。でも、こうした経験を重ねる中で、自分にとってのサッカーというのは、どうも自己完結するものじゃないんじゃないかと思うようになっていきました。</p>

<p><strong>━━自己完結しない、とは？</strong></p>

<p>改めて考えてみれば、サッカー選手として自分が幸せを感じている時というのは、やはり人から求められている時だし、認められている時だな、と。「勝つ」というところだけを切り取ってみても、なぜ嬉しいのかといえば、サポーターであり、会社の人であり、スポンサーの人でありが、そのことを通じて喜んでくれるからです。</p>

<p>つまり、自分がプレーすることによって人が喜ぶ、それこそがサッカー選手としての自分の存在価値なんだと、気づくことができたんです。</p>

<p>その観点に立って、この先のキャリアをどうすべきかと考えた時、マリノスで2年契約を全うし、引き続き横浜の人に喜んでもらうという選択もありました。でも、自分がプレーをすることで、より多くの人になにかを感じてもらえる可能性があるのならば、それこそが自分の道なんじゃないか、それこそがサッカー選手としての中町公祐の存在価値なんじゃないかという思いが、日に日に強くなっていきました。</p>

<h2>ボランティアではなく、投資である</h2>

<p><strong>━━それでアフリカへ。</strong></p>

<p>現実にアフリカでサッカーをしようと思えたのには、そうした経緯に加えて、やっぱり昨年の6月に実際にアフリカの地を踏んだことが大きかったと思います。</p>

<p>そもそも、ぼくがボランティア活動に目を向けるようになったのは、大学時代の友人の活動がきっかけなんですが、その友人が、ガーナにある彼の関わっているサッカーグラウンドに、息子の名前をつけてくれて。ぼくは昨年、リーグの中断期間を利用してそのグラウンドを初めて訪れて、息子の遺骨の一部を埋め、現地の子供たちとサッカーをしました。</p>

<p>そうやって実際に行ってみたことで、アフリカに対する想いはそれ以前よりも強くなりましたし、行く前とではイメージも大きく変わりましたね。</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/BNL_2.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>以前から慈善活動には力を入れてきた中町だが、アフリカの子供たちとサッカーを通して触れ合う中で、より一層アフリカへの想いが強くなっていったという。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/S__1343606.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>中町はサッカー以外にもさまざまな活動をしている。写真はNPOの活動で行っているマザーハウス設立のミーティングの様子。</figcaption></figure></p>

<p><strong>━━どう変わったんですか？</strong></p>

<p>行く前は漠然と、貧しくて危険な、住むには過酷なところというイメージを抱いていましたけど、実際に行ってみると、ガーナは本当に平和そのもので。夜飲んで11時過ぎに帰ってもなにも問題ない。案外住めるな、と思いました。</p>

<p>一方で、アフリカの人たちが「支援されることに慣れきってしまっている」現状も、行ってみたからこそわかったことでした。アフリカにはこれまで、日本を含む先進国がたくさんの支援金を投入してきていて、もちろんそのことで改善されたこともいっぱいあると思うんです。でもその結果、彼らは支援されることに慣れてしまっていて。どちらかというと自分の力で立つ力が弱い。いま、ぼくのいるザンビアなんかはまさにそうです。</p>

<p>本来あるべき姿はどのようなものかと考えたら、やっぱり彼ら自身が自立して、世界と対等に"戦える"ようになることが大切なわけじゃないですか。となると、ぼくがこれまでやってきたような、外からの支援だけではカバーしきれないなと思ったんです。</p>

<p>例えばアフリカには、日銭を稼ぐために親が子供たちを働きに行かせていて、学習の機会が奪われているという課題があります。そこで「夢をもって努力すれば、現実は変えられる」と言うのは簡単ですよ？ でも、いくらでも身近にロールモデルがいるし、現実的な選択肢がたくさんある日本とは違って、彼らにはそれがどういうことを意味するのかが具体的にイメージできないんですよ。</p>

<p>その際に、自分がその場にいて、サッカーをする姿を見せながら支援をするというのは、日本から支援するのとではまったく違う意味合いがあるんじゃないか、と。現地でプレーするサッカー選手だからこそできる支援というものがあるんじゃないかと思うようになりました。</p>

<p><strong>━━年俸やサッカーに集中できる環境よりも、そういう大義を優先したということ？</strong></p>

<p>プロである以上、年俸こそがサッカー選手の価値だという考え方があるのはわかります。その点で言えば、自分は今回の移籍で「プロアスリートとして」というところから少しずれてしまったのかもしれません。</p>

<p>でも、給料を10分の1まで下げたとは言っても、それは自分を犠牲にして、ボランティア感覚で行くという意味じゃない。今回の移籍には、自分という存在を通じてひとりでも多くの人にアフリカに目を向けてもらう、さらには、日本企業にもっとアフリカに進出してほしいという意味も込めていますが、そのことが自分のキャリアにとってもプラスになると、ぼくは本気で思っています。だからこれは、あくまで、サッカー選手としての中町公祐の存在価値を高めるために行った「投資」なんです。</p>

<p>それに、この行動に賛同してくれたサポート企業もあって。彼らがいるからこそこの移籍が成り立っているとも言えますね。</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/BNL_3.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>日本とアフリカがつながることで、自分の価値も高まっていく。年俸10分の1への移籍は、決してボランティア感覚ではなく、中町にとって将来への投資だ。</figcaption></figure></p>

<h2>自分なりの「色づけ」を意識し続けたプロ生活</h2>

<p><strong>━━サッカー選手としての自分を、ある意味で商品のようにして見ているんですね。そのようにして自分を客観的に見るようになったのは、いつごろからですか？</strong></p>

<p>自分なりの色づけをどうしていくかというのは、プロ入りした当初から考えていたことです。</p>

<p>ぼくはもともと進学校として知られる群馬県の高崎高校の出身で、卒業生初のプロ選手としてベルマーレに入りました。その時点でまず、自分の中でひとつの色がついた。その後、ベルマーレでは4年で66試合に出場したのですが、シーズン後にクビを宣告されます。若いうちからそれだけ試合に出ておきながらクビになるというのもなかなかないケースだと思うんですが、そこから大学のサッカー部に入り、もう一度プロに入り直した選手はもっといない。これもまた、サッカー選手としての自分の色です。</p>

<p>もちろん、そうしたことの一つ一つは、実際に起こるまでは想像さえしていなかったこと。でも、そういうルートを辿ったからこその中町公祐という色づけは、常に意識してきたつもりです。</p>

<p>自分のことを客観視して、強みがどこにあるのかを認識し、勝負するポイントを見定める。これは、それこそピッチの中においても、サッカー選手にとってものすごく重要なことだと思うんですよね。自分の場合で言えばそれは「組織にパワーを発揮させる力」だと思っています。11人のメンバーに中町を入れておけば、なんとなく勝つよね、というような。まあ、FWの得点のようにはっきりとは数字に表れないので、理解されにくい強みではあるんですけど。</p>

<p><strong>━━でも、わかります。組織をうまく回すのにそういうハブ的な役割が必要というのは、ビジネスの世界でも同じだと思うので。</strong></p>

<p>ぼくはプロの中に入ると身体能力がめちゃくちゃ低いほうなんです。チームに30人近く選手がいる中で、常に下から3番目くらい。そんな自分が7年にわたってマリノスの一線でやってこられたのは、そうやって自分にはどんな強みがあって、どういうところを組織に活かせるのかという視点を、ほかの選手よりも明確にもっていたからなんじゃないかな、と。</p>

<p>ただ、そういう自分の強みって、いきなり発揮できるわけではないんですよね。そこまでたどり着くには前提として、周りの人たちとの間に、信用だったり信頼だったりをしっかりと築いていることが不可欠。特に、チームメイトが自分のことをどう思っているかというのが、すごく重要で。</p>

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<p>自分の強みを発揮するには、周りの人との信頼関係を築くことが不可欠</p>
</div>

<p>ぼくはマリノス時代の2013年に優勝争いしているんですけど、この年は試合前に円陣を組んだだけで「このチームだったら負けない」と思えました。なぜかといえば、自分はこの仲間を信頼しているし、仲間も自分を信頼してくれているというのが感じられたから。2013年はその値がMAXにありました。</p>

<p>そういうチームメイトからの信頼をどうやって積み上げるかというのは、オフザピッチの部分も含めて、本当に考えながらやってきたつもりです。</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/_L2A2000-Edit.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>「プロのサッカー選手の中では、自分の身体能力は決して高い方ではない」と中町は言う。それにもかかわらず、マリノスで活躍し続けられたのは、自分の強み組織にどう活かせるかを常に考えていたからだ。</figcaption></figure></p>

<p><strong>━━例えば、どのように？</strong></p>

<p>信頼を積み重ねる手立ては人それぞれだと思うんですけど、自分がよく言っているのは「飲み行かないとパスは出てこない」ということで。ビジネスパーソン的に言えば、昔ながらの「飲みニケーション」ってやつですかね。シーズン中だと頻繁には行けないですけど。まあこの言葉も、外出許可の殺し文句みたいな側面もあるのですが（笑）。</p>

<p>自分はキャリア的に「サッカーもできて、勉強もできて」という優等生キャラというか隙のないキャラに見られがちなんですけど、でもだからこそ、酒の席でのバカなことだって先頭に立ってやる、というのは意識してきました。ただ真面目にサッカーやってるだけじゃないんだぞ、と。</p>

<p>思うに、仲間からの信頼を得るには、サッカーが上手いとか仕事ができるとかいう以前に、人として、男として好きだなと思ってもらえるかどうかが大事なんじゃないですかね。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>仲間からの信頼を得るには、スキル云々より、まず男として好きだと思ってもらうことが大事</p>
</div>

<p>言っていることは同じでも、誰が言ったのかによって、届いたり届かなかったりするじゃないですか。いくらいいことを言っていても、"ダサい奴"だったら、その時点で誰も聞いてくれない。だから、男としてかっこいいと思ってもらえることがかなり重要で。</p>

<p><strong>━━ああ、それはオフィスでも言えることのような気がしますね。</strong></p>

<p>その意味では今回のアフリカ行きは「信用を買うための選択だった」という言い方もできるかな、と。目の前のお金を掴みにいくのであれば、マリノス残留が絶対だった。そこであえて給料を下げてでも、視察だなんだで何百万円の私財を投じてまでも、本当に契約できるかどうかさえもわからないアフリカへ行ってしまう。少しいやらしい言い方になってしまいますが、「中町はそれができる男なんだ」というイメージを自分から求めにいったということです。</p>

<h2>矢印は内側に。状況を変えられるのは自分しかいない</h2>

<p><strong>━━文化も常識も異なるザンビアでは、信用を得たり、自分の強みを周りに理解してもらったりするハードルも高そうですね。</strong></p>

<p>そうですね。個人主義の国民性なのか、ザンビア人って本当に気が利かないんでね（笑）。だから事あるごとに言うようにしてます。「そういうところがサッカーにも表れるんだぞ」って。</p>

<p>ただ、これまでのぼくのキャリアを振り返っても、開幕スタメンだったことってほとんどないんですよ。つまり、開幕前から本当に期待されて入ったシーズンなんてなかった。その中でいつの間にかスタメンをつかんでいるというのが、ぼくのこれまでのサッカー人生でした。そういう意味では、今回だってやるべきことはそんなに変わらないのかな、と。</p>

<p>こういうインタビューでよく「あなたにとってのサッカーとは？」って質問があるじゃないですか。ぼくにとってのサッカーは、完全に「自分磨きのツール」なんですよ。だから、試合に出られない状況とか、逆境は歓迎できる。その壁を乗り越えれば、またひとつ自分が磨かれるわけだから。</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/_L2A2112-Edit.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>ベルマーレで戦力外通告をされたときも、「ショックというより、自分の価値を高めるチャンスだと思った」と中町は言う。</figcaption></figure></p>

<p>その流れがアフリカにも通じていて。マリノスの最後の1年は、あまり試合に出られていませんでした。そんな中、クラブは2年契約のオファーをくれた。求めてもらえるというのは、もちろん嬉しいことですよ？ 思い入れだってあります。でも、自分の内側にある基準に照らして、このまま居心地のいい場所にいたのでは、これ以上自分が磨かれないと思った。新しい環境に身を置かなくてはと思ったことが、今回の話につながっています。</p>

<p><strong>━━自分に厳しいんですね。</strong></p>

<p>実際はそんなこと全くないんですけどね。でも思うんですよ。プロである以上、お金が大事なのもわかるし、周りからどう見えるかというのももちろん大事だけど、一方では自分なりの基準を内側に持っていることは、それ以上に大事なんじゃないかなって。</p>

<p>サッカー選手は一日一日が真剣勝負。長く続けていると、ピッチの中でも外でも次々に壁にぶつかります。そんな時に目の前の状況を変えられるのって、結局自分自身でしかないので。そう考えたら、自然と矢印を内側に向けざるを得ないはずなんですよ。</p>

<p>振り返れば、ぼくがプロに入ったころにいた古き良きJリーガーは、みんなそうだった気がします。外からどう見られているのかというのとは別に、自分なりのかっこよさという基準をもっていた。「朝まで酒を飲んで、それでもちゃんとやれるのが俺たち」という破天荒さも含めて、周りに媚びず、「これが俺の生き方だ」と思う生き方をしている選手が多かった。「自分のとる行動に責任を持つ強さ」というのが表面に出ていたと思うんですよね。</p>

<p>いまはどちらかというと、監督やコーチの言うことに従って、本当に真面目にサッカーに取り組むという選手が多い。もちろん、真面目にサッカーに取り組むのが悪いということではないです。 でもその一方では、やはり自分なりの基準を持っていないと。それがないと、究極的な局面に置かれた時に、自分の結果や自分のサッカー人生に責任をもてなくなってしまうから。</p>

<p><strong>━━人のせいや環境のせいにするという逃げ道ができてしまう。</strong></p>

<p>こういう考え方をするのはもしかしたら、ぼくの仕事がサッカー選手で、言ってみれば個人事業主だからなのかもしれませんけど。でも、一般社会でもいまは終身雇用が当たり前じゃなくなっていて、自分で自分のキャリアを切り開かないといけない時代になっていますよね。「たとえクビになったとしても、これが俺のスタイルだから」と言える人は、どの世界に行ってもやっぱり強いんじゃないかな。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>たとえクビになっても、これが俺のスタイルと言える人は強い</p>
</div>

<p>もちろん、そういう自分の意地や美学を貫くのって、口で言うほど簡単じゃないです。 ザンビアじゃ、バスで7時間移動してそのまま練習、そのまま試合が当たり前で、試合の翌日も容赦なくガチ走りさせられますからね。日本の常識からしたら考えられないことの連続ですよ。</p>

<p>でも、そういう理不尽さも含めて、向こうのリアルを日本の人に知ってもらうというのも自分の役割だと思っているので。いまでは「いっそのこと冷蔵庫はこのまま届かなくていいぞ」と思うくらいに達観してきていますよ。</p>

<p>ありがたいことに、ぼくは経験したことを発信し、注目していただける立場にあります。自分の前に立ちはだかるさまざまな困難やシチュエーションは、Jリーガーからアフリカに移籍をした第一人者として、全て新しいステップだと思えば何も苦だとは思いませんね。</p>
]]>
        
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    <title>「人と組織を変えるプロ集団」は、自分たちの組織をどう成長させるのか - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2019-10-21T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-04-01T10:16:31Z</updated>

    <summary>グロービスの法人部門は、現場のメンバーの個人的な問題意識や、本業の枠を越えた「これがやりたい」という思いに可能性を見いだしている。その思いから生まれた社内プロジェクトこそ、組織を変える力になるからだ。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="組織開発" label="組織開発" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
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        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/39678497750">末吉涼</a></strong><small>株式会社グロービス  グロービス・コーポレート・エデュケーション部門 シニア・コンサルタント</small><p>2009年早稲田大学卒業。株式会社リクルート（現：リクルートマーケティングパートナーズ）に入社、学校法人向けに経営・マーケティング支援を行う部門にて事業企画や事業開発、営業などの業務に携わる。  リクルート退社後、Hult International Business Schoolに進学。 2017年、グロービス入社。クライアント企業の人材育成や組織開発案件の企画・実行支援をメイン業務としながら、プロジェクトメンバーとして所属部門の採用・育成施策の企画・実行も行っている。</p>
<strong>塩谷佳未</strong><small>株式会社グロービス  グロービス・コーポレート・エデュケーション部門 中長期戦略推進室</small><p>2009年日本女子大学卒業後、不動産会社に入社し営業サポート職に従事。BtoB、BtoCへの契約対応などの事務業務から営業推進管理など幅広く従事。上記経験を経て、個の能力発揮のために人材育成が重要であることを強く実感し、2014年グロービスに入社。現部門にて研修オペレーション業務を担当。2017年、新設部署:中長期戦略推進室に異動し組織の成長戦略に向けた取り組みに従事。また、エグゼクティブ向けプログラム「知命社中」も担当。プログラム運営に加え、継続的なコミュニティ形成に注力しながら、<a href="https://chimeishachu.globis.co.jp/" target="_blank">知命社中</a>の参加者コミュニケーションなどを担当する。</p>
</aside></p>

<p>前2回のインタビューで語られたように、グロービスのコンサルタントの仕事は、クライアント企業に戦略そのものを授けることではない。「人・組織の専門家」として、長期にわたって伴走することにより、戦略を自ら作り、実行できる人・組織へと、変わる手助けをすることだという。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2019/08/globis-otani.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_DSC5323-Edit.jpg">
<div class="info"><strong>セガサミーホールディングス 社員数7000人の育成改革に学ぶ、人と組織を変える方法</strong></div></a></div>

<p>では、そんな「人・組織の専門家」集団たる、グロービス法人部門それ自体の組織は、どのようなかたちで「変わる力」を内包しているのだろうか。</p>

<p>実は、彼ら自身も数年前に、人・組織に関する悩みを抱えたことがあった。目指すべき状態に組織の成長スピードが追い付かず、また短期的な仕事に時間が取られ、中長期を見据えた戦略が立てられていなかった。その結果、思うようにチャレンジ出来ず、ビジョンに共鳴していても退職してしまう若手社員が増えた。</p>

<p>各部門のリーダーたちは、この事態を重く受け止め、中長期視点に立った組織体制の在り方について真剣に議論をした。組織の成長の痛みから起こる課題と問題意識に基づいて、グロービス法人部門は2016年ごろから、ビジョンの策定や組織の再編などに取り組んでいるという。若手が早期に活躍できるプロジェクトを創出、教育・支援体制を強化し、組織文化醸成につながる施策や仕組みも導入した。またリーダー層は、マネジメント権限をミドル層へ移譲し、中長期戦略の立案と施策に注力できるようにした。そしていまなお、変わり続ける最中にあるという。</p>

<p>その際、グロービスには、特徴的なことが二つある。一つは、クライアント企業と向き合うことを本業とするコンサルタントは、本人の意志と希望があればマルチタスクで社内の戦略人事にも関わることができること。もう一つは、コンサルタントに限らず、現場社員の問題意識を端緒としたプロジェクトが立ちあがることを、「組織をより良くする力」と前向きに捉え、組織として奨励していること。</p>

<p>なぜ彼らがそういうやり方をしているのかというのが、今回の記事のテーマだ。このことが組織にとって、またそこで働く個人にとってどんな意味を持つのか。若手社員2人の話から、人・組織を変えるためのヒントを探る。</p>

<h2>自分自身に矢印が返ってくる仕事</h2>

<p>2017年10月に中途入社した末吉涼の仕事は、クライアント企業を相手にしたコンサルティング。次の経営人材の育成や組織開発を支援するという、グロービス法人部門の"ど真ん中"にいる。</p>

<p>だが、そんな末吉は、入社から半年が経過した2018年の4月ごろから、同僚の若手コンサルタント2人とともに、こうした本業の枠を超えて、「自社の組織をより良くすることにも関われないか」を議論するようになったという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_1650_edit.jpg">
<figcaption>末吉が社内の戦略人事にも携わるようになったきっかけは、業務外の時間に「自分たちが属する組織をどうすればもっと良くできるか」について、同僚と語り合ったことだった。</figcaption></figure></p>

<p>「私たちは、各企業で将来経営を担うことが期待されているエース級の方々に対して『あなたは、自分の会社や事業をどうしたいか？ それを実現するためにどんなリーダーを目指すのか？ 』など、自身の考えや行動を深く見つめなおす問いと向き合う機会を提供しています。なぜなら組織を牽引するリーダーには、知識やスキルに加えて『これは絶対にやるべきだ』という強い信念を持つことが重要だと信じているからです。しかし、コンサルタントとして日々働く中で、次第に『自分自身はそうした問いに真剣に向き合えているのか』と考えるようになりました。クライアントに提供する場の価値を高めるためには、まず私自身の『実行者としての実感値』を高めることが重要ではないかと」</p>

<p>他方、自社の現状を見ると、若手社員が増え、組織のポートフォリオが急速に変わってきている。このままでは近い将来に立ちいかなくなるという、漠然とした危機感があった。末吉らはそこで、「だから組織を変えてくれ」と経営層に訴えるのではなく、「これこそ、自分たちが組織変革を実践するいい機会」と捉えたのだった。</p>

<p>もちろん、組織へのエンゲージメントをいかに高めるかという問題意識は経営層も共有するところだったから、若手社員からの提案は、まさに渡りに船として映った。こうして末吉らは、普段のコンサル業務と並行して、自社の戦略人事にも関わることになった。</p>

<h2>並行してやるからこそ起こる「知の循環」</h2>

<p>ひとくちに戦略人事といっても、やれること、やるべきことはたくさんある。その中で末吉は現在、「現場で働く若手コンサルタント」という立場を最大限に活かす観点から、「採用力強化」と「若手育成」の二つのプロジェクトに携わっている。</p>

<p>物理的な仕事量は増え、当然、忙しさは増した。だが、普段のコンサル業務と、こうした自社の戦略人事のプロジェクトとは、まったく同じではないにしても、互いに深く関係している。本業で得た経験を直接、間接に活かすことができるから、「まったく新しい仕事が増えた感覚はない」と末吉は言う。</p>

<p>例えば、採用力強化の一環として取り組んでいることの一つに、「新たな採用ターゲット群の設定」がある。ターゲット設定には、アセスメントやヒアリングで得られた情報を用いて自社のコンサルティング業務の特性とさまざまな業界及び職種の特性を比較しながら「適性が高い人材が多くいそうな採用ターゲット群」をあぶり出す必要があるが、これは普段のコンサル業務で行っている「求められる人材像の特定」での経験を活かすことができる。</p>

<p>また逆にこうした社内のプロジェクトを通じて得た経験が、本業に活かされることもある。</p>

<p>例えば、末吉が取り組む若手社員を対象としたコンサルティングスキルを高めるプログラム。知識理解にとどまらず、実務で活用できるレベルに近づけるためには、通常業務から離れて演習を行うことに加え、参加者の上長や先輩社員といった関係者から適切に関与してもらえるように働きかけることも重要だ。普段のクライアント相手のコンサルティング業務では、関係者への働きかけの多くはクライアント企業の担当者が担うため、今回の社内プロジェクトに取り組んでいなければ経験できないことだった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_1844_edit.jpg">
<figcaption>本業では自分が取り組む範囲外のことも、自社内のプロジェクトで経験を積むことができる。その経験が本業にも活かされるという。</figcaption></figure></p>

<p>「現場によって繁忙状況や上長とメンバーの関わり方は異なります。実際に取り組んでみて、参加者の上長や先輩社員にプログラム設計の意図を正しく理解して実行してもらうことが、プログラムを成功させる上でとても重要ということが再認識できました。こうした経験を基にお客さまと議論できることは、リアリティのある現場のプログラム設計につながっていると感じています」</p>

<p>このように、現場コンサルタントが自ら社内の戦略人事に携わることで、本業で得た知識を社内に還元し、また社内で得た知識を本業に活かすという、理想的な「知の循環」が起きている。さらに言えば、社内のプロジェクトに携わることは、働くモチベーションの向上にもつながっていると末吉は言う。</p>

<p>「普段のコンサルティング業務では、担当するクライアント企業の課題や担当案件によって、経験できる領域がある程度決まってしまう側面もあります。その点、社内のプロジェクトは、自分の問題意識を起点として、ゼロから自由にやれる。それがダイレクトに自分たちの働く環境をよくすることにもつながるので、やりがいをもって取り組むことができています」</p>

<h2>「やるべき」より「やりたい」を大切にする会社</h2>

<p>一方、2014年入社の塩谷佳未は、入社以来一貫して、コンサルタントの活動を支援する業務にあたってきた。現在、部門の中長期戦略に関するプロジェクトをリーダークラスと一緒に企画・実行していくチームにいる。そこで担っているプロジェクトの一つは、コンサルタントの生産性向上の一環として、社員一人ひとりがもっている暗黙知を形式知へと変え、組織全体にナレッジを流通させるというもの。コンサルタントの単純作業などによる負荷を低減し、クライアントの経営課題を解決することに集中できる環境を日々整えている。</p>

<p>だが、その塩谷もまた、本業以外の自主活動に携わっている。同僚と一緒に立ち上げた、女性のキャリア支援のための取り組みがそれだ。</p>

<p>「組織が大きく変わろうとしている以上、そこで働く個人も、自己定義をアップデートしていくことが求められていました。でも、バックオフィス業務が中心でお客さまと直接接することの少ない仕事をしていると、どのように自己定義を変えていけばいいかイメージしにくい部分があります。まして、人生100年時代に突入し、この先何十年にもわたって、自分が社会に対して価値を発揮できるポイントを見つけていかなければならない状況。そういうことに漠然とした不安を抱えている女性社員が周りに多くいたし、私もその一人でした」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_1632_edit.jpg">
<figcaption>塩谷は、コンサルタント一人ひとりが持つノウハウを組織全体で共有できるように、コンサルタントへインタビューを行い、記事を作っている。社内のメンバーは「この記事を読むことで、わからないことを誰に相談したら良いかがすぐわかる」と言い、課題解決のきっかけとして役立てているという。</figcaption></figure></p>

<p>塩谷は仲間の女性スタッフとともに、部署横断で集まった女性社員がキャリアについての考え方や、モヤモヤした思いそのものを共有する場をつくり、運営を始めた。部署を超えた集まりには、多様な価値観に接することでキャリアの新たな可能性に気づくこともあるのではないか、という期待を込めている。</p>

<p>「このように、個人の問題意識が起点となってプロジェクトが立ち上がるケースは多い。こんな仕組みがあるといいかも、とか、ここはもっとこうあるべきでは？　といった現場からの提案に対して、積極的に耳を傾ける組織です。2016年に組織体制が改変され、現場への権限委譲が進んだ結果、こうしたかたちでプロジェクト化する動きが一層増えたのは事実ですが、個人の問題意識を大切にする姿勢自体は、昔から変わらないグロービスの組織文化だと思います」</p>

<p>塩谷が前職で携わっていたのは、あらかじめ定型化された業務を滞りなく進めることに重きが置かれる仕事だった。それに対してグロービスでの仕事は、定型で与えられるものは少なく、どんな立場でも新たな提案や自分なりの意見を述べることが推奨される。だから、縁あって グロービスに転職したあとしばらくは、あまりの文化の違いに戸惑いがあったという。</p>

<p>2017年に現在籍を置く中長期戦略推進室に異動になると、その戸惑いは一層増した。同室は、中長期的な視点に立って新規事業開発や組織課題解決を推進していくために新設された部署。取り組む事例には前例がないものが多く、定型業務はおろか、塩谷に対する明確な役割も定まっていなかった。プロジェクトの目的や性質に合わせて、役割や期待値を自己定義しなければならない環境に、塩谷は正直、戸惑った。</p>

<p>「意識が変わったのは、上司のひとことがきっかけでした。ある時、自分が本当に価値を発揮できているかどうか、どうやって価値を発揮していいのかがわからず自信がないと、上司に相談したことがありました。そうしたら、その上司はひとこと、『塩谷さんはなにをしている時が楽しいの？』と聞いてくれたんです。私はその時、ハッとさせられました。ああ、この会社は『しなければならない』ことを大切にするのではなくて、一人ひとりの『したい』を大切にする会社なんだ、って。そのことに改めて気づいてから、仕事への向き合い方が変わり、働くことがより楽しくなっていきました」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_1818_edit.jpg">
<figcaption>なにをしているときが楽しいか。この問いが塩谷の意識を変えた。自分の「したい」を軸に仕事を考えるようになってから、以前よりも仕事に対して主体的に取り組めるようになったという。</figcaption></figure></p>

<h2>すべての人の合意を待っていては、ことを成すことはできない</h2>

<p>人・組織を変えるには、とても時間がかかる。だから、その必要性は感じていても、どうしてもいまあるビジネスを回すことが優先されて、後回しにされてしまう。こうした問題に頭を悩ませている組織は少なくないはずだ。</p>

<p>グロービスの、個人の問題意識を大切にするやり方は、この悩みを解決する重要なヒントをくれる。末吉は自身の経験をもとに、次のように話す。</p>

<p>「普段のお客さまに向けた仕事をしていて思うのは、人・組織に関わる変革を伴う中長期的な取り組みの中で、全員の合意を得られた上で実行されるケースなんてほとんどないのではないか、ということです。こういうものは、誰になにを言われようと『自分はこれをやるべき』と思ったひと握りの人が自ら実行し、それが成果として表れはじめた時に初めて、周りからも『自分も課題に感じていた。やってよかった』と言われる、そういうものなんじゃないかと思います」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_1531_edit.jpg">
<figcaption>グロービス のメンバーとして働く条件の一つに「成長意欲があること」があげられる。その「成長」とは、目の前の仕事をこなして成果を出すことはもちろん、常に問題意識を持ち、自ら率先して解決しようと行動できることでもあるという。</figcaption></figure></p>

<p>だから末吉は、クライアント企業の担当者と向き合う際、「会社としてやるべきと考えることはなにか？」という質問とともに、「あなた自身がやりたいことはなんですか？」と必ず聞くようにしているという。担当者自身の「この会社や事業をこうしたい」という想いを理解することが実行を支援する人間として重要なことだと、末吉は考えている。</p>

<p>同じことは当然ながら、社内の変革に取り組む場合にも言えるということだ。だからグロービスは、現場の声に耳を傾けることに重きを置く。塩谷は言う。</p>

<p>「部門長の西の<a href="https://bnl.media/2019/06/globis.html" target="_blank">インタビュー</a>でも、我々がお客さまの可能性を信じて日々の業務に取り組んでいることが語られていますが、当社代表の堀も『可能性を信じる』という言葉を大切にしています。これはお客さまに対してだけではなくて、グロービス社員一人ひとりの可能性を信じるというところにも通じているのではないでしょうか。その思想が根底にあるからこそ、成長機会や挑戦の場を積極的に支援し、個々の能力を引き出そうとする組織になっているのだと思っています」</p>

<p><br>
<br></p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/06/globis.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/19-05-23IMG_3132.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>グロービス関連記事：経営戦略はいいのに、企業が成長しない理由</strong></div></a></div>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/08/globis-otani.html/">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_DSC5323-Edit.jpg');" class="img"></div>

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<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="1010001015334"></div>

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    </content>
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    <title> 英語で電話に出てみよう！ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/10/English-VOL6.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9333</id>

    <published>2019-10-08T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-10-29T06:33:34Z</updated>

    <summary>ビジネスシーンにおいて、電話の対応は丁寧かつ親切でなければならない。それは英語でも同じこと。今回は、英語で電話を受けるときに使うフレーズを紹介する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ひとこと英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>今回ご紹介するのは、英語で電話がかかってきたときに使えるフレーズ。簡単な言葉だけで、丁寧なコミュニケーションが取れますので、ぜひ参考にしてください。</p>

<p>ちなみに、日本の会社では、新入社員のときに「会社にかかってきた電話にはできるだけ早く出るように」と教わりますね。これは欧米の会社も同様で、「three-ring rule」というルールがあります。「電話が４回以上鳴る前に出るようにしよう」という意味です。</p>

<p>電話に素早く出て、丁寧な英語で応対できれば、きっと電話をかけてきた相手により良い印象を与えられますね。</p>

<div class="hint-box">
<a class="open">ルーク・タニクリフのプロフィール</a>
<div class="hint">1982年イギリス生まれ。イギリス人の父とアメリカ人の母を持つ。13歳までイギリスで暮らし、その後アメリカのノースカロライナ州の高校に転校、イギリス英語とアメリカ英語の違いを経験。米ウェズリアン大学を卒業後、雑誌編集者／記者の仕事を経て、2005年、JETプログラムで来日。新潟の中学校で２年間英語教師をつとめ、その間に日本語を学ぶ。2008年に再来日。英会話講師とビジネス翻訳の仕事をしつつ、東京大学大学院にて翻訳論を学ぶ。2010年に開設したブログ「英語 with Luke」は、初心者から上級者までレベルを問わず楽しめる記事で人気を博し、月間150万PVを記録する人気サイトとなった。
</div></div>

<h2>電話に出た時、まず最初に伝えること</h2>

<p>電話に出たときに、まず最初に「お電話ありがとうございます」と言ってくれる会社は、丁寧で気持ちが良いと思います。英語の場合は、代わりにHello.やThank you for calling.を使います。会社と自分の名前を伝えるのはその後です。</p>

<p><img src="/uploads/Thank-you-for-calling.jpg"></p>

<p>より簡単に言いたい場合は「名前 + speaking.」  だけでも良いでしょう。</p>

<p><img src="/uploads/TomCruise.jpg"></p>

<p>名前を告げたら、相手の用件を伺います。</p>

<p><img src="/uploads/how-may-I-helo-you.jpg"></p>

<p>これらのフレーズを合わせると、以下のようになります。</p>

<p><img src="/uploads/Thankyou_long.jpg"></p>

<p><img src="/uploads/Thankyou_for_calling_2.jpg"></p>

<p>また、英語圏の国では、「電話に出るときは明るい声で話すこと」が大切だと言われています。</p>

<h2>社内の担当者につなぐ</h2>

<p>用件を聞いたら、電話の相手を社内の担当者につなぎます。つなぐ時は、put throughやconnect toという動詞をよく使います。</p>

<p><img src="/uploads/I-will-put-you-through-to.jpg"></p>

<p>つなげたい社員が不在の場合は、ひとこと謝ってから「つなげたい人  +  is not here.」 と言います。</p>

<p><img src="/uploads/Im-sorry-but-Mr.-Brando-is-not-here-at-the-moment.jpg"></p>

<p>外出中を意味するout of the officeというフレーズも使えます。</p>

<p><img src="/uploads/Im-sorry-but-Ms.-Monroe-is-.jpg"></p>

<p>謝るときに、I'm sorryをよく使いますが、「あいにく」を意味するunfortunatelyや「残念ながら」を意味するI'm afraidも良いです。</p>

<p><img src="/uploads/Unfortunately.jpg"></p>

<p>つなげたい相手が外出中で、会社に戻る時間が分かる場合は「be back in + 時間」 というフレーズが良いです。</p>

<p><img src="/uploads/Mr.Pitt_will_be.jpg"></p>

<p>ここで注意したいのが、社内の人の呼び方です。日本では、社外の人の前で社内の人を呼ぶときは、たとえ上司であっても「さん」を付けません。しかし英語では、社内外は関係なくMs.や Mr.をつけるのが通常です。</p>

<h2>保留にする</h2>

<p>保留にするときは、まず相手に断りを入れます。ここで使う単語はhold。通常は「持つ」という意味ですが、電話でPlease hold.は「切らずに待って」という意味になります。</p>

<p><img src="/uploads/Please-hold-for-a-moment.jpg"></p>

<p>momentは文字通りに「一瞬」という意味ですが、この場合は「しばらく」という意味で使います。より丁寧に伝えたいときは、Could you please hold?やCould you hold for a moment?が良いでしょう。また、put on holdも使えます。</p>

<p><img src="/uploads/Cluld-you-hold.jpg"></p>

<h2>「折り返しさせます」と伝える</h2>

<p>「折り返す」は英語で、call backと言い、Would you like + つなげたい人 + to call you back later?という質問をよく言います。</p>

<p><img src="/uploads/Would-you-like-Mr.-Pitt.-to-call-you-back-later-.jpg"></p>

<h2>伝言を受ける</h2>

<p>伝言は英語でmessage。Leave a message は伝言を残す、give a message は伝言を伝える、take a messageは伝言を受ける。</p>

<p><img src="/uploads/Wouldyouliketoleave.jpg"></p>

<p>Can I take a message？と言っているのをよく見かけます。しかし、can よりmayの方が丁寧な印象を与えるので、May I take a message?の方が良いと思います。</p>

<h2>聞き取れない時は</h2>

<p>相手の英語が聞き取りにくい場合は、以下の４つのフレーズが役に立ちます。</p>

<p><img src="/uploads/Could-you-say-that-again-please-.jpg"></p>

<p>仕事中、突然外国人から英語で電話がかかってきたら、焦ってしまうこともあると思います。でもこれらのフレーズを使えば、きちんとコミュニケーションを取ることができます。もし間違えてしまったら、I'm sorry, but my English is not very good.と謝ると良いでしょう。</p>
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    <title>「ERPの民主化」がスタートアップの未来を変える。IPO事業部からはじまる、freeeの次なる挑戦 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/09/freee.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9332</id>

    <published>2019-09-27T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-10-04T09:00:13Z</updated>

    <summary>創業、上場準備、上場後など、企業のあらゆるフェーズに対応するため、進化し続けるクラウド会計freee。上場対応プランリリースから2年半、ミッションの改定、そしてIPO事業部の設立を経て、freeeはいま、中小企業に新たなバックオフィス改革をもたらそうとしている。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="中小企業" label="中小企業" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>freee株式会社</strong><p>2012年創業。翌年クラウド会計ソフト「freee」をリリース。簿記の知識がなくても使える会計ソフトとして口コミで広がり、リリースから半年で個人事業主や中小企業を中心に1万を超える事業所者が登録。その後、「人事労務freee」や「会社設立freee」などのサービスを立ち上げる。2016年「クラウド会計freee」にクラウドERPを可能にするプラン（ビジネスプラン）をリリース、中堅企業やスタートアップへと対象領域を拡大。2017年に上場準備対応プラン（エンタープライズプラン）をリリース。2019年7月にIPO事業部として事業部化した。</p>
<strong>新村陸</strong><small>freee株式会社 ユーザー事業本部IPO事業部部長</small><p>2016年4月に入社。「クラウド会計ソフトfreee」「人事労務freee」のインサイドセールスを担当し、2017年1月、上場対応の「freeeエンタープライズプラン」の提供開始とともに中堅企業向け事業部の立ち上げに従事。その後は、同事業部西日本責任者、マーケティングマネージャーを歴任。2019年7月、IPO事業部を設立、同事業部長に就任。</p></aside></p>

<h2>上場対応プランリリースから2年半。開発当時を振り返る</h2>

<p>クラウド会計ソフトのfreeeが上場対応プランをリリースしたのは2017年3月。それから約2年半が経った2019年7月、freeeは成長企業のIPO（新規株式公開）準備をサポートする「IPO事業部」を立ち上げた。</p>

<p>いまでこそfreeeは数百社の上場・上場準備企業から利用され、「freeeでバックオフィスの効率化と内部統制を両立する」という新しいスタンダードが定着しつつある。しかし上場対応プランのリリース当時、クラウド会計ソフトを導入して上場した前例は日本国内にはなく、中規模以上の企業が利用するソフトとしての信用度はあまり高くなかった。そんな中、freeeが上場対応のエンタープライズプランをリリースするきっかけとなったのは、IPO準備を進めているベンチャー企業が、freeeの導入を決めたことだった。</p>

<p>IPO事業部部長の新村陸はこう説明する。</p>

<p>「当時から『単なる会計ソフトの提供にとどまらず、ビジネスの成長に貢献する』という思いはありましたが、まだふわっとした構想にとどまっていました。そんなときに、クラウド会計を利用して上場したいという強い意志を持ったお客さまが現れて、『freeeさんががんばってくれるなら一緒に上場したい』と言ってくれたんです。社内でプロジェクトを立ち上げて、その会社が上場するために必要な要件を洗い出し、足りない機能は開発しました」</p>

<p>上場対応の道のりは、想像以上に険しかった。上場を審査する立場にとって、前例がない「内部統制に対応したクラウド会計ソフト」を評価することは非常に難しいからだ。会計ソフトの機能を拡充するだけでなく、ステークホルダーへの地道な説明が重要だったと新村は振り返る。</p>

<p>「IPOに関連するステークホルダーは、その企業の財務状況をチェックして、ビジネスが伸びることを保証してあげなければならない役割ですから、慎重になるのは当然です。freeeがどういう仕組みになっていて、信頼性をどのように担保しているかということは、ぼくたちもかなり時間をかけて説明しました」</p>

<p>内部統制に対応した機能の開発やステークホルダーへの地道な説明の甲斐あり、クライアントは無事上場に成功。freeeは上場対応プランとして、内部統制・監査に対応した「エンタープライズプラン」をリリースした。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/IMG_0380.jpg">
<figcaption>新村はfreeeが上場対応プランをリリースする前から、上場準備企業の担当者と関わる機会が多かった。いまでも企業の担当者たちから受ける刺激や学びは多く、今後もIPO事業部長という立場で上場準備企業に価値提供していきたいと力強く語る。</figcaption></figure></p>

<p>ここで一つの疑問が浮かび上がる。上場企業や上場準備企業のマーケットは、国内企業の中で決して多くの割合を占めているわけではない。そんな中で、freeeが「クラウド会計ソフトの上場対応」という前例のない挑戦に踏み切ったのはなぜだろうか。</p>

<p>そこには、freeeが誕生した背景や思想と強く結びつく理由があった。</p>

<h2>「ERPの民主化」という思想から生まれたプロダクト</h2>

<p>Googleで中小企業向けマーケティングチームを統括していた佐々木大輔が2012年7月に創業したfreee。最初のプロダクトをリリースしたのは2013年3月のことだった。「取引を作成すると自然と仕訳が生成される」という、それまでにない発想で設計された「クラウド会計ソフトfreee」は、クラウドと親和性の高いIT系企業や個人事業主から熱く支持され、翌年7月には利用者が10万事業所を突破した。現在は100万事業所を超えている。</p>

<p>freeeが誕生した背景には、日本の中小企業における生産性の低さがある。大企業向けには、大手ベンダーがERP（Enterprise Resource Planning、会計・生産・販売・購買・在庫・人事といった基幹業務を統合するシステム）ソリューションを開発している。従業員が1000人を超えるような企業では、バックオフィスへの大きな投資が可能であるためERPの導入が進んでおり、会計ソフトの域を脱して、全社最適のバックオフィスをつくることができる。</p>

<p>一方、中小企業はバックオフィスに投資する余裕がないため、ERPを導入できず、バックオフィスが非効率な状態が長く続いていた。この問題を解決するために誕生したのが、freeeだ。個人事業主や小規模事業者向けの領域から事業を開始したfreeeは、長らく停滞していた中小企業のバックオフィス向けに、クラウドERPの思想を用いたサービスを提供。このイノベーションを皮切りに、安価に使えるクラウドサービスがいくつも誕生した。</p>

<p>しかし、サービスの提供領域が個人事業主と小規模法人だけでは不十分だと新村は語る。企業が成長して従業員が100人を超える規模になると、適切なクラウドサービスがなくなってしまうからだ。</p>

<p>「日本の中小企業を牽引する存在であるベンチャー企業がテクノロジーの恩恵を受けられず、フェーズに合わせて都度業務フローや利用サービスをスクラップ&amp;ビルドしなくてはならない状況はおかしい。会計と人事労務といったバックオフィスのコア領域はfreeeで完結し、足りない部分はAPIでつなげる。クラウドERPの思想で作られたfreeeを導入すれば、創業から上場まで一貫して効率的なバックオフィスを構築し続けられる、という状況を作る必要がありました」</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/IMG_0472.jpg">
<figcaption>2019年1月にリリースした「freeeアプリストア」は、freeeと連携するストア上にあるさまざまなクラウドツールとfreeeを、たった数クリックで簡単にデータ連携できるプラットフォーム。APIを生かして実現するクラウドERPの思想が強く表れている。</figcaption></figure></p>

<p>freeeは小規模・中小企業向けのドメインからビジネスを始めたので、小さいところから大きいところへと機能を拡大していったように報じられることが多い。しかし、発想は逆だと新村は語る。</p>

<p>「ぼくらがやっていることは、大企業が使っているようなERPを、クラウドの恩恵を用いて、中小企業向けに安く、ノンカスタマイズで使えるシステムとして提供することです。それによって、中小企業の生産性を向上させ、成長をサポートする。だから、『クラウド会計が進化した』のではなく、『ERPを民主化した』というイメージが近いかもしれません。」</p>

<p>テクノロジーの恩恵を受けるのが、大企業だけであってはならない。日本のビジネスを活性化し、イノベーションを加速させる中小企業にこそテクノロジーを浸透させる。それがfreeeの創業以来のポリシーなのだ。</p>

<h2>ミッション改定が意味すること</h2>

<p>freeeは創業以来、「スモールビジネスに携わるすべての人が創造的な活動にフォーカスできるよう」をミッションとしてきた。創業まもないころの新聞記事を見ると、freee代表 佐々木大輔は「絶対うまくいかないと言われていた」と語っている。バックオフィス改革はそれほど手つかずの分野だった。ところが、誰も挑戦していなかった分野で、自らのミッションを追究しているうちに、いつの間にか市場から受け入れられ、中小企業のバックオフィスにイノベーションを起こす存在として大きな期待を寄せられるようになった。</p>

<p>そして2018年7月、freeeは新たなミッションとして「スモールビジネスを、世界の主役に。」を掲げた。新村はミッション改定についてこう語る。</p>

<p>「スモールビジネスが創造的な活動にフォーカスできるように、時間を創出することに取り組んできたわけですが、たくさんのお客さまから声をいただく中で、事業の成長に貢献できていることがわかってきました。ミッションの枠を超えた価値が生まれ始めたのです。だとしたら、古いミッションのままでいいのだろうか、と」</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/IMG_0508.jpg">
<figcaption>冷静で丁寧な語り口の新村もミッションの話になると自然と熱が入る。ミッションに真っすぐ向きあい、実現に向けて一歩ずつ着実に進む様子がうかがえた。
</figcaption></figure></p>

<p>時間の創出だけでなく、事業成長への貢献も見据えたミッションの改定。IPO事業部の立ち上げも、その流れとともにある。新村は、IPO事業部立ち上げについてこう語る。</p>

<p>「ぼくたちは、必ずしもIPOを推奨したいわけではありません。もちろん、外部資金を入れずに自分たちのペースでビジネスを育てていくことは良いと思いますし、イグジットの手段も多様化しています。でも急成長を目指す企業にとって、IPOはひとつの区切りではあるけれど、ゴールではないと思うんですね。ゴールではなく、中小企業が『世界の主役』になっていくためのスタート地点だと考えています」</p>

<p>スタートアップの資金調達が活況で、イノベーションで世の中を変えようとする企業が増える中、上場対応できるバックオフィスの構築もホットな分野になっている。新村は、上場後を見据えたバックオフィスを構築することが大切だと語る。</p>

<p>「中小企業のバックオフィスが本当に大変になるのは、上場後なんです。上場することだけを考えて会計ソフトを選んでしまうと、上場後に事前に想像できなかった業務に忙殺されて、『やっぱりスペックが足りなかった、会計ソフトを変えなきゃ』となってしまう。最近はこうしたタイミングでご相談を受け、freeeを導入していただくケースも増えていますが、それはもう、本当に大変なんですよ。ぼくたちは創業期から上場準備期、上場後まで、一貫して寄り添うことができるし、さまざまなナレッジを惜しみなく伝えることができる。バックオフィスこそ、上場後のことを考えて人員もツールも選ばなければいけないということを、広めていきたいです」</p>

<h2>スモールビジネスが世界の主役になる革命点を創出する</h2>

<p>創業から7年、freeeのプロダクトは急速な進歩を続け、現在年間300近くの機能がリリースされている。新村は、バックオフィスのあり方についてこう語る。</p>

<p>「会社が成長するほど、会計ソフトへのニーズは『決算が出せればいい』というものではなくなっていきます。自動化や効率化はもちろんのこと、会計データから出てくる分析やレポートの精度、リアルタイム性も求められているのです」</p>

<p>スモールビジネスのバックオフィス業務を効率化し、創造的な活動に専念できる環境をつくってきたfreee。創業から7年経ったいま、彼らが目指すのは、スモールビジネスが世界の主役になる革命点を創出することだ。</p>

<p>「freeeを使っていただくことでスモールビジネスが成長する。そしてfreeeは、日本の経済を引っ張り、世界を変える存在になっていく。そんな世界を実現できるように、価値を実感してもらえるプロダクトやサービスをこれからも提供していきたいと思っています」</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/IMG_0699.jpg"></p>

<div class="event-btn"><a href="https://www.freee.co.jp/cloud-erp?utm_source=eight&utm_medium=content-text&utm_campaign=ipo" target="_blank">freeeのサービス詳細はこちら</a></div>

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    <title>バタ足をしない働き方──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.11 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/09/habuchi-vol11.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9292</id>

    <published>2019-09-04T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-09-04T23:14:23Z</updated>

    <summary>「短期間で成果を最大化できるか」より「長期間で成果を持続できるか」。水泳の練習から、人生100年時代に長く楽しく働くヒントを得た。羽渕彰博の連載、第十一回。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ととのう職場、自然体のキャリア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h2>長くラクに泳ぐために、バタ足をしない</h2>

<p>いままでジョギングをしていたのですが、暑いと汗でベトベトしますし、雨が降ってしまうとそもそも走ることができません。そこで屋内プールで泳ぐというアイデアを思いつきました。泳いだ後はサッパリするし、屋内であれば気候に左右されることもありません。これは我ながらいいアイデアです。</p>

<p>しかし一点、重要な問題がありました。私は泳げなかったのです。海が近くにある街に住んでおきながら泳げない。マリンスポーツも未だに手を出せずじまいです。patagoniaのショーツを履き、ジョギングで陽に焼けていて、見た目は陸（おか）サーファー感が醸し出されているのですが。</p>

<p>プールで泳げるようになれば、サッパリするし、気候に左右されないし、陸（おか）サーファーから脱却できて、一石三鳥ではないか。そこで水泳部だった友人に専属コーチをお願いし、室内温水プールに行きました。</p>

<p>プールに着くと、まず塩素の臭いがお出迎えしてくれて、体育の授業のイヤな思い出がフラッシュバックしました。シャワーが冷たくて不快だったし、蛇口で目を洗うのが怖かったのを思い出しました。既にプールに入る前からテンションはだだ下がりです。</p>

<p>それでも、水着に着替えて、シャワーも浴び、プールサイドに向かいます。</p>

<p>コーチから「まずは実力を知りたいので一度泳いでみてください」と指示されました。最初の壁キックでなるべく距離を稼ぎつつ泳ぎ始めます。必死にクロールでバタ足をするのですが、すぐに息苦しくなってきます。息継ぎをしようとすると体勢を崩し、さらに危機的な状態に。必死になって25mを泳いで水面から顔をあげると、コーチは苦笑いをしていました。</p>

<p>そこから「長くラクに泳ぐコツ」を伝授いただきました。そのうちの一つに、バタ足を極力せず手だけで泳けば息苦しさを減らせるというものがあります。バタ足をしないと進まないと思っていましたが、周りの方々を見渡しても、たしかにバタ足をせずにラクに泳いでいました。</p>

<h2>「短期間で成果を最大化できるか」ではなく、「長期間で成果を持続できるか」</h2>

<p>ここでふと、「長くラクに泳ぐこと」は、日々の仕事にも通ずるものがあるのではないかと気づきました。僕たちは学校教育や社会で「短期間で成果を最大化できるか」を求め続けられていたように思います。学校の成績も成果を最大化すること、水泳でいうなら速く泳げることだけに高い評価がついていました。だから子供のとき、息苦しくても我慢してバタ足をしていたように記憶しています。</p>

<p>後で図書館で水泳の本を借りようと思って児童書コーナーにいったのですが、著者がオリンピック選手が多く、タイトルも「もっともっと速くなれる」とか「目指せ！トップスイマー」という、短期間で成果を最大化することに重点を置いた本が並んでいました。</p>

<p>水泳は日本人がメダルが取れる花形種目のひとつで、メダルを取れる子どもたちを増やすために書かれた本だと思いますが、僕が子どもの頃にそれを読んでいたら、さらに水泳嫌いを助長していたかもしれないなとも思いました。</p>

<p>いま、多くの社会人が泳がなければならないのは、水泳100m自由形ではなく、人生100年時代という長い道のりです。「短期間で成果を最大化できるか」ではなく、「長期間で成果を持続できるか」が大切になってきているのではないでしょうか。</p>

<p>おかげさまで水泳はラクに500mを泳げるようになりました。仕事における「バタ足」は控えて、長くラクに働きつづけていきたいものです。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>欲しい情報を欲しいときに。アドビが新たに提案する、顧客に最適なパーソナライズとは？ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/08/Adobe-Experience-Cloud.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9293</id>

    <published>2019-08-30T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:01:57Z</updated>

    <summary>一人一人に「私のためだけにある特別な体験」を届けるために。クリエイティブだけでなく、デジタルマーケティングをも牽引するアドビはいま、ユーザーにとってベストなタイミングでより深いインサイトを刺激する、新たな顧客体験の世界を目指している。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/keisukeanzai">安西敬介</a></strong><small>アドビシステムズ株式会社 アドビカスタマーソリューションズ統括本部 プロダクトエバンジェリスト兼シニアソーリュションコンサルタント</small>
<p>2001年から国内大手航空会社にてウェブ解析やデジタルマーケティングを担当後、2008年にオムニチュア入社。2009年、アドビのオムニチュア買収によりアドビシステムズへ。エンドユーザーとしての経験を生かし、解析・パーソナライゼーション・デジタルマーケティングCoEなどのコンサルティングを実施。2017年3月よりプロダクトエバンジェリストを務める。</p></aside></p>

<h2>パーソナライズがもたらす顧客体験とは</h2>

<p>「単にKPIを見るだけなら、私たちの製品群は必要ないんです。その次の段階へ移ろうと思ったとき、私たちのデジタルマーケティングに関する思想と技術が、力強くサポートできるはずです」</p>

<p>アドビシステムズのシニアソーリュションコンサルタント、安西敬介はそう語る。</p>

<p>クリエイターを支援してきたアドビが、デジタルマーケティングの世界に大きく踏み出したのは2009年。ウェブ解析でトップを走っていたテクノロジー企業、オムニチュアを買収したことに始まる。安西は当時、オムニチュアでコンサルタントとして働いていた。</p>

<p>「その前は航空会社のウェブ担当をしていたんですが、その会社で採用していたオムニチュアの製品が好きすぎて、転職したんです」</p>

<p>翌年の買収でそのままアドビへ。</p>

<p>「オムニチュアが提供していたツールが、いまのAdobe Analytics（アクセス解析ツール）やAdobe Target（パーソナライズツール）の前身になっています」</p>

<p>安西は「アドビによる買収は意外だった」と当時の心境を明かすが、10年後のいま、アドビは、クリエイティブだけでなく、デジタルマーケティングをも牽引する存在となっている。Adobe AnalyticsやAdobe Targetを含む8つの製品からなる「Adobe Experience Cloud」で、企業のマーケティング担当者のための統合的なソリューションを提供する。目指すのは、冒頭の安西の言葉にある「その次の段階」だ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_1349_edit.jpg">
<figcaption>アクセス解析をしてKPIの数値を見ることまでは多くの企業がすでに実施しているだろう。安西は、大事なことはその先にあると言う。
</figcaption></figure></p>

<p>「その次の段階」とはどんなものか。安西はこう説明する。</p>

<p>「データを収集・分析するだけでなく、活用するということです。それも、直接的に。例えばEコマースサイトであれば、『Aさんがメンズのシューズを見た』という情報を使って、Aさんが見ているトップページに表示される内容をリアルタイムに変えていく。あるいはデジタルサイネージであれば、画像認識によって見ている人の年齢や性別を判別し、その人に見てほしいサイネージを表示する」</p>

<p>安西が挙げた2つの例は、ともに「パーソナライズ」に深くかかわっている。</p>

<p>顧客データの分析からインサイトを得て、それをマーケティング施策に反映することは、すでに多くの企業が取り組んでいる。ただしその場合の顧客はある程度の「かたまり」だ。いまデジタルマーケティングの世界で起きているのは、そこからさらに進んで、「一人一人」についてのインサイトを深めること。そして、働きかけまでのタイムラグを減らすことだ。</p>

<p>安西はこんな問いを投げる。</p>

<p>「例えば、あなたがあるEコマースサイトのユーザーで、メールで新商品のお知らせがきたとします。それを見てウェブサイトに行ってみたら、全然違うプロモーションが表示されていたとしたら、どうですか？」</p>

<p>数クリックすればたどりつける場所に同じ情報が置いてあったとしても、「誘われたから行ったのに」と、軽い失望感を抱く人が多いのではないだろうか。一貫したメッセージが一発で届くほうが、体験としての"特別感"は増す。</p>

<p>「いま私たちは、あらゆる行動をオンラインですることが当たり前になっています。デジタルの履歴をかき集めれば、それは『もう一人の自分』と言っていいぐらい、その人を反映したものになっているでしょう。そういう環境のなかで多くの人たちは、デジタルのコミュニケーションにも一貫性を求めるようになっています。顧客は暗黙のうちに、『私』に向けたメッセージを期待しているのです」</p>

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<div class="info"><strong>【10/9 イベント】 Eight × アドビ 「いま企業が取り組むべき Personalized Experience」</strong></div></a></div>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_1276_edit.jpg">
<figcaption>自分のためだけに送られる一貫したメッセージから"特別感"のある体験が生まれる、と安西は語る。
</figcaption></figure></p>

<p>こんなことも考えられる。そのECサイトがポイントを確認できるアプリを提供していて、ある人がスマートスピーカーに「いま何ポイントたまってる？」と聞いたとする。ポイント数がわかれば質問の答えとしては十分だ。しかし安西はその先に顧客体験が演出できると言う。</p>

<p>「その質問をした人は、潜在的に『ポイントを使って何か買おうかな』と考えているわけです。そうであれば、例えば、会員情報に登録されているメールアドレスやLINEアカウントにクーポンをお送りしたら、喜ばれるかもしれない。さらに、その人が実店舗へ足を運んだときに、アプリの位置情報を使って、リアルタイムで情報を届けることも考えられます。お客さまから見て『いいタイミングで欲しい情報が届く』ことが、『自分にとって特別な体験を提供された』という実感につながるのです」</p>

<h2>デジタルマーケティングの最適解を</h2>

<p>そのような一連の顧客体験（Customer Experience）を管理（Management）していこうというのがCXMの考え方だが、一方で疑問もわく。そもそもその人にとっての「いい」「欲しい」をどのように判断するのだろうか。価値観の異なる一人一人に対してどのように情報を出し分けるのか。安西は「いい質問ですね」と前置きして、こう答える。</p>

<p>「結果として、継続的にコミュニケーションをしてくれている人はよい体験をしたのだろうと判断する、ということだと思うんです。規模拡大とパーソナライズは一見、相反するようにも思えます。個別にコンテンツをつくるとしたら膨大な数になるのではないだろうか、と。でも、決してそんなことはないわけですね。お客さまの気持ちに寄り添うことはもちろん大切ですが、同時に、企業側から見れば一つのパラメーターでしかないという合理性もまた、マーケティング施策を行う上では大事なことです。そのバランスのなかで、常に最適解を探り続けていくということだと思います」</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=mKLlsyI2k08
<figcaption>より精度の高いCXMを目指すAdobe Experience Cloudの説明動画。
</figcaption></figure></p>

<p>生活の広範囲なデジタル化が顧客一人一人の行動にどのような変化をもたらすのか。変化は常に現在進行形だが、安西はこう言う。「デジタルの利点の一つは、テストができるということです」。</p>

<p>「『デジタルコミュニケーションはこうあるべき』という静的な議論ももちろん大事ですが、テストしてわかることってたくさんあるんです。デジタルで管理されているものはテストが容易ですから、試してみればいい。先ほどの例で言えば、メンズのシューズを見ていた人に、別のメンズシューズをレコメンドするとします。でもAさんは女性で、たまたまそのシューズが気になっただけで、それ以上のレコメンドは必要ないかもしれない。それだったらAさんの別の行動に合わせてレコメンドが変わっていけばいいんです」</p>

<p>Adobe Experience Cloudは、その精度とスピードの向上を、分厚い製品群と、マーケティングに特化したAIと、コンテンツ制作との連携によって可能にしている。なかには顧客管理をクラウドサービスに依存することに抵抗のあるマーケターもいるかもしれないが、他社との協働の流れは避けられないだろう。安西は「前提として、デジタルタッチポイントの拡大で顧客の行動を把握することが難しくなっていることがあります」と言う。</p>

<p>「PCやスマートフォンはもとより、スマートスピーカーやスマートウォッチ、デジタルサイネージなどハードウェアの多様化が進んでいます。メディアの細分化とあいまって、デジタルタッチポイントはますます増えている。それらを全て自社で管理できるかというと、もうそういう状況ではなくなっていると思うんですね。そこを私たちと一緒にやっていきましょう、と」</p>

<p>これまでに航空会社、小売り大手、自動車メーカー、金融会社、不動産会社、メディア、教育機関などがAdobe Experience Cloudを導入している。導入の仕方や規模は企業によってさまざまだ。</p>

<p>2019年10月9日、ビジネスの課題解決に役立つサービスを紹介する「Eight Business Solution Forum」をSansan株式会社の表参道オフィスにて開催する。「Personalized Experience」をテーマに、アドビのサービス「Adobe Experience Cloud」を紹介しながら、顧客に最適なコンテンツを提供するパーソナライズについて考えます。考えていく。ゲストとして、同サービスを導入し、先進的なデジタルマーケティングを展開するジェーシービーが登壇。パーソナライズを行う前の課題や取り組み、また実際に得られた定性・定量効果をお話いただくほか、アドビから機械学習とAIなどの最新テクノロジーを活用した、パーソナライズや国内外の先進事例も合わせて紹介する。</p>

<p>アドビが実現するデジタルマーケティングの世界は、来場者のビジネスにとってもインスピレーションの源になるに違いない。</p>

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]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>社外のつながりの中に、業務改善のヒントがある━━9月18日開催、経理会議「RAKUS Cloud Forum」 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/08/RAKUS-Cloud-Forum.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9285</id>

    <published>2019-08-26T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-11-15T06:15:13Z</updated>

    <summary>経理はもっと経営に貢献できるはずなのに、膨大な量の定型業務に追われて余裕がない。これが多くの会社で見られる経理部門の実態だ。もっと楽に、もっと効率よく業務を進めるためにできることは何か。そのヒントがたくさん詰まった、参加型のイベントが開催される。

</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="EVENTS INFO" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<div class="event-btn"><a href="https://forum.rakus.co.jp/?utm_source=Eight&utm_medium=email" target="_blank">お申し込みはイベント特設サイトより</a></div>

<p><aside><strong>中村 崇則</strong>
<small>株式会社ラクス 代表取締役社長</small><p>
神戸大学卒業後、日本電信電話株式会社（NTT）入社。NTT在籍中、無料メーリングリストサービスを展開する合資会社DNSを設立。2000年、株式会社インフォキャストに改組。同年のインフォキャストの楽天株式会社への完全子会社化を機に、ITエンジニアの育成を事業とする株式会社アイティーブーストを設立、代表取締役に就任。2010年1月、株式会社ラクスに社名変更。2015年12月、同社を東証マザーズに上場させ、現在30,000社以上にクラウドコンピューティング・サービスを提供している。　</p></aside></p>

<p>経費精算システム「楽楽精算」やWeb帳簿発行システム「楽楽明細」など多数のクラウドサービスにより中小企業の業務効率化を支援するラクスが、経理業務に従事するビジネスパーソン100人を対象に行ったアンケート調査によると、経理担当者の多くは月末月初の業務超過や経費精算業務などの定型業務の煩雑さに悩まされているという。</p>

<p>マーケティングなどの業務にはいち早く先進的なシステムを導入している企業でも、経費精算はいまだに紙で行われているケースが少なくないらしい。その結果、煩雑な定型業務に仕事時間のほとんどを費やさざるを得ず、「働き方改革」の声も虚しい残業常態化の状況が生まれてしまっているようだ。</p>

<p>こうした仕事はいまやシステムを使うことで代替できるはずのものだが、多くの中小企業で効率化が進まないのはなぜなのか。</p>

<p>ラクスの代表取締役社長 中村崇則はさらに、定型業務に追われている経理の現状は、この仕事が本来経営に対して果たせる可能性を狭めることにつながっていると指摘する。</p>

<p>「経理の語源は一説によれば経営管理だとされます。経理担当者は、人間がやらなくてもいいこうした定型業務から解放されることで、もっと経営に貢献できるはずです」</p>

<p>9月18日に開催される「<a href="https://forum.rakus.co.jp/?utm_source=Eight&amp;utm_medium=email" target="_blank">RAKUS Cloud Forum</a>」を前に、経理という仕事のあるべき姿と、そこに至る道筋を聞いた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/__L2A1913_edit.jpg">
<figcaption>3回目の開催であるこのイベントは、今年はじめて事前のアンケートを実施した。参加者のインサイトを知り、より経理の実務目線で会話ができる場所を目指している。</figcaption></figure></p>

<h2>経理は「孤独な仕事」</h2>

<p><strong>━━多くの会社の経理担当者が置かれた状況をどう見ていますか？</strong></p>

<p>経理の仕事には、正しい経営判断を下すために必要な数字をきっちりとまとめ上げる役割があると思うのですが、現状は、経費精算業務などの定型業務に追われていて、そうした仕事に十分な時間を割くことができていないようです。それどころか、残業続きで疲弊してしまっている方も少なくありません。</p>

<p>こうした定型業務は本来、システムを入れて自動化すれば改善できるはずのものですが、現状は、システム導入による業務効率化が進んでいない会社がまだまだ多いです。</p>

<p><strong>━━なぜでしょうか？</strong></p>

<p>事情は会社によってさまざまですが、自分たちの仕事の仕方に非効率な部分があるとか、やり方次第で改善の余地があるかもしれないことに、そもそも気づいていない方が多いようです。その結果、目の前の仕事に追われている現状を当たり前のように受け入れてしまっている人が多いというのは、今回のアンケート結果にも表れています。</p>

<p>自分たちのやり方が正しいかどうかというのは本来、他者と比較して初めてわかるものでしょう。けれども、経理は営業職のように外に出る仕事ではありませんから、社外の人とコミュニケーションをとる機会がほとんどありません。</p>

<p>また、仮に接点があったとしても、お金を扱うという仕事の性質上、社内の事情を大っぴらに話すことが難しい側面があります。それゆえに彼らは、業務改善の可能性に気づけず、現状を当たり前のものとして受け入れてしまっている。経理は「孤独な仕事」なのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/rakus_edit.jpg">
<figcaption>アンケートでは、経理業務の課題はシステム変更をすれば解消されるかという問いに対し、多くの項目で「たぶん解消できないと思う（緑）」「解消できないと思う（オレンジ）」の回答が半数に及んだ。</figcaption></figure></p>

<p><strong>━━どうすれば、改善の余地に気づけるのでしょう。</strong></p>

<p>業務改善の第一歩は、悩める経理担当者同士が、どうにかして横のつながりをつくることにあると、私たちは考えています。</p>

<p>今回の「RAKUS Cloud Forum」では、テーマを「苦楽より楽だけするための経理会議」とし、参加者同士が経理業務に関する日頃の悩みをシェアし、議論することで、なにかしらの解決策を持ち帰ってもらえる場を目指しました。具体的には、グループワークや参加者同士の交流のための企画を多く設けています。</p>

<p>業務改善のヒントはいたるところにあります。ひとこと誰かに言ってもらえるだけで「ああ、そうだったのか」「もっと効率化できるところがあったな。もっと楽していいんだな」と気づけることがあるはずです。</p>

<p>参加者の方にはぜひ、そういう気づきを持ち帰ってもらって、業務改善の一歩を踏み出してもらいたいと思っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/__L2A1999_web.jpg">
<figcaption>「RAKUS Cloud Forum」のコンセプトは「苦楽より、楽だけするための経理会議」。いま追われている煩雑な業務は、当たり前ではなく、本当はもっと楽に、効率よくできることに気づいてもらいたいという思いが込められている。</figcaption></figure></p>

<h2>経理はもっと経営に貢献できる</h2>

<p><strong>━━業務効率化を進めた先で、経理が果たすべき役割をどう考えていますか？</strong></p>

<p>まずは、経営に関わるあらゆる数字をきっちりとまとめ上げることではないでしょうか。なぜなら、現状を正確に把握することが、正しい経営判断を下すには不可欠だからです。</p>

<p>たとえばパン屋を例に考えると、いくら売上が伸びていたとしても、売れているのが原価の高いパンばかりだったら、利益は出ません。利益を出したければ、商品ラインナップを見直し、利益率の高いパンを増やす必要があります。</p>

<p>こうした施策が打てるのは、個々の商品単位のレベルまで踏み込んで、売上高はどれくらいで、原価はどれくらいかかっていて、販管費はどうで、広告宣伝費は、人件費は......というように、あらゆる数字が見えていればこそでしょう。</p>

<p>日本は人口減少社会に突入しており、これまでのように、ただモノを作って売っているだけでは商売が成り立たなくなるのは確実です。どうすれば「倍の値段で売れるパン」を作れるかを考えられなければ、先細りすることは目に見えています。</p>

<p><strong>━━だからこそ、考える上での前提である経理の「数字をまとめ上げる」仕事が、より重要になる？</strong></p>

<p>その通りです。さらに言えば、経理というのは「数字をまとめ上げる」だけにとどまらず、「その数字をもとに分析し、自ら経営陣に提言する」ことで、より経営に貢献できるポテンシャルを秘めている仕事ではないか、と。</p>

<p>けれども、そうした創造的な活動を行うためには、アイデアに思いをめぐらせたり、日ごろから幅広くインプットしたりする時間があることが条件になるでしょう。その意味でも、経理は一日でも早く、本来人間がやらなくてもいい仕事から解放されなければならないと考えています。</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="9120001097305"></div>

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    <title>セガサミーホールディングス 社員数7000人の育成改革に学ぶ、人と組織を変える方法 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/08/globis-otani.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9273</id>

    <published>2019-08-16T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-04-01T09:23:30Z</updated>

    <summary>文化も制度も違うグループ各社の求心力を高めるため、セガサミーホールディングスは育成改革に踏み切った。プロジェクトを牽引したのは、32歳の若手コンサルタント。大企業の経営陣が、親子ほども年の離れた彼の言葉に耳を傾ける。その理由に人と組織を変えるヒントを見た。

</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="キャリアストーリー" label="キャリアストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="リーダーシップ" label="リーダーシップ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="組織開発" label="組織開発" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>大谷 康人</strong>
<small>株式会社グロービス　グロービス・コーポレート・エデュケーション部門 シニア・コンサルタント</small><p>
関西学院大学卒業後、株式会社リクルート（現：リクルートキャリア）に入社。HR（Human Resource）領域における新卒採用・入社後活躍／定着領域の法人向けコンサルティング営業を経て、グロービスへ参画。現在、組織開発・人材育成部門において、大手企業向けの組織開発案件、次世代リーダー・経営層の育成、企業内育成体系の全体設計に従事している。</p></aside></p>

<p>グロービスの法人部門で多くの経営者を外部パートナーという立場から支えてきた西恵一郎は、「日本企業が不振に陥る原因の多くは戦略の欠如にあるのではなく、せっかく作った優れた戦略が人・組織のケイパビリティに合っていないことにある」と指摘した。この説に立つなら、日本企業が再生するにはまず人・組織の側が変わる必要があることになる。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2019/06/globis.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/19-05-23IMG_3132.jpg">
<div class="info"><strong>経営戦略はいいのに、企業が成長しない理由</strong></div></a>
</div>

<p>ところが、日本企業の人事は多くの場合「人・組織の専門家」として経営を支える役割を必ずしも担いきれてはおらず、自分たちの力だけで組織を変えるのは難しい。だからこそ、長期にわたって伴走し、人・組織が変わる手助けをする外部パートナー・HRBPの存在が重要になる。グロービスの法人部門は、まさにそうした仕事に携わっているという話だった。</p>

<p>では、人・組織は実際にどうやって変えていけばいいのか。今回は2018年度に企画・発足したセガサミーグループの企業内大学「SEGA SAMMY College」の立ち上げプロジェクトを例に、彼らの仕事を見ていこう。</p>

<p>ゲーム大手のセガとパチンコ・パチスロ機器の開発・製造を行うサミーが２００４年に経営統合し、設立されたセガサミーホールディングス。グループの事業は、サミーを中心とする遊技機事業、デジタルゲーム分野を中心にアミューズメント機器・施設、アニメーション、トイなどを提供するエンタテインメントコンテンツ事業、そして複合リゾート施設の運営などを行うリゾート事業から成る。</p>

<p>三つの事業はそれぞれ順調に成長している。一方で、組織文化も事業領域も、人事制度さえも異なるグループ全社が同じベクトルを向いて歩みを進めることは、非常に難しい。同グループは 「感動体験を創造し続ける」をグループミッションに掲げ、グループシナジーを創出し、世界の一歩先を行くエンタテインメント企業グループとして、確固たるポジショニングの確立を目指している。</p>

<p>そのためには、いまより一層グループ全社が一枚岩となり、事業シナジーを出していくことが不可欠であった。戦略をグループ全体として実行していくために、まさに人・組織が変わらなければならない局面を迎えていたのだ。</p>

<p>そこで浮上したのが、グループ企業間でバラバラだった育成の方針や制度を整理し、グループ横断で「セガサミーグループらしい革新者（リーダー）」を育成していくために、ゼロから企業内大学を立ち上げるという今回のプロジェクト。担当したのは、グロービスに入社して1年目、当時32歳の若手社員 大谷 康人だった。</p>

<p>人・組織を変える上で彼らが大切にしていることとはなにか。なぜそれが彼に実行可能だったのか。現場で奮闘する若手コンサルタントの言葉から、答えが見えてきた。</p>

<h2>トップ同士の信頼関係から生まれた経営層向けプログラム</h2>

<p>入社1年目でグロービスでの実績も経験も少なかった大谷が今回、従業員数7000名を超える企業の育成体系刷新という巨大プロジェクトを手掛けることになったのには、もちろん前段がある。</p>

<p>サミーの創業者で現会長の里見治氏はいまなお経営の最前線にいるが、会長の経営哲学の継承は、重要な課題でもあった。そこで現社長の里見治紀氏が、かねてより交流があったグロービス代表・堀義人に相談。一代で総合エンタテインメント企業を築き上げた会長のリーダーシップを次世代に継承すべく、2016年に社内経営塾「里見塾」を立ち上げた。このプロジェクトはトップ同士の信頼関係がベースとなり始まった。</p>

<p>里見塾とはひとことで言えば、グループ各社の経営層と里見会長の「対話」の場だ。里見会長がこれまでに行ってきた意思決定事例を鑑（かがみ）に、経営リーダーとしての判断軸や価値観、経営視点について考察を加えながら、経営者としてのリーダーシップのなんたるかを紐解いていく。グロービスはその全体設計から事前のコミュニケーション、当日のファシリテーションまでのすべてを同グループの社長室と二人三脚で担ってきた。</p>

<p>大谷は里見塾がスタートして2年目の2017年に入社。すぐに運営メンバーの一人としてアサインされた。そこで対面したのは、エンタテインメント業界の荒波に打ち勝ってきた経営陣ばかり。「最初は正直、気後れもしました。一方で、参加するみなさんは、私の言うことになんの先入観も持たずに真摯に耳を傾けてくれて。それがすごくうれしかったのと同時に、最後まで伴走して、参加者の方の成長にコミットする覚悟が決まった感じがします。」</p>

<p>今回の企業内大学「SEGA SAMMY College」の立ち上げプロジェクトは、この「里見塾」の考え方がベースになっている。組織が一枚岩になるには経営陣のみならず、社員一人ひとりが「あるべき姿」を共有している状態が望ましい。そこで、それまで各社それぞれで運用されていた育成体系とは全く異なる、グループ横断での新たな人財育成の計画が立ち上がった。そして、里見塾を通して「あるべき姿」に触れていた大谷が、プロジェクトの運営だけでなく、設計から携わることになった。</p>

<p>「経営者同士の信頼関係があるからこそ、教育プログラムの表面的な話ではなく、本音で話せる深い議論になる。グロービスでのキャリアが浅い自分がその重要な案件を任され、貴重な経験ができる。それはすごくストレッチな成長につながるし、自分が成長していければ、ゆくゆくはそうした機会を後輩に提供する側にも回ることができると思います」</p>

<p>その過程では当然、現時点のスキルや知見だけでは対応できない事態も度々発生するが、社内のコミュニケーションツールでひとたび質問や相談を投じれば、ものの1時間で経験豊富な講師や社内の研究機関、先輩コンサルタントからの山ほどのリプライがつく。自分の知見を惜しみなくシェアする文化があり、こうしたサイクルがうまく回っているのは、グロービスで働くことの大きな魅力ではないか、と大谷は言う。</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/DSC5306-Edit.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>「担当案件でわからないことが出てきたら、社内の知恵を頼ります。誰かが必ず参考になる経験や知恵を持っているからこそ、何もわからず戸惑うということはありませんでした」と大谷は言う。</figcaption></figure></p>

<h2>「あるべき姿」の具体化を妥協しない</h2>

<p>企業内大学を設計するにあたり、大谷が行ったことは「①あるべき人財要件・行動指針の策定」「②あるべき姿を起点とした育成体系の創出」「③育成施策・カリキュラムの設計」「④グループ展開・運用の設計」の四つのステップに集約できる。平たく言えば、まずは最終的に目指す「あるべき姿」を定め、一方で現状を把握し、そのギャップを埋めるべく具体的な施策を考えていくということだ。</p>

<p>プロジェクトはスタートから約半年で方向性を定め、ローンチに向けて決裁を取るというタイトなスケジュールで進められたが、大谷はその半分近くの時間を「①あるべき人財要件・行動指針の策定」に費やしていたという。</p>

<p>「目指す頂が定まっていなければ、いくら手段の話をしても仕方がない。すべてこれを起点に考えることが重要だと考えたからです。今回で言えば、里見会長のリーダーシップを鑑にするという大きな方向性だけは事前に決まっていましたから、里見会長のリーダーシップとは具体的になにを指すのかを徹底して言語化することから始めました」</p>

<p>まずは里見塾で語られた内容をベースに、里見会長のリーダーシップを「５つの力」としてまとめた（正確に言えば、里見塾を通じて言語化された里見会長の人間力をまとめた社内書籍を一つの指標とした）。次に、各役職階層に求められる期待要件を「５つの力」に照らし合わせて一つひとつ言語化。さらに、それを経営力・人間力と分類し、コンピテンシーレベルにまで落とし込んでいった。</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/TEST_DSC5309.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>セガサミーの社内書籍には、同グループが目指すリーダーとしての「あるべき姿」が詰め込まれている。大谷は何度も目を通し、印をつけ、里見会長のリーダーシップを言葉に落とし込んだ。</figcaption></figure></p>

<p>「目標や夢って抽象的になりやすいし、曖昧模糊としているじゃないですか。ここがゆるゆるだと、なにをやっても機能しないんです。特に研修や育成などの人を動かしていく場では、そういうことが起こりやすい。抽象的なものを具体的に言葉にしていくのは、地味ですが極めて大事な営みだと思っています」</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>目標や夢は抽象的。「あるべき姿」を具体的な言葉にすることが大切</p>
</div>

<p>西も強調していたが、「言語化」は彼らの仕事の根幹をなすキーワードの一つだ。それを外部パートナーという立場から行うのには二つの意義があると大谷は言う。一つは、外部の客観的な視点を入れることで、定めた目標が自己満足で終わるのを防ぐこと。もう一つは、常に「あるべき姿」に立脚し続けられることだという。</p>

<p>「私の勝手な解釈ですが、セガサミーの担当部門の方は社内の事情や要望・声と、時に共存し、時に戦いながら変革を推進しています。現場から寄せられるさまざまな要望をさばく中で、目の前の現実や実行に引っ張られざるを得ないシーンも往々にしてあると思うのです。けれども、そうやって現実に引っ張られすぎて理想が見えなくなってしまっては、そもそもやる意味がなくなってしまう。現実と折り合いをつけるのはもちろん大切なことですが、一方で我々が外部パートナーという立場から、理想へと揺り戻す役割を果たすことも重要だと考えています」</p>

<h2>設計図から「共創」する</h2>

<p>人や組織を変えるにはまず「あるべき姿」を定め、具体的な言葉として形にすることがもっとも重要というのが彼らの考え方。だが、世の中の全てのプロジェクトが、設計の段階から深く関われるものとは限らない。</p>

<p>「多くのプロジェクトは、顧客からこういう提案をしてくださいという要件があらかじめ決まった状態で相談が始まります。それでいいものが作れるのか、それで本当に楽しいのかということには長らく疑問を感じていました。このことは、自分がグロービスに転職した大きな理由の一つでもあります」</p>

<p>例えば家を建てるとき、設計図が正しくなかったらいい家が建たないように、組織課題も押さえるべきイシューが間違っていたら、現場でどれだけ努力しても根本的な解決には結びつかない。そういう歯がゆさを感じながら仕事をしている人は、コンサルタント以外にも多くいるのではないだろうか。今回のケースが違うのは、そもそもなにを、どこまで目指すのかというところから議論が始まっていること。「最初に定めた『あるべき姿』をそのまま形に落とせたことが今回の価値ではないか」と大谷は言う。</p>

<p>なおかつ、それをセガサミー内部の担当者と共に考えられたところに、成功の大きな要因がある。大谷は「あるべき姿」を定めるまでの3カ月間、社長室の担当者と日々メールや電話でやりとりを重ね、また週に1回は対面でも対話を重ねて、アイデアをブラッシュアップさせていった。それは受発注の関係というより、目的を共にする共創の関係と言えた。</p>

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<p>受発注の関係というより、目的を共にする共創の関係をつくる</p>
</div>

<p>「先方自身の思いや覚悟が大変強かった。外部パートナー任せにせず、共に創り上げるという姿勢を示してくださったことにも感謝しています。一方でこちらとしても、もはやお金をいただいているからやる、という感じではなくて。お互いに最高にいいものを作るためにはなんでもやろうという理想的な関係が築けました。その分、日々正解のない議論や、互いの意見や考えをぶつけ合うようなやりとりが続いて、大変ではありましたが」</p>

<p>新しい育成プログラムはすでに運用が始まっているが、クライアントからは「これで完成ではなく、継続的に一緒にブラッシュアップしていければ」と言われているという。「研修や育成は効果検証しにくい分野ではありますが、そのための仕組みを作ることが今後のチャレンジになるのではないかと思っています」</p>

<p>ある意味で"納品"のない共創関係が、継続的なビジネスチャンスを、そして大谷自身の成長の機会をももたらしている。</p>

<h2>「運用」まで責任を持ってこそ</h2>

<p>「あるべき姿」を描くことに多くの時間と労力を割くことができた。内部の担当者と二人三脚で行うことができた。そのことが大谷に大きな手応えをもたらしているのは確かだ。だが、今回のプロジェクトを振り返って、もっとも「しんどかった」のはこうした「設計図を描く」プロセスではなかった。</p>

<p>「本当にしんどかったのは、むしろできたものを全社に広めていく段階でした。『自社の従来の育成との整合性や棲み分けはどうしたらいいのか』とか『もっと早いサイクルで施策を回すべき』とか、現場からたくさんの意見があがって。でも、考えてみればそれは当然なんです。各社、それだけ本気で取り組んでいるし、期待していますから。要は、実際に運用する段階で発生する壁があるということに、自分が思い至らなかったという話。そのせいで担当者の方が苦しんでいるのを見るのは、とてもつらい経験でした」</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/TEST_DSC5320.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>初めてのことや難しいことはたくさんあるが、一番つらいのは「クライアントの担当者がつらそうにしていること」と大谷は語る。</figcaption></figure></p>

<p>このプロジェクトの期間中にはもう一つ、こんな出来事にも遭遇した。</p>

<p>「前職時代に採用の面接・選考設計をお手伝いしたクライアントの方と偶然再会して、何気なく『あのプロジェクトはその後どうなりましたか？』と尋ねたら、『現場に浸透させるのに時間がかかり、結局1年寝かせたんだよね』と。自分がいいと思って作ったものが現場に伝わり切らなかったこともショックでしたが、運用されないのにはそれだけの理由があるはずで。当時の自分が運用の段階で生まれる壁にまで目を向けられていなかったということのほうが情けなかった」</p>

<p>けれども、だからと言ってコンサルタントという仕事に絶望したわけではなかった。大谷にとってはむしろ、いままで以上にこの仕事にのめり込む動力にさえなっている。「今回のプロジェクトを通じてコンサルタントという仕事に対する考え方がガラッと変わった」と大谷は言う。</p>

<p>「設計図を描くのは言ってしまえば楽しい作業。でも、それを組織になじませ、実際に運用していくのにはまた別の壁がある。今回、そういう悩ましさを共有したことでハッとさせられたし、コンサルタントとしてできることがまだまだあるんだということを教えてもらいました。その可能性に気づかせてもらったという感謝の気持ちが強いです」</p>

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]]>
        
    </content>
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    <title>人の価値観をゆさぶるアートを──第58回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館キュレーター、服部浩之 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/08/hiroyuki-hattori.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9286</id>

    <published>2019-08-09T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-10T07:09:32Z</updated>

    <summary>全体の規模が大きいからこそ、小さなプロジェクトを行う「すきま」ができる。キュレーター服部浩之の原点には、資本主義的なものとの距離感があった。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>服部浩之</strong><small>キュレーター／秋田公立美術大学大学院准教授、アートラボあいちディレクター</small>
<p>1978年生まれ。2006年早稲田大学大学院修了（建築学）。2006年から秋吉台国際芸術村でアーティスト・イン・レジデンス事業などを担当。2009年から青森公立大学国際芸術センター青森［ACAC］学芸員に（2016年まで）。ACACでは、Nadegata Instant Partyによる「24 OUR TELEVISION」（2010年）や、藤井光をディレクターに迎えた青森市所蔵作品展「歴史の構築は無名のものたちの記憶に捧げられる」（2015年）など、滞在制作を軸としたアーティストとのプロジェクトを多数実践。近年の共同企画に、「あいちトリエンナーレ2016--虹のキャラバンサライ」（愛知県美術館ほか、2016年）、「アッセンブリッジ・ナゴヤ」（港まちポットラックビルほか、2016年〜）、「近くへの遠回り」（ウィフレド・ラム現代美術センター、ハバナ、キューバ、2018年）などがある。第58回ヴェネチア・ビエンナーレ日本館のキュレーターを務める（開催中、11月24日まで）。</p></aside></p>

<p>ヴェネチア・ビエンナーレは、世界最古の国際美術展だ。国ごとにパビリオンがつくられることから「現代アートのオリンピック」と呼ばれることもある。</p>

<p>今年は2年に一度の開催年に当たる。5月11日に開幕したヴェネチア・ビエンナーレで日本館のキュレーターを務めるのが服部浩之である。インディペンデント・キュレーターとして活動する彼は、特定の美術館には所属せず、さまざまな場所で展覧会をつくったり、アートプロジェクトを行ったりしている。</p>

<p>ビジネスの世界では効率や生産性が重んじられるが、服部が手がけてきたアートプロジェクトを見ると、逆の考え方に支えられているように見える。必ずしも集客を目的としない。わかりやすくもない。効果が表れるのは10年後20年後かもしれない。「都市の暮らしにはそういうものが必要だと思った」と言う彼に、オルタナティブなアートのあり方について聞いた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/0362.jpg">
<figcaption>名古屋市港区にあったまちの社交場「UCO」で。「UCO」は、2016年から開催されている音楽と現代美術のフェスティバル「アッセンブリッジ・ナゴヤ」のプロジェクトの一環として、閉店したすし店を社交場として生まれ変わらせるべくリノベーションされた。手がけたのはアーティストユニット「L PACK（エルパック）」。服部は「アッセンブリッジ・ナゴヤ」のディレクターを務める。
</figcaption></figure></p>

<h2>資本主義的なものとの距離のとり方</h2>

<p><strong>──キュレーターとはどんな仕事でしょうか。</strong></p>

<p>「展覧会をつくる仕事です」というのが一番わかりやすいし、実際そういう依頼が多いんですが、それだけではありません。僕自身は、枠組みや構造を組み立て、「人と人の関係」や「人と場所の関係」を設計することで、新たな創造を触発するプロジェクトをつくる、という感覚を持っています。そのアウトプットのかたちのひとつとして展覧会がある、と言えばよいでしょうか。</p>

<p>「設計」という感覚は、僕がもともと建築を学んでいたことが大きいと思います。大学院のときに1年間、スペインのバルセロナへ留学したんですが、そのときの経験がアートの世界へ行くきっかけになっています。</p>

<p>バルセロナでは旧市街の一角に住んでいました。治安のよくないエリアもありましたが、その分いろんな人が住んでいて、町としては魅力的です。ところが、そんな昔ながらの街区を歩いていくと突然、モダンな装いの現代建築が現れます。1995年にオープンしたバルセロナ現代美術館です。新しくて美しい、たくさんの人が訪れる、いい美術館なんですが、この界隈でのこの建築のあり方に違和感も感じました。街区を切り崩してつくられたであろう、周囲の風景に対して異質な存在感を放つモニュメンタルな建物を見ると、「ここに住んでいた人たちはどこに行ったんだろう」と思いました。</p>

<p>いま思えば、それは再開発的なものへの違和感だったと思います。大規模開発によって、混沌としていた街区は整然としたクリーンなエリアになり、土地の価格が上昇する。そういう場所は、もともとは低所得者が多いエリアなわけですが、再開発により高級化し、そこに住めなくなる人も出てきます。複雑な気持ちになりました。</p>

<p>一方で、町の懐の深さを感じることもありました。スペインは中庭式の建築が多いんですね。美術館の裏手の街区は、ファサードは昔ながらの石造りの外観なんですが、中庭の方へ入って行くと突然モダンなガラス張りの建築が出現します。その中では、展覧会もやっていれば、演劇公演やライブなども行われている。お茶を飲んだり本を読んだりする場所もある。美術館でも劇場でもないけど、両方の機能が混ざっているような感じ。「この場所ってなんだろう」と思いました。</p>

<p>のちに「アートセンター」と呼ばれる場所だと知るのですが、当時は知らなくて、何か新しいことが起こっている感じがして、ワクワクしました。外見上は古い町並みなんだけど、その奥では新しい出来事が起こっている。その共存に惹かれ、「都市の暮らしにはこういう場所が必要だ」と思いました。そういう場所に関わることができたらいいなと思ったのが、いまの仕事につながるきっかけの一つです。</p>

<p>また、バルセロナの人々の資本主義的なものへの疑問と距離のおき方に、はっとさせられました。私たちは否応なく資本主義の仕組みのなかで生きているわけですが、バルセロナでの生活を通じて、それまで自分がいかに消費中心の価値観で生きてきたかということに気づいたんです。目先の便利さではなく、生活を自分で築くことを重視する。単純に昼休みをしっかりとって人と一緒にご飯を食べるとか、日曜日はお店が閉まるということを受け入れ、ゆっくりと過ごすとか。</p>

<p>あくまで当時感じたことで、現在は状況が変わっているとは思いますが、とにかく日本の大都市とは異なった感覚で暮らしを形成する人たちに、大いに刺激をうけました。同時に、日本にも多様な地域があることに気づき、東京以外の土地に暮らしてみたいと感じるようになりました。そんななかで、大学院修了後にたまたま山口県の秋吉台国際芸術村というアートセンターの公募があったので、応募したのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/0343.jpg">
<figcaption>「UCO」はアーティストや地域の人、来場者などが交わる場として、さまざまな展示やイベントが行われた。しかし建物のオーナーの意向で取り壊しが決定し、2018年10月に惜しまれつつ営業を終えた。
</figcaption></figure></p>

<p><strong>──それはどんな仕事だったんですか。</strong></p>

<p>秋吉台国際芸術村は、アーティスト・イン・レジデンス（滞在型創作活動）を主要事業のひとつとしており、国内外のアーティストが創作活動のために頻繁にやってくる場所でした。滞在するアーティストたちの制作サポートやマネジメントが主な業務です。当時は、なにか文化的なことに関わるなかで未知の土地で暮らしてみたいという動機で応募し、働きはじめました。でも、アートに関わるきっかけがレジデンスの仕事でよかったと、いまは思っています。なぜかというと、アーティストが作品を生み出すプロセスそのものに関わることができたからです。</p>

<p><strong>──いわゆる美術館だと作品を扱うことはできるけれど、そもそも作家は故人だったりする。でも、アーティスト・イン・レジデンス事業なら、いま生きて、まさに制作をしているアーティストと協働することができるわけですね。</strong></p>

<p>そのうち、「この人はこれからどういう活動をつくっていくんだろう」ということに自分の関心が向いていることに気づき、いまの活動につながっていきます。</p>

<p>そのころ、山口市の温泉街に、山口情報芸術センター［YCAM］で働く友人と一軒家をシェアして住んでいたんですね。その家は、来訪者が非常に多く、あるとき滞在していた友人が表札のかわりに「Maemachi Art Center」という看板を勝手につくって名付け、やがてMACと略して呼ばれるようになりました。もともと、普通の家よりは少しだけ開かれた半公共空間で、飲み会の拠点みたいな場所でした。ただ、アートセンターと名付けられたことによって、あそびの延長でそれらしい活動やプロジェクトをやりはじめたのです。</p>

<p>職場である公立の施設では容易には実現できないような、仕事とは少し異なるプロジェクトを生活の延長のなかで実施していました。誰かが泊まりにくると、集まって話を聞く。それがアーティスト・トークに発展していきました。自分たちの判断と責任でできる範囲で、あそび感覚で、展覧会的なことや、近所の子どものためのワークショップもやりました。その一つに、下道基行さんと一緒にやったプロジェクトがありました。</p>

<p><strong>──下道さんはヴェネチア・ビエンナーレで協働している作家ですね。下道さんとはどんなことをされたんですか。</strong></p>

<p>彼は、いまも残る砲台や掩体壕（えんたいごう）などの戦争遺構を写真やテキストなどで記録する《戦争のかたち》という作品を制作し、2005年には同名の写真集を出版しています。戦争遺構は、現在は日常風景のなかに埋没し、人がその存在に気付かないものが多いんです。下道さんは、そういう場所に人を連れて行き、なんらかのかたちで再利用するプロジェクト「Re-Fort PROJECT」も、展開していました。そこで、第5弾となる「Re-Fort PROJECT Vol.5」をMaemachi Art Center（MAC）がホストとなって、山口県と福岡県にまたがるエリアで実現しました。</p>

<p>本州と九州を隔てる関門海峡は幅1キロぐらいですが、下関市と北九州市の両岸に砲台跡があるんです。明治のころから、海を渡る船を監視するために見晴らしのよい場所にたくさんの砲台がつくられたんですね。その砲台跡を使って何かできないかということで、「Re-Fort PROJECT 5─太陽が隠れるとき、僕らの花火が打ちあがる」というプロジェクトを行いました。</p>

<p>2009年7月の皆既日食の日、太陽が月に隠れて薄暗くなったときに、北九州市の和布刈（めかり）公園の砲台跡から花火を打ち上げて、下関側の火の山公園ほか複数の場所からみんなで鑑賞し、撮影する。このときはヘリコプターをチャーターし、地上だけでなくヘリからも撮影しました。</p>

<p>同じときに同じものを、たくさんの異なった場所で多数の人が経験する。火の山公園は、いまは誰でも行けますが、かつては下関要塞と呼ばれて立ち入りが困難な場所でした。花火の大きな破裂音は、もしかしたら大砲の音に聞こえるかもしれない。そういう想像力をプロジェクトを介して喚起したいと考えました。そして、参加者が撮影した映像を素材にMACで展覧会を実施しました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Re-Fort5photo01s-1.jpg">
<figcaption>「Re-Fort PROJECT 5─太陽が隠れるとき、僕らの花火が打ちあがる」を行った海峡。下関・火の山公園より。撮影：下道基行
</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/05.jpg">
<figcaption>美術作家の下道基行さん。
</figcaption></figure></p>

<p><strong>──それは体験してみたかったです。実現までにハードルはなかったんですか？</strong></p>

<p>両公園とも市が管理しており、いくつかのハードルはありました。花火を打ち上げた和布刈公園は利用申請などが必要で、北九州市の担当局の方には丁寧に説明をしました。担当の方が僕らの趣旨を理解してくれて、実施に向けた方法をいろいろ一緒に考えてくれて、ほとんど問題なく実現できました。やろうと決めてから半年ぐらい。普段の仕事では入念な計画を立てて、多数の関係者の了承を得てはじめて企画が実現できるので、もっと時間がかかってしまいます。ですが、自律的な活動においては、自分たちの責任と判断でスピーディーに物事をすすめることができます。</p>

<p>公共施設の「窮屈さ」や「遅さ」に苛立ちを感じていた当時の僕には、こういう自主的な活動は重要でした。仕事を介して得た知識や技術をうまく転用しつつも、自主的に何かを起こすことは、アートという創造の現場に関わる自律した個人であるためにも、大切だと感じていました。</p>

<p><strong>──その延長線上にいまがある？</strong></p>

<p>そうですね。たぶん、どうやってアクションを起こすかということに興味があるんです。暮らしている場にあるおもしろさ、そこにある創造性みたいなものをかたちにしていきたいです。</p>

<p><strong>──ヴェネチア・ビエンナーレのプランでは、下道さんに加えて、作曲家の安野太郎さん、人類学者の石倉敏明さん、建築家の能作文徳さん、計4人が作家として名を連ねています。異分野のチームにしたのはなぜですか。</strong></p>

<p>そもそも（日本館展示を主催する国際交流基金から）「指名コンペに参加しませんか」というメールがきたときは、戸惑いがあったんです。「日本館」という場で、僕のような立場の人間が展覧会を企画するとはどういうことか、考えました。</p>

<p>美術を専門的に学んだわけでもなく、国内の主要美術館などで務めた経験もない。オーソリティ（権威）でもオーソドックス（正統）でもないし、オーセンティック（真正）という言葉も合わない。むしろオルタナティブ（別の可能性）のほうがしっくりくるような、美術の中心とは少しずれた人間が、どういう立場で何を投じるか。ひとりのアーティストを世界に向けて売り出す、みたいなのも違うなと思い。また、コンペなので、いわゆる正統的な企画は別の方から投げられるだろうとも思い、これまで自分が実践してきた新たな「何か」を生み出す実験的なプロジェクトをこの機会でも実現したいと思いました。</p>

<p>そこで、下道さんに声をかけ、協働によるプロジェクトをやりたいということを相談し、結果的にこのような多様な表現者とチームを組むことになりました。</p>

<p>下道さんがここ数年、津波によって海底から陸に打ち上げられた巨岩《津波石》を調査し撮影を続けていると聞き、それを起点にしたプロジェクトを立ち上げました。多様な共存の可能性というテーマを導きだすうえで、コンセプトメイキングの段階から人類学者の石倉さんに入ってもらい、《津波石》という自然の生み出した存在に拮抗するよう機械による音楽の作曲を試みる安野さん、そして日本館という特殊な建築に応答し、映像や音楽などを関係付ける存在として建築家の能作さんに入ってもらいました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/0398.jpg">
<figcaption>前述の「UCO」の活動の軌跡を再構築したアーカイブ展。「UCO」は、かつてのすし店の名「潮寿司（うしおずし）」にちなむ。年代ごとにつくられた木枠は、その場所がまだ海の底だった1254年から始まり、最後の木枠はいまから約60年後の2082年。その他の木枠には潮寿司の古い看板や調度品、往時の写真などを展示して、時代時代の賑わいと、港まちの移り変わりを伝えた。
</figcaption></figure></p>

<h2>60万人中、40人に向けたプログラム</h2>

<p><strong>──先ほど、美術の世界ではオルタナティブだとおっしゃいましたが、メジャーな芸術祭にも関わっていますよね。前回（2016年）のあいちトリエンナーレにはキュレーターの一人として参加されました。</strong></p>

<p>それまでで一番規模の大きな仕事でしたし、新しいことに取り組みたいと思っていた時期だったので、次に進むきっかけとしては大きかったです。</p>

<p><strong>──あいちトリエンナーレの来場者数は60万人。国内でも最大級の芸術祭です。この規模の芸術祭に関わられていかがでしたか。</strong></p>

<p>そもそもマスに向けて発信するというのはそんなに得意なほうではないので、顔の見えない圧倒的多数の観客に向けて展覧会をつくるのは、難しかったですね。ただ、巨大な芸術祭であるからこそ、そのなかには「40人とか少数者に向けたプログラム」があってもいいんじゃないかとも思っていました。</p>

<p>芸術祭にはたくさんの人がさまざまなかたちで関わります。そのなかにはボランティアで解説員をやるなど、主体的により深く関わりたいと考えている人も少なくありません。また、もやもやした気持ちがあって何かしたいけど何をすればよいのかわからない、というような人もわりと集まってきたりします。そういうリピーターとなる人を主要な観客に想定したプログラムもつくりたいと考え、アジアのアートスペースのような場を作家や地域の人々と協力してつくり、レクチャーシリーズを企画したり、アートプロジェクトを実施したりもしていました。</p>

<p>もちろん圧倒的多数の観客は、一回だけの訪問の限られた時間でなるべくたくさんの作品を鑑賞したいと思うでしょうし、それが基本でよいと思います。ただ、少し主体的に深く関わりたいと思った人や、なにかを探している人が、その人なりの距離感で参加できるプログラムも、街中で開催される芸術祭には必要だと思いました。大規模な芸術祭だからこそ、そういった小さなプロジェクトを行う「すきま」ができると思うし、そこにはオルタナティブな価値が生まれると思います。</p>

<p><strong>──これまでBNL Artsでは、アートフェアを紹介したり、コレクターやギャラリストのインタビューを届けてきました。「アートを買う」ことを通じて、ビジネスとアートの接点が見つかるのではないかと考えたからです。一方で、服部さんはマーケットではなく、あくまでもパブリックな領域でアートと関わっていますね。</strong></p>

<p>そうですね、確かにマーケットと直接接点をもつような仕事はあまりなかったですね。マーケットに興味がないというより、公共の場に興味を持っているからかもしれません。</p>

<p>身近な一例を挙げると、ここ（注：名古屋市港区にあったカフェをベースとしたまちの社交場UCOのこと。2018年10月に閉鎖。2019年6月にNUCOとして近隣に再オープン）を中心になって立ち上げた<a href="http://www.lpack.jp" target="_blank">L PACK</a>（注：小田桐奨と中嶋哲矢によるユニット）も、各地でいろんなプロジェクトを行ったり展覧会にも参加していますが、いわゆる作品然としたものをつくってはいなくて、人が想像する「アーティスト」とは少し異なる動き方をしていると思います。ただ、独自の公共的な場を生み出しています。圧倒的に表現者であるけれど、その総体は捉えにくく、一言で定義できないあり方です。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/0359.jpg">
<figcaption>開催中の「あいちトリエンナーレ2019」では、芸術大学連携プロジェクト「U27 プロフェッショナル育成プログラム 夏のアカデミー2019「2052年宇宙の旅」」のディレクターを、アーティストの山城大督、建築家と辻琢磨とともに務める。
</figcaption></figure></p>

<p>この建物も、20年以上誰も使っていなかった、不動産としてはほとんど価値がないもので、わざわざそれを借りてリノベーションしてまで活動を展開するのは、経済的合理性から判断すると、矛盾した行為かもしれません。でも、経済的価値基準に則って取り壊して駐車場が増えていくだけでは、街の総体としては豊かさとは逆の、貧しい風景へと退化していくことにつながるのではないでしょうか。</p>

<p><strong>──たしかにそうですね。いっそ更地にして駐車場にしたほうが効率はいい。</strong></p>

<p>そうですね。でも、そういう考え方で町が埋め尽くされたら、息苦しいと思いませんか。豊かさの指標は、もっと多様であっていいはずです。実際、現在も金銭的豊かさを求める価値観は根強いですが、それとは異なったことに価値の軸をおく人も増えているという実感はあります。どこでどのように暮らすか、意識的に選びとる人が多くなっているのかなと。そういう状況下で、アートは「異なった選択肢がある」ということを提示できる重要な役割を担っていると思います。</p>
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    </content>
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    <title>大企業でデジタルトランスフォーメーションがうまくいかない理由 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/08/pega-japan.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9283</id>

    <published>2019-08-07T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:06:29Z</updated>

    <summary>日本の大企業はいま、国際競争力を失いかけている。未だレガシーなシステムに縛られ、デジタル化が進まないからだ。この危機を乗り越えるためには、部分的なソフトウェアの導入ではなく、業務プロセス全体の改革に、死に物狂いで取り組む必要があるという。

</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/31364980107">渡辺宣彦</a></strong><small>ペガジャパン株式会社　代表取締役社長</small>
<p>1991年慶応義塾大学卒業。アクセンチュア入社。金融業全般へのコンサルティング、SI、及びアウトソーシングのサービス提供を担当。2006年から保険業プラクティスの責任者を務め、プログラムマネージャ、ディレクターとして多くのプロジェクトを牽引。2012年からアクセンチュア アジア太平洋地域保険業統括マネジングディレクターを務め、2014年3月よりペガジャパン 代表取締役社長に就任。
</p></aside></p>

<p>昨年9月に経済産業省が発表した通称「DXレポート」と呼ばれる報告書が話題だ。</p>

<p>大手企業のデジタルトランスフォーメーション（DX）が進まないと、日本は決定的に国際競争力を失い、大きな経済損失につながると警鐘を鳴らす内容。いくつかの論拠からそのリミットは2025年であるとし、失敗すれば「2025年の崖」に落ちると危機感を煽った。</p>

<p>非効率な旧システムの運用・保守に貴重な資金と人員をとられていては、攻めの経営に転じられないのは自明にも思える。日本の大手企業でDXが進まないのはなぜなのか。</p>

<p>顧客エンゲージメントとデジタルプロセスオートメーションのためのソフトウエアを提供する国際企業Pegasystems、その日本法人である<a href="https://www.pega.com/ja" target="_blank">ペガジャパン株式会社</a>代表 渡辺宣彦に、日本企業が抱える課題を聞いた。</p>

<h2>そもそもなぜDXが必要なのか</h2>

<p>そもそもDXとはなにか。経産省のDXレポートでも参照している調査機関IDCの定義には、「企業が第三のプラットフォーム技術を利用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデル、新しい関係を通じて価値を創出し、競争上の優位性を確立すること」とある。ここでいう「第三のプラットフォーム」とは、「モバイル、ビッグデータ、クラウド、ソーシャルの四つの要素で構成される新しいテクノロジープラットフォーム」を指す。</p>

<p>つまり、経産省のいう「2025年の崖」とは、2025年までにこうした新しいテクノロジープラットフォームへの移行を完了できなければ、日本の大手企業は決定的に国際競争力を失い、身動きが取れなくなってしまうという意味である。渡辺が日本企業に対してもつ危機意識も概ね同じだ。</p>

<p>「たとえば、コンビニなり銀行なりのATMにカードを入れれば、24時間いつでもお金を引き出せたり、借りられたりという利便性が、いまでは当たり前のものとして日本にはあります。これは、昭和から平成の初期にかけて、大企業のビジネスパーソンが尽力し、良いものを作り上げてくれたおかげにほかなりません。</p>

<p>けれども、こうした情報システム、テクノロジーというのは素晴らしいものである一方で、持ったら持っただけ、それを維持するために莫大な費用なり、人材なりを投下せざるを得ないという負債の側面ももっています。日本の大企業は、数十年前に成功裏に蓄えられたレガシーなシステムを維持し続けなければならないという呪縛に囚われているのです。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>日本の大企業は、レガシーなシステムの維持という呪縛に囚われている</p>
</div>

<p>デジタルとひとくちに言っても、その意味するところはさまざまですし、最先端のテクノロジーを使って新しいやり方を追求するのももちろんいいのですが、一方でこうした新しいやり方を可能にしていくためには、レガシーなシステムによる呪縛をシンプルに解きほぐし、お金と人を最適に投下できる前提を整える必要があります」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A1875.jpg">
<figcaption>2025年は、あらゆる産業において、これまで必死に守ってきたシステムの老朽化が決定的になる時期だという。</figcaption></figure></p>

<p>ペガの取引先企業はいわゆる大手、特に金融・保険などの業界に多いが、こうした大手企業の現状は、「課題自体を感じてはいるものの、なかなかDXが進んでいないのが実態」と渡辺は言う。</p>

<p>「システムの開発・運用に携わる現場では、もちろんもう随分前から、このままではまずいということは語られていました。けれども、経営トップの意識も同じかと言われれば、そうではない。今回の経産省によるレポートが相当なインパクトを持って受け止められたということ自体が、経営トップがこの問題をそこまで真剣に捉えられていなかったことの証左ではないでしょうか」</p>

<h2>部分的な導入では意味がない</h2>

<p>こうした大企業ももちろん、なにもせずに手をこまねいてきたというわけではない。冒頭に挙げた「第三のプラットフォーム」のうち、たとえば「クラウド」の活用は、大企業においてももうかなり一般化した。</p>

<p>「アマゾンのAWSやマイクロソフトのAzureなど、いわゆるIaaS（Infrastructure as a Service）と呼ばれる部分は、グローバルの指標で毎年50%くらいの成長が続いています。日本の大手企業の中にももう何年も前から、すべてのシステムをクラウドに移行する取り組みをされているところはあります。デジタルに関してなにもやってこなかったという意味ではありません。</p>

<p>経産省が言っているのは、その度合いの違いです。もっと死に物狂いでやらなければまずい、と言っているのです。たとえば、AIというのはデジタルのキーワードの一つですが、よく耳にするのが『社長にAIを使ってなにかやれと言われた。なにができますかね？』という話。その程度の実験をやっている場合ではないということです」</p>

<p>では、「死に物狂い」とはもう少し具体的にはなにを意味するのだろうか。ペガが提案するのは「入口から出口までのプロセスすべてのデジタル化」だ。「企業のオペレーション、業務のすべてをデジタル化するくらいのことを目標に置かないとダメ。それくらいのマグニチュードでデジタル化をやらないと"死ぬ"」のだと渡辺は言う。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>業務すべてのデジタル化に、死に物狂いで取り組んだほうがいい</p>
</div>

<p>「3年くらい前からロボティック・プロセス・オートメーション（RPA）という言葉が流行っていて、猫も杓子もやっているという感じ。いや、そういうものを使うこと自体はとてもいいことだと思うのです。ですが、われわれの理解では、単にRPAを導入するだけでは『点の自動化』にしかつながらない。</p>

<p>われわれペガが得意としているところで、日本企業にデジタル改革として提案しているのは、入口から出口までのデジタル化です。企業のWebサイト、コールセンター、支店などからエンドユーザーの要求が入ってきたとして、その要求が社内のさまざまな部署を通り、それに対して判断や意思決定が行われ、最終的になんらかの結果をエンドユーザーに返す、そのプロセスのすべてをデジタル化してくださいということを言っている。</p>

<p>たとえば、銀行の営業店にお客さまが融資の申し込みにきたユースケースを考えてみましょう。いままでであれば、置いてある紙の申込書に必要事項を書いて提出してもらい、それをスキャンするなりFAXを使うなりして本店の審査部に送り......ということが行われていましたよね。</p>

<p>その最初のところを店頭のタブレットで受ける、あるいはWebで直接入力してもらう形に変えることから始まり、最終的に融資を実行するところまでのすべてをデジタル化しようというのが、われわれの提案です。途中、RPAを使える部分はRPAを差し込むし、AIが使える部分はAIを使って自動判断なり自動処理なりを実現する。そのすべてをペガが提供するプラットフォームに載せて行っていくというのが、われわれの目指すスタイルのデジタル化です」</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=1LQzcSJf9J4
<figcaption>「エンドツーエンドの自動化」と、それによってもたらされる価値について解説した動画</figcaption></figure></p>

<p>「点の自動化」と「プロセス全体の改革」とでなにが異なるのかといえば、それが単なる業務の効率化で終わらないことだ。</p>

<p>「日本における従来の融資は、申し込んで、必要書類をたくさん提出して、審査して......ということで大体1ヶ月ほどの期間がかかるイメージがありますよね。同じことを、われわれのクライアントである欧州の銀行などは、しっかりとした審査を行いつつ、融資実行をオーバーナイトで実現するというようなことに取り組んでいます。この差は相当な価値の差です。なぜなら、融資を求めにくるお客さまというのは本来、来店したその時にお金が欲しいという状況にいるはずです。つまり、われわれが目指しているデジタル化というのは、業務の効率化であると同時に、お客さまの価値創造にもつなげようということなのです。点の自動化では同じことはできません」</p>

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<div class="info"><strong>関連セミナー：Customer Engagement Summit Tokyo　真のデジタル改革を実現するために</strong></div></a>
</div>

<h2>リーダーシップの欠如、旧態依然の開発プロセス</h2>

<p>店頭業務にタブレットを取り入れた「だけ」では、業務の効率化や、手が空いた人員の再配置といったところまではつながっても、本質的な価値創造にまでは至らない。よくわかる話のようにも思えるが、にもかかわらず大企業でなかなか「プロセス全体の改革」が進まないのはなぜなのか。その理由は「"即死"しないからだ」と渡辺は言う。</p>

<p>「われわれが商談の場でよく遭遇するのは、『ペガさんのソフトウェアはたしかに素晴らしい。先立つものがあるなら、ぜひとも入れたいと思う。けれども、それがないからといって日々の業務がストップするわけでもないので』といった断りの言葉で。</p>

<p>新しくてかっこいい『第三のプラットフォーム』が現時点での必需品にまでなっているかといえば、そうではない。たしかにわれわれのシステムがなくても、たとえば人間が手でエクセルに入力することで、なんとか業務はこなせるわけです。つまりは"即死"しないという理由で、投資という意思決定を先延ばしにしてきているのではないか、と」</p>

<p>プロセス全体を変えるとなれば、部分的に新しいテクノロジーを導入したり、とりあえずお試しでやってみる場合と比べて、当然投資額は大きくなる。大企業でDXがなかなか進まない理由は、一つには「こうした未来を見据えた意思決定ができるリーダーがいないことにある」と渡辺は言う。</p>

<p>そしてもう一つ、大企業のDXを阻害する大きな要因として渡辺が挙げるのは、実際にDXを進める際の手法の問題だ。たとえば、変化のスピードが速く先行きが予測不能な現代において、デジタルの恩恵を十分に受けるためには、開発手法はアジャイルである必要があるとはよく言われるところだ。ところが、日本の大手企業のプロジェクトは依然としてウォーターフォール開発が主流であり、これが大企業でDXを進める上での大きな障壁になっている、と渡辺は指摘する。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A1805.jpg">
<figcaption>アジャイルとは、開発を工程で分けずに、チームを組んで小単位の実装とテストを繰り返して進める手法だ。日本の大手企業ではこのアジャイル開発を本格的に取り入れている企業がまだ少なく、従来の、最初に決めた要求仕様に忠実に従って工程ごとに開発を進めるウォーターフォールモデルを採用しているケースが圧倒的に多いという。</figcaption></figure></p>

<p>「私はこの仕事について5年半になるのですが、5年前はまだ、世界のどの国でもアジャイルが主流になるかなというぐらいの段階でした。それがいまでは、世界中のペガのプロジェクトの殆どがアジャイルになっています。ところが、日本ではまだ伝統的なウォーターフォールでやっているケースが8割。これは恐ろしいことですよ。</p>

<p>こういうことを言うとすぐに『いやー、アジャイルは日本では』と言ってしまう人がいる。組織体制が追いついていないからとか、文化的になんとかとか、新しいことをやらない理由はなんとでも言える。でも、その時点で白旗を上げているに等しいということをわかったほうがいい」</p>

<p>なぜアジャイルでなければならないのか。理由はいくつもあるが、端的に言えば、いまという時代が「やってみなければわからない時代」だからだ。ペガのようなソフトウェアを導入するケースについてもそれは同じで、ソフトウェアの良さは使ってみなければわからない。「良さ」というのは、ペガのクライアント企業にとっての良さでもあるし、エンドユーザーにとって、という意味でもある。伝統的なウォーターフォールではそうした良さ、価値の実感までの距離が遠いと渡辺は言う。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>アジャイルは、ソフトウェアの良さを実感するまでのスピードが早い</p>
</div>

<p>「最終的に100のものを実現したかったとして、伝統的な考え方であれば、半分に割った50をファーストフェーズに置くでしょう。いまは5くらいから始めるという発想でないと厳しい。部署ごと、商品ごと、あるいはプロセスのこの部分だけ、など切り方はいろいろありますが、要はできる限り早くに体験できることが大事なのです」</p>

<p>実のところを言えば、ペガの製品を導入するのに必ずしもアジャイルでなければ不可能ということではない。渡辺自身、「アジャイルじゃなければダメなのか？」という問い合わせに対して、かつては「そんなことはないです」と答えていた。日本の大手企業の現実を見れば、クライアントをアジャイル開発が可能な企業に限っていては商売にならないからだ。だが、昨年この方針を180度変え、同じ質問に対して「いや、アジャイルでやってください」と答えるようにした。</p>

<p>「それでまたやれない理由をごにょごにょ言われたら、じゃあお手伝いします、と。弊社の要員の半分はコンサルタント。アジャイル開発に精通したメンバーもいるし、提供できる過去の事例もいろいろとある。だから一緒にやってみましょう、と言うように変えたのです。そうでもして死に物狂いで取り組んでもらわないと、われわれとしても本当に価値創造につなげるところまでコミットできないことがわかったので」</p>

<h2>トランスフォームできれば、日本企業はまだやれる</h2>

<p>渡辺も「システムは触媒であって、あくまで大事なのは人」と言うように、いいソフトウェアを入れればそれですべての問題が解決するかと言えば、当然そんなことはない。組織構造、リーダーシップ、発想の仕方など、日本企業がトランスフォームすべきものは山ほどある。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A1868.jpg">
<figcaption>ペガジャパンは、提供する価値を最大化するためには、システム導入だけでなく開発の手法からコンサルしていくべきだと考えている。</figcaption></figure></p>

<p>これらすべてを同時並行で進めていくのはかなりの難易度に思えるし、「やらない理由」として白旗を上げたくなる気持ちもわかる気がしてしまう。だが、ペガのようなソフトウェアを導入することは、その突破口になり得ると渡辺は言う。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>システムは触媒でしかなく、本当に大事なのは人だ</p>
</div>

<p>「なぜなら、業務の入口から出口までのすべてを改革するということは、必ず部署をまたぐからです。以前であれば『ほかの部署が絡んでくるので、それはできません』という話が多かったと思うのですが、システムを導入するからには、どんな事情があろうともやらなければならなくなるわけで。そこから部署と部署の間に風穴が開く、といったことは十分にあり得ると思います」</p>

<p>それが簡単な道のりでないことはたしかだが、苦労の末にトランスフォームに成功し、仮に「2025年の崖」を飛び越えることができたのなら、「日本社会の未来はそれほど悲観的なものにはならないはず」という展望を渡辺は持っている。</p>

<p>「世の中には人口動態の変化などを理由に、日本はもう終了しましたみたいな言い方をする人もいます。でも、社会人としてちょうどバブル崩壊後の『失われた30年』を生きてきた身からすれば、そんな中にも生き残り方は絶対あるはずだと思えるのです。すごくいいテクノロジーだって持っているし、高齢化するならするで、それにどう対応するのかというソリューションをいち早く確立して、これからもっと大きなスケールで同じ問題に直面する中国等に売る、という発想だってある。同じような可能性はほかにもいくらでもあると思います。</p>

<p>でも、それを考え、実現していくには、ヒト・モノ・カネを最適な場所に投下することが不可欠になる。そのためにも、日本企業は一日でも早くDXを進めなければならないのだと思っています」</p>

<p>日本法人の代表として日々、ほかのリージョンのリーダーと情報交換したり、今後の戦略について話し合ったりする機会も多いという渡辺は、他国にはない日本企業の強みを実感してもいるという。渡辺が考える日本の強み、それは「連続性」だ。</p>

<p>「他国の状況を見ていると、キャリアスパンが短く、連続性がないことに苦労しているケースが非常に多いことに気づきます。本当になにか大きな成果を得たいのであれば、何事であれ、やはりある程度はしっかりと腰を据えて取り組む必要があるはずですが、『あれ？ この人最近入ってきたばかりなのに、もういないの？』みたいなことが頻繁に起きていると聞きます。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>ある程度長いスパンで取り組む日本人の忍耐強さは、必ず強みになる</p>
</div>

<p>日本でも終身雇用は維持できないということが言われ始めていますが、それでも、ある程度長いスパンで仕事に取り組むという姿勢自体は残ると思っていて。『日本人は忍耐強い』などとも表現されますが、こうした日本のビジネスカルチャーは世界で戦う上で強みであり続けるのではないか、と。</p>

<p>われわれのようなソフトウエアビジネスは通常、売れるときもあればダメなときもあって、凸凹が多いものです。にもかかわらず、大変ありがたいことにここまで比較的安定した成長を続けてこられているというのは、そうした日本のカルチャーが背景にあってこそなんだと思います」</p>

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<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="6010001142818"></div>
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    </content>
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<entry>
    <title>メール編：「よろしくお願いします」の代わりに使えるフレーズ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/08/English-VOL5.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9281</id>

    <published>2019-08-01T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-10-24T03:10:56Z</updated>

    <summary>「よろしくお願いします」は、会話だけでなくメールの結びにも使われる。英語でメールを送るときは、結びにどんなフレーズを使えばいいのだろう。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ひとこと英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="英会話" label="英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>こんにちは、ルーク・タニクリフです。前回に引き続き、今回も「よろしくお願いします」の代わりに使えるフレーズについてお話しします。</p>

<p>前回は、出会った人と対面で挨拶をする際に使うケースについてお話ししました。今回は、応用編として、メールの結びに使うケースを見てみましょう。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2019/06/English-VOL4.html/">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/bnl_yoroshiku.png">
<div class="info"><strong>「よろしくお願いします」は英語でなんて言うの？</strong></div></a></div>

<p>まず、英語には「よろしくお願いします」のような、どんなメールにも使える便利なフレーズがありません。</p>

<p>また、日本語でメールを書くときは、相手が目上の人やお客様かどうかなど、主に相手との立場の違いをもとに適切な言葉を選びますね。しかし英語では、相手の名前を知っているかどうかや、親しさの度合いによって使うフレーズが変わります。</p>

<p>また、書き方は英語圏の国によっても少し違いがあるので、ここではイギリスとアメリカの2通りを見てみましょう。</p>

<div class="hint-box">
<a class="open">ルーク・タニクリフのプロフィール</a>
<div class="hint">1982年イギリス生まれ。イギリス人の父とアメリカ人の母を持つ。13歳までイギリスで暮らし、その後アメリカのノースカロライナ州の高校に転校、イギリス英語とアメリカ英語の違いを経験。米ウェズリアン大学を卒業後、雑誌編集者／記者の仕事を経て、2005年、JETプログラムで来日。新潟の中学校で２年間英語教師をつとめ、その間に日本語を学ぶ。2008年に再来日。英会話講師とビジネス翻訳の仕事をしつつ、東京大学大学院にて翻訳論を学ぶ。2010年に開設したブログ「英語 with Luke」は、初心者から上級者までレベルを問わず楽しめる記事で人気を博し、月間150万PVを記録する人気サイトとなった。
</div></div>

<h2>相手の名前を知らない場合</h2>

<p>メールを送る相手の名前を知らない場合、まず冒頭の挨拶には、Dear SirやDear Madamを使います。そして、結びの挨拶として、イギリスではYours faithfully、アメリカではYours trulyを使い、その下に自分の名前を入れます。日本語の「敬具」のような意味合いです。</p>

<p>イギリスでは
<img src="/uploads/Alfred.jpg"></p>

<p>アメリカでは
<img src="/uploads/truly.jpg"></p>

<h2>相手の名前を知っている場合</h2>

<p>メールを送る相手の名前を知っている場合は、冒頭挨拶としてDear Ms. Brownなどを使います。そして、結びの挨拶はイギリスではYours sincerely、アメリカではSincerely yours です。</p>

<p>イギリスでは
<img src="/uploads/Yours.jpg"></p>

<p>アメリカでは
<img src="/uploads/Sincerely.jpg"></p>

<p>結びの挨拶を書くときは、上記の例文のように頭文字は大文字、フレーズの最後にカンマを付け、その下に自分の名前を書きましょう。苗字まで書くと、より丁寧な印象になります。</p>

<h2>相手のことをよく知っている場合</h2>

<p>仲良くなった人には親しみのある結びの挨拶を使うと良いでしょう。例えば、best wishes、kind regards、best regardsがあります。これらは、フォーマルでもインフォーマルでも万能なフレーズで、アメリカでもイギリスでも、相手との立場の違いも気にせず、誰に対してでも使えます。</p>

<p><img src="/uploads/best.jpg"></p>

<p>もっと気持ちを込めたいなら、all the bestやwarm regards が良いです。</p>

<p><img src="/uploads/All_the_best.jpg"></p>

<p>インフォーマルなメールで、仲が良い同僚や友達に対して使うなら、以下のフレーズもおすすめです。相手と会う約束がなくても「またね」を意味するsee you や see you laterが使えます。ただし、海外に住んでいる相手など、会えない人には使えません。
 </p>

<p><img src="/uploads/Seeyou.jpg"></p>

<h2>これから会う相手の場合</h2>

<p>友達や同僚と会う約束をした場合はsee you soonと書きます。フォーマルな英語では、Best wishes,などの結びの挨拶の前に、I look forward to seeing you soon.をよく使います。</p>

<p><img src="/uploads/seeyousoon.jpg"></p>

<h2>「いい一日を」を意味する便利な結びの挨拶</h2>

<p>最後に、「いい一日を」を意味するフレーズを見てみましょう。同僚に対してよく使います。カンマではなく、感嘆符を付けます。例えば、Have a nice day! 「良い一日を！」、Have a good evening! 「良い夜を！」、Have a great Friday! 「良い金曜日を!」、 Enjoy the weekend!「良い週末を！」 などです。</p>

<p><img src="/uploads/haveaniceday.jpg"></p>

<p>英語で結びの挨拶を書くときには、相手の名前を知っているか、相手と会ったことがあるか、よく話す相手かなどを考えると良いでしょう。日本語と違い、上下関係や立場の違いよりも、自分が相手とどのぐらい仲が良いのかが一番重要なポイントです。</p>
]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>変化の時代の経理を、実務目線で語り尽くす━━9月13日開催 「MF Expense expo 2019」 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/07/mf-expense-expo-2019.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9282</id>

    <published>2019-07-29T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:27:38Z</updated>

    <summary>今年のコンセプトは「経理はニッポンの伸びしろだ。Change Readiness（変化に備える）」。ミスが許されない経理にとって「変革」は簡単ではない。だからまず準備からはじめよう、そんなメッセージだ。実務目線で経理の最新情報に触れられる、貴重なイベントが開催される。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="イベント" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="イベント" label="イベント" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<div class="event-btn"><a href="https://mfexpense.jp?cpcode=bnl" target="_blank">お申し込みはイベント特設サイトより</a></div>

<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/21506820070">今井義人</a></strong><small>マネーフォワード クラウド経費本部 本部長</small>
<p>大学卒業後、2009年にApple Japanに入社し、チャネル戦略などを担当。12年8月、ミイル株式会社でプロダクトマネージャーとして料理写真共有アプリの開発に携わる。15年12月に株式会社マネーフォワードに参画し、翌年3月にリリースすることになる「マネーフォワード クラウド経費」の立ち上げメンバーとして加わる。マーケティングやセールスプロセス構築等、サービスの立ち上げ期を支え、クラウド経費本部の発足時に本部長に就任、現在に至る。</p></aside></p>

<p>「営業やマーケティングの部門では通常、『変わることはよいこと』とされています。ところが経理の場合、必ずしもそうではありません。間違いが許されない環境で、生産性を上げることよりも、安全で確実な業務プロセスが重視されてきたからです。しかしいま、働き方改革や人手不足を背景に、生産性を向上させることの重要度も高まっています」</p>

<p>だからこそ、経理担当者同士がつながり、生産性を高めるノウハウや知見をシェアできる場が必要なのです──クラウド経費本部 本部長、今井義人はそう述べる。</p>

<p>2019年9月13日、東京・丸の内のJPタワーで「MF Expense expo 2019 経理はニッポンの伸びしろだ。」が開催される。</p>

<p>「MF Expense expo 2019」は、マネーフォワードが提供するバックオフィス向け業務効率化ソリューション「マネーフォワード クラウドシリーズ」の1つである、経費精算システム「マネーフォワード クラウド経費」チームが主催するイベントだ。</p>

<p>昨年、「経理から始める働き方改革」をテーマに第1回を開催、数百名が参加した。今井はこう言う。</p>

<p>「規模を目的とはしていません。それよりも、参加してくださったみなさまにご満足いただけたのがうれしかったですね」</p>

<p>昨年は基調講演の他に八つのセッションを開催した。そのうちの一つに今井自身も登壇した。</p>

<p>「私が担当したセッションでは、『マネーフォワード クラウド経費』というサービスの全体像をお話しさせていただきながら、その場でご質問を受け付けていきました。ユーザーの方から『ここが使いづらい』というお声もいただきましたし、まだユーザーではない企業の方から『他社製品と比較してどうか』という率直なご質問をいただいたりもしました」</p>

<p>今井は「『私がお答えするとポジショントークになりますよ』と申し添えたのですけれど」と笑うが、その口ぶりからむしろフラットな質疑応答が行われたことがうかがえる。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/19-07-10IMG_9222-1.jpg">
<figcaption>前回の「MF Expense expo 2018」で今井が担当したセッションでは、質疑応答の台本を用意せず、参加者からその場で投げかけられた質問に対し、今井が答える形式で行った。
</figcaption></figure></p>

<p>「参加者の方からは『この機会を生かそう』という熱意を感じましたし、本音のご質問にお答えするのは私自身にとっても刺激になりました。クラウド型経費精算システムのマーケットはまだまだ発展途上です。"最強のサービス"があるわけではありません。ですから、現時点の機能だけで選ぶと、かえって見誤ることがあるんです。いまの機能で何ができるかと、それ以上に、サービスを通じてどんな未来を描こうとしているかを伝えることが重要だと感じました」</p>

<p>第2回となる「MF Expense expo 2019」では、前回の手応えを生かした各種セッションを準備している。キャッチフレーズは「Change Readiness」。「変化に備える」という意味だ。</p>

<p>「先ほども申し上げたように、経理部門は安全性を担保しながら業務改善に取り組んでいかなければなりません。『とりあえず変えてみたのですが、失敗しました』とは言えないんです」</p>

<p>一方、会社全体が成長や変革を目指すなかで、経理だけがいままでと同じ業務フローでいるわけにはいかない。だからこそ「変化に備える」ための知識とマインドセットが大切なのだ。</p>

<p>「経理担当者は『ミスは許されない』というプレッシャーのなかで仕事をしています。一歩踏み出すための勇気が、他の職種よりも必要だと思うのです。その勇気を支えるのは、夢物語ではなく、地に足のついた議論だと思っています。」</p>

<p>基調講演には3者の登壇を予定している。</p>

<p>一人は、コーンフレークで有名な日本ケロッグ合同会社の人事総務IT部 部長門野 映子氏。日本法人設立以来、50年以上にわたり市場を牽引してきたが、2013年を契機に全社横断で働き方改革プロジェクトが立ち上がり、門野氏は様々な取り組みを推進してきた。</p>

<p>もう一人は、ラーメン山岡家を全国で150店舗以上展開する株式会社丸千代山岡家 人事総務部 システム課 課長の田中 陽里氏。飲食店の多店舗展開では管理業務をいかに効率化できるかが成功の鍵となるが、同社は経理部門と情報システム部門が密に連携し、ITを積極的に活用している。</p>

<p>そして最後の一人は、ブロックチェーン会計士からスタートアップベンチャーへ転身、管理部門の立ち上げを一手に引き受ける、キャディ株式会社 経営管理本部 柿澤 仁氏。</p>

<p>企画の意図を今井はこう語る。</p>

<p>「バックオフィスの業務改革にはさまざまな手段があります。ITやクラウドサービスの導入は手段の一つにすぎません。就業規則の変更や、オフィス移転などで解決を図る場合もあります。そして実際は、それらを一体のものとして取り組まれるお客様が多くいらっしゃいます。 基調講演は、経理に限らず、バックオフィス改革の全体像をお話しいただける方にお願いしたいと考え、門野さん、田中さん、柿澤さんにご登壇を依頼しました。管理部門の業務を様々な観点で考える場にすることを狙って、あえて業態や事業ステージがまったく異なる3社をお招きしたのです。当時の状況や課題感、葛藤など、ここでしか聞けない貴重なお話になるのではないかと思います」</p>

<p>例えばラーメン山岡家では、各店舗に置かれている複合機と「マネーフォワード クラウド経費」をAPIで接続し、生産性向上を図っている。近所のスーパーで買った食材の領収書を複合機でスキャンすれば、「マネーフォワード クラウド経費」へデータが自動で取り込まれ、本部の管理部門に電子レシートや支払情報、勘定科目といった情報が送られる仕組みだ。</p>

<p>「経理のみなさんにとって、経費精算を速く正確にデータ化する事は大きな関心事だと思います。山岡家さんがどのようにこのシステムを構築していったかというお話は、きっとご興味を持っていただけるのではないかと思います」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/19-07-10IMG_9383-1.jpg">
<figcaption>今回のイベントは、経理の実務目線に合わせたセッションを多数用意した。営業やマーケティングと違い、経理業務は気軽に「変える」ことがなかなかできない。だからこそ変わる前の「心の準備」をするための場にしたいという。
</figcaption></figure></p>

<p>昨年に引き続き「働き方改革」も重要なテーマだ。今井は「『働き方改革』を契機として、さまざまな企業でバックオフィスの業務改善が経営課題に位置付けられるようになった」と言う。</p>

<p>「管理部門は事業部門と異なり、何か新しいことを始めるためのハードルが心理的にも予算的にも高い場合も多いので、以前から業務効率化を図りたいと考えていた人にとってはよいチャンスになっているのではないでしょうか。この流れはしばらく続くと思います。なかには、『うちは古い会社だから無理だろう』と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、『マネーフォワード クラウド経費』を導入してくださっているお客様は本当に様々です。ベンチャーだけではなく創業50年を超える会社もあり、業態も事業規模もバラバラ。従来の業務フローに捉われず、管理部門から会社をよくしていきたい、と強く願う方からご利用いただいているのだと思います」</p>

<p>「ただ、経理に関する情報は圧倒的に足りていない」と今井は言う。「他の会社はどうしているか」を知る機会も依然として少ないままだ。</p>

<p>「フリーランスの経理部長」として活躍する流創株式会社代表・前田康二郎氏には、昨年に引き続き今回も登壇を依頼しているが、その意図を今井はこう語る。</p>

<p>「昨年は管理部門の人事評価についてお話しいただきました。特に経理部門は、事業部門のようにわかりやすい数値目標を立てにくい。日々の業務も決算も、できて当たり前と思われていて、評価することが難しいんです。前田先生にそういうようなお話をしていただいたところ、どの企業の方も同じ悩みを抱えていたようで、人気の高いセッションの一つになりました。今年はさらに一歩踏み込んで、経理という仕事が本来持っているクリエイティビティーについてお話しいただく予定です」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/19-07-10IMG_9571.jpg">
<figcaption>営業は目標達成すれば褒められるが、経理はできて当たり前というイメージをもたれやすく、評価も難しい。こうした悩みや課題を参加者同士で共感できる場になるといいと今井は語る。
</figcaption></figure></p>

<p>「請求書や領収書がなくなる？ 帳簿の電子化、消費税インボイス制度の先にあるもの」というセッションにも注目だ。元国税庁勤務で帳簿書類電子化のコンサルティングを行う税理士の袖山喜久造氏が、政府の取り組みや消費税インボイス制度への電子化による対応等について登壇する。</p>

<p>その他に、コーポレートカード、スキャナーとOCRやRPAを連携した取り組みや、購買管理の効率化、なかなか運用をやめるのが難しい仮払金の代替施策等をテーマにしたセッションも予定している。今井はこう言う。</p>

<p>「経理担当者同士がつながる場所が必要だという思いは変わりません。『MF Expense expo』がその場所となれるように育てていきたいと思っています」</p>

<p>セッション終了後はカクテルパーティーが予定されている。参加費は無料。貴重なこの機会、ぜひ参加してみてはいかがだろうか。</p>

<div class="event-btn"><a href="https://mfexpense.jp?cpcode=bnl" target="_blank">お申し込みはイベント特設サイトより</a></div>

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    <title>本郷に拠点を構える、AI特化型のインキュベーション施設に潜入 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2019-07-26T02:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:27:54Z</updated>

    <summary>AIに特化したインキュベーターDEEPCOREが運営する施設「KERNEL HONGO」で、昨年末に初開催されたピッチイベントに潜り込んだ。主催者や審査員、発表者を取材し、ディープラーニング技術を活用した日本発スタートアップの可能性を探る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="イベント" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="イベント" label="イベント" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
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    <category term="テクノロジー" label="テクノロジー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>2018年12月上旬、東京大学赤門のある本郷通りに面したあるビルの3階では、スタートアップのピッチイベントが行われていた。ファッション、医療、セキュリティといったさまざまな領域で未来のビジネスをつくり出そうとする起業家たちが、50名ほどのオーディエンスが見守るなかプレゼンを行う。プレゼン後には審査員から厳しい質問が上がる。ピッチイベントではよく見かける光景だ。</p>

<p>だが、このイベントにはひとつユニークな点があった。参加したすべてのスタートアップがディープラーニングを中心とするAI技術を使っていることだ。「KERNEL Incubation Summit vol.1」と題されたこのイベントが開催された場所は、ソフトバンクの子会社でAIに特化したインキュベーターDEEPCOREが運営するインキュベーション施設「KERNEL HONGO」。投資先スタートアップとKERNELに所属するメンバー、外部のアドバイザーを集めて行った初のピッチイベントである。</p>

<p>「新しいビジネスを考えるときには、知らず知らずのうちに『自分天才仮説』というのをとっている場合が多いんですね。『この領域にはこういう問題があり、だからこの事業をやります』というプレゼンは、自分だけがその問題に気づいているという仮説に立っているものです」。DEEPCOREのファウンディング・パートナーであり、東京大学教授、日本AI界のパイオニアでもある松尾豊は、イベントの最後の挨拶でオーディエンスに向けて語った。</p>

<p>「そうではなくて、実際に検証をしてみて、自分が行動したことに対して仮説を立てなければいけない。そうやって行動と思考を積み重ねることによって、人がまだ見えていない世界を見ること、そしてその経験に基づいて、いろんなアイデアを組み立てていってもらえるといいんじゃないかなと思います」</p>

<p><figure>
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<figcaption>ピッチイベントを終えて松尾教授は、最後に参加者に向けて励ましの言葉を述べた。</figcaption></figure></p>

<h3>30年後のための「正しいこと」</h3>

<p>DEEPCOREは、もともとは「汐留事業4号株式会社」という少し変わった名前の会社だった。親会社であるソフトバンクグループがいつでも新規事業を立ち上げられるように準備していた準備会社で、DEEPCOREに社名変更後、2018年1月29日、インキュベーション事業を行うことが発表された。パートナーやアドバイザーには松尾のほかに孫泰蔵も名を連ねている。DEEPCOREは2018年2月にKERNELに入るメンバーを募集。現在は学生、社会人を含めた約300人のメンバーが、未来のAIビジネスを生み出すために日々この施設で作業をしている。</p>

<p>DEEPCOREの設立背景には、ソフトバンクが2010年に発表した「新30年ビジョン」がある、とCEOの仁木勝雅は言う。「新30年ビジョン」とは、ソフトバンクが創業30周年を期に発表した「次の30年」の方向性を定めたもの。「われわれが何のために事業をしているのか、何を成したいのかを短い言葉で表せば、『情報革命で人々を幸せにしたい』に尽きます」という言葉から始まるこの資料のなかで、今後の事業戦略の根幹として取り上げられた領域のひとつがAIだった。</p>

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</div>

<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/katsniki">仁木勝雅</a></strong><small>DEEPCORE President &amp; CEO</small>
<p>情報産業分野における投資活動を通じて、企業価値拡大というテーマに一貫して取り組み続けている。2016年まで、ソフトバンクグループの投資部門責任者として、国内外のさまざまなステージの投資案件を担当。ボーダフォン日本法人やSprintといった大型M&amp;Aに加え、Aldebaran RoboticsやGrab、Coupangなど海外のテクノロジー企業やスタートアップへの出資に携わったほか、Renren、Supercell、Grab、ガンホー・オンライン・エンターテイメント、ジーニー等において取締役を務めた。また、国内外の複数のVCにおいて投資委員を歴任し、現任でもMistletoe Venture Partners（株）の取締役を務めるなど、自身の経験を活かしさまざまな角度からのスタートアップ支援を行っている。</p></aside></p>

<p>もうひとつの設立背景は、日本のスタートアップへの投資機会が少ないことである。「私は2005年から2016年までソフトバンクの投資部門を担当してきましたが、実はその95%くらいが海外企業への投資だったんです。ボーダフォン日本法人やイー・アクセスといった国内の大型企業の買収はありましたが、それ以外の国内への投資は本当に少ししかないんですね。あってもほぼほぼレートステージです」。外資系通信会社を経て2005年にソフトバンクグループ入りしたのち、約10年間にわたって投資部門を率いてきた仁木は語る。</p>

<p>「われわれとしても日本のスタートアップに投資をしたくないわけじゃないんだけど、なかなかする機会がない。アーリーステージを含め日本にもっと多くの投資機会があってもいいのに、それができないのは、やっぱり日本に強力なスタートアップが少ないからなんですね。そういうこともあって、『AI×スタートアップ』の領域を掘ってみようか、というところから今回の話が始まっています」</p>

<p>AIに特化したスタートアップを生み出していくために、仁木らが注目したのが理系研究者や技術者、学生のポテンシャルだった。マイクロソフトやグーグル、フェイスブックといった米国のテックジャイアントたちは、エンジニアリングをバックグラウンドにもった創業者をもつ。それと同様の流れを日本にもつくりたい、という考えが、松尾教授との協力、本郷という場所にインキュベーション施設を設立したことにつながっている。</p>

<div align="center">
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</div>

<p><aside><strong>松尾豊</strong><small>東京大学大学院工学系研究科 人工物工学研究センター・技術経営戦略学専攻 教授／ソフトバンクグループ株式会社 取締役</small>
<p>1997年 東京大学工学部電子情報工学科卒業。2002年 同大学院博士課程修了。博士（工学）。 産業技術総合研究所研究員、スタンフォード大学客員研究員、東京大学大学院工学系研究科准教授、特任准教授を経て2019年4月より現職。同年6月19日より、ソフトバンクグループ株式会社の取締役に就任。専門分野は、人工知能、ウェブマイニング、ビッグデータ分析。 人工知能学会では2014年から2018年まで倫理委員長。2017年より日本ディープラーニング協会理事長。</p></aside></p>

<p>DEEPCOREへの協力を承諾した理由について松尾に尋ねると、「方向性が正しいので否定する理由がなかった」という答えが返ってきた。「僕はよく、いまのディープラーニングって『1998年のインターネット』みたいなものだと言っているんです。1998年当時、これからインターネットが重要になるからそれに興味のある優秀な研究者や技術者、学生を集めてインキュベーションをやろうよねって言ったときに、反対する理由はないじゃないですか」</p>

<p>「どう考えても、AI分野ではGAFAが強いし、中国もすごい。そのなかで日本がどう戦っていくかは難しい話で、本来であれば国レベルでの正しい意思決定や大企業がきちんと動いていくことといった、いろんなことが一体になって行われないといけないんです。でも政府も企業も、いろいろなしがらみや力関係のなかで大胆な意思決定をするというのができていないんですよね」</p>

<p>「そうした本来やるべきなのにできていなことが日本中のいたるところにあるなかで、DEEPCOREは『AIスタートアップを生み出すための環境をつくる』という正しいことをやろうとしている。それは学生にとっても得だし、企業にとっても得だし、松尾研にとっても得になります。こうした正しいことをみんながやることによって、穴が埋まっていって、日本全体がいい方向に行くんじゃないかと思っています」</p>

<h3>日本の未来へのシーディング</h3>

<p>KERNELの共有スペースには、人工知能、自然言語処理といった専門分野の書籍から『Newton』や『ナショナルジオグラフィック』といったメジャーなサイエンス系の雑誌、起業関連の書籍などが置かれている。また半導体メーカー大手NVIDIAの協力により、入居者たちはトップクラスのコンピューティングリソースを利用できるほか、彼らはメンターやDEEPCOREから事業をかたちにするためのアドバイスやサポートを受けることができる。</p>

<p><figure>
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<figcaption>「<a href="https://www.schemeverge.com/" target="_blank" rel="nofollow">scheme verge</a>」CEOの嶂南達貴は、旅がテーマの新サービスについて発表した。</figcaption></figure></p>

<p>「テクノロジーを使って個人中心の都市開発を実現する」をミッションに掲げるscheme vergeは、KERNELのメンバーから生まれ、DEEPCOREのファンドからの投資を受けることに成功した初のスタートアップだ。東大の修士課程在籍中に同社を立ち上げたCEOの嶂南達貴は、ビジネス面でのアドバイスを受けられることがKERNELに所属することの最大のメリットだと言う。</p>

<p>「発想力、課題に対して新しいアイデアを粘り強く考えていくのは、学生のような若い世代のほうが得意なところもあると思います。でも、それを具体的にビジネススキームに落とすスキル、事業計画を書いたり、財務戦略・資本政策を作ったりといった面では、やはり経験が重要になってくる。そうしたビジネス面で、経験・知識のある方々にフィードバックを得られるのが一番大きいと思います」</p>

<p><figure>
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<figcaption>「<a href="https://medmain.net/" target="_blank" rel="nofollow">Medmain</a>」CEOの飯塚統は、超高精度の病理画像診断ソフト「PidPort」について発表した。</figcaption></figure></p>

<p>「AIに特化してここまでネットワークをもつVCはなかなかない」と語るのは、同じくDEEPCOREのファンドの投資先で福岡を拠点にする医療AIスタートアップ・Medmain CEOの飯塚 統だ。冒頭のピッチイベント「KERNEL Incubation Summit」に参加した飯塚は、DEEPCOREがAIスタートアップに特化しているからこそ、そのコミュニティに価値が生まれやすいと言う。</p>

<p>「こういったイベントに呼んでいただくと、AIに取り組まれている方がみんな集まっているので、うちで抱えている課題感をほかの会社さんももっていたりするんですよね。それを互いに共有して、知恵を出し合うことで、解決できる部分もあるように感じています」</p>

<p>このようにDEEPCOREはインキュベーション機能とファンド機能の双方をもつことで、AIに関心のある若い才能を集め、彼らのアイデアを現実化するための環境とメンターを用意し、可能性のあるものに対しては自ら資金を注ぎ込んでいく。すなわち「0→1」、そして「1→100」のプロセスをシームレスにつなげることで、継続的にAIスタートアップを生み出すような仕組みをつくろうとしているのだ。最初のパートナーとして組んだのは東京大学の研究室だが、「今後は国内外のほかの大学とも提携を進めていくつもりです」と仁木は語る（インキュベーション施設第一号に「KERNEL HONGO」と名前をつけたのは、将来的に「KERNEL ◯◯」をあらゆる場所で展開するためなのだろう）。</p>

<p>DEEPCOREの掲げる目標は大きいが、仁木たちは決して短期的な"成功"にはとらわれていない。だからこそKERNELは、他のVCに多いアクセラレータープログラムのように期間限定でスタートアップを教育する「バッチ制」は採用していない。長期的な目線でDEEPCOREを運営するなかで日本のAIスタートアップのエコシステムをつくっていくことは、ソフトバンクという巨大な後援者がいるからできることでもある。</p>

<p>「継続的に、このKERNELという場所からスタートアップが生まれ、ここから輩出された人たちが次の世代に対してアドバイスができるような、そういうコミュニティがつくれればと思っています」と仁木は言う。「そしてそのなかから、モノになるもの、世界を相手に戦えるような強いスタートアップが出てこないといけない。そうしないと、周囲から認められるところまではいかないと思うんです」</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>日本企業のモバイルシフトに必須の持ち物は、アプリデータの&quot;世界地図&quot; - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/07/app-annie-vol2.html" />
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    <published>2019-07-24T03:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:02:20Z</updated>

    <summary>旅をする時に地図を持っていないと困るのと同様、企業がモバイルの世界に挑戦する時に必要となるのは、世界規模のモバイルビジネスの勢力構成図である。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
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        <![CDATA[<p><a href="https://bnl.media/2019/06/app-annie-vol1.html" target="_blank" rel="nofollow">前編</a>に引き続き、<a href="https://www.appannie.com/jp/" target="_blank">App Annie</a>日本法人代表、向井俊介のインタビューをお届けする。</p>

<p>前編で向井は、モバイルシフトの必要性を自分ごととして捉えられていない日本企業の現状と、その結果として目先のビジネスチャンスだけでなく、中長期的に見ればそれ以上に大切なデータという資産をみすみす失っていることを指摘し、危機感を煽った。</p>

<p>では、企業の意思決定者がそうした現状を正しく認識し、モバイルシフトの必要性を自分ごと化したとして、実際にどうやって事態を打開していけばいいのか。</p>

<p>一つめのメッセージが「モバイルという海に出よう」だったとするならば、二つめのメッセージは「地図を持とう」だ、と話す向井。どういうことか、再び彼の言葉に耳を傾けてみよう。</p>

<p><img src="/uploads/_DSC2466-720.jpg">
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/">向井俊介</a></strong><small>App Annie Japan株式会社 Country Director</small>
<p>国内IT企業を経て、世界最大の企業情報企業である米Dun And Bradstreet、外資系ITリサーチ・コンサルティング企業である米Gartnerにてセールス職として様々な業種を横断的に担当し、経営者レベルとのビジネスを推進。App Annieにおいては、15年以上のセールス経験の大半を情報・データ提供ビジネスに従事してきた経験を活かし、日本の新規ビジネスから既存クライアントビジネスまで広く担当。グローバルトップの業績を残す一方で、セールスプロセスの改善や仕組み作り、KPI設計やAPAC全セールスに対するトレーニング等、幅広く活躍し、2019年1月からApp Annie Japan代表に着任。
</p></aside></p>

<h2>データは現代のビジネスに必須の地図</h2>

<p>生活者のライフスタイルがモバイル中心にシフトしたいま、生活者のことを知りたいと思ったら、企業としても当然、重心をモバイルへと移す必要がある。</p>

<p>「重心をモバイルに移す」とはすなわち「モバイルアプリを作る」ということだろうか？ 向井が言っているのはそうではない。</p>

<p>「それまで経験のなかった企業がモバイルアプリを作るのは簡単ではありません。それに一度作ってしまったが最後、終わりのない改善の日々が始まります。だから猫も杓子もアプリを作れというのは乱暴だし、非現実的だと思います。必ずしも自分たちでアプリを作って、ゼロからデータを収集しなくてもいいんです。なぜなら、世の中にはすでに何千、何億というユーザーのデータを持っているプレーヤー企業、プラットフォーム企業がたくさんあるわけですから」</p>

<p>こうした企業と提携するというのも、経営戦略としてはもちろんアリだ。だが、自分たちで新しくなにかを始めるにしろ、どこか提携先を探すにしろ、まず世界を正しく認識しなければ、最適な判断を下せるはずがない。世界のどこにどんなサービスがあり、そのサービスがどれくらい伸びていて、どんなユーザーに、どんな形で使われているのか。そうしたことがわからなければ動きようがない。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>データを参照しないのは、地図なしで大海に出るに等しい。</p>
</div>

<p>だから、必要なのはなによりもまず、世界を正しく示し、どの方向に進むと金脈がありそうなのかを知る「地図」である。そして、現代の地図はデータに他ならない、と向井は言っている。</p>

<p>「日本でも最近ベストセラーになった『ファクトフルネス』という本があります。この本が伝えるように、ぼくらは思い込みと先入観で物事を考えがちなんです。実際の世界がそれとまったく異なることはデータが物語っています。データやファクトを見ることで初めて、世界の本当の姿は見えてくる。なにかを考えるのはそこからではないか、ということです」</p>

<p>データやファクトを把握せずになにかを始めるのは、地図を持たずに大海へ航海に出るに等しい。ぼくらの思い込みと先入観は、ミクロネシアの伝統航海術のようにはあてにならない。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC2324-Edit720.jpg">
<figcaption>世界を広く見渡せば、さまざまなモバイルビジネスがある。的確な経営判断のためには、勢力構成図の把握は不可欠である。</figcaption></figure></p>

<h2>App Annieという"世界地図"の使い方</h2>

<p>日本企業の意識変革を促すべく続けてきた向井の地道な働きかけは、ここに至ってようやく、自社のビジネスにつながることになる。</p>

<p>App Annieは、世界中のアプリ会社やユーザーの端末から提供されるローデータをもとに、独自のアルゴリズムを使って、日々推計データを生成している。2010年の創業から蓄積してきた同社のデータ量は、他の追随を許さない。その圧倒的な量がデータの精度を支えてもいる。だからこそ同社のデータは、これから大海に漕ぎ出そうとする企業に対して、まさに"世界地図"として機能する。</p>

<p>では、手にした"地図"は実際にどのようにして使えばいいのか。その使い道は大きく分けて二つある。一つは「マネタイズ」のため、もう一つは「マーケティング」のための使い方だが、マネタイズは課金ビジネスを指すため、多くのナショクラ企業は「マーケティング」の文脈で活用している。</p>

<p>国内大手自動車メーカーのA社は、App Annieの提供するデータを「新規ビジネス創出に向けたマーケット理解」のために使っている。世界レベルで見ると自動車の販売台数が頭打ちになっている市場において、同社にとって自動車の製造・販売以外に将来にわたって会社を支える事業を作ることは、喫緊の課題だった。例えばライドシェアサービスとの提携はその有力な手段の一つだったが、提携先を探そうにも、世界のどこにどんなライドシェアサービスがあるのかを知らなければ、検討のしようがない。</p>

<p>そんな時、App Annieのデータを使えば世界規模の勢力構成図を作ることも容易だ、と向井は言う。</p>

<p>「どこの国でどんな会社が強いのか。どれくらい成長しているのか。どういうユーザーを抱えているのか。そういったことがファクトとして手に入ります。ライドシェアとひとくちに言っても、例えば東南アジアには『Grab』が、インドには『Ola』が、ロシアには『Gett』がある。アメリカにだってよく知られた『Uber』のほかにも『Lyft』や『Juno』がある。日本で知られているよりもずっと多くのライドシェアサービスが世界にはあります。それらすべてを知ることで初めて、比較検討は可能になるじゃないですか。そこでもし『Uber』しか知らなかったら、ライバル社が『Uber』と提携した時点で話が終わってしまう」</p>

<p>グローバルに展開する大手消費材メーカーのB社は、データを「マーケティング高度化に向けて生活者を知る」ために使った好例だ。同社はこのほど、それまで現地法人に一任していた海外マーケティング戦略を見直し、国内ヘッドクオーターがデータドリブンにポリシーを定めるやり方に変えた。</p>

<p>「例えば各国それぞれのアプリ内広告クリエイティブデータと、ダウンロード数やアクティブユーザー数、アプリの起動率などのデータを見ていくと、プッと跳ねる瞬間があるんです。そうした行動変容の裏側には、必ずなにかしらの原因がある。本当に泥臭い作業なんですが、その日、その時にどんなことが起きていたのか、どんなコミュニケーションが生活者の行動変容を促したのか、一つひとつ探っていくことをする。そうした積み上げが、マーケティング戦略を定めるためのTipsになっていくんです」</p>

<p>それぞれの国に最適な施策を打つには、「現地の消費者が日々どんなサービスに触れているのか」や、「どういう広告クリエイティブに大きく反応するのか」など、さまざまなことを知る必要がある。このようにして「生活者を知る」手段としてデータを参照するのも、まさに地図的、羅針盤的な使い方だと向井は言う。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC2420-720.jpg">
<figcaption>企業によって、App Annieの使い方は多様である。ただし、成功する企業に共通する条件はある。</figcaption></figure></p>

<h2>先の見えない時代にPDCAはそぐわない</h2>

<p>しかし、地図はあくまで地図だから、ただ眺めているだけでは「正解」は見えてこない。「マーケットを知る」「生活者を知る」、いずれの使い方であっても、データは使いこなして初めて価値になる。「価値を一様には語れないのが、うちのプロダクトの難しいところなんですよね」</p>

<p>どんな価値を生み出せるかは使い手に委ねられている。だが、データを活用する際には「こうすればうまくいきやすい」という押さえておくべきコツもある。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>仮説を検証するためにデータを見るべき。逆だとうまくいかない。</p>
</div>

<p>向井の考える一つめのコツは、「データを扱う際は、あくまで仮説ありき」という原則を遵守することだ。</p>

<p>「仮説ありきというのは、BI（Business Intelligence）の世界の原則です。まず仮説があり、それを検証するためにデータは存在する。これが逆になるとうまくいかないんです。なんとなくデータを眺めているだけでは答えは見えてこないし、なんのためにやっていたんだっけ？ということになって、大抵迷宮入りしてしまう」</p>

<p>コツの二つめは、「日本企業が大好きなPDCAを捨てること」だ。失敗する企業の多くは、データ活用をPDCAのプロセスに組み込んでいる、と向井は言う。</p>

<p>「日本企業のP（プラン）は戦後の成長期を支えた製造業の製造プロセスの考え方からきているので、完璧になるまで磨きたがるじゃないですか。でも、それじゃあ遅すぎるんですよ。遠くまで先が見通せる状況、あるいは同じことの繰り返しをしていればうまくいく状況であればそれでいいんですが、いまは変化のスピードが速く、先の見えない時代になっています。完璧なプランができたころには、すでに外部の条件が変わってしまっていて、またプランを組み直すことを迫られる。結果、永遠にそこから抜け出せなくなってしまうんです」</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>データである程度の方向性だけ決めて、修正しながら進めていく。</p>
</div>

<p>では、どうするか。PDCAに代わるものとして、米軍生まれの「OODA」という新戦略があるのをご存知だろうか。「Observe（観察する）」「Orient（状況判断する）」「Decide（決断する）」「Act（実行する）」の頭文字をつなげたものだが、この「Observe」と「Orient」の部分にデータを使うことを向井は推奨する。</p>

<p>「デジタルの世界では、いちいちプランを固めていたのではスピードが追いつかない。ある程度の方向だけ決めたら、あとは実際に進んでみて、そこから得られるフィードバックを観察し、修正していくという動き方が必要になります。データはなんのために使うのかと問われたら、その『進むべき方向』を決める際に使うというのが正しい答えなんだと思います」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC2483-720.jpg">
<figcaption>便利に使えるものは、積極的に取り入れていく。それが世界での戦い方。</figcaption></figure></p>

<h2>地図をもってモバイルの海に出よう</h2>

<p>ダン＆ブラッドストリート、ガートナーと、これまでも情報やデータを提供する外資系企業ばかりを渡り歩いてきた向井だが、考えていたのは常に「日本企業をいかに元気づけられるか」だった。こうした企業を選んだのは、そのために有効な武器を追い求めた結果に過ぎない。いまApp Annieで行っていることも、まさしくその延長上にある。</p>

<p>「データという地図であり羅針盤を持っていれば、それをベースに、例えば『ブラジルならこんなビジネスができるのではないか』という仮説が立てられますよね。仮説を立てたら、まずはローンチしてみる。もちろん、失敗することだってあるでしょう。でも、ダメだったらその時は潔く引いて、次に活かせばいいだけの話。だから、メルカリのイギリス撤退というのは英断だったと思います。技術的にはもう、ああいう動きが可能なはずなんですよ」</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>世界のデジタルプラットフォームを日本企業はもっと使い倒すべき。</p>
</div>

<p>かくして「グローバル」は日本企業にとって現実的なフィールドになる。人口減少社会でこれまでのような成長は望めないと言われるが、このように考えれば、まだまだ豊かになるチャンスは残されているのではないか。</p>

<p>データはその一歩を踏み出すための助けになる。そのように考えるからこそ、向井は今日もまた、企業のトップの意識を変えるべく「ドSモード」で働きかけるのだ。</p>

<p>「ぼくが発信したいメッセージは、一貫してグローバル。日本の中でだけイチャイチャとやっていれば成り立っていた時代は、もうとっくに終わっているんです。一方でデジタルのプラットフォームがこれだけ世界に広がっているのであれば、それを使わない手はないじゃないですか。モバイルという海に出よう、地図を持とうというのは、そういう提案なんですよ」</p>

<div class="event-btn"><a href="https://www.appannie.com/jp/" target="_blank">App Annieについて詳しくはこちら</a></div>

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    <title>日本人初の元プロアメリカンフットボールプレーヤーに学ぶ、変革の時代のリーダーシップ - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2019-07-19T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:02:25Z</updated>

    <summary>変革を余儀なくされる時代に求められるリーダー像とは？ そのヒントは、スポーツ界で変革を起こし続ける元プロアメリカンフットボールプレーヤーが持っていた。誰もやっていないことをやる。なぜやるのかを見極める。これからのリーダーのあるべき姿が見えてきた。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="スポーツ" label="スポーツ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="リーダーシップ" label="リーダーシップ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>社会は成熟し、経済は停滞し、またグローバル化やテクノロジーの進展により競争環境は激変している。なにが"正解"かは依然として見えないが、過去の成功体験にしがみつき、これまで通りのやり方をしているだけではダメなのは確かだろう。組織も人も変わることを求められている。こうした変革の時代にリーダーはどうあるべきなのだろうか。今回はさまざまな「日本初」を成し遂げてきた元アスリートにそのヒントを探りたい。</p>

<p>山田晋三は現役時代、日本人初のプロアメリカンフットボールプレーヤーとして本場アメリカの最高峰NFLの舞台を踏んだ。引退後は日本に戻り、IBMの社会人チーム「BigBlue」のコーチに就任。前例のない改革を次々と断行し、チームを日本有数の強豪へと変貌させた。現在は8年勤めたIBMのコーチを辞し、筑波大学の特別職という立場から日本の大学スポーツ改革に取り組んでいるという。まさに変革の人だ。</p>

<p>実は、山田は大学卒業後に一度NTTに就職しており、NFL挑戦を決断するまでの5年間、平日はサラリーマン、週末は日本代表クラスのフットボールプレーヤーという二足の草鞋を履いている。そこで今回は、1996年に入社したNTT時代の同期であり、米マイクロソフトを経て、現在は日本オラクル株式会社 NetSuite事業統括マーケティング本部長の内野彰がインタビュアーを務めることになった。内野もまた、クラウドERP「<a href="http://www.netsuite.co.jp/services/suitesuccess.shtml" target="_blank">NetSuite</a>」を用いて日本の中小企業の経営変革を支援する立場にある。</p>

<p>旧知の間柄にある山田の話に、日ごろからビジネスに通じるさまざまなインサイトを得ていると内野は言う。舞台は違えど「変革」という志を共にする二人の会話は、トップアスリートの唯一無二のキャリアと仕事哲学、さらには日米スポーツビジネスの比較へと展開。おぼろげながら「変革の時代のリーダー像」が見えてきた。</p>

<h2>誰もやったことない、がおもしろい</h2>

<p><strong>内野</strong>　晋三さんとぼくとは1996年入社の同期なんですよね。初めて会ったのは入社して2年後の98年に、本社へ異動になった時。とにかく体がでかくて驚いたのを覚えています。当時は100キロ以上あったと思う。</p>

<p>朝は始業前の5時ごろからトレーニングをしていて、夕方も「ちょっとトレーニングしてきます」と言って抜けていっちゃう。ぼくはそれまでフットボールのことはなにも知らなかったから、「この人は一体どういう人なんだろう」と思ってました。</p>

<p><strong>山田</strong>　当時は関西にあるアサヒ飲料の社会人チームに所属していたので、毎週末新幹線に乗って往復する生活をしていました。チーム練習は週末だけなんですけど、体づくりはしておかなくてはならないので。それで毎日、会社にあるジムでトレーニングしていたんです。</p>

<p><img src="/uploads/IMG_7570_edit.jpg">
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/21506820070">山田晋三</a></strong><small>筑波大学アスレチックデパートメント 副アスレチックディレクター</small>
<p>関西学院大学出身。1996年NTT入社。1999年 日本代表に選出され第一回ワールドカップ優勝。アサヒ飲料社会人チームでは、2000〜2001年 東京スーパーボウル優勝、オールXリーグ、東京スーパーボウルMVP、XリーグMVPに選出されるなど目覚ましい活躍を見せる。2001年 日本人初の北米プロフットボールリーグ"XFL"に参戦。 2002年 米アリーナフットボール参戦、2003年NFLヨーロッパ参戦、NFLタンパベイ・バッカニアーズの招聘を受け、トレーニングキャンプ参加。2004～06年 アリーナフットボール日本選抜チームヘッドコーチを経て、2010年 IBM BigBlue ヘッドコーチに就任。2018年に退任し、現在は筑波大学アスレチックデパートメント 副アスレチックディレクターとして大学スポーツの変革を目指す。</p></aside></p>

<p><strong>内野</strong>　ある日、我々の共通の部長が「晋三が日本代表の試合で海外に遠征するから」と言って壮行会を開いて。そこでぼくはようやく、彼がどれだけ偉大な選手なのかを知ることになったんです。学生時代は関西学院でキャプテンをやって、日本一にもなっている。アメフト業界では知らない人はいないくらいの有名人でした。でも、そんなすごい人がまさか同僚として普通に働いているなんて思わないじゃないですか。</p>

<p><strong>山田</strong>　実業団からの誘いはたくさんあったんですが、アメフトで会社に入ることはしたくなかったので。NTTに入ったのは、新しいフィールドでまったく新しいことをやりたいという思いが強かったから。</p>

<p>ぼくらが入社した96年はWindows 95が出たちょうど翌年。いまでは口にするのも恥ずかしいくらいですけど、当時のNTTは「マルチメディア」と言って、それまでの電話屋さんからガラッと変わろうとするタイミングでした。パソコンがインターネットにつながることで無限の可能性が広がると言われて、純粋にワクワクしたんです。昔から、誰もやったことのないことをやりたい、その方がおもしろいと考える人間だったんだと思います。</p>

<p><strong>内野</strong>　NTTをやめてプロに挑戦しようとなったのは、どういう経緯で？</p>

<p><strong>山田</strong>　99年にアメリカへ行って、NFLのトレーニングキャンプに参加させてもらえる機会がありました。本場アメリカでも一番上のリーグで、ミーティングにも参加させてもらって、「もしかしたら自分でもいけるんじゃないか」という考えがよぎったんです。子供のころにアメリカで育ったので、英語も問題なかったですし。</p>

<p>帰りの飛行機の中で「挑戦しよう。NTTをやめよう」と決めました。辞表を提出すると最初は反対されましたが、最終的には「こんなチャンスは二度とないわけだから」と快く送り出してもらえました。</p>

<p><strong>内野</strong>　その話を聞いた時には本当に驚いたね。挑戦したのは3年間でしたっけ？</p>

<p><strong>山田</strong>　そうです。最初はXFLという新しくできたアメリカのリーグで。最後の2003年はNFLヨーロッパで1シーズンやりました。その後、NFL本体のタンパベイのトレーニングキャンプに招待されて、ついに目標としていたトップリーグでプレーできることになりました。</p>

<p>ただ、実はこれには筋書きがあって。そのチームは日本ツアーの予定があったから、そのために日本人を欲していたんです。だから入れたのは純粋な実力ではない。東京ドームでの試合を終えてバスに乗り込もうとしたところで、「乗らなくていい。申し訳ないがこれが最後だ」と言われました。</p>

<p><strong>内野</strong>　シビアな世界ですね。</p>

<p><strong>山田</strong>　アメリカを発つ時から自分でも覚悟はしていたんですけどね。とはいえ、そういう形であっても自分が目標としていたところまでいけたことは大きな自信になりました。それと同時に、本気であそこを目指すのであれば、中学高校くらいから向こうに渡ってやらなければ無理だろう、とも。引退後に日本人選手がアメリカに挑戦する際の手伝いを始めたのも、そうした経験があったからです。</p>

<p><strong>内野</strong>　それからしばらくして、2010年にIBMのコーチに就任したんですよね。</p>

<p><img src="/uploads/IMG_7506_edit.jpg">
<aside><strong>内野彰</strong><small>日本オラクル株式会社　NetSuite 事業統括 マーケティング＆ストラテジー ディレクター</small>
<p>1996年NTT入社、インターネット初期の法人向け製品サービス企画に従事。2000年マイクロソフトに入社後、ユニファイドコミュニケーションやWindows Serverなどのプロダクトマーケティング、VoIPを含めたコミュニケーションエリアのビジネス開発に携わる。その後、インメモリーHA DBカンパニー solidDB (現IBM)のカントリーマネージャーを経て、2008年よりNetSuite日本法人に入社、マーケティング本部長として、マーケティング、パブリックコミュニケーションを統括、クラウドERP活用によるユーザー企業の経営変革を推進している。現在は日本オラクル株式会社 NetSuite事業統括マーケティング本部長。</p></aside></p>

<p><strong>山田</strong>　個人的には、引退後はコーチよりもビジネスがやりたかった。それでも引き受けたのは、それがIBMだったからです。アメリカにいた期間も長い自分からすれば、IBMはやはり特別な存在。そのIBMが日本のアメフトチームを持ってくれていること自体が価値だと思ったんです。</p>

<p>当時のIBMは弱かったから、放っておいたらなくなってしまう可能性もあった。それを立て直すのはおもしろいチャレンジかもと思ったし、もしかしたらIBM本体のすごく大きな話につながっていく可能性もあるかもしれないな、と思って。</p>

<p><strong>内野</strong>　弱かったチームが晋三さんの就任以降、毎年のように優勝を争う強豪チームに変わるんですけど、なにを変えたんですか？</p>

<p><strong>山田</strong>　小さなことの積み重ねなのでひとくちには言えないですけど、もっとも大きなことは「外国人クオーターバック（QB）」と「クラウド情報共有・分析システム」の二つを、日本のアメフトチームとして初めて取り入れたことでしょうね。</p>

<p>司令塔であり花形のQBはそれまで、監督が制御しやすい日本人に任せるというのが"常識"でした。その常識を変えたんです。アメリカ時代のコネクションも駆使して、名門UCLAのトッププレーヤーを口説き落としました。これがまず大きかった。</p>

<p><strong>内野</strong>　いまではどのチームも外国人QBを起用しているように、業界のスタンダードが変わりましたよね。</p>

<p><strong>山田</strong>　もう一つは、アメリカではすでに爆発的に売れていた、分析ソフトの「HUDL」を入れたことです。クラウドで瞬時にプレー映像を共有できるというソフト。それまではDVDに焼いて渡すといった方法しかなかったことを思うと、相当なゲームチェンジャーでした。</p>

<p>これも、いまでは使ってないチームはないくらいのスタンダードになっていますが、日本に持ち込んだのはぼくらが最初です。弱いチームが強くなるためにはやっぱり、こうして人と違うことをやるしかないと思うんです。</p>

<p><strong>内野</strong>　誰もやったことのないことをやるという姿勢は、現役時代もコーチになってからも一貫した晋三さんの姿勢ですね。まさに「変革のリーダー」と呼ぶにふさわしい。</p>

<h2>リーダーは「初期設定」を間違えるな</h2>

<p><strong>内野</strong>　でも、目標としていた日本一になる前にIBMのコーチを辞めてしまうじゃないですか。どんな理由があったのですか？</p>

<p><strong>山田</strong>　飽きっぽい性格で新たな刺激が欲しくなったというのもあるんでしょうが、そもそもの社会人スポーツの意義に疑問を感じるようになってしまったんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_7631_edit.jpg">
<figcaption>「<a href="http://www.netsuite.co.jp/services/suitesuccess.shtml" target="_blank">NetSuite</a>」の事業を通して日本の中小企業の経営変革を支援している内野は、普段から山田と会話をする中で、スポーツの世界の課題はビジネスの世界にも同様にあると感じているという。</figcaption></figure></p>

<p><strong>内野</strong>　社会人スポーツの意義とは？</p>

<p><strong>山田</strong>　仮にIBMが日本一になったとして、誰が喜ぶのだろうか、と。IBMの社員や関係者は喜ぶだろうけれど、それで社会がなにか変わるのだろうかと、ふと思ってしまったんです。</p>

<p>実は、これと同じことはアサヒ飲料でプレーヤーだった時代にも感じていて。アメフトは毎年正月3日に日本一を決めるライスボウルが開催されます。弱かったチームが強くなり、2001年についに優勝することができたんですが、翌朝起きても、世の中はなにも変わっていませんでした。ただ喜んでいる自分がいるだけ。これはどうなのか、と疑問を持ってしまったんです。</p>

<p><strong>内野</strong>　なるほど。そこから勝ち負けではなく、社会人スポーツや学生スポーツのあり方そのものを変えようとする現在の活動につながっていくわけですね。</p>

<p><strong>山田</strong>　そもそも日本の社会人スポーツはいくら試合をしてもチームの利益にならないんですよ。福利厚生として、社員を喜ばせるために始まった背景があるから、ビジネスとして成立していないんです。景気がよかった昔であればそれでもよかったかもしれないけれど、もはやそのモデルは破綻していますよね。まずはこれを持続可能なものへと変えることから始めなければならない。だからいまはコーチとしてではなく、どうすれば持続可能なモデルになり得るのかを考える立場で、社会人スポーツやIBM に関わっています。</p>

<p><strong>内野</strong>　そこで伺いたいのが、日米のスポーツビジネスの違いです。日本のアマチュアスポーツがビジネスとして成立していない一方で、アメリカのスポーツビジネスはこの20年でものすごい進化を遂げたというじゃないですか。実は、これとよく似たようなことがスポーツ以外のビジネスでも起きていると感じていて。晋三さんがNFLに挑戦していた20年前、ちょうどぼくもシリコンバレーの中心にいました。そこからアメリカは急速な進化を遂げたけれど、その間、日本の多くの企業、日本経済は大きくは変わっていないように見える。</p>

<p><strong>山田</strong>　95年当時の日米のスポーツ産業の差は、GDPの差と同程度の3倍くらいでした。それがこの20年で10倍以上にまで広がってしまった。これにはいろいろな意味合いがあるので、話し出すと長くなるんですが、一つ大きいのはテレビ放映権だろうと思います。</p>

<p>アメリカは84年のロス五輪以降、スポーツの産業化に本気で取り組み始めたと言われますが、このテレビ放映権が大きな富をもたらしています。さらにそこにインターネットが生まれ、ソーシャルメディアが生まれたことで、その価値が最大化していっているというのはあると思いますね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/sports_graph.jpg">
<figcaption>日米のスポーツ産業の差は、20年間で10倍以上に広がった。 （出所）Plunkett Research&amp;U.S. Bureau of Economic Analysis,レジャー白書2015</figure></p>

<p><strong>内野</strong>　インターネット、スマートフォン、ソーシャルメディアなど、世界を席巻しているイノベーションがアメリカから生まれているという事実は、古い常識に縛られている日本にとって、大きなハンデかもしれないですね。</p>

<p>ぼくは「NetSuite」の仕事を通して国内外のさまざまな経営者たちを見てきました。そこで感じるのは、日本特有の問題が顕著に現れているということです。例えば中国はいま、独自の市場性があり、数億人がつながるソーシャルネットワークも統合させようとするなどドライブ感がありますし、インドも、英語の適応性、アグレッシブさ、したたかさはすでに日本よりも優っています。一方で日本は、言語の壁や商習慣の違いを「ユニークさ」として片付けてきました。「我々は他の国とは違う。わかってたまるか」という思いが根底にあるのです。その小さなおごりが積み重なった結果、大きな遅れを招いたのだと感じています。</p>

<p>加えて、変化が激しいこの時代におけるリーダーの資質の問題も大きいのではないかと感じます。例えば、今後日本では、事業継承がうまくいかない企業が１００万社を超えると言われています。しかしこの停滞する日本企業の中で、変化をチャンスと捉えて身を立てていくリーダーは、海外に比べるとはるかに少ないのです。</p>

<div class="link-box"><a href="http://www.netsuite.co.jp/services/suitesuccess.shtml" target="_blank">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/Cloud.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>中小企業の変革を支援するクラウドERP「NetSuite」</strong></div></a></div>

<p><strong>山田</strong>　それはその通りだと思います。実際、アメリカのスポーツ業界には金融業界のトップやMBAホルダーがたくさん流れてきていますから。リーダーの資質という点で言えば、もっとも大きな違いは初期設定のところではないかと思います。いま取り組んでいる大学スポーツの問題も、一番はそこ。要は、学生スポーツはなんのためにあるのか、という話です。</p>

<p>アメリカはそこで「学生アスリートはアスリートである前に学生である」という考え方をとります。だからなにがあっても学業で成績を残すことをまず求めるし、そもそもスポーツをチームワークであったりリーダーシップであったりという、教室では学べないものを学べるものとして位置づけている。だからこそ、次のリーダーを育成する立場にあるハーバードやUCLAが、こぞってスポーツに力を入れるんです。</p>

<p>学生であるからには本来、スポーツをする一番の目的は勝ち負けではなく、人間教育でしょう。その初期設定を間違えると、おかしなことが起きてしまう。アメリカはこの初期設定のところが抜群に上手いと感じます。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_7474_edit.jpg">
<figcaption>スポーツは勝ち負けだけに楽しさややりがいがあるわけではない。学生スポーツもまた、机上では学べないことを経験を通して学ぶことが本来の目的である。山田は、リーダーはこうした初期設定を正しく判断するべきだと考えている。</figcaption></figure></p>

<p><strong>内野</strong>「リーダーはHowよりもまずWhat とWhyを考えろ」ということですね。Whyを間違えないからこそ、アメリカは強い、と。ぼくもかつてグローバルトレーニングで、この考え方を叩き込まれました。「何を、なぜするのか」を徹底的にマネージメント層が共有するんです。「どうやる」を先に考えない、その意義を体感しました。</p>

<p><strong>山田</strong>　NCAAの年間優勝を決める「ファイナル4」と呼ばれる試合は、決勝と準決勝の計3試合だけで900億円を生むと言われます。UCLAは、学生スポーツでありながら1試合で50億円が動く。そこまでいくともう行き過ぎなんですけど、でも、これももともと儲けるという話ではないんです。そうやって生み出したお金を公平に分配することで、人材育成に再投資するための仕組みなんですよ。</p>

<p>入り口、本質を間違っていると、こうしたお金も間違った方向へといってしまう。この初期設定を正しく行えることが、リーダーにはまず求められるのではないでしょうか。</p>

<p><strong>内野</strong>　日本の学生スポーツは、その初期設定を勝ち負けに置いてしまっているから、勝つためならなにをやってもいいということになって、昨年の日大タックル問題のようなことも起きてしまうんですよね。</p>

<p><strong>山田</strong>　そうなんです。でも、同じことは日本の企業でも起きているのではないかと思いますね。スポーツであれば勝ち負けは大事だし、会社であれば利益を上げることは確かに大事。でも、それが第一になってしまうと、売上さえ上がればなにをやってもいい、ルール違反をしてもいいという発想につながってしまう可能性がある。</p>

<p><strong>内野</strong>　最近は日本でもようやくそれがおかしいと言われるようになってはきましたが。</p>

<p><strong>山田</strong>　だから、リーダーはまず入り口のところを間違えちゃいけない。でも、人間だからその判断が常に正しいとは限りませんよね。その点、アメリカ人は性悪説に立つから、放っておいたらああいう権力の暴走のようなことが起こることをよく理解していて、その前提でガバナンス（監視）の仕組みを作る。</p>

<p>NCAA（全米大学体育協会）なんかも、まったくもってトップダウンの組織ではないんですよ。なにかを決めるのは、加盟する個々の大学の関係者。究極のボトムアップ組織だからこそ、問題が起きるたびに、それを解決するべくルールがアップデートされていく。</p>

<p>結局、現場の意志が一番大事だと思うんです。それを吸い上げ、必要があれば変えられる仕組みにしておかないといけない。ぼくはビジネスのことはそこまで詳しくはわからないですけど、日本のビジネス界が抱える問題もそこにあるのではないかと思っています。</p>

<p><strong>内野</strong>　日本のビジネス界が抱える問題とは？</p>

<p><strong>山田</strong>　ルールなり組織なりがアップデートされずに古いままになっているということです。できた当時はそれでよかったかもしれないけど、時代が変わればルールも変わる必要がある。ところが、トップダウンだと現場からのフィードバックが働かないから、アップデートが起こりにくい。一つ一つは小さなことでも、20年積み重なれば大きな差となって現れる。それが日米の現在の差なんじゃないかなって思うんです。</p>

<h2>新時代のリーダーの役割は「背中を押すこと」</h2>

<p><strong>内野</strong>　いろいろなものづくり企業と付き合っていると、日本企業のポテンシャルはまだまだあると感じます。実際、変革に成功した一部の企業は海外でも大きな評価を受けていますし。一方で大部分の企業は変われずに、ポテンシャルを活かしきれないでいる。変化が激しいこれからの時代を担うリーダーに向けてアドバイスを送るとすれば？</p>

<p><strong>山田</strong>　ぼくなんかには大したアドバイスはできないですけど、「とにかくやってみなはれ」のひとことだと思いますね。もちろん大きなビジョンであり初期設定のところはブレちゃダメなんですけど、一方でやり方自体は無数にあるはずじゃないですか。で、どれが正解かはやってみるまでわからない。だったらとにかくやってみるしかないと思うんです。</p>

<p>もちろん失敗することもあるでしょう。たとえばさっきのIBMの話では、成功した二つの取り組みについてだけ話しましたけど、その裏側には当然、やってみたけどうまくいかなかったことが山ほどありますよ。でも、失敗を恐れていてはなにも変えられない。失敗を恐れて挑戦しないのは失敗よりタチが悪い。若くて優秀な人はたくさんいますよ。そうした日本のリーダーに足りないものがあるとすれば、それは勇気だけだと思いますね。</p>

<p><strong>内野</strong>　初期設定を正しく行えるビジョナリーなリーダーが、勇気を持ってそれを実行していく。言われてみればそれだけなのかもしれないですね。</p>

<p>日々チームで仕事をしていると、若いメンバーから学ぶことは多いんです。彼らはデジタルネイティブですからね。でもこちらが期待しているほどにはグイグイ来てくれなくて、少々物足りなく感じることもあるんですよね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_7927_edit.jpg">
<figcaption>どんなことでも、とにかくまずやってみるといい。日本のリーダーに足りないのは勇気だ、と山田は言う。</figcaption></figure></p>

<p><strong>山田</strong>　ああ、それは確かに学生と接する中でぼくも感じるところではあります。それは彼ら自身の問題かもしれないし、一方では日本を覆う閉塞感のせいなのかもしれない。だとすれば、彼らが十分にポテンシャルを発揮できるよう、我々大人が環境を作る必要もあるでしょう。ぼくが大学スポーツ改革で取り組んでいるのも、まさにそうしたことの一つで。</p>

<p>学生と接する時にぼくが心がけているのは、ティーチングでもコーチングでもない、背中を押すことです。これをぼくは勝手に「プッシング」と呼んでいるんですけど。若いころってなかなか最初の一歩が踏み出せないじゃないですか。だから、周りの人間が背中を押してあげることで「やってみた」を増やし、さらには「やってみたらよかった」という経験を増やすことが大事だと思うんです。</p>

<p><strong>内野</strong>　なるほど。</p>

<p><strong>山田</strong>　これからのリーダーのあり方というのも、これに近いものなんじゃないかと思っていて。グイグイ引っ張るというよりは、みんなの持っている力を引き出し、最大化してあげるというような。引っ張ってしまうと、みんな依存してしまうから。</p>

<p>ITの発展などによりコミュニケーションも変わったわけで、求められるリーダーシップも当然変わってきますよね。時代の変化に応じて絶えずアップデートすることがなにより重要と考えれば、先ほどの話と一緒で、トップダウンではなくボトムアップであることが必要になる。だからリーダーシップも、ボトムアップで次々アイデアが飛び出すように、背中を押すようなものであることが求められるのではないか、と。</p>

<p>ただし、どれだけボトムアップになったとしても、大きな方向性だけは間違ってはダメで。間違った方向に行きそうになったら、その都度修正できる必要もある。......というわけで、やはり初期設定＝ビジョンの話に戻ってくるんですよね。それに加えて、明るく・楽しく・元気よくというような人間らしさや感情に訴える環境作りみたいなものも、より重要になってくるのではないでしょうか。今後時代が変われば、リーダーシップのあり方もさらに変わっていく可能性はあると思いますが、いまのところはそんなことを感じています。</p>

<hr />

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<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="4010401078085"></div>
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    <title>吉本興業やサンリオが認知拡大に協力。「世界人口デー」は、SDGsについて考えよう - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/07/World-Population-Day.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9279</id>

    <published>2019-07-11T03:00:00Z</published>
    <updated>2019-10-29T07:35:17Z</updated>

    <summary>今日、7月11日は世界人口デー。1987年7月11 日に世界人口がおよそ50億人を超えたことから、世界の人口問題に対する意識を高めるために制定された。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="TODAY IN BUSINESS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="コラム" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h2>人口増加と環境問題に対する危機感の低さ</h2>

<p>西暦1世紀頃の世界人口は約2億人だったと言われている。2011年に世界人口は70億人を超え、2100年には111億人を突破するのではないかと推測されている。</p>

<p>このように世界では発展途上国を中心に人口増加を続けている。しかし、食糧や水不足、地球温暖化などの環境問題は改善される事なく悪化する一方だ。この状況を打破し持続可能な世界の実現を目指そうと、2015年9月、17のゴールと169のターゲットを定めたSDGs（Sustainable Development Goals）が国連サミットで採択された。</p>

<p>SDGsでは、貧困問題や飢餓、水不足などの開発途上国に対する開発支援、格差是正や経済成長などの先進国にも関わる問題、また自然環境保護や平和などの地球規模の包括的な問題など、様々な問題に対する取り組みを示している。しかし、2015年から始まったこの取り組みは、日本ではまだ認知度が低い。</p>

<p>朝日新聞社によると、2019年2月中旬、東京・神奈川に住む3000人を対象に、｢SDGsという言葉を聞いたことがあるか｣と尋ねたところ、｢ある｣と答えたのは約19％と、5人に1人にも満たないという。</p>

<h2>SDGs認知拡大に向けての取り組み</h2>

<p>SDGsの日本での認知度を上げるために、国連は吉本興業とサンリオの2社を起用した。どちらの企業も知名度が高く、国民の幅広い層にアプローチできると考えられたからである。</p>

<p>SDGsが設定している、ゴールの達成期限は2030年。そのためには認知拡大が必要だが、SDGsのように環境、人種問題といった大きな問題ほど、他人事になりやすくなってしまう。</p>

<p>そこでより多くの人が、SDGsがもっと身近な問題であることに気づき、理解を深められるように、お笑い芸人のユーモアや、ハローキティのような有名キャラクターを活用した動画を制作している。人々の目に触れる機会が増えれば、認知拡大が期待できそうだ。</p>

<p><figure>https://www.youtube.com/watch?v=hPlQPbhYVwo
<figcaption>トレンディエンジェル・斎藤×ガンバレルーヤ「砂漠化」編【SDGsについて考えはじめた人々】 （新アイコンバージョン）</figcaption></figure></p>

<p><figure>https://www.youtube.com/watch?v=TsdxJzwryXQ
<figcaption>SDGsって知ってる？【ハローキティSDGs応援 Vol.1】</figcaption></figure></p>

<h2>昆虫の力を活用した食糧危機回避策</h2>

<p>世界人口が増加する中で、避けて通れないのが世界的な食糧危機と飢餓問題である。国連によると、アフリカではなんと4人に1人が栄養不足に陥っている。
その上、畜産・養殖に用いられる飼料の原料の魚粉も枯渇が近づいているため、食糧生産方法も考えていく必要がある。</p>

<p>株式会社ムスカでは、こうした食糧危機を解決するために、昆虫の力の活用を始めた。通常、家畜糞などを堆肥にするには、数ヶ月の期間が必要だった。そこで同社では45年間に渡って、家畜糞を食べて成長し、体液によって肥料を作るイエバエを品種改良。わずか1週間で家畜糞をリサイクルできるようになった。</p>

<p>さらに今後世界的に不足が心配される飼料の原料である魚粉代替物には、イエバエの幼虫の活用が考えられており、畜産・養殖においても期待されている。</p>

<p>この技術は日本のみならず、海外からも実用化に向けて注目されている。</p>

<h2>持続可能な世界実現のための小さな一歩を踏み出そう</h2>

<p>SDGsによる持続可能な世界実現のために、多くの企業が協力し、歩み出している。企業努力ももちろんだが、一人ひとりの日々の行動の積み重ねも大変重要だ。</p>

<p>人口は今後も増え続け、地球環境も変化する。その中で自分自身がよりよい未来のためにできる小さな一歩は何か、考えてみてはいかがだろうか。</p>

<h2>参考サイト：<br></h2>

<p>・<a href="https://www.newsweekjapan.jp/glenn/2018/07/2055100.php" target="_blank" rel="nofollow">人口減少より人口爆発、2055年に100億人になると何が起こるか｜Newsweek</a><br>
・<a href="https://www.businessinsider.jp/post-190041" target="_blank" rel="nofollow">国連がいま吉本興業・サンリオと組む理由。気になる「環境問題とお笑いの関係」とは？｜BUSINESS INSIDER JAPAN</a><br>
・<a href="https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000005.000030554.html" target="_blank" rel="nofollow">7月11日は、世界人口デー！（World Population Day） "昆虫"の力で食糧危機に終止符を！| PR TIMES</a></p>
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    </content>
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    <title>身近にいる人でも、まだ知らないことはある──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.10 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/07/habuchi-vol10.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9274</id>

    <published>2019-07-09T03:00:00Z</published>
    <updated>2019-07-09T07:13:37Z</updated>

    <summary>いつも一緒に働いている人と、あえて仕事以外の話をしてみよう。知らなかった一面が見えて、いまよりもっと良い関係が築けるかもしれない。羽渕彰博の連載、第十回。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ととのう職場、自然体のキャリア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h2>10年間寄り添っている妻と、1on1ミーティングをして初めて気づいたこと</h2>

<p>妻がディズニーランドが好きだということは知っていました。ディズニーランドに行っても、ミッキーと触れ合うことは至難です。2018年は32,588,000人が年間で来場していて、単純計算で89,282人が毎日パークを訪れています。ミッキーと全員が1分触れ合うとなると、89,282分かかります。時間でいうと1488時間、日数でいうとミッキーが不眠不休で対応して62日かかります。いかに難しいかがおわかりいただけたと思いますが、妻といくと確実に会うことができるのです。</p>

<p>しかもミッキーとは、ディズニーランドの外で会っています。ディズニーランドの外にあるディズニーアンバサダーホテルの中にシェフ・ミッキーというレストランがあり、そこに行けばあのミッキー様がわざわざテーブルまでご挨拶に来てくれます。ミッキーはディズニーランドのホストで忙しいから会えないと思っていたのですが、「外にいたのか！」というツッコミを思わずしてしまいました。</p>

<p>このレストランでミッキーに会えることは、ディズニー通にとっては周知の事実で、予約は競争です。一般枠の予約開始は利用する日の1ヶ月前の朝10時から始まるのですが、妻も、行く1ヶ月前の9時55分くらいからスマホを握りしめて待機して予約を入れているみたいです。「テーマパークの列に並ぶのが90分待ちとかありえない」と思っていましたが、隣にいる妻は1ヶ月前から並んでいました。</p>

<p>と、このような話が他にもいろいろあるのですが、そろそろ本題に入りましょう。</p>

<p>妻がディズニーランドが好きなことは知っていたのですが、今日は、その好きな理由を1on1ミーティングを通じて、10年一緒にいて初めて知ったという話をします。</p>

<h2>「感情」を手掛かりに、相手の背景や価値観を知る</h2>

<p>まずみなさんは1on1ミーティングをご存知でしょうか？　1on1ミーティングとは、定期的に上司と部下が行う1対1の面談のことですが、上手に機能すると組織の関係性が良くなっていきます。家族の関係性も良くしたい私は、クライアント向けに提供している1on1ミーティングのフレームワークを家族にも取り入れています。</p>

<p>1on1ミーティングをするポイントは、話し手の「感情」を手掛かりにしながら、話し手の価値観を知ることです。聞き手が上司である場合、どうしても「部下にもっと仕事をさせたい」とか「仕事の進捗を確認したい」など、部下の感情よりも、上司が聞きたいことを聞いてしまいがちです。その結果、1on1ミーティングをすることで、逆に心理的安全性が低くなってしまいます。</p>

<p>聞き手の意図が入らないように、当社ではフレームワークを用いています。感情をポジティブ4種類とネガティブ4種類の合計8種類に分けて、さらに感情強度（どのくらいその感情が芽生えたのか）を5段階に分けて、毎月1on1ミーティングを実施しています。</p>

<p>妻の事例でいうと、ディズニーランドに行く予定であることが、その月でもっと強いポジティブな感情でした。ディズニーランドに行って楽しかった（ポジティブな感情が芽生えた）なら理解できるのですが、行く前から楽しみにしているのは興味深いポイントでした。次にその感情が芽生えた理由を聞いてみました。</p>

<p>あまり詳細には書きませんが、妻は子どもの時に、両親の夫婦関係が良くなかったみたいで、言い合いやトラブルが絶えなかったそうです。ただ子どもの誕生日は、毎年ディズニーランドに連れていってくれて、ディズニーランドにいる間は家族みんなが仲良くいられたそうです。だから妻にとってディズニーランドは、家族が幸せでいられるという意味でも「夢の国」だったのです。</p>

<p>私はそれまでミッキーが好きだから、わざわざシェフ・ミッキーを1ヶ月前から予約していると思い込んでいました。妻の家族関係の話は聞いていましたが、それとディズニーランドが結びついているとは知りませんでした。</p>

<p>その話を聞くまで、正直、ディズニーランドには付き添いで行かされている感覚でしたが、聞いてからは私も積極的にディズニーランドを楽しみたいなと思うようになりました。書籍を10冊ほど読んで、自分でも楽しめる要素を整理して、ディズニーランドに臨みました。妻も私の姿勢が変わったことに喜んでくれて、さらに関係性がよくなりました。そう、「夢の国」は外にもあったのです。</p>

<p>読者のみなさんは、毎日顔を合わせてコミュニケーションをとる方はいらっしゃいますか。その方とあえて仕事とは関係のない会話をしてみてはいかがでしょう。知らない一面を知ることで、仕事も円滑に進む可能性がありますよ。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>要約『THE VISION』：いいビジョンは、いつの間にか「周りの人の夢」になっている - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/07/BNLBooks-VOL22.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9265</id>

    <published>2019-07-05T03:00:00Z</published>
    <updated>2019-11-25T02:57:18Z</updated>

    <summary>Amazon、パタゴニア、無印良品。成功する組織には、いつも優れたビジョンがあった。曖昧模糊とした理念系の言葉をわかりやすく解説し、ビジョンづくりのフレームワークを教えてくれる実践の書を紹介する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>江上 隆夫</strong>
<small>株式会社ディープビジョン研究所 代表取締役
ブランド戦略コンサルタント</small><p>
長崎県五島列島出身。アサツーディ・ケイでコピーライター及びクリエイティブ・ディレクターとして、さまざまな業種の企業広告キャンペーンやブランド構築にかかわる。朝日広告賞、日経広告賞グランプリ、東京コピーライターズクラブ新人賞ほか数多くの賞を受賞、2005年に独立。現在は、クリエイティブを行う「ココカラ」と、ブランド・コンサルティングやセミナーなどを行う「ディープビジョン研究所」の2社を経営。企業全体をデータ的・マーケティング的に捉える手法、企業カルチャーや独自性などから価値を引き出すデザイン思考的手法、ビジョンやミッション、コンセプトなどを引き出すクリエイティブ的手法の、三つの手法を組み合わせたESSENNTIAL BRANDINGを提唱し、百億を超える規模のブランド運営にかかわる。</p>

<p></p></aside></p>

<h2>周りの人を巻き込む力はあるか━━BNL編集部の選定理由</h2>

<p>ビジョンという言葉は、曖昧な意味で使われやすい。そこで本書ではビジョンをこう定義している。</p>

<p>「自らが生み出し得る最高の公共的未来像」</p>

<p>心から達成したいと願う未来であり、そのビジョンを考えるだけでワクワクし、毎日仕事がしたくなってしまう、そんな未来像だ。</p>

<p>そして優れたビジョンは、多くの人に「私の夢でもある」と思わせる力を持つという。もともとは個人が抱いたものであったとしても、周りの人々を静かに巻き込んで「公共の夢」になる。</p>

<p>以前BNLで取材をした中川政七商店の社長 仙石あやの言葉を思い出す。中川政七がつくったビジョンを「ものすごい発明だと思う」と語っていた。そのビジョンのもとに、人が集まってきたからだ。</p>

<blockquote>
  <p>「なぜ（中川政七商店の）みんながものづくりに真摯に取り組めるかというと、ビジョンがあるからだと思うんです。商品企画や営業、生産管理など働く場所は他にもたくさんあります。なのになぜ、わざわざ他の会社をやめて、こんな奈良の片田舎に引っ越してくるかというと、なんらかのかたちでビジョンに共鳴しているからだと思います。みんな、ここで何かしたいと思ってきている」</p>

<p>中川政七商店：名経営者の後を継いだ千石あや、創業302年目の挑戦より抜粋</p>
</blockquote>

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<p>本書を読み終わって、ふと考えた。企業のビジョンについて書かれたこの内容は、個人にも通じるのではないか、と。</p>

<p>なぜいまの仕事をしているのか、自分自身のビジョンはなにか、それは誰かの夢にもなるような、人を巻き込む力を持っているか。</p>

<p>ビジョンづくりのノウハウが詰まった本書は、一度立ち止まって、自分を振り返る機会をくれる一冊でもある。</p>

<p><strong>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4023317519/">こちら</a>。（Amazon）</strong></p>

<hr />

<h2>要約者のレビュー</h2>

<p>バブル経済の崩壊以後、「失われた時代」と呼ばれる4半世紀のあいだで失われたもっとも重要なものは何か。企業のビジョンづくりに30年以上関わってきた著者からすると、それは「ビジョン」だという。</p>

<p>人工知能、シェアリング、ブロックチェーンなどさまざまなテクノロジーが、人間のコントロールの外で幾何級数的に発達している。囲碁だとすでに人間は人工知能に勝てないし、中央銀行が存在しない仮想通貨も世界中に流通しはじめている。またUberやAirbnbのような新興企業も、既存産業の構造を破壊しつつある状況だ。このような世の中で「ビジョン」もなしに企業を経営することは、地図やGPSも持たずに海を漂うようなものだと著者は指摘する。</p>

<p>本書は企業を念頭に執筆されたものだが、大部分の内容は個人についても当てはまる。主体的な意志もなく人生を歩むことは、外界の変化に後手後手に対応していくだけの「リアクション人生」となる。公共的未来像（ビジョン）を持ち、自分の価値基準や行動原理、達成基準にもとづきながら、その未来像に向かって行動していかなければならない。</p>

<p>とはいえ「言うは易く行うは難し」である。個人でも企業でも、なかなか具体的な行動には踏み切れないものだ。しかし安心してほしい。本書ではビジョンづくりのための具体的なツールやフレームワークも紹介されており、すぐに取り組めるようになっている。</p>

<p>大きな時代の流れに立ちすくむ前に、ぜひ本書を手にとり、最初の一歩を踏み出してみてはいかがだろうか。</p>

<hr />

<h2>本書の要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> <br />
ビジョンとは「多くの人に共有・共感される、未来への洞察を信念にまで高めた末に生まれた、自らが心から達成したいと願う、あるべき未来像」である。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong> <br />
驚異的なスピードでテクノロジーが進化する中で、ビジョンを持たないということは、こうした流れを傍観するということであり、意志の放棄に他ならない。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong> <br />
日本のスタートアップからも、創業の志と明確なビジョンを持っている企業がいくつも出てきている。一方で苦境にあえいでいる大企業には、ビジョンの欠如を見ることができる。</p>

<hr />

<h2>要約</h2>

<h2>ビジョンから見た日本の現状</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/41474570110_bf42a3128b_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/47741487@N06/41474570110/">"谷間"</a> byjun560(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>予測不可能な未来を生きるために</h3>

<p>未来は個別の事象においては予測できない。だが大きな潮流に関しては、大体のところが予想可能である。たとえばAIや遺伝工学、量子コンピューター、拡張現実などのテクノロジーの進化は今後も続くし、地球温暖化や人口の激増、資源の枯渇が生態系に大きな影響を与えることは確実である。</p>

<p>日本人の多くには、主体的に世界を創造するビジョンを描き、それに向かって進んでいくという習慣がこれまでなかった。これはユーラシア大陸の東端の列島群という地理的な条件の中で、何万年も暮らしてきたことが生み出した特性である。</p>

<p>そんな日本もここ200年ほどを見ると、明治維新と第二次大戦後の際には大きなビジョンを持って動き、大きな変革を達成していた。ただしそれはいずれも圧倒的な「外圧」によるものだ。明治維新の時は外国からの開国圧力を、終戦の時は「敗戦」と「米軍による占領」を起点としていた。つまり外との差が圧倒的であり、「追いつかないと自分たちがダメになる」と思えないと、日本人は自分たちの力を最大限に発揮できなかったのだ。</p>

<h4>優れたビジョンの事例</h4>

<p>いまの日本でも、創業の志を抱いてスタートし、明確なビジョンを持っているスタートアップ企業はいくつもある。たとえばLITALICOは、「障害は人ではなく、社会の側にある」と考え、障害のある方の就労を支援するサービスや、自閉症・ダウン症などの診断を受けている子ども向けの学習教室を展開している。「障害のない社会をつくる」というビジョンを掲げ、すべての事業活動がそこに向かってフォーカスされているのだ。</p>

<p>別の事例として、貧困層向けマイクロファイナンスを展開する五常・アンド・カンパニーも挙げたい。同社は2018年時点でカンボジア、スリランカ、ミャンマー、インドの4カ国で事業を展開している。創業者の慎泰俊氏は在日として東京の下町で生まれ、一家6人の豊かでない暮らしと、外資系金融機関で磨いた知識をもとに、この会社を立ち上げた。彼らのビジョンは「誰もが自分の宿命を克服し、よりよい人生を達成する機会を得られる世界を創造すること」であり、民間版世界銀行として、世界中すべての人のための金融アクセスを提供している。</p>

<h4>衰退のスイッチを押すダメなビジョン</h4>

<p>一方で苦境にあえいでいる企業もある。東芝は代表例の1つであり、その一因としてビジョンの欠如が考えられる。</p>

<p>たしかに東芝のウェブサイトには、「人と、地球の、明日のために。東芝グループは、人間尊重を基本として、豊かな価値を創造し、世界の人々の生活・文化に貢献する企業集団をめざします」という経営理念などが書かれている。</p>

<p>だがこれは著者の考える「ビジョン」ではない。なぜなら東芝が目指す未来の姿が具体的に見えてこないからである。これらはあくまで全社員に「心がまえ」を説いているだけであり、結果として「私たちにはいま語るべき、取り組むべき未来像がない」ということ、「とりあえず、いまある技術的資産、人的資産を使って頑張るしかない」というメッセージになってしまっている。</p>

<p>こういうビジョンを掲げている経営者は、私たち自身が持つ知性、能力、感情のエネルギーを低く見積もっていると言わざるを得ない。</p>

<h2>ビジョンを創る上で想定すべき未来</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/6200975736_093631c8f0_b.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/jmpznz/62009757367/">"Speed"</a> by José María Pérez Nuñez(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h4>驚異的なテクノロジー進化のスピード</h4>

<p>これからの100年を見据えるうえで、もっとも重要な視点は「テクノロジーと人間の調和」である。ここではテクノロジーを「人間の能力の一部を外部化して機能やパワーを拡大したもの」と定義する。石斧や矢じりであれば人間の手や歯の能力を、AIであれば人間の認知・判断・思考の能力を外部化し拡大するために生まれたテクノロジーと言える。</p>

<p>私たちに現在わかっているのは、「私たちは自分自身で生み出したテクノロジーを制御することはできない」という事実である。中でも最大の問題はテクノロジー進化のスピードが、人間にはコントロールできないということだ。テクノロジーは、人間のコントロールの外で幾何級数的に発達する。つまりテクノロジーは人間の習熟度に応じて発達するのではなく、生命のように勝手に進化し、発達する性質を持っている。</p>

<p>ビジョンを持たないということは、こうした流れを傍観することを意味する。それは問題が起きてから対処する、リアクションで生きていくということだ。これは意志の放棄に他ならない。人間は考えてイメージし、言語化し、そして思い描いたものを実現するように行動して、はじめて何かを現実化するのだから。</p>

<h4>「集合知」の時代</h4>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/45635680854_0ffb832476_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/deepcarbonobservatory/45635680854/">"Deep Carbon"</a> by DCO VR Workshop(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>ビジョンを考えるうえでは、次の4つのキーワードを念頭に置きたい。</p>

<p>1つ目は「知性の外部化」だ。記憶、認識、判断はこれまで人間の知的活動が負っていたが、今後はかなりの部分をAIが代替するか、サポートするようになるだろう。私たちはすでに、わからないことがあるとスマートフォンで検索したり、メモを写真で残したりしている。このように記憶の外部化は半ば当たり前になっている。加えて医療診断や金融取引、法律事務の分野でもAI導入が進んでおり、判断の外部化も急速に進行している。</p>

<p>2つ目は「感覚と能力の拡張」である。今後想定されるのは、五感も含めた身体の感覚や機能が大幅に拡張される未来である。VRやARは人間の視覚・聴覚を大きく拡張するテクノロジーだ。また筑波市にあるサイバーダイン社が開発するロボットのように、人間が装着し、体の機能を改善・補助・拡張・再生するためのものもある。</p>

<p>3つ目は「分散化」だ。インターネットは人から人、端末から端末に直接つながる分散したP2Pネットワークであり、中央集権的なものから人間を解き放つポテンシャルがある。ビットコインのブロックチェーン技術が画期的とされているのは、この通貨の価値を保証する中央銀行が存在しないからだ。</p>

<p>4つ目は「所有から共有へ」である。欧米でUberが普及しているように、車は今後大きく変わるものの1つだ。もし自動運転が可能になると、必要なときにスマートフォンで自宅前まで車を呼んで、目的地まで乗ってそこで乗り捨てるような存在になるかもしれない。</p>

<p>これらの4つのキーワードは、「集合知」という1つのキーワードで括ることができる。つまり「外部」「拡張」「分散」「共有」とは、「一人ひとりの能力を高めながら、みんなでつながって問題を解決していこう、世の中を良くしていこう」ということだ。多様性が集団内に確保できている場合、専門家が下す判断よりも「みんなの意見は案外正しい」ということは、実証実験などで確かめられている。</p>

<h2>【必読ポイント!】 「最高のビジョン」とは?</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/30380345178_2a2b91480e_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/104619155@N06/30380345178/">"Georgia"</a> by Harald Brendel(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h4>20世紀最高のビジョンとは</h4>

<p>著者が最高のビジョンと思うものの1つに、マーティン・ルーサー・キング牧師の演説が挙げられる。次のフレーズは、まさにビジョンがどういうものであらねばならないかをはっきりと示している。「私には夢がある。それは、いつの日か、ジョージア州の赤土の丘で、かつての奴隷の息子たちとかつての奴隷所有者の息子たちが、兄弟として同じテーブルにつくという夢である」</p>

<p>このフレーズは単純な「絵」ではなく、「自らの意志を投影した未来像」だ。これがビジョンとして大きなエネルギーを発し続けるのは、キング牧師が多くのアフリカ系アメリカ人の願いを、自らの願いや夢として内側に育み、こうあるべきであるという確信をもって伝えようとしたからである。</p>

<h4>ビジョンの性質・機能</h4>

<p>ビジョンが持つ性質は次の3点である。（1）自らが心から達成したいと願う未来像、（2）「公共の夢」として人々を巻き込む力、（3）未来への洞察と自らの信念のうえにつくられていること。</p>

<p>ビジョンはまず何よりも「自らが心から達成したいと願う未来」でなければならない。また人や組織に固有なものでありながら、多くの人に「私の夢でもある」と思わせる力を持っている。無私の精神が潜んでいるために、最終的には人々に共感され、共有され、みんなの夢としても力を得ていく。ビジョンとは、ある固有の組織や人の中に生じた「公共の夢」とも言えよう。そして優れたビジョンは、現状がどのような状態であろうと、あるべき未来を構想していく「洞察」と、自らの「信念」を前提に組み立てられている。</p>

<p>こうした性質を持ったビジョンは、企業の未来を指し示す「コンパス」であり、もっとも大きく長期的に描かれた「経営計画」であり「憲法」でもある。極論するとビジョンとは、世界が実現したいと願った集合的そして公共的な知恵が、たまたま特定の人を通じて現実世界に表出されたものなのだ。</p>

<p>そう考えたとき、ビジョンが持つ機能は次の3点に集約される。（1）共有された目標となること、（2）日々のモチベーションの源泉となること、（3）行動と判断の基準となること。</p>

<p>こうしたビジョンの性質と機能を前提にして、ビジョンを「自らが生み出し得る最高の公共的未来像」と定義したい。つまり「多くの人に共有・共感される、未来への洞察を信念にまで高めた末に生まれた、自らが心から達成したいと願う、あるべき未来像」である。</p>

<h4>理念系のことばの定義と相関図</h4>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/6148577281_d4ce151fab_b.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/mattb_tv/6148577281/">Matthew Bednarik</a>(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure>
著者はビジョンを機能させる仕組みとして、ミッション、コンセプト、バリュー、アイデンティティという4つの理念系のことばを定義する。</p>

<p>ミッションとは、何者かに命じられるのではなく、自らの内発的な意志にもとづいて行われる「自らに課した達成すべき取り組み」だ。コンセプトは「取り組みのための新しい行動原理」、バリューは「取り組みにおいて優先すべき価値基準」、アイデンティティは「自らの資質にもとづくあるべき自己像」である。</p>

<p>以上のように定義したことばは、企業を「弓を射る人」に例えると、次の文章のようにまとめることができる。「弓を射る人というアイデンティティを持つ自分が、バリューという心構えのもと、コンセプトという強力な弓を使って、ミッションという矢を、ビジョンという的に向けて放つ」。理念系のことばはどれも重要であるが、このうち特に重要なのは「的」と「弓を射る人」、すなわちビジョンとアイデンティティである。</p>

<hr />

<h2>一読のすすめ</h2>

<p>「ビジョン」という掴みどころのないテーマを扱う本書であるが、抽象的な議論に終始するのではなく、Amazonや無印良品といった有名企業や、前述した日本の有望なスタートアップ企業の掲げるビジョンを具体例に挙げつつ、「ビジョン」のつくり方も具体的に提案している、実践的な書である。企業のCEOやスタートアップ企業の創業者でなくても、チームを率いるリーダーであれば、迷わず本書をおすすめしたい。</p>
]]>
        
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    <title>なぜ、テレワークを導入しても生産性が上がらないのか - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/07/PERSOL.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9255</id>

    <published>2019-07-02T06:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:06:04Z</updated>

    <summary>時間にも場所にもとらわれずに働くことで、高い価値を生み出す。テレワークはこうした柔軟な働き方を実現させるためのものだ。しかし導入してもうまくいかない企業が多い。その理由は、テレワークに対する「誤解」があるからだという。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>中本英樹</strong><small>一般社団法人日本テレワーク協会 主席研究員 （取材時）</small><p>日本電信電話株式会社（NTT）にて、フリーダイヤル、PHS、インターネット等のICTを活用したサービスの普及・利用促進に長年携わる。その後、株式会社NTTドコモにて、法人営業でのソリューション提案・サービス提供に携わる。現在は一般社団法人日本テレワーク協会にて、在宅勤務、在宅ワーカー等テレワークについて調査・研究を行うとともに、中小から大手企業まで幅広くテレワーク導入のコンサルティングを実施。</p>
<strong>成瀬岳人</strong><small>ワークスタイル変革コンサルタント</small><p>パーソルグループにてエンジニア派遣の営業およびスタッフマネジメントを担当した後、業務コンサルタントに。ワークスタイル変革コンサルティングサービスを立ち上げ、複数社の労働時間改善やテレワーク導入、働き方改革関連公共事業の企画・運営を担う。</p>
</aside></p>

<h2>「テレワーク＝CSR」ではない</h2>

<p>2019年4月26日（金）、東京都による「<a href=" https://consulting.metro.tokyo.jp/workstyle/" target="_blank">ワークスタイル変革コンサルティング事業</a>」が開始された。都内の中堅・中小企業へテレワークにおける課題解決の支援を行う事業だ。</p>

<p>なぜ「テレワーク」なのか。日本テレワーク協会主席研究員として本事業に関わる中本英樹はこう述べる。</p>

<p>「『テレワーク＝在宅勤務』と思われがちですが、テレワークとは本来、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方をしましょうという考え方なのです」</p>

<p>「テレワーク」という言葉が生まれたのは1970年代のアメリカ。テレコンピューティングやインターネット技術が開発されつつあった時代に、「仕事における時間と場所からの解放」を志すものだった。</p>

<p>「産業革命以降、人々は工場に集まって働くようになりました。工場が集積し、ビルが集積するところに人が通う。いま私たちはそれを当たり前と思っていますが、長いスパンで考えてみれば、歴史のある一時期にそういう働き方をたまたま選択しているだけだとも言えるのです。働くとは本来、個人個人の営みです。さまざまな事情で"9時5時"のワークスタイルからはみ出してしまう人々にも働く機会を与える。それがテレワークの本質だと思っています」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC2674.jpg">
<figcaption>テレワークの本質的な価値は、自宅で働けるようになること、ではない。東京都が行うコンサルティング事業では、まずテレワークの本質的な価値を伝えることからはじめているという。</figcaption></figure></p>

<p>日本でもICTの普及にともないテレワークを導入する企業は増えたが、2017年度の東京都の調査では、導入率は約20%にとどまる。それはなぜか。</p>

<p>「私は『テレワークとは何か』が理解されていないからだと考えています」</p>

<p>中本によれば、テレワークに対するいちばんの大きな誤解は、CSR的な取り組みだと考えられていることだ。</p>

<p>「これまでは"育児や介護で出勤できない人のための在宅勤務制度"という捉え方をされてきました。だから利用するほうも後ろめたさを感じてきましたし、企業側も制度を整えることが目的になっていました。しかし肝心なのは、業務そのものを見直して、生産性の高いやり方に変えていくことなのです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC2714.jpg">
<figcaption>テレワークに関するセミナーで中本が実際に使っている資料。企業の制度を変える前に、まず業務そのものを見直すことが肝心だという。</figcaption></figure></p>

<h2>制度ではなく、業務そのものをどう変えるか</h2>

<p>近年では在宅勤務だけでなく、モバイルワークや、サテライトオフィスやコワーキングスペースを利用する働き方を導入する企業も出てきている。それらの総称がテレワークだが、生産性とテレワークの関係について中本はこう話す。</p>

<p>「多くの企業の方に『中本さん、テレワークを入れればうちは生産性が上がりますよね』と聞かれます。そのとき私は必ずこう尋ねます。『御社はいま、どのように生産性を測っていますか』と。日本の企業はだいたいにおいてホワイトカラーの生産性を測っていません。本人まかせで指標がないので、『時間外の勤務を減らせばいい』ということになります」</p>

<p>数字上は一見生産性が上がったように見える。しかしそれは本質的ではないという。</p>

<p>「目先の効率ではなく、いかに中長期的に価値の高いアウトプットを引き出すか。そのために業務そのものをどう変えていくか。現場レベルではなく経営課題として戦略的に取り組む意思を持ち続けられるかどうか。それが、テレワークが成功するかどうかの鍵になるのです」</p>

<p>このような知見をベースに、各企業の実情に合わせたテレワーク導入支援を行うのが、ワークスタイル変革コンサルティングだ。ワークスタイル変革コンサルタントとして活動する成瀬岳人はこう話す。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC2803.jpg">
<figcaption>より多くの人がもっと柔軟に自由に働くことのできる世界を目指すという志を持つ者同士、中本と成瀬は協力し合いながら企業にさまざまな提案をし続けている。</figcaption></figure></p>

<p>「実際にコンサルティングで経営者の方にお会いすると、時代の変化の中で『何か変えなければ生き残れない』という危機感を必ずお持ちになっています。どのような施策に落とし込まれるかは企業によってさまざまですが、彼らが抱える課題を整理していくと、テレワークという視点を取り入れることで解決できることは少なくありません」</p>

<p>中小企業の場合、テレワークの導入を検討し始めるきっかけはシンプルなことが多いという。</p>

<p>「典型的なのは、『いまこの人にやめてもらっては困る』という人がやめそうだ、といったことですね。例えば購買を一手に引き受けていた女性社員が結婚を機に遠方へ引っ越してしまうとか。『ではまずは彼女に会社に残ってもらうことを考えましょう』といったかたちでコンサルティングが始まります」</p>

<p>テレワークは、クラウドサービスなどを使えば技術的には難しくない。しかし、その女性社員にとっての悩みは、別のところにある。</p>

<p>「何がネックかというと、『〇〇さんがいつも紙で伝票を回してくる』といったことだったりするんです。それこそ業務フローを少し改善すれば解決できますよね。そして、その女性は仕事を続けることができます。ひとつの会社で長く働いている人ほど『いままでこうしてきたから』という思い込みに縛られがちです。ヒアリングを重ねることでどこにボトルネックがあるかを発見し、過去の制約から解放することがコンサルタントの役割だと思っています」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC2796.jpg">
<figcaption>経営者が考える現場の問題と、実際に現場で働く人の悩みはずれていることが多いという。だからこそ成瀬は現場の声を聞くことを大切にしている。</figcaption></figure></p>

<h2>テレワークは柔軟な働き方をするためのツール</h2>

<p>実際に企業にコンサルティングを行う成瀬は「中本さんもおっしゃっていましたが、『テレワーク=在宅勤務』という先入観を持たれている人は少なくありません」と言う。</p>

<p>「例えば、日報をクラウドを使ってリアルタイムで共有するとか、店舗管理をタブレットデバイスなどを利用してリモートで行えるようにするといったことは、広義の"テレワーク"と言えると思うんです。結局必要なことは、労働参加率の向上と生産性の向上です。テレワークはそのためのツールなんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC2795.jpg">
<figcaption>テレワークの本質を理解する段階から、テレワークを「できる」状態にするまでのフローをまとめたもの。
</figcaption></figure></p>

<p>それを受けて中本は、「テレワークを導入する目的には、それらに加えてもう一つ、事業継続性がある」と語る。</p>

<p>「残念ながら日本は災害の多い国です。発災時にも事業活動を継続することができるかどうか。また災害対策だけでなく、来年東京2020オリンピック・パラリンピックが開催されますが、来日観光客などで通勤時の交通の大混雑が予想されます。そのときにスムーズに業務が行えるかどうか。その鍵になるのもやはりテレワークなのです」</p>

<p>ワークスタイル変革コンサルティング事業では、定期的に無料セミナーを開催している。そこでは東京都が行っている助成金制度等も紹介されるという。「テレワークを始めてみたいけど、どう始めたらいいかわからない」「うちの会社には必要ない」と思っている企業担当者や経営者にこそ、気付きの多い内容になるはずだ。ぜひ参加してみてはいかがだろうか。</p>

<hr />

<p><strong>ワークスタイル変革コンサルティングとは</strong> </p>

<p><strong>概要</strong> <br />
都内企業等のテレワーク導入を推進するため、専門のコンサルタントが訪問し、課題解決などの支援を行う。</p>

<p><strong>対象</strong> <br />
都内で事業を営む、社員数999名以下の企業</p>

<p><strong>方法</strong> <br />
都内事業所に最大5回訪問（約2時間／回）</p>

<p><strong>コンサルタント</strong> <br />
テレワーク導入・定着の専門コンサルタント</p>

<p><strong>費用</strong> <br />
無料</p>

<div class="event-btn"><a href=" https://consulting.metro.tokyo.jp/workstyle/" target="_blank">コンサルティングのお申し込み・詳細はこちら</a></div>

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    <title>考える仕事は遊んでいるようにしかみえない──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.9 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/07/habuchi-VOL9.html" />
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    <published>2019-07-01T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-04-16T05:32:59Z</updated>

    <summary>考える時間は目には見えない「シャドウ・ワーク」。意思決定ができるのは、それまで考えていた蓄積があるから。羽渕彰博の連載、第九回。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="ととのう職場、自然体のキャリア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h2>社長が遊んでいるように見えませんか</h2>

<p>みなさんは社長が遊んでいるように見えたことはありませんか。直接、仕事とは関係のない方と会食したり、手を動かしていないのに、さも自分がやったかのようにメディアで語っていたり。それでいて報酬は社員と比較にならないくらい高い。なんかズルいと思ったことはありませんか。僕はここだけの話、あります（笑）</p>

<p>期初などに社長が語る経営方針の発表も、そんな話を聴いている時間があれば１秒でも早く顧客にメールを返したいと思っていたこともありました。休憩時間になれば、スマートフォンを片手にいち早く部屋を飛び出して、廊下で仕事の電話をし始める。目の前の売り上げを追っている自分に浸っていました。</p>

<p>その悦に浸った顔を見かねてか、管理職の方が声をかけてくださり、このようなアドバイスをいただきました。「目の前の仕事をこなすことも重要。でも本当に結果を出したいなら全体を俯瞰できるようにならないといけないよ」と。</p>

<p>そのときは、その意味の重要性を理解できていませんでしたが、のちに自分も起業し、また組織開発を通じていろんな経営者の方々とお会いする機会をいただいて、そのアドバイスの意味を実感するようになりました。</p>

<h2>考える仕事は遊んでいるようにしかみえない</h2>

<p>いろんな経営者のタイプがいらっしゃるので、ひと括りにこうだと決めつけることはできませんが、私がお会いしてきた方々は、常にいろんなところにアンテナを張り巡らせています。いまより新しい価値が生まれる事業はできないだろうか、どのようにすれば社員が負担なく働けるだろうか。365日ずっとビジネスのチャンスやヒントを考えているといっても過言ではありません。</p>

<p>しかし考えている時間は、本を読んでいたり、誰かと喋っていたり、ジョギングをしていたりするので、ハタからみるとただ遊んでいるようにしかみえません。考える時間は、目には見えない「シャドウ・ワーク」です。その場で意思決定をしているようにみえますが、それまで考えていた蓄積があるからです。</p>

<blockquote>
  <p>ZOZOの前澤さんは週３日しか会社に来ないとメディアでご自身でもよく話されています。よって「社長、遊んでるじゃん」と思っているZOZOの社員もたくさんいるかもしれません。ぼくは前澤さんとずっと一緒にいましたが、「遊んでる」と思ったことは一度もありません。前澤さんは誰よりも事業のことを考えていましたし、たまに出てくるアイデアやアウトプットは、やはり研ぎ澄まされていました。イケていました。おそらく、いま目の前にある事業をせっせとやっていては出てこない考えやアイデアだらけでした。普通に働いてしまっていたら絶対に無理なのです。</p>

<p>『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4344034635/" target="_blank" rel="nofollow">実験思考 世の中、すべては実験</a>』 光本勇介著</p>
</blockquote>

<p>目の前にある仕事をこなして、スキルを身につけることは重要です。しかし外部環境が変わるとせっかく身につけたスキルを活かせる機会を失うリスクもあるかもしれません。定期的に「考える時間」をつくってみませんか。</p>

<div class="profile-box"><a class="open">執筆者・羽渕彰博のプロフィール</a>
<div class="hint">
<div class="profile">
<div style="background-image: url('/uploads/fixed_habuchi-profile.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>羽渕彰博</strong>
<p>reborn株式会社代表取締役CEO</p>
<p>1986年大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事しつつ、アイデアを短時間で具現化する「アイデアソン・ハッカソン」のファシリテーターとしても活躍。2016年4月に独立し、リレーションシップデザインを軸とする株式会社オムスビを設立し、組織変革したい企業様向けの組織コンサルティングサービス「reborn」を提供。2020年、株式会社オムスビをreborn株式会社に変更。</a></div></div></div></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="2030001113721"></div>
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    </content>
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    <title>「よろしくお願いします」は英語でなんて言うの？ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/06/English-VOL4.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9269</id>

    <published>2019-06-29T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-07-31T03:30:40Z</updated>

    <summary>自己紹介をするときや何かをお願いするとき、メールの文末や別れ際など、様々な場面で使われる「よろしくお願いします」。英語で伝えるときは、どんなフレーズを使えばいいのだろう。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ひとこと英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="英会話" label="英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>皆さんは、英語で自己紹介をするとき、My name is ... の後になんと言いますか？　</p>

<p>日本語では、自己紹介の後に「よろしくお願いします。」をつけますね。自己紹介から日常会話までのつなぎのようなものでしょうか。今回は、その「よろしくお願いします」と同じような意味を持つフレーズをご紹介します。</p>

<p>ただし「よろしくお願いします」は、何か頼みごとをする場面などでも使われますよね。日本語では、挨拶の後と頼みごとをするときとで同じ言葉を用いますが、英語にはこれに代わる定型句がないので、状況によってフレーズを使い分ける必要があります。</p>

<div class="hint-box">
<a class="open">ルーク・タニクリフのプロフィール</a>
<div class="hint">1982年イギリス生まれ。イギリス人の父とアメリカ人の母を持つ。13歳までイギリスで暮らし、その後アメリカのノースカロライナ州の高校に転校、イギリス英語とアメリカ英語の違いを経験。米ウェズリアン大学を卒業後、雑誌編集者／記者の仕事を経て、2005年、JETプログラムで来日。新潟の中学校で２年間英語教師をつとめ、その間に日本語を学ぶ。2008年に再来日。英会話講師とビジネス翻訳の仕事をしつつ、東京大学大学院にて翻訳論を学ぶ。2010年に開設したブログ「英語 with Luke」は、初心者から上級者までレベルを問わず楽しめる記事で人気を博し、月間150万PVを記録する人気サイトとなった。
</div></div>

<h2>自己紹介で使う場合</h2>

<p>「よろしくお願いします」を表すフレーズでよく知られているのは、It's nice to meet you. ですね。例えば、</p>

<p><img src="/uploads/Albert.jpg"></p>

<p>ネイティブはit's を省いて、Nice to meet you.と言います。</p>

<p>より温かい印象を与えたい場合は「会えて喜んでいる」を意味するIt's a pleasure to meet you.が良いと思います。It's great to meet you. も使いますが、少々くだけた英語なので、フォーマルなビジネスミーティングでは避けた方が良いかもしれません。</p>

<p><img src="/uploads/Julia.jpg"></p>

<p>ingをつけても使えます。to動詞を使うよりも少し柔らかい印象です。</p>

<p><img src="/uploads/pleasure.jpg"></p>

<p>ちなみに、niceとgreatは形容詞ですが、pleasureは名詞ですので、pleasureを使うときは不定冠詞のaを忘れないでください。</p>

<p>相手が言った「よろしくお願いします」に対して応える場合は、上記のフレーズにtoo をつけます。</p>

<p><img src="/uploads/too_2.jpg"></p>

<h2>頼みごとをする場合</h2>

<p>何か頼みごとをするときにも日本語では「よろしくお願いします」を使いますね。和英辞書で「よろしくお願いします」を調べると「あなたにこれを任せるよ。」を意味するPlease take care of it.というフレーズが出てきました。しかし、このフレーズは少し偉そうな印象を与えるので、上司や同僚に対しては使わない方が良いと思います。</p>

<p>お願いをするときは、would you mindというフレーズが丁寧で無難です。</p>

<p><img src="/uploads/Would-you.jpg"></p>

<p>would you mindを使うときは「would you mind + ing動詞 + お願いする内容」という順です。</p>

<p>相手が部下の場合は、I would like you to...を使うとフレーズが良いでしょう。</p>

<p><img src="/uploads/would-like-you-to.jpg"></p>

<p>こちらも丁寧な言い方ですが、質問形ではないので、would you mindのフレーズに比べると、少しだけ断りにくい印象を与えます。</p>

<p>同じような意味ですが、お願いするのではなく、勧めるような言い方もできます。その場合はit would be bestが良いですね。</p>

<p><img src="/uploads/give.jpg"></p>

<p>このフレーズは 「I think it + would be best + if + お願いすること」という形で使います。I think を省いて、It would be bestから言うとより強い印象を与えます。</p>

<p>英語で何かをお願いするときも、日本語と同じように自分と相手との関係性を考えると良いですね。</p>

<p>「よろしくお願いします」は、他にも別れ際の挨拶やメールの文末など、さまざまな場面で使われます。これらを英語で表現する場合もまたいろいろなパターンがあるので、次回以降で改めてご紹介したいと思っています。</p>
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    </content>
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    <title>「モバイルシフトの遅れが国を滅ぼす」App Annie向井俊介が指摘する、いまそこにある危機 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/06/app-annie-vol1.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9249</id>

    <published>2019-06-27T04:35:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:05:22Z</updated>

    <summary>世界最大のアプリデータプロバイダーApp Annieの日本法人代表を取材。モバイルシフトが遅れている日本企業に対して、国外データ流出にともなう国家レベルの危機まで指摘する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="sponsored" label="Sponsored" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>「日本企業はモバイルシフトを自分ごととして真剣に考えないとまずい。特に日本でビジネスをしている人たちや、かつての日本経済を支えた製造業、さらには国内の生活者を相手にビジネスをしている金融業界の人たちなど、自分たちには関係ない話だと思っているとしたら、それは大間違いです」</p>

<p>そう警鐘を鳴らすのは、<a href="https://www.appannie.com/jp/" target="_blank" rel="nofollow">App Annie</a>の日本法人代表・向井俊介だ。App Annieは全世界のモバイルアプリに関する幅広いデータを提供する企業だが、決して「ポジショントーク」と聞き捨てることなかれ。彼が「まずい」というのには、それこそデータという確固たる論拠があるし、今後の日本が直面する国力低下の防止に貢献したいという強い志がある。</p>

<p>前後編の2回にわたって向井のインタビューをお届けし、日本再生のヒントを探る。前編ではどう「まずい」のか、現実を見ることから始めよう。</p>

<p><img src="/uploads/_DSC2430-Edit720.jpg">
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/shunsukemukai">向井俊介</a></strong><small>App Annie Japan株式会社 Country Director</small>
<p>国内IT企業を経て、世界最大の企業情報企業である米Dun And Bradstreet、外資系ITリサーチ・コンサルティング企業である米Gartnerにてセールス職として様々な業種を横断的に担当し、経営者レベルとのビジネスを推進。App Annieにおいては、15年以上のセールス経験の大半を情報・データ提供ビジネスに従事してきた経験を活かし、日本の新規ビジネスから既存クライアントビジネスまで広く担当。グローバルトップの業績を残す一方で、セールスプロセスの改善や仕組み作り、KPI設計やAPAC全セールスに対するトレーニング等、幅広く活躍し、2019年1月からApp Annie Japan代表に着任。
</p></aside></p>

<h2>「モバイル×ビジネス=ゲーム」という先入観</h2>

<p>向井の今日までの活動は、2014年にApp Annieに入社し、初めて全世界のモバイルアプリに関するデータを見た時に感じた「違和感」に始まっているという。</p>

<p>「2014年当時、国内だけで年間9400億円のお金がスマホアプリに課金されていましたが、その92%がゲームへの課金でした。年率ふた桁で伸び続けるスマホアプリ市場のほとんどを、ゲームという限られた産業が独占していたのです」</p>

<p>かたや前職のガートナー時代に接した金融業界や小売業界、外食業界、家電量販店などのCIOは、押し寄せるデジタル化の波に防戦一方で、揃ってこうべを垂れるばかりだった。彼らの力になれないことに覚えた歯がゆさが、向井がApp Annieに転職したきっかけでもあった。</p>

<p>「子どものころから慣れ親しんだ日本を代表する小売企業やメーカーが苦しんでいる一方で、モバイルの世界では大量のお金が動いている。モバイルの恩恵はごく一部にだけ注がれていて、その他一般の産業には届いてない。ぼくはこの分断されている感じに違和感を覚えたんです」</p>

<p>この分断を解消し、モバイルの熱量を多くの産業に届けることに、向井はこの4年間を費やしてきた。だが、2018年現在、国内スマホアプリ市場は1兆3000億円規模にまで成長しているが、約90%をゲーム業界が占める状況は大きく変わっていない。</p>

<p>「これだけの時間とお金がモバイルに投じられているのであれば、ゲーム以外の産業が少しでもモバイルと向き合えさえすれば、状況は好転するのではないか」。当初はそのように楽観的に考えていたという向井。だが、現実はそうはならなかった。</p>

<p>「入社して早々、エバンジェリストという肩書きで、いわゆるナショクラ企業向けにモバイルの重要性を啓蒙する活動を始めました。また、半ばボランティア的に、モバイルのノウハウを持つゲーム業界の人とマッチングすることも行った。けれども、結果としてこうした企業・産業に期待していたような変化は起きませんでした」</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>大手企業の役員は、未だにスマホを見ることのない世界に生きている。</p>
</div>

<p>なぜ変わらないのか。それは彼らが、特に意思決定する力を持つ経営陣が、モバイルシフトを自分ごととして捉えられていないからだ、と向井は続ける。</p>

<p>「一般的に、部長クラスは決まった予算を運用する立場。会社の動きを変えるには、そのさらに上にいる、事業の方向性を考え、どの領域に予算を投下すべきなのか、という決定権を持つ役員クラスに働きかけ、モバイルに対する姿勢を前向きに変えてもらわなければなりません。けれども、こうした人たちはモバイルシフトを自分ごととして捉えてくれない。『モバイル×ビジネス＝ゲーム』という先入観が働いて、耳を閉ざしてしまっていると考えます」</p>

<p>国内大手企業の経営層の多くは60歳オーバー。大手企業の役員ともなれば、朝は車で迎えがくる。車に乗ったら新聞を広げ、経済誌に目を通す。日中はミーティング続き。夜は会食をして、また車で送られて家まで帰る。その間、スマホを見ることはない。そういう世界に生きているのだ、と向井は言う。</p>

<p>「若い人の感覚からすれば、生活者のライフスタイルがモバイル中心になっていることは、もはや自明のことのように思えるでしょう。けれども、こうした経営層の方々の世界には、モバイルどうこうが差し込まれる隙間が一切ないのが現実なんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC2384-Edit720.jpg">
<figcaption>アプリビジネスは課金や広告による売り上げに注目が集まりやすいが、長期的な目線ではデータに着目すべきだという。</figcaption></figure></p>

<h2>カネより大切なデータという資産</h2>

<p>こうした企業は、モバイルシフトを自分ごとにできないばかりに、1兆円規模でいまなお年率ふた桁の成長を続ける魅力的な市場に"出店する"ことさえできていない。ビジネスの大きなチャンスを自らふいにしていることになる。</p>

<p>だが、向井が日本企業を「まずい」というのには、より深刻な理由がある。「中長期的に見れば目先のカネ以上に大切な、データを失っていることに気づいたほうがいい」と警鐘を鳴らす。</p>

<p>「既存のビジネスを伸ばすだけではなく新しいビジネスを作る上では、富裕層と若年層は永遠のターゲット。ですが、特に若年層のニーズは年々多様化・複雑化し、もはやおじさんたちには理解できなくなっています。例えば彼らは、パブリックより小分けにされたコミュニティを好むから、もともとはカップル用に作られたSNSを友達間で使っていたりする。作った側の想定を超えた使い方をしているんです。いわゆる4大マスメディアとの接点も明らかに減ったいま、従来の調査、情報白書では彼らのニーズは捉えきれません。そんな状態でどうやってビジネスを作り、コミュニケーションを取ろうというのでしょうか」</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>消費者との接点を求めるなら、モバイルシフトはどんな産業にとっても本来自分ごとのはず。</p>
</div>

<p>生活者のライフスタイルがモバイル中心へとシフトしているのは自明である。だから、生活者との接点を求めるなら、モバイルシフトはどんな産業にとっても本来自分ごとのはず。モバイルであれば、これまでは取ることのできなかった詳細なデータ取得が可能だ。</p>

<p>モバイルシフトを自分ごととして捉えないことは、すべての基盤になるこうしたデータの取得機会を自ら放棄していることを意味する。この事実が、日本企業の今後の成長を大きく阻害する要因になる、と向井は言う。</p>

<p>「チラシをばらまいて、タレントを使ってテレビCMを打っておけばよかった時代はとうに終わっています。セグメントごと、もっと言えばお客さま一人ひとりをちゃんと理解した上で、適切なコミュニケーションをとり、最適な体験をしてもらうことと向き合わなければならない。だからこそ、カネよりデータ、なのです。これまでどおりに『自分たちの考えるいいものを作ってさえいれば売れる』という発想のままだと、日本企業は近い将来に朽ち果ててしまう」</p>

<p>これは一企業の話にとどまらない、国家レベルの危機にさえつながる可能性がある。向井は続ける。</p>

<p>「例えば2020年に開催される東京オリンピック。すでに訪日外国人は年間4000万人を超えていますが、2020年には更に多くの訪日外国人が日本にやってきます。しかし、そうした外国人が宿泊予約に使うのは、基本的には海外のOTA（Online Travel Agency）です。このままでは、せっかく訪れた外国人観光客のデータはすべて海外に流出してしまう。観光庁や地方自治体、民間企業の多くは外国人が日本にやってきてからどうおもてなしするかばかり考えていますが、どの国の、どのような属性をもち、どのようなコンテンツやサービスの嗜好をもった人たちが、何と何を比較した上で宿や交通手段を予約したのか、という『日本に来る前の振る舞いのデータ』が手に入っていない現状を自覚すべきです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC2345-720.jpg">
<figcaption>昨年は初めて中国発のアプリが、日本の市場攻めに成功した年だった。そのノウハウは、今後一気に中国企業の間で広まるだろう。</figcaption></figure></p>

<h2>「国家レベルの危機」はもうそこまで来ている</h2>

<p>向井が危惧する「国家レベルの危機」はいつやってくるのか。実は、データにはその兆しがもう表れている。2018年はゲーム業界で象徴的な"事件"が起きた年だった、と向井は言う。</p>

<p>「日本のモバイルアプリ市場で、昨年の新規ダウンロード数1位は『TikTok』。ゲームの売り上げ5位は『荒野行動』。いずれも中国企業によるものです。なにが"事件"なのか。実は、日本にアプリのストアができて以降、外資企業のゲームがトップ5に入ったのは、これが初めてのことなんです。『クラッシュ・オブ・クラン』、『キャンディクラッシュ』、『アングリーバード』......世界中でバズったゲームは数々ありましたが、日本でだけは一切バズらなかった。日本人は日本の企業が作ったゲームが好き。そういうすごく閉じた世界でした。その構図が初めて崩れたのが2018年だったんですよ」</p>

<p>中国のゲーム企業が日本市場をターゲットに据えたのには、おそらく中国政府による国内のゲーム規制が影響している。13億人の人口を抱える中国の多くの企業が、高齢化・人口減少社会の日本市場に同じように力を入れるかはわからない。だが、それでもなお、これはゲーム以外の産業にとっても決して対岸の火事ではない、と向井は言う。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>日本攻略のノウハウが例えばアリババのような企業に伝わったら...。</p>
</div>

<p>「中国の人たちはとにかくビジネスに対して貪欲だから、人の成功事例をものすごく勉強します。いろいろな情報にアンテナを張っているし、人材の流動性も高いから、『荒野行動』や『TikTok』のベストプラクティスは、おそらく簡単にほかの企業にも流れるでしょう。いまはゲームという狭い世界、若い女性向けサービスに限った話かもしれないですが、その日本攻略のノウハウが例えばアリババのような企業に伝わった瞬間、さまざまな産業で同じことが起こるのは確実に思います。日本人にダウンロードさせる方法、日本人の財布の紐の緩ませる方法ができてしまった。この事実が意味するところは重いです」</p>

<p>その際にも、目先のカネ以上にデータの流出が問題なのは、言うまでもない。</p>

<p>「ヘルスケア業界に『KEEP』という、中国企業のパーソナルトレーニングアプリがあります。ローカライズもカルチャライズもマーケティングもまだですが、日本のアプリストアにはすでに"モノ"がある。先ほど言ったような日本攻略のノウハウが、例えばこうした企業に伝わったらどうなるか。一瞬でマスが取られ、日本人の体組成データや健康データ、活動ログ等、すべてが中国へ行ってしまうことになります」</p>

<p>肥大化する医療費はいまや日本にとって最大の国家課題のひとつであり、だからこそ厚生労働省は「健康寿命を延ばす」ことを至上命題に置いている。健康に関するデータはそのベースになるはずだが、そのデータがすべて海外に流出する危機にあるということ。もはやビジネスの話にとどまらない、より直接的な意味での「国家レベルの危機」がもうそこまで来ている。これが向井の危機意識だ。</p>

<p>カネ以上に大切なデータをどう守るか。そのためのモバイルシフトに、企業、産業、国家のあらゆるレベルで真剣に向き合わなければならない、と向井は言う。</p>

<div class="event-btn"><a href="https://www.appannie.com/jp/" target="_blank">App Annieについて詳しくはこちら</a></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="3010401109709"></div>
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    <title>露天風呂の日──いま話題の温泉地に学ぶ、「仕掛ける側」としての姿勢 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/06/rotenburo.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9270</id>

    <published>2019-06-26T06:50:00Z</published>
    <updated>2019-06-26T07:09:16Z</updated>

    <summary>今日、6月26日は露天風呂の日。「ろ（6）てん（.）ぶ（2）ろ（6）」を露天風呂と読めるというアイデアから語呂合わせで制定された。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="TODAY IN BUSINESS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="コラム" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="アート" label="アート" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ブランディング" label="ブランディング" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h3>後世に残すべき遺産、失われていく遺産</h3>

<p>日本で最初に「露天風呂の日」の企画を始めた、湯原温泉（岡山県）をご存知だろうか。</p>

<p>昭和56年に「露天風呂番付」で西の横綱にランク付けされている人気スポットである。砂湯や足湯などの観光名所のほか、食や体験工房などの施設も充実している。露天風呂を中心とした豊かな文化を残そうと、6月30日（日）には、<a href="http://www.yubara.com/post-3445/" target="_blank" rel="nofollow">「露天風呂の日まつり」が開催される</a>。</p>

<p>また新潟県十日町市では観光資産を有効活用するため、市内の清津峡温泉郷の先にある清津峡渓谷トンネルを<a href="https://www.instagram.com/explore/tags/%E6%B8%85%E6%B4%A5%E5%B3%A1%E6%B8%93%E8%B0%B7%E3%83%88%E3%83%B3%E3%83%8D%E3%83%AB/" target="_blank" rel="nofollow">「インスタ映え」スポットとしてよみがえらせた</a>。トンネルを抜けると四季折々の清津峡渓谷を楽しむことができ、さらに温泉を満喫できるので、旅行者たちの間で話題になっている。</p>

<p>このように温泉周辺には地域特有の文化や技術、食など、後世に残すべき遺産が多数存在している。しかし、地方都市では空き家が増え、少子化で若者が減り、行動範囲の限られやすい高齢者ばかりが残り、地域の活性化が叶わないままである。いまの状況が続くと、地域特有の文化は失われていく一方だ。</p>

<h3>城崎温泉が仕掛けた地域再生のための施策</h3>

<p>そんな中、城崎温泉で有名な兵庫県豊岡市が交流人口の増加のために、二つの施策を始めている。</p>

<p>一つ目は町全体を活用した独自の仕掛けだ。開湯当初より「共存共栄」という考え方があり、旅館の外で温泉や買い物、食事を楽しんでもらえるように町全体が大きな旅館のように作られている。そのため現在でも町自体が「インスタ映え」すると話題になり、ゆかたの似合う町として女子大生など若年層のグループ旅行にもよく利用されている。SNSでは女性たちがゆかたを着て散策している写真もよく見られる。</p>

<p>二つ目は「大交流課」の設置とアートとの融合である。大交流課は2013年に豊岡市に設置された課で、交流人口を増やすことを目的としている。その大交流課の一番の仕掛けが、赤字で閉館した「兵庫県立大会議館」をリノベーションした「城崎国際アートセンター」だ。</p>

<blockquote>
  <p>この取り組みがユニークなのは、応募から選ばれたアーティストや団体が無料で滞在・活動できることだ。最短3日間から最長3カ月の間、宿泊費もスタジオ使用料もタダ。その代わり、創作活動やリハーサルを市民は無料で見ることができるほか、アーティストは市内38の小中学校に出向き、授業を行ったり、市民とワークショップを行う。</p>

<p><a href="https://forbesjapan.com/articles/detail/27463" target="_blank" rel="nofollow">世界が注目する「インスタ映え温泉」が仕掛ける逆転のアイデア集──Forbes JAPAN</a></p>
</blockquote>

<p>このような取り組みの結果、昨年度も多くの芸術団体からの応募があり、支持を得ているという。さらに世界中の芸術団体のショーが観られるので、東京や関西などからも観光客が訪れる。</p>

<p>その他にも、城崎温泉でしか買えない土産品として、湊かなえの書き下ろし小説『城崎へかえる』や万城目学の『城崎裁判』などを制作。ブックカバーがタオルでできているなど温泉地らしいデザインが人気を博し、この書籍を目的に訪れるファンが増え、東京からの観光客は20％も増加しているという。</p>

<p>ただお客様が訪れるのを待つだけではなく、ユニークな企画を考え、魅力を創出し、「仕掛ける側」になる。これは温泉地に限らず、いまあらゆるビジネスにおいて求められている姿勢ではないだろうか。</p>

<h3>参考サイト・資料：</h3>

<p>・<a href="https://www.kinenbi.gr.jp/mypage/942" target="_blank" rel="nofollow">「露天風呂の日」（6月26日）と「はんざき祭りの日」（8月8日）の記念日登録証授与式が岡山県真庭市の湯原温泉で行われました。｜一般社団法人日本記念日協会</a><br>
・<a href="https://www.niigata-nippo.co.jp/news/local/20190302454560.html" target="_blank" rel="nofollow">春待つ峡谷　清津峡トンネル再開十日町　インスタ映えで人気｜新潟日報モア</a><br>
・<a href="https://forbesjapan.com/articles/detail/27463" target="_blank" rel="nofollow">世界が注目する「インスタ映え温泉」が仕掛ける逆転のアイデア集｜Forbes JAPAN</a><br>
・<a href="http://www.kinosaki-spa.gr.jp/" target="_blank" rel="nofollow">城崎温泉公式サイト</a><br>
・<a href="https://fledge.jp/article/chihousousei" target="_blank" rel="nofollow">「地方創生」なくして日本の未来はない。消滅可能性都市が900もあるという現実と財政破綻の恐怖｜Fledge</a></p>
]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>センスを疑え。型にハマれ──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.8 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/06/habuchi-VOL8.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9267</id>

    <published>2019-06-23T23:20:00Z</published>
    <updated>2019-11-19T06:32:37Z</updated>

    <summary>自分にはセンスがないと諦める前に、型を抽出してみよう。羽渕彰博の連載、第八回。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ととのう職場、自然体のキャリア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="クリエイター" label="クリエイター" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="学び" label="学び" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h3>自分にはセンスがないからと諦めていた</h3>

<p>私は多動な人間でして、好奇心旺盛でいろんなことに興味があります。この前はふと思い立って、初めて歌舞伎を鑑賞しました。ちなみに歌舞伎の休憩時間のことを「幕間（幕の内）」というのですが、「幕の内」に食べる弁当のことを、幕の内弁当と呼ぶようになって現在に至っているそうです。このようにいろんなことに興味が向いてしまいます。逆にいうと一つのことをコツコツと続けることが苦手です。</p>

<p>特に文章を書き続けることに関しては全くセンスがありません。ブログサイトを立ち上げては3日坊主で放置してしまったこともたびたび。そのような人間がコラムをBNLに（しかも毎週！）寄稿する機会をいただいたとき、自分にその役が務まるのか不安でした。いや、いまでもまだ少し不安ではありますが、皆さまのお力添えもあって、いまのところコラムを寄稿できています。</p>

<p>文章を書き続けるセンスのない人間が、なぜこのように続けられるのでしょうか。</p>

<h3>型にハマる</h3>

<p>答えは「型」を真似ているからです。型とは、何かをカタチづくるときの構造のことです。例えばCGを用いたアニメーション制作で有名なピクサーの作品は、必ず主人公が大切にしている何かを失う型から始まります。『トイストーリー』では、主人公のウッディがバズ・ライトイヤーの登場により、おもちゃの持ち主であるアンディとの関係を失います。『ファインディング・ニモ』の主人公であるマーリンは、人間の手によって息子のニモを失ってしまいます。このように全然違うストーリーに見えて、実は型に当てはめながら制作されているのです。</p>

<p>私も自分が好きな作家の文章を読み漁って、共通している「型」を抽出し、それに当てはめながら文章を作成しています。ひとつご紹介すると、まず自分が知っている「情報」をひとつに絞り、その情報を知らない読者を想像しながら書いています。</p>

<p>当たり前に聞こえるかもしれませんが、私はこれができていませんでした。書くことは、世の中にとって「新しい情報」でなければならないと思い込んでいました。結果、書き始めながら、自分でもまだ言語化できていない情報を整理しようとしていたのです。</p>

<p>しかし曖昧なまま書き始めるので、何度も書き直したり、書き直しているうちにさらに構成がおかしくなったり、書くことに時間がかかっていました。もちろん書きながら整理するというやり方もあるとは思いますが、私の場合は毎週安定的に書き続けるには不向きでした。いまではまるでパズルを組み合わせるかのように、型に当てはめながら文章を作成しています。</p>

<blockquote>
  <p>センスに自信がない人は、自分が、いかに情報を集めていないか、自分が持っている客観情報がいかに少ないかを、まず自覚しましょう。いくら瞬時に物事を最適化できる人がいたとしても、その人のセンスは感覚ではなく、膨大な知識の集積なのです。センスとはつまり、研鑽によって誰にでも手にできる能力と言えます。決して生まれつきの才能ではないのです。</p>

<p>『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4022511745/" target="_blank" rel="nofollow">センスは知識からはじまる</a>』　水野 学  (著)</p>
</blockquote>

<p>自分にはセンスがないからと初めから諦めていませんか。どこまでが型で、どこからがセンスなのか。一度、疑ってみるとキャリアの幅が広がる可能性があるかもしれません。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/11/habuchi-vol13.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/habuchi_top_illust13.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>ドラクエで説明する「型」と「ルール」の違い──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.13</strong></div></a></div>

<div class="profile-box"><a class="open">執筆者・羽渕彰博のプロフィール</a>
<div class="hint">
<div class="profile">
<div style="background-image: url('/uploads/fixed_habuchi-profile.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>羽渕彰博</strong>
<p>株式会社オムスビ代表取締役CEO</p>
<p>1986年大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事しつつ、アイデアを短時間で具現化する「アイデアソン・ハッカソン」のファシリテーターとしても活躍。2016年4月に独立し、リレーションシップデザインを軸とする株式会社オムスビを設立し、組織変革したい企業様向けの組織コンサルティングサービス「reborn」を提供している。</p><a href="https://8card.net/p/39752398032">Eightプロフィールはこちら</a></div></div></div></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="2030001113721"></div>
]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>楽天OBが挑む、不動産営業の情報革命 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/06/housmart.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9260</id>

    <published>2019-06-20T02:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:05:04Z</updated>

    <summary>技術もデザインも優れているのに、なぜかうまくいかない。それは、解決したい真の課題が見えていなかったから。技術者は失敗を乗り越え、泥臭く人に関わり続け、ついに潜在ニーズにたどり着いた。古い不動産営業の仕組みを変える、最先端のサービスの誕生だ。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/20821277063">針山昌幸</a></strong><small>株式会社Housmart　代表取締役</small><p>一橋大学卒業後、大手不動産会社で不動産仲介、用地の仕入、住宅の企画など幅広く担当。2011年、インターネットビジネスを学ぶべく楽天に入社。最新のマーケティング・ビックデータ・インターネットビジネスのノウハウを元にコンサルティングを行う。顧客に最適な情報を届け、最適な家探しが出来る仕組みをつくることを目指し、2014年、Housmart設立。AIやビッグデータを活用した不動産テックサービスの運営をしている。</p><strong><a href="https://8card.net/p/5a3i0414">宮永照久</a></strong><small>株式会社Housmart プロダクトマネージャー</small><p>一橋大学経済学部を卒業。 在学中より、将来、社会が抱える課題をITで解決するという人生設計を立てる。新卒で楽天に入社。日本最大規模の様々な事業でプロジェクトマネジメント、開発、システム運用、最新のビッグデータ分析を行う。Housmart入社後、システムプロダクトの責任者としてシステム開発、管理を担う。</p>
</aside></p>

<p>不動産業界には「追客」と呼ばれる専門用語がある。営業が担当する見込み顧客に対して継続的に物件を提案する業務を指す。不動産は多くの人にとって人生で最も高価な買い物だから、一度の来店ではほぼ成約には至らない。見込み顧客がよそへ流れないためには、営業担当者は継続的に働きかける必要がある。これが「追客」だ。</p>

<p>だが、現実には不動産仲介の営業担当者の多くは「追客」を行うことがほぼできていないのだという。日々更新される膨大な物件情報の中から見込み顧客の希望条件に合致するものを探し出し、提案する業務は、われわれ一般人が想像するよりずっと多くの労力を要するらしい。ゆえに彼らは多くのビジネスチャンスを逃しているし、客側も理想の物件になかなか出会えない不幸が起きていた。</p>

<p>2014年創業の不動産ベンチャー・ハウスマートの新サービス <a href="https://propo.co.jp/?utm_medium=email&amp;utm_source=bnl"target="_blank" rel="nofollow">プロポクラウド</a>はこの問題を解決しようとする。独自に構築した精度の高い物件データベースに顧客の希望条件に合ったものが現れるたび、システムが自動で提案のメールを送ってくれる。不動産営業の潜在ニーズを捉えた<a href="https://propo.co.jp/?utm_medium=email&amp;utm_source=bnl"target="_blank" rel="nofollow">プロポクラウド</a>は、3月のローンチからここまで順調に導入企業を伸ばしている。</p>

<div class="link-box"><a href="https://form.run/@info-9646" target="_blank">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/seminar.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>7/8（月）セミナー開催：ハウスマート他、不動産テック企業3社共催「不動産テックを使い倒せ！今時の不動産テックとのつきあい方」</strong></div></a></div>

<p>実は、ハウスマートは約1年前にも、専用のスマートフォンアプリを通じて追客するというプロポクラウドと同じ課題解決を目指したサービスをリリースしていた。このアプリはシステムもデザインも好評だったが、ただ一つ営業担当者と客を結ぶ上で最も大切な「あるもの」が欠けていたがために大失敗に終わった。その反省が今回に活かされているという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/screen.jpg">
<figcaption>プロポクラウドのサービス画面。顧客の希望条件を細かく検索条件入力しておくと、その条件にあった物件がデータベースに現れ、自動で顧客にメールを送る。</figcaption></figure></p>

<p>不動産のようなレガシーな業界にはITで解決できる課題、すなわち大きなビジネスチャンスがまだまだあるだろう。だが、高度な技術や流行りのデザインをただ取り入れただけでは現実を変えるのには不十分だ。ハウスマートの先行サービスにはなにが足りなくて、プロポクラウドにはその失敗がどう活かされているのか。ともに楽天出身の代表・針山昌幸とプロダクトマネージャー・宮永照久に聞いた。</p>

<h2>「買いたい人」の手伝いができない現実</h2>

<p>ハウスマート代表の針山は新卒で大手不動産会社に就職し、そこで戸建やマンションの仲介から用地の仕入れ、住宅の企画など幅広い業務を経験している。楽天に転職したのは旧態依然とした不動産業界を変え得るITビジネスのノウハウを学ぶため。その後、2014年に独立していまの会社を立ち上げた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC3860-Edit-Edit.jpg">
<figcaption>針山は新卒の頃から、理想的な不動産探しの仕組みをつくるという目的を貫いている。</figcaption></figure></p>

<p>針山によれば、東京では新たに建物を建てられる土地がもうほとんど残されておらず、新築マンションの値段がどんどん高騰している。その結果、新しく家を買いたい人の多くは中古へと流れてきており、中古市場はいま、大変な盛り上がりを見せているのだという。買いたい人がこれだけいるのだから、普通に考えればそこには大きなビジネスチャンスがある。だが、不動産売買の営業は、こうした「買いたい人」を手伝うことができない現状にあるという。なぜだろうか。</p>

<p>「中古市場には東京・神奈川だけで約3万件の物件があります。そこに新しい物件が毎日数百件加わり、なおかつ値段も日々変動するので、いま世の中にはどういう物件があって、それがいくらなのかを把握するのは至難の技です。ほかの業界で営業が『自分の扱う商品の値段がわからない』と言ったら笑われるのがオチでしょう。それが現実に起きてしまうのがこの業界なんですよ」</p>

<p>各不動産仲介会社は、不動産流通機構が運営・管理する「REINS（レインズ）」という取引情報システムを共通して使っている。このREINSを利用して、膨大な物件情報の中から顧客の希望条件に合ったものを見つけ出し、PDFとしてダウンロードする（不動産会社の外壁に貼ってある、間取り図や簡単な情報の載ったアレだ）。それをメールに添付して送るのに、1通あたり60分を要するのだという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC3917_Edit.jpg">
<figcaption>不動産営業は、一人のお客さんへの対応に膨大な時間がかかる。昔から同じ仕組みのまま行われているからだ。</figcaption></figure></p>

<p>物件に問題がないか行政機関とやりとりして調査をしたり、契約書を作ったり、住宅ローンの手伝いをしたりと、不動産営業の仕事は多岐にわたる。針山自身も最初に就職した会社ではなかなか家に帰れず、「こんなにも忙しいものなのか」と驚かされたという。そんな中、すべての見込み客に対して人力で「追客」までやるのは非現実的と言えた。「本当に限られたお客さまに対してはやれても、多くの場合は意外なほど淡白な対応をせざるを得なくなっています」</p>

<p>その結果、業界大手の営業担当者でさえ、月の契約数は平均して1件前後。月平均10件ほどは問い合わせがある中で、9割の客はフォローアップできずに、そのまま流れていってしまっているのが不動産仲介の現実という。これは不動産会社にとっても大きな機会損失だが、客側からすれば、なかなか理想の物件と出会えないという不幸が起きていることにもなる。</p>

<h2>「ジョブ理論」と泥臭い実践</h2>

<p>この問題を解決しようというのが、同社が今年3月にリリースしたプロポクラウドだ。このサービスを使えば、大きな労力をかけることなく継続的に「追客」することが可能になる。</p>

<p>機械学習技術と人間の目視によるチェックの合わせ技によって、質の高い物件情報データベースを独自に構築。最初に1分ほどかけて顧客の希望条件を入力しさえすれば、あとは条件に合った物件がデータベースに現れるたびに、営業担当者名義の物件提案メールをシステムが自動で送付する仕組みになっている。客側は、提案された中に気に入った物件があったらボタンを押すだけでいい。すると担当営業に通知が来て、その後、内見などの手続きに進むことになる。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC3918_edit.jpg">
<figcaption>今まで物件の検索、ダウンロード、メール作成と、一人の顧客への対応に60分かかっていた。しかしプロポクラウドを利用すれば、実質1分で済むため、より多くの顧客に向き合う時間ができる。</figcaption></figure></p>

<p>こうしたシステムによる自動化に加えて、デザイン性高く整理された物件情報もプロポクラウドの肝だ。住所や間取りなどの基本情報に加えて、価格の推移や将来にわたっての資産価値の予測なども自動で計算されるから、客側は「いま、この物件を買うことの意味」を理解した上で購入するかどうかを検討できる。こうした情報もこれまでは、営業担当者が一つひとつ計算し、客に提示する以外になかった。</p>

<p>現状は東京・神奈川に限ったサービスだが、ゆくゆくは全国にも広げていきたい考えという。</p>

<p>3月のリリースからすでに約20社が導入済みというプロポクラウド。上々の滑り出しを見せているのは、現場の営業が抱える「解決したい真の課題」を捉えることに成功したからではないか、とプロダクトマネージャーの宮永は言う。彼らはイノベーション研究で有名なクレイトン・クリステンセンの「ジョブ理論」を参照し、「解決したい真の課題＝ジョブ」を見つけるために、約1ヶ月を費やして10社20人の営業への徹底したヒアリングを行った。</p>

<p>「普段の営業のスタイルや仕事のスケジュール、抱えている課題などを丁寧に聞いていきました。そうして出てきた200個の課題を『課題感の強さ』と『われわれの強み』、『競合性』の3軸で精査して出たのが、今回の結論でした」（宮永）</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC3987-Edit.jpg">
<figcaption>宮永は、不動産営業に徹底的に寄り添い、意見だけでなく行動や心情などを細かく分析することで、彼らが抱えている真の課題を見つけようとした。</figcaption></figure></p>

<p>「解決したい真の課題」を知るために当事者たちの言葉に耳を傾ける－－。言ってしまえば当たり前のことのようにも聞こえるが、実践するのは理論を頭で理解するほど簡単ではない。</p>

<p>「本にはインタビューのやり方まで載っているんですけど、これがもう全然うまくいかないんですよ。とにかく『なぜ？』を繰り返せ、と書いてある通りにやってみても、現実には『いや、もう勘弁してくれ』と言われてしまって。聞き方自体もやっては振り返り、やっては振り返りを繰り返して、最適な方法を探る必要がありました」</p>

<p>レガシーな業界を本当に変えるためには、テクノロジーやデザイン、理論だけでは不十分だ。エンジニアやデザイナーがPCの前から離れ、泥臭く試行錯誤を重ねた末にプロポクラウドは生まれた。</p>

<h2>足りないのは「信頼を醸成する仕組み」だった</h2>

<p>宮永が「泥臭い実践」を通じて「解決したい真の課題」を見つけ出す必要性を実感したのには、約1年前に経験した手痛い"失敗"があった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_DSC4054_Edit.jpg">
<figcaption>ハウスマートは開発もデザインも全て社内で行う。だから開発が始まってから完成するまでのスピードも速い。</figcaption></figure></p>

<p>ハウスマートは2018年5月に、スマートフォン上で動くアプリサービスをベータ版としてリリースしている。営業は、初回の接客時にこのアプリをインストールしてもらうよう客に促す。するとその後は、このアプリを通じて継続的に物件の提案ができるというもの。表面上は、解決している課題はプロポクラウドのそれとほぼ同じだ。</p>

<p>技術力やデザイン力に自信を持っていた宮永らは、営業に直接ヒアリングすることなく、仮説ベースでこのサービスを発案・開発した。だが、結果としてわずか半年でビジネスモデルの大幅転換を余儀なくされる。「お客さまがそもそもアプリをインストールしてくれなかったんです。システムや使い勝手は自信があったのですが......」（宮永）</p>

<p>なぜインストールしてもらえなかったのか。繰り返し触れているように、多くの営業担当者にとってこれまで「追客」はやりたくてもできないことだった。これは言い方を変えれば、「追客」が彼らの通常の仕事の流れの中になかったということ。ゆえにアプリのインストールを勧めることに力を入れられなかったという理由は一つ考えられるだろう。</p>

<p>だが、このアプリが失敗に終わった、より本質的な理由はほかにあると宮永は言う。それは「信頼」の欠如だ。</p>

<p>「お客さまから見て、目の前にいる営業担当者はこの時点ではまだ、自分が気になって問い合わせた物件についてたまたま案内してくれている存在。世の中に数多の不動産仲介会社がある中で、お客さまからすれば、ほかでもないこの営業担当者から買わなければならない理由はありません。同じように、アプリの使い勝手がどれだけ優れていようが、世の中のほかの物件検索サービスとさほど変わらないものとして映っていたはずです」</p>

<p>プロポクラウドがこのアプリと決定的に違うのは「信頼を醸成する仕組み」の有無だ。プロポクラウドは営業担当者にはもちろん、客側にも特別なことはなにも要求しない。顧客はただ待っているだけで自分のニーズに合致した精度の高い提案が来る。ゆえに信頼が生まれる。それは自分のことを真摯に思い、素晴らしい提案をしてくれた不動産のプロたる営業担当者への信頼だ。だから「ほかでもないこの人から買おう」と思える。</p>

<p>つまり、先ほどの泥臭いヒアリングの結果あぶりだされた営業の「解決すべき真の課題」は、正確に言えば「追客したいのにできない」ことではない。「お客さまから信頼される存在になりたいのに時間がない」ことだったのだ。</p>

<p>「接客のスタイルは千差万別ですが、多くの営業は共通してお客さまの印象を悪くするような失点をしないことにものすごく気を配っていました。少しでも信頼を損なった途端、お客さまが他の不動産会社に行ってしまう可能性があるからです」（宮永）</p>

<p>実は、営業担当者を不動産のプロとして信頼したいのは客の側も一緒だ。これだけの大きな買い物をする機会は通常、一生に一度しかない。自分の選択が本当に正しいのかに不安を抱いているのだ。誰かにその不安を払拭してほしい。それができるのは不動産のプロだけだと思っている。ハウスマートはこうした一般の客に対するヒアリングも定期的に行っているが、「どんな時に物件を見に行きたいと思うか？」という質問に対して最も多い回答は「信頼できる営業担当者から提案された時」であるという。</p>

<p>プロポクラウドによる両者の信頼構築がうまくいっていることは数字に表れている。物件提案メールの開封率は3月のリリース以降、常に30%以上をキープしているという。一般的なメールマガジンの開封率が1％かそれに満たないことと比較すれば、その高さは脅威的と言える。</p>

<h2>「買いたい人」の背中を押せるのは人間だけ</h2>

<p>ハウスマートが創業以来掲げるミッションは「住を自由に」すること。針山がその思いを抱いたのには、子供のころの原体験があるという。</p>

<p>「ある時、父親が一念発起して家を購入したんですが、その後、ことあるごとに後悔したり不満を口にしたりしているのを聞いていたんです。家探しに絶対の正解はないでしょう。でも、その人にとってのベストはあるはずです。父親にとってはきっと、あの家はベストではなかったということなんだと思います。日本では現状、自分にとってのベストが探しにくい。その選択が自分の人生にとってなにを意味するのかが見えないからです」</p>

<p>選択が意味するところがわからなければ、本来判断は下しようがない。ハウスマートがやろうとしているのは、テクノロジーとデザイン、不動産の知識を組み合わせることで、その選択がもつ意味を可視化することだという。たとえば、同じ7000万円で売りに出されているマンションでも、市場評価価格と比べて高いのか安いのかで意味合いは異なるし、10年後、20年後の資産価値予測が立てば、その後の人生設計も変わってくるかもしれない。それまでは見えにくかったこうした「意味」を可視化し、誰もが正しく住まいを選べる仕組みを作っていく。プロポクラウドもそうした大きなビジョンの実現に向けた一翼を担っている。</p>

<p>ハウスマートは「不動産テックの会社」と称される。だが、どれだけテクノロジーが進もうとも、不動産業界から営業の仕事がなくなることはないだろう、と針山は言う。</p>

<p>「不動産という人生最大の買い物につきまとう不安を払拭し、背中を押してあげられるのは人間しかいない。それも不動産のプロたる営業以外にいないと思っています。ただ、そのための仕事を全部人間がやろうとするから無理が生じる。であれば、人のいいところとシステムのいいところを組み合わせるのはどうか。現状は業界として人力に寄りすぎています。そこにシステムの力を持ち込めば、より顧客本位なサービスに変わっていけるのではないか。これがわれわれのやりたいことです」</p>

<p>【<a href="https://propo.co.jp/?utm_medium=email&amp;utm_source=bnl"target="_blank" rel="nofollow">プロポクラウド</a>】</p>

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    <title>経営戦略はいいのに、企業が成長しない理由 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2019-06-18T02:00:00Z</published>
    <updated>2020-04-01T09:22:03Z</updated>

    <summary>優れた経営戦略があっても、それを実行する能力がない。戦略にふさわしい組織へと変革することは、いまの日本企業にとって、大きな課題の一つだ。そのカギになるのが、日本にはまだ少ない「組織と人の専門家」だという。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="sponsored" label="Sponsored" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="人材育成" label="人材育成" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="組織開発" label="組織開発" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/10611919030">西恵一郎</a></strong><small>株式会社グロービス 　グロービス ・コーポレート・エデュケーション部門マネジング・ディレクター</small>
<p>三菱商事株式会社にて、不動産証券化、コンビニエンスストアの物流網構築、商業施設開発のプロジェクトマネジメント業務に従事。B2C向けのサービス企業を立ち上げ共同責任者として会社を運営。グロービスの企業研修部門にて組織開発、人材育成を担当し、大手外資企業のグローバルセールスメソッドの浸透、消費財企業のグローバル展開に向けた組織開発他、多くの組織変革に従事。海外法人を立上げ、現地法人の経営を行う。現在はコーポレート・エデュケーション部門マネジング・ディレクター兼中国法人の董事を務める。 </p></aside></p>

<p>日本企業が不振に陥る原因の多くは経営戦略の欠如にあると言われるが、本当だろうか。グロービスの法人部門で、多くの経営者や経営幹部を外部パートナーという立場から支えてきた西恵一郎は、この考えを否定する。</p>

<p>「経営者の一番の悩みは戦略がないことではありません。作った戦略が思い通りに実行されないことにあるんですよ」</p>

<p>優れた戦略があってもそれが「絵に描いた餅」で終わってしまうのはなぜなのか。どうすれば機能するのか。西の話から浮かび上がった日本企業再生のカギは、HRBPという聞きなれない職種が握っていた。</p>

<h2>日本企業の一番の悩みは戦略がないこと......ではない</h2>

<p>優れた戦略を授けてくれる経営コンサルタントは世の中にたくさんいるし、以前と比べれば社内で戦略を作ることができる企業も増えた。だが、戦略だけあってもうまくいかない例は多いのだ、と西は言う。なぜだろうか。</p>

<p>「その戦略が組織のケイパビリティに合っていないからです。経営者があるべき姿を考えても、組織能力との乖離、社員の志向性との乖離が大きければ機能しないのだと思います」</p>

<p>ということは、掲げた戦略を事業として具現化し、求める成果に結びつけるためには、組織や人の側を、その戦略を遂行するのに足りるものへと変えなければならないことになる。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/19-05-23IMG_2916.jpg">
<figcaption>西が携わっている事業はグロービスの法人部門。これまで多くの企業の経営者とコミュニケーションをとりながら、組織開発に取り組んできた。ひとつの企業に5年、長ければ20年寄り添うこともあるという。</figcaption></figure></p>

<p>このように組織と人の側面から経営戦略を支えることを、日本では「戦略人事」などと呼んだりするが、実際には、なかなかそれがうまくいくことはないのだという。なぜか。日本企業には「組織と人の専門家」がいないからだ、と西は続ける。</p>

<p>「本来であれば、人事は経営者の右腕となり、財務がお金の面からそうするのと同じように、人の面から経営を支えるものでなければなりません。ところが、日本企業の多くの人事は、採用や労務管理などの機能を果たすことに最適化しており、経営に直結する視点で組織開発や人材育成を考えられる専門家も、そのためのポジションもありません。だから、これまでの日本企業では、描いた戦略を実行するのにふさわしい組織にどう変えていくのかは、経営者が自ら考え、リーダーシップを発揮する以外に、方法がなかったのです」</p>

<p>20年前であればそれでもまだなんとかなっていた。だが、社会環境の急速な変化にともない、組織変革の必要性は日に日に高まっている。しかも、一度変えればそれで万事OKというわけではなく、むしろ常に変わり続けることさえ求められている。となると、もはや「組織と人の専門家」が不在のままでは立ち行かなくなるのが道理だ。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>組織変革の必要性は日に日に高まっている。むしろ、常に変わり続けることさえ、求められている</p>
</div>

<p>こうした日本企業の現状と比較して、外資系企業の人事には、OD（organization development）と呼ばれる、組織開発や人材育成を専門とする部門があるという。あるいは、HRBP（HRに関するビジネスパートナー）という外部のパートナーを設けている企業もある。</p>

<p>組織や人に関することにはどうしてもセンシティブな内容が含まれるから、すべてを社内で解決するというのは非常に難しい。であれば、日本企業にも外部からそれを支えるHRBPのような存在が必要ではないか、というのが西の考えだ。</p>

<h2>組織と人の専門家・HRBP</h2>

<p>従来のコンサルティングが「事業をつくる」ことで課題解決を図るものだったとするならば、HRBPの仕事は、直接「事業をつくる」のではなく、「事業をつくる組織や人をつくる」ようなものであると西は言う。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>HRBPの仕事は、直接「事業をつくる」のではなく、「事業をつくる組織や人をつくる」ようなもの</p>
</div>

<p>「戦略を結果に結びつけるためには、まずは事業部長クラスのリーダーが、経営者の掲げる戦略を事業として形にできる人材に変わらなければなりません。けれどもそれだけでは不十分。それを実行するフォロワーもまた変わらなければ、結果にはつながらない。そのすべてを行おうと思えば、だいたい3年くらいはかかってしまうんですよ」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/19-05-23IMG_2855.jpg">
<figcaption>HRBPは組織や人を見て状態を診断する。経営や人事などの知見だけでなく、人を見る目も求められるため、それらのスキルをすべて持っている人は多くはないという。</figcaption></figure></p>

<p>組織や人が変わるのには、とても時間がかかる。内側から治す力を引き出す"漢方医的"なHRBPのアプローチは、こと即効性という点で言えば、"外科手術"たる従来のコンサルティングにはかなわない。だが、それでもなお人を変え、組織を変えることにこだわらなければならない理由があるのだ、と西は続ける。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>組織に戦略を与えるのではなく、人が持つ力を引き出すことで組織を変えていく</p>
</div>

<p>「結局、事業というのは考えた人が実行しないと、芳しい成果にはつながらないものなんです。それに、誰かが作ってそれを与える形では、組織に資産が残っていかないから、持続性や再現性がない。継続的に変わり続ける必要がある現代において、それでは根本解決にはつながりません。外部のパートナーはあくまで、彼ら自身が考えられるようになるまで伴走する立場でいなければならないのです」</p>

<p>実は、西の携わっているグロービスの法人部門の仕事は、このHRBPの役割に近い。リーダー人材を育てる研修事業と理解されることも多いというが、それは彼らの仕事の一部であり、手段でしかない。彼らの仕事はいわゆる「研修」というより、経営者の課題を解決しているという点で、むしろコンサルティングの範疇にある。中でも、長期にわたって寄り添い、人を変え、組織を変えることでそれを実現するというアプローチは、まさにHRBPと呼ぶのにふさわしい。</p>

<p>HRBPとして機能するためには、従来的な人事の知識も当然必要だ。だが、その役割はあくまで経営者を支えることであるから、一方では経営的な視点も持ち合わせていなければならないことになる。</p>

<p>彼らの仕事は、まずは組織や人の現状と、経営者の求める理想の間にあるギャップを見極め、そのギャップを埋めるための変革のプロセスをデザインすることから始まる。実際にプロジェクトがスタートしてからも長期にわたって伴走し、一人ひとりの進捗に合わせて、計画を都度修正していく。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>組織や人の現状と、経営者の理想の間にあるギャップを埋めるためのプロセスをデザインする</p>
</div>

<p>「行動を変えるためには認識を変え、認識を変えるためには考え方を変え、考え方を変えるためには意識を変えることから始めなければならない」。重要なのは、"漢方医"たる彼らはなにかを与える立場にはなく、本人が自ら変わる必要性に気づくよう、導くことに徹することだ。ゆえに、ファシリテーションやコミュニケーションの能力も高いレベルで求められる。</p>

<p>HRBPという名前こそ使っていないが、グロービスはこうした事業を25年間続けており、現在も年間1200社の大手企業でプロジェクトを走らせている。事業を始めた当初の主たる目的は、MBAの論理的思考を組織内に広めることだった。時代を経るにつれ、その命題はグローバル、そしてテクノロジーへの対応と変わっていったが、組織と人の変革に関するニーズ自体は普遍だ。それはおそらくこの先も同じだろう、と西は言う。</p>

<p>「けれども、その役目が務まるのはわれわれ自身がアップデートし続けている限りにおいて、です。それを怠った瞬間、私たちの存在意義は失われてしまう。幸い、ナレッジのアップデートという点では、グロービスグループにあることが大きな強みになっています。多様なネットワークを持ち、研究開発も兼務する私たちには、自然とインプットの機会が多くあります。また、社員間でいかにナレッジを流通させ、共有するかは、力を入れて取り組んでいることの一つでもあります」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/19-05-23IMG_3097.jpg">
<figcaption>幅広いスキルが求められるこの事業だが、意外にも人材業界や人事畑の出身者は少ない。特定の業界に限らず、企業において組織や人を変えることができなかったという原体験があり、悔しい思いを抱えた人が多いのだという。
</figcaption></figure></p>

<h2>経営者は、後継の育成にもどかしさを感じている</h2>

<p>多くの日本企業にとって、次世代経営者の育成は大きな課題だと言われる。次世代のリーダーはなぜ育たないのか。</p>

<p>「トップの打ち出した戦略を事業として具現化し、成果を出した幹部は、当然その有力な候補になります。その意味では、私たちの仕事はまさに次の経営者を育て、選抜しているようなものであるとも言えるでしょう。けれども、経営者としての器は、そうしたいま時点で出している成果だけでは測れないのが難しいところ。むしろ長期的な戦略を作って組織を引っ張ることや、絶えず変わり続けることができるかどうかも見極めなければなりません」</p>

<p>西はさまざまな企業と付き合う中で、日本の企業幹部には足りないものが二つあることに気づいたという。一つはビジョン、すなわち長期的な戦略を作る力。もう一つは「志」だ。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>日本の企業幹部には足りないものが二つある。一つはビジョン、もう一つは「志」だ</p>
</div>

<p>「われわれが志と呼んでいるのは、その人自身が大切にしている思いとか、本当にやりたいと思っていることです。多くの優秀な人は、会社が社会に対してどんな価値を提供するのかはクリアに話せます。けれども、自分がなぜこの会社で働いているのかについては、意外なほど話せない方が多いんですよね」</p>

<p>会社の進むべき方向と自分が信じる価値とに1本の筋が通っている人は、経営者として強いのだという。なぜなら、そういう人は仕事を仕事としてやっているのではなく、自分がやりたいと思ってやっていることが、結果として仕事になっている。そういうリーダーが引っ張る組織は、全体としても当然強い。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>会社の進むべき方向と自分が信じる価値とに1本の筋が通っている人は、経営者として強い</p>
</div>

<p>だが、多くの幹部はこの筋が通っていない。自分が立ち上げた事業に関しては強い思いを口にできても、会社との関連で言語化ができる人は案外少ないと西は言う。</p>

<p>「でも、それは大切にしていることがないという意味ではないんです。そういう人も、必ず内側に秘めた思いはある。だからここでも、寄り添う存在が重要になります。われわれは彼らがそれを言語化できるよう、ここでもファシリテートしていくんですよ」</p>

<p>強いビジョンを持ち、自らの志との間に筋を通せる人物が組織内にいるのなら、すぐにでも引き上げるべきだ、と西は言う。そういう人こそ、日本企業を率いる次のリーダーにふさわしい。</p>

<p>「日本の組織には強い時と弱い時があるんです。強いのは、方向性がはっきりしている時。逆に弱いのは、方向性がなくて、どう改善・調整していいかわからない時です。方向性を示せるトップがいて、ミドルがちゃんと機能すれば、日本企業はいまでも強いんです。人口減少社会で、将来を危ぶむ声も多いですが、人が変わり、組織が変われば、日本企業はまだまだ十分やれるはずだと私は思います」</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="1010001015334"></div>
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    </content>
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    <title> 天職を探している限り、やりたい仕事は見つからない──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.7 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/06/habuchi-VOL7.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9263</id>

    <published>2019-06-17T02:50:34Z</published>
    <updated>2019-06-17T02:53:32Z</updated>

    <summary>天職は、具体的な職種や業種で探すより、抽象化した「Myミッション」を基準にしてみよう。羽渕彰博の連載、第七回。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ととのう職場、自然体のキャリア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="キャリアストーリー" label="キャリアストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="組織開発" label="組織開発" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h3>なぜ天職を探しても見つからないのか</h3>

<p>「Sansan Innovation Project 2019」で「集団におけるイノベーションは、一人ひとりが自身と向き合うセルフマネジメントから始まる」と題したセッションに登壇させていただきました。そのセッションを受講していた就職活動中の学生から、当社宛にメッセージをもらいました。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2019/04/self-management-sip2019.html">
<h4>イベントリポート</h4>
<img src="/uploads/20190315-160254_YAM3819-final.jpg">
<div class="info"><strong>集団におけるイノベーションは、一人ひとりが自身と向き合うセルフマネジメントから始まる</strong></div></a></div>

<p>「新卒やインターンの募集をされていないかお聞きしたく、ご連絡させていただきました」</p>

<p>あいにくそのときは募集をしていなかったのですが、せっかくご連絡いただいたので、少しでも就活のヒントになれたらと思い、一度ランチミーティングをすることにしました。</p>

<p>就活の状況を聞いてみると、彼は組織づくりに強い関心があるということで、自己分析もしていて、やりたい仕事や、自分の強みや弱みも言語化できていました。イベントや本で情報収集するだけでなく、実際にメールで企業にアポを取る行動力もあります。話を聞いている途中から、私がアドバイスしようなんて、おこがましい気持ちになってきました。もはや就職活動の悩みなんて無いのではないかと言ったところ、彼が切り出しました。</p>

<p>「自分に合った会社が見つからないんです」</p>

<p>なぜだろう。詳しく聞いていくと、組織開発コンサルティング事業をしている会社しか受けていないみたいでした。新卒採用をしている企業が限られているとのことで、片っ端から応募したそうですが内定はもらえなかったそうです。</p>

<p>組織開発コンサルティングに絞らなくても、別の人材サービスや心理カウンセラーという選択肢もあるのではないかと聞いたところ、自分が目指している組織づくりとは異なるようでした。そのとき私は、天職を具体的な職種や業種で探そうとすると、見つからないのではないかと気づきを得ました。</p>

<h3>仕事を抽象化して、Myミッションから考える</h3>

<p>そこで私はなぜ組織開発コンサルティングをしたいのか、一旦、抽象化してみたらどうだろうと提案しました。それは物事をひとつ上の視点から考える行為です。例えば法人では、「事業」が具体で、「ミッション」が抽象です。事業変革や組織変革をする際は、一度ミッションに立ち戻って考えることによって、選択肢が広がります。同じように個人も仕事を選ぶ際には、初めから具体的な求人を選ぶのではなく、まずはミッションに立ち戻って考えることで選択肢が広がります。</p>

<p>彼の場合、抽象化していくと、「社員が自律して働き、管理のいらない組織を作りたい」というMyミッション（個人のミッション）が見えてきました。さらになぜ管理のいらない組織が必要なのか抽象化することができますが、あまりに抽象度が高すぎると「世界平和」とかになってしまうので、適度に具体的であることが望ましいです。</p>

<p>次はミッションが定まったら、具体的な仕事を考えていきます。ミッションが達成できるポジションはどこか、具体的にアイデアを出し合いました。例えば自分が管理職になって、自分の部署内で管理のいらない組織をつくることもできるでしょう。逆に組織に問題がありそうな会社に入って改善することもできるでしょう。ミッションに立ち上って考えることで、見えていなかった選択肢に気づくことができました。</p>

<p>初めから具体的な業種や職種をこだわらずに、まずは抽象度の高いMyミッションを設定し、そこから目の前の選択肢と重ね合わせていくと、不思議とどのような仕事も案外自分に合った仕事に見えてきます。選択した後は、自分の主観や思い込みは捨てて、目の前の仕事でどうすれば成果を上げられるかに注力するといいでしょう。</p>

<blockquote>
  <p>よく鈴木さんは、「自分のことばかり考えている人が、鬱になるんだよ」と言っていました。自分のモチベーションとか、成功とか、自己実現とか、そういうものにこだわりすぎる人は、どんどん心が狭くなる、というのです。</p>

<p>『自分を捨てる仕事術-鈴木敏夫が教えた「真似」と「整理整頓」のメソッド』石井朋彦（著）</p>
</blockquote>

<p>彼は業種や職種にこだわらずに、視野を広げながら就職活動を始めたそうです。内省することは大切だと思いますが、具体的に考えても視野が狭くなるし、抽象度が高すぎてもどこまでいっても答えがありません。ちょうどいい塩梅でMyミッションを定めたら、あとはその範囲の中で柔軟に仕事を選んでいくのがいいと考えています。 </p>

<p>あなたのMyミッションはなんでしょうか？　ちなみに私のミッションは「パートナーのできる喜びを増やす」でして、そのミッションが達成できる仕事であれば組織開発以外の仕事も楽しんでやれています。Myミッションの抽出方法については、また反響次第でコラム内でご紹介していきたいと考えています。来週もお楽しみに。</p>

<div class="profile-box"><a class="open">執筆者・羽渕彰博のプロフィール</a>
<div class="hint">
<div class="profile">
<div style="background-image: url('/uploads/fixed_habuchi-profile.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>羽渕彰博</strong>
<p>株式会社オムスビ代表取締役CEO</p>
<p>1986年大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事しつつ、アイデアを短時間で具現化する「アイデアソン・ハッカソン」のファシリテーターとしても活躍。2016年4月に独立し、リレーションシップデザインを軸とする株式会社オムスビを設立し、組織変革したい企業様向けの組織コンサルティングサービス「reborn」を提供している。</p><a href="https://8card.net/p/39752398032">Eightプロフィールはこちら</a></div></div></div></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="2030001113721"></div>
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    <title>国立銀行設立の日──1873年に渋沢栄一が日本で最初の銀行を設立 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/06/firstbank.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9258</id>

    <published>2019-06-11T02:21:00Z</published>
    <updated>2019-06-11T03:49:42Z</updated>

    <summary>今日、6/11は国立銀行設立の日。1873年に渋沢栄一が日本で最初の銀行、「第一国立銀行」を設立したことを記念して制定された。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="TODAY IN BUSINESS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="コラム" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="お金" label="お金" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="銀行" label="銀行" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h3>日本近代資本主義の父、渋沢栄一</h3>

<p>1931年に亡くなるまで、渋沢栄一は日本の経済成長や社会貢献事業に尽くした。</p>

<p>その大きな功績のひとつが、第一国立銀行（現在のみずほ銀行）の設立。総監役を務め、銀行の模範となる業務開拓、改善に大きく貢献した。現在まで続く企業などを含めると、約500社の設立、運営に関わり、日本近代資本主義の父とも呼ばれている。</p>

<p>また社会貢献にもとても熱心で、現在の福祉事業の礎となる養育院や東京慈恵会、財団法人聖路加国際病院など600もの社会事業に携わっていた。東京商法講習所の経営や日本女子大学校の創設など、実業家の養成にも尽力し、日本の経済成長の基盤を作りあげた。</p>

<h3>スマホ決済システムの戦国時代到来</h3>

<p>さて、銀行に就職すれば安泰だといわれていた時代は終わり、メガバンクですら生き残りに必死な時代となった。作業は自動化され、大幅な人員カット、店舗の閉店などで利益の確保のために奔走している。</p>

<p>キャッシュレスの波も押し寄せているが、その普及率はいまだに高くはない。マーケティングリサーチ会社マクロミルが実施した普段の支払い方法に関するアンケートでは、現金が96.2％と最も多く、現金決済派が現在も圧倒的大多数を占めていることがわかる。</p>

<p>日本政府は、2020年の東京オリンピック開催に向け、キャッシュレス化の拡大を狙っている。それに合わせ、日本電子決済推進機構（J-Debit）が2019年秋から新たなスマホ決済サービス「Bank Pay」を開始すると発表した。メガバンクや地方銀行など1000以上の銀行が2019年秋から順次対応予定である。</p>

<p>既存サービスの中でも動きは大きい。PayPayは総額100億円還元するキャッシュバックキャンペーンを行うなど、テレビやSNSでも話題になっており、記憶に新しいのではないだろうか。スマホ決済システムを拡大したい各社がいまを逃すまいと、しのぎを削っている。キャッシュレスへの移行は進み始めており、現金使用率が減少していくことは容易に想定できる。</p>

<h3>駅と銀行が提携し、新たなサービス開始</h3>

<p>一方で、横浜銀行とゆうちょ銀行は東急電鉄と提携し、券売機によるキャッシュアウトサービスをスタート。わざわざ銀行やATM等に寄らなくても駅で現金を引き出せるようになった。</p>

<p>キャッシュレス時代の到来が叫ばれるいま、なぜ東急電鉄はキャッシュアウトサービスを始めたのか。シブヤ経済新聞によると、東急電鉄のキャッシュアウトサービスでは、券売機で返金されることがなく、紙幣切れをしても問題がない1万円札を活用。さらに、ICカードの台頭で利用率が半減していた券売機を使用することで、利便性の向上を図る。このように、いままで有効活用されていなかった紙幣と、駅に必ずある券売機というリソースを最大限活用。普段よく駅を使用するユーザーとのマッチングを狙ったサービスとして、効果が期待されている。</p>

<p>2024年には新紙幣1万円札の顔になる渋沢栄一。彼が残した大きな功績と、日本経済界の展望に期待がかかる。</p>

<h3>参考資料・ニュース</h3>

<p>・<a href="https://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00001/02069/" target="_blank" rel="nofollow">東急電鉄による駅の券売機で現金引き出しサービス｜日経xTECK</a><br>
・<a href="https://www.itmedia.co.jp/mobile/articles/1904/22/news114.html" target="_blank" rel="nofollow">IT企業を介さず、利用者の預金口座を持つ金融機関の強みを生かした決済サービス「Bank Pay」10月よりスタート｜IT media Mobile</a><br>
・<a href="https://toyokeizai.net/articles/-/222535" target="_blank" rel="nofollow">銀行員が｢一生安泰｣ではなくなった深刻背景｜東洋経済オンライン</a><br>
・<a href="https://zuuonline.com/archives/193178" target="_blank" rel="nofollow">日本のキャッシュレス決済の利用率は約88％。現金派が多い年代は？｜ZUU online</a><br>
・<a href="https://www.kokugakuin.ac.jp/article/38738" target="_blank" rel="nofollow">私たちはなぜ今こそ渋沢栄一の理念に学ぶべきなのか｜国学院大學メディア</a><br>
・<a href="https://www.shibukei.com/headline/14084/" target="_blank" rel="nofollow">駅券売機で現金引き出し　東急電鉄などがキャッシュアウト・サービス｜シブヤ経済新聞</a></p>
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    <title>あなたの職場は粘土型？ それともブロック型？──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.6 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/06/habuchi-VOL6.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9257</id>

    <published>2019-06-10T06:55:00Z</published>
    <updated>2019-06-10T07:08:30Z</updated>

    <summary>世の中には二種類の職場がある。陰口でつながっているか、ミッションでつながっているか。羽渕彰博の連載、第六回。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="ととのう職場、自然体のキャリア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="人材育成" label="人材育成" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
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    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h3>陰口でつながっている粘土型の職場</h3>

<p>職場で愚痴や陰口を聞いたことはありませんか？</p>

<p>陰口を言われる対象になるのは、その陰口を言っているグループとは「異なる存在」です。例えば部署の同い年くらいの社員同士で陰口を言っていたとしたら、立場の異なる上司や、年齢の異なる新人、他部署の社員が対象になる可能性があります。</p>

<p>ちなみに僕自身も、新人時代から先輩に対しても意見する方で、新規事業の立ち上げの仕事をしていたので、既存事業の先輩社員の方に、もしかすると陰口を言われていたかもしれません。言われていたかもしれないというのは、基本的に鈍感であることと、寝たらすぐに忘れてしまうので、記憶に残っておりません（笑）</p>

<p>こうした「異なる存在」は、既存の職場の秩序を乱す可能性があります。秩序を守っている方は、邪魔で排除すべき人として認識し始めます。「異なる存在」を仲間はずれにすることによって、連帯感がうまれて安心感が得られます。結果、陰口が多い職場では、「異なる存在」はいづらくなるので去ることになり、多様性の低い職場になっていきます。</p>

<p>おもちゃで例えるならば、関係性が濃い職場は「粘土」のようです。カラフルな粘土は、初め混ざり合うとマーブル柄で美しいですが、次第に一色になっていきます。またいろんな色の粘土を混ぜ合わせると結果的にドス黒い色になってしまいます。</p>

<h3>ミッションでつながっているブロック型の職場</h3>

<p>一方、陰口を言わない人はどういう人たちでしょうか。共通点として挙げられるのは、自分の軸をもって行動している人です。不平不満があっても、自ら環境を見つけ出して変えることができるので、ずっと同じ場で陰口を言うようなことはありません。</p>

<p>自分の軸をもって行動している人たちは、そもそも他人に対して過度な興味を持ちません。自分と他人の間に共通のミッションがあれば一緒に行動しますし、そうでなければ別々に行動します。「異なる存在」は自分が持っていない視点やできないスキルを補える可能性がある人たちなので、むしろ歓迎です。</p>

<p>もし共通のミッションを達成するために、他人の行動に対して不満があるなら、他人に対してオープンに伝えて、どのようにすれば改善できるか、自分がどのような役に立てるのかを話し合います。それでどうしても改善できなければ別々の道を歩めばいいだけです。それも他人が悪かったのではなく、共通のミッションを達成するための関係性ではなかっただけなので、プライベートでは友達として良好な関係が築けるかもしれません。また別の機会で再開して一緒に仕事をしたりします。</p>

<p>おもちゃで例えるなら関係性が薄い職場は「ブロック」のようです。カラフルなブロックは何かのカタチをつくるためにくっ付いて、必要なければ離れることができます。混ざり合うこともなく、ブロック単体で存在しています。社員一人ひとりが自律しており、プロジェクトに合わせてチームになったり離れたりします。</p>

<p>いかがでしょう。あなたの職場は「粘土型」ですか？　それとも「ブロック型」ですか？</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/06/habuchi-VOL5.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/vol5-1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>前回の記事：会議を効率化する前に、関係性をととのえよう──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.5</strong></div></a></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="2030001113721"></div>
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    <title>英語でも「お世話になります」って言うの？ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/06/English-VOL3.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9254</id>

    <published>2019-06-07T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-08-09T03:14:18Z</updated>

    <summary>メールでも社外の人への挨拶でも、必ずと言っていいほど使う「お世話になります」というフレーズ。英語にも、こうした定型の言葉はあるのだろうか。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ひとこと英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="英会話" label="英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>こんにちは、ルーク・タニクリフです。私は日本に引っ越してはじめて、日本語では人の名前に「さん」をつけることを知りました。しかし会社に勤めてみると、社外の人に自社の人のことを話すときは、上司であっても「さん」をつけないということを教わり、違和感を感じたのを覚えています。</p>

<p>英語では、このように社内と社外で言葉を使いわけることは、あまりありません。ですから、皆さんがビジネスで英語を使うときは、私が日本に来たときに感じたのとは逆の違和感を感じるかもしれませんね。</p>

<p>今回テーマに取り上げたいのは「お世話になります」というフレーズです。メールを送るときや社外の人に会うときに使いますね。でも英語にはこのような社外の人に向けた定型句がありません。代わりにどんなフレーズを使えば良いのでしょうか。さっそく見てみましょう。</p>

<div class="hint-box">
<a class="open">ルーク・タニクリフのプロフィール</a>
<div class="hint">1982年イギリス生まれ。イギリス人の父とアメリカ人の母を持つ。13歳までイギリスで暮らし、その後アメリカのノースカロライナ州の高校に転校、イギリス英語とアメリカ英語の違いを経験。米ウェズリアン大学を卒業後、雑誌編集者／記者の仕事を経て、2005年、JETプログラムで来日。新潟の中学校で２年間英語教師をつとめ、その間に日本語を学ぶ。2008年に再来日。英会話講師とビジネス翻訳の仕事をしつつ、東京大学大学院にて翻訳論を学ぶ。2010年に開設したブログ「英語 with Luke」は、初心者から上級者までレベルを問わず楽しめる記事で人気を博し、月間150万PVを記録する人気サイトとなった。
</div></div>

<h2>メールの最初に使うフレーズ</h2>

<p>クライアントや社外の人と連絡を取るとき、日本語なら相手の名前の後に「お世話になります」と書きますよね。</p>

<p>それをそのまま英語で表現しようとすると、Thank you for your patronage. や Thank you for your continued support.などになります。直訳するとpatronageは「愛顧」、continued supportは「継続的な支援」という意味合いです。</p>

<p>しかし、メールでこれらのフレーズを使うネイティブはほとんどいません。通常はDear Sirや、Dear Ms. Brownからはじまり、その後すぐに用件を書きます。</p>

<p>ただし、書き出しで感謝の気持ちをひとこと伝えたいときや、よりフレンドリーなコミュニケーションを取りたいこともありますね。その場合は、以下のフレーズを入れてみましょう。</p>

<p>例えば、最近会ったお客さまの場合は、</p>

<p><img src="/uploads/thank you very much for meeting with me the other day.jpg"></p>

<p>自社の最新の商品に興味を示してくれたお客さまの場合なら、</p>

<p><img src="/uploads/thankyou-for-your interrest in our newest product.jpg"></p>

<p>よりフレンドリーなメールを書きたいときは、</p>

<p><img src="/uploads/i-hope-you-are.jpg"></p>

<p>相手への配慮を述べるときはフォーマルな英語が良いでしょう。</p>

<p><img src="/uploads/i-hope-everything.jpg"></p>

<h2>会って最初に言うフレーズ</h2>

<p>すでに面識のあるクライアントや社外のスタッフと会うときにも「お世話になっています」を使いますね。英語ではその代わりに、お客さまの機嫌や相手の会社の調子を伺うフレーズをよく聞きます。</p>

<p><img src="/uploads/how-is-business-going.jpg"></p>

<p>ここでは、what's upなどのインフォーマルな英語は避けましょう。</p>

<p>特に良い印象を与えたいなら、It's a pleasureで始まる文が良いです。</p>

<p><img src="/uploads/It's-a-plrasure.jpg"></p>

<p>また、これから一緒にお仕事をする相手に伝える場合は、look forward toを使うと便利です。</p>

<p><img src="/uploads/I'm-really-looking-forward-to.jpg"></p>

<h2>お世話になった人へ感謝を伝えるときは？</h2>

<p>挨拶に限らず、いままでお世話になった人に感謝の気持ちを伝えたいときはenjoyed working with youというフレーズが良いです。</p>

<p><img src="/uploads/Ireallyenjoyed.jpg"></p>

<p>よりインフォーマルな英語を使いたい場合はgreatが良いですね。</p>

<p><img src="/uploads/it-was-great.jpg"></p>

<p>手伝ってくれた人に感謝の気持ちを述べるなら、</p>

<p><img src="/uploads/Thank-you-for-you-rhelp.jpg"></p>

<p>感謝の気持ちをさらに強く伝えたいなら、appreciateが役に立ちます。</p>

<p><img src="/uploads/i-really-appreciate-your-help.jpg"></p>
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    <title>会議を効率化する前に、関係性をととのえよう──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.5 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/06/habuchi-VOL5.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9253</id>

    <published>2019-06-04T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-06-10T01:16:49Z</updated>

    <summary>関係性が深い職場であるほど、回りくどいプロセスを踏んでしまう。羽渕彰博の連載、第五回。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="ととのう職場、自然体のキャリア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="キャリアストーリー" label="キャリアストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="人材育成" label="人材育成" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="組織開発" label="組織開発" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h3>会議を効率化しても前に進まない本質的な原因</h3>

<p>働き方改革の波もあって、会議を効率化して生産性を上げる動きが職場でも始まっています。ある職場では、会議の時間を1時間から30分に短縮したり、椅子に座らず立ったりなどいろいろな試みが試されています。</p>

<p>一方でまだ意思決定に時間がかかるというご相談もお伺いすることが多いです。たとえ一回一回の会議の時間が短くなったとしても、決めることに時間がかかっていたら本当の効率化とは言えないですよね。なぜ会議を効率化しても、なかなか前に進まないのでしょうか。</p>

<p>その原因のひとつして「関係性が濃すぎる」という可能性が考えられます。関係性が濃すぎるとはどういう状態か、とあるムラの会議のストーリーを用いて説明します。</p>

<p>あるムラで、住民が参加する運動会が毎年開催されていました。しかし住民が高齢化し、リレー走や綱引きなどの競技は身体に負担がかかるようになってきました。そこで運動会をやめて、ゲートボール大会に変更したらどうかというアイデアが出ました。そのアイデアについて、3ヶ月に一度行われているムラの定例会議で話し合うことになりました。</p>

<p>定例会議では、そこにいるメンバーだけで決めるのではなく、その議題を検討するための委員会を設置するのはどうかという議論が行なわれました。結果、会議に参加していた複数人が委員会のメンバーになり、委員会主導で進めることになりました。</p>

<p>そして3ヶ月後。委員会から「住民のみんなで投票して決めるのはどうか」という案でした。その案について定例会議に参加したメンバーも賛成し、次回までに投票方法を考えることを話し合うことが告げられました。</p>

<p>また3ヶ月後。委員会がつくってきた投票用紙を、会議に参加しているメンバーで分担して配り、次の定例会議で開票することが決まりました。最初の定例会議から1年経った定例会議で、住民投票の結果、運動会がゲートボール大会に変更することが決まりました。</p>

<p>以上になります。このストーリーはフィクションですが、実際に起きた話をもとに作成しました。実在の自治体や地域とは関係ありません。</p>

<p>このストーリーを読んでどのように感じたでしょうか。私は初め、なぜ運動会かゲートボール大会か決めるのに1年もかかってしまうのか理解ができませんでした。またみんなで決めるのであれば、そもそも定例会議をする意味があるのかどうかも疑問に感じました。住民を代表して定例会議に参加しているのだから、定例会議にいるメンバーだけで意思決定すればいいのではないかと思いました。でもそこには深い理由がありました。</p>

<h3>関係性が濃い職場では、コトよりもヒトを重視する</h3>

<p>なぜこのような回りくどいプロセスを踏むかというと、「特定の個人が責任を負わないようにするため」に、あえて時間をかけてみんなで決めているそうです。いや、でもそこまで極端に責任を取ることを避けようとしなくてもいいと感じたのですが、そこにはムラの関係性の濃さが影響していました。</p>

<p>そのムラでは、何世代も前から住民たち同士で協力して生活を送ってきました。いわゆる運命共同体です。その共同生活の中でもし何か事件を起こしてしまったら、村八分にされて生きていけない可能性があります。そのムラで生きていくためには、ムラのルールに従って、ムラの人たちから嫌われないことが、生きていくためにもっとも重要な術でした。</p>

<p>一方で、会議で何かを意思決定をするという行為は、一方で選ばれた以外の選択肢を取らない行為でもあります。反対意見を持っていた人たちから、意思決定が原因で嫌われてしまう可能性があります。</p>

<p>先ほどの事例でいうと、もしムラで影響力のある人が運動会を存続したい派だったとしたら、自分はゲートボールにしたいと思っていても、簡単に意思決定はしにくいのではないでしょうか。そこであえて討議に時間もかけて、特定の個人に責任を負わない意思決定プロセスを採用することによって、反対派の感情を逆なですることなく決定できるのです。</p>

<p>今回の事例は、会議の結果によって変わりましたが、基本的には前例を踏襲することが一番波風が立たない方法です。挑戦して失敗することは、悪い評価がついてムラ八分にされてしまう可能性があります。挑戦したい方は外の環境を目指してそのムラを出ていきます。そのムラには関係性を重視して生活していく人たちが残っていきます。いくらインターネットで世界中の情報にアクセスできたとしても。</p>

<p>あなたの職場の関係性はいかがでしょうか。会議を効率化するまえに、関係性を再構築するべき職場もあるかもしれません。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/05/habuchi-VOL4.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/vol4-1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>前回の記事：他人に合わせることが、自己中心的な行為につながる──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.4</strong></div></a></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="2030001113721"></div>
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    <title>特別ゲストにVERBALとEXILE MAKIDAIが決定。7/24東京開催。Adobe Symposium 2019 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/06/adobe-symposium-2019.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9244</id>

    <published>2019-06-02T23:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:27:59Z</updated>

    <summary>「パーソナライズされた体験を、より大きなスケールで実施する」。アドビによって顧客体験の世界は、いま新たなフェーズに突入しようとしている。その最新情報に触れられる無料のカンファレンスが今夏、都内で開催される。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="イベント" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="sponsored" label="Sponsored" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h3>「CXM」がこれからの変革の鍵になる</h3>

<p>3月27日、米Adobe Inc.は顧客体験をテーマとした世界最大規模のカンファレンス「<a href="https://summit.adobe.com/na/" target="_blank" rel="nofollow">Adobe Summit</a>」をラスベガスで開催した。17,000人以上の登録者を記録し、81万人以上がオンラインでライブ配信を視聴したという。</p>

<p>「顧客体験マネジメント（CXM）がデジタル変革の鍵になる」というメッセージが、イベント全体を通して発信されていた。そのテーマについて、国内の担当者は次のように解説する。</p>

<p>「データから顧客一人ひとりを理解し、カスタマージャーニーの最初から最後まで、しかもあらゆるチャネルをまたいで、すべてのお客様に対して、期待を超える体験を提供していくことが、今年の大きなテーマになっていました」</p>

<p>その最新テーマについて日本でも触れられる場となるイベントが、7月24日に都内で開催される。日本ではCXMをどのように理解するといいのか。同社はイベントサイトで次のように説明している。</p>

<blockquote>
  <p>デジタル社会の到来とともに多様化する消費者のニーズは「モノ（商品）」から「コト（体験）」へシフトし、企業は商品を売ることよりも良質な顧客体験を提供することで、事業収益拡大への商機を見いだし始めています。顧客が「体験」を消費する時代において、顧客をビジネスの中心に置き、カスタマージャーニーをとらえ直す事が今、企業に求められています。一方、顧客は、あらゆるタッチポイントで自分にパーソナライズされた価値のある体験を期待しています。この期待に的確に応えるために必要なのが、顧客体験マネジメント"CXM"です。</p>

<p><a href="https://www.adobe-symposium.jp/index.html" target="_blank" rel="nofollow">Adobe Symposium 2019 イベントサイト</a>より</p>
</blockquote>

<h3>企業は「コト消費」時代に何ができるか</h3>

<p>「モノ消費」から「コト消費」への移行は、日本国内でも数年前から話題になっているが、企業の取り組みとしては、体験イベントの開催に注力する傾向が強い。</p>

<p>一方アドビは、デジタルコンテンツによって顧客体験を向上する方法を提案している。なぜなら、いかにお客様の期待を越えられるかという挑戦に対して、「パーソナライズされた体験を、より大きなスケールで実施する」という考え方が、その根底にあるからだ。</p>

<p>例えば、自社のウェブサイトを訪れたユーザーの閲覧傾向をもとに、A.I.がその場で最適なコンテンツを生成して出し分ける。そのような一見高度なテクニックも、Adobe Experience Cloudを利用すれば、容易に実現できるという。</p>

<h3>研究開発中の最新技術も公開</h3>

<p>7月24日（水）に都内のホテルで開催される「Adobe Symposium 2019」のメインカンファレンスでは、国内外の顧客企業のビジネス責任者および担当者、各種業界を牽引する企業のリーダー、Adobe Experience Cloudのビジネスを支えるパートナーが一同に集い、CXMによるビジネス変革の最新の取り組みについて語る。</p>

<p>アドビのシャンタヌ・ナラヤン（会長、社長兼CEO）によるトップメッセージをはじめ、未来に実現するかもしれない研究開発中の技術とサービスを紹介する人気コーナー「SNEAKS」など、今年も注目のセッションが目白押しである。参加費は無料だが、事前登録は必須なので、気になる内容があれば、早めの申込みをおすすめしたい。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Adobe_Summit_2019-030-720.jpg">
<figcaption>未来に実現するかもしれない、研究開発中の技術とサービスを紹介する特別セッション「SNEAKS」は今回の日本のイベントでも実施される。日本独自で研究開発を進めているプロジェクトも発表予定だという。また特別ゲストとしてVERBALが登場する。</figcaption></figure></p>

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    <title>6月1日は気象記念日──気象庁は、6月19日より「2週間気温予報」を提供開始 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/06/weather-forecast.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9252</id>

    <published>2019-06-01T05:15:00Z</published>
    <updated>2019-06-01T05:42:11Z</updated>

    <summary>今日、6月1日は「気象記念日」。1875年に初めて東京気象台で観測が開始された。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="TODAY IN BUSINESS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="コラム" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>今日、6月1日は「気象記念日」。1875年6月1日に東京気象台での観測が開始されたことから制定された。</p>

<p>その9年後の1884年に日本で最初の天気予報が発表されたが、「全国一般風の向きは定まりなし、天気は変り易し、但し雨天勝ち」という、曖昧な予報だったそうだ。</p>

<h3>6月から2週間先まで予報を発表</h3>

<p>気象庁は2019年6月19日より、「2週間気温予報」を提供すると発表した。</p>

<p>最近日本国内では、異常気象にまつわるニュースが多く、暑さを避けるために5月に運動会が行われるなどの対策があっても、熱中症患者が多数発生している。2019年5月25日には今年一番の暑さに見舞われ、全国で460人も搬送された。</p>

<p>そこで、2週間先までの気温を予報することで、事前に高温や低温に対しての対策が早めに立てやすいというメリットがある。</p>

<h3>いま注目の「ハイパー天気予報」とは</h3>

<p>アメリカのベンチャー企業である「クライマセル（ClimaCell）」が提供する、天気予報サービスの「ハイパー天気予報（HyperCast）」が注目を集めている。従来の天気予報に比べ、60％以上も正確に予測できるという。</p>

<p>このサービスにはソフトバンクグルーブの子会社のSBエナジーが、700万ドル（約7億7500万円）もの出資をしているのだが、なぜそれほどまでに期待されているのだろうか。</p>

<p>その理由は、クライマセルが予測を立てる際に、携帯電話の信号をもとに、リアルタイムの情報を集め、天気予報に活用する技術にある。SBエナジーは、この技術がここ数年特に自然災害が急増している日本において、災害による逃げ遅れの予防策となることを期待しているという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/computer11-720.jpg">
<figcaption>クライマセル社の天気予報サービス「HyperCast」なら、特定の地域の雷を予測することも可能になる。出典：<a href="https://www.climacell.co/media-kit/" target="_blank" rel="nofollow">クライマセル</a></figcaption></figure></p>

<p>日本は四季を楽しめる美しい国である。それと同時に自然災害が多く、ここ数年は、特に大きな水害が続いている。2017年の九州北部豪雨の死者・行方不明者は39人となり、2018年の西日本豪雨の際には220人以上が犠牲となる大きな被害に見舞われた。</p>

<p>逃げ遅れる人が後を立たない背景はこうだ。2018年にウェザーニューズが行った「減災調査2018」によると、「家のほうが安全だと思った」、「自分の周辺は大丈夫だと思った」と答え、避難をしなかった人が多くいたという。西日本豪雨の時には、84％もの人が避難するのをためらったと回答している。</p>

<p>ハイパー天気予報のような技術革新を活用することで、いまより遥かに正確な天気予報が公開されるようになり、こうした災害時の逃げ遅れの対策にも活かされることを期待したい。</p>

<h3>参考サイト・資料</h3>

<p>・<a href="https://www.itmedia.co.jp/business/articles/1905/09/news009.html
" target="_blank" rel="nofollow">何分後に雨が降る？ 「ハイパー天気予報」が災害大国・日本を救うかもしれない｜IT media ビジネスオンライン</a><br>
・<a href="https://www.jma.go.jp/jma/press/1905/17a/twoweek.html" target="_blank" rel="nofollow">「2週間気温予報」の提供を開始します｜気象庁</a></p>

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    <title>奈良クラブをつくった元Jリーガー、迷走の日々と再起への道のり - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <id>tag:bnl.media,2019://125.9241</id>

    <published>2019-05-28T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T04:52:53Z</updated>

    <summary>組織を変えるには、まずリーダーが変わらなければいけない。元Jリーガーで奈良クラブ創始者・矢部次郎は、現状を素直に受け入れ、自分に足りていないものと本気で向き合うことにした。肩書きをも捨てる覚悟で変わろうとする矢部の、揺るがない信念に迫る。

</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
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    <category term="出会いのストーリー" label="出会いのストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="学び" label="学び" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/25988874106">矢部次郎</a></strong><small>株式会社奈良クラブ　代表取締役副社長／NPO法人奈良クラブ理事長</small>
<p>1978年生まれ。奈良育英高校卒業後、名古屋グランパスエイトに入団。その後サガン鳥栖、アルテ高崎に移籍。2006年に奈良県に戻り、「奈良でJリーグを目指すチームをつくりたい」という思いをかなえるべく活動を開始。2010年、NPO法人奈良クラブを設立し、2016年より理事長を務める。2018年11月、株式会社奈良クラブ 副社長に就任。</p></aside></p>

<p>サッカーJFL奈良クラブの新社長・中川政七は今年2月に行ったBNLのインタビューに、「学びの型を使ってクラブを変えていく」と語った。</p>

<p>中川の言う「学びの型」とは、分野を超えて通じる普遍的で効率的な学び方のことだ。この「学びの型」を用いることで、まずは選手・スタッフが変わり、サッカーを変え、ゆくゆくは奈良そのものが変わることに寄与していきたい考えという。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2019/03/naraclub-nakagawa.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="/uploads/IMG_8840.jpg">
<div class="info"><strong>伝統工芸からサッカー界へ。中川政七の「学びの型」で、クラブと選手はどう変われるか</strong></div></a></div>

<p>中川の社長就任以降、次々と新たな施策を打つ同クラブは、ある面ではJリーグのクラブ以上に世間の注目を集めている。メディアへの露出もJFLの地方クラブとしては異例の多さ。その歩みは至極順調に見える。</p>

<p>だが、ここへきてただごとならぬニュースが飛び込んできた。同クラブの創始者で、現体制になってからは副社長に就いていた矢部次郎が、自らの意思で副社長から降りることを申し出たという。</p>

<p>元Jリーガーの矢部は、選手として一線を退くと故郷・奈良に帰り、サッカーによる地域おこしと将来のJリーグ入りを目標に掲げて、2008年に奈良クラブを立ち上げた。以来、11年にわたってクラブを引っ張ってきた最大の功労者だ。その矢部がなぜ、このタイミングで副社長を降りなければならないのか。</p>

<p>組織はリーダーの器以上には成長しないと言われる。矢部は愛するクラブを次のステージへと導くために、誰よりもまず自分が変わる必要があることを悟った。副社長退任の申し出は、その覚悟の表れという。</p>

<p>矢部の決断から、ぼくらはなにを学べるだろうか。</p>

<h2>変革するクラブのブレーキは自分だった</h2>

<p>「ある時、クラブの成長にブレーキをかけているのが自分だったと気づいたんです。中川さんが社長になったことでクラブはいま、すごいスピードで変わろうとしている。そのスピードに一番ついていけなかったのが、ほかならぬぼく自身だったんですよ」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_4209.jpg">
<figcaption>取材は、普段奈良クラブの選手たちが練習を行っている「奈良県フットボールセンター」で行った。選手たちが「お疲れ様です！」と挨拶する。大きな声が気持ちよかった。</figcaption></figure></p>

<p>春の暖かい日差しに照らされたグラウンドの片隅で、矢部は静かに告白を始めた。</p>

<p>矢部は自分が置かれた立場を、かつて奈良クラブに籍を置きながら、去ることを余儀なくされた選手たちに重ね合わせていた。サッカークラブが発展する上で、「経営」と「チーム強化」は車の両輪と言われる。旧体制において、矢部はその両方を担っていた。結果を残せなかった選手に「契約満了」を言い渡すのも矢部の仕事だった。</p>

<p>「クラブが次のステージへと行くためには、選手一人ひとりの成長が不可欠です。その成長が追いつかずに結果を残せなかった選手は、厳しいけれども、チームを去らなければならない。いま、その状況に立っているのはぼく自身だと感じています。創始者であろうと、成長できなければ居場所がないのは同じです」</p>

<p>今回副社長退任を申し出たのは、「いまの自分はリーダーにふさわしくない」と自覚したからだった。そのままクラブを去る選択肢さえあったというが、矢部は成長し、変わることを選んだ。再びクラブに必要とされる人間になるために、肩書きのない裸一貫のビジネスパーソンとして、イチから学びなおす覚悟でいるという。</p>

<h2>すべてを捧げた11年。ぶつかった成長の壁</h2>

<p>矢部はこの11年、クラブの発展のためにやれることはなんでもやってきた。営業も広報も試合の運営も、選手を運ぶバスの運転も矢部の仕事だった。シーズン途中に監督が辞任したとなれば、自ら監督となって指揮をとり、選手が足りないとなれば、急遽現役復帰してピッチにも立った。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_3747.jpg">
<figcaption>大きなエンブレムが描かれた奈良クラブの車。赤、黄色、青の3色に、鹿がついたこのマークは、遠くからでもすぐに見つけられる。</figcaption></figure></p>

<p>「サッカー選手の中には特定のポジション、特定の役割しかやらないという人もいるけれど、ぼくは現役時代から、チームの勝利のためならどこでもやるという選手だった。その時々で必要な仕事はなにかと考えて、やる人がいないのであれば自分がやる。大変ではありましたけど、それはごく自然なことやったんです」</p>

<p>「奈良にJリーグクラブを作る」という矢部の挑戦は、ツテもない、グラウンドもない、一緒にサッカーをする仲間もいない、文字通りなにもないところから始まった。</p>

<p>車にボールとスパイクだけを積み込み、道場破りのようにして小中学校を訪問。その場で許可を取って、子供たちとボールを蹴ることから始めた。「冗談みたいな話ですけど、本当のことで。いまだったら絶対、不審者として通報されてますよね」。奈良市内にある平城宮跡の遺跡で、休憩中の発掘作業員に交じってボールを追い、「兄ちゃん、サッカーうまいな」と感心されたこともあった。</p>

<p>そうやって草の根的、ゲリラ的に活動を続けていくうちに、少しずつつながりが増え、仲間が増えていったのが、これまでの奈良クラブの歩みと言えた。矢部の愚直かつオープンな性格も、支援の輪が広がる大きな要因になった。奈良クラブがここまでこれたのは、間違いなく矢部がいたからだった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_3911.jpg">
<figcaption>ボールを触ってもらうようお願いすると、少年のような笑顔になってスーツ姿のままリフティングをやってくれた。周りの人々を惹きつける気さくさと、サッカーが好きという純粋な気持ちが伝わってきた。</figcaption></figure></p>

<p>しかし、2015年にJFLに昇格して以降、ここ数年は足踏み状態が続いていた。努力が目に見える結果につながらない日々の中で、矢部自身の心身もだんだんと疲弊していった。</p>

<p>「周りのクラブが4、5年もするとJリーグへと昇格していくのを横目で見て、うちもそのうち順番が来るはず、と甘い考えになっていたかもしれません。そんな生半可な気持ちで到達できる場所じゃないことはわかっているはずなのに。目の前に山積みの課題から、どこか目をそらしていたところがあったんだと思います」</p>

<p>当然ながら、選手上がりの矢部に経営の経験はない。ここ数年の足踏みは、そうした「手探りの経営」が迎えた限界を意味しているのかもしれなかった。昨年11月に会社化を決断したのは、その自覚があったがゆえ。同じ奈良を拠点とし、旧知の間柄だった中川を招聘、その経営ノウハウを注入することでクラブが変わることを望んだのは、ほかならぬ矢部自身だった。</p>

<p>だが、この「クラブの未来を思えばこそ」の決断が、皮肉にも矢部を追い込んでいくことになる。</p>

<h2>開幕直前、人知れず迎えた空中分解の危機</h2>

<p>伝統工芸分野で数々の会社の経営再建に成功してきた中川から見れば、それまでの奈良クラブに「経営と呼べるものはなかった」。</p>

<p>「戦略も収支管理もない。矢部さんに聞いてもわからないことがいっぱいある。担当に聞きにいって掘り起こしてみると、案の定なにもできていなかったりする。それを矢部さんに問いただすと『任せていたので』とだけ。自分の範疇だと思っていない。いやいや、あなた経営者でしょ、と」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_3869-1.jpg">
<figcaption>中川が社長に就任し新章へと突入した奈良クラブの象徴として「N」のロゴが生まれた。「N」が示す上下への動きは、厳しい状況にも負けない不屈の心と、学び前進する奈良の伸び代を表している。</figcaption></figure></p>

<p>中川は、矢部の志に共鳴したからこそ奈良クラブにやってきたし、これまでの矢部の功績をもちろん認めてもいる。だが、こと経営という観点から見れば、クラブの現状は惨憺たるものに映った。そして、それを立て直すことこそが自分の役割だと理解している。だから、ドラスティックにメスを入れることに迷いはなかった。</p>

<p>「いろんなことが一気に変わって、おもしろくないと思う人も当然いるでしょう。だから就任して一番最初に、社員全員に向けてお願いしたんです。1年経って『これは違うな』と思ったら、ぼくをやめさせるなりしてくれていい。とりあえず1年、ぼくを信じてやってみてほしい、と。一つひとつ疑い始めたら、組織としてバラバラになって、うまくいくものもいかなくなってしまうので」</p>

<p>奈良クラブには若い社員が多い。またそれまでにも中川政七商店のオフィスを借りるなど、中川とは接点があったこともあって、社員の多くはそれほど抵抗することなく、新しいやり方に順応していった。</p>

<p>その流れにもっとも乗り切れなかったのが矢部だった。まるでこれまでやってきたことのすべてを否定されたような気持ちになって、矢部の心からは急速に前向きさが失われていった。11年間クラブのためになんでもやってきた男が、たった数ヶ月で自分のやるべきことを見失った。</p>

<p>「曲がりなりにも11年間やってきて、ぼくにだって誰よりもクラブのことを知っているという自負がある。中川さんにはいろんな会社を立て直した実績があるかもしれないけど、現実を知らないんじゃないかって。正直に言えば、一時はこのクラブを去ることも考えました。あるいは逆に、中川さんにやめてもらって元の体制に戻したほうがいいのか、とも」</p>

<p>開幕を1ヶ月後に控えて、奈良クラブは空中分解の危機を迎えていた。</p>

<h2>1ヶ月の対話の末に「足りないを知る」</h2>

<p>ここまで追い込まれた矢部がすんでのところで踏みとどまり、自らが変わることを決意できたのはなぜだろうか。</p>

<p>「そりゃあ正直ムカつきましたよ。でも、そこからの1ヶ月はとにかくいっぱい会話をしました。これこそが中川さんのマネジメント能力なのかもしれないですけど、辛抱強く向き合ってくれた。一方でぼくも、完全に聞く耳を持たないとまではならなかった」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_4106-1.jpg">
<figcaption>矢部は中川との関係性について「確かに腹が立つこともたくさんあった。でも不思議と嫌いにはなれなかった」と正直に語る。</figcaption></figure></p>

<p>先のインタビューで中川は、「あらゆる学びはまず、足りないを知ることから始まる。それが学びの型だ」と話した。人が変わるためにはなによりもまず、変わる必要性を自覚していることが条件になる。そして、人が変わるプロセスの中でもっとも難しいのもその点であるように思える。あらゆるバイアスや感情からいったん離れ、自分の現状を正しく認識する。そのことがなにより難しい。</p>

<p>第三者からの指摘はその契機になり得るが、リーダーに対して「足りない」ことを指摘できる人間は少ない。だから、矢部は感情的なわだかまりを乗り越えたいま、こう思っている。「中川さんからよくないと指摘されたのは、振り返れば嬉しいことでもあった」と。</p>

<p>「Jリーガーにしても、引退後に指導した子供たちにしても、伸びる選手には共通点がありました。それは素直さです。他人からの評価や指摘に対して、まず素直に聞き入れるところからしか、人の成長はないんだと思う。経営者としての自分はそれまで、人から評価されることがなかった。知らず知らずのうちに井の中の蛙的になっていたのかもしれない。今回、中川さんをはじめとする周りの人が、そのことに気づかせてくれたんです」</p>

<p>ここに至って矢部は初めて、経営者としての自分が果たすべき役割、そしてそのためにいまの自分に足りないものがあることを自覚した。そのことが矢部に変わることを決意させた。クラブを次のステージに導くにふさわしいビジネスパーソンとなるべく、学び、変わるための準備が、かくして整ったのだった。</p>

<p>中川は言う。「実際、腹落ちしてからの立て直しは本当に素晴らしく速かったです。普通は頭では納得したとしても、すぐには体が反応しないという人が多いのに。ここまでの道のりは長く、そしてお互いに苦しかったけれど、彼にとって、そして奈良クラブにとって必要なプロセスだったのだと思います」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_3808.jpg">
<figcaption>奈良クラブ オフィスの前で。矢部と中川はこれまで、ぶつかりながらも幾度となく会話を交わした。だからこそ、こうしてポジティブに前進できた。</figcaption></figure></p>

<h2>再びリーダーになる日を見据えて</h2>

<p>1990年、奈良・鴻ノ池陸上競技場（現在のならでんフィールド。奈良クラブのホームグラウンド）で、当時のトップリーグである日本リーグの、読売クラブとヤンマーの試合が行われた。日本リーグのクラブを持たない奈良県では、こうした試合が開催されること自体が極めて異例だった。トップレベルのプレーをこの目で見ようと、奈良県じゅうのサッカー関係者が集まった。</p>

<p>当時12歳のサッカー少年で、この日の前座試合に出場した矢部も、ボールパーソンとしてピッチサイドにいた。</p>

<p>「武田（修宏）さんとかラモス（瑠偉）さんとか、そういう人らが目の前でプレーする姿を見れて感激しました。あの光景はいまでも鮮明に覚えていますよ。でも、Jリーグクラブのない奈良県でトップリーグの試合が行われたのは、実はあれが最後なんです。29年前で時が止まってるんですよ」</p>

<p>13年前に奈良へ帰ってきた際、矢部はJリーグ発足以前にまでタイムスリップした気持ちにさせられたという。</p>

<p>「子供たちに『Jリーガーとボール蹴ったことある？』って聞いたら、『そんなんあるわけないやん。テレビの中の人やん』って。選手と触れ合うなんてJリーグのある街では当たり前のことなのに。他県での当たり前が奈良では当たり前じゃない。自分を人間として育ててくれたサッカーは、故郷・奈良の子供たちにとっては遠い存在のままだったんです」</p>

<p>だから誓った。必ず「奈良にJリーグクラブを作る」と。矢部にはどうしても途中では投げ出せない理由があるのだ。雌伏の数ヶ月を経て、奈良に帰ってきた当時の気持ちを取り戻したいま、矢部に肩書きにこだわる理由はなかった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_4309-1.jpg">
<figcaption>真面目で情熱的で、サッカーと奈良への愛情が深い。「まずは自分が変わらねば」と語りまっすぐ進む矢部の背中を見ていると、改めて奈良のサッカーを応援したくなった。</figcaption></figure></p>

<p>もちろん、リーダーとしての道を諦めたわけではない。これまでは師匠もロールモデルもないまま、がむしゃらに突っ走ってきたが、いまは中川という最高の手本がすぐ近くにいる。</p>

<p>「ぼくの仕事のやり方はある意味、元Jリーガーで創始者というキャラクターありきで成り立っていたと思うんです。それを自分の中で整理できていないから、スタッフの力を発揮させてあげられなかったところもあった。その点、中川さんは言語化、仕組み化がとてもうまいと感じます。もしもそのレベルに追いつけたのなら、一方ではぼくにしかない強みもあるわけで。本当にスーパーマルチなスポーツビジネスの人材になれるんじゃないかと、いまは自分に期待する気持ちになっています」</p>

<p>結果的に中川は、矢部の副社長退任の申し出を受理しなかった。矢部が本気で変わる覚悟を決めたいま、肩書きを外すことにはなんの意味もないからだ。</p>

<p>そして、覚悟を決めたのは矢部だけではない。「自分の役割はこのクラブを立て直し、軌道に乗せるところまで」と語る中川は、5年後、10年後に次のリーダーへバトンを引き継ぐ未来を見据えている。念頭にあるのはもちろん、矢部の存在だ。</p>

<p>「正直に言って、その道のりは生半可じゃない。経営者として身につけるべきことは山ほどありますから。でも、自分もとことんそれに付き合うことに覚悟を決めました。知っていることはすべて伝えるつもりでいるし、どれだけ煙たがられようが、細かいことまで言い続けるつもりです」</p>

<p>「サッカーを変える 人を変える 奈良を変える」。奈良クラブの歩みは、まずリーダーが変わるところから始まる。</p>

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<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="4150005003780"></div>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/03/naraclub-nakagawa.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/IMG_8840.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>関連記事：伝統工芸からサッカー界へ。中川政七の「学びの型」で、クラブと選手はどう変われるか</strong></div></a></div>
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    <title>他人に合わせることが、自己中心的な行為につながる──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.4 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2019-05-27T02:48:00Z</published>
    <updated>2019-05-28T01:40:37Z</updated>

    <summary>周りに合わせてばかりいると、いつの間にか働きにくい職場になってしまう。羽渕彰博の連載、第四回。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="ととのう職場、自然体のキャリア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="キャリアストーリー" label="キャリアストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h3>周りに合わせてばかりだとどうなるか</h3>

<p>日ごろ仕事をするなかで、自分を欺き、顧客や会社の都合に無理して合わせてしまってはいないでしょうか？</p>

<p>「ここぞ！」という時だけならまだしも、いつも合わせてしまっていると不自然な働き方になっていきます。かくいう私も周囲に合わせてばかりの時期がありました。嫌われてしまうのが怖かったからです。「マイナスな評価をされてしまって、辞めさせられたらどうしよう」といった漠然とした不安がありました。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2019/05/habuchi-VOL3.html">
<h4>前回の記事</h4>
<img src="/uploads/vol3_31094.jpg">
<div class="info"><strong>みんながセルフブランディングする世の中はきっと辛い──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.3</strong></div></a></div>

<p>不安や恐怖に怯えながら働いていると、仕事の目的を達成することよりも、自分の評価ばかりが気になってしまいます。そうすると手段と目的が逆になってしまい、自分をアピールする手段として仕事を使うようになります。例えば、チームでミッションを達成しても、さも「自分がやりました感」を醸し出そうとする。でも一緒に働くメンバーからは当然認めてもらえないわけです。</p>

<p>このように振り返ってみると、自分がおかしな行為をしていることは一目瞭然ですが、当時は「他人に合わせているのに、なぜ他人は認めてくれないのか」と本気で思っていました。</p>

<p>ここで読者の皆さんに質問したいのですが、私は本当に他人に合わせていたでしょうか？</p>

<p>もし他人に合わせていないのあれば、私は誰に合わせていたのでしょうか？</p>

<h3>自分についたウソに合わせ始める</h3>

<p>本当はやりたいことがあるけれど、それを言って嫌われるのは怖いから、我慢して周りに合わせる。そうすると次第に、「周囲の環境が悪いから自分のやりたいことができない」と自分の行動を正当化するようになります。そして、周囲に不平不満を撒き散らしたり、自分のことばかりアピールしたり、周囲の環境に合わせているとは到底思えないような言動を始めてしまいます。周囲に合わせていたのではなく、自分についたウソに合わせていたのでした。</p>

<p>その経験から、私はなるべく自分にウソをつかず、正直でいることを心がけています。例えば、自分にとっては関心の低い仕事を相談されたら、その気持ちを相手に正直に伝えます。そして、どのようにすればもっと面白くなるかを考え、逆に提案することもあります。それでもし合わなければご縁がなかっただけ。すり合わせがうまくできて、自分の価値観とフィットした仕事になれば、周りに自然と感謝の言葉が言えるようになります。</p>

<blockquote>
  <p>「君のリーダーとしての成功は、自分への裏切りからどれだけ自由でいられるかにかかっている。自分への裏切りから自由になってはじめて、他の人たちを病原菌から解き放つことができるんだから。そうなって、はじめて、リーダーになれる。人々から信頼され、期待に応えようという気を起こさせ、一緒に働きたいと思わせる、同僚になるんだ」</p>

<p>『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4479791779" target="_blank" rel="nofollow">自分の小さな「箱」から脱出する方法</a>』アービンジャー・インスティチュート（著）金森重樹（監修）富永星（訳）大和書房</p>
</blockquote>

<p>「なにか自分にウソをついてはいないか」。もし周囲の環境に不満を感じていたとしたら、まずは一度、冷静に振り返ってみましょう。</p>

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    <title>「ゴルフ場記念日」──ビジネスを象徴するスポーツは、いかに日本に根付いたか？ - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2019-05-24T06:10:00Z</published>
    <updated>2019-05-24T07:15:58Z</updated>

    <summary>今日は「ゴルフ場記念日」。日本に初のゴルフ場「神戸ゴルフ倶楽部」がオープンしたことに因んで制定された。ゴルフは経営に例えられることも多く、ビジネスの象徴のようなスポーツ。近年では、新たなテクノロジーが生まれる場にもなっているようだ。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="TODAY IN BUSINESS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="コラム" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="スポーツ" label="スポーツ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="テクノロジー" label="テクノロジー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h2>日本の自然を愛したイギリス人による、日本初のゴルフ場</h2>

<p>日本初のゴルフ場をひらいた人物は、イギリス人貿易商のアーサー・ヘスケス・グルーム。</p>

<p>日本の士族の娘と結婚して神戸に住み、六甲山の自然を愛し、山荘を建て避暑地としていた。徐々にアジア圏にゴルフが普及しつつあった当時、グルームは友人との会話からゴルフ場の建設を思い立つ。</p>

<p>岩を掘り起し、雑草を手で刈り取り、およそ5年もの歳月をかけてゴルフコースを完成させると、1903年5月24日に、兵庫県知事、神戸市長、イギリス領事などの列席のもと「神戸ゴルフ倶楽部」をオープンした。</p>

<p>その後、1920年に日本人初のプロゴルファー・福井覚治が、兵庫県の舞子カンツリー倶楽部（現在の垂水ゴルフ倶楽部）に登録された。それまで外国人中心のスポーツだったが、プロゴルファーの誕生により、日本人のゴルフ熱が急速に高まったとされている。</p>

<h2>着るだけで正しいフォームが身につく!?　最新ゴルフウェア</h2>

<p>安倍首相とトランプ大統領の「ゴルフ外交」がたびたび注目されるように、ゴルフはビジネスにおける象徴的なスポーツとなっている。またゴルフは、単なるコミュニケーションツールではなく、新たなビジネスアイデアが生まれるスポーツでもあるようだ。</p>

<p>帝人は、ゴルフ愛好者をターゲットに、体の動きを感知するセンサーを内蔵した多機能ウエアの試験販売を開始。</p>

<p>「身にまとう」にちなみ、新ブランド名は「MATOUS（マトウス）」。シャツやズボンなどさまざまなタイプがあり、首や肩、腕、足首などの動きを読み込み、パソコンやタブレット端末などで正しいフォームを確認できる。ゴルフスクールや野球のスポーツチームなどに販売する計画で、帝人は「着用すれば正しいスイングが身に付くことが期待できる」と説明している。</p>

<p>また、1933年にゴルフクラブ「スターライン」を日本で初めて開発・販売したスポーツメーカー「ミズノ」は、なんとヒューマノイド型サービスロボット用のウエア「エアリージャケット」を開発。ロボットが発する熱を排除し稼動効率を向上させる役割をもち、日本初のロボット用空冷ウエアとなる。</p>

<p>「ミズノが長年スポーツウエアの開発で培った技術を一般生活者向け用途として展開したワークウエアを、人用だけでなくロボット用に応用したもの」とのことだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/mizunojacket.jpg">
<figcaption>ミズノ独自のパターン設計とファンにより空気の流れをコントロールするワークウエア「エアリージャケット」。</figcaption></figure></p>

<p>2019年は世界中のスポーツ系スタートアップの成長支援の一環として、企業にオープンイノベーションの場を提供するアクセラレーション・プログラム「<a href="https://sportstech.tokyo/?ja" target="_blank" rel="nofollow">SPORTS TECH TOKYO</a>」が日米共同で開催されるなど、スポーツテックビジネスの可能性はまだまだ広がりを見せている。</p>

<p>リオ五輪から正式種目に採用され、もちろん2020年の東京五輪でも競技が実施されるゴルフ。「若者のゴルフ離れ」が叫ばれて久しいが、その存在感はいまだ根強いのかもしれない。</p>

<h2>参考サイト・資料</h2>

<p>・<a href="http://www.kobegc.or.jp/history/" target="_blank" rel="nofollow">一般社団法人神戸ゴルフ倶楽部</a></br>
・<a href="http://www.golfdendou.jp/commendation/fukui" target="_blank" rel="nofollow">一般財団法人日本プロゴルフ殿堂</a></br>
・<a href="https://www.teijin.co.jp/news/2019/20190116_5634.html" target="_blank" rel="nofollow">「MATOUS（マトウス）」の展開を開始（ニュースリリース）</a></br>
・<a href="https://corp.mizuno.com/jp/newsrelease/2018/20181017.aspx" target="_blank" rel="nofollow">THKとミズノがヒューマノイド型ロボット用「エアリージャケット」共同開発（ニュースリリース）</a></br>
・<a href="https://sportstech.tokyo/?ja" target="_blank" rel="nofollow">SPORTS TECH TOKYO</a></p>

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<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="2700150028099"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="8120001077489"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="4120001077559"></div>
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    <title>和菓子の「叶匠寿庵」：成功のきっかけを与えたのは、伊藤忠商事の社長だった - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <id>tag:bnl.media,2019://125.9240</id>

    <published>2019-05-22T09:45:00Z</published>
    <updated>2019-10-24T03:14:00Z</updated>

    <summary>和菓子づくり未経験、39歳からの人生再出発。創業者・芝田清次は、翌日の最中を作るための材料費を稼ぐだけで日々精一杯だった。そんな彼を熱心に応援してくれたのは、自らも逆境をチャンスに変え、伊藤忠を成功に導いた越後正一社長だった。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL History" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ブランディング" label="ブランディング" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="出会いのストーリー" label="出会いのストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="手みやげ" label="手みやげ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>芝田清次</strong><small>叶匠寿庵 創業者</small>
<p>1919年（大正8年）7月7日、京都・祇園生まれ。立命館大学中退後、シナリオライターを経て、滋賀県特高警察官を拝命、その後、大津市役所観光課に勤務。58年9月、叶匠寿庵を創設。82年に社長を長男・清邦に譲り、相談役に就任。92年5月21日、満72歳没。</p></aside></p>

<h2>わずか一代で、全国No.1の和菓子屋に</h2>

<p>1958年に開店した滋賀県大津市の小さな和菓子屋「叶匠寿庵」は、15年後には日本の菓子業界を代表するブランドになっていた。</p>

<p>71年に看板商品となる「あも」を発売。73年に阪急うめだ本店のデパ地下に出店すると、ブームに火がつく。その後、西武池袋本店と日本橋高島屋等にも出店し、77年頃には、その3店舗で全国すべての百貨店における菓子売り場の売り上げベスト3を占めるまでになった。</p>

<h2>公務員を辞めて未経験で創業</h2>

<p>創業者の芝田清次は、39歳の誕生日を迎えるまで、まったく和菓子づくりとは無縁の仕事をしていた。18歳の時に徴兵され、日中戦争に従軍すると、敵軍偵察中に銃撃を受けて左目を失う。帰国後は警察官になるが、留置場に勤務していた時に同僚との間でトラブルがあり、大津市役所へ転職する。</p>

<p>市役所では、観光課で観光主任のポストを任せてもらえたのだが、しばらくすると「今ひとつ仕事として刺激が足りない」と感じるようになった。辞める決意を固めた頃には「激しく未知の可能性への挑戦に己を賭けてみたい」と思うようになっていたという。</p>

<p>1958年、芝田は家族の反対を押し切り、満39歳の誕生日に市役所を辞し、生まれて初めての和菓子づくりをスタートした。</p>

<p>餡炊きなどの基本は、友人の菓子屋の職長から10日間だけ教わったものの、最初はかなり苦労していたようである。炊いた餡は全体の7〜8割しか売り物にならない。それでも、明日の餡炊きに必要な丹波小豆を仕入れるために、毎日売り続ける必要があった。雨の日も風の日も雪の日も、琵琶湖の近くにある「圓満院門跡」の駐車場に止まる観光バスの乗客に向かって、窓の下から窓の下へと「お菓子いりまへんか、買うておくれやす」と声をからしながら売りさばいた。</p>

<p>そうこうして何とか和菓子をつくり続けて半年ぐらい経った頃のある日、店の前に立派な外車が停まり、運転手さんがうやうやしく後部座席のドアをあけた。当時、お客様の9割は近所か地元の人だったので、とても驚いたという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/hanaunsui.jpg">
<figcaption>参考文献：<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4062017652/" target="_blank" rel="nofollow">芝田清次 『花雲水―菓匠として世に生かされて』（講談社）</a></figcaption></figure></p>

<h2>運命を変えた出会い</h2>

<blockquote>
  <p>降りてこられたのは背の低い小柄な、精力的な風貌の、いかにも頭脳明晰な感じの眼の輝きをおもちの中年紳士だった。ただ、暑い盛りの夏の日ではあったにしても、その身なりはいかにも無雑作であった。開襟シャツはともかくとして、下はなんと縮みのステテコ姿だったのである。靴は一見して最高級とわかる上等の皮靴。つまり相当な地位のお方が、たまたま暇をみてふらッとお立寄りになった、いわゆる"お忍び"の感じだった。そのかたに続いて立派な奥様がお降りになった。</p>

<p>（中略）</p>

<p>「いや実はな、このあいだ知人からあんたのとこの最中をもろうてな。なんともいえん純な味わいに感心したんや。わしもこれ（奥様）もあの味が忘れられんようになってな」</p>
</blockquote>

<p>そのお客様は、なんと1万円分の最中を買ってくれたという。現在の貨幣価値では、5万円はくだらない額である。特に指示したわけでもないのに、家族全員が店の前までお見送りに出た。</p>

<blockquote>
  <p>ふと見ると、老いた両親は、胸の前に両手を合掌させながら、まるでお念仏を唱えるように「有難うございました、有難うございました」と呟きつづけている。二人とももう顔中、涙でくしゃくしゃになっている。その顔を見た途端、私も、それまでこらえにこらえていたつもりの涙がこらえきれず、堰を切ったようにほとばしらざるをえなかった。脇の家内も泣いている。そしてふとうしろを振り返ってみると、小学生の息子と娘までがポロポロポロポロ涙をこぼし、しきりにしゃくりあげているではないか。</p>

<p>去ってゆく外車からは奥様が、うしろの窓に手をつけて振ってくださっている。ご主人はご主人で窓を開け、顔を突き出され「いつまでも頑張れよーッ、応援してやるぞーッ」と、車が見えなくなるまで励ましのお声をかけつづけてくださった。</p>
</blockquote>

<p>その時の光景は、家族全員、生涯忘れられないものとなったはずである。</p>

<p>失礼にあたると思い、そのとき芝田は相手の名前を聞きそびれたそうだが、わずか10日ほど後に、再び来店してくれたので勇気を出して聞いてみたという。</p>

<p><strong>「わしか、わしは伊藤忠の越後や」</strong></p>

<p>その人物こそ、BNLの名言記事でも紹介した、伊藤忠の"中興の祖"と称される元社長、越後正一だったのである。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/04/Masakazu-Echigo.html">
<div style="background-image: url('/uploads/bnl_meigen_1094_730.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>伊藤忠商事を「1兆円規模の総合商社」へと導いた中興の祖、越後正一の名言</strong></div></a></div>

<p>二度目の来店時には財界の重鎮、永野重雄の奥様も一緒だった。その後も松下幸之助の奥様をはじめ、数多くのお知り合いとともに、わざわざお店まで来てくれるようになった。ときには10台以上の外車が店の前に並ぶことまであったという。</p>

<blockquote>
  <p>人の運の勢いには、しばしば、人とのある出会いが契機となって一変する場合がある。</p>

<p>伊藤忠の越後さんという福の紙との出会いなどはまさに、逆風をにわかに純風に一変させるきっかけを私に与えてくださったものであった。</p>

<p>この上もなくご好意的な越後さんの"口コミ"のおかげで、経済界や実業界を中心にお客様の輪はしだいに京阪神一帯にひろがっていった。</p>
</blockquote>

<h2>栞の言葉に「祈り」を感じた</h2>

<p>なぜ、越後正一はそこまでこの店に惚れ込んだのだろうか。注目したいのは、最初の来店時に芝田へ問いかけた次の言葉である。</p>

<blockquote>
  <p>「ところでご主人、あんた栞に『右は京みち　左ふしみみち』とか『花はくれない　柳はみどり』と書いておられたけど、この最中、どう思っておつくりになったんや？」</p>

<p>（中略）</p>

<p>「いや、ともかく、あんたの発想はおもしろいよ。それと、あんたのとこのお菓子にはな、わしは『祈り』を感じたのや」</p>
</blockquote>

<p>「右は京みち　左ふしみみち」は、最初に店を構えた、京都と伏見の分かれ道である場所に設置された、石の道標に刻まれている文字であった。芝田自身にとっては、市役所を辞めてまさに人生再出発の分かれ道にさしかかっていた時期である。その道をとにかく歩みはじめてみようという決意を込めていたのだという。</p>

<p>「花はくれない　柳はみどり」は、宋時代の詩人、蘇東坡の有名な詩の一節をかりたもので、「こうして歩みはじめた以上、あとはただ万事おのずから天の摂理にしたがって推移するであろう天然自然の理に見をゆだねたい心を託したつもり」だったという。</p>

<p>この栞がなかったら、あるいは越後正一はお店まで来ていなかったかもしれない。これはBNLで今月公開した連続講義「ブランドのつくり方」で紹介された、ブランドコンセプト作成やコミュニケーション設計の視点から見ても、また興味深い逸話である。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/05/osada-brand-Vol1.html">
<div style="background-image: url('/uploads/vol1_asahimatuhikari.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>どこにでもある米屋さんは、いかにしてブランドを確立したのか。6日間で学べる長田敏希の特別講座</strong></div></a></div>

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    <title>小学校開校の日──日本初の小学校が明治2年に開校した - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2019-05-21T04:39:00Z</published>
    <updated>2019-05-21T05:06:01Z</updated>

    <summary>今日は「小学校開校の日」。日本初の小学校「上京第二十七番組小学校」が開校したことに因む。京都清水の旧校舎は、高級ホテルとして2019年冬に開業予定。また、2020年のプログラミング必須化に向けて、新しい教育ツールが活況を呈している。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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    <category term="学び" label="学び" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>明治2年5月21日に、日本初となる近代小学校として「上京第二十七番組小学校」が開校した。</p>

<p>「上京第二十七番組小学校」の設立に尽力したのは、お香や和紙製品の専門店として知られ創業350年以上の歴史を持つ「鳩居堂」の7代目主人である熊谷直孝。明治5年の明治政府による「学制発布」より早く、教育に熱心だった熊谷を中心に、町の人々からの寄付と熱意により日本初の小学校は誕生した。</p>

<p>そして後年に「柳池（りゅうち）小学校」、「清水小学校」と名前を変え、平成23年3月に閉校。しかしその歴史と建物を生かしてホテルとして改築、2019年冬にオープンが予定されている。</p>

<div class="entry-gallery">
<figure><img src="/uploads/news_181011_02_001-720.jpg">
<figcaption>中庭の景観（完成予想パース）。地上4階、客室全48室を予定している。既存校舎のアーチ型開口や軒下の船腕木装飾など、特徴ある外観を保存し、この立地ならではの眺望を活かした客室・施設を計画しているという。</figcaption>
</figure>
<figure><img src="/uploads/news_181011_02_002-720.jpg">
<figcaption>鳥瞰全景（完成予想パース）。法観寺八坂の塔を間近に望み、緑豊かな東山を背景に京都の町並みを一望できる恵まれた立地である。ホテル運営は、株式会社プリンスホテルが担当する。</figcaption>
</figure>
</div>

<h2>いま大きく変化している、小学校教育の現場</h2>

<p>2012年度から中学校での「ダンス」必修化は記憶に新しいが、近年では小学校教育にも大きな変化があり、2020年には「英語」と「プログラミング」が必修化される。</p>

<p>このプログラミング教育必修化を背景に、「子ども向けプログラミング教育市場」は大きく成長が見込めるとして、2018年から新規参入企業が増加している。
2019年4月にGMOインターネットグループが発表した「2019年 子ども向けプログラミング教育市場調査」の結果によると、2019年の子ども向けプログラミング教育市場規模は114億2000万円。2018年の市場規模90億7100万円と比較して、約25.9％も増加する見込みとなっている。</p>

<h2>プログラミング学習ツールを手がける企業が続々登場</h2>

<p>こうした潮流を受け、いち早くソフトやキットを開発・販売している企業も多い。</p>

<p>江崎グリコは、おかしを食べながら楽しく学べる、プログラミング教育用のキット「GLICODE®（グリコード）」を開発。</p>

<p>https://www.youtube.com/watch?v=qByPOCQI-Z0</p>

<p>チョコレート菓子「ポッキー」の並べ方とキャラクターの動きを連携させて課題を解決していくアプリで、プログラミングの基礎的な考え方を学ぶことができる。授業でも使用できるように教師向けの指導案や学習用キットをWEBサイト上で無料配布しており、Code.orgが世界的に主唱するプログラミング教育推進活動「Hour of Code」にも採用されている。</p>

<p>また、レゴ社の教育部門レゴ エデュケーションは、小学校高学年〜中高校向けのプログラミング学習ツール「SPIKEプライム」を発表。</p>

<p>https://www.youtube.com/watch?v=SXwX0BEKxXE</p>

<p>Science（科学）、Technology（技術）、Engineering（工学）、Mathematics（数学）。これら4領域の知識を横断的に活用し学ぶ「STEM教育」の教材として、コーディングとロボット工学を組み合わせた学習用キットとなっている。子どもたちは自分たちでロボットを組み立て、プログラミングを作り、遊びながら学ぶことができる。ロボットのパーツはレゴブロックが基調となっているため、自由に組み立てられ、その可能性は無限大だ。</p>

<p>「SPIKEプライム」は全世界に向け8月末に発売が予定されているが、いち早く6月に東京と大阪で開催される教育関係者向けのイベント「<a href="http://edu-expo.org/" target="_blank" rel="nofollow">NEW EDUCATION EXPO 2019（NEE2019）</a>」で日本初公開となる。</p>

<p>NEE2019では最先端のICT学習環境の紹介や、今後の小中学校でのプログラミング教育必修化に向けた、教育関係者によるパネルディスカッションも開催予定だ。日頃学校で子どもたちにふれる教師と、企業関係者とが一堂に会する、貴重な機会となる。</p>

<p>ちなみに、プログラミング教育市場は2020年以降も拡大が続くと予想されており、2030年までに1000億円を超える可能性があるという。未来を担う教育現場から、新たなビジネスチャンスに出会えるかもしれない。</p>

<h2>参考文献</h2>

<p>・<a href="https://www.nttud.co.jp/news/detail/id/n23657.html" target="_blank" rel="nofollow">元清水小学校跡地活用計画　新築工事着手（プレスリリース）</a></br>
・<a href="https://japan.cnet.com/article/35135968/" target="_blank" rel="nofollow">子ども向けプログラミング教育市場、5年後には2.3倍の257億円規模に--GMOメディアらが予測（CNET Japan）</a></br>
・<a href="https://www.city.kyoto.lg.jp/sogo/page/0000013266.html" target="_blank" rel="nofollow">京都市情報館「京都発 日本初 1　市民の支えで誕生した近代小学校　1869年（明治2年）」</a></br>
・<a href="http://www.kyukyodo.co.jp/about/history.html" target="_blank" rel="nofollow">鳩居堂の歴史</a></br>
・<a href="https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000002.000043327.html" target="_blank" rel="nofollow">レゴ エデュケーション、プログラミング教育を加速する新製品「レゴ® エデュケーションSPIKE(TM)プライム」を「NEW EDUCATION EXPO 2019」で日本初公開（PR TIMES）</a></p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="5120001049268"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="1010001165427"></div>

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    <title>みんながセルフブランディングする世の中はきっと辛い──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.3 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/05/habuchi-VOL3.html" />
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    <published>2019-05-20T02:17:00Z</published>
    <updated>2019-05-20T02:17:14Z</updated>

    <summary>必ずしも社会で目立つ必要はない。異能なリーダーを側で支える、優秀な参謀役を目指したっていい。羽渕彰博の連載、第三回が公開。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ととのう職場、自然体のキャリア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="人材育成" label="人材育成" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="組織開発" label="組織開発" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>みなさん一度は、第一線で活躍されているリーダーの講演を聞きに行ったことがあるのではないでしょうか。</p>

<p>常識人ではありえないような大失敗で笑いをとって場をあたためておきつつ、最後は志の高いビジョンを語って惹きつける。私も砂鉄のように、リーダーの磁力に引っ張られて、講演終了後の名刺交換の行列に何度も並んできました。</p>

<p>でも一方で、社会を変えようとする志の高い話を聞きながら、なんて自分は志が低く、自分のことや目の前のことしか見えていないんだろうと、身勝手に凹んでしまうこともありました。名刺交換の列に並んで近づこうとしても、リーダーと自分の間には大きな溝があるように感じてしまうのです。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2019/05/habuchi-VOL2.html">
<h4>前回の記事</h4>
<img src="/uploads/vol1_0510_2x.jpg">
<div class="info"><strong>強みではなく、弱みでつながる──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.2</strong></div></a></div>

<p>ちょっとでもリーダーに近づきたい。同じ土俵に立ちたい。そのためには行動せねばと、副業や起業などを通じて挑戦する人たちが増えていきます。正直に告白しますと、私もそうした一人でした。</p>

<p>ソーシャルメディアが普及している現在ですから、やろうと思えばいくらでも情報発信できるわけです。そうやって意気揚々と発信し始めると、次第に我が身の薄っぺらさに気づきます。意識と実態がともなっていなくて、自分をよく見せようとしただけの言葉は、誰の心にも届きません。</p>

<p>いくらこれからは個の時代と叫ばれたって、みんながセルフブランディングしないといけない世の中はきっと辛いのではないでしょうか。苦手なものは苦手で、手放せたほうがいい。逆に匿名で批判される世の中で、情報発信を続けられるリーダーは異能です。</p>

<p>私はそんな異能なリーダーの組織改革のお手伝いをさせていただきながら、うまくいく組織には共通点があることを実感しています。</p>

<h2>目立たない参謀役が組織を動かしている</h2>

<p>異能なリーダーがトップにいながらうまく回っている組織には、必ずと言っていいほど目立たないけど優秀な参謀役がいらっしゃいます。この記事では便宜上、異能なリーダーを「CEO型人材」、優秀な参謀役を「COO型人材」と定義させていただいだきます。CEO型人材とCOO型人材がいいバランスを保っている組織は安定します。</p>

<p>CEO型人材は風呂敷を拡げることは得意な方が多い反面、実務は苦手な方が多い傾向にあります。ときに急な方向転換をすることもあり、一緒にはたらく部下は方針に理解できずについていけない場合もあります。そんなときに活躍するのがCOO型人材です。曖昧なリーダーの指示をタスクに落とし込んで実行して、組織を円滑に回していきます。</p>

<p>情報発信が苦手な方は、情報発信が得意なCEO型人材に任せて、COO型人材のポジションで活躍されることをお勧めします。またCEO型人材も、COO型人材を求めています。CEO型人材は、自分のスケジュール管理でさえおぼつかず、周囲を困らせてしまうこともあったりします。</p>

<p>CEO型人材も、COO型人材も、自分の苦手なことは得意な人に任せて、自分の得意なことに注力する。そのほうが自分にとっても周囲に取っても自然体ではたらくことができます。</p>

<h2>世の中の情報発信にまどわされる必要はない</h2>

<p>異能なリーダーの講演はおもしろい。リーダーの中にはビジョンを形にするのではなく、ビジョンを語る仕事に就く方もいらっしゃいます。職業としては、講演家、著述家、啓蒙家、教育者というカテゴリーでしょうか。もちろんそれだけでも社会にあたえる十分な影響力はありますが、逆に言うと世の中の情報発信がCEO型人材の言論に偏っている可能性があります。</p>

<p>例えば、『これからは新しい働き方だ、スーツ着て満員電車に乗っているとかありえない』という言葉も聞こえたりしますが、まだまだ多数の社会人の方はスーツを着て満員電車に乗っているわけです。でもそういう言葉ばかり聞いていると、まるで満員電車に乗ってスーツを着ている自分ではいけない気持ちになっていきませんか。</p>

<p>もちろん自分の気持ちに背いているのであれば、いますぐ満員電車におりて私服に着替えてほしいと思います。ただスーツを着て満員電車に乗ることが、例えば私服を着て自宅で働くことよりも楽だという方だっていらっしゃいます。だからといって、その人はわざわざ「スーツ着て満員電車に乗って何が悪いの！？」と反論はしません。いわゆるサイレント・マジョリティ（物言わぬ多数派）だったりするわけです。</p>

<p>リーダーの講演も心を動かされますが、一方で声無き声にも耳を傾けて、最終的には自分自身で決断していくことが大事ではないでしょうか。自分自身で納得のいく決断をして行動を続けていれば、セルフブランディングなんてしなくても、見ている人は見ているでしょうから。</p>

<div class="profile-box"><a class="open">執筆者・羽渕彰博のプロフィール</a>
<div class="hint">
<div class="profile">
<div style="background-image: url('/uploads/fixed_habuchi-profile.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>羽渕彰博</strong>
<p>株式会社オムスビ代表取締役CEO</p>
<p>1986年大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事しつつ、アイデアを短時間で具現化する「アイデアソン・ハッカソン」のファシリテーターとしても活躍。2016年4月に独立し、リレーションシップデザインを軸とする株式会社オムスビを設立し、組織変革したい企業様向けの組織コンサルティングサービス「reborn」を提供している。</p><a href="https://8card.net/p/39752398032">Eightプロフィールはこちら</a></div></div></div></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="2030001113721"></div>
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    </content>
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    <title>5月前半の人気記事ランキング（2019年5月1日〜15日） - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/05/May2019-first-half.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9225</id>

    <published>2019-05-17T11:00:00Z</published>
    <updated>2019-05-18T01:45:27Z</updated>

    <summary>アクセス数1位〜5位まで、最近BNLで公開した記事をまとめて紹介。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="人気ランキング" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h2>1位：6日連続の特別講座「ブランドのつくり方」</h2>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/05/osada-brand-Vol1.html">
<div style="background-image: url('/uploads/vol1_asahimatuhikari.jpg');" class="img"></div>
<div class="info"><strong>どこにでもある米屋さんは、いかにしてブランドを確立したのか。6日間で学べる長田敏希の特別講座</strong></div>
</a>
</div>

<p>ゴールデンウィーク期間中、ブランドコンサルタント長田敏希の特別講座「ブランドのつくり方」を5月1日から6日間連続で公開した。</p>

<p>BNLでは、昨年の「後継ぎ」特集からブランドづくりに注目している。取材を通して、優秀な後継ぎは皆ブランドづくりに成功していることがわかったからだ。例えば、<a href="https://bnl.media/2018/12/eiji-miki.html">三恵メリヤス株式会社の後継ぎ</a>は、地元大阪の繊維業が衰退していくなか、匠の技を結集してTシャツブランド「EIJI」を立ち上げた。有名ブランドのOEMだけでは、やがて立ち行かなくなることが目に見えていたからだという。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/atotsugi/">
<h4>関連特集</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/IMG_0569-final.jpg">
<div class="info"><strong>特集「伝統を守り新時代を築く、後継ぎたちの果敢な挑戦」</strong> 
</div>

<p></a></div></p>

<p><a href="https://bnl.media/2018/10/BNLBooks-VOL14.html">書籍『日本の工芸を元気にする！』の要約</a>の中にも、<strong>「中小メーカーこそ、もの売りを脱却して、ブランドづくりにシフトしなければならない」</strong>とある。</p>

<p>しかし、いざブランドをつくろうと思ったところで、実際どこから着手すればいいのだろうか。</p>

<p>BNL編集部は、ブランド戦略とデザイン戦略を総合的にサポートする会社「ビスポーク」の代表、長田敏希に執筆を依頼。自らブランディングに携わった原宿「三代目 小池精米店」を例にとり、ブランドづくりのノウハウを解説してもらった。</p>

<h2>2位：新連載「ひとこと英会話」の第二回</h2>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/05/English-VOL2.html">
<div style="background-image: url('/uploads/bnl_English_otukaresama.png');" class="img"></div>
<div class="info"><strong>5/9公開：3つの場面で使い分けたい「お疲れさま」のフレーズ</strong></div>
</a>
</div>

<p>ビジネスでよく使う日本語は、英語ではどんな風に言うといいのだろう？</p>

<p>ネイティブが使うフレーズを紹介する新企画「ひとこと英会話」。今回は、日本語では誰もが毎日のように使っている「お疲れさま」を紹介。</p>

<p><img src="/uploads/goodone.jpg"></p>

<p>このように、さらっと帰り際に言えるようになったらかっこいい。</p>

<h2>3位：ビジネス書の要約『予想どおりに不合理』</h2>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/05/BNLBooks-VOL20.html">
<div style="background-image: url('/uploads/yosou.png');" class="img"></div>
<div class="info"><strong>要約『予想どおりに不合理』━━締め切りギリギリ、無料に飛びつく。なぜ人は同じ行動を繰り返すのか</strong></div>
</a>
</div>

<p>人は物事を直観で判断している場合が実に多いらしい。しかも、それは間違った判断であることが多い。</p>

<p>だが、その判断には一定の規則性があるということを、この本の著者は数々の実験結果をもとに解明している。例えば、無料！と聞くと合理的な判断ができなくなるという。なぜか？</p>

<blockquote>
  <p>たいていの商取引には良い面と悪い面があるが、何かが無料になると、わたしたちは悪い面を忘れ去り、無料であることに感動して、提供されているものを実際よりずっと価値あるものと思ってしまう。なぜだろう。それは、人間が失うことを本質的に恐れるからではないかと思う。無料の本当の魅力は恐れと結びついている。無料のものを選べば、目に見えて何かを失う心配はない。だから、どちらにするかと言われれば、無料のほうを選ぶ。</p>
</blockquote>

<p>著者のダン・アリエリーは行動経済学研究の第一人者で、TEDでは大人気のプレゼンテーターでもある。要約だけでなく、TEDの動画もぜひご覧いただきたい。動画の中で紹介されている、「不正行為はどのように増えたり、あるいは減ったりするのか」は、ビジネスの現場でも参考になるだろう。</p>

<p><figure>
https://www.ted.com/talks/dan<em>ariely</em>on<em>our</em>buggy<em>moral</em>code?language=ja
<figcaption>ダンアリエリーによるTEDのプレゼンテーション。</figcaption></figure></p>

<h2>4位：白金高輪「Libre（リーブル ）」の手みやげ</h2>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/05/libre.html">
<div style="background-image: url('/uploads/Libre.jpg');" class="img"></div>
<div class="info"><strong>5/7公開：自由な発想で新たな価値を生み出し続ける、白金高輪「Libre（リーブル ）」のサブレとキャラメル</strong></div>
</a>
</div>

<p>Eightでは、4月〜5月が1年間で最も名刺変更が増加する時期である。所属が変わったり、チームに新しい仲間が加わったり、取引先の担当者が変わったりする。新鮮なアイデアを取り込み、これまでにない自由な発想を探ってみたい。</p>

<p>そこで「手みやげ」特集では、既存の概念にとらわれず「何かを発見し、創作する」ことがコンセプトのお菓子を紹介。特に女性が多い職場へ持参する時におすすめしたい。</p>

<h2>5位：新連載「ととのう職場、自然体のキャリア」の第二回</h2>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/05/habuchi-VOL2.html">
<div style="background-image: url('/uploads/vol1_0510_2x.jpg');" class="img"></div>
<div class="info"><strong>5/13公開：強みではなく、弱みでつながる──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.2</strong></div>
</a>
</div>

<p>中小企業向けに組織コンサルティング事業を手がける株式会社オムスビ代表取締役CEO、羽渕彰博の連載記事、第二弾。</p>

<p>個々の強みを活かすチームづくりというのは昔から聞くことだが、弱みでつながるという考え方は新しい。</p>

<blockquote>
  <p>あなたが苦手でやりたくないことが、みんなもやりたくないこととは限りません。例えば私でいうと、経費精算のような細かい事務作業が苦手なんですが、細かい作業を延々とするのが好きな方もいらっしゃいます。逆に人と交渉するのが苦手な方がいらっしゃったら、代わりに得意な自分が交渉します。お互いの苦手を引き取るようなことをすれば、どんどん仕事は進みます。</p>

<p>（中略）</p>

<p>思い切って自分の弱みを開示して、お互いを助け合う組織をつくっていけば、もっと働きやすい職場をつくれるはずです。</p>
</blockquote>

<p>最近では「IBM Kenexa 職業的パーソナリティ調査」など、人工知能を搭載した診断ツールも登場し、強みと弱みを詳細に把握できる時代になってきた。こうしたテクノロジーの動向にも、今後注目していきたい。</p>

<h2>Eightのフィード以外で最新記事をフォローする方法</h2>

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    </content>
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    <title>要約『鎌倉資本主義』：GDP以外のモノサシで「幸せ度」を測る、新しい経済のかたち - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/05/BNLBooks-VOL21.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9234</id>

    <published>2019-05-16T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-05-16T09:10:20Z</updated>

    <summary>単に利益を追求するだけの時代は終わりかけている。これからは何が人を幸せにするのか。そのヒントは、自然、文化、人のつながりなどの「お金ではない価値」にあるという。仕事も暮らしも面白く、楽しく。「幸せ度」が上がる新しい資本主義を考える。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="お金" label="お金" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="クリエイター" label="クリエイター" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>柳澤 大輔</strong><p>
面白法人カヤック代表取締役CEO<br>
1974年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒業後、ソニー・ミュージックエンタテインメントに入社。1998年、学生時代の友人とともに面白法人カヤックを設立。2014年に東証マザーズに上場。鎌倉に本社を構え、ゲームアプリ、キャンペーンアプリ、ウェブサイトなど、オリジナリティーのあるコンテンツを数多く発信してきた。ユニークな人事制度、斬新なワークスタイルを導入し、「面白法人」というキャッチコピーの名のもと新しい会社のスタイルに挑戦中。2013年、鎌倉に拠点を置くベンチャー企業の経営者とともに地域団体「カマコン」を立ち上げ、地域コミュニティの活性化に「ジブンゴト」として取り組むための場を支援している。2017年10月に建長寺で「鎌倉資本主義を考える日」を開催。地域に根ざした新しい経済活動のモデルづくりに取り組んでいる。著書に『面白法人会社案内』（プレジデント社）、『アイデアは考えるな。』（日経BP社）、『この「社則」、効果あり。』（祥伝社）、『空飛ぶ思考法』（サンマーク出版）などがある。</p></aside></p>

<h2>「お金ではない価値」が人を豊かにする━━BNL編集部の選定理由</h2>

<p>本当にGDPだけが豊かさの指標なのか。本書は、こんな問いからはじまる。著者自らが代表を勤める会社で上場を経験し、会社を成長に導いてきた中で生まれた問いだという。
　</p>

<blockquote>
  <p>経済成長を重視しながらも、同時に、精神的な豊かさや幸福感を増やしていくことがこれからの社会に必要ではないか。</p>

<p>（中略）</p>

<p>定量化された指標を追い求めることで資本を増やすという、株式会社が得意とする仕組みを使って、個人の「幸せ度」にリンクする好循環をつくれたら、もっと面白くなりそうです。</p>

<p>本書Part1　資本主義が面白くなくなった？　GDP以外にもモノサシを持とう</p>
</blockquote>

<p>そこでいま目指しているのが、お金で測りにくい価値、例えば自然や文化、人のつながりなどをその地域独自の資本として、経済資本と一緒に増やしていく、新しい資本主義の形成だ。ここに精神的な「豊かさ」のヒントが隠されているという。</p>

<p>本書を読み進めると、GDPを増やすことにはつながらないが「なるほど、これなら毎日楽しく暮らせるに違いない」と読んでいるだけでワクワクするようなプロジェクトがたくさん紹介されている。</p>

<p>この新しい資本主義の形を取り入れると、いままで見落としていた価値を見つける作業が必ず発生するはずだ。その作業は、気づきだけでなく、新たなコミュニケーションを生み、出会いをつくり、その土地で働く人、暮らす人の幸せにつながっていく。本書の舞台は鎌倉だが、どの地域でも同じことが言えるだろう。東京も然りだ。</p>

<p>読み終えてまず、「精神的な豊かさにつながる価値はなにか」「そもそも私はいま豊かだろうか」と自分自身に問いかけた。これからどう働き、どう生きることが本当の「豊かさ」につながるのかを改めて考えさせられる。</p>

<p>週末は、鎌倉に足を運んでみたいと思う。東京でも豊かにいきいきと働くヒントが見つかるかもしれないから。</p>

<p><strong>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4833423049/" target="_blank">こちら</a>。（Amazon）</strong></p>

<hr />

<h2>要約者レビュー</h2>

<p>本書は「面白法人カヤック」という一企業の活動を通じて、今後の資本主義社会を考えるものだ。キャッチーで派手なコンテンツに見えるが、彼らは本気だ。著者は大真面目に、徹底して「面白さ」を追求しながら、日本を変えようとしているのである。</p>

<p>経済的な利益ばかりを追求する資本主義が限界を迎えつつあることは、誰もが肌で感じているのではないだろうか。今後は企業も社会貢献や、個人の「幸せ度」を高めることにも取り組まなければならないだろう。だが経済的成長をあらわす指標とは異なり、「幸せ度」を表す明確な指標は存在しない。そこで本書では「鎌倉資本主義」という新しい資本主義のあり方を提唱している。</p>

<p>「鎌倉資本主義」は、地域の人と人とのつながりや、その地にある自然や文化などの環境を「地域資本」として定義し、新たな価値指標とするものだ。鎌倉資本主義では、今まで無視されてきた「数値化できない」ものを「価値=資本」として認め、増やしていくことを目標とする。そうすることによって従来の資本主義が抱える課題を解決できると著者はいう。</p>

<p>カヤックの活動の根底にあるのは「面白いことがしたい」という情熱である。「資本主義の限界」「新しい価値指標の創造」などというと堅苦しく感じられるが、シンプルに「みんなで面白いことがしたい」「どうやったら面白くなるだろう」と考え、活動しているのだ。何しろ「面白法人」である。そのシンプルさ、身軽さがテーマを身近に感じさせてくれる。構えずリラックスした気持ちで、経済や地方創生を考えられる一冊だ。</p>

<hr />

<h2>本書の要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> <br />
 国や企業はこれまでGDP（国内総生産）という単一の指標を追求してきたが、GDPでは測れない精神的な豊かさや幸福感を増やしていくことが重要になりつつある。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong> <br />
経済資本に加え、これまで軽視されてきた「人と人とのつながり」と「自然や文化」を「資本」と考え、それを増やすことを目的とするのが「鎌倉資本主義」である。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong> <br />
カヤックは、「まちの社員食堂」「まちの保育園」「まちの人事部」などといった取り組みを通じて鎌倉というまちを「応援」している。</p>

<hr />

<h2>要約</h2>

<h2>【必読ポイント!】従来の資本主義と鎌倉資本主義</h2>

<p><figure><img src="/uploads/13762029265_1af9d6711b_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/jonobass/4385899212/" target="_blank">"鎌倉大彿, 高徳院, 鎌倉, 日本, 鎌倉大仏, 長谷の大仏, こうとくいん, 鎌倉市, かまくら, Kamakura, Japan"</a> by bryan...(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h4>「多様性」は「面白い」</h4>

<p>著者が設立した「面白法人カヤック」（以下、カヤック）は、面白い社会をつくることを目指している。彼らにとって「面白い」とは、自分たちが楽しんでいること、そしてそこに「オリジナリティー」や「個」があることだ。全員が同じでは面白くない。したがって、カヤックでは「多様性」を「面白さ」ととらえている。</p>

<p>近年は、東京に似た地方都市が増えている。東京がいくらすばらしくても、日本中が東京のようになってしまっては面白くない。</p>

<p>カヤックが考える「面白い社会」とは、「多様性が認められる社会」「一人ひとりが輝く社会」「一社一社が特徴的である企業社会」「地域ごとに特徴がある地域社会」だ。カヤックが本社を置く鎌倉は都心から離れており、不便だ。だからこそ面白いと考えている。</p>

<p>東京を目指すのではなく、その地の個性を残したまま繁栄する――それがカヤックの考える「地方創生」である。そして地方創生への取り組みがすなわち、資本主義が抱える課題への取り組みに直結すると考えている。</p>

<h4>限界を迎えた資本主義</h4>

<p>資本主義は大きな課題を抱えている。それは、「地球環境汚染」と「富の格差の拡大」の二つだ。その背景には、企業や国がGDP（国内総生産）という単一の指標を追求してきたことがある。GDPは経済活動の状況と経済的な豊かさを測る指標として使われ、GDPが成長し続けることがよいことだと考えられてきた。</p>

<p>だが、本当にGDPだけが豊かさの指標になるのだろうか。職住近接のワークスタイルを実現したり、地産地消の食材を楽しんだり、コミュニティでつながりが生まれて、金銭の介在しないプロジェクトによって自分のまちをよくしたりといった活動は、GDPの増加にはつながらない。むしろ、電車などで長距離移動したり、輸入した食材を食べたりしたほうが輸送にお金が使われ、GDPが増加するしくみだ。だが職住近接のほうが疲れないし、地元産の食材のほうが安くて新鮮である。こうした矛盾が積み重なり、大きな問題になってしまっているのではないだろうか。</p>

<p>もちろん経済成長は必要だが、それだけを指標にしていては面白くない。精神的な豊かさや幸福感を増やしていくことこそ、重要になってきているのではないだろうか。</p>

<h4>新たな価値基準「地域資本」</h4>

<p><figure><img src="/uploads/40701889600_6232225d72_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/jonobass/4385899212/" target="_blank">"Enoshima Electric Railway 300 Type Train at the Goryo-jinja Shrine ; 江ノ島電鉄300形電車（鎌倉御霊神社）"</a> by Toshihiro Gamo(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>GDPに代わる指標を探し続けてたどり着いたのが、地域を中心とした新しい資本主義のかたち、「鎌倉資本主義」だ。</p>

<p>鎌倉資本主義では、「地域資本」という考え方をする。地域資本は、「地域経済資本」（財源や生産性）と「地域社会資本」（人のつながり）、そして「地域環境資本」（自然や文化）の三つの要素で構成される。この三つをバランスよく増やすことが人を幸せにするという考え方だ。</p>

<p>従来の資本主義とは異なり、鎌倉資本主義では、お金で測れない価値を考えていく。地域資本という新しい価値を測ることによって、より持続的な成長を目指す。そしてその結果、地域が多様に発展し、従来資本主義の2つの大きな課題の解決が導かれる。鎌倉資本主義が目指すのは「持続可能な資本主義」である。本書で紹介されるのは、この三つの資本を増やす方法と、それを測るための指標だ。</p>

<p>著者らは鎌倉から地域資本主義を発信すべく「鎌倉資本主義」という名称を使っているが、今後は鎌倉に限らず、さまざまな地域でその地域ごとの地域資本主義が発信されるようになることを願っている。</p>

<hr />

<h2>GDPではない価値基準</h2>

<p><figure><img src="/uploads/98610083_57350c06c8_o.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/transparent/98610083/" target="_blank">"Dice"</a> by Allen Wong(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h4>「評価しない評価」サイコロ給</h4>

<p>GDPが経済成長を測る指標であるように、会社は評価制度というモノサシを持っている。著者は、評価制度が社風をつくると考えている。</p>

<p>面白法人では「面白がる人」が高く評価される組織をつくっていきたいという思いがある。そこで採用されているのが「サイコロ給」だ。これは毎月「基本給×（サイコロの出目）%」が+αとして支給される仕組みだ。基本給が減ることはない。</p>

<p>人間が人間を評価する上で、完全に公平なモノサシは存在しない。それならば評価や運命を天に託そうというのがこの制度だ。もちろん仕事において評価は大切だが、社員には他人の評価を気にせずに働いてほしいという願いが込められている。</p>

<p>国や企業にもさまざまなモノサシがあるが、今後は既存の指標では測れない価値が重要になってくるだろう。その価値をどのような指標で評価するのかを考えていかなければならない。カヤックという、業績を追い求める民間企業が、自ら新たな指標を定めることに意味があると著者は考えている。</p>

<h4>「何を」「誰と」「どこで」が幸福度を決める</h4>

<p>仕事をするときには「何をするか」「誰とするか」「どこでするか」を決めることになる。そのうち、従来の資本主義で重視されてきたのは「何をするか」だけだ。しかし、企業の成長と個人の豊かさが必ずしもリンクしなくなってきた現在、「誰とするか」「どこでするか」も同様に存在感を増しているといえるだろう。</p>

<p>会社にとっての「何をするか」は、当然、経済活動すなわち「儲かること」だ。これにはさまざまな指標がある。一方「誰とするか」「どこでするか」には経営上の指標がない。株主や市場からチェックされることもない。だから二の次になりがちなのだろう。</p>

<p>カヤックは、これまで軽視されてきた「誰とするか」「どこでするか」にも目を向けるべきだと考えている。人の幸せ度を上げるには、これら三つの価値すべてを指標化し、企業がそれを追求することが必要だ。</p>

<p>「何をするか」を突き詰めると経営資本に、「誰とするか」は人とのつながりやコミュニティといった社会資本に、そして「どこでするか」は自分たちを取り巻く自然や文化といった環境資本を見直すことにつながる。社会資本や環境資本のような、かつては切り捨てられてきたものの価値を認め、指標化していく。それが長期的な豊かさにつながっていくはずだ。</p>

<hr />

<h2>キーワードは「地域コミュニティ」</h2>

<p><figure><img src="/uploads/269738747_116a8560b9_o.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/krassycandoit/269738747/" target="_blank">"Ideas"</a> by Krassy Can Do It(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h4>ブレストでジブンゴト化する</h4>

<p>何ごとも「ジブンゴト」として取り組むと、人は本気になり、創造的にもなれる。そのトレーニングとして有効なのが、ブレインストーミング（ブレスト）だ。</p>

<p>カヤックのブレストでは「人のアイデアに乗っかる」「とにかく数を出す」の2つを大事にしている。「人のアイデアに乗っかる」とは、人の話を否定せず、それに付け足したり、発展させたりするということだ。「とにかく数を出す」ことは、失敗を恐れずにアイデアを出す土壌をつくる。</p>

<p>こうしたブレストは会社全体をポジティブに変える。互いに話をよく聞き、否定せずにたくさんアイデアを出していくので、チームワークがよくなる。さらに、課題に対するアイデアを考えるうちに、課題をジブンゴトとして捉えるようになっていく。そして何より楽しいというメリットもある。</p>

<h4>地域をジブンゴト化する</h4>

<p>経営者や社員が地域活動に参加するようになると、住むまちがジブンゴト化され、会社が地域に根付き始める。そうすると地域で働く人が増え、人とのつながりが増え、まちの経済も活性化される。</p>

<p>その後の理想的な展開は、地域の住人がその会社の株主になることだ。企業が地域にコミットするほど地域の価値は上がり、株主に還元できるようになる。経済資本と社会資本、環境資本の増大に向けて努力することが、企業、株主、地域にとっての利益となる。この「三方良し」の生態系を構築することができれば、地域資本は加速度的に増大していくだろう。</p>

<h2>鎌倉資本主義の活動</h2>

<p><figure><img src="/uploads/6194390895_bf256f4f74_b.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/jonobass/4385899212/" target="_blank">"金魚鉢"</a> by Fukuda Yasuo(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h4>まちを応援する活動</h4>

<p>カヤックでは、地域ならではのコミュニティの強さや面白さを資本とし、地域の豊かさとして再定義するための活動を行っている。そのなかで出てきたキーワードが「まちを応援する」だ。まちを応援することで、地域に根差した資本主義が実現すると考えている。</p>

<p>その活動の一環として、2018年4月には「まちの社員食堂」がオープンした。これは鎌倉で働く人が、朝食・昼食・夕食を気軽にとれる食堂である（注:現在は昼食・夕食のみ）。鎌倉市内で働く人なら誰でも利用でき、会員企業の従業員は割引を受けることができる。</p>

<p>もともとは、カヤックの社員向けの福利厚生として社員食堂の開設を検討していたという。だが従来の社員食堂は閉じていて面白くない。そこで「まちの社員食堂」というかたちであれば、その不満が解消できるのではないかと考えたのだ。</p>

<p>また通常の社員食堂では、同じようなメニューが続き、飽きてしまう。そこで地元の飲食店や料理人に週替わりで調理してもらうことにした。飲食店や料理人にとっては負担だが、「鎌倉で働く人を応援したいから」とほとんどのお店が快諾してくれるという。この取り組みは食材の地産地消という面でも注目されている。</p>

<p>まちの社員食堂には、会社や組織の垣根を越えて多くの人が集まり、人と人とのつながりを増やすコミュニティスペースとして機能している。そこでの出会いが、新たな取り組みを生むこともある。こうしたコミュニティが、まちをさらに面白くすることにつながっていくのだ。</p>

<p>「まちの保育園」という企業主導型保育事業もある。建物の1階が保育園、2階がシェアオフィスになっており、子供を預けながら同じ建物の中で働くことができる。親同士の子育てコミュニティをつくる場にもなり、地域の社会資本を充実させる役割を担っている。</p>

<h4>「鎌倉に就労する」という選択肢</h4>

<p>鎌倉には、リタイアして移住してきた富裕層が多く、市民税と固定資産税による収入は潤沢にあった。だが今後人口が減っていけば、まちの税収も減ってしまう。だから鎌倉に働ける場を用意して若い世代に移住してもらい、まちの活力を維持しなければならない。そこで生まれたのが「まちの人事部」という取り組みだ。</p>

<p>「まちの人事部」では、鎌倉に拠点を置く企業の人事部長たちが中心となり、合同採用説明会、合同研修、リタイア人材のデータベース化などを行っている。鎌倉で働きたい人の応援をするばかりでなく、人事の悩みを持つ企業同士のつながりをつくり、勉強会や情報交換の場を提供するという役割も担っている。</p>

<p>働き方が多様化している時代においては、1社に就労するのではなく「鎌倉に就労する」という発想もできる。鎌倉全体で人材を共有できれば、優秀な人材を地域に根付かせ、地域活性化につなげることもできるはずだ。</p>

<hr />

<h2>一読のすすめ</h2>

<p>本書を手に取ったらぜひカバーを外してみてもらいたい。美しい鎌倉の景色が広がっており、それだけで本書の主張する「地域固有の価値」が実感できるだろう。</p>

<p>要約は「地域資本」や「鎌倉資本主義」というコンセプトと、それが実際のまちづくりの活動の中でどのようにあらわれているかを中心にまとめた。本書では、要約で紹介しきれなかったカヤックの考え方や、「まちの映画館」などの具体的な活動例がさらに豊富に紹介されている。</p>

<p>また本書では、テクノロジーを使ったまちづくりの例についても触れられており、今後の社会を考えるヒントになるかもしれない。従来の経済のあり方になんとなく違和感を抱いている人や、地域活性化のアイデアを求める人はぜひ手に取ってほしい。</p>

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    <title>日本に野球の礎を築いた、ミズノ創業者、水野利八の名言 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2019-05-14T08:58:35Z</published>
    <updated>2020-01-07T14:49:35Z</updated>

    <summary>スポーツウェア、野球用具、ゴルフクラブ、カッターシャツ、ボストンバッグ、ポロシャツ、さらには「夏の甲子園」まで、数々の偉大なるイノベーションの生んだ水野利八。その原点には、苦労を厭わず勉強に励み、あらゆる体験を自分のものにして、誰もやらないなら&quot;俺がやる&quot;という精神があった。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BNL History" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="イノベーション" label="イノベーション" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="名言の文脈" label="名言の文脈" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>水野利八</strong><small>美津濃株式会社 創業者</small>
<p>1884年5月15日大垣市に生まれる。1896年、興文小学校高等科を中退、水野家再興を誓い大阪の薬種問屋に奉公。1900年、京都の織物問屋「小堀商店」の店員となる。1904年、職を辞し大垣へ帰省。翌年、日露戦争に出征するも、肺尖カタルを病み本国に送還される。1906年、弟利三と「水野兄弟商会」を創業、洋品雑貨のほか野球ボールなどを販売。1907年、運動服装のオーダーメイドに開始。1910年、運動服装の既成品生産を開始。1911年、運動用具の生産を計画。販促策として実業野球大会を開催。1913年、関西学生連合野球大会を開催（現在の夏の高校野球大会の前身となる）。1918年頃から大阪のファッションリーダーとして、カッターシャツ、ボストンバッグ、ポロシャツなど、次々と新しいネーミングのアイデア商品を生み出す。1923年、国産スキー生産に乗り出す。1936年、ゴルフクラブ四品種を一斉発売、日本におけるパイオニアに。1969年、取締役会長に就任。1970年3月9日、心不全のため逝去。従五位勲四等瑞宝章を受ける。1971年、生前の野球界への貢献を讃えられ、業界人初の「野球殿堂」入り。
</p></aside></p>

<p>企業という組織は、規模が大きくなるに連れて専門が分かれ、分業制になっていく。その方が効率はいい。だがそれだけではイノベーションは起こせない。</p>

<p>あるとき、大阪工場の幹部がほとんど退社したことがあった。社長の水野利八は残った社員にこう訴えたという。「この工場の作業は全部素人でやる。そしてこれまでと違った新しい工業的な生産方式をうちたてよう」。これは平生から"俺がやる"の心構えができていたからだった。</p>

<blockquote>
  <p>日頃、人に仕事を頼むとき、「承知しました」と「出来ません」という二通りの返事が得られる。また「承知しました」といってもうまくやってくれるかどうか心配しなければならない。もし、平生から"俺がやる"との心構えで努力しておれば、少々のことには動ずることなく進めることができる。</p>

<p>若い人に仕事を与えたとする。私だったら「もし君が社長なら、その仕事をどうするか」ときいてみる。放っておくのか、それとも誰かにききに行くのか、「どちらにしても社長になったつもりでやれば、そんなことは何でもないではないか」と。</p>

<p>販売でも、経理でも、そのほかのことでも、"俺がやる"というところに事業の発展がある。私は販売担当だからほかのことは知らない、といっているのでは本当の力が生れない。上に立つ人にも同じことがいえる。自分にやる力があって下の者にやらせるのと、無くてやらせるのではずい分違う。自分に力があれば、仕事の命令も的確に出来るだろうし、報告を受けてする処理もスムーズに出来ると思う。それが上に立つ人の備えるべき資格である。</p>

<p>このように平生から何ごとに対しても、"俺がやる"という気構えで勉強と体験を積んでおくといざというとき、確実な力を発揮できるものである。（昭和45年1月）</p>

<p>──  『スポーツは陸から海から大空へー水野利八物語』で紹介されている水野利八の語録より抜粋</p>
</blockquote>

<h2>初めから経営は先進的で本格的</h2>

<p>仁吉（利八を名乗る前の名前）は、1906年に、ミズノの前身となる「水野兄弟商会」を弟利三とともに創業した。20歳を越えたばかりの頃に、たった二人で立ち上げた小さな店だったのだが、その帳簿や規則の内容を見ると、すでに当時の立派な企業のようだった。</p>

<p>例えば、兄弟二人しかいない店に、仕入課、販売課、庶務課、そして商況課まで置いてあり、「金融は戦後（日露戦争後）にもかかわらず緩慢にて、日歩は一銭七、八厘なり」などという調査記録が残っている。予算・決算も明確に設けられ、半期決算を開業初年度から行っていた。さらに、規約には「何人といえども誠実にて才力あり、奮闘的人物は、店主たるの資格を得る」と記されてあり、当時、一般的に理解されていた株式会社の概念まで取り入れられていたという。</p>

<p>ハンカチや半ズボン、タオルなど、学生向けの洋品雑貨を扱う小規模な店にもかかわらず、"俺がやる"の気構えで勉強に励み、企業経営に必要なあらゆる知識を習得していたのである。</p>

<h2>スポーツマンたちと縫製技術者との出会い</h2>

<p>イノベーションは偶然の出会いから生まれる。ミズノにとっても、それは例外ではなかった。</p>

<p>日露戦争で患った肺尖カタルの影響もあり、仁吉は人一倍、健康に気を使っていた。著名なスポーツマンたちに積極的に近づき、健康法を聞いてまわっていたところ、そのうち彼らが店に出入りするようになり、やがてオーダーメードの運動服装を作るようになっていく。そこからスポーツウェア、スポーツ用品のパイオニアとしてのミズノの輝かしい歴史が始まる。</p>

<p>優秀な縫製技術者との出会いもあった。のちに社内で伝説的に語り伝えられる婦人工場長、脇屋ヌイである。</p>

<blockquote>
  <p>仁吉はメリヤス屋でも、織屋でも、仕入れに訪れたり商談で訪問したとき、必ずそこで何時間かを費やした。糸の使い方も、織り方も、彼はそんな時間の中で学んだし、熱心さにうたれた職人の何人かは、いつの間にか仁吉のアドバイザーを買って出て、彼が訪れるたびに新しい知識を教えてくれた。</p>

<p>オーダーメードのスポーツ服装を仕あげるために専従契約した縫製技術者も、もとはといえばそんなアドバイザーの一人であった。彼女は間もなく水野兄弟商会の店員となった。</p>

<p>──『スポーツは陸から海から大空へー水野利八物語』より抜粋</p>
</blockquote>

<h2>新店舗で運動服装の既製品にチャレンジ</h2>

<p>オーダーメードの運動服装が評判を呼び、店舗が狭く感じるようになると、仁吉は思い切って次の一手を打つ。新たに運動服装の既製品を作ることにして、運動用具の仕入れも増やし、さらに広い店舗への移転を決断した。</p>

<p>さっそく古い店舗を売り払い、従業員を4人増やし、梅田に新店舗を開店。亡き父の名を襲いで「水野利八」と名乗り、店名は「美津濃商店」に変えた。</p>

<blockquote>
  <p>「将来、店が発展したとき、子孫以外の人材に立派な才能をもった人ができることも考えてますんや。私の出身が、美濃の大垣やということも、からませてますけど」──彼は人々にそう説明した。</p>

<p>──『スポーツは陸から海から大空へー水野利八物語』より抜粋</p>
</blockquote>

<p>この年、利八は26歳になった。</p>

<h2>妻いちが伝達した世界のファッション情報</h2>

<p>世間のスポーツへの関心が高まるにつれて、美津濃商店はファッションにおいても、流行の最先端としての地位を確立していく。</p>

<p>いまでは一般的に使われているカッターシャツやボストンバッグ、ポロシャツなどは、全て美津濃商店が最初にネーミングを付けたアイデア商品である。だが、その原点を辿ると、妻いちの影響があった。</p>

<p>当時、美津濃商店の事務所の壁には、海外のファッション誌の写真がたくさん貼り付けてあったという。その世界最先端の流行情報を翻訳して利八に伝えていたのが、いちだったと伝えられている。</p>

<blockquote>
  <p>この得がたい助言者をもった利八は、次々に新しい流行を生み出して行く。「梅新の美津濃には、船来もんよりええ品物があるで」──そんな評判がたちまちたった。利八のアイデアをもとに、彼をとりまく下請集団はどんどん新しい流行服装を作りだして行ったのである。</p>

<p>──『スポーツは陸から海から大空へー水野利八物語』より抜粋</p>
</blockquote>

<h2>運動具の生産も、学生野球大会も"俺がやる"</h2>

<p>それまで運動服装は生産していたが、運動用具に関しては仕入れ販売のみを行っていた。だが、日本のものとアメリカの輸入品を比べると、品質に大きな差があることを利八は実感していた。そこで、金沢から呼び寄せた職人、吉岡行間とともに、野球のグラブやボールのサンプル作りを始めた。1913年には初の工場を開設し、運動用品の本格的生産を開始する。</p>

<p>そのかたわら、利八は学生野球大会の開催を目論む。</p>

<blockquote>
  <p>米国から渡ってまだ新しいこのスポーツに対する一般の認識はあまりなかった。水野さんが実業団野球大会を呼びかけたのは明治44年だったが、この人の執着は中等学校野球にあったようで、いろいろと強力な推進団体をさがしていた。毎日新聞あたりにもちかけてみたがあまり乗気でない表情だった。「そんならわてのところでやってみるワ」ということになったのが翌年の明治45年。しかしこの年は明治大帝の訃報があって国民の気持が沈み、折角の計画も一年延期された。新聞社が定期的に主催していたスポーツは毎日新聞の浜寺テニス大会があった程度で、野球に対してこんな計画をするなど、よっぽど物好き扱いにされていた。</p>

<p>美津濃主催の関西学生連合野球大会には、関西一円の二十五校が参加した。大正二年と年号が改まっていたこの時の優勝校は、大阪商業である。</p>

<p>──野田三郎『ボールを見つめて──浪商小史』から要旨（『スポーツは陸から海から大空へー水野利八物語』より転載）</p>
</blockquote>

<p>当初の毎日新聞社の予想に反して、大会は非常に盛り上がった。やがて、朝日新聞社から連絡があり、利八は大会の開催権をあっさりと放棄。2年後からは全国大会として開催されることが決まった。</p>

<p>もともと、利八は関西地方の一民間企業の手で主催されていいとは考えていなかった。でも「だれもやらないから俺がやった」。朝日新聞社のような全国組織をもつ事業体が興味を持ってくれることに当初から期待していたというわけだ。</p>

<p>のちにこの大会は、"夏の甲子園"と呼ばれるようになり、多くの国民が注目するイベントへと発展していく。ただし、最初に利八が"俺がやる"の精神で挑戦していなければ、決して実現はしなかった。「大正初の偉大なるイノベーションだった」とも、言えるのではないだろうか。</p>

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    <title>ゆるやかに移りゆく五つの季節を感じる「発酵さしすせそ羊羹 五季（いつき）」 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2019-05-14T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:36:55Z</updated>

    <summary>今回紹介する手みやげは、松屋銀座で見つけた「五穀屋」の羊羹。発酵の知恵と季節の彩りが詰まった和菓子のお店だ。一つひとつのお菓子に、日本の文化になぞらえた意味が添えられている。訪問が、季節や文化を感じる豊かな時間になるだろう。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="出会いを変える手みやげ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>今日は、昔お世話になった人に会いに行く。ひと回り上の大先輩。しばらく会っていなかったけれど、この前Eightで名刺更新のお知らせがきて、職場が変わったことを知った。</p>

<p>キャリアアップのお祝いをしたいし、久しぶりに話もしたい。再会が、また一緒に面白い仕事をする機会になるかもしれない。</p>

<p>お世話になっていたときからずいぶん経ったなと、あの頃を思い出しながら、手みやげを買いに銀座へ。</p>

<p>今回は、「<a href="https://gokokuya.jp/products/detail.php?product_id=359" target="_blank" rel="nofollow">五穀屋</a>」の「発酵さしすせそ羊羹　五季（いつき）」に決めている。一箱の中で移りゆく季節を表している和菓子だ。きっと過ぎた季節を懐かしみながら楽しく話ができると思う。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/19-04-24IMG_9270.jpg">
<figcaption>木の蓋がついた箱は、シンプルで上品だ。箱の側面は一筆でぼかしやにじみの濃淡を描き、時間や季節の経過を表す「一文字ぼかし」という手法で彩られている。</figcaption>
</figure></p>

<p>「五穀屋」は、浜松で生まれた和菓子専門店で、松屋銀座と浜松にあるスイーツのテーマパークnicoeに店舗を構える。</p>

<p>「発酵さしすせそ羊羹 五季（いつき）」は、色のついたガラス玉みたいな、きれいなまん丸の羊羹。箱を開けた瞬間は、まさかこれが羊羹だとは誰も思わないだろう。</p>

<p>その名のとおり、発酵のさしすせそ（酒、塩糀、酢、醤油、味噌）で五つの彩りと日本の五季を表している。</p>

<p>味は定番の5種と、季節限定の1種、そして松屋銀座店の限定「銀座はちみつ」がある。味で決めるのもよし、見た目の鮮やかさで決めるのもよし。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/19-04-24IMG_9304.jpg">
<figcaption>手前から「醤油糀」「白味噌」「りんご酢」「抹茶塩糀」「酒」。</figcaption>
</figure></p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/19-04-24IMG_9423.jpg">
<figcaption>楊枝でプッと突くと袋が破け、ほんのり甘い季節の香りとともにぷるんとしたきれいな羊羹が現れる。</figcaption>
</figure></p>

<p>ちなみに五季とは、四季の他にもうひとつ五つ目の季節があるという考え方だ。「立夏・立秋・立冬・立春」の直前の約18日間ずつ、つまり四つの季節の合間を縫う時季のことを「土用」と呼ぶ。その「土用」が五つ目の季節だ。</p>

<blockquote>
  <p>（前略）<br>
四つの季節の<br>
合間を縫う季節を<br>
「土用」と呼びます。<br>
土用があけると<br>
新しい季節の<br>
はじまりです。</p>

<p><a href="https://gokokuya.jp/contents/detail.php?product_id=254" target="_blank" rel="nofollow">五穀屋</a>　HPより</p>
</blockquote>

<p>日本の季節は少しずつ緩やかに移ろいゆくもの。「発酵さしすせそ羊羹 五季」は、季節の彩りとともに、時の流れを感じせる、そんな一品だ。</p>

<blockquote>
  <p>（中略）<br>
言葉にならない<br>
はっきりしない<br>
曖昧な領域は<br>
日本文化になくてはならない<br>
大切な芯</p>

<p>そんな要を<br>
五穀屋は<br>
五季の色で<br>
あらわします</p>

<p><a href="https://gokokuya.jp/contents/detail.php?product_id=254" target="_blank" rel="nofollow">五穀屋</a>　HPより</p>
</blockquote>

<p>久しぶりに会う、大切な人。手土産を渡すときは、日本の文化になぞらえた意味も一緒に伝えたい。オフィスを訪問する短い時間が彩られて、なんとなく豊かな気持ちになれる。</p>

<p>忙しい人だから頻繁には会えないけれど、これから「土用」がやってくるたびに思い出してくれるかもしれないと、少しだけ期待も込めた。</p>

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    <title>強みではなく、弱みでつながる──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.2 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/05/habuchi-VOL2.html" />
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    <published>2019-05-13T00:23:13Z</published>
    <updated>2019-12-16T05:54:07Z</updated>

    <summary>弱みを開示すれば、チームはもっと強くなれる。人生100年時代のキャリアと職場をつくる活動をしている、羽渕彰博の連載、第二回が公開。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="ととのう職場、自然体のキャリア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="キャリアストーリー" label="キャリアストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h2>フリーになっても自由にはなれない</h2>

<p>フリーになると、自由になると思う方も多いと思います。確かにいつ、どこで、誰と仕事をしても自由です。しかし自由と引き換えに全て自分のことを自分でやらないといけません。例えば、会社員時代は天引きされていた税金も、税務署に行って納める必要があります。最初はそんな知識・経験を持っていないと思うことの連続です。</p>

<p>また思っている以上に一人でできることは限られています。例えば、私はワークショップのファシリテーションのお仕事をさせていただくことがありますが、自分一人ではワークショップは開催できません。受付、音響、運営スタッフのみなさん全員で協力しあうことで成立しています。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2019/04/habuchi-VOL1.html">
<h4>VOL.1</h4>
<img src="/uploads/vol1_0419-final.jpg">
<div class="info"><strong>「自然体」で働けていますか？──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.1</strong></div></a></div>

<p>得意なことを生かして自由に仕事ができると思っていましたが、フリーになるということは会社員時代以上に苦手なことも全部自分でやらないといけないということでした。やったことのないことや苦手なことには時間もかかってしまいますから、得意なことをする時間が限られてしまいます。</p>

<p>そこから私が学んだことは、人が自由になるためには、お互いを助け合う組織がいるということです。組織から外れた人間が、組織を求めるなんておかしい話ではありますが、失ってから気づくこともあります。「自分たちが自然体でいられる組織をつくりたい」という気持ちが、弊社の事業である組織改革コンサルティングにつながっていきます。</p>

<h2>弱さでつながり、助け合えるチームへ</h2>

<p>弊社が組織改革をさせていただくときは、まず社員一人ひとりにヒアリングし、社員の価値観を尊重します。たとえ会社から評価されていない方がいても、まずはその人の声を聞いて認めます。従業員の前に一人の人間なので、自分が認められていないと感じると、まずは自分が認めてもらうことに関心がいってしまって、コトに向かえません。</p>

<blockquote>
  <p>大半の人が「自分の弱さを隠す」ことに時間とエネルギーを費やしている。まわりの人から見える自分の印象を操作し、なるべく優秀に見せようとする。駆け引きをし、欠点を隠し、不安を隠し、限界を隠す。自分を隠すことにいそしんでいるのだ。</p>

<p>──『なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか ― すべての人が自己変革に取り組む「発達指向型組織」をつくる』（ロバート・キーガン, リサ・ラスコウ・レイヒー, 中土井僚, 池村千秋 著）</p>
</blockquote>

<p>「腹が減っては戦はできぬ」ということわざがあるとおり、自分が充たされて初めて、他者のためにはたらくことができます。そのためにはその人の強みだけでなく、弱みも受け入れて、苦手なことは誰かが助けられるようにチームを組んでいきます。</p>

<p>あなたが苦手でやりたくないことが、みんなもやりたくないこととは限りません。例えば私でいうと、経費精算のような細かい事務作業が苦手なんですが、細かい作業を延々とするのが好きな方もいらっしゃいます。逆に人と交渉するのが苦手な方がいらっしゃったら、代わりに得意な自分が交渉します。お互いの苦手を引き取るようなことをすれば、どんどん仕事は進みます。</p>

<p>自分の弱みをさらけ出して、手放すことができるようになってくると、無理なく自然体ではたらくことができます。逆に不得意なことを自分がやってしまうと、時間もかかるし成果のレベルも低くなってしまうので、組織に迷惑がかかってしまいます。</p>

<p>みなさん、自分一人で抱え込んでいませんか。全部の平均点をクリアしないと認められないと思っていませんか。思い切って自分の弱みを開示して、お互いを助け合う組織をつくっていけば、もっと働きやすい職場をつくれるはずです。</p>

<div class="profile-box"><a class="open">執筆者・羽渕彰博のプロフィール</a>
<div class="hint">
<div class="profile">
<div style="background-image: url('/uploads/fixed_habuchi-profile.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>羽渕彰博</strong>
<p>株式会社オムスビ代表取締役CEO</p>
<p>1986年大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事しつつ、アイデアを短時間で具現化する「アイデアソン・ハッカソン」のファシリテーターとしても活躍。2016年4月に独立し、リレーションシップデザインを軸とする株式会社オムスビを設立し、組織変革したい企業様向けの組織コンサルティングサービス「reborn」を提供している。</p><a href="https://8card.net/p/39752398032">Eightプロフィールはこちら</a></div></div></div></div>

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    <title>要約『予想どおりに不合理』━━締め切りギリギリ、無料に飛びつく。なぜ人は同じ行動を繰り返すのか　 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/05/BNLBooks-VOL20.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9212</id>

    <published>2019-05-10T05:00:00Z</published>
    <updated>2019-06-18T07:08:00Z</updated>

    <summary>私たちが下す判断は多くの場合「不合理」だ。もしその理由を理解し、自分の行動を予想できたら、本当にやりたかったことがもっと簡単にできるようになるかもしれない。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="行動経済学" label="行動経済学" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>ダン・アリエリー</strong><p>
1968年4月29日生まれ。デューク大学教授。
行動経済学研究の第一人者。テルアビブ大学で心理学を学んだ後、ノースカロライナ大学チャペルヒル校で認知心理学の修士号と博士号、デューク大学で経営学の博士号を取得。
その後、MITのスローン経営大学院とメディアラボの教授を兼務した。この間、カリフォルニア大学バークレー校、プリンストン高等研究所などにも籍を置いている。
18歳のとき、全身70パーセントにやけどを負う事故にあい、3年間を病院で過ごした。その結果、いささか型破りなものの見方を身につけたという。その研究のユニークさは、2008年度にイグノーベル賞を受賞したことでも証明されている。</p></aside></p>

<h2>自分の行動に疑問を持ってみる━━BNL編集部の選定理由</h2>

<p>この本は2010年に刊行されたベストセラーの文庫版だ。著者のダン・アリエリーは行動経済学研究の第一人者で、TEDでは大人気のプレゼンテーターである。</p>

<p>なぜいま選定したのかというと、この本から得られた気づきの中で、新生活に慣れてきた時季だからこそ意識したいものがあったからだ。</p>

<p>人間は過去のどこかで、何かを恣意（しい）的に決断し、その決断が自分の中に定着すると、その恣意を貫き通す特性があるという。著者はこう投げかける。</p>

<blockquote>
  <p>最初の決断が賢明だったと思いこんで、それを基盤に人生を築いているのだろうか。わたしたちはそんなふうにして職業や結婚相手や服装や髪型を選ぶものなのか。</p>

<p>（中略）人間というものが、最初に何も知らずにたまたまとった行動の総体でしかないとしたらどうだろう。</p>

<p>2章　需要と供給の誤謬より</p>
</blockquote>

<p>もしそうだとしたら、とるべき行動が他にあるかもしれないし、物事の価値も正しく認識し直す必要があるかもしれない。そこで意識したいのが、この不合理な行動を改善する下記の方法だ。</p>

<blockquote>
  <p>（前略）習慣に疑問を持つところからはじめてみてはどうだろう。この習慣はどんなふうにはじまったのか。つぎにこの習慣からどれだけの満足を得られるか自問してみる。</p>

<p>（中略）
何をするにつけても、自分が繰り返ししている行動に疑問を持つよう訓練すべきだ。</p>

<p>2章　需要と供給の誤謬より</p>
</blockquote>

<p>新生活にも慣れたいま、当たり前になりつつある行動や考え方の一つひとつは、実は自分にとって必ずしも最善ではないかもしれない。いまの習慣を見直し常に疑問を持つことは、あらゆるものの新たな価値を見出すきっかけになるだろう。</p>

<p>この本は、テーマごとに15の章から成り立っている。他にもさまざまな気づきが得られる一冊だから、すべて読むことをおすすめしたい。</p>

<p><strong>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4150503915/" target="_blank">こちら</a>。（Amazon）</strong></p>

<hr />

<h2>要約者レビュー</h2>

<p>経済学という学問に触れたとき、「私たちは常に合理的である」ことを前提にしている点に関して、疑問を抱いたことはないだろうか。伝統的な経済学においては、たとえ不合理な選択をしたとしても、「市場原理の力」が働いて、合理的な選択に押し戻してくれるという。</p>

<p>とはいえ、われわれは個人レベルではあまりにも頻繁に不合理な判断をしていないだろうか。健康のためにダイエットをする、と心に決めたはずなのに目の前のいちごショートに手を伸ばしてしまう。テスト前早起きして勉強すると決心したはずなのに、睡魔に負けて二度寝をしてしまう。計画的に作業をこなすと決めたはずなのに、締め切りギリギリまで放置する。もっとも、人間はシステムではないので、当たり前と言えば当たり前の話ではあるのだが。</p>

<p>そんな疑問に答えるのは、本書「予想どおりに不合理」である。人はなぜわかっているのに同じ過ちを繰り返してしまうのか、不合理な選択をしてしまうのかを実験によって紐解いていく。そして、その特性を踏まえたうえで、実社会でどう生かすことができるのか、その実践的な手法を提供してくれるのだ。</p>

<p>本書は内容が濃く、とてもではないが要約でそのテーマのすべてを紹介することはできない。本書では15のテーマのうち、特に身近に感じられるものを二つ選択した。そのほかにも本書では、「性的興奮時に不合理な判断をするのはなぜか」や「価格が高い栄養ドリンクのほうが、効果が高いと感じてしまうのはなぜか」などを解説しているので、本紹介で内容に興味を持たれた方には、書籍の一読をお勧めしたい。</p>

<hr />

<h2>本書の要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> <br />
 伝統的な経済学では、私たちはみんな合理的で最善の行動をとっていると予測する。しかし、実際の私たちは不合理なだけでなく、「予想どおりに不合理」だ。私たちはいつも同じように不合理に行動し、それは何度も繰り返される。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong> <br />
私たちは無料！と聞くと合理的な判断ができなくなる。ゼロはまったく別の価格だ。2セントと1セントの違いは小さいが、1セントとゼロの違いは莫大だ。これを理解すれば、ビジネスに生かすことも十分にできる。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong> <br />
人々に行動の道筋をあらかじめ決意表明する機会を与えることによって、先延ばしの問題を解決することができる。</p>

<hr />

<h2>要約</h2>

<h2>【必読ポイント】 はじめに</h2>

<p><figure><img src="/uploads/4385899212_e3453ce99d_b.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/jonobass/4385899212/" target="_blank">"Nurses!"</a> by Jonathan Brennan(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h4>一度のけががいかに私を不合理へと導いたのか</h4>

<p>よく言われるのだが、どうやら私は、人とはちがったふうに世界を見ているらしい。この本を通じての私の目標は、自分やまわりの人たちを動かしているものが何なのかを根本から見つめなおす手助けをすることだ。</p>

<p>ある18歳の金曜の午後のことだ。一瞬のうちにすべてが取り返しのつかないほど大きく変わってしまった。夜間に戦場を照らすためにかつて使われていたマグネシウム光が炸裂し、私は全身の70パーセントに3度のやけどを負った。それから3年の間、私は全身を包帯に覆われたまま病院で過ごした。事故の後、病院でさまざまな種類の痛みをたっぷりと経験した。社会から半分切り離されたように感じた。そのため、以前は自分にとって当たり前だった日々の行動を、第三者のように外から観察するようになった。</p>

<p>長期の退院ができるようになると、私はすぐにテルアビブ大学で学びはじめた。ハナン・フレンク教授の大脳生理学の授業が、研究というものに対する私の考えをすっかり変え、その後の人生をほとんど決めてしまった。私の仮説はまちがっていることが分かったが、そのことを実験によりしっかりと確認できた。興味のあることを確かめる手段と機会を科学が与えてくれることを知り、私は人間の行動を研究する道にはまっていった。</p>

<p>私は人が痛みをどのように経験するのかという問題に取り組んだ。私はやけど治療において、患者に苦痛の少ない包帯のはがし方を研究し看護師に提案した。何人かの看護師は私の提案通り処置するようになったが、大々的に変わることはなかった。私の提案を実践すると、看護師が痛みに絶叫する患者を前にする時間が長くなってしまうからだろう。</p>

<p>経験豊富な看護師が、患者にとっての現実を取り違えてしまうのだとしたら、ほかの人も同じように自分の行動の結果を取り違えたり、そのせいで、繰り返しの判断を誤ったりするのではないか。私は失敗を繰り返してしまう状況について研究しようと決めた。</p>

<h4>私たちは不合理なだけでなく「予想どおりに不合理」だ</h4>

<p>というわけで、私たちが皆どんなふうに不合理かを追求しようとしたのがこの本の目的だ。この問題を扱えるようにしてくれる学問は、「行動経済学」、あるいは「判断・意思決定科学」という。</p>

<p>私たちが完璧な理性を持っているという仮定が、経済学にはいりこんでいる。経済学では、まさにこの「合理性」と呼ばれる基本概念が経済論理や予測や提案の基盤になっているのだ。しかし、実を言うと私たちは合理性からは程遠い。もうひとつ、私の考えでは、私たちは不合理なだけでなく、「予想どおりに不合理」だ。つまり、不合理性はいつも同じように起こり、何度も繰り返される。伝統的な経済学では、私たちはみんな合理的なため、常に最善の行動をとっていると予測する。もし、まちがいを犯しても、「市場原理の力」が降りかかり、私たちを正しい合理的な道に押しもどすのだ。</p>

<p>本書でこれから見ていくように、私たちはふつうの経済理論が想定するより、はるかに合理性を欠いている。そのうえ、私たちの不合理な行動はデタラメでも無分別でもない。規則性があって、何度も繰り返してしまうため、予想もできる。だとすれば、伝統的な経済学を修正し、未検証の心理学という状態から抜け出すのが賢明ではないか。これこそまさしく行動経済学という新しい分野が目指すところだ。</p>

<p>これから読んでもらう事項は、長年にわたって仲間と行ってきた実験に基づいている。そして実験から得られた結果を一歩進めてべつの状況にあてはめ、生活や仕事にどうかかわるかを示した。人間性について新たに理解したところで、何か違ったやり方ができるだろうか。そこに本物の冒険が待っている。さぁ冒険に出発だ。</p>

<hr />

<h2>ゼロコストのコスト</h2>

<p><figure><img src="/uploads/7850638436_7ae1bb5f97_h.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/asbjorn_floden/7850638436/" target="_blank">"Christmas candy"</a> by Asbjørn Floden(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h4>【実験】無料！の力をチョコレートで示す</h4>

<p>普段コーヒーは飲まないし、コーヒーを入れる器具さえないのに、コーヒー豆の無料！クーポンに思わず飛び込んだ経験はないだろうか。ゼロは感情のホットボタン、引き金であり、不合理な興奮の源なのだ。</p>

<p>わたしはある実験でチョコレートの販売を行った。公共の建物にテーブルを出し、リンツのトリュフ（高級）とハーシーのキスチョコ（普通）を用意し、「おひとりさま、ひとつまで」と書いて販売した。お客が続々と集まってきて、どうなったか。トリュフを定価の半額15セント、キスチョコを1セントに設定したとき、73パーセントのお客はトリュフを手に取った。</p>

<p>ここでいよいよ、無料！の実験である。今度はトリュフを14セント、キスチョコを無料で提供した。つつましいキスチョコは一躍大人気になった。69パーセントのお客が、無料！のキスチョコを選び、格安でトリュフを手に入れる機会を棒に振ったのだ。</p>

<p>どちらのチョコも同じ金額だけ値下げした。ふたつの相対的な価格は変わっていないし、得られる満足度も変わっていない。伝統的な経済理論では、この値下げによって顧客の行動に変化はないはずだ。もし経済学者が通りかかったら、杖を振り回し、経済理論を擁護してお客はトリュフを選ぶはずだと言うに違いない。ところがお客は無料のキスチョコを手に取ったのだ。</p>

<h4>無料！のほんとうの魅力</h4>

<p>無料の何がこんなにも心をそそるのだろう。自分がほんとうに求めているものではなくても、無料！となると不合理にも飛びつきたくなるのはなぜなのか。</p>

<p>私の考える答えはこうだ。たいていの商取引には良い面と悪い面があるが、何かが無料になると、わたしたちは悪い面を忘れ去り、無料であることに感動して、提供されているものを実際よりずっと価値あるものと思ってしまう。なぜだろう。それは、人間が失うことを本質的に恐れるからではないかと思う。無料の本当の魅力は恐れと結びついている。無料のものを選べば、目に見えて何かを失う心配はない。だから、どちらにするかと言われれば、無料のほうを選ぶ。</p>

<h4>無料！の力を生かす</h4>

<p><figure><img src="/uploads/14082917125_02740a46b2_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/lanooz/14082917125/" target="_blank">"Amazon Kindle Unboxing"</a> by Lan Pham(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>実際に無料が行動にどう影響するかを示す話をしよう。数年前、アマゾンが一定額以上の注文をすると無料配送になるサービスをはじめた。人によっては無料配送があまりに魅力的で2冊目の本を注文し、全体の売り上げが伸びた。ただ、一カ所、フランスだけは売り上げが全く伸びなかった。フランスの消費者は合理的なのか？　それはない。フランス支社は送料無料ではなく1フランにしたのだ。たったの1フラン（20円程度）だ。これが大きな違いだった。その後、他国と同じように送料無料にしたところフランスでも同様に売り上げが拡大した。</p>

<p>私たちは無料の方に過剰に反応してしまうことが少なくない。また、ゼロの概念は時間にも当てはまる。入場無料の美術館は長蛇の列ができるにも関わらず混雑する。そのほか、ゼロの概念は食品購入にも影響を及ぼす。ペプシも1キロカロリーと表示するよりも「カロリーゼロ」と表記する方が売れるだろう。</p>

<p>というわけで、あなたは1フランの手数料のままで、現状を維持することもできるし、何かを無料で提供して、人々の殺到をおこすこともできる。なんと強力な概念だろう。値段ゼロは単なる値引きではない。ゼロはまったくべつの価格だ。2セントと1セントの違いは小さいが、1セントとゼロの違いは莫大だ。</p>

<p>もしあなたが商売をしていて、この点を理解しているなら、たいしたことができる。お客を大勢集めたい？ 何かを無料！にしよう。商品をもっと売りたい？ 買い物の一部を無料にしよう。</p>

<hr />

<h2>先延ばしの問題と自制心</h2>

<p><figure><img src="/uploads/4077740483_b31a029431_b.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/froschmann-jp/4077740483/" target="_blank">"be smart"</a> by Froschmann(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h4>先延ばしとの戦い</h4>

<p>なぜ私たちは給料の一部を貯金することができないのだろう。なぜ新しい買い物を我慢できないのだろう。なぜ古きよき自制心を働かせることができないのであろう。定年後のために貯蓄しようと誓いを立てるが、そのお金を旅行に使ってしまう。ダイエットしようと心に誓うが、デザートの誘惑に身をゆだねてしまう。私たちは先延ばしとの戦いにこうもしょっちゅう破れてしまうのだ。</p>

<p>お金を貯めようと誓う時、私たちは冷静な状態になる。しかし、そのあと熱い感情の溶岩流が押し寄せてくる。貯金すると誓った矢先に、どうしても欲しい新しい車や靴が目に入る。チョコレートケーキをひと切れ食べて、明日から本気で始めることにする。目先の満足のために長期目標をあきらめてしまうこと、それが先延ばしだ。</p>

<h4>【実験】レポートの締め切り</h4>

<p><figure><img src="/uploads/159627084_839a2e4fef_b.jpg" alt="" title="" /> 
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/36144637@N00/159627084/" target="_blank">"Sleepy"</a> by Kevin Zollman(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>私は、この問題の原因を探ることで、人類共通のこの弱点を解決する方法を示せるかもしれないと思い、ある実験を行った。今回のモルモットは、わたしの消費者行動のクラスを受講する素晴らしい学生たちだ。</p>

<p>私は三つのクラスに対して、学期内に三つのレポートを出すように指示した。そして提出時期をクラスごとに、①初日に自分で時期を決める（遅れるとペナルティー）、②最後の講義まで、③第4週、第8週、第12週の3パターンに分けた。</p>

<p>それでは①、②、③、どのクラスの成績が良かったか。②のクラスはもっとも成績が悪かった。そして①のクラスは中間の成績だった。この結果から何がわかるか。第一に、学生はたしかに先延ばしすること。第二に、自由を厳しく制限するのが先延ばしに一番効果があることだ。</p>

<p>だが、最大の新発見は、学生に締め切りをあらかじめ決意表明できるようにすると、いい成績を取る手助けになるということだ。大抵の学生は自分の先延ばしの問題を理解しており、機会を与えればその問題に取り組む行動を起こし、それなりに成績向上を果たすのだ。①が③より劣っていた原因は、①のクラスの一部に②と同じように最後に締め切りを集中させる学生がいて、彼らがクラスの成績を下げていたのが分かった。</p>

<h4>決意表明で、なりたい自分になる</h4>

<p>いくら効果があるとはいえ、がみがみと命令するのがふさわしくなかったり、好ましくなかったりする場合がある。よい妥協案はないだろうか。最善の策は、人々に望ましい行動の道筋をあらかじめ決意表明する機会を与えることではないかと思う。</p>

<p>私たちは、目先の満足と後々の満足にかかわる自制心の問題を抱えている。それは間違いない。しかし、私たちが直面するどの問題にも潜在的な自制の仕組みがある。給与から貯金できないなら、会社の自動積み立てを利用する。ひとりで運動できないのなら友人と一緒に運動する約束を取り付けてもいい。このように事前に決意表明するためのツールは存在し、自分がなりたい自分になるのを助けてくれる場合がある。</p>

<p><figure>
https://www.ted.com/talks/dan<em>ariely</em>on<em>our</em>buggy<em>moral</em>code?language=ja
<figcaption>ダンアリエリーによるTEDのプレゼンテーション。</figcaption></figure></p>

<hr />

<h2>一読のすすめ</h2>

<p>注：本書はすべて実験に基づいて人の不合理性を明らかにし、それに対処するための具体的な方法が記されている。挙げられている事例はどれもビジネスの現場で感じられる不合理として身に覚えのあるものばかりであり、ぜひ本書で取り扱っている15の研究テーマ全てに触れていただきたい。</p>
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    <title>3つの場面で使い分けたい「お疲れさま」のフレーズ - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <id>tag:bnl.media,2019://125.9222</id>

    <published>2019-05-09T05:00:00Z</published>
    <updated>2019-07-26T03:01:45Z</updated>

    <summary>簡単な挨拶にもなる「お疲れさま」は、日本語ならいつ使っても不自然ではない。しかし英語で伝える場合は、3つの場面でフレーズを使い分けた方が良いという。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ひとこと英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="学び" label="学び" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="英会話" label="英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>こんにちは、ルーク・タニクリフです。先月から始まった「ひとこと英会話」、2回目は「お疲れさま」のフレーズを紹介します。</p>

<div class="hint-box">
<a class="open">ルーク・タニクリフのプロフィール</a>
<div class="hint">1982年イギリス生まれ。イギリス人の父とアメリカ人の母を持つ。13歳までイギリスで暮らし、その後アメリカのノースカロライナ州の高校に転校、イギリス英語とアメリカ英語の違いを経験。米ウェズリアン大学を卒業後、雑誌編集者／記者の仕事を経て、2005年、JETプログラムで来日。新潟の中学校で２年間英語教師をつとめ、その間に日本語を学ぶ。2008年に再来日。英会話講師とビジネス翻訳の仕事をしつつ、東京大学大学院にて翻訳論を学ぶ。2010年に開設したブログ「英語 with Luke」は、初心者から上級者までレベルを問わず楽しめる記事で人気を博し、月間150万PVを記録する人気サイトとなった。
</div></div>

<p>日本の企業では、「お疲れさま」という言葉を頻繁に使いますね。私も以前、日本の企業で働いていたことがあるのですが、しょっちゅう耳にしていたと思います。</p>

<p>その当時の私は勉強不足で、「お疲れさま」よりも「ご苦労さま」の方が丁寧な言葉だと思っていました。「ご苦労さま」は、「あなたは疲れているだけではなく、苦労するほど頑張っていたね」という意味を含むように感じていたからです。だから目上の人に対して「ご苦労さまです」と言って、注意されたのを覚えています。</p>

<p>英語にも「お疲れさま」という気持ちを伝えるとき、少し気をつけたいことがあります。</p>

<h3>1.挨拶のお疲れさま</h3>

<p>英語で「お疲れさま」と伝えるとき、日本語のように、ひとつのフレーズをいつでも誰にでも使えるわけではありません。「お疲れさま」にどんな意味を含むのかによって、フレーズを使い分ける必要があります。</p>

<p>大きく分けると、1.挨拶する　2.労う　3.褒めるの3つ。まずは、挨拶の代わりに使うものから見てみましょう。</p>

<p>同僚への挨拶で「お疲れさま」と声をかけるときは、時間を考えないといけません。</p>

<p>朝ならGood morning.やMorning.が良いでしょう。Morning.のほうが、くだけた印象です。</p>

<p>退社する時はHave a good day.　ネイティブの人だとHave a good one.と、インフォーマルな英語を使うケースも多く見られます。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/goodone.jpg"></p>

<p>a good oneは「いい一日を」というニュアンスがあります。「いい夜を」を意味するHave a good evening. や 「また明日」を意味するSee you tomorrow.もよく耳にします。</p>

<h3>2.感謝を示すお疲れさま</h3>

<p>You must be tired.というフレーズをよく聞くのですが、このフレーズは避けた方がよいと思います。言われた相手が「私は疲れているように見えるのだろうか」と感じる可能性があるからです。自分の顔色が悪い、クマがあるのではないか、と悩んでしまうかもしれません。</p>

<p>また、Thank you for your hard work.と言う方もいます。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/hardworktoday.jpg"></p>

<p>これは間違ってはいませんが、少しかたい印象です。おすすめなのは、もっと自然な印象を与える以下のフレーズ。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/youve-put-in-today_2.jpg"></p>

<p>you've put inは「わざわざ努力してくれた」というようなニュアンスを含むので、より感情が伝わります。</p>

<p>他にも、「助かったよ」と表現したい場合はThat was really helpful.やThat was a big help.というフレーズが良いです。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/thatwasbighelp.jpg"></p>

<h3>3.褒めているときのお疲れさま</h3>

<p>最後に、相手が良い仕事をして、褒めたいときの「お疲れさま」。</p>

<p>簡単な英語だとGreat job!　Nice job!　Well done! で良いと思います。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/greatjob_nicejob.jpg"></p>

<p>もう少し感情を込めた英語にしたい場合は、より長い文章が良いですね。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/reallywell.jpg"></p>

<p>何がよかったかを特定したい場合「That was an excellent + よくできた仕事」というパターンが使えます。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/presentation.jpg"></p>

<p>ちなみに、私は最近「おっつ」という少し古い日本語が気に入っています。残念ながら、これを職場で使うと、おかしな印象を与えてしまうかもしれませんが。</p>

<p><strong>Howdy!</strong><br>
おっつ！</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/04/English-VOL1.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/bnl_English.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>Vol.1：「Good luck」でいいの？　相手や状況によって変えたい「頑張ってね」のフレーズ</strong></div></a></div>
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    <title>自由な発想で新たな価値を生み出し続ける、白金高輪「Libre（リーブル ）」のサブレとキャラメル - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/05/libre.html" />
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    <published>2019-05-07T02:00:00Z</published>
    <updated>2019-05-07T06:19:48Z</updated>

    <summary>BNLが選ぶ手みやげ、2回目は、白金高輪で見つけたアーモンドサブレと口どけなめらかなキャラメルを紹介する。手を汚さずひとくちで食べられるスイーツは、ミーティングでの差し入れとしても喜ばれるだろう。ビビットな色の包装も、その場を華やかにしてくれる。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="出会いを変える手みやげ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
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    <category term="飲食" label="飲食" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>訪問先で行うブレストは、キャリアや立場にこだわらず、参加する全員が気軽に意見を出し合えた方が良い。参加メンバーの年齢に差があったり、性別が違ったりするなら、なおさら雰囲気づくりを大切にしたい。</p>

<p>今回訪ねるのは、トレンドに敏感な若者が多く働く新宿のオフィス。ミーティングも兼ねた訪問だ。訪問先の担当者は女性で、参加メンバーは20代から30代前半の男女5人。</p>

<p>手みやげは、ブレスト中に手軽に食べられるものが良さそうだ。新しいアイデアを生み出す時間だから、みんなが知っている定番のものよりも、初めて知るお店のものの方がモチベーションも上がりそう。</p>

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</div>

<p>さて、どこのお店に買いにいこうか。</p>

<p>新宿は若者に人気があるお店で溢れているし百貨店もあるから、おいしいお菓子は大抵のものが揃う。おそらく先方も、新宿で買えるお菓子はよく食べているだろう。だから今回は、大きな街では手に入らないものを選びたい。</p>

<p>だったら、白金高輪にある「<a href="http://lef-libre.com/index.html" target="_blank" rel="nofollow">Libre（リーブル）</a>」が良さそうだ。</p>

<p>南北線 白金高輪駅から徒歩5分の場所にあるLibreは、2018年6月にオープンしたばかりのパティスリー＆レストラン。フランスの3つ星レストラン「le cinq（ル・サンク）」でスーシェフを務めた田熊一衛が、帰国して2018年6月に立ち上げた。店内の奥にはカウンター席とテーブル席があり、フレンチのディナーを楽しむこともできるという。</p>

<p>スイーツのテイクアウトは、10時から16時までだから、休日に散歩がてら買いにいく。その手間もまた、渡す相手とのつながりを大切に感じられる時間だ。</p>

<p>今回選んだのは、「PARIS-SAND」というサブレとキャラメル。どちらも手を汚さずに食べられるから、まさにブレスト中のスイーツにぴったりだ。</p>

<p>丁寧に焼き上げられたアーモンドサブレは、中にバタークリームが挟まれている。味は、柚子、フランボワーズ、ラムレーズンの3種類。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/PARIS-SAND.jpg">
<figcaption>鮮やかなピンクの包装紙に一つひとつ包まれているサブレは、箱を開けたときも華やかで良い。</figcaption>
</figure></p>

<p>キャラメルも味は3種類。アーモンド、パッション、カシスだ。スーッと口の中で溶けるなめらかさに驚かされる。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/CARAMEL.jpg">
<figcaption>透明のシートに包まれたキャラメルは、シンプルで上品だ。</figcaption>
</figure></p>

<p>そして、この店を選んだのには、もうひとつ理由がある。</p>

<p>店名やお店のコンセプトが、今回の訪問にぴったりなのだ。店名のLibreはフランス語で「自由」という意味を持ち、お店のコンセプトは0/1。</p>

<blockquote>
  <p>新しい価値を生み出す<br>
"Libre = 自由"<br>
既存の概念にとらわれず「何かを発見し、創作する」</p>

<p>Libre HPより</p>
</blockquote>

<p>ゼロからイチへ。常識や既成概念にとらわれず、自由な発想で新感覚のスイーツを生み出す。まさに新しいアイデアを生み出すブレストのお供におすすめの一品だ。</p>

<p>渡すときは、「『何かを発見し、創作する』そんなコンセプトのお店で買ってきました。今日のブレスト会議で良いアイデアが生まれるように」とひとこと添えてみるのも良いかもしれない。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/04/un-grain.html">
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    <title>インパクトコンテンツで、企業のイメージを引き上げる━━ブランドのつくり方Step６：コンテンツ整理 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2019-05-06T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-05-10T05:05:53Z</updated>

    <summary>通常のビジネスだけを続けていても他社と差別化ができないときは、インパクトのある新しいコンテンツが必要だ。小池精米店はブランドコンセプトを体現する新商品を開発し、企業全体のイメージアップを実現した。
</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ブランドのつくり方" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
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        <![CDATA[<p><a href="https://bnl.media/2019/05/osada-brand-Vol5.html">顧客とのコミュニケーション設計</a>によってブランドは認知され始めました。Step６では、小池さんのブランディングのもう一つの成功ポイント<strong>「事業コンテンツの整理」</strong>をご紹介します。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/mokuji6.jpg"></p>

<p>コンテンツに独自性があれば伸ばせばよいだけですが、お米の場合は、通常のビジネスだけでは他社との差別化が難しい。そこでまず、小池精米店の事業を①売り上げや利益をつくる「メインコンテンツ」②売り上げや利益をサポートする「サブコンテンツ」③今までの価値観を変える「インパクトコンテンツ」の三つに分類しました。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/impact_.jpg"></p>

<p>このように分類すると③のインパクトコンテンツが小池精米店には不足していることが浮き彫りになりました。そこで、まずはどんなコンテンツなら小池さんの「想い」と生産者の思いをつなげられるのかを考え、<strong>ブランドコンセプトを体現するような商品開発</strong>を行いました。</p>

<p>こうして新たに開発されたのが、小池精米店の理念を体現した商品「あ、さ、ひ、ま、つ、光」。商品名は「あきたこまち」の「あ」、「ササニシキ」の「さ」、「ひとめぼれ」の「ひ」、「まっしぐら」の「ま」、「つや姫」の「つ」、「こしひかり」の「光」と、お米の品種名から一文字ずつ取りました。</p>

<p>ちょうどこの頃は、震災の影響で東北のお米が売れにくくなっていたので、東北を応援するという意味もあって「朝日を待つ光になる」という希望に満ちたネーミングに決定しました。一見、お米であることがわからないような、日の出をモチーフにしたグラデーションカラーのパッケージに、東北6県、6品種をセットにした食べ比べを楽しめるギフトです。</p>

<p><figure><img src="/uploads/05.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>写真提供：ビスポーク</figcaption></figure></p>

<p>「あ、さ、ひ、ま、つ、光」は、「ぐるなび」の「秘書が選ぶ手みやげ」コーナーに選ばれるなど、話題性のある商品となり、世界的に最も権威のあるデザイン賞の一つといわれるドイツのiFデザイン賞、ベルギーに本部を置くpentawardsでダブル受賞をし、世界からの注目も集めました。そしてこの商品開発をきっかけに、2018年には小池精米店の年間売上額は過去最高となり、ブランディングをスタートした時点から約2倍に伸びたのです。</p>

<p>インパクトコンテンツは、すぐに利益につながるものではありません。しかしメインコンテンツ・サブコンテンツだけでは差別化が難しい。だからこそ<strong>企業イメージを引き上げてメイン、サブコンテンツの評価向上につなげ、利益の増加へと貢献するインパクトコンテンツが必要</strong>なのです。</p>

<p><figure><img src="/uploads/koikeseimaiten_0184.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>写真提供：ビスポーク</figcaption></figure></p>

<p>現在、小池さんはJA会報誌「地上」の連載でブランディングについて寄稿されるなど、さながらブランドの専門家です。<strong>自分の「想い」と事業のつながりをしっかり語れるようになることで、ブランドの浸透はより加速します</strong>。小池さんがここまで一貫して行動し続けられるのは、<strong>ブランドコンセプトがご自身発の言葉だった</strong>からでしょう。</p>

<p>私たちは社名にもあるように、「Be spoke（対話）」を大切にしています。<a href="https://bnl.media/2019/05/osada-brand-Vol1.html">Step１</a>で行った「想い」の掘り下げの段階で対話を重ねることにより、小池さんから言葉を引き出すことができました。小池さんはブランディングを通して「自分の立ち位置が明確になった」と言います。ブランドコンセプトはいまでも、小池さんにとって立ち戻る指針になっています。</p>
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    <title>一貫性と継続性を持ち続ける━━ブランドのつくり方Step５：浸透・コミュニケーション設計 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2019-05-05T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-05-10T05:04:51Z</updated>

    <summary>ブランドを構築しても浸透しなければ意味がない。ブランドを広めるうえで大切なのは、一貫性を持たせることだという。そのためには、顧客との綿密なコミュニケーションを考える必要がある。

</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>Step５からはいよいよ、ブランドの浸透・コミュニケーション設計に移行します。</p>

<p><img src="/uploads/mokuji5.jpg"></p>

<p><a href="https://bnl.media/2019/05/osada-brand-Vol4.html">Step４</a>で制作したロゴなど、ブランドの「想いや世界観を表現した要素」を最大限に活用したマーケティング活動を行い、企業内外にブランドコンセプトを浸透させます。</p>

<p><img src="/uploads/no1_omoi_tutaeru.jpg"></p>

<h2>一貫性と継続性を守り抜く</h2>

<p>まず大切なのは、「どんな顧客に何を伝えるのか」「どこに顧客との接点があるのか」「どう見せたら顧客に買ってもらえるか」などを具体的に設計すること。そのうえで、ホームページやパッケージ、パンフレットなど、ブランドの浸透に効果の見込めるものを戦略的にそろえます。</p>

<p>顧客とのコミュニケーションを考えるステップを怠ると、①一貫性を持った浸透・コミュニケーションが取れず、伝えたいことが正確に伝わらない。②世界観がぶれて、せっかく作成したブランド要素（ロゴ・キャッチコピー等）が効果を発揮しません。競合とも明確に差別化ができず、マーケティングの投資効果が下がってしまいます。</p>

<p><strong>ブランディングにおいて「一貫性」と「継続性」はとても重要なポイント</strong>です。小池さんの場合、<a href="https://bnl.media/2019/05/osada-brand-Vol2.html" target="_blank"rel="nofollow">Step2</a>でつくった三つの戦略キーワードをしっかりと行動につなげ、イベントを行ったりブログをこまめに書いたりと、ブランドの浸透を進めてきました。また、テレビや雑誌などのメディアに出ることはすべて「お米を楽しく」というブランドコンセプトにつながっています。</p>

<p>他にも、さまざまなお米を食べてうま味・甘味・香り・粘り・食感を評価して味わいを言葉で表現することを日課にしたり、食味をチャートにまとめたりと、小池さんは<strong>ブランドコンセプトの体現</strong>のための努力を惜しみません。</p>

<p><img src="/uploads/no5_chart.jpg"></p>

<p>小池さんが一貫性と継続性を持って取り組んできたことで、ブランドコンセプト通りのイメージが顧客や社会に浸透したのです。</p>

<h2>二通りの認知価値を手に入れる</h2>

<p><strong>ブランディングは認知のされ方（認知価値）に焦点を置く戦略</strong>です。</p>

<p>認知のされ方には二通りあります。一つはロゴマークやユニフォームなど、<strong>ブランドを想起させる何かを見たときに小池さんを思い出してもらえる「再認」</strong>。もう一つが、おいしいごはんを食べたくなったときに小池さんを思い出してもらえたり、テレビ局のディレクターがお米をテーマにした番組を作ろうとしたときに小池さんの名前や顔を思い出してもらえたり、<strong>特定のニーズが発生したときに思い出す「再生」</strong>です。</p>

<p>小池さんは先に紹介したイベントや発信、企業努力を重ね、"おいしいお米の第一人者"としての認知価値を手に入れました。</p>

<p><figure><img src="/uploads/no5_tshirts.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>写真提供：ビスポーク</figcaption></figure></p>

<p>次回はいよいよラストです。他社との差別化を図り、企業全体のイメージを上げるコンテンツづくりをご紹介します。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/05/osada-brand-Vol6.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/asahimatuhikari_6_logo.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>インパクトコンテンツで、企業のイメージを引き上げる━━ブランドのつくり方Step６：コンテンツ整理</strong></div></a></div>
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    <title>モノに例えてイメージする━━ブランドのつくり方Step４：ロゴ制作 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/05/osada-brand-Vol4.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9219</id>

    <published>2019-05-04T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-05-10T05:04:03Z</updated>

    <summary>ロゴ制作はデザイナーの独断で進めてはいけない。ブランドコンセプトを基盤として、デザイナーと経営者が目指す世界観について共通認識を持つことが大切だ。そのための効果的な方法がメタファーだという。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>Step４では、<a href=" https://bnl.media/2019/05/osada-brand-Vol3.html" target="_blank"rel="nofollow">前回完成したブランドコンセプト</a>からロゴマークをつくります。</p>

<p>ロゴマーク制作は、顧客に向けてブランドコンセプトを可視化する作業です。ロゴマークや社名、社のカラー、パッケージなどには、<strong>「企業の想い」と「企業に対する顧客のイメージ」を一致させてブランドを構築するための重要な橋渡しの役割を担っている</strong>ことを忘れてはいけません。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/mokuji4.jpg"></p>

<p>例えば「米屋だから渋めの色」「米屋だから手書きフォント」というように業界の通念にとらわれて、経営者のパーソナリティーを整理せずに制作を進めると、小池さんの想いやキャラクターとはかけ離れたものになってしまいます。ロゴマークは特に、<strong>デザイナーが一方的につくるのではなく経営者と一緒に世界観を議論し、共通認識を築く</strong>ことが重要です。</p>

<p>小池精米店のロゴマーク作成では「メタファー（比喩）」という、他のものに例えて考える手法を用いました。<strong>企業のビジョンやミッションを実際に世界観としてつかむためには、他のモチーフに置き換えた方が、キーワードとして引き出しやすい</strong>からです。</p>

<p>小池さんに「小池精米店は椅子にたとえるとどんなイメージですか？」「音楽にたとえるとどんなイメージですか？」といった問いかけを重ね、例えば椅子なら、革張りの椅子、重ねられる椅子、カラフルな椅子など、さまざまな写真を使いながら一緒にイメージを考えていきました。</p>

<p><figure><img src="/uploads/6924136102_b29c1f7847_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/lettertothesky/6924136102/" target="_blank">"vintage chairs"</a> by Shinn(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>こうしたやり取りを経てできた小池精米店のロゴマークは、47都道府県の推奨品種の米粒を一粒一粒トレースして日本地図をかたどったデザインです。（TOPの画像）</p>

<p>小池さんの名刺にはこのロゴマークと「産地直米、お米を楽しく。」のブランドコンセプトを記しています。このように「想い」と「デザイン」が合致したとき、そのロゴマークは唯一無二のものとなり、ブランドコンセプト同様にビジネスのモチベーションの向上にもつながってきます。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/no4_koike_logo_kome.jpg"></p>

<p>さて、Step１から進めてきた「想いを引き出し言語化する」作業が完了しました。ここまでがブランドの構築です。次回のStep５からは、つくったブランドを企業の内外にコミュニケーション設計するプロセスに入ります。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/05/osada-brand-Vol5.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/koike_kome_5.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>一貫性と継続性を持ち続ける━━ブランドのつくり方Step５：浸透・コミュニケーション設計</strong></div></a></div>
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    <title>根底にある「想い」を言語化する━━ブランドのつくり方Step３：ブランドコンセプト作成 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2019-05-03T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-05-10T04:58:32Z</updated>

    <summary>小池精米店にしかない強みを見つけたら、それをもとに経営戦略キーワードを設定する。この戦略キーワードが、ブランドづくりの核となる「ブランドコンセプト」へとつながっていく。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><a href="https://bnl.media/2019/05/osada-brand-Vol2.html" target="_blank"rel="nofollow">Step２</a>で引き出した自社だけの強みをもとに、Step３ではまず、戦略キーワードを作ります。これは、後に経営理念、行動指針、そしてブランドコンセプトにつながるので、とても大切な言葉です。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/mokuji3.jpg"></p>

<h2>戦略キーワードを作る</h2>

<p>小池精米店の場合、一つ目のキーワードとして掲げているのは「産地直米」という造語です。産地に足を運んで生産者に会った上で納得したお米を仕入れる。それを大事にしていくという意味です。二つ目は「生産者と生活者（顧客）の架け橋になる」で、三つ目が「お米を楽しく」です。</p>

<p>この三つ目は新しい視点でした。お米は生活の中であまりにも"当たり前のもの"になっています。だからこそ「お米を楽しく」は、精米店として今までにないポジションを築ける可能性を感じました。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/no3_keyword.jpg"></p>

<p>さらに、この<strong>三つの戦略キーワードを「経営理念」「行動指針」「ブランドコンセプト」へと展開</strong>します。</p>

<h2>ブランドコンセプトは「立ち戻る場所」</h2>

<p>経営理念は「"産地直米"で、日本の食生活を応援するために」に設定。行動指針は、先につくった三つの戦略キーワードを盛り込むことで、より具体的になりました。そして、ブランドコンセプトは「産地直米、お米を楽しく。」です。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/no3_keiei_rinen.jpg"></p>

<p>このブランドコンセプトは、<strong>顧客との約束であり、小池精米店の「想い」の集約</strong>でもあります。そして、今後事業を進めていく上でのモチベーションや推進力に大きな影響を与える重要なポイントです。<strong>ブランドコンセプトは小池さん自身が軸をぶらさないための"立ち戻る場所"にもなる</strong>からです。私たちがこれまで、いかに「想い」を掘り下げられるか、納得できる言葉を見つけられるかに重点を置いて取り組んできたのは、この言葉を導き出すためでした。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/no3_okomewo.jpg"></p>

<p>この約束を守り続けることで、小池精米店といったら「お米を楽しくしてくれるお米屋」というブランドイメージが定着し、顧客が「お米で何か世の中にない取り組みをしたい。」と思った時に、企業名を想起することにつながります。</p>

<p>さらに、ブランドコンセプトをより具体的に捉えるために文章も作りました。これが「ブランドステートメント」。お客さまや社会に対する、ブランドからの宣誓文のようなものです。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/no3_id.jpg"></p>

<p>ちなみに、起点となる「想い」に焦点を当てず、<strong>利益重視でブランディングを進めた事業の場合、常に「利益の大小」が判断軸になるため、事業の一貫性を持てなくなります。</strong>また一度事業の軸がぶれると、その修正は容易ではありません。多くの経営資源を投入し、ようやく「ゼロベースに戻す」ということもよくある失敗例です。</p>

<p>「そもそもの想い」を言語化したブランドコンセプトは、たとえ方向性に迷ったり、軸がぶれそうになったりしても、立ち戻り方向性を定められる<strong>「経営判断のよりどころ」</strong>になるのです。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/05/osada-brand-Vol4.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/koike_logo.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>モノに例えてイメージする━━ブランドの作り方Step４：ロゴ制作</strong></div></a></div>

<p><figure><figcaption>Top Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/pen3ya/261850800/" target="_blank" rel="nofollow">Rice field</a>" by Shigemi.J (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc/2.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-NC 2.0</a>)</figcaption></figure></p>
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    </content>
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    <title>いろいろな顧客になりきって考える━━ブランドのつくり方Step２：強みの明確化 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/05/osada-brand-Vol2.html" />
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    <published>2019-05-02T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-05-10T05:02:54Z</updated>

    <summary>自社が「強み」だと思っていることは、他社にとっても「強み」かもしれない。それでは価格競争に陥ってしまう。Step２では、他社にはない小池精米店だけの「強み」を探る。
</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="ブランドのつくり方" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="デザイン" label="デザイン" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
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    <category term="小売" label="小売" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>こんにちは。ブランドコンサルタントの長田敏希です。三代目 小池精米店さんに見るブランドのつくり方、<a href="https://bnl.media/2019/05/osada-brand-Vol1.html" target="_blank"rel="nofollow">Step１</a>では小池さんが事業を行う根底にある「想い」を掘り下げました。</p>

<p>Step２では、自社の強み、弱み、外部環境要因の動向、ターゲット顧客のニーズ、競合の動向を洗い出し、小池精米店の進むべき方向性を探ります。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/mokuji2.jpg"></p>

<p>まず小池精米店の情報を整理して、何が強みなのかを考えてみました。すると、強みと言えることは「原宿という立地」のみ。それ以外は他の精米店と変わりませんでした。つまり「自社の強みだと思っていること」は他社の強みでもあり、小池精米店だけの強みとは言えなかったのです。</p>

<p>自社の強みと競合他社の強みが重なった場合、たとえ顧客のニーズがあったとしても、その価値は同質化しているので、ほとんどの場合、価格競争に陥ります。そこで、<strong>小池さんの強みと顧客のニーズだけが一致し、競合がまねできない点、つまり新しい差別化の要素を検証</strong>しました。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/no2_3c_map.jpg"></p>

<p>自社の想いを最大評価してくれるのはどんな顧客か。小池さんには「渋谷区在住の30代主婦」など、<strong>さまざまな顧客になりきって</strong>もらい「どういう店だったらお米を買いたくなるか？」と考えてもらいました。</p>

<p>すると、早速「おいしい炊き方を教えてくれる米屋」「ライフスタイルの提案がある米屋」「ごはんのアドバイザーがいる米屋」など、これまで見えていなかった切り口が出てきたのです。この切り口が、小池精米店ならではの強みをより強固にしていくきっかけになります。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/tuyomi_kyogo_kokyaku.jpg"></p>

<p>次回のStep３では、ニーズの理解によって出てきた切り口をもとに、戦略キーワードをつくります。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/05/osada-brand-Vol3.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/261850800_7bbccaf8b8_o.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>根底にある「想い」を言語化する━━ブランドのつくり方Step３：ブランドコンセプト作成</strong></div></a></div>

<p><figure><figcaption>Top Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/masayasugawara/363393106/" target="_blank" rel="nofollow">原宿</a>" by masaya sugawara  (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc/2.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-NC 2.0</a>)</figcaption></figure></p>
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    <title>どこにでもある米屋さんは、いかにしてブランドを確立したのか。6日間で学べる長田敏希の特別講座 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/05/osada-brand-Vol1.html" />
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    <published>2019-05-01T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-06-19T00:57:21Z</updated>

    <summary>BNLでは今日から6日間、ブランドコンサルタントの長田敏希による連載「ブランドのつくり方」をスタートする。業績を伸ばすブランドはどのようにつくられるのか。ブランドの立ち上げや自社サービスのブランディングを考えていたら、この大型連休を利用して学んでみよう。
</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ブランドのつくり方" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>はじめまして。ブランド戦略とデザイン戦略を総合的にサポートする会社「<a href="https://bespoke-inc.jp" target="_blank"rel="nofollow">ビスポーク</a>」の代表、長田敏希と申します。私はブランドコンサルタントとして、日本全国にあるさまざまな企業のブランディングをお手伝いしています。</p>

<div class="profile-box"><a class="open">長田敏希 プロフィール</a>
<div class="hint">
<div class="profile">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/osada_tateichi.jpg');" class="img"></div>
<div class="info"><strong>長田敏希</strong>
<p>株式会社ビスポーク代表取締役 CEO/東京農業大学 非常勤講師 地域ブランド戦略領域/一般社団法人フードサルベージ代表理事/ブランドコンサルタント・クリエイティブディレクター<br> 
 クライアントとの丁寧なヒアリング（対話）を重視しながら、組織の理念作成からBI（ブランド・アイデンティティ）開発、内外に向けたクリエイティブ開発まで、クライアントが対面している状況、市場環境を加味し、企業に合わせた隅々までフィットするコンサルティングを提供。世界三大広告賞のカンヌライオンズ、The One Showをはじめ、D&AD、NY ADC、iF デザイン賞、グッドデザイン賞、毎日広告デザイン賞など国内外の受賞多数。テレビ朝日「お願いランキング！嫉妬に身を焦がすBAR」出演</p>
</div>

<p></div>
</div></p>

<h2>ブランディングの認識は意外と曖昧</h2>

<p>最近、受注生産だけで経営を保ってきた企業が自社のブランドを立ち上げて業績を伸ばしたり、家業を立て直したりするケースが増えています。</p>

<p>それもあってか、よく「ブランディングで売り上げがガツンと上がりますよね？」とか「ブランディングは、ロゴやホームページを変えることですよね？」と聞かれることがあります。間違ってはいないのですが、ブランディングを行ってもすぐに売り上げアップにつながらないことだってありますし、ビジュアルをよくしたりインパクトを持たせたりすることだけがブランディングではありません。</p>

<p>ブランドコンサルタントの仕事をしていると、このようにブランディングに対する認識が人それぞれ違うことに気づかされます。そこで今回は、私がブランディングを行った、東京・原宿にある「三代目 小池精米店」の事例をもとに、ブランドづくりの基本をご紹介します。</p>

<p>「三代目 小池精米店」は、いまでこそ新米の季節になると、代表の小池理雄さんが数多くのメディアに出演されていますが、以前は正直に言って"どこにでもある米屋さん"でした。</p>

<p>今日から6回にわたり、小池精米店がブランドを確立したフローをご紹介します。Step1からStep4までが、「ブランドをゼロから構築する」作業、そしてStep5とStep6は、「ブランドコンセプトのコミュニケーション設計をする」作業です。</p>

<p>最初から順に実践していただいても良いですし、まだ取り掛かっていないところから始めてみるのも良いと思います。新しいブランドをつくりたいと思っている方や、リブランディングを考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/mokuji1.jpg"></p>

<h2>Step1：「想い」の掘り下げ</h2>

<p>ときどき、マーケティングとブランディングを同じように考えてしまうケースが見られますが、この二つは、大切にするべき視点が異なります。マーケティングでは顧客のニーズや競合の動向を捉える視点が重要ですよね。しかしブランディングでは、顧客や競合を気にしすぎると自社の本質的な特徴を反映した商品・サービスが提供できなくなり、自社の良さや魅力を見失ってしまう可能性があります。</p>

<p>例えば、既に数十年と歴史を築いていた菓子屋が「消費期限をもっと伸ばしてほしい」という流通の要望に流され、添加物を多用した商品を展開したら、自社がこれまで大切にしてきた理念はないがしろになります。その結果、競合他社の商品に埋もれてしまうのです。</p>

<p>顧客視点はもちろん重要です。しかし<strong>ブランディングは「企業の想い」と「企業に対する顧客のイメージ」を一致させる戦略です。</strong>だから<strong>ブランドの構築は、なぜこの事業を始めたのか、なぜこの商品を出したいのかといった「そもそもの想い」を起点にする</strong>ことが大切だと考えます。</p>

<p>小池精米店さんとのお仕事でも、最初に行ったのは小池さんと対話を重ね「小池さんの想い」を掘り下げることでした。 </p>

<h2>売り上げより「なぜやるのか」が大切</h2>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/vol1_omoihorisage.jpg"></p>

<p>最初に、小池さんには業界の常識やこれまでのやり方などの既成概念を外してもらいました。それがあると、ありきたりな言葉ばかりが出てきて、本質が見えないからです。</p>

<p>そして小池さんが思い描く理想の社会を、植物などのモチーフに例えてイラストで表現してみるといった内容のワークショップを繰り返しました。</p>

<p>この作業によって、<strong>「ビジョン（思い描く理想の社会）」「ミッション（担う使命・役割）」「バリュー（社会に与える・良い影響・良い作用）」につながる本質</strong>が引き出されます。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/koike_vision_ex.jpg"></p>

<p>小池さんの場合は、「日本の農業と日本の食生活を応援したい」をビジョンに、「生産者と生活者の架け橋になる」をミッションに掲げました。そして、それらを達成するために小池さんが持っている知見や人脈をどのように活用し、社会に役立たせるかを「バリュー（提供価値）」としました。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/vol1_vision.jpg"></p>

<p>情報が整理されていない場合や、抽象度の高い言葉を用いると、顧客に伝わりづらくなってしまい、ブランド戦略はうまく機能しません。「想い」や事業の目的を具体的な言葉にして可視化することは、とても大事な作業なのです。</p>

<p>Step1はここまで。Step2では、この「ビジョン」「ミッション」「バリュー」をもとに、自社の強みを探ります。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/05/osada-brand-Vol2.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/363393106_c5544d0a2c_o-%281%29.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>いろいろな顧客になりきって考える━━ブランドのつくり方Step2：強みの明確化</strong></div></a></div>
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    <title>ファーストペイデー（初任給の日）──歴史とともに変化する賃金の形 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <id>tag:bnl.media,2019://125.9217</id>

    <published>2019-04-25T04:00:00Z</published>
    <updated>2019-04-25T06:18:55Z</updated>

    <summary>4月25日は「ファーストペイデー（初任給の日）」。多くの新入社員が、初めての給料を受け取る日となることに因む。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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    <category term="銀行" label="銀行" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>「サラリー（salary・給料）」は、古代ローマ時代に給料として渡されていた「サラ（sal・塩）」に由来するという説があるように、賃金の形は歴史とともに変化してきた。</p>

<h3>未曾有の犯罪が、給与の銀行振り込みを促進</h3>

<p>いまでは当たり前となった「給与振り込み」だが、昭和の中頃まで、給料袋に入れた現金の手渡しが一般的であった。</p>

<p>現在の振り込みの形式が普及したきっかけは、1968年に起きた「三億円事件」。工場で働く従業員のボーナスにあたる現金約3億円が、白バイに扮した犯人に輸送車ごと持ち去られた。鮮やかな犯行手口は当時の世間に大きなショックを与え、以後、安全な銀行振り込みが広まっていった。事件当時の大卒初任給は3万600円。この金額からも、事件のインパクトの大きさが窺い知れる。</p>

<h3>いよいよ給与支払いに電子マネー解禁</h3>

<p>昨年末、政府は電子マネーによる給与支払いを解禁する方針を固めた。解禁となれば、銀行口座を通さずに専用のプリペイドカードやスマートフォンの決済アプリに直接送金できるようになる。銀行口座の開設が難しい外国人への支払いや、賃金格差がある層の救済、そして電子マネーの活性化による経済効果が期待されている。</p>

<p>この方針決定に尽力したのは、DoremingホールディングCEOの高崎義一氏だった。同社のサービス「<a href="http://www.doreming.com/ja/" target="_blank" rel="nofollow">Doreming</a>」は、出退勤記録と給与管理のシステムを連動させて賃金をキャッシュレスで前払いできるというもので、世界から注目されている。</p>

<p>日本における、給与支払い電子マネー解禁のメリットについて、高崎CEOは昨年6月に首相官邸で説明する機会があった。その日のことを振り返り、解禁が発表された日に以下のコメントがコーポレートサイトに掲載された。</p>

<blockquote>
  <p>デジタルマネーでの給与支給が実現されれば、給与支給時に所得税や社会保険料、消費税も自動徴収できること、払っている人と払ってない人がいるのは不公平であること、現金が減れば犯罪も減ることをお話しました。</p>

<p>また、人材不足解消の担い手となる外国人労働者の方々に対しても、銀行口座を持たなくてもスムーズな給与支払いが行えることで、労働者に優しい職場環境の構築にも寄与することをお話しました。</p>

<p>安倍総理や麻生財務大臣、菅官房長官、高木厚生労働副大臣に提案したところ、みなさん口を揃えてご賛同いただき、「ぜひ実現させよう」と言って頂きました。</p>

<p>Doreming公式サイト：<a href="http://www.doreming.com/ja/201810_nikkei/" target="_blank" rel="nofollow">2018/10：デジタルマネーでの給与支給来年にも解禁へ（2018/10/25日経報道より）</a></p>
</blockquote>

<p>その時に配布された資料が首相官邸ホームページに掲載されているので紹介しよう。</p>

<div class="entry-gallery">
<figure><img src="/uploads/haihu2_1.png">
<figcaption><strong>P.1</strong> 出典：<a href="https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/dai35/haihu2.pdf" target="_blank" rel="nofollow">第35回国家戦略特区諮問会議 提出資料「携帯電話の電子財布に賃金をデジタルで支払いを可能とする規制緩和」（PDF）</a></figcaption>
</figure>
<figure><img src="/uploads/haihu2_2.png">
<figcaption><strong>P.2</strong> 出典：<a href="https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/dai35/haihu2.pdf" target="_blank" rel="nofollow">第35回国家戦略特区諮問会議 提出資料「携帯電話の電子財布に賃金をデジタルで支払いを可能とする規制緩和」（PDF）</a></figcaption>
</figure>
<figure><img src="/uploads/haihu2_3.png">
<figcaption><strong>P.3</strong> 出典：<a href="https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/dai35/haihu2.pdf" target="_blank" rel="nofollow">第35回国家戦略特区諮問会議 提出資料「携帯電話の電子財布に賃金をデジタルで支払いを可能とする規制緩和」（PDF）</a></figcaption>
</figure>
<figure><img src="/uploads/haihu2_4.png">
<figcaption><strong>P.4</strong> 出典：<a href="https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/dai35/haihu2.pdf" target="_blank" rel="nofollow">第35回国家戦略特区諮問会議 提出資料「携帯電話の電子財布に賃金をデジタルで支払いを可能とする規制緩和」（PDF）</a></figcaption>
</figure>
</div>

<p>政府は今年度中の電子マネーでの給与支払い解禁を目指しているが、電子マネーの口座に賃金が溜まるようになったとしても、それを使う機会が少ないままではなかなか広まらないだろう。</p>

<p>一般社団法人キャッシュレス推進協議会は、4月26日（金）のプレミアムフライデーより、翌日から始まる10連休において、「キャッシュレス・ウィーク」と題し、幅広いキャンペーンの展開を行うと発表している。期間中は、大手キャッシュレス決済各社や導入企業など、40社以上がキャンペーンを展開。電子マネーでの支払いでクーポンが発行されたり、ポイントがお得に溜まったりするほか、東京・大阪・広島で開催される「肉フェス」「餃子フェス」では、iD決済が可能になる。ゴールデンウィークは銀行ATMの手数料が割高なこともあり、多くの人にとって電子マネーの利便性を感じられる機会となりそうだ。</p>

<p>最近では紙幣刷新が話題になったが、暮らしの中で現金を目にする機会は少しずつ減っていき、また新たな通貨の価値が生まれるのかもしれない。</p>

<h2>参考文献</h2>

<p>・<a href="https://www.sankeibiz.jp/macro/news/181217/mca1812172040017-n1.htm" target="_blank" rel="nofollow">政府、給与支払いに電子マネー解禁へ （Sankeibiz, 2018.12.17掲載）</a><br>
・<a href="https://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/kokusentoc/dai35/haihu2.pdf" target="_blank" rel="nofollow">第35回国家戦略特区諮問会議 提出資料「携帯電話の電子財布に賃金をデジタルで支払いを可能とする規制緩和」（PDF）</a><br>
・<a href="http://www.doreming.com/ja/201810_nikkei/" target="_blank" rel="nofollow">ドレミング株式会社　ニュースリリース　デジタルマネーでの給与支給来年にも解禁へ（2018/10/25日経報道より） </a><br>
・<a href="https://www.paymentsjapan.or.jp/wordpress/wp-content/uploads/2019/04/Cashless_Week_Promotion_v1.0.pdf" target="_blank" rel="nofollow">一般社団法人キャッシュレス推進協議会「会員企業・団体によるキャンペーン詳細」（PDF）</a></p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="9290001070583"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="3010405016868"></div>
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    <title>もう職員室って呼ぶのはやめよう──島根の高校がスイスの家具メーカーと作った「センセイオフィス」 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/04/sensei-office.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9211</id>

    <published>2019-04-24T08:09:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:33:06Z</updated>

    <summary>島根の公立高校がスイスの家具メーカー「Vitra（ヴィトラ）」と組んで、新学期にあわせて職員室を改装した。教員が快適に働けて、生徒と対話する時間も増えるその空間は、「センセイオフィス」と名づけられた。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="職場再考" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="デザイン" label="デザイン" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>昨秋、島根県立津和野高等学校から東京の「Vitra（ヴィトラ）」日本法人へ、一本の問い合わせがあった。</p>

<p>以前BNLでも紹介した、Yahoo! JAPAN「LODGE」とVitraがコラボして作った「ジッケン オフィス」を見て、職員室の改装について一度相談したいという内容だった。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/01/jikken-office.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="/uploads/jikken_office-400.jpg">
<div class="info"><strong>社外の人と偶然の出会いが生まれる場へ──Yahoo! JAPAN「LODGE」と家具メーカーVitraの実証実験</strong>
</div></a>
</div>

<h2>ずっと変わっていない「職員室」</h2>

<p>もう何十年ものあいだ、職員室の形はほとんど変わっていない、とVitra日本法人社長の片居木亮は語る。</p>

<p>「今回のプロジェクトも、別に改装前の写真を見せなくても新しさは伝わるんです。誰に聞いたって、職員室のイメージはほぼ一緒ですから」</p>

<p>紙の資料が積み上げられた鼠色の机に、ギシギシと音の鳴る椅子。そこで教員は日々あらゆることを行っていた。答案の採点も、教員同士の打ち合わせも、生徒との面談も、食事まで。</p>

<p>Vitraは、そんな旧来の職員室をアップデートするべく、世界中のオフィスでいま採用されている最先端の設計思想を盛り込んだレイアウトを提案した。</p>

<h2>業務によって場所を選べる空間へ</h2>

<p>プロジェクトが本格的にスタートしたのは昨年12月。まず教員と全校生徒を対象にアンケートを集めたところ、「収納が少なくて書類整理がしづらい」、「生徒との面談や教員同士で打ち合わせをする場所がない」という意見があった。そこで、職員室にあった膨大な量の書類を整理して、棚の数を削減し、それによって空いたスペースを活用したレイアウトを描いたという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/senseiofficelayout.png">
<figcaption>入り口前方には、仕切りの役割も果たすシステム家具を配置し、奥の空間を「先生エリア」、前方を「生徒エリア」に緩やかに区切った。教員は、職員室で行う活動の内容に応じて、それぞれ最適な環境を選ぶことができる。</figcaption></figure></p>

<p>このレイアウトをもとに、最適なVitraの家具を配置し、新学期に合わせてこの春に完成した「センセイオフィス」の全貌がこれだ。</p>

<p><img src="/uploads/_KK_2155-low-1094.jpg"></p>

<h2>生徒のためのエリアを新設</h2>

<p>今回、教員のためだけに改装したわけではない。「生徒との関わりの質の向上（向き合いやすい、話しやすい）」も目指したい姿として掲げられている。生徒からのアンケートにも、「職員室の中に先生と話せるスペースがない」、「個人面談の際に周りの環境が気になる」といった意見があったという。その解決策として廊下側の壁に沿って設けられたのが、この「生徒エリア」である。</p>

<p><img src="/uploads/_KK_2211-720.jpg"></p>

<p>今後は、頻繁に回収が必要な書類や連絡用のホワイトボードなど、生徒がもっと気軽にセンセイオフィスに入って来られる仕掛けを用意する予定だという。</p>

<h2>「集中」と「協働」がテーマのスペース</h2>

<p>生徒も頻繁に入ってくるようになると、中はもっと騒がしくなるはずだ。そんな時に活躍するのが集中スペースである。教員は邪魔されず作業に集中したい時はもちろん、生徒と落ち着いて話したい時や、一人でリラックスして食事や休憩を取りたい時にも人気の場所となるだろう。</p>

<p>これまで教員同士の打ち合わせも、個人デスクに座ったまま行われていたが、これからは協働スペースのテーブルを自由に使えるようになる。短時間のミーティングの場合は、ハイカウンターを利用して、サクッと立ち話で済ませることだってできる。</p>

<div class="entry-gallery">
<figure><img src="/uploads/_KK_2218-720.jpg">
<figcaption><strong>集中スペース</strong>：この半個室のような集中ブースの壁には、圧縮されたフェルトのパネルが使われていて、周りの喧騒を吸収してくれる。</figcaption>
</figure>
<figure><img src="/uploads/_KK_2238-720.jpg">
<figcaption><strong>協働スペース1</strong>：雑談から思いがけないアイデアが生まれたり、忙しい業務のあいだのちょっとした隙間時間にも活躍しそうだ。</figcaption>
</figure>
<figure><img src="/uploads/_KK_2361-720.jpg">
<figcaption><strong>協働スペース2</strong>：テーブルにはモニターが設置され、パソコンで書類を映しながらペーパーレスで会議を進⾏できるようにする予定だという。</figcaption>
</figure>
</div>

<h2>より快適なデスクで働ける執務エリア</h2>

<p>集中と協働のスペースで打ち合わせや面談などができるようになると、個人デスクでは、より集中して執務に取り組めるようになるだろう。</p>

<p>書類を整理したことで空間全体に余裕が生まれ、以前よりも大きな机上面のデスクを導入できたという。教員は、ノートパソコンを開いて、その横で紙の書類を広げるスペースも十分にある。</p>

<div class="entry-gallery">
<figure><img src="/uploads/_KK_2391-720.jpg">
<figcaption>用途に応じて自由にセンセイオフィスの中を動き回る機会が増えれば、きっと教員同士のコミュニケーションも増えることだろう。</figcaption></figure>
<figure><img src="/uploads/_KK_2298-720.jpg">
<figcaption>もともと多くのスペースを占めていた紙の資料を整理したことにより、必要な個別デスクの数は確保しつつ、よりゆったりとした配置が可能になった。</figcaption></figure>
<figure><img src="/uploads/_KK_2248-720.jpg">
<figcaption>教室で授業を持つ教員にとっては、長時間座るわけではないので、チェアは必要最小限の機能に絞って、軽くて動きやすいコンパクトなものが採用されている。</figcaption></figure>
</div>

<p>ただ今回のレイアウトはスタート地点に過ぎない。今後、実際に利用される様子を観察しながら、教員と生徒からのフィードバックも参考にして、改善を積み重ねていきたいという。</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="7010401085970"></div>
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    </content>
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    <title>「自然体」で働けていますか？──連載：ととのう職場、自然体のキャリア VOL.1 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2019-04-22T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-12-16T07:05:44Z</updated>

    <summary>人生100年時代のキャリアと職場をつくる活動をしている、羽渕彰博の新連載がスタート。初回のテーマは「自然体で働く」。大手人材会社に務めていた頃に得た社外での気づきが、自身の働き方の転機になったと振り返る。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="ととのう職場、自然体のキャリア" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="キャリアストーリー" label="キャリアストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>初めまして、オムスビ代表の羽渕彰博です。当社は人生100年時代の個人向けキャリア支援「<a href="https://www.ammy.life/" target="_blank" rel="nofollow">AM（アム）</a>」と組織改革専門のバーチャル人事部「<a href="https://www.reborn-wellbeing.com/" target="_blank" rel="nofollow">reborn（リボーン）</a>」という2つのサービスを提供しています。「人生100年時代のキャリアと職場をつくる集団」と覚えていただければ幸いです。</p>

<div class="profile-box"><a class="open">羽渕彰博のプロフィール</a>
<div class="hint">
<div class="profile">
<div style="background-image: url('/uploads/fixed_habuchi-profile.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>羽渕彰博</strong>
<p>株式会社オムスビ代表取締役CEO</p>
<p>1986年大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事しつつ、アイデアを短時間で具現化する「アイデアソン・ハッカソン」のファシリテーターとしても活躍。2016年4月に独立し、リレーションシップデザインを軸とする株式会社オムスビを設立し、組織変革したい企業様向けの組織コンサルティングサービス「reborn」を提供している。</p><a href="https://8card.net/p/39752398032">Eightプロフィールはこちら</a></div></div></div></div>

<h2>無理をせず「自然体」で働く</h2>

<p>人生100年時代になって、身体が健康なうちは働きつづけることが求められています。昔は多くの企業が55歳を定年としていましたが、1986年の法律改正で60歳定年が努力義務として定められ、2000年にはそれが65歳になりました。現在、政府は70歳定年制の議論をしていて、将来的には75歳まで引き上げるシナリオも検討しているようです。</p>

<p>「いつまで働かないといけないんだ」と思う人もいるでしょう。嫌な仕事を我慢してでも続けて、出世競争で勝ち取ったポジションのまま逃げ切れると思ったら、いきなりゴールが5年後に延ばされる。もし「働く＝やりたくないこと」だったら、たまったもんじゃありませんよね。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/01/ishikawa-career.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/yokoyama_089-2-400.jpg">
<div class="info"><strong>予防医学研究者・石川善樹が考える、人生100年時代のキャリア論</strong></div></a></div>

<p>人生100年時代の働き方で大切なキーワードは、「自然体で働く」ことだと私は考えています。つまり、無理をしないということです。まずは私が自然体で働けるようになった体験談をご紹介させてください。</p>

<h2>スキルアップよりポジションフィット</h2>

<p>独立する前、私は東証一部上場の人材会社で新規事業の立ち上げに携わっていました。既存の収益事業が回っている組織では、新規事業担当者は肩身が狭い思いをすることが多いのですが、もれなく私もその一人でした。</p>

<p>社会の変化にあわせて挑戦し、新しい収益の柱として会社に貢献しようとしていても『そんなことをやっていくらになるんだ』『俺らが稼いだ金で遊んでいる』と冷たい言葉を浴びせられます。新規事業もなかなか立ち上がらず、もがきあがいていました。</p>

<p>社内にいては何も状況は変わらないので、社外に出て勉強会やワークショップに参加していると転機に恵まれました。たまたま参加していたワークショップの運営者から、「今度、ファシリテーターをやってみない？　君は人前でも緊張せず明るく振る舞えるから向いてると思うんだよね」と誘われたのです。</p>

<p>はたして自分にファシリテーターが務まるのか。最初はいささか不安でしたが、これもいい機会だと思って挑戦してみたところ、参加者や関係者の方から大きな拍手をいただきました。その音はいまでも覚えています。もがきあがいていた時期でしたから、単純に嬉しかったのです。その後、さまざまな企業からファシリテーションの仕事をご依頼いただけるようになりました。</p>

<p>この体験から「場を変えると評価が変わる」ことを学びました。それまでは得意分野を伸ばすことよりも、苦手分野を克服して、新しいスキルを身につけようとしていました。でも苦手なことを克服するのは時間がかかるし、時間をかけてもあまり上達しません。いまのスキルのままでも、もっと活躍できるポジションを探した方が効率的ではないかと思うようになったのです。</p>

<p>400mハードル日本記録保持者の為末大さんも著作の中でこうおっしゃっています。</p>

<blockquote>
  <p>人間には変えられないことのほうが多い。だからこそ、変えられないままでも戦えるフィールドを探すことが重要なのだ。 僕は、これが戦略だと思っている。 戦略とは、トレードオフである。つまり、諦めとセットで考えるべきものだ。だめなものはだめ、無理なものは無理。そう認めたうえで、自分の強い部分をどのように生かして勝つかということを見極める。極端なことをいえば、勝ちたいから努力をするよりも、さしたる努力をすることなく勝ってしまうフィールドを探すほうが、間違いなく勝率は上がる。</p>

<p>『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4833420481/" target="_blank" rel="nofollow">諦める力～勝てないのは努力が足りないからじゃない</a>』（為末大 著）</p>
</blockquote>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2019/04/self-management-sip2019.html">
<h4>BNLのイベントにも登壇</h4>
<img src="/uploads/20190315-160254_YAM3819-final.jpg">
<div class="info"><strong>集団におけるイノベーションは、一人ひとりが自身と向き合うセルフマネジメントから始まる</strong></div></a></div>

<p>私は子どもの頃、ひどくお調子者だったので、文化祭で全校生徒の前に立って司会をしていました。その頃と変わらない感覚で、いまのファシリテーションの仕事を務められています。</p>

<p>これが私にとっての「自然体で働く」です。他人のやりたくないことが、誰かにとっては自然にできることかもしれません。無理して成長しなくたって、機会を通じて成長できるかもしれません。</p>

<p>あらためて自然体で働いていますか。あなたの自然体でいられる場はどこでしょうか。</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="2030001113721"></div>
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    </content>
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    <title>平成最後の「郵政記念日」──今年は「日本郵便の父」没後100周年 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/04/yuusei-kinen.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9209</id>

    <published>2019-04-20T00:50:00Z</published>
    <updated>2019-04-25T05:52:24Z</updated>

    <summary>今日は「郵政記念日」。1871年にそれまでの飛脚制度に代わって、郵便制度が始まったことに因む。本日当せん番号が発表された、くじ付き年賀はがきの抽せんでは、シリアルナンバー入りの特別仕様記念切手が当たる。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="TODAY IN BUSINESS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="コラム" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>日ごろ仕事でお世話になっている人に、たまには手紙を送ってみよう。</p>

<p>4月からスタートしたBNLの新企画「<a href="https://bnl.media/business-insights/column/today-in-business/" target="_blank" rel="nofollow">TODAY IN BUSINESS</a>」。2回目となる今回は、日本で郵便制度が始まった日を記念して制定された「郵政記念日」にまつわる最新情報をお届けする。</p>

<h2>郵便業界の人手不足解消に、自動運転実験中</h2>

<p>年賀状を辞退する「終活年賀状」に象徴されるように、手紙をやり取りする機会は年々減っている。一方で、EC市場の拡大により宅配・郵便業界は人手不足が深刻だ。</p>

<p>問題解決の一端として、日本郵便は2019年3月に自動運転での輸送実験を実施。5段階の自動運転レベルのうち、運転手による操作が要らない完全無人の「レベル4」で、新東京郵便局の敷地内1.5kmのコースを最大時速20kmで走行し、実験は成功した。</p>

<p>日本郵便では2018年より荷物輸送実験として、緊急時に運転手が手動で対応する「レベル3」の実験を行ってきたが、完全無人車による荷物の輸送実験は今回が初めて。法整備などが整えば、2025年以降、全国で郵便局から郵便局までの配送に自動運転トラックを導入することを目指している。</p>

<h2>前島密の記念展、切手デザイナーによるトークイベントも</h2>

<p>2019年は、郵便制度の構築に尽力した「日本近代郵便の父」前島密の没後100周年でもある。前島は、郵政博物館では、前島密没後100年記念「鴻爪痕-HISOKA MAEJIMA-」展を開催中。会名の「鴻爪痕（こうそうこん）」とは、前島密による自伝を指す。</p>

<blockquote>
  <p>「日本近代郵便の父」として知られる前島密は、生まれて間もなく父を亡くし、12歳で江戸へと旅立ちます。時は幕末、黒船が来航し揺れ動く情勢の中、青年時代は砲術、機関学、英語等、自らが必要だと思う学問を貪欲に学び、明治維新後は新政府のもと近代日本社会の基礎となる数々の業績を残していきます。</p>

<p>争乱の時代において勉学に励み偉業を成し遂げた一人の青年の足跡について、当館収蔵資料やパネル展示等により紹介します。</p>

<p><a href="https://www.postalmuseum.jp/event/2019/03/kousoukon.html" target="_blank" rel="nofollow">郵政博物館 「鴻爪痕-HISOKA MAEJIMA-」展 案内ページ</a>より</p>
</blockquote>

<p>会期中は、日本に数名しかいない切手デザイナー、玉木明によるトークイベント＆サイン会も開催される。</p>

<p>さらに日本郵便では、元号改変に合わせてくじ付き年賀はがきの「<a href="https://yu-bin.jp/letters/otoshidama/chance.html" target="_blank" rel="nofollow">ダブルチャンス賞</a>」を用意。本日、抽せん番号が発表された。※</p>

<p>ダブルチャンス賞の景品は、シリアルナンバー入りの特別仕様記念切手シート。当せん本数は1万本、当せんはがきの引換期間は2019年7月22日（月）までとなる。令和元年となる5月に向けて、平成最後の運試し。新時代幕開けのワクワク感がより高まりそうだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/96958A9F889DE6E1EBE2E4E4E2E2E3EAE2E6E0E2E3EB9180EAE2E2E2-DSXMZO4390658018042019CR8001-PB1-1.jpg">
<figcaption>くじ付き年賀はがきで当たるのは、500円切手2枚セット。横山大観の「朝陽（ちょうよう）霊峰」と、五姓田義松の「田子之浦」があしらわれている。5月上旬には一般発売も予定されている。</figcaption></figure></p>

<p>日々、仕事の現場ではメールやチャットでやり取りすることがほとんどだが、この郵政記念日をきっかけに、たまには手紙で取引先などに感謝の意を伝えてみてはいかがだろう。</p>

<h2>参考文献</h2>

<p><a href="https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42764670S9A320C1X12000/" target="_blank" rel="nofollow">日本郵便、郵便局の敷地で「レベル4」の自動運転（日本経済新聞）</a><br>
<a href="https://www.postalmuseum.jp/event/2019/03/kousoukon.html" target="_blank" rel="nofollow">前島密没後100年記念「鴻爪痕-HISOKA MAEJIMA-」展（郵政博物館 公式サイト）</a><br>
<a href="https://yu-bin.jp/letters/otoshidama/chance.html" target="_blank" rel="nofollow">お年玉ダブルチャンス賞（日本郵便 公式サイト）</a></p>

<p>※記事公開時に本文中に載せていました当せん番号に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。正しい当せん番号は<a href="https://yu-bin.jp/letters/otoshidama/chance.html" target="_blank" rel="nofollow">こちら</a>にてご確認ください。</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="5010001112697"></div>
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    </content>
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    <title>集団におけるイノベーションは、一人ひとりが自身と向き合うセルフマネジメントから始まる - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/04/self-management-sip2019.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9208</id>

    <published>2019-04-18T01:40:30Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:28:03Z</updated>

    <summary>BNLの特集「職場再考」では、オフィスの新しい形やマネジメントの仕組みについて取り上げるだけでは不十分だと考える。イノベーションは外部環境や他者ではなく、自分自身より始まるからだ。ドラッカー大学院教授をはじめ、WIRED編集長も、組織コンサル会社CEOも、この考え方に賛同した。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="イベント" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="thinkdifferent" label="Think Different" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="イベント" label="イベント" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ビジネスと思想" label="ビジネスと思想" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="マインドフルネス" label="マインドフルネス" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>BNLは「Sansan Innovation Project 2019」で「集団におけるイノベーションは、一人ひとりが自身と向き合うセルフマネジメントから始まる」と題したセッションを行った。米ピーター・F・ドラッカー大学院でセルフマネジメントの講座をもつジェレミー・ハンターと、組織コンサルティング会社オムスビCEOの羽渕彰博、『WIRED』編集長の松島倫明の3人が登壇。BNL編集長の丸山裕貴がモデレーターを務めた。</p>

<p>セルフマネジメントとイノベーションがどう関係するのか。簡単に言えば、</p>

<p><strong>1.　経営学の研究により、イノベーションは既存の知と知の新しい組み合わせから生まれることがわかっている</strong></p>

<p><strong>2.　しかし、人はみなバイアスを持っているので、新しいアイデアや自分と異なる考え方をする人と出会ったとき、正当に評価したり素直に耳を傾けたりすることが難しい。そのことがイノベーションの妨げになっている</strong></p>

<p><strong>3.　バイアスを外すためにはその前提として、そもそも自分のものの見方がバイアスに支配されていることや、自分自身の感情が無意識のうちに周りに影響を与えてしまっていることに自覚的になる必要がある</strong></p>

<p>ゆえにイノベーションのためにはセルフマネジメント、その前提としてのセルフアウェアネスが不可欠という話になる。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2017/03/kawakami.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/IMG_4664final720.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>【関連記事】バイアスを外して「自己認知力」を磨こう──妙心寺春光院・川上全龍が説く、禅の哲学</strong></div></a></div>

<p>「リーダシップディベロップメントやマネジメントといったときに、多くの人は自分の『外』のことを考える。しかし、本来は同時に自分の『中』で起きていることもマネージできなければならない」とハンターは言う。</p>

<p>こんなに大切なセルフマネジメントを学校では一切教えてくれない。だからそれをビジネスパーソン向けに教えるのが彼の役割というわけだ。</p>

<p>詳しくはBNLがイベントに先立って行ったハンターへのインタビュー記事を当たってほしい。ここでは主に残り2人の登壇者の話から、ぼくらがいま自分の「中」にこそ目を向ける必要がある理由をあらためて考えてみよう。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/03/Jeremy-Hunter.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/IMG_7389-1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>【インタビュー】米ピーター・F・ドラッカー大学院の人気講座「セルフマネジメント」が、21世紀のビジネスに不可欠な理由</strong></div></a></div>

<h2>セルフマネジメントが組織をよくする</h2>

<p><img src="/uploads/20190315-160254_YAM3819-final.jpg">
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/39752398032">羽渕彰博</a></strong><small>株式会社オムスビ
代表取締役CEO</small>
<p>1986年大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事しつつ、アイデアを短時間で具現化する「アイデアソン・ハッカソン」のファシリテーターとしても活躍。2016年4月に独立し、リレーションシップデザインを軸とする株式会社オムスビを設立し、組織変革したい企業様向けの組織コンサルティングサービス『reborn』を提供している。</p></aside></p>

<p>羽渕が代表を務めるオムスビがやっているのは「誰もが弱さを開示できて自然体でいられるような関係性を結ぶ」ことの支援。オムスビという社名にはその思いが込められている。</p>

<p>具体的には個人向けの「<a href="https://www.ammy.life/" target="_blank" rel="nofollow">AM（アム）</a>」と法人向けの「<a href="https://www.reborn-wellbeing.com/" target="_blank" rel="nofollow">reborn（リボーン）</a>」という2つのサービスを運営している。</p>

<p><img src="/uploads/omusubi.png"></p>

<p>個人向けサービス「AM」が行うのはまさにセルフマネジメントの支援。「人は普段、自分がどういう感情を抱いているのかに無自覚に過ごしていて、"いまここ"に集中していない。カウンセリングによってそこを整理し、常にポジティブにいられるよう支援するのがAM」だという。</p>

<p>しかし、個人の心の持ちようがどれだけポジティブになったとしても、周りとの関係性がうまくいっていなければ、それを維持するのは難しい。そこで、組織改革に特化した人事サービスを提供することで、組織の中にいい関係性をつくり、維持していくことを支援する。これがオムスビのもう一つのサービス、「reborn」ということになる。</p>

<p>どちらのサービスにおいても、オムスビが大切にしているのは「本人（経営者）の価値観」「構造の再構築」「持続的な成果」の3つだと羽渕は言う。</p>

<p>「成果」と「構造」と「価値観」は密接に結びついており、そのすべてが「心理的安全性」につながっているというのが羽渕の持論。だからオムスビがやっているのは、端的に言えば、組織内で心理的安全性が担保できていない原因がどこにあるのかを見つけ、それを解決することだ。</p>

<p>「たとえば、イライラしている社長が社員に対して『とにかくアイデアを持ってこい』と言ったとします。ビクビクしている社員からは、当然そんなにいいアイデアは出てこない。いいアイデアが出てこない現状を見て、社長は『そんなんじゃダメだ』と否定する。そうすると社員はますます心理的安全性を脅かされ、萎縮してしまうことになる。そうやって組織はどんどん悪いループにハマっていきます。でも、社長自身がワクワクしていたらどうなるでしょうか？」</p>

<p><img src="/uploads/omusubiex2.png"></p>

<p>ワクワクしている（価値観）社長はおそらく、自ら「こういうのはどうか？」とアイデアを出すだろう。社長自身が楽しそうにしているし、社長が出すアイデアの中にはそれほど質の高くないものも含まれているから、社員も安心して、積極的にアイデアを出すようになる。「こうして生まれるいい循環（構造）をぐるぐる回しているうちに、イノベーションにつながるようないいアイデア（成果）も生まれてくる」</p>

<p>組織がうまくいかない原因は、必ずしも業務プロセスや構造にあるとは限らない。この例のように、むしろ「経営者の感情≒価値観」に端を発しているケースが多々あると羽渕は言う。</p>

<p>にもかかわらず、多くの組織は業務プロセスの改善やアイデアコンテストなどの個別の施策をやりたがる。そうやって「外」にばかり目を向けるのは対症療法にすぎないから、なかなか組織がよくなることにはつながらない。もっと「中」に目を向ける必要がある、と羽渕はハンターの主張に強く賛同する。</p>

<h2>「テック誌」とは違う『WIRED』が伝えるもの</h2>

<p><img src="/uploads/20190315-160511_YAM3866-final.jpg">
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/39604308050">松島倫明</a></strong><small>合同会社コンデナスト・ジャパン 『WIRED』日本版編集長</small>
<p>前職はNHK出版放送・学芸図書編集部編集長。世界的ベストセラー『BORN TO RUN 走るために生まれた』の邦訳版を手がけて自身もランナーとなり、今は鎌倉に移住し裏山のトレイルを走っている。『脳を鍛えるには運動しかない！』『GO WILD 野生の体を取り戻せ！』『マインドフル・ワーク』『NATURE FIX 自然が最高の脳をつくる』など身体性に根ざした一連のタイトルで、新しいライフスタイルとウェルビーイングの可能性を提示してきた。2018年6月に『WIRED』日本版編集長に就任。
</p></aside></p>

<p>『WIRED』は1993年にアメリカ西海岸で創刊し、昨年で25周年を迎えた。「（一般には）テック誌と括られがちだけれども、テクノロジーを通してライフスタイルやカルチャーを語るのがWIRED」と松島は言う。</p>

<p>テクノロジーそのものを語るというよりは、それによって社会の側、人間の側がどう変わるのかを語るのがWIRED──。それは松島が実際にWIRED編集長に就任する以前から語っていた、テクノロジーに対する一貫した態度を示しているように見える。</p>

<blockquote>
  <p>カウンターカルチャーとデジタルカルチャーをつなぐ象徴的な存在だったスティーブ・ジョブズこそ亡くなってしまいましたが、現在のシリコンバレーのエスタブリッシュメントは『Whole Earth Catalog』以降の西海岸的エートスを体現しています。グーグルにしてもフェイスブックにしても、巨大な営利企業である一方でその背景には、テクノロジーによって人間が個として持っているパワーを十全に発揮できることこそが正義だという価値観があります。</p>

<p>翻訳書をやっていると、彼らの強さはそうした思想がブレないことにあると感じます。そして翻って、日本のテクノロジー企業が弱いのもそこだと感じます。単にビジネスとして儲かるからとか、技術的に新しいからというだけでなく、テクノロジーは人間を人間たらしめるためのツールとしてある、というブレない思想こそが重要なのではないかと思います。</p>

<p>（<a href="https://bnl.media/2017/02/nhk-matsushima.html" target="_blank" rel="nofollow">2017年2月のBNLの記事</a>より抜粋）</p>
</blockquote>

<p><figure>
<img src="/uploads/20190315-153551__YAH1633-final.jpg">
<figcaption>なぜ、特集にこのテーマを選んだのか。最新号に掲載されている編集長のメッセージは<a href="https://wired.jp/2019/03/14/vol32-editors-letter/" target="_blank" rel="nofollow">WIRED.jpでも読むことができる</a>。</figcaption></figure></p>

<p>こうした姿勢はまた、「デジタル・ウェルビーイング」をテーマに据えた最新号の雑誌にももちろん表れている。</p>

<p>「いまもこうやって鼎談が退屈だと、みなさんスマートフォンを取り出して見始めてると思うんですけど、脳はそうやってすぐに（テクノロジーにより）ハックされてしまう。デジタル・ウェルビーイングという特集に込めたのは、そういうものからどうやって自分を守ろうかという話でもあるんです。それにプラスして、テクノロジーがこれからぼくらのウェルビーイングそのものをどうやってハックして、拡張していくのか、いろいろと可能性を探った一冊でもあります」</p>

<p>ウェルビーイングとは、WHO憲章で明記された健康の定義（Health is a state of complete physical, mental and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity.）に出てくる言葉。直訳すれば「良く在る」という意味になる。</p>

<p>日本語で「良い」を意味する英単語には「well」のほかに「good」がある。この2つの単語のニュアンスはどう違うのか。「goodは良い悪いの基準が自分の外にあり、自分とは関係なくすでに決まっているようなものであるのに対して、wellはもう少し、主観的に良いというニュアンスがあるのではないか」と松島は言う。</p>

<p>ということは、ぼくらがぼくらなりに「良く在る」ためには、ぼくら自身にとって「この状態こそが良いのだ」ということに気づくところから始めなければならないはず。これはまさにセルフマネジメント、セルフアウェアネスの話に通じている。</p>

<h2>日本人は「外」にばかり注意を払い過ぎている</h2>

<p><img src="/uploads/20190315-154015_YAM3742-final.jpg">
<aside><strong>ジェレミー・ハンター</strong><small>米ピーター・F・ドラッカー
大学院准教授</small>
<p>ピーター・F・ドラッカー大学院の准教授で、同大学院のエグゼクティブ・マインド・リーダーシップ・インステュテュートの創始者。2018年に東京でTransformを共同創設。教育機関以外でも、フォーチュン200の航空宇宙科学機関やフォーチュン50の銀行、ファイナンス、会計事務所、芸術関連やNPOなど、様々な組織に向けて、リーダーシップ・プログラムを提供している。</p></aside></p>

<p>ハンターは元力士の曽祖父を持ち、カリフォルニアの自宅にも日本式のバスタブを設けたほどの温泉・お風呂好き。日本人の教え子も多く、昨年には東京で新会社「<a href="https://transform-your-world.com/" target="_blank" rel="nofollow">Transform</a>」を立ち上げた。そんな日本と日本人をよく知るハンターは「日本人は『外』にばかり注意を払い過ぎているきらいがある」と指摘する。</p>

<p>「日本の人たちは注意を向けるレベルがほかの国の学生と比べても高いと感じます。それはおそらく日本の文化や自然との結びつきなどに起因しているのでしょう。けれども、日本の人は自分の感情を語りたがらない。自分の体に何が起こっているのかを理解していないのです。そんな状態でどこへ向かおうとしているかをはっきりさせることができるでしょうか。従来の産業社会における生産性とナレッジエコノミーにおける生産性は異なります。自分の頭を使っていろいろなものを生み出すからには、自分の『中』に注意を払う必要があるはずです」</p>

<p>イノベーションにつながるようないいアイデアは、自分のいる組織のどこかにすでに存在している可能性がある。そのいいアイデアがいいアイデアとして映らないのは、もしかしたらそれを判断する立場にあるあなた自身の問題かもしれない。あるいは、あなたの態度が知らない間によくない影響を周囲に与えていて、アイデアが立ち上がるのを妨げているのかもしれない。</p>

<p>人間はほとんどの時間を無意識に過ごしており、放っておくとそのことに気づけない。だからこそ、ぼくらはもっと意識して、自分の「中」を覗く必要があるのだ。</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="2030001113721"></div>

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    <title>「Good luck」でいいの？　相手や状況によって変えたい「頑張ってね」のフレーズ - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2019-04-17T07:00:00Z</published>
    <updated>2019-07-30T07:31:48Z</updated>

    <summary>英語で「頑張ってね」はなんて言う？　相手や状況に合わせて自然なフレーズで声をかけることができたら、相手との距離はもっと縮まるかもしれない。
</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="ひとこと英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="英会話" label="英会話" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
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        <![CDATA[<p>ビジネスで私たちがよく使う言葉は、英語でどんな風に言うのだろう。BNLの新企画「ひとこと英会話」では、ネイティブが使う簡単なフレーズを紹介する。</p>

<p>解説は、翻訳者であり『「とりあえず」は英語でなんと言う？』（大和書房）『「カジュアル系」英語のトリセツ』（アルク）など、自身の著書や、ブログ「<a href="https://www.eigowithluke.com/" target="_blank"rel="nofollow">英語 with Luke</a>」で人気を博す、イギリス人のルーク・タニクリフ。</p>

<p>初回は「頑張ってね」のフレーズを、相手や状況に合わせて見ていこう。</p>

<div class="hint-box">
<a class="open">ルーク・タニクリフのプロフィール</a>
<div class="hint">1982年イギリス生まれ。イギリス人の父とアメリカ人の母を持つ。13歳までイギリスで暮らし、その後アメリカのノースカロライナ州の高校に転校、イギリス英語とアメリカ英語の違いを経験。米ウェズリアン大学を卒業後、雑誌編集者／記者の仕事を経て、2005年、JETプログラムで来日。新潟の中学校で２年間英語教師をつとめ、その間に日本語を学ぶ。2008年に再来日。英会話講師とビジネス翻訳の仕事をしつつ、東京大学大学院にて翻訳論を学ぶ。2010年に開設したブログ「英語 with Luke」は、初心者から上級者までレベルを問わず楽しめる記事で人気を博し、月間150万PVを記録する人気サイトとなった。
</div></div>

<hr />

<h3>「Good luck」は「幸運になるように」</h3>

<p>日本人の友達に「『頑張ってね』は英語でなんて言う？」と聞いたら、ほぼ全ての人が 「Good luck！」と答えました。ネイティブの私もよく使います。</p>

<p>ただしこのフレーズは「全力を尽くす」というよりも「幸運になるように」というニュアンスが強く、相手の実力とはあまり関係がありません。</p>

<p>例えばレポートを書くときや、Excelにデータを入力するときのように、自分のスキルだけを必要とする場合は「Good luck」はあまり使いません。「Good luck」を使うのは、スポーツの試合や、なにかの試験、重要なミーティングなど、自分の実力だけではなく他にも要因があるとき。また、他の単語と一緒に使うときは「at」「with」をつけることが多いです。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/goodluck.jpg"></p>

<h3>職場での「Try your best」は注意が必要</h3>

<p>英語は日本語ほど細かく上下関係を気にしませんが、「Try your best」や「Try your hardest」を職場で使うときは、関係性を考えた方がよいでしょう。意味は「頑張る」に近いのですが、親や先生が子供に使うことが多いフレーズです。</p>

<p>「Try your best」や「Try your hardest」を社員に対して使うと、言われた相手は「普段自分は頑張っていないようにと思われているのだろうか」と感じる可能性があるので、職場では「Keep up the good work」の方が無難。相手がいつも頑張っているというニュアンスを含むからです。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/keep.jpg"></p>

<p>ただし「Keep up the good work」は通常、後輩や部下に対して使います。同僚や同じチームに入っている人に対しては 「We can do this」「Let's do this」 が良いでしょう。気合いを入れて一緒に良い仕事をしたいという気持ちも伝わるからです。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/wecando.jpg"></p>

<p>「You can do it」や「I believe in you」というフレーズもよく耳にします。自信がない相手に「あなたならできるよ」「私はあなたを信じているよ」という共感を示しています。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/youcan.jpg"></p>

<p>また、同僚が諦めそうになっているときは「Don't give up」も良いです。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/Don't-give-up.jpg"></p>

<h3>不運を祈れば幸運になる？ 「Break a leg」</h3>

<p>「Break a leg」というフレーズも紹介しましょう。演劇界で俳優に対して使うフレーズですが、仕事で相手がプレゼンテーションをするときなどにも使えます。</p>

<p>直訳すると「足を折って」になってしまいますが、幸運を祈ることは「神を試す」「神の意に背く」ことになり、いままでの幸運が終わってしまうという迷信を信じた人がいたのかもしれません。だから逆に不運を祈れば幸運になる、と考えられているようです。少し気持ち悪いと感じるかもしれませんが、演劇界だけではなく、日常生活でもよく耳にします。</p>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/break-a-leg.jpg"></p>

<p>最後は「明日は頑張ってね」という意味のフレーズ。日本では、帰りの挨拶で使われることが多いですね。この場合は「Have a great day at work tomorrow」が良いでしょう。文字通り「明日の仕事でいい一日を」という意味です。</p>

<p>では皆様も、<strong>Have a great day at work tomorrow！</strong></p>
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    <title>どんな肩書きにも負けない。凡人だからこそできる、ストーリー型自己紹介 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/04/self-introduction-vol2.html" />
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    <published>2019-04-16T00:50:00Z</published>
    <updated>2019-05-17T04:46:31Z</updated>

    <summary>前職や肩書きを並べただけでは、理解はされても、すぐに忘れられる。そんな凡人にこそお勧めの自己紹介は、ギャップと時間を意識して、共感を生むストーリーを盛り込むことだ。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    <category term="イベント" label="イベント" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>前編に続いて「Sansan Innovation Project 2019」内のセッション「自己紹介のイノベーション」のレポートをお届けする。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2019/04/self-introduction-vol1.html">
<h4>前編</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/20190315-132726__TY16937-1094final.jpg">
<div class="info"><strong>問われているのは役職ではなく存在理由。パーパスの時代における究極の自己紹介とは？</strong></div></a></div>

<p>一人目の登壇者である横石崇が扱ったのは、他人から「あなたは何をしているのか？」「あなたは何者か？」と問われて始まる自己紹介。このような質問に対してどう返せば、自らの人生の目的を自然な形で相手に伝えることができるかを考えた。</p>

<p>一方、二人目の福井康介が取り上げるのはその逆。自分で自分をプレゼンテーションするシチュエーションについて考える。「自分は凡人。それを伝えるだけで自分が何者かをみんなが理解し、応援してくれるような立派な肩書きはない」と語る福井だが、「凡人には凡人ゆえに人に応援してもらえる可能性がある」とも話す。</p>

<p>凡人はどんな自己紹介をすれば人に応援・共感してもらえるだろうか。</p>

<p><img src="/uploads/20190315-134802__TY25516-final.jpg">
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/33229700108">福井康介</a></strong><small></small>
<p>27歳会社員。まだ何者でもない。その予定もまだない。</p></aside></p>

<h2>「理解される」ではなく「覚えられる」ことがゴール</h2>

<p>福井はまず、横石が立てた「そもそも人はなぜ自己紹介をするのか」という冒頭の問いに立ち返る。</p>

<p>福井の考えるその答えは、「自分のことをどこかでしゃべってほしい」とか「仕事につながる話を持ってきてほしい」とか「やりたいことに協力してほしい」からというもの。であれば、自己紹介をした結果、自分のことを相手に覚えてもらわなければ意味がない。ゆえに自己紹介の最初のゴールは、「理解されること」ではなく「覚えられること」ではないか、と言う。</p>

<p><img src="/uploads/ippan.png"></p>

<p>では、覚えられるためにはどうすればいいのか。これまでの一般的な自己紹介は例えば、「どこどこ大を出て、どこそこの会社に入り、どこそこの部署を経て、いまはこんな肩書きです」というようなものだった。しかし、こういう自己紹介をすると、情報認識的には「パターン認識」にハマってしまう。「ああ、●●な感じな人なのね、とその場で理解はしてもらえても、パターンとして処理され忘れ去られてしまう」</p>

<p>「パターン認識」では理解はされるが覚えてもらえない。達成したいのは理解されることではなく覚えてもらうこと。ではどうするか。そこで福井が持ち出すのが「ストーリーの力」だ。</p>

<p>福井によれば、人間の脳は「パターン認識」と並んで「ストーリー記憶」も得意としている。「エピソード記憶」などとも言われる。好きな小説や映画の内容を、大まかな話の筋だけでなく意外と細かいところまで覚えていられるのは、ストーリーがもつ力がなせる技という。</p>

<p>福井は普段、こうした物語に関する研究を行っており、その最終目標は「物語を感覚的ではなく理知的に誰でも学べるようにすること」という。物語にはさまざまな要素が含まれるが、その中の研究対象の一つがこの「ストーリー」。ストーリーの力をうまく使えば、凡人であっても人に覚えられる自己紹介が可能になると福井は言う。</p>

<p><img src="/uploads/timeandgap.png"></p>

<h2>ストーリーの最小要素「時間とギャップ」</h2>

<p>ストーリーの力を活用するには、そもそもストーリーとは何かを知っていなければならない。ストーリーとは何かを探るべく、さまざまな物語づくりに関する文献やアニメ作品を当たる中で、福井は自己紹介にも応用できそうな「ストーリーの最小要素」を見つけたという。それが「時間とギャップ」だ。</p>

<p>横軸に時間を取り、縦軸に感情・テンションを取る。そこに物語を構成するエピソードをプロットしていく。いくつか並ぶエピソード＝「点」をすべて「線」で結んだものが物語だ。このような物語の説明は福井独自というわけではなく、物語の制作者に一般的に知られたものである。例えば『君の名は。』のような有名作品の脚本の検証にも使われているという。そして、ある「点」とそこから一番近い「点」とを結んだ「線」、これが物語の最小単位「時間とギャップ」である。</p>

<p><img src="/uploads/gapandtime.png">
<img src="/uploads/gapandtime-zoom.png"></p>

<p>ギャップとは通常、何かに関する二つの差異のことを指すが、物語におけるそれは「憧れ」と「哀れ」の間にある感情・テンションの差異であると福井は説明する。ここでいう「憧れ」とは、「羨ましい」と思われるようなこと。例えば「勇気を出したこと」「何かに没頭していること」「自分の有能さが証明されたこと」などを指す。一方の「哀れ」は「かわいそうだな」と思われるようなことで、例えば「ダメなこと」「失敗したこと」「自分の無能さが証明されたこと」など。</p>

<p><img src="/uploads/akogareaware.png">
<img src="/uploads/akogareawarezone.png"></p>

<p>受けた感情を「憧れゾーン」と「哀れゾーン」に区切った時に、この間を行き来していれば、ギャップが存在していると言える。そして、時間の経過とともにこのギャップが立ち現れるのが、「最小要素」を備えた物語である。</p>

<p>つまり、時間の経過とともに「憧れ」と「哀れ」の間を行き来するような自己紹介を作れれば、それは人々の「ストーリー記憶」を刺激する。すなわち、福井の言う「覚えられる自己紹介」が出来上がることになる。</p>

<h2>〈憧れ〉と〈哀れ〉で作る、覚えられる自己紹介の型</h2>

<p>以上のことから福井が導き出した、誰もがすぐに実践できるストーリーのある自己紹介の型は、次のようなものだ。</p>

<p><img src="/uploads/kata.png"></p>

<p>「〈哀れ〉なんだけど、実は最近、〈憧れ〉なんです」</p>

<p>〈哀れ〉なことと〈憧れ〉なことを入れ込むことでギャップを作りつつ、「実は最近」というところで時間の経過を表す構造になっている。〈哀れ〉なことと〈憧れ〉なことは、順番が逆でもいい。例えば「〈入社して10kg太った〉んだけど、実は最近、〈VRで美少女になった〉んです」、「〈マンションを買った〉んだけど、実は最近、〈すげえコウモリが窓にぶつかる〉んです」のように使う。</p>

<p><img src="/uploads/kata2.png"></p>

<p>従来の自己紹介は「理解/安心」を目的とし、「肩書き/経歴」というメソッドを使って、脳の機能としては「パターン認知」を刺激していた。これに対してストーリー型の自己紹介は、「記憶/共感」を目的としながら、メソッドとして「ギャップ/時間」を使い、脳の機能としては「ストーリー記憶」を呼び覚ましていく。</p>

<p><img src="/uploads/katainnovation.png"></p>

<p>こうした「ストーリーのある型」から外れた自己紹介はつまらないものになりがちだとして、福井は次のような例を挙げる。</p>

<p>「ほにゃらら株式会社の東京働男です。新卒からどこそこの部署を経験しまして、なになにに転勤したのち、現在は、どれそれの部署でなにがしを担当しています」</p>

<p>例えばこの自己紹介には、時間は存在するがギャップがない。ストーリーのない自己紹介はただの「情報の羅列」である。だから「秒で忘れられる」。</p>

<p>「あー、僕ですか。大学在学中で司法試験受かっていま弁護士やってます。昔っから教科書とかも読むだけで覚えちゃって、試験も、あんまり勉強しなかったけど一発合格でしたね。最近は友達とファンドつくって、かなりお金もできたんで、ほんとモテて困っちゃいますよー笑」</p>

<p>一方、これは時間と憧れしかない自己紹介。これもギャップがないから「ムカつくし、すぐ忘れる」。逆に時間と哀れしかない自己紹介も効果的とは言えない。時間と哀れしかない自己紹介は「卑屈」だ。「情報羅列」「自慢話」「卑屈」。これはどれもつまらない自己紹介の典型と福井は言う。</p>

<p><img src="/uploads/tsumaranai.png"></p>

<h2>凡人にこそチャンスがあると言える理由</h2>

<p>この「ストーリーのある型」を使うと、凡人にこそ覚えられる自己紹介を作れるチャンスがある。なぜなら、ここで必要となるギャップは、ダメな状況から少し頑張っただけで作れるもの。ゆえにダメであるほどチャンスが大きい。</p>

<p>「〈ダメダメ〉な状況から、何か〈頑張ってみる〉。〈結果ダメだったんだけどね〉ということだったとしても、この〈頑張ってみた〉こと自体が憧れの感情を生む。だから覚えられる自己紹介につながる。部屋を片付けてみたとか、本当に些細なことでもいいんです。こうしたちょっとした頑張りっていうのは凡人ほど作りやすい。そういったものを見つけて憧れとして機能させることで、誰でも覚えられる自己紹介ができるのではないか、と」</p>

<p><img src="/uploads/damedame.png"></p>

<p>福井が自身のパートの最後に参照したのは、スティーブ・ジョブズがスタンフォード大の卒業生に向けて行った有名なスピーチの一節だった。「先を見通して点をつなぐことはできない。振り返ってつなぐことしかできない。だから将来何らかの形で点がつながると信じることだ。何かを信じ続けることだ」</p>

<p>点と点は振り返ってつなぐことしかできない──。逆に言えば、その時はただ好きなことをやっていただけで、何につながるかなんて意識していなかったとしても、振り返ればその点と点が線としてつながり、覚えられる自己紹介になることもある。その「点と点を結びつけて線にする」技術こそが、ストーリーづくりなのだと福井は言う。</p>

<p>「いまはいかに楽しげに生きているのかの付加価値が高まっている時代だと思うんです。それはインスタ映えするとかそういうことではなく、本当に好きなことをやっていそう、ということ。本当に好きなことをやっていれば、いいことも悪いことも起こる。それをつなぐからこそギャップができ、立派な肩書きを持つ人にも負けない自己紹介ができるということです」</p>
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    <title>問われているのは役職ではなく存在理由。パーパスの時代における究極の自己紹介とは？ - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <id>tag:bnl.media,2019://125.9202</id>

    <published>2019-04-15T03:45:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:28:03Z</updated>

    <summary>「What do you do? あなたは何者か？」と問われた時に、どう答えるか。「私は〇〇（職業）です」では、パーパスの時代には不十分だという。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>3月14日、15日に都内で開催されたカンファレンス「Sansan Innovation Project 2019」から今回は「自己紹介のイノベーション」と題されたセッションの内容を前後編でお届けする。</p>

<p>自己紹介になぜイノベーションが必要なのか。誰もが当たり前に行う自己紹介という行為だが、「実はそんなに簡単なものではない」と登壇者の一人・横石崇は言う。</p>

<p>そもそも人はなぜ自己紹介をするのか。古今東西さまざまな自己紹介の実例と文献に当たったという横石が出した結論は「自分が平凡だから」。非凡な人はわざわざ自分を紹介しなくてもすでに十分に知られている。だから自己紹介をする必要があるのは凡人だけ。だがここに一つのジレンマが生じる。平凡な自分を紹介したところで何にもならないという矛盾だ。</p>

<p>それでも凡人たる私たちは自己紹介をしなければならない。では凡人にとっての自己紹介とはどうあるべきか。これがこのセッションのテーマである。</p>

<p><img src="/uploads/20190315-132538__TY25386-720final.jpg">
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/yoktak">横石崇</a></strong><small>&amp;Co.,Ltd.代表取締役／Tokyo Work Design Week オーガナイザー</small>
<p>国内最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」代表。テレビ局・雑誌社・ポータルサイトをはじめとするメディアサービス開発を手がけるほか、企業の組織開発や人材育成など、さまざまな場の編集に携わる。「六本木未来大学」アフタークラス講師を務めるなど、のべ500以上の講演やセミナーを実施。鎌倉にオープンしたコレクティブオフィス「北条SANCI」のプロデュースおよび支配人。編著に「これからの僕らの働き方〜次世代のスタンダードを創る10人に聞く〜」（早川書房）がある。
</p></aside></p>

<h2>プロフィットからパーパスへの価値創造のシフト</h2>

<p>いま、世の中では大きな「価値創造のシフト」が起きていると横石は言う。これまではプロフィット（＝便益）こそが第一に求められていた。だが、最近はプロフィット以上に「パーパスを大事にしていこう」ということが言われるようになってきている。</p>

<p>パーパスは、日本語に訳せば目的や存在意義ということになる。ハーバードビジネスレビューの最新号の特集テーマもこのパーパスだ。「会社が何のために存在するのか」とか「あなたはなぜその会社で働くのか」といったことがしきりに問われるようになってきている。それだけで雑誌の特集が組まれるほどになってきている。</p>

<p>これまでも「企業にはビジョンやミッション、あるいはバリューが大切だ」ということは言われてきたが、パーパスは、それらすべてを定義するための根幹となる概念であるとされている。</p>

<p><img src="/uploads/profitpurpose.png"></p>

<p>パーパス（目的、存在意義）に関しては古今東西のさまざまな偉人が言葉を残してもいる。</p>

<p>アインシュタインは「『手段』はすべてそろっているが、『目的』は混乱している、というのが現代の特徴だ」と言っている。あるいはフェイスブックの創設者マーク・ザッカーバーグはハーバード大の卒業生に向けて「（これからの時代において）大切な課題は、『誰もが人生の中で、自らの存在意義を持てる世界』を創り出すことなのです。今後は、さまざまな組織と社会を『パーパスの実現の場』にする必要があります」とスピーチした。</p>

<p>このように「価値創造のシフト」は進んでいる。いまやパーパスなしには企業も個人も立ちゆかなくなってきている。であるならば、自己紹介のあり方もまた変わらなければならない。</p>

<p>これまでの自己紹介は「自分が相手に対してどのようなプロフィットをもたらすことができる人間なのか」が問われていた。しかしこれからは違う。「自分のパーパス、つまりは存在意義や人生の目的をいかに相手に伝えられるかが求められている」と横石は言う。</p>

<h2>たった5分で人生の目的を知る方法</h2>

<p>相手にパーパスを伝えるためには、そもそもパーパスを持っており、またそのことに自覚的でなければ始まらない。では、自分のパーパスはどうやって見つければいいのか。</p>

<p>まさにそのことをテーマにした動画がある。TED Malibuにおける映画プロデューサー、アダム・ライプツィヒによるスピーチ「How to know your life purpose in 5 minutes」がそれだ。</p>

<p>https://www.youtube.com/watch?v=om-XLTeQee0</p>

<p>詳しくは動画を見てほしいが、このスピーチの中でライプツィヒは、5つの簡単な質問に答えるだけで、誰もが自分の人生の目的を知ることができると言っている。5つの質問とはすなわち、「自分は誰なのか」「何をするのか」「誰のためにするのか」「その相手は何が欲しいのか、必要なのか」「結果としてどんな変化を生んだか」である。</p>

<p>実は、後述する横石発案の「理想の自己紹介の型」は、この動画の内容が元になっている。上記のような質問を自分に対して行えば、それが自らのパーパスを発見する手助けになるし、そのやりとりを他者との間で行うことができれば、それがすなわち、自らのパーパスを相手に伝える理想的な自己紹介にもなる、というわけだ。</p>

<h2>「What do you do?」と問われてどう答えるか</h2>

<p>しかし、多くの人にとって自己紹介とは、他人から「あなたは何者か？」と問われて初めて行うものであるから、独りよがりにただ語るだけでは不十分だ。どうすれば自然な形で自らのパーパスを伝えるような自己紹介ができるだろうか。</p>

<p>初対面の人同士の会話はどのようにして始まるか。かのピーター・ドラッカーは誰かと新たに出会えばすぐに「What is your business?」と尋ねるのが常だったという。より一般的には「What do you do?」から始まるコミュニケーションが多いのではないか。</p>

<p>これらの質問は日本語では一般に「あなたは何の仕事をしているのか？」と訳される。だから例えば「I am an English teacher（私は英語教師です）」などと職業や所属、役割を名詞で答えるのが自然に思える。だが、こうした答え方では掛け合いはここで終わってしまう。「自らのパーパスを伝える」という理想の自己紹介の最終目的地にたどり着かない。</p>

<p><img src="/uploads/Whatdoyoudo.png"></p>

<p>そもそもドラッカーが「What is your business?」という質問で尋ねているのも、単にその人の職業を聞いているわけではない。彼が意図しているのは「あなたの目的は何なのか」「あなたは何のために生きているのか」。すなわちパーパスを尋ねているのである。</p>

<p>では、改めて「What do you do?」という最初の質問に対してはどう答えるのがいいのか。そもそも動詞で尋ねられているのだから、回答も動詞で行われるのでなければならないと横石は言う。「I am an English teacher」ではなく「I teach English」のように。</p>

<p>だが、先ほどのライプツィヒの5つの質問に立ち返るなら、これだけではまだ理想の回答とは言えない。この回答には「誰のためにするのか」という視点が欠けている。「働く」とはすべからく「誰かの何かを助けるよう働きかける行為である」と横石は言う。そう考えれば、ここで用いるべき動詞は「teach」ではなく「help」。「I teach English」ではなく「I help children learn English」のようになるだろうということだ。</p>

<h2>What→How→Whyに対してHelp→Do→Believeで答えよ</h2>

<p>「What do you do?」という最初の質問に対してこのように答えると、相手が次にする質問は自然と「How?（＝どうやって？）」になるはずだ。ここでの理想的な回答は「I do that 〜」。すると続けて「Why?（＝なんでそんなことを？）」と聞かれるはず。これに対して今度は「I believe that 〜」と答える。この回答がすなわち自分のパーパスになっている。</p>

<p>例えばアップルという企業を例にとれば、「What?」という最初の質問に対しては「私たちは、50億人に向けて、人類史上もっとも愛されるコンピュータを作っています」。すると続けて「How?」と尋ねられるはずで、それに対する回答は「プロダクトを美しくデザインし、操作をシンプルに、取り扱いを簡単にすることで、革新に挑戦しています」。</p>

<p>そうして最後に尋ねられるのが「Why?」だ。ここまでくれば満を辞して「他人と違う発想をすることが、世界を変えて、人生を素晴らしくしてくれるからです」のように自分たちの信条、すなわち、かの有名な「Think Different」の思想を伝えることができる。そこから「じゃあ1台触ってみませんか？」という話になる。</p>

<p><img src="/uploads/whathowwhy.png"></p>

<p>つまり、What→How→Whyの順で投げかけられる質問に対し、Help→Do→Believeという動詞で答えることで、自然な形で自らのパーパスを相手に伝えることができる。これが横石の考える理想の掛け合い、理想の自己紹介の型というわけだ。</p>

<p><img src="/uploads/Goldencircle.png"></p>

<p>イギリスのコンサルタント、サイモン・シネックは、多くの企業はWhat（例えば自社の製品のどこが優れているかなど）を伝えることに躍起でWhyを伝えないが、人の心を動かし、意思決定を促すのに本来一番重要なのはWhyであり、HowやWhatはそれに付随して決まるものに過ぎないと言っている。「The Golden Circle」と呼ばれるこの理論を耳にしたことのある人は多いのではないか。</p>

<p>だが、こと自己紹介においてはいきなりWhyから始まるというシチュエーションは考えにくい。What→How→Whyという質問順で最終的にパーパスにたどり着くよう、Help→Do→Believeという動詞を使った回答で誘導していく。これが「究極の自己紹介」ではないか、というのが横石によるプレゼンテーションである。</p>

<p><img src="/uploads/threepoints.png"></p>

<p>5月下旬には、このテーマについて書いた横石の新著刊行も予定されているという。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/04/self-introduction-vol2.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/katainnovation.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>【後編】どんな肩書きにも負けない。凡人だからこそできる相手に「覚えられる」自己紹介とは？</strong></div></a></div>
]]>
        
    </content>
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    <title>手みやげを買いに行こう：シェフ交代で革新し続ける「UN GRAIN（アン グラン）」のミニャルディーズ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/04/un-grain.html" />
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    <published>2019-04-14T03:00:00Z</published>
    <updated>2019-05-07T03:09:47Z</updated>

    <summary>手みやげは相手を大切に思う気持ちを伝えるためのものだから、相手がきっと喜んでくれる一品を探したい。これから、BNLが選んだ手みやげを紹介していく。初回は表参道で見つけた、ひとつまみサイズのスイーツだ。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="出会いを変える手みやげ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>出会いは、いつも少し緊張する。だからアイスブレイクを大事にしたい。そこでグッと相手の心を掴めたら、早く打ち解けられるし、信頼し合える付き合い方ができるから。</p>

<p>今回訪ねるのは大阪にある会社。さて、どんな手みやげを持っていこうか。</p>

<p>先方のコーポレートサイトをのぞいてみる。フリーアドレスで開放感のあるオフィス、カジュアルにジャケットを着こなす社員。男女の比率は半々ぐらいで、年齢層は30代が多いみたい。</p>

<p>担当者のパーソナルな情報は、SNSをチェック。Eightの自己紹介（キャリアサマリ）にもプライベートなことがいろいろと書いてあって、けっこう役に立つ。</p>

<p>あ、投稿の中に、PIERRE HERMÉ PARIS（ピエール・エルメ・パリ）のケーキの写真を発見！　他にもスイーツの写真がちらほら。どうやら、フランスのお菓子が好みらしい。</p>

<p>チームメンバーとの写真も多いから、きっと仲が良いのだろう。せっかくだからチームの人たちみんなで食べられるものがいい。一人一個ずつ分けるものより、いろいろつまめて楽しいもの。</p>

<p>決めた、<a href="https://www.ungrain.tokyo/view" target="_blank" rel="nofollow">UN GRAIN（アン グラン）</a>にしよう。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/IMG_31332.jpg">
<figcaption>表参道駅から徒歩15分。少し歩くが、わざわざ歩いて買いに行く手間も、相手への思いとなって手みやげに込められる。お店の目印はいろいろな色のケーキが並んだ看板。入り口には緑が生い茂っていて、ちょっと不思議な空間だ。</figcaption>
</figure></p>

<p>2015年、表参道にオープンしたUN GRAINは、ミニャルディーズの専門店。ミニャルディーズはフランチのコース料理の最後に食べる、ひとつまみサイズの小さなお菓子のこと。本来はフルコースを頼まないとなかなか食べられないものを、食後でなくても楽しむことができる。ミニャルディーズをつくるお店は他にもあるが、その専門店となるとちょっと珍しい。</p>

<blockquote>
  <p>ミニャルディーズとは</p>

<p>フランス語で「上品さ、可憐さ」という意味もあるミニャルディーズは、ひとつまみサイズのお菓子のこと。
人数や相手の好みに合わせて選ぶ楽しさがあり、そして大切な方へ気持ちのこもった上質なお手土産に選んで頂けるように、アン グランはおもてなしの心をミニャルディーズで表現しています。</p>

<p>UN GRAIN HPより</p>
</blockquote>

<p>小さいけれど、見た目はまるでジュエリーのように繊細で華やかだから、箱を開けたときの感動にも期待できるし、上品なケーキをパクッとひとつまみで食べられる手軽さもうれしいはず。</p>

<p>焼き菓子やコンフィズリー（砂糖菓子）も種類が豊富だ。チームのメンバーにも楽しんでもらえるように、数種類選んで箱に詰めてもらった。色と味のバランスを考えながら選ぶのがとても楽しい。</p>

<p>UN GRAINは今年の4月1日にシェフが交代した。伝統的な本格フランス菓子の名店AU BON VIEUX TEMPS（オーボン・ビュータン）でフランス菓子の基礎を学び、PIERRE HERMÉ PARISで自由なクリエイションを身につけた期待のシェフ。</p>

<p>先方が特に好きなお店で修行を積んでいる。渡すときに、ひとこと添えればより興味を持ってくれるかもしれない。</p>

<p>「PIERRE HERMÉ PARISで修行を積んだパティシエがシェフをつとめる、UN GRAINというお店の焼き菓子です。きっとお好きだと思いまして」</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/IMG_1713.jpg">
<figcaption>遠方を訪ねるので、ミニャルディーズは生菓子よりも半生菓子を選んだ。焼き菓子はサブレやフロランタンなどに加え、塩気の効いたナッツなども揃っている。</figcaption>
</figure></p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/IMG_1751.jpg">
<figcaption>ミニャルディーズは、男性ならパクッと一口でも食べられるぐらいコンパクト。</figcaption>
</figure></p>

<p>4月は新しい出会いが多い。その一つひとつを素敵な手みやげで、イノベーションのきっかけになるような時間にしよう。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>「とりあえず行列スイーツ」の前に、あの人だけの逸品を考えよう━━BNLで手みやげの特集がはじまる - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/04/temiyage.html" />
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    <published>2019-04-12T07:00:00Z</published>
    <updated>2019-05-07T03:10:30Z</updated>

    <summary>礼儀だから、好印象だからという理由だけで、渡す行為が目的の手みやげなんてつまらない。相手が喜ぶに違いない特別な一品を、時間をかけて探すからこそ価値がうまれる。BNLは、訪ねる側のおもてなし「手みやげ」を特集する。</summary>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>昨年、日本茶を特集したことがきっかけで、編集長が来客に急須でお茶を淹れるようになった。</p>

<p>お客さんは「なんだか落ち着く」などと喜んでくれて、ペットボトルのミネラルウォーターを出していたときよりも話が弾んでいるようだ。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/07/featuring-nihoncha.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/chaki.jpg">
<div class="info"><strong>会社に来客があったら「自ら急須で淹れる」が最先端のおもてなし──BNLで日本茶特集がはじまる</strong></div></a></div>

<p>お茶を淹れるというほんの少しの手間だが、そのおもてなしが出会いを変える力は、思いの外大きい。</p>

<p>そこでふと、逆に自分が人を訪ねるときのことを考えた。訪ねる側でも、迎えてくれる相手におもてなしができたら、出会いはもっと豊かになるかもしれない。そこでBNLは、訪ねる側のおもてなし「手みやげ」の特集をはじめることにした。</p>

<p>そもそも「みやげ」は、日本固有の文化だという。海外に「みやげ」の文化はなく、ビジネスの相手に贈り物をすることも少ない。</p>

<p>なぜ日本では「みやげ」の文化が生まれたのか。</p>

<blockquote>
  <p>＜前略＞ミヤゲの語源については、いくとおりかの説がある。そのひとつが、「宮笥（みやけ）」説。神社に参るときに持ってゆく笥、つまり、神饌（しんせん）を入れる器の意。あるいは、神社から授かるしるし、と解釈することもできよう。もうひとつが「屯倉（みやけ）」説。大和朝廷の直轄領の稲米の倉の意であるが、それが転じて地方の産物を都に運ぶことに通じる、とする。</p>

<p>＜中略＞</p>

<p>そこには神仏や貴人に対する「献上品」や「もてなし」の意が色濃く潜在している。<br>
それが伝搬したところで、「手みやげ」となる。</p>

<p>━━『おみやげ　贈答と旅の日本文化』　まえがき　神崎宣武著　（青弓社）　</p>
</blockquote>

<p>神社からはじまった日本ならではの「みやげ」の文化は、どのようにして現在まで受け継がれてきたのか。その歴史を文化人類学や民俗学の観点から紐解く。</p>

<p>手みやげの定番品についてもルーツを紹介する予定だ。例えばきびだんごや鳥サブレは、いつからその土地の名物となり、全国に広まっていったのか。そこには歴史的な出来事や鉄道の発展が大きくかかわっているという。実際に手みやげとして定番品を持っていくときは、小話として添えるとアイスブレイクにも良さそうだ。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/37894433306_865a29fbf2_k.jpg">
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/peaceful-jp-scenery/16378523332/" target="_blank">"犬山 桃太郎公園"</a> by Daisuke K(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>ところで、日本には「つまらないものですが」と言って手みやげを渡す文化がある。最近では失礼にあたるから使うべきではないという意見もあるが、この「つまらないもの」について、日本道徳の価値を世界に広げた、新渡戸稲造の『武士道』ではこんな風に記されている。</p>

<blockquote>
  <p>他でもない、アメリカで贈物をする時には、受け取る人に向かってその品物を褒めそやすが、日本ではこれを軽んじ賤しめる。アメリカ人の底意はこうである、「これは善い贈物です。善いものでなければ、私はあえてこれを君に贈りません。善きもの以外の物を君に贈るのは侮辱ですから」。これに反し日本人の論理はこうである、「君は善い方です、いかなる善き物も君には適（ふさ）わしくありません。君の足下（そくか）にいかなる物を置いても、私の好意の記（しるし）として以外にはそれを受取たまわないでしょう。この品物をば、物自身の価値の故にでなく、記として受取ってください。最善の贈物でも、それをば君に適わしきほどに善いと呼ぶことは、君の価値に対する侮辱であります」。この2つの思想を対照すれば、窮極の思想は同一である。
&lt;中略＞
アメリカ人は贈物の物質について言い、日本人は贈物を差しだす精神について言うのである。</p>

<p>━━『武士道』　第6章　礼　新渡戸稲造著　矢内原忠雄訳　（岩波文庫）</p>
</blockquote>

<p>「つまらないもの」は、相手が喜ぶ姿を想像しながら心を込めて探した特別な一品だからこそ成り立つ言葉だったわけだ。もちろん受け取る側も、その意味と価値を理解していたのだろう。</p>

<p>いつでもどこでも手みやげが買えるいま、相手が本当に気に入るものを選べているだろうか。Webで「ビジネス」「手みやげ」と検索してヒットしたものを理由もなく選んだり、行列のできる店のスイーツに頼ったりしていないだろうか。</p>

<p>相手がきっと好きに違いない一品を丁寧に考えはじめると、手みやげの常識としてタブーと言われてきたものも選択肢に入ってくる。例えば、羊羹などの切る必要があるお菓子はビジネスの手みやげとしてふさわしくないといわれている。しかし最近ではキッチンのあるオフィスも多いから、もし相手が餡子に目がない人なら、常識的にはタブーでも、その人にとってはうれしい一品だ。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/37043264791_3c7c4cb2fb_k.jpg">
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/peaceful-jp-scenery/16378523332/" target="_blank">"wagashi-kisetu(225)"</a> by hinata0328(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>迎える側と訪ねる側。両者がお互いを思い合えば、その出会いはもっと豊かになる。イノベーションが生まれるきっかけにだってなるかもしれない。これからはじまる特集では、手みやげが出会いにもたらす価値を再発見したいと考えている。もちろん、最新の手みやげ事情にも触れていく。</p>

<p>一回目の明日は、BNLが厳選したおすすめの手みやげを紹介する。Eightのオフィスからも近い、表参道にある革新的なスイーツの店だ。思いの籠もった手みやげ探しにぜひ役立ててほしい。</p>
]]>
        
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    <title>4月10日は「お弁当始めの日」──1964年の東京オリンピックで発展した冷凍食品の歴史 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <id>tag:bnl.media,2019://125.9196</id>

    <published>2019-04-10T01:50:00Z</published>
    <updated>2019-04-10T04:40:17Z</updated>

    <summary>今日は「お弁当始めの日」。冷凍食品やレトルト食品などの製造・販売を手がける株式会社ニチレイフーズが2017年に制定した。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="TODAY IN BUSINESS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="コラム" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="飲食" label="飲食" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>バレンタインデーやホワイトデーは有名だが、実は世の中には他にも多くの記念日がある。</p>

<p>今年は何が違うのか。新しいトレンドはあるのか。どんなビジネスの狙いや市場の実態、あるいは業界発展の歴史があるのか。BNLの新企画「TODAY IN BUSINESS」がスタート。</p>

<p>今日4月10日は「お弁当始めの日」。</p>

<p>この日を制定したニチレイフーズの調査によると、冷凍食品のお弁当カテゴリーの売り上げは、4月10日前後が一年を通じて最も高いという。そこで新生活にお弁当を作り始める人を、豊富な冷凍食品の食材で応援するという意味も込めて「お弁当始めの日」としている。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/sub1-720.jpg">
<figcaption>数字の並びとして、「弁当」の「弁」が数字の「４」に似ていることと、「当（とう）」＝「10」の語呂合わせにも由来している。</figcaption></figure></p>

<h2>冷凍食品の開発現場にAIを導入</h2>

<p>日本の冷凍食品のクオリティは日々進化しているが、2019年3月にニチレイフーズは鶏肉加工の工程にAIを活用した独自技術を取り入れると発表した。</p>

<p>加工の際に混入してしまう「硬骨」はこれまでX線検査機での選別を行っていたが、食品同士の重なった部分を硬骨と誤認し、良品を廃棄するケースもあった。そこで選別の精度を上げるべく、さまざまな情報によって食品を識別、学習するAI選別プログラムを開発。3月より導入をスタート。</p>

<blockquote>
  <p>今回のAI検出技術を導入することで、下記の効果を見込んでおります。<br>
１）　良品を硬骨混入品と誤認する比率 1/5に低減<br>
２）　製品廃棄削減率  約50％　（半減）<br>
今後も、AI選別技術を導入・拡大し、貴重な食糧資源のロス削減に努め、これまで蓄積してきた技術と合わせ、３年を目途に製品廃棄削減率80％を目指します。</p>
</blockquote>

<p>導入後もデータを蓄積しさらに精度を高めていくという。</p>

<h2>日本の冷凍食品はオリンピックを機に進化</h2>

<p>実はこうした冷凍食品の進化には、オリンピックが関わっていたという歴史がある。
1964年の東京オリンピックでは20万人分、60万食にのぼる選手の食事が課題となった。そこで注目されたのが食材の冷凍保存技術。</p>

<p>日本にフランス料理を広めた帝国ホテルのシェフ村上信夫と、日本冷蔵（現在のニチレイフーズ）の社員はこの課題に挑戦。大会開催まで３年、食材冷凍技術の研究開発をおこなった。そして試行錯誤の結果、冷凍した食材を使ったメニューを振る舞い、のちに首相となる佐藤栄作オリンピック担当大臣を「おいしい」とうならせるまでに。冷凍食品の一般化にも大きく貢献する出来事となった。</p>

<p>2020年の東京五輪にむけて帝国ホテルの田中総料理長を中心に、冷凍食材を活用したメニュー作りのプロジェクトは始まっているという。一体、どんな進化を見せてくれるのだろうか？</p>

<h2>参考文献</h2>

<p>・<a href="https://www.nichireifoods.co.jp/news/2019/info_id7199/" target="_blank" rel="nofollow">ニチレイグループプレスリリース</a><br>
・<a href="https://sports.yahoo.co.jp/column/detail/201712110005-spnavi" target="_blank" rel="nofollow">日本の食文化繁栄の礎を築いた1964年大会　東京オリンピック選手村食堂運営での挑戦</a><br>
・<a href="https://www.nikkansports.com/olympic/column/edition/news/201801240000509.html" target="_blank" rel="nofollow">帝国ホテル田中総料理長が語る「東京五輪食堂」</a></p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="7010001091394"></div>
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    </content>
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    <title>『進撃の巨人』の編集者と音楽史上No.1のプロデューサーに学ぶ、Think Differentのフレームワーク - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/04/think-different-vol3.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9193</id>

    <published>2019-04-08T22:45:00Z</published>
    <updated>2019-04-09T09:24:09Z</updated>

    <summary>「Think Differentとは何か？」。その構造を考えるうえで経営学者の永山晋が参考にしたのは、大ヒット漫画「進撃の巨人」を生んだ編集者と、史上最強の音楽プロデューサーだった。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    <category term="経営学" label="経営学" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>新進気鋭の若手研究者3人が「Think Differentとは何か？」をテーマに考察を重ねたセッション。レポート最終回となる今回は、法政大・永山晋のパートをお届けする。</p>

<p>前・中編で紹介した石川善樹、西田貴紀の話から、Think Differentするためには、①アップグレードの前にアップデートする必要があること、②アップデートする際には一人（または少人数）で考えるプロセスを踏む必要があること──の2つが示唆された。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/04/think-different-vol1.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/1280px-Apple_logo_Think_Different_vectorized.svg.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>【前編】芭蕉に学べ。「日本的Think Different」の方法</strong></div></a></div>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/04/think-different-vol2.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/20190314-140401_YAM2419-final1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>【中編】「とりあえずブレスト」の前に。Think Differentは孤独を受け入れるところから</strong></div></a></div>

<p>これを受けてトリを務める永山が向き合うのは、「個人または少人数であれば本当にアップデートできるのか」、そして「アップデート→アップグレードによりThink Differentできたとして、そのあとはどうすればいいのか。イノベーションのジレンマに陥ることなく2度目のアップデートをする方法はあるのか」という2つの問いだ。</p>

<p><img src="/uploads/20190314-141431_YAM2472-final.jpg">
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/">永山晋</a></strong><small>法政大学経営学部 准教授 兼
楽天ピープル＆カルチャー研究所アドバイザリー・ボード・メンバー</small>
<p>1982年、広島県生まれ。早稲田大学商学部卒業、同大学大学院より修士号ならびに博士号（商学）を取得。
早稲田大学商学学術院助教を経て、2017年法政大学経営学部に専任講師として着任。2018年4月より現職。
組織論を専門とし、「革新的成果が創出されるチームや組織のメカニズムとは何か」をテーマに研究を行っている。</p></aside></p>

<h2>アップグレードへの強烈な誘惑</h2>

<p>そもそもわれわれはなぜアップデートではなく、いきなりアップグレードしたい欲求に駆られるのだろうか。永山の説明するその理由は至極シンプルだ。</p>

<p>われわれはアップグレードへの誘惑に囲まれて生きている。「他社の成功モデルを適用する」「フレームワークに依存する」「前例がないと何もできない」......多くのビジネスパーソンに心当たりがあるだろうこれらは、すべてアップグレードにつながる道の入り口だ。「だから放っておくと、（西田が結論づけたように）少人数だったとしても、アップグレードへと向かってしまう。思想なき既存知の応用は同質化につながり、レッドオーシャンに飛び込むことになる」</p>

<p>名を残す成功者であっても例外ではない。『少年マガジン』の副編集長・川窪慎太郎は、あの大ヒット漫画「進撃の巨人」を、作者・諫山創とともに作り上げた凄腕の編集者だ。最終的にはThink Differentできたからこそあれだけの大ヒット漫画を生み出せたわけだが、そんな彼も当初はアップグレードの罠に嵌ったのだと永山は言う。</p>

<p>川窪は「進撃の巨人」以前に、その時ヒットしていた作品を分析し、ヒット漫画には「ファンタジー」「バディもの」「失われた何かを取り戻すストーリー」という3つの要素が共通して含まれていることを抽出。このフレームワークを適用し、漫画家とともに「反逆の影使い」という作品を作った。本人的には手応えのあったこの作品はしかし、結果として単行本2巻分で打ち切りの失敗に終わる。Amazonレビューでは「人気漫画の劣化版」と評されることになった。</p>

<p>川窪が凡人と違ったのは、ここで終わらなかったからだ。失敗の真因は、漫画家がやりたいことよりも、売れることを重視したことにある。この失敗から学んだ川窪は、いきなりフレームワークを用いるアプローチをやめ、まずは作家の情念を完全に抽出し、すべてを出し切った後に初めてフレームワークを適用して内容を洗練させていく創作方法に切り替えた。その結果生まれたのが「進撃の巨人」なのだと永山は説明する。</p>

<p><img src="/uploads/shingeki2.png"></p>

<p>「進撃の巨人は絵がウリというわけではない。他の大ヒット漫画のように主要キャラが際立っているというわけでもない。漫画の世界ではそれまでキャラとストーリーが立っていることがヒットの前提条件とされてきたのですが、この作品はその常識を覆しました。独自の世界観と謎だけで売るというスタイルを確立したのです」</p>

<h2>2度のアップデートに成功した音楽プロデューサー</h2>

<p>強い信念を持ってアップグレードへの誘惑に打ち勝ち、アップデートの末にThink Differentに成功したとしよう。問題はその先だ。最終的にアップグレードへと進めば、結局のところイノベーションのジレンマに嵌まるのではないのか。そこでジレンマに陥ることなく、もう一段階Think Differentすることは可能なのか。</p>

<p>この問いを解くために永山が参照するのは、スウェーデン出身の音楽プロデューサー、マックス・マーティンである。</p>

<p>1990年代にはバックストリート・ボーイズやブリトニー・スピアーズ、2000年代にはボン・ジョヴィやケリー・クラークソン、2010年代に入ってからはマルーン5、テイラー・スウィフト、ジャスティン・ティンバーレイクらをプロデュース。ビルボード1位獲得回数22回は、ポール・マッカートニー、ジョン・レノンに次ぐ史上3位という歴史的なプロデューサーだ（2019年4月9日時点）。これだけ移り変わりの速い時代にあって、なぜ彼にだけこれほど長い期間にわたり大ヒットを飛ばし続けることができたのか。「それは彼が2度のアップデートを遂げた稀有な例だから」と永山は言う。</p>

<p>マックス・マーティンはもともとハードロックバンドのボーカルとして1985年にデビューしたが、まったく売れることなく95年にバンドを脱退。そこからロックもボーカルも諦めて、ポップスの作曲家・プロデューサーへと転身する。この時彼が考えたのは、「歌い心地さえよければ歌詞の意味などどうでもいい」ということ。これが彼の新しさ、最初のアップデートだ。</p>

<p><img src="/uploads/max-rock.png"></p>

<p>その結果生まれたのがブリトニーやバックストリート・ボーイズによる大ヒット。だがこの快進撃は2002年にストップし、その後しばらくは低迷期が続き、「マックスの時代は終わった」とまで言われた。次のヒットは2007年まで待たねばならなかった。</p>

<p>その間、彼は何をしていたのか。それは「キャッチーなのに歌うとすごく難しい」音楽の追求であった、と永山は言う。「一回聞いて終わりではなく、何回もループして聞いてしまう中毒性を追求した。スルメのように噛めば噛むほど味が出る曲の創作です。それが奏功して、彼は再びヒットを量産するようになったのです」</p>

<p><img src="/uploads/max-innovation.png"></p>

<p>非常に稀ではあるものの、イノベーションのジレンマに嵌まることなく、2度のアップデートに成功する道は存在するということだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/maxhitartists.png">
<figcaption>これまでにマックスがプロデュースした主なアーティスト。マックスが手がけた曲がビルボード1位に輝いたアーティストは赤文字になっている。</figcaption></figure></p>

<h2>ジレンマを抜け出すカギは「出会い」</h2>

<p>マックス・マーティンはなぜイノベーションのジレンマから抜け出し、2度目のアップデートに成功したのか。そのカギは新しいネットワーク、つまりは「出会い」にあると永山は言う。では、どんなネットワークであればいいのか。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Billboardghost.png">
<figcaption>Source: "<a href="https://decibelsanddecimals.com/dbdblog/2017/9/8/ghosts.html" target="_blank" rel="nofollow">Billboard Ghosts: Who Really Writes Hits</a>" by Brady Fowler.
</figcaption></figure></p>

<p>マックス・マーティンの例から言えるのは、まずは西田の言うようにスモールチームであること。そしてチームを組む相手が「若くて尖ったヤツ」だったことがよかった。ポイントは「幅広い知識・経験を備えたシニア」と「カッティングエッジな知を備えた若手」の組み合わせにあるという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/newnetwork.png">
<figcaption>Image (left): "<a href="https://en.wikipedia.org/wiki/Dr._Luke#/media/File:Music-dr-luke.jpg" target="_blank" rel="nofollow">Dr Luke at ASCAP awards</a>" by Charles Lee (CC BY-SA 4.0) / Image (right): "<a href="https://en.wikipedia.org/wiki/Shellback_(record_producer)#/media/File:Shellback2015.jpg" target="_blank" rel="nofollow">Johan Schuster aka Shellback in 2015</a>" by Johan Schuster (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-SA 4.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>幅広い知識は加齢とともに価値を増すことが研究からわかっている[1]。逆に専門的な知識は加齢とともに価値を失う。最新の尖った知識に強いのは、いつの時代も若者だ。だから「幅広い知識・経験を備えたシニア」と「カッティングエッジな知を備えた若手」の組み合わせがベスト、ということになる。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/careerage.png">
<figcaption>Source: Mannucci &amp; Yong (2018 Academy of Management  Journal)</figcaption></figure></p>

<p>だが、シニアは往々にしてカッティングエッジな若者を避けがちだ。若者の言っていることがまず理解できないし、自分の場所が脅かされると感じる。一方の若者のほうから見ても、こうしたシニアは「わかってないヤツ」に見えてしまう。だからコラボしにくい。</p>

<p>この越えにくい壁をどうにかして乗り越えた時、Think Differentは成る。依然として難しさは残るが、やるべきことは見えてきたと言えるのではないだろうか。</p>

<hr />

<p><figure><figcaption>[1]Mannucci, P. V., &amp; Yong, K. (2018). The differential impact of knowledge depth and knowledge breadth on creativity over individual careers. Academy of Management Journal, 61(5), 1741-1763.</figcaption></figure></p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="4010001120965"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="4010005002359"></div>
]]>
        
    </content>
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    <title>「とりあえずブレスト」の前に。Think Differentは孤独を受け入れるところから - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/04/think-different-vol2.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9192</id>

    <published>2019-04-07T22:50:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:28:11Z</updated>

    <summary>松尾芭蕉じゃなくても、Think Differentな偉人になれる方法はある。それは「独立心を持ち、一人で考えること」から始まる。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="イベント" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="thinkdifferent" label="Think Different" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><a href="https://bnl.media/2019/04/think-different-vol1.html" target="_blank" rel="nofollow">昨日公開した前編</a>に続き、「Sansan Innovation Project 2019」内のセッション「Think Differentとは何か？」のレポートをお届けする。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2019/04/think-different-vol1.html">
<h4>前編</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/1280px-Apple_logo_Think_Different_vectorized.svg.png">
<div class="info"><strong>芭蕉に学べ。「日本的Think Different」の方法</strong></div></a></div>

<p>前編で石川善樹は、歴史上もっとも偉大な日本人である松尾芭蕉から抽出した「日本的Think Different」のフレームワークを、①まずアップデートし、②その後アップグレードする──という2段階のモデルとして表現した。</p>

<p>しかし、フレームワークというからには、それを用いることで芭蕉のような一部の天才だけでなく、私たち一般人にもThink Differentができなければ嘘ということになる。</p>

<p>石川からバトンを受けたSansan DSOCの西田貴紀が挑んだのは、まさにこの問いだった。私たちはどうすればこのフレームワークを実践し、芭蕉のようにThink Differentできるのか。</p>

<p><img src="/uploads/20190314-133443_TY14646-final.jpg">
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/">西田貴紀</a></strong><small>Sansan株式会社 DSOC R&amp;D Group研究員</small>
<p>一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。専門は計量経済学、労働経済学。在学中、非正規労働者の教育訓練に関するデータ解析に取り組む。ビジネスネットワークのデータを活用し、労働移動に関する研究などに従事。</p></aside></p>

<h2>「黒の衝撃」の衝撃</h2>

<p>西田は無類のファッション好きという自身の趣向を活かしてこの問題に取り掛かる。ファッション業界におけるThink Differentの代表的な例といえば、日本発の世界的ブランド「コム デ ギャルソン」が挙げられるという。1982年のパリコレで同ブランドが発表した作品は業界を震撼させ、のちに「黒の衝撃」と呼ばれることになった。</p>

<p><img src="/uploads/garcons.png"></p>

<p>「黒の衝撃」の何が衝撃だったのか。西田によれば、それまでのパリコレでは黒を使うことはタブーとされてきた。コム デ ギャルソンのデザイナー川久保玲はそのタブーを破って全面的に黒を使った。また、当時考えられていたエレガンスの基準からすればありえない、ほつれやかぎ裂きなどの「ボロルック」を初めて取り入れたことでも知られる。</p>

<p>そうしてファッションをまずはまったく新しいものへとアップデートし、その上で当時のエレガンスを考慮してデザインを整えた。その結果生まれたのが「黒の衝撃」だと西田は言う。つまり、石川の言う「①まずアップデートし、②その後アップグレードする」という2段階を川久保もまた踏んでいることになる。</p>

<h2>独立心とクリエイティビティ</h2>

<p>では、どうすればわれわれ一般人に「黒の衝撃」のようなイノベーションを起こすことができるだろうか。西田はこの問いを解くのに、まずは服そのものを見ることから始めた。</p>

<p><img src="/uploads/tshirt.png"></p>

<p>コム デ ギャルソンのいわゆるメッセージTシャツには「MY ENERGY comes from freedom and rebellious spirit」とある。日本語に訳せば「自由と反逆精神が私のエネルギー源」という意味だ。あるいは川久保自身のインタビューを読んでみると、「強い信念を持った人が好き」という言葉も残っている。西田はこうしたことから、「強い信念、独立心のようなものがThink Differentのために必要なマインドセットなのではないか」と考えた。</p>

<p>ジョンズ・ホプキンズ大学で行われた「独立心とクリエイティビティ」に関する研究に、それを裏付ける結果が出ているという。2つのグループに対して「地球外生命体の絵を描け」というタスクを課すことでクリエイティビティを測ったところ、「グループで作業するように」と指示されたグループAの人よりも、「あなたはグループから拒否されたから、一人で取り組むように」と指示されたグループBの人のほうが、クリエイティビティが高いという結果が出た。</p>

<p><img src="/uploads/outsideadvantage2.png"></p>

<p>この結果は私たちの直感に反するものと言えるのではないか。「アイデアを出せ」と言われたら、私たちはとりあえず「みんなで知恵を寄せ合って......」と考えがちだ。研究の結果が示すのはその逆。たった一人、なおかつグループから拒否までされて、強い信念を持ってやり抜いた人のほうがクリエイティブだというのだ。</p>

<h2>脳の3つのモード</h2>

<p>さて、このようにして何かのアイデアについて考える時、脳はどのように働いているのだろうか。</p>

<p>西田は考えるプロセスを「アイデアを生成する」「アイデアを選定する」「アイデアを評価する」の3つからなるとモデル化する。わかりやすく言えば、まずはなんでもいいからアイデアを100個くらい出す、というのが「生成」。それを分類したり共通点を持つもの同士をつなげたりして2、3個くらいにまで絞り込むのが「選定」。最終的に1つに決めるのが「評価」というイメージだ。</p>

<p><img src="/uploads/brainnetwork.png"></p>

<p>脳科学の研究によれば、「生成」「選定」「評価」のプロセスでは、それぞれ「Default Mode Network」「Salience Network」「Executive Network」と呼ばれる脳の異なる部位が活性化することがわかっているという。</p>

<p>凡人の脳はこの3つのネットワーク同士の結びつきが弱いのに対し、天才の脳では3つが強く結びついている。つまり、凡人はせいぜいどれか一つしか得意ではないが、天才は必要に応じていろいろなモードを切り替えることができる。</p>

<p>凡人が天才のように脳を使うにはどうすればいいのか。西田によれば、アイデアの生成に必要な「Default Mode Network」は一人の時に活発になりやすい。一方、アイデアの評価に必要な「Executive Network」は複数人でいる時、外に注意が向いている時に活発になりやすい。</p>

<p>「であれば、一人の時にアイデアの生成や選定を行い、複数のアイデアを結びつけるような内省のプロセスをしっかりと踏む。その上で複数人のミーティングに参加するようにすればいいのではないか」。これが西田のパートの結論だ。</p>

<p><img src="/uploads/howtousenetwork.png"></p>

<p>これは先ほどのマインドセットの話とも合致する。われわれは「アイデアを出す」というとすぐに複数人でのブレストなどを思い浮かべるが、そうではなく、まずは独立心を持って一人で考える時間を大切にすること。「それがThink Differentの第一歩ではないか」と西田は言う。</p>

<p><img src="/uploads/20190314-134852__YAH0405-final.jpg"></p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/04/think-different-vol3.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/shingeki2.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>【後編】『進撃の巨人』の編集者と音楽史上No.1のプロデューサーに学ぶ、Think Differentのフレームワーク</strong></div></a></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="4010001120965"></div>
]]>
        
    </content>
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    <title>芭蕉に学べ。「日本的Think Different」の方法 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/04/think-different-vol1.html" />
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    <published>2019-04-07T00:50:00Z</published>
    <updated>2019-04-09T09:23:07Z</updated>

    <summary>1997年にアップルコンピュータは、広告キャンペーンで「Think Different」と打ち出し、17人の偉人を取り上げた。あれから22年が経ったいま、あらためて「Think Differentとは何か？」を問うセッションが開催された。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="EVENTS INFO" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="thinkdifferent" label="Think Different" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="イベント" label="イベント" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>あらゆるビジネスはコモディティ化の道を進み、やがて激しい競争に巻き込まれる運命にある。ライバルと同じことを考えていてもそこからは抜け出せない。そこではいかに「人と違うことを考える」かが重要になる。</p>

<p>しかし、そのためには「人と違うことを考える」とはそもそもどういうことかを知っていなければならない。「Sansan Innovation Project 2019」内のセッション「Think Differentとは何か？」は、まさにこうしたテーマを扱ったものだった。予防医学者の石川善樹、Sansan DSOC R&amp;D Group Labs Team Leader 研究員の西田貴紀、イノベーション研究に詳しい法政大学経営学部准教授の永山晋の3人が登壇したこのセッションから、今回は石川によるパートをお届けする。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/20190314-140505__YAH0448-final.jpg">
<figcaption>3月14日、15日の2日間に渡って開催された、「Sansan Innovation Project 2019」。本セッションは初日の午後に開催され、700人規模の客席が全て埋まった。</figcaption></figure></p>

<p>石川は15分ほどの自身のパートで、松尾芭蕉を例にとって日本的Think Differentのフレームワークを提示した。芭蕉は日本が世界に誇る俳人ではあるが、古今東西さまざまな偉人がいる中で、なぜ芭蕉なのか。私たちは芭蕉から何を学ぶことができるだろうか。</p>

<p><img src="/uploads/20190314-132156_TY14471-final2.jpg">
<aside><strong><a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=29181270105&amp;person_id=29181270105&amp;page_kind=profile">石川善樹</a></strong><small>予防医学研究者／Campus for H共同創業者／Habitech研究所長</small>
<p>1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士（医学）取得。「人がよりよく生きるとは何か（Well-being）」をテーマとして、企業や大学と学際的研究を行う。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学など。著書に『疲れない脳をつくる生活習慣』（プレジデント社）、『友だちの数で寿命はきまる』（マガジンハウス社）、『仕事はうかつに始めるな ―働く人のための集中力マネジメント講座』（プレジデント社）、『問い続ける力』（ちくま新書）などがある。</p></aside></p>

<h2>世界と日本の偉人ランキング</h2>

<p>MITメディアラボのセザー・ヒダルゴが考案したHistorical Popularity Index（HPI）という指標がある。石川によれば、この指標を使えば「歴史上さまざまいる偉人たちのどちらがより偉大だったのかを定量的に比較することが可能になる」という。</p>

<p>この指標はWikipediaのその人に関するページが「何カ国語に訳されているか」と「どれくらい読まれているか」から算出される。</p>

<p>この数値を用いて古今東西の偉人を比較すると、例えば「アインシュタインとニュートンは同じくらい偉大だった」ということになる。人類史上もっとも偉大だったのはアリストテレス。プラトン、キリストを含めた3人が世界のベスト3という。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/thinkdifferentrankingglobal.png">
<figcaption>世界の全ランキングはこちら：<a href="http://pantheon.media.mit.edu/rankings/people/all/all/-4000/2010/H15" target="_blank" rel="nofollow">PANTHEON People Rankings All</a></figcaption></figure></p>

<p>世界のベスト10に残念ながら日本人の名前はない。では日本人のトップは誰か。それが松尾芭蕉だ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/thinkdifferentrankingjapan3.png">
<figcaption>日本の全ランキングはこちら：<a href="http://pantheon.media.mit.edu/rankings/people/JP/all/-4000/2010/H15" target="_blank" rel="nofollow">PANTHEON People Rankings Japan</a></figcaption></figure></p>

<p>日本人でありながら国内外に多大なる影響を与えたのが松尾芭蕉。であれば芭蕉からThink Differentの作法を学ぼう。そこには日本人ならではの極意があるはず、というわけだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/bashoHPIrank2.png">
<figcaption>芭蕉のHPIは27.44で、全世界のランクは325位。101カ国語のページがあり、300万以上のPVを記録している。</figcaption></figure></p>

<h2>「古池や～」のすごさ</h2>

<p>芭蕉といえば「古池や 蛙飛び込む 水の音」の句が有名だが、この句はどこがすごいのか。石川による解釈は以下の通りだ。</p>

<p><img src="/uploads/kawazu2.png"></p>

<p>まず「古池」とは何か。池はどんなに古くなろうと生きている限りは池のままだ。「古池」というからには、それは水が枯れて死んでしまったかつての池を意味する。死んだもの、枯れたもの、つまり「わび」を示しているのが「古池や」のパートということになる。</p>

<p>次に「蛙飛び込む」。これは「下品」の象徴であると石川は言う。和歌の世界では新古今和歌集以来、蛙の鳴き声は鶯のそれと並んで雅なものとされてきた。だから歌に蛙が登場した時点で鳴かせるものと相場が決まっている。にもかかわらず芭蕉は蛙を鳴かせることなく飛び込ませる。「なんて下品な！」というわけらしい。</p>

<p>枯れてしまって水のないところに蛙が出てくるだけでも不可思議なのに、当然鳴くものかと思いきや、飛び込むのだという。ではどこへ飛び込むのか。最後に登場する「水の音」が示すのは「さび」だ。「さび」とは、物事の本質だったり生命のみずみずしさだったりを指す。</p>

<p>われわれはここに至って初めて「ああ、池は死んでいなかったのか」ということを知る。人里離れた場所で忘れ去られているけれども、確かに存在しているのだということがわかる。</p>

<p>このように「わび」「下品」「さび」と、当時の人からするといろいろなことが起こりすぎているのが、この「古池や〜」という句。これが松尾芭蕉のすごさである、と石川は言う。</p>

<h2>まず新しくする。質を上げるのはそのあと</h2>

<p>ここに「Think Different」のヒントがあるという。芭蕉は何が違ったのか。研究者は物事を分析する際によく二軸の掛け合わせで考える。この場合の横軸は「新しさ＝update」、縦軸は「質の高さ＝upgrade」だ。</p>

<p><img src="/uploads/haiku.png"></p>

<p>もともと存在していたのは、貴族が詠む雅なものとしての「和歌」。しかし芭蕉が注目したのは和歌ではなく、「俳諧」である。俳諧は和歌と異なり雅なものではない。下品でふざけたテーマを扱い、季語すらない。なぜかというと、読み手が貴族ではなく、庶民だったからだ。ある意味、和歌がアップデートされたものが俳諧といえる。</p>

<p>芭蕉はこうして生まれた俳諧に「わび・さび」を加えることでアップグレードした。その結果生まれたのが「俳句」だ。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2016/12/fcreport-vol3.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/20170321123239-52273704d1697f3f291988aa5d44eafee1248667.jpg">
<div class="info"><strong>石川善樹が「BNL Fireside Chat」で語った、新しいアイデアを生む、3つのつながりの法則</strong></div></a></div>

<p>一方の貴族たちはその間、和歌をアップグレードし続けていた。彼ら貴族と芭蕉は何が違ったのか。芭蕉のすごさは「最初から質の高さを求めるのではなく、まず新しくして、その後に質を高めたところにある」と石川は言う。</p>

<p>「私たち日本人はすぐに質を高めたくなる。でも和歌がそうであったように、一度質を高めてしまうとそこから庶民に横展開するのは極めて難しい。これはビジネスにも同じことが言える。例えば、東京で生まれたサービスの地方展開が難しいというのも、その一例と言えるでしょう」。まさにイノベーションのジレンマ。既存顧客・既存市場に過度に適応してしまうと、新しく現れた質の低いものに駆逐されてしまうことが起こる。</p>

<p>このような流れで石川は「私たちが芭蕉から学べることがあるとすればそれは、まずは質の高さはどうでもいいということ。一回新しくした後に質を高めることこそが、日本流のThink Differentではないか」と結論づけた。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/04/think-different-vol2.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/20190314-140401_YAM2419-final1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>【中編】「とりあえずブレスト」の前に。Think Differentは孤独を受け入れるところから</strong></div></a></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="4010001120965"></div>
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    <title>「丸の内の大家さん」の引越しに、職場再考を学ぶ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/04/mec-tanaka.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9190</id>

    <published>2019-04-05T02:30:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:33:12Z</updated>

    <summary>グループアドレス、仮眠室、集中ブース。三菱地所が昨年、先進的なオフィス改革に踏み切った。たった9ヶ月間という猛スピードで、ハードだけでなく、ITと制度もまとめて変えた。ある「危機感」があったからだ。移転から約1年、改めてオフィス改革の真意を聞いた。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="職場再考" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>田中文康</strong><small>三菱地所株式会社 総務部ファシリティマネジメント室統括</small>
<p>2002年入社。住宅事業部門で分譲マンションの商品企画、開発に携わる。2010年、半年間のアメリカ留学を経て、ビル事業部門へ。丸の内エリアを中心にシェアオフィスやコワーキングオフィスなど、コラボラティブなワークプレイスの企画開発に取り組む。2017年に総務部へ異動、のち本社移転プロジェクトのメンバーになる。</p></aside></p>

<p>昨年1月。「丸の内の大家さん」こと三菱地所が引っ越しをした。大手町1丁目6番地から、大手町1丁目1番地へ。通りを1本隔てただけの引っ越しだが、新オフィスの見学者は1年間で5000人を超えた。</p>

<p>三菱地所は丸の内・大手町・有楽町エリアに30棟以上のビルを所有する。引っ越し前、本社オフィスは大手町ビルヂングにあった。築60年のオフィスビルだ。現在は大規模な改修工事を行っている。</p>

<p>移転した先は2017年に竣工したばかりの大手町パークビル。最新の複合ビルだ。本社移転プロジェクトチームのメンバーの一人、田中文康はこう言う。</p>

<p>「三菱地所はこれまで、建て替え候補となるようなビルに本社を置いてきました。我々が退居すればビルの相当部分が空くので、その分（建て替えや改修時に）お客さまにご迷惑をおかけすることが減るからです。古いビルを転々としてきたので、社員の中には『まさか新しいビルで働ける日がくるとは』と言う者もいました」</p>

<p>80年を超える歴史を持つ三菱地所が、慣習を変えてまで新しいオフィスをつくったのはなぜなのか。老舗企業の本社移転の背景には、多くの日本企業にとってひとごとでない危機感がある。</p>

<h2>「実験場」としての新オフィス</h2>

<p>三菱地所の本社で働く社員数は約800人。旧本社オフィスはいわゆる島型対向式レイアウトだった。数名分のデスクが向かい合わせに並び、その端に副長席。いくつかの島を見渡せる位置に部長席。役員は個室。外出するときは行き先をホワイトボードに書いていた。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/kyu_office.jpg">
<figcaption>旧本社オフィスの執務室の一部。島型対向式の固定席で、デスクには書類や本などが積まれている。（画像提供：三菱地所）</figcaption></figure></p>

<p>旧本社はビルの空室を活用していたため、七つのフロアに点在していた。他部署に行くときはセキュリティーエリアを出て、共用廊下や階段を通らなければならなかった。他の入居者や来訪者とすれ違うこともある。そのたびに抱えた書類を裏返したり隠したりしなければならなかった。</p>

<p>「オフィスサプライヤーである我々が、時代にそぐわないオフィスで仕事をしていて、お客さまに本当にいい提案ができるのかという課題意識がありました」</p>

<p>田中は「新しいオフィスを『実験場』と位置付けている」と言う。</p>

<p>新オフィスでは固定席を廃し、グループアドレス制（部署ごとに大まかなエリアを決めた上でフリーアドレスを運用する仕組み）を導入した。役員用の個室はなくなった。代わりに、通常のデスクに加えて、スタンディングデスクやファミレスのようなボックス席、モニターを備えた打ち合わせブースなど、多様な席を用意した。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_DSC0461.jpg">
<figcaption>ハイデスクは、歩いている人と目が合いやすい高さ。「そういえばあれどうなった」「あとで送っておく」などと会話が生まれることが増えたという。</figcaption></figure></p>

<p>「マネジメントクラスとのコミュニケーションがとりやすくなり、ビジネスのスピードが速くなりました。移転してから、複数の社外の方に『レスポンスや意思決定が速くなりましたね』と言われたのが印象的です」</p>

<p>移転後も実験を続けている。例えば、ある部署の座席数を減らした。</p>

<p>「当初は100人に対して100席の割合で座席を準備していたんです。一方、事前の調査で在館率、在席率ともにそれほど高くないことが分かっていました。そこで移転後に一部の部署に限って『100人いるけど80席にさせてください』という実験を始めたんです」</p>

<p>座席にセンサーをつけて、ピーク時の在席率や、1日のうちで在席率の高い時間帯などのデータをとる。その数値を共有して、改善点を話し合う。快適さなどの定量化できない部分は、「空いているイスに荷物を置かないようにしよう」とか「短時間の離席でもクリーンデスクを徹底しよう」というように、オペレーションでできることを見つけていく。</p>

<p>「検証のフェーズを終えたら全社展開へ----という具合に、どんどん改善していこうよというオフィスなんです。理念的には完成することはありません。他にも、指紋認証システムや常駐のコンシェルジュ（庶務業務のアウトソーシング・サービス）といった新しいシステムやサービスを導入しています。新オフィスに対する社員の満足度や、新オフィスになって仕事への意識がどう変わったかなどの調査も行っています。仕事柄みんな興味を持って参画してくれるし、理解を得られやすい。結果をお客さまへの提案に生かすこともできます」</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_DSC0459.jpg">
<figcaption>共用スペース「PERCH」ではドリンクやスナック菓子などを買うことができる。指紋認証システムで決済できるので、社内ではキャッシュレスで過ごすことができる。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_DSC0486.jpg">
<figcaption>常駐コンシェルジュのカウンター。以前は、この常駐のコンシェルジュとは別に、個人向けコンシェルジュサービスも試験導入したという。「仕事中にプライベートのことが気になることもありますよね。子どもの学習塾をどうしようとか、今度の旅行の手配をしなければとか。そういうことに気をとられているくらいなら、いっそサービスを取り入むのはどうかと考えました」と田中。（取材時、実証期間は終了）</figcaption></figure></p>

<h2>社員の働き方はどう変わったか</h2>

<p>新しいオフィスを案内してもらった。3階に受付と来客用のミーティングルーム、そしてラウンジ、カフェテリアなど。4〜6階が執務エリアだ。フロアをぶち抜いて内部階段がつくられている。</p>

<p>田中は今回の本社移転を「オフィスからワークプレイスへの変化」と説明する。それがよく表れているのが3階のカフェテリアだ。朝食やランチの利用はもちろん、アイドルタイムに仕事をしたりミーティングをしたりすることができる。社外も含めたイベントが開かれることもある。</p>

<p>「ワークプレイスにおいて食がとても大事だということは当初から考えていました。食事の場は、人々のコミュニケーションの場であると同時に、アイデアが生まれたり、知見を共有したりする場になり得ます。</p>

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<p>食事の場は、アイデアが生まれたり、知見を共有したりする場になり得る。</p>
</div>

<p>つまり、『食を介したコミュニケーションを取ることができるワークプレイス』と捉えています。だから『もう社食と呼ぶのはやめよう』と。カフェテリアの名前は『SPARKLE』というんですが、新オフィスのデザインコンセプトである『park』を含みつつ、『spark』、つまりひらめきが起こるような場所にしたいという思いを込めて命名しました」</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/SPARKLE.jpg">
<figcaption>「SPARKLE」のランチは、社員の健康を考えたメニューが多数揃っている。食事をしながらミーティングを行う社員も多いという。（画像提供：三菱地所）</figcaption></figure></p>

<p>「SPARKLE」には厨房の他にコーヒースタンドがあり、朝7時から8時半までコーヒーを飲むことができる。「ワークスタイルが朝型に変わったという社員もいますね」と田中は言う。</p>

<p>内部階段で4階へ上がる。固定席時代には紙資料が山積みになっていたが、その光景も今は昔。先述のとおり座席はグループアドレス制で、クリーンデスクが徹底されている。5階も同様だ。ペーパーレス化が進み、紙の出力枚数は5割削減された。資料を保管するキャビネット類は7割減。代わりに社員一人ひとりにロッカーが割り当てられている。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_DSC0484.jpg">
<figcaption>内部階段をつくったことで、縦方向の行き来がしやすくなった。オープンフロアによる横方向の交流と合わせて、3次元的に「偶発的なコミュニケーション」を誘発することを狙う。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_DSC0471.jpg">
<figcaption>一人ひとりに与えられたロッカーは、各ロッカーの中にコンセントがあって、PCやスマホの充電ができる。</figcaption></figure></p>

<p>「正確にはペーパーレスではなく、ペーパーストックレスですね。進行中のプロジェクトの図面などアクティブな紙資料はロッカーに入れ、それ以外はスキャンして処分しましょう、と。古くからうちをご存じの方ほど驚かれます」</p>

<p>固定席がないから引き出しもない。文房具は「PERCH（パーチ、止まり木の意）」と呼ばれるスペースに共有化した。在庫管理は前出のコンシェルジュが行なっている。今回の移転によりオフィス全体の床面積は以前に比べ2割減ったが、共有スペースの割合は10％から30％へと増加した。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_DSC0456.jpg">
<figcaption>共用スペース「PERCH」は、メック・デザイン・インターナショナルによるオリジナルデザイン。木材の一部には山梨県産の間伐材が使われている。「CSR活動の一環で、山梨県の県有林に関する共同プロジェクトを行っているんです。環境CSR部から『その木材を使ってほしい』と。本社移転プロジェクトを通じて各部署の取り組みを知ることも多かったですね」と田中は言う。</figcaption></figure></p>

<p>6階も執務エリアだが、4階5階とは雰囲気が異なる。オープンフロア型の4階5階に比べて、6階は空間がカーテンやパーテーションで区切られて目隠しされており、奥には個室が並ぶ。そして静かだ。「Concentration &amp; Relaxation（集中と緩和）」がコンセプトのこのフロアには、集中ブースと並んで、仮眠室がある。男性用3室、女性用3室の計6室。カギもかかるようになっている。これほど本格的に「寝るための部屋」がある会社は珍しいのではないだろうか。田中はこう言う。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_DSC0479.jpg">
<figcaption>6階にはストリングカーテンに覆われたスペースも。まわりの気配を感じつつ、視線はほぼ気にならない。「うちの会社にもこんなスペースが欲しい」という人も多いのでは。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_DSC0480-Edit.jpg">
<figcaption>側面がホワイトボードになっているこちらの集中ブースは、一人ブレストをしたいときや、集中して資料を作成したいときなどによく使われる。リラックスしすぎないように、あえてイスは1本脚で、ゆらゆらと揺れる仕組み。</figcaption></figure></p>

<p>「つくること自体は大して難しくありません。部屋の中にリクライニングチェアが1脚置いてあるだけです。難しいのは、うまく使ってもらうことです。そもそも、仮眠をとることが制度として認められていなければ、堂々とその部屋を使うことはできませんよね」</p>

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<p>つくること自体は大して難しくない。難しいのは、うまく使ってもらうこと。</p>
</div>

<p>田中たちは人事部と協働して、生産性向上の観点から1日30分程度の仮眠を推奨する制度を設けた。そして、各自のPCから仮眠室を予約できるように会議室予約システムに組み込んだ。</p>

<p>「ハード、制度、IT。三つがそろってようやく、新オフィスで実現しようとしている働き方が、社員一人ひとりの体験に落とし込まれていくんです」</p>

<p>本社移転と同時に、モバイルPCやスマートフォンの貸与などIT環境の整備を行い、自宅やサテライトオフィスでの勤務を可能にするテレワーク制度を導入した。社員には月2回まで終日のテレワークが認められるようになった。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_DSC0441-Edit.jpg">
<figcaption>カフェや階段などでの社員同士、また上司や部下とのコミュニケーションに変化が生まれたという。オフィスを細かく紹介してくれた田中の口調からも、フラットでポジティブな雰囲気が伝わってきた。</figcaption></figure></p>

<p>「自分がアウトプットしたい内容に応じてワークプレイスを選べるようにしようという、アクティビティー・ベースド・ワーク（ABW）の考え方は当初からありました」</p>

<p>ABWは近年の主流だが、それを可能にしたのはITの普及と、自由な働き方を推奨する制度だ。固定電話に慣れた中堅以上の社員の中には、柔軟性の高いオフィスに抵抗感を示す人もいたのではないだろうか。そう聞くと田中はこう答えた。</p>

<p>「世代の差ということではないと思います。一つ言えるとしたら、前の本社のほうがマネジメントの難易度が低いんです。なぜかというと、部下がいつもまわりにいて、電話の声も聞こえる。話しかけたいときに話しかけられる。管理する側にとっては効率がいいんです。でも、社員一人ひとりにとっては、しょっちゅう上司に話しかけられたり、周囲の雑音で集中を妨げられたりすると、生産性を上げられる環境とは言えません。でも、一番の目的は、チームとしてのアウトプットを最大化することですよね」</p>

<p>「そう考えれば答えは自ずから明らか」と田中は言う。</p>

<p>「仮に『フリーアドレスだと部下が何をしているかわからないから困る』と言われたとしたら、『それはマネジメントにおいて工夫して解決すべき問題であって、ハードの問題だけではありません』というのが答えになると思います」</p>

<p>ハードが変われば、働き方も変わる。</p>

<p>「オフィス移転は、働き方改革を推進するための強力な打ち手の一つだったんです」</p>

<h2>本社移転の真の狙い</h2>

<p>本社移転プロジェクトのメンバーは専任以外に、ビルの開発や営業部門などから兼務者が参加し、最終的に12人でプロジェクトを動かしていった。2017年4月にプロジェクトチームが立ち上がってから、2018年1月の移転まで約9カ月。</p>

<p>「内装を設計してくれたメック・デザイン・インターナショナルの担当者にも常駐してもらって、朝から夜遅くまで、ランチの間もずっと話していました。それが毎日続くので、部長や担当役員に報告する暇がないんです（笑）。それでも、プロジェクトリーダー以下のチームにほぼ全権を委譲して、任せてくれました。『こうしたいです』と言うと『わかった』と。『支障があるなら俺が話す』と言ってくれて、実際に各部署に話を通してくれた。そうでなければこのスピード感では実現できていないと思います」</p>

<p>社長をはじめとする経営陣のコミットが得られたのは、三菱地所において本社移転が「働き方改革」という大きな経営課題の中に位置付けられたプロジェクトだったからだ。</p>

<p>「来たるべき2020年代に我々はどういう姿でありたいのか。時代の変化を先取りするスピードで、競争力あふれる企業グループでいられるのか。その危機感は強くありました。</p>

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<p>制度や設備を新しくすること自体が目的ではない。それらを使って、いかに生産性をあげられるかが大事。</p>
</div>

<p>ただ気分を変えるための引っ越しではもちろんありません。テレワークを取り入れることや、集中ブースや仮眠室をつくること自体が目的なのではなく、それらを使っていかに生産性を上げていくか。フレキシブルな働き方を許容する風土や、新しいことにチャレンジしやすい文化をいかにつくっていくか。そのスピードを上げていけるか。そういったことが我々の本社移転プロジェクトの背景にはありました」</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_DSC0475.jpg">
<figcaption>6階の共用スペース「GLAMPLE」のデザインコンセプトは「グランピング」。グランピングとは「グラマラス（魅惑的な）とキャンプ」のこと。フロア全体をキャンプサイトと見立てて、緑を取り入れたり、けもの道のような細い通路を設けたり、テントのようなブースをつくったりした。名称はカフェテリア「SPARKLE」に呼応する形になっている。</figcaption></figure></p>

<p>田中たちは、移転から1ヶ月後に社員に対してアンケートを行った。その結果、「企業風土は変わると思うか」という質問に86％がYESと答え、「新しいアイデアが生まれやすい環境になったと思うか」という質問に71％がYESと答えた。</p>

<p>「丸の内の大家さん」の新居には、引っ越しから1年以上経った今も見学ツアーの申し込みが後を絶たない。</p>

<p>「（見学ツアーで）さまざまなお客さまをご案内していて思うのは、オフィスからワークプレイスへの変革のニーズがものすごく強いということです。それは本質的には、みなさんが本来の目的であるアウトプットをいかに出すかということを考え始めたからではないかと思います」</p>

<p>オフィスのあり方は、たった一つの正解があるわけではない。しかし、働き方改革が進み、人々の働く場所に対する意識は確実に変わっている。</p>

<p>「昔のオフィスは固定席が当たり前でした。固定席制とは、人と場所が一対一の鎖でつながれているということです。今考えれば硬直的な働き方に思えますが、当時の人たちも、その時代の合理性に基づいて『どこにオフィスを構えようか』『どういうオフィスにしようか』と考えていたはずです。しかし以前と同じやり方では新しい価値を生みづらくなってきたのではないでしょうか」</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_DSC0507.jpg">
<figcaption>エントランスにはゆったりとスペースをとった。受付の後ろにある複雑な造形の「COMPASS TREE」は「大樹」をモチーフにしている。「PARK」をデザインコンセプトとする本社オフィスの「シンボルツリー」だ。「形が複雑すぎて平面の図面に落とせないんです。デザイナーと職人さんの技の結晶です」。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_DSC0503.jpg">
<figcaption>エントランスには大画面のデジタルサイネージを備える。ここで表示されているのは、世界じゅうのツイッターのつぶやきを分析して、「世界が今どんな感情に包まれているか」をビジュアライズしたもの。</figcaption></figure></p>

<p>田中によれば、「オフィスからワークプレイスへの変化」とは「人と場の鎖を一度断ち切る」ということだ。長年つながってきた鎖を断ち切り、さらに新しい形でつなぎ直すのは容易なことではない。しかし、危機感が背中を押した。</p>

<p>自分たちはこの先の未来にどうなっていたいのか。思い切ってオフィスを変えてみたら、その先にどんな働き方が待っているのか。そんな視点から「職場再考」をしてみるのも面白いかもしれない。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/02/office-concept-2010.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/15-0007943-1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>関連記事：リモートでも働ける時代に、オフィスはどう進化できるか──特集「職場再考」導入編</strong></div></a>



<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="2010001008774"></div>
]]>
        
    </content>
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    <title>「年長者ほど能力も見識も高い」は大間違い━━要約『劣化するオッサン社会の処方箋』 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/04/BNLBooks-VOL19.html" />
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    <published>2019-04-04T05:00:00Z</published>
    <updated>2019-12-16T07:07:48Z</updated>

    <summary>いくつになっても新しい学びを続け、知識を身につけないと、年長者は価値を失うという。この本は、年長者が劣化しないため、そして若手や中堅が価値あるビジネスパーソンとして生きるための指南書だ。

</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネス書" label="ビジネス書" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="学び" label="学び" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>山口 周</strong><p>
1970年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通、ボストン・コンサルティング・グループ等を経て、組織開発・人材育成を専門とするコーン・フェリー・ヘイグループに参画。現在、同社のシニア・クライアント・パートナー。専門はイノベーション、組織開発、人材/リーダーシップ育成、キャリア開発。著書に『グーグルに勝つ広告モデル』（岡本一郎名義）『天職は寝て待て』『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』『外資系コンサルの知的生産術』（以上、光文社新書）、『外資系コンサルのスライド作成術』（東洋経済新報社）、『知的戦闘力を高める 独学の技法』（ダイヤモンド社）、『武器になる哲学』（KADOKAWA）など。『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』（光文社新書）でビジネス書大賞2018準大賞を受賞。</p></aside></p>

<h2>「旬の長い知識」を身につけよう━━BNL編集部の選定理由</h2>

<p>社会の変化が激しく、誰もが簡単に情報にアクセスできるいま、「年配者は知見がある」という前提は通用しなくなりつつある。頭の柔らかい若者の方がイノベーションを起こしやすく、知的パフォーマンスのピークは若年化しているという。</p>

<p>では年を重ねても知的パフォーマンスを保つためにはどうするべきか。本書はその解決作として「旬の長い知識を身につけること」を提案している。</p>

<blockquote>
  <p>血気盛んな若手に対してコーチング、メンタリングを行おうとすれば、実務的な知識よりも、より深い思考を促すような本質的な問いかけを行うための「教養」が必要ということになります。<br>つまり10年も経てば劣化してしまうような「旬の短い知識」ではなく、何十年という間にわたって効果を発揮するような知識を入力すべきだということです。</p>

<p>第6章　サーバントリーダーシップ━━「支配型リーダーシップ」からの脱却</p>
</blockquote>

<p>知識の旬の長短をどう見極めるのかについては、その知識がこれまでに活用されていた期間の長短で判断するといい。人間は年を重ねるごとに余命が短くなるが、情報はその逆で、1日経つごとに余命が長くなる。そして、この長いこと活用されてきた知識や情報こそが「教養」なのだという。</p>

<blockquote>
  <p>ここに50年前から読まれ続けている本と、5年前から読まれている本があるとき、前者の本の方が、より長い期間、これからも読まれ続けると考えていい。</p>

<p>第6章　サーバントリーダーシップ━━「支配型リーダーシップ」からの脱却</p>
</blockquote>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2019/03/BNLBooks-VOL18.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/0d751ece54ad1268c2446f1ab1cb0c52955aec9d.png">
<div class="info"><strong>データを鵜呑みにしない。本質を見抜く審美眼を手に入れる『センスメイキング』</strong></div></a></div>

<p>目の前に膨大なデータや最新の情報を並べられると、つい飛びつきたくなる。もちろんそれらの情報も役には立つが、誰でもアクセスができ、すぐに変化してしまう。</p>

<p>大事なのは、その奥にある普遍的な文脈や情報をしっかりと身につけておくことだ。いつの時代でもどんな場所でも通用する知識やスキルがあれば、年齢を重ねても劣化は避けられるだろう。</p>

<p><strong>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4334043739/" target="_blank">こちら</a>。（Amazon）</strong></p>

<hr />

<h2>要約者レビュー</h2>

<p>ここ最近の不祥事のほとんどは、いわゆる「いい年をしたオッサン」が引き起こしたものだ。電車や病院などの公共の場で暴れたり騒いだりするオッサンも、残念ながら増えている。本来は成熟した大人であるはずのオッサンが、なぜ劣化して社会問題になっているのか?――本書はこうした問題提起から始まる。</p>

<p>劣化して社会の害悪となってしまった「オッサン」が量産される構造的な問題について、数々のベストセラーを生み出してきた山口周氏は、人文科学的な知見をもとにその原因を分析し、解決策としての処方箋を提示する。なおここでいう「オッサン」とは、いわゆる「オジサン」と呼ばれる世代の人たち全員を指しているわけではない。古い価値観に凝り固まって、過去の成功体験に拘泥し、謙虚さや学ぶ姿勢を失ってしまった人たちこそが「オッサン」なのだという。</p>

<p>本書では「劣化したオッサン」に対して辛辣な言葉が述べ立てられているが、いつまでも古びない知恵、すなわち「教養」を身につけることで、どんな世代の人でもオッサン化は回避できるという著者の結論には希望がもてる。あなたが50代以上であれば「自分がオッサン化していないか?」を、50代未満であれば「オッサンのような思考回路に陥っていないか?」を確認するための"リトマス試験紙"として、本書を活用してはいかがだろうか。</p>

<hr />

<h2>本書の要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> <br />
バブル崩壊の影響を受け、オッサンたちは社会や会社に対して恨みを抱えている。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong> <br />
組織は大きく古くなればなるほど、三流の人材が増えて劣化していくという宿命を負っている。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong> <br />
「劣化したオッサン」に立ち向かうには、「オピニオン」と「エグジット」を行使しなければならない。そのためには汎用性のある知識を身につけて、「モビリティ」を高めることが必要である。</p>

<p><strong>── 要点4 ──</strong> <br />
これからの年長者が社会貢献するためには、「教養」を身につけた支援型リーダーシップの発揮が必須だ。</p>

<p><strong>── 要点5 ──</strong> <br />
オッサン化を防ぐもっともシンプルな処方箋は、謙虚に新しいものを学び続けることである。</p>

<hr />

<h2>要約</h2>

<h2>組織が劣化する理由</h2>

<p><figure><img src="/uploads/12788031763_4a9a28793a_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/gato-gato-gato/12788031763/" target="_blank">"thinking it over"</a> by Tobi Gaulke(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h4>オッサンの定義</h4>

<p>本書における「オッサン」とは、年代や性別にかかわらず、次のような行動様式・思考様式をもった「特定の人物像」を指す。</p>

<p>（1）古い価値観に凝り固まり、新しい価値観を拒否する</p>

<p>（2）過去の成功体験に執着し、既得権益を手放さない</p>

<p>（3）階層序列の意識が強く、目上の者に媚び、目下の者を軽く見る</p>

<p>（4）よそ者や異質なものに不寛容で、排他的</p>

<p>したがって中高年の男性でもオッサンに該当しない人がいる一方で、傍若無人な振る舞いで自らを省みることのない人はオッサン化しているといえる。</p>

<h4>「知的真空の時代」を生きたオッサンたち</h4>

<p>20代の頃どんな時代を過ごしたかによって、その後の人格形成は大きく変わるものだ。2018年時点で50代・60代のオッサンたちは、「大きなモノガタリ」のなかで20代を過ごした最後の世代である。「大きなモノガタリ」とは、「いい学校を卒業して大企業に就職すれば一生豊かで幸福に暮らせる」という、バブル崩壊前に蔓延していた幻想のことだ。オッサンたちはこの「知的真空の時代」に若手時代を過ごしており、「大きなモノガタリ」に順応することが、自己の便益を最大化するもっとも合理的な手段だと考えていた。</p>

<p>だがその後、「大きなモノガタリ」は喪失。代わりに「新しいモノガタリ」として、「グローバル資本主義下における弱肉強食の世界」が支配的になった。ゆえにオッサンたちが「大きなモノガタリ」の喪失後、社会や会社に対して「裏切られた」と恨みを抱えることになったのも、頷けるところではある。</p>

<h4>組織は劣化する宿命である</h4>

<p>人材に一流、二流、三流があるとするならば、もっとも出現率が高いのは三流だ。組織を起業して発展させることは、一流の人材にしかできない。しかし組織が成長していくと、人材が増えていくと同時に、三流の人材が幅を利かせるようになる。なぜなら三流は一流が見抜けないので二流におもねり、二流は一流を見抜けるものの疎んじるためだ。</p>

<p>だから一度でも二流がトップに立つと、それ以降はよほどのことがない限り、その組織に一流の人材が入ってくることはない。そして人材のクオリティは世代交代するにつれて、三流に収斂していくことになる。組織が大きく古くなればなるほど、この劣化はより顕著にあらわれる。</p>

<p>先の世代論・年代論で挙げた構造的問題に加えて、このようなリーダーのクオリティの経時劣化が重なり、日本の多くの組織で問題が起きているのだ。</p>

<hr />

<h2>モビリティを高めよ!</h2>

<p><figure><img src="/uploads/7140017139_f4dd9f0cd0_h.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/gigiibrahim/7140017139/" target="_blank">"Fighting bulls"</a> by Gigi Ibrahim(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h4>武器は「オピニオン」と「エグジット」</h4>

<p>「劣化したオッサン」に立ち向かうには、「オピニオン」と「エグジット」を武器として使いながら、社会で権力を握るオッサンに圧力をかけていかなければならない。「オピニオン」とは、おかしいと思うことにおかしいと意見することであり、「エグジット」とは、権力者の影響下から離脱することである。オピニオンもエグジットもしないということは、オッサンが自分の人格や人望を勘違いする土壌を育んでいるという意味で、不祥事に加担しているのと同じである。</p>

<p>とはいえオピニオンやエグジットの行使は、ややもすると自分のキャリアを危険にさらすことにもなりかねない。ゆえに汎用性の高いスキルや知識などの「人的資本」と、信用や評判などの「社会資本」を厚くして、「モビリティ」を高めていくことが、リスク管理上は不可欠になる。</p>

<p>「モビリティ」はこれから先のキャリア形成における最重要キーワードだ。これまでスキルや知識の獲得は、会社という枠組みのなかでおこなわれるケースがほとんどだった。だが今後は、どんな場所でも生きていけるように学び続ける意識が欠かせなくなってくる。</p>

<h4>オピニオンやエグジットを行使できない理由</h4>

<p>日本ではこれまでオピニオンやエグジットが積極的にされてこなかった。理由としては次の2つが考えられる。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/02/BNLBooks-VOL1.html">
<h4>関連記事</h4>
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<div class="info"><strong>正解を出す技術ではもう戦えない──1冊10分で読む：『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか？』</strong></div></a></div>

<p>（1）美意識の欠如<br>自分なりの美意識（審美眼、道徳観、世界観、歴史観）がある人は、許容できることとできないことの線引きがはっきりしている。逆にこれが欠如していると、仮に上司が一線を越える振る舞いをしても、声をあげて指摘することができない。</p>

<p>（2）モビリティの低さ<br>ここでいうモビリティとは、エグジットを行使して組織を出たとしても、いまの生活水準を維持できるだけの能力のことである。モビリティが低いということは、スキルや知識がいまの組織においてのみ有効なもので、汎用性がないということだ。副業を好ましく思わないような典型的な日本企業に長いあいだ勤めていると、モビリティはいっこうに高まらない。だから彼らはオピニオンやエグジットを行使できないのである。</p>

<hr />

<h2>【必読ポイント!】 年長者は敬うべきか</h2>

<p><figure><img src="/uploads/16378523332_d1aa1690cf_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/peaceful-jp-scenery/16378523332/" target="_blank">"cloud of snow"</a> by peaceful-jp-scenery (busy)(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h4>年長者とイノベーション</h4>

<p>日本には「年長者は尊敬すべきである」という暗黙のルールがある。しかし年長者ほどスキルや判断能力が高いというデータはじつのところ存在しない。したがって「年長者は尊敬すべきである」というのは、わたしたちの儒教文化に根差した「信仰」だといえる。</p>

<p>オランダの心理学者ヘールト・ホフステードがおこなった調査結果によると、日本は「年長者に対して反論するときに感じる心理的な抵抗の度合い」が相対的に高い国として分類されている。一方でイノベーションランキングの上位にくるのは、年長者に対して反論しやすい国ばかりだ。</p>

<p>画期的なアイデアを生み出すのは、「若い人」や「新参者」であることが多い。だが権力を年長者が握ってしまうと、「若い人」や「新参者」に直接の発言権や資源動員の権力がなくなってしまう。その結果、なかなかイノベーションが起きなくなるのである。</p>

<h4>年長者の価値がなくなっている</h4>

<p>それでも「年長者は敬うべきだ」という規範は、合理性を超えたところでそれなりに支持されてきた。これは長いあいだ、年長者が組織やコミュニティにとって一種のデータベースの役割を担ってきたからだと考えられる。しかし20世紀後半以降、年長者のもつ価値が失われる3つの変化が発生している。</p>

<p>（1）社会変化スピードの高速化<br>20世紀後半以降、ライフスタイルの変化スピードがどんどん速くなり、それまで年長者が長い時間をかけて培ってきた知識や経験が、すぐに陳腐化するようになった。わたしたちがいま向き合っている問題は、年長者にとっても若者にとっても新しい問題だ。そして新しい問題に対する問題解決能力は、むしろ若者の方がすぐれている。</p>

<p>（2）情報の普遍化<br>現在はあらゆる情報に対して、いつでもどこでも誰でもアクセスできる社会に近づきつつある。その影響を受けて、データベースとしての役割を担ってきた年長者の価値は相対的に下がっている。</p>

<p>（3）寿命の増進<br>平均寿命が短かった時代では、貴重な経験値を有している年長者が重宝された。しかし平均寿命が飛躍的に伸長し、年長者の人数が増えてくると、年長者が有していた知識や経験の希少価値は目減りしてしまう。</p>

<p>以上の理由から、「年長者ほど能力も見識も高い」という前提は、これからの時代では成立しないといえる。</p>

<h4>オッサンはサーバントリーダーシップを発揮せよ</h4>

<p>このような状況下で、年長者が組織に対して貢献できることはあるだろうか。</p>

<p>その疑問に対するもっともシンプルな答えは、「サーバントリーダーシップの発揮」だ。サーバントリーダーシップとは、米国のロバート・グリーンリーフによって提唱された概念で、権力に頼らない「支援的なリーダーシップ」を意味する。サーバントリーダーシップは、これまでの支配型リーダーシップとは異なり、「支援する」ことでリーダーシップを発揮する。オッサンならではの懐の深さを発揮し、人脈・金脈・ポジションパワーを使って若手・中堅を支援していくというのが、サーバントリーダーシップの一番わかりやすいカタチだ。</p>

<p>ただしこのリーダーシップは、主導権を握って動こうとする若手・中堅の存在を前提としている。ゆえにオッサンとそれ以外の人たち双方が、リーダーシップのパラダイムシフトを起こさなければならない。</p>

<h4>武器としての「教養」を身につけよ!</h4>

<p><figure><img src="/uploads/15148198290_2316ea3474_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/oh_darling/3645340991/" target="_blank">"British Museum"</a> by Pablo Fernández(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

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<p>年長者の知的パフォーマンスの劣化を防止するアプローチがひとつだけある。それは「劣化しない知能を身につける」ことだ。</p>

<p>これからオッサンがサーバントリーダーシップを発揮して社会に貢献するためには、若手に対して深い思考を促すような、本質的な問いかけができるようになる必要がある。そしてそのためには「教養」が不可欠だ。旬の短い知識ではなく、長いあいだ有用な知識や情報を身につける努力をするべきである。</p>

<p>わたしたちの成長は「経験の質」、すなわち「新しい経験の密度」によって大きく変わってくる。多種多様な人たちとともに、さまざまな仕事をバラエティに富んだやり方で取り組むという「経験の多様性」が、良質な体験をもたらし、深い学習へと導くだろう。</p>

<p>年をとっただけで「老いる」ことはない。いくつになっても創造的で知的パフォーマンスが落ちない人々は、常に目標をもってチャレンジをし続けている。劣化したオッサン社会に対するもっともシンプルな処方箋は、わたしたち一人ひとりが謙虚に新しいものを学び続けることなのである。</p>

<hr />

<h2>一読のすすめ</h2>

<p>ここのところ大きな組織による不祥事が相次いでおり、「いいオトナが何をやっているのか」と思っている人も少なくないはず。本書では「なぜ不祥事が相次ぐのか?」という問いに対して、「劣化するオッサン」が量産される構造的な問題が丁寧に解き明かされ、それに対する適切な処方箋が示されている。</p>

<p>社会の変化のスピードがますます速くなるなかで、わたしたちは何をするべきなのか。オッサン化はけっして他人事ではない。本書を読み、これからの社会を生き抜くための心得をインストールしていただければと思う。</p>

<p>（1冊10分で読める本の要約サービス <a href="https://www.flierinc.com/">flier</a>）</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/04/BNLBooks-VOL6.html">
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    </content>
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<entry>
    <title>伊藤忠商事を「1兆円規模の総合商社」へと導いた中興の祖、越後正一の名言 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/04/Masakazu-Echigo.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9189</id>

    <published>2019-04-02T03:20:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T14:49:27Z</updated>

    <summary>非財閥系商社NO.1への道のりは、決して優しいものではなかった。第5代社長の越後正一は、たび重なる逆境を次々と新たなチャンスへと変えていった。会社が大きな危機に直面した際には、自身の座右の銘をもとに全社員に向けてメッセージを送り、みんなを勇気づけたという。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL History" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="名言の文脈" label="名言の文脈" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>越後正一</strong><small>伊藤忠商事 第5代社長</small>
<p>1901年滋賀県生まれ。25年神戸高等商業学校を卒業し、伊藤忠商事入社。32年より中国・青島に駐在。奉天支配人、満州副支配人、青島支店長、朝鮮・京城支店長等を経て、46年金沢支店長、48年名古屋支店長を歴任。49年取締役就任。52年に55年常務、59年専務に就任し、東京支店長に。その間、取締役副社長を一期務めたのち、60年に第5代社長に就任。「総合化と国際化」を掲げ、非繊維部門の拡充と海外進出を推進。伊藤忠を国際的総合商社に育てあげる。74年取締役会長、78年相談役に就任。勲二等旭日重光章、勲一等瑞宝章受章など、受章多数。</p></aside></p>

<p>伊藤忠商事の第5代社長として、1960年から14年間、越後正一は類まれなる経営手腕を発揮した。</p>

<p>社長在任中の実績は、資本金6.5倍、人員2.7倍、売上高10倍、グループ会社数2.5倍（125社）という驚異的な記録を残している。しかし、その過程は決して順風満帆ではなかった。</p>

<p>伊藤忠商事に入社したのは1925年。従業員数は200人前後。1920年の世界恐慌の打撃により、会社は事業の存亡をかけて日夜苦闘している最中だった。2代目、伊藤忠兵衛の書生だったこともあり、なんとか頼み込んで入社できたものの、南京虫が湧く会社の床で寝泊まりしながら、自転車で毎日集金にまわるという、過酷な社会人生活からスタートしている。</p>

<p>やがて1932年より中国青島支店へ転勤すると徐々に経営者としての頭角を現し、東アジア各地で支店長を務める。</p>

<p>戦後、日本に帰国すると、まず金沢支店の開設を命じられた。そこで支店長として実績をさらに積み上げると、2年後には伊藤忠の"登竜門"と言われていた名古屋支店長のポストを任される。</p>

<blockquote>
  <p>私は相場の勉強に身命を賭して努力をし、信念と自分なりの行き方を持っていた。そのため大したけがもせず、逆に昭和二十六年前後の大暴落に際し、大胆な売りを続け、当時の金で十億円を大きく超える利益をあげることができた。しかし、その間の心労は、生やさしいものではなく、人に語りきれないほど深刻であった。</p>

<p>『私の履歴書 16』（日本経済新聞社 1981年）</p>
</blockquote>

<p>1952年に大阪本社へ戻ると、会社の売り上げの大部分を占めていた綿糸布部の部長に就任。激動する綿糸布界で会社に多大なる利益をもたらし、「繊維相場の神様」として名を馳せる。</p>

<p>1960年に59歳で第5代社長に就任すると、世界的な総合商社への夢実現のため、非繊維部門の拡大に心血を注いだが、その過程でも苦労は尽きなかった。</p>

<blockquote>
  <p>非繊維部門の拡大をいくら口でいっても──木材や化学製品や鉄、油関係を拡大するんだといっても、みんな未経験者ですから、海外との商売をしていましても経費をまかなうだけの利益がでません。従って期末には本社の利益の中から大蔵省の許可をもらって送金しました。各支店が食べていけないから送金する。そうすると綿糸をやっていた部長なんかが「こんなことやっていたら伊藤忠はどないなります」といってきます。「とにかく十年を目標にやってるから黙ってやってくれ」と頼みましたけど、利益は減るし、配当はしなきゃならんし、苦しい時はあったんですけれど、一生懸命やりました。</p>

<p>『大阪商人道を生きて 越後正一、人生と経営哲学』（ブレーンセンター 1988年）</p>
</blockquote>

<p>たび重なる不況の煽りを受け、倒産の危機に追い込まれたことまであった。それでも決して諦めることなく、持ち前のバイタリティーで会社を成功に導いた。そんな越後の言葉には、現代に生きるわれわれにも響くものがある。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/6278350808_27c3e584c0_b-720.jpg">
<figcaption>"<a href="https://www.flickr.com/photos/michaelwm25/6278350808/" target="_blank" rel="nofollow">Into the Light</a>" by Michael W Murphy (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/2.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC BY 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h2>名言が生まれた背景</h2>

<p>1971年のニクソン・ショックで全社に不安が広がった際には、国内外の全社員へ向けてメッセージを送った。今回紹介する名言は、その一部を抜粋したものである。</p>

<p>「成功は窮苦の間に芽生えており、失敗は得意満面の間に宿る。黒雲のうしろには、太陽が輝いている」</p>

<p>前半部分は、前社長から教わったという「成名毎在窮苦日敗事多因得意時（名を成すは常に窮苦の日にあり。事に敗るるは多くは得意の時による）」を表したもの。中国・明朝末の教養人・陸紹珩の読書録『酔古堂剣掃』から引いた言葉である。</p>

<p>後半部分は、学生時代に英語の講義で教わった一節「The sun is always shining behind the dark clouds.」を訳したもので、この時に限らず、苦しい時にはいつも励まされていた言葉だという。</p>

<blockquote>
  <p>苦しいときはみんな一緒である。さきに光明を求めて頑張るのだ、不況のときにこそ勇猛心を起こすのだ。好況のときはだれでも愉快になってはつらつとやるに違いないが、不況になったとき、苦しいときにこそだれよりも頑張るのだ。わたしはこのことをまた私自身にもいい聞かせている。このことばがどれほどわたしをささえ、勇気づけてくれたことか、いま思い直してもいろいろな思い出が浮かんでくる。</p>

<p>しかしながら、逆境のときにチャンスを握るということは、なかなか口でいっているようなわけにはまいらない。金も足りなければ、いろいろな支障もあり、大きな不安もある。そんなときにこそほんとうに先見性を働かせて、頭を切りかえて出直しをしていくのだ。新しい出発をするわけである。昭和三十六年、四十年の不況、あるいは四十六年のニクソン・ショックのようなときには、よしこい、いかなる逆境に立っても、何とか乗り越えていくという勇猛心をもって経営に当たることが大切である。逆境を恐れない経営者でなければ、大きな発展はみられないし成功も望めない。</p>

<p>『経営のこころ 第三集』（日刊工業新聞社 1973年）</p>
</blockquote>

<p><figure>
<img src="/uploads/7821951366_bc2f355d72_k-720.jpg">
<figcaption>"<a href="https://www.flickr.com/photos/ligynnek/7821951366/" target="_blank" rel="nofollow">Japan 2012</a>" by Lig Ynnek (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h2>並々ならぬ向上意欲</h2>

<p>なぜ越後は逆境をチャンスに変え、数々の成功を収めることができたのか。引退後、友人たちから寄せられたメッセージに、そのヒントとなるエピソードがある。</p>

<p>越後は結婚50周年を記念して、1980年5月に約300人の友人を招待し、盛大な金婚式を挙げた。全員の引き出物に、自らの伝記的な出版物を入れていた。信頼のおける編集者に松下電器の松下幸之助やダイエーの中内功など、約80名の友人リストを渡し、彼らのメッセージをまとめた書物である。</p>

<p>なかでも印象深いのは、当時サントリーの社長を務めていた佐治敬三のメッセージに見られる、越後の並々ならぬ向上意欲だ。</p>

<blockquote>
  <p>越後さんとご一緒に「今日庵」にお招きを受けたことがあった。家元・千宗室さん直々のご指導で、立派な会席料理を頂戴するという口福に恵まれたわけである。</p>

<p>「その処を得る」というのはこのことか、と思うほど、千宗匠の"解説"は、舞台上の名優のセリフさながらであった。私たち一同、かしこまって拝聴していたが、ふとお隣りの越後さんをみると、メモを取り出して克明に宗匠の言葉を書き込んでおられるではないか。その真剣なまなざしとすさまじいばかりの向上意欲を眼のあたりに拝見して、私はただただ頭の下がる思いであった。</p>

<p>（中略）</p>

<p>経営者の越後さんを拝見していると、この努力、それに何ごとにも真剣に取り組まれる真摯な姿勢がうかがえる。これこそ伊藤忠が総合商社として大躍進し、世界のCIに発展した原動力だと信じている。</p>

<p>『江州商人「越後正一」 商社界の鬼といわれて──』（現代創造社 1980年）</p>
</blockquote>

<p>並々ならぬ向上意欲は、千宗室のコメントにも見られる。</p>

<blockquote>
  <p>気取りがなくてさりげない思いやり。大伊藤忠を背負い、今日までこられた方だけに、きびしい見方、卓越された力をおもちの大事業家ですが、私にとっては、その人徳にあやかりたい学校の先生という感じ。とにかく表面的なおつきあいの多い社長さんに比べ、越後さんだけは、おなかの中に入っていける持ち味をお持ちだと思います。</p>

<p>裏千家では、大阪連合会の会長と大阪今日庵の会長をお願いしていますが、いったん引き受けるとご自分でお忙しい日程をやりくりして毎回出席されますし、その時の挨拶ひとつでも、必ず茶道の本を読んで取り込んだものを話される。私はつねづね思うんですが、頭の回転の早い、マレにみる勉強家だといえるでしょう。</p>

<p>ご本人も「頭を使わんことには頭がボケる」「聞きもらさずが勉強法」といっておられるが、これには頭が下がります。</p>

<p>『江州商人「越後正一」 商社界の鬼といわれて──』（現代創造社 1980年）</p>
</blockquote>

<p><figure>
<img src="/uploads/6281779090_3f386dfc9b_b-720.jpg">
<figcaption>"<a href="https://www.flickr.com/photos/michaelwm25/6281779090/" target="_blank" rel="nofollow">Rays</a>" by Michael W Murphy (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/2.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC BY 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>不利な状況に陥り、まるで黒雲の中にいるような気分の時でも、自らチームや組織を導き、その奥にある太陽を信じて疑わないこと。そして他の誰よりも勉強に励み、向上を目指し続けること。</p>

<p>「言うは易く行うは難し」とはまさにこのこと。越後のように、実際に黒雲から抜け出せる偉大なリーダーは、今も昔も、ひと握りしかいないのが現実である。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/03/Kanae-Nagasawa.html">
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    </content>
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    <title>創業440年 京都の料亭「山ばな平八茶屋」がずっと変わらないと言われるのは、常に変わり続けてきたから - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/03/kyoto-365.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9184</id>

    <published>2019-03-29T01:30:00Z</published>
    <updated>2019-12-16T05:40:16Z</updated>

    <summary>変えなければ続かないし、変えすぎても良くない。「この店は昔から変わらない」と喜ばれるのは、時代とともに変えるべき部分を見極めてきたからだ。この審美眼は、数百年続く伝統文化の世界だけでなく、すべてのビジネスパーソンに通じる、普遍的なものである。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="新しい後継ぎのかたち" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="後継ぎ" label="後継ぎ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="飲食" label="飲食" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/heihachi">園部晋吾</a></strong><small>山ばな 平八茶屋 21代目</small>
<p>1970年京都生まれ。大学卒業後、大阪北浜にある"料亭 花外楼"での修行を経て家業を継ぎ、現在は経営者、料理人としてだけでなく、特定非営利活動法人日本料理アカデミー地域食育委員長、京都料理芽生会会長も務める。食育カリキュラム推進委員としても食育活動に従事。2007年 京都府青年優秀技能者奨励賞（明日の名工）を受賞。</p></aside></p>

<p>文化的であることは一般的に良いこととされるが、その価値は見えにくい。ビジネスパーソンが伝統文化に触れることにはどんな意味があるのか。教養を身につけることで商談がうまくいく？ インバウンド需要を見込んだ事業のアイデアにつながる？ 確かにそういう話もあるかもしれないが、文化に触れることにはもっと本質的な価値があるはずだ。</p>

<p>園部晋吾は400年以上続く京都の老舗料亭・山ばな平八茶屋の21代目当主。伝統ある京料理に科学を取り入れるなどした改革者として知られる。今年1月には老舗料亭の若主人の集まりである「京都料理芽生会」の会長に就任し、「文化に触れる・文化をつなぐ」を所信として表明した。文化に触れることの価値を問うにはうってつけの人物と言える。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://kyoto365.jp/event/190312/?sc_cid=kyoto365_bnl190327_2"target="_blank" rel="nofollow">
<h4>【関連イベント】KYOTO365特別版「春の京文化の世界へ」</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/screenshot.jpg">
<div class="info"><small>東本願寺渉成園で開催したイベントでは、京都料理芽生会に所属する老舗料理店の料理人が集結し、旬の食材を使って1日限定の特別な懐石を提供。それは園部が考える「文化に触れる・文化をつなぐ」を凝縮した空間だった。
<br><br>
一昨年改正された文化芸術基本法では、生活文化の中に茶道、華道、書道と並んで新たに食文化が追加されており、このイベントは文化庁の委託事業として実施された。</small><date>2019.03.12（火）/<span>終了</span></date></div>

<p></a></div></p>

<p>「文化とは、現状に満足せずにもっともっと、と工夫を積み重ねてきた人間の考えと営みの軌跡である」と定義し、それに触れることは次の新しいものを創出する力になると説く園部。伝統の京文化には意外なほど革新のヒントが詰まっている。</p>

<h2>文化とは、人類が「もっと、もっと」を積み重ねてきた軌跡</h2>

<p>文化に触れることにはどのような価値があるのか。この問いについて考えるのに、園部は自身の本分である「食べる」という行為を例にとる。食べることには二つの目的があると園部は言う。</p>

<p>「一つは、生きるために食べる、です。これは非常にわかりやすい。もし生きるためだけに食べるのであれば、なにも料理をする必要も、盛りつけをする必要もない。捕ってきた魚はそのまま頭から丸かじりすればいいんです。でも、われわれってそんなことをしないですよね。なぜかといえば、それはわれわれに文化というものがあるからです」</p>

<p>食べるという行為には生きるためともう一つ、文化に触れるという目的があると園部は言う。では、そもそも文化とは何か。園部は続ける。</p>

<p>「文化とは何か。もちろんいろいろな意見があるでしょうし、難しいことは私にはわかりません。それでも自分なりに考えるなら、文化というのは、人間がもっともっといまよりも良くならないのかなと考えていった、その軌跡のことではないかと思うんです。つまり、どんっと置いてあった大きな魚、このままだと食べにくいな、もっと食べやすくできないかなと思ったところから『切る』ということが生まれ、もっと柔らかく、食べやすくできないのかなというところから『煮る』や『焼く』が生まれる。そこからもっとおいしくできないのかなと考えて『調理して味つけをする』、もっとおいしそうに飾りつけられないのかなということで『盛りつけをする』。さらに派生して器にこだわるといったことが周辺に生まれる。このようにしてどんどんと積み重なっていったものが、食文化なのではないかということです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/TEST_IMG_5555.jpg">
<figcaption>京都の言葉を使う園部の口調はおだやかで、品がある。話すときも聞くときも背筋がのび、精悍さが印象的だった。</figcaption></figure></p>

<p>文化はわかりにくい、とっつきにくいとよく言われるが、それは最後に残った結果のみを見ているからにほかならない。文化の本質は結果ではなく、そこに至るまでの過程の方にこそある。「人間が何もないところから積み重ねてきた考えや営みこそが文化」と園部は言う。</p>

<p>「文化に触れることが大事だというのも、そこにあると思っているんです。現状に満足するのではなく、次の『もっと、もっと』を求めていくことによって、また新たな世界が創出されてくる。連綿と受け継がれてきた文化に触れることで、そういう未来につながっていく、ということはあると思いますね」</p>

<h2>何を変え、何を守るのか</h2>

<p>このような話を聞けば、園部が改革者であることにも合点がいく。園部の考えに照らせば、変わらないことより変わることの方が本質的に"文化的"だ。</p>

<p>だが、伝統にはそれを変えてしまっては別のものになってしまうという、普遍的に守らねばならない部分もあるはず。ここでは、何を変え、そしてなぜ変えるのかという問いが重要になる。この問いに対しても園部は明確な答えを持っていた。</p>

<p>「父親から引き継いだものの中で、私自身が納得できないものに関して変えているんです。なぜかというと、私が今後この店をやっていく中で、自分がやっていることに関してちゃんと説明ができて、説得力がないと、誰も納得してくれないからです。『昔からこうやっているので』では通用しない。そうじゃなくて、『こういう理由だからこれをしているんだ』ということをきちっと言えるようにならないといけない。だから、父親がやってきたことについて一つひとつ私が質問をして、納得いかない答えが返ってきた時には、それを変えていったんです。逆に、自分が納得して腑に落ちているものは変えていないんですよ」</p>

<p>園部は、それまで職人の肌感覚に頼っていた出汁の取り方に、「1リットルの水に対して鰹節は何グラム、昆布は何グラム」といった誰にでも理解できる客観的な基準を取り入れた。このように"科学"を持ち込んだのにも、もちろんそうしなければならなかった理由がある。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_5585.jpg">
<figcaption>当時、他の老舗料理店の仲間に聞くと、どこの店にも客観的な基準があった。「職人さんが肌感覚でやっていたのはうちだけでした」と園部は言う。</figcaption></figure></p>

<p>「それまでは職人さんが自分の技でやってはったんですけど、時代的に、それでは次の世代への継承が難しくなってきたんです。なぜかというと、われわれくらいの世代から、姿勢がどんどん受け身に変わっていっている。自分なりになんとか技を盗もうという考え方から、それを修行という形ではなく、仕事として捉えていくようになってしまっている」</p>

<p>職人の肌感覚の伝承は、弟子の側に一つでも多くのことを盗み、学ぼうとする姿勢があったからこそ成り立っていたものだった。受け身の姿勢の人が増えれば、そのままのやり方では技術は受け継がれないことになる。このような現実を直視すれば、変わることは必然の選択だった。</p>

<p>ただし、大切な技術のすべてを数字で共有できるという考え方に園部は否定的だ。「料理にはやはり感性的なところがある。ベースにはアナログのコミュニケーションが不可欠」と園部は続ける。</p>

<p>「私はよくデジタルとアナログという言い方をするのですが、アナログっていうのは、言ってみれば口伝ですよね。一方、デジタルというのは、例えばスチームコンベクションがあったら、『何℃で何分やっといて』とさえ言ったら、入りたての子でも茶碗蒸しがきれいに蒸しあがるわけです。でも、きれいに蒸しあがるんですけども、そのきれいに蒸しあがった茶碗蒸しと、実際に職人さんが火加減をして作った茶碗蒸しとでは、やっぱり出来上がりが違うんです」</p>

<p>デジタルには0か1かしかないが、現実はその間に0.2も0.5も0.7もある。0と1で表現できることは限られているのだ、と園部は言う。だから、新しく便利なものが出てくればそれを取り入れ、デジタルで補って効率化してということはありつつも、「ベースとしてはアナログがないとダメなのでは」と考える。</p>

<p>「デジタルは非常に効率的。誰でもわかります。でも、1回言えば誰にでも伝わる、そのことによって、コミュニケーションがどんどん失われているということなんです。一方で火加減なんていうのは、何度やってみても違う、もうちょっと強く、もうちょっと弱く、これだけ蒸気が出てきたら......っていう、目視で、感覚でやっていくわけなんですね。言ってみたらそこに何度もコミュニケーションがある。それこそが大事なんじゃないかと思うんですよ」</p>

<h2>変わらないためには変わらなければならない</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_5640.jpg">
<figcaption>デジタルを否定してはいない。園部は、時代に合わせ、取り入れるものと、いままでと同じやり方でやるべきものを見極めている。</figcaption></figure></p>

<p>「普遍的に変えてはならないもの」についての園部の話は続く。</p>

<p>「使うコメを変え、出汁の取り方を変え、庭師を入れて庭もすべて変えた。本当に変えていっているんですね。でも面白いのが、20年前に来られたお客さまが『ああ、ここは変わらんなあ』と言ってくださる。20年前のお客さまというのは、私の父親の時代のお客さまですよ。これだけ変えていってもなおそう言ってもらえる何かが、ここにはまだあるということですよね」</p>

<p>それが何かは自分でもわからない、と園部は言う。だが、そうやって手法や食材を変えていっても変わらない普遍的な何かは、やはり存在する。幼いころから調理場に出入りし、「将来はお前がこの店を継ぐんだ」と言われて育った。だからこそ、これだけは変えてはならないという感覚が自分には備わっているのではないか。そこだけは守れているからこそ「変わらない」と言ってもらえるのではないか。それはまさに、園部のいう「アナログ的な何か」なのかもしれなかった。</p>

<p>園部はさらにこうも言った。「変わらないと感じてもらうためには、変わらなければならない。変わるからこそ、変わらないと思ってもらえているのではないかと思うんです」。どういうことだろうか。</p>

<p>「世の中も人も全部、どんどん変わっていっているんです。それは人の思考であったり、時間的感覚であったり、興味を持つものであったりもそう。そんな中、もしわれわれだけがずっと変わらないものを提供し続けていたとすると、そこにはものすごく大きな乖離が出てきます。400年前の料理をもしここで再現したとしても、誰一人おいしいなんて言わないです。だから、変わっていくからこそ変わらないんですね」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/viewer01.jpg">
<figcaption>山ばな平八茶屋の入り口。堂々とした歴史ある門は、来る人を和の世界へと誘うようだ。　（山ばな平八茶屋HPより抜粋）</figcaption></figure></p>

<p>ただし、その変わっていく速度が世の中の変化の速度を追い越してしまうと、「あの店、変わったな」ということになってしまう。だから、世の中と歩調を合わせていくことが何より重要になる。ということは必然的に、世の中を敏感に感じ取っていなければならない。どうすれば世の中を知ることができるだろうか。</p>

<p>「世の中を知るには、いろんなことをやってみるべきですね。試してみるべきですし、例えば新しいもの、技術、何でもかんでも携わってみるんです。京都ってそういう意味では、古さと新しさが共存した町だと私は思っています。古いものを残しつつ、新しい物好きなんですよ、みんな。いろんな新しいことに手をつけていくんですね。そうやって手をつけたものの中から、20年後、50年後、残るべきものが残っていく。一方で捨てられるべきものは捨てられてしまうんですね。そういうものの積み重ねっていうのが時代の流れであり、歴史でありということなのかなと思うんですよ」</p>

<p>だからまずはやってみることが大事。やる前から良し悪しを判断する必要はない。出汁を変えたり、コメを変えたりすることで「ここは変わったな」と言われたら、その時は元に戻せばいいだけの話だ。そうやっていろいろな人の評価を得て進んでいくことが大事ではないか、と園部は言う。</p>

<p>「例えばイベントの共催もそうです。料理屋がでしゃばりすぎちゃうかとか、賛否両論は必ずあります。でも、そんなことをいちいち気にしていたら何もできない。だからとりあえずやってみる。やってみてダメやったら変えればいい。そういう発想なんですね、私は。コラボをする相手にしたってそう。『どうですか、お願いできませんか』とまずは声をかけます。『いや、うちはやらないよ』と言われたら、『そうですか』と言って、すぐに次のところに行くっていうだけの話なんですよ」</p>

<h2>伝統文化に脈々と流れる「つなぐ意志」</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_5559.jpg">
<figcaption>園部はふとしたときの所作も丁寧だ。繊細な和食の味を守り続けているその手にも、男性なりの美しさが感じられた。</figcaption></figure></p>

<p>平八茶屋がこれだけ長く続けてこられているのはなぜか、何か秘訣があるのかとよく聞かれるという。けれども何か家訓があるわけでもない。そんな時は決まって「たまたまです」と答えることにしている。だが、その「たまたま」には二つの大きな要素が含まれている、と園部は続ける。</p>

<p>「一つは、その時その時の当主に、絶対に次へつなぐ、受け取ったバトンを次へ渡すという強い意志があったということなんです。私以前には20人の当主がおりましたけども、誰一人として途中で『やーめた』と言わなかった。当たり前ですが、それがまず一つ大きいです。そしてもう一つは、それをつないでいくための環境があったということ。自分一人がつないでいくと言っても、お客さまが来てくださらなかったらつなげないわけですし、他にも従業員がいて、業者の方がいて、そういった方々がいて初めて、つないでいくための"インフラ"が整備されるわけなんです」</p>

<p>その二つにたまたま恵まれていた、だからこそ平八茶屋は今日までつないでくることができた。そのように考えるから、園部は自分もまた、駅伝ランナーだと思っている。受け取ったバトンを次へつなぐことを最大の使命と思っている。「文化に触れる・文化をつなぐ」という所信表明には、その姿勢がはっきりと表れている。</p>

<p>「自分の区間をむちゃくちゃに走ってしまって、途中で倒れてしまったらダメなんですね。次に渡すことが最大のテーマ。それがどうしてもしんどかったら歩けばいいですし、止まって休憩してもいいですし。だから自分の時代に、例えば投資をする、なんてことがあったとします。その時には必ず、この投資が子や孫にとってプラスなのかマイナスなのかということを考えます。プラスなんやったらつぎ込むべきや、と。でもそうじゃなかったら、これはただの自己満足にすぎないから、やるべきじゃないな、と。そういうふうに思ってます」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_7165.jpg">
<figcaption>取材の後、取材スタッフに丁寧に挨拶をし、凛とした姿で去っていく園部から、文化の担い手としての強い信念と、老舗料理店の歴史の重みが感じられた。</figcaption></figure></p>

<p>彼らは生まれながらに長い歴史を背負っている。おそらくはそのことが、自身のリレーランナーとしての役割を自覚させるのだろう。思考や想像力、志の射程距離。一般的なビジネスパーソンと彼ら伝統文化の担い手との一番大きな違いは、やはりここにあるのかもしれない。</p>

<p>「われわれにはたった一人になってもこのバトンを次に渡すという強い意志がある。だから自分の代で財をなすとか、逆に無難にやり過ごすという発想にはならない。そのことは確かに、一般的なビジネスパーソンと少し違うかもしれません。でも、文化に触れることで、そこに脈々と流れる意志を体感することは誰でもできます。わからなくてもいいんです。そこに触れることで感じるものがあるということが大事。文化に触れることには、そこにこそ価値があるのではないかと私は思っています」</p>

<hr />

<h2>歴史や意味を伝え、文化にもっと触れたくなるきっかけをつくる</h2>

<p>KYOTO365特別版「春の京文化の世界へ」は、京都料理芽生会に所属する老舗料理店の料理人たちが、旬の食材を使って1日限定の特別な懐石を提供。食事の前後には芸妓・舞妓による舞の披露や茶道家による呈茶、着物の着付け講座も催され、普段伝統文化に触れる機会の少ない外国人や若い世代が、京文化の基本を体感した。</p>

<p>食文化に関して民間企業と文化庁が組んでイベントを行うのは、一昨年の法改正により文化芸術に食文化が加えられて以降、初めてのことだ。</p>

<p><img src="/uploads/IMG_5879.jpg"></p>

<p>本事業の主催者である文化庁長官　宮田亮平は、「和食は高級なものもあるけれど、例えば仕事を頑張ったり、ライフスタイルの中で良いことがあったりと、自分が生きていく上でのいろいろな確信を立証してくれる価値のあるもの。和食を食べに行くことは、より素晴らしい新たな自分をつくる、大事なひとつの場面になる」などと挨拶をした。</p>

<p><figure>
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<figcaption>文化庁長官　宮田亮平は、「日本の若い世代の人や、海外からの留学生の皆さんが京料理や日本文化に興味を持ってくれていることがうれしい。こうして生まれた興味や関心を積極的に発信していただきたいです。私たちは2020年を契機として、文化の魅力を国内外に広く発信すべく、政府一丸となり進めている「日本博」を中心に日本を盛り上げていきますので、今後の展開に期待してください」と言った。（写真提供：ぐるなび）</figcaption></figure>
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<figcaption>イベント前には、文化庁長官　宮田亮平、京都料理芽生会会長 山ばな平八茶屋 園部晋吾、京都料理芽生会直前会長 京料理萬重 田村圭吾、ぐるなび社長 久保 征一郎による座談会が開催された。（写真提供：ぐるなび）</figcaption></figure></p>

<p>参加者に振る舞われたこの日限定の懐石料理も、ただ食べるだけでなく、その料理の由来や時代における変化などの解説を聞く。京都料理を深く知ることで、さらなる興味が生まれる。この繰り返しが、京都料理芽生会が目指す文化継承につながるという。</p>

<p><figure>
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<figcaption>老舗料理店から合計10人の料理人が力を合わせ、献立を担当した。</figcaption></figure>
<figure>
<img src="/uploads/IMG_7391.jpg">
<figcaption>ご飯は鯖姿寿司の老舗「いづう」が担当した鯖姿寿司とちらし寿司。「いづう」の創業者いづみや卯兵衛の「卯」の字にちなんで、鯖姿寿司は横から見るとうさぎに見えるように作られているのだという。</figcaption></figure></p>

<p>文化庁の担当者は、食文化を舞や呈茶など、さまざまな伝統文化と併せて総合的に発信することの意義について「例えば、能楽の上に歌舞伎があり、その上に現代劇が乗り......というように、多重的な積み重ねの中からさまざまなものが生まれてきたのが日本文化の歴史。新旧さまざまなものが混ざったところから新しいものが生まれるということはきっとある」と話し、今後もこうした取り組みを行っていきたいと語る。</p>

<p>「例えば最初は食だけにしか興味がなかった人も、それはただ、他の文化に触れた経験が少ないだけかもしれない。食と同時に体験することで興味の幅が広がるかもしれない。だからこそ総合的に文化を発信する意味があるのです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_5813.jpg">
<figcaption>芸妓と舞妓が三味線と歌に合わせて舞を披露。参加者の席に回り、着物や飾りについて、そしてライフスタイルについても会話を楽しんだ。</figcaption></figure>
<figure>
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<figcaption>会場では着付けのデモストレーションも行われた。講師（写真左）が着ている着物のテーマは薄い緑、白、桃色の三色使った花見団子。花見団子は三色に意味があり、桃色が桜の蕾、白が開花した花、緑は花が散った後の若葉。三色を連ねることで、時の流れを表現しているという。</figcaption></figure>
<figure>
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<figcaption>会場に展示されていた振り袖（手前）と普段着の小紋（奥）。上の写真で着付けのモデルが着ていたのは訪問着。小紋は縫い目で柄がずれているのに対し、振り袖や訪問着は全ての縫い目で柄がつながる絵羽模様でつくられる。</figcaption></figure>
<figure>
<img src="/uploads/IMG_6059.jpg">
<figcaption>春らしい音楽が流れていた華やかな食事会場から少し離れた別室では茶人による呈茶が行われていた。参加者たちはお茶席の心地よい緊張感を味わい、茶器や作法の解説に真剣に耳を傾けていた。</figcaption></figure></p>

<p>芸妓や舞妓と触れ合い、着物の違いを知り、本格的なお茶席を楽しむ。京都を訪ねても、こんな風に伝統文化を1日で体験し、その奥にある意味を知ることができる機会はめったにない。</p>

<p>日本の文化の担い手たちが起こしてきた革新と、その奥にある並々ならぬ思い。そこには文化だけでなく、「働くこと」にも通じる普遍的な価値があった。ビジネスパーソンにとって一見、遠い存在に感じられる日本の文化を、身近に感じ、知り、経験すること。園部が語ったように、わからなければ、ただ感じるだけでもいい。それはきっと、心を豊かにし、考え方のヒントとなり、自身の進化のきっかけをつくってくれるはずだ。</p>

<p><br></p>

<div align="center"><a href="https://kyoto365.jp/?sc_cid=kyoto365_bnl190327" target="_blank" rel="nofollow"><strong>KYOTO365　本物の京都にふれよう</strong></a></div>

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    <title>いまの時代に求められる豊かさとは？ 「R100 TOKYO」は100㎡超のリノベーションで、業界の常識を覆した - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/03/r100-tokyo.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9185</id>

    <published>2019-03-26T02:00:00Z</published>
    <updated>2019-12-20T01:28:55Z</updated>

    <summary>「高級」というスタンダードな価値に頼らない人が増えている。一人ひとりが自分なりの価値基準を持ち始めたからだ。自分にとっていいものとはなにか。「R100 TOKYO」は、マンションという空間を、場所にとらわれず自分の意思で選べる環境を提供する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>日本は世界でも指折りの成熟社会と言われる。モノに不自由することもあまりなくなった。にもかかわらず、国連が発表する「世界幸福度ランキング」では50位を下回る位置をウロウロしている。これは一体どういうことなのか。成熟とは何か。豊かさとは何か。幸せを感じられていないとするのなら、それはなぜなのか。</p>

<p>2005年創業の<a href="https://www.rebita.co.jp/"target="_blank" rel="nofollow">リビタ</a>は、当時まだ日本では一般的でなかったリノベーションという手法を軸に、マンション分譲や建物活用のコンサルティングなどを行ってきた。リノベーションはいまでは新築、中古と並ぶ、住まい選びの第三の選択肢としてすっかり定着した。同社はそのことに大きく貢献した存在と言える。</p>

<p>そのリビタが2013年に立ち上げ、いまもっとも力を入れているのが「<a href="http://r100tokyo.com/?utm_source=BNL&amp;utm_medium=email&amp;utm_campaign=190326"target="_blank" rel="nofollow">R100 TOKYO</a>」というブランドだ。都心でありながら緑豊かな邸宅地にあるマンションで、100㎡超の物件のみを厳選し、「東京を豊かに暮らす」をコンセプトにリノベーションをする。</p>

<p>この話を聞いて二つの疑問が頭に浮かんだ。「東京を豊かに暮らす」とわざわざ掲げるからには、東京では豊かに暮らすことが困難であるという課題意識があるのだろう。一つ目の疑問は、なぜ東京では豊かに暮らすことができないのか、だ。そしてもう一つ、そもそも「東京を豊かに暮らす」と言った時の「豊かさ」とは何か。</p>

<p>「R100 TOKYO」では、その名の通り100㎡という広さにこだわっている。広さ＝豊かさとはどういうことなのか。最近の若い世代は「いい家に住んで、いい車に乗って」という、かつては当たり前だった価値観を信じていない人も多いという。「持たざる暮らし」を志向する人が増えていると言われる中、広さ＝豊かさとは、時代に逆行していないだろうか。</p>

<p>このような疑問を携えて、代々木公園の邸宅地に立つ300㎡超の住戸のあるマンションに、同事業の責任者・斎藤渉を訪ねた。</p>

<p><img src="/uploads/19-03-06IMG_1485.jpg">
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/35899782129">斎藤渉</a></strong><small>株式会社リビタ 分譲事業本部グループリーダー／シニアプロデューサー</small>
<p>立教大学卒業後、野村不動産に入社しマンションの企画販売を10年担当。都市デザインシステム（現UDS）に転職後、リノベーション事業の検討チームに所属し、リビタ設立に参加。『一棟まるごとリノベーション』と『リノベーション済みマンション』で仕組みづくりや都心プロジェクト等を担当後、現在は『R100 TOKYO』をはじめ分譲事業の事業企画統括などを担当。</p></aside></p>

<h2>1億円払っても広い家に住めない東京の"貧しさ"</h2>

<p>東京で豊かに暮らすことが困難である、とはどういうことなのか。「R100 TOKYO」を発案するきっかけとなった出来事に、その答えがあった。</p>

<p>「リビタは14年前からリノベーション事業をやってきました。主に手がけていたのはファミリータイプの分譲住宅でしたが、ある時たまたま広尾ガーデンヒルズで100㎡のリノベーションをする機会を得たのです。築30年で物件価格は1.5億円。当時は自分たちとしても未知の領域で、内心不安もありました。ところが、いざ蓋を開けてみると、行列ができるほどの人が空き物件を求めていました。なぜ行列ができたのかといろいろ調べていくと、都心部では、金額にかかわらず、広い家には住めない現実があることがわかったのです」</p>

<p>斎藤によれば、東京に建つ新築マンションのうち、100㎡以上の広さがあるものは全体の1%にすぎなかった。そもそも物件がないのでは住むことはできない。だが、現実に「買いたい」という人がいるのに、デベロッパーはなぜ広い住戸を作らないのか。</p>

<p>「都心の新築マンションは高層のタワーマンションが中心です。タワーマンションは同じ形の部屋を積み上げて作られます。低層階は眺望や日当たりの問題もあって、100㎡の高額な部屋を作っても売れ残ってしまい、グロスの価格が張ってしまいます。だから新築のデベロッパーは、比較的手頃な価格の70㎡の部屋を積み重ねていって、上階にだけ100㎡の住戸を作る。その結果、100㎡の住戸は一握りの高額なものしかできないのです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/19-03-06IMG_1593.jpg">
<figcaption>「R100 TOKYO」が扱うマンションは、都内の主に邸宅地と呼ばれる場所にあるという。今回は、代々木公園から歩いてすぐの場所にあるマンションを訪ねた。この家のリビングは窓が多く、自然光の優しい光が差し込む、静かで落ち着く場所だった。</figcaption></figure></p>

<p>都心から離れれば広い家に住むことはしやすくなる。だが、こうした物件を求める人の多くは経営者や起業家などであり、それぞれに都心を離れられない理由がある。ゆえに、仕方なく我慢して暮らすということが起きている。これはあまり豊かとは言えないのではないか、と斎藤は言う。</p>

<p>リビタはそこに価値提供の可能性を見いだした。新築物件には前述のような広い部屋を作れない事情があるかもしれないが、自分たちには培ってきたリノベーションのノウハウがある。都心から遠くない緑豊かな邸宅地に建つ100㎡以上の物件を買い、リノベーションを施すことで、もっと豊かな生活を提案できるのではないか。このように考えたところから「R100 TOKYO」は誕生した。</p>

<p>効率や利益率を優先する大手新築デベロッパーからすると、物件1戸1戸が異なる顔をもつリノベーションは、手を出しにくい領域だ。一方、仲介会社はあくまで顧客と顧客を結ぶのが本分だから、住まいの提案まで踏み込むプレーヤーは少ない。インテリアや照明なども含めたトータルの空間を提案できるのは、不動産と建築の両方の視点を持ったリビタならではと言える。</p>

<h2>世界的に見て100㎡はスタンダード。決して贅沢ではない</h2>

<p>だが、そもそもなぜ「R100 TOKYO」では100㎡以上という広さにこだわるのか。広さ＝豊かさとはどういうことなのか。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/19-03-06IMG_1676.jpg">
<figcaption>取材を行った部屋は300㎡超の物件だった。住戸の中に階段があり、下に降りると寝室やバスルームなどがある。</figcaption></figure></p>

<p>「R100 TOKYO」が考える豊かさは「五つの価値」という言葉で表現されている。「五つの価値」とは、「先見性」「普遍性」「継承」「時・間（ときとま）」「誇り」を指す。</p>

<p>例えば「先見性」とは、100年先も価値のある邸宅であり続けるということだ。マンションの資産価値は、基本的には新築時にもっとも高く、時間とともに下落していく。時を経ても価値が保たれる方が豊かであるとは言えるだろう。そのため、一般的なマンションだと通常30年のところ、「R100 TOKYO」では一棟丸ごとリノベーションをする場合、築後100年までの長期修繕計画をプランに組み込んで提案する。</p>

<p>「利便性を追求した駅前や湾岸のタワーマンションではなく、歴史ある邸宅地という立地にこだわるのも、この『先見性』の考え方に基づいたものです。マンションの資産価値は建物が建つ土地の価値がベースとしてあり、その上に建物の価値が足されることで決まります。100年続く邸宅地としての歴史ある土地であれば、この先100年も変わらない価値を保ち続けると考えられます」</p>

<p>100年にわたって住み続けるとなれば、デザインや調度品にも流行り廃りがあっては困る。そこで打ち出す二つ目の価値が「普遍性」ということになる。「R100 TOKYO」の物件に、一般的に高級マンションと聞いてイメージするような華美な印象がないのはそのためだ。</p>

<p>さて、広さが豊かさにつながるという考え方は、「時・間」という価値に見て取ることができる。</p>

<p>「間というのは、例えばソファと壁の間にある30センチほどの空間のことです。この空間があるとないとでは、部屋全体から受ける印象がまったく違います。そのスペースに細い棚を置くのか、それとも植栽を置くのか。家主が自分らしい暮らしをするために自ら使い方を考える余地もできます。そのことが住む人にゆとりをもたらすのではないかと私たちは考えています」</p>

<p>あるいは、コージーコーナーと呼ばれる憩いの空間を設けることで、ダイニングでもリビングでもない第三の過ごし方が生まれる。午前中はリビングのソファで語らい、午後に陽だまりができたらコージーコーナーに移るという過ごし方ができる。つまり、時間軸で考えても部屋の使い方に幅が出る。こうした時間的・空間的なゆとりが、住む人に精神的なゆとりももたらす。それが豊かな暮らしというものではないか、と斎藤は言う。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/19-03-06IMG_1647.jpg">
<figcaption>奥の自然光が差し込む空間がこの物件のコージーコーナー。ここに椅子やテーブルを置いてもいいし、何も置かずに日の光を眺める場所にしてもいい。時間に合わせて好きなように使える「間」だ。</figcaption></figure></p>

<p>しかし、それができるのは前提として100㎡以上という広さがあるからだ。70㎡の部屋には、リビングとダイニングはあっても、それ以外の場所でお茶を飲むという発想自体が生まれない。100㎡というのは決して贅沢ではなく、人が豊かな暮らしをする上で必要な広さなのではないか、と彼らは考えている。</p>

<p>「世界を見れば、100㎡の家は決して一部の成功者にのみ許された贅沢品ではありません。日本国内でも田舎へ行けば、100㎡の家はむしろスタンダードであるとさえ言えます。これだけ成熟した社会と言われる東京だけが、皮肉にも100㎡の家に住むことのハードルがものすごく高いのです。この問題を解消し、当たり前の豊かさを提案したいというのが、この事業に込めた私たちの想いなのです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_Z4A9605.jpg">
<figcaption>マンションの屋上はテラスになっている。代々木公園を眺めることもでき、都心でも緑を感じて暮らせる。（写真提供：ReBITA）</figcaption></figure></p>

<h2>成熟とは、自分にとっての「いい」を追求できること</h2>

<p>東京では広い家に住みたいと思っても住むことができない。「これは、顧客よりも住宅供給側の都合が優先される不動産業界の現状に起因している。その象徴が3LDK=70㎡という東京のスタンダード」と斎藤は言う。どういうことだろうか。</p>

<p>「3LDKという間取りを普通に作ろうと思ったら、本来100㎡は必要なのです。ところが東京では、3LDK＝70㎡という広さが暗黙の水準になっている。この数字には実は何の根拠もありません。住宅供給側がなんとなく決めたところからスタンダードになっていったのです。なおかつこれは、景気が悪くなればより狭くもなります」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/19-03-06IMG_1614.jpg">
<figcaption>キッチンの奥のスペースは、家族だけで簡単に食事ができる場所。海外ではダイニングは来客時に使用するのだという。</figcaption></figure></p>

<p>豊かに暮らすには本来必要な広さというものがある。もちろん、必要な広さは人によって違うかもしれないが、その必要な広さを自分の意思で選ぶことができない、供給側の都合に従わざるを得ないところに、"貧しさ"の本質がある。</p>

<p>「この事業を始めるにあたって、コペンハーゲンで普通の家庭の部屋を見せてもらう機会がありました。驚かされたのは家の広さだけでなく、彼らが例えば、椅子一つ買うのにも3年かけるという話を聞いたこと。親子三代で使うことが前提だから、椅子一つに80万円払う。向こうは日照時間が短く冬も長いので、必然的に室内で過ごす時間が長くなります。そのぶんだけ、家という空間のことを真剣に考えているのです」</p>

<p>彼らには「自分たちにとってのいい暮らしとは何か」という問いがある。成熟社会とはこのように、誰かに押しつけられたスタンダードに従うのではなく、「自分にとってのいいもの」を追求できる社会のことではないか、と斎藤は続ける。</p>

<p>「高度経済成長期の日本では、誰もがワールドスタンダードのいいものを求めました。鞄はルイ・ヴィトン。車はベンツにジャガー。当時はいまほど情報のない時代でしたし、それはそれで楽しかったかもしれません。けれども、その後日本人もさまざまな国にわたっていろいろな価値観に触れ、いまでは自分なりの選球眼、自分なりの価値基準を持ち始めています。こういうハイクラスなマンションを求めるお客さまも、ものすごい高級車でいらっしゃるけれども、服装は機能性を求めてとてもラフな格好、ということが増えている。他者軸だった価値基準が、自分軸へと変わってきているのです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/19-03-06IMG_1634.jpg">
<figcaption>見学できる物件には、部屋の雰囲気に合わせてさまざまなインテリアがセレクトされている。実際に物件を購入する際、セッティングされているインテリアも気に入って一緒に購入するケースも多いという。</figcaption></figure></p>

<p>いわゆる高級マンションがこれまで華美なデザインだったのは、それが富の象徴であり、他者に見せるために最適化されていたからだ、と斎藤は考える。価値基準が他者軸から自分軸へと移り、成熟した社会においては、住まいは他の誰でもない、そこに住む本人にとっての心地よさが優先されるのでなければならない。デザインにもインテリア選びにも、「R100 TOKYO」の物件にはこうした思想がくまなく張り巡らされている。</p>

<h2>東京の最高峰の暮らしを世界に</h2>

<p>これは一部の富裕層に限った話ではないし、「持たない暮らし」を志向する若い人の新しい価値観とも矛盾しない。自分らしい暮らしは人それぞれ違う。その、それぞれに違う価値観に対して、応えられるだけの選択肢を提示しようという話なのだ。</p>

<p>それをリノベーションという手法で実現する会社がリビタ、ということになる。「R100 TOKYO」というブランドを展開する一方で、にわかに盛り上がりを見せる「多拠点居住」を後押しするような商品の企画を進めているのも、「多様な価値観に応える」という同社の姿勢の表れと言えるだろう。</p>

<p>「どちらの価値観が正解ということではないのです。未来に向けてはいろいろなものを提案していく必要があると思っています。リビタのビジョンは『次の不動産の常識をつくり続ける』。だから私たちは、常に新しいものを生み出し続けなければならないのですよ。これは創業以来変わらない私たちの姿勢であり、『R100 TOKYO』もその正当な延長線上にあります」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/19-03-06IMG_1503.jpg">
<figcaption>斎藤は「リノベーションは、人々がより豊かに暮らす環境を提供するためのひとつの手段でしかなく、ゴールではない。だからこれからも、さまざまな新しい事業を提案していきたい」と語る。</figcaption></figure></p>

<p>これまでの「東京の"豊かな"暮らし」は、どちらかといえば、海外から輸入された価値観を一方的に受け入れるようなものだったかもしれない。だが、東京の暮らしにはもっとポテンシャルがあるはずだ。「R100 TOKYO」という事業を通じて「東京の豊かな暮らし」の新たなスタンダードを確立し、ゆくゆくは海外に輸出したい、と斎藤は言う。</p>

<p>その際に引き合いに出すのは、トヨタ自動車が世界を舞台に展開してきた高級車ブランド・レクサスだ。</p>

<p>「レクサス以前、高級車と言えばジャガーであり、ベンツであり、BMWでした。そこに日本のメーカーが新たに参入するのに、ただドイツ人のまねをするのでは意味がないですよね。そうではなく、日本人が考えるラグジュアリーとは何かと徹底して考え、生み出されたのがレクサス。その『何か』を言葉にすると、ホスピタリティとかj-factor（トヨタデザインの基本的考え方）といったものになるわけですが、それらは確かに、世界に受け入れられた。住まいに関しても同じことが言えるはずだと思うのです」</p>

<p>これだけ成熟した東京なのだから、海外にだって輸出できる独自の住宅文化が生み出せるはず、と斎藤は言う。彼らの言う住宅文化とは、住まいを提案する際の発想や文化、情緒的な価値を指す。すなわち、前述した「五つの価値」こそが、「R100 TOKYO」が信じる東京の住宅文化にほかならない。</p>

<p>日本人が考え、日本人が作る「豊かな暮らし」の最高峰。それはきっと世界にだって受け入れられるはずだと彼らは信じている。</p>

<p><a href="http://r100tokyo.com/?utm_source=BNL&amp;utm_medium=email&amp;utm_campaign=190326"target="_blank" rel="nofollow">【R100 TOKYO】</a></p>

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    <title>緑や花は仕事のパフォーマンスにどう影響するか？　世界からも注目を集める「森林浴」の大家、宮崎良文教授に訊く - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2019-03-22T02:10:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:33:28Z</updated>

    <summary>近年、欧米のメディアでも話題になっている「森林浴」の効能について、30年前から千葉大学の宮崎良文教授は科学的な解明に取り組んできた。その研究成果を参考にして、これからの理想の職場環境について考えてみよう。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="職場再考" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="花と緑" label="花と緑" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>オフィスや住居には観葉植物があるし、街には街路樹や公園がある。都市の人工環境にもいたるところに「緑」はある。緑を見てなんとなく気持ちが落ち着くとか癒やされるといった感覚は、多くの人が共通して持つところではないだろうか。</p>

<p>けれどもこの「なんとなく」は、長い間「なんとなく」のまま放置されてきた。緑が人間にもたらすこうした効果を科学的に検証した研究がなかったのだ。それを世界で初めて行ったのが、千葉大学環境健康フィールド科学センター教授の宮崎良文である。</p>

<p>宮崎は1990年に、森林浴の効果を分析するための実験を屋久島で行った。以来30年近くにわたって、自然由来の刺激が人間にもたらす効果を科学的に検証する研究を続けている。宮崎によれば、緑や花を愛でると人間のストレス状態が軽減する。自然由来のこうした刺激には（科学的に裏付けられた）リラックス効果があることがわかっている。</p>

<p>「いま、世の中には生産性アップのために脳の機能を活性化しよう、もっと覚醒しようというメッセージが溢れています。でも、現代のようなストレス社会においてこれは逆効果」と宮崎は言う。今回はこの分野の世界的権威である宮崎の話をもとに、理想的な職場環境のあり方を緑との関係から考えてみたい。</p>

<p><img src="/uploads/_L2A9539-final.jpg">
<aside><strong>宮崎良文</strong><small>千葉大学 環境健康フィールド科学センター教授</small>
<p>1954年神戸生まれ。東京農工大学修士課程（環境保護学）修了、東京医科歯科大学医学部助教（医学博士号取得）。88年、農林水産省森林総合研究所に入所、90年に屋久島で森林浴に関する科学実験に着手。2007年から現職。農林水産大臣賞（「木材と森林浴の快適性増進効果の解明」に対して、2000年）、日本生理人類学会賞（2006年）を受賞。主な著書に、『Shinrin-Yoku（森林浴）心と体を癒やす自然セラピー』（創元社、2018年）『自然セラピーの科学』（朝倉書店、2016年）、『森林医学Ⅱ』（朝倉書店、2009年）、『森林医学Ⅰ』（朝倉書店、2006年）、『森林浴はなぜ体にいいか』（文藝春秋、2003年）などがある。</p></aside></p>

<h2>なぜ緑や花は、体にいいのか</h2>

<p>「なぜ緑が体にいいのか」を解明する30年におよぶ宮崎の研究は、森林浴の効果を検証することから始まった。結論から言って、森林浴にはストレス状態の人のストレスを軽減し、リラックスさせる効果があることが、1990年以降の宮崎の研究によりわかっている。</p>

<p>ストレス状態にある人は免疫力が低減しており、病気になりやすいことが知られるが、ストレス状態が低減すれば、免疫力も改善する。つまり、森林浴によりストレスを軽減することは、最終的に病気になりにくい体をつくる。これが、森林浴が「体にいい」と言われるゆえんだ。</p>

<p>こうした森林浴の効果にはいま、世界的に注目が集まっている。1982年に日本で生まれた森林浴という言葉は、欧米人からすると発音しにくいはずだが、現在では海外でもそのまま通じる日本語になっているという。宮崎の著書『森林浴』も、同タイトルで世界16カ国で出版されている。</p>

<p><figure>
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<figcaption>数年前から「Shinrin-Yoku」は世界各地で話題になっている。ドイツのブックフェアで森林浴のコーナーが設けられていたり、インタビューした日の前日には米国のニュース番組「CNN」が取材に訪れていたり、欧米の国々を中心に関心の高まりを実感しているという。『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4422440160" target="_blank" rel="nofollow">Shinrin-Yoku（森林浴）心と体を癒やす自然セラピー</a>』（創元社、2018年）</figcaption></figure></p>

<p>「現代社会では世界的に医療費の増大が大きな問題になっています。森林浴への注目が高まっている背景には、行きすぎた機械化・効率化への反動としての自然回帰の流れとともに、森林浴が持つ予防医学的効果への期待があるのではないかと思います」</p>

<p>宮崎のその後の研究により、森林浴と同等の効果はわざわざ森に出かけなくても得られることがわかっている。例えば、室内でバラを愛でる、匂いを嗅ぐなどでも、ストレス状態を一時的に軽減する効果が得られるという。</p>

<p>こうした自然由来の刺激がもたらす効果を活用したリラックス療法を宮崎は「自然セラピー」と総称している。森林浴を実践するには忙しすぎるオフィスワーカーは、仕事の合間に公園を散歩したり、ベランダに出て植物を眺めたりと、自分の好みやライフスタイルに合った方法を選ぶことで、こうした恩恵にあずかることができる。</p>

<p><figure>
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<figcaption>仕事の合間に、緑のある公園で少し過ごすだけでも、ストレスの緩和に役立つという。</figcaption></figure></p>

<p>宮崎が研究を始めた当時と比べて、ストレス状態の測定方法はかなり進歩しており、その結果、新たにわかったこともある。最新の研究結果では、こうした自然セラピーの効果は、その人がもともと持っているストレスの度合いによって変わることが示唆されているという。同じ刺激だったとしても、ストレス度合いの小さい人より大きい人の方が大きなリラックス効果が得られる。また、もともと弛緩状態にある人は、鎮静とは逆に覚醒する方向に変化する。</p>

<p>ストレスが大きい人ほど、自然セラピーのリラックス効果を享受できる──。そう聞けば、ストレス社会と言われる現代に自然セラピーの持つ意味は大きいし、注目が高まっているというのも納得がいく。だが、そもそもどうして現代社会は人類にとってこんなにもストレスフルなのか。その答えは人類史にある、と宮崎は言う。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>現代人は自然環境で過ごすのに最適化された遺伝子のまま、人工環境で過ごしているのです</p>
</div>

<p>「人類の歴史は700万年に及びますが、人はそのほとんどを自然環境の中で過ごしてきました。現在のような人工環境で過ごすようになったのは、産業革命以降の200～300年。遺伝子が変化するのには通常約1万年かかると言われますから、200〜300年は、遺伝子が変化するのには短すぎます。ということは、現代人は自然環境で過ごすのに最適化された遺伝子のまま、人工環境で過ごしていることになる。それがストレスを生んでいるというのが基本的な考え方です」</p>

<p>ところで、花を見て「きれい」と感じるというのは、専門的に言えば快適性に関する話であるという。何を快適と感じるかは人によって違うから、快適性とは何かを定義するのは難しいが、宮崎は「人と環境間のリズムの同調」としてこれを整理する。</p>

<p>「われわれは日常的になんらかの環境下にあるわけですが、その環境のリズムと自分のリズムがシンクロしている時に、人は快適と感じるのではないか、と。自然環境に適した遺伝子を持っているとは、言い換えるなら、自然と人はもともとリズムが同調しやすいということ。人工環境を出て森を歩くと、なんだかわからないけどリラックスするというのは、その結果なのではないか、ということです」</p>

<h2>「脳を活性化すれば生産性が上がる」は間違っている</h2>

<p>世の中は総じてストレス状態にある。ストレス状態というのは、言い換えるなら脳の使い過ぎということだ。なのにメディアも研究者も「もっと脳を働かせよう」というメッセージを日々発信している。これはおかしいのではないか、と宮崎は言う。</p>

<p>「人間が一日に刻むリズムは、全体としてみれば日中はどんどんと覚醒していき、ピークを過ぎてまた鎮静に向かい、最終的に鎮静しきって就寝するというものです。毎日、そのリズムを刻んでいます。しかし、現代がストレス社会であるという意味は、そのベースラインがストレス方向に寄ってしまっているということ。その結果、心身にさまざまな不調をきたしているわけなので、本来のあるべきベースラインにまで下げたいのです」</p>

<p><figure>
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<figcaption>現代人の多くは、このように覚醒と鎮静のリズムのベースライン（青・直線）が「あるべき状態」でないという。</figcaption></figure></p>

<p>脳をもっと働かせようとする背景には、そうすることで生産性を上げようという思惑があるかもしれない。だが、脳をもっと働かせれば生産性が上がるという考え自体が間違いである、と宮崎は続ける。</p>

<p>「1992年にタイワンヒノキのリラックス効果を調べる実験を行った際、あわせて作業能率も調べたのですが、心拍数が上がると作業能率は下がり、血圧が下がると作業能率が上がることがわかっています。緊張して頭が真っ白になるという表現がありますが、あのようなシチュエーションを想像すれば、この結果は多くの人にとって実感できるものではないでしょうか。緊張状態はパフォーマンスを下げるのです」</p>

<p>当然だが、眠くなるほどリラックスしてしまったらパフォーマンスは下がる。だが、繰り返し触れているように、現代社会ではそもそものストレス度合いのベースが上がってしまっている。であれば、パフォーマンスを上げるためにやるべきことは、脳を活性化させるのとは逆に、鎮静化して、人としてのあるべきベースまで戻すことにほかならない。自然セラピーはそのための有効な手段だということだ。</p>

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https://www.youtube.com/watch?v=yuEaBYn4dgs
<figcaption>2012年の「TEDxTokyo」に登壇したときの講演動画。普遍性を求めて、世界中で愛されているバラを研究対象に選んだ。その大きな花束を抱えて壇上に登場するシーンはとても印象的だ。</figcaption></figure></p>

<p>だが、だからオフィスを花や緑でいっぱいにすればいいのかと言えば、話はそう単純ではない。東工大の名誉教授・乾正雄は、快適性には積極的快適性と消極的快適性の二つがあると言っている。</p>

<p>消極的快適性とは、不快の原因となるものが「ない」ことで感じる快適性のこと。例えば、暑い・寒い、騒音、公害など。こうしたものはないほうがいいに決まっているから、快適と感じるかどうかに個人差がない。寒すぎる部屋は暖めればいいし、暑すぎる部屋は冷やせばいい。話は単純だ。</p>

<p>一方、花が「ある」とリラックスするというのは積極的快適性の話だ。こちらは個人差が大きく、例えば同じ香りでも人によって受け取り方は異なる。「ラベンダーの香りは鎮静、ローズマリーは覚醒の効果があると言われているけれども、これは間違いです。なかにはラベンダーの香りが嫌いだという人もいる。嫌いな香りなのにリラックスするというのは、論理的に考えてありえない」。だから、自然セラピーは自分の好みやライフスタイルに合わせて選ぶ方がいい、ということになる。</p>

<p>逆に言えば、オフィスのような公的な場所のデザインに花や緑を活かすのは、とても難しいということだ。</p>

<p>「実際に以前、ある建設会社の主導で、オフィスビル全体に香りをつけて生産性向上につなげようという試みがありました。見解を求められた私は当初からやめたほうがいいと言ったのですが、案の定このプロジェクトはすぐに頓挫しました」</p>

<p><figure>
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<figcaption>花や緑にはたくさんの種類があり、人によって好き嫌いは分かれる。ただし、細かく品種を分類して個別に研究を深めていくことよりも、いまはもっと普遍性のある成果が求められている。</figcaption></figure></p>

<p>では、職場環境のデザインにこうした研究成果を活かすことはできないのだろうか。例えば、目的や好みに合わせて部屋を変えられるなど、個人に選択の余地がある形であれば可能だろう。だが、個々の研究成果を根拠にそれを継ぎ接ぎするようにしてオフィスをデザインする考え方に、宮崎は否定的だ。</p>

<p>「オフィスをデザインするのは、あくまでその専門家である建築家でありデザイナーであるべきだからです。でなければ、トータルで心地よい空間を作るというのは、やはり難しい。ただし、デザイナーや建築家は、何が心地よいのかを自分の主観で決めているところがあるように思います。オフィスデザインにも、もっとサイエンスの裏付けを持ち込むことはあっていい気がします」</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2019/02/office-concept-2010.html">
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<div class="info"><strong>リモートでも働ける時代に、オフィスはどう進化できるか──特集「職場再考」導入編</strong></div></a></div>

<p>宮崎の研究が世界的に注目されたのは、誰もが感覚的には知っていた「緑を見ると落ち着く」ということを、そのままに放置せずに、科学的に検証するというチャレンジをしたからだ。オフィスデザインにも同じことが言えるのではないか、というのが宮崎の考え。例えば出来上がったオフィスが本当に快適なものになっているかを事後的に検証し、改善し、より快適なものに近づけていくことはもっとあってもいいのでは、と宮崎は提言する。</p>

<h2>「人」の視点が足りない</h2>

<p>宮崎が論文を発表するまで、自然由来の刺激が人にもたらす効果を生理的・科学的に検証した研究は、世界的に見ても一つもなかった。「アンケート調査を用いているものはありましたが、バラを見てきれいと思うかというのは、改めて聞くまでもないことなのです。肝心なのは、その時に人の体に何が起きているのかを解明することのはず」。そのように考えて、宮崎はこの人類未踏の研究分野に足を踏み出した。</p>

<p><figure>
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<figcaption>皇太子同妃両殿下が宮崎研究室を訪ねて来られた際に、宮崎は大学院生の脳の活動をリアルタイムで一秒ごとに計測した。最初にご挨拶した時は数値が跳ね上がり、普段から聞き慣れているプレゼンテーションの時間帯は比較的安定している。</figcaption></figure></p>

<p>誰も実現できなかったこのような研究が宮崎に可能だったのには、宮崎の出自が大きく関係している。宮崎は学生・若手研究者時代に農学と医学の両方を修了している。そのため、自然と人間、両方に関する知見と人脈を併せ持っていた。</p>

<p>「志でもなんでもなく、落ちこぼれで就職も決まっていなかったから、医学部の先生から声がかかっただけ」と本人は謙遜するが、その点で彼はユニークなポジションにあった。だから、これまで医学の世界に閉ざされていた先進的な測定法を活用し、自然刺激のリラックス効果を測定できる世界で唯一のシステムを構築できたのだ。</p>

<p>しかし、そのようにして分野横断的に研究に当たる自分がユニークだというのは、自分個人のキャリアには大いに役立ったが、全体として見れば憂うべきこと、と宮崎は言う。</p>

<p>「本来、実学と呼ばれる学問分野は人の役に立ってナンボのはず。けれども、多くの実学分野には人の生活にどう役立つかという視点が欠けており、モノの研究しかしていません。学問分野を超えた交流が起こらないことが、その大きな要因になっているのです」</p>

<p><figure>
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<figcaption>本来、実学は「人の役に立ってナンボ」の世界。「人」を研究する医学と「モノ」を研究する学問分野のコラボレーションが必要。新たな学問領域の構築が必要だと主張する。</figcaption></figure></p>

<p>中心にあるべき「人」が欠けている──。これは、オフィスをどうデザインするかという話にも通じるのではないか、と宮崎は続ける。</p>

<p>「実際にそこで働いている人の働きやすさが、どう変わったかを科学的に検証せずに、一部の人の予断で心地よさを定義しデザインするのは、人不在と言える。オフィスをデザインする上で最も大切なのは、その中心に人を据えて考えていくことではないでしょうか」</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>データを鵜呑みにしない。本質を見抜く審美眼を手に入れる『センスメイキング』 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/03/BNLBooks-VOL18.html" />
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    <published>2019-03-13T23:00:00Z</published>
    <updated>2019-04-09T00:59:37Z</updated>

    <summary>ビジネスにおいて何かの決断をするとき。つい目の前にある膨大なデータを頼りたくなる。そこをぐっと我慢して、もう一歩奥に踏み込んでみよう。本当に必要なのは、データではなく、データの奥にある文化や歴史、哲学なのだから。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>クリスチャン・マスビアウ</strong><p>
ReDアソシエーツ創業者、同社ニューヨーク支社ディレクター。ReDは人間科学を基盤とした戦略コンサルティング会社として、文化人類学、社会学、歴史学、哲学の専門家を揃えている。マスビアウはコペンハーゲンとロンドンで哲学、政治学を専攻。ロンドン大学で修士号取得。現在、ニューヨークシティ在住。</p></aside></p>

<h2>本当に重要なものを見極める力とは━━BNL編集部の選定理由</h2>

<p>現代の人々は、STEM（科学・技術・工学・数学）の知識一辺倒になっているという。まさに、世の中を数字やモデルだけで捉える社会だ。本書はそんな世の中に対し、このままでは、人間は「物事の本質を見極める力」を失うと警鐘を鳴らす。</p>

<blockquote>
  <p>結局のところ、定量的なデータをどのくらい用意するのか、コンピュータの画面上でどれほど多くの脳のスキャン画像を確認すればいいのか、市場をどれほど多くの方法で細かくセグメント化すればいいのかといったようなことは、大きな問題ではない。</p>

<p>そこに関わってくる人間の行動について確固たる視点がなければ我々の洞察は何の力も持たない。</p>

<p>はしがき　思考の終焉より</p>
</blockquote>

<p>技術が進化したいま、一秒間に何兆テラバイトもの膨大なデータが処理される。しかし著者は、そのデータを「抽象的」と表現する。</p>

<p>ではどうすれば具体性を伴うのか。その鍵を握るのが、文化的探求であり、人文科学に根ざした実践的な知の技法「センスメイキング」である。</p>

<p>目の前のデータだけで判断せず、その「奥行き」を探る。データがあらわれた文脈や意味、そして人間の行動を知るのだ。この本のテーマは一貫して「人」なのである。</p>

<blockquote>
  <p>例えば食品を扱うビジネスは、市場参入計画、設備投資、商品のポジショニングさえできていればいいというわけではない。人々が食べ物とどう向き合っているのかを、文化という文脈で理解していくことも大切だ。どのように食べ、どのように分け合い、人々にとって食べ物がどのような意味を持つのかを知らなければならないのである。</p>

<p>第一章　世界を理解するより</p>
</blockquote>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/05/dokugaku.html">
<h4>関連記事</h4>
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<div class="info"><strong>知識を活かすか殺すかは、インプット後の癖で決まる──『独学の技法』著者、山口周が実践解説</strong></div></a></div>

<p>最近、ビジネスパーソンに対して「教養」を身につけることが推奨されている。しかしその重要性が理解できないと、忙しい毎日の中でわざわざ教養を身につけるために時間を割くことはしないだろう。</p>

<p>だからこそこの本をおすすめしたい。文化的探求が目の前のビッグデータ以上に大切である理由が詰まっている。本書を読めば、「教養」は二の次、なんて言ってはいられなくなるはずだ。</p>

<p><strong>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4833423065/">こちら</a>。（Amazon）</strong></p>

<hr />

<h2>要約者レビュー</h2>

<p>このところAI（人工知能）という言葉を聞かない日はない。なかにはポジティブな話題もあるが、どちらかというと「人間 vs. AI」「AIの出現によりなくなる職業」という風に、私たちの危機感をあおるような報道が目立つ印象だ。</p>

<p>AIは今後、ますます身近なものになっていくだろう。しかし思い出して欲しい。1990年代半ば、それまでは一部の人しか使えなかったPCが、Windowsの登場とともに一般化されたときのことを。そして当時の大人たちが、「コンピュータという機械に仕事を奪われる」と戦々恐々としていたことを。</p>

<p>あれから20余年、たしかに誰もがPCを持つようになったし、ほとんどの仕事にPCは不可欠だ。だが仕事の出来はPCの性能ではなく、いまも変わらず「人間」に委ねられている。そして高いクオリティを求められる仕事であればあるほど、人間の持つ総合的な力が重要になることは、誰もが感じるところではないだろうか。</p>

<p>本書は現代の「IT至上主義」に一石を投じる。古典文学や哲学に親しむこと。歴史を読み解き、文脈を理解すること。表面的なデータに捉われず、深くにある真意を読み解くこと。そんな地道で泥臭いアナログな道こそが、真の実力者への道だ――。具体例をあげながら、著者はそのことを繰り返し丁寧に説いている。</p>

<p>IT時代を生きる私たちに、「本当に必要なことは何か」を考えさせてくれる良書だ。時代に取り残されそうで不安な人も、そうでない人も、目を通して損はないだろう。</p>

<hr />

<h2>本書の要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> <br />
 IT至上主義のいま、教育の現場でも理系ばかりが重視される傾向にある。しかし経営者や高い地位にいる高収入者、世界でイノベーションを起こすような人々には、文学、哲学、歴史学、政治学などの人文学系大学出身者が多い。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong> <br />
知性、精神、感覚といった「人間性」をフル活用させ、人文科学に根ざした実践的な知の技法を「センスメイキング」と呼ぶ。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong> <br />
シリコンバレーを中心にはびこる「何ごとも技術が解決する」「あらゆるものを数値化する」という態度は、センスメイキングの対極にある。</p>

<hr />

<h2>要約</h2>

<h2>【必読ポイント!】センスメイキング</h2>

<p><figure><img src="/uploads/15552990611_0884c8c729_b.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/skino/15552990611/">"DSC_1164"</a> by Andrea Balducci(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h4>本当に成功しているリーダーとは?</h4>

<p>アマゾンやグーグルをはじめ、数多くの企業がビッグデータを各々のビジネスに利用している。いまや誰もが「データは多ければ多いほど、気づきやひらめきが増える」と信じている。そういった風潮のなか、教育の世界で工学や自然科学などの理系ばかりが重要視されるのは当然の流れだ。1960年代以降、人文科学系大学の学位数は半減し、助成金も減額の一途を辿っている。文学や歴史、哲学、芸術、心理学、人類学といった文化を探求する学問は、「社会的要請」に応えられないというレッテルを貼られているのが現状だ。</p>

<p>しかしここに「意外な」事実がある。2008年の『ウォール・ストリート・ジャーナル』で報じられた国際的な報酬に関する調査結果によると、理系専攻（科学・技術・工学・数学）の学生は、大学卒業後はたしかに良い職に恵まれている。しかし全米で中途採用の年収上位10%となると、政治学や哲学、演劇、歴史といった教養学部に強い大学の出身者が大半を占めるのだ。つまり経営を取り仕切るような地位にいる高収入者、ガラスの天井を突き破る力のある人、世界でイノベーションを起こすような人の多くは、人文学を学んでいるのである。</p>

<p>もちろん理系の知識も不要なわけではない。しかし本当に成功しているリーダーは、「好奇心旺盛で幅広い教育を受けていて、かつ小説も帳簿も読める」能力を持った人物ということである。</p>

<h3>人間力をフル活用した知の技法</h3>

<p>スターバックスは全世界に支店を持っている。同社の成功の背景には当然、最先端の技術と定量分析がある。最新型のコーヒーマシンや焙煎機、効率的なサプライチェーン、きちんと作りこまれた携帯アプリ。しかし彼らの成功の根幹は、「シンプルかつ深い文化的洞察力」にこそあるという。</p>

<p>35年前、北米のコーヒー文化はいまとはまったく異なるものだった。どの家庭にもあるような生ぬるいカップコーヒー程度しかなく、カフェ=コミュニティスペースという概念もなかった。</p>

<p>あるときスターバックスの中興の祖であるハワード・シュルツは、イタリアの言葉や文化を学ぼうと直感的にひらめいた。シュルツは早々にイタリアへ飛び、有名なバール（伝統的なカフェ）で学んだ後、当時コーヒー豆や紅茶の販売しかしていなかったスターバックスをカフェとして新たに立ち上げた。そしてシュルツはイタリアのコーヒー文化に手を加え、米国のライフスタイルに合わせた新しい文化を作ったのだ。これが成功したのは、シュルツが「文化的な知」を動員させたからに他ならない。</p>

<p>このように知性、精神、感覚といった「人間性」をフル活用させ、文化を調べ理解することを、著者は「センスメイキング」と呼んでいる。センスメイキングは、人文科学に根ざした実践的な知の技法だ。データ至上主義であるアルゴリズム思考の対極にあると言っていい。</p>

<h4>1回のウィンクからわかること</h4>

<p><figure><img src="/uploads/6481465697_a970c5a1fc_b.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/stankus/6481465697/">"Wink"</a> by Mr. Nixter(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>センスメイキングのもとをたどれば、はるか昔のギリシャ時代、アリストテレスにたどり着く。アリストテレスは「フロネシス」を提唱した哲学者だ。フロネシスとは、知識と経験を融合させた「実践知」のことである。熟練した有能な政治家がフロネシスを発揮すれば、自身の選挙区内で起きそうなあらゆる出来事を一瞬で想像できる。あるいはベテラン管理職であれば、組織内に漂う些細な変化も察知できる。豊富な知識と経験を併せ持つリーダーの多くは、社会や制度、組織を自身の延長だと捉え、自分自身もそれらの一部であると考えている。</p>

<p>センスメイキングは一朝一夕で身につくものではない。その世界にどっぷり浸かり、文脈や歴史まで踏み込んだ、深い理解が必要になる。1回のウィンク（目配せ）も、コンピュータ的な定義であれば「1ミリ秒間継続する目の痙攣」かもしれない。しかし実際には特定の含みがあることは、誰もが知るところだろう。センスメイキングにおいては、この文脈を読むことこそが重要であり、それはアルゴリズム的な薄いデータからは到底拾い出せないものなのだ。</p>

<h2>ビッグデータは世界を変えない</h2>

<h4>シリコンバレーの教義</h4>

<p>シリコンバレーの世界では「ビッグデータ教」がはびこっている。グーグルが「世界の情報を整理し、誰もがアクセスして使えるようにする」のを使命にしていることは有名だ。またフェイスブックのCEOマーク・ザッカーバーグは2013年、「世界を理解する」というビジョンを「（ユーザーの）交友関係を『グラフ』に反映し、明確なモデルづくりをする」という行動に移すと宣言した。</p>

<p>このようにシリコンバレーでは、「何ごとも技術が解決する」「あらゆるものを数値化する」という基本理念が流れており、そうすることが「世界を革命的に変える」とすら信じられている。これまでの流れを一度「破壊」し、従来のやり方を根本から覆そうとすることが良しとされているのだ。</p>

<p>だが著者はこのシリコンバレー的思想を、「かつてないほどセンスメイキングが欠けている」と指摘する。センスメイキングは、連綿と伝わる人文科学の手法だ。過去の経験や知識を否定せず、そのときどきに覇権を握った勢力や思想が積み重なり、現在の文化を形成したという過程を大切にする。</p>

<h4>グーグル・インフルトレンドの失敗</h4>

<p><figure><img src="/uploads/3645340991_c43d634daf_b.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/oh_darling/3645340991/">"Cough cough cough"</a> by Sarah-Rose(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>ではビッグデータのみを使うようになるとどうなるのか。「グーグル・インフルトレンド」を一例として取り上げよう。2008年、グーグルの研究者たちは「（グーグルの）検索結果を取り出して追跡調査したら、インフルエンザの流行を米国疾病予防管理センター（CDC）よりうまく予測できるのではないか」と仮説を立てた。そしてこの仮説にもとづいたデータが科学誌『ネイチャー』で発表されると、大きな反響があった。彼らはCDCより2週間も早く、インフルエンザの流行を予測できたのだ。</p>

<p>しかしここからうまくいかなくなる。まず2009年の新型インフルエンザの世界的大流行を見逃した。さらに2012～2013年の予測においては、流行していないときまで警報を出しすぎた。この2年間におけるグーグル・インフルトレンドの発した予測は、全108週のうち100週が過剰予測だったのだ。</p>

<p>なぜグーグル・インフルトレンドは失敗したのか。まずインフルエンザの流行する「シーズン」と関係していても、実際は関係ない検索ワードがひっかかってきたことが挙げられる。たとえば「高校バスケットボール」や、風邪の時に好んで食される「チキンスープ」などだ。これらとインフルエンザの因果関係はない。しかしアルゴリズムはそれを「関係あり」と判断していた。ビッグデータは「理由」を重視せず、検索にひっかかったという「事実」のみで判断するからだ。</p>

<h2>センスメイキングの極意</h2>

<p><figure><img src="/uploads/5150139555_977719d7da_b.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/geoftheref/5150139555/">"Car"</a> by Geof Wilson(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h4>高級車リンカーンの復活</h4>

<p>アメリカの自動車メーカー「フォード」の代表的なブランドに高級車「リンカーン」がある。リンカーンは1940～1960年代に一世を風靡した高級車で、1961年にジョン・F・ケネディ大統領（当時）が暗殺された時に乗っていた車として記憶している人も多いだろう。しかしその後キャデラックやメルセデスなどのライバルに顧客を奪われ、リンカーンの高級車市場におけるシェアは5.5%まで落ち込んだ。</p>

<p>ところが2015年、リンカーンは約10万台という6年ぶりの最高売り上げを記録した。フォードは「高級車とその利用者」「自社の文化」という、リンカーンという車を取り巻く世界そのものを理解することに取り組み、復活を遂げたのだ。</p>

<p>メインの顧客としたのは中国やインドなど新興国の人々だ。フォードは調査グループを作り、彼らにとっての車の位置づけや車内での過ごし方などを、半年間かけて約60名ずつの被験者を対象にリサーチした。そしてその結果、運転するという体験は、自動車の未来にほとんど関係しないという驚くべき事実がわかった。全時間の95%は駐車場や車庫に眠っていて、5%の運転時間も渋滞などに巻き込まれるからである。</p>

<p>フォードはこれまで走りにばかり注目し、消費者の関心を置き去りにしていた。顧客対象になるであろう人々は、基本的に渋滞で身動きのとれない人々だったのだ。</p>

<h4>関わりのなかに存在すること</h4>

<p>では新興国の人々にとって、「車の価値」とは何か。モスクワに住む男性（37歳）は、「車内で音楽を大音量で聞きながらダッシュボードを手で叩く」ことが楽しみだと答えた。またムンバイに住む男性（31歳）は、顧客をもてなす「動くオフィス」だと語った。フォードはこうした調査によって「車とは何か」、「上質な体験とは何か」という消費者の根本的な価値観を学び、リンカーンの設計・製造に活かしていったのだ。</p>

<p>かつてフォードは「技術ありき」であった。しかしこの調査をきっかけに「技術を使って人々やその経験に寄与するにはどうしたらいいか」を中心に捉えるようになった。車は単体で存在しているのではなく、それを取り巻く世界が関わり合うなかに存在している。この文脈を読み取って理解することが、センスメイキングなのだ。</p>

<h4>関心がひらめきを生む</h4>

<p><figure><img src="/uploads/20432766061_5b509da20f_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/noodlefish/20432766061/">"Balance"</a> by Noodlefish(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>世界的に有名な建築家にビャルケ・インゲルスという人物がいる。2013年冬、彼のチームはスイスの老舗腕時計メーカー、オーデマ・ピゲ社の博物館の新設プロジェクトの入札を控えていた。オーデマ・ピゲ社は創業から150年間、創業者一家がオーナーを続けている、スイス唯一の会社だ。</p>

<p>インゲルスは入札にあたり、まずスイスの本社を訪れた。対象となる土地を肌で感じるためであった。そしてオーデマ・ピゲ社で長年働く時計職人と話をした。その職人は歴史に残る名品を数々手がけてきた腕利きで、インゲルスに時計作りのプロセスを伝え、実際にその作品や技を見せてくれた。インゲルスはそのとき「ハっとひらめいた」という。まさに天啓とも呼べる、アイディアが降りて来た瞬間だ。「自分が設計する対象物に惚れ込むことが大切。その愛情さえあれば、あとはそれをうまく導き成果物に反映させるだけ」とインゲルスは語る。</p>

<p>インゲルスが目をつけたのは時計のゼンマイだ。ゼンマイからインスパイアした二重螺旋構造を建物の随所に取り付け、さらに月の満ち欠けやカレンダーといった時計の機能を盛り込んだ、壮大なデザイン設計を披露した。これを見たオーデマ・ピゲ社の関係者からは驚きの声が上がり、インゲルスはライバル5社を抑え、見事プロジェクトを勝ち取った。</p>

<hr />

<h2>一読のすすめ</h2>

<p>本書ではこの他にも「センスメイキング」の事例が数多く紹介されている。顧客離れが止まらなかった保険会社の復活劇、拘束された女性ジャーナリストを救出したFBI捜査官の見事な機転など、ワクワクさせてくれる話ばかりだ。「薄いデータ」の羅列ではない、厚く芳醇なストーリーを楽しんではいかがだろうか。</p>

<p>（1冊10分で読める本の要約サービス <a href="https://www.flierinc.com/">flier</a>）</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2019/01/BNLBooks-VOL17.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/f82806a562650c7e56e97e2b4f07dd004aa971c5.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>前回のBNL Books：会社員は、小さく素早くたくさん試せば人生が拓ける。新年は『スモール・スタート』ではじめよう</strong></div></a></div>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>米ピーター・F・ドラッカー大学院の人気講座「セルフマネジメント」が、21世紀のビジネスに不可欠な理由 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/03/Jeremy-Hunter.html" />
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    <published>2019-03-11T01:18:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:33:30Z</updated>

    <summary>いかに最高のパフォーマンスを個人でも集団でも発揮できる状態を作れるか？ 望む成果を得るために、どのように自分をマネジメントすればいいか？ 学校では誰も教わっていないが、現代のビジネスには必要不可欠だという学びに注目してみよう。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="職場再考" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="マインドフルネス" label="マインドフルネス" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="学び" label="学び" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>ジェレミー・ハンター</strong><small>米ピーター・F・ドラッカー
大学院准教授</small>
<p>相撲取りの曾祖父を持つ日系ハーフ。ピーター・F・ドラッカー大学院の准教授で、同大学院のエグゼクティブ・マインド・リーダーシップ・インステュテュートの創始者。2018年に東京でTransformを共同創設。とてつもない外的変化やチャレンジに接しているリーダーたちに対し、人間性を保ちながら自分自身を発展させる方法を、ほぼ20年に渡り導いてきた。「自分をマネジメントできなければ人をマネジメントすることなどできない」というドラッカーの主張にささげ、やりがいのある、人生観が変わるような幹部向けの教育プログラム、エグゼクティブ・マインドを作り、教えている。また、バージニア大学の大学院プログラムでもリーディング・マインドフリー・エグゼクティブ教育のクラスを教えている。教育機関以外でも、フォーチュン200の航空宇宙科学機関やフォーチュン50の銀行、ファイナンス、会計事務所、芸術関連やNPOなど、様々な組織に向けて、リーダシップ・プログラムを提供してきた。ハンター教授は、シカゴ大学でPh.D. 、ハーバード大学ケネディースクールでM.P.P、そしてウィッテンバーグ大学で東洋学の学位を取得している。ギョウザをこよなく愛し、現代建築に取り憑かれ、ロサンゼルスで妻と息子と共に、2匹の猫に律儀に仕えている。</p></aside></p>

<p>世界中のビジネスリーダーに思想的影響を与えた経営学者ピーター・F・ドラッカーは、かつてこう語った。「まず自分をマネジメントできなければ、人をマネジメントすることなどできない」。</p>

<p>単純明快な答えなどない現代。複数の専門性を持ち寄り、複雑なビジネス課題にチームとして取り組む重要性が増すなか、「いかに最高のパフォーマンスを個人でも集団でも発揮できる状態を作れるか？」、あるいは「望む成果を得るために、どのように自分をマネジメントすればいいか？」といった学びは、ますます重要になってくるだろう。</p>

<p>しかし、ジェレミー・ハンターによると、そうしたことは学校ではほとんど教えられていないという。脳科学、神経科学、心理学等の最新研究と、ドラッカーのマネジメント論をベースに設計された「セルフマネジメント」のプログラムは、最近アメリカでは企業の研修としても積極的に導入されている。</p>

<p><a href="https://bnl.media/2019/02/office-concept-2010.html">BNLの特集「職場再考」</a>では、新しいオフィスを有効活用するためには、そこで働く人間や組織のあり方も同時に変わるべきではないかという仮説を立てている。そうしたBNL編集部の問いを教授に当ててみることからインタビューは始まった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_7297final.jpg">
<figcaption>1999年から本格的にセルフマネジメントの研究をスタートし、2003年から大学院で教え始めた。いまでは、その領域における第一人者として知られる。昨年、東京で新会社「<a href="http://transform-your-world.com" target="_blank" rel="nofollow">Transform</a>」を立ち上げ、定期的に来日して日本のビジネスパーソンにも教えている。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──いまBNLでは「職場再考」という特集を組んでいまして、単にオフィスの目に見える部分だけを変えるだけではなく、そこで働く人のマインドも同時に変わっていくべきではないかと提案しています。</strong></p>

<p>目に見えるものだけがオフィスではないというのは、とても美しい表現ですね。</p>

<p>もちろん、物理的な環境がマインドを形づくる要素はあるわけでして、デザインは重要な役割を果たしています。例えば、いまあなたと私の間には真っすぐな机があって、向かい合って座っていますが、もしこれが円形の机を囲んでいたとしたら、また別の対話の形が生まれていたはずです。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2019/02/office-concept-2010.html">
<h4>関連記事</h4>
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<div class="info"><strong>リモートでも働ける時代に、オフィスはどう進化できるか──特集「職場再考」導入編</strong></div></a></div>

<p>でも一方で、どのようにマインドとマインドが交わるか、という問いもあるわけでして、ドラッカーが晩年まで50年以上にわたって研究していた「（工場労働者と比べて）知識労働者の生産性を上げるために何ができるか？」というテーマは、まさにそこにつながるものです。</p>

<p><strong>──「マインドとマインドが交わる」とは？</strong></p>

<p>知識労働者の生産性について、私は人間関係の「クオリティー（質）」を中心に考えます。その質が低下する一例として「怒鳴る社長シンドローム」と呼んでいるものがあります。社長が従業員を怒鳴ると、従業員は社長の反応におびえてしまい、オフィスの中を飛び交う情報の質は低下します。従業員が難しい情報を社長に話すことを躊躇してしまう状況になれば、経営判断の質まで低下します。</p>

<p><strong>──知識労働の時代には、人間関係の質がポイントになるのですね。</strong></p>

<p>企業の生産性に関わる要素は、すべて貸借対照表で測れるわけではありません。集中は十分に保たれているか。同僚との会話の質はどうか。気兼ねなく何でも話せるような関係は築けているか。難しい状況について上司に相談した際に、逆上されたり責められたりする心配はないか。厳しい時にも互いに信頼し合えるか。その信頼はどうすれば測れるか。信頼がないために抜け落ちているものはないか。それらが組織全体のパフォーマンスにどう影響しているか。</p>

<p><strong>──それらを計測できるようになることが大切だと？</strong></p>

<p>もちろんこれらを計測するのはチャレンジングだと思いますが、私が言いたいのは、これらが知識労働の時代には欠かせないものであり、決して無視してはならないということです。ちなみに、あなたはなぜセルフマネジメントに興味を持たれたのですか？</p>

<p><strong>──BNLではこれまで、<a href="https://bnl.media/2016/12/2016bnlreview.html">積極的に社外に出て名刺交換をして</a>、<a href="https://bnl.media/2017/05/2017firsthalf-bnlreview.html">知の探索を通して、新しいアイデアを交換すること</a>が大切だと伝えてきましたが、外に出る前に自身のマインドと向き合い、偏見や先入観をなくして物事をとらえることも大事なはず。また社内にアイデアを持ち込んでも、上司や同僚と忌憚のない意見を交換できる、良好な関係が築けていないと難しい。そういった時に、セルフマネジメントの有用性があるのではないかと考えたのです。</strong></p>

<p>とても興味深い観点ですね。ちなみに「なぜセルフマネジメントを学ぶことが大事なのか？」と聞かれたら、私は「学校で教えられていないから」という点から説明します。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_7144final.jpg">
<figcaption>期待値や前提知識が違えば、たとえ同じような経験をしたとしても、人によって全く異なる経験として構築されていく。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──面白いですね。具体的には？</strong></p>

<p>学校では基本的に一つの現実の見方しか教えません。でも実際、私たちは社会や組織における共通認識と自分自身の経験とを組み合わせて、それらの相互作用によって自らの経験を構築しているのです。</p>

<p>例えば世代が違うだけで世の中に対する見方は違ってきます。性別が異なれば、たとえ同じ体験をしたとしても、印象に残るものは変わるでしょう。自分の中でも、空腹だったり、寝不足だったりするだけで全く異なる経験になります。その時々において、セルフマネジメントは自分がどのような状態にあるかを理解するための道標となるのです。</p>

<p>私は日本でセルフマネジメントのプログラムを行う際、開始時間をわざと15分くらい遅らせます。そうすると、だんだん参加者は「どうしたんだろう？」ってそわそわし始めるんです。でもアメリカだったら多少遅れてスタートするのは普通ですし、ブラジルだったら、まだ誰も来ていないかもしれませんよね（笑）。</p>

<p><strong>──日本人は基本的に時間に厳しいですからね。</strong></p>

<p>でもそれは文化的に自分たちの頭の中で構築しているルールにすぎないわけで、そわそわするのは、そのルールが侵されたことで無意識に反応してしまうからなんです。</p>

<p>プログラムの内容としては、まず経験の構築方法が果たして望ましい結果を生み出しているか、あるいはそうでないかを一人ひとり見ていきます。セルフマネジメントは、ただ単に「瞑想（めいそう）をしたらいいことあるよ」と言っているわけではありません。もし何度も望んでいない結果が起きてしまっていたら、経験の構築方法に何らかの問題があるはずで、それを認識することから始めます。</p>

<p><strong>──要するに結果を見て、もし何度も同じ問題が起きていれば、どうすれば改善できるか、システム的に考えてみようということですね。</strong></p>

<p>その通りです。望んでいない結果の要因が不明な場合、たいてい「マインドレス」であることが多いのですが、その状態について私はよく「オートマチック・パイロット（自動運転）」と表現しています。これも学校では教えてくれないことですね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_7340final.jpg">
<figcaption>セルフマネジメントは、決してケーキの生クリームの部分やトッピングの部分ではない。ケーキそのものであり、すべての基礎を成すものである。人生が豊かになる追加のオプションではなく、誰にとっても不可欠なサバイバルスキルであるという。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──「自動運転」状態とは？</strong></p>

<p>人間は、現実を経験として構築する方法のうち、9割は無意識だとされています。</p>

<p>もう一度、怒鳴る社長の例に戻ってみると、社長はもしかしたら自分が怒鳴っていることを意識できていないかもしれないということです。あるいは、社長として怒鳴ることはいいことだと思っている場合もあり得ます。ちなみに「社長とはかくあるべき」というのも、思い込みの一種です。</p>

<p>ではこの場合におけるマインドフルな状態とは、無意識のうちにやっていることを意識できるようになることです。つまり、普段から従業員に怒鳴ってばかりいるせいで必要な会話が減ってしまい、望んでいない結果につながっていることを認識する。それができない限り、根本的な問題解決には至りません。セルフマネジメントによって、経験の構築プロセスを可視化していきます。いったんそれが見えてくれば変えることも可能になり、マインドフルネスはとても実践的なものになるのです。</p>

<p><strong>──VUCAとも言われる、不確実性の高いビジネス環境においては、自動運転状態を脱することは、ますます求められそうですね。</strong></p>

<p>VUCAの世界においては、一人ひとりが素早く状況に対応して変化していくことが求められます。望んでいない結果に至るプロセスが見えなければ、どう変化するべきか見当もつきません。だから時には当たり前だと思い込んでいることでも、もしかしたら間違っているかもしれないという視点が必要になります。ただここで大事な点は、セルフマネジメントが豪華なトッピングなどではなく、あらゆるものの基礎部分であるということです。</p>

<p><strong>──限られた人たちだけが学べばいいものではないと？</strong></p>

<p>20世紀では読み書きと算数が教育の基本でしたが、21世紀は、いかに素早く状況に適応できるかが求められます。でもそれは自分のマインドがどのように動いているかを知らない限り不可能です。これからの時代において教育に求められるのは、一人ひとりが自分自身のマインドを深く理解し、トランスフォーム（変容）するための方法を学ぶことです。かつてドラッカーも、このことを「決してラグジュアリーではない、不可欠なサバイバルスキルである」と言っていました。その必要性は、近年ますます高まっているように思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_7173final.jpg">
<figcaption>自分の思考の癖を知り、感情と行動の結果の構造を理解すること。身体感覚の大切さを知ること。例えば、どういう時にストレスを感じやすいか、その時、身体にはどのような変化が起きているか。自分のパターンを知ることができて初めて、いままでとは違う行動と成果を生み出せるようになるという。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──セルフマネジメントの必要性を実感する機会は最近多いですか？</strong></p>

<p>このあいだ日本人の教え子が大学に訪ねて来てくれたことがありまして、その時、彼の会社の社長も一緒だったんです。「いま日本にはどんないいことがありますか？」と私はその社長に訊いてみました。すると、とても長いあいだ床を見つめ続けた後、ようやく顔を上げたかと思うと、「いまの日本には何もいいところはない」とおっしゃったのです。</p>

<p>その方は非常に視界が狭くなっていて、他のオプションが見えなくなっていました。重要な判断をしなければならない責任ある立場でありながら、かわいそうなことに、自分のマインドセットにとらわれてしまっていたのです。セルフマネジメントの目的は、感情をマネージするだけではありません。暗闇の中、わずかな光を追って、新たな可能性を見いだしていくために、自分のマインドセットをマネージすることも含まれています。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/03/kawakami.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/20170327170544-26fe3ee4e29325a9201a6814138ded5d3a7db7b5.jpg">
<div class="info"><strong>バイアスを外して「自己認知力」を磨こう──妙心寺春光院・川上全龍が説く、禅の哲学</strong></div></a></div>

<p>あなたが言ったように、会社の外で生まれる出会いにばかり、変化を生み出す答えが潜んでいるとは限りません。自分の経験構築の癖を理解することで、マインドセットを変えてくれるような気づきにたどり着ける可能性だってあるのです。</p>

<p>前提としているバイアスは何か。信じているシステムは何か。特定の言動を妨げる要因として、何か子どもの頃のトラウマ（心的外傷）は影響していないか。自分自身の人間性の質が周りの人間関係にどのように影響しているか。それによって、どんな可能性が開いているのか。あるいは、逆に閉ざされてしまっているのか。</p>

<p>そうやって自分自身をより深く理解していけば、やがて自分のバイアスや思い込みを手放せるようになります。そうすると次に新しい人と出会った時に、相手が提供できる価値を十分に認められるようになり、より充実した会話が生まれることでしょう。</p>

<p><strong>──昨年、日本で新会社「<a href="http://transform-your-world.com" target="_blank" rel="nofollow">Transform</a>」を立ち上げて、個人や組織を対象にセルフマネジメントのプログラムを実施されていますが、多くの日本人と接する中で、いまこの国にはどんないいところがあると感じていますか？</strong></p>

<p>日本文化のDNAには、何か本質的に世界に提示できるものがあるような気がしています。例えば、華道、茶道、弓道、剣道、書道といった伝統芸術にすべて共通しているように思うのは、「アテンション（注意）」を開発することです。それは、私に言わせれば、日本独自のセルフマネジメントのようなものなんです。</p>

<p>これはいま世界が求めている「宝箱」です。少し油断するとスマートフォンによって注意が奪われてしまう現代の"デジタル世界"において、日本の文化がどのような役割を提示できるか。私はここに大いなる可能性を抱いています。</p>

<p>ピーター・ドラッカーも、日本は「パーセプチュアル（知覚的）」な国だと言っていました。対するアメリカは「インテレクチュアル（知能的）」な文化をずっと大事にしてきました。日本を訪れるといつも思うのですが、あらゆる物事に「ビューティー（美）」が備わっています。日本に最近多くの外国人が訪れている理由も、きっとその辺りにあるのでしょう。文化の中心にアテンションを据えて、日々の暮らしにビューティーが大きな影響力を持つと、いったいどんな国になるのか。外国人は、それを実際に見て体験してみたいと思うのです。</p>

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]]>
        
    </content>
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    <title>THE 飯茶碗、THE 醤油差し、THE 洗濯洗剤。 「THE」はなぜ、未来の定番をつくるのか - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/03/the-shop.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9174</id>

    <published>2019-03-08T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-03-23T02:50:32Z</updated>

    <summary>高度経済成長期以降、モノは選びにくくなり、作り手にも負荷がかかり、資源も枯渇しかけている。「THE」は、この課題を解決するため、環境、経済、文化にとって「最適」なものづくりを探求する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="クリエイター" label="クリエイター" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="デザイン" label="デザイン" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="小売" label="小売" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>「近年の生活雑貨店は、『ナチュラル』とか『アーバン』というような『イメージの創出』でものを売っていく傾向がありました。ところが、うちはそれがないんです」</p>

<p>米津雄介は、「これこそは（＝THE）と呼べる未来の定番品をつくる」をコンセプトに商品開発・販売を行うTHE（ザ）株式会社の社長を務めている。米津の言葉に改めて、KITTE丸の内4階の「<a href="http://the-web.co.jp/"target="_blank" rel="nofollow">THE SHOP TOKYO</a>」を見る。そのイメージをあえて表現すればニュートラル。あいまいさではなく、明確な意志を持ったニュートラルだ。</p>

<p>グラス、飯茶碗、醤油差しなどのキッチン用品。歯ブラシ、石けん、タオルといった生活用品。スウェット、チノパンツなどの衣料品。バラバラなものが並んでいるのに、明確な意志を感じさせるのはなぜか。</p>

<p><img src="/uploads/_L2A7204.jpg">
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/24185399082">米津雄介</a></strong><small>THE株式会社代表取締役／プロダクトマネージャー</small>
<p>1980年東京生まれ。東京造形大学卒業後、文具メーカーで商品開発とマーケティングに従事。2012年にプロダクトマネージャーとしてTHE株式会社に参画し、全国のメーカーを回りながら、商品開発・流通施策・生産管理・品質管理などプロダクトマネジメント全般と事業計画を担当。2015年3月に代表取締役社長に就任。THEではLondon International Awards 2015、D&amp;AD Awards 2016など受賞多数。共著に『デザインの誤解』（祥伝社）。</p></aside></p>

<p>「コンセプトに従うと必然的に1ジャンル1品になります。製品ジャンルとして同じものを二つは作らないし、仕入れない。一般的に小売店は同ジャンルのものを比較して販売します。家電量販店やホームセンターを思い浮かべてもらうとわかりやすいと思いますが、同じものでも複数のメーカーや、色違い柄違いを並べています。選択肢を用意してお客さんに選んでもらう。でも僕らはそれをしていません」</p>

<p>例えばグラスが欲しいと思って「THE SHOP」へ行っても、そこにあるグラスは1種類。「THE GLASS」のみだ。つまり「THE」では、「比較して買ってもらう」という定石を封じていることになる。</p>

<p>2012年の設立から7年。「THE」のものづくりは、どんな考え方で行われているのだろうか。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A7205.jpg">
<figcaption>THE GLASSは耐熱ガラス（耐熱温度差120℃）を極限まで厚く用いた、割れにくく、軽く、電子レンジでも使えるグラスだ。多くの人が認識しやすいショート・トール・グランデの３サイズ。製造は試験管やビーカーなどを手がけるHARIO株式会社。</figcaption>
</figure></p>

<h2>商品開発で感じたジレンマ</h2>

<p>米津が「THE」に参画する前の話だ。大手文具メーカーで商品開発に従事していたころ手がけた商品の一つに、新定番と呼べるようなヒット商品があった。</p>

<p>これぞ決定版、もうこれ以外作らなくてもいいのではないかと思うが、そういうわけにはいかなかった。他社は追随するし、小売店はシーズンごとに新しいバリエーションを求める。</p>

<p>米津は「商品開発にはジレンマがある」と言う。</p>

<p>「1990年代以降、ものづくりの世界ではIT以外の抜本的な技術革新が頭打ちとなり、本質的な機能の変化が起こりにくくなってしまいました。その中でいろんな人たちが『差別化』と言い出したのです。『差別化』って、ものすごく平たく言うと『人と違った良いことをする』ことだと思うんですね。でも、『良いこと』だったら誰だってまねしたいじゃないですか」</p>

<p>結果として、本質的な「差別化」ではなく、短絡的なバリエーションを他社も自社も大量に作る。「じゃあ色を変えましょうとか、ロゴマークを入れましょうとか」。文具はあくまでも一例だが、同じようなことがさまざまな業界で起きている。</p>

<p>「でもその『短絡的な差別化』によって、本当にお客さんが欲しがるのかどうかよくわからないですよね。かえって選びにくくしているのではないか。製造や販売に関わる社内外のリソースも、材料やエネルギーといった地球の資源も、浪費しているのではないのか。果たして世の中のためになっているのだろうか......って」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A7239.jpg">
<figcaption>多くのプロダクトが、より便利で使いやすいものへと進化した。それでも企業競争のために、ほんの少しの変化を加えながら、毎年新しいものを作り続けなければならない構造に疑問を感じていたという。</figcaption>
</figure></p>

<p>この問題意識は、「THE」の中心メンバーに共通するものだ。</p>

<p>「THE」は次の4人によって設立された。クリエイティブディレクターの水野学、中川政七商店会長で、プロジェクトマネジメントを担う中川政七、プロダクトデザイナーの鈴木啓太、そしてプロダクトマネジメントの米津。「THE」が動き出したきっかけを、米津はこう話す。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2019/03/naraclub-nakagawa.html">
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<p>「『THE』というキーワードが生まれたきっかけは水野と鈴木です。クリエイターの2人が、『THE GLASS』と呼べるような、普通のグラスが欲しいよねと話し合ったところから始まりました」</p>

<h2>未来の定番をつくる</h2>

<p>「おもしろいとか、かっこいい、かわいい、は今の世の中にはたくさんの選択肢があります。でもそうではなくて、毎日当たり前に使って、当たり前に未来につながっていくものが欲しいよねという思いが2人にあったのだと思います」</p>

<p>「この７年間、近くで仕事をしていて感じるのは、水野も鈴木も、ちゃんと売れることに寄与しなくてはならないという意志や、ものを作っても使ってもらえなかったら意味がないという気持ちがすごく強いということです。自分たちがデザインした事象の結果に対して責任を負う。だったら自分たちで作ったものを自分たちで責任を持って売ろうというのが、彼らの起点にあります」</p>

<p>毎日当たり前に使って、当たり前に未来につながっていくもの━━すなわち「定番」だ。「THE」のブランドコンセプトである「定番をつくる」は、最初の商品である「THE GLASS」にすでに体現されていた。米津はこう言う。</p>

<p>「僕たちは『そのジャンルの基準値をつくる』ことを目指しています。基準値とは、市場の平均値ではありません。『そのものは本来こうあるべき』という絶対評価としての姿です。基準値と呼べる商品が存在しないジャンルは数多く残されています。それを生み出していく。すでに存在する場合は、僕らが新たに作る必要はないと判断してその商品をTHE SHOPで啓発していく。『ジャンルの基準値』を一つひとつ探り当てていった先に、『未来の定番』が生まれる。それが、僕たちが目指していることです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A7217-Edit.jpg">
<figcaption>「THE」のプロダクトとして最初に生まれたのが「THE GLASS」だ。現在は、野外で使用することや子供が使うことを考えて、踏んでも壊れないプラスチック製のグラス「THE UNBREAKABLE GLASS」も発売している。</figcaption>
</figure></p>

<h2>1ジャンル1社としか組まない</h2>

<p>米津を「THE」に誘ったのは鈴木だ。前述にある文具のヒット商品の開発で外部デザイナーとしてプロダクトデザインを担当したのが鈴木だった。米津はこう話す。</p>

<p>「当時、クリエイターの2人は、作った商品がしっかりと流通するために、経営ができる人や、ものづくりのマネジメントができる人を集めようと考えたのだと思います。それで、水野が中川に声をかけて、鈴木が僕に声をかけてくれた」</p>

<p>イメージの創出ではなく、もの自体の強度でものを売っていくことは、実は非常に難しい。立ち上げのとき、水野から「THE」の構想を聞いた中川は、こう言ったという。</p>

<p>「何の変哲もないもの、とらえどころのないものを普通はみんな作らないし、消費者にどう売るかが難しい。（中略）難しいはずのこのプロジェクトを、なぜいま自分が面白いと思っているのか、うまく説明できない。でも、きっと面白いことになる」（『デザインの誤解』）</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/design_gokai.jpg">
<figcaption>水野学、中川淳、鈴木啓太、米津雄介の共著『デザインの誤解−いま求められている「定番」をつくる仕組み−』（祥伝社新書）。新しい定番をつくるために必要なデザインや経営とは、どのようなものか。製品開発の現場を通して紐解いている。
</figcaption>
</figure></p>

<p>米津が担うプロダクトマネジメントという仕事は、デザイナー、メーカー、小売店、ユーザーなど、製品に関わるすべての人をつなぐ、扇のかなめの役割を果たす。</p>

<p>「僕たちは、パートナーと長期的な関係を築くことをとても大切にしています。例えば、商品開発では1ジャンル1社としか組みません。同じ製品を複数のメーカーに依頼し取引条件で比較するといった二社購買をせず、共同開発者として企業名を出してもらって長くお付き合いいただいています」</p>

<p>「液だれしない醤油差し」として知られる「THE 醤油差し」を共同開発したのは石塚硝子グループのアデリアという会社。子会社の北洋硝子（青森県）と研究開発し、製造も北洋硝子の工場で行われている。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A7248.jpg">
<figcaption>液だれしないことで人気を博している「THE 醤油差し」。醤油切れが良く、容器が汚れない。</figcaption>
</figure></p>

<p>「北洋硝子さんにたどり着くまでに5社、断られているんです。『液だれしないガラス製の醤油差しをつくりましょう』と図面を持っていっても、『時間もかかるし難しそうだし、そんなの無理です』って。当たり前ですよね。そんなことしなくても醤油差し、売れるんだから。でも使う人も作る人もみんなが『醤油差しは液だれするもの』と思っている状況がおかしいわけです。本来醤油差しは液だれしないものであるべきだし、そういう商品が真ん中にあればそのジャンル全体のクオリティが上がっていくはずなんです」</p>

<p>断られ続けて、ようやく「面白いから一緒にやりましょう」と言ってくれたのが石塚ガラスグループのアデリアと北洋硝子だった。切れのよい注ぎ口や、傾けても落ちないふたなど、「これこそは」と思える醤油差しが完成するのに2年かかった。</p>

<p>「1ジャンル1社と決めて長く付き合っていくと、原材料の段階からお客さんの手元に届くまで、すべてのことを共有できるんです。だから僕らは自信を持ってお客さんにおすすめできるし、メーカーさんに『お客さんからこんなこと言われたよ』とフィードバックすることもできる」</p>

<p>「THE」がこれまでに開発した商品は50ジャンルを超える。グラスや醤油差しのほかにも、吊り編み生地で何十年も着られる「THE Sweat」、1本でどんな素材でも洗えて100パーセント自然にかえる「THE 洗濯洗剤」、水だけで磨けて自立する「THE TOOTHBRUSH by MISOKA」、飯茶碗の普遍的な形を追求した「THE飯茶碗」など。どれも、なぜこの形状なのか、なぜこの素材なのか、なぜこの価格なのか、考え抜かれている。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A7273.jpg">
<figcaption>吊り編み生地という、丈夫で極上の柔らかさを持つ生地を採用したスウェットシャツ。JAXAの宇宙船内被覆に選定されている丸和繊維工業との共同開発により、動いても着崩れが起きない着心地を実現している。
</figcaption>
</figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A7271.jpg">
<figcaption>THEの商品の中では珍しく、五つのバリエーションがある飯茶碗。形と大きさは同じだが、産地が違う。日本には焼き物の産地が多く、「飯茶碗の定番といえば〇〇焼」と決めることはできない、そんな思いがあり、五つの産地の窯元と同時に開発を進めたという。</figcaption>
</figure></p>

<p>商品には自信がある。一方で米津は「変えていきたい面もある」と言う。</p>

<p>「僕らのブランドとしての評価は、製品起点が多い。『これはすごいね』とか『こんなのあるんだね』とか。でもそれだと『THE』を全体として見たときに、何をやっているブランドなのかがわかりにくかった」</p>

<p>立ち上げから7年、米津はいま改めて、なぜ自分たちがこういうものづくりをしているのか、その根底にある考え方を言葉にして、伝えることに力を入れている。</p>

<p>「歴史を振り返ると、近代のものづくりや消費の在り方を大きく変えた事件は二つありました。一つは18世紀半ばから19世紀にかけて起こった産業革命。もう一つは20世紀の世界的な高度経済成長です。高度経済成長において日本はその筆頭でした。需要が供給を上回り、作れば作るだけ自分たちが豊かになる時代が100年近く続いた。メーカーから流通主導になり、『規模の経済』ということが言われるようになりました。でも、たくさん作っても安くならない部分もあるわけです」</p>

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<p>例えば、職人が一つひとつ作っているようなものは製造原価の下限が明確で、日給1万円で10個作れたら１個1000円。もし100個作って安くなるとしたら、それは単にボリュームディスカウントだ。何かしら仕組みの改善がない限り本来の製造原価は変わらない。工程別に差はあるが、機械加工や自動化された部分でも同じことが当てはまる。</p>

<p>「しかし20世紀の経済は、製造工程も含めてメーカーにチキンレースを強いてきました。いま生き残っているのは、我慢競争に勝った人たちか、そこから抜け出して自分たちにしかできないことを磨き上げてきた人たちです。この二極化の状況は、実はよくないことだと思っています。普通のものを普通につくれる工場が少ないんです」</p>

<p>こうした経済面における作り手への負荷のほかにも、世界的な環境汚染や資源の枯渇、ものづくりの文化における前述の「差別化問題」や知的財産に対する旧態依然とした考え方など、問題はいくつもある。しかし、20世紀のものづくり産業があまりにも巨大だったために、そこから変われないでいる。</p>

<p>「一見バラバラに見える『THE』の商品群に共通するのは、こういったものづくり産業が抱える社会的課題を解決するためのものであるということです」</p>

<h2>環境、経済、文化のすべてに最適であること</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A7316.jpg">
<figcaption>ブランドの根幹を語る米津の、その穏やかな口調の中に、ものづくりの現状を変えたいという強い信念を感じられた。
</figcaption>
</figure></p>

<p>例えば、「THE SCISSORS」をすべて金属にしたのはリサイクルを想定していることも理由の一つだ。</p>

<p>「ハサミって捨てたことありますか？　たいていみなさん小学校のときに使っていたハサミがそのまま実家のどこかにあったりするんですよね。切りにくくても捨てないし、捨てようと思ってもプラスチックと金属がくっついているのでどうやって捨てるのかわからない。資源としての回収方法が自治体ごとに違うんです。でも100パーセント同じ金属でできていれば、100パーセント資源として再生できます」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A7284.jpg">
<figcaption>便利に使うことだけでなく、使わずに置いてある姿も様になり、使い切って処分するときは100パーセント資源になる。購入から手放すまでのことを考え抜かれたプロダクトだ。
</figcaption>
</figure></p>

<p>まず「定番」として長く使えるものを作る。そのために、高品質な材料を利用し、それをできる限り再利用を含めた循環サイクルに落とし込む。将来的に材料の無限利用に少しでも近づければ、社会全体としての製品コストも下がるはず。その姿勢は、大量に作って大量に捨ててきた20世紀のものづくりとは異なるものだ。</p>

<p>「商品がどう素晴らしいかは、むしろわかりやすいんですね。だけど僕たちは、いいものを作るだけでなく、それによってものづくりの経済のあり方や環境のあり方、そして文化を変えたいと思って、一つひとつの商品を作ってきました。</p>

<p>ものづくりの会社として、僕らはどんな未来を目指したいのか。僕らが感じている課題を、どうしたら解決できるのか。その道しるべとして『最適と暮らす』というビジョンを設定しました。環境、経済、文化のすべてにおいて最適な暮らしを、ものづくりを通して実現したい。ものづくりのプロセスにおいてもその姿勢を貫きたい。</p>

<p>難しいことだとは思いますが、僕は『難しいよ』『できないよ』は言われ慣れていますから（笑）。ものづくりは、チャレンジしなければ始まりません。課題は変革のチャンスです。ものづくりにも新しい考え方が必要だと思うし、それをビジネスとして実現していきたいと思っています」</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="9011001072820"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="1050001019488"></div>

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<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="1010001112577"></div>

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    </content>
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<entry>
    <title>Zendeskはなぜ多くの日本企業に支持されるのか。日本法人社長が語る、カスタマーサポートの最前線 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/03/zendesk.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9171</id>

    <published>2019-03-06T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:03:13Z</updated>

    <summary>藤本寛が日本法人の社長に就任してから2年間で、国内導入社数は1,000社から2,500社へと成長している。最近では顧客からの問い合わせに対応するだけでなく、従業員からのITや人事への問い合わせにも対応する利用例も増えているという。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/39603060661">藤本寛</a></strong><small>株式会社Zendesk 社長 Country Manager</small>
<p>2006年6月より日本オラクル執行役員としてSaaS事業などの立ち上げを担当。日本マイクロソフトの業務執行役員を経て2013年7月 ServiceNow Japanの社長に就任、2016年11月より現職。</p></aside></p>

<h2>2年間で1,000社から2,500社へ</h2>

<p><strong>──藤本さんが日本法人の社長に就任されたのは、何年前ですか？</strong></p>

<p>2年半くらい前ですね。</p>

<p><strong>──ということは日本法人ができて3年目くらいの時ですかね？</strong></p>

<p>そうですね。最初は4,5人くらいで日本市場に通用するかを試すことから始めていまして、3年経って成長路線に入る頃に私がジョインしました。</p>

<p><strong>──藤本さんが加わってから、数字としてはどのような成長を遂げていますか？</strong></p>

<p>売上に関しては昨年末、対前年比で60%ほどの成長を記録しています。企業数は現在2,500社を越えていまして、2年前は1,000社くらいだったので、約2.5倍になりました。</p>

<p><strong>──増加分の1,500社に関して、以前と比べて何か傾向は変わりましたか？</strong></p>

<p>少し変わってきています。以前はやはり先進的なIT企業が多かったのですが、最近はこれまでオフライン中心だったけれどオンラインにも挑戦しているというお客様の利用が増えています。あと新傾向としては、社内で使われるケースも増えています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_3784-final.jpg">
<figcaption>業種に関しては、インターネットサービス業をメインに、小売業も加わり、企業のお客様が消費者であるBtoCの企業が多い。従業員向けの使い方に関しては、BtoB企業もあり、製造業、卸売業、運輸業など多様だという。</figcaption></figure></p>

<h2>IT・人事部門への導入も進む</h2>

<p><strong>──社内の利用とは？</strong></p>

<p>もともとZendeskはカスタマーサポートサービスとして、企業がお客様を支援するためのツールですが、部門によっては"お客様"が社内の従業員だったりする場合もあります。</p>

<p><strong>──どういった部門が利用するのですか？</strong></p>

<p>代表的なのはITと人事ですね。例えばIT部門なら、PCの故障などヘルプデスクの機能としてご利用いただいています。人事部門なら、保険証や健康診断の疑問など質問事項は多いのですが、担当者からするといつも同じような質問を受けているわけでして、その対応を効率化するツールとして活用されています。</p>

<p><strong>──どうしてZendeskは、社内利用でも便利なのでしょうか？</strong></p>

<p>Zendeskでは、問い合わせを受ける側の生産性の向上だけでなく、問い合わせをする側の満足度の向上にも努めています。問い合わせをした従業員からすると、どういうステータスにあるのかを常に把握できることも、満足度向上のためには大事になってきます。</p>

<p>例えば、「いま調べています」とか「いま担当の〇〇さんに確認しています」などのように状況を確認できます。従業員に対してそこまでレベルの高いサービスが必要かどうかは、企業によって考え方が異なるとは思いますが、最近は働き方改革の流れも後押しになっているようで、広がっています。</p>

<p><figure><iframe src="https://fast.wistia.net/embed/iframe/7kof3b6b6r" allowtransparency="true" frameborder="0" scrolling="no" class="wistia_embed" name="wistia_embed" allowfullscreen mozallowfullscreen webkitallowfullscreen oallowfullscreen msallowfullscreen width="720" height="405"></iframe><figcaption>従来の電話やメールだけでなく、チャットやSNSなど、さまざまな経路から問い合わせが寄せられる時代です。<a href="https://www.zendesk.co.jp/?utm_source=eight&amp;utm_medium=Display&amp;utm_campaign=DI_EIG_AP_JP_JP_N_Sup_BrandAwareness_---_T1_M_R&amp;utm_term=&amp;utm_content=Awareness_SansanInterview_" target="_blank" rel="nofollow">Zendesk</a>では、すべての情報を一元的に管理でき、継ぎ接ぎのない対応と、チーム全体の質の底上げにも貢献している。</figcaption></figure></p>

<script src="https://fast.wistia.net/assets/external/E-v1.js" async></script>

<h2>試用期間30日で自らセットアップ可能</h2>

<p><strong>──高度な対応が求められるコンシューマー向けのサービスをやってきたからこそ、従業員向けとしても導入が進んでいると思うのですが、共通する製品としての強みは？</strong></p>

<p>やはり「使いやすさ」だと思います。日本に進出した当初、4,5名ほどの社員だけで1,000社近くも導入いただけた実績があります。どうしてそれが可能だったかというと、われわれが導入サポートをしなくても、お客様企業が自らセットアップをして使い始められるからです。また「スモールスタート」の仕組みとも相性がいいのです。</p>

<p><strong>──スモールスタートとは？</strong></p>

<p>初期投資を最小限に抑えられる料金体系を用意していまして、最初は数名だけで使ってみて、必要に応じて利用者を加えていけるような設計になっています。最初の30日間はトライアル期間として無料で使えて、その間にだいたいセットアップを完了できます。それさえ終われば、すぐにお客様からの問い合わせにも対応できるようになります。</p>

<p><strong>──お客様側でセットアップを完結できるほど、さまざまなニーズに柔軟に対応できる製品なんですね。でもなぜそれが可能なのでしょう？</strong></p>

<p>製品コンセプトとしては「シンプル」であることを重視していまして、カスタマーサポートのために本当に必要なものだけを抽出しています。もしそれ以外の領域で連携が必要でしたら、APIを公開しているのでつなげてくださいというスタンスなんです。それによってさまざまなニーズに対応しています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_4008-final.jpg">
<figcaption>サポートチームの人数が増えれば、必要なセットアップは変わってくる。対応の質に徹底的にこだわる企業もあれば、回答スピードを重視する企業もある。提供している製品によっても異なる。Zendeskなら、そうした状況に柔軟に対応できるという。</figcaption></figure></p>

<h2>カスタマーサポートがビジネスの成長にもつながる</h2>

<p><strong>──今後Zendeskとしては、どのようなことに力を入れていくのでしょうか。</strong></p>

<p>グローバルでも日本でも共通して今後力を入れていくのは、「オムニチャネル」と「カスタマーサクセス」です。</p>

<p><strong>──Zendeskにとって、「オムニチャネル」の可能性とは？</strong></p>

<p>最近のカスタマーサポートの課題の一つは、お客様が自身の置かれた状況に応じて、企業に問い合わせるチャネルを使い分けていることです。そのためサポートチームには、顧客情報や問い合わせの進捗状況を全チャネルでシームレスに共有できる環境が求められます。Zendeskを活用いただければ、メールだけでなくチャットやSNSなど、さまざまな経路からの問い合わせを一元的に管理できるので、対応の質の向上に期待できます。また、よくある質問をまとめたFAQサイトも簡単に立ち上げられるので、問い合わせ数の削減にもつながります。</p>

<p><strong>──「カスタマーサクセス」は、「カスタマーサポート」とどう違うのですか？</strong></p>

<p>Zendeskを使っていて「こんなエラーが起きて困っている」などといった問い合わせに対応するのがカスタマーサポートの部隊ですが、カスタマーサクセスは、利用するうえで感じる疑問や課題を先回りして解決法や情報を提供して、製品を使いこなしてもらうことでお客様企業の目標達成をサポートする役割です。</p>

<p>例えば、カスタマーサポートのゴール設定やKPIの設定に関して困っているお客様に対して、弊社のカスタマーサクセスのチームが実際にお客様の現場に入り、各担当者がどのような動きをされているのかを側で見させていただきながら、一般的なKPIの設定からZendeskを使いこなすことで取得できる数値、さらには機能の紹介など、Zendeskを使いこなしていただくためのご提案をします。</p>

<p><strong>──藤本さんは、いまどういう想いでZendeskの利用促進に取り組んでいますか？</strong></p>

<p>やはりカスタマーサポートがビジネスを変えていくところまでお手伝いをしたいという想いが一番ですね。CRMの業界にいた時、どうしても営業から始まる話が多くて、後ろの工程に行くほど優先度が下がっていく傾向がありました。でもやっぱり既存のお客様から好かれるのは大事なことですので、もっとカスタマーサービスからビジネスが始まる形が増えてもいいはずだと思っています。そのメッセージを製品ベンダーの視点から伝えられるといいですし、そういうことにチャレンジされているお客様に対して後方支援ができたらというのが一番の想いです。 </p>

<p><strong>──一度発売したら終わりではなくて、常に顧客の声を反映してサービスを改善していくことが求められる時代です。追い風は感じていますか？</strong></p>

<p>ビジネスそのものがサービスの付加価値で決まるということが、本当に至るところで起きていますので、カスタマーサポートチームがプライドを持って、自分たちが会社を守っていて、会社の成長にもつながっているという意識は非常に高まってきていると感じています。</p>

<p>ある方は「自分たちがプロフィットセンターになりたい」という気持ちでやられていたり、またある方は「自分たちの声を製品なりサービスなりに反映させたい」というふうに考えていたり、いろんな見方があっていいと思います。いずれにしても「自分たちがお客様をサポートすることが、自社の成長につながっている」というような流れが少なからず強くなってきているのは、われわれカスタマーサポートサービスに特化しているベンダーとしては、本当に嬉しいことですね。</p>

<p>【<a href="https://www.zendesk.co.jp/?utm_source=eight&amp;utm_medium=Display&amp;utm_campaign=DI_EIG_AP_JP_JP_N_Sup_BrandAwareness_---_T1_M_R&amp;utm_term=&amp;utm_content=Awareness_SansanInterview_" target="_blank" rel="nofollow">Zendesk</a>】</p>

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    </content>
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    <title>アートの世界への入り口へ──「3331 ART FAIR 2019」3月6日（水）から開幕 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/03/3331-art-fair-2019.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9175</id>

    <published>2019-03-05T06:45:25Z</published>
    <updated>2019-03-06T00:44:17Z</updated>

    <summary>3月6日（水）から10日（日）まで、閉校になった公立中学校を改装したアートセンター「3331 Arts Chiyoda」（東京・神田）にて、今年も年に1回の大規模なアートフェアが開催される。平日仕事の合間に、週末家族と一緒に、お気に入りの1点を発掘しに行こう。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL Arts" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="アート" label="アート" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>2019年3月6日（水）、「<a href="https://artfair.3331.jp/" target="_blank" rel="nofollow">3331 ART FAIR 2019</a>」が開幕する。今回で8回目となる、オルタナティブなアートフェアだ。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/02/3331-nakamura.html">
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<div class="info"><strong>作家と出会い、アートを買ってみることから始めよう──3331 Arts Chiyoda統括ディレクター・中村政人</strong></div></a></div>

<p>今年は、100組を超えるアーティストと、30を超えるギャラリーおよび教育機関が参加する。</p>

<p>会場の3331 Arts Chiyoda（東京・神田）は、閉校になった公立中学校を丸ごと改装し、再生したアートセンター。2010年のオープン以来、地元の人たちがふらりと立ち寄る憩いの場として、お目当てのアーティストの作品が見られるギャラリーとして、海外のアーティストが日本で制作するアーティストインレジデンスの発表の場として、多様な人たちを受け入れている。</p>

<p>3331 ART FAIRの特徴は、そのロケーションを生かした多彩な展示空間だ。本格的なホワイトキューブを備えた「メインギャラリーエリア」には、気鋭のアーティストの作品が展示され、グループ展のようにも楽しめる。</p>

<p>「体育館エリア」には、20を超えるギャラリーブースが並ぶ。芸大・美大などの教育機関によるブースの多くもここに集まる。「体育館エリア」の今年の特徴は、国際化へと舵を切ったことだ。韓国から4つのギャラリーが参加するほか、アメリカの現代アートギャラリー・Blum &amp; Poeが出展する。1994年にカリフォルニアで開廊したBlum &amp; Poeは、多くのすぐれた日本人アーティストを海外へ紹介し、日本の現代美術界に貢献してきた。</p>

<p>「メインギャラリーエリア」に戻れば、10人の作家推薦者がどんなアーティストをどのような視点で選んでいるかを見るのも楽しい。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=DhcavK3ldXI
<figcaption>昨年開催の様子。</figcaption></figure></p>

<p>例えば、社会学者で東京芸大教授の<a href="" target="_blank" rel="nofollow">毛利嘉孝</a>は「今回選んだ作家は、すべて何らかの〈境界〉を扱っているアーティストである」と表明している。選んだ作家は、写実的な絵画作品を制作する<a href="https://artfair.3331.jp/artist/jongok-ri/" target="_blank" rel="nofollow">李晶玉</a>、建築的な規模のインスタレーションをつくる<a href="https://artfair.3331.jp/artist/atsuko-mochida/" target="_blank" rel="nofollow">持田敦子</a>、自らの身体を使って表現する<a href="https://artfair.3331.jp/artist/mai-endo/" target="_blank" rel="nofollow">遠藤麻衣</a>ら、計5組。ジャンルにこだわらない顔ぶれだ。</p>

<p>ブリヂストン美術館副館長で、『ジェンダー写真論』などの評論で知られる<a href="https://artfair.3331.jp/curator/michiko-kasahara/" target="_blank" rel="nofollow">笠原美智子</a>は、写真で表現する作家を5人選んだ。そのひとり、<a href="https://artfair.3331.jp/artist/eiki-mori/" target="_blank" rel="nofollow">森栄喜</a>は2013年に写真集『intimacy』で第39回木村伊兵衛写真賞を受賞した、よく知られている写真家だ。彼の作品にアートフェアという場で出会うのは、雑誌や写真集などで目にするのとはまた違う体験になるに違いない。</p>

<p>2016年以来、2度目となる作家推薦者を務めるキュレーターの<a href="" target="_blank" rel="nofollow">遠藤水城</a>は、3331 ART FAIRについて「作品を商品として売買するだけではなく、アーティスト、推薦人、コレクター、企画者、観客、などの顔がお互いに見え、それぞれが密接に関係しながら力を出し合うことで、血の通った独自の『エコシステム』のようなものを構成していく、そういった志向がある」と書いている。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/05/onepiececlub.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_OND5424-1094.jpg">
<div class="info"><strong>作家との〈出会い〉が現代アートを買う醍醐味──アートコレクターの集まり、ワンピース倶楽部</strong></div></a></div>

<p>3331 ART FAIRには、観客を「エコシステム」に積極的に巻き込んでいく仕掛けがあちこちに施されている。その最たるものが「コレクター・プライズ」である。「コレクター・プライズ」とは、100人以上の「プライズセレクター」が自分が購入した作品に「コレクター・プライズ」を授与する独自の仕組み。つまり、100人のアート好きが「私はこの作品を買います！」「この人を推します！」と表明するのだ。誰がどの作品を選んだかは会場内に掲示されるので、「どの作品が人気があるのかな」と眺めるのもまた一興。</p>

<p>アートに少しでも興味のある人なら、会期中に3331 Arts Chiyodaへふらっと立ち寄るだけでも刺激を楽しめるはずだ。</p>

<h2>BNLが気になったアートワーク</h2>

<p>展示予定作品の中からいくつか選定してみた。作家推薦者のコメントとともに紹介しよう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/AINWOODS-SERIES-BOUT-LOVE-FULL-SIZE-2_square-1.jpg">
<figcaption><strong>"SERIES ABOUT LOVE" <a href="https://artfair.3331.jp/artist/ainwoods/" target="_blank" rel="nofollow">安木／AINWOODS</a></strong>：推薦者（アーツ千代田 3331）のコメント：AINWOODSの写真群を見ると、生々しい熱量に不安感すら覚える。背景の情報を排し、ある角度から抉り撮るような構図は見ていて面白い。写真画像を構成する、AINWOODS独特の強烈なカラーリングとコントラスト、ライティングは、単に鮮やかさだけではなく艶かしく、被写体となる人物／風景のイメージは、時間が流れ、ほんの少し先の未来を感じさせてくれる。第一印象で見とれてしまう写真というのは、瞬間で強烈に殴り倒されるか、じわじわと恐怖を感じ、且つ美しさを覚えるかのどちらかである。AINWOODSの作品は、その両方を兼ね備えている。PHOTO:©AINWOODS</figcaption></figure>
<figure>
<img src="/uploads/0fbeeb75c0249474a66a5789d7a44b4f.jpg">
<figcaption><strong>"Form No.4 Equinox" <a href="https://artfair.3331.jp/artist/eunice-luk/" target="_blank" rel="nofollow">ユニス ルック</a></strong>　推薦者（原万希子）のコメント：セラミック彫刻、シルクスクリーン、インスタレーションからアーティスト・ブックの出版まで手がけるマルチタレントなユニス・ルックは、カナダのトロント出身で現在は東京を拠点に活躍するアーティストだ。ルックは2015年に信楽の「陶芸の森」に滞在して、信楽の土と手びねりの手法を使って今回出品する「完璧な卵などない」シリーズを制作した。でこぼこしていて不完全で柔らかい輪郭と淡色のグラディエーションで着色されたセラミック彫刻は、彼女が信楽の暮らしや自然の中で出会った田園風景や生物から発想を得ている。彼女の独特の手作り感あふれた作品は。見る者をほっくりとした穏やかで豊かな詩的な世界に引き込む魅力に満ちている。PHOTO:©Eunice Luk</figcaption></figure>
<figure>
<img src="/uploads/onthewayhome009_web_square.jpg">
<figcaption><strong>"on the way home" <a href="https://artfair.3331.jp/artist/mari-katayama/" target="_blank" rel="nofollow">片山 真理</a></strong>　推薦者（笠原美智子）のコメント：片山真理が作品にするのは自らの日常である。日々を生きる中で考え、体験し、美しく感じ大事にした思い出の品々や記憶が視覚化される。自分の生命を確認するかのように、彼女の作品には彼女と関わった様々な人やオブジェが表現されている。彼女にとっては当たり前の光景、けれどもそこに「義肢」が登場するだけで、見る者にとっては当たり前でなくなる。しかし彼女の作品は、「健常者」と思っている人たちのそうした視線をもするりとやり過ごしてしまう。自分の「義肢」はわかりやすいだけで、あなたたちの特徴、コンプレックス、美点と思われることと、少しも変わらないのだと。PHOTO:©Mari Kataoka</figcaption></figure>
<figure>
<img src="/uploads/4_HIDDEN-s-Side-Bush_square-.jpg">
<figcaption><strong>"隠れた場所 (Side Bush)" <a href="https://artfair.3331.jp/artist/masakatsu-kondo/" target="_blank" rel="nofollow">近藤 正勝</a></strong>　推薦者（アーツ千代田 3331）のコメント：近藤さんの絵画は、「人新世 / アントロポセン」_ Anthropocene人類と地球環境の危険なふるまいを優しく悟るように描ききだす。⾃然⇔アーティフィシャル,抽象⇔具象, ⻄洋⇔東洋, 永遠⇔瞬間, 過去⇔現在, など「相対的普遍」(Between the Parallel)の間にある＝「沈黙の時」（Whenever I Am Silent）の存在を地層学的スケールで見出し絵画化する。ロンドン在住日本人アーティストの代表的存在であり、海賊放送FM局でレギュラーDJとして番組を担当、陸上の幅跳びではマスターズ45歳当時のヨーロッパチャンピオンというアスリートとしての顔も持つ。また、「ALLOTMENT」という若⼿の美術作家のTRAVELAWARD（制作旅⾏助成⾦）を2009年から主催する。PHOTO:©Masakatsu Kondo</figcaption></figure></p>

<p>その他、事前に公開されているアートワークは全て<a href="https://artfair.3331.jp/artwork/" target="_blank" rel="nofollow">こちら</a>から確認できる。ビジネスの観点からアートを世界に関心のあるBNL読者には、会場内で開催される以下の関連イベントもお薦めだ。</p>

<p><figure>
<a href="https://3331af-0308talk-director.peatix.com/view" target="_blank" rel="nofollow"><img src="/uploads/cover-aNQZGPz76qjz2XEjjTaWd1b2KyStcoam.jpeg"></a>
<figcaption>近年、「アート思考」というキーワードに代表されるように、経営者をはじめとするビジネスパーソンによる美術やアートへの関心が高まっています。彼らは一体アートに何を見い出し、そこから何を学び得ようとしているのでしょうか。3331 ART FAIR 総合ディレクターの中村政人が、これからの社会を生き抜き、新たな分野やビジネスを切り開くために求められる思考や能力、術を「アート×産業×コミュニティ」をテーマに活動するアーティストの観点から語ります。</figcaption></figure></p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="6010003014817"></div>
]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>伝統工芸からサッカー界へ。中川政七の「学びの型」で、クラブと選手はどう変われるか - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/03/naraclub-nakagawa.html" />
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    <published>2019-03-04T06:30:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T04:54:41Z</updated>

    <summary>学びには、どんなジャンルにも共通した「型」がある。奈良クラブ社長・中川政七がいま、サッカーの指導以上に大切にするのが社内教育だ。選手も一緒に机を囲み、ブレストし、小テストに挑む。この異色の教育により奈良クラブは、着実に変わりつつある。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="サッカー" label="サッカー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="スポーツ" label="スポーツ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="学び" label="学び" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/24329729090">中川政七</a></strong>
<p>1974年生まれ。京都大学法学部卒業後、2000年富士通株式会社入社。2002年に株式会社中川政七商店に入社し、2008年に十三代社長に就任。2016年に「中川 政七」を襲名し、2018年に会長に就任。「日本の工芸を元気にする！」というビジョンのもと、業界特化型の経営コンサルティング事業を開始。同年11月、サッカークラブ「奈良クラブ」代表取締役社長に就任。</p></aside></p>

<p>中川政七は、300年続く老舗企業「中川政七商店」の十三代目。業界初のSPAモデル導入で自社メーカーを再生し、「日本の工芸を元気にする！」を旗印に全国の工芸ブランドの経営再建に携わったことでも名を上げた。だが、昨年3月に突如として社長の座を後進に譲る。その経緯はBNLでもお伝えしたとおりだ。</p>

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<p>43歳という若さで社長を退いた中川は、昨年11月に新たに株式会社化した奈良を拠点とするサッカークラブ「奈良クラブ」の代表取締役社長に就任した。中川政七商店には会長として引き続き関わりながら、サッカークラブの経営を通じて奈良のまちづくりに貢献するという新たな挑戦を始めた。</p>

<p>昨年末に都内で開催した記者会見では「サッカーを変える 人を変える 奈良を変える」というビジョンを発表。実現に向けた第一歩としてクラブ内で「学びの型」の教育に力を入れていくことを宣言した。中川は十数年の社会人経験を通じて、分野を超えて通じる普遍的で効率的な学び方＝「学びの型」の存在に気づいたという。今回の記事のテーマはこの「学びの型」だ。</p>

<p><figure>
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<figcaption>昨年末、東京で行われた、新体制＆ビジョン発表会 N.PARK DAYにて。左から中川政七、副社長・NPO法人理事長 矢部次郎、GM 林舞輝　クリエイティブディレクター 幅允孝。（写真提供：奈良クラブ）</figcaption></figure></p>

<p>未来が不確実なビジネス環境下においては昨日まで有効だった知識やスキルはすぐに陳腐化する。「人生100年時代」とも言われ、今後職業人生が延びること確実な状況を鑑みると、ビジネスパーソンはいくつになっても新しいことを学び続ける必要がある。どんな分野にも通じる効率的な学び方があるというのなら、ぼくらがいま最も身につけなければならないのはこうした「学びの型」だ。「学びの型こそが現代の最強スキル」と中川は言い切る。</p>

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<p>「学びの型」とはどんなもので、どうすればそれを身につけることができるのか。2019年サッカーシーズン開幕を前に、中川の元を訪ねた。</p>

<h2>上達しない人は「学びの型」を踏み外している</h2>

<p>「何かを学ぶのには必要な手順があり、その手順はジャンルが違っても基本的には同じ構造をしているのではないか。勉強ができるようになるのも、サッカーが上達するのも、仕事が上手になるのも基本的には一緒。富士通から中川政七商店に入り、また今回新しいところへ移ったわけですが、20年近く社会人をやってきて、最近すごくそう思うようになりました。これがぼくの言う学びの型です」</p>

<p>経営者仲間などと話していても、言語化する・しないは別にして、一流の人は型にのっとって学習していると中川は言う。なかなか物事が上達しない人は、この学びの型を踏み外しているのであり、型にのっとって学べばもっと上達できるのではないか、と。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_8505.jpg">
<figcaption>学びの型は、言語化していないだけで優れた人材や経営者は皆、無意識のうちに自分で気づいて取り入れているという。</figcaption></figure></p>

<p>「日本の学校教育はこんなに大事なことをなぜか教えることをしないし、いろいろな分野でやたらとブラックボックス化したがる。例えばすし職人は、弟子入りして何年も下積みをして、先輩職人の背中を見て学ばなければならないものとされてきました。でも、すし学校で1年半勉強した人がミシュランの星を獲得するということが、現実に起きているわけじゃないですか」</p>

<p>奈良クラブの選手がJFLという非常に微妙なレベルにとどまっているのも、この学びの型を踏み外しているからという可能性がある。このように考えて、中川は学びの型の教育に力を入れていくことに決めた。</p>

<div class="round-box fr fb gray"><p>「足りないを知る」ことから始める。一流との差を知ってフォーカスを絞り、練習に落とし込む</p></div>

<p>具体的に学びの型とはどのようなものを指すのか。まず「足りないを知る」ことから始めるのが基本ではないか、と中川は言う。</p>

<p>「まず一流との差を知る。その差はいくつもあるわけですが、その中から一つにフォーカスを絞る。それを日々の練習に落とし込む。実践からフィードバックを得て、また練習する。これを繰り返すのが、何を学ぶにしても共通した基本的なやり方であるはずです。ところが、うちの選手はそもそもサッカーを見ないらしいんですよ。同年代の一流サッカー選手の書いた本を読むこともしない。クラブハウスにライブラリーを作るにあたってヒアリングした際、そのことを知って衝撃を受けたんです」</p>

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<p>その時点ですでに学びの型を踏み外している。だから伸びないのだと中川は言う。そう聞くと確かに、「サッカーを見ないサッカー選手」というのは奇妙に思える。だが、これはサッカー選手に限った話ではない。中川は続ける。</p>

<p>「中川政七商店にはプロダクトデザイナーと呼ばれる人たちがいます。ある時、彼らに『日本で一番のプロダクトデザイナーは誰か。その人と自分の差は何か』と尋ねたんです。すると彼らは『そんなこと考えたこともないです』と。その時点でダメ。伸びない。だって、その差と向き合うことから全ては始まるはずじゃないですか。だから中川政七商店のデザイナーやその他のスタッフにも、学びの型を身に着けるべきだという話をしてきました」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_8244.jpg">
<figcaption>中川政七商店ではプロダクトのデザインは全て社内で行っている。写真は本社にあるショーケースの中にある麻の生地。</figcaption></figure></p>

<p>こういうことが起こるのは、日本の学校教育がある意味においてよく出来過ぎているからではないか、と中川は考える。学生時代は試験などにより常に自分の順位が可視化されるし、何を勉強すればその差が埋まるのかが示される。だから本人はそういう構造的なことを一切考えることなく、ひたすら頑張れば成長できる。</p>

<div class="round-box fr fb gray"><p>社会に出たら、学び方がわからず、成長が止まってしまうことが多い</p></div>

<p>だが、社会に出てしまえば自分と同じ職種で働く人の仕事ぶりを目にする機会はほとんどないし、便利な教育システムも存在しない。給料を払う側の企業がそれを提供する道理もない。その結果、突然放り出される形になった人は学び方がわからず、成長が止まる。そういうことが起きているのではないか、と中川は言う。</p>

<h2>学びの型を伝授する勉強会「N.ROOM」</h2>

<p>効率よく何かを上達するには踏み外してはいけない学びの型がある。だが、日本の教育機関はそのことを教えてくれない。だとすると、実際にどうやって学びの型を身につければいいのか。奈良クラブではどのようにそれを教えているのか。</p>

<p>「N.ROOM」という社内勉強会がある。選手、トップチームのスタッフ、育成部門のスタッフが全員参加し、月3回、1回1時間半の講義を通じて上記のような学びの型の定着を目指す場だ。</p>

<p>一般的に言って、サッカー選手は午前中にチームで練習をしたら、午後は丸々自由時間という生活サイクルを過ごす。平日夜に座学の講義を行うこと自体が極めて異例だ。しかも、目指す学びの型は分野を問わない普遍的なものだから、N.ROOMで教える内容はサッカーに関するものに限らない。講師は交代制で、中川はビジネスのアプローチで、GMの林舞輝はサッカーのアプローチでそれを教える。もう1回はそのどちらでもない視点を入れるため、まったく他のジャンルから外部講師を招く。</p>

<p>1月末に開催した中川担当の第1回は、パーソナルブランディングがテーマだった。試合出場時などにアナウンスされる選手のタグライン（異名）を自分たち自身で考えるという課題を設定、3人一組のワークショップ形式で行った。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/shugo.jpg">
<figcaption>奈良クラブの選手の集合写真（2019年2月撮影／写真提供：奈良クラブ）</figcaption></figure></p>

<p>最初は特に指示することなく10分間自由に考えさせたが、いい案は出てこなかった。でも、これは想定内だ。ここで中川が、そもそもブレストとはどういうものかを説明する。また、「他から学ぶ」「構造を見極める」といった実践する上でのコツを伝授する。その上で再チャレンジ。すると今度はアウトプットの質がぐんと上がる。中川が伝授したコツとは、言い換えれば何かを考える際の型だ。このような体験を通じて、選手らは型の威力を体感する。</p>

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<p>アメリカには学習学と呼ばれる研究分野があり、「こうすれば効率よく学べる」という科学的な裏付けを持った学習のコツがいくつも見つかっている。例えば「講義を受けた後に2、3の質問に回答するだけで、知識の定着率が数倍にアップする」、あるいは「一つの分野だけ集中して学ぶよりも、複数のことを並行して学んだ方が成果は上がる」など。</p>

<p>講義の最後に必ず小テストを設けるなど、N.ROOMではこうした大小さまざまな学びの型を用いて学習効果の最大化を図っている。学びの型を学ぶためにも学びの型を用いる。そんな入れ子構造になっている。</p>

<h2>勝負は学び始める前に決まる！</h2>

<p>奈良クラブの選手には「何かを勉強すること自体が中学生以来」という選手もいた。教える側の中川も「選手の集中力が30分も持たないのではないか」と心配していた。だが、実際は自ら居残りを志願する選手も現れるほどの盛況だった。</p>

<div class="round-box fr fb gray"><p>何のためにそれを学ぶのか。目的・目標を具体的にイメージする</p></div>

<p>選手が高いモチベーションを維持して臨めたのには、講義1週間前のオリエンテーションに秘密があった。ここで中川は、徹底して目標の具体化、すり合わせをした。高いモチベーションで何かを学ぶため、また学習の効果を最大化するためには、「他ならぬ自分は、何のためにそれを学ぶのか」が腹落ちしていなくてはならない。そこで必要になるのが、目的・目標を具体的にイメージすることだという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_8948.jpg">
<figcaption>中川政七商店の本社にある食堂に、奈良クラブのスタッフが集まり会議を行っていた。普段の業務でもスタッフは皆、今年2月に発表された新ユニホームと同デザインのウェアを着用しているという。</figcaption></figure></p>

<p>サッカークラブには、上のカテゴリーに昇格するという明確な目標がある。現在JFLにいる奈良クラブの場合、一つ上のカテゴリーとはJ3を指す。だから選手に目標は何かと尋ねれば、決まって「J3昇格」と答える。だが、そんな彼らに向かって中川は問いかけた。「本気でそう思っているのか？」と。</p>

<p>「2015年にJFLで上位に入りJ3に上がった鹿児島は、その翌年にはJ3で即5位の好成績。3シーズンでJ3を卒業し、今季からJ2を戦います。つまり、実力的にはJFLとJ3にそこまで大きな差はない。だからJ3昇格どころか、クラブは最短2年でJ2に昇格する可能性があるんです。それはクラブとしてはもちろん幸せなこと。でも、選手にとってもそうとは限りません。</p>

<p>なぜなら、いま所属している選手が、2年後にJ2でレギュラークラスの実力を身につけていなければ、居場所がなくなることを意味するからです。そう考えれば個人の目標は『昇格』では足りないのです。2年後にJ2レギュラークラスと思えば、日々の練習からして取り組み方が変わるはずです」</p>

<div class="round-box fr fb gray"><p>「2年後にJ2レギュラークラスになる」が目標なら、腐っている暇はなくなる</p></div>

<p>サッカーは11人で行うスポーツだから、途中交代で出場する選手を含めても、1試合に出られるのはわずかに14人。単純計算すれば、約30人いる奈良クラブ所属選手のうち、レギュラー争いに敗れた半分の選手はシーズン途中に出番を失うことになる。漠然とチームのJ3昇格を目標に置いていただけでは、いくらチームが好調であろうと、その時点でやるべきことがなくなってしまう。だが、それを「2年後にJ2レギュラークラスになる」という自分ごとの目標に落とし込めていれば、腐っている暇はなくなるというわけだ。</p>

<p>「オリエンテーションでもう一つ話したのは、お金に関することです。プロのサッカー選手を名乗るからには、彼らはサッカーをすることでお金を稼いでいることになる。そこで尋ねました。『クラブの年間売り上げ2億円のうち、あなたたちの試合を見るためにお客さんが払ってくれる、いわゆる入場料収入はどれくらいあるだろうか』と。みんな思い思いに答えましたが、正解はたったの300万円です。選手30人で割れば1人当たりはたったの10万円です。ホームゲームを15試合やってたったの10万円しか稼げないというのは、どう見てもプロ失格でしょう。そのように具体的に考えれば、ピッチ外にも自分のやるべき仕事があり、学ぶべきことがあるということが、自然と腹落ちするはずなんです」</p>

<p>仕事も学びも、大事なのは段取りだと中川は言う。何かを学ぶためには、学び始める以前にまずマインドセットを変えるところから始めなければならない。勝負は学び始める前に決まっているのだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_8791.jpg">
<figcaption>「僕はサッカーを教えることはできない。だからサッカーはプロに任せて、僕は仕事っぽいアプローチをするんです」と中川。奈良クラブでは、選手がいつでも本を手にとって学べるように、ライブラリーも併設した。</figcaption></figure></p>

<h2>24歳GM抜てきの理由は「体系立った知識」</h2>

<p>効率よく学ぶ上でもう一つ、中川がとても重要だと考えていることがある。それは、これから学ぶことの全体像を体系として理解することだ。知識とはネットワークであり、互いの関係性が見えない情報は使い物にならない。「まず森を知ることが大事」と中川は言う。</p>

<p>GMに林舞輝を配した人事に、中川のこの考え方がとてもよく表れている。GMというのは、クラブとして目指すサッカーのかたちを決め、それを実現するための人事その他あらゆる責任と権限を持った、サッカークラブにおいて最も重要なポジションだ。日本では通常、選手や指導者として経験が豊富で、クラブにゆかりの人物が務めることが多い。林は24歳で、プロ選手としてのキャリアも日本での指導経験もない。にもかかわらず中川が林を抜てきしたのは、彼の体系立った知識に注目したからに他ならない。</p>

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<p>林は高校卒業後にイギリスに渡り、スポーツ科学を専攻。その後もサッカーの本場である欧州に残り、最新のサッカー理論を学んだ。帰国後は、そこで得た知識と高い言語化能力を武器に、専門メディアで執筆活動などを行っていた。その文章が中川の目に留まった。</p>

<p>「彼の文章からは、一目見て体系を理解している人物だということが伝わってきました。選手や指導者としての経験がどれくらいあるかとか、日本サッカー界の常識に照らして異端であることは問題ではなかった。ヨーロッパでは実際に、10年以上前から選手経験のない指導者が現れています。当初は彼らも『ラップトップ監督』などと呼ばれてバカにされましたが、ラングニックやナーゲルスマンなど、いまでは確実に、その中から活躍する人たちが出てきています」</p>

<p>勘違いしてはいけないのは、体系に正解はないということだ。ドイツサッカー協会が信じる体系と、スペインサッカー協会が信じる体系はそれぞれ微妙に異なる。だが、それで構わないと中川は言う。ここで重要なのは、持っている体系が正しいかどうか以上に（当然明らかに正しくないというのでは困るが）、まず体系を持っているということそれ自体だからだ。</p>

<p>もちろん、体系を持っていることと、それを実際に落とし込み、結果を出せることは違う。24歳の林はその点で今後苦労することになるだろうと中川は言う。だが、そもそも体系がないことには何も始まらない。中川の見立てでは、日本サッカー界にはこうした体系を持った人材が不足していた。その点に関しては知りうる最高の人材だと確信したから林に声をかけた。</p>

<div class="round-box fr fb gray"><p>「体系立って考えられない」のは、サッカーに限らない</p></div>

<p>この「体系立って考えられない」のは、サッカーに限らない日本の課題だと中川は言う。中川が専門とするブランディングに関しても同じことが言えた。</p>

<p>「ブランディングは本来、経営という大本の目的から落とし込まれたものでなければならず、一つひとつのテクニックも互いに関係性を持ったものとして理解されなければならない。けれども、手前みそですが自分がそういう本を書くまで、体系立ったブランディングの本というのは日本には一冊もなかった。あるのは部分的な本ばかり。こうした問題意識があって書いたのが『経営とデザインの幸せな関係』です。思うに、同じようなことは日本のあちこちで起きているのではないでしょうか」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/shiawase.jpg">
<figcaption>中川がブランディングを体系立てて一冊の本にまとめたのが『経営とデザインの幸せな関係』（日経BP社）だ。</figcaption></figure></p>

<h2>結果が出ない時はプロセスが間違っている</h2>

<p>型というのは、言い換えればプロセスを重んじることである。だが、中川は決して結果を軽んじているわけではない。「いいビジョンがあり、いい企業文化があれば、結果はおのずとついてくる」というのが中川の考え方だ。奈良クラブのビジョンは、「サッカーを変える 人を変える 奈良を変える」。そのビジョンが示す通り、キーワードは「変える」であり、人が「変わる」ためには学ばなければならない。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_8715.jpg">
<figcaption>中川政七商店のビジョンは「日本の工芸を元気にする！」。以前BNLで取材した中川政七商店の社長 千石あやは、「ビジョンは『発明』だと思う。このビジョンがあるからみんながものづくりに真摯に取り組める」と語っていた。</figcaption></figure></p>

<p>「簡単に言えば、ビジョンとはこれから登ろうとする頂のことです。ぼくの言ういいビジョンとは、will・can・mustがうまく重なったものを指します。ただ、同じ頂に登るのでも、たどり着くための方法はいろいろとある。コツコツ登るやり方もあれば、エレベーターで一気に上るというやり方もあるでしょう。極論すれば、登り方には正しいも間違っているもなく、自分たちが美しいと思うやり方を選べばいいんです。ただし、組織内でその意識が統一されている必要はある。それが企業文化です。いいビジョンがあって、いい企業文化があれば、結果がついてこないということはない、というのがぼくの考え方。だから、いい会社なのにもうからない、いいサッカーなのに勝てないということは基本的にはありえない。結果が出ないというのは、プロセスがどこか間違っているから起こることなんです」</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/10/BNLBooks-VOL14.html">
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<img src="https://bnl.media/uploads/kogei_1094.jpg">
<div class="info"><strong>「もの売り」から「ブランドづくり」へ━━中川政七商店に学ぶ、中小企業の経営術『日本の工芸を元気にする！』
</strong></div></a></div>

<p>ただし、どんなにいいビジョンを掲げて、どんなにいい企業文化をつくったとしても、それを世の中の人に知ってもらわないことには始まらない。そこで2019シーズンは手始めに、開幕戦5000人動員を目指す「PROJECT5000」を掲げ、現在はその達成に向けて全力を注いでいる。ホームゲームに出店する<a href="https://www.makuake.com/project/naraclub"target="_blank" rel="nofollow">キッチンカーのクラウドファンディング</a>にも挑戦する。</p>

<p>奈良クラブの昨年のホームゲーム平均入場者数は2800人。J3昇格の要件は3000人。5000人は、いまの奈良クラブにとって高すぎる目標かもしれない。だが、それでいいのだと中川は言う。</p>

<p>「目標到達が見えてくると手前で勢いを緩め、失速するのが人というもの。目標を達成するためには、高すぎるくらいの目標がちょうどいいんです。そう、これもひとつの型なんですよ」</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="1150001022580"></div>
]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>85年前の3月1日に亡くなった、カリフォルニアで一流のワイナリーを築いた長沢鼎の名言 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/03/Kanae-Nagasawa.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9168</id>

    <published>2019-03-01T06:20:52Z</published>
    <updated>2020-01-07T14:49:04Z</updated>

    <summary>13歳で薩摩藩の藩の命により英国へ留学。15歳で米国へ渡り、23歳でワイナリーを創設。普通の人なら早々に諦めてしまいたくなるような、たび重なる試練にも耐えながら、わずか一代でカリフォルニアを代表する一流のワイナリーを築き上げた。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL History" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="名言の文脈" label="名言の文脈" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>長沢鼎（ナガサワ・カナエ）</strong><small>ファウンテングローブ・ワイナリー創業者</small>
<p>1852年薩摩藩の儒学者・磯永孫四郎の四男として誕生（本名は磯永彦輔）。13歳の時に藩の命により留学生として英国に渡る。当時、留学は禁じられていたため長沢鼎に改名。貿易商トーマス・グラバーの実家に身を寄せ、地元の学校に2年間通う。1867年に知人ローレンス・オリファントとともに米国ニューヨーク州アメリアに移住。キリスト教系新興宗教団体「新生兄弟社（Brotherhood of the New Life）」に入り、信者らと共同生活を送る。1875年に教団はカリフォルニア州サンタローザに移住。その地で「ファウンテングローブ・ワイナリー」を創業する。1900年に教団の指導者トマス・レイク・ハリスが全財産を長沢ら5人に譲渡。長沢が実質的なワイナリー経営者となる。大学との共同研究による品種改良が功を奏し、一代で米国を代表するワイナリーを築く。</p></aside></p>

<p>1983年11月、米国の現職大統領として初めて訪日したロナルド・レーガン大統領は、国会の演説で、松尾芭蕉、福沢諭吉と並べて、長沢鼎の功績を次のように紹介した。</p>

<blockquote>
  <p>1865年、若きサムライの留学生・長沢鼎は、なぜ西洋が経済的に強力で技術的に進歩しているかを学ぶために日本を発った。10年後、彼はカリフォルニア州サンタローザに小さなワイナリー、ファウンテン・グローブを創設した。そこにとどまり、やがて「カリフォルニアのブドウ王」として知られるまでになった。長沢はカリフォルニアにとどまり、われわれの生活を豊かにしてくれた。日米両国は、サムライからビジネスマンに転身した彼に負うところが大きい。</p>

<p>原文：<a href="https://www.reaganlibrary.gov/research/speeches/111183a" target="_blank" rel="nofollow">"Address Before the Japanese Diet in Tokyo, November 11, 1983." Ronald Reagan Presidential Library &amp; Museum</a></p>
</blockquote>

<h2>たび重なる試練を乗り越える</h2>

<p>カリフォルニア州でワインを造ることは、試練の連続だった。</p>

<p>長沢らがニューヨーク州から移住してきた翌年の1876年から77年にかけて、周辺地域の降水量はわずか30ミリで史上2番目といわれる干ばつに襲われている。しかも、当時は経済不況の真っただ中。多くのブドウ栽培農家は廃業に追い込まれていた。さらに追い打ちをかけるように、ブドウの木の根と葉に寄生して木を枯らしてしまう害虫が周辺のブドウ園に蔓延していた。タイミングとしては最悪だった。</p>

<p>それでも長沢にはワイン造りに挑戦する「度胸」があった。ニューヨークから共にやってきたワイン造りの経験に長けたジョン・ハイドとともに、入念な準備はできていた。4年間、研究と試作をかさねた結果、現地の気候と土壌に適し、害虫にも抵抗性のある品種を開発。満を持して、1879年に本格的なブドウ栽培にのりだし、生育に成功する。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/grapes-720.jpg">
<figcaption>"<a href="https://www.flickr.com/photos/jimfischer/9521621632/" target="_blank" rel="nofollow">Maturing Pinot Noir.</a>" by Jim Fischer (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/2.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC BY 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>しかし、その後も試練は続く。</p>

<p>広大な土地でブドウを育てるためには安価な労働力が必要となる。長沢は、当初4,50人の中国人労働者を雇っていたのだが、1882年に米国で「中国人排斥法」が施行され、彼らは全員農場から姿を消してしまった。そのため他国の移民に加えて日本人の移民も雇うことになる。そのとき注目を集めたのが、労働者との雇用関係を大切にする独自の経営手法だった。</p>

<p>賃金は他の農園と比べて安かったくらいだ。それでも長沢は毎日彼らに食事をあたえ、昼食をともにすることも多かったという。住む場所も提供し、優秀な労働者には仕事がなくなっても次の仕事までの生活を保障した。他の農園では考えられない待遇だった。評判はすぐに人づてで広まり、多くの優秀な労働者が長沢の農園に仕事を求めてやってくるようになった。</p>

<p>火災でワイン醸造装置と酒蔵の一部が焼失してしまったこともあった。それでも長沢は動じず、すぐさま再建に取り掛かり、半年後にはさらに高性能で規模の大きいワイン醸造装置を完成させる。この頃からワインコンテストで受賞できる力を持つようになり、火災の翌年には、州内八百社以上が参加したワイン品評会に出品したカベルネ・ソーヴィニヨン（赤ワイン）が、二等に入賞している。</p>

<blockquote>
  <p>ピーク時には生産量は20万ガロンに達し、ブドウ農園は2000エーカーもあったという。パラダイスリッジワイナリーの資料によると、約3万本のワインが保存され、全米へ、そしてヨーロッパへと出荷され、「ファウンテングローブワイナリー」はソノマ地方のワイン生産の90％を占めるまでになっていたという。（関根絵里, 朝日新聞 GLOBE+, 2018.10.06掲載）</p>
</blockquote>

<p><figure>
<img src="/uploads/wine-barrels.jpg">
<figcaption>"<a href="https://www.flickr.com/photos/aarongoodman/5944125767/in/album-72157627216980270/" target="_blank" rel="nofollow">IMG_7670</a>" by Aaron T. Goodman (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nd/2.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h2>ブドウの木が全滅</h2>

<p>しかし災難は続く。1905年に害虫が長沢の農園を襲い、全5万本のブドウの木が枯れてしまった。ただ、この最大の危機に直面した際にも、決して長沢は事業を諦めるような言動はとらなかった。まずブドウの木を全て処分して、新たな苗木をフランスの特約店に発注し、またいちから生育に取り掛かったのだ。</p>

<p>再起4年目を迎え、ようやく若木が順調に生育し始めていたころ、またしても火災が発生した。今回の出火元は農園の納屋だった。</p>

<blockquote>
  <p>納屋はもちろん、十二台の馬車を収納していた建物、作業員の住居は全焼した。炎は三キロ離れたサンタローザの街からもみえた。出火の原因は納屋の作業員が捨てたマッチの不始末からで、損害は5千ドル（筆者註・こんにちの約十三万ドルに相当）にのぼると報じている。（渡辺正清, 2013）</p>
</blockquote>

<p>納屋や住居の再建も完成し、若木も順調に育ち、ようやくワイナリー再起の見通しがたったのは1913年頃だった。その夏、61歳になっていた長沢は、日本の故郷を訪れた。そこで記者の取材を受けたとき、あの名言が生まれた。</p>

<blockquote>
  <p>記者の取材をうけ、カリフォルニアにおける自分の事業について、
「原野を開拓して葡萄園をつくり、お陰でいまの身分になりました。ずいぶん苦労をしましたよ。酒蔵が焼けたり、病虫害でブドウの木が全滅したり、酒に火が入って両脚に大火傷を負ったり苦労しました。しかし、成功談や苦心談などというものは偉い人のいうことで、私なんかが口にすることではない」と控えめである。</p>

<p>さらに、経営の信条をのべている。「カリフォルニアで仕事をするには大きくしなければ儲からぬ。小さいことではとうてい駄目である。金を儲けるには度胸に忍耐が肝腎で、どんなに失敗してもここさえ握っておれば、きっと成功する。これから（カリフォルニアへ）行くひとはキャピタル（資本金）がなければ困難でしょう」。（渡辺正清, 2013）</p>
</blockquote>

<p><figure>
<img src="/uploads/wineglasses.jpg">
<figcaption>"<a href="https://www.flickr.com/photos/wwwuppertal/14635203713/in/photostream/" target="_blank" rel="nofollow">Wuppertal-Sonnborn: Wine glasses in the window of an antiques dealer</a>" by wwwuppertal (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc/2.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC-BY-NC 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h2>禁酒法に14年間耐える</h2>

<p>ようやく全てがうまく行き始めていた頃、またしても苦難を呼び込む出来事が起きてしまう。1920年に米国で「<a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/アメリカ合衆国における禁酒法" target="_blank" rel="nofollow">禁酒法</a>」が施行され、お酒を売ることそのものが禁止されてしまったのだ。さらに1929年には世界的な大恐慌となり、長沢が融資していた地元の販売代理店が倒産。加えてカリフォルニアの排日感情は年々高まり、土地の所有を禁止する<a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/カリフォルニア州外国人土地法" target="_blank" rel="nofollow">排日土地法</a>に加えて、移民そのものを禁ずる、<a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/排日移民法" target="_blank" rel="nofollow">排日移民法</a>（通称）まで制定されてしまった。</p>

<p>それでも1933年12月5日に禁酒法が撤廃されるまでの14年間、破産することなく耐え続けた。だが晩年を迎えた長沢にとって、その期間は長すぎた。禁酒法が撤廃されたわずか三カ月後、1934年3月1日に長沢鼎は82年にわたる生涯の幕を閉じた。</p>

<p>排日土地法のせいで、ワイナリーの跡地は売却されてしまうことになり、現在は会員制のゴルフコースになっている。ただし、隣接した場所に1994年に創業した「パラダイス・リッジ・ワイナリー」が長沢の遺志を継いでいる。その見学施設には、長沢関連の資料も展示されていたようだが、一昨年、カリフォルニア一帯を襲った山火事により大きな被害を受けている。</p>

<p>それでも<a href="https://www.facebook.com/paradiseridge/" target="_blank" rel="nofollow">パラダイス・リッジ・ワイナリーのFacebookページ</a>を見てみると、復興はだいぶ進んでいるようだ。今秋には焼失した建物の再建が完成する予定だという。この地には、長沢の「度胸と忍耐」の精神が受け継がれている。必ずやこの災難をも乗り越え、見事な復活を遂げられることだろう。</p>

<p><img src="/uploads/nagasawabooks.png"></p>

<h3>参考文献</h3>

<p>渡辺正清『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4860742087" target="_blank" rel="nofollow">評伝長沢鼎―カリフォルニア・ワインに生きた薩摩の士</a>』南日本新聞開発センター、2013<br>
上坂昇『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4750345172/" target="_blank" rel="nofollow">カリフォルニアのワイン王 薩摩藩士・長沢鼎──宗教コロニーに一流ワイナリーを築いた男</a>』明石書店、2017<br>
関根絵里「<a href="https://globe.asahi.com/article/11846555" target="_blank" rel="nofollow">サムライから『ワイン王』へ　薩摩藩士・長澤鼎が築いたカリフォルニアワイン伝説</a>」朝日新聞 GLOBE+, 2018.10.06掲載</p>
]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>集団で学ぶ力、「コレクティブラーニング」にいま注目すべき理由 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/02/Cesar-Hidalgo.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9166</id>

    <published>2019-02-15T05:15:00Z</published>
    <updated>2020-02-13T05:09:32Z</updated>

    <summary>革新的なプロダクトは複雑な知識から生まれる。ただ個人が習得できる知識量には限界があるため、おのずと集団に蓄えていくことが求められる。MITメディアラボの最新研究によると、データを分析して知識の流れを可視化することにより、集団で学ぶ力は進化できるという。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="学び" label="学び" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>セザー・ヒダルゴ（César A. Hidalgo）</strong>
<small>マサチューセッツ工科大学（MIT) 准教授　MITメディアラボ コレクティブラーニング・グループ・ディレクター</small>
<p>アメリカのノートルダム大学でアルバート=ラズロ・バラバシの指導のもと物理学の博士号を取得。現在は、マサチューセッツ工科大学（MIT）准教授であり、MITメディアラボのコレクティブラーニング（集積的学習）グループを主導する。ハーバード大学ケネディスクールのリカルド・ハウスマンと共に経済成長の予測手法として有名な「経済複雑性指標」（ECI）を開発、複雑系経済学からデータビジュアライゼーションまで多彩な分野で活躍中。学術出版物は1万回以上引用されており、同氏の開発したオンラインシステムは1億回以上閲覧され、数々の賞を受賞。最新の著作<em>Why Information Grows</em>（2015年、邦題：『情報と秩序 原子から経済までを動かす根本原理を求めて』早川書房、2017年）は10か国語以上に翻訳されており、また、<em>The Atlas of Economic Complexity</em>（2014年）にて共同執筆も務める。ビックデータ可視化エンジンの開発を専門とするDatawheel LLCの共同設立者でもある。
</p></aside></p>

<p>リモートでも働ける時代に、オフィスはどう進化できるか？</p>

<p>特集「職場再考」導入編で掲げたその問いを探るうえで、そもそも「物理的に人と人が近くにいることでしか得られないものは何か？」について考えてみたい。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2019/02/office-concept-2010.html">
<h4>関連記事</h4>
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<div class="info"><strong>リモートでも働ける時代に、オフィスはどう進化できるか──特集「職場再考」導入編</strong></div></a></div>

<p>マサチューセッツ工科大学のセザー・ヒダルゴによると、それは「複雑な知識やノウハウ」だという。ヒダルゴがMITメディアラボで主導するコレクティブラーニング・グループでは、さまざまなデータを分析して集団における知識の蓄積を可視化し、チーム、組織、都市、さらに国家がどのように学習を行うかを研究している。</p>

<p>国ごとに蓄積された知識を計測する手法として、ヒダルゴらが開発した「経済複雑性指標」では、なんと日本が1984年より世界ランク1位の座を守り続けている。しかし、近年ビジネス環境が急激に変化するなか、その地位を今後も維持できるかどうかは疑わしい。集団において蓄積されている知識を可視化して計測することで、果たして新たな成長の可能性は見えてくるのだろうか。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/ECIrankings2.png">
<figcaption>「経済複雑性指標」の国別ランキング。日本は1984年から最新データの2017年まで首位を維持しているものの、経済複雑性指標の数値遷移を表すグラフは下降傾向にある。Image Captured from <a href="https://atlas.media.mit.edu/en/rankings/country/eci/" target="_blank" rel="nofollow">OEC-Economic Complexity Rankings (ECI)</a></figcaption></figure></p>

<h2>日本は1位を維持できるか</h2>

<p><strong>──「経済複雑性指標」において、日本は1984年から1位を維持しています。しかし一方で、日本経済に対する悲観的な見方が多いなか、今後も首位を維持していくためには、どう対応するべきだとお考えでしょうか。</strong></p>

<p>この指標は、集団に蓄積されていく知識を測ることを目的としたものです。そして、知識が国の経済成長という文脈において、どのような意味を持つのかを理解しようとしています。</p>

<p>日本は、機械や化学など洗練された産業が集積している国です。そのため経済複雑性指標が非常に高い値になっているわけですが、一方で適応しすぎることに対しては、十分注意が必要です。</p>

<p><strong>──「適応しすぎる」とはどういう意味ですか？</strong></p>

<p>特定の経済環境において理想的な状況であるということです。例えば、1990年代の日本経済は、電気製品や自動車など、20世紀を代表する産業を生み出し、時代に適応していました。しかし、必ずしもそれが次の時代においても最適な設定であるとは限りません。変化の激しい環境においては、「適応性（adaptation）」と「進化性（evolvability）」はトレードオフの関係になるからです。つまり、適応しすぎていると進化する機会を逃してしまうということです。</p>

<p>ここで問うべきは、これまでの日本の経済的成功が、結果的にどのような最適化された構造を築いたのか。そしてその構造が、次の時代に適応するうえで障壁となる可能性はあるかということでしょう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/OECJapanexport2.png">
<figcaption>2017年の日本の輸出品を可視化した図。経済複雑性は、ある地域が生産し輸出する製品の構成を調べることで近似できる。製品はその地域に知識やノウハウが存在することを物語るからだ。Image Captured from <a href="https://atlas.media.mit.edu/en/visualize/tree_map/hs92/export/jpn/all/show/2017/" target="_blank" rel="nofollow">What does Japan export? (2017)</a></figcaption></figure></p>

<h2>多様な組織の集合体へ</h2>

<blockquote>
  <p>大組織どうしのやり取りは、それがどんなに単純なやり取りでも、りんごの木からりんごを摘んだり、カタログから新型のプリンターを選んだりするほどスムーズではない。（中略）極端なお役所主義は、大人数を結ぶ巨大なネットワークこそ生み出すが、パーソンバイト（ひとりの人が保持できる知識やノウハウの最大量）はほとんど生み出さない。（中略）ネットワーク自体は巨大なのに、たいした知識もノウハウも生み出したり蓄えたりできなくなるのである。</p>

<p>『情報と秩序 原子から経済までを動かす根本原理を求めて』早川書房、2017年</p>
</blockquote>

<p><strong>──日本でよく構造的な問題として挙げられるのは「官僚主義」とも呼ばれる、階層的な組織ですが...。</strong></p>

<p>製造業による大量生産が経済を動かしていた時代には、なるべく再現なく拡大可能な事業が大事にされてきました。つまり、長い年月にわたり市場のニーズが約束されているものです。その場合、やはり効率がよくて管理しやすい階層的な組織構造が最適だったわけです。</p>

<p>しかし、いまや製造業だけが世の中を動かす時代ではなくなりました。変化のサイクルは加速していて、より高い創造性が求められています。この時代に勝利できる組織は、さまざまな分野に精通するビジネスネットワークを構築し、より早く新しいアイデアに到達して、資源を適切に再配分できるところです。一つの大きな企業よりも、複数の企業からなる流動的で多孔質な集合体のほうが適していると言えるでしょう。</p>

<p><strong>──企業どうしで、もっと連携を加速するべきだということでしょうか？</strong></p>

<p>これからの経済成長にとって、企業間のコラボレーションがますます重要になることは間違いないでしょう。なぜなら、同じ集団に属する人は似たアイデアを持っている傾向があり、世界の見方も似ていて、世界が動く仕組みの理解まで似ていることがあるためです。他社で自分とは異なるトピックに取り組む人と一度でも一緒に働いてみると、同じような課題に対して全く異なる解決策があることに気づけたり、そもそも全く考えたこともないような問題に出くわしたりすることだってあるはずです。</p>

<p>個人としても、これからは多種多様なスキルを持つ人たちとつながっていることが大きな価値になります。決して、全てのスキルを社内で調達しようとは考えない方がいいでしょう。核となる能力は身内にそろえつつ、同時に多様なビジネスネットワークを築き、アウトプットのレベルを引き上げることを目指すべきだと思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/hidalgobook.png">
<figcaption><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4152096837/" target="_blank" rel="nofollow">『情報と秩序 原子から経済までを動かす根本原理を求めて』</a>早川書房、2017年</figcaption></figure></p>

<h2>富の根源には学びがある</h2>

<blockquote>
  <p>経済とは、人々が知識やノウハウを蓄積して物理的秩序（つまり製品）を生み出し、知識やノウハウ、ひいては情報をいっそう蓄積していく能力を増強するためのシステムなのである。</p>

<p>『情報と秩序 原子から経済までを動かす根本原理を求めて』早川書房、2017年</p>
</blockquote>

<p><strong>──いまのお話を著書『情報と秩序』のテーマである「情報が成長する」という文脈に沿って考えると、日本経済にはどんな成長が必要だと言えるのでしょうか？</strong></p>

<p>この本では、多くの人が大切だと考える「富」の根源を探り、富を生み出すものについて解明しようと試みています。</p>

<p>富の概念は、経済そのものがなかった何百万年も前には存在しませんでした。大気がなかったとか、太陽が十分なエネルギーを届けてくれていなかったといった理由ではありません。「製品」がなかったからです。</p>

<p><strong>──なぜ製品なんですか？</strong></p>

<p>富は製品によって増大するためです。例えば、いい家に住めて、いい食品が買えて、いい自動車に乗れて、いい服が着られて、娯楽作品も自由に楽しめる人が増えると、社会全体の富が増えます。</p>

<p>では製品は何から生まれるかというと「知識」です。例えば、電気や通信など、パソコンはさまざまな複雑な知識を用いて生産されます。つまり大切なものを掘り下げていくと、実は富ではなく製品だった。でもさらに探っていけば製品ではなく知識だったというわけです。</p>

<p><strong>──知識にも根源となるものはあるのですか？</strong></p>

<p>あります。それこそが集団で学ぶ力。僕らが「コレクティブラーニング」と呼んでいるものです。どのようにすれば、より多くの知識を集団として学習し、蓄えられるか。究極的には、それが国という集団の富の増大につながると考えています。</p>

<p><strong>──コレクティブラーニングは「Sansan Innovation Project 2019」の基調講演のテーマでもありますね。</strong></p>

<p>日本では、コレクティブラーニングの3つの原理についてお話ししようと思っています。それぞれの原理の具体例を挙げて、実際のデータを用いて知識がどのように社会の中を流れているのかをビジュアライズして紹介します。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/ECIGDP2.png">
<figcaption>ひとり当たりGDP（縦軸）と経済複雑性（横軸）の関係を表した図。最も右端にある赤い国が日本。高い相関性だけでなく、過去のデータと照らし合わせてみると、ひとり当たりGDPの長期的な変化もこの図で説明できることがわかっている。Image Captured from <a href="https://atlas.media.mit.edu/en/visualize/scatter/hs92/gdp/show/all/all/2017/" target="_blank" rel="nofollow">OEC - How does complexity compare to GDP?(2017)</a></figcaption></figure></p>

<h2>アイデア、製品、知識、ノウハウ</h2>

<blockquote>
  <p>ノウハウが知識と異なるのは、行動する能力を含むという点だ。これは暗黙の能力である。たとえば、ほとんどの人は、どうやって歩いているのかは知らなくても、歩き方を知っている。（中略）それはノウハウがあるからだ。ノウハウとは、行動を可能にする暗黙の計算能力であり、個人と集団の両方のレベルで蓄積していく。</p>

<p>『情報と秩序 原子から経済までを動かす根本原理を求めて』早川書房、2017年</p>
</blockquote>

<p><strong>──講演とても楽しみにしています！ ところで、著書の中では「知識（knowledge）」と「ノウハウ（knowhow）」を分けて使っていますが、どう違うのでしょうか？</strong></p>

<p>私はアイデア、製品、知識、ノウハウという4つに分類して考えています。アイデアはとても早く伝達されます。例えば、「ブロックチェーン」というアイデアについて考えてみましょう。あるとき誰かが「これからはブロックチェーンだ！」って言い始めたら、あっという間に世界中に広がってみんなが話題にします。アイデアは需要を生み出します。ブロックチェーンを使った製品が世に出れば、購入に興味を持つ人はたくさんいることでしょう。需要が生まれて買う人がある程度いれば、売る人も出てくるわけですが、アイデアを広めたり、売買に関わったりする彼らが全員ブロックチェーン技術の具体的な知識を持っているかというと、そんなことはないわけです。実際にコードを書いて開発できるノウハウを持っている人となると、さらに限定されます。</p>

<p><strong>──知識やノウハウをインターネットなどで学習することは難しいからですか？</strong></p>

<p>シンプルな知識についてはインターネットでも学習できます。例えば、家で何か簡単な修理をしたいときに、YouTubeで解説ビデオを見れば案外できたりするものです。しかし、複雑な知識やノウハウに関しては難しいでしょう。実際、私も日ごろから学生に文章の書き方を教えているわけですが、何度も添削しながら直接教えること以外に、いまのところ効果的な上達法は見つかっていません。</p>

<p>実際アメリカでは、インターネットが20年以上も前から存在しているにも関わらず、シリコンバレーの家賃は史上最高額を更新し続けています。他のチームメンバーと物理的に近くにいることが、以前にも増して重要視されているからです。もちろん、社会資本にアクセスできるといった側面もあると思いますが、そこでしか得られない知識やノウハウを学べるという期待があるからこそ、人は多くのお金を払って近くに住むと思うのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/ECIgraph.png">
<figcaption>2017年に日本で生産された「製品空間」。ネットワークの各ノードは製品を表す。線は同じ国が輸出する傾向が高い製品どうしを結んでいる。最大のノードである「Cars（自動車）」の周りには、数多くの関連製品がリンクしている。Image Captured from <a href="https://atlas.media.mit.edu/en/visualize/network/hs92/export/jpn/all/show/2017/" target="_blank" rel="nofollow">OEC - What are the export opportunities of Japan? (2017)</a></figcaption></figure></p>

<h2>ひとりで複雑な知識は蓄えられない</h2>

<blockquote>
  <p>知識やノウハウの蓄積がどんどん難しくなっていくのはなぜなのか？　それは、知識とノウハウの具象化に必要なネットワークを築くのが難しいからである。</p>

<p>『情報と秩序 原子から経済までを動かす根本原理を求めて』早川書房、2017年</p>
</blockquote>

<p><strong>──集団で複雑な知識やノウハウを蓄積するためには、物理的に集まらないと難しいということですか。</strong></p>

<p>そうですね。われわれ学問の世界は例としてわかりやすいです。ここでは、あなたの指導者は誰か、あなたの指導者の指導者は誰か、といったことが大事にされる傾向があります。指導者とは少なくとも4〜6年くらいは近い関係性で研究をしていたことになるので、そこでノウハウの共有がされていると見なされるからです。私の指導者はラズロ・バラバシでしたが、彼の本や論文を読んだだけでは知りえないような、多くの学びが得られました。</p>

<p>ただし、あらゆる知識やノウハウを自力で習得する必要はありません。というか不可能です。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/06/socialnetworks-vol3.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/socialnetworksvol3-2-1094.jpg">
<div class="info"><strong>「弱いつながり」よりも「広い帯域幅」が新情報をもたらす──社会ネットワーク研究の世界</strong></div></a></div>

<p><strong>──習得が不可能とは、どういうことでしょう？</strong></p>

<p>私だって持っているノウハウは非常に限られています。自分の研究分野について本や論文は書けます。プレゼンテーションもできます。ただ絵は下手ですし、プログラミングも最近は全くやっていません。でも私のチームやビジネスネットワークには、自分にはないノウハウがたくさん集まっています。</p>

<p>ひとりだけでオーケストラは成立しません。ピアノとバイオリンをひとりで同時に演奏することはできません。ビジネスにおいても同様で、一人ひとりは限られた知識やノウハウしか持てないため、革新的な製品を創造し、富の増大を促進するためには、集団の中でより多くの複雑な知識が必要になる。より多くの知識を蓄積するためには、集団で学ぶ力を高める必要があるのです。</p>

<blockquote>
  <p>つまり、私たちが必死で解決しようとしている社会や経済の問題は、いかにして人間のネットワークに知識やノウハウを具象化するか、という問題なのである。（中略）<br><br>
しかし、なぜネットワークを形成する必要があるのか？　（中略）個人の具象化できる知識やノウハウには限度があるからだ。この個人の限界と戦うためには、共同作業が必要だ。こうしたネットワークは、ひとりの人間に具象化しきれない知識やノウハウを必要とする製品を作るうえで不可欠だ。</p>

<p>『情報と秩序 原子から経済までを動かす根本原理を求めて』早川書房、2017年</p>
</blockquote>

<hr />

<h2>3月15日（金）Sansan Innovation Project 2019で基調講演（イベントは終了しました）</h2>

<p>「Sansan Innovation Project 2019」の基調講演では、コレクティブラーニングに関する、以下の3つの原理について具体例を交えながら詳しく解説する予定だという。</p>

<p>1.蓄積されていく経験としてどれほど学習できるか<br>
2.一つの活動から類似する活動に、知識をどれほど移転できるか<br>
3.知識の集約が、どれほど富、不平等、人口集中、経済活動の空間等に影響を与えるか</p>

<blockquote>
  <h2>コレクティブラーニングの原理</h2>

<p>チーム、都市や国家などは、どのように集積的学習を行っているのか？</p>

<p>本セッションでは、知識が生まれ、普及し、価値あるものとなる原理についてお話しします。この原理は、経験が知識として蓄積し、その知識が地理的、文化的そして認知的な壁を乗り越え社会に浸透することの根底に在り、さらに、知識の集結が経済成長（経済成長、所得やその不平等さなど）に与える影響にも関係しています。</p>

<p>ヒダルゴはこれらの原理に則り、最適に産業を多角化する戦略、マイクロメカニズムが知識の浸透に与える影響、そしてこの原理を産業政策に活かす方法について議論していきます。datausa.ioやdatachile.ioなど、国ごとのデータを統合・配信・可視化する総合的システムが開発されていく中で、政府の情報開示方法が高度になり、今後人工知能が政府の意思決定をまとめていく社会の実現化を可能にしていきます。</p>

<p>Sansan Innovation Project 2019 基調講演セッション概要より</p>
</blockquote>

<p>予防医学研究者の石川善樹、法政大学経営学部の永山晋、そしてSansanの西田貴紀を交えた、最後のクロージング・セッションにも登壇する。</p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>リモートでも働ける時代に、オフィスはどう進化できるか──特集「職場再考」導入編 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/02/office-concept-2010.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9163</id>

    <published>2019-02-08T02:20:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:33:56Z</updated>

    <summary>オフィスは本当にもういらないのか？　みんなが喜んで通いたくなるオフィスは作れないものだろうか？　4月の「働き方改革関連法」の施行に合わせて、新特集「職場再考」を始める。まずは、20年前にドイツの医療機器メーカーが作った、未来オフィス構想から紐解いてみよう。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="職場再考" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="デザイン" label="デザイン" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>リモートワークが広がる時代に、オフィスが生き残る道はあるのだろうか。</p>

<p>ノートパソコンやスマートフォン、クラウドサービスが普及し、フリーランス人口も増えていくに従って、「オフィスはもういらないんじゃないか？」と発言する人たちが増えている。</p>

<p>ジャーナリストの佐々木俊尚が2009年に出版した新書<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4334035159" target="_blank" rel="nofollow">『仕事するのにオフィスはいらない』</a>がきっかけとなり、「遊牧民」的働き方を意味する「ノマドワーカー」という概念が広まった。実際、スターバックスでコーヒー片手に働く彼らは、いまや世界各地でお馴染みの光景である。</p>

<p>昨年は、Mistletoe社長兼CEOの孫泰蔵が自社オフィスをなくしてみた理由について、<a href="https://business.nikkei.com/atcl/interview/16/082900029/082900001/?P=1" target="_blank" rel="nofollow">日経ビジネスのインタビュー記事「オフィスと社員はもう要らない」</a>で語っている。</p>

<blockquote>
  <p>「そうは言っても、リアルなコミュニケーションには勝てないでしょ？」と疑う人は多いかもしれませんが、技術面の現実的な予測として、5年後にはリモートワークのストレスはほぼゼロになります。</p>
</blockquote>

<p>しかし一方で、オフィスの進化に期待する声も年々高まっている。不確実性の高いビジネス環境の中で、クリエイティブで柔軟に対応していくことが求められる現代の企業にとって、対面で議論を重ねていく方がいい結果に結びつきやすいという考え方もある。<a href="https://www.nikkei.com/article/DGXNMSFK04008_U3A300C1000000/" target="_blank" rel="nofollow">米ヤフーが在宅勤務を禁止にした時</a>は、日本でも大きな話題になった。</p>

<p><figure><figcaption>Top Photo: Courtesy of Steelcase</figcaption></figure></p>

<h3>データが裏付ける職場の不自由</h3>

<p>アンケート調査や大学の研究からは、従来のオフィスデザインがもう機能しなくなっていることが指摘されている。</p>

<p>世界最大のオフィス用家具メーカーSteelcaseと、グローバル・リサーチ会社Ipsosが世界17カ国のオフィスワーカー12,480人を対象に行った<a href="https://info.steelcase.com/global-employee-engagement-workplace-comparison" target="_blank" rel="nofollow">アンケート調査</a>の結果、仕事になかなか身が入らないと答えた人は、職場環境にも満足できていない人が多いことがわかった。また、オフィスの中で働く場所を自由に選べないこととも強い相関関係があった。</p>

<p><figure>
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<figcaption>上）オフィスの満足度と従業員エンゲージメントには相関性が見られたが、どちらも高いと答えた人は、全体の13%しかいなかった。下）従業員エンゲージメントは、働く場所を選べる自由度と強い相関性が見られた。Data retrieved from <a href="https://info.steelcase.com/global-employee-engagement-workplace-comparison#introduction" target="_blank" rel="nofollow">Steelcase Global Report - Engagement and the Global Workplace</a></figcaption></figure></p>

<p>また、カリフォルニア大学アーバイン校の研究によると、オフィスワーカーは平均3分5秒ごとにタスクを切り替えていて、再び元のタスクに戻るまでには、平均23分間15秒もかかっていることが明らかになった。タスク切換えの約半分の要因は自己意識にあるそうだが、残りの半分はオフィス環境から影響を受けたものだという。</p>

<p>それなら、より集中できる家やカフェで働きたいと訴える人がいてもおかしくはない。実際、研究を主導したグロリア・マーク教授は、長時間集中したい時はなるべく家にこもって仕事をするように心がけていると、2008年当時の<a href="https://www.fastcompany.com/944128/worker-interrupted-cost-task-switching" target="_blank" rel="nofollow">ファストカンパニーのインタビュー</a>で答えている。</p>

<h3>仕事内容によって場所を変えてみる</h3>

<p>「何か抜本的な対策を講じなければ！」ということで近年オフィス用家具メーカーがこぞって採用している設計思想が「ABW（Activity Based Working）」である。</p>

<p>ずっと自分の固定席に座って働くのではなく、1人で作業に集中したい時、2人で頭を突き合わせて話し合いたい時、3人のチームで議論したい時など、仕事の内容に応じて一人ひとりが最適な環境を自由に選択できるというものだ。</p>

<p><figure><img src="/uploads/steelcase-ms-1.jpg">
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<figure><figcaption>SteelcaseはABWを家具だけで解決しようとは考えていない。昨年マイクロソフトとの業務提携を発表し、画面の大きさやパソコンの種類も用途に応じて変えていく提案を始めている。Photos: Courtesy of Steelcase</figcaption></figure></p>

<p>Steelcaseが自社で発行している雑誌「360 Magazine」では、デザイン部門のグローバルヘッドを務めるジェームズ・ルドウィッグが次のようにコメントしている。</p>

<p>「統一されたスタンダード規格のオフィスに対して、人々は反対運動を起こし始めている。発想力と創造性、そして暮らしを楽にしてくれる人間中心のテクノロジーを仕事に求めている。デザイナーたちは、このシフトが起き始めているのを何年も前から認知していた。でもいまや進化は加速し、そのアイデアは驚異的なスピードで受け入れられ、採用され始めている」</p>

<p>進化の加速は、4年前の時点ではまだ起きていなかったようだ。同社の社長であるジム・キーンは、<a href="https://www.wired.co.uk/article/steelcase-future-office-furniture" target="_blank" rel="nofollow">2015年の英国版「WIRED」のインタビュー</a>で、オフィスの課題についてこう語っている。</p>

<p>「20年前に自分と同じような仕事をしていた人と、ほとんど変わらない職場環境で未だに多くの人は働いている」</p>

<p>実際、この数年の間にオフィスを移転していない限り、多くの人にとって、社会人になってからオフィスの基本的な構造はほぼ変わっていないはずだ。各社員に固定席が与えられ、チームごとに席が並んでいる。執務エリアとそれ以外のスペースは明確に切り離されており、昼食時以外に飲食スペースを利用する機会はほとんどない。会議室はいくつかあっても、一人で誰にも邪魔されずに集中できる場所や、特定のチームメンバーで集中して共同作業をするための場所は、ほとんど用意されていないのが現状だ。</p>

<p>だが世界を見渡せば、90年代からオフィスに何か変化を起こそうと行動に起こしていた人たちは確かに存在していた。仕事内容によって場所を自由に選べる「ABW」は、決して真新しい概念ではなく、実は20年以上も前から提唱されていたものだった。</p>

<h3>「コックピット」のあるオフィス</h3>

<p>ドイツの医療機器メーカーB.Braunが、1998年に発表した資料「FUTURE WAYS TO WORK」は旧型のデスクトップコンピューター以外、全く色あせていない。その中で紹介されている「OFFICE CONCEPT 2010」は、以下の表現に集約できるというのだが、いま見ても十分に先進的である。</p>

<blockquote>
  <p>柔軟性と弾性／開放性と透明性／新しいマネジメントスタイル／生産性の新しいコンセプト／ゴール起点、成果起点、顧客起点の指標／自発性と自己責任／学ぶ意欲とチームスピリット／インフォーマルなコミュニケーションの向上／情報へのアクセスを容易に／ワークステーションや働く環境を選択できる自由</p>
</blockquote>

<p>B.Braunの企業文化として「Go and Get it」があると記されている点にも注目したい。必要な情報があれば自ら取りに行くカルチャーが根付いているため、オフィスで居心地のいい場所も仕事内容に合わせて自ら見つけに行けるはず。その選択肢のある職場環境を整備することが、新オフィスのゴールとして掲げられていた。</p>

<p><figure>
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<figcaption>B.Braunの旧本社。仕事内容に応じて自由に働く場所を選べる特徴がある。個室もフリーアドレスになっていて、一人で集中して仕事ができる環境が整っている。現在のABWのベースとなる概念を初めて考案したとされるオランダのVeldhoen+Companyがコンサルティングを手がけている。Photos by Kim Zwarts, Maastricht / Courtesy of B.Braun</figcaption></figure></p>

<p>「OFFICE CONCEPT 2010」では、主に以下6種類の環境が提案されている。</p>

<p><strong>「コックピット」</strong>と呼ばれる部屋は、邪魔をされずに集中して働ける一人用の環境である。一見すると、役職の高い社員の個室のようにも見えるが、特定の個人に割り振られた部屋ではなく、誰でも利用できる。<strong>「チームルーム」</strong>は、4人までの社員が議論できる部屋だ。パソコンも設置されているので、サテライトのワークステーションとしても利用できる。三角形の角にある<strong>「カンファレンスルーム」</strong>は、より大きなチームでミーティングをする時に最適な場所だ。<strong>「リーディングルーム」</strong>は、印刷された資料を読んだり、静かな場所で過ごすことが目的の部屋である。<strong>「オープンオフィスエリア」</strong>では、スタンディングデスクも用意されており、業務に没頭するというよりはチームワークを大切にできる場所となる。<strong>「ラウンジエリア」</strong>は、インフォーマルな会話や、小休憩に適した環境が用意されている。</p>

<p>現在のオフィスはどうなっているのだろうか。本社の広報に問い合わせてみたところ、2014年11月に建設を開始し、2017年4月に移転したという新オフィスの写真を送ってくれた。「OFFICE CONCEPT 2010」をベースに社員一人ひとりの意見を取り入れて、さらに進化しているという。</p>

<p><figure>
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<figcaption>B.Braunはドイツのビジネス誌『brand eins』より、医療機器製品部門において「Innovator of the Year 2017」として<a href="https://www.bbraun.jp/ja/company/bbraun-asia-pacific/news-room/news/2017/3rd-quarter-20172/b--braun-among-the-most-innovative-companies-in-germany.html" target="_blank" rel="nofollow">表彰されている</a>。この受賞は、同社の画期的なオフィスが単に快適で業務効率がいいだけでなく、社員一人ひとりの創造性を刺激し、事業のイノベーションにもつながっていることを証明している。Photos Courtesy of Il Prisma(stair photo) and B.Braun Melsungen AG(others)</figcaption></figure></p>

<h3>ルールは作る側であり続けたい</h3>

<p>新設された<strong>「クリエイティブルーム」</strong>では、集まったメンバーの形態に応じて、その時々に最適な家具のセッティングが可能になった。<strong>「ワークプレイス」</strong>には最新の昇降デスクが完備され、フリーアドレスで自由に机を選ぶことができる。<strong>「クワイエット・ゾーン」</strong>は会話禁止の場所で資料を読む時など学びの時間に適している。営業電話をする時には、個別の<strong>「電話ボックス」</strong>を利用すれば、同僚の注意を削ぐ心配もない。逆に一人で集中したい時には、初期のコンセプトから入っていた<strong>「コックピット」</strong>を利用できる。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2019/04/mec-tanaka.html">
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<p>1998年に発表された「FUTURE WAYS TO WORK」の資料には、「ルールに従うのではなく、作る側であり続けたい」と記されている。そのイノベーティブな姿勢から、当時世界最先端のオフィスコンセプトが生まれ、いまや「ABW」として世界中のオフィスへと導入が進んでいる。</p>

<p>ただし進化しているとはいえ、ベースとなっているのは90年代に生まれたコンセプトである。これが現代の全てのオフィスにとって、最適解とは限らない。</p>

<p>働き方改革関連法が施行されるこの春は、仕事をする場のあるべき姿をあらためて問う、絶好のタイミングだ。「もういっそのこと、リモートで働きたい！」と会社に訴える前に、いまの職場で変えられる余地は何かないものか、本特集を通して一緒に考えてみよう。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>中川政七商店の新社長が初登壇。挑戦するのは「部門最適しないまま、どこまで強くなれるか」 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/02/twdw2018-report.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9164</id>

    <published>2019-02-01T00:05:00Z</published>
    <updated>2019-12-24T02:36:34Z</updated>

    <summary>BNLは、働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」で、中川政七商店の社長に昨年就任した千石あやをゲストに迎え、トークイベントを開催した。就任後、初めてのイベント登壇となった注目のセッションをリポートする。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="EVENTS INFO" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="イベント" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="中小企業" label="中小企業" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="後継ぎ" label="後継ぎ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>昨年11月、老舗企業・中川政七商店で初の創業家以外の社長になった千石あやが、社長就任後初めてトークイベントに登壇した。BNLとTokyo Work Design Week（TWDW）のコラボプログラムとして実現し、BNL編集長の丸山裕貴が聞き手を務めた。</p>

<p>TWDWは、「新しい働き方」を考える場として2013年から開催されている。6回目となったTWDW 2018は、東京・渋谷ヒカリエをメイン会場に、30を超えるトークセッションやワークショップが開かれた。</p>

<p>BNLのプログラムには、約100人の観客が詰めかけた。トークは千石と中川政七商店との出会いから始まり、入社後のキャリア、社長就任の経緯、中川政七商店の組織づくりにまで及んだ。</p>

<p><img src="/uploads/IMG_6953-720.jpg">
<aside><strong>千石あや</strong><p>1976年生まれ。大阪芸術大学を卒業後、大手印刷会社に入社。デザイナー、制作ディレクターとして勤務。2011年、中川政七商店入社。小売課スーパーバイザー、生産管理課、社長秘書、商品企画課課長、minoのコンサルティングアシスタント、山のくじら舎のコンサルティング、「遊 中川」ブランドマネージャー、ブランドマネジメント室室長を経験したのち、2018年3月、社長に就任。</p></aside></p>

<p>千石が中川政七商店と出会ったのは、求人サイト「日本仕事百貨」がきっかけだった。美大卒業後、新卒で大手印刷会社に入社。デザイナー、ディレクターとして計12年働き、「転職するならそろそろかな」と思っていたころだったと言う。</p>

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<div class="info"><strong>「憧れの人には会いに行かない。名刺は渡す文脈が大事」日本仕事百貨・ナカムラケンタが勧める人脈術</strong></div></a></div>

<h3>想いを伝える転職活動</h3>

<p>「（日本仕事百貨には）面白い求人がたくさん掲載されていたので、仕事の空き時間にときどき見ていたんです。ちょうどそのときもデザイナーから『あと2時間かかります』という電話があって、これは朝になるなと覚悟を決めて、他の仕事をしながら待っているときに、中川政七商店の記事を読みました。で、その場で応募のメールを書いたんです」</p>

<p>千石は、中川政七商店と出会う前に、一つだけ求人に応募したことがある。それは映画監督の河瀬直美の撮影助手の仕事だった。映画づくりへの想い、河瀬監督と働きたいという想いをしたためて、履歴書とともに郵送した。</p>

<p>「それはダメだったんですけど、河瀬直美さんから直筆のお手紙をいただいたんです。『想いは伝わりました。あなたはたぶんがんばって仕事をしているのでしょう、そういう想いはいつか伝わるからがんばって』というようなことを書いていただいて。それがすごくうれしくて。『ちゃんと想いを伝えると返ってくることもあるんだ。こういう転職活動をしていこう』とそのとき決めたんです」</p>

<p>「想いを伝える転職活動」が、中川政七商店との出会いを準備した。日本仕事百貨に載っていた記事からは、丁寧なものづくりをしている会社だということが読み取れた。共感した千石は、その想いを書いて応募メールを送った。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/10/sengoku-nakagawa.html">
<h4>インタビュー記事</h4>
<img src="/uploads/TOP_IMG_1411.jpg">
<div class="info"><strong>中川政七商店：名経営者の後を継いだ千石あや、創業302年目の挑戦</strong></div></a></div>

<p>「そのときいちばん伝えたかった想いはどんなことでしたか」という丸山の質問に、千石はこんなエピソードを明かしてくれた。</p>

<p>「最近そのメールを見返す機会があったんですが、ちょっとびっくりしたんです。いま私が考えていることと同じことが書かれていたから」</p>

<p>「当時のメールに私は、『お金持ちになりたいわけではないけれど、丁寧にものをつくっていて、それがいいものとして世界中の人に知られていく。そういう会社は素敵だと思います。そういうところで働きたいです』みたいなことを書いているんですね。で、今回私が社長になって、海外事業の担当者を募集するのに日本仕事百貨さんに求人を出させていただいたんですけど、そのときのインタビューで私は『いいものはボーダーレスなんじゃないか。私たちにとっていいものは世界でもいいものなんじゃないか』と答えているんです。やはり、めぐり合わせのようなものは感じます」</p>

<p>千石にとって中川政七商店は、ものづくりへの想いを変わらずに持ち続けていられる場所だったのだろう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_6825-720.jpg">
<figcaption>中川政七商店では工芸メーカーのコンサルティング事業を行っている。「ご家族で経営されているような小さなメーカーさんも多いです。何がやりたいのか、一からヒアリングして、経営上、いまブランドを立ち上げるのはやめたほうがいい場合は、やらないことを選ぶ場合もあります」</figcaption></figure></p>

<h3>老舗なのに同じことは繰り返さない会社</h3>

<p>実際に入社してからはどのようにキャリアを積んできたのか。「丁寧なものづくり」という言葉から受けるスローな印象とは異なり、中川政七商店はスピードの速い会社だと千石は言う。</p>

<p>「年に4回商品政策を策定し、1000種類を超える商品を作っています。工芸をベースにしている生活雑貨店としては、開発スピードは速いのではないかと思います。組織も、課題があるとなればすぐに変えますし、異動も多い。いま中途採用の面接をさせていただいていますが、安定して同じことをずっと繰り返したいという人がいちばん向かないということを、わりとはっきり言うようにしています」</p>

<p>千石自身、入社してからの7年間で7回の異動を経験した。小売店スーパーバイザー（SV）、生産管理、社長秘書、ブランドマネージャーと、職種も多岐に渡る。一つひとつの仕事を振り返っていった。</p>

<p>「生産管理では最初、内職さんの担当だったんです。奈良のおばあちゃんやおばさんたちと一緒にものづくりをしていました。みなさん"ガチ"の職人なんです。プロ意識もすごく高い」</p>

<p>「大手百貨店に『大日本市』を出店することが決まったときに、スーパーバイザーに戻ってくれと言われて、『大日本市』のSVになりました。一緒にものづくりをしている方たちと共同で店を出すのは初めてでしたし、他社さんの商品を交えながらMD編集するのも初めて。2週間に1回店頭を変えていくんですが、徹夜でディスプレイを直したり、泥臭いこともたくさんやりました」</p>

<p>ちょうどその立ち上げの頃、社長秘書の社内公募があった。初めて受け身ではなく自ら手を挙げたという。「SVの仕事が忙しかったので選ばれないだろうと思ったんですけど、意思表示だけはしておくべきかなと」。応募の動機は「きっと面白いだろうなと思ったので」。</p>

<p>予想外に採用されたことによって、経営者としての中川を間近で見ることになる。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_7016-720.jpg">
<figcaption>秘書業務の中でいちばん楽しかったことは？「いちばん近くでトップが何を考えているかを聞けるのはすごくおもしろかったですね。他の会社のトップのみなさんに会えるのも」</figcaption></figure></p>

<h3>まかせるが丸投げはしない</h3>

<p>千石によれば、前社長の中川の特徴は「まかせたと言ったら本当にまかせる」ことだという。例えば、誰かに面会を申し込む場合でも、「こういう方にこういうことをお願いしたいからアポイントとって」と言われるだけで、企画書や依頼文の書き方を事細かに指示されることはなかった。</p>

<p>「どう書くとこの企画が伝わるかなと考えて、わかりやすく書こうと努めていました。連絡先はホームページで調べて、お問い合わせ窓口に送ったり」</p>

<p>中川政七商店は、クリエイティブディレクターの水野学、インテリアデザイナーの片山正通、プロダクトデザイナーの柴田文江といった優れたクリエイターと協働しているが、良質なコラボレーションが実現しているのも「企画書を送ってアポをとる」というごく当たり前の営為の積み重ねだ。</p>

<p>一方、どんな専門家であっても丸投げはしない。</p>

<p>「何か新しい課題があって、自分たちにノウハウがない場合は、まず本を読もうと。3、4冊読むと大事なところが見えてくる。専門家に話を聞くにしても、そこを理解してからでないとその人の言っていることが正しいかどうかもわからないし、（ノウハウが）積み上がらない。なんでも自分たちでできるようになりたいんです」</p>

<p>2016年に創業300周年を記念するイベント「大日本市博覧会」を全国5都市で開催したが、このときも企画だけでなく施行・運営まで社員で行った。</p>

<p>「『200人入るテントってどうやってたてるの？』というところから（笑）。イベント会社にお願いすればちゃんとやっていただけるだろうと思うんですけど、『それ楽しいだろうから、自分たちでやらないともったいなくない？』という精神があるんです」</p>

<h3>3つのブランドをどうマネジメントするか</h3>

<p>トークは終盤に入り、話題は経営とブランディングに移った。</p>

<p>暮らしの道具を扱うブランド「中川政七商店」、テキスタイルブランド「遊 中川」、日本の土産ものを扱うブランド「日本市」の3本柱のうち、千石は「遊 中川」のブランドマネージャーになるのだが、当時いきなり14店舗を「まかされる」ことになった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/BNL_honten_gaikan.jpg">
<figcaption>現在の「遊 中川 本店」。ロゴ（写真右奥）のリニューアルは、クリエイティブディレクターの水野学が担当。</figcaption></figure></p>

<p>丸山が「それまで経営のご経験はなかったんですよね？」と聞くと、千石は「そうなんですよ。おそろしいことに」と笑って答えた。</p>

<p>「基礎的なことのレクチャーと、『これは読みなさい』という課題図書を5冊ぐらい読んで。あとは、月次報告のたびに中川からいろんな指摘を受けて、泣きながら勉強しました（笑）」</p>

<p>3ブランドによる事業部制で1年ほど経ったころ、「ブランド単体ではうまくいっているのに、会社全体で見るとひずみが生じる」ということがあったという。</p>

<p>「最もひずみが出たのが商品開発でした。分かりやすくいうと、うちの主力商品の一つにお正月に飾る白木でできた鏡餅があるんですが、（縦割りだと）3ブランド全部が鏡餅を作り始めるんです。そうすると『〔中川政七商店〕らしい鏡餅』とか『〔遊 中川〕らしい鏡餅』というよくわからないジャンルができいくんです」</p>

<p>そのような事例が生じるたびに3人のブランドマネージャーが協議して調整するが、これを繰り返すのは効率が悪い。千石によれば、中川政七商店ではこういう場合、「合宿が行われて、話し合い、組織を変える」という。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/10/BNLBooks-VOL14.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="/uploads/kogei_1094.jpg">
<div class="info"><strong>「もの売り」から「ブランドづくり」へ━━中川政七商店に学ぶ、中小企業の経営術『日本の工芸を元気にする！』</strong></div></a></div>

<p>「いまはブランドユニットが解体されて、商品部が一つになり、ブランドミックスで商品をつくる体制になっています。一方、ブランドユニットを解体すると、ブランドらしさを司る人がいなくなる。中川と『ブランドのコントロールと、社外に対するコミュニケーションを担う部署が必要ですよね』と話して、ブランドマネジメント室がつくられました」</p>

<p>縦割りの弊害は多くの組織で言われることだが、大企業ほど硬直化して組織の改編は難しい。また事業部制が機能するほど、自分たちの部門の利益を最大にすることを考えてしまうため、一人ひとりが「全体最適」の発想を持ちにくくなる。</p>

<p>ブランドマネジメント室の室長を経て社長に就任した千石は、組織のあり方についてこう語った。</p>

<p>「うちは経営会議でも部門最適みたいな発想がないままこの10年間やってきていて、それはとてもいいことだと思うんです。だからいまは、部門最適がない状態のまま、どこまで強くなれるんだろうと思っています。それに挑戦しながら、いままで以上にちゃんとものづくりに向き合っていきたいです」</p>

<p>社長就任のオファーは「びっくりしすぎて、あり得ないと思った」と語った千石。「（社長を）やってみて、やっぱりいちばん責任の重いところは中川が決めてくれていたんだなと思います」と言う。</p>

<p>それを聞いて、丸山がこう問いかけた。</p>

<p>「ビジネスパーソンには、自ら手を挙げて、責任を持ってやりたいと思っている人も多いと思うんです。『責任を持つ』と意識を切り替えると、生き生きと働けるようになると思いますか」</p>

<p>千石はこう答えた。</p>

<p>「できるようにならないと、生き生きしないでしょうね。だからうちはいま、みんな必死だと思います。いまはできないことも多くて、しんどいこともあります。でも、自分たちで自分たちの部署を成り立たせていくことを必死でやって、できるようになったとき、中川が一人で決めてくれていたときよりも（働くことが）楽しくなるんじゃないかなと思っています」</p>

<p>90分の時間いっぱい、経営者として、一人のビジネスパーソンとしての示唆に富む話が繰り広げられ、参加者は熱心に耳を傾けた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_7201-720.jpg">
<figcaption></figcaption></figure></p>

<p>トーク終了後、「お〜いお茶」の伊藤園の後援で、会場の希望者7名と千石の茶話会が実現。ヒカリエ8階のギャラリースペースに簡易の茶席がしつらえられ、本格的な煎茶が振る舞われた。限られた時間だったが、会話の弾む、有意義な時間となった。</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="7150001001554"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="1010401084326"></div>
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    </content>
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    <title>新技法を生み出し、インテリアブランドを立ち上げる。経営危機の町工場は、学生の人気就職先になった - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/01/momentum-factory-Orii.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9162</id>

    <published>2019-01-28T07:00:00Z</published>
    <updated>2019-03-11T02:26:33Z</updated>

    <summary>廃業間際だった高岡伝統の着色工房は、三代目が新たな技法を生み出し息を吹き返した。その技法を求めてやってきた若手のプロダクトデザイナーと新ブランドもつくり、勢いは増すばかり。いまや、美術系学生の理想の就職先としても人気を博している。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="新しい後継ぎのかたち" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>折井宏司</a></strong><small>有限会社モメンタムファクトリー・Orii 代表取締役社長</small><p>
昭和25年創業 折井着色所 三代目。26歳のときに東京から高岡へ戻り、伝統の技法をもとに独創の着色技術を開発、金属発色の可能性を広げる。2008年有限会社モメンタムファクトリー・Orii 稼動。2009 年 経済産業大臣指定伝統的工芸品伝統工芸土認定。2011年 第23回ニューヨーク国際見本市出展。独自の着色技術で、六本木ヒルズ展望台フロア壁面やホテル・ビルのエレベーター内部・ドアの着色など、商業施設から個人宅まで幅広く手がける。高岡伝統産業青年会OB。</a></p></aside></p>

<p>富山県高岡市は、全国の生産量の9割を占めると言われる鋳物の町だ。その歴史は古く、江戸時代初めに加賀前田藩が鋳物発祥の地である河内丹内から7人の職人を招き、工場を作ったところから始まるとされる。仏像や梵鐘、全国の観光地で見かける有名なアニメキャラクターの銅像も、そのほとんどが高岡製。ひと昔前まで都内の大手デパートには必ず「高岡銅器」のコーナーがあった。</p>

<p>けれども多くの伝統工芸品と同じく、高岡銅器もバブル崩壊を境に急激に勢いを失う。豪奢な装飾を施された壺や、毎年需要が見込める定番商品だった干支の置物を買う人は少なくなり、デパートからは専門コーナーが消えた。1950年に創業し、銅器づくりの最終仕上げである着色を専門としてきた折井着色所（同市長江）も、ピーク時の半分近くまで売り上げが減少。深刻な経営危機に陥った。</p>

<p>ところがいま、この北陸の地方都市の、一時は廃業寸前まで追い込まれた、伝統工芸を生業としてきた小さな町工場に、毎年のように芸大・美大出身の学生が門を叩き、大手企業の内定を蹴ってまで就職を志願する状況が生まれているという。パートも入れて14人いる従業員の平均年齢は34歳。工房内は活気に満ちている。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Y1005806.jpg">
<figcaption>高岡駅から車で20分の場所にあるmomentum factory Orii。高岡駅で乗ったタクシーで「折井着色所」と告げると、ドライバーは「折井さんね。新しくて面白いことやっているみたいですね」と答えた。折井の活動は地元、高岡でもよく知られているようだ。</figcaption></figure></p>

<p>傾きかけた家業を立て直し、新たな担い手となるような若い力を呼び込んだのは、折井着色所改めmomentum factory Oriiの三代目社長・折井宏司だ。デニム地に銅板をしつらえたオリジナルのジャケットに身を包み、外見から受ける印象は「町工場のおやっさん」というより「頼れる兄貴」。カヌーやバス釣りといった趣味の道具が並ぶ工場も、高岡版「世田谷ベース」を思わせる。</p>

<p>高校卒業後に上京し、一度は都内のIT関連会社に就職した折井は、言うまでもなく家業を守るために高岡に帰ってきた。しかし、「守るためには同時に攻めなければならない、伝統産業は変わらないためにこそ変わらなければならない」というのが彼の持論だ。折井は高岡伝統の着色工房の何を変え、何を守ったのだろうか。</p>

<h2>素人、ヒマ人だったから生み出せた新たな技法</h2>

<p>深い茶の中に不規則に混じる紫、黒、赤......。クジャクの羽根模様を思わせることから「斑紋孔雀」と名付けられたこの色は、数え切れないほどの色のレパートリーをもつmomentum factory Oriiにあっても、ひときわ特別な一色という。</p>

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<figcaption>momentum factory Oriiの打ち合わせスペースには、銅板でつくられた製品が並ぶ。</figcaption></figure></p>

<p>景気の悪化とともに伝統工芸の下請け仕事が減り、一時窮地に立たされていた旧・折井着色所。三代目の折井の代になって自社ブランドを立ち上げ、インテリアや建材といった新たな販路を開拓したことで復活を遂げたが、そうした新しい動きはどれも、折井が「うちにしか出せない」と言う色の数々があって初めて成立するものだ。中でも最初に斑紋孔雀色を開発したところから、反撃は始まった。</p>

<p>「うちにしか出せない」というのには二つの意味がある。一つは、斑紋孔雀色をはじめとするこうした色の全てがOriiのオリジナルカラーであるという意味。もう一つは、そもそも薄ぺらい銅板に着色できるのは、同社を置いてほかにないという意味だ。</p>

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<figcaption>折井着色所でしか出すことができなかったという斑紋孔雀色。いまでもOriiのオリジナルカラーだ。
</figcaption></figure></p>

<p>「着色という言葉からよく誤解されますが、高岡銅器の着色というのは、上からペンキを塗るようにして色を着けるわけじゃありません。薬品を塗ったり火で熱したりすることで、銅に化学変化を起こし、色を引き出すんですよ。だから正確には、着色というより発色。表れる色も、それを引き出す職人の技術も、全ては素材ありきということです」</p>

<p><figure>
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<figcaption>薄い銅板に色をつけられるのも、Oriiならではの技術だ。
</figcaption></figure></p>

<p>例えば伝統的な着色法の一つに「糠焼き」と呼ばれるものがある。米糠に薬品を混ぜ込んだ物を鋳物に塗布し、真っ赤になるまで熱し、冷却した後、表面の黒い酸化被膜を研磨することで色を出す。だが、これはあくまで鋳物の色を引き出す技術。厚みのない銅板に対して同じようにやれば、熱で板がベコベコになってしまう。</p>

<p>折井がビジネスの幅を広げることができたのは、この伝統的な技法を自分なりにアレンジし、銅板にも適用できる独自の技法として昇華させたから。そして、多くの先輩職人を差し置いてそれが可能だったのには、彼自身の置かれた立場が関係していた。</p>

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<figcaption>実際に「糠焼き」を見せてもらった。漬物で使用する樽に入った薬品を薄い銅板に塗っていく。
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<figcaption>銅板に薬品を塗ったら、大きなバーナーで一気に熱する。
</figcaption></figure></p>

<p><figure>
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<figcaption>熱した銅板を冷まし、表面を磨くと色が出てくる。
</figcaption></figure></p>

<p>26歳の時に高岡へと戻り、そこからOJTで伝統技法の修行を始めた。技法をひと通りマスターするのには通常3〜5年はかかると言われるから、このころの折井はまだまだ知識の乏しい素人といえた。それゆえに固定観念にとらわれることもなかった。</p>

<p>「Aという薬品を塗るとこの色が出る。Bという薬品ならこの色。ではAとBを混ぜたらどうなるのか。こんな単純な発想で色々と試して遊んでいました。経験のある職人だったら絶対にしないんですけど、酸性とアルカリ性の薬品を混ぜてしまったりもして。まるで小学生の理科の実験ですよ。でも、そんな中で偶然できたのがこの色だったんです」</p>

<p>このころの折井に欠けていたのは知識だけではなかった。伝統技法の腕を磨きたくても鋳物の仕事はなかなか来ない。かと言って自分で鋳物を作るには金が足りなかった。けれども、銅板であればホームセンターで安価で買える。折井が銅板に目をつけたのは、最初からそれが大きなビジネスにつながると確信していたからではない。ないものづくしゆえの苦肉の策だったのだ。</p>

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<figcaption>着色の仕事は鋳物がないと始まらない。高岡銅器の需要が少なくなるに連れ着色の仕事も減り、修行をしようにもその機会がないという状況だった。しかしその空いた時間があったからこそ、いまの技術にたどり着けたのだという。
</figcaption></figure></p>

<p>新技法といっても要は薬品や火の微妙なさじ加減だから、熟練した職人が本腰を入れて取り組めば同じことはできたはずだった。だが、鋳物の町としての歴史と伝統ある高岡で、薄っぺらい銅板に目を向ける人は他に一人もいなかった。保守本流から遠く、失うもののなかった折井だけが、失敗を恐れずにトライすることができた。そこから新しいものが生まれるというのは、イノベーションの"常道"のようにも思える。</p>

<p>「偶然出せた理想の色を再現できるようになるまでには、それからさらなる時間が必要でした。試行錯誤を重ね、最適な薬品の濃度、火の温度を探りました。そうしてとうとう安定して同じ色が出せるようになった時、ああ、これでずっとやっていけるなと確信したんです。その時点ではまだ、なんの未来の保証もなかったわけなんですけどね」</p>

<h2>伝統の枠から踏み出し、自分たちの世界観を打ち出す</h2>

<p>新しい技法を編み出したことが、すぐに結果に結びついたわけではなかった。売り上げが以前の水準に戻るまでには、ここから5年以上を要した。インテリアや建材に活路を見出し、銅板を使って時計やテーブルを作り始めたが、知り合いの店で細々と売る時期がしばらく続いた。</p>

<p>「協同組合の青年会を通じて展示会に出展したりもしましたが、鳴かず飛ばずでした。あくまでも組合としての出展だから、従来の枠組みにとらわれない新しいものを作ると自分一人が息巻いても、周りに並ぶコテコテの高岡銅器の中に埋もれてしまうんです。まったく見向きもされなかったわけではないけれど、到底大きなビジネスにはなり得ませんでした」</p>

<p>転機は旧知のデザイナーからもたらされた。インテリアライフスタイルという、デザイナーとバイヤーを結ぶ東京の展示会に、職人の技術をフィーチャーする特別枠として出展してみないかと持ちかけられた。公募制でわずか6枠の狭き門だが審査を通過し、会場入り口すぐの特等席で出展できることになった。1カ月しかない準備期間で、妻と二人でできる限りの新作商品を作り、車いっぱいに詰めて東京に向かった。伝統工芸の枠を飛び出し、初めて自分だけの世界観を世に問う挑戦だった。</p>

<p><figure>
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<figcaption>東京の展示会、インテリアライフスタイルは「高岡銅器の中のひとつ」から「銅板着色のインテリアブランド」へと変わるチャンスだった。
</figcaption></figure></p>

<p>ここから道が拓けた。東京のインテリア会社の社長に気に入られ、出展した総額百数十万円の商品全てが売れた。その後も毎年出展していると、建築、インテリア業界の人の間で「富山に面白いことをやっている人がいる」と口コミが広まった。雑誌やテレビ局の取材も増え、徐々に仕事が回り出す。こうして2008年、伝統工芸の下請けだった旧・折井着色所は、自社ブランドを展開するmomentum factory Oriiへと変貌を遂げた。</p>

<p>商品のデザインは当初、全て折井自身が手がけていたが、3、4年と続けるうちに行き詰まりを感じるようになった。デザイナーを雇いたい気持ちはあったが、コネも金もない。どうしたものかと思案していたそんなタイミングに、一人の若者が訪ねてきた。フリーのプロダクトデザイナーとして独立したばかりだという戸田 祐希利（とだ・としゆき）は、自分の作った商品に色をつけてくれるところを探していた。記事を見てOriiを知ったという。</p>

<p>戸田は、ひと通り仕事の話を終えても帰らず、色つけの技術について詳しく知ろうと食い下がってきた。身の上話を聞き、ポートフォリオを見せてもらうと、光るものがあるのがわかった。その時点では無名だったが、折井は「どことも契約していないのなら、うちと契約しよう。お互いにある意味、売名して盛り上げていこう」と持ちかけた。初めて外部のデザイナーを起用し、こうして立ち上げたのが、いまや同社を代表するブランドの一つである「tone」だ。</p>

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<figcaption>toneのフラワーベース。使うほどに素材感が増し、風合いが変化する。toneの製品は、いつまでも永く、暮らしに溶け込む道具として使えるものだという。
</figcaption></figure></p>

<p>「展示会に出展するとすぐに、昨年までと感じが変わったね、と反応してくれる人が現れた。事情を説明すると、僕をそっちのけで彼に取材が殺到しました。そこからみるみる出世していって、いまでは全国各地で産地プロデュースを手掛ける売れっ子ですよ。でも、そのデザイナーに興味を持って調べた人は、初めて彼をプロデュースしたOriiの名前にも自然と行き着く。してやったり、です（笑）」</p>

<h2>痛みを伴っても血の入れ替えを進めるワケ</h2>

<p>こうして新しいことに取り組むのには、当然痛みもあった。父親の代からいる古い職人には、やろうとすることが理解されず、たびたびトラブルに。最終的には「あんちゃんにはついていけない」と言って辞めてしまう結果になった。周囲からは「折井着色の今後は大丈夫なのか」と心配される始末。実際人手が足りず、深夜2時まで一人工房に残って作業にあたらなければならない状況にも陥った。それでもなお、「新しいことに挑戦しなければ生き残れない」という危機感が、折井を駆り立てていた。</p>

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<figcaption>遠くからでもすぐわかる、折井着色所の黄色い看板が目印。
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<figcaption>工房は周りを田んぼに囲まれた、のどかな場所にあった。
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<figcaption>工房を抜けた先にある作業場。大きなものを着色するときは昔からこの場所を使ってきた。
</figcaption></figure></p>

<p>屋号をOriiと改めて1年後、初めて自分で社員を雇った。リーマンショック直後で失業者があふれる時代だったから、職業安定所に募集を出すとそれなりに反応があった。地元高岡の人を優先して雇い、国や県の補助金も使って、未経験の中途採用者をいちから職人に育てた。</p>

<p><figure>
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<figcaption>工房では職人たちが作業に集中していた。撮影のために中に入ると、皆が気持ちよく挨拶をしてくれた。
</figcaption></figure></p>

<p>「けれどもここ数年は、芸大・美大出身の若者が、こちらから募集しなくても来てくれるようになりました。昨年入った新入社員3人も工芸・美術系で、一人は東北芸大卒の女の子。もらっていた内定を全て蹴ってでもOriiに就職したいと、向こうから連絡してきてくれたんです」</p>

<p>これだけ景気が良くなり、人手不足だと言われていても、本当に自分がやりたいことを仕事にするのは難しい。高校からずっと工芸に携わり、せっかく美大を卒業しても、思いとは違う一般的な会社員になるのが自分の人生なのか。そう覚悟を決めた時にたまたまWebの記事を見てOriiのことを知り、駆け込んだのだと彼女は話した。</p>

<p>同社の門を叩く若者の多くは、大学で学んだ技術を使って自分の作品を作っており、その作品に色をつける方法を探っているうちにOriiに行き着くようだった。折井はそうした若者に対して、入社後も自由に作家活動を続けることを容認している。</p>

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https://www.youtube.com/watch?v=xzDgLH_cueg
<figcaption>働く社員は若い職人が多く、活気に溢れている。動画は『金属着色職人になる旅 / モメンタムファクトリーオリイ』（ニッポン手仕事図鑑 仕事旅行社)。動画の後半では、工房で働く職人たちが熱心に、そして楽しそうに働く様子が映されている。
</figcaption></figure></p>

<p>昨年、6年近く勤めた東京芸大大学院卒の男性社員が退職した。独立したいまは高岡に家を構え、陶芸家の妻と二人で作家活動に専念している。「彼が辞めてしまったのはすごくショックでしたけど、うちに勤めたことでそういう道が拓けたのだとすれば、それは僕にとっても嬉しいことですよ」と折井。いまではOriiの名前は、仕事と並行して表現活動を続けられる理想的な就職先として、美大系学生の間で口コミで広まっているらしい。</p>

<p>だが、そうやって作家活動を応援した結果、手塩にかけて育てた職人が独立してしまうというのは、決して大きくない町工場にとっては痛手のはず。兄貴肌の気質がそうさせるのか、いささか人が良すぎないだろうか。</p>

<p>「もちろん、うちでサラリーマンを続けながら作家活動をしてもらうのが理想ですよ。でも、表現したいものがあって、それに向かって頑張っている人のことは、やっぱり応援してあげたいじゃないですか。それに、そういう若い人たちにこの世界に入ってもらいたいという、こちら側の思いもあるんです。ほんの十数年前まで、こんな伝統工芸の世界に就職したい人なんていなかったし、こちらとしても雇える状況になかった。でもいまはそれができるので。そのうちの何人かだけでも、こんなに面白い世界があったんだと感じてくれればいいなと思っています」</p>

<p><figure>
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<figcaption>経営者でありつつ、社員にとっては表現活動に理解を示してくれる「頼れる兄貴」でもある。気さくで何でも話せそうな雰囲気を持つ折井は、取材の間も終始自然体で、毎日を楽しみながら働いているような印象を受けた。
</figcaption></figure></p>

<p>折井のこうした姿勢は、会社の枠を超えて高岡銅器の未来にも影響を及ぼし始めている。とある着色工房の息子が、一度は調理師を目指して家業を離れたが、数年で高岡に戻ってきたのだという。息子が家業を離れ、調理師免許を取ることに、彼の両親も賛成していた。だが、その息子が自ら家業を継ぐ道を選び直し、工場見学のツアーを企画するなど、高岡銅器を盛り上げるための積極的な動きを見せている。</p>

<p>「工場見学ツアーなどでお客さんが増えたこともあって、お洒落な打ち合わせスペースを作っていたりもするそうなんですが、聞くところによると、彼がそういう決断をしたのには僕の影響もあるらしくて。伝統工芸だってやりようによってはまだ戦えるはずだし、うちは実際にやれた。それに感化される人も、少しずつではあるけれども出始めています。うちからすればそれは、ライバルが増えることを意味するんですけど。でも、僕にはそのことがすごく嬉しく思えるんですよ」</p>

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]]>
        
    </content>
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    <title>損失回避、先延ばし、利他性━━人の特性を生かして働く環境を変える、行動経済学のススメ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/01/sasaki-shusaku.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9159</id>

    <published>2019-01-21T06:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:24:52Z</updated>

    <summary>積み重なり埋もれがちな名刺や紙資料も、スキャナーを使って共有できれば、価値ある情報になる。しかしスキャンは億劫で、後回しにしてしまいがち。だったらスキャンしたくなる環境をつくればいい。そのヒントは行動経済学で注目されている、人間の特性に隠されていた。
</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="行動経済学" label="行動経済学" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>佐々木周作</strong><small></small><p>京都大学大学院経済学研究科特定講師。博士（経済学）。三菱東京UFJ銀行などを経て、現職。専門は、寄付に関する行動経済学。主要業績として、「Majority size and conformity behavior in charitable giving: Field evidence from a donation-based crowdfunding platform in Japan」（Journal of Economic Psychology）などがある。また、新刊『今日から使える行動経済学』（ナツメ社）が2019年3月に発売予定。</p>
<strong>西田貴紀</strong><small>Sansan株式会社 DSOC（Data Strategy &amp; Operation Center）研究員</small><p>一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。専門は計量経済学、労働経済学。在学中、非正規労働者の教育訓練に関するデータ解析に取り組む。ビジネスネットワークのデータを活用し、労働移動に関する研究などに従事。</p></aside></p>

<p>社員同士の情報共有は、変化の激しい現代のビジネス環境における最重要課題である。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/12/pfu-yamaguchi.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="/uploads/IMG_0808.jpg">
<div class="info"><strong>紙の情報は共有してこそ価値がある━━新型スキャナーが目指すのは、情報を生かす世界
</strong></div></a></div>

<p>いまや社内でも画面越しのコミュニケーションが多いため、名刺や紙資料をデータ化しておくニーズは高まっている。スキャナーをオフィスに置き、データ化を推奨する会社も増えてきた。</p>

<p>ただし、人間の習慣を変えるのは難しい。スキャナーを置いたからと言って、次の日からみんながこまめにスキャンしてくれる保証はない。</p>

<p>ではどうすれば積極的にスキャンする環境をつくることができるだろうか？　その答えを求めて、京都大学で行動経済学研究を行う佐々木周作を、DSOCで社会ネットワークの研究に従事する西田貴紀が訪ねた。</p>

<h2>１. スキャンしないことによる「損失」を可視化する</h2>

<p><strong>西田</strong>　私は、スキャンしたくなる環境をつくるのに、行動経済学が応用できるのではないかと思っています。まずは、行動経済学とは？　というところから、解説をお願いします。</p>

<p><strong>佐々木</strong>　経済学と聞くと、お金儲けのための学問、血も涙もないような分野というイメージをもつ方も多いかもしれません。実際にこれまでの経済学では、人間は極めて利己的で計算能力が高く、自分にとって最も得になる選択肢を間違えずに選ぶという想定のもとに、社会や経済の問題を分析してきました。ところが近年、そうした極端な人間像を前提としているだけでは、現実の問題を読み解けない場合があることがわかってきたんです。そこで「人間とは意思決定上でどういう特性をもつ存在か」を心理学や脳科学、社会学の知見を取り入れて、経済学の問題にチャレンジし始めたのが行動経済学です。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEW_IMG_2539.jpg">
<figcaption>心理的な癖や脳がどんな風に反応しているかなどを踏まえて、人間らしい人間像を前提に経済学的な問題を分析する、それが行動経済学だという。写真の書籍は、筒井義郎,山根承子『行動経済学（図解雑学）』（ナツメ社、2011年）。</figcaption></figure></p>

<p><strong>西田</strong>　積極的にスキャンしたくなる環境づくりに活かせる理論はありますか？</p>

<p><strong>佐々木</strong>　行動経済学が特に重要だと考える人間の特性は、3つあります。それぞれになぞらえて考えてみましょう。</p>

<p><strong>西田</strong>　お願いします。</p>

<p><strong>佐々木</strong>　1つ目は「損失回避」という特性です。人は、100円をもらったときの喜びより、100円を落としたときの悲しみのほうが2.5倍大きく感じるといわれています。つまり、損失を極端に嫌うのです。この特性を応用して、例えば「スキャンしないと本人や会社にとって損失が生まれることになる」と呼びかけてみてはどうでしょう。</p>

<p><strong>西田</strong>　最近、私の部署で開発しているSansanの機能のひとつに「スマートレコメンデーション」というものがあります。自分がこれまでに交換した名刺情報をもとに「社内の誰かが名刺をもっていて、自分にマッチしそうな人」を教えてくれる機能です。例えば、私がレコメンドされた人に対して「興味あり」と答えると、その名刺をもっている同僚に「この方を西田さんに紹介できますか？」と通知が届く。ただレコメンド機能がうまく働くには、ユーザーの特徴を学習させる必要があるんです。</p>

<p>つまり、名刺をスキャンしていなければ、そもそもレコメンドを受けられないということになる。だから例えば「同僚の〇〇さんはレコメンドを受けて、効率的に営業活動を推進していますが、あなたはそのチャンスを逃しています」などと表示されると、名刺のスキャンを誘発できそうだと思いました。</p>

<p><strong>佐々木</strong>　なるほど、その呼びかけは効果的かもしれませんね。さらにデータ解析が進んで、レコメンドによるマッチングが、その後の仕事や業績にどう結びついたかというところまでわかれば、名刺を共有しなかった場合の会社や個人の損失をより具体的に可視化できるのではないでしょうか？</p>

<p><strong>西田</strong>　確かにそうですね。それに、名刺を共有しないことによる、会社としての営業活動やビジネスパートナー探しの非効率さも可視化できれば、積極的にスキャンするモチベーションにつながりそうです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/8c417eddbc6441e729caf0cfb2246f0f5a6e35f3.png">
<figcaption>スマートレコメンデーションの画面。自分が持つ名刺情報（名刺交換の傾向）にもとづき、レコンメンドされる。例えば西田の場合なら、仕事柄、大学の先生と名刺交換をすることが多いことから、同僚が持っている研究者の人の名刺がレコメンドされる。</figcaption></figure></p>

<h2>２. 締め切りを細かく設けて「現在バイアス」に打ち勝つ</h2>

<p><strong>佐々木</strong>　行動経済学で重要だと考えられている人間の特性の2つ目は、「現在バイアス」というものです。要するに、大事なことだとわかっているのに実行できず、先延ばしにしてしまう傾向のことですね。例えば、夏休みの宿題になかなか手を付けられない、などがこれに当たります。</p>

<p><strong>西田</strong>　そうした人間の特性を前提にして、積極的にスキャンしたくなる環境を整えるためには、どうすればいいでしょうか？</p>

<p><strong>佐々木</strong>　やった方が良いとわかっていても先延ばししてしまう人は、シンプルな工夫ですが、締め切りを設けると良いですね。それも自分以外の人に、細かく締め切りを決めてもらうのが良いようです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEW_IMG_2684.jpg">
<figcaption>現在バイアスの強い人の場合は、自分で締め切りを設定して行動を起こすより、他人からこの日とこの日にスキャンしてくださいと言われたほうが良いのだという。</figcaption></figure></p>

<p><strong>西田</strong>　締め切りの設定の仕方を変えるだけで、人の行動は変わるものなんですか？</p>

<p><strong>佐々木</strong>　ある行動経済学の実験を紹介しましょう。大学生に3枚の文章を校正する課題を出し、締め切りをどのように設ければ正答率が最も高くなるかを調べたものです。大学生を3つのグループに分けて、それぞれのグループに異なる締め切りを設定しました。1つ目のグループには1週間ごとに1枚ずつ提出させ、2つ目のグループには自分たちで締め切りを設定させ、3つ目のグループには3週目に3枚まとめて提出をさせました。結果は、強制的に細かな締め切りが設定された、1つ目のグループの成績が最も良く、かつ期日から遅れる人も少なかったのです。</p>

<p><strong>西田</strong>　面白いですね。ならば「毎週水曜日は机の上を整理して名刺や紙の資料をまとめてスキャンする日ですよ」というように、チーム全体で締め切りを設けると良いかもしれません。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEW_IMG_2675.jpg">
<figcaption>スキャナーで名刺を取り込む頻度は人や職種によってさまざまで、1ヶ月に1回まとめてスキャンする人もいる。だから毎週「スキャンする日」を改めて決めておくと、自然と行動が促進されるかもしれない。</figcaption>
</figure></p>

<h2>３. 成果を共有して「利他性」を育む</h2>

<p><strong>佐々木</strong>　行動経済学が重要だと考える人間の特性の3つ目は「利他性」です。人は自分自身の利益だけを考えるのではなく、他人の利益も配慮する傾向があります。</p>

<p><strong>西田</strong>　佐々木先生が特に関心を持たれているトピックですね。</p>

<p><strong>佐々木</strong>　はい。私は「なぜ人は、自分の利益を犠牲にしてまで他人のために行動するのか」「いつ、どんな場面で利他的な行動を取りやすいのか」に興味を持ち、寄付や献血に関する研究を行ってきました。</p>

<p><strong>西田</strong>　「利他性」について、これまでの研究ではどんなことがわかっているのでしょうか？</p>

<p><strong>佐々木</strong>　例えば寄付という行為がありますね。他人のために自分のお金を差し出す、その行動のモチベーションには、大きく2つの種類があることがわかっています。</p>

<p>ひとつは「純粋な利他性」。相手が喜んだり、相手に必要な金額が集まったりすると自分も嬉しくなる、だから寄付をするというものです。もうひとつが「不純な利他性」。お金をあげている自分が好き、というように寄付行為そのものに対して喜びを感じているというものです。後者のタイプは、相手でなく自分自身の利己的な満足感を求めて寄付します。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEW_IMG_2758.jpg">
<figcaption>人は「周りの人がやっているから」という同調的な理由、あるいは他者にしたことが回り回って自分に返ってくることを期待して利他的な行動を行うこともあるという。佐々木は、こうした利他性の傾向について研究を重ねている。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>西田</strong>　純粋な利他性からスキャンするという行動につながることも考えられますよね。紙の情報を共有することが会社のため、同僚のためになることが嬉しいと。</p>

<p><strong>佐々木</strong>　そうですね。純粋な利他性を持つ人は、自分が提供したものがどんな風に使われたかをすごく気にするんです。ですから、彼らが共有した情報が会社や他の社員の役に立ったと示すことがとても大事です。例えば、ある社員が名刺などの紙の情報を共有したら同僚の仕事がこんな風にうまくいったという事実をきちんと見せると、「自分が名刺を共有したときにも、その情報が誰かのために使われるはずだ」「自分の行動が役に立つときが訪れるはずだ」と思えるようになります。それが「純粋な利他性」を刺激し、スキャンするという協力行動を促すことにつながると思います。</p>

<p>ただ、「純粋な利他性」には注意が必要な点もあります。純粋に利他的な人は相手の喜びを重視するあまり、"誰"がその相手を喜ばせるかには無頓着だ、と考えられています。つまり、自分以外の誰かが十分な協力行動を取っているときには、自分も満足し、協力することを止めてしまう。ですから、自分と同じ名刺を持っている同僚が、こまめに名刺をスキャンするタイプで、確実にスキャンしてくれているだろうと期待できるとき、「純粋な利他性」を刺激する工夫を行ってもあまり効果が出ないかもしれません。</p>

<p><strong>西田</strong>　一人の社員が名刺をスキャンしているだけでは、先ほどの「スマートレコメンデーション」はうまく機能しません。一人ひとりが名刺をスキャンすることで初めてレコメンド機能が働いて、会社や同僚の利益につながることを強調することが大事ですね。</p>

<p><strong>佐々木</strong>　はい。さらに、会社としてより多くの人のスキャンを促したいなら、「純粋な利他性」を持つ人だけでなく「不純な利他性」を持つ人に注目することも大事ですね。「不純な利他性」を持つ人は、自分が貢献すること自体に喜びを感じているので、たとえ自分以外の誰かが十分な協力行動を行っていても、自分が貢献することを止めないだろうと言われています。彼らの利己的な満足感を刺激するような工夫も同時に施すことで、スキャンしてくれる人の数はもっと増えるはずです。</p>

<h2>気軽に・何かのついでにスキャンできる場所に置いて「ナッジ」する</h2>

<p><strong>西田</strong>　私は、ベン・ウェーバー『職場の人間科学：ビッグデータで考える「理想の働き方」』（早川書房、2014年）の影響を受け、データ分析を用いた職場環境の改善や、協力の促進に興味を持つようになりました。</p>

<p>これも行動経済学の視点で考えられたものだと思いますが、なかでもおもしろかったのが、オフィスのレイアウト、例えばウォーターサーバの位置を変えるだけで、そこで働く人々の会話の量が変わり、パフォーマンスが上がったりクリエイティビティが増したりすることです。ウォーターサーバの例のように、スキャナーも置き場所によって、スキャンを促すことはできるのでしょうか。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=VEQm2cHAiY8
<figcaption> PFUの新型「<a href="http://scansnap.fujitsu.com/jp/product/ix1500/?utm_medium=cpa&amp;utm_source=BNL_ads" target="_blank" rel="nofollow">ScanSnap iX1500</a>」は、EightやEvernoteなど複数のクラウドサービスと連携し名刺や紙の資料を離れた場所にいるメンバーに瞬時に共有できる。自分専用のボタンを使用すれば、チームで使用する際も、データを自分が普段使用しているクラウドサービスに保存が可能。このスキャナーをオフィスのどこに置くのが良いのか。
</figcaption></figure></p>

<p><strong>佐々木</strong>　できると思います。行動経済学には「選択アーキテクチャ」と呼ばれる概念があります。２０１７年にノーベル賞を受賞したセイラー教授らがそう呼んでいるもので、「選択者の自由意思に全くあるいはほとんど影響を与えることなく、それでいて合理的な判断へと導くための制御、あるいは提案の仕組み」という意味です。</p>

<p>この「選択アーキテクチャ」の考え方のもと、選択者の自由意思を守る範囲でちょっとした仕掛けを施し、人々が望ましい行動を取るようにそっと肘でつつく、この手法を「ナッジ」と呼びますが、行動経済学ではいま、「ナッジ」の研究が盛んに行われています。</p>

<p>例えば、手にとってもらいたいものをアクセスしやすい場所に置く、やってもらいたいことをついでに寄ってできるような環境をつくる。そういうちょっとしたことで「本当はやった方が良いのにできていなかった」行動を促進させることができるのではないかと思います。</p>

<p>「ナッジ」に関連する、とても有名な行動経済学の研究があります。「カフェテリアやレストランで、どうやってサラダやフルーツを食べてもらうか？」を考えた研究です。ビュッフェ形式のレストランだと、ついお客さんはジャンクな食べ物を選んでしまいがちです。彼らの健康のことを考えると、サラダやフルーツもちゃんと食べてもらいたい。でも、無理矢理トレーに乗せるというように、強制することはできません。</p>

<p>解決策はとても単純で、まず、サラダバーの設置場所をレストランの中央に変更することで、サラダの摂取量が増えました。さらに、レジ横にスナックを置くのを止めてフルーツに変更することで、フルーツの摂取量が増えたとも報告されています。取りに行きやすい場所に設置する、支払いのついでに選べるようにする、それだけで健康的な食事に導くことができたのです。</p>

<p>名刺のスキャンを促したいのなら、誰もが通る場所や何かの近くにスキャナーを置いて、ついでにスキャンができるようにするのが有効だと思いますが、西田さんが働いているオフィスならどこが良いですか。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEW_IMG_2727.jpg">
<figcaption>一番取りやすい場所にサラダを置くという工夫だけで人の行動が変わるという事例からもわかるように、単純なことのように感じるが、紙の情報の共有を促すために「スキャナーをどこに置くか」という問題は、とても大事だという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>西田</strong>　最近できたSansanの新しいオフィスにはバリスタのいるカウンターがあるのですが、コーヒーを待っている間が手持ち無沙汰なので、カウンターにスキャナーを置くのがいいのかなと思いました。仕事をする場所に置くと「あとでやろう」と先延ばししそうですし、リラックスするついでに取り込める方がいいかなと。</p>

<p><strong>佐々木</strong>　それはいいアイデアです。「この間ここの会社に行ってきたんだよ」というように、スキャンをきっかけに社員同士の会話も生まれやすくなるかもしれないですね。</p>

<hr />

<p>記事の中で紹介したPFU社の最新スキャナ「<a href="http://scansnap.fujitsu.com/jp/product/ix1500/?utm_medium=cpa&amp;utm_source=BNL_ads" target="_blank" rel="nofollow">ScanSnap iX1500</a>」は、よりコンパクトでスタイリッシュなデザインにアップデートした。オフィスに1台あれば、名刺や紙の資料を簡単にスキャンができ、これまで埋もれがちだった価値ある情報を、離れているメンバーとも瞬時に共有できるようになるだろう。</p>

<p><a href="http://scansnap.fujitsu.com/jp/?utm_medium=cpa&amp;utm_source=BNL_ads" target="_blank" rel="nofollow">ScanSnap</a></p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/11/inokuma-mariko.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/NEW_CD_0308.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>どう生きたいか、は身近な人に話しにくい━━猪熊真理子の仕事は「誰もが自分らしく働ける社会」をつくること</strong></div></a></div>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/12/pfu-yamaguchi.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/IMG_0808.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>紙の情報は共有してこそ価値がある━━新型スキャナーが目指すのは、情報を生かす世界</strong></div></a></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="6220001017593"></div>
]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>輪島塗の新たな光━━家業を継ぎ、エルメスのデザイナーと出会い、新ブランドを立ち上げるまで - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/01/kohei-kirimoto.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9158</id>

    <published>2019-01-18T02:50:00Z</published>
    <updated>2019-03-04T06:52:25Z</updated>

    <summary>輪島塗の後継ぎという運命。一度はそこから逃げようとした。しかしいまは、日本人に漆の魅力をあらためて伝えたいと強く思う。異端児だった父、伝統を担う職人、震災、そしてフランス人の友。さまざまな経験と出会いを通し、若き後継ぎは伝統の真のあり方を探求する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="新しい後継ぎのかたち" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="北陸" label="北陸" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="後継ぎ" label="後継ぎ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>桐本滉平</a></strong><small>輪島キリモト 八代目</small><p>
1992年、江戸時代より七代に渡り輪島で漆器製造業を営む家に生まれる。 2011年、東日本大地震を機に家業を継承することを決意し、大学進学を機に上京。 2016年、文部科学省の留学支援制度に採用され渡仏。パリにて日本の工芸品のマーケティングに取り組む。 2018年、自身のブランド「IKI」を立ち上げ、輪島へ移住し、父が代表を務める「輪島キリモト」に入社。</a></p></aside></p>

<p>桐本滉平は江戸時代から200年以上続く輪島塗の老舗「輪島キリモト」の八代目。後継ぎとして日々の仕事に取り組みながら、2018年3月に25歳の若さで新ブランド「IKI」を立ち上げ、そのブランドディレクターとしても新しい挑戦を始めた。</p>

<p>多くのほかの伝統産業同様、輪島塗を取り巻く環境も決して楽観できるものではない。桐本家は、滉平の父である七代目・泰一が伝統の中にいくつかの革新を持ち込んだことで、危機を乗り越え、今日の地位を築いた。滉平が志すのもこうした父の意思を継ぎ、この産業を未来へとつなぐことだ。</p>

<p>生まれた時から後継者という宿命を背負っていると思っていた滉平にとって、伝統は長い間忌むべき対象だったという。周囲から寄せられる期待と重圧に苦しみ、逃げ出そうとしたこともあった。現在のように家業と向き合えるまでには、それまでの文脈を断ち切るような天災と、偶然の出会いを経験しなければならなかった。</p>

<p>苦しい時期を乗り越えて滉平はいま、こう自問する。「この伝統は誰のためにあるのか」と。「伝統」を「仕事」と置き換えることで、この問いはすべての職業人に通じる普遍的なものになるだろう。</p>

<h2>改革者ゆえの孤立</h2>

<p>豪華絢爛な装飾を施された輪島塗の漆器はバブル期まで売れに売れた。ピークだった1990年には、蒔絵や沈金の職人は輪島にいながら東京で働くサラリーマンを優に超える年収を稼いでいたという。輪島塗の職人は誰もがなりたいと思う人気職種だった。</p>

<p>しかし、それからほどなくしてバブルは崩壊。日常から遠くかけ離れた高価な工芸品は売れなくなった。プラスチック製品や化学塗料の普及により、漆の需要も激減。売上はピーク時の4分の1まで縮小し、多くの会社が潰れた。</p>

<p>輪島塗は伝統的に120以上の工程からなる徹底した分業体制に特徴がある。エンドユーザーと直接つながり、仕事を取ってくるのは最後の仕上げ工程を担う会社の役割。そこが潰れれば各社は軒並み仕事がない状態になる。そうして多くの職人が職を失った。</p>

<p>桐本家は江戸時代に塗師屋として興ったが、昭和に入り五代目が舵を切って以降、木地一本でやってきた。木を刳るのが仕事の木地師は輪島塗を下支えする役割であり、エンドユーザーからはもっとも遠い位置にある。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEWY1005008.jpg">
<figcaption>輪島キリモトの工房。1階には大きな木材の裁断や成形を行う機械が並ぶ。工房に入った瞬間、どこか懐かしい木の香りがした。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEWY1004996.jpg">
<figcaption>寺院で使用する大香炉の台座を整形しているところ。ある程度まで機械で裁断して整え、細かい模様は人の手で削る。取材の日、作業を見せてくれた木地師は、滉平が子供のころから桐本木工所で働いているという。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEWY1004993.jpg">
<figcaption>大香炉の本体の部分。香炉は昔に比べると少なくはなったが、木地一本だったころから続く仕事だ。輪島キリモトの商品ではなく、輪島市内の老舗塗師屋から受託している仕事だという。</figcaption></figure></p>

<p>そんなキリモトが生き残れたのは七代目・泰一が改革者だったからだ。泰一はそれまでの木地職人に加えて、塗師屋を若くして退職した、力ある塗師を新たに雇った。また若い同志を集めて市内に店を出すなどし、独自に販路を開拓。デザインから販売までを一貫して行える体制を作り、BtoBだったビジネスをBtoCへとシフトした。</p>

<p>新たな技法を開発し、現代の生活に合った新商品をいくつも世に送り出した。蒔地仕上げは下地の蒔地技法を仕上げにも応用し、金属のスプーンなどを使っても傷がつきにくくしたもの。地塗り千すじ技法は、天然木に伝統的な下地と布着せを施し硬度を高め、表面は特殊な刷毛で下地の蒔地技術を応用させたもの。新たな技法により、生活の中で気兼ねなく使える商品にした。いずれも塗りと木地の職人が顔を合わせて制作にあたる一貫した生産体制が可能にしたものだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEWY1005173.jpg">
<figcaption>工房の2階にある部屋で漆を塗る作業が行われている。漆は繊細で、塗る過程で少しでも埃が入ればもう商品にはならないのだという。取材だから、ということで見学させてくれたが、部屋の戸は開けたらすぐ閉めるなど、環境が仕上がりに大きく影響することが伝わってきた。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEWY1005161.jpg">
<figcaption>漆を塗る工程を見せてくれた職人は、もともとは塗師の会社にいた。退職をしたところを、滉平の父、泰一が輪島キリモトに誘ったことから、この場所で働くことになった。「漆を塗る仕事は、長い年月をかけてその工程だけを修行し続けた人にしかできません。ものすごく高度な技術です」と滉平は言う。</figcaption></figure></p>

<p>こうした企業努力が実り、キリモトは自社のブランドを確立していった。多くの伝統の担い手が店をたたむ中、少しずつではあるが売上を伸ばし、ひとり気を吐いている。</p>

<p>だが、改革に着手した当初、キリモトに対する風当たりは強かった。分業が当たり前の輪島において、泰一の試みた一気通貫のものづくりはご法度と言ってよかった。たちまちキリモトは厳しい状況に立たされたという。</p>

<p>ところで、「輪島塗とは何か？」という質問に端的に答えるのは簡単ではない。いまや原材料である木や漆は輪島産ではないし、施される装飾も昔ほど顕著に産地ごとの特徴はないという。ゆえに輪島漆器組合は工程を重視する。「この工程を経て作られたもののみを輪島塗とする」という厳格なルールを定めているのだ。</p>

<p>ルールを定めたのはブランドを守るために他ならない。実際、全国のほかの漆器の産地と比べれば、輪島は落ち込み具合をかなり抑えられている方だという。けれども一方で、その厳格すぎるルールが理由で新たな挑戦に踏み出せず、市場のニーズからどんどんとかけ離れて窮地に立たされている側面も否めなかった。</p>

<p>このルールに従うのなら、泰一の開発した新商品は新たな技法を施されているから、輪島塗と呼べないものも多い。それでも、伝統を守りつつもそこに革新を持ち込み、いまを生きる人に使ってもらえるものを作らなければというのが泰一の考えだった。</p>

<p>その結果、キリモトは孤立した。幼い滉平の目に、このころの父の姿はとにかく苦しそうに映ったという。</p>

<h2>後継ぎの葛藤</h2>

<p>幼いころの滉平には父と遊んでもらった記憶があまりない。泰一が全国を忙しく飛び回っていたこともあり、遊んでくれたのは友達のお父さんか、親戚のおじさんが多かったという。</p>

<p>「仮面ライダーになりたい」「ウルトラマンになりたい」と友達が幼い夢を描くころ、滉平はすでに「職人になりたい」と将来を公言していたという。ひらがなで"しょくにん"と書いた作文も残っている。「でも、自分でなりたいと思っていたというよりは、空気を読んでそう言っていただけでした。周りに言わされていたというか......」。父から直接「継いでくれ」と言われたことはなかったが、当たり前に継ぐものとして自分を見る視線を町中から感じた。</p>

<p>自分が継がなかったらこの仕事は、そして職人たちはどうなってしまうのかというモヤモヤはあったが、そうやって将来を考えること自体が苦痛だった。同級生が5分で書き上げる進路に関する作文に3時間かけたこともあった。伝統は改革者である父を苦しめるものであると同時に、滉平自身にとってもある種の"呪い"として働いていた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEWY1005249.jpg">
<figcaption工房で働く職人は皆、幼い滉平にとって家族同然であり、それはいまでも変わらない。小学校から帰るとよく工房に遊びに行き、可愛がってもらっていたという。</figcaption></figure></p>

<p>高校3年になり進路選択が目前に迫るころには「一旦この土地を離れたい」と思うようになっていた。大学へ行って特別やりたいことがあったわけではなかったが、とりあえず東京に行けば何か見つかるんじゃないか、そんな気持ちだった。</p>

<p>しかし、この"逃亡計画"は思わぬ形で頓挫する。受験のために東京に滞在していたまさにそのタイミングで東日本大震災が起きたのだ。試験は中止。輪島に戻ることになった滉平は自分の部屋にこもって津波に流される街の報道映像をひたすら見続けた。自然を前にした人間の無力さ。生活を豊かにするために作ったはずの原発が、人間自身の生活を脅している。「人間とは一体なんなんだろうとずっと考えていました」</p>

<p>だが、その間も父は変わらず東京の店舗に立ち、漆のこと、家族や一緒に働く職人のことを考えている。当然なにひとつ売れない時期が続いたが、それでも家族や職人たちが築いてきた家業のことを考えている。そうした姿を見たことが滉平を改めて家業と向き合わせた。「自分のことだけ考えて大学へ行くのは違うんじゃないか。はるか昔から続くこの木と漆の仕事を未来に残すために、自分もできることをしたいと思うようになったんです」</p>

<p>改めて向き合ってみると、職人の手による仕事のひとつひとつが尊いものだとわかった。けれども、いつのころからかその素晴らしさが日本人に伝わらず、ゆえに厳しい経営を強いられている。これはどういうことなのだろうか。そうした疑問を解く具体的な手法として、滉平はマーケティングを学ぶためにこそ大学に行こうと決めた。親に頼んで一浪し、翌春再び上京して商学部に進んだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEWY1005062.jpg">
<figcaption>和菓子切りの木地をつくる工程を見せてもらった。小さなかんなで少しずつ削り、薄く成形していく。実際にやらせてもらうと力の加減や速度などを指先で調整するのが難しい。長年、木地をつくり続ける職人にしかできない技だ。
</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEWY1005177.jpg">
<figcaption>今年初めて女性の職人候補が誕生した。愛知県の高校を卒業後、石川県立漆芸美術研修所に2年通い、兼ねてから興味を持っていた輪島キリモトの門を叩いた。</figcaption></figure></p>

<p>ここから人生が急速に動き始める。進んだ大学には偶然にも、日本で唯一輪島塗のマーケティングを研究している教授がいた。滉平は20年前にその教授が書いた論文を引き継ぐ形で、輪島塗のその後の20年間を概観する論文を書いた。10年前にルイ・ヴィトンとコラボするなどしていた実家の実例などをもとに、インバウンド・アウトバウンドに活路を見出す内容だった。</p>

<p>さらに卒業を間近に控えたタイミングで思い切って休学。文科省の留学支援制度「トビタテ！留学JAPAN」の支援を得て、自らの仮説を検証すべくフランスに渡った。</p>

<h2>フランスでの出会い</h2>

<p>フランスでは1年間、日本の伝統工芸品を扱うセレクトショップに販売員として立ち、そこにキリモトの商品も置いてもらった。だが、実際にはフランスに渡ってからもしばらく悩む時期が続いた。伝統も文化も共有しないフランス人には輪島塗というブランドの価値がなかなか伝わらない。「どうすれば漆の魅力が伝わるのかわからなかったんです」</p>

<p>一人のフランス人との出会いがそんな状況を変えた。エルメスのデザイナーを史上最年少の27歳で務めるという青年が、ある日たまたま滉平のいる店を訪れた。もともと漆というもの自体は知っていたが、「かつてマリーアントワネットも愛した、日本を代表する古道具」としての理解に止まっており、商品としての漆器と出会うのは初めてという。</p>

<p>「輪島塗」というブランドの表面的なことだけでなく、漆の歴史や、それを家族で守っていることなど、深層部分についてもじっくり時間をかけて伝えると、興味を持ってくれた様子だった。それどころか、彼は1カ月後に単身輪島を訪れると、滉平の家族や職人と交流し、気に入った漆器のいくつかを買ってフランスに帰国した。再会した彼は滉平に向かってこう言ったという。「君の家族のやっている仕事は素晴らしい。エルメスの価値観と通じるものも感じた。必ず未来に向けて残すべきだ」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/kirimoto.png">
<figcaption>輪島キリモトのマグカップ。蒔時技法を用いたこの商品は金属のスプーンを使っても傷がつきにくい。使い込むほどに、ザラザラした表面は滑らかになり、艶が増して明るくなるという。</figcaption></figure></p>

<p>彼の言葉は滉平を大いに勇気付けた。同時に「どうすれば輪島塗の魅力が伝わるのか」という積年の悩みに対する解答が得られた気がした。若きフランス人デザイナーはお気に入りの小道具のお櫃を手に「漆は程よく水分を吸ってくれるし抗菌作用もある。つまり漆器は、食べ物を美味しくするための道具なんだよ」とその魅力を説いた。滉平は改めて漆のルーツを辿り、原点に返ろうと思った。</p>

<p>「人類が最初に漆と出会ったのは縄文時代。蜂が巣を木に接着するのに使っているのを見つけたのが始まりとされています。石器時代には石斧を補強するのに漆を使った。その後、食器に塗ることで漆が水気に強いことを発見していきます。そこからさらに時代を下ると、お殿さまに献上するために工芸品として発展し、現在の輪島塗へとつながっていく。けれども元をたどれば、漆器のルーツは日用品なんですよ」</p>

<p>こうした漆本来の良さに立ち返り、「生活に溶け込むもの」というコンセプトを打ち出したのが「IKI」というブランドだ。「あらためて素材としての漆の素晴らしさを日本人に対して提案したかった。そう思えるようになったのは、もちろんフランスでの出会いがあったからです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/180216_0130opa.jpg">
<figcaption>2018年3月に発表された「IKI」の第一弾のプロジェクト。漆が自ら呼吸する生きた素材であり、感触が人間の肌に近いという特性を活かした。右から「ヒトハダに一番近いコップ」、「ヒトハダに一番近いお椀」、「ヒトハダに一番近いボウル」、「ヒトハダに一番近いお皿 大」、「ヒトハダに一番近いお皿 小」。</figcaption></figure></p>

<p>フランス人からはほかにもさまざまなことを教わったという。</p>

<p>「フランス人は五感を切り口に自分なりにいろんな情報を掘る努力を惜しまない。お皿ひとつ買うのにも、目も鼻も耳も口も触覚も使って情報を読み取ろうとするんです。よく『フランス人はケチだ』と言うけれど、あれって要は、自分自身の基準に照らしてそれだけのお金を支払う価値があるかを吟味しているんですよね。そして一度出す価値があるとなったら、高額でもあっても躊躇なく対価として支払う。常に五感を研ぎ澄ます、これが彼らの楽しく生きるための工夫なんじゃないかと思います」</p>

<p>滉平が渡仏前から持っていた問題意識「作り手も消費者も揃って、漆の良さに気づけなくなっている」というのは、もしかすると、我々日本人に「自分の五感に従う」ことができなくなっているからなのかもしれなかった。</p>

<h2>次の時代の伝統と革新</h2>

<p>輪島に戻ってからはさまざまな職人の下について、木地から塗りまでひと通りの工程を教わった。「デザインを学び、経営の考え方を持ち込み、逆風の中で伝統と革新のバランスを追求した父はすごいと思う。でも、技術も世の中もどんどん変化していく以上、それが次の時代にも正解であり続けるかはわからない。父は自分では手を動かさずに職人をまとめるやり方で成功したけれど、この先は自ら手を動かして表現できなければ消費者の心は掴めないかもしれない」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEWY1005072.jpg">
<figcaption>輪島塗を手にしたフランス人は、口や肌で何度も触れ、買うに至るまでに時間をかけて吟味していた。「フランス人の、ものを買うことに対する考え方を知ってから、私自身もあまりものを買わなくなりました。よく考えて、自分がそれを買う価値があるかどうかを考えてから買うんです。」と滉平はいう。</figcaption></figure></p>

<p>変わるべきところは何か、変えてはいけないところはどこか。新しい時代の伝統と革新のバランスを日々模索している。正解はまだ見えないが、この先も絶対に変えるつもりがないのは、「人間の手だからこそ生み出せるものづくりの追求」だ。</p>

<p>キリモトには職人や技術はもちろん、昭和初期に作られた数々の木製の「型」がいまも残されている。如意や文鎮など今日では需要のないものも多く含まれているが、そうしたひとつひとつが残していくべき財産だと滉平は考えている。凝ったデザインやオーダーメイド対応、小ロットの生産は人の手だからこそできること。他社がどれだけ機械化、効率化を進めようと、「手仕事で生まれる感動とは何か、そこは絶対追求していきたいです」。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEWY1005050.jpg">
<figcaption>2階の部屋の棚にずらっと並ぶダンボール箱には、滉平が生まれるよりもずっと前から輪島キリモトで使われていた木製の「型」が保管されている。</figcaption></figure></p>

<p>経済合理性の観点から言えば、正解は別のところにあるだろう。iPhoneがまだ使えるうちから新しい型が出て、その度に消費者が買い換えるというように、とにかくたくさんものを作り、早く捨ててもらって、新しいものをまた買ってもらうというのが正しい経営判断なのかもしれない。だが、「地球規模で考えて、人間はそうした経済の原理ですら見直さないといけないフェーズに入ってきているのではないか」と滉平は言う。</p>

<p>「ぼくが目指すのはそういうものづくり。漆器は木と漆から作られるわけですが、木が種から育ち木材として使えるようになるまでには50〜100年、漆が取れるまでにも15年の歳月を要します。こうした素材が培われるまでにかかった長い時間を意識したものづくりがしたい。それと同じくらいの時間をかけて、ゆっくりと消費していくものを作りたいと思っています」。そして漆器には本来、それができる性能が備わっているのだ。</p>

<p>変わらずに守り続けなければならないものがある一方で、変わるべきと考えていることもある。それは「誰のための伝統なのか」という考え方だと滉平は言う。</p>

<p>「産業としてもそうだし、ひとつのプロダクトとしてもそうですが、誰のために存在するのかという考え方は改めなければならないと思うところが強いです。伝統というのはそもそも尊いもの。でも、その伝統が自分たちの安定を守ったり、権威を保ったりするためにあってはならない。これは自分自身に対する戒めの言葉でもあります。ぼく自身なんとなくここで生きていると、ついつい『輪島塗だからいいんだ』とか『家業が何代続いているからすごいんだ』というコミュニケーションをしてしまうことがあります。でもそれじゃあダメだよなって思うんです。伝統の担い手は、いまを生きる人たちをどうやったら豊かにできるかを本気で考えないといけない。もっと言えば、伝統は未来のためにこそある。これは自分の中で大切にしたい思いです」</p>

<p>一度は伝統の後継者としての運命を呪い、輪島から逃げ出そうとした。けれどもいまのように考えるに至ったのもまた、「自然豊かなこの輪島で、伝統の担い手である職人の人たちに囲まれて育ったからなのかもしれません」と滉平は笑う。</p>

<p>普段は曇りがちという輪島の町に何日かぶりに暖かい日が差した。久々に望む日本海は澄んでいて穏やかだった。子供のころに気持ちよく泳いだ、夏の思い出がよみがえった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEWY1005268.jpg">
<figcaption>「こんなに天気がいい日は久しぶり。天気がいいと、夕日が綺麗なんです」と、子供のころに遊んだ海辺に連れていってくれた。「またぜひ輪島に遊びに来てください。他にもいい場所がたくさんありますから」という滉平の言葉から、輪島という町に対する強い思いが伝わってきた。</figcaption></figure></p>
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    <title>傾いた絹工場を六代目が再生。140年受け継がれた素材と初めて向き合い、人を美しくする布ブランドを立ち上げた - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/01/johanas-norikomatsui.html" />
    <id>tag:bnl.media,2019://125.9156</id>

    <published>2019-01-15T00:00:00Z</published>
    <updated>2019-03-04T06:58:06Z</updated>

    <summary>商売の成功ばかりに躍起になってもうまくいかない。老舗絹工場の後継ぎは、悩み、葛藤し、運命を変える出会いを経て、絹の神秘的な力を自らの体で感じることから始めることにした。衰退しかけた家業を復活へと導く、スピリチュアルな物語。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="新しい後継ぎのかたち" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="後継ぎ" label="後継ぎ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>松井紀子</strong><p>1984年南砺市城端生まれ。1877年創業、絹織物業を継承する松井機業の６代目見習い。高校卒業後、上京。東京に残り、証券会社にて社会人生活をスタート。2010年、上京した父とともに客先を訪問したことがきっかけで絹に興味を持ち、同年夏、家業を継ぐため城端に戻る。帰郷した当初、可能性を感じ、家業を立て直すべく積極的にビジネスに取り組むもうまく行かず、悩む日々が続く。しかしある出会いをきっかけに心機一転、素材の魅力を体感し、ブランドを立ち上げながら、新たな販路開拓に力を注いでいる。</a></p></aside></p>

<p>独特の光沢を放つシルク（＝絹）は、いにしえから洋の東西を問わず重宝されてきた。言うまでもなく絹は蚕の繭からとった動物繊維だ。</p>

<p>蚕は鱗翅目カイコガ科に属する昆虫の一種だが、1匹2匹ではなく1頭2頭と数えられる。理由は蚕が牛や豚と同じ家畜として扱われてきたから。人間との付き合いは牛や豚よりむしろ長く、養蚕は少なくとも5000年以上の歴史をもつと言われる。</p>

<p>一つの繭玉からは500〜1,000メートル以上の絹糸がとれる。だが蚕が繭玉を破って出てきてしまってからでは糸は途中で切れて長さを確保できない。ゆえに出てくる前にお湯につけて繭玉をほぐす。その際に蚕は蛹のまま死んでしまう。</p>

<p>絹の他にも人間が使う動物繊維はさまざまあるが、毛は刈っても命までは奪わない。あらゆる動物繊維の中で唯一シルクだけが命と引き換えに得られるものという。</p>

<p>「蚕は生まれてからたった1カ月で天に召される。そういう運命を知りながらなぜ何度も地球にやってくるのでしょうか。蚕という字は天の虫と書きます。蚕を育て、付き合っているうちに、だんだんと天の使いのように思えてきてしまいました」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Y1005348.jpg">
<figcaption>写真は蚕が出てきた繭を集めたもの。本来、生糸を作るときは繭玉の中にまだ蚕がいる段階でお湯につけてしまう。</figcaption></figure></p>

<p>そう語るのは、富山県南砺市城端（じょうはな）にある松井機業の6代目、松井紀子。「しけ絹」と呼ばれる珍しいシルクを用いた新ブランド「JOHANAS（ヨハナス）」が若い女性を中心に人気を呼び、傾きかけた家業を立て直すことに成功した。地元産のシルクを織りたいという夢を追って2015年からは養蚕も始めた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/johanas_babybib_8708_01.jpg">
<figcaption>JOHANASの商品、赤ちゃん用のスタイとミトン。絹の光沢があるためスタイをつけると顔が明るく見えることから、お祝いの写真撮影でも使われている。繊維の中で肌へのストレスが一番少ないと言われる絹は、ミトンをつけた手で顔をこすっても肌への負担が少ない。</figcaption></figure></p>

<p>「蚕には半月紋、星状紋と呼ばれる模様がある。つまり月と星を背負っているんです。口から吐く絹の字は糸偏に口と月。さまざまな形で人に恩恵をもたらしてくれるのは、なるほど月のエネルギーを口から出しているのかと」</p>

<p>松井はもともと虫が大の苦手。家業に対しても興味がなかった。継ぐことを決意してからもしばらくは商売としての成功だけを追っていたが、うまくいかない時期が続く。好転したのは、とある出来事がきっかけで「素材の声に耳を傾けてから」という。</p>

<p>松井の話は少々宗教じみて聞こえるかもしれない。自分でも「お蚕教の信者になってしまった」と笑う。けれども一人の"狂信"が周囲を巻き込み、新たな発想を生み、ビジネスを広げていくことが確かにある。松井機業復活の道程からはそのことを感じずにはいられない。</p>

<h2>しけ絹を守ってきた140年間</h2>

<p>松井機業のある城端町は東西約8キロ、南北約13キロの長楕円形をした小さな町だ。格子戸、石畳、白壁の古い建物が並び、漂う静謐（せいひつ）な空気に自然と身が引き締まる。</p>

<p>町の中央に位置するのは蓮如上人が450年前に建立したとされる浄土真宗大谷派別院善徳院。しかし、町そのものが別院の境内と言った方が正しいのかもしれない。取り囲むように流れる山田川、池川はさながら天然のお堀。毎朝6時の鐘の音で町全体が目を覚ます。</p>

<p><figure>
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<figcaption>松井機業の工場から歩いて5分ほどの場所にある浄土真宗大谷派別院善徳院。建立して450年経ったいまでも、城端で暮らす人々の生活に溶け込んでいる。</figcaption></figure></p>

<p>城端で機織りが始まったのも別院が建ったのと同時期とされる。福光、五箇山という古くからの絹糸の産地に近く、湿度の高い気候が機織りに向いていた。</p>

<p>しかし、大正時代に三十数軒あった機屋は、その多くが店を閉じた。バブル期をピークに和装需要が減退、着物の生産が激減したのが最大の理由だ。現在も動いているのは松井機業ともう一社だけという。</p>

<p>1877年創業の松井機業の歩みは、いつの時代も「しけ絹」と呼ばれる特殊なシルクとともにあった。通常は1頭の蚕が一つの繭を作るが、稀に2頭の蚕が吐きあった糸が絡み合って繭を作ることがある。確率的にはだいたい100個に2、3個できるかどうか。こうしてできた繭を玉繭といい、玉繭からできた絹糸を玉糸という。玉糸で織られた絹がしけ絹だ。</p>

<p>玉糸は太さが不均一な上、通常の絹糸より多くの節ができる。だから着物に使うのには適さないとされてきた。多くの機屋は儲かる着物用の絹の生産に集中。しかし前述したように着物の生産が落ち込んだことで、そうした機屋は窮地に陥った。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/shikekinu.jpg">
<figcaption>糸が不均一であることから模様のようになって見えるのがしけ絹の特徴。</figcaption></figure></p>

<p>松井機業が特殊だったのは、このしけ絹をインテリア商品として扱ってきたことだ。約140年前にしけ絹を和紙に貼り合わせた襖を開発。着物用としては不評でも、襖であれば不均一な玉の模様が綺麗に見えるし、シルクによる乱反射で部屋が明るくもなる。この襖が着物の需要が落ちて以降も松井機業の経営を支えた。</p>

<p><figure>
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<figcaption>しけ絹でつくられたシェードカーテン。日の光によって玉の部分がキラキラとひかり、部屋を明るくするという。</figcaption></figure></p>

<p>「なぜこういうアイデアが生まれたのかは想像の域を出ませんが、富山は日照時間が短く鉛色の空が多い。この土地の人の光に敏感なところ、ちょっとでも部屋を明るくしたいという思いがそうさせたのかもしれません」</p>

<p>しかしその松井機業も近年は経営悪化の一途をたどった。20年前まで30、40人いた従業員も4人になり、親族4人を加えて現在は計8人だけに。かつて機織りの担当は朝から晩まで機織りだけをしていたが、いまは糸繰りや管巻きといった作業の全てを行わなければならなくなった。2008年の記録的な集中豪雨の被害を受け、工場も半分に縮小した。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Y1005486.jpg">
<figcaption>現在城端で絹の生産を行なっている工場は二軒だけ。昭和33年につくられた煙突がいまでも松井機業の目印になっている。</figcaption></figure></p>

<p>松井は女三姉妹の末っ子としてこの家に生まれたが、家業にはまったく興味を示さず、大学卒業後は東京で証券会社に就職した。父はシルクについて熱く語るタイプでもなかったし、面と向かって「継いでくれ」と言われることもなかった。</p>

<p>「衰退産業だし、古臭いイメージ。富山に帰ることがあっても老後だろうと思っていました」。同居していた下の姉とともに親戚に呼び出され、「このままだと家業が潰れるぞ」と暗に跡を継ぐよう脅された際も、曖昧な返事をしてその場をやり過ごした。</p>

<h2>運命を変えた二つの出会い</h2>

<p>そんな松井がJOHANASを立ち上げ、家業を救うようになるまでには二つの転機があった。</p>

<p>一つめの転機は、東京の証券会社で働き始めて3年目の2010年。上京した父に「まだ会ったことのない染色会社の社長と初めて会うから、一緒に行かないか。面白いが話聞けるかもしれんぞ」と誘われた。「面白い話が聞けるなら」と軽い気持ちでついて行ったが、そこで交わされた二人の会話に衝撃を受けた。</p>

<p>蚕には家畜としての長い歴史があり、1頭2頭と数えること。繭玉には蛹を守るために紫外線をカットしたり、水分量を調節したりアンモニアを吸着したりする性質があること。人間の肌とアミノ酸の構成比率がほぼ一緒で、そのために手術の糸にも使われていること。聞いたこともないシルクの話が次々と飛び交う。家業をただの衰退産業と見ていた松井にはすべてが驚きだった。</p>

<p>「めちゃくちゃ可能性あるやん、と。目の前がキラキラして見えました」。得意の妄想癖に火がつき、やってみたいアイデアが次々に沸いた。「ここで帰らなければ絶対後悔する」と勤めていた会社を辞め、当時付き合っていた男性もいたが、家業を継ぐことを決めた。父が苦労していることは知っていたから、新しい道を作って親を助けたいという思いもあった。</p>

<p><figure>
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<figcaption>古臭い衰退産業だと思い興味すら持つことのなかった家業が、急に可能性の宝庫に見えた8年前。東京での生活に区切りをつけ、松井機業の暖簾を背負うことに決めた。</figcaption></figure></p>

<p>数年ぶりに故郷に戻り、改めて家業と向き合ってみると、現状は問屋からの発注通りに着物や襖を作り、それを卸すだけ。エンドユーザーの顔がまったく見えないことが最大の問題として映った。そこで「いまの時代にあったしけ絹の商品を作らなければ」と新商品の試作に着手。片っ端から展示会に並べ、得られた客の反応をもとに改良していくことを試みた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Y1005315.jpg">
<figcaption>生糸を織れる状態の糸にするために糸繰りをする。しけ絹は玉があるため引っかかって切れやすい。だからときどき人の手で丁寧に整えなければならない。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Y1005431.jpg">
<figcaption>昔から使っている古い機械は精密で、長年経ったいまでもしっかり動く。ガシャンガシャンと大きな音を立てテンポよく動き続けていた。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Y1005368.jpg">
<figcaption>織った糸は熱湯に入れてタンパク質を除去する。タンパク質がなくなることで、いわゆるシルクの手触りがうまれる。</figcaption></figure></p>

<p>しかし、このやり方はすぐに行き詰まった。「お客さんの声に耳を傾けることばかりをしていたら、いつしか何が本当に自分のやりたかったことなのかがわからなくなってしまったんです」</p>

<p>つてをたどり、とある著名なテキスタイル・デザイナーと連絡を取ると、藁にもすがる思いでアドバイスをもらいに行った。それが2011年の3月11日だった。ありったけの生地を持ってオフィスのある銀座に赴くと、午後3時のアポイント直前に未曾有の大地震が起きた。余震の続くなか、お互い机の下に隠れながらやり取りをした。ろくに話は聞けなかったが、ズバリ言われた短い言葉はいまも鮮明に残っている。</p>

<p>「あなた、布との距離があるわ」</p>

<p>せっかく絹に囲まれた生活をしているのに、外ばかりを見ていて絹の声を聞いていないと指摘された。どうしたらいいのか皆目わからなかったが、結果としてこれが二つめの転機になった。富山に帰り、仏壇の前で途方に暮れていると、ふと襖に使われているしけ絹がキラキラと輝いているのが目に入った。</p>

<p>「松井機業は何代にも渡ってあの素材に助けられているんだなあと。私もこういうものを作らなければいけない」。それからは客の声を聞くために外にばかり出ていた生活を変え、意識して製造に入るようにした。毎日絹と向き合う中で、朝と晩では絹の表情が変わること、季節によって見え方が違うこと、光の演出次第でさまざまに輝く素材だということが見えてきた。</p>

<p>そうして素材ととことん向き合った末に生まれたのがJOHANASというブランドだ。2014年に立ち上げると、ストールやインナー、枕カバーなどが若い女性の人気を呼び、百貨店でも新たに扱ってもらえるように。数年で松井機業の新たな柱と言えるまでに成長し、復活の原動力になった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/300f3e8f391e4f2d5049687be80ef092f93377cd.jpg">
<figcaption>しけ絹を地元の草花実で染色したストール。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/johana_higasa.jpg">
<figcaption>自然の玉模様があることで光の通過率がまばらになり、木漏れ日が差し込んだような明るさに。女性の肌をきれいに見せてくれるという。</figcaption></figure></p>

<h2>"狂信"が生む縁と恩と運の好循環</h2>

<p>JOHANASを立ち上げてしばらくすると、松井は地元・南砺市産の糸でシルクを織り上げるという新たな夢を抱くようになった。全国的にみて養蚕に携わる人の数は年々減っているが、それは南砺市でも同じ。絹糸の生産は何十年も前から行われていなかった。</p>

<p>かねて付き合いのあった南砺市長・田中幹夫に相談し、後ろ盾の確約を得ると、2015年から工場の一角で養蚕をスタート。こうして蚕との付き合いを始めたことが、松井の価値観を大きく変えた。</p>

<p>「城端に戻ってきた当初は、自分の代で家業を立て直す、年商何十億円にまで成長させると言って、ただただギラついていました。しけ絹はそうしたエゴを押し通すための道具に過ぎなかった。エゴの塊だったと思います」。先だって指摘された「布との距離がある」とは、まさにそうした部分を指したものだったのだろう。</p>

<p>自ら蚕を育てるようになったことで、そこからの松井は人が変わったようになった。絹糸が蚕の命と引き換えに得られる素材であることを実感し、またさまざまな効能や歴史的背景、言葉の成り立ちなどを調べれば調べるほど、蚕は命を賭して、人間に地球との共生の大切さを訴えているように思えた。「いまでは自分はお蚕さまの忠実なしもべ。私の体をどうぞご自由にお使いくださいと思うようになりました」。かくして松井は"お蚕教"に入信したのだ。</p>

<p><figure>
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<figcaption>周りのたくさんの人に助けられているという松井。「やりたいことはどんどん口に出した方がいい。そうすればいろいろな人が覚えていてくれて、協力してくれたり情報を教えてくれたりするんです」</figcaption></figure></p>

<p>周りからはあまり宗教じみたことは言わないほうがいいとアドバイスされる。自分でもその自覚はあるという。けれども"お蚕教への入信"とJOHASASの成功は、切っても切れない関係にあるようにも見える。</p>

<p>例えば枕にまくシルク「美髪シルク」は、「絹のスカーフを枕にひいたら髪の毛がまとまりやすくなった」という知り合いの話を聞いて試したら、それまで鳥の巣のようだった寝癖が落ち着いたことから生まれた商品だ。「美唇シルク」もそう。マスクの内側にシルクを一枚入れたら喉の乾燥が治ったという経験に着想を得た。女性に寄り添った商品の数々が生まれたのは、体を捧げて自ら試した結果だった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/johanas_bihatsu.jpg">
<figcaption>JOHANASの美髪シルク。くせのある髪に悩みを持つ女性に人気がある。枕に敷いて寝ると、髪だけでなく肌にとっても良いのだとか。</figcaption></figure></p>

<p>松井は自身の歩みを「縁と恩と運でなんとかやってこれた」と振り返る。市や県をあげてのバックアップを受けられているのもそう。わざわざ松井機業を訪れ、"スピリチュアルな"説明に深く耳を傾けた上で、同じ熱量を持って売ってくれる販売員と出会えたのもそうだ。「そうした一つ一つの出会いがなければいまはなかったと思います。本当にありがたいこと」と松井は言う。</p>

<p>だが、そのようにして人を惹きつけたのもまた、「自分の感情に素直に、ワクワクすること、楽しむことを大切にやってきた」という松井の"狂信"とは言えまいか。時に人は、そうした熱に冒されるようにして一つところに集うもののように思える。</p>

<h2>地元産の絹をつくりたい</h2>

<p>熱を持って何かに取り組むと、興味はどんどんと深く、そして広く派生する。やるべきことも、できることも増えていく。2017年の春には蚕の餌を自前で確保すべく、地元の子供たちと一緒に敷地内に40本の桑の木を植え、育て始めた。</p>

<p>質のいい植物を育てるには土が大切になる。土中にはたくさんの微生物がいたほうがいい。そう聞いて家の敷地を掘り返してみたが、何もいなかった。そこで再び南砺市長を頼り、土作りを生業にしている人を紹介してもらって牛糞の堆肥をまいた。すると太いミミズが現れ、柔らかい肥えた土ができた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Y1005334.jpg">
<figcaption>桑の木を栽培している庭に案内してくれた。いい土で育ったこの桑の葉は人間が食べてもほのかに甘みを感じ、熟した実もみずみずしく美味しかった。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Y1005410.jpg">
<figcaption>取材に行った日はすでに飼育の時期が過ぎていて蚕を見ることはできなかったが、飼育場に案内してくれた。蚕は藁で編んだ台の上で繭をつくる。</figcaption></figure></p>

<p>その「土作りを手伝ってくれた人物」こそが現在の松井の夫である。蚕がきっかけとなり、菌がつないでくれた縁だ。その後も絹と蚕に囲まれた生活を送っていたら、新たな命も授かった。</p>

<p>こうした自分の経験をもとに、これからも「細胞レベルで喜ぶものを作っていきたい」と松井は言う。いま構想している最新の商品は、人が中に入れる繭状のカプセル。手が器用な夫が竹で造形し、松井がそこにしけ絹を貼る。しけ絹のまばらな模様を通して不規則に光が差し込むことで、木漏れ日のような安らぎをもたらすのではという発想だ。</p>

<p>「現代人の生活は社会の要請に従うことが優先されて、自らの体が発する声に耳を傾けることができていないように思えます。それが心身の不調を招いているのではないか、と。繭玉に包まれ、世の中から少し離れて自分と向き合う時間を作ることで、人々の暮らしはいまよりよくなるかもしれない」。オフィスの一角に繭玉カプセルがずらりと並び、仕事に疲れたビジネスパーソンが入って瞑想に耽る。そんな冗談みたいな光景が近い将来に見られるのだろうか。</p>

<p>ところで、松井がこんな風に世の中を眺めるようになったのは、"お蚕教"とは別にもう一つ、城端の象徴である別院に通い、「お朝事」と呼ばれる法要を欠かさなくなったからという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Y1005566.jpg">
<figcaption>別院にて。小さな頃からよく通っていた遊び場だ。一番思い入れのある場所で撮影したいと告げたところ、松井が選んだのがこの場所だった。</figcaption></figure></p>

<p>「古臭い家業、お堀に囲まれた小さな寺内町。高校生のころはそこからいち早く出たいと思っていました。けれども再び戻ってきて、やっぱりこの土地が好きだったんだと気づかされました。いまでは首くらいまでどっぷりと浸かっていますね」</p>

<p>この冬には結婚式も別院で挙げた。境内にそびえ立つ巨大な蓮如上人の像はどことなく亡くなった祖父に似ている。東京のOL生活も悪くなかった。だが、140年続くゆかりの地は、やはり水が合うらしい。</p>

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    <title>会社員は、小さく素早くたくさん試せば人生が拓ける。新年は『スモール・スタート』ではじめよう - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2019/01/BNLBooks-VOL17.html" />
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    <published>2019-01-07T07:00:00Z</published>
    <updated>2019-03-04T06:53:46Z</updated>

    <summary>何か始めたいのに勇気がない。そう足踏みしているのなら、まずは小さく始めてみよう。社外に知り合いをつくる、視点を変えて仕事に取り組み、嫌いな人を褒める、見る側よりやる側になる。小さなスタートを繰り返せば、人生100年時代を豊かに生きる土台ができるはずだ。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/5489390022">水代 優</a></strong><small>good mornings株式会社 代表取締役</small><p>
2002年より株式会社IDEEにて新規出店を手掛ける。2012年にgood mornings株式会社を設立。東京・丸の内や日本橋をはじめ、全国各地で「場づくり」を行い、地域の課題解決や付加価値を高めるプロジェクトを数多く手掛ける。「食」や「カルチャー」を軸にしたクリエイティブな空間の企画運営やメディア制作を得意とし、様々なコンテンツを織り交ぜ街に賑わいをつくり、地域コミュニティの拠点を創出している。
現在は都内に各々のコンセプトを有する3拠点を企画運営、その他企業や行政と共にエリアプロデュースやプロダクトディレクションを手掛ける。
近年はブックディレクターとしても活動。日本橋浜町に自身がセレクトする本屋「Hama House」を出店。</a></p></aside></p>

<h2>小さなスタートには、気合も準備もいらない━━BNL編集部の選定理由</h2>

<p>新しいことを始める。そう考えると、会社を辞めたり、独立したりと大層なことをするように思えるが、なにもそれだけが「スタート」ではない。もっと気楽に考えて、いまの会社に属したまま、ほんの少し意識を変えて働く。それだけで人生の新たなスタートになるのなら、今年一年が楽しみになる。</p>

<p>例えば、面倒くさくてつまらない仕事があったとする。しかし見方を変えれば、重宝される人材になる絶好のチャンスでもある。</p>

<blockquote>
  <p>他の人があまりやりたがらず、だから限られた人しかスキルを持っていない仕事を難なくこなせる「縁の下の力持ちとしての実力者」ほど、会社の外でも重宝されます。</p>

<p>第5章　会社員のうちに「ライフシフトする」考え方 より抜粋</p>
</blockquote>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/09/BNLBooks-VOL12.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="/uploads/nakayama-bnlbooks.png">
<div class="info"><strong>要約『組織にいながら、自由に働く。』：著者・仲山進也が楽天で実践してきた「加減乗除の法則」とは
</strong></div></a></div>

<p>いままで面倒くさくて避けていた仕事も、やればやるほどチャンスが増えると考えれば、積極的に始めたくなる。それに、これは会社員でいるからこそできることでもあるのだ。</p>

<p>会社の外に居心地の良いコミュニティをつくれるのも、会社員ならではの特権だ。人生100年時代のいま、同じ場所で一生働き続けることは難しいから、ワクワクする人と出会い、いつでも本拠地になる場所を会社以外にもつくっておくべきだと著者は言う。</p>

<p>人間関係を築くのが億劫と感じるかもしれないが、コミュ二ティは仕事ではないから、行きたければ行けばいいし、行きなくなければやめればいいだけだ。</p>

<blockquote>
  <p>好きなものについて好きな人同士で話していると、思いも寄らない盛り上がり方をして、一人でいるときや会社の仲間と話しているときにはとうていひらめかないアイデアが湧いてくることもあります。
僕はそこに、スモール・スタートの大きな種があると思っています。</p>

<p>第1章　これからは「小さく素早く動ける人」の時代 より抜粋</p>
</blockquote>

<p>無理に気合いを入れなくても良いし、独立に向けて慌てて準備をする必要もない。2019年、最初のBNL Booksは、すべてのビジネスパーソンが気軽に実践できるスモール・スタートをおすすめしたい。</p>

<p><strong>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4046022906/">こちら</a>。（Amazon）</strong></p>

<hr />

<h2>要約者レビュー</h2>

<p>「起業」や「独立」といった言葉を聞くと尻込みしてしまう人も多いだろう。しかし、「知り合いの店を週に1回借りてバーを営業する」だったら、「もしかしたらできるかも」と思えるのではないだろうか。本書ではこうした「小さく始める」方法が紹介される。</p>

<p>人生100年時代に突入し、大企業も経営難に陥ることが珍しくなくなったいま、ひとつの会社に依存し続けるのは危険だと著者は言う。よしんば無事に定年を迎えられたとしても、その後の人生はまだ40年ほども残っている計算だ。そのとき、会社と家にしか居場所がなかったら、どんな生活が待っているだろう。別のコミュニティを持っておくことの重要性は無視できない。スモール・スタートは、そうした「新天地」としての役割の他、経済的・精神的なセーフティネットとしての役割、さらには、起業や独立に向けてのリハーサルとしての役割も果たす。</p>

<p>新しいことを始めるときは誰しも不安になるものだ。しかし、本書で繰り返し述べられているのは「とにかく始めてみること」。何もせずにいることのほうが、よほどリスクが高いのだと著者は主張する。</p>

<p>「小さく始めること」はよく考えるとそれほど難しいことではない。地域のお祭りで出店をやってみる、なじみのカレー屋で週末だけ働いてみる、デスクの消耗品の消費を減らす仕組みを考えてみるなど、チャンスは社内外のあちこちに転がっている。大切なのは、それを実際に実行に移すかどうかだ。本書を読んで、まずはとにかく「小さく始めて」みてほしい。</p>

<hr />

<h2>本書の要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> <br />
 一生同じ企業で働くことが難しくなったいま、家と会社以外の居場所を持つことは、精神的にも経済的にも重要である。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong> <br />
リスクはゼロにはならないが、最初の一歩を踏み出すときのコストは自分一人の人件費くらいだ。失敗しても経験や実績になる。とにかく始めてみよう。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong> <br />
小さく始めるからこそできることもある。大企業とタッグを組んだり、新しいアイデアを試したりできるのは、スモール・スタートならではだ。</p>

<hr />

<h2>【必読ポイント!】「スモール・スタート」の時代</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/35664481751_a39672905d_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/photosbycelina/35664481751/">"number 52"</a> by Celina Vogel(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h4>家と会社以外の居場所を持つ</h4>

<p>大企業の経営悪化やリストラはもはや珍しくなくなった。定年まで勤められると思っていても、思わぬ形で会社と縁が切れてしまうということだ。一生勤められる会社に就職できるかどうかは本人の能力とは関係なく、運次第である。大企業でも中小企業でもそれは同じだ。今後は「会社がなくなったから」という理由で転職を余儀なくされる人も増えるだろう。</p>

<p>また、会社だけに生きがいや居場所を求めると、定年後に何をしていいかわからなくなってしまう。これまでこのような状況は男性のものとして語られてきたが、女性もフルタイムで働くいま、男女共通の問題となりそうだ。</p>

<p>そこで重要なのは、社外のコミュニティに参加することだ。同僚との飲み会や上司とのゴルフをやめ、浮いた時間を社外でのコミュニティ探しにあてよう。家庭でも会社でもない第三の場所、サードプレイスを持つのだ。行きつけのカフェやバー、書店や公園など、居心地さえよければどこでもいい。そこに「お客さん」としてではなく能動的に関わることで、その場所はコミュニティとなる。会社以外のコミュニティを持てば、リフレッシュできるといったメンタル面でのメリットだけでなく、経済的な面でのセーフティネットも得られる。</p>

<h4>副業禁止でも始められる</h4>

<p>副業を認める企業が増え始めたが、まだ少数派だ。しかし、だからといって立ち止まる必要はない。</p>

<p>会社員が会社以外で働いて報酬を得ると副業になるのだから、報酬をお金ではないものでもらえばよい。たとえば著者は、行きつけの海の家で土日だけ働かせてもらった。その際、労働の報酬として、平日にお客さんとして通うときの交通費と飲食費を無料にしてもらったという。このように、副業禁止であっても"副業的"な活動をすることは可能だ。</p>

<p>阿波踊りには"踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損"という言葉がある。まったくその通りで、どんなことでも見物するよりも当事者として参加するほうがずっと楽しい。まずは小さなことからで構わないので、とにかく当事者になってみたほうがいい。その経験が実績になる。</p>

<p>「自分には、そんなことはとてもできない」と思う人もいるかもしれない。しかし会社員を経験していれば、小さく始めるスキルはすでに身についている。ひとりで何か副業を始めようと思うと、時間の捻出、ギャラの交渉、進捗管理、経理処理など、すべてを自分で行わなければならない。こうした仕事は、会社員として経理や総務、営業などを満遍なく経験した人ならばきっとできるはずだ。縁の下の力持ち的な仕事をしてきた会社員こそ、実はスモール・スタートに向いている。</p>

<h4>小さく始める4つのコツ</h4>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/2780142273_f022fccb85_b.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/a320/2780142273/">"The Office"</a> by Flemming Rasmussen(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure>
スモール・スタートのコツは4つある。</p>

<p>1つ目は、借りより貸しをつくることだ。借りをつくってしまったらすぐ返すという心づもりでいよう。そして常に、借りよりも貸しのほうが多い状態にしておきたい。貸しはめぐりめぐって大きくなり、そのうち自分に返ってくる。慌てて回収しないようにしよう。</p>

<p>2つ目は、「その場で一番いいヤツ」になることだ。会議室やお店でも、電車の中でもどこででもだ。困っている人を助ける、放置されているタスクを片付けるなど、ちょっとしたことでも場の雰囲気は変わる。そうすると、心を開いてくれる人が増えていく。</p>

<p>3つ目は、「ムキムキに鍛え上げた無敵」にならないことだ。味方になってくれない人がいても、完膚なきまでに相手を打ち負かそうとせず、「味方候補」だと考えるようにしよう。強くなるためには、敵をゼロのままキープすることが重要だ。</p>

<p>最後は「青黒く」なることだ。青臭い夢を叶えるためには、腹黒い手も必要になる。スモール・スタートには、青と黒のバランスが重要である。 </p>

<h2>とにかく始めてみよう</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/36323126265_175f1b4942_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/pagedooley/36323126265/">"_DSC1192"</a> by Loretto-Gemeinschaft(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h4>誰かのためにやってみる</h4>

<p>何をすればいいかわからない人は、まず誰かを助けることから始めてみるといい。「手伝ってくれない?」はスモール・スタートのチャンスだ。その理由は2つある。まず、誰かからの頼まれごとをこなしているうちに、それが得意なことになるから。次に、自分のためよりも誰かのためのほうが頑張れるからだ。自分のための料理はつい手を抜いてしまうが、友達を招くとおいしい料理を作ろうとすることと同じだ。それを実行するうえで誰かに何かをお願いするときにも、自分のためでなければ抵抗がなくなるし、図々しくもなれる。</p>

<p>小さく始めるのにうってつけな頼まれごとが、「大事だけれど緊急性の低い仕事」だ。誰もが重要だと思いつつ手つかずになっているので、誰からも反対されないし、むしろ感謝される。</p>

<p>また、それが将来的に武器になる可能性も高い。大事だけれど緊急性の低い仕事はあちこちにある。だから「手伝ってくれない?」と声をかけられる確率が上がる。小さい仕事を積み重ねることで、経験と実績が積み上がっていくはずだ。小さく始めるならば、誰も手を出していないところに目をつけよう。</p>

<h4>場所を決めるか、好きなことをやる</h4>

<p>やることを選ぶとき、場所から決めるのもいいだろう。著者の本拠地は日本橋浜町にある。そこには昔ながらの住民もいるし、新しくやってきた子育て世代もいる。誰もが知る企業の本社もある。それぞれが交わることはないが、交流したらきっと面白くなるはずだ――そう考え、日本橋浜町に新しいコミュニティをつくることにしたという。</p>

<p>もちろん、自分の好きなことで始めるのもいい。著者が浜町で運営しているブックカフェは、著者がやりたいことを形にしたプロジェクトだ。好きなものだからこそうまくいくし、失敗したとしても後悔は少ない。これはマーケティングベースですすめるプロジェクトと大きく違うところだ。当たりそうだからとやってみてうまくいかなければ、後悔してもしきれない。</p>

<h4>リスクは自分の人件費程度</h4>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/4401923926_4ce6412ef5_b.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/baltimoredave/4401923926/">"Phoenix Public Market Cafe"</a> by Kevin Dooley(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>小さく始めるとき、「失敗したらどうしよう」と考えて尻込みしてしまうかもしれない。しかしよく考えれば、リスクは自分一人の人件費くらいのものだ。たとえ失敗したとしても、それは経験として残るし、新たなつながりも生まれる。得るもののほうが大きいはずだ。</p>

<p>小さく始めることは、大きく動く前のリハーサルにもなる。突然バーをオープンするのは無謀だが、知り合いの店の軒先を借りて営業するなら現実的だ。そうしてリハーサルをしておけば、大金をつぎ込んで始めたものがすぐに失敗してしまうことはないだろう。</p>

<p>なお、どんなことでもリスクをゼロにすることはできない。準備が100%整うまで待っていたら何も始められないのだから、まずは小さく始めてみよう。</p>

<h2>小さい組織の戦い方</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/33872983646_757203b490_b.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/computerhotline/33872983646/">"Fight"</a> by Thomas Bresson(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h4>大企業と組む</h4>

<p>小さい組織には強みがある。まず、大企業とタッグを組みやすいことが挙げられる。小さい組織に対してはガードがゆるくなるし、大企業にとっては競合他社との差別化にもつながるからだ。</p>

<p>また、小さいというだけで好意的な人もいる。人は弱い存在を応援したがるものだ。かつてそうした応援は個人間でしか見えなかったが、いまはSNSで可視化されるようになった。小さく弱い立場であるということは、強さでもあるのだ。</p>

<p>大企業と組むべき理由のひとつに、その懐の深さがある。規模の小さい組織は目先のことを重視することが多く、「小さい組織と組んでも利益が出ない」と考えがちだ。一方、大企業は大局的に仕事をしているので、すぐに結果を求めない傾向にある。さらに、大企業は大儲けができなくても赤字にならなければよいと考えることが多い。だから小さな組織としては気楽に組むことができるし、一度組めばそれを広げることも難しくない。</p>

<h4>どこなら広告を出してくれるか考える</h4>

<p>仕事をひとつのメディアに置き換えて考えてみると、やるべきことがクリアになる場合がある。たとえばイベントをプロデュースすることになったとして、「一冊の雑誌」を作ることをイメージしてみよう。連載してくれる作家を探すことも重要だが、何より先に決めるべきは、「誰(どの企業)が一番大きい広告を出してくれるか?」だ。そのうえで特集を考える。クラフトビールの企画であればキリンビールが広告を出してくれるかもしれない。こう考えていくと、自分がやりたいことを曲げずにスポンサー集めができる。</p>

<p>出資は難しくても、モノなら提供してくれることもある。料理イベントで使う持ち帰り用の容器を容器メーカーに提供してもらうことはそれほど難しくない。モノや人で助けてもらうこともできると考えると、実際に必要なお金は意外と少ないかもしれない。</p>

<h2>会社員のうちに動き始める</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/40024833834_e41bd6649d_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/neilmoralee/40024833834/">"Michelangelo and the squint."</a> by Neil Moralee(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h4>ライフシフトは50歳で</h4>

<p>会社員から他の仕事へシフトするなら、50歳ごろがいいだろう。45歳くらいになると、その後どれくらい昇進できそうかが見えてくる。役員にはなれそうもない、と45歳で気づき、5年間準備して50歳で実行するくらいのプランがいいだろう。</p>

<p>50代は会社員人生で最も給料が高くなる時期だからもったいないという考えもある。しかし、その時期は10年ほどしか続かない。それならば50歳の時点で、80歳まで働ける場所を見つけたほうがいい。定年を迎えてしまってからだと、それまでの人間関係もリセットされてしまっているし、気力や体力がもたない恐れがある。</p>

<p>30代で独立することもできるが、会社員という立場を早々に手放すのはもったいない。日本で仕事をするための技術は、どこへ行ってもそう変わらないものだ。仕事をする上での基本的なスキルを学べる「会社員」という立場を使いつくさない手はない。20代、30代は修業期間と考えて、少しずつ先の人生の準備をしておくのがいいだろう。</p>

<h4>本拠地があるうちにコミュニティを探す</h4>

<p>会社という本拠地があるうちにこそ、次の本拠地を探しておくべきだ。家と会社以外にいくつかコミュニティを持つと、それまでなかった新しい知り合いができる。それまでにない会話や経験もできる。その中から一緒に事業を始める仲間ができるかもしれない。まずはコミュニティを探し、参加してみよう。居心地が悪ければ別のコミュニティを探せばいい。</p>

<p>コミュニティを持つということは、いつでも行けていつでも帰れる場所を持つということだ。このとき、"常連さん特典"のような、金銭的なメリットが発生しないように注意したほうがいい。借りを作ることにつながり、やがて居心地が悪くなってしまう可能性があるからだ。</p>

<hr />

<h2>一読のすすめ</h2>

<p>本書は起業や独立に限らず、「いまここ」以外の新天地を求める人のための指南書だ。要約では「小さく始める」ためのポイントをかいつまんでまとめた。本書ではさまざまな著者の体験談や具体例も紹介されているので、新しいことにはつい尻込みしてしまいがちな人も、楽しく読み進められるだろう。スモール・スタートをより具体的にイメージしたい人には通読を強く勧めたい。</p>

<p>（1冊10分で読める本の要約サービス <a href="https://www.flierinc.com/">flier</a>）</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/11/BNLBooks-VOL16.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/869a0bb827dbea47bfa2bddfead14fcb3117f3b0.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>前回のBNL Books：要約『熱海の奇跡』：なぜいま、熱海に若者が集まるのか</strong></div></a></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="7013201018794"></div>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>「データは誰のものか」が問われる時代だからこそ。メガバンク「攻め」と「守り」のデータ活用 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/12/smbc-muramatsu.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9152</id>

    <published>2018-12-27T05:15:00Z</published>
    <updated>2020-03-23T02:51:39Z</updated>

    <summary>三井住友銀行に「データマネジメント部」が新設されて、もうすぐ3年になる。IT大手が次々と金融業に参入してくるなか、銀行のデータサイエンティストは、いまどんなことに取り組んでいるのか。また、「情報銀行」としてのイノベーションの可能性にも迫る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>村松竜一</strong><small>三井住友銀行 データマネジメント部 情報統括グループ長</small>
<p>1999年に新卒で三井住友銀行へ入行。千住支店に配属され、法人営業を担当した。当時の支店長との面談で「皆と同じでない面白いことをやりたい」と伝えたところ、2000年より、合併対応チームに加わり、合併広報を担当した。合併後も、両行のシステム統合や事務手続きを担当する仕事に携わった。その後、システム統括部で4年半、秘書室で役員秘書を3年間務め、2016年2月に新設されたデータマネジメント部へ10月に異動となった。情報統括グループ長として、部全体のデータ戦略と人材育成に取り組んでいる。
</p></aside></p>

<p>情報が莫大な価値を生み出す時代。さまざまな企業が新市場を狙って多様なデータの収集に乗り出し、活用の仕方を模索している。</p>

<p>国内メガバンクの一角・三井住友銀行も例外ではない。2016年4月にデータマネジメント部を発足。新たにデータサイエンティストを採用しているほか、既存の銀行員が正しくデータを扱えるための教育にも力を入れていくという。</p>

<p>最近では個人データを収集・管理する「情報銀行」というビジネスの可能性をめぐる議論も活発になってきた。新たなプレイヤーも続々参入してくる一方で、GAFA（グーグル、アマゾン、フェイスブック、アップル）などのプラットフォーマーによる情報独占は世界的な課題にもなっている。</p>

<p>そんな時代において、三井住友銀行はどのような姿勢でデータと向き合っているのか。名だたるIT企業を相手にどこに勝機を見出しているのか。データマネジメント部・村松竜一に聞いた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4791-final.jpg">
<figcaption>これまでお客様のお金をお預かりすることで培ってきた信頼をベースに、これからはデータをお預かりする可能性についても模索していきたいと語る。</figcaption></figure></p>

<h2>銀行のデータ活用の現状</h2>

<p><strong>──データマネジメント部とはどういう部署で、その中で村松さんが担っている役割は？</strong></p>

<p>データマネジメント部の中には、それぞれ役割の異なる三つのグループがあります。</p>

<p>まず、一番わかりやすいのは「情報活用グループ」です。SMBCグループには、われわれ銀行だけではなく、カードやリースなどのさまざまな会社があり、それぞれがお客さまのデータを持っています。「情報活用グループ」の役割は、こうしたグループ各社のもつデータを使って、新しいサービスやお客さまに対して提供できる新たな付加価値を考えること。個人的には、ここがデータマネジメント部の本丸だと思っています。</p>

<p>二つめは「経営情報グループ」。私たちの間では「科学的経営」と言っているんですが、要はデータドリブンの経営判断をするために、各部の業績などを一括して見られるようにデータを整備したり、ツールを作ったりしているのがこのグループです。</p>

<p>とまあ、ここまでの二つがSMBCのデータ活用の両輪なんですけど、私自身がいるのはこのいずれでもありません。私が所属しているのは三つめの「情報統括グループ」で、データマネジメント部全体のデータ戦略を練ったり、その後にくる社内の人材育成なども管轄しています。データを活用していくには、やはりそれができる人間を行内にいかに増やせるかがカギだと思っているので。</p>

<p><strong>──データ活用はどの程度進んでいるのでしょうか？</strong></p>

<p>ようやくデータ活用の準備が整ってきた段階というのが正直なところです。私が異動してきたのは部の発足から半年経った2016年10月のことなんですが、当時はまだまだその準備ができていませんでした。これは「大企業あるある」かもしれませんが、銀行は業務の範囲が幅広いため、業務ごとにデータが分かれていて使いづらい状況にありました。</p>

<p>また、グループ各社のもつデータというのも、ある日突然「使います」といって使えるようになるわけではありません。個人情報保護法が定めている共同利用という項目があり、1社ごとにそのための手続きを踏んでいく必要があります。</p>

<p>この1年ほどでビッグデータの基盤が完成し、行内に分散していたデータを一箇所に集約することができました。また、共同利用の枠組みを作ったことで、グループ各社のデータを扱えるようにもなり、新しいことに取り組める体制が整ったというわけです。</p>

<p><strong>──では、データ活用の本格化はこれから？</strong></p>

<p>本格化はこれからですが、すでに始めている取り組みもあります。例えば、お客さま企業の不動産に関する情報を整備・分析し、老朽化したホテルや旅館の建て替えニーズを推測することで、訪日旅行客の増加や東京オリンピックに備えたご提案につなげています。ただ、正直に申し上げると「まだまだ、これから」だと考えています。データを活用してお客さまに付加価値をご提供できる余地は多分にあり、失敗もして、経験を積み重ねながら、次の戦略を立てているところです。</p>

<p><strong>──失敗というのは？</strong></p>

<p>本当にいろいろですけど、例えばデータをかき集めてAIに投入して分析してみました。でも、出てきた結果は案外普通のことを言ってるよね、というようなものですね。あるいは、よくご利用いただいているお客さまの傾向を分析して「新しくこういうお客さまにアプローチしたらうまくいくんじゃないか」というリストを作ったりもするんですが、それを使って販売促進するのは各営業店なので、その営業店の方針に合わず、せっかく作ったリストもなかなか有効活用してもらえない、とか。</p>

<p>ただ、そうした失敗、あるいは小さくても成功体験を積み重ねることで、データ分析の知見は貯まるし、「ああ、データ分析の結果ってこんな風に使えるんだ」と思ってもらえる機会を多く作っていけば、現場の意識も変わっていくんじゃないかと思うんです。そうしたら今度は現場の方から「もっとこういうことをやってほしい」という提案があったりという好循環も生まれてくるのではないかと。</p>

<p>幸か不幸か、いまは世の中の変化のスピードが急激に上がっていて、そういう世間の動きに後押しされるようにして、社内の空気もこちらが想定していた以上の速度で変わってきていると感じます。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4808-final.jpg">
<figcaption>三井住友銀行は、顧客の膨大なデータを保有している。当然それらを新しいビジネスに活用するハードルは高いが、これほど膨大な量と豊富な種類を扱っている会社は他になかなかない。</figcaption></figure></p>

<h2>メガバンクならではの強みとは？</h2>

<p><strong>──データサイエンスはいまやあらゆる企業が力を入れています。銀行ならではの強みはどこにありますか。</strong></p>

<p>お預かりしているお客さまのデータの量、多彩さ、そして精度だと思っています。</p>

<p>私自身が金融グループのデータ利活用に将来性があると思っている理由も、第一にはやはり膨大なデータの量にあります。グループ会社を合わせると、個人のお客さまで4000万口座くらい、法人のお客さまでもだいたい120万社くらいとのお取引があります。おそらくこれからIoTなども進んで、メーカーさんなどもいろいろなデータを集めていくことになると思いますが、これだけの個人あるいは会社に紐づいたデータを持った存在というのはやはり珍しいと言えるのではないでしょうか。</p>

<p>そして、ただ多いというだけではなくて、その種類も豊富です。個人のお客さまであれば、例えば住所とか氏名、電話番号といった属性情報に始まり、どんな投資商品を購入されて、それがいまどういう状況になっているか。私たちは、お客さまからお預かりしているこれらのデータを責任を持って安全に管理しており、こうしたデータのバラエティの豊富さも大きな強みだと思います。</p>

<p>さらに言えば、個人的にはそうしたデータの精度の高さも誇れると思っています。例えば個人のお客さまの属性情報は、口座開設の際に各店の窓口で受け取った依頼書に従って入力するわけですが、やはり銀行員には真面目で几帳面な人が多いですし、お金のことですから絶対に間違えられないということもあり、本当に正確に入力しています。また、それらのデータ全般をわれわれの部署でさらに整備しているので、精度の高さは保証できます。</p>

<p>データサイエンティストの方々はこれからどんどん価値が上がっていくでしょうし、国内外問わず流動化していくでしょう。そういう人たちとお話しした時によくおっしゃるのは、勤め先を選ぶ上で、その企業が何をやっているのかという魅力はもちろんあるけれども、そこにどれだけ自分の扱えるデータがあって、どれくらい扱いやすい環境にあるのかが大事だということ。そういう意味では、われわれの環境というのは一つの魅力として映るのではないかなという気がします。</p>

<p><strong>──いま世の中では「情報銀行」ということが言われ始めていて、そこには既存の金融機関に限らず、いろいろな業種からの参入が予想されます。どう差別化しますか？</strong></p>

<p>私自身、銀行一筋のキャリアで染まっている部分がありますから、もしかしたらこれは甘い考え方なのかもしれないですが、仮にグーグルとかアップルとかアマゾンとか参入してきたとしても、われわれには歴史があり、金融機関としてお客さまと築いてきた信頼関係というのは、そう簡単には揺らがないものだと思っています。</p>

<p>GAFAと呼ばれる企業がデータを独占しているという問題意識から、今年5月にはEUで一般データ保護規則（GDPR）という規制ができて、データは基本的には個人のものであり、企業が勝手に扱っていいものではないという考え方が広まってきています。当然ですが、この流れは今後、日本にも広がっていくでしょう。</p>

<p>そんな中、「情報銀行」が成立するかどうかのカギは、データが本当に安全に扱われるのかという不安の払拭と、不安を上回るだけのメリットをどれだけ提供できるかの両面にあると思っています。その意味では、まずは前者の面で、銀行が過去培ってきた信用力というものが活きてくると思っています。</p>

<p><strong>──いわゆる「守り」の面で銀行が強いのはわかります。一方でいまおっしゃったようなメリットを示すことを「攻め」だとすると、銀行にIT企業に伍するほどの発想力がありますか？</strong></p>

<p>おっしゃる通り、われわれ単体ではできないことがこれから数多く出てくるでしょう。やはり限界はあると思います。ただ、仮に「情報銀行」をやっていくとなった時にも、必ずしもそのすべてをわれわれ自身で担う必要はないと思っています。具体的な議論はまだこれからですが、例えばわれわれがお預かりしたデータを、お客さまに対してしっかりとしたメリットを出せるような事業者に責任を持って渡す、そういう役割もあるだろう、と。</p>

<p>そうなった際にもやはり、銀行のこれまでの蓄積は活きてくるのではないでしょうか。繰り返し申し上げているように、銀行には大企業からベンチャーまで、さまざまな法人のお客さまとのお付き合いがあります。そういうところからくる「目利き力」のようなものを活用して、データをうまく使ってくれそうな事業者さんをわれわれが見繕うことで、お客さまにメリットを提示する。そういう将来像はあるだろうと思っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4743-final.jpg">
<figcaption>いまや、あらゆる部署からデータに関する問い合わせがくる状態。経営会議役員からの期待も高いという。</figcaption></figure></p>

<h2>データ活用のための人材育成の考え方</h2>

<p><strong>──人材の育成についてはどんなお考えをお持ちですか？</strong></p>

<p>求められるスキルや能力は役割によって違ってくると思っています。いまはそこをきちっと整理しながら、研修体系を整えているところです。</p>

<p>例えばビジネスの企画をするような本部のスタッフが、銀行にはいま5000人ほどいるのですが、こうした人たちについては、さすがに統計的な専門知識までは求めないにしても、きちっとデータを読み解き、データを用いて仮説検証し、説明できるデータリテラシーは全員に身につけてほしいと思っています。要はそうすることで、これまでは上に立つ人のひと声で物事が決まっていたり、あるいは個人の経験や勘に頼っていたりしていたところ、もっとロジカルに説明していきましょう、データの裏付けで力を得ましょうということですね。</p>

<p>一方、そこから先のデータサイエンティストの区分については、データサイエンティスト協会が定める能力区分の「見習い」あるは「独り立ち」相当の能力まで求めることになるでしょう。本格的にデータ分析をやるからには、やはりこのレベルを目指してほしいと思っています。</p>

<p>データサイエンティスト協会はデータサイエンティストに必要な能力をデータサイエンス力、データエンジニアリング力、ビジネス力の三つであると定義しています。データサイエンス力というのは統計的な分析力。データエンジニアリング力はデータベースを構築し、そこから必要なデータを抽出する技術力。ビジネス力はそうして分析したものをビジネスにつなげる力を指します。</p>

<p>このうち、金融機関として一番欠けていて困るのは、やはりビジネス力だと個人的には思っています。それがないと、そもそもお客さまに対していい商品や付加価値を提供することはできないので。</p>

<p>われわれがいまやろうとしているのは、この三つの能力を行内の誰がどの程度もっているのかを判別する仕掛けを作ること。けれども結果はやる前からある程度見えていて、ここまで銀行員としてやってきた人であれば、おそらくビジネス力についてはそれなりのものを備えているだろう、と。だから問題は残りの二つですよね。そこは提携している外部の大学の社会人講座を活用したり、開発パートナーである日本総合研究所の力も借りたりして伸ばしていく必要があると思っています。</p>

<p>残念ながら、この三つすべてを高レベルで備えている人はほとんどいないでしょう。だから現実には、一人ひとりが最低限必要なレベルで三つを備えつつも、ビジネスが得意な人、データエンジニアリングが得意な人、データサイエンスが得意な人が集まって、チームとして取り組んでいくことになるのだろうと思います。そのために、まずは「この人は何が得意なの？」ということがわからなければ始まらないので、手始めにいまはその仕掛けを作っているということです。</p>

<p><strong>──一方で専門職の採用にも力を入れていると伺いました。新たに加わる人にはどんなことを望みますか？</strong></p>

<p>正直な話、私自身はデータサイエンティストでもなんでもない文系の人間なので、データ分析というものを軽く考えていたところがあったんです。銀行には膨大なデータがある。それを使ったら何か面白いことができるんでしょ？というくらいの感覚で。でも、実際にはデータ分析ってそんなに甘いものじゃない。トライアンドエラーの繰り返しなんですよね。</p>

<p>日々データサイエンティストのみなさんが頑張っているのを見ていて、そのことがだいぶわかってきました。でも、それも「体半分くらいわかってきた」って感じなんですよね。残りの半分では、まだどうにかできるんじゃないかと思っている自分がいます。</p>

<p>繰り返しになりますが、金融機関がもつデータは膨大です。でも、データはあっただけでは価値につながらない。きっとデータ自体も「もっと自分を活かしてほしい」と思っているんじゃないかなって。そういう、いまはまだ眠っているデータに焦点を当てて、そのデータが持つ力を解き放ってくれる。そんな人に来てほしいと思っています。</p>

<h3>特別連載：三井住友銀行の新しい取り組みと働き方</h3>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/05/smbc-eto.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_OND2505-1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>Vol.1 銀行だって、もっとクリエイティブになれる──現金大国・日本への挑戦</strong></div></a></div>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/09/smbc-yanagawa.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_L2A0845-1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>Vol.2 最近の三井住友銀行の新しい取り組みは、この人が推進していた</strong></div></a></div>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/10/smbc-kaneko.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_L2A9136-final.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>Vol.3 変革期にある銀行の静かなる改革者、インハウスデザイナーの意義と役割</strong></div></a></div>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/11/smbc-fukano.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_L2A4419-1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>Vol.4 メガバンクにイノベーションは可能か。元コンサルが生体認証サービスで可能性を拓く</strong></div></a></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="5010001008813"></div>
]]>
        
    </content>
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    <title>WeWorkのメンバーになって、実際何が変わった？　スタートアップ2社に聞いてみた - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/12/wework-startup.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9150</id>

    <published>2018-12-26T06:45:00Z</published>
    <updated>2018-12-26T06:47:59Z</updated>

    <summary>社員の好奇心が刺激され、帰宅時間は早まり、生産性が1.5倍になったWHITE。他の入居企業とのつながりを活かし、広告宣伝にコストをかけずとも案件が急増、売上が6倍になったBIZVALを取材した。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>2018年2月にニューヨーク発のコミュニティ型ワークスペース「WeWork」が、日本初の拠点を六本木にオープンして話題になった。その後も都内に拠点を次々と増やし、横浜、大阪、福岡など地方都市への展開も始めている。</p>

<p>実際のところ、働き心地はどうなのだろうか。入居している2社のスタートアップ企業を訪ねた。</p>

<h3>広告事業からイノベーションデザイン事業へ</h3>

<p>アークヒルズサウスの拠点に2018年4月から入居している「WHITE」は、博報堂グループのデジタル総合広告会社スパイスボックスの子会社で、大企業の新規事業立ち上げ支援や、デジタルトランスフォーメーションのコンサルティングを主な事業内容としている。</p>

<p>2015年に博報堂グループの3人で会社を設立した当初、まだ事業内容は不明確だったが、「もはや広告事業だけでは世の中に大きな影響は与えられない」という問題意識だけは共有していたという。広告は既存の価値を世に広め伝えるものだが、それでイノベーションを起こすのは限界が来ている。その前段階、つまり事業をつくる過程から携わり、既存の仕組みから変えていく必要があると考えた。それをWHITEでは「イノベーションデザイン事業」と名付け、自ら挑戦することにしたのだ。</p>

<p>とはいえ、創業メンバーは既存の広告事業しか経験がなかった。その得意分野からまずは仕事を得て、1,2年の間に徐々にイノベーションデザイン事業へと転換を図っていった。CEOの神谷憲司は、そのプロセスについてこう説明する。</p>

<p>「まずは各クライアントの案件を体系化して、イノベーションデザイン事業の商品化を目指すプロジェクトを立ち上げました。そのメソッドに必要な要素が、各職種のスキルセットとなります。それぞれのメンバーには『じゃあ君の場合はこういう形に進化していこう』というふうに伝えながら、事業変革を進めてきたのです」</p>

<p>こうして生まれた商品が、大企業向けに提供する「WHITE サービスデザイン ナビゲーター」という90日間の新規事業立ち上げ支援プログラムだ。プロジェクトマネージャーがプロジェクト全体を管理しながら、サービスデザイナー、UXデザイナー、ビジネスデザイナー等が加わり、わずか3ヶ月で大企業の新規事業を一気に組み立てていく。</p>

<p><img src="/uploads/_MG_0117-final.jpg">
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/16067340043">神谷憲司</a></strong><small>WHITE 代表取締役社長 CEO</small>
<p>2006年スパイスボックス入社。 クリエイティブディレクター兼クリエイティブテクノロジストとして活動しながら、テクノロジーを起点とした新しい広告体験や製品・サービス開発に携わる。国内外の広告賞受賞歴も多数。2015年テクノロジーイノベーション事業会社、WHITE Inc.を立ち上げる。2016年SXSW Interactive Innovation Awards VR/AR部門にて日本企業として唯一となるファイナリスト受賞。
</p></aside></p>

<h3>好奇心が満たされる場に移りたい</h3>

<p>WeWorkへ移転した理由も、事業変革と深く関係している。六本木の拠点がオープンしたのは2018年2月で、WHITEが入居したのは4月。他の候補と比較することもなく決断したというのだが、決め手は何だったのか。</p>

<p>当時、事業変革を本格的に進めていたタイミングだったこともあり、神谷がオフィス移転を検討するにあたって最も重視した価値は「好奇心が満たされる場」だった。社内のメンバーだけの閉鎖的な空間から脱して、もっと刺激のある場所を求めていたところ、WeWorkは最適な場に感じられたという。「いままでのオフィスは、いろんなものへの回路が用意されていなくて、好奇心を満たしてくれるようなものが全くなかったんです」。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_0147-final.jpg">
<figcaption>WHITEの執務室。奥には社内の打ち合わせに使える専用の会議室も設けてあるが、ひとつしかない。そのため、社員同士デスクで簡単な打ち合わせをする機会が増えて、社内のコミュニケーションの量も増えた。その分ひとりで集中したい時には、個室に籠もって作業する社員も多いという。</figcaption></figure></p>

<h3>一人あたりの生産性は1.5倍に！</h3>

<p>実際に入居してみて、この8ヶ月間で当初期待していたような変化はあったのか。</p>

<p>一番の目的であった好奇心を助長することは定量的には評価しにくいところがあるものの、「一人ひとりが持つ興味に対して、どんどん前向きになっている印象はすごく感じている」と神谷は語る。</p>

<p>定量的な評価として顕著なのは生産性の向上だ。わかりやすいところでは、全体的に帰宅時間が早くなった。「ここは（執務室がガラス張りだから）他の会社が何時に帰っているかがすぐに見えてしまうので、早めに帰る人が増えたんです」。</p>

<p>会議に費やす時間も減った。以前は社内で打ち合わせを3時間くらいダラダラと続けてしまうこともあったが、WeWorkの会議室はポイントを消費するシステムになっているため、一人ひとりが会議室を取ること自体にコスト意識を持ち始めた。</p>

<p>これらを組織全体の生産性として換算すると、なんと移転前の約1.5倍も向上したというから驚きだ。</p>

<p>社員からのフィードバックでも、移転して働き方が変わったという声は多い。社員同士のコミュニケーションの量が増えたり、社外の出会いが増えたり。なかには、WeWorkによって「会社の文化が変わった」という人までいた。入居企業は、コミュニティエリアを借りて無料でイベントを実施できる。開催情報はWeWorkのアプリで全員に告知されるので、WHITEの社員によると「ちょっと興味あるから行ってみよう」くらいの感覚で気軽に参加でき、新しい出会いや刺激に恵まれているという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_0131-final.jpg">
<figcaption>名刺交換の幅はかなり広がったという。いままでだと絶対知り合わなかったような人とも出会える。そして好奇心がどんどん刺激されていく。</figcaption></figure></p>

<h3>入居後、売上が6倍になったスタートアップ</h3>

<p>WHITEは40人くらいの社員数でWeWorkに移転したわけだが、もっと少ない人数でオフィスを借りている会社もある。次に話を聞いたのは、日本で2番目の拠点としてオープンした丸の内北口で、3人から入居を開始したBIZVALという、M&amp;Aアドバイザリー及び価値向上支援事業を行っているスタートアップ企業だ。</p>

<p>同社が運営する企業価値診断サービス「BIZVAL」は、ウェブサイトに企業情報を入力していくだけで、わずか1分で企業価値を診断してくれるというもので、2017年12月にローンチしたばかりのサービスである。WeWorkには今年の3月から入居していて、そこでの出会いをうまく活かしながら、順調に売上を伸ばしてきた。第1四半期と比べて、第4四半期の売上は6倍になったという。</p>

<p>いまでこそ「代表取締役 co-founder」の肩書きを持っているが、中田隆三はもともと社長になるつもりなどなかった。フリーランスとして働いていた頃に、コンサル会社の新規事業としてBIZVALは始まった。中田はそのサービス構想の策定から携わり、ウェブサイトの開発をディレクションして、12月にローンチするところまでを、社外のメンバーとして手伝っていた。</p>

<p>しかし、サービスをお披露目した後に契約先のコンサル会社の社長から、『中田さん、この会社自分でやってみたら？』と急に話を振られたという。つまり、新規事業として始めたものをスピンアウトして、中田に経営を任せたいという提案だったのだ。年末に検討を重ねた結果、中田はこの事業の可能性に一度かけてみようという思いに至り、経営を引き受けることにした。</p>

<p><img src="/uploads/_MG_0018-final.jpg">
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/39769063452">中田隆三</a></strong><small>BIZVAL 代表取締役 co-founder</small>
<p>2005年中央青山監査法人（現PwCあらた有限責任監査法人）に入所。監査補助業務や内部統制アドバイザリー業務に従事したのち、オリックス株式会社投資銀行本部入社。オリックスM&amp;Aソリューションズ株式会社出向、M&amp;Aのアドバイザリー業務を中堅・中小企業の売却側、大手上場企業・中堅企業の買収側のいずれかの立場から支援、従事。その後、アクセンチュア株式会社経営コンサルティング本部戦略グループを経て、独立。フリーランスとしてコンサルティング、財務アドバイザリー、 M&amp;Aアドバイザリーを実施し、2014-16では某リノベーションマンション事業を営む事業会社の取締役経営企画室長、常務取締役管理本部長を務め、IPO支援、M&amp;A活用による買収戦略立案・実行と、成長戦略の一環としたM&amp;Aにも従事。これまで、上場大手含め、買収側アドバイザリー25件、売却側アドバイザリー41件、計66件のクロージングを導いてきた。
</p></aside></p>

<h3>見学後、その場で契約</h3>

<p>しばらくは一人だったので、コンサル会社の机を間借りしていたのだが、やがて縁あって共に働いてくれるようになったインターン生と、5月から新メンバーとしてジョインすることになっていた取締役と、一緒に集まって働ける場所が必要になった。そこで今年の3月9日に、オープンしてまだ間もなかったWeWork丸の内北口のオフィス見学ツアーに参加した。</p>

<p>すでに別のコワーキングスペースも見学していたのだが、営業担当のスタンスとしては「あくまでも不動産屋」という印象だった。でもWeWorkはまるで違った。「コミュニティ形成こそ命」というスタンスが貫かれていて、見学ツアーで案内をしてくれたコミュニティチームの担当者の熱量も高かった。約30分間の見学ツアーを終えると、なんと中田はその場で入居を決めた。「テンションが超上がっちゃって（笑）。その場でサインして翌週から入居しました」。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_0056-final.jpg">
<figcaption>コミュニティ形成に力を入れるWeWorkと、入居者コミュニティの中から新規案件を生み出したいBIZVALは、まさにWin-Winな関係。最初に丸の内北口を担当していたコミュニティチームのメンバーは、現在は全員違う拠点に異動している。ただ中田はBIZVALの事業を丁寧に説明して「どこでも紹介しますよ」という関係性をつくっていたので、いまでは他の拠点に入居している企業でも紹介してくれるという。</figcaption></figure></p>

<h3>入居企業との出会いで事業を加速</h3>

<p>もちろんここに決めた理由はそれだけではない。組織の拡大に合わせて間取りを自由に選べるところや、出張が多いので丸の内という立地がよかったことなど、好条件が揃っていた。</p>

<p>コストに関しても、単にオフィスにかかる料金としてでなく、広告宣伝費として捉えていたので、全く気にならなかった。そのため入居後は、認知拡大のためにコミュニティをどう使うかに注力した。「最初からそういうつもりで入っているんで、僕の方からWeWorkのコミュニティチームに紹介してほしい会社の提案とかもしています」。</p>

<p>企業価値診断サイトを窓口に、BIZVALは企業のファイナンス計画の策定から資金調達の支援まで、幅広くサービスを展開している。特にベンチャー企業のファイナンスを一気通貫して支援できることが強みで、会社のステージに合わせてリピートしてくれる確率も高いという。「投資家はよりお金を入れやすく、ベンチャーはもっとお金をもらいやすくなる」。そのためのハブとして機能していきたいと中田は語る。</p>

<p>BIZVALの執務室の向かい側には、山口フィナンシャル・グループが入居していて、BIZVALがアドバイザリー契約をしている企業への投資の可能性について話し合うこともあるという。最近では、大手のコーポレートベンチャーキャピタルによる投資案件が増えているので、そうした担当者ともつながれる。例えば、SOMPOホールディングスや川崎重工、富士フイルムといった大手企業と打ち合わせをする機会も多いという。サムライインキュベートなどのVCも入居している。すぐに形にはならないにしても、何かしら将来的に仕事に結びつく可能性のある企業がこれだけ揃っている。「これがWeWorkの真の価値なんです」。</p>

<p>WeWorkのコミュニティチームに相談する以外にも、新しい人と出会う方法はいくらでもある。入居している企業なら、コミュニティエリアを使ってイベントを無料で開催できる。BIZVALはM&amp;Aセミナーを頻繁に開催していて、中田はそこで参加者と名刺交換をして仲良くなることも多いという。もし会いたい人が明確にいたら、WeWorkの専用アプリから直接メッセージを送ることも可能だ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_0089-final.jpg">
<figcaption>メンバーがさらに増えて手狭になったので、入居して2ヶ月後の5月には、この階のひとつ下にある、ひと回り広い部屋へ移った。「『もう移るの？』ってコミュニティチームには驚かれましたが、WeWorkはこの移動の可変性がすごく魅力的ですね。人が増えたらすぐに部屋をチェンジできるので」</figcaption></figure></p>

<p>WeWorkにいると、意外な形で貴重な出会いに恵まれることもある。昔の知り合いから久しぶりに連絡が来たかと思うと、「WeWorkに興味があるから遊びに行ってもいいか？」という内容だった。会った時に、ついでに自分の会社のことも話したら、それにも興味を持ってもらえて、なんとBIZVALに投資までしてくれたのだという。「そういうこともあったので、ここで広告宣伝費は全然まかなえていますね」。</p>

<p>もともと付き合いのある企業の担当者からも、「WeWorkに行きたい」と言う人は後を絶えない。出会いからビジネスが加速していく場としての魅力は、実際にWeWorkに来てみて始めて伝わることでもあるので、中田自身も積極的に誘うようにしているという。</p>

<p>「M&amp;Aのアドバイザリーをしている上場企業の役員とかでも、ここに呼ぶことがあります。お客様なんで普通ならこちらから伺うべきところなんですが、結局『ビールでも飲みながら話しましょう！』となって、打ち合わせが18時からになることも最近は多いですね（笑）」。</p>

<p>WeWorkの拠点は、都内を中心に地方都市でも続々と増えている。この記事を読んで少しでも気になったら、まずは見学ツアーに申し込んでみてはいかがだろうか。</p>

<p>【<a href="http://www.weworkjpn.com?utm_source=ads-sansan&amp;utm_medium=cpm&amp;utm_campaign=r:APAC_ci:Tokyo_i:UF_v:All_ct:Awareness_ft:onsite&amp;utm_term=a:Awareness_cre:Advertorial&amp;utm_content=cre:Advertorial" target="_blank" rel="nofollow">WeWorkオフィス無料見学ツアーはこちら</a>】</p>

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    <title>紙の情報は共有してこそ価値がある━━新型スキャナーが目指すのは、情報を生かす世界 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/12/pfu-yamaguchi.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9153</id>

    <published>2018-12-25T07:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:10:57Z</updated>

    <summary>いま手元にある紙媒体を、捨てるべきか残すべきか。それはデータ化してから決めればいい。紙のまま積み重なれば、その情報は埋もれてしまう。もしかしたらあなたのビジネスや暮らしを変える、価値あるものかもしれないのに。
</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>山口篤</strong><small>株式会社PFU イメージングビジネスユニット　ビジネス推進総括部　プロモーション推進部　営業課長
</small><p>2008年株式会社PFU入社。ScanSnapのマーケティングを中心に、普及と認知拡大につとめるScanSnapのエバンジェリスト。メーカー直販サイト「PFUダイレクト」の企画も担当し、普及から販売までを手がけている。</p>
<strong>西田貴紀</strong><small>Sansan株式会社 Data Strategy &amp; Operation Center (DSOC)研究員</small><p>一橋大学大学院経済学研究科修士課程修了。専門は計量経済学、労働経済学。在学中、非正規労働者の教育訓練に関するデータ解析に取り組む。ビジネスネットワークのデータを活用し、労働移動に関する研究などに従事。</p></aside></p>

<p>もし、自分しか持っていない紙の資料を、いますぐ離れたところにいるチームメンバーに共有しなければならないとしたら、どんな方法があるか。</p>

<p>ドキュメントスキャナーがあれば便利だが、これまで電子化された情報は、いったんパソコンに保管して、メールを送ったりクラウドに上げたりする手間があった。これが億劫で、紙の情報共有はつい後回しにしがちだ。</p>

<p>ところが、最新のドキュメントスキャナー「<a href="http://scansnap.fujitsu.com/jp/product/ix1500/?utm_medium=cpa&amp;utm_source=BNL_ads" target="_blank" rel="nofollow">ScanSnap iX1500</a>」によって、その煩わしさは解消された。データは、EightやEvernote、Dropboxなどに直接保管される。タッチパネルが搭載されたので、パソコンを操作する必要はない。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0777.jpg">
<figcaption>これまで1台につき1つだったライセンスは4つに増え、チームで共用する場合でも、一人ひとりが普段共用しているアプリケーションに保管されるように設定できる。</figcaption></figure></p>

<p>スキャナー1台でできることの幅は格段に広がった。だからこそ、業務の効率化だけではなく、これからのワークスタイルのヒントがつまっているに違いない。</p>

<p>今回は、<a href="http://scansnap.fujitsu.com/jp/?utm_medium=cpa&amp;utm_source=BNL_ads" target="_blank" rel="nofollow">ScanSnap</a>のエバンジェリスト 山口篤と、Sansan（Eightの運営会社）で、人脈データを解析しイノベーションの可能性を探る西田貴紀が、スキャンとデータ活用の新たな価値を探求する。</p>

<h3>埋もれた紙の情報は無価値に等しく、活用しないと意味がない</h3>

<p><strong>山口</strong>　そもそもスキャナーというものは、やるべきことがほぼ決まっています。紙の情報をデータとして取り込むためのものですから。ただ「<a href="http://scansnap.fujitsu.com/jp/product/ix1500/?utm_medium=cpa&amp;utm_source=BNL_ads" target="_blank" rel="nofollow">ScanSnap iX1500</a>」がこれまでのスキャナーと違うのは、スキャンした後にデータを活用することまで考えられているところです。</p>

<p><strong>西田</strong>　Eight以外にもさまざまなアプリケーションと連携しています。これまでは、スキャンしてイメージデータにするだけで終わってしまうケースが多かったのでしょうか？</p>

<p><strong>山口</strong>　スキャンしてアーカイブして安心して終わり。それがいままでのスキャナーでした。しかしデータは活用しないと意味がありません。人が面倒くさいと思って後回しにしがちな、データ化から活用に至るまでの最初の一歩を、ドキュメントスキャナーが改善できるのではないかと考えています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0529.jpg">
<figcaption>「せっかくスキャンをしても、そのデータを活用できるようにしなければ、紙が押入れで埋もれているのと同じこと」と山口は言う。</figcaption></figure></p>

<h3>行動の導線上にスキャナーがあればチームが変わる？</h3>

<p><strong>西田</strong>　そもそも紙のデータをスキャンすること自体を面倒くさいと感じている人もいると思いますが、実際にオフィスでは、どのようにこのスキャナーを導入するといいのでしょうか。</p>

<p><strong>山口</strong>　一人ひとりの導線上にスキャンポイントがあるような置き方をお薦めしています。オフィスでスキャンをするならMFP（プリンター複合機）でいいという意見もありますが、それではコピー機がある場所まで歩いて行く必要があります。一度で済ませたいから、スキャンするものをまとめ、時間をつくり、コピー機まで持っていく。忙しく働く中でそれは億劫です。それにMFPではフォルダの指定やクラウドへの移動など、スキャンをした後の作業が多くて手間がかかりますよね。しかし「ScanSnapiX1500」なら、こうした作業も含めてボタンひとつに設定できるので、ボタンをタップしてスキャンをするだけで済んでしまいます。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0450.jpg">
<figcaption>コピー機が離れたところにあると、行くだけでも時間を取られるし、場合によっては並ぶこともある。それがデータ化を後回しにしてしまう要因になるから、5〜6人のチームに一台置くなど、一人ひとりの動く導線上にスキャンポイントがあるようなレイアウトにすると良いという。</figcaption></figure></p>

<p><strong>西田</strong>　その導線が保たれて、誰でもすぐにスキャンができる環境が実現したら、働き方やチームがどう変わりますか？</p>

<p><strong>山口</strong>　シェアオフィスやフリーアドレス、在宅勤務や時短勤務など、いまは場所を決めずにどこでも仕事ができます。だからこそ世界で一枚しかない紙の情報を、紙の状態のままシェアするのは難しい。例えば私しか持っていない紙を、私が休んだことで誰も見れなければ、チームのビジネスはストップします。それでは時間を無駄にしてしまう。しかし、スキャナーがあれば瞬時に共有できるので、ビジネスは効率よく進むでしょうし、チーム間のコミュニケーションも活発になるでしょう。</p>

<p><strong>西田</strong>　ところで、「ScanSnap iX1500」には資料や名刺などを自動で判別して振りわける機能がありますが、どのような意図からこの機能を開発されたのですか。</p>

<p><strong>山口</strong>　仕分ける作業をしたり、スキャンする必要かあるかどうかを悩む時間がもったいないという思いがありました。捨てる、残すの選択は、データ化した後に考えればいいのです。紙をまとめて置いてボタンをタップするだけで自動で仕分けるので、億劫に感じることもないし、こまめにスキャンをしやすくなるので、書類や名刺を溜め込んでしまうことも改善できると思います。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=UHKux1Ol_yw
<figcaption>新機能の一元管理をしているのが、ScanSnap専用の新しいソフト「ScanSnap Home」。4つのコンテンツ（写真、名刺、レシート、A4文書）のサイズを検出し、しかるべきフォルダに振り分け、原稿に記載されている文字からファイル名を自動で生成する。現在はフィンテック系クラウドの含めて16程度のアプリケーションと連携している。</figcaption></figure></p>

<h3>スキャンした膨大な名刺データから生まれたアプリケーション</h3>

<p><strong>西田</strong>　データの活用という意味では、私たちの研究はスキャナーで取り込んだ名刺のデータが存在するからこそ成り立っています。そこで今回は、これまで名刺をデータ化してきたノウハウをもとに、ユーザへのサービス向上のために私が開発に携わった2つのアプリケーションをご紹介します。</p>

<p>まずひとつは「バーチャル組織図」というものです。名刺をスキャンすることで、その人の働き方が見えるのではないか、という考えから作られたものです。</p>

<p>例えば、営業部の人は広告会社に営業に行きます。一方で、マーケティング部の人は同じ広告会社にプロモーションの依頼をします。だから同じような名刺を持っているはずです。営業とマーケティングでは、仕事内容は違いますが、広告という同じナレッジが見えてくる。すなわち彼らは、部署をまたいで同じナレッジを持っている社員たちとしてくくることができるのです。</p>

<p>どういう場面で役に立つかというと、例えば、A社と関係性を発展させた営業部の人が、人事部に異動になったとしましょう。後任で営業部にジョインした人がA社にアプローチしたいときに、「バーチャル組織図」を見れば、「同じ営業部内の人よりも、実は人事部のあの人に聞いた方が早い」ということが一目でわかります。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0619.jpg">
<figcaption>西田はR&amp;Dという部署の所属で、R&amp;Dの人間として会社では認識されている。しかし実際の仕事は人事部など部署をまたいでチームを組むという。こうした実際に活動しているチームの情報を名刺を通して明らかにしていくのが「バーチャル組織図」だ。</figcaption></figure></p>

<p><strong>山口</strong>　つながりを可視化することで、どういうタッチポイントでつながっているのかがわかると。ここに個人のスキルや残業時間が加わるとより良いですね。部署間の異動も効率的にできそうです。</p>

<p><strong>西田</strong>　はい。同じようなつながりを持っている人は、同じような能力を持っていることが多いので、退職した人の後任を社内で探すときなどにも利用できるかもしれません。</p>

<p>もうひとつご紹介したいのが「ビジネスマンタイプ分析」です。取り込んだ名刺から、その人がどういう人かを分析するアプリケーションです。「バーチャル組織図」が名刺情報を利用しているのに対し、ビジネスマンタイプ分析は、スキャンをするタイミングに注目しました。</p>

<p>例えば、私が今日、山口さんからいただいた名刺をスキャンします。その後で、一緒に来ている他のスタッフもスキャンをします。すると似たタイミングで同じ名刺を取り込んだことになり、その情報から、おそらく同じ会議に参加していて、同じ仕事をしていることがわかる。こうしたデータから、社内のネットワークを描くことができる。すると、つながりの多い人や、チーム間のハブになっている人なども見え、組織のキーマンを探すことができるのです。</p>

<p>タイプごとに、例えばその会社の中でその人しか持っていない名刺を持っている人は「開拓者」、いろんな業種の名刺を持っている人は「イノベーター」、役職の高い人の名刺を持っている人は「大御所」など、名前もあるんです。このアプリケーションができてから、私は、名刺が増えるたびに、自分はどのタイプに変わるのかと、スキャンをするのが楽しみになりました。社内にいる、自分と同じタイプや真逆のタイプも分析できますし、半年前の自分との比較や同僚のタイプも見ることができるようになっています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0658.jpg">
<figcaption>名刺情報は社外の人脈の可視化だでなく、社内のネットワークも描くことができる。</figcaption></figure></p>

<p><strong>山口</strong>　新しく戦略的な部署をつくるときのチームビルドって難しいじゃないですか。例えば、適任の人がいるけれどいまの仕事が忙しくて負荷がかかりすぎるとか。こうした課題も、名刺のデータを使って解決できるかもしれませんね。日本ではいま、終身雇用という形が崩れつつあります。人は働きがいを求め、自分の存在意義やポジションを明確にしようとする。だからこそデータの可視化が役立つと思います。</p>

<p><strong>西田</strong>　私たちが目指している究極の形は、出会いのデータベースです。紙の名刺がない社会になったとき、僕らのサービスが発展する鍵は、face to faceの出会いの解析にあるのではないかと。例えば、御社と当社の持つナレッジが異なるように、ネットワークの場所が変わればそこに存在する情報も違う。その情報をどう掛け合わせたら、新しいイノベーションが起きるのか、どこに流したら広く世の中に広がるのかということを、「イノベーションをここから生み出す」というビジョン掲げて、研究しています。</p>

<p><strong>山口</strong>　もはや、名刺という分野を超えた、ヒューマン的なアプローチですね。</p>

<h3>目指すのは、ペーパーレス社会より情報が埋もれない世界</h3>

<p><strong>西田</strong>　デジタル化が進み、ScanSnapやEightのようなサービスがさらに進化していくと、紙が存在する必要性を問われるときがくると思います。御社は、ペーパーレスの社会を目指していらっしゃるのでしょうか？</p>

<p><strong>山口</strong>　いいえ。今後われわれが叶えたい未来がペーパーレスの社会かというと、決してそうではありません。紙の良さもあると思っていますから。</p>

<p><strong>西田</strong>　紙の良さって何だと思いますか？</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0539.jpg">
<figcaption>ボーンデジタルの社会を目指しているわけではない、と語る山口。紙で存在する方が良いものもあるという。</figcaption></figure></p>

<p><strong>山口</strong>　例えば、文書の文字校正をするとき、モニター上では見つけられなかった誤字を、紙に印刷して確認したら見つけられた、という経験はありませんか？　それに会議や商談などで、相手によってはパソコンやスマホを使いづらい環境もまだまだあります。そんな時に、紙ならメモを手軽に書き込めるし、手元にあればパッと渡せる。紙の方がオペレーション上、都合が良いこともあるのだと思います。</p>

<p>紙だからこそ良いものもありますね。憧れの人の名刺は、データ化しても紙の状態で保管しておくと思うんです。　デジタルの名刺データでもらっても、それではtwitterのアカウントをフォローするのと変わらない。物理的な物を持つという所有感は別ものですよね。だって、アイドルのサインが入った写真集をスキャンしたから原本は捨てるかというと、それは違いますよね（笑）。自分にとって特別感があって、世界にひとつしかないものは、オフラインでしか表現できないものが多いような気がします。</p>

<p>私たちはペーパーレス社会の良し悪しよりも、情報が共有されないことが良くない、と思っています。紙の中にある情報、スキャンしたデータそのものの価値を共有し、上手に活用できる社会が、私たちの目指す未来ですね。ただ、情報をデータ化して活用するまでの間に、スキャンをするしないで悩むのは時間の無駄です。だからまずは気軽にスキャンをして、紙を残しておくかどうかはその後考える。その社会をつくる第一歩を「ScanSnap iX1500」が担えると思っています。</p>

<p><a href="http://scansnap.fujitsu.com/jp/?utm_medium=cpa&amp;utm_source=BNL_ads" target="_blank" rel="nofollow">ScanSnap</a></p>

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    <title>祖父から父、父から息子。裏起毛衣類のパイオニアは二度の経営危機をバトンリレーで乗り越えた - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/12/mochihada-washio.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9151</id>

    <published>2018-12-14T02:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:53:45Z</updated>

    <summary>歴史はあるが管理がずさん。技術はあるが見せ方が下手。倒産しかけた二代目の父親の会社に入社した鷲尾岳は、後継ぎの模範となるような、華麗なる経営改革と、新たな話題を呼び込む新製品を作り上げた。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="新しい後継ぎのかたち" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="キャリアストーリー" label="キャリアストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="中小企業" label="中小企業" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="後継ぎ" label="後継ぎ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/">鷲尾岳</a></strong><small>ワシオ株式会社 統括部長</small>
<p>1991年生まれ。京都外国語大学で中国語を専攻。卒業後は学びを活かして中国でビジネスがしたいという希望に沿って、父親の先輩の会社に入社。中国東北部の港湾都市である天津市へ派遣される。稼働していない現地の商社を使って新たなビジネスを立ち上げ、黒字化を目指すというお題が与えられ、日本人が経営する飲食店に焼酎を売るビジネスを立案。自ら焼酎瓶を乗せたリアカーを引いて顧客開拓を行った。2016年1月に帰国し、家業であるワシオ株式会社に入社。経営管理を見直し、1年で1億5000万円の経費削減に成功し、会社の危機を救う。その後、新商品開発にも積極的に挑戦し、自ら企画開発した新製品のクラウドファンディングでは、目標金額を大きく上回る成功を収めた。
</p></aside></p>

<p>2016年に行われたリオデジャネイロ五輪。男子4×100mリレーで陸上日本代表は史上二度目の銀メダルを獲得した。この快挙は、得意としてきたアンダーハンドパスの改良と、バトンパスの際のスタートを4分の1足長伸ばすという決勝直前の判断が功を奏したとされる。一方、3位入線したアメリカ代表は、バトンの受け渡しの失敗が理由で失格処分を受けている。</p>

<p>バトンリレーはうまくいけばチームを推進する"加速力"になるし、失敗すれば致命傷にもなる。これは会社についても同じことが言えるのではないか。</p>

<p>兵庫県加古川市にあるワシオ株式会社は裏起毛衣類のパイオニア。独自の起毛技術により圧倒的な保温力を実現した肌着「もちはだ」は50年にわたって愛されるロングセラー商品として同社の経営を支えてきた。ワシオは63年の歴史の中で二度の大きな経営危機を経験している。一度目は1990年。二度目は2015年。どちらの危機を乗り越えるのにも「後継ぎ」のストーリーが絡んでいる。</p>

<p>祖父から父へ、父から息子へ。バトンはどのように受け渡され、その結果会社には何がもたらされたのだろうか。</p>

<h3>突然死した父の教えを忠実に守る二代目</h3>

<p>ワシオの前身である鷲尾商店の創業は1955年。古くから日本有数の靴下の産地として知られる加古川市で、現社長・鷲尾吉正の父にあたる邦夫が、靴下の卸売りの会社として興したのが始まりだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4955-final.jpg">
<figcaption>創業者、鷲尾邦夫の肖像が会議室に掲げられている。</figcaption></figure></p>

<p>看板商品の「もちはだ」が誕生したのは、その15年後。取引のある靴下生産者の一人が偶然もちはだの原型となる裏起毛の生地を発明し、邦夫の元へやってきた。邦夫は仲間とともにこれを商品化しようと試みたが、当時の技術ではかかと部分を縫うのが難しく、靴下としての製造は断念。代わりに、まっすぐな円筒生地だけでかかと部分を必要としないタイツを作るという逆転の発想で、もちはだは誕生した。</p>

<p>もちはだの保温力は、某大手アパレルブランドの機能性肌着の約2倍と圧倒的。これは、公的機関による後の調査で証明されている。一般的な機能性肌着は「発熱」というアプローチだから、熱くなりすぎたり、着用時間が長くなると逆に発熱しなくなったりというデメリットがある。その点、もちはだに用いられているパイル起毛技術は、空気の層を作ることで体温を逃さないメカニズム。ゆえにいつでも快適を保つ。また、軽い上に伸び縮みするから着心地も抜群だ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4982-final.jpg">
<img src="/uploads/_L2A5067-final.jpg">
<img src="/uploads/d11791-11-351977-1.jpg">
<figcaption>ループと起毛で二重に断熱する。この独自の技術が他社が真似できない「もちはだ」最大の強みだ。</figcaption></figure></p>

<p>世界的な冒険家として知られる植村直己も、もちはだの靴下を愛用したとされる。この圧倒的な素材を武器に、しばらくは「何を作っても売れる」状態が続いた。</p>

<p>しかし1990年、突如として会社を揺るがす大事件が起こる。邦夫が急死したのだ。当時31歳だった吉正はワシオの専務として、すでに家業を継いでいた。だが、「その時」はあまりに早く、そして突然にやってきた。ワシオはこの年、創業以来初めて赤字に転落した。</p>

<p>吉正は経営者としての自身を「典型的な二代目」と表現する。突然バトンを受け取り、いきなり大きな危機に直面していたという状況もあり、先代である父親の教えを忠実に守り、踏襲していくことを心がけた。</p>

<p>「その一つが海外進出です。親父は生前、『全世界の寒いと言われている地域でもちはだを提供したい』と言っていました。晩年は韓国に進出しようと模索もしていたんですが、残念ながら実現しないままに亡くなってしまった。親父だったらどうするか。そんなことを考えていたら、代表に就任した数年後に中国との縁ができた。この縁をたどって、上海でもちはだを販売することを始めたんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A5256-final.jpg">
<figcaption>現社長の鷲尾吉正。自分の父親が創業した会社のバトンを受取り、いま息子に経営のバトンを渡す準備を進めている。</figcaption></figure></p>

<p>これが大きな成功につながった。当初は既存の国内工場で生産し輸出していたが、すぐにキャパシティオーバーに。そこで、中国進出を手伝ってくれていた会社との合作で現地に工場を設立。その後は中国で生産したものを"逆輸入"するまでになった。見切り発車でスタートせざるを得なかった経営者としての歩みだったが、こうした成功体験を積み重ねることで、吉正は徐々に自信をつけていった。</p>

<p>順調な経営はその後十数年間続いた。だが、2012年になって再び大きな危機がワシオを襲う。中国の政治体制が変わり、"贅沢禁止令"が公布されたことで高級市場が一気にしぼんだ。高級下着として一定の地位を築いていたもちはだにとっても、これが大きな打撃になった。</p>

<p>一方、国内では安価な機能性肌着が普及し始め、強力なライバルとして立ちはだかった。また、円安の影響で中国からの"逆輸入"で帳尻を合わせることもできない状況に。さらに追い討ちをかけたのが2015年の記録的な暖冬だ。売上前年比6000万円減の大打撃を受け、順風満帆に見えたワシオはたった3年で「このままだと倒産する」ところまで追い込まれた。</p>

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<figcaption>大学卒業後、いきなり中国で焼酎を売る新規事業を立ち上げ、実戦形式で経営を学んだ鷲尾岳が、家業倒産の危機を救った。</figcaption></figure></p>

<h3>三代目登場。人でなしと罵られても大鉈を振るう</h3>

<p>この創業以来の危機を救ったのが吉正の次男・岳だった。もともと家業を継ぐ気などなく、自ら起業するつもりでいた岳は、大学卒業後は同級生が選ぶような"普通の就職"はせずに「すぐに中国に送り込んでくれるぶっ飛んだ会社」を父親に紹介してもらい、海を渡る。そこでビジネスのいろはを叩き上げで学んだ。</p>

<p>入社して1週間で新規事業の事業計画書を作るよう指示され、わからないことは「ググりながら」なんとか書き上げた。たまたま神戸の焼酎の会社とツテがあったため、それを仕入れて天津で現地の日本人向けに売るビジネスを始めた。とにかく飲み会に顔を出すことで、ゼロから販路を開拓。「自らリヤカーを引いて酒を売り歩く22歳の日本人」は現地でも話題になった。</p>

<p>実家には度々帰っていたが、あるころから両親が経営方針をめぐって喧嘩をする場面に遭遇する頻度が増えた。岳はその仲裁役。家業の経営状態が芳しくないことは嫌でも伝わってきた。そして2015年の冬、いよいよ危機感を抱いて岳は帰国した。形式上は父親に頼んで入社した形だが、内心は「自分が親父を助ける」覚悟でいた。</p>

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<figcaption>このままでは父親の会社が倒産するのは時間の問題。当時24歳だった次男は、自ら会社を救うための挑戦を始めた。</figcaption></figure></p>

<p>とある関西ローカルの情報番組に取り上げられたことがきっかけで、もちはだはその後の2週間で7000万円の売上を記録。幸いにしてワシオは当面の危機を回避することができた。けれども入社してみてわかったのは、同社が抱えた問題はより深刻で、本質的なものだということ。「本当の地獄の日々は、むしろここから始まりました」</p>

<p>何が問題かが見えないのが最大の問題だった。というのも、岳が入社するまで、同社ではあらゆることが手計算の"どんぶり勘定"で行われていた。「例えば二人いる原価計算担当はそれぞれ別のやり方をしていて、一方では300円のところ、もう一方では350円で計算されているありさま。これではどこに問題があるのか分析のしようもないですよね」</p>

<p>まずは、社内のあらゆるものを数字に直すところから始めなければならない。入社してすぐはあらゆる係数の洗い出しとデータ化をずっと行っていた。そして1か月後、棚卸作業を開始すると3日間、岳はほとんど一睡もせずに一人で作業にあたった。そうしてすべてを数字として見える化し、Excelにまとめて父親に突きつけた。それまでは決算猶予直前の2カ月をかけて全社総出で行っていた作業。これには吉正以下、社内の誰もが驚かされた。</p>

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<figcaption>まずは会社の問題をきちんと可視化することから着手。そこから経費削減の改革をスタートさせた。</figcaption></figure></p>

<p>これで改善のための土台は整った。だが、肝心の見えてきた数字は芳しいものではなかった。また、すべてを見える化すると、ややこしい人間関係も見えてくる。検品作業を親戚の会社に不当に高い賃金で外注してきた実態もつまびらかになった。</p>

<p>これをすべて自社でやることにすれば、かなりの経費削減が実現できる。試算に基づいて資料を作り、社長に提出。外注先である親戚に説明に行ってもらったところ、返ってきたのは「この資料を作ったのは誰や！人間やない！」という罵倒の言葉だった。</p>

<p>しかし、多少の摩擦があっても必要と思うことを粛々と進める強さが岳にはあった。結果、売上5億円の会社がこの1年で1億5000万円の経費削減に成功。いい意味でも悪い意味でも和を重んじてきたそれまでのワシオに、岳はドライな経営判断を持ち込んだ。</p>

<p><figure>
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<figcaption>社内の問題に解決の糸口を見出すと、次は外に出て、いままでのワシオにはなかった新たな価値を、一緒に作っていける協力者を探し求めた。</figcaption></figure></p>

<h3>受け継がれたスペシャルな技術に外の視点を掛け合わせる</h3>

<p>岳がもたらしたもう一つのもの。それは外の視点だ。</p>

<p>「もちはだは間違いなく特別。そう言えるのは、単に高性能というだけでなく、それがワシオにしか作れないものだからなんです」</p>

<p>もちはだが約50年前、靴下製造の応用で発明されたというのは前述した通り。しかし驚くべきことに、ワシオでは様々に商品ラインナップを増やした現在に至るまで、当時の靴下の編み機を改造して使い続けている。当然、改造のためのパーツなどこの世には存在しないから、職人が自らそれを作ることになる。ワシオにはそれ専用の工房があり、ガスバーナーやグラインダーなど、機械製品の製造現場さながらの設備が整っている。繊維の職人が火花を散らして溶接する。この奇妙な光景を前に、工場見学者はみな眼を見張る。</p>

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<figcaption>加古川にあるワシオの工場では、140台以上の丸編み機が稼働している。40年以上前から独自に開発を積み重ねてきたものだ。オルゴールと自転車の駆動部分を組み合わせたような複雑なアナログの仕組みにより、必要な箇所に起毛を施しながら自動的に素材が編み上がっていく。その機械の開発を担当する小谷章二は、もはや繊維職人としてのスキルを超越している。ただし小谷はすでに70歳を越えている。技術継承の課題もある。インタビュー中、三代目は自らその技術を学ぶ意欲を示していた。</figcaption></figure></p>

<p>なおかつ機械のメンテナンスやカスタマイズにマニュアルは存在せず、職人の経験と勘に頼るしかない。悪く言えば属人的。ゆえに誰も真似できない。「ワシオのアイデンティティはここにある」というのはそういうわけだ。</p>

<p>問題は二つあった。一つはそうした良さが世の中にまだまだ伝わっていないこと。たった15分の情報番組により首が繋がったという2015年の出来事は、もちはだのモノとしての素晴らしさを証明すると同時に、それがいかに伝わってきていないかを物語っていた。どうにかこうにかここまでやってこられたことで、社内の人間はそのことに気づけていなかった。</p>

<p>もう一つの問題は「決定的にダサいこと」だと岳は言う。「もちはだは肌着として販売してきた商品。そのため『あったかいけど、一枚で着るのはちょっと恥ずかしい』という声が多かった」</p>

<p>この二つの弱点を補うものとして昨年取り組んだのがクラウドファンディングだった。一枚で着られるスタイリッシュさを備えた「ラグランT」を新たに開発し、素材の確かさや背景にある技術のユニークさといったストーリーとともに発信。<a href="https://www.makuake.com/project/mochihada/" target="_blank" rel="nofollow">1303%という目標を大きく上回る大成功</a>を果たした。</p>

<p>こうしたアイデアは既存の社員だけで考えていても出てこない。とはいえ、経営状況を考えれば若いクリエイターを新たに雇う余裕もない。「外部の人をいかに巻き込むかが大事」と岳は考えた。</p>

<p>そこで、外部のブランドディレクターを起用したアウトドアブランド「<a href="http://yetina.com/" target="_blank" rel="nofollow">YETINA（イエティナ）</a>」に、会社として次なる進化の可能性を見出し、事業を加速させた。高性能の素材はあれどアイデアやセンスがないワシオ側と、センスはあるが実績や先立つ物がない若いクリエイターは、お互いの強みを活かし、弱みを補完し合うことでwin-winの関係になれた。</p>

<p><figure></p>

<div style="padding:56.25% 0 0 0;position:relative;"><iframe src="https://player.vimeo.com/video/290846864?byline=0&portrait=0" style="position:absolute;top:0;left:0;width:100%;height:100%;" frameborder="0" webkitallowfullscreen mozallowfullscreen allowfullscreen></iframe></div>

<p><figcaption></figcaption></figure></p>

<p>他にもオンラインサロンに参画したり、ラジオ番組を始めてゲストのミュージシャンの影響力を活用させてもらったりと、外部の知恵を取り入れるための工夫をいくつも重ねた。</p>

<p>それまで接点のなかった人たちとの付き合いができ、メディアの掲載が増え、それが新しい仕事につながった。暇を持て余していた工場は、いまや一周回って「なんでこんなに忙しいんだ」と職人が愚痴をこぼすほどの状況になっている。目下の課題は、業務効率をいかに改善するか。まさにうれしい悲鳴だ。</p>

<p><figure>
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<figcaption>入社後、自分の改革の提案を父親は素直に受け入れてくれた。だからこそ、いまの成功があるという。
</figcaption></figure></p>

<h3>対照的な二人。でも・・・</h3>

<p>伝統を守るべく父親の教えに忠実に従い、和を重んじてスタッフを全面的に信頼してきた二代目。人でなし呼ばわりされてもドライに改革を断行し、次々に新たなチャレンジをする三代目。対照的にも見える二人だが、ぶつかることはないのだろうか。</p>

<p>「だって結果が圧倒的でしたから」と笑うのは二代目・吉正の方だ。「最初は3年くらい、上海で遊ばせておけばいいくらいのつもりでいたんです。それが、全社総出で2カ月かけてやっていた棚卸しをたったの三日でやりきってしまった。本当に驚かされました。その後も約2年間、時には夜遅くまで、一日も休むことなく働いてくれて。誰より働いているのは明らかだったし、結果も圧倒的。となったらもう、口を出す余地なんてないじゃないですか」</p>

<p>一方の岳は「これが社長のすごいところ」と父親を立てる。「かなり早い段階で『お前が好きなようにすればいい』と言ってくれた。内心はぼくのやり方に対してストレスもあっただろうし、嫌な思いをすることもあったと思うんです。なのにそれを素直に受け入れることができる。そこはぼくには到底真似できないところです」</p>

<p>「任せられる後継者がいない」というのは、町工場に限らず、企業が抱える最大の経営課題の一つ。だが、これはたしかに跡を継ぐ側の能力の問題である一方で、跡を継がせる側の度量の問題と考えることもできる。バトンリレーは受け渡す側にも技術が求められるのだ。</p>

<p><figure>
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<figcaption>過去のイノベーションがあったからこそ、いまの成功がある。インタビューを行った会議室には、祖父の時代から三代に渡って作ってきた製品が並べられている。</figcaption></figure></p>

<p>ワシオは昨年に続き、今年もクラウドファンディングを実施した。このほど終了した「<a href="https://www.makuake.com/project/mochihada02/" target="_blank" rel="nofollow">冬の朝、パッと布団から出られるパジャマ</a>」のプロジェクトは、前年の「ラグランT」を上回る2234%の大成功を遂げた。二つのプロジェクトに通じるテーマは「世の中から寒いをなくしたい」。この言葉に込めた思いを岳は次のように語る。</p>

<p>「布団から出られないでもぞもぞする時間って、本当に無駄でしかないじゃないですか。その時間を有効活用できたら、いろんなことできる。このアイテムがあれば本当に生活が変わるんです。『寒い』をなくすことで全人類を幸せにしたい。これがぼくらのやりたいことなんですよ」</p>

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https://www.youtube.com/watch?v=1a5GEeKhQQ0
<figcaption>この秋にMakuakeで新たに立ち上げた「<a href="https://www.makuake.com/project/mochihada02/" target="_blank" rel="nofollow">冬の朝、パッと布団から出られるパジャマ</a>」のクラウドファンディングは、大成功を収めた。一般向けの発売は、2019年3月頃を予定している。</figcaption></figure></p>

<p>全人類を幸せにする──。なんともでかい話だが、後継ぎであるには、個人的にもどうしても"大きなこと"を掲げる必要があった。「これは基本的には、元々はおじいちゃんのビジネスであり、親父のビジネス。継いでいくという時に、ぶっちゃけ思いを乗せにくい部分がありました。でも、人間はやはりいいことをやっている方がモチベーションが上がる。社会貢献する気持ちを持ちたい。そういう思いでいまはやっているんです」</p>

<p>自らをモチベートするため......けれどもよくよく聞けば、これは吉正が上海に進出するきっかけとなった「全世界の寒いと言われる地域でもちはだを提供したい」という祖父の言葉と同じことを言っている。アプローチは違っても、その思いは脈々と受け継がれている。使い古された言葉だが、「インターネットの世界に国境はない」のだとするならば、二度目の経営危機を乗り越えて、ワシオはそのビジョンにまた一歩近づいたのだ。</p>

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    <title>技術革新の荒波を前に、大阪のとある町工場が選んだ戦い方──最高のTシャツ「EIJI」はこうして生まれた - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/12/eiji-miki.html" />
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    <published>2018-12-12T02:10:29Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:53:42Z</updated>

    <summary>超一級品のコットンを使用して、日本有数の技術を持つ大阪の職人たちが最高の1枚に仕上げる。クラウドファンディングでも話題になったTシャツブランド「EIJI」を立ち上げたのは、ファストファッションの煽りを受けて苦戦を強いられていた縫製会社の跡継ぎだった。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="新しい後継ぎのかたち" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="中小企業" label="中小企業" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="後継ぎ" label="後継ぎ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
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        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/">三木健</a></strong><small>三恵メリヤス株式会社 常務取締役</small>
<p>1981年生まれ。三代目の現社長の息子で、三兄弟の長男。大学在学中に仲間とともに留学支援ビジネスを起業した。当初は国内で競合も多く苦戦したが、ニューヨークに新拠点を設けたことが功を奏し、成功を収める。家業の跡を継ぐために帰国する直前まで、ロンドン拠点をベースに会社を経営していた。2014年9月、大正15年創業の家業である、三恵メリヤス株式会社に入社すると、父親の経営を手伝う傍らで、大阪府の助成金を原資にTシャツブランド「EIJI」を立ち上げ、クラウドファンディングにも成功。大阪の繊維職人たちの技術にスポットライトを当てている。
</p></aside></p>

<p>新しいテクノロジーが生まれれば、それがどんな産業であれ、旧テクノロジーの担い手は特権的地位を脅かされる。いつの時代も、技術革新の荒波を前にして生き残るための道はおそらく二つしかない。一つは、新たな技術の波に積極的に乗っかる道。もう一つは、自分の手の内にある旧テクノロジーの価値を改めて問い直す道だ。</p>

<p>大阪市北区中崎町にある創業90年の縫製工場「三恵メリヤス」の次期後継者・三木健が選んだのは、後者の道だった。ファストファッション全盛の、大量生産・大量消費を是とする世の中に抗い、逆に大阪じゅうの匠の技を結集することで、これまでになかったTシャツを世に送り出した。それが同社の新しいフラッグシップモデル「<a href="https://eiji-o.jp/" target="_blank" rel="nofollow">EIJI</a>」である。</p>

<p><figure>
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<figcaption>日本一の繊維の街である大阪。その90年の歴史を紡ぎ、糸の１本１本に職人の想いと技術を込め、糸から縫製まで一気通貫。昨年7月に"人生で最高の1枚を。"というキャッチコピーでクラウドファンディングを開始すると、<a href="https://www.makuake.com/project/eiji1926/" target="_blank" rel="nofollow">131人から約171万円の支援を得ることができた</a>。</figcaption></figure></p>

<p>紡績から縫製までを一気通貫したオール大阪のものづくりにより、「人生で最高の一枚」の看板に恥じない優しい肌触りと軽い着心地を実現。「Makuake」でのクラウドファンディング成功を皮切りに、新たなファン層の開拓に成功しつつある。</p>

<p>最先端を追い続けるレースに終わりはなく、繰り広げられる競争は日を追うごとに苛烈さを増す。そこで生き残れるのはひと握りだ。三木の挑戦は、日本のものづくりが視野に入れるべき「もう一つの戦い方」を示してくれているように見える。</p>

<h2>倒れられない理由がある</h2>

<p>三恵メリヤスのある中崎町は、古い長屋をリノベーションした隠れ家的なカフェや雑貨店が点在する、若者に人気のエリアだ。大型商業施設の立ち並ぶ梅田のすぐ隣に位置しながら、戦前のレトロな町並みをいまに残し、細い路地を縫うようにして散策するのが楽しい。</p>

<p>「この周辺にはかつてたくさんの縫製工場が並び、東洋のマンチェスターと呼ばれた大阪の繊維産業を支えていた時期がありました。大阪ニット工業組合の会員数は1963年に1326社もありましたが、2016年には68社まで減っています。この一帯にも30年前までは8社の縫製工場があったのですが、近年相次ぎ廃業し、いまやこの地域に残る縫製工場はうちだけになってしまいました」</p>

<p><figure>
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<figcaption>三代目社長、三木得生の長男として生まれたが、「継いでほしい」と父親から直接言われたことは一度もなかったという。</figcaption></figure></p>

<p>同社はもともと学校の体操服やスポーツウェアを中心に扱っていたが、三木の父で現社長の得生の代になって自社ブランドを立ち上げたり、カジュアル服の生産を始めたりしたことで経営を改善。ここ数年は横ばいを維持しているという。</p>

<p>工場が潰れて残されるのは、高齢の職人と古いミシンだ。中崎町にはいまもそうした人たちが住んでいる。いち町工場に過ぎない三恵メリヤスが抱える縫製職人はわずかに4人。だから手に余る大型の仕事が入った時には、周辺に住む元職人に手伝ってもらう。彼らはそれで糊口を凌いでいる。三恵メリヤスには簡単には倒れられない理由があるのだ。</p>

<p>そんな中崎町に三木が戻ってきたのは2014年9月と、ごく最近のことだ。高校卒業とともに上京し、東京の大学に進学。在学中に友人と留学ビジネスの会社を興し、以来、家業とは別の道を歩んでいた。</p>

<p>手がけていたビジネスは順調だったし、もう戻ることはないものと思っていた。状況が一変したのは、父が一時入院し、経営に支障が出た時だった。父親のバックアップが必要だということが明らかになった。共同創業者の友人や自分を慕って集ってくれた社員のことを思うと、志半ばで会社を離れるのは心が痛んだが、最終的には「自分が大学に行けたのだって工場のみんなのおかげ。自分のせいで路頭に迷わせることはできない」と跡を継ぐことを決めた。</p>

<p><figure>
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<figcaption>ベテランの縫製士が働く現場にて。「普段こんなことはしませんが」と笑いながら大きな生地を抱えて、快く撮影に協力してくれた。</figcaption></figure></p>

<h2>繊維産業が抱えるドミノ倒しのリスク</h2>

<p>三木が戻ってきた当時、三恵メリヤスの経営はそこまで悪い状態ではなかった。1990年代前半以来のアメリカンカジュアルウェアのブームが来ていたおかげで、同社にも有名ブランドから大型の案件が舞い込んでいた。</p>

<p>「でも、それは未来永劫の安泰を意味するものではありません」。どの業界にも通じる下請け業者の宿命だが、有名ブランドのOEMの仕事をやっていても、町工場の名前は一切表に出ない。いまはたまたま潤っているが、ブームが過ぎれば次の仕事がある保証はなかった。</p>

<p>むしろ水面下では会社存続の危機につながりかねない大きな"事件"が起きていた。長く取引を続けていた染工場が倒産したのだ。跡継ぎとしての三木の最初の仕事は、新たに取引を始める染工場への挨拶回りから始まった。</p>

<p>繊維産業には、紡績－編み－染め－裁断－縫いと続く数珠つなぎの分業体制がある。そのため、取引先の倒産はその前後の工程を担う各社にとって人ごとでは済まされない。実際、かつて中崎町にあった他の縫製工場のいくつかは、取引先の倒産をきっかけとして、ドミノ倒しの形で撤退していた。</p>

<p>中でも特に影響が大きいのが、染工場の動向だ。</p>

<p>「染工場は必要な初期投資が大きく、汚水の問題もあるから新規参入は事実上不可能。だから取引先が倒産したとなれば、既存の工場の中から代わりを探すことになる。とはいえボイラーの温度が少し違うだけでも出来上がりの風合いは変わってしまうので、機械のパーツを取り替えるように簡単にはいきません」</p>

<p>しかもあろうことか、三木が戻ってきて最初に挨拶へ行った新しい取引先も、その3ヵ月後には倒産してしまった。ならばと見つけた次の染工場も、その直後にボイラーの火災に見舞われ、復旧を諦めて撤退。三木は帰ってきてすぐに、この産業がもつ構造上の危うさを身をもって体感することになった。</p>

<p>そんな三木が「何か手を打たなければ」と危機感を強めたのは自然な流れだった。「仮に数珠つなぎのどこかが倒産しても、ブームが過ぎ去っても、残された町工場それぞれに次の仕事が残る仕組みを作ることはできないか」──。こうした切実な問題意識が、三木に「EIJI」を構想させることになる。</p>

<p><figure>
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<figcaption>オーダーに従って型紙を切る職人さん。お客様の細かな要望に対して、長年の経験を活かした確かな技術で応える。</figcaption></figure></p>

<h2>技術こそが町工場の武器</h2>

<p>「とはいえ、町工場が勝負するのに、流行りに乗ってデザインだなんだといっても勝ち目がないことは明らかです。町工場は町工場なりの戦い方をしなければなりません」。それが、培った技術を武器にした戦い方だった。</p>

<p>三恵メリヤスには、祖父の代から勤めていて、社内で「番頭」と呼ばれる専務の尾崎正和がいる。三木は戻ってきてすぐにその尾崎に呼び出された。自社で作ったスウェットの袖口を手に取り、尾崎は三木を諭すようにこう言った。</p>

<p>「このふわふわで縫い目のないリブを見てください。リブっていうのは編み物だから通常は縫い目があるんです。しかも化学繊維でできているのが一般的。だから肌に当たるとチクチクする。うちはコットンを筒状のままふわっと起毛させることで、着る人が気にならないように工夫しています。ここまでこだわれる技術はうちにしかないんですよ」</p>

<p>実は、実際に帰ってくるまでの三木は町工場に対してネガティブなイメージしか持っていなかった。ミヒャエル・エンデの児童文学「モモ」で描かれるがごとく、徹底して時間管理された中で働く工場の労働者は皆、心に余裕がなく、暗い雰囲気が漂っているものだと思っていた。だが、自社のこだわりを滔々と語る尾崎は予想に反して明るかった。</p>

<p>そう言われて見渡してみると、縫い方の一つ、ワッペンの貼り方一つとっても、職人がすごい手間暇をかけ、こだわりを持って作っていることがわかった。町工場には自分が知らないすごい技術がいまも残っている。「これは案外戦えるのでは」と三木は思い始めていた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0333-1-final.jpg">
<figcaption>旧式のミシンだからこそ、細かな調整ができ、高度な縫製技術を発揮できるという。</figcaption></figure></p>

<p>世の中は大量生産・大量消費の価値観が支配している。そのための効率という意味では、確かに町工場に勝機はない。中国の大規模工場で使われる最新のミシンは、誰が扱っても均一にまっすぐに縫えるすごい性能。かたや三恵メリヤスにあるのは、もう作られていない古いミシンばかりだ。経験豊富な職人にしか使いこなせない。ゆえにスケールしない。</p>

<p>だが、職人の技術に依存するというのは何も悪いことばかりではない。例えばこだわりの強い消費者のリクエストに一つ一つ応えたり、前述したような技術を駆使して、さまざまな工夫を施したり。これは、効率を優先し、バッファを極限までなくした最新の機械には真似したくても真似できないことだ。</p>

<p>「何事においても効率が優先される現代に対して、かつて人の時間よりもモノが貴重だった時代がありました。そうした時代に育まれた技術には、いたるところにモノを長持ちさせるための工夫がある。町工場には、その技術を持った職人と古い機械がいまなお存在しているんです」。それは縫製においてもそうだし、生地の編み方にも、染め方にしても同じことが言えた。</p>

<p>こうした「いいモノ」を正しく評価し、欲しいと思う人は現代にだっているはずだ。現に三恵メリヤスには、「アメリカのビンテージウェアを古い作り方で再現してほしい」というリクエストが、海を越えて本国アメリカからもやってくる。アメリカには、そのための技術も職人もすでに存在しないのだ。</p>

<p>そんな素晴らしい技術を持ちながら、一方で町工場は致命的に発信するのが苦手で、その価値を世間に伝えきれていなかった。だが、これは逆に言えば、伝えることさえすれば戦える余地は残されているということだ。「それを伝えることこそが自分の役目なのではないか」。三木はそう思うようになった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0699-final.jpg">
<figcaption>一見、普通のTシャツのようだが、一度着てみると全然違う。肌着のように柔らかいのに、肌が透けてしまう心配もない。</figcaption></figure></p>

<h2>「究極の一枚」にこだわったワケ</h2>

<p>技術の素晴らしさをどれだけ声高に叫んでみても、それだけでは世間には届かない。世の中にその価値を伝えるためには、目に見える形にする必要があった。</p>

<p>そこで生まれたのが大阪じゅうの技術の粋を集めた「EIJI」......というわけなのだが、「潰れそうになった工場が一致団結してフラッグシップを作る」というのは、よくある話といえばよくある話。そしてその多くは失敗に終わる。こうした有象無象のプロジェクトと「EIJI」とでは、どこが違ったのか。</p>

<p>三木は、こうしたプロジェクトが失敗するのには二つのパターンがあるという。</p>

<p>一つは「みんなで団結して......」とやった結果、責任の所在が曖昧になり、「この金はどこが出すのか？」「この仕事はどちらがすべき？」などとお互いに牽制しあって失敗するパターンだ。だから三木は、多くの工場に協力を呼びかけ、最終的にはそのそれぞれに仕事が行くような仕組みづくりを目指しつつも、EIJIはあくまで三恵メリヤスのプロジェクトというスタンスにこだわった。金も出すし、発信も責任を持って行う。その代わりイニシアチブもうちが握る、というように。</p>

<p>もう一つの失敗パターンは、なんとなく自分たちがいいと思うものを作ってしまうこと。「これだけのモノがあふれる時代に、なんとなくいい素材を使って、なんとなく良さそうなモノを作っただけでは絶対に勝てない」と三木は言う。出来上がったTシャツが本当に「最高の一枚」であると言い切るには、そう言い切れるだけの裏付けが必要ということだ。</p>

<p>そのため三木は、たった一枚のTシャツを作るのに、あらゆる素材、あらゆる編み方、あらゆる染め方を試して「最高」と言い切れる組み合わせを探った。その結果選んだのが、アルティメイトピマと呼ばれるアメリカ・ニューメキシコ産のオーガニックコットンを素材とし、80番手×40ゲージという「常識外」の編み方をする現在の製法だった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0442-1-final.jpg">
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<figcaption>世界のオーガニックコットンの年間生産量の内、僅か0.006％というオーガニックコットンの中でも極めて希少な「アルティメイトピマ」を使用。アメリカのニューメキシコ州にあるたったひとつの契約農場でしか作られていないという。</figcaption></figure></p>

<p>アルティメイトピマは、繊維長が約39mmとオーガニックコットンの中では極めて長く、強度も兼ね備えた超長綿の一種。繊維の長さは長ければ長いほどなめらかな肌触りに仕上がるし、アルティメイトピマを使用した製品は使い込むほどに肌に馴染むから、「末永く使ってもらえるように」という「EIJI」のコンセプトにピッタリの素材と言えた。</p>

<p>一方、糸の太さは「番手」と言われる数字で表現されるが、通常Tシャツに使用されるのはおよそ30番手ほどの太さ。そこをEIJIでは、肌触りを追求して80番手という非常に細い糸を選んでいる。だが、この細い糸を通常のやり方で編んだのではスケスケのTシャツが出来上がってしまう。平たくいえば、EIJIはそれを40ゲージという、通常ではありえないほどの密度で編み込むことで解決しているのだ。</p>

<p>80番手×40ゲージという最高の組み合わせを見つけるまでには、約2年の歳月をかけ、あらゆる太さと密度の組み合わせを試した。「すべて試し尽くした。だからこそ、これ以上のものは存在しないと自信を持って言い切れるんです」。当然、必要な資金は莫大になり、当時三木が使える金額の限度をはるかに超えていたが、大阪府の助成金に運よく採択されたことでなんとか賄うことができた。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=iC7te7Etna8
<figcaption>ALL MADE IN JAPANだとしても、実際にどこの工場で作られたのかまでは明らかになっていないことが多い。EIJIは、ブランドのプロモーション動画にも、制作工程に関わる企業の名前を出している。</figcaption></figure></p>

<h2>若い後継者が増えればもっと戦える</h2>

<p>三木がもともと業界内の人間だったら、こんな常識外の作り方は提案できなかったかもしれない。当初は他の町工場からも正気を疑われたが、最終的には「大阪から最高のものを作りたい。そのために最高の技術を提供してほしい」という三木の思いを粋に感じて、採算度外視で協力してくれた。「EIJI」のタグには、協力してくれたすべての町工場の名前が記されている。</p>

<p>「EIJI」のプロジェクトは幸いにも成功を収め、当初の思惑通り、協力してくれた町工場にはその技術を見込んだ指名の仕事が入り始めているという。「みなさんの心意気になんとか応えることができて本当に良かった」と胸をなでおろす三木。大きな博打に勝ったのだ。</p>

<p>いまや町工場であっても、自ら発信することで消費者とダイレクトにつながれる時代になった。武器とすべき技術はまだギリギリ残っている。多くの町工場は倒れたが、逆にいえば、いまなお残っているのはどこも確かな実力を持ったところばかりだ。なおかつ、幸か不幸かシュリンクしきってしまったぶん、業界全体で一致団結して立ち向かおうという雰囲気もある。「戦えるだけの土壌はある」と三木は力を込める。</p>

<p><figure>
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<figcaption>Makuakeの2回目は1回目を凌ぐほど話題になった。ウールの仕入先が潰れてしまうということで、その最後の原料をすべて買い取り、「着数限定EIJI ウールT」としてクラウドファンディングを行ったところ、<a href="https://www.makuake.com/project/eiji-wool/" target="_blank" rel="nofollow">550万円以上の支援が集まった</a>。</figcaption></figure></p>

<p>足りないとすれば、あとは技術を引き継ぐ若い後継者か。業界の青年部会などに顔を出しても、そこにいる経営者は皆年上で、同世代は数えるほどしかいないという。その現状が、三木からすればもどかしい。</p>

<p>「東京の展示会に『EIJI』を持っていくと、次々にクリエイターだったり同業者だったりからコラボしないかと声をかけられるんです。でも大阪には現状、まだそれがない。それは僕自身の信用が足りないということでもあるんでしょうけど、でも、自分のような若い経営者が増えれば、もっともっといろんな面白いことだってできるはずなんですよ」</p>

<p>町工場の反撃の旗印「EIJI」は、そうした未来の同志に向けたメッセージでもある。</p>

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]]>
        
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    <title>頑張りが報われる世界をつくりたい──縫製一家の放蕩息子が全国の職人たちをつなぎ、その未来を紡ぐ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/12/hideki-tani.html" />
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    <published>2018-12-04T01:20:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:53:26Z</updated>

    <summary>「何か手伝おうか？」と提案しても親からは拒否された。ならばと必死になって自分にできることを探し、新会社を立ち上げた。厳密には家業の跡を継いだわけではない。だが、市場全体が縮小する中で新たな糸口を見出した、注目すべき「後継ぎ」の成功事例である。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
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        <category term="新しい後継ぎのかたち" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="キャリアストーリー" label="キャリアストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="中小企業" label="中小企業" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="後継ぎ" label="後継ぎ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/33873288104">谷英希</a></strong><small>合同会社ヴァレイ 代表社員社長</small>
<p>1990年生まれ。幼少期から母の経営する縫製工場でミシンの音を聞きながら育つ。NHK、毎日放送、関西テレビ、朝日放送などのドラマの演出助手や監督補佐を担当。自身も俳優としてドラマ出演を果たす。24歳で芸能界を引退。ワーキングホリデー制度を利用しオーストラリアへ。語学教育のボランティアなどを経て1年で日本に帰国する。地元に戻り母が経営する縫製工場を見た時、その衰退した姿に衝撃を受け、日本の縫製業復興のため、2016年1月に25歳で「合同会社ヴァレイ」を設立する。
</p></aside></p>

<p>経済産業省の工業統計によると、1991年時点で国内に約6万件あった繊維産業の事業所は、2015年にはその四分の一の約1万5000件まで減った。その結果、かつて縫製工場で働いていた女性の多くは家に入り、培った技術はミシンとともに押入れの奥へ。腕はいまでも錆付いていない。働きたい意欲もある。けれども肝心の働く場所がないのでは致し方ないという、惜しむべき現状があった。</p>

<p>そんな元職人が、自宅にいながら気軽に縫製の仕事に就けるようにと考案されたのが、奈良県にあるベンチャー企業・ヴァレイの提案する「MY HOME ATELIER」という仕組みだ。コレクションラインに出展するデザイナーなどから小ロットの仕事をヴァレイが受注、全国の職人をつなぐネットワークを構築し、縫製仕事を委託する。</p>

<p>立ち上げから3年が経ち、登録している職人は60人を数えるが、すでにリソースが足りなくなるほど仕事が舞い込んでいるという。子育ての合間を縫って小遣い稼ぎをする人もいれば、本業と並行して本格的に取り組む人もいる。リモートに副業、女性活用と、伝統産業でありながらまるで「働き方改革」の先鞭をつけるかのような先進的な取り組みに驚かされる。</p>

<p>この仕組みを考案したヴァレイ代表の谷英希は、祖父母、母と続く縫製工場を営む家に生まれ、姉も日本技能五輪で受賞歴のある腕利きの縫製士という"サラブレッド"。「Makuake」で行った、祖母、母、娘の三代の縫製士が縫ったシャツを選べるという<a href="https://www.makuake.com/project/valleymode/" target="_blank" rel="nofollow">クラウドファンディングプロジェクト</a>も話題になった。</p>

<p>ところが、谷自身はこれまで、ダンサー、俳優、演出家......と、縫製業とは無縁の人生を送ってきた。家業の経営が危ないと聞きつけ、営業として入社して手伝うことを提案するも、他ならぬ母から「嫌だ」と断られる始末。「だったら自分でやるか」と、母の工場の隣に事務所を借り、立ち上げたのがヴァレイだった。</p>

<p>谷はどうして、母に断られてなお縫製業の世界に足を踏み入れたのだろうか。門外漢のはずの谷になぜ、眠った技術を掘り起こす新たなビジネスモデルを考案することができたのか。そこには、一見すると縫製業とはなんの関係もないキャリアを歩んできた谷が、いくつもの挫折を経験する中で募らせた、「頑張りが報われる世界をつくりたい」という思いがあった。</p>

<p><figure>
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<figcaption>奈良・法隆寺の隣駅からタクシーで15分ほどの立地にある、ヴァレイの事務所兼縫製工場を訪ねた。この場所を拠点にして、「日本の縫製業を次世代につなぐ」こと。それが谷の会社が掲げるビジョンである。</figcaption></figure></p>

<h3>古くて新しい「MY HOME ATELIER」のビジネスモデル</h3>

<p>「MY HOME ATELIER」に登録している職人には、個人として自宅で細々とやっている人もいれば、小さな工場単位で契約しているところもある。登録するのに特に資格は必要ないが、新たに契約する際には必ず適性テストを行う。「縫製工場で働いたことのある人でなければ受からないレベル。だから職人の腕は保証できます」と谷。</p>

<p>一方、発注者はコレクションラインに出るようなデザイナーが多い。こうした服は高い技術が必要とされる上、15〜50着ほどの小ロットだから、普通の工場では採算が合わず、なかなか受けられない。得意分野の違うさまざまな職人をネットワークしている「MY HOME ATELIER」であれば、それが可能になるというわけだ。</p>

<p>「とはいえ、工場が内職さんに仕事をアウトソースするやり方自体は、特別目新しいものではありません。違うのは、どこまで分業し、どこをアウトソースするか。うちの場合は、アウトソースするのは縫うところだけ。それ以外は全部、本部でやる。これが大きなポイントなんです」</p>

<p>在宅で仕事をやろうとなった時、一番のネックになるのが、特殊ミシンを持っていないことだという。例えば、シャツにボタンの穴を開けるためには、それ専用のミシンが必要だ。一般家庭でそんな特殊なものを抱えるわけにはいかないから、ボタンを開けるためだけにデパートに持ち込んで、ということになる。それでは手間だし、手取りが減ってしまうから旨味がない。その点、ヴァレイの本部には特殊ミシンや、0.8ミリまで検知できる高性能の検針器などが揃っていて、最終仕上げはすべて本部で行える体制が整っている。</p>

<p>「在宅では難しいもう一つの工程が裁断です。ワンピースを一つ作ろうと思ったら、4メートルほどのスペースを確保し、生地を広げないといけない。一般家庭にそのスペースはないから、その度にテーブルを片付けて広げ、なおかつ2メートルずつ2回に分けて切ったりする。そうすると切るだけで2、3日使うことになり、納期の半分が過ぎてしまうということが容易に起こります。だからうちでは、裁断まではすべて本部で済ませて、内職さんは縫製だけをやればいいという仕組みを整えているんです」</p>

<p>糸から何から、必要なものはすべてパッケージにして送るから、職人は送られてきたものを指示書通りに縫い、チェックリストに従って抜け漏れがないかを確認し、そのまま送り返すだけでいいことになる。</p>

<p>「僕らがやっているのは、クライアントと職人をマッチングする仲介業でも、プラットフォームでもありません。うちはあくまで工場なんです。必要な設備を整え、縫うところだけをアウトソースしている。だからどれだけ外の人に頼っていても、品質はこちらでコントロールできるんですよ」</p>

<p><figure>
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<figcaption>（上）裁断など、家庭では非効率になる作業に関しては、大きな設備が整う本部の工場で行っている。（中）特殊な糸まで家庭で揃えるのは難しい。そこで本部からプロジェクトごとに使う糸を職人さんの家に配送して、完成した衣服と一緒に返却してもらっている。（下）ボタンの穴を開ける作業など、特殊な機械が必要になる仕上げも、ここで全て行っている。</figcaption></figure></p>

<h3>放蕩息子、母から「NO！」</h3>

<p>谷の実家は代々続く縫製工場だ。元々岐阜で営んでいたものを、祖父の代になって現在の奈良県北葛城郡に移転。そのタイミングで母が跡を継いだ。谷はその長男として生まれたが、幼いころから母には「継ぐな」と言われていたという。</p>

<p>「どれくらい稼げる商売なのかは、母自身が一番知っていたということでしょう。それに、一時期イトヘン関係の人からは必ず『中国』という言葉が聞かれたくらいに、生産拠点がどんどん海外に移り、周りの工場がバタバタと閉じていく時代でもありました」</p>

<p>そんなこともあって、谷は自分の道を進んだ。表現したい欲求が強く、高校卒業後はプロのダンサーを目指し、専門学校に。しかし怪我もあり、また身長が低いこともキャリアの壁になって、最初の挫折を味わった。</p>

<p>その後は役者へと方向転換。だが、ここでも才能の限界を感じて、今度は演出家に転身した。個人事業主として関西のテレビドラマ制作などに携わり、しばらくはそこそこうまくいっていたが、次第に業界の景気が悪化。谷自身も20代の後半に差し掛かるタイミングで、改めて身の振り方を考えるようになった。</p>

<p>「ハリウッドで勝負しよう」とも思ったが先立つものがなく、どういうわけか「海外に行きたい」という思いだけが残って、ワーキングホリデーでオーストラリアへ。1年間働き、それなりに金も貯まったが、それも帰ってくるまでにはすべて使い切ってしまった。関空に降り立った時には、実家までの交通費に困るほどの懐具合。そんな20代を過ごして、数年ぶりに奈良へと帰ってきた。</p>

<p>「帰ってきて驚いたのは、僕が行く前となにひとつ変わっていなかったことでした。工場で働いている人の顔ぶれは全員一緒だし、相変わらずFAXでやりとりしている。僕がもういらないからと言って置いていった古いデスクトップパソコンをいまだに使っているし、その使い方もExcelで発注書を作る程度のこと。世の中はこんなにも変わっているのに」</p>

<p><figure>
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<figcaption>起業した一番の理由は、自分の家族の頑張りを正当に評価してほしいという想いにあった。裕福とまでいかなくとも、ファッションが好きな人たちなので、自分の好きなデザイナーの服くらいは自由に買えるような暮らしをしてほしいという。</figcaption></figure></p>

<p>母の会社が下請けをしていた関西の大手ユニフォーム会社が潰れ、関連の工場が軒並み潰れるという危機的状況も発生していた。母の会社自体はたまたま超有名デザイナーのライセンス事業が割り振られていたため、発注元が別の会社に移って仕事は続いていたが、こんなラッキーがこの先、二度三度と続くとも思えない。</p>

<p>「大丈夫かなと心配になって『手伝おうか？ 俺が営業して仕事を取ってくるよ。出来高契約でいいから』って母に提案したんです。そうしたらなんて言われたと思いますか？ 『嫌や』とひとことだけ。あっさり断られてしまって......。参りましたよ」</p>

<p>谷がそう提案したのにはもう一つ、自分自身ののっぴきならない事情もあった。当時付き合っていた女性との間に子供ができ、急遽結婚することが決まっていた。とにかくお金を稼がなければならなかったのだ。</p>

<p>「自信だけはあったので、だったら自分でやろうと思って部屋を借り、始めたのがいまの会社です。とはいえお金はなかったので、結婚のご祝儀という名目で親戚を回ってお金を集め、その一部を立ち上げ資金に回しました。だから実質、ゼロ円起業みたいなものでした」</p>

<p><figure>
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<figcaption>姉、前川由衣のもとには、指名で全国のデザイナーから注文が届く。取材した日も、ひとり黙々と鮮やかな衣服を縫っていた。</figcaption></figure></p>

<h3>報われない職人の姿にヒントを得た</h3>

<p>一方、姉の由衣は、谷とは対照的な人生を送っていた。高校卒業までは母の会社を手伝い、その時点では「ちょっとミシンのできる女の子」でしかなかったが、卒業後に就職した別の縫製会社が教育熱心だったため、そこで腕を磨いた。技能五輪で全国3位に輝くほどの技術を習得。業界内でも「魔法の手を持つ」と言われるほどになっていた。</p>

<p>その後は実家に戻り、再び母の工場を手伝いつつ、個人としては、金もコネもないという駆け出しのデザイナーの依頼に応えたり、知り合いのバレエ教室の衣装を縫ってあげたりという小さな仕事も請け負っていた。谷が現在のビジネスのアイデアを思いついたのは、この姉の置かれた状況がヒントになった。</p>

<p>「そういう知り合いからの仕事を『かわいそうだから』と言って、めちゃくちゃ安い値段で引き受けていたんです。自分だって食うのもギリギリの状況なのに。職人にはそういう控えめな人が多いんですよ。モノを売る人であれば、原価なりなんなりがあるから、それに儲けを上乗せして......っていう発想になる。その点、技術は言ってしまえばタダだから。でも、本来それはおかしな話じゃないですか。プロの技術は、それに見合う報酬を受け取らなければいけないはず。言葉を選ばずに言えば、そういう人の良さにつけ込まれていたんですよ」</p>

<p>しかし、こんな片田舎にいる姉のことを聞きつけて泣きついてくる人がいるということは、世の中には他にもそういう需要があるはずだ。そう考えて「小ロットからでも縫える」を売り文句にインターネットで募集してみたところ、案の定たくさんの仕事の依頼が来た。それをそれまでよりも高い報酬を支払って姉に縫ってもらうところから始め、母や親戚の会社にも少しずつ手伝ってもらうようになった。これが、現在に続く「MY HOME ATELIER」の原型だという。</p>

<p><figure>
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<figcaption>この「MY HOME ATELIER」のパンフレットに載せている北村さんのように、高い縫製技術を持つ職人さんが、実は全国の家庭に大勢いることがわかったという。現在全国で小規模の町工場も含めて60人くらいのネットワークを築いている。</figcaption></figure></p>

<p>家族親戚以外で初めて仕事を依頼したのは、同じ奈良県に住む「北村さん」という女性だった。ホームページを作って募集したところすぐに応募があり、飛んでいくと、元々プレタポルテ（高級既製服）を作っていたという凄腕の持ち主だった。それが結婚を機に退職し、外に出て働きたいとは思いつつも訳あって断念。技術を持て余しているような状態だった。</p>

<p>「始めてすぐに北村さんのような方と出会えたのは幸運でした。おかげで『本当にそういう人がいるんだ』と確信を持てましたから。そのあとは徐々に応募してくれる人も増えて、中にはちょっと縫い物が好きくらいの人もいたんですけど、ちゃんと探せば北村さんのような方がいるはずだと思えたからこそ、基準を高く保ち続けることができました」</p>

<p>起業して1年が経つころには、奈良県主催のビジネスモデルコンテストで最優秀賞を受賞。そこから県のバックアップを受けたり、メディアにも取り上げられたりしたことで、設備を入れ、職人を増やして......というサイクルが回るようになっていった。</p>

<p><figure>
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<figcaption>製造主任を務める鎌田健太郎は、谷のビジョンに共感して転職してきたヴァレイ初期メンバーのひとり。職人さんと蜜にコミュニケーションを取りながら、各案件の管理を務めている。</figcaption></figure></p>

<h3>コミュニケーションの会社</h3>

<p>「僕はよく言うんです。『ヴァレイはコミュニケーションの会社だ』って。というのも、これまでだって『これを縫ってほしい』という人が工場を訪れることはあったはずなんですよ。でも、80歳のおじいちゃんおばあちゃんに向かって、パリコレに出すようなわけのわからない複雑な服を持っていって、仕様書には読むのも苦労するような細かい文字で指示が書いてある。これでは拒否反応を示して断るのも無理はないですよ。そこには共通言語がないんですから」</p>

<p>だから谷は、A4だった仕様書をA3に拡大コピーしたり、わかりやすいように線を引きなおしたり、あるいは横文字は使わず職人にもわかる言葉に置き換えたりと、コミュニケーションを円滑にするための細かな努力を欠かさない。それが、「ヴァレイはコミュニケーションの会社である」というゆえんだ。</p>

<p>だが、それが大事だというのはわかりつつも、起業した当初はまったくうまくいかなかったという。なぜなら、谷自身が外の世界からやってきた人間だから、縫製の技術がわからない。つまり、谷と職人との間にも共通言語がなかったのだ。まるでIT企業における企画者とエンジニアの関係のような話だが、そうすると技術者からは相手にされない。当時は縫製士である姉ともしょっちゅう衝突した。</p>

<p>そんなスタート地点から、谷はどうやって共通言語を築いていったのか。当然、勉強はした。結果として資格を取得することはなかったが、そのために必要なテキストを山ほど買いあさり、片っ端からページを繰った。あとは泥臭い飲みニケーション。年上の職人と毎晩のように飲みに行き、たくさん話を聞いて回った。</p>

<p>郵送すれば事足りるところ、箱詰めした商品一式を遠く岡山に住む職人の元まで自ら持っていくことで、「頑張ってる若者感」を演出したりもした。そうすると次第に、口では「お前はわかってないな」と言いつつも、"うまいことやってもらえる"ことが増えた。</p>

<p>縫製業どころか、会社の経営自体が谷にとっては初めての経験だ。そのため、起業した当初は完璧な経営者であらなければならないと思っていた。うまくいきだしたのはむしろ、そうした呪縛から解き離れてからだったと谷は振り返る。</p>

<p>「社長・代表ってなると、イキらなあかんのかなっていうのがあるじゃないですか。それをやめて、『わからへんから助けてくれ』って言うようにしたんですよ。そうしたら姉も『しゃあないなあ。だったら技術系のことは私が全部やるから、あんたはお金のことに専念しいや』って」</p>

<p>姉の技術は谷から見ても一級品だ。その一級品の技術をもった職人でさえ、一人では食うも食えない状況に陥っていた。だが、それは経営者である谷についても同じことが言えた。</p>

<p>「一人じゃ仕事ってできないんですね。スーパーマンが一人おってもダメ。仕事はチームでやるものなんですよ。そのことに気づいてから、いろいろなことがうまく回るようになっていきました。だからいまでも、僕と職人さんたちとのギャップは本当の意味では埋まってないんです。でも、それを埋めてくれるメンバーがいるんですよ」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4843-final.jpg">
<figcaption>この日、品質管理の担当者が仕上げていたのは、2019年のパリコレ出展が決まっているブランドのサンプル品。10着くらいの小ロットでの注文は、大きな縫製工場ではなかなか受けてくれない。以前は、デザイナーが自ら内職の人を探す必要があったという。</figcaption></figure></p>

<h3>頑張りが報われる仕組みをつくる</h3>

<p>やっていく中では当然、うまくいかないことも山ほどあるが、いまは経営が楽しい、と谷は言う。</p>

<p>「経営というのは才能じゃない。頑張ったら頑張っただけ評価に返ってくる。もちろん、突然の不渡りとか、自分ではどうにもならないこともありますけど、そうなった時のためにどんな準備をしておくかとか、そうなった時にどう対処するかとか。そういうことを含めて考えるのが楽しいと思える自分がいます」</p>

<p>ダンサー、俳優、演出家......歩んできたそれまでのキャリアと現在情熱を注ぐヴァレイの仕事とは、一見するとまったく関係のないもののようにも思える。だが、両者は谷の胸のうちでは、一つのストーリーとしてつながっている。</p>

<p>「ダンスをやっていても役者をやっていても、どんなに頑張ったところで最終的には顔だったり身長だったりという頑張り以前のところが壁になって、報われないと感じる部分がありました。それが嫌だったんです。だから僕の根底にあるのは、頑張った人が報われる世界をつくりたいという思い。そう考えた時にふと思い浮かんだのが、母や姉の存在でした。めちゃくちゃ頑張っている人が、実はすごく身近なところにいたじゃないか、と。彼女たちが報われなくちゃ嘘だよなって思ってるんですよ」</p>

<p>最近になって新たに設定したヴァレイのビジョンは、「日本の縫製業を次世代につなぐ」というものだ。そう言うからにはもちろん、将来的にはその担い手を自前で育てるということも視野に入れている。だが、職人の頑張りが報われる仕組みをつくることそれ自体が、「日本の縫製業を次世代につなぐ」ことに貢献するとも谷は考えている。</p>

<p>「いま地方にいる職人さんにちゃんとした報酬をお渡しすることができれば、その人たちが自分の娘だったり孫娘だったりに教えることで、自然とミシンに触る機会が生まれるかもしれない。その中の一人でも二人でもが縫製を楽しいと感じてくれれば、もしかしたら将来的に、うちで仕事をしてもらえるようにもなるかもしれないじゃないですか。まずはその状態をつくることが僕の使命なんじゃないかと思っているんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4916-final.jpg">
<figcaption>いま発売準備中だという新ブランド「Kazoku」の試作品を特別に見せてもらった。子供向けのプレゼント用として作ってみたという。近々、またMakuakeで話題のプロジェクトとして注目を集めることになるかもしれない。</figcaption></figure></p>

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    <title>メガバンクにイノベーションは可能か。元コンサルが生体認証サービスで可能性を拓く - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2018-11-30T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:11:11Z</updated>

    <summary>三井住友銀行には「ITイノベーション推進部」という部署がある。文字通り、ITによって銀行に革新を生むチームだ。注目は生体認証サービス「Polarify」。金融とは異なる道で腕を磨いてきたプロフェッショナルたちが集い、銀行の新たなの可能性にかけて挑戦している。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="これからの転職" label="これからの転職" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="キャリアストーリー" label="キャリアストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="テクノロジー" label="テクノロジー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>深野拓磨</strong><small>三井住友フィナンシャルグループ／三井住友銀行 ITイノベーション推進部 部長代理　兼　株式会社ポラリファイ（Polarify） 企画部</small>
<p>2006年　大手素材メーカーに新卒入社。09年、大手コンサルティング会社に入社。電機、通信、メディア企業のクライアントを中心に、新規事業の企画立案、業務改善の企画から実行などのコンサルティング業務を担当。16年、三井住友銀行に入行。
</p></aside></p>

<p>Polarifyは、三井住友フィナンシャルグループが2017年5月にNTTデータ、アイルランドのDaonと共同で設立したベンチャー企業。指や顔、声などの生体情報を使い、パスワードなしで認証できるスマートフォンアプリを事業者向けに提供している。</p>

<p>同社のITイノベーション推進部で生まれたアイデアが元になっており、立ち上げの背景には、ビジネス環境の急速な変化を前にした強い危機感があった。現時点の導入企業は金融業界を中心に6社だが、メガバンクが見せる新たな動きとして社内外の注目度は高い。</p>

<p>このビジネスを中心になって牽引しているのが、入行3年目の深野拓磨だ。大手コンサル出身の彼は、「メガバンクとスタートアップのいいとこ取り」のような現在の環境に、大きな可能性を感じているという。深野はこの生体認証ビジネスの先に、銀行のいかなる未来を見ているのか。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4381-final.jpg"><figcaption>前職で大手通信キャリアの決済サービスに少し携わってはいたものの、金融業界は未経験。でも、だからこそ他の人には気付けない視点や、実現できることはあるはずだ。</figcaption></figure></p>

<h2>FinTechに対するメガバンクの危機感</h2>

<p><strong>──なぜ銀行が生体認証サービスのビジネスを始めることに？</strong></p>

<p>2012年ごろから世の中では「FinTech」という言葉が使われ始め、三井住友銀行でも「メガバンクも変わらなければ」という強い危機感が高まっていました。そこで、今後大きく進展するIT化社会を見据えて、新しい事業の可能性を探ろうということになり、まずは部署横断のタスクフォースチームが立ち上げられました。これが2015年10月に正式な部署になったのが、現在のITイノベーション推進部です。</p>

<p>この中で検討されてきたいくつかのビジネスアイデアの一つに、Polarifyの元となる、生体認証をキーにしたものがありました。他のアイデアとも比較検討した結果、ビジネスとしての可能性などが評価され、同部として打ち出す最初の柱の一つとして事業化、会社設立していくことになりました。</p>

<p><strong>──深野さんはそこでどんな役割を担っているのですか？</strong></p>

<p>私は2016年5月に入行し、現在はITイノベーション推進部からの出向という形でPolarifyに籍を置いています。役割としては、事業者向けのプロモーションやPolarifyの営業・販売を行うパートナーとの枠組みの企画を担当する一方で、会社の予算管理をしたり、コールセンターで対応しきれなかったユーザー対応をしたりもします。いわば「なんでも屋」ですね。</p>

<p><strong>──前職は大手コンサル出身と伺いました。なぜ銀行に転職を？</strong></p>

<p>コンサルタントの仕事は、クライアントのサービスなり事業なりの企画・ローンチ・普及・課題解決などのあらゆる局面における一部分だけをサポートする立場であることが多いです。最初はそうした立場からさまざまな業界と関われることが面白かったのですが、しばらく続けていくうちに、事業者側として、最初から最後までトータルに関われる仕事がしたいと思うようになりました。</p>

<p>そのようなざっくりとした要望を転職エージェントに伝えたところ、提案されたリストの中に、いわゆる大手IT企業と並んで、メガバンクの名前がありました。先ほどお話ししたように、ちょうどそのころメガバンクの中では危機感が高まっていて、FinTech関連部署の人員として、私のような異業種の人間を求めていたんです。</p>

<p><strong>──とはいえ、前職では金融関連のお仕事の経験はなかったそうですね。いわゆるIT企業の方が向いているとは考えなかったんですか？</strong></p>

<p>メガバンクと並行してIT大手の選考も受けていました。ただ、いまはある程度大きな会社であれば、どの会社も似たようなポジションを目指す時代じゃないですか。デジタル化して、データを使って、ECをやったり、あるいは決済をやったりと、それぞれがコアにある事業や得意なことを軸にしながらも、さまざまなビジネスへと領域を広げて、結果として同じようなポジションを巡って競い合っている。</p>

<p>前職では、転職する直前まで大手通信キャリアを担当し、特に、通信以外の新規ビジネス立ち上げのプロジェクトに参加させてもらっていました。彼らはそれこそスマホ決済もやるし、銀行もやるし、一方ではエンタメだってやる。そういう人たちと一緒に、次はどんな新しいことができるかを常に考えているような日々でした。</p>

<p>誰もがプラットフォーマーを目指す。そのような前提に立った時に、銀行といわゆるIT企業とで、どちらに行った方がより自分の経験が活きるだろうか。そう考えたら、IT企業にはおそらく、自分と同じような経験をしてきた人、あるいは自分以上にそうしたスキルを持った人が山ほどいるだろう、と。だったらこれからそのポジションを取りにいく銀行へ行った方が、自分の経験が活きるし、面白そうだと思ったんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4331-final.jpg"><figcaption>2年前、銀行に対する悲観的な報道は目立っていた。でも長い間築き上げてきた信用力や、全国の取引先企業ネットワークを活かせば、銀行はもっとビジネスの幅を広げることはできるはず。その可能性を信じ転職した。</figcaption></figure></p>

<h2>信用力を武器にプラットフォーマーへ</h2>

<p><strong>──実際に入ってみてどうでしたか？</strong></p>

<p>メガバンクでありながら、まるでスタートアップのような環境だと感じます。私がPolarifyのプロジェクトに携わるようになったのは、入行して3ヶ月後くらいなのですが、そこから1年弱で会社設立、その2ヶ月後にはサービスインというスピード感です。</p>

<p>現在、ITイノベーション推進部には約40人のメンバーがいるのですが、その半分が、私のように金融以外の領域から入ってきた人たちです。FinTechに限らず、世の中の新しい動きにキャッチアップするのはみんなすごく早いですし、「ここに可能性がありそう」と思うようなところはだいたい誰かしらが手をつけているという感じです。</p>

<p>とても自由な雰囲気ですし、そうしたアイデアをすぐに形にすることもできます。おそらく多くの方が持っているメガバンクのイメージとはだいぶ異なるのではないでしょうか。</p>

<p><strong>──逆に戸惑ったことは？</strong></p>

<p>もちろん「スタートアップのよう」というからには、大変なこともたくさんあります。私が入行した時点では、Polarifyはまだアイデアのタネだけがあるという段階で、発案者が一人でプロジェクトを進めていました。私はそこに2人目のメンバーとして入りました。事業化、会社設立に向けて山ほどある必要なことを一つひとつクリアしていきました。例えば労基署へ行って手続きをしたり、銀行の細かいルールを参考に20個ほどの社内規程を作ったりと、泥臭い仕事もありました。</p>

<p>コンサル時代は自分のプロジェクトだけをやっていればよかったので、なんでも自分でやらなければならない環境に慣れるまでには、正直苦労もしました。でもいまでは、それも含めて事業を作り、前に進めていくことが醍醐味だと思えるようになり、むしろ楽しんでいます。</p>

<p><strong>──Polarifyにどんな可能性を感じていますか？</strong></p>

<p>生体認証は、銀行が長い間携わってきたお金の貸し借り以外の、事業者やユーザーとの新しい接点です。ここにたくさんの事業者やユーザーを集めることができれば、事業者間で相互送客するといったビジネスの新たな可能性も出てくる。銀行がプラットフォーマーのようなポジションを狙っていく上で、Polarifyはいわば入り口ですね。</p>

<p><strong>──各社が競ってプラットフォーマーの位置を狙う中で、銀行ならではの強みはどこにありますか？</strong></p>

<p>やはり銀行とお取引くださる企業・個人のお客さまの圧倒的な数、そして、長い間をかけて培われた安心感・信用力ではないでしょうか。</p>

<p>Polarifyはまだ社員10名程度のスタートアップですが、営業をしていても、「この業界の人と会いたい」と思えばすぐに会えるし、逆に向こうから興味を持って声をかけていただくことも多いです。これはひとえに、PolarifyがSMBCグループ傘下にあるからでしょう。先ほどスタートアップのような環境だと強調しましたが、一方ではこうしたメガバンクならではの強みも、日々実感するところです。</p>

<p>プラットフォーマーを目指す上で、銀行は間違いなく後発の立場です。けれども、こうした強みを活かせれば、ビジネスを広げていける可能性は十分にあると思っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4416-final.jpg"><figcaption>Polarifyのアプリ。旧式の端末でも機能し、声でも認証できる機能など、誰もが扱える利便性は追求しつつも、顔認証は、横になって寝ている人の顔を第三者が認証するのを防ぐために、端末を垂直に持たないと機能しないなど、徹底したセキュリティ対策が仕込まれている。</figcaption></figure></p>

<h2>出会いが新たな扉を開く</h2>

<p><strong>──この先はどんなことを考えていますか？</strong></p>

<p>iPhoneのFace IDやTouch IDなど、スマートフォンによっては独自の生体認証機能が搭載されています。それとの差別化を考えなければならないわれわれとしては、スマホアプリであっても、スマホの中で完結していてはダメだろうと思っています。</p>

<p>こうした考えから、現在ではWebブラウザで見るようなサービスについても、ブラウザ上に一度QRコードを表示させ、それをアプリで読み取ることで認証できる機能を搭載しました。</p>

<p>ですがこの機能、実を言えば、われわれの当初の構想にはなかったものなんです。このアイデアを思いついたのは、多くの事業者に提案・ニーズヒアリングを行っていく中で、まだサービスをアプリ化していなかったり、アプリとブラウザの双方が使われている事業者のサービスが多いことが分かりました。アプリだけではユーザーをカバーできず、事業者のニーズに応えるには不十分と考え、Polarifyのブラウザ対応に、すぐに取り掛かりました。こうしたクイックな対応は、スタートアップらしい動きだと思います。</p>

<p>現在では、アプリ連携とブラウザ連携の双方を導入いただいた事業者様もおり、まだアプリ提供を行っていない金融機関にも興味を持っていただけるようになりました。また、ゲームアプリ業界ではいま、ブラウザ経由でサービスを提供する方向へ舵を切る事業者が出始めているのだといいます。ユーザーニーズを聞いて、素早くサービスで対応する、このスピード感はスタートアップの醍醐味だと思います。</p>

<p><strong>──出会いが新たなアイデアにつながったんですね。</strong></p>

<p>今後はブラウザ対応だけでなく、コールセンターなどへの活用も模索していきたいと考えています。例えば保険業界で、従来であれば証券番号がわからなければ対応ができなかった場面でも、スマホの生体認証でその人だと確認できれば、もっとスムーズに案内できるかもしれない。</p>

<p>このほかにも活用できるシーンはまだまだあるでしょう。生体認証というものを軸にして、その可能性を常識にとらわれずに発想し、形にしていける面白さがこの仕事にはあります。そうした自由な発想ができる、感度の高い方とは、ぜひ一緒に働きたいと思いますね。</p>

<p>ただ、そうした可能性を模索するのにも、中にいる人間だけではやはり限界があります。業界特有の話は、その業界の人と話さなければわからない。だから例えばイベントに出展する際などにも、異業種の人とは積極的に交流するよう心がけているんです。</p>

<p>現状は、サービスをご利用いただけている事業者もまだ少なく、そのほとんどが同じ金融業界にとどまっています。このサービス本来の良さを生かし、われわれがいわゆるプラットフォーマーになっていくためには、提携先の数も業種も増やしていかないといけません。その意味でも、引き続きいろいろな業界の人と交流することは不可欠。いまはさまざまなニーズを取り込みながら拡大していくことに注力していきたいと思っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4353-final.jpg"><figcaption>Polarifyはまだまだ始まったばかり。どんな人と一緒に働きたいかと尋ねると、常に新しいことにアンテナを張り、事業の幅を拡大していくフェーズに貢献してくれる人だという。</figcaption></figure></p>

<h3>特別連載：三井住友銀行の新しい取り組みと働き方</h3>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/05/smbc-eto.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_OND2505-1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>Vol.1 銀行だって、もっとクリエイティブになれる──現金大国・日本への挑戦</strong></div></a></div>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/09/smbc-yanagawa.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_L2A0845-1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>Vol.2 最近の三井住友銀行の新しい取り組みは、この人が推進していた</strong></div></a></div>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/10/smbc-kaneko.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_L2A9136-final.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>Vol.3 変革期にある銀行の静かなる改革者、インハウスデザイナーの意義と役割</strong></div></a></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="5010001008813"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="1010401131318"></div>
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    </content>
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<entry>
    <title>企業の都度購買に着目した「テールスペンド」 から読み解く──Amazonビジネス、1年目の成果 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/11/amazon-business-vol2.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9139</id>

    <published>2018-11-29T01:18:10Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:12:31Z</updated>

    <summary>数億種類の商品を取り揃えるAmazonだからこそ、企業にも提供できる新しい価値がある。これまで見過ごされてきた都度購買に革新をもたらした、Amazonビジネスのこの1年間の活用事例を振り返る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>石橋憲人</strong><small>アマゾンジャパン Amazonビジネス事業本部 事業本部長</small>
<p>1993年より経営コンサルティング会社にて、石油会社、自動車メーカー、文具メーカーなどの事業戦略、市場参入戦略、業務改善戦略の策定に携わる。2001年からインターネットビジネスに特化したコンサルティング会社にて、GMSのプライベートブランド戦略策定などを担当し、03年よりカメラ販売会社のインターネットビジネスの拡大にコンサルタントとして参画後、取締役となる。10年にアマゾンジャパンに入社。ホーム＆キッチン事業部　事業部長、セラーサービス事業本部　営業本部長を経て、18年6月より現職にてBtoBビジネスの立ち上げと拡張に従事。
</p></aside></p>

<p>突然、企業で必要なものができた時、人はどうするか。</p>

<p>企業の備品リストにはない。ならば、自分で近くのお店に買いに出かけたりして、立て替え精算することが多いだろう。</p>

<p>法人・個人事業主向け購買専用サイト「Amazonビジネス」を利用すれば、その経費精算を処理する経理担当にとっても、貴重な業務時間を割く必要のある社員にとっても、業務改善が図れるという。</p>

<p>Amazonビジネスの事業本部長を務める石橋憲人のインタビュー後編では、サービス開始からのこの1年間で見えてきたAmazonビジネスの強みである「テールスペンド」という概念について解説する。さらには、このサービスから生まれうる新しいBtoBビジネスの可能性について聞いてみた。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/11/amazon-business-vol1.html">
<h4>インタビュー前編</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_L2A2959-1094-2.jpg">
<div class="info"><strong>法人価格。請求書払い。登録無料でいつもの購買体験を職場にも。Amazonビジネス・事業本部長が語るビジョン</strong></div></a></div>

<p><strong>──Amazonビジネスの強みを表す「テールスペンド」という概念があると聞いたのですが、解説していただけますか？</strong></p>

<p>企業が購入する物品のうち、あらかじめ必要だとわかっているものは「計画購買」と呼ばれます。例えばコピー用紙やレシートペーパーといったもので、購買額は全体の8割を占めています。ただし、それらを提供するサプライヤー数は全体の2割しかいないと言われています。残り8割のサプライヤー数を占めるのが、突発的に必要になる物品を提供する企業です。そのような購買が「テールスペンド」と呼ばれるものです。</p>

<p>Amazonビジネスは、取り扱うサプライヤー数が圧倒的に多く、数億点の品揃えがあります。そのため、このテールスペンドの部分で有効活用いただいていることが多いのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Accenture-Getting-Grip-Tail-Spend-5.jpg">
<figcaption>アクセンチュアが発表した、計画購買とテールスペンドの内訳を表した図。縦軸が全体の購買額、横軸がサプライヤー数を表している。金額にすれば2割だが、数多くの店で購入されていることがわかる。なかには会社の取引先では調達できず、社員が自ら調べて買いに出ることもあり、多くの無駄が発生していることも指摘されている。
Figure from <a href="https://www.accenture.com/t20150523T051950__w__/us-en/_acnmedia/Accenture/Conversion-Assets/DotCom/Documents/Global/PDF/Strategy_2/Accenture-Getting-Grip-Tail-Spend.pdf" target="_blank" rel="nofollow">"Getting a Grip on Tail Spend" </a>by Accenture</figcaption></figure></p>

<p><strong>──この1年間で、実際に「テールスペンド」の部分で購入されたケースにはどんなものがありましたか？</strong></p>

<p>最近の事例として、あるホテルチェーンから「加湿器が560台ほしい」というリクエストをいただきました。「Amazonビジネスならなんとかなるんじゃないか」と想起いただいたのです。</p>

<p>Amazonビジネスの特長として、取扱商品の豊富さに加えて、配送スピードが挙げられます。今年は災害が非常に多い年でしたが、その際に現地から必要な備品を早急に届けてほしいと、お問い合わせいただきました。また、ある物流会社のお客様からは、発注ミスが判明して早急に備品が必要になった際にご連絡をいただいたこともあります。「Amazonビジネスならすぐに届く」と認知いただいていることで、緊急時に思い出していただけたのだと思います。</p>

<p><strong>──Amazonビジネスが開始したことで、商品を供給・販売するサプライヤー側にはどんな変化が生まれたのでしょうか？</strong></p>

<p>Amazonでは、直販ビジネスと、販売事業者様がAmazonで販売される出品ビジネスという二つのビジネスモデルがあります。販売事業者様には、Amazonビジネスの開始により、法人・個人事業主のお客様を対象に販売いただける機会が新たに生まれたことになります。</p>

<p>例えばオムロン様は、従前、体重計や電動歯ブラシといった個人のお客様が必要とされる商品をAmazonで販売されていましたが、ものづくりの現場で必要とされるスイッチやセンサーなどのBtoB商材も数多く取り扱っておられます。こうした中で、昨年、Amazonビジネスが日本で開始したことで、オムロン様の販売機会は拡大していると言えると思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2854-720.jpg">
<figcaption>販売事業者にとってAmazonビジネスに出品することが、法人や個人事業主などの顧客基盤を拡大するチャンスにつながると言えるだろう。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──企業は個人よりも購買力があります。Amazonビジネスで新規需要を見出したサプライヤーというような成功事例が生まれる可能性は、考えられるものでしょうか。</strong></p>

<p>その可能性は十分あると思います。まず、Amazonビジネスに出品いただくことで、即座にAmazonビジネスを利用されるすべてのお客様に商品を販売できるわけです。さらにAmazonには「FBA（フルフィルメント by Amazon）」と呼ばれる、Amazonが販売事業者様に代わって商品の在庫保管や配送、お客様対応などを行うサービスがあります。このFBAを利用することで、小規模の事業者様でも、販路拡大のための営業コストや配送の負担を抑えながらビジネスを拡大することが可能です。実際に、Amazonビジネスでの販売を開始したことで、売上が何倍にも増えたというケースがあります。</p>

<p><strong>──お客様と出会うことで得られる気付きはありますか。機能やサービスは、今後まだまだ進化を続けていくのでしょうか。</strong></p>

<p>スタートして1年の間に、日本航空様やDMM.com様といった大企業の皆様にもAmazonビジネスをご利用いただけるようになったことで、企業購買ならではのサービス進化の可能性を感じています。例えば効率的に購買できるサイトの設計や購買分析で提示するデータの見せ方など、お客様と出会うことで新たなニーズを理解でき、それにお応えするために日々、サービスの改善に取り組んでいます。</p>

<p>個人向けのサイト「Amazon.co.jp」も、スタートから20年以上経ったいまでも、日々改善を続けています。同じようにAmazonビジネスも、企業購買に特化したサイトとして、これからも改善を続け、より多くのお客様のニーズにお応えしていきたいと考えています。</p>

<p>【<a href="https://www.amazon.co.jp/b?node=5695748051&amp;ref_=JP_AB_OEDM_SS201811" target="_blank" rel="nofollow">Amazonビジネス</a>】</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="3040001028447"></div>
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    </content>
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    <title>どう生きたいか、は身近な人に話しにくい━━猪熊真理子の仕事は「誰もが自分らしく働ける社会」をつくること - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/11/inokuma-mariko.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9142</id>

    <published>2018-11-27T07:20:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T04:55:14Z</updated>

    <summary>社会人女性のための学びの場「女子未来大学」や、働き方を選択できる社会を目指す「at Will Work」など、複数のプロジェクトを手がける。パラレルに働き、年間2000枚以上の名刺を交換するという猪熊真理子に、Eightに対応した新型のドキュメントスキャナー「ScanSnap iX1500」を使ってもらった。

</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>猪熊真理子</strong>
<p>2007年リクルートに入社。「ゼクシィ」や「Hot Pepper Beauty」の事業戦略、ブランドプロモーション戦略、マーケティングなどに携わる。会社員の傍ら、10年に立ち上げた社会人女性の学びの場「女子未来大学」を中心に、セミナーなどを通して、高校生から70代まで延べ4千人を超える女性たちと出会う。14年にリクルートを退職し、OMOYAを設立。主に女性消費を得意とした、経営・ブランドコンサルティングや企画マーケティング、組織のダイバーシティーマネジメント改革、企業内の女性活躍推進などを行う。株式会社OMOYA代表取締役社長、株式会社ストリートスマート取締役、トレンダーズ株式会社社外取締役、一般社団法人at Will Work理事、一般社団法人全日本伝統文化後継者育成支援協会役員。著書に『「私らしさ」のつくりかた（サンクチュアリ出版）』</p></aside></p>

<p>Eightに対応したスキャナーに、新型のドキュメントスキャナー<a href="http://scansnap.fujitsu.com/jp/product/ix1500/?utm_medium=cpa&amp;utm_source=BNL_ads" target="_blank" rel="nofollow">「ScanSnap iX1500」</a>が登場した。業務の効率化に止まらず、これからの新しい働き方を後押しするようなコンセプトが込められているという。そこでBNLでは、この新しいスキャナーのモニターとして、時間や場所にとらわれない先進的な働き方をしている猪熊真理子を選んだ。</p>

<p>経営にコンサルティング、教育事業からイベントでの講演まで。猪熊は、埋もれた可能性を引き出し、社会に伝えることをミッションに掲げ、全国各地を飛び回りながら数々のプロジェクトを手がけている。彼女がいま関わっているのは、5つの会社の経営だ。</p>

<p>ひとつは2014年に立ち上げた株式会社OMOYA。経営コンサルティングや企画マーケティング、組織開発、そして社会人女性のための学びの場「女子未来大学」に代表される女性支援事業を行っている。</p>

<p>さらに、働き方を選択できる社会を目指す「at Will Work」、伝統文化の価値を次世代に伝える活動を行う「全日本伝統文化後継者育成支援協会」という2つの社団法人の役員、30人ほどのIT系スタートアップ企業の取締役、そしてトレンダーズ株式会社の社外取締役も務める。</p>

<p>そんな彼女に新機種を一週間使ってもらったことで、ドキュメントスキャナーの、出会いの価値を高めて自由な働き方を支える新たな魅力が見えてきた。</p>

<h3>悩みや葛藤がある女性は孤立しがち</h3>

<p><strong>──ひとつの事業に集中するのではなく、さまざまなプロジェクトを行っているのはなぜですか？</strong></p>

<p>元々勤めていたリクルートを辞めて独立をしたときに、ひとつの事業をスケールさせる働き方と、パラレルにいろいろなプロジェクトに関わる働き方のどちらを選ぶべきかと悩んだ時期がありました。というのも、自分自身はひとつの物事を突き詰めるプロフェッショナルタイプというより、さまざまな物事に取り組むジェネラリストタイプだと思っていたのですが、周りの起業家仲間を見るとひとつの事業に集中する人が多かったからです。</p>

<p>とはいえ、自分にとって価値を発揮しやすいのはやはり「パラレルな働き方」でした。今年でOMOYAを創業してから5年目になりますが、複数のプロジェクトを並行して行ってきたからこそ、いまは自分らしく働くことができていると感じています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEW_CD_0254.jpg">
<figcaption>優先順位や時間の使い方は特に決めていない、と猪熊は言う。「私はただ、社員やメンバーがそれぞれに尽力していくなかで意思決定やマネジメント、トラブル対応が必要な時に動いたり、大きい中長期プランと短期的にやるべきことのディレクションをしたりしているんです」</figcaption></figure></p>

<p><strong>──女子未来大学を立ち上げた経緯は？</strong></p>

<p>ファウンダーが私以外に2人いまして、構想に1年かけ、2014年11月に立ち上げました。いままで10〜70代の女性、1500人以上に来てもらっています。メインは20〜40代の、ちょうどライフイベントとキャリアがぶつかる年代の女性です。この年代の女性は、働いているなかで、「いまのままの自分で良いのだろうか」「もっとこうなりたいのに」など不安を抱えて孤立している方が多いんです。</p>

<p><strong>──孤立ですか。</strong></p>

<p>学生時代の友達や仕事の同僚など身近な人には、なかなか恥ずかしくて「どう生きたいか」などの深い話はしづらいわけです。そんなことを言い出したら、周りから「どうしたの？」と言われてしまう。だから、女子未来大学は「サードコミュニティ」という考え方をしています。家族がファーストコミュニティだとしたら、セカンドコミュニティは職場や社会の中で自分を実現していく場。でもセカンドコミュニティは戦うこともあるから、しんどい時がある。それに対してサードコミュニティは、ファースト、セカンドで直接的に関わることのない人たちだけど、人生の真剣なことを話し合うことができるし、相互に学び合える。見ず知らずの人や初対面の人などの、ステークホルダーではない人たちだからこそ話せる深い話ってありますよね。そんなコミュニティをつくりたくて。</p>

<h3>埋もれている価値を社会へ放つ</h3>

<p><strong>──すべてのプロジェクトに共通したテーマはありますか？</strong></p>

<p>関わっているプロジェクトのジャンルやフィールドはバラバラですが、やりたいことはすべて共通しています。それは、本当は可能性があるのに水面下に埋もれてしまっているものを引っ張り出して、社会に伝えていきたいということ。</p>

<p>例えば、女性たちの可能性を信じて彼女たちの力を引き出すこと、日本の伝統文化の価値をいまの時代に合わせて再提案すること、時代が変わっていくなかで古い働き方にとらわれなくてもいいと伝えていくこと。それらはみんな、同調圧力や昔のルールに縛られて可能性を発揮できない人や組織の力を引き出し、社会に還元することでトランジション＝変革を生み出すための活動です。</p>

<p>最近は自分の肩書きとして「トランスフォーム・カタリスト」と言うことがあります。つまり、時代や人が変容していく時の触媒でありたいということ。私自身が変革者になるというよりも、人と人、人と社会の間に立つことで変革のサポートをすることに私はやりがいを感じるし、関係性の間にいることが自分らしいと思っていますね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEW_CD_0205.jpg">
<figcaption>地方は小さなコミュニティが多く、「出る杭は打たれる」という思い込みが強い。猪熊自身も地方へ行き、実際に肌で感じているからこそ、自由にできない事情を理解した上で「自分らしさ」を出せる仕組みをつくることが必要だという。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──「埋もれた可能性を引き出し、伝えたい」という想いは、猪熊さんのどんな体験から生まれているのでしょうか？</strong></p>

<p>もともとは私自身も自分のことを信じられない、価値がないんじゃないか、そんな気持ちが昔からありました。だけど私の場合は、家族が自分のことを信じてくれた。だからこそ、少しずつ自分に自信を持つことができたんです。</p>

<p>そうした原体験から、誰かの可能性を引き出すためには、それを信じてくれる他者の支援が欠かせないと考えるようになりました。「こういう生き方をしたい」「変わりたい」とどんなに思ったとしても、励まして、支えてくれるコミュニティがなければ、勇気をもって新しい道に踏み出すことはできないのではないかと。何かの決断に対して「それいいじゃん」と背中を押してくれる人たちとのつながりさえあれば、人は本当にしたい生き方や働き方ができるのではないか。そんな仮説をもとに日々プロジェクトを行っています。</p>

<h3>ScanSnapを使ったクラウド管理で、出会いを無駄にしない</h3>

<p><strong>──これだけたくさんのプロジェクトに関わっていると、出会いも多いのでは？</strong></p>

<p>そうですね。名刺交換だと年間に2000枚以上になるぐらいの出会いがあります。特に、講演やイベントでお話しした後に参加者の皆さんとご挨拶をするので、名刺はどんどん増えますね。</p>

<p><strong>──管理はどうしているんですか？</strong></p>

<p>名刺のクラウド管理は必須です。とはいっても以前は、スタッフに頼んで今後仕事をすることになりそうな人の名刺だけスマホで写真を撮ってもらってEightで管理していました。でも、取り込む作業が追いつかなかったり、Eightに入れていない人にも連絡をする必要が出てきたりするときはまとめた紙の名刺の束から探しださなければいけなくて。</p>

<p><strong>──今回、新しい<a href="http://scansnap.fujitsu.com/jp/product/ix1500/?utm_medium=cpa&amp;utm_source=BNL_ads" target="_blank" rel="nofollow">ScanSnap</a>を使ってみてどうでしたか？</strong></p>

<p>名刺を取り込む手間が省けてとても便利です。分厚い名刺や正方形の名刺も問題なく読み込めますし、交換した名刺をすべてきちんと管理できます。家にもあったらすごくいいですよね。それから、タッチパネルで操作できるので、PCを使わなくてもいいし、自分専用のボタンがつくれるのも気に入っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEW_CD_0496.jpg">
<figcaption>猪熊が今回利用したPFUの最新スキャナー<a href="http://scansnap.fujitsu.com/jp/product/ix1500/?utm_medium=cpa&amp;utm_source=BNL_ads" target="_blank" rel="nofollow">「ScanSnap iX1500」</a>。ボディの色も新色の白で登場。Eightの他に会計関連やストレージのクラウドとの連携も可能なので、名刺だけでなく領収書の管理などにも利用できる。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──書類などの保管はどうですか。</strong></p>

<p>ScanSnapは書類の保管にも利用できますね。私の仕事は、デジタルとオフラインが同時進行することがよくあるんです。役員会議などでは、紙の資料が配られることも多くて。紙の資料に目を通しながらPCでメモを取りますが、終わってからの資料の保管が大変です。だからこれまでは、そのときに使用した紙の資料はスマホで写真を撮って保管していたんです。</p>

<p><strong>──<a href="http://scansnap.fujitsu.com/jp/?utm_medium=cpa&amp;utm_source=BNL_ads" target="_blank" rel="nofollow">ScanSnap</a>を使えば、紙で保管しなくても良いものはデータで管理できるのですね。</strong></p>

<p>はい、デジタルのメモと紙の資料を一緒に管理できます。例えばEvernoteにメモを取って、その下にスキャンした書類のデータを貼っておくとか。原稿の向きも自動で補正してくれるから安心ですし。</p>

<p><strong>──Evernoteなどのストレージクラウドに送ることもできて便利ですよね。ところで、もうすぐ年賀状の季節ですが、猪熊さんは毎年たくさんの年賀状をもらうのでは？　スキャンをしてデータで管理しておくと翌年が楽かもれません。</strong> </p>

<p>たしかに、それは楽ですね！　年賀状は毎年、いただいたものをボックスに入れて保管しています。翌年それを出してきて、出す・出さないを一枚ずつ確認する作業をして・・・けっこう大変です。</p>

<p><strong>──それこそスキャンして、すべてにタグ付けすることもできますよね。送る・送らないと仕分けをするとか。</strong></p>

<p>なるほど、タグをつけて管理できるのは良いですね。それから、家電などの取扱説明書も溜まりがちですが、データ化すれば断捨離にもなりそうです。あとから検索ができれば、データでも問題ないですし。</p>

<p><strong>──時間を見つけて少しずつスキャンをしておけば、年末の大掃除もはかどりますね。</strong></p>

<p>はい、私は電子書籍で本を読むことが多いのですが、献本などで紙の本をいただいたり、紙でしか出版されていない本を読んだりすることもあるので、紙の本もたくさん持っています。でもなかなか持ち歩けずに積読してしまいがちなので、スキャナーを使って本もデータ化ができれば、スマホで読めて良いですね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEW_CD_0426.jpg">
<figcaption>今回の新機種でScanSnapとして初めてタッチパネルが搭載された。「これから読み込むものはすべて名刺」という設定を予めしておけば、スキャンをする前にパネルを一度タッチするだけで「名刺を領収書として読み取ってしまう」などの判別ミスも防ぐことができる。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──最後に、猪熊さんがこれからの働き方を考えるうえで、ScanSnapを利用して名刺や書類をクラウドで管理することの意義を教えてください。</strong></p>

<p>いま、多くの会社がペーパーレス化していますよね。それに、フリーアドレスを実践していたり、オフィスのストレージのスペースをどんどんなくして、別の目的のスペースとして有効活用する企業も増えているので、会社の中で一人ひとりが資料を置くスペースが狭くなっているように感じています。だからこそ、これまで紙で保管していたものをクラウドで管理できれば、オフィスを効率的に使えるようになると思います。</p>

<p>またテレワークをしている場合、名刺や書類を会社に置いていると、必要なときに連絡ができない、書類を使えないということもあります。それらの情報をクラウドで管理することは、時間や場所にとらわれない働き方を後押しするうえでも重要ですね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/NEW_CD_0412.jpg">
<figcaption>女性でも簡単に持ち運べるぐらい重さでサイズも少しコンパクトに。猪熊のように1回の名刺交換で100枚以上の名刺が溜まる場合は、家にも置いておけると名刺管理が効率化される。</figcaption></figure></p>

<p><a href="http://scansnap.fujitsu.com/jp/?utm_medium=cpa&amp;utm_source=BNL_ads" target="_blank" rel="nofollow">ScanSnap</a></p>

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    <title>4.2億円の資金調達に、大型カンファレンス開催。いま大きな波を起こす「PR Table」のビジョンに迫る - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/11/pr-table.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9145</id>

    <published>2018-11-26T01:30:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:12:51Z</updated>

    <summary>本来、パブリック・リレーションズは規模の大小を問わず、すべての企業が行うべき営み。ただし、これまでは非常に限定的だった。「PR3.0」と銘打ち、その考え方をスケールさせていくことに挑むPR Tableに、いま多くの協力や支援が集まり始めている。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>本日（11/26）、企業のストーリーに注目した新しいPRのかたちを提案する会社「PR Table」は、グリーベンチャーズ、UB Venturesをはじめとする計4社から、総額約3億4千万円の第三者割当増資を実施したことを発表した。また、11月末日を最終クローズ予定日として、約8千万円の追加の資金調達を進めているという。</p>

<p>社外取締役にも就任したグリーベンチャーズの堤達生は、次のようにコメントしている。</p>

<blockquote>
  <p>今という時代を表現する言葉として、"ストーリーの時代"と言うことが出来ると思います。人々はストーリーがあるものに感動し、行動する時代になってきています。PR Table社はこれまで、そんな時代感をうまくとらえて、企業の中に眠っている情報をストーリー化してコンテンツにするという新しいマーケットを切り開いています。そして常に次世代の表現手法を生み出すためチャレンジを続けて います。そんなパイオニア精神溢れるPR Table社を全力で支援していきたい思います。</p>

<p>──グリーベンチャーズ株式会社 代表取締役 堤 達生</p>
</blockquote>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/11/1127pr-conference.html">
<h4>イベント告知記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/pr30-1000.jpg">
<div class="info"><strong>11/27開催「PR3.0 Conference」の登壇者と、Eightで名刺交換してみよう</strong> <date>2017.11.27（火）/<span>受付中</span></date></div></a></div>

<p>さらにPR Tableは、明日（11/27）に虎ノ門ヒルズにて、1000人規模の大型イベント「PR3.0カンファレンス」を開催する。全19セッション、登壇者は50人以上にのぼる。創業3人衆のひとり、菅原弘暁は「カンファレンスを、PRをアップデートするための議論の場にしたい」と意気込みを語る。</p>

<p>PR Tableは2014年に大堀航、大堀海によって立ち上げられ、まもなく菅原が合流した。3人に共通する思いは、現在の狭い「PR」を抜け出し、パブリック・リレーションズという概念が本来持っているポテンシャルを開花させたいということだ。</p>

<p>今回の増資を今後どのように活用していこうと考えているのか。大型カンファレンス開催の真の狙いとは。気鋭のPRスタートアップの創業者たちが、いま考えていることを聞く。</p>

<p><img src="/uploads/IMG_0084-final.jpg">
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/kohohori">大堀航</a></strong><small>PR Table代表取締役</small>
<p>1984年7月生まれ。大手総合PR会社・オズマピーアールを経て、2013年オンライン英会話サービスを運営するレアジョブに入社。PRチームを立ち上げ、14年6月の東証マザーズ上場に貢献。同年12月、PR Tableを創業。</p></aside></p>

<h2>モテる企業になるためのPR</h2>

<p><strong>──まず、3人で起業することになった経緯を教えてください。</strong></p>

<p><strong>大堀（航）</strong>　僕はもともとオズマピーアールという総合PR会社にいました。その後、レアジョブというオンライン英会話サービスを運営する事業会社に移るんですが、レアジョブが東証マザーズ上場を目指していたんですね。そこでPRが必要となりチームを立ち上げました。PRという立場から上場に携わる経験をする過程で「こういうサービスがあったらいいな」と思いつくことがあって、それが起業につながっています。</p>

<p><strong>大堀（海）</strong>　同じくPR業界で働いていたんですが、僕はブティック型のエージェンシーでコンサルティングを行っていました。そのときに、コンサルビジネスではなく、みなさんにご利用いただけるようなサービスやプロダクトをつくりたいと思ったんです。</p>

<p><strong>菅原</strong>　僕は大堀（航）から2年遅れてオズマピーアールに入社しました。そのころから大堀とは「PRはどうあるべきか」を熱く議論する仲で。博報堂のPR戦略局、事業会社と経験する中で、どんどんPRという仕事の面白さを実感していきました。一方で、ノウハウ的なことに終始する業界に物足りなさも感じていて。自然な流れで合流しました。</p>

<p><strong>──「<a href="https://www.pr-table.com/" target="_blank" rel="nofollow">PR Table</a>」というサイトを運営されています。これはどのようなサイトですか。</strong></p>

<p><strong>大堀（海）</strong>　一言で説明すると、「企業のブランディングに特化したCMS（コンテンツ管理システム）」です。ホームページをご覧いただくと、あたかもウェブメディアのようにさまざまなコンテンツがたくさん集まっています。一つひとつのコンテンツを「ストーリー」と呼んでいますが、文字通り、大小さまざまな企業さんが持っているストーリーを公開していただく場所なんです。</p>

<p><strong>菅原</strong>　ただし、「PR Table」はメディアではありません。あくまでもCMSでありプラットフォーム。サービスの一環としてコンテンツ制作を代行することもありますが、あくまでもお手伝いです。じゃあコンテンツをつくる目的は何かというと、その企業さんの言葉で語っていただくことです。「あらゆる会社に表現力を。」が「PR Table」の製品哲学なので。</p>

<p><strong>大堀（海）</strong>　企業さんが公開されるストーリーはさまざまです。創業時のエピソードを語る企業さんもあれば、5年後に実現したい事業の話をする企業さんもあります。そのような「中の人」の言葉は、プレスリリースや求人情報では出てこない情報です。テキストと写真を組み合わせてコンテンツ化することで、それを見た人から「この会社で働きたい」とか「事業内容をもっと知りたい」というようなアクションを引き出すことができる。</p>

<p><strong>大堀（航）</strong>　初めのころは「書いてくれませんか」とお願いしてもなかなか書いてもらえませんでした。「タダでもいいから書かせてください」と頼んでも、にべもなく断られたこともありました。</p>

<p><strong>──確かに、私が広報だったら「ここに書くことで何のメリットが？」と考えてしまいそうです。</strong></p>

<p><strong>大堀（航）</strong>　そうかもしれません。書いたからといってメディアに取り上げられることを約束するものでもありませんし。でも僕たちは、パブリック・リレーションズがほぼイコール、メディア・リレーションズであるような状況をこそ、変えていきたいと思っているんです。これまでは商品の認知度をいかに高めるかがPRの中心でした。だけどこれからは、人に選ばれる企業になることが重要になる。「モテる企業」になるというのかな。</p>

<p><strong>菅原</strong>　僕らにとって大きな気付きになったのは、ある企業の方に「（広報ではなく）人事に営業してみろ」と言われたことでした。それで人事担当者に会いにいってみたら、書いてくれないどころか、ぜひ利用したいと言っていただけた。ちょうどそのころ、HR（ヒューマン・リソース）の分野ではダイレクト・リクルーティングやリファラル採用という考え方が登場して、企業が自らコンテンツを持つことが重要になると言われ始めたときだったんですね。そこに僕らのプロダクトが合致した。</p>

<p><img src="/uploads/IMG_0018-final.jpg">
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/kaiohori">大堀海</a></strong><small>PR Table代表取締役</small>
<p>1987年10月生まれ。都内の有名カフェを運営するベンチャー企業で営業、広報を担当。2012年PRコンサルティング会社を創業し、大手企業のPR施策の立案・実施に携わる（16年同社を売却）。14年12月、実兄の大堀航とともにPR Tableを創業。</p></aside></p>

<p><strong>──つまり「採用を強くするPR」ということですか。</strong></p>

<p><strong>大堀（海）</strong>　そこが難しいのですが、必ずしもそうではありません。採用効率を上げるだけならHRテックでさまざまなサービスが開発されています。でも僕たちはやはりパブリック・リレーションズの視点を大事にしたい。それには、採用を強くするPRではなく、「会社のブランドを強くするPR」が必要だと考えています。</p>

<p>一般的に、社員のエンゲージメントを向上させるインターナル施策と、新たに人をとるための採用活動は、別々に行われています。しかし「PR Table」を導入することで一気通貫で行えるようになるんです。</p>

<p><strong>菅原</strong>　企業活動が「商品市場」「資本市場」「労働市場」の3つの領域に分けられるとしたら、PRはこれまで主に「商品市場」の中で機能してきました。でも僕たちは、実際に事業を運営していく中で、「そこから飛び出すことがPRのアップデートになるんじゃないか」と考えるようになりました。</p>

<p><strong>──飛び出した先が「労働市場」の領域だったということですね。今回の増資は、その領域をさらに強化していくためなのでしょうか。</strong></p>

<p><strong>大堀（海）</strong>　新たに調達した資金を何に使うかというと、一番はプロダクトの開発です。「PR Table」に動画投稿機能を加えるといった改善のほかに、効果測定機能の強化にも力を入れます。潜在的な採用候補者にコンテンツを見てもらうにはどうしたらいいか、見てくれた人をアクティブにするには次にどんなコンテンツを見せるのがいいか。さらに面談にきてもらって、内定を出すところまで、各段階にKPIを設けて、PDCAサイクルを回していく。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/prtableill2.jpg">
<figcaption>PR Tableのプロダクト進化の幅を表した図。企業の認知から入社後の活躍まで、コンテンツを軸に的確に効果測定まで可能な仕組みを整えていきたいという。</figcaption></figure></p>

<p><strong>大堀（航）</strong>　入社したあともその人がどれだけ活躍したかまで紐付けられるようになると面白いデータになると思います。海外ではスコアを測定して分析するサービスが増えましたが、日本でも同様にエンプロイーやステークホルダーとの関係をスコアリングして可視化するようなソリューションは増えています。ただ、それで例えば「従業員のエンゲージメントが低い」ということがわかったとして、何をどうすればスコアが改善されるかのソリューションはまだないと思っているんです。福利厚生を充実させることだったり、社内イベントを開催することだったりという従来型のソリューションもありますが、僕は結局それらもすべてコンテンツだと思っていて。測定の部分はHRテックのプレイヤーと連携することはあり得ると思いますが、やはり僕らの強みはコンテンツをつくり続けてきたことにある。</p>

<p><strong>大堀（海）</strong>　12月から5期目がスタートします。そこでしっかりとプロダクトをつくりきって、同時に僕たちの考えを伝えていきたいですね。</p>

<p><strong>──「僕たちの考え」というのは？</strong></p>

<p><strong>菅原</strong>　僕たちの会社は「ポスト2020の日本社会にハートのある技術をインストールする」をミッションとして掲げています。ちょっと青臭いんですが、労働集約的で属人的なサービスではなく、誰もが利用できるテクノロジー（技術）として実現することが重要だと思っている。なぜなら、いまふたりが言ったような機能も、テクノロジーとして提供しないと、結局高いお金を払ってPR会社に依頼することになってしまうから。それだとPRはいつまでたっても「金持ちの買い物」のままです。</p>

<p>パブリック・リレーションズは本来、規模の大小を問わずすべての企業が行うべき営みです。日本には数多くの中小企業がありますが、けっこうみんな、自分の会社のことをしゃべれないんですよね。不思議に思って一度どうして自分の会社のことを話せないのか聞いたことがあるんですが、そうしたら、「聞かれたことがないんです」って。近所の人すらその会社が何をやっているのか知らない。それでは地域社会との関係構築は望めません。僕たちはプロダクトに落とし込むことで、そういった中小企業にも利用してもらいたいと思っているんです。普段の業務の中で生じるちょっとした変化や、自社製品に対する社員の思いといったことが広報資産になります。僕たちが伝えたいのは「ニュースがなくても広報はできるよ」ということ。中小企業のストーリーがどんどん発信されていくほうが、日本の社会全体が元気になると思っています。</p>

<p><img src="/uploads/IMG_0020-final.jpg">
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/hiroaki.sugahara">菅原弘暁</a></strong><small>PR Table取締役</small>
<p>1988年1月神奈川県生まれ。2011〜2015年大手総合PR会社・オズマピーアールに在籍。内1年間、博報堂PR戦略局に在籍。その後、国内最大級共創プラットフォームを運営する会社でPR、ブランディングに従事する。2015年9月よりPR Tableに参画。</p></aside></p>

<h2>パブリック・リレーションズという考え方をスケールさせていく</h2>

<p><strong>──「PR3.0カンファレンス」を開催されますが、なぜいまカンファレンスを開催しようと考えたのでしょうか。</strong></p>

<p><strong>菅原</strong>　僕たちは創業する前から「PR Tableブログ」というブログを運営していて、そこでPRについて話していたんです。というのは、PRって情報の非対称性が激しい業界なんですね。所属しているPR会社のブランドやリソースを使えばたいしたことない人でもそこそこやっていけてしまう。それが肌に合わなくて（笑）。ブログに書くことで勝手に知見をオープンソース化していたんです。起業もその延長線上にあったので、もともと「PRについて議論する」という文化がありました。</p>

<p>昨年ぐらいからあらためてパブリック・リレーションズを啓蒙するだけでなく、時代にフィットするかたちでみんなに実践してもらうにはどうしたらいいだろうかと考え始めた。そこで思ったのは、これまでを否定するのではなく、認めた上でアップデートしなければいけないということです。</p>

<p><strong>──「PR2.0」ではなく「PR3.0」としたのはなぜでしょう。</strong></p>

<p><strong>菅原</strong>　PRは一度アップデートしているんです。「新商品が発売されました」というパブリシティを獲得することが1.0だとしたら、2.0はメディアだけでなくキャンペーンを展開したり、口コミやブログ、SNSなども取り入れてその商品に対するポジティブな空気をつくっていく。統合型マーケティング・コミュニケーションと呼ばれる手法です。いまも有効なやり方だと思いますが、あくまでも「商品市場」の中での話なんですね。パブリック・リレーションズの本来の意味に立ち返れば、PRパーソンは「商品市場」「資本市場」「労働市場」の各領域で横断的に活躍できるはずなんです。</p>

<p>じゃあどうすれば2.0から3.0へアップデートできるのか。僕たちは「企業と個の新しい関係構築」という仮説を立てています。パブリック・リレーションズは「企業と社会との関係を構築すること」と言われていますが、「社会」から一歩踏み込んで、「個」との関係をとらえていくべきではないかと。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/11/Koichiro-Shima.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/IMG_0533-10942.jpg">
<div class="info"><strong>ムダから新しい発想、辺境から新しい合意形成は生まれる──博報堂ケトル・嶋浩一郎</strong></div></a></div>

<p>サイボウズの青野（慶久）さんがおっしゃる「100人100通りの働き方」もそうだし、SNSの普及で企業アカウントが活発に発信していることもそうだと思いますが、「企業と個の関係」の解像度が上がっている。僕たちはそれを「パーソナル・リレーションズ」と呼んでいますが、現実がそうなっているのにPRがその関係構築に目が向いていないのはおかしいのではないか。PRのアップデートのためには「パーソナル・リレーションズ」の要素が加わることが大事なのでは。そう考えているんです。</p>

<p>ただ、僕らも正解を持っているわけではありません。みんなで考えたいし、業界で活躍されている方々のご意見を聞きたい、議論したい。それがカンファレンスを開催する最大の理由です。プログラムも、経営、HR、IR、コンテンツ・クリエイティブ、メディア・リレーションズ、パブリック・アフェアズなど、パブリック・リレーションズの活動と言われる領域をすべて取りそろえることを目指しました。おかげさまで多くの登壇者の方にご賛同いただいてたくさんのセッションを用意することができたので、時間が重なるものもあるのですが、より多くの方に、いま自分に必要なものを聞いていただければと思っています。</p>

<p><strong>大堀（航）</strong>　スタートアップとして4年やってきて、PRを取り巻く環境が変わってきたなと実感することがあります。それは、ベンチャーキャピタルなどのビジネスサイドの人たちがPRの市場に可能性を見いだし始めているということです。PRを「企業がステークホルダーと関係を構築する営み」という視点で見直してみると、ほぼすべてなんです。カンファレンスを通じてその意味を多くの人に知ってもらえたら嬉しい。パブリック・リレーションズという考え方をスケールさせていくことが、僕らが本当にやりたいことなんです。</p>

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    </content>
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    <title>法人価格。請求書払い。登録無料でいつもの購買体験を職場にも。Amazonビジネス・事業本部長が語るビジョン - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/11/amazon-business-vol1.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9138</id>

    <published>2018-11-22T02:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:13:19Z</updated>

    <summary>労働時間の削減につながり、働き方が変わった。1社でも多く、そうした価値を提供することが、Amazonビジネスの使命だという。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>石橋憲人</strong><small>アマゾンジャパン Amazonビジネス事業本部 事業本部長</small>
<p>1993年より経営コンサルティング会社にて、石油会社、自動車メーカー、文具メーカーなどの事業戦略、市場参入戦略、業務改善戦略の策定に携わる。2001年からインターネットビジネスに特化したコンサルティング会社にて、GMSのプライベートブランド戦略策定などを担当し、03年よりカメラ販売会社のインターネットビジネスの拡大にコンサルタントとして参画後、取締役となる。10 年にアマゾンジャパンに入社。ホーム＆キッチン事業部　事業部長、セラーサービス事業本部　営業本部長を経て、18年6月より現職にてB2Bビジネスの立ち上げと拡張に従事。
</p></aside></p>

<p>いまや本に限らず、ファッションから家電まで、数億種類の商品を販売するオンラインストア「Amazon」を知らない者はいないだろう。</p>

<p>しかしAmazonが、2017年9月から、ビジネス購買に特化した「<a href="https://www.amazon.co.jp/b?node=5695748051&amp;ref_=JP_AB_OEDM_SS201811" target="_blank" rel="nofollow">Amazonビジネス</a>」を日本でスタートしていることは、まだまだ知られていないかもしれない。法人・個人事業主向けのAmazonはいかに始まり、何を目指すのか。事業本部長の石橋憲人に訊いた。</p>

<p><strong>──Amazonビジネスは、これまでの個人向けサイトのAmazonと何が違うのでしょうか。</strong></p>

<p>Amazonビジネスは法人と個人事業主を対象にした購買専用サイトです。特長は大きく3つあります。</p>

<p>1つは支払い方法。日本の商習慣で一般的になっている請求書払いが可能で月末締め、翌月末払いという支払い方法に対応しています。</p>

<p>2つ目は法人価格での購買が可能になること。ビジネス向けの特別価格や数量割引が多くの商品に適用されています。</p>

<p>そして3つ目が、複数のユーザーでひとつの法人アカウントを利用できることです。また、購買の承認ルールも法人アカウントごとに設定できます。例えば、1万円未満のものは自由に買ってもいいけれど、1万円以上の購買については会社側の承認が必要になるといった具合です。</p>

<p><strong>──仕事に必要なものを個人として購入してあとから会社に請求する、すなわち「立て替える」という行為が必要なくなるのは、たしかに便利ですね。</strong></p>

<p>まさにその点がお客様に「いちばん便利になった」と言われるところです。個人が立て替えるときのプロセスを考えると、スタッフが業務時間中に近くのコンビニや百貨店などに行き、必要なものを探して、自分でお金を払って、領収書をもらって、溜まった領収書を紙に貼って、その内容を所定のフォーマットに記入をして申請する、という作業が必要だったわけです。</p>

<p>しかしAmazonビジネスを利用すれば、企業に所属する誰が買っても請求書は直接、所属企業に届きますので、個人がその都度立て替えることも、精算を行う経理の手間も発生しません。また企業側は、誰が、いつ、何を買ったかという情報を把握できます。この利便性が、世界8か国でご利用いただいている一番の理由になります。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2863-720.jpg">
<figcaption>利用するための登録料は無料。送料に関しても個人向けサイトのAmazonと同じく、2000円以上の購買であれば無料になる。中小規模の企業や個人事業主にも、ぜひお薦めしたいという。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──実際にAmazonビジネスを利用する企業からは、どんな声をいただくことがありますか？</strong></p>

<p>例えば、全国で高齢者向けの介護事業を行っているヒューマンライフケア様は、介護施設で七夕などのイベントを定期的に実施されているのですが、地方の施設の場合はその買い物のために車で20〜30分かけてホームセンターまで出かけることも多かったそうです。そして、それに伴う経費精算のための手間と時間も発生します。年間で換算すると、買い物の移動時間に約6,000時間、その後の精算に必要な事務処理に約3,000時間も取られていたとのことです。Amazonビジネスの利用を開始したことで、そうした労働時間の削減につながり、現場のスタッフの皆様の負担が軽減されたと聞いています。</p>

<p><strong>──日本では2017年9月から始まったAmazonビジネスですが、米国では2015年からスタートしています。そもそもこのサービスは、どのような背景から生まれているのでしょうか？</strong></p>

<p>Amazonはもともと、オンラインストアとして書籍の販売から始まった会社です。現在も、世界共通の企業理念である「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」「地球上で最も豊富な品揃え」の実現を目指して、商品数の拡大やサービス・機能の改善に取り組んでいます。そんななかAmazonビジネスは、「法人でも購入したい」というお客様からのニーズの高まりを背景に、2015年4月からアメリカでスタートしました。その後、16年にドイツ、17年にはイギリス、日本、インド、そして今年からフランス、イタリア、スペインでも展開を始め、現在8か国でご利用いただけます。</p>

<p><strong>──海外と日本では、使われ方に違いはありますか？</strong></p>

<p>大きな違いのひとつは支払い方法です。月末締め・翌月末払いの支払いスキームが商習慣となっている国は、実は日本くらいなのです。従って、この支払い方法に対応することが、日本で展開するうえで必須条件となりました。</p>

<p>実際にサービスがスタートして感じているのは、特に日本では介護施設と保育施設でのご利用が多いことです。そうしたところでは、オムツや掃除用品、絵本に加え、先ほどお話したようなイベントに必要なグッズまで、事務用品に限らず本当にさまざまなものをご購入いただいています。日常的に多様な商品を購買する必要のある法人にとって、Amazonビジネスは使い勝手がいいと思います。なかにはこの1年間で、1万種類以上の商品を購買されている企業もあります。</p>

<p>もうひとつ、これは日本に限らず世界的に共通する特長ですが、大学からの需要が非常に大きいことが挙げられます。日本ではすでに、大阪大学や東北大学をはじめとする多くの大学でご利用いただいています。特に、研究に必要な機器や専門的な洋書をご注文いただいていますね。</p>

<p><strong>──最後に、Amazonビジネスの今後の展望を教えてください。</strong></p>

<p>やはりこの仕事をしていてうれしかったのは、ヒューマンライフケア様のケースのように、Amazonビジネスの利用を開始したことで労働時間の削減につながり、働き方が改善したといった話を伺えたときです。そのように思っていただけるようなお客様を増やしていくことが、Amazonビジネスの使命だと思っております。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/11/amazon-business-vol2.html">
<h4>インタビュー後編</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_L2A2966-1094.jpg">
<div class="info"><strong>企業の都度購買に着目した「テールスペンド」 から読み解く──Amazonビジネス、1年目の成果</strong></div></a></div>

<p>2018年10月には、Amazonビジネスの有料会員サービス「Businessプライム」が世界で同時にスタートました。個人向けの有料会員プログラム「Amazonプライム」と同じく、所定の年会費を支払うとさまざまな特典が利用できるというものです。</p>

<p>「Businessプライム」の特典の中には、対象商品の当日お急ぎ便やお届け日時指定便が無料で利用できることに加えて、より高度な購買分析ができる機能のご利用も含まれています。法人・個人事業主のお客様のニーズに合わせて、「Businessプライム」の充実を図っていく予定ですので、ぜひご期待ください。</p>

<p>【<a href="https://www.amazon.co.jp/b?node=5695748051&amp;ref_=JP_AB_OEDM_SS201811" target="_blank" rel="nofollow">Amazonビジネス</a>】</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="3040001028447"></div>
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    <title>11/22開催「Japan India Dialogue」：インド大使館首席公使が、モディ首相来日後の最新動向を解説 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/11/India-Japan-Dialogue.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9135</id>

    <published>2018-11-16T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:28:46Z</updated>

    <summary>昨年インドに進出したEightが、初めて国内でインドを主題としたビジネスイベントを開催する。だがそもそも、なぜいまインドが熱いと言えるのか？　在日インド大使館首席公使ラージ・クマール・スリヴァスタヴァが、日印両国のビジネス最新動向を解説する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="イベント" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>昨年11月、Eightはインドへの展開を発表し、海外版のアプリをローンチした。以来この1年間でさまざまな協力者とネットワークを築くことができ、手厚い支援に恵まれている。</p>

<p>その経験を広く共有し、ともにインドで挑戦できる仲間をもっと増やしていきたい、すでに進出している企業ともインドの可能性について議論してみたい。そのような考えのもと、Eightは11月22日（木）にインド経済のリアルとその魅力を共有するイベント「<a href="https://materials.8card.net/Japan-India-Dialogue/jpn.html" target="_blank" rel="nofollow">Japan India Dialogue</a>」をインド大使館で開催する。</p>

<p>おそらく当日最大の問いとなるのは、「なぜいま、日本企業はインドへの進出を積極的に検討すべきなのか」ということだろう。ちょうど先月の28・29日に、インドのナレンドラ・モディ首相が来日し、安倍首相との会談を終えたばかりである。そこでBNLは、インド大使館の"ナンバーツー"、ラージ・クマール・スリヴァスタヴァ首席公使の取材を敢行。ビジネスにおける日印関係の最新動向について訊いた。</p>

<p><img src="/uploads/_L2A2808-720.jpg">
<aside><strong>ラージ・クマール・スリヴァスタヴァ</strong><small>在日インド大使館 首席公使</small>
<p>1997年インド外務省入省。インド工科大学カンプール校で土木工学を専攻、工学学士号を修める。さらに、構造工学や地震学研究も実施。マドリッド（スペイン）や、ヤンゴン（ミャンマー）、ウィーン（オーストリア）、ブラジリア（ブラジル）の在外インド大使館で勤務を経験。本省では、外務職員局やアメリカ（アメリカ・カナダ）局、湾岸（ペルシア湾）局で研鑽を積む。直近では、2015年から17年までインド政府国家安全保障会議事務局（NSCS）へ次官補として出向、対外安全保障及び委員会運営を担当。17年8月より、在日本インド大使館首席公使に着任。</p></aside></p>

<h3>3つの補完関係は比類なきポテンシャル</h3>

<p>公使によると、まず大前提として日本とインドには3つの補完関係があるという。第一に資本と経済成長である。</p>

<p>「日本には潤沢な資本があり、インドには著しい経済成長があります。経済成長が停滞している日本国内の資本は、大きなリターンが得られていないのが現状です。一方インドでは、今後約20年間、7~8%の継続的な経済成長を見込んでいます。そのため、経済的に補完しあえる関係にあると言えるでしょう」</p>

<p>第二の補完関係は、労働者人口だ。日本は少子高齢化により働き手の減少が喫緊の課題だが、反対にインドは人口増加が課題になっている。そのため、こちらも協力しあうことで、両国にとってメリットが生まれる可能性は十分にあると説明する。</p>

<p>「すでにインドに進出している日本の大手メーカーが中心となり、各社で必要なスキルを教える人材育成機関が運営されています。昨年5拠点ほど立ち上がり、今年新たに3拠点が加わっています。また、日本政府はインドにおける日本語教育に力を入れ始めています。まずは現地の日本語の先生を教育することで、全体のレベルの底上げを図っています」</p>

<p>第三の補完関係は、テクノロジーの得意分野の違いである。日本はハードウェアの製造技術に強みがあり、インドはソフトウェア開発のレベルが高い傾向にある。</p>

<p>「互いの強みは異なりますが、それゆえに両国の人材を掛け合わせれば、新しい未来が拓けてきます。モディ首相が推進している『Digital India』、『Smart City』、『Start-up India』等のプログラムはいずれも、日本が掲げているAIやIoTを中心とした未来構想『Society 5.0』と融合できるものだと考えています。先月の首脳会談にて締結した『India-Japan Digital Partnership（IJDP）』は、まさにそのような可能性を見据えたものなのです」</p>

<p>これら3つの補完関係をもとにした両国には「比類なきポテンシャル」がある。その言葉を安倍首相は、先月モディ首相が来日した際に、何度も強調していたという。首席公使としての役割は、その可能性が1日でも早く現実のものとなるよう最善を尽くし、両国の未来を導いていくことだと語る。</p>

<p>「実は私たちがやっていることは、『栽培』に似ているところがあるのです。種に水をやり、太陽が正しい方向から差し込んでいるかどうかを絶えずチェックしています。そして、ある植物の成長が進むと、次はどんな品種を育てるべきかまで考えています。（日印関係には）比類なきポテンシャルがあるので、ひとつのアイデアだけに縛られていては、もったいないからです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2741-720.jpg">
<figcaption>総合商社や大企業が日印関係促進に役割を果たしている一方、それらだけに頼る必要はもうなくなった。今や、中小企業や数名しかいないようなスタートアップでも、支援を受けられる体制が整ったという。</figcaption></figure></p>

<h3>最近は中小企業の進出が増えている</h3>

<p>いま公使が注目している新しい"種"は、中小企業（SME）やスタートアップの支援だ。</p>

<p>「戦後、日本は財閥系の総合商社を起点にインドへの投資を進めてきました。大企業が進出する時に合わせて、系列会社も一緒に入っていくというモデルです。ただその手法が機能していたのは今世紀の初めくらいまででした。やがて日立や東芝のような、特定の業界において強いパイプをもつ企業が積極的に投資を始めました。そして近年は中小企業の事例が増えています」</p>

<p>日本の中小企業でも、インドに進出したいと考えた時に、インド政府から個別支援を受けられる環境が整った。かつての総合商社と同じように挑戦できるようになったという。</p>

<p>すでにこうした支援を積極的に利用して、インドへの投資を検討している企業は多い。先月29日には、日本企業によるインドへの投資プロジェクト57件が、モディ首相の立ち会いの下で「日印共同支援案件」として認定された。JETROやインド商工省、Invest India（商工省傘下の投資誘致機関）などが連携し、プロジェクトを支援していく方針だ。57件の投資総額は2,800億円、雇用想定数は2万9千人に上るとされている。</p>

<p>ではBNLの読者の中で、この記事を読んでインドに興味を持った場合、まず何から始めればいいのだろうか。公使は、「<a href="http://investindia.gov.in/country/japan-desk" target="_blank" rel="nofollow">Japan Desk</a>」というポータルサイトを案内してくれた。ここにいま日本語による最新情報が集まっているという。</p>

<p>「4年前のモディ首相の初来日に合わせて、インド政府の産業政策推進局は、『Japan Plus』の発足を発表しました。日本からの投資計画を促進および迅速化するための特別管理チームです。日本の経済産業省から2名の代表者が派遣されていまして、日本企業に対する支援活動に協力してくれています。先月、Invest Indiaの中に設置されたポータルサイトの日本語版が公開されました。ここで最新情報を集めて、いつでも気軽にお問い合わせください。各々のニーズに合わせて最適な人物や地域・支援機関等を紹介できます」</p>

<p>11月22日のイベントでは、公使も登壇する予定である。BNLとしては、まずはこのイベントに参加してみて、インドの熱気を体感してみることをお薦めしたい。「日本発インド向けサービスの軌跡と展望」というお題のセッションでは、すでにインドに進出している3社の担当者、アメグミCEO・常盤瑛祐、Progateグローバルマネージャー・西村拓之、Eightエグゼキュティブプロデューサー・千住 EDWARDが登壇。モデレーションをBNL編集長・丸山裕貴が務める。席数には限りがあるので、お申込みはお早めに。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>ムダから新しい発想、辺境から新しい合意形成は生まれる──博報堂ケトル・嶋浩一郎 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/11/Koichiro-Shima.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9140</id>

    <published>2018-11-15T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:24:49Z</updated>

    <summary>博報堂ケトルの代表として、多種多様な企業のPR業務を手がける傍ら、大好きなものごとを掘り下げる雑誌『ケトル』や、ビールが飲めるブックストア「本屋B&amp;B」を立ち上げ、自ら情報の発信地に立つ。その嶋浩一郎は語る。「一見ムダなことにこそ、真の価値はある」と。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="クリエイター" label="クリエイター" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="学び" label="学び" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="編集者" label="編集者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>嶋浩一郎</strong><small>博報堂ケトル代表取締役社長・共同CEO／クリエイティブディレクター／編集者</small>
<p>1968年東京都生まれ。1993年博報堂入社。コーポレート・コミュニケーション局で企業のPR活動に携わる。2002年から04年に博報堂刊『広告』編集長を務める。04年「本屋大賞」立ち上げに参画。06年博報堂ケトルを設立。カルチャー誌『ケトル』編集長などメディアコンテンツ制作にも積極的に関わる。12年に東京・下北沢で内沼晋太郎との共同事業として本屋B&amp;Bを開業。編著書に『嶋浩一郎のアイデアのつくり方』『人が動く ものが売れる編集術　ブランド「メディア」のつくり方』『欲望する「ことば」 「社会記号」とマーケティング』（松井剛と共著）など。
</p></aside></p>

<p>「PRって、どっちかっていうとマインドなんです。もちろんテクノロジー（方法論）でもあるんですが。例えば、いかにパブリシティを仕掛けるか、というような。でもより本質的なことは、世の中で起きているさまざまな物事に対するスタンス、構えなんです」</p>

<p>嶋浩一郎は、クリエイティブ、編集、経営などあらゆる手段を駆使して、さまざまなかたちのコミュニケーションを世の中に駆動させていく仕事をしている。一見雑多に思えるが、共通するのは「パブリック・リレーションズ（PR）」の視点があることだ。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/11/1127pr-conference.html">
<h4>嶋浩一郎も登壇決定</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/pr30-1000.jpg">
<div class="info"><strong>11/27開催「PR3.0 Conference」の登壇者と、Eightで名刺交換してみよう</strong></div></a></div>

<p>キャリアをスタートさせた90年代は、PRといえば企業広報や製品パブリシティが中心だった。しかし当時から既成の枠組みにとらわれず、ウェブサービスやコンテンツ開発に携わったり、雑誌を作ったり、従来の広告クリエイティブに飽き足らず新会社を設立したり、「ビールが飲める本屋」を始めたりなど、実践を通して自らの思考と手法を鍛えてきた。</p>

<p>嶋は、実践の中で蓄えた知見やノウハウを惜しみなく公開する。内容はアイデアのつくり方、企画力、編集術、ことばと社会の関係など多岐に渡る。</p>

<p>「アイデアを考える仕事をずっとしていますが、『こんなの役に立つのかな』『ムダかな』ことから思いついたモノのほうが新しい発想につながると思います」</p>

<p>嶋が語る、ムダをいとわない姿勢とPRのマインドとは。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0650-7202.jpg">
<figcaption>「使える〇〇」など、コンテンツをコストパフォーマンスで選んでいるうちは、想定内のアイデアしか生まれないという。</figcaption></figure></p>

<h2>あさっての方向から情報を得る</h2>

<p><strong>──私たちはどんどん効率を求めるようになっています。ビジネスでの出会いも、何か理由がなければムダと見なして積極的に人と会おうとしない、とか。でも嶋さんは徹底してムダを大切にされていますよね。</strong></p>

<p>アイデアは、一般的にムダだと思われているものや、何の役に立つのか分からないことから生まれると思っているんです。すでにどのような価値があるか分かっているものからは想定内の企画しかうまれません。もはやみんながその価値に気づいているわけだから。</p>

<p>「破壊的イノベーション」を提唱したハーバードビジネススクールのクレイトン・クリステンセン教授は「21世紀のイノベーティブな経営者に求められる資質は、一見無関係なものごとを結びつける思考だ」と言っていますが、僕の経験上も、意外なところから来る情報のほうが課題解決につながりやすいと言えます。アイデアのヒントはあさっての方向からやってくるんです。</p>

<p><strong>──あさっての方向、ですか。</strong></p>

<p>そう。例えば「本が売れない」という課題を解決をするのに、出版業界を研究することは必要ですが、それだけではアイデアは生まれません。それよりも、地方自治体のまちおこし事例がヒントになったりする。あるいはバーガーキングのキャンペーンから何かを思いつくかもしれない。つまり、一見見当違いに思えるような、あさっての方向から来る情報がすごく大事なんです。</p>

<p>あさっての方向からの情報は、意識して環境をつくらないと入手できません。インターネットの時代になって情報は簡単に検索できるようになりましたが、大量の情報が流通する一方でネットの中は「フィルターバブル」と呼ばれる現象が起こります。自分にとって心地よい情報、好きな情報だけを見て生きていけるようになった。それは快適ではありますが、思いもよらない情報とは出会いにくい。そして、そのような環境ではケミストリーは生まれないんです。</p>

<p><strong>──嶋さんはあさっての方向からの情報をキャッチするためにどんなことをされていますか。</strong></p>

<p>打ち合わせを知らない町でやるとかね。「ダーツの旅」的に、「今回は御徒町でやろう」とか「赤羽でやろう」ということがけっこうあります。本も、もともと多読なんですが、5冊併読するとしたら3冊は自分が読みたい本を読むけど、2冊は興味のない本を読む。ガーデニングの本とか、野球のルールの本とか。会計学の歴史の本とか。あ、それは興味あるな。</p>

<p><strong>──（笑）。</strong></p>

<p>みうらじゅんという人は、みんなが見向きもしなかったものに光を当て、「実は面白いでしょ」とプレゼンテーションすることで新しい価値を次々に世の中に打ち立てていったわけですが、彼が「修行」ということを言っています。好きなものを集めるのは趣味だけど、自分から遠いものや世の中で微妙だと思われているものを集め続けるのは「修行」なんだと。映画も、自分では選ばないようなものをあえて見に行くんだそうです。その話を聞いたとき、感銘を受けて。僕がやっていることも「修行」だなと。</p>

<p>いまも月に1回、自分の判断基準では見に行かないものを見に行くようにしています。演歌歌手のディナーショーとか、地下アイドルのライブとか、「KING OF PRISM」の応援上映とか。</p>

<p><strong>──「キンプリ」まで。</strong></p>

<p>そうやって見たものや、仕入れた情報をひたすら手帳に書いていって、それを折に触れて読み返します。僕の場合はそういうやり方ですが、ノート術なんかは自分に合っている方法でやればいい。言いたいのは、「ムダだと思っているもののほうが、宝の山だ」ということです。</p>

<p>バイオミミクリー（生物模倣）なんか完全にそうですが、蓮の葉がものすごく水をはじくところから、その構造を取り入れてヨーグルトがくっつきにくい蓋がつくられたりする。蓮の葉とヨーグルトの容器、全く関係ないですよね。でも関係ないことが役に立つし、余計な知識や情報を持っているほどアイデアが生まれる。情報の引き出しは多いほうがいいし、一見ムダなことこそ実は役に立つ。言い換えれば、ムダなことなんてないんです。</p>

<p><strong>──それでも多くの人は、それをムダだと思うわけですよね。</strong></p>

<p>コンテンツをつくったり本屋を経営したりしていて思うのは、「泣ける映画を見たい」とか、「企画のネタになる本が欲しい」というように、コンテンツに効果効能を求める人が多いということです。しかも早く結果を出したがる。でもコンテンツなんてつまらないものもあるし、いつ役に立つかどうか分からないけど見ておこうぐらいの気持ちで接するものと考えた方がいいですよ。寝かしておくと何年か後に意外なところでケミストリーが起きたりして、そうすると結果的に「役に立つ」わけであって。</p>

<p><strong>──コンテンツをつくる立場としては、ムダと思われやすい世の中に対してどう発信しようと心がけていますか。</strong></p>

<p>「ムダです」でいいと思うんです。残念ながらマーケティングしないと情報やコンテンツが売れない時代になってしまっていて、それには「このコンテンツは◎◎の役に立ちます」といって売ってきた側の責任もあります。ただ、ごはんを食べるのも映画を見るのも食べログやヤフー映画を調べて点数の高いところに行く風潮を見ると、「そんなに損したくないんですか？」とも思うわけです。「コストパフォーマンスでコンテンツを判断する時代はちょっとどうなんですか？」と。</p>

<p><strong>──雑誌『ケトル』を始めた時も、そういう考え方が根底にあったのですか？</strong></p>

<p>『ケトル』のコンセプトは極端です（笑）。できればムダな情報しか伝えない、いま世の中で役に立っている情報の伝達は他のメディアにまかせよう。有益だと分かっている情報は伝える人がいっぱいいるし、それはもはや検索で見つかるでしょう、と。</p>

<p>いまの時代、みんなが注目しているものはリアルタイムで可視化され、言語化されます。ビジネスとしては「みんなが注目しているのはこれです」と分かるのは便利なことだと思いますが、そこだけを追いかけているとフォロワーにしかなれない。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0588-7202.jpg">
<figcaption>意外な掛け算の方がイノベーションは起きやすい。だからこそ、人付き合いにも「修行」が必要だと語る。</figcaption></figure></p>

<h2>人の話を聞くのは、ドストエフスキーを読むのと同じ</h2>

<p><strong>──人付き合いにおいてはいかがですか。何か心がけていることは。</strong></p>

<p>情報の質という点で言うと、やっぱり最も質が高いのは人との会話だと思うんですね。書籍も相当高いと思いますが、やっぱり人がいちばんの情報源です。だからビールはインターネット並みのメディアだと思っていて。インターネットとビールは同等に偉い（笑）。</p>

<p><strong>──なるほど（笑）。</strong></p>

<p>人付き合いの「修行」もしますよ。なるべく知らない人とビールを飲むようにしています。この本屋を「ブックス・アンド・ビア」にしているのもそのためです。知らない人と会うとその人の持っている情報を引き出そうとはしますが、やはりすぐに役に立てようとは思いません。人の話を聞くのは、ドストエフスキーを読むのと同じなんです。</p>

<p>多くの人はすぐに結果が欲しいと思うから、想定の範囲内でアイデアをつくろうとします。アイデアは基本的に既存の知識の組み合わせですが、意外なかけ算のほうがイノベーションは起きる。そして、意外性は辺境から来た情報によってもたらされます。次に起きる変化や新しい価値は絶えず辺境からやってくる。そこに関わるほうが仕事としては面白いと思うから、「修行」もするし、雑誌もつくるんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0633-7202.jpg">
<figcaption>これまで以上に企業の人格が意識されるようになっている。商品よりも、何者がそれをやっているのかというストーリーを、しっかりと作れる人を経営はもっと大事にすべきだという。</figcaption></figure></p>

<h2>新しい合意形成は辺境から生まれる</h2>

<p><strong>──嶋さんは博報堂に入社後コーポレート・コミュニケーション局に配属され、企業のPRや情報戦略に携わるところからキャリアをスタートされました。そのころと比べてPRの概念は変化しているのでしょうか。</strong></p>

<p>まず、PRはパブリシティを行うことと思われがちですが、PR＝パブリック・リレーションズとは世の中に新しい価値を示し、合意形成を行う仕事です。それは簡単にできることではないし、それこそ、新しい合意形成は辺境から生まれます。</p>

<p>例えば、いまでこそ「歴女」という言葉は定着していますが、「歴史は男性が好きになるもの」が常識だったところに「私は女だけど歴史が好きだ」と表明した勇気あるファーストペンギンがいたわけです。</p>

<p><strong>──そこは辺境だった。</strong></p>

<p>そのときは。世の中の違和感でしかなかった。PRパーソンにとって大事なのは、そこで「歴史の好きな女性は他にもたくさんいるかもしれない」と気づけるかどうかです。そういう世の中の新しい価値の胎動を見極めて、それこそパブリシティをするとか、学会をつくるとかカンファレンスを開くとか、いろんな手段で第三者を巻き込んでその価値観を定着させていくプロフェッショナルがPRパーソンです。定着していくと、女性誌で歴女のための特集が組まれ、イケメン戦国武将のソーシャルゲームが誕生し、全国の観光地が歴女のためのプロモーションを行い......というようにビジネスが生まれていく。</p>

<p>スタートアップの経営者も、いま世の中がこう変わっているからこういうサービスが必要に違いないと考えてビジネスを始めるわけじゃないですか。既成の概念とは違う新しい価値観を打ち立てようとする。</p>

<p><strong>──そうですね。</strong></p>

<p>だからPRパーソンが必要なんです。広告よりもPRの役割が重要だからです。ビジネスに限らず、「男性も子育てに参加しよう」という合意形成もそうだし、「LGBTの権利を認めよう」という合意形成もそう。そういう世の中の大きな流れを嗅ぎ取り、同時にコミュニケーションテクノロジーを発動して第三者を巻き込んでいく。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0576-7202.jpg">
<figcaption>企業側は、勝手に商品の新たな価値を世の中に定着させようとする。でもそう簡単にはうまくいかない。だから、そのメカニズムがわかっているPRパーソンこそ、経営者の隣なりにいるべきだと語る。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──先ほどの例で言うと、「歴史が好きな女子」というファーストペンギンの情報を見逃さずにキャッチするためには、どういうことを心がければいいでしょう。</strong></p>

<p>違和感を大事にすることです。人と違う行動をしている人がいたらとにかくメモる。ペットをバギーに乗せて散歩している人をよく見るとか。なんでインスタに足の先だけの写真を載せる女性が多いんだろうとか。なんでハッシュタグで文章をつくるんだろうとか。</p>

<p>それは何かの欲望があるからそうしているわけです。人の欲望は次々に変化します。Facebookができれば承認欲求が生まれるし、Instagramができればリア充になりたいという欲望が生まれる。そういう欲望を持つ人がある程度のボリュームになると、新しい価値観へと変わっていく。その変化に敏感になれているかどうか。それはやっぱり、日常風景の中に現れる違和感をどれだけキャッチして、言語化できるかだと思うんです。</p>

<p>いまのエスタブリッシュな企業が提供している商品も含めて、全てのものが初めは辺境だったんです。「そんなの必要ない」「流行らない」と言われた商品だったかもしれない。それをみんなが「いいよね」と思うところにまで持っていくのは、商品の認知度を上げることも必要ですが、「それがある生活がいいよね」という合意形成のほうが大事な気がしています。その合意形成のテクノロジーであるPRは、今後ますます重要になっていくのではないでしょうか。</p>

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    <title>要約『熱海の奇跡』：なぜいま、熱海に若者が集まるのか - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/11/BNLBooks-VOL16.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9134</id>

    <published>2018-11-08T08:30:00Z</published>
    <updated>2019-01-15T00:46:20Z</updated>

    <summary>熱量のある人と人が出会えば、新しいプロジェクトが生まれる。するとそこに人が集まり、共感し、さらに大きな活動へとつながる。こうして熱海は活気を取り戻していった。この本は、廃墟と化した観光地が面白い街へと変わっていた再生ストーリーである。　</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>市来 広一郎</strong><small> 株式会社machimori代表取締役、NPO法人atamista代表理事、一般社団法人熱海市観光協会理事、一般社団法人ジャパン・オンパク理事、一般社団法人日本まちやど協会理事</small><p>
1979年静岡県熱海市生まれ。東京都立大学(現首都大学東京)大学院理学研究科(物理学)修了後、IBMビジネスコンサルティングサービス(現日本IBM)に勤務。2007年熱海にUターンし、ゼロから地域づくりに取り組み始める。遊休農地再生のための活動「チーム里庭」、地域資源を活用した体験交流プログラムを集めた「熱海温泉玉手箱(オンたま)」を熱海市観光協会、熱海市と協働で開始、プロデュース。2011年民間まちづくり会社machimoriを設立、2012年カフェ「CAFE RoCA」、2015年ゲストハウス「guest house MARUYA」をオープンし運営。2013年より静岡県、熱海市などと協働でリノベーションスクール@熱海も開催している。2016年からは熱海市と協働で「ATAMI2030会議――熱海リノベーションまちづくり構想検討委員会」や、創業支援プログラム「99℃――Startup Program for ATAMI2030」なども企画運営している。</a>。</p></aside></p>

<h2>熱海で生まれた出会いと再生の物語──BNL編集部の選定理由</h2>

<p>いま熱海がどんな風に変わっているのかを知りたくて、なんとなく手に取ったこの本には、思いがけずたくさんの出会いが詰まっていた。</p>

<p>熱海再生を成功に導いたいくつものプロジェクト。その都度「あ、これだと思った」「大きく目を開かせてもらった」と著者が言うのは、いつも新しい出会いが生まれたときだ。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/10/BNLBooks-VOL14.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="/uploads/kogei_1094.jpg">
<div class="info"><strong>「もの売り」から「ブランドづくり」へ━━中川政七商店に学ぶ、中小企業の経営術『日本の工芸を元気にする！』
</strong></div></a></div>

<p>税金に頼らず自ら稼ぐ「ビジネスの手法を取り入れたまちづくり」は、ビジネスで取り組む地域再生や、公民連携のまちづくりなど、その道のプロフェッショナルのアドバイスがあったからはじまった。</p>

<p>出会い自体は偶然かもしれない。しかしそのチャンスを無駄にせず、仲を深めて新たな価値を生み出すヒントをもらう。この繰り返しが、熱海再生への道のりを確実なものにした。すべてのステップは、出会いをチャンスと捉えなければ、成し得なかったのだ。</p>

<p>これまでBNLが取り上げてきた伝統産業や中小企業などの「後継ぎ」たちは皆、積極的に人と会い、それをきっかけに新しい価値を生み出している。著者も、熱海という街の「後継ぎ」だ。</p>

<blockquote>
  <p>街を再生するには、空き店舗を単に潰して、新しいものをつくればいいという単純なものではうまくいきません。潰すのではなく、今あるものを使い、そこに新しい価値を生み出し街を再生していけばいいのです。</p>

<p>本書　第4章　「街を再生するリノベーションまちづくり」 より抜粋</p>
</blockquote>

<p>古いものを活かしながら、外から新しいエッセンスを取り入れて、新しい価値を発信する。読み進めていくと、寂れた街が少しずつ息を吹き返し、そこで暮らす人々が活気づいていく様子が鮮やかに浮かんだ。これからどうなるんだろう、とワクワクする。</p>

<p>この本で描かれているのはビジネスの手法を活かした街づくりだ。しかし街を会社と見立てれば、ビジネスや組織づくりにも役立てることができるだろう。読み終えた後、著者の熱い思いに感化されて、変化の一歩を踏み出したくなるに違いない。</p>

<p><strong>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4492503013/">こちら</a>。（Amazon）</strong></p>

<hr />

<h2>本書の要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> <br />
人口の減少、高齢化率の上昇、空き家率や生活保護率の高さ、出生率の低さ、未婚率の高さ、40代の死亡率の高さなど、熱海は日本がこれから直面する問題を先取りしながら衰退した。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong> <br />
熱海再生の一歩としてまず重要視されたのは、地元の人が熱海の魅力を知ることと、熱海に対するネガティブなイメージを払拭することだった。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong> <br />
ゲストハウスを経営し、宿泊者が自然と熱海の街に出て行く仕組みをつくった。それによって宿泊者と住人との交流が生まれ、ファン化を促進することができた。</p>

<hr />

<h2>本書の要約</h2>

<h2>衰退しつつあった熱海</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/8175439227_64a4159038_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/yamauchibukuro/8175439227/">"掛川の帰りに熱海寄り道"</a> by yamauchi(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>熱海は50年後の日本の姿</h3>

<p>立地に恵まれ、名の知れた温泉街であるにもかかわらず、熱海は多くの課題を抱えている。そして、熱海で起こっていることは、今後他の地域でも起こることが予想されている。</p>

<p>まず人口の減少である。熱海の人口は、1965年をピークに、50年以上にわたって下がり続けている。次に、高齢化率の上昇だ。日本の高齢化率は27%だが、熱海ではすでに45%に達している。毎年1%ずつ上昇を続けてもいる。</p>

<p>空き家率も課題だ。日本全国の平均は13%だが、熱海の空室率は24%に昇る。しかもこれはリゾートマンションの空き部屋や空き別荘を除いた数である。それらも含めれば、熱海の空き家率は50%を超えるだろう。</p>

<p>生活保護率の高さや出生率の低さ、未婚率の高さ、40代の死亡率の高さにおいても、静岡県内で1位2位を争う状況だ。熱海は、日本がこれから直面する課題を先取りしていると言える。</p>

<h3>衰退の一途を辿った90年代</h3>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/8175488610_99bebfa844_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/yamauchibukuro/8175488610/">"掛川の帰りに熱海寄り道"</a> by yamauchi(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure>
1960年代半ばから70年代前半にかけて、熱海は日本を代表する温泉観光地として栄えていた。しかしバブル経済が崩壊すると、街は急速に衰退していく。1990年代前半には伊豆半島の伊東沖で群発地震が頻発し、それが観光客の足を遠ざけるとどめとなった。やがて宿泊客数は半減し、人口も約3分の2に激減することとなる。</p>

<p>こうした衰退は熱海だけに限ったことではない。では、なぜ日本の温泉観光地がどこも衰退していったのか。</p>

<p>その原因は、従来型の観光が行き詰まったということにある。熱海の全盛期である1960年半ばには、慰安旅行に訪れる首都圏の企業が宿泊客の中心だった。熱海にやってきて、旅館で温泉につかり、宴会をして帰って行くという旅行である。</p>

<p>ところが、2000年代に入ったころから、旅行客のニーズに変化が見られるようになった。団体で宴会をすることではなく、個人や家族で旅行に出かけ、体験・交流することを重視することになったのだ。温泉観光地は、このようなニーズの変化に対応できず、衰退の一途を辿ることになった。</p>

<h2>【必読ポイント!】街のファンをつくる</h2>

<h3>熱海再生の最初の課題</h3>

<p>熱海を再生するにあたってまず問題となったのは、地元の人が熱海に抱いている感情だ。2010年のアンケート調査によると、熱海在住の地元の人の43%が熱海に対してネガティブなイメージを持っていることが明らかになったという。</p>

<p>これに対し、別荘などを持っている二地域居住者のうち熱海にネガティブなイメージを持っている人は18.8%、観光客では26.3%であった。地元の人が抱いているネガティブなイメージを変えることが、熱海再生の最初の課題となった。</p>

<h3>チーム里庭の活動</h3>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/44528082441_77f209f26e_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos//tokutomi/45574559472/">"熱海旅行 2018年10月28日～29日"</a> by Masaki Tokutomi(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>地元の人に地元を知ってもらうために始めたのが、「あたみナビ」という取り組みだ。地域で面白い活動をしている人や地域の課題を取材し、それを発信するWEBサイトを作った。地元の人にもっと熱海を知ってもらいたいという思いがあった。</p>

<p>「あたみナビ」の取材をきっかけにして始まったプロジェクトが、「チーム里庭」だ。南熱海の農地のオーナーである山本進さんは、田んぼを再生し、地元の小学生に農業体験をさせている方だ。著者と山本さんが出会ったことをきっかけに、南熱海の荒れた農地を再生する「チーム里庭」が発足した。</p>

<p>市役所にあった部署「ニューライフ支援室」の協力もあり、「チーム里庭」は農業体験イベントを実施し、畑で作物を育てていく。このプロジェクトは、熱海に移住してきた方や別荘を所有して熱海を第二の居住地としている人たちにとって、地方ならではの暮らしをしたいというニーズを満たすものとなった。</p>

<h3>「オンたま」による意識改革</h3>

<p>次に展開したのが、地元の人に地元を楽しんでもらうツアー、「オンたま」である。これは「熱海温泉玉手箱」の略で、地域の人がガイド役を務めるツアーを短期間に多数開催するイベントだ。観光客ではなく、熱海や周辺地域に住む人たちに街の魅力を伝え、熱海ファンを増やすことに重点を置いていた。例えば「路地裏昭和レトロ散歩」と題した街歩きツアーでは、レトロな街並みを歩き、路地裏に佇む喫茶店などを紹介した。</p>

<p>反応はかなり良く、地元の新聞やメディアにも好意的に取り上げられ、別荘を持つ人や移住してきた人が多く参加した。オンたまによって地元の人々の熱海に対するイメージは激変し、オンたま参加者の満足度の高さが熱海のイメージアップに連動したと分析されている。</p>

<h2>変化を起こす</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/6132238248_7d0789623d_b.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/lhat/6132238248/">"三連濾（誤）"</a> by 小帽(Hat)(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>CAFE RoCAをオープン</h3>

<p>熱海市の中心エリアの入り口に、熱海銀座通りという小さな商店街がある。かつてこの通りは、熱海の人たちにとって憧れだった。</p>

<p>しかし近年では、熱海銀座はすっかり寂れ、シャッター街と化していた。2011年には、商店街の3分の1に当たる10店舗が空き店舗になっており、熱海のイメージダウンに加担している状況と言えた。</p>

<p>そこで著者たちは、熱海銀座の活気を取り戻す計画を立てた。空き店舗をリノベーションして「CAFE RoCA」というカフェをオープンさせたのだ。コンセプトは、「家でも職場でもない第3の居場所をつくる」。こうした場所があってこそ、新たなコミュニティが生まれるはずだという思いがあった。</p>

<p>しかし、オープン当初は賑わっていたカフェも、やがて閑散とするようになってしまう。立ち上げから店長をやっていたスタッフが出社しなくなったことを皮切りに、職場の雰囲気が悪くなり、サービスが低下してさらに客足が遠のくという悪循環に陥ってしまった。</p>

<p>不安にさいなまれた著者は、半年で経営を立て直すことを決める。収支を明確に把握するようにしたり、産休に入っていた妻が復活したりしたことが功を奏し、だんだんと人が戻ってきたという。</p>

<p>時を同じくして、熱海銀座では、いろんな人がイベントを開くようになり、人が集まってくるようになった。赤字営業から抜け出せなかったCAFE RoCAは、閉店という結果になったが、街の雰囲気を変えることには成功したのだ。</p>

<h2>ビジネスで人を呼び込む</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/36359974266_29ca0efb7e_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos//can185-way/36359974266/">"<em>MG</em>4889"</a> by waychen_c(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>ゲストハウス「MARUYA」</h3>

<p>チーム里庭やオンたま、CAFE RoCAといった取り組みは、熱海に住む人たちの意識を変え、地元活性化を進めるものだった。その結果、街の外に住む人たちも熱海に注目してくれるようになっていった。外から人を呼び込むタイミングがきていると、著者たちは感じたという。</p>

<p>そこで手がけたのがゲストハウスだった。著者が海外を旅していたとき、印象に残った街には良いゲストハウスがあった。一方熱海には、良い温泉旅館はあっても、良いゲストハウスがないという課題に気付いたのだ。</p>

<p>著者たちがオープンしたゲストハウス「MARUYA」は、交流型の素泊まり宿だ。30人が泊まれる宿泊スペースと、座って話したりお茶を飲んだりできるラウンジスペースを備えている。</p>

<p>MARUYAでは、宿泊客が入浴するときは近所の温泉へ行ってもらう。朝食はご飯とみそ汁のみをMARUYAで用意しておき、宿泊客が干物屋さんで好みの干物を選び、テラスのグリルで焼く。ゲストハウスに泊まることで自然と街に出かけ、街との接点ができ、熱海のファンになるという仕組みだ。</p>

<h3>人が街のディスプレイになる</h3>

<p>ゲストハウスができ、外国人だけでなく若い女性も泊まりにきてくれるようになったことで、熱海銀座の風景は変化した。空き店舗だらけだった通りには飲食店と事業所が増え、多くの人が歩く通りになっている。</p>

<p>街の人たちが抱く印象も変わり、「ここにはいつも若い人や外国人がいる」というイメージづけができたようだ。街にいる人たちが楽しんでいる姿こそが街のディスプレイだと著者は言う。街の変化は、建物をきれいにすることで始まるのではない。人が集まることによって起こるのだ。</p>

<h2>これからの熱海をつくる</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/16407843982_7f424252ee_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/peaceful-jp-scenery/16407843982/">"Atami City"</a> by peaceful-jp-scenery (busy)s(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>起業家を生み出す</h3>

<p>熱海では、熱海の2030年を作る起業家を生み出す取り組みとして、「創業支援プログラム99℃」を行っている。これは行政などで一般的に行われている、座学を中心としたプログラムではない。毎週木曜日の夜間、4カ月にわたって事業計画をブラッシュアップしていく。そのうえで、毎週のようにプレゼンテーションや事業相談を行うというものだ。講師やメンターは単なる専門家ではなく、自ら事業を立ち上げた人が担っている。起業のリアルな成功談や失敗談を聞き、アドバイスを得ることが可能だ。</p>

<p>このプロジェクトの目標は、2030年までに熱海に新しい企業を100社以上誕生させ、売り上げのトータルが数百億円を超える産業を作ることである。</p>

<h3>2030年に向けて</h3>

<p>現在、熱海は着々と事業所数を増やし、空き店舗が減って新規出店が増えるようになった。宿泊客数も増加し、街に賑わいが戻りつつある。街を引っ張る地域のリーダーの世代交代も順調に進み、著者たちのまちづくりが目に見えて変化をもたらすようになっている。</p>

<p>これから取り組まなければならないのは、観光地、リゾート地としての価値の向上である。例えば、観光地として重要なのは地域の食文化だ。熱海でも、良質な食のコンテンツを観光客に提供する必要があるだろう。伊豆半島には豊富な食材が揃っているため、熱海にはまだまだ食の可能性がある。そういった利点を活かして、熱海、伊豆、静岡ならではの食の魅力を見出し、食で選ばれる観光地にしていきたいと考えている。</p>

<p>また、宿泊、温泉、飲食のあり方を考えるとともに、地域に新たなサービス産業を生み出すことに、今後はチャレンジしていきたい。まちづくりとは街のコンテンツ作りであり、いかに新たな業態の商売を考えていけるかが要となる。そうした場によって熱海のファンを生み出すことができるし、熱海で働き暮らして行ける人を育てていけるだろう。</p>

<p>100年先も豊かな暮らしが送れる街、そして「何度でも訪れたい観光地」としての熱海をこれからスタートさせていく。</p>

<hr />

<h2>一読のすすめ</h2>

<p>本書は熱海に生まれ、地元の再生のためにUターンした著者が実際に行ったプロジェクトを、詳細な経過とともに紹介している。通読することによって、衰退した観光地であった熱海を再生するまでにどれほどの人の尽力があったのか実感できるとともに、地方創生のロールモデル、そして地方ビジネスのひとつの在り方を学ぶことができるだろう。ぜひ本書を手に取り、要約では書き切れなかったエピソードからも著者の熱い思いを感じ取っていただきたい。</p>

<p>（1冊10分で読める本の要約サービス <a href="https://www.flierinc.com/">flier</a>）</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/10/BNLBooks-VOL15.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/300ma.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>前回のBNL Books：要約『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』</strong></div></a></div>
]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>立派なビジョンも強烈な原体験もない。でも出会いに恵まれ、会社は変われた──平安伸銅工業 三代目・竹内香予子 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/11/Heian-Shindo-Takeuchi.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9132</id>

    <published>2018-11-06T01:40:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:53:21Z</updated>

    <summary>年々売り上げが落ちていた突っ張り棒メーカーの後を継いで、いったい何ができるか？　「LABRICO」と「DRAW A LINE」、2つの新ブランドを立ち上げた竹内香予子は、社内にはいなかった「革新が得意な人」との出会いが成功のきっかけになったという。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="新しい後継ぎのかたち" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="デザイン" label="デザイン" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="中小企業" label="中小企業" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="後継ぎ" label="後継ぎ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>竹内香予子</strong><small>平安伸銅工業 代表取締役</small>
<p>平安伸銅工業の創業家三女として生まれる。大学卒業後、2006年に産経新聞社に入社し、記者として滋賀県で警察、行政取材を担当する。09年に退職し、父の元で経営を学ぶ。自らお片付けコミュニティに飛び込み、整理収納アドバイザーの資格を取得。14年にお片付けに特化したWebメディア「cataso」を立ち上げる。15年1月より代表取締役に就任。木材で簡単に収納スペースが作れるDIY用パーツ「LABRICO」や、デザイン性の高い突っ張り棒「DRAW A LINE」など、突っ張り棒メーカーの技術と実績を活かした新ブランドを立ち上げる。さらに、自身を"つっぱり棒博士"と名乗り、整理収納のプロフェッショナルとしてメディアの注目を集める。収納の工夫を凝らした自宅は「突っ張り棒御殿」として、17年12月に日テレ系「スッキリ」でTV初公開された。
</p></aside></p>

<p>看板商品か、門外不出の技術か、はたまたビジネスパートナーとの関係性か。当たり前だが、跡を継ぐというのは何かしらのものを先代から引き継ぐということである。確固たるモノがあるぶん、ゼロから起業するよりリスクが小さいという考え方もあるだろう。一方で、まっさらな状態から自由に発想するのと比べて、ありものに縛られる難しさもある。ましてや、引き継いだものが二進も三進もいかないものだったとしたら──。</p>

<p>大阪市西区にある平安伸銅の三代目社長・竹内香予子が引き継いだのは、日本人であれば誰もが一度はお世話になったことがあるだろう、おなじみの収納用品・突っ張り棒だ。約40年前、竹内の祖父である創業者の笹井達二が可能性を見出し、父・康雄が普及させた同社の突っ張り棒は、1990年代には年商約50億円を叩き出した。</p>

<p>だが、その後は競合の参入が相次ぎ、価格競争が激化。全国紙記者だった竹内が父の病をきっかけに同社に転職し、近い将来に跡を継ぐと決意した2010年ごろ、売り上げは全盛期の三分の一以下まで減っていた。「いまや突っ張り棒は、100円ショップでも手に入るほどにコモディティ化した価値の低い商品」。それが他ならぬ竹内自身の受け止め方だった。 </p>

<p>消費者には区別がつかないレベルで「耐荷重」を競い合う各社。小売店からはとにかく価格を抑えることを求められ、極限まで生産効率を追求する中、製造現場は疲弊していた。現場の一人ひとりがそうした価値観を当たり前に受け入れ、「自分たちならではの価値なんてない」と卑下しているように映った。このままではダメ。なんらかの革新が必要なことは明らかだった。とはいえ、竹内自身は当時20代半ばと若く、異業種から転入した素人だ。</p>

<p>何十年も細かな改善ばかりを繰り返してきた社内に、大胆な革新のアイデアを発想できる人材がいるよしもない。外から人を取ってこようにも、コネクションも、引く手数多のイケてるクリエイターに対して打ちだせる魅力もない。さて、こんな八方塞がりのようにも思える状態で家業を引き継いだとしたら、あなたはまず、何から始めるだろうか？</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_9326-final.jpg">
<figcaption>自ら「整理収納アドバイザー」の資格を取得。消費者の目線に立って考えられるようになることを心がけたという。</figcaption></figure></p>

<h3>肝いりで始めたメディア事業。しかし失敗に終わる</h3>

<p>竹内の場合はまず、消費者とつながることから始めた。「世の中には片付けが大好きで、自ら研究していて、それを人にまで広めようとする人たちがいる。そういう人たちが何を考えているのか、まずは知りたかったんです」。機能性と生産効率だけを追い求める業界の現状が、外からやってきた竹内の目には「ユーザー不在」として映ったのだ。</p>

<p>自ら「整理収納アドバイザー」の資格を取得し、コミュニティに飛び込んだ。すると、世の中には自分たち作り手の想像を超えて収納用品を愛してくれている人たちが確かにいた。</p>

<p>けれども同時に、そうした人たちが自主的に発信している情報には、誤ったものも多分に含まれていた。作り手からすれば常識と言えるような情報が、消費者にはまったく伝わっていない現実があった。</p>

<p>「もっと作り手自身が発信して、正しい使い方を伝えなくては」。こうした問題意識に端を発して2014年に立ち上げたのが、「片付けのプロが暮らし方のノウハウを提供する」というコンセプトのWebメディア「<a href="http://cataso.jp/" target="_blank" rel="nofollow">cataso（カタソ）</a>」だ。</p>

<p>運営にあたっては「メーカーとしての色は極力排除し、消費者にとって役立つ情報を発信することを心がけた」という竹内。記者時代の経験も活きたのか、愚直にオリジナル記事を作って育てたメディアは、月間50万PVを叩き出すほどに成長した。</p>

<p>しかし、「cataso」は結果として失敗に終わる。各企業がこぞって自社メディアを立ち上げた時期と重なったこともあり、広告媒体としての十分な価値を示し、収益化するまでには至らなかったのだ。</p>

<p>ところで、このメディア事業を立ち上げた背景にはもう一つ、竹内自身の焦りもあった。何の実績もないまま、若くして平安伸銅を背負う立場になったこのころ、竹内は人知れず大きなプレッシャーと戦っていた。「過去を否定し、とにかく何か新しいことを打ち出すことで強がる以外に、自分自身が立っていられない状態だったんです」</p>

<p>そんなこともあり、「突っ張り棒に代わる新たな収益源に育ってくれたら」と期待を込めて始めた「cataso」だったが、立ち上げから3年で運営から撤退することになった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_8947-final.jpg">
<figcaption>過去を否定してもうまくはいかない。突っ張り棒の可能性にあらためて向き合うところから、次の糸口が見えてきた。</figcaption></figure></p>

<h3>Amazonレビューで知った、積み上げられた「信頼」の重み</h3>

<p>事業としては失敗に終わったが、メディアを運営していく過程には収穫もあった。平安伸銅のことを知り、愛し、数ある類似品の中から選んでくれている人たちは、確かに存在している。自分たちの仕事の価値を見失っていた当時の平安伸銅にとって、そのことを知れた意味は大きかった。</p>

<p>並行して新たにAmazonでの販売を始めると、もう何十年もマイナーチェンジしかしていない、竹内自身が「ダサい」「未来がない」と腐していたその商品に、高評価のレビューが何十件とつくという出来事もあった。こうした現実を目にしたことが、竹内の家業に対する向き合い方を変えた。</p>

<p>「平安伸銅が作る商品に対して、私たちが思う以上に信頼を寄せてくれている人がいる。そしてその信頼は、祖父が突っ張り棒の可能性を見出し、父がそれを普及させ、スタッフが改善を重ねてきた結果として積み上がったものなんだと気づかされたんです。過去を否定するそれまでのやり方は間違っていた。過去を否定するのではなく、それを受け入れ、その先に未来を作っていくことこそが自分の役割なんだと思い直すことになりました」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_9697-final.jpg">
<figcaption>平安伸銅工業は、突っ張り棒で国内トップシェアを誇る。米国でシャワーカーテン用のものを転用し、ここまで日本の家庭に普及させたのは、竹内の父親の大きな功績である。</figcaption></figure></p>

<p>こうした気づきを得て、現在竹内が取り組んでいることは、大きく二つある。</p>

<p>一つは、従来通りの収納用品としての突っ張り棒を国内で売るための施策。人口減少が進む日本で今後、突っ張り棒の需要が大きく伸びるとは考えにくい。だが、せめて横ばいを維持するためにできることはあるはずだ。</p>

<p>そこで立ち上げたのが、通称「つっぱり棒博士プロジェクト」。竹内自身が突っ張り棒にものすごく詳しい「博士」としてセルフブランディングし、メディアに露出したり、セミナーを開いたりして突っ張り棒の正しい使い方・新しい使い方を伝えることで、消費者が「もう一本買ってみよう」と思う機会を創出しようと試みている。</p>

<p>けれども、国内のマーケットがシュリンクしていく状況にあって、これまで通り国内向けに、これまで通りの商品だけを売っていたのでは先細りは避けられない。そこで必要になってくるのがもう一つの軸である、新たなマーケットを創造するための施策。平安伸銅が海外展開に力を入れると同時に、従来の収納用品としてのマーケットの外を見据えた新商品開発に力を入れているのは、その表れだ。</p>

<p>2016年8月に発売開始した「LABLICO（ラブリコ）」は、ホームセンターなどで売っている2×4材の上下にキャップのようにしてはめることで、女性でも簡単に柱や棚を作ることができるDIY領域の新ブランド。かたや2017年4月発表の「DRAW A LINE（ドローアライン）」は、突っ張り棒のイメージを覆すシャープなフォルムで、単なる便利グッズではない、デザイン性の高いインテリア商品となっている。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_9537-final.jpg">
<figcaption>LABRICOのアジャスター。好きな木材と組み合わせて、壁に傷を付けることなく簡単に収納場所を作ることができる。</figcaption></figure>
<figure>
<img src="/uploads/LABRICOimage.jpg">
<figcaption><a href="https://www.heianshindo.co.jp/labrico/" target="_blank" rel="nofollow">LABRICOの公式ブランドサイト</a>で紹介されている使用イメージ写真。Photo Courtesy of Heian Shindo</figcaption></figure></p>

<h3>革新の担い手との出会いは「わらしべ長者」的</h3>

<p>突っ張り棒の技術は生かしつつも、従来のマーケットの外に目を向ける。まさに「過去を受け入れ、その先に未来を作る」ように発想して生まれたのが、「LABLICO」であり、「DRAW A LINE」だ。</p>

<p>けれども、こうした革新的なヒット商品が産まれるまでには、もう一つクリアしなければならないことがあった。それは、革新を担うような人材をどうやって確保すればいいのかという問題だ。それまでいた平安伸銅の社員の多くはエンジニアであり、数十年にわたって機能を追加したり、逆にコストを抑えるべく機能を削ったりと、細かな改善を続けてきた。</p>

<p>改善はいうまでもなく必要なこと。だが、一方でゼロから何かを生み出すような経験のある人材は一人もいなかった。改善が得意な人に革新をやらせようとしてもうまくはいかないし、むしろうまくいっていたはずの改善までもがうまくいかなくなってしまう。革新の一手を打つには、革新を得意とする人を新たに招き入れる必要があった。</p>

<p>では、自分たちの業界における「革新が得意な人」とはどんな職種の人を指すのだろうか。竹内は「それはプロダクトデザイナーではないか」と考えた。</p>

<p>しかし、いざプロダクトデザイナーを採用しようと思っても、そう簡単にはことは運ばない。というのも、平安伸銅のような地方の中小企業に、プロダクトデザイナーとのコネクションなどあるはずがなく、加えてその時点で手元にあるのは伝統的な突っ張り棒だけだから、クリエイターに対して打ちだせるこれといったアピールポイントもない。</p>

<p>最初の一歩が一番難しい。平安伸銅はいかにしてそれを踏み出したのだろうか。</p>

<p>竹内は自身の歩みを指して「わらしべ長者」的という。ここまで来られたのはすべて意図した通りにうまくいったからではなく、むしろ思いもよらなかった不思議な縁に導かれて今日がある。</p>

<p>「こんなデザイナーがいたらいいなーと言い続けていたら、旧知の人材エージェントの方が本当に連れてきてくれたり、採用面接したものの条件が合わずに破談になったデザイナーの方が、知り合いのデザインユニットを紹介してくれたり。そうやって不思議な縁でつながった人たちに力を借りて生まれたのが、『LABRICO』であり『DRAW A LINE』。いろいろな人に助けていただいて、なんとかやってこられたというのが正直なところなんですよ」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_9790-final2.jpg">
<figcaption>クリエイティブユニットTENTとのコラボレーションブランド「<a href="https://www.heianshindo.co.jp/draw_a_line/" target="_blank" rel="nofollow">DRAW A LINE</a>」。これまでは、単に「アイデアグッズ」として扱われがちだった突っ張り棒を、暮らしを豊かにする「一本の線」として再定義し、新しいライフスタイルを提案している。</figcaption></figure></p>

<h3>ビジョンも原体験もない。でも必死にもがいたからいまがある</h3>

<p>そう自嘲気味に話す竹内だが、とはいえ、そんなに都合のいい偶然ばかりが重なるものだろうか。良い出会いに恵まれる人には、それを招き入れるだけの何かがありそうなものである。</p>

<p>「なぜそんなに助けてもらえるのか......それは自分でもわかりません。でも、もしかしたら必死に溺れていたから、なのかも。そのまま溺れさせておけばいいと思った人もたくさんいたでしょうけれど、一生懸命ではあったから、その中の何人かが『ちょっと助けてあげれば泳ぎが上手になるかも』と思ってくれたのかもしれない」</p>

<p>「何をやるのか」以上に「なぜやるのか」「なんのためにやるのか」といったビジョンが人を惹きつけるとはよく言われるところ。だが、「スタートアップ企業が持つようなそうした立派なビジョンや強烈な原体験は一切ないままここまで来た」と竹内は続ける。</p>

<p>「ちょっと言い訳じみているんですけど、後継ぎってゼロから何かを立ち上げるスタートアップと違って、先代から受け継いだものを元にどうにかする以外にないんですよ。あるものを使って、なんとか知恵を絞ることで、お客さまが喜んでくれるものを生み出せないか。それだけを考えてがむしゃらにやってきたのが、この8年なんです」</p>

<p>そうした必死さが人を呼び込み、またその中から幸運にも「LABRICO」や「DRAW A LINE」といったヒット商品が生まれたことで、平安伸銅が置かれた状況はいま、変わりつつある。これまではホームセンター向けにOEM製品として納めるしかなかった普及品の突っ張り棒に関しても、「プライベートブランドに製造者として平安伸銅の社名を記載しよう」と言ってもらえる機会が、少しずつではあるが生まれているという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_9407-final.jpg">
<figcaption>アルミサッシを開発した祖父も、突っ張り棒を普及させた父も、時代の変化に合わせて創意工夫をしてきた。三代目として、自分はどんな工夫をそこに積み重ねられるか。その表情はとても明るい。</figcaption></figure></p>

<p>「価格を抑えることのみを求められていた以前からすれば、考えられないことです。もちろんまだまだ成功したなんて言えないんですけど、少しずつでも平安伸銅の名前で勝負できる状況ができてきた。ようやく自分たちがどんな価値を打ち出していきたいかということについても考えられるようになりました」</p>

<p>竹内はこの半年くらいをかけて、自分たちが目指すべき新たなビジョンを言葉にするつもりでいる。ただしその際も、見据える未来が、平安伸銅60余年の歴史の延長上にあることに変わりはない。</p>

<p>「うちが祖父の代から一貫してやってきたのは、『アイデアと技術で暮らしを豊かにする』こと。戦後の復興期には安全な家をとにかく大量に世の中に供給しなければならなかったから、その中で見出したのがアルミサッシでした。70年代になって都市化が進む中で目をつけた突っ張り棒にしても、やっていることは同じです。だから私の代でも、その軸だけはブレることがない。その上で、いまにあった形、自分たちらしい言葉で表現できたらいいのかなと思っています」</p>

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    <title>11/27開催「PR3.0 Conference」の登壇者と、Eightで名刺交換してみよう - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/11/1127pr-conference.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9133</id>

    <published>2018-11-01T06:15:00Z</published>
    <updated>2018-11-02T06:29:03Z</updated>

    <summary>ネスレ日本の高岡浩三、メルカリの小泉文明、アマゾンジャパンの金子みどり、博報堂ケトルの嶋浩一郎など、経営とPRのシナジーに注目する数多くの登壇者が虎ノ門ヒルズに集う。初めてEightの名刺交換機能を大型カンファレンスに導入する、新たな試みも当日体験できる。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="EVENTS INFO" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>11月27日（火）、PRを主題とし、その概念のアップデートを目指す、大型のビジネスカンファレンスが都内で開催される。</p>

<p>Eightはイベントパートナーとして、賛同いただけた登壇者と来場者の間で、Eightの名刺交換機能を活用した、新しいビジネスネットワーキングの仕組みを提供する予定だ。（パートナーシップに関する発表の詳細は<a href="https://jp.corp-sansan.com/news/2018/no_cards_prtc.html" target="_blank" rel="nofollow">こちら</a>）</p>

<p>そもそも「PR3.0」とは何か。主催するPR Tableの担当者に聞いたところ、まず1.0はメディアに商品を取り上げてもらう、昔ながらの方法である。2.0はブログやSNSを通して商品の価値が世間の注目を集めやすい雰囲気を醸成する手法を指している。1.0と2.0は、どちらも商品市場に限定されていたわけだが、3.0は労働市場や資本市場をも視野に入れた、より広範な概念として提案し、みんなでその可能性について議論したいという。</p>

<p>2014年の創業以来、PR Tableは、商品よりも企業そのものの魅力を社内外に発信できるプラットフォームとして、労働市場におけるPRの可能性を広げてきた。そのPRに対する新しい考え方に共鳴したメッセージを、今回多くの登壇者がイベントサイトに寄せている。</p>

<p>登壇者の顔ぶれは、PRパーソンだけでなく、経営、人事、財務、法務等、実に幅広い。PRが労働市場や資本市場にも関わるようになると、より経営の目線が必要になるという主催者の意図が伝わってくる。Keynote Speechに登壇するネスレ日本の高岡浩三や、Lunch Sessionに登壇するメルカリの小泉文明がイベントサイトに掲げている次のメッセージに、当日の議論の方向性が明確に打ち出されているように思える。</p>

<blockquote>
  <p>イノベーションは顧客が気づいていない、 あるいは諦めてしまっている問題を解決することであると、私は定義しています。つまり、顧客をはじめとした社会とよい関係を構築するというパブリック・リレーションズ（PR）の発想なくして、イノベーションは起こりえません。私たちはPR発想を経営に取り込みながら世界に通じるイノベーションを生み出し、 日本経済の活性化に貢献したいと考えています。<br>
──高岡 浩三（ネスレ日本株式会社 / 代表取締役社長兼CEO）</p>

<p>経営においてパブリック・リレーションズ（PR）は、最もROIが高いファクターのひとつです。莫大なお金をかけなくても、知恵やアイデアを絞れば、採用やプロダクトの成長、ひいては会社の信頼性向上に大きく貢献する役割を果たすことができるにも関わらず、未だに経営におけるPRの視点や役割が十分に理解されていないと思っています。今回のカンファレンスを通じてPRの価値が再評価されることを期待しています。<br>
──小泉 文明（株式会社メルカリ / 取締役社長兼COO）</p>
</blockquote>

<p>登壇者として名を連ねるPRパーソンも、こうした経営者の思いを理解し、自ら率先して行動している人たちである。</p>

<blockquote>
  <p>"社会の課題解決"や"機会の最大化"を経営の軸に置いている組織はとても強いです。今回、経営とPublic Relationsを繋ぐ場がPR3.0として発展していけば、という思いで参加いたします。マーティングがエンジンだとすればPRはそれらを実現するための「○○○」ーーーさて、この「○○○」に当てはまる言葉は何でしょうか？皆さんとの議論の中でPublic Relationが果たすべき役割、そしてゴールを見つけていければと思います。<br>
──金子 みどり（アマゾンジャパン合同会社 / パブリックリレーションズ 本部長）</p>

<p>産業構造がかわるこの時代。社会、ユーザー、従業員らと新しい合意形成をつくるパブリック・リレーションズ（PR）は経営者にって必須のテクノロジーです。日本のPRパーソンにはまだまだチャレンジする伸びしろがあるし、経営者は事業の成長のためにもっともっとPRパーソンを活用すべきだと思います。<br>
──嶋 浩一郎（株式会社博報堂ケトル / 代表取締役社長 共同CEO）</p>

<p>PRという領域は、単独のマーケティング効果を見出しにくく、多くのPRパーソンが疑問を感じつつも、露出件数や広告換算額だけがゴールとして語られがちでした。今こそ、PRの「ゴール」を見直すべきタイミングです。ゴールを見直すことは、すなわちPRの役割を再定義することです。再定義の先には、大きな変化が待っているはずです。<br>
──太田 郁子（株式会社博報堂ケトル / PRディレクター／ストラテジックプラニングディレクター）</p>
</blockquote>

<p>at Will Workの藤本あゆみがモデレーターを務めるセッション「事業成長を加速させる、優秀な人材との関係構築の未来」では、サイバーエージェントの曽山哲人やLinkedInの村上臣など、人事キャリアのプロフェッショナルも集う。特に採用広報に携わる人にとっては必須のセッションである。</p>

<p>ほかにも、『ヤフージャパン 市場との対話』の著者であるヤフーの浜辺真紀子が登場するインベスターリレーションズの回や、過去にBNLでも取材したハフポスト日本版の竹内隆一郎が登壇するメディアリレーションズの回など、専門的な内容を扱うセッションも用意されている。アップデートされた最先端のPRの動向をまとめて把握できる、貴重な1日となるだろう。</p>

<p>全プログラムの詳細、タイムテーブルは<a href="https://blog.pr-table.com/conference2018/timetable/" target="_blank" rel="nofollow">こちら</a>。</p>

<p>※下記、登壇者プロフィールは、本記事で取り上げた人物のみ掲載しています。全登壇者のプロフィールは、公式イベントサイトでご確認ください。ここにお名前が掲載されている方でも、イベント当日、Eightでの名刺交換に対応できない場合もございます。あらかじめご了承ください。</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="8010001164752"></div>
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    </content>
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<entry>
    <title>変革期にある銀行の静かなる改革者、インハウスデザイナーの意義と役割 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/10/smbc-kaneko.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9126</id>

    <published>2018-10-30T05:50:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:13:23Z</updated>

    <summary>組織の中にデザイナーがいることによって、いったい何が変わり得るのか。これまでデザイン業務を外注していた三井住友銀行に転職し、少しずつだが確実に、デザインの重要性を行内に浸透させている一人の声を聞いてきた。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="これからの転職" label="これからの転職" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="キャリアストーリー" label="キャリアストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="デザイン" label="デザイン" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>金子直樹</strong><small>三井住友銀行 リテールIT戦略部 デザインコンサルタント</small>
<p>2004年、求人広告の代理店に新卒入社。法人営業を担当。06年、知人と起業。ECサイトの運営や、Webサイト、スマホアプリの企画・制作を担当。13年、大手広告代理店系列のマーケティング会社に入社。Webサイトの企画・制作・運用等を担当。17年、三井住友銀行に入行。</p></aside></p>

<h3>いまメガバンクでデザイナーとして働くということ</h3>

<p>三井住友銀行リテールIT戦略部にはデザイナーが在籍している。メガバンクがインハウスでデザイナーを抱える例は珍しいと言えるのではないか。事実、同行でも「デザインはすべての仕様が決まった後に考える後工程の仕事である」という捉え方が長い間の"常識"だった。こうした考え方が、徐々にだが変わりつつあるのはごく最近のことだという。</p>

<p>リテールIT戦略部デザインコンサルタントの金子直樹は2017年4月、同行2人目のデザイナーとして入社した。急速にデジタル化を推し進めるリテール部門の各種UI/UXデザインはもちろん、社内の顧客管理システムのUI全面刷新や、組織の垣根を超えたグループ各社のプロジェクトなども担当。同時に、デザインに関する正しい考え方を行内に浸透させるべく、地道な"布教活動"も続けてきた。</p>

<p>この5月には経済産業省・特許庁が「デザイン経営」宣言を発表するなど、ビジネスにおけるデザインの果たす役割を見直す動きが日本でもようやく広がりつつある。メガバンクで働くデザイナーの声を通じて、比較的まだデザインの重要性が浸透していないと言われている金融機関において、これからデザイナーが果たせる役割について考える。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9041-final.jpg">
<figcaption>普段仕事で使っているというMacBook Pro。三井住友銀行の行員として、初めて支給されたものだという。</figcaption></figure></p>

<h3>Macさえない。自らの働く環境をデザインするところから</h3>

<p><strong>──三井住友銀行に入るまでの金子さんのキャリアについて教えてください。</strong></p>

<p>もともとはいまのようなクリエイティブな仕事はしていなくて。大学卒業後、最初は求人広告の会社に営業として入りました。就職活動をしていても自分のやりたいことがまったく見つからず、でも働かないままいるわけにもいかない。求人広告の営業であればいろいろな仕事を見て回れるし、その後につながるだろう、くらいの気持ちでした。</p>

<p><strong>──そこからどうしてデザインの道に？</strong></p>

<p>当時の僕は営業をして仕事を取ってきて、それを媒体に落とし込むまでのディレクションを担当していたんですが、お客様の要望を元に「こういうイメージを作りたい」っていうラフをなんとなくで描いて社内のクリエイターに渡すと、パッとかっこいいものが上がってきて。クリエイティブといっても求人広告なので、そこまでいろいろなことができるわけじゃないんですけど、でもそういうところに魅力を感じるようになりました。</p>

<p>それに、元をたどれば小さい時から絵を描くのが好きだったっていうのもあります。祖母が画家だったので、アトリエに行くといつも油絵の匂いが漂っていて。そういう環境で育ったので、ゼロから自分で何かを作り出すことには昔から憧れがありました。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/09/smbc-yanagawa.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_L2A0845-1094.jpg">
<div class="info"><strong>最近の三井住友銀行の新しい取り組みは、この人が推進していた──リテールIT戦略部・柳川朋子</strong></div></a></div>

<p>それで、短期のデザインスクールに通って基礎的なことを学んだあと、デザイン事務所を経て、友達と一緒に会社を作りました。ECサイトを運営して家具を売る会社だったんですけど、デザインからコーディングまでを全部自分たちでやっていたので、そのスキルを活かして、よその会社さんのサイトのちょっとしたデザインなんかも請け負っていました。</p>

<p>その後は、もう少し規模の大きな、多くのユーザーさんを相手にする事業会社の仕事がしたいと思って、いろいろな転職先を探しました。でも、当時の僕のキャリアとかスキルではいきなりは難しくて。それで一回代理店で経験を積もうと思って、大手広告代理店のデジタル部門に就職して、Webディレクターの業務をメインに約3年半勤めた後、いまの場所にたどり着いたという経緯です。</p>

<p><strong>──銀行がデザイナーを探していると聞いてどう思いました？</strong></p>

<p>転職エージェントから最初に紹介された時は、ちょっと想像がつかなかったんですね。でも、転職先を探す上で第一条件に考えていたのが、自分が昔から馴染みのあるサービスというもので。自分自身が使うようなサービスじゃないと、サービスを提供する側としてもいいものは作れないし、何よりやっていて楽しくないだろうと思っていました。その点で言えば、銀行は何も問題がなかった。</p>

<p>加えてリテールIT戦略部というのは、これまで銀行がやってこなかった新しいことをやる部署であるというじゃないですか。なおかつ募集しているのはこれまでにない、まったく新しい職種。すごくチャレンジのできそうな、おもしろそうな職場だなと思いました。</p>

<p><strong>──実際に入ってみてどうだったんですか？</strong></p>

<p>具体的に何をやるかは何も決まっていない状態で入ったんですけど、いざ入ってみたらMacもないような環境で（苦笑）。デザイナーの僕からすると「デザインをするんだから、当然Macでしょ」って感じで、入るまであえて聞くことはしてなかったんですけど、それくらい、デザイナーが何を必要としているのかもわかっていなかった。</p>

<p>入社初日に「僕のパソコンどこですか？」って聞いたら、「これ（Windows）です」「いやいや」って。そこがスタートだったんです。だからそれをどうするかってところから考えて。</p>

<p><strong>──入るところを間違えたと思いませんでした？</strong></p>

<p>いや、思わなかったですね。これ（MacBook Pro）を買うときも、新しい取り組みなのだからということで、ちょっとスペックのいいやつをお願いして（笑）。Adobeのデザインツールもそうだし、最新のものを揃えてもらいました。</p>

<p><strong>──むしろラッキーだった？</strong></p>

<p>そうですね。その辺はフレキシブルに対応してくれる人がいたので、要望をちゃんと伝えることで徐々に環境を変えていくことはできました。もちろんバリバリのITスタートアップと比べたらまだまだかもしれませんが、いまから入る人はかなりやりやすい環境になっていると思いますよ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9004-final.jpg"><figcaption>外注ではなく行内にいるデザイナー、いわゆるインハウスデザイナーだからこそ、お客様の利便性を第一に考えられる。</figcaption></figure></p>

<h3>デザイナーの役割は「難しいことを解釈し、わかりやすく表現すること」</h3>

<p><strong>──デザインがビジネスに与える影響について、どのように考えてらっしゃいますか？</strong></p>

<p>そうですね......デザインって本当に幅広いので、与える影響も一から百までいろいろあると思うんです。その中でいまの仕事に限って話せば、何かを大きく変えてすごいインパクトを与えるというよりは、伝えるべきものをちゃんと伝えたりだとか、ふとしたことでちょっとした気づきを与えたりだとか。人の行動をちょっとでも変えることができるっていうのは、デザインの力なのかなと思います。</p>

<p>入行するまでは僕自身、金融の知識をそんなに持っていなかったんですよ。サービス自体はよく使っていたんですけど、どうしても難しいイメージがあったんです。結婚を機にいろいろ勉強しようともしたものの、なかなか頭に入ってこないところがあって。今回銀行に就職する際には「銀行で働くことで金融リテラシーを上げたい」っていう裏テーマを掲げていたくらいで。</p>

<p>だから、実際に働く上では、その難しいものを自分なりに解釈して、柔らかく、易しく噛み砕いて表現したいと思っています。「難しいものをわかりやすく伝える」のが、銀行で働くデザイナーとしての役割なんじゃないか、と。</p>

<p><strong>──これまでの銀行は伝えようとする努力が不足していた？</strong></p>

<p>いや、昔から「しっかり伝えよう」というところはあるんです。銀行ってお客様の大切なものをお預かりする立場だし、間違って伝わっちゃうことがあったら大変なので。ただ、実際にそれを受け取るお客様側の視点がまだまだ足りていない、というか。</p>

<p>本当にそれで伝わるのかとか、そもそもその情報を欲しているのかとか。そういうお客様の視点がちょっと足りていないので、そこは僕らが指摘して、ちゃんと理由をつけて説明する。そこは一つひとつ丁寧にやろうと心掛けているところです。</p>

<p><strong>──「難しいものをわかりやすく」という課題を解決するのが銀行の働くデザイナーの役割だとすると、逆にいままで金融の世界にデザイナーがいなかったのはなぜだと思いますか？</strong></p>

<p>うーん......僕の知る限りの話ですけど、それは文化というか、そこまでデザイナーが重要視されていない風潮があったような気がします。何か外に伝えるべきことがあった時にも、社内でどうにかするというよりは、外部の業者に依頼して作ってもらうことがやっぱり多かったようなので。デザイナーを自社で抱える必要性について、まだそこまで浸透していない部分があったのだと思います。</p>

<p><strong>──それがいまは少し理解され始めている？</strong></p>

<p>そうですね。実際にリテールIT戦略部が僕のような人材を採用しているというのはその表れだと思いますし。経産省が「デザイン経営」宣言をしたり、「デザイン思考」って言葉がちょっとずつ広がってきたりという、世の中的な流れも影響している気がします。</p>

<p>ただ、組織自体がとても大きいですし、まだまだ伝わりきっていない部分は大きいと感じるので、そこは時間をかけて地道に広めていきたいです。</p>

<p><strong>──外注ではなくインハウスでデザイナーを抱えることの意義を言語化するとすれば、一番大きな違いはなんでしょう？</strong></p>

<p>インハウスのデザイナーは、そのサービスを提供する側であり、同時にユーザーでもある。その二面を持っているのは、やっぱり僕らしかいないと思うんです。</p>

<p>僕自身、大手広告代理店のグループ会社にいた時に強く感じていたジレンマだったんですけど、代理店って、お客様にサービスを提供している立場であるとはいえ、やっぱり「クライアントを満足させる」っていうところが強くあるので。「お客様のため」と思いつつも、最終的なゴールのところでクライアントの方を向かざるを得ないところがある。僕が事業会社に転職したいと思ったのも、そこに違和感を抱いていたからで。</p>

<p><strong>──もっと直接お客様と向き合いたい？</strong></p>

<p>そうです。そこがデザイナーという仕事の一番おもしろいところというか。お客様のためを考えて、またその反応を肌で感じられてっていうのが、一番の醍醐味だと思うので。インハウスでデザイナーを抱える意義というのも、そうやってちゃんとお客様と向き合えるところにあるんじゃないかと思っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8989-final.jpg"><figcaption>お客様の視点をプロダクトに反映できるデザイナーの重要性を、今後もっと行内に浸透させて、企画が立ち上がるところから一緒に取り組みたい。</figcaption></figure></p>

<h3>デザインを重んじるカルチャーを社内に浸透させるために</h3>

<p><strong>──先ほど「行内でもまだまだデザイナーに対する正しい理解は浸透しきっていない」というお話がありました。どんなところでそれを感じますか？</strong></p>

<p>僕らの仕事の関わり方というか、業務フローに如実に表れていると感じます。これまで多かったのが、まず企画担当者が企画を立ち上げて、プロジェクトが走り出す。いろいろと内容が詰められていき、ワイヤーフレームに落とすくらいのところまで施策の内容が固まって、あとはそれをどう画面に反映するかという段階になってようやく僕らに声がかかる、というパターン。でも、これではいまさら僕らのできることってそんなに多くなくって。できる範囲で改定するという形になってしまいます。</p>

<p>いまは少しずつそれが変わってきていて、もう少し早い段階から入ってもらおうかと言われる案件が増えてきています。企画が立ち上がった時点でデザイナーが一回入って一緒に考える、というように。</p>

<p>もちろん僕らデザイナー自身も変わっていかないといけないところはたくさんあるんですけど、それだけじゃなくて、もっとデザインの重要性を行内に広めていきたい、浸透させていきたいということは常に思っています。</p>

<p><strong>──そのために何かしていることはありますか？</strong></p>

<p>うちの部に入ってくる人たちに対してガイダンスを行なっているのと、あとは一緒に仕事をした人たちに対して、地道にそれを伝えるようにしています。というのも、言葉だけで言ったところでそれは伝わらないので。</p>

<p>先ほども言ったように、僕のところに相談が来るころにはすでにある程度プロセスが進められいて、いまさらそんなに変えられないってことも多いんですけど、そんな時に「このまま進めるとこういう課題がありえますよね？」とか、「こういう問題を起こらないようにするにはプロセスをこう変えるといいですよ」とかっていうのを毎度説明して。</p>

<p>そこで理解してもらうと、「いますぐにそれはできないですけど、次からはそうします」と。そう言ってもらえる機会がやっと増えてきたのがいま、という感じです。</p>

<p><strong>──そこは地道にやる以外にないんですね。</strong></p>

<p>例えば全社的にセミナーをやってみようとか考えたりしたこともあったんですけど、多分興味を持ってくれないというか（苦笑）。細かい話をしたって伝わらないでしょうし、みなさん忙しいので。</p>

<p>それよりは、相談に来てくれたりだとか、何かしらの案件に携わったりだとかする際に、これまで担当者が見てなかった視点で物事を見て、それを一つひとつ丁寧に伝えることで、「ああ、やっぱりデザイナーの目を通すといままでと違うね」とか、「こういう風にするとこんないいことがあるんだ」とか、そう思ってもらうことが、結果的に早くに、デザインの重要性を感じてもらえることになるんじゃないかと思っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9110-final.jpg"><figcaption>メガバンクには10代からシニアまで、幅広い層のお客様がいる。彼らの利便性を、自分たちのデザインによって変えられる可能性がある。そこに、大きなやりがいを感じているという。</figcaption></figure></p>

<h3>ただ新しい、ではダメ。幅広い世代をどう満足させるか</h3>

<p><strong>──今後やっていきたいと思っていることについて、いまいるデザイナーの間ではどんな話をされているんですか？</strong></p>

<p>僕らがいまいるのはリテールIT戦略部というところなので、主にBtoCのデジタル施策をやっているんですけど、ただ、それ以外にも仕事の幅は広くて。リテール以外の、例えばBtoBのビジネスだったり、グループの別の会社のUIを見たりという仕事もしています。</p>

<p>今後もそうやって少しずつ幅を広げていきたいということは話していて。現状はまだ人数も少ないので、そのためには何か一つの専門領域に特化するのではなく、それぞれがいろいろな業務に関わることで、少しずつやれることの幅を広げていく必要があると思っています。</p>

<p><strong>──銀行にまつわる顧客体験を幅広くデザインするということになると、デジタル以外のこともやる必要が出てくる？</strong></p>

<p>そうですね。僕らとしては別にデジタルにこだわっているわけでは全然なくて。いまもアプリとかWebページ以外に、チラシを作ったり、店頭に置くようなツールを作ったりということもやっているんです。デジタルを中心に置きつつも、例えば店舗を見ているような部署とも連携して、デジタルと店舗をどうつなげるか、それによってお客様の体験をどうデザインするかというのは引き続き今後もやっていきたいし、やっていかないといけないことだと思っています。</p>

<p>いまは変革期なので、銀行はまさにこれから変わっていこうとしているじゃないですか。FinTechも盛り上がって、スタートアップもどんどん参入している。メガバンクにも、テクノロジーを使った新しい取り組み、新鮮なところは絶対に必要だと思うんです。ただ一方で、お客様は決して若い人たちだけじゃない。10代の方からシニアの方まで、幅広い層にスムーズな体験を提供するには、新しいものを取り入れることと古いものを残すこと、そのバランスが重要だと思っていて。</p>

<p>それはとても難しい挑戦なんですけど、そのバランスをうまく作っていけるのがまさに僕らインハウスのデザイナーなのかなと思っていて。そこは僕らとしてもやりがいを感じるところでもあるんですよ。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/05/smbc-eto.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_OND2505-1094.jpg">
<div class="info"><strong>銀行だって、もっとクリエイティブになれる──現金大国・日本への挑戦</strong></div></a></div>

<p><strong>──今後どんな人に入ってほしいと思いますか？</strong></p>

<p>僕が一緒に仕事がしたいなと思うのは、何が問題なのかをちゃんと考えて仕事をしている人ですね。デザイン的なスキルがあるに越したことがないのはもちろんなんですけど、でもそれは頑張って覚えれば身につくことなので。それよりも「いま携わっているこの仕事はなんのためなのか」というようにちゃんと目的を持っていて、そのためにはどうすればいいかを自分で考えて動ける人。</p>

<p>銀行に入ってみてつくづく思うのは、社会に与えるインパクトがものすごく大きな仕事だなということなんですけど、クリエイターの人って、やっぱり自分の作ったもので人の心を動かしたいと思ってやっている人が多いと思うんです。その意味では、単純にユーザー数ってところを考えてもインパクトが大きいですし、これから金融業界は変革期にあって、その中でメガバンクという第一線でやれるのは、何よりの醍醐味と感じます。</p>

<p>そこに醍醐味を感じて、ダイナミックに仕事がしたいという人には、ぜひ来てもらって、一緒に銀行の未来を変えていきたいですね。</p>

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    </content>
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    <title>11/20（火）中川政七商店の新社長 千石あや、Tokyo Work Design Weekで90分間、いま何を語るか - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/10/bnl-fireside-chat-twdw2019.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9130</id>

    <published>2018-10-25T15:30:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:28:52Z</updated>

    <summary>Tokyo Work Design WeekとBNLのコラボプログラムとして、今年も渋谷ヒカリエで開催が決定。創業302年の中川政七商店で、初めての創業家以外の後継ぎとして十四代社長に就任した、千石あやをゲストに迎える。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="イベント" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="後継ぎ" label="後継ぎ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>毎年、勤労感謝の日の週に、渋谷ヒカリエを拠点に開催される働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」にて、今年もBNLはトークセッション「BNL Fireside Chat」を開催する。3年目となる今年は、ゲストに中川政七商店 十四代社長、千石あやを迎えられることが決定した。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2016/12/fcreport-vol3.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/20170321123239-52273704d1697f3f291988aa5d44eafee1248667.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>【初回のイベントリポート】石川善樹が「BNL Fireside Chat」で語った、新しいアイデアを生む、3つのつながりの法則</strong></div></a></div>

<p>GINZA SIXや東京ミッドタウンなど、近年話題のスポットを中心に、全国で50店舗以上に直営店を展開する「中川政七商店」は、この数年で広く知られる存在となった。ブランド認知の広がりとともに、優秀な人材も集いつつあるようだ。なかでも2011年に入社し、今年、十四代社長に就任した千石は、その先駆者である。</p>

<p>大手印刷会社から中川政七商店へ転職すると、まず「小売課スーパーバイザー」という肩書きを与えられたという。その後、社内公募制度を利用し、社長秘書に立候補。一代で全国規模のブランドに育て上げた十三代中川政七の側で、貴重な経験を積む。さらに商品企画課課長や、社外ブランドのコンサルティングを手がけたのちに、「日本の布ぬの」をコンセプトに掲げる「遊 中川」のブランドマネージャーに就任する。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/BNL_honten_gaikan.jpg">
<figcaption>現在の「遊 中川 本店」。</figcaption></figure></p>

<p>もともとブランドマネージメントの業務は社長が担っていたのだが、ブランドが3つに増えると、さすがに一人では手に負えないと判断し、各ブランドに専任のブランドマネージャーが設けられた。その役割は、次のように決められていたという。</p>

<blockquote>
  <p>ブランドマネージャーの仕事をひと言で表せば、ブランドイメージをつくっていくこととなる。商品、素材、コピー、販促イベントなど、ブランドに関するあらゆる問題について、そのブランドらしいものか、そうでないのかをジャッジする。そのためにブランドマネージャーは商品政策、生産管理、営業政策といった各部門に横串を通して、ブランド全体をマネジメントする責任と権限が与えられた。</p>

<p>──『日本の工芸を元気にする！』中川政七（著）</p>
</blockquote>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/10/BNLBooks-VOL14.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/kogei_1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>「もの売り」から「ブランドづくり」へ━━中川政七商店に学ぶ、中小企業の経営術『日本の工芸を元気にする！』</strong></div></a></div>

<p>その後仕組みの改良を重ね、会社のものづくりの全体指針を決める「ブランドマネジメント室」の室長を務めた千石は、昨年夏に突然社長から後継者として指名を受けた。「いい企業文化を育むには、トップダウンではなく、一人一人が戦闘能力を上げる必要がある。」十三代 中川政七は、千石にそう語ったという。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/10/sengoku-nakagawa.html">
<h4>インタビュー記事</h4>
<img src="/uploads/TOP_IMG_1411.jpg">
<div class="info"><strong>中川政七商店：名経営者の後を継いだ千石あや、創業302年目の挑戦</strong></div></a></div>

<p>そんな千石あやとは、いったいどのような人物なのだろうか？　そもそも2011年当時、なぜ中川政七商店に転職したのか？　なんで社長秘書に立候補したのか？　ブランドマネージャーの仕事って？　社長就任後、どんなことを心がけて会社をリードしているの？　これからは、どんな方針でいくつもり？　90分間、恒例のFireside Chat形式にて、BNL編集長の丸山を相手に語る会となる。</p>

<p>中川政七商店のファンも、最近初めて知ったという方も。転職を検討していたり、いまの会社でもっと活躍できる方法を模索しているような方も。あるいはブランディングを成功させたい中小企業の経営者でも。何か明日から仕事に取り組む姿勢が変わる、新たな気づきやエネルギーを持って帰られるトークセッションとなるだろう。</p>

<p>セッション終了後は、Eightで名刺交換をしたり、茶室にて直接お話しができる場も用意している。これらすべて無料で参加できる。この貴重な機会をお見逃しなく！</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="7150001001554"></div>
]]>
        
    </content>
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    <title>要約『サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい』 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/10/BNLBooks-VOL15.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9128</id>

    <published>2018-10-24T06:00:00Z</published>
    <updated>2019-12-16T05:42:03Z</updated>

    <summary>起業するよりリスクが低く、企業で雇われるより思いっきり自分流の経営ができる。いまの仕事を続けていくべきかを悩んでいる人、起業や転職を考えている人、「小さな会社を買う」という新たな選択肢も視野に入れてみてはどうだろう。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="中小企業" label="中小企業" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="後継ぎ" label="後継ぎ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>三戸 政和</strong><small> 株式会社日本創生投資代表取締役CEO</small><p>
1978年兵庫県生まれ。同志社大学卒業後、2005年ソフトバンク・インベストメント(現SBIインベストメント)入社。ベンチャーキャピタリストとして日本やシンガポール、インドのファンドを担当し、ベンチャー投資や投資先にてM&amp;A戦略、株式公開支援などを行う。2011年兵庫県議会議員に当選し、行政改革を推進。2014年地元の加古川市長選挙に出馬するも落選。2016年日本創生投資を投資予算30億円で創設し、中小企業に対する事業再生・事業承継に関するバイアウト投資を行っている。また、事業再生支援を行う株式会社中小事業活性の代表取締役副社長を務め、コンサルティング業務も行っている。Twitterアカウントは<a href="https://twitter.com/310jpn"target="_blank" rel="nofollow">「@310JPN」</a>。</p></aside></p>

<h2>黒字廃業から小さな会社を救う一冊──BNL編集部の選定理由</h2>

<p>「会社を買う」と聞くと大層なことをするように思えるが、「続けることができなくなった人に代わって経営をする」と考えれば、少し現実的になる。</p>

<p>起業するよりはるかに低コストで、ビジネスの土台もすでにできている。あとは、自分の思うように経営を始めればいい。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/10/batonz-ohyama.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="/uploads/_L2A1135.jpg">
<div class="info"><strong>「継ぐ」ことはワクワクすること。中小企業M&Aのパイオニアが、後継ぎ探しの「Batonz」を作った理由
</strong></div></a></div>

<p>もちろん向き不向きはあるだろうが、なんだか自分にもできそうな気がしてくるし、「どんな会社を継ごうか」と考え始めると、これがけっこう楽しい。</p>

<p>黒字廃業を余儀なくされる会社の多くは、「誰かが継いでくれること」を望んでいるという。逆に、後継ぎの対象になるビジネスパーソンの中には、自らが価値を発信できる仕事を求めて起業を視野に入れていたり、逆に将来に不安を抱え、転職を考えている人もいる。</p>

<p>この両者が出会えれば、継ぐ側、継がせる側、どちらのニーズも満たす幸せな事業継承が成立するのではないか。</p>

<p>本書は、どんなビジネスパーソンにとっても「会社を買う」ことがキャリアの選択肢になり得るということを気づかせてくれる。だからこそ、起業や転職を考えている人にはぜひ手に取ってほしい。</p>

<p>後継者のいない小さな会社と、これまでにない新しいキャリアを見つけたビジネスパーソンの出会いのきっかけをつくれるかもしれない一冊なのだ。</p>

<p><strong>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4062915189/">こちら</a>。（Amazon）</strong></p>

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<h2>要約者レビュー</h2>

<p>退職後に会社を買う──突拍子もないアイデアにも思えるが、今後はこれが最も現実的な選択肢となるかもしれない。</p>

<p>現在、日本は「大廃業時代」を迎えている。業績も悪くなく、黒字経営している企業が「後継者がいない」というだけの理由で続々と廃業しているのだ。本書では、そうした企業を買う「個人M&amp;A」が推奨される。</p>

<p>平均寿命は延び続け、「人生100年」の時代は目前に迫っている。60歳で退職すると、その後の人生は実に40年も残されている計算となる。サラリーマンとして働く限り、得られる報酬は限られているうえ、会社からの退職金と年金だけでは心もとない。その一方で、会社を所有する「資本家」になれば、手にする報酬はけた違いに増える。購入した会社の経営改善に取り組み、高い値段で売却することも可能だ。不安に思うかもしれないが、会社購入のハードルは意外にも低く、一般的なサラリーマンでも十分に手が届く値段だし、大企業でのマネジメント経験があれば十分に会社を経営していけるという。後継者のいない企業を買うことは、売り手の企業にとってはもちろんのこと、買い手にとっても、メリットばかりなのである。</p>

<p>本書では、個人M&amp;Aのメリットや手順、買うべき企業の見極めのポイントなどが具体例を交えて詳細に紹介されている。読む前は夢物語だった「資本家」への道も、読後はさほど遠くはないと感じられるだろう。普通のサラリーマンにこそ、読んでもらいたい一冊だ。</p>

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<h2>本書の要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> <br />
人生100年時代を安心して過ごすための資金を準備するには、中小企業を購入してオーナー社長になるという選択肢が最良である。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong> <br />
ゼロからの起業は一握りの天才にのみ可能なものだ。起業するよりも、すでに経営が成り立っている企業を買うべきである。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong> <br />
大企業でマネジメントを経験したサラリーマンには、経営の基礎が身についている。当たり前のことを当たり前に実行するだけで、購入した企業の業績改善が見込める。</p>

<p><strong>── 要点4 ──</strong> <br />
 デューデリジェンスと引き継ぎを兼ね、買収候補先企業に取締役として入社しよう。</p>

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<h2>本書の要約</h2>

<h2>サラリーマンが会社を買うべき理由</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/15830392501_96647e0683_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/noise0124/15830392501/">"mitte dezember - gegen die sonne"</a> by Adrian Schiess(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>サラリーマンは大富豪になれない</h3>

<p>日本長者番付にランクインする社長としない社長、その違いはどこにあるのだろうか。それは、個人の優秀さの差でも、社長を務める企業の時価総額の差でもない。違うのは、会社という「箱」を持っているオーナー社長なのか、それとも雇われ社長なのかという点である。</p>

<p>上場企業のサラリーマン社長は、役員報酬を受け取るだけで精一杯だ。任期も短く、大きな資産を形成することはできない。一方、オーナー社長であれば、役員報酬だけでなく、保有株式の配当も受け取ることができる。だから著者は本書で、「会社を買う」ことをすすめている。</p>

<p>オーナー社長として会社という「箱」そのものの価値を上げれば、引退のタイミングで会社を売却することも可能だ。中小企業のM&amp;A(会社の合併・買収)の相場は、1億1000万円程度だ。労働対価に加え、株式の売却益による収入を得られるということである。</p>

<h3>定年退職後にかかる費用はおよそ1億円</h3>

<p>平均寿命はのび続け、今後は100歳まで生きることが珍しくなくなる時代が来る。60歳、または65歳で定年退職したとして、その後40年生きるということだ。私たちの老後は本当に大丈夫なのだろうか。</p>

<p>それなりの生活レベルを維持するためには、年金に加えて夫婦で月々20万円ほどの費用がかかる。つまり、引退後40年の間に悠々自適の暮らしをし、老後破産を防ぐには、1億円近くの費用がかかるということだ。会社を買い、オーナーになるということは、老後の生活を安定させる意味でもメリットが大きいといえよう。</p>

<h2>ゼロからの起業は難易度が高い</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/322094403_50fe593858_b.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/adipics/322094403/">"mitte dezember - gegen die sonne"</a> by Adrian Schiess(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>起業して成功できるのは一握りの天才だけ</h3>

<p>資本家になるには、会社を買うことのほかに、起業するという方法もある。しかし、この方法はおすすめできない。なぜなら起業はあまりに難しいからだ。ゼロから自分の事業を作り出し、ようやくイチになったものを10まで育てていくことができる人は、ほんの一握りの天才だけだ。</p>

<p>サラリーマンは、ゼロから新しいものを創出した経験がない。「新事業を立ち上げたことがある」という人がいるかもしれないが、それは、会社という組織に守られ、ヒト、モノ、カネ、そして会社がいままで積み上げてきた信用やネットワークを土台にしているからこそできたことだ。</p>

<p>ベンチャーキャピタル業界に「千三つ」という言葉がある。1000社のベンチャーへの投資を検討するとして、投資が実行され、上場できるのは3社しかないという意味だ。起業した会社のうち、大きな成功を収められるのは0.3%にすぎないのである。</p>

<h2>飲食店経営は地獄の始まり</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/26149486729_5dc3782dec_b.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/carlosvelayos/26149486729/">"Café."</a> by Carlos(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>飲食店経営はレッドオーシャン</h3>

<p>飲食業の経験がないにもかかわらず、会社を辞めた後に飲食店を経営したいという人がいる。これも絶対に止めておくべきだ。失敗して財産をすべて失うどころか、多額の借金を背負う可能性が高い。</p>

<p>飲食業は、「基本的には勝てないビジネスモデル」である。立地の選定、資金繰り、店舗作り、商品企画、仕入れ、原価管理、製造管理、採用、人事管理、マーケティングなど、飲食店経営には経営学のあらゆる要素がすべて詰まっている。しかも店舗は固定されていて動かせず、食中毒や食い逃げなどのリスク要因が多いのに利益率は低い。素人が安易に始めて成功できるビジネスではないのだ。</p>

<h2>【必読ポイント!】中小企業を個人M&amp;Aせよ</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/16745392677_0391b7c8b1_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/trevor_dobson_inefekt69/16745392677/">"Tokyo City at Dusk"</a> by Trevor Dobson(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>起業よりも個人M&amp;Aを選ぶべき理由</h3>

<p>日本では、製造業でいえば、起業して10年後に残っている会社はたったの23%だ。これほどまでのリスクを取って起業するよりも、過酷な10年を生き残った23%の企業を買うほうが良い選択だといえないだろうか。つまり、サラリーマンとしての知識と経験を活かせる中小企業を見つけ、個人でM&amp;Aをして経営を引き継ぐのだ。</p>

<p>10年存続した企業は、数々の問題を乗り越えてきている。あらゆるリスクをクリアし、すでに安定飛行の状態に達しているといえるはずだ。すでに一定の経営資産を持ち、経験が積んだ社員がいる会社を買って、それを土台に経営をする。そうすれば、ゼロから起業するより断然「楽」であるはずだ。</p>

<h3>大企業で受けたOJTはアドバンテージだ</h3>

<p>多くのサラリーマンには、経営が安定した会社でのビジネス経験しかないはずだ。しかしそれは、経営するにあたってメリットになる。</p>

<p>経営が安定した企業で30年も勤めていれば、多くの成功例と失敗例を見てきているだろう。さらに数十年のマネジメント経験があるなら、組織マネジメントは大ベテランだ。実務経験はもちろんのこと、大企業のサラリーマンは、所属企業で高度なOJTを受けてきている。これが企業経営において大きなアドバンテージになるのだ。</p>

<h3>マネジメント経験があれば十分</h3>

<p>企業の中で15～30人ほどのチームを率いていた人ならば、そのチームが会社になったと思えばいい。チームであっても、経営計画を立て、予算を執行し、売上を伸ばしてと、まるで会社のように運営してきたはずだ。自分がいた業界で、従業員が同じ規模の中小企業であれば、十分にマネジメントすることができるだろう。</p>

<p>中小企業を買う大きなメリットは、自分の専門性を活かして、すでに経営が成り立っている会社を、設備や顧客、従業員、仕入先などをそのままに引き継ぐことができる点にある。企業の一番の課題は事業を継続することだ。きちんと利益が出ていれば、ひとまずは現状維持でかまわない。そう考えれば、大企業でのマネジメント経験のある人にはそう難しくはないだろう。経営になれて流れを把握できたら、非効率的な部分を変えていけばいい。中小企業には非効率が多いものだ。大企業でやってきた「普通のこと」を実行するだけで、業績が大きく改善する可能性が高い。</p>

<h3>資産形成としての個人M&amp;A</h3>

<p>会社を買うことは、資産形成という観点からも魅力的だ。会社を買えば、2種類の老後の収入を得ることができる。</p>

<p>1つ目は、役員報酬だ。60歳からの10年間、1000万円の役員報酬を受け取れば、総額1億円になる。手取りで7000万円ほどになるだろう。定年後の30年ほどの生活費がまかなえる。会社の業績が上がれば役員報酬も増やせるし、経費も自分の裁量で使うことができる。さらに配偶者に経理や庶務の仕事をしてもらい、給料を支払えば、税務メリットが増す。</p>

<p>2つ目は、会社の売却代金だ。経営改善をし、会社の利益率を上げることができれば、買ったときよりも高値で会社を売却することができる。60代で会社を買い、オーナー社長として資産を作り、70歳を過ぎたころに売却する。人生100年とすれば、金銭的なゆとりを得たうえで、30年ほどのセカンドライフを楽しむことができるはずだ。</p>

<h2>大廃業時代を迎えた日本</h2>

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<figure><img src="/uploads/947369977_b3d0d9e962_o.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/chuck-o/947369977/">"Komaba Aki 03- 025.jpg"</a> by hlbspace(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>優良企業が売りに出ている</h3>

<p>「売りに出る会社は価値のない会社ではないか」と思う方もいるだろう。決してそんなことはない。東京商工リサーチの調査によると、中小企業の半数以上が黒字廃業しているという。では、なぜ黒字経営の会社に後継者がいないのか。</p>

<p>中小企業では、親族が跡を継がなかった場合、従業員が後継者になるのは難しい。なぜなら中小企業の従業員の多くは、大企業の社員のような経営能力がないからだ。いくら職人としえて腕が良くても、彼らに経営全般を任せることはできない。だから、どんなに業績がよくても、社長が亡くなるか働けなくなれば廃業となってしまうのだ。</p>

<p>こうした企業を相応の金額で買ってくれ、事業を引き継いでくれる買い手は渡りに船の存在であると言えよう。</p>

<h3>優良企業も割安で買える</h3>

<p>「優良企業が売りに出されるとしても、サラリーマンの自分には手が出ない金額だろう」と思う方もいるだろう。しかし、知識があり、積極的に情報収集していれば、数百万円でも優良企業を買うことができる。</p>

<p>黒字廃業が多い現在の状況は、「買い手市場」である。もちろん売り手側は高い金額で売りたいだろうが、高齢の社長にはあまり時間が残されていない。割安であっても、買ってくれる人がいるだけで御の字なのだ。</p>

<h2>「優良企業」を見極める</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/3628664482_0e91d6fbcd_b.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/mrlins/3628664482/">"Café."</a> by Carlos(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>「売り案件」はインターネットで見つける</h3>

<p>会社を買うにしても、一般会社員には「売り案件」情報はほとんど入ってこないだろう。</p>

<p>実は、「売り案件」情報は、インターネット上で入手することができる。「M&amp;A　案件」と検索してみよう。そこで表示されたM&amp;A仲介会社などのサイトを訪問すれば、売り案件の一覧が掲載されているはずだ。会社名は匿名になっているが、業種業態、直近売上高、従業員数、譲渡スキーム、譲渡理由、会社の特徴や強みなどといった項目が記載されている。十分、検討材料になるはずだ。</p>

<p>インターネットで目星をつけたら、M&amp;A仲介会社と契約を結ぶ。すると直接社長と面談することができ、デューデリジェンスや交渉がスタートするという流れだ。</p>

<h3>役員入社して見極めと引継ぎを同時進行する</h3>

<p>会社を買う前に、その会社が抱えている問題をすべてあぶり出しておかなければならない。帳簿に書かれていない負債や回収見込みのない売掛金がないか、従業員との関係は良好かなど、確認が必要だ。</p>

<p>こうしたデューデリジェンスを行うためには、一定期間、その企業で役員として働くのがおすすめだ。2年後の買収を前提に取締役になるという契約を交わし、専務取締役として入社しよう。その際、会社の利益水準と連動した買収金額を決めておくことが重要だ。さらに、重大な瑕疵があった場合は買収を取りやめるといった条文も加えておかなければならない。</p>

<p>突然外部の人間が入ってくれば、従業員の警戒心が高まるのは当然のことだ。しかし、現社長から改革の理由を説明してもらえれば、従業員の気持ちも収まるだろう。2年の間に改革の成果が出て従業員からの信頼を得れば、社長の引き継ぎもスムーズになる。これで、M&amp;Aにおいてもっとも難しいとされるPMI(M&amp;A後の統合作業)はほとんど完了だ。</p>

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<h2>一読のすすめ</h2>

<p>本書はサラリーマンに対し、個人M&amp;Aを推奨するものだ。普通に働いているサラリーマンにとっては、「会社を買おう」とはなかなか考えられないかもしれない。しかし本書では成功例、失敗例などの実例を織り交ぜながら個人M&amp;Aへの道のりを具体的に紹介しており、「会社を買う」という大きな決断も現実的に感じられる。起業や飲食店経営を検討している方、老後資金をどう用意しようかと考えている方は特に、ぜひ本書を熟読してほしい。</p>

<p>（1冊10分で読める本の要約サービス <a href="https://www.flierinc.com/">flier</a>）</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/10/BNLBooks-VOL14.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/kogei_1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>前回のBNL Books：「もの売り」から「ブランドづくり」へ━━中川政七商店に学ぶ、中小企業の経営術『日本の工芸を元気にする！』</strong></div></a></div>
]]>
        
    </content>
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    <title>母の味を守る職人と、後を継いだブランディング会社。金沢名物「こんか漬け」を復活させた、やさしい出会い - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <id>tag:bnl.media,2018://125.9129</id>

    <published>2018-10-22T10:00:00Z</published>
    <updated>2019-01-07T08:08:00Z</updated>

    <summary>母の味と生まれ故郷の伝統をどうしても後世に残したい。その思いを叶えるべく後継ぎ候補として金沢に現れたのは、渋谷で働く若いクリエイターだった。一見アンバランスな2人が織りなす、金沢の伝統発酵食こんか漬け「こんかこんか」再生のストーリー。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="新しい後継ぎのかたち" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>斉藤 園（池田商店）</strong><small><p>金沢出身。母 由美子さんと2人、池田商店として金沢の伝統発酵食こんか漬けの「こんかこんか」を製造。人気の商品だったが、由美子さんが体調を崩したことをきっかけに「こんかこんか」の製造をストップ。再生を願い、会社の売却を決意。</p><strong>中神 遼（AMD株式会社）</strong><p>東京と金沢を拠点にるブランディングとクリエイティブで社会課題を解決するブランディングエージェンシーAMD株式会社のメンバー。もともと持つデザインのスキルを活かしながら地域に根づいたブランディングに取り組むべく同社に入社。「こんかこんか」の責任者として金沢に移住し、伝統発酵食の再生に向けて日々奮闘中。</p><strong>小嶋純一（税理士法人 中山会計）</strong><p>金沢に拠点をおく税理士法人 中山会計の税理士として活躍する傍ら、M&amp;Aスペシャリスト、M&amp;Aシニアアナリストの両資格を北陸地域で初めて取得。これまで数々のM&amp;Aに携わってきた。池田商店の母娘とは旧知の仲で、経営以外の面でも日頃から相談を受けている。</p></small></aside></p>

<p>石川・金沢を代表する観光地「ひがし茶屋街」から川沿いに歩くこと10分。築100年の町家の、細い道路に面したカウンターの窓越しに、土間にぎっしりと並べられた漬物樽と、その蓋をひとつひとつ開けてはせっせとかき混ぜる作業着姿の女性が見える。そのかたわらには、女性よりひと回りは若そうな男性の姿も。表情の柔らかさから、二人のいい関係が伝わってくる。</p>

<p>女性のほうは斉藤 園。母と二人で個人商店「池田商店」を営み、この地域に古くから伝わる漬物「こんか漬け」を元にしたオリジナル商品「金沢こんかこんか」の製造・販売を、もう20年も続けてきた。</p>

<p>男性は中神 遼。東京に本社を持つブランディング会社「AMD」でクリエイティブディレクターとして働いている。もともとの出はグラフィックデザイナー。金沢に引っ越してきたのはごく最近のことだ。</p>

<p>一見なんの接点もない二人はどういうわけか、大正時代に建てられたリフォーム必須の町家で膝を突き合わせる関係となった。ときに古くなった床板を張り替えたり、ときに新商品の構想を話したり。同じ未来を見据えて歩みをともにし始めた。</p>

<p>"結婚"に例えるとわかりやすいかもしれない。ただし、結婚と言っても男女のそれではなく、中神と斉藤の関係は、あくまでM&amp;Aの買収する側とされる側。ここでいう"新婦"は、斉藤が母とともに手塩にかけて育ててきた、「こんかこんか」伝統の味だ。</p>

<p>想像してみてほしい。娘のように大切に育ててきたその味を、止むに止まれぬ事情で誰かに引き継がねばならないとしたら。誰に引き継げばいいのか。どうやってその相手を見つけるのがいいのか。どうすれば関わるすべての人が幸せになるM&amp;Aが実現するのだろう。</p>

<p>伝統あるものを、その核にあるものは大切に守りながら、変えるところは変え、次の世代へと引き継いでいく━━。そのためのM&amp;Aなのだとしたら、これはやはり"結婚"なのだ。</p>

<h2>こだわり抜いて作り上げた、20年ものの母の味</h2>

<p>あらためて「こんか漬け」について説明しよう。金沢の伝統食「こんか漬け」は、サバやフグなど近海で獲れる魚をぬか漬けにしたもの。おもに酒の肴やご飯のお供として地域の食卓を彩ってきた。</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/_L2A2868.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>取材に行った日はちょうど、ぬかを加える作業をする日だった。樽のビニールをほどき、蓋をあけると、ふわっとぬかの香りが漂い、食欲がそそられた。</figcaption></figure></p>

<p>「こんか」の語源には諸説あり、金沢弁で「古いぬか」を意味する「こぬか」が訛ったもの、あるいは「いらっしゃい、また来てください」の意味とする説もある。隣の福井県では「へしこ」とも呼ばれる。全国的にはこちらの呼び名が一般的だろう。</p>

<p>この「こんか漬け」を元に、オリジナル商品「金沢こんかこんか」として21年にわたって製造・販売を続けてきたのが、今回の主役・池田商店だ。母娘二人だけの小所帯だが、味の追究に一切の妥協はない。原材料には日本近海で獲れる新鮮なサバのみを使用し、30年以上受け継がれたいりぬかと秘伝の調味料を使って、半年かけて漬ける。</p>

<p>先日亡くなった横綱・輪島や、人気力士・遠藤らを輩出した相撲の聖地・卯辰山。その中腹にある自宅で細々と製造していたが、どこから嗅ぎつけたのか、その芳醇な味を求めて注文は全国から寄せられた。</p>

<p>母娘が初めて「こんか漬け」と出合ったのは二十数年前のことだ。斉藤の母・由美子さんが交通事故に遭い、大怪我をして入院。食欲がなく、大好物でさえ喉を通らない状態が続いていたそんな時、知り合いのおばあさんが差し入れてくれたのが「こんか漬け」だった。</p>

<p>脂の乗ったサバに、ほんのりとぬかが香り立つ。ひと口食べると、まろやかな味わいがいっぱいに広がった。</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/_L2A2895.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>小さく切って少しずつ食べる。「味見してみます？」と振舞ってくれた。噛めば噛むほど口の中にじんわりと味が広がる。「日本酒が飲みたくなりますね」「いくらでもご飯が食べられそう」と取材スタッフにも好評で、あっという間になくなってしまった。</figcaption></figure></p>

<p>この味に心底惚れ込んだ由美子さんは、おばあさんからぬか床を分けてもらうと、そこからの数年、味の再現に没頭した。納得のいく味になるまで調味料を足し引きし、何度も漬け替える。そうしてようやく完成したのが、現在の「こんかこんか」だ。</p>

<p>最初は知り合いづてで販売していたものが、味の良さが評判になり、地道な営業活動もあって、市内のみやげ物店などでも少しずつ取り扱ってもらえるようになった。</p>

<h2>高齢化、人手不足で生産ストップ。でも「諦められない」</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/_L2A2874.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>何度も漬け替えては味を見て調整していく。由美子さんが再現した「こんかこんか」の味は、いまや斉藤にしかできない。</figcaption></figure></p>

<p>サバの収穫の最盛期は春と秋の2回。「こんかこんか」もこのタイミングに合わせて年に2度漬ける。漁港から仕入れた新鮮なサバをまずは10日間塩漬けにし、その後、30年間守り続けたぬかに半年間漬け込む。</p>

<p>最後の1カ月は味の調整作業。ぬかを入れ替え、納得のいく味になるまで何度も作業を繰り返す。もちろんすべてが手作業で、サバ50匹といっぱいのぬかが詰まった樽は、ちょっと動かすだけでも相当な力仕事だ。</p>

<p>取引店やリピーターの数が増え、ようやく製造・販売が軌道に乗り始めたころには、70歳を超える由美子さんにとって、「こんかこんか」の製造は体力的に難しいものになっていた。</p>

<p>これまで通りの生産量を維持するには、斉藤一人では明らかに手が足りなかった。とはいえ、アルバイトを雇用し、労働環境を整える資金もノウハウもない。由美子さんとしても、定年後の趣味のようにして始めたことで、これ以上娘に負担をかけるのは本意ではなかった。</p>

<p>「残念だけれど、辞めたほうがいいのかも・・・」母娘二人三脚で20年にわたって続けてきた「こんかこんか」の生産は、こうして2017年春に漬けた分を最後に、一旦ストップすることになった。</p>

<p>しかし、販売を中止してなお「こんかこんか」を求める問い合わせは全国から相次いだ。生産を中断したと聞き、存続を望む声も届いた。何より、「母が手塩にかけた味をなくしてしまうのは、どうしても諦められない」という気持ちが斉藤の胸の内にくすぶり続けていた。</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/_L2A2950.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>「私たちの家まで『こんかこんか』を買いに訪ねてくるお客さんもいたんです」と斉藤は言う。そんなファンの思いを無下にはできない、そう感じていたようだ。</figcaption></figure></p>

<p>そこで、池田商店が創業以来世話になってきた旧知の税理士事務所に「涙ながらに」相談。「それならば事業承継先を探してはどうか」とアドバイスをもらい、ここから「こんかこんか」の"嫁ぎ先"探しが始まった。</p>

<p>候補10数社の中から"新郎"に選ばれたのが「AMD 金沢オフィス」。2018年2月にM&amp;A契約を結び、池田商店は廃業。今後はAMDが「金沢こんかこんか」の事業運営元となり、斉藤はその外注先という形で変わらぬ味を守り続けることになった。</p>

<h2>"仲人"は旧知の税理士</h2>

<p>それ以外に道がなかったとはいえ、母娘二人で守ってきた味を他人に託すのに心理的な抵抗はなかったのだろうか。「踏み切れたのは、中山さん（税理士法人中山会計）の存在が大きい」と斉藤は振り返る。</p>

<p>地元金沢に拠点を置く税理士事務所・中山会計の小嶋純一は、M&amp;Aスペシャリスト、M&amp;Aシニアアナリストの両資格を北陸地域で初めて取得した、いわば事業承継の勘所を知り尽くした人物だ。とはいえ、斉藤からすればそうした手腕以上に、創業以来「なんでも相談している」間柄であることが大きかった。</p>

<p>「伝票の付け方から売り方、パッケージのデザインまで、経営に関することはすべて相談してきました。母が最初に作り始めた時には、味の相談だってしていたくらいで」</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/_L2A3133.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>斉藤と強い信頼関係で結ばれている小嶋は「『こんかこんか』の復活はこの人なしでは語れない」と言っても過言ではない、まさにキーマンだ。</figcaption></figure></p>

<p>一方の小嶋にとっても、「こんかこんか」と池田商店は特別な存在だった。</p>

<p>「商品が生まれる時から知っているし、本当ならまだまだやりたいことがあるのにままならない悔しさも近くで見てきた。何より僕自身が『こんかこんか』のファン。なんとかしてこの味と名前に残ってもらいたかった」</p>

<p>税理士とクライアントの関係を超えたそんな間柄だから、窮地に立った母娘が小嶋を頼るのは自然な流れといえたし、承継先を探すにあたって、母娘が何を一番大切に考えているかは小嶋にもよく分かっていた。</p>

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<p>しかし、今回のM&amp;Aには厳格なリミットがあるという難しさもあった。昨春に漬けた在庫が完全になくなってしまえば、そこからもう一度資金を投入し、ゼロから漬け込むことになる。サバの価格も高騰する中、池田商店にそんな余裕はもちろんない。在庫があるうちに承継先が見つかれば話は進むし、見つからなければ「こんかこんか」は完全に終わりだ。事業承継を本格的に模索し始めた昨年夏から、2、3カ月が勝負。緊張感のある状況だった。</p>

<p>そんな中、小嶋は三つのジャンルに絞って承継候補をあたったという。一つは、もともと漬物を扱っている同業者。一つは、同じ「発酵」というくくりで味噌製造店や酒蔵。そして最後の一つが、伝統産業の弱点ともいうべき発信力を補える、デザインやブランディングの会社だ。この三つめの候補群の中にAMDの名前があった。</p>

<p>普通に考えれば、すでに漬物製造のノウハウを持つ同業者に引き継ぐのが一番早い。レシピさえ渡せば、すぐにでも作り出すことができたはずだ。</p>

<p>「でも、それでは数あるラインナップのうちの一商品として『こんかこんか』が埋もれてしまうかもしれない。名前や味を残せないかもしれないという懸念がありました」</p>

<p>小嶋はそうした懸念を率直に斉藤に伝え、斉藤は小嶋の判断を全面的に信頼した。「なんとしても味と名前を残したい」という思いを完全に共有した"仲人"の存在なくして、伝統食とクリエイティブの"結婚"は実現しなかった。</p>

<h2>理念の共有、役割分担、密なコミュニケーション</h2>

<p>AMDは今回のM&amp;Aに先立つ2014年、「培ってきたブランディングの力で社会課題を解決する」ことを掲げて金沢に進出。地元イベントの広報担当を務めるなど、地域に根ざした地道な活動を続けてきた。今回、「こんかこんか」のプロジェクトリーダーに就任した中神も、こうした理念に共感して同社に入った一人だ。</p>

<p>AMDが承継先に立候補するにあたり、社長から今回のプロジェクトについて聞かされた中神は、まずは「こんかこんか」を含むいくつかの「こんか漬け」を自費で購入して回り、実際に食べてみることから始めたという。</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/_L2A3028.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>中神は、持ち前のクリエイターとしてのスキルを活かして、地域を元気にする仕事ができないか、そんな思いからAMDに入社した。</figcaption></figure></p>

<p>「すると、明らかに他のものとは味が違うんです。20代30代の若い社員に食べてもらっても『美味しい』と言う。金沢で生まれ育って、慣れ親しんだ味というわけでもないのに、です。そこに、単に伝統食というだけではない可能性を感じたんですよ」</p>

<p>モノは間違いなくいい。一方で、届けるべきところまでリーチできていない課題も明らかだった。</p>

<p>「ということは、逆にいえば、そこさえうまくやればビジネスとして十分に成立する。その点、AMDはブランディングの会社です。やりようはいくらでもある」</p>

<p>中神は感じたことをそのまま手紙にしたため、「こんかこんか」を頬張る自らの写真を添えて斉藤宛てに送った。最終的にはその熱意が決め手となって、数ある候補の中からAMDが承継先に選ばれたのだ。</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/_L2A2978.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>AMDはデジタル領域のクリエイティブにも強い会社だが、「こんかこんか」への思いを綴った手紙は、すべて手書き。合計3〜4通も送ったという。</figcaption></figure></p>

<p>異なるものがチームとしてうまく融合するのには、一に理念を共有していること、次に役割分担が肝要ともいわれる。プロジェクトを進める上で、中神が強く意識しているのもそこだ。</p>

<p>「ブランディングに関してはプロである僕らも、商品の作り方については完全に素人。今回携わるにあたって、ひと通りの工程はもちろん学んだけれど、そこは斉藤さんにお任せして、いいものを作ってもらう。僕らはそのための環境を整え、得意分野に徹することで、そのいいものを必ずお金に変えられると思っています」</p>

<p>もともとまったく別の会社が一つになるのには、当然、難しさがいろいろとある。例えば勤務形態はどうするのか。報酬は？━━実際、これまで多くのM&amp;Aを成立させてきた小嶋も「『話が違う』とか、『言ったことがちゃんと伝わってない』とか、通常はM&amp;Aが成立した『あと』が大変なんです」と漏らす。</p>

<p>「その点、今回は現場の承継者同士が柔らかく、古いものと新しいものをつなぐことができている。それが成功しそうと思わせる要因ではないかと思うんです。M&amp;Aの際にトップ同士が前に出ると、お互いに主張やこだわりが強いぶん、難しさが生じる。今回は池田商店側もお母さんではなく娘さん、AMD側も社長ではなく中神さんと、どちらもトップ同士ではなかったのが、よかったのではないか、と」</p>

<p>実際、コミュニケーションを密にし、斉藤のもともとの意向を大切にすることは中神が気をつけていることの一つで、例えばロゴのデザインを決める際にもAMD内で完結することはせず、制作過程のどこかで必ず斉藤の意見を求めるようにしている。</p>

<p>そんなこともあってか、最近では斉藤が小嶋の元に相談に訪れる機会もめっきり減ったのだという。</p>

<p>「以前であればしょっちゅう相談に来てたのにそれがないから、『大丈夫かな？』と逆に心配になるくらい。ちょっと寂しい？ そうかもしれないですね。嫁いで行ったきり連絡が途絶えて。盆暮れ正月くらいは連絡よこせやってね（笑）」</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/_L2A3096.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>こんか漬けの味見をしながら「うん、やっぱり美味しい」とうなずく中神と小嶋。2人は「こんかこんか」の大ファンだ。</figcaption></figure></p>

<h2>「やりたくてもやれなかったことを一緒にやってくれる人がいる」</h2>

<p>こうしてリスタートした「金沢こんかこんかプロジェクト」が最終的に目指すのは、「こんかこんか」をブランドとしてさらに飛躍させること。そのためにやりたいこと、やれることは山ほどある。</p>

<p>だが、まずは一度は生産がストップした「こんかこんか」を、新体制に変わってもそのままの味で復活させることができなければ、何も始まらない。事業承継の契約を交わした2月には、さっそく漬け込みを再開。同時に、生産に最適な環境を整えるべく新たな製造場所を探して回った。</p>

<p>条件は、サバを漬ける樽を洗うための広い水場があり、風通しのよい作りであること。また、地元民や観光客が集い、「こんかこんか」を食べながら憩うことのできるスペースも作れればなお良い。こうした観点から市内のあらゆる物件を探した結果、たどり着いたのがこの町家だ。</p>

<p>ただし、築100年以上というだけあって、支柱は傾き、畳は底が抜け、水道管は錆び付いていた。水回りは大元から取り替え、壁と床を地道に修繕するなど、漬物作りとはほど遠い大改修を強いられることになった。できる限り自分たちで行うことで出費を抑える一方、足りないぶんはクラウドファンディングを実施することでなんとかやりくりした。</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/_L2A3050.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>写真手前にある木造の建物が今回新たな製造場所として決めた町家。静かな住宅街だが、観光バスのバス停がすぐ近くにあり、ひがし茶屋街も近い。取材時はまだ修繕中で、部屋の奥は床が抜けている状態だったが、古い町家がどうリノベーションされるのか今後が楽しみだ。</figcaption></figure></p>

<p>10月下旬のファーストロットの出荷に向けては、新商品も開発中。ターゲットを広げるべく「孤食」のニーズに注目する中神は、「従来の商品は一回の食事で食べきるには大きすぎた。個装にするだけでも新たな売り方が可能になるはずで、日常食としてはもちろん、観光みやげとしてのニーズもあるのでは」と目論む。</p>

<p>改装した新しい製造所は店舗も兼ねる予定で、現在オープンに向けた準備を進めている。「（旧・池田商店時代は）突然訪ねてくる人はあっても、基本的には市内の土産物店に卸して売っていました。直接お客さんと顔を合わせて売るというのは、やりたくてもやれなかったことの一つ。母もオープンをすごく楽しみにしているんです」</p>

<p>中神は「改装費用がかかってもこの場所にこだわったのは、人通りが多く、観光スポットにも近い立地が魅力だったから。空いている二階のスペースを貸し出すなどして、この店をコミュニティのハブにしたい。ゆくゆくは『こんかこんか』だけじゃなく、このエリア全体を盛り上げていけたらいいですね」と夢を語る。</p>

<p>悲嘆に暮れるしかなかった1年とちょっと前。突然やれることが増えた斉藤としても、戸惑いより喜びのほうが大きいという。</p>

<p>「やりたくてもやれなかったことを一緒にやってくれる人がいる。いまはそのことがとにかく嬉しいんです」</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/_L2A3069.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>お店ができたら、この窓から販売できるようになる。こんな風にいい笑顔の二人から「こんかこんか」を買えるようになる日もそう遠くない。</figcaption></figure></p>

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    <title>「100年続いた会社の社長になれるんやで」大阪の敏腕商人が京都の惣菜屋を、75歳で継いだ物語 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2018-10-18T02:40:00Z</published>
    <updated>2018-12-11T15:01:58Z</updated>

    <summary>新しいことをはじめるのに、年齢なんて関係ない。毎日多くの人で溢れる京都の人気観光スポットに彗星のごとく現れたのは、一度引退しかけた75歳の後継ぎだった。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="新しい後継ぎのかたち" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="これからの転職" label="これからの転職" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="キャリアストーリー" label="キャリアストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
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    <category term="飲食" label="飲食" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>岡 亘</strong><small>錦 平野　取締役会長　</small>
<p>大阪で兄と、かまぼこと惣菜の店を共同経営していたが、2015年、73歳の時に売却。2017年1月、小規模事業者の売買に特化した<a href="https://batonz.jp/" target="_blank" rel="nofollow">&amp;Biz株式会社（アンドビズ）</a>のサービスと、知り合いの証券会社を通して錦 平野が後継者を募集していることを知り、自ら候補として手を挙げる。錦 平野を継承して1年数ヶ月で、店舗の売り上げは6倍、会社全体の売り上げも約2倍にまで成長。また30年間、大学のアイスホッケーの監督を務め、現在は総監督としての役目を果たしている。</p></aside></p>

<p>京都の中心地、四条烏丸の交差点からほど近い錦市場商店街。約400年前から栄えるこの歴史ある場所は、390メートル続くアーケードの下に150もの店舗が軒を連ねる。</p>

<p>ちょっと歩くと、美味しそうな串焼きが売っている。「あ、買おうかな」と思って反対側を向くと、今度はアツアツのさつまあげが目に止まる。どれもこれも美味しそう。地元の人が夕飯のおかずを買うために利用する商店街も、いまや、できたて料理を食べ歩きスタイルで楽しめる京都の観光スポットのひとつだ。地元の人、日本人旅行者、そして外国の観光客。とにかくすごい人、人、人。</p>

<p>今回の舞台、「錦 平野」は、創業以来100年に渡って錦市場商店街で地元の人たちから愛されてきた由緒ある名店だ。名物の「だし巻き卵」をはじめ、京野菜を使ったシンプルな総菜の数々や彩り豊かなお弁当は、地元の人の食卓を華やかに彩ってきた。</p>

<p>そんな老舗の名店に新たな「後継ぎ」が誕生した。提灯が下がる屋台風の店先、和のテイストをかっこよく取り入れた食事処、これはきっと若手の経営者に継承したのだろう、と思いきや、なんと後継ぎは76歳だという。</p>

<p>後継者がいなかったこの店は、外部から事業承継してくれる人を探していた。そこで手を挙げたのが、当時75歳の岡 亘。2017年1月のことだった。</p>

<h2>伝統100年、京都ブランド、たくさんの人。ここでやったろ！</h2>

<p>岡は、3年前まで兄と姉の3人で大阪市内の惣菜店を共同経営していた。百貨店の食料品売り場にも出店するなど多角的に展開していたが、兄弟がお互いに歳を重ねたこと、そして後継者の話で揉めたくないと考えたこともあって、話し合いの末に会社を売却した。73歳のときだ。</p>

<p>その後、売り先の会社に移動し、そこで1年間社長を務めた。ビジネスをスムーズに引き渡すために、売ってから1年は残ってほしいと売り先から言われていたからだ。そして約束通り1年間後、売り先の会社を退職した。</p>

<p>「家業は引退したけど、取締役をやっている別の会社の役員会に出たり、母校のアイスホッケー部の監督をやったりと、自分なりに忙しくしていたんですわ。性格的にも、部屋でゆっくり本を読むみたいな悠々自適な老後は無理やと思ってた。そんな時に、証券会社に勤める後輩から連絡があって『こんな会社が売りに出されていますよ』と。それが錦 平野やったんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A1667.jpg">
<figcaption>「家内とのんびり海外旅行にでも行こうかと考えたりもしたけど、なんかちゃうなあと思った」と言う岡。76歳という年齢を感じさせない勢いが感じられた。</figcaption></figure></p>

<p>気になって、すぐに大阪から京都の錦市場まで足を運んだ。実は、大阪に住んでいながら、それまで京都の錦には一度も来たことがなかったのだという。初めて来て「なんて前近代的なところなんだ」と思った。「これは、チャンスだ」。</p>

<p>以来、3カ月かけて何度も通い、通りを歩く人の流れや近隣の店舗の様子を観察し続けた。同時に、かつてのお得意さんや知り合いの業者に連絡を取り、錦 平野についての情報をできる限り集めることもした。</p>

<p>将来息子にまかせられる規模か、これまで自分を頼ってくれた従業員たちを活かすことができるか、そして人通りが多い場所かどうか。それが買うかどうかを判断するポイントだった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A1835.jpg">
<figcaption>取材の日も、15時を過ぎたあたりからものすごい数の人が訪れていた。近所に住んでいるのか、夕飯の買い物に来ている人、国内の旅行客、そしてもっとも多いのが海外旅行者だ。</figcaption></figure></p>

<p>「京都には深みがあるんです。歴史が古くて品格もある。そういう場所は絶対に廃れない。京都というブランドと伝統のある会社、そして人通りが多いという立地の素晴らしさ。それらがあれば、いろんなことができそうだと思ったわけです」</p>

<p>岡が錦 平野を買うことを決めたのには、もう一つ理由がある。売り先の会社を辞めたとき、常務だった息子や信頼を置いていた工場長も「社長が辞めるなら自分も辞める」と、一緒に退職してしまうという出来事があった。</p>

<p>さらに働いていた古参の従業員や現場のスタッフたちからも、「新しくお店を立ち上げてほしい」と言われていた。それだけ信頼が厚かったのだ。岡自身も、「もう十分や、ええやろ」と思いつつも、仲間たちのことが心の隅にずっと引っかかっていた。</p>

<p>「だったら、やったろかなと。監督をしていたアイスホッケーのチームだって、最初は弱かったけど、外国人をチームに入れたりしているうちにだんだんと強くなって、全国で2位を取るまでになったんです。そんな風にまた頑張ってやったろと。挑戦？　そんなかっこええものとは違います。ただ踏ん切りが悪いだけですわ（笑）」</p>

<p>どうやら母校の大学でアイスホッケーの監督を30年続けているらしい。いまはもう総監督だという。たしかに、言われてみれば、年齢の割に体格がかなりしっかりしていて姿勢もいい。口では「こんな歳やし...」というが、生きる力がみなぎっている、そんな感じがした。</p>

<h2>売り上げ6倍のレストラン作戦</h2>

<p>錦 平野を継いだ岡が最初に行ったのは、先代の時代からいる従業員たちに、正直に自分の気持ちを伝えることだった。ちなみに、いま働いている社員のほとんどは、先代の時代から働いている人たちだ。</p>

<p>「最初はみんな戸惑うこともあったと思います。どこのおっさんなのかもわからん人がきて（笑）、いきなり経営者になって」と笑う。</p>

<p>「まずは『何も変えません』と言いました。ただ1つだけ、お店の奥にある工場は改装して、お客さんが入って食べられるようなお店にします、ということだけ話したんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A1850.jpg">
<figcaption>もともと惣菜をつくる工場だった店の奥のスペースがいまはレストランになっている。取材前のお昼時に入ってみると、たくさんの外国人観光客が美味しそうに天丼を頬張っていた。</figcaption></figure></p>

<p>これは、岡が錦 平野に初めて足を運んだ時に思いついたアイデアだっだ。人通りがとても多い商店街なのに、路面での販売しか行っていなかった。だから旅行客が商品を買っても、食べる場所がない。せっかくの立地や商品力を活かしきれていないと思ったのだ。</p>

<p>すぐに工場を改装し、名物のだし巻き卵やお刺身、天ぷらなどを定食として出すレストランにした。外国人観光客にスムーズに対応できるように、他言語のメニューを用意し、英語や中国語が話せる従業員も増やした。いま、錦 平野のレストランの利用客は一日150人を超える。店頭販売だけだった時に比べ、店の売り上げはいつのまにか6倍にまで上がっていた。</p>

<h2>先代の「味」と「伝統」は絶対に変えない</h2>

<p>それからというもの、岡は次々にメニューを開発しはじめた。売れなければすぐにやめ、人気が出ればしっかり育てる。これを繰り返す。そんな試行錯誤の中で生まれたのが、名物の出し巻き卵を大胆に使用した「出し巻きバーガー」、そして売れ筋商品である昔ながらの粉ものグルメ「洋食焼」だ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A1812.jpg">
<figcaption>食べ歩きもできるように、惣菜を店頭で作ってそのまま販売している。焼かれているのを観光客が楽しそうにのぞいては買って、美味しそうに食べていた。</figcaption></figure></p>

<p>「こだわりはない。人気があるやつがええんや。店先で作っている出し巻き卵は、『持たれへんくらい大きいのを作ってや』と言って、これまでの2.5倍の大きさにした。それだけ大きかったら、お客さんもびっくりするでしょう？　この近くのデパートの食品売り場に錦 平野の店舗があるが、そこにこの店先で焼いた出し巻き卵を持っていって、『焼きたてが錦から届きました』って、温かいままで売るんです」</p>

<p>ほかほかの出し巻き卵。しかも特大サイズ。聞いただけで幸せな気分になる。この焼き立ての卵のおかげで、デパートでの売り上げは格段に上がった。気がついたら、会社全体の売上が以前の2倍近くになっていたのだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A1816.jpg">
<figcaption>先代の頃よりも2.5倍に大きくなっただし巻き卵。大き過ぎないか、という意見もあったが「食べきれるかどうかはお客さんが決めることや」と押し切った。フードコストはかからない、でも一番人気のある商品だ。</figcaption></figure></p>

<p>「社員には『フードの原価率を下げて、儲かる商品をきちんと売ることが大事や』と口酸っぱく言っています。小売業はこれから先、絶対に人手不足になる。それならしっかり儲けて、その分、給料を高くしたらいいんや。儲けようとして従業員を安く使うという発想は絶対にあかん。ここで働きたいと思ってもらうこと、それが一番やな。それから、よそと同じものを出して価格で勝負するような商売もいかん」</p>

<p>そんな中、絶対に変えないと決めていることがある。「味」と「製法」だ。</p>

<p>「ブランドを買ったんや。大事なものはちゃんと継承していかなあかん。だから社名も屋号も、包装紙だって、絶対に変えたらいかんのです。継承するわけだから、馬鹿にするような、いいかげんな気持ちでお店を作るべきではない。だから、先代と交渉している段階から、これからどのような店にしようと思っているか、はっきり意思を伝えていました。『店の奥をレストランにしますよ、惣菜にも力入れますよ』と」</p>

<h2>「俺もああなりたい」我が子がそう思う生き方がいい</h2>

<p>岡には、経営者として大切にしている独自の考えがある。</p>

<p>「ゼロから事業を自分で育てるのと、成熟した企業を買うのと、経営者になる方法は2つあるけれど、私は圧倒的に後者の考え方。だって経営権を買えば社長やから。創業100年てゆうたって、私が100年前から生きてるわけないやない。でも100年続いた会社の社長にならなれるわけです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A1716.jpg">
<figcaption>「事業をやりたいのなら、ゼロから会社を立ち上げるよりも、すでに立ち上がっていて、そこそこやれている会社を引き継ぐといい。あとは資本の力を借りる。そういうかたちの事業承継はもっとあっていいと思う」と岡は語る。</figcaption></figure></p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/10/batonz-ohyama.html">
<h4>関連記事</h4>
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<div class="info"><strong>「継ぐ」ことはワクワクすること。中小企業M&Aのパイオニアが、後継ぎ探しの「Batonz」を作った理由</strong></div></a></div>

<p>将来的に錦 平野は息子が継ぐことになっている。買うかどうかを検討している時から話し合い、息子も「やりたい」と意気込んでいる。</p>

<p>「だから息子が社長で、私は最初から会長。今は息子の家庭教師みたいなもんやな。銀行や百貨店との付き合い方を、横で徹底的に教えてるところ。いろいろ覚えろとうるさく言っているので、本人はちょっと嫌がってるけどな（笑）」</p>

<p>事業を「継ぐ」「継がせる」ということに対して、岡の考えを聞いた。</p>

<p>「四六時中働いて、資金繰りに追われて、伝統を守ることに必死になって......だと、疲れるやんか。自分も子供もそんなこと絶対にやりたくないし、そもそもそれでは儲からん。例えば、歌舞伎役者の子供は親の後を継ごうとする。それは親がいい目にあっているのを見ているからやろ？　『うちのおやじは儲けているな、かっこいいな、俺もああなりたい』、そう思ってもらえれば、それでいい」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A1756.jpg">
<figcaption>「よれよれのおじいちゃんはカッコ悪いからなりたくないねん」と笑う岡。だからジムに週3回も通っているそうだ。</figcaption></figure></p>

<p>長いことスポーツに携わり、選手の育成にも関わってきたからこそ、「生涯現役」でい続ける難しさについては理解している、と岡は言うが、この先の生き方をどのように考えているのだろうか。</p>

<p>「大事なのは最後や。人生の途中がどれだけよくても、最後ボロボロになって、それこそ邪魔者扱いされながら死ぬのは絶対に嫌や。だから最後にはいい目をしたいなあ。そういう意味で、私なりに存在感は出していきたい。スポーツも、商売も、阪神タイガースも、勝ち始めたら面白いんや。やっぱ勝ち組におらなあかん」</p>

<p>そして最後に、こう付け加えた。</p>

<p>「何事も、悲壮感を持ってやったらいかん。それは事業を継ぐことも一緒や。『やるなら楽しく』やで」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A1594.jpg">
<figcaption>最後に店頭にて。この時間、この場所は道がふさがるほどたくさんの人で溢れていた。取材班が狙っていた牛肉弁当は一瞬のうちになくなってしまうほどの人気っぷり。惣菜も、取材が終わる頃には、もうほとんど残っていなかった。</figcaption></figure></p>

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    <title>「継ぐ」ことはワクワクすること。中小企業M&amp;Aのパイオニアが、後継ぎ探しの「Batonz（バトンズ）」を作った理由 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2018-10-16T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-09-16T05:25:14Z</updated>

    <summary>後継ぎ不足によって黒字廃業をする企業が後を絶たない。でも悲壮感に浸っていたって何もはじまらない。誰かの後継ぎになることは、本当はもっとワクワクすることだから。経営者として仕事を思いっきり楽しめるチャンスなのだ。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="新しい後継ぎのかたち" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="中小企業" label="中小企業" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="後継ぎ" label="後継ぎ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>大山敬義</strong><small>アンドビズ株式会社 代表取締役社長 兼 CEO （日本M&amp;Aセンター 常務取締役）</small>
<p>1991年、日本M&amp;Aセンターの設立に参画。同社初のM＆Aコンサルタントとなり、後継者難による中小企業のM&amp;Aによる事業承継の仲介、コンサルティング及びグループ内外の企業再編手続きなどを手掛ける。M&amp;Aを活用した企業再生コンサルティング（食品製造、旅館やホテル、建設業など）の実績も数多い。近年では中小企業のM&amp;Aの実態を広く伝えるため、普及・著作活動も行い、金融機関や商工会議所、会計事務所などでの年間講演数は100回を超える。2018年4月、小規模ビジネス向け専用のM&amp;Aサービスを提供する「アンドビズ株式会社」を設立、代表取締役に就任。<br>
<br>
※追記：2019年4月、「アンドビズ株式会社」は「株式会社バトンズ」に社名変更</p></aside></p>

<h2>深刻化する「後継ぎ不足」という問題</h2>

<p>いま、日本の企業数が急激に減りはじめている。ピーク時におおむね500万社あった企業は約375万社にまで減少した。実に100万社以上がここ数年で、倒産ないしは廃業している計算になる。</p>

<p>企業の減少という見過ごせない事実の中でとりわけ問題視されているのが、「黒字廃業」の多さだ。景気の善し悪しとは一切関係なく、自主的に廃業する企業が後を立たない。そのトリガーとなっているのが「経営者の高齢化」と「後継ぎの不足」という2つの問題である。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/10/featuring-atotsugi.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/IMG_0566.jpg">
<div class="info"><strong>伝統を守り、新時代を築き、年上の部下ともうまくやる。新参者にして最強の経営者、「後継ぎ」を大特集</strong></div></a></div>

<p>「この先の10年間で社長の年齢が70歳を超える企業は、国内に約175万社あると言われています。これは全企業の45％を占めています。日本人男性の平均健康寿命が72歳、平均寿命が81歳という統計から考えれば、非常に多くの経営者が経営から退かなくてはいけないタイミングに来ている。しかし、次の後継者が決まっているという企業は全体の3分の1にも満たないと言われています」</p>

<p>そう語るのは、これまでに数多くの企業のM&amp;Aに関わり、この4月からは新会社であるアンドビズ株式会社※で代表取締役社長を務める大山敬義だ。
<small>※2019年に「株式会社バトンズ」へ社名変更</small></p>

<p>「後継ぎがいないということは、言い換えると『次の保証人がいない』ということなんです。つまり、金融機関からお金が借りられなくなるわけですから、経営が続けられなくなる。だから倒産とは違います。倒産する前に、やめられるうちにやめてしまおうと考えた結果、廃業を余儀なくされる。これが黒字廃業の実態です」</p>

<p>驚くべきことに、後継ぎ不足の問題を抱えている企業は、日本全国に127万社 もあると言われている。（2017年10月6日付 日本経済新聞）特に地方の状況は厳しく、東京では倒産と廃業の割合はおおよそ1対1だが、これが地方になると、廃業の割合が格段に高くなる。例えば宮崎県の場合、1社が倒産する間に、11社が廃業しているという。地方では働き口が減り続け、就職先も少ないから若い人が残らない。「地方が消えていく」という現象が起こりはじめているのだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/small_L2A0897.jpg">
<figcaption>「東京や大阪の大手企業は大丈夫かというと、たとえ今は安泰でも販売先や仕入先の企業が廃業すれば状況は変わってくる」と大山は言う。都心で働く人にとっても、黒字廃業の実態は人ごとではない。　</figcaption></figure></p>

<p>こうした黒字廃業増加の問題に対して一石を投じようと、大山は今年、新会社を立ち上げた。10月には事業承継を必要としている小規模企業に特化したインターネットマッチングサービスをスタート。これまで多くのM&amp;Aの現場に立ち会ってきた大山は、自身も家業の事業承継の問題に直面し、継がないという選択をした経験を持つ。だからこそ後継者不足という課題に対し、人一倍強い思いを抱いている。大山流の後継ぎ論、そして新サービスに込められた情熱に迫った。</p>

<h2>「継ぐ側」と「継がせる側」にあるギャップ</h2>

<p>そもそも、後継ぎ不足の問題の根っこにあるのが、「家督相続」だと大山は言う。「私ぐらいの年代までは、長男であれば家業を継ぐというのが当たり前でした。でもいまの若い人にそんな感覚はありませんよね」</p>

<p>家督相続制度とは、旧民法で制定されていた「家長の身分と財産を一人が受け継ぐ相続制度」のことで、平たく言うなら「長男が家業を継ぐ」という前時代的な家制度だ。1947年の民法改正までは、長男が家長権を相続すれば、一緒に財産権も継承され、相続税を払う必要はないことが法律で決められていた。そのかわりに家を守り、家業を継ぎ、親を扶養し、お墓と仏壇を守る。</p>

<p>しかし、いまの相続の原則は「均等相続」である。家業を継ごうと継ぐまいと、財産は兄弟に均等に相続される。となると、もはや財産権の継承のために家や家業を守るという義務を果たさなくても財産はもらえるし、義務を履行しなければならない理由もないわけだ。</p>

<p>「家や仏壇を守るというのは古い考えです。＜継ぐ側＞はもう、『長男は家業を継ぐのが当たり前』という考えに縛られる必要はなくなりました。一方で＜継がせる側＞は、息子や娘以外の従業員や、外から連れてきた適任者に継がせることもできるはずなのに、それは絶対にしない。なぜなら、『家業』だからです。なぜ赤の他人に家業を渡さないといけないのか、という感覚がまだ残っているわけです。70年も前に廃止された家督相続にいまだに引っ張られている。この両者間のギャップが、いまの後継ぎ不足の問題に大きな影響を与えているのです」</p>

<p><figure>
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<figcaption>日本には100年以上続く会社が2万社もあるという。これはまさに家督相続制であったが故のこと。歴史的に見ると悪い面ばかりでもないが、現代ではもう古い考え方で、後継者不足の大きな要因となっている。</figcaption></figure></p>

<h2>町のラーメン屋が後継ぎ探しに2000万円払えるか？</h2>

<p>こうした後継ぎ不足の問題を解消するべく誕生したのが、アンドビズ株式会社が運営するサービス<a href="https://batonz.jp/" target="_blank" rel="nofollow">「Batonz（バトンズ）」</a>だ。小規模企業に特化し、事業承継を支援するインターネットマッチングサイト。このサービスを立ち上げるに至った思いを大山は自らの経験を踏まえて語る。</p>

<p>「私の実家は建設業を営んでいました。私は二人兄妹の長男なので、家業を継ぐか継がないかの選択を迫られましたが、継がないという選択をしました。だから実家は家業をたたむことになったんです。私は、自分自身が後を継がなかったことを振り返り『会社とは息子が後を継がなければ存続したらいけないのか？』という課題意識をずっと持ち続けていました」</p>

<p>しかし世の中を見渡せば、第三者が自然に後を継いでいる会社はたくさんある。</p>

<p>「過去の常識を壊さないと、この国の会社はなくなってしまう。同族が継がないといけない時代が終わったのであれば、他の誰かが後を継げるような仕組みをつくってあげるべきだ。そんなふうに考えるようになりました」</p>

<p>その仕組みの一つとして、他社による買収によって存続の道を探る「M&amp;A」に期待が寄せられている。大山は日本M&amp;Aセンターの立ち上げから関わり、これまで30年近くにわたり数多くの企業のM&amp;Aに関わってきた。しかしだからこそ「これまでのM&amp;Aではできないことがある」と言う。</p>

<p><figure>
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<figcaption>壁に飾られた「道」の文字は、M&amp;Aを果たした企業の「これから」を表しているという。隣の部屋には両社の友好を表す「和」の文字が飾られている。</figcaption></figure></p>

<p>従来のM&amp;Aのやり方は、「売りたい」という企業があると、まず複数の専門家がその企業を徹底的に分析する。その後、ベストなマッチング先、つまり『最もシナジー効果が高そうな相手』を世界中の企業の中から100社ほど選び出し、1件1件交渉しながら最終的に1社に絞っていく。これには手間も時間も膨大にかかり、手数料は最低でも2000万円はかかるという。</p>

<p>「手間も時間も金額も膨大にかかるから、もちろん失敗はしにくい。ですが、例えば町の小さなラーメン屋さんが誰かに暖簾を継いでもらいたいと思ったときに、はたして同じやり方ができるのかというと、当然ですが従来のM&amp;Aのやり方ではオーバースペックですよね」</p>

<p>M&amp;Aと言うと、世間はソフトバンクが行うような、多額の金額が動く取引を想像しがちだが、小さな会社の売買は全く違う世界だという。</p>

<p>「世間がイメージするM&amp;Aとは全く違う形で会社を売り買いする世界があることをもっと世に広め、事業を継ぐという意識を個人レベルで変えていく必要があると考えました。そうしなくては、いまの日本が抱える後継者不足の問題は、誰も解決できないんです」</p>

<h2>「継ぎたい人」はどこかに必ずいる</h2>

<p>小さな会社の売買は大企業のそれとは別物でも、マッチする相手を見つけるという意味では同じことだ。しかし、町のラーメン屋にとって最もシナジー効果が高い相手を見定めるのは難しい。それでも継ぎたいと思う相手は必ずどこかにいるはずだ。問題はどこにいるのか皆目見当がつかないこと。大山がインターネットでのマッチングという手法を選んだ理由はそこにある。</p>

<p>「インターネットなら、どこにいるかわからない人を探せますよね。『Batonz』のサイトでは、後継者を探している企業が一覧で見られるようになっています。公募で相手を募り、マッチングしていく。これは、どこかにいるかもしれないベストな相手を広く探す手段として、とても有効だと考えています」</p>

<p><figure>
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<figcaption>日本M&amp;Aセンター本社から見渡せる首都高と日本橋のビル群。大山はここから見えるような大きな企業を相手にM&amp;Aコンサルタントとして長年働いた経験を活かし、小規模企業や個人事業主の事業承継の支援に情熱を注ぐ。</figcaption></figure></p>

<p>もう1つポイントがある。マッチングさせた後にどう成功させるか、その部分にまで徹底的にこだわっている点だ。</p>

<p>「実は、Batonzのビジネスモデルのヒントになったのが、6年前のアメリカ視察で見た現地のマッチングサイトです。そこで驚いたのが、サイト上に『売りたい』という会社が4万社も載っていたことでした。どのような会社なのかを見てみると、小さなビジネスばかりなんです。そこでは、ビジネスブローカーという法律のプロが介在することで企業間のマッチングを確実なものにしていました。日本でも同じような仕組みを作れないものかと考えた末、最初に行ったのが、ビジネスブローカー的な役割の人材を育てることでした」</p>

<p>そこで作ったのが「M&amp;Aエキスパート」という資格である。現在、その資格を持つ人は、全国に2万人強まで増えている。彼らの間を結ぶ横のつながりもつくった。エキスパート同士で案件が流通する仕組みだ。彼らが法律の専門家として「売る側」「買う側」の双方に対し、失敗が起こらないようにケアをする。</p>

<p>さらに、大山はM&amp;Aセンター時代に培った人脈を生かし、地方の銀行や、会計士・弁護士などのプロフェッショナルもネットワーク化した。これで、事業承継を進める際に必要な専門知識を必要に応じてシームレスに提供できる仕組みが整った。</p>

<p>「単なるマッチングだけなら、IT企業ならどこでもできるでしょう。でも、彼らには安心や安全を担保することまでは、おそらくできません。M&amp;Aをやったことがない人に、その後にどんな問題が起こるかなんて絶対にわからないからです。でも、私たちにはそれらのノウハウが全てあります。そして、小さな企業、小さなビジネスの事業承継にとってはマッチング後のサポートが肝心だということにわれわれは気付いているからこそ、その部分のケアには特に力を入れているのです。マッチングして終わり、ではないのです」</p>

<p>今年4月に「アンドビズ」としてプレローンチされてから8月までの5カ月間で会員数は１万人を超え、すでに136件の成約が実現している。現在は500件程度の情報の掲載に留まっているが、5年後には随時1万件の情報が見られるサイトを目指しているという。</p>

<h2>事業承継はもっとワクワクするもの</h2>

<p>前述の通り、いまの日本には後継ぎがいない企業が127万社もある。そんな時代に「Batonz」が果たすべき役割について、大山は大きなビジョンを語る。</p>

<p>「今の事業承継にはどこか悲壮感があります。確かにそういう現実もあるけれど、裏を返せば、跡継ぎのいない会社を誰でも継ぐことができるとも捉えられますよね。そんなマーケットができれば、面白いと思うんです。目の前に127万社の在庫があるということです。その中からどれを選んでもいいなんて、ものすごく楽しそうじゃないですか？　ワクワクしますよね」</p>

<p><figure>
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<figcaption>「『企業を買いたい』という人に対しても、どれを選んでもいいんだという『楽しみ』を提供していきたい」と語る大山。</figcaption></figure></p>

<p>一度買ったら、次は売る側にもなれる。いろいろな働き方が議論されるなか、そうやって小さな会社の売買まで誰もが便利に選べる時代がきたら、もっと面白い世界になるはずだと大山は真剣に考えている。</p>

<p>「興味をもった企業が地方の会社だったとしても、別に生涯そこに身を置いて働く必要はないと思うんです。1、2年やって東京に戻りたいと思ったら、また売ったらいい。かたちとしては企業の売り買いですが、『私はこっちをやるから、次はこっちをお願い』といった感じで、『経営のバトンタッチ』と考えれば、大層なことではないんです」</p>

<p>初めてだけどやってみたい、そんな人にも安心して使ってもらえるサービスを作ることで、新しい事業承継のあり方を広めていきたいと大山は言う。後継ぎ不足で困る企業を減らし、同時にチャレンジできる楽しさを提供していく。それが実現したとき、この国はもっと面白い国になるはずだと。</p>

<p>10月1日に新たにオープンした「Batonz」のサイトを覗いてみた。なるほど、全国各地、さまざまな会社が掲載されている。「この土地でこの店の経営を継ぐなら、どんな風にしようかな」「この会社だったら、こんなことができるかも」なんて、思わず考えてワクワクする。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/batonz_2018-10-16-10.47.11.jpg">
<figcaption>10月1日にオープンした「Batonz」のサイト。「憧れの飲食店」「300万円で事業を買う」などさまざまなカテゴリーから興味のある会社の情報を見ることができる。</figcaption></figure></p>

<p>決死の覚悟で家業を継ぐことが正しい事業承継の形という古い考えは、いまの時代には不必要だ。時代に合った事業承継の形があること、それは、仕事はもとより人生をより謳歌する手段でもあることを「Batonz」が気付かせてくれる。</p>

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]]>
        
    </content>
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    <title>「もの売り」から「ブランドづくり」へ━━中川政七商店に学ぶ、中小企業の経営術『日本の工芸を元気にする！』 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/10/BNLBooks-VOL14.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9121</id>

    <published>2018-10-12T09:00:00Z</published>
    <updated>2019-12-16T05:43:56Z</updated>

    <summary>ブランディングで伝統産業を立て直し、自社ブランドの全国展開も実現させた15年間。その記録の中には「地方の中小企業」のあり方や「ビジネスモデル」の作り方、そして「組織」の育て方まで、私たちのビジネスの参考になる要素がたくさん詰まっていた。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
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        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="デザイン" label="デザイン" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ビジネス書" label="ビジネス書" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="中小企業" label="中小企業" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="後継ぎ" label="後継ぎ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>十三代　中川政七</strong><small> 株式会社中川政七商店 代表取締役会長</small><p>
1974年奈良県生まれ。京都大学法学部卒業後、2000年富士通入社。2002年に株式会社中川政七商店に入社し、2008年に代表取締役社長に就任。製造から小売まで、業界初のSPAモデルを構築。「遊 中川」「中川政七商店」「日本市」など、工芸品をベースにした雑貨の自社ブランドを確立し、全国に約50店舗の直営店を展開している。また、2009年より業界特化型の経営コンサルティング事業を開始し、日本各地の企業・ブランドの経営再建に尽力している。2016年11月、同社創業300周年を機に十三代 中川政七を襲名。2017年には全国の工芸産地の存続を目的に「産地の一番星」が集う日本工芸産地協会を発足させる。
2015年に独自性のある戦略により高い収益性を維持している企業を表彰する「ポーター賞」、2016年に「日本イノベーター大賞」優秀賞を受賞。「カンブリア宮殿」や「SWITCHインタビュー達人達」などテレビ出演のほか、経営者・デザイナー向けのセミナーや講演も多く行っている。著書に『奈良の小さな会社が表参道ヒルズに店を出すまでの道のり。』『経営とデザインの幸せな関係』(以上、日経BP社)、『小さな会社の生きる道。』(CCCメディアハウス)などがある。</p></aside></p>

<h2>名経営者ほど、積極的に「出会い」をつくる──BNL編集部の選定理由</h2>

<p>「この人との出会いがなかったら、中川政七商店は今とは少し違った形になっていたかもしれない」</p>

<p>著者の中川政七が本書の中でそう語るのは、クリエイティブディレクター、水野学との出会いのこと。</p>

<p>二人の出会いは、偶然や誰かの紹介などという幸運ではない。中川自身が、デザインに関する本を読む中で目に止まった人物にメールを送り、自ら会いに行く。その相手が水野だった。中川自らがアポイントを取ったというから驚きだ。</p>

<p>いまでこそ中川と水野はビジネスパートナーとして対等だが、当時の水野はすでに大きな仕事を手がける有名人で、中川にとっては身の丈を超えた存在だったという。しかしそんなことはおかまいなしにコンタクトを取り、熱心に思いを伝えた。だからこそ、いまの中川政七商店がある。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/10/sengoku-nakagawa.html">
<h4>インタビュー記事</h4>
<img src="/uploads/TOP_IMG_1411.jpg">
<div class="info"><strong>中川政七商店：名経営者の後を継いだ千石あや、創業302年目の挑戦</strong></div></a></div>

<p>300年という歴史を背負い、企業の成長を実現させた敏腕経営者は、社外に出て、様々な人に意見を求め、知恵を借りる。それが、ビジネスにとってどれほど意味のあることかを、本書が教えてくれた。</p>

<p>新たな価値を生み出すヒントは社内を見渡しても見つからない。積極的に外に出ていくべきだと。</p>

<p>ということは、Eightのネットワークもビジネスのヒントの宝庫だ。出会うことで自分だけでは思いもつかなかった面白いアイデアが生まれるかもしれない。臆さず、厭わず、会いたい人に連絡してみる。きっと、新たな価値創造の第一歩になるはずだから。</p>

<p><strong>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4492502874/">こちら</a>。（Amazon）</strong></p>

<hr />

<h2>要約者レビュー</h2>

<p>日本は、世界でも類を見ないほど長寿企業が多く残る国である。2016年に創業300年を迎えた奈良の老舗、中川政七商店もそのひとつだ。中川政七商店は、手績み手織りの麻織物をつくり続けてきており、いまでは日常生活でも気負わず使える生活雑貨ブランド「遊 中川」などがよく知られている。本書では、十三代 中川政七自らが、家業に携わるようになってからの中川政七商店を振り返り、長い歴史を背負った同社のこれからの100年を語る。</p>

<p>中心となるビジョンは、「日本の工芸を元気にする！」というもので、その実現のために様々な取り組みがなされている。自分の会社の利益のためだけではなく、日本全国の工芸メーカーがともに元気になれる方法を模索しているのだ。
いまでこそ知名度があり、工芸業界をリードしているように見える中川政七商店だが、ここに至るまでは経営者の奮闘があった。そもそも、旗振り役となる中川政七商店が「元気」になったのは、著者の大胆な業務の改革とブランディングによるといえる。</p>

<p>決して順風満帆ではなかったその道のりから、地方の中小企業のあり方、企業がビジョンを持つことの大切さや、ビジネスモデルなど、企業の経営を行う上で大切なことを学び取ることができるだろう。</p>

<p>「これから生まれてくる多くの会社も、100年経てば老舗企業」と著者は語る。企業のミッションの1つは継続することだという。未来の老舗を生み出したい経営者必読の1冊だ。</p>

<hr />

<h2>本書の要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> <br />
中小メーカーは、もの売りからブランディングへシフトすべきだ。限りのある営業力に頼らず、ブランド力を高めることで、商品に「下駄」を履かせ、勝手にものが売れる状況をつくるのである。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong> <br />
経営者は「事業を通じて何をしたいのか」というはっきりとしたビジョンを持つべきだ。それを社員一人ひとりと共有し、社員全員のベクトルをそろえる。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong> <br />
日本の工芸メーカーと産地が元気になり、自立してものづくりに取り組めることが、中川政七商店の生きる道につながっている。工芸大国となれば、日本も世界にプレゼンスを示せる。</p>

<hr />

<h2>本書の要約</h2>

<h2>工芸大国日本をつくる！</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/9493015626_14968be96c_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/artprojectteam/9493015626/">"作並系こけし 全身"</a> by Nobuyuki Kondo(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>中川政七商店の「100年の計」</h3>

<p>著者は、2016年に、十三代 中川政七を襲名した。中川政七商店の社長※として、「日本の工芸を元気にして、工芸大国日本をつくる」という「100年の計」を立て、日々邁進している。</p>

<p>日本の工芸を取り巻く環境は厳しくなるばかりである。後継者不足、先が見えない業界の現状を苦にして、廃業する人が少なくない。工芸は、分業を基本として成り立つ。たとえば漆器なら、木地師、下地師、漆を塗る塗師など、何人もの手仕事が合わさり、器ができあがる。なので、1人か2人の作り手の廃業が取返しのつかない結果を招くことがある。「今、自分の周りで起きていることは、日本の工芸と工芸品とともにある豊かな感性が生み出した日本の暮らしの危機にほかならない。そう思ったら、日本の工芸を元気にしたいと心から思った。」と、著者は語る。</p>

<p>工芸の衰退は日本だけの問題にとどまらず、たとえば刃物の町として知られてきたドイツのゾーリンゲンも、深刻な高齢化により、産地としての存続が危機に瀕している。しかし、世界のこうした状況は日本にとってチャンスであるとの見方もできる。日本に、もし100年後にも300の工芸品の産地が残っていたとしたら、世界に工芸大国としてのプレゼンスを大いに示せるだろう。</p>

<p>このビジョンを掲げるまで、そして掲げてから、著者は、変化を恐れず、試行錯誤を繰り返してきた。</p>

<p><figcaption>※本書が発行した2017年3月9日時点。　今年、十四代社長に千石あやが就任した。</figcaption></p>

<h2>【必読ポイント!】老舗を継ぐ</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/34356500036_489844ce65_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/steve180/34356500036/">"奈良"</a> by 【單格在顯影】(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>業務の効率化</h3>

<p>著者が、富士通に勤めたのち、家業の中川政七商店に入社したのは、2002年のことだ。しばらくして麻小物を売る第二事業部をのぞいてみるようになると、著者の目に驚くべき実態が明らかになる。生産管理という概念があまり根づいておらず、売れ筋商品はつねに欠品していた。業務効率も課題であった。製品に使う麻ひも20メートルを切るために、パートの女性たちは50センチを40回折り返して切っていたのだという。</p>

<p>結局第二事業部をまかされることになった著者が、やり方を改めようとすると、批判は受けなかったが、社員が一人、また一人と会社を去っていった。</p>

<h3>卸しから小売りへ</h3>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/honten.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>奈良の「遊 中川 本店」。</figcaption></figure></p>

<p>次に著者が取り組んだのは、売上と利益の増額だった。</p>

<p>中川政七商店は、卸売りを主としていたが、卸売りでは顧客との接点がないので最終的なコントロールがきかないし、取引先の売上げ次第のところがあり、限界が見えていた。そこで、同社は思い切って小売り事業に乗り出すことにした。小売り展開は、ブランドづくりに力を入れるという考えからも必須であった。</p>

<p>「中小メーカーこそもの売りを脱却して、ブランドづくりにシフトしなければならない」、というのが著者の持論だ。中小企業は、大企業のように広告宣伝費をかけるわけにいかないし、交渉で弱い立場に立たされることもある。また、そもそも少ない人員でやっているので、十分な営業力の確保も難しい。したがって、ブランディングによって、商品や会社そのものに「下駄」を履かせて、顧客や取引先から選ばれる存在になる必要がある。</p>

<p>そうして培った中川政七商店のブランドを顧客に直接伝える場が、小売りの現場、つまり店舗である。ブランドを構成する要素のうち、店の雰囲気やスタッフの接客が占める割合は大きい。小売店を持つことで、消費者とコミュニケーションをとり、中川政七商店の価値観への共感を抱く人を増やし、結果としてブランド力を高めることができるのだ。</p>

<p>折しも、東京、玉川高島屋ショッピングセンターと伊勢丹新宿店のオファーが舞い込み、著者は出店を決断した。中川政七商店は、製造小売りに対応するシステム構築に長い時間をかけて取り組むことになるが、工芸の分野でSPA業態を確立した先駆者とみなされることになった。</p>

<h3>ビジョンと価値の共有</h3>

<p>著者は、自分が描いた地図の上で社員各人が力を発揮すれば、それが組織の力につながると考えていた。そのため、具体的な指示は出すものの、それによって得られる成果を伝えるということはしてこなかった。しかし、会社を成長させていく過程のなかで、あるとき、スタッフに「社長が考えていることがわからない」と言われてしまう。</p>

<p>そのできごとをきっかけに、中川政七商店が何を成し遂げようとしているのかというビジョンと、それを実現する上で重視する価値観をわかりやすい言葉で伝えて共有しなければならないと考えるようになったという。</p>

<p>ビジョンを社員一人ひとりに納得してもらい、同じ方向へ進んでゆくための仕掛けとして考え出されたのが、「こころば」と「しごとのものさし」である。「こころば」は、「正しくあること」などの10項目の仕事の心構えを表したものだ。折に触れて社員に向けて説明するようにしているそうだ。「しごとのものさし」は、普段の業務における判断基準を示したもので、オリエンタルランドの行動基準を参考にしているという。他社に対する「心配り」、常にもつべき「美意識」、いまの仕事を次につなげる「積み上げ」が、その内容だ。</p>

<p>また、年1回、「政七まつり」も、ビジョンを社員の中に落とし込むための方策のひとつだ。全社員で集まる会を開催し、1つのテーマをもとにディスカッションやグループワークを行う。</p>

<h2>日本の工芸を元気にするために</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/5721360395_d666ddd7ed_b.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>長崎県東彼杵郡波佐見町にある波佐見焼の窯元。　Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/gryphtor/5721360395/">"kilns of hasami"</a> by Joel(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)　</figcaption></figure></p>

<h3>ビジョンが生まれた</h3>

<p>日本の工芸のメーカーと産地が、自立してプライドを持ってものづくりに取り組めるという状況が、そのまま中川政七商店の生きる道につながっている。そうした思いを、著者は、家業に携わるようになって2、3年過ぎた頃から抱くようになった。</p>

<p>「日本の工芸を元気にする！」というビジョンが固まったのは、中川政七商店のクリエイティブディレクター、水野学氏と話しているときだという。水野氏は、著者がこの人しかいないと見込んで、中川政七商店のデザイナーになってもらったという経緯がある。遊 中川のブランドシンボルとなっている二頭の鹿を配したロゴマークは、水野氏のデザインである。デザインの仕事以上に、水野氏は著者にとって、経営に関する右脳的、クリエイティブ的な示唆を与えてくれる存在でもある。</p>

<p>著者は2008年に中川政七商店の代表取締役に就任し、ビジョン実現に向けてさらに積極的に動き出すようになる。</p>

<h3>工芸メーカーのコンサルティングに乗り出す</h3>

<p>ビジョンを掲げ、工芸メーカーや小売店に対して実際に何ができるのかを考えた著者は、相手の側に入り込んで中から変えていく方法、つまり工芸業界に特化したコンサルティングを行うというアイディアにたどりつく。</p>

<p>コンサルティングの経験はなかったが、自社でやってきたようなことを行なえば、必ず他の工芸メーカーも立ち直ることができる、という確信があった。地方の中小企業の多くは会社として基本的なことができておらず、経営自体がない状態にあることが少なくない。それだけに、当たり前のことを当たり前にできるようになるだけで状況は大きく変わるのだ。</p>

<p>初めにやってきたコンサルティング依頼は、長崎県にある、波佐見焼の産地問屋、マルヒロからであった。新ブランドの立ち上げと売上げアップが要望として出された。のちに、工芸メーカーのコンサルティングを続けていくなかで、「新ブランドの立ち上げ」という要望がとても多いことがわかったが、新ブランドの立ち上げは業務改善の次に行なうべきものと著者は位置づけている。業務や財務の改善には不確定要素が少なく、しかも一度改善すれば経営を支え続けてくれるからだ。</p>

<p>また、最も大事なのは、経営者が事業を通じて何をやりたいのかというビジョンを持つことである。それを会社全体で共有しない限り、その会社に存在意義はない。マルヒロの若き後継者、馬場匡平氏に、やりたいことを徹底的に聞き、波佐見に人の集まる場所をつくりたいという夢が出てきたことで、地元の文化を背負って立つブランドを立ち上げるという目標を定めた。</p>

<p>そうしたやり取りを経て、HASAMIという、スタッキングできるマグカップをメイン商品とした新ブランドがつくられた。HASAMIは、資金繰りや生産管理などの難問を乗り越えつつ、二年目には確実に売り上げをつくることができた。</p>

<h3>合同展示会「大日本市」を主催する</h3>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/dainihonichi.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>2018年8月に行われた大日本市の会場。日本全国からさまざまなメーカーが集結した。</figcaption></figure></p>

<p>中川政七商店に入社したころ、販路開拓に苦労した経験を持つ著者は、工芸メーカーを元気にすると決めたとき、流通の出口をサポートしようと考えた。</p>

<p>そうした考えから、中川政七商店単独で始めていた商品の展示会に、先に登場した波佐見焼のマルヒロや、そのほかいくつかのメーカーが加わり、2011年6月から「大日本市」が始まった。この展示会では、一般によくある展示会と異なり、積極的に商品の売買がなされる。中川政七商店は主催者であるが、展示会をビジネスにしようというつもりではないので、出展料は取らない。代わりに、各メーカーから売上げの一定割合を徴収している。</p>

<p>特に、出展者に売ることを意識してもらえるよう、期間中は出展者全員が朝礼に参加し、前日の成約実績と当日の目標を発表することになっている。小規模な工芸メーカーには、良いものをつくれば誰かが評価してくれるはずと考える傾向が目立つが、その姿勢が現在の工芸をめぐる厳しい環境の一因となっているともいえる。ものづくりは、人の手に届いてはじめて完結するのだ、と著者は考えている。</p>

<h2>経営の心得</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/5955901412_83a02029bf_b.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/gryphtor/5721360395/">"Japan Nara Sunburst"</a> by emmett anderson(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>「適正利益」を守る</h3>

<p>著者は、「適正利益」を大切にしている。利益は事業を通じて社会に何らかの価値を提供している証であり、企業が存続していくために欠かせないものだ。しかし、だからといって利益を最大化することを経営の目的とはしていない。理想とするのは、買い手(お客様)、つくり手(工芸品メーカー)、売り手(中川政七商店)がそれぞれ適正な利益を得て、そして社会にも貢献する、三方よしならぬ「四方よし」だ。現在の中川政七商店にとっては営業利益率で10%程度を適正としている。</p>

<p>中川政七商店の資本の入ったメーカーを増やしたり、そうしたメーカーが中川政七商店らしい商品をつくったりする、という未来を追求しているわけではない。つくり手を下請け企業として扱うのではなく、自立化の道のりをサポートする。メーカーや産地とつながりながら、工芸業界全体が活気づくことを願っているのである。</p>

<h3>経営は行き先とスピードを決めること</h3>

<p>経営とは、どこに行くのかということと、そこに向かうスピードを決めることである、と著者はいう。「どこに」は企業や経営者によっても異なるが、スピードに関しては、「倒れないギリギリの速さ」の見極めが大切になる。スピードを上げすぎると制御しきれないが、遅すぎては話にならない。倒れるか倒れないかのギリギリのスピードを見極めるのは、経営者にとって重要な仕事だ。</p>

<p>不思議なことにスピードを追求していくと、組織もそれに呼応するように力をつけてくる。中川政七商店では、新卒採用が始まり、中途採用も積極的に行うようになると、元からいた社員もそれに刺激を受けてさらに力を発揮するようにったという。</p>

<hr />

<h2>一読のすすめ</h2>

<p>ここで紹介した内容のほかにも、著者である十三代 中川政七は、全国の土産物メーカーと地元の土産物屋さんをつなぐプロジェクトを手がけたり、300周年記念プロジェクトに合わせてポーター賞を獲ろうと動いたり、とにかくエネルギッシュに活動している。その全貌はぜひ本書を手に取って読んでいただきたい。経営に対する考えが経営者自身の力強い言葉で語られることも、本書の大きな魅力である。</p>

<p>（1冊10分で読める本の要約サービス <a href="https://www.flierinc.com/">flier</a>）</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/09/BNLBooks-VOL13.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/shitteru.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>前回のBNL Books：「知ってるつもり」から驚きは生まれない──要約『知ってるつもり 無知の科学』</strong></div></a></div>

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    </content>
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    <title>中川政七商店：名経営者の後を継いだ千石あや、創業302年目の挑戦  - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/10/sengoku-nakagawa.html" />
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    <published>2018-10-10T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:53:13Z</updated>

    <summary>「日本の工芸を元気にする！」をビジョンに掲げ、GINZA SIXや東京ミッドタウンなど、全国50店舗以上に直営店を展開する中川政七商店に、初めて創業家以外の社長が誕生した。元社長秘書。13代中川政七の側でそのカリスマ的な経営手腕を見てきた新社長は、いま何を守り、何を変えようとしているのか。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="新しい後継ぎのかたち" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="後継ぎ" label="後継ぎ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>中川政七商店</strong><p>享保元（1716）年創業。奈良晒を代々扱ってきた奈良の老舗。奈良晒とは、麻の生平（きびら）をさらして真っ白にした高級な麻織物で、主に武士の裃や僧侶の法衣として使われてきた。18世紀に最盛期を迎えるが、他産地の織物に押されるようになり、さらに明治に入ると最大の顧客である武士を失い、衰退する。しかし九代、十代は奈良晒を守り、復興に尽力した。パリ万国博覧会（1925年）にも出展。戦後、十一代中川巖吉は機械化を選ばず、生産拠点を海外に移して昔ながらの手績み手織りの製法を守る。十二代中川巌雄は茶道具全般を扱う卸へと事業を拡大。1985年には麻小物の小売「遊 中川」を立ち上げる。2002年、のちに十三代となる中川淳が入社。新ブランドの立ち上げ、直営店の開発に取り組む。2008年、中川淳が十三代社長に就任。コンサルティング事業の開始、新ブランド「中川政七商店」発表、合同展示会「大日本市」の開催など、新機軸を打ち出した。2018年3月、十四代社長に千石あやが就任。初めての中川家以外の社長となった。先代は会長に就任し、コンサルティング・教育事業を率いる。</p>
<strong>千石あや</strong><p>1976年生まれ。大阪芸術大学を卒業後、大手印刷会社に入社。デザイナー、制作ディレクターとして勤務。2011年、中川政七商店入社。小売課スーパーバイザー、生産管理課、社長秘書、商品企画課課長、minoのコンサルティングアシスタント、山のくじら舎のコンサルティング、「遊 中川」ブランドマネージャー、ブランドマネジメント室室長を経験したのち、2018年3月、社長に就任。</p></aside></p>

<p>町へ出て、ぶらぶらとお店を見てまわる。ふと、開放的で清潔感のある店構えに目がとまる。あ、素敵。ちょっと入ってみよう。</p>

<p>お、天然素材のアームカバーがある。欲しかったけど化繊のものばかりで気に入るものがなかったんだった。わあ、こっちの猫はとってもキュート。九谷焼の豆皿、猫好きの彼女が喜びそう。</p>

<p>いくつかの心惹かれる出合いがあって、お店の看板をふと見ると「中川政七商店」と書かれている。そんな経験を何度か繰り返し、その古風な屋号は、すみずみまで気配りの行き届いた暮らしの道具が並ぶ、安心できるお店として記憶される。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/BNL_brand_nakagawa.jpg">
<figcaption>中川政七商店を代表する人気の商品。さまざまな日用品が揃っている。上段真ん中の「花ふきん」は、奈良県の特産品、蚊帳生地を使用。　</figcaption></figure></p>

<p>中川政七商店は奈良で300年以上続く老舗だが、ブランドとしての「中川政七商店」の誕生はぐっと新しく、2010年のことだ。テキスタイルブランド「遊 中川」と、日本の土産ものを扱うブランド「日本市」に加えて、機能的で美しい暮らしの道具を扱うブランドとして「中川政七商店」は創設された。私たちが抱く「中川政七商店」のイメージの多くは、この3本柱が確立されて以降のものである。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/yu_nakagawa_honten_old.jpg">
<figcaption>1985年、オープン当時の「遊 中川 本店」。十二代中川巌雄が、麻の良さを日常で感じてもらおうと、麻生地の小物を扱う同店を立ち上げた。　</figcaption></figure></p>

<p>卸から、工芸をベースとした製造小売り（SPA）へ。改革を行ったのは、2008年に社長に就任した中川淳（2016年に十三代 中川政七を襲名）だ。中川は2015年に「アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー」のファイナリストに選ばれている。すなわち、一連の改革は「第二の創業」と呼ぶにふさわしいものだった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/BNL_honten_gaikan.jpg">
<figcaption>現在の「遊 中川 本店」。　ロゴ（写真右奥）のリニューアルは、クリエイティブディレクターの水野学が担当。</figcaption></figure></p>

<p>そして今年3月、中川政七商店は、中川が会長となり、後継社長に千石あやが就任することを発表した。これは、300年続く老舗の代替わりであると同時に、新興企業が直面する成長のための社長交代でもあった。</p>

<p>初の創業家以外の社長となった千石は、この事業継承をどうとらえ、何を受け継いでいこうとしているのだろうか。</p>

<h2>社長を継ぐなんて「あり得ない」</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_1086.jpg">
<figcaption>取材前は、ズバッと的確な言葉で切り込んでくるような女性を取材するものと思っていた。しかし「こんにちは〜」と笑顔であらわれた千石は、そのルックス、声、所作のすべてが驚くほど柔らく穏やかで、相手に心地良さを感じさせる女性だった。</figcaption></figure></p>

<p>「次の代は中川じゃない人にするということは4、5年前から言ってたんです。だから、そうなんだろうなとは思っていましたが、まさか自分だとは思ってもみませんでした」</p>

<p>千石が、中川に呼び出されたのは昨年の夏。千石は入社8年目。製品管理、商品企画、「遊 中川」ブランドマネージャーなどを経て、ブランドマネジメント室室長の職に就いていた。入社4年目には社内公募で社長秘書に立候補。経営者としての中川を近くで見てきた。</p>

<p>「（中川から）『もうわかってると思うけど』と言われたんですが、何もわかってなくて。冗談だと思って笑ってしまったぐらいです」</p>

<p>呼び出しの理由は、十四代目として社長に就任して欲しいという打診だった。</p>

<p>「考えた結果、千石さんやと思う」。中川の言葉に、千石は「あり得ない」と思った。「受けかねます」と伝えると、中川は「この場で『ええよ』と言われてもびっくりするし、しばらく考えて」と言った。</p>

<p>「あり得ない」と思った理由は、自分は経営者タイプではないと思っていたからだ。では、千石さんが思う経営者タイプとは？　と聞くと、間髪入れずこう答えた。</p>

<p>「中川です」</p>

<h2>側で見てきた十三代の決断力</h2>

<p>時は少しさかのぼり、千石が入社する前後のことだ。中川は、新しいかたちの展示会の開発に取り組んでいた。中小メーカーにとって、展示会は販路開拓のための重要な場所だ。しかし従来の展示会運営会社が主催する展示会や見本市では、手応えを感じることができなかった。来場者層とのミスマッチや、運営会社の出展者への理解のなさ。なにより、出展料に見合う売り上げが立たないのでは、出展する意味がなかった。</p>

<p>そこで中川は、中川政七商店単独で展示会を開いた。そこに中川からコンサルティングを受けた（各地の）の工芸メーカーがひとつ、またひとつと合流。2011年、工芸メーカーが自ら主導する合同展示会「大日本市」が立ち上がった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/BNL_dainionichi.jpg">
<figcaption>2018年8月に行われた大日本市。全国各地から工芸産地の未来を背負う気鋭の会社が集まって出展する。</figcaption></figure></p>

<p>中川の方針はこうだ。出展料はとらない。代わりに流通サポートの費用として売り上げの一定の割合をお支払いいただく。取り引きが発生しなければ主催者にもお金が入らない。リスクを分け合うことで、出展者のビジネスにコミットするやり方だ。</p>

<p>中川の著書『日本の工芸を元気にする！』には、立ち上げのときに中川が書いた「大日本市宣言」が収録されている。そこにこんな一節がある。</p>

<p>「受け身でものをつくる職人ではなく、<br>
　自らの意思で努力する工房でありたい。」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/9d0049f27055af6bd6762ef75b42c5844c3b3a6b.jpg">
<figcaption>中川政七商店 十三代 中川政七『日本の工芸を元気にする！』（東洋経済新報社）</figcaption></figure></p>

<p>そして、「大日本市」の趣旨に賛同した大手百貨店から出店のオファーが届く。そのときの心境を中川は同書でこう綴っている。「（さまざまなメーカーが目標にする大手百貨店に）自分たちの売り場を持つなんて、少し前まで地方の小さな工芸メーカーにすぎなかったコンサル卒業組にしてみれば夢のまた夢。地区予選の一回戦で敗退していた弱小チームがいきなり甲子園に出場するようなものである」</p>

<p>しかし1年後、「中川政七商店」の出店計画をめぐって両者の間にすれ違いが生じた。何度か話し合いの場が設けられ、慰留もされたが、最終的に中川はその大手百貨店を退店することを決断した。</p>

<p>「私、そのとき秘書だったので、隣にいたんですよ」</p>

<p>千石にとってあの場面は「経営者の心意気」を肌で感じた瞬間だった。</p>

<p>「店舗は売り上げも出ていました。利益が出ている店を手放すのはなかなかできない決断ですし、なにより『大日本市』のメンバー全員の商品を扱うところだったので、みんなもすごく喜んでいたんですね。実際中川は、最後の話し合いの場に行く前、『止めてね』と言ってましたから。ちゃんと打ち合わせもしたんですよ。隣に座るだろうからここ（太腿のあたり）にすっと触れるのが止めるの合図、って。でも止める間もなく言いましたね。『退店させていただきます。お世話になりました』って。まじか！と思いました」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_1202.jpg">
<figcaption>緊迫感漂う話し合いシーンを思い出しながら、「はははっ」と大きく笑う姿を見ていると、十三代社長の中川と秘書時代の千石は、お互いを信頼し合う息の合ったコンビだったことが伝わってくる。</figcaption></figure></p>

<p>一般的に小売市場では、大手流通のほうがメーカーより立場が強いことが多い。しかもその百貨店は年間2500万人の来店客数を誇る。多少の理不尽は我慢してその場所を守ろうと考えても不思議ではない。しかし中川は「対等であること」を重視した。千石はこう言う。</p>

<p>「あのときに私は『受注産業脳』から『メーカー脳』に切り替わったと思います。ああ、こういうことか、と。自分たちがどうありたいかを決めていくってこういうことなんだ、と思った」</p>

<p>念のために書き添えるが、同百貨店とはその後、友好な関係を築いている。しかし中川ははじめから「対等なんやで。出させてもらってるわけじゃないんやで」と言っていた。その言葉が腹に落ちた。同時に、その決断をするのが経営者なんだと思った。</p>

<p>「中川もあの場で決めたと思いますからね」</p>

<p>千石さんが社長に就任して半年、そのような場面はめぐってきましたか？と聞いてみる。</p>

<p>「まだめぐってきてないです。あんなの半年に1回ペースであったら大変です。もし自分だったら......と考えると、今の胆力ではまだまだだなって思います。『いったん持ち帰らせていただきます』って言っちゃうと思う。けど、持ち帰ってももう聞く人はいないんですよね」</p>

<p>その言葉にトップの自覚と孤独がにじむ。</p>

<h2>トップダウンからチームワークへ</h2>

<p>自分はとてもあんなふうにはできない。あり得ない。そう言って社長の話を断ろうとした千石だったが、中川はこう言った。「ちゃうねんちゃうねん、俺のコピーが欲しいわけじゃないねん」</p>

<p>中川は、工芸の世界で初めてSPA業態を確立し、15年間で店舗数を3から51へ、売り上げを4億円から52億円へと拡大させた。その足跡を、中川の著書や、インタビューに答えた記事などでたどっていくと、ひとつひとつ着実に布石が打たれていることがわかる。例えば、現在中川政七商店の事業の柱のひとつとなっている中小工芸メーカーへの経営コンサルティングは、2008年に出版した『奈良の小さな会社が表参道ヒルズに店を出すまでの道のり』にすでにはっきりと打ち出されている。</p>

<p>「同業界非競合の他社を手伝う一つの手段として、コンサルティングを考えている」
「世間でいうコンサルティング会社にお金を払うほどの規模も余裕もないメーカーや工房を対象にしたい」</p>

<p>中川は2002年に富士通を辞め、家業の中川政七商店に入社した。中小工芸メーカーが生きていくためには、大手流通から品揃えと価格の決定権を取り戻し、自ら小売り業に乗り出すしかない。日本全国で多くの中小工芸メーカーが苦境に陥り、廃業に追い込まれる状況をなんとかしなければ、自らの生きる道もない。これらの現状認識は、ひとつのビジョンへと収斂する。</p>

<p>「日本の工芸を元気にする！」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_1211.jpg">
<figcaption>後ろの大きな本棚には、日本全国の伝統工芸に関する歴史本や写真集、雑誌などの書物がずらりと並ぶ。</figcaption></figure></p>

<p>中川が会社を成長させていく様を間近で見てきた千石はこう言う。</p>

<p>「ビジョンはものすごい『発明』だったと思うんですよ。そのビジョンのもとに人が集まり始めた。中川の最もすごいところは徹底したロジカルさです。普通はひらめきで終わらせるようなことも、すべて説明できる。ただ、中川がロジックによって導き出したあるべき姿の根底には、『日本の工芸を元気にする！』というビジョンが必ずある。だから、そのロジックが完成した時点でやったほうがいいことなんです。できるかどうかは別にして」</p>

<p>15年間で売り上げは10倍以上になった。これほどの急成長に「成長痛」がなかったとは考えづらい。中川のリーダーシップを、千石は「（中川が考えることを）みんなが必死のパッチで実現する」と表現した。それによって伸びてきたし、やれることが増えたのはたしかだ。しかし、一人の強力なリーダーが引っ張っていくやり方では成長に限界があるのではないか。そういう思いが今回の社長交代の発端だったと千石は言う。</p>

<p>「カリスマ経営者からカリスマ経営者へのバトンタッチだったら『自分のコピー』を期待したかもしれません。でも今回は、トップダウンからチームワークへが大きなキーワードでした。いい企業文化はトップダウンでは作れない。一人が引っ張るのではなく、個々の戦闘能力を上げるんだ、みんなで早く遠くへ行くんだということです」</p>

<h2>ぶれないビジョンがあるから迷わない</h2>

<p>千石は自らに期待されていることを「バランスのよい判断」と分析するが、同時に「スピードを落としたくない」と言う。</p>

<p>「なるべく早く100億円を目指したい。そう言ったら中川に『え、数字？ それテンション上がるん？』と言われたんですけど。ははは。でも、それぐらい（売り上げが）あると諦めなくていいんじゃないかと思うんです。いろんなことを」</p>

<p>例えば、産地の魅力を味わえるような観光ツアーや、工芸に特化したリクルーティングのプラットホームなど新事業がいくつかある。「日本の工芸を元気にする！」というビジョンのためにはやったほうがいいのは間違いないが、収益化のめどがついていないものもある。企業基盤がしっかりしていなければ挑戦できない。諦めないために、数字が必要なのだ。</p>

<p>「会社全体の利益がちゃんと出てないとテンションも下がりますしね。みんながこの会社にいて楽しいと思わないと続かないと思うので。中川もよく言ってました。『俺の仕事は飽きさせないことやで』って。なのでうち、仕事のご褒美は仕事なんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_1369.jpg">
<figcaption>入社したばかりの頃、自分に嘘をつかずに仕事ができることが嬉しかった、という千石。自分たちが本当に良いと思うものだけをゼロからつくれることに大きな価値を感じている。</figcaption></figure></p>

<p>「なぜ（中川政七商店の）みんながものづくりに真摯に取り組めるかというと、ビジョンがあるからだと思うんです。商品企画や営業、生産管理など働く場所は他にもたくさんあります。なのになぜ、わざわざ他の会社をやめて、こんな奈良の片田舎に引っ越してくるかというと、なんらかのかたちでビジョンに共鳴しているからだと思います。みんな、ここで何かしたいと思ってきている」</p>

<p>それは、30代なかばで転職した千石自身の思いでもあるのだろう。この厳しくもやりがいのある職場でこれからも働いていく。お客様によいものを届け、一緒にものづくりをする仲間を増やしていく。そう思っていたはずだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/BNL_honsha_gaikan.jpg">
<figcaption>奈良市にある中川政七商店の本社。コンセプトは、暮らすように仕事する「未来の町屋」。2010年 グッドデザイン賞 中小企業庁長官賞を受賞した。Photo by（有）フジタ写真工房</figcaption></figure></p>

<p>──そんな中での社長就任のオファーは、千石さんからしたら寝耳に水というか、普通に楽しくこの会社でみんなと一緒にやっていきたいと思っていたのに中川さんはなんてことを、ですよね。</p>

<p>「ふふふ。そうですね。でもビジョンがありましたから。『ビジョンも変えていこうと思ってんねん、まかすわ』だったら『お断りします』ってなったと思います。『日本の工芸を元気にする！』というビジョンと、『こころば』という心構えの10カ条、それは変えない。一方で、うちの良さは、変わることをいとわない軽やかさにもあると思っています。そうでなければ、300年前に創業した奈良晒の問屋さんがここまで続くことはなかったと思う」</p>

<p>千石の頭の中には、すでにいくつかの未来予想図が描かれている。それは例えば、日本と同じように、後継者がいなくなり工芸が衰退しているアジアの国々の人々と、ともにものづくりをしている姿だ。中国には約2000の工芸があると言われているが、ものすごい勢いでなくなっているという。</p>

<p>「うちでつくっている暮らしの道具のようなものは、機能だけを考えれば100円ショップにもあったりするんです。何が違うのか、どういう工程で、何をいいと思ってそれを作っているのかを、もっと丁寧にお伝えしていきたいと思っています。私たちは技術の進歩や効率の追求を否定しているわけではありません。だけど、なくなったら惜しいと思うものがある。一人の人間がコツコツとつくった手仕事を『なんかいいな』と思う。日本の工芸を元気にするために、まずはいちメーカーとして、自分たちのものづくりに真摯に向き合っていきたいと思っています」</p>

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    <title>伝統を守り、新時代を築き、年上の部下ともうまくやる。新参者にして最強の経営者、「後継ぎ」を大特集 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/10/featuring-atotsugi.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9120</id>

    <published>2018-10-05T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:52:57Z</updated>

    <summary>いま、後継ぎたちの活躍が目覚ましい。斬新なアイデアと並外れた行動が会社を成長へと導いている。経営だけではない。先輩の後任や移住先ではじめる新しいビジネスなど、さまざまな場面でヒントになる後継ぎたちのストーリー。BNLは「後継ぎ」の企画をスタートする。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="新しい後継ぎのかたち" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="後継ぎ" label="後継ぎ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>名前を知らないブランドの商品を「おっ、ちょっといいな」と思って手にとってみる。いいと思ったからには、そのブランドのことをもっと知りたくて、お店の人に聞いてみると、そこには予想以上に面白いストーリーが待っていたりする。</p>

<p>「もともとは老舗の繊維業者だったんですよ」。なるほど、だからこんなに手触りがいいのか。「この製品をつくる機械は、もうほとんど日本にはないんです」ということは、数に限りがあるんだな。</p>

<p>そんな奥行きを知ると、商品をもっと好きになる。</p>

<p>こうして「いいな」と思った商品が持つストーリーをいちいち調べるようになって、あることに気づいた。多くのブランドの裏側で、「後継ぎ」が大活躍しているのだ。</p>

<p>家業がなくなってしまうのを見過ごすわけにはいかないから、何か新しい手段で再生したい。そう考える後継ぎたちが、一度は外に就職したものの、実家に戻り、外の会社で身につけた知見や築いた人脈を活かして家業の立て直しに取り組んでいる。</p>

<p>家業を継ぐだけに限らない。消えゆく日本の伝統技術をどうしても文化として残したいから、血縁関係ではない自分が「後継者」になる、という決断をする人もいる。</p>

<p>自社ブランドを立ち上げたり、流通販路を開拓したり。その手段はさまざまだが、一つ共通している点がある。それは「自社独自の価値」を見つけて少しだけ新しいエッセンスを注ぎ、自らが発信源となって世の中に伝えているということ。</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/15038827137_1d82eb3288_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/m-louis/15038827137/">"マツナガ電化"</a> by m-louis .®(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>読者の中にもファンがいるだろうか。300年の歴史を持つ麻織物の老舗、中川政七商店もまた、自社独自の価値を追求し続ける企業だ。そして、十三代として社長に就任した中川淳は、コンサルティング事業の開始、新ブランド「中川政七商店」を発表、合同展示会「大日本市」の開催など、新機軸を次々と打ち出し、いまやGINZA SIXや六本木ミッドタウンにも店舗を構えるほどまでに成長した。</p>

<p>今年は、十四代の新社長が就任した。創業300年の中で初めて、中川家以外の人が後を継ぐ。時代に合わせて適切な判断をするところも、企業存続のコツなのかもしれない。新社長はこれからどんな挑戦をしていくのだろう、中川政七商店のファンは楽しみだ。</p>

<p>しかし、優秀な後継ぎたちが活躍する企業がある一方で、全国的に見ると、実はいま大変な事態が起こっている。経営者の高齢化が進むと共に、後継ぎ不足が深刻化しているのだ。</p>

<p>ここ10年で、中小企業の休廃業や倒産が相次ぎ、日本の企業数は減少傾向にある。その中でも特に問題視されているのが、後継者不在による黒字廃業だ。実際の数字を見てみよう。</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/b1_2_05.png" alt="" title="" /> <figcaption>東京商工リサーチによると、ここ10年で休廃業した企業は約40％も増加しているという。
（出所）<a href="http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H30/h30/html/b1_2_1_2.html" target="_blank" rel="nofollow">中小企業庁HP 「平成29年度（2017年度）の中小企業の動向」</a></figcaption></figure></p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/b1_2_13.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>（出所）<a href="http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/h29/shoukibodeta/html/b1_2_1_3.html" target="_blank" rel="nofollow">中小企業庁HP 「平成28年度（2016年度）の中小企業の動向</a></figcaption></figure></p>

<p>休廃業・解散企業の経営者の年齢は2016年、60歳以上の企業が8割以上、10年前と比べると70～79歳、80歳以上の構成比が増え、80歳以上の経営者にいたっては2倍以上に増えている。</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/b1_2_14.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>　2013年から2015年までの期間で休廃業・解散した企業84,091者のうち、廃業直前の売上高経常利益率が判明している企業6,405者について集計したデータをもとに休廃業前の利益率。（出所）<a href="http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/H29/h29/shoukibodeta/html/b1_2_1_3.html" target="_blank" rel="nofollow">中小企業庁HP 「平成28年度（2016年度）の中小企業の動向</a></figcaption></figure></p>

<p>廃業した企業の中で、利益率が0％以上の黒字状態だった企業は5割以上、半数超の企業が廃業前に黒字だ。</p>

<p>さらに中小企業庁は、現状を放置した場合、2025年までに650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われると<a href="http://www.chusho.meti.go.jp/soshiki/nentouShokan/2018Year.htm" target="_blank" rel="nofollow">警鐘を鳴らす</a>。もはやすべてのビジネスパーソンにとって、他人ごとでは済まされない事態だ。</p>

<p>その事態を受けて、「だったらもっと簡単に後継ぎを探せる仕組みをつくろう」と立ち上がったのが日本M&amp;Aセンターである。同社は今年、新会社の＆Biz（アンドビズ）を設立し、後継ぎを探す小規模企業に特化したインターネットマッチングサイト<a href="https://www.batonz.jp/" target="_blank" rel="nofollow">「Batonz」（バトンズ）</a>をスタートさせた。例えば町の飲食店でも、継ぎたい人と気軽に出会えるプラットフォームだ。「『企業を買いたい』という人に対しても、企業を選べる『楽しみ』を提供していきたい」と大山氏は語る。</p>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/16002460713_810f8bbb24_k.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/m-louis/16002460713/">"うどん天国"</a> by m-louis .®(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>革新的な後継ぎたちが活躍している一方で、見過ごせない廃業の実態がある。しかし見方を変えれば、いろいろなことに挑戦できる時代でもあるわけだ。例えば「どこかの会社を継ぐ」ことだってできるかもしれない。もちろん簡単なことではないが、自身のスキルや個性と、先代が築き上げたビジネスがかけ合わされば、きっと新たな価値が生まれるだろう。</p>

<p>この時代を苦しいと嘆くか、それともチャンスと捉えてワクワクするか。BNLは、いまを楽しみながら着実にビジネスを成功へと導くさまざまな後継者たちを数週間に渡って特集する。彼らはきっと私たちに、ビジネスを面白くするヒントを与えてくれるはずだ。</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="7010001190989"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="7150001001554"></div>
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    </content>
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    <title>最近の三井住友銀行の新しい取り組みは、この人が推進していた──リテールIT戦略部・柳川朋子 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/09/smbc-yanagawa.html" />
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    <published>2018-09-28T08:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:13:25Z</updated>

    <summary>情報サービス大手から三井住友銀行に転職してきた異色のキャリア。なぜ銀行を選んだのか。実際入ってみてどうか。そんなリアルな声を聞いてきた。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="これからの転職" label="これからの転職" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="キャリアストーリー" label="キャリアストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>柳川朋子</strong><small>三井住友銀行 リテールＩＴ戦略部</small>
<p>2003年、大手シンクタンク系SIerに新卒入社。業務系システム、Webサイト等の開発を担当。2006年、大手情報サービス会社に入社。Webサイトの企画・開発・コンテンツ制作等を担当。2016年、三井住友銀行に入行。</p></aside></p>

<p>柳川朋子は三井住友銀行リテールIT戦略部でいつも名前のあがる社員の1人だ。</p>

<p>2016年6月に情報サービス大手から転職。前職での経験をフルに活かして、同行のリテールビジネスのデジタル化を牽引してきた。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/05/smbc-eto.html">
<h4>リテールIT戦略部とは</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_OND2505-1094.jpg">
<div class="info"><strong>銀行だって、もっとクリエイティブになれる──現金大国・日本への挑戦</strong></div></a></div>

<p>リテールIT戦略部と言えば、Web制作やUI/UXデザインの専門家を内部に抱え、「お堅いイメージの銀行の中にあっては異色な、自由でフラットな組織」であるとは、同部部長・江藤敏宏の弁。</p>

<p>けれども、ただ自由でフラットな職場を求めるのであれば、なにも銀行である必要はないのであって、あえて銀行で働くのには、それだけの理由があるはずである。</p>

<p>柳川は数ある選択肢の中からなぜ同行を転職先に選び、いまどんなことを感じながら働いているのか。異分野からの銀行・金融業への参入が相次ぎ、既存の銀行の未来を危ぶむ声さえ聞こえるいま、「銀行で働くことのリアル」をテーマに話を聞いた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0783-final.jpg">
<figcaption>リテールIT戦略部の現場で活躍している人、と取材を申し込んだところ、真っ先に柳川の名前があがった。</figcaption></figure></p>

<h2>カルチャーの違いを越えて</h2>

<p><strong>──入社からの2年は主にどんなお仕事を？</strong></p>

<p>本当にいろいろなんですが、大きく分けると、二つにまとめられるのかなと思います。</p>

<p>一つは、お客さまとの取引をデジタル化する施策の企画立案から実行、その後の運用まで。一般に、お客さまが銀行を訪れる機会が減っている中、お客さまとのデジタルの取引を増やすことは当行にとっての課題であり、リテールIT戦略部に求められた役割でもあります。そのための施策として、新機能の立案やデジタルマーケティング、Webサイトの刷新などを行ってきました。</p>

<p><strong>──最近は主にどのようなプロジェクトを？</strong></p>

<p>直近1年で取り組んだのは、LINEのチャットで手軽に残高照会や入出金明細が見られる機能の搭載です。当行のLINEアカウントには約1300万人の「友だち」がいたのですが、これはもともと当行のキャラクター「ミドすけ」のスタンプをダウンロードできるキャンペーンで集めたユーザーでした。こうしたユーザーに対して通り一遍のプロモーションを発信しても、ブロックされたり離脱されたりして思うように届かない。せっかく予算を使って獲得したユーザーをどう活かすかは課題でした。</p>

<p>一方で、インターネットバンキングのユーザーを増やすことはリテールIT戦略部の最重要ミッションの一つです。けれどもまだログインさえしたことがない人が多くいる中、いきなり「インターネットバンキングを使って」と言ってもなかなか難しい。であれば、こういう親しみやすいアカウントの中で簡単に使える機能を提供することが、インターネットバンキングの利用を促すきっかけになるのではと考えました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0887-final.jpg">
<figcaption>LINEから直接インターネットバンキングと連携できる便利な機能を紹介。企画から実装そして改善まで、このサービスを推進してきた。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──なるほど。もう一つの主なお仕事は？</strong></p>

<p>もう一つは、社内の業務効率の改善です。例えば、これまでは何かのWebページを改変しても、定量的に分析してその成果を振り返ることがなされていませんでした。そこで、部内でチームアップして成果を見える化し、レポートすることを始めたんです。まだ完璧ではないですが、これでとりあえずはPDCAサイクルを回していく下地が整ったと思います。</p>

<p>他にも、業務によってバラバラだったワークフローを整理・改善したり、これまで紙で行われてきたやり取りを一部デジタル化したりと、BPR（ビジネスプロセス・リエンジニアリング）のようなことにも力を入れてきました。</p>

<p><strong>──これまでとまったく違うカルチャーで働く上で大切にしている姿勢はありますか？</strong></p>

<p>あまり銀行に染まらないようには気をつけているつもりです。というのも、銀行・金融のことがまったくわからないところからスタートした私だからこそ、一般の人にとっても親しみやすい方向に銀行を変えていける可能性があると思っているので。銀行に入って、それが当たり前になってしまうのではなく、これからも「わからない」という視点を保ち続けて、サイトのUIやプロモーションを考えていきたいと思っています。</p>

<p>とはいえ、銀行の歴史や文化、社会的責任といった「中の事情」を完全に無視してしまってはうまくいかないというのが難しいところでもあります。銀行の外から見ると煩雑な手続きをやっているように見えても、2年間働く中で、そこにはちゃんと理由があることがわかってきました。例えば、紙と印鑑を使ったやり方が残っているのも、銀行には、その社会的影響力が大きいゆえに必ず守らねばならないルールがある、というようなことが、背景としてあったりします。</p>

<p>これまでの常識を持ち出して銀行の事情を全否定するのでは、物事は前に進んでいかない。スピード感を持って施策を打つには変革は不可欠ですが、銀行ならではの事情を踏まえた上で進めていかなければなりません。簡単ではないですが、そこはこれからも頑張っていきたいと思っているところです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0716-final.jpg">
<figcaption>もともと銀行には家族を大切にする文化がある。安心してチャレンジできる職場だという。</figcaption></figure></p>

<h2>ワーキングマザーもチャレンジができる場所</h2>

<p><strong>──ところで、柳川さんはなぜ銀行に転職したのでしょうか？</strong></p>

<p>うーん、実は「銀行に行きたい」と思って転職したわけではないんですよね。転職するにあたっては三つの条件を軸にいい会社を探していたんですが、結果として当行がそれに当てはまったということで。</p>

<p><strong>──三つの条件というと？</strong></p>

<p>一つめは、社会インフラに近い領域で仕事ができる会社かどうか。前職時代は自分が楽しければいいという感じで仕事をしていたのですが、出産を経て、子供を預けてまで働いているからには、もっと社会に貢献できる仕事がしたいと思うようになりました。</p>

<p>二つめは、子供がいても長きにわたって働ける会社かどうか。いわゆるワークライフバランスや、ワーキングマザーでも働きやすいかどうかということです。</p>

<p>そして三つめは、前職で培ったWebの企画や開発のスキルを活かして、なおかつ新しいことをやれる会社かどうか。転職エージェントにこの三つの条件を満たす会社をいくつか提案された中に、当行の名前があったんです。</p>

<p><strong>──銀行と聞いた時の第一印象は？</strong></p>

<p>最初は「え？」という感じでした。でもエージェントは、ワーキングマザーの働きやすさ、新しいことに挑戦するという点を加味すると、ここが一番のオススメだと言うんですね。実際、面接を進める際にはワーキングマザーゆえの時間的な制約がかなりあったのですが、他の候補企業と比べて最大限に配慮してもらい、女性でも働きやすい会社だというのが伝わってきました。</p>

<p>また、これまでの経験が活かせるという点でも申し分ありませんでした。前職でも既存のWebサイトを磨いていくような仕事が多かったので、現状の銀行の業務やインターネットバンキングの仕組みを理解しながら、それをより良いものにしていくリテールIT戦略部のスタイルは、扱うものこそ違えど、前職の経験が非常に活きると感じました。</p>

<p><strong>──実際に入ってみてからはどうでした？</strong></p>

<p>まず、女性ならではの難しさを感じたことはないですね。むしろこれまで以上に働きやすい。というのも、女性が働きやすい文化や雰囲気、土壌があるんです。ワーキングマザーならではの時間の制約や難しさは変わらずありますが、それを当たり前のこととして受け止めてくれる組織だと感じます。子供が風邪をひいたために帰らざるを得ないなど、迷惑をかけることは多いのですが、嫌な顔をされたことはないですね。前職と比べても、家族を大切にしている人が多い印象で、男性の上司も同じように、子供の病気のために早退することがあります。</p>

<p>「ママでも働ける」という会社自体は他にもあるとは思います。しかし、前職もそうでしたが、他の社員と同様に最前線で働けているかというと、必ずしもそうではなく、重要な仕事を任せてもらえなくなったり、同じ仕事をしていても評価に差がついたりしたこともあると思います。その点、ここではワーキングマザーであっても同じように扱ってもらえます。それは、同じように厳しく成果が問われるということでもありますが。それでいて働き方に対する配慮もあるという感じです。実際、リテールIT戦略部にはワーキングマザーで活躍している人が多いです。</p>

<p><strong>──先ほど転職の条件のひとつに挙げられていた「社会インフラに関わっている」という実感はありますか？ 見方によっては、やっていることは普通のITサービスと変わらないようにも思えるのですが。</strong></p>

<p>正直にいえば、社会のインフラに関わっている実感が十分に得られているかというと、そうではありません。それはまだ本当の意味で何かを大きく変えるようなことができていないからだと思います。今後、銀行がデジタル中心になり、いままで店頭に来ていただけなかったお客さまが普通にインターネットバンキングを利用していただける状況になれば、その実感を得られるのだろうな、と。</p>

<p>ただ、メガバンクはお取引いただいているお客さまの数が膨大なので、ちょっとしたサービスのリリースやわずかなミスに対してもものすごく大きな反響があるんです。そこは社会インフラとしての銀行の存在の大きさを実感するところですし、やりがいを感じるところでもあります。思うに、行内のルールが厳しく、一つひとつに慎重にならざるを得ないというのには、そうした理由もあるのでしょう。</p>

<p><strong>──では、この先はどんなことに力を入れていきたいですか？</strong></p>

<p>いまはとにかくインターネットバンキングを使っていただけるお客さまの数を増やすフェーズなので、そのことに注力したいですね。LINEにもユーザーにとってメリットのある機能をもっと増やしたいです。また、他のデジタルのチャネルも増やしていきたいと思っています。</p>

<p>その先には、そうした当行の個々のチャネルでのお客さまの情報を連携して、より適切にセグメントした上で情報を配信することにもつなげていきたい。究極的には、one to oneでお客さまが欲しい情報を配信できるところまで持っていきたいですね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0773-final.jpg">
<figcaption>自分の力で何か変化を生み出せるところで働きたいと語る柳川にとって、リテールIT戦略部はぴったりの部署のようだ。</figcaption></figure></p>

<h2>銀行の未来に不安はある。でも......</h2>

<p><strong>──さまざまに選択肢があるなか、あえて銀行の中でリテールIT戦略部で働く面白さをひとことで表すなら？</strong></p>

<p>リアルタイムで日々様々なことが変わっていくところに身を置く面白さ、でしょうか。社内の仕組みもそうだし、デジタル施策という面でも他の業界と比べてできていないことがたくさんある。それは逆に言えば、やれることがたくさんある面白さということですよね。</p>

<p><strong>──いろいろなプレーヤーが参入し、既存の銀行の存続を危ぶむ声もありますが、業界や会社の未来に対して不安はないですか？</strong></p>

<p>業界としてどうなっていくかは正直わからないと思っています。ただ、その中で何か変えていける可能性があるとしたら、いまいるデジタルのところだろう、と。銀行を選んだのは、決して安定や安心を求めてのことではありません。未来に対しての不安はもちろんあります。でも、そうした未来を変えていける可能性もあるから、挑戦したいと思ったんです。</p>

<p>先ほど「長く働ける文化があるかどうか」も転職の基準になったとお話ししましたが、それも決して安定を求めてのことではなくて。そうやって地に足をつけて働ける基盤があるからこそ、大きなチャレンジができるものだと思っています。子供を産んで、制約が多いからなんとなく働くというのではなく、制約の中でもやりたいことを諦めたくなかったんです。</p>

<p><strong>──どんな人がここで働くのに向いていると思いますか？</strong></p>

<p>銀行＝安泰と思っている人には向いていないですし、働く環境としても安定を求める人には向いていないと思います。この2年の間にも、戦略もKPIもどんどん変わりました。そうした変わっていく中で新しいことに挑戦できる必要がある。変化が好きな人、新しいことにチャレンジするのが好きな人、混沌とした状況をストレスに感じない人には向いているんじゃないかと思います。</p>

<p><strong>──ある意味、スタートアップ的なマインドが必要ということ？</strong></p>

<p>それは間違いなく必要だと思いますね。ただ、繰り返し言っているように、銀行ならではの手続きや伝統が山ほどあるのも事実です。そういうものをすべて無視して「俺がルールだ」みたいな人には難しい。スタートアップ的な気質はあっても、同時に、現状をちゃんと見据えられる視点や忍耐力も併せ持っている必要があるだろうと思います。</p>
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    <title>任天堂：驚きを生んだ出会いの歴史 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <id>tag:bnl.media,2018://125.9113</id>

    <published>2018-09-21T09:00:00Z</published>
    <updated>2018-11-20T00:44:06Z</updated>

    <summary>中小企業から大企業へ、突破のきっかけとなった出会いをテーマに、これまでBNL Historyではヤマハとオムロンと伊藤園を取り上げてきた。任天堂にも、その発展を語るうえで欠かせない運命的な出会いがいくつもあった。なかでも特に大きな影響を与えた4つを紹介する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BNL History" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="もっと「驚き」を増やしたい" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="コラム" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="驚き" label="驚き" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h2>「ソフト体質」でなければ驚きは生まれない</h2>

<p>任天堂のプロダクトとして真っ先に思い浮かぶのは、これまでに遊んだことのあるゲーム機ではないだろうか。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=QMjidcKCGvQ
<figcaption>2017年までに発売された主なゲーム機を紹介する動画。</figcaption></figure></p>

<p>しかし、任天堂の「驚き」の源泉は、実はハードウェアとしてのゲーム機ではなく、ゲームソフトにある。2009年1月の決算説明会で、当時社長を務めていた岩田聡はこう語った。</p>

<p>「大爆発するソフトがあるから、ハードを買ってまで遊びたいと考えてくださるお客さんが次々と現れ、その人が周りの人を次々と誘いながら、モノというのは広がっていくわけです。それが起きたから、DS現象、Wii現象があった。ですから、そういうものを、次も生みだす努力をしなければならない」</p>

<p>1980年から52年間、3代目の社長を務め、中興の祖として知られる山内溥も、4代目のポストを岩田に継いだ理由のひとつとして、「ソフト体質」な思考を持っているからだと語っている。取材をしたジャーナリストの井上理は、山内の考え方を次のように解説する。</p>

<blockquote>
  <p>山内にとって産業は、ハードとソフトの2つに大別される。自動車、鉄鋼、造船、家電......。これらのモノづくりの企業は、言うまでもなくハードの会社だと言う。そして、それらの会社は、我々人間が生活をより良く、長く保持するために必要なモノを作る会社なのだと。</p>

<p>モノづくり＝ハード＝必需品。このカテゴリーにいる会社は、より良いモノを安く作ることが至上命題である。</p>

<p>死力を尽くして技術開発に邁進する一方、労働力の安い土地を求めるなどしながら、より効率的な大量生産に取り組んで来たからこそ、我々の生活はより便利に、より豊かになった。</p>

<p>そうなると、今度はいかに楽しく暮らすか、いかに余暇を過ごすか、いかに味気ない生活を彩りのあるものに変えていくか、という需要が生まれ、娯楽産業が勃興する。</p>

<p>娯楽産業はあらゆる点で必需品を作るハード側の産業とは違う。</p>

<p>人間が生きるために必要なモノを扱うわけではないので、喜びや驚きがないと見向きもされないし、わかりやすく快適でないとそっぽを向かれてしまう。技術や性能、価格といったハードの出来ではなく、コンテンツの面白さやルール、仕組み、すなわちソフトの出来が求められる世界である。</p>

<p>言い換えると、娯楽産業は、高機能、高品質のモノをより安く作るための体質が優先されるハード産業とは違い、洗練されたソフトを生み出す体質、すなわち、ソフト体質が優先される、というのが山内の持論だ。</p>

<p>──<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4532314631/" target="_blank" rel="nofollow">『任天堂 "驚き"を生む方程式』</a>（日本経済新聞出版社） 井上理（著）</p>
</blockquote>

<p>こうした意識が社内に浸透しているからこそ、世界中のゲームプレイヤーに新たな「驚き」を提供し続けてこれたともいえるだろう。</p>

<p>ただし、どんな大企業も最初はスタートアップだった。そして決して創業者の力だけで成功したわけではない。厳しい時には運命的な出会いに恵まれ、さまざまな才能が集まって事業を拡大してきたという背景があるものだ。もちろん任天堂も例外ではない。京都の花札会社から、世界のNINTENDOになるまで。突破のきっかけとなった、4つの出会いの歴史に注目してみよう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/nintendo_book_odoroki.jpg">
<figcaption>本記事の執筆において主に参考にした本は、その名も『任天堂 "驚き"を生む方程式』（日本経済新聞出版社）。『日経ビジネス』編集部の元記者である井上理氏が、過去に任天堂の経営陣を取材した記録をもとに執筆したものである。</figcaption></figure></p>

<h2>【出会い】ロイ・ディズニーと山内溥<br>【驚き】ディズニートランプ</h2>

<p>1889年より京都で花札を製造していた中小企業から、世界の誰もが知るゲーム会社へと発展する最初のきっかけとなったのは、任天堂の創業者である山内房治郎（ふさじろう）が、花札の製造技術を流用し、1902年に初めて国産のトランプを製造・販売する事業である。</p>

<p>かつて「東洋の煙草王」と呼ばれ、同じ京都を拠点としていた村井兄弟商会の村井吉兵衛と山内房治郎は面識があった。たまたま、たばこの箱とトランプがほぼ同じサイズだったことも功を奏し、任天堂は村井兄弟商会のたばこ流通網を利用して、早々にトランプの全国展開を実現する。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/nintendo-720.jpg">
<figcaption>創業当時の任天堂本社。Source: <a href="https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Nintendo_1889.jpg" target="_blank" rel="nofollow">Wikimedia Commons（Public Domain）</a></figcaption></figure></p>

<p>やがて房治郎の孫にあたる山内溥が家督を継ぎ、1949年に22歳で3代目社長に就任すると、初代と先代が築いたトランプ事業のさらなる発展に取り組む。まずは、53年に日本初となるプラスティック製トランプを発売する。紙と比べて高価だったため初速は伸び悩んだものの、優れた耐久性のメリットが消費者に伝わるようになると、着実に売上を伸ばしていった。</p>

<p>会社を継いでから10年、32歳となった1959年には、世界を相手に大型の提携案件を実現する。米ウォルト・ディズニー社のロイ・ディズニーと直接交渉をして、ミッキーマウスなどのキャラクターを日本で使用する版権を獲得。それらをトランプの図柄として印刷した「ディズニートランプ」の発売に漕ぎ着けたのだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/disney.png">
<figcaption>山内溥をインタビューした<a href="https://youtu.be/H_zXk2fsK4U" target="_blank" rel="nofollow">テレビ番組</a>より。</figcaption></figure></p>

<p>それまで接点のなかった玩具店への販路を開拓できたこともあり、ディズニートランプはその年、60万箱という記録的な大ヒットを成し遂げた。ちなみに家庭でも楽しめるように、さまざまな遊び方を記した「プレイガイド」を同封したことも、大きな成功の要因だとされている。トランプというハードウェアに、キャラクターとカルチャーを導入したという意味においては、実はこれがゲーム会社への第一歩になったとも言えるのである。</p>

<h2>【出会い】横井軍平と山内溥<br>【驚き】ウルトラハンド</h2>

<p>どのようにしてトランプで成功した会社が、テレビゲームを作るようになったのか？</p>

<p>実はその転換期をリードしたのは横井軍平という新卒社員だった。</p>

<p>同志社大学で電子工学を専攻し、任天堂で初の理工系社員として入社した横井は、のちにあの「ゲームボーイ」や、その前身である「ゲーム＆ウォッチ」の発明者として世に知られるようになる。だが、本当は落ちこぼれだったと生前、ジャーナリストの牧野武文に語っている。</p>

<blockquote>
  <p>（前略）同級生はほとんどが大手の電機メーカーに就職していた。任天堂は今でこそ日本を代表する企業だが、当時の主力製品は花札とトランプで、電子工学の知識に出番などはほとんどなかった。企業とは名ばかりで、職人が花札を手作業で貼り合わせて作っているような地方の町工場の臭いが漂っていた。
「任天堂に入社してしばらくは同級生に会うのが嫌だった」と語ってくれたこともある。
「だから、私はほんとうの落ちこぼれなんですよ。その落ちこぼれの私を拾ってくれた任天堂には、ほんとうに感謝しています」と何度も言う。</p>

<p>──<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4041023742" target="_blank" rel="nofollow">『任天堂ノスタルジー 横井軍平とその時代』</a>（角川新書） 牧野武文（著）</p>
</blockquote>

<p><figure>
<img src="/uploads/nintendo_book_game.jpg">
<figcaption>それまでほとんどメディアに出ていなかった横井軍平を特集した注目の2冊。</figcaption></figure></p>

<p>そんな自称「落ちこぼれ」の社員を、社長が社内に眠る原石として発掘し、大抜擢したのだった。のちに横井は『文藝春秋』に寄稿したコラムで、その奇跡的な出来事を次のように振り返っている。</p>

<blockquote>
  <p>（前略）出社してみると、部署は工務課。トランプや花札を製造する機械のメンテナンスをやる仕事です。当時、新しい法律ができて、30KVA以上の受電設備を有する企業は電気主任技術者を置かねばならないことになったそうなのですが、どうも、そのために採用されたようです。</p>

<p>ところが、電気管理というのは退屈で仕方がない。もともと私は物作りが好きだったのですが、会社には立派な旋盤とか彫刻機といった機械が揃っている。そこで退屈凌ぎにいろんな玩具をつくって遊んでいたのです。</p>

<p>ある時、社長が私の作った玩具を見て「お前、それを持ってちょっと役員室へ来い」と言う。てっきり怒られると思ってついて行ったら、いきなり社長に「それを商品化して売りたい」と言われました。</p>

<p>今、考えてみると、それが私の人生のはじまりであり、ある意味では、「トランプ、花札の任天堂」が「世界の任天堂」に変わる最初の一歩だったかもしれません。</p>

<p>入社してまだ1年も経たない、しかも玩具を商品化した経験もなければノウハウもない私が、見よう見真似で、金型の設計からどこで成形して組み立てるかということまでやった。</p>

<p>それが『ウルトラハンド』という名前の商品になりました。</p>

<p>──『文藝春秋』1996年11月号　<a href="http://bunshun.jp/articles/-/6659" target="_blank" rel="nofollow">ゲームボーイを開発した伝説の技術者・横井軍平「私はなぜ任天堂を辞めたか」</a>　横井軍平（文）</p>
</blockquote>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=HQEgybct2Zg
<figcaption>ドンキーコング（1981年アーケード版）のプレイ動画。</figcaption></figure></p>

<h2>【出会い】横井軍平と宮本茂<br>【驚き】ドンキーコング</h2>

<p>ウルトラハンドは大ヒットを記録した。その実績が評価され、横井は社長直属の部署として新設された開発部に配属となる。そこから「ウルトラマシン」や「光線銃」など、数多くのアイデア玩具を開発するのだが、横井の凄いところは、ハードウェアの開発だけでなく、やがてゲームソフトもプロデュースできるようになったことだ。実際のデザインやプログラミングは部下に任せたものの、商品企画は横井が担っていた。その代表作がマリオのキャラクターが誕生したアーケードゲーム「ドンキーコング」である。</p>

<p>当時、任天堂はニューヨークに支社を設立して間もないころだった。経営を任された支社長は、ニューヨークのゲームセンターで子どもたちに受けがよかったアーケードゲームを3000台ほど発注して勝負に出る。しかし、日本で製造したゲーム機が船便でニューヨークに到着するころには、すでに子どもたちの好みは変わっていて、残念ながら多くが売れ残ってしまった。その売れ残った基盤を使ってどうにか新しいゲームを開発して損失を取り戻せないか、と横井が率いる京都本社の開発部に救済の依頼が届いたのだ。</p>

<p>その頃の開発部はゲームボーイの前身となる「ゲーム＆ウォッチ」の開発に追われていて、まったくリソースに余裕のない状況だった。そこで白羽の矢が立ったのが、のちに「マリオ」の生みの親として知られるようになる新卒のデザイナー、宮本茂である。</p>

<blockquote>
  <p>当時パッケージデザインをやっていた宮本というのがおったんですね。その宮本を引っ張り込んで、「ゲーム＆ウォッチでポパイのゲームを作ろう」ということで、いっしょに構想を練っていたんですね。これをそういう事情で、急遽売れ残りの基盤に乗せることにしたんです。
で、わりとすぐに「下にポパイ、上にブルートを配置して」というゲームの骨格ができあがったんですけど、後でポパイの版権がとれないとわかった。しかたなく、ゲーム内容はそのままでキャラクターだけ変えようということになったんですね。で、変えたのがマリオとドンキーコングとピーチ姫だといういきさつなんです。</p>

<p>（中略）</p>

<p>マリオというキャラクターは宮本君が作りました。ポパイをどういう風に変えるかと考えて、工事現場だから作業服を着たキャラクターにしようと。ヒゲをつけたのも宮本君ですね。</p>

<p>──<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4480432930" target="_blank" rel="nofollow">『横井軍平ゲーム館: 「世界の任天堂」を築いた発想力』</a>（ちくま文庫） 横井軍平, 牧野 武文 (著)</p>
</blockquote>

<p>もとはと言えば米国法人が大量に在庫を抱えてしまったアーケードゲームの救済措置として始まった本プロジェクトは、結果的に在庫分を遥かに上回る6万台を超える大ヒットを記録する。もちろん宮本茂がそのプロジェクトにおける中心的な役割を担っていたものの、決してひとりの力だけで成し遂げたわけではない。彼の側にはいつも横井がいたのである。</p>

<h2>【出会い】岩田聡と山内溥<br>【驚き】「星のカービィ」「スマブラ」</h2>

<p>横井が発案した、亀のキャラクターをマリオが突いてひっくり返すアーケードゲーム「マリオブラザーズ」のアイデアをベースに、宮本がファミコンのためにいちから作ったゲームソフト「スーパーマリオブラザーズ」が大ヒットを記録していた頃、社外では岩田聡が、ゲームプログラマーとしての才能を開花し始めていた。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=0iYa9FciT64
<figcaption>マリオブラザーズ（アーケード版）のプレイ動画。</figcaption></figure></p>

<p>岩田はファミリーコンピュータが発売される前年に大学を卒業し、大学2年生からアルバイトとして勤めていた「ハル研究所」に入社する。新卒といっても岩田はゲームソフト開発担当としては1号社員で、当時「マイコン」と呼ばれていたパソコン周辺機器用のゲームソフト開発を一手に担っていた。</p>

<blockquote>
  <p>衝撃を受けたのは、入社2年目、1983年のこと。任天堂がゲーム専用機のファミコンを、マイコンに比べれば破格の値段、1万5000円で発売したからだ。
「ソフトを作らせてください」
岩田の足は、自然と任天堂の本社がある京都へ向かっていた。岩田と任天堂の蜜月の始まりだ。</p>

<p>（中略）</p>

<p>「ゴルフ」「ピンボール」「F1レース」......。ハル研究所は、ファミコン初期を支えた、これら任天堂製の有名ソフトの仕事を請け負うことに成功し、信任を得ていく。</p>

<p>──『任天堂 "驚き"を生む方程式』（日本経済新聞出版社）</p>
</blockquote>

<p>開発案件が増えたのでゲーム開発者を多く採用し、岩田は取締役に就任する。会社は順調に成長していたのだが、ある時、いきなり経営が破綻してしまう。会社の規模拡大に合わせてオフィスを移転するために銀行から多額の建設費用を借り入れたのだが、その矢先にバブル崩壊の煽りを受けて、資金繰りが悪化。事実上の倒産状態にまで追い込まれた。</p>

<p>この時、開発資金を供与し、絶体絶命の危機を救ったのは任天堂社長の山内だった。ただし、その条件として経営再建に当たる社長を岩田にすることを求めた。</p>

<p>その後、「星のカービィ」と「ニンテンドウオールスター！大乱闘スマッシュブラザーズ」が任天堂製として発売されたが、実は両方ともハル研究所が開発を受託していた。2つとも岩田が社長に就任してから生まれた作品であり、社長自らプログラムを書いたこともあったという。</p>

<p>その頃の元部下で、どちらの作品も手がけた桜井政博と岩田の貴重な対談記事が任天堂のウェブサイトに掲載されているので、ここでその一部を紹介しよう。</p>

<blockquote>
  <p>──岩田<br>
さて、せっかく、私と桜井くんがふたりで『スマブラ』の話をするわけですから、ここで、いちばん昔の話をしてみようと思います。このシリーズのはじまりは、1999年にニンテンドウ64で出た『ニンテンドウオールスター！大乱闘スマッシュブラザーズ』なんですが、そのプロトタイプは、桜井くんと私がふたりでつくったんですよね。</p>

<p>──桜井<br>
いわゆる『格闘ゲーム竜王』ですね。</p>

<p>──岩田<br>
まだ、任天堂のキャラクターが乗っていなかった段階のゲーム。企画と仕様、デザイン、モデリング、モーション、すべて桜井くんがやって、プログラムは私ひとりという、ある意味、究極の手作り作品で。</p>

<p>──桜井<br>
ファミコン時代のゲームみたいな体制で（笑）。サウンドにもうひとりいましたけど。</p>

<p>──岩田<br>
当時は、いろんなソフトを手がける一方で、本当に自分たちがつくりたいもの、アウトプットというのを模索している時期で。そんなときに、桜井くんがなにかおもしろいものを考えているというので、「それはさっさとつくって動かしたほうがいい」ということで、「オレがプログラム書くから、企画、書きな」と桜井くんをうながして。とはいえ、当時はふたりとも仕事を抱えているのでとても時間はとれなかったんですけど。</p>

<p>──<a href="https://www.nintendo.co.jp/wii/interview/rsbj/vol7/index.html" target="_blank" rel="nofollow">社長が訊く『大乱闘スマッシュブラザーズＸ』Vol.7一期一会なゲーム（任天堂ホームページ）</a></p>
</blockquote>

<p>「カービィ」と「スマブラ」のヒット作を生み出せたことにより、岩田の会社はなんとわずか6年で15億円もあった負債を完済できたのだった。</p>

<p>山内は、その岩田の経営手腕を見込んで、今度は任天堂に来ないかと誘った。そのわずか2年後の2002年に社長を退任し、岩田を第4代社長に任命する。</p>

<p>社長交代前は、ソニーに少し押され気味だったのだが、岩田体制になってからは、記事冒頭で紹介した岩田の言葉にある通り、「DS現象とWii現象」が世界中で巻き起こり、任天堂はさらなる発展を遂げていく。その先に、いまの「Switch現象」がある。</p>

<p>だが、もしあのとき山内溥がロイ・ディズニーに会いに行っていなかったら。もし新卒社員の横井軍平の才能に気づいてあげられなかったら。もし横井と宮本がタッグを組んでいなかったら。岩田が任天堂本社に営業しに行っていなかったら......。いまのように、世界中の人々が任天堂のゲームを楽しめることはなかったかもしれない。</p>

<p>出会う、が、世界を変えたのだ。</p>

<p><figure><figcaption>Top Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/alexanderdanling/2854094968/" target="_blank" rel="nofollow">Yoshi &amp; Mario</a>" by Alexander Danling  (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc/2.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-NC 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="1130001011420"></div>
]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>「知ってるつもり」から驚きは生まれない──要約『知ってるつもり 無知の科学』 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/09/BNLBooks-VOL13.html" />
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    <published>2018-09-14T01:00:00Z</published>
    <updated>2018-11-20T00:45:52Z</updated>

    <summary>思っていたほど実は知らないという「知識の錯覚」を自覚すること。自分だけの知識に頼らず、「知識のコミュニティ」に参加して学ぶこと。これまで見過ごしていたことに「驚く」機会が増えるかもしれない。そんな知的好奇心を刺激する本である。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="もっと「驚き」を増やしたい" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネス書" label="ビジネス書" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>スティーブン・スローマン</strong><p>認知科学者／ブラウン大学教授（認知・言語・心理学）／『Cognition』編集長</p>
<strong>フィリップ・ファーンバック</strong><p>認知科学者／コロラド大学リーズ・スクール・オブ・ビジネス教授（マーケティング論）</p></aside></p>

<h2>人間は、無知だからこそ出会いに価値を置く──BNL編集部の選定理由</h2>

<p>生きる上で役に立たないことは基本的に深追いしない、という習性が人間にはあるという。</p>

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<p>たしかに、いちいちファスナーの仕組みが気になって手を止めていたら、服を着るという何気ない日常の動作でさえ億劫になるだろう。トイレの水が流れる仕組みまで気になってしまったら生きていくのも大変に違いない。でもなぜか、ほとんどの人は特段気にすることもなく、ずっとあたり前のように使用している。</p>

<p>わたしたちは自分で思っている以上に、知性を人に頼って生きている。いちから身の回りのものを作れる人なんてほとんどいない。どんな素材でできているのか。どこで手に入るのか。どう組み立てればいいのか。何一つ把握していないことに気づくのは、それらが故障した時くらいである。</p>

<p>逆にサービス提供側から見れば、その仕組みを把握していることで新たなビジネスチャンスが生まれる。ファスナーやトイレの仕組みを転用すれば、何か驚きの新商品だって発明できるかもしれない。</p>

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<p>「知ってるつもり」の方が生きていくのは楽だが「驚き」は得られない。驚きがなければ、新たな気づきは生まれない。ただし、物事をひとりで考えるのはどうしても限界がある、というのが本書の必読ポイントである。その分野に詳しい人は必ずどこかにいるはずだから、「知識のコミュニティ」への参加を勧めている。</p>

<p>Eightのつながりだって、立派な「知識のコミュニティ」である。名刺交換をしただけで「知ってるつもり」になっている人は、きっとたくさんいるはずだ。一見、時間の無駄に思えるかもしれないが、久しぶりに連絡して会いに行ってみよう。その出会いが、世界を変えていくきっかけになるかもしれないと、現代認知科学は証明しているのだから。</p>

<p><strong>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4152097574/" target="_blank" rel="nofollow">こちら</a>。（Amazon）</strong></p>

<hr />

<h2>要約者レビュー</h2>

<p>本書の著者は、ともに認知科学の研究者である。1950年に誕生した認知科学は、工学、心理学、哲学などの学際的研究を通じて、人間の知性の働きを解明しようとしてきた。しかしそうした研究を通じて明らかになったのは、個々人の知性のすばらしさというより、むしろその限界であったと著者らは指摘する。</p>

<p>「人間の知性は天才的であると同時に哀れをもよおすほど粗末で、聡明であると同時に愚かである」。人間は火の使い方を覚え、民主政治を生み出し、原子核を発見し、月面に着陸した。その一方で、驚くほどの思いあがりや無謀さを晒すことも少なくない。</p>

<p>なぜ人間はほれぼれするような知性と、がっかりするような無知を併せ持っているのか。あるいはなぜ個人としては限られた理解しか持ちあわせていないのに、種としてこれほどの偉業を成し遂げてこられたのか。本書はこうした疑問に答えていく。</p>

<p>なかでも重要な問いは、知性はどこにあるのかというものであろう。私たちは「知性は個人の脳のなかにある」と考えがちだ。しかし本書の見解は別なところにある。知性は私たちの身体に、環境に、そしてコミュニティに属するというのだ。私たちは状況に応じてそれらを参照し、活用しているにすぎない。</p>

<p>本書を開けば「知性」のイメージが、ガラリと変わるだろう。</p>

<hr />

<h2>本書の要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> 
「無知」は歓迎すべきものではないが、かならずしも悲嘆すべきものでもない。世界はあまりにも複雑で、その全体像は個人の理解を超える。無知は人間にとって自然な状態だ。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong>
それにもかかわらず私たちは、多くのことを知っている、理解しているという「知識の錯覚」に陥っている。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong>
知性は個人に属していると思われているが、じつのところ人は「知識のコミュニティ」のなかに生きている。知識のコミュニティとはなにか、そこで私たちはどのように振る舞うべきかが、本書では考察される。</p>

<hr />

<h2>知識の錯覚</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/40358029541_26de4606bf_k-720.jpg">
<figcaption>Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/serbosca/40358029541/" target="_blank" rel="nofollow">Railway</a>" by Sergio Boscaino (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/2.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC BY 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>無知の正体</h3>

<p>私たちは自分たちが思っているほど、物事を理解していない。</p>

<p>このことを示す簡単な実験がある。トイレやファスナーなど日々当たり前のように使っているモノについて、まず被験者に「その仕組みをどれだけ理解しているか」を答えさせる。この時点での回答は「理解している」というものが多い。だが具体的にどのような仕組みで動くのか説明を求めると、たいていの人はほとんど何も語れない。知っていると思っているのに、実はそれほど知らないのだ。</p>

<p>とはいえ無知そのものが欠点というわけではない。あまりにも複雑な世界を生きていくため、私たちはこうした戦略・作法を身につけざるをえなかった。しかし問題は、私たちは世界を理解したつもりで生きており、それがときとしてさまざまな錯誤や災厄をもたらすということだ。</p>

<p>私たちは基本的に「わかっていないことがわかっていない」。これが無知の正体である。このことは株式市場や軍事戦略といった人間世界の出来事から、気象や地震といった自然界の出来事についてまで、同じようにいえる。</p>

<h3>思考の目的は行動である</h3>

<p>認知科学は「人間の知性の働きはどうなっているのか」、「その目的は何なのか」を解明しようとする学問だ。</p>

<p>人間の知性は、新たな状況下での意思決定にもっとも役立つ情報の抽出を、最優先に進化してきた。人間の脳はしばしばコンピュータのように例えられるが、実際は大量の情報を保持する記憶装置とも、その大量の情報を演算処理するように設計されたコンピュータとも根本的に異なっている。</p>

<p>そもそも私たちはなぜ思考するのか。その目的は「行動」にある。この目的を達成するために必要なことを、より的確にできるようになるため脳は進化してきた。そして私たちにとっての最適な行動とは、複雑な世界の変化する状況に、もっともうまく適合することなのだ。</p>

<h3>必要な情報のみを残す脳の働き</h3>

<p>世界の仕組みについての個人の知識は、驚くほど限られている。なぜなら必要な情報だけ抽出して、それ以外をすべて除去するからだ。新たな状況で行動するためには、具体的な詳細情報ではなく、世界がどのような仕組みで働くのか、そのおおもとにある規則性だけを理解しておけば事足りるのである。</p>

<p>これは脳の持つ記憶媒体としてのキャパシティからも裏づけることができる。私たちが通常使っているノートパソコンには、250から500ギガバイトのメモリがついている。一方で人間の脳の情報量は、0.5から1ギガバイト程度だという。このことからも「選択した情報以外は消去する」ということが、私たちの脳にとって重要な機能だということがわかる。</p>

<h2>【必読ポイント】 知識のコミュニティ</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/29700565100_64ad95fdb4_k-720.jpg">
<figcaption>Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/bcgovphotos/29700565100/" target="_blank" rel="nofollow">Local governments gather in Victoria for UBCM 2016</a>" by Province of British Columbia (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>知識は脳のなかにあるだけではない</h3>

<p>適切な「行動」を選択するために、人間は知的能力を育んできた。だが個々人の頭のなかにある限られた知識だけでは、人間がこれまで成し遂げてきた数々の成果を説明することはできない。</p>

<p>私たちは知識に囲まれて生きている──ここに人間の偉業を説明するカギがある。知識は脳のなかにあるだけではない。私たちがつくるモノ、身体や労働環境、そして他の人々のなかにある。私たちはいわば「知識のコミュニティ（knowledge community）」に生きているのだ。</p>

<p>こうした知識のコミュニティのあり方は、「認知的分業」として知られている。文明が誕生した頃から、人間は集団のなかで、さまざまな専門能力を育ててきたといえる。</p>

<h3>頭と外界に境界はない</h3>

<p>知識のコミュニティに参加するためには──すなわち自分の頭に知識の一部しか存在しない世界で生きていくためには──自分の頭のなかにあるものと外にあるものの境界がシームレス（縫い目のない連続した状態）でなければならない。</p>

<p>知性は自らの脳に入っている情報と外部環境に存在する情報を、連続体として扱うような設計になっている。自分が知っている以上に世界を知っているという「知識の錯覚」は、こうした進化のプロセスが私たちの知性にもたらしたものだ。</p>

<p>知性は個体の脳のなかではなく、集団的頭脳のなかに宿っている。個人は生きていくために他の場所、たとえば自らの身体、環境、とりわけ他の人々のなかに蓄積された知識を頼る。そうした知識をすべて足し合わせると、人間の思考はまさに感嘆すべきものになる。ただしそれはコミュニティの産物であり、特定の個人のものではない。</p>

<h3>志向性の共有</h3>

<p>技術や知識を共有するのは、創造するよりもはるかに高度なことだ。人間は他者の存在や、他者が達成しようとしていることを認識し、協力することができる。同じことに関心を持ち、目標を共有することができる。認知科学の用語を使えば、私たちは「志向性（intentionality）」を共有している。このような協力形態は他の動物には見られない。</p>

<p>知識のコミュニティに参加するためには、この「志向性を共有する能力」が必要だ。それは他者と関心や目標を共有し、共通理解を確立する能力であり、他者と意図を共有する能力である。</p>

<p>ちなみに人工知能（AI）の進歩によって、人間を超える超絶知能（スーパーインテリジェンス）が誕生するといわれるが、そういったものの到来はとても起こりえないだろう。なぜならコンピュータにこの「志向性を共有する能力」を持たせるメドがまったく見えないからだ。たしかにコンピュータは人間の指示を理解できる。しかし他の人間の関心や目標、意図に共感することはないし、それによって自らを変える力も持ちあわせていない。</p>

<h2>知識コミュニティの課題と可能性</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/4526032014_3ea1109085_o-720.jpg">
<figcaption>Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/fibonacciblue/4526032014/" target="_blank" rel="nofollow">Tea Party tax day protest 2010</a>" by Fibonacci Blue (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/2.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC BY 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>コミュニティの危険性</h3>

<p>当然のことながら、知識コミュニティにはリスクもある。その代表例が社会心理学者のアービング・ジャニスが「グループシンク（集団浅慮）」と呼んだ現象だ。これは同じような考えを持つ人々が議論をすると、グループの意見が先鋭化することを指す。とくに社会的、政治的な問題になると、グループシンクは深刻な影響をもたらす。</p>

<p>著者らが例にあげるのは、2010年にアメリカで成立した「医療費負担適正化法（通称「オバマケア」）」をめぐって勃発した、世論を二分する激しい論争だ。多くの国民が賛成か反対か明確に答えたにもかかわらず、アンケート調査によると、半数近くの人々がこの法案を巡る背景（司法の判断）を理解していなかった。このように世論は、問題に対する国民の理解度からは説明できないほど極端になることもある。</p>

<p>誰もが自らの無知を理解できないのに、コミュニティのメンバーに正しいという感覚を与えつづけてしまうと、きわめて危険な社会思想を生み出すおそれがある。20世紀を特徴づけるのは、思想的純潔という名の巨悪だ。スターリンによる粛清、ナチス、文化大革命。例として極端に感じられるかもしれないが、それが歴史的事実であることも確かである。</p>

<h3>ナッジ（そっと押す）</h3>

<p>こうしたコミュニティの弊害は、インターネットやソーシャルメディアの普及によって、一段と強まることが懸念されている。同じ価値観の仲間同士で固まり、異なる意見は排除されがちになるからだ。</p>

<p>そうした課題を克服するひとつの道筋として、シカゴ大学のリチャード・セイラー教授らが提唱する「リバタリアン・パターナリズム（緩やかな介入主義）」という思想がある。この思想の特徴は「人間は必ずしも合理的判断をするわけではない」という前提にもとづいていることだ。合理的選択をさせるには個人に訴えるのではなく、「ナッジ（そっと押す）」する、つまり自然とそうさせるよう環境をデザインしたほうがいい。たとえば「全員がある種の年金制度に入るのが望ましい」という場合なら、希望者に「オプトイン（制度に加入する意思表示）」させるのではなく、希望しない人が「オプトアウト（加入しない意思表示）」するという仕組みをとるべきだ。</p>

<p>また私たち一人ひとりが自らの無知への自覚を高めることも重要である。著者らが本書をまとめた意図は、そもそもそこにあるのだから。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/15381212999_e2cdf615ab_k-720.jpg">
<figcaption>Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/alfredofoto/15381212999/" target="_blank" rel="nofollow">untitled</a>" by Alfredo Castilla (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-SA 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>賢さの定義が変わる</h3>

<p>知識はコミュニティのなかにあるという気づきは「賢さ」に対して、これまでとはまったく別のとらえ方をもたらす。</p>

<p>賢さを知能指数（IQ）という個人単位で測るのではなく、個人がどれだけコミュニティに貢献したかという尺度で考えてみよう。すると知能はもはや個人の推論能力や、問題解決能力ではなくなる。むしろ集団の推論や問題解決プロセスに貢献する能力ということになるはずだ。</p>

<p>教育の目的は旧来、子供たちに一人でモノを考えるための知識と能力を与えること、つまり知的独立であると考えられてきた。しかしそれでは不完全である。学習とは単に新たな知識や能力を身につけることではない。そこには他者と協力する方法を学ぶこと、そして自分に提供できる知識や、他者から埋めてもらうべき知識がなにかを知ることも含まれていなければならない。</p>

<p>「賢さ」の定義が変われば、教育の定義も変わる。そしてその先に私たちの明るい未来、つまり希望があるのである。</p>

<hr />

<h2>一読のすすめ</h2>

<p>原著の副題に注目したい。そこには"Why We Never Think Alone"とある。この「なぜ私たちは一人で考えられないのか」という言葉に本書の本質が隠れている。一人では考えられないからこそ、これまで人類は大きなことを成し遂げてきた。これからもコミュニティの知がしっかり機能すれば、さまざまな困難を乗り越えていくのではないか。そのような希望を抱かせる内容となっている。</p>

<p>知的好奇心があれば読者を選ばない本だと思うが、あえて絞りこむなら教育や人材育成に取り組んでいる方に、とりわけ強くおすすめしたい。</p>

<p>（1冊10分で読める本の要約サービス <a href="https://www.flierinc.com/">flier</a>）</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/09/BNLBooks-VOL12.html">
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]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>「驚き」という情について、哲学者・九鬼周造が晩年に考えていたこと - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <id>tag:bnl.media,2018://125.9110</id>

    <published>2018-09-11T05:30:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:24:45Z</updated>

    <summary>日本文化論の名著『「いき」の構造』で知られる九鬼周造は、主要な研究テーマであった「偶然性」に関連して、晩年に「驚き」についても思考を巡らせていた。そこから何かビジネスのヒントは得られないものだろうか。関西大学の哲学者、木岡伸夫に訊いてみた。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>「驚き」のあるビジネスは強い。商品・サービスは印象に残りやすく、お客さんの関心を惹きつける。他社と一線を画するブランドが築けてメディアの注目を集める。優秀な人を採用でき、投資家の期待も高まる。いいことづくめである。</p>

<p>だがそもそも驚きとは何だろうか。驚きという情について深く考えたことはあるだろうか。</p>

<p>歴史上、驚きをテーマに論じた哲学者は意外と少ないものである。古代ギリシアの哲学者プラトンや弟子のアリストテレスは驚きを「哲学の出発点」であると述べていたり、デカルトも「驚きは最も根源的な情緒で、すべての情緒の中の第一のものである」と重要視していたものの、その後、西洋哲学のメインストリームに登場したことはない。</p>

<p>そんななか、京都帝国大学文学部哲学科で教鞭をとりながら、『「いき」の構造』（1930）や『偶然性の問題』（1935）などの注目作を出版し、独自の哲学を探求した<a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B9%9D%E9%AC%BC%E5%91%A8%E9%80%A0" target="_blank" rel="nofollow">九鬼周造</a>は、亡くなる2年前の1939年に、「驚きの情と偶然性」という題名の論文を発表していた。その中で驚きと偶然性の関係について、次のように記している。</p>

<blockquote>
  <p>驚きという情は、偶然的なものに対して起る情である。偶然的なものとは同一性から離れているものである。同一性の圏内に在るものに対しては、あたり前のものとして、驚きを感じない。同一性から離れているものに対して、それはあたり前でないから驚くのである。</p>

<p>──「驚きの情と偶然性」（1939）：『偶然と驚きの哲学』九鬼周造（書肆心水）に所収</p>
</blockquote>

<p>さらに深く、九鬼の思考を掘り下げていけば、何かビジネスにも通ずるヒントが見つかるかもしれない。そこで、『邂逅の論理』や『〈出会い〉の風土学』の著者で、過去に二度BNLで取材している関西大学の木岡伸夫にメールインタビューを依頼し、5つの問いを投げかけた。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/04/kioka-newbook.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/kiokabook4-1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>面白い！と思える出会いには理由がある──『〈出会い〉の風土学』著者が解説</strong></div></a></div>

<p><figure><figcaption>Top Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/wadetregaskis/42390016511/" target="_blank" rel="nofollow">Surprised Coquerel's Sifaka (Propithecus coquereli)</a>" by Wade Tregaskis (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc/2.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-NC 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/33382325054_ec28e06caf_k-720.jpg">
<figcaption>何の変哲もないこの「ペンペン草」の美しさに、われわれは〈驚く〉ことができるだろうか。Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/38635642@N00/33382325054/" target="_blank" rel="nofollow">Shepherd's Purse</a>" by Paul B. (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h2>1. 「驚き」は哲学の出発点</h2>

<p><strong>──九鬼周造の論文の中では、「プラトンやアリストテレスは驚きを哲学の出発点と見た」とか、「デカルトによれば、驚きは最も根源的な情緒で『すべての情緒の中の第一のものである』」と紹介されていますが、彼らの後、哲学の世界で「驚き」は十分議論されているのでしょうか？</strong></p>

<p>質問をいただいて、昔、学生の頃に<a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E5%B3%AF%E9%A1%95" target="_blank" rel="nofollow">大峯顕</a>先生（フィヒテなどドイツ観念論の研究者として知られ、かつ高名な俳人）の講義で、プラトンが「驚き（<a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BF%E3%82%A6%E3%83%9E%E3%82%BC%E3%82%A4%E3%83%B3" target="_blank" rel="nofollow">タウマゼイン</a>）」を哲学の原点に挙げたことを引いて、その重要性を強調されたことを想い出しました。</p>

<p>そのとき先生が「驚き」の例に挙げられたのは、「よく見れば薺（ナズナ）花咲く垣根かな」という芭蕉の句。「ペンペン草」とも称される何の変哲もない花の美しさに驚く心こそ、哲学の精神である、というお話でした。シェリングの『神話学』を主題とする講義の内容もさることながら、そんな余談に心を惹かれたものです。</p>

<p>例に挙げられた芭蕉の句自体が、そんなに素晴らしい作品かどうか、私にはわかりませんが、哲学と「驚き」に本質的なつながりがあるという指摘は、深く心に残っています。プラトン以来、「驚き」に言及した哲学者がどのくらいいるのかは知りませんが、そのテーマが哲学のメインストリームになった事実がないことは、「偶然性」を本気で取り上げた哲学者が九鬼しかいない事実と見合っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/odorokibooks.png">
<figcaption>本記事は、九鬼周造の「偶然性」に関する主著『偶然性の問題』（岩波文庫）と、その後の諸篇を集めた『偶然と驚きの哲学』（書肆心水）を参考に問いを組み立てている。</figcaption></figure></p>

<h2>2. 偶然の出会いと驚きのつながり</h2>

<p><strong>──九鬼は、自身の主要な研究テーマであった「偶然性」に紐づく感情として「驚き」を挙げています。この論理は、その後どのように研究されていますか？</strong></p>

<p>『偶然性の問題』が「驚き」を重視しているということなら、九鬼の研究者は、たぶん誰でも知っているでしょう。ただ九鬼以外に、「偶然性」と「驚き」のつながりに注目して、主題的に論じた人がいるのかどうか。というのは、「偶然性」が「邂逅」（思いがけない出会い）を意味するということをふまえたうえで、〈偶然性－邂逅－驚き〉の意味連関を追究しようとした例は、私の知るかぎり、見当たらないからです。</p>

<p>多少手前味噌になるが、私の考えを説明しましょう。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/01/kioka.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/IMG_0361final.jpg">
<div class="info"><strong>ビジネスにも通ずる出会いの哲学、「縁の論理」とは？ ──『邂逅の論理』著者、木岡伸夫が解説</strong></div></a></div>

<p>九鬼は「偶然性」を、「独立なる二元の邂逅」と定義しています。たとえば、太郎と次郎が、たまたま共通の知人の入院先を見舞いに訪れ、顔を合わせたとする。どちらからともなく、「偶然だなあ」という言葉が口をついて出るでしょう。その時その場所にやってくる理由が、太郎の側にも次郎の側にもあった。〈原因―結果〉の必然的なつながりが、それぞれに存在するわけです。けれども、別々の因果系列が交差して、二人がそこで出会うという事実が予定されていたわけではない。二人の出会いは、まさに偶然そのもの。「独立なる二元の邂逅」とは、そのような経験を意味します。</p>

<p>そのとき、太郎と次郎を同時に襲うのが、「驚き」の感情です。「まさかこんなことが起こるなんて！」。そう言いたいことが、われわれの日常でも時折起こるでしょう。そんなとき、どう思いますか？　</p>

<p>「あたり前でない」ことは、「有り難い」（めったに起こらない）こと。それが与えられたことに、感謝したいと思ったとしても、おかしくないでしょう。日本人は、昔からそういう意味での偶然を、貴重な「ご縁」として受け容れ、大切にしてきました。ちなみに拙著『邂逅の論理』では、そういう西洋の論理にはない考え方を、〈縁の論理〉として論じています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/3100391676_24a9d1675c_b-720.jpg">
<figcaption>馬は人間のように、恐れと驚きの違いを正確に感じとることができない。そのため何か驚異に遭遇すると、主人を置いてどこまでも逃げようとしてしまう。Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/thomashawk/3100391676/" target="_blank" rel="nofollow">Run Free</a>" by Thomas Hawk (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc/2.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-NC 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>3. 人間は驚きを感動に転化できる</h3>

<p><strong>──「驚き」と「恐れ」を比較し、「驚き」は人間やチンパンジーなど、ある程度の知性がある生き物にしか起こりえない感情だと九鬼は紹介しています。例えば、馬は何か少しでも予想外のことが起きると「恐れ」て逃げ出してしまうそうです。つまり、「驚き」が起きる条件として、受け手側がその出来事が起きた背景知識を、ある程度は有している必要があるということでしょうか？</strong></p>

<p>面白い質問ですね。「驚」の漢字は、馬が下に付いています、馬が何かにオドロいたとき、前足を上げてのけぞるような半立ちの姿勢になる。そこから「驚」の字が生まれた、という説明を読んだことがある──九鬼のテクストになかったかな。もしあるのなら、この質問の趣旨とは正反対になるけれど、動物にも「驚き」が存在するわけです。</p>

<p>まあその点がどうであれ、動物にも当然「驚き」があると私は思います。たとえば、不意に敵と遭遇したなら、人間だれしも驚くはず。それは、「知性的」というよりむしろ、本能的・動物的な反応ではありませんか。そのうえで申すなら、驚きの原因・理由に目を凝らして、その意味を考えることができるのは、人間だけ。そういう知性的な情報処理の能力によって、「驚き」は人間に固有な「感動」に転じる。九鬼が言っているのは、そういうことではないかと思います。</p>

<p>人間と動物に違いがあるとすれば、「驚き」や「恐れ」の原因・理由について、人間はあれこれ考えをめぐらすことができるのに、動物にはそれができない。「驚き」を伴う「邂逅」の事実を深く反省して、書物を仕上げた九鬼の例が、何よりの証拠です。</p>

<blockquote>
  <p>【参考】<br>
驚きは、著しく人間的な情であるということもできる。動物にあっては、よほど高等なものにならぬと、驚きと恐れとの区別が明瞭ではない。</p>

<p>（中略）</p>

<p>驚くという漢字には馬が書いてある。驚とは馬がおどろくことであるという。実際、馬はよく驚くものである。頼朝が相模川の橋供養に臨んだ時、馬が何かに驚いて、そのため頼朝は落馬して、それがもとで薨じた。ダーウィンも馬が驚いた時のことを詳しく述べている。（中略）馬が恐怖を感じると、習慣的に危険な場所から全速力で逃げ出すように激しい努力をするのであると云っている。それでもわかるように、馬にあっては驚きというのは畢竟、恐れにほかならない。</p>

<p>（中略）</p>

<p>生物発生的に見ても、言語学的に見ても、恐れの方が原始的なもので、驚きは、知性の発達と共に次第に現れて来た情緒と考えることが正しいようである。</p>

<p>──「驚きの情と偶然性」（1939）：『偶然と驚きの哲学』九鬼周造（書肆心水）に所収</p>
</blockquote>

<p><figure>
<img src="/uploads/14548529084_78c895ff88_o-720.jpg">
<figcaption>九鬼の論文の中で、猿は人間同様、恐れと驚きを区別できるという実験結果を紹介している。Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/sunshinecoast_bc/14548529084/" target="_blank" rel="nofollow">surprised monkey</a>" by pwrgrl09bc (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/2.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC BY 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>4. 驚きは可能性と不可能性の〈あいだ〉に生じる</h3>

<p><strong>──「不安」と「驚き」の違いに関して九鬼は、「驚き」は現在の不可能性に対する情であり、「不安」は未来の可能性に対する情である、と論じています。確かに「将来こんなことが可能になるかもしれない」と言われるよりも、「これまで不可能だと思われていたが、いま実はこんなことができるのだ」と言われた方が、驚きの度合いは高くなるように思うのですが、その認識で合っていますでしょうか？</strong></p>

<p>そういう議論がされているとは、知りませんでした。「現在の不可能性に対する情」というのは、表面的にとれば、自分が当面している困難に対する感情、というように受けとれます。しかし、「驚き」の理由はそれだけではなく、仰せのように、「実はこんなことができる」あるいは「できるかもしれない」といった可能性を同時に発見するところにあるのではないでしょうか。つまり、<strong>「驚き」は可能性と不可能性の〈あいだ〉に生じる</strong>、とでもいえるようなことです。それが「現在」の特質であって、可能性もしくは不可能性のいずれかとして予期される以外にない「未来」との違いではないでしょうか。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/37167519825_f83b16a3e4_k-720.jpg">
<figcaption>豊富な経験や知識を有していれば、驚くことは少なくなっていく。しかし、どれだけ除いても、現実世界の偶然性だけは排除することができない。Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/ralf-steinberger/37167519825/" target="_blank" rel="nofollow">Surprise</a>" by Ralf Steinberger (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/2.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC BY 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>5. 出会いに心を開き、感動することが大切</h3>

<p><strong>──ただ人生経験を積んでいくに従って、さまざまな出来事を経験し、知識を蓄え、多少のことでは驚かなくなってきます。それでも、原始的なところまで因果関係を遡っていけば、必ずどこかに「驚き」が見つかるはずだ、と九鬼は主張します。いわゆる「原始偶然」の話です。この論理からビジネスに驚きの要素を取り込むヒントが見つかるような気がしているのですが？</strong></p>

<p>「原始偶然」は、質問1で名を挙げたシェリングのテクストに出てきます。「仮説的偶然」（『偶然性の問題』第二章）の中で、これを取り上げた九鬼の思惑は、世界の出来事に見られる〈原因－結果〉の因果系列を遡っていくと、最終的にそこから宇宙の始まりが起きるか起きないか、二つに一つの〈偶然〉にたどり着くということ。世界の存在が必然ではなく、「無いことの可能」つまり偶然である、という意外な認識に導くことでした。こういう事実を突きつけられたなら、神様が作った宇宙に生きているんだと素朴に信じている人たちは、たぶん驚くに違いありません。これは哲学の専門的議論ではあるが、ビジネスにも活かせる点があるとすれば、どういう点でしょうか。</p>

<p>この世界が何の不思議もなく存在している、という常識に安住している人に対して、<strong>「原始偶然」は、「目を覚ませ。常識を振り捨てて、自分で一からものを考えよ」というメッセージの効果をもつ</strong>と思います。ビジネスの分野、製品の開発や販売戦略でも、従来のマニュアルを疑い、あえて常識の反対を行く、そういうやり方が思わぬ成功をもたらす例もあるでしょう。むろん、成功するかしないかは、時の運。成功することを目的として、常識破りに勤しむなどといったことは、私に言わせれば邪道です。</p>

<p>驚くことが哲学の始まりだと言えるのは、どうしてでしょうか。驚くこと自体には欲も得もない。かけがえのない人との出会いがそうであるように、ただ世界の新しい意味にふれる経験があるだけです。その経験をありがたいこととして受けとめ、世界と人生の意味を考えていくのが、哲学の営みです。<strong>偶然の出来事や出会いに心を開いて、「感動」することが大切である</strong>という点は、たぶん哲学でもビジネスでも同じでしょう。そういう経験をどう活かせばよいかは、その道の専門家なら、たぶんお判りになることと思います。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>要約『組織にいながら、自由に働く。』：著者・仲山進也が楽天で実践してきた「加減乗除の法則」とは - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2018-09-06T03:10:00Z</published>
    <updated>2020-03-23T02:58:51Z</updated>

    <summary>この本で得られるのは「組織にいてもいなくても」自由に働ける人になるための方法論である。ただし人によって取るべきアクションは異なるため、著者が独自に編み出した「加減乗除」という4つのステージに分けられている。あなたはいまどのステージにいるだろうか？</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="連載" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="これからの転職" label="これからの転職" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="キャリアストーリー" label="キャリアストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ビジネス書" label="ビジネス書" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
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        <![CDATA[<p><aside><strong>仲山進也</strong><small>楽天株式会社楽天大学学長/仲山考材株式会社代表取締役</small><p>
1973年北海道生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、シャープを経て、99年に社員約20名の楽天へ。初代ECコンサルタントであり、楽天市場の最古参スタッフ。2000年に楽天市場出店者が互いに学び合える場として、「楽天大学」を設立。Eコマースのみならず、チームづくりや理念づくりまで幅広く支援している。04年にヴィッセル神戸の経営に参画。07年に楽天で唯一のフェロー風正社員となり、08年には自らの会社である仲山考材を設立。16年より横浜F・マリノスでプロ契約スタッフ。主な著書に『今いるメンバーで「大金星」を挙げるチームの法則──『ジャイアントキリング』の流儀』(講談社)、『あのお店はなぜ消耗戦を抜け出せたのか』、『あの会社はなぜ「違い」を生み出し続けられるのか』(宣伝会議)など。</p></aside></p>

<h2>これからの働き方のバイブル──BNL編集部の選定理由</h2>

<p>昨年6月にBNLでインタビューしたときに着目したのは「際者（キワモノ）」としての仲山進也の特殊な働き方だった。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/06/nakayama.html">
<h4>インタビュー記事</h4>
<img src="/uploads/OND1038-1094fin-400.jpg">
<div class="info"><strong>楽天大学学長・仲山進也に学ぶ、組織の境界にとらわれない「際者（キワモノ）」としての働き方</strong></div></a></div>

<p>これまで多くの人が大切にしていた社内での評価やマネージャーの肩書きといったものを捨てた仲山は、何よりも楽天市場のお客さんと接することを大事にしてきた。あえて会社の中心ではなく〈際〉に居続けた。それによって、社内では次第に「浮いた存在」になっていったという。</p>

<p>でもそれだからこそ、社外で多くの貴重な出会いに恵まれ、「仲山にしか成し遂げられなかった」と言われるような仕事をいくつも成功させてきた背景がある。</p>

<p>「組織にいながら、自由に働く」というメッセージは、ひと昔前なら、ほとんどの人にとって縁の遠いものにしか映らなかっただろう。しかし、ここ数年のうちに「人生100年時代」と謳われるようになり、もはや転職は当たり前、「複業」という働き方まで広まりつつあるなかで、仲山のワークスタイルにいま多くの注目が集まっている。</p>

<p>「加減乗除の法則」としてその考え方をまとめた本書は、キャリアに迷ったとき、いつでも参照できるように手元に置いておきたい、これからの働き方のバイブルである。</p>

<p><strong>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp//dp/4820731505">こちら</a>。（Amazon）</strong></p>

<hr />

<h2>要約者レビュー</h2>

<p>本書の著者の肩書きは、きわめて珍しいものだ。楽天の正社員でありながら、兼業自由、勤怠自由の立場にある。そのうえ、自分の会社を経営しているだけでなく、横浜F・マリノスとプロ契約までしていたという。「ふつうの働き方」をしている人にとっては、どこの世界の話なのかと面食らうこと必至だ。</p>

<p>いったいどんな働き方をしているのか──そう思って本書を読むと、やはり常識外れとも思えるような働き方をしている。しかし読み進めるうちに、著者のような働き方など夢物語にすぎないのではないかという思い込みは、見事に崩れることとなった。そして本書はきっと「自由な働き方」を求める読者にとってのすばらしいガイドになるだろうと確信した。なぜなら、著者のような自由な働き方を実現するための道のりやノウハウが明瞭に語られていたからだ。</p>

<p>著者は、自由に働くための方法論を「加減乗除の法則」と名付けている。その方法とは、働き方を4つのステージに分類し、「加」のステージからはじまって「除」のステージをめざすというものだ。本書では、それぞれのステージにおいてやるべきことは何か、そしてどうすれば次のステージへとステップアップできるのかが、著者の実体験を交えて詳細に説明されている。</p>

<p>おそらく「除」のステージにたどり着くには相当の時間がかかるだろう。しかし、心配無用だ。本書が「自由な働き方」を求めるすべての読者にとって、「除」のステージにたどり着くための灯台のような存在となってくれるに違いない。</p>

<hr />

<h2>本書の要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> 
働き方には、「加減乗除」の4つのステージがある。最終形態である「除」こそが自由な働き方の理想形だ。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong>
「加」のステージでは、仕事の難易度をチューニングしながらできることを増やしていく。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong>
 「減」のステージでは、「やりたくて、得意で、喜んでもらえる仕事」だけを選び、強みを磨く。</p>

<p><strong>── 要点4 ──</strong>
「乗」のステージでは、メインの強みで突き抜けるとともに、自分の強みと他者の強みを掛け合わせる。</p>

<p><strong>── 要点5 ──</strong>
「除」のステージでは、メインの強みを軸として複数のプロジェクトを同時進行させる。</p>

<hr />

<h2>働き方の4つのステージ</h2>

<h3>理想型は「除」</h3>

<p>働き方には、「加減乗除」の4つの形態がある。「加」からはじまり、「減」「乗」とすすんでいく。最終形態である「除」は自由な働き方の理想形だ。</p>

<p>4つのステージの概要は、次のとおりだ。</p>

<p>「加」:ニガテなこともやりつつ、量をこなしてできることを増やすステージ。仕事の報酬は「仕事」。</p>

<p>「減」:好みでない作業を減らして、強みに集中するステージ。仕事の報酬は「強み」。</p>

<p>「乗」:磨き上げた強みに、別の強みを掛け合わせるステージ。仕事の報酬は「仲間」。</p>

<p>「除」:ひとつの作業をしていると複数の仕事が同時に進むようにするステージ。仕事の報酬は「自由」。</p>

<p>要約では、それぞれのステージにおける働き方について紹介していく。</p>

<p><img src="/uploads/addition4.jpg"></p>

<h3>「夢中」になれるようにチューニングする</h3>

<p>仕事のモヤモヤには、「不安」と「退屈」の2種類がある。能力を超えた挑戦をしているときは「不安」になり、能力が高いのに挑戦しないと「退屈」になってしまう。一方、挑戦と能力のバランスが取れていると、人は「夢中」になる。</p>

<p>不安であったり、退屈であったりする状態に慣れてしまってはいけない。「仕事なんてそんなものだ」と思うかもしれないが、そんな割り切り意識はいっそうモヤモヤを濃くする。どこかで燃え尽き症候群になってしまいかねない。</p>

<p>では、どうすれば夢中になることができるか。「挑戦」の重圧がネックになってパフォーマンスが下がってしまっているなら、一時的に目標を下げてみるのがいいかもしれない。ただ、挑戦を避けてしまうと、やっていることに飽きてしまい、やがて退屈してしまう。</p>

<p>だから、基本的には「能力」を高める方向性で考えてみよう。本を読んだり、繰り返しチャレンジしたりすれば、「能力」を高めて「夢中」に近づくことができるだろう。</p>

<p>また、高すぎる目標を下げるまではいかずとも、自分で小さな目標を設定し、それを達成するのもよいだろう。これを「難易度のチューニング」という。</p>

<p>このようにして、自分が常に「夢中」の状態でいられるように挑戦と能力をチューニングし続けよう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/3344052447_072b7b84d6_o-720.jpg">
<figcaption>Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/crashmaster/3344052447/" target="_blank" rel="nofollow">Tune it in 96/365</a>" by Mike Hoff (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc/2.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-NC 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>仕事を因数分解する</h3>

<p>ひとつの仕事は、さまざまな作業が合わさってできている。好みの作業もあれば、好みでない作業もあるだろう。仕事を楽しくするためには、仕事のうちの「好みでない作業を減らすこと」と「好みの作業を増やすこと」がキモとなる。</p>

<p>たとえば著者の「好みでない作業」としては、人前で話すことや、知らない人と話すこと、電話することなどが挙げられる。あるとき、そんな著者が講座をつくり、参加者を募集し、開催することになった。人前で話す作業は好みでないが、人前に出ること自体は避けようがない。そこで著者は、「参加者が話しやすいお題をつくる」という選択をすることで、人前に出るものの、話すことを極力避けることに成功した。お題を考える作業は、むしろ好みの作業であるという。</p>

<p>このように、好みでない作業を減らし、好みの作業に置き換えていくようにチューニングしよう。そして、好みでない作業からは全力で逃げることだ。まずは自分の好みを把握するため、好みの作業を好みでない作業をそれぞれ書き出してみるとよい。</p>

<h3>「ポジティブ動機3点セット」を揃える</h3>

<p>働く動機として、(1)楽しさ、(2)社会的意義、(3)成長可能性の3つが揃うと、仕事が楽しくてしかたがなくなる。</p>

<p>たとえば著者は以前、あるお客さんからお礼のメールを受け取ったことがあった。そのメールがうれしくて、どんどん仕事にのめりこんでいったという。本書では、こうした「お客さんからのありがとう」を「魂のごちそう」、略して「たまごち」と呼ぶ。著者は「たまごち」ほしさにいくらでもがんばれる状態になっていったのだ。</p>

<p>この事例では、「たまごち」が(1)社会的意義に該当する。そして「たまごち」をもらえることが(2)楽しさになり、いつの間にか成長しているという(3)成長可能性の3つが自然と揃っていたといえる。</p>

<p><img src="/uploads/substraction4.jpg"></p>

<h3>「夢中3条件」に該当しない仕事を捨てる</h3>

<p>「減」のステージでは、「加」のステージで培ったものを強みとしてさらに磨いていくため、不要なものを捨てる。不要なものとは、いわゆる「仕事の常識」というものたちだ。</p>

<p>捨てる仕事は、次の3つを基準に選別する。</p>

<p>1つ目は、やりたいこと。その作業を楽しいと思うかどうかだ。</p>

<p>2つ目は、得意なこと。自分の強みを発揮しているかどうかである。</p>

<p>3つ目は、他人に喜ばれること。利他的価値のあることかどうかだ。</p>

<p>この3条件のうち、1つでも欠ける仕事は、やめたり手放したりしよう。「加」ステージで増やした仕事のうち、やりたくて、得意で、喜んでもらえる仕事に集中していく。減らすことで強みを磨き、自由を得よう。</p>

<h3>「変人」はほめ言葉と心得る</h3>

<p>「やりたくて、得意で、喜んでもらえる仕事」を選んだあとに起こるかもしれない問題がある。それは、お客さんには喜んでもらっているが、社内で評価されないという問題だ。</p>

<p>しかし、気にすることはない。なぜなら本当に評価されたいのは上司ではなく、お客さんだからだ。上司の評価とお客さんの評価が両立できないなら、上司の評価は捨ててしまおう。</p>

<p>すると多くの場合、「変人」というレッテルを貼られるようになる。こうなればしめたものだ。なぜなら、その評価を受け入れてしまえば、やりたいことをやりやすくなるからだ。「変人」をほめ言葉だと思えるかどうかが、自由な働き方をゲットするかどうかの分かれ道だといえよう。「あいつは管理しないほうが仕事する変なヤツだから、遊ばせておけ」と思ってもらうことをめざそう。</p>

<p><img src="/uploads/multiplication4.jpg"></p>

<h3>メインの強みで突き抜ける</h3>

<p>「乗」のステージでは、突き抜けた人たちとチームを形成するとともに、自分の強みに磨きをかけることをめざす。複数の専門分野をもち、それぞれを強みとして掛け合わせることで希少性が高まり、独創的な存在になることができるだろう。</p>

<p>まず、ある分野でナンバーワンになるために、メインの強みを伸ばす。ここで気をつけたいのは、いろいろな強みではなく、メインの強みに注目することだ。「○○と言えばあの人」と言われるような、「旗が立った状態」になるまでメインの軸の強みを伸ばそう。突き抜けないままに手を広げようとすると、どれも中途半端になってしまう。</p>

<p>著者はこれを「タンポポの綿毛理論」と呼んでいる。想いという「種」からメインの強みという「軸」が伸びていて、そのメインの軸を突き抜けた先に、他のいろいろな強みである「綿毛」が広がっていくというイメージだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/172572343_a667c72df7_o-720.jpg">
<figcaption>Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/rosemary/172572343/" target="_blank" rel="nofollow">untitled</a>" by rosemary* (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/deed.ja" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>目的・動機・価値観をさらそう</h3>

<p>自分の強みに磨きかけつつ、自分の強みを他者の強みを掛け算して「共創」をしていこう。その成否は「チームづくり」が握っている。</p>

<p>チームづくりの第一歩は「心理的安全性」を高めることである。要するに、安心して自分の意見を言える関係性を築くことだ。空気を読み、言いたいことがあっても遠慮してしまうような状態ではいけない。</p>

<p>心理的安全性を高めるには、相互理解を深めることが重要だ。とはいえ、相手がどんな動機で何を目的にしているのか、あるいはどんな価値観を持った人なのかがわからないうちは、本音で話すことははばかられるだろう。そこでまず自分から「目的・動機・価値観をさらす」ことが有効となる。</p>

<p>例として、著者の上司である楽天の三木谷さんがヴィッセル神戸の新しいオーナーになったときのエピソードを紹介しよう。著者は、ヴィッセル神戸のメンバーが不安を抱いているのではないかと考えた。何しろ、それまで神戸市役所からの出向者メインで経営されていた会社だったのに、バリバリのベンチャー社長である三木谷さんが社長に就任したのだ。価値観が異なるあまり、言われることの意味がわからない可能性もある。そこで、フロントスタッフ向けに「『三木谷浩史ってどんな人?』講座」を開いた。講座には、創業ストーリーから楽天の理念、行動規範、そして「三木谷さんあるある」を盛り込んだという。結果、心理的安全性を生み出すことに成功した。</p>

<p><img src="/uploads/division.jpg"></p>

<h3>一番の強みを軸として「統業」する</h3>

<p>最後は「除」のステージだ。「乗」のステージでさまざまな人とチームを組んで仕事をするなかで、仕事が増え、気付けばどれも中途半端になってしまっていないだろうか。「加」で増やし「減」で減らした仕事が、「乗」でまた増えている。「除」は、再び仕事を減らすステージだ。</p>

<p>「除」のステージでは、作業をひとつやれば自分の関わるすべてのプロジェクトを同時進行させられる状態をつくる。たとえば、「5」の作業が一番の強みで「3」の作業も得意だとしよう。その場合、「5」の倍数の「50」や「100」のプロジェクトだけを選び、「3」の倍数の仕事は断るのだ。そうすれば、「50」の仕事をしていても、「5」の強みは自然と磨かれていく。また「100」の仕事も同時に進むだろう。これを「統業」という。</p>

<p>統業するにあたっては、複数の仕事を「メインの強み」でくくって片づけつつ、全体をシンプルにしていくための視点やプロセスが求められる。</p>

<h3>複数の仕事をつなげる</h3>

<p>複数の仕事を「シングルタスク風」に片づけよう。たとえば著者は、ウェブメディアでネットショップ系の記事を連載するというオファーをもらった。実は本の執筆は、緊急性の低いタスクとして後回しにし、手をつけられていなかった仕事だ。本1冊を一気に書くのは大変だが、ウェブ連載であれば締め切りごとにアウトプットできる。著者は、ウェブ連載の仕事を受け、それをまとめて本にすればよいと考えたのだ。</p>

<p>ウェブ連載を書くことによって、本の半分ほどのボリュームとはいえ、本の原稿を書き進めることができた。また、原稿を書くことによってふだんの講演の内容もブラッシュアップされた。楽天関係者以外に「楽天市場に魅力的なお店があること」を知ってもらうことができ、社外広報にもつながった。楽天の他部門の社員が記事を読むことで、社内広報にもなった。そして、新たな仕事を獲得することもできたのだ。</p>

<p>このように、仕事と仕事のつながりをうまく設計することで、シングルタスク風に複数の仕事を進めることができたという。ポイントは、「自分が提供している本質的な価値は何かを自覚すること」と「つながり方を俯瞰的かつ中長期的にデザインすること」だ。</p>

<hr />

<h2>一読のすすめ</h2>

<p>要約では「加減乗除の法則」の各ステージから一部のトピックスのみを取り上げてまとめてある。本書にはそのほかにも、大好きなサッカーの仕事をゲットした経緯や、会社の中でどのように生きていくかなど、大いに参考になる話が満載だ。何度も読み返して実践すれば、著者のような「自由な働き方」に着実に近づけるだろう。</p>

<p>（1冊10分で読める本の要約サービス <a href="https://www.flierinc.com/">flier</a>）</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/08/BNLBooks-VOL11.html">
<div style="background-image: url('/uploads/gendaiart_top-300.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>前回のBNL Books：現代アートは、創作者だけでなく鑑賞者にも「想像」を求める──要約『現代アートとは何か』</strong></div></a></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="9010701020592"></div>

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]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>科学絶対主義に警鐘。ビジネスパーソンは「古代人の音楽観」に学べ──指揮者・伊藤玲阿奈が説く - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/08/reona-ito-2.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9106</id>

    <published>2018-08-31T00:45:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:24:39Z</updated>

    <summary>いま私たちが音楽と呼ぶものと古代文明のそれとは大きく異なる。17世紀の科学の登場が本来の意味を矮小化した経緯があるという。ビジネスにおいても理論一辺倒の手法の限界が叫ばれるいま、古代人の音楽観から何を学べるだろうか。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="アート" label="アート" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>伊藤玲阿奈（れおな）</strong><small>指揮者・武蔵野学院大学SAF（スペシャル・アカデミック・フェロー）</small>
<p>高校まで九州で育つ。ジョージ・ワシントン大学国際関係学部を卒業後、ニューヨークへ移り指揮者に転向。2008年プロデビュー。カーネギーホールなど世界各所で指揮。2014年、全米の音楽家を対象にした「アメリカ賞（プロオーケストラ指揮部門）」を日本人初の受賞。</p></aside></p>

<p>ニューヨークを拠点に世界で活躍する伊藤玲阿奈は、音楽にとどまらない豊富な知識を持ち、ビジネスパーソン向けの講演でも人気の「異端の指揮者」だ。古典作品の魅力をわかりやすく伝える教養ものから、楽団を文字通り指揮する立場として語るリーダーシップ・組織論まで、自作のカリキュラムは幅広い。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/08/reona-ito.html">
<h4>インタビュー前編</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_L2A3480-final1094.jpg">
<div class="info"><strong>人は誰でもアーティスト──NYで活動する異端の指揮者・伊藤玲阿奈が日本人に伝えたいこと</strong></div></a></div>

<p>その中の一つに「宇宙の音楽を聴く」という一風変わったタイトルのものがある。伊藤によれば、高度に洗練された古代文明が考えていた音楽観はまったく聞こえない音までを含む壮大なものだったが、17世紀に登場した科学によって矮小化され、現在の私たちの音楽観に至っているのだという。「宇宙の音楽」とは、その古代人たちが「聞こうとした」究極の音楽を指す。</p>

<p>ビジネスの世界でも、現代の複雑化した経営課題を解くにはもはや科学や理論にだけ頼るのでは限界があると言われ、近年はMBAを学ぶ代わりに幹部候補にアートを学ばせるグローバル企業が増えている。</p>

<p>ビジネスパーソンは古代人の音楽観から何を学べるだろうか。自身のキャリアについて聞いた前編に続いて、「異端の指揮者」の言葉に再び耳を傾けてみよう。</p>

<h2>聞こえる音だけが音楽ではなかった</h2>

<p><strong>──いま世界のビジネスエリートの間でアートを学ぶ動きが増えていると聞きます。古代人の音楽観を紹介しつつ、科学的思考について考える講座「宇宙の音楽を聴く」からビジネスパーソンは何を学べるでしょうか？</strong></p>

<p>これはいまを生きる私たちが物事を考える際に、その方法を縛っているものを確認しようよというお話なんです。それがすなわち科学ですよね。これまでビジネスの最前線に立つ幹部候補生たちが学ぶ必要があるとされてきたものは、MBAにしろ金融工学にしろ、すべて科学的な思考方法、実証主義にもとづいたものでした。その結果、ひとことで言うならインスピレーションより理論に頼って行動する頭でっかちな人が増えてしまっているんです。</p>

<p>アメリカでいま、MBAの代わりに音楽や絵画といったアートを学ばせるところが増えているのは、科学一辺倒とは違う思考方法を学ぼうということ。まあ、アートを学ぶ時でさえ西洋人は理論的に学ぼうとするから、それが逆効果だったりもするのですが。私が「宇宙の音楽を聴く」という講義に込めたのも狙いとしては同じ。まずは私たちの思考がいかに科学絶対主義に縛られているかをみなさんに知ってほしかった。それを古代と現代の音楽観の違いを見ることを通じて理解してもらうのがこの講座というわけです。</p>

<div class="round-box fr fb gray"><p>私たちの思考がいかに科学絶対主義に縛られているか。古代と現代の音楽観の違いを見ることを通じて理解してもらいたい。</p></div>

<p><strong>──興味深いです。</strong></p>

<p>概要をざっくりお伝えすると、まず、近代以降の時代を生きる私たちが当たり前に考える音楽と、古代の人が考える音楽は違います。私たちが普段"音楽"と呼んでいるのは耳で聞こえる音、そしてそれによってできた作品のことですよね。けれども古代の人たちは音として聞こえないものも音楽として考える。宇宙全体、あるいは神などと称される存在がいる世界そのものまでをも音楽と捉えるんです。もちろん、その音楽は音の作品として聞こえるものではありませんが、究極的には、そうした音にならない音楽を「聞ける」ようになることが、人間の目指すべき境地だと言っているんですね。</p>

<p>しかし、こうした古代人の考え方は17世紀からの科学的思考の普及によって駆逐されていき、現代人の私たちがそうであるように聞こえるものだけを音楽と呼ぶようになりました。先ほども触れたように、いまを生きる人々の中には科学的思考に頼るだけでは限界があると気づき始めている人がいます。であれば、科学が登場する以前のものから、すなわち古代人の音楽観から学ぶべきことがあるのではないか。実際の講座ではいくつか具体的な事例を挙げて、「宇宙の音楽を聴く」とはどういうことなのかを考えてもらう時間も設けています。</p>

<p><strong>──現代人と古代人の音楽観がどう違うのか、もう少し詳しく教えてください。</strong></p>

<p>現代人が音楽と呼ぶのは、先ほども言った通り、聞こえるものですよね。CDにパッケージングされた作品とか、楽器の音や声など。この考え方の背景にあるのが科学で、音は科学的に言うなら「空気の振動」つまり波動の一種ということになります。例えば、声は声帯が震えて空気を振動させることで発生し、その振動が空気中を伝わって、耳の中に入って聴神経で認識するとされます。ということは、音を伝える空気がない宇宙空間は無音の世界です。「宇宙の音楽」などあり得ないことになります。</p>

<p>ちなみに、「周波数」というのは1秒間に何回空気が振動するかを表し、ヘルツという単位で表記します。空気が1秒間に440回振動するとピアノ中央の「ラ」の音になります。これを440ヘルツと呼んでいるんです。</p>

<p><strong>──一方、古代人にとっての音楽とは？</strong></p>

<p>高度な文明のあったところでは共通して、聞こえるものだけではなく、宇宙や自然の存在物が放つ振動・波動のすべてを音楽と呼んでいました。それが彼らにとっては自然な考え方だったんです。なぜかと言えば、楽譜や楽器というものはあっても、音楽それ自体は目に見えないじゃないですか。そして、そういう姿かたちのない音というものが、私たちの心を感動させるわけです。これは一体どういうことなのかと古代の人たちは考えたんですね。</p>

<p>当時の人には現代のような科学的な知識はありませんから、たまらなく不思議だった。その不思議さに神秘的なものを感じ、魅了されたんでしょう。こうしたことから、音楽というのは日常の次元を超越した宇宙世界から直接やってきたもので、だからこそこれほどまでに心を動かされるのだと考えたんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A3381-final.jpg">
<figcaption>伊藤によれば、高度な古代文明における「音楽」は、人間の可聴音域を超えた振動までをも含んでいた。それは中国、インド、ギリシャの古代哲学に共通して見られる。</figcaption></figure></p>

<h2>音楽が目指したのは調和世界との一体化</h2>

<p>これは洋の東西を問わず、高度な文明に共通して見られる音楽観でした。例えば2300年以上前の中国には老荘思想、英語でいうところのTaoizmというものがありました。この老荘思想では人間のあるべき姿を「無為自然」と表現します。読んで字のごとく、何もなさずにあるがままに生きようという意味です。自我から出る行為を極力避けて、自然のままに生きることを目指す。自分とか他人の区別さえも乗り越えることにより、「道（Tao）」と呼ばれる絶対的な幸福の境地に入るという教えです。</p>

<p>例えば、野に咲く一輪の花を考えます。その花は決して「私を見て！」「美しいでしょう？」などと自我を発することはなく、あるがままに世界と同化しています。そこに迫真のエネルギーが生じて、私たちは美しいと感じ、感動する。これを老荘風に言えば、この花は「無為自然」、あるべき「道」を達成しているのです。この「あるがまま」という考え方は東洋思想の古典として西洋でもよく親しまれています。ビートルズの有名な曲にもありますよね？</p>

<p><strong>──『Let It Be』ですね。</strong></p>

<p>そうです。文字通り「あるがままにしておこう」ですよね。さて、この老荘思想がどんな音楽観を持っていたか。荘子は音楽を人籟（じんらい）・地籟（ちらい）・天籟（てんらい）の三つからなるものとして説明していました。人籟というのはいまの私たちが音楽と呼ぶのと同じ、人の声や楽器の奏でる音。地籟は風や波、洞窟など自然が奏でる音のことです。</p>

<p>天籟というのは、先ほどの野に咲く花の例のように、あるがままに調和した万物が自律的に紡ぎ出している音のこと。あるがままに、自他の区別なく生きる境地だからこそ奏でることができ、同時に聞くことができる"音楽"です。その境地では人籟も地籟もすべてが違った音、すなわち天籟として聞こえ、人為自我にまみれた状態ではその自然な波動は聞こえず、感じとれない。だから、普通に聞こえる人籟・地籟よりも、全存在物たる宇宙がありのままに発する天籟を聞いて感じられることが、究極的な目標として重んじられました。</p>

<p><strong>──聞こえる音より聞こえない音なんですね。</strong></p>

<p>インドでも基本的にはまったく同じことを言っています。古代インドの哲学「ウパニシャッド哲学」では、自己と宇宙を一体化することで絶対的至福が得られるという基本思想が貫かれていて、音楽もその思想にもとづいたものになっています。</p>

<div class="round-box fr fb gray"><p>インド音楽に楽譜はありません。宇宙と一体化し、顕在意識を越えようとするプロセスなんです。</p></div>

<p>例えば、ラーガと呼ばれる音楽の規則では、天体の運行や星の配置、時間帯などに応じて使う音が決められているんです。</p>

<p>とある有名なラーガ奏者はその真髄を「音楽とは自己認識の道を進む魂の修行だ」という言葉に込めています。もう、このひとことだけでも、私たちのもつ音楽観とはかけ離れていますよね。音は神であるという伝統的な教えがあり、音による魂の修行によって、個人の意識は喜びとともに宇宙の真実の啓示と一体化する。だからインド音楽には楽譜がないんです。ラーガにもとづいて即興演奏し、最後はトランス状態に至って宇宙と一体化する。顕在意識を越えようとするプロセスなんですよ。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=KMEZ5iGOy_Q
<figcaption>「朝に演奏されるラーガ」。近代西洋で発展した1オクターブを12音に均等に分ける平均律と違い、宇宙を反映して無数の音がある。当然、ドレミの音階では捉えられない。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──玲阿奈さんのご専門であるクラシック音楽にも同じような思想があるのでしょうか？</strong></p>

<p>クラシックの祖先に当たる古代ギリシャ文明のピタゴラスは、本当に心地よく響く音は整数比で表されることを発見しました。竪琴の弦の長さを観察して、例えば、ある「ラ」の音の弦長を丁度半分にしたのが1オクターブ高い「ラ」の弦長と等しいことに気づいたんです。この二つの音は、音高は違えど同じ「ラ」に聞こえて、調和して響き合います。心地よく響く音が綺麗な整数比で表せる。ピタゴラスはじめ古代人は、やはり調和した世界というものがどこかにあって、音楽というのはそうした世界の反映に違いない、と魅了されたんです。</p>

<p>ギリシャ語には「ハルモニア」という概念があります。「ハーモニー」の語源になった言葉ですが、宇宙や自然の調和原理を意味します。この世界にはそれこそ無限に近い存在物があるのに、そこには四季というものがあり、規則正しく天体が巡っている。これは一体どういうことなのか。この世界の背後には調和した原理、ハルモニアがあるからだと考えられました。それが後にキリスト教と融合して、音楽とは調和した背後宇宙、つまり神の世界の反映であって、人の奏でる聞こえる音楽のほかに「宇宙の音楽（musica mundana）」があるという音楽観に発展しました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A3361-final.jpg">
<figcaption>「17世紀の科学革命が私たちの生活にもたらした恩恵は疑いようがない。けれども何か一つの手法が100%正しいと信じ込んでしまうことには落とし穴がある」と伊藤は警鐘を鳴らす。</figcaption></figure></p>

<h2>科学が音楽を矮小化した</h2>

<p>中国の人籟・地籟・天籟と同じように、西洋にも道具の音楽・人間の音楽・宇宙の音楽という呼び名がありました。重要なのは、どちらの場合も最も大切とされたのは天籟や宇宙の音楽といった聞こえない音楽であり、いまの私たちが考える聞こえる音楽は最も卑近なものとされていたことです。こうした洋の東西を問わず共通して見られる音楽観が変わったのは、やはり17世紀からだと思います。コペルニクス、ガリレイ、ニュートンといった人たちが新しいものの考え方を持ち出したんですね。</p>

<p><strong>──それが科学。</strong></p>

<p>まあ科学という名前自体は当時はまだなかったわけですけども。それまでは宇宙の音楽のように、普通には経験不可能なものでも、頭だけで論を組み立て、啓示的に探求していく、わかる人にだけわかる世界があるとされてきたんです。ただ、そこには経験とか観察・実験を通して得た知識を軽視してしまうこと、すべての人には理解・体験ができないこと、現実の観測データと乖離することがあるといった欠点がありました。</p>

<p>その欠点を補おうという代表的な例がコペルニクスとガリレイの関係です。天動説が主流だった時代にコペルニクスが「実は太陽の周りを地球が回っているのだ」と言い出した、それを発明されたばかりの望遠鏡を使って観察することで、正しさを証明したのがガリレイですよね。つまり、新しい思考方法、いまでいう科学というのは、観察と実験によって仮説を証明する過程であると言えます。感覚器官を通せばすべての人間が経験可能なデータをもとに、因果律に基づいて法則性を導き出すのが科学。大事なのは、同じ方法を用いれば誰でも再現可能ということです。</p>

<p><strong>──わかる人にだけわかる、じゃダメなんですね。</strong></p>

<p>それを思想的に裏付けたのがデカルトです。彼は、世界を心（精神）と物質（身体）の二つに明確に分けた上で、物質の世界の方は時計仕掛けの機械のようなものだから、細分化して部品一つひとつを調べれば、いつか真実にたどり着くと説きました。ここから学問は現在のように細分化されていきます。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/03/kawakami.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="/uploads/kawakamizenryu450.jpg">
<div class="info"><strong>バイアスを外して「自己認知力」を磨こう──妙心寺春光院・川上全龍が説く、禅の哲学</strong></div></a></div>

<p>19世紀の終わりごろになると、心・精神の世界まで含めてあらゆるものがそうした法則性に支配されているという考えが主流になりました。ニーチェが言い残したように、ここに至って「神は死んだ」。そして、そんな考え方と相性が抜群の科学が宗教に替わる最大権威になったのです。音楽に関しても同じ。自分たち人間が感覚で捉えられるもの以外は音楽ではないということになっていきました。</p>

<p><strong>──科学が音楽をも矮小化した。</strong></p>

<p>しかし、科学だって本当は絶対ではないわけです。一つの思考方法として採用するのはいいけれども、それを使うからには、欠点を知っていなければなりません。まず、観察と実験ありきということは、すべての人の感覚や計測機械で捉えられないものが仮に存在したとしたら、沈黙するか非科学的と言って迫害するしかないことになります。音楽をいくら客観的に数字で分析したとしても、なぜ感動する音楽とそうでない音楽があるのかは絶対に説明できません。</p>

<div class="round-box fl fb gray"><p>なぜ感動する音楽とそうでない音楽があるのかは、科学では絶対に説明できません。</p></div>

<p>また、もう一つ例を挙げれば、科学の根本にある因果律という考え方。これが実は扱いが難しい。例えば、飲みすぎた翌朝気分が悪いのは酒のせいと考えてしまうけれども、本当は酒ではなく何か悪いものを食べたからかもしれないし、他の可能性だって否定できないわけです。</p>

<p><strong>──確かにそうですね。</strong></p>

<p>ビジネスにおいても日常生活においても、こうしたわれわれの思考方法を縛っている科学の限界を認識しておかないと非常に危険です。結局、すべてを機械のように扱ってしまうから問題が起こる。部下の人間性を無視して扱ってしまったり、すべてを数字で判断してしまったりといった態度につながっていくんです。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/11/the-analogy-talk.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_L2A8356final.jpg">
<div class="info"><strong>「Don't Think! Feel」人脈を価値にする「類推思考」はブルース・リーに学べ！　入山章栄 × 島田由香 × 石川俊祐</strong></div></a></div>

<p>デカルト的な細分化と科学的手法による実証主義の流れに乗ったのがMBAなどの諸理論です。かつて「マッキンゼーの仕組みさえあれば、誰でも35歳で社長が務まる」などと著書で豪語した有名な方がおられましたが、理論や事例を大量に頭に入れた人が社長になっても、その経営が分析的な手法に偏ってしまうことは明白でしょう。実際、GM、スイス航空、エンロンなどマッキンゼーのクライアントには大失敗も多い。</p>

<p>分析力は確かに必須です。しかし、「数字が不振だから効率化」では捉えられない、見えない力が社長にも従業員にも備わっていて、その超越的な領域も併せて見極められる方こそが、立派な経営者として活躍していると私は観察しています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A3369-final.jpg">
<figcaption>人知を超えた超越的な世界が存在するという古代人の世界観は、皮肉にも一度はそれを否定した科学によって、あながち間違っていないことが証明されつつあるという。</figcaption></figure></p>

<h2>最先端の科学が古代の音楽観に接近している皮肉</h2>

<p>ところで面白いことに、最近では最先端の科学である量子力学が、古代の音楽観が実は正しいのではないか、あながち間違っていないのではないかと言い出しているんです。</p>

<p><strong>──どういうことでしょうか？</strong></p>

<p>マクロな世界を扱う相対性理論とミクロな世界を扱う量子力学を統合した、宇宙と物質のすべての物理的な謎を解決すると期待されている「超ひも理論」と呼ばれる最先端の理論があります。それによると、万物の究極の根源は実はひも状であって、それ自体にエネルギーはないんだけれども、振動することによってエネルギー、つまり質量が生まれるというようなことが言われています。つまり、万物というのはそもそもが波動、ひもが奏でるハーモニーであるというわけです。これは宇宙はすべからく音楽であるということですよね。万物が自然状態で奏でる自律的な響きを想定した古代人の考え方と、とても似ていませんか？</p>

<p><strong>──確かに。</strong></p>

<p>さらに面白いことに、そのひもは3次元で見る私たちの顕微鏡では観察できないんです。そのひもは何と10次元の存在らしいんですよ。だから「超ひも」なんですね。この説が正しいとすると、私たちはいま3次元プラス時間の4次元の世界にいますから、残りの6次元がどこかに隠れていることになります。それがどんなものなのかを理解することはできませんが、擬似的に想像することはできます。髪の毛を1本抜くと、それは1次元に見えますね。でも、自分がどんどん小さくなっていけば、同じ髪の毛が立体的に、3次元に見えてくる。隠れていた2次元が現れたわけです。</p>

<p>ということは、同じように隠れた6次元というものがあったっておかしくない。しかもこれって、私たちの理解を超えた超越的な世界が存在するという古代人の世界観とそっくりじゃないですか。最先端の物理学者が本気でそうしたことを論じ始めているんです。</p>

<p><strong>──古代の音楽観を一度は否定した科学が。面白いですね。</strong></p>

<p>私が「宇宙の音楽を聴こう」と言った時には二つの意味があります。一つは比喩的な意味。五感で感じ取れる科学的な思考に囚われすぎてはいけないということです。</p>

<p>科学的思考自体は、ここまで便利な世の中を実現してきてくれた素晴らしいものです。それは疑いようがない。でも、それが100%だと信じ切ってしまうのはどうなのか。つまり、科学的な思考を時には疑うことで、古代的で霊的、超越的なものへの信頼とうまく融合する感性を持とう、バランスを保とうというのが一つめのメッセージです。優れた経営者は最先端の科学者同様、すでにその必要性に気づいている。だからアートを学ぶのだと思います。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/04/toyama.html">
<div style="background-image: url('/uploads/IMG_2450-300.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>関連記事：ビジネスにアートの文脈を。アートにもビジネスの文脈を。スープストック創業者・遠山正道の実践</strong></div></a></div>

<p>もう一つはより直接的な意味で。古代人のようにハルモニア、無為自然の境地になることを提案しているのです。私がいつも主張することですが、世界平和の実現には人間一人ひとりの心が調和した状態になることが先決です。素晴らしい会社にすることも一緒。人為自我にまみれる一方で、どんな現象が起こっても捉われない無為無我も目指してバランスをとる。二つの間を揺れ動いて良いのです。そうすることでしか気づけない何かがあるのではないかと呼びかけているのです。陰と陽が一つになって一つの宇宙、人生になるのですから。ビジネスパーソンはこれをさらに「事業」「経営」という言葉にも置きかえて、私のメッセージを受け取ってもらえたらと願っています。</p>
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    </content>
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    <title>人は誰でもアーティスト──NYで活動する異端の指揮者・伊藤玲阿奈が日本人に伝えたいこと - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/08/reona-ito.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9104</id>

    <published>2018-08-28T01:50:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:24:15Z</updated>

    <summary>ニューヨークを拠点に世界的に活躍する指揮者・伊藤玲阿奈のインタビューを2回にわたってお届けする。前編では、平和活動やビジネスパーソン向けの教養講座など、従来の音楽家の枠を超えて活動の幅を広げる「異端」のキャリアを紹介。背景にある想いに迫る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="アート" label="アート" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>伊藤玲阿奈（れおな）</strong><small>指揮者・武蔵野学院大学SAF（スペシャル・アカデミック・フェロー）</small>
<p>高校まで九州で育つ。ジョージ・ワシントン大学国際関係学部を卒業後、ニューヨークへ移り指揮者に転向。2008年プロデビュー。カーネギーホールなど世界各所で指揮。2014年、全米の音楽家を対象にした「アメリカ賞（プロオーケストラ指揮部門）」を日本人初の受賞。</p></aside></p>

<p>伊藤玲阿奈はニューヨークに拠点を置き、音楽の殿堂カーネギーホールで過去4度の公演を成功させるなど、世界的に活躍する日本人指揮者の一人だ。</p>

<p>国連協会が後援する国際平和コンサートをはじめ、音楽を通じた平和貢献活動にも積極的。近年はさらに活動範囲を広げ、ビジネスパーソンに向けた教養セミナーを自ら企画し、開催している。音楽はもちろん、哲学、歴史など幅広い知識に裏打ちされた内容が好評だという。</p>

<p>伊藤は自身を指して「異端の指揮者」と呼ぶ。確かに彼の持つ知識や活動の幅は一般的な音楽家のそれを超えている。加えて辿ってきた経歴も異色だ。学生時代までの夢は外交官。多くの音楽家がそうであるように、幼いころから現在の職業を志し、努力を重ねてきたわけではなかった。</p>

<p>人はどのようにして天職、天命と出遭うのか。伊藤はなぜ、一般的な指揮者像を超えて活動の幅を広げ続けるのか。ビジネスパーソンはそこから何を学びとれるだろうか──。異端の日本人指揮者のインタビューを前後編にわたってお届けする。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/08/reona-ito-2.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_L2A3496-400.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>インタビュー後編：科学絶対主義に警鐘。ビジネスパーソンは「古代人の音楽観」に学べ──指揮者・伊藤玲阿奈が説く</strong></div></a></div>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A3337-final.jpg">
<figcaption>伊藤が生まれた福岡県田川市は、昭和中期まで三井が大規模な炭鉱を経営していたことで知られる。祖父は鉱員のレクリエーションのために作られたオーケストラの指揮者だった。とはいえ、伊藤自身は決して幼いころから音楽の道を志していたわけではなかった。</figcaption></figure></p>

<h2>なし崩し的に指揮者の道へ</h2>

<p><strong>──玲阿奈さんが講演で語る内容は、哲学や歴史学など幅広い分野に及んでいますね。</strong></p>

<p>それは私がこれまで辿ってきたキャリアと関係があります。私はもともと指揮者を志していたわけでも、音楽家になりたかったわけでもないんです。高校までは地元・九州で進学校に通っており、当然のように国内の国公立大学への進学を目指していました。特に高校はとても厳しい学校で、当時は各校が東大進学者数を競い合う時代でもありましたから、一日中机に向かって勉強させられる生活を送っていました。大学受験を目前に控え、そんな生活に耐えられなくなった私は、ひとことで言えば敵前逃亡するような形でアメリカに留学する道を模索し始めました。</p>

<p><strong>──アメリカの音楽学校ということ？</strong></p>

<p>いえ、音楽と関わるようになるのはまだ先の話です。もともと歴史が好きでしたし、高校時代を過ごしたのが平和教育の盛んな長崎だったこともあり、当時の私の夢は国連職員や外交官になって、紛争解決など世界平和に貢献することでした。そこで、留学先には国際関係学で有名なジョージ・ワシントン大学を選びました。キャンパスはホワイトハウスからわずか3ブロックの距離にありますし、安全保障について学ぶには最適な環境のように思えたのです。</p>

<p><strong>──なるほど。しかしなぜそこから音楽の道へ？</strong></p>

<p>二回生の時に一般教養の授業でピアノのクラスを受講したことが大きな転機になりました。ピアノのクラスを選んだのは「英語を使わなくていいから」という適当な理由でしかなかったのですが、アメリカの教育は日本と違って、とにかく褒める。それまでピアノをやってきたわけではないので、大した技術があるはずもない。でも「君の演奏はここが素晴らしい」「いい才能を持っているよ」と、とにかく先生から褒められました。豚もおだてりゃ木に登る。すっかり気を良くしてしまった私は、1日10時間、ひどい時には16時間もピアノの練習に明け暮れるようになりました。</p>

<p><strong>──大学の一般教養の授業がきっかけだなんて意外です。</strong></p>

<p>このころになってようやく音楽家になりたい気持ちも芽生えてきました。けれども親にはちゃんと卒業することを条件に留学を許されていましたから、まずはジョージ・ワシントン大学を卒業し、その後ニューヨークに引っ越して、またイチから音楽大学に入ることにしました。それで門を叩いたのが、みなさんもご存知のジュリアード音楽院でした。しかし、私はここでまたしても敵前逃亡することになります。夜間部のピアノ科に入るべくオーディション会場を訪れたのですが、世界中から集まったピアノエリートを前にして、ひと目で「これはダメだ」と悟りました。いまにして思えば、それを感じ取れたのが自分のいいところでもあったのですが、当時はただ自信を喪失しただけでした。</p>

<p><strong>──では、オーディションは受けずじまい？</strong></p>

<p>はい。けれども親に啖呵を切って出てきた手前、どうにかして音楽の道に進まないわけにはいかないという焦りがありました。そこでオーディション会場から夜間部オフィスまで直行し、改めてカタログを見直して他の道はないかと探しました。その中で「これならいけるかも」と思えたのが指揮のコースだったんです。すでに募集は締め切られていましたが、ダメ元で教授の部屋を訪ねると特別に口頭試問をしてくれることになり、その時点で持っていた知識と熱意の全てを伝えたら、入れてもらえることになりました。だから、私が指揮者になったのは小さいころからの夢でもなんでもない。紆余曲折を経て、なし崩し的に入ったというのが真相です。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A3338-final.jpg">
<figcaption>プロデビューは大学院で師事した先生の代役として。「病気でもないのに公演最終日の舞台を譲ってもらえた。それまでの努力を評価してくれた、師匠の粋な計らいだった」。</figcaption></figure></p>

<h2>幸運な出会い。一足跳びのカーネギーデビュー</h2>

<p><strong>──ともあれ、そこからは指揮者としての順調な歩みが始まった？</strong></p>

<p>とんでもない。ジュリアードの夜間部や、その後に通ったマネス音楽院ではあくまで基礎的なことを習ったに過ぎず、指揮者としてデビューするためには、さらに大学院の指揮科に通わなければなりません。それで、続けて大学院を受験する必要がありました。さて、大学院の指揮科の定員って何人くらいだと思います？</p>

<p><strong>──うーん......10人くらいですか？</strong></p>

<p>と思うじゃないですか。実はたったの一人です。学校によっては一回に複数とるところもありますが、それでも三人以下が普通です。一つの楽団に必要な指揮者は一人だけですから、バイオリン奏者のように人数は求められないんです。私はこの狭き門をくぐるのに二浪することになりました。確固とした自信をもって指揮を学べていた私には本当にこたえました。それまでも何度か敵前逃亡を繰り返してきたと言いましたが、自分で自信を持っている分野で失敗したのは人生でこの時が初めてだったと思います。浪人時代にはノイローゼになって、いま思い出すだけでも背筋が凍るような危険な状態を経験しました。</p>

<p>けれども最終的には、アロン・コープランド音楽院というところになんとか入れることになりました。ジュリアードなどと比べればレベルは低いのですが、結果的にここに入れたことが、私にとってとても幸運なことでした。というのも、まず決してエリート学生ばかりが集まっているわけではないので、自然と自分がトップに立つことができた。「鶏口となるも牛後となる勿れ」のことわざが示す通りで、すぐに自信を失いがちだった当時の私にとって、このお山の大将的なポジションがとても合っていたのです。</p>

<p><strong>──なるほど。</strong></p>

<p>もう一つの幸運は、ユダヤ人のモーリス・ペレス先生という非常にいい師匠と出会い、かわいがってもらえたことです。自分としてもその期待に応えようと一生懸命に勉強しました。すると在学中の2008年3月に、ものすごいチャンスをもらえることになりました。もともとペレス先生が指揮するはずだったオペラ公演「フィガロの結婚」の最終日に、先生の代わりに私が指揮棒を振らせてもらえることになったのです。いまは昔と違って、ちゃんとしたオペラ公演でオーケストラピットで指揮できるのは、名のある一部の指揮者のみで、若い指揮者が振る機会などほとんどない時代です。ですから師匠から「お前がやるんだ」と言われた時は本当に驚きました。</p>

<p><strong>──いきなり大チャンスをもらえたわけですね。</strong></p>

<p>それがお金をいただいて指揮をする、私にとってのプロデビューになったのですが、幸運はさらに続きました。その公演をたまたま見にきていた方から翌月末になって電話があり、「6月にカーネギーホールで公演があるのだが、空きが出てしまったので、代役として出ないか」と誘われたのです。良いと思ったらチャンスを与えるのがアメリカと頭では知っていたにしろ、ひと月で再びチャンスが巡ってくるとは想像だにしていませんでした。しかも、その舞台は音楽の殿堂と呼ばれるカーネギーホール。ここに至るまでにはノイローゼになるなど、つらい思いもたくさんしましたが、指揮者としてのスタートは最高に恵まれたものになりました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A3362-final.jpg">
<figcaption>東日本大震災がきっかけとなり、平和活動へと目覚めていく。2013年にクロアチアで行った国交20周年記念演奏会の際には、大統領から公式会見に招かれるという経験も。</figcaption></figure></p>

<h2>「芸術のための芸術」を超えて</h2>

<p><strong>──しかし、指揮者としてそこまで好スタートを切った玲阿奈さんが、なぜ現在のように音楽以外にまで及ぶ幅広い活動を？</strong></p>

<p>プロデビューしてしばらくは一般的な指揮者と同様の活動に専念していたのですが、次第に「こうした活動は本当に社会に貢献しているのだろうか」と疑問を抱くようになりました。クラシックが素晴らしい芸術であることは確かですが、それを心の底から楽しんでいる人がどれだけいるだろうか、と。もちろん愛好者の方はいらっしゃいますが、それはほんのひと握りに過ぎません。私としても間口を広げるための努力はしてきたものの、どんなに名曲でもある程度の長さになると、初心者の方はどうしても途中で退屈してしまうようでした。</p>

<p><strong>──普段親しんでいない人にとってクラシックは確かに敷居が高いイメージです。</strong></p>

<p>私自身はクラシックが好きなので最初はそれが理解できなかったのですが、何年か続けていくうちに、そういう人の気持ちもなんとなくわかるようになっていきました。小さいころからクラシックを聴く習慣がなかった人にとっては、確かに苦痛なのかもしれない、と。しかし、だとすれば私は自分自身の活動のあり方を根本から変えなければなりませんでした。</p>

<p><strong>──どういうことですか？</strong></p>

<p>先ほどもお話ししたように、私はもともと外交官になりたいと思っていたような人間です。自分の仕事を通じて社会に貢献したいという思いが強かった。これまでの活動が一部の愛好家にしか届かないものだったとするならば、私の思いは叶わないことになるわけです。「わかる人にだけわかればいい」という姿勢は芸術至上主義でしかない。音楽は私にとってやっと出遭った天職だと思っていたけれども、もっと世の中に貢献できてこその天職だろうと思い直すことになりました。</p>

<p><strong>──それで活動の幅を広げていった。</strong></p>

<p>決定的な転機は2011年の東日本大震災でした。ニューヨークにいた私は津波の映像をテレビで見ることになったのですが、日本との間に横たわる物理的な距離を思うと、とてつもない無力感と絶望感に苛まれました。「自分が日本にいたらボランティアでも何でもやって被災地のために何かできるのに」という悔しさが沸き起こって仕方なかったんです。けれども、その後にたまたま流れてきたクロアチアのニュース映像を見て、私の考えは一変することになりました。</p>

<p><strong>──クロアチア、ですか。</strong></p>

<p>それは首都ザグレブで行われた反政府デモの行進の映像だったのですが、ちょうど日本大使館の前にさしかかったところで先頭の人が急に歩みを止めました。キャンドルを地面に置いて火をつけ、震災犠牲者のために黙祷を始めたのです。最初は起きていることが飲み込めなかった後続の人たちもすぐにその意図を理解し、日本の人々を思って祈りを捧げ始めました。私はその様子を見て、人間の精神性を鼓舞するのに物理的な距離は関係ないことに気付かされました。私もアーティストの端くれなのであれば、ささいな理由にとらわれて悲嘆に暮れているばかりではなく、やれることがあるはずだ、と。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=cwy-N2cIn5s
<figcaption>クロアチアの反政府デモ隊の映像。1:18から日本大使館の前にキャンドルを置く場面が映され、2:04から黙祷するシーンが記録されている。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──なるほど。</strong></p>

<p>私はクロアチア人の友人を通じて「恩返しのチャリティコンサートがしたい」とクロアチア側に申し出、震災から半年後にそれは実現しました。幸いなことにこれが好評で、その後も現地の音楽祭に呼ばれるなど交流が続きました。日本とクロアチアの国交20周年に当たる2013年には、その国交樹立の記念日に、日本とクロアチアの音楽家による大規模なコンサートをやらせていただくことができました。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=Q5f0BBMzO54
<figure><figcaption>日本クロアチア国交樹立20周年記念演奏会。ザグレブシンフォニエッタとクロアチア陸軍音楽隊、そして日ク合同の合唱団を率いて、モーツァルトの遺作「レクレイム ニ短調」の全曲を演奏した。</figcaption></figure></p>

<p>自分の使命がおぼろげながら見えてきたのは、このころからでした。いわゆる民間外交のような形で、イスラエル、パレスチナ、シリア、ウクライナなどの人々と一緒に平和コンサートを開催することができました。講演活動を始めたのもこうした流れの中でのことです。音楽だけをやっていたのでは、音楽に関心のある人にしか私の思いは伝わらない。これまでの経験で培ったその他の知識も役に立つのであれば、それを世の中に還元しなければならないと思うようになっていきました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A3355-final.jpg">
<figcaption>「人と違う活動をすることは時として激しい批判を受けるが、あらゆる価値観の根拠が揺らぐこの時代だからこそ、己の本心を信じて進んでいきたい」と伊藤。</figcaption></figure></p>

<h2>自分の中のアートに気付く方法</h2>

<p><strong>──玲阿奈さんがご自身を「異端」と呼ぶ意味がわかった気がします。</strong></p>

<p>指揮だけやっていればいいものを、関係のないことばかりやっている。クラシックの保守本流の方々からすれば「あいつは本当に指揮者なのか？」と言われかねないでしょうね。でも、その批判は覚悟の上です。こうした「異端」の活動をしている背景には、21世紀になったいま、「これまで通りのやり方をしていたらクラシックは廃れるだけだ」という危機感もあります。</p>

<p><strong>──どういうことでしょうか？</strong></p>

<p>先ほどもお伝えしたように、クラシックの愛好者はもともと少ないうえに、近年どんどん減っています。かつての指揮者はコンサートで指揮をする、そしてCDを作って売るという資本主義的な音楽産業システムの中でうまく立ち回っていれば、アーティストとしての社会的役割をある程度果たすことができました。けれどもいまや、有名オーケストラも赤字に苦しみ、パソコンからはCDの挿入口が消えて、ネットでいくらでも音楽が聞ける時代です。</p>

<p>これはうまく伝えるのが難しいのですが、今後私たちが生き残っていくには、そうした既存のシステムに乗ることよりも、一人の人間としての精神性が大事になってくるのではないか、と。違う言い方をするならば、本当に「この人はいいな」と思ってくれさえすれば、たとえ無名であっても、耳を傾けてくれる時代ではないかと思うのです。これだけ多数の価値観や情報があふれる時代では、権威や押し付けはあまり意味をなさず、人それぞれが本当に良いと信じるものだけを選択する確率の方が高いのではないでしょうか。だから私は、たとえ批判されようとも我が道を信じて進もうと思って活動しています。</p>

<p><strong>──その「我が道」というのは、音楽を通じて世界平和に貢献すること？</strong></p>

<p>それももちろんそうなのですが、もう一つ、みなさん一人ひとりが自分の中に持つアートを目覚めさせることこそが、私の役目なのではないか、と。ところで、「芸術」は旧字体では「藝術」と書き、新字体が定められる昭和20年代まで用いられたこちらが本来の漢字です。この旧字体の「藝」という漢字の成り立ちをご存知でしょうか。西洋の「art」にこの字を当てたのは明治時代の哲学者・西周ですが、これはもともと農業用語で、農夫が手に持った苗木を地面に植え、それが天に昇って、やがて収穫されていくさまを象形しています。西はこれを転じて、アーティストが何物かを人の心に植え付け、そのタネが人々の心の中で育ち、天に昇っていくという意味を込めました。非常にうまい訳だと思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A3410-final.jpg">
<figcaption>「藝」はもともと「苗木を植える」さまを象形したもので、「芸」とは別の漢字だった。芸術家は西周が「藝」の字に込めた本来の意味に忠実であるべきと伊藤は説く。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──知りませんでした。</strong></p>

<p>天に昇っていく何かというのは、その人自身のアート、言い換えるならその人自身の才能であり、心から没頭できるもののことです。本来は誰もがそうしたものを自分の中に持っているはずなのです。それが音楽なのか、書き物なのか、ビジネスなのか、それは人それぞれなのでわかりませんが、いずれにしろ、私は自分の音楽やその他の活動を通じて何物かを人の心に植え付け、そこからその人自身の才能が目覚めたり、ワクワクしながらやれる何事かを見つけたりしていく、そのきっかけとなりたい。いまこそ西周が藝という字に込めたアートの意味に立ち返って、「藝術家」本来の役目を果たしたいと思っているのです。</p>

<p><strong>──アドビが以前行った調査によれば、日本の子どもは、自分のことをクリエイティブだと思っている割合が世界的に見て極端に少ないそうです。それはおそらく大人、ビジネスパーソンでも同じでしょう。自分の中のアート、クリエイティビティに気付くには何がカギになりますか？</strong></p>

<p>一つには、子どものころからの自分の育児・教育環境を客観的に知ることです。私の場合は、アメリカ流の褒めて伸ばす教育によって自己の本心を急激に揺り動かされたことで、眠っていた種子が芽生えたわけです。アメリカ流が絶対良いとは決して思いませんが、少なくとも私にとっては、まさに「藝術」的に機能してくれました。</p>

<p>日本流は真逆で、ある基準や常識を満たすように、足りない点を見つけ補ってあげるのが一般的です。その利点も十分ありますが、この方式だと、自分で何かを作りあげる勇気や喜びを得ることが難しく、自他を褒めるより厳しくする方向に行きます。そして自分の本心を抑え込んででも世の基準やルールと同調させる圧力が強くなります。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0103final.jpg">
<figcaption><a href="https://bnl.media/2018/03/adobe-takei.html">以前BNLで取材したアドビの武井史織</a>によると、アドビのアンケート調査で「自分が創造的だ」と回答した子どもは、わずか8％。欧米諸国と比較するとその差は歴然だ。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──まずは私たちの育った環境をよく分析して、本心を押さえつけてしまうメカニズムを理解すべきということですね。</strong></p>

<p>そうです。その上で、目の前のどんな現象にも100％の正解はないと悟ることです。失敗や逃亡だらけの私の人生を見てください。失敗した時は、自分がこんな指揮者になるなんて夢想だにしませんから、やったことすべてが無意味に思えて辛くて仕方なかった。しかし、それが10年、20年あとに役に立っているという不思議さ。大学受験で当時ワクワクして勉強した歴史は講演活動の基礎に、外交官になろうと学んだ政治や経済などの諸学は政府・国連の方々との交流や交渉に、下手くそでも夢中に練習したピアノ技術はオーケストラ楽譜の勉強に、という具合です。</p>

<p>陰と陽が合わさってこそ一つの宇宙、人生が完成します。目の前の現象に一喜一憂せず、「神は曲線によりて真っ直ぐに描く」の格言どおり、人為人知を超越したところに自分の人生を見るのです。これに慣れると、世の基準や常識に囚われにくくなって、自分の中のアートに自然とアクセスしやすくなります。これはビジネスパーソンにとっても特に大切な精神だと私は強く信じています。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>現代アートは、創作者だけでなく鑑賞者にも「想像」を求める──要約『現代アートとは何か』 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/08/BNLBooks-VOL11.html" />
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    <published>2018-08-23T06:30:00Z</published>
    <updated>2018-08-30T10:14:44Z</updated>

    <summary>巨額の取引が行われるアート市場で作品の価値はどのように決まるのか、そして現代アートはどう鑑賞するべきか。一見、日常から遠いところにあると感じる現代アートも、見方を変えればビジネスのヒントの宝庫なのかもしれない。
</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BNL Arts" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>小崎 哲哉</strong><small><p>
1955年、東京生まれ。京都在住。カルチャーウェブマガジン『REALKYOTO』発行人兼編集長。京都造形芸術大学大学院学術研究センター客員研究員。同大学舞台芸術研究センター主任研究員。2002年、20世紀に人類が犯した愚行を集めた写真集『百年の愚行』を企画編集し、03年には和英バイリンガルの現代アート雑誌『ARTiT』を創刊。13年にはあいちトリエンナーレ2013のパフォーミングアーツ統括プロデューサーを担当し、14年に『続・百年の愚行』を執筆・編集した。</p></aside></p>

<h2>現代アートは、美術ではなく知術──BNL編集部の選定理由</h2>

<p>正直なところ現代アートは、生産性や合理性が重視されがちな普段のビジネスとはかけ離れたところにあるもの、そんな印象だった。アイデアのエッセンスになればと、ギャラリーに足を運んでも、難解な作品が多く、いまいちヒントになりにくい。</p>

<p>しかしこの本を読み終えた今、これまで観た現代アート作品を、もう一度、今の価値観で観たいと思う。</p>

<blockquote>
  <p>現代アートはもはや「美」を志向していない。</p>

<p>（中略）</p>

<p>近代以前の美術にも物語や教訓や寓話などの様々な情報が埋め込まれてはいたが、非網膜的な現代アートに内在し、鑑賞者の想像力に読み取られるべき知的情報の種類と量は、過去の作品に比べて桁違いに多い。「現代美術」ではなく強いて言えば「現代知術」と呼ぶべきだろうか。</p>

<p>本書第６章「オーディエンス　能動的な解釈者とは？」より抜粋</p>
</blockquote>

<p>現代アートは、アクチュアリティや政治がテーマとされていることが多く、その事象の背景を知らないと、作品を理解することは難しいという。</p>

<p>だからこそ鑑賞者の態度も変わってきた。これまでのように、視覚的に作品を捉え、受動的な感情で鑑賞するのではなく、自分の想像力を駆使し、作品のメッセージを能動的に解釈するのが現代アートの鑑賞である、と。</p>

<p>著者は、IMAのインタビューでこう答えている。</p>

<blockquote>
  <p>アート史の知識よりもほかの芸術ジャンルや、いま世界で何が起こっているか、翻って世界の歴史だとかを学んでいくと、作品が鏡になって自分と世界を映してくれるんですよ。そこが醍醐味なんです。ああ、学ぶっていう言葉も良くないですね、お勉強っぽくて。自分がいろんなことを経験すればするほど、それが鑑賞に活きてくる。だから現代アートは面白いんです。</p>

<p><a href="https://imaonline.jp/articles/art_and_business/20180720tetsuya-ozaki/#page-1">小崎哲哉インタヴュー 経験が鑑賞に活きてくるから、現代アートは面白い（IMA）</a></p>
</blockquote>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/02/bnl-arts.html">
<h4>「BNL Arts」について</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/arts_500.jpg">
<div class="info"><strong>いまビジネスシーンで広がりつつある、アートの最前線を追う。──ようこそ、BNL Artsへ
</strong></div>

<p></a></div></p>

<p>逆に言えば、現代アートを鑑賞することで、歴史や今世界で起こっていることを考えるきっかけになり、その他のジャンルの知識を身につける機会にもなるのではないか。</p>

<p>「美術」ではなく「知術」だと思えば、現代アートは途端に身近になる。</p>

<p>自分の知識や経験を見直し、よく知らないジャンルの知識を得る。週末は、現代アートのギャラリーや美術館にふらっと立ち寄ってみるのはいかがだろう。もしかすると、面白いビジネスにつながるヒントも見つかるかもしれない。</p>

<p><strong>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4309279295/">こちら</a>。（Amazon）</strong></p>

<hr />

<h2>要約者レビュー</h2>

<p>「最も強い影響力を持った20世紀のアート作品」に選出されたのは、パブロ・ピカソでもなく、アンディ・ウォーホルでもなかった。選ばれたのは、マルセル・デュシャンの「泉」――男性用小便器に、漫画のキャラクターを思い起こさせるサインを施しただけの作品――だ。この作品は、下ネタが御法度だっただけでなく、美術と言えば絵画と彫刻しかなかった時代に発表された。デュシャンはこの作品によって、アートの概念を根底から覆した――このエピソードに惹かれた方は、本書を読めばきっと興奮するだろう。</p>

<p>「現代アートを司るのは、いったい誰なのか?」――タイトルは別として、本書で最初に立てられるのが、この問いだ。現代アートには、良し悪しを決める基準が存在しないという。作品の価値と価格を決めているのは、現代アートに1000億円をつぎ込むカタール王女であり、1文字15円で批評を書くジャーナリストであり、アーティストである。そのかげには、ゴシップとも言うべき数々の出来事がある。</p>

<p>本書の前半では、現代アートを取り巻く人々について語られる。億万長者らによる作品をめぐる戦いや、美術館による作品の「検閲、もとい規制」については、アートに関心がない人でも興味深く読めるだろう。</p>

<p>後半では、現代アートの動機や、現代アートを鑑賞するプロセスなどが解説される。こちらは、現代アートを鑑賞してみたいがハードルが高いと尻込みしている人にとって、強い後押しとなること請け合いだ。</p>

<p>いずれにしても、現代アートのガイドブックとして、手元に置いておきたい一冊になるだろう。</p>

<hr />

<h2>要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> 
アートには、良し悪しを決める絶対的な基準はない。現代アートの価値と価格を決めているのは、「マーケット」「ミュージアム」「クリティック」「キュレーター」「アーティスト」「オーディエンス」である。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong>
現代アート作家が抱く創作の動機は、大別して7種ある。その7種とは、「新しい視覚・感覚の追求」「メディウムと知覚の探究」「制度への言及と異議」「アクチュアリティと政治」「思想・哲学・科学・世界認識」「私と世界・記憶・歴史・共同体」「エロス・タナトス・聖性」だ。</p>

<hr />

<h2>【必読ポイント!】 マーケット━━獰猛な巨竜の戦場</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/art_1.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/haaijk/6111391113/">"Sencha Tealeaves"</a> by Christian Kaden(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>スーパーコレクター</h3>

<p>アートには、良し悪しを決める絶対的な基準はない。だから、「誰か」がアート史に残すべき作品を選び出し、現代アートの価値と価格を決めている。本書では、現代アートを取り巻く「誰か」、つまり、「マーケット」「ミュージアム」「クリティック」「キュレーター」「アーティスト」「オーディエンス」について考えている。要約ではそのうち、マーケットを紹介する。</p>

<p>超一級のアートコレクションを持っているのは、億万長者たちだ。たとえば、スーパーコレクターの1人であるピノーは、フランスで5番目の資産家で、その総資産はジャマイカのGDPを上回るという。彼は、ケリングというファッションコングロマリットの創業者だ。傘下に、グッチやボッテガ・ヴェネタといった有名ブランドを所有し、世界最大のオークションハウス、クリスティーズのオーナーでもある。</p>

<p>彼は、2500点を超えるとされる一大コレクションのオーナーだ。アート史に名を残すことがほぼ確実なアーティストの、第一級の作品を収集している。</p>

<p>では、彼のようなスーパーコレクターは、どのように作品の売買の情報を集めているのか。スーパーコレクターの周囲には、キュレーター、ギャラリスト、フランスの元文化相といった人物まで、様々なアート関係者がおり、情報を提供している。また、通常、アートフェアは作品の売買の場である。しかし実のところ、高額の作品は、フェアの開催前に内々に予約されている。業界内ルールに違反して、ギャラリーを介さずに作家から直接作品を購入するケースも多い。タックスヘイブンで取引すれば課税を免れるし、ギャラリーを通さなければ多額のコミッション（手数料）を支払わなくて済むからだ。</p>

<h3>ギャラリスト</h3>

<p>『オックスフォード英語辞典』によると、ギャラリストは、「アートギャラリーを所有する者、もしくは、潜在的な購買者を惹きつけるために、ギャラリーや他の場所でアーティストの作品を展示し、販売促進する者」と定義づけられている。</p>

<p>現代アートにおけるギャラリーには、プライマリーとセカンダリーの2種がある。プライマリーとは、アーティストの代理人として、新作を販売するギャラリーだ。セカンダリーとは、一度市場に出回った作品を入手して転売するというギャラリーである。ただし今日では、プライマリーとセカンダリーの線引きのみならず、ギャラリストとブローカー、ギャラリストとコレクターの線引きも曖昧になっている。今や誰もがディーラー、つまり販売者であると言える。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/08/tomio-koyama-gallery.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_YOU1385-1094final.jpg">
<div class="info"><strong>初期の村上隆や奈良美智を見いだしたギャラリスト小山登美夫が、アートギャラリーとの付き合い方をご案内</strong> </div></a></div>

<p>現在、アートディーラーの「帝王」と呼べるのは、ラリー・ガゴシアンだろう。彼は2003年以来、雑誌『アートレヴュー』の「POWER100」（現代アート界でもっとも影響力のある人々のランキングリスト）において、毎年ベストテンにランキングされている。ガゴシアンは、ニューヨークに5軒、ロンドンに3軒、パリに2軒と、世界中に計16のギャラリーを保有し、2014年の売上は推計約1100億円にのぼる。これは、この年の全オークションハウスにおける現代アートの売上の半額以上だ。彼が扱うアーティストは、パブロ・ピカソから有望若手までと、幅広い。もちろん、世界中のスーパーコレクターたちを顧客としている。</p>

<p>ガゴシアン本人は、自身のことを「売買についてのセンスと才能が、生まれながらにしてDNAのうちに備わっている」「生まれつき目が良いんだろうね」と認めている。対してロイターの寄稿家、フェリックス・サーモンは、「ラリー・ガゴシアンは（中略）高価なものならなんでも買う傾向のある成金コレクターたちを通じて、世界中の美術館その他に自分の趣味を押し付ける」と評している。</p>

<p>彼らの言う「目」や「趣味」とは、いったい何だろうか。ガゴシアンの「目」は本当に「良い目」なのだろうか。誰もその問いを発することはない。検証されるべき回答を与えられることもない。疑いを持つことなく、みんなガゴシアンの「目」に従っているように見える。それが、現代アートのマーケットだ。</p>

<h3>ランキングリスト「POWER100」</h3>

<p>前項で説明した通り、「POWER100」は、現代アートでもっとも影響力のある人々のランキングリストだ。雑誌『アートレビュー』において、毎年発表されている。ここに名前が挙がる人こそが現代アートの構成メンバーであり、かつその中の超VIPと考えてよいだろう。彼ら彼女らが、現代アート作品の価値と序列を決めているのだ。</p>

<p>編集部は、POWER100を「各国アート界の識者が匿名で寄せる助言に基づき、アーティスト、コレクター、ギャラリスト、批評家、キュレーターを影響力順にランキング。外部から窺い知ることの難しい、現在のアート界の構造を知るための最も影響力の高いガイド」としている。</p>

<p>ただし、POWER100に対する批判もある。疑問が寄せられるのは、「識者」の匿名性と、主観的・恣意的と思われる取捨選択と順位付けだ。順位付けには、媒体としての政治的な判断と、業界的なバランス感覚が背景にあると思われる。</p>

<h2>現代アートの動機</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/art_3.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/edellepi/6438557421/">"Dance"</a> by Emilio Dellepiane(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>新しい視覚・感覚の追求</h3>

<p>現代アートの作家が抱く創作の動機は、大別して7種あると著者は言う。その7種とは、「新しい視覚・感覚の追求」「メディウムと知覚の探究」「制度への言及と異議」「アクチュアリティと政治」「思想・哲学・科学・世界認識」「私と世界・記憶・歴史・共同体」「エロス・タナトス・聖性」だ。ただし、実際には、これらのうち、数種の動機が混在していることが多い。要約では、「新しい視覚・感覚の追求」「制度への言及と異議」「私と世界・記憶・歴史・共同体」を紹介する。</p>

<p>「新しい視覚・感覚の追求」とは、つまり、感覚的なインパクトの追求である。現代アートのみならず、美術史の大部分はこれによって前進してきた。ダ・ヴィンチの「最後の晩餐」の完璧な構図や、フェルメールのスーパーリアリズムが例に挙げられよう。アーティストによる、「ほかの誰もやっていないこと」「いまだかつて存在したことのないもの」「観る者に衝撃を与えるもの」を自らの手で生み出そうという強い欲望により、多くの作品が生み出されているのだ。伝統の保存と継続が最重要視される分野もあるが、文学、音楽、映画、演劇、ダンス、建築、デザインなど、他の多くの表現領域においても、「新しい視覚・感覚の追求」は、アーティストの動機となっていると言えるだろう。</p>

<h3>制度への言及と異議</h3>

<p>アート制度に疑義を申し立てるとともに、アートの定義の書き換え、もしくはアートの守備範囲の拡大を迫ってそれを認めさせようとする動機が「制度への言及と異議」だ。</p>

<p>この動機によって生み出された作品のうち、アート史において最も衝撃的だったのは、マルセル・デュシャンの「泉」だろう。「泉」は、1917年4月に、ニューヨークの独立美術家協会が主催した公募展に出品応募された作品だ。協会は、保守的な全米デザイン・アカデミーに反対するグループが結成したものだった。協会に対して入会金1ドルと年会費5ドルを払えば、無審査で2作品を展示することができるという決まりのもと、作品が募集された。その規定にもかかわらず、「泉」は、協会の理事10名による投票の結果、展示を拒否されてしまう。なぜならこの作品は、「R.MUTT」というサインを施した男性用小便器だったからだ。理事長は、この作品について「どうみても、芸術作品ではありえない」とコメントしている。</p>

<p>当時、下ネタはタブーだった。かつ、美術と言えば絵画と彫刻しかない時代である。「泉」は、そんな時代にあって、「アートはこんなにも自由だ」という強烈なメッセージを放っていた。</p>

<p>この動機には、アートの守備範囲の拡大を迫るのみならず、制度自体が持つ政治性への疑義や告発も含まれる。たとえば、ハンス・ハーケがMoMA（ニューヨーク近代美術館）やグッゲンハイム美術館で展開した作品は、美術館という制度をラディカルに批判している。美術館の外で繰り広げられるリアルポリティクスに美術館が巻き込まれる、あるいは加担する様への批判である。</p>

<p>制度への「言及」は「参照」や「引用」にほぼ等しく、先行作品のオマージュや批判を作品内に組み込む行為を指す。たとえば、この動機による作品として、デュシャンの「L.H.O.O.Q」がある。この作品でデュシャンは、絵はがきの「モナ・リザ」に髭を描き加え、「彼女の尻は熱い」という卑語とほぼ同じように発音されるタイトルをつけた。</p>

<h3>アクチュアリティと政治</h3>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/art_5.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/cuellar/681562586/">"Photo passion"</a> by Jose Maria Cuellar(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>直接に社会状況に言及したり、現実社会の政治を批判したりする作品もある。</p>

<p>この動機で作品をつくることで知られるのが、艾未未（アイ・ウェイウェイ）だ。彼は、毛沢東が中華人民共和国の建国宣言を行った天安門に向けて、自身の中指を突き上げている写真作品などで知られる。彼は、アーティストであると同時にアクティビストでもあり、「私は表現の自由のために闘っていて、絶対に妥協しない」「私にとってアートと政治活動はひとつです」と公言している。</p>

<p>そのほか、近年注目を集めているのが、相田誠の弟子筋にあたるグループChim↑Pom（チンポム）だ。軽飛行機をチャーターし、飛行機雲で広島市の上空に「ピカッ」という文字を描いたり、渋谷駅に展示されていた岡本太郎の巨大壁画の横に、福島原子力発電所の事故を想わせる絵を描いたベニヤ板を貼り付けたりといった活動をしている。そしてこういった活動の結果、個展が中止となったり、書類送検になったりもしているグループだ。反社会的集団にしか見えないかもしれないが、明確に確信犯的なのだ。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=bKZBhbzLqv4
<figcaption>製作映像「 LEVEL7 feat.明日の神話」 渋谷駅にある岡本太郎の壁画「明日の神話」の前に突如Chim↑Pomが現れ、ベニア板に描かれた絵を付け足す。メディアからは避難を浴びたが、後に岡本太郎記念財団は彼らの作品を認め、岡本太郎生誕100周年記念の展覧会「Roll Over TARO!」で同映像と、付け足した絵を展示した。</figcaption></figure></p>

<h3>私と世界・記憶・歴史・共同体</h3>

<p>「私と世界」は「記憶・歴史・共同体」によって構成されているし、「共同体」にとっての「記憶」は「歴史」とほぼ同義だ。だからこの動機は「私と共同体を取り囲む時間と空間」と言い換えられるかもしれない。</p>

<p>個人史を作品に埋め込むアーティストは少なくない。自らのストーカー体験や死に行く実母を作品化したソフィ・カル、生家やこれまでに住んだ海外の部屋などのレプリカを実寸でつくっているス・ドホが例に挙げられよう。</p>

<p>家族や友人との関係に限らず、歴史の変遷と結びついている自分史もある。父親がユダヤ人だったクリスチャン・ボルタンスキーは、ホロコーストや民族浄化などの主題を好んで取り上げる。</p>

<p>自らの人生における経験を創作における素材、あるいは根拠とすることは、安直な結果に終わる危険があるとはいえ、つくり手にとっては自然なのだ。</p>

<hr />

<h2>一読のすすめ</h2>

<p>著者の言葉を借りると、前半が「現代アートをめぐる状況のレポート」、後半が「『現代アートとは何か』についての議論」である本書。要約には書き切れなかったが、現代アートを鑑賞するプロセスを指南する章、絵画と写真の危機を論じる章、現代アートの現状と未来を語る章もある。</p>

<p>また、要約はテキストのみだが、本書では作品の画像がふんだんに掲載されていることも書き添えておきたい。ぜひ本書を手に取り、序章からあとがきまでを読み通すとともに、現代アート作品の数々を楽しんでいただければと思う。</p>

<p>（1冊10分で読める本の要約サービス <a href="https://www.flierinc.com/">flier</a>）</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/08/BNLBooks-VOL10.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/TOP_ocha.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>前回のBNL Books：要約：『お茶の科学』━━ お茶博士が最新研究で解明する「おいしさ」の秘密</strong></div></a></div>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>初期の村上隆や奈良美智を見いだしたギャラリスト小山登美夫が、アートギャラリーとの付き合い方をご案内 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/08/tomio-koyama-gallery.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9098</id>

    <published>2018-08-20T05:30:00Z</published>
    <updated>2020-03-23T02:53:01Z</updated>

    <summary>タダで見られる。必ずしも買う必要はない。好きな作家の作品の詳細情報を教えてもらえる。作家本人に会える機会だって少なくない。出張や打ち合わせのついでに立ち寄るくらいの気軽な感覚で大丈夫。それだけで、現代アートはもっと身近に感じられる。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="アート" label="アート" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/24834201101">小山登美夫</a></strong><small>小山登美夫ギャラリー代表取締役</small>
<p>1963年東京生まれ。東京芸術大学芸術学科卒業。西村画廊、白石コンテンポラリーアート勤務を経て、1996年に小山登美夫ギャラリーを開廊。奈良美智、村上隆をはじめとする同世代の日本アーティストの展覧会を多数開催するとともに、同世代の国外アーティストを日本に紹介。海外のアートフェアにも積極的に参加、日本人アーティストの実力を世界に知らしめるとともに、マーケットの充実と拡大を模索する。現在、六本木と渋谷ヒカリエにギャラリースペースを持つほか、「小山藝術計画」代表としてさまざまな展覧会を手がける。</p></aside></p>

<p>「壁が問題なんですよね。持ち家だったり賃貸だったりいろんなパターンがあるので、納品する前に壁チェックにうかがうんです」</p>

<p>作品の大きさにもよるけど石こうボードならなんとかなる、コンクリだと大変なんだよね──現代アートを手がけるギャラリスト・小山登美夫は、ニコニコと楽しそうに話す。</p>

<p>小山は24歳のとき、日本の現代アート画廊の草分けのひとつ、西村画廊でアルバイトを始めた。現在は東京・日本橋にギャラリーを構える西村画廊は、当時銀座にあって、イギリスを中心とした海外の作家を紹介するとともに、中西夏之、横尾忠則、舟越桂ら日本の作家の展覧会を行っていた。いずれも現代アート好きならキャー！と歓声を上げそうな「スター」である。</p>

<p>「大学出たての僕が画廊の地下室で、横尾さんと並んでラーメンを食べてるわけですよ。展示について話したりしながら内心、『横尾さんだ！』って（笑）」</p>

<p>独立して自らのギャラリーを開いてから20年あまり。初期の村上隆や奈良美智の展覧会も手がけた。世間ではオークションで作品が高騰し、「アートバブル」と呼ばれる現象が何度か起こったが、小山は常に作家と向き合い、現代アートの土壌を耕すことに力を注いできた。その原点には「アートは面白いし、アーティストはかっこいい」というシンプルな思いがある。そんな小山に、現代アートの魅力と、ギャラリーとの付き合い方を聞いてみた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1292-final.jpg">
<figcaption>東京・六本木にある「<a href="http://tomiokoyamagallery.com/" target="_blank" rel="nofollow">TOMIO KOYAMA GALLERY</a>」。この日は、菅木志雄展「広げられた自空」が開催されていた。</figcaption></figure></p>

<h2>「作家像」を見せるのがギャラリーの役割</h2>

<p><strong>──まず、「ギャラリスト」とはどういう仕事でしょうか。</strong></p>

<p>絵を売る仕事にはいくつか種類があって、画商やアートディーラーと呼ばれる人が古くからいます。有名なのはゴッホの弟のテオですね。彼はグーピル商会という美術商社で画商として働いていました。</p>

<p>一方、ギャラリストは、ギャラリーという場所を持っています。そこで「展覧会」というひとつの表現をして、その中で作品を売っていく。アーティストの作品を売ることは同じですが、1枚の絵を売ることと、展覧会を開いて作家の世界観を見せることは、ちょっと違いますよね。</p>

<p>展示のことをインスタレーションと言いますが、よく「現代美術ってわからない」と言われるのは、インスタレーションそのものが作品だったりするからではないでしょうか。「こんなのどうやって売るの？」というような作品を見たことがあるでしょう？</p>

<p><strong>──はい、「どこからどこまでが作品なの？」みたいな。</strong></p>

<p>それには、そのアーティストの社会性や歴史性、新しさといったことをアピールする狙いがあったりします。逆に買う側からすると、見たこともないようなものを買いたいというコレクターもいます。ものすごく大きい作品とかね。だから、ギャラリーという場所が、ひとつの表現する場所になるんです。</p>

<p><strong>──小山さんのギャラリーでは、次にどのアーティストのどんな展示をするかは、どうやって決まるんですか？</strong></p>

<p>こちらから「こういうのどうですか」と持ちかける場合もあるし、向こうから「こういうのをやりたい」と言ってくる場合もあるし、いろいろです。</p>

<p>桑久保徹さんというアーティストがいるんですが、1月にうちのギャラリーで展覧会を開きました。出展作品は、彼が2014年から取り組んでいる「カレンダーシリーズ」のうちの6点です。1枚の絵の横幅が2メートルを超える大きな作品です。そのときに彼が提案してきたのは、1枚1枚に音楽を添えたいということでした。それで、彼の友人の日高理樹さんという現代音楽家が曲をつくって、レコードにしてドローイングと一緒に展示したんです。</p>

<p>そういった面白い提案がアーティストからきたりして、それで展示ができあがります。オープニングでは日高さんがそれぞれの絵の前で演奏しました。つまり、ただ絵を見せて売るだけでなく、作家をどうプレゼンテーションするかということが大事になってくるんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1330-final.jpg">
<figcaption>展覧会のオープニングにはアーティストが在廊することが通例だ。世界的な有名なアーティストでも「現代アートの人は普通に会える」。「ダミアン・ハーストだってオープニングにサイン会してますから」</figcaption></figure></p>

<p><strong>──美術館の展示とはどう違うのでしょう。例えば、先日小山さんのギャラリーで新作を展示された菅木志雄（すが・きしお）さんは、国内外の美術館で大規模な個展が開かれるほどの著名な作家で、私も2015年に東京都現代美術館で開かれた展覧会を見に行きました。ただ、美術館には気軽に行けても、ギャラリーとなると「おそるおそる」という感じになってしまうんです。</strong></p>

<p>そうですか。ドアが開いてるのに？（笑）</p>

<p><strong>──「買わないかもしれないけどいいのかな」と思ってしまって。</strong></p>

<p>確かに、慣れている人だと「作品がタダで見れる場所」として気軽に立ち寄っていかれますけどね。</p>

<p>美術館と違うのは、ギャラリーはアートマーケットの一部だということです。つまり、マーケットですから、美術館で見た作品や作家と同じ場所に立つことができるんです。もちろん、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロを売っているギャラリーはないですよ？ でも、美術館はそういった巨匠だけでなく、現役の作家や若手アーティストの展覧会も開きますよね。その中で「あの人の絵、よかったな」と思ったら、名前を覚えておいてインターネットで検索すれば、扱っているギャラリーが出てきます。そのギャラリーに行って「この人の作品に興味があるんですが、いくらぐらいですか？」って聞けばだいたいのレンジを教えてくれます。例えば「ドローイングだったら30万円で、ペイントだったら500万円です」とかね。</p>

<p><strong>──そんなにカジュアルに聞いて大丈夫なんですか。</strong></p>

<p>もちろんです。興味を持ってくれているということが僕らにとっては大事なので。人気作家だと「今、在庫がありません」ということもあるし、「こういうものがあります」とお見せできる場合もあります。直接ギャラリーにいらっしゃれなくても、メールなどで「どこどこ美術館で見て大好きだったんですけど、買えますか。買えるとしたらいくらぐらいですか」と問い合わせをいただければうれしいし、実際そういう問い合わせはたくさんきていますね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1340-final.jpg">
<figcaption>ミュージシャンや俳優などにも絵を描く人は多い。異分野からの参入は「大歓迎ですよ」と言う。「絵を描くことへのリアリティーがあって、それがきちんと表現できている人は、いい作品をつくると思います」</figcaption></figure></p>

<h2>「好き・嫌い」と「いい・悪い」は別</h2>

<p><strong>──マーケットと言えば、最近では「アートフェア」もたくさん開かれるようになりました。小山さんのギャラリーもアートフェア東京をはじめいろんなアートフェアに参加されていますね。</strong></p>

<p>アートフェアのいいところは、ある程度の数を一度に見られることですね。そこでいいなと思うアーティストを見つけることもあるし、このギャラリーが扱っているものが好きだなということもあるし。でも、好きな作品を見つけるのって実は難しいんですよ。むしろ嫌いな作品のほうが簡単なんです。「あ、俺これ嫌い」って。</p>

<p><strong>──確かに。</strong></p>

<p>「好き」って、「気になる」もあれば、「かわいい」もあるし、いろいろですよね？ じゃあ自分は「気になる」ものを買うのか、「かわいい」ものを買うのか。</p>

<p><strong>──それは、迷いますね......。</strong></p>

<p>普通は、アートフェアでたくさんの作品を見て回っても、自分が好きだと思うものと値段的に買えるものが合致することはめったにないんです。でも、自分は何が好きかを発見するのは誰でもできるし、面白いですよね。</p>

<p><strong>──小山さんのようなプロから見ても、個人的に好きなものと、売れるものや社会的に価値があるものは違ったりしますか。</strong></p>

<p>それは違います。僕らの場合は仕事ですから、普通の人たちよりは情報量が多いし、経験値もあります。だけどやっぱり、「好き・嫌い」と「いい・悪い」は別なんです。「嫌いだけど、気になる」ということもあるんですよ。「嫌い」を超えようとする人もいます。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1290-final.jpg">
<img src="/uploads/_YOU1304-final.jpg">
<figcaption>アートは科学とも無縁ではない。「（19世紀末から始まった）新印象派は、すべての絵をドットで描いていくんです。ドットがつながることによって画像ができるという発想は、テレビをつくる発想とつながっていますよね」</figcaption></figure></p>

<p><strong>──「嫌いを超える」とは？</strong></p>

<p>不快だと感じる作品でも、この人は何かすごいことをやろうとしているんじゃないかと感じたら、あえて買ってみる。</p>

<p><strong>──そうしたら新しい自分を発見できるかもしれない。</strong></p>

<p>かもしれない。でもこれは上級かもしれませんね。やっぱりはじめは「好きだ」と思ったアーティストの作品を買うのが一般的です。そうすると、そのアーティストが次はどんな展覧会をするのかが気になってくる。一度買うと展覧会の案内がきたりするから、また新しい作品を見に行く。そうやって一人のアーティストを追いかける人もいます。そのアーティストが人気が出て作品の値段が高くなると、うれしいような、悲しいような。</p>

<p><strong>──買えなくなってしまうから。</strong></p>

<p>自分が持っている作品も値上がりしているだろうから、それを売れば次を買う資金になるんだけど、好きだから売りたくない。そうすると次が買えない。好きなアーティストが評価されるのはうれしいんだけど、やっぱり買えなくなるのは悲しい。というようなことはお客さんからよく聞きますね。</p>

<p><strong>──ものすごく複雑な心境ですね。</strong></p>

<p>そこがアートの面白いところですね。買ったあとに値段が上がるものって、他にないじゃないですか。一部、ウィスキーとかありますが。</p>

<p><strong>──ワインとか。</strong></p>

<p>でも飲んじゃうから（笑）。アートはずっとそこにあり続ける。もちろん値下がりすることもあるし、作家が活動をやめてしまうこともあるので、投資とみるならリスクもありますが、こんなに面白いものはないと思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1335-final.jpg">
<figcaption>オフィスビルやホテルなどの商業施設に展示するためのアート作品を依頼されることもある。「例えば、大手町にできたホテル、アマン東京には、日高理恵子、風能奈々といったアーティストの作品が展示されています」</figcaption></figure></p>

<p><strong>──オークションで名画が高額で落札されたというニュースをときどき目にしますが、売り買いされるたびに値段が上がるのは、やっぱりアートって不思議だなと思います。</strong></p>

<p>ゴッホは、生前に売れた絵は1枚だけで、値段は11万円ほどだったと言われています。それがだんだん高くなって、何億円になり、何十億円でも売れていく。それってよくわからないですよね。だけど、ゴッホという作家が歴史に残ってきたということは言えると思うんです。</p>

<p>中園孔二という1989年生まれのアーティストがいるんですが、東京芸大の卒業制作展で彼の作品を初めて見たとき、すごくいいと思いました。今までの絵にはない新しいイメージがあって、美しいだけでなく残酷さもある。「うちで展示しませんか」と声をかけて、彼が23歳のときに初めて展覧会をしました。絵を飾るだけじゃなく、植木鉢を持ち込んで土をこぼしたり、天井からテグスを吊して毛糸を巻き付け、そこに写真を飾ったり。本人が全部自分で考えて、友だちと何人かでやってきて作業をしていました。いい展覧会だった。</p>

<p><strong>──面白そう。その展示、見てみたかったです。</strong></p>

<p>今、神奈川県の横須賀美術館で彼の個展をやっているんですが、彼は3年前、25歳で亡くなってしまったんです。海の事故で。</p>

<p><strong>──そうだったんですか。</strong></p>

<p>彼は500点ほどの作品を残しました。生前に売れたものも多いですが、作品は残っている。でもそのままにしていたら中園孔二というアーティストの名前は残りません。美術館で個展を開いたり、それにあわせて画集を制作したりすることで、アーティストの名前を残すことをしていく。作品はどうしようもなく世の中に残ります。でもゴッホの例ではないですが、最終的にはその作家の名前というか、活動を残すことが大切なんです。</p>

<p><figure>https://www.youtube.com/watch?v=6Fhzw5thoSM
<figcaption>現在（2018年9月30日まで）横須賀美術館にて、「<a href="http://www.yokosuka-moa.jp/exhibit/josetu/sho1802nakazono.html" target="_blank" rel="nofollow">中園孔二展</a>」が開催されている。この動画は、展覧会の主題として掲げられている「外縁────見てみたかった景色」に直接つながる「外縁」の意味について、生前に本人が語っていた貴重な記録である。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──アーティストにとってギャラリストがいかに大切かを感じます。</strong></p>

<p>仕事柄、美大や芸大の卒業制作展などで若いアーティストの作品をたくさん見ることがありますが、大半は面白くないんです。その中で一人でも「こいつすごいな」というアーティストがいると、すごくうれしい。中園くんはそのようにして出会ったアーティストの一人でした。</p>

<p>アート作品って莫大なお金をかけてつくるのではなく、一人のアーティストが実際に手を動かして描くわけじゃないですか。そのアナログな作品の中に、いろんな発想が詰まっている。今は情報社会でみんなスマホばかり見ていると言われるけど、逆にリアルなものへの欲求はあると思う。撮影オーケーの美術館が増えてスマホで撮った画像が大量に流通しても、本物は一個なわけだから。リアルなものは絶対なくならない。そこがアートの面白いところだと思っています。</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="3010601034640"></div>
]]>
        <![CDATA[<p><aside><strong>小山登美夫</strong><small>小山登美夫ギャラリー代表取締役</small>
<p>1963年東京生まれ。東京芸術大学芸術学科卒業。西村画廊、白石コンテンポラリーアート勤務を経て、1996年に小山登美夫ギャラリーを開廊。奈良美智、村上隆をはじめとする同世代の日本アーティストの展覧会を多数開催するとともに、同世代の国外アーティストを日本に紹介。海外のアートフェアにも積極的に参加、日本人アーティストの実力を世界に知らしめるとともに、マーケットの充実と拡大を模索する。現在、六本木と渋谷ヒカリエにギャラリースペースを持つほか、「小山藝術計画」代表としてさまざまな展覧会を手がける。</p></aside></p>

<p>「壁が問題なんですよね。持ち家だったり賃貸だったりいろんなパターンがあるので、納品する前に壁チェックにうかがうんです」</p>

<p>作品の大きさにもよるけど石こうボードならなんとかなる、コンクリだと大変なんだよね──現代アートを手がけるギャラリスト・小山登美夫は、ニコニコと楽しそうに話す。</p>

<p>小山は24歳のとき、日本の現代アート画廊の草分けのひとつ、西村画廊でアルバイトを始めた。現在は東京・日本橋にギャラリーを構える西村画廊は、当時銀座にあって、イギリスを中心とした海外の作家を紹介するとともに、中西夏之、横尾忠則、舟越桂ら日本の作家の展覧会を行っていた。いずれも現代アート好きならキャー！と歓声を上げそうな「スター」である。</p>

<p>「大学出たての僕が画廊の地下室で、横尾さんと並んでラーメンを食べてるわけですよ。展示について話したりしながら内心、『横尾さんだ！』って（笑）」</p>

<p>独立して自らのギャラリーを開いてから20年あまり。初期の村上隆や奈良美智の展覧会も手がけた。世間ではオークションで作品が高騰し、「アートバブル」と呼ばれる現象が何度か起こったが、小山は常に作家と向き合い、現代アートの土壌を耕すことに力を注いできた。その原点には「アートは面白いし、アーティストはかっこいい」というシンプルな思いがある。そんな小山に、現代アートの魅力と、ギャラリーとの付き合い方を聞いてみた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1292-final.jpg">
<figcaption>東京・六本木にあるTOMIO KOYAMA GALLERY。この日は、菅木志雄展「広げられた自空」が開催されていた。</figcaption></figure></p>

<h2>「作家像」を見せるのがギャラリーの役割</h2>

<p><strong>──まず、「ギャラリスト」とはどういう仕事でしょうか。</strong></p>

<p>絵を売る仕事にはいくつか種類があって、画商やアートディーラーと呼ばれる人が古くからいます。有名なのはゴッホの弟のテオですね。彼はグーピル商会という美術商社で画商として働いていました。</p>

<p>一方、ギャラリストは、ギャラリーという場所を持っています。そこで「展覧会」というひとつの表現をして、その中で作品を売っていく。アーティストの作品を売ることは同じですが、1枚の絵を売ることと、展覧会を開いて作家の世界観を見せることは、ちょっと違いますよね。</p>

<p>展示のことをインスタレーションと言いますが、よく「現代美術ってわからない」と言われるのは、インスタレーションそのものが作品だったりするからではないでしょうか。「こんなのどうやって売るの？」というような作品を見たことがあるでしょう？</p>

<p><strong>──はい、「どこからどこまでが作品なの？」みたいな。</strong></p>

<p>それには、そのアーティストの社会性や歴史性、新しさといったことをアピールする狙いがあったりします。逆に買う側からすると、見たこともないようなものを買いたいというコレクターもいます。ものすごく大きい作品とかね。だから、ギャラリーという場所が、ひとつの表現する場所になるんです。</p>

<p><strong>──小山さんのギャラリーでは、次にどのアーティストのどんな展示をするかは、どうやって決まるんですか？</strong></p>

<p>こちらから「こういうのどうですか」と持ちかける場合もあるし、向こうから「こういうのをやりたい」と言ってくる場合もあるし、いろいろです。</p>

<p>桑久保徹さんというアーティストがいるんですが、1月にうちのギャラリーで展覧会を開きました。出展作品は、彼が2014年から取り組んでいる「カレンダーシリーズ」のうちの6点です。1枚の絵の横幅が2メートルを超える大きな作品です。そのときに彼が提案してきたのは、1枚1枚に音楽を添えたいということでした。それで、彼の友人の日高理樹さんという現代音楽家が曲をつくって、レコードにしてドローイングと一緒に展示したんです。</p>

<p>そういった面白い提案がアーティストからきたりして、それで展示ができあがります。オープニングでは日高さんがそれぞれの絵の前で演奏しました。つまり、ただ絵を見せて売るだけでなく、作家をどうプレゼンテーションするかということが大事になってくるんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1330-final.jpg">
<figcaption>展覧会のオープニングにはアーティストが在廊することが通例だ。世界的な有名なアーティストでも「現代アートの人は普通に会える」。「ダミアン・ハーストだってオープニングにサイン会してますから」</figcaption></figure></p>

<p><strong>──美術館の展示とはどう違うのでしょう。例えば、先日小山さんのギャラリーで新作を展示された菅木志雄（すが・きしお）さんは、国内外の美術館で大規模な個展が開かれるほどの著名な作家で、私も2015年に東京都現代美術館で開かれた展覧会を見に行きました。ただ、美術館には気軽に行けても、ギャラリーとなると「おそるおそる」という感じになってしまうんです。</strong></p>

<p>そうですか。ドアが開いてるのに？（笑）</p>

<p><strong>──「買わないかもしれないけどいいのかな」と思ってしまって。</strong></p>

<p>確かに、慣れている人だと「作品がタダで見れる場所」として気軽に立ち寄っていかれますけどね。</p>

<p>美術館と違うのは、ギャラリーはアートマーケットの一部だということです。つまり、マーケットですから、美術館で見た作品や作家と同じ場所に立つことができるんです。もちろん、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロを売っているギャラリーはないですよ？ でも、美術館はそういった巨匠だけでなく、現役の作家や若手アーティストの展覧会も開きますよね。その中で「あの人の絵、よかったな」と思ったら、名前を覚えておいてインターネットで検索すれば、扱っているギャラリーが出てきます。そのギャラリーに行って「この人の作品に興味があるんですが、いくらぐらいですか？」って聞けばだいたいのレンジを教えてくれます。例えば「ドローイングだったら30万円で、ペイントだったら500万円です」とかね。</p>

<p><strong>──そんなにカジュアルに聞いて大丈夫なんですか。</strong></p>

<p>もちろんです。興味を持ってくれているということが僕らにとっては大事なので。人気作家だと「今、在庫がありません」ということもあるし、「こういうものがあります」とお見せできる場合もあります。直接ギャラリーにいらっしゃれなくても、メールなどで「どこどこ美術館で見て大好きだったんですけど、買えますか。買えるとしたらいくらぐらいですか」と問い合わせをいただければうれしいし、実際そういう問い合わせはたくさんきていますね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1340-final.jpg">
<figcaption>ミュージシャンや俳優などにも絵を描く人は多い。異分野からの参入は「大歓迎ですよ」と言う。「絵を描くことへのリアリティーがあって、それがきちんと表現できている人は、いい作品をつくると思います」</figcaption></figure></p>

<h2>「好き・嫌い」と「いい・悪い」は別</h2>

<p><strong>──マーケットと言えば、最近では「アートフェア」もたくさん開かれるようになりました。小山さんのギャラリーもアートフェア東京をはじめいろんなアートフェアに参加されていますね。</strong></p>

<p>アートフェアのいいところは、ある程度の数を一度に見られることですね。そこでいいなと思うアーティストを見つけることもあるし、このギャラリーが扱っているものが好きだなということもあるし。でも、好きな作品を見つけるのって実は難しいんですよ。むしろ嫌いな作品のほうが簡単なんです。「あ、俺これ嫌い」って。</p>

<p><strong>──確かに。</strong></p>

<p>「好き」って、「気になる」もあれば、「かわいい」もあるし、いろいろですよね？ じゃあ自分は「気になる」ものを買うのか、「かわいい」ものを買うのか。</p>

<p><strong>──それは、迷いますね......。</strong></p>

<p>普通は、アートフェアでたくさんの作品を見て回っても、自分が好きだと思うものと値段的に買えるものが合致することはめったにないんです。でも、自分は何が好きかを発見するのは誰でもできるし、面白いですよね。</p>

<p><strong>──小山さんのようなプロから見ても、個人的に好きなものと、売れるものや社会的に価値があるものは違ったりしますか。</strong></p>

<p>それは違います。僕らの場合は仕事ですから、普通の人たちよりは情報量が多いし、経験値もあります。だけどやっぱり、「好き・嫌い」と「いい・悪い」は別なんです。「嫌いだけど、気になる」ということもあるんですよ。「嫌い」を超えようとする人もいます。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1290-final.jpg">
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<figcaption>アートは科学とも無縁ではない。「（19世紀末から始まった）新印象派は、すべての絵をドットで描いていくんです。ドットがつながることによって画像ができるという発想は、テレビをつくる発想とつながっていますよね」</figcaption></figure></p>

<p><strong>──「嫌いを超える」とは？</strong></p>

<p>不快だと感じる作品でも、この人は何かすごいことをやろうとしているんじゃないかと感じたら、あえて買ってみる。</p>

<p><strong>──そうしたら新しい自分を発見できるかもしれない。</strong></p>

<p>かもしれない。でもこれは上級かもしれませんね。やっぱりはじめは「好きだ」と思ったアーティストの作品を買うのが一般的です。そうすると、そのアーティストが次はどんな展覧会をするのかが気になってくる。一度買うと展覧会の案内がきたりするから、また新しい作品を見に行く。そうやって一人のアーティストを追いかける人もいます。そのアーティストが人気が出て作品の値段が高くなると、うれしいような、悲しいような。</p>

<p><strong>──買えなくなってしまうから。</strong></p>

<p>自分が持っている作品も値上がりしているだろうから、それを売れば次を買う資金になるんだけど、好きだから売りたくない。そうすると次が買えない。好きなアーティストが評価されるのはうれしいんだけど、やっぱり買えなくなるのは悲しい。というようなことはお客さんからよく聞きますね。</p>

<p><strong>──ものすごく複雑な心境ですね。</strong></p>

<p>そこがアートの面白いところですね。買ったあとに値段が上がるものって、他にないじゃないですか。一部、ウィスキーとかありますが。</p>

<p><strong>──ワインとか。</strong></p>

<p>でも飲んじゃうから（笑）。アートはずっとそこにあり続ける。もちろん値下がりすることもあるし、作家が活動をやめてしまうこともあるので、投資とみるならリスクもありますが、こんなに面白いものはないと思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1335-final.jpg">
<figcaption>オフィスビルやホテルなどの商業施設に展示するためのアート作品を依頼されることもある。「例えば、大手町にできたホテル、アマン東京には、日高理恵子、風能奈々といったアーティストの作品が展示されています」</figcaption></figure></p>

<p><strong>──オークションで名画が高額で落札されたというニュースをときどき目にしますが、売り買いされるたびに値段が上がるのは、やっぱりアートって不思議だなと思います。</strong></p>

<p>ゴッホは、生前に売れた絵は1枚だけで、値段は11万円ほどだったと言われています。それがだんだん高くなって、何億円になり、何十億円でも売れていく。それってよくわからないですよね。だけど、ゴッホという作家が歴史に残ってきたということは言えると思うんです。</p>

<p>中園孔二という1989年生まれのアーティストがいるんですが、東京芸大の卒業制作展で彼の作品を初めて見たとき、すごくいいと思いました。今までの絵にはない新しいイメージがあって、美しいだけでなく残酷さもある。「うちで展示しませんか」と声をかけて、彼が23歳のときに初めて展覧会をしました。絵を飾るだけじゃなく、植木鉢を持ち込んで土をこぼしたり、天井からテグスを吊して毛糸を巻き付け、そこに写真を飾ったり。本人が全部自分で考えて、友だちと何人かでやってきて作業をしていました。いい展覧会だった。</p>

<p><strong>──面白そう。その展示、見てみたかったです。</strong></p>

<p>今、神奈川県の横須賀美術館で彼の個展をやっているんですが、彼は3年前、25歳で亡くなってしまったんです。海の事故で。</p>

<p><strong>──そうだったんですか。</strong></p>

<p>彼は500点ほどの作品を残しました。生前に売れたものも多いですが、作品は残っている。でもそのままにしていたら中園孔二というアーティストの名前は残りません。美術館で個展を開いたり、それにあわせて画集を制作したりすることで、アーティストの名前を残すことをしていく。作品はどうしようもなく世の中に残ります。でもゴッホの例ではないですが、最終的にはその作家の名前というか、活動を残すことが大切なんです。</p>

<p><strong>──アーティストにとってギャラリストがいかに大切かを感じます。</strong></p>

<p>仕事柄、美大や芸大の卒業制作展などで若いアーティストの作品をたくさん見ることがありますが、大半は面白くないんです。その中で一人でも「こいつすごいな」というアーティストがいると、すごくうれしい。中園くんはそのようにして出会ったアーティストの一人でした。</p>

<p>アート作品って莫大なお金をかけてつくるのではなく、一人のアーティストが実際に手を動かして描くわけじゃないですか。そのアナログな作品の中に、いろんな発想が詰まっている。今は情報社会でみんなスマホばかり見ていると言われるけど、逆にリアルなものへの欲求はあると思う。撮影オーケーの美術館が増えてスマホで撮った画像が大量に流通しても、本物は一個なわけだから。リアルなものは絶対なくならない。そこがアートの面白いところだと思っています。</p>
]]>
    </content>
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    <title>決めたい商談なら、ワインボトルに詰めた最高級の日本茶はいかが？ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/08/royalbluetea.html" />
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    <published>2018-08-16T02:00:00Z</published>
    <updated>2018-08-16T02:36:47Z</updated>

    <summary>高級手摘み茶の水出し・非加熱濾過除菌という、お茶業界の常識を覆す製法で無名のブランドを世界に認めさせた起業家、吉本桂子。BNLお茶特集の最後は、お茶業界に新星のごとく現れた会社「ロイヤルブルーティージャパン」を取り上げる。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="来客には急須で日本茶" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/rbt-keiko.yoshimoto">吉本桂子</a></strong><small>ロイヤルブルーティージャパン株式会社  代表取締役社長</small>
<p>神奈川県藤沢市生まれ。共立女子大学家政学部生活美術学科卒業後、フリーのグラフィックデザイナーとして活動。2006年に高級手摘み茶を自社一貫開発・製造・販売する「ロイヤルブルーティージャパン株式会社」を佐藤節男氏と創業。非加熱濾過除菌による独自の茶抽出法を確立して商品化に成功。2007年に「ROYAL BLUE TEA」を正式に発売した。同年から3年連続でベルギー・モンドセレクション金賞を受賞。2011年より、日本航空国際線ファーストクラス全便搭載。2013年日本政策投資銀行「第2回DBJ女性起業大賞」を受賞。</p></aside></p>

<p>六本木ヒルズにほど近い、小さいが格調高い雰囲気の漂う、とあるサロン。入って正面の壁一面には、整然とワインボトルが並べられている。価格は3000円程度の手頃なものから、高いものでは60万円と幅広い。とはいえ、ワインの価格とすれば格段驚くようなものではないだろう。</p>

<p>ところが、このボトルの中身はどれもワインではない。スタッフの手によりグラスに注がれた黄金色の液体は、水出しされた日本茶だ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/royal_shop.jpg">
<figcaption>高級感が漂う、黒を基調とした店内。購入するだけでなく、奥のカウンターではワイングラスで日本茶を楽しむこともできる。</figcaption></figure></p>

<p>2006年創立のロイヤルブルーティージャパンは、「高級手摘み茶」というまったく新しいジャンルを開拓したパイオニア。天皇・皇后両陛下が臨席した2010年5月の全国植樹祭のレセプションや、同年11月のAPEC（アジア太平洋経済協力会議）でウエルカムドリンクとして採用されたり、高級飲食店や一流ホテル、国際線ファーストクラスのドリンクサービスとしても使用されたりと、唯一無二の地位を築いている。</p>

<p>また、サロンに購入に訪れるのは主にエグゼクティブクラスのビジネスパーソン。「絶対に失敗できない」商談用の贈答品としての需要も高いという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/royal_glass.jpg">
<figcaption>ブティックでは、ボトルを購入するだけでなく、実際に飲むこともできる。スタッフの男性が「こちらが一番人気です」とグラスにお茶を注いでくれた。これまで見たことのない、鮮やかで濁りのない色に胸が高鳴る。</figcaption></figure></p>

<p>代表取締役社長の吉本桂子はもともとフリーのグラフィックデザイナーという異色の経歴を持つ。企業経営も日本茶の世界も完全に素人だった彼女になぜ、この短期間でいまのようなブランドを築くことができたのか。ロイヤルブルーティーはなぜ「絶対に失敗できない」場で選ばれるのだろうか。</p>

<p>その答えは、ありていに言ってしまえば「業界の常識を覆す手法でこだわり抜いた高品質」と「徹底したブランド戦略」ということになるのだが、成功の陰にあるのはどうやらそれだけではないようだ。吉本自身が「調和の哲学」と呼ぶ、ボトルに詰めた思いに迫った。</p>

<h2>なぜ「絶対に失敗できない」場で選ばれるのか</h2>

<p>最近では日本茶を扱うビジネスが増えてきているとはいえ、1本60万円のお茶というのは聞いたことがない。普段我々が飲む一般的なお茶とはどこが違うのか。もちろん口にしてみれば香りも後味も差は歴然なのだが、その違いは何に由来するものなのだろう。</p>

<p>吉本は、①素材、②摘み方、③抽出方法の3つに徹底してこだわることで、他にはない高品質を実現していると話す。</p>

<p>「まず、素材に関しては単一茶園、単一地域のものを使います。ようやく最近では日本茶の世界でもシングルオリジンという言葉が聞かれるようになりましたが、かつてはコーヒーなどと同様、ブレンドが基本でした。私たちが取引する農家は当然、栽培に適した土地の、なおかつこだわりと手間をかけて畑を管理しているところに限る。中でも最も質が良いとされる一番茶葉に限って使用しています」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/royal_uji.jpg">
<figcaption>白木箱に入ったボトルの高級茶は、お酒が苦手な相手や、その家族への贈呈品としても好まれ、多くのビジネスパーソンが店を訪れる。</figcaption></figure></p>

<p>茶葉は、手摘みの収穫にもこだわっている。数百本、数千本の茶木から葉を手摘みするには気の遠くなるような手間がかかる。一般に飲まれているお茶が安いのは、機械摘みにすることでコストを抑えているからだ。だが、吉本に言わせれば、機械摘みではお茶本来の味は引き出せない。「茶葉は本来デリケートなものであり、機械摘みによって傷つけば、そのぶん味も劣化してしまう」。できるだけ自然に近い味を出したければ、面倒でも手摘みを徹底するしかないという。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/07/watada-chachanoma.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/IMG_0011-1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>関連記事：シングルオリジンで淹れる日本茶専門店のパイオニア。「表参道 茶茶の間」店主・和多田喜の淹れ方指南</strong></div></a></div>

<p>茶葉の抽出方法には水出しを選んだ。お湯で淹れれば早くても、吉本の採用した水出し法だと3日から7日はかかる。ここでもコストを考えれば非常識なやり方を選んでいることになるのだが、これも品質へのこだわりを追求したがため。カフェイン、カテキン、アミノ酸がお茶の3大成分と言われるが、水出しだと融点の高いカフェインは溶けにくい一方、融点の低いアミノ酸がよく溶出する。そのため、苦味を抑えつつ、うま味成分を効率よく抽出できるというわけだ。</p>

<p>と、ここまででも十分に非常識なやり方なのだが、吉本はさらなるタブーを冒している。一般に清涼飲料水をボトル詰めする際には加熱殺菌が基本だし、酸化防止のための添加物を入れる。その常識を破ったのだ。</p>

<p>「ここまでこだわりにこだわり抜いて高品質な味を維持してきたのに、添加物を入れることで純度を落としたくはないし、加熱したらお茶の成分組織が破壊されてしまう」</p>

<p>そこで加熱も添加物の使用もしない道を模索し始めた。何人もの業界関係者から「正気ですか？」、つまり、採算度外視で商売になりますか？　と言われたが、最終的に加熱せずに除菌する非加熱濾過除菌・無菌充填を採用。商品化にこぎつけた。</p>

<p>工場スタッフは決して多くなく、ラベル貼りや箱詰めも手仕事でこなすから生産量は限られる。「大量生産して儲けることよりも、お茶本来の味をどうやって届けるかに心血を注いだ結果です」と吉本は言う。</p>

<p>さらに、ロイヤルブルーティーの商品があらかじめ水出し抽出してボトル詰めしてあることには、もう一つ別の理由もある。</p>

<p>「ワインを最高の状態で味わうためにはソムリエの存在が不可欠ですよね。急須で淹れる従来のお茶の飲み方もそれは同じ。茶葉の量やお湯の温度によって味は変わってしまいます。高級なお茶だからといって、誰でも美味しく淹れられるとは限りません」</p>

<p>その点、あらかじめ完璧な状態のお茶をボトル詰めされたロイヤルブルーティーであれば、いつ、どこで、誰が注いでも味は変わらない。なおかつその味は、徹底して素材・製法にこだわり抜いた末に生まれた最高の味だ。つまり、失敗することがない。だからこそ「絶対に失敗できない」場で選ばれる。そういう理屈のようだ。
 </p>

<h2>お茶が場にもたらす「間」、間がもたらす「和」</h2>

<p>創業前、フリーのグラフィックデザイナーとして活動していた吉本は、友人に誘われ、後に共同創業者となる佐藤節男（現・代表取締役会長）が経営するティーサロンを客として訪れた。手摘みの高級烏龍茶と食事のペアリングを提供するそのサロンで、吉本は生まれて初めて、お茶でもてなすことの意味、さらにはレストランの「レスト（＝休息）」が意味するところを実感したのだという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/royal_yoshimoto.jpg">
<figcaption>お茶が持つ本当の魅力を届けたい。溢れる情熱が、お茶や飲料業界の常識を覆すほどの大胆な行動へと吉本を導いた。</figcaption></figure></p>

<p>「その時佐藤に言われたのは『吉本さんにとっての食事はこれまで、単に栄養を取るためだけの、生きるためだけの食事だった。それがドリンクがあることによって、初めて人間的な食べ方になったんだよ』ということでした。言われてみればその通りで、高級茶というドリンクがそこにあるだけで、間を取りながら、おしゃべりしながら食事を楽しんでいる自分がいたんです」</p>

<p>吉本は酒が飲めない。ゆえにこれまで、酒飲みが酒飲み同士集まる場を楽しんでいる理由も、自分だけがそこで楽しめなかった理由も分からなかったのだが、それらすべてに合点が行く気がしたという。同時に新たな疑問も浮かんだ。「世界の人口の半分は宗教的な理由も含めてお酒が飲めないのに、なぜ食中にお茶を楽しむという文化がこれまで作られてこなかったのか」と。</p>

<p>「興味を持って調べていくと、いまあるお茶の様式や所作は意外と歴史が浅く、なおかつ権力者の一声で決められてきたものでしかないこと、お茶本来の味を引き出すこととは何の関係もないことが分かってきました。一方で、そのレストランを手伝う側に回り、高級茶をサーブする経験を積む中で、高級茶を楽しんでいる人はそんな所作なんて何も気にせず、ただ純粋にお茶を楽しみたいと思っていることも分かったんです」</p>

<p>ここへきて直感的に思い至ったのが、「ひょっとしたらデザインの力によって、お茶の未来は変えられるのではないか」ということだった。</p>

<p>当時の吉本は、グラフィックデザイナーとしての自分の先行きに不安を抱いていた。グラフィックデザインという狭い世界で厳しい競争を生き抜くよりも、より大きな意味で、デザインの力で物事を変えることに貢献できないかと考え、そのモチーフを探している時期でもあった。お茶はまさにそれに当てはまるように思えた。</p>

<p>こんな原体験を持つ吉本が、ロイヤルブルーティーを通じて何より表現したいと思っているのが「間」なのだという。</p>

<p>「料理のシーンでこれまで間を担っていたのは主にお酒でした。だから私のようにお酒を飲まない人にとっては、その間が悪い。例えば料理がサーブされるタイミング。お酒を飲んでいる人にとってはちょうどいいと思えるゆっくりとした料理の間隔でも、お酒を飲まない人からすればどうしても間が空いてしまう」</p>

<p>しかし、そうした場にお酒と同じように楽しめる高級茶があれば、その場にいる全員に同じ間ができる。そのことによって全体の調和が生まれる。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/royal_menu.jpg">
<figcaption>お酒を飲めないお客さんが多いのですか？と聞くと、「いえ、お酒が好きな人だからこそ好まれます」という。美味しいものや質の高いものを好む人は、日本茶でもお酒でも同様に楽しむようだ。</figcaption></figure></p>

<p>間を整えることで場に和を生み出す－－。これこそが吉本がロイヤルブルーティーに込めた「調和の哲学」なのだという。「おそらく商談の場でも同じことが言えるでしょう」と吉本は続ける。</p>

<p>「お茶を飲みながら話を進めることで時間的な間が整うことがある。あるいは、空間的に二者の真ん中にお茶があると、それだけで話しやすくなったりすることもありますよね？」</p>

<p>異なる思惑を持った二者が一つの方向に向かうには、その場に調和がなければならない。そのために必要なのが時間、そして空間のデザインであるということ。お茶はそのための重要な役割を果たし得ると吉本は考えている。</p>

<h2>業界の調和が持続的なビジネスを可能にする</h2>

<p>ところで、ロイヤルブルーティーは創業当初から日本茶を扱うことを念頭に置いていたわけではない。ロイヤルブルーティーという社名通り、もともとは高級青茶、つまりは手摘み烏龍茶を主力商品とする構想だった。日本茶との出会いは偶然だったと言っていい。</p>

<p>水出し抽出の適切な方法を学ぶために研修会に参加した、その開催場所がたまたま日本有数のお茶どころである静岡だった。そこで知り合った関係者から様々な話を聞き、業界の実情を知れば知るほど、「このビジネスはむしろ日本茶でこそ取り組まなければならないのではないか」と思うようになったのだという。</p>

<p>「確かにペットボトルのお茶は売れています。でも、だからお茶農家が潤っているかと言えば、そうではない。コスト重視のメーカーがお茶農家から買うのは二番茶、三番茶の安い茶葉。農家が安い茶葉を売って生計を立てるには大量生産をする以外に道がありません。一方、ペットボトルのお茶が普及すれば急須でお茶を淹れる習慣が減り、高級な一番茶はむしろ売れなくなる。結果、赤字分は国からの補助金でなんとか補填しているというのがお茶農家さんの現状なのです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/yoshimoto_2.jpg">
<figcaption>ブティックの隣には、専用の茶室を完備。畳の上で正座し、ワイングラスで日本茶を飲む。これもまた、全く新しいスタイルだ。</figcaption></figure></p>

<p>ロイヤルブルーティーが高級茶にこだわるのはそこに理由がある。吉本は提携するお茶農家に「ピラミッドの頂点を狙おう」と呼びかけるのだという。</p>

<p>吉本のいうお茶業界のピラミッドは三層からなる。一番下に位置するのがペットボトルなどの「大衆茶」。真ん中に来るのが急須で淹れる「中級茶」。そして頂点に位置するのが「最高級茶（手摘み茶）」だ。</p>

<p>先ほどの吉本の話をこのピラミッドに当てはめるなら、これまでは最高級茶に当たるものが不在（あるにはあったが、表に出ていなかった。それには歴史的経緯があるという）で、中級と大衆の二層だった。それがペットボトルの普及により中級が廃れかけ、大衆茶一辺倒になりかけているのが現状ということになる。それでは大量生産できるプレーヤーだけが勝って、お茶農家は儲からない。業界は廃れ、いずれはお茶を飲むという文化そのものがなくなってしまうだろうというのが吉本の抱いた危機意識だった。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/08/BNL-History-itoen.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/itoenbnlhistory1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>関連記事：「伊藤園」を日本一へと導いた、3つの出会いの物語</strong></div></a></div>

<p>だからロイヤルブルーティーは、「最高級茶（手摘み茶）」という空席を狙うことで儲けを独占しようとしているわけではない。むしろそこが埋まって初めて、業界のピラミッド全体が伸びると考えている。つまり、ここでも吉本の頭の中にあるのは「調和」だ。</p>

<p>「いいお茶を飲むことがステータスとして見られるような文化や、お金が儲かるビジネスモデルがちゃんと成り立つという先例を作る。そうすればきっと、若い人がお茶を飲むようになったり、追随するプレーヤーが現れたりということが起こるはず。「最高級茶（手摘み茶）」がちゃんと存在することで、そうやって中級茶や大衆茶にも好影響を及ぼすことができると考えているんです」</p>

<p>逆もまたしかり、だ。大衆茶が広く普及すれば、中には「より美味しいお茶、もっと高いお茶ってどんな味なんだろう？」と考える消費者だって現れるだろう。だからこれは、どちらのビジネスが正しい・正しくないという話ではないし、既得権益を破壊しようという話でもない。作りたいのは業界全体の循環なのだと吉本は強調する。</p>

<p>「もちろん、ここまでの道のりは順風満帆だったわけではありません。むしろうまくいかないことの連続ですよ。特に2011年の震災後は日本茶の風評被害で茶葉を捨てざるを得ず、売り上げが半分に。お茶農家さん共々かなり苦しみました。でも、そこで耐えた甲斐あって、いまや茶飲料を含む日本茶業界は全体で1兆円規模の市場になりました。世界的には今後5年は125%の成長が続く市場とも言われます。だからこれは、限られたパイを奪い合うのではなく、みんなで成長していける可能性のあるビジネスだと思っているんです」</p>

<p>生産者に正しくお金が行き渡り、製造者もお金を得られ、消費者もそれを適正価格で買える。その結果、お茶業界も復活する━━。江戸時代に近江商人が説いたという、売り手よし・買い手よし・世間よしの「三方よし」の精神を体現することこそが企業理念「和醸良茶」であり、これこそが調和の哲学なのだと吉本は説く。</p>

<p>生き馬の目を抜く現代のビジネスの世界で三方よしだなんて、綺麗事だと思うだろうか。和の国の、それも日本茶の企業がそれを世界に発信しようとしているところに、ちょっとしたロマンを感じるのだが。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/shop_2.jpg">
<figcaption>大通りを挟んで、六本木ヒルズのほぼ正面に位置するブティックは、格調高い雰囲気を醸し出している。しかし中に入ると、スタッフの方が気さくに声をかけてくれ、作法を気にせず純粋に日本茶を楽しむことができる。</figcaption></figure></p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="2020001078024"></div>
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    <title>「伊藤園」を日本一へと導いた、3つの出会いの物語 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2018-08-10T01:43:00Z</published>
    <updated>2019-12-16T05:29:10Z</updated>

    <summary>世界で初めてペットボトル入り緑茶を発売した伊藤園は、この数十年で日本人のお茶の習慣を変えたといっても過言ではない。当然、世界初の挑戦には困難がつきものだが、そのプロセスで直面した課題に対して、突破のきっかけを与えたのは、社外のつながりだった。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="コラム" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<p>「出会う、が、世界を変えてきた」をテーマに、歴史を動かしたビジネスの出会いを取り上げるセクション「<a href="https://bnl.media/business-insights/bnl-history/">BNL History</a>」。</p>

<p>今回は<a href="https://bnl.media/business-insights/Nihoncha/">日本茶特集</a>に合わせて「伊藤園」を取り上げる。看板商品の「お〜いお茶」を始め、「1日分の野菜」や「充実野菜」など、自然・健康・おいしいをコンセプトに商品を作る総合飲料メーカーとして、独自の地位を築いている。全国で拡大する耕作放棄地の問題にも向き合い、ビジネス誌『フォーチュン』の「世界を変える企業50社」で2016年に日本企業最高位の18位に選出されるなど、経営面での評価も高い。</p>

<p>今年で創業52年。茶葉の流通業から始まり、缶入りの烏龍茶、ペットボトル入りの緑茶など、次々と日本初、世界初の製品化に成功してきた。その実績は以下の通りである。</p>

<p>・1972年日本初の真空パッケージ入り茶葉の製品化に成功<br>
・1979年日本初の烏龍茶の輸入代理店契約を締結<br>
・1980年世界初の缶入りウーロン茶の製品化に成功<br>
・1984年世界初の緑茶飲料「缶入り煎茶」を発明<br>
・1990年世界初のペットボトル入り緑茶の製品化に成功<br>
・2000年飲料業界初のホット専用ペットボトル入り緑茶の製品化に成功</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/07/watada-chachanoma.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/IMG_0444-400.jpg">
<div class="info"><strong>シングルオリジンで淹れる日本茶専門店のパイオニア。「表参道 茶茶の間」店主・和多田喜の淹れ方指南</strong> </div></a></div>

<p>以前、本特集で取材した「表参道 茶茶の間」の店主、和多田善も述べている通り、この数十年の間に日本人のお茶の習慣は急須からペットボトルへと様変わりしたが、こうしてみると、ほぼ伊藤園によって変わったと言っても過言ではない。</p>

<p>伊藤園を創業した本庄兄弟は、ふたりとも自動車ディーラーの営業マンだった。最初お茶に関して、ほぼ無知の状態から始めたにも関わらず、これほどの実績を積み上げてこれたのは驚異である。</p>

<p>ただ、一つひとつの経緯について調べてみると、決して創業者兄弟や社員の力だけで成し得たわけではないことがわかってきた。日本一のお茶メーカーとなった、その成功の背景にある出会いの歴史を、ひも解いてみよう。</p>

<p><figure><figcaption>Top Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/121340447@N03/34723951562/" target="_blank" rel="nofollow">tigers girl in tsukiji</a>" by naoto shinozaki (All rights reserved)</figcaption></figure></p>

<hr />

<h2>出会い1. 「伊藤園」の暖簾（のれん）を所有する問屋との出会い</h2>

<p>会社名は、創業当初から「伊藤園」だったわけではない。1966年に前身である「フロンティア製茶株式会社」が設立されていた。</p>

<p>当時、お茶は量り売りが常識だったなかで、茶葉を小分けにして包装した「パック茶」を直接スーパーマーケットや食料品店に売り込む営業スタイルを確立し、業績を伸ばしていく。でも茶葉を仕入れて販売する流通業だけでは、今後大きな成長は望めない。だからこそ、やがて自社製品にも挑戦したいと創業者兄弟は考えていた。お茶の製品を作るとなれば、やはり業界のしきたりとして「暖簾」を持っている方が有利なのは明らかだった。</p>

<p>暖簾を手に入れるチャンスは意外なところから訪れる。兄の本庄正則が巻き込まれた詐欺事件である。突然会社は、当時の金額にして約5000万円もの不良債権を抱えることになり、窮地に陥った。正則は支払いの猶予を頼むために、取引のあった東京・上野の問屋へ向かうのだが、そこの暖簾の名前こそが「伊藤園」だったのだ。</p>

<p>不良債権の問題を無事解決すると、正則はあらためて問屋の主人のもとへ赴き、200万円で暖簾を譲り受ける交渉に成功する。1969年、フロンティア製茶株式会社は、「伊藤園」として新たな一歩を踏み出した。</p>

<h2>出会い2．借金の苦境から会社を救った「烏龍茶」は、新聞のコラムがきっかけ</h2>

<p>社名を伊藤園に改め、「流通業」から「メーカー」への事業転換を図るべく、本庄兄弟は銀行から借り入れて、1974年に茶葉の生産工場と研究所を建設する。工場には最新鋭の製造機器が備えられ、研究所では日夜、緑茶の新たな価値を探る実験が行われた。その成果はすぐに現れ、伊藤園は大きく業績を伸ばす。そして、わずか5年でお茶業界のトップに登り詰めた。</p>

<p>しかし、いまだに会社には大量の借金が残っている状況だった。そんななか、1979年に弟の本庄八郎が伊藤園の飛躍的成長のきっかけとなる「烏龍茶」の国内独占販売の契約を取ってくる。</p>

<p>当時はまだ、日本で烏龍茶を飲んだことのある人は稀だった。幸運にも、いち早く味わうことができた八郎は、この中国茶に大きな可能性を見出し、茶葉を買い取る契約を交わしたことによって、その後、日本全国に烏龍茶が広まっていくことにつながるのだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/oolongtea720.jpg">
<figcaption>これほど日本で烏龍茶が普及する世界を、40年前に予想できていた人はほとんどいないはずだ。年間売上が吹っ飛ぶほどの買付け額で契約を交わしてきた本庄八郎には、その未来が最初から見えていたのかもしれない。Photo "<a href="https://www.flickr.com/photos/syntheticpanda/4366043098/" target="_blank" rel="nofollow">Noname</a>" by Brent (CC BY-NC-ND)</figcaption></figure></p>

<p>八郎と烏龍茶をつないだ出会いのきっかけは、新聞でたまたま読んだコラムだった。記事に書かれていた「ごくごくお茶を飲む"常茶"は身体にいい」という内容が妙に気になった八郎は、その執筆者の連絡先を調べて自ら会いに行く。</p>

<p>執筆者の名前は小川八重子。消費者がいつでも飲めるお茶の生産を提唱する「常茶会」を設立した人物だった。ひと通り話を聞いて帰ろうとしたところで、ふと引き止められた。</p>

<blockquote>
  <p>「本庄さん、これ、ちょっと飲んでみて！」</p>

<p>目の前に出されたのは臭いも発していない茶色く澄んだ飲み物だった。</p>

<p>「これが烏龍茶ですか？　いただきます」</p>

<p>ゴクッ、ゴクッ、ゴクッ。</p>

<p>「こ、これは、うまい！」本庄は心から叫んだ。ほうじ茶にコクをつけたような味で、日本人の味覚にも合う。しかも、その頃の日本人の食生活は洋風化が進んでいた。魚を煮たり、焼いたりしていた生活から、肉を油で炒めたり、揚げたりする料理が増えていたのである。そのため、日本では玄米茶が売れ出していた。</p>

<p>「烏龍茶のさっぱり感が合うに違いない」</p>

<p>そう確信した本庄は小川に「このお茶をぜひ買いたい」と訊ねると、小川は中国相手の貿易会社の社長を務めている夫を紹介し、その上、烏龍茶を仕入れてくれることを了承した。そこから烏龍茶を買っているうちに「烏龍茶輸入の総代理店契約をしないか」という話が本庄のもとに飛び込んできた。</p>

<p>──『伊藤園　日本一のお茶屋　そして世界のティーカンパニーへ』より抜粋</p>
</blockquote>

<p>さっそく八郎は北京へ飛んだ。そして、烏龍茶の生産地である福建省からの仕入れ販売の独占権を保有する「中国土産畜産進出口総公司」と交渉し、その場で契約を交わして帰国した。契約の内容は、初年度60トン、2年目は90トン、3年目は120トンを買い取るというもの。60トン全て買い取ると金額にして約3億円。当時の伊藤園の年間営業利益と同額だった。当然社内で反対の声は多かったのだが、兄の正則はゴーサインを出した。</p>

<p>最初はなかなか思うように売れなかった。やはり契約は間違いだったのか、会社を潰してしまうのかと不安を抱え始めていた八郎に、幸運の女神が現れる。当時人気絶頂だったデュオアイドル、ピンク・レディーのふたりが「私たちは烏龍茶を飲んで痩せました」「毎日、烏龍茶を10杯ぐらい飲んでいます」とテレビで発言したことがきっかけとなり、爆発的なヒット商品に生まれ変わったのだ。</p>

<p>ピンク・レディーの販促効果は抜群で、小売店はもちろんのこと、居酒屋や飲食店でも飛ぶように売れた。初年度に契約していた60トンではまったく足りず、最終的には5000トンも仕入れることになったという。1980年に「缶入りウーロン茶」の商品化に成功すると、ウイスキーをウーロン茶で割った「ウーロン茶割り」が居酒屋で流行り、あらゆる場所に烏龍茶が浸透していく。烏龍茶を置いていない飲食店の方が珍しいくらいに、大ヒットを記録する。</p>

<h2>出会い3. 商品名「お〜いお茶」は、コンビニの人たちと一緒に決めた</h2>

<p>実は烏龍茶の茶葉を売り始める前の1975年頃から、本庄八郎は缶入り緑茶の製品化を狙っていた。その世界初となる商品の開発を任されたのが、78年に入社した社三雄だった。入社後、茶葉製品の販売を3年ほど担当し、お茶業界全体の生産量と消費量が落ち始めていることに危機感を覚えていた社は、ある日、本庄八郎からお茶文化に革新を起こす新商品の構想を聞いて発奮した。</p>

<blockquote>
  <p>伊藤園はお茶の販売で新しい手法を次々と打ち出し、新基軸を提案していたが、まだまだお茶の世界はのれん商法が主流だった。つまり、デパートや百貨店で売られているお茶屋の商品こそ一流で、スーパーなどで売られているお茶は二流の扱いだった。社は危機感を抱いていた。そんな中、当時、副社長だった本庄八郎から打開策として、こんな新商品の提案が出された。</p>

<p>「屋外でも飲める缶入りの緑茶をつくろう！」</p>

<p>──『伊藤園　日本一のお茶屋　そして世界のティーカンパニーへ』より抜粋</p>
</blockquote>

<p>最初は焼き芋のような臭いに悩まされたり、やがてすぐに変色してしまったり、商品開発は難航した。それでも、社は諦めることなく、新製法の発明に成功し、日本初の缶入り緑茶「缶入り煎茶」が誕生する。本庄八郎の最初の構想から約10年を経た、1985年のことであった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/itoensencha.jpg">
<figcaption>1985年に世界初の緑茶飲料として発売された。しかし、売上は思うように伸びなかった。 Photo: Courtesy of Itoen</figcaption></figure></p>

<p>ところが、市場の反応は冷めていた。発売から3年経っても、残念ながら際立った売り上げの成果は見られなかったのだ。当時、お茶はタダで飲めるものという感覚が一般的で、わざわざお金を払ってまで飲みたいと思うものではなかった。しかも、「煎茶」という名前は業界内では浸透していたものの、一般の人は読み方すら怪しいくらいだったという。</p>

<p>そこで、まず商品名を見直すプロジェクトが立ち上がった。ただし、伊藤園の社員だけで構成されたものではない。とある大手コンビニエンス・ストア・チェーン本部の人たちも加わっていたのだ。</p>

<blockquote>
  <p>当時、コンビニには売れ筋商品と呼ばれる「三種の神器」があった。それは「弁当」「雑誌」「飲料」の3つだ。そのうち弁当と最も相性の良い飲料の開発が望まれていた。そのため、伊藤園と連携していたコンビニ社内でも、メーカーである伊藤園とタッグを組み、弁当とセットで販売できる飲料を是が非でも売り出したいという機運が高まっていた。</p>

<p>「まずは『煎茶』という名前を改め、消費者にも分かるようにしてもらいたい」──。あるとき、両社によるミーティングの席上、発売3年が経っても売れ行きが思わしくない『缶入り煎茶』のネーミングの再考を求められ、消費者に理解しやすいネーミングにしていこうということになった。伊藤園にとっても、もっと消費者に近付くアイデアを提案できる機会をもらうことになった。</p>

<p>（中略）</p>

<p>発案の出所は「お茶が持っているイメージは何か」という点だった。社内では「それはとても家庭的な雰囲気のものだろう」という意見が多かった。そこで同社が持っていた商標権の中からあるフレーズに白羽の矢が立った。それが「お〜いお茶」である。</p>

<p>──『伊藤園　日本一のお茶屋　そして世界のティーカンパニーへ』より抜粋</p>
</blockquote>

<p>「缶入り煎茶」を発売した翌年1986年の売り上げが約6億円。その後、4年間は微増で推移していた。それが「お〜いお茶」に変更した1989年には、一気に40億円に跳ね上がった。コンビニで弁当と一緒に買えるお茶として消費者の支持を得ることができたのが、その成功の大きな要因だったという。</p>

<p>その後、ペットボトル化にも成功し、緑茶飲料で日本一のシェアを誇る飲料メーカーとなる。だが、もしあのとき「伊藤園」の暖簾を所有する問屋と本庄正則が出会っていなかったら、本庄八郎が小川八重子氏の新聞コラムを読んで自ら会いに行ってなかったら、「缶入り煎茶」の名称を変更する提案をもらったコンビニ・チェーン本部と伊藤園がつながっていなかったら...。いまのように飲食店で当たり前のように烏龍茶を注文できたり、冷蔵庫にお茶のペットボトルが常備されていたり、コンビニや自販機で「お〜いお茶」を買うことだってできなかったかもしれない。</p>

<p>出会う、が、世界を変えたのだ。</p>

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]]>
        
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    <title>要約：『お茶の科学』━━ お茶博士が最新研究で解明する「おいしさ」の秘密 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/08/BNLBooks-VOL10.html" />
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    <published>2018-08-06T07:00:00Z</published>
    <updated>2018-08-23T06:40:13Z</updated>

    <summary>お茶研究50年の著者が語る、奥深きお茶の世界。「色・香り・味」、そして「うま味」の正体を科学的な観点からひも解く。
</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>大森正司</strong><small>大妻女子大学名誉教授</small><p>
1942年生まれ。1970年、東京農業大学大学院農学研究科農芸化学専攻博士課程修了。その後、大妻女子大学講師、助教授、教授を経て、現在は大妻女子大学名誉教授。 専門は食品科学、食品微生物学。お茶の科学的な薬効、ルーツ、伝統食品と健康に関する科学的・文化的な背景などについて50年以上にわたり多方面から調査・研究をおこなっている。そのほか、NPO法人日本茶普及協会理事長、NPO法人日本食行動科学研究所所長、お茶料理研究会事務局長、大妻女子大学「お茶大学」校長、茶需要拡大技術確立推進協議会会長も務める。</p></aside></p>

<h2>茶殻もいただく「お茶のフルコース」でおもてなし──BNL編集部の選定理由</h2>

<p>ごく普通の煎茶が、淹れ方次第でまるで玉露のような味わいになる。二煎目、三煎目でお湯の温度と淹れ方を変えれば、渋みやうま味が加わり、また違った味わいが楽しめる。</p>

<p>その詳しい方法が本書のプロローグで紹介されている。もしまだ、急須でお茶を淹れることに馴染みが薄ければ、ぜひ試してみて欲しい。きっと「お茶はこんな味だったのか！」と驚くはずだ。</p>

<p>しかしBNLお茶特集も、もう終盤。今回は応用編として、三煎目まで飲んだ後の楽しみ方に注目しよう。</p>

<blockquote>
  <p>まず、醤油を少し（好みの量）入れて食べてください。これは「茶殻のお浸し」です。次に、茶殻におかかやジャコ、ごまを入れて、さらに醤油を少し加えて混ぜると、「茶殻のごま和え」となります。これはお酒のつまみでもいけるおいしさです。</p>

<p>さらに残った茶殻に、今度は豆乳200mLとりんごジュース２００mLを加えてミキサーにかけます。すると、「茶殻スムージー」の完成です。騙されたと思って飲んでみてください。クセのない、とても飲みやすい健康ドリンクに生まれ変わります。</p>

<p>本書「はじめに〜お茶の本当のおいしさを知っていますか？〜」より抜粋</p>
</blockquote>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/07/single-origin-japanese-tea.html/"><img src="https://bnl.media/uploads/IMG_0456-1094.jpg">
<div class="info"><strong>関連記事：日本茶ソムリエが薦める、会社でのおもてなしに最適なシングルオリジン茶葉5選</strong></div></a></div>

<p>お茶は、抽出して飲むだけでなく、残った茶葉まですべて食べることができるのだ。まさに「お茶のフルコース」である。</p>

<p>さらにその魅力は、味だけではない。抽出したお茶には栄養が３割程度しか含まれておらず、食物繊維やビタミンEなど残りの７割は残った茶葉に含まれているという。つまり、茶殻まで全て食べることで、お茶の栄養を余すことなく摂り入れることができる。</p>

<p>来客時にせっかくお茶を淹れるなら、最後は茶殻の「お浸し」や「ごま和え」も加え、「お茶のフルコース」でおもてなしをしてみてはいかがだろう。「体に良いそうですよ」などと雑談も挟めば、そこでまた新しいコミュニケーションが生まれるかもしれない。</p>

<p><strong>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4065020166/">こちら</a>。（Amazon）</strong></p>

<hr />

<h2>要約者レビュー</h2>

<p>日本で、お茶は、日常の中に当たり前のように溶け込んでいる。しかし、緑茶・紅茶・ウーロン茶がどれも同じ茶樹の葉からできていることや、その歴史が5000年以上もあることなどを、知らない方も多いのではないだろうか。</p>

<p>本書には、お茶に関するありとあらゆることが書かれてある。なぜ同じ茶葉から異なる色・香り・味のお茶になるのか。製造過程にはどんな秘密が隠されているのか。お茶はどうやったらおいしく淹れられるのか。次々に、知っているとお茶をもっと楽しめる話題が登場する。そして、どれについても、なぜそうなるのか、という科学的バックグラウンドが詳しく解説されているのが本書の特長である。</p>

<p>たとえば、お茶を毎日飲むと健康に良いと、昔から言い伝えられているが、本書を読むと次のようなことが整理されている。実際に、茶葉にはビタミンやミネラル類を初め、様々な成分が含まれていることがわかっており、緑茶は「栄養の宝庫」といわれている。代表的なお茶の成分であるカテキンは、摂取後3～4時間で体から出ていってしまうため、カテキン由来の効果を持続的に得るには、こまめにお茶を飲むことが大切なのだ。</p>

<p>お茶を50年以上にわたって研究している著者は、本書の冒頭で、とっておきの緑茶の楽しみ方である、「お茶のフルコース」を紹介している。普通の煎茶が玉露のような味わいとなり、しかも茶葉を最後まで味わえるという驚きの楽しみ方だ。この方法を知るためだけでも、本書は読むべき価値があるといえるだろう。</p>

<hr />

<h2>要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> <br />
お茶には緑茶・紅茶・ウーロン茶と様々な種類があるが、どれも同じ茶樹の葉からできたものだ。製造過程の違いで、茶葉がそれぞれに変化し、異なるお茶となる。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong> <br />
お茶の歴史は古く、中国ではおよそ5400年前には飲まれていたという。西暦1600年頃にはヨーロッパで紅茶文化が花開き、やがて紅茶が世界中に普及していく。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong> <br />
お茶の味の決め手となっているのが、カテキン、アミノ酸、カフェインだ。これらは、健康にも良い作用をもたらす。</p>

<p><strong>── 要点4 ──</strong> <br />
お茶には、それぞれ正しい淹れ方がある。それを守ることで、お茶を格段に美味しく飲むことができる。</p>

<hr />

<h2>【必読ポイント!】 お茶の種類と歴史</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/ocha_2.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/toughkidcst/2834394520/">"3rd day -BoSeong Green tea farm."</a> by Byoung Wook - Toughkid Kim 김병욱(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>お茶とはなにか</h3>

<p>お茶は、世界中でもっとも多く飲まれている嗜好飲料のひとつだ。お茶には、緑茶、紅茶、ウーロン茶などがあるが、もとは同じ茶の葉からできている。茶の樹はツバキに似た植物で、植物としての表記は「チャ」、学名は「カメリア・シネンシス」という。原料は同じだが、作り方の違いで、色も味も香りもまったく異なるお茶ができあがるのだ。</p>

<p>日本でお茶といえば緑茶だが、世界においては紅茶を意味している。世界での茶の生産量の7割を紅茶が占めており、日常的に緑茶を飲む国は、主に日本・中国・ベトナム・ミャンマーに限られている。ウーロン茶は中国本土ではなく、台湾で主に飲まれている。</p>

<p>お茶を製造法により分類すると、「非発酵茶」の緑茶、「半発酵茶」のウーロン茶、「発酵茶」の紅茶、「後発酵茶」の黒茶など、というふうに4つに分けることができる。ここでの「発酵」とは、一般的な微生物による発酵とは異なり、茶葉に水や酸素が加わることで化学反応が起こることである。</p>

<p>非発酵茶である緑茶には、玉露・煎茶・番茶・ほうじ茶・抹茶・釜炒り茶と様々な種類があるが、これらは製法の違いによるものだ。たとえば玉露は、最初に収穫される一番茶を、栽培するときに一定期間太陽光を遮って育てる。そうすることで、茶葉の中で、うま味成分のアミノ酸が増え、渋味のもととなるカテキンが少なくなるのだ。</p>

<p>半発酵茶であるウーロン茶にも、品種や発酵度の違いで様々な種類がある。ウーロン茶のシェアの半分を占めるのが「水仙」、台湾茶の代表が「凍頂烏龍」、中国の福建省で作られる「鉄観音」などだ。</p>

<p>発酵茶である紅茶は、その香りに魅力がある。発酵時間を長くすると濃い色になるが香りが弱まり、発酵時間が短いと香り高くなるが薄い色になる関係にある。インドのダージリンとアッサム、中国のキームン、スリランカのウバで生産されるものが、世界四大紅茶といわれている。</p>

<h3>お茶の歴史</h3>

<p>お茶は中国の史書によると、およそ5400年前から存在していたようだ。当初は薬として重用されていたが、三国時代には飲料として飲むようになった。その後、隋の時代には広く庶民にも浸透し、栽培技術や製造法も発展していく。</p>

<p>1600年代になって、お茶はヨーロッパに渡り、紅茶が注目されるようになる。清の時代にお茶がヨーロッパへ大量に輸出されるようになると、イギリスを中心に紅茶文化が花開く。支払いに用いていた銀が底をついたイギリスは、アヘンを輸出して銀を取り戻すが、このことが発端となりアヘン戦争が勃発した。その後、戦勝国のイギリスとドイツは中国茶貿易の実権を握り、紅茶以外の中国茶は次第に衰退していった。19世紀初頭には、イギリスの支配下にあったインドのアッサム地方でも茶樹が発見され、紅茶は大量に生産されるようになった。</p>

<p>中国茶の生産は、中華人民共和国の設立以降、再び活況を呈し、台湾ではウーロン茶の生産が盛んになっていった。</p>

<p>茶樹の植物学的なルーツをたどると、チャの原木ではないかという樹が今でも中国に生息している。現在のところ世界最古といわれている茶樹は、なんと樹齢3200年だという。</p>

<p>日本の茶樹のルーツについては、もともと自生していたという説と、中国から持ち込まれたという渡来説がある。DNA解析によると、現存する日本のチャの在来種は、どれも遺伝的にはよく似ていることがわかっており、渡来説を裏付けるように思われるが、まだ両説の決着はついていない。</p>

<h3>茶葉がお茶になるまで</h3>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/tealeaves.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/satorinihon/8376829929/">"Sencha Tealeaves"</a> by Christian Kaden(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>緑茶の作り方は、次のような工程になっている。新芽を刈り取った後、摘んだ茶葉を、できるだけ早く熱い蒸気の中で蒸す。この過程は、殺青（さっせい）と呼ばれ、酵素の働きを止め、緑色を保持するためにある。そして、攪拌しながら揉んで水分を飛ばす。熱風を当てて回転させながら、葉を細く丸めて形を整えたのが荒茶となる。この荒茶をさらに乾燥させ、品質を一定になるようにブレンドさせて製品化されたのが緑茶だ。</p>

<p>紅茶は、一般的に手摘みで新芽を摘み取る。茶葉は、一晩放置して萎れさせ、水分を蒸発させる。この、萎凋（いちょう）という過程によって、茶葉が化学変化を起こし香りが高まる。この茶葉に圧をかけ、繊維をこわしながら揉むことで発酵が進む。かたまりになった茶葉をほぐし、ふるい分ける。発酵室で茶葉を広げて数時間放置した後、高温熱風で乾燥させたものが、荒茶となる。その後放熱させ、ブレンドすると紅茶となる。</p>

<p>半発酵のウーロン茶の生産工程の特徴は、摘んだ茶葉を天日干しすることと、発酵を途中で止める工程だ。この天日干しが、香気成分を高めていると考えられている。</p>

<hr />

<h2>お茶の科学</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/ocha_3.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/fablov/34725330440/">"Cold weather, warming tase"</a> by Dmitry Fablov(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>色のひみつ</h3>

<p>同じ茶樹から作られるお茶でも、緑茶は爽やかな緑色で紅茶は鮮やかな赤色である。なぜこのような違いがあるのだろうか。</p>

<p>緑茶の緑色の色素のもとは、葉緑素（クロロフィル）だ。収穫した茶葉は、酸化して変色するため、すぐに蒸すことで酸化酵素の働きを止めている。光を遮って育てる玉露の茶葉は、光合成の量を保とうとして葉のクロロフィルが増える。そのため、できあがったお茶は、玉露特有の色鮮やかな緑色となる。</p>

<p>紅茶の色のもとになっているのは、ポリフェノールの一種であるカテキンだ。カテキン自体は無色無臭だが、酸化反応によりカテキンの酸化重合物が生成されて、赤い色がつく。半発酵茶であるウーロン茶の発酵は、茶葉の組織の破壊が少ないため、酸素が少ない状態で進行する。そのため、できあがる着色物質は紅茶と異なるので、紅茶と同じ色にはならない。ウーロン茶の色は、淡い黄色から褐色に近いものまで様々ある。</p>

<h3>香りの紅茶、味の緑茶</h3>

<p>お茶の香りは、無数の香気成分が複雑に絡み合って形成される。特に紅茶の香気成分は、判明しているだけでも300種類あるが、すべて混ぜ合わせても同じ香りは生成できない。つまり、実際には、紅茶の香りにはこれ以上の多くの香気成分がかかわっているようだ。</p>

<p>一方、お茶の味を決めているのは、アミノ酸のうま味、カテキンの渋み、カフェインの苦みの3つである。これらは緑茶・紅茶・ウーロン茶のどのお茶にも含まれており、この3つの割合が異なることで、お茶による味の違いが生じてくる。</p>

<p>うま味成分であるアミノ酸が最も多いのが緑茶だ。上級茶ほどアミノ酸の含有量が多く、反対に渋みのカテキン量は少ない。紅茶の味を決めているのは、おもにカテキン類だ。これがパンチの効いた渋みや重厚な風味を形成している。</p>

<p>カテキン類は、冷水には溶けにくく熱水にはよく溶ける。このため、低めの温度のお湯で淹れた玉露や高級煎茶はうま味が際立ち、熱湯で淹れる番茶や紅茶はパンチのある渋みが強調されるのだ。カフェインは、カテキンの渋み・苦みよりも軽い苦みがある。このカフェインは熱水によく溶けるため、熱湯で淹れたお茶の一煎目に、最も多くのカフェインが含まれることになる。</p>

<hr />

<h2>お茶のおいしい淹れ方</h2>

<h3>緑茶の淹れ方</h3>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/cha_1.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/kiuko/29297283758/">"green and green tea"</a> by きうこ(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>玉露は、湯温50～60度程度のお湯で淹れると、とろりとしたうま味が味わえる。お湯を入れて蓋をして2分蒸らす。容器から容器へ移し替えると、湯温は約10度下がることを想定してコントロールするとよい。急須や茶器は、お茶が冷めないように、予め熱湯を入れてあたためておく。</p>

<p>煎茶は、70度前後のお湯で2分蒸らすとうま味や甘みが味わえ、90度前後の熱めのお湯で1分蒸らすと渋みや苦みが利いた味になる。番茶は、茶葉も湯量もたっぷり使い、熱湯で淹れると、渋みや苦みが立った爽やかな味となる。</p>

<hr />

<h2>お茶と健康</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/ocha_6.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/90664717@N00/14566789107/">"Matcha Making"</a> by Akuppa John Wigham(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>お茶は栄養の宝庫</h3>

<p>緑茶は「栄養の宝庫」と呼ばれるほど、さまざまな成分を含有している。含有量がたとえ微量でも、数多くの身体に良い成分を一杯のお茶から摂取でき、成分同士の相乗作用によって高い健康効果が期待できる。抗酸化力が高いビタミンが特に豊富で、ミネラルも多い。</p>

<p>さらに、お茶に共通して含まれ、味の決め手ともなっている、「カテキン」、アミノ酸の一種である「テアニン」、「カフェイン」の3成分は、それぞれ体によい作用をもたらす。</p>

<p>カテキンには、生体の活性酸素を消去する「抗酸化作用」があり、活性酸素が要因となる動脈硬化や細胞のガン化などの抑制効果が期待できる。また、カテキンの持つ「吸着性」は、インフルエンザウイルスの消去に効果的であることが証明されており、アレルギー症状を抑える効果も知られている。さらに糖尿病の予防効果もあるが、カテキンが体内に留まる時間は3～4時間程度のため、効果を得るためには毎日お茶をこまめに摂取することが望ましい。</p>

<p>アミノ酸の一種であるテアニンには、リラックス効果がある。さらにストレス軽減効果、血圧上昇の抑制の効果も認められている。</p>

<p>カフェインは、利尿作用や覚醒効果もある一方で、中性脂肪を分解してエネルギーを供給する機能もあるので、運動する前にお茶を飲むのもよい。</p>

<h3>進化するお茶</h3>

<p>1985年になって、缶入り緑茶が初めて実現された。実現に際しては、微量の酸素で酸化してしまうことと、加熱殺菌しようとすると香気成分が変質することが、課題となっていた。これらの課題を、10年の歳月をかけて解決して誕生したのだ。</p>

<p>1990年にはお茶のペットボトルが登場した。透明なペットボトルでは、すぐに光による劣化と酸化反応が生じてしまうが、製造方法の工夫と原材料の見直しで解決したのだ。</p>

<p>また、今では紅茶生産の80%を占めるティーバッグは、茶葉を細かくカットする製法により、短時間でも抽出できて色や味も大きく改善されたため、急速に普及した。袋もガーゼから紙、不織布、ナイロンメッシュなどに改良されていき、形状や、袋と糸の止め方の研究も進んでいる。</p>

<p>さらに、茶成分の抽出方法も多様化しており、「エスプレッソティー」が登場し、カフェインレスにしたお茶もある。</p>

<p>近年のライフスタイルの変化によって、様々なお茶の飲み方のスタイルが登場してきている。日本に「お茶の間」という言葉があるように、時代を超えてお茶はコミュニケーションの場に欠かせないものなのだ。</p>

<hr />

<h2>一読のすすめ</h2>

<p>仕事に疲れて、ちょっと休憩したいときにお茶を飲む。人々はそんな習慣を古来より続けてきた。そんな伝統的ともいえる行為に、本書は科学的にアプローチし、お茶の効能と価値を知らしめてくれる。</p>

<p>（1冊10分で読める本の要約サービス <a href="https://www.flierinc.com/">flier</a>）</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/06/BNLBooks-VOL9.html">
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<div class="info"><strong>前回のBNL Books：過酷な低賃金ビジネスはもうやめよう──『僕たちはファッションの力で世界を変える』</strong></div></a></div>
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    </content>
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    <title>ミスターセレッソ森島寛晃に訊いた、選手にとっての名刺交換の意義、エースナンバー「8」への想い - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/08/cerezo-morishima.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9093</id>

    <published>2018-08-03T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-03-23T02:48:08Z</updated>

    <summary>セレッソのエースナンバーは「8」と決まっている。森島寛晃、香川真司、清武弘嗣と続き、いまは柿谷曜一朗が継ぐ。引退後もチームに残り、偶然にも同じ名のアプリ「Eight」で名刺管理をしているという元日本代表のレジェンドが、サッカー界にとっての出会いの可能性を語る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="スポーツ" label="スポーツ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/25558189110">森島寛晃</a></strong><small>セレッソ大阪 チーム統括部 フットボールオペレーショングループ 部長</small>
<p>広島県の名門クラブ大河FCから、静岡県の東海大学第一高校（現：東海大学付属翔陽高校）へ進学。1991年に、当時JSL2部のヤンマーディーゼルサッカー部に入団。1994年には、Jリーグ入りを目指して「セレッソ大阪」を引っ張り、プロ化1年目での昇格を達成。1995年には、チームの中心として50試合に出場、11ゴールを決め、Jリーグベストイレブンに選出された。1998年と2002年には、FIFAワールドカップの日本代表メンバーとしても活躍する。2008年、13年間に渡る現役生活を引退。通算388試合113得点。2009年からは、セレッソ大阪の「アンバサダー」として広報活動を担い、15年よりチーム統括部へ。
</p></aside></p>

<p>森島寛晃といえば日本サッカー史にその名を刻んだレジェンドプレーヤーの一人だ。2002年のFIFAワールドカップ日韓大会、グループリーグ第3戦のチュニジア戦で勝利を決めるゴールを挙げ、日本を決勝トーナメントへと導いたのが森島だった。あれから16年が経過したいまなお、その献身的なプレーと鋭い得点感覚を記憶にとどめるファンは多いはずだ。</p>

<p>2008年シーズンを最後にユニフォームを脱いだ森島は、プロ18年を一筋で過ごしたクラブ・セレッソ大阪にその後も残り、新たに設けられた特別職アンバサダーに就任。3年前に現在のチーム統括部へと籍を移すまで、サッカーの普及やクラブの広報活動に勤しんできた。</p>

<p>まるで現役選手かのように日に焼けた素肌を見れば、ユニフォームをスーツに着替えたいまも、率先して汗をかくことをいとわない彼の"プレースタイル"が健在であることがよくわかる。「はじめまして。森島寛晃です。よろしくお願いします」──。短く刈り込まれた頭を深々と下げ、森島は両手で恭しく名刺を差し出した。</p>

<p>彼にとってサッカーはビジネスだから、一般のビジネスパーソンと同じように日々誰かと出会い、当たり前のように名刺を交換しているのだろう。しかし、往年の名選手から渡された一枚に普通にメールアドレスや携帯電話の番号が書いてあるのを見ると、なんとも不思議な気持ちにさせられるのも確かだ。サッカー選手にとっての名刺、そしてその先に広がるつながりにはどんな意味があるのだろうか。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_9623-final.jpg">
<figcaption>引退後は、7年間チームのアンバサダーとして活動し、多様な業界の人たちと名刺交換をしていたという。現在はチーム統括部に所属しているため、以前と比べると、サッカー関係者と会う機会の方が増えたそうだ。</figcaption></figure></p>

<h2>クラブの「顔」だからこそできること</h2>

<p>森島が在籍するチーム統括部の仕事は、平たく言えばセレッソのトップチームを強くすることだ。</p>

<p>たとえば、監督やコーチングスタッフはどんなラインナップがベストなのか。選手は今後、どんな方向に成長していけばチームにとっての戦力になるのか。あるいは、いまいる選手だけでは足りないとしたら、どんな選手を補強してくればいいのか。こうしたことを統括部のメンバーで連係して考え、次の一手を打っていく。</p>

<p>そのためには広範な情報と、それを支える幅広いネットワークが不可欠だ。たとえば的確な補強を行うには、自チームの課題、選手個々の状態を常に把握しておいて、どこを補強すればクリティカルな効果が得られるかを認識している必要があるし、一方では他チームの選手の能力やプレースタイル、現在の処遇をどう感じているか、契約状況はどうかといったこともすべて知っていなければならない。</p>

<p>選手が移籍するかどうかはピッチ内のみならず、たとえばパートナーとの関係や、子供の進学などのプライベートの状況だって関わってくるから、必要な情報は本当に多岐にわたる。もちろん、新人発掘のためにはJリーグの関係者だけではなく、大学や高校の指導者とのつながりも重要だ。</p>

<p>現在の森島の役割はどちらかというと自チームの状態を把握する方に寄っているため、多くの時間をトップチームに帯同して過ごすことになる。日々接する顔ぶれはほぼサッカー関係者に限られており、「アンバサダーを務めていた当時ほど多様な人との出会いの機会はない」という。</p>

<p>とはいえ、そんな中でも予期せぬ出会いが新たなビジネスチャンスにつながるケースはある。「たとえば遠征先で、知り合いから紹介された現地の社長さんとご飯に行く機会があります。すると中には、仕事の提案をしていただく方もいる。その話を覚えておいて、あとで営業担当者に伝えることで、実際に新しいスポンサーの獲得につながったこともあります」</p>

<p>そうした人の中には、一介の営業マンでは絶対に会えないようなレベルの人も含まれている。元日本代表、「ミスターセレッソ」と呼ばれた森島だからこそ可能な出会いというものがあるはずで、そんな森島が率先してクラブの「顔」としての役割を果たすことで、チームの強化にとどまらない利益をクラブにもたらしている。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_9508-final.jpg">
<figcaption>もしアンバサダーを始めた頃からずっとEightがあったら、多く人たちとの出会いが、いまの仕事にもつながっていたかもしれないと語る。</figcaption></figure></p>

<h2>多様なネットワークが引退後のキャリアを形づくる</h2>

<p>スポーツ選手の交友関係は、どうしてもスポーツ選手同士に偏りがちだ。そのことが彼らのセカンドキャリアの苦しさにつながっていると指摘する人もいる。</p>

<p>本来、何かの分野で飛び抜けた結果を残したアスリートには、一般社会に出ても通用するような何かしらの能力が備わっているはず。だが、それを実際に活用してうまくやっていくのには、一旦それまでの自分のキャリアとスキルを客観視し、一般社会で求められる能力へと"翻訳"する作業が必要になる。</p>

<p>ネットワークに多様性がない、あるいは一般社会との接点がなさすぎると、そうした客観視が難しい。ゆえにセカンドキャリアに苦しむことになる、というわけだ。</p>

<p>森島の場合は、引退直後に就いたアンバサダーとしての活動の中で、ネットワークの量と多様性を爆発的に広げていった。</p>

<p>「それはもう、チーム統括に移ったいまとは比べ物にならないくらいの出会いがありました。議員さんだったり、企業の社長さんだったり、地域の商店街の方たちだったり。いまはサッカー関係者との出会いが中心ですが、そうした業界の枠を超えて毎日誰かしらとお会いしていました。パーティーに呼んでいただく機会も多く、200枚、300枚と刷ってもらった名刺も1日で飛んでいきます。とてもありがたかったんですが、いつ、どこで会った人なのかを覚えておくのには本当に苦労しました」</p>

<p>セカンドキャリアといっても森島の場合は引き続きサッカーが仕事だから、こうした場で生まれた偶然のつながりは、すべて何かしらの形でサッカーへと還元された。その象徴的なものの一つに、森島が9年前から続けているモリシアカデミーという子供向けのスクール事業がある。</p>

<p>「アンバサダー時代、たまたま呼ばれてお邪魔したパーティーで、ある開業医の先生とご挨拶させていただいて。意気投合して後日ご飯に行かせていただくことになり、そのことがきっかけでアカデミーの活動を始めることになりました。以来、今日に至るまで9年間にわたってスポンサーを続けてもらっています」</p>

<p>森島が就任した当時、セレッソにはもちろん、Jリーグの他クラブにもアンバサダーと呼ばれるポジションはほとんどなく、手探りでのスタートだったという。その意味では、こうした一つひとつの出会いが前例のないアンバサダーという役割、そして森島の引退後のキャリアを形づくっていったとさえ言えるのかもしれない。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_9562-final.jpg">
<figcaption>クラブハウスの駐車場に「モリシアカデミー」の自動車が停めてあった。</figcaption></figure></p>

<h2>つながりの意識があれば、選手寿命が延びていたかも</h2>

<p>しかし、森島がこうしたピッチ外のつながりの大切さを意識し、実感しだしたのは、実は引退してからのことだった。</p>

<p>「自分が若いころは、サッカー選手なのだからピッチの中でのプレーが名刺替わりだという意識が強かったんです。でもいまになって思いますよ。あのころから違った意識を持っていたら、どんなにかいまの仕事にプラスだったろうかって」</p>

<p>クラブの「顔」である森島にしか実現できない出会いがあるのと同様、やはり現役のサッカー選手、現役のJリーガーだからこそ実現する出会いというものもある。森島ほど名前の売れた存在でさえそれを実感しているのだから、普通の選手であればなおさら、その肩書きの差は大きいのだろう。</p>

<p>サッカー選手がサッカー以外のことに精を出す、あるいは現役時代から引退後のことに頭がいっていることには、賛否両論があるかもしれない。だが、つながりがサッカー選手にもたらすのは、必ずしもセカンドキャリアに関するメリットだけではない。「そうした出会いが選手寿命を延ばすサポートになる可能性だってある」と森島はいう。どういうことだろうか。</p>

<p>「たとえばそうやって知り合った人からの紹介で、身体をケアする器具やマッサージを取り入れていたり、独自にトレーナーをつけてトレーニングしている選手もいます。もちろん、クラブが公式に提供するものはありますが、スポンサーとの絡みなどさえクリアしていれば、基本的にはそうした選択は選手の自由です。というのも、クラブに雇われているとは言っても、サッカー選手は究極的には個人事業主。自分の身は自分で守らなければならないところがあるんです」</p>

<p>振り返れば森島自身、引退を余儀なくされたのは首の痛みが原因だった。いまも体勢が悪いと痛むことがあるという。こうやって身体のケアの重要性を説くのには、「現役時代にいまのような意識があったら、もしかしたら現役生活が1年2年伸びていたかもしれない」という思いがある。サッカー選手にとって、グッドコンディションを維持することがいかに大事か。これは、BNLが過去に行ったインタビューで、同じ元日本代表の鈴木啓太も強調していたことだった。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2016/08/keita-suzuki.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_OND8569-350.jpg">
<div class="info"><strong>元サッカー日本代表・鈴木啓太CEOが語る、ビジネスアイデアを引き寄せる技術</strong>
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<p>「もっとも、最近の若い選手は自分が現役のころよりその意識がずっと強く、スポンサーパーティーでお会いした方との関係を大切にして、引退後に備えていたり、自分の身体に投資したりといったことをしているみたいです。そういう姿を見ると、時代は変わったなあと思いますし、頼もしくも感じますよね」</p>

<h2>セレッソに息づく背番号8のつながり</h2>

<p>森島は数年前から、名刺管理にEightを使いだした。「日々たくさんの人に会っていると、いつ、どこで会った人なのかを記憶するのだけでも大変なんです。名刺にメモしていた時期もあったんですが、毎日何百枚も交換しているとそれも続けるのが難しくて。その点、Eightは自動的に日時を記録してくれるから便利ですよね。アンバサダー時代にこれを知っていたらどんなにラクだったか」</p>

<p>Eight＝8は森島が現役当時、セレッソの前身であるヤンマー時代から背負い続けた思い入れの深い番号だ。背番号8はその後、香川真司、清武弘嗣というサッカーファンなら誰もが知るスタープレーヤーへと引き継がれた、セレッソにとって特別な番号でもある。</p>

<p>「ぼくはたまたまずっと8番を背負っていたというだけで。それが特別な番号になったのは、そこに価値を見出してくれたサポーターという存在、そして引き継いだ彼らのその後の活躍があってこそだと思います。彼らのおかげで、ぼくは『元8番』として、ずいぶん仕事がしやすくなっているんですよ」</p>

<p>現在その8番を背負うのは、育成年代からセレッソで育ち、サポーターの愛と期待を一身に浴びて育った、柿谷曜一朗。彼に対するコメントを求めると、「強化の立場で一人の選手に対してだけ何かを言うのは難しい」と言いつつも、森島は短い言葉に期待を込めた。</p>

<p>「8番はいまやぼくのものでも、真司や清武のものでもない。いま背負っている曜一朗の番号です。サポーターがその彼に望んでいるのは、やはりピッチで活躍して輝いている姿だと思う。彼はこれまでその思いに応えてきたし、これからもやってくれるはず。それを間近で見られるのは、ぼく自身の楽しみでもあるんです」</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="4120001034064"></div>
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    </content>
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    <title>経理にも社外の出会いを──9月7日開催「MF Expense expo 2018」に込める、主催者の想い - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/08/mf-expense-expo-2018.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9091</id>

    <published>2018-08-01T04:54:00Z</published>
    <updated>2019-12-22T16:21:12Z</updated>

    <summary>イベント特設サイトを飾るメッセージは「経理、躍動」。中小・中堅企業の経理部門にとって、いま最も必要なのは、他社の取り組みに触れられる社外の出会いの場だという。普段なかなか接する機会がない、業界の最新動向や他社の先進事例を紹介する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="EVENTS INFO" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="イベント" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/11980852035">今井義人</a></strong><small>マネーフォワード MFクラウド経費本部長</small>
<p>大学卒業後、2009年にApple Japanに入社し、チャネル戦略などを担当。12年8月、ミイル株式会社でプロダクトマネージャーとして料理写真共有アプリの開発に携わる。15年12月に株式会社マネーフォワードに参画し、翌年3月にリリースすることになる「MFクラウド経費」の立ち上げメンバーとして加わる。マーケティングやセールスプロセス構築等、サービスの立ち上げ期を支え、MFクラウド経費本部の発足時に本部長に就任。現在に至る。</p></aside></p>

<p>2018年9月7日（金）、東京・丸の内のJPタワーで、「<a href="https://mfexpense.jp?cpcode=bnl" target="_blank" rel="nofollow">MF Expense expo 2018 経理から始める働き方改革</a>」が開催される。</p>

<p>初めての開催となる「MF Expense expo 2018」は、マネーフォワードが提供するバックオフィス向け業務効率化ソリューション「MFクラウドシリーズ」の一つである、経費精算システム「MFクラウド経費」チームが主催するイベントだ。</p>

<p>MFクラウド経費本部本部長の今井義人は次のように述べる。</p>

<p>「『MFクラウド経費』がローンチして約2年半。多くの会社を訪問し、経理の方からお話を伺ったなかでの実感ですが、思った以上に、経理業務のやり方は会社によってさまざまです。業務の性質上、公にしにくい側面もありますが、『他の会社はどうしているか』を知る機会が少ないのが大きいと思います」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4739-final.jpg">
<figcaption>「経理の方がつながり、具体的なノウハウや知見をシェアでき、業務改善へ活かせる場をつくりたいと考えました」</figcaption></figure></p>

<p>例えば、経費精算を月に何回するか。ファイリングの運用ルールはどうしているのか。領収書紛失や期限遅れへの運用方針や電子帳簿保存法対応への検討可否は...。日々の業務で生じる悩みについて、「他社はどうしているか」を知りたくなるものだが、他の職種に比べ、そういった場が非常に少ないという。</p>

<p>「MF Expense expo 2018」では基調講演に加えて、8つのセッション、経理部門の方が情報交換できる交流会が用意されているが、そのうちの4つが事例に基づいたセッションだ。</p>

<p>「例えば、ウィルヘルムセン・シップス・サービスの経理部長、新田さんの講演があります。新田さんには、なぜExcelを廃止して『MFクラウド経費』を導入したのか、運用方針や結果についてお話いただくのですが、実はご解約予定となっています。この1年間で選定から導入、運用、解約まで各局面で検討したことや選択されたことを、ありのままにお話いただく予定です。自社のイベントで解約までお話するようなものは、私自身、出会ったことがなく個人的にはかなりおすすめです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4647-final.jpg">
<figcaption>プロダクトマネージャーとして、機能ヒアリングや事例取材を行っている。経理部門共通の課題や他社の運用フローを伝えると喜んでくれたという。対話してきた経験は、今回のプログラム構成にも活かされている。</figcaption></figure></p>

<p>他にも、ちょうど7月末にコーポレートカードとMFクラウド経費を連携する機能をリリースしており、紹介するセッションを2つ用意している。</p>

<p>「コーポレートカードと経費精算の連携は非常に相性がよいです。例えば海外出張だと、渡航費や宿泊費、食費等で一度に数十万円ぐらいかかることもありますよね。立替ですと従業員に負担がかかりますし、仮払いだと現金管理や精算が大変です。コーポレートカードであれば営業部門、経理部門双方の手間は削減されますが、一つひとつの明細を細かく確認する時間がなかなか取れない、というお声もいただきます」</p>

<p>コーポレートカードをテーマとしたセッションに登壇するのは、株式会社メトロール代表取締役・松橋卓司氏。メトロール社は「工業用センサ」で世界トップクラスのシェアを持つ、技術・開発力に定評のある企業だ。従業員数は約120名。世界72カ国・3000社と取引している。</p>

<p>「メトロールさんは、コーポレートカードと経費精算システムの連携による経理業務の効率化にすごく成功されている」と今井は言う。セッションではその具体的なやり方が聞けるはずだ。</p>

<p>また、近年注目を集めている電子帳簿保存法についてのセッションも予定されている。登壇するのは元国税庁職員で現在、税理士の袖山喜久造氏。その道の第一人者に依頼した理由を今井はこう語る。</p>

<p>「原本破棄によるファイリングの手間や保管コストの削減など、電子帳簿保存法への対応メリットはイメージしやすいかと思います。ただ、導入や運用フロー、効果といった情報がまだまだ少なく、何から手を付ければよいのか分からないのが経理の方の悩みの種なんですね。また、実際にやるとなれば上司やチームのメンバー、営業部門の方との調整に加え、規定を変える必要もあります。運用プロセスを変えるのってエネルギーがいりますよね。袖山先生には、なぜやるべきなのか、どうやるとスムーズなのか、逆に気を付けるべき点は何か、をざっくばらんにお話いただきたいと思っています」</p>

<p>さらに今井は、「今回のイベントでは、経理のみなさんに『社内を変える武器』を手に入れてほしい」と語る。実戦で役に立つ「武器」を届けることが「MF Expense expo 2018」の第一の目的。その先に見据えるのは「働き方改革」だ。</p>

<p>基調講演には、RPAホールディングスの高橋知道氏に登壇を依頼した。バズワード化している「RPA（ロボティクス・プロセス・オートメーション）」だが、今井は「大企業と中小・中堅企業では、RPAの活かし方は異なるはず」と語る。</p>

<p>「大企業を中心にRPAの導入が進んでいますが、失敗したプロジェクトも少なくありません。RPAホールディングスは10年前から「Biz-Robo!」というRPAサービスを提供しているさきがけ的存在です。代表の高橋さんが『今のRPAブームは加熱しすぎ。RPAはIT投資ではなく人材投資』とおっしゃっており、概論だけではない、地に足のついたお話が聞けるのではないかと思います」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4656-final.jpg">
<figcaption>より付加価値の高い業務に集中して、会社のさらなる成長に貢献したい。そのような志をもつ経理担当者の期待に応えられるプログラムを用意しているという。</figcaption></figure></p>

<p>「働き方改革」は今、多くの企業が経営課題として掲げている。経理部門にもアイデアが求められることがあるだろう。「経理主導で課題解決のためのプロジェクトがどんどん立ち上がっていく。そんなイメージを描いています」と今井は言う。</p>

<p>「フリーランスの経理部長」として活躍する、流創株式会社代表の前田康二郎氏も注目の登壇者だ。前田氏は著書『AI経理 良い合理化 最悪の自動化』の中でこんなことを書いている。「バックオフィスの体制が脆弱な会社は利益を保てない」「会社の成長を素直に喜べる経理社員がいることが組織にとって重要」。会計ソフトやクラウドサービス、FinTech、RPAなどのテクノロジーによって経理の自動化が進んでも、そこに人間がいなくなることはない。</p>

<p>「イベントのキャッチフレーズを『経理、躍動。』としました。これまで経理の方たちにお会いして感じたのは、自分たちだけでなく、どうしたら営業部門など、現場の負担も軽くできるかを考えているということです。各部門がより付加価値の高い業務に集中できる環境をつくることで、会社の成長へ貢献したい、と。そういう志に対して、僕たちはサービスで応えていきたい。そう思っています」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4703-final.jpg">
<figcaption><a href="https://mfexpense.jp?cpcode=bnl" target="_blank" rel="nofollow">イベント特設サイト</a>を開くと、真っ先に「経理、躍動。」のメッセージが掲げられている。</figcaption></figure></p>

<p>イベント参加者は数百人ほどを見込んでいる。すべてのセッションが終了したあとにはカクテルパーティーが予定されている。</p>

<p>「日ごろ交流の少ない異業種の経理同士で名刺交換をして、つながり、学びあうことで、ぜひ明日の業務の糧としていただきたい」</p>

<p>参加費は無料。貴重なこの機会、ぜひ参加してみてはいかがだろうか。</p>

<p><a href="https://mfexpense.jp?cpcode=bnl" target="_blank" rel="nofollow">【参加申し込みはイベント特設サイトより】</a></p>

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    </content>
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    <title>茶陶400年の伝統を継ぎ、フィールドを拡げて新しい形に挑む、朝日焼 十六世 松林豊斎 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/07/Matsubayashi-Housai.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9089</id>

    <published>2018-07-26T05:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:55:00Z</updated>

    <summary>抹茶盌を400年、煎茶器を150年、襲名して2年。外部デザイナーを迎えて新しい器を生み出し、それを文化として体験できるお店も作った。自らの領域を越えて新たな出会いを求め、変化を生み出したいと考えるビジネスパーソンにとって、松林豊斎の考え方はひとつの指針となる。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="来客には急須で日本茶" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="デザイン" label="デザイン" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="後継ぎ" label="後継ぎ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/29144114102">松林豊斎</a></strong><small>朝日焼 十六世</small>
<p>1980年7月、朝日焼十五世松林豊斎の長男として生まれる。2003年3月、同志社大学法学部を卒業。同年4月、日本通運(株)海運事業部に就職。04年4月、退社後、京都府立陶工訓練校にて轆轤を学ぶ。その後は父豊斎の許で修行。15年3月、英国セントアイブスのリーチポタリーにて作陶。同年10月、フランスのギメ東洋美術館にて作品展示と茶会。在仏日本大使館、在リヨン領事事務所に作品寄贈。16年6月、平等院浄土院にて朝日焼十六世松林豊斎を襲名。高円宮妃殿下より「朝日」の印を拝領する。18年6月、リーチ・ポタリーで作った茶盌が英ウェールズのカーディフ国立博物館に、パブリックコレクションとして収蔵される。</p></aside></p>

<p><strong>──いつもEightをご利用いただきありがとうございます。名刺を交換する機会は多い方ですか？</strong></p>

<p>こういう仕事をしている人が皆さんどれくらい交換しているのかはわからないですが、私は年間500枚くらいはしているので、比較的多い方だとは思います。</p>

<p><strong>──積極的に人と会うようにされているのでしょうか。</strong></p>

<p>ほとんど仕事のご縁で交換させていただく方ですね。特にこの6年間は「<a href="http://goon-project.com/" target="_blank" rel="nofollow">GO ON（ゴーオン）</a>」という活動に参加していまして、それがきっかけになることは多いです。</p>

<p><strong>──GO ONとは？</strong></p>

<p>京都で伝統工芸を受け継ぐ6人の後継者が、6年前に集まって始めたプロジェクトユニットです。伝統工芸って、わりと閉じたイメージで、ほとんどの方にとっては縁の遠いものです。そこで、もう少しオープンな形にしていけないか、いまの世の中に何か新しい価値を届ける方法はないか、と問いながら、国内外の企業やクリエイターと共に、新しいものを生み出しています。</p>

<p><strong>──例えば、これまでにどんなものを生み出してきたのでしょうか。</strong></p>

<p>これまでは海外の企業とのプロジェクトが多かったのですが、最近は国内のメーカーさんとご一緒させていただく機会も増えています。昨年パナソニックさんと一緒にやらせていただいたプロジェクトでは、ミラノサローネに出展しまして「Best Storytelling賞」を受賞しました。そういった形で伝統工芸の価値が、最近少しずつ認められてきているように感じています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/A07_ginyu-final.jpg">
<img src="/uploads/A07_ginyu-02-final.jpg">
<figcaption><strong><a href="https://panasonic.co.jp/design/goon/" target="_blank" rel="nofollow">銀釉 gin-yu</a></strong>：2017年のミラノサローネに出展し「Best Storytelling賞」を受賞した作品。銀を焼き付ける伝統技法「銀彩」の施された朝日焼の磁器が、テーブルに組み込まれたパナソニック製IHの磁力を受けて発熱することにより、玉露を淹れるのに最適な温度のお湯を用意できる。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──GO ONは最初どういうきっかけで結成されたのでしょうか。</strong></p>

<p>伝統工芸の人が海外に行って作品を発表するとき、多くの場合は商工会議所などを通して日本のブースにまとめて出展するのですが、それでは理想の見せ方がなかなか実現できないという課題がありました。そこで伝統工芸の後継者たち6人で集まって自ら発信するための方法を考えてみようということで結成したのです。茶筒を作る「<a href="http://www.kaikado.jp/japanese/index.html" target="_blank" rel="nofollow">開化堂</a>」の八木（隆裕）さんに私は誘われて参加しました。</p>

<p><strong>──朝日焼のお店に開化堂の茶筒が置いてあるのを見かけましたが、八木さんとはどういうふうに知り合ったのでしょうか。</strong></p>

<p>「茶櫃（ちゃびつ）」ってわかりますか？　いまでも旅館とかには置いてあるのですが。</p>

<p><strong>──茶器が入れてある、あの丸い木の箱のことですかね。</strong></p>

<p>そうです。昔は多くの家庭にもあったのですが、最近はほとんど見かけなくなりました。それはつまり、家の中に茶器の居場所がなくなってきたということ。ならば自分たちで新しい形を提案してみてはどうかと考えたのです。茶器を作る自分たちが、茶器の外側にもコントロールする範囲を拡げていく。それは設えであったり空間であったり、そういったものまで考えていこうということです。そのとき、茶櫃に入れる茶筒も必要となるので開化堂さんにお声がけしてみたところ、茶櫃に合わせたサイズの茶筒を特注で作ってもらえることになりまして。それが八木さんとの最初の出会いのきっかけです。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/business-insights/Nihoncha/">
<h4>特集「会社に来客があったら、自ら急須でお茶を淹れよう」</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/chaki.jpg">
<div class="info"><strong>名刺交換の場面で最高のおもてなしを。急須で淹れる日本茶の新たな価値を提案。</strong></div></a></div>

<p><strong>──開化堂が2年前に京都にオープンした「<a href="http://www.kaikado-cafe.jp/" target="_blank" rel="nofollow">開化堂カフェ</a>」にも、朝日焼の器が置いてありますよね。</strong></p>

<p>そうですね。開化堂さんは、より多くの人が、伝統工芸に触れられる場所を作りたいという思いで、お茶だけでなくコーヒーも提供するカフェを始めることになったのです。同じお茶の世界でものづくりをしてきた朝日焼も、新しいコーヒーカップを作ってみようということで、ご一緒させていただきました。</p>

<p><strong>──豊斎さんと開化堂の八木さんに共通するのは、自分の領域に閉じこもることなく、積極的に「フィールドを拡げる」という考え方ですね。</strong></p>

<p>「伝統の引力」は結構強いものでして。ちょっと変えてみたかなと思うくらいでは、すぐに引き戻されてしまって、ほとんど変わらないんです。結構思い切って遠くまで飛んでみて、やっと違うものができるという感覚です。でも、もし駄目だったら元に戻ればいいだけですから、伝統工芸は新しいことに挑戦しやすい面もあるのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1531-final2.jpg">
<figcaption>伝統工芸には〈型〉があるので、変化に振り回されることなく、時代の流れに柔軟に対応して新しい〈形〉を作っていける。いつでも立ち戻れる軸があることが強みになっているという。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──朝日焼も抹茶盌から煎茶器へ、フィールドを拡げてきた歴史があります。</strong></p>

<p><a href="http://asahiyaki.com" target="_blank" rel="nofollow">朝日焼</a>は約400年前に茶盌を作り始めました。当時、煎茶の文化はまだ存在しなかったので、基本的にお茶といえば抹茶の時代です。最初は江戸時代に活躍した茶人・小堀遠州の指導のもとで作陶していたと伝えられています。</p>

<p>しかし、その後、京都は不況に陥ります。徳川家光の時代に、政治経済の中心が江戸へ移っていくなかで、文化も続々と移っていきました。その影響を受けて、朝日焼は厳しい時代を迎えます。四世から七世までは、宇治川の高瀬舟の仕事などもしたりしながら、なんとか細々と作陶を続けていたみたいです。</p>

<p>ただ八世の時代になると、京都で煎茶の文化が興りまして、それに合わせて朝日焼は煎茶器に挑戦します。おそらく当初は抹茶盌と同じ宇治の土で作っていたのですが、やがて磁器の技術が京都に伝わりまして、それを導入します。抹茶は色が濃いので陶器が合うのですが、色の薄い煎茶はやっぱり白い磁器に入れた方が、よりおいしく感じられます。磁器の煎茶器を作るようになって朝日焼は繁栄していきます。</p>

<p>九世からは少し余裕が出てきて、再び抹茶盌も作るようになります。だいたいどちらか片方に注力するのですが、朝日焼はどちらも作っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1702-final.jpg">
<figcaption>喉を潤すためではなく、味わいを楽しむためのお茶に適した朝日焼の茶碗は、通常のものと比べて、小ぶりな作りになっている。</figcaption></figure>
<figure>
<img src="/uploads/_YOU1525-final.jpg">
<figcaption>世界遺産の「平等院」から朝日が見える方角に朝日山がある。その山の麓で作陶を始めたので「朝日焼」という名前になった。</figcaption></figure>
<figure>
<img src="/uploads/_YOU1443-final.jpg">
<figcaption>削ったり、穴を開けたり、形を整えたり。工房には朝日焼の伝統を受け継ぐ、さまざまな道具が揃っている。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──抹茶盌と煎茶器を両方作っているところは珍しいのですね。作り方も全然違うものなんですか？</strong></p>

<p>そうですね、まず陶器と磁器の違いがあるので。ただ、もっと根本にある思想も違うのです。「綺麗寂び」という表現を朝日焼ではよく使うのですが、抹茶盌は〈哲学的な美〉が求められます。一方で急須の方は〈用の美〉、つまり、シンプルで使い勝手がいいように作っていく中から生まれる美しさを大切にしています。</p>

<p><strong>──八世が抹茶盌からフィールドを拡げて、作り方も思想も異なる煎茶器に挑戦した。そのおかげで400年間も朝日焼は繁栄してきた。十六世の豊斎さんにとって、朝日焼のフィールドを拡げたと思えるような作品は、すでに何かありますか？</strong></p>

<p>それならGO ONに参加して最初に取り組んだプロジェクトで、デンマークのデザインスタジオ「<a href="http://www.oeo.dk/" target="_blank" rel="nofollow">OeO</a>」と一緒に作った器のコレクションですね。朝日焼の良さをいかに他の形で表現するか。外部の視点を取り入れた初めての試みとなりました。朝日焼の伝統からすると、最も外側にあって、そこからさらに外側には、もうしばらく行かなくていいかなと思っているくらいです。</p>

<p><strong>──その時は何を作ったのですか？</strong></p>

<p>パーティ用のトレイと花器、それからカップを作りました。デンマークらしいカラフルな色合いですが、形はカップ＆ソーサーのような欧州スタイルではなく、取っ手の付いていない「湯のみ」のような形です。</p>

<p>これまで朝日焼の茶器が興味の対象に入っていなかった方でも、少し気になって手に取ってもらいやすくなりました。いまでも結構引き合いはありまして、これがあることによって、朝日焼をより身近に感じてもらえるようにはなったかなと思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Tea_set_indigo-kopi-final.jpg">
<img src="/uploads/Harmony_Collection-kopi-final.jpg">
<figcaption><a href="http://www.oeo.dk/asahiyaki" target="_blank" rel="nofollow"><strong>The Harmony Collection</strong></a>：デンマークのデザインスタジオ「OeO」とコラボして作った器のコレクション。「朝日焼」の印が器の底ではなく、ブランドのロゴのようにして正面に入っているのがとても印象的だ。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──私が購入したSferaの急須も、外部のデザイナーと一緒に作ったものです。</strong></p>

<p>OeOとのプロジェクトで、初めて外部のデザイナーと一緒に仕事をしたわけですが、自分たちの技術と考え方をもって長年やってきたところに、異なる考え方を入れてみると、結構面白いものができるという気づきがありました。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/07/asahiyaki-x-sfera.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_YOU1607-10943.jpg">
<div class="info"><strong>来客用の会議室に置きたいBNL好みの急須は、宇治の茶陶・朝日焼とデザインスタジオ・Sferaの共作</strong></div></a></div>

<p>朝日焼の急須は、150年以上作り続けているので、もう変えようがないくらい理に適った形なんです。これを自分の中で崩そうと思っても、崩す意味がないと感じてしまうくらいでして。それなら、朝日焼をリスペクトはしてくれてはいながらも、全く違う感覚で器をデザインできる人と一緒にやれば、また新しい形が作れるのではないかということで、Sferaの眞城成男さんにお声がけしました。</p>

<p><strong>──Sferaの眞城さんとはどういう方なのですか？</strong></p>

<p>もともと現代華道家として活動されていて、それからヨーロッパでデザインの仕事に携われて、やがて日本の伝統工芸と組んでさまざまなデザインプロジェクトを手がけるようになった方なんです。イタリアのミラノにもデザインスタジオがありまして、よく両国のあいだを行き来されています。日本の伝統的な価値観を大事にしつつ、西洋のデザインの歴史を理解し、ヨーロッパではいまどういう形のものが受け入れられているのかまで、肌で把握されています。それは一緒にやらせていただく上で大きな意味がありました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1462-final2.jpg">
<figcaption><strong>【こぼれ話】いい器の基準とは？ それは説明できるもの？</strong>──「器は客観的なスペックや機能等で表現されるものではないので、誰もが理解できるものではありません。ただ結局使ってほしい人たちは、朝日焼の器を持って喜びが得られる人たちなので、言葉では説明できなくても、感覚として『やっぱりこれがいい』っていう要素がないと存在する価値はないわけで。それは理解可能なものだと思って作っています」</figcaption></figure></p>

<p><strong>──最初、眞城さんとはどこで知り合ったのですか？</strong></p>

<p>GO ONの最初の活動としてインテリアデザインの国際見本市「メゾン・エ・オブジェ・パリ」に出展した時に眞城さんと出会いました。もともとGO ONの何人かはすでにSferaと仕事をしたことがありまして、Sferaが出展しているブースに、GO ONが間借りするような形で展示をしたのですが、そこで初めてご挨拶しました。ただその時は何かを一緒に作るという話には特にならなくて、その出会いから2,3年ほど経ったころに、あらためてお声がけしたところから始まりました。</p>

<p><strong>──実際にSferaと一緒に作ってみていかがでしたか？</strong></p>

<p>旧来の急須と比べて、より多くの手間がかかるので、Sferaの茶器の方が高い値段を付けているのですが、どちらの方がよりお茶を淹れやすいかというと、やっぱり旧来の方なんです。</p>

<p>ただ、いままでの急須は心に触れるものがなかった人でも、Sferaのデザインなら手に取っていただけるかもしれない。そういう機会が積み重なって、新しいお茶の楽しみ方が広がっていき、それを楽しむ人たちを育んでいくことにつながればという思いがあります。</p>

<p>やっぱりお茶の文化は朝日焼だけで作り出したものではなくて、これまでのさまざまな歴史の積み重ねがあって培われてきたものですので、その文化の流れに単に乗っかるようにして器を作って商売をする、というだけでは宇治の窯元としては十分ではありません。何かひとつでも文化の上に新たな価値を乗せて、育んで、次の世代につなげていく。それが私たちの使命だという思いをもって、このSferaの器を作りました。</p>

<p><strong>──1年前には、さらに大きな空間へとフィールドを拡げて、shop &amp; galleryをオープンしています。</strong></p>

<p>茶器からフィールドをさらに拡張して、新しいお茶の文化を育んでいく拠点を作りたいと考えまして、朝日焼の茶器に理解のあるSferaに空間デザインをお願いしました。朝日焼の茶器を使って、宇治で採れたおいしいお茶をお淹れしています。単純に茶器を売るだけのことを考えれば無駄なスペースも多いのですが、やっぱりお茶と器、それから宇治の環境とを総合的に感じてもらえる場所にしたいということで、このような設えになりました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1517-final.jpg">
<figcaption><strong>朝日焼 shop &amp; gallery</strong>：宇治川の辺りにあり、平等院から橋を1本渡るだけの立地のため、外国人観光客も多く訪れる。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──豊斎さんはイギリスのリーチポタリーに作陶に行かれていますが、どういうきっかけで行かれることになったのでしょうか。</strong></p>

<p>そもそも私が行くことになったご縁は、約100年前に陶芸家のバーナード・リーチと濱田庄司がイギリスで窯を作ったところから始まっています。ただせっかく作った窯が壊れてしまったのです。そこで、私の曽祖父の弟にあたる松林靏之助が新しい窯作りを任されました。靏之助は日本各地の伝統的な窯を採寸して記録するという研究をしていたので、窯のスペシャリストとして知られていて、しかもちょうどイギリスに留学していたところでした。</p>

<p>リーチはとてもアーティスティックな人でしたので、弟子たちに哲学的なことは教えていたけれど、陶芸の技術はあまり教えていなかったようです。では技術は誰が教えていたかと言うと、実は靏之助だったそうなのです。</p>

<p>そうしたご縁もありまして、最初はリーチポタリーから私の父宛に作陶のお誘いが届いたのですが、そのころはすでに癌が発覚していたこともありまして、人生の残りの時間は宇治での作陶に充てたいということで、代わりに私が行かせていただくことになりました。私もいずれ朝日焼を継ぐにあたって、まだまだ自分には足りないものがあると思っていまして。いつもと違う場所で器を作るというのは、いいチャレンジの機会だと思い行ってみることにしたのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/tsunagukokoro.jpg">
<figcaption><strong>『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4898064469" target="_blank" rel="nofollow">つなぐ心、つなぐ技</a>』 朝日焼 十五世 松林豊斎・著</strong>：父親が生前に残した遺稿集。本の最後には、朝日焼を継ぐことになった十六世の思いも綴られている。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1627-final.jpg">
<figcaption><strong>十六世 松林豊斎作の茶盌</strong>：鹿の背のような斑点模様が特徴の右側の作品が、いわゆる「綺麗寂び」と呼ばれる朝日焼の伝統的な表情で、真ん中の鮮やかなブルーが印象的な作品は当世の新作だ。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──リーチポタリーでは何を作ったのですか？</strong></p>

<p>茶盌を作りました。朝日焼の看板を外しても、やっぱり自分は茶盌が作りたいことに気づいて、宇治から土を持っていって、向こうの土と混ぜ合わせてひとつの模様を作ることに挑戦したのです。実は今年その茶盌をウェールズの国立博物館が買ってくれまして、初めて私の作品がパブリックコレクションとして収蔵されました。異国の地で納得のいく茶盌が作れて、世間的な評価も得られたことで、襲名する前に自分の中でひとつ大きな自信につながった体験となりました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1498-final.jpg">
<figcaption>祖父の時代に作ったという朝日焼の登窯。火に仕上げを任せることになるため、茶盌が作品として世に出るのは毎回、焼き上がるうちの一割ほどしかない。その精度を上げていくために、温度変化や薪を入れたタイミングや本数など、すべてのプロセスを記録に残しているという。</figcaption></figure>
<figure>
<img src="/uploads/_YOU1399-final.jpg">
<figcaption>登窯の横には、前回焼いたもので、売り物にならない器が積み上げられていた。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──イギリスでは何かおもしろい出会いはありましたか？</strong></p>

<p>バーナード・リーチには弟子が大勢いるのですが、そのなかでもいちばん有名なのはマイケル・カーデューでして。カーデューは作品ももちろん有名なのですが、のちにアフリカやアメリカに渡って、各所で陶芸を教えて回ったんです。</p>

<p>リーチポタリーは坂の上にありまして、南アフリカ人の工房長と一緒に坂を登っていた時に「ちなみに何で南アフリカからイギリスに来たの？」と聞いてみたら、「自分はマイケル・カーデューに憧れていて、だから来たんだ」って言うんです。これはとても面白い出会いだなと思いました。100年前に同じ場所で靏之助がマイケル・カーデューに陶芸を教えていて、その後カーデューが南アフリカに渡って陶芸を教えた。だから、いまその人は工房長になっていて、私も靏之助がイギリスに渡ったご縁で渡英をしたので。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/atotsugi/">
<h4>特集「伝統を守り新時代を築く、後継ぎたちの果敢な挑戦」</h4>
<img src="/uploads/IMG_0566.jpg">
<div class="info"><strong>新たなアイデアのヒントは、いつだって出会いに隠されている。独自の価値を発信する後継者たちのストーリーを紹介。</strong></div></a></div>

<p>人間ひとりが動くことのインパクトは、意外と大きいなとその時にあらためて思いました。やっぱり、ひとつの文化の中に閉じこもるのではなくて、異なる文化の中に自ら入って何かを得てくれば、その後さまざまな波及につながる。歴史の積み重ねの中で振り返ると、あたかも必然のように見えますが、その時々で「よし行ってみよう！」と実際にアクションとして起こせるか起こせないか。その違いは案外大きいことを実感しました。</p>

<p><strong>──いまの豊斎さんが外部のデザイナーと一緒にやっていたから、朝日焼の後継者たちが、またどこかで影響を受けるということも、起こり得るかもしれないですよね。</strong></p>

<p>ほんと、そうなったら面白いと思いますね。外部デザイナーとのコラボも、GO ONの活動も、やるか、やらないかでは、のちに何か大きな違いが出てくるかもしれない。そういう思いがあるからこそ、新しい器に挑戦し、さまざまなプロジェクトに関わっていこうという気持ちにつながっているのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1496-final.jpg">
<figcaption>ガス窯は、直火が当たるものではないので、均一の表情が出る。小型の器や、主に煎茶器を焼くために使われているという。</figcaption></figure>
<figure>
<img src="/uploads/_YOU1494-final.jpg">
<figcaption>鮮やかな水玉模様の器が、ガス窯の側に並べられていた。</figcaption></figure>
<figure>
<img src="/uploads/_YOU1495-final.jpg">
<figcaption>その横には2種類の釉薬で色を付けた湯のみも、綺麗に焼き上がっていた。写真だとわかりにくいが、下部が黒色になっている。</figcaption></figure></p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="5130001034153"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="9130001053604"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="7130005014967"></div>
]]>
        
    </content>
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    <title>来客用の会議室に置きたいBNL好みの急須は、宇治の茶陶・朝日焼とデザインスタジオ・Sferaの共作 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/07/asahiyaki-x-sfera.html" />
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    <published>2018-07-24T04:00:00Z</published>
    <updated>2018-07-24T05:40:18Z</updated>

    <summary>玉露の名産地・宇治で、150年以上に渡って煎茶器を作ってきた茶陶「朝日焼」が、京都とミラノにデザインスタジオを構える「Sfera」と共に作った急須を紹介。オフィスで来客へのおもてなしにお薦めしたい。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="コラム" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="来客には急須で日本茶" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>お茶特集のための資料として読んでいた雑誌に、この急須が紹介されていた。</p>

<p>取っ手の付いていないシンプルな構造。色は急須にしては珍しいブラック。きっとこのデザインなら、会社の会議室でも映えるに違いない。そう思って購入した。</p>

<p>以後3ヶ月間、会社で使ってみた感想は、日本茶特集の案内記事に書いた通りである。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/07/featuring-nihoncha.html/">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/chaki.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>BNLで日本茶特集：会社に来客があったら「自ら急須で淹れる」が最先端のおもてなし</strong></div></a></div>

<p>制作したのは、京都・宇治の茶陶「<a href="http://asahiyaki.com/" target="_blank" rel="nofollow">朝日焼</a>」。ただデザインは、京都とミラノに拠点を構えるデザインスタジオ「<a href="http://www.ricordi-sfera.com/" target="_blank" rel="nofollow">Sfera（スフェラ）</a>」が手がけている。</p>

<p>なぜ伝統工芸が外部のデザイナーと組んだのか。どのようなこだわりが込められているのか。その答えを求めて、朝日焼のお店と工房を訪ねた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1669-final2.jpg">
<figcaption>宇治川の側道を歩いていくと、これが「朝日焼 shop &amp; gallery」だとすぐにわかる、ひときわ存在感のある建物が視界に入ってくる。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1675-final.jpg">
<figcaption>入り口の看板には英語の表記も。時期によっては8割のお客様が外国人という日もあるそうだ。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1688-final8.jpg">
<figcaption>瓦の屋根には、風情のある「朝日焼」の看板が。昔から家にあったものをはめてみたら、ちょうどいい大きさだったという。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1583-final2.jpg">
<figcaption>店舗の内装に合わせてSferaがデザインしたお盆の上には、看板コレクションである「河濱清器」の茶器と、京都・開化堂の茶筒が並べられている。</figcaption></figure></p>

<h3>「亭主茶」の慣わし</h3>

<p>ひと通り店内と茶器の撮影が終わると、2年前に襲名した「朝日焼十六世 松林豊斎」の弟であり、朝日焼のブランドマネージャーを務める松林俊幸さんが、自らお茶を淹れてくれた。</p>

<p>もともと千利休の時代から、主人が自ら淹れることが当たり前の文化がお茶の世界にはある。もし仮に千利休の茶席に呼ばれたとして、利休以外の人が淹れる、なんてことはあり得ないわけだ。こだわりの茶器で主人が自ら淹れる。その茶道の文化は煎茶にも継承されていて、特に京都の朝日焼ユーザーのあいだでは浸透している。</p>

<p>オフィスでもお茶汲みを部下に任せるのではなく、日本茶は最高のおもてなしの道具だと考え、朝日焼のようなこだわりの茶器を揃えて、自ら淹れることをお勧めしたい。</p>

<h3>最大の特長は「穴」</h3>

<p>朝日焼の最大の特長は、注ぎ口に向けて空けられた直径約1.5mm、150個以上の茶漉しの穴である。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/44576_3.jpg">
<figcaption>一般的な急須は、注ぎ口に近い上部にしか穴が空いていないものが多いが、朝日焼の場合は下の方まで空いているため、急須の底にたまりやすいお茶もすべて出し切ることができる。</figcaption></figure></p>

<p>もしかすると個人の作家なら、一点により多くの時間をかけて作ることで制作可能かもしれないが、量産を基本とする工房の仕事で、これほど高い精度の穴を作れるところは他にない、と松林俊幸さんは語る。</p>

<p>「宇治の茶葉は、いわゆる浅蒸しのものが多いため、ゆっくりと茶葉が開いていきます。低い温度でじっくり時間をかけてお茶を浸出し、それを茶碗に最後の一滴まですべて出し切ることが大事なので、このように小さな穴が多く必要になります。穴だけでなく、これほどまでに手間をかけて作る急須は、宇治のような高級茶の産地でない限り、なかなか生まれ得なかったでしょう」</p>

<h3>工房で作るコレクション「河濱清器」</h3>

<p>旧来の朝日焼の急須は150年以上の歴史があるが、工房で作るコレクション「河濱清器」は、先代の時に始めたものだ。</p>

<p>「世の中で急須があまり使われなくなった。もっと急須を普及させるためには、工房でも作るべきではないかと考えたのです。それで父の代の時に、工房の職人たちが作る煎茶器のコレクションとして、『河濱清器』を発売しました」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1410-final.jpg">
<figcaption>工房にお邪魔してみると、職人さんが、ろくろの上で「河濱清器しぼり出し」を作っている最中だった。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1414-final.jpg">
<figcaption>「しぼり出し」とは、茶漉しの穴の代わりに茶葉自体がフィルターとなってお茶を注ぐことができる急須である。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1407-final.jpg">
<figcaption>茶葉によってお茶の出やすさは変わってくる。そこで淹れるスピードをコントロールできるように、蓋はピタッと閉まるのでなく、少し動かすことのできる余裕をみて制作されている。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1436-final.jpg">
<figcaption>急須と比べるとシンプルな作りなので、より手頃な価格で購入できるのも魅力だ。</figcaption></figure></p>

<h2>Sferaのこだわりは「蓋のつまみ」</h2>

<p>先々代も先代も、さまざまな形の器に挑戦してきたが、急須だけはほとんど形を変えずに作ってきた。ほぼ理想的な型に仕上がっていて、なかなか形を変えられるものではなかったからだ。そんななか朝日焼の工房は、デザインスタジオ「Sfera」と組んで、新しい形の急須を作ることに挑戦した。あらためて、その急須を観察してみよう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1659-final.jpg">
<figcaption>商品名は「宝瓶 atmosphere 黒釉」。定価は3万2400円。セットの茶碗も数点購入すれば4万円を超える。ただ、それだけの価値はある。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1695-final.jpg">
<figcaption>旧来の「河濱清器」と並べてみると、注ぎ口の形まで違うことが確認できる。</figcaption></figure></p>

<p>「特にSferaさんが着目したのは、蓋のつまみの部分です。持ち上げやすいという機能よりも、お茶を淹れる時に抑えやすいことの方を優先してデザインしています。Sferaさんの作品の特徴でもあるラインの柔らかさも、とても綺麗に出ています。旧来のものと比べると、場所を選ばず、より現代の生活にも溶け込みやすい急須に仕上がりました」</p>

<p>最後に朝日焼の工房として、今後どういったことに挑みたいかと訊いてみた。</p>

<p>「煎茶器を作り始めた八代長兵衛の頃は、6色のカラーバリエーションを一式として作っていました。現在は工房で作る『河濱清器』は青磁色のみに限定しています。お茶に合う色が青磁ということで一色のみの展開です。一番最近のコレクションのSferaの茶器は色数を少し増やしましたが、スタンダードなコレクションでもカラーバリエーションを増やしていきたいですね」</p>

<p><figure><img src="/uploads/_YOU1684-final.jpg">
<figcaption>もともと「河濱清器」という名前は、朝日焼の工房の門柱に掲げられていた名前だった。「濱」は「近くで」という意味で、「川の近くで清い器を作りたい」というスローガンのような意味合いが含まれているという。</figcaption></figure></p>

<p>さらに、中国茶の影響を受けた小さな急須や、平急須など、茶葉に合わせて使い分けることもできる、より専門的な形の急須にも挑戦してみたいという。</p>

<p>「平急須は、茶葉に触れる面積が広いので、一煎目はよりおいしくお茶が出せます。ただ茶葉が動きやすいので、二煎目、三煎目では、えぐ味が出やすくなってしまいます。でも例えば茎茶なら、煎を重ねるというよりは一煎目のウエイトが大きいので平急須が向いています。茶葉と急須の相性をもっと専門的に極めていきたいので、急須の形の種類は増やしたいと考えています」</p>

<p>ちなみに平急須は、本特集で取材したブレケル・オスカルや「茶茶の間」の和多田善も愛用している。彼らはシングルオリジンの茶葉には、平急須が最適だと勧めていた。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/07/Oskar-Brekell.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/IMG_0343-1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>名刺交換をしたら、急須でお茶を淹れてみよう──ブレケル・オスカルが「嗜好品としての日本茶」をご案内</strong></div></a></div>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/07/watada-chachanoma.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/IMG_0011-1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>シングルオリジンで淹れる日本茶専門店のパイオニア。「表参道 茶茶の間」店主・和多田喜の淹れ方指南</strong></div></a></div>

<p>今後の朝日焼のさらなる進化に期待したい。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU1691-final.jpg">
<figcaption>お店の奥には、茶盌も並べられていて、さらにお店の奥に行くと茶室がある。ここでは毎月、朝日焼の茶器を使ったお茶のワークショップ「急須の手習い」が催されるほか、不定期でトークイベントや音楽会なども行われている。</figcaption></figure></p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="5130001034153"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="9130001053604"></div>
]]>
        
    </content>
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    <title>日本茶のおもてなしを、その道のプロに学ぶ──名産地に構える「星野リゾート　界 遠州」より - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2018-07-18T04:00:00Z</published>
    <updated>2018-07-18T04:45:13Z</updated>

    <summary>国内外でリゾートや温泉旅館を展開する「星野リゾート」の中に、日本茶に特化したサービスを行う施設がある。おもてなしのプロは、どのような方法でお茶の魅力を引き出し、来客の心を満たすのか。BNL日本茶特集、おもてなし編は「星野リゾート　界 遠州」からお届けする。

</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
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        <category term="来客には急須で日本茶" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h2>非日常空間でお茶のおもてなし</h2>

<p>訪れたのは、日本を代表するお茶処のひとつ、静岡、遠州。舘山寺温泉に位置する「星野リゾート　界 遠州」では、その土地や季節の魅力を取り入れた独自のおもてなしとして、お茶を取り入れたサービスを提供している。</p>

<p>「非日常の空間へとお進みください」。そう案内され、真っ直ぐに続く細い通路を進む。ほんのりと、茶葉を燻した清々しい香りがした。この先に広がる世界に胸が高鳴る。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/hoshino_1.jpg">
<figcaption>ロビーへと抜ける通路は、非日常感たっぷり。でもそれでいて、どこかホッとした気持ちにもさせてくれる。</figcaption></figure></p>

<p>ロビーのソファーに座るとすぐに「お疲れでしょうから、ゆっくりなさってください」と、ウェルカムドリンクが運ばれる。涼しげなグラスに注がれた冷たい日本茶には、地元の三ヶ日みかんを使ったサブレが添えられていた。</p>

<p>さっそくお茶に手を伸ばす。独特の甘みと爽やかさが口いっぱいに広がり、乾いた喉を潤してくれた。一口飲めば、たとえお茶に詳しくない人でも、それがペットボトルから注がれたものではないことがわかる、特別な味。</p>

<p>「静岡の天竜川上流で採れる天竜というお茶です。渋みが弱く、さっぱりとして飲みやすいのが特徴です。三ヶ日みかんのサブレとの相性も良いので、ぜひ一緒に召し上がってください」</p>

<p>こう話してくれたのは、サービスチームマネージャーの竹野晋平さんだ。その日の気温に合わせたお茶に、地元の特産物を使ったお菓子。竹野さんの穏やかな口調にも、おもてなしの心がうかがえる。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/hoshino_2.jpg">
<figcaption>薄く色づいた冷たいお茶は、その見た目から想像するより、しっかりと味を感じることができる。到着直後の疲れた体を癒してくれた。</figcaption></figure></p>

<p>竹野さんは無類のお茶好きだ。多くの人にお茶の持つ味わいやおいしさを再発見してもらいたいと、同社の他の施設から「界 遠州」への異動を希望し、いまに至る。</p>

<p>全国15箇所に展開する「星野リゾート　界」は、地域の特色と四季の美しさを意識したサービスが特徴の温泉旅館ブランドだ。その土地、その季節でしか出会えない日本の魅力を「ご当地楽」のおもてなしを通して感じることができる。</p>

<p>ここ「界 遠州」では「美茶楽」と呼び、日本茶をテーマにさまざまなサービスを提供している。</p>

<p>「この施設で働くスタッフは皆、お茶の魅力に取り憑かれた、お茶好きばかりです。普段から急須を愛用しているスタッフが多く、新茶の季節はスタッフみんなで茶園に見学に行きます」</p>

<p>お茶を飲む習慣がついてから何が変わったかを聞くと、「生活にメリハリがつくようになった」という。朝、昼、晩とお茶を選び、急須で淹れる時間を設けることで、心身ともにリセットしやすくなったのだという。</p>

<h2>ゴクゴク飲むより、旨味を楽しむ</h2>

<p>さっそく「美茶楽」の体験をさせてもらう。まずは煎茶から。</p>

<p>「煎茶を淹れる時のポイントは3つ。葉の量、お湯の温度、待ち時間です。この３つを大切にするだけで、格段に味が変わります」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/hoshino_3.jpg">
<figcaption>奥から、煎茶、碾茶、抹茶と並ぶ。全て「おくみどり」という一番茶で、碾茶や玉露にすることもできる貴重な品種。高級茶である碾茶は黒い布や藁で太陽の光を遮り、じっくり育てることで独特の風味が生まれる。</figcaption></figure></p>

<p>茶葉は一人分で2g（ティースプーン１杯分）、お湯の適温は70度。お湯は器を移すごとに温度が約10度下がるから、熱い場合は湯冷ましに移す。温度が下がったら、茶葉を入れた急須に移し、1分間蒸らす。</p>

<p>一口飲んで、その香りと味に驚いた。「お茶って本当はこんな味なの？」「すごく爽やかでいい香り！」と声が上がる。普段、ペットボトルで飲むお茶とは、まるで別の飲み物だ。「お茶は本来、ゴクゴク飲むというよりも、旨味を味わうものなんです」</p>

<p>お茶の世界は奥深い。水が違えば味も変わるし、その茶葉が育った土地の土の特徴もお茶の味に出る。一番茶と二番茶でも大きく旨味が異なるし、急須の内側の網の部分に金具を使っているか否かで雑味が出てしまうような繊細さも持ち合わせているという。</p>

<p>次に、2018年夏限定の「美茶楽」も体験させてもらった。氷水を使って抹茶を点て、冷たい抹茶を嗜む「氷点抹茶体験」だ。ガラスの器を使い、冷たい水を注いで点てる。最後に氷を静かに落としたら、作法は気にせずに味わう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/hoshino_4.jpg">
<figcaption>「今日は作法を気にせず、好きなように飲んでください」と竹野さん。茶碗は「界 遠州」のオリジナルで、「遠州綿紬」の柄を再現している。</figcaption></figure></p>

<p>抹茶は食べるお茶とも言われる。通常は栄養分の７割が茶葉に残るが、抹茶は石臼でお茶の葉を粉々にするため全てを摂取することができる。だから非常に栄養価が高いのだ。</p>

<p>「抹茶と茶筅さえ揃えば、あとは何でも代用がききます。茶碗がなければご飯茶碗、茶杓もスプーンで大丈夫。抹茶というと敷居が高そうに感じますが、気軽に楽しめるんですよ」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/hoshino_5.jpg">
<figcaption>氷水でじっくり時間をかけて出したお茶は、旨味が凝縮されている。自宅で水出しをする場合は、1ℓ程度のボトルに水と茶葉を入れて一晩置くと良い。茶葉の割合は、100ccに対して2g。</figcaption></figure></p>

<h2>「待つ時間」で客人を知る</h2>

<p>お茶を取り入れたおもてなしがなぜ良いのか、その理由を聞いた。</p>

<p>「急須を暖める。お湯を適温まで冷ます。茶葉を蒸らす。おいしいお茶を飲むまでの手順の中には、必ずこうした『待つ時間』があります。この時間がとても大切です。楽しみにお茶を待つ間に、何気ない会話が生まれるからです」</p>

<p>さらにこう続ける。</p>

<p>「私たちがおもてなしで最も大事にしているのは、一歩先のサービスです。お客さまに言われてから動くのではなく、お客様が大切にされていることや、まだ気づいていないニーズを知り、先回りしてサービスを提供する。ですから、お茶を待つ時間の何気ない会話や振る舞いの中でいかにお客さまを洞察できるかが、おもてなしの質を大きく変えるのです」</p>

<p>おもてなしの心を知るうえで、ひとつの例え話をしてくれた。千利休と豊臣秀吉の「朝顔の茶室」という逸話だ。</p>

<p>秀吉は利休の屋敷の庭に毎年咲き乱れる、美しい朝顔を楽しみにしていた。例年通りきれいな朝顔が咲いたある年、利休は秀吉を茶会に誘う。楽しみに屋敷を訪れた秀吉だが、見る限りどこにも花が咲いていない。秀吉は、おかしいと思いながら茶室をくぐる。するとそこに、たった一輪の美しい朝顔が飾られていた。</p>

<p>「利休は、他の朝顔を全て摘み取ってしまうことで、一輪の美しさを際立たせました。その美しさに秀吉がいたく感動したのは言うまでもありません。相手のニーズを先回りし、期待以上のサービスを提供する姿勢を、私たちも意識しています」</p>

<p>来客にお茶を淹れるおもてなしは、美味しいお茶を楽しんでもらうだけでなく、一歩先のサービスを提供するための効果的な手段にもなる。</p>

<p>「お茶にはリラックス効果があります。待つ時間に心を休めるということも含め、淹れている間も、飲んでいる時も、心を安定させるのです。そういう意味では、みんなが忙しい時代だからこそ、お茶は我々の生活に必要なものなのかもしれません」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/hoshino_6.jpg">
<figcaption>ポタポタと少しずつ落ちる水が氷で冷やされ、時間をかけてお茶を出す。飲んでみると、なんとなくとろみを感じられるような濃厚な旨味と甘味が口いっぱいに広がった。</figcaption></figure></p>

<h2>甘み、渋み、苦み。お茶は変幻自在</h2>

<p>竹野さんの話は、お茶へのさらなる好奇心を誘う。これもまた、おもてなしの心が成せる技なのかもしれない。例えば、お茶は水の温度によって味が激変するという話。</p>

<p>お湯の温度を下げれば甘みが強調される。「氷出し」などとも言われる冷たいお茶は、トゲトゲした渋みや苦みがない。実際に飲んでみると、甘い出汁にも似た味がした。</p>

<p>逆に80度、90度とお湯の温度を上げると、渋みや苦みが強くなる。最も甘み・渋み・苦みのバランスが良いのは、70度のお湯で淹れたお茶だという。</p>

<p>お茶の主要な成分は、カテキン、カフェイン、テアニン。味で分けると、カフェインが苦み、カテキンが渋み、テアニンが甘みだ。低い温度のお湯で入れたお茶は甘みが強くなり、カフェインやカテキンが抑えられる。もちろん個人差はあるが、熱いお茶を飲むよりも、睡眠への影響が少なくなるといわれている。逆に朝の眠気覚ましには熱いお湯で茶葉も多めにするといい。</p>

<p>「先ほどウェルカムドリンクでお出ししたのは、さっぱりとした甘みを感じる、冷たいお茶ではありませんでしたか？　ご到着した時は疲れていらっしゃるかもしれませんので、濃くて渋いお茶よりも、冷たいお水で入れた、後味のすっきりするお茶をお出ししています」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/hoshino_9.jpg">
<figcaption>富士山の梺の土と浜松周辺の土とでは、採れる茶葉の味が全然違うという。こうした茶葉の個性を知るのも、お茶の楽しみ方のひとつだ。</figcaption></figure></p>

<p>お茶の苦みや甘みをどう選ぶかは、一緒に出す茶菓子との相性も大事だ。例えば羊羹のような甘さの強い茶菓子の場合は、80度くらいのお湯で渋みを立たせて、茶菓子の甘みを引き立てるような飲み方がおすすめだ。</p>

<h2>ひと手間に「人となり」があらわれる</h2>

<p>日々のビジネスのシーンの来客時でも、お茶を活用することはできるのだろうか。</p>

<p>「来客があるときは、目の前でお茶を淹れて、待つ時間も飲む時間も同じように過ごすと良いと思います。おいしいお茶は、話も膨らむものですよ」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/hoshino_7.jpg">
<figcaption>一煎目、二煎目、三煎目と、味の違いを感じるのも楽しい。来客との会話のきっかけにもなるという。</figcaption></figure></p>

<p>お茶を淹れる作業には、ある程度の手間がかかる。その手間の中に、淹れる人の「人となり」があらわれるという。ビジネスのシーンで一杯のお茶に対して細部にまでこだわる姿勢は、相手に対する心遣いとなって伝わる。</p>

<p>「今日の来客は年配の方だから、少し渋めの方がいいかな」「若い方だからすっきりしたお茶の方が喜ばれるかな」「歩いていらっしゃるから、すっきりした味のお茶を水出ししよう」。そんなふうに、相手に合わせてお茶を選び分けるのも楽しい。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/hoshino_8.jpg">
<figcaption>最近になって生まれ故郷の奈良県においしいお茶があることを発見したという竹野さん。ご当地お茶を探して飲んでみるのもまた、お茶の楽しさだという。</figcaption></figure></p>

<p>「日本全国で約50品種のお茶があると言われています。静岡県内だけでも、山側、平野部、富士山寄り、浜松寄りとでは、土が違うので、採れるお茶の味も大きく異なります。いろいろなお茶に触れて自分の好みを見つけ、相手に合わせてお出しするのもいいですね」</p>

<p>静岡の茶畑は山なりに作られていて機械が入りにくい。人の手で選別しながら摘むため、効率は悪いがその分、茶葉の状態を見ながら選別できる。この手間が静岡のお茶のおいしさにつながっている。</p>

<p>例えばそんな話を、一杯のお茶と一緒に楽しむことができれば、緊張感のあるビジネスの場でも、空気が和むかもしれない。お茶は、自分なりのおもてなしの心を表現するのに、もってこいのツールである。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/hoshino10.jpg">
<figcaption>到着時、夜、朝、と時間に合わせてお茶と茶菓子を楽しむことができる茶処カウンターとリビングを設えた新客室。茶葉に合わせた茶器、お湯を沸かす南部鉄器にもこだわりが詰まっている。</figcaption></figure></p>

<p>竹野さんのおもてなしは最後まで抜かりなく、帰りも車から見えなくなるまで手を振る姿が印象に残った。また来よう、素直にそう思う。</p>

<p>ひと手間を惜しまず、相手に合わせて自分でお茶を淹れることで「また会いたい」と思ってもらえる、おもてなし。さっそく次の来客時に取り入れて、相手の印象に残る出会いにつなげてみてはいかがだろうか。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/07/single-origin-japanese-tea.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/IMG_0456-1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>日本茶ソムリエが薦める、会社でのおもてなしに最適なシングルオリジン茶葉5選</strong></div></a></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="5100001008688"></div>
]]>
        
    </content>
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    <title>日本茶ソムリエが薦める、会社でのおもてなしに最適なシングルオリジン茶葉5選 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2018-07-12T00:00:00Z</published>
    <updated>2018-07-13T03:44:23Z</updated>

    <summary>「表参道 茶茶の間」では、13年前からシングルオリジンの茶葉を開拓してきた。お店で販売している30種類以上の品揃えの中から、会社の来客にお薦めの茶葉を、店主の和多田喜に厳選してもらった。まるでワインの表現のような「味わいの解説文」とともに紹介しよう。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="来客には急須で日本茶" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>おいしいお茶はどうして決まるのか。</p>

<p>日本茶ソムリエ・和多田喜によると、それは気候条件、土地条件、そして生産者の技術であり、なかでも最も差が出るのは「誰がつくったのか」だという。</p>

<blockquote>
  <p>優秀な生産家は、気候条件から土地の形状まで計算に入れて、土地を開墾して茶樹を育てていきます。だから、そんな生産家が住む土地には、その場所にしかないおいしいお茶が存在しているのです。</p>

<p>『日本茶ソムリエ和多田喜の今日からお茶をおいしく楽しむ本』（二見書房）</p>
</blockquote>

<p>オフィスの来客のために淹れる「おもてなしのお茶」は、茶葉にもこだわり、味わいの違いを活かして、相手や状況に応じて選ぶと喜ばれるだろう。</p>

<p>そこで、13年前から自ら日本全国の生産家を一軒ずつ訪ねて、現在、最高品質の茶葉37種類をお店に揃えている和多田に、今回のBNLの企画のために、5つの茶葉を厳選してもらった。それぞれの味の特徴を表す解説文を添えて紹介しよう。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/07/watada-chachanoma.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/IMG_0011-500.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>シングルオリジンで淹れる日本茶専門店のパイオニア。「表参道 茶茶の間」店主・和多田喜の淹れ方指南</strong></div></a></div>

<h2>夏の暑い日には、爽やかな香りが引き立つ「青い鳥」</h2>

<p><img src="/uploads/IMG_0499-720.jpg"></p>

<p>品種：蒼風<br>
産地：静岡市葵区<br>
採取：手摘み<br></p>

<p>2002年に品種登録された「蒼風」という新しい品種のお茶です。</p>

<p>香りのよい日本茶を目指して改良された品種ですが、茎が硬く、お茶として上手に仕上げるのが難しいものでした。その味と難しさゆえに茶匠の築地さんが職人心をくすぐられ、苗木から栽培を始めて4年。ようやく製品として届けることができました。幼木であるがゆえの甘さ、若さを感じるお茶です。</p>

<p>今年の青い鳥の特徴は、繊細な茶葉のやわらかな甘みです。冬の厳しい寒さによって茶葉の中に蓄えられた砂糖を思わせるような品のあるうまみと、夏のはじまりを思わせるようなしっとりとした艷のある香りがします。奥にのびるような甘みのあとからチリチリとした渋み、身体の奥から鼻に抜けるような若草を思わせる甘く柔らかな風味が楽しめます。茶葉からは甘くこんもりとした甘い香りの中からすっと抜ける爽やかな香りがします。</p>

<p>煎を重ねると甘味は落ち着いて、青い鳥らしいすっきりとした味わいに冴えのある香りが引き立ってきます。渋みは感じないのですがやさしい収斂味が口の中を包み込みます。</p>

<p>飲み終わった後には息をするたびに喉の奥から甘い香りが湧き上がります。飲んでいて心地が良いお茶です。青い鳥の品種、蒼風の爽やかな香りを味わえます。</p>

<p>「青い鳥」は<a href="http://chachanoma-shop.jp/SHOP/0301-0038.html" target="_blank" rel="nofollow">オンラインショップ</a>でも販売しています。（記事公開時は在庫あり）</p>

<h2>午後の来客には洋菓子やフルーツとの相性がいい「菫菜色」</h2>

<p><img src="/uploads/IMG_0491-720.jpg"></p>

<p>品種：蒼風<br>
産地：静岡市葵区<br>
採取：ハサミ</p>

<p>青い鳥と同じ品種で、静岡の中でも古いお茶の産地、足久保のお茶です。生産家が異なるだけで、風味は変わってきます。</p>

<p>足久保川沿いの急峻な斜面に広がる茶畑で、経験豊かな生産者さんが育てたお茶を香り高く仕上げました。ちょうど茶摘みの季節に茶畑の横で咲く菫のような爽やかな印象があるのでこの名前にしました。</p>

<p>蒼風の品種特徴である爽やかな香りと、お茶らしい味わいが楽しめるお茶です。同じ品種の「青い鳥」と比べると少しメンソール感がある穏やかな香り、摘み取り方法の違いによる味わいの違いが感じられます。蒼風の抜けるような香りは茶葉が開いてきてからひろがり、すこしワイルドでしっかりとした渋みが感じられる味わいです。</p>

<p>お茶の味わいの奥からすっと爽やかな香りが出てきて、余韻とともに抜けていくような感覚です。「青い鳥」よりも少し濃厚なお茶らしい味わい、すっきりめの香りを楽しむことができます。</p>

<p>器の中では甘い香りが立ち込めていますが、ひとたび口に含むと抜けるような爽やかな風味になり、最後にはさっぱりとした渋みが残ります。舌をなでるような渋みが心地よいお茶です。最後まで茶葉を開いていくと華やかな香りがパッと出てきます。</p>

<p>洋菓子との相性がとてもよく、フルーツともあわせてお楽しみください。</p>

<p>こちらは新商品のため現在店舗販売のみ対応しています。</p>

<h2>女性の来客には、甘みがのった香り高い「咲耶」</h2>

<p><img src="/uploads/IMG_0508-720.jpg"></p>

<p>品種：香駿<br>
産地：浜松市天竜区<br>
採取：手摘み<br>
製法：蒸し</p>

<p>天竜で作られたお茶はしっかりとした後味と残香があります。</p>

<p>天竜川の支流、水窪川の川霧が立ち込める急斜面でつくられた香駿は、香りを引き立たせる製茶法で仕上げることで、甘みがのった香り高いお茶になりました。</p>

<p>無農薬で育てることで得られる澄んだ香り、香駿という品種に由来するフローラルな香り、そして天竜という土地によって与えられる奥行きのある太い香りが、茶葉の中で一つになり、とても心地よく響きます。</p>

<p>香りが特徴ですが、味のバランスも良く、さまざまな淹れ方で楽しむことができるお茶です。熱湯で淹れても、冷茶、すすり茶でもどの淹れ方でも楽しめます。煎を重ねることで変化する香りもお楽しみください。</p>

<p>「咲耶」は<a href="http://chachanoma-shop.jp/SHOP/0301-0007.html" target="_blank" rel="nofollow">オンラインショップ</a>でも販売しています。（記事公開時は在庫あり）</p>

<h2>年配の方には、奥深い香りと濃い味わいが特徴の「和」</h2>

<p><img src="/uploads/IMG_0538-720.jpg"></p>

<p>品種：和<br>
産地：静岡市葵区<br>
採取：ハサミ<br>
製法：蒸し</p>

<p>安倍川の上流にある、山の中に広がる土地で作られたお茶です。</p>

<p>このお茶は在来でありながら非常にバランスがよく、ほっこりとした味わいと複雑に変化する奥深い香りをお楽しみいただけます。在来とは、特定の品種をさす名前ではなく、昔ながらの種から茶畑をつくる農法で作られたお茶の総称です。最近は接ぎ木をして品種を統一して畑を作ることが一般的になり、希少なお茶になってしまいました。種を蒔いて作るため、一本一本が異なった特徴を持つチャの木になり、また接ぎ木とは異なり根が土の奥まで伸びるため、土地の味わいを感じさせてくれるお茶になります。このお茶は、在来でありながら非常にバランスがよく、ほっこりとした味わいと複雑に変化する奥深い香りをお楽しみいただけます。お茶の味わいがしっかりと出るので、濃いめのお茶がお好きな方にもおすすめです。</p>

<p>一般的な品種、やぶきたにはない味わいがあります。一本一本特性の異なる茶葉をまとめて仕上げるため味にばらつきがでやすいのですが、茶匠望月さんが絶妙の蒸し加減と製茶で在来とは思えない、まとまったお茶に作り上げられています。やぶきたと飲み比べると、その魅力がよりわかりやすいでしょう。</p>

<p>「和」は<a href="http://chachanoma-shop.jp/SHOP/0301-0029.html" target="_blank" rel="nofollow">オンラインショップ</a>でも販売しています。（記事公開時は在庫あり）</p>

<h2>特に大切なお客様には、オスカルも感動した味。最高級の「秋津島」</h2>

<p><img src="/uploads/IMG_0549-720.jpg"></p>

<p>品種：やぶきた<br>
産地：静岡市葵区<br>
採取：手摘み<br>
製法：蒸し</p>

<p>茶茶の間が自信をもってお勧めする一杯。迷ったときはこれ。</p>

<p>日本茶の生産量の７０％を占める「やぶきた」。普段飲まれているお茶のほとんどがやぶきた種です。そのやぶきたを突き詰めたらどこまでおいしくなるのか、茶匠、築地さんが挑んだお茶が秋津島になります。</p>

<p>茶葉によい環境を求め静岡の山奥、標高800mの高地で栽培されました。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=DFl3mLWcGt0
<figcaption>山の上にある秋津島の農地の風景を、上空から撮影した動画。</figcaption></figure></p>

<p>しっかりとしたお茶の渋み、またそれを優しく包み込むような深い甘み。そして最後に茶畑の香りが口のなかに広がるような清々しい残香。全て今までに知っているお茶の味や香りであるのに、洗練された上質な味わいを楽しめます。自然と人とが作りあげた奇跡のようなお茶です。</p>

<p>特に一煎めでは口に含んだ瞬間に渋みと甘みが体を駆け抜け、香りは喉の奥から立ち上がり、お茶に包まれるような幸せな時間が訪れます。</p>

<p>「秋津島」は<a href="http://chachanoma-shop.jp/SHOP/0301-0001.html" target="_blank" rel="nofollow">オンラインショップ</a>でも販売しています。（記事公開時は在庫あり）</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>シングルオリジンで淹れる日本茶専門店のパイオニア。「表参道 茶茶の間」店主・和多田喜の淹れ方指南 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/07/watada-chachanoma.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9075</id>

    <published>2018-07-10T00:00:00Z</published>
    <updated>2018-07-13T03:44:56Z</updated>

    <summary>日本茶特集の導入編として取材したブレケル・オスカルが「日本茶の師匠」と慕うのが、日本茶ソムリエの和多田喜である。13年前から経営するカフェにて、オフィスでの来客時にお薦めの淹れ方を教えてもらった。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="来客には急須で日本茶" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="飲食" label="飲食" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>日本茶特集の導入として取材したブレケル・オスカルは、かつて本当においしいお茶を探し求めて来日した時、最終的に辿り着いたのが日本茶専門カフェ「表参道 茶茶の間」だった。そこの店主であり、オスカルが「日本茶の師匠」と慕う和多田喜を訪ね、ビジネスの出会いの場にふさわしい淹れ方を教わった。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/07/Oskar-Brekell.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/IMG_0343-500.jpg">
<div class="info"><strong>名刺交換をしたら、急須でお茶を淹れてみよう──ブレケル・オスカルが「嗜好品としての日本茶」を案内</strong></div></a></div>

<h2>会議室で「畑」を再現する</h2>

<p>状況設定としては、会社の会議室でカジュアルにビジネスの話をする時に、「おもてなし」として担当者自らが、来客に対してお茶を淹れるというもの。営業やビジネスの真剣な交渉の場というよりは、まずは名刺交換をして、互いにアイデアを交換しながら何か一緒にできることはないか話し合う場を想定している。</p>

<p>その状況に合わせて、最適な茶器や茶葉を選んでくれた。</p>

<p>「私のお店で扱っている茶葉は『シングルオリジン』でして、ひとつの畑・ひとつの品種のものになります。なかでも、今回は会議室なので、特に畑の香りや風味を強く感じられるものを選びました」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0026-720.jpg">
<figcaption>訪問客に対して、迎える会社側の代表者が自らお茶を淹れるという設定にて、茶器とお薦めの茶葉をご用意いただいた。</figcaption></figure></p>

<p>茶葉は、摘まれたあと丁寧に揉みながら乾燥されている。お茶を淹れるというのは、いわばそのプロセスを巻き戻していく行為である。熱湯で一気に戻すこともできるが、温度を調整しながら三煎続けて浸出することで、少しずつ葉っぱを乾燥する前の状態まで巻き戻していく。そうすると、茶葉のより繊細な味わいを楽しめるという。</p>

<p>「お茶をいれることによって、どこにいても畑の環境を再現できて、山の中にいるような気分になれる。そういった特別な時間と空間を共有することで、少しずつ互いの距離も近づいていけると思います」</p>

<h2>一煎目は氷水でじっくり</h2>

<p>訪問客に最初に提供する一煎目は、氷水を用意して、茶葉の旨味と甘みをじっくりと浸出する。</p>

<p>2人前で茶葉は約8g。40ccの氷水で3分間ほど待つ必要がある。いきなり本題に入るのではなく、アイスブレイクをして場が和ませるには、ちょうどいい時間だ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0051-720.jpg">
<figcaption>最初は湯冷ましで氷水を作り、急須に茶葉がひたひたになるくらいまで注ぐ。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0072-720.jpg">
<figcaption>蓋は開けておくと、茶葉が少しずつ黄緑色に変化していくのが確認できる。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0093-720.jpg">
<figcaption>お茶はいったん別の器に全て注ぐことで均一の濃さにする。あらかじめ茶碗はお湯で温めておく。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0100-720.jpg">
<figcaption>氷水で浸出したお茶を、温めておいた茶碗に注ぐことで、少し温める。最初は二煎目用に用意している茶碗へ。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0107-720.jpg">
<figcaption>そして、一煎目の茶碗へ。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0113-720.jpg">
<figcaption>一煎目はこれくらい少量でも、茶葉の旨味が凝縮した濃厚な味わいなので十分満足できた。</figcaption></figure></p>

<h2>二煎目は熱湯で素早く</h2>

<p>会話を進めていると、途中で少し違う方向へ展開したいと思う時がある。それが二煎目を淹れる合図となる。</p>

<p>今回は一煎目の2倍にあたる80ccのお湯を注ぐ。すでに茶葉は開いている状態なので、すぐに茶碗に注ごう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0121-720.jpg">
<figcaption>まずは湯冷ましへ90度以上の熱湯を注ぐ。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0125-720.jpg">
<figcaption>湯冷ましから、すぐに急須へ注ぐ。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0135-720.jpg">
<figcaption>さらに、時間をおかずに急須から茶海へ注ぐ。もし茶海の用意がなければ、湯冷ましに戻すのでも問題ない。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0142-720.jpg">
<figcaption>そして二煎目のために用意してある茶碗へ。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0149-720.jpg">
<figcaption>二煎目を淹れた後は、茶葉がだいぶ開いているのが確認できる。急須の中に「茶畑が見えてくる」と和多田さんは表現する。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0160-720.jpg">
<figcaption>一煎目は「人の手によって加工された味わい」であり、茶葉にかかわるすべての人の原点ともいえる技術の賜物である。一方、二煎目は茶葉が開き、畑の状態に戻っていくので、「茶畑がどれだけ丹精込めて作られているか」が味の違いに表れるという。</figcaption></figure></p>

<h2>三煎目は氷とお湯の融合技</h2>

<p>三煎目は一気に茶葉が開き、摘みたての状態に戻る。そうすると、畑の「テロワール」、つまり生育環境を楽しめるようになる。</p>

<p>ただ、どうしても茶葉が開いてくると渋みも出てきてしまう。そこで、氷を使って冷やすことで、渋みを抑える効果を狙う。</p>

<p>2人分は、50ccのお湯を注いだ茶葉の上に50gの氷を置く。そして1分ほど浸出する。</p>

<p>「本当は水と氷だけでもおいしいのですが、今回は香りがより引き立つように、お湯と氷を組み合わせています」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0170-720.jpg">
<figcaption>二煎目と同様にお湯を湯冷ましから注ぐ。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0192-720.jpg">
<figcaption>茶葉の上に氷を並べて、蓋を開けたまま1分ほど待つ。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0200-720.jpg">
<figcaption>茶海にも氷を入れておく。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0224-720.jpg">
<figcaption>氷をこぼさないようにそっと茶海に注ぐ。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0238-720.jpg">
<figcaption>三煎目に用いるのは冷酒用のグラス。ここにもあらかじめ氷を入れておく。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0410-720.jpg">
<figcaption>会議室で三煎淹れる時にも、このように淹れ方に応じて3種類の茶碗・グラスを用意しておくことを薦められた。相手が飲み終わるまで待たなくても、次を淹れることができ、また飲み比べて味の違いを楽しむこともできるからだ。</figcaption></figure></p>

<h2>シングルオリジンは歴史的に新しい</h2>

<p>今回紹介した淹れ方は、日本茶の歴史においてもまだ新しい「シングルオリジン」の茶葉と向き合うなかで、和多田さんが自ら辿りついた方法である。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/07/single-origin-japanese-tea.html">
<h4>シングルオリジン茶葉の紹介</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/IMG_0456-500.jpg">
<div class="info"><strong>「表参道 茶茶の間」の日本茶ソムリエが薦める、会社でのおもてなしに最適なシングルオリジン茶葉5選</strong> </div></a></div>

<p>これまでは、市場に安定して供給するために茶葉はブレンドされたものが主流だった。でも近年ペットボトルのお茶が普及したことによって、急須で淹れる茶葉の売り上げは落ちている。</p>

<p>「ペットボトルのお茶を買ってきたほうが手軽でおいしく、わざわざ日常用に茶葉を買う必要がなくなったからです。そのおかげで職場でも"お茶汲み"の仕事はなくなり、来客用の冷蔵庫にペットボトルが常備されるところが増えています」</p>

<p>今回のBNLのお茶特集は、まさにそうした社会状況に応じて企画したものである。これまでのような安定した味のブレンドされた茶葉を選んで急須で淹れても、普段飲んでいるペットボトルのお茶と大差なく、味の変化を楽しむことはできない。それぞれ味や香りに特徴のあるシングルオリジンの茶葉なら、訪問客へのおもてなしとして急須で淹れるお茶にもお薦めだという。</p>

<p><img src="/uploads/IMG_0444-720.jpg">
<aside><strong>和多田喜</strong><small>「茶茶の間」店主／日本茶ソムリエ</small>
<p>1978年、東京都生まれ。日本茶ソムリエ。2005年に東京・表参道に日本茶専門のカフェ「茶茶の間」をオープン。以来、彼の淹れるお茶に魅せられた人々の口コミなどによって人気が高まり、各メディアから多くの取材を受ける。良質な茶葉を選び抜く天性のセンスと、固定概念にとらわれない自由な発想で、日本茶の魅力を広く伝え続けている。
</p></aside></p>

<h2>お茶の価値の再発見</h2>

<p>「もうこのお店を13年間やっていますけれど、始めの頃は『お茶なんか...』って何回言われたかわかりません。テレビや雑誌でお店が取り上げられて、スイーツだけがクローズアップされてそれを目当てのお客様がいらっしゃると、お茶がセットになっているメニューを見て『お茶なんか飲みたくない。家でタダで飲めるし』って言われたりもしていました」</p>

<p>でも、最近状況が変わってきたのを実感しているという。</p>

<p>「この4・5年で日本茶目当ての注文が増えています。特にここ1・2年は、むしろ『シングルオリジンのお茶を楽しみにして来ました』と仰って来ていただけるお客様が増えました。理由を伺ってみると『急須で淹れた日本茶を飲んだことがない』と仰る方が多いのです。そもそも急須がないご家庭も増えているようです。だから家でお茶を飲みたくても飲めない。お茶を飲みたかったらペットボトルを買うしかない。ペットボトルのお茶はおいしい。ならば、飲んだことのない急須で淹れたお茶はもっとおいしいに違いない。というのが最近のお客様のイメージなんじゃないかと思います」</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/07/featuring-nihoncha.html/">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/chaki.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>BNLで日本茶特集：会社に来客があったら「自ら急須で淹れる」が最先端のおもてなし</strong></div></a></div>

<p><figure>
<img src="/uploads/watadasan-book.jpg">
<figcaption>2009年に出版した著書『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4576091034" target="_blank" rel="nofollow">日本茶ソムリエ・和多田喜の今日からお茶をおいしく楽しむ本</a>』（二見書房）には、和多田流のおいしく淹れるための基礎知識が豊富に載っている。 書影／BNL</figcaption></figure></p>

<p>ここ数年、シングルオリジンのコーヒー専門店や、「Bean to Bar」チョコレートの専門店など、嗜好品に対する意識が高まるなか、急須で淹れた日常のお茶が家庭から消えたことで、あらためて急須で淹れられた日本茶の価値が高まってきている。特に日常的に触れる機会がなかった、いまの若い世代にとって、急須で淹れたお茶は憧れを抱くような対象になっているのだ。</p>

<p>そして、その感覚に応えられるのが、まさにシングルオリジンの日本茶であるといえる。いままで日本人が慣れ親しんだお茶とは少し違う、飲めば山や茶畑を感じられる、そんな新たなお茶の体験をさせてくれる新しい飲み物といえるだろう。</p>

<p>13年前から始めて、今日まで先導を切って開拓してきたシングルオリジンのお茶に、ようやく共感を集まり、注目されるようになってきた。</p>

<p>きっとお茶の歴史に新たな1ページを加えることになるであろう新しい文化が、この表参道エリアの一角から始まっていた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0571-720.jpg">
<figcaption>表参道のメインストリートから一本入った閑静な住宅街の一角にある「<a href="http://chachanoma.com/" target="_blank" rel="nofollow">表参道 茶茶の間</a>」。</figcaption></figure></p>
]]>
        
    </content>
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    <title>名刺交換をしたら、急須でお茶を淹れてみよう──ブレケル・オスカルが「嗜好品としての日本茶」をご案内 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/07/Oskar-Brekell.html" />
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    <published>2018-07-05T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-03-23T02:54:25Z</updated>

    <summary>お茶に魅了されてスウェーデンから移住し、日本茶インストラクターの資格を取得。こだわりの茶器とシングルオリジンの茶葉を携え、嗜好品としての新しい魅力を国内外に発信している。そんな、青い目の日本茶伝道師がお茶を淹れながら語る、BNL日本茶特集の導入編。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="来客には急須で日本茶" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>ブレケル・オスカル</strong><small>日本茶インストラクター</small>
<p>1985年スウェーデン生まれ。18歳で日本茶に魅了され、その後日本茶の専門家を志す。ルンド大学日本語学科を経て岐阜大学に留学。卒業後、日本の企業に就職。外国人として初めて、手揉み茶の教師補の資格も持つ。世界緑茶協会「CHAllenge」賞受賞。2018年日本茶ブランド「Oscar Brekell's Tea Selection」発売。国内外での日本茶講習会やセミナーを通じ、日本茶の普及をめざす。著書に『僕が恋した日本茶のこと』『ゼロから分かる！日本茶の楽しみ方』。</p></aside></p>

<p>「東京中の日本茶カフェをめぐって出合えなかったら、諦めようと思っていました」</p>

<p>日本茶を仕事にしたい──その一心でスウェーデンから日本へ留学したブレケル・オスカル。高校生で初めて煎茶を飲んだ時に感じた日本茶の可能性、その奥深さ。「日本に行けばもっと多様で豊かな日本茶の世界が広がっているはず」と期待したが、目の前にあったのは意外にも平板な世界だった。いろんな産地のお茶を飲んでみたが、おいしくはあっても、どれも似たような味や香りだったのだ。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/07/featuring-nihoncha.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/chaki-500.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>日本茶特集がはじまる。会社に来客があったら「自ら急須で淹れる」が最先端のおもてなし</strong></div></a></div>

<p>帰国まで残り数週間になった時、2日間の予定で東京へ。そこで1軒の日本茶カフェを訪れる。表参道にある「茶茶の間」。そこには、シングルオリジン（単一産地、単一品種）の茶葉がずらりと並んでいた。</p>

<p>「ひとつ頼んで口にしたら、今まで飲んできたお茶はなんだったんだろうと思うぐらいに、すばらしいおいしさだったんです。うまみが非常に濃く、独特の香りがある。その余韻が長く残る。二煎目、三煎目もおいしく、変化が楽しめる。まさに『感動の一杯』でした。あのような喜びはなかなか味わえるものではありません。自分の選択は間違っていなかったと確信しました」</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/07/watada-chachanoma.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/IMG_0011-500.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>シングルオリジンで淹れる日本茶専門店の先駆け。「表参道 茶茶の間」店主・和多田喜の淹れ方指南</strong></div></a></div>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0102-720.jpg">
<figcaption>岐阜大学に留学していた頃は拙い日本語しか話せなかったそうだが、いまではとても流暢に話す。</figcaption></figure></p>

<p>オスカルは2013年に再び来日。会社勤めも経験したが、その時に感じたことがある。</p>

<p>「いろんな訪問先にうかがうんですが、日本だからきっと日本茶が出るんじゃないかなと期待するわけですね。ですが、打ち合わせの場で出されるのはコーヒーやミネラルウォーターなんです」</p>

<p>なぜ日本なのに日本茶ではないの？ 日本は日本茶というとてもユニークなお茶を作っている国なのに。オスカルさんはそんなシンプルな思いを抱く。</p>

<p>昔はどの会社にも「お茶汲み」という仕事があったものだが、最近は急須でお茶を淹れるところはあまり見かけなくなった。コーヒーの流行や、男女雇用機会均等法、ペットボトル飲料の普及など、さまざまな複合的な要因が考えられるが、そんな時代だからこそ「わざわざ急須で淹れたお茶」は、いま最高のおもてなしになる。</p>

<p>「会議や来客の場で上手に日本茶を淹れるとインパクトがあるのではないでしょうか。それがまたいいビジネスにつながるのではないかと思います」</p>

<p>急須で淹れるメリットは、茶葉がもつ甘みとうまみ、香りを十分に引き出せることにある。百聞は一見にしかず。実際にお茶を淹れてもらった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0040-720.jpg">
<figcaption>「SAKURA SPRING」の説明文。1930年代に日本茶の代表的な品種「やぶきた」から育種された「靜-7132」の茶葉が入っている。香料や桜葉を混ぜているわけではないのに、桜の香りの成分「クマリン」が豊富に含まれているため、芳しい桜葉の香りが楽しめる。</figcaption></figure></p>

<p>オスカルが選んだ茶葉は、自ら立ち上げた日本茶ブランド「Oscar Brekell's Tea Selection」のラインナップのうち「SAKURA SPRING」という煎茶だ。パックを開けて嗅いでみると、ほんのりと花のような香りがする。</p>

<p>「自然に桜の香りのするお茶なんです」</p>

<p>急須に茶さじ2杯分の茶葉を淹れる。水道水を沸騰させてから、70〜80度くらいに冷ます。</p>

<h2>冷茶のうまみ</h2>

<p>準備をしながら、ふとオスカルはこう言った。「ほんとはね、冷水だとすごくおいしいんです」。</p>

<p>冷たい水でお茶を淹れるということだ。</p>

<p>「冷水だと、うまみと甘みだけを凝縮して引き出すことができるんです。ゴクゴク飲むための水出し緑茶とはまた違うのですが。ちょっとやってみましょうか」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0069-720.jpg">
<figcaption>茶葉を動かさないように、少しずつ水を注ぎ入れることもおいしく淹れるコツだという。</figcaption></figure></p>

<p>熱湯の代わりにとってきた冷水を急須に注ぐ。少しずつ、茶葉が浸る程度になったら手を止める。なみなみとは注がない。</p>

<p>「お茶の葉が水分を吸収するのをじっくりと待ちます。見た目も変わっていきますよ」</p>

<p>3分ほど待つ間に急須の中をのぞきこむと、針のようにシュッと伸びていた「SAKURA SPRING」が、水分を吸って少しずつほどけていく。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0074-720.jpg">
<figcaption>オスカルがつかう急須は「平型急須」と呼ばれるものだ。その名のとおり底が平らになっているので、茶葉を均一に広げることができ、水出しにも適している。</figcaption></figure></p>

<p>「いいお茶は、宝石のようにつやがあるんです」</p>

<p>私たちが普段目にするお茶の葉は、もう少し細かく砕かれていることが多い。それはなぜかと問うと、深蒸し煎茶（深蒸し茶）を扱うお店が多いからだという。</p>

<p>日本茶の中でもっとも一般的な煎茶は、摘んだばかりの生葉を蒸し、それを揉みながら乾燥させて作られる。蒸すことによって酸化酵素の働きを止め、青々とした新鮮な色と香りを保つ。それが紅茶やウーロン茶などの発酵茶とのいちばんの違いだ。</p>

<p>「高度経済成長期に『深蒸し』の製法が開発されました。普通の煎茶の蒸し時間が数秒ほどのところ、深蒸し煎茶は倍以上を超え、1分以上まで長く蒸すお茶もあるんです。そうすると、やわらかい味のお茶を作ることができるんですね。もともとは、台地など日当たりが良すぎる茶畑でとれる、肉厚で少し苦みの強い生葉をおいしいお茶にするために工夫されたと言われています。ただし、長く蒸す分、かたちが崩れやすく、香りが失われやすい。煎茶のほうが産地や品種の特徴が味わえますが、深蒸し煎茶には『毎日のお茶』としての良さがあります」</p>

<p>話をうかがっているうちに、急須のお茶が注ぎごろになる。</p>

<p>「少ししか出ないので、ケチと思われるかもしれませんが」と冗談を言いながら、人数分の茶碗に注ぎ分ける。</p>

<p>「最後の一滴まで注ぎきって......」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0126-720.jpg">
<img src="/uploads/IMG_0144-720.jpg">
<figcaption>わずかな量だが、この中に茶葉のうまみが凝縮されているので、これで十分満足できる。</figcaption></figure></p>

<p>冷水で淹れた「SAKURA SPRING」は、それまでに飲んだどんな日本茶とも違っていた。芳醇な香りと、こっくりとした濃い味わい。「わあ、すごい」「桜餅みたいだ」と声が上がる。</p>

<p>「香料はまったく入っていません。これが品種の力です。ワインだとブドウの品種に注目しますよね。お茶も同じなんです」</p>

<h2>蓋を開けると芳しい香りが広がる</h2>

<p>おもてなしの場面でぜひ使ってほしいのが「蓋置き」だ。</p>

<p>「せっかくのお茶の時間なのですから、美しさや上品さにも気を配りたいですよね」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0081-720.jpg">
<figcaption>蓋を開ければ、無機質な会議室に葉っぱの香りが広がり、初対面の緊張感を和らげる効果もある。</figcaption></figure></p>

<p>蓋置きを使うのには機能的な理由もある。冷水で淹れた「SAKURA SPRING」をいただいたあと、オスカルは二煎目を今度はお湯で淹れた。二煎目は、一煎目とは別のお茶ではないかと思うほど、味わいに変化があった。</p>

<p>「一煎目はうまみと甘みを濃く引き出しましたが、二煎目は渋みと苦み、甘み、うまみのバランスがよくとれたお茶になっていると思います。香りも先ほどよりわかりやすくありませんか？」</p>

<p>二煎目を楽しむあいだ、オスカルさんは蓋を急須に戻さず、蓋置きの上に置いていた。注いだ後の急須に蓋をしたままだと、中の茶殻が熱で蒸れてしまい、次に淹れるときに苦みや渋みが強く出てしまう。</p>

<p>「蓋を開けて熱を逃がしてやると、三煎目、四煎目も雑味が出にくくなります」</p>

<p>たかが蓋置きと侮れない。オスカルさんが三煎目を少し熱めのお湯で淹れる。上品な苦みとさわやかな渋みが広がる。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0148-720.jpg">
<figcaption>一見すると「外国人が日本のお茶を再発見した」と思われるかもしれないが、決してそうではない。これまでの日本茶の歴史にはなかった、全く新しい文化が花開こうとしているのだ。</figcaption></figure></p>

<p>「効率よく打ち合わせしなければいけないときもあると思いますが、そうした中でも一言、みなさんと会うことを楽しみにこのお茶を選んだんですよということを伝えると、場の雰囲気がよくなるのではないでしょうか。例えば『SAKURA SPRING』なら、『春から始まるこのプロジェクトの成功を祈って、桜の香りのお茶を選びました』とか」</p>

<h2>シングルオリジンは新しいお茶の楽しみ方</h2>

<p>それぞれの茶葉にストーリー性があるのがシングルオリジンの良さのひとつ。しかしシングルオリジンはまだそれほど普及していない。生産量も極めて少なく、統計はないが、おそらく1%にも至っていないのではないか。</p>

<p>「ひとつには単純に、シングルオリジンが新しい発想だからです。もともと茶園には複数の個体のお茶の木が植えられていました。畑の段階で、すでにブレンドになっているわけです。また、製茶問屋で製品化される際も、複数の産地の茶葉をブレンドすることが一般的です」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0293-720.jpg">
<figcaption>オスカルは日本各地の茶畑から自ら厳選したシングルオリジンの茶葉を、全4種類発売している。もうすぐまた新しい種類を発売する予定だという。現在は銀座の蔦屋書店でのみ販売している。</figcaption></figure></p>

<p>オスカルが「感動の一杯」と出合った日本茶カフェ「茶茶の間」は、2005年の開店時からシングルオリジンのみを扱っているが、当時は「シングルオリジン」という言葉すらなかったという。日本茶の世界をピラミッドに見立てるなら、ペットボトル飲料の普及などで裾野は広がったが、頂点が欠けていた。そんな中で、味も香りも異なるそれぞれの品種を単品にしたらおもしろいのではないかという発想が出てきた。</p>

<p>「みんながみんな、毎日シングルオリジンの高級茶を飲まなくてもいいんです。私もよく『そんなに日本茶にこだわっているのならペットボトルのお茶は飲まないんでしょう？』と聞かれますが、もちろん飲みます。水分補給や、外出先で手軽にお茶を飲むためのものとして。ティーバッグにも、回転寿司に置いてある粉末のお茶にも、中級のブレンド茶にも、それぞれちゃんと役割があります。ただ、トップも創造しなければいけない。トップが進化するほど、日本茶というジャンル全体が豊かになっていくんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0311-720.jpg">
<figcaption>日本での活動だけではなく、海外へ日本茶の魅力を発信することも精力的に行っている。</figcaption></figure></p>

<p>これからは淹れ方を教えるセミナーに活動の範囲を限定せず、例えば音楽や映像と組み合わせたアートインスタレーションなど、新しい日本茶の表現にも挑戦してみたいという。「最初は東京で開催します。その後ニューヨークやロンドンでも。そして、いつかは母国スウェーデンで毎年開催されるノーベル賞の晩餐会で披露したい」と、今後の夢を語った。</p>

<p>ただ単に、日本茶を飲む人口を増やしたいわけではない。ウィスキーのシングルモルトのように、お茶のシングルオリジンも、深い味わいを楽しむ嗜好品として、世界的に認められることを目指したいと話す。「いつか『ブレケル・オスカルという人物がいて、日本茶のシングルオリジンを全世界に広めた』と言われるようになれたらすごく嬉しい」。</p>

<p>オスカルが日本茶に見ているものは、旧態依然とした過去の文化ではなく、未来へ向けた変化の可能性だ。「日本茶と豊かな付き合いがしたければ、ぜひ急須でお茶を淹れてください」という勧めに従って、たまにはゆっくりと、会社の打ち合わせの場でも急須で淹れたお茶を楽しんでみよう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/oscarbooks2.jpg">
<figcaption>オスカルは2年連続でお茶に関する書籍を発売している。3冊目も、この夏に出版する予定だという。</figcaption></figure></p>
]]>
        
    </content>
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    <title>会社に来客があったら「自ら急須で淹れる」が最先端のおもてなし──BNLで日本茶特集がはじまる - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2018-07-03T02:30:00Z</published>
    <updated>2018-07-24T04:40:56Z</updated>

    <summary>来客があると、最近はペットボトルのミネラルウォーターを出す会社が多い。でも本当にそれでいいのだろうか。たまには手間をかけて、おいしいお茶を淹れてもいいのでは？　いま煎茶器で淹れる日本茶の新たな価値を提案する人たちがいる。その最新動向を紹介する。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="コラム" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="来客には急須で日本茶" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>来客用の冷蔵庫から出している「エビアン」の代わりに、茶葉から日本茶を淹れたらどうなるか。自ら実践を始めて、3ヶ月ほどが経つ。</p>

<p>まずは気に入った急須と茶碗、湯冷ましを購入した。これらを会議室に持ち込むだけで珍しがられるので、名刺交換後のアイスブレイクとしても使えることがわかった。</p>

<p>1煎目は氷水で3分。じっくりと旨味と甘みを抽出することで、おもてなしに最適な、まるで出汁のような濃厚な味わいに仕上がる。蓋を開ければ、無機質な空間に快い茶畑の香りが広がる。</p>

<p>いったん会話が途切れたところで2煎目を淹れれば、自然な流れで次の話題に移れる。最後に話がまとまったところで3煎目を出せば、その後の雑談も盛り上がる。これほどわかりやすく効果を実感できれば、もはやエビアンは出会いの機会を疎かにしているとさえ思えてくる。</p>

<p>ところで、日本茶にはとても長い歴史があるに違いないと勝手に思い込んでいたのだが、調べてみると間違っていた。家庭でお茶が日常的に淹れられるようになってから、まだ50年あまりしか経っていないのだ。</p>

<p>本格的にお茶の生産が始まったのは、開国した明治時代からだった。なぜなら、資源の乏しい日本にとって、茶葉は生糸とともに2大輸出産品として重宝されたからだ。主な輸出先は米国で、日本国内で流通する量は限られていた。</p>

<p>やがて米国で紅茶が流行り始めると、日本茶の輸出量は減少していく。そこで生産者は国内マーケットに重点を移し、茶葉を全国に安定供給できる仕組みを整えた。それによって、ようやく日本の家庭でも日常的に楽しめる飲み物として広まっていくことになる。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/0470.gif">
<figcaption>（出所）<a href="http://www2.ttcn.ne.jp/honkawa/0470.html" target="_blank" rel="nofollow">社会実情データ図録</a></figcaption></figure></p>

<p>戦後、お茶の消費量は高度経済成長期に合わせて増加した。1970年前後には、年間１人当たりの消費量は1㎏以上にまで達している。職場でも「お茶汲み」が女性社員の仕事になるほど普及していた。</p>

<p>1994年に伊藤園がペットボトルの「お〜いお茶　緑茶」を発売すると、やがて自動販売機やコンビニでも気軽に買えるようになり、次第に急須のない家庭が増えていく。そんな家で育った人にとっては、「さぞかし、急須で淹れてもらうお茶はおいしいはず！」と、日本茶専門カフェへの期待が高まる。</p>

<p>というわけで、東京ではここ数年、急須で淹れる日本茶専門カフェが結構増えている。ただし、13年前から創業している「表参道 茶茶の間」は別格だ。まだブレンドされた茶葉が当たり前だった時代に、開店当初から「シングルオリジン（単一農園、単一品種）」の茶葉を30種類以上も揃えて、新しい楽しみ方を提案し続けてきたパイオニアである。やっと時代が茶茶の間に追いついた、とも言えるだろう。</p>

<p>実際、店主の和多田喜さんによると、この1、2年で明らかにお客様の期待値は上がっているそうだ。開店後の数年間は和スイーツを目当てに来ていた人も多く、お茶とセットになっているメニューを見て、「お茶なんかいりません！」と言われることもあったそうだが、いまはむしろ、シングルオリジンのお茶を楽しみに来てくれる人の方が多いという。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/07/watada-chachanoma.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/IMG_0011-500.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>シングルオリジンで淹れる日本茶専門店の先駆け。「表参道 茶茶の間」店主・和多田喜の淹れ方指南</strong></div></a></div>

<p>「表参道 茶茶の間」で味わったお茶に魅せられたブレケル・オスカルは、日本茶を学ぶためにスウェーデンから移り住み、2014年には日本茶インストラクターの資格を取得した。昨年、初の自著『僕が恋した日本茶のこと』を発売すると、最近テレビや雑誌にも登場するようになり、注目を集めている。「シングルモルトウィスキーのように、これからは嗜好品としての日本茶の新たな価値を国内外に広めていきたい」と、オスカルは今後の目標を語る。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/07/Oskar-Brekell.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/IMG_0343-500.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>名刺交換をしたら、急須でお茶を淹れてみよう──ブレケル・オスカルが「嗜好品としての日本茶」を案内</strong></div></a></div>

<p>こうして嗜好品としての日本茶に注目が集まり始めると、茶器に対するこだわりも強くなっていく。いち早くその流れを汲み取ったのは、京都・宇治の茶陶「朝日焼」だ。煎茶用の茶葉の生産が本格的に始まった約150年前から作っているという急須は、もはや形を改良する余地のない領域にまで達している。それでも、日本茶を取り巻く環境の変化に合わせて、購買層をさらに広げるべく、デザインスタジオ「Sfera」とコラボレートして新しい急須をデザインした。それが冒頭の写真に映っている、私が購入した急須である。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/07/asahiyaki-x-sfera.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_YOU1607-square.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>来客用の会議室に置きたいBNL好みの急須は、宇治の茶陶・朝日焼とデザインスタジオ・Sferaの共作</strong></div></a></div>

<p>茶葉も、急須も、淹れ方も、いまだからこそ可能になった最先端の取り組みだ。いまもなお、日本茶は進化を続けている。これから数週間にわたって、その最新動向を紹介する。</p>
]]>
        
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    <title>過酷な低賃金ビジネスはもうやめよう──『僕たちはファッションの力で世界を変える』 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2018-06-27T06:30:00Z</published>
    <updated>2018-06-27T06:25:29Z</updated>

    <summary>消費者も生産者もブランドも、みんなが幸せにならなければ意味がない。これは「ザ・イノウエ・ブラザーズ」の、愛に溢れたビジネスと生き方の提案書。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>ザ・イノウエ・ブラザーズ (THE INOUE BROTHERS)
 </strong><small></p>

<p>デンマークで生まれ育った日系二世兄弟、井上聡(1978年生まれ)と清史(1980年生まれ)によるファッションブランド。2004年のブランド設立以来、生産の過程で地球環境に大きな負荷をかけない、生産者に不当な労働を強いない"エシカル(倫理的な)ファッション"を信条とし、春夏は東日本大震災で被災した縫製工場で生産するTシャツ、秋冬は南米アンデス地方の貧しい先住民たちと一緒につくったニットウェアを中心に展開する。さまざまなプロジェクトを通して、世の中に責任ある生産方法に対する関心を生み出すことを目標にしている。聡はコペンハーゲンを拠点にグラフィックデザイナーとして、清史はロンドンでヘアデザイナーとしても活動。そこで得た収入のほとんどを「ザ・イノウエ・ブラザーズ」の運営に費やす。</small></p>

<p><strong><a href="https://8card.net/p/22990799082">石井 俊昭</a>（取材・執筆） </strong><small>
1969年生まれ。青山学院大学卒業後、アシェット婦人画報社(現ハースト婦人画報社)などを経て、2010年にコンデナスト・ジャパン入社。『GQ JAPAN』編集部にてファッション・ディレクター、副編集長を務める。14年に退社し、フリーランスとして独立。雑誌、WEB、カタログ制作などの編集・執筆などを行う。16年よりリヴァー所属。さまざまなメディアのクリエイティヴ・ディレクションや広告のコピーライティング、企業のブランディングなど、多岐にわたって活動中。<br></p>

<p></small></p></aside></p>

<h2>出会いの一つひとつが、ブランドの原動力になっている──BNL編集部の選定理由</h2>

<p>地球環境に負担をかけず、生産者に過酷な労働を強いないエシカル（倫理的な）ファッション、それが「ザ・イノウエ・ブラザーズ」というブランドだ。</p>

<p>彼らの製品は、最高級のアルパカ繊維を使用している。中間マージンを極力カットし、よりリーズナブルな価格に、そして生産者にはより多くの賃金を支払うビジネスモデルだ。決して安価とは言えないが、ブランドの名前を守るためだけの高価な価格設定ではない。</p>

<p>ビジネスのきっかけは、知人のすすめで訪れたボリビアで、過酷な労働環境を目の当たりにしたことだった。</p>

<p>靴磨きをする子どもや工場で働く女性労働者たち。２人は、貧しくとも逞しく生きる人々の暮らしに触れ、その出会いの一つひとつに思いを寄せる。</p>

<blockquote>
  <p>僕たちは空っぽの工場や誰も来ないスポーツセンターを見てきた。ビジネスが成功すれば継続できるが、チャリティーだと継続できないこともある。ビジネスの仕組みをきちんと作って、ボリビアの人々の力になりたいと考えた。</p>

<p>中略</p>

<p>エシカルビジネスはヒューマンビジネス。自分がいいと思う行動を取り、それと関連して周りの人々がよい人間性を発揮していくことでもある。そしてそれはみんなができることだと思う。</p>

<p>僕たちが取り組んでいることは、貧しく苦労している人々を主役にマーケットを作ること。そのときに重要なことは、貧しい人は悪い人間ではないということ。貧しい人が犯罪を起こすと思い込まないこと。そして、貧しい国は危険だと思い込まないこと。</p>

<p><a href="https://www.wwdjapan.com/610076">WWD JAPAN 「着る人、作る人、売る人、すべてを幸せにしたい」　「ザ・イノウエ・ブラザーズ」の挑戦</a></p>
</blockquote>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/06/koike-kazuko.html/"><img src="https://bnl.media/uploads/_L2A7344-1094.jpg">
<div class="info"><strong>関連記事：「無印良品」創設に携わり、十和田市現代美術館の館長を務める小池一子。新著記念インタビュー</strong></div></a></div>

<p>彼らのブランドの裏側には、情熱だけでなく、亡き父への敬意、たくさんの出会い、そして生産者の苦労や力強い人生が織り混ざった深いストーリーが存在していた。</p>

<p>もし机上で「これから何をやるべきか」と悩んでいるのなら、彼らのようにまずは行動を起こしてみるといい。行動を起こせば、必ず出会いがある。コミュニケーションを大切にすることで信頼がうまれ、ビジネスのチャンスへとつながっていく。</p>

<p>この本は、現状にくすぶるビジネスパーソンに向けた、生き方の指南書にもなるだろう。読み終えたいま、気づけばすっかり「ザ・イノウエ・ブラザーズ」のファンになっている。</p>

<p>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4569837646/">こちら</a>。（Amazon）</p>

<hr />

<h2>要約者レビュー</h2>

<p>異国の地デンマークで外国人として育った井上聡・清史兄弟。2人は2004年、「ザ・イノウエ・ブラザーズ」というアートスタジオを立ち上げた。ファッション業界にいながら大量生産・大量消費社会に反旗を翻し、利益よりも社会貢献を追求。妥協しないものづくりを志向しながらも、生産から売り場まで、関わる人すべてに敬意を払う。そして貧困や環境問題を引き起こすこれまでのやりかたに全力で抵抗し、世界一のファッションブランドを目指す。そんな彼らの情熱は、一体どこからくるのだろうか。</p>

<p>本書では井上兄弟の生い立ちや考え方が赤裸々に綴られる。2人の情熱の原点となったのは、幼少時代に経験した差別や不条理、そして本当の正義について教えてくれた亡き父への思いだった。</p>

<p>また2人の考え方の指針となったガンディーやモハメド・アリらの言葉が、本書では何度も引用される。偉大な先人たちの言葉は短いながらも、兄弟の強い覚悟を表すのに十分な力強さをもつ。</p>

<p>信念にあふれながらも楽しんで仕事をする井上兄弟の生き方は、同じ時代を生きる私たちにとっても輝いて映るはずだ。もし社会に対して少しでも違和感をもっているなら、ぜひ本書を手に取ってみてほしい。「気持ちさえあれば、どんなやり方であってもチャレンジできる」という2人の信念は、きっとあなたの心を奮い立たせてくれるにちがいない。</p>

<hr />

<h2>本書の要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> <br />
「ザ・イノウエ・ブラザーズ」は、利益追求や事業拡大ではなく、社会貢献を主軸としたファッションブランドである。「スタイルは大量生産できない」を合言葉に、より高品質なものづくりを通して生産地に利益を還元している。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong> <br />
「大量消費社会というやり方しかない」という思い込みを取り払い、世の中に新たな仕組みを提示することが井上兄弟のミッションだ。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong> <br />
 つくる人から着る人まで、すべての人が幸せになれるものが本当のラグジュアリーである。</p>

<hr />

<h2>ザ・イノウエ・ブラザーズの誕生</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/inoue_1.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo:<a href="https://www.flickr.com/photos/rozenlife/2835589921/">"Avon Vally Country Park"</a> by Lee(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>ソーシャル・デザインへの関心</h3>

<p>人間のもつ創造力で社会課題を解決しようとする取り組みを「ソーシャル・デザイン」と呼ぶ。このアイデアに触発された兄・聡と弟・清史は、亡き父の教えをもとに、アートスタジオ「ザ・イノウエ・ブラザーズ」を設立した。</p>

<p>ただし最終的な目標は明確だったものの、当初は会社の方向性がなかなか定まらなかった。そんな2人を見て、古くからの友人であるオスカ・イェンスィーニュスが、ボリビアのアルパカを用いたビジネスはどうかと提案。これがその後の2人の行く先を大きく決定づけるものとなった。</p>

<p>2007年にオスカの案内でボリビア視察に飛んだ聡は、土産物として売られるアルパカセーターが本来の価値を伝えきれていない様子を見て、ビジネスの可能性を感じるようになる。なによりデンマークで外国人として育った聡は、いままさに貧富の差を超えようと改革しているボリビアという国に強く惹かれた。</p>

<p>現地で試作したセーターを携え、聡はパリで小さな発表会を開いた。結果は散々だ。だが来てくれたバイヤーは、「ザ・イノウエ・ブラザーズ」のコンセプトに強く賛同してくれた。聡はものづくりに妥協することなく、世界一のアルパカセーターをつくろうと心に誓った。</p>

<h3>アンデス地方で幸せを学ぶ</h3>

<p>オスカはNGOとして、アンデス地方の貧困問題に関わっていた。そのときの経験から、貧困問題を根本的に解決するには、期間が限られるボランティアだと限界があると感じていた。だからこそビジネスの力で課題を解決しようとする井上兄弟を、ボリビアへと案内したのだ。</p>

<p>あらためてボリビアを訪れた井上兄弟とオスカは、首都郊外にあるアルパカ製品工房や、アルパカを飼育する牧畜民たちのもとを訪れた。ボリビアの労働者は過酷な環境に置かれており、将来の展望が描けないままだ。その一方で伝統を守りながら、貧しくとも力強く生活している。物質的な豊かさや経済成長のみが幸せではなく、それぞれの土地に固有の文化があり、すばらしい生き方がある。清史は彼らとのビジネスを通じて、自分たちが忘れていた"生きる力"のヒントを見出した。</p>

<p>2人にはそれまでファッション業界での経験がなかったし、失敗続きや資金不足で言い争うことも多かった。そんな中にあっても、話し合うことをやめない。信じているものや正しいと思うものの根本が同じだからこそ、片方が道を逸れても、もう一方が軌道修正をして前に進んだ。</p>

<h3>世界一へのプレッシャー</h3>

<p>井上兄弟の父親はスタジオグラス作家として、ガラス作品で世界一の芸術家をめざしながら、44歳という若さで他界した。当時15歳だった聡は、父の遺志を引き継ぐこと、世界一であることに強くこだわるようになる。</p>

<p>だからこそ売り上げが伸び悩んでいた時期は、その焦りから他人につらく当たることも多かった。聡のプレッシャーを緩和するため、当初は資金面での協力に注力していた清史も、やがて活動そのものに深く関わるようになる。</p>

<p>"Style can't be mass-produced...(スタイルは大量生産できない)"というコンセプトを貫きながらも、売り上げは伸ばさなければいけない。2人の困難な挑戦は続いた。</p>

<hr />

<h2>【必読ポイント!】 いかにして井上兄弟は生まれたか</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/inoue_ura.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>『僕たちはファッションの力で世界を変える』（PHP）　たとえ喧嘩になっても、ブランドのことは必ず２人で決める。仕事をするうえで大切なのはみんなを幸せにすること、そう教えてくれた亡き父に誇れる仕事がしたいという強い思いが、彼らを同じ方向へと導いている。</figcaption></figure></p>

<h3>デンマークへの反発心</h3>

<p>2人が大量生産や大量消費をよしとする社会に抵抗を覚えるのは、その生い立ちが関係している。</p>

<p>白人社会のデンマークで、2人は日系2世として育った。幼稚園時代からいじめや差別を経験したうえ、父親が若くして亡くなったことで家計的にも苦しんだ。だが苦肉の策として、清史が学校の授業でみずから着る服をつくっていると、その服が評判を呼んだ。</p>

<p>こうして2人は徐々にデンマーク人社会に溶けこんでゆく。修学旅行費用を工面するため、2人でつくった服を学校のイベント用に販売したことが、「ザ・イノウエ・ブラザーズ」の原体験だ。</p>

<p>だがいじめや不条理に対する悲しみや苦しみは、その後も残りつづけた。1993年に考えられた"ジャンテ・ロウ"というコンセプトがある。これは平等を唱えるデンマーク人の人権意識をあらわしたものだ。だが白人至上主義に直面してきた2人にとって、それはまるで理解できないものであった。</p>

<p>「偽りの平等より一人ひとりの個性を尊重する社会に」という思いが、いまも2人を突き動かしている。</p>

<h3>社会システムをつくり直す</h3>

<p>大量生産・大量消費社会では、常に消費をするように急き立てられる。だが休みもなく必死に働き、物質的な豊かさを得ようとしても、本当の幸せは得られない。</p>

<p>そうした従来の社会システムとは逆の方法でもビジネスは成立するということを、2人は証明したいと考えている。「大量消費社会というやり方しかない」という思いこみを変えることが、彼らの強い願いなのだ。</p>

<p>2人の属するファッション業界は、地球環境に負の影響を与えており、課題も多い。だが矛盾を抱えながらもファッションにこだわるのは、人種や国籍を超えて人の心を動かすファッションに可能性を感じているからである。自己矛盾を超え、いまだ解決されていない難題に取り組むというやりがいが、そこにはあるのだ。</p>

<hr />

<h2>ビジネス拡大の転機</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/inoue_3.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo:<a href="https://www.flickr.com/photos/romanboed/18280119320/">"2016<em>Fall</em>Tohoku_Ep1-2"</a> by Scott Lin (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>チャリティではなくビジネス</h3>

<p>より質の高い製品を求めて、2人は生産の主な拠点をボリビアからペルーへと移した。ボリビアの一部と取引がなくなることには心を痛めた。だが"チャリティではなくビジネス"という意識をもたなければ、社会貢献というスキームは回らない。</p>

<p>またこの機会に役割分担を明確にしようと、会社の法人登記をデンマークからロンドンへ移行。会社の運営は清史が担うことになった。</p>

<h3>運命の人との出会い</h3>

<p>経営の舵取り役となった清史の主導で、「ザ・イノウエ・ブラザーズ」は品質の高い、より売れるものづくりをめざした。このときペルーの取引先からの紹介で、高品質なアルパカ繊維を研究しているパコマルカ研究所のアロンゾ・ブルゴスさんに出会う。2人が後に師と仰ぐことになる人物だ。</p>

<p>アロンゾさんにとっても、井上兄弟との出会いは大きなチャンスだった。リーマンショック以降、それまで運営資金を頼っていた紡績会社からの支援が減り、研究所は経営難に陥っていた。しかも牧畜民の生活向上という研究所の目的は、井上兄弟とも共通している。</p>

<p>こうして世界一のアルパカ・コレクションをめざし、強固なパートナーシップが結ばれた。</p>

<h3>日本での展開</h3>

<p>パコマルカ研究所を訪れた翌月、日本では東日本大震災が発生。東北にある工場の多くも被災し、大企業からの注文がキャンセルされていた。</p>

<p>焦燥感にかられた2人は、遠くヨーロッパから福島の縫製工場を訪れた。生産もままならない状況だったが、「白いTシャツなら」と引き受けてくれた。白いTシャツから始まったこのプロジェクトは、"Made in Tohoku Collection"として、工場が従来の状態に戻るまで継続する予定だ。</p>

<p>またパリで発表した「ザ・イノウエ・ブラザーズ」のニット製品が、日本の大手小売業者の目に留まり、大量発注へとつながったのもこの頃である。アプローチする対象を限定することに可能性を感じた2人は、東北のプロジェクトで来日する機会を利用しつつ、日本での販売を強化していった。</p>

<h3>周囲を巻き込みながら思いを遂行する</h3>

<p>日本のマーケット調査でわかったのは、世界中から一流品を集めてくる日本人バイヤーの審美眼のすごさだ。「売れる」ものに対してシビアな彼らに学べば、もっと成長できると2人は確信した。</p>

<p>さらにこの年のパリの展示会では、日本の有力地方店舗のオーナーたちとも知り合うことができた。規模の拡大をめざさず、大量生産や安売りをしないという彼らの価値観は、井上兄弟とも共通している。</p>

<p>少数の理解者との深く親密なつながりができたことで、それまでたった2つだった日本での取引先は、展示会のあと13に増えていた。</p>

<hr />

<h2>「ニュー・ラグジュアリー」という概念</h2>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=tLY3SuBnFh8
<figcaption>ザ・イノウエ・ブラザーズのブランド紹介ムービー。広告や宣伝はせず、ムービーの制作に力を入れている。<a href="https://www.wwdjapan.com/610025" target="_blank" rel="no-follow">WWD JAPAN 「ザ・イノウエ・ブラザーズ」の"世界を変えるコットン"の凄み</a>より動画転載。</figcaption></figure></p>

<h3>父の教え</h3>

<p>2人は"ダイレクトトレード"をモットーとしている。中間マージンを抑え、消費者にはより安価な製品を、生産者にはより多い利益を提供する。中間業者を介在させないことで、生産過程で起こりがちな貧困問題や環境問題に配慮するというわけだ。</p>

<p>このとき相手の"言い値"に従うことも2人は重要視している。「まず自分たちが与えなければ手に入らない、感謝できなければ幸せになれない」という父の教えがそこには生きている。</p>

<p>高品質ではあるが、紛争を呼ぶような宝石はラグジュアリーとは呼べない。つくる人から着る人まで、すべての人が幸せになれるものが本当のラグジュアリーだ。こうした信念を2人は "ニュー・ラグジュアリー"と表現している。</p>

<h3>世界一の糸の完成</h3>

<p>アロンゾさんの尽力で、最高級ニット糸の「ロイヤルアルパカ」を超える原毛の生産にメドがたった。ただし糸にするには、研究所に出資する紡績会社の許可が必要だ。これまでは大量に生産できないという理由から、許可が下りなかった。</p>

<p>だが事前の根回しと井上兄弟の直接交渉によって、世界一の糸を作る重要性を訴えたところ、なんとか許可を得ることに成功。この糸は「最高の、最上の」という意味をもつsupremeを冠して、「シュプリーム・ロイヤルアルパカ」と名づけられた。</p>

<h3>小さな変化</h3>

<p>染色されていない、ナチュラルな黒色のセーターを2人が構想したときのことだ。黒色のアルパカは非常に少なく、製品化できる原毛がわずか50キログラムしか集まらない。しかし出資元の紡績会社は、ふたつ返事で新しい糸の開発を受け入れてくれた。</p>

<p>シュプリーム・ロイヤルアルパカの成功によって、紡績会社はパコマルカ研究所の評価を上げていた。また会社の幹部たちも、「複雑化した市場の変化についていかなければ取り残されてしまう」という危機感を抱き、少しずつ変わってきている。</p>

<p>会社から長く不遇の扱いを受けていたアロンゾさんは、「こうした会社の変化は井上兄弟の力によるものだ」と2人に感謝を述べた。</p>

<h3>答えはひとつじゃない</h3>

<p>井上兄弟のビジネスはいまだ道半ばだ。</p>

<p>彼らには「自分たちのもつ姿勢を若い世代にも広めていきたい」という野望がある。だが講演という形でノウハウを伝えることはしない。自分で問題が何かを考え、答えを見つけ出さなければ意味がないと感じているからである。やり方も十人十色であっていい。重要なのは考えつづけることなのだ。</p>

<hr />

<h2>一読のすすめ</h2>

<p>井上兄弟の考えが直接語られている書籍は、いまのところ本書だけだ。ソーシャル・デザインとしてのファッションに関心があるのであれば、まちがいなく読むべき一冊である。</p>

<p>また要約では取りあげていないが、本書では昔から2人を見守っていた母・さつきの回顧録がいくつも挿入されている。「ザ・イノウエ・ブラザーズ」がいかにして生まれ、そしてこれからどこへ向かっていくのか。その手がかりを知るうえで、これ以上の資料はない。少しでも内容にご関心があるのであれば、ぜひ本書を最初から最後まで読んでいただければと願う。心を揺さぶられる読書体験となるだろう。</p>

<p>（1冊10分で読める本の要約サービス <a href="https://www.flierinc.com/">flier</a>）</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/05/BNLBooks-VOL8.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/ningen_ai .jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>前回のBNL Books：山中伸弥 × 羽生善治『人間の未来 AIの未来』──iPS細胞と将棋の世界からみた、Human＆AIの最前線　</strong></div></a></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="5120001174842"></div>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>「無印良品」創設に携わり、十和田市現代美術館の館長を務める小池一子。新著記念インタビュー - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/06/koike-kazuko.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9069</id>

    <published>2018-06-22T03:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T04:56:26Z</updated>

    <summary>衣服デザイナー・三宅一生の半生を描いた著書『イッセイさんはどこから来たの？ 三宅一生の人と仕事』の出版を記念して、無印良品の有名なコピーを生み出したレジェンドが、BNLのインタビューに応じた。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="アート" label="アート" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="デザイン" label="デザイン" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>小池一子</strong><small>クリエイティブ・ディレクター／十和田市現代美術館館長</small>
<p>1936年東京生まれ。早稲田大学文学部卒業。1980年の「無印良品」の創設に携わり、以来アドバイザリーボードを務める。また「現代衣服の源流展」（1975年、京都国立近代美術館）、ヴェネツィア・ビエンナーレ建築展 日本館「少女都市」（2000年）、「田中一光とデザインの前後左右」（2012年、21_21デザインサイト）などの展覧会の企画、ディレクションを行う。1983年に日本初のオルタナティブ・スペース「佐賀町エキジビット・スペース」を創設・主宰し、多くの現代美術作家を国内外に紹介した（〜2000年）。編著書に『三宅一生の発想と展開』（平凡社、1978年）をはじめ多数。近著に『イッセイさんはどこから来たの？ 三宅一生の人と仕事』（HeHe、2017年）がある。武蔵野美術大学名誉教授。</p></aside></p>

<p>「私たちの世代は戦争に放り込まれて、そのあとずっと苦労してきました。だから、社会が良くなければ幸せはないということが身に沁みているんです」</p>

<p>小池一子がコピーライターとしてそのキャリアをスタートさせたのは1950年代の終わりだった。敗戦から15年。人々はようやく暮らしの豊かさに目を向け始めていた。</p>

<p>60年代から70年代にかけて、ファッション、広告デザイン、現代アートの分野が花開いていった。もちろん自然に咲いたわけではない。「小池たちの世代」のクリエイターたちが一つひとつ積み重ねた実践が文化になっていった。そこには、「市民の衣服」を発想し開発した衣服デザイナーの三宅一生、グラフィックデザイナーとして出発しアートへと活躍の場を広げた横尾忠則、時代をひらく広告を数多く送り出すことになるアートディレクターの浅葉克己がいた。</p>

<p>昨年12月に刊行された書籍『イッセイさんはどこから来たの？ 三宅一生の人と仕事』は、小池一子の筆によって三宅一生の半世紀が描かれた1冊だ。しかし懐古的な趣はなく、その時代その時代の熱が生き生きと映し出されている。常に時代の先端に立ち、時代をつくる仕事をしてきた小池に、社会とデザイン、社会とアートの関係について聞いた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/issey_cover720.jpg">
<figcaption><strong>『イッセイさんはどこから来たの? 三宅一生の人と仕事』（HeHe）：</strong>『Issey Miyake 三宅一生』（タッシェン、2016年）に収録の小池一子のエッセイに書き下ろし1章を加え、各章には横尾忠則が1977年から1999年の間で手がけたイッセイ ミヤケ パリ・コレクションの招待状から、21シーズン、29点をカラー図版で掲載。活版印刷の重厚感ある縦組みの日本語テキストと、洗練された横組みの英語テキストが対を成す、浅葉克己の手腕の光る単行本である。Photo: Courtesy of HeHe</figcaption></figure></p>

<h2>「エイリアンの目」をもつ、三宅一生</h2>

<p><strong>──三宅一生さんについて書くことになったきっかけは？</strong></p>

<p>もともとは、ドイツのTASCHEN（タッシェン）から出版された『Issey Miyake 三宅一生』（2016年）のために書いたものです。企画された北村みどりさん（三宅デザイン事務所代表取締役社長）から依頼されて、私一人ですべて執筆することになりました。考えてみると、今でも夜中に三宅さんと電話で話したりすることがあるのね。それで、いい言葉があるとすぐその場でメモをするんです。チラシの裏でもなんでも、そのへんにある紙に書きまくる。</p>

<p>そんなふうに書き留めていたものもあるし、出会ったころから節目節目で共にした経験もあるし、そういうことを元に書けるかなと思いました。</p>

<p><strong>──ジャーナリスティックな筆致で書かれていますが、同時代を並走した小池さんならではの思いが行間ににじんでいるように感じました。</strong></p>

<p>仕事をし始めてすぐのころ、自分も駆け出しのエディターでライターだったときに、三宅さんが素晴らしいデザイン学生のタマゴとして登場してね、出会ったときの鮮烈な印象はずっと変わらないんです。</p>

<p>本の中にも「"一生さん"は太陽系のどこかからやって来たのかも」というようなことを書きましたが、三宅さんはどこかエイリアンの目でものごとを俯瞰している感じがあります。精神的ノマドというのかな。外側の視点をもっている。だから「日本とは／日本人とはこういうものだ」という思い込みから自由でいられるわけですが、それは「欧米と比べて日本は」という狭い視野ではなく、宇宙的な広がりの中で見ているからこそもてる発想なんだと思います。そういう広い意味での批判精神への共感は大きいかもしれないですね。</p>

<p>60年代70年代にオートクチュールからプレタポルテへのシフトが起きたときも、「普通の人が着る1枚のシャツを素晴らしいものにする」という考えをもっていた。そのころすでに「市民のシャツ」と言っていましたが、そういうものづくりを日本で行うことを、三宅さんは初めから考えていました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A7277-720.jpg">
<figcaption>「面白い時代を生きた仲間たちと、人生の時間を過ごして来ました。それを伝えておこう、言葉にしておこうと思い始めたのは最近です。それまではただ夢中でやっているだけなので」</figcaption></figure></p>

<p><strong>──一方でお聞きしたいのは、それから40年がたち、日本は長い不況も経験しました。「質より安さ」という人たちも増えています。そういう人たちに何をどう届けるのか。この本だって、もっとカジュアルな装丁にする選択肢もあったのではないでしょうか。</strong></p>

<p>何をもって「質がいい」とするかは、一人ひとりのものの考え方になるのだろうと思います。でもね、この本、一見贅沢に見えますが、持つと軽いでしょう？</p>

<p><strong>──たしかに。軽いです。</strong></p>

<p>価格も、文庫本のように数百円というわけにはいきませんが、それほど高くはないはずです。</p>

<p><strong>──活版印刷で、カラー図版がこれだけ収録されて、箔押しの美しい表紙でこの値段は安いと思いました。</strong></p>

<p>日本語は縦書きで、活版印刷で読みたいというのは私のわがままなんですが（笑）、それを浅葉さんが受け止めて、適切な紙を選んでくれて、横尾さんも快く自分の絵を提供してくださる。価格も適正な範囲で抑えている。</p>

<p><strong>──隅々まで考え尽くされている。</strong></p>

<p>そういう意味で、幸せな本が誕生したと私は思っているのね。人のつながりの中から生まれてきた。もうすぐ始まる森岡書店（東京・銀座）の展示では、横尾さんによるイッセイ ミヤケ パリ・コレクションの招待状の実物が展示されますが、ああいうものが生まれたこと自体にもそれを感じます。三宅さんの「自分はこういう服を世界に提案したいんだ」という思いを聞いて、横尾さんがその先の世界をつくっていくわけでしょう。そういう、なんていうんでしょうね、同時代に生きているクリエイター同志の共感みたいなもの。</p>

<p>60年代には田中一光さんや永井一正さんの世代が活躍されました。私たちの世代は60年代に力をためて、70年代に実際の仕事として開花させていった。経済もものすごく上昇していった。ああいう時代はもうおそらくないと思うわね。私たちは本当に幸運というか、稀有な時代を生きてしまったということは思いますよね。</p>

<p><figure><img src="/uploads/020-021_s_.jpg">
<figcaption>発売記念展は、森岡書店（東京・銀座）で2018年6月26日(火)─ 7月1日(日)13:00 - 20:00に開催。書籍の各章の扉に収録された、横尾忠則による、1977年から1999年までのイッセイミヤケ パ リ・コレクションの招待状の中から、厳選された現品が展示される。 この招待状は、本来なら関係者のみへ送られるもので、一般の方が目にするのは、たいへん稀なもの。大判で圧倒的な美しさを、体感できる貴重な機会となる。この写真は1979年春夏のもの。Photo: Courtesy of HeHe</figcaption></figure></p>

<p><strong>──私たちは多かれ少なかれ、その時代に生まれたものを受け継ぎながらものをつくっていると思います。</strong></p>

<p>そうですよね。</p>

<p><strong>──小池さんには、今という時代はどう見えているのでしょうか。</strong></p>

<p>古いと言われるかもしれませんが、「市民による社会」というものがきちんとなければいけないのではないかという思いはあります。私たちの世代は戦争に放り込まれて、その後ずっと苦労してきました。だから、社会が良くなければ幸せはないということが身に沁みているんです。そういう観点で見ると現在は、経済に偏ったり、個人主義ばかりになっているように思えます。英語でgreedy（貪欲な、ガツガツした）と言うでしょう？ どんどんそれが増している。一方で子どもたちの貧困が広がっている。市民がきちんと、気持ちよく生きられる社会であってほしいということは、いつも思っていますね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A7283-720.jpg">
<figcaption>1980年、「無印良品」の立ち上げに参画した。「クリエイター側がどんな生活をイメージしたかと、生産のことを第一に考えるビジネス側の狙いとがピッタリ合った、本当に珍しい、幸せな出合いだと思います」</figcaption></figure></p>

<h2>くりかえし原点、くりかえし未来</h2>

<p><strong>──「きちんと、気持ちよく生きる」というコンセプトは、小池さんのお仕事の中では「無印良品」にもっともよく現れているような気がします。今や「無印良品」は私たちの暮らしのスタンダードの一つになっています。</strong></p>

<p>そうだといいんですけどね。やはり、何か「デザイン」をしようとすると、本来目指していたベーシックというところからちょっと浮きそうになるんです。ベーシックとは地面みたいなものですから、そこから足が離れてはいけない。もちろん商品をつくる過程で形態をどう美しくするかということは考えますが、美しさが最上位にあるわけではありません。今の（株式会社良品計画）会長の金井（政明）さんという人が面白くて、彼が「感じ良いくらし」ということを言い出しているんです。「みんなが感じ良い生活をすると、社会全体が感じ良くなるね」と。個人の生活を良くすることからSocial Goodにつなげていこうという、今そういうところにいるんですね。</p>

<p><strong>──その姿勢は「くらしの良品研究所」のコピー、「くりかえし原点、くりかえし未来」にもよく表れていますね。</strong></p>

<p>これも、当時社長だった金井さんから「ものづくりだけでなく、それを支える基本的な概念を伝えるための研究所をつくるから、そのためのコピーを書いてほしい」と言われたんですね。それで、無印のマーチャンダイジングの原点を言葉にしました。</p>

<p>コピーライティングも初期の仕事で出合った領域ですが、コピーライターはビジュアルコミュニケーションの世界に言葉の立場から関わります。その知識と経験を自分の中に蓄えることができたのはとてもよかった。</p>

<p>私はその後、アートの仕事へとシフトしたんですが、面白いのは、いろんな企画が頭に浮かんでモヤモヤしている状態があるでしょう？ それがだんだんまとまってくるわけですが、きちんとした像を結ぶのはやはり展覧会タイトルが決まったときなんです。だからタイトルをつくるのがすごく好きで、それはコピーライタースピリットからきているのかもしれない。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A7297-720.jpg">
<figcaption>「理想的なキュレーターとは、つくる人に寄り添える人です」</figcaption></figure></p>

<p><strong>──1983年に日本で最初のオルタナティブなアートスペース、「佐賀町エキジビット・スペース」を東京・江東区に開設されました。</strong></p>

<p>最初の展覧会は「マグリットと広告」だったのですが、「これはマグリットではない」というサブタイトルをつけました。「これはパイプではない」と言いながらパイプの絵を描いたマグリットですから、概念を覆すとか疑いを持たせるということを主題にしたかった。問いを投げるようなことはずっと好きですね。</p>

<p><strong>──その後もキュレーターとして多くの新進アーティストを紹介されました。2016年からは十和田市現代美術館の館長を務めています。</strong></p>

<p>実際に関わり始めたのは、町の活性化プランにアートを取り入れようという計画が持ち上がったころなので、2005年くらいです。十和田は、文化的な伝統や歴史的な建物が残る青森や弘前、八戸などとは違って、19世紀後半に開拓民によってつくられた町なんです。だから私は直感的に「新しい美術が合う」と思いました。その気持ちは今も変わっていません。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=0DYA_kiCAxg
<figcaption>十和田市現代美術館で撮影されたラファエル・ローゼンダールのインタビュー動画。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──今年の春には、インターネット・アートの第一人者として知られるラファエル・ローゼンダールの美術館初個展が十和田で開催されました。</strong></p>

<p>彼の作品も本当に素敵でね。批評家たちは彼が日本美術をよく勉強していると言うんだけど、私は1970年代の日本のグラフィックデザインをものすごく勉強したと思っているんです。田中一光さんや永井一正さんや福田繁雄さんじゃないかと思っちゃうぐらいに。彼にそう言ったらニヤッとしていましたけど（笑）。日本のグラフィックデザイナーたちの仕事の最良の部分が、彼の中を通って濾過されて出てきているように私には思えました。しかもあの展覧会のタイトルは「ジェネロシティ 寛容さの美学」というんですが、新しいインターネットは制約の多かった古い時代と違って「寛容さ」がキーなんだと彼は言うんですね。そこから生まれてくるビジョンが美しいものであるということが、すごくうれしかった。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/04/toyama.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/IMG_2383-500.jpg">
<div class="info"><strong>ビジネスにアートの文脈を。アートにもビジネスの文脈を。スープストック創業者・遠山正道の実践</strong> </div></a></div>

<p><strong>──館長としてより深く十和田と関わるようになって見えてきた課題はありますか。</strong></p>

<p>やはり、町の環境に美術館がどれぐらい溶け込めているかという点は、開館から10年経った今もまだ課題です。それには、美術館だけが目立ってもしょうがないんですね。町も共にいい感じになっていかなければ。</p>

<p>でも最近、アメリカ人が2人移住してきて、町の中にスペースをつくったんです。自分たちはそこで仕事をしながら、美術館のカタログや何かを置いて自由に読めるようにして。青森から移住してきた若いカップルがカフェを始めたり。ああいうのがもっといくつもあるといいと思うんですけどね。「佐賀町エキジビット・スペース」をつくったときにすごく思ったんですが、いいアート作品を見たあとって、疲れるでしょう？</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A7294-720.jpg">
<figcaption>十和田市現代美術館は、複数のホワイトキューブ（展示室）から成っている。一つの箱に一つのアート作品。常設展示を大切にしている。「だからこそ企画展が大事なの」。常に「今」を発信し続ける。
</figcaption></figure></p>

<p><strong>──はい。ぐったりすることがあります（笑）。</strong></p>

<p>あれ、Museum fatigue（美術館疲れ）って言うのよね。ちょっと座っておいしいコーヒーを飲んだりパンを食べたりしながら、見たものの印象を話したりしたくなる。「佐賀町エキジビット・スペース」はビルの3階にあったんですが、ビルのオーナーに相談して、1階の一部屋を借りてカフェにしたんです。十和田にも、アートの疲れを癒やせるような憩いの場は必要ね。</p>

<p>東京をはじめ日本全国から多くの方にいらしていただいていますが、地元の人にもっともっと来てほしいと思っています。町の人たちのお祭りにかける時間とお金と労力に比べたら、アートの浸透度合いはまだまだ、肌身についていないというのかな。敷居の高いものと思われている気がします。</p>

<p>ですが、優れたアーティストはたった一人でも観客を巻き込み、考えさせることができる。社会を変える起爆剤になることがある。それがアートの本当の力だと私は信じています。アートの熱を町のあちこちに飛び火させたい。そこはもっともっと努力することができると思っています。</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="4011001002484"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="5013301012443"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="5011301020994"></div>
]]>
        
    </content>
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    <title>梅雨が明ける前に、暑中見舞いの準備をはじめよう - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/06/eight-tips-vol9.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9068</id>

    <published>2018-06-19T06:18:00Z</published>
    <updated>2018-06-20T00:37:28Z</updated>

    <summary>Eightで簡単に宛先リストをつくる方法や、暑中見舞いの書き方、字を綺麗に見せるコツなどを紹介します。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eight Tips" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>年末年始の挨拶でさえメールやメッセージで済ませるいま、暑中見舞いを送る習慣がある人は多くないかもしれません。筆者も以前は、むかしの知り合いと関係を続ける手段として、送ることがありましたが、SNSでいつでも連絡がとれるようになってからは、その習慣はなくなりつつあります。</p>

<p>だからこそ、むかしの知り合いから暑中見舞いが届くと、そのこと自体が特別に思えます。まだ自分のことを覚えてくれていて、手間をかけて便りをくれたことを思うと、嬉しくなりませんか？　久しぶりに会って、近況を報告し合うきっかけになるかもしれません。</p>

<p>普段お世話になっている取引先だけではなく、むかし一緒に仕事をした人にも、これを機に便りを出してみてはいかがでしょう。</p>

<h2>さっそく準備を始めよう</h2>

<p><a href="http://www.data.jma.go.jp/fcd/yoho/baiu/sokuhou_baiu.html">梅雨明け宣言</a>が発表されたら、暑中見舞いのシーズンです。はがきの印刷に1週間程度かかることもあるので、早めに取りかかりましょう。</p>

<hr />

<p><strong>① 宛先リストの準備：Eightで名刺データを一括ダウンロード</strong></p>

<p><a href="http://scansnap.fujitsu.com/jp/product/ix500/?utm_medium=cpa&amp;utm_source=eight_ads"><img src="https://materials.8card.net/eightblog/201706/iX500_card.png" alt="ScanSnap iX500"></a></p>

<p>数十、数百枚ある名刺を一枚一枚、目視で確認しながら、シートに打ち込んでいくのは膨大な手間がかかるうえに、ヒューマンエラーの可能性もあります。とはいえ、業者に発注すると、その分コストがかかりますよね。</p>

<p>Eightなら、取り込んだ名刺のデータを、CSV形式で一括ダウンロードできるため、簡単に宛先リストをつくれます。</p>

<p>まだ取り込んでいない名刺があるときは、まずはデータ化しましょう。もしアプリのカメラで撮りきれないほど溜まっているときには、Eight対応スキャナー「<a href="http://scansnap.fujitsu.com/jp/?utm_medium=cpa&amp;utm_source=eight_ads">ScanSnap</a>」の利用をおすすめしています。暑中見舞いに限らず、事務所移転や開業の挨拶状にも使えます。特に、普段からよく名刺交換をしている方は、1台あるだけでずっと楽になるはずです。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/05/eight-tips-vol7.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/tips_PFU.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>関連記事：撮影しきれない大量の名刺、スキャナーで手軽に取り込めます</strong></div></a></div>

<p>名刺のデータ化が完了したら、PC版Eightの画面右上の設定ボタンから、ダウンロードしてください。</p>

<p><img alt="data_download.png" src="/uploads/data_download.png" width="300" class="mt-image-none" style="" /></p>

<p><font size=-1>※ 名刺データの一括ダウンロード機能をご利用する場合は、<a href="https://eight.zendesk.com/hc/ja/articles/360000039795">Eightプレミアム</a>に登録してください。</font></p>

<hr />

<p><strong>② はがきの準備：デザインテンプレートのおすすめサイト</strong></p>

<p>社内のデザイナーにお願いするケースが多いかもしれませんが、この時期、「暑中見舞い　デザイン　企業」で検索すると、ビジネスでも使える落ち着いたデザインが見つかります。なかでも、筆者がおすすめするサイトを紹介します。</p>

<p><strong><a href="https://nenga.aisatsujo.jp/item/list?cm=shochu&amp;gr=s_corporate&amp;tag=s_company#_ga=2.41400354.1634117356.1528853949-1448665516.1528853945">挨拶状ドットコム</a></strong> <br />
54種類のデザインから選べます。全体的にポップな印象ですが、単色でシンプルなデザインもあります。差出人と文面、ひと言コメントを印字できます。2018月8月27日まで、宛名の印字を無料で行なっています
。</p>

<p><strong><a href="http://www.accea.co.jp/shochu/shochu_A01.html">ACCEA</a></strong> <br />
45種類のデザインから選べます。淡いイラストがワンポイントで入っているデザインが多く、文章をしっかり書きたい方におすすめです。同様に、差出人や文面を印字できます。オプションで、宛名の印字も可能です。</p>

<p><strong><a href="https://www.winged-wheel.co.jp/seasons-greeting/?category=sg-syochumimai-print">手紙用品店 Winged Wheel</a></strong> <br />
上2つと比べると種類は多くないですが、ついデスクに飾りたくなるような、アートを感じさせるデザインです。特にお世話になった人に、プレゼント感覚で送るのに最適です。デザインによっては、差出人や文面、宛名の印字が可能です。</p>

<hr />

<p><strong>③ 文面の準備：ひと言だけでも、相手に向けたメッセージを</strong></p>

<p>ある程度、型は決まっていますが、せっかくなら一人ひとりに向けて書いたと分かるひと言を入れてみてはいかがでしょう。大人数に送る場合は難しいかもしれませんが、例えば、季節の挨拶は印字し、手書きでひと言添えるだけでも、きっと相手の心に残るはずです。</p>

<p>例として、「前職でお世話になった先輩向け」という設定で、文章を考えてみました。</p>

<blockquote>
  <p>暑中お見舞い申し上げます。</p>

<p>ご無沙汰を重ねているうちに、季節は移り、しのぎにくい盛夏となりましたが、お変わりありませんか。前職では、ランチのたびに色々とご相談させていただき、ありがとうございました。  </p>

<p>どうかお風邪など召されませんよう、ご自愛くださいませ。</p>
</blockquote>

<p><font size=-1>参考：『手紙の作法』亀井ゆかり（かんき出版）</p>

<hr />

<p><strong>④ 最後に：できるだけ綺麗な字で書く</strong></p>

<p>基本的には、丁寧に書こうという気持ちが大事なのかもれません。ただ、少しでも綺麗に見せるコツがあるなら、知りたいと思いませんか？　今回、筆者が暑中見舞いを書くにあたって参考にした『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4761267569">手紙の作法</a>』で、字を綺麗に見せるためのコツがいくつか紹介されていたので、実践してみました。</p>

<p><img alt="summer_greeting_card_02.png" src="/uploads/summer_greeting_card_02.png" width="720" class="mt-image-none" style="" /></p>

<blockquote>
  <p>① 漢字は大きめに、ひらがなは小さめに <br />
② 横書きはやや細く、横書きはやや平たく（文字と文字の間をやや詰める） <br />
③ 行は等間隔に、まっすぐに（ガイドラインとして、紙を置いて書く） <br />
④ 文章量が少ないときは改行の頭を下げない <br />
⑤ 「踊り字」「重ね字」「畳み字」を使う（「々」「〃」「ゞ」など） <br />
⑥ 姿勢を正しくして真上のやや高い位置から見ながら書く</p>

<p>──『手紙の作法』亀井ゆかり（かんき出版） 第2章より一部抜粋</p>
</blockquote>
]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>挨拶は省略。意図が伝わる名刺交換リクエストの送り方 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/06/eight-tips-vol8.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9066</id>

    <published>2018-06-18T06:55:00Z</published>
    <updated>2018-06-18T06:56:49Z</updated>

    <summary>「ご挨拶ほど、冷たいものはない」。定型文や肩書きは割愛して、単刀直入に相手とつながりたい意図から切り出しましょう。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
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        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>知らない人や、よく覚えていない人から名刺交換リクエストがきて、「なぜこの人は私にリクエストをしてきたんだろう？」と疑問に思った経験はありませんか。例えば、以下の例をご覧ください。</p>

<blockquote>
  <p>初めまして。千代田飲料株式会社マーケティング部の荒木と申します。イベントの企画を担当しております。よろしくお願いいたします。</p>
</blockquote>

<p>ビジネスの挨拶が並んでいて、やや無機質な印象を受けます。リクエストを送った理由も伝わりません。そこで、リクエストの背景を添えて、名刺に書かれている情報は割愛してみました。</p>

<blockquote>
  <p>初めまして。先日のマーケティングセミナーで〇〇様の講演を拝聴して、ぜひ今後とも情報交換したく、リクエストをしました。よろしくお願いいたします。</p>
</blockquote>

<p>背景を添えるだけで、少なくとも疑問に思うことはなくなるでしょう。さらに、もうひと押ししたい場合は、思い切って「初めまして」と「よろしくお願いいたします」を削り、その分、自分の気持ちを加えてみましょう。</p>

<blockquote>
  <p>先日のマーケティングセミナーの講演で、〇〇様が紹介されていた方法を試してみたら、一回で企画が通り感動しております。ぜひ今後とも情報交換させてください。</p>
</blockquote>

<p>もしかしたら、ビジネスの挨拶を割愛することに抵抗がある、という方もいるかもしれません。ただ、文字数が限られているなかで、リクエストの意図をストレートに伝えることも、ひとつの手です。</p>

<p>今回、リクエストのコメント例を考えるにあたって、参考にした中谷彰宏著『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4434179519">「ひと言」力。</a>』では、短い文章で伝えるための99個のコツが紹介されています。なかでも参考にしたコツを1つ、最後に紹介します。</p>

<blockquote>
  <p>「ご挨拶ほど、冷たいものはない」</p>

<p>（前略）</p>

<p>ダイレクトに1行目からボンと出す方が相手には伝わります。講演を聞いた人に「本日はお忙しい中を時間も延長していただいて、まことにありがとうございました」と長々と書かれても、包み紙をもらっているような感じがします。</p>

<p>それよりは、ひと言、「どうしましょう。講演を聞いてからドキドキがとまりません」と書かれたほうが気持ちは伝わります。</p>
</blockquote>
]]>
        
    </content>
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    <title>超キャッシュレス、脳波ヘルメット...。中国の最新テック事情──世界最先端のテクノロジーニュースまとめ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/06/MIT-Technology-Review-VOL2.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9065</id>

    <published>2018-06-15T02:25:00Z</published>
    <updated>2018-06-15T03:01:39Z</updated>

    <summary>世界最古のテクノロジーメディア『MIT Technology Review』の日本版編集部がBNL読者のために、毎月注目のニュースについて分かりやすく解説。今月のテーマは「中国のテクノロジー事情」。驚くべきスピードでテクノロジーを受け入れている超大国の動向を紹介する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="世界最先端のテクノロジーニュースまとめ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="テクノロジー" label="テクノロジー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>『MIT Technology Review』は世界最古のテクノロジーメディアである。1899年の創刊当初は、マサチューセッツ工科大学（MIT）の卒業生に読者を限定した雑誌で、論文誌に近く発行部数も少なかった。だが1998年に誌面をリニューアルしてからは、研究者だけでなくビジネスの世界にも読者層を広げていった。先進テクノロジーが経営の方向性を変えていく時代に、世界中で支持を得て現在は日本を含めて147カ国に展開している。</p>

<p>これまでビジネスネットワークについて探究してきたBNL編集部は、ビジネスの進化の可能性を探るうえで、テクノロジーニュースも紹介したいと考え、日本版のMITテクノロジーレビュー編集部にコンタクトをとった。BNLで紹介するうえでの課題は、普段テクノロジーニュースを読み慣れていないビジネスパーソンにも理解しやすい内容にすること。そこで、MITテクノロジーレビュー編集部が、毎月いま注目のテーマを取り上げ、ニュースの文脈を整理して紹介してくれることになった。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/05/MIT-Technology-Review-VOL1.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/evolution.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>（前回の記事）AIが仕事を奪ったとき、私たちはより人間的な仕事ができる──世界最先端のテクノロジーニュースまとめ</strong></div></a></div>

<p>今月のテーマは、「中国のテクノロジー事情」。驚くべきスピードでテクノロジーを受け入れている超大国の動向を紹介する。この要約を読んでおけば、次に誰かと名刺交換したときにも、話題に事欠くことはないだろう。</p>

<p><figure><figcaption>Top Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/jonathankosread/6549778849/" target="_blank" rel="nofollow">"Arches in the Rain</a>" by Jonathan Kos-Read (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nd/2.0/" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-ND</a>)</figcaption></figure></p>

<hr />

<p><figure><img src="/uploads/work-10006181920-720.jpg">
<figcaption>写真はイメージ。Photo: MarkoLovric | PixaBay</figcaption></figure></p>

<p>中国のある工場で働く人たちが被っているのは、ただのヘルメットではない。頭皮の上から脳波を読み取るセンサーを搭載した、超ハイテクなヘルメットなのだ。</p>

<p>中国では最近、こうしたヘルメットの着用を従業員に義務付ける政府主導のプロジェクトが進んでいるという。脳波の変化を監視することで、従業員の不満やうつ病の兆候をいち早く発見するのがプロジェクトの狙いだというから、驚きだ。</p>

<p>脳波を測定してコンピューターを制御する「脳機械インターフェイス（Brain Machine Interface：BMI）」というテクノロジーは昨今、注目を集めているものの、まだ感情と脳波の関係は明らかになっておらず、本当にこのヘルメットで従業員を管理できるのかどうかは不明だ。それでも、中国なら脳波ヘルメットがいつのまにか実用化され、あらゆる企業に導入されたとしても、何ら不思議ではない。それくらい中国ではいま、先進的なテクノロジーが日常生活の中に急速に入り込んでいるのだ。</p>

<div class="link-box"><a href="https://www.technologyreview.jp/nl/with-brain-scanning-hats-china-signals-it-has-no-interest-in-workers-privacy/" target="_blank" rel="nofollow"><div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/work-10006181920-720.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>先月の重要ニュース：中国企業、脳波ヘルメットで従業員の「感情」を監視</strong></div></a></div>

<h2>超キャッシュレスだけじゃない、中国の驚くべき日常</h2>

<p>中国で普及しているテクノロジーとして有名なのは、QR決済に代表されるフィンテック分野だろう。コンビニやレストランはもちろん、街中の屋台まで、スマホアプリでQRコードを読み取るだけで支払いができるサービスが普及している。中国のスマホ決済市場は2016年時点で約550兆円。もはや、「都市部で現金を使うのは観光客ぐらい」と言われるほどの超キャッシュレス社会なのだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/shutterstock_747814348-720.jpg">
<figcaption>簡素な看板のQRコードで決済できる屋台。レジも現金の管理もいらない。Photo： Maciej Bledowski / Shutterstock.com</figcaption></figure></p>

<p>決済だけではない。車体の損傷部分をスマホアプリで撮影すると画像認識によって補償額が決まるネット保険、顔認証を利用して与信審査を実施する融資サービスなど、スマホをキーにしたサービスが続々と登場し、広まっている。上海の地下鉄の駅では行き先を券売機に音声で告げるだけで「おすすめ経路」に沿った切符が発券され、裁判所では音声認識テクノロジーが裁判記録を自動作成している。音声入力といえば日本では一部の人にしか使われていない印象だが、中国でもっとも人気の音声認識アプリ「アイフライテック（iFlytek）」の利用者はすでに5億人以上。外国人との会話やテキスト入力に音声認識を使うのは、すでに当たり前の光景なのだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/iflytek-robot-xiaoman-cropped-720.jpg">
<figcaption>アイフライテックの音声認識ソフトウェアはさまざまな製品や場面で使われている。Photo: Courtesy of iFlytek</figcaption></figure></p>

<p><strong>関連記事「先進技術大国の最新事情」</strong><br>
・<a href="https://www.technologyreview.jp/s/55669/why-500-million-people-in-china-are-talking-to-this-ai/" target="_blank" rel="nofollow">利用者は5億人超、謎のAI企業の音声アプリが変える中国の風景</a><br>
・<a href="https://www.technologyreview.jp/s/44863/meet-the-chinese-finance-giant-thats-secretly-an-ai-company/" target="_blank" rel="nofollow">中国の巨大「テックフィン」企業アントの驚くべき正体</a><br>
・<a href="https://www.technologyreview.jp/s/78894/inside-the-chinese-lab-that-plans-to-rewire-the-world-with-ai/" target="_blank" rel="nofollow">基礎研究に150億ドル投資、アリババの「中国式AI」は世界を席巻するのか？</a><br>
・<a href="https://www.technologyreview.jp/s/52240/meet-the-company-thats-using-face-recognition-to-reshape-chinas-tech-scene/" target="_blank" rel="nofollow">日本人が知らない顔認識先進国・中国で躍進する謎のテック企業</a></p>

<h2>あまりにも桁違いのスケール</h2>

<p>なぜここまで急速にテクノロジーが普及したのだろうか。理由はいくつかある。1つは、14億人という圧倒的な人口の多さだ。音声認識にしろ顔認証にしろ、精度が低ければ使われない。精度を高めるには大量のビッグデータを人工知能に与え、学習させる必要がある。そこで人口の多さが有利に働く。高精度なテクノロジーが利便性を高め、新たな利用者を呼び込む好循環を作り出しているのだ。</p>

<p>もう1つは、中国政府の強力な後押しだ。特にAI分野に関しては、中国政府は国家成長のための重点分野に位置付けている。2030年までにAI関連産業を160兆円規模に育て、「世界一のAI大国」を目指す野心的な目標を掲げているのだ。具体的には、資金調達の支援や教育の強化、関連法の整備などを進めているほか、およそ2300億円を投じてAI企業を集積する工業団地を北京に建設する計画も発表している。</p>

<p><strong>関連記事「世界一のAI大国へ」</strong><br>
・<a href="https://www.technologyreview.jp/s/58250/chinas-ai-awakening/" target="_blank" rel="nofollow">国家レベルでAIに賭ける中国から何を学ぶべきか</a><br>
・<a href="https://www.technologyreview.jp/s/49201/china-plans-to-use-artificial-intelligence-to-gain-global-economic-dominance-by-2030/" target="_blank" rel="nofollow">中国、2030年までに世界一のAI大国目指すと発表</a><br>
・<a href="https://www.technologyreview.jp/nl/china-has-a-new-three-year-plan-to-rule-ai/" target="_blank" rel="nofollow">世界一のAI大国を目指す中国、3年以内に実現する計画を発表</a><br>
・<a href="https://www.technologyreview.jp/nl/beijing-is-getting-a-2-1-billion-ai-district/" target="_blank" rel="nofollow">中国、21億ドルをかけたAI工業団地を北京に建設</a></p>

<p>さらに、好調な中国経済を追い風とした旺盛な投資意欲が、テクノロジー系スタートアップ企業の創業や成長を促している。2015年の中国のベンチャー企業への投資金額はおよそ2兆5000億円。米国の7兆1500億円とはまだ開きがあるとはいえ、日本の1300億円とは比べものにならない。2018年4月には顔認識技術ベンチャーのセンスタイム（SenseTime）が約660億円の資金調達に成功し、AI関連技術企業として世界トップクラスの時価総額に躍り出たのも印象的だ。</p>

<p><strong>関連記事「中国スタートアップの資金調達」</strong><br>
・<a href="https://www.technologyreview.jp/nl/chinas-ai-startups-scored-more-funding-than-americas-last-year/" target="_blank" rel="nofollow">AIスタートアップの資金調達でも中国が躍進、米国抜く</a><br>
・<a href="https://www.technologyreview.jp/nl/the-worlds-most-valuable-ai-startup-is-yep-chinese/" target="_blank" rel="nofollow">中国センスタイムが6億ドル調達、世界一のAIスタートアップ企業へ</a></p>

<h2>課題はあってもこの勢いは本物だ</h2>

<p>もちろん問題がないわけではない。テクノロジーが人々の暮らしを便利に豊かにする一方、あまりにも性急な発展は社会に歪みをもたらす。たとえば最近、中国のテック企業では30代以上の従業員の採用を拒否する年齢差別が横行しているという。「家族がいる人は仕事に集中できない」というのがその理由だというから、ダイバーシティを尊重しようという世界的な流れには明らかに反している。</p>

<div class="link-box"><a href="https://www.technologyreview.jp/nl/chinese-tech-firms-are-throwing-out-applicants-over-the-age-of-30/" target="_blank" rel="nofollow">
<div style="background-image: url('/uploads/felix-russell-saw-609925-unsplash-300.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>「30歳以上はお断り」、中国テック企業の採用最前線</strong></div></a></div>

<p>顔認証や音声認識といったテクノロジーを活用する上では欠かせないプライバシーに関する問題も、最近になって浮上している。2018年1月にはユーザーの個人情報を同意なしに収集しているとして、消費者保護団体がバイドゥ（Baidu）を訴えた。中国市民のプライバシーに対する意識が変わりつつあることを象徴する出来事であり、裁判の行方によっては今後の法規制に影響を与える可能性もありそうだ。</p>

<div class="link-box"><a href="https://www.technologyreview.jp/nl/privacy-may-finally-be-starting-to-matter-in-china/" target="_blank" rel="nofollow">
<div style="background-image: url('/uploads/tony-lam-hoang-156669-300.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>中国でも芽生えたプライバシー意識、消費者団体がバイドゥを提訴</strong></div></a></div>

<p>いくつかの問題を抱えていたとしても、中国の勢いは当面止まらないだろう。問題と引き換えにそれを上回る圧倒的な利便性がもたらされることによって、中国市民は最新テクノロジーを受け入れてきたからだ。膨大なビッグデータ、豊富な資金、政府による強力な後押しは、先進技術大国としての中国の地位をますます確固たるものにするはずだ。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>「弱いつながり」よりも「広い帯域幅」が新情報をもたらす──社会ネットワーク研究の世界（後編） - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/06/socialnetworks-vol3.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9060</id>

    <published>2018-06-12T09:10:00Z</published>
    <updated>2020-06-11T07:44:33Z</updated>

    <summary>「弱いつながり」の方が新情報が得られるという固定概念を覆す、世界最先端の社会ネットワーク研究を紹介する。「帯域幅」の仕組みを理解すれば、名刺交換した人との付き合い方まで変わってくるかもしれない。特に変化の激しい業界に身を置く人は必読だ。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネスネットワーク" label="ビジネスネットワーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="社会ネットワーク研究" label="社会ネットワーク研究" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h2>最先端のキーワードは「帯域幅」</h2>

<p>これまで、まず前編では「弱いつながり」と〈橋渡し〉のネットワーク構造の強みについて解説しました。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/06/socialnetworks-vol1.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/34444129113_96eece51f0_o1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>「弱いつながり」の誤解と本質──社会ネットワーク研究の世界（前編）</strong></div></a></div>

<p>中編では逆に、「強いつながり」と〈結束〉のネットワーク構造の強みに関する研究を取り上げたうえで、ブロードウェイ・ミュージカルの社会ネットワークを分析した研究結果を紹介。〈橋渡し〉と〈結束〉のバランスが取れたネットワーク構造こそが、作品の成功に最もつながりやすい理由について確認しました。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/06/socialnetworks-vol2.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/14233520928_0bde29194f_o-1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>「強いつながり」と「結束」の強み──社会ネットワーク研究の世界（中編）</strong></div></a></div>

<p>後編では、組織の情報環境によって、最適な〈橋渡し〉と〈結束〉のバランスは変動することを提示した注目の理論を紹介します。2011年にマサチューセッツ工科大学の社会学者シナン・アラルとマーシャル・ファン・アリスティンによって発表された、「多様性-帯域幅のトレードオフ理論 （diversity-bandwidth tradeoff theory）」です。</p>

<p>従来の認識では、〈結束〉のネットワーク構造において、自分とつながっている人は、他の人ともつながっている確率が高く、冗長性が高まるため新情報は得られにくいとされていました。しかし、アラルらは、組織の情報環境によっては〈結束〉の方がむしろ、より多くの新情報が得られることを主張します（Aral and Van Alstyne 2011; Aral 2016）。</p>

<p>キーワードとなるのは、一定の時間に伝達される情報量を表す概念、「帯域幅」です。</p>

<p><figure><figcaption>Top Image: "<a href="https://www.flickr.com/photos/biggreymare/5326850183/" target="_blank" rel="nofollow">Pipe Dreams 1</a>" by Carol Von Canon (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-NC-ND</a>)</figcaption></figure></p>

<hr />

<h2>なぜ〈結束〉の方が「帯域幅」は広くなる？</h2>

<p>アラルらは、アメリカ国内で14の拠点をもつ人材斡旋会社における、幹部クラスの従業員が交換したメールの内容を分析しました。着目したのは、従業員のあいだで流通する情報の相対的異質性と新規性です。</p>

<p>分析の結果、〈橋渡し〉に富んでいるほどネットワークの「多様性」は高まりますが、逆に〈結束〉に富んでいる方が「帯域幅」は広がることが確認されました。これが「多様性-帯域幅トレードオフ理論」と呼ばれる所以です。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/vol3balance-img-1.png">
<figcaption>ネットワーク構造と帯域幅の関係。帯域幅が十分に広ければ、情報5と情報6のように少し重複は発生するとしても、〈結束〉の構造の方が、伝わる新情報の総量は多くなることを示しています。Image: BNL</figcaption></figure></p>

<p>でも、そもそもなぜ〈結束〉のネットワーク構造の方が「帯域幅」は広くなるのでしょうか。アラルらは、過去の社会ネットワーク研究をいくつか参照して、この理論を導いています。</p>

<p>例えば、スタンフォード大学の経営学者モルテン・ハンセンは、「組織内で情報を伝播させるときには、たしかに『弱いつながり』は鍵を握る要素とはなるが、複雑な情報を伝達するには『強いつながり』が必要になる」ことを示唆しています（Hansen 1999）。「強いつながり」の方が、相互のコミュニケーションが活発になるため、複雑な知識を伝達しやすくなると主張します。</p>

<p>さらに、MITの経営学者レイ・リーガンスとトロント大学の社会学者ビル・マケビリーらは、知識の伝達においても〈結束〉のネットワーク構造の方が有利になることを実証しています。中編でも解説した通り、〈結束〉の構造は協調的な規範を育み、個人が時間・エネルギー・知識を相手と分かち合う意欲や動機を増やすためです（Reagans and McEvily 2003）。</p>

<p>あるいは、アメリカの社会心理学者、ダニエル・ウェグナーが提示した「交換記憶（transactive memory）」（Wegner 1987）も、帯域幅への影響を想定できます。交換記憶とは、メンバー間の過去のやり取りにもとづき、「誰がどのような知識をもっているか」について組織内で共有された記憶です。緊密なネットワークをもつ集団は交換記憶が濃いので、誰がどういう情報を欲しているか、あるいは誰にどのような情報について尋ねればいいかが容易に分かります。それだけ接触の数は増えて、帯域幅が広くなるのです。</p>

<h2>ポイントは3つの情報環境</h2>

<p>「多様性-帯域幅トレードオフ理論」では、新情報の流通という観点から最適なネットワーク構造を決めるのは、組織の情報環境のうち、「（メンバーが保有する）情報の重複度」「トピック空間」「リフレッシュレート」の3つであるとされています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/vol3balance-img-2.png">
<figcaption>組織の情報環境と最適なネットワーク構造。組織によって異なる3つの情報環境の大小によって、〈結束〉か〈橋渡し〉か、重視すべきネットワーク構造のバランスが変動することを示しています。Image: BNL</figcaption></figure></p>

<p><strong>・情報の重複度</strong><br>
情報の重複度とは、それぞれのメンバーが保有する情報のあいだに、どれほどの重複があるかを示します。グラノヴェッターの「弱いつながりの強さ」、および後続の研究では、「もしクラスタが異なれば、流れている情報も異なる」という大前提がありました。しかし、それをアラルらは覆し、「異なるクラスタ間でも同様の情報が共有されている状況だってあり得る」と主張します。そのような状況下では、情報量の限られる〈橋渡し〉のネットワークよりも、帯域幅の広い〈結束〉のネットワークの方が、新情報は得やすいのです。</p>

<p><strong>・トピック空間</strong><br>
トピック空間とは、つながりのあいだを流れる情報の種類のことを指します。例えば、「人事」と「経理」の話題が含まれるメールよりも、「人事」と「ペット」と「近隣のお薦めの飲食店」の話題が含まれるメールのほうが、トピック空間は増大します。一度に伝えるトピック空間が大きい場合、帯域幅の広い〈結束〉の方が、総量としての情報の重複は減り、より価値のある情報を入手できることが想定されます。</p>

<p><strong>・リフレッシュレート</strong><br>
従来のネットワーク理論では、情報を静的なものとして捉えており、変化することはあまり考慮されていませんでした。しかし、アラルらは「リフレッシュレート」という概念を使い、価値を生む情報が変化する期間が短いほど、帯域幅の広いネットワークの方が有利に働くことを主張しています。つまり、情報の変化が激しい環境では、〈結束〉の方がより多くの新情報を入手できるということです。</p>

<p>以上、3つの情報環境の特徴を整理すると、ネットワークの構造によって得られやすい情報の性質が異なることも説明できます。</p>

<p>〈橋渡し〉に富んだネットワークの方が、シンプルな（トピック空間の小さい）情報や、変化のスピードが遅い（リフレッシュレートが低い）情報を得るには有利です。逆に〈結束〉の方が、複雑な（トピック空間の大きい）情報や、変化のスピードが速い（リフレッシュレートが高い）情報は得やすいということです。</p>

<p>ここでアラルらは、面白い問いかけをしています。</p>

<blockquote>
  <p>「情報の乱気流が集団の異質性を増加させるならば、多様なネットワーク構造は重要であり続けるだろう。 しかし、そうではなく、かつ社会がより大きな情報の乱気流に向かって動くならば、仲介者のポジションは、密な集団のリーダーよりも有用性が低くなる可能性がある」（Aral and van Alystine 2011 p.149）</p>
</blockquote>

<p>つまり、アラルらは組織の情報環境によって、〈橋渡し〉と〈結束〉の最適なバランスは変動することを主張しているのですが、特にこれからの時代は、より多くの人にとって、帯域幅の広い〈結束〉に富んだネットワークの重要性が増してくるのではないかと問いかけているのです。</p>

<p>比較的有益な情報を交換できそうな相手を見つけたら、積極的にコミュニケーションをとることで帯域幅の広い人間関係をつくるべきであり、また、そうした人間関係をつくりやすい〈結束〉に富んだネットワークに積極的に参加したり、自ら構築していくことが求められるとも解釈できるのではないでしょうか。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/socialnetworksvol3-2.jpg">
<figcaption>Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/torbus/15293249389/" target="_blank" rel="nofollow">...</a>" by Tore Bustad (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-NC-ND</a>)</figcaption></figure></p>

<h2>社会ネットワーク研究の今後</h2>

<p>現在でも、社会ネットワーク研究の世界では、日進月歩で新たな知見が積み上げられています。ここで紹介した最先端の理論も、「情報」という面での優位性を主張するものでしかなく、人と人のつながりから創造される、それ以外の側面（愛情や友情、信頼といったもの）については、まだ十分に分かっていることは多くありません。そもそも、人間関係とは通信回線のような無機質な線ではなく、血の通ったつながりです。先々の利益を見越して、打算的にネットワークを構築することだけが「正しい」ネットワークのあり方というわけではない、という見方もできるでしょう。</p>

<p>最後になりますが、一つひとつの出会いは、それ自体が幸運の賜物であり、人の力でコントロールするのは難しい部分もあるでしょう。しかし、それを奇跡の名のもとで目を背けることなく、「科学」の力によって仕組みを解明しようと、世界中の研究者が知恵を絞ってきた歴史があるのです。</p>

<p>日常の何気ない名刺取り込みの中で、今回紹介したような社会ネットワーク研究の世界に思いを馳せていただければ嬉しいです。</p>

<h2>参考文献</h2>

<p>Aral, S., &amp; Van Alstyne, M. (2011). The Diversity-Bandwidth Trade-off. American Journal of Sociology, 117(1), 90-171.</p>

<p>Aral, S. (2016). The future of weak ties. American Journal of Sociology, 121(6), 1931-1939.</p>

<p>Hansen, M. (1999). The Search-Transfer Problem: The Role of Weak Ties in Sharing Knowledge across Organization Subunits. Administrative Science Quarterly, 44(1), 82-111.</p>

<p>Reagans, R., &amp; McEvily, B. (2003). Network Structure and Knowledge Transfer: The Effects of Cohesion and Range. Administrative Science Quarterly, 48(2), 240-267. </p>

<p>Wegner, D. M. (1987). Transactive memory: A contemporary analysis of the group mind. In Theories of group behavior (pp. 185-208). Springer, New York, NY.</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="4010001120965"></div>
]]>
        
    </content>
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    <title>「強いつながり」と「結束」の強み──社会ネットワーク研究の世界（中編） - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <id>tag:bnl.media,2018://125.9058</id>

    <published>2018-06-08T02:27:00Z</published>
    <updated>2020-06-11T07:42:31Z</updated>

    <summary>最近「弱いつながり」が注目されているが「強いつながり」にだっていいところはある。それぞれの強みを理解してバランスを図ることが肝要である。Sansan株式会社のデータ化およびデータ活用組織、Data Strategy &amp; Operation Center (DSOC) の研究員、前嶋直樹が解説する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネスネットワーク" label="ビジネスネットワーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="弱いつながりの強さ" label="弱いつながりの強さ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="社会ネットワーク研究" label="社会ネットワーク研究" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>先日公開した前編に続いて、Eightの運営会社であるSansan株式会社のデータ化およびデータ活用組織、Data Strategy &amp; Operation Center（DSOC）の研究員、前嶋直樹の寄稿記事、中編をお届けする。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/06/socialnetworks-vol1.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/34444129113_96eece51f0_o1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>「弱いつながり」の誤解と本質──社会ネットワーク研究の世界（前編）</strong></div></a></div>

<p>前嶋は大学院時代に社会ネットワーク理論を学び、現在、名刺交換の織りなすネットワークの価値を最大化するためのサービス開発に取り組んでいる。ビジネスの世界では、まだあまり知られていない研究なども紹介しながら、論文に馴染みの薄いビジネスパーソンでも理解しやすい言葉でまとめてもらった。</p>

<p>前編では「弱いつながり」の構造的な本質は〈橋渡し〉的なネットワーク構造にあることを説明し、それを社会に実装するときに注意すべき点についても紹介した。今回の中編では、逆に「強いつながり」の強みに関する研究を紹介し、ネットワーク構造的には〈橋渡し〉に対する概念である〈結束〉の強みについて解説する。</p>

<p><figure><figcaption>Top Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/curtismacnewton/14233520928/" target="_blank" rel="nofollow">Flexible Pipe</a>" by Curtis MacNewton (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-NC-ND</a>)</figcaption></figure></p>

<hr />

<h2>「強いつながり」の強み</h2>

<p>前回紹介したグラノヴェッターの「弱いつながり」と対をなすように、「強いつながり」の重要性を主張し続けているのが、カーネギーメロン大学の社会学者デイヴィッド・クラックハートです。</p>

<p>クラックハートは、「強いつながりの強さ（the strength of strong ties）」という論考の中で、「情報利益」という点で弱いつながりの優位性を認めつつも、「フィロス（philos）的な関係性」が、組織内の重大な変化にとって必要不可欠であることを主張しています（Krackhardt 1992）。</p>

<p>フィロソフィーの語源であり、ギリシア語で「友人」を意味する言葉であるフィロスを用いた「フィロス的な関係性」とは、相互作用・愛情・長期間の持続性といった条件を満たすつながりを意味しています。これは科学的な分析を可能にするためにクラックハートが用いた定義ですが、いわゆる「親密な友人関係」と同じものを指していると考えて結構です。</p>

<p>クラックハートは、アメリカのとあるスタートアップ企業を研究対象としました。その企業ではかつて、産業別労働組合への加入を求める動きがありました。アメリカの労働法にもとづき社員による投票が行われたのですが、最終的には十分な投票数が集まらず、計画は失敗に終わりました。</p>

<p>フィールドワークを通して、クラックハートはその企業内で仕事の助言をよく求められる人のネットワークと、プライベートでも親しく付き合いのあるネットワークをそれぞれ可視化し、比較することで、その失敗の要因を解明します。</p>

<p>研究結果からクラックハートは、仕事関係のネットワークと友人関係のネットワークでは、キーマンは必ずしも一致しないことを明らかにしています。つまり、オフィスで助言を求められる人物と、プライベートで愛着をもたれる人物は、決して同じとは限らないのです。</p>

<p>投票が集まらなかった原因は、友人関係のネットワークにおいて非中心的な人たちが加入運動を率いていたためだとクラックハートは分析しています。組織を大きく変えるような意思決定には、仕事の力量が高く、社内で多くの助言を求められている人物に頼りがちですが、本当は多くの人と親密な信頼関係を結んでいる人をこそ巻き込むべきである。すなわち「フィロス的な関係性」が重要な役割を果たすというのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/8652395255_026999f1b0_k-7202.jpg">
<figcaption>Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/militaryhealth/8652395255/" target="_blank" rel="nofollow">physical-activity-120511-M-0000L-035</a>" by MilitaryHealth (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/2.0/" target="_blank" rel="nofollow">CC BY</a>)</figcaption></figure></p>

<h2>〈結束〉の強み</h2>

<p>前編で「弱いつながり」理論の構造的本質は〈橋渡し〉にあるというロナルド・バートの研究を紹介しましたが、逆に「強いつながり」において発生しやすい構造である〈結束〉の強みについての研究にも注目してみましょう。</p>

<p>アメリカの社会学者ジェームズ・コールマンは、「人的資本の形成における社会関係資本」という論文の中で、ゆるやかで開放的なネットワークよりも、緊密で閉鎖的なネットワークの方が、個人の能力やスキル形成にとっては有益であることを示しています。閉鎖的なネットワークは、規範と効果的なペナルティを生み出すためです。コールマンが実際に挙げている2組の親子の例に沿って説明しましょう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/socialnetworks4-2.png">
<figcaption>ジェームズ・コールマンによる親子ネットワークの研究事例。パターン2のように、親同士（AとD）がつながっている「世代間閉鎖性」のある親子ネットワークの方が、子供の教育にとって有益であることを主張しています。Image: BNL</figcaption></figure></p>

<p>上の図において、AとDは親を、BとCは子供を表しています。パターン1のネットワークでは、親同士はつながっていませんが、パターン2のネットワークでは親同士がつながっています。パターン2のように、親と子が双方とも別の親と子とつながっているような状態をコールマンは「世代間閉鎖性」と呼びました。</p>

<p>世代間閉鎖性のある親子ネットワークは、それがないネットワークと比べて、子供に対して効果的な制裁を下すことができます。なぜなら、親Aは自分の子供を教育するにあたって、親Dの助力が得られ、自分の子供の監視役としても機能するからです。</p>

<p>実際に、カトリック系の高校とそうでない高校では、前者のほうが生徒の中退率が低いという結果が定量的に確認されています（Coleman 1988）。これはカトリック系キリスト教徒の生徒が、教会など学校の外で大人のコミュニティに包摂されており、そこでさまざまな教育を受けることに起因している、とコールマンは主張します。</p>

<p>一般的に、閉鎖的なネットワークは互いに恩義を感じやすく、他者への期待が醸成され、信頼関係を育みます。開放的なネットワークに比べて、恩義や期待を裏切ったときのコストが互いに高くなるからです。</p>

<p>こうした関係性は、長期的な意思決定を支え、粘り強くプロジェクトを進めていく上で、会社組織にとっても有利に働く場合があります。ただし、閉鎖性が強すぎて、メンバーの主体性を奪ってしまう場合もあるので注意は必要です。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/13026743325_97a2b1a018_k-7202.jpg">
<figcaption>Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/tamaleaver/13026743325" target="_blank" rel="nofollow">Beach scales ...</a>" by Tama Leaver (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/2.0/" target="_blank" rel="nofollow">CC BY</a>)</figcaption></figure></p>

<h2>〈橋渡し〉と〈結束〉のバランス</h2>

<p>前編からこれまで、弱いつながりにおいて発生確率の高い〈橋渡し〉的なネットワーク構造と、強いつながりにおいて発生確率の高い〈結束〉、それぞれの強みについてバートやコールマンの研究をもとに説明してきましたが、実際にビジネスの現場ではどちらをより重視すべきなのでしょうか。</p>

<p>近年の社会ネットワーク研究によると、〈橋渡し〉的なネットワークと〈結束〉的なネットワークは、どちらもバランスよく保つことが重要であることが明らかになってきています。</p>

<p>その代表格ともいえるノースウェスタン大学の社会学者ブライアン・ウッツィの研究を紹介しましょう。ウッツィは同僚のジャレット・スピロとともに、ブロードウェイの作曲家や演出家のネットワークと、経済的・芸術的な成功の関係性を分析し、どのようなときに最もパフォーマンスが高くなるかを研究しました（Uzzi and Spiro 2005）。</p>

<p>まず、ブロードウェイの製作者ネットワークの構造を可視化するために、特定のミュージカル作品における脚本家や作曲家などの製作チームの関係性を分析しました。もし過去に共同製作の経験があれば、製作者Aと製作者Bのあいだにつながりがあると見なす、というルールでネットワークを可視化していったのです。</p>

<p>次に、製作チーム内のネットワークに対して「スモールワールド指数」を算出しました。これは「クラスタリング係数」というものを「平均パス長」というもので割った値です。</p>

<p>「クラスタリング係数」とは、製作者同士がどれほどつながっているかを表す指標であり、チーム内のつながりの密度を表したものです。いつも同じようなメンバーで作っていれば、クラスタリング係数は高くなります。共同制作者間の結束を強さに関連するため、チームの結束力を表す数値であるともいえるでしょう。</p>

<p>「平均パス長」は、ネットワークの中で任意のペアのあいだの最短ステップ数の平均値を数値化したものです。ブロードウェイの業界の中で、各製作者がどれほど遠い位置にいるかを示しています。この値が大きいということは、画期的で斬新なコラボレーションが行われる可能性が高いことを意味しており、革新的なアイデアが作品に取り入れられることにつながります。つまり、チームの〈革新性〉を表す数値であるといえるでしょう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/socialnetworks5-2.png">
<figcaption>ブロードウェイ・ミュージカルの製作者ネットワークの研究結果を表した図。程よく結束したチームであり、なおかつ遠い位置にいる人とも程よくつながっている場合に、作品として最も高い評価が得られる傾向を示している。Image: BNL</figcaption></figure></p>

<p>分析の結果、この「スモールワールド指数」が中庸であるときに、ミュージカル作品が最も芸術的かつ経済的な成功を収めやすいことが判明しました。つまり、〈革新性〉と〈結束力〉のどちらか一方だけが高くても、創造的な作品は生まれないということです。なぜなら、新しいアイデアは、質の高い作品を生むための重要な要素ではあるものの、うまく取り入れるためにはチーム内の相互的な信頼が必要となるからです。</p>

<h2>〈仲介〉と〈閉鎖性〉のトレードオフ</h2>

<p>実は前回の記事で紹介した「橋渡し」の重要性を主張したロナルド・バートは、のちに「〈仲介〉と〈閉鎖性〉のトレードオフ」についての研究を進めています。</p>

<p>社会ネットワークが〈仲介〉に偏っていると、チーム内での相互信頼や合意形成は不十分になってしまいます。いくら仲介されるものが多くても、メンバー間の見解がバラバラで、チームに新しい意見を取り込む余裕がなければ無駄に終わってしまいます。ただ逆に〈閉鎖性〉に偏っていると、情報や知識がタコツボ化してしまったり、外部からの意見を取り入れることが困難になったりするので、視野の狭い合意形成が行われてしまい、早合点による判断ミスが生まれやすくなります。</p>

<p>そこで優れた調整役となるのは、全体のネットワーク構造を俯瞰しながら行動する人物です。例えば、結束力の強い集団内部で拙速な合意形成が進んでいることを見て取り、うまく外部の人物とのつながりを作り、早熟な意思決定を防いだり、逆に、多様だがバラバラなメンバー間の結束を「強いつながり」の形成によって促進できたりすることが重要となります。バートは、さまざまな人が行き交う「共通の空間」を作ることで、〈仲介〉と〈閉鎖性〉のバランスを取ることを勧めています。</p>

<p>以上、中編では強いつながりと結束の強みについての研究を紹介し、〈橋渡し〉と〈結束〉、〈仲介〉と〈閉鎖性〉のバランスについて、信頼やリスクヘッジ、合意形成に注目して解説してきました。最終回の後編では、最先端の「帯域幅」理論を紹介し、「組織の情報環境」という観点から最適なネットワークの築き方についてのヒントを提供します。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/06/socialnetworks-vol3.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/socialnetworksvol3-2-1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>「弱いつながり」よりも「広い帯域幅」が新情報をもたらす──社会ネットワーク研究の世界（後編）</strong></div></a></div>

<h2>参考文献</h2>

<p>Burt, R. S., Bartkus, V. O., &amp; Davis, J. H. (2009). Network duality of social capital. Social capital: Reaching out, reaching in, 39-65.</p>

<p>Coleman, J. (1988). Social Capital in the Creation of Human Capital. American Journal of Sociology, 94, 95-120.</p>

<p>Krackhardt, D. (1992). The Strength of Ties: The Importance of Phiros in Organizations. Networks and Organizations: Structure, Form, and, Action, 216-239.</p>

<p>Uzzi, B. (1996). The Sources and Consequences of Embeddedness for the Economic Performance of Organizations: The Network Effect. American Sociological Review, 61(4), 674-698.</p>

<p>Uzzi, B., &amp; Spiro, J. (2005). Collaboration and creativity: The small world problem. American Journal of Sociology, 111(2), 447-504.</p>

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    <title>「弱いつながり」の誤解と本質──社会ネットワーク研究の世界（前編） - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/06/socialnetworks-vol1.html" />
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    <published>2018-06-06T01:48:00Z</published>
    <updated>2020-06-11T07:41:30Z</updated>

    <summary>弱いから有益なのではなく、つながっていない者同士をつなぐ「橋渡し」こそが本質である。Sansan株式会社のデータ化およびデータ活用組織、Data Strategy &amp; Operation Center (DSOC) の研究員、前嶋直樹が解説。前編・中編・後編の3つの記事に分けてお届けする。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネスネットワーク" label="ビジネスネットワーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="弱いつながりの強さ" label="弱いつながりの強さ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="社会ネットワーク研究" label="社会ネットワーク研究" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>SNSが普及し、より多くの人と継続してコミュニケーションが取れるようになったことにより、1970年代に社会学の分野で提示されていた「弱いつながり」の価値に、最近あらためて注目が集まっている。</p>

<p>3月に開催した「人のつながりで、仕事に変化を起こすには」をテーマにしたBNLのトークセッションでも、いま本当にビジネスに役立つのは「弱いつながり」なのか、それとも「強いつながり」なのか、について議論が白熱した。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/04/SIP2018-report.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/siptop.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>イベントリポート： 人のつながりで、仕事に変化を起こすには？</strong></div></a></div>

<p>しかし、そもそも「弱いつながり」という考え方は、社会ネットワーク理論の研究から出てきたものである。そこでBNL編集部は、Eightの運営会社であるSansan株式会社のデータ化およびデータ活用組織、Data Strategy &amp; Operation Center（DSOC）の研究員、前嶋直樹に寄稿をお願いした。</p>

<p>前嶋は大学院時代に社会ネットワーク理論を学び、現在、名刺交換の織りなすネットワークの価値を最大化するためのサービス開発に取り組んでいる。研究の世界では「弱いつながり」の価値について、どのような議論がなされているのか。ビジネスの世界では、まだあまり知られていない研究なども紹介しながら、論文に馴染みの薄いビジネスパーソンでも、理解しやすい言葉でまとめてもらった。前編・中編・後編の3つに分けてお届けする。まずは前編、「弱いつながりの強さ」の解説から始めよう。</p>

<p><figure><figcaption>Top Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/deanhochman/34444129113/" target="_blank" rel="nofollow">thread</a>" by Dean Hochman (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/2.0/" target="_blank" rel="nofollow">CC-BY</a>)</figcaption></figure></p>

<hr />

<h2>「弱いつながりの強さ」とは</h2>

<p>私たちは日々新しい人と出会ったり、過去に知り合った人と親睦を深めたりしています。そのつながりによって形成される「社会ネットワーク」の特徴は、人によって異なります。</p>

<p>どれほど多くの人と知り合っているか。どのような属性の人が多いか。どれくらい親密な関係性か。知り合い同士が知り合いである場合は多いか。これらの特徴によって、日頃あまり意識していなくても、人づてに流れてくる情報の性質は変わることがあります。</p>

<p>例えば、親密な人よりも、あまり頻繁には会わない知人からの方が、転職に役立つ情報を得られる確率が高いという研究結果があります。スタンフォード大学の社会学者マーク・グラノヴェッターが1973年に発表した論文「弱い紐帯の強さ（the strength of weak ties）」で紹介されたものです。社会ネットワーク研究で最も引用数の多い論文となり、ビジネスの世界にも大きなインパクトを与えました。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/05/iriyama.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_L2A8466-1094.jpg">
<div class="info"><strong>弱いつながりの強さ：早稲田大学ビジネススクール准教授・入山章栄が解説する、世界標準の人脈術</strong> <date>2017.05.01</date></div></a></div>

<p>しかし、"弱いつながり"はちょっと有名になりすぎたとも言えるでしょう。45年前に発表された理論なので、のちの研究によってアップデートされている部分も多いのですが、後続の研究内容はビジネスパーソンのあいだではあまり知られていません。「微妙な知り合いをとにかく増やしておけばいい」などといった誤解も、たまに見受けられます。</p>

<p>この前編では、あらためてグラノヴェッターの「弱いつながり」論について解説し、その構造的な本質である「橋渡し」について説明します。次の中編では、グラノヴェッター以降に研究された「強いつながりの強さ」論を紹介し、「弱いつながり」との関連性について考えてみましょう。そして後編では、最新の研究が提示する「帯域幅」の理論を紹介し、個々の状況に適したビジネスネットワークの活用法について検討します。</p>

<p>ビジネスネットワークの活用法は、万人に適用できるたったひとつの正解があるわけではありません。業種や職種、個々人の社会ネットワークの特徴によっても最適解は異なります。ご自身のネットワークの特徴と照らし合わせながら、読み進めてみていただければと思います。</p>

<h2>弱ければいいわけではない</h2>

<p>まず前提として社会ネットワーク研究の世界では「情報は社会ネットワークを通して巡回（circulate）する」という考え方をします。下の図のように、AとCによって橋渡しされている2つの集団（クラスタ）を考えてみましょう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/socialnetworksgraph1.png">
<figcaption>互いが密につながったクラスタの内部では、それぞれ異なる情報が共有されています。クラスタYとの唯一のつながりであるAさんを介して、情報はXからYへ「橋渡し」されます。Image: BNL</figcaption></figure></p>

<p>クラスタXとクラスタYの中では、それぞれ異なる情報が巡回しています。AさんがクラスタXに属する人とクラスタYに属する人のあいだに橋をかけると、AさんにはクラスタX,Y両方の、互いに重なり合いが少ない情報が流れ込んできます。ゆえに、橋渡しを行う人は、自分の属しているクラスタの外から、貴重で有利な情報が得られるのです。</p>

<p>このような「橋渡し」の形成メカニズムを説明し、実証するために、グラノヴェッターは「つながりの弱さ」を持ち出しました。</p>

<p>「AはB,Cと知り合いだが、BとCは互いに知り合いではない」という関係性があると仮定します。これを社会ネットワーク理論では「非推移的（intransitive）」な「三者関係（triad）」と呼びます。クラスタ間の橋渡しには、この非推移的な三者関係が不可欠です。グラノヴェッターは、理論的には、「弱いつながり」が非推移的な三者関係を発生させるために大事だと主張しました。なぜでしょうか。下の図を用いて説明しましょう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/socialnetworks2-2.png">
<figcaption>もしつながりが強ければ、BとCのあいだに新たなつながりが誘発される可能性が高まりますが、つながりが弱ければ、Aさんは橋渡し的な役割を担い続けることができます。Image: BNL</figcaption></figure></p>

<p>現実世界では、図の下段のような非推移的な三者関係は稀な現象です。一般的に共通の知人AをもつBとCがいたとき、AとB、AとCの関係性が親密なもの＝強いつながりであれば、BとCもまた顔を合わせ、交流する機会が増えるため、BとCは知人になりやすい傾向があるからです。</p>

<p>ゆえにグラノヴェッターは、つながりが強いにも関わらず非推移的な関係を、「禁じられた三者関係（forbidden triad）」と名づけています。強いつながりの場合は、三者は互いにつながりやすくなり、橋渡しの構造にはなりにくいことを強調するためです。つまりグラノヴェッターは、橋渡し的な構造になる確率の高い条件として「弱いつながり」に注目したのです。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/24336577081_3ce2b6dac5_k.jpg">
<figcaption>Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/trixie-in-dixie/24336577081/" target="_blank" rel="nofollow">IMG_2037N-2</a>" by Patrice M Christian (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-NC-ND</a>)</figcaption></figure></p>

<h2>本質は「橋渡し」にあり</h2>

<p>グラノヴェッターは、〈弱い〉つながりの縁が、自分の知らない重要な情報を伝播させる〈強い〉一面を備えていると主張しました。実は彼がつながりの強度を前面に押し出した背景として、「弱い紐帯の強さ」の論文が書かれた当時、小集団内部の社会ネットワークが専ら研究対象になっており、大規模なネットワークの構造はあまり検討されていなかったという事情があります。当時、グラノヴェッターの理論の新しさは、「一本の弱いつながり」という「ミクロ」なものが、集団間の橋渡しという「マクロ」な社会構造を反映しているという点にあったのです。</p>

<p>現実的には、たとえ「弱いつながり」ではなくても、「橋渡し」的な機能を担うことはできます。例えば、同居しており、頻繁に顔を合わせる親子を想定してみましょう。父親が製造業で働いていて、子どもが保険業界で働いている場合、互いの属するクラスタはあまり重なることはないでしょう。でも同居していれば、互いのクラスタの情報が交わされることは多いはず。家族のような「強いつながり」であったとしても、「橋渡し」が機能することは十分に考えられるのです。</p>

<p>この点に着目したのがシカゴ大学ビジネススクールの社会学者、ロナルド・バートです。バートは、あるつながりが個人やクラスタのあいだを橋渡しするかどうかと、そのつながりが強いか弱いかどうかは、あくまで「相関事象」でしかないと指摘しました（Burt 1992）。つまり、弱いから有益なのではなく、つながっていない者同士をつなぐことこそが本質である、と主張したのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/socialnetworksgraph3.png">
<figcaption>つながりにおける強度と構造の関係。発生確率が低いだけであって、強度が強い場合でも、橋渡し的な構造になる可能性はある（左下）。逆に弱い場合であっても、結束の構造になることはある（右上）。Image: BNL</figcaption></figure></p>

<p>バートは、つながっていない者同士にある穴を「構造的空隙（structural holes）」と名づけ、この空隙（くうげき）を活用することで得られる「情報利益」や、空隙を保ったまま互いにつながりのない二者を操作することで得られる「統制利益」など、さまざまな利益が得られることを主張しました。</p>

<p>個人がつないでいる構造的空隙の量を、バートは「拘束度」として数量化可能な形で定式化しました（Burt 1992）。グラノヴェッターの理論を拡張したものですが、ここではつながりの〈強度〉の側面は捨象され、〈構造〉の重要性が強調されています。</p>

<p>構造的空隙の理論にもとづいた実証研究は枚挙に暇がありません。例えば、構造的空隙を多くもっている社員ほど早期に昇進しやすかったり（Burt 1992）、革新的なアイデアを生み出しやすいことが分かっています（Burt 2004）。そればかりか、イタリア・ルネサンス期のメディチ家の栄華が、経済的なつながりと伝統的貴族のつながりを仲介する構造的空隙の賜物であると主張するユニークな研究も存在しています（Padgett and Ansell 1993）。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/6791819395_f6d7fc4408_b.jpg">
<figcaption>Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/evanspicturios/6791819395/" target="_blank" rel="nofollow">Bridge and reflection</a>" by shakakahnevan (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-NC-ND</a>) </figcaption></figure></p>

<h2>ただ「橋渡し」ばかりではうまくいかない</h2>

<p>橋渡し的なつながりは、いいことずくめにも見えますが、実は落とし穴があることも指摘されています。</p>

<p>オランダ・ユトレヒト大学の社会学者、ヴィンセント・ブスケンスらの研究グループが、興味深いシミュレーションを行っています（Buskens and van de Rijt 2008）。「誰もが構造的空隙を求めて橋渡し的なつながりを形成したら、全体のネットワークはどうなるのか？」という問いに答えるものです。</p>

<p>シミュレーションの手続きはこうです。まずランダムに個人を選びます。ランダムに選ばれた個人は、他の全ての個人との関係性について、それを維持するか、削除するか、もしつながりがない場合は、新しくつながりを築くか判断します。Aさんとはつながったほうがいいか、それともよくないか、Bさんとはつながったほうがいいか、それともよくないか......こうした判断を他のすべての個人に対して行っていきます。最終的に均衡状態になったときに、どのようなネットワークが発生するのでしょうか。</p>

<p>結果、一番多く発生したネットワークの形は、「完全2部ネットワーク」と呼ばれるものでした。仮に全ての人が2つのグループに分かれたとき、グループ内にはつながりは発生していないが、グループ間には可能な数だけ多くのつながりが発生している、という状態です。個人と個人のあいだの距離は非常に近い（最長でも2ステップ）にも関わらず、結束的なつながりが一切存在しないという奇妙なネットワーク構造です。誰かの構造的空隙を減らさない限り、ほかの誰かの構造的空隙が増えない、という状況です。</p>

<p>全ての人が仲介者の役割になると、「つながっていない人同士を仲介する」というメリットが消失します。つまり、橋渡しのつながりばかりで満たされると、逆に橋渡しの意味がなくなってしまうのです。現実社会ではありえない状況ですが、全員が橋渡し的な役割を担う必要はないことが、このようにして証明されます。</p>

<p>以上、前編では「弱いつながり」の構造的な本質は、「橋渡し」的なつながりにあることを説明するとともに、それを社会に実装するときに注意すべき点についても紹介しました。次の中編では、逆に「強いつながり」の研究を紹介し、構造的には「橋渡し」に対する概念である「結束」の強みについて解説します。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/06/socialnetworks-vol2.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/14233520928_0bde29194f_o-1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>「強いつながり」と「結束」の強み──社会ネットワーク研究の世界（中編）</strong></div></a></div>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/06/socialnetworks-vol3.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/socialnetworksvol3-2-1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>「弱いつながり」よりも「広い帯域幅」が新情報をもたらす──社会ネットワーク研究の世界（後編）</strong></div></a></div>

<h2>参考文献</h2>

<p>Burt, R. S. (1992). Structural holes: the social structure of competition. Harvard University Press.</p>

<p>Burt, R. S. (2004). Structural holes and good ideas. American journal of sociology, 110(2), 349-399.</p>

<p>Buskens, V., &amp; Van de Rijt, A. (2008). Dynamics of networks if everyone strives for structural holes. American Journal of Sociology, 114(2), 371-407.</p>

<p>Granovetter, M. (1973). The Strength of Weak Ties. American Journal of Sociology, 78(6), 1360-1380.</p>

<p>Granovetter, M. (1983). The Strength of Weak Ties: A Network Theory Revisited. Sociological Theory, 1, 201-233.</p>

<p>Padgett, J. F., &amp; Ansell, C. K. (1993). Robust Action and the Rise of the Medici, 1400-1434. American journal of sociology, 98(6), 1259-1319.</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="4010001120965"></div>
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    <title>撮影しきれない大量の名刺、スキャナーで手軽に取り込めます - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2018-05-30T07:24:00Z</published>
    <updated>2019-03-08T10:04:27Z</updated>

    <summary>Eightの便利な使い方を紹介する「Eight Tips」。今回は、一度に大人数と名刺交換したときにも役立つ、Eight対応スキャナー「ScanSnap」を使って名刺を取り込む方法を紹介します。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="Eight Tips" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>大量名刺の仕分けやスキャン作業に、わずらわしさを感じた経験ってありませんか？</p>

<p>筆者は新人時代、展示会のたびに大量の名刺の仕分けとスキャンをしていました。パートナーと見込み顧客に分けて、1枚ずつ目視で見込み顧客を業種ごとに分類します。完了したら、オフィスの複合機を使ってスキャンするのですが、4枚ずつ並べては取り込むので延々と終わりません。最後に、名刺をシュレッダーにかけるところまでやって、同僚と3人がかりで最低3日間はかかりました。</p>

<p>もし同じような仕事をしている方や、紙の名刺が溜まりがちな方を見かけたら、スキャナーでサクッとEightに取り込むことをおすすめしています。</p>

<h2>アプリのカメラで撮る場合の10分の1</h2>

<p>ただ、普段スキャナーを使わない人のなかには、数十枚くらいであれば、アプリのカメラで撮影した方が手っ取り早い、という方もいるかもしれません。そこで、スキャナーだと実際にどのくらいサクッと取り込めるのかを、Eight対応スキャナー<a href="#ScanSnap">ScanSnap</a>を使って、アプリのカメラで撮影した場合と比べてみました。</p>

<p><img alt="SS_animation_01.gif" src="/uploads/SS_animation_01.gif" width="100%" style="max-width:720px;" class="mt-image-none" style="" /></p>

<p>1分間に取り込める名刺の枚数を比べた結果、アプリのカメラで6枚（12面）撮るあいだに、スキャナーで60枚（120面）取り込めることが分かりました。例えば、月に名刺を100枚交換する人であれば、年間180分、50人の部署で全員が使えば、<strong>150時間</strong>、名刺スキャン以外のことに時間を割けるということになります。</p>

<p>やはり手軽さを考えると、1〜20枚くらいならアプリのカメラで撮った方が効率的ですが、それを超えるときは、スキャナーを使ってみてはいかがでしょうか。</p>

<h2>10分で簡単セットアップ。ScanSnapとの連携方法</h2>

<p>ドライバーと連携用ソフトをPCにインストールし、いくつかの設定をするだけで、すぐに使い始められます。</p>

<p>1）始めに、<a href="http://scansnap.fujitsu.com/jp/dl/?utm_medium=referral&amp;utm_source=eightads">こちら</a>のサイトから、ScanSnap Homeをインストールします。（※1） <br />
2）次に、<a href="https://8card.net/scanners">こちら</a>のサイトから、「PC用 Eight scan β版」をダウンロードします。（※2） <br />
3）ダウンロードが完了したら、ScanSnap Homeの初期設定を行ってください。<a href="https://eight.zendesk.com/hc/ja/articles/360000571776#h_88220480591542697972046">こちら</a>のヘルプページに詳細な手順が画面キャプチャ付きで記載されています。</p>

<p><img src="https:///materials.8card.net/eightblog/201805/SS_animation_02.gif" align="center"></p>

<p>※1 動作確認済みの機種は<a href="https://eight.zendesk.com/hc/ja/articles/360000571776">こちら</a>のヘルプページにて参照できます。<b>必ず事前にご確認ください。</b>
※2 <a href="https://eight.zendesk.com/hc/ja/articles/360000039795-Eight%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%9F%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%81%A8%E3%81%AF">Eightプレミアム</a>をご利用のユーザー向けのサービスです。 </p>

<h2>PCを使わず、無料のスマホアプリで連携することも</h2>

<p>もっと手軽にEightと連携させたい場合は、無料のスマホアプリ <a href="http://www.pfu.fujitsu.com/imaging/scansnap-cloud/index.html?utm_medium=referral&amp;utm_source=eightads">ScanSnap Cloud</a>を使って、スキャナーで取り込んだ名刺データの保存先としてEightを指定することも可能です。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=h54Cw5ZX35Q
<figcaption>スキャンした原稿を「レシート（領収書）」「名刺」「文書」「写真」の4つの種別に自動的に判別し、利用するクラウドサービスに振り分けて保存。</figcaption></figure></p>

<h2><a name="ScanSnap" >ScanSnapについて</a></h2>

<p>ScanSnapは、PFU社製の高性能スキャナーです。ScanSnapシリーズのなかでも、動画に登場した高速モデルiX500は、安定して1枚ずつ給紙するための機能が搭載されているため、やり直しの手間なくスムーズに名刺を取り込めます。</p>

<p>さらに、名刺だけに限らず、捨てられない書類の整理やレシートのデータ化にも役立ちます。ScanSnapシリーズ（※）に関する詳細は、<a href="http://scansnap.fujitsu.com/jp/?utm_medium=referral&amp;utm_source=eightads">こちら</a>の製品紹介ページをご覧ください。</p>

<p>※ 動作確認済みの機種は<a href="https://eight.zendesk.com/hc/ja/articles/360000571776">こちら</a>のヘルプページにて参照できます。<b>必ず事前にご確認ください。</b></p>

<p>また、全国のルノワールやコワーキングスペースに設置しているEight専用のスキャンスポットで、使用感をお試しいただくことも可能です。まずは職場の近くにあるスキャンスポットを<a href="https://contents.8card.net/dokodemo_scan/spot/">こちら</a>のページで検索してみてください。</p>

<div class="link-box"><a href="http://scansnap.fujitsu.com/jp/campaign/summercampaign2018.html?utm_medium=cpa&utm_source=eight_ads&utm_campaign=summer2018">
<div style="background-image: url('https://materials.8card.net/eightblog/201806/Scansnap_summer.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>【ScanSnap Summer キャンペーン実施中（期間：2018年5月17日〜2018年7月1日）】
抽選で「Dyson コードレスクリーナー」や「バーミキュラ ライスポット ミニ」、「TOSHIBA スマートロボットクリーナー」、「ソニーモバイル オープンイヤーヘッドセット」、「Blueair 空気清浄機」をプレゼント</strong></div></a></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="6220001017593"></div>
]]>
        
    </content>
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    <title>山中伸弥 × 羽生善治『人間の未来 AIの未来』──iPS細胞と将棋の世界からみた、Human＆AIの最前線　 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/05/BNLBooks-VOL8.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9044</id>

    <published>2018-05-28T07:22:00Z</published>
    <updated>2018-06-17T13:24:56Z</updated>

    <summary>人間は将来、AIに支配されてしまうのか。生命科学の最前線から人工知能の限界と可能性、そしてこれからの人材の育て方に至るまで、日本の二大知性が未来を予言する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネス書" label="ビジネス書" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>山中 伸弥</strong><small> 京都大学iPS細胞研究所所長・教授</small><p>1962年、大阪府生まれ。神戸大学医学部卒業、大阪市立大学大学院医学研究科修了(博士)。米国グラッドストーン研究所博士研究員、京都大学再生医科学研究所教授などを経て、2010年4月から京都大学iPS細胞研究所所長。2012年、ノーベル生理学・医学賞を受賞。</p>
<strong>羽生 善治</strong><small> 将棋棋士、永世七冠</small><p>1970年、埼玉県生まれ。将棋棋士。1985年に史上3人目の中学生プロ棋士となる。1996年には竜王、名人ほか7つのタイトルすべてを獲得。棋聖のタイトルを保持していた2017年に竜王の座に返り咲き、前人未到の「永世七冠」の称号を得る。2018年2月に国民栄誉賞受賞。</p></aside></p>

<h2>ふなっしーは、人間にしかつくれない──BNL編集部の選定理由</h2>

<p>将来、私たちの仕事の大半をAIが担えるようになるのは周知の通りだが、「人間的な創造」をAIが行うことは、まだ難しいという。ではその「人間的な創造」とは一体どのようなものなのだろう。</p>

<p>本書の中で羽生善治氏（以下、羽生氏）は、創造についてこう語っている。</p>

<blockquote>
  <p>AIがどれだけ進化しても、ふなっしーをつくることはできないと思います。</p>

<p>いくら過去のヒット商品のデータを集めても、初音ミクはつくることはできても、ふなっしーのように、あんな大雑把なデザインで大人気を得られる、突然変異種のようなものを生み出すことはできないでしょう。</p>

<p>AIはデータにもとづいて人が好むもの、選ぶものを予測することは得意ですが、とんでもないものを好きになる、意外性を愛する人間の可能性は予測できないはずです。
それこそ人間にしかできない創造的行為だと思います。</p>

<p>第３章「人間は将来、AIに支配されるのでしょうか」 より抜粋</p>
</blockquote>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/05/MIT-Technology-Review-VOL1.html/"><img src="https://bnl.media/uploads/evolution.jpg">
<div class="info"><strong>関連記事：AIが仕事を奪ったとき、私たちはより人間的な仕事ができる──世界最先端のテクノロジーニュースまとめ</strong></div></a></div>

<p>これを受けた山中伸弥氏（以下、山中氏）は、「共感」が関わっていると語る。もしAIがふなっしーを作ったら、「AIはまだまだダメだね」で終わるが、人間がつくると「お、ちょっと可愛いね」という感覚になる、と。</p>

<p>個々の人間が肉体を持って生活してきた背景があるからこそ意味を成す、これがまさに「人間的な創造」である。私たち人間にしかできない仕事を手に入れるためのヒントも、ここに隠されているかもしれない。</p>

<p>本書は、生命科学や人工知能の発展によって、人間の暮らしがどう変わるかをテーマに、山中氏と羽生氏の会話で進んでいく。全体を通してわかりやすく語られているので、普段、科学やテクノロジーについて深く関わっていない人でも、楽しく、自分の未来と重ねながら読むことができる一冊だ。</p>

<p>なにより、山中氏と羽生氏の人柄の良さが伝わってくるところがいい。それぞれの専門分野において頂点を極めているにも関わらず、なお学び続ける姿勢と、時代の変化をおもしろいと感じ好奇心を抱く様子が印象的だった。</p>

<p>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4062209721/">こちら</a>。（Amazon）</p>

<hr />

<h2>要約者レビュー</h2>

<p>iPS細胞という世紀の大発見が世界中から注目を浴びてから、はや10年。はたしてその研究はいま、どこまで進んでいるのか。 </p>

<p>iPS細胞を発見した山中氏と、将棋の世界で前人未到の「永世七冠」を達成した羽生氏の、きわめて刺激的な対談本がこれだ。生命科学を大きく発展させた立役者と、「汎用人工知能」への関心から多くの現場取材を行なってきた史上最強の棋士。彼らがいったい何を語るのか、それに興味をもたずにいるのはいささか難しい。</p>

<p>iPS細胞に関する研究の進展や生命科学の世界、人工知能の特性、ビッグデータの真価など、本書で語られる話はとにかく多岐にわたる。そしていずれも、私たちの好奇心を存分に刺激してくれる。 </p>

<p>とくに情報化社会である現代において、新しい発想を生み出すことの難しさについて触れた箇所は「なるほど」と考えさせられる。みんなが同じような思考パターンに陥ってしまえば、ブレークスルーなど起こりようがない。そのことは2人とも当然心得ており、そうならないための大事なポイントや工夫が本書では語られている。 </p>

<p>生命科学の世界も人工知能の精度も、これからますます飛躍的に発展していくことだろう。世の中がより便利になり、生きやすくなることはいいことだ。しかし同時に、これまで経験したことのない未知との遭遇も増えるに違いない。そのとき想定外の事態を「おもしろい」と思えるように、本書を読んでおくことを強くおすすめする。 </p>

<hr />

<h2>本書の要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> <br />
iPS細胞の研究はいま、「再生医療」と「創薬」という2つの分野で進展している。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong> <br />
生命科学の世界には研究成果をリアルタイムに共有する仕組みがない。それがいま問題視されている。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong> <br />
AI導入を推進する際に重要な観点となるのが、AIの答えに人間が納得できるかどうかだ。なぜならAIが答えを導き出すプロセスはブラックボックスであるうえ、判断ミスを犯す可能性もあるからである。</p>

<p><strong>── 要点4──</strong> <br />
重要なのは情報の「量」を増やすことではなく、それらを「質」に転換し、遭遇したことのない新たな局面でもうまく対応することである。 </p>

<hr />

<h2>要約</h2>

<h2>iPS細胞研究の現在地</p></h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/ningennomirai.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/stevensnodgrass/5548209591/">"Foam Heads"</a> by Steve Snodgrass(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>受精卵とiPS細胞</h3>

<p>マウスからiPS細胞を製作することに、世界ではじめて成功したと発表されたのが2006年。ヒトiPS細胞の製作成功が発表されたのは、その翌年のことだった。当時はまだ動物を使った基礎研究の段階だったiPS細胞の研究は、この10年間でどこまで進化したのだろうか。 </p>

<p>まずiPS細胞についておさらいしておこう。iPS細胞とはどんな細胞にもなれる能力をもった細胞のことで、日本では「人工多能性幹細胞」と訳される。このような能力をもった細胞は基本的に体内には存在しない。それを人工的に作りだしたため、こう呼ばれている。 </p>

<p>ただしiPS細胞のような能力をもった状態が、人間の体にたった一度だけ現れることがある。それは受精卵のときだ。200種類以上もの体の細胞は、すべて受精卵からできている。受精卵は「多能性幹細胞」であり、「万能細胞」とも呼ばれている。 </p>

<p>山中氏らは、大人の皮膚の細胞や血液の細胞に手を加えることで、受精卵の状態に戻すことに成功した。それがiPS細胞である。 </p>

<h3>進化するiPS細胞の研究</h3>

<p>京都大学iPS細胞研究所「サイラ」（CiRA）では、iPS細胞を医療の分野に応用することを目的に研究を進めている。大きくは「再生医療」と「創薬」という2つの分野に分かれる。 </p>

<p>「再生医療」分野では、iPS細胞を体のさまざまな細胞に分化させ、患者に移植することをめざす。「創薬」の分野では、患者の細胞からiPS細胞を作り、そこに病態を再現させることで病気のメカニズムを解明。薬の開発に役立てる。 </p>

<p>こうした臨床応用の研究は、人間への応用にあと一歩という段階にまでさしかかっている。2014年に理化学研究所のチームが、iPS細胞から作った網膜の細胞を、加齢黄斑変性の患者に移植する手術を成功させた。これは世界ではじめてのことだ。 </p>

<p>また2013年にも、横浜市立大学のグループが、iPS細胞から"ミニ肝臓"を作ることに世界ではじめて成功している。"ミニ肝臓"というのは、肝臓のいわゆる「芽」のことだ。これを患者に移植して、患者自身に臓器まで育ててもらうというアプローチである。 </p>

<p>さらに動物の体内で人間の臓器を作る「キメラ技術」の研究も進んでいる。この研究には、臓器提供者不足が深刻な臓器移植の現場から、大きな期待が寄せられている。</p>

<hr />

<h2>世の中をよりよくするデータの使い方</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/ningennomirai_5.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/foto_mania/16450114271/">"Paper and typewriter_L"</a> by Jason Truscott(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>オープンソースで進化する将棋ソフト</h3>

<p>将棋ソフトの進化は、チェスや囲碁とは異なっているという。チェスや囲碁はグーグルなどの大企業が参入し、ハードとデータ量を重視して開発が進んできた。その一方で、将棋ソフトの世界には巨大資本が入ってこなかった。というのも将棋ソフトがあまりにも強すぎて誰も買わなくなり、マーケットがなくなったからだ。 </p>

<p>利害関係が消滅した将棋ソフトは、そのほとんどがオープンソースとなり、誰でも自由に分析や研究ができる環境が整った。ソフト開発の共有ウェブサービス「ギットハブ」（GitHub）で、多くの人が寄ってたかってバグや修正ポイントを次から次へと共有。こうして将棋ソフトの開発レベルは飛躍的に伸びた。</p>

<h3>生命科学の知見共有を阻むもの</h3>

<p>オープンソースをベースに進化してきた将棋ソフトとは逆に、生命科学の世界では論文発表まで研究内容をひた隠しにする。 </p>

<p>論文を発表する際は、まず『ネイチャー』や『サイエンス』というジャーナル編集部に自分の論文を送付し、匿名の研究者数人に「ピアレビュー」（査読）をしてもらう。もっとも多いのが、この時点で低評価を受け、論文発表を拒否されるケースだ。そうでなくとも修正や改善、追加実験の必要性を指摘され、1、2年かけて対応することもしばしばである。このように生命科学の世界では、研究成果がリアルタイムで世間に公表されることはめったにない。 </p>

<p>一方で物理学や数学の分野では、以前からリアルタイムで発表されるようになっている。論文発表はあくまで付け足しにすぎない。リアルタイムで評価できるため、間違いがあっても誰かが指摘してくれる。もちろん重複して研究するようなこともない。 </p>

<p>近年は生命科学の世界でも、ビッグデータを共有し、リアルタイムに成果発表できる仕組みが必要だと考える人が増えている。 </p>

<hr />

<h2>将棋とAI</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/ningennomirai_2.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/drukaman/1210333770/">"shogi"</a> by André Ferreira(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>一貫性という美意識と可能性の幅</h3>

<p>人間には継続性や一貫性、いわゆる「流れ」を感じる能力がある。そしてそこに安心や安定を感じる。そのため人間の棋士の場合、指し手の美しさや形によっては、有効な選択肢のひとつであっても、あえてそれを選ばないことがある。 </p>

<p>一方でAIには、まだ人間の思考のような時系列処理はできない。「流れ」を読めないため、一手ずつリセットして考えている。だからコンピュータによる棋譜には不自然さが残る。つまり人間の美意識からすると、美しくないのだ。 </p>

<p>しかしそれは逆にいうと、より多くの選択肢をもっているということでもある。だからこそAIは過去の指し手など関係なく、これまで誰も指さなかったような新手を指してくるのである。 </p>

<p>人間は未知の出来事に、不安や危機感を感じてしまう。それはもしかすると人間が生き延びるために身につけた本能なのかもしれない。かたやAIには恐怖など感じるすべもないのだから、単に膨大なデータ量から最適解を導くだけのことである。人間が絶対に選択しない危険な指し手もいとわない。 </p>

<p>AIの考え方を人間がならうようになれば、人間の可能性はもしかするともっと広がるのかもしれない。 </p>

<h3>AI導入のポイント</h3>

<p>AIを導入する際に重要なこと、それはAIが導き出した答えに、人間が十分納得できるかどうかだと羽生氏はいう。なぜならAIが答えを出すまでのプロセスは、ブラックボックスに包まれているからだ。何十層もの膨大なプロセスのなかで、なにがどうなってうまくいったのかは、開発者ですらまったくわからないそうである。 </p>

<p>また「AIは判断ミスをしない」と思っている人は多いが、じつはそうとも限らない。AIは単に正しい確率、あるいは成果が出る確率がもっとも高いことを実行しているにすぎない。万が一AIがミスをしたとき、なぜ失敗したのか、その原因や理由をきちんと説明できるかどうかもカギとなる。 </p>

<p>このことは医療現場を例にとるとわかりやすい。少なからず判断ミスをする可能性のあるAIが、理由はわからないが最適な治療法を導きだしたとする。医師から「AIがそういっているから」とだけ聞かされて、あなたは自分の命を預ける気になるだろうか。 </p>

<p>将棋の世界でも同じだ。AIが生み出した新手が受け入れられるかどうかは、そのプロセスが解明され、納得できるかどうかにかかっている。 </p>

<hr />

<h2>【必読ポイント！】 情報化社会における思考法</h2>

<h3>棋士の思考法</h3>

<p>将棋において、ひとつの局面の選択肢は平均すると80通りほどある。そのためまずは「直感」で、これだと思う2、3手に絞りこむ。ただし直感といっても、単なる当てずっぽうではない。それまで積み重ねてきた経験や学習が下地となり、そこから閃いたもの、それが直感だ。 </p>

<p>次に先の展開を、頭のなかでシミュレーションする。いわゆる「読み」というやつだ。論理的にひとつずつ考えると、一手につき3通りずつだとしても、十手先だと3の10乗で約6万通りになってしまう。仮にそれが可能だったとしても、現実には自分が予測していなかった手を指されると、結局は最初から考えるはめになる。そのため対局中は、常に手探りで進んでいくしかない。 </p>

<p>最後に使うのが「大局観」だ。どの駒を動かすかという具体的な手ではなく、対局全体の流れをとらえて戦略を立てる。守りに徹するという方向性を決めれば、それを実現する選択肢のみに集中でき、思考のムダを省ける。</p>

<h3>独創的なアイデアをもたらす方法</h3>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/ningennomirai_3.jpg" alt="" title="" /> <figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/skagitrenee/40729120371/">"Vivid Elephant"</a> by skagitrenee(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>将棋でも研究でもそうだが、「いいアイデアを思いついた！」と思っても、たいてい他の人に先を越されているものだ。いまはインターネットを通じて、簡単に情報が手に入る時代だし、リアルタイムで情報共有することもたやすい。そういう環境のもとでは、人と違うことや人がやっていないことをするのがとても難しくなる。 </p>

<p>山中氏によると、人と違う独創的なアイデアをもたらすものは、次の3つのパターンしかないという。 </p>

<p>1つ目はアインシュタインのような天才タイプであること。これに該当する人は少ないだろうから、実質的なパターンは2つということになる。 </p>

<p>2つ目は、とりあえず思いついたことを実験で試してみて、思わぬ結果が出たときだ。自然はまだまだ解明されていないことが多いため、予想外のことが起こる。大切なのはそのとき「おもしろい」と思えるかどうかだ。興味と疑問をもち、なぜそれが起こったのかを突き詰めていく。すると誰も思いつかなかったところにたどり着けるかもしれない。</p>

<p>3つ目は、「実現できたらいいが、そんなことはムリに違いない」と誰もがあきらめているものにチャレンジすることだ。 山中氏によると、いちばん大切なのは2つ目であり、ほとんどの研究はこのパターンだった。唯一iPS細胞だけが、3つ目に該当するという。</p>

<h3>「量」を「質」に転換せよ</h3>

<p>年齢を重ねると知識や経験が積み重なり、物事がよく見えるようになる。するとそこそこの方法がわかるようになるため、あえてリスクを犯すことをしなくなる。無知であるほうが、新しいことにはむしろ挑戦しやすいといえる。</p>

<p>また情報が増えると、先入観や固定観念が生まれてしまう危険性もある。それを打ち破り、自由に思考することは容易ではない。思考が固定化するのを防ぐには、答えのない問題や場面を積極的に経験するべきだ。 </p>

<p>将棋にも、はっきりした答えがある局面とそうでない局面があると羽生氏はいう。重要なのは、知識や過去の経験が役に立たない新しい局面において、速やかに対応できるかどうかである。羽生氏は普段から、いつもと違った行動を取るよう心がけている。ある目的地へ行くのに、わざと普段と違うルートを通ったり、行ったことのない場所に行ってみたりしているのもそのためだ。 </p>

<p>情報の「量」をただ増やすだけではなく、それらを「質」に転換できるかどうか。これからの人に意識してほしい、大きなテーマである。 </p>

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<h2>一読のすすめ</h2>

<p>要約では主にiPS細胞や人工知能の話を取りあげた。本書では他にも、アメリカ人と日本人の思考パターンの違いや不老不死の可能性、バーチャルリアリティの行方など、さまざまなトピックが登場する。 </p>

<p>また本当に充実した人生を送るためのヒントも、本書にはふんだんに盛り込まれている。なかでも「一度これと決めた道を変えたっていい。おもしろいと思うことを自由にやればいいじゃないか」というメッセージは、きっと私たちの背中を押してくれるに違いない。珠玉の一冊である。</p>

<p>（1冊10分で読める本の要約サービス <a href="https://www.flierinc.com/">flier</a>）</p>

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    </content>
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<entry>
    <title>知識を活かすか殺すかは、インプット後の癖で決まる──『独学の技法』著者、山口周が実践解説 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/05/dokugaku.html" />
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    <published>2018-05-24T06:55:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:24:08Z</updated>

    <summary>時代が急速に変化するいま、インプットされた情報の多くはあっという間に「知識としての旬」を過ぎてしまう。お飾りの知的武装はもう役に立たない。自分だけの武器になる「したたかな知性」を身につける術を知るべきだ。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネス書" label="ビジネス書" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="学び" label="学び" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>山口 周</strong><small>
1970年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通、ボストン・コンサルティング・グループ等を経て、組織開発・人材育成を専門とするコーン・フェリー・ヘイグループに参画。現在、同社のシニア・クライアント・パートナー。専門はイノベーション、組織開発、人材/リーダーシップ育成。著書に『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?――経営における「アート」と「サイエンス」』『外資系コンサルの知的生産術――プロだけが知る「99の心得」』『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』『天職は寝て待て――新しい転職・就活・キャリア論』『グーグルに勝つ広告モデル――マスメディアは必要か』(岡本一郎名義)(以上、光文社新書)、『外資系コンサルのスライド作成術――図解表現23のテクニック』(東洋経済新報社)『外資系コンサルが教える読書を仕事につなげる技術』(KADOKAWA)など。神奈川県葉山町に在住。</small></p></aside></p>

<p>誰もが簡単に情報収集できるようになり、「知る」ことの価値はもう昔ほど高くはない。これからは「大量の知識」よりも「自分だけの知性」が必要になるのではないか。でも、一体どのように学べば身につけることができるのか。</p>

<p>そのヒントとなりそうなのが、BNL Books Vol.6でも紹介した山口周の著書『独学の技法』だ。　</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/04/BNLBooks-VOL6.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/59802d898aba6957f64ce5de5410fc21ccc89399.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>関連記事：あらゆる学びを、自分だけの武器にできる『独学の技法』</strong></div></a></div>

<p>山口が今のキャリアを掴んだ背景には、彼自身が独自に構築した「独学の技術体系」の存在がある。マーケティングも経営学も、組織論も心理学も全て、どこかで習うのではなく、独学で身に付けたという。その「独学の技術体系」は、独学を4つのモジュールからなるシステムとして捉えている。</p>

<p><img src="/uploads/720_BNL_info_1.png"></p>

<p>通常、「学び」に関する本は、インプットの方法を説いているものが多く見られるが、山口は本書の中で、独学に欠かせないのはインプットした後、得た情報を「抽象化・構造化」し、独自の知識へと変換することだと語る。これが伴って初めてインプットが実のあるものとなり、自分だけの武器にすることができる、と。</p>

<p>ただインプットするだけでは、「もの知り」にはなれても、状況に応じて過去の事例を適応していくような、柔軟な知識の運用はできない。インプットした知識は、生きた知恵にしなければ、本当の意味でビジネスの世界における洞察や示唆にはつながらないからだ。</p>

<p>しかしこの「抽象化・構造化」のプロセスは、本書にも書かれているが慣れていないと少々難しい。そこでさらに詳しく解説してもらうべく、著者本人を訪ねた。</p>

<h2>インプットの「抽象化・構造化」とは？</h2>

<p><strong>──具体的に教えてください。</strong></p>

<p>たとえば今朝、私はビートルズの『ジ・インナーライト』という曲を聴いていたら気になったことが出てきたので調べていました。その過程でたまたま、彼らの『マジカル・ミステリー・ツアー』というアルバムは、ビートルズの代表作とも言われる前作『サージェントペパーズ・ロンリークラブハーツバンド』というアルバムの録音が終わった4日後に制作が始まったことを知ったんです。</p>

<p>約1年間かけて1日16時間もスタジオに籠もり、完成させた『サージェントペパーズ』。それが出来上がった、たった4日後にまたスタジオに入った。まずこれが、私が得た具体的な情報で一つのファクトです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/yamaguchi_1.jpg">
<figcaption>図を描いた方がわかりやすいですね、と取材スタートとともに立ち上がり、ホワイトボードを使って図説をしてくれた。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──たまたま知った事実ということですね。</strong></p>

<p>はい。ここで話を変えます。心理学者のディーン・サイモントンは、『Origins of Genius（天才の起源）』という本の中で、「良いアイデアや作品をつくる、唯一分かっている方法があるとすれば、それはたくさん作ることだ」と言っています。</p>

<p>その根拠は、バッハもモーツァルトも、人生の軸と生み出した作品の量の相関をとると、人生におけるマスターピースが生まれる瞬間は「たくさん作品が作られている時」だったということ。さらに音楽家だけでなく、科学者の論文も文学者の作品も同じであることもわかりました。</p>

<p>次に、彼らの作品ひとつ一つのクオリティのばらつきを見ると、作品の数が少ない時期はばらつきが小さく、作品が多いときはばらつきが大きい。これを言い換えれば、作品の数が多いときはSクラス級の作品も一番ダメな作品も生まれる、ということです。</p>

<p>つまり、最初から傑作だけを一つ作ろうとしても生まれないわけで、たくさん作らなければいけない。非常に抽象的ではありますが、これがサイモントンの話から導き出された答えで、命題です。</p>

<p><strong>──ビートルズの話とどうつながるのでしょう？</strong></p>

<p>ポイントはそこです。まず、サイモントンの研究結果から「品質は量に相関する」という「抽象的な命題」を導きました。これが、具体性の高いものを帰納し、抽象化する作業です。事実を元に示唆・洞察を繰り返して、抽象化された命題が導き出される。</p>

<p><img src="/uploads/720_BNL_info_A.png"></p>

<p>一方、ビートルズの4日しか休まなかった話も、示唆・洞察を繰り返すことで「品質は量に相関する」というサイモントンの話と結びつくわけです。つまり、命題を導き出したら「この命題は音楽や経済、社会学など他のジャンルでも言えることだろうか？」と考え、他のインプットとくっつける、これが「構造化」です。</p>

<h2>「Why？」と「So what？」の繰り返しで知的な武装を</h2>

<p><img src="/uploads/720_BNL_info_B.png"></p>

<p><strong>──ビジネスにおいてこの命題はどのように活かされるのでしょうか。</strong></p>

<p>議論の時、自分の意見はまず「抽象化された命題」として表現します。例えば「品質の高さは、一つのものにかけた労力より、全体の量に相関すると思います」と。そして、こう主張するとします。</p>

<p>「ですから、今の日本の多くの企業も、イノベーションを起こすために一つのことをやるよりも、たくさんの失敗をしましょう」</p>

<p>すると周囲から返ってくるのは「Why？＝なぜそう言えるのか」という質問です。そこで「たとえばディーン・サイモントンの研究によると」とか「ビートルズはこうでした」というファクトをもってして「Why」と戦う。</p>

<p>先にファクトを伝える場合にはだいたい「So what？＝だから何？」と訊かれます。そうすると逆に「失敗しても、たくさん作るべきです」と命題の主張に戻ればいい。</p>

<p>人と議論をするときに受ける攻撃は「Why？」と「So what？」の2つです。それに対応し、武装を固めていくためのものとして、具体と抽象を行き来するのです。
 <figure>
<img src="/uploads/yamaguchi_2.jpg">
<figcaption>抽象化するプロセスは、言ってみれば「癖」のようなもの。コンサルティング会社では、若手社員がリサーチ結果を報告すると、まずは言われるのが「so what?」。この抽象化を徹底してトレーニングする。</figcaption></figure></p>

<p>「So what?」に対するその回答は、一つずつの事象を元に、抽象化・構造化によって見える部分を大きくし、普遍性を確かめていく。</p>

<p>ある抽象化された命題が正しいかどうかわからなくても、バッハの話、ビートルズの話、アインシュタインの話、というようにつなげていく。さらにその中の一つ、たとえばビートルズが1日16時間スタジオに籠って作業をしたという話からは、「仕事が好きだったのかな」などと示唆が生まれ、「ワークライフブレンド」などの別の命題にくっつくこともある。これを繰り返すことで知識が自分だけのものとして広がる、そんなイメージですね。</p>

<p>ジクソーパズルって、途中から急激にやりやすくなりますよね。それと同じで、ある程度インプットが貯まってくると、加速度的に情報の結びつきが進んで全体像が見えてきたりするわけです。</p>

<h2>楽しくなければ「学び」はない</h2>

<p><strong>──抽象化・構造化のタネになる情報はどのように探すのが良いのでしょう。</strong></p>

<p>意識的に探すのでも良いし、自然に入ってくることもありますが、人との出会いは非常に大事です。たとえば本を読んで学んでいくというのは、独善に陥る危険を常に伴います。ネットの世界がまさにそうで、島宇宙というか、ある種のバイアスみたいなものに気付けなくなり、結果として右傾化や左傾化といった原理主義に向かってしまうリスクはあると考えています。</p>

<p>でも、人と会って話せば、自分の偏りに気付けます。独善に繋がるリスクを未然に防ぐための、自分の偏りや歪みに気付く契機になるからです。それに、そもそも「人」自体がものすごく効率のよい情報ツールなのですから。</p>

<p>ただし、同じような主義主張の人と凝り固まるのは、民主主義においては非常に危険なことだとも言えます。だからこそ「たまたま出会った人」は、非常に大事な意味をもつと考えています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/yamaguchi_3.jpg">
<figcaption>基本的には人に会うのはあまり好きじゃない（笑）。住まいも都内ではないから遠いし、億劫に感じるタイプ。でも、会いたい人がいたらこっちから会いに行く。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──人と会う時に「学ぼう」という意識は強く持ちますか？</strong></p>

<p>気にしているとは思います。最近はありがたいことに「会いたい」と言って来てくださる方もいて、そうやって会うと学びに繋がるケースが多い。いろいろな気付きに繋がることもありますし。かといって、そんなときに「たくさん汲み取ってやろう」みたいなことは考えていませんが。</p>

<p>ただ、ラリーというか、学びや刺激の互恵関係はあった方が良いですね。良いラリーができるという場には、自ずと学びがついてくる。楽しさと学びはイコールだと思っています。</p>

<p><strong>──楽しくないところに学びはないと？</strong></p>

<p>そうですね。楽しさは個性です。楽しいと思うことをやっているとそこに個性の資産ができるわけです。でも、今の世の中の人は「これが大事」と言われているものにこだわりすぎているような気がします。そうすると、「その人らしいもの」ができにくくなる。定番のものを知識としてもってはいるけど、結局はそれだけという人も多いと思いませんか？　個性がないのはつまらないし、そこに学びは生まれにくいんじゃないか、そう思っています。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>オムロン創業者・立石一真と、5人の〈出会い〉の物語 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/05/BNL-History-Omron.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9035</id>

    <published>2018-05-21T07:00:00Z</published>
    <updated>2018-09-14T02:32:00Z</updated>

    <summary>「オートメーション」に国内でいち早く注目し、世界に先駆けて自動改札機や銀行ATMを開発したオムロン。その成功の背景には、創業者・立石一真が困難に直面したときに偶然出会った、5人の人物がいた。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL History" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="もっと「驚き」を増やしたい" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>大企業の創業期を振り返り、〈出会い〉に注目した物語の連載「BNL History」。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/03/bnl-history.html/">
<h4>新セクション「BNL History」</h4>
<img src="/uploads/history_1094.png">
<div class="info"><strong>ようこそ、BNL Historyへ</strong></div></a></div>

<p>初回のヤマハに続く第2弾は、自動券売機やATM、自動改札機など、国産初、あるいは世界初のプロダクトを数多く発明し、オートメーションやサイバネーションの先進技術によって日本経済の発展を支えてきた企業、オムロンを紹介する。</p>

<p>いまやグループ全体で約36,000人の従業員を抱え、年間8,600億円を越える売上高を記録する大企業だが、創業当初から順風満帆でここまで来れたわけではない。大きな試練に直面するたびに、偶然の出会いが奇跡を生んできた。</p>

<p>創業者の立石一真が出会った5人のストーリーを中心に、その歴史を紐解こう。</p>

<p><figure><figcaption>トップ画像は、自動改札機を通るオムロン創業者の立石一真。（写真提供＝オムロン株式会社）</figcaption></figure></p>

<hr />

<h2>〈出会い〉その1：「レントゲンタイマー」の可能性を教えてくれた、同級生の権藤豊</h2>

<p>1921年に熊本大学工学部の前身である熊本高校工業学校の電機科を卒業後、立石一真は兵庫県庁の土木課に入庁した。しかし、長期出張中に芸者遊び等の豪遊が問題視され、わずか1年4ヶ月で辞めることに。</p>

<p>その後、縁あって京都の井上電機製作所に入社。ショートを防ぐために電圧や電流が一定以上にあがると切れる「継電器」を考案するなど、電気技師として活躍していたのだが、今度は上司に恵まれず、1930年に退職を決意する。</p>

<p>当時は不況真っ只中。就職口は簡単には見つかりそうになかったので、立石は自ら開発した製品を売って一旗上げようと考えた。</p>

<p>最初に商品化したのは、現代のズボンプレッサーにつながる発明品である「ズボンプレス」だった。しかし、京都ではなかなか売れず、大阪まで自転車で往復7時間もかけて通うことで、なんとか食いつないでいた時期もあったという。</p>

<p>次に開発した出刃包丁も研げる「ナイフグラインダー」の販売も行き詰まっていた。そんなとき、久しぶりに同級生に会いに行ってみたところ、病院に高性能な「レントゲンタイマー」のニーズがあることを知る。日経新聞の人気連載「私の履歴書」で立石は当時をこう振り返る。</p>

<blockquote>
  <p>昭和7年（1932年）を迎えたころ、地元京都で現金取引の原則がくずれ、ナイフグラインダーに好転の兆しはなく、私は次第に専門の電気を恋うるようになった。そんな夏のある夜、何かいい仕事はないものかと東山五条に住む同級の権藤豊君を訪ねた。島津製作所でレントゲン販売をやっていた男だが、私の話を聞いた途端にレントゲン撮影用のタイマーの優秀なもの──20分の1秒の撮影のできるタイマーができたらきっと売れると耳よりな話をしてくれた。当時のタイマーはゼンマイ式で20分の1秒という瞬間撮影ができず、胸部撮影のときなど、心臓の鼓動で動くのでぼけてしまい鮮明な写真がとれずに困っていた。</p>

<p>その話を聞いた途端、私には「これはいける」とピーンときた。というのは井上電機時代に没頭した誘導形継電器を少し工夫するだけで20分の1秒程度のタイマーができるはずだと、ひらめくものがあった。</p>

<p><a href="https://style.nikkei.com/article/DGXZZO0205194009052016000091?channel=DF180320167088" target="_blank" rel="nofollow">私の履歴書──第17回 Ｘ線撮影タイマー すべてを独力で作る 肩にかつぎ日生病院に納入</a></p>
</blockquote>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/DSC02616-7202.jpg">
<figcaption>立石が製作したレントゲンタイマー。（オムロン・コミュニケーションプラザにて筆者撮影）</figcaption></figure></p>

<p>さっそく開発に取りかかり試作品のレントゲンタイマーを完成させた立石は、運よく友達の紹介により大阪の日生病院でプレゼンの機会を得る。</p>

<p>病院のレントゲン装置に試作品をつないで行った写真撮影の実地試験は一発で成功し、その場で納品が決定。島津製作所をはじめ専門メーカーが取り組んでも作れなかった高性能なレントゲンタイマーの開発に成功する。</p>

<p>その後、日生病院の担当者だった物理療法内科部長の西岡博士が、大日本レントゲン製作所の社長を紹介してくれた。トントン拍子で、同社のレントゲンに立石のタイマーを取り付けてくれることになり、いわゆるOEM（相手先ブランド製造）契約が成立。安定した収益が見込める道筋が立った。</p>

<p>京都に住んでいては何かと不便になるので、大阪の大日本レントゲン製作所の近くに木造四軒長屋の一戸を借り、妻と生まれたばかりの長男、そしてわずか2人の従業員とともに移住する。1933年5月10日、一真33歳。この日が「立石電機製作所」の創業記念日となる。</p>

<hr />

<h2>〈出会い〉その2：米国で「マイクロスイッチ」の現物を入手した、同窓・安達君の弟</h2>

<p>次の転機は1941年秋に訪れた。東京帝国大学航空研究所の井上教授から、アメリカの航空機に多く使用されている「マイクロスイッチ」というものを作ることはできないか、と相談を持ちかけられたのだ。</p>

<p>軍用機に採用されれば大きな収益源になると見込んで引き受けてみたものの、アメリカで製造された現物や資料の入手は困難を極めた。</p>

<p>途方に暮れていた立石は、再び人のつながりによって救われる。貿易会社に務めていた同窓の安達英一の弟が、アメリカのシカゴにいることを小耳に挟んだのだ。さっそくマイクロスイッチの現物とカタログの入手を依頼したところ、その3ヶ月後には手元に届いた。</p>

<p>日本は1941年12月8日に太平洋戦争に突入する。もし安達兄弟の協力が得られていなかったら、おそらく入手は間に合わなかっただろう。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/DSC02625-7202.jpg">
<figcaption>1940年代に開発されたマイクロスイッチ。（オムロン・コミュニケーションプラザにて筆者撮影）</figcaption></figure></p>

<p>現物とカタログを参考にして、途中いくつもの試練を乗り越えながら、立石のチームはマイクロスイッチの開発に成功する。残念ながら戦局の悪化により、期待していた軍用機への採用は実現しなかったが、この技術はのちに世界初の「無接点スイッチ」の開発へとつながり、オートメーション時代の飛躍の原動力となる。</p>

<p>しかしその前に、倒産の危機を乗り越える必要があった。</p>

<hr />

<h2>〈出会い〉その3：「オートメーション」時代の幕開けを伝えてくれた上野先生</h2>

<p>戦後、GHQの後押しもあり、多くの企業に労働組合が設立された。立石電機も例外ではなく、賃上げ交渉から始まり、大争議へと発展。結果、京都製作所は閉鎖に追い込まれる事態となった。さらに、GHQ経済顧問のジョセフ・ドッジが単一為替レートを設定した「ドッジ・ライン」に端を発する「ドッジ不況」（安定恐慌）のあおりを受け、立石電機製作所は倒産の危機に追い込まれた。</p>

<p>その間、250人いた組織はわずか33人に。立石は協力工場や仕入先を訪問して、債権の棚上げをお願いしてまわった。さらに残った社員全員で、当時の主力商品であった保護継電器を担ぎ、決死の思いで営業した。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/DSC02620-720.jpg">
<figcaption>1930年代に開発された保護継電器。（オムロン・コミュニケーションプラザにて筆者撮影）</figcaption></figure></p>

<p>全員セールスによる保護継電器の売り上げによって、なんとか倒産の危機を脱することはできたものの、それだけではとても事業を大きく成長できる見込みはなかった。そんな時に立石が出会ったのが、産業能率大学の創設者で、日本で最初の経営コンサルタントとして活躍した上野陽一である。</p>

<p>1952年に上野先生の講演でこんな話を聞いたという。</p>

<blockquote>
  <p>「戦時中、アメリカにオートメーション工場というものができている。その工場には作業員が一人もいないのに、材料を供給してやると、立派な製品となって出てくるという、素晴らしく進歩した工場がある。これからの商品は、こんなオートメーション工場でつくられるように設計しなければならない」</p>

<p>『「できません」と云うな』湯谷昇羊（著）</p>
</blockquote>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?&amp;v=PdIVK3R7JDI
<figcaption>1952年に米フォード社は、機械が自動でエンジンを組み立てるオートメーション工場「Cleveland Engine Plant」を稼働したばかりだった。上野陽一はこのニュースを真っ先に日本に伝えたのだ。この動画はフォード社が制作した当時の採用動画のようである。エンジン工場内の撮影は14:40あたりから始まる。</figcaption></figure></p>

<p>立石はこの「オートメーション」という言葉に妙に惹かれた。その日から約1年間、入念に情報を集めたのち、満を持して全社員に号令を発した。</p>

<p>「わが社はこれより、オートメーションに進出する！」</p>

<p>1955年から立石電機はオートメーション機器の本格的な営業活動を開始した。保護継電器を作っていた関西の中小企業から、日本経済の発展を支える大企業へ飛躍していくきっかけとなるこの年は、のちに"オートメ創業元年"と社内で呼ばれるようになったという。</p>

<hr />

<h2>〈出会い〉その4：「サイバネーション」の可能性や健康工学について学んだ西先生</h2>

<p>倒産の危機に直面していたころ、妻の元子が癌に侵された。当時、必死になって治療法を探って辿り着いたのが、のちに現代医学に革命を起こしたと言われる「西式健康法」の創始者、西勝造である。</p>

<p>結局、妻の命を救うことは叶わなかったのだが、このときの西先生との出会いが、のちに会社の未来を担う有益な情報の入手へとつながる。</p>

<p>それは1952年のある日のことだった（奇しくも上野陽一先生の講演と同じ年だった）。月に1回開かれていた西先生を囲む会で、先生はいきなりマサチューセッツ工科大学ノバート・ウィーナー博士の新著『Cybernetics』の海賊版を、ゴソゴソとカバンから取り出し、こう告げたという。</p>

<p>「実はいまアメリカで、『サイバネティックス』という新しい科学が生まれて大問題になっているのです」</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/DSC02637-7202.jpg">
<figcaption>上の2冊は西勝造が著した健康法に関する本。左下がウィーナー博士の『Cybernetics』。右下は上野陽一の著書『経営作戦』である。（オムロン・コミュニケーションプラザ展示写真を筆者撮影）</figcaption></figure></p>

<p>この本が出版されたとき、アメリカの労働組合は猛反発した。もしその科学が応用されると、人間がいらなくなり、労働者はみな失業の憂き目をみると捉えてしまったからだ。そのため再版は不可能となり、日本ではほぼ入手できなくなってしまったため、有志100人ほどが集まってガリ版刷りの海賊版を作ったのだ。そのうちの1冊が西先生の手元に渡っていたのだった。</p>

<p>本の内容について立石が抱いた印象は、アメリカの労働組合の反応とは異なるものだった。</p>

<blockquote>
  <p>とにかく数学、科学、電子工学、通信工学、生理学、心理学など、十五ほどの学問をマスターしていないと解明できない難しい本だとのことであった。一種の制御科学であるが、これからの複雑な制御系においては、工学以外の生理学や心理学の助けを借りなければ本質的な問題の解撤は望めない、というのが基本的な考え方になっているようだった。</p>

<p>それは、いかに科学技術が発達し高度化されたとしても、それを駆使するのは人間であり、またシステムとして考えたとき、いかにすぐれたシステムでも、人間の介在をなくすことはおそらく不可能だということを意味していた。そこに、機械に対する人間の尊厳がある。</p>

<p>「人間を最も人間らしく遇する道は、その介在をなくすことのできない仕事だけを人間に残して、機械にできることはすべて機械にやらせることである」というウィーナー博士の言葉も、そこから生まれたものと思われる。つまり、機械にできることは全部機械に任せて無人化し、思想や創造といった人間でなければできない仕事を人間がやる。それが最も人間らしい仕事である──という思想であった。</p>

<p>『永遠なれベンチャー精神』立石一真（著）</p>
</blockquote>

<p>このサイバネティクスを応用して、1963年に立石電機はオートメーションとコンピューターを組み合わせた「サイバネーション」という新技術を開発し、今日でもわれわれの生活に欠かせない自動券売機が誕生した。さらに技術転用によって、自動改札機や交通管制システム、銀行ATMの開発にも成功する。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/DSC02648-720.jpg">
<figcaption>1973年に製造された立石電機製の自動改札機の断面。日本機械学会より機械遺産に認定されている。（オムロン・コミュニケーションプラザにて筆者撮影）</figcaption></figure></p>

<p>さらに、立石は西式健康法をヒントに、人間をひとつのオートメーション工場と仮定し、サイバネティクスを生体に応用することを思いつく。病気を患ってからではなく、常日ごろから誰もが健康度合いを測定できるようにするために、一般向けの血圧計や温度計、体重計などを開発した。</p>

<p>法人向けのプロダクトが多いなか、一般消費者にとって「オムロン」ブランドと言えば、これらの製品を想起する人も多いのではないだろうか。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/DSC02655-720.jpg">
<figcaption>1970年代に開発された血圧計。（オムロン・コミュニケーションプラザにて筆者撮影）</figcaption></figure></p>

<hr />

<h2>〈出会い〉その5：赤字転落からのV字回復を導いた経営コンサルタント、大前研一</h2>

<p>オートメーションとサイバネーションの時代を先取りした立石電機は大きく成長した。しかし、後発で参入した電卓事業で大ゴケ。25年ぶりの赤字に陥ってしまった。</p>

<p>この窮地を救ったのも、また新しい出会いだった。出会った相手である大前研一は、プレジデントオンラインの連載、大前版「名経営者秘録」にて、次のようにその出会いの日を振り返る。</p>

<blockquote>
  <p>立石さんと私の縁結びの神様は、『企業参謀』の出版に尽力してくれたプレジデント社の守岡（道明）部長だ。当時、立石さんもプレジデント社から『わがベンチャー経営』という本を出版していて、「我が社の共通の著者」ということで守岡さんが立石さんと私を引き合わせてくれた。</p>

<p>立石さんの会社はもともとスイッチ、タイマー、リレーなどの電子部品の会社である。シャープやカシオと競って電卓でヒットを飛ばしたが、その後の過当競争と石油ショックで赤字に陥っていた。それで「大前研一を紹介してくれ」という話になり、守岡さんが立石さんをマッキンゼーの東京事務所に連れてきたのである。</p>

<p>私は立石さんに「企業参謀を作るなら、会社の将来を背負って立つような若手を7人ぐらい集めて欲しい」という話をして、同時に高額なコンサルタントフィーを提示した。</p>

<p>しかし立石さんは「わかりました」の一言で、すべてを飲み込んだ。後で誰かから聞いた話だが、立石さんは「かかる医者は高いほうがよく効く」と言っていたという。</p>

<p><a href="http://president.jp/articles/-/7493" target="_blank" rel="nofollow">大前版「名経営者秘録」（2）－立石一真さんの「わかりました」</a></p>
</blockquote>

<p>大前は、「将来トップを担えるような若手の優秀な人材を集めてほしい」と言って、経営改革委員会を設置。立石家三男の義雄を委員長に据えて、事業の「選択と集中」を押し進めた。8年の歳月を費やして推し進めてきた電卓事業からは、ついに撤退することになった。</p>

<p><figure><img src="/uploads/tateishibooks.jpg">
<figcaption>今回の参考文献は『週刊ダイヤモンド』元編集長・湯谷昇羊がまとめた『「できません」と云うな - オムロン創業者立石一真』 （新潮文庫）と、立石一真本人が執筆した『永遠なれベンチャー精神 - 私の実践経営論』（ダイヤモンド社）。（書影はBNL編集部撮影）</figcaption></figure></p>

<p>改革の結果、1年半後には黒字に復帰できた。さらに1年後には史上最高益を記録。1979年には売上高1011億円を達成し、京都で初めての1000億円企業となった。大前の勧めを受けてその年、立石は社長を退き、会長に就任した。</p>

<p>ズボンプレスの開発から始まった立石の創業人生は、ここで大きな区切りが付いた。その成果を大前は次のように評している。</p>

<blockquote>
  <p>1900年（明治33年）生まれの立石さんは、50歳を過ぎてから従業員を100倍、売り上げを1000倍にして、倒産寸前まで追い込まれていた町工場を世界企業へと飛躍させた。松下幸之助さんや盛田昭夫さん、本田宗一郎さんらに匹敵する大経営者であり、「50を過ぎて事を成したのは伊能忠敬と立石一真だけ」と私は評してきた。</p>

<p><a href="http://president.jp/articles/-/7493" target="_blank" rel="nofollow">大前版「名経営者秘録」（2）－立石一真さんの「わかりました」</a></p>
</blockquote>

<p>だが、もしあのとき同級生の権藤君を訪ねていなかったら、安達兄弟がマイクロスイッチの入手に協力してくれていなかったら、上野先生や西先生の講演を聞いていなかったら、プレジデントの守岡さんが大前さんを紹介してくれていなければ...。今日でも外国人観光客が驚くほど高性能な自動販売機や、安心安全で高い品質が売りのメイドインジャパン製品を作れる工場はなかったかもしれない。</p>

<p>出会う、が、世界を変えたのだ。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/03/BNL-History-Yamaha.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/Torakusu-yamaha.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>前回の記事：オルガン修理と11歳の天才技術者──偶然の出会いの連続だった、ヤマハ創業物語</strong></div></a></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="1130001016824"></div>
]]>
        <![CDATA[<p>大企業の創業期を振り返り、〈出会い〉に注目した物語の連載「BNL History」。</p>

<p>初回のヤマハに続く第2弾は、自動券売機やATM、自動改札機など、国産初、あるいは世界初のプロダクトを数多く発明し、オートメーションやサイバネーションの先進技術によって日本経済の発展を支えてきた企業、オムロンを紹介する。</p>

<p>いまやグループ全体で約36,000人の従業員を抱え、年間8,600億円を越える売上高を記録する大企業だが、創業当初から順風満帆でここまで来れたわけではない。大きな試練に直面するたびに、偶然の出会いが奇跡を生んできた。</p>

<p>創業者の立石一真が出会った5人のストーリーを中心に、その歴史を紐解こう。</p>

<p><figure><figcaption>トップ画像は、自動改札機を通るオムロン創業者の立石一真。（写真提供＝オムロン株式会社）</figcaption></figure></p>

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<h2>〈出会い〉その1：「レントゲンタイマー」の可能性を教えてくれた、同級生の権藤豊</h2>

<p>1921年に熊本大学工学部の前身である熊本高校工業学校の電機科を卒業後、立石一真は兵庫県庁の土木課に入庁した。しかし、長期出張中に芸者遊び等の豪遊が問題視され、わずか1年4ヶ月で辞めることに。</p>

<p>その後、縁あって京都の井上電機製作所に入社。ショートを防ぐために電圧や電流が一定以上にあがると切れる「継電器」を考案するなど、電気技師として活躍していたのだが、今度は上司に恵まれず、1930年に退職を決意する。</p>

<p>当時は不況真っ只中。就職口は簡単には見つかりそうになかったので、立石は自ら開発した製品を売って一旗上げようと考えた。</p>

<p>最初に商品化したのは、現代のズボンプレッサーにつながる発明品である「ズボンプレス」だった。しかし、京都ではなかなか売れず、大阪まで自転車で往復7時間もかけて通うことで、なんとか食いつないでいた時期もあったという。</p>

<p>次に開発した出刃包丁も研げる「ナイフグラインダー」の販売も行き詰まっていた。そんなとき、久しぶりに同級生に会いに行ってみたところ、病院に高性能な「レントゲンタイマー」のニーズがあることを知る。日経新聞の人気連載「私の履歴書」で立石は当時をこう振り返る。</p>

<blockquote>
  <p>昭和7年（1932年）を迎えたころ、地元京都で現金取引の原則がくずれ、ナイフグラインダーに好転の兆しはなく、私は次第に専門の電気を恋うるようになった。そんな夏のある夜、何かいい仕事はないものかと東山五条に住む同級の権藤豊君を訪ねた。島津製作所でレントゲン販売をやっていた男だが、私の話を聞いた途端にレントゲン撮影用のタイマーの優秀なもの──20分の1秒の撮影のできるタイマーができたらきっと売れると耳よりな話をしてくれた。当時のタイマーはゼンマイ式で20分の1秒という瞬間撮影ができず、胸部撮影のときなど、心臓の鼓動で動くのでぼけてしまい鮮明な写真がとれずに困っていた。</p>

<p>その話を聞いた途端、私には「これはいける」とピーンときた。というのは井上電機時代に没頭した誘導形継電器を少し工夫するだけで20分の1秒程度のタイマーができるはずだと、ひらめくものがあった。</p>

<p>私の履歴書──第17回 Ｘ線撮影タイマー すべてを独力で作る 肩にかつぎ日生病院に納入</p>
</blockquote>

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<img src="https://bnl.media/uploads/DSC02616-7202.jpg">
<figcaption>立石が製作したレントゲンタイマー。（オムロン・コミュニケーションプラザにて筆者撮影）</figcaption></figure></p>

<p>さっそく開発に取りかかり試作品のレントゲンタイマーを完成させた立石は、運よく友達の紹介により大阪の日生病院でプレゼンの機会を得る。</p>

<p>病院のレントゲン装置に試作品をつないで行った写真撮影の実地試験は一発で成功し、その場で納品が決定。島津製作所をはじめ専門メーカーが取り組んでも作れなかった高性能なレントゲンタイマーの開発に成功する。</p>

<p>その後、日生病院の担当者だった物理療法内科部長の西岡博士が、大日本レントゲン製作所の社長を紹介してくれた。トントン拍子で、同社のレントゲンに立石のタイマーを取り付けてくれることになり、いわゆるOEM（相手先ブランド製造）契約が成立。安定した収益が見込める道筋が立った。</p>

<p>京都に住んでいては何かと不便になるので、大阪の大日本レントゲン製作所の近くに木造四軒長屋の一戸を借り、妻と生まれたばかりの長男、そしてわずか2人の従業員とともに移住する。1933年5月10日、一真33歳。この日が「立石電機製作所」の創業記念日となる。</p>

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<h2>〈出会い〉その2：米国で「マイクロスイッチ」の現物を入手した、同窓・安達君の弟</h2>

<p>次の転機は1941年秋に訪れた。東京帝国大学航空研究所の井上教授から、アメリカの航空機に多く使用されている「マイクロスイッチ」というものを作ることはできないか、と相談を持ちかけられたのだ。</p>

<p>軍用機に採用されれば大きな収益源になると見込んで引き受けてみたものの、アメリカで製造された現物や資料の入手は困難を極めた。</p>

<p>途方に暮れていた立石は、再び人のつながりによって救われる。貿易会社に務めていた同窓の安達英一の弟が、アメリカのシカゴにいることを小耳に挟んだのだ。さっそくマイクロスイッチの現物とカタログの入手を依頼したところ、その3ヶ月後には手元に届いた。</p>

<p>日本は1941年12月8日に太平洋戦争に突入する。もし安達兄弟の協力が得られていなかったら、おそらく入手は間に合わなかっただろう。</p>

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<figcaption>1940年代に開発されたマイクロスイッチ。（オムロン・コミュニケーションプラザにて筆者撮影）</figcaption></figure></p>

<p>現物とカタログを参考にして、途中いくつもの試練を乗り越えながら、立石のチームはマイクロスイッチの開発に成功する。残念ながら戦局の悪化により、期待していた軍用機への採用は実現しなかったが、この技術はのちに世界初の「無接点スイッチ」の開発へとつながり、オートメーション時代の飛躍の原動力となる。</p>

<p>しかしその前に、倒産の危機を乗り越える必要があった。</p>

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<h2>〈出会い〉その3：「オートメーション」時代の幕開けを伝えてくれた上野先生</h2>

<p>戦後、GHQの後押しもあり、多くの企業に労働組合が設立された。立石電機も例外ではなく、賃上げ交渉から始まり、大争議へと発展。結果、京都製作所は閉鎖に追い込まれる事態となった。さらに、GHQ経済顧問のジョセフ・ドッジが単一為替レートを設定した「ドッジ・ライン」に端を発する「ドッジ不況」（安定恐慌）のあおりを受け、立石電機製作所は倒産の危機に追い込まれた。</p>

<p>その間、250人いた組織はわずか33人に。立石は協力工場や仕入先を訪問して、債権の棚上げをお願いしてまわった。さらに残った社員全員で、当時の主力商品であった保護継電器を担ぎ、決死の思いで営業した。</p>

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<figcaption>1930年代に開発された保護継電器。（オムロン・コミュニケーションプラザにて筆者撮影）</figcaption></figure></p>

<p>全員セールスによる保護継電器の売り上げによって、なんとか倒産の危機を脱することはできたものの、それだけではとても事業を大きく成長できる見込みはなかった。そんな時に立石が出会ったのが、産業能率大学の創設者で、日本で最初の経営コンサルタントとして活躍した上野陽一である。</p>

<p>1952年に上野先生の講演でこんな話を聞いたという。</p>

<blockquote>
  <p>「戦時中、アメリカにオートメーション工場というものができている。その工場には作業員が一人もいないのに、材料を供給してやると、立派な製品となって出てくるという、素晴らしく進歩した工場がある。これからの商品は、こんなオートメーション工場でつくられるように設計しなければならない」</p>

<p>『「できません」と云うな』湯谷昇羊（著）</p>
</blockquote>

<p>立石はこの「オートメーション」という言葉に妙に惹かれた。その日から約1年間、入念に情報を集めたのち、満を持して全社員に号令を発した。</p>

<p>「わが社はこれより、オートメーションに進出する！」</p>

<p>1955年から立石電機はオートメーション機器の本格的な営業活動を開始した。保護継電器を作っていた関西の中小企業から、日本経済の発展を支える大企業へ飛躍していくきっかけとなるこの年は、のちに"オートメ創業元年"と社内で呼ばれるようになったという。</p>

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<h2>〈出会い〉その4：「サイバネーション」の可能性や健康工学について学んだ西先生</h2>

<p>倒産の危機に直面していたころ、妻の元子が癌に侵された。当時、必死になって治療法を探って辿り着いたのが、のちに現代医学に革命を起こしたと言われる「西式健康法」の創始者、西勝造である。</p>

<p>結局、妻の命を救うことは叶わなかったのだが、このときの西先生との出会いが、のちに会社の未来を担う有益な情報の入手へとつながる。</p>

<p>それは1952年のある日のことだった（奇しくも上野陽一先生の講演と同じ年だった）。月に1回開かれていた西先生を囲む会で、先生はいきなりマサチューセッツ工科大学ノバート・ウィーナー博士の新著『Cybernetics』の海賊版を、ゴソゴソとカバンから取り出し、こう告げたという。</p>

<p>「実はいまアメリカで、『サイバネティックス』という新しい科学が生まれて大問題になっているのです」</p>

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<figcaption>上の2冊は西勝造が著した健康法に関する本。左下がウィーナー博士の『Cybernetics』。右下は上野陽一の著書『経営作戦』である。（オムロン・コミュニケーションプラザ展示写真を筆者撮影）</figcaption></figure></p>

<p>この本が出版されたとき、アメリカの労働組合は猛反発した。もしその科学が応用されると、人間がいらなくなり、労働者はみな失業の憂き目をみると捉えてしまったからだ。そのため再版は不可能となり、日本ではほぼ入手できなくなってしまったため、有志100人ほどが集まってガリ版刷りの海賊版を作ったのだ。そのうちの1冊が西先生の手元に渡っていたのだった。</p>

<p>本の内容について立石が抱いた印象は、アメリカの労働組合の反応とは異なるものだった。</p>

<blockquote>
  <p>とにかく数学、科学、電子工学、通信工学、生理学、心理学など、十五ほどの学問をマスターしていないと解明できない難しい本だとのことであった。一種の制御科学であるが、これからの複雑な制御系においては、工学以外の生理学や心理学の助けを借りなければ本質的な問題の解撤は望めない、というのが基本的な考え方になっているようだった。</p>

<p>それは、いかに科学技術が発達し高度化されたとしても、それを駆使するのは人間であり、またシステムとして考えたとき、いかにすぐれたシステムでも、人間の介在をなくすことはおそらく不可能だということを意味していた。そこに、機械に対する人間の尊厳がある。</p>

<p>「人間を最も人間らしく遇する道は、その介在をなくすことのできない仕事だけを人間に残して、機械にできることはすべて機械にやらせることである」というウィーナー博士の言葉も、そこから生まれたものと思われる。つまり、機械にできることは全部機械に任せて無人化し、思想や創造といった人間でなければできない仕事を人間がやる。それが最も人間らしい仕事である──という思想であった。</p>

<p>『永遠なれベンチャー精神』立石一真（著）</p>
</blockquote>

<p>このサイバネティクスを応用して、1963年に立石電機はオートメーションとコンピューターを組み合わせた「サイバネーション」という新技術を開発し、今日でもわれわれの生活に欠かせない自動券売機が誕生した。さらに技術転用によって、自動改札機や交通管制システム、銀行ATMの開発にも成功する。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/DSC02648-720.jpg">
<figcaption>1973年に製造された立石電機製の自動改札機の断面。日本機械学会より機械遺産に認定されている。（オムロン・コミュニケーションプラザにて筆者撮影）</figcaption></figure></p>

<p>さらに、立石は西式健康法をヒントに、人間をひとつのオートメーション工場と仮定し、サイバネティクスを生体に応用することを思いつく。病気を患ってからではなく、常日ごろから誰もが健康度合いを測定できるようにするために、一般向けの血圧計や温度計、体重計などを開発した。</p>

<p>法人向けのプロダクトが多いなか、一般消費者にとって「オムロン」ブランドと言えば、これらの製品を想起する人も多いのではないだろうか。</p>

<p><figure>
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<figcaption>1970年代に開発された血圧計。（オムロン・コミュニケーションプラザにて筆者撮影）</figcaption></figure></p>

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<h2>〈出会い〉その5：赤字転落からのV字回復を導いた経営コンサルタント、大前研一</h2>

<p>オートメーションとサイバネーションの時代を先取りした立石電機は大きく成長した。しかし、後発で参入した電卓事業で大ゴケ。25年ぶりの赤字に陥ってしまった。</p>

<p>この窮地を救ったのも、また新しい出会いだった。出会った相手である大前研一は、プレジデントオンラインの連載、大前版「名経営者秘録」にて、次のようにその出会いの日を振り返る。</p>

<blockquote>
  <p>立石さんと私の縁結びの神様は、『企業参謀』の出版に尽力してくれたプレジデント社の守岡（道明）部長だ。当時、立石さんもプレジデント社から『わがベンチャー経営』という本を出版していて、「我が社の共通の著者」ということで守岡さんが立石さんと私を引き合わせてくれた。</p>

<p>立石さんの会社はもともとスイッチ、タイマー、リレーなどの電子部品の会社である。シャープやカシオと競って電卓でヒットを飛ばしたが、その後の過当競争と石油ショックで赤字に陥っていた。それで「大前研一を紹介してくれ」という話になり、守岡さんが立石さんをマッキンゼーの東京事務所に連れてきたのである。</p>

<p>私は立石さんに「企業参謀を作るなら、会社の将来を背負って立つような若手を7人ぐらい集めて欲しい」という話をして、同時に高額なコンサルタントフィーを提示した。</p>

<p>しかし立石さんは「わかりました」の一言で、すべてを飲み込んだ。後で誰かから聞いた話だが、立石さんは「かかる医者は高いほうがよく効く」と言っていたという。</p>

<p>大前版「名経営者秘録」（2）－立石一真さんの「わかりました」</p>
</blockquote>

<p>大前は、「将来トップを担えるような若手の優秀な人材を集めてほしい」と言って、経営改革委員会を設置。立石家長男の義雄を委員長に据えて、事業の「選択と集中」を押し進めた。8年の歳月を費やして推し進めてきた電卓事業からは、ついに撤退することになった。</p>

<p><figure><img src="/uploads/tateishibooks.jpg">
<figcaption>今回の参考文献は『週刊ダイヤモンド』元編集長・湯谷昇羊がまとめた『「できません」と云うな - オムロン創業者立石一真』 （新潮文庫）と、立石一真本人が執筆した『永遠なれベンチャー精神 - 私の実践経営論』（ダイヤモンド社）。（書影はBNL編集部撮影）</figcaption></figure></p>

<p>改革の結果、1年半後には黒字に復帰できた。さらに1年後には史上最高益を記録。1979年には売上高1011億円を達成し、京都で初めての1000億円企業となった。大前の勧めを受けてその年、立石は社長を退き、会長に就任した。</p>

<p>ズボンプレスの開発から始まった立石の創業人生は、ここで大きな区切りが付いた。その成果を大前は次のように評している。</p>

<blockquote>
  <p>1900年（明治33年）生まれの立石さんは、50歳を過ぎてから従業員を100倍、売り上げを1000倍にして、倒産寸前まで追い込まれていた町工場を世界企業へと飛躍させた。松下幸之助さんや盛田昭夫さん、本田宗一郎さんらに匹敵する大経営者であり、「50を過ぎて事を成したのは伊能忠敬と立石一真だけ」と私は評してきた。</p>

<p>大前版「名経営者秘録」（2）－立石一真さんの「わかりました」</p>
</blockquote>

<p>だが、もしあのとき同級生の権藤君を訪ねていなかったら、安達兄弟がマイクロスイッチの入手に協力してくれていなかったら、上野先生や西先生の講演を聞いていなかったら、プレジデントの守岡さんが大前さんを紹介してくれていなければ...。今日でも外国人観光客が驚くほど高性能な自動販売機や、安心安全で高い品質が売りのメイドインジャパン製品を作れる工場はなかったかもしれない。</p>

<p>出会う、が、世界を変えたのだ。</p>
]]>
    </content>
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<entry>
    <title>要約『ファンベース』： 企業の運命は、たった８％のコアファンが握っている - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/05/BNLBooks-VOL7.html" />
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    <published>2018-05-17T03:00:00Z</published>
    <updated>2018-06-23T16:38:17Z</updated>

    <summary>もし新規顧客の獲得がうまくいっていないなら、ファンに目を向けてみる。売上のほとんどは、顧客の中でも極少数しかいない彼らのおかげなのだ。ファンをベースに売上を作ろう。そうすれば、ファン自ら、新規顧客を連れてきてくれるはずだから。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネス書" label="ビジネス書" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>佐藤 尚之</strong><small>
<p>1961年東京都生まれ。（株）電通にてマス広告、ネット広告、コミュニケーション・デザインなどに携わったあと、2011年に独立。現在は、コミュニケーション・ディレクターとして、（株）ツナグ代表。コミュニティ主宰・運営として、（株）4th代表。著書に『明日の広告』、『明日のコミュニケーション』（ともにアスキー新書）、『明日のプランニング』（講談社現代新書）等多数。</small></p></aside></p>

<h2>すべてのビジネスパーソンの参考になる──BNL編集部の選定理由</h2>

<p>ファンというと、どうしてもBtoCのビジネスと考えがちだが、この本の内容はBtoBのビジネスにおいても参考になる。著者はこの本の中でこう語る。</p>

<blockquote>
  <p>実はファンからのオーガニックなおすすめは、BtoBでも同じように効く
。</p>

<p>BtoBの場合、決裁者や担当者がキーパーソンになるわけだが、彼らはそれを導入している企業からその評判を聞いて大きく影響を受けている。</p>

<p>一般的には、「同業者はライバル同士なんだから、どこの製品を導入していて、それがどういう結果をもたらしているかなど他社に漏らさないだろう」と思われがちだが、全然そんなことはない。</p>

<p>担当者同士、普通に横で繋がっていることの方が多いし、一緒に勉強会すら開いている。逆にBtoB業界の方が情報交換に熱心なくらいである。</p>

<p>本書第二章「ファンベースが必要な３つの理由」より抜粋</p>
</blockquote>

<div class="round-box fl fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/02/bnl-books.html">
<h4>新セクション「BNL Books」とは</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/books_500.jpg">
<div class="info"><strong>ようこそ、BNL Booksへ</strong></div>

<p></a></div></p>

<p>BtoBのビジネスは、ファンベースの考え方のもとともなる、全体の20％の優良顧客が売上の80％を占める、というパレートの法則が当てはまりやすい。</p>

<p>新規顧客の獲得に勤しむよりも既存顧客の満足度に目を向け、まずは売上の土台をファンで固めるべきだ。売上の鍵を握るのは、そのファンの生の言葉による「おすすめ」なのだから。BtoCのビジネスに関わる人だけでなく、BtoBのビジネスに関わるすべての人におすすめの一冊である。</p>

<p>それにしてもこの本は、全体を通してものすごく「気持ちの熱量」を感じる内容だった。もっとも学びになったのは「とにもかくにも、熱い想いを寄せるべきである」こと。自社サービスを本気で愛していないと、ファンにはすぐバレてしまう。サービスに共感してくれるファンには、へり下るのではなく、相手を想い情熱を伝える。</p>

<p>マーケティングのデジタル化が急速に進み、あらゆる手法が説かれているが、成功のヒントは、意外と人間くさいところにも隠れているのかもしれない。</p>

<p><strong>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/448007127X/">こちら</a>。（Amazon）</strong></p>

<hr />

<h2>要約者レビュー</h2>

<p>ファンベース。それは企業や商品の支持者であるファンを大切にし、中長期を視野に売上や価値の上昇を狙うという考え方である。</p>

<p>これからの時代、ファンベースなしで安定して売上を持続させるのは難しくなる。売上の大半は実のところ、ファンが支えているからだ。いまのところ新規顧客の獲得だけに力を入れている企業が多い。しかし単発施策や短期キャンペーンが仮にうまくいき、運良く話題になったとしても、その効果は一時的ですぐに忘れ去られてしまう。それでは貴重な予算や労力がもったいないではないか。</p>

<p>もちろんそうした施策のすべてがムダというわけではない。だがここで重要なのは「ファンを育てる」という観点だ。私たちが追求するべきなのは、ファンベース・マーケティングともいうべきものである。</p>

<p>本書ではファンベースが求められている理由に始まり、具体的な施策の取り入れ方について、さまざまな事例とともに解説される。これまでの成功例や失敗例に触れることで、自社で実施している取り組みが効果的かどうか、そしてファンベースをどのように自社に取り入れればよいかが、より鮮明にイメージできるようになるはずだ。</p>

<p>メーカーや事業会社に留まらず、小売、メディア、行政など、あらゆる業界でファンベースは必要だと著者は語る。この未来を見据えたマーケティング手法、いち早く脳内にインストールしてみてはどうか。</p>

<hr />

<h2>本書の要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> <br />
短期キャンペーンや単発施策などの「話題化」だけではもう通用しなくなってきている。重要なのは興味や関心をもってくれた人々の「好意(価値への支持)」を積み重ね、資産化するための明確な設計である。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong> 
ファンベース施策が重要なのは、（1）ファンは売上の大半を支えて伸ばしてくれる、（2）時代や社会が変化している、（3）ファンは新たなファンを作ってくれるから、である。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong> 
「共感・愛着・信頼」の3つをそれぞれ強化することが、ファンベース施策においては欠かせない。</p>

<hr />

<h2>要約</h2>

<h2>「話題化」はもう通用しない</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/5823743412_df281d211e_b.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/sharkhats/5823743412/">"LOUD"</a> by sharkhats (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>短期キャンペーンの瞬間風速的な効果</h3>

<p>テレビCMや動画などは、一時的に大きな話題となる。しかしそれも束の間、一瞬にして世間から忘れられてしまう。たとえば以下のようなケースだ。</p>

<blockquote>
  <p>・実施したイベントは大盛況に終わり、スペシャルサイトへのアクセスも多く集めた。しかしその効果は一時的で、長くは続かなかった。</p>

<p>・テレビ番組で取り上げられ、大勢の客が店舗へ押し寄せた。だが売上はすぐ元に戻ってしまった。</p>

<p>・会員制ビジネスで打ち出した新規加入3カ月無料キャンペーンが成功したものの、有料会員への移行につながらない。</p>
</blockquote>

<p>長い間、話題化は新規顧客の獲得において効果的だとされていた。しかしいまの時代、「一過性で瞬間的なリーチ」はもはや通用しなくなっている。重要なのは新規顧客へリーチした後にどうするか、そしてリーチする前に短期キャンペーンや単発施策をどのように組み立てるかなのである。</p>

<h3>「好意」を積み重ねて資産化する</h3>

<p>短期キャンペーンや単発施策を行なううえでは、興味や関心をもってくれた人々の「好意（価値への支持）」が積み重なり、資産化するような明確な設計が必要である。</p>

<p>短期キャンペーンを実施して人々の好意を集めても、その後放ったままにしている企業は意外と多い。たとえば「春のキャンペーン」など、CMも取り入れた統合型のキャンペーンを行なったあとはとくに何もせず、忘れた頃に「夏のキャンペーン」を仕掛けるといったケースである。このようなぶつ切りの単発施策では、人々の好意が積み重なるはずもない。</p>

<p>もちろん短期キャンペーンや単発施策などの取り組み自体は重要である。認知獲得をはじめ、一時的にでも売上を刺激する効果が見込めるからだ。またキャンペーンを行なうとなれば、社員の士気も高まるだろう。</p>

<p>しかしだからこそ、一過性で終わらせてしまうのはあまりにもったいない。短期キャンペーンや単発施策のみではなく、効果を資産化するためには、中長期のファンベース施策も加える「全体構築」が必要だ。</p>

<hr />

<h2>【必読ポイント!】ファンベースが必然な3つの理由</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/25521276638_e92601baff_k.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/danielchodusov/25521276638//">"Beach II"</a> by Daniel Chodusov(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>理由1：ファンこそ売上を支える大黒柱</h3>

<p>ファンベースは売上を中長期的に支える土台である。企業の価値を支えてくれる、支持母体をイメージするとわかりやすいだろう。しかしこれは現在の価値を変えずに守りに入ることを意味しない。改善をくりかえしてファンと一緒に成長することも、またファンベースなのである。</p>

<p>これからのマーケティングにおいて、ファンベースが必要な理由は以下の3つだ。</p>

<p>1つ目は、売上の大半を支え伸ばしてくれるのはファンだからである。某飲料メーカーの調査によると、企業が提供する価値を強く支持する「コアファン」と呼ばれる人々が、全体の46%もの消費量（≒売上）を支えていることがわかった。コアファンは顧客全体のわずか8%にすぎないにもかかわらず、である。これに37%の「ファン」の消費量を加えると、なんと売上全体の約90%にまで達する。まさにファンは企業の売上を支える大黒柱なのである。</p>

<p>したがって売上をより安定させるには、新規顧客の獲得に奮闘するよりも、いまいるファンを大切にして、彼らに多く買ってもらったほうがいい。まずは自分たちの扱う商品の何%が、ファンによって支えられているか調査することから始めるべきだ。</p>

<h3>理由2：3つの変化</h3>

<p>2つ目の理由は、時代や社会の変化に伴い、ファンのもつ重要性が増してきていることである。その変化とは「日本社会の変化・超成熟市場による変化・情報環境の変化」の3つだ。3つ目の理由に入る前に、まずはそれぞれの変化について説明したい。</p>

<p>第一の変化は日本社会の変化である。2060年には、日本の人口は現在より4000万人少ない8674万人になると予想されている。これは今後、顧客になりうる人が物理的に激減するということだ。</p>

<p>また近い将来訪れる、ウルトラ高齢社会の影響も見逃せない。2024年には3人に1人が65歳以上になると見られている。社会の先行きを案じる高齢者に加え、50代60代の人々が出費を抑えれば、新規顧客は減る一方だ。こうした情勢では、新規顧客獲得を狙い続けるよりも、いま支持してくれている顧客を離れないようにする方が重要だといえる。</p>

<p><strong>新規顧客獲得がより困難に</strong><br>
第二の変化における「超成熟市場」とは、モノで溢れる「成熟市場」をはるかに超える社会のことである。あまりに多くの選択肢に晒されると、消費者は選べなくなるのではなく、選ぶこと自体をやめてしまう。選択肢が多くなればなるほど、消費者は自分の選択が正しいかどうか不安になり、自信をなくしてしまうのである。</p>

<p>そこで多くの企業は、商品を差別化することで打開を試みるのだが、そのような商品もすぐに後発組に真似をされてしまい、陳腐化するのがオチだ。</p>

<p>とはいえ新たな商品を出せば、瞬間的にでも新規顧客は増える。その貴重な機会をけっして逃さないよう、しっかりファンに育てなければならない。</p>

<p><strong>情報が砂粒より多くなる</strong><br>
第三の変化は情報環境である。著者は現代の情報環境を「情報"砂の一粒"時代」と呼んでいる。いま世の中を流れている情報の数は、世界中の砂浜にある砂の数より多いといわれる。具体的な数字に置き換えると、世界中の砂浜にある砂の数（1ゼタバイト）に対し、2020年には45ゼタバイトの情報量が流れるとの見込みだ。</p>

<p>どれだけよいキャンペーン、イベント、記事を打ち出しても、今度は生活者に届きすらしない可能性が圧倒的に高くなる。もし仮に情報を確実に受け取ってもらえるとするなら、それはすでにその商品への興味や関心があるファンだけだ。</p>

<p>こうした変化により、新規顧客獲得に向けた短期・単発施策の効果は薄くなっている。だからこそファンベースが今後、ますます重要になるのである。</p>

<h3>理由3：口コミの威力がもっとも高い時代</h3>

<p>あらためてファンベースが必要な3つ目の理由を述べよう。それはファンが新たなファンを作ってくれることだ。</p>

<p>私たちが何かを選ぶ際、友人のオススメほど強力なものはない。価値観の近い友人が熱狂するコンテンツは、自分も同じように好きになる可能性が高いからである。</p>

<p>口コミの影響力は昔から信じられてきた。しかし現代ほどその力が発揮される時代はない。自分と価値観が近い人から「これはよい」と言われれば、それまでまったく興味のなかったモノにさえ、関心を抱くきっかけになるかもしれない。</p>

<p>「自分の言葉」で語られた本音を、ここでは「オーガニックな言葉」と表現する。またオーガニックな言葉が類友や友人に届くことを「オーガニック・リーチ」と呼ぶ。このオーガニック・リーチこそ、生活者に情報を届けるための最強の方法だ。通常なら気にも留められないキャンペーンや単発施策も、類友からのオーガニック・リーチであれば、受け取ってもらえる確率が飛躍的に上昇する。</p>

<p>人は何かに熱中すると、それを近くにいる類友に話したくなるものだ。自分が気に入った商品は、周りの類友にも勧めようとしてくれるだろう。つまりファンは周囲の類友もファンにしてくれるのである。</p>

<p>ゆえに提供する側としては、ファンが語りたくなるようなきっかけや状況、環境をいかに作り出すかがきわめて大切になる。</p>

<hr />

<h2>ファンの支持を高めるには</h2>

<p><figure>
<figure><img src="/uploads/33885851585_2e39911244_b.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/nathanclendenin/33885851585/">"Victoria &amp; Pilar have a spe"</a> by Nathan Clendenin (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>価値自体を高めて「共感」を強くする</h3>

<p>ここからはファンベースを採用した施策について、具体的に説明する。ファンベースの目的は、全体の20%程であるファンの支持を高め、ライフタイムバリュー（顧客生涯価値:1人の顧客がその取引期間を通じて企業にもたらすトータルの価値）を上げることだ。同時にこの施策は、新たなファンの獲得にもつながる。</p>

<p>ファンの支持を強くするためには、（1）価値自体を高める「共感」、（2）価値を代替不可能にする「愛着」、（3）価値提供元の評価・評判を高める「信頼」という3つのアプローチがある。</p>

<p>1つ目のアプローチ「共感」とは、商品のもつ価値自体を上げて、ファンの共感を強くすることだ。そのためには自分の企業、商品、ブランドの価値がどこにあるのをはっきりさせなければならない。もしそれが明確でないのなら、ファンの声を聴くことから始めるべきである。ファンの言葉のなかには、企業さえ気づかない「共感ポイント」が多く隠されているものだ。</p>

<p>一方でファンも、自分たちが支持している価値が何なのか、よくわかっていない場合がある。そこで役に立つのが「ファン・ミーティング」だ。定期的なファン・ミーティングを開いてファンとの対話を増やし、一緒になって価値を変化・成長させていくのである。</p>

<p>ただし少数派であるファンを集める際には、ファンではない人が興味本位で来てしまわないよう、応募のハードルを上げたほうがいい。自腹で来てもらう、ファン・コミュニティで募集するなどの工夫も大切である。</p>

<h3>価値を代替不可能にして「愛着」を高める</h3>

<p>2つ目のアプローチは、ファンの「愛着」の強化だ。商品に対してファンの愛着が高まれば高まるほど、長く使ってもらえるようになり、その商品は唯一無二の存在となる。</p>

<p>愛着を強化する方法のひとつとして有効なのが、「商品のストーリーやドラマの開示」である。商品の背景にあるストーリーやドラマといった「コト」の部分に、人は愛着を感じるからだ。</p>

<p>友人からもらったプレゼントはなぜ嬉しいと感じるのか。それはモノ自体ではなく、プレゼントしてくれようとした想いや、プレゼントを探すために使ってくれた時間が嬉しいからである。そのストーリーがあるからこそ、受け取る側は感動を覚える。</p>

<p>自動車メーカーのマツダはWEBサイトで「開発ストーリー」を掲載している。開発ストーリーでは開発者の思いや苦労が語られるため、それを知った人は、マツダの車が単なる車から特別な車に見えるようになる。これが愛着だ。</p>

<p>企業や商品のもつストーリーは、全面的に打ち出すべきである。重要なのはモノの背景にいる「人」をどう感じさせるかなのだ。</p>

<h3>評価・評判を高めて「信頼」を強くする</h3>

<p>3つ目のアプローチは、価値を提供する側の評価・評判を高め、ファンの「信頼」を得ることである。たとえ商品にいくら価値があっても、評価や評判が低くては誰からも相手にされない。もちろん信頼はすぐに得られるものではないだろう。しかし長い時間をかけて地道に築いた信頼は、強固なものとなるはずだ。</p>

<p>信頼を強くするには、まずいまの取り組みが誠実か、あるいは信頼を裏切っていないか自分自身に問いかけるといい。たとえば一度検索しただけで何度も表示されるリターゲティング広告、迷惑メルマガ、動画広告などのネット広告手法などは、相手の信頼を裏切ってしまう危険性がある。よりファンの目を意識し、信頼されない要素や反感をもたれる要素はなくさなければならない。</p>

<p>また信頼を構築するためには、細部までしっかり紹介することも大切だ。商品の質を裏付けるような制作現場、開発工程、作っている人の顔をアピールし、「あそこの商品は間違いない」とファンに自信をもってもらえるようにするべきである。</p>

<p>最後になによりも社員の信頼を大切にしよう。自分の会社や商品のよさを社外に伝えるには、社員がまずそのファンであるべきだからである。社員全員が同じ方向を向けるよう、創業の志やミッションは深く共有し、社員の共感・愛着・信頼を築いていくことが肝要である。</p>

<hr />

<h2>一読のすすめ</h2>

<p>要約ではファンベースの概要、そしてファンの支持を強化する3つのアプローチ手法について紹介した。本書ではファンの支持をさらに高めて「コアファン」に育てるための施策（「熱狂」・「無二」・「応援」）、ならびに短期キャンペーン施策や単発施策と中長期ファンベースを組み合わせ、相乗効果を狙う「全体構築」も解説されている。</p>

<p>ファンベースをマーケティングで確実に活かすためにも、本書に掲載されている多くの図解やデータ、そして参考資料はぜひ一度ご覧いただければと思う。</p>

<p>（1冊10分で読める本の要約サービス <a href="https://www.flierinc.com/">flier</a>）</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/04/BNLBooks-VOL6.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/59802d898aba6957f64ce5de5410fc21ccc89399.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>関連記事：あらゆる学びを、自分だけの武器にできる『独学の技法』</strong></div></a></div>
]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>AIが仕事を奪ったとき、私たちはより人間的な仕事ができる──世界最先端のテクノロジーニュースまとめ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/05/MIT-Technology-Review-VOL1.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9023</id>

    <published>2018-05-15T03:30:00Z</published>
    <updated>2018-06-15T02:35:48Z</updated>

    <summary>世界最古のテクノロジーメディア『MIT Technology Review』とBNLの共同企画。日本版の編集部がBNL読者のビジネスパーソンのために、毎月、特に注目度の高いニュースについて、その背景を含めて分かりやすく解説。初回は、AIが私たちの仕事へ及ぼす変化について取り上げる。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="コラム" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="世界最先端のテクノロジーニュースまとめ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="テクノロジー" label="テクノロジー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>『MIT Technology Review』は世界最古のテクノロジーメディアである。1899年の創刊当初は、マサチューセッツ工科大学（MIT）の卒業生に読者を限定した雑誌で、論文誌に近く発行部数も少なかった。だが1998年に誌面をリニューアルしてからは、研究者だけでなくビジネスの世界にも読者層を広げていった。先進テクノロジーが経営の方向性を変えていく時代に、世界中で支持を得て現在は日本を含めて147カ国に展開している。</p>

<p>これまでビジネスネットワークについて探究してきたBNL編集部は、ビジネスの進化の可能性を探るうえで、テクノロジーニュースも紹介したいと考え、日本版のMITテクノロジーレビュー編集部にコンタクトをとった。BNLで紹介するうえでの課題は、普段テクノロジーニュースを読み慣れていないビジネスパーソンにも理解しやすい内容にすること。そこで、MITテクノロジーレビュー編集部が、毎月いま注目のテーマを取り上げ、ニュースの文脈を整理して紹介してくれることになった。</p>

<p>初回のテーマは、「人工知能（AI）と私たちの仕事」。この要約を読んでおけば、次に誰かと名刺交換したときにも、話題に事欠くことはないだろう。</p>

<p><figure><figcaption>Top Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/mwboeckmann/3275537425" target="_blank" rel="nofollow">"Happy Birthday Charles Darwin!</a>" by Marcus Böckmann (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<hr />

<h2>AI診断機で医師の仕事が不要に</h2>

<p>4月11日、アメリカの医療関係者のあいだに衝撃が走った。米国食品医薬品局（FDA）が、糖尿病網膜症という眼の病気を自動検出するソフトウェアを認可したからだ。</p>

<div class="link-box"><a href="https://www.technologyreview.jp/nl/fda-approves-first-ai-powered-diagnostic-that-doesnt-need-a-doctors-help/" target="_blank" rel="nofollow"><div style="background-image: url('https://cdn.technologyreview.jp/wp-content/uploads/sites/2/2018/04/12053707/aieyediagnosis2.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>先月の重要ニュース：医師不要で診断可能、FDAがAI医療装置に初の認可</strong></div></a></div>

<p>医療における画像診断自体はもはやめずらしくはない。注釈付きの放射線画像のデータセットで訓練したニューラルネットワークを使い、異常が疑われる箇所を指摘するソフトウェアは、日本でもすでに一部医療機関で使われている。</p>

<p>だが、こうしたソフトウェアはあくまでも医師の仕事を〈支援〉するものであり、最終的な意思決定である〈診断〉は医師が担うものだった。一方、今回認可されたソフトウェアは特定の病気が対象とはいえ、医師が確認しなくても診断を下す点で画期的だ。いわば、「AI医師」が人間の医師に置き換わってしまったのだ。</p>

<p>ということは、いずれ技術が進歩すれば、健康診断のような仕事はすべてAI医師が担い、人間の医師のやることはなくってしまうのだろうか？</p>

<p>コンピューターは人間よりも正確だ。診断の精度は確実に向上し、診断ミスが減ってコストも下がる。長い目で見れば医療費の抑制にもつながるとなれば、消費者にとっての利益は大きい。だが、医師のように専門性が高く、高度な判断が必要とされる職業においてもAIが活躍するようになるなら、私たちの仕事はどうなってしまうのだろうか？</p>

<h2>専門性の高い仕事も自動化の例外にならず</h2>

<p>医師の仕事だけではない。「AIが仕事を奪う」類のニュースは、ここ数年の「AIバブル」ですっかり耳慣れたものになった。たとえば、弁護士の仕事を肩代わりするサービスを展開するのが、米スタートアップの「ドゥノットペイ（DoNotPay）」だ。</p>

<p>駐車違反への異議申し立ての手続きを自動化するツールからスタートした同社は、その後、情報漏えい事故に対する少額訴訟を支援するツールを作り、訴訟を自動的に起こせるようにしている。現在目指しているのは「離婚手続きの自動化」だという。</p>

<div class="link-box"><a href="https://www.technologyreview.jp/s/62168/this-chatbot-will-help-you-sue-anyone/" target="_blank" rel="nofollow">
<div style="background-image: url('https://cdn.technologyreview.jp/wp-content/uploads/sites/2/2017/11/09110730/josh-browder-topper-cropped.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>大企業と戦うAI弁護士、次の目標は「離婚の自動化」</strong></div></a></div>

<p>メディアの仕事も自動化が進んでいる。上場企業が発表した決算を基に要約を作成する日経新聞の「完全自動決算サマリー」は有名だが、ロイターが開発したAI記者「ロイター・トレーサー」はもっと過激だ。</p>

<p>ツイッター上で話題になったニュースを抽出し、自社がまだ記事にしていなければ自動的に要約の作成と見出し付けまでをこなす。重要度をアルゴリズムで重み付けし、ソースにデマやフェイクニュースが入り込まないよう対策もしている。医師や弁護士の仕事と同様、かつて高学歴エリートの有力な就職先だった新聞社や通信社といったメディアの仕事でさえも、自動化の波に飲み込まれようとしているのだ。</p>

<div class="link-box"><a href="https://www.technologyreview.jp/s/64484/how-reuterss-revolutionary-ai-system-gathers-global-news/" target="_blank" rel="nofollow">
<div style="background-image: url('https://materials.8card.net/eightblog/201805/MITTR_logo.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>ロイター、ネタの選定から執筆までほぼ完全自動のAI記者を開発</strong></div></a></div>

<h2>AIは仕事を奪うのではなく「変える」</h2>

<p>だが、こうしたニュースをもとに「ロボットやAIが仕事を奪う」と単純に捉えてしまうのはいかにも早計だ。たとえば、経済協力開発機構（OECD）が3月18日に発表したレポートでは、高い確率で自動化される仕事は13％と予測している。「仕事がなくなる」と散々脅かされている状況からすると、驚くほど低い数字だ。</p>

<div class="link-box"><a href="https://www.technologyreview.jp/nl/only-14-percent-of-the-world-has-to-worry-about-robots-taking-their-jobs-yay/" target="_blank" rel="nofollow">
<div style="background-image: url('https://cdn.technologyreview.jp/wp-content/uploads/sites/2/2018/04/03023707/clocking-in-4-2-oecd-1397x787.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>ロボットやAIに奪われる仕事は14％、OECD予測</strong></div></a></div>

<p>では、なぜロボットやAIが登場しても仕事がなくならないのか。それは結局のところ、現在AIと呼ばれているコンピュータープログラムやロボットが担うのが「作業」でしかないからだ。たとえば、FDAが認可した画像診断ソフトは単独で診断ができるとはいえ、それで患者の病気が治せるわけではない。個々の患者の症状の詳細を判断し、治療方針を立て、患者に適切に説明し、治療の経過を見て計画を修正していくのは、結局のところ医師の仕事なのだ。</p>

<p>先のAI弁護士にしても、要は日本でいうところの「過払い金請求」のような定型的な仕事を自動化するものだ。定型的な仕事とは「作業」であり、作業とは私たちが文字通り「機械的に」こなしている仕事だ。だったら機械に置き換えてしまうことがよほど自然で健全だろう。電卓を叩いてペンで伝票を埋めていた仕事が表計算ソフトに置き換わったように、現在AIと呼ばれているものの大半は、本質的には面倒で煩雑な仕事を助けてくれるツールでしかない。</p>

<p>オバマ政権で経済諮問委員会のメンバーを務めた経済学者のジェイ・シャンボーは、MITテクノロジーレビューのインタビューに「『ロボットが我々の仕事を奪っている』というディストピア的な見方の代わりに、余暇の時間を増やして労働時間を減らすという考え方があってもよいはずです」と述べている。</p>

<div class="link-box"><a href="https://www.technologyreview.jp/s/84053/how-is-america-preparing-for-the-future-of-work/" target="_blank" rel="nofollow">
<div style="background-image: url('https://cdn.technologyreview.jp/wp-content/uploads/sites/2/2018/04/19052227/jayshambaugh-cropped.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>テクノロジーで変わる仕事の未来に労働者はどう備えるべきか？</strong></div></a></div>

<p>日本流に言えば「働き方改革」という陳腐な言葉になってしまうのだろうが、実は米国でも「働きすぎ」が問題となっており、シャンボーの発言はツールを使って生産性を上げ、「人間的」な仕事に集中すべきとの考えを示したものだ。</p>

<p>私たちはすでに、コンピューターやインターネットで仕事のやり方が大きく変わることを経験している。ラッダイト運動で機械を打ち壊した労働者のように、未知の道具の出現を恐れる必要はない。ロドニー・ブルックス（MITコンピューター科学・AI研究所前所長）がいうように、「間違った予言のせいで、人々は起こりえないことを恐れている」だけなのかもしれないのだ。</p>

<div class="link-box"><a href="https://www.technologyreview.jp/s/58257/the-seven-deadly-sins-of-ai-predictions/" target="_blank" rel="nofollow">
<div style="background-image: url('https://cdn.technologyreview.jp/wp-content/uploads/sites/2/2017/10/10193519/k-cropped.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>シンギュラリティは来ない──AIの未来予想でよくある7つの勘違い</strong></div></a></div>
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    </content>
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    <title>作家との〈出会い〉が現代アートを買う醍醐味──アートコレクターの集まり、ワンピース倶楽部 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/05/onepiececlub.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9028</id>

    <published>2018-05-10T03:00:00Z</published>
    <updated>2020-03-23T02:56:10Z</updated>

    <summary>現代アートの作品を買う楽しさに目覚めた石鍋博子さんは、各々1年間に最低1枚は買うアートコレクターの集まり「ワンピース倶楽部」の代表として11年間活動を続けている。他の購買体験では得られない魅力は何かと問うと、それは作家との〈出会い〉にあるという。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="アート" label="アート" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/">石鍋博子</a></strong><small>ワンピース倶楽部代表</small>
<p>1956年東京都生まれ。高校生まで岩手県、宮城県で過ごす。慶應義塾大学法学部卒業後、1980年にフジテレビ入社。1998年に退社するまで、番組制作、イベントのプロデュースに携わる。2005年より現代アートに関心を持ち、2007年7月、アートコレクターの集まりである「ワンピース倶楽部」を設立。毎月1回の交流勉強会と、年1回の展覧会を中心に活動を行っている。現在会員は100人ほど。名古屋、関西、金沢、北海道、四国、九州に支部がある。
</p></aside></p>

<p>どんなジャンルの愛好家でも、自分が作品を買うことで、好きな作家を応援したいという気持ちがあるだろう。アートも同じはず......なのだが、一般的には「買って応援」とはなりにくい。</p>

<p>「そんなことないですよ。作品を買って作家にあんなに喜んでもらえるもの、他にないと思います」。そう言うのは、アートコレクターの集まり「ワンピース倶楽部」を主宰する石鍋博子さんだ。</p>

<p>展覧会を見たり絵を描いたりする同好会は多々あるが、「ワンピース倶楽部」のようにアートを「買う」集まりは多くない。</p>

<p>「ワンピース倶楽部」のルールは3つ。1年間に最低1枚、生きているプロの作家の作品を購入すること。年度の終わりに開催する展覧会で、購入した作品を発表すること。ギャラリーめぐりや美術館めぐりなど、お気に入りの作品を見つけるための努力を惜しまないこと。</p>

<p>そんなアートコレクターとしての活動は、日々にどんな彩りをもたらすのか。主宰の石鍋博子さん、そして会員の上田欽一さん、前川俊作さんに話をうかがった。</p>

<p><figure>
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<img src="/uploads/_OND5376final.jpg">
<figcaption>最近購入した端聡さんの作品。「どこに掛けようかな」と楽しそうに部屋の中をあちこちと歩く石鍋さん。端聡さんは北海道を拠点に活動するアーティスト。作家として精力的に作品を発表するほか、ディレクターとして札幌国際芸術祭の立ち上げに関わったり、札幌でギャラリーやアートスクールを運営するなど、若手の育成にも尽力している。</figcaption></figure></p>

<h2>ワンピース倶楽部の成り立ち</h2>

<p>石鍋さんが現代アートに興味を持ったのは2005年夏。翌年の2月、スペイン・マドリッドで開かれた「ARCO（アルコ）」国際アートフェアを訪れた。</p>

<p>石鍋さんはもともとテレビ局で働いていた。「フジテレビの大卒女子社員の第1号。インカムをつけてフロアを走り回っていました」。番組制作の現場で活躍していたが、2人目の子どもが生まれたころ、18年間勤めたテレビ局を退社。やめてどうしたかというと、</p>

<p>「夫との共通の趣味だったクラシックカー・ラリーに出場するようになったんです。二人とも会社員だと二人同時に休暇を取ることは難しいけど、私がやめた途端、旦那さんが『出るぞ』って」</p>

<p>本場イタリアをはじめいくつものラリーに参加した。「ラリーに出ていると1年が終わって、こんなふうにして一生を暮らしていくのかなって」。そう思っていた2006年の早春、夫に癌が見つかる。ちょうど「ARCO」を訪れて、「アートおもしろいな」と思い始めたころだった。その年の秋、夫は旅立ってしまった。</p>

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<div class="info"><strong>ビジネスにアートの文脈を。アートにもビジネスの文脈を。スープストック創業者・遠山正道の実践</strong> </div></a></div>

<p>翌年の2月、石鍋さんは北京で開かれたアートフェアに出かけた。「あの時が楽しかったから、また行ってみようと思って」。アートフェアはやはり、心躍る場所だった。夏には世界的に有名な3つの国際美術展（ベネチアビエンナーレ、ドクメンタ、ミュンスター彫刻プロジェクト）を2週間かけてまわった。</p>

<p>「6月に見に行ったのかな。で、7月に『ワンピース倶楽部』をつくったんです」</p>

<p>展開が早いですね！と言うと、「だってもうね、やることないし」と笑う。夫を亡くし、呆然と過ごしてしまいそうな気持ちを奮い立たせて始めたのが、「ワンピース倶楽部」だった。</p>

<p>スタート時の会員はおよそ40人。ほとんどはアートを買ったことなどない人たちだった。「アートなんて分かんないけど、石鍋さんが何かやるなら会員になりますって参加してくれて」。大半は今も「ワンピース倶楽部」の活動を続けている。「それはうれしいですよね」と石鍋さんは言う。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND5381final.jpg">
<figcaption>スマホケースは、threeという3人組アーティストの作品。石鍋さんは2009年に結成されたthreeの最初のコレクターだ。「最初に買った人になるのはすごくうれしい」。現在threeの作品は6点所有している。</figcaption></figure></p>

<h2>購入の動機は作家との〈出会い〉</h2>

<p>会員の上田欽一さんは、石鍋さんとの出会いで現代アートに魅せられたひとりだ。普段は東京・江東区で老舗のせんべいやを営んでいる。「1カ月に1度勉強会に行って、アートの話だけしてればいいんだよ。至福の瞬間ですよ」。</p>

<p>上田さんにとっての「ワンピース倶楽部」の醍醐味は、「作家を応援すること」だ。「僕の買う作家は、それだけで生活できている人はほとんどいないんです。だけど僕は『こいつは天才だ！』と思うから買う。活躍してほしいから、感想もずばずば言います。作家だって、黙って見られるよりは話したいでしょう。なぜこれをつくったか、熱く語りたいんじゃないかな」</p>

<p>上田さんはもともと美術好きで美術館にはよく足を運んでいたが、ギャラリーには行ったことがなかった。「美術館は価値が定まっている安心感があるけど、ギャラリーなんて行ったって僕らにはどこの誰かも分からないでしょう？ 雰囲気もフレンドリーとは言えない。シーンとした中、いきなり入っていって『これください』とは言えないですよね（笑）。だけど『ワンピース倶楽部』を通じてギャラリーの人と知り合って、ギャラリーって本当はそんなに敷居が高くないということが分かっていきました」</p>

<p>上田さんにとって作品購入の最大の動機は作家との〈出会い〉だ。「よく言うんですが、売るつもりがなければ作品の価値は『ゼロ円』なんです。それによほどでない限り値上がりなんてしないですよ。なのになぜ買うかというと、『人の縁』なんですよね。作家と話をして、応援するのが楽しいんです」</p>

<p><figure>
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<figcaption>東京とロンドンを拠点に活動するアーティスト、宮﨑啓太さんの作品。おもしろい作品だなと思っていたところ、あるパーティーで本人と知り合い、購入した。「作品との出合いは縁だと思っています。『他の人に買われたら嫌だな』と思うものを買えばいいの」</figcaption></figure></p>

<h2>初めて作家に会いに行ったコレクター</h2>

<p>一方、作品に比重を置く「目利き」的な買い方をする人もいる。</p>

<p>前川俊作さんは1年半前に「ワンピース倶楽部」に参加した。美大の芸術学科出身。「デュシャン以降のバリバリの現代アートを勉強するところ」だった。コレクター歴は30年近くになる。といっても常に熱心に買っているわけではない。ギャラリーから足が遠のく時期もあった。3年くらい前からまたアートに気持ちが向き始め、「アートを見る環境を意識的に変えてみよう」と「ワンピース倶楽部」に入会した。</p>

<p>「僕は作家さんと話すタイプではなかったんです。最近は変わりましたけど」</p>

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<div class="info"><strong>作家と出会い、アートを買ってみることから始めよう──3331 Arts Chiyoda統括ディレクター・中村政人</strong></div></a></div>

<p>昨年、ある展覧会で気に入った作家を見つけた。調べてみたが特に所属しているギャラリーはないようだった。当人がホームページを持っていたので直接連絡して、作品を見に行った。安い買い物ではないので迷ったが、もう一度見に行ってみたらやはり「欲しい」と思えた。</p>

<p>「そんなことをしたのは生まれて初めてでした。アーティストに直接コンタクトをとって『売ってください』なんて」</p>

<p>石鍋さんの影響はありますか？　と聞くと、「確実にあります。すごく積極的になる。自分でもおもしろいように」。前川さんは現代アートの魅力をこう語る。</p>

<p>「今の時代に、歴史を塗り替えるほどの画期的な表現なんてまずないんです。でも、切り口をちょっと変えてくれるだけでも、フュッと風が吹く。自由な気持ちになれる。そういうのがいいのかなと思いますね」</p>

<p>作品の好みも買い方も異なる上田さんと前川さんだが、共通するのは、売ることを考えていないことだ。「値上がりしそうなものを買う」という発想がないから、懐さえ許せば、あとは自分が好きかどうかだけ。</p>

<p>石鍋さんはこう言う。</p>

<p>「アートって、正しいとか間違ってるとかないから。自分の感じたままを話せばいいし、人の話は『へえ、そうなんだ』って聞けばいいの。だから誰と話してても楽しい。みんな、自分の思いでやればいいの」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND5194final.jpg">
<figcaption>ご自宅の廊下にも作品がところ狭しと飾られている。</figcaption></figure></p>

<h2>作品の裏にいま頑張っている人間がいる</h2>

<p>では、石鍋さん自身がアートを買うときの基準はなんだろう。</p>

<p>「私は『作家の思い』がすべてという気がしていて。だって、作品だけで評価したら何百年も生き抜いてきた骨董の方が素晴らしいかもしれない。でも私がなぜこんなにコンテンポラリーを買うかというと、やっぱりその裏にいま生きて、頑張っている人間がいるから。その人を応援したいという気持ちが強いんだと思います」</p>

<p>石鍋さんのご自宅にはたくさんのアート作品が飾られている。そのひとつひとつに作家の姿を感じると言う。「毎朝、『おはよう』『おはよう』とあいさつする感じ」。石鍋さんにとっては、ひとりひとりの作家の生き様がアートの魅力そのものだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND5108final.jpg">
<img src="/uploads/_OND5126final.jpg">
<figcaption>（上）ベルリンを拠点に活動するアーティスト、雨宮庸介さんの作品（奥のりんごの彫刻も）。この熊に話しかけると、遠くにいる雨宮さんとつながっているような気分になるのだという。／（下）中央のクリスタルビーズで覆われたモニターは、アーティストの名和晃平さんの作品。</figcaption></figure></p>

<p>「みんなぽわんとしてるんだけど、話すとけっこう本質をついてくる。人生についてとか、死についてとか、幸せについてとか、普段話せないようなこともアートを介してなら話せる。私たちは日々の生活に追われて、自分はなんのために生まれてきたのかをゆっくり考える暇もない。それをちゃんと考えて、作品で表現している人がアーティストだと思うんです」</p>

<p>「ファッションや音楽でも、このブランドを着ているとかっこいいとか、この音楽を聴いていると最先端だとか、ありますよね。一方で、自分だけが知っているもの、良さに気づいているものを見つける楽しみもある。アートも同じで、『ワンピース倶楽部』は後者を楽しむ人たちが多いような気がします。マイナーレーベルで活きのいいミュージシャンを発掘するような感じかな」</p>

<p>ただ、洋服や音楽と違うのは、その世界への入り口が見つけづらいことかもしれない。そこは少し、能動的になることが必要だ。</p>

<p>「私のおすすめは作家本人に会うことです。コンテンポラリーのアートを集める最大の魅力は、作家が生きていて、コミュニケーションできることですから」</p>

<p>作家に会えるチャンスは展覧会のオープニング。ギャラリーのオープニングは基本的に誰でも参加できる。最近は大小さまざまなアートフェアも各地で開かれるようになってきた。フェアのブースには作家がいることが多いし、不在ならギャラリーの人に質問してもいい。</p>

<p>「とにかく『買う』と決めてアートフェアやギャラリーに行ってみて。そんなに簡単に買わなくてもいいの。『買う』と決めることが大事」</p>

<p>石鍋さんの言葉を、前川さんはこんなふうに説明する。「買うとなると、見るときの真剣味が違ってくるんです。なぜなら、見物人ではなく、当事者になるから。参加の深度がまったく変わるんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND5187final.jpg">
<img src="/uploads/_OND5202final.jpg">
<figcaption>（上）階段箪笥と現代アートが調和する一角。水面が描かれているのは画家の井上文太さんの作品。井上さんは、三谷幸喜さんが脚本を手がけたNHKの人形劇「新・三銃士」や「シャーロックホームズ」のパペットデザインでも知られている。／（下）トップ画像にも写っている、応接間の壁一面を占める桑久保徹さんの油彩からふっと視線を落とすと、リラックスした様子でたたずむ人物が。アーティストの杉山健司さんの作品。</figcaption></figure></p>

<p>アートコレクターは単なる消費者ではない。たとえ数万円の作品でも、アートを買うことはひとつの「体験」を手に入れることなのだ。それをおもしろいと思うか、めんどくさいと思うか。そこがアートの分かれ道。</p>

<p>「少し勉強すると、青空市で買った日曜画家と、現代アーティストとしてこれから活躍するであろう人の作品は、すでに居る場所が違うということが分かるようになる」と石鍋さんは言う。そうなったらこっちのものだ。</p>

<p>「出会いのチャンスはいくらでも転がっています」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND5103final.jpg">
<figcaption>「エビスビールの空き缶」に見えるものは陶器でできたアート作品。アーティストの三島喜美代さんは、空き缶、段ボールや新聞紙、雑誌など使い捨てられるもの＝ゴミを陶器で再現する作品で知られている。</figcaption></figure></p>
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    </content>
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    <title>銀行だって、もっとクリエイティブになれる──現金大国・日本への挑戦 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/05/smbc-eto.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9015</id>

    <published>2018-05-07T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:16:10Z</updated>

    <summary>いまメガバンクの中で、三井住友銀行のリテールIT戦略部ほど果敢にイノベーションに取り組んでいる部署はほかにないだろう。3年前に少数の銀行員だけで始めたチームも、多様なバックグラウンドを持つ人を集め、その規模を拡大。「デジタル化」「キャッシュレス化」という壮大なミッションに取り組むべく、銀行の堅苦しいイメージを刷新し、採用の幅を広げ、さらにクリエイティブなチームをつくろうとしている。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="キャリアストーリー" label="キャリアストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>江藤敏宏</strong><small>三井住友銀行 リテールIT戦略部 部長</small>
<p>1992年に株式会社さくら銀行（現三井住友銀行）に入行。9年間、支店、法人営業部での勤務を経て、2001年より個人統括部（現リテール統括部）へ、03年に異動した情報システム企画部（現システム統括部）では副部長を任される。15年4月にリテールIT戦略部の前身となる「リテールマーケティング部IT戦略室」を立ち上げ、室長に就任。17年より現職。
</p></aside></p>

<p>上はパーカー、下はジーンズというラフな服装。フロアのどこででもMacBookを持ち寄って、新しい企画案について上司も部下もなくフラットに意見をぶつけ合う。そんなITスタートアップのような働き方をしている、およそらしくない"銀行員"たちがいるという。</p>

<p>三井住友銀行リテールIT戦略部は、同行のリテールビジネスのデジタル化を一手に担う部署だ。2015年4月の発足以来、「ユーザー目線のサービスの実現」を合言葉に、インターネットバンキングのスマホ最適化や、デジタルマーケティングを推進してきた。</p>

<p>当初は少数の銀行員でスタートしたが、徐々にその規模を拡大。メンバーには、Web制作やUI/UXデザインの専門家も含まれているという。お堅いイメージの銀行にいま、何が起きているのか。彼らはその先にどんな未来を描いているのか。発足以来のリーダーである、江藤敏宏に聞いた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND2353final.jpg">
<figcaption>本社ビル内にあるカフェスペースで取材した。この場所で同僚と雑談しているうちに、面白い企画が生まれることもあるという。</figcaption></figure></p>

<h2>どこでもMacBookを持ち寄って"企画会議"</h2>

<p><strong>──リテールIT戦略部の発足の経緯から教えてください。</strong></p>

<p>当部の前身である組織が発足したのは2015年4月。当時リテール向けサービスは一部の富裕層を対象にしたものが中心で、会社員や学生といったユーザー層にももっと広げていきたいという課題意識がありました。ご存知のように一般の人が銀行を訪れる機会は減ってきている一方で、スマホの普及率は8割を超えて誰もが持っていると言える状況です。こういったユーザー層との接点をつくるには、これまでのリアル店舗に加えて、デジタルというチャネルをもっといろいろと活用するのがいいだろうということになりました。これが出発点です。</p>

<p><strong>──銀行というとどうしても硬いイメージが伴います。正直に言って、新しいチャレンジができる仕事という印象はあまりない。ところがこの部署はそうではないと聞きました。</strong></p>

<p>面接などでよく聞かれるのは、「銀行はひとつの物事を決めるのに何人の承認を得なければならないのか」という質問です。一般的に銀行に対してそういうイメージがあるのは承知しています。でも、当部に限ってはそれが当てはまらないんですよね。フラットな組織になっていて、普段の何気ない会話から本当に企画が実現したりします。担当者が直接役員に説明しに行く機会も多いです。</p>

<p>服装も自由で、上はパーカー、下はジーンズというスタートアップの社員のような姿で働いている人もいます。執務室のレイアウトもごちゃごちゃにしていて、ロッカーひとつ挟んだ隣の部署は相変わらず整然と机が並んだレイアウトだから、合わせて眺めてみるとなんとも不思議な光景になっているんですよ。</p>

<p><strong>──そうした、いい意味で銀行のイメージを覆す仕事の仕方をしているのはなぜですか？</strong></p>

<p>先ほど、ユーザーとの接点を作るためにデジタル戦略が必要だったと言いましたが、ただ単にデジタルというチャネルを用いれば使ってもらえるかといえば、当然そうではありません。本当に使われるためには、それがユーザー目線のサービスであることが不可欠です。</p>

<p>ところが、これまでの銀行にはユーザー目線の自由で柔軟な発想が決定的に足りなかったんです。銀行員を卑下するわけではないですが、どうしても銀行という箱の中で発想してしまうところがありました。もちろん、服装を変えれば自由で柔軟な発想ができるというものでもないとは思いますが、銀行員がアプリやサービスを作るとなると、真面目さが邪魔して、エクセルの中に文字がいっぱい、みたいなものができてしまう。そこを変える必要がありました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND2376final.jpg">
<figcaption>転職の動機として、生活に変化をもたらすことのできるユーザー数の規模が大きいのも、魅力として挙げる人は多いという。</figcaption></figure></p>

<h2>エクセル・シンキングからデザイン・シンキングへ</h2>

<p><strong>──発足してまず何から手をつけたのですか？</strong></p>

<p>お恥ずかしながら、当時の当行のインターネットバンキングというのは、スマホ最適化さえもできていない、かなりのビハインドからのスタートでした。そのため発足してまず手をつけたのは、3000ページくらいあるWebサイトの全面刷新。それと並行して、インターネットバンキングの取引画面の改定、スマホ最適化を進めました。</p>

<p>とはいえ、発足当時は全員が生粋の銀行員。最初の1年は試行錯誤が続きました。その過程には、ゲームアプリを出してみて大コケするという、いまとなっては良い思い出、といった類のものもありました。</p>

<p><strong>──潮目が変わったのはいつ頃ですか？</strong></p>

<p>2016年4月にリリースすることになるスマホアプリを作った際、外部からデザイナーやコンサルタントといったような人たちに来てもらい、初めてデザイン・シンキング的なことをやったんです。カスタマージャーニーマップを作って全面的にUIを見直すというところからやりました。</p>

<p>私自身、デザイナーの人と一緒に仕事をするのは初めての経験だったので、手書きでワイヤーをひゅひゅっと書いたり、MacBookを持ってきてババっと試作してみたりする彼らの仕事ぶりにはカルチャーショックを受けましたよ。でも、そうしたステップを経て出てきた成果物をみて、徐々にみんなが「こういうやり方をすれば、こういうものができるのか」ということを理解していったんです。</p>

<p><strong>──その結果として、働き方や組織文化も徐々に変わっていった、と。</strong></p>

<p>そうです。初めは業務委託で来てもらっていたのが、こんなに成果が出るなら出向で来てもらおうか、さらには中途で採用もしてみようか、とどんどん広がっていきました。その結果、生粋の銀行員もいれば、SIerやIT企業出身者、Webディレクターやマーケター、UI/UXデザイナーなどが集う場になっています。</p>

<p>やはり、多様なバックグラウンドをもつ彼らのような人がいることが、自由で柔軟な発想を生む上では大きいと感じています。というのも、外の企業では当たり前に行われていることが、まだまだ銀行では当たり前ではないことがありますから。もちろん、われわれ銀行員にしかない知見が彼らの発想を刺激するというケースもあります。多様な人間の「出会い」が新しい発想につながっているというのは、経験を通して実感しているところです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND2396final.jpg">
<figcaption>昨年GINZA SIXにオープンしたフラッグシップ店舗では、ペーパーレス窓口ができた。この形態をさらに全国に発展させていく挑戦にも、いま江藤の部署は取り組んでいる。</figcaption></figure></p>

<h2>リアル店舗のUXだってアップデートすべき</h2>

<p><strong>──いま最も力を入れているのはどんなことですか？</strong></p>

<p>これまで通りに新しいものを作ったり改善したりということは継続的に行っていくんですが、今後はただ作ったではなく、それがより使われるようにしなければならないと思っています。インターネットバンキングが登場しておおよそ20年近くになりますが、当行に口座を持っていただいている2000万人を超えるお客様のうち、インターネットバンキングの契約のある人の割合というのはまだまだ小さい。アクティブな人となるとさらに少ないので、ここにアプローチしていかなければならないと思っています。</p>

<p><strong>──そのための施策は？</strong></p>

<p>スマホアプリのリリースがひと段落ついて、一昨年から力を入れているのがデジタルマーケティングです。それまでも当行の各種SNSアカウントというのはあるにはあったんですが、機能しているとはいえない状況でした。</p>

<p>そこでこれを他部署から引き取ってSNSの運営などを手がけるようになりました。具体的には、例えばLINEのアカウントには「友達」が1000万人以上いたので、これを活かさない手はないと考え、チャットで手軽に残高照会や入出金明細が見られる機能を用意しました。</p>

<p><strong>──ほかにも考えている施策がありますか？</strong></p>

<p>もちろんデジタルは重要なんですが、一方でわれわれ銀行の強みの一つは、全国に400店舗以上ある有人チャネルにあると思っています。銀行の店舗のUXは、まず番号札を取って、記帳台で書類に記入し、呼ばれたら窓口へ行き、というもので長らく変わっていません。これを、もっといろいろと手を加えてみて、面白くできないかなと思っています。</p>

<p>いまではかなりの取引はスマホでやろうと思えばできるわけですが、それができるユーザーばかりではないだろうとも思っています。そういう人に対しては、例えば番号札をとる機械の横にいる行員が、iPadを持って対応する。やっていることはスマホでやっていることと変わらなくても、お客様によってはこのような形で寄り添う必要があるかもしれない。すでに一部店舗ではそういう試みを始めています。そうやってチャネルミックスで対応できるのが、われわれの武器の一つだと思っています。</p>

<h2>現金大国・日本をキャッシュレスに、という壮大な挑戦</h2>

<p><strong>──「デジタル」が普及した先に江藤さんはどんな未来を見据えていますか？</strong></p>

<p>デジタル化とキャッシュレスはセットだと思っているんです。先ほど申しましたように、残高照会と入出金明細の閲覧は、すでにLINEで可能になっています。一方でペイメントサービスはまだ十分でないかもしれませんが、グループ会社にはデビットカードやクレジットカードがある。これらを組み合わせれば、普段使いに限ればまったくお金を引き出さない体験というものが出来上がるんです。</p>

<p>世の中では「情報銀行」的なことがすでに言われていますが、このように全てがデジタルになれば、そのデータからお客様の行動がわかり、生活スタイルがわかるようになる。そうすればより細かなセグメントをしたマーケティングができるようになるし、きめ細かなサービスも可能になる。新たなビジネスの可能性だってひらけてくると思っています。</p>

<p><strong>──日本は長らく現金大国と言われてきましたが、そういう未来が本当にやってきますか？</strong></p>

<p>自分にそれができるのかはわかりませんが、メガバンクだからこそできることはあると思っていますし、チャレンジしなければならないところだと思っているんです。なので、こういうことを面白いと思える人には、ぜひ入ってもらって力を貸してほしいですね。</p>

<p>いまどんな仕事をしているかとか、過去に何をやってきたかはあまり重要ではありません。例えば、「世の中から現金をなくしてやろう」というような志を持っていて、そういう難しいチャレンジをこそ面白いと思えるメンタリティを持った人に入ってほしいと思います。</p>

<p><strong>──江藤さんご自身は、入行した当時からそのような未来を想像していたんですか？</strong></p>

<p>もちろんそんなことはありません（笑）。私が入行した時に思っていたのは、お金というものは経済の血液であり、その血液を企業に供給することで産業を育てるのが銀行だということ。要は、視線が法人の方を向いていたんですね。おそらく、いま銀行に入ろうという人の多くも、そこは変わっていないのではないでしょうか。</p>

<p>それが不思議なことに、いま私がやっている仕事はリテールだし、デジタル。まったく想像していない仕事に就いているわけです。でもそれは役割の違いであって、持ち場持ち場でできることは山ほどあると思っています。</p>

<p>いまの仕事は面白いと感じていますよ。なにせ、まだ実現できていないこと、に挑戦していくわけですからね。</p>
]]>
        
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    <title>面白い！と思える出会いには理由がある──『〈出会い〉の風土学』著者が解説 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/04/kioka-newbook.html" />
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    <published>2018-04-26T00:30:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:24:03Z</updated>

    <summary>学問の歴史上、木岡伸夫ほど深く〈出会い〉について思考してきた人物は他にいないだろう。昨年完結した哲学書三部作の成果をより多くの人に伝えたいと考え、一般向けの新書を発売すると聞いて、BNL編集部は再び関西大学の研究室を訪ねた。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネスと思想" label="ビジネスと思想" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
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        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/39671623614">木岡伸夫</a>（著者）</strong><small>関西大学文学部 総合人文学科 哲学倫理学専修教授</small>
<p>
1951年、奈良県に生まれる。77年、京都大学文学部卒業。85年、京都大学大学院文学研究科博士課程退学。現在は関西大学文学部教授。これまでの著書に『風景の論理──沈黙から語りへ』（世界思想社、2007年）、『風土の論理──地理哲学への道』（ミネルヴァ書房、2011年）、 『 〈あいだ〉を開く──レンマの地平』（世界思想社、2014年）、『邂逅の論理──〈縁〉を結ぶ世界へ』（春秋社、2017年）。訳書に、オギュスタン・ベルク『風景という知──近代のパラダイムを超えて』（世界思想社、2011年）。
</p></aside></p>

<p>世界で初めて〈出会い〉を主題とした哲学書『邂逅の論理』を昨年発売し、BNLでインタビュー記事を掲載した関西大学の木岡伸夫先生より、「4月末に『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4344917030/" target="_blank" rel="nofollow">〈出会い〉の風土学</a>』という一般向けの新書を出版することになった」との連絡が届いた。</p>

<p>なぜ〈出会い〉が風土学の最も重要なテーマなのか？　そもそも風土とは何か？　これまでに書いた哲学書とは違って、今回はあまり哲学に馴染みのない読者でも、理解しやすいように心がけて作ったという。</p>

<p>〈出会い〉について、また新たな気づきを求めてBNL編集部は大阪へ。関西大学の木岡研究室を訪ねた。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/01/kioka.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/IMG_0435final.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>【前回のインタビュー記事】ビジネスにも通ずる出会いの哲学、「縁の論理」とは？ ──『邂逅の論理』著者、木岡伸夫が解説</strong></div></a></div>

<h2>そもそも「風土」ってなに？</h2>

<p>本の冒頭は、ほとんどの人にとって目新しい学問である「風土学」について説明するミニ講義から始まる。</p>

<blockquote>
  <p>風土学のテーマは、環境科学が前提とする二元論的な「環境」でも、生態学でいう「生態系」でもなく、〈人間との関係にある自然〉という意味での「風土」である。</p>

<p>（中略）</p>

<p>「環境」との違い。人間から独立にそれ自体で存在する自然が、「環境」と呼ばれる。自然と人間をはっきり区別する思考は、近代のデカルトがうちだした二元論を端緒とする。</p>

<p>（中略）</p>

<p>「生態系」との違い。「環境」が、〈中心〉である主体から見られた周囲の〈客体〉であるのとは違って、「生態系」（エコシステム）は、さまざまな生物主体を要素とする〈全体〉を表し、人間も「生態系」の要素に過ぎない、と見る全体論・一元論の立場に立つ。</p>

<p>（中略）</p>

<p>三つの概念のうち、「環境」は二元論、「生態系」は一元論を前提とする。ふつうの考え方では、どちらの立場をとるかの二者択一になる。ところが風土学は、二元論的な「環境」、一元論的な「生態系」のどちらも否定しない。どちらか一方が正しくて、他方は間違っている、という考えをとらない。（中略）対立する考えのどちらかに立つのではなく、〈人間─自然〉の元々のつながりに目を凝らしながら、二つの考え方を柔軟に往き来する（ベルクの表現では、「通態化する」）視点を確保しようとするのが、風土学の立場である。</p>

<p>第1回：『風土』とは何か （p.18-22）</p>
</blockquote>

<p>木岡によると、この「往き来する」という考え方は、風土学においてとても重要なポイントだという。しかし、二元論が当たり前の社会で育ってきた身からすると、そう簡単に腑に落ちるものではない。何かもっとわかりやすい説明はないものだろうかと探ったところ、「『似ると似ない』は実は同じ意味である」という表現に辿り着いた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/5391547941_7fe06c076f_o-720.jpg">
<figcaption>"<a href="https://www.flickr.com/photos/jeffcooney/5391547941" target="_blank" rel="nofollow">Best Buds</a>" by Jeff Cooney (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/"  target="_blank" rel="nofollow">BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h2>「似ると似ない」は同じこと</h2>

<p>著書『風土の日本』や『風土学序説』で知られるフランスの地理学者オギュスタン・ベルクは、フランス語で「往き来する」といった意味で使われている「trajet」という動詞を活用し、「trajection（通態化）」という造語を作った。西洋の学問の根底に流れる論理は二元論であり、対立する考えを両方認めることはできないというのが一般的な見解だが、ベルクの「通態化」は、平たく言えば「どっちもアリ」だと言える概念なのだという。</p>

<p>「似ている」と「似ていない」を用いて説明するとわかりやすい。これは一般的には対義語として使われているが、風土学の観点からは実は同義語としても扱えるのだ、と木岡は語る。</p>

<p>「二元論は同じか違うかを明確に分ける論理なので、『あらゆるものは似ていると同時に似ていないんだよ』というふうに言えれば論破できます。例えば、（ホワイトボード用の赤と黒のマーカーを手に取って）この2つのマーカーは形としては非常に似ていますが、色は違います。『同じ』ではなくて、『似ている』と感じた時点で『似ていない』要素もあると認めることになるんです。つまり『似る』というのは同時に『似ない』ということ。『似る』があるから『似ない』。『似ない』があるから『似る』。言葉としては反対だけれども、意味は同じこと。互いに切り離せない関係にあるんです」</p>

<p>この「似ると似ない」の考え方をビジネスの〈出会い〉に置き換えて考えると、また興味深い。</p>

<p>「面白い！」と感じる人は、自分と似ていない特徴が目立つ場合が多い。例えば、自分と似ていない価値観をもっていて、似ていない仕事をやっていて、似ていない人生を歩んでいる人などである。ときには価値観や生き方があまりにも違いすぎて、相手にあまり興味が湧かないことだってあるかもしれない。でも「自分とは違う」と拒絶してしまっては〈出会い〉は成立しない。違うのではなく、「似ていない」と感じることができれば、どこか「似ている」一面も見つかるはずである。</p>

<p>「自分と他人がある程度似ており、ある程度似ていない。そういうものとして緩やかにつながり合う。面白い出会いというものが生まれるのは、そんな世界です」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/6606687177_8888360d0a_o-720.jpg">
<figcaption>"<a href="https://www.flickr.com/photos/9422878@N08/6606687177/" target="_blank" rel="nofollow">Flying In Formation</a>" by Bill Gracey (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/"  target="_blank" rel="nofollow">BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h2>社員一人ひとりが「表現的風景」を持てるように</h2>

<p>面白い出会いを実現するには、「似ると似ない」がどちらも必要だということは理解できたが、ビジネスの観点から見れば、同じビジョンを共有して、同質の価値観をもつ人と組んだ方が効率よく働けるはずではないだろうか。実際、ほとんどの会社組織はそのような基準で人材を採用をしている。</p>

<p>ではなぜ、それでも社外の人と積極的に名刺交換するべきなのだろうか？　無駄にはならないのだろうか？　この問いに対しても、風土学には独自の見解がある。</p>

<p>風土学では、人間の住まう場所に生じる「世界の見方」を表す概念として、「風景」という言葉を用いる。</p>

<blockquote>
  <p>「風景」を意味する「世界の見方」（イギリスの文化地理学者コスグローヴの言葉）は、場所ごとに異なる。一つの場所は、ふつうただ一人によって占められる。しかし、風土が〈場〉（場所の集積）の拡がり（空間）である以上、そこに生活する複数の人々による「世界の見方」が生まれてくる。</p>

<p>第10回　風景──〈形〉と〈型〉 （p.132-133）</p>
</blockquote>

<p>一人の世界の見方から、複数の人々による世界の見方へ。そして、集団の中で一人ひとりの世界の見方へ。風景は、次の３つのステージに分類できるという。</p>

<p>・個人の生きる場所に応じて異なる<strong>「基本風景」</strong><br>
・集団による〈語り〉の交換、〈語り合い〉によって成立する<strong>「原風景」</strong><br>
・集団の中で、一人ひとりが独自の価値を見出す<strong>「表現的風景」</strong></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/kiokabook-art3.jpg">
<figcaption>3つのステージは、このようにピラミッド型に図示できる。ちなみに土台にある「原型（X）」は「経験が形を成す以前の不定形のエネルギー」だという。〈上昇〉の過程は〈下降〉の過程と呼応し、対象的な二つの過程を辿ることによって、風景が生成し変化していく。こうした考えの根底にあるのは<a href="https://bnl.media/2018/01/kioka.html">前回の記事</a>でも紹介した「形の論理」である。図は本書の136頁より抜粋。</figcaption></figure></p>

<p>「『基本風景』は個人によるルーティンワークです。日々繰り返していくうちに、少しずつまとまった規範が具体化していく。それが会社やチームなど、社会的な場で共有されれば『原風景』となります。さらに、個人は『場』の影響を受けて、自分をつくり変えていくことができます。その時、『基本風景』に戻るのではなく、さらに上昇して『表現的風景』に辿り着くのです」</p>

<p>会社の中で「原風景」を共有しているだけでは、なかなか変化は生まれにくい。でも社員一人ひとりが「表現的風景」に達することができれば何か変わるのではないか、と木岡は提言する。</p>

<p>「会社はひとつの『場』ですが、その中に少しずつ異なる個人がいるわけです。彼らにもそれぞれの『場』を持たせればいいんです。一人ひとりの『場』の中に社外の人も関われると、なおいいでしょう。似ていない価値観をもつ、似ていない生き方をしている社外の人と〈出会う〉。その『場』で得られた情報を、再び会社という大きな『場』に持ち寄って、個人が自由に発言できる。もし、そのようなことが可能になれば、これからの時代の働き方、組織のあり方として、有力なモデルになるのではないでしょうか」</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/01/kioka.html">
<h4>前回のインタビュー記事</h4>
<img src="/uploads/IMG_04911094-500.jpg">
<div class="info"><strong>ビジネスにも通ずる出会いの哲学、「縁の論理」とは？ ──『邂逅の論理』著者、木岡伸夫が解説</strong></div></a></div>

<p>たしかに、あらためて考えてみると、オープンイノベーションやパラレルワーク、ホラクラシー経営やティール組織など、最近話題の働き方改革のキーワードはどれも、「原風景」から「表現的風景」への上昇を促しているようにも見える。</p>

<p>ただし、木岡はこれまで純粋に学問として〈出会い〉の意義を追求してきた。実際どのようにしてビジネスの世界に応用できるかは読者の手に委ねたいと言う。</p>

<p>「私は会社というものの中に入ったことがないので、本当にそういうことをまともにやろうとする会社があるのかどうかはわかりませんよ。でも今日の対話を通して、私がこれまで考えてきたことは、もしかしたら現代社会でも活かせるかもな、とちょっと期待をもつことができました」</p>

<p>著者は、序文で本書の目的のひとつとして、読者のみなさんとの〈出会い〉を実現することを掲げている。特に本記事を最後まで読んでいただいた方には、ゴールデンウィークの読書リストに、ぜひ一冊加えてみることをお薦めしたい。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>キャリアサマリで「なぜやるのか？」を伝え、会話のきっかけをつくろう - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2018-04-20T03:09:00Z</published>
    <updated>2018-12-27T10:21:10Z</updated>

    <summary>Eightの便利な使い方を紹介する「Eight Tips」。今回は、相手の興味を促す、キャリアサマリの書き方を解説します。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="Eight Tips" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>異動や新卒・中途入社など、人の入れ替わりが多い分、出会いも増える4月。これから一緒に仕事をする人に向けて、キャリアサマリを更新してみませんか。</p>

<p>キャリアサマリは、互いの距離を縮める話題として役立つだけではなく、「一緒にどんな仕事ができるか？」ということを考える助けにもなります。</p>

<h2>「なぜ？」を語ってみよう</h2>

<p>職歴や資格だけではなく、現在に至るまでのストーリーを表現すると、相手はあなたと何を話すかをイメージしやすくなるでしょう。「○○会社の○○さん」ではなく、あなた個人のミッションに共感してもらえる可能性が広がるからです。具体的には、過去にやったことや、いまやっていることを説明する時、「なぜ、その仕事をやったのか？」という部分まで言及すると、ストーリーが伝わるのではないでしょうか。</p>

<p>この仮説のもと、実際に「なぜ？」という部分を意識して、BNL編集部でキャリアサマリを更新してみました。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/03/adobe-takei.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_L2A0164final.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>関連記事：企業の利益だけを追求してはダメ──アドビ・武井史織の仕事は「表現しやすい社会」をつくること</strong></div></a></div>

<h3>Sample 1：<a href="https://8card.net/p/hirokimaruyama">BNL編集長</a>。『WIRED』の元編集者</h3>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/profile_maru.jpg" alt="" width=400></p>

<h3>Sample 2：<a href="https://8card.net/p/cmurakami">筆者</a>。プロジェクトマネジャーを経て、今年から編集部にジョイン</h3>

<p><img alt="profile_mura.jpg" src="/uploads/profile_mura.jpg" width="400" class="mt-image-none" style="" /></p>

<h3>Sample 3：<a href="https://8card.net/p/39702469680">編集部の新メンバー</a>。人材系の会社から転職</h3>

<p><img src="https://bnl.media/uploads/profile_tani_2.jpg" alt="" width=400></p>

<p>キャリアサマリは、[プロフィール]タブを選択して、[キャリアサマリ]の鉛筆マークをタップすると編集できます。PC版Eightでの操作手順は、こちらの<a href="https://eight.zendesk.com/hc/ja/articles/360000570756">ヘルプ</a>をご確認ください。</p>

<h2>名刺を更新する時も「なぜ？」を添える</h2>

<p>「なぜやるのか？」を意識することは、プロフィール名刺を更新する時の、コメントを考える際にも役立ちます。異動や転職を起点にやりたいと思っていることを伝え、いままで一緒に仕事をしていなかった相手とも、互いのビジネスについて話すきっかけをつくりましょう。</p>

<h3>プロフィール名刺の更新方法</h3>

<p><video src="https://materials.8card.net/eightblog/201804/Tips_add_profile.mp4" poster="https://materials.8card.net/eightblog/201804/Tips_add_profile_poster.png" controls="control" preload="none" muted="" width="100%" style="max-width:330px;" autoplay>
</video></p>
]]>
        
    </content>
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    <title>あらゆる学びを、自分だけの武器にできる『独学の技法』 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2018-04-17T02:15:00Z</published>
    <updated>2018-05-25T00:57:54Z</updated>

    <summary>人生100年時代を生きる私たちは、一生学び続けなければいけないだろう。問題は、どう学ぶのか。無駄なく知識を使いこなす超実践的な独学システムを紹介する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネス書" label="ビジネス書" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="学び" label="学び" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>山口 周</strong><small>
<p>1970年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通、ボストン・コンサルティング・グループ等を経て、組織開発・人材育成を専門とするコーン・フェリー・ヘイグループに参画。現在、同社のシニア・クライアント・パートナー。専門はイノベーション、組織開発、人材/リーダーシップ育成。著書に『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?――経営における「アート」と「サイエンス」』『外資系コンサルの知的生産術――プロだけが知る「99の心得」』『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』『天職は寝て待て――新しい転職・就活・キャリア論』『グーグルに勝つ広告モデル――マスメディアは必要か』(岡本一郎名義)(以上、光文社新書)、『外資系コンサルのスライド作成術――図解表現23のテクニック』(東洋経済新報社)『外資系コンサルが教える読書を仕事につなげる技術』(KADOKAWA)など。神奈川県葉山町に在住。</small></p></aside></p>

<h2>読みながら、いますぐ実践したいと思った──BNL編集部の選定理由</h2>

<p>仕事人生80年といわれるいま、ビジネスパーソンの間では、学び続けることへの意識が高まっているようだ。</p>

<p>新しい時代の人生戦略を説いた<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4492533877">『LIFE SHIFT』</a>の著書で、英ロンドン・ビジネススクール リンダ・グラットン教授は、日経ビジネスONLINEのインタビューで次のように語っている。</p>

<blockquote>
  <p>これからは自分のキャリアを途中で何度も刷新させる必要があります。仕事を一旦中断し、学校に通うなどして学び直す。新しいスキルを身につけることで労働市場での価値を高める。</p>

<p>＜中略＞</p>

<p>私は63歳になりますが、毎日が学習です。常にメモとペンを持ち歩いています。誰もが生涯を通じて学ぶ時代です。これだけテクノロジーが大変革を迎えている時代、100年人生で長く働き続けるには、学び続ける他に選択肢はありません。さもなくば、時代に取り残されるだけです。</p>

<p><a href="http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/020600201/020600001/">日経ビジネスONLINE 　『ライフ・シフト』著者が語る100年安泰</a></p>
</blockquote>

<div class="round-box fl fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/02/bnl-books.html">
<h4>新セクション「BNL Books」とは</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/books_500.jpg">
<div class="info"><strong>ようこそ、BNL Booksへ</strong></div>

<p></a></div></p>

<p>しかしどんなに学んでも、インプットした情報は９割を忘れてしまうという。だからこそ実践したいのが、第３章で語られている、インプットした情報の「抽象化・構造化」だ。細かい要素を捨て「要するに○○ではないか」と、自分の視点で変換をして仮説を立てる作業である。</p>

<p>やってみると、最初は難しい。しかしこの作業によって、インプットした情報を無駄にせず、いろいろな状況に適用できるようになる。具体的な事例も本書に載っているので参考にしてほしい。</p>

<p>この本は、他の「学び」をテーマにした本とは一線を画した、超実践的な一冊だと思う。読みながら試してみたくなった。BNL Booksで紹介した本を読むとき、そして出会った人から新しい知識を得たときにも、この独学術を使えば意味のある学びに繋がるだろう。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/02/BNLBooks-VOL1.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/book_1.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>関連記事：正解を出す技術ではもう戦えない──1冊10分で読む：『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか？』</strong></div></a></div>

<p><strong>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4478103399">こちら</a>。（Amazon）</strong></p>

<hr />

<h2>要約者レビュー</h2>

<p>時代とともに劣化するスキルと、時代が変わっても有用なスキル。仕事に生きる人なら当然後者を選ぶだろう。では時代に左右されないスキルとはなにか。</p>

<p>それが「独学の技法」だ。世の中がいかなる変化を迎えようとも、独学の技法さえ身につけば、自分自身をアップデートし、仕事の波を乗りこなすためのしなやかな知性が手に入るはずである。</p>

<p>本書の最大の特徴は、独学を「戦略、インプット、抽象化・構造化、ストック」という4つのモジュールで構成される、動的なシステムとして扱っている点にある。知識を死蔵せず実生活で使うには、それぞれの相互作用が必要だと著者はいう。</p>

<p>たとえば要約で中心的に取り上げる「戦略」は、これから独学でなにを学ぶかと考える際に、重要な気づきを与えてくれるだろう。忙しいビジネスパーソンがうまく独学を進めるには、「テーマとジャンル」の設定が欠かせないという著者の主張には大いに納得だ。いつの時代もイノベーションは、「新たな組み合わせ」から生まれるからである。強みを基準にジャンルを定め、自分だけの組み合わせを見つけることができれば、誰もが欲しがる貴重な人材になれるのはまちがいない。</p>

<p>もし今後、仕事人生が80年続く世界が訪れたとしよう。そのときも常に志高く、情熱をもって働けるのであれば最高ではないか。本書にはそのためのヒントにあふれている。</p>

<hr />

<h2>本書の要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> <br />
学んだ知識を活用できる期間はどんどん短くなっている。現代のビジネスパーソンは今後、大きなキャリア変更を経験する可能性が高い。その際スムーズに変えられるかどうかは、独学の技術の有無にかかっている。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong> <br />
 独学の技術は(1)「戦略」、(2)「インプット」、(3)「抽象化・構造化」、(4)「ストック」の4つで形成される。知的戦闘力を高めるには、これらを全体的なシステムとして捉える必要がある。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong> <br />
 独学する対象は、ジャンルではなく「テーマ」で決めるべきだ。重要なのは、1つのテーマに対し、複数のジャンルを組み合わせて学ぶことである。</p>

<hr />

<h2>なぜいま「独学」が必要なのか</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/447447900_07159f329d_b.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/7667575@N07/447447900/in/faves-163480327@N06/">"DSC_0043"</a> by charles Ingoglia (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>知識の「旬」が短くなってきている</h3>

<p>なぜいまの時代、それほどまでに「独学の技術」が重要なのか、その理由は4つ挙げられる。</p>

<p>1つ目の理由は「知識の不良資産化」だ。かつてマーケティング講座では、フィリップ・コトラーを代表とする古典的なフレームワークが「定番」として教えられていた。しかしそのようなフレームワークはもはや時代遅れになりかねない。</p>

<p>少し前であれば一度学んだ知識を、そのままずっと仕事で使うことができたかもしれない。しかし現在、その知識が「旬」である期間は、かなり短くなってきている。</p>

<p>これからは過去の知識にとらわれることなく、自ら仕入れた新たな知識でアップデートをくり返すことが求められるのだ。</p>

<h3>イノベーションの実現による産業の蒸発</h3>

<p>2つ目の理由は「産業蒸発の時代」がやってきたことである。いま多くの企業が「イノベーション」を目標として掲げている。ではイノベーションの行きつく先はなにか。それは産業の蒸発である。</p>

<p>アップルがiPhoneを世に送り出したのは2007年だ。これにより当時、末端価格換算で3～4兆円にもなる国内携帯電話市場のシェアは一変。アップルはその半分以上をごっそり奪いとり、パナソニックや東芝、NECなどは携帯市場から去らなければならなくなった。その分野で働いていた人たちも、方向転換を余儀なくされた。</p>

<p>イノベーションの実現により産業構造に大きな変化が生じると、自分の専門領域やキャリアを変更しなければならない人がどうしても出てくる。そこに選択の余地はない。その際スムーズにキャリアを変更できるかどうかは、独学の技術の有無に大きく左右されてしまう。</p>

<h3>人生100年時代のビジネスパーソンとは</h3>

<p>3つ目の理由が「人生三毛作」時代の到来である。『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』 を執筆したリンダ・グラットンは、著書のなかで人生100年時代の到来にともない、現役として働く期間も70歳～80歳に長期化すると指摘している。</p>

<p>その一方で、企業や事業が当初の活力を維持できる期間は短くなってきている。日経ビジネスが帝国データバンクとともに実施した調査によると、「旬の企業」のうち、10年後も旬を維持できる企業の数は10年後に半減、20年後には1割程度になるとされている。</p>

<p>つまり現代のビジネスパーソンは、いずれ大きなキャリア変更を経験する可能性が高い。そのとき旬の企業や事業へうまく乗り換えられるかどうか。それによって将来、仕事から得る「やりがい」「経済的報酬」「精神的な安定」に、大きな格差が生じるだろう。</p>

<h3>求められているのは「クロスオーバー人材」</h3>

<p>そして4つ目の理由が「クロスオーバー人材」の需要である。</p>

<p>いま世界中の組織で「領域横断型の人材が足りない」といわれている。領域横断型とは「スペシャリストとしての専門性」と「ジェネラリストとしての広範囲な知識」を兼ね備えた人材のことだ。</p>

<p>イノベーションという言葉を生んだ経済学者のジョセフ・シュンペーターによると、イノベーションは「新しい結合」から生まれるという。イノベーションが生まれるためには、これまで異質のものとされてきた2つの領域をかけ合わせられる人、つまりクロスオーバー人材が必要なのだ。</p>

<p>そしてすでに大学を卒業している人が、広範囲にわたる知識を獲得しようとするならば、その手段は独学だけなのである。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2017/05/iriyama.html">
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<hr />

<h2>4つのモジュールで形成される「独学のメカニズム」</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/3939530470_86379295c5_b.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/christine_mancuso/3939530470/in/faves-163480327@N06/">"brains!"</a> by ChristinaMina (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>「なにをインプットしないのか」を決める</h3>

<p>独学の技術は(1)「戦略」、(2)「インプット」、(3)「抽象化・構造化」、(4)「ストック」という4つのモジュールで形成される。</p>

<p>多くの人はこのうち、インプットだけに着目しがちだ。しかしそれでは世のなかを生き抜くための知的戦闘力向上は手に入らない。高い知的戦闘力を得るには、4つのモジュールを全体的なシステムとして捉える必要がある。</p>

<p>第一に、独学には明確な「戦略」が不可欠である。たとえば著者は、「人文科学と経営科学の交差点で仕事をする」ことを戦略として掲げている。哲学や美学、歴史などの人文科学の知識と経営学の知識をかけ合わせ、そこから得られた独自の示唆や洞察を仕事に生かしているのだ。</p>

<p>このとき重要なのはインプットの「量」ではなく「密度」である。自分の戦略に適合する情報のインプットに集中し、それ以外は遮断していく。たとえば著者の場合、戦略と関係ない政治的ゴシップは完全に無視している。多くの人が知っている情報は、差別化の要因にならない。したがって知的戦闘力という観点からすると、なんの価値もないといえる。</p>

<p>私たちの時間には限りがある。だからこそなにをインプットするかだけでなく、「なにをインプットしないのか」を決めるのが重要になる。</p>

<h3>知的戦闘力につながるインプットとは</h3>

<p>第二は「インプット」である。インプットの素材は書籍に限らなくていい。テレビや新聞、雑誌、ネット上の情報も活用するべきだ。同様に映画や音楽の歌詞、アート作品も貴重な情報源となりうる。</p>

<p>加えて常に意識すべきなのが、自分自身を「アンテナ」に見立てながら日常をインプットしていくことである。街中にある看板、行き交う人々のファッションなどからも、多くの学びが得られるはずだ。</p>

<p>インプットが広範囲になればなるほど、「学びの稼働率」は上昇する。独学システムの生産性を高めるためにも、独学する時間の絶対量を増やすことは必要不可欠だ。</p>

<p>ただし書籍やネット上の情報は他人が思考して生産したもの、つまり「劣化コピー」のインプットということも忘れてはならない。あくまで重要なのは、情報を組み合わせることで生まれる、独自の示唆や洞察である。</p>

<p>だからこそ自分の五感を通じて得たインプットは、それだけで独自の価値がある。そうしたインプットをもとに知的生産を行なえば、他者との差別化も簡単にできるだろう。</p>

<h3>知識を「武器」に変える抽象化・構造化</h3>

<p>知識をいくらインプットしてもそのままでは活用できない。そこで必要となるのが、第三の「抽象化・構造化」である。インプットした知識から、ビジネスや実生活で使える示唆や洞察を抽出する工程だ。</p>

<p>歴史の本には「中世から近世にかけての欧州では、ローマ教皇と各国の君主からなる二重の権力構造があった」と記されている。同様に中国では宦官と科挙、日本でも幕府の将軍と天皇という、二重の権力構造が存在していた。</p>

<p>こうした知識があっても、ビジネスでは役に立たないと思うかもしれない。だが抽象化を通して知識は「知恵」になる。たとえばここで「権力を分散するためのシステムが働いていたのではないか？」という仮説をもったとしよう。仮説とは「問い」である。そしてこの「問い」こそ、独学の生産性を高めてくれるのだ。</p>

<p>さらに抽象化された仮説を、別の知識や情報と関連づけることも重要である。先の仮説は権力や組織に関連するため、経営学の「組織設計論」、あるいは「権力とリーダーシップ」というテーマと関連づけてみる。するとどういう知見が得られるか。</p>

<p>抽象化によって得られた仮説を、すでにあるテーマと紐づける。そうすることによって、新たな情報の組み合わせが生まれる。これが構造化だ。</p>

<h3>知識をストックせよ</h3>

<p>第四は「ストック」である。抽象化・構造化した知識は、いつでも引き出せるように保存して管理しなければならない。インプットした情報は、なにもしないと忘れてしまう。</p>

<p>著者の場合、執筆に必要な内容は移動中に作成することが多い。そのためEvernoteを活用しているという。サービスは自分に合ったものを選べばよいだろう。</p>

<p>独学で得られた知識には、すぐに役立つものもあれば、おもしろいがいつ役に立つのかわからないものもある。しかし個性的なアウトプットというのは多くの場合、「いつなんの役に立つかわからない知識」から生まれるものだ。検索やタグを活用することで、抽象化・構造化した知識をいつでも引き出せるようにしておくことが重要である。</p>

<hr />

<h2>戦う武器を集める「独学の戦略」</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/6884615200_a42fc81e00_b.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/bergie/6884615200/in/faves-163480327@N06/">"Fight"</a> by Henri Bergius (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>独学の方針は「テーマ」で決める</h3>

<p>ここからは独学システムの第一のモジュール、「戦略」について具体的に見ていこう。</p>

<p>「戦略を立てる」とは、「なにについて学ぶか」そして「なにを学ばないか」を決めることである。世の中には大量の情報があふれている。それらすべてに手をつけていたら、いくら時間があっても足りない。</p>

<p>仮にひとつのテーマにある程度精通しようとするなら、入門書と専門書をそれぞれ最低5冊は読みこまなければならない。さらに本からインプットした知識を、構造化・抽象化およびストックする時間も必要だ。ビジネスパーソンが独学に使える時間を考えると、学ぶべきテーマやジャンルの絞りこみは必須である。</p>

<p>なお独学というと、歴史や哲学などの「ジャンル」から入る人が多いが、独学の方針を決める際はジャンルではなく「テーマ」で決めたほうがいい。ジャンルとは既存の枠組みにすぎない。あくまで重要なのは自分が追求するべきテーマである。</p>

<h3>テーマとジャンルをかけ合わせる</h3>

<p>ジャンルとは誰かが体系化した知識の枠組みだ。そこからは独自性のある示唆や洞察は生まれにくい。たとえば「権力構造」をテーマに学ぶとするとき、経営というジャンルの「組織論」から入るのは、もっともな選択肢のように見えるかもしれない。だがそこから得られるのは、必要最低限の知識のみだ。</p>

<p>一方でテーマに着目すると、もっと広い範囲から示唆を得ることができる。歴史、文学、政治哲学、映画など、権力構造を扱ったジャンルは数多い。組織なら組織論、権力ならリーダーシップ論と、テーマとジャンルを一対で考えてはならない。ひとつのテーマを考えるときは、さまざまなジャンルとの組み合わせを考える。そこから示唆と洞察が生まれるのだ。</p>

<h3>自分の「強み」に沿ってジャンルを選ぶ</h3>

<p>テーマは自分の興味や仕事に沿って決めればよい。一方でジャンル選びについては、ユニークな組み合わせになるよう心がけるべきである。</p>

<p>ユニークな組み合わせの代表例がアップルだ。彼らの「デザインとテクノロジー」の組み合わせには、唯一無二の個性がある。またアメリカ発祥のロックとイギリス風のモッズコスチュームを組み合わせたビートルズ、クラシックの作曲技術とポップスを組み合わせた坂本龍一など、華々しい業績をあげている人たちの背景には「独自性豊かな要素の組み合わせ」が存在している。</p>

<p>ジャンル選びをする際は、「自分がすでに持っているもの」を、いかに活用するか考えるといいだろう。自分の強みをないがしろにして、できないなにかを克服しようとする人は多い。しかしたとえ苦手なことにどれほど取り組んだとしても、得られるのはおそらく「人並み程度」の能力だけだ。そして人並み程度には、誰もお金を払ったりしない。</p>

<p>だからこそ自分が持っているものに集中すべきである。自分の強みというのは、自分にとって「できて当たり前」のことだ。そしてその強みにこそ、他者との差別化を図る貴重な要素が隠されているのである。</p>

<hr />

<h2>一読のすすめ</h2>

<p>「単なる物知りに終わるのか、知識を武器に変えるのか」という重要な分岐点について、あらためて意識改革を促してくれる本である。要約では全体図を俯瞰しつつ、第一の要素である「戦略」を重点的に紹介した。残りの要素である「インプット」や「抽象化・構造化」、「ストック」について詳しく知りたい方は、ぜひ本書をお読みいただければと思う。</p>

<p>加えて本書では、歴史・経済学・哲学・経営学・心理学、音楽や文学といったリベラルアーツを、どうビジネスへ応用していくのかも解説されている。「人文科学と経営科学の交差点で仕事する」ことを戦略として掲げ、実践している著者だからこその叡智は必見だ。</p>

<p>生産性を高める独学の技法のみならず、教養の入門書としても重宝する。なんとも価値ある一冊ではないだろうか。</p>

<p>（1冊10分で読める本の要約サービス <a href="https://www.flierinc.com/">flier</a>）</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/04/BNLBooks-VOL5.html">
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]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>ビジネスにアートの文脈を。アートにもビジネスの文脈を。スープストック創業者・遠山正道の実践 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/04/toyama.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9020</id>

    <published>2018-04-13T04:30:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T04:56:53Z</updated>

    <summary>「Soup Stock Tokyo」を立ち上げ、アートコレクターとしても知られる遠山正道は、近年、次々と新業態に挑戦している。プロデュースする店は作品からインスピレーションを受けることもあるという。最近は「アートの領域にビジネスの文脈を入れ込む」試みも行っている。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="アート" label="アート" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>遠山正道</strong><small>株式会社スマイルズ代表取締役社長</small>
<p>1962年東京都生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、1985年三菱商事株式会社入社。2000年株式会社スマイルズを設立、代表取締役社長に就任。現在、スープ専門店「Soup Stock Tokyo」、ネクタイ専門店「giraffe」、セレクトリサイクルショップ「PASS THE BATON」、ファミリーレストラン「100本のスプーン」、コンテンポラリーレストラン「PAVILION」、海苔弁専門店「刷毛じょうゆ 海苔弁山登り」を展開する。スマイルズが作家として「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2015」や「瀬戸内国際芸術祭2016」に作品を出品したり、小さくてユニークな美術館のプロジェクト「The Chain Museum」を開始したりするなど、アートに関する取り組みも行っている。</p></aside></p>

<p>去る3月11日、東京・神田の3331 Arts Chiyodaで開かれたアートフェア「3331 ART FAIR 2018」のトークイベントに株式会社スマイルズ代表取締役社長、遠山正道が登壇した。テーマは「衣食住≒アート」。</p>

<p>遠山のアートとの関わり方は多面的だ。コレクターでアートラバー。自らの作品で個展を開いたこともある。事業家としては、現代アートと美食が融合したレストランの経営や、セレクトショップの空間デザインを現代美術家に委託するなど、アートの見識を生かしたビジネスを行っている。</p>

<p>「自分の領域の中にアートという文脈を入れ込んで、自分たちなりの個性をつくる。『スマイルズってこういう人』という顔立ちをつくりこんでいる感じです」。遠山が積み重ねてきた実践の一部を聞いていこう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_2323-720.jpg">
<figcaption>これまで購入した作品を一つひとつ画面に映しながら解説。アートフェアの会場ということで、特別に購入価格も明かしてくれた。</figcaption></figure></p>

<h2>アートは雑誌のように考えるといい</h2>

<p>トークは、遠山の個人コレクションおよびスマイルズでコレクションしている作品の紹介からスタートした。「アートを買ったことのある人いますか」と会場に問いかける。ほとんど手が上がらない。遠山は、アートとの付き合い方を雑誌になぞらえて話し始めた。</p>

<p>「雑誌にも、ハイファッション誌から読者投稿中心のサブカルチャー誌まであるじゃないですか。その中で買わない雑誌と買う雑誌があるでしょう？　そして好きな雑誌には『今月イケてなくない？』とか『私だったらこういう写真を選ぶのに』など、自分も参加しているような気分になる。現代アートにもいろんなジャンルがあります。ちょうどヨーロッパから戻ってきたところなんですが、ポンピドゥ・センター・メスや、ルーブル美術館ランス別館に行ってきました。帰国して今日、この『3331 ART FAIR』を見ました。やっぱりテイストが全然違うんですね。わかりやすく言うと『Vogue Paris』とかつての『ビックリハウス』みたいな。どちらがいい、悪いではない。比べてもあまり意味がない」</p>

<div class="round-box fl fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/02/3331-nakamura.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_YOU7404-500.jpg">
<div class="info"><strong>作家と出会い、アートを買ってみることから始めよう──3331 Arts Chiyoda統括ディレクター・中村政人</strong></div></a></div>

<p>遠山が言うのは「アート＝高尚、難解」という先入観を捨てようということだろう。アートは幅広い。その中から自分の好みを見つけ出せばいい。</p>

<p>「『ビックリハウス』で好きだった投稿に『弦つきコンタクト』というのがあって。要するに、コンタクトをすぐになくしちゃうから弦をつけました、それメガネじゃんというナンセンスなアイデアなんですが、それが作品化されて『弦つきコンタクト』なんて展示されていたら、アートとして売れると思いません？」</p>

<p>遠山自身はモダニズムを感じさせるアートを好むと言う。最初に紹介されたコレクション作品は画家・菅井汲の版画。菅井汲は1919年生まれ、20世紀中盤から後半にかけて国際的に活躍した。さらに、Mr.（ミスター）、遠藤一郎、ホーリー・ファレル、名和晃平、石川直樹、三尾公三、武田鉄平、デイヴィッド・ホックニーらの作品が紹介された。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_2450-720.jpg">
<figcaption>石川直樹のこの作品は、エベレスト頂上付近の過酷な環境で撮影された「奇跡の一枚」だという。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/odashitokyo-720.jpg">
<figcaption>"和のスープストック"と位置づけ、2016年末に品川駅構内にオープンした「おだし東京」。シンプルなインテリアに石川直樹の作品が映える。</figcaption></figure></p>

<p>遠山は一つひとつ、作品への思いや購入したときのエピソードを語った。作風も活躍する世代も異なるが、何か共通項はあるのだろうか。遠山に聞いてみた。</p>

<p>「スマイルズはスープやネクタイやリサイクル、いろんな事業をやっているけれど、どこか『スマイルズらしさ』があると思うんです。例えばネクタイのブランド『giraffe』は前向きなメッセージでものづくりをしているので、髑髏マークのようなネガティブな表現はしないことにしています。コレクションも自然にそうなるのか、例えば恐怖のようなネガティブなテーマの作品はないですね」</p>

<h2>アートからビジネスを発想する</h2>

<p>アートからビジネスを発想することもあるという。例えば、スマイルズのコレクションとして写真家ライアン・マッギンレーの作品を購入した。マッギンレーはアメリカを代表する写真家だ。ニューヨークのユースカルチャーを撮った写真で注目され、2003年に25歳でホイットニー美術館で個展を開いた。遠山が持っている作品では、巨大な氷瀑の上を裸の人間が登っている。ちっぽけな人間が丸腰で氷の山に挑む姿は、自由で無謀で、ユーモラスだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/toilet-720.jpg">
<figcaption>遠山が香港で買い付けたライアン・マッギンレーの作品が、新宿一丁目のバー「Toilet」に飾られている。「パスザバトン」の元店長が独立して立ち上げて、スマイルズが出資しているお店だ。</figcaption></figure></p>

<p>「セレクトリサイクルショップ『PASS THE BATON』の京都祇園店に『お茶と酒 たすき』という喫茶を併設しているんですが、そこのかき氷がとてもおいしいんです。もうすごいことになっているんですが、東京で展開することがあったら、ちっちゃなスペースにこのライアンの写真がポンと置いてあるような、そんなかき氷専門店をやりたいと思っているんです。内装は神宮を思わせるような白木のつくりで」</p>

<p>そんなかき氷やさんがあったら行ってみたい。そう思わせる仕掛けのひとつが遠山にとってはアートであり、「自分の領域にアートの文脈を入れ込む」ということなのだ。</p>

<h2>アートにもビジネスの文脈を</h2>

<p>一方で、「アートの領域にビジネスの文脈を入れ込む」ことも行っている。例えば、国内最大規模の芸術祭「瀬戸内国際芸術祭2016」に、スマイルズが作家として作品を出品した。タイトルは「檸檬ホテル」。香川県・豊島にある古民家を改装した、宿泊もできる体験型アート作品だ。スマイルズで働いていた社員が妻とともに豊島に移住、支配人としてホテルを切り盛りしている。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/DSC02110_retouched-720.jpg">
<figcaption>芸術祭の作品として出品された「檸檬ホテル」は、会期が終わったいまでも運営は続けられている。平日も数ヶ月先まで予約が入っていて、ビジネスとしても成功しているようだ。</figcaption></figure></p>

<p><figure>
<img src="/uploads/2A0A7047_retouched-720.jpg">
<figcaption>こだわりのロゴは、Eightの初期のロゴも手がけた「Takram Design Engineering」が制作。</figcaption></figure></p>

<p>「20世紀が経済の時代だったとしたら、21世紀は文化や価値の時代だと思っています。だからスマイルズという会社はその『価値』とはなんなのかを探るために、作家側に回って4年前から芸術祭に出品しています」</p>

<p>檸檬ホテルは現在も営業している。宿泊は1日1組。レモンづくしの料理が提供され、翌朝、豊島レモンで染めた布の淡く黄色い光で目覚める。平日でも数カ月先まで予約が入っている。</p>

<p>「（事業の）サイズが小さければ小さいほど、リスクが少ないから思い切ったことができる。そうするとユニークなものになって、遠くからでもお客さんがわざわざ来てくれるようになる。そういう実感があるんですよ。『檸檬ホテル』の支配人の酒井啓介くんのようにそれぞれのプロジェクトに責任者がいますが、彼らも会社や組織の影に隠れていることができない。ゴミが落ちていたら自分で拾わなければ誰も拾ってくれないし、営業活動も資金繰りも自分でやらなければいけない。そういうことはリアルにあるわけです。むしろそれが力にもなる。仕事と人生が重なる。言われたことをこなすだけとは、仕事のあり方が本質的に違うわけです。変な言い方だけどビジネスが"人生化"して、言ってみればアーティストに近くなっている。逆に言えば、そこで生まれるひとりひとりの喜びを、会社は利用しない手はないと思うんです。個人にとっても会社にとってもしあわせなあり方を引き出すのは簡単ではないですが、アートがひとつの入り口である予感がするんですよ」</p>

<p>もうひとつの事例として「<a href="http://www.thechainmuseum.art/" target="_blank" rel="nofollow">The Chain Museum</a>」が紹介された。「小さくてユニークなミュージアムを、世界に差し込んでいく」プロジェクトだ。例えば美術館の裏導線、街の真ん中、風力発電の風車の突端など、一見アートとは関係ないさまざまな場所に作品を置く。サイトスペシフィックかつツーリズムと組み合わせたアート体験をプロデュースしようとしている。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/haiku2-720.jpg">
<figcaption>ラファエル・ローゼンダールの作品「Haiku」 。<a href="https://www.facebook.com/thechainmuseum" target"_blank" rel="nofollow">The Chain MuseumのFacebookページ</a>で、下の句と講評が行われている。</figcaption></figure></p>

<p>「アート作品が大型化してきたりプロジェクト化してきたりすると、例えばつくったものは最後はゴミになるの？ 誰が回収するの？ その費用は誰が持つの？ というような問題がついてくるわけです。そういうところはアーティストは不得意かもしれない。でもわれわれビジネスの側はプロジェクトなら毎日やっています。プロジェクト運営についてなら力を貸せることがたくさんある。アートとがっぷり四つに組めるようになる。だから、互いに持っているものを生かしながら次のシーンに行こうということなんですね」</p>

<p>遠山はあくまでも軸足をビジネスに置きつつ、一方的に利用するのでもなく、一方的に奉仕するのでもない、双方向的なアートとビジネスの関係をつくろうとしている。</p>

<p>「マルセル・デュシャン以降、現代アートはほぼイコール、コンセプチュアルアートを意味するようになった。それもあってもいいんですが、小難しいことは否めません。食をビジネスにしている私からするとやっぱり『美味（うま）い』という感動がないと、と思うんです。アートも、心が動くとかおもしろいとか、そういうものでありたい。さきほども言ったように『Vogue Paris』だけが偉いわけじゃなくて、文化はもっと幅広い。アートも、自分がつきあえるアートに出合っちゃえばいい。そこから広げていけばいいと思います」</p>
]]>
        
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    <title>40歳になった時、誰に連絡できるか？ Eightで人脈を築いて差をつけよう - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2018-04-05T01:33:00Z</published>
    <updated>2018-06-23T16:48:19Z</updated>

    <summary>Eight Tips × BNL Booksのコラボ企画。環境や立場、仕事の内容が変化するこの時期に、自身のキャリアを見つめ直してみよう。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>この春、NewsPicksの佐々木紀彦が編集長を退任し、新たなチャレンジを始めた。<a href="https://newspicks.com/news/2927946/body/">退任報告の記事</a>のなかで、彼は次のように語っている。</p>

<p>「私がCCOとして是が非でも実現したいのは、日本に『コンテンツ黄金時代』『クリエーター黄金時代』をもたらすことです」</p>

<p>プラットフォーム市場が成熟したいま、ハイクオリティコンテンツへの需要が高まっている。こうした状況下で、クリエーターが育つ土壌を創ることに挑戦するという。</p>

<p>時代を創る、という文脈だけを見ると、やや突拍子もない印象を受けるかもしれない。そこで今回は、彼の考えに触れるきっかけとして、次世代に向けた共著『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4344032373">ポスト平成のキャリア戦略</a>』を紹介してみたい。</p>

<h2>3つ以上の専門性が求められる時代に</h2>

<p>筆者は、最初にこの本の目次を見た時、よくある「今どきの若者はなっていない」という話だろうと、つい思ってしまった。「学歴はあてにならない」「学生の世界観が狭くなっている」などの見出しが目に入ったからだ。しかし、読み終える頃には、自身も「今どきの若者」であることを思い知ると同時に、キャリアについて改めて考えさせられていた。</p>

<p>『ポスト平成のキャリア戦略』では、時代をひもときながら、いまの若手には今後どのようなスキルが求められるか、という問いをテーマに対談形式で論じられている。</p>

<p>対談相手の塩野誠は、今後のキャリア戦略を語るのに最適な人物であると、佐々木は言う。ゴールドマン・サックス、起業、ベイン＆カンパニー、ライブドア等を経て、現在は「一人のプロフェッショナルな日本人として世界を飛び回っているから」である。こうしたキャリアは、「個」としてのスキルが問われる今日、ひとつのモデルケースになるだろう。</p>

<p>平成の次の「ポスト平成」時代において、「個として働けるか」がもっとも大きなテーマである、と佐々木は主張する。ツールが充実し個人にできることの範囲が広がっているなかで、与えられた役割をこなすより、役割を横断して自律的に動ける人が必要とされているからである。具体的には、「3つ以上の専門性を組み合わせることで、新しい付加価値を出せる人材」が求められているという。</p>

<p>また、AIの一般化により継続困難な事業も出てくる状況下では、「新しい事業を創れる人」が必要であると、塩野は述べている。企業と事業のフェーズを「立ち上げ期」「オペレーション確立期」「まったり期」「崩壊期」の4つに分類したうえで、いまは事業の停滞や再生を経て落ち着いた「まったり期」だと説明する。このフェーズで重要なのは、既存の事業が崩壊を迎える前に、新しい事業を創ることであるという。</p>

<h2>40歳になった時、誰に電話できるか？</h2>

<p>本の後半では、上の議論を踏まえ、20代から40代、それぞれの年代で必要なスキルについて論じられている。なかでも第6章「40代からは教養と人脈の勝負になる」に書かれている内容は、40代に限らず、早くから意識しておくとそれだけアドバンテージになるため、一部紹介したい。</p>

<p>いまは、「組織の外に出た時、自分は何ができるか？」「仕事で頼れる人がいるか？」が問われる時代だ。これは、フリーランスや、転職を考えている人だけではなく、同じ会社に長く勤めたい人にも当てはまる。例えば、事業改革を主導する機会が巡ってきた時、その道のプロをどれだけ呼べるかが、ひとつの鍵になるだろう。特に組織運営を任される可能性の高い40代以降にとっては、最も重要なスキルであると、塩野は述べている。</p>

<blockquote>
  <p>まず自分の持っているスキルが、会社固有のスキルなのか、会社を超えて社会に通用する汎用的スキルなのかをあらためて問うべきです。40歳になったときに、一番重要な財産は、やっぱり人脈なんです。年齢を重ねるほど「誰に電話できるか。誰にメールできるか」が勝負になります。
40代以降は、ノウハウだけではなくノウフー、つまり「誰を知っているか」が重要になります。信頼のおけるキーパーソンが周囲にいて、いざというときには情報やスキルを借りる、いわば「借り物競争」の時代です。他社の力を借りないと組織運営はできません。</p>

<p>──『ポスト平成のキャリア戦略』塩野誠, 佐々木紀彦（幻冬舎）</p>
</blockquote>

<h2>「仕事で」頼れる人との縁をEightでつなごう</h2>

<p>では、どうしたら40歳までに、40代の人であれば50歳までに、そうした人脈を築けるのだろうか。</p>

<p>社交の場に顔を出して、出会いの機会を広げることは重要だ。ただ、それ以上に、これから出会う人とのご縁を切らさないことが、人脈を築く近道ではないだろうか。定期的に訪問することや、年賀状を書くことなど、手段はさまざまだが、Eightもそのなかのひとつである。</p>

<p>いま若手と呼ばれる人が持つ圧倒的なアドバンテージは、<strong>キャリアのスタート地点から</strong>、人脈を築けるSNS環境があることだ。新社会人になった時点で使っている人なら、40歳になるまでの十数年分の出会いが、人脈になり得る。これは、「個」のスキルが問われる今日、大きな強みになるだろう。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/03/eight-tips-vol5.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/eight_tips_quickscan_main.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>関連記事：名刺を撮影して、すぐにつながる「クイックスキャン」</strong></div></a></div>

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]]>
        
    </content>
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    <title>人のつながりで、仕事に変化を起こすには？  - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/04/SIP2018-report.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9018</id>

    <published>2018-04-03T01:00:00Z</published>
    <updated>2019-05-17T07:04:50Z</updated>

    <summary>3月16日に都内で開催された「Sansan Innovation Project」。ゲストに、LinkedIn新代表の村上臣、昨年日本に上陸したKickstarter代表の児玉太郎、アドビのコミュニティマネジャー武井史織を迎え、EightからはBNL編集長の丸山裕貴が登壇。Forbes JAPAN九法崇雄による進行のもと、表題について語り合った。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="EVENTS INFO" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="人のつながりで仕事に変化を起こすには" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネスネットワーク" label="ビジネスネットワーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>「To give people the power to share and make the world more open and connected」から、「To give people the power to build community and bring the world closer together」へ。フェイスブックが昨年6月、同社のミッションを変更したことは大きな話題を呼んだ。</p>

<p>CEOのマーク・ザッカーバーグはそれまで、人々につながるためのツールを提供すれば世界はおのずと良くなっていくものと考えていたが、社会はいまだ分断されており、世界をより良いものにするためには単につなげるだけでは不十分で、そのつながりを強める努力が必要だと確信したのだという。だからフェイスブックは、コミュニティづくりの支援にこれまで以上に力を入れていく。同社のミッション変更には、こうした意図が込められているとされる。</p>

<p>そのような〈強いつながり〉の必要性が叫ばれる一方で、ビジネスにおける〈弱いつながり〉の価値の大きさというのは、BNLでも繰り返し取材し、報じてきた通りだ。</p>

<p>経営学者の入山章栄はBNLのインタビューに、「弱いつながりをたくさん持っている人は、普通は手に入らない情報をたくさん入手できます。イノベーションは既存の知と知の組み合わせで起こるため、弱いつながりを多く持っている人の方が基本的にイノベーティブなんです」とそのメリットを語っている。</p>

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<div class="info"><strong>弱いつながりの強さ：早稲田大学ビジネススクール准教授・入山章栄が解説する、世界標準の人脈術</strong> <date>2017.05.01</date></div></a></div>

<p>ビジネスにおいて本当に役立つのは〈強いつながり〉か〈弱いつながり〉か。そのようにしてどちらか一つを選ぶということではないにしても、それぞれのつながりをどのようにして自らのビジネスに活かしていけばいいのかというのは、ぼくらがいま向き合わなければならない重要な問いであるように感じる。</p>

<p>BNLとForbes JAPANはこうした問題意識の下に、3月16日に開催された「Sansan Innovation Project」において、共同セッションを実施した。</p>

<p>登壇者は、元ヤフー執行役員でCMO（チーフモバイルオフィサー）としてモバイル戦略をリードし、昨年LinkedInのカントリーマネージャーに就任した村上臣、国内1号社員としてFacebookの日本展開を率い、昨年Kickstarterのカントリーマネージャーに就任した児玉太郎、日本を担当する初のコミュニティマネージャーとして活躍するAdobeの武井史織、BNL編集長でEightのコンテンツ戦略をリードする丸山裕貴の4人。モデレーターはForbes JAPAN編集次長、九法崇雄が務めた。</p>

<p>「人のつながりで、仕事に変化を起こすには」と題して行われた当日の議論の模様をダイジェストでリポートする。</p>

<p><img src="/uploads/kodama720.jpg" alt="" title="" />
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/27728389103">児玉太郎</a></strong><small>アンカースター 代表 / キックスターター カントリーマネージャー</small><p>1977年生まれ。10歳から約10年間ロサンゼルスで育つ。帰国後、99年にヤフーに入社し、Yahoo!知恵袋など、さまざまなサービスの担当企画部長を務める。10年1月からはフェイスブック日本支社のカントリーグロウスマネージャーとしてサービスを国内で大きく成長させる。14年6月に独立し、海外企業の日本進出担当である「カントリーマネージャー」を支援する会社、アンカースターを設立。17年5月に、キックスターターのカントリーマネージャーに就任。</p></aside></p>

<h3>コミュニティには「背中を押す存在」が必要だ</h3>

<p>2010年にフェイスブック日本支社の立ち上げを任された児玉太郎は、わずか4年間でサービスを飛躍的に成長させた。退職した翌年には、海外企業の日本進出担当であるカントリーマネジャーを支援する会社、アンカースターを設立。さらに昨年からはキックスターターのカントリーマネジャーに就任し、自ら舵を取っている。</p>

<p>これからは会社にとって、「コミュニティマネジャー」がさらに重要な役割を果たすようになる、と児玉は言う。どういうことだろうか。</p>

<p>「Kickstarterは、クリエイターたちが自分のやりたいことを実現するために、資金を調達したりコミュニティを作ったりするためのサービスです。昨年9月にその日本語版をローンチしたんですが、その中で感じるのは、やっぱり日本人は、自分が作っているものを途中で発表したりだとか、プロトタイプの段階で出して、みんなに文句を言われたりするのがすごく苦手のようで。完璧に仕上げて、誰にも文句を言われないものを出すということに命を懸ける文化なんですよね」</p>

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<div class="info"><strong>Facebookを日本に広めた児玉太郎が企画。西新橋に描かれた巨大壁画の舞台裏</strong></div></a></div>

<p>「でも実際は、途中でいろいろなことを言ってもらった方が、いいものができたりだとか、さらにはそこに『掛け算』が生まれたりということがある。そこに武井さんのようなコミュニティマネジャーとか、間に入って音頭を取ってくれる人がいると、より積極的に自分の考えていることを表に出すようになるのかもしれないな、と」</p>

<p>クリエイターそれぞれのクリエイティビティを引き出す役割の人物がいれば、コミュニティはより活性化するのではないか。児玉はKickstarterでの自身の経験を通じ、そうした思いを強くしているという。</p>

<p><img src="/uploads/takei720.jpg" alt="" title="" />
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/">武井史織</a></strong><small>Adobe Creative Cloud Community Manager</small>
<p>アドビのクリエイティブ製品Creative Cloudのコミュニティマネジャー。世界100都市以上で開催する延べ30,000人のクリエイターが参加するコミュニティーイベント「Adobe Creative Jams」のアジア開催を主宰。また、「デザインの力」と「地域活性」や「教育」を掛け合わせた課題解決型プログラム「Adobe Design Jimoto」を立ち上げ、各地域のクリエイティブコミュニティーや地方自治体と連携し、産業を横断したさまざまな場づくりを手がける。</p></aside></p>

<h3>自社の利益だけ追求しても、コミュニティは「強く」はならない</h3>

<p>PhotoshopやAcrobatなどで有名なソフトウェアメーカー、アドビシステムズの武井史織は、日本を担当する初めてのコミュニティマネジャーとして、日本のクリエイターコミュニティの創出と活性に努めてきた。</p>

<p>その武井が最近になって力を入れているというのが、まさに児玉のいう「掛け算」に当たる活動だ。それも、クリエイター同士のコミュニティに閉じるのではなく、地域コミュニティや教育機関と掛け合わせることで、クリエイターのもつクリエイティビティを社会的な課題の解決につなげようとしている。</p>

<p>そうした「掛け算」をする際に武井が何より優先して取り組んでいるのが、異なる出自のメンバー間でビジョンを共有すること。それによって〈強いつながり〉は生まれ、大きなエネルギーの源になると武井は言う。</p>

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<div class="info"><strong>企業の利益だけを追求してはダメ──アドビ・武井史織の仕事は「表現しやすい社会」をつくること</strong></div></a></div>

<p>「企業のメリットだけを前に出してやっていこうとすると、オーナーシップを持って参加してくれる人の数は増えないと思うんですよ。だからまず考えるのは、ビジョンを共有できるかどうか。それができるとオーナーシップを持ってくれる人口が増え、その活動自体が〈強いつながり〉として機能してくると考えています」</p>

<p>とはいえ一方で、アドビはれっきとした企業体である。こうしたコミュニティ活動は、めぐりめぐって必ず自社の利益にもつながると考えている。</p>

<p>「アドビはツールを提供している会社。それを使ってくれる方々が本当に描きたいものを描ける環境がない限り、ツールの価値自体もついてこないと思っています。そうした方々が表現したいものを表現したいときに表現できるためには、社会全体が表現しやすい世界になっていなければならない。そこに業界をまたぐことの必要性があると考えて、掛け算のプロジェクトをたくさんしているんです」</p>

<p><img src="/uploads/maruyama720.jpg" alt="" title="" />
<aside><strong>丸山裕貴</strong><small>Eight コンテンツストラテジスト / BNL編集長</small><p>1986年、広島県生まれ。米デトロイトで幼少期を過ごす。早稲田大学国際教養学部を卒業後、メディアジーン「ギズモード・ジャパン」編集部を経て、2012年よりコンデナスト・ジャパン『WIRED』編集部に所属。世界最先端の研究者や経営者を取材し、4年間雑誌とウェブサイトで記事制作を手がける。その後、16年3月よりSansanに転職し、Eightのコンテンツ戦略をリード。8月に「BNL」を立ち上げ、編集長を務める。</p></aside></p>

<h3>「顔と名前も一致しない人」との交流量をいかに増やすか</h3>

<p>名刺でつながるEightは、友達としてつながるFacebookやクリエイターが集うAdobeのコミュニティと比べると接点が少ない、いわゆる〈弱いつながり〉の多いSNSである。名刺交換というものの性質上、なかには一度しか会ったことのない人や、顔と名前が一致しない人も含まれている。</p>

<p>しかし、そんな「顔と名前も一致していないような人」との交流からこそ、イノベーションにつながるような新たな知見が得られるはずだ。例えば、いまのビジネスの課題を何気なく吐露したら、それがまったく異なる分野で悪戦苦闘している誰かの解決のヒントになるかもしれない。あるいは、自分の興味関心を継続的に発信していたら、想像もしなかったところからその能力を活かせる新たな仕事の依頼が舞い込むかもしれない。Eightが考える〈弱いつながり〉のメリットとは、このようなもののことである。</p>

<p>一方で当然だが、「顔と名前も一致していないような人」と交流することのハードルは高い。「顔と名前も一致していないような人」との交流量をいかに増やすか。これがEightの取り組んでいる挑戦だ。</p>

<p>「もともとつながりが強い人たちとは、放っておいても交流量は増えるんです。私たちの課題は、名刺交換はしたけど顔も名前も覚えてないみたいな人と何を話したらいいのかっていうところなんですよ。そこは一つ挑戦で、まだ多分どこも答えを出せてないと思うんです。顔も覚えてない人に、自分はどんな情報を与えられるだろうか。その人からどういう情報をもらえるだろうか」（丸山）</p>

<p>最近になってEightが導入した「企業タグ」は、そうした試みの一つ。これを使えば、直接会ったことはなくても、その企業の誰かと名刺交換をしたことのあるすべての人に、その情報を届けることができる。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/01/eight-tips-vol1.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/eight_tips_companytag_main.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>Eight Tips：ビジネスニュースを、その関係者に広める「企業タグ」の使い方</strong></div></a></div>

<p><img src="/uploads/murakami720.jpg" alt="" title="" />
<aside><strong>村上臣</strong><small>LinkedIn カントリーマネージャー</small><p>大学在学中に仲間とともに有限会社「電脳隊」を設立。その後統合したピー・アイ・エムとヤフーの合併に伴い、2000年8月にヤフーに入社。一度退職した後、12年4月からヤフーの執行役員兼CMOとして、モバイル事業の企画戦略を担当。17年11月にLinkedInの日本代表に就任。複数のスタートアップの戦略・技術顧問を務めている。</p></aside></p>

<h3>世界と日本をつなぐ「窓」が新たな機会をつくる</h3>

<p>世界で5億6000万人のビジネスパーソンが利用するLinkedInは、こと日本においては（他でもない児玉が率いたFacebookがビジネスユースに力を入れる戦略をとったことにも押されて）長らく苦戦してきた。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/02/tokyo-mural-project.html">
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<div class="info"><strong>「とりあえず飲み会」の人脈づくりに物申す──LinkedInの新代表・村上臣が説く、世界標準のネットワーキング</strong></div></a></div>

<p>昨年11月にカントリーマネジャーに就任した村上臣は、いま何を考えながら、国内戦略の巻き返しを図っているのだろうか。</p>

<p>「世界と日本をつなぐ窓になりたい」と村上は言う。</p>

<p>「いま、日本はわりと暗い雰囲気にあって、人口が減るとか言われている。じゃあどうするんだということでいうと、やっぱり海外から優秀な人を引き込むっていうのが大事だと思うんです。僕がなんでヤフーからリンクトインに転職したかっていうと、将来世界に対する『窓』、行き来する『窓』が必要だと思っていて、日本の人ももっと世界へ出ていくべきだし、その逆も然りだよね、というふうに考えたからなんですよ」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/japan_country_report_for_SIP.jpg">
<figcaption>この日、初めて社外に公開したという統計資料。日本語を扱える人はこれだけ世界に広がっている。</figcaption>
</figure></p>

<p>村上が紹介したLinkedIn上のデータによれば、日本国外には約30万人の、ネイティブレベルで日本語を話せるビジネスパーソンが存在するという。彼らは世界のかなりの広範囲のエリアにいて、なおかつ職能・職種も幅広い。</p>

<p>彼らと日本とをつなぐことができれば、それだけで新たなビジネスの機会が生まれるだろうし、それが日本を覆う閉塞感を打破する起爆剤にもなりうる。LinkedInの世界的なネットワークを使えば、それが可能になると村上は言う。</p>

<p><img src="/uploads/sipall720.jpg" alt="" title="" /></p>

<h3>自分は何ができる人間なのか、まずは可視化するところから</h3>

<p>しかし、EightやLinkedInのようなサービスを利用するにせよ、コミュニティで第三者の後押しを受けるにしろ、「誰かとつながるためには前提条件がある」と4人は口をそろえる。</p>

<p>それは、自分は何者なのか、これまで何をしてきて、何ができるのか、いまは何をしている人物なのかというのを、すべて可視化することだ。</p>

<p>それなしには、誰かの紹介を受けることも、ダイレクトリクルーティングのメッセージが届くこともあり得ない。LinkedInがスキルをタグ化しているのも、Eightが肩書きを示すことを奨励しているのも、まさにそうした意図から来ていることだという。</p>

<p>日本企業は長らく、個人の名前が前に出ることを嫌ってきた。「それは日本が終身雇用が当たり前の社会で、企業が社員の人生を丸ごと面倒をみる代わりに、途中で引き抜かれるリスクを避けるためだった」と村上は指摘する。しかし、もはやそういう時代は終わったというのは、少なくない人がすでに共有した時代認識のように見える。</p>

<p>であれば、むしろ個人が前に出ることで組織の枠組みを超えた新たなつながりをつくり、そこから新たなビジネスチャンスを見つけるというのは、自然な選択ではないだろうか。武井が繰り返し言うように、「クリエイターのクレジットの入らない作品はありえないのと同じで、企業が個人を囲い込むのは本当にもったいない」。ビジネスでつながりの恩恵を受けるためには、まずはそこから改めなければならないということなのだろう。</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="8010001139738"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="3010401084654"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="4010001120965"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="2010401121375"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="7010701011841"></div>
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    </content>
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    <title>いきなり活躍する新人の行動パターンを解明。人材育成の米国ベストセラー『ルーキー・スマート』 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/03/BNLBooks-VOL4.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9011</id>

    <published>2018-03-30T01:39:34Z</published>
    <updated>2018-05-08T02:44:33Z</updated>

    <summary>成功のヒントは経験でもスキルでもなく「ルーキーの思考と行動」に隠されていた。世界のトップリーダーたちがこぞって実践する、衰えない働き方「ルーキー・スマート」を紹介する。
</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
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    <category term="人材育成" label="人材育成" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>リズ・ワイズマン　</strong>
 <p>元オラクル幹部。17年間にわたり、企業内大学副学長や人的資源開発責任者を務めたのち、シリコンバレーに本社を置くワイズマン・グループ社長に。以後、世界各国のエグゼクティブをはじめとしたグローバル・リーダーの養成に携わる。同社の顧客には、アップル、ディズニー、イーベイ、ペイパル、フェイスブック、GAP、マイクロソフト、ナイキ、セールスフォース・ドットコム、ツイッターなど数々のグローバル企業が名を連ねる。著書に『メンバーの才能を開花させる技法』(小社刊)など。経営思想家ランキング「Thinkers50」にも選出され、とくにリーダーシップ分野では世界トップ10に数えられる人材育成の第一人者である。</p></aside></p>

<h2>もう経験では勝負できない時代──BNL編集部の選定理由</h2>

<p>この本の「豊富な経験はむしろ弊害になり得る」という言葉に、ドキっとさせられた。情報量の増加、ビジネスの加速化により、経験がものをいう考えはもう古くなり、いまは「経験」よりも「新しい学び」が必要だという。ベテラン層には耳の痛い話かもしれないが。</p>

<p>著者で、人材教育の第一人者であるリズ・ワイズマンは、NewsPicksのインタビュー記事で、学び続けることの大切さについて語り、その中でPayPalやテスラ・モーターズなど、創業もしくは参画した企業を次々を成功に導いた起業家イーロン・マスクの例をあげている。</p>

<blockquote>
  <p>イーロン・マスクは、常に"なぜ"を問う人物です。彼こそ、既にある「答え」ではなく、新しい「問い」を投げかけられるリーダーの1人だと言えるでしょう。</p>

<p>マスクは究極の独学家で、小学生のときすでに、百科事典を全巻読破し、12歳でプログラミングを独習してしまいました。そしてペンシルベニア大学では物理学とビジネスを専攻し、それと同時に宇宙工学、電気工学、自動車工学を、独学で習得してしまいました。</p>

<p>彼が連続起業家として成功できたのは、彼が「連続学習家」だったからにほかなりません。</p>

<p><a href="https://newspicks.com/news/2719959/body/">【独占】経験豊富なベテランこそ危険。これからはルーキーの時代（NewsPicks/有料会員限定）</a></p>
</blockquote>

<div class="round-box fl fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/02/bnl-books.html">
<h4>新セクション「BNL Books」とは</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/books_500.jpg">
<div class="info"><strong>ようこそ、BNL Booksへ</strong></div>

<p></a></div></p>

<p>新人がベテランよりも大きな成果を上げることがある。その新人ならではの思考や行動を、この本ではルーキー・スマートと呼び、新人に限らず、すべてのビジネスマンが身につけるべき能力だという。学び続けることも、ルーキー・スマートだ。イーロン・マスクは、このルーキー・スマートの素養がある。だから輝き続けられるのだ。</p>

<p>しかし、学ぶ姿勢を保ち続けることは、決してたやすくない。そこで注目したいのが、第7章にある「非快適ゾーンに足を踏み入れる」という方法だ。</p>

<p>学ぼうと意気込むよりも、学ばざるを得ない環境に身をおいた方がいい。環境から得るモチベーションは、内面から持ち上がるモチベーションよりずっと強力であるという。居心地の良い場所にいても、それ以上の成長は見込めない。自ら厳しい環境に足を踏み入れることで、ルーキー・スマートが発揮されるのだ。</p>

<p>これは、環境だけでなく、人との出会いにも同じことが期待できる。今まで関わりを持たなかった人と敢えてビジネスをする、積極的に出会いコミュニケーションを取ることも、刺激になり、新しい学びに繋がるだろう。これまでのたくさんの出会いを振り返り、新しい出会いも大切にしたい。</p>

<p><strong>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4903212599/">こちら</a>。（Amazon）</strong></p>

<hr />

<h2>要約者レビュー</h2>

<p>会社に入りたての頃、苦しいことも多かったものの、一生懸命仕事に取り組み、毎日が充実していた。それにひきかえ、今はただ惰性で仕事をしているだけ。そんな現状にやるせなさを抱えているベテランは多いのではないだろうか。</p>

<p>こうしたマンネリと決別するためのカギは、「ルーキー・スマート」という能力にある。ルーキーといえど、必ずしも新人の専売特許ではない。ベテラン層を含め、誰でも活力あふれるルーキーであり続けることが可能だ。人材育成の第一人者である著者は、経験の浅いルーキー特有の能力、ルーキー・スマートについて分析し、それを誰もが身に付けられるような方法を指南する。ルーキー・スマートの真髄は、過去の栄光やプライド、経歴を捨て、まっさらな状態で新たに学ぶ姿勢にあるという。</p>

<p>人間は経験から学ぶ生き物であり、その経験を捨てることは難しい。経験から成功の果実を得てきた者にとってはなおさらだ。しかし、情報化の急速な進展により、「知識をもっていること」の価値は下がる一方だ。過去の経験にしがみついていては、これからの社会を生き抜くことは厳しいだろう。著者はルーキーのように思考し、行動することが不可欠だと語っている。</p>

<p>ルーキー・スマートを身につけるメソッドは、大規模なアンケートやインタビュー調査のデータに裏打ちされた、再現性の高いものである。これを体得しない手はない。現状に停滞感を感じている方や、職場を活力あふれる場に変えたいと願う方にこそ、ぜひ手に取ってほしい一冊だ。</p>

<hr />

<h2>本書の要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> <br />
ルーキーのほうがベテランよりも大きな成果をあげることがある。それは無邪気さと大胆さを胸に学び続け、多くの人の知識を活用する力、「ルーキー・スマート」を発揮するからだ。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong> <br />
 年齢や経験を問わず、誰でもルーキーであり続けることが可能だ。永遠のルーキーの資質は、好奇心、謙虚さ、遊び心、そして計画性である。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong> <br />
ルーキー・スマートには、バックパッカー、狩猟採集民、ファイアウォーカー、開拓者という4つのモードがある。</p>

<p><strong>── 要点4──</strong> <br />
過去の知識にとらわれず、自分の快適なエリアから飛び出すことがルーキーでいるための秘訣だ。</p>

<hr />

<h2>なぜルーキーはときにベテランよりも優秀なのか</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/24687745241_2f356c2954_h.png" alt="" title="" />
<figcaption>Photo:<a href="https://www.flickr.com/photos/gauthierdelecroix/24687745241/">"Pride"</a> by JGauthier DELECROIX - 郭天(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>ルーキーの強み</h3>

<p>新しいことに初めて挑戦したとき、なぜか最もうまくいく場合が多い。ルーキーのほうがベテランよりも大きな成果をあげるときだ。経験がない未熟なルーキーはなぜ成功できるのだろうか。</p>

<p>それは、「知らない」ことのほうが「知っている」ことよりも、時に優れている場合があるからだといえる。しかし、それは必ずしもルーキーのほうが「新しいアイデアをもっている」ということを意味しない。斬新なアイデアはルーキーの絶対的な強みではない。ルーキーには別の強みがある。</p>

<p>まず、ルーキーは物事に対する先入観がない。経験がないため、先輩や専門家からの助言を熱心に求めるうえに慎重である。上司などの関係者にこまめに進捗を報告し、意見を聞く。</p>

<p>こうしたルーキーの性質が成功を呼び寄せる。しかし、これは会社に入社したばかりの「ルーキー」の特権ではない。ルーキーの思考パターンとスキルを身に付ければ、ベテラン層も含めて誰でも活力に満ちたルーキーであり続けることができる。ひいては、最高のパフォーマンスを発揮し、たゆまず成長し続けるキャリアを築けるのだ。</p>

<h3>変化する環境と、苦境に立たされるベテラン</h3>

<p>社会の状況はめまぐるしく変化している。その中で、ベテランは今まで以上に厳しい状況に立たされている。具体的には次の3つの変化の影響を受けている。</p>

<p>第一は「情報の大量化」だ。インターネットが手軽に使えることにより、私たちは毎日大量の情報を浴びている。増え続ける膨大なデータからいかにして知識と洞察、そして知恵を引き出せるかが課題になっている。</p>

<p>第二に「仕事のサイクルの加速」がある。自動化される仕事が増え、生産性を向上させるツールが広まるにつれ、同じ時間で処理する量を増やすことが求められている。昔では考えられない速さで新たな仕事が登場している。それに応じて、学習のサイクルも加速させなければならない。</p>

<p>第三は「知識の短命化」である。新しい発見がなされるペースも、知識が古くなるペースも加速する一方だ。また、人材の流動化により、企業に蓄積される知識の量も減っている。「知識がある」ということは以前ほど価値をもたなくなった。</p>

<p>これからの時代に重要なのは、他の人の知識をうまく活用する力だ。「知は力なり」というモットーはもはや古い。これからは「学びを求めよ」という精神が欠かせない。</p>

<hr />

<h2>ルーキーの力</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/5425783055_0202bd5f85_b.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a 
href="https://www.flickr.com/photos/paxson_woelber/5425783055/">"Bold Peak, Alaska"</a> by Paxson Woelber(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>ベテランの弱点</h3>

<p>人は経験を積むにつれて、活用できる手段のレパートリーを増やしていく。また、ベテランの「鋭い直感」は、豊富な経験というデータベースのもとに生まれる。よって、これまでスキルを習得するには長い時間が必要だと考えられてきた。</p>

<p>確かに音楽やスポーツなど、精密な身体の動きが必要な分野では訓練量が大きな差を生む。しかし、その他のほとんどの職種では、スキルの習得は20時間もあれば十分だということが、最近の研究からわかっている。</p>

<p>知識が豊富な人ほど学習しなくなるケースは多い。知識があるだけに、新しい可能性に目がいかず、守りに入ってしまう。さらに、経験豊富な人はフィードバックを求めない傾向にある。これまでの経験から、「大丈夫だろう」と勝手に判断するケースが増えるのだ。</p>

<p>このように、豊富な経験をもっていることは、これまで考えられていたほど大きなメリットはなく、むしろ弊害のほうが大きい場合すらある。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=5MgBikgcWnY
<figcaption>「スキルは20時間で習得できる」という研究結果を発表したジョシュ・カウフマンによるプレゼンテーション。</figcaption></figure></p>

<h3>ルーキー・スマートの４つのモード</h3>

<p>ルーキーのときによく示す思考や行動はパターン化できる。これを著者は「ルーキー・スマート」と名づけた。ルーキー・スマートには次の4つのモードがある。</p>

<h4>（1）バックパッカーモード<br></h4>

<p>ルーキーにはたいてい失うものがない。したがって、身軽に新しい可能性を試せる。既存の成功パターンにはまり込まず、目の前の現実に適した新しいやり方を模索することができる。</p>

<h4>（2）狩猟採集民モード<br></h4>

<p>ルーキーは右も左もわからないため、周りの状況を理解しようと神経を研ぎ澄ませる。周囲にアドバイスを求め、できるだけたくさんの情報を集めようと努力する。著者の調査によると、ルーキーはベテランに比べて平均5倍の数の専門家に接触しているという。その結果、課題に対処するためのアイデアや資源を多く得られる。</p>

<h4>（3）ファイアウォーカーモード<br></h4>

<p>ルーキーは自信がないため慎重に物事を進める。その一方、知識の不足を補うために素早く行動する。その慎重かつ俊敏な対応は、火の上を歩く修行者(ファイアウォーカー)さながらである。</p>

<h4>（4）開拓者モード<br></h4>

<p>地図のない土地を進まなければならないルーキーは、状況に応じて柔軟に対応する能力が求められる。また、潤沢な資源がないので、物事をできるだけシンプルにとらえ、最も重要なニーズを満たすことに集中する。こうして新しい領域を自分のものにし、力強く前進し続けるという特徴をもつ。</p>

<p>これらのモードは人を分類するためのものではない。ひとりの人が複数のモードをもつ場合もあれば、その時々の状況に合わせて、いずれかのモードに入ったり、そこから脱したりすることもある。
ルーキー・スマートは、年齢や経験で決まるわけではない。その人の精神状態に左右されるのである。よって、経験を積んだベテランであっても、ルーキーの思考パターンを身につけることは十分可能だ。</p>

<hr />

<h2>永遠のルーキーになるために</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/7150176087_4a8b79a69c_h.png" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/melvindave/9856779706/">"MDV_6423"</a> by Melvin Dave Vivas(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>ルーキーの思考様式を取り戻す3つの方法</h3>

<p>永遠のルーキーの資質は、好奇心、謙虚さ、遊び心、そして計画性である。ベテランがルーキーらしさを取り戻すにはどうしたらいいか。「抜本的に自分を変える」といった大それたプロセスはいらない。必要なのは、「ルーキーの思考様式を取り戻す」というささやかな変化だけだ。そのためには、次の3つの方法を試すとよい。</p>

<p><strong>クビになることを恐れず行動する</strong> : 失うものが何もなかったルーキーの頃のように、あれこれ考えすぎず、直感的に正しいと思うことをしてみよう。クビになるのが怖いなら、「もしクビになってもいいなら何をしたいか」を考え、具体的な行動をリストアップするのも手だ。そのアイデアに対する支持を組織内で集めてから一歩を踏み出せばよい。</p>

<p><strong>決まったひな形を捨てる</strong> : プレゼンテーションをする際、以前作ったひな型に落とし込むだけになっていないだろうか。自分の行動を型にはめるアンチョコやひな型は捨てたほうがよい。そのほうが自分の思考を毎回最新のものにアップデートできるだろう。</p>

<p><strong>アマチュアと仕事をする</strong> : 経験豊富な仲間たちではなく、ルーキーと仕事をしてみよう。そしてルーキーがどのように仕事をするのかを観察し、彼らから学ぶのである。組織の管理職にある人は特に、末端にいる人やルーキーと話す機会を増やすとよい。アマチュアたちのアイデアや活力に大いに刺激を受けるだろう。</p>

<h3>停滞感から抜け出す方法</h3>

<p>ギャラップ社の世論調査によると、アメリカの働き手の70%は仕事が嫌い、もしくはまったくやる気を感じていないという。また、強い仕事上のストレスを感じていると答えた人は63%に達している。ストレスの原因は何なのか。</p>

<p>調査の結果、仕事量に対して挑戦しがいのある課題が少ないことが原因であることが明らかになった。課題が困難であればあるほど、仕事に対する満足感は高まるという。</p>

<p>人は停滞に陥ると退屈を感じ、時に後ろ向きの精神状態に陥ってしまう。そのような状況から脱するための最良の方法は、より難しい課題に挑戦することだ。そのためには次の3つの戦略が有効となる。</p>

<p>1つ目は「思考パターンを変える戦略」である。「自分は正しい」という考えを捨て、何でも一から学ぶ気持ちになってみる。「知らないこと」をリストアップする、またはチームのメンバーに「知らない」ということを公表するのもよい。「自分には知識がない」と認識することから新しい挑戦は始まる。</p>

<p>2つ目は「環境を変える戦略」だ。自分が「快適ではない」と思う環境にあえて身を置こう。例えばまったく知らない分野のプロジェクトに携わったり、自分が苦手なことに挑戦したりする。自分が安心できるエリアから一歩足を踏み出すことが重要だ。</p>

<p>3つ目は「適切なスペースを選択する戦略」である。大きすぎる目標に挑戦して失敗すると、その経験がトラウマとなって新たな挑戦に二の足を踏んでしまう。小さなことから着実に進めていくのがよい。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2017/01/ishikawa-career.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/yokoyama_089-1-720.jpg');" class="img"></div>

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<hr />

<h2>組織やチームを若返らせる</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/16521671207_ff6d0160f8_k.jpg" alt="" title="" />
<figcaption> Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/thomashawk/16521671207">"Coachella"</a> by Thomas Hawk(<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>組織やチームにルーキーらしさを取り戻す方法</h3>

<p>組織やチームがある程度の実績を上げて、年月を経ると、新たな挑戦をやめ、活気がなくなってくる。過去に積み重ねた知識に依存する組織は、変化に対応できなくなってしまう。そうした組織やチームがルーキーらしさを取り戻すには、どうすればいいのか。</p>

<p>まずは、人材マネジメントのあり方を再考するとよい。採用では、経験よりも学習する速さを基準に行う。ルーキーの資質である、好奇心、謙虚さ、遊び心、計画性に着目する。そして、変化に富んだ環境を意識して整えるのも有効だ。具体的には部署内の昇進だけでなく他部署へも人事異動を行う、一定期間でマネージャーを必ず異動させるといった方法が挙げられる。</p>

<p>次に、ルーキーに発言権を与えるのも、ルーキーの力を発揮させるのに役立つ。一般的に、経験が乏しいルーキーの発言は軽んじられがちだ。しかし、経験が浅いルーキーだからこそ独創的なアイデアが生まれることも多い。組織の末端のスタッフを戦略プランニングのメンバーに加えれば、新しいアイデアが出る可能性が増す。さらには、ベテラン幹部が率先して「ルーキー」の体験をし、お手本を示すのも有効である。</p>

<p>著者たちの調査によると、最も高い成果をあげるルーキーは新しい分野に挑むベテラン幹部だという。ベテラン幹部がルーキーの立場で仕事に臨めば、組織全体に好影響が出るようになり、ルーキー体質の組織へと生まれ変わることができるだろう。</p>

<h3>過去にとらわれずに進む</h3>

<p>新しい挑戦は苦難を伴う。しかし、自分にとって快適なエリアから一歩外へと踏み出さなければ成長はない。勇気をもって挑戦すれば、自分の快適なエリアは広がっていく。</p>

<p>人は物事を完全に習得したあとではなく、難しいことを習得しようとしているときに最高の成果をあげる。新しいことを学び、困難に立ち向かう過程で創造的なエネルギーを活用するからだ。</p>

<p>ルーキー・スマートとは、過去に学んだことを捨て、新たに学びなおすことをためらわない思考と行動のあり方を指す。それはもって生まれた才能などではなく、誰でも身に付けられるものだ。これからの時代は、常に新しいことを学び続ける「ルーキー」だけが成功できるといえる。</p>

<hr />

<h3>一読のすすめ</h3>

<p>本書は新人のような若々しい思考を取り戻し、維持するための指南書である。要約ではそのノウハウの一部を紹介したが、ルーキー・スマートを活用し、成功を収めているロールモデルの実例も本書に数多く記されている。これらを読む中で、より「ルーキー・スマート」への理解を深められるはずだ。仕事のマンネリを打破し、部署やチームの力を高めたい方にうってつけの一冊である。</p>

<p>（1冊10分で読める本の要約サービス <a href="https://www.flierinc.com/">flier</a>）</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/03/BNLBooks-VOL3.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/myths-of-creativity.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>関連記事：要約『どうしてあの人はクリエイティブなのか？』：創造性にまつわる11の迷信とその反証</strong></div></a></div>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>オルガン修理と11歳の天才技術者──偶然の出会いの連続だった、ヤマハ創業物語 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/03/BNL-History-Yamaha.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9012</id>

    <published>2018-03-27T02:01:00Z</published>
    <updated>2018-04-03T09:06:08Z</updated>

    <summary>「出会う、が、世界を変えてきた」をテーマに、歴史を動かしたビジネスの出会いを特集する新セクション「BNL History」がスタート。初回はヤマハ。創業者の山葉寅楠に、米国製オルガンの修理と11歳の天才技術者を紹介した、樋口林治郎を中心に創業の歴史を紐解く。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL History" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<div class="round-box fl fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/03/bnl-history.html/">
<h4>新セクション「BNL History」</h4>
<img src="/uploads/history_1094.png">
<div class="info"><strong>ようこそ、BNL Historyへ</strong></div></a></div>

<h3>BNL Historyスタート</h3>

<p>いま世界中にビジネスを展開するグローバル企業も、最初は小さな"スタートアップ"だった。</p>

<p>ずっと順風満帆で大きくなった会社などない。必ずどこかで大きな障壁を乗り越えた瞬間がある。歴史を辿れば、そのイノベーションの契機には、偶然の出会いがあるのではないか。</p>

<p>新セクション「BNL History」では、さまざまな企業の歴史を紐解き、ビジネスにおける、人と人の出会いの価値に焦点を当ててみたい。</p>

<p><figure><figcaption>Top Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/gpwitteveen/34727832535/" target="_blank" rel="nofollow">"cloud carpet 2017 May 17</a>" by GP Witteveen (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc/2.0/" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-NC 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<hr />

<h3>明治のコネクター・樋口林治郎</h3>

<p>いまや世界のトップピアニストも愛用する一流のピアノブランドである「YAMAHA」だが、その始まりは、明治時代に浜松の小学校で故障してしまったオルガンの修理が、たまたま近くの病院で医療器械の修理を生業にしていた山葉寅楠に託されたことがきっかけとなる。</p>

<p>日本初の国産ピアノの製造に挑戦した時には、最も困難なパーツの設計を任されたのは、11歳で入社し、当時まだ14歳だった天才技術者、河合小市だった。（彼はのちに独立して、いまの河合楽器製作所を創業する）</p>

<p>寅楠の人生を一変させたオルガンの修理。そして、国産ピアノの開発に欠かせない存在となった小市の入社。その歴史が動いた出会いに、どちらも同じ仲介者が関わっていたことは、あまり知られていない。</p>

<p>故障したオルガンがあった小学校を幹理する立場にあって、やがてヤマハの副社長を任されることになる樋口林治郎。歴史の表舞台には登場していないが、人と人をつなぐことから、日本初の国産オルガンと国産ピアノの開発を、影で支えた人物に注目してみたい。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Hamamatsu_city_Motoshiro_elementary_school720.jpg">
<figcaption><strong>山葉寅楠がオルガンの修理を行った浜松市立元城小学校（当時は浜松尋常小学校）</strong>：明治六年に開校。浜松市内で最も長い歴史のある小学校だったが、近隣の中部中学校及び北小学校との統合により、2017年3月に閉校している。 Photo: <a href="https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Hamamatsu_city_Motoshiro_elementary_school_20161014.jpg" target="_blank" rel="nofollow">Hamamatsu city Motoshiro elementary school 20161014</a> by General s 46 (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/deed.en" target="_blank" rel="nofollow">CC BY-SA 4.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>オルガンとの出合い</h3>

<p>明治17年（1884年）当時は、まだ子どもが家の仕事を手伝う家庭が多く、不就学者が多かったため、生徒の登校を促すなど、学校の運営を幹理する仕事を担う「学務委員」という職があった。樋口林治郎もそのひとりで、浜松城跡地に開校した浜松尋常小学校を管轄していた。</p>

<p>そんなある日、小学校に米国製のオルガンがやってきた。初めて耳にする西洋の美しい音色に、生徒たちは瞬く間に魅了されたことだろう。校長先生は自らオルガンが置いてある教室の鍵を管理していたそうである。</p>

<p>しかし、わずか2ヶ月で故障してしまった。</p>

<p>当時、オルガンはすべて輸入に頼っていたこともあり、仕組みを理解している人は周りに誰もいなかった。音が鳴らない原因はわからず、修理を頼める人も見つからないなか、校長先生は困り果てて樋口に助けを求めた。</p>

<p>樋口は、浜松病院の院長、福島豊策に相談してみたところ、「うちの医療器械を直してもらっている人なら直せるかもしれない」と、ある人物を紹介してくれた。それが山葉寅楠だった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Torakusu-yamaha.jpg">
<figcaption><strong>山葉寅楠</strong>：日本楽器製造株式会社（現ヤマハ）創業者。嘉永4年4月20日（1851年5月20日） - 大正5年（1916年）8月8日。日本楽器製造株式会社（現在のヤマハ株式会社）の創業者。日本における初期のオルガン（リード・オルガン）製造者の一人であり、日本のピアノ製造業の創始者の一人でもある。</figcaption></figure></p>

<p>山葉寅楠の地元は浜松ではない。父親は紀州（現在の和歌山県）徳川藩士だった。寅楠は17歳の時に武士を棄て、親元を離れ、大阪で時計商の徒弟になる。そこで懐中時計に魅了され、自分でも作ってみたいと考えるようになり、製造技術を学ぶために長崎へ移住。イギリス人の時計技師から製造技術を学び、ついでに医療器械の技術もマスターした。</p>

<p>しかし、大阪に戻って時計作りの事業計画を立てるも、資金不足のためにあえなく断念することに。代わりに大和高田で時計商の店を開業するが、こちらもなかなか軌道に乗らない。結局、大阪に戻って医療器械店に出入りし、医療器械の修理を請け負う仕事を続けていた。</p>

<p>33歳の時、そんなパッとしない人生に転機が訪れる。</p>

<p>たまに医療器械の修理のために地方出張もしていた寅楠は、静岡県の浜松病院を訪ねた際に、先の福島院長と出会い、この地に移り住むことを決意する。</p>

<p>当時の浜松は、人口わずか2万人弱の小さな町。大都会の大阪と比べたら病院の数も少ない。ということは医療器械修理の仕事もあまりない。ただ、そうした不安要素を払拭できるほど、浜松という町に魅力を感じ、福島院長の人柄にも惹かれるところがあったのだろう。</p>

<h3>自分なら、同じものを3円で作れる！</h3>

<p>このあたりで、小学校のオルガン修理に話を戻そう。寅楠は福島院長の推薦を受けて、浜松尋常小学校を訪ねた。途方に暮れていた校長先生をはじめ、相談に乗った樋口や、推薦をした福島院長の期待も背負って、故障したオルガンと初めて対面する。</p>

<p>これまで時計製造や医療器械修理で培った器用な手つきで少し分解してみたところ、原因はすぐに解明できた。バネが2本破損していたのだ。寅楠にとってバネの修理は決して難しい作業ではなかった。だが彼はすぐに直そうとはしなかった。「一度すべてを分解してみれば、自分でもオルガンを作れるのではないか」と思い立ったからだ。</p>

<p>当時、日本はオルガンを作る技術はなく、すべてアメリカ製のものを輸入していた。その頃の物価で45円だったので、いまなら4500万円といったところだろうか。それを「一度全部分解してみたい！」と急に言い出した寅楠の行動を校長先生はよく許してくれたものだ。</p>

<p>とにかくオルガンを隅々まで分解した寅楠は、詳細な設計図を描いて、元通りに組み立て直して、このように豪語したと伝えられている。</p>

<p>「自分なら、この程度のものは3円もあれば作れる！」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/Yamaha_organ_1890-720.jpg">
<figcaption>1890年（明治23年）東京上野で開催された第3回内国勧業博覧会において受賞した有功二等賞碑のコピーが貼り付けられたオルガン。山葉寅楠が受賞を記念して知人に寄贈したもの。Photo: "<a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%82%A1%E3%82%A4%E3%83%AB:Yamaha_organ_1890.jpg" target="_blank" rel="nofollow">Yamaha organ 1890</a>" by Hoku-sou-san (CC-BY-SA)</figcaption></figure></p>

<h3>オルガンを作る資金がない</h3>

<p>設計図はできた。1台3円で作れるという謎の自信もある。だが寅楠には試作品を作るための資金がなかった。浜松には頼れる親戚はいないため、近所を訪ね歩き、事業の可能性を語って資金援助を求めた。</p>

<p>何日も断られ続けた後に、ようやく出会えた理解者が、飾り職人、小杉屋の河合喜三郎だった。寅楠の熱意を買って、必要な資金を提供することにしたのだ。それだけでなく、小杉屋の一部を仕事場として貸して、寅楠を全面的にバックアップした。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="/">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_L2A0164final.jpg">
<div class="info"><strong>企業の利益だけを追求してはダメ──アドビ・武井史織の仕事は「表現しやすい社会」をつくること</strong></div></a></div>

<p>なぜ、喜三郎はそこまでして、寅楠を援助しようと思ったのだろうか。今風に言うと、きっと寅楠の「ミッション」に共感できたからではないだろうか。「なぜオルガンを作るのか？」と聞かれると、寅楠は、次のように語っていたと伝えられている。</p>

<p>「近い将来、オルガンは全国の小学校に設置されるだろう。これを国産化できれば国益にもなる」</p>

<p>当時は唱歌教育が始まったばかり。やがて日本全国の小学校でオルガンが必要になる時がきっと来る。その時、学校は国産のものを選ぶことができなければ、輸入品でコストがかさむ上、貴重な国家予算が外貨に流出してしまう。日本全国の音楽教育発展のためには、国産オルガンの開発は絶対に成功しなければならない。そう寅楠は信じていた。それが、のちにさまざまな人と出会い、協力を得られた最大の理由ではないだろうか。</p>

<h3>静岡県令に紹介された音楽取調所の伊澤修二</h3>

<p>寅楠と喜三郎は、日本で手に入る素材を苦心して調達し、2ヶ月後になんとか第一号の試作品を完成させた。しかし、鳴らしてみてもあまりいい音がしない。これでは売り物にならなかった。</p>

<p>静岡県令（いまの知事）の関口隆吉に相談したところ、東京の音楽取調所（東京芸術大学音楽部の前身）の所長を務める伊澤修二のところへ試作品を持って行って、御意見を伺ってみてはどうかと紹介状を書いてくれた。音楽取調所は、伊澤がアメリカに留学し、音楽教育の必要性を説いて明治20年に設立した、唱歌の作成・編さんと教師の養成機関である。浜松からは約250kmもある。しかも箱根を越える険しい山道だ。しかし、大きな壁にぶつかっている彼らにとって他に選択肢はない。ふたりでオルガンを抱え、決死の覚悟で東京を目指した。</p>

<p>伊澤に試作品のオルガンを見せたところ、案の定、不合格。一応オルガンの形にはなっているが、音が全然なっていないという評価だった。寅楠も喜三郎も音楽の知識はない。ある意味当然の結果だった。そこでふたりは伊澤に熱心に頼み込み、音楽取調所の特別聴講生として調律や音楽理論について学ばせてもらえることになった。</p>

<p>浜松に戻ると、ふたりはさっそく学んだ知識を活かして試作品を製作し、再び箱根の山を越えて伊澤の下に持参した。すると、今度はなんとその場で認めてもらえたのだ！</p>

<p>日本初の国産オルガンを購入した記念すべき最初のお客さんは、いきなり5台も注文してくれた関口県令だった。やがて全国各地から次々と注文が入ってくるようになる。実は伊澤が喜んで「ついに国産のオルガンが完成した！」とみんなに言いふらしていたらしい。いわば国家のお墨付きが与えられた状態となり、口コミは瞬く間に広がっていった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/yamahabooks720.jpg">
<figcaption>今回の参考文献は『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4905300177" target="_blank" rel="nofollow">浜松ピアノ物語〜浜松のピアノが世界に認められた日</a>』（しずおかの文化新書）と、『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4902970317/" target="_blank" rel="nofollow">ヤマハの企業文化とCSR</a>』志村和次郎・著（産經新聞社の本）。本の中では、寅楠亡き後のピアノ業界の発展や、ヤマハの隆盛についても詳しく紹介されている。</figcaption></figure></p>

<h3>オルガンの次はピアノ</h3>

<p>全国各地から舞い込んでくる注文に対応できる体制を整えるために、寅楠と喜三郎は合資会社「山葉風琴製造所」を設立し、技術者の採用を進める。この時、資金面で全面的に支援したのは、福島豊策と樋口林治郎だった。</p>

<p>やがて新工場を建設して設備を増強し、創業後わずか1年余りで、従業員は100人を超える規模にまで拡大していた。</p>

<p>当時、河合小市は技術者の中でもひと際目立っていた。若いからという理由だけではなく、技術者としての天性の才能を備えていたからだ。小学校を卒業したばかりの小市を、寅楠に紹介したのは樋口林治郎だった。小市は、たまたま樋口が学務委員を務める浜松尋常小学校に通っていたのだ。</p>

<blockquote>
  <p>小市は尋常小学校四年を卒業して間もなくのある日のこと、外を走る客馬車に見入り、木切れを集めて見事に小型の客馬車を作り上げ、犬にひかせて乗り回って大人たちを驚かせていました。樋口はそんな小市に話しかけ、将来の夢を聞いたところ、「音の出る器械を作りたい」という小市の希望がわかり、山葉に紹介することにしたわけです。</p>

<p>『ヤマハの企業文化とCSR』志村和次郎・著（産経新聞社の本）</p>
</blockquote>

<p>小市が入社した年に、合資会社から株式会社の形態となり、社名も「日本楽器製造株式会社」になった。その時、樋口林治郎は副社長に任命され、経営にも加わるようになる。</p>

<p>資金調達に成功すると、寅楠は真っ先に国産ピアノ製造の挑戦をスタート。伊澤の取り計らいによってアメリカへ渡り、部品や工作機械を買い付ける旅に出た。旅立つ直前、寅楠は河合小市に「アクション」の開発を託した。鍵盤を押すとハンマーが弦を打つ仕組みであるアクションは、国産ピアノの完成に必要不可欠であり、最も開発の難易度が高いパーツだった。</p>

<blockquote>
  <p>大役を命じられた小市は、文字通り不眠不休で製作にとりくみ、ついに自分の手でアクションを作り上げます。アクションができたのは山葉が米国から帰国する寸前でした。浜松駅で汽車を下りた山葉はいち早く、河合小市を探したといいます。「できました。アクションができました」そう報告した小市の手を、山葉寅楠は深い感動で握りしめました。</p>

<p>やがて、山葉がアメリカで買った部品や機械、道具類も到着し、小市のアクションを使った国産ピアノ第一号が明治三十九（一九〇〇）年一月、山葉の見守る中で完成しました。時に親子のような師弟の二人、山葉は四十八歳、小市はわずかに十四歳でした。それはヤマハにとっても、日本の洋楽器業界にとっても画期的なことでした。</p>

<p>『ヤマハの企業文化とCSR』志村和次郎・著（産経新聞社の本）</p>
</blockquote>

<p>その後も小市は活躍を遂げ、21歳の若さでアクション部長に就任すると、黒鍵を大量生産する工作機械や、卓上ピアノも考案した。自動ピアノの先鞭をつけたのも小市だった。</p>

<p>昭和2年（1927年）に小市は、ヤマハから独立して「河合楽器研究所」を創立する。いまとなっては、「YAMAHA」と「KAWAI」は世界中のピアニストに愛される一流ブランドである。</p>

<p>だが、もしあの時、樋口が校長先生に寅楠を紹介しなかったら。あるいは、小学校を卒業したばかりの小市を、寅楠に紹介しなかったら。それ以前に、寅楠がたまたま浜松で福島先生と出会って移住を決意していなければ。河合喜三郎が寅楠のオルガン作りを援助していなければ。関口県令が音楽取調所の伊澤を紹介してくれていなければ。国産のピアノは、この国の歴史に登場することはなかったかもしれない。</p>

<p>出会う、が、世界を変えたのだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/yamaha-mall720.jpg">
<figcaption>Photo: "<a href="https://www.flickr.com/photos/sherrlock/23993383719/">Is it plugged in?</a>" by Lawrence (CC BY-NC-ND 2.0)</figcaption></figure></p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="3080401005595"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="2080401001323"></div>
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    </content>
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    <title>出会う、が、世界を変えてきた。──ようこそ、BNL Historyへ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/03/bnl-history.html" />
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    <published>2018-03-27T02:00:00Z</published>
    <updated>2018-06-06T07:38:25Z</updated>

    <summary>事業拡大やブランド創出に成功した企業には、当初どのようなビジネスの出会いがあったのか。創業のストーリーを紐解く、新セクションが始まる。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BNL History" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="コラム" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>Eightを運営するSansan株式会社は、昨年公開したコーポレート動画に、「出会う、が、世界を変えていく」というコピーを入れている。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=a3FOc6IYgFo
<figcaption>コーポレート動画の製作意図については、<a href="https://jp.corp-sansan.com/blog/2018/01/corporatemovie201801.html">コーポレートブログ</a>に詳しく掲載している。</figcaption></figure></p>

<p>この動画を見せて会社について説明する時には、例えば次のように語っている。</p>

<blockquote>
  <p>人と人の出会いというのはとても素晴らしいものです。Sansanは、その出会いの力で世の中をより良くしていこうとする会社です。ビジネスの出会いのシーンで交換される名刺を、SansanやEightに取り込むことで、一期一会の出会いをその場限りにせず、未来へとつなげていき、偶然の出会いが生み出すイノベーションを後押ししている。</p>
</blockquote>

<p>ただし、「出会う、が、世界を変えていく」と言うのであれば、当然のことながら、これまで「出会う、が、世界を変えてきた」とも言えるはずである。むしろそれが言えなければ全くこのメッセージに説得力がなくなってしまう。そこでBNLでは、新セクション「BNL History」を立ち上げ、これまで歴史を動かしてきた出会いについて研究してみたい。</p>

<p>いま日本には、100年以上続く老舗企業や、世界中にビジネスを展開するグローバル企業が何社もあるが、どこも決して最初からずっと順風満帆でやってこれたわけではないはずだ。必ずどこかで大きな障壁を乗り越えた瞬間がある。もしその時、偶然の出会いを契機に生まれたイノベーションがあれば、やはり「出会う、が、世界を変えてきた」と言えるだろう。</p>

<p>人と人の出会いをテーマに歴史を紐解き、さまざまな企業のストーリーを探究することで、ビジネスにおける出会いの可能性について、再発見してみたい。</p>

<h2>VOL.1 <a href="https://bnl.media/2018/03/BNL-History-Yamaha.html">オルガン修理と11歳の天才技術者──偶然の出会いの連続だった、ヤマハ創業物語</a> （3/27公開）</h2>

<p><img src="/uploads/BNLhistory-yamaha1094.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>VOL.2 <a href="https://bnl.media/2018/05/BNL-History-Omron.html">オムロン創業者・立石一真と、5人の〈出会い〉の物語</a> （5/21公開）</h2>

<p><img src="/uploads/tateishi-chikatetu1094.jpg" alt="" title="" /></p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>要約『どうしてあの人はクリエイティブなのか？』：創造性にまつわる11の迷信とその反証 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/03/BNLBooks-VOL3.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9010</id>

    <published>2018-03-22T01:00:00Z</published>
    <updated>2018-05-08T02:45:53Z</updated>

    <summary>ニュートンはりんごで「ひらめいた」わけではない。クリエイティビティの遺伝子など存在しない。本書で紹介されている11の迷信とその反証を読めば、きっと誰もが納得するだろう。創造性は与えられるものではなく、適切なプロセスから得られる結果である、と。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="オープンイノベーション" label="オープンイノベーション" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="クリエイター" label="クリエイター" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ビジネス書" label="ビジネス書" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>デビット・バーカス</strong><small>LDRLB 創設者兼エディター／オーラル・ロバーツ大学 准教授</small>
<p>オーラル・ロバーツ大学卒業後、オクラホマ大学で組織ダイナミクスの修士号、リージェント大学で戦略的リーダーシップの博士号を取得。現在はオーラル・ロバーツ大学にて創造性、イノベーション、起業家精神、組織的行動について教えている。また、リーダーシップ、イノベーション、戦略に関する最新研究から得た知見をシェアする電子出版ウェブサイト、LDRLBの創設者兼エディターでもある。創造性、イノベーションに関する研究結果を数々の学術誌や専門誌で発表したり、ウェブサイト『99U』および『クリエイティビティ・ポスト』に寄稿したりしている。また、新興企業からフォーチュン500選出企業、アメリカ海軍兵学校まで幅広い人々に向けて、リーダーシップとイノベーションについての講演を行っている。現在は妻と息子とともにオクラホマ州タルサに在住。</p></aside></p>

<h2>出会いがなければクリエイティブにはなれない──BNL編集部の選定理由</h2>

<p>この本は「創造性に関する11の迷信」を取り上げ、それぞれ反証を試みている。まずは、すべての迷信と、著者による反証のステートメントを紹介しよう。</p>

<blockquote>
  <p>「クリエイティブ」にまつわる迷信<br>
創造性は与えられるものではなく、適切なプロセスから得られる結果である。</p>

<p>「ひらめいた」の迷信<br>
新しいアイデアは一瞬のひらめきではなく、努力から生まれる。</p>

<p>「生まれつきクリエイター」の迷信<br>
創造性は特定のタイプの人に限定されるものではなく、組織の構造によって高められる。</p>

<p>「オリジナリティ」の迷信<br>
新しい創造物は、既存のアイデアの組み合わせである。</p>

<p>「エキスパート」の迷信<br>
画期的な解決策は専門知識だけでなく、思考の多様性から生まれる。</p>

<p>「インセンティブ」の迷信<br>
単なる報酬ではなく、意欲的に取り組める環境を推奨することで創造性は向上する。</p>

<p>「孤高のクリエイター」の迷信<br>
創造性には1人の天才ではなく、計画性を持ったチームワークが必要である。</p>

<p>「ブレーンストーミング」の迷信<br>
ブレーンストーミングとはアイデアを多く出すことではなく、広範な戦略の一部である。</p>

<p>「団結」の迷信<br>
同調ではなく、仕事を対象とした理性的な「衝突」が創造性を加速させる。</p>

<p>「制約」の迷信<br>
制約があることは障害ではなく、ときにそれ自体が問題解決のための資源となり得る。</p>

<p>「ネズミ取り」の迷信<br>
最高のアイデアを生み出すことはゴールではなく、成功へと向かう出発点だ。</p>
</blockquote>

<div class="round-box fl fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/02/bnl-books.html">
<h4>新セクション「BNL Books」とは</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/books_500.jpg">
<div class="info"><strong>ようこそ、BNL Booksへ</strong></div>

<p></a></div></p>

<p>この11の迷信の中でも、特にBNLとしては、「オリジナリティ」の迷信と「エキスパート」の迷信に注目したい。</p>

<p>電話はグラハム・ベルだけが発明したものではない。マウスもスティーブ・ジョブズが発明したものではない。彼らは多様な人と出会い、異なる知をかけ合わせて、その時、最も優れた製品を作っただけだ。<strong>新しい創造物は、既存のアイデアの組み合わせである。</strong>これが「オリジナリティ」の迷信である。</p>

<p>新しいアイデアを探る時、まずはその道の専門家に意見を求めることは多いが、実際にはエキスパートの意見よりも部外者の視点の方が、クリエイティブなアウトプットにつながりやすいことが知られている。<strong>画期的な解決策は専門知識だけでなく、思考の多様性から生まれる。</strong>これが「エキスパート」の迷信である。</p>

<p>アドビのアンケート調査によると、「自分のことをクリエイティブだと思う」と回答した人の割合が、40%を越えた欧米諸国に対して、日本は8%しかいなかった。つまり、日本人は「クリエイティブ」の迷信を信じる割合が多いようだ。<strong>創造性は与えられるものではなく、適切なプロセスから得られる結果である。</strong>もし今度、非常にクリエイティブな人と出会った時には、少し見方を変えてみよう。きっと、その人のビジネスネットワークに創造性を高める秘密があるはずだ。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/03/adobe-takei.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_L2A0103-8percent.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>関連記事：企業の利益だけを追求してはダメ──アドビ・武井史織の仕事は「表現しやすい社会」をつくること</strong></div></a></div>

<p><strong>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4861009405">こちら</a>。（Amazon）</strong></p>

<hr />

<h2>要約者レビュー</h2>

<p>「天才的なアイデアは、一部の生まれつき創造的な人が、直感的にひらめくもの」、「高度な専門知識を持った人こそがクリエイティブな解決策を見いだせる」。まことしやかに語られている「創造性」についての数々の迷信。これらを科学的研究や革新的企業の事例研究によって一刀両断していくのが本書である。</p>

<p>筆者は、適切な条件がそろえば誰でもクリエイティブになり得ると主張する。では、どうすればイノベーションにつながる画期的なアイデアを生み出せるのか。この本では、11の迷信を鮮やかに覆しながら、創造性を発揮するために必要な考え方が解き明かされていく。例えば「人のアイデアを否定せず、一体感のある職場の方が創造的になれる」と聞くと、つい信じてしまいそうになる。ブレーンストーミングでも「ほかの人の意見を否定しない」というルールがある。しかし実際は、建設的な衝突や批判が起こらないと、革新的なアイデアに昇華させることは難しいという。意外性とスリルあふれる展開にひきこまれてしまい、目から鱗が落ちる瞬間をいくたびも味わえるのがこの本の特長だ。</p>

<p>また、3Mやフェイスブック、ピクサーなど、創造性を発揮している企業の具体的な工夫が随所に紹介されているため、読んだそばから「自社に応用するための実践的なヒント」が得られるだろう。マーケティングや商品企画、宣伝などに携わる人だけでなく、クリエイティブな組織づくりにまい進する経営者やマネージャーにとっても必携の「創造性のバイブル」である。</p>

<hr />

<h2>本書の要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> <br />
創造性に影響を与えるのは、分野に関するスキル、創造性に関連するプロセス、タスク・モチベーション、社会的環境の4つの要素であり、これらの条件がそろえば誰でもクリエイティブになれる可能性がある。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong> <br />
イノベーションにつながるアイデアを生み出すには、準備、培養、ひらめき、評価、精錬の5つの段階からなる創造的プロセスを踏む必要があり、「ひらめき」はプロセスの一部に過ぎない。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong> <br />
内因性の動機は、インセンティブのような外因性の動機よりも、クリエイティブな成果とのつながりがはるかに強いという傾向がある。</p>

<hr />

<h2>クリエイティブの迷信</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/8241925833_7905283c00_o.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/pamnani/8241925833/">"Four Friends"</a> by Rajesh Pamnani (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>創造性に影響を及ぼす4つの要素</h3>

<p>創造性は、謎めいたプロセスゆえに、古来は神の恵みによるものと考えられてきた。</p>

<p>しかし創造性は、適切なエコシステムを設計し、そこに適切な訓練を受けた幅広い視野をもつ人々を集めることで向上させられる。つまり適切な条件下では、誰でも優れたアイデアを生み出せるのだ。ハーバード・ビジネススクール教授の、テレサ・アマバイルによると、創造性は次の4つの要素の影響を受ける。</p>

<p><strong>（1）分野に関するスキル</strong></p>

<p>特定分野の知識や技術的スキル、才能を意味する。企業では、研修やジョブローテーションなどによって向上させることができる。</p>

<p><strong>（2）創造性に関連するプロセス</strong></p>

<p>ある問題に対処し、解決策を生むための方法である。共感性が高く、リスクを恐れない自立した人はこのプロセスが得意であるが、それ以外の人も学習によってこのスキルを身につけることは可能だ。</p>

<p><strong>（3）タスク・モチベーション</strong></p>

<p>ある課題を解決したいという欲求や達成感、情熱のこと。仕事やプログラムの設計次第で、個人のやる気を引き出すことができる。</p>

<p><strong>（4）社会的環境</strong></p>

<p>4つの中で唯一外的要因となる。取り巻く環境がそこで活動する人々の創造性を大きく左右するため、最重要な要素だと言える。</p>

<p>つまり、ある程度の専門知識を持った人が、創造性を奨励される環境で心からやる気になったとき、最高の創造性を発揮でき、イノベーションを起こすことができるというわけだ。クリエイティブであることには、さまざまな迷信が信じられているが、それでは間違った答えにたどりついてしまう。次項以降では、そうした迷信を明らかにし、クリエイティブになるための考え方を紹介する。</p>

<hr />

<h2>「ひらめいた」の迷信</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/4470792411_69516fa256_o.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/jaszekpl/4470792411/">"Apple"</a> by Michał Jaszewski (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>「ひらめき」の前後には何があったか</h3>

<p>私たちは創造的なアイデアを突然ひらめいたかのように語りがちで、ひらめきを得る前後の努力については注目しない。ところが、アイデアを思いつくのは単なる幸運ではない。</p>

<p>ニュートンが、頭の上にリンゴが落ちてきたことで万有引力の法則を発見したというエピソードは有名である。しかし、歴史的証拠によると、ニュートンは引力が天体の動きに与える影響について、この時点で既に研究していた。そして、リンゴが落ちてきたとたんにその疑問が解けたわけではなく、引力の法則を数式化して発表するまで、その後何年もかかっている。</p>

<p>天才的なアイデアは、突然のひらめきのように語られることが多いが、発案者たちはその前後にたいへんな努力を重ねているのだ。</p>

<h3>「ひらめき」は創造的プロセスの一部</h3>

<p>心理学者のチクセントミハイが、クリエイターの思考プロセスを研究した結果、彼らのほとんどが、準備、培養、ひらめき、評価、精錬の5つの段階からなる創造的プロセスを踏んでいることが判明した。ここでの「培養」とは、目下のプロジェクトからしばらく離れる段階を指し、準備段階で培った知識が消化され、アイデアが無意識にまとまっていくことをいう。数日から数年の培養期間を経てやっと、ひらめきの段階に達するのだ。</p>

<p>また、あるタスクを継続的に行うよりも、途中で中断して関連のないタスクを行った方が、そもそものタスクのアイデアを多く生み出せることが判明した。これを裏付けるのは「選択的忘却」説である。すなわち、同じ課題にずっと取り組んでいると、堂々めぐりになりかねないが、課題とは別のものに意識を完全に集中させると、古い思考経路の記憶を薄れさせ、新たな可能性をより柔軟に考えられるようになるという。</p>

<p>天才的なひらめきは、創造的プロセスの一部にすぎない。準備をしなくては思考の材料を十分に集められないし、培養期間をおかなければうまくいかない方法に固執し、ひらめきを得られない。ひらめいた後も、それを実現させるためにアイデアを評価、精錬する必要があるのだ。</p>

<hr />

<h2>「オリジナリティ」の迷信</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/14607864772_f4d2f8914a_h.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/48126477@N05/14607864772/">"Batman on the Apple II"</a> by Matthew Pearce (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/2.0/">CC BY 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>創造は既存のアイデアの組み合わせ</h3>

<p>ユニークなアイデアや発明は、発案者の完全なオリジナルだと私たちは考えがちだ。しかし、アイデアはもっと複雑な経路で生まれ、複数人が関わっている場合も多々ある。それどころか、ほかの人々のアイデアが創造的なひらめきを後押してくれる。</p>

<p>新しい創造物は既存のアイデアの組み合わせであるという概念は、発明はもちろん、文学や美術、映画、宣伝コピーなどあらゆる分野で見られることだ。これを実証づけたのは心理学者サーノフ・メドニックが提唱した「連想思考」である。問題の必須要素からより多くのことを連想できる人ほど、クリエイティブな解決策にたどり着きやすいという。</p>

<p>東北大学の竹内光率いる研究チームは、脳の物理的な反応の観察結果から、この説を裏付けている。創造性の高い人々は、低い人々よりも、「異なる事実や記憶をつなげる」という役割をつかさどる、脳の白質が多かったのだ。彼らの脳はアイデアをつなぎ合わせるのに適した脳を持っており、訓練を積むことでこの脳の組織を成長させられることが判明した。</p>

<h3>アイデアを独り占めする代償</h3>

<p>イノベーションの源は古いアイデアである。パソコンのОS（オペレーティングシステム）の発明においては、ビル・ゲイツのウィンドウズも、スティーブ・ジョブズのマッキントッシュも、ゼロックスのGUI（グラフィカル・ユーザー・インターフェイス）の試作品であり、世界初のパーソナルコンピューター「アルト」の影響を受けている。</p>

<p>にもかかわらず、多くの企業は、自分たちのアイデアを外の人が使えないように、特許や企業秘密、知的財産法などの手段に頼っている。これはアイデアの可能な組み合わせの数を減らし、ひいてはイノベーションの可能性も減らすという大きな代償を支払うことになる。</p>

<p>人々は、自分と接点のあるアイデアや素材しか借りることができない。環境や影響に対して柔軟になれば、自分の専門性の周辺分野である「隣接可能領域」を広げ、創造的なひらめきを得やすくなる。これは組織内にもあてはまる。アイデアが共有されていれば、個々の社員やチームが、アイデアをより自由に組み合わせ、革新的な功績を残せるようになるにちがいない。</p>

<hr />

<h2>インセンティブの迷信</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/6914547730_0f12a7edb1_b.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/claireknights/6914547730/">"Chantenay carrots"</a> by Claire Knights (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/2.0/">CC BY 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>2種類の動機</h3>

<p>大半の企業が「仕事をたくさんさせるには、金銭的見返りが効果的」という「インセンティブの迷信」にとらわれている。インセンティブによる管理手法は、仕事が反復的で効率性を追求する工業労働の時代には通用していた。しかし、クリエイティブな仕事においては、この手法は効き目がない。</p>

<p>クリエイティブな仕事の場合、明確なマニュアルがなく、自ら問題の解決や創造性が求められ、仕事自体にやる気を出させる要素が含まれていることが多い。クリエイティブな仕事における動機には内因性と外因性の2種類に分けられる。内因性の動機は、心の中からわき起こる動機であり、これがあれば自然に仕事に夢中になっていく。逆に、外因性の動機は、ボーナスや良い成績を取るためというものである。動機と創造性の研究によると、内因性の動機は外因性の動機よりも、クリエイティブな成果とのつながりがはるかに強いという傾向が見られた。</p>

<p>たとえば、芸術家が制作を楽しむために作った作品と比べて、依頼を受けて作った作品の方がはるかに低い評価を受けたという実験結果もある。これは、報酬（インセンティブ）が伴うことにより、内因性の動機が否定され、作品の質に悪影響を及ぼしたと考えられる。つまり、一定の条件下では、インセンティブがクリエイティブな仕事に必要な動機を阻害してしまうこともあるのだ。ただし、タスクの質の高さを評価する手段としてのインセンティブにするなど、タスク達成の内因性の理由と外因性の動機を一致させれば、内因性の動機を損なわずに済む。</p>

<h3>内因性の動機を感じる工夫</h3>

<p>興味のある仕事に取り組ませて、内因性の動機を感じられる工夫を導入している企業も現われている。例えば、3Mでは技術スタッフが就業時間の15%まで自分で選んだプロジェクトに従事できるようにしている。またツイッター社では、1週間自分の業務の範囲外で好きなプロジェクトを行うことのできる「ハック・ウィーク」を定期的に設けている。こうした会社は、クリエイターに内因性の動機を感じるプロジェクトを自主的にさせた方が有益だと信じており、実際の成果もあがっている。</p>

<hr />

<h2>「団結」の迷信</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/4117031308_ac376f124c_b.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/luciuskwok/4117031308/">"Pixar"</a> by Lucius Kwok (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0/">CC BY-SA 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>衝突が日常茶飯のピクサー</h3>

<p>「クリエイティブなチームは仲間の和を尊び、批判はしない。」そんな迷信を信じてチームの団結ばかりに注力すると、チームの創造性は損なわれてしまう。メンバーが、仲間はずれを恐れて、ユニークな視点の提示に尻込みするようになるからだ。</p>

<p>実際、最高にクリエイティブなチームや企業は、あえて衝突を引き起こすようにしている。</p>

<p>CG技術を駆使して大ヒット映画を連発しているピクサーを例に挙げよう。本社は、共同作業を生みやすくする工夫が施された社屋を持ち、世界一楽しそうな職場と言われている。</p>

<p>しかし、アニメーターにとって、衝突と議論は毎朝の恒例行事だ。1日4回のミーティングで作品をフレームごとに評価し、批判が飛び交い、改善の議論を深めていく。ピクサーはメンバー間の軋轢を重要視しており、生産的な軋轢を発生させるために、あえて不満分子のチームを結成することもあるほどだ。</p>

<h3>建設的な衝突が創造性を引き出す</h3>

<p>研究結果からも、異なる角度から議論、衝突、評価、対立した方が、はるかに創造的な結果を得やすいことがわかっている。「批判をするとアイデアが出にくくなる」という、オズボーンのブレーンストーミングの考えによって強化された意見は覆されたのだ。論争の間に、アイデアはより深く調査・熟考され、他のアイデアとの融合により、更に強化される。それでこそ、アイデアを最後まで突き詰めることができるのだ。</p>

<p>ただし、ここで機能する「衝突」は、「人を対象とした感情的なもの」ではなく、「仕事を対象とした理知的なもの」である。こうした理知的な衝突にとどめるために、ピクサーでは「プラシング」という独自の手法を使っている。異を唱えるときに、どうすれば良くなるかというプラスアルファの提案も述べるのだ。</p>

<p>同調ではなく建設的な衝突がクリエイティブなプロセスを加速させ、創造性を引き出すことを心に留めてほしい。</p>

<hr />

<h2>一読のすすめ</h2>

<p>本書を読み終えると、イノベーションに必要な創造性を得るためには、天才的なクリエイターを発掘したり、特殊な環境を用意したりする必要はなく、意外にも「ささやかな工夫」を重ねればいいことに気付くだろう。要約では取り上げられなかった「生まれつきクリエイターの迷信」や、「エキスパートの迷信」「孤高のクリエイターの迷信」、「ブレーンストーミングの迷信」などもぜひ本書を読んで、固定観念を払拭してほしい。科学的に証明された知見が、創造性を発揮する組織・チーム作りに一役買ってくれるはずだ。</p>

<p>（1冊10分で読める本の要約サービス <a href="https://www.flierinc.com/">flier</a>）</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/02/BNLBooks-VOL1.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/book_1.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>関連記事：正解を出す技術ではもう戦えない──1冊10分で読む：『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか？』</strong></div></a></div>
]]>
        
    </content>
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    <title>名刺を撮影して、すぐにつながる「クイックスキャン」 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <id>tag:bnl.media,2018://125.9007</id>

    <published>2018-03-15T02:38:20Z</published>
    <updated>2018-12-27T10:07:08Z</updated>

    <summary>Eightの便利な使い方を紹介する「Eight Tips」。今回は、新しい名刺の撮影機能「クイックスキャン」の活用方法をご紹介します。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eight Tips" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>打ち合わせで名刺交換をした時や、イベントで知り合った人とぜひもう一度会いたいと思った時。もし名刺の連絡先にすぐアクセスできたら、よりスピーディーにビジネスを進められることでしょう。</p>

<p>「クイックスキャン」で名刺を撮影すると、相手もEightを使っていたら、その場でつながり、すぐに名刺情報を活用できます。プロフィールの確認や、メッセージのやりとりも可能です。Eightを使っていない人には、メールで自分の名刺情報を送ることもできるため、名刺を持ち合わせていなくても連絡先を交換できます。</p>

<h2>「クイックスキャン」の撮影方法</h2>

<p>名刺を撮影したその場でつながるため、例えば、打ち合わせの後すぐにメッセージを送れます。名刺をまとめて撮影した後、「<a href="https://bnl.media/2018/02/eight-tips-vol3.html">グループルーム</a>」を作り、3人以上でのやりとりも可能です。</p>

<p><figure>https://www.youtube.com/watch?v=lNezEnzCxR4</figure></p>
]]>
        
    </content>
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    <title>企業の利益だけを追求してはダメ──アドビ・武井史織の仕事は「表現しやすい社会」をつくること - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/03/adobe-takei.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.8993</id>

    <published>2018-03-06T00:45:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:16:18Z</updated>

    <summary>「表現しやすい社会の創造」を目指して、武井史織は全国各地でクリエイターを集めてイベントを企画している。企業と社会の接点をつくるコミュニティマネジャーとして大切にしているのは、「なぜそれをやるのか」を共有すること。その熱量さえあれば、あとは他者との掛け算の仕方を考えればいいだけだと語る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="デザイン" label="デザイン" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/">武井史織</a></strong><small>Adobe Creative Cloud Community Manager</small>
<p>アドビのクリエイティブ製品Creative Cloudのコミュニティマネジャー。世界100都市以上で開催する延べ30,000人のクリエイターが参加するコミュニティーイベント「Adobe Creative Jams」のアジア開催を主宰。また、「デザインの力」と「地域活性」や「教育」を掛け合わせた課題解決型プログラム「Adobe Design Jimoto」を立ち上げ、各地域のクリエイティブコミュニティーや地方自治体と連携し、産業を横断したさまざまな場づくりを手がける。</p></aside></p>

<p>PhotoshopやPDFなどで有名なソフトウェアメーカー、アドビシステムズ（以下、アドビ）が2016年から続けている活動のひとつに、「Design Jimoto（デザインジモト）」というイベントがある。地域の課題解決や地方創生を「デザインの力」によって行うことを目的としたコミュニティ・イベントで、この1月には宮城県・気仙沼市で開催された。</p>

<p>Design Jimotoは、全世界にユーザーのいるアドビの中でも、日本だけで行われている独自の企画である。立ち上げたのは、日本国内のクリエイティブ・コミュニティの創出と活性化をミッションとしているコミュニティマネジャーの武井史織だ。</p>

<p>顧客と長期的に関係を築く「エンゲージメント」の重要性や、デジタル化が進む時代だからこそ逆にオフラインの接触の価値が高まるというのは、さまざまな方面で語られるところだ。そうした文脈で「コミュニティ」という言葉を聞く機会も増えているように思えるが、今回は武井の話から、あらためて「なぜいまコミュニティなのか？」を考えてみたい。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0120final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>アドビでは日本初のコミュニティマネジャー。世界各地の同僚とコミュニケーションを取って参考にしながら、国内独自のプロジェクトも立ち上げている。</figcaption></figure></p>

<h2>参加者の気持ちがアガるイベントにする</h2>

<p><strong>──はじめに、コミュニティマネジャーとしての武井さんのお仕事がどういったものなのかを教えてください。</strong></p>

<p>私が扱っているのはCreative Cloudという、主にクリエイターの皆さんに使っていただくツールですが、そのコミュニティを創出したり、活性化したりするのが私のミッションです。</p>

<p>3年前にアドビに入社して、最初にやったのは「Adobe Creative Jams」というイベントです。ひとことで言うなら、クリエイターの「天下一武道会」。3時間という制限時間以外はルールなしで、当日発表されるお題に沿って作品をつくり込んでもらい、一般観客に向けて発表、そして最後に会場全員投票で優勝チームを決めるというものです。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?&amp;v=UpxiSW-KhNs
<figcaption>2016年に東京で開催した「Adobe Creative Jams」のリポート動画。お題は、「初心忘るべからず」。Movie by <a href="http://swimmy.org/">Creative Hub Swimmy</a></figcaption></figure></p>

<p>どうとでも調理できるお題に対して、クリエイターの皆さんには本当に自由に作ってもらうことを心がけています。というのも、普段のクライアントワークには、どうしてもいろいろと制限があるじゃないですか。その中で評価されるというのももちろん大切なことですが、そういった枠を一回全部取り払った状態で、何でも自由に表現していいとしたら、どんなものが生まれるか。そうやって各人のクリエイティビティを発揮してもらうことを目的としています。</p>

<p>このCreative Jamsは全世界100都市以上で開催されているイベントですが、それを日本でもやっていくなかで、「こうしたイベントに、もっと社会的インパクトを持たせることはできないだろうか」という思いが私の中に芽生え始めました。それで2年前に立ち上げたのが、「Design Jimoto」というイベントです。</p>

<p><strong>──どんなイベントなんですか？</strong></p>

<p>デザインの力を軸に、クリエイターと地元のコミュニティが一緒になって、地域の課題を解決していくイベントですが、目的は2つあります。</p>

<p>ひとつは、クリエイター自身の才能を、イベントから生まれる作品を通して外に発信すること。もうひとつは、地元の情報を伝えることです。地元にこういう課題がある、あるいはこういう魅力があるということを発信していく。もちろん課題よりも魅力であった方がいいわけですが、多くの場合、魅力があってもそれをいかに伝えるかに課題があるので、それをデザインの力で解決するということです。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>クリエイターはどこでも働けるのに、仕事は大都市に集中してしまう</p>
</div>

<p>......と、これが表向きに言っていることですが、実はもうひとつ、裏テーマがあります。それは、クリエイターの感覚と、地域のコミュニティの感覚の間にある「ギャップ」を少しでも埋めることです。クリエイターの特権って、本来であればどこでも働けることだと思います。でも、多くの仕事がやはり、大都市に集中してしまうため、地域で仕事がしたいと思っても、実際には仕事が得難いとか、あるいはクライアント側との認識のズレがあって、仕事がしづらい現状があるんです。</p>

<p>そういった声をたくさん聞いていたので、そのギャップを埋めるようなことが何かできないか、と。もちろんそれは直接的なものではなくて、体験の中から感じていただくということを意識してやっています。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?&amp;v=rSjO4DnrvPg
<figcaption>第三弾の「Adobe Design Jimoto」は昨年、奈良県で開催された。お題は、「奈良を訪れた人たちの飲食店選びの不安を解消してください！」</figcaption></figure></p>

<p><strong>──クリエイティブと地域コミュニティの橋渡しのような役割ということですね。企画、あるいは運営する上で大切にしていることはありますか？</strong></p>

<p>イベントをつくる際にはまず、地元の課題の洗い出しの部分から、地域の人たちと一緒に時間をかけて丁寧に行います。というのも、参加する方々には、取り組む課題を「自分ごと」として捉えていただきたいからです。イベントに参加される方の中には、自主的に参加する地元のデザイナーもいれば、一般の観客として参加したいという方もいます。でも、そのいずれにもちゃんと自分ごととして課題に対する「オーナーシップ」を持ってもらいたいと考えています。そこで初めてエネルギーというものが生まれると思うので。課題を解決した先に一企業だけが得をするのではなくて、地域社会全体が良くなる課題は何なのか、ということを課題の洗い出し段階でみんなで探っていきます。</p>

<p>オーナーシップの次に大切にしているのが、「デザイナーの気持ちがアガるか」ということです。イベント当日にお題を発表するのですが、その瞬間に参加デザイナーさんたちの表情に表れるんです。パッと明るくなる人もいれば、頭を抱える人もいる。やっぱり楽しくなくちゃ熱は生まれないので、デザイナーたちの感情をつかむことも大切だと思っています。</p>

<p>当日のお題発表から、2人1組のチームに分かれて実際にデザイン制作していきます。最後に各チームがアイデアを一般観客に向けて発表し、優勝アイデアを決めるのですが、そのアイデアをもとに行政なり地元の団体なりに実現してもらうのが、一番きれいなアウトプットの形です。まあ、途中でつまずくこともたくさんありますが（笑）。</p>

<p>という感じでプロフェッショナルのクリエイター向けのイベントをずっとメインに活動してきましたが、最近はここにさらに「教育」が加わって、子どもたちを対象にした「デザイン × 地方活性 × エデュケーション」という掛け算プロジェクトを行う機会が増えてきています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0099final.jpg">
<figcaption>アドビはさまざまな国の子どもたちを対象にアンケート調査を行った。投げかけた問いは「Do you think you are CREATIVE？＝自分のことをクリエイティブだと思いますか？」出典：アドビ「Gen Z in the Classroom: Creating the Future（教室でのZ 世代：未来を作る）」</figcaption></figure></p>

<h2>「自分は創造性がない」と考える日本の子どもたち</h2>

<p><strong>──教育に目を向けたのはどうしてですか？</strong></p>

<p>日本の12〜18歳、他国の11〜17歳を「Z世代」と定義づけて、世界5カ国（日本、米国、英国、オーストラリア、ドイツ）の子どもたち約2700人を対象にアンケート調査を行いました。そこで投げかけたのは「Do you think you are CREATIVE？＝自分のことをクリエイティブだと思いますか？」というシンプルな質問だったのですが、その結果が衝撃的なものだったんです。</p>

<p>アメリカはもちろん高くて、47%が「YES」。イギリスでもドイツでも40%前後。それに対して日本の子どもで「YES」と答えたのは、なんと8%にとどまっているんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0103final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>日本のZ世代で、自分が「創造的」だと回答した子どもは8％という結果に。欧米諸国と比較するとその差は歴然だ。</figcaption></figure></p>

<p>もちろん、答え方には文化的背景の違いが表れることもあるので、一概にこの結果がすべてとは受け止められないとは思います。日本人は自分のことを控えめに話すところがあるので。でも、それにしたってこれは大きな差ですよね。</p>

<p>「クリエイティブ」って、別に「つくること」を仕事にする人だけに必要なことではないじゃないですか。「これは国として大変だ！」と思ったわけです。</p>

<p>さらに、今年1月に発表した日本の教員・教育政策関係者を対象に行ったアンケート調査では、「創造的問題解決能力」育成の妨げとなっている要因として、「（教員自身の）ツールや研修、知識習得の機会が十分ではないと感じている」と答えた割合が、日本では約80%と、他国と比べて圧倒的に多かったのです。</p>

<p>教育者の方々は教えることに長けている人たちだと思います。ただ、この激動の時代、どうしても教え方が追いつかなくなっていくのは仕方がないことじゃないかと。であれば、産学一体となり、子どもたちがクリエイティブの成功体験を得られる場を提供していく必要があるのではないか、と考えました。</p>

<p>今回気仙沼で実施したデザインワークショップもそのひとつです。気仙沼市立唐桑中学校の美術の先生が外のエネルギーを取り込むことに非常に前向きな考え方をお持ちの方で、4時間の授業の枠を使って、実施することができました。気仙沼のオリジナルパッケージをつくるというお題を、東北にゆかりのあるプロのクリエイターと中学生がチームを組んで、地域の魅力の詰まった町ブランドの紙袋をデザインしました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0086final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>いまの社会に対して抱いている違和感を、周りに伝えていくことをいつも大事にしているという。</figcaption></figure></p>

<h2>「なぜそれをやるのか」でつながっていく</h2>

<p><strong>──今回、開催地が気仙沼だったのは、やはり震災があったから？</strong></p>

<p>そうですね。もちろんタイミング的なものもありましたが、やはり2011年の震災以降、「復興、復興」と言われ続けてきたものが、少しずつ断ち切られていくような感覚もあると地元の方々から聞いていたので。</p>

<p>なおかつ、今回に関しては、もともと東京で活動していたデザイナーさんで、震災を機に向こうにUターンされた方がいました。「デザインの力」で町に対してできることが多いはずという想いを持ってUターンされたのですが、なかなかデザインというものを理解してくれる環境が整っていないということで、とても苦労されていました。その彼女から相談を受け、ビジョン共有をし、パートナーシップを組むことになり、地元コミュニティーを巻き込んだ今回の気仙沼での実施へとつながりました。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>「なぜそれをやるのか」。私が持っている「なぜ」と、彼らの持っている「なぜ」が合うかどうか。</p>
</div>

<p>アドビが地方を訪ねて一発の花火を打ち上げて帰ってくるようなイベントでは意味がないと考えています。その先に、地元で活動している人がローカルヒーローとなり、さらに活躍しやすくなるものでなければ継続性のある未来は描けません。</p>

<p>なので、そういった活動をされている方々との掛け算をする際に、とにかく大事にしているのが「Why」です。「なぜそれをやるのか」が明確にあるかどうか。私が持っている「なぜ」と、彼らの持っている「なぜ」が一致するかどうか。</p>

<p>今回の気仙沼のケースもそこが一致した結果です。結局のところ、ビジョンの共有されたものが熱量を生み、アドビが抜けた後も持続するエネルギーにつながっていくのだと考えています。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=efiP74e_doY
<figcaption>「Design Jimoto Student with Pensea Next Switch in 気仙沼」。唐桑中学校の2年生41名が8チームに分かれ、町ブランドの紙袋デザインに挑戦した。Movie by <a href="https://yuuubooocom.wixsite.com/yubosugawara">菅原結衣</a></figcaption></figure></p>

<p><strong>──イベントという点を線にするために、他に意識してやっていることはありますか？</strong></p>

<p>例えば今回の気仙沼の例で言えば、地元パートナーとタッグを組んだことで、作品発表と投票に気仙沼の菅原市長も参加してくださって、優勝アイデアは実際に町の新しい紙袋として使われることを検討してくれています。そうすると、このイベントで子どもたちが得た成功体験が実際の形となって広がっていくわけじゃないですか。</p>

<p>あるいは、Creative JamsにしてもDesign Jimotoにしても、3時間かけて一気に作るような体験を共有すると、それが終わってふと力が抜けた時に、お互いが「同志」みたいに近い関係になるんですよね。普段は違う会社だからほとんど話したことがない人たちが、点ではあってもこうした熱量のあるイベントを通して時間と課題を共有することで、そこから「いまこんなことやってるんだけど」「ああ、だったらこういう形で一緒にできるじゃん！」というカジュアルな場から新しい芽がどんどん生まれるのです。</p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>どんな作品であれ、必ず作り手の名前が明らかになるようにする</p>
</div>

<p>だから、大切なのはアドビがいかにコントロールするかということではなく、参加者一人ひとりが何らかの成功体験を得られる場にすることだと考え、それを追求しています。</p>

<p>そのためには形にする、ということも大切ですし、イベントから出てきた作品は、必ず作り手のクレジットを入れて公開します。それがたとえ公的なものだったとしても、必ず作者のクレジットを入れてもらえるよう交渉します。作者の名前がきちんと前に出ることで、それを見た誰かが、また新たな案件をその人に持ちかけるというように、小さな点でも次の可能性につなげられるよう、細やかな対応を心がけています。</p>

<p>アイデアを形にした人の名前が前に出ることをNGとしてしまったら、それは人間の退化、ひいては国の退化だと考えています。作り手の名前が前に出ることを許容する社会こそが、イノベーションを生む土台となる、真に「表現しやすい社会」と言えるのだと思います。</p>

<p><strong>──ビジネスの世界でも、日本企業は個人が前に出ることをなかなか許さないという問題がありますね。</strong></p>

<p>本当にもったいない！　なぜなら、アイデアを形にした人の名前がきちんと前に出ることは、自分ごととして「オーナーシップ」を持つ人数が増えるということで、その周りの人たちがさらに自主的に広めてくれる機会の創出につながるわけです。囲うことでその会社のブランドのように見せたいという気持ちがあるのかもしれませんが、10年前、20年前ならまだしも、「いまさらその考え方？」と驚いてしまいますね（笑）。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0071final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>武井は何かやりたいことを思いついたら、すぐに企画書をまとめて米国本社に直談判しに行くという。</figcaption></figure></p>

<h2>リアルな出会いがエネルギーを生む</h2>

<p><strong>──いま、熱を伝える、点を線にするために「コミュニティ」が重要だと多くの企業が気付き始めているタイミングだと思うんですけど、お話を聞いていると、武井さんは「リアル」にこだわっているように見えます。例えば日本にも上陸したWeWorkは、リアルを重視してコワーキングスペースを作る一方で、それを補完するためのものとしてデジタルの仕組みも作っている。リアルとデジタルの関係については、何かお考えがありますか？</strong></p>

<p>そういう意味で言えば、アドビには「Behance（ビハンス）」があります。Behanceはクリエイターのプラットフォームで、全世界で1000万人以上のクリエイターが登録して、自分の作品を公開したり、お互いにコミュニケーションしたり、あるいはクライアント企業がそこでタレントサーチをする場として活用されています。私がオフライン中心に自由に活動できるのも、アドビとしてオンラインと連携できる土台が確立されているから、というのはあるかもしれないですね。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>インパーソンで感じるエネルギーには、なにものも敵わない</p>
</div>

<p>デジタル化することで、コンテンツ自体が一人歩きし、どんどん波及する時代、それはデジタルの素晴らしいことだと思います。でも一方で、実際に会ってビジョン共有したところから生まれるエネルギーには、なにものも敵わないとも思っています。ライブで感じたその場の空気、共有した課題意識、五感どころか第六感まで使って感じるような、そこでしか味わえないインパクトは、なにものにもかえがたく、体内に残ると思っています。</p>

<p>Design Jimotoを奈良で行った際も、実際に会ったときに生まれるエネルギーを実感しました。多くのクリエイターさんはそれぞれ自分の案件で多忙だったりするため、同じ町に住んでいて、お互いのことをなんとなく聞いたことがあるクリエイター同士であっても、意外にもこういう場で顔を合わせて「はじめまして」だったりする。</p>

<p>でも、その「はじめまして」から始まったイベントの打ち上げの場で、「いまこういうプロジェクトやってるんですけど、これ一緒にやってもらえませんか？」「もちろんです」っていう輪がどんどん広がっていくのです。やっぱり実際に会って心の部分がつながると、共有できるエネルギーレベルが全然違います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0168final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>アドビの日本オフィスに置かれた「Adobe Remix」作品の前で撮影。Adobeの「A」のロゴマークをモチーフにしたイラストが描かれている。作者は、デザイナー兼アーティストのタカハシヒロユキミツメ。</figcaption></figure></p>

<h2>企業のメリットだけでは広がらない</h2>

<p><strong>──そうしたイベントやそこから生まれるエネルギーや熱量が、地域のコミュニティやクリエイターにとって大切なのはわかります。あらためてここでお聞きしたいのは、アドビとしてなぜそこにパワーを注ぐのか、ということです。</strong></p>

<p>そうですよね。よく聞かれます（笑）。「それってアドビさんがやってたの？」って。でも、特にDesign Jimotoに関して言えば、別に上司に言われてやっているわけではないのです。日本の現状を考慮した上で、私が「絶対にやるべきだ」と思ったことを、本社のあるサンフランシスコまで直談判に飛んで、形にしたものなので。</p>

<p>私自身もそうですが、アドビとしても「ユーザー目線でのコミュニケーション」を大切にしています。「クリエイターにとってのツール」ということを掘り下げていくと、要は、表現したいものを表現するためのツールということですよね。つまり、表現したいアイデアが主軸としてあるべきで、ツールの立ち位置はサポート側でなければいけません。アイデアを形にしたい人が好きなときに、好きな方法で制作することができて、その作品が評価されれば、それに付随して自然とツールの利用価値も上がると考えています。これが、私たちがコミュニティを大切にする理由のひとつです。</p>

<p>もうひとつあるとすれば、やはり企業にとってのメリットだけを追求していたのでは限界があります。例えば今回、気仙沼でデザインワークショップを実施しましたが、数字だけを追うのであれば、そこじゃないという判断になりますよね。KPIを参加者数ということに置くのであれば、当然人口の多い東京でやった方がいいということになるので。</p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>「表現しやすい社会をつくる」こと目指せば、最終的にはアドビのユーザー数増加につながる</p>
</div>

<p>ただ、それではそのあとにスケールしないと思っています。アドビとして最終的に目指しているのは「表現しやすい社会の創造」です。そういう社会をつくることができれば、結果として自由を大切に働けるクリエイティブ人口が増え、ツールを活用してくれるユーザー数増加にもつながると考えています。</p>

<p><strong>──本当に素晴らしいと思うんですけど、実際にそれをできる会社はそんなにないかもしれないですよね。</strong></p>

<p>そんなことはないですよ！　一番大切なのは「Why」。そしてそこに熱量さえあれば、あとは掛け算の仕方を考えればいいだけじゃないですか。その掛け算の仕方に迷うときは、素直に周りの人に相談します。</p>

<p>私は自分の得意分野ではないことに対してはすぐに甘えます（笑）。「得意じゃないので、ここ助けてください！」って。そういう素直なコミュニケーションをお互いに持てたら、難しく感じられることも意外と突破口を見つけられたりするんですよね。その時に協力してもらうためには、やはり普段から言葉にしてビジョンを丁寧に共有していくことが大切ですね。</p>

<p><strong>──最後に、あらためて武井さんにとってコミュニティマネジャーの仕事とは？</strong></p>

<p>仕事でもなんでも、すべてのことは何かと何かの接点から生まれていくと考えています。私に求められているのは、そうした接点をひとつでも多く作り、そこからさらなるエネルギーや熱量を生むこと、そういう接着剤とか潤滑油のようなものなんじゃないかと。そのコミュニティにとって、個人にとって、企業にとって必要なものを、互いに空気をよく通せるようにする役割ですかね。</p>

<p>コミュニティ「マネジャー」という名前にはなってはいますが、実際は何もマネージしていないです。マネジメントなんて、したくてもできないですよ。だってそれはアドビのコミュニティではなくて、クリエイターのコミュニティなので。むしろコミュニティ・ノット・マネジャー（笑）。そう呼ぶ方が本当は合っているのかもしれないですね。</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="7010701011841"></div>
]]>
        
    </content>
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    <title>打ち合わせ前のアイスブレイクに。取引先のニュースを受けとり、会話を膨らませましょう - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/03/eight-tips-vol4.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9001</id>

    <published>2018-03-05T06:56:00Z</published>
    <updated>2018-12-27T09:46:54Z</updated>

    <summary>Eightの便利な使い方を紹介する「Eight Tips」。今回は、日経電子版と接続し、つながっている人の会社のニュースを受けとる方法を解説します。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eight Tips" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>訪問したとき、あいさつの後に何を話していますか？　時事ニュースやオフィスの感想などさまざまかと思いますが、相手の会社に関するニュースも会話が膨らむトピックスのひとつでしょう。</p>

<p>Eightでは、つながっている人の会社のニュースを、毎日フィードで受けとれます。製品リリースや受賞などのニュースは、アイスブレイクの話題として最適です。その会社の「<a href="https://bnl.media/2018/01/eight-tips-vol1.html">企業タグ</a>」を付けて感想やコメントを投稿すると、関係者のフィードにも配信できます。</p>

<p>取引先と会話を膨らませて、次の仕事につながる関係づくりを。さっそくEightでニュースを受けとりましょう。</p>

<h2>簡単な設定だけで、日経電子板と接続</h2>

<p>つながっている人の会社のニュースが、日経電子版に掲載された場合に、フィードに表示されます。</p>

<p><img alt="news_1.jpg" src="/uploads/news_1.jpg" width="328" height="548" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>

<p><font size=-1>※ ニュースは1日3回、朝昼晩に配信されます。画像は朝に配信されるニュースのイメージです。昼、夜に配信されるニュースに関しては、それぞれ「昼のニュース」「夜のニュース」と表示されます。</font></p>

<p>1）「プロフィール」タブを選択して、画面右上の歯車マークをタップ <br />
2）「外部サービス接続」をタップ <br />
3）「NIKKEI ID」ロゴの右の「接続する」をタップ <br />
4）日経電子版にログインしたら、接続は完了です</p>

<p><img alt="news_2.GIF" src="/uploads/news_2.GIF" width="300" height="560" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>

<h2>会話のきっかけに、コメントを付けてシェア</h2>

<p>ニュースに対するコメントをシェアしたいとき、「企業タグ」を付けると、ニュースに関連する企業の関係者にも、投稿が配信されます。新サービスに対する感想や、受賞へのお祝いの言葉などを届けましょう。</p>

<p>「今朝のトピックス」で、記事タイトルの横にある「シェア」ボタンをタップすると、コメントを付けて投稿できます。「企業タグ」を付ける方法については、以下の関連記事をご覧ください。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/01/eight-tips-vol1.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/eight_tips_companytag_main.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>関連記事：ビジネスニュースを、その関係者に広める「企業タグ」の使い方</strong></div></a></div>

<h2>すぐニュースに気づくための通知設定</h2>

<p>つながっている人の会社のニュースが配信された場合に、通知を受けとれます。</p>

<p>1）「プロフィール」タブを選択して、画面右上の歯車マークをタップ <br />
2）「通知」をタップ <br />
3）「ニュース通知」をオンに設定  </p>

<p><img alt="news_3.GIF" src="/uploads/news_3.GIF" width="300" height="560" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>
]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>ネタはあるのに、なぜ企画が生まれないのか？ 雑多な情報をまとめ、アイデアに変える『すごいメモ。』 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/02/BNLBooks-VOL2.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.9000</id>

    <published>2018-02-28T02:43:00Z</published>
    <updated>2018-05-08T02:46:43Z</updated>

    <summary>未来の自分がアイデアを考える助けになる「メモの使い方」の解説書を紹介する。Eightでも名刺にメモを付ける際の参考になるだろう。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/10927268030">小西 利行</a></strong><small>POOL inc.代表/コピーライター/クリエイティブ・ディレクター/劇作家/絵本作家。</small>
<p>
1968年生まれ。京都府出身。大阪大学卒業後、1993年に株式会社博報堂入社。2006年に独立し、POOL inc.を設立。「伝わる言葉」を掲げ、CM制作から商品開発、都市開発までを手がける。  主な仕事に、サントリー「伊右衛門」「ザ・プレミアム・モルツ」、TOYOTA「もっとよくしよう」、ライザップ、PlayStation4「できないことが、できるって、最高だ」キャンペーンなど。本書は、著者がこれまでの二十数年間のキャリアのなかで培い、現在の仕事を支えている「メモ術」についてまとめた1冊。
</p></aside></p>

<h2>雑多な情報をまとめ、アイデアに変える『すごいメモ。』──BNL編集部の選定理由</h2>

<p>この本のタイトルを見たとき、「メモ」という単語に「すごい」と付いている違和感から、興味を惹かれた。メモといえば、新人が先輩のアドバイスを忘れないためのメモや、議事録などのイメージがあったからだ。</p>

<p>『すごいメモ。』では、そうしたイメージを覆す、企画立案やプレゼンテーションに役立つ、メモの使い方が紹介されている。未来の自分がアイデアを考える助けになるメモのまとめ方や、企画を有効に伝えるプレゼン資料の作り方などが分かる。</p>

<div class="round-box fl fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/02/bnl-books.html">
<h4>新セクション「BNL Books」とは</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/books_500.jpg">
<div class="info"><strong>ようこそ、BNL Booksへ</strong></div>

<p></a></div></p>

<p>なかでも第1章の「デジメモ検索」では、デジタルサービスを使ったメモのまとめ方を解説しており、Eightでも名刺にメモを付けるときの参考になるだろう。アイデアが必要なとき、すぐにメモを検索するためのキーワードの例が紹介されている。例えば、あらかじめ名刺に「イベント」「協力者」「重要」などのキーワードを付けておいたら、イベントの企画を考えるとき、登壇者やクリエイターなどをすぐに検索できる。</p>

<p>雑多な情報をまとめて企画のたねに変える方法は、名刺を管理して次の仕事につなげるヒントにもなるのではないか。</p>

<p><strong>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4761271426">こちら</a>。（Amazon）</strong></p>

<hr />

<h2>要約者レビュー</h2>

<p>「見やすいメモの取り方がわからない」。「メモを取ったはいいけれど、その後見返したことがない」。こうした経験をしている人は多いだろう。本書ではコピーライターとして数々の素晴らしいアイデアを生み出してきた著者が、20年以上にわたり改良を重ね、自らも実践してきたメモ術を余すことなく紹介している。前述の悩みもこの1冊を読めばあっという間に解決することだろう。さらには、メモは単なる過去の記録ではなく、「未来の自分」に向けたメッセージなのだと、発想転換がなされるはずだ。</p>

<p>本書で解説されているメモ術は、「まとメモ」「つくメモ」「つたメモ」の3つに大別される。「まとメモ」は情報を上手にまとめて仕事の効率を高めるメモであり、簡単な記号を使い、吹き出しを書くだけで見やすいメモが完成する。つづいて「つくメモ」は、既存のアイデアを組み合わせて斬新なアイデアを生むためのメモを指す。「つくメモ」を活用すれば1時間に100個のアイデアを出すことも夢ではない。また、「つたメモ」は伝えたい情報が的確に相手に伝わるためのメモである。著者は、読み手に注目してもらえる見出しのつけ方から、耳目を集めるスピーチの裏技まで、具体的なメモ例とともにわかりやすく伝授する。</p>

<p>本書には実際に手を動かしてメモを書く部分もあるので、メモ帳を片手に取り組んでいただくと、よりいっそう内容の理解が深まるはずだ。著者が編み出した「小西メソッド」の威力をぜひ実感してほしい。</p>

<hr />

<h2>本書の要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> <br />
メモはその時取って終わりではなく、考えるきっかけを未来の自分へ残すためのものである。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong> <br />
人間の記憶は時間とともに必ず風化してしまうものなので、記憶力に頼らずその時の状況が一瞬で思い出せるようなメモを書くことが重要である。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong> <br />
本書では、情報を整理するためのメモ術だけでなく、メモを使って新たなアイデアを生み出し、人にうまく情報を伝えるためのメモ術も紹介されている。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/01/eight-tips-vol2.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/eight_tips_label_main.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>関連記事：名前や会社名を忘れても、キーワードで名刺を探し出せる「ラベル」と「メモ」の活用術</strong></div></a></div>

<h2>仕事を効率化するメソッド「まとメモ」</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/circle-720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/metsuke_es/14335962703/">"Lo dire claro"</a> by Raul Carrillo Garrido (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0/">CC BY-SA 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>未来の自分にポイントを「〇」で教える</h3>

<p>どんなにたくさん情報があっても、使えない情報はゴミ同然と言ってもよい。「まとメモ」は、洪水のような大量の情報を整理し、未来の自分が情報を活用できるようにするためのメソッドだ。</p>

<p>一番簡単な方法は、メモに「〇」をつけることである。「〇」をつけて見るべきポイントを明確にしておくと、後からメモを見返したときに混乱しないし、自然と重要なポイントに目が行く。ただしこの方法にはいくつかルールがある。</p>

<p>まず、「〇」の数は1つのメモに最大3つまでにするのが望ましい。あれもこれも大切だからと「〇」をつけすぎると、結局どれが重要なのかわからなくなってしまうからだ。</p>

<p>ルールの2つ目は、どこかに書いてあることには「〇」をつけないことである。企画書など、すでに文書になっているものは、元の文章を見ればよいので、わざわざメモする必要はない。むしろ、自分が大切だと思った考えや後で調べる必要のあることなど、書いておかないと忘れそうなことに「〇」をつけるのがよい。</p>

<p>ルールの3つ目は、疑問点には必ず「〇」をつけることだ。「これはなぜか?」というシンプルな疑問こそが、未来の自分に考えるきっかけを与え、真の課題をあぶり出すことにつながるからである。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/9670773843_c45204a578_k.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/nikkijwragg/9670773843/">"Arrows"</a> by nikkijw (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>混沌としたメモに「矢印」で秩序を</h3>

<p>「どういった順序で考えればよいかわからない」「考えることが多すぎる」。こうした状況を解消するには、矢印「←」を使ってメモに秩序をもたらすのが効果的だ。ランダムに置かれた情報を矢印でつなぐだけで、情報同士の関係性が明確になり、理解しやすくなる。また、このメモを他人が読む場合にも、矢印を追いながら読み進めることで論理的に理解できる上、徐々に結論に近づいている気持ちになり読む快感も増すという効果がある。さらに、何気なく矢印でつないでみた2つのものの関係性に、思わぬ矛盾を発見できるというメリットもあるのだ。</p>

<h3>一目で理解、「記号」を活用</h3>

<p>視覚的に理解しやすい記号を多用することで、見やすいメモをつくることができる。対立するものには「VS」、わからないことには「?」、対比物には「⇔」などと、自分にとってわかりやすく使いやすい記号を用いてみよう。</p>

<h3>吹き出しは未来の自分への指示書</h3>

<p>人間は忘れやすい生き物である。いくらメモを残していても、その情報をどうしようとしたのかを忘れてしまっては、せっかくのメモが活きてこない。そこで登場するのが「吹き出しメモ」である。未来の自分に「こう考えてね」「ここを解決してね」といった指示を吹き出しで残しておくことで、その情報を使えるようにするというものだ。未来のよいより気づきのために、吹き出しを添えることを推奨する。</p>

<h3>検索機能を活かすなら「デジメモ」</h3>

<p>手書きではなく、EvernoteやGoogleドキュメントなどのデジタルサービスを使った「デジメモ」を紹介する。</p>

<p>デジタルのメモのよい点は何といっても「検索」ができることだ。紙のメモは簡単に図が描けるといった長所がある一方で、検索性に欠けるという欠点がある。その点、デジタルのメモは、検索により目当ての情報を一発で取り出すことができ、急な案件にも対応が可能だ。</p>

<p>ただし、検索をスムーズにするにはタイトルを少しばかり工夫する必要がある。というのも、日付やプロジェクト名だけをタイトルにすると、未来の自分がその日付やプロジェクトを思い出すとは限らず、情報が埋もれてしまう恐れがあるからだ。ここでも未来の自分が検索しそうなキーワードを想定し、複数個タイトルに入れておくことで、探していたメモをすんなりと見つけることができる。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2016/08/fukuda.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_MG_1679_final-1094.jpg');" class="img"></div>

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<h2>アイデアをざくざく生むメソッド「つくメモ」</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/36054876150_e6cffd09c3_k.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/paulmans/36054876150">"Paweł Mansfeld Follow
Tatra mountains 4K - 3"</a> by Paweł Mansfeld (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/2.0/">CC BY 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>縛りがあるからこそクリエイティブになれる「ハードルメモ」</h3>

<p>つづいて、メモからクリエイティブなアイデアを生み出すメソッドを紹介する。</p>

<p>アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせだ。クリエイティブだと言われている人もゼロから独創的なアイデアを思いつくわけではなく、クリエイティブなアイデアの出し方を知っているにすぎない。そのために活用してほしいのが、「つくメモ」である。</p>

<p>「つくメモ」の中で最初に紹介するのは、「ハードルメモ」だ。タイトルが決まると話の中身が書きやすくなるように、人はルールがあると考えやすくなる。「自由に」「何でもいいから」と言われると、とっかかりがないためにアイデアを出すことができない。一方、例えば、「コストを3分の1にしてクオリティは上げろ」といった目的を明示して、超えるべきハードルを設けることで、人は考えを深め画期的なアイデアを生み出すことができる。</p>

<p>それを言葉にしたのが「ハードルメモ」だ。このハードルメモがあれば仕事の目的がはっきりするためにメンバーやクライアントとイメージを共有しやすくなり、チームの合言葉にもなり結束力を高めてくれる。</p>

<p>「ハードルメモ」をたった3秒で書くコツは、目標を「それは本当に、〇〇〇するか?」という文に当てはめるというものだ。〇〇〇にはチームの目標が入り、例えば帝国ホテルの目標が「帝国ホテルのサービスを向上する」だったならば、「それは本当に、帝国ホテルのサービスを向上させるか?」となる。あとは、具体的な個々のアイデアがこのルールに当てはまるかどうかを考えればよい。また、目標がハードル化されると、人はハードルを越えようとするため、精度の高いアイデアが集まるというメリットもある。</p>

<h3>脳がますます喜ぶ「マンガメモ」</h3>

<p>脳は絵やマークが入っていた方が物事を簡単に理解することができ、断片的な情報よりも、ストーリー化された情報の方が覚えやすいという特性を持っている。そこでイラストとセリフというマンガの特徴を生かして想像力を刺激しようというのが「マンガメモ」である。マンガメモと言っても、吹き出しにそれぞれの意見を書き込むというシンプルなものだ。こうすることで、情報が視覚化されて見やすくなり、内容が飲み込みやすくなる。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/12188421633_5dd231aa24_k.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/92416586@N05/12188421633/">"Bachelor Students - Chemistry Lab"</a> by NTNU, Faculty of Natural Sciences (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by/2.0/">CC BY 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>クリエイティブなアイデアを生む2つの三角メモ</h3>

<p>次に、短時間でたくさんの画期的なアイデアを出すことができる2つの方法を紹介する。ずばり「ブラック三角メモ」と「ホワイト三角メモ」だ。両方とも2つの三角形を左右からリボンのように交わらせて描く簡単なものである。</p>

<p>ユーザーの不満から隠れニーズを探る「ブラック三角メモ」では、右手の三角形にユーザーの不満を、左側の三角形には今の技術でできそうなことや商品情報を書き連ねていく。そして2つの三角形が交わってできる真ん中のひし形に、その左右の条件を満たすようなアイデアを書いていくだけだ。このアイデアこそが、ユーザーの「隠れニーズ」を解決するものなのだ。</p>

<p>一方、「ホワイト三角メモ」は短時間でアイデアを量産するためのメソッドだ。まず解決したい課題を設定し、先述した図の左側の三角形にその課題に関係することを書きこむ。例えば「銭湯に若い女性を呼び込む」ことが課題なら、左側には「コーヒー牛乳」や「富士山の絵」「えんとつ」といった言葉が入る。次に、右側の三角形にターゲットの好きなことをリストアップする。この場合若い女性がターゲットなので、「壁ドン」「イケメン」「美白」といったワードが入るだろう。最後に、左と右のキーワードをつなげて面白い言葉を作るのだ。具体例として、「富士山の壁で壁ドン」「コーヒー牛乳美白」「イケメン煙突」などを挙げることができる。ちぐはぐでそのままでは使えないものもあるが、この方法を実践することで普通に考えていたら思い付かないような面白いアイデアが生まれる。</p>

<p>よいアイデアを生み出すためには、とにかくたくさんのアイデアを考えて、そこからよいアイデアを選ぶしかない。これを繰り返し続けることで、コンスタントにクリエイティブな発想ができるようになる。</p>

<hr />

<h2>大切なことを伝えるメソッド「つたメモ」</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/37456427765_0b0cc1f79c_h.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/stratman2/37456427765/">"Headlines"</a> by stratman² (2 many pix!)
 (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>一言で読みたくなる「『見出し』メモ」</h3>

<p>人に自分の考えを伝えるときに大事なのは、「伝える」ではなく「伝わる」ことを意識する点である。聞き手の理解を意識せず届けられたアイデアは、聞き手の中に浸透しない。そこで登場する「つたメモ」は、聞き手に伝えたいことがより興味深く、面白く、正確に伝わるためのメソッドである。</p>

<p>「つたメモ」の中で、最初に紹介するのは「『見出し』メモ」だ。興味を惹かれる見出しを見て中身を読みたくなった経験は読者のみなさんにもあるだろう。「『見出し』メモ」はその効果をねらうためのものだ。見出しは「メモ年月日+その内容+そのときのメンバー」が基本形だが、会議でのメモであれば一言そのときの会議での発言を加えるだけで、メモの臨場感がグッとアップし、続きを読みたいという気持ちを喚起してくれる。このように、注意を引く見出しをつけることで、他人だけでなく未来の自分もメモに興味を持ちやすくなるので一石二鳥といえよう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/37c3eb5aa745ea3505d0d5f0c32497f95dad4f43.png" alt="" title="" />
<figcaption>ベストセラーや話題の雑誌のタイトルには、実はスピーチに応用できるヒントが隠されている。</figcaption></figure></p>

<h3>話すのがうまくなる!「スピーチメモ」</h3>

<p>面白いスピーチのヒントは書籍の「タイトル」にある。タイトルには、その本に興味がない人にも興味を持ってもらうための工夫が凝らされている。</p>

<p>その工夫の1つ目は「なぜ?」という言葉だ。『さおだけ屋はなぜ潰れないのか？』というベストセラーは、まさにその好例だといえる。</p>

<p>そして2つ目のポイントは「呼応」である。人は呼びかけられると無意識に応えたくなるものだ。著者は、まだフェルメールが日本で有名になっていなかったときに、「君はフェルメールを見たか?」というキャッチコピーに遭遇し、つい「見に行った方がいい」と思ったそうだ。</p>

<p>3つ目のポイントは「数字」である。人間はとにかく数字に弱い。タイトルに「99%の～」「10の法則」などのように数字が盛り込まれた書籍に惹かれてしまうのだ。</p>

<p>スピーチをするときも、書籍のタイトルになりそうな一行の簡潔なメモを並べて話すようにすると、周囲から興味を持ってもらえる可能性が高まる上に、原稿にくぎづけになって下を向いたままという状況を防げるだろう。</p>

<p>（1冊10分で読める本の要約サービス <a href="https://www.flierinc.com/">flier</a>）</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/02/BNLBooks-VOL1.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/book_1.png');" class="img"></div>

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]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>作家と出会い、アートを買ってみることから始めよう──3331 Arts Chiyoda統括ディレクター・中村政人 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/02/3331-nakamura.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.8997</id>

    <published>2018-02-23T02:31:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T04:59:07Z</updated>

    <summary>新セクション「BNL Arts」の初回に登場するのは、3331 Arts Chiyodaの中村政人だ。彼はいま、3月7日から5日間に渡って開催する「3331 ART FAIR」の準備を進めている。作品の売り買いだけではなく、地域やアーティストとの関係性を大切にするアートフェアには、美術館やギャラリーにはない魅力があると語り、一度買うつもりで参加してみてほしいと誘う。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="アート" label="アート" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>中村政人</strong>
<small>アーティスト／command N主宰／3331 Arts Chiyoda統括ディレクター／東京藝術大学絵画科教授</small>
<p>1963年生まれ。秋田県大館市出身。「社会」や「教育」における美術の在り方を問いかけ、地域に活動の場としくみを生み出す実践を重ねる。第49回ヴェネツィア・ビエンナーレ（2001年）日本代表。97年よりアーティスト・イニシアティブ・コマンドNを主宰。2005年、アートスペース「KANDADA」（東京・神田）での活動を経て、2010年6月に「3331 Arts Chiyoda」を立ち上げる。2011年より東日本大震災復興支援「わわプロジェクト」を始動。2010年度芸術選奨文部科学大臣新人賞（芸術振興部門）受賞。</p></aside></p>

<p>東京・神田。秋葉原の喧噪と上野の山のにぎわいの中間地点に、「3331 Arts Chiyoda（以下、3331）」はある。閉校になった公立中学校を丸ごと改装し、再生させたアートセンターだ。2010年6月のオープンからまもなく8年目を迎える。</p>

<p>廃校を利用した文化施設というだけならそれほどめずらしくない。3331が突出しているのは、プログラムの多さと多彩さだ。展覧会やイベント、ワークショップ、講演会など、硬軟織り交ぜた企画を年間800から1000本も実施する。</p>

<div class="round-box fl fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/02/bnl-arts.html">
<h4>「BNL Arts」について</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/arts_500.jpg">
<div class="info"><strong>新セクション「BNL Arts」スタート</strong></div>

<p></a></div></p>

<p>3331のもうひとつの特徴は、施設の真ん中に大きなホワイトキューブを持っていることだ。かつての学校の雰囲気を生かし、親しみやすさを演出しながらも、アートに立脚したスペースだということを堂々と主張する。</p>

<p>3331の統括ディレクターを務めるのはアーティストの中村政人。中村は90年代の終わり、マクドナルドの「M」のネオンサインをかたどった大型作品を制作し、「彫刻」としてホワイトキューブに展示した。街の中で見慣れているものをアートの文脈に引き入れることによって、社会の側を照射する。その視点は「アートによる地域振興」が盛んに唱えられる現在を先取りする。</p>

<p>中村は3331を「アート、産業、コミュニティーを横断するクリエイティブハブ」と位置づける。その多層的なあり方がぎゅっと凝縮され、参加・体験できるイベントが、3月7日から開催される「<a href="http://artfair.3331.jp/" rel="nofollow">3331 ART FAIR 2018</a>」だ。社会とアートが出合う場を作り続けてきた中村に、ユニークなアートフェアの狙いを聞いた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU7337final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>2018年3月7日(水)～11日（日）の5日間で開催。第7回目となる今回は、従来取り組んできた展覧会型フェアとギャラリー出展型フェアを同時に行い、施設全体をダイナミックに活用して展開する。</figcaption></figure></p>

<h2>「アートプロジェクト」としての文化施設</h2>

<p><strong>──東京をはじめ各地でアートフェアが開かれるようになってきましたが、「3331 ART FAIR」の特徴はどこにありますか。</strong></p>

<p>7回目の開催となる今年は、1Fのメインギャラリーだけで65人のアーティストと、体育館には22軒のギャラリーや団体が出展します。期間中は、メインギャラリー、体育館、教室エリア、屋上など全館がフェア一色になります。エントランスのウッドデッキにどんと大きな作品を置いたりしてね。</p>

<p>今回、東京藝術大学や秋田公立美術大学、東北芸術工科大学など、大学が「出展ギャラリー」として参加します。これは初めての試みです。プロデビューする前のフレッシュな若手アーティストの作品を見ることができる。</p>

<p>一般的には多くの人が、アートを発表する場所はギャラリーと美術館だけだと思っていますよね。「3331 ART FAIR」はそれらとは少し異なる、オルタナティブなアートフェアを作っていきたいと思っているんです。</p>

<p><strong>──なぜそのようなアートフェアを作りたいと思ったのでしょう。</strong></p>

<p>それを説明するには3331という場所のことからお話ししたほうがいいかもしれません。</p>

<p>3331の母体となっているのはcommand Nというアーティストグループです。アーティスト主導で文化施設を継続的にマネジメントし、さまざまなプロジェクトを行っているというのはなかなかまれなことなんです。その"変わり種"のようなアーティストたちを中心にして、幾重にも輪が広がっています。</p>

<p>距離で考えてみましょうか。いちばん近いのは歩いてくる人たちですよね。ここはもともと公立の中学校だったんですが、子どもを通わせていたり、自分も卒業生だったりして、この場所に愛着を持っている地元コミュニティーの人たちです。次が周辺の企業で働く人たち。秋葉原の電気街や、千代田区のまちづくりに関わる人たちも含みます。次は、電車に乗ってくる人。「面白そうな展覧会があるから行ってみよう」とかね。さらに、新幹線でくる人。例えば僕は秋田の生まれですが、ここで観光物産をPRするイベントをしたいと言う人たちもいて、すでに年間プログラムに組み込まれています。もっと遠くだと、飛行機に乗ってくる人。3331ではレジデンス・アーティストを受け入れていて、１年のうち数カ月間ここに滞在して制作する作家がいます。</p>

<p>このように非常に多様な層の人たちに利用してもらえる「クリエイティブハブ」として、3331は機能しています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU7298final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>エントランスには学校の椅子が置かれていて、どこか懐かしい空気に包まれる。</figcaption></figure></p>

<p>ただ、そのように機能し始めるまではやはり壁がありました。町会の人たちはみんな神田っ子、江戸っ子です。「アートはわからん」「難しい」という偏見＝壁がある。「まちに開かれたアートセンターにします」と言ったところで、「全然開いてねえじゃねえか」と言われる。そこで僕らはまちに出ていくことを考えました。</p>

<p>例えば、アーティストの日比野克彦さんが主宰する「明後日朝顔（あさってあさがお）プロジェクト」。もともとは日比野さんが2003年に新潟県十日町市莇平（あざみひら）集落の人たちと始めたプロジェクトなんですが、いまでは29の地域に広がっていて、3331がある"千代田"もそのひとつです。日比野さんと地元の小学校のこどもたちや町会の人たちが共同で、全国から集まってくるあさがおの種を植え、育てます。全国大会もあって、毎年どこかに集まるんです。莇平や、富山県の氷見にも行きました。</p>

<p>「これはアートです」なんていちいち誰も言いません。日比野さんも「あさがおを育てる、明後日朝顔プロジェクトです」と言っているだけ。でも回数を重ねるたびに地域にゆるやかなつながりが生まれ、地域間の交流が生まれ、顔が見える者同士の信頼が生まれていく。そういう関係が生まれることが大事であり、まさしくここがアートとして社会的に機能させるポイントなんです。</p>

<p>つまり、アートが社会的に機能することにより、社会関係資本が獲得されていく。この地に生まれ、この地に暮らすことで身につく文化を大事にしよう。モノの売り買いだけではなく、関係を大事にしよう。3331はそこを狙って作っているんです。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=N7MW5FfSNw4
<figcaption>2016年に制作されたプロモーションビデオ。明後日朝顔プロジェクトの日比野克彦さんも登場している。</figcaption></figure></p>

<h2>作家たちから、時代のコードを読み取る</h2>

<p>アートフェアも、社会関係資本を構築するという考え方がベースにあります。現代アートというと一般に、名画がオークションで高値で取り引きされるというイメージがあると思いますが、投機の対象になり、値段を上げることが目的になったらもはやマンションを買うのと同じです。誰がどう介在しているのかもわからない。顔が見えないから信頼関係もない。そうではなく、この作家はこういう考えで制作していて、作品はこういうふうにできていますよということをちゃんと届ける。それをお金という価値に変える。経済活動に人間の思いや関係性というものを組み入れることにチャレンジしたいんです。</p>

<p><strong>──どんなアーティストが出展していますか。</strong></p>

<p>やはり若くてフレッシュな作家が多いですね。もちろんキャリアのある人もいます。例えば都築響一さんは、編集者としてのキャリアが非常にある方ですが、アーティストとして出展してくれます。作品も販売します。</p>

<p><strong>──1997年刊行の『TOKYO STYLE』は、写真集としても、その時代の若者の日常を伝えるものとしても、新鮮でかっこよくて、驚きました。メールマガジン「ROADSIDERS' weekly」もすごく面白いですよね。</strong></p>

<p>あれだけのコンテンツを作れるアーティストはなかなかいないですよ。自分の目で見て、自分で書いて、自分で伝えている。私は彼は「アーティスト」だと思っているので、アーティストとして出展してくださいと依頼しました。</p>

<p>また、全国6地域およびニューヨーク在住のアートの専門家に作家推薦者になっていただいて、それぞれの地域からいいと思う作家を推薦してもらいました。ローカルの作家の中には、いい作品を作るんだけどギャラリーが扱ってくれないのでアートフェアに出せないという人もいるんですね。なぜ扱ってくれないかというと、「売りにくい」から。</p>

<p><strong>──以前に3331 ART FAIRにきたときは、ものすごく大きいとか、造形に懲りまくっていて保管に困りそうだとか、そういう作品がありました。</strong></p>

<p>もちろんそういう作品ばかりではないですよ。手頃なサイズで、家に飾ったらキレイだろうなという作品もあります。ただ、僕も作家なのでわかるんですが、作家はいろいろ作りたいんです。作りたいんですが、売れにくいものばかり作ってしまう。むしろ「買えるものなら買ってみろ」という思いで作っていることもある。作家の心理は複雑なんです（笑）。</p>

<p>作家の、作ることへ向かうエネルギーはどこからくるのか。誰のために、何を考えているのかということは、非常に大事です。それはやはり、時代を表す証言でもあるからです。ゴッホでもピカソでもウォーホールでも、作品の内容をよく見れば、やはりその時代の考え方を反映している。ということは、いまの作家たちのメッセージを受け止めるということは自分たちの時代を受け止めるということでもある。若手であろうが無名であろうが、そういう目で作品を見れば、芸術的価値の中に潜む時代のコードを読み取ることができるんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU7318final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>デザイナーは他者の作品を参照して作ることもあるが、アーティストの場合はそういうわけにはいかないという。</figcaption></figure></p>

<h2>アートにとっての「新しさ」とは</h2>

<p><strong>──「アートに時代が反映される」という意味をもう少し教えていただけますか。</strong></p>

<p>現代アートの世界でいちばん難しいことは「新しさ」です。僕らは新しいものに飛びつきます。「新しいとは何か」ということを絶えず考えている。</p>

<p>デザインは引用することができますが、アートは少しでも誰かに似ていれば「似てますね」と評価されて終わりです。しかもアートの新しさには複数のレイヤーがあります。つまり、目の前に見えているものだけでなく、その背後にある思想まで見る。表面的には新しそうに見えても、背後にある考え方をひもといていくと、たいてい、歴史上すでにある考え方との類似点が発見される。だからこそ、真に新しい作品が生まれると世界的にその価値が認められるわけです。</p>

<p><strong>──単にみかけが新しいだけではいけない、と。</strong></p>

<p>そのあり方ですよね。作品の生まれ方と言ってもいいかもしれません。例えば僕は、この3331そのものを自分の作品だと思っています。事業として作品を作る人なんて、ほとんどいないでしょう？　でも僕はそういう思いで作っています。</p>

<p>ビジネスの世界では、例えば事業を興す人たちは、新しい流通経路、新しいサービス、新しい価値観を生もうとしてしのぎを削り合っていますよね。でもどんなものにも流れはあって、誰々さんが開発したものが、別のチームによって商品化されて、権利はこの企業が持っていて、それが別の企業に譲渡されて......という流れの中でひとつの事業体系が生まれてくる。もう少し視野を広げると「世界の中の日本」という産業的背景も描かれていく。</p>

<p>アートも同じなんです。ただアートの場合はインターナショナルなステージとローカルなステージの差異が定まりきってきない。ヨーロッパを源流とする現代アートは日本から見れば憧れる対象でしたが、そういう時代は終わりつつあります。「ヨーロッパから見ると僕たちはこう見えるよね」というプレゼンの仕方ではなくて、自分たちから「こういう作家がいる、これだけの面白い作品がある」とアピールしていかなければならない。僕にとってはそれがこの3331というプロジェクトなんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU7336final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>買うつもりで作品を眺めることで、美術館で鑑賞する時とはまた違った体験ができるという。</figcaption></figure></p>

<h2>買うつもりで作品を見てみよう</h2>

<p><strong>──3331 Arts Chiyodaという大きなアートプロジェクトの断面のひとつが「3331 ART FAIR」というわけなんですね。</strong></p>

<p>そうです。3331 Arts Chiyodaの名称を「Arts」と複数形にしているのは、食やファッション、音楽、さまざまなデジタルコンテンツ、すべてアートになりうる、アートの一ジャンルとしてお客様を迎え入れます、ということです。ですから3331 ART FAIRも、もしもアートに対して敷居の高さや壁を感じているのであれば、食のイベントやカフェ、マーケットを目当てにきていただいても全然構わないんです。どら焼きで有名な上野の名店「うさぎや」さんも今回出店してくださいます。</p>

<p>「もう少しアートの世界に踏み込んでみようかな」という人は、気に入った作品があれば買うつもりで作品を眺めてみてください。そうすると、「この作家はどういう人なのかな」と気になりませんか？　どういう背景があり、何を考えてこの作品を作ったのか。そう思ったら、会場にはアーティストやギャラリーの人がいますので遠慮なく聞いてください。同時代の作家を買うことの醍醐味は、作家と会話ができるということです。作家はそれを望んでいますからね。ひとつ買えば、作家とパトロンとしてそのあとも関係が続いていくでしょう。特に同世代だと、その作家の創作活動と自分のビジネスキャリアが同じような成長曲線を描くことすら起きる。1点買って部屋に飾った途端にはまってしまって、熱心なコレクターになったという人を何人も知っています。</p>

<p>家に自分で買った作品を飾っていますか？</p>

<p><strong>──飾ってないですね。</strong></p>

<p>では記念すべきファーストピースと出合うチャンスですね（笑）。僕はビジネスパーソンにこそ、文化芸術のリテラシーや感度を高めてほしいと思っています。そのためには見るだけでなく買ってみるといいというのは、やはり身銭を切って経験するということは、自分の感性そのものが問われることだから。「この作品を買った自分はイケてるんだろうか」というように。それはとてもワクワクすることだと思いませんか？</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU7380final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>ぜひ、あなたのファーストピースを探しにきてください！</figcaption></figure></p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="6010003014817"></div>
]]>
        <![CDATA[<p><aside><strong>中村政人</strong>
<small>アーティスト／command N主宰／3331 Arts Chiyoda統括ディレクター／東京藝術大学絵画科教授</small>
<p>1963年生まれ。秋田県大館市出身。「社会」や「教育」における美術の在り方を問いかけ、地域に活動の場としくみを生み出す実践を重ねる。第49回ヴェネツィア・ビエンナーレ（2001年）日本代表。97年よりアーティスト・イニシアティブ・コマンドNを主宰。2005年、アートスペース「KANDADA」（東京・神田）での活動を経て、2010年6月に「3331 Arts Chiyoda」を立ち上げる。2011年より東日本大震災復興支援「わわプロジェクト」を始動。2010年度芸術選奨文部科学大臣新人賞（芸術振興部門）受賞。</p></aside></p>

<p>東京・神田。秋葉原の喧噪と上野の山のにぎわいの中間地点に、「3331 Arts Chiyoda（以下、3331）」はある。閉校になった公立中学校を丸ごと改装し、再生させたアートセンターだ。2010年6月のオープンからまもなく8年目を迎える。</p>

<p>廃校を利用した文化施設というだけならそれほどめずらしくない。3331が突出しているのは、プログラムの多さと多彩さだ。展覧会やイベント、ワークショップ、講演会など、硬軟織り交ぜた企画を年間800から1000本も実施する。</p>

<p>3331のもうひとつの特徴は、施設の真ん中に大きなホワイトキューブを持っていることだ。かつての学校の雰囲気を生かし、親しみやすさを演出しながらも、アートに立脚したスペースだということを堂々と主張する。</p>

<p>3331の統括ディレクターを務めるのはアーティストの中村政人。中村は90年代の終わり、マクドナルドの「M」のネオンサインをかたどった大型作品を制作し、「彫刻」としてホワイトキューブに展示した。街の中で見慣れているものをアートの文脈に引き入れることによって、社会の側を照射する。その視点は「アートによる地域振興」が盛んに唱えられる現在を先取りする。</p>

<p>中村は3331を「アート、産業、コミュニティーを横断するクリエイティブハブ」と位置づける。その多層的なあり方がぎゅっと凝縮され、参加・体験できるイベントが、3月7日から開催される「<a href="http://artfair.3331.jp/" rel="nofollow">3331 ART FAIR 2018</a>」だ。社会とアートが出合う場を作り続けてきた中村に、ユニークなアートフェアの狙いを聞いた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU7337final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>2018年3月7日(水)～11日（日）の5日間で開催。第7回目となる今回は、従来取り組んできた展覧会型フェアとギャラリー出展型フェアを同時に行い、施設全体をダイナミックに活用して展開する。</figcaption></figure></p>

<h2>「アートプロジェクト」としての文化施設</h2>

<p><strong>──東京をはじめ各地でアートフェアが開かれるようになってきましたが、「3331 ART FAIR」の特徴はどこにありますか。</strong></p>

<p>7回目の開催となる今年は、1Fのメインギャラリーだけで65人のアーティストと、体育館には22軒のギャラリーや団体が出展します。期間中は、メインギャラリー、体育館、教室エリア、屋上など全館がフェア一色になります。エントランスのウッドデッキにどんと大きな作品を置いたりしてね。</p>

<p>今回、東京藝術大学や秋田公立美術大学、東北芸術工科大学など、大学が「出展ギャラリー」として参加します。これは初めての試みです。プロデビューする前のフレッシュな若手アーティストの作品を見ることができる。</p>

<p>一般的には多くの人が、アートを発表する場所はギャラリーと美術館だけだと思っていますよね。「3331 ART FAIR」はそれらとは少し異なる、オルタナティブなアートフェアを作っていきたいと思っているんです。</p>

<p><strong>──なぜそのようなアートフェアを作りたいと思ったのでしょう。</strong></p>

<p>それを説明するには3331という場所のことからお話ししたほうがいいかもしれません。</p>

<p>3331の母体となっているのはcommand Nというアーティストグループです。アーティスト主導で文化施設を継続的にマネジメントし、さまざまなプロジェクトを行っているというのはなかなかまれなことなんです。その"変わり種"のようなアーティストたちを中心にして、幾重にも輪が広がっています。</p>

<p>距離で考えてみましょうか。いちばん近いのは歩いてくる人たちですよね。ここはもともと公立の中学校だったんですが、子どもを通わせていたり、自分も卒業生だったりして、この場所に愛着を持っている地元コミュニティーの人たちです。次が周辺の企業で働く人たち。秋葉原の電気街や、千代田区のまちづくりに関わる人たちも含みます。次は、電車に乗ってくる人。「面白そうな展覧会があるから行ってみよう」とかね。さらに、新幹線でくる人。例えば僕は秋田の生まれですが、ここで観光物産をPRするイベントをしたいと言う人たちもいて、すでに年間プログラムに組み込まれています。もっと遠くだと、飛行機に乗ってくる人。3331ではレジデンス・アーティストを受け入れていて、１年のうち数カ月間ここに滞在して制作する作家がいます。</p>

<p>このように非常に多様な層の人たちに利用してもらえる「クリエイティブハブ」として、3331は機能しています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU7298final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>エントランスには学校の椅子が置かれていて、どこか懐かしい空気に包まれる。</figcaption></figure></p>

<p>ただ、そのように機能し始めるまではやはり壁がありました。町会の人たちはみんな神田っ子、江戸っ子です。「アートはわからん」「難しい」という偏見＝壁がある。「まちに開かれたアートセンターにします」と言ったところで、「全然開いてねえじゃねえか」と言われる。そこで僕らはまちに出ていくことを考えました。</p>

<p>例えば、アーティストの日比野克彦さんが主宰する「明後日朝顔（あさってあさがお）プロジェクト」。もともとは日比野さんが2003年に新潟県十日町市莇平（あざみひら）集落の人たちと始めたプロジェクトなんですが、いまでは29の地域に広がっていて、3331がある"千代田"もそのひとつです。日比野さんと地元の小学校のこどもたちや町会の人たちが共同で、全国から集まってくるあさがおの種を植え、育てます。全国大会もあって、毎年どこかに集まるんです。莇平や、富山県の氷見にも行きました。</p>

<p>「これはアートです」なんていちいち誰も言いません。日比野さんも「あさがおを育てる、明後日朝顔プロジェクトです」と言っているだけ。でも回数を重ねるたびに地域にゆるやかなつながりが生まれ、地域間の交流が生まれ、顔が見える者同士の信頼が生まれていく。そういう関係が生まれることが大事であり、まさしくここがアートとして社会的に機能させるポイントなんです。</p>

<p>つまり、アートが社会的に機能することにより、社会関係資本が獲得されていく。この地に生まれ、この地に暮らすことで身につく文化を大事にしよう。モノの売り買いだけではなく、関係を大事にしよう。3331はそこを狙って作っているんです。</p>

<h2>作家たちから、時代のコードを読み取る</h2>

<p>アートフェアも、社会関係資本を構築するという考え方がベースにあります。現代アートというと一般に、名画がオークションで高値で取り引きされるというイメージがあると思いますが、投機の対象になり、値段を上げることが目的になったらもはやマンションを買うのと同じです。誰がどう介在しているのかもわからない。顔が見えないから信頼関係もない。そうではなく、この作家はこういう考えで制作していて、作品はこういうふうにできていますよということをちゃんと届ける。それをお金という価値に変える。経済活動に人間の思いや関係性というものを組み入れることにチャレンジしたいんです。</p>

<p><strong>──どんなアーティストが出展していますか。</strong></p>

<p>やはり若くてフレッシュな作家が多いですね。もちろんキャリアのある人もいます。例えば都築響一さんは、編集者としてのキャリアが非常にある方ですが、アーティストとして出展してくれます。作品も販売します。</p>

<p><strong>──1997年刊行の『TOKYO STYLE』は、写真集としても、その時代の若者の日常を伝えるものとしても、新鮮でかっこよくて、驚きました。メールマガジン「ROADSIDERS' weekly」もすごく面白いですよね。</strong></p>

<p>あれだけのコンテンツを作れるアーティストはなかなかいないですよ。自分の目で見て、自分で書いて、自分で伝えている。私は彼は「アーティスト」だと思っているので、アーティストとして出展してくださいと依頼しました。</p>

<p>また、全国6地域およびニューヨーク在住のアートの専門家に作家推薦者になっていただいて、それぞれの地域からいいと思う作家を推薦してもらいました。ローカルの作家の中には、いい作品を作るんだけどギャラリーが扱ってくれないのでアートフェアに出せないという人もいるんですね。なぜ扱ってくれないかというと、「売りにくい」から。</p>

<p><strong>──以前に3331 ART FAIRにきたときは、ものすごく大きいとか、造形に懲りまくっていて保管に困りそうだとか、そういう作品がありました。</strong></p>

<p>もちろんそういう作品ばかりではないですよ。手頃なサイズで、家に飾ったらキレイだろうなという作品もあります。ただ、僕も作家なのでわかるんですが、作家はいろいろ作りたいんです。作りたいんですが、売れにくいものばかり作ってしまう。むしろ「買えるものなら買ってみろ」という思いで作っていることもある。作家の心理は複雑なんです（笑）。</p>

<p>作家の、作ることへ向かうエネルギーはどこからくるのか。誰のために、何を考えているのかということは、非常に大事です。それはやはり、時代を表す証言でもあるからです。ゴッホでもピカソでもウォーホールでも、作品の内容をよく見れば、やはりその時代の考え方を反映している。ということは、いまの作家たちのメッセージを受け止めるということは自分たちの時代を受け止めるということでもある。若手であろうが無名であろうが、そういう目で作品を見れば、芸術的価値の中に潜む時代のコードを読み取ることができるんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU7318final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>デザイナーは他者の作品を参照して作ることもあるが、アーティストの場合はそういうわけにはいかないという。</figcaption></figure></p>

<h2>アートにとっての「新しさ」とは</h2>

<p><strong>──「アートに時代が反映される」という意味をもう少し教えていただけますか。</strong></p>

<p>現代アートの世界でいちばん難しいことは「新しさ」です。僕らは新しいものに飛びつきます。「新しいとは何か」ということを絶えず考えている。</p>

<p>デザインは引用することができますが、アートは少しでも誰かに似ていれば「似てますね」と評価されて終わりです。しかもアートの新しさには複数のレイヤーがあります。つまり、目の前に見えているものだけでなく、その背後にある思想まで見る。表面的には新しそうに見えても、背後にある考え方をひもといていくと、たいてい、歴史上すでにある考え方との類似点が発見される。だからこそ、真に新しい作品が生まれると世界的にその価値が認められるわけです。</p>

<p><strong>──単にみかけが新しいだけではいけない、と。</strong></p>

<p>そのあり方ですよね。作品の生まれ方と言ってもいいかもしれません。例えば僕は、この3331そのものを自分の作品だと思っています。事業として作品を作る人なんて、ほとんどいないでしょう？　でも僕はそういう思いで作っています。</p>

<p>ビジネスの世界では、例えば事業を興す人たちは、新しい流通経路、新しいサービス、新しい価値観を生もうとしてしのぎを削り合っていますよね。でもどんなものにも流れはあって、誰々さんが開発したものが、別のチームによって商品化されて、権利はこの企業が持っていて、それが別の企業に譲渡されて......という流れの中でひとつの事業体系が生まれてくる。もう少し視野を広げると「世界の中の日本」という産業的背景も描かれていく。</p>

<p>アートも同じなんです。ただアートの場合はインターナショナルなステージとローカルなステージの差異が定まりきってきない。ヨーロッパを源流とする現代アートは日本から見れば憧れる対象でしたが、そういう時代は終わりつつあります。「ヨーロッパから見ると僕たちはこう見えるよね」というプレゼンの仕方ではなくて、自分たちから「こういう作家がいる、これだけの面白い作品がある」とアピールしていかなければならない。僕にとってはそれがこの3331というプロジェクトなんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU7336final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>買うつもりで作品を眺めることで、美術館で鑑賞する時とはまた違った体験ができるという。</figcaption></figure></p>

<h2>買うつもりで作品を見てみよう</h2>

<p><strong>──3331 Arts Chiyodaという大きなアートプロジェクトの断面のひとつが「3331 ART FAIR」というわけなんですね。</strong></p>

<p>そうです。3331 Arts Chiyodaの名称を「Arts」と複数形にしているのは、食やファッション、音楽、さまざまなデジタルコンテンツ、すべてアートになりうる、アートの一ジャンルとしてお客様を迎え入れます、ということです。ですから3331 ART FAIRも、もしもアートに対して敷居の高さや壁を感じているのであれば、食のイベントやカフェ、マーケットを目当てにきていただいても全然構わないんです。どら焼きで有名な上野の名店「うさぎや」さんも今回出店してくださいます。</p>

<p>「もう少しアートの世界に踏み込んでみようかな」という人は、気に入った作品があれば買うつもりで作品を眺めてみてください。そうすると、「この作家はどういう人なのかな」と気になりませんか？　どういう背景があり、何を考えてこの作品を作ったのか。そう思ったら、会場にはアーティストやギャラリーの人がいますので遠慮なく聞いてください。同時代の作家を買うことの醍醐味は、作家と会話ができるということです。作家はそれを望んでいますからね。ひとつ買えば、作家とパトロンとしてそのあとも関係が続いていくでしょう。特に同世代だと、その作家の創作活動と自分のビジネスキャリアが同じような成長曲線を描くことすら起きる。1点買って部屋に飾った途端にはまってしまって、熱心なコレクターになったという人を何人も知っています。</p>

<p>家に自分で買った作品を飾っていますか？</p>

<p><strong>──飾ってないですね。</strong></p>

<p>では記念すべきファーストピースと出合うチャンスですね（笑）。僕はビジネスパーソンにこそ、文化芸術のリテラシーや感度を高めてほしいと思っています。そのためには見るだけでなく買ってみるといいというのは、やはり身銭を切って経験するということは、自分の感性そのものが問われることだから。「この作品を買った自分はイケてるんだろうか」というように。それはとてもワクワクすることだと思いませんか？</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU7380final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>ぜひ、あなたのファーストピースを探しにきてください！</figcaption></figure></p>
]]>
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    <title>ようこそ、BNL Artsへ - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2018-02-23T02:30:57Z</published>
    <updated>2018-06-06T07:39:23Z</updated>

    <summary>「Arts」をテーマにした新セクションが始まる。BNL編集長がその思いを綴る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BNL Arts" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="コラム" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="アート" label="アート" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>一昨日発表した「BNL Books」に続いて、新セクション第2弾として「BNL Arts」をスタートする。</p>

<p>BNL Booksで最初に<a href="https://bnl.media/2018/02/BNLBooks-VOL1.html">紹介した</a>本、『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか？』がよく売れていたり、博報堂が「アートシンキング」という概念を<a href="http://www.hakuhodo.co.jp/marketing-executive/article03.html">提示していたり</a>──。いま「アート」は日本のビジネスシーンにおいても、少しずつ話題が広がり始めている。そこでBNLでは、新セクション「BNL Arts」を立ち上げ、そのムーブメントの最前線を追う。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/02/3331-nakamura.html">
<h4>初回の記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_YOU7404-500.jpg">
<div class="info"><strong>作家と出会い、アートを買ってみることから始めよう──3331 Arts Chiyoda統括ディレクター・中村政人</strong></div></a></div>

<p><a href="https://bnl.media/2018/02/3331-nakamura.html">初回のインタビュー</a>に登場する3331 Arts Chiyodaの中村政人は、施設の名前を「Arts」と複数形にしているのは、「すべてアートになりうる」という思いがあるからだという。3331 Arts Chiyoda自体、彼はひとつのアートプロジェクトとして捉えている。</p>

<p>中村のように、ビジネスにおいても自分の仕事を"アート"として捉えることができれば、組織の論理や理性に流されることなく、個人の直感や感性も組み入れられるのではないか。そこから転じて、個人のビジョンやアイデアはよりオープンになり、有意義な出会いにもつながるのではないか。名刺でつながる、ビジネスのためのSNS「Eight」が運営する、ビジネスネットワークを究めるメディアとして、このセクションを立ち上げる狙いは、まさにそういったところにある。</p>

<p>ちなみに、ビジネス界の伝説的なアーティストといえば、スティーブ・ジョブズを連想する人は多いのではないだろうか。アメリカの雑誌でも、そうしたテーマの記事はよく見かける。例えばThe New Yorker誌では、"<a href="https://www.newyorker.com/culture/cultural-comment/was-steve-jobs-an-artist" rel="nofollow">Was Steve Jobs an Artist?</a>"という記事が2015年に掲載されている。昨年11月にはVanity Fair誌で、ジョブズの伝記を著したウォルター・アイザックソンが<a href="https://www.vanityfair.com/news/2017/10/new-establishment-innovators-connection" rel="nofollow">寄稿</a>をしていて、ジョブズとレオナルド・ダ・ビンチとの共通点を論じている。</p>

<p>"The Next Steve Jobs"と謳って期待のホープを紹介するビジネス誌の特集は、さすがにもうほとんど見かけなくなった。でもみんな心の中では、そんな人が彗星のごとく現れることを密かに期待しているのではないか。あるいは、自分もそんな偉大な人物に少しでも近づけたらと思っているはずだ。だから、<a href="https://www.businessinsider.jp/post-160768" rel="nofollow">リベラルアーツが大事だ</a>と言ってみたり、<a href="http://wol.nikkeibp.co.jp/atcl/column/15/121800040/042700020/">マインドフルネスに興味をもってみたり</a>するのではないだろうか。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/02/BNLBooks-VOL1.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/book_1.png">
<div class="info"><strong>正解を出す技術ではもう戦えない──1冊10分で読む：『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか？』</strong></div></a></div>

<p>3331に倣って、BNL Artsも複数形にしている。取り上げる話題は"美術"の領域に限定せず、幅広く扱うつもりだ。ただし、ほかのセクションと異なるのは、ここでのコンテンツは「美意識」を鍛えることを主な目的としていることだ。そこから新たな出会いにつながり、面白い仕事が生まれ、次世代のスティーブ・ジョブズがいつか現れることを密かに期待して。</p>
]]>
        
    </content>
</entry>

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    <title>正解を出す技術ではもう戦えない──1冊10分で読む：『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか？』 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <id>tag:bnl.media,2018://125.8995</id>

    <published>2018-02-21T02:56:00Z</published>
    <updated>2018-05-08T02:48:05Z</updated>

    <summary>ビジネス書の要約記事をお届けする新セクション「BNL Books」がスタート。初回は、組織開発・人材育成を専門とするコンサルタント、山口周の新書を紹介する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="アート" label="アート" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="クリエイター" label="クリエイター" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ビジネス書" label="ビジネス書" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="人材育成" label="人材育成" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営学" label="経営学" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>山口 周</strong><small>コーン・フェリー・ヘイグループ シニア・クライアント・パートナー</small>
<p>1970年東京都生まれ。慶應義塾大学文学部哲学科卒業、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程修了。電通、ボストン・コンサルティング・グループ等を経て、組織開発・人材育成を専門とするコーン・フェリー・ヘイグループに参画。現在、同社のシニア・クライアント・パートナー。専門はイノベーション、組織開発、人材/リーダーシップ育成。著書に『グーグルに勝つ広告モデル』（岡本一郎名義）『天職は寝て待て』『世界で最もイノベーティブな組織の作り方』『外資系コンサルの知的生産術』（以上、光文社新書）、『外資系コンサルのスライド作成術』（東洋経済新報社）など。神奈川県葉山町に在住。</p></aside></p>

<h2>正解を出す技術ではもう戦えない──BNL編集部の選定理由</h2>

<p>長らく、ビジネスの意思決定において大事にされてきたのは「論理」や「理性」だった。しかし、それだけに頼っていては、みんな同じ正解に辿り着いてしまう。</p>

<p>多くの企業が競合との差別化に苦しむなか、iMacやiPhoneなど、次々と革新的なプロダクトを生み出したアップルを率いていたのは、「直感」や「感性」を大切にする経営者、スティーブ・ジョブズだった。彼のことをアーティストだと評する人は多く、ジョブズの伝記を著したウォルター・アイザックソンは、レオナルド・ダ・ビンチとの共通点まで<a href="https://www.vanityfair.com/news/2017/10/new-establishment-innovators-connection">挙げている</a>。</p>

<p>いまや、その影響は教育の世界にも変化をもたらしている。「美意識」というワードを本のタイトルに用いた意図について、著者の山口周はBiz/Zineの鼎談記事で次のように語っている。</p>

<blockquote>
  <p>アメリカではMBAに行く人が減ってきていて、むしろRCA（Royal College of Art：英ロンドンの国立美術大学）のようなところに人を送り込む会社が増えてきている、という記事がありました。</p>

<p>（中略）</p>

<p>「なんでそんなことをやっているんだろう？」と、RCAに電話したり、送り込む側の企業の人事に聞いたりしました。すると彼らは、「正解を出す技術は、もうみんな持っている。それでは戦えないと分かっているから」と言うんです。</p>

<p><a href="https://bizzine.jp/article/detail/2563">組織はカオスに始まりサイエンスとナラティブを往来する──経営における「美意識」とは（Biz/Zine）</a></p>
</blockquote>

<div class="round-box fl fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/02/bnl-books.html">
<h4>新セクション「BNL Books」とは</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/books_500.jpg">
<div class="info"><strong>ようこそ、BNL Booksへ</strong></div>

<p></a></div></p>

<p>勉強会に参加する人や、ビジネス書を買う人の中にも、当座の間、自分を強化してくれる答えを求めて「正解探し」に明け暮れている人は多いのではないか。</p>

<p>いま世界はどんどん変わっているので、当座の正解を上回る衝撃はすぐにやってくる。</p>

<p>「BNL Books」では、その場しのぎの正解を見つけるためではなく、他者の経験や学びを活かして、どんな状況でも戦えるための知恵を探っていきたい。そのような意味を込めて、この本から始めてみたい。</p>

<p><strong>⇒書籍の購入は<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4334039960">こちら</a>。（Amazon）</strong></p>

<hr />

<h2>要約者レビュー</h2>

<p>いま「エリート」が美術館のワークショップに参加したり、グローバル企業がアートスクールに幹部候補を送り込んだりすることが増えている。単に「教養」を身につけるためではない。そこには「美意識」を鍛えるという、きわめて実利的な理由があるという。</p>

<p>すさまじいスピードで変化している現代社会において、重要な意思決定を行なうエリートに求められるのが「美意識」だ。なぜなら「美意識」とは、不透明な社会を切り抜けるうえで明確な判断基準となってくれるからである。これが著者の主張だ。</p>

<p>アートや「美意識」と聞くと、いわゆる「クリエイティブ」な領域の話かと思われるかもしれない。しかし本書で語られる「美意識」はその領域だけにとどまらず、善悪の判断も含まれている。</p>

<p>長く「論理」や「理性」に重きを置いてきた日本企業はいま、海外企業に押されて苦境の中にある。大企業のコンプライアンス違反、新興ネットベンチャー企業の不祥事も記憶に新しい。こうした問題の根本には、数値目標や言語化して説明できる「サイエンス」だけを追求してきたことがあるのではないか。こうした苦境を乗り越えるヒントとなるのが、「直感」や「感性」の領域、すなわち「美意識」というわけである。</p>

<p>現代社会のあり方に疑問をもっている人、企業経営で行きづまっている人、あるいは勉強ばかりで疲れてしまった受験生に、とりわけおすすめしたい一冊だ。本書を読めば、これから何を大事にするべきかが見えてくるだろう。</p>

<hr />

<h2>本書の要点</h2>

<p><strong>── 要点1 ──</strong> <br />
「サイエンス」で導き出された答えは万人が行き着くものであり、差別化ができない。一方で「アート」で導き出されるストーリーや世界観はコピーされないものである。</p>

<p><strong>── 要点2 ──</strong> <br />
世界の市場は「自己実現的消費」へとシフトしている。人は機能ではなく、自己実現欲求を求めている。そうした環境では「美意識」が大きな役割を果たす。</p>

<p><strong>── 要点3 ──</strong> <br />
システムの変化に現行のルールは追いついていない。明文化された法律だけを拠り所にしていると、倫理を大きく踏み外す危険性がある。「美意識」という確固たる価値判断基準が必要である。</p>

<hr />

<h2>なぜエリートが「美意識」を鍛えているのか?</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/69969139_194dd90748_ofinal.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/logosinberlin/69969139/">"Ephemeral Life"</a> by Krystian Schneidewind (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/deed.ja">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>いま問われるリーダーの「美意識」</h3>

<p>企業のトップに立つようなグローバル企業の幹部候補、いわゆる「エリート」が美術館へ足を運び、アート鑑賞プログラムに参加することが近年増えている。「エリート」とは、世界でもっとも難易度の高い問題解決を担っている人々のことだ。彼らはいま、論理的・理性的スキルに加えて、直感的・感性的スキルの獲得を期待されている。</p>

<p>「分析」「論理」「理性」に軸足を置いた「サイエンス重視の意思決定」では、現在の複雑な社会で経営を行なうことは難しい。クオリティの高い意思決定を継続して行なうためには、明文化されたルールや法律だけを拠り所にするのではなく、「美意識」という判断基準をもつ必要がある。</p>

<p>ここでいう「美意識」とは、デザインや広告宣伝などのいわゆる「クリエイティブ」の領域にとどまらない。経営戦略や行動規範、ビジョンなど、企業が行なう活動の「よい」「悪い」を判断するための認識基準も含んでいる。かならずしも数字や論理で説明できないものを判断する力が「美意識」なのである。</p>

<h3>「論理」と「理性」では勝てない時代</h3>

<p>「論理」と「理性」に対応するものとして、「直感」と「感性」がある。「論理」と「理性」は文字通り論理性や合理性を、「直感」と「感性」は論理の飛躍、美しさを主軸にしている。</p>

<p>日本企業における大きな意思決定のほとんどは、「論理」「理性」にもとづいて行なわれてきた。実際に日本人の多くは「論理」「理性」を、「直感」「感性」よりも高く評価する傾向がある。</p>

<p>しかしこれは危険な考え方だ。もちろん「論理」「理性」をないがしろにしていいというわけではない。問題は現在の企業運営が、「論理」「理性」に偏りすぎているということにある。</p>

<p>意思決定を「論理」「理性」だけで行なうことは、いつも同じ答えが出るということを意味する。つまり「論理」「理性」に軸を置いて経営すれば、かならず他者と同じ結論に至ることになり、差別化ができなくなってしまう。</p>

<p>かつて日本の強みは、「論理」や「理性」から導き出されたスピードとコスト削減だった。しかしいまでは中国などの海外企業に押され、こうした強みは失われつつある。</p>

<h3>これからは「アート」が主導するべき</h3>

<p>経営は「アート」「サイエンス」「クラフト」が混ざり合ったものだ。</p>

<p>「アート」は組織の創造性を後押しし、ワクワクするようなビジョンを生み出す。「サイエンス」は体系的な分析や評価を通じて、「アート」が生み出したビジョンに裏づけを与える。「クラフト」は経験や知識をもとに、ビジョンを現実化するための実行力となる。ポイントは、どれかひとつが突出していてもだめだということだ。</p>

<p>現在のビジネスでは過度に「サイエンス」と「クラフト」が重視されている。なぜなら「アート」が言語化できないのに対して、「サイエンス」と「クラフト」は言語化して説明できるからである。しかし「サイエンス」と「クラフト」だけに偏ると、「合理的な説明さえできれば何をしてもよい」という企業風土を生みかねない。</p>

<p>昨今問題になっている大手企業のコンプライアンス違反や労働問題の根本には、「過度なサイエンスの重視」がある。新しいビジョンや戦略もないまま、真面目な人たちに高い数値目標を課して達成を強く求めれば、行き着く先は不正である。</p>

<p>「サイエンス」だけを重視していては、事業構造を転換したり新しい経営ビジョンを打ち出したりすることはできない。「そもそも何をしたいのか」、「世界をどのように変えたいのか」といった、ミッションやパッションにもとづいた意思決定をするためには、経営者の「直感」や「感性」、つまり「美意識」がどうしても必要になってくる。</p>

<p>現在の日本企業には「日本をどのように変えたいのか」「世の中のどんな問題を解決したいのか」といったビジョンが絶対的に足りていない。ビジョンは多くの人を共感させるようなもの、耳にした人をワクワクさせるようなものでなければならない。こうしたビジョンを設定するには、「理性」ではなく「感性」の力が必要なのだ。</p>

<p>過度に「論理」「理性」「サイエンス」を偏重してきた日本企業はいま、正しいバランスを取り戻す必要に迫られている。</p>

<hr />

<h2>巨大な自己実現欲求の市場</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/1578135936_6fffb38f5e_bfinal.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/8_8/1578135936/">"Teuchi Soba noodles restaurant"</a> by hira3 (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/deed.ja">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>消費は自己実現のための記号</h3>

<p>現代におけるモノの消費は、役に立つためというよりは、自己実現のためという側面が強い。消費は最終的に、自己実現的消費へと行き着くだろう。つまり全てのモノやサービスは、ファッション的側面で競争せざるをえなくなるということだ。例えばアップル社が提供している価値は、「アップル製品を使っている私」という自己実現欲求の充足だといえる。</p>

<p>この時代の流れは日本にとって好機である。「日本の美意識」は世界最高基準の競争力をもっている。明治の開国以来、外国人による「日本の美意識」に関する記録は多い。世界的に形成された「日本=美意識の国」というイメージは、大きなアドバンテージとなるはずだ。なおマーケティングにおいては「そう思われている」ということが重要なので、その認識が本当に正しいか否かは問題ではない。</p>

<p>「サイエンス」でつくられるデザインやテクノロジーはコピーされうるが、「アート」でつくられるストーリーや世界観はコピーできない。これは大きな競争力となる。日本人は「ストーリー」や「世界観」を天然資源のように豊富に持ち、潜在的に高い「美意識」をもっている民族だからだ。</p>

<p>しかし一方で、美意識は容易に失われうるということも覚えておかなければならない。</p>

<hr />

<h2>システムの変化が早すぎる社会</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/8425064726_7ff3d4a7e8_kfinal.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/88203791@N00/8425064726/">"Cell Phone Business"</a> by Stefan Klauke (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/deed.ja">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>システムの変化にルールが追いつかない</h3>

<p>ここ最近、新興ネットベンチャー企業の不祥事が相次いでいる。ネットゲームでランダムに入手できるアイテムをコンプリート（コンプガチャ）させるため、多額の費用をつぎ込ませたことが社会問題となり、すべての企業がサービスを停止させるといった事態にまで発展した。</p>

<p>このようなネットベンチャー企業は、グレーソーンで荒稼ぎするビジネスを考案し、それがエスカレートして社会から指摘されると、「叱られたのでやめます」と謝罪して事業を修正する、というビジネスモデルをとっている。つまり「内部的な規範」がまったく機能していないのだ。「法律で禁止されていないので問題ない」というのが判断基準になってしまっているのである。</p>

<p>社会が変化するスピードは年々増しており、その急激な変化に対して法の整備が追いついていない。このような状況において、明文化された法律のみに従うのは危険だ。違法ではないが倫理を大きく踏み外した場合、後から違法となる可能性もある。</p>

<p>システムの変化が早く、ルール整備が追いつかない社会こそ、「美意識」が重要になるのだ。</p>

<h3>「邪悪にならない」という企業理念</h3>

<p>いつ改定されるかわからない法律よりも、自分の中に確固としてある「美意識」のほうが判断基準として信頼できる。実際、好業績を継続的に上げている企業には、「美意識」を社是として掲げているものが少なくない。</p>

<p>例えばグーグル社は「邪悪にならない(Don't be Evil)」という一文を掲げている。グーグル社が事業を展開している分野は新しく、変化が激しい。大きな権力を持ち、他者の人生を左右する「エリート」だからこそ、「美意識に基づいた自己規範」を掲げているのである。</p>

<p>またその会社のルールがおかしいと判断するのも「美意識」の仕事だ。「ある会社の常識は他の会社の非常識」ということはよくある。目の前でまかり通っているルールや評価基準を「相対化できる知性」が求められている。</p>

<hr />

<h2>どのように美意識を鍛えているのか</h2>

<p><figure>
<img src="/uploads/32012066833_ecad2d6f9f_kfinal.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/aadm/32012066833/">"201612xx<em>KODAKTRIX400</em>02"</a> by Alessandro Amato del Monte (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-nd/2.0/deed.ja">CC BY-NC-ND 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<h3>見る力を鍛える</h3>

<p>「アート」と「サイエンス」は対立する営みではない。あるデータによれば、ノーベル賞受賞者と一般人を比較した場合、2.8倍も芸術的趣味を保有している確率が高いという。「アート」と「サイエンス」が両立すると、むしろ知的パフォーマンスは向上するのである。</p>

<p>アートを鑑賞すること、つまり「観察眼」を高めることは、「美意識」を鍛えるうえでも非常に有効だ。観察眼を鍛える方法として、ここではVTS（Visual Thinking Strategy）を紹介したい。これは鑑賞力を鍛えるワークショップなのだが、作者や作品に対する情報提供はほとんど行なわれない。そのかわりに参加者には、作品を「見て、感じて、言葉にする」ことが求められる。「何が描かれていますか」「絵の中で何が起きていて、これから何が起こるでしょう」「どのような感覚が自分の中に生まれていますか」といった質問に答えていくなかで、参加者はそれぞれの見方や解釈の違いに気づき、「見えていなかったことが見える」ようになっていく。</p>

<p>ビジネスパーソンはどうしてもステレオタイプ的なものの見方に支配されやすい。だが問題に直面した際に必要なのは、何が起きているのかを純粋に「見る」ことなのである。</p>

<h3>哲学を学ぶ</h3>

<p>欧州の名門校では、理系・文系を問わずに哲学が必修科目となっている。哲学を学ぶことで、（1）哲学者が主張した内容そのもの、（2）それを生み出すに至った気づきと思考の過程、（3）その哲学者の世界や社会への向き合い方という、3つの学びが得られるからだ。</p>

<p>なかでも大事なのは（2）と（3）である。現在では誤りだとわかっている主張であっても、「なぜそのように考えたのか」というプロセスを知ること、そしてその時代に支配的だった考え方に対し、どのように疑いの目を向けたのかを知ることは、非常に意義深い。</p>

<p>哲学的態度を身に着けた人は、無批判にシステムを受け入れない。企業というシステムの内部にいながら、あくまでシステムそのものを疑いつづける。そしてシステムに対する発言力を獲得するため、したたかに動き回りながら、理想の社会の実現に向けてシステムの改変を試みる。これがいまのエリートに求められている役割なのである。</p>

<p>（1冊10分で読める本の要約サービス <a href="https://www.flierinc.com/">flier</a>）</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>ようこそ、BNL Booksへ - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2018-02-21T02:50:00Z</published>
    <updated>2018-06-18T06:56:19Z</updated>

    <summary>BNL編集部が厳選した本を紹介する新セクションが始まる。10分で読める要約コンテンツは、休憩や移動中のちょっとした隙間時間におすすめだ。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BNL Books" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="コラム" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネス書" label="ビジネス書" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>いまはSNSで誰もが発信でき、時系列にどんどん情報が流れていく時代。日々の経済ニュースに目が留まる機会が多い中で、動向の背景を探り、先人の知恵から学び、世の中の大きな流れをつかみ、深い洞察が得られる本の役割は大きい。</p>

<p>昨年BNLで取材したNHK出版編集長の松島倫明は、ビジネスにおける本の意義について次のように語っている。</p>

<blockquote>
  <p>あらゆるものがリアルタイムに流れていく時代です。だからこそ、人はその情報の流れの中に楔を打ち込みたいと考えるんだと思います。例えば、ざっくりとひとまとまりに見える情報や思索の塊について、「それってこういうことだよね」ということを、アンカリングしたいと考える。本はそのための重要なメディアになるんです。</p>

<p><a href="https://bnl.media/2017/02/nhk-matsushima.html">時代を切り取る次のビッグアイデアは、PUBLICな領域から生まれる──NHK出版・松島倫明の仕事術</a></p>
</blockquote>

<p>こうした考え方は、名刺でつながったユーザーの投稿や経済ニュースが日々流れていくEightのフィードにも当てはまる。だからこそ、BNLはこれまで、ビジネスの出会いについて深く掘り下げたインタビュー記事をフィードに配信してきた。</p>

<p>今年はインタビュー記事のほかにも、新しい試みに挑戦していく。第一弾は、新セクション「BNL Books」として展開する、本の要約コンテンツだ。</p>

<p>1冊10分で読める本の要約サービス「flier」から、BNL編集部が厳選した要約コンテンツを定期的に転載する。flierでは有料会員に登録しないと読めない要約コンテンツも、ここで転載されたものに関しては無料で読めることになる。</p>

<p>当然、flierが要約する本を選んだコンテキストと、BNLが選定するコンテキストは異なる。そこで、毎回「BNL編集部の選定理由」を各記事の冒頭に記していく。</p>

<p>本は、ビジネスの出会いの場面でも役立つものだ。松島は、「本というメディアの不思議なところは、読者は本の何ページ目の何行目に何が書かれていたかといった細かいことを、まず覚えてはいないこと」だと言う。「その代わりに、装丁やタイトルが記号となって、どんなことが書いてあったかを概念として思い出すことができるし、それをさまざまなものと関連付けることができる。だから、それが共通言語となって他者とのコミュニケーションが簡単になるんです」</p>

<p>ビジネスパーソンにとって日中の時間は貴重だが、1冊10分の要約コンテンツならちょっとした隙間時間に読めてしまう。もし気になる本があったら、ぜひ購入して週末にでもじっくり読んでみてほしい。情報が日々流れていく時代に、これほど貴重な媒体はないのだから。</p>

<h2><a href="https://bnl.media/2018/02/BNLBooks-VOL1.html">VOL.1 『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか？』</a>（2/21公開）</h2>

<p><img src="/uploads/book_biishiki720.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2><a href="https://bnl.media/2018/02/BNLBooks-VOL2.html">VOL.2 『すごいメモ。』</a>（2/28公開）</h2>

<p><img src="/uploads/book_memo720.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2><a href="https://bnl.media/2018/03/BNLBooks-VOL3.html">VOL.3 『どうしてあの人はクリエイティブなのか？』</a>（3/22公開）</h2>

<p><img src="/uploads/myths720.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2><a href="https://bnl.media/2018/03/BNLBooks-VOL4.html">VOL.4 『ルーキー・スマート』</a>（3/30公開）</h2>

<p><img src="/uploads/Rookie_Smarts_720.png" alt="" title="" /></p>

<h2><a href="https://bnl.media/2018/04/BNLBooks-VOL5.html">VOL.５ 『ポスト平成のキャリア戦略』</a>（4/5公開）</h2>

<p><img src="/uploads/Tips_Books_career_strategy_720.png" alt="" title="" /></p>

<h2><a href="https://bnl.media/2018/04/BNLBooks-VOL6.html">VOL.６ 『独学の技法』</a>（4/17公開）</h2>

<p><img src="/uploads/dokugaku_720.png" alt="" title="" /></p>

<h2><a href="https://bnl.media/2018/05/BNLBooks-VOL7.html">VOL.7 『ファンベース』</a>（5/17公開）</h2>

<p><img src="/uploads/fanbase_banner.png" alt="" title="" /></p>

<h2><a href="https://bnl.media/2018/05/BNLBooks-VOL8.html">VOL.8 『人間の未来 AIの未来』</a>（5/28公開）</h2>

<p><img src="/uploads/ningen_ai_banner.png" alt="" title="" /></p>

<p>※月間2〜4冊公開予定。今後、随時このページの情報もアップデートしていく。</p>
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    <title>打ち合わせ後の連絡や、知り合いの紹介に。メールではなく「グループルーム」を使ってみませんか？ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/02/eight-tips-vol3.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.8991</id>

    <published>2018-02-19T04:32:00Z</published>
    <updated>2018-03-15T05:31:11Z</updated>

    <summary>Eightの便利な使い方を紹介する「Eight Tips」。今回は3人以上のグループで気軽にメッセージをやりとりできる「グループルーム」の活用方法を解説します。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eight Tips" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>名刺交換をしたあとのお礼の連絡。ほとんどの場合メールで送りますが、もっとカジュアルにやりとりしませんか？</p>

<p>Eightのメッセージなら、仕事で知り合った人でも気軽にチャット形式でやりとりできます。</p>

<p>3人以上の連絡には「グループルーム」を使ってみましょう。複数の宛先を選択するだけで、関係者全員とメッセージのやりとりが可能に。途中から参加する人も、過去の会話をさかのぼって見られます。</p>

<p>グループルームの参加者どうしなら、直接つながっていなくてもメッセージをやりとりできるため、知り合いを紹介するときにも便利です。</p>

<h2>グループルームの作り方</h2>

<p>複数の宛先を選択するだけ。<strong>宛先は名刺交換日の順に並んでいる</strong>ため、簡単に選択できます。</p>

<p><video src="https://materials.8card.net/eightblog/201802/Tips_groupmessage_1.mp4" poster="https://materials.8card.net/eightblog/201802/Tips_groupmessage_1_first.png" controls="control" preload="none" muted="" width="100%" style="max-width:330px;">
</video></p>

<p>メールだと実際に相手が確認しているか分かりませんが、Eightのグループルームなら<strong>メンバーごとに未既読を把握できます</strong>。</p>

<p><img alt="eighttips_groupmessage_01.png" src="/uploads/eighttips_groupmessage_01.png" width="330" class="mt-image-none" style="" /></p>

<h2>知り合いを紹介する方法</h2>

<p>グループルームなら会話の流れから、スムーズに知り合いを紹介できます。2人でメッセージをしているところにもう1人追加すると、<strong>2人で会話していたルームとは別に</strong>、新しく3人のグループルームが作成されます。</p>

<p>相手のプロフィールを確認できるので、長い紹介文は必要ありません。</p>

<p><video src="https://materials.8card.net/eightblog/201802/Tips_groupmessage_2.mp4" poster="https://materials.8card.net/eightblog/201802/Tips_groupmessage_2_first.png" controls="control" preload="none" muted="" width="100%" style="max-width:330px;">
</video></p>
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    </content>
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    <title>「とりあえず飲み会」の人脈づくりに物申す──LinkedInの新代表・村上臣が説く、世界標準のネットワーキング - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/02/linkedin-murakami.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.8992</id>

    <published>2018-02-14T01:20:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:07:21Z</updated>

    <summary>2017年末、国内不振のLinkedInへ移ったYahoo! JAPAN &quot;モバイルシフト&quot;の立役者は、いま何を企んでいるのか。「Facebookはビジネスに最適ではない。飲みニケーションの延長だ」と語り、Eightに共闘を呼びかける。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="出会いからアイデアを生み出す" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="sip2018" label="SIP2018" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="オープンイノベーション" label="オープンイノベーション" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>村上臣</strong><small>
LinkedIn カントリーマネージャー</small><p>大学在学中に仲間とともに有限会社「電脳隊」を設立。その後統合したピー・アイ・エムとヤフーの合併に伴い、2000年8月にヤフーに入社。一度退職した後、12年4月からヤフーの執行役員兼CMOとして、モバイル事業の企画戦略を担当。17年11月にLinkedInの日本代表に就任。複数のスタートアップの戦略・技術顧問を務めている。</p></aside></p>

<p>ヤフーの元執行役員で、CMO（Chief Mobile Officer）としてYahoo! JAPANの"モバイルシフト"を推進してきた村上臣が昨年11月、LinkedInの日本法人代表に就いた。このニュースは業界関係者らから驚きをもって受け止められた。</p>

<p>というのも、公表されているLinkedInの国内ユーザー数は100万人を超える程度。同時期に日本に上陸したFacebookの2800万人からは大きく水をあけられているのが現状だ。世界では5億3000万人が利用するサービスに成長しているが、日本上陸は完全に失敗したというのが定説だった。そんな"逆風"の中、なぜ村上がLinkedInに飛び込んだのかについては、村上自身がさまざまなメディアで語っている。</p>

<p>ところで、EightとLinkedInとは、同じ「ビジネス特化型のSNS」にカテゴライズされる競合関係にあるが、村上は大胆にも、そんなライバルに対して共闘を呼びかける。「働き方改革」の旗の下に大同団結を説く、村上の真意を聞いた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9966final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「スキルとロールのミスマッチ」を解消すれば、もっと働きやすい社会になるはず。</figcaption></figure></p>

<h2>転職で、日本を覆う閉塞感を打破したい</h2>

<p><strong>──LinkedInとEightは非常に近いところで戦っている関係にあります。LinkedInを日本で広めていくために村上さんがいま、どんなことを考えているかを率直に伺いたいのですが。</strong></p>

<p>それにはまず、なぜぼくがヤフーを飛び出してLinkedInへやってきたのか、という話からするのがいいんじゃないかと思うんですけど。</p>

<p>いま、日本ってなんだか暗いじゃないですか。閉塞感に満ちている。労働人口は減るし、政治を見ても、おじいちゃんおばあちゃんの方を向いた施策ばかり。若い子は一体どうすればいいんだっけ、みたいな感じで。そう考えた時に、もっといろいろな働き方が、普通にできたらいいんじゃないかと思ったんです。</p>

<p>人が会社を辞めるのって、自分が持っているスキルと会社から求められるロールとがズレた時だろうと思うんです。「こんなに頑張っているのに成果が出ない。マネジャーからも認められない」。そう思った結果としての行動ではないか、と。この「スキルとロールのミスマッチ」というのが最大の不幸なんですよ。なぜなら、スキルとロールが合わないというのは、あくまでこの場所でだけ見ているから起こることにすぎなくて。別の場所に行きさえすれば、活躍できる人はたくさんいるはずなんですよね。</p>

<p>だからまずは、こういったものを可視化して、その上で両者をつなげることができれば、みんながハッピーになれるのではないか、と。マッチングというのは、まさにインターネットが得意とするところですし。</p>

<div class="round-box fr fb gray"><p>日本は長らく「転職しない国」だと言われてきた。そのカルチャーを変えることで、閉塞感を打破したい。</p></div>

<p>日本は長らく「転職しない国」だと言われてきて、その文化はもう30年近くも変わってないんですよ。そのカルチャーを変えることで、日本を覆う閉塞感を打破したい。そういう思いを持って、ぼくはLinkedInに来ることにしたんです。</p>

<p>もちろんそれだけじゃなくて、ビジネス的に見ても、人材市場って潜在層を含めて見れば1兆円規模くらいあると言われていて。社会的なインパクトという意味でも、この領域は日本社会に残された数少ないフロンティアだというふうに、ぼくの目には映っています。</p>

<p><strong>──いま、「働き方改革」という言葉を聞かない日はないくらいに、村上さんと同じ問題意識を持っている人が少なくないように見えます。</strong></p>

<p>安倍首相が言う「働き方改革」というのも、まさにそういうことだと思うんですけど、ここ数年で、官民双方からこうした動きが盛り上がってきているというのはありますよね。だから、「なぜいまこのタイミングなのか？」と問われれば、やはりこの「働き方改革」の流れがあることは大きいです。</p>

<p>転職というのは、日本人にとってはやっぱり重い。いろいろと引きずっているものがあるじゃないですか。だから、そんなに簡単にカルチャーが変わるとは思ってないです。でも一方で、ちょうどいま、世の中が大きく変わりそうな予感もある。これはロジックではなく、感覚的なものです。こういう時、ぼくはだいたい直感で動くので。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0048final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「飲みニケーションのオンライン化」は、これまで通りにFacebookでいいかもしれないけれど、昼間に使うSNSはビジネスに特化したものを使うべき。</figcaption></figure></p>

<h2>Facebookはビジネスに最適じゃない</h2>

<p><strong>──LinkedInはこれまでも、ダイレクトリクルーティングのサービスを世界規模で提供してきました。ところが、日本ではユーザーが思うように増えていないように見えます。そこはどう変えていくのでしょうか？</strong></p>

<p>ダイレクトリクルーティングというのは、どちらかというとわれわれがBtoBの領域で提供してきたものであって、日本展開のカギを握るのは、むしろBtoCの部分だと思っています。</p>

<p>LinkedInのタイムラインには日々、質の高いビジネス関連のニュースが流れてきます。そこから自分のビジネスに関わる情報を効率よく取得し、それを元に何かいいアイデアを思いついたら、チャットを使って連絡を取り、あるいは新たなビジネスパートナーを検索して探す。海外のユーザーの間では、すでにこうした使い方が一般的になっています。</p>

<p>日本でも、ビジネスをすべて自社で完結するのは難しくなってきており、オープンイノベーションということが盛んに言われるようになりました。そうした状況とLinkedInが得意とするところは、非常に合っていると思うんですよね。</p>

<p><strong>──ただ、日本では現状、まさにそうしたことがFacebookで行われていると思うのですが？</strong></p>

<p>確かに、タイムラインに流れてきた投稿を起点に、とりあえずFacebook Messengerで連絡を取って、そこから新しいビジネスをということを、ぼくの周りでも皆さんやっていますね。</p>

<p>でも、そこの部分というのは、そもそも本来はLinkedInが得意な領域なんですよ。先ほども言ったように、世界ではすでにそうした使われ方がされていて。Facebookはプライベートで、という使い分けがされているんです。Facebookのぼくのタイムラインには、夜になるとラーメンの写真とかしか出てこない。それが朝になるとビジネスニュースに変わる。昼はそのごった煮という感じです。ぼくが言いたいのは、はたしてそれが本当にビジネスに最適なのか？　ということです。</p>

<div class="round-box fl fb gray"><p>Facebookは、飲み会の延長、飲みニケーションのオンライン化です</p></div>

<p>もちろん、Facebookのコメント欄で仲のいい人とワチャワチャすることにより、リレーションシップが深まるという、そういうのもまああっていいとは思います。でも、あれは言ってみれば飲み会の延長ですよね。飲みニケーションのオンライン化。</p>

<p>それとは別に、デイタイムっていうのは、なるべく効率的にいろんなビジネスを作っていく時間のはずじゃないですか。しかも、そっちの時間の方が圧倒的に長い。だとしたらやっぱり、デイタイムにはビジネスに特化したSNSを使った方がいいんじゃないかと思うんです。もちろん、いきなりすべてがスイッチするなんて思ってないですよ。なので、日本においては、しばらくはFacebookとの併用になるんだろうとは思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0021final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>かつてFacebookの日本展開を率いた児玉太郎はヤフーの元同僚だ。児玉は当初難しいと言われた「実名のSNS」を日本で広めることに成功した。そのおかげで、村上はLinkedIn再起動の可能性を探ることができているという。</figcaption></figure></p>

<h2>Facebookが普及してなかったらオファーは受けなかった</h2>

<p><strong>──とはいえしつこいようですが、現状は皆、Facebookでそれをやっているわけじゃないですか。だからそうした棲み分けを実現するには、ビジネス専用のものがあることが大事だと、どうにかして伝える必要があると思うんです。そのためには何が大事になると考えていますか？</strong></p>

<p>そうですね。まずはEightさんのCMじゃないですか？（笑）</p>

<p>というのは半分冗談ですけど、でも半分は本気です。やっぱり「ビジネスのためのSNS」という、これまで日本になかった新しいカテゴリをつくる必要があるんで、この志に賛同できる人は、誰であれ一緒にやりたいと思っているんですよ。Eightとはもちろん競合する部分があるのは確かなんですけど、この意識は多分一致していると思うので、ぜひ一緒にやっていきたいですね。</p>

<p>振り返れば、FacebookとLinkedInが日本に来たのはどちらも2010年ごろで、ほぼ同じタイミングだったんですよね。当時の日本には、2ちゃんねるに代表される匿名文化というのがあって、「グローバルの実名SNSであるFacebookは失敗する」って、みんなが口を揃えて言ってたじゃないですか。「誰も実名なんて出さないよ」って。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2018/02/tokyo-mural-project.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_26A8168final.jpg">
<div class="info"><strong>Facebookを日本に広めた児玉太郎が企画。西新橋に描かれた巨大壁画の舞台裏</strong></div></a></div>

<p>でも、現状は見ての通りです。だからあのタイミングでひとつ、文化が変わったんですよね。Facebookが普及したことによって、地ならしが進んだという肌感があります。それが済んでなかった5年前に同じオファーを受けていたら、ぼくはやっぱりLinkedInには来なかったと思うんですよね。あれで日本人がグローバル標準のSNSの使い方っていうものを学び、実名をオンラインに出すということも学んだ。だから今度は、グローバル標準のビジネスSNSの使い方を日本人が学んでいくフェーズなんじゃないかと思っていて。</p>

<p>あれだけ「日本の匿名文化は変わらない」って言われていたのにそれが変わったというのは、やっぱりこの領域は、結局のところグローバルのプラットフォームの方に寄っていくのだろうと思うんです。だとすると、LinkedInは日本以外だと大成功してますんで、そっちに寄っていくはずだというふうに考えたんですね。</p>

<p><strong>──Facebookをはじめ、過去に外国企業が日本市場で成功した際には、パートナーシップがカギになったとよく言われます。村上さんはこれまでヤフーにいらして、日本のIT業界にたくさんのネットワークをお持ちだと思いますが、みんなでそれをやる、という意識はありますか？</strong></p>

<p>もちろんです。どんどんやっていきますよ。最初に触れたように、その先には日本人の働き方を多様化したいという思いがあるので。「働き方改革」の旗を一緒に掲げてくれる人であれば、どなたでもご一緒する機会はあるだろうと思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9999final.jpg">
<figcaption>どんな会社と組みたいか？　どうプロダクトを変えていこうとしているのか？　そのいちばん気になる点については詳細までは語らず、「すごいのがあるんですけど、まだちょっと言えない」と笑ってごまかされた。</figcaption></figure></p>

<h2>プロダクトマーケットフィットの方針にLinkedInの本気を見た</h2>

<p><strong>──就任してまだ2カ月ですが、どこから手をつけていきますか？</strong></p>

<p>まずはローカライズをちゃんとしないといけないと思っています。やっぱりまだ奇妙な翻訳が残っていて、ぱっと見でアメリカから来たものだよねっていうのがバレちゃうんですよね。それがバレないくらいには、プロダクトをマーケットフィットしないとダメだろうなと思っているんです。今年の前半くらいまでは、そういう細かいところを調整していくことになりそうです。すでに手をつけ始めているんですけど、それを地道に続けていくっていう。</p>

<p>まあ、今年からLinkedIn再起動ということで、もう一回しっかりと投資をして、日本のやり方で、日本向けのプロダクトにしていくというのは、もう合意できているので。あとはどんどんやっていくということですね。ぼくが最終的にLinkedInに入ることを決めたというのも、その合意があることが大きかったんです。</p>

<p><strong>──どういうことでしょうか？</strong></p>

<p>彼らが探しているカントリーマネジャーの条件に、プロダクトのバックグラウンドが強くあることというものがあって。それを聞いた時に、「ああ、ようやく考え方を改めたんだね」と思ったんです。</p>

<div class="round-box fl fb gray"><p>LinkedInがヤフーに提案しに来ても、いつも追い返していたのはぼくだったんです</p></div>

<p>一般的に、外資のカントリーマネジャーって営業系の人が多いじゃないですか。要は、「エクセレントなプロダクトをすでに用意してあるから、あとはお前が売ればいいだけだ」っていうのが基本的なやり方なんですよね。彼らからしたら、「日本向けにカスタマイズする」とかっていうのはナンセンスに聞こえる、と。LinkedInも、かつてはそういう姿勢でした。何年も前から日本展開を模索してきた彼らは、ヤフーに対してもずっと提案しに来ていたんですよ。その時に毎回「そのやり方じゃダメだ」って言って追い返していたのは、他ならぬぼくでしたからね（笑）。</p>

<p>やっぱり、日本とアメリカとではカルチャーが大きく違うじゃないですか。いまだに判子がなくならない国で、商習慣を変えるっていうのは難しいですよ。そんな国で成功するには、やっぱり日本向けにカスタマイズすることは不可欠だと思うんです。</p>

<p>ただ、彼らはそこを学んだんです。そういったことを含めて考えて、戦略とプロダクト改善ができる人物というのを求めていて。その話を聞いた時に初めて、ぼくはちゃんと話を聞こうと思えたんですよね。選考の過程で、VP全員と話す機会がありましたけど、みんながちゃんとこの部分の大切さというのを理解していることが伝わってきて、逆に「じゃあどう変えればいいんだ？」というのを聞いてくる。そこに本気度を感じたということです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9987final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>アメリカでは一人ひとりの仕事の成果が明白で、LinkedInにも書いてある。一方、日本の大多数の社員は、名刺に自分の仕事内容を表す肩書きすら載っていない。</figcaption></figure></p>

<h2>企業はいつまで個人を「囲う」のか？</h2>

<p>アメリカでLinkedInが流行ったっていうのは、やっぱり西と東とがだいぶ遠いという地理的な条件も大きかっただろうと思うんですよ。例えば、共通の知人を介して紹介してもらった人と、今度ニューヨークで開催されるイベントで会いましょうという時に、アメリカの場合、最初のやり取りはオンラインなんですよね。いきなりオフラインで会うとか、物理的に難しいんで。</p>

<p>そうした時には、会う前にまず名前検索して、「ああ、今度会う人はこういう人なんだ」という事前情報を得ようとするじゃないですか。その上でSkypeかなんかでミーティングをして、チャットでやり取りを続けて、それでようやく実際に会うわけです。そうだとすると、前職で何をしていたのかとか、仕事でこういうことを成し遂げた人なんだっていうのが、検索結果としてちゃんと出てきて、わかった方がいいわけですよ。そのようにして、LinkedInの需要が生まれていった経緯があるんです。</p>

<p><strong>──なるほど。それと比較すると、日本の場合は東京に一極集中しているから、そのニーズが少ないように見えますね。</strong></p>

<p>そう。それに、仮に大阪や京都とかにいても、大事な案件だと思えば、2時間くらいかけて新幹線で東京まで来て、オフラインで挨拶することが美徳とされる文化もありますよね。「すぐに行きます！」「おお、わざわざご足労いただきまして」みたいな。</p>

<p>ただ、「働き方改革」が進んで、いろいろな人といろいろな働き方をするようになると、当然リモートの機会が増えてくると思うので、ひとつのユースケースとして、LinkedInが合っているというふうになるんじゃないかな、と。LinkedInはマイクロソフトグループであり、そのマイクロソフトのツールというのもどんどんリモートワークに寄せていっているので、この両輪というのはすごくワークするんじゃないかなと思ってます。</p>

<div class="round-box fr fb gray"><p>欧米の「ネットワーキング」と、日本の「人脈」は意味合いが違う</p></div>

<p>もっとも、そうは言っても日米の文化的な違いは大きいので、繰り返しますが、簡単ではないと思ってますよ。例えば欧米の「ネットワーキング」と、日本でいう「人脈」という言葉も、若干コンセプトが違う気がするんですよね。</p>

<p><strong>──興味深いです。どういうことでしょうか？</strong></p>

<p>欧米型のネットワーキングというのは、前提として、その人が前職で何をしていたかとか、どんなことを成し遂げた人なのかということが一目瞭然なので、そこからどんどん話を広げていって、新しい大きなビジネスを作っていくという形です。先ほど、アメリカでは実際に会うよりもオンラインでのやり取りが先になるという話をしましたが、これも、お互いの仕事の実績が明白だからこそ成り立つことなんです。</p>

<p>ところが、日本企業の場合は、その人個人が仕事で何を成し遂げたのかっていうのがわかりにくいじゃないですか。だからなのか、日本でいう人脈って、どちらかというとパーソナリティありきというところが強くて。その上で実際に仕事をしてみて、ようやく継続的に一緒に何かできそうな人なのかがわかる、というプロセスのような気がします。</p>

<div class="round-box fl fb blue"><a href="https://bnl.media/2016/08/aera-hamada.html">
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<div class="info"><strong>「人脈は数ではない」AERA前編集長・浜田敬子に訊く、"濃い"ビジネスネットワークをつくる企画力</strong></div></a></div>

<p><strong>──確かにこうしたメディアをやっていても、日本型の大企業の場合は、「このプロダクトを作った人を取材したい」と思っても見えてこない部分が多いです。</strong></p>

<p>そうですよね。日本の会社は、従業員の顔を表に出さない。出すのは一部のスポークスマンやPRの人だけで、作り手の顔が見えないっていうところがありますよね。それだと、どうしても会社が主語になってしまう。だから人脈作りをするというと、「とりあえず飲み会」になってしまうんだろうと思うんです。でも、いくら飲んだって、ビジネスの面で信頼できるかどうかは、結局のところ仕事をしてみなきゃわからないんですから。</p>

<p><strong>──「飲みにケーションのFacebook」と「ビジネス専用のLinkedIn」の違いという、先ほどのお話にも通じますね。</strong></p>

<p>会社が従業員を表に出さない文化っていうのは非常に昭和的で、終身雇用にコミットする代わりに、引き抜かれるリスクをなるべく避けたいという発想なんですよね。「年金まで約束しているのに、お前は会社に後ろ足で砂をかけて去るつもりか？」っていう。</p>

<p>まあそういう心情になるのはわかるんですけど、でも、さすがにもうそういう時代じゃないですよね？　もはや会社は終身雇用にコミットなんてできないし、実際していませんよ。むしろこのソーシャル全盛の時代ってことでいうと、「箱から人へ」っていうのが流れじゃないですか。</p>

<p>だって、いまやスーパーに行けば、野菜だってそうなんですから。「有機野菜、私が作りました」って生産者の顔が貼ってある。そっちの方が単価が高く売れてるわけですからね。会社のプロモーションだって変わっていくはずですよ。</p>

<p>......というような流れは間違いなくきていて、徐々に変わってきているので、あとはそれをちゃんと進めていくってことだけだと思っています。</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="8010001139738"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="3010401084654"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="4010001120965"></div>
]]>
        <![CDATA[<p><aside><strong>村上臣</strong><small>
LinkedIn カントリーマネージャー</small><p>大学在学中に仲間とともに有限会社「電脳隊」を設立。その後統合したピー・アイ・エムとヤフーの合併に伴い、2000年8月にヤフーに入社。一度退職した後、12年4月からヤフーの執行役員兼CMOとして、モバイル事業の企画戦略を担当。17年11月にLinkedInの日本代表に就任。複数のスタートアップの戦略・技術顧問を務めている。</p></aside></p>

<p>ヤフーの元執行役員で、CMO（Chief Mobile Officer）としてYahoo! JAPANの"モバイルシフト"を推進してきた村上臣が昨年11月、LinkedInの日本法人代表に就いた。このニュースは業界関係者らから驚きをもって受け止められた。</p>

<p>というのも、公表されているLinkedInの国内ユーザー数は100万人を超える程度。同時期に日本に上陸したFacebookの2800万人からは大きく水をあけられているのが現状だ。世界では5億3000万人が利用するサービスに成長しているが、日本上陸は完全に失敗したというのが定説だった。そんな"逆風"の中、なぜ村上がLinkedInに飛び込んだのかについては、村上自身がさまざまなメディアで語っている。</p>

<p>ところで、EightとLinkedInとは、同じ「ビジネス特化型のSNS」にカテゴライズされる競合関係にあるが、村上は大胆にも、そんなライバルに対して共闘を呼びかける。「働き方改革」の旗の下に大同団結を説く、村上の真意を聞いた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9966final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「スキルとロールのミスマッチ」を解消すれば、もっと働きやすい社会になるはず。</figcaption></figure></p>

<h2>転職で、日本を覆う閉塞感を打破したい</h2>

<p><strong>──LinkedInとEightは非常に近いところで戦っている関係にあります。LinkedInを日本で広めていくために村上さんがいま、どんなことを考えているかを率直に伺いたいのですが。</strong></p>

<p>それにはまず、なぜぼくがヤフーを飛び出してLinkedInへやってきたのか、という話からするのがいいんじゃないかと思うんですけど。</p>

<p>いま、日本ってなんだか暗いじゃないですか。閉塞感に満ちている。労働人口は減るし、政治を見ても、おじいちゃんおばあちゃんの方を向いた施策ばかり。若い子は一体どうすればいいんだっけ、みたいな感じで。そう考えた時に、もっといろいろな働き方が、普通にできたらいいんじゃないかと思ったんです。</p>

<p>人が会社を辞めるのって、自分が持っているスキルと会社から求められるロールとがズレた時だろうと思うんです。「こんなに頑張っているのに成果が出ない。マネジャーからも認められない」。そう思った結果としての行動ではないか、と。この「スキルとロールのミスマッチ」というのが最大の不幸なんですよ。なぜなら、スキルとロールが合わないというのは、あくまでこの場所でだけ見ているから起こることにすぎなくて。別の場所に行きさえすれば、活躍できる人はたくさんいるはずなんですよね。</p>

<p>だからまずは、こういったものを可視化して、その上で両者をつなげることができれば、みんながハッピーになれるのではないか、と。マッチングというのは、まさにインターネットが得意とするところですし。</p>

<p>日本は長らく「転職しない国」だと言われてきて、その文化はもう30年近くも変わってないんですよ。そのカルチャーを変えることで、日本を覆う閉塞感を打破したい。そういう思いを持って、ぼくはLinkedInに来ることにしたんです。</p>

<p>もちろんそれだけじゃなくて、ビジネス的に見ても、人材市場って潜在層を含めて見れば1兆円規模くらいあると言われていて。社会的なインパクトという意味でも、この領域は日本社会に残された数少ないフロンティアだというふうに、ぼくの目には映っています。</p>

<p><strong>──いま、「働き方改革」という言葉を聞かない日はないくらいに、村上さんと同じ問題意識を持っている人が少なくないように見えます。</strong></p>

<p>安倍首相が言う「働き方改革」というのも、まさにそういうことだと思うんですけど、ここ数年で、官民双方からこうした動きが盛り上がってきているというのはありますよね。だから、「なぜいまこのタイミングなのか？」と問われれば、やはりこの「働き方改革」の流れがあることは大きいです。</p>

<p>転職というのは、日本人にとってはやっぱり重い。いろいろと引きずっているものがあるじゃないですか。だから、そんなに簡単にカルチャーが変わるとは思ってないです。でも一方で、ちょうどいま、世の中が大きく変わりそうな予感もある。これはロジックではなく、感覚的なものです。こういう時、ぼくはだいたい直感で動くので。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0048final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「飲みニケーションのオンライン化」は、これまで通りにFacebookでいいかもしれないけれど、昼間に使うSNSはビジネスに特化したものを使うべき。</figcaption></figure></p>

<h2>Facebookはビジネスに最適じゃない</h2>

<p><strong>──LinkedInはこれまでも、ダイレクトリクルーティングのサービスを世界規模で提供してきました。ところが、日本ではユーザーが思うように増えていないように見えます。そこはどう変えていくのでしょうか？</strong></p>

<p>ダイレクトリクルーティングというのは、どちらかというとわれわれがBtoBの領域で提供してきたものであって、日本展開のカギを握るのは、むしろBtoCの部分だと思っています。</p>

<p>LinkedInのタイムラインには日々、質の高いビジネス関連のニュースが流れてきます。そこから自分のビジネスに関わる情報を効率よく取得し、それを元に何かいいアイデアを思いついたら、チャットを使って連絡を取り、あるいは新たなビジネスパートナーを検索して探す。海外のユーザーの間では、すでにこうした使い方が一般的になっています。</p>

<p>日本でも、ビジネスをすべて自社で完結するのは難しくなってきており、オープンイノベーションということが盛んに言われるようになりました。そうした状況とLinkedInが得意とするところは、非常に合っていると思うんですよね。</p>

<p><strong>──ただ、日本では現状、まさにそうしたことがFacebookで行われていると思うのですが？</strong></p>

<p>確かに、タイムラインに流れてきた投稿を起点に、とりあえずFacebook Messengerで連絡を取って、そこから新しいビジネスをということを、ぼくの周りでも皆さんやっていますね。</p>

<p>でも、そこの部分というのは、そもそも本来はLinkedInが得意な領域なんですよ。先ほども言ったように、世界ではすでにそうした使われ方がされていて。Facebookはプライベートで、という使い分けがされているんです。Facebookのぼくのタイムラインには、夜になるとラーメンの写真とかしか出てこない。それが朝になるとビジネスニュースに変わる。昼はそのごった煮という感じです。ぼくが言いたいのは、はたしてそれが本当にビジネスに最適なのか？　ということです。</p>

<p>もちろん、Facebookのコメント欄で仲のいい人とワチャワチャすることにより、リレーションシップが深まるという、そういうのもまああっていいとは思います。でも、あれは言ってみれば飲み会の延長ですよね。飲みニケーションのオンライン化。</p>

<p>それとは別に、デイタイムっていうのは、なるべく効率的にいろんなビジネスを作っていく時間のはずじゃないですか。しかも、そっちの時間の方が圧倒的に長い。だとしたらやっぱり、デイタイムにはビジネスに特化したSNSを使った方がいいんじゃないかと思うんです。もちろん、いきなりすべてがスイッチするなんて思ってないですよ。なので、日本においては、しばらくはFacebookとの併用になるんだろうとは思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0021final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>かつてFacebookの日本展開を率いた児玉太郎はヤフーの元同僚だ。児玉は当初難しいと言われた「実名のSNS」を日本で広めることに成功した。そのおかげで、村上はLinkedIn再起動の可能性を探ることができているという。</figcaption></figure></p>

<h2>Facebookが普及してなかったらオファーは受けなかった</h2>

<p><strong>──とはいえしつこいようですが、現状は皆、Facebookでそれをやっているわけじゃないですか。だからそうした棲み分けを実現するには、ビジネス専用のものがあることが大事だと、どうにかして伝える必要があると思うんです。そのためには何が大事になると考えていますか？</strong></p>

<p>そうですね。まずはEightさんのCMじゃないですか？（笑）</p>

<p>というのは半分冗談ですけど、でも半分は本気です。やっぱり「ビジネスのためのSNS」という、これまで日本になかった新しいカテゴリをつくる必要があるんで、この志に賛同できる人は、誰であれ一緒にやりたいと思っているんですよ。Eightとはもちろん競合する部分があるのは確かなんですけど、この意識は多分一致していると思うので、ぜひ一緒にやっていきたいですね。</p>

<p>振り返れば、FacebookとLinkedInが日本に来たのはどちらも2010年ごろで、ほぼ同じタイミングだったんですよね。当時の日本には、2ちゃんねるに代表される匿名文化というのがあって、「グローバルの実名SNSであるFacebookは失敗する」って、みんなが口を揃えて言ってたじゃないですか。「誰も実名なんて出さないよ」って。</p>

<p>でも、現状は見ての通りです。だからあのタイミングでひとつ、文化が変わったんですよね。Facebookが普及したことによって、地ならしが進んだという肌感があります。それが済んでなかった5年前に同じオファーを受けていたら、ぼくはやっぱりLinkedInには来なかったと思うんですよね。あれで日本人がグローバル標準のSNSの使い方っていうものを学び、実名をオンラインに出すということも学んだ。だから今度は、グローバル標準のビジネスSNSの使い方を日本人が学んでいくフェーズなんじゃないかと思っていて。</p>

<p>あれだけ「日本の匿名文化は変わらない」って言われていたのにそれが変わったというのは、やっぱりこの領域は、結局のところグローバルのプラットフォームの方に寄っていくのだろうと思うんです。だとすると、LinkedInは日本以外だと大成功してますんで、そっちに寄っていくはずだというふうに考えたんですね。</p>

<p><strong>──Facebookをはじめ、過去に外国企業が日本市場で成功した際には、パートナーシップがカギになったとよく言われます。村上さんはこれまでヤフーにいらして、日本のIT業界にたくさんのネットワークをお持ちだと思いますが、みんなでそれをやる、という意識はありますか？</strong></p>

<p>もちろんです。どんどんやっていきますよ。最初に触れたように、その先には日本人の働き方を多様化したいという思いがあるので。「働き方改革」の旗を一緒に掲げてくれる人であれば、どなたでもご一緒する機会はあるだろうと思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9999final.jpg">
<figcaption>どんな会社と組みたいか？　どうプロダクトを変えていこうとしているのか？　そのいちばん気になる点については詳細までは語らず、「すごいのがあるんですけど、まだちょっと言えない」と笑ってごまかされた。</figcaption></figure></p>

<h2>プロダクトマーケットフィットの方針にLinkedInの本気を見た</h2>

<p><strong>──就任してまだ2カ月ですが、どこから手をつけていきますか？</strong></p>

<p>まずはローカライズをちゃんとしないといけないと思っています。やっぱりまだ奇妙な翻訳が残っていて、ぱっと見でアメリカから来たものだよねっていうのがバレちゃうんですよね。それがバレないくらいには、プロダクトをマーケットフィットしないとダメだろうなと思っているんです。今年の前半くらいまでは、そういう細かいところを調整していくことになりそうです。すでに手をつけ始めているんですけど、それを地道に続けていくっていう。</p>

<p>まあ、今年からLinkedIn再起動ということで、もう一回しっかりと投資をして、日本のやり方で、日本向けのプロダクトにしていくというのは、もう合意できているので。あとはどんどんやっていくということですね。ぼくが最終的にLinkedInに入ることを決めたというのも、その合意があることが大きかったんです。</p>

<p><strong>──どういうことでしょうか？</strong></p>

<p>彼らが探しているカントリーマネジャーの条件に、プロダクトのバックグラウンドが強くあることというものがあって。それを聞いた時に、「ああ、ようやく考え方を改めたんだね」と思ったんです。</p>

<p>一般的に、外資のカントリーマネジャーって営業系の人が多いじゃないですか。要は、「エクセレントなプロダクトをすでに用意してあるから、あとはお前が売ればいいだけだ」っていうのが基本的なやり方なんですよね。彼らからしたら、「日本向けにカスタマイズする」とかっていうのはナンセンスに聞こえる、と。LinkedInも、かつてはそういう姿勢でした。何年も前から日本展開を模索してきた彼らは、ヤフーに対してもずっと提案しに来ていたんですよ。その時に毎回「そのやり方じゃダメだ」って言って追い返していたのは、他ならぬぼくでしたからね（笑）。</p>

<p>やっぱり、日本とアメリカとではカルチャーが大きく違うじゃないですか。いまだに判子がなくならない国で、商習慣を変えるっていうのは難しいですよ。そんな国で成功するには、やっぱり日本向けにカスタマイズすることは不可欠だと思うんです。</p>

<p>ただ、彼らはそこを学んだんです。そういったことを含めて考えて、戦略とプロダクト改善ができる人物というのを求めていて。その話を聞いた時に初めて、ぼくはちゃんと話を聞こうと思えたんですよね。選考の過程で、VP全員と話す機会がありましたけど、みんながちゃんとこの部分の大切さというのを理解していることが伝わってきて、逆に「じゃあどう変えればいいんだ？」というのを聞いてくる。そこに本気度を感じたということです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9987final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>アメリカでは一人ひとりの仕事の成果が明白で、LinkedInにも書いてある。一方、日本の大多数の社員は、名刺に自分の仕事内容を表す肩書きすら載っていない。</figcaption></figure></p>

<h2>企業はいつまで個人を「囲う」のか？</h2>

<p>アメリカでLinkedInが流行ったっていうのは、やっぱり西と東とがだいぶ遠いという地理的な条件も大きかっただろうと思うんですよ。例えば、共通の知人を介して紹介してもらった人と、今度ニューヨークで開催されるイベントで会いましょうという時に、アメリカの場合、最初のやり取りはオンラインなんですよね。いきなりオフラインで会うとか、物理的に難しいんで。</p>

<p>そうした時には、会う前にまず名前検索して、「ああ、今度会う人はこういう人なんだ」という事前情報を得ようとするじゃないですか。その上でSkypeかなんかでミーティングをして、チャットでやり取りを続けて、それでようやく実際に会うわけです。そうだとすると、前職で何をしていたのかとか、仕事でこういうことを成し遂げた人なんだっていうのが、検索結果としてちゃんと出てきて、わかった方がいいわけですよ。そのようにして、LinkedInの需要が生まれていった経緯があるんです。</p>

<p><strong>──なるほど。それと比較すると、日本の場合は東京に一極集中しているから、そのニーズが少ないように見えますね。</strong></p>

<p>そう。それに、仮に大阪や京都とかにいても、大事な案件だと思えば、2時間くらいかけて新幹線で東京まで来て、オフラインで挨拶することが美徳とされる文化もありますよね。「すぐに行きます！」「おお、わざわざご足労いただきまして」みたいな。</p>

<p>ただ、「働き方改革」が進んで、いろいろな人といろいろな働き方をするようになると、当然リモートの機会が増えてくると思うので、ひとつのユースケースとして、LinkedInが合っているというふうになるんじゃないかな、と。LinkedInはマイクロソフトグループであり、そのマイクロソフトのツールというのもどんどんリモートワークに寄せていっているので、この両輪というのはすごくワークするんじゃないかなと思ってます。</p>

<p>もっとも、そうは言っても日米の文化的な違いは大きいので、繰り返しますが、簡単ではないと思ってますよ。例えば欧米の「ネットワーキング」と、日本でいう「人脈」という言葉も、若干コンセプトが違う気がするんですよね。</p>

<p><strong>──興味深いです。どういうことでしょうか？</strong></p>

<p>欧米型のネットワーキングというのは、前提として、その人が前職で何をしていたかとか、どんなことを成し遂げた人なのかということが一目瞭然なので、そこからどんどん話を広げていって、新しい大きなビジネスを作っていくという形です。先ほど、アメリカでは実際に会うよりもオンラインでのやり取りが先になるという話をしましたが、これも、お互いの仕事の実績が明白だからこそ成り立つことなんです。</p>

<p>ところが、日本企業の場合は、その人個人が仕事で何を成し遂げたのかっていうのがわかりにくいじゃないですか。だからなのか、日本でいう人脈って、どちらかというとパーソナリティありきというところが強くて。その上で実際に仕事をしてみて、ようやく継続的に一緒に何かできそうな人なのかがわかる、というプロセスのような気がします。</p>

<p><strong>──確かにこうしたメディアをやっていても、日本型の大企業の場合は、「このプロダクトを作った人を取材したい」と思っても見えてこない部分が多いです。</strong></p>

<p>そうですよね。日本の会社は、従業員の顔を表に出さない。出すのは一部のスポークスマンやPRの人だけで、作り手の顔が見えないっていうところがありますよね。それだと、どうしても会社が主語になってしまう。だから人脈作りをするというと、「とりあえず飲み会」になってしまうんだろうと思うんです。でも、いくら飲んだって、ビジネスの面で信頼できるかどうかは、結局のところ仕事をしてみなきゃわからないんですから。</p>

<p><strong>──「飲みにケーションのFacebook」と「ビジネス専用のLinkedIn」の違いという、先ほどのお話にも通じますね。</strong></p>

<p>会社が従業員を表に出さない文化っていうのは非常に昭和的で、終身雇用にコミットする代わりに、引き抜かれるリスクをなるべく避けたいという発想なんですよね。「年金まで約束しているのに、お前は会社に後ろ足で砂をかけて去るつもりか？」っていう。</p>

<p>まあそういう心情になるのはわかるんですけど、でも、さすがにもうそういう時代じゃないですよね？　もはや会社は終身雇用にコミットなんてできないし、実際していませんよ。むしろこのソーシャル全盛の時代ってことでいうと、「箱から人へ」っていうのが流れじゃないですか。</p>

<p>だって、いまやスーパーに行けば、野菜だってそうなんですから。「有機野菜、私が作りました」って生産者の顔が貼ってある。そっちの方が単価が高く売れてるわけですからね。会社のプロモーションだって変わっていくはずですよ。</p>

<p>......というような流れは間違いなくきていて、徐々に変わってきているので、あとはそれをちゃんと進めていくってことだけだと思っています。</p>
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    </content>
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<entry>
    <title>プロデュースしすぎるとコケる。コミュニティを主人公に──西新橋のビルに描かれた巨大壁画の舞台裏 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/02/tokyo-mural-project.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.8983</id>

    <published>2018-02-09T01:56:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T04:58:19Z</updated>

    <summary>昨年、虎ノ門ヒルズが隣にそびえ立つ新虎通りの一角で、大きな壁画が披露された。企画のきっかけとなったのはフェイスブックの日本支社を立ち上げたアンカースター率いる児玉太郎と、このエリアで開発に取り組む森ビルとの出会いだった。「いまはプロデュースしすぎたら失敗する。コミュニティを主人公にすべき」。それがいま最もクールなやり方だ。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="sip2018" label="SIP2018" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="アート" label="アート" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="営業の知恵" label="営業の知恵" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h3>新虎通りの巨大壁画</h3>

<p>虎ノ門ヒルズから新橋方面に向かって、「新虎通り」と呼ばれる一直線に伸びる道路がある。2014年に開通したばかりの道であり、2020年にはオリンピック選手村と各競技会場を結ぶルートの一部となるため、東京のカルチャーを世界に発信する上で、今後重要な役割を担うエリアになることが期待されている。昨年、その通りの一角に佇む、レンガ造りのビルの壁に「壁画（Mural）」が描かれた。</p>

<p>しかし、なぜそこに描かれたのか？　のちに「Tokyo Mural Project」と名づけられたその企画を、虎ノ門エリアのエリアマネジメントに携わる森ビルに提案した児玉太郎は、以前フェイスブックの日本法人代表を務めていた人物である。そんな彼が、なぜこのプロジェクトを企画することになったのか。</p>

<p>2010年、当時フェイスブックのカントリーグロウスマネージャーに就任したばかりの児玉に、真っ先に会いに行った森ビルの飛松健太郎によると、「太郎さんは、いつもたくさん構想を持っていて、それを実現できそうな会社なり人なりに、ずっと言い続けています。すると、誰かがそれを面白いって言い始めて実現していくんです」。今回のプロジェクトも、そうだったという。</p>

<p><img src="/uploads/_26A8158final.jpg">
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/10843078032">飛松健太郎</a>（左）</strong><small>森ビル株式会社 営業本部 オフィス事業部 営業推進部 企画グループ イノベーティブビジネス担当チームリーダー</small><p>1978年生まれ。新卒で積水ハウスに入社し、土地活用のコンサルティング営業からキャリアをスタート。2003年に開業した六本木ヒルズを見学して、オフィス事業にも興味を持つ。08年に森ビルのオフィス事業部に転職し、営業担当としてフェイスブックをはじめ、グノシーやメルカリなど、数多くのスタートアップを誘致。その後、イノベーティブビジネス担当に任命され、森ビルのテナントがある街の活性化に貢献する、さまざまなプロジェクトを実現してきた。</p>
<strong><a href="https://8card.net/p/27728389103">児玉太郎</a>（右）</strong><small>アンカースター 代表 / キックスターター カントリーマネージャー</small><p>1977年生まれ。10歳から約10年間ロサンゼルスで育つ。帰国後、99年にヤフーに入社し、Yahoo!知恵袋など、さまざまなサービスの担当企画部長を務める。10年1月からはフェイスブック日本支社のカントリーグロウスマネージャーとしてサービスを国内で大きく成長させる。14年6月に独立し、海外企業の日本進出担当である「カントリーマネージャー」を支援する会社、アンカースターを設立。17年5月に、キックスターターのカントリーマネージャーに就任。</p></aside></p>

<h3>出会いのきっかけは新聞記事</h3>

<p>児玉と飛松の出会いのきっかけは、フェイスブックの日本支社設立を報じる日経新聞の小さな記事だった。2010年当時は、国内でSNSと言えばまだ「mixi」が主流だったが、飛松は「Facebook」というサービスがアメリカで流行りだしていたことを知っていた。このサービスは日本でも大きくなるかもしれない。それならば、ほかのディベロッパーよりも先に接点をもっておきたい、と考えたのだが、記事にはオフィスの所在地はもちろんのこと、誰が代表に就任したのかさえ載っていなかった。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>当時持っていた名刺を全部ひっくり返して、フェイスブックのオフィスの住所を知っている人を探した。</p>
</div>

<p>他のディベロッパーよりも先に接点をもつためには、公表されていない住所と名前をいかにして発見するかが勝負となる。飛松は、当時持っていた名刺を全部ひっくり返して、知っていそうな人に片っ端から電話をした。</p>

<p>「フェイスブックのオフィスがどこにあるか知らないですか？　社員の方を知りませんか？」</p>

<p>すると偶然にも、児玉とヤフー時代の同僚だったというヤフーのOBと連絡がとれた。「数ある東京の都市開発のデベロッパーの中から唯一、森ビルの飛松さんだけが営業に来てくれたんです」と児玉は振り返る。この時の出会いが、すべての始まりとなった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A8168final.jpg">
<figcaption>「せっかく英語もできるし、2つのシリコンバレーの会社の日本展開を経験したんだから、それを活かして、海外のサービスやカルチャーを日本に持ってくるような仕事ができたら面白いなと思っていたんです」（児玉太郎）</figcaption></figure></p>

<h3>ヤフーとフェイスブックの経験を活かして</h3>

<p>児玉は、10歳から20歳くらいまでロサンゼルスで暮らしていた。帰国後、当時まだ100人くらいだったヤフーに「運よく拾ってもらった」という。入社して10年くらい経ったころ、同じ外資系IT企業として日本で成功を収めていたヤフーの経験談を聞きたいということで、フェイスブック本社の人たちが会いに来た。当時、児玉は社内でフェイスブックの可能性をずっと説いて回っていて、英語もできたので彼らの相手を務めることになり、さまざまなアドバイスを行った。</p>

<p>やがて、「お礼がしたいから」と言われてフェイスブックの本社に呼ばれて行ってみると、いくつか面談が設定されていた。これまで行ってきたアドバイスが、経営陣の興味を惹いたようだ。最後には社長のマーク・ザッカーバーグとの面談となり、日本支社の1号社員として、その戦略を自分で実行していくことになった。</p>

<p>日本でフェイスブックを任された児玉は、原宿にある1LDKのマンションを最初のオフィスとした。その居場所を突き止めた飛松が、2010年の9月に会いにやってきたというわけだ。やがて飛松の読み通り、国内のユーザー数は一気に増加し、それに合わせて会社の規模もどんどん大きくなっていった。そのたびに飛松に紹介してもらった物件へ、オフィスを移転した。</p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>次は一度に多くのカントリーマネージャーを手伝えるような仕事を。</p>
</div>

<p>2014年春にフェイスブックを辞めた児玉は、次は一度に多くの会社のカントリーマネージャーを手伝えるような仕事がしてみたい、と考えていた。ある日、飛松に誘われて西新橋のエリアを2人で散歩することになった。永谷園やキーコーヒーなど、規模が大きくなったいまでも本社機能を西新橋に置いている会社があること。そして、森ビルが初めて建てた小さなビルでリクルートが創業したことなどを教えてもらった。児玉は、西新橋がそのような創業の歴史がある街だと初めて知った。そして、都心にありながら、こんなにも空の広い街であることも。</p>

<p>「その時、『このエリアは全てがこれからの、真っ白いキャンバスみたいなエリアなんですね』って話していたのを覚えています。森ビルとしても、これから虎ノ門ヒルズの周辺を開発していく中で、同じ新橋・虎ノ門エリアでどんどん面白いことが起きてほしいという話になりました。それなら、いま構想している海外の人たちを日本に連れてくるビジネスを、このエリアでできたら面白いですねっていうことになって、案内されたのがいまの物件だったんです」</p>

<p>カントリーマネージャーを支援する児玉の新会社「アンカースター」の拠点が決まった瞬間である。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/23215495_895654967250536_4922014669613015233_o.jpg">
<figcaption>東京都では、Muralは屋外広告物という扱いになるため、屋外広告物条例により描ける大きさが指定されている（具体的には壁面の3/10未満、且つ100平米未満）。そのため、このような既存の壁を生かしたデザインとした。Photo: <a href="https://www.facebook.com/TOKYOMURALPROJECT/posts/895655403917159" target="_blank" rel="nofollow">Tokyo Mural Project Facebook Page</a></figcaption></figure></p>

<h3>「Tokyo Mural Project」始動！</h3>

<p>やがて付き合いのあるアーティストなどからも、「この街にはなんとなくポテンシャルを感じる」という声を聞いていた児玉は、ある構想を思いついた。それが、いつもアメリカに出張に行くと見かける、Mural（壁画）をこの街でやってみることだった。</p>

<p>「サンフランシスコに行っても、地元のロスに帰っても、ニューヨークに行っても、Muralは至るところにあるのに、東京では目立つところにひとつもない。『これって何で東京ではできないの？』『やりたい！やりたい！』って普段からいろんな人たちに言っていたら、なんか周りもやりたいって言ってくれるようになったんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/eduardokobra-ny.jpg">
<figcaption><strong>THE KISS by Eduardo Kobra</strong>：ニューヨークのハイラインから見える、世界で最も写真が撮られているMuralのひとつ。第二次世界大戦で米国が日本に勝利した時に、『ライフ』誌の専属フォトグラファー、アルフレッド・アイゼンスタットがタイムズ・スクエアで撮った象徴的な写真「V-J Day in Times Square」をモチーフにしている。Photo: <a href="https://www.flickr.com/photos/eastsidephil/9117672826/in/photolist-eTGstC" target="_blank" rel="nofollow">"Kobra"</a> by Phil Davis (<a href="https://creativecommons.org/licenses/by-nc-sa/2.0/deed.ja">CC BY-NC-SA 2.0</a>)</figcaption></figure></p>

<p>いつも児玉の頭の中には「こうなったら絶対みんな嬉しいじゃん」という明確な完成予想図があるという。</p>

<p>「例えば、新虎通りをみて、あのビルにMuralがあって、ここをみんなスケートボードで走っていて、平日の朝はシャワーブースの施設で汗を流して、コーヒーを片手に出社する...とかって感じです。まあ言うのは簡単なんですけど、その完成予想図があまりに明確に思い浮かぶから、毎回誰に対しても同じことが言えるんです」</p>

<p>そうすると周りもだんだん同じ完成予想図が見えてきて、「たしかにそれいいかも」と面白がってくれたりする。「じゃあうちは〇〇を提供しようか」とか「うちは港区と話してみるよ」とか「うちはスポンサーできるよ」などと言ってくれるようになる。ふと見渡すと、あとは自分が腰さえ上げれば実現できるチームができている。その中でも、特に強力なチームメンバーが飛松なんだという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/23270491_895654930583873_2174289315997771428_o.jpg">
<figcaption><strong>Sal "つむじ風" -上側</strong>：吹き上がる一陣の旋（つむじ）風のイメージ。遠眺にみえる"書"的な大きなストロークやドリッピング風の描画は、有機的な生命力や日本特有の美意識を感じさせる。一方で近眺で見て取れる六角形の鱗と正円の連続（重なり）は構成物の単位=ユニットとして描かれる。作家は、その遠眺と近眺の視覚的誤差による視覚の解体と再構築を試みる。Photo: <a href="https://www.facebook.com/TOKYOMURALPROJECT/posts/895655403917159" target="_blank" rel="nofollow">Tokyo Mural Project Facebook Page</a></figcaption></figure>
</br>
<figure>
<img src="/uploads/23120280_895654953917204_955416319465012714_o.jpg">
<figcaption><strong>JONJON GREEN "COLOR flowing" -下側</strong>：鮮やかな色彩が湧き出し、流れるように美しく伸び進む様が描かれる。色達が色の中で作家の思うまま自由にうごめき、進化し、そのエネルギーを未来へ発散させようと生命を宿っているような魅力をもつ。Photo: <a href="https://www.facebook.com/TOKYOMURALPROJECT/posts/895655403917159" target="_blank" rel="nofollow">Tokyo Mural Project Facebook Page</a></figcaption></figure></p>

<h3>森ビルで唯一文句を言える相手</h3>

<p>飛松は2008年に森ビルに転職してオフィステナントの営業をしていたのだが、いまはもう"営業マン"ではない。名刺には「イノベーティブビジネス担当チームリーダー」と書いてある。実はその肩書きを命名したのは児玉だったのだが、「いまならもっと的確な肩書きを付けられる」と言う。</p>

<p>「森ビルの社員の中で文句や提案を何でも言える相手って実は飛松さんだけだったんです。営業マンという枠を超えて、『森ビルとこういうことをやりたい』とか、『もっとこうしたらいいのに』みたいなことを全部言えていました。だからいま思えば、彼の職種は最近話題の、コミュニティマネージャーだと思うんですよ」</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>期待や不満、あるいは協業のアイデアまで、何でもぶつけられる「はけ口」になっている。</p>
</div>

<p>ディベロッパーにとって、いま注力して開発しているエリアに来てくれる人たちのことを「コミュニティ」と呼ぶのであれば、その人たちがいろんな意見を言える相手、つまりコミュニティマネージャーに、すべての情報や期待値が集約されていく。その役割を担える人物がいるかいないかで、コミュニティに支持されるかどうかは大きく変わってくる。飛松は、森ビルに対するみんなの期待や不満、あるいは協業のアイデアまで、何でもぶつけられる「はけ口」になっているという。</p>

<p>「それで『わかりました！』とかって言ってくれると、もうほかのエリアには行けなくなるじゃないですか（笑）。言ったことが実現できるかもしれないんだったら、待っていた方がいいですからね」</p>

<p>このように、オフィスを貸す側・借りる側の関係を超えて、「一緒に街をより良くしていくために何ができるか」と語り合えるような関係性を飛松は営業時代に築いていた。そのみんなから「もっとこうしてほしい！」というリクエストを聞いては、企画書にまとめて会社に承認を上げる。それがいまの「イノベーティブビジネス担当」としての主な仕事内容だという。</p>

<p>「自分の仕事をコミュニティマネージャーとして意識したことはありませんでしたが、つまるところ、僕たちはみなさんが自分の街に求めていることを叶えるために、森ビルとしてできることを何でもやるチームなんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A8173final.jpg">
<figcaption>「まだ半分営業をやっていたころ、営業の仕事に逃げ道を作るべきじゃないって、児玉さんが言ったの覚えています？　あれがきっかけで僕の異動が決まったんですよ」（飛松）</figcaption></figure></p>

<h3>もはやプロデュースしきる会社は痛々しい</h3>

<p>「プロデュースするとコケる」。これは児玉の信条だと言ってもいいだろう。インタビュー中、何度もその言葉が出てきたのが印象的だった。</p>

<p>最初から誰も使わない機能を盛り込むより、未完成でもいったん世に出してみる。やがてコミュニティができてきたら「もっとこうした方がいい」といった声が聞こえてくる。それをもとに日々改善する。この方法論はITサービスに携わる者にとってはもはや常識だが、「これからは街づくりも同じではないか」と児玉は語る。</p>

<p>「昔はディベロッパーが街のコンセプトを考えて、分厚い資料を作って街を計画していました。いまはコミュニティがどんどん進化していっています。だからプロデュースをすべて一つの会社だけでするという考えは、もはや痛々しいんですよ」</p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>最初はキックスターターとして場所をプロデュースするつもりはない。</p>
</div>

<p>昨年キックスターターのカントリーマネージャーに就任した児玉は、今回壁画が描かれたビルの中に、さまざまな日本のクリエーターのコミュニティを集めてみてはどうかと構想している。ただし、いきなりキックスターターとしてプロデュースするつもりはないようだ。</p>

<p>「『ここはキックスターターの拠点です！』とかってやっちゃうと、どこかのブランドのショールームみたいになっちゃってダサいですから」</p>

<p>今後、国内でもキックスターターのプロジェクトが立ち上がっていくようになると、資金集めを成功させたいユーザーから、さまざまな要望が出てくることが予想される。その時、彼らを支えるために、もし場所が必要とされるのであれば、このビルを使ってみればいいという。</p>

<p>「いまは家具を全部揃えきっちゃうようなオフィスってダサいと思うんです。まずは必要最低限のものだけを買っておいて、みんなの意見を聞いて進化できる余裕を残した状態でオープンする。そういった施設の方がクールなんじゃないかな。面白い人たちをここに集めるには、彼らを主人公にするべきで。『太郎さんって、いろいろ支援してくれていいよね』と裏で言ってもらえるだけで僕は十分なんです」</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="1010401029669"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="2010401121375"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="4010401039979"></div>
]]>
        <![CDATA[<h3>新虎通りの巨大壁画</h3>

<p>虎ノ門ヒルズから新橋方面に向かって、「新虎通り」と呼ばれる一直線に伸びる道路がある。2014年に開通したばかりの道であり、2020年にはオリンピック選手村と各競技会場を結ぶルートの一部となるため、東京のカルチャーを世界に発信する上で、今後重要な役割を担うエリアになることが期待されている。昨年、その通りの一角に佇む、レンガ造りのビルの壁に「壁画（Mural）」が描かれた。</p>

<p>しかし、なぜそこに描かれたのか？　のちに「Tokyo Mural Project」と名づけられたその企画を、虎ノ門エリアのエリアマネジメントに携わる森ビルに提案した児玉太郎は、以前フェイスブックの日本法人代表を務めていた人物である。そんな彼が、なぜこのプロジェクトを企画することになったのか。</p>

<p>2010年、当時フェイスブックのカントリーグロウスマネージャーに就任したばかりの児玉に、真っ先に会いに行った森ビルの飛松健太郎によると、「太郎さんは、いつもたくさん構想を持っていて、それを実現できそうな会社なり人なりに、ずっと言い続けています。すると、誰かがそれを面白いって言い始めて実現していくんです」。今回のプロジェクトも、そうだったという。</p>

<p><img src="/uploads/_26A8158final.jpg">
<aside><strong>飛松健太郎（左）</strong><small>森ビル株式会社 営業本部 オフィス事業部 営業推進部 企画グループ イノベーティブビジネス担当チームリーダー</small><p>1978年生まれ。新卒で積水ハウスに入社し、土地活用のコンサルティング営業からキャリアをスタート。2003年に開業した六本木ヒルズを見学して、オフィス事業にも興味を持つ。08年に森ビルのオフィス事業部に転職し、営業担当としてフェイスブックをはじめ、グノシーやメルカリなど、数多くのスタートアップを誘致。その後、イノベーティブビジネス担当に任命され、森ビルのテナントがある街の活性化に貢献する、さまざまなプロジェクトを実現してきた。</p>
<strong>児玉太郎（右）</strong><small>アンカースター 代表 / キックスターター カントリーマネージャー</small><p>1977年生まれ。10歳から約10年間ロサンゼルスで育つ。帰国後、99年にヤフーに入社し、Yahoo!知恵袋など、さまざまなサービスの担当企画部長を務める。10年1月からはフェイスブック日本支社のカントリーグロウスマネージャーとしてサービスを国内で大きく成長させる。14年6月に独立し、海外企業の日本進出担当である「カントリーマネージャー」を支援する会社、アンカースターを設立。17年5月に、キックスターターのカントリーマネージャーに就任。</p></aside></p>

<h3>出会いのきっかけは新聞記事</h3>

<p>児玉と飛松の出会いのきっかけは、フェイスブックの日本支社設立を報じる日経新聞の小さな記事だった。2010年当時は、国内でSNSと言えばまだ「mixi」が主流だったが、飛松は「Facebook」というサービスがアメリカで流行りだしていたことを知っていた。このサービスは日本でも大きくなるかもしれない。それならば、ほかのディベロッパーよりも先に接点をもっておきたい、と考えたのだが、記事にはオフィスの所在地はもちろんのこと、誰が代表に就任したのかさえ載っていなかった。</p>

<p>他のディベロッパーよりも先に接点をもつためには、公表されていない住所と名前をいかにして発見するかが勝負となる。飛松は、当時持っていた名刺を全部ひっくり返して、知っていそうな人に片っ端から電話をした。</p>

<p>「フェイスブックのオフィスがどこにあるか知らないですか？　社員の方を知りませんか？」</p>

<p>すると偶然にも、児玉とヤフー時代の同僚だったというヤフーのOBと連絡がとれた。「数ある東京の都市開発のデベロッパーの中から唯一、森ビルの飛松さんだけが営業に来てくれたんです」と児玉は振り返る。この時の出会いが、すべての始まりとなった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A8168final.jpg">
<figcaption>「せっかく英語もできるし、2つのシリコンバレーの会社の日本展開を経験したんだから、それを活かして、海外のサービスやカルチャーを日本に持ってくるような仕事ができたら面白いなと思っていたんです」（児玉太郎）</figcaption></figure></p>

<h3>ヤフーとフェイスブックの経験を活かして</h3>

<p>児玉は、10歳から20歳くらいまでロサンゼルスで暮らしていた。帰国後、当時まだ100人くらいだったヤフーに「運よく拾ってもらった」という。入社して10年くらい経ったころ、同じ外資系IT企業として日本で成功を収めていたヤフーの経験談を聞きたいということで、フェイスブック本社の人たちが会いに来た。当時、児玉は社内でフェイスブックの可能性をずっと説いて回っていて、英語もできたので彼らの相手を務めることになり、さまざまなアドバイスを行った。</p>

<p>やがて、「お礼がしたいから」と言われてフェイスブックの本社に呼ばれて行ってみると、いくつか面談が設定されていた。これまで行ってきたアドバイスが、経営陣の興味を惹いたようだ。最後には社長のマーク・ザッカーバーグとの面談となり、日本支社の1号社員として、その戦略を自分で実行していくことになった。</p>

<p>日本でフェイスブックを任された児玉は、原宿にある1LDKのマンションを最初のオフィスとした。その居場所を突き止めた飛松が、2010年の9月に会いにやってきたというわけだ。やがて飛松の読み通り、国内のユーザー数は一気に増加し、それに合わせて会社の規模もどんどん大きくなっていった。そのたびに飛松に紹介してもらった物件へ、オフィスを移転した。</p>

<p>2014年春にフェイスブックを辞めた児玉は、次は一度に多くの会社のカントリーマネージャーを手伝えるような仕事がしてみたい、と考えていた。ある日、飛松に誘われて西新橋のエリアを2人で散歩することになった。永谷園やキーコーヒーなど、規模が大きくなったいまでも本社機能を西新橋に置いている会社があること。そして、森ビルが初めて建てた小さなビルでリクルートが創業したことなどを教えてもらった。児玉は、西新橋がそのような創業の歴史がある街だと初めて知った。そして、都心にありながら、こんなにも空の広い街であることも。</p>

<p>「その時、『このエリアは全てがこれからの、真っ白いキャンバスみたいなエリアなんですね』って話していたのを覚えています。森ビルとしても、これから虎ノ門ヒルズの周辺を開発していく中で、同じ新橋・虎ノ門エリアでどんどん面白いことが起きてほしいという話になりました。それなら、いま構想している海外の人たちを日本に連れてくるビジネスを、このエリアでできたら面白いですねっていうことになって、案内されたのがいまの物件だったんです」</p>

<p>カントリーマネージャーを支援する児玉の新会社「アンカースター」の拠点が決まった瞬間である。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/23215495_895654967250536_4922014669613015233_o.jpg">
<figcaption>東京都では、Muralは屋外広告物という扱いになるため、屋外広告物条例により描ける大きさが指定されている（具体的には壁面の3/10未満、且つ100平米未満）。そのため、このような既存の壁を生かしたデザインとした。Photo: Tokyo Mural Project Facebook Page</figcaption></figure></p>

<h3>「Tokyo Mural Project」始動！</h3>

<p>やがて付き合いのあるアーティストなどからも、「この街にはなんとなくポテンシャルを感じる」という声を聞いていた児玉は、ある構想を思いついた。それが、いつもアメリカに出張に行くと見かける、Mural（壁画）をこの街でやってみることだった。</p>

<p>「サンフランシスコに行っても、地元のロスに帰っても、ニューヨークに行っても、Muralは至るところにあるのに、東京では目立つところにひとつもない。『これって何で東京ではできないの？』『やりたい！やりたい！』って普段からいろんな人たちに言っていたら、なんか周りもやりたいって言ってくれるようになったんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/eduardokobra-ny.jpg">
<figcaption><strong>THE KISS by Eduardo Kobra</strong>：ニューヨークのハイラインから見える、世界で最も写真が撮られているMuralのひとつ。第二次世界大戦で米国が日本に勝利した時に、『ライフ』誌の専属フォトグラファー、アルフレッド・アイゼンスタットがタイムズ・スクエアで撮った象徴的な写真「V-J Day in Times Square」をモチーフにしている。Photo: "Kobra" by Phil Davis (CC BY-NC-SA 2.0)</figcaption></figure></p>

<p>いつも児玉の頭の中には「こうなったら絶対みんな嬉しいじゃん」という明確な完成予想図があるという。</p>

<p>「例えば、新虎通りをみて、あのビルにMuralがあって、ここをみんなスケートボードで走っていて、平日の朝はシャワーブースの施設で汗を流して、コーヒーを片手に出社する...とかって感じです。まあ言うのは簡単なんですけど、その完成予想図があまりに明確に思い浮かぶから、毎回誰に対しても同じことが言えるんです」</p>

<p>そうすると周りもだんだん同じ完成予想図が見えてきて、「たしかにそれいいかも」と面白がってくれたりする。「じゃあうちは〇〇を提供しようか」とか「うちは港区と話してみるよ」とか「うちはスポンサーできるよ」などと言ってくれるようになる。ふと見渡すと、あとは自分が腰さえ上げれば実現できるチームができている。その中でも、特に強力なチームメンバーが飛松なんだという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/23270491_895654930583873_2174289315997771428_o.jpg">
<figcaption><strong>Sal "つむじ風" -上側</strong>：吹き上がる一陣の旋（つむじ）風のイメージ。遠眺にみえる"書"的な大きなストロークやドリッピング風の描画は、有機的な生命力や日本特有の美意識を感じさせる。一方で近眺で見て取れる六角形の鱗と正円の連続（重なり）は構成物の単位=ユニットとして描かれる。作家は、その遠眺と近眺の視覚的誤差による視覚の解体と再構築を試みる。Photo: Tokyo Mural Project Facebook Page</figcaption></figure>
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<img src="/uploads/23120280_895654953917204_955416319465012714_o.jpg">
<figcaption><strong>JONJON GREEN "COLOR flowing" -下側</strong>：鮮やかな色彩が湧き出し、流れるように美しく伸び進む様が描かれる。色達が色の中で作家の思うまま自由にうごめき、進化し、そのエネルギーを未来へ発散させようと生命を宿っているような魅力をもつ。Photo: Tokyo Mural Project Facebook Page</figcaption></figure></p>

<h3>森ビルで唯一文句を言える相手</h3>

<p>飛松は2008年に森ビルに転職してオフィステナントの営業をしていたのだが、いまはもう"営業マン"ではない。名刺には「イノベーティブビジネス担当チームリーダー」と書いてある。実はその肩書きを命名したのは児玉だったのだが、「いまならもっと的確な肩書きを付けられる」と言う。</p>

<p>「森ビルの社員の中で文句や提案を何でも言える相手って実は飛松さんだけだったんです。営業マンという枠を超えて、『森ビルとこういうことをやりたい』とか、『もっとこうしたらいいのに』みたいなことを全部言えていました。だからいま思えば、彼の職種は最近話題の、コミュニティマネージャーだと思うんですよ」</p>

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<p>期待や不満、あるいは協業のアイデアまで、何でもぶつけられる「はけ口」になっている。</p>
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<p>ディベロッパーにとって、いま注力して開発しているエリアに来てくれる人たちのことを「コミュニティ」と呼ぶのであれば、その人たちがいろんな意見を言える相手、つまりコミュニティマネージャーに、すべての情報や期待値が集約されていく。その役割を担える人物がいるかいないかで、コミュニティに支持されるかどうかは大きく変わってくる。飛松は、森ビルに対するみんなの期待や不満、あるいは協業のアイデアまで、何でもぶつけられる「はけ口」になっているという。</p>

<p>「それで『わかりました！』とかって言ってくれると、もうほかのエリアには行けなくなるじゃないですか（笑）。言ったことが実現できるかもしれないんだったら、待っていた方がいいですからね」</p>

<p>このように、オフィスを貸す側・借りる側の関係を超えて、「一緒に街をより良くしていくために何ができるか」と語り合えるような関係性を飛松は営業時代に築いていた。そのみんなから「もっとこうしてほしい！」というリクエストを聞いては、企画書にまとめて会社に承認を上げる。それがいまの「イノベーティブビジネス担当」としての主な仕事内容だという。</p>

<p>「自分の仕事をコミュニティマネージャーとして意識したことはありませんでしたが、つまるところ、僕たちはみなさんが自分の街に求めていることを叶えるために、森ビルとしてできることを何でもやるチームなんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A8173final.jpg">
<figcaption>「まだ半分営業をやっていたころ、営業の仕事に逃げ道を作るべきじゃないって、児玉さんが言ったの覚えています？　あれがきっかけで僕の異動が決まったんですよ」（飛松）</figcaption></figure></p>

<h3>もはやプロデュースしきる会社は痛々しい</h3>

<p>「プロデュースするとコケる」。これは児玉の信条だと言ってもいいだろう。インタビュー中、何度もその言葉が出てきたのが印象的だった。</p>

<p>最初から誰も使わない機能を盛り込むより、未完成でもいったん世に出してみる。やがてコミュニティができてきたら「もっとこうした方がいい」といった声が聞こえてくる。それをもとに日々改善する。この方法論はITサービスに携わる者にとってはもはや常識だが、「これからは街づくりも同じではないか」と児玉は語る。</p>

<p>「昔はディベロッパーが街のコンセプトを考えて、分厚い資料を作って街を計画していました。いまはコミュニティがどんどん進化していっています。だからプロデュースをすべて一つの会社だけでするという考えは、もはや痛々しいんですよ」</p>

<p>昨年キックスターターのカントリーマネージャーに就任した児玉は、今回壁画が描かれたビルの中に、さまざまな日本のクリエーターのコミュニティを集めてみてはどうかと構想している。ただし、いきなりキックスターターとしてプロデュースするつもりはないようだ。</p>

<p>「『ここはキックスターターの拠点です！』とかってやっちゃうと、どこかのブランドのショールームみたいになっちゃってダサいですから」</p>

<p>今後、国内でもキックスターターのプロジェクトが立ち上がっていくようになると、資金集めを成功させたいユーザーから、さまざまな要望が出てくることが予想される。その時、彼らを支えるために、もし場所が必要とされるのであれば、このビルを使ってみればいいという。</p>

<p>「いまは家具を全部揃えきっちゃうようなオフィスってダサいと思うんです。まずは必要最低限のものだけを買っておいて、みんなの意見を聞いて進化できる余裕を残した状態でオープンする。そういった施設の方がクールなんじゃないかな。面白い人たちをここに集めるには、彼らを主人公にするべきで。『太郎さんって、いろいろ支援してくれていいよね』と裏で言ってもらえるだけで僕は十分なんです」</p>
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    <title>3/16開催「人のつながりで、仕事に変化を起こすには？」BNL x Forbes JAPAN 特別セッション #SIP2018 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2018-02-09T01:53:00Z</published>
    <updated>2019-05-17T07:04:51Z</updated>

    <summary>3月16日（金）、ザ・プリンスパークタワー東京で開かれるビジネスカンファレンス「Sansan Innovation Project」で、BNLとForbes JAPANの共同企画セッションを開催。Adobeの武井史織、Kickstarterの児玉太郎、LinkedInの村上臣など、豪華ゲストが登壇する。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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    <category term="弱いつながりの強さ" label="弱いつながりの強さ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
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        <![CDATA[<p>2018年3月16日（金）、ザ・プリンスパークタワー東京で開催される「Sansan Innovation Project」にて、BNLとForbes JAPANの共同企画セッションを開催する。</p>

<p>元ヤフー執行役員でCMO（チーフモバイルオフィサー）としてモバイル戦略をリードし、昨年LinkedInのカントリーマネージャーに就任した村上臣。国内1号社員としてFacebookの日本展開を率いて、昨年Kickstarterのカントリーマネージャーに就任した児玉太郎。日本を担当する初のコミュニティマネージャーとして活躍するAdobeの武井史織。BNLの編集長でEightのコンテンツ戦略をリードする丸山裕貴が登壇。モデレーターはForbes JAPAN編集次長、九法崇雄が担当し、表題について議論を展開する。</p>

<h3>つながりで変化は起こせるか？</h3>

<p>かつてアメリカの起業家・投資家のピーター・ティールは、「空飛ぶ車が欲しかったのに、手にしたのは140文字だ」とツイッターに対して嘆いたのは有名な話だが、世界20億人を"友達"のネットワークでつないだフェイスブックでさえ、このままでは世界は変えられないと考えて、昨年、会社のミッションを変更した。</p>

<p>世界中の人々がネットワークでつながった。では、どのように活用すれば、一人ひとりが世界に変化を起こせるのか。フェイスブックが出した答えは、「コミュニティづくりを応援し、人と人がより身近になる世界を実現する」というものだ。</p>

<h3>「コミュニティマネージメント」の時代</h3>

<p>2010年にフェイスブック日本支社の立ち上げを任された児玉太郎は、わずか4年間でサービスを飛躍的に成長させた。退職した翌年には、海外企業の日本進出担当である「カントリーマネージャー」を支援する会社、アンカースターを設立。さらに昨年からは、キックスターターのカントリーマネージャーに就任し、自ら舵を取っている。</p>

<p>これからは「コミュニティマネージャー」が会社にとって、さらに重要な役割を果たすようになる、と児玉はBNLのインタビューで語ったのだが、いったいどういうことだろうか。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/02/tokyo-mural-project.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_26A8168final.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>【児玉太郎インタビュー記事】プロデュースしすぎるとコケる。コミュニティを主人公に──西新橋のビルに描かれた巨大壁画の舞台裏</strong></div></a></div>

<p>そもそもコミュニティマネージャーとは、どんな仕事をする人なのか。その一例として、PhotoshopやAcrobat（PDF形式ドキュメントファイル生成ソフトウェア）などで有名なソフトウェアメーカー、アドビシステムズの武井史織の仕事は参考になるだろう。</p>

<p>日本を担当する初めてのコミュニティマネージャーとして、世界90都市以上で開催しているコミュニティーイベント「<a href="https://blogs.adobe.com/creativestation/tag/creative-jam" rel="nofollow">Adobe Creative JAM</a>」を東京と大阪で開催したり、地域課題解決型イベント「<a href="https://blogs.adobe.com/creativestation/tag/design-jimoto" rel="nofollow">Design Jimoto</a>」で、地域のクリエイターが交流できる場をつくったりして、国内のクリエイティブコミュニティの輪を広げている。</p>

<h3>いかに弱いつながりを「うまく」活用できるか</h3>

<p>一方、名刺でつながるEightは、友達としてつながるFacebookやクリエイターが集うAdobeのコミュニティと比べると、接点の少ない、いわゆる〈弱いつながり〉の多いSNSである。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/05/iriyama.html/">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_L2A8466-1094.jpg">
<div class="info"><strong>弱いつながりの強さ：早稲田大学ビジネススクール准教授・入山章栄が解説する、世界標準の人脈術</strong></div></a></div>

<p>なかには一度しか会ったことのない人や、顔と名前が一致していない人も多く、他のSNSと比べるとコミュニケーションのハードルは高い。だが、逆にこのネットワークの特徴を生かして、もっとうまくビジネスに役立てられる方法はないものだろうか。</p>

<p>例えば、いまのビジネスの課題を共有すれば、全く違った角度から新たな解決策が見い出せるかもしれない。あるいは、興味のある分野の求人情報が届けば、自分の能力を活かせる新たな仕事と巡り会えるかもしれない。</p>

<p>LinkedInは、Eightに先行してキャリア支援サービスを世界中で提供しているが、まだ日本ではあまり普及していない。昨年、カントリーマネージャーに就任した村上臣は、いま何を考えながら国内戦略の巻き返しを図っているのだろうか。モデレーターを務めるForbes JAPANの九法編集次長は、その気になる構想についても切り込んでいく。</p>

<p>これから、人のつながりで、仕事に変化を起こすための参考となる、最先端の議論がここで展開される。参加費は無料。この貴重な機会をお見逃しなく！</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="3010401084654"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="8010001139738"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="7010701011841"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="4010001120965"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="1011001067737"></div>
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    <title>名前や会社名を忘れても、キーワードで名刺を探し出せる「ラベル」と「メモ」の活用術 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/01/eight-tips-vol2.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.8988</id>

    <published>2018-01-30T06:36:00Z</published>
    <updated>2018-12-27T10:18:01Z</updated>

    <summary>Eightの便利な使い方を紹介する「Eight Tips」。今回は、過去に名刺交換した人ともう一度会いたいときに、キーワードで簡単に探せるようになる「ラベル」と「メモ」を使った名刺の分類方法を紹介します。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eight Tips" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>イベントを企画するときや、新しいサービスを始めるときなど、いざビジネスパートナーが必要なシーンで名刺を活用できていますか？</p>

<p>「いっしょにイベントをやる会社を探しているけど、名前順に並んだ数百枚の名刺を、見返す気にはならない」 <br />
「いつかの勉強会で隣の席になったあの人に連絡したいが、名前も会社名も思い出せない」</p>

<p>そんな方は、Eightの「ラベル」と「メモ」を使ってみましょう。名刺を大まかに分類して、目印をつけておくだけで、必要なときに見返してアクセスできます。</p>

<h2>業種ごとに「ラベル」で名刺を分類</h2>

<p>お好きな名前の「ラベル」を付けて、カテゴリごとに名刺をまとめられます。</p>

<p>ラベル名として「業種」を設定すると、必要なシーンで名刺を見つけやすくなります。
例えば広報であれば、営業先の名刺には「メディア」、イベントで知り合った同業者には「広報仲間」というラベルを付けたら、企画を考えるときや、売り込むときに、参照するのに役立ちます。</p>

<p><img alt="label_1.GIF" src="/uploads/label_1.GIF" width="300" height="560" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>

<h2>プロフィールから個別にラベルを設定する方法</h2>

<p>既存のラベルを1、2枚の名刺に付けたいときは、プロフィールから設定すると効率的です。</p>

<p><img alt="label_2.GIF" src="/uploads/label_2.GIF" width="300" height="560" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>

<h2>イベントで交換した名刺には「イベント名」を</h2>

<p>イベントで何人かと名刺交換したときは、名前が「イベント名_日付」のラベルを付けると、名前や会社名が思い出せなくても、ラベル名から参照できます。</p>

<p><img alt="label_3.jpg" src="/uploads/label_3.jpg" width="328" height="548" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>

<h2>「メモ」のキーワードで名刺を検索</h2>

<p>自分の中でルールを決めて、「メモ」にキーワードを入れると、必要なときに参照しやすくなります。例えば、知り合いの紹介で出会って、もう一度会いたい人の名刺には「重要」「20180123」「企画」「アイデア」などの単語を入れておくと、いざ会いたくなったとき、すぐに探せます。</p>

<p><img alt="label_4.jpg" src="/uploads/label_4.jpg" width="328" height="548" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>

<p>※ スマホで操作した場合のイメージです。PCで操作する場合は、<a href="https://eight.zendesk.com/hc/ja/articles/360000573136">ヘルプ</a>をご覧ください。</p>

<p>あとで見返したときに役立つメモのまとめ方が、小西利行著『<a href="https://www.amazon.co.jp/%E4%BB%95%E4%BA%8B%E3%81%AE%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%BB%E8%B3%AA%E3%81%8C%E5%8A%87%E7%9A%84%E3%81%AB%E4%B8%8A%E3%81%8C%E3%82%8B-%E3%81%99%E3%81%94%E3%81%84%E3%83%A1%E3%83%A2%E3%80%82-%E5%B0%8F%E8%A5%BF-%E5%88%A9%E8%A1%8C/dp/4761271426">仕事のスピード・質が劇的に上がる　すごいメモ。</a>』で紹介されています。なかでも、デジタルサービスを使ったメモのまとめ方は、Eightでも参考になります。</p>

<blockquote>
  <p>タグ付けするワードは、できるだけ「よく使う言葉」のほうがいいでしょう。たとえ重要なキーワードだから大丈夫と思っても、初めて聞いた言葉やオリジナルの言葉は、時間がたつと忘れる可能性が高いからです。必要なのはそのメモと再会することなので、タグはいつも使う言葉やカテゴリーを象徴する言葉がよく、しかも、複数の言葉をタグとして入れておくほうが使えるというわけです。</p>

<p>──『仕事のスピード・質が劇的に上がる　すごいメモ。』小西利行（かんき出版）</p>
</blockquote>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2016/08/fukuda.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_MG_1679_final-1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>関連記事：経理がなぜ営業より売れるのか？　ビジネスマッチングの達人・福田宗就がEightの裏ワザを公開</strong></div></a></div>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>社外の人と偶然の出会いが生まれる場へ──Yahoo! JAPAN「LODGE」と家具メーカーVitraの実証実験 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/01/jikken-office.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.8969</id>

    <published>2018-01-24T04:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:17:02Z</updated>

    <summary>オープンコラボレーションスペース「LODGE」は、家具メーカーVitraと組み、コミュニケーションの形態に応じて8種類のテーマを設定して家具を一新した。社外の人と交わる機会を増やして、事業アイデアの探索に挑む「ジッケン オフィス」プロジェクトの全容に迫る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="オープンイノベーション" label="オープンイノベーション" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="デザイン" label="デザイン" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>2016年11月、ヤフー株式会社は紀尾井町にある本社の17階に、1,330平方メートルの広大なオープンコラボレーションスペース「LODGE」をオープンした。</p>

<p>誰でも受付さえ済ませば、無料で利用できる。立地もよく、レストランやカフェも併設されているとあって大盛況で、日々200人を超える来訪者数を記録しているという。トークイベントの会場としても人気で、毎日のように開催されている。</p>

<p>実はこの場所で、2017年の9月19日から11月10日まで、「ジッケン オフィス」と銘打ち、とある実証実験が行われていた。スペースの半分をスイスのデザイン家具メーカー「Vitra」の家具に置き換えたのだ。 （LODGEのインテリアデザインを手がけたFLOOATの協力のもと、LODGEとVitraの共同主催という形の期間限定イベントとして実施された）</p>

<p>なぜこのような試みをしたのか？　Yahoo! JAPANとVitraのコラボレーションはいかにして成立したのか？　BNLは、このプロジェクトを企画した両社のリーダー、植田裕司（「LODGE」サービスマネージャー）と片居木亮（Vitra株式会社代表取締役）に話を聞いた。</p>

<p><img src="/uploads/_26A4814test.jpg" alt="" title="" />
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/39694169919">植田裕司</a></strong><small>ヤフー株式会社 スマートデバイス本部 コワーク推進長／LODGE サービスマネージャー </small>
<p>2007年新卒入社。デジタルホーム事業本部にて、テレビ向けサービスの開発業務全般を担当。その後、自身で立ち上げたサービスのマネージャーを経験後、Yahoo! JAPANアプリの開発へ。メディアカンパニースタートページ事業本部スタートページ開発1部の部長に就任。 2016年のオフィス引越しの業務を兼務し、LODGEのプロジェクトを主導する現職に。</p></aside></p>

<p><strong>──まずは植田さんから、あらためてLODGEのコンセプトと、今回の企画につながった当初の課題について教えてください。</strong></p>

<p><strong>植田：</strong>社内の人間だけで議論していても、なかなかいいアイデアは得られないものです。そこで社外から新しい気づきを得られるような「情報の交差点」を生み出したいと思って作りました。毎日盛況ではあるのですが、まだまだ「無料の作業スペース」という感覚で使っている人が多いのも事実です。その課題をVitraの片居木さんに共有して、ともにこの「ジッケン オフィス」を企画しました。</p>

<p><strong>──家具を変えたことで、利用者に何か変化は見られましたか？</strong></p>

<p><strong>植田：</strong>予想以上に効果があったのは、この台形のテーブルですね。利用者は自由にテーブルを動かせて、用途に応じて組み合わせられるので、毎日のようにレイアウトが変わっています。</p>

<p><img src="/uploads/24516712final.jpg" alt="" title="" />
<img src="/uploads/19704398final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6><strong><a href="https://www.vitra.com/ja-jp/product/map-table">Map Table</a></strong>：ワークショップから公開討論まで、コミュニケーションを重視するさまざまなイベント形式に対応できるテーブル。ロンドンのRoyal College of Artでともに建築とインテリアデザインを学んだ、エドワード・バーバーとジェイ・オズガビーがデザイン。</h6>

<p><strong>──なぜ、このような家具を選んだのですか？</strong></p>

<p><strong>片居木：</strong>オフィスを作る時に大事なことは、今回で言えば運営側であるLODGEと、そこで働くユーザーのニーズや課題をまず深く理解することです。その上で結果が出せるよう空間ソリューションを提供していきます。ここはイベント会場としてもよく利用されていて、講義やグループワークなど、イベントの形式によってさまざまなレイアウトに対応する必要がありました。そのため、必要に応じて簡単に家具を動かせることはユーザーにとって空間の利便性を高めるだけでなく、日々の運営にとっても大事だと考え、会議形式だけでなく、不規則なレイアウトも自由に作ることができるようなキャスター付の台形のテーブルを導入してみました。ただ、家具だけでできることは限られるので、レイアウトはわりと早いうちにアイデアをかためて、他にどのような仕掛けをするべきか、という議論により多くの時間を使いました。</p>

<p><strong>──例えばどのような議論をしたのですか？</strong></p>

<p><strong>片居木：</strong>両社のメンバーで集まってホワイトボードを使って、実際にLODGEではどういう状況でコミュニケーションが起きる可能性があるのか、と話し合いました。</p>

<p><strong>植田：</strong>利用者間のコミュニケーションを活性化したい、という課題を分解していくと、さまざまな気づきが得られました。そこから、「Co-CREATE "GYM"」や、「CONNECT "TOWN HALL"」といったように、8種類のテーマを掲げて、それぞれの用途に最適な家具を配置しました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A4921test.jpg" alt="" title="" />
<img src="/uploads/24977066final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption><strong>1.Co-CREATE "MISSION ROOM"：</strong>同じ目的に向かって、チームで作業を行うのに適したスペース／<strong>2.Co-CREATE "GYM"：</strong>ジムで体を鍛えるように、アイデアを練り上げる多様なコミュニケーションをサポートし、鍛え抜かれたアイデアを創出させるスペース／<strong>3.CONNECT "TOWN HALL"：</strong>稼動式のソファやテーブルにより、レクチャーホールのように大勢参加のセミナーや数人単位のワークショップなども行える多機能空間／<strong>4.CONNECT "COMPARTMENT"：</strong>ワークスペースに空間を作り出すシステム家具により、集中してグループコミュニケーションやデスクワークが行えるスペース／<strong>5.CREATE "LAB"：</strong>最新のVR設備を備え、アイデアを形にし、検証可能なクイックプロトタイピングが行えるスペース。／<strong>6.CONNECT "MARKET"：</strong>市場のように情報や人が行き交う交差点としての機能を持つスペース／<strong>7.Co-CREATE "3 on 3"：</strong>少人数のグループ同士で、集中し仕事を行うのに最適なスペース／<strong>8.Co-CREATE "RING"：</strong>リングで戦うファイターのように、自分達の意見やアイデアをぶつけ合うブレインストーミングを行うのに最適なスペース</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──LODGEには日々どんな人たちが集まっているのでしょうか。</strong></p>

<p><strong>植田：</strong>弊社は手広く事業をしているので、さまざまなお仕事をされている方が集まっています。あえてターゲット層も絞らずに、多様な人を迎え入れて、いろんな偶然の出会いが生まれる場所にしていきたいと思っています。</p>

<p><strong>──「LODGEにいたら、いつも面白い人と出会える」と言われるようになって、社員が日ごろあまり関わりのないような人たちとの偶然な出会いが、どんどん生まれていくといいですね。</strong></p>

<p><strong>植田：</strong>無料で運営しているからこそ、今後はYahoo! JAPANの事業に貢献する方法を探っていきます。</p>

<p><strong>──現段階で考えているアイデアを教えていただけますか？</strong></p>

<p><strong>植田：</strong>アプリの開発部長を担当していた時、僕はタイムラインに動画を表示できるようにしたいと考えたのですが、動画の開発に長けたアプリエンジニアが少なかったんです。社外でも誰に相談したらいいかわかりませんでした。そういった課題を各事業部から引き上げて、例えばLODGEで勉強会を開催してコミュニティを集められたら、Yahoo! JAPANの事業にも貢献できる道がもっと広がっていくのではないかと考えています。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2016/08/ishikawa.html">
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<div class="info"><strong>「いいアイデアの9割は社外から集まる。では明日は誰と会うべきか？」石川善樹が説く、ビジネスネットワークの法則</strong> <date>2016.08.10</date></div></a></div>

<p><strong>──社内の課題を解決できそうな人を、LODGEの利用者の中から探すということですね。</strong></p>

<p><strong>植田：</strong>そうです。解決する課題は現場の開発メンバーが抱えているものかもしれないし、その成長を願っている上長かもしれない。さらに大きな事業を考えている人かもしれないけれど、まずは、現場の御用聞きから始めたいと思っています。</p>

<p><strong>──社外のアイデアとYahoo! JAPANの事業をつなぐ、まさに「情報の交差点」ですね。</strong></p>

<p><strong>植田：</strong>自社にこもっていたら、自分たちの脳でしか判断できません。そもそも課題の発見すら難しいかもしれない。社外の人たちと接することで、「こういったところに課題があるのか。これってまだ他の会社は攻めていないところだな」と気づかせるのがLODGEの役目だと考えています。</p>

<p><img src="/uploads/_26A4836test.jpg" alt="" title="" />
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/ryokataigi">片居木亮</a></strong><small>Vitra株式会社 代表取締役</small>
<p>文具や家具を扱う商社からキャリアをスタート。その後、輸入家具の販売代理店でVitraの家具に出合い、Vitra日本法人の立ち上げの際にVitraに転職、販売責任者に就任する。その後、中国市場の営業責任者を経て、33歳で日本法人の社長に就任。家具を販売するだけでなく、新しいオフィス空間のあり方を日々研究、提案している。</p></aside></p>

<p><strong>──Vitraとしては、LODGEのどのようなところに共感できたのでしょうか。</strong></p>

<p><strong>片居木：</strong>まず両社のビジネスは大きく異なります。ヤフーはITでサービスを素早く広範囲に提供し、新しいことにも挑戦しやすい会社だと思います。Vitraは創業80年の家具メーカーで、家具の製品開発はもっとアナログで長い時間を要するものなのです。私たちの日々の仕事の9割はデザイナーやクライアントとオフィスや居住空間を作ったり、家具のデザインや、もっと詳細な家具の素材や色の話をすることで、家具メーカーとして創業以来ずっと変わらない仕事を続けています。</p>

<p>ただ、時代とともに必要な空間や家具は変わっていきます。特に変革期にあるオフィスのビジネスという観点からは、日々お客さんに会って家具を販売しているだけでは限界があります。将来の変化に対応したり、成長の起爆剤になるような新しい試みが必要です。そこで残りの1割くらいのリソースを「余白」として残しているんです。「ジッケン オフィス」も、その余白の中でやっています。</p>

<p>私は社内では9割の仕事も余白の1割も、現在と未来への投資と考え、会社の2本の柱として互いを尊重しましょうと言っています。ある程度、独立性は保ちながらも、社内ではどこか影響を与え合うような関係性です。そういう意味においては、Yahoo! JAPANとLODGEの関係性とも近いのかなと思います。</p>

<p><strong>──というと？</strong></p>

<p><strong>片居木：</strong>LODGEは、将来への投資として、比較的自由に運営されている印象があります。空間の作り方においても、ヤフーの企業規模だと、全てのオフィス空間をいきなり変えるわけにはいきませんが、自由度の高いLODGEのようなスペースを外にも開いてあげれば、そこに有益な人や情報が流れてきて、影響を与えられるという考え方が、弊社の「余白」の経営に近いところを感じています。</p>

<p><strong>──Vitraは、1割の「余白」で何か新しいことに挑戦したかった。LODGEも、Yahoo! JAPANの中では「余白」のような存在だった。お互いに「余白」があったからこそ、このコラボは実現できたのかもしれませんね。</strong></p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2016/12/tbs-moriyama.html">
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<p><strong>片居木：</strong>そうですね。おそらくYahoo! JAPANの事業部に弊社の企画をいきなり持っていくのは厳しいと思うんです。LODGEだからこそ、この企画を実現できたのかなと思います。</p>

<p><strong>植田：</strong>僕らもLODGEは実験の場だと思っています。ここでうまくいけば全執務フロアに反映できるかもしれない。そうしたらVitraさんの家具の販売にもつながります。</p>

<p><strong>片居木：</strong>「ジッケン オフィス」を公開した時にある人から、「何でVitraさんがこんなことをやってるの？」と聞かれました。家具を作って販売するというVitraの9割の仕事の方しか知らない方にとっては、なかなか理解されにくいんですよね。</p>

<p><strong>──どうお答えしたんですか？</strong></p>

<p><strong>片居木：</strong>「いままで公開していなかっただけで、いつも社内でやっていることなんです」と答えました。Vitraが革新的な家具を開発するには、ユーザーの課題の理解と、それを解決するアイデアや技術的なチャレンジが必要です。それには数え切れないほどの実験的な試みが必要ですが、いままで実験室の中でデザイナーと限られたメンバーが行っていたことを、今回初めて、そのプロセスを外部と一緒にやっただけなんですよ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A4924test.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>そうは言ってもコミュニケーションばかりでは疲れてしまう。ひとりで息抜きできる空間も必要だ。</figcaption>
</figure>
<br>
<br></p>

<fieldset class="hidden parameters" style="display:none !important;visibility:hidden;">
    <input type="hidden" class="corporate-info" value="4010401039979" data-corporate-number="4010401039979">
    <input type="hidden" class="corporate-info" value="7010401085970" data-corporate-number="7010401085970">
</fieldset>
]]>
        <![CDATA[<p>2016年11月、ヤフー株式会社は紀尾井町にある本社の17階に、1,330平方メートルの広大なオープンコラボレーションスペース「LODGE」をオープンした。</p>

<p>誰でも受付さえ済ませば、無料で利用できる。立地もよく、レストランやカフェも併設されているとあって大盛況で、日々200人を超える来訪者数を記録しているという。トークイベントの会場としても人気で、毎日のように開催されている。</p>

<p>実はこの場所で、2017年の9月19日から11月10日まで、「ジッケン オフィス」と銘打ち、とある実証実験が行われていた。スペースの半分をスイスのデザイン家具メーカー「Vitra」の家具に置き換えたのだ。 （LODGEのインテリアデザインを手がけたFLOOATの協力のもと、LODGEとVitraの共同主催という形の期間限定イベントとして実施された）</p>

<p>なぜこのような試みをしたのか？　Yahoo! JAPANとVitraのコラボレーションはいかにして成立したのか？　BNLは、このプロジェクトを企画した両社のリーダー、植田裕司（「LODGE」サービスマネージャー）と片居木亮（Vitra株式会社代表取締役）に話を聞いた。</p>

<p><img src="/uploads/_26A4814test.jpg" alt="" title="" />
<aside><strong>植田裕司</strong><small>ヤフー株式会社 スマートデバイス本部 コワーク推進長／LODGE サービスマネージャー </small>
<p>2007年新卒入社。デジタルホーム事業本部にて、テレビ向けサービスの開発業務全般を担当。その後、自身で立ち上げたサービスのマネージャーを経験後、Yahoo! JAPANアプリの開発へ。メディアカンパニースタートページ事業本部スタートページ開発1部の部長に就任。 2016年のオフィス引越しの業務を兼務し、LODGEのプロジェクトを主導する現職に。</p></aside></p>

<p><strong>──まずは植田さんから、あらためてLODGEのコンセプトと、今回の企画につながった当初の課題について教えてください。</strong></p>

<p><strong>植田：</strong>社内の人間だけで議論していても、なかなかいいアイデアは得られないものです。そこで社外から新しい気づきを得られるような「情報の交差点」を生み出したいと思って作りました。毎日盛況ではあるのですが、まだまだ「無料の作業スペース」という感覚で使っている人が多いのも事実です。その課題をVitraの片居木さんに共有して、ともにこの「ジッケン オフィス」を企画しました。</p>

<p><strong>──家具を変えたことで、利用者に何か変化は見られましたか？</strong></p>

<p><strong>植田：</strong>予想以上に効果があったのは、この台形のテーブルですね。利用者は自由にテーブルを動かせて、用途に応じて組み合わせられるので、毎日のようにレイアウトが変わっています。</p>

<p><img src="/uploads/24516712final.jpg" alt="" title="" />
<img src="/uploads/19704398final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6><strong>Map Table</strong>：ワークショップから公開討論まで、コミュニケーションを重視するさまざまなイベント形式に対応できるテーブル。ロンドンのRoyal College of Artでともに建築とインテリアデザインを学んだ、エドワード・バーバーとジェイ・オズガビーがデザイン。</h6>

<p><strong>──なぜ、このような家具を選んだのですか？</strong></p>

<p><strong>片居木：</strong>オフィスを作る時に大事なことは、今回で言えば運営側であるLODGEと、そこで働くユーザーのニーズや課題をまず深く理解することです。その上で結果が出せるよう空間ソリューションを提供していきます。ここはイベント会場としてもよく利用されていて、講義やグループワークなど、イベントの形式によってさまざまなレイアウトに対応する必要がありました。そのため、必要に応じて簡単に家具を動かせることはユーザーにとって空間の利便性を高めるだけでなく、日々の運営にとっても大事だと考え、会議形式だけでなく、不規則なレイアウトも自由に作ることができるようなキャスター付の台形のテーブルを導入してみました。ただ、家具だけでできることは限られるので、レイアウトはわりと早いうちにアイデアをかためて、他にどのような仕掛けをするべきか、という議論により多くの時間を使いました。</p>

<p><strong>──例えばどのような議論をしたのですか？</strong></p>

<p><strong>片居木：</strong>両社のメンバーで集まってホワイトボードを使って、実際にLODGEではどういう状況でコミュニケーションが起きる可能性があるのか、と話し合いました。</p>

<p><strong>植田：</strong>利用者間のコミュニケーションを活性化したい、という課題を分解していくと、さまざまな気づきが得られました。そこから、「Co-CREATE "GYM"」や、「CONNECT "TOWN HALL"」といったように、8種類のテーマを掲げて、それぞれの用途に最適な家具を配置しました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A4921test.jpg" alt="" title="" />
<img src="/uploads/24977066final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption><strong>1.Co-CREATE "MISSION ROOM"：</strong>同じ目的に向かって、チームで作業を行うのに適したスペース／<strong>2.Co-CREATE "GYM"：</strong>ジムで体を鍛えるように、アイデアを練り上げる多様なコミュニケーションをサポートし、鍛え抜かれたアイデアを創出させるスペース／<strong>3.CONNECT "TOWN HALL"：</strong>稼動式のソファやテーブルにより、レクチャーホールのように大勢参加のセミナーや数人単位のワークショップなども行える多機能空間／<strong>4.CONNECT "COMPARTMENT"：</strong>ワークスペースに空間を作り出すシステム家具により、集中してグループコミュニケーションやデスクワークが行えるスペース／<strong>5.CREATE "LAB"：</strong>最新のVR設備を備え、アイデアを形にし、検証可能なクイックプロトタイピングが行えるスペース。／<strong>6.CONNECT "MARKET"：</strong>市場のように情報や人が行き交う交差点としての機能を持つスペース／<strong>7.Co-CREATE "3 on 3"：</strong>少人数のグループ同士で、集中し仕事を行うのに最適なスペース／<strong>8.Co-CREATE "RING"：</strong>リングで戦うファイターのように、自分達の意見やアイデアをぶつけ合うブレインストーミングを行うのに最適なスペース</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──LODGEには日々どんな人たちが集まっているのでしょうか。</strong></p>

<p><strong>植田：</strong>弊社は手広く事業をしているので、さまざまなお仕事をされている方が集まっています。あえてターゲット層も絞らずに、多様な人を迎え入れて、いろんな偶然の出会いが生まれる場所にしていきたいと思っています。</p>

<p><strong>──「LODGEにいたら、いつも面白い人と出会える」と言われるようになって、社員が日ごろあまり関わりのないような人たちとの偶然な出会いが、どんどん生まれていくといいですね。</strong></p>

<p><strong>植田：</strong>無料で運営しているからこそ、今後はYahoo! JAPANの事業に貢献する方法を探っていきます。</p>

<p><strong>──現段階で考えているアイデアを教えていただけますか？</strong></p>

<p><strong>植田：</strong>アプリの開発部長を担当していた時、僕はタイムラインに動画を表示できるようにしたいと考えたのですが、動画の開発に長けたアプリエンジニアが少なかったんです。社外でも誰に相談したらいいかわかりませんでした。そういった課題を各事業部から引き上げて、例えばLODGEで勉強会を開催してコミュニティを集められたら、Yahoo! JAPANの事業にも貢献できる道がもっと広がっていくのではないかと考えています。</p>

<p><strong>──社内の課題を解決できそうな人を、LODGEの利用者の中から探すということですね。</strong></p>

<p><strong>植田：</strong>そうです。解決する課題は現場の開発メンバーが抱えているものかもしれないし、その成長を願っている上長かもしれない。さらに大きな事業を考えている人かもしれないけれど、まずは、現場の御用聞きから始めたいと思っています。</p>

<p><strong>──社外のアイデアとYahoo! JAPANの事業をつなぐ、まさに「情報の交差点」ですね。</strong></p>

<p><strong>植田：</strong>自社にこもっていたら、自分たちの脳でしか判断できません。そもそも課題の発見すら難しいかもしれない。社外の人たちと接することで、「こういったところに課題があるのか。これってまだ他の会社は攻めていないところだな」と気づかせるのがLODGEの役目だと考えています。</p>

<p><img src="/uploads/_26A4836test.jpg" alt="" title="" />
<aside><strong>片居木亮</strong><small>Vitra株式会社 代表取締役</small>
<p>文具や家具を扱う商社からキャリアをスタート。その後、輸入家具の販売代理店でVitraの家具に出合い、Vitra日本法人の立ち上げの際にVitraに転職、販売責任者に就任する。その後、中国市場の営業責任者を経て、33歳で日本法人の社長に就任。家具を販売するだけでなく、新しいオフィス空間のあり方を日々研究、提案している。</p></aside></p>

<p><strong>──Vitraとしては、LODGEのどのようなところに共感できたのでしょうか。</strong></p>

<p><strong>片居木：</strong>まず両社のビジネスは大きく異なります。ヤフーはITでサービスを素早く広範囲に提供し、新しいことにも挑戦しやすい会社だと思います。Vitraは創業80年の家具メーカーで、家具の製品開発はもっとアナログで長い時間を要するものなのです。私たちの日々の仕事の9割はデザイナーやクライアントとオフィスや居住空間を作ったり、家具のデザインや、もっと詳細な家具の素材や色の話をすることで、家具メーカーとして創業以来ずっと変わらない仕事を続けています。</p>

<p>ただ、時代とともに必要な空間や家具は変わっていきます。特に変革期にあるオフィスのビジネスという観点からは、日々お客さんに会って家具を販売しているだけでは限界があります。将来の変化に対応したり、成長の起爆剤になるような新しい試みが必要です。そこで残りの1割くらいのリソースを「余白」として残しているんです。「ジッケン オフィス」も、その余白の中でやっています。</p>

<p>私は社内では9割の仕事も余白の1割も、現在と未来への投資と考え、会社の2本の柱として互いを尊重しましょうと言っています。ある程度、独立性は保ちながらも、社内ではどこか影響を与え合うような関係性です。そういう意味においては、Yahoo! JAPANとLODGEの関係性とも近いのかなと思います。</p>

<p><strong>──というと？</strong></p>

<p><strong>片居木：</strong>LODGEは、将来への投資として、比較的自由に運営されている印象があります。空間の作り方においても、ヤフーの企業規模だと、全てのオフィス空間をいきなり変えるわけにはいきませんが、自由度の高いLODGEのようなスペースを外にも開いてあげれば、そこに有益な人や情報が流れてきて、影響を与えられるという考え方が、弊社の「余白」の経営に近いところを感じています。</p>

<p><strong>──Vitraは、1割の「余白」で何か新しいことに挑戦したかった。LODGEも、Yahoo! JAPANの中では「余白」のような存在だった。お互いに「余白」があったからこそ、このコラボは実現できたのかもしれませんね。</strong></p>

<p><strong>片居木：</strong>そうですね。おそらくYahoo! JAPANの事業部に弊社の企画をいきなり持っていくのは厳しいと思うんです。LODGEだからこそ、この企画を実現できたのかなと思います。</p>

<p><strong>植田：</strong>僕らもLODGEは実験の場だと思っています。ここでうまくいけば全執務フロアに反映できるかもしれない。そうしたらVitraさんの家具の販売にもつながります。</p>

<p><strong>片居木：</strong>「ジッケン オフィス」を公開した時にある人から、「何でVitraさんがこんなことをやってるの？」と聞かれました。家具を作って販売するというVitraの9割の仕事の方しか知らない方にとっては、なかなか理解されにくいんですよね。</p>

<p><strong>──どうお答えしたんですか？</strong></p>

<p><strong>片居木：</strong>「いままで公開していなかっただけで、いつも社内でやっていることなんです」と答えました。Vitraが革新的な家具を開発するには、ユーザーの課題の理解と、それを解決するアイデアや技術的なチャレンジが必要です。それには数え切れないほどの実験的な試みが必要ですが、いままで実験室の中でデザイナーと限られたメンバーが行っていたことを、今回初めて、そのプロセスを外部と一緒にやっただけなんですよ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A4924test.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>そうは言ってもコミュニケーションばかりでは疲れてしまう。ひとりで息抜きできる空間も必要だ。</figcaption>
</figure></p>
]]>
    </content>
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    <title>ビジネスニュースを、その関係者に広める「企業タグ」の使い方 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/01/eight-tips-vol1.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.8979</id>

    <published>2018-01-22T01:45:13Z</published>
    <updated>2018-12-27T10:15:25Z</updated>

    <summary>Eightの便利な使い方を紹介する新連載「Eight Tips」を始めます。
第1回では、先月リリースした「企業タグ」の活用方法を解説します。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eight Tips" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>「自社に関する記事をSNSでシェアしたとき、『いいね』をくれるのはいつも同じ人」 <br />
「ビジネスニュースに対する感想を投稿しても、反応が薄く、話が広がらない」</p>

<p>このような心当たりはありませんか？</p>

<p>Eightの「企業タグ」を使えば、メディアに掲載された記事と、それに対するコメントを、直接つながっていないユーザーにもシェアできます。その記事に関連する企業の関係者にも、投稿が配信されるからです。</p>

<p>社員へのインタビューや、業務提携、受賞など、自社に関する記事を、広く知ってほしいとき。ビジネスニュースに対する感想を、より興味を持ってくれそうな人に届けたいとき。</p>

<p>普段自分の投稿を見ていない人とも、接点を持つきっかけづくりとして、「企業タグ」を使ってみましょう。</p>

<h2>自社に関する記事をシェアする方法</h2>

<p>企業タグを付けると、同僚とつながっている人にも、投稿が配信されます。社内の人脈を介して、ニュースを広められます。</p>

<p>１）記事のURLをコピーして、近況アップデート画面の投稿欄に貼り付けます。 <br />
２）企業タグを設定できるようになります。（一部対応していないメディアがあります。） 「企業タグ」をタップします。</p>

<p><img alt="tag_1.jpg" src="/uploads/tag_1.jpg" width="328" height="300" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>

<p>３）企業タグを選択して「完了」をタップします。この場合は、Sansan株式会社を選択します。</p>

<p><img alt="tag_2.jpg" src="/uploads/tag_2.jpg" width="328" height="106" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>

<p>Sansan株式会社の社員とつながっている人にも記事がシェアされました。</p>

<p><img alt="tag_4.jpg" src="/uploads/tag_4.jpg" width="328" height="470" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>

<p>※ スマホで操作した場合のイメージです。PCで操作する場合は、<a href="https://eight.zendesk.com/hc/ja/articles/360000573396#h_405203848311543067175253">ヘルプ</a>をご覧ください。</p>

<h2>他社に関する記事にも、企業タグを使えます</h2>

<p>ビジネスニュースに対するコメントをシェアしたいとき、企業タグを付けると、ニュースに関連する企業の関係者にも、投稿が配信されます。新サービスに対する感想や、受賞へのお祝いの言葉などを、届けられます。</p>

<p><img alt="tag_5.jpg" src="/uploads/tag_5.jpg" width="328" height="471" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>
]]>
        
    </content>
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    <title>ビジネスにも通ずる出会いの哲学、「縁の論理」とは？ ──『邂逅の論理』著者、木岡伸夫が解説 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2018/01/kioka.html" />
    <id>tag:bnl.media,2018://125.8913</id>

    <published>2018-01-17T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:24:03Z</updated>

    <summary>昨年発売された『邂逅の論理』は、世界で初めて〈出会い〉を主題とした哲学書である。これまで、さまざまな観点からビジネスのつながりについて探ってきたBNLは、2018年、この「出会いの哲学」に光をあてることから始めてみたい。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="アナロジー" label="アナロジー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ビジネスと思想" label="ビジネスと思想" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/39671623614">木岡伸夫</a></strong><small>関西大学文学部 総合人文学科 哲学倫理学専修教授</small>
<p>
1951年、奈良県に生まれる。77年、京都大学文学部卒業。85年、京都大学大学院文学研究科博士課程退学。現在は関西大学文学部教授。著書に『風景の論理──沈黙から語りへ』（世界思想社、2007年）、『風土の論理──地理哲学への道』（ミネルヴァ書房、2011年）、 『 〈あいだ〉を開く──レンマの地平』（世界思想社、2014年）、『邂逅の論理──〈縁〉を結ぶ世界へ』（春秋社、2017年）。訳書に、オギュスタン・ベルク『風景という知──近代のパラダイムを超えて』（世界思想社、2011年）。
</p></aside></p>

<p>異なる視点をもつ人との〈出会い〉を大切にすべき。</p>

<p>これは、これまでBNLで取材した人に共通する考え方のひとつだと言えるだろう。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2017/05/2017firsthalf-bnlreview.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/IMG_4761-10942.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>フジテレビの低迷からイノベーションについて学べること。2017年上半期 BNL特別総集編</strong></div></a></div>

<p>だが、異なる視点をもつ人は、あまり近くにはいないもので、思いがけない時や場所で出会うことが多い。このような偶然の出会いを「邂逅」という。</p>

<p>今回取材した関西大学教授、木岡伸夫の著書『邂逅の論理』は、〈出会い〉を主題として扱い、その論理について考えた哲学書だ。その序文には、この本に込めた彼の思いが詰まっている。</p>

<blockquote>
  <p>本書は「邂逅」を主題とする。「邂逅」とは、辞書によれば、「思いがけない出会い、めぐり合い」とされている。したがって、『邂逅の論理』の目的は、そういう意味をもつ「邂逅とはどういうことか」、「邂逅はいかにして成立するのか」という道筋（論理）を明らかにすることにある。</p>

<p>と、このように書き出したなら、いったいなぜ「邂逅」というものが、それも「論理」の問題になるのか、という疑問が呈されることだろう。無理もない。洋の東西を問わず、これまで世に出された哲学書、思想書の類に、「邂逅」を主題として取り扱った書物は、ほとんど見当たらないからである。だから、なぜ邂逅が問題になるのか──同じことを裏返して言えば、なぜこれまで邂逅が問題にならなかったのか──を明らかにすることが、本書の最初の課題である。</p>

<p>（中略）</p>

<p>私たちが「哲学」と呼んで、世界の見方や人間の生き方を根本的に反省する学問とみなしているものの中に、人生の重大事である〈出会い〉とうテーマが含まれないとすれば、おかしな話である。そう思わないだろうか。</p>

<p>──『邂逅の論理』木岡伸夫（春秋社） 序文</p>
</blockquote>

<p>日本には「ご縁」という言葉が生活に浸透している。出会いの証である名刺交換も、深くビジネスカルチャーに根付いている。だからこそ、この国には何か、世界に提示できる「出会いの哲学」があるのではないか。そうした期待を胸に大阪へ。関西大学の木岡研究室を訪ねた。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/04/kioka-newbook.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/kiokabook4-1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>最新インタビュー：面白い！と思える出会いには理由がある──『〈出会い〉の風土学』著者が解説</strong></div></a></div>

<p><figure>
<img src="/uploads/bookkaikou.jpg" alt="" title="" />
<figcaption><a href="http://www.shunjusha.co.jp/detail/isbn/978-4-393-31301-5/" target="_blank">『邂逅の論理:〈縁〉の結ぶ世界へ』</a>木岡伸夫（著）。2017年7月に春秋社より発売。</figcaption></figure></p>

<h2>西洋には「出会いの哲学」がない</h2>

<p><strong>──このあいだ書店で偶然『邂逅の論理』を見かけました。タイトルにある「邂逅」という言葉は正直なところ馴染みはなかったのですが、副題の「＜縁＞を結ぶ世界へ」の方は意味が通じたので、気になって手に取ったのです。</strong></p>

<p>たしかに副題の方が一般的な言葉でわかりやすいですよね。</p>

<p><strong>──ビジネスにおける出会いの証である名刺を扱うEightのサービスに、何か役立てられるかもしれないと思って、序文を立ち読みしたところ、いきなり衝撃的なことが書いてありまして、「これはもしや凄い本を見つけたかもしれない！」と思ってすぐに購入しました。</strong></p>

<p>ははは、そうですか。序文を書いてよかった。笑</p>

<p><strong>──衝撃を受けたのは、人生の重大事である〈出会い〉というテーマは、これまで哲学の世界ではほとんど論じられてこなかったということです。</strong></p>

<p>でも聞いたことないでしょ？ そういうタイトルの本ってないでしょ？</p>

<p><strong>──たしかに言われてみれば思い当たる本はありませんが、私自身は名刺アプリの会社にいますので、日々何かしら〈出会い〉という問題について考えています。だから、哲学者がこれまでこの問題について考えたことがないというのは、にわかに信じられませんでした。</strong></p>

<p>それは狙い通りですね。読者にそういうショックを与えるところから入りたかったので。ただ、それにはちゃんと理由があることを最初の章で書いているつもりです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0252final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>まさかビジネスの領域から興味を持ってもらえるとは思っていなかった。このご縁に感謝したいと、快く迎えてくれた。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──そうですね。その理由について、改めて教えていただけますか。</strong></p>

<p>西洋で発展した哲学は、これまで〈出会い〉を問題にする必要がなかったのです。宗主国と植民地、先進国と途上国といった「支配−被支配」の関係において、常に上位であった西洋は、〈対等な出会い〉を経験する機会がほぼなかったからです。</p>

<blockquote>
  <p>独立な二者が対峙するためには、たがいに対等な他者を認め合うことのできる状況が、成立しなければならない。近代に誕生した地球大の「世界」は、西洋が非西洋地域に進出し、その多くを植民地という形で属領にするなどして、支配下に置くという仕方で拡張された、西洋中心の世界である。そういう自己中心的な世界の中では、〈他者〉との関係に向けた反省は生まれようがない。</p>

<p>──『邂逅の論理』木岡伸夫（春秋社） p.20-21</p>
</blockquote>

<p>日本人は明治時代になってから西洋の哲学に触れましたが、学問知識をそのまま有難く頂戴し、模倣し、追従しました。おそらく当時欧州に留学した人に対して、先方は「おお！遥々よう来てくれた！」と、懇切丁寧に哲学を教えてくれたことでしょう。しかし、それでは対等に議論できません。それでも一部の日本の哲学者は、「きっと何か西洋と対峙できる哲学が日本にもあるはずだ」と、150年以上に渡って探り続けてきたわけです。</p>

<p>ただし、これまでに〈出会い〉そのものを中心的な問題として扱った哲学者は西洋にも東洋にもいませんでした。それに気づいてから、私が研究すべきことは決まったのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0499final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>フランスに留学し、地理学者オギュスタン・ベルクのもとで学んでいた時に、木岡は〈出会い〉の問題に注目する。帰国後、自身初の単書となる『風景の論理』を執筆。2作目の『風土の論理』に続いて、2017年に3部作の集大成として『邂逅の論理』を書き上げた。</figcaption></figure></p>

<h2>偶然で対等でなければ〈出会い〉は実らない</h2>

<p><strong>──『邂逅の論理』というタイトルですが、なぜ「出会いの論理」とはしなかったのでしょうか。</strong></p>

<p>20年ほど前から私は「邂逅」という言葉に惹かれています。あえてこの難しい言葉にこだわっている理由は、九鬼周造の『偶然性の問題』に影響を受けたからなんです。九鬼は、日本の哲学を打ち出そうと試みた人のひとりで、彼のライフワークだったテーマは「偶然性」です。それを「独立なる二元の邂逅」という言葉で論じています。</p>

<p>九鬼がこの本を執筆した当時の西洋では、〈必然性〉はよく問題になっていましたが、〈偶然性〉はメジャーではありませんでした。「あっても、なくてもいいけど、たまたまある」というのが偶然の意味です。今日のこの出会いだって、あなたがたまたま書店で私の本を見つけなかったら、実現しなかったわけです。偶然そのものではないですか。必然とはとても言えません。偶然の意味を認めないことには〈出会い〉はない。それが「邂逅」という言葉に込められている意味なんです。</p>

<p><strong>──たしかに私がたまたま書店で見つけたからこそ、今日先生にお会いできました。</strong></p>

<p>さらに九鬼は、邂逅とは「独立なる二元」に生じる出会いであると言います。つまり、対話が成立する対等な関係でなければならない、ということです。彼は、ドイツやフランスを訪ねて、ハイデガーやベルクソンなど一流の哲学者と会っています。しかし、欧州には2000年以上の学問の伝統があったため、対等な出会いにはなり得なかったのです。</p>

<p>そこで、何か西洋に対峙できる哲学が日本にないものかと考えて、彼が思いついたのは「日本人には出会いの美学がある」というアイデアです。そして、『〈いき〉の構造』という、男女の出逢いをテーマにした本を書きました。</p>

<p>九鬼は決して対等であるとは限らない男女の関係性に注目します。例えば、江戸時代の遊里の芸者が旦那と付き合う。でも最後に芸者は身を引くわけです。それが日本人ならではの〈いき〉な態度だと九鬼は書いています。留学を通して思い知った「独立なる二元の邂逅」の難しさ。その痛切な体験がもとになって、『〈いき〉の構造』は生まれたのではないかと私は思うのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0393final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption><a href="http://www.ndl.go.jp/france/jp/column/s1_3.html" target="_blank">記録</a>によると、九鬼は1921年から7年余、妻を伴ってヨーロッパに留学していた。ドイツではハイデッガーやリッケルト、フランスではベルクソンにも会っており、またフランス語の個人教師として、当時まだ学生だったサルトルを雇っていた。</figcaption></figure></p>

<h2>論理と論理がぶつかった時の論理</h2>

<p><strong>──九鬼さんが生きていた時代と比べると、世界の情勢は変化しています。いまなら西洋と東洋の「独立なる二元の邂逅」を実現できるのではないか。『邂逅の論理』は、そのような提言の書であるのでは？</strong></p>

<p>おっしゃる通りです。国と国の関係、文化と文化の関係は、現代の世界で〈出会い〉が問題になる代表的な例でしょう。そのなかで「独立なる二元の邂逅」と言えるような関係がどれほど成り立っているか、という疑問があります。</p>

<p>本の中では書いていませんが、例えば日本とアメリカの関係において、いまの日本はアメリカに追随する立場を取っています。アメリカで良しとされているものをそのまま受け入れている状況は、とても「独立なる二元の邂逅」とは言えません。この本は、決して政治などの応用問題を解こうとして書いた本ではありませんが、何か思考の手がかりになればと願っています。ビジネスのことも一切触れていませんが、このように興味を持っていただけて、大変うれしく思います。</p>

<p><strong>──ビジネスの世界では最近コワーキングスペースで働く人が増えていて、「オープンイノベーション」といって、社内の閉じた環境だけで事業開発を行うのではなく、他社との協業を図る取り組みも増えています。ただ、社風も仕事の進め方も互いに異なる中で、なかなか一筋縄にはいかないことが多いようです。</strong></p>

<p>なるほど。原因はおそらく、それぞれの会社に独自の社風や価値観があって、簡単に相対化できないことでしょう。ではどうすれば、〈出会い〉は成立するのか？　それが私の問いなんです。</p>

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<h4>関連記事：オープンイノベーション</h4>
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<div class="info"><strong>来週どの企業の人と会うべき？　eiiconファウンダー中村亜由子が語る共創につながる出会いの条件</strong> <date>2017.01.01</date></div></a></div>

<p><strong>──興味深い問いですね。いったいどうすればいいのでしょう？</strong></p>

<p>そもそも論理とは「正しい答えは、ひとつしかない」というものなんで、「論理と論理がぶつかった時にどうしたらいいか？」という論理はないんです！</p>

<p><strong>──それが「邂逅の論理」というものになるわけですか？</strong></p>

<p>そうです。論理と論理がぶつかった時の論理として、本の中では、東洋に伝わる「形の論理」と、西洋から広まった「アナロギアの論理」を取り上げています。さらに、その双方の論理を包括する、「縁の論理」というものを検討しているのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0391final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>インタビュー中盤、熱が入り、キーワードを次々と黒板に記していく。</figcaption>
</figure></p>

<h2>論理1. 日本発の「形の論理」</h2>

<p><strong>──ではあらためて「形の論理」から、簡単に解説をお願いできますでしょうか。</strong></p>

<p>「形の論理」は、日本発の論理です。日本語には〈型〉と〈形〉という言葉がありますが、お互いには切り離せない存在なんです。例えば、柔道には〈型〉がありますよね。それは究極のモデルみたいなものですが、〈型〉を参考にして一人ひとりの柔道家の中に生まれてくるものが〈形〉です。そして、数多くの柔道家の〈形〉の中から、特に素晴らしいお手本のようなものが〈型〉に昇格していきます。つまり、〈型〉から〈形〉が生まれ、〈形〉から〈型〉が生まれるのです。</p>

<p><strong>──これまで多くの日本の会社では終身雇用が主流でしたが、最近は転職する人が増えています。ただ、なるべくいまの会社でやりたいことを実現できるようにすべきだ、という意見もあるようです。</strong></p>

<p>それができない会社は、〈型〉と〈形〉の媒介がうまくできていないとも言えるでしょう。会社に入ったら、個々の社員はその会社の規範やルール、つまり〈型〉に従わなければなりません。でも、次第に自己主張をしたくなり、〈型〉を崩したり「型破り」をしたりする。本来、〈形〉にはそういった自由があるべきです。</p>

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<h4>関連記事：〈型〉と〈形〉の文化</h4>
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<div class="info"><strong>ビジネスの人材育成を、落語の徒弟制度から考える──立川志の春 × 宇田川元一 × 森山和彦</strong> <date>2017.08.02</date></div>

<p></a></div></p>

<p><strong>──「型破り」を実現できれば、既存のやり方にとらわれない新たな試みができ、イノベーションにつながりそうですね。</strong></p>

<p>型破りを許容できる会社は、まさに時代を超えて発展できる会社の特徴ではないかと思います。私の言い方では、〈形〉の働きかけによって〈型〉が作り変えられるいい例です。この「形の論理」が成り立っていない会社では、社員は会社のルールに則って仕事をするしかありません。もっとこうしたらいいとか、個人の意思が出てきても、それを十分に活かすことができません。</p>

<p>〈形〉が〈型〉を変えていく、〈型〉が〈形〉をコントロールする。このように両者の〈あいだ〉を開くことが重要なんです。上から言われたことしかできない会社は、ずっと〈あいだ〉は閉じたままです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0361final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>木岡が師事するオギュスタン・ベルクは、日本に来て和辻哲郎の思想に影響を受け、それをフランスに持ち帰って自分の学問をつくった。ベルクが日本の思想に注目したように、今度は木岡がフランスでベルクの思想を学び、日本に持ち帰って自分の学問をつくろうと決意したという。</figcaption>
</figure></p>

<h2>論理2. 西洋で生まれた「アナロギアの論理」</h2>

<p><strong>──次に挙げられていた「アナロギアの論理」についても解説をお願いします。</strong></p>

<p>これは、〈神〉と〈人間〉が分断された西洋の世界観において、どうすれば両者の〈あいだ〉を開き、〈人間〉は〈神〉に近づけるか、を説明するために生まれた論理です。</p>

<p>人間は神様に近づきたい、神様を理解したい、と考えますが、人間と神は断絶しているので、決して神になることはできません。ただ、みんなが神様を信じている、という信仰の〈形〉ならあるわけです。その〈形〉を各々突き合わせて比較すると、自ずと神の存在が浮かび上がってきます。「ああ。やっぱり神っておるんやなあ」と思えるわけです。</p>

<p>「アナロギア」はラテン語で、ギリシャ語では「アナロゴス」、英語では「アナロジー」と言います。日本語訳では「類推」です。要するに、何かを何かと比較する時に使う言葉ですから、これを「アナロギアの論理」というわけです。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/11/the-analogy-talk.html">
<h4>関連記事：アナロジー</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_L2A8356300.jpg">
<div class="info"><strong>人脈を価値にする「類推思考」はブルース・リーに学べ！　特別鼎談：入山章栄 × 島田由香 × 石川俊祐</strong> <date>2017.11.17</date></div></a></div>

<p><strong>──『邂逅の論理』では、「a:b ≒ c:d」のように、ニアリーイコールの式で説明していました。</strong></p>

<p>アナロジーの語源は数学の「比例」です。「1:2 = 3:6」は厳密なイコールの関係ですが、アナロジーの場合はニアリーイコールで表します。例えば、「魚:ヒレ ≒ 鳥:ツバサ」といった関係です。数的比例ではないので決してイコールではありません。でも関係の仕方が似ているから、互いに異なっていても〈あいだ〉を開くことができるんです。</p>

<p>ただし、「a:b ≒ c:d」だけだと関係が閉じてしまうので、「a:b ≒ c:d ≒ e:f」として開きます。そうすると、どんどんアナロジーが広がっていき、原理上は無数の他者へと比較は広がっていきます。つまり、AさんとBさんが仲よく付き合うだけでは駄目だということです。AさんとBさんは、Cさんとも出会う。そのCさんを媒介にして、Dさんとの出会いも広がる。そういうふうな可能性を考えてほしいわけです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_0435final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「良いご縁に恵まれました」とか、「お陰さまで〇〇」といった言葉は日本人に浸透しきっている。でも多くの人は、その言葉の意味を反省できていない。この記事をきっかけに一度、考えてみてほしいと語る。</figcaption>
</figure></p>

<h2>論理3. ふたつの論理を結ぶ「縁の論理」</h2>

<p><strong>──なぜ、「形の論理」と「アナロギアの論理」は、論理と論理がぶつかった時に活かせる論理だと言えるのでしょうか。</strong></p>

<p>どちらも出会った両者の〈あいだ〉を開くことができるからです。東洋と西洋では、文化や神様は異なりますが、「形の論理」と「アナロギアの論理」は、〈あいだ〉を開く思考パターンとしては似ているところがあります。この2つの論理を同類として扱えば、理解し合えるのではないかと考えたわけです。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/03/kawakami.html">
<h4>関連記事：日本の思想</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/20170327300.jpg">
<div class="info"><strong>バイアスを外して「自己認知力」を磨こう──妙心寺・川上全龍が説く、禅の哲学</strong> <date>2017.03.31</date></div></a></div>

<p><strong>──その2つの論理を結ぶのが「縁の論理」というわけですね？</strong></p>

<p>「形の論理」と「アナロギアの論理」は、出処としては東洋と西洋に分かれていますが、これらは「縁の論理」というものにまとめられるのではないかと思うのです。</p>

<p>例えば、キリスト教徒と仏教徒の2人が出会って仲良くなると「ご縁がありましたね」と言えるでしょう。この言葉を使える人は、相手がどんな神様を信じていようとも差別はしないんです。「自分はキリスト教徒だから仏教徒とは付き合わない」というのは、おかしな話でしょう。そこを分け隔てなく付き合える人は、やっぱり「ご縁」という言葉を使える人だと思うのです。</p>

<blockquote>
  <p>「ご縁によって」成り立つ人と人の関係は、それ以前に当事者同士に知られることがなかったその関係が、〈縁〉の成立と同時に確認され、信じられる、といった偶然的かつ必然的な関係である。それが偶然的であるのは、甲にとって乙との出会いが、まったく予想外の仕方で不意打ち的に起こったために、「無いことができる」と考えられるからである。またそれが必然的であるのは、いったん生じた時点では、その出会いがまさしく避けがたい仕方で起こった、という確信を生むからである。</p>

<p>〈邂逅〉の名に値するすべての出会いには、偶然的＝必然的の両義性、つまり「運命」の意味が伴う。それが生じた時点では、その廻り合わせを運命として引き受ける以外にない、という実感が、「ありがたいご縁で」といった日常用いられる言い回しに込められている。これも人のよく知るところであろう。「ご縁」を信じる人々の「ありがたい」思いは、それを実現することに与った神仏への感謝を含みつつ、それによって引き合わされた他者に対する〈責任〉の意識を生み出さずにはおかない。</p>

<p>──『邂逅の論理』木岡伸夫（春秋社） P.274-275</p>
</blockquote>

<p><strong>──ただ、「ご縁」は東洋の言葉ですよね？</strong></p>

<p>もちろん因縁をつける人はいますよ。「ご縁」は仏教の言葉で西洋にはないものですから。翻訳もできません。relationとは違います。ただ、それはもうしょうがないことです。たまたま〈出会い〉について深く考えさせてくれるのが、仏教起源の「ご縁」という言葉ですから。精々それを活かして、「ご縁を結ぶ」という考え方を、東洋でも西洋でも追求していけばいい。その主張の仕方は別に「アナロギアの論理」でも「形の論理」でもいいんです。肝心なのは、それらの論理の中心にある「縁」の思想をしっかり活かす、ということです。</p>
]]>
        
    </content>
</entry>

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    <title>あなたの仕事に、愛と尊敬はありますか？　原野守弘が行き着いた、人の心を揺さぶる根本原理 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/12/twdw2017-report.html" />
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    <published>2017-12-20T01:20:00Z</published>
    <updated>2018-10-25T10:03:06Z</updated>

    <summary>BNLは、働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」で、Eightのプロモーション動画を手がけたクリエイティブディレクター・原野守弘をメインゲストに迎えてトークイベントを開催した。次々と話題作を生むクリエイターが「愛と尊敬」をテーマに語った、注目の講演をリポート。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <![CDATA[<p><aside><strong>原野守弘</strong><small>株式会社もり 代表／クリエイティブディレクター</small><p>経営戦略や事業戦略の立案から、製品開発、プロダクトデザイン、メディア企画、広告のクリエイティブディレクションまで、広範囲な分野で一流の実績を持っている。電通、ドリル、PARTYを経て、2012年11月、株式会社もりを設立、代表に就任。「OK Go: I Won't Let You Down」「NTT Docomo: 森の木琴」「Honda. Great Journey.」「POLAリクルートフォーラム」「Redbull Music Festival Tokyo」などを手がける。カンヌ国際広告祭 金賞、One Show 金賞、Spikes Asia グランプリ、AdFest グランプリ、ACC グランプリ、TCC 金賞、ADC 金賞、広告電通賞 最優秀賞、グッドデザイン賞 金賞など、国内外で受賞多数。</p></aside></p>

<p>世界的な広告賞の常連である原野守弘は先日のBNLのインタビューで、「広告とは見る人の感性を信じて、愛と尊敬でつながるためにコミュニケーションすることである」と語った。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2017/08/harano-morihiro.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_L2A6263final.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>優れた広告は「愛と尊敬」から生まれる──クリエイティブディレクター・原野守弘、世界標準のブランディングを語る</strong></div></a></div>

<p>仕事をする上で「愛と尊敬が大切である」と言われれば、「それはその通りだ」と多くの人が答えるだろう。あるいは「その通りだ」と思いつつも「愛と尊敬」以外のもの、例えば数値目標の達成が優先される日々に、忸怩たる思いを抱いている人もいるかもしれない。</p>

<p>しかし原野が「愛と尊敬」という言葉で意味するところは、このようにして多くの人が使う場合とは少々異なるのだという。原野が広告の原理だとまでいう「愛と尊敬」とは、いったいどのようなことを指すのだろうか。</p>

<p>BNLは、11月に開催された働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」内のひと枠を借りて、昨年に続いてトークイベントを開催した。「あなたの仕事に、愛と尊敬はありますか？」と題して、再び原野の仕事哲学に迫った当日の模様をダイジェストでお届けする。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A9815final2.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>映画『2001年宇宙の旅』で、猿が道具を発明するシーンを紹介。「愛と尊敬」の原理は、人類にプログラムされていると説く。</figcaption>
</figure></p>

<h3>人類を人類たらしめた2つの要素</h3>

<p>映画『2001年宇宙の旅』の冒頭に、2つの猿の集団が水飲み場をめぐって争うシーンがある。この時、片方の集団のリーダーが武器として用いた骨は宇宙へと舞い上がり、やがて宇宙船に姿を変える。「人類の進化を2秒で描いた」と言われるこのシーンはあまりに有名だ。</p>

<p>ここで監督のスタンリー・キューブリックが伝えたかったメッセージは何かと聞かれたら、おそらく多くの人は「道具を使い始めたことにより、人間は人間になった」というようなことを答えるのではないだろうか。だが、原野の見方は少し違うのだという。</p>

<p>「あそこに映っているもので何が一番重要かと考えたら、それはそれぞれが集団になっていることだと思ったんです。1対1ではなく、集団と集団が争っている。なおかつ、その集団にはリーダーがいるんですよ。集団のメンバーは後ろで見ているだけで、出ていったリーダーの優劣で勝ち負けが決まり、負けた集団は水が飲めなくなってしまう。その結果、負けた方の猿の子孫はおそらくいないんですよね、餓死して。つまり何が言いたいかというと、人間ってジャングル最弱の動物じゃないですか。ライオンと戦っても絶対に勝てないし、鹿が食べたくても走っても追いつけない。その中でどうにか生き残れた人たちは集団を作って狩りをした。人類はそういう人たちの生き残りなんですよ。そもそも集団を作れなかったら、なおかつ優れたリーダーを選べなかったら、もうこの世に存在していないってことなんです」</p>

<p>集団を作ること、そしてその中から優れたリーダーを選ぶことができたからこそ、人類は人類として今日まで生き延びることができた。では、そうやって人類を人類たらしめた集団とリーダーはどのようにして生まれたのか。その原理が「愛と尊敬」であると原野は続ける。</p>

<div class="round-box fl fb gray"><p>愛と尊敬を抱くと付いていってしまう。人間はそうプログラムをされているんです。</p></div>

<p>「愛っていうのは要するに同じものが好きってことです。本来、人間は多様なものだから、好きになるものはバラバラなんですよ。ところが、何%かの確率で稀にシンクロすることがあって、そうするとそれが集団になるんです。ただ、集団ができてもリーダーがしょぼいと生き残れない。生き残れた集団っていうのはリーダーを決めるプログラムも優れていたんですね。では、そのリーダーは何で決まっているかっていうと、それがこの尊敬って感情なんじゃないかなと。多くの場合それは、勇敢さとか、大胆さとか、シンプリシティとか一貫性っていうものに表れるんですけど。だから簡単に言っちゃえば、愛と尊敬を抱くとその人についていってしまうという、そういう風にプログラムをされた動物だというのが、僕の人間観なんですよ」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A9830final2.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>イギリスの広告代理店サーチ・アンド・サーチのCEO、ケヴィン・ロバーツが提唱する「Lovemarks」モデルを紹介。左上の尊敬されるブランドは多い。そこから、右上の愛されるブランドに育てていくことが広告の醍醐味だと説く。</figcaption>
</figure></p>

<h3>意思決定するのは人ではなく「脳」</h3>

<p>広告というものの目的が多くの人をある方向の意思決定に促すことであるとするのなら、この「愛と尊敬」こそが広告の原理であるというのはよくわかる話なのではないだろうか。</p>

<p>自らを「筋金入りの原理主義者」だと語る原野は、34歳という比較的遅い年齢でクリエイティブの世界に入ったこともあり、そこに自分の居場所を作るために徹底して広告の原理を追求した。古今東西の優れた広告作品を「ディープラーニング」し、一方では心理学や哲学、脳科学の本を貪り読み、紆余曲折と試行錯誤を経て行き着いたのが、この「愛と尊敬」の原理なのだという。</p>

<p>これだけの実績をもつ原野が言うだけでも十分に説得力のある話に聞こえるが、実は同じことを自分よりも前に言っている人物がいたと原野は告白する。ひとりは、イギリスの広告代理店サーチ・アンド・サーチのCEO、ケヴィン・ロバーツである。</p>

<div class="round-box fr fb gray"><p>ブランドはいかに愛されるか、尊敬されるかに注力すべき。</p></div>

<p>彼が示した「Lovemarks」モデルは、ブランドというものを「愛」と「尊敬」の有無により四つに分類する。もちろん「愛」と「尊敬」の両方を獲得しているのが最も良くて、ここに当てはまるアップルやナイキといったスーパーブランドを「Lovemarks」と呼んだ。一方、世の多くのブランドは尊敬されてはいても、愛されていない。あるいは尊敬すらもされていないこともある。だからそうした多くのブランドがやるべきはただひとつ、いかに愛されるか、尊敬されるかに注力することである。それがすなわち広告の仕事というわけだ。</p>

<p>原野がもうひとつ取り上げたのは、TEDxのスピーチで有名なイギリスのコンサルタント、サイモン・シネックが説く「The Golden Circle」という理論だ。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=qp0HIF3SfI4
<figcaption>TEDで過去最も人気のトーク25にランクインしている有名な動画だが、「脳の三層構造に対応している」という部分に注目する原野の視点は新鮮だ。</figcaption>
</figure></p>

<p>シネックによれば、優れたリーダーや組織には共通するモノの考え方や行動の仕方がある。それは一般の人のやり方とは正反対だという。多くの人や企業はWhat（例えば自社の製品のどこが優れているか、など）を伝えるのに躍起で、Whyを伝えない。しかし、人の心を動かし意思決定を促すのに本来一番重要なのは、サークルの中心にあるWhyであって、HowやWhatはそれに付随して決まるものに過ぎない。アップルに熱狂的ファンが多いのはシンプルにWhyを伝えているためであるとシネックは語る。</p>

<p>しかし、シネックのスピーチが重要なのはその先だと原野は強調する。</p>

<p>シネックによると、脳の構造はこのゴールデンサークルに対応した三層構造になっていて、WhyやHowは大脳辺縁系という古い脳に、Whatは大脳新皮質という新しい脳に、それぞれ対応しているという。大脳辺縁系は動物的な本能に近い感情を、大脳新皮質は人間的な理性を司るといわれる。つまり、人がWhyに心を動かされるというのは、それが動物的な本能を司る大脳辺縁系を刺激するから、というのがシネックの主張だ。</p>

<div class="round-box fl fb gray"><p>みんなが気持ちいいと思うWhyを作れば、結果的に愛と尊敬で集団を作り、リードしていくことになる。</p></div>

<p>「人間の意思決定っていうのは、各人が自分で決めているようで、実際には自分の脳が決めています。だから人を動かしたいと思ったら、その脳が反応する方向にピンを刺さないと泣けないし、すごいなという風にはならないんです。彼（シネック）が言っていることを僕なりに解釈すれば、美しいWhyというのは、アップルの『Think Different.』のCMの例を見ても、みんながそれを聞いて『確かにその通りだ』という風に思うという意味ではそれは愛であるし、一方では一般に言われているのとは真逆の、大胆さを持ったメッセージという意味では尊敬であるともいえる。そうやってみんなが気持ちいいと思うWhyを作ることが、結果的に愛と尊敬で集団を作り、リードしていくことになるのではないかと思っています」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A9826final4.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>人間は「愛と尊敬」を抱くと「追従してしまう」ようにできている。これを利用しているのが、広告とエンターテイメントビジネスだという。</figcaption>
</figure></p>

<h3>「愛と尊敬」の活かし方</h3>

<p>では、原野の言うように人を突き動かす原理が「愛と尊敬」にあるとして、実際の広告を作る際にこの原理をどのように活かせばいいのか。原野の回答は明快だ。</p>

<p>「クリエイティブの表現を作るとか、デザインをするとか、そういうものづくりみたいなことをする際には、自分が愛と尊敬を抱いたものに、何かを加えて、その愛と尊敬を作ってきた人類の歴史にお返しするみたいなスタンスで作ると、結構いいものができるんです」</p>

<p>人を突き動かす原理が「愛と尊敬」にあるとするのなら、過去に人の心を動かしてきた名作には、すでに「愛と尊敬」が備わっているはずである。一方で、何かを創作する際にまったく何もないところから発想するということはありえない。であれば、モノの作り手たる自分自身が「愛と尊敬」を抱き、心を動かされたモノからエッセンスを借りない手はないだろうと原野は言う。</p>

<p>原野の代表作のひとつに、アメリカのロックバンドOK Goのミュージックビデオがある。「I Won't Let You Down」という曲のビデオは世界で3600万回以上再生され、大きな反響を呼んだ。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=u1ZB_rGFyeU
<figcaption>ドローンで撮影した万華鏡のような演出は、尊敬する振付師・映画監督バズビー・バークレーの作品を参照している。</figcaption>
</figure></p>

<p>「このムービーは全てワンカット映像で撮影しているので、途中で失敗したら最初からやり直し。その『どれだけ大変なんだ！』っていうところに共感する人が多かったから、これだけ反響があったんじゃないかと思うんです。最初にOK Goから頼まれた時に、僕の中にはこういうものを作ればきっといいだろうということが直感としてあったんですが、実はこれには元ネタがあります。バズビー・バークレーという人の映像がそれで、みんなでこれを見て、同じことを現代的にやったらいいのではないかという話になった。要するに『愛と尊敬』というか、『これすごいな、こういうのを作ってみたいな』というクリエイティブとしての気持ちがあったんですね」</p>

<p>原野は「自分が『愛と尊敬』を抱くものであれば、おそらく見ている人の8割くらいは同じように『愛と尊敬』を抱くはずと信じて作っている」と言う。信じた通りにうまくいくかどうかは作り手としての審美眼が試されることになるのだが、いずれにせよ、原野が企画においても「愛と尊敬が重要」というのはそういうことのようだ。</p>

<p>なおかつここで重要なのは、自分が「愛と尊敬」を抱いたアイデアをそのまま拝借するということではもちろんなくて、そこに何かを加えて、そのことによって何か新しい価値を生み出し、人類の歴史にお返しするというスタンスがあることだと原野は続ける。作り手であっても受け手であっても、それぞれひとつの個体であると同時に、時空を超えて種として一体であるとイメージするとうまくいくという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A9822final2.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>人類の歴史を豊かにしていると感じられるものに仕上げることができれば、アイデアを盗んでも炎上はしない。</figcaption>
</figure></p>

<p>「ピカソが『すぐれたアーティストは真似をする。偉大なアーティストは盗む』と言った時の『盗む』というところに行くためには、バズビー・バークレーがやっていなかったことで、いまこの21世紀じゃないとできないことは何かと考えなければならない。そのことによって天国にいるバズビー・バークレーに初めて報告できるみたいなことかなと思っていて。それでドローンを使うことに決めたんです。ドローンを使うことで難易度はすごく上がるんですけど、自由度も上がる。バークレーの時代は、素晴らしいカットなんですけども、カメラは固定で動かせないんですよね。このカメラの動いたものを作ったら、それはすごくいいんじゃないかっていう風に考えて」</p>

<p>世の中にはいわゆる炎上する広告とそうでない広告があるが、その大きな違いもここにあるのではないかと原野は言う。</p>

<p>「いままでにいろんなものを作ってきた詩人とか音楽家とか、そういうのを借りて広告を作るわけじゃないですか。炎上するようなものって、その最後のところでどこかチャラいというか、資産を窃盗したようになっている。そういうものには、やっぱり見ている人も怒るんですよね。でも、そこにその作品にしかない何か新しいものがあって、これで人類の歴史が豊かになっているみたいなものに到達していると、人はあまり怒らないんじゃないかな」</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=gpM_rnQBCr0
<figcaption>ほかにも「愛と尊敬」を込めた作品としてEightの動画を紹介し、このアイデアを考えた時に参照した2つの作品について語った。詳しくは<a href="https://bnl.media/2017/08/harano-morihiro.html">8月に公開したBNLのインタビュー</a>でも紹介している。</figcaption>
</figure></p>

<p>ちなみに原野は「この原理を利用して成立しているのが広告というビジネスと、もうひとつあるとすればそれはエンターテインメントビジネス、例えばロックバンドとか映画監督とか」と話しており、「愛と尊敬」があらゆるビジネスの根本原理であるとまでは言っていない。</p>

<p>しかし、「愛と尊敬」が人間の脳に直接働きかけて意思決定を促す原理であるとすれば、それがあらゆるビジネスにおいて重要であるというのは間違いないことのように思える。セッションタイトルが「あなたの仕事に、愛と尊敬はありますか？」と幅広くビジネスパーソンに呼びかけるものになっているというのは、そういうわけだろう。</p>
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    <title>「明後日からの逆算」で明日をつくる経営のススメ──アクセンチュア・中村健太郎 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2017-12-07T01:35:24Z</published>
    <updated>2020-03-23T02:59:40Z</updated>

    <summary>昨年ボストンコンサルティングからの異例ともいえる転職を果たした中村健太郎は、アクセンチュアで従来の戦略コンサルとは異なるアプローチに挑戦している。経営者に課題を聞いて「今日の延長」で明日をつくるのではなく、最新のテクノロジーを前提に「明後日からの逆算」で明日をつくるという方法だ。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>中村健太郎</strong><small>アクセンチュア 戦略コンサルティング本部 通信・メディア・ハイテク統括マネジング・ディレクター</small>
<p>大学卒業後、ベンチャーのITコンサルティングファーム、フューチャーに入社。その後、ドイツを本拠とする外資系戦略コンサルティングファーム、ローランド・ベルガーで戦略コンサルタントを、アメリカを本拠とするボストンコンサルテインググループ（BCG）ではプリンシパルを務め、2016年にアクセンチュアに転職。</p></aside></p>

<p>戦略コンサルティングの仕事と言われて一般的に思い浮かべるのは、クライアント企業の課題を聞き出すことから始めて、それをいかに高度に解決するかということではないだろうか。しかし、アクセンチュアで戦略コンサルティング本部マネジング・ディレクターを務める中村健太郎は、あえて「今日の課題」を聞き出すことからは出発しないのだという。</p>

<p>中村はこれまで、フューチャー、ローランド・ベルガー、BCGと渡り歩き、10年以上、戦略コンサルティングの表舞台で活躍を続けてきた。いわば戦略コンサルティングを知り尽くした人物だ。</p>

<p>その中村が2016年4月から籍を置くアクセンチュアで、このビジネスの大前提と言っても良さそうなアプローチを否定するのはなぜか。そこには、この業界のど真ん中に身を置き続けた中村だからこそ感じるある苛立ちと、日本企業がグローバルで勝ち抜くための大胆な発想の転換があった。「今日の延長」で明日をつくるのではなく、「明後日からの逆算」で明日をつくるというアプローチだ。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2017/04/accenture-vol1.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_L2A4896final1094.jpg');" class="img"></div>
<div class="info"><strong>第1回：四重苦の金融はいま、どの業界よりもデジタルが進んでいる──アクセンチュア執行役員・中野将志</strong>
<p>Sponsored by Accenture</p>
</div></a>
</div>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2017/08/accenture-vol2.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_L2A4565final1094.jpg');" class="img"></div>
<div class="info"><strong>第2回：自動車メーカーのライバルはファストフード店に!?　間近に迫るIoTの大波をアクセンチュア・丹羽雅彦が解説</strong>
<p>Sponsored by Accenture</p>
</div></a>
</div>

<p><img src="/uploads/_L2A3691final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>変革を起こせない自分への苛立ち</h2>

<p><strong>──中村さんはなぜアクセンチュアへ？</strong></p>

<p>ローランド・ベルガー、BCGで戦略コンサルティングをやっているうちに、私の中にある苛立ちが募っていきました。この10年間でグローバルのトップ企業の顔ぶれは大きく変わりました。時価総額を上から並べると、2007年時点では石油会社や銀行等のいわゆる伝統的な大企業でしたが、2017年にはアップル、アマゾン、フェイスブックなどのデジタル企業に取って代わられました。</p>

<p>ではその間、日本企業はどうだったかというと、まったく顔ぶれは変わっていないのです。一方競争環境は大きく変わり、日本企業はグローバル競争で勝ちきれず、デジタルディスラプターに対し、苦しい戦いを強いられている企業も多い。</p>

<p>私自身、クライアントの課題改善は高度にご支援できているという自負はありましたが、クライアント企業そのものを再定義する大きな変革は起こせずにおりました。</p>

<p><strong>──なぜ変革を起こせなかったのでしょうか？</strong></p>

<p>戦略コンサルをやりながら感じていたいちばん大きな悩みは、クライアント企業の課題意識を聞き、その課題を出発点として検討を深めるという仕事の仕方そのものにありました。経営者がもつ今日の戦いに勝ち抜くための課題は、傾聴に値します。一方で、グローバルではまったく新しい戦いをしかけるプレーヤーが勃興し、市場を席巻しています。今日の課題に加えて、新しい視点を加える必要があることを痛感しておりました。</p>

<p><strong>──経営者の持つ課題意識には何が足りなかったのですか？</strong></p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>物理的な資産をたくさん持てば、そのぶんだけ利益が上がる、という論理はもはや通用しない。</p>
</div>

<p>簡単にいえば、これまでの日本企業というのは、物理的な資産をたくさん持てば、その分だけ利益が上がるという伝統的な考えに基づいた経営を行ってきました。しかし、時価総額が大手自動車メーカーと同規模の7兆円と言われるUberが持っている物理的な資産は、せいぜい2000億円程度です。既存の大手自動車メーカーの10%程度の資産規模で同程度の企業価値を創造しているのです。彼らが持っているのは物理的な資産ではなく、テクノロジーです。物理的な資産に比べて、早く手に入れられる技術にベンチャーキャピタル等の資金を大規模に投資し、圧倒的なスピードで事業を推進しています。</p>

<p>このようなビジネス環境の変化を考えると、変革を担う存在であるコンサルティングファームは、最新のテクノロジーを深く理解し、そこから新しい戦略なりビジネスプランを作れる存在でなければならないと考えるようになりました。</p>

<p><img src="/uploads/_L2A3764final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>目指すのは、新しいフィールドでのぶっちぎりの勝利</h2>

<p><strong>──アクセンチュアは他のコンサルファームとどこが違うのですか？</strong></p>

<p>アクセンチュアが他のコンサルファームと最も違うのは、テクノロジーのバリューチェーンの全てを持っていることです。新たなテクノロジーを自らつくり出し、実ビジネスでオペレーションをしています。「フォーチュン100」の企業のうち、94%がアクセンチュアのクライアントであり、大企業に導入されている多くのテクノロジーに関わっています。ですから、クライアント企業の今後の方向性を検討する際に、アクセンチュアであれば世界中のテクノロジーを集め、自ら活用した経験と合わせて机に並べ、テクノロジーの効用を前提とした未来を描く中で、新しいマーケットのルールを策定できるのです。</p>

<p>われわれが新しい事業をつくる際に前提とするのは、こうしたテクノロジーの効用がもたらす未来であり、経営者がもつ「今日の課題」は取り入れる部分と、あえて捨てる部分とに切り分けて、企業が取るべき方向性を導出しています。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>前年対比5%アップとか、既存の市場で他社からシェアを奪うとかいった仕事は全てお断りしています</p>
</div>

<p><strong>──どういうことでしょうか？</strong></p>

<p>先ほども申し上げたように、経営者の課題意識が今日の事業環境に縛られている可能性があるからです。経営者の課題意識から組み立てる従来のやり方が「今日の延長」で明日をつくることだとすると、私たちが目指しているのは、最新のテクノロジーを前提に「明後日からの逆算」で明日をつくるというアプローチです。</p>

<p>だから前年対比5%アップとか、既存の市場で他社からシェアを奪うというテーマよりも、まったく新しいルール、新しいゲーム、新しいマーケットを作る仕事にフォーカスし、アクセンチュア自身もリスクをとり、経営者にとって本当の意味でのパートナーとしてぶっちぎりの勝利を目指しています。従来のコンサルティングとはそもそもの発想が違うのです。</p>

<p><img src="/uploads/_L2A3656final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>「今日」との折り合いをいかにつけるのか</h2>

<p><strong>──今日の延長では明日に劇的な変化は起こせないというのはわかります。しかし明後日から逆算するとしても、どこかで企業がこれまで歩んできたこととの折り合いをつけなければならないと思うのですが？</strong></p>

<p>なぜテスラという会社が魅力的に映るかといえば、それはイーロン・マスクが「火星に行きたいんだ」と本気で言うからであり、ピーター・ティールがツイッターに対して、「空飛ぶ車が欲しかったのに、手にしたのは140文字だ」と平気で言ってのける姿に、人々は心を動かされるのです。われわれが提携するシンギュラリティ大学が提示した「飛躍する企業の条件」には、これからの時代、「経営のアセットの5割は企業の外にある」と書かれています。そんな時代にあってなお企業が持つべき最も大切なものは、こうした強いアスピレーションと、それによって外を惹きつける力だと思います。</p>

<p>先ほど「経営者が持つ今日の課題の中で捨てる部分がある」と乱暴なことを言いましたが、経営者が持つ未来像、企業の存在意義については深く傾聴し、他方で、こうしたアスピレーションに比べれば、企業が持つアセットや過去のしがらみは、いったんゼロベースで考えることをしています。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>「明後日からの逆算」であれば、大企業は活用可能なアセットを豊富に持っています</p>
</div>

<p><strong>──既存のアセットは使えない？</strong></p>

<p>いえ、もちろん既存のアセットを活用する余地がまったくないと言っているわけではありません。</p>

<p>例えば、自動車産業で今後カギを握るのは「顧客接点」です。既存メーカーにとってUberは大きな脅威に映りますが、とはいえUberの登録ドライバーは約200万人に過ぎません。これに対して世界トップクラスの自動車メーカーは年間1000万台の新車を販売しており、Uberの何倍の顧客と日々コミュニケーションを交わしています。例えば、こうした接点を生かし、販売時にインセンティブを提示して「ライドシェアのドライバーになりませんか？」と勧誘すれば、このうちの何割かは登録してくれるでしょう。2割が登録してくれれば、わずか1年でUberと同じだけのドライバーを抱えることになります。</p>

<p>これが、大企業がこれまでにビジネスを積み重ねる中で育てたアセットの力です。現状のビジネスを前提と考えるとしがらみとしてうつるアセットであっても、「明後日からの逆算」であれば、活用可能で魅力的なアセットを見出すことができ、それを最大限に活用することこそが、日本企業のこれからの勝ち筋ではないかと私は思っています。</p>

<p><img src="/uploads/_L2A3669final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>明後日から明日を逆算できる人の条件とは</h2>

<p><strong>──中村さんが考える、明後日からの逆算ができる人の要件はどんなことですか？</strong></p>

<p>私が尊敬するアラン・ケイの言葉に「未来を予測する最善の方法は、それを自ら創り出すことだ」とあります。アラン・ケイはコンピューターがまだミサイルの軌道計算をしていた時代に、コンピューターはパーソナルユースになるという未来を予言していました。</p>

<p>先日、アクセンチュアの本社があるアイルランドに新しいイノベーションセンターが設置されたので行ってきましたが、そこの研究者と話していて次々に語られる未来というのは、まさに「攻殻機動隊」が描いた世界そのものです。アラン・ケイや攻殻機動隊が描いたような未来の可能性を信じていたり、素直にかっこいいと思える人である必要があるでしょう。私は、そういう人と一緒に仕事がしたい。逆にいえば、そのような強いアスピレーションさえあれば、すべてのスキルは後天的に身につくものだと思います。相当きついですが、アクセンチュアにはそのための充実したトレーニングプログラムもあります。</p>

<p><strong>──論理的に考えるのとは違う能力が求められるということですか？</strong></p>

<p>まったく新しいアイデアというのは、従来のコンサルティングが得意としてきたロジカルシンキングでは出てきません。大いなる論理からの脱却が必要でしょう。人間は現状を正当化し、今日の延長で考える傾向があり、新しい未来を論理を超えて構想するのは、決して簡単なことではありません。ですから、アクセンチュアでは、普段から「テクノロジー人間」とたくさん話すことを意図的に行っております。</p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>ロジカルシンキングでは新しいアイデアは出てきません。大いなる論理からの脱却が必要です</p>
</div>

<p>研究者やアーティストなど、テクノロジーを使ってひとつのことを突き詰めている人と話すと、自然と未来の可能性の話になります。こうした人と日常的にコミュニケーションをとることで、自らの発想の幅を広げることが重要かと思います。アクセンチュアではこうしたヒューリスティックな発想こそが、これからのコンサルティングには不可欠だと考えております。</p>

<p>コンサルタントとしてこれまでさまざまな人と会ってきましたが、左脳的に考えて人のアイデアを評価したり監査したりする人は、事業会社にもコンサルにも山ほどいるんです。なぜなら、自ら創造するよりもその方が簡単だから。しかし、本当に日本企業に変革を起こしたいと思ったら、アラン・ケイの言うように、コンサルタントだって自ら「未来を創り出す」必要があると思っています。それに何より、未来を予言する人はやっぱり面白い。だから私自身もそうありたいと思っているんですよ。</p>

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    <title>鈴木おさむの小説『名刺ゲーム』がドラマ化──「いつの時代も売れるやつは出会いを求め、努力を惜しまない」 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2017-11-30T02:00:00Z</published>
    <updated>2018-01-24T13:05:11Z</updated>

    <summary>遅咲きのテレビ局員を主人公に、業界の裏側を描いたエンタメ小説『名刺ゲーム』がドラマ化され、12月2日（土）からWOWOWで放送される。BNLは鈴木おさむの単独インタビューを敢行。長年、多くの芸能人やテレビ局員と接してきた彼が語る、頭角を現す人物の特長とは。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>鈴木おさむ</strong><small>放送作家</small>
<p>1972年生まれ。千葉県出身。高校時代に放送作家を志し、19歳で放送作家デビュー。ラジオ、テレビのバラエティーを中心に多くのヒット番組の構成を手がける。2002年、30歳の時に交際期間0日でお笑いトリオ・森三中の大島美幸さんと結婚。結婚生活を描いたエッセイ『ブスの瞳に恋してる』はシリーズ累計60万部のベストセラーに。『芸人交換日記〜イエローハーツの物語〜』『名刺ゲーム』などの小説や、映画「ハンサム★スーツ」「ONE PIECE FILM Z」「新宿スワン」などの脚本のほか、舞台の作・演出、作詞家、ラジオパーソナリティーとしても活躍する。「『いい夫婦の日』パートナー・オブ・ザ・イヤー 2009」受賞。2015年には大島の妊娠・出産にあわせ「父勉」として1年間休業した。第９回ペアレンティングアワードカップル部門受賞。</p></aside></p>

<p>鈴木おさむはテレビを知り尽くしている。テレビが全身全霊でみんなを楽しませようとしていることも、その明るさの陰で人知れず涙していることも。</p>

<p>放送作家としてデビューしたのは19歳の時だ。1990年代初頭、都内の大学に通う学生だった。以来、テレビバラエティー黄金時代と歩調を合わせるように数々の人気番組を手がけてきた。</p>

<p>一方で鈴木は、小説やドラマ・映画の脚本を執筆する「作家」としての顔も持つ。初めてテレビドラマの脚本を手がけたのは30歳の時。以来、「物語を生み出す」ことを大切にしてきた。</p>

<p>そんな彼が、自らが知り尽くすテレビの世界を舞台に書き上げた小説が『名刺ゲーム』（2014年）だ。テレビ番組の制作には大勢のスタッフが関わる。放送作家は担当する番組の企画会議に参加するが、1日のうちに8〜10の会議をこなすこともざらだ。番組ごとにスタッフが違うから、1日に100人以上に会うことも珍しくない。無数の名刺が交換される。中には二度と顧みられることのない名刺もあるだろう──。「名刺」をモチーフにしたストーリーというアイデアは、そんな日々の中で着想したものだ。テレビ局のプロデューサーが主人公のサスペンスだが、名刺の向こうに隠された人間ドラマには、働く人間なら誰もがぐっとくること請け合いだ。</p>

<p>この小説を原作とした「連続ドラマW 名刺ゲーム」が、12月2日（土）からWOWOWで放送される。「名刺」という共通するテーマのご縁で、BNLの単独インタビューが実現した。</p>

<h2>名刺交換の瞬間にすでにパワーバランスが発生している</h2>

<p><strong>──「名刺」をモチーフにして作品を書こうと思ったきっかけを教えてください。</strong></p>

<p>昔、ある人に「名刺を置いていかれる」という経験をしたことがあるんです。僕も含めた若手の放送作家が何人かいたんですが、その人が立ち去ったあと、机の上に僕たちの名刺が残されていた。「悔しいけど、こういうことはあるから」とチーフ作家に言われたことを、いまも覚えています。</p>

<p>それ以降、「名刺だけでもインパクトを与えたい」と思ってふざけた名刺を作ったりしていたんですが、仕事を続けるうちに自分のほうがたくさんの名刺をもらう立場になってきた。実は、僕、人の名前を覚えるのが苦手なんです。それでも全員の名前を覚えようと努力していたんですが、とにかく日々たくさんの人と会うから、追いつかない。いかに相手の名前を呼ばずにその場を切り抜けるか、なんてことを考えていました。</p>

<p>そんな時にバラエティーの企画として「名刺ゲーム」を思いついたんです。解答者がいて、その人の上司や取引先の人など過去に名刺交換をした人に実際に来てもらい、名刺の正しい持ち主を当ててくださいというクイズを出したら、きっとほとんどの人がわからないだろうなって。</p>

<p><strong>──確かにわからないかもしれないと思います。わからなかったら相当気まずいだろうとも。</strong></p>

<p>人と人とが初めて会って名刺を交換する時、そのバランスはイコールではないと思うんです。例えば、社会的にものすごく偉い人や、自分が会いたくてたまらなかった人に会うことができたとしますよね。その時に自分はもう、ものすごく気持ちを込めて名刺を渡すわけですが、もらう側からしたらそんなの知ったことじゃない。そこにおいてすでにパワーバランスがあって、勝ち負けが発生している。それが面白いと思うんです。</p>

<p>もちろん、もらった名刺を置いて帰ってしまうのは仕事のできない人だと思いますよ。人の心を傷つけるし、そもそも注意力も緊張感も足りない。だけど仕事である以上、自分はそんなつもりがなくても、相手を傷つけたり、怒らせたりすることはあると思うんです。</p>

<p>例えば、僕は8年間欠かさず毎日ブログを書いているんですが、たまにインターネット上でエゴサーチをするんですね。そうすると誰かはわからないけどおそらく僕とどこかで仕事をした人が、別の人に、僕の悪口を言っているのを目にしたりするんです。「あいつ、適当に何か書いて、しゃべるだけだよ」みたいな。</p>

<p><strong>──それは、誤解とすれ違いがあるような気がします。</strong></p>

<p>でも、その人がそう感じたのは事実だろうし、僕にいい思いを抱いていないのは本当だろうとも思う。それって仕方のないことで。</p>

<p>ある人が「あいつはいいよな、楽して」と思うのも、思われた人が「俺だってリスクをとっているんだ」と思うのも、どちらも正義で、どちらも間違っていない。間違っていないんだけど、そこに憎悪や恨みがどうしたって生じるんだなということを感じるんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU4140final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「名刺ゲーム」のアイデアはバラエティー番組の企画としては実現しなかったが、のちに「The Name」という舞台作品を経て、『名刺ゲーム』という小説になった。<figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──放送作家としてさまざまな人たちと仕事をしてきたことが、小説や脚本の執筆にも活かされていますか。</strong></p>

<p>もちろんです。専業の小説家や脚本家がいる中で、やはり「放送作家にしか作れないもの」というこだわりはあります。</p>

<p>「放送作家」も「作家」ですが「放送」とついているせいでいかがわしいと思われるみたいで。その名前が嫌で捨てて行く人もいるんですが、僕はそのインチキくささが面白くて。</p>

<p>執筆は裏切らないです。なぜならひとりでやるから。誰かが演じてくれたり、演出してくれたりするわけではない。たったひとりで物語を書き上げるのは一番しんどいことだと思うんですが、一番しんどいと思う部分を自分でやっていないと、「インチキくさい」ではなく「インチキ」になってしまう気がするから。その分、シビアですよ。批判も賞賛もすべて作家自身に跳ね返ってきますから。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU4171final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>鈴木は、放送作家として数々のテレビ番組の企画・構成を手がけながら、小説や、映画や舞台の脚本など自ら執筆することを大事にしている。</figcaption>
</figure></p>

<h2>人生の舵は、思い切って切らないと変わらない</h2>

<p><strong>──鈴木さんは、どんな人だったら「この人に会いたい」「会ってよかった」と思いますか。</strong></p>

<p>最近は若くてやる気のある人に会いたいですね。実際、今年は新しい出会いがたくさんあったんです。特に、YouTube向けのプロダクションであるUUUMとの出会いが大きかったですね。テレビの人たちにはYouTubeを下に見る人がいますが、HIKAKINに限らずいろんな若い人たちが自分で考えた企画の動画をバンバンアップしていて、これは本当にすごいことになっているなと思った。それで僕のほうからアプローチしていたら、UUUMの人と会うことになって。</p>

<p>最近月1回ペースで夜ごはんを食べに行くんですが、そこに必ずひとりはYouTuberを連れてきてくれるんですよ。テレビのタレントさんとYouTuberって、近くて遠いじゃないですか。すごく面白いなと思いますよね。</p>

<p><strong>──テレビと感覚は違いますか。</strong></p>

<p>いや、変わらないです。そして、やはりすごく努力をしています、みんな。売れているやつは寝てないし、やる気のある人は時間を惜しんでコンテンツ動画を編集しているし。「ああ、変わってないな」と思いました。若くても頭角を現す人はどの分野でも似ていると思います。</p>

<p>やはり自分で行動しないと新しい出会いは作れない。出会いばかりを求めていくのがいいかどうかもありますが、少なくとも、何かを作るために新しい環境が必要だと思ったら、自分で動かなければいけないというのは間違いない。</p>

<p>僕は学生時代に放送作家の仕事を始めて、コンスタントに収入があるようになったら大学をやめようと思っていました。細かい仕事もたくさんやって2年ぐらいで新卒の給料以上稼げるようになったので、退学届を出しに行ったんです。教務課の受付みたいなところに行くんですが、何枚か書類を提出して、ポンとはんこを押されて、「お疲れ様でした」と言われて、終わり。その時に僕は、びっくりしたんです。高校までだったら生徒が退学しようとしたら留めるじゃないですか。ああ、大学はビジネスなんだなって。</p>

<p>その時に気づいたのは、「世の中、誰も自分に興味がないんだ」ということです。それはそうですよね。今思えば当たり前なんですが、その時の僕はそう思った。手続きを終えて、キャンパスを歩いて校門から出ていくまでのストロークをすごく覚えています。でも、誰も俺のことなんて興味はないけれど、その中でもこの仕事を2年やって、30万稼げるくらいにはなって、新しい仲間もいる。何もないところから自分で手に入れた世界だと思ったら、自分に自信が持てたんです。</p>

<p>そういう気持ちになったのは、その時と、結婚した時ですね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU4164final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>鈴木は2002年、30歳の時、お笑いトリオ・森三中の大島美幸さんと交際0日で結婚。新婚生活を赤裸々に綴ったエッセイ『ブスの瞳に恋してる』はベストセラーになり、テレビドラマにもなった。2014年から美幸さんは妊活のため芸人活動を休業。2015年に第一子が誕生した時、鈴木は「父勉」として1年間放送作家業を休業した。</figcaption>
</figure></p>

<p>僕は「交際0日」で結婚したんですが、自分の人生の舵は意図的に、思い切って切らないと変わらないとすごく思っています。</p>

<p>奥さんが強い意志を持って妊活をすると決め、芸人を休業すると決めた時も、自分もそれに応えなければいけないと思った。それで子どもが生まれた後、放送作家業を休みました。放送作家って毎日会議出ることが仕事のようなもの。休んだことによってなくなった仕事も少なくありません。でもやはり、43歳でそういう決断をしたことであらためてテレビと向き合うこともできたし、育休を経験したことで「僕の話を聞きたい」と講演に呼んでいただくようになったりもした。勇気をもって何かを捨てた時に、そこからまた芽が出て、枝が伸びていく。そういうことは意識しています。「なんとなく捨てる」ではダメなんです。意思を持って捨てないと。</p>

<p>人付き合いでも、日本人は友だちや仲間が変わることを嫌うでしょう？　だけど僕は、変わっていいと思うんですよ。毎日つるまなくたって友だちでなくなるわけじゃない。ただ、いまの自分にとって誰と一緒にいるのが心地いいのか。そこが変わることを怖がらないことは、けっこう大事なんじゃないかなと思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU4229final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>変わる時に、手を抜いてはダメ。新しい才能と積極的に出会い、何事も人任せにしないことがポイントだという。</figcaption>
</figure></p>

<h2>自分でやる、若くてやる気あるやつとやる</h2>

<p><strong>──いまテレビ業界は変革期だと言われています。そういう時だからこそ新しい出会いを求めるということはありますか。</strong></p>

<p>それは僕の場合、UUUMの人たちとの出会いもそうですが、もう数年前から他ジャンルの人たちとの出会いがあるんです。ありがたいことに。</p>

<p>その時のポイントは、ゼロからイチを発想する部分は必ず自分でやることです。人に振ったりはしない。だからしんどいですよ。だけどテレビじゃないところでオファーをいただいた時こそ、思い切りやってみたいと思う。</p>

<p>そういった新しいこと、自分のやりたいことを実現する段になったら、一緒にテレビを作ってきた人を誘うのが一番簡単なんですが、そうじゃなくて、若くてやる気のある人とやりたいんです。</p>

<p>以前に一度堀江（貴文）さんのサロンにお邪魔したことがあるんですが、やはりそこに集まる人たちはすごくやる気がある。そして堀江さんも彼らがぶつけてくるアイデアにちゃんと添削してマメに返してあげている。それはものすごくパワーのいることです。僕はサロンを運営することにはまったく関心がなかったんですが、勘違いしていたと思いました。あれは、「能力と出合う場所」を作ることだったんだと。若い人たちが集まるようなサロンをやっている放送作家はいませんから、ちょっとやってみたいなと思っています。</p>

<p>最近、自分が30代に手がけた番組を見て育ってきた20代がいることに気づいたんですよね。それに、若くてやる気のあるやつらとやったほうがどう考えたって面白いでしょう？　そこからチャンスにつながればいい。自分は放送作家としてある程度知名度がある。名前があるからこそ貶（けな）されることもありますが、逆に利用することもできる。</p>

<p><strong>──名前なり、「名刺」なりを。</strong></p>

<p>そうです。どう利用するかだと思うんです。お互いがハッピーになるようなやり方で。やるとなったら、気合い入れてやりますよ。
<br>
<br></p>

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        <![CDATA[<p><aside><strong>鈴木おさむ</strong><small>放送作家</small>
<p>1972年生まれ。千葉県出身。高校時代に放送作家を志し、19歳で放送作家デビュー。ラジオ、テレビのバラエティーを中心に多くのヒット番組の構成を手がける。2002年、30歳の時に交際期間0日でお笑いトリオ・森三中の大島美幸さんと結婚。結婚生活を描いたエッセイ『ブスの瞳に恋してる』はシリーズ累計60万部のベストセラーに。『芸人交換日記〜イエローハーツの物語〜』『名刺ゲーム』などの小説や、映画「ハンサム★スーツ」「ONE PIECE FILM Z」「新宿スワン」などの脚本のほか、舞台の作・演出、作詞家、ラジオパーソナリティーとしても活躍する。「『いい夫婦の日』パートナー・オブ・ザ・イヤー 2009」受賞。2015年には大島の妊娠・出産にあわせ「父勉」として1年間休業した。第９回ペアレンティングアワードカップル部門受賞。</p></aside></p>

<p>鈴木おさむはテレビを知り尽くしている。テレビが全身全霊でみんなを楽しませようとしていることも、その明るさの陰で人知れず涙していることも。</p>

<p>放送作家としてデビューしたのは19歳の時だ。1990年代初頭、都内の大学に通う学生だった。以来、テレビバラエティー黄金時代と歩調を合わせるように数々の人気番組を手がけてきた。</p>

<p>一方で鈴木は、小説やドラマ・映画の脚本を執筆する「作家」としての顔も持つ。初めてテレビドラマの脚本を手がけたのは30歳の時。以来、「物語を生み出す」ことを大切にしてきた。</p>

<p>そんな彼が、自らが知り尽くすテレビの世界を舞台に書き上げた小説が『名刺ゲーム』（2014年）だ。テレビ番組の制作には大勢のスタッフが関わる。放送作家は担当する番組の企画会議に参加するが、1日のうちに8〜10の会議をこなすこともざらだ。番組ごとにスタッフが違うから、1日に100人以上に会うことも珍しくない。無数の名刺が交換される。中には二度と顧みられることのない名刺もあるだろう──。「名刺」をモチーフにしたストーリーというアイデアは、そんな日々の中で着想したものだ。テレビ局のプロデューサーが主人公のサスペンスだが、名刺の向こうに隠された人間ドラマには、働く人間なら誰もがぐっとくること請け合いだ。</p>

<p>この小説を原作とした「連続ドラマW 名刺ゲーム」は、12月2日（土）からWOWOWで放送される。「名刺」という共通するテーマのご縁で、BNLの単独インタビューが実現。</p>

<h2>名刺交換の瞬間にすでにパワーバランスが発生している</h2>

<p><strong>──「名刺」をモチーフにして作品を書こうと思ったきっかけを教えてください。</strong></p>

<p>昔、ある人に「名刺を置いていかれる」という経験をしたことがあるんです。僕も含めた若手の放送作家が何人かいたんですが、その人が立ち去ったあと、机の上に僕たちの名刺が残されていた。「悔しいけど、こういうことはあるから」とチーフ作家に言われたことを、いまも覚えています。</p>

<p>それ以降、「名刺だけでもインパクトを与えたい」と思ってふざけた名刺を作ったりしていたんですが、仕事を続けるうちに自分のほうがたくさんの名刺をもらう立場になってきた。実は、僕、人の名前を覚えるのが苦手なんです。それでも全員の名前を覚えようと努力していたんですが、とにかく日々たくさんの人と会うから、追いつかない。いかに相手の名前を呼ばずにその場を切り抜けるか、なんてことを考えていました。</p>

<p>そんな時にバラエティーの企画として「名刺ゲーム」を思いついたんです。解答者がいて、その人の上司や取引先の人など過去に名刺交換をした人に実際に来てもらい、名刺の正しい持ち主を当ててくださいというクイズを出したら、きっとほとんどの人がわからないだろうなって。</p>

<p><strong>──確かにわからないかもしれないと思います。わからなかったら相当気まずいだろうとも。</strong></p>

<p>人と人とが初めて会って名刺を交換する時、そのバランスはイコールではないと思うんです。例えば、社会的にものすごく偉い人や、自分が会いたくてたまらなかった人に会うことができたとしますよね。その時に自分はもう、ものすごく気持ちを込めて名刺を渡すわけですが、もらう側からしたらそんなの知ったことじゃない。そこにおいてすでにパワーバランスがあって、勝ち負けが発生している。それが面白いと思うんです。</p>

<p>もちろん、もらった名刺を置いて帰ってしまうのは仕事のできない人だと思いますよ。人の心を傷つけるし、そもそも注意力も緊張感も足りない。だけど仕事である以上、自分はそんなつもりがなくても、相手を傷つけたり、怒らせたりすることはあると思うんです。</p>

<p>例えば、僕は8年間欠かさず毎日ブログを書いているんですが、たまにインターネット上でエゴサーチをするんですね。そうすると誰かはわからないけどおそらく僕とどこかで仕事をした人が、別の人に、僕の悪口を言っているのを目にしたりするんです。「あいつ、適当に何か書いて、しゃべるだけだよ」みたいな。</p>

<p><strong>──それは、誤解とすれ違いがあるような気がします。</strong></p>

<p>でも、その人がそう感じたのは事実だろうし、僕にいい思いを抱いていないのは本当だろうとも思う。それって仕方のないことで。</p>

<p>ある人が「あいつはいいよな、楽して」と思うのも、思われた人が「俺だってリスクをとっているんだ」と思うのも、どちらも正義で、どちらも間違っていない。間違っていないんだけど、そこに憎悪や恨みがどうしたって生じるんだなということを感じるんです。</p>

<p><figure>
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<figcaption>「名刺ゲーム」のアイデアはバラエティー番組の企画としては実現しなかったが、のちに「The Name」という舞台作品を経て、『名刺ゲーム』という小説になった。<figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──放送作家としてさまざまな人たちと仕事をしてきたことが、小説や脚本の執筆にも活かされていますか。</strong></p>

<p>もちろんです。専業の小説家や脚本家がいる中で、やはり「放送作家にしか作れないもの」というこだわりはあります。</p>

<p>「放送作家」も「作家」ですが「放送」とついているせいでいかがわしいと思われるみたいで。その名前が嫌で捨てて行く人もいるんですが、僕はそのインチキくささが面白くて。</p>

<p>執筆は裏切らないです。なぜならひとりでやるから。誰かが演じてくれたり、演出してくれたりするわけではない。たったひとりで物語を書き上げるのは一番しんどいことだと思うんですが、一番しんどいと思う部分を自分でやっていないと、「インチキくさい」ではなく「インチキ」になってしまう気がするから。その分、シビアですよ。批判も賞賛もすべて作家自身に跳ね返ってきますから。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU4171final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>鈴木は、放送作家として数々のテレビ番組の企画・構成を手がけながら、小説や、映画や舞台の脚本など自ら執筆することを大事にしている。</figcaption>
</figure></p>

<h2>人生の舵は、思い切って切らないと変わらない</h2>

<p><strong>──鈴木さんは、どんな人だったら「この人に会いたい」「会ってよかった」と思いますか。</strong></p>

<p>最近は若くてやる気のある人に会いたいですね。実際、今年は新しい出会いがたくさんあったんです。特に、YouTube向けのプロダクションであるUUUMとの出会いが大きかったですね。テレビの人たちにはYouTubeを下に見る人がいますが、HIKAKINに限らずいろんな若い人たちが自分で考えた企画の動画をバンバンアップしていて、これは本当にすごいことになっているなと思った。それで僕のほうからアプローチしていたら、UUUMの人と会うことになって。</p>

<p>最近月1回ペースで夜ごはんを食べに行くんですが、そこに必ずひとりはYouTuberを連れてきてくれるんですよ。テレビのタレントさんとYouTuberって、近くて遠いじゃないですか。すごく面白いなと思いますよね。</p>

<p><strong>──テレビと感覚は違いますか。</strong></p>

<p>いや、変わらないです。そして、やはりすごく努力をしています、みんな。売れているやつは寝てないし、やる気のある人は時間を惜しんでコンテンツ動画を編集しているし。「ああ、変わってないな」と思いました。若くても頭角を現す人はどの分野でも似ていると思います。</p>

<p>やはり自分で行動しないと新しい出会いは作れない。出会いばかりを求めていくのがいいかどうかもありますが、少なくとも、何かを作るために新しい環境が必要だと思ったら、自分で動かなければいけないというのは間違いない。</p>

<p>僕は学生時代に放送作家の仕事を始めて、コンスタントに収入があるようになったら大学をやめようと思っていました。細かい仕事もたくさんやって2年ぐらいで新卒の給料以上稼げるようになったので、退学届を出しに行ったんです。教務課の受付みたいなところに行くんですが、何枚か書類を提出して、ポンとはんこを押されて、「お疲れ様でした」と言われて、終わり。その時に僕は、びっくりしたんです。高校までだったら生徒が退学しようとしたら留めるじゃないですか。ああ、大学はビジネスなんだなって。</p>

<p>その時に気づいたのは、「世の中、誰も自分に興味がないんだ」ということです。それはそうですよね。今思えば当たり前なんですが、その時の僕はそう思った。手続きを終えて、キャンパスを歩いて校門から出ていくまでのストロークをすごく覚えています。でも、誰も俺のことなんて興味はないけれど、その中でもこの仕事を2年やって、30万稼げるくらいにはなって、新しい仲間もいる。何もないところから自分で手に入れた世界だと思ったら、自分に自信が持てたんです。</p>

<p>そういう気持ちになったのは、その時と、結婚した時ですね。</p>

<p><figure>
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<figcaption>鈴木は2002年、30歳の時、お笑いトリオ・森三中の大島美幸さんと交際0日で結婚。新婚生活を赤裸々に綴ったエッセイ『ブスの瞳に恋してる』はベストセラーになり、テレビドラマにもなった。2014年から美幸さんは妊活のため芸人活動を休業。2015年に第一子が誕生した時、鈴木は「父勉」として1年間放送作家業を休業した。</figcaption>
</figure></p>

<p>僕は「交際0日」で結婚したんですが、自分の人生の舵は意図的に、思い切って切らないと変わらないとすごく思っています。</p>

<p>奥さんが強い意志を持って妊活をすると決め、芸人を休業すると決めた時も、自分もそれに応えなければいけないと思った。それで子どもが生まれた後、放送作家業を休みました。放送作家って毎日会議出ることが仕事のようなもの。休んだことによってなくなった仕事も少なくありません。でもやはり、43歳でそういう決断をしたことであらためてテレビと向き合うこともできたし、育休を経験したことで「僕の話を聞きたい」と講演に呼んでいただくようになったりもした。勇気をもって何かを捨てた時に、そこからまた芽が出て、枝が伸びていく。そういうことは意識しています。「なんとなく捨てる」ではダメなんです。意思を持って捨てないと。</p>

<p>人付き合いでも、日本人は友だちや仲間が変わることを嫌うでしょう？　だけど僕は、変わっていいと思うんですよ。毎日つるまなくたって友だちでなくなるわけじゃない。ただ、いまの自分にとって誰と一緒にいるのが心地いいのか。そこが変わることを怖がらないことは、けっこう大事なんじゃないかなと思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_YOU4229final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>変わる時に、手を抜いてはダメ。新しい才能と積極的に出会い、何事も人任せにしないことがポイントだという。</figcaption>
</figure></p>

<h2>自分でやる、若くてやる気あるやつとやる</h2>

<p><strong>──いまテレビ業界は変革期だと言われています。そういう時だからこそ新しい出会いを求めるということはありますか。</strong></p>

<p>それは僕の場合、UUUMの人たちとの出会いもそうですが、もう数年前から他ジャンルの人たちとの出会いがあるんです。ありがたいことに。</p>

<p>その時のポイントは、ゼロからイチを発想する部分は必ず自分でやることです。人に振ったりはしない。だからしんどいですよ。だけどテレビじゃないところでオファーをいただいた時こそ、思い切りやってみたいと思う。</p>

<p>そういった新しいこと、自分のやりたいことを実現する段になったら、一緒にテレビを作ってきた人を誘うのが一番簡単なんですが、そうじゃなくて、若くてやる気のある人とやりたいんです。</p>

<p>以前に一度堀江（貴文）さんのサロンにお邪魔したことがあるんですが、やはりそこに集まる人たちはすごくやる気がある。そして堀江さんも彼らがぶつけてくるアイデアにちゃんと添削してマメに返してあげている。それはものすごくパワーのいることです。僕はサロンを運営することにはまったく関心がなかったんですが、勘違いしていたと思いました。あれは、「能力と出合う場所」を作ることだったんだと。若い人たちが集まるようなサロンをやっている放送作家はいませんから、ちょっとやってみたいなと思っています。</p>

<p>最近、自分が30代に手がけた番組を見て育ってきた20代がいることに気づいたんですよね。それに、若くてやる気のあるやつらとやったほうがどう考えたって面白いでしょう？　そこからチャンスにつながればいい。自分は放送作家としてある程度知名度がある。名前があるからこそ貶（けな）されることもありますが、逆に利用することもできる。</p>

<p><strong>──名前なり、「名刺」なりを。</strong></p>

<p>そうです。どう利用するかだと思うんです。お互いがハッピーになるようなやり方で。やるとなったら、気合い入れてやりますよ。</p>
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    <title>人脈を価値にする「類推思考」はブルース・リーに学べ！　特別鼎談：入山章栄 × 島田由香 × 石川俊祐 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2017-11-17T00:45:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:07:28Z</updated>

    <summary>ブルース・リーは映画『燃えよドラゴン』で「Don&apos;t think! Feel」と弟子に説いた。ビジネスの世界も最近ちょっと考えすぎなのかもしれない。経営学、人事、デザインコンサルティングの領域で活躍する3者が集結。（違う）と分かり合えない時代に（同じ）を見いだす「アナロジー（類推）」をテーマに、直感≒feel≒聴く力≒自分で発想する勇気の大切さを問う。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <![CDATA[<p><aside><strong>入山章栄（左）</strong><small>早稲田大学ビジネススクール准教授</small><p>1996年慶應義塾大学経済学部卒業。98年同大学大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所を経て、米ピッツバーグ大学経営大学院博士課程に進学。2008年に同大学院より博士号を取得。同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクールのアシスタント・プロフェッサーに就任。2013年から現職。</p>
<strong>島田由香（中）</strong><small>ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス 取締役人事総務本部長</small><p>慶應義塾大学卒業後、パソナに入社。2000年よりコロンビア大学大学院へ留学して組織心理学修士を取得、日本GEにて人事マネジャーを経験した後、08年よりユニリーバ・ジャパンへ。働く時間・場所を社員が自由に選べる人事制度「WAA」の導入など、先進的な取り組みが注目されている。米国NLP協会マスタープラクティショナー、マインドフルネスNLPⓇトレーナー。</p>
<strong>石川俊祐（右）</strong><small>元IDEO Tokyo Design Director</small><p>デザインオフィスAZUMI、パナソニックデザイン社、英国のPDDinnovationなどを経て、IDEO Tokyo立ち上げに従事。大学や経済産業省などとともに日本におけるデザイン思考教育にも携わる。RCDT立ち上げメンバー。AnyTokyo役員 / ECD。Any Projects llc共同代表。</p></aside></p>

<p>入山章栄、島田由香、石川俊祐という過去にBNLに登場してもらった三者をいま一度迎えて行う今回の鼎談のテーマは「アナロジー（類推）」である。</p>

<p>7月31日に開催したトークイベント「BNL Special Sessions 2017」に登壇した入山は、人脈を活かしてイノベーションを起こすには類推思考、すなわちアナロジーが重要であるとし、その理由を次のように説明した。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/08/bnl-special-sessions-2017-eventreport.html">
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<div class="info"><strong>人脈を活かすキーワードは「弱いつながり」と「メタ認知」──BNL Special Sessions 2017リポート</strong> <date>2017.08.29</date></div>

<p></a></div></p>

<p><strong>（1）</strong>経営学の研究により、イノベーションは既存の知と知の新しい組み合わせから生まれることがわかっている</p>

<p><strong>（2）</strong>社内や業界内という狭い範囲では、もはや手付かずの新しい組み合わせは存在しない。だから組織外の多様な知に触れることのできるネットワークが重要になる</p>

<p><strong>（3）</strong>だが、異なる業界に身を置き、文脈や背景を共有していない人同士というのは、それだけお互いのことを理解するのが難しく、本質的につながりにくいということでもある</p>

<p><strong>（4）</strong>この「断絶」を乗り越えるのに類推思考、すなわちアナロジーが重要になる</p>

<p>今回の鼎談はこの話が入り口になっている。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8246final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>入山は鼎談の導入として、シカゴ大学のロナルド・バート教授が提唱したネットワーク理論「ストラクチャル・ホール」（structural holes）の解説を行った。この図は、左右のネットワークの間を行き交う情報は、必ず中心にいる人物（ハブ）を介さなければならない状況を表している。</figcaption>
</figure></p>

<h2>いまビジネスにおいて「アナロジー」が大事な理由</h2>

<p><strong>入山：</strong>前回のイベントは「ビジネスネットワークとイノベーション」がテーマでした。ソーシャルネットワーク理論は、海外ではものすごく研究されていて、なかでも特に有名なのが、イベントでも紹介した「ストラクチャル・ホール」という考え方です。</p>

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<p>簡単におさらいすると、ストラクチャル・ホールにある人は、周りにネットワークの隙間があるので一見損をしているように見えますが、ネットワーク全体のハブとなる位置にいるので、実は最も多くの情報が集まるのです。この位置にいる人がいちばん給与が高く、出世もしやすく、またクリエイティブになるということが、統計解析により証明されています。</p>

<p>石川さんの勤めていらしたIDEOはまさにこの位置にあります。いろんな業界とつながったハブの位置にいるから、いろいろなアイデアが集まってくるのです。例えばおもちゃのデザインをする時にも、「いま俺がやってる自転車のデザインのストックが使えるよ」とか。そういうやりとりが常に行われている。それはまさにストラクチャル・ホールの位置にいるからなんです。</p>

<p>ただ最近では、話はそんなに簡単ではないこともわかってきています。別のグループ同士をつないで情報をトランスファーしようと思っても、「それはうちのやり方と違うから」などという理由で受け入れてくれないという問題があるのです。ではどうすればいいのか？</p>

<p>シカゴ大学のロナルド・バート教授は、「アナロジー」こそがトランスファーを可能にする能力である、という考え方を提示しています。向こうからきたアイデアは、一見するとこちらの状況とは違うように見えるけれど、一段抽象化すれば本質は同じでしょ、と。そうやって類推思考できることが、トランスファーするのに重要だと言うのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8255final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「IDEO」はシリコンバレーに本社を置くデザインコンサルティングファーム。石川は、東京のオフィスが立ち上がった2013年から参画し、今年の10月までデザイン・ディレクターとして数多くのプロジェクトをリードしてきた。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>石川：</strong>確かにIDEOはまさにそういう存在でありコミュニティです。ただ面白いのは、IDEOの場合はそのハブの役割を担う人が、時間とともにネットワークの中を移動していくようなイメージなんです。例えばプロジェクトのリーダーを務めることになったとしても、最初はどんなアイデアが役に立つかなんてわからないから、複数の仮説を持ちながらインスピレーションを集めていく。あえて、ともすれば効率が悪いように見える拡散的なリサーチ手法をとることで、さまざまな点と点を紡いでいく、あるいは、その中を泳いで前へと進めていく。つまり、だんだんとストラクチャル・ホールの位置に近づいていくんですね。</p>

<p><strong>入山：</strong>それは社内で探っていくんですか？</p>

<p><strong>石川：</strong>社内外の両方です。社外はネットワークを駆使したり、テーマや仮説を元に点となるヒントを持っていそうな人を探ります。社内に関しては、全社メールを活用します。IDEOでは全社メールが非常に活発なんです。とりあえず自分のやっているプロジェクトについてメールを投げると、世界に10あるオフィスから、関連する過去のプロジェクトやリサーチについての情報がわっと集まります。その情報によってひとつ上の視座に立てるので、それまでは気づかなかった、つながるべき新たな点が見えてくる。そうやってどんどん新しい視点を見つけていくという感じです。</p>

<p><strong>入山：</strong>最初は関係ないように思えた点に共通点を見出してつなぐ。それはまさに私の言うアナロジーそのものですね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8249final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「IDEOではハブの役割を担う人が移動する」というアイデアを表した図（右側のページ）。</figcaption>
</figure></p>

<h2>「安心安全な場づくり」が情報を流通させる</h2>

<p><strong>石川：</strong>情報がわっと集まるというのは、とにかく助け合いの文化がIDEOにはあるからだと思います。「Make others successful」という行動指針があって、自分は直接関わっていなかったとしても、他の人のために時間を費やす文化がある。そうやってコミュニティ全体としての成長や成功を目指しているのが、IDEOの強みなんです。</p>

<p><strong>島田：</strong>ユニリーバCEOのポール・ポールマンも、これからはいわゆるアウトスタンディングリーダーといわれる人たちがすごく必要で、それには4つの条件があると言っているのですが、そのひとつに「他者を成功に導く」というものを挙げています。</p>

<p><strong>入山：</strong>経営学の言葉で「Prosocial Motivation」と言われるのも同じことですね。これが高い人はクリエイティビティが上がりやすいという研究成果もあります。この前、中国のHUAWEIにお邪魔したんですが、「中国のガチガチの会社」というイメージがあるHUAWEIでさえ、社内では徹底して「Sharing」と言っていて、いかに他者を助けることが大事であるかを強調していました。でも、この「利他」というのは頭ではいいことだとわかっていても、実践するのはとても難しいですよね。IDEOではどうやっているんですか？</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8269final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>IDEOの徹底したチーム運営の方法をヒントにして、「信頼」や「利他」といったキーワードを交えながら、3人はアナロジーにとって大切な要素を探っていく。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>石川：</strong>IDEOではプロジェクトが始まってから終わるまでの3カ月間、一貫してチームで動くのですが、全員が自然とプロジェクトの成功のために動けるような仕組みを、キックオフ事前／中間／プロジェクト終了後の各フェーズに組み込んでいます。</p>

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<div class="info"><strong>「競争しない同僚」と発想豊かな仕事を──IDEO石川俊祐に学ぶ、クリエイティブなチームのつくり方</strong> <date>2017.09.11</date></div></a></div>

<p>例えば「キックオフ事前ミーティング」には、プロジェクト自体についての話はもちろんですが、同時にチームアグリーメント、つまり「自由になるための規則」を作るんです。例えば、性格や仕事の経験などが異なる人が当然のように交わるわけですが、このチーム内での会話はすべてプロジェクトをよくするための発言であるから、それをパーソナルに取らないようにしようとか、自分を良く見せようという行為はやめようとか。そして、忘れないようにその規則を壁に貼っておくのです。</p>

<p><strong>島田：</strong>それはすごくいいかもしれない。ユニリーバでも「チームとして」というのはすごく大事にしています。個人としての成功ももちろん大事なのですが、チームとして成功するには、というところにものすごく時間をかけるんです。人事がファシリテーションをして、チームの中が本当にお互いに「trust（信頼）」できるようにするワークショップもありますが、目的とするところはまさに同じ感じですね。</p>

<p>信頼って何かといえば、全部言える関係。ここでは何を言っても受け入れてもらえるという安心感をつくることに力を入れています。こんなことを言ったら嫌われちゃうかもとか、こんな発言したらバカって思われるかもっていうのが私たちのどこかにあるから、それをなくそうということをやっています。</p>

<p><strong>石川：</strong>すごく大事ですよね。私はそれを「安全な砂場を作る」と言っています。同じようにプロジェクトの中間でも確認の時間をとって改善すべき点を洗い出します。そしてプロジェクトが終わったあとには、1時間半くらいかけて「debriefing（振り返り）」をやります。これがいちばん痛みを伴う行為なんです。チーム内の一人ひとりに対して、全員が「ものすごくよかったところ」とか「もうちょっと改善できるところ」について発言します。それをひと通りやって、最後に「ありがとう」って言って終わるのです。</p>

<p><strong>入山：</strong>結構きついことを言われるんですか？</p>

<p><strong>石川：</strong>言われますね。でも、これが溜まってくると、自分のパターンが見えてくるんですよね。いつも同じことを言われているなって。僕は決まって「人の話を聞いてない時が多い」って言われるんで、そこを気をつけているんです（笑）。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8280final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>会話はすべて日本語だが、3人が持ち出すキーワードは英語が多い。自然とホワイトボードも英単語で埋まっていく。</figcaption>
</figure></p>

<h3>どうやって信頼を作るか</h3>

<p><strong>島田：</strong>でも利他も信頼も、自分が満足できていないとダメなんです。それがないのに人助けしようとしても、自分が疲れてしまってスカスカになってしまう。人や組織を見ていていつも思うのは、人間には3つの根源的なニーズがあるということです。</p>

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<div class="info"><strong>つながりたい・認められたい・貢献したいを自分らしく──ユニリーバ島田由香が語る「ハピネス・ドリブン」な働き方</strong> <date>2017.07.07</date></div></a></div>

<p>3つのニーズというのは、「connection（つながりたい）」、「recognition（認められたい）」、そして「contribution（貢献したい）」です。信頼の構築には、自分の中でこの３つのニーズがどの程度満たされているかがとても大きく影響すると感じています。</p>

<p><strong>石川：</strong>すごく面白いですね。僕自身いつも悩ましいと思うのは、2番目のrecognitionなんです。どうすれば人からの承認を必要としない人間になれるだろうかといつも考えていて。というのは、「承認してほしい」という働き方になると、だんだん自分の仕事でなくなっていくというか、承認されることが目的になってしまって、どこかややこしさが生じてきてしまう。一方で起業家やアーティストのような人たちの中には、何を言われようが自分はこれがいいと思うんだからこれをやるんだ、というような人もいるわけじゃないですか。これはどういう風に考えたらいいんですかね？</p>

<p><strong>島田：</strong>その点で、ユニリーバでいちばん大切にしているのが「purpose（目的）」なんですよ。自分のやっていることがここにつながっている人だと、自分で自分のことを認めることができる。そうすると、他者からの承認がさほどいらなくなってくるんです。</p>

<p><strong>入山：</strong>なるほど。石川さんが言うような孤高の起業家は、purposeが圧倒的に強いということですね。</p>

<p><strong>島田：</strong>そうなんです。なおかつ、そういう強いpurposeを持っている人は、結果的に他の人を巻き込んでいくし、世の中をより良くすることにもつながっていくから、残りのニーズも満たされていくんですよね。</p>

<p><strong>石川：</strong>確かに、ピュアな情熱って人をつなげますもんね。本当にpurposeをもってビジネスをやってる人と、そうじゃない人って見ればすぐにわかりますし、そこをどう越えられるのかが鍵だと思っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8294final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>禅では、人間はみんな深いところではつながっていると発想する。このお坊さんから得た気づきも、何か〈違い〉の中に〈同じ〉を見る「アナロジー」の秘密を解く鍵になるかもしれない。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>入山：</strong>先日、藤田一照さんという曹洞宗のお坊さんとお話しした時に、人間がいちばん難しいのは「自我」だと言っていたんですね。禅では、もともと人間はみんなつながっていると発想するそうです。でも、各々が自我という名のバリアを張っているため、〈表層〉だけを見ると離れて見えてしまいます。だから禅では、いかに自我を抑えて〈深層〉の関係性の中で物事を見れるかを大事にしています。この考えに照らせば、自我が強くなるとどんどん孤立して苦しくなるけれど、逆に他者とつながった中で考えられれば楽になりますよね。</p>

<p><strong>島田：</strong>そうですよね。この自我というのも、自分を殺して相手を尊重することだと捉えてしまうと、recognitionが満たされなくなり、またself-satisfactionが下がってしまう。自我を抑えるというのと、我慢するとか自分を殺すっていうのは違うんです。どうもそこを勘違いしている人が多いように感じます。そのせいで、自分の意見を殺して他に合わせようとして苦しくなって、なおかつconnectしよう、contributeしようとするから、さらに疲れてしまうんですよね。</p>

<p><strong>石川：</strong>この話、本当に面白いですよね。いつまででもできる。でも、そろそろ「アナロジー」の話につなぎ戻した方がいいのでは？（笑）</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8312final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>ここから、いよいよ今回のテーマ「アナロジー」の根幹に迫る。</figcaption>
</figure></p>

<h3>あらためて「アナロジー」は何に役に立つのか？</h3>

<p><strong>入山：</strong>ではあらためて「アナロジー」がなぜ大事なのかを整理してみましょう。世界の経営学では、3つくらいの視点で語られているというのが私の理解です。</p>

<p>1つ目は、戦略的に物事を考えたり意思決定をしたりする時に、他の業界を見て、それを高いレベルで類推して、本質のメカニズムを見抜くことで自分たちに当てはめること。</p>

<p>2つ目は、これは野中郁次郎先生の「知識創造性理論」で言われたり、まさにIDEOがやっていたりすることですが、抽象化することで「これはうちの製品にも使える」というアイデアを見つけてクリエイティビティにつなげることです。</p>

<p>3つ目は、他人に何かを説明する時にアナロジーを使うというもの。海外の経営学では話す時のメタファーの重要性がよく研究されています。私はこれを「イメージ型の言葉」と呼んでいるのですが、同じことを表現するのでも、例えば「頑張れ」と言うより「汗をかけ」、「本質にある」と言うよりも「根っこにある」と言った方がいいというようなことがあり、優れた経営者は実際にそうやって言葉を置き換えるということをしているのです。</p>

<p><strong>島田：</strong>よくわかります。言語学で「クリーンランゲージ」と言われるものとすごく近いですね。物事にはまず「概念」というレベルがあり、次に「感情」というレベル、そして「メタファー」のレベルがある。例えば自分が怒っていることを表現するのに、「怒っている」というのは概念のレベル、「カチンときた」というのは感情、「カレーがグツグツ煮えたぎるみたい」というのはメタファーのレベルです。概念、感情、メタファーの順番に進むにつれて本質に近づいていくと言われます。</p>

<p>コーチングする相手がメタファーを使って話している時は、その人の中にある本質的なものが出ている証です。逆に頭で考えて説明している時は、概念の言葉が多くなります。だからコーチングをする際には、相手がどんな表現を使っているかをよく見るんです。</p>

<p><strong>入山：</strong>野中先生の「知識創造理論」でもそれに通じることが書かれています。人がコミュニケートして知識を創造する時には順番があるそうなんです。まず普通の概念では伝わらない暗黙知同士のコミュニケーションがあり、そこから一度、暗黙知を形式化するのです。実際のビジネスというのは言葉を合わせることなので、一旦マニュアルのようにして形式知にする必要があります。それを行動に移した後に、もう一度暗黙知に戻してやるのですが、その過程できっとアナロジーが重要になるんです。思うに、日本では概念の話はよくするんですが、感情やメタファーといった暗黙知の部分が足りていない気がします。</p>

<p><strong>島田：</strong>概念とメタファーを行ったり来たりすることが大事だということですよね。入山先生が先ほど自我の話を紹介してくれましたけど、あの表層と深層というのは、意識と無意識と表現できるとも思うんです。その人が自分で自分だと思っているのは意識下の自分だけれども、実はその下に無意識の自分も広がっています。アイデアを生む「直感」や「ひらめき」と言っているものは、無意識からのサインなんじゃないかと。先ほどの話に照らせば、それは他の人ともつながっている。</p>

<p><strong>石川：</strong>われわれが使っている「Insight」という言葉も、まさにそのことを指しています。1996年に日本に最初のIDEO Japanを立ち上げたのは深澤直人さんですが、彼がデザインで使っている言葉は2つしかない。それは「意識の中心を探す」と「行為に相即する」。これはどちらももともと仏語なんですね。</p>

<p>人間には「意識の中心」というものが共通してあって、それを発掘して、いかにデザインやものづくりに生かすか、ということをやっていらっしゃるんです。「行為に相即する」というのは、箒と掃除機の違いをイメージしてもらうとわかりやすいと思います。お坊さんは箒で掃除をしますが、あれはお箸などと一緒で、手の延長なんですね。だから無意識下、ほとんどトランス状態で扱うことができるんです。これは箒にはできても掃除機にはできない。でも、本質的に道具というものは無意識下で苦もなく使えるものであるべきなので、たとえ掃除機であっても、行為に相即して、意識の中心につながってデザインされたものでなければならないということです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8303final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>ビジネスにおける「アナロジー」の重要性は証明できたとしても、それを学ぶ方法はまだ説明できていない。もしかしたら科学とは少し離れたところから、それこそ類推する必要があるのかもしれない。</figcaption>
</figure></p>

<h3>どうすれば「アナロジー」を身につけられるか</h3>

<p><strong>入山：</strong>じゃあどうすれば「アナロジー」を身につけられるのかという話ですが、欧米の認知科学ではまだ説明できていないんです。認知心理学の研究者はいろいろとアナロジーの重要性を指摘していますが、実際どうすればいいかは何も書いていません。</p>

<p>アントレプレナーシップにおいていちばん重要なのは事業機会を発見することです。ただこのことに関しては、経営学者の間でも論争があります。事業機会と自分とは離れたところにあり、それが技術的なショックで浮かび上がった時に、それを分析してアイデンティフィケーションするものだというのが、「Opportunity Discovery」の考え方。一方でそうではなく、事業環境の中に自ら飛び込み、最初は事業機会などわからないままに試行錯誤を続けていると事業化ができていた、そのことに後から気づくというのが「Opportunity Creation」の考え方です。</p>

<p>これはどちらが正しいということではないのですが、日本にいま足りないのはCreationの方だと感じます。Discoveryの方は論理ですから、経営学の理論などで一応説明できるんです。でも先ほども言ったように、Creationの方はどうすればいいかを説明することができないんですよね。僕のやっているビジネススクールでも、理論は教えられても、直感なんて教えられない。だから内心ヤバイなと思っているんです（笑）。</p>

<p><strong>島田：</strong>そういう意味でひとつできることがあるとすれば、「マインドフルネス」ですよね。マインドフルネスというのはまさに無意識の自分のところへ行きやすくするツールです。最近マインドフルネスということが盛んに言われ始めているというのは、みんながそれに気付き始めているということなんでしょう。すごい時代の変化なのだなと感じます。</p>

<p>同様に、NLP（神経言語プログラミング）コーチングでは「キャリブレーション」というものを重視します。キャリブレーションというのは、漢字で表すなら「聴」ということです。「聴」というのは読んで字のごとく、耳と目と心を使って「聴く」ということです。「聞く」ではない。だから相手が発する言葉だけではなくて、体は前向きになっているのかどうか、足が震えているのかどうか、そうしたことを全部見て、心も通わせるんです。言い換えればこれは観察です。表情、目の輝き、呼吸のペースまで見てやる。それをもっとみんなができるようになるとすごいことになるだろうと思います。</p>

<p><strong>石川：</strong>IDEOでも観察は大切にしています。ディスカッションする時って実は内容自体はそんなに大したものではないんです。それよりも会話をすること自体が大事。その時に相手の視線や表情などを観察して、本当はどう思っているのかを主観的に読み解くんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8318final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>今回選んだ会場は、Yahoo!JAPANのコワーキングスペース「LODGE」。当日は、スイスのデザイン家具メーカーVitraとのコラボレーションにより、もっと交流の生まれやすい場所にすることを目指した「ジッケンオフィス」という特別なインテリアの中で行われた。</figcaption>
</figure></p>

<h2>Don't think! Feel　（考えるな！ 感じろ）</h2>

<p><strong>入山：</strong>そういう力って教えられるものなんですか？</p>

<p><strong>島田：</strong>私は教えられると思っています。でも、それには前提として、教える側の人がどこまでそれを体現できているかという問題がありますよね。さきほどの藤田一照さんのようなお坊さんは、やはりその域に達しているのだろうと思います。私はまだまだですが、それでもNLPをやるようになって4年、自分の中にあるものをすごくクレンジング（洗い流すこと）してきたように感じます。自分の中にこんなわだかまりがあったのかとか、こんな見方をしていたのかとショックを受けることもあったし、何回大泣きしたかわからないくらい。</p>

<p>だから、教えられると言っても勘違いしてはいけないのは、これはテクニックではなくて、あり方の話なんですよ。私がよくいうのは、人間というのはhuman beingであって、doingではないと。「be」、つまり「ここにいる」とか「ここにある」。その「be」を感じていますか？　ということなんです。やることがいっぱいありすぎちゃってついつい意識が外に向いちゃうけれども、それを自分に向けた時にどういうあり方をしているのか。だからまたマインドフルネスとかにつながってくるんです。ストラクチャル・ホールにいる人というのは、この「あり方」がわかっているんでしょうね。</p>

<p><strong>入山：</strong>僕はこういう仕事をしているくらいだから当然、海外の経営学は嫌いではないんですけど、どうしてもdoing系の発想になるんですよね。だからアナロジーが大事だというのはわかるけれども、そこで小手先のテクニックに走りがちなんです。藤田さんがよく言うのは、アメリカ人にマインドフルネスを伝えようとすると、「頑張ったけどできません！どうすればいいですか？」というdoing志向だと。その時点で絶対にできないと藤田さんは笑います。マインドフルネスはそうじゃない。「やろう！」と思ったら絶対にできないんですよね。</p>

<p><strong>島田：</strong>だからもう、thinkじゃなくてfeel、ありのままを感じるということなんですよね。</p>

<p><strong>入山：</strong>この前、ネットワーク科学研究者の佐山弘樹さんという方と<a href="https://bizzine.jp/article/detail/2420">鼎談した</a>んですが、その時に言われたのが、世界的にいま問題なのが、ありのままに受け入れるという発想がないということだと。小学校に入った瞬間「国語・算数・理科・社会」と世界を分けて考えてしまっている。その時点でダメなんだと。分けないでありのままを受け止めようとすれば、実は全部つながっているのにと言うんです。</p>

<p><strong>島田：</strong>その通りですよね。その点で言えば、北欧やオランダの教育からは日本が取り入れるべき要素がたくさんあると思います。あっちの学校なり幼稚園へ行くと、みんなやりたいことをやる。「私は今日はこれをやる」と決めたら、それでいい。日本の現状の教育のように、できる・できないになると、二元論になってしまう。そうではなくて、ありのままでいい。好きなことをして、自分がもともと持っている力を出せるというところを勝手に見つけていくのが本来のあり方なのだと思います。</p>

<p><strong>入山：</strong>それはアナロジーにもつながりますよね。われわれはどうしても分けてしまうからダメ。さっきから言っているように、もともとつながっていると思えば......。</p>

<p><strong>石川：</strong>そういう意味では、デザインやアートの教育も変えていきたいですね。これがクリエイティブで、こっちはクリエイティブじゃない、みたいな変なものを植え付けるのだけはやめてほしい。クリエイティブとは絵が描ける描けないではありません。新しい価値を人間生活を中心に発想する力です。もちろん、最終的には美しさを判断できる目利きと共に創り上げることは不可欠ですが、本来は発想する力のことです。そして、クリエイティビティは本来、誰にだってあるものなんで。</p>

<p>どうも、大人になると知識量〈think〉を重要視する傾向があって、それに反比例して、自分で発想する勇気〈feel〉が減る図式にあるように思います。もちろん、すでにやり方のわかっている仕事については知識は大いに役に立つんですけど、ゼロから立ち上げて新しいものを作るとなると、感じる力を使わないといけないんですよね。</p>

<p>ビジネスの世界では客観的な意見ばかり求められますが、insightは主観（同時に未来でもあり得るし、根底では客観同士が繋がった点）なので、ビジネスクリエイションは自分の中にあるはずなんです。その点、子供はもともと感じるままに生きているから、その状態をどう潰さずに伸ばしていくかという教育を考えるべきですね。</p>

<p><strong>島田：</strong>まとめると、〈think〉は〈think）で大事だけれど、そっちに頼りすぎるあまりに〈feel〉をなくすなということですね。</p>

<p><strong>石川：</strong>そうそう、いまこそブルース・リーの映画をみんな観た方がいいってことですよ。「Don't think! Feel」って言っていた人なんで、結構ビジネスにも通じるところあると思いますよ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8358final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>3人の会話はほとんど途切れることなく、予定の90分を超えた。途中、余談で話した「前世」や「記号」といったテーマで、また改めて話しましょうと言って、この日はお開きとなった。</figcaption>
</figure></p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>11月22日トークイベント開催：クリエイティブディレクター原野守弘「あなたの仕事に、愛と尊敬はありますか？」  - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/11/twdw-2017.html" />
    <id>tag:bnl.media,2017://125.8914</id>

    <published>2017-11-10T06:59:13Z</published>
    <updated>2017-12-26T05:00:54Z</updated>

    <summary>Eightのプロモーション動画でカンヌライオンズを受賞した原野守弘さんをお迎えして、「Tokyo Work Design Week」のスペシャルコラボプログラムとして、今年も渋谷ヒカリエで開催。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="EVENTS INFO" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<blockquote>
  <p>ピカソは「すぐれたアーティストは真似をする。偉大なアーティストは盗む」と言った。
ただし、最初に尊敬の念があるからこそ、それを盗んで"自分のもの"にまで高められる。
"新しさ"というのはそういうものだ。
それを見た人が驚くのは、自分が目にしたものが、元ネタの知識自体はなくとも、人間の愛と尊敬の連鎖につながる何かだと直感的に気づくから。
そうやってコミュニケーションをしていくのが広告の醍醐味だとぼくは考えています。</p>

<p>──株式会社もり 代表／クリエイティブディレクター　原野守弘</p>
</blockquote>

<p>電通社員の過労自殺事件をきっかけに急速に広がった「働き方改革」に関する話題は、いまや"生産性"を高める睡眠法や、"マインドフル瞑想"にまで及んでいる。</p>

<p>また近年、大企業では「オープンイノベーション」の取り組みが増えて、革新的なプロダクトやサービスを生みだそうと躍起になっているようだが、日本の企業からイノベーションが生まれないという問題は、さすがに聞き飽きてきた。</p>

<p>そんな社会の行き詰まりを尻目に、原野守弘は毎年のように、新しくて、イノベーティブで、観る人の心を動かすクリエイティブを制作し、世界的な広告賞を受賞している。</p>

<p>今年は、名刺アプリEightのプロモーション動画（昨年6月に公開）で、世界三大広告賞と呼ばれているアワードのうち2つ（The One Showとカンヌライオンズ）を受賞した。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=gpM_rnQBCr0
<figcaption>2016年6月に公開したEightのプロモーション動画。</figcaption>
</figure></p>

<p>カンヌライオンズを毎年取材している河尻亨一は、Eightのインタビューメディア「BNL」の記事で、原野のことを「日本の広告業界における"変人"」だと称し、絶賛している。</p>

<blockquote>
  <p>原野は日本にはちょっと珍しいタイプのクリエイターかもしれない。「理性と感性」「ビジネスとアート」「日本と海外」といった、ある種対極とも言えるふたつの土俵の上に絶妙なバランス感覚で立つことができる人物である。</p>

<p>まず経営者に対してクリエイティブをビジネスの言葉で説明できる。一方で、自己表現が仕事でもあるクリエイターやスタッフたちに対して、企業のミッションが過度の負担にならないようなもっていき方もできる。クリエイティブディレクターという職種は本来そういう仕事なのだが、実際にはなかなかお目にかかれないのが現実だ。</p>

<p>クリエイターの中にはそのどちらかへの偏りが魅力的な人も多いが、原野は、経営者目線で広告を語っていたかと思うと、現代アーティストのような感想をふと口にしたり、かと思えば研究者的な視点からいきなり広告を分析したりする。聞いているこちらも刺激的である。</p>

<p>想像するにそれが彼の仕事のスタイルであり、キャラクターなのだろう。あらかじめ答えが読めてしまうような販売促進の施策が花盛りの日本の広告業界において、それ以外のアプローチで仕事を成功させている、数少ない"変人"のひとりだ。</p>

<p>⇒ <a href="https://bnl.media/2017/08/harano-morihiro.html">【インタビュー記事】優れた広告は「愛と尊敬」から生まれる──クリエイティブディレクター・原野守弘、世界標準のブランディングを語る</a></p>
</blockquote>

<p>いまこそ日本のビジネスパーソンは、原野のような"変人"から、仕事に向き合う姿勢について学ぶべきではないだろうか。</p>

<p>BNLは、昨年に続いて、働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」の枠を一晩ほど借りてトークイベントを開催。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2016/12/fcreport-vol3.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/20170321123239-52273704d1697f3f291988aa5d44eafee1248667.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>【昨年のレポート】石川善樹が「Eight Fireside Chat」で語った、新しいアイデアを生む、3つのつながりの法則</strong></div></a></div>

<p>原野守弘と河尻亨一の両名をゲスト・スピーカーとしてお招きし、Eightを運営するSansan株式会社ブランドコミュニケーション部の田邉泰を交えて、「愛と尊敬」をテーマに仕事の本質に迫る。</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="4010001120965"></div>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="3010401102746"></div>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>あなたの会社は「エンゲージメント」できていますか？　顧客接点をもつ全ての人へ。マルケト福田康隆が問う - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2017-11-08T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-03-23T03:00:28Z</updated>

    <summary>いまだに認知や新規売上を上げるだけのマーケティングをしていませんか？　マーケターに最適なAIソリューションを提供するマルケトの福田康隆は、本格的な変革が始まろうとしている今こそコンフォートゾーンを飛び出し、デジタルマーケティング領域への挑戦を薦める。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="sponsored" label="Sponsored" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>福田康隆</strong><small>株式会社マルケト アジア太平洋日本地域担当プレジデント</small>
<p>早稲田大学卒業。ハーバード・ビジネススクール General Management Programを修了。1996年に日本オラクル入社。2004年に米国セールスフォース・ドットコムに入社し、日本市場におけるオペレーションを担当後、05年に日本法人に着任。専務執行役員兼シニアバイスプレジデントとして日本市場における成長を牽引してきた。14年6月よりマルケト日本法人の代表取締役社長に就任。マルケトの日本市場進出を成功に導き、3桁の増収、数多くの戦略的パートナーシップ、顧客の比類のない成功などを牽引。その功績が評価され、17年10月より アジア太平洋日本地域担当プレジデントに昇格。新しい職務では、引き続き日本での事業運営にあたるほか、オーストラリア、ニュージーランド、アジアでのマルケトのプレゼンス向上に務める。</p></aside></p>

<p><a href="https://bnl.media/2017/09/nishigaki.html">先日BNLで紹介した</a>インスタグラムなどのSNSにハッシュタグ付きで共有した写真をプリントできるサービス「#SnSnap」がさまざまな大手企業に導入されているというのは、それが企業と顧客との長期的な接点、すなわち「エンゲージメント」をつくるのに有効だからだ。ビジネスの現場でこの「エンゲージメント」という言葉を聞く機会が日に日に増えている。</p>

<p>「顧客とのエンゲージメント」をテーマにした国内最大級のマーケティングイベント「THE MARKETING NATION SUMMIT 2017」が米国では今年4月に、日本では10月13日に開催された。</p>

<p>なぜいま「エンゲージメント」が重要なのか。こうした時代において、企業やそこで働く個人はどのようにあり方を改めるべきなのか。日本市場進出の実績が評価され、10月にマルケト日本法人の代表取締役社長から、アジア太平洋・日本地域担当プレジデントに昇格した福田康隆に訊いた。</p>

<p><img src="/uploads/_L2A4995final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>顧客のライフサイクル全体に目を配ること</h2>

<p><strong>──日米で開催された「THE MARKETING NATION SUMMIT 2017」のテーマとして「エンゲージメントエコノミー」というキーワードを使われていましたが、エンゲージメント、そしてエンゲージメントエコノミーとはどういうことでしょうか？</strong></p>

<p>エンゲージメントとは何かと言えば、それは顧客と長期的な関係を築くことです。これまでのマーケティングの役割は、認知を上げることや営業支援を行うイメージだったかと思います。しかし、SNSやスマホの台頭などテクノロジーの急速な進化により、顧客の購買行動は変わり、企業と顧客をつなぐマーケティングの責務と役割は益々拡大し、深化を遂げています。いまはそれに加えて、いかに顧客になってもらうかとか、実際に顧客になってもらった後にいかに顧客に近づき、顧客のことを深く理解し、その人に合った形でコミュニケーションを取ることで顧客生涯価値を最大化するかということが重要になってきています。</p>

<p>これまでのように一部だけを見るのではなく、顧客のライフサイクル全体に目を配ることの重要性が増し、顧客データの活用が進み、顧客一人ひとりにあったタイミングやチャネルで最適な顧客体験の提供がされ、1to1のコミュニケーションが図られます。そうした時代の訪れを指して、われわれはエンゲージメントエコノミーと呼んでいます。</p>

<p><strong>──そういう時代が到来したのには、どんな背景があるのですか？</strong></p>

<p>やはりテクノロジーの進化が大きいでしょう。ある製品を買うという意思決定の3分の2は、いまやオンラインで完結しているという統計結果があります。これまでであれば実店舗に来店したり、営業担当者と面談したりして情報収集していたところを、オンラインで済ませるようになってきているということです。そのため、オンラインでの顧客の行動を理解することは以前より大切になってきています。</p>

<p>カスタマーのライフサイクルには、「匿名→見込み客→顧客→ロイヤルカスタマー」という一連の流れがあります。これまでのデジタルマーケティングでも、こうした顧客の行動の一つひとつを捉えてはいたのですが、すべてバラバラのものとして扱われていました。例えば、Googleアナリティクスが扱うのはあくまでセッションであり、ある人がPCでアクセスしたのとモバイルでアクセスしたのとでは、別人として認識されていました。</p>

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<p>デジタル情報の流通量が増え、ひとりの人間としての輪郭を浮かび上がらせることが可能になりました。</p>
</div>

<p>しかし、デジタルな情報の流通量が増えてきたことにより、いまやそれらすべてを統合して、ひとりの人間としての輪郭を浮かび上がらせることが可能になりました。この変化が非常に大きなポイントです。「Marketo」では、こうしたオンラインの行動に加えて、ダイレクトメールへの反応や営業マンとのやりとり、コールセンターへの問い合わせ内容などのオフラインの情報もすべて統合して扱います。その結果、顧客がどのチャネルからアクセスしたとしても、常に一貫したメッセージを伝えることが可能になったのです。</p>

<p><strong>──「顧客のライフサイクル全体に目を配ること」が突然重要になったというより、テクノロジーの進展により、ようやくそれが可能になったということでしょうか？</strong></p>

<p>その通りです。人間と人間の関係というのは本来、相手の様子を見ながら、それに合った情報をやり取りするようなものであるはずです。例えば、一度会話をしたことがある相手なら、次の機会にはその時の会話を前提にして始まる、というように。そういう当たり前のコミュニケーションというのは、人間同士であればできるのですが、問題は相手にする対象が100人、1000人、10000人と増えた時に同じことができるかどうかという点にあります。かつてはそれができなかったのですが、テクノロジーの恩恵で不可能ではない時代になりました。街の八百屋さんで行われていたようなコミュニケーションが、100人、1000人に対してもできる世界になったということです。</p>

<p><img src="/uploads/_L2A4981final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>マーケターは「考える」仕事に専念せよ</h2>

<p>Marketoのようなエンゲージメントプラットフォームを使うメリットは他にもあります。これまでであれば、ある人にメールを送るという単純な作業の裏側には、さまざまなシステムからデータを集め、それを配信ソフトに渡すという煩雑な作業がありましたが、そのような煩雑さはなくなります。もちろん自動化したからといって、そうした打ち手が常に正しいとは限りませんが、テクノロジーの時代のいい点は、仮説検証を高速で繰り返すことができることにあります。</p>

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<p>いまであれば「大きな賭け」をする代わりに「小さな改善」のサイクルを素早く回すことで"正解"に近づくことができる。</p>
</div>

<p>これまでのマーケティングの世界では、「多分こうなるはずだ」という仮説は立てても、それを検証する方法がありませんでした。それゆえに、多額の予算と時間をかけて毎回「大きな賭け」をせざるを得なかったのです。しかし、いまであれば「大きな賭け」をする代わりに「小さな改善」のサイクルを素早く回すことで"正解"に近づくことができる。これもエンゲージメントプラットフォームを利用することの大きなメリットと言えるでしょう。</p>

<p><strong>──そうやって自動化、効率化が進むと、マーケターの仕事はいずれなくなってしまわないのですか？</strong></p>

<p>そんなことはまったくありません。ここ数年でマーケティングソリューションのサービスを提供する会社は急激に増えてきていて、2011年に150程度だったものが、17年には5000近いベンダーがいると言われています。まさにカオスマップと言える状況にあるのが、デジタルマーケティングの世界です。</p>

<p>そこにはMarketoのようなサービス以外にも、予算管理やデータベース、ソーシャルリスニング、広告配信、コンテンツ作成など、さまざまなジャンルがあります。ユーザー各企業は、いくつものサービスを組み合わせて、自社の状況やニーズに合わせて活用していくことが求められているのです。ここに、これからのマーケターの役割があると言えるでしょう。</p>

<p><strong>──つまり、マーケターという仕事はなくならないけれども、求められるスキルや考え方は変わってくるということですか？</strong></p>

<p>そう思います。これは、かつて企業のIT部門に起こった変革に近いのではないでしょうか。IT部門というのは、ひと昔前まではバックアップやリカバリなど、システムそのものを動かすことにかなりの時間が取られていた時代がありました。本来であれば、どういうシステムを構築して、それをどうやって価値に変えていくかを「考える」ことこそが重要なのに、そのことに時間が使えなかったのです。</p>

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<p>これまでは肝心の「どういう顧客にどういうメッセージングをするのか」といったクリエイティブな仕事に使える時間が少なかった。</p>
</div>

<p>マーケティングにも同じことが言えるでしょう。これまではセミナーの管理や集計ごと、メール配信のリスト作りなどの管理作業に時間を取られて、肝心の「どういう顧客にどういうメッセージを伝え、コミュニケーションを図っていくのか」といったクリエイティブな仕事に使える時間が少なかった。これからはそういった仕事はツールに任せ、マーケターはイノベーティブな「考える」仕事に集中できるようになるということです。</p>

<p><img src="/uploads/_L2A5000final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>マーケティングは顧客接点全体を統括していく役割に</h2>

<p><strong>──一方で、企業や組織のあり方はどのように変わる必要がありますか？</strong></p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>これまでは同じ顧客に対して、広報、宣伝、マーケティング、営業、カスタマーサポートなど、異なる部署が接していたけれど、これからは変えていくべき。</p>
</div>

<p>これまでは広報、宣伝、マーケティング、営業、カスタマーサポートなど、縦割りで組織が構成されていることが多かったように思います。でも考えてみれば、それぞれの部署が接するのは同じひとりの顧客です。簡単に言えば、最初に申し上げた「匿名→見込み役→顧客→ロイヤルカスタマー」というライフサイクルの、どの段階で接するかの違いでしかなかったのです。このように分断されたままでは、エンゲージメントエコノミーの時代に最も大切な「ライフサイクル全体で捉える」ということが失われてしまうことになります。顧客のことを第一に考えるのであれば、フェーズによってインターフェースが変わるという、こうした状況は変えていくべきではないでしょうか。</p>

<p>こうした問題に対して、グローバルの各企業はどのような解決策を講じているのか、マルケトでは以前、イギリスとフランスとドイツでリサーチを行いました。そこで最も多かった回答は、「マーケティング部門は今後、顧客接点全体の統括をしていく役割に変わっていくだろう」というものでした。</p>

<p><strong>──そう考えると、これまではマーケターではない職種だった人が、今後はマーケティング部門で活躍するということもありえますか？</strong></p>

<p>そう思います。企業を見ていて感じるのは、組織のあり方のみならず、求められるマインドセットも変わってきているということです。この点においても、IT部門でかつて起きた変革と非常に似ていると感じます。かつてのITの開発というのはいわゆるウオーターフォール型で、最初に要件定義があり、その通りに実行していくという仕事の進め方でした。</p>

<p>マーケティングの世界もまた、ある程度じっくりと時間をかけて議論し、大きな予算を投入し、当たるかどうかわからない「大きな賭け」をするのが"常識"だったというのは、先ほどもお話しした通りです。しかし、これからは小さな実験からスタートし、結果を見て改善する、そのサイクルをどんどん高速で回すことが求められます。これはまさにIT開発におけるアジャイルそのものと言えますよね？</p>

<p>仕事の進め方やマインドセットをこのように大きく変える必要があるという意味では、必ずしもマーケティングだけをやっていた人が活躍するとは限らないでしょう。</p>

<p><strong>──現状、企業の中でそうした組織、意識の改革はどの程度進んでいるのでしょうか？</strong></p>

<p>本格的な変革はこれからというのが正直なところではないでしょうか。もちろんその重要性に気付いている企業はたくさんあります。少なくない企業がデジタルマーケティング部門やカスタマーエクスペリエンスの専任部隊をつくっているのは、その表れでしょう。けれども、どういう人材、どういうテクノロジー、どういう仕事の進め方がいいかというのは、まさにいま各社が模索している部分です。だからこそ、企業としても個人としても大きな可能性がありますし、デジタルマーケティング領域で働くことの大きな魅力のひとつだと個人的には感じています。</p>

<p><img src="/uploads/_L2A5016final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>変化の大きさを楽しめる人にこそ向いている</h2>

<p><strong>──福田さん自身のことも聞きたいのですが、マルケト日本法人の代表になるまでにどんなキャリアを歩んできたのでしょうか？</strong></p>

<p>私はマーケティングというより、ずっとIT分野を歩んできました。新卒でオラクルに入り、ERPのエンジニアとしてキャリアをスタートしました。その後、アメリカに転勤になって在米日系企業の営業サポートに。2004年にセールスフォースのアメリカ本社に転職し、CRMの販売などを担当した後、14年に株式会社マルケトの代表に就任しました。</p>

<p><strong>──なぜマルケトに？</strong></p>

<p>テクノロジー業界にいて感じていたのは、10年に1度くらいの頻度で業界全体を揺るがす大きな変化が起こるということです。これはまだ私が社会人になる前の話ですが、メインフレームからクライアントサーバへという移行がありましたし、インターネットの登場もそうです。そのことによって、あらゆるものが激変することを経験しました。世の中にはさまざまな業界がありますが、10年単位でここまでドラスティックに変わる業界は他にないでしょう。そうした環境を私はすごく面白いと感じていました。こうした観点から見て、ここ数年で最も面白いと思えたのが、このデジタルマーケティングの世界でした。先ほども紹介したように、この業界はいまカオスマップと言える状況にあり、それだけ変化の可能性があるということですから。</p>

<p><strong>──ゼロからの立ち上げという点については、どう感じていたのですか？</strong></p>

<p>すでに動いている会社に入るよりも、最初から携わってカルチャーの根幹をつくれるのは、転職する上で大きな動機になりました。カルチャーというのは、すなわちそこで働く人であると思っています。そういう意味では、最初期にどういう人を採用するかというのが非常に重要でした。</p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>世の中に優秀な人はたくさんいても、大きく分けると2パターンに集約できると思っています。</p>
</div>

<p>これまでさまざまな環境で働いてきた経験から、世の中に優秀な人はたくさんいても、大きく分けると2パターンに集約できると思っています。「人に任せるより自分がやった方が早いと考えるタイプ」と「この人と一緒に仕事がしたいと思わせるタイプ」です。私は、どんなに優秀だったとしても前者のタイプは採用しないことを貫いてきました。こういう人は自分の手が足りない時には非常に頼りになりますがスケールしないのです。逆に「この人と一緒に仕事がしたい」と思わせる人がいると雪だるま式に組織は大きくなります。両者の能力が同じ程度であっても数年後には5倍10倍の差になるのです。</p>

<p><img src="/uploads/_L2A5063final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>コンフォートゾーンを飛び出すことの意味</h2>

<p><strong>──「この人と一緒に仕事がしたいと思わせるタイプ」をどう見極めるのですか？</strong></p>

<p>やはり「謙虚さ」が最も重要ではないかと感じます。よく「残念な人」という表現が使われることがありますが、私は「能力のない人」という意味でこの言葉を使いません。真に「残念」な人は、「口では謙遜しつつも自分の能力を過信する人」ではないかと思っています。</p>

<p><strong>──福田さん自身も謙虚であり続けることを意識してきたのですか？</strong></p>

<p>20代の頃というのは、いま思うと反省ばかりです。能力を過信し、年齢が上の人に対しても「俺がやった方ができるのに、なぜ任せない？」という態度をとっていたと思います。エンジニアをやっていた頃は営業を理解できず、不満を持っていました。その後、自分で営業をやってみたことで、営業の人がいかにエンジニアからは見えない仕事をたくさんしていたかということに気付きました。</p>

<p>思うに、エンジニアと営業、日本とアメリカなど、キャリアの中で違う視点の仕事を繰り返したことで、それまでは見えなかったものが見えるようになり、そのことが謙虚さにつながった気がします。英語などは典型ですが、TOEICで高得点を取れたと言って自信をつけても、いざ海外で生活しようと思ったらまったく通用しない。それでも海外生活にだいぶ慣れてきたと思ったら、今度は仕事で使うのにはまた新たな壁があった。できればできるほどに難しさがわかってくるというのは、仕事も同じであるような気がします。その過程が大事なのではないでしょうか。</p>

<p><strong>──逆に言えば、謙虚さを持ち続けられない人は安全な場所を飛び出してチャレンジしていないということになる？</strong></p>

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<p>私はもともと社長になりたいなんて思っていなかったし、5、6年前まではマネジメント側に回ることさえ嫌だと思うタイプでした。</p>
</div>

<p>そこまで世の中を一刀両断にはできないですが、コンフォートゾーンを出るというのはすごく大事なことだろうとは思います。私はもともと社長になりたいなんて思っていなかったし、5、6年前まではマネジメント側に回ることさえ嫌だと思うタイプでした。その私が迷いながらもマルケトの代表を引き受けたのは、ヴァージン・グループの創設者で会長を務めるリチャード・ブランソンの「You don't learn to walk by following rules. You learn by doing, and by falling over（ルールに従っても歩く方法は学べない。実践して、転ぶことで学ぶのだ）」という言葉に後押しされてのことでした。</p>

<p>外へ出て、壁にぶつかり、謙虚さを覚え、それを埋めるために成長する。「The journey is the reward（旅そのものが報酬である）」という言葉があります。ゴールよりも過程。これまでの経験を経て感じた、この気づきを大切にしていきたいですね。</p>

<p><img src="/uploads/_L2A5074final.jpg" alt="" title="" /></p>

<p><strong>──変化が大きいというデジタルマーケティングの世界は、壁にぶつかることも多そうですね。</strong></p>

<p>まだ誰もトライしていない、正しいことが分からない領域にはリスクがあります。金融の世界で「リスク」と言ったら、それは上下どちらにも振れる要素が大きいという意味。この業界は、まさにその意味でリスクがあります。安定した市場であれば、企業の成長も個人のキャリアもある程度イメージできるでしょう。けれどもデジタルマーケティングの世界は、3年後にとんでもない失敗があるかもしれないし、とてつもない成功が待っているかもしれない。そういうことを面白いと思える人であれば、年齢は関係なく、とても向いている業界だし、向いている会社だと思いますよ。</p>

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    <title>いいアイデアは人に話して即行動すること──SnSnap西垣雄太が語る、着想をイノベーションにつなげる秘訣 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2017-09-25T03:45:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:07:44Z</updated>

    <summary>立ち上げから2年、SNSを活用した写真プリントサービス#SnSnapは、DIESEL、GIVENCHY、Volkswagen等のイベント会場や、読売ジャイアンツの試合（東京ドーム）でも導入され、企業のイベントプロモーション活動に革命を起こしている。いいアイデアを思いついたら、人に共有して誰よりも早く行動すること。それが革新的なビジネスを実現する秘訣だという。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="出会いからアイデアを生み出す" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="テクノロジー" label="テクノロジー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ビジネスネットワーク" label="ビジネスネットワーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/yuta.nishigaki">西垣雄太</a></strong><small> 株式会社SnSnap 代表取締役/CEO</small>
<p>1989年生まれ。大学在学中に米ワシントン大学へ留学。現地の外資系企業数社でインターン後、アップルに入社。マクロミルにて事業戦略、スタートアップ企業にて事業立ち上げを担当。その経験を元に2015年5月、25歳の時にSnSnap を立ち上げた。</p></aside></p>

<p>「#SnSnap」はSNS上に投稿した写真をイベント会場などに設置した専用端末から印刷できるサービス。株式会社SnSnapは創業2年目ながら、実店舗に顧客を誘導するO2O（オンライン・ツー・オフライン）マーケティング事業で急成長している。取引先にはそうそうたる有名企業の名前が並ぶ。</p>

<p>代表の西垣雄太は、なぜここまで多くの取引を成立させ、サービスの急成長につなげることができているのか。そこには留学先のアメリカ、さらには学生時代に働いていたアップルストアでの経験が活きているという。注目の新世代起業家にビジネスネットワーク活用術を聞いた。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=4yMOgmyei_4
<figcaption>#SnSnapの紹介動画。スマホで自撮りしたら、その場で写真を印刷してくれる。</figcaption></figure></p>

<h2>#SnSnapはハッカソンで生まれた</h2>

<p>#SnSnapはまさに人と人との出会いから始まった。代表の西垣はいまから2年前に、よきビジネスパートナーを探すべく、とあるハッカソンに参加。そこで意気投合したのが、現在CTOを務める平沼真吾だった。</p>

<p>「もともとWebサービスを作りたいと思っていたのでいろいろなアイデアを持っていたんですけど、ぼくはマーケティングが専門なので、実際に作ることはできない。自分のアイデアを形にしてくれる技術者はどこにいるかと考えて、行き着いたのがハッカソンでした」</p>

<p>平沼は東芝、富士通を経て独立。エンジニアとして、指輪型ウェアラブルデバイス「Ring」など、さまざまな製品の開発に携わる。ソフトからハードまで幅広い技術を持つ平沼と西垣は、「デジタル平面を超えてリアルに絡めるサービスがやりたい」という部分で意見が一致。それを形にすべくPayPal主催の別のハッカソンに出場し、#SnSnapの原型となる作品を作って準優勝した。</p>

<p>ハッカソンのようなオープンな場に、こうした出会いがあること自体は多くの人が知っている。にもかかわらず参加をためらうのには、自分の持っているアイデアを公開することへの抵抗感があるようだ。だが、西垣はそうしたことを恐れない。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>重要なのは、情報を発した後に、いかに素早くアクションを起こせるかってところだけ</p>
</div>

<p>「起業してからもそうなんですけど、自分がいいと思ったことは隠すことなく、社内外を問わず発しています。そうするとフィードバックがもらえるから、自分でも思ってもみなかった方向にアイデアが膨らんだり、そこから賛同する仲間ができたりする。その結果、自分の頭の中で隠して進めるよりも高速で進むことがあるんです。重要なのは、情報を発した後に、いかに素早くアクションを起こせるかってところだけ。発するだけでアクションしなかったら誰かにやられて終わりだけれど、反応を見て良かったらすぐに行動すれば、絶対自分がいちばん有利なはずなんで」</p>

<p>そうして事業化した#SnSnapはいきなり軌道に乗った。これも、ハッカソンに出て、アイデアの価値を世に問うたからこそだと西垣は言う。</p>

<p>「ハッカソンは準優勝だったんですが、その審査員の方々の反応もよくて、いちばん早くビジネスになりそうと言ってくれたことに背中を押されて、事業化に踏み切りました。ベータ版を作ってイベント会場に置いていたら代理店の人に声をかけられて、そこからフライングタイガーのお仕事をいただいて。TechCrunch Japan編集長の西村賢さんがそれを記事にしてくれて、一気に火がつきました」</p>

<p>いまでは、#SnSnapの新規案件は6割強がクライアント側からの問い合わせだという。ブランドから直接、西垣のSNSにDMで問い合わせがくるケースも多く、そのほとんどが口コミ経由であるため、当然成約率も高い。</p>

<p><figure>
<img alt="_L2A8909final.jpg" src="/_L2A8909.jpg"/>
<figcaption>西垣は、API(アプリケーション連携)の承認を得るために渡米。Instagram担当者と直接打ち合わせし、承認基準を具体的にヒアリング。ヒアリングした内容を元に申請を行い、大企業でも通ることが難しい難関の審査を突破した。</figcaption>
</figure></p>

<h2>人種のるつぼで身につけたコミュニケーション術と人脈</h2>

<p>相手が有名人だったり、自分があまり知らないタイプの人たちの集まりだったりしても、まったく臆することなく自分から声をかけるのが西垣のコミュニケーションのスタイルだ。展示会などに行っても、「営業担当を含めても自分がいちばん名刺を多く獲得できる自信がある」と豪語する。</p>

<p>それはビジネスという目的以上に、好奇心に駆られての行動だと西垣は言う。</p>

<p>「知らない業界の人と話せば、それだけ新しい学びがあるから。例えばうちはファッション、ビューティー系のクライアントが多いんですけど、彼らの考える美しさとIT畑にいるぼくらの感覚には、最初は大きな隔たりがありました。彼らは色校とかでも紙の質にまで徹底的にこだわるので、20パターン印刷してイタリアまで送ったり。台紙の折れ線が「ラグジュアリーじゃない」とダメ出しされたり......。折れ線がラグジュアリーかどうかなんて、最初は『何を言っているんだ？』という感じなんですけど、でもコミュニケーションを重ねていくと、『これはあり』『これはなし』という感覚が、自分の中にも芽生えてくるんですよね。そうやって新しいことを学ぶのは、純粋に面白いじゃないですか」</p>

<p>こうしたコミュニケーションがナチュラルにできるのは、アメリカに留学していた時期の経験が大きいと西垣は言う。</p>

<p>「大学内にはアジア系もいればホワイトもブラックもいる。それぞれ趣味趣向がまったく違うさまざまな学生が世界中から集まっているから、自分から話しかけないとそれぞれが何を考えているかはわからない。そうした環境にいるうちに、自然とコミュニケーションが取れるようになっていったんだと思います」</p>

<p>人種のるつぼに留学したことで得たものは、こうしたコミュニケーションのやり方だけではない。留学先での出会い、当時培ったネットワークそのものが、いまに活きているという側面もある。</p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>世界中に留学時代の友人がいて、必要な人をつないでくれる。もちろん助け合いなので、こちらから紹介することも</p>
</div>

<p>「#SnSnapはアジアやヨーロッパでもすでに使われ始めているんですけど、そうした世界展開を考えた時に、現地でそれを支えてくれるのが留学時代の友人だったりするんです。世界中のどこへ行ってもだいたい当時の知り合いがいて、必要な人をつないでくれる。もちろん助け合いなので、こちらから紹介することもしょっちゅうあります。それがお互いのビジネスにつながっているんです」</p>

<p>イノベーションがシリコンバレーで立て続けに起きているというのも、そこに一因があるのではないか、と西垣は続ける。</p>

<p>「あそこへ留学してくる学生は恐ろしいほどの金持ちか、奨学金をもらえるくらいの秀才のどちらか。それが卒業とともに世界中に散らばって、なおFacebookなどでつながり続けることができる。実際にそういう人間関係で多くの人やお金が動いていたりします。助け合うパートナーもいて、投資してくれる人もいて、作ったサービスは一気に世界に広がる。だからアメリカは最強なんじゃないかなって思うんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8900final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>#SnSnapは約1年半で350件以上の導入実績を上げた。2016年12月には、ニューホライズンキャピタルに株式譲渡。さらなる事業拡大を図っている。
</figcaption>
</figure> </p>

<h2>アップルストアで芽生えた起業家精神</h2>

<p>西垣は留学する直前まで、地元名古屋のアップルストアで4年間にわたって働いていた経歴を持つ。そこで日常的に交わされるグローバルなコミュニケーションがきっかけとなり、西垣は海を渡ることを決めたのだという。アップルストアでの経験は、さまざまな形で自分の人生に活きていると西垣は言う。起業を志したというのもそのひとつだ。</p>

<p>西垣がアップルストアで働き始めた2008年は、まだiPhoneの発売以前。そこからiPod touch、iPhone、iPad、MacBook Airと次々に新商品が生まれ、2012年にアップルは株価最高値になる。</p>

<p>「新商品が発売になるたびに店の前には長蛇の列ができた。それまではオタクしかいなかった店内に、女子高生やおばあちゃんまでが訪れるようになったんです。おそらくこの4年間は、アップルが世の中をもっとも爆発的に変えた時期。その様子を目の前で見たことで、自分もITで世の中を変えたいと思うようになりました」</p>

<p>#SnSnapはリアルとデジタルの交差点のようなサービスだ。リアルな接点の重要性というのも、当時のアップルストアが体現していたことだと西垣は言う。</p>

<p>「値段だけであれば量販店で買う方が安いかもしれないけれど、値段で買った人は次に別の安い商品が出れば、そっちへ流れてしまう。アップルストアが提供していたのは、それとは別の価値なんです。いまでこそカスタマージャーニーという言葉をいろいろなところで聞くようになりましたが、アップルストアは当時から、『体験を生み出すリアルポイント』と銘打っていました。そこに行くだけでワクワクするとか、商品を手にしている自分をカッコよく感じるとか、そういう体験をした人は、たとえそこで買わなくても、結果としてファンになってくれる。そのことをアップルストアは教えてくれたんです」</p>

<p>SnSnapが掲げる3つのミッションの一つに「Enriching Lives」というものがある。日本語に訳せば「実りある人生を」。実はこれも、当時のアップルにあった理念をそのまま拝借したものだ。「プロダクトやサービスに関わる全ての社員やその家族、お客さまに実りあるサービスを届ける」という意味だという。</p>

<p>ストアという現場で働くいち大学生は、見方によっては会社の末端でしかないかもしれない。しかし、その位置にいた西垣にも、この精神はしっかりと受け継がれている。この一事を取ってみても、当時のアップルでは理念がしっかりと実践されていたことがわかる。</p>

<p>「新しいiPhoneが出たら店員と客がハイタッチするような、あの感覚が自分の中にいまも生きているんです」。人と人との接点を作るサービスを手がける次世代の旗手は、アップルストアで培ったオープンでGiverな精神を、いまなお体現しているようだ。</p>
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    <title>「競争しない同僚」と発想豊かな仕事を──IDEO石川俊祐に学ぶ、クリエイティブなチームのつくり方 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2017-09-11T06:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:07:47Z</updated>

    <summary>IDEOのようなクリエイティブな発想ができるチームは、いかにしてつくれるのか。IDEO Tokyoの石川俊祐によると、各人が自身の強みを「クラフト」として磨き「ゴール・オリエンテッド（目的志向）」で活動することによって、会社のクリエイティビティは高められるという。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="出会いからアイデアを生み出す" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="クリエイター" label="クリエイター" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="デザイン" label="デザイン" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>石川俊祐</strong><small>IDEO Tokyo デザイン・ディレクター</small>
<p>ポール・スミスやダイソンの創立者ジェームズ・ダイソンを輩出したロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズを卒業。日本メーカーや、イギリスの老舗デザイン・イノベーション・コンサルティング会社PDDで勤務経験があり、家電から自動車、医療、パッケージ、サービス・エキスペリエンスデザインまで幅広い分野のプロジェクトを担当している。2013年よりIDEO Tokyoの立ち上げに従事。</aside></p>

<p>なぜ多くの企業が「IDEO（アイディオ）」に相談するのか。きっとそこには、少数ながら各々がユニークなスキルを備えた精鋭のメンバーが揃っていて、自社内では思いつかないようなクリエイティブなアイデアを提案してくれる。そう期待しているからではないだろうか。</p>

<p>例えば、<a href="https://www.ideo.com/jp/post/meiji-testimonials"  rel="nofollow">明治の案件</a>では、当初『チョコレートの新しいパッケージを考えてほしい』と依頼されたが、『チョコレートの体験自体を変える方法を考えたら面白くありませんか』と提案し、新製品の方向性を決定づけた。それをきっかけに会社全体の風向きが変わり、社内にチョコレートを食する体験を考えるチームが立ち上がったという。</p>

<p>ではIDEOのようなクリエイティブな発想ができるチームをつくりたければ、いったいどうすればいいのだろうか？　IDEO Tokyoのデザイン・ディレクター、石川俊祐によると、各々が自分の強みを「クラフト」として認識してそれを磨き、「ゴール・オリエンテッド（目的志向）」で活動することが大切だという。詳しく話を聞いてみよう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A6395final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>IDEOは、シリコンバレーに本社を置くデザインコンサルティングファーム。IDEO Tokyo チームは、デザイン思考／人間中心デザインというアプローチで、日本独特の感性を尊重しながら、グローバルな視点を融合させ、日本の組織の創造する力を支えている。</figcaption>
</figure></p>

<h2>競争しない同僚、オーケストラのようなチーム</h2>

<p><strong>──石川さんの仕事内容について聞かせてください。</strong></p>

<p>IDEO Tokyoでデザイン・ディレクターを担っています。プロジェクトのコンテンツ、クリエイションの方向性に深く関わったり、他のメンバーのガイドやメンター役になったりすることで、IDEOのアウトプットのクオリティーを担保するのが仕事の半分くらいを占めます。</p>

<p>あとは新しい「ポイント・オブ・ビュー（視点）」をつくること、そしてクライアントからの相談に対して世の中に大きなインパクトを与えられるような提案をクライアントと共に生むことが残りの25%ずつになります。</p>

<p><strong>──新しい「ポイント・オブ・ビュー（視点）」をつくるとは具体的に何をするのですか？</strong></p>

<p>例えば、日本文化の「おもてなし」をAIやオートメーションに実用化できないか模索しています。今後、AIやオートメーションで効率化が進みますが、その結果、人から仕事が取り上げられる未来を描くのではなく、むしろ人間に寄り添い、人をより成長させるような関係性を築くにはどうすればいいかを考えます。例えば、ドラえもんはのび太に問題の解決のツールを与えるだけでなく、叱ったり一緒に泣いたりすることで、のび太の人間性や能力を高める手助けをしますよね。そういう日本発信、かつグローバルにも影響を与えうる新しい「ポイント・オブ・ビュー」を考え出すのがぼくの仕事です。</p>

<p><strong>──IDEOではクライアントごとにチームを組んでいると思いますが、チームや同僚について、何か特別な考え方はあるのでしょうか。</strong></p>

<p>IDEOでは得意な分野がひとつやふたつあって、その上で他の分野にも真摯な興味があり、協力をためらわない志向性の人を雇っています。それがチームとしてひとつになった時の伸び代になると考えているのです。</p>

<p>IDEOの同僚は、どちらかというと友だちや家族のような存在です。会社というよりコミュニティーですね。組織という堅苦しい言い方はしません。緩やかな関係性を保ち、それによって毎日オフィスに来ることが楽しみになる。そういう環境になっていて、同じ目的に向けて力を合わせています。思考、波長、方向性、能力みたいなものをオーケストラのように調和できる環境が望ましいと考えています。</p>

<p><strong>──石川さんは日本の大企業とIDEO、ある意味対極で働かれた経験がありますが、両者のチームや同僚に目立った違いはありますか？</strong></p>

<p>日本企業では同僚は競争相手、すなわちライバルのような存在でもありました。ある分野での飛び抜けた能力よりも、与えられた問いを効率よくこなす能力が求められることが多く、向いていない仕事もとりあえずやらされてしまう。競争相手がたくさんいるのでコラボレーションよりも、自分が何か成し遂げた証をどう残していくかが大切でした。一方で、IDEOでは個人よりチーム単位で動くのであまり気にしなくなりましたね。自分にないものをもっている人たちでチームが構成されているため、そこで比較や競争をやろうと思ってもできないのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A6306final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>パナソニックで工業デザインに携わり、英大手デザイン・イノベーション・コンサルティング会社PDDではCreative Leadや日本のアカウント代表を務めた。2013年に日本へ帰国。IDEO Tokyoは立ち上げの時から参画している。</figcaption>
</figure></p>

<h2>強みの分解、可視化のすすめ</h2>

<p><strong>──石川さんのユニークなキャリアから、人生100年時代のビジネスパーソンに向けて、何かアドバイスをいただけますか？</strong></p>

<p>自分の得意とするスキルのようなものを、分かりやすくもっておくといいと思います。そしてプレイヤーであることを止めないことですね。「自分の得意分野が何か他の分野でも活用できるんじゃないか？」という問いかけを40代のうちから考えておいてもいいと思います。</p>

<p><strong>──いまお話されていた「スキルのようなもの」について、もう少し詳しく聞かせてください。</strong></p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/01/ishikawa-career.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/yokoyama_089-2-1094.jpg">
<div class="info"><strong>予防医学研究者・石川善樹が考える、人生100年時代のキャリア論</strong><date>2017.01.13</date>
</div></a>
</div>

<p>IDEOでは「クラフト」と呼んでいます。例えば、仕事を獲得するために提案書をつくるクラフト、それをプレゼンして人に伝えるクラフト、オフィスの訪問者に応対するクラフト、これらはすべて人に属するスキルですが、IDEOではクラフトという呼び方をしています。</p>

<p>ビジネスパーソンの方々は、自分の強みをもっと分解して把握するといいと思います。テレビの設計を30年間続けていたから「わたしのクラフトはテレビの設計しかない」というわけではないのです。デザイナーの場合は就職するときにポートフォリオを作ります。それを持ち歩いて「自分はこういう強みがあって...」というのを分かりやすくビジュアルで相手に説明します。そのように自分のクラフトを一度可視化してみるといいと思います。マスターになるまで、クラフトはいつまでも磨き続けるものです。1回合格すればおしまいの資格とは異なります。</p>

<p>IDEOでは3ヶ月に1回「この3ヶ月間、どういう新しいクラフトにトライしたか？」「それをどう向上させたか？」をお互いにレビューして承認しあい、シェアしています。それによって本人が気づかなかったこと、頑張ったことを自覚させることができるのです。</p>

<p>クラフトは自分で学び実践を繰り返してマスターになるまで追究しつつ、それを継承もできます。やりながら人から人へと伝えて行く、そして得意なクラフトをもつ人たちのコミュニティーを会社の内外で繋いであげれば、より一層切磋琢磨できる環境がつくれます。</p>

<p><figure>
<img alt="David Kelley  How to build your creative confidence   TED Talk   TED.com.png" src="/David%20Kelley%20%20How%20to%20build%20your%20creative%20confidence%20%20%20TED%20Talk%20%20%20TED.com.png" >
<figcaption>関連動画：IDEO創業者デイヴィッド・ケリーが説く、自分のクリエイティビティに自信を持つ方法</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──いまのお話は、クリエイティブ業界以外のビジネスパーソンでも実践できることなのでしょうか？</strong></p>

<p>IDEO創業者のデイヴィッド・ケリーは、「Creative Confidence」という言葉を使って、クリエイティビティは限られた人だけではなく、基本的に誰もがもっているものだと話します。自信をもって間違えを恐れず踏み出してみることが大切です。</p>

<p>さまざまなクラフトをもつ人々が交流すればうまくいくと感覚的には感じているのに、いまだに会社は優秀な社員ひとりに多くの負担を強いて無理しているように思えます。とはいえ、クライアント企業の方々のお話を伺っていると、ここ10年くらいで状況はドラスティックに変わりつつあるようです。社内に新しいプラットフォームやイノベーション・チームを創設するといった取り組みも増えています。どこかでこの新しいやり方での大きな成功体験が生まれるといいですね。日本では変わる時は一気に変わりますから。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A6393final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>いま多くの企業は、過去の成功体験が足かせとなり、変化を起こしにくくなっている。ただ、さまざまなクライアント企業と接するなかで、変化の兆しは見えつつあるという。</figcaption>
</figure></p>

<h2>つながるコツは「ゴール・オリエンテッド（目的志向）」</h2>

<p><strong>──ところで、石川さんのクラフトといえばデザインになるのですか？</strong></p>

<p>ぼくの場合は「インサイトを具現化・可視化すること」ですね。自分の目で見て掴んだインサイトを、プロダクト、サービス、または新規事業へ落とし込むこと。そして、それを実際に絵や立体に描き起こしてタンジブルな形で提供することです。描けることは便利なんです。ミーティングで議論になると対立しやすいけれど、絵だと「ちょっとここをこうすると」のように建設的な会話が生まれやすいですから。それから、正しい問いを見つけることや、目的やゴールを明確化することもぼくのクラフトですね。</p>

<p><strong>──石川さんは自分のクラフトの領域と近い人と付き合うことが多いですか？　それとも違う人たちと付き合うことが多いですか？</strong></p>

<p>いろいろですね。近い人たちが多いかもしれないですが、自分にない、自分の得意でないクラフトをもった人たちとお互いに尊重しあっていきたいと考えています。</p>

<p><strong>──違うクラフトの人たちともつながるコツは?</strong></p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2016/10/ischool-yokota.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_MG_2126-1094.jpg">
<div class="info"><strong>"イノベーションの学校" 東大i.schoolの横田幸信が説く、優れたアイデアが生まれるネットワークの力</strong><date>2017.10.05</date></div></a></div>

<p>「ゴール・オリエンテッド（目的志向）」でしょうか。金融系出身でいまはベンチャーでファッションをやっている友人がいるんですが、彼はアフリカに雇用を生み出すという目的をもって仕事に取り組んでいます。バックグラウンドは全然違いますが、世の中にインパクトを与えて自分のクリエイティブな力を活かそうとしている点で気が合いますね。共感できる目的意識をもっている。地方創生でも、食の安全でも、分野が違えどそういう目的志向の人たちには共感できます。</p>

<p>目的をもってぶれずに進むというのは大切です。例えば、製品には企業の目的意識が明確に表れます。ノートパソコンのメーカーを見ても、性能が高くて安いのに、ビジョンや目的をもたないために共感されないことはよくあります。目的や意志が製品を通じて表れて来ないからワクワクされないんです。</p>

<p>そういえば来日しているティム・ブラウン（IDEO最高経営責任者）が面白いことを言っていました。「サンドウィッチをイメージしてみてください。上のパンが目的、下のパンがケイパビリティ（具体的な形にできるかどうか）、具材がコンテンツ。上のパンがなければサンドウィッチは崩れてしまって食べにくいでしょう」。最近は具材をつくることしか考えない人や企業が多い気がします。きちんとしたサンドイッチにしないと、やはり世界で食されるような共有のデザインにはなりえないかもしれない。</p>

<p>目的に共感してそこに投資する人が現れてくるようになれば、日本でも非常に良いサイクルが生まれると思います。お金をもっている人たちが「その事業で人間性にどんなインパクトを与えられるのか？」とか「その事業で日本がどう良くなるのか？　世界にどう影響を与えられるのか？」と積極的に聞くようになるといいですよね。</p>

<p>例えば、アップルは「人間性を進化させる」というビジョンをもっていて、そこから全て下りてきて世の中でいちばん進んだソフトやプロダクトを細部にまでこだわって実現しています。でも普通はどこかで崩れるんです。「まぁここはいいか」と手を抜いたり。そこまでいくとなかなか勝てる企業は出てこないでしょうね。目的志向をもって、とことんこだわる日本企業を育てるようなことをお手伝いしていきたいです。</p>
]]>
        <![CDATA[<p><aside><strong>石川俊祐</strong><small>IDEO Tokyo デザイン・ディレクター</small>
<p>ポール・スミスやダイソンの創立者ジェームズ・ダイソンを輩出したロンドン芸術大学セントラル・セント・マーチンズを卒業。日本メーカーや、イギリスの老舗デザイン・イノベーション・コンサルティング会社PDDで勤務経験があり、家電から自動車、医療、パッケージ、サービス・エキスペリエンスデザインまで幅広い分野のプロジェクトを担当している。2013年よりIDEO Tokyoの立ち上げに従事。</aside></p>

<p>なぜ多くの企業が「IDEO（アイディオ）」に相談するのか。きっとそこには、少数ながら各々がユニークなスキルを備えた精鋭のメンバーが揃っていて、自社内では思いつかないようなクリエイティブなアイデアを提案してくれる。そう期待しているからではないだろうか。</p>

<p>例えば、明治の案件では、当初『チョコレートの新しいパッケージを考えてほしい』と依頼されたが、『チョコレートの体験自体を変える方法を考えたら面白くありませんか』と提案し、新製品の方向性を決定づけた。それをきっかけに会社全体の風向きが変わり、社内にチョコレートを食する体験を考えるチームが立ち上がったという。</p>

<p>ではIDEOのようなクリエイティブな発想ができるチームをつくりたければ、いったいどうすればいいのだろうか？　IDEO Tokyoのデザイン・ディレクター、石川俊祐によると、各々が自分の強みを「クラフト」として認識してそれを磨き、「ゴール・オリエンテッド（目的志向）」で活動することが大切だという。詳しく話を聞いてみよう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A6395final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>IDEOは、シリコンバレーに本社を置くデザインコンサルティングファーム。IDEO Tokyo チームは、デザイン思考／人間中心デザインというアプローチで、日本独特の感性を尊重しながら、グローバルな視点を融合させ、日本の組織の創造する力を支えている。</figcaption>
</figure></p>

<h2>競争しない同僚、オーケストラのようなチーム</h2>

<p><strong>──石川さんの仕事内容について聞かせてください。</strong></p>

<p>IDEO Tokyoでデザイン・ディレクターを担っています。プロジェクトのコンテンツ、クリエイションの方向性に深く関わったり、他のメンバーのガイドやメンター役になったりすることで、IDEOのアウトプットのクオリティーを担保するのが仕事の半分くらいを占めます。</p>

<p>あとは新しい「ポイント・オブ・ビュー（視点）」をつくること、そしてクライアントからの相談に対して世の中に大きなインパクトを与えられるような提案をクライアントと共に生むことが残りの25%ずつになります。</p>

<p><strong>──新しい「ポイント・オブ・ビュー（視点）」をつくるとは具体的に何をするのですか？</strong></p>

<p>例えば、日本文化の「おもてなし」をAIやオートメーションに実用化できないか模索しています。今後、AIやオートメーションで効率化が進みますが、その結果、人から仕事が取り上げられる未来を描くのではなく、むしろ人間に寄り添い、人をより成長させるような関係性を築くにはどうすればいいかを考えます。例えば、ドラえもんはのび太に問題の解決のツールを与えるだけでなく、叱ったり一緒に泣いたりすることで、のび太の人間性や能力を高める手助けをしますよね。そういう日本発信、かつグローバルにも影響を与えうる新しい「ポイント・オブ・ビュー」を考え出すのがぼくの仕事です。</p>

<p><strong>──IDEOではクライアントごとにチームを組んでいると思いますが、チームや同僚について、何か特別な考え方はあるのでしょうか。</strong></p>

<p>IDEOでは得意な分野がひとつやふたつあって、その上で他の分野にも真摯な興味があり、協力をためらわない志向性の人を雇っています。それがチームとしてひとつになった時の伸び代になると考えているのです。</p>

<p>IDEOの同僚は、どちらかというと友だちや家族のような存在です。会社というよりコミュニティーですね。組織という堅苦しい言い方はしません。緩やかな関係性を保ち、それによって毎日オフィスに来ることが楽しみになる。そういう環境になっていて、同じ目的に向けて力を合わせています。思考、波長、方向性、能力みたいなものをオーケストラのように調和できる環境が望ましいと考えています。</p>

<p><strong>──石川さんは日本の大企業とIDEO、ある意味対極で働かれた経験がありますが、両者のチームや同僚に目立った違いはありますか？</strong></p>

<p>日本企業では同僚は競争相手、すなわちライバルのような存在でもありました。ある分野での飛び抜けた能力よりも、与えられた問いを効率よくこなす能力が求められることが多く、向いていない仕事もとりあえずやらされてしまう。競争相手がたくさんいるのでコラボレーションよりも、自分が何か成し遂げた証をどう残していくかが大切でした。一方で、IDEOでは個人よりチーム単位で動くのであまり気にしなくなりましたね。自分にないものをもっている人たちでチームが構成されているため、そこで比較や競争をやろうと思ってもできないのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A6306final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>パナソニックで工業デザインに携わり、英大手デザイン・イノベーション・コンサルティング会社PDDではCreative Leadや日本のアカウント代表を務めた。2013年に日本へ帰国。IDEO Tokyoは立ち上げの時から参画している。</figcaption>
</figure></p>

<h2>強みの分解、可視化のすすめ</h2>

<p><strong>──石川さんのユニークなキャリアから、人生100年時代のビジネスパーソンに向けて、何かアドバイスをいただけますか？</strong></p>

<p>自分の得意とするスキルのようなものを、分かりやすくもっておくといいと思います。そしてプレイヤーであることを止めないことですね。「自分の得意分野が何か他の分野でも活用できるんじゃないか？」という問いかけを40代のうちから考えておいてもいいと思います。</p>

<p><strong>──いまお話されていた「スキルのようなもの」について、もう少し詳しく聞かせてください。</strong></p>

<p>IDEOでは「クラフト」と呼んでいます。例えば、仕事を獲得するために提案書をつくるクラフト、それをプレゼンして人に伝えるクラフト、オフィスの訪問者に応対するクラフト、これらはすべて人に属するスキルですが、IDEOではクラフトという呼び方をしています。</p>

<p>ビジネスパーソンの方々は、自分の強みをもっと分解して把握するといいと思います。テレビの設計を30年間続けていたから「わたしのクラフトはテレビの設計しかない」というわけではないのです。デザイナーの場合は就職するときにポートフォリオを作ります。それを持ち歩いて「自分はこういう強みがあって...」というのを分かりやすくビジュアルで相手に説明します。そのように自分のクラフトを一度可視化してみるといいと思います。マスターになるまで、クラフトはいつまでも磨き続けるものです。1回合格すればおしまいの資格とは異なります。</p>

<p>IDEOでは3ヶ月に1回「この3ヶ月間、どういう新しいクラフトにトライしたか？」「それをどう向上させたか？」をお互いにレビューして承認しあい、シェアしています。それによって本人が気づかなかったこと、頑張ったことを自覚させることができるのです。</p>

<p>クラフトは自分で学び実践を繰り返してマスターになるまで追究しつつ、それを継承もできます。やりながら人から人へと伝えて行く、そして得意なクラフトをもつ人たちのコミュニティーを会社の内外で繋いであげれば、より一層切磋琢磨できる環境がつくれます。</p>

<p><strong>──いまのお話は、クリエイティブ業界以外のビジネスパーソンでも実践できることなのでしょうか？</strong></p>

<p>IDEO創業者のデイヴィッド・ケリーは、「Creative Confidence」という言葉を使って、クリエイティビティは限られた人だけではなく、基本的に誰もがもっているものだと話します。自信をもって間違えを恐れず踏み出してみることが大切です。</p>

<p>さまざまなクラフトをもつ人々が交流すればうまくいくと感覚的には感じているのに、いまだに会社は優秀な社員ひとりに多くの負担を強いて無理しているように思えます。とはいえ、クライアント企業の方々のお話を伺っていると、ここ10年くらいで状況はドラスティックに変わりつつあるようです。社内に新しいプラットフォームやイノベーション・チームを創設するといった取り組みも増えています。どこかでこの新しいやり方での大きな成功体験が生まれるといいですね。日本では変わる時は一気に変わりますから。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A6393final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>いま多くの企業は、過去の成功体験が足かせとなり、変化を起こしにくくなっている。ただ、さまざまなクライアント企業と接するなかで、変化の兆しは見えつつあるという。</figcaption>
</figure></p>

<h2>つながるコツは「ゴール・オリエンテッド（目的志向）」</h2>

<p><strong>──ところで、石川さんのクラフトといえばデザインになるのですか？</strong></p>

<p>ぼくの場合は「インサイトを具現化・可視化すること」ですね。自分の目で見て掴んだインサイトを、プロダクト、サービス、または新規事業へ落とし込むこと。そして、それを実際に絵や立体に描き起こしてタンジブルな形で提供することです。描けることは便利なんです。ミーティングで議論になると対立しやすいけれど、絵だと「ちょっとここをこうすると」のように建設的な会話が生まれやすいですから。それから、正しい問いを見つけることや、目的やゴールを明確化することもぼくのクラフトですね。</p>

<p><strong>──石川さんは自分のクラフトの領域と近い人と付き合うことが多いですか？　それとも違う人たちと付き合うことが多いですか？</strong></p>

<p>いろいろですね。近い人たちが多いかもしれないですが、自分にない、自分の得意でないクラフトをもった人たちとお互いに尊重しあっていきたいと考えています。</p>

<p><strong>──違うクラフトの人たちともつながるコツは?</strong></p>

<p>「ゴール・オリエンテッド（目的志向）」でしょうか。金融系出身でいまはベンチャーでファッションをやっている友人がいるんですが、彼はアフリカに雇用を生み出すという目的をもって仕事に取り組んでいます。バックグラウンドは全然違いますが、世の中にインパクトを与えて自分のクリエイティブな力を活かそうとしている点で気が合いますね。共感できる目的意識をもっている。地方創生でも、食の安全でも、分野が違えどそういう目的志向の人たちには共感できます。</p>

<p>目的をもってぶれずに進むというのは大切です。例えば、製品には企業の目的意識が明確に表れます。ノートパソコンのメーカーを見ても、性能が高くて安いのに、ビジョンや目的をもたないために共感されないことはよくあります。目的や意志が製品を通じて表れて来ないからワクワクされないんです。</p>

<p>そういえば来日しているティム・ブラウン（IDEO最高経営責任者）が面白いことを言っていました。「サンドウィッチをイメージしてみてください。上のパンが目的、下のパンがケイパビリティ（具体的な形にできるかどうか）、具材がコンテンツ。上のパンがなければサンドウィッチは崩れてしまって食べにくいでしょう」。最近は具材をつくることしか考えない人や企業が多い気がします。きちんとしたサンドイッチにしないと、やはり世界で食されるような共有のデザインにはなりえないかもしれない。</p>

<p>目的に共感してそこに投資する人が現れてくるようになれば、日本でも非常に良いサイクルが生まれると思います。お金をもっている人たちが「その事業で人間性にどんなインパクトを与えられるのか？」とか「その事業で日本がどう良くなるのか？　世界にどう影響を与えられるのか？」と積極的に聞くようになるといいですよね。</p>

<p>例えば、アップルは「人間性を進化させる」というビジョンをもっていて、そこから全て下りてきて世の中でいちばん進んだソフトやプロダクトを細部にまでこだわって実現しています。でも普通はどこかで崩れるんです。「まぁここはいいか」と手を抜いたり。そこまでいくとなかなか勝てる企業は出てこないでしょうね。目的志向をもって、とことんこだわる日本企業を育てるようなことをお手伝いしていきたいです。</p>
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    </content>
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    <title>人脈を活かすキーワードは「弱いつながり」と「メタ認知」──BNL Special Sessions 2017リポート - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/08/bnl-special-sessions-2017-eventreport.html" />
    <id>tag:bnl.media,2017://125.8856</id>

    <published>2017-08-29T02:30:00Z</published>
    <updated>2019-05-17T07:04:51Z</updated>

    <summary>7月29日（土）、名刺アプリEightのインタビューメディア「BNL」の開設一周年を記念して、トークイベント「BNL Special Sessions 2017」が南青山で開催された。「ビジネスネットワークとイノベーション」をテーマに、特別ゲスト4名が語った内容をリポートする。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="EVENTS INFO" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネスネットワーク" label="ビジネスネットワーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>名刺アプリEightは、2017年8月よりビジネスネットワークを究めるインタビューメディア「BNL（Business Network Lab）」を運営している。開設1周年を記念して、さる7月29日にトークイベント「BNL Special Sessions 2017」を開催した。</p>

<p>過去にBNLでインタビューを行った4名、入山章栄（早稲田大学ビジネススクール）、濱松誠（One JAPAN）、島田由香（ユニリーバ・ジャパン）、川上全龍（妙心寺春光院）を特別ゲストに迎え、「ビジネスネットワークとイノベーション」をテーマに4つのトークセッションを行った。</p>

<p>聞き手は、BNLの最初の記事に登場したBusiness Insider Japan編集長の浜田敬子（当時は朝日新聞社 総合プロデュース室プロデューサー）と、BNL編集長の丸山裕貴が交互に務めた。今回はその模様をダイジェストでお届けする。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A5521final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「学者なので断言するのはあまり健全ではないのですが」と前置きをしたうえで入山は、「つながりの重要性というのは、科学的にもうほぼわかってしまっているんです」と語った。</figcaption>
</figure></p>

<h3>「弱いつながり」が有益な情報を生む</h3>

<p>トップバッターを務めたのは早稲田大学ビジネススクール准教授の入山章栄。世界の経営学の"常識"を日本人にわかりやすく伝えてきた気鋭の経営学者は、そもそもこの時代になぜ、人のつながりが重要なのかを問い直すことから議論を始めた。</p>

<p>入山によれば、その理由はふたつある。</p>

<p>ひとつは、イノベーションは既存の知と知の新しい組み合わせから生まれることがわかっているが、社内や業界内という狭い範囲では、もはや手付かずの新しい組み合わせは存在しない。「だから組織外の多様な知に触れることのできるネットワークの重要性が増している」ということ。</p>

<p>もうひとつは、「ロート製薬による副業の解禁や、ヤフーの週休3日制導入など、感度の高い経営者は社外とのネットワークの重要性をもう十分に理解していて、新しい動きを見せている」。その結果、既存の会社の枠組みは曖昧になってきており、ネットワーク自体がひとつの単位になりつつあるということだ。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=SE4O1uXzffM
<figcaption>ソーシャルネットワークに関する世界最先端の研究をもとに展開されたトークは、多くの観客の興味を惹きつけた。</figcaption>
</figcaption></p>

<p>では、つながりを実際にイノベーションに昇華できるような"生きた"ものにするには、何がポイントになるのか。</p>

<p>ここで入山が紹介するのが、社会学者マーク・グラノベッターが提唱する「弱い紐帯の強さ（The Strength of Weak Ties）」理論だ。イノベーションにつながるような多様な情報を得るためには、親友同士のような強いつながりよりも、むしろただの知り合い程度の弱いつながりの方が有効だという。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/05/iriyama.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_L2A8466-1094.jpg">
<div class="info"><strong>弱いつながりの強さ：早稲田大学ビジネススクール准教授・入山章栄が解説する、世界標準の人脈術</strong> <date>2017.05.01</date></div></a></div>

<p>直感的には強いネットワークの方が良さそうにも思えるが、「スカスカのネットワークの方が情報の流れがスムーズであり、なおかつ簡単につくれるぶん、遠くまで伸びる。だから多様な経験をもった人と効率よくつながり、そこから効率よく情報を得ることができる」と入山は解説する。</p>

<p>さらに入山によれば、「ストラクチュアル・ホール（Structural Holes）」というネットワーク理論により、「2つのネットワークのハブの位置にいる人が、最も給料が高く、出世もしやすい」こともわかっている。なぜなら、どちらのネットワークから発信された情報も、反対側のネットワークに到達するには、必ずこの人を経由することになるからだ。</p>

<p>ハブの位置に立つためには、自ら組織や部署の境界を超えて、さまざまなネットワークに首を突っ込むことが求められる。この「境界を超える人」のことを経営学の世界では「バウンダリー・スパナー（Boundary Spanner）」と呼ぶ。それは、ネットワークをつなぐ懸け橋ともいえる。入山はそれを「チャラ男」と表現し、「イノベーションを起こしたければチャラ男であれ」と説く。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A5708final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>経営学者から理論を学んだ後は、民間企業の実践者が登場。合併後のパナソニックにおいて、「One Panasonic」という横のつながりをつくった濱松誠。いま彼は、自社の枠を超えて「One JAPAN」という組織をつくり、大企業の間の溝をも埋めようとしている。</figcaption>
</figure></p>

<h3>大企業病も「弱いつながり」で解決へ</h3>

<p>入山が、まさにつながりの懸け橋となっている人物として推すのが、One JAPAN 共同発起人の濱松誠である。2016年9月に発足したOne JAPAN は、45社の若手有志約600人が参加し、企業の枠を超えた協働の可能性を探るプラットフォームであり、それ自体が「弱いつながり」であると言っていい。</p>

<p>弱いつながりはどのようにしてつくればいいのか。言い換えればOne JAPAN はなぜこれほど多くの人を巻き込み、大きなうねりを起こすことができたのか。濱松が語った発足の経緯に、そのヒントがある。</p>

<p>パナソニックの社員である濱松は、One JAPAN 以前に、One Panasonic という若手有志の会を立ち上げ、社内の交流を促す活動を続けていた。部署ごとの縦割りで、時代に即して機敏に動くことができないという、自社の状態に危機感を覚えての行動だった。</p>

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<div class="info"><strong>「いま大企業の若手は、会社を超えてつながるべき」One JAPAN発起人・パナソニック濱松誠の"オングラ"な挑戦</strong> <date>2016.12.15</date></div></a></div>

<p>しかし、これはパナソニックに限った問題ではなく、多くの大企業が共通して抱える"大企業病"とも呼ぶべきものだ。「そのことに危機感を抱き、同じような活動をしているグループは、他にも少なからずいた」と濱松は言う。</p>

<p>濱松が他と違ったのは、そうした多くの活動が水面下で行われていたのに対して、SNSを通じて、自分たちの活動を積極的に発信していたことだ。そうした発信を続けた結果、他企業の若手から「一緒に活動をしよう」と声をかけられたり、相談を受けたりする機会が増え、活動の輪が広がっていったのだという。</p>

<p>「自分たちの活動が大きくなっていったのには、スマホとSNSの力が大きかった」と濱松は言う。だが、One JAPAN の活動がここまで多くの人を巻き込むことができた理由は、もちろんそれだけではない。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=P1Tkf-ykCug
<figcaption>One JAPANはどのようにして立ち上がったのか。これまであまり明かされていなかったストーリーを語ってくれた。</figcaption>
</figure></p>

<p>共同発起人のひとりであるNTTグループの有志ネットワーク「O-DEN」（おでん）を運営する山本将裕と濱松とは、One JAPAN 立ち上げ以前に、経産省の次世代イノベーター育成プログラム「始動 Next Innovator」で、同じ時間を過ごしていた。濱松のセッション中に思わず割って入り、マイクを求めた入山は、ここにもうひとつの重要なポイントがあると指摘する。</p>

<p>「知識や情報はオンラインでも伝わりますが、人はそれだけでは動かない。SNS全盛のこの時代にあっても、リアルで会うことで初めて伝わる志や熱量が、人を動かすのにいかに重要かということです。One JAPAN はそのための場になっている。そのことに価値があるのです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A5689final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>当日は、BNLで過去に取材した方を含めて、100名以上のEightユーザーが集った。</figcaption>
</figure></p>

<h3>利他的である秘訣は自分を知ること</h3>

<p>入山によると、ネットワーク上で最も得をするハブの位置で、やってはいけないことがひとつだけあるという。それは自分だけが得をするようにわがままにふるまうことだ。「そうしたふるまいを続けていては、いずれネットワークからはじかれてしまう」からだ。</p>

<p>むしろ利他的にふるまう"giver"のもとに人は集まる。多様なつながりを手にし、自分がハブの位置に立つというのは、あくまでそうした利他的なふるまいの結果でしかない。</p>

<p>濱松がつながりの"懸け橋"の代表格であるとするならば、その濱松が、愛を持って人と人とをつなぐ "giver"として紹介するのが、ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス取締役人事総務本部長の島田由香である。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A5837final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>ユニリーバの島田とBusiness Insiderの浜田。意外にも知り合ってまだ1年しか経っていないというふたりは、まるで旧友のような親密さでセッションを進めた。</figcaption>
</figure></p>

<p>「この人とこの人がつながったら、こんな世界になるんじゃないか、ということをいつも考えている」と話す島田の行動は、決して自分の利益を追求したものではない。その姿勢はあくまで利他的。まさに入山の言う"giver"だ。だが、そうやって人と人とをつなぐには、エネルギーも時間もかかる。なぜ島田は利他的であり続けることができるのか。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/07/shimada.html">
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<div class="info"><strong>つながりたい・認められたい・貢献したいを自分らしく──ユニリーバ島田由香が語る「ハピネス・ドリブン」な働き方</strong> <date>2017.07.07</date></div></a></div>

<p>島田が強調するのは、まず自分自身が満たされた状態でなければ、人を継続的に助けることなどできないということだ。</p>

<p>「つながりたい、承認されたい、貢献したいというのが人間の3大ニーズなんです。だから、誰かの助けになりたいという思いは誰にでもあるはず。にもかかわらず、なかなか利他的にふるまえないというのは、ひとえに自分自身が満たされていないからではないでしょうか。自分が満たされていない人は、一時的には利他的にふるまえたとしても、それが報われないと、いつしか見返りを求めてしまう」</p>

<p>自分自身が満たされるには、「自分らしくあるとはどういうことなのか、どういう状態にあれば快適なのか、そこから外れた時にはどのように整えればいいのかを知ることから始めなければならない」と島田は言う。彼女自身、4年前に「NLP（神経言語プログラミング）」をやるようになってからは、より自分のことを見つめるようになったという。</p>

<p>「自分自身を知ることができるようになってからは、一切の無理がなくなりました。自分がしたいことをしているだけなのに、そのことが結果として利他的なふるまいとして表れているんです。だからうまくいくし、長続きもする」。そのことを指して島田は、「すべてが自然に流れるようになった」と表現する。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=05UBiEoRwI0
<figcaption>人のために何かを行うのはとてもエネルギーがいること。まずは自分が満たされていることが大事だと話した。</figcaption>
</figure></p>

<p>ユニリーバでは昨年4月に、働く場所・時間を社員が自由に選べる新しい人事制度「WAA（Work from Anywhere and Anytime）」を導入した。そのリソースやノウハウは無償で社外に開放している。利益団体である企業が利他的にふるまうというのは、個人がそうすること以上に難しいようにも思えるが、「これもごく自然なこと」だと島田は言う。</p>

<p>「仕事は3大ニーズを満たすための手段なのだから、それぞれがそれぞれの持っているものを自分らしく発揮しさえすればいいという発想で始めたのが、WAAという制度です。その結果、売上も利益も伸びているし、社員の70%がポジティブに受け止めているという結果も出ている。こんなにいいことならば、みんなでやれば社会全体がよくなるはず。ただそれだけのことなんです」</p>

<p>大企業だからできないということはないはずだ、と島田は言う。「できない理由はごまんとある。でも、できる理由も探せばそれと同じかそれ以上に見つかるはずです。だったらそっちに目を向けようということ」。企業の枠を超えたその姿勢は濱松と共通しているように映る。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A5916-2final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>各セッションの間では、参加者同士で感想をシェアする時間が設けられ、会場は熱気に包まれた。</figcaption>
</figure></p>

<h3>「メタ認知」がつながりを価値に変える</h3>

<p>豪華なセッションのトリを務めたのは、妙心寺春光院副住職の川上全龍だ。川上はメガネ型ウェアラブルデバイス「JINS MEME」のアプリ「ZEN」の監修や、マインドフルネス・アプリ「MYALO」の開発など、禅僧という職業のイメージをはるかに超えて、さまざまな仕事を手がけている。しかしその多くは「周りから勧められたことを面白がって取り組んだにすぎず、あまり自分から考えて何かをすることはしないようにしている」のだという。</p>

<div class="round-box fl fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/03/kawakami.html">
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<img src="https://bnl.media/uploads/20170327170544-26fe3ee4e29325a9201a6814138ded5d3a7db7b5.jpg">
<div class="info"><strong>バイアスを外して「自己認知力」を磨こう──妙心寺春光院・川上全龍が説く、禅の哲学</strong> <date>2017.03.31</date></div></a></div>

<p>「人間の情報処理能力は126ビット/秒とものすごく限られているから、本当に鍵穴のような小さなところしか見ることができない。人間はみな、そういうバイアスをもって物事の白黒や善悪を判断しているんです。だからまずはそのことを自覚して、一度立ち止まって、自分のものの見方を疑ってみることが重要だと思うんです」</p>

<p>一歩引いて見るということ、すなわち「メタ認知」をするのに、入山のいう弱いつながりが役立つのだと川上は言う。「強いつながりというのは似たような考え方をする人の集まりだからバイアスを強化するけれど、価値観や考え方を共有していない、弱いつながりにある人からの視点は、一度立ち止まる隙間を与えてくれる」からだ。</p>

<p>川上が「自分から考えて行動しない」というのは、まさにこの弱いつながりの力によって、自分がとらわれているバイアスを外そうとしているからに他ならない。「自分から始めてしまうと、無理をしすぎたり、変にこだわりすぎて意固地になってしまったりする。逆に他人の方が自分のことを客観的に見てくれているから、うまくいくということがあるような気がするんですよね」と川上は言う。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=CdBC_nQky9U
<figcaption>「この人とこれがやりたい！」って考えて人と会うと、どうしてもバイアスがかかってしまう。それより「おれこんなことやりたんだけど〜」って曖昧に広く伝えておくと、誰かが面白い人を紹介してくれて楽しいことができるという。</figcaption>
</figure></p>

<p>今回のイベントで頻繁に登場したキーワードのひとつに、この「メタ認知」という言葉がある。いま、メタ認知が重要だというのには、さまざまな理由があるようだ。</p>

<p>たとえば、世界中からトップエリートがこぞって川上のもとを訪れ、座禅を組むというのも、そのことによっていったん落ち着き、メタ認知しやすい状況をつくっているのだという。彼らは、そうやって自分のもっているバイアスを外すことが、イノベーションにつながるような新たな視座をもたらしてくれると考えているのだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A6009final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>予防医学研究者石川善樹（写真中央）も登壇。電車の中で発見したメタ認知について語り、会場を沸かせた。</figcaption>
</figure></p>

<p>さらに、入山によれば、経営学の最新の研究でも、メタ認知の重要性がわかっているという。イノベーションにつながるような新しい組み合わせを生むためには、なるべく価値観の違う2人がつながった方がいいはずである。だが、価値観が違うということは、それだけお互いのことを理解するのが難しく、つながりにくいということでもある。この「断絶」を乗り越えるのに、メタ認知が役に立つと入山は言う。</p>

<p>「断絶を乗り越えるのに必要になるのが類推思考です。一見したところでは違う問題のように見えるけれど、そこでいかに視座をあげて、本質的な共通点を見つけられるか。それができれば、つながりにくい2人をつなぎ、価値を生み出すことができるはずです」</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=lrVqZ0kKIsM
<figcaption>全セッションのダイジェスト映像。懇親会の前には、参加者全員でEightを立ち上げて、<a href="https://youtu.be/gpM_rnQBCr0">昨年公開したプロモーション動画</a>で描いた「オンライン名刺交換」機能を活用した。</figcaption>
</figure></p>

<p>今回のセッションで語られたことは、その多くが、BNLが過去に行ったインタビューでも触れられていることである。</p>

<p>だが、たとえそれがまったく新しい知識ではなかったとしても、4人の話を通して聞くことで、ビジネスネットワークとイノベーションの関係について、より立体的に見えてきたところがあるはずだ。</p>

<p>これもまた、既存の知と知が新しく組み合わさることで生まれた、新たな価値であると表現することもできるだろう。今回会場を訪れていた人からすると、まさにイノベーションの本質を垣間見た一日だったと言えるのかもしれない。</p>

<h3>当日のアンケート結果（抜粋）</h3>

<p><figure>
<img src="/uploads/meet.png" alt="" title="" />
<figcaption>「イベントでの出会いが新しいビジネスにつながった」という嬉しいお知らせが、すでに数件ほど届いている。</figcaption>
</figure>
<figure>
<img src="/uploads/businessnetworkimage.png" alt="" title="" />
<figcaption>「ネットワーク」や「人脈」といった言葉に対してネガティブな印象を抱く人もいるようだが、全てのセッションを通して回答者は全員ポジティブなイメージになっていた。</figcaption>
</figure>
<figure>
<img src="/uploads/sns2.png" alt="" title="" />
<figcaption>上から順に、手元にある紙の名刺を全部Eightに取り込もうと思った／「オンライン名刺交換」機能をもっと使おうと思った／もっとEightの「プロフィール」を充実しておこうと思った／「メッセージ」をもっと活用しようと思った／「フィード」をもっと日ごろから見に行って、投稿もしてみようと思った／まだ自分はEightのSNS機能まではうまく活用できる気がしない／他のSNSとうまく使い分けしようと思った／もう取り込んでます</figcaption>
</figure></p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>優れた広告は「愛と尊敬」から生まれる──クリエイティブディレクター・原野守弘、世界標準のブランディングを語る - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/08/harano-morihiro.html" />
    <id>tag:bnl.media,2017://125.8850</id>

    <published>2017-08-18T01:20:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:23:41Z</updated>

    <summary>Eightのプロモーション動画を手がけ、広告賞カンヌライオンズでブロンズライオンを受賞した原野守弘。彼のことを『広告批評』元編集長の河尻亨一は、日本の広告業界における&quot;変人&quot;だと称する。優れた広告は、必ず「愛と尊敬の連鎖」の中に成立していると言う彼の真意に迫る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>原野守弘</strong><small>株式会社もり 代表／クリエイティブディレクター</small><p>経営戦略や事業戦略の立案から、製品開発、プロダクトデザイン、メディア企画、広告のクリエイティブディレクションまで、広範囲な分野で一流の実績を持っている。電通、ドリル、PARTYを経て、2012年11月、株式会社もりを設立、代表に就任。「OK Go: I Won't Let You Down」「NTT Docomo: 森の木琴」「Honda. Great Journey.」「Pola Dots」「Menicon: Magic」などを手がける。カンヌ国際広告祭 金賞、One Show 金賞、Spikes Asia グランプリ、AdFest グランプリ、ACC グランプリ、TCC 金賞、ADC 金賞、広告電通賞 最優秀賞、グッドデザイン賞 金賞など、国内外で受賞多数。</p></aside></p>

<p>「見る人の感性を信じて、愛と尊敬でつながるためにコミュニーケーションをする。それが広告というものだと思うんですよね」</p>

<p>こう語るのは原野守弘。広告キャンペーンを手がけるだけでなく、製品開発からメディア企画、さらには経営戦略や事業計画の立案にも携わるクリエイティブディレクターだ。</p>

<p>原野が手がけたコンテンツは、日本だけでなく海外で高く評価されるものが多い。NTTドコモ「森の木琴」やOK Go「I Won't Let You Down」といった映像を見たことがある方もいるだろう。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=C_CDLBTJD4M
<figcaption>間伐材を使ったケータイで、NTTドコモは森の保全に貢献していることを伝えて欲しい。そういうオリエンに対して原野は、ケータイの機能を細かく説明するのではなく、森や木を愛してる会社だということを伝えるよう心がけたという。</figcaption></figure></p>

<h2>好きになってもらうアドバタイジング</h2>

<p>それにしても彼が言う「愛と尊敬のための広告」とは、どういうものか？　もう少し話を聞いてみよう。</p>

<div class="round-box fr fb gray"><p>広告のゴールは、ブランドに対する愛と尊敬を獲得すること。でも、その価値を軽視している人は多い</p></div>

<p>「ぼくの定義で言うと、広告というのは商品やブランドを好きになってもらうことを目的として行うもの。基本的にはそう言い切ってしまってもいいんじゃないかと。広告のゴールは、ブランドに対する愛と尊敬を獲得すること。でも、その価値を軽視している人は多い気がするんです。日本では広告と販売促進がごちゃまぜになっているケースがよく見受けられますが、ぼくは両者を厳密に区別しています。欧米ではそこの区別がはっきりしていて、広告会社はセールスプロモーションをやりません。販促は販促、PRはPRの会社がやるというふうに分業化されているんです」</p>

<p>原野が言う通り、欧米圏では一般的に広告のコンテンツ（表現）は、それを専門に手がけるクリエイティブ・エージェンシーが企画する。テレビや新聞といったメディアのバイイングは、それとは別のメディア・エージェンシーが行う。</p>

<p>一方、広告産業が独自のガラパゴス進化を遂げた日本では、いわゆる「総合広告代理店」の力がいまなお巨大で、広告に関わるありとあらゆる業務を行っている。実はこの状況は1980年代半ば以降に特に顕著になったもので、日本でもそれ以前はもう少し「ゆるやかな分業体制」も存在したのだが、広告の大型キャンペーン化と業務メニューの多様化が進む中で、スペシャルなスキルを提供する"頑固職人さんの専門店"より、なんでも一気に買えて便利な"おしゃれ百貨店"の影響力が増したという経緯もある。</p>

<p>それにしてもなぜ原野は「売るためのプロモーション」ではなく「好きになってもらうアドバタイジング」を強調するのだろう？　そもそもの話だが「売れる」ことは広告主にとって最優先なのではないだろうか。</p>

<p>「売上を伸ばす販売促進はもちろん大切です。ただ、その施策に偏りすぎたり、KPI至上主義に陥ってしまうのはどうだろう？ と。短期的な売上を狙ったセールスプロモーションを連打することで、商品のライフサイクルが短くなってしまうケースも多いと思うんです。消費者に飽きられ価値が低いプロダクトだと思われてしまうと価格を下げざるを得なくなり、最終的には利益率が落ちていくことにもなりかねない。そう考えると、もっと長期的な視点をもつことも大事だとぼくは思うんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A6238final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>本来、販売促進と広告は根本的に異なる性質をもつ。原野は、はっきりと違いを意識して広告を制作している。</figcaption>
</figure></p>

<div class="round-box fl fb gray"><p>果たして計測できるものだけでビジネスを行うことが本当に合理的なのか？　そのことで生じるデメリットも考慮すべき</p></div>

<p>「アップルやナイキといった企業が代表例ですが、彼らはブランドづくりに極めて長けている。人々に愛され尊敬されるプロダクト、そしてブランドの深いストーリーを感じさせるコミュニケーションを行うことでファンを増やしていきますよね。そうすることで、ことさらに販売促進をしたり、セールをしなくとも商品が売れ続けるだけでなく、ブランドの価値を一層高めていけるわけです。こういったブランディングによる効果は、KPIのように簡単に計測可能なものではありません。ゆえに『そんなことで商品が売れるのか？』といった批判を受けることも多々あるのですが、果たして計測できるものだけでビジネスを行うことが本当に合理的なのか？　そのことで生じるデメリットも考慮した上で進めないと、単なる"盲信"にもなりかねませんよね？　見えないところで大きなビジネスチャンスを失っている可能性さえあります」</p>

<p>この話を聞いていて「なるほど」とうなづけるものがあった。ご存知のように日本はバブル崩壊後「失われた20年」とも言われる長い景気停滞期に突入している。さまざまな経済・金融政策が実施され、一時的に回復したかのように見える局面もあるのだが、根本的には「デフレ化」という名の価値毀損の波から逃れられないでいる。</p>

<p>それはさまざまな複合的要因から生じるものではあるが、企業の宣伝活動という面から見ると、原野が指摘する「セールスプロモーションへの盲信」もひと役買っているのではないだろうか？　そこへの過信は長い時間を経てボディブローのように効いてくるものかもしれない。つまり、商品やサービスにそそられるストーリーや未来への希望がないから、買う気が起きないのだ。人は機能や価格だけでその商品を選ぶわけではない。</p>

<p>かつてはグローバルブランドとしてもてはやされた日本の家電・電機メーカーの凋落ぶり。10年前には想像もしなかったことが、現に起きてしまっている。</p>

<p>一方、グローバルでブランディングに成功した日本企業もある。その代表格が2000年以降のユニクロだ。同社のプロダクトは高い機能性、リーズナブルな価格もさることながら、広告も圧倒的に優れていた。世界進出を本格スタートさせた2000年代半ばには、世界最大の広告クリエイティブ祭「カンヌライオンズ」のグランプリなど、名誉ある広告賞をいくつも受賞するようになっていた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A6166final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>オフィスの一角には、これまで受賞した広告賞のトロフィーが数多く飾られている。</figcaption>
</figure></p>

<p>日本メーカーではないが、サムスンと言えば「安売り」というイメージもあった中、やはり世界戦略を成功させる2010年前後から同広告祭で大量受賞を果たすようになっていた。グーグル、フェイスブックもまた然り。グローバル企業はその伸び盛りのフェーズで、カンヌの賞を獲りまくる傾向があるようだ。</p>

<p>そういえば、10年前に筆者が原野と初めて知り合ったのも、毎年南仏カンヌ市で開催されるこのフェスティバルにおいてであった。原野は毎年のようにカンヌで受賞している日本人クリエイターのひとり。それができる日本人は決して多くはない。</p>

<p>この6月にも、原野がクリエイティブを手がけたEightのプロモーション動画「Eight: Business Cards」がカンヌライオンズのフィルム部門でブロンズライオンを受賞している。これは通常１対１で行う名刺交換を3人、4人、5人、さらには20人で一斉に行うとどうなるか？　というチャレンジを映像化したもの。YouTubeでは170万回近く再生される動画となっている（2017年8月現在）。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=gpM_rnQBCr0
<figcaption>2016年6月に公開したEightのプロモーション動画。今年、世界三大広告賞と呼ばれる賞のうち、2つを受賞した。（The One Show：シルバーペンシル／カンヌライオンズ：ブロンズライオン）</figcaption>
</figure></p>

<p>このコンテンツにおける「愛と尊敬」はどこにあるのだろう？　原野に制作のバックストーリーを聞いた。</p>

<p>「いや、ずっと前から思ってたんですよ。大企業に打ち合わせやプレゼンなどで行くとたくさん人がいて、10人くらい並んだり、円になって名刺交換していくんだけど、それって日本独特の儀式みたいなものでなんだか滑稽だなと。だったら儀式化されているものをさらに儀式化して、盆踊りみたいに名刺交換するのはどうだろうと（笑）。Sansanの社長さんのオリエンテーションを聞いてる途中で、おおまかな企画の骨格はできていましたね。Eightの機能を説明する映像を作ろうとするのではなく、誰もが感じている名刺交換そのものの不合理さを表現する映像をつくる。それを見てみんなが共感したところで、新しい解決策としてEightを提示する、という構造です。それをまじめに、徹底的に、ユーモラスに、そして、センスよくやる。じゃないと、Eightを好きになってはもらえませんから」</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=Ezyt7Yd3oAQ
<figcaption>メイキング映像で「振付稼業air:man」が指導している様子を見ることができる。</figcaption>
</figure></p>

<p>「ただ、ぼくの仕事が評価いただけているのは、スタッフの力が大きいです。最初のアイデアはもちろん重要ですけど、最後に形になったときのレベルがもっとも重要。アイデアだけでは届きませんから。例えばEightの動画で言うと、『振付稼業air:man』にダンスの振り付けをお願いしたことが大きい。結局チーム力が大事なんです。自分で言うのもなんですけど、スタッフを見る目はあると思います」</p>

<h2>意味に対する企て、驚きを含む正解</h2>

<p>さらに原野はこう続けた。</p>

<p>「やっぱり広告はインサイトに基づいてないと。つまり『意味に対する企て』が必要なんです。例えばP&amp;GのオリンピックCM『Thank You,Mom』。あのCMは『オリンピックの選手って世界でいちばん大変だよね』といったみんなが前提としている常識に、別の意味を加えている。『とはいえ、選手たちを子供の頃から支え続けているお母さんはもっと大変じゃない？』っていう。見る人はそこにハッとするんです」</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=0ruHOaHrGnQ
<figcaption>2012年のロンドンオリンピックに向けて制作されたP&amp;Gのコマーシャル。オリンピック選手を育てる母親をフィーチャーしている。</figcaption></figure></p>

<p>「別の言い方をすると、広告には『驚きを含む正解』がいるんですね。人は感情が動くとき、笑ったり泣いたりする前にまず驚くんですよ。その驚きをどう生み出すかがクリエイティブの技術なんだと思います。で、その技術を高めるためには、これまで人類が創造してきたものに対する愛と尊敬が必要なんです。それはシェークスピアだったりモーツァルトだったり、歴史上のあらゆるクリエイティブの成果ということなんですけど。例えばぼくが名刺交換を極端に滑稽にしようと思って、どういうやり方がいいだろうか？　と考えたとき、まず頭に浮かんだのは『アルゴリズム体操』の元ネタとも言われるノーマン・マクラレンの『Canon』。あるいは10年前にカンヌでグランプリを獲ったユニクロの『UNIQLOCK』。自分が解決しなきゃいけないテーマの向こうに、そういった過去の名作アーカイブが垣間見えるんです。『Canon』へのリスペクト、『UNIQLOCK』へのリスペクト、そして『UNIQLOCK』の振付も手がけたair:manへのリスペクト。それらが一体となったところに新しい答えがあるわけです」</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=lxNhUswEO7c
https://www.youtube.com/watch?v=f_TY3z4TsSc
<figcaption>「Canon」と「UNIQLOCK」へのリスペクトから、EightのPR動画の構想は生まれたという。</figcaption>
</figure></p>

<p>「ピカソが『すぐれたアーティストは真似をする。偉大なアーティストは盗む』って言ったけど、最初に尊敬の念があるからこそ、それを盗んで"自分のもの"にまで高められるんだと思います。"新しさ"というのはそういうもので、芸術や科学はそうやって発展してきたんでしょうね。それを見た人が驚くのは、自分が目にしたものが、人間の愛と尊敬の連鎖につながる何かだと直感的に気づくからじゃないでしょうか？　元ネタの知識自体はなくとも。そうやってコミュニケーションをしていくのが広告の醍醐味だとぼくは考えています。カンヌに行くとそういった意味でのサプライズにたくさん出会えて、自分をアップデートできるのがいいですね」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A6250final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>リスペクトがあるから、盗んでも自分のものにできる。これは広告に限らない話ではないだろうか。</figcaption>
</figure></p>

<h2>日本の広告業界における"変人"</h2>

<p>原野は日本にはちょっと珍しいタイプのクリエイターかもしれない。「理性と感性」「ビジネスとアート」「日本と海外」といった、ある種対極とも言えるふたつの土俵の上に絶妙なバランス感覚で立つことができる人物である。</p>

<p>まず経営者に対してクリエイティブをビジネスの言葉で説明できる。一方で、自己表現が仕事でもあるクリエイターやスタッフたちに対して、企業のミッションが過度の負担にならないようなもっていき方もできる。クリエイティブディレクターという職種は本来そういう仕事なのだが、実際にはなかなかお目にかかれないのが現実だ。</p>

<p>クリエイターの中にはそのどちらかへの偏りが魅力的な人も多いが、原野は、経営者目線で広告を語っていたかと思うと、現代アーティストのような感想をふと口にしたり、かと思えば研究者的な視点からいきなり広告を分析したりする。聞いているこちらも刺激的である。</p>

<p>想像するにそれが彼の仕事のスタイルであり、キャラクターなのだろう。あらかじめ答えが読めてしまうような販売促進の施策が花盛りの日本の広告業界において、それ以外のアプローチで仕事を成功させている、数少ない"変人"のひとりだ。</p>

<p>しかし、1990年代のアップルのCM「Think Different」で描かれていたように、世の中を変えていくのは、"変人たち"なのである。</p>

<p>https://www.youtube.com/watch?v=cFEarBzelBs</p>

<p>スティーブ・ジョブスも大いに気に入り、自らナレーションを担当するバージョンまで作ったという伝説のCM。そこから言葉を引用しよう。</p>

<blockquote>
  <p>クレイジーな人たちがいる。反逆者、厄介者と呼ばれる人たち。四角い穴に丸い杭を打ち込むような人たち。物事をまるで違う目で見る人たち。彼らは規則を嫌い、彼らは現状を肯定しない。彼らの言葉に心を打たれる人もいる。反対する人も賞賛する人もけなす人もいる。しかし、彼らを無視することはだれもできない。なぜなら、彼らは物事を変えたからだ。彼らは人間を前進させた。彼らはクレイジーだと言われるが、私たちは天才だと思う。自分が世界を変えられると、本気で信じる人たちこそが、本当に世界を変えているのだから──Think different.</p>
</blockquote>

<p>人と違うことを考えよう。過去の名作アーカイブからインスパイアされたり、ピカソが言うようにそれらを換骨奪胎して"盗む"ことはできるかもしれないが、その人のスタイルや人柄はだれにも真似できないし盗めない。だからこそ、仕事というもの、人間というものは面白い。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A6236final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>筆者、河尻亨一が案内する、今年のカンヌ受賞作品30選は<a href="https://www.shigoto-ryokou.com/article/detail/272">こちら</a>。</figcaption>
</figure></p>
]]>
        <![CDATA[<p><aside><strong>原野守弘</strong><small>株式会社もり 代表／クリエイティブディレクター</small><p>経営戦略や事業戦略の立案から、製品開発、プロダクトデザイン、メディア企画、広告のクリエイティブディレクションまで、広範囲な分野で一流の実績を持っている。電通、ドリル、PARTYを経て、2012年11月、株式会社もりを設立、代表に就任。「OK Go: I Won't Let You Down」「NTT Docomo: 森の木琴」「Honda. Great Journey.」「Pola Dots」「Menicon: Magic」などを手がける。カンヌ国際広告祭 金賞、One Show 金賞、Spikes Asia グランプリ、AdFest グランプリ、ACC グランプリ、TCC 金賞、ADC 金賞、広告電通賞 最優秀賞、グッドデザイン賞 金賞など、国内外で受賞多数。</p></aside></p>

<p>「見る人の感性を信じて、愛と尊敬でつながるためにコミュニーケーションをする。それが広告というものだと思うんですよね」</p>

<p>こう語るのは原野守弘。広告キャンペーンを手がけるだけでなく、製品開発からメディア企画、さらには経営戦略や事業計画の立案にも携わるクリエイティブディレクターだ。</p>

<p>原野が手がけたコンテンツは、日本だけでなく海外で高く評価されるものが多い。NTTドコモ「森の木琴」やOK Go「I Won't Let You Down」といった映像を見たことがある方もいるだろう。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=C_CDLBTJD4M
<figcaption>間伐材を使ったケータイで、NTTドコモは森の保全に貢献していることを伝えて欲しい。そういうオリエンに対して原野は、ケータイの機能を細かく説明するのではなく、森や木を愛してる会社だということを伝えるよう心がけたという。</figcaption></figure></p>

<h2>好きになってもらうアドバタイジング</h2>

<p>それにしても彼が言う「愛と尊敬のための広告」とは、どういうものか？　もう少し話を聞いてみよう。</p>

<p>「ぼくの定義で言うと、広告というのは商品やブランドを好きになってもらうことを目的として行うもの。基本的にはそう言い切ってしまってもいいんじゃないかと。広告のゴールは、ブランドに対する愛と尊敬を獲得すること。でも、その価値を軽視している人は多い気がするんです。日本では広告と販売促進がごちゃまぜになっているケースがよく見受けられますが、ぼくは両者を厳密に区別しています。欧米ではそこの区別がはっきりしていて、広告会社はセールスプロモーションをやりません。販促は販促、PRはPRの会社がやるというふうに分業化されているんです」</p>

<p>原野が言う通り、欧米圏では一般的に広告のコンテンツ（表現）は、それを専門に手がけるクリエイティブ・エージェンシーが企画する。テレビや新聞といったメディアのバイイングは、それとは別のメディア・エージェンシーが行う。</p>

<p>一方、広告産業が独自のガラパゴス進化を遂げた日本では、いわゆる「総合広告代理店」の力がいまなお巨大で、広告に関わるありとあらゆる業務を行っている。実はこの状況は1980年代半ば以降に特に顕著になったもので、日本でもそれ以前はもう少し「ゆるやかな分業体制」も存在したのだが、広告の大型キャンペーン化と業務メニューの多様化が進む中で、スペシャルなスキルを提供する"頑固職人さんの専門店"より、なんでも一気に買えて便利な"おしゃれ百貨店"の影響力が増したという経緯もある。</p>

<p>それにしてもなぜ原野は「売るためのプロモーション」ではなく「好きになってもらうアドバタイジング」を強調するのだろう？　そもそもの話だが「売れる」ことは広告主にとって最優先なのではないだろうか。</p>

<p>「売上を伸ばす販売促進はもちろん大切です。ただ、その施策に偏りすぎたり、KPI至上主義に陥ってしまうのはどうだろう？ と。短期的な売上を狙ったセールスプロモーションを連打することで、商品のライフサイクルが短くなってしまうケースも多いと思うんです。消費者に飽きられ価値が低いプロダクトだと思われてしまうと価格を下げざるを得なくなり、最終的には利益率が落ちていくことにもなりかねない。そう考えると、もっと長期的な視点をもつことも大事だとぼくは思うんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A6238final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>本来、販売促進と広告は根本的に異なる性質をもつ。原野は、はっきりと違いを意識して広告を制作している。</figcaption>
</figure></p>

<p>「アップルやナイキといった企業が代表例ですが、彼らはブランドづくりに極めて長けている。人々に愛され尊敬されるプロダクト、そしてブランドの深いストーリーを感じさせるコミュニケーションを行うことでファンを増やしていきますよね。そうすることで、ことさらに販売促進をしたり、セールをしなくとも商品が売れ続けるだけでなく、ブランドの価値を一層高めていけるわけです。こういったブランディングによる効果は、KPIのように簡単に計測可能なものではありません。ゆえに『そんなことで商品が売れるのか？』といった批判を受けることも多々あるのですが、果たして計測できるものだけでビジネスを行うことが本当に合理的なのか？　そのことで生じるデメリットも考慮した上で進めないと、単なる"盲信"にもなりかねませんよね？　見えないところで大きなビジネスチャンスを失っている可能性さえあります」</p>

<p>この話を聞いていて「なるほど」とうなづけるものがあった。ご存知のように日本はバブル崩壊後「失われた20年」とも言われる長い景気停滞期に突入している。さまざまな経済・金融政策が実施され、一時的に回復したかのように見える局面もあるのだが、根本的には「デフレ化」という名の価値毀損の波から逃れられないでいる。</p>

<p>それはさまざまな複合的要因から生じるものではあるが、企業の宣伝活動という面から見ると、原野が指摘する「セールスプロモーションへの盲信」もひと役買っているのではないだろうか？　そこへの過信は長い時間を経てボディブローのように効いてくるものかもしれない。つまり、商品やサービスにそそられるストーリーや未来への希望がないから、買う気が起きないのだ。人は機能や価格だけでその商品を選ぶわけではない。</p>

<p>かつてはグローバルブランドとしてもてはやされた日本の家電・電機メーカーの凋落ぶり。10年前には想像もしなかったことが、現に起きてしまっている。</p>

<p>一方、グローバルでブランディングに成功した日本企業もある。その代表格が2000年以降のユニクロだ。同社のプロダクトは高い機能性、リーズナブルな価格もさることながら、広告も圧倒的に優れていた。世界進出を本格スタートさせた2000年代半ばには、世界最大の広告クリエイティブ祭「カンヌライオンズ」のグランプリなど、名誉ある広告賞をいくつも受賞するようになっていた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A6166final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>オフィスの一角には、これまで受賞した広告賞のトロフィーが数多く飾られている。</figcaption>
</figure></p>

<p>日本メーカーではないが、サムスンと言えば「安売り」というイメージもあった中、やはり世界戦略を成功させる2010年前後から同広告祭で大量受賞を果たすようになっていた。グーグル、フェイスブックもまた然り。グローバル企業はその伸び盛りのフェーズで、カンヌの賞を獲りまくる傾向があるようだ。</p>

<p>そういえば、10年前に筆者が原野と初めて知り合ったのも、毎年南仏カンヌ市で開催されるこのフェスティバルにおいてであった。原野は毎年のようにカンヌで受賞している日本人クリエイターのひとり。それができる日本人は決して多くはない。</p>

<p>この6月にも、原野がクリエイティブを手がけたEightのプロモーション動画「Business Cards」がカンヌライオンズのフィルム部門でブロンズライオンを受賞している。これは通常１対１で行う名刺交換を3人、4人、5人、さらには20人で一斉に行うとどうなるか？　というチャレンジを映像化したもの。YouTubeでは170万回近く再生される動画となっている（2017年8月現在）。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=gpM_rnQBCr0
<figcaption>2016年6月に公開したEightのプロモーション動画。今年、世界三大広告賞と呼ばれる賞のうち、2つを受賞した。（The One Show：シルバーペンシル／カンヌライオンズ：ブロンズライオン）</figcaption>
</figure></p>

<p>このコンテンツにおける「愛と尊敬」はどこにあるのだろう？　原野に制作のバックストーリーを聞いた。</p>

<p>「いや、ずっと前から思ってたんですよ。大企業に打ち合わせやプレゼンなどで行くとたくさん人がいて、10人くらい並んだり、円になって名刺交換していくんだけど、それって日本独特の儀式みたいなものでなんだか滑稽だなと。だったら儀式化されているものをさらに儀式化して、盆踊りみたいに名刺交換するのはどうだろうと（笑）。Sansanの社長さんのオリエンテーションを聞いてる途中で、おおまかな企画の骨格はできていましたね。Eightの機能を説明する映像を作ろうとするのではなく、誰もが感じている名刺交換そのものの不合理さを表現する映像をつくる。それを見てみんなが共感したところで、新しい解決策としてEightを提示する、という構造です。それをまじめに、徹底的に、ユーモラスに、そして、センスよくやる。じゃないと、Eightを好きになってはもらえませんから」</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=Ezyt7Yd3oAQ
<figcaption>メイキング映像で「振付稼業air:man」が指導している様子を見ることができる。</figcaption>
</figure></p>

<p>「ただ、ぼくの仕事が評価いただけているのは、スタッフの力が大きいです。最初のアイデアはもちろん重要ですけど、最後に形になったときのレベルがもっとも重要。アイデアだけでは届きませんから。例えばEightの動画で言うと、『振付稼業air:man』にダンスの振り付けをお願いしたことが大きい。結局チーム力が大事なんです。自分で言うのもなんですけど、スタッフを見る目はあると思います」</p>

<h2>意味に対する企て、驚きを含む正解</h2>

<p>さらに原野はこう続けた。</p>

<p>「やっぱり広告はインサイトに基づいてないと。つまり『意味に対する企て』が必要なんです。例えばP&amp;GのオリンピックCM『Thank You,Mom』。あのCMは『オリンピックの選手って世界でいちばん大変だよね』といったみんなが前提としている常識に、別の意味を加えている。『とはいえ、選手たちを子供の頃から支え続けているお母さんはもっと大変じゃない？』っていう。見る人はそこにハッとするんです」</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=0ruHOaHrGnQ
<figcaption>2012年のロンドンオリンピックに向けて制作されたP&amp;Gのコマーシャル。オリンピック選手を育てる母親をフィーチャーしている。</figcaption></figure></p>

<p>「別の言い方をすると、広告には『驚きを含む正解』がいるんですね。人は感情が動くとき、笑ったり泣いたりする前にまず驚くんですよ。その驚きをどう生み出すかがクリエイティブの技術なんだと思います。で、その技術を高めるためには、これまで人類が創造してきたものに対する愛と尊敬が必要なんです。それはシェークスピアだったりモーツァルトだったり、歴史上のあらゆるクリエイティブの成果ということなんですけど。例えばぼくが名刺交換を極端に滑稽にしようと思って、どういうやり方がいいだろうか？　と考えたとき、まず頭に浮かんだのは『アルゴリズム体操』の元ネタとも言われるノーマン・マクラレンの『Canon』。あるいは10年前にカンヌでグランプリを獲ったユニクロの『UNIQLOCK』。自分が解決しなきゃいけないテーマの向こうに、そういった過去の名作アーカイブが垣間見えるんです。『Canon』へのリスペクト、『UNIQLOCK』へのリスペクト、そして『UNIQLOCK』の振付も手がけたair:manへのリスペクト。それらが一体となったところに新しい答えがあるわけです」</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=lxNhUswEO7c
https://www.youtube.com/watch?v=f_TY3z4TsSc
<figcaption>「Canon」と「UNIQLOCK」へのリスペクトから、EightのPR動画の構想は生まれたという。</figcaption>
</figure></p>

<p>「ピカソが『すぐれたアーティストは真似をする。偉大なアーティストは盗む』って言ったけど、最初に尊敬の念があるからこそ、それを盗んで"自分のもの"にまで高められるんだと思います。"新しさ"というのはそういうもので、芸術や科学はそうやって発展してきたんでしょうね。それを見た人が驚くのは、自分が目にしたものが、人間の愛と尊敬の連鎖につながる何かだと直感的に気づくからじゃないでしょうか？　元ネタの知識自体はなくとも。そうやってコミュニケーションをしていくのが広告の醍醐味だとぼくは考えています。カンヌに行くとそういった意味でのサプライズにたくさん出会えて、自分をアップデートできるのがいいですね」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A6250final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>リスペクトがあるから、盗んでも自分のものにできる。これは広告に限らない話ではないだろうか。</figcaption>
</figure></p>

<h2>日本の広告業界における"変人"</h2>

<p>原野は日本にはちょっと珍しいタイプのクリエイターかもしれない。「理性と感性」「ビジネスとアート」「日本と海外」といった、ある種対極とも言えるふたつの土俵の上に絶妙なバランス感覚で立つことができる人物である。</p>

<p>まず経営者に対してクリエイティブをビジネスの言葉で説明できる。一方で、自己表現が仕事でもあるクリエイターやスタッフたちに対して、企業のミッションが過度の負担にならないようなもっていき方もできる。クリエイティブディレクターという職種は本来そういう仕事なのだが、実際にはなかなかお目にかかれないのが現実だ。</p>

<p>クリエイターの中にはそのどちらかへの偏りが魅力的な人も多いが、原野は、経営者目線で広告を語っていたかと思うと、現代アーティストのような感想をふと口にしたり、かと思えば研究者的な視点からいきなり広告を分析したりする。聞いているこちらも刺激的である。</p>

<p>想像するにそれが彼の仕事のスタイルであり、キャラクターなのだろう。あらかじめ答えが読めてしまうような販売促進の施策が花盛りの日本の広告業界において、それ以外のアプローチで仕事を成功させている、数少ない"変人"のひとりだ。</p>

<p>しかし、1990年代のアップルのCM「Think Different」で描かれていたように、世の中を変えていくのは、"変人たち"なのである。</p>

<p>https://www.youtube.com/watch?v=cFEarBzelBs</p>

<p>スティーブ・ジョブスも大いに気に入り、自らナレーションを担当するバージョンまで作ったという伝説のCM。そこから言葉を引用しよう。</p>

<blockquote>
  <p>クレイジーな人たちがいる。反逆者、厄介者と呼ばれる人たち。四角い穴に丸い杭を打ち込むような人たち。物事をまるで違う目で見る人たち。彼らは規則を嫌い、彼らは現状を肯定しない。彼らの言葉に心を打たれる人もいる。反対する人も賞賛する人もけなす人もいる。しかし、彼らを無視することはだれもできない。なぜなら、彼らは物事を変えたからだ。彼らは人間を前進させた。彼らはクレイジーだと言われるが、私たちは天才だと思う。自分が世界を変えられると、本気で信じる人たちこそが、本当に世界を変えているのだから──Think different.</p>
</blockquote>

<p>人と違うことを考えよう。過去の名作アーカイブからインスパイアされたり、ピカソが言うようにそれらを換骨奪胎して"盗む"ことはできるかもしれないが、その人のスタイルや人柄はだれにも真似できないし盗めない。だからこそ、仕事というもの、人間というものは面白い。</p>

<p><img src="/uploads/_L2A6236final.jpg" alt="" title="" /></p>
]]>
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>時空を超える会議室：建築家・阿部仁史 × WOW田崎佑樹、企画展「Cloud of Thoughts」のコンセプトを語る - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/08/cloud-of-thoughts.html" />
    <id>tag:bnl.media,2017://125.8844</id>

    <published>2017-08-08T00:40:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:07:52Z</updated>

    <summary>時間と空間に縛られず、多様な意見を共有できる場をどう建築的に作るか。UCLAで建築・都市デザイン学科長を10年間務めた建築家・阿部仁史と、気鋭のヴィジュアルデザインスタジオWOWがタッグを組み、オカムラのショールームで公開された展示の意図をひも解く。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="出会いからアイデアを生み出す" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="テクノロジー" label="テクノロジー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>人と人とが出会い、そこから新たなアイデアが生まれるのに、「場」はどのような影響を与えているのだろうか。お互いの考えに触れ、交換するのに、どのような場が理想であると言えるのか。</p>

<p>主にデジタルテクノロジーの進展によって、そうした理想は日々刻々と変わっているはずである。例えば、あらゆる会社で毎日必ず行われているであろう会議のあり方ひとつとってみても、今日では必ずしもオフラインで会う必要はなくなってきている。</p>

<p>しかし一方では、新たなアイデアが生まれるのには、いまなお物理的に場を共有することが不可欠であるとする向きもあるだろう。</p>

<p>オカムラ・ガーデンコートショールームで開催中の企画展「Cloud of Thoughts」は、新しい「会議の場、議論の場」の創出をテーマとしている。その企画主旨を見ると、以下のような問題提起がなされている。</p>

<blockquote>
  <p>新しい状況、それに関する多様な考えに対して常に開かれ、多様な意見・提案が渦巻いているような場をいかに生み出すか。強引に結論に誘導せず、いろいろなアイデアがクラウドのように集まり、多様な価値観を有する人々が相互に刺激し合うcrowdとして参加するような場をいかに生み出すか。いわば、多様なものを多様なままに実践して創造に結び付けていくような会議・議論の場を、どう建築的につくり出すか。人と人との出会い、新たなアイデアの創出に、「建築」は何をもたらしてくれるのか。</p>
</blockquote>

<p>企画者である建築家の阿部仁史と、ビジュアルデザインを担当したWOWの田崎佑樹に話を聞いた。</p>

<p><img src="/uploads/_L2A8961final.jpg" alt="" title="" />
<aside><strong>阿部仁史</strong><small>建築家</small></p>

<p>仙台とロサンゼルスに拠点を置く建築及び都市デザインスタジオ、AHA主宰。2007年より10年間、UCLA建築・都市デザイン学科の学科長を務めた。在任中は、地域の企業とUCLAの教授が手を組み社会課題に取り組む「SUPRASTUDIO」や、2年に一度、世界中の建築関係者が集まり議論する「International Architecture Education Summit（IAES）」の開催など、先駆的なプロジェクトを主導した。今年からは、建築領域の拡張をリサーチするシンクタンク「X-Lab」を開設し、さらに議論の場を広げていこうと試みている。</p>

<p></aside></p>

<h2>人と人が出会う「会議室」を建築的に再考する</h2>

<p><strong>──今回の展示のテーマは新しい「会議の場、議論の場」の創出だそうですが、このテーマで展示を行うことになった経緯を教えてください。</strong></p>

<p><strong>阿部</strong>　オカムラさんからは今回の展示を依頼されるにあたり、「普段から考えているけれど、通常の業務では扱えないテーマについて挑戦してみてほしい」というリクエストがありました。ぼくら建築家にとって、空間を綺麗に見せるというのは自分の手の内にあることですけれど、今回はそこから少し離れて、なるべく遠くに行ってみようという動機付けが最初にありました。</p>

<p>その中でじゃあ何をするのかと考えた時に、ぼくにはもともと、建築の未来、いや、そもそも建築は未来に役に立つのだろうかということを、一度いろんな人と話してみたいという思いがあって。それで、国内外で活躍している有名な建築家やクリエーターはもちろん、広く一般の人ともそうしたテーマで対話できたらいいなと思ったのです。</p>

<p>考えてみれば、オカムラさんが普段作っているオフィスの会議室というのは、まさに日々、人と人とが出会い、新しいアイデアが生まれる場所です。今回はそうやってひとつの場所に来た人だけじゃなくて、例えば海外にいる建築家のような、時間や場所を共有していない人も含めて、大きな会話ができる場所を作れたら面白いな、と。</p>

<p>もちろん、時間も場所も共有していない人との対話っていうのは、このインターネットの時代においては、メールやらなんやらで、わりとやられていることではあります。今回はそこにあえて「場所」というものをくっつけて、時間や場所を共有していない人も、あたかもその「場所」に一緒にいるように感じながら、プレゼンスを感じながら意見を交換するということがしたかったんです。</p>

<p>それをやるにはおそらく、建築家が扱うような物理空間だけではダメで。情報空間とのハイブリッドにならないといけない。それはぼくには全然できないことなので、むかしから何度かお仕事をご一緒させていただいていたWOWさんに、その部分をお願いしたというわけです。</p>

<p><strong>──具体的にはどんな作品なのでしょうか？</strong></p>

<p><strong>阿部</strong>　まず、建築の未来に関する3つの質問を、交流のある世界中のクリエーターにぶつけ、37人から回答をもらいました。来場者は壁で区切られた三角形の空間の中に入ることで、そうしたいろいろな人の考えに触れることができるようになっています。どのような形で触れることができるのかについては、映像を作った田崎さん、説明してください。</p>

<p><img src="/uploads/_L2A9006final.jpg" alt="" title="" />
<aside><strong>田崎佑樹</strong><small>WOW コンセプター／クリエイティブ・ディレクター</small></p>

<p>建築とアート&サイエンスプロジェクトを中心に、コンセプト構築、クリエイティブ・ディレクションにおいて国内外、メディア領域を問わず活動する。近年は函館市の次世代交流センター「はこだてみらい館」を地域再生も含めて担当。WOW Art Projectとして「UNITY of MOTION」、彫刻家 名和晃平率いるSANDWICHとの「神勝寺 洸庭」なども担当。<a href="http://www.w0w.co.jp/art/" target="_blank" rel="nofollow">http://www.w0w.co.jp/art/</a></p>

<p></aside></p>

<p><strong>田崎</strong>　アイデアといかに出会うかというのがポイントだと思うんですけど、今回は、主に建築家からの回答を人型の言葉の塊として表現しました。ぼくらはこれを「エイリアス」と呼んでいるのですが、このエイリアスはだいたい人と同じ大きさをしていて、歩いたり、座ったり、パソコンをのぞきこんだりと、実際の会議室で人がやりそうな動きをするようプログラミングされています。</p>

<p><strong>阿部</strong>　言葉でできている人間が実際に空間の中を動いているのを見た時には、すごく感動しましたよ。やっぱり社会を感じるんですよね。あの人とあの人が集まって、対話をしているんだなっていう。同じ文字情報だったとしても、本なんかで読むのとは違う体験だなって。</p>

<p><strong>──それは人型だから？</strong></p>

<p><strong>阿部</strong>　おそらく。この展示のタイトルは「Cloud of Thoughts」ですが、最初は仮想空間のcloudと、群衆という意味のcrowdをかけた言葉遊び程度のつもりだったんです。だけど、ああいう風に実際にできてくると、なんだか本当に群衆がいるように感じるんですよね。そして、そうやってプレゼンスが感じられると、やっぱり言葉がちょっと違う入り方をしてくるというか。</p>

<p><strong>田崎</strong>　そうですね。このように人間の形をしたアイデアの塊と出会うと、本当に人間と対面しているような体験として受け止められるというのは、今回やってみて気付いた、ぼくにとっても新しい発見でしたね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9028final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>システムに入力された回答が読める状態で表示されたかと思えば、やがてその文章は人形に変形して画面の中で動き出す。</figcaption>
</figure></p>

<h2>ひとつの空間の中で時間と場所がズレる体験を</h2>

<p><strong>田崎</strong>　ここでエイリアスが表現しているのは、建築の「未来」に関するアイデアなわけですが、同時にスクリーンのバックグラウンドには、「過去」に来場した人の記録映像が流れるようになっています。もちろん、実際に「現在」そこにいる自分というのもいるので、この空間には過去・現在・未来が同居していることになります。</p>

<p>なおかつ、スクリーンの反対側は一面、鏡張りになっているので、実と虚の空間もまた、入り混じっている。だから、過去・現在・未来という時間軸と、実と虚というのが、あの三角形の空間の中にグッと詰まっているというか、融け合っているんですよね。</p>

<p><strong>阿部</strong>　そうそう。理想としては、あの空間の中で時間とか場所がズレちゃっている感じにしたいんだよね。以前にここに来た人だったり、ここに来ていないけど海外にいて回答してくれた人だったり。そういう人たちは本来、違う位相にいるんだけど、その関係がルーズになって、あの中でごちゃごちゃになっているっていう。</p>

<p><strong>──その狙いはどこにあるんですか？</strong></p>

<p><strong>阿部</strong>　実際に自分のいる空間と、鏡の中の空間と、それをカメラで撮って映し出した空間と、さらにエイリアスが動き回る空間とが融け合うことで、時間とか場所っていうものを区切っている壁が曖昧になるじゃないですか。</p>

<p>WOWさんがエイリアスの微妙なパースや角度を調整することで、そこにいない人も現実に近いプレゼンスをつくり出そうとしてくれているのと同時に、建築家であるぼくは環境として、デジタルでできているプレゼンスと、実際にそこにいる人のプレゼンスとの差が、なるべく甘くなるようにしていったんです。そうすることで、両者がすごく近いレベルで感じられるんじゃないかって。</p>

<p><strong>──そうやって、そこにいない人をも、プレゼンスを感じさせるような形で巻き込むことは、いまの時代に即してアップデートされた新しい会議の形だと？</strong></p>

<p><strong>阿部</strong>　まあこれはコンセプトなので、このまま実用性があるかと言えばそうではないでしょうが。でも、新たな考えを生み出すためのコミュニケーションの場という意味では、これもひとつの会議室と言えるんじゃないかな。あの部屋の中にいて、映るものをぼーっとでも見ていたら、やっぱり何か考えが生まれる気はしますから。</p>

<p><strong>田崎</strong>　来場者の方がそこから何かしらのインスピレーションを受けて、自分なりに考えた意見をiPadに書き込んでもらえたら、それがまたデータベースに書き込まれて、新たなエイリアスとして現れるようにもなっています。だからそうやって自分の考えを残していけば、今度は次に来た人が、その加わったぶん、もしかしたらまた違うことを考えるかもしれない。</p>

<p><strong>阿部</strong>　この空間に現れるエイリアスは、初期状態でも37人×3問で、111種類あるんです。なおかつそこに来場者の分も加わっていく。単純に考えても、ひとつのテーマについてこれだけ多くの意見に包括的に触れられること自体、他にはないんじゃないでしょうか。しかも、どのエイリアスがどの順番で現れるかは毎回違うので、人によって違う体験にもなっているんです。</p>

<p>さらに、そこではいろいろな人の考えに触れられるというだけじゃなくて、「わたし」自身が4つに分かれることにもなるんですよね。実際にそこにいる自分と、エイリアスと、それぞれが鏡に映っているものの4つです。そうすると、自分という存在の序列さえも曖昧になってくる。曖昧だからこそ、そこに他の人の意見が現れた時に、そのまま受け入れられるところもあると思うんです。......って言ったらちょっと理屈っぽすぎるかな？</p>

<p>いずれにしても、この体験は、デバイスを使わないといけないVRとも違うし、異なる位相が互いに重なりあっているという意味ではARとも違う。人の考えとの、新しい出会い方の提示にはなっているんじゃないかという気がしています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9017final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>オカムラのショールームで、8月10日（木）まで公開中。詳細は<a href="http://www.okamura.co.jp/company/topics/exhibition/2017/space_r_2017.php">こちら</a>。</figcaption>
</figure></p>

<h2>人をひとつの場所に留める建築を超えて</h2>

<p><strong>──あらためてお聞きしますが、いま建築の未来について語り合う必要があるというのは、例えばテクノロジーの進展によってオフィスに行かずとも仕事ができるようになったとか、そういう社会環境の変化を受けて、このままではダメだという危機意識があるということですか？</strong></p>

<p><strong>阿部</strong>　そうです。建築っていうのは元々は場所のことであって、しかも、社会の規範なり成り立ちなりをコントロールするような役割を担っていました。例えば古代ギリシャにはアゴラというものがあって、それがあることで、人々が議論するようになった。あるいは、「この場所に行くとなんだか息苦しい」と感じるのは、そこを訪れる多様な人たちに対して、空間の方が一様に「ここではこうしなさい」と振る舞いを規定する装置として働いているからでしょう。</p>

<p>でも、そこにさまざまな他のテクノロジーが入って来たことにより、例えば必ずしも会社に来なくても仕事ができるようになった。この時点で、会社というものを体現する体としての建築は意味をなさなくなるわけで、建築の重要性がひとつ減ったわけですよね。</p>

<p>いまでは建築に代わって、そうしたテクノロジーが社会を規定することが、どんどん増えてきているように思います。例えば校舎というものは、これまでであれば「学校らしく」ありさえすればよかったけれど、Airbnbのようなサービスが出てきて、同じ建物だけどそれこそ3時間ごとに使い方が変わるということになると、そうした「らしさ」にも可動性が求められることになりますよね。</p>

<p>そういうことを果たして建築は担保できるのか。「この場である」ことを外された時、建築はどうやって「らしさ」を提供できるのかというのは、大きな課題であるように思うんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9014final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Q1. 建築はあなたの未来にとって重要ですか？／Q2. 今日の"建築"をあなたはどう説明しますか？／Q3. テクノロジーは建築を変えるとあなたは思いますか？　来場者は展示の内部で他者の回答をみながら、自分の回答を入力していく。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──それを3つの質問という形で問いかけたのが、今回の展示というわけですね。</strong></p>

<p><strong>阿部</strong>　はい。実際に回答してくれた方の中にも、建築はもう何千年も前から固定した環境を扱うということをやってきたのだから、その領域を保持して、他とコラボすることはあっても建築そのものを再定義することはなく、これまでやってきたことを突き詰めれば良いという人もいる。一方ではそうではなく、いろいろな可能性があるのではないかと考える人たちもいます。</p>

<p><strong>──おふたりは後者の立場ということですよね。</strong></p>

<p><strong>阿部</strong>　そうですね。これからの建築は、物理的空間だけをやっているのではダメで、建築の職能を再定義しなければ立ち行かなくなっていると思うんです。だから学生にも普段から、「みんなは建築の図面を引くだけの職人になるのではなくて、建築という空間を扱う知の枠組みを扱わなければならない」と言っています。</p>

<p>これまでの建築が人をひとつの場所に留めておこうとするものだったとすると、人がいろいろと動くようになって、それとは逆の方向の力が働いている。その中でもそういう人たちが場所を共有することができないか、というのが今回の試みでもあります。ある程度は成功していると思いつつ、まだ先があるような気もしているんですが。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9029final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>展示の内部では巨大スクリーンが来場者を待ち受ける。事前に集められた37名の回答に、これまでの来場者の回答も加わり、その場の記録映像とともに投影されている。</figcaption>
</figure></p>

<h2>場の固有性を外すことで新たな固有性が生まれる</h2>

<p><strong>──デジタルな力でつながるメリットがある一方で、物理的な場所があるからこそ生まれる固有性も、やはり大事だとお考えなのでしょうか。</strong></p>

<p><strong>阿部</strong>　もちろんそれもあると思いますよ。むかしから建築がやってきたように、その場所で取れた材料を使ってやることにこだわっている人はいます。実際に今回のアンケートで、未来においてもそれは変わらないと答えている人もいます。</p>

<p><strong>──これは場、あるいは建築に限った話ではないと思うのですが、多くの人が場所や空間を超えてつながっていったときに、どんどん均質化していって、そこの場所や人の固有性が失われてしまう、ということはないですか？</strong></p>

<p><strong>阿部</strong>　全てがつながることにより、それまで固有性と言っていた概念は確かに失われることがあるかもしれません。でも一方では、新しい固有性が生まれるのではないかとも思っているんですよ。</p>

<p>どこにでも行けるようになり、どこでもフラットに情報が手に入ることによって、場所が均質になってしまったという考え方は確かにあるし、それはそうなんだけれども。そのことによって逆にその場に行くことで得られる体験の重要さは増していることもあるでしょう。あるいは、つながっていくことによって生まれる何か、いままでとは違うレベルでの固有な何かというのもある気がしていて。結果、体験としてはさらに多様になっていく。これはわたし自身がそう思いたいことでもあるかもしれないけれど。</p>

<p>ここでやっていることも、場の固有性を外すような試みなんです。ここに物理的にいるあなたと、ここにいない人を等価に扱い、その区分を曖昧にするようなことをしているわけだから。だけどそのことによって、それまで出会えなかった人の考えとも出会い、それまでとはちょっと違う意味での固有性をつくろうとしているんだと思うんです。</p>

<p><strong>田崎</strong>　ぼくはいまサンフランシスコでも活動し始めているのですが、この前、「ポケモンGO」を作ったナイアンティックに遊びにいってきたんです。その時に聞いたのは、ポケモンGOの前にリリースしていた「Ingress」でプレイヤーがみんな外へ出たっていうのが、ものすごく新鮮な体験だったそうなんです。それで「外で体を動かすのっていいよね！」とみんな言うようになったそうです。揺り戻しって必ずあるんですよね。</p>

<p>建築にしても同じで、テックとかデジタルとかってものに危機感を覚えているけれど、そこにも揺り戻しはあって、以前のように揺らがない固有のものを作るという方もやっぱりいらっしゃるでしょうし。まあそういういろいろな人の考えというのが、まさにこの展覧会にはあるわけで。だからまずは体感してみてほしいなって思いますね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9022final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>取材を終えたのは公開1時間前。このあと来場者が訪れる予定の時刻ギリギリまで、WOWのスタッフがシステムの最終調整を行っていた。</figcaption>
</figure></p>
]]>
        <![CDATA[<p>人と人とが出会い、そこから新たなアイデアが生まれるのに、「場」はどのような影響を与えているのだろうか。お互いの考えに触れ、交換するのに、どのような場が理想であると言えるのか。</p>

<p>主にデジタルテクノロジーの進展によって、そうした理想は日々刻々と変わっているはずである。例えば、あらゆる会社で毎日必ず行われているであろう会議のあり方ひとつとってみても、今日では必ずしもオフラインで会う必要はなくなってきている。</p>

<p>しかし一方では、新たなアイデアが生まれるのには、いまなお物理的に場を共有することが不可欠であるとする向きもあるだろう。</p>

<p>オカムラ・ガーデンコートショールームで開催中の企画展「Cloud of Thoughts」は、新しい「会議の場、議論の場」の創出をテーマとしている。その企画主旨を見ると、以下のような問題提起がなされている。</p>

<blockquote>
  <p>新しい状況、それに関する多様な考えに対して常に開かれ、多様な意見・提案が渦巻いているような場をいかに生み出すか。強引に結論に誘導せず、いろいろなアイデアがクラウドのように集まり、多様な価値観を有する人々が相互に刺激し合うcrowdとして参加するような場をいかに生み出すか。いわば、多様なものを多様なままに実践して創造に結び付けていくような会議・議論の場を、どう建築的につくり出すか。人と人との出会い、新たなアイデアの創出に、「建築」は何をもたらしてくれるのか。</p>
</blockquote>

<p>企画者である建築家の阿部仁史と、ビジュアルデザインを担当したWOWの田崎佑樹に話を聞いた。</p>

<p><img src="/uploads/_L2A8961final.jpg" alt="" title="" />
<aside><strong>阿部仁史</strong><small>建築家</small></p>

<p>仙台とロサンゼルスに拠点を置く建築及び都市デザインスタジオ、AHA主宰。2007年より10年間、UCLA建築・都市デザイン学科の学科長を務めた。在任中は、地域の企業とUCLAの教授が手を組み社会課題に取り組む「SUPRASTUDIO」や、2年に一度、世界中の建築関係者が集まり議論する「International Architecture Education Summit（IAES）」の開催など、先駆的なプロジェクトを主導した。今年からは、建築領域の拡張をリサーチするシンクタンク「X-Lab」を開設し、さらに議論の場を広げていこうと試みている。</p>

<p></aside></p>

<h2>人と人が出会 う「会議室」を建築的に再考する</h2>

<p><strong>──今回の展示のテーマは新しい「会議の場、議論の場」の創出だそうですが、このテーマで展示を行うことになった経緯を教えてください。</strong></p>

<p><strong>阿部</strong>　オカムラさんからは今回の展示を依頼されるにあたり、「普段から考えているけれど、通常の業務では扱えないテーマについて挑戦してみてほしい」というリクエストがありました。ぼくら建築家にとって、空間を綺麗に見せるというのは自分の手の内にあることですけれど、今回はそこから少し離れて、なるべく遠くに行ってみようという動機付けが最初にありました。</p>

<p>その中でじゃあ何をするのかと考えた時に、ぼくにはもともと、建築の未来、いや、そもそも建築は未来に役に立つのだろうかということを、一度いろんな人と話してみたいという思いがあって。それで、国内外で活躍している有名な建築家やクリエーターはもちろん、広く一般の人ともそうしたテーマで対話できたらいいなと思ったのです。</p>

<p>考えてみれば、オカムラさんが普段作っているオフィスの会議室というのは、まさに日々、人と人とが出会い、新しいアイデアが生まれる場所です。今回はそうやってひとつの場所に来た人だけじゃなくて、例えば海外にいる建築家のような、時間や場所を共有していない人も含めて、大きな会話ができる場所を作れたら面白いな、と。</p>

<p>もちろん、時間も場所も共有していない人との対話っていうのは、このインターネットの時代においては、メールやらなんやらで、わりとやられていることではあります。今回はそこにあえて「場所」というものをくっつけて、時間や場所を共有していない人も、あたかもその「場所」に一緒にいるように感じながら、プレゼンスを感じながら意見を交換するということがしたかったんです。</p>

<p>それをやるにはおそらく、建築家が扱うような物理空間だけではダメで。情報空間とのハイブリッドにならないといけない。それはぼくには全然できないことなので、むかしから何度かお仕事をご一緒させていただいていたWOWさんに、その部分をお願いしたというわけです。</p>

<p><strong>──具体的にはどんな作品なのでしょうか？</strong></p>

<p><strong>阿部</strong>　まず、建築の未来に関する3つの質問を、交流のある世界中のクリエーターにぶつけ、37人から回答をもらいました。来場者は壁で区切られた三角形の空間の中に入ることで、そうしたいろいろな人の考えに触れることができるようになっています。どのような形で触れることができるのかについては、映像を作った田崎さん、説明してください。</p>

<p><img src="/uploads/_L2A9006final.jpg" alt="" title="" />
<aside><strong>田崎佑樹</strong><small>WOW コンセプター／クリエイティブ・ディレクター</small></p>

<p>建築とアート&サイエンスプロジェクトを中心に、コンセプト構築、クリエイティブ・ディレクションにおいて国内外、メディア領域を問わず活動する。近年は函館市の次世代交流センター「はこだてみらい館」を地域再生も含めて担当。WOW Art Projectとして「UNITY of MOTION」、彫刻家 名和晃平率いるSANDWICHとの「神勝寺 洸庭」なども担当。</p>

<p></aside></p>

<p><strong>田崎</strong>　アイデアといかに出会うかというのがポイントだと思うんですけど、今回は、主に建築家からの回答を人型の言葉の塊として表現しました。ぼくらはこれを「エイリアス」と呼んでいるのですが、このエイリアスはだいたい人と同じ大きさをしていて、歩いたり、座ったり、パソコンをのぞきこんだりと、実際の会議室で人がやりそうな動きをするようプログラミングされています。</p>

<p><strong>阿部</strong>　言葉でできている人間が実際に空間の中を動いているのを見た時には、すごく感動しましたよ。やっぱり社会を感じるんですよね。あの人とあの人が集まって、対話をしているんだなっていう。同じ文字情報だったとしても、本なんかで読むのとは違う体験だなって。</p>

<p><strong>──それは人型だから？</strong></p>

<p><strong>阿部</strong>　おそらく。この展示のタイトルは「Cloud of Thoughts」ですが、最初は仮想空間のcloudと、群衆という意味のcrowdをかけた言葉遊び程度のつもりだったんです。だけど、ああいう風に実際にできてくると、なんだか本当に群衆がいるように感じるんですよね。そして、そうやってプレゼンスが感じられると、やっぱり言葉がちょっと違う入り方をしてくるというか。</p>

<p><strong>田崎</strong>　そうですね。このように人間の形をしたアイデアの塊と出会うと、本当に人間と対面しているような体験として受け止められるというのは、今回やってみて気付いた、ぼくにとっても新しい発見でしたね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9028final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>システムに入力された回答が読める状態で表示されたかと思えば、やがてその文章は人形に変形して画面の中で動き出す。</figcaption>
</figure></p>

<h2>ひとつの空間の中で時間と場所がズレる体験を</h2>

<p><strong>田崎</strong>　ここでエイリアスが表現しているのは、建築の「未来」に関するアイデアなわけですが、同時にスクリーンのバックグラウンドには、「過去」に来場した人の記録映像が流れるようになっています。もちろん、実際に「現在」そこにいる自分というのもいるので、この空間には過去・現在・未来が同居していることになります。</p>

<p>なおかつ、スクリーンの反対側は一面、鏡張りになっているので、実と虚の空間もまた、入り混じっている。だから、過去・現在・未来という時間軸と、実と虚というのが、あの三角形の空間の中にグッと詰まっているというか、融け合っているんですよね。</p>

<p><strong>阿部</strong>　そうそう。理想としては、あの空間の中で時間とか場所がズレちゃっている感じにしたいんだよね。以前にここに来た人だったり、ここに来ていないけど海外にいて回答してくれた人だったり。そういう人たちは本来、違う位相にいるんだけど、その関係がルーズになって、あの中でごちゃごちゃになっているっていう。</p>

<p><strong>──その狙いはどこにあるんですか？</strong></p>

<p><strong>阿部</strong>　実際に自分のいる空間と、鏡の中の空間と、それをカメラで撮って映し出した空間と、さらにエイリアスが動き回る空間とが融け合うことで、時間とか場所っていうものを区切っている壁が曖昧になるじゃないですか。</p>

<p>WOWさんがエイリアスの微妙なパースや角度を調整することで、そこにいない人も現実に近いプレゼンスをつくり出そうとしてくれているのと同時に、建築家であるぼくは環境として、デジタルでできているプレゼンスと、実際にそこにいる人のプレゼンスとの差が、なるべく甘くなるようにしていったんです。そうすることで、両者がすごく近いレベルで感じられるんじゃないかって。</p>

<p><strong>──そうやって、そこにいない人をも、プレゼンスを感じさせるような形で巻き込むことは、いまの時代に即してアップデートされた新しい会議の形だと？</strong></p>

<p><strong>阿部</strong>　まあこれはコンセプトなので、このまま実用性があるかと言えばそうではないでしょうが。でも、新たな考えを生み出すためのコミュニケーションの場という意味では、これもひとつの会議室と言えるんじゃないかな。あの部屋の中にいて、映るものをぼーっとでも見ていたら、やっぱり何か考えが生まれる気はしますから。</p>

<p><strong>田崎</strong>　来場者の方がそこから何かしらのインスピレーションを受けて、自分なりに考えた意見をiPadに書き込んでもらえたら、それがまたデータベースに書き込まれて、新たなエイリアスとして現れるようにもなっています。だからそうやって自分の考えを残していけば、今度は次に来た人が、その加わったぶん、もしかしたらまた違うことを考えるかもしれない。</p>

<p><strong>阿部</strong>　この空間に現れるエイリアスは、初期状態でも37人×3問で、111種類あるんです。なおかつそこに来場者の分も加わっていく。単純に考えても、ひとつのテーマについてこれだけ多くの意見に包括的に触れられること自体、他にはないんじゃないでしょうか。しかも、どのエイリアスがどの順番で現れるかは毎回違うので、人によって違う体験にもなっているんです。</p>

<p>さらに、そこではいろいろな人の考えに触れられるというだけじゃなくて、「わたし」自身が4つに分かれることにもなるんですよね。実際にそこにいる自分と、エイリアスと、それぞれが鏡に映っているものの4つです。そうすると、自分という存在の序列さえも曖昧になってくる。曖昧だからこそ、そこに他の人の意見が現れた時に、そのまま受け入れられるところもあると思うんです。......って言ったらちょっと理屈っぽすぎるかな？</p>

<p>いずれにしても、この体験は、デバイスを使わないといけないVRとも違うし、異なる位相が互いに重なりあっているという意味ではARとも違う。人の考えとの、新しい出会い方の提示にはなっているんじゃないかという気がしています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9017final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>オカムラのショールームで、8月10日（木）まで公開中。</figcaption>
</figure></p>

<h2>人をひとつの場所に留める建築を超えて</h2>

<p><strong>──あらためてお聞きしますが、いま建築の未来について語り合う必要があるというのは、例えばテクノロジーの進展によってオフィスに行かずとも仕事ができるようになったとか、そういう社会環境の変化を受けて、このままではダメだという危機意識があるということですか？</strong></p>

<p><strong>阿部</strong>　そうです。建築っていうのは元々は場所のことであって、しかも、社会の規範なり成り立ちなりをコントロールするような役割を担っていました。例えば古代ギリシャにはアゴラというものがあって、それがあることで、人々が議論するようになった。あるいは、「この場所に行くとなんだか息苦しい」と感じるのは、そこを訪れる多様な人たちに対して、空間の方が一様に「ここではこうしなさい」と振る舞いを規定する装置として働いているからでしょう。</p>

<p>でも、そこにさまざまな他のテクノロジーが入って来たことにより、例えば必ずしも会社に来なくても仕事ができるようになった。この時点で、会社というものを体現する体としての建築は意味をなさなくなるわけで、建築の重要性がひとつ減ったわけですよね。</p>

<p>いまでは建築に代わって、そうしたテクノロジーが社会を規定することが、どんどん増えてきているように思います。例えば校舎というものは、これまでであれば「学校らしく」ありさえすればよかったけれど、Airbnbのようなサービスが出てきて、同じ建物だけどそれこそ3時間ごとに使い方が変わるということになると、そうした「らしさ」にも可動性が求められることになりますよね。</p>

<p>そういうことを果たして建築は担保できるのか。「この場である」ことを外された時、建築はどうやって「らしさ」を提供できるのかというのは、大きな課題であるように思うんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9014final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Q1. 建築はあなたの未来にとって重要ですか？／Q2. 今日の"建築"をあなたはどう説明しますか？／Q3. テクノロジーは建築を変えるとあなたは思いますか？　来場者は展示の内部で他者の回答をみながら、自分の回答を入力していく。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──それを3つの質問という形で問いかけたのが、今回の展示というわけですね。</strong></p>

<p><strong>阿部</strong>　はい。実際に回答してくれた方の中にも、建築はもう何千年も前から固定した環境を扱うということをやってきたのだから、その領域を保持して、他とコラボすることはあっても建築そのものを再定義することはなく、これまでやってきたことを突き詰めれば良いという人もいる。一方ではそうではなく、いろいろな可能性があるのではないかと考える人たちもいます。</p>

<p><strong>──おふたりは後者の立場ということですよね。</strong></p>

<p><strong>阿部</strong>　そうですね。これからの建築は、物理的空間だけをやっているのではダメで、建築の職能を再定義しなければ立ち行かなくなっていると思うんです。だから学生にも普段から、「みんなは建築の図面を引くだけの職人になるのではなくて、建築という空間を扱う知の枠組みを扱わなければならない」と言っています。</p>

<p>これまでの建築が人をひとつの場所に留めておこうとするものだったとすると、人がいろいろと動くようになって、それとは逆の方向の力が働いている。その中でもそういう人たちが場所を共有することができないか、というのが今回の試みでもあります。ある程度は成功していると思いつつ、まだ先があるような気もしているんですが。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9029final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>展示の内部では巨大スクリーンが来場者を待ち受ける。事前に集められた37名の回答に、これまでの来場者の回答も加わり、その場の記録映像とともに投影されている。</figcaption>
</figure></p>

<h2>場の固有性を外すことで新たな固有性が生まれる</h2>

<p><strong>──デジタルな力でつながるメリットがある一方で、物理的な場所があるからこそ生まれる固有性も、やはり大事だとお考えなのでしょうか。</strong></p>

<p><strong>阿部</strong>　もちろんそれもあると思いますよ。むかしから建築がやってきたように、その場所で取れた材料を使ってやることにこだわっている人はいます。実際に今回のアンケートで、未来においてもそれは変わらないと答えている人もいます。</p>

<p><strong>──これは場、あるいは建築に限った話ではないと思うのですが、多くの人が場所や空間を超えてつながっていったときに、どんどん均質化していって、そこの場所や人の固有性が失われてしまう、ということはないですか？</strong></p>

<p><strong>阿部</strong>　全てがつながることにより、それまで固有性と言っていた概念は確かに失われることがあるかもしれません。でも一方では、新しい固有性が生まれるのではないかとも思っているんですよ。</p>

<p>どこにでも行けるようになり、どこでもフラットに情報が手に入ることによって、場所が均質になってしまったという考え方は確かにあるし、それはそうなんだけれども。そのことによって逆にその場に行くことで得られる体験の重要さは増していることもあるでしょう。あるいは、つながっていくことによって生まれる何か、いままでとは違うレベルでの固有な何かというのもある気がしていて。結果、体験としてはさらに多様になっていく。これはわたし自身がそう思いたいことでもあるかもしれないけれど。</p>

<p>ここでやっていることも、場の固有性を外すような試みなんです。ここに物理的にいるあなたと、ここにいない人を等価に扱い、その区分を曖昧にするようなことをしているわけだから。だけどそのことによって、それまで出会えなかった人の考えとも出会い、それまでとはちょっと違う意味での固有性をつくろうとしているんだと思うんです。</p>

<p><strong>田崎</strong>　ぼくはいまサンフランシスコでも活動し始めているのですが、この前、「ポケモンGO」を作ったナイアンティックに遊びにいってきたんです。その時に聞いたのは、ポケモンGOの前にリリースしていた「Ingress」でプレイヤーがみんな外へ出たっていうのが、ものすごく新鮮な体験だったそうなんです。それで「外で体を動かすのっていいよね！」とみんな言うようになったそうです。揺り戻しって必ずあるんですよね。</p>

<p>建築にしても同じで、テックとかデジタルとかってものに危機感を覚えているけれど、そこにも揺り戻しはあって、以前のように揺らがない固有のものを作るという方もやっぱりいらっしゃるでしょうし。まあそういういろいろな人の考えというのが、まさにこの展覧会にはあるわけで。だからまずは体感してみてほしいなって思いますね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9022final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>取材を終えたのは公開1時間前。このあと来場者が訪れる予定の時刻ギリギリまで、WOWのスタッフがシステムの最終調整を行っていた。</figcaption>
</figure></p>
]]>
    </content>
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<entry>
    <title>自動車メーカーのライバルはファストフード店に!?　間近に迫るIoTの大波をアクセンチュア・丹羽雅彦が解説 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/08/accenture-vol2.html" />
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    <published>2017-08-03T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-03-23T03:01:24Z</updated>

    <summary>もはや「Internet of Things」は実体のないバズワードではない。あらゆるものがネットワークにつながると、価値そのもののやりとりとマネタイズとが従来のスキームからズレて、さまざまなプレーヤーが参入できるようになる。モバイルサービス部門を統括する丹羽雅彦が、来るIoTの衝撃を語る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="sponsored" label="Sponsored" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>丹羽雅彦</strong><small>アクセンチュア株式会社 デジタルコンサルティング本部 </small>
<p>アクセンチュアのモバイルサービス部門の統括責任者。小売業、金融業、通信業、製造業、エンターテイメント業など幅広い業種に対して、スマホ、タブレット、ウェアラブルなどモバイルデバイスを活用した新規サービスや業務改革の企画・システム構築に従事。</p></aside></p>

<p>かつてはITの専門用語だった「IoT」という言葉は、いまでは一般にも通じるものとして市民権を得た印象だ。けれども、世界中で500億のデバイスがつながるとされるIoT時代の到来が、一人ひとりの仕事にどのような影響を与えるのかということについては、まだ具体的にイメージできていない人も多いのではないか。</p>

<p>アクセンチュアデジタルでモビリティ部門を統括する丹羽雅彦は、顧客企業の最前線に立ち、来るべきIoT時代におけるビジネスのあり方について、いち早く模索を続けてきた。</p>

<p>1990年代には、インターネットをどうにかしてビジネスに活かせないかというレベルで議論が繰り広げられた時代が確かにあったが、いまやインターネットを使わずしてビジネスをすることの方が難しい。それと同様のことがIoTに関しても起こるだろうと丹羽は予言する。つまりIoTは、それくらいビジネスにとって当たり前の大前提になっていくということだ。</p>

<p>では、実際にその時が訪れたとして、わたしたちがいま携わっているビジネスはどのように姿を変えているのだろうか。また、その時に向けてわたしたちはいま、何に取り組まなければならないのか。</p>

<p>「モノ売りからコト売りへの移行」「マスカスタマイゼーション」といったキーワードで語られる製造業の再定義はもちろん、それ以外のあらゆる業種をも巻き込んだ、IoTによる産業の再編とでもいうべき事態が、いままさに始まろうとしている。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2017/04/accenture-vol1.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_L2A4896final1094.jpg');" class="img"></div>
<div class="info"><strong>第1回：四重苦の金融はいま、どの業界よりもデジタルが進んでいる──アクセンチュア執行役員・中野将志</strong>
<p>Sponsored by Accenture</p>
</div></a>
</div>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2017/12/accenture-vol3.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_L2A37812_2.jpg');" class="img"></div>
<div class="info"><strong>第3回：自動車メーカーのライバルはファストフード店に!?　間近に迫るIoTの大波をアクセンチュア・丹羽雅彦が解説</strong>
<p>Sponsored by Accenture</p>
</div></a>
</div>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4502final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption></figcaption>
</figure></p>

<h2>「モノ売りからコト売り」は、実はIoTの話</h2>

<p><strong>──本格的なIoT時代の到来は、製造業にどのような影響をもたらしますか？</strong></p>

<p>あらゆるものがネットワークにつながる未来が訪れた時に、もたらされる影響にはおそらく、ふたつの方向性があるかと思います。</p>

<p>ひとつは、IoTというものを使って、いかに新しいビジネスをつくり、顧客への提供価値を高めるかという方向性です。IoT時代にはあらゆるものがネットワークにつながっていますから、メーカーと顧客との接点もより緊密になってきます。お客さまがどういうことを考えて、どういう動きをするのかというのが、いまよりも見えるようになります。天気だとか市況だとか世の中の動きというものも、すべてデータとして可視化されます。顧客体験を向上するために、そういったものを使っていかに能動的なアクションを起こすか、というのがひとつめの方向性です。結果として企業の売上向上につながります。</p>

<p>もうひとつは、企業内でいかに生産効率を高め、コストを下げられるか、という方向性。こちらにもIoTは活用できると思います。</p>

<p><strong>──ひとつめの「新しいビジネス」について、もう少し具体的に教えてください。</strong></p>

<p>メーカーの人が「モノ売りからコト売りに移行したい」「これからはサービスビジネスをしたい」と言っているのを聞いたことがありませんか？　あれこそがまさにIoTの目指すところです。</p>

<p>基本的に、商品ビジネスよりもサービスビジネスの方が安定的に収益を上げることができますから、サービスビジネスに移行したいという声は以前からありました。しかし、メーカーにとってそれはとても難しいことだったのです。なぜ難しかったのかといえば、以前は商品を売った瞬間にお客さまとの接点が切れてしまっていたから。確かに「お客さまカード」のようなものはあったけれど、実際にあれを出してくれるお客さまはほとんどいませんからね。</p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>いかに売るかの勝負ではなく、売ってからいかに継続的にサービスを提供できるかの勝負になる</p>
</div>

<p>ところがモノがネットワークにつながったIoTの世界になると、お客さまとずっとつながり続けることができるようになります。これまでのようにいかに売るかの勝負ではなく、むしろ売ってからいかに継続的にサービスを提供できるかの勝負になるのです。</p>

<p>なおかつIoTには、成果を測りやすいという点でもサービスビジネスに向いているところがあります。というのも、サービスビジネスというのは商品ビジネスとは違って、車や時計といったモノ自体に価値があるのではなく、それによってどんな成果が上がったかということに対価が支払われます。</p>

<p>ところが、この「成果を測る」というのがこれまでは非常に難しかったのです。例えば、あるプロジェクトで5億円の成果がでたといっても、それがその取り組みによる真水の効果なのか、それとも他に結構な費用をかけた施策の影響が大きいのかがわかりにくかった。</p>

<p>IoTの世界であれば、お客さまがその商品を何回使ったのかとか、それを使ってどんな新しいことを起こしたのかといったことがすべてリアルタイムでわかりますから、お客さまが何に価値を感じているのかという成果を測ることが容易になるのです。</p>

<p>いかにモノを売るかということだけ考えていた人たちが今後、よりサービス志向の考え方をしていく必要が出てくるというのは間違いないでしょうね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4515final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption></figcaption>
</figure></p>

<h2>マスカスタマイゼーションで、なおモノは売れる</h2>

<p><strong>──そこから逃れられるビジネスはもはやない、と言えそうですか？</strong></p>

<p>いえ、そんなことはありません。嗜好品などの高い付加価値のあるモノについては、「製品を磨く」という世界が相変わらず残っていくと思います。わたしの場合であれば自然食が好きなので、そういうものに対しては相変わらずお金を使う、というように。</p>

<p>何が付加価値の高いモノなのかというのは受け取る人によってもちろん違うでしょう。ただ、実はここでも、IoTには使えるところがあるのです。</p>

<p><strong>──と言いますと？</strong></p>

<p>巷ではよく「モノが売れなくなってきた」と言われますが、そのことについて最近、わかってきたことがあります。</p>

<p>わたしはいま50歳なんですが、わたしたちの世代はモノを買うんですよ。そういう価値観で育ってきたから。でも17歳になるうちの娘の世代は買わないし、その中間にいる20代、30代もやっぱりモノは買わない。だから「サービス化していこう」という話になるのですが、彼ら彼女らがモノを買わないのは、単純にモノが気に入らないからではないか、と。</p>

<p>例えば最近、若い人の間でサバイバルゲームというのが流行っているらしいですが、あれをやっている人たちに聞くと、確かに「モノは買いません。まったく消費しません」と答える。でもその一方で、サバイバルゲーム用にはえらく高いモノを平気で買っている。それを使うとゲームに強くなるというような、カスタムメイドの商品を買っていたりするんですね。つまり、その人の嗜好にピタッと合った商品だったら、相変わらずちゃんと売れているんです。わたしたちの世代のように大量生産されたもので喜ぶ世代じゃないというだけなんです。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>工業製品なのに、いかにカスタマイズできるか。キーワードはマスカスタマイゼーション。</p>
</div>

<p>これだけ価値観、嗜好が多様化してくると、モノを売るためには、その人のニーズにピタッと合ったモノが求められるのです。でも、1品1品を職人のように作っていてはビジネスにはなりません。工業製品ですが、いかに職人によるカスタマイズみたいなことができるかがポイントになります。そこで「マスカスタマイゼーション」がキーワードになってきます。</p>

<p>先ほど言ったように、IoTによってお客さまと常につながっていることで、そのニーズをいち早く知ることができます。一方で、それを受けて生産する工場側にもセンサーが張り巡らされていることで、生産ラインや在庫状況を目に見えて把握できます。そういう状態にあることで、お客さまからのニーズ情報がリアルタイムに工場に伝わって、その場で製造スケジュールを組み替えるなどして即座に対応するという、フレキシブルかつ一連の動きが可能になるわけです。</p>

<p>工場のIoTというと、冒頭に2つに分類したうちのコストダウンの文脈で、保守のタイミングを最適化するといった、いわゆる予知保全のような話がよくなされます。しかしそれだけではなくて、このようにマスカスタマイゼーションに対応することによって売り上げを伸ばすという生かし方も、一方にはあるように思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4868final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption></figcaption>
</figure></p>

<h2>「移動産業」や「健康促進産業」が生まれる</h2>

<p>IoT時代の面白いのは、あらゆるものがネットワークにつながると、価値そのもののやりとりとマネタイズとがズレるケースが増えるということです。</p>

<p><strong>──どういうことでしょうか？</strong></p>

<p>わかりやすいのが自動車の例です。自動車をネットワーク対応にして、自動運転でドライバーが安全に運転できるようになったとしましょう。この場合、自動車メーカーとしてはドライバーに対して価値を提供しているのですが、マネタイズは保険会社からするということがありえますね。IoT時代にはこのようにして、収益化は第三者からするというケースが増えてくると思います。言い方を変えるなら、エコシステム化により、さまざまなプレーヤーが新たに参入する余地が生まれるということです。</p>

<p>いまの自動車の例で言えば、本当に自動運転技術によって安全に運転できるようになったとすると、もはや自動車を所有するという概念がなくなって、必要な時にだけタクシーのように呼び出せるものになるかもしれません。そうなれば、車自体はタダで乗れる代わりに、移動中に出る食事やコーヒーにお金を払う、というビジネスになる可能性もある。そこまで行けば、ライバルは既存の自動車メーカーというよりファストフード店の方が近いと言えるかもしれない。</p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>サービスの提供側から受け手側へ、主語が変わっていく</p>
</div>

<p>このような変化が十分に進めば、従来の自動車産業とか小売とか医療とかいう分け方ではくくれなくなって、「移動産業」とか「健康促進産業」とか、そういう新しい概念で再編成されることになります。こうして言葉を並べてみるとわかるように、これまではサービスの提供者の側が主語だったのが、次第にサービスの受け手側が主語になっていくというのが時代の流れのように感じます。</p>

<p><strong>──すでにそうした事例が出始めていますか？</strong></p>

<p>福岡銀行さんとの取り組みは、その一例です。</p>

<p>金融は英語でFinanceと言いますが、頭についているFinは「最後」という意味です。いろいろなエクスペリエンスをした後、最後に行うのが決済だからFinanceというんです。わたしたちが福岡銀行さんと取り組んだのは、そのように最後で待つだけではなくて、もっと前線に打って出てお客さまに主体的にエクスペリエンスを提供していこうということです。</p>

<p>具体的には、福岡銀行さんの口座を持っている方に対してモバイルアプリでサービスを提供しているのですが、そこには旅行だとか教育だとか、いろいろな産業の方がパートナーとして入り、エコシステムを作っています。貯金をするのにもただなんとなく100万円貯金するのではなく、結婚資金にいくら、旅行にいくらと、目的をもって貯金してもらう。そのうえでちょうどいいタイミングで旅行の提案をするなど、お客さまが豊かな生活楽しむために福岡銀行ができることを考え、日々の生活にまで踏み込んでサービス提供しています。</p>

<p>毎日の生活の中に銀行が入り込むという意味で、わたしたちは「エブリデイ・バンク」と呼んでいるのですが、これはもう決済産業ではなくて、日常・非日常の生活体験をサポートする産業ですよね。これはモバイルアプリを使った例ですが、IoTに関しても同じことが言えるということです。</p>

<p><strong>──そういう時代に、アクセンチュアだから提供できる価値はありますか？</strong></p>

<p>わたしたちの強みは、コンサルタント、ディレクター、デザイナー、アーキテクト、エンジニアという、サービスを形にするために必要なすべての職種を自前で抱えていることです。だからこそ、お客さまのもつ大小さまざまなアイデアをサービスとして世に出すまでの、全行程をサポートできます。</p>

<p>より具体的に言うならば、ここアクセンチュア・デジタル・ハブ（取材をした場所）では、お客さまと一緒にサービスデザインのワークショップを行っているのですが、それができるのはサービス設計ができるようなディレクターと、UXをデザインできるデザイナー、それに各業界の問題を熟知しているコンサルタントが揃っているからです。</p>

<p>そのあとに続く実証実験のフェーズでは、すぐにプロトタイプを作れるエンジニアと、ビジネス・システム両面でスケーラビリティのあるアーキテクチャを考えられるアーキテクトがいることが必要になります。まだまだ人員は足りていませんが、そのすべてが揃っているのは、われわれの大きな強みだと言えるでしょう。</p>

<p><strong>──来るべきIoT時代を見据えると、そこで働く人には、どんな素養が求められますか？</strong></p>

<p>これはどの職種についても言えることですが、大事なのは経験やスキルよりも、新しい技術だったり世界だったりを面白がって、そこに躊躇なく飛び込めることだと思いますね。ここまでいろいろと偉そうなことを語ってきましたが、実際にはうまくいかないことも多いですし、やってみなければわからないことの多い世界でもあります。そういうことも含めて楽しめるかどうかというのが、いちばん大事なことなのではないかと感じています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4505final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption></figcaption>
</figure></p>

<h2>IoTは大量消費のオルタナティブになりうるか</h2>

<p><strong>──ここまでお話いただいたような世界が実際に訪れるのは、何年後くらいとイメージされていますか？</strong></p>

<p>わたし自身、本当は5年後くらいと思っていたのですが、コンピューター将棋のBonanzaや、GoogleのAlpha碁の最近の急速な進化をみて、もう1、2年後にはくるのではないかという気がしてきました。これはBonanzaの開発者の方が語っていたことですが、人間は「前年度比何パーセント」といった1次関数的な変化は理解できるけれども、指数関数的な変化は理解できないのです。IoTも、データ量が指数関数的に伸びていますし、ユーザーやセンサーの数は倍々で増えているので、大抵の人にとっては「気づいたらなっていた」という感じで、IoT時代に突入していくのだと思います。だからこそ、いまやらずしていつ、というところがありますよね。</p>

<p><strong>──一人ひとりのビジネスパーソンがそれまでにできることがあるとすれば、それはどういったことでしょうか？</strong></p>

<p>ビジネスパーソンというのは結局、自分の付加価値はなんなのかということに悩むのだと思うのですが、それを理解するのにわかりやすい助けとして、わたしたちはIoTの世界を5層から成るものとして定義しています。いちばん下の層から順に、データを生み出すセンサーの世界、データとデータをつなぐネットワークの世界、データを分析するアナリティクスの世界、それを使ってアプリケーションを提供するヴァーティカルの世界、そしてこれら全体を統括するインテグレーションの世界です。</p>

<p>大事なのは、自分はこのうちのどこに位置するプレーヤーで、どんな付加価値を提供するのかという視点をもつことではないでしょうか。よく「プラットフォームをつくれ」という人がいるけれど、実際にはみんながみんなプラットフォーマーになるのは不可能だし、なる必要もありません。フェイスブックは場を提供するプラットフォーマーだけれど、中の投稿はフェイスブックによるものではなく、総体として価値を生んでいるわけです。</p>

<p>同じように、「Amazon Echo」もIoT時代のひとつのプラットフォームと考えることができますが、それを使って新しいビジネスをつくるヴァーティカルのプレーヤーがいてもいいし、もしかしたらそうやって生まれたビジネスとビジネスをつないで、インテグレートする係も必要かもしれません。いまやすべてを自分一人でやろうとしてもできない時代なわけですから、エコシステムと言う以上、自分は何係なのかを把握することからすべては始まるのではないでしょうか。</p>

<p><strong>──ありがとうございます。最後に、ビジネスということを超えて、IoT時代の社会や人々の価値観がどのようになっていくのか、あるいはどうなっていったらいいかということについて、お考えがあれば教えてください。</strong></p>

<p>こうやってわたしがIoTの世界についていろいろと考える背景には、単にビジネスとしてだけではない思いもあります。</p>

<p>日々働いていて、やっぱり社会がもたなくなってきているというのをすごく感じるんですよね。地球が45億年かけてつくってきた資源を、この100年足らずで一気に使ってしまっていいのかと、子供世代、孫世代のことを考えると、ものすごく不安に駆られることがあります。</p>

<p>生きる上ではある程度の無駄って、確かに必要だと思うのですが、世の中には無駄に無駄なこともありますよね。ネットワークにしても、端と端をダイレクトにつなげばいい話を、途中でたくさんのものが介在するから、モノが無駄に溢れたり、さまざまな人の思惑が入り込んで価格が高騰したりする。そうではないかたちで、サステイナブルに世の中がつながっていくためにはどうすればいいのかというのを、真面目に考えています。</p>

<p>IoTが進化することで端と端がダイレクトにつながって、例えば地産地消のような形で距離の無駄がなくなるとか、さっきも言ったように、お客さまのニーズをいち早く把握して、必要なぶんだけ必要とされるものを生産するとか、そういう無駄を減らしていく効果って、きっとあると思うんですよ。少なくとも日用品とか消費材みたいなものに関してはどんどんそうなって欲しいですし、そのことに貢献できたらいいなと思って、日々この仕事に取り組んでいます。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>ビジネスの人材育成を、落語の徒弟制度から考える──立川志の春 × 宇田川元一 × 森山和彦（後編） - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2017-08-02T07:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:07:58Z</updated>

    <summary>落語の世界では、師匠から「俺を快適にしろ」と言われて、彼の考え方を丸ごと自分に入れるプロセスから修業は始まる。ではビジネスパーソンの育成はどうあるべきか。3回に分けてお届けしている鼎談。いよいよ最終回を迎える。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="出会いからアイデアを生み出す" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="人材育成" label="人材育成" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営学" label="経営学" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="落語" label="落語" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>立川志の春、宇田川元一、森山和彦による鼎談最終回は、対話の対極にある「忖度」という流行語を入り口に、イノベーションの起こる組織のあり方、さらにはそれを支える人材をいかに育てるかという話題へと展開していった。
<br><br></p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2017/07/shinoharu1.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_OND1428final1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>【前編】 落語家と考える、仕事がうまくいく「会話の力」</strong></div></a></div>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2017/07/shinoharu2.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_OND1555final1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>【中編】 語りの力で、問題解決より「問題解消」を目指そう</strong></div></a></div>

<h2>忖度あるところにイノベーションなし</h2>

<p><strong>志の春</strong>　今年の流行語に入りそうな言葉に「忖度」ってあるじゃないですか。あれって会話の逆ですよね。言わずともわかれ、ということですから、あえて会話を排除しているわけです。そうなると、忖度をする間柄にはおそらく会話はもうないわけですから、イノベーションとかもないんじゃないかっていう。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　上の人はこう言っている。それを下の人が「上の人はこう言ってるかもしれないし、こう言ってるかもしれないけど、最大公約数的にはここだよね」とやる。そのさらに下の人は枝葉をさらに切り落として......とやっていくと、いちばんの現場の人は本当に狭い範囲でしか、身動きが取れなくなる。伝言ゲームによって本当に安全なところだけしか残らない。だからイノベーションの反対、真逆ですよね。それをどう打開するかってことがイノベーションには不可欠で。それにはやっぱり、異質なものとどう出会えるかが勝負になる気がします。</p>

<p><strong>志の春</strong>　ぼくらの修業は忖度の極みですよ。結局、師匠から何か具体的に「ああしろ、こうしろ」とは言われなくて、ひと言、「俺を快適にしろ」という言葉で、弟子は「どうすれば快適なんだろう」と考えて、いろいろと身の回りのことをやるわけです。いちばん身近な人を快適にできずして、お客さんを快適にできるわけがない。そこは修業中、磨いていかないといけない部分なんです。</p>

<p>でも、忖度一色になってもダメで、大元の部分もやっぱり残しておかないと。例えば、ぼくは志の輔のところに入門したので、まずは「師匠は一体何を考えているんだろう」ということを常に考えて、師匠の考え方を自分の中に入れるプロセスがあります。でも、一方では元々の小島一哲（本名）という人格がやっぱりあって、それらが化学反応を起こすようにして、志の春というものになっていくんだと思うんですよ。</p>

<p>だから、一度は師匠の考え方を丸ごと入れないと、化学反応は起きないような気がするんですよね。小島一哲だけのまま行っちゃうと、伝統とはまたちょっと違う、別のものが出来上がってしまう。もしこの後うまくいって、ぼくにも弟子ができたとしたら、志の春という部分と、その人の本人の部分が戦いながら、半分ずつ、またつながっていくみたいな感じで。半分ずつの戦いの中で、何か新しい芸風が生まれていくんじゃないかと思いますね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1563final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>後半に差し掛かっても、3人の会話はよどみなく展開されていく。宇田川は久しぶりに「ゾーン」に入った感覚があったという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>宇田川</strong>　まさにそこのプロセスが会話のプロセスですよね。</p>

<p><strong>志の春</strong>　はいはい。そうですね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　だから、小島一哲という存在を消すことが重要なのではなくて、志の輔と小島一哲の対話を通じて、志の春という存在が立ち上がるってことなんじゃないでしょうか。で、世に言う忖度が良くないのは、小島一哲を消そうとするからなんですよ。そうなると対話じゃなくて、まさにモノローグ、独白の世界になってしまう。どう自分を消して、そっちへ行くかとなる。そこが根本的なところで違うんじゃないですかね。</p>

<p><strong>志の春</strong>　そうですね。そういう、自分を消して忖度していく人がちょっと上の方に行くと、今度はそれがまたつながるわけですよね。そうするとまた、下の者とは会話をしようとはならない。だからそれは良くないですよね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　だからその辺の違いはあっていい。違いがあるから、新しい芸が生まれるわけだから。それがイノベーションですよね。</p>

<p><strong>志の春</strong>　そうですね。落語の修業では、最初は師匠の芸を完コピしろと言われるんですよ。稽古をつけてもらったんだったら、ブレスの位置まで完璧にコピーをしろ、と。オリジナリティは一切入れるなっていうのを3年とか5年とか続けるわけです。うちの一門には弟子が8人いますから、8人みんなが師匠の完コピをするわけですよ。</p>

<p>でも、不思議なことに、出来上がったものは8人まったく違うんです。みんなそれぞれ完コピしてるんですけど、違うんですよね。もしかしたら、最初からオリジナリティを入れていたのよりも違うかもしれない、それくらいに違いが出てくるんです。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　それはですね、文学の話になっちゃうんですけど、翻訳だと思うんですよ。翻訳って、例えば英語を日本語に翻訳する時に、元の英語のテクストを、文法の違いに沿って置き換えればいいわけではないんですよ。どの部分に注目するかによって、元のテクストは同じでもいろんな方向で解釈されて、翻訳が全然違うものになることはよくあります。だから翻訳者によって、すごくいろいろな文章が出来上がるんですよ。</p>

<p>それと同じなんじゃないですかね、弟子が芸を受け継ぐっていうのは。元のテクストには意味がある。けれどもその解釈の仕方は人それぞれ違うんだからっていう話なんじゃないかと。だからあえて「完コピしろ」なんじゃないですかね。</p>

<p><strong>森山</strong>　おっしゃる通りで、自分のオリジナリティって結局は残るじゃないですか。でも、世の中にはそれが残るということを知っている師匠と知らない師匠がいる。また知っている弟子と知らない弟子もいると思うんですよ。</p>

<div class="round-box fr fb gray"><p>どんなに技をコピーしたって自分のオリジナリティは残る。まずは技をコピーしようと考える人は成長する</p></div>

<p>それをビジネスパーソンでいうと、知らない弟子は「そもそも世代が違いますから。あの上司はわからない」とか言って、最初から自分のオリジナルでやりたがる。逆に知っている弟子はプライドとかはないものと思って、「まずは自ら技をコピーしよう。学ばせてください」という。そういう人は成長するじゃないですか。</p>

<p>これってすごく大事なんですけど、いまの若い世代っていう文脈で語られる場合は、まさにこの知らない弟子のような人が多くて、自分のやり方に固執したがる。逆に上司の側は、そういう若い人を見て「反応が薄い」とか言うんですけど、でも本来は教えてあげるべきだと思うんですよね。「あなただって自分で考える存在なんだから、どんなに技をコピーしたって自分のオリジナリティは残るよ」って。それがないから、仕事なんてそもそもが誰かに仕えるということなのに、「自由」と反対にある概念のように聞こえてしまう。</p>

<p><strong>志の春</strong>　不安があるからですかね。自分が消えちゃうことへの。</p>

<p><strong>森山</strong>　そうです。不安感。いま、メディアも時代の揺り戻しのようにして「自由」とか「個人」っていうものを打ち出していて、その文脈から「自分らしさ」みたいな言葉が先導していくんで、長く修業して、みたいな昔の人たちのことをバカにしたりするんですよ。そうではない原則みたいなものに気づいていないので、怖いんですよね。だから学びにくい。</p>

<p><img src="/uploads/_OND1573final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>組織は人間の業をもっと肯定すべき</h2>

<p><strong>宇田川</strong>　自由とか個人という概念自体がそもそも近代の発明なので、それに縛られている不自由さがありますよね。</p>

<p><strong>森山</strong>　そうです。間違いないです。これは日本社会の意識における危機のひとつだと思います。「自由でなきゃ」というのがすごく大きいです。例えばトップダウンとボトムアップが語られる時も、安易に「トップダウンは自由がないからダメだ」と言われる。いまフリーランスが昔に比べて持ち上げられていますよね。ああいうのを見ても、「いいな。うちの会社ではああいう風に自由にできないしな」って、すごく自己の内面がディスられるんですよ。みんな内面がすごく傷ついていると思うんですよね。新しい働き方とか新しい制度ってものが出るたびに、「自分たちはなんて自由じゃないんだろう」と思っちゃうんですけど、そのことそのものが不自由なんですよね。</p>

<p>自由がありそうだと思って違う会社に行ったら、またそこには違った不自由さがあるんですよ。トレードオフがあるということがわかっていない。認識の問題があるから、体験しないとわからない。これはなんとかして解決したいと思いますし、だから講演などでそういう話をよくするんですけど、世の中に肯定するものが少なすぎる。</p>

<p>肯定感がすごく少ないから、みんな不安になっちゃうんですよ。「このまま働いていていいのか」「いまの会社はあそこに比べたら全然だめだし」って。でも、最先端っぽいところへ行っても、結局全然ダメなことはいっぱいあるじゃないですか。どんな会社だって。うちだってありますよ、ダメなところたくさん。だから、そういうことをちゃんと伝えてくれる人が少ないのが問題かなと思っていて。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　人間なんて所詮はダメなものなんですよ。だから、ダメであるっていうことを認めることからスタートしようよってことですよね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1476final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>ビジネス書を読む代わりに、落語を鑑賞する日を設けてもいいかもしれない。立川志の春の講演情報は<a href="http://shinoharu.com/?page_id=711">こちら</a>。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>志の春</strong>　それがまさに落語ですよね。談志師匠なんかは「人間の業の肯定」と言ってましたけど、要は、知ったかぶりしちゃったり、モテたいと思ってカッコつけたり、楽して金を稼ぎたいと思ったりという部分って、人間誰でもあるじゃない、と。それじゃダメだと言ってしまうと面白くなくて。人間はそういうもの。俺もそうだし、お前もそうだけど、でもそれぞれ事情があるじゃないってんで、談志師匠の場合は、忠臣蔵の討ち入りに参加した四十七士を描くのが講釈という芸だとすれば、逃げちゃった200人だか300人だかのことを語るのが落語だ、と。</p>

<p>人間って勇ましいやつばっかりじゃなくて、「いや、行きてえけど俺、ちょっと行けねえんだよ。怖えもん」というやつがいたり。いろいろあるけど、それを「それじゃダメだ」と言ってしまわないで、「まあわかるよ、それは」というのが落語で。そういうところがあるから人間ってかわいいし、なんか愛すべき存在だし、面白いよねというところなんですよね、多分。</p>

<p><strong>森山</strong>　聞いていると、落語の考えは経営を豊かにすると思いますね。先日、尊敬する経営者の講演を聞いた時に、「世の中の多くの人はビジネス書ばっかりを読みすぎだ。ビジネス書を読んでいるから、ビジネスの範囲で話をするんだ」とおっしゃっていたんです。小説とか、古文書とか、いろいろ読むから人間を理解できるんだ、と。</p>

<p>落語もきっとそうで、経営やビジネスというのは大きな人生のたった一部でしかないということを教えてくれる。ビジネスって、視野が狭くなっちゃうところがあるんですけど、落語的な考えを取り入れて、「それもあるよね」ということを許容するのがすごくいいなあ、と。</p>

<p><strong>志の春</strong>　そうですねえ。それもあった方が、優しい世の中になる気がしますよねえ。</p>

<p><strong>森山</strong>　優しいですよね。でも一般的には株主がそれを許さないんですよ（笑）。そこがちょっとジレンマですよね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そういうことが語られたり、大事にできたりする組織の方が、最近の流行りの言葉で言うと、レジリエンスが高いはずです。多様性があるわけですから。プランB、プランCが作れる状態にあるわけですよ。</p>

<p>よくわからないことが起きたという時も、よくわからないことが起きるものという前提があれば、それで普通に乗り越えられますよね。でも起きないものだという前提に立っていると、原発事故のようになってしまう。だからやっぱり、語れる言葉をどれだけ豊かにできるか。いかにわれわれが気がつかないうちに洗脳されてるマネジメント・セオリーだとかから抜け出して、本当の意味で、ダメだということを前向きに認められるかというようなことだと思うんですよ。</p>

<p><strong>志の春</strong>　誰かが問題を起こすと、すぐにわーって炎上するじゃないですか。そういう時は、みんな一旦自分を反対側に置いた上で責めていないんです。ある一方から「わたしは絶対にそんなことをしない」という立場から責めるのと、「おれがもしあっち側にいたら、どうだったかねえ。やっちゃったかもしれないな。いやでもあんた、立場があるんだから」というように責めるのとでは違うはずです。不倫問題でもなんでも、完全にこっち側から言っているということが多くて、優しくないなと思うんですよね。</p>

<div class="round-box fl fb gray"><p>同じ物語をわたしも生きている、ということが見えると全然違ってくる</p></div>

<p><strong>宇田川</strong>　そう。それはまさに、リチャード・ローティっていう政治哲学者が言った「連帯」というものです。自分もその立場だったら同じようにしたかもしれないと認めることです。連帯をつくるために必要なのが物語です。同じ物語をわたしも生きている、ということが見えると全然違ってくる。だから結局、接点をどうつくっていくかにかかっているわけですよ、この社会がよくなっていくかどうかということは。</p>

<p><img src="/uploads/_OND1438final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>本質的な動機をいかに育むか</h2>

<p><strong>志の春</strong>　ぼく、たまに高校とかでも落語をやる機会をいただくんですけど、そういう時に、先生方と徒弟制度の話をするんですよ。</p>

<p>徒弟制度というのは基本的には、教えない、認めないというような育て方で。稽古をつけてもらった時にも「ここがこうだからダメだ」というようなことは言ってもらえないで、「それは落語ではない。落語にしてからもう一度来い」と頭ごなしに言われる。ヒントは与えない。でも、待つ。全否定するんだけど、そいつがもう一度持ってきたものは聞いてやって、また全否定する。その繰り返しの中で、そいつが自分で辿り着くのを待ってやる。</p>

<p>師匠とか上の人からしてみれば、ヒントを言わないのは相当なストレスなはずです。ヒントを与えれば、多分劇的に良くなるはずなんで。でもそのヒントは与えないで我慢して、とにかくそいつが来るのを待って。で、だんだんとその稽古が最初は15秒で止められていたのが、1分になって、3分になって、15分丸々聞いてもらえた時に、まあじゃあそれで高座でやってみろ、という。そこでも「これがいい」とかの評価はないんですけど。</p>

<p>で、学校の先生に聞くと「それは学校ではできない」と言うんですね。そんなに待っていられないのもあるんでしょうし、頭ごなしに「ダメだ」と言うのはできない、と。頭ごなしだからこそ、いろいろと考えるエネルギーになることもあるとぼくは思うんですけど、ちゃんと理由を説明しないとダメなんだ、と。これは企業でも同じことですか？</p>

<p><strong>森山</strong>　いまのお話には、本質的な動機の強さが関係していると思いますね。徒弟制度って、落語家として一人前になりたい、芸を磨きたいという本質的な動機が強いんですよ。もう動機のレベルが半端ない。だから、そういう突き放すようなフィードバックをすると、問いに聞こえるんですよ。考える動機がそこにあるんです。</p>

<p>でも、さっきの学校でいうと、学ぶということに対する生徒の本質的な動機がマイナスにあるということなんだと思います。マイナスの動機に対してそういうやり方をすると、ダメなんじゃないですか？</p>

<p><strong>志の春</strong>　そうか。動機なんですね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1524final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>CRAZYのコーポレートサイトに「<a href="https://www.crazy.co.jp/recruit/workstyle/">WORK STYLE</a>」というページがある。そこでは、社員の働く動機を向上させるための、さまざまなユニークな取り組みが紹介されている。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>森山</strong>　本質的な動機をどう扱うかというのが、会社でも同じですけど、とても重要ですよね。会社でマイナスの動機の状態は、ただ指示に従って働かされている場合ですよね。だからぼくらの会社ではそういう人たちのことを社員じゃなくて「従業員」と呼んでいます。</p>

<p>うちでは自分自身がなんで働くのかとか、何がしたいのかという本質的な動機を、さっき（中編で）説明したライフプレゼンテーションで語ってもらって、そこに対してフィードバックするように心がけています。</p>

<div class="round-box fr fb gray"><p>企業では、まず本質的な動機のレベル感を見定めることが大事</p></div>

<p>企業も学校も、まずはそうした本質的な動機のレベル感を見定めることが大事だと思います。この人は経営者と同じレベルのすごい動機だな、と思ったら、その人には何を言っても大丈夫です。全部「ありがとうございます！」で返ってきますから。でも、動機の低い人だとそうはならないので、動機を見極めつつ、ただ一方ではビジネスでもあるので、「こうやった方がいいよ」とやり方を示した方が、動機が上がるのです。</p>

<p><strong>志の春</strong>　そうかそうか。それによってノッていけるんですね。</p>

<p><strong>森山</strong>　「自分はできる人なんだ」と思っちゃうと、動機はどんどん上がっていく傾向にあります。そこらへんの動機の形成方法はすごく興味深いです。それは多分、企業だから学校だからということではなく。徒弟制度はわからないですけど。</p>

<p><strong>志の春</strong>　でも、それを上げていくのは難しそうですね。</p>

<p><strong>森山</strong>　それこそまさに会話ですよね。会話がないと、「従業員ってのは頑張るもんだろ！」みたいになってしまう。そうすると受け取る側も「わかりました」とか言うんですけど、それは全然わかっていないんです。だからそうではなくて、「なんで働いているの？」「いま自分がどういう状態にあると自分で見えているの？」と聞いていく。そうやって内省を促すことで、つながっていくわけです。</p>

<p>そうするとある程度のことはわかるのですが、そんなに本質的動機のレベルが高くない子たちは、そうやって聞いているだけでは全然上がっていかないので、つながった上でさらに、期待を伝えて、いい意味で巻き込んでいくということをします。だから時間がかかります。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　時間がすごく大事だと思いますね。学校教育、小中とかだと、カリキュラムって厳密に決められているんです。あれはどうかと思う。そもそも人間が学ぶスピードなんてそれぞれ違うものだから。それなのに、日本はいま教育改革を進めてますけど、ほとんどのことが「みんなが同じスピードで学ぶ」って前提で改革がなされてるように見えます。</p>

<p><strong>森山</strong>　企業も同じですよね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　その方がいい、みたいなね。それぞれみんな違うのに。何を大事かと思う瞬間なんてそれぞれ違うので、やっぱり待たないといけないんだな、と。待つなんていうのもおこがましいんで、まあ、それぞれやってください、という感じかもしれないですよね（笑）。それぞれ違うスピードで、というのは当然だと思うので、そういう待つ時間というのは必要なんじゃないかなあ。</p>

<div class="round-box fl fb gray"><p>多様性のある人間に対して、社会や会社の評価軸は非多様である</p></div>

<p><strong>森山</strong>　いまのお話はぼく自身の本質的な動機ともすごく近いものがあるんですけど、要は人間にはそもそも、そういう多様性があるじゃないですか。多様性のある人間に対して、社会の評価軸、会社の評価軸が非多様だと思うんですよ。</p>

<p>例えば、前職でぼくのチームに営業がすごく下手な奴がいたんですよ。なんですけど、その人はめちゃくちゃ飲み会の技術が高かったんですよ。どれだけすごいかというと、3時間、ずっと講演してるみたいにしゃべってる。その間じゅう、15人くらいのメンバーがずーっと笑っているんですよ。めちゃくちゃ面白いんです。そうすると、錯覚のようにしてみんなが「このチーム楽しい！」って思える。1か月に1回それがあるだけで、みんなが楽しく仕事ができるんですよ。営業は全然取ってこないんですけども（笑）。</p>

<p><strong>志の春</strong>　それだけ喋りができて！それ、うまく仕事につながったらすごいことになるんじゃないですか？</p>

<p><strong>森山</strong>　まあそうなんですけど、営業はからっきしだめなんですよ。でも、ぼくはその価値をすごく認めてたんで、会社としての評価も上がるよう、こっそりぼくの数字を彼に渡していました。思うに、もっと昔に遡れば、昔の村でいちばんモテたのは、きっと歌を歌える人だったんじゃないかと思うんです。もしくは足が速いとか。いろいろあったと思うんですよね。でもいまは、みんなを盛り上げられる人が、必ずしもいちばんの人気者にはならない。社会の評価軸というものが変わってきているから。</p>

<p>でも、一方ではいまもなお、いろんな人がいますよね。それこそ周りの人を癒すのが上手な人だっていますし。そういう人たちが生きにくい社会なのかもしれないっていう時に、ぼくが新しく会社を経営する時には、その人たちがそれぞれの強みを生かして仕事ができるような場所が作りたいと思ったんですよ。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　おそらく、評価軸が一定で、強固になると、できないことにフォーカスしがちなんですよ。だから「あいつは飲み会ではチャラチャラ楽しくやっているけど、営業マンとしては無能だ」というふうに、そっちがメインになってしまう。そうではないですよね。本当は、ある人がパフォーマンスを出すのに、他の人が裏で貢献しているってことがあるはずなんで。その飲み会で盛り上げるというのも、他の人が成果をあげるのに、すごく貢献をしているわけだから。</p>

<p><strong>森山</strong>　そうです、そうです。営業成績、すっごく上がりましたから。それがあるから「今日も頑張ろうぜ！」と言った時に「おー」ってなるんです。楽しくなかったらそうはならない。本当に素晴らしい人だったと思います。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　だから、能力として語られるものが少なくなってきているってことが言えるのかな、と。それはもっと広げた方が、できることが増えるし、面白くなるっていう。</p>

<p><strong>志の春</strong>　落語家にもすごく楽屋で面白い人というのがやっぱりいるんです。楽屋での会話はもう、全部その人が回して。でも、不思議とそういう人って高座では大人しかったりするんですよね。なんでなのかな。逆に楽屋や打ち上げで物静かな人が、高座に行くと華があったりとか。売れてる人って割とそういう人が多い気がしますもん。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　どっちかだけいればいいってことではないんですよね。全体がうまくいくことを考えれば、どちらも必要ってことなのかもしれないですよね。 </p>
]]>
        <![CDATA[<p>立川志の春、宇田川元一、森山和彦による鼎談最終回は、対話の対極にある「忖度」という流行語を入り口に、イノベーションの起こる組織のあり方、さらにはそれを支える人材をいかに育てるかという話題へと展開していった。</p>

<h2>忖度あるところにイノベーションなし</h2>

<p><strong>志の春</strong>　今年の流行語に入りそうな言葉に「忖度」ってあるじゃないですか。あれって会話の逆ですよね。言わずともわかれ、ということですから、あえて会話を排除しているわけです。そうなると、忖度をする間柄にはおそらく会話はもうないわけですから、イノベーションとかもないんじゃないかっていう。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　上の人はこう言っている。それを下の人が「上の人はこう言ってるかもしれないし、こう言ってるかもしれないけど、最大公約数的にはここだよね」とやる。そのさらに下の人は枝葉をさらに切り落として......とやっていくと、いちばんの現場の人は本当に狭い範囲でしか、身動きが取れなくなる。伝言ゲームによって本当に安全なところだけしか残らない。だからイノベーションの反対、真逆ですよね。それをどう打開するかってことがイノベーションには不可欠で。それにはやっぱり、異質なものとどう出会えるかが勝負になる気がします。</p>

<p><strong>志の春</strong>　ぼくらの修業は忖度の極みですよ。結局、師匠から何か具体的に「ああしろ、こうしろ」とは言われなくて、ひと言、「俺を快適にしろ」という言葉で、弟子は「どうすれば快適なんだろう」と考えて、いろいろと身の回りのことをやるわけです。いちばん身近な人を快適にできずして、お客さんを快適にできるわけがない。そこは修業中、磨いていかないといけない部分なんです。</p>

<p>でも、忖度一色になってもダメで、大元の部分もやっぱり残しておかないと。例えば、ぼくは志の輔のところに入門したので、まずは「師匠は一体何を考えているんだろう」ということを常に考えて、師匠の考え方を自分の中に入れるプロセスがあります。でも、一方では元々の小島一哲（本名）という人格がやっぱりあって、それらが化学反応を起こすようにして、志の春というものになっていくんだと思うんですよ。</p>

<p>だから、一度は師匠の考え方を丸ごと入れないと、化学反応は起きないような気がするんですよね。小島一哲だけのまま行っちゃうと、伝統とはまたちょっと違う、別のものが出来上がってしまう。もしこの後うまくいって、ぼくにも弟子ができとしたら、志の春という部分と、その人の本人の部分が戦いながら、半分ずつ、またつながっていくみたいな感じで。半分ずつの戦いの中で、何か新しい芸風が生まれていくんじゃないかと思いますね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1563final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>後半に差し掛かっても、3人の会話はよどみなく展開されていく。宇田川は久しぶりに「ゾーン」に入った感覚があったという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>宇田川</strong>　まさにそこのプロセスが会話のプロセスですよね。</p>

<p><strong>志の春</strong>　はいはい。そうですね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　だから、小島一哲という存在を消すことが重要なのではなくて、志の輔と小島一哲の対話を通じて、志の春という存在が立ち上がるってことなんじゃないでしょうか。で、世に言う忖度が良くないのは、小島一哲を消そうとするからなんですよ。そうなると対話じゃなくて、まさにモノローグ、独白の世界になってしまう。どう自分を消して、そっちへ行くかとなる。そこが根本的なところで違うんじゃないですかね。</p>

<p><strong>志の春</strong>　そうですね。そういう、自分を消して忖度していく人がちょっと上の方に行くと、今度はそれがまたつながるわけですよね。そうするとまた、下の者とは会話をしようとはならない。だからそれは良くないですよね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　だからその辺の違いはあっていい。違いがあるから、新しい芸が生まれるわけだから。それがイノベーションですよね。</p>

<p><strong>志の春</strong>　そうですね。落語の修業では、最初は師匠の芸を完コピしろと言われるんですよ。稽古をつけてもらったんだったら、ブレスの位置まで完璧にコピーをしろ、と。オリジナリティは一切入れるなっていうのを3年とか5年とか続けるわけです。うちの一門には弟子が8人いますから、8人みんなが師匠の完コピをするわけですよ。</p>

<p>でも、不思議なことに、出来上がったものは8人まったく違うんです。みんなそれぞれ完コピしてるんですけど、違うんですよね。もしかしたら、最初からオリジナリティを入れていたのよりも違うかもしれない、それくらいに違いが出てくるんです。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　それはですね、文学の話になっちゃうんですけど、翻訳だと思うんですよ。翻訳って、例えば英語を日本語に翻訳する時に、元の英語のテクストを、文法の違いに沿って置き換えればいいわけではないんですよ。どの部分に注目するかによって、元のテクストは同じでもいろんな方向で解釈されて、翻訳が全然違うものになることはよくあります。だから翻訳者によって、すごくいろいろな文章が出来上がるんですよ。</p>

<p>それと同じなんじゃないですかね、弟子が芸を受け継ぐっていうのは。元のテクストには意味がある。けれどもその解釈の仕方は人それぞれ違うんだからっていう話なんじゃないかと。だからあえて「完コピしろ」なんじゃないですかね。</p>

<p><strong>森山</strong>　おっしゃる通りで、自分のオリジナリティって結局は残るじゃないですか。でも、世の中にはそれが残るということを知っている師匠と知らない師匠がいる。また知っている弟子と知らない弟子もいると思うんですよ。</p>

<p>それをビジネスパーソンでいうと、知らない弟子は「そもそも世代が違いますから。あの上司はわからない」とか言って、最初から自分のオリジナルでやりたがる。逆に知っている弟子はプライドとかはないものと思って、「まずは自ら技をコピーしよう。学ばせてください」という。そういう人は成長するじゃないですか。</p>

<p>これってすごく大事なんですけど、いまの若い世代っていう文脈で語られる場合は、まさにこの知らない弟子のような人が多くて、自分のやり方に固執したがる。逆に上司の側は、そういう若い人を見て「反応が薄い」とか言うんですけど、でも本来は教えてあげるべきだと思うんですよね。「あなただって自分で考える存在なんだから、どんなに技をコピーしたって自分のオリジナリティは残るよ」って。それがないから、仕事なんてそもそもが誰かに仕えるということなのに、「自由」と反対にある概念のように聞こえてしまう。</p>

<p><strong>志の春</strong>　不安があるからですかね。自分が消えちゃうことへの。</p>

<p><strong>森山</strong>　そうです。不安感。いま、メディアも時代の揺り戻しのようにして「自由」とか「個人」っていうものを打ち出していて、その文脈から「自分らしさ」みたいな言葉が先導していくんで、長く修行して、みたいな昔の人たちのことをバカにしたりするんですよ。そうではない原則みたいなものに気づいていないので、怖いんですよね。だから学びにくい。</p>

<p><img src="/uploads/_OND1573final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>組織は人間の業をもっと肯定すべき</h2>

<p><strong>宇田川</strong>　自由とか個人という概念自体がそもそも近代の発明なので、それに縛られている不自由さがありますよね。</p>

<p><strong>森山</strong>　そうです。間違いないです。これは日本社会の意識における危機のひとつだと思います。「自由でなきゃ」というのがすごく大きいです。例えばトップダウンとボトムアップが語られる時も、安易に「トップダウンは自由がないからダメだ」と言われる。いまフリーランスが昔に比べて持ち上げられていますよね。ああいうのを見ても、「いいな。うちの会社ではああいう風に自由にできないしな」って、すごく自己の内面がディスられるんですよ。みんな内面がすごく傷ついていると思うんですよね。新しい働き方とか新しい制度ってものが出るたびに、「自分たちはなんて自由じゃないんだろう」と思っちゃうんですけど、そのことそのものが不自由なんですよね。</p>

<p>自由がありそうだと思って違う会社に行ったら、またそこには違った不自由さがあるんですよ。トレードオフがあるということがわかっていない。認識の問題があるから、体験しないとわからない。これはなんとかして解決したいと思いますし、だから講演などでそういう話をよくするんですけど、世の中に肯定するものが少なすぎる。</p>

<p>肯定感がすごく少ないから、みんな不安になっちゃうんですよ。「このまま働いていていいのか」「いまの会社はあそこに比べたら全然だめだし」って。でも、最先端っぽいところへ行っても、結局全然ダメなことはいっぱいあるじゃないですか。どんな会社だって。うちだってありますよ、ダメなところたくさん。だから、そういうことをちゃんと伝えてくれる人が少ないのが問題かなと思っていて。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　人間なんて所詮はダメなものなんですよ。だから、ダメであるっていうことを認めることからスタートしようよってことですよね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1476final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>ビジネス書を読む代わりに、落語を鑑賞する日を設けてもいいかもしれない。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>志の春</strong>　それがまさに落語ですよね。談志師匠なんかは「人間の業の肯定」と言ってましたけど、要は、知ったかぶりしちゃったり、モテたいと思ってカッコつけたり、楽して金を稼ぎたいと思ったりという部分って、人間誰でもあるじゃない、と。それじゃダメだと言ってしまうと面白くなくて。人間はそういうもの。俺もそうだし、お前もそうだけど、でもそれぞれ事情があるじゃないってんで、談志師匠の場合は、忠臣蔵の討ち入りに参加した四十七士を描くのが講釈という芸だとすれば、逃げちゃった200人だか300人だかのことを語るのが落語だ、と。</p>

<p>人間って勇ましいやつばっかりじゃなくて、「いや、行きてえけど俺、ちょっと行けねえんだよ。怖えもん」というやつがいたり。いろいろあるけど、それを「それじゃダメだ」と言ってしまわないで、「まあわかるよ、それは」というのが落語で。そういうところがあるから人間ってかわいいし、なんか愛すべき存在だし、面白いよねというところなんですよね、多分。</p>

<p><strong>森山</strong>　聞いていると、落語の考えは経営を豊かにすると思いますね。先日、尊敬する経営者の講演を聞いた時に、「世の中の多くの人はビジネス書ばっかりを読みすぎだ。ビジネス書を読んでいるから、ビジネスの範囲で話をするんだ」とおっしゃっていたんです。小説とか、古文書とか、いろいろ読むから人間を理解できるんだ、と。</p>

<p>落語もきっとそうで、経営やビジネスというのは大きな人生のたった一部でしかないということを教えてくれる。ビジネスって、視野が狭くなっちゃうところがあるんですけど、落語的な考えを取り入れて、「それもあるよね」ということを許容するのがすごくいいなあ、と。</p>

<p><strong>志の春</strong>　そうですねえ。それもあった方が、優しい世の中になる気がしますよねえ。</p>

<p><strong>森山</strong>　優しいですよね。でも一般的には株主がそれを許さないんですよ（笑）。そこがちょっとジレンマですよね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そういうことが語られたり、大事にできたりする組織の方が、最近の流行りの言葉で言うと、レジリエンスが高いはずです。多様性があるわけですから。プランB、プランCが作れる状態にあるわけですよ。</p>

<p>よくわからないことが起きたという時も、よくわからないことが起きるものという前提があれば、それで普通に乗り越えられますよね。でも起きないものだという前提に立っていると、原発事故のようになってしまう。だからやっぱり、語れる言葉をどれだけ豊かにできるか。いかにわれわれが気がつかないうちに洗脳されてるマネジメント・セオリーだとかから抜け出して、本当の意味で、ダメだということを前向きに認められるかというようなことだと思うんですよ。</p>

<p><strong>志の春</strong>　誰かが問題を起こすと、すぐにわーって炎上するじゃないですか。そういう時は、みんな一旦自分を反対側に置いた上で責めていないんです。ある一方から「わたしは絶対にそんなことをしない」という立場から責めるのと、「おれがもしあっち側にいたら、どうだったかねえ。やっちゃったかもしれないな。いやでもあんた、立場があるんだから」というように責めるのとでは違うはずです。不倫問題でもなんでも、完全にこっち側から言っているということが多くて、優しくないなと思うんですよね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そう。それはまさに、リチャード・ローティっていう政治哲学者が言った「連帯」というものです。自分もその立場だったら同じようにしたかもしれないと認めることです。連帯をつくるために必要なのが物語です。同じ物語をわたしも生きている、ということが見えると全然違ってくる。だから結局、接点をどうつくっていくかにかかっているわけですよ、この社会がよくなっていくかどうかということは。</p>

<p><img src="/uploads/_OND1438final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>本質的な動機をいかに育むか</h2>

<p><strong>志の春</strong>　ぼく、たまに高校とかでも落語をやる機会をいただくんですけど、そういう時に、先生方と徒弟制度の話をするんですよ。</p>

<p>徒弟制度というのは基本的には、教えない、認めないというような育て方で。稽古をつけてもらった時にも「ここがこうだからダメだ」というようなことは言ってもらえないで、「それは落語ではない。落語にしてからもう一度来い」と頭ごなしに言われる。ヒントは与えない。でも、待つ。全否定するんだけど、そいつがもう一度持ってきたものは聞いてやって、また全否定する。その繰り返しの中で、そいつが自分で辿り着くのを待ってやる。</p>

<p>師匠とか上の人からしてみれば、ヒントを言わないのは相当なストレスなはずです。ヒントを与えれば、多分劇的に良くなるはずなんで。でもそのヒントは与えないで我慢して、とにかくそいつが来るのを待って。で、だんだんとその稽古が最初は15秒で止められていたのが、1分になって、3分になって、15分丸々聞いてもらえた時に、まあじゃあそれで高座でやってみろ、という。そこでも「これがいい」とかの評価はないんですけど。</p>

<p>で、学校の先生に聞くと「それは学校ではできない」と言うんですね。そんなに待っていられないのもあるんでしょうし、頭ごなしに「ダメだ」と言うのはできない、と。頭ごなしだからこそ、いろいろと考えるエネルギーになることもあるとぼくは思うんですけど、ちゃんと理由を説明しないとダメなんだ、と。これは企業でも同じことですか？</p>

<p><strong>森山</strong>　いまのお話には、本質的な動機の強さが関係していると思いますね。徒弟制度って、落語家として一人前になりたい、芸を磨きたいという本質的な動機が強いんですよ。もう動機のレベルが半端ない。だから、そういう突き放すようなフィードバックをすると、問いに聞こえるんですよ。考える動機がそこにあるんです。</p>

<p>でも、さっきの学校でいうと、学ぶということに対する生徒の本質的な動機がマイナスにあるということなんだと思います。マイナスの動機に対してそういうやり方をすると、ダメなんじゃないですか？</p>

<p><strong>志の春</strong>　そうか。動機なんですね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1524final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>CRAZYのコーポレートサイトに「WORK STYLE」というページがある。そこでは、社員の働く動機を向上させるための、さまざまなユニークな取り組みが紹介されている。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>森山</strong>　本質的な動機をどう扱うかというのが、会社でも同じですけど、とても重要ですよね。会社でマイナスの動機の状態は、ただ指示に従って働かされている場合ですよね。だからぼくらの会社ではそういう人たちのことを社員じゃなくて「従業員」と呼んでいます。</p>

<p>うちでは自分自身がなんで働くのかとか、何がしたいのかという本質的な動機を、さっき（中編で）説明したライフプレゼンテーションで語ってもらって、そこに対してフィードバックするように心がけています。</p>

<p>企業も学校も、まずはそうした本質的な動機のレベル感を見定めることが大事だと思います。この人は経営者と同じレベルのすごい動機だな、と思ったら、その人には何を言っても大丈夫です。全部「ありがとうございます！」で返ってきますから。でも、動機の低い人だとそうはならないので、動機を見極めつつ、ただ一方ではビジネスでもあるので、「こうやった方がいいよ」とやり方を示した方が、動機が上がるのです。</p>

<p><strong>志の春</strong>　そうかそうか。それによってノッていけるんですね。</p>

<p><strong>森山</strong>　「自分はできる人なんだ」と思っちゃうと、動機はどんどん上がっていく傾向にあります。そこらへんの動機の形成方法はすごく興味深いです。それは多分、企業だから学校だからということではなく。徒弟制度はわからないですけど。</p>

<p><strong>志の春</strong>　でも、それを上げていくのは難しそうですね。</p>

<p><strong>森山</strong>　それこそまさに会話ですよね。会話がないと、「従業員ってのは頑張るもんだろ！」みたいになってしまう。そうすると受け取る側も「わかりました」とか言うんですけど、それは全然わかっていないんです。だからそうではなくて、「なんで働いているの？」「いま自分がどういう状態にあると自分で見えているの？」と聞いていく。そうやって内省を促すことで、つながっていくわけです。</p>

<p>そうするとある程度のことはわかるのですが、そんなに本質的動機のレベルが高くない子たちは、そうやって聞いているだけでは全然上がっていかないので、つながった上でさらに、期待を伝えて、いい意味で巻き込んでいくということをします。だから時間がかかります。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　時間がすごく大事だと思いますね。学校教育、小中とかだと、カリキュラムって厳密に決められているんです。あれはどうかと思う。そもそも人間が学ぶスピードなんてそれぞれ違うものだから。それなのに、日本はいま教育改革を進めてますけど、ほとんどのことが「みんなが同じスピードで学ぶ」って前提で改革がなされてるように見えます。</p>

<p><strong>森山</strong>　企業も同じですよね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　その方がいい、みたいなね。それぞれみんな違うのに。何を大事かと思う瞬間なんてそれぞれ違うので、やっぱり待たないといけないんだな、と。待つなんていうのもおこがましいんで、まあ、それぞれやってください、という感じかもしれないですよね（笑）。それぞれ違うスピードで、というのは当然だと思うので、そういう待つ時間というのは必要なんじゃないかなあ。</p>

<p><strong>森山</strong>　いまのお話はぼく自身の本質的な動機ともすごく近いものがあるんですけど、要は人間にはそもそも、そういう多様性があるじゃないですか。多様性のある人間に対して、社会の評価軸、会社の評価軸が非多様だと思うんですよ。</p>

<p>例えば、前職でぼくのチームに営業がすごく下手な奴がいたんですよ。なんですけど、その人はめちゃくちゃ飲み会の技術が高かったんですよ。どれだけすごいかというと、3時間、ずっと講演してるみたいにしゃべってる。その間じゅう、15人くらいのメンバーがずーっと笑っているんですよ。めちゃくちゃ面白いんです。そうすると、錯覚のようにしてみんなが「このチーム楽しい！」って思える。1か月に1回それがあるだけで、みんなが楽しく仕事ができるんですよ。営業は全然取ってこないんですけども（笑）。</p>

<p><strong>志の春</strong>　それだけ喋りができて！それ、うまく仕事につながったらすごいことになるんじゃないですか？</p>

<p><strong>森山</strong>　まあそうなんですけど、営業はからっきしだめなんですよ。でも、ぼくはその価値をすごく認めてたんで、会社としての評価も上がるよう、こっそりぼくの数字を彼に渡していました。思うに、もっと昔に遡れば、昔の村でいちばんモテたのは、きっと歌を歌える人だったんじゃないかと思うんです。もしくは足が速いとか。いろいろあったと思うんですよね。でもいまは、みんなを盛り上げられる人が、必ずしもいちばんの人気者にはならない。社会の評価軸というものが変わってきているから。</p>

<p>でも、一方ではいまもなお、いろんな人がいますよね。それこそ周りの人を癒すのが上手な人だっていますし。そういう人たちが生きにくい社会なのかもしれないっていう時に、ぼくが新しく会社を経営する時には、その人たちがそれぞれの強みを生かして仕事ができるような場所が作りたいと思ったんですよ。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　おそらく、評価軸が一定で、強固になると、できないことにフォーカスしがちなんですよ。だから「あいつは飲み会ではチャラチャラ楽しくやっているけど、営業マンとしては無能だ」というふうに、そっちがメインになってしまう。そうではないですよね。本当は、ある人がパフォーマンスを出すのに、他の人が裏で貢献しているってことがあるはずなんで。その飲み会で盛り上げるというのも、他の人が成果をあげるのに、すごく貢献をしているわけだから。</p>

<p><strong>森山</strong>　そうです、そうです。営業成績、すっごく上がりましたから。それがあるから「今日も頑張ろうぜ！」と言った時に「おー」ってなるんです。楽しくなかったらそうはならない。本当に素晴らしい人だったと思います。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　だから、能力として語られるものが少なくなってきているってことが言えるのかな、と。それはもっと広げた方が、できることが増えるし、面白くなるっていう。</p>

<p><strong>志の春</strong>　落語家にもすごく楽屋で面白い人というのがやっぱりいるんです。楽屋での会話はもう、全部その人が回して。でも、不思議とそういう人って高座では大人しかったりするんですよね。なんでなのかな。逆に楽屋や打ち上げで物静かな人が、高座に行くと華があったりとか。売れてる人って割とそういう人が多い気がしますもん。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　どっちかだけいればいいってことではないんですよね。全体がうまくいくことを考えれば、どちらも必要ってことなのかもしれないですよね。 </p>
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    </content>
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    <title>語りの力で、問題解決より「問題解消」を目指そう──立川志の春 × 宇田川元一 × 森山和彦（中編） - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/07/shinoharu2.html" />
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    <published>2017-07-27T03:25:47Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:08:23Z</updated>

    <summary>商社マンから転身した注目の落語家を迎えて、以前BNLに登場した宇田川元一（埼玉大学大学院准教授）と、森山和彦（CRAZY代表）を交えて語り合う、3回連載の中編。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="出会いからアイデアを生み出す" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>前回に引き続き、立川志の春、宇田川元一、森山和彦による鼎談をお届けする。</p>

<p>会話をする時、ぼくらはそこで何をやりとりしているのか？　落語の表現方法をヒントに、問題を解決ではなく「解消」するための方法論で盛り上がる。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="/2017/07/shinoharu1.html">
<h4>前編</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_OND1428final1094.jpg">
<div class="info"><strong>落語家と考える、仕事がうまくいく「会話の力」──立川志の春 × 宇田川元一 × 森山和彦（前編）</strong> <date>2017.07.18（火）</date></div>

<p></a></div></p>

<h2>アイコンタクトのないプレゼンはモノローグ</h2>

<p><strong>志の春</strong>　ビジネスセミナーをやる時って、結構パワーポイントを使うことが多いですよね？　パワーポイントを使った場合と、一切使わないで同じ内容のことをやった場合って、どっちの方が伝わるんですか？</p>

<p><strong>森山</strong>　ものにもよるのですが、これもやり方で。よくパワーポイントの内容をそのまま説明しちゃう人がいますが、あれはまったく伝わらないですね。いや、一応頭には伝わるのですが、それだっ
たら邪魔しないで資料を読ませてくれた方が早い。いま、TEDってあるじゃないですか。ああいうのだと、パワーポイントはあくまで補足資料として使われていて、イメージングの助けになっているんです。</p>

<p>落語みたいな名人芸だったらなくても伝わるんでしょうけど、でもやってみたら面白いかもしれないですよね。志の春さんがやっているところの後ろに、まさにそのシーンの、母屋だったりいろんな物を出したら、もしかしたら初心者の方にはもっと伝わるかもしれない。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　NHKで......。</p>

<p><strong>志の春</strong>　ああ、やってますね、NHKで『<a href="http://www4.nhk.or.jp/rakumov/">超入門！落語THE MOVIE</a>』っていうのを。あれは落語家は姿を現さずに、裏で「こんちは」「こんちは」「おや誰かと思ったらはっつぁんじゃないか」ってやっておいて、それに俳優さんが口を合わせて、映像として見せるんですね。すごく評判がいいんですよ。「あれは面白い」って。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　初めての人にとってはもちろんですが、落語に慣れている人でも、「ああ、こういう光景としても見られるんだ」という発見があるんでしょうね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1432final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>前編で、立川志の春は「隠居さんを演じている時に大事なのは、お客さんの頭の中にはっつぁんの絵が浮かぶこと」だと話していた。それをNHKの番組では、役者を使って映像で表現している。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>志の春</strong>　そうなんですよ。あれも発想の転換というか。落語って、一般的には「聞く」ものなんですよね。音声を聞いて、それを頭の中で絵に浮かべるって作業なので、「見る」ではない。でもそんな中で、NHKのあの番組は落語を「見せる」って言っていて、それが結構成功している。ちっちゃい子とかもあの番組を見て、「田能久」なんていう結構レアな話を「すごく面白かった」なんて言っていて、すごく裾野を広げていると思うんですよ。</p>

<p>まあぼくらからしたら、落語を聞いてもらった上で頭に絵を浮かばせるっていう部分にこだわりがありますけど、でもあの番組を通して落語のストーリー自体も面白いもんだって思ってもらえたら、その先に「じゃあ生で聞いたらどうなのか」となる可能性もあるわけですから、やっぱりすごい発想だなと感心しますよね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　伝えるために使えるものはなんでも使おうというのが、すごく大事なのかなって思いますね。ただ、企業の人たちには、スライドを用意するというと、1枚の中にギッチギチに詰め込もうとする方がたまにいますよね。拡大しないと読めないんじゃないかというくらい。なのにそれを30秒くらいでポンポンと先へ行ってしまう。あれじゃあ伝わるものも伝わらないですよね。</p>

<div class="round-box fr fb gray"><p>スライド中心になると、ダイアローグ（対話）ではなくなってしまう。</p></div>

<p><strong>志の春</strong>　そう。ぼくは、そこでアイコンタクトが失われるのがもったいないなあと思うんですよね。そうやってギチギチに詰め込んでしまうと、説明する人はずっとスライドを見ていることになるし、聞いている側もおそらく、同じ内容が書いてあるプリントかなんかを見たまんまで。そうするとアイコンタクトはどうしても失われてしまいますよね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そうなんですよね。モノローグになっちゃいけないわけですよ。ダイアローグになっていないと。なのに自分の世界で完結していて、そこにはまったく対話がない。接点が生まれない。だから何も伝わらない。</p>

<p><strong>志の春</strong>　そうですよね。結局、聞いている側がどんな反応をしようとも、これは淡々と進めるんだってことになってしまいますから。結婚式のスピーチとかも、あらかじめ書いてきたものをスラスラと読むより、すごく下手で噛み倒しながらでも、何もなしで言っている方が伝わったりするじゃないですか。</p>

<p>すごく上手に書けているものを一生懸命に読むだけだと、やっぱり何かが減る感じがあって。しゃべりかけているのは確かにいまやっていることなんだけれども、それを書いたのはまた別の時間だから、なんだか一緒の空間にいないみたいな感じになっちゃうんですよね。</p>

<p>だから、結婚式のスピーチとかをやる場合は、なんでもいいからとにかく暗記してやった方がいい。途中で詰まったりしても、それも含めて面白いというか、その方が余計に感情が高ぶっているように取ってもらえたりということもありますし。紙を読まないことで、言おうとしたことを忘れてしまいそうで怖いんだと思うんですけど、そんなことより、あらかじめ書いたものを読むことで失われる臨場感の方が大きいと思いますね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1569final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>表面的な言葉にとらわれず、その裏でどのようなものが伝わっているのかを意識することが大事だという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>宇田川</strong>　これって結局、そのことを通じて何を伝えているのかってことだと思うんですよ。もちろん内容も大事だと思うんだけど、内容って文脈があって初めて伝わるわけで。紙を見ながらっていうのは、失敗しないようにっていう文脈ばかりが伝わってしまって、聞いている側に申し訳なさが残ったりもしますよね。</p>

<p>そこで実は何を伝えているのかっていうのが、すごく大事なのではないか。メタメッセージ、メタコミュニケーションっていう概念があるんですけれどね。みんな表のロジックしか見えないんだけど、実はその裏には、それとセットで伝えている何かがある。この部分っていうのが、おそらく会話っていうものを通じてダイナミックに変遷していく、だから会話が大事なのではないかと思います。</p>

<p><strong>森山</strong>　うちの会社ではいくつかユニークな経営手法を取り入れていて、その中のひとつのライフプレゼンテーションっていうのが、まさにいまの話に通じていて。これがいま、スタンフォードの授業でも人気らしいんですけど、うちの会社では入社する時に、全員がそれぞれ自分の人生を20分くらい語るんですよ。そしてそれを全員で聞くんです。現在の社員70名はもちろん、これまでトータル100名ほどの人たちがこのプレゼンを経験しています。</p>

<p>プレゼンでは、ガイド役のバディというのがついて、2週間くらい一緒に練習するんですが、「プレゼンしてください」っていうと、最初は多くの人がパワーポイントとかを用意して来るんです。</p>

<p>でも、これは説明調のビジネスプレゼンテーションではないわけで。そうではなく、まさにダイアローグなんで、その場で自分がどのように生きたいかというのを伝えるのが目的です。経歴とも違います。そうではなく、ここで聞かれるのは、「あなた自身は何を伝えたいんですか？」ってことです。</p>

<p>そういうことを自然とできる人が、世の中に少ないってことなんだと思うんですよ。本来はメタとロジック、両方必要なわけですよね。片方だけじゃダメ。ロジックがないと何を言っているのかわからないから伝わらないけれど、メタなメッセージがないと、今度はどこかで聞いたことのあるような、身のない話になってしまう。</p>

<p><img src="/uploads/_OND1568final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>問題は解決するな。解消しろ</h2>

<p><strong>志の春</strong>　そういうことをやっていると、聞いている側からすると「ああ、これ自慢だな」って思うようなことが入ってきたりすることがありますか？</p>

<p><strong>森山</strong>　最初は自慢というか、いろいろと見せようとすることは確かに多いですね。でもその人の芯にあるものって、そういういろいろあるものとはまた違うじゃないですか。バディについてもらって対話していく中で、そこが見えてくると、ほとんどそぎ落ちていきますね。</p>

<p><strong>志の春</strong>　あ、それはいいことですね。</p>

<p><strong>森山</strong>　そのためのバディなんで。うちは企業さま向けにイベントのプロデュースとかもするんですが、その際にその企業の社長さんにプレゼンのトレーニングをすると、やっぱり似たような問題があって。周年イベントとかっていうと、だいたい言うべきことは感謝、それと未来への決意。この2つしかない。でも、じゃあその感謝をどうやって伝えたらいいのかってのをわかってらっしゃらない場合が多いんですよね。</p>

<p>まさに、メタでどのようにして感謝を伝えるかっていう。それはスタンスの問題なんですよね。本心がこもらないかたちで感謝を伝えようとすると、堅苦しいありきたりの挨拶になってしまう。自分の中にある本当の感謝している気持ちに触れられれば、それだけで場のエネルギーがすごいものになるはずなんですよ。これも結局はどうやって接点をもつかって話なんですけど、そういうことが社員一人ひとりのレベルでできるようになったら、すごく自律的な会社になるんじゃないかなって気がしますね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1509final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>問題は解決するのではなく、解消するべきもの。そのために「語り」が大事なのだという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>宇田川</strong>　そう思いますね。自慢っていうことで考えてみると、じゃあなぜ自慢が必要なのかって考えたら面白くて。多分、自慢するってことは、自分が相手にとって大したものじゃないと思われるのが怖いんじゃないかって気がするんです。もしそうだとしたら、「自分はどう思われているのか心配で怖いんだ」と語れたら、だいぶ変わると思うんですよ。そうすると自慢する必要自体がなくなりますから。ぼくがよく紹介するのは、問題解決じゃなくて問題解消が大事だという考え方です。problem solveじゃなくてdissolveなんですよ。dissolveってのは問題は解かない、溶かすんだっていうことです。</p>

<p><strong>森山</strong>　なるほど。さすが先生！</p>

<p><strong>志の春</strong>　問題解決と問題解消の違いって、身近な問題でいうと、例えばどういう感じなんですか？</p>

<p><strong>宇田川</strong>　例えば先ほどの、「上司がわかってくれません。どうしたらいいですか」っていう場合、問題解決だと「もっと丁寧に説明しましょう」ってなるじゃないですか。でも、そうやって丁寧に説明すればするほど、相手が理解を拒んでいくので、ますます説明をしようとするようになる。これは問題解決していくから起きるパラドックスなんですよね。</p>

<p><strong>志の春</strong>　依存症みたいな感じですね。</p>

<div class="round-box fr fb gray"><p>問題を解消すれば、そもそもの解くべき問題が必要なくなる。</p></div>

<p><strong>宇田川</strong>　そもそもなんでそんなことをしなきゃいけないのかっていう、「そもそもの問い」というものが必要で。そもそも相手が何を思っているのかをもうちょっと探ってみる、わかろうとしてみる。それでわかったら、そんなに問題解決行動は必要なくなるんです。つまり、相手が何でそういうこちらの説明を理解してくれない反応があるのかっていう文脈が見えてきて、自分の文脈っていうものとの接点が見つかれば、問題解決は必要なくなるってことです。そもそもの解くべき問題が必要なくなるので。これが問題解消です。</p>

<p><strong>志の春</strong>　なるほど！</p>

<p><strong>宇田川</strong>　例は適切じゃないかもしれないですけど、アルコール依存とかってありますよね。あれだって、仕事のプレッシャーがものすごくきついから、とか、そういう困り事の問題解決行動として手を出しているってことがありえますよね。だからアルコールだけ取り上げたって、やっぱり元の部分で困ってるから、結局また戻らざるを得なくなる。でも、困っている仕事のプレッシャーという部分が良くなってくれば、アルコールは必ずしも必要なくなってくるんですよ。これが問題解消で。</p>

<p><strong>志の春</strong>　なるほど。じゃあ仕事をやめれば......。あ、でもそれだとまた違う問題が出てきちゃうのか。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　うん。でも、「実はすごく仕事のプレッシャーがきついんです」と語れるようになったら、そうしたらその問題自体はだいぶ変化しますよね。</p>

<p><strong>志の春</strong>　そうですよね。だから、語れないっていうことが全ての問題なんですね。</p>

<p><strong>森山</strong>　どう説明したらいいかわからない、何で嫌なのかもわからないっていう時に、「正直言うとわかりません」とか「そもそも何が問題なんでしょうか？」って聞くのって、勇気がいるんですけど、大事ですよね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そうそう。それが、「わかんないから教えてくれ」って言った瞬間に、関係が変わるんですよ。メタな部分で文脈が変わるから。そうやってメタな部分が変わると、語ることも変わってくるんですよ。</p>

<p><strong>森山</strong>　そうなんですよね。単に相手が気づいてないだけってことがありえますからね。さっきの話で言えば、部下が「上司が自分をわかってくれていない」と思っていること自体に、上司が気づいていない可能性がある。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そこができると、初めて接点っていうものが生まれる。そういうことなんじゃないかって思うんですよ。</p>

<p><img src="/uploads/_OND1561final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>組織には与太郎が必要だ</h2>

<p><strong>志の春</strong>　ぼくが落語をやっている時に起こる問題といえば、ちっちゃい問題といえばそうなんですけど、落語の最中に携帯電話が鳴るってことがあるわけです。まだ笑い話、落とし噺をやってる時に鳴るんだったらそんなに目立たないですけど、人情話とかでぐーっと語り込む瞬間に鳴ると、一瞬、その世界がぶち壊れるわけですよね。全員の注意が携帯に行く。</p>

<p>それは、その場にいる誰からしても、ちょっと問題が発生した状態です。まずこちらとしたら、これまで30分の間に築いてきたものが、一瞬にして崩壊した状態にある。一方、鳴らしてしまった本人も「しまった、まずい！」って思ったりするわけですよね。まあわざと鳴らしたってことはないでしょうから。そして周りの人たちは「何で消さないんだ」っていう怒りの部分と、あとはぼくに対して、「あいつ気にしてるんじゃないか」とか「ショックを受けてるんじゃないか」みたいな、いろんな感情がうわっとあるんですよね。</p>

<p>そんな時に問題解決というか、「消してくださいね」って言うのは最悪で。全部崩壊してしまうんですよ。でもその時に、台詞として「おい、ばあさん、電話鳴ってるよ。早く取らないと、え？　切れた？　切れた？　じゃあ続きいい？」とか言って落語の中で処理しておいて、「私はそんなに気にしていませんよ」というメッセージを伝えておく。そうすると鳴らした本人も救われるし、「ああ、あいつはそんなに気にしてないんだな」ってことで周りの人たちも落ち着いてくれる。それに台詞の中でそれやると、だいたい「わーっ」と笑いが起きて、それでリセットして、もう1回入れるんですよね。</p>

<p><strong>一同</strong>　ああ、それはすごい。</p>

<p><strong>志の春</strong>　絶対に素のぼくではなくて、キャラクターが処理をするっていうのがポイントで。でもその中で「わたしは気にしてません。いいですよ」っていうことを、とりあえずその瞬間は伝える。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1489final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>森山の会社では、気づいたことをうまく言語化できる社員を増やす試みをしているという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>森山</strong>　面白いなあ。その「あいつ気にしてるんじゃないか」っていう感情の描写は本当に的確ですね。いまの話し手さんとお客さんの関係は、会社の中で言うと、会議をファシリテートする人と参加する社員の関係と似ていると感じました。</p>

<p>うちの会社では「シェア」といって、率直にいまどう思っているのかというのを会社全体で話す場を設けてるんですけど、そういう際に、うつむき加減の人がひとりいたりすると、すごく話しづらかったりするんですよね。その話しづらさというのは実は、みんなが共有している。うつむいている本人も、そのことに気づいた誰かも、他のみんなはそのことに気づいてないと思っているけれど、実はみんな気づいてるんですよね。なぜならその様子は視野に入っているから、脳がそれを処理しているんです。さっきの落語中の携帯でいえば、耳の情報として入ってきちゃってるから、人間はそこに反応してしまうんですよね。</p>

<div class="round-box fr fb gray"><p>メタな情報に触れられる人が多い会社は、文脈的にリッチなんです。</p></div>

<p>それを打破できるのは、気づいたことをうまく言語化できる人。それが実はカルチャーをつくる人なんですよね。「大丈夫？　どうしたの？」と発言を促す直接的なやり方でもいいし、それとなく「今日は発言したくない人はしなくてもいいよ」とかって言うのでもいい。そうやってまさにメタな情報に触れられる人が多い会社というのは、文脈的にリッチなんですよ。会社としてはそういう人をたくさん輩出したいですよね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そうですよね。で、その時に大事なのは、安全な組織なのかどうかっていうことだと思っているんです。言って受け入れられるのかどうか、大丈夫なのかどうかって、みんな心配じゃないですか。心理的安全ってのはだから大事なんですよ。</p>

<p>でも、もっと大事なのは「心理的安全さん」が向こうからやって来るわけではないってことですね。待っていてもダメで、心理的安全っていうのは職場で語ることからしか生まれないんですよ。つまり誰かがそういうことを言うことで、その場を変えていけばいいわけですよね。何かすごいリーダーシップのある人が言うんじゃなくて、ある意味で、そういうのはなくて文脈読めないくらいの人が。</p>

<p><strong>志の春</strong>　与太郎ってことですよね。ひとり与太郎がいることが大事なんじゃないか、と。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そう！　与太郎はね、すごく大事ですよ。空気を読むだけじゃなくて、そういう皆が読み合ってる空気を吸っちゃうやつが必要なんですよ。与太郎ってだいたいそうじゃないですか。「それ、言っちゃうんだ」っていうことを言って。そういう存在っていうのは、ある意味、役に立たないんですよ、仕事の面で直接には。でもそれを排除しちゃうと、語れないことが増えてきちゃう。</p>

<p><strong>森山</strong>　間違いないですね。話に聞くところによると、グーグルもそうだったらしいです。グーグルも毎週の会合をずっと続けているんですが、そのいちばん前の席にいつも与太郎が座るんですって。で、その人が質問しまくるというのが恒例になっていたのですが、いまはいなくなってしまったそうです。多分、その中には経営批判にあたるようなものも含まれているんでしょうけど、いろんな人たちの思いを代弁していたんでしょうね。まあその人は仕事ができたかもしれないですけど、変わった人らしいです。</p>

<p><strong>志の春</strong>　なるほど。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そういう存在って、いまその瞬間の理屈でいくんだったら、いらないんですよ。だけど会話の世界には必要。理屈ではなく大事。要は会話の幅を広げてくれるから。</p>

<p><strong>志の春</strong>　そうですよね。グサッと言われたりしますしね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そうそう。それで怒っちゃう人もいるんですよね。ぼくもね、ちょうど昨日のゼミで学生からグサッとくることを言われてね。ちょっと1回ムカッとしたんだけど、でも、ムカッときたことに対していろいろと説明したことで、かえってそれまでしゃべってこなかったことを説明することができたんで。後でその学生が詫びてきたので、「こちらとしても逆にいろいろとしゃべれてよかったよ。ありがとう」みたいな感じで。</p>

<p><strong>志の春</strong>　その学生さんは意図的にそうやって言ったんですか？</p>

<p><strong>宇田川</strong>　いえ、そいつはね。ついつい言っちゃうやつなんですよ（笑）。</p>

<p><strong>志の春</strong>　おお、なるほど。与太郎ですねえ。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　だからやっぱり大事だなって思いますね、そういう存在。会話をするまでは何が展開されているのかってわからないし、何かやってみるまでは何が起きるかわからない。あまり予断を持ちすぎちゃいけないなって。起きたことに向き合えるってことが大事かな、と思いますね。</p>

<div class="round-box fl fb gray"><p>どんな会話が展開されそうかでチームを決めてみても面白い。</p></div>

<p><strong>森山</strong>　そういう意味では、どんな会話が展開されそうかでチームを決めてみても面白いかもしれないですね。チームをつくる時って、普通は単純にどうやったらチームがうまくいくかって考えると思うんですけど、会話を想像すると面白いかもしれない。</p>

<p>まさにこの3人だって、それぞれタイプが違うじゃないですか。例えばぼくがリーダーで、会話を途切れさせてしまうようなタイプだったとしたら、それに対して「おいおい」と言ってくれる人を横に置いておくとうまくいくかな、とか。そういうことを言える人がいなかったら、多分すごくシーンとしたチームというか、ぼくの独壇場になっちゃうと思うんで。</p>

<p>だからチームをつくる時に、このチームではどんな会話がなされるだろうかと考えるのは、イノベーションを進める、もしくは組織的に、みんなが楽しく、幸せに働く上で、重要な要素になるかもしれないなと思いますね。 </p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2017/08/shinoharu3.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_OND1611final1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>ビジネスの人材育成を落語の徒弟制度から考える──立川志の春 × 宇田川元一 × 森山和彦（後編）</strong></div></a></div>
]]>
        <![CDATA[<p>前回に引き続き、立川志の春、宇田川元一、森山和彦による鼎談をお届けする。</p>

<p>会話をする時、ぼくらはそこで何をやりとりしているのか？　落語の表現方法をヒントに、問題を解決ではなく「解消」するための方法論で盛り上がる。</p>

<h2>アイコンタクトのないプレゼンはモノローグ</h2>

<p><strong>志の春</strong>　ビジネスセミナーをやる時って、結構パワーポイントを使うことが多いですよね？　パワーポイントを使った場合と、一切使わないで同じ内容のことをやった場合って、どっちの方が伝わるんですか？</p>

<p><strong>森山</strong>　ものにもよるのですが、これもやり方で。よくパワーポイントの内容をそのまま説明しちゃう人がいますが、あれはまったく伝わらないですね。いや、一応頭には伝わるのですが、それだっ
たら邪魔しないで資料を読ませてくれた方が早い。いま、TEDってあるじゃないですか。ああいうのだと、パワーポイントはあくまで補足資料として使われていて、イメージングの助けになっているんです。</p>

<p>落語みたいな名人芸だったらなくても伝わるんでしょうけど、でもやってみたら面白いかもしれないですよね。志の春さんがやっているところの後ろに、まさにそのシーンの、母屋だったりいろんな物を出したら、もしかしたら初心者の方にはもっと伝わるかもしれない。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　NHKで......。</p>

<p><strong>志の春</strong>　ああ、やってますね、NHKで『<a href="http://www4.nhk.or.jp/rakumov/">超入門！落語THE MOVIE</a>』っていうのを。あれは落語家は姿を現さずに、裏で「こんちは」「こんちは」「おや誰かと思ったらはっつぁんじゃないか」ってやっておいて、それに俳優さんが口を合わせて、映像として見せるんですね。すごく評判がいいんですよ。「あれは面白い」って。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　初めての人にとってはもちろんですが、落語に慣れている人でも、「ああ、こういう光景としても見られるんだ」という発見があるんでしょうね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1432final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>前編で、立川志の春は「隠居さんを演じている時に大事なのは、お客さんの頭の中にはっつぁんの絵が浮かぶこと」だと話していた。それをNHKの番組では、役者を使って映像で表現している。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>志の春</strong>　そうなんですよ。あれも発想の転換というか。落語って、一般的には「聞く」ものなんですよね。音声を聞いて、それを頭の中で絵に浮かべるって作業なので、「見る」ではない。でもそんな中で、NHKのあの番組は落語を「見せる」って言っていて、それが結構成功している。ちっちゃい子とかもあの番組を見て、「田能久」なんていう結構レアな話を「すごく面白かった」なんて言っていて、すごく裾野を広げていると思うんですよ。</p>

<p>まあぼくらからしたら、落語を聞いてもらった上で頭に絵を浮かばせるっていう部分にこだわりがありますけど、でもあの番組を通して落語のストーリー自体も面白いもんだって思ってもらえたら、その先に「じゃあ生で聞いたらどうなのか」となる可能性もあるわけですから、やっぱりすごい発想だなと感心しますよね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　伝えるために使えるものはなんでも使おうというのが、すごく大事なのかなって思いますね。ただ、企業の人たちには、スライドを用意するというと、1枚の中にギッチギチに詰め込もうとする方がたまにいますよね。拡大しないと読めないんじゃないかというくらい。なのにそれを30秒くらいでポンポンと先へ行ってしまう。あれじゃあ伝わるものも伝わらないですよね。</p>

<p><strong>志の春</strong>　そう。ぼくは、そこでアイコンタクトが失われるのがもったいないなあと思うんですよね。そうやってギチギチに詰め込んでしまうと、説明する人はずっとスライドを見ていることになるし、聞いている側もおそらく、同じ内容が書いてあるプリントかなんかを見たまんまで。そうするとアイコンタクトはどうしても失われてしまいますよね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そうなんですよね。モノローグになっちゃいけないわけですよ。ダイアローグになっていないと。なのに自分の世界で完結していて、そこにはまったく対話がない。接点が生まれない。だから何も伝わらない。</p>

<p><strong>志の春</strong>　そうですよね。結局、聞いている側がどんな反応をしようとも、これは淡々と進めるんだってことになってしまいますから。結婚式のスピーチとかも、あらかじめ書いてきたものをスラスラと読むより、すごく下手で噛み倒しながらでも、何もなしで言っている方が伝わったりするじゃないですか。</p>

<p>すごく上手に書けているものを一生懸命に読むだけだと、やっぱり何かが減る感じがあって。しゃべりかけているのは確かにいまやっていることなんだけれども、それを書いたのはまた別の時間だから、なんだか一緒の空間にいないみたいな感じになっちゃうんですよね。</p>

<p>だから、結婚式のスピーチとかをやる場合は、なんでもいいからとにかく暗記してやった方がいい。途中で詰まったりしても、それも含めて面白いというか、その方が余計に感情が高ぶっているように取ってもらえたりということもありますし。紙を読まないことで、言おうとしたことを忘れてしまいそうで怖いんだと思うんですけど、そんなことより、あらかじめ書いたものを読むことで失われる臨場感の方が大きいと思いますね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1569final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>表面的な言葉にとらわれず、その裏でどのようなものが伝わっているのかを意識することが大事だという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>宇田川</strong>　これって結局、そのことを通じて何を伝えているのかってことだと思うんですよ。もちろん内容も大事だと思うんだけど、内容って文脈があって初めて伝わるわけで。紙を見ながらっていうのは、失敗しないようにっていう文脈ばかりが伝わってしまって、聞いている側に申し訳なさが残ったりもしますよね。</p>

<p>そこで実は何を伝えているのかっていうのが、すごく大事なのではないか。メタメッセージ、メタコミュニケーションっていう概念があるんですけれどね。みんな表のロジックしか見えないんだけど、実はその裏には、それとセットで伝えている何かがある。この部分っていうのが、おそらく会話っていうものを通じてダイナミックに変遷していく、だから会話が大事なのではないかと思います。</p>

<p><strong>森山</strong>　うちの会社ではいくつかユニークな経営手法を取り入れていて、その中のひとつのライフプレゼンテーションっていうのが、まさにいまの話に通じていて。これがいま、スタンフォードの授業でも人気らしいんですけど、うちの会社では入社する時に、全員がそれぞれ自分の人生を20分くらい語るんですよ。そしてそれを全員で聞くんです。現在の社員70名はもちろん、これまでトータル100名ほどの人たちがこのプレゼンを経験しています。</p>

<p>プレゼンでは、ガイド役のバディというのがついて、2週間くらい一緒に練習するんですが、「プレゼンしてください」っていうと、最初は多くの人がパワーポイントとかを用意して来るんです。</p>

<p>でも、これは説明調のビジネスプレゼンテーションではないわけで。そうではなく、まさにダイアローグなんで、その場で自分がどのように生きたいかというのを伝えるのが目的です。経歴とも違います。そうではなく、ここで聞かれるのは、「あなた自身は何を伝えたいんですか？」ってことです。</p>

<p>そういうことを自然とできる人が、世の中に少ないってことなんだと思うんですよ。本来はメタとロジック、両方必要なわけですよね。片方だけじゃダメ。ロジックがないと何を言っているのかわからないから伝わらないけれど、メタなメッセージがないと、今度はどこかで聞いたことのあるような、身のない話になってしまう。</p>

<p><img src="/uploads/_OND1568final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>問題は解決するな。解消しろ</h2>

<p><strong>志の春</strong>　そういうことをやっていると、聞いている側からすると「ああ、これ自慢だな」って思うようなことが入ってきたりすることがありますか？</p>

<p><strong>森山</strong>　最初は自慢というか、いろいろと見せようとすることは確かに多いですね。でもその人の芯にあるものって、そういういろいろあるものとはまた違うじゃないですか。バディについてもらって対話していく中で、そこが見えてくると、ほとんどそぎ落ちていきますね。</p>

<p><strong>志の春</strong>　あ、それはいいことですね。</p>

<p><strong>森山</strong>　そのためのバディなんで。うちは企業さま向けにイベントのプロデュースとかもするんですが、その際にその企業の社長さんにプレゼンのトレーニングをすると、やっぱり似たような問題があって。周年イベントとかっていうと、だいたい言うべきことは感謝、それと未来への決意。この2つしかない。でも、じゃあその感謝をどうやって伝えたらいいのかってのをわかってらっしゃらない場合が多いんですよね。</p>

<p>まさに、メタでどのようにして感謝を伝えるかっていう。それはスタンスの問題なんですよね。本心がこもらないかたちで感謝を伝えようとすると、堅苦しいありきたりの挨拶になってしまう。自分の中にある本当の感謝している気持ちに触れられれば、それだけで場のエネルギーがすごいものになるはずなんですよ。これも結局はどうやって接点をもつかって話なんですけど、そういうことが社員一人ひとりのレベルでできるようになったら、すごく自律的な会社になるんじゃないかなって気がしますね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1509final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>問題は解決するのではなく、解消するべきもの。そのために「語り」が大事なのだという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>宇田川</strong>　そう思いますね。自慢っていうことで考えてみると、じゃあなぜ自慢が必要なのかって考えたら面白くて。多分、自慢するってことは、自分が相手にとって大したものじゃないと思われるのが怖いんじゃないかって気がするんです。もしそうだとしたら、「自分はどう思われているのか心配で怖いんだ」と語れたら、だいぶ変わると思うんですよ。そうすると自慢する必要自体がなくなりますから。ぼくがよく紹介するのは、問題解決じゃなくて問題解消が大事だという考え方です。problem solveじゃなくてdissolveなんですよ。dissolveってのは問題は解かない、溶かすんだっていうことです。</p>

<p><strong>森山</strong>　なるほど。さすが先生！</p>

<p><strong>志の春</strong>　問題解決と問題解消の違いって、身近な問題でいうと、例えばどういう感じなんですか？</p>

<p><strong>宇田川</strong>　例えば先ほどの、「上司がわかってくれません。どうしたらいいですか」っていう場合、問題解決だと「もっと丁寧に説明しましょう」ってなるじゃないですか。でも、そうやって丁寧に説明すればするほど、相手が理解を拒んでいくので、ますます説明をしようとするようになる。これは問題解決していくから起きるパラドックスなんですよね。</p>

<p><strong>志の春</strong>　依存症みたいな感じですね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そもそもなんでそんなことをしなきゃいけないのかっていう、「そもそもの問い」というものが必要で。そもそも相手が何を思っているのかをもうちょっと探ってみる、わかろうとしてみる。それでわかったら、そんなに問題解決行動は必要なくなるんです。つまり、相手が何でそういうこちらの説明を理解してくれない反応があるのかっていう文脈が見えてきて、自分の文脈っていうものとの接点が見つかれば、問題解決は必要なくなるってことです。そもそもの解くべき問題が必要なくなるので。これが問題解消です。</p>

<p><strong>志の春</strong>　なるほど！</p>

<p><strong>宇田川</strong>　例は適切じゃないかもしれないですけど、アルコール依存とかってありますよね。あれだって、仕事のプレッシャーがものすごくきついから、とか、そういう困り事の問題解決行動として手を出しているってことがありえますよね。だからアルコールだけ取り上げたって、やっぱり元の部分で困ってるから、結局また戻らざるを得なくなる。でも、困っている仕事のプレッシャーという部分が良くなってくれば、アルコールは必ずしも必要なくなってくるんですよ。これが問題解消で。</p>

<p><strong>志の春</strong>　なるほど。じゃあ仕事をやめれば......。あ、でもそれだとまた違う問題が出てきちゃうのか。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　うん。でも、「実はすごく仕事のプレッシャーがきついんです」と語れるようになったら、そうしたらその問題自体はだいぶ変化しますよね。</p>

<p><strong>志の春</strong>　そうですよね。だから、語れないっていうことが全ての問題なんですね。</p>

<p><strong>森山</strong>　どう説明したらいいかわからない、何で嫌なのかもわからないっていう時に、「正直言うとわかりません」とか「そもそも何が問題なんでしょうか？」って聞くのって、勇気がいるんですけど、大事ですよね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そうそう。それが、「わかんないから教えてくれ」って言った瞬間に、関係が変わるんですよ。メタな部分で文脈が変わるから。そうやってメタな部分が変わると、語ることも変わってくるんですよ。</p>

<p><strong>森山</strong>　そうなんですよね。単に相手が気づいてないだけってことがありえますからね。さっきの話で言えば、部下が「上司が自分をわかってくれていない」と思っていること自体に、上司が気づいていない可能性がある。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そこができると、初めて接点っていうものが生まれる。そういうことなんじゃないかって思うんですよ。</p>

<p><img src="/uploads/_OND1561final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>組織には与太郎が必要だ</h2>

<p><strong>志の春</strong>　ぼくが落語をやっている時に起こる問題といえば、ちっちゃい問題といえばそうなんですけど、落語の最中に携帯電話が鳴るってことがあるわけです。まだ笑い話、落とし噺をやってる時に鳴るんだったらそんなに目立たないですけど、人情話とかでぐーっと語り込む瞬間に鳴ると、一瞬、その世界がぶち壊れるわけですよね。全員の注意が携帯に行く。</p>

<p>それは、その場にいる誰からしても、ちょっと問題が発生した状態です。まずこちらとしたら、これまで30分の間に築いてきたものが、一瞬にして崩壊した状態にある。一方、鳴らしてしまった本人も「しまった、まずい！」って思ったりするわけですよね。まあわざと鳴らしたってことはないでしょうから。そして周りの人たちは「何で消さないんだ」っていう怒りの部分と、あとはぼくに対して、「あいつ気にしてるんじゃないか」とか「ショックを受けてるんじゃないか」みたいな、いろんな感情がうわっとあるんですよね。</p>

<p>そんな時に問題解決というか、「消してくださいね」って言うのは最悪で。全部崩壊してしまうんですよ。でもその時に、台詞として「おい、ばあさん、電話鳴ってるよ。早く取らないと、え？　切れた？　切れた？　じゃあ続きいい？」とか言って落語の中で処理しておいて、「私はそんなに気にしていませんよ」というメッセージを伝えておく。そうすると鳴らした本人も救われるし、「ああ、あいつはそんなに気にしてないんだな」ってことで周りの人たちも落ち着いてくれる。それに台詞の中でそれやると、だいたい「わーっ」と笑いが起きて、それでリセットして、もう1回入れるんですよね。</p>

<p><strong>一同</strong>　ああ、それはすごい。</p>

<p><strong>志の春</strong>　絶対に素のぼくではなくて、キャラクターが処理をするっていうのがポイントで。でもその中で「わたしは気にしてません。いいですよ」っていうことを、とりあえずその瞬間は伝える。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1489final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>森山の会社では、気づいたことをうまく言語化できる社員を増やす試みをしているという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>森山</strong>　面白いなあ。その「あいつ気にしてるんじゃないか」っていう感情の描写は本当に的確ですね。いまの話し手さんとお客さんの関係は、会社の中で言うと、会議をファシリテートする人と参加する社員の関係と似ていると感じました。</p>

<p>うちの会社では「シェア」といって、率直にいまどう思っているのかというのを会社全体で話す場を設けてるんですけど、そういう際に、うつむき加減の人がひとりいたりすると、すごく話しづらかったりするんですよね。その話しづらさというのは実は、みんなが共有している。うつむいている本人も、そのことに気づいた誰かも、他のみんなはそのことに気づいてないと思っているけれど、実はみんな気づいてるんですよね。なぜならその様子は視野に入っているから、脳がそれを処理しているんです。さっきの落語中の携帯でいえば、耳の情報として入ってきちゃってるから、人間はそこに反応してしまうんですよね。</p>

<p>それを打破できるのは、気づいたことをうまく言語化できる人。それが実はカルチャーをつくる人なんですよね。「大丈夫？　どうしたの？」と発言を促す直接的なやり方でもいいし、それとなく「今日は発言したくない人はしなくてもいいよ」とかって言うのでもいい。そうやってまさにメタな情報に触れられる人が多い会社というのは、文脈的にリッチなんですよ。会社としてはそういう人をたくさん輩出したいですよね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そうですよね。で、その時に大事なのは、安全な組織なのかどうかっていうことだと思っているんです。言って受け入れられるのかどうか、大丈夫なのかどうかって、みんな心配じゃないですか。心理的安全ってのはだから大事なんですよ。</p>

<p>でも、もっと大事なのは「心理的安全さん」が向こうからやって来るわけではないってことですね。待っていてもダメで、心理的安全っていうのは職場で語ることからしか生まれないんですよ。つまり誰かがそういうことを言うことで、その場を変えていけばいいわけですよね。何かすごいリーダーシップのある人が言うんじゃなくて、ある意味で、そういうのはなくて文脈読めないくらいの人が。</p>

<p><strong>志の春</strong>　与太郎ってことですよね。ひとり与太郎がいることが大事なんじゃないか、と。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そう！　与太郎はね、すごく大事ですよ。空気を読むだけじゃなくて、そういう皆が読み合ってる空気を吸っちゃうやつが必要なんですよ。与太郎ってだいたいそうじゃないですか。「それ、言っちゃうんだ」っていうことを言って。そういう存在っていうのは、ある意味、役に立たないんですよ、仕事の面で直接には。でもそれを排除しちゃうと、語れないことが増えてきちゃう。</p>

<p><strong>森山</strong>　間違いないですね。話に聞くところによると、グーグルもそうだったらしいです。グーグルも毎週の会合をずっと続けているんですが、そのいちばん前の席にいつも与太郎が座るんですって。で、その人が質問しまくるというのが恒例になっていたのですが、いまはいなくなってしまったそうです。多分、その中には経営批判にあたるようなものも含まれているんでしょうけど、いろんな人たちの思いを代弁していたんでしょうね。まあその人は仕事ができたかもしれないですけど、変わった人らしいです。</p>

<p><strong>志の春</strong>　なるほど。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そういう存在って、いまその瞬間の理屈でいくんだったら、いらないんですよ。だけど会話の世界には必要。理屈ではなく大事。要は会話の幅を広げてくれるから。</p>

<p><strong>志の春</strong>　そうですよね。グサッと言われたりしますしね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そうそう。それで怒っちゃう人もいるんですよね。ぼくもね、ちょうど昨日のゼミで学生からグサッとくることを言われてね。ちょっと1回ムカッとしたんだけど、でも、ムカッときたことに対していろいろと説明したことで、かえってそれまでしゃべってこなかったことを説明することができたんで。後でその学生が詫びてきたので、「こちらとしても逆にいろいろとしゃべれてよかったよ。ありがとう」みたいな感じで。</p>

<p><strong>志の春</strong>　その学生さんは意図的にそうやって言ったんですか？</p>

<p><strong>宇田川</strong>　いえ、そいつはね。ついつい言っちゃうやつなんですよ（笑）。</p>

<p><strong>志の春</strong>　おお、なるほど。与太郎ですねえ。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　だからやっぱり大事だなって思いますね、そういう存在。会話をするまでは何が展開されているのかってわからないし、何かやってみるまでは何が起きるかわからない。あまり予断を持ちすぎちゃいけないなって。起きたことに向き合えるってことが大事かな、と思いますね。</p>

<p><strong>森山</strong>　そういう意味では、どんな会話が展開されそうかでチームを決めてみても面白いかもしれないですね。チームをつくる時って、普通は単純にどうやったらチームがうまくいくかって考えると思うんですけど、会話を想像すると面白いかもしれない。</p>

<p>まさにこの3人だって、それぞれタイプが違うじゃないですか。例えばぼくがリーダーで、会話を途切れさせてしまうようなタイプだったとしたら、それに対して「おいおい」と言ってくれる人を横に置いておくとうまくいくかな、とか。そういうことを言える人がいなかったら、多分すごくシーンとしたチームというか、ぼくの独壇場になっちゃうと思うんで。</p>

<p>だからチームをつくる時に、このチームではどんな会話がなされるだろうかと考えるのは、イノベーションを進める、もしくは組織的に、みんなが楽しく、幸せに働く上で、重要な要素になるかもしれないなと思いますね。 </p>
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    <title>落語家と考える、仕事がうまくいく「会話の力」──立川志の春 × 宇田川元一 × 森山和彦（前編） - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/07/shinoharu1.html" />
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    <published>2017-07-18T03:45:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:08:26Z</updated>

    <summary>なんでもネットで自己完結できる現代において、いかに会話がビジネスにとって重要なのか。商社マンから転身した注目の落語家を迎えて、以前BNLに登場した宇田川元一（埼玉大学大学院准教授）と、森山和彦（CRAZY代表）を交えて語り合った90分を、3回に分けて公開。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="出会いからアイデアを生み出す" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>経営学者の宇田川元一は、BNLが<a href="https://bnl.media/2017/05/udagawa.html">過去に行ったインタビュー</a>の中で、組織を変える力は「語り」の中からしか生まれないと言った。人と人とがともに何かにあたる時、そこにはおそらく、常に何かしらの対話がある。ビジネスネットワークを考えるうえで、ぼくらは「語り」について、もっと考えなければならない。</p>

<p>そこで今回は、落語家の立川志の春、CRAZY代表の森山和彦との3者鼎談という形で、「語り」がイノベーションにどのように寄与するかということについて、さらに掘り下げてもらった。語りのプロと、革新的な経営者と、気鋭の経営学者。3者による異色のイノベーショントークを、全3回にわたってお届けする。</p>

<p>ご存知の方からすれば、あらためて言うまでもないことだが、落語というものは基本的に、ほぼすべての内容が登場人物の会話によって成立している。そのことに、イノベーションにつながる重要なヒントが隠されているのではないかというところから、会話は始まった。</p>

<p><img src="/uploads/_OND1486final.jpg" alt="" title="" />
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/5951442021">立川志の春</a></strong><small>落語家</small>
<p>立川志の輔の3番弟子。1976年大阪府生まれ、千葉県柏市育ち。米国イェール大学卒業後、三年半ほど三井物産の鉄鉱石部にて勤務。偶然通りがかって初めて観た落語に衝撃を受け、2002年10月に志の輔門下に入門。11年1月、二つ目昇進。日本語はもちろん、留学経験を活かした英語落語での公演も行う。著書に、『誰でも笑える英語落語』（新潮社）、『あなたのプレゼンに「まくら」はあるか？落語に学ぶ仕事のヒント』（星海社新書）、『自分を壊す勇気』（クロスメディアパブリッシング）。
</p></aside></p>

<h2>イノベーションと会話のプロセスは似ている</h2>

<p><strong>志の春</strong>　最近、落語についてあらためて考えるところがありまして。というのも、落語の中に出てくる会話って、どれもどうってことないんですよ。</p>

<p>例えば、はっつぁんが隠居さんのところに「鶴ってなんで鶴っていうんですか？」というようなことをわざわざ聞きに行く。すると、隠居さんはそれを知らないんですけど、ちょっと知ったかぶりをして適当な話をこしらえて、はっつぁんに伝えるんですよね。で、はっつぁんはそれを聞いて「すげえな」と言って、これはぜひ誰かに聞かせてやらなきゃというんで友だちのところへ行って、その話をしようとして失敗して、笑うっていう。</p>

<p>いまだったらネットかなんかで「鶴　なぜ？」とかって調べたら、たぶん一瞬で終わることを、わざわざ隠居さんのところへ聞きに行くというところから、ずーっと会話がつながっていく。誰か一人でも「鶴？　そんなことどうでもいいじゃねえか」って言ってしまったらそれで終わりだし、隠居さんが「そんなこと私は知らないよ」って言っても終わり。でも、誰もその会話を切ろうとしない。それで、ダイレクトに知ろうとしたら3秒でわかるようなことを、わざわざ15分もかけて話すんですよ。もう完全に無駄なんですよね。</p>

<p>だから、落語って内容自体も面白いんですけど、全体を通して「会話って楽しいよね」って言ってるんじゃないのかな。いまの世の中はなんだか必要な会話ばかりがたくさんありますけど、それとはちょっと違うなっていう。</p>

<p><strong>森山</strong>　落語自体が「会話は楽しい」ということを教えてくれていて、みんなでそのことを楽しむ、というような？</p>

<p><strong>志の春</strong>　そうですね。落語はそもそもが会話でつないでいく形式でもあるので。会話の中身もそうなんですけど、登場人物たちが会話を続けている、切らないっていうのがいいんじゃないか、と。しかも、仮に嫌な奴がいたとしても、「あいつは嫌いだから話さない」っていうんじゃなくて、「あいつ本当に嫌な奴だから、ちょっと懲らしめてやろう」って言って、それでまた会話になる。排除はしないんですよね、嫌な奴だとは言いながらも。</p>

<p><img src="/uploads/_OND1444final.jpg" alt="" title="" />
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/39573583282">宇田川元一</a></strong><small>埼玉大学大学院人文社会科学研究科准教授</small>
<p>1977年東京都生まれ。2000年立教大学経済学部卒業。02年同大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。06年明治大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得。 06年早稲田大学アジア太平洋研究センター助手、07年長崎大学経済学部講師、准教授、10年西南学院大学商学部准教授を経て、16年より現職。 専門は、経営戦略論、組織論。 主に欧州を中心とするOrganization StudiesやCritical Management Studiesの領域で、ナラティヴ・アプローチを理論的な基盤として、イノベーティブで協働的な組織のあり方とその実践について研究を行っている。07年度経営学史学会賞（論文部門奨励賞）受賞。</p></aside></p>

<p><strong>宇田川</strong>　自分も最近、研究の中でよく言うんです。「イノベーションのプロセスは会話に似ている」って。その時に例に出すのが、落語の「薮入り」の話なんですよ。</p>

<p><strong>志の春</strong>　えー。そうなんですか。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　ええ。「薮入り」がどういう話かというのは、本当はぼくが説明するより志の春さんに話していただいた方がいいんですけど（笑）、簡単に説明すると、丁稚奉公に出ていた息子さんが3年ぶりに実家に帰ってくるということで、久々に会う息子をどこに連れていってやろうかと考えて、お父さんが夜も眠れなくなるって話なんです。</p>

<p>最初は品川に行って海を見せてやろう、とか考えるんですけど、品川に行ったら、ついでに川崎にも行って大師様にお参りしよう、そうしたら横浜も、鎌倉も......とどんどんつながっていって、最終的には四国の金毘羅様まで、と妄想は膨らんでいく。</p>

<p>で、ここで何が大事なのかというと、品川に行かなければ、川崎に行こうとは思わないってことなんですよ。当然、川崎に行かなければ、横浜に行こうとも思わない。人間の思考は、最初から品川と川崎と横浜へ行って......というふうにはできていなくて、何かをやることで初めて、関係なかったものがつながっていくのです。</p>

<p>おそらくこれが会話のプロセスのものすごく大きな特徴で。これはミハイル・バフチンという哲学者が言っているのですが、われわれは発話している時、自分の意思を表現していると思いがちだけど、実際にはそうではない。発話というのは問いに対する応答である、と。</p>

<p>イノベーションのプロセスも同じで、まず何かやってみて、そのことによって問いに出会うというのが重要なことなんじゃないかなと思うんです。ロジックだけの世界だったら、その問いって出てこないんですよ。ずっと答え、答え、答え、答えで。</p>

<p><img src="/uploads/_OND1601final.jpg" alt="" title="" />
<aside><strong><a href="https://8card.net/p/39587443608">森山和彦</a></strong><small>株式会社CRAZY代表取締役社長</small>
<p>1982年生まれ。中央大学卒業後、人材コンサルティング会社に入社。経営コンサルタントとしてトップセールスを記録。6年間の勤務を経て独立し、2012年7月に株式会社CRAZYの前身であるUNITEDSTYLEを創業。主な事業は完全オーダーメイドコンセプトウェディングサービス「CRAZY WEDDING」。年間250件を超えるウェディング事業の経験を活かし、法人向けのクリエイティブサービス「CRAZY CREATIVE AGENCY」を開始。CRAZY社は今後数多くの事業立ち上げに挑戦し、最終的には2000社100万人の雇用を生み出すことを宣言している。</p></aside></p>

<h2>自己完結はイノベーションを遠ざける</h2>

<p><strong>森山</strong>　いまのお2人の話を聞いていて思ったのは、最近は自己完結することができる世界になってきているなってことです。そのことがぼくらをイノベーションから遠ざけているのかもしれないという仮説ですよね。</p>

<p>むかしは例えば魚が欲しいと思ったら、とりあえず志の春さんに聞いてみようってところから始まって、そうしたら何か思わぬ面白い話を聞けたりだとか、いろいろな予想外のことが起きて、魚を手に入れる以外にも、結果的にいろいろなものが得られた。でも、いまはネットでポーンと注文したりして自己完結できちゃうんで、魚だけしか手に入らないとも言える。自己完結したロジックだけで考えていったのでは、得られるものは少ないってことですよね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そうそう。おそらく、いろいろな発明っていうのは会話の中で生まれているのではないでしょうか。例えば、iPhoneの画面はなぜどんどん大きくなっていくのか。これは、iPhoneに対抗するためにグーグルがオープンなプラットフォームで「誰でもAndroidを作れます」と言って、いろいろなメーカーに作らせてしまったことが大きい。</p>

<p>そうすると、サムスンのGalaxyみたいな大きい画面のものも出てきて、「iPhoneはこのままでいいの？」って問いかけてくるわけです。だからそれに対してiPhone側も応答する。そういうプロセスを経て、次第に画面が大きくなっていく。大事な点は、決して、最初からそういう設計がなされているわけじゃないということです。</p>

<p><strong>森山</strong>　アップルだけがイノベーションを起こしたわけではなくて、応答の中でそれが起こってるんじゃないかっていう視点ですよね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そうです。だから、会話をするっていうのは一見すると、すごく無駄なわけですよ。会話が展開される前の時点のロジックからしたら無駄。だけど、何かに出会うという意味では、ものすごく大事なことですよね。</p>

<p><img src="/uploads/_OND1493final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>見えないものを見せる会話の力</h2>

<p><strong>宇田川</strong>　そこでお聞きしたいのが、落語における「まくら」についてです。あるいは落語本編に入った後もそうなんですけど、お客さんの反応を見て、内容をアドリブで変えていくということを、どの程度やっているものでしょうか？</p>

<p><strong>志の春</strong>　まくらをしゃべっている段階というのはまだ落語に入っていないので、お客さんとの間に壁はないわけですよね。だからお客さんと対話しているわけです。まあ声を出しているのはぼくだけかもしれないですけど、精神としては会話をしていて。こちらから投げかけた言葉があるとして、それに対して向こうから無言のリアクションを受けながら、また返していくって感じですよね。だから、まくらの間でも決まったことを投げかけているというのではなく、すごく変わっていきます。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>ウケるためには、お客さんの頭の中に絵が浮かぶ瞬間を狙って、ウケる台詞を言う必要がある</p>
</div>

<p>落語本編に入ってからは、お客さんのリアクションによって「間」というものがすごく変わっていきます。というのも、落語にはだいたいここはウケるというウケどころのようなものがあって、その間をつないでいくわけですが、ウケどころで確実にウケるためには、その一つ前の台詞を言うことでお客さんの頭の中に絵が浮かぶ、ちょうどその瞬間を狙ってウケる台詞を言う必要があるんです。</p>

<p>ところが、これが一瞬早いと、絵がまだ浮かんでいないから笑いにはならないし、一瞬遅くても、今度は次を予想できてしまうから、また笑いにはならない。だから絵が浮かんだちょうどその瞬間に言う必要があるわけです。でも、その最適な間というのは会場によって違うし、お客さんの平均年齢によっても全然違うので、それをなんとなく感じながら、「いまだ！」というのでやっていく感じですよね。</p>

<p><strong>森山</strong>　いま伺っていて、なんとなく落語が会話調であることの意味みたいなものが見えた気がするんですけど、それって経営とも似ているというか。説明調で、いわゆるロジックで話しているだけじゃ人は動かないってところがあるじゃないですか。経営者にはどうしてもロジックから入る人が多い傾向があるんで、落語から学べるところがすごくあるんじゃないか、と。落語が会話調を選ぶ理由、説明調でやった時との違いがなんなのかというのを、もう少し教えてもらってもいいですか？</p>

<p><img src="/uploads/_OND1510final.jpg" alt="" title="" /></p>

<p><strong>志の春</strong>　これは多分、究極的には「落語とは何か」って話だと思うんですけど、落語って、こっちを向いては隠居さんをやり、逆を向いてははっつぁんをやり、というようにして会話する2人を演じているじゃないですか。その時、隠居さんを隠居さんらしく上手に演じられるっていうのは、それほど大事じゃないと思うんですよね。それはまあ誰にでもできるというか、一応は到達できるところなんですよ。じゃあお前は到達できているのか、って聞かれたら、まったく到達できていませんけどね。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>見えないものが見えてきた方が、イメージが強力になる</p>
</div>

<p>隠居さんを演じている時に大事なのは、お客さんの頭の中にはっつぁんの絵が浮かぶことです。逆にはっつぁんを演じている時には、向こう側に隠居さんの絵が浮かぶことが大事なんですよ。見えている隠居さんがどれだけ上手でも、まあ見えているものの限界があると思うんです。でも、隠居さんがしゃべっている様子を見て、見えないはずのはっつぁんの姿がブワッと浮かんでくると、それは無限のイメージになるんですよね。見えないものが見えてきた方が、イメージが強力になるんです。</p>

<p>会話っておそらく、しゃべっている向こうにいる人が見えてきやすい形式なんじゃないかな。会話形式にすることによってイメージが膨らみ、そのことによってパワフルになるっていうことがあるんじゃないかと思うんですよね。</p>

<div class="round-box fl fb blue"><a href="/2017/05/udagawa.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_L2A8926final.jpg">
<div class="info"><strong>正解を探すな。まずは苦労を語れ。経営学者・宇田川元一が説く、組織を変える「語り」の力</strong> <date>2017.05.31</date></div></a></div>

<p><strong>宇田川</strong>　それでひとつ思い出したのですが、1990年代に、アメリカの大企業でリエンジニアリングというのが流行った時期がありました。要は、いまやっている仕事をゼロベースで見直して、ロジカルに必要な部分だけを残して再設計すれば、その組織は効率的でイノベーティブになれるだろうっていう考え方です。それですごく礼賛されたんだけども、やった会社はことごとくダメになったんですよ。</p>

<p>なぜそんなことが起きたのか。ぼくの研究しているテーマのひとつに「組織におけるストーリーテリング」というものがあるのですが、その分野にこの問題を扱った研究がありまして。どういうことかというと、何かをやる時には、物語ることが大事だから、それを端折ってしまってはうまくいかないってことです。特に、まずは小噺をみんなで語ることが大事だ、と。だから似ているんですよ、落語と。</p>

<p>なぜ小噺が大事かというと、最初のストーリーって、要はどう接点をつくるかだと思うんです。みんなロジックだけで世界はできていると思いがちだけれど、そのロジック同士には接点がないんですよね。例えば医療の領域で言えば、お医者さんは医学の知識をもっていて、科学的な根拠をもっている。けれども、それだけでは患者さんの生活とは接点がないから、医学的には正しくても、その患者さんにとっては必ずしも正しいとは限らないんです。このように、立場が違う人同士の接点をつくるうえでは、やっぱり語ることが大事だと思います。</p>

<div class="round-box fr fb gray"><p>陥りがちな失敗は、自分の自慢話をしちゃうこと</p></div>

<p>ぼくがこうしたストーリーテリングの話を授業でする時に、陥りがちな失敗パターンとして例に出すのが、自分の自慢話をしちゃうことです。そうではなくて、聞いている側の人が主人公になるような話をしてあげることが大事だ、と。そういう話をよくしていたんで、いまの志の春さんの話はすごく似ていて、聞いていてギョッとしたんですよ（笑）。</p>

<p>最近だと、Webサービスやプロダクトのユーザーエクスペリエンスをどうデザインするかという文脈でストーリーテリングがよく用いられるんですが、ここで言われるのも、サービスをデザインするうえでは、作り手側の都合を押し付けるのではなく、ユーザーにとって意味のあるストーリーをつくることがいかに大事かって話で。まくらなんですよ、まさに！</p>

<p><img src="/uploads/_OND1557final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>落語の「まくら」に接点づくりを学べ</h2>

<p><strong>森山</strong>　ビジネスの現場だと他にどういう時に、まくら、というか接点づくりのための対話を使う場合が多いですか？</p>

<p><strong>宇田川</strong>　例えば、いろんなところで講演するとよく、「自分の上司がものをわかってくれない」というようなことを言う人がいるわけです。だけどぼくが思うのは、じゃあ逆にあなたは、上司のことをどれくらいわかっているんですか？ということです。</p>

<p>つまりこういう場合、両者はお互いに、違う世界の中で自分は正しいと思っている。どちらもその正しさはおおむね、ロジックでちゃんと説明ができるんですよ。だけど、そのようにしてどっちも正しいとなった時に、その間に接点がなかったら、いくら自分の側からロジックが正しくたって何も起きないんですよ。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4061385593" target="_blank"><img src="/uploads/81YNAW6c1fL.jpg" width="150"><div class="info"><strong>『あなたのプレゼンに「まくら」はあるか？落語に学ぶ仕事のヒント』</strong><p>なぜ商社マンから落語家になったのか。魅了された落語の面白さを読者に伝えるとともに、ビジネスに役立つヒントも散りばめられている。新書とAudible版があるが、お薦めは志の春本人が、まるで落語を聴いているかのような、ライブ感たっぷりの朗読をしているAudible版。</p></div></a></div>

<p>噺家さんっていうのはおそらく、お客さんとのやりとりを通じてコンテクストを徐々につくっているんだと思うんです。そうやってコンテクストをつくったうえでネタのトリガーポイントのような部分が訪れるから、そこでボンって笑いが起こる。</p>

<p>きっとビジネスでも同じことで。組織の中で立場が違うということは、それぞれ違う現実を見ているということなんです。相手とはわかりあえないと思った時に、普通は「こっちが正しい」「いや、こっちが正しい」ってやりあってしまうけれど、実はどっちも正しくて。そこで、接点づくりとしての会話のプロセスがあることが大事になってくるわけです。</p>

<p><strong>森山</strong>　ぼくは人事のコンサルティングが出身で、脳科学とか心理学が専門だったので、こういう話はめちゃくちゃ興味があって。それを生かして会社の経営をしているのですが、いまのコンテクストという言葉も、組織人事の用語としてよく使われるんですよ。</p>

<p>世の中の争いって、認識の問題から起きていると思うんです。視点が違うと、それぞれの中では正しい。だからこそお互いにぶつかってしまう。だとすると、お互いの視点を知ることができればいいわけですが、実際は難しいですよね。例えば男性のぼくが、女性である妻の視点に立つことは究極的にはできない。接点やまくらって、このように相手の視点には立てないことを認めたうえで、どのようにコンテクストを共有するかってことだと思うんです。</p>

<p>それをロジックだけでやってしまうと、対立構造になってしまいますよね。そうではなくて、ストーリーテリングとか、落語でいう「まくら」とかを使いながら、場や臨場感といったものを共有する。この作業が終わって初めて、お互いを理解し合えるようになるのだと思います。</p>

<p><img src="/uploads/_OND1534final.jpg" alt="" title="" /></p>

<p><strong>志の春</strong>　そうそう。そこを合わせておかないと、どれだけ面白い話をしたって笑ってもらえないんですよ。「こいつ違うな」って思われていたら。落語本編に入ってからも、間を合わせたり、お客さんと呼吸を合わせたりして調整をはかるんですけど、その場でウケるかウケないかって、9割方はどの話を選択するかで決まってしまうんですよね。</p>

<p>落語家はそれを事前に決めていくということはやらないんで、その場に行って、ちょっとまくらを振りながら、お客さんの様子を見て、「よし、これでいこう」っていうのを決めていく。今日の客層はこういう感じだからってことで、事前にだいたい5つくらい用意しておいて、実際に話をしていくなかで、それを最終的に1つに絞っていくんです。</p>

<p>もしも通の方が今日はたくさんいそうだなという場合は、そういう人はもう腐るほど名人の芸を聞いているわけで、その中でわざわざ若手を聞きに来たということは、もしかしたらスタンダードなものよりも、新作とか、他の人があまりやらないような、ちょっとひねったものをやった方が喜ばれるかもしれない。</p>

<p>逆に初心者の方が多い場合は、落語ってちょっと難しいんじゃないかと思っていたりするので、「そう思ってるんでしょ。実はぼくもそうでした」ってところで共感をつくるところから入る。「予習してないけど大丈夫かな」とか「どこで声を出して笑ったらいいんだろうか」とか、結構気にしているらしいんですよね。だから「好きなように反応してくれればいいんですよ」と、そういうところを取っ払っておいて、まずはとっつきやすい、イメージしやすい話から入って、そのうえでイケるとなったら2席目で人情話とかをやれば、「ああ、こういうのもあるんだ」ということで受け入れてもらえたりもする。</p>

<p>でも、最初の選択をするにあたっての、お客さんがどういう方たちなのかなっていうのを選び間違えると、えらいことになるんですよね。もうどうやったって無理っていう。</p>

<p><img src="/uploads/_OND1530final.jpg" alt="" title="" /></p>

<p><strong>森山</strong>　うちはイベントプロデュースとかもしている会社なので、ビジネスセミナーに関わることも多いのですが、ビジネスセミナーにおけるまくらのことを、「アイスブレイク」っていうんです。でも、あれを勘違いしている人が本当に多くって。「とりあえずゲームとか自己紹介とかやらせておけばいいんでしょう？」みたいな感じで捉えているんですよね。</p>

<p><strong>志の春</strong>　それは、来ている人たちがちょっと仲良くなるように？</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="/2016/11/crazy-wedding-moriyama.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_OND4203final1094.jpg">
<div class="info"><strong>「CRAZY WEDDING」森山和彦の仕事は、"楽しい"の連鎖をつくること</strong> <date>2017.11.25</date></div></a></div>

<p><strong>森山</strong>　そうです。ちょっと仲良くなるっていうためにしか使われないんで、会の趣旨と関係なく、分離して使っちゃうんですよ。本来はそうではなくて、そこに集まっている人たちの様子を見ながら、「今日はどうしようかな」というふうにやると、さっきお話いただいたようないろいろな可能性があるじゃないですか。</p>

<p>それをわかっていない人がやると、「とりあえず自己紹介してくださーい」とかってなるのですが、そこにはコンテクストが無いんです。しかも、自己紹介をしてつくった空気をまったく引用せずに、「それでは始めたいと思います。登壇者の先生、お願いいたします」となってしまう。それじゃあ、せっかくのいい話も、入りにくくなってしまうんですよ。先生が話して、生徒は聞くだけっていう、学校教育の悪い例のような感覚で、一体感に欠けるんです。ぼくらからすると、見ていてすごくもったいないなぁと思うのですが、実際にそういう会が多いです。</p>

<p>だから、この落語の話っていうのは、社員に向けて話す機会が多い経営者だったり、ビジネスセミナーをする人だったりにとって、すごく生かされる話だと思います。このメッセージ、そういう人に届くといいですよね。（中編に続く）</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2017/07/shinoharu2.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_OND1555final1094.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>語りの力で、問題解決より「問題解消」を目指そう──立川志の春 × 宇田川元一 × 森山和彦（中編）</strong></div></a></div>
]]>
        <![CDATA[<p>経営学者の宇田川元一は、BNLが過去に行ったインタビューの中で、組織を変える力は「語り」の中からしか生まれないと言った。人と人とがともに何かにあたる時、そこにはおそらく、常に何かしらの対話がある。ビジネスネットワークを考えるうえで、ぼくらは「語り」について、もっと考えなければならない。</p>

<p>そこで今回は、落語家の立川志の春、CRAZY代表の森山和彦との3者鼎談という形で、「語り」がイノベーションにどのように寄与するかということについて、さらに掘り下げてもらった。語りのプロと、革新的な経営者と、気鋭の経営学者。3者による異色のイノベーショントークを、全3回にわたってお届けする。</p>

<p>ご存知の方からすれば、あらためて言うまでもないことだが、落語というものは基本的に、ほぼすべての内容が登場人物の会話によって成立している。そのことに、イノベーションにつながる重要なヒントが隠されているのではないかというところから、会話は始まった。</p>

<p><img src="/uploads/_OND1486final.jpg" alt="" title="" />
<aside><strong>立川志の春</strong><small>落語家</small>
<p>立川志の輔の3番弟子。1976年大阪府生まれ、千葉県柏市育ち。米国イェール大学卒業後、三年半ほど三井物産の鉄鉱石部にて勤務。偶然通りがかって初めて観た落語に衝撃を受け、2002年10月に志の輔門下に入門。11年1月、二つ目昇進。日本語はもちろん、留学経験を活かした英語落語での公演も行う。著書に、『誰でも笑える英語落語』（新潮社）、『あなたのプレゼンに「まくら」はあるか？落語に学ぶ仕事のヒント』（星海社新書）、『自分を壊す勇気』（クロスメディアパブリッシング）。
</p></aside></p>

<h2>イノベーションと会話のプロセスは似ている</h2>

<p><strong>志の春</strong>　最近、落語についてあらためて考えるところがありまして。というのも、落語の中に出てくる会話って、どれもどうってことないんですよ。</p>

<p>例えば、はっつぁんが隠居さんのところに「鶴ってなんで鶴っていうんですか？」というようなことをわざわざ聞きに行く。すると、隠居さんはそれを知らないんですけど、ちょっと知ったかぶりをして適当な話をこしらえて、はっつぁんに伝えるんですよね。で、はっつぁんはそれを聞いて「すげえな」と言って、これはぜひ誰かに聞かせてやらなきゃというんで友だちのところへ行って、その話をしようとして失敗して、笑うっていう。</p>

<p>いまだったらネットかなんかで「鶴　なぜ？」とかって調べたら、たぶん一瞬で終わることを、わざわざ隠居さんのところへ聞きに行くというところから、ずーっと会話がつながっていく。誰か一人でも「鶴？　そんなことどうでもいいじゃねえか」って言ってしまったらそれで終わりだし、隠居さんが「そんなこと私は知らないよ」って言っても終わり。でも、誰もその会話を切ろうとしない。それで、ダイレクトに知ろうとしたら3秒でわかるようなことを、わざわざ15分もかけて話すんですよ。もう完全に無駄なんですよね。</p>

<p>だから、落語って内容自体も面白いんですけど、全体を通して「会話って楽しいよね」って言ってるんじゃないのかな。いまの世の中はなんだか必要な会話ばかりがたくさんありますけど、それとはちょっと違うなっていう。</p>

<p><strong>森山</strong>　落語自体が「会話は楽しい」ということを教えてくれていて、みんなでそのことを楽しむ、というような？</p>

<p><strong>志の春</strong>　そうですね。落語はそもそもが会話でつないでいく形式でもあるので。会話の中身もそうなんですけど、登場人物たちが会話を続けている、切らないっていうのがいいんじゃないか、と。しかも、仮に嫌な奴がいたとしても、「あいつは嫌いだから話さない」っていうんじゃなくて、「あいつ本当に嫌な奴だから、ちょっと懲らしめてやろう」って言って、それでまた会話になる。排除はしないんですよね、嫌な奴だとは言いながらも。</p>

<p><img src="/uploads/_OND1444final.jpg" alt="" title="" />
<aside><strong>宇田川元一</strong><small>埼玉大学大学院人文社会科学研究科准教授</small>
<p>1977年東京都生まれ。2000年立教大学経済学部卒業。02年同大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。06年明治大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得。 06年早稲田大学アジア太平洋研究センター助手、07年長崎大学経済学部講師、准教授、10年西南学院大学商学部准教授を経て、16年より現職。 専門は、経営戦略論、組織論。 主に欧州を中心とするOrganization StudiesやCritical Management Studiesの領域で、ナラティヴ・アプローチを理論的な基盤として、イノベーティブで協働的な組織のあり方とその実践について研究を行っている。07年度経営学史学会賞（論文部門奨励賞）受賞。</p></aside></p>

<p><strong>宇田川</strong>　自分も最近、研究の中でよく言うんです。「イノベーションのプロセスは会話に似ている」って。その時に例に出すのが、落語の「薮入り」の話なんですよ。</p>

<p><strong>志の春</strong>　えー。そうなんですか。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　ええ。「薮入り」がどういう話かというのは、本当はぼくが説明するより志の春さんに話していただいた方がいいんですけど（笑）、簡単に説明すると、丁稚奉公に出ていた息子さんが3年ぶりに実家に帰ってくるということで、久々に会う息子をどこに連れていってやろうかと考えて、お父さんが夜も眠れなくなるって話なんです。</p>

<p>最初は品川に行って海を見せてやろう、とか考えるんですけど、品川に行ったら、ついでに川崎にも行って大師様にお参りしよう、そうしたら横浜も、鎌倉も......とどんどんつながっていって、最終的には四国の金毘羅様まで、と妄想は膨らんでいく。</p>

<p>で、ここで何が大事なのかというと、品川に行かなければ、川崎に行こうとは思わないってことなんですよ。当然、川崎に行かなければ、横浜に行こうとも思わない。人間の思考は、最初から品川と川崎と横浜へ行って......というふうにはできていなくて、何かをやることで初めて、関係なかったものがつながっていくのです。</p>

<p>おそらくこれが会話のプロセスのものすごく大きな特徴で。これはミハイル・バフチンという哲学者が言っているのですが、われわれは発話している時、自分の意思を表現していると思いがちだけど、実際にはそうではない。発話というのは問いに対する応答である、と。</p>

<p>イノベーションのプロセスも同じで、まず何かやってみて、そのことによって問いに出会うというのが重要なことなんじゃないかなと思うんです。ロジックだけの世界だったら、その問いって出てこないんですよ。ずっと答え、答え、答え、答えで。</p>

<p><img src="/uploads/_OND1601final.jpg" alt="" title="" />
<aside><strong>森山和彦</strong><small>株式会社CRAZY代表取締役社長</small>
<p>1982年生まれ。中央大学卒業後、人材コンサルティング会社に入社。経営コンサルタントとしてトップセールスを記録。6年間の勤務を経て独立し、2012年7月に株式会社CRAZYの前身であるUNITEDSTYLEを創業。主な事業は完全オーダーメイドコンセプトウェディングサービス「CRAZY WEDDING」。年間250件を超えるウェディング事業の経験を活かし、法人向けのクリエイティブサービス「CRAZY CREATIVE AGENCY」を開始。CRAZY社は今後数多くの事業立ち上げに挑戦し、最終的には2000社100万人の雇用を生み出すことを宣言している。</p></aside></p>

<h2>自己完結はイノベーションを遠ざける</h2>

<p><strong>森山</strong>　いまのお2人の話を聞いていて思ったのは、最近は自己完結することができる世界になってきているなってことです。そのことがぼくらをイノベーションから遠ざけているのかもしれないという仮説ですよね。</p>

<p>むかしは例えば魚が欲しいと思ったら、とりあえず志の春さんに聞いてみようってところから始まって、そうしたら何か思わぬ面白い話を聞けたりだとか、いろいろな予想外のことが起きて、魚を手に入れる以外にも、結果的にいろいろなものが得られた。でも、いまはネットでポーンと注文したりして自己完結できちゃうんで、魚だけしか手に入らないとも言える。自己完結したロジックだけで考えていったのでは、得られるものは少ないってことですよね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そうそう。おそらく、いろいろな発明っていうのは会話の中で生まれているのではないでしょうか。例えば、iPhoneの画面はなぜどんどん大きくなっていくのか。これは、iPhoneに対抗するためにグーグルがオープンなプラットフォームで「誰でもAndroidを作れます」と言って、いろいろなメーカーに作らせてしまったことが大きい。</p>

<p>そうすると、サムスンのGalaxyみたいな大きい画面のものも出てきて、「iPhoneはこのままでいいの？」って問いかけてくるわけです。だからそれに対してiPhone側も応答する。そういうプロセスを経て、次第に画面が大きくなっていく。大事な点は、決して、最初からそういう設計がなされているわけじゃないということです。</p>

<p><strong>森山</strong>　アップルだけがイノベーションを起こしたわけではなくて、応答の中でそれが起こってるんじゃないかっていう視点ですよね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　そうです。だから、会話をするっていうのは一見すると、すごく無駄なわけですよ。会話が展開される前の時点のロジックからしたら無駄。だけど、何かに出会うという意味では、ものすごく大事なことですよね。</p>

<p><img src="/uploads/_OND1493final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>見えないものを見せる会話の力</h2>

<p><strong>宇田川</strong>　そこでお聞きしたいのが、落語における「まくら」についてです。あるいは落語本編に入った後もそうなんですけど、お客さんの反応を見て、内容をアドリブで変えていくということを、どの程度やっているものでしょうか？</p>

<p><strong>志の春</strong>　まくらをしゃべっている段階というのはまだ落語に入っていないので、お客さんとの間に壁はないわけですよね。だからお客さんと対話しているわけです。まあ声を出しているのはぼくだけかもしれないですけど、精神としては会話をしていて。こちらから投げかけた言葉があるとして、それに対して向こうから無言のリアクションを受けながら、また返していくって感じですよね。だから、まくらの間でも決まったことを投げかけているというのではなく、すごく変わっていきます。</p>

<p>落語本編に入ってからは、お客さんのリアクションによって「間」というものがすごく変わっていきます。というのも、落語にはだいたいここはウケるというウケどころのようなものがあって、その間をつないでいくわけですが、ウケどころで確実にウケるためには、その一つ前の台詞を言うことでお客さんの頭の中に絵が浮かぶ、ちょうどその瞬間を狙ってウケる台詞を言う必要があるんです。</p>

<p>ところが、これが一瞬早いと、絵がまだ浮かんでいないから笑いにはならないし、一瞬遅くても、今度は次を予想できてしまうから、また笑いにはならない。だから絵が浮かんだちょうどその瞬間に言う必要があるわけです。でも、その最適な間というのは会場によって違うし、お客さんの平均年齢によっても全然違うので、それをなんとなく感じながら、「いまだ！」というのでやっていく感じですよね。</p>

<p><strong>森山</strong>　いま伺っていて、なんとなく落語が会話調であることの意味みたいなものが見えた気がするんですけど、それって経営とも似ているというか。説明調で、いわゆるロジックで話しているだけじゃ人は動かないってところがあるじゃないですか。経営者にはどうしてもロジックから入る人が多い傾向があるんで、落語から学べるところがすごくあるんじゃないか、と。落語が会話調を選ぶ理由、説明調でやった時との違いがなんなのかというのを、もう少し教えてもらってもいいですか？</p>

<p><img src="/uploads/_OND1510final.jpg" alt="" title="" /></p>

<p><strong>志の春</strong>　これは多分、究極的には「落語とは何か」って話だと思うんですけど、落語って、こっちを向いては隠居さんをやり、逆を向いてははっつぁんをやり、というようにして会話する2人を演じているじゃないですか。その時、隠居さんを隠居さんらしく上手に演じられるっていうのは、それほど大事じゃないと思うんですよね。それはまあ誰にでもできるというか、一応は到達できるところなんですよ。じゃあお前は到達できているのか、って聞かれたら、まったく到達できていませんけどね。</p>

<p>隠居さんを演じている時に大事なのは、お客さんの頭の中にはっつぁんの絵が浮かぶことです。逆にはっつぁんを演じている時には、向こう側に隠居さんの絵が浮かぶことが大事なんですよ。見えている隠居さんがどれだけ上手でも、まあ見えているものの限界があると思うんです。でも、隠居さんがしゃべっている様子を見て、見えないはずのはっつぁんの姿がブワッと浮かんでくると、それは無限のイメージになるんですよね。見えないものが見えてきた方が、イメージが強力になるんです。</p>

<p>会話っておそらく、しゃべっている向こうにいる人が見えてきやすい形式なんじゃないかな。会話形式にすることによってイメージが膨らみ、そのことによってパワフルになるっていうことがあるんじゃないかと思うんですよね。</p>

<p><strong>宇田川</strong>　それでひとつ思い出したのですが、1990年代に、アメリカの大企業でリエンジニアリングというのが流行った時期がありました。要は、いまやっている仕事をゼロベースで見直して、ロジカルに必要な部分だけを残して再設計すれば、その組織は効率的でイノベーティブになれるだろうっていう考え方です。それですごく礼賛されたんだけども、やった会社はことごとくダメになったんですよ。</p>

<p>なぜそんなことが起きたのか。ぼくの研究しているテーマのひとつに「組織におけるストーリーテリング」というものがあるのですが、その分野にこの問題を扱った研究がありまして。どういうことかというと、何かをやる時には、物語ることが大事だから、それを端折ってしまってはうまくいかないってことです。特に、まずは小噺をみんなで語ることが大事だ、と。だから似ているんですよ、落語と。</p>

<p>なぜ小噺が大事かというと、最初のストーリーって、要はどう接点をつくるかだと思うんです。みんなロジックだけで世界はできていると思いがちだけれど、そのロジック同士には接点がないんですよね。例えば医療の領域で言えば、お医者さんは医学の知識をもっていて、科学的な根拠をもっている。けれども、それだけでは患者さんの生活とは接点がないから、医学的には正しくても、その患者さんにとっては必ずしも正しいとは限らないんです。このように、立場が違う人同士の接点をつくるうえでは、やっぱり語ることが大事だと思います。</p>

<p>ぼくがこうしたストーリーテリングの話を授業でする時に、陥りがちな失敗パターンとして例に出すのが、自分の自慢話をしちゃうことです。そうではなくて、聞いている側の人が主人公になるような話をしてあげることが大事だ、と。そういう話をよくしていたんで、いまの志の春さんの話はすごく似ていて、聞いていてギョッとしたんですよ（笑）。</p>

<p>最近だと、Webサービスやプロダクトのユーザーエクスペリエンスをどうデザインするかという文脈でストーリーテリングがよく用いられるんですが、ここで言われるのも、サービスをデザインするうえでは、作り手側の都合を押し付けるのではなく、ユーザーにとって意味のあるストーリーをつくることがいかに大事かって話で。まくらなんですよ、まさに！</p>

<p><img src="/uploads/_OND1557final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>落語の「まくら」に接点づくりを学べ</h2>

<p><strong>森山</strong>　ビジネスの現場だと他にどういう時に、まくら、というか接点づくりのための対話を使う場合が多いですか？</p>

<p><strong>宇田川</strong>　例えば、いろんなところで講演するとよく、「自分の上司がものをわかってくれない」というようなことを言う人がいるわけです。だけどぼくが思うのは、じゃあ逆にあなたは、上司のことをどれくらいわかっているんですか？ということです。</p>

<p>つまりこういう場合、両者はお互いに、違う世界の中で自分は正しいと思っている。どちらもその正しさはおおむね、ロジックでちゃんと説明ができるんですよ。だけど、そのようにしてどっちも正しいとなった時に、その間に接点がなかったら、いくら自分の側からロジックが正しくたって何も起きないんですよ。</p>

<p>噺家さんっていうのはおそらく、お客さんとのやりとりを通じてコンテクストを徐々に作っているんだと思うんです。そうやってコンテクストをつくったうえでネタのトリガーポイントのような部分が訪れるから、そこでボンって笑いが起こる。</p>

<p>きっとビジネスでも同じことで。組織の中で立場が違うということは、それぞれ違う現実を見ているということなんです。相手とはわかりあえないと思った時に、普通は「こっちが正しい」「いや、こっちが正しい」ってやりあってしまうけれど、実はどっちも正しくて。そこで、接点づくりとしての会話のプロセスがあることが大事になってくるわけです。</p>

<p><strong>森山</strong>　ぼくは人事のコンサルティングが出身で、脳科学とか心理学が専門だったので、こういう話はめちゃくちゃ興味があって。それを生かして会社の経営をしているのですが、いまのコンテクストという言葉も、組織人事の用語としてよく使われるんですよ。</p>

<p>世の中の争いって、認識の問題から起きていると思うんです。視点が違うと、それぞれの中では正しい。だからこそお互いにぶつかってしまう。だとすると、お互いの視点を知ることができればいいわけですが、実際は難しいですよね。例えば男性のぼくが、女性である妻の視点に立つことは究極的にはできない。接点やまくらって、このように相手の視点には立てないことを認めたうえで、どのようにコンテクストを共有するかってことだと思うんです。</p>

<p>それをロジックだけでやってしまうと、対立構造になってしまいますよね。そうではなくて、ストーリーテリングとか、落語でいう「まくら」とかを使いながら、場や臨場感といったものを共有する。この作業が終わって初めて、お互いを理解し合えるようになるのだと思います。</p>

<p><img src="/uploads/_OND1534final.jpg" alt="" title="" /></p>

<p><strong>志の春</strong>　そうそう。そこを合わせておかないと、どれだけ面白い話をしたって笑ってもらえないんですよ。「こいつ違うな」って思われていたら。落語本編に入ってからも、間を合わせたり、お客さんと呼吸を合わせたりして調整をはかるんですけど、その場でウケるかウケないかって、9割方はどの話を選択するかで決まってしまうんですよね。</p>

<p>落語家はそれを事前に決めていくということはやらないんで、その場に行って、ちょっとまくらを振りながら、お客さんの様子を見て、「よし、これでいこう」っていうのを決めていく。今日の客層はこういう感じだからってことで、事前にだいたい5つくらい用意しておいて、実際に話をしていくなかで、それを最終的に1つに絞っていくんです。</p>

<p>もしも通の方が今日はたくさんいそうだなという場合は、そういう人はもう腐るほど名人の芸を聞いているわけで、その中でわざわざ若手を聞きに来たということは、もしかしたらスタンダードなものよりも、新作とか、他の人があまりやらないような、ちょっとひねったものをやった方が喜ばれるかもしれない。</p>

<p>逆に初心者の方が多い場合は、落語ってちょっと難しいんじゃないかと思っていたりするので、「そう思ってるんでしょ。実はぼくもそうでした」ってところで共感をつくるところから入る。「予習してないけど大丈夫かな」とか「どこで声を出して笑ったらいいんだろうか」とか、結構気にしているらしいんですよね。だから「好きなように反応してくれればいいんですよ」と、そういうところを取っ払っておいて、まずはとっつきやすい、イメージしやすい話から入って、そのうえでイケるとなったら2席目で人情話とかをやれば、「ああ、こういうのもあるんだ」ということで受け入れてもらえたりもする。</p>

<p>でも、最初の選択をするにあたっての、お客さんがどういう方たちなのかなっていうのを選び間違えると、えらいことになるんですよね。もうどうやったって無理っていう。</p>

<p><img src="/uploads/_OND1530final.jpg" alt="" title="" /></p>

<p><strong>森山</strong>　うちはイベントプロデュースとかもしている会社なので、ビジネスセミナーに関わることも多いのですが、ビジネスセミナーにおけるまくらのことを、「アイスブレイク」っていうんです。でも、あれを勘違いしている人が本当に多くって。「とりあえずゲームとか自己紹介とかやらせておけばいいんでしょう？」みたいな感じで捉えているんですよね。</p>

<p><strong>志の春</strong>　それは、来ている人たちがちょっと仲良くなるように？</p>

<p><strong>森山</strong>　そうです。ちょっと仲良くなるっていうためにしか使われないんで、会の趣旨と関係なく、分離して使っちゃうんですよ。本来はそうではなくて、そこに集まっている人たちの様子を見ながら、「今日はどうしようかな」というふうにやると、さっきお話いただいたようないろいろな可能性があるじゃないですか。</p>

<p>それをわかっていない人がやると、「とりあえず自己紹介してくださーい」とかってなるのですが、そこにはコンテクストが無いんです。しかも、自己紹介をしてつくった空気をまったく引用せずに、「それでは始めたいと思います。登壇者の先生、お願いいたします」となってしまう。それじゃあ、せっかくのいい話も、入りにくくなってしまうんですよ。先生が話して、生徒は聞くだけっていう、学校教育の悪い例のようで感覚で一体感に欠けるんです。ぼくらからすると、見ていてすごくもったいないなぁと思うのですが、実際にそういう会が多いです。</p>

<p>だから、この落語の話っていうのは、社員に向けて話す機会が多い経営者だったり、ビジネスセミナーをする人だったりにとって、すごく生かされる話だと思います。このメッセージ、そういう人に届くといいですよね。（近日公開予定の「中編」に続く）</p>
]]>
    </content>
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<entry>
    <title>つながりたい・認められたい・貢献したいを自分らしく──ユニリーバ島田由香が語る「ハピネス・ドリブン」な働き方 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/07/shimada.html" />
    <id>tag:bnl.media,2017://125.8813</id>

    <published>2017-07-07T05:45:00Z</published>
    <updated>2020-03-23T03:05:18Z</updated>

    <summary>ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス 取締役人事総務本部長・島田由香によると、仕事における人間の根本的なニーズは、タイトルの3つに集約されるという。これから個と組織を動かすキーワードは「ハピネス・ドリブン」だと語る、その思考の背景に迫る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネスネットワーク" label="ビジネスネットワーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>島田由香</strong><small>ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス 取締役人事総務本部長</small>
<p>慶應義塾大学卒業後、パソナに入社。2000年よりコロンビア大学大学院へ留学して組織心理学修士を取得、日本GEにて人事マネジャーを経験。08年ユニリーバ・ジャパン入社後、R&amp;D、マーケティング、営業部門のHRパートナー、リーダーシップ開発マネジャー、HRダイレクターを経て、13年4月取締役人事本部長就任。その後14年4月取締役人事総務本部長就任、現在に至る。働く時間・場所を社員が自由に選べる人事制度「WAA」の導入など、先進的な取り組みが注目されている。米国NLP協会マスタープラクティショナー、マインドフルネスNLPⓇトレーナー。</p></aside></p>

<p>「今日も2人、1 on 1のアポイントが入っていますよ」</p>

<p>2014年からユニリーバ・ジャパンの取締役人事総務本部長を務める島田由香は、社員一人ひとりとの対話を何よりも大切にしている。</p>

<p>ユニリーバ・ジャパンの従業員数は約500人。ダイバーシティー推進の取り組みには定評があり、特に女性活用に関しては、女性管理職（課長職相当以上）の割合が34パーセントと、日本企業の平均6.6パーセント（2016年、帝国データバンク調べ）に比べて相当高くなっている。</p>

<p>さらに昨年4月には、新人事制度「WAA」を導入した。「Work from Anywhere and Anytime」の頭文字をとって「WAA」（ワー）。働く場所・時間を社員が自由に選べる制度だ。制度を利用するための条件は2つ。上司に申請すること。平日の6時から21時のあいだであること（休日、夜間は取締役の許可を得ること）。</p>

<p>「全社員のうちの6割がアンケートに答えてくれているのですが、そのうちの92パーセントが、これまでに、WAAを少なくとも1回は使ったと回答しています。そのうち、月に1〜2回使っているという人が4割を占めます。うれしいのは、この制度が始まって『毎日の生活がポジティブになった』と答えている人が、67パーセントいるんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1810final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「何のためにやるのか？」個人としても、企業としても考えて、深く腹落ちさせるべきだという。</figcaption>
</figure></p>

<h3>「個の成長」と「組織の活性化」をバランスよく</h3>

<p>女性活躍推進や多様な働き方への取り組みで先頭を走る同社だが、島田は、「みんながこうだからこう、という風潮になるのは良くない」と言う。</p>

<p>「たとえば女性活用でも、そう決まったからじゃあ女性活用しなきゃ、というのでは意味がない。（2016年4月に施行された女性活躍推進法では、従業員301人以上の企業では、女性採用比率や女性管理職比率などの数値目標を掲げることが求められているが）数字は目的ではなく手段。なんのためにそれを行うのかということが考えられていないし、話されていないし、決められていない。ここにわたしは、大きな問題を感じます」</p>

<p>自分はなんのためにこれをやるのか。わたしたち一人ひとりが、そのことをきちんと納得して働いているだろうか。そう島田は問いを投げかける。</p>

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<div class="info"><strong>予防医学研究者・石川善樹が考える、人生100年時代のキャリア論</strong> <date>2017.01.13（金）</date></div></a>
</div>

<p>人や組織への興味は、大学時代にさかのぼる。慶應義塾大学総合政策学部在学中、企業組織・キャリア研究の第一人者である花田光世教授の組織論ゼミに参加した。花田教授は、2003年に発表した論考の中で、「キャリア自律の原点は個人のバリューと仕事のマッチングにある」とした上で、「キャリア自律論の罠」として、「個人」に振れすぎたあまり、「自分探しに走りまわり」、「結果として困難な状況からの逃避に走ってしまう」ことに警鐘を鳴らした。</p>

<p>滅私奉公でもなく、自分探しでもない。「個の成長」と「組織の活性化」をいかにバランスよく連動させていくか。島田が、花田教授から受け継ぎ、自らのキャリアの中で実践してきたのは、そんな新しい人事制度・キャリア支援のあり方だ。逆に言えば、硬直する日本のビジネス環境をイノベーティブなものに変えるためには、一人ひとりの働き方を新たなフェーズに導く必要がある。大きな変化のまっただ中で、島田は、人事の役割がこれまで以上に大事になっていることを実感している。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1827final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>ユニリーバの面談では、個人の「パッション」を大切にしている。「人は働くために生きているわけではないからです」。</figcaption>
</figure></p>

<h3>一人ひとりが持つ種が育って、花が咲くような組織へ</h3>

<p>「わたしたちユニリーバで言う『キャリア』に関して言えば、スタートポイントは『個人』です。『〇〇をしたい』、『〇〇になりたい』という個人のパッションがあることがまずは大事。それだけにとどまらず、さらにそこを押し広げるために、『あなたの人生の目的はなんですか』ということを掘り下げるんです。人生80年90年、あなたは何を成し遂げようとして生きていますか？　ちょっと考えてみようよ、と」</p>

<p>そう問われて面食らう社員も少なくないというが、そこから始めるのには理由がある。脳神経言語学（NLP）のコーチングも修めている島田は、「ひとりの人間の脳の回路のパターンは非常に限定されている」と言う。「脳は賢いから、1度回路ができてしまうとそればかり使おうとする。そのほうが楽だし、エネルギーを使わないから。でも、そうするとマインドセットが限定されてくる。それを打ち破ってくれるのは、他者からの質問やリクエストなんですね」</p>

<p>「だからわたしは、アイ・ラブ・クエスチョン、アイ・ラブ・リクエストなんです」と島田は笑うが、ここにこそ「社員一人ひとりの支援者」としての人事の役割があり、島田が1 on 1を重視する大きな理由のひとつがある。</p>

<p>「わたしたち一人ひとりがどれほど素晴らしい存在なのかということを、自分がいちばん忘れてしまっていることがよくあるんです。人と比べてこれが足りない、あれができないと考えるんですが、いやいや、あなたはすでにいろんなものを持っているじゃないですか、と。一人ひとりが持っている種が育って、ちゃんと花が咲くようにすること。わたしはそのことに早くから興味があったから、人事という仕事を選んだのだと思います」</p>

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<p>だから、ユニリーバ・ジャパンの「ダイバーシティー」は、単に女性を多く登用することや、外国人や障害のある人などの少数者を雇用することではない。多様な個が存在すること。一人ひとりが「自分の人生のミッションはこれだ」ということを考えることで実現される多様性なのだ。</p>

<p>そして、それがユニリーバという会社の中で実現できるのか、どんなふうに貢献していくのか。その両面からキャリアステップを考える。その結果、「自分の居場所はここじゃない」と気づいて、会社を辞める人が出てくることもある。「それは仕方がない」と島田は言う。</p>

<p>「いちばん大事なのは、本人のハピネスなので。幸せの定義はそれぞれ違いますが、『ああ、ハッピーだな』と思える人が増えることが、とても大事なんです」</p>

<p>では、「ハピネス」をもたらすものは何なのだろうか。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1800final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>3つの根源的なニーズを自分なりにどう表現していくか。仕事とはそのためにあるという。</figcaption>
</figure></p>

<h3>つながりたい・認められたい・貢献したい</h3>

<p>島田は、「すべての人が持っているニーズには、3つある」と言う。「つながりたい」「認められたい」「貢献したい」。この3つは、誰しもが心の深いところに抱いている根源的な欲求だと、島田は考える。</p>

<p>「この3つのニーズを自分なりにどう表現していくか。仕事はそのためにあるんだと思うんです」</p>

<p>会社という組織の中にあっても「Be myself（自分らしく）」を貫けること。一人ひとりが持っている種がちゃんと花咲くこと。それによって、組織が活気づくこと。島田が考える「人事の要諦」はここにある。</p>

<p>「それは、現場の社員だけでなく、社長も同じです。もしも社長が変わろうとするのであれば、人事はそれをサポートします。社長も花を咲かせなきゃいけないわけです」</p>

<p>島田はいま、マネージャークラスの社員たちの「ハピネス向上」に注力している。彼らがハッピーでなければ、部下がハッピーになれないからだ。</p>

<p>「社員ともかかわるし、マネジャーたちともかかわるし、社長をはじめ経営陣ともかかわる。そんな仕事は人事のほかにないわけです。だから、社長にものを言えない人事では意味がない。リーダーに対してどう働きかけるのかということが、わたしたちがいちばん力量を発揮できるところだと思います」</p>

<p>島田は、「日本社会は、役割期待が非常に高い社会」だと言う。真面目で向上心が高いからこそ、「自分らしさ」よりも、「組織の中で期待されている役割」を自ら察して、演じてしまうところがある。しかし、それがイノベーティブな環境づくりを阻害しているのだとしたら、その悪循環を変えるのが人事の役割なのではないか。</p>

<p>「組織が変わると社会が変わる。やっぱりわたしは、日本という社会全体を、よりよくしたいと思っているんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1763final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>やりたいと思ったら、すぐ口に出すこと。そうすれば、自分の想像を超えて物事を実現できるようになるという。</figcaption>
</figure></p>

<h3>目指すかたちは「ハピネス・ドリブン」</h3>

<p>島田は、ユニリーバ・ジャパンで実践してきた「ハピネス・ドリブン」の人事制度・環境を、広く社会に広めようとしている。その活動のひとつが「Team WAA!」だ。現在、メンバーは550人ほどに成長している。</p>

<p>「『WAA』のビジョンに共鳴、共感している人たちで作っている『Team WAA!』というコミュニティーには、人事担当者だけでなく、開発職もいれば営業職もいます。若い人からベテランまでさまざまな人たちが集まって、月に一度、議論をしたりワークショップを行ったりして、つながりを深めています。それによって何が起きるかというと、お互いがお互いの『リソース』になるんです。たとえば自分の会社の上司やリーダーが仮にBe myself、Be yourselfを許さない人だったとしても、『ここにリソース、あるじゃん』と。困っているんだったら助けに行くし、変えられないということはないよね、というつながりをつくっているんです」</p>

<p>つながりをどうやってつくろうかと迷ったり、悩んだりすることはありますか？という質問に、島田はきっぱりと「ない」と答えた。</p>

<p>「わたしは常に『何かおもしろいことはできないかな』と、そればかり考えています。わたしがこの人と一緒にやれるとしたら何かなといつも考えているんですね。そして、アイデアが浮かんだらためらわずにすぐに口に出す。基本的に、何かやるときは常に『みんなで』がキーワードです。なぜなら、楽しいし、ひとりでは思いもつかなかったようなアイデアが出てくるし、思っていた以上の結果が出るから。だから、何かやろうと思ったら、まず人を巻き込むことを考えます。それによって翻弄される人多し、ですが（笑）」</p>

<p>つながりは、「わたしはこういうことをやりたい」「社会のために、こういうことをなし遂げたい」と誰かに伝えることから生まれる。新たなつながりから、次のミッションが見つかる。そんな「ハピネス・ドリブン」な好循環は可能なのだ。「規模の大きい企業でも諦めずに、とりあえずやってみようとか、ちょっと考え方を変えてみようという感覚を持つ人が増えていくようなことをしたいと思っています」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1751final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>いまは人脈を広げようとは露ほども思わないという。「自分のやりたいことをやっていたら勝手につながっていくんです」。</figcaption>
</figure></p>
]]>
        <![CDATA[<p><aside><strong>島田由香</strong><small>ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス 取締役人事総務本部長</small>
<p>慶應義塾大学卒業後、パソナに入社。2000年よりコロンビア大学大学院へ留学して組織心理学修士を取得、日本GEにて人事マネジャーを経験。08年ユニリーバ・ジャパン入社後、R&amp;D、マーケティング、営業部門のHRパートナー、リーダーシップ開発マネジャー、HRダイレクターを経て、13年4月取締役人事本部長就任。その後14年4月取締役人事総務本部長就任、現在に至る。働く時間・場所を社員が自由に選べる人事制度「WAA」の導入など、先進的な取り組みが注目されている。米国NLP協会マスタープラクティショナー、マインドフルネスNLPⓇトレーナー。</p></aside></p>

<p>「今日も2人、1 on 1のアポイントが入っていますよ」</p>

<p>2014年からユニリーバ・ジャパンの取締役人事総務本部長を務める島田由香は、社員一人ひとりとの対話を何よりも大切にしている。</p>

<p>ユニリーバ・ジャパンの従業員数は約500人。ダイバーシティー推進の取り組みには定評があり、特に女性活用にかんしては、女性管理職（課長職相当以上）の割合が34パーセントと、日本企業の平均6.6パーセント（2016年、帝国データバンク調べ）に比べて相当高くなっている。</p>

<p>さらに昨年4月には、新人事制度「WAA」を導入した。「Work from Anywhere and Anytime」の頭文字をとって「WAA」（ワー）。働く場所・時間を社員が自由に選べる制度だ。制度を利用するための条件は2つ。上司に申請すること。平日の6時から21時のあいだであること（休日、夜間は取締役の許可を得ること）。</p>

<p>「全社員のうちの6割がアンケートに答えてくれているのですが、そのうちの92パーセントが、これまでに、WAAを少なくとも1回は使ったと回答しています。そのうち、月に1〜2回使っているという人が4割を占めます。うれしいのは、この制度が始まって『毎日の生活がポジティブになった』と答えている人が、67パーセントいるんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1810final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「何のためにやるのか？」個人としても、企業としても考えて、深く腹落ちさせるべきだという。</figcaption>
</figure></p>

<h3>「個の成長」と「組織の活性化」をバランスよく</h3>

<p>女性活躍推進や多様な働き方への取り組みで先頭を走る同社だが、島田は、「みんながこうだからこう、という風潮になるのは良くない」と言う。</p>

<p>「たとえば女性活用でも、そう決まったからじゃあ女性活用しなきゃ、というのでは意味がない。（2016年4月に施行された女性活躍推進法では、従業員301人以上の企業では、女性採用比率や女性管理職比率などの数値目標を掲げることが求められているが）数字は目的ではなく手段。なんのためにそれを行うのかということが考えられていないし、話されていないし、決められていない。ここにわたしは、大きな問題を感じます」</p>

<p>自分はなんのためにこれをやるのか。わたしたち一人ひとりが、そのことをきちんと納得して働いているだろうか。そう島田は問いを投げかける。</p>

<p>人や組織への興味は、大学時代にさかのぼる。慶應義塾大学総合政策学部在学中、企業組織・キャリア研究の第一人者である花田光世教授の組織論ゼミに参加した。花田教授は、2003年に発表した論考の中で、「キャリア自律の原点は個人のバリューと仕事のマッチングにある」とした上で、「キャリア自律論の罠」として、「個人」に振れすぎたあまり、「自分探しに走りまわり」、「結果として困難な状況からの逃避に走ってしまう」ことに警鐘を鳴らした。</p>

<p>滅私奉公でもなく、自分探しでもない。「個の成長」と「組織の活性化」をいかにバランスよく連動させていくか。島田が、花田教授から受け継ぎ、自らのキャリアの中で実践してきたのは、そんな新しい人事制度・キャリア支援のあり方だ。逆に言えば、硬直する日本のビジネス環境をイノベーティブなものに変えるためには、一人ひとりの働き方を新たなフェーズに導く必要がある。大きな変化のただ中で、島田は、人事の役割がこれまで以上に大事になっていることを実感している。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1827final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>ユニリーバの面談では、個人の「パッション」を大切にしている。「人は働くために生きているわけではないからです」。</figcaption>
</figure></p>

<h3>一人ひとりが持つ種が育って、花が咲くような組織へ</h3>

<p>「わたしたちユニリーバで言う『キャリア』にかんして言えば、スタートポイントは『個人』です。『◎◎をしたい』、『◎◎になりたい』という個人のパッションがあることがまずは大事。それだけにとどまらず、さらにそこを押し広げるために、『あなたの人生の目的はなんですか』ということを掘り下げるんです。人生80年90年、あなたは何を成し遂げようとして生きていますか？　ちょっと考えてみようよ、と」</p>

<p>そう問われて面食らう社員も少なくないというが、そこから始めるのには理由がある。脳神経言語学（NLP）のコーチングも修めている島田は、「ひとりの人間の脳の回路のパターンは非常に限定されている」と言う。「脳は賢いから、1度回路ができてしまうとそればかり使おうとする。そのほうが楽だし、エネルギーを使わないから。でも、そうするとマインドセットが限定されてくる。それを打ち破ってくれるのは、他者からの質問やリクエストなんですね」</p>

<p>「だからわたしは、アイ・ラブ・クエスチョン、アイ・ラブ・リクエストなんです」と島田は笑うが、ここにこそ「社員一人ひとりの支援者」としての人事の役割があり、島田が1 on 1を重視する大きな理由のひとつがある。</p>

<p>「わたしたち一人ひとりがどれほど素晴らしい存在なのかということを、自分がいちばん忘れてしまっていることがよくあるんです。人と比べてこれが足りない、あれができないと考えるんですが、いやいや、あなたはすでにいろんなものを持っているじゃないですか、と。一人ひとりが持っている種が育って、ちゃんと花が咲くようにすること。わたしはそのことに早くから興味があったから、人事という仕事を選んだのだと思います」</p>

<p>だから、ユニリーバ・ジャパンの「ダイバーシティー」は、単に女性を多く登用することや、外国人や障害のある人などの少数者を雇用することではない。多様な個が存在すること。一人ひとりが「自分の人生のミッションはこれだ」ということを考えることで実現される多様性なのだ。</p>

<p>そして、それがユニリーバという会社の中で実現できるのか、どんなふうに貢献していくのか。その両面からキャリアステップを考える。その結果、「自分の居場所はここじゃない」と気づいて、会社を辞める人が出てくることもある。「それは仕方がない」と島田は言う。</p>

<p>「いちばん大事なのは、本人のハピネスなので。幸せの定義はそれぞれ違いますが、『ああ、ハッピーだな』と思える人が増えることが、とても大事なんです」</p>

<p>では、「ハピネス」をもたらすものは何なのだろうか。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1800final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>3つの根源的なニーズを自分なりにどう表現していくか。仕事とはそのためにあるという。</figcaption>
</figure></p>

<h3>つながりたい・認められたい・貢献したい</h3>

<p>島田は、「すべての人が持っているニーズには、3つある」と言う。「つながりたい」「認められたい」「貢献したい」。この3つは、誰しもが心の深いところに抱いている根源的な欲求だと、島田は考える。</p>

<p>「この3つのニーズを自分なりにどう表現していくか。仕事はそのためにあるんだと思うんです」</p>

<p>会社という組織の中にあっても「Be myself（自分らしく）」を貫けること。一人ひとりが持っている種がちゃんと花咲くこと。それによって、組織が活気づくこと。島田が考える「人事の要諦」はここにある。</p>

<p>「それは、現場の社員だけでなく、社長も同じです。もしも社長が変わろうとするのであれば、人事はそれをサポートします。社長も花を咲かせなきゃいけないわけです」</p>

<p>島田はいま、マネージャークラスの社員たちの「ハピネス向上」に注力している。彼らがハッピーでなければ、部下がハッピーになれないからだ。</p>

<p>「社員ともかかわるし、マネジャーたちともかかわるし、社長を初め経営陣ともかかわる。そんな仕事は人事のほかにないわけです。だから、社長にものを言えない人事では意味がない。リーダーに対してどう働きかけるのかということが、わたしたちがいちばん力量が発揮できるところだと思います」</p>

<p>島田は、「日本社会は、役割期待が非常に高い社会」だと言う。真面目で向上心が高いからこそ、「自分らしさ」よりも、「組織の中で期待されている役割」を自ら察して、演じてしまうところがある。しかし、それがイノベーティブな環境づくりを阻害しているのだとしたら、その悪循環を変えるのが人事の役割なのではないか。</p>

<p>「組織が変わると社会が変わる。やっぱりわたしは、日本という社会全体を、よりよくしたいと思っているんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1763final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>やりたいと思ったら、すぐ口に出すこと。そうすれば、自分の想像を超えて物事を実現できるようになるという。</figcaption>
</figure></p>

<h3>目指すかたちは「ハピネス・ドリブン」</h3>

<p>島田は、ユニリーバ・ジャパンで実践してきた「ハピネス・ドリブン」の人事制度・環境を、広く社会に広めようとしている。その活動のひとつが「Team WAA!」だ。現在、メンバーは550人ほどに成長している。</p>

<p>「『WAA』のビジョンに共鳴、共感している人たちで作っている『Team WAA!』というコミュニティーには、人事担当者だけでなく、開発職もいれば営業職もいます。若い人からベテランまでさまざまな人たちが集まって、月に一度、議論をしたりワークショップを行ったりして、つながりを深めています。それによって何が起きるかというと、お互いがお互いの『リソース』になるんです。たとえば自分の会社の上司やリーダーが仮にBe myself、Be yourselfを許さない人だったとしても、『ここにリソース、あるじゃん』と。困っているんだったら助けに行くし、変えられないということはないよね、というつながりをつくっているんです」</p>

<p>つながりをどうやってつくろうかと迷ったり、悩んだりすることはありますか？という質問には、島田はきっぱりと「ない」と答えた。</p>

<p>「わたしは常に『何かおもしろいことはできないかな』と、そればかり考えています。わたしがこの人と一緒にやれるとしたら何かなといつも考えているんですね。そして、アイデアが浮かんだらためらわずにすぐに口に出す。基本的に、何かやるときは常に『みんなで』がキーワードです。なぜなら、楽しいし、ひとりでは思いもつかなかったようなアイデアが出てくるし、思っていた以上の結果が出るから。だから、何かやろうと思ったら、まず人を巻き込むことを考えます。それによって翻弄される人多し、ですが（笑）」</p>

<p>つながりは、「わたしはこういうことをやりたい」「社会のために、こういうことをなし遂げたい」と誰かに伝えることから生まれる。新たなつながりから、次のミッションが見つかる。そんな「ハピネス・ドリブン」な好循環は可能なのだ。「規模の大きい企業でも諦めずに、とりあえずやってみようとか、ちょっと考え方を変えてみようという感覚を持つ人が増えていくようなことをしたいと思っています」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND1751final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>いまは人脈を広げようとは露ほども思わないという。「自分のやりたいことをやっていたら勝手につながっていくんです」。</figcaption>
</figure></p>
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    <title>楽天大学学長・仲山進也に学ぶ、組織の境界にとらわれない「際者（キワモノ）」としての働き方 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/06/nakayama.html" />
    <id>tag:bnl.media,2017://125.8802</id>

    <published>2017-06-27T06:30:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:08:29Z</updated>

    <summary>長年、多くの出店者とコミュニケーションを取ってきた仲山進也は、会社の枠を超えてビジネスネットワークを活用することで、事業のイノベーションに貢献できると説く。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="出会いからアイデアを生み出す" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<p><aside><strong>仲山進也</strong><small>楽天株式会社楽天大学学長/仲山考材株式会社代表取締役</small>
<p>1973年北海道生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、シャープを経て、99年に社員約20名の楽天へ。初代ECコンサルタントであり、楽天市場の最古参スタッフ。2000年に楽天市場出店者が互いに学び合える場として、「楽天大学」を設立。Eコマースのみならず、チームづくりや理念づくりまで幅広く支援している。04年にヴィッセル神戸の経営に参画。07年に楽天で唯一のフェロー風正社員となり、08年には自らの会社である仲山考材を設立。16年より横浜F・マリノスでプロ契約スタッフ。</p></aside></p>

<p>「名刺とはアイデアであり、名刺交換はアイデアの交換である」と、昨年取材した医学博士の石川善樹は言った。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="/2016/08/ishikawa.html/">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_MG_2384-1094.jpg">
<div class="info"><strong>「いいアイデアの9割は社外から集まる。では明日は誰と会うべきか？」石川善樹が説く、ビジネスネットワークの法則</strong> <date>2016.08.10（金）</date></div>

<p></a></div></p>

<p>名刺交換が発生するのは異なる組織と組織の間にある「際」であるから、新たなアイデアが欲しいと思ったら、組織の外へと赴き、際に立つ必要があるだろう。</p>

<p>楽天の正社員でありながら自身の会社も経営し、Jリーグの横浜F・マリノスともプロ契約している仲山進也は、際に立ち続けてきた人物である。出社の義務もなければ兼業の制限もない、自由な働き方を体現する仲山は、組織の中心を目指す人が多い中にあって、「ぼくは際者（キワモノ）でありたい」と言ってはばからない。ただし、事業のイノベーションに貢献するには、際に立つだけでは事足りない。</p>

<p>楽天大学の学長として、数多くの出店者とコミュニケーションをとり続けてきた彼から、ぼくらはビジネスネットワークについて何を学べるのだろうか。組織の境界線を曖昧にしてかき混ぜる。仲山独自の成長理論「加減乗除」で強みを浮き彫りにする。そして、組織から「浮く」ことを恐れないことが大事だという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND0923final2.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「プロ契約」をしている横浜F・マリノスのオフィスで取材を行った。</figcaption></figure></p>

<h2>情報の波打ち際に立て</h2>

<p><strong>──際者を自称する仲山さんですが、どのようにしていまの「自由すぎる」ポジションを獲得したのでしょうか？</strong></p>

<p>社会人になって最初に入った会社で配属されたのは、ある事業本部の本部長室だったので、際とは縁遠く、むしろ巨大な組織の中心に近いポジションだったんです。社外の人と接することはまったくなく、仕事はすべて、社内の人とのやりとりでした。</p>

<p>組織が大きすぎると、自分の見えている範囲で良かれと思ってやったことでも、知らないところで誰かの迷惑になったりする。全体像がわからないままモヤモヤしているよりは、小さくてもいいから全体を把握できた上で仕事ができる方がいいと思っていたところ、縁があって3年目に楽天に転職しました。</p>

<p><strong>──当時の楽天はまだ20人くらいしかいなかったんですよね。</strong></p>

<p>そうです。自分は日々、まさに際に立って出店者さんたちとコミュニケーションをとる仕事をしていたんですけど、一方で中心にいる三木谷とも、あいだにひとり挟むか挟まないかくらいの距離感で仕事ができました。</p>

<p>やがて組織が大きくなると、ミーティングや社内調整のような仕事の重要性が増していきましたが、そういったことにはあまり興味を持てず、相変わらず際に立ってお客さんとのやりとりを続けていました。そうしたら、いつのまにか窓際というか、さらにはみ出て「出島」のようなポジションに立っていた、という感じです。社内との接点より、お客さんとの接点がほとんど、という状況で。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND0849final2.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>仲山はノートに円を描いてキャリアを説明する。いちばん左の大きな円が、新卒で入社したシャープ。楽天に移ってからは、会社の規模が大きくなっても、ずっと企業の際である円の縁に居続けてきた。</figcaption>
</figure></p>

<p>さらに、2004年に三木谷がJリーグのヴィッセル神戸のオーナーになった時に、自分から手を挙げてお手伝いをすることになったのですが、1週間おきに東京と神戸を行ったり来たりする生活を続けていたら、「自分が会社にいなくても誰も困らない状態」が確立してしまいました。2007年から会社に行かなくてもいい立場になれたのも、そういう経緯があったことは大きいと思います。</p>

<p>会社の輪郭との関係性はこうやって少しずつ変わっていきました。けれども、どんな時にも自分の周りには必ず、出店者さんたちがいたことはずっと変わりません。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND0868final2.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>やがて、円の縁から離れていくきっかけになったのが、ヴィッセル神戸での仕事だったという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──かなり自覚的に際に立つことを選んできたわけですか？</strong></p>

<div class="round-box fr fb gray"><p>シャープには「情報の波打ち際に行け」という行動規範のようなものがあった</p></div>

<p>選んでいると言えるのかは分からないですけど、振り返ってみれば、最初に入ったシャープには「情報の波打ち際に行け」というフレーズがあって、ひとつの行動規範のようになっていました。変化が起こったり何か新しいものが生まれるのは波打ち際だから、組織の中心にいたのでは何も分からない、という考え方に触れて、なるほどと思ったのがあって。</p>

<p>楽天に入ってしばらくして、創業副社長の本城慎之介に勧められて読んだトム・ピーターズの『ブランド人になれ！』という本に、「お客さんと生きろ」と書いてあって、「お客さんと生きよう」と意識しました。</p>

<p>組織が大きくなるにつれて、ぼく自身も一時は現場の仕事とマネジャー業を兼務しなければならないポジションになったのですが、そこでドロップアウトして、際に居続けることを選択したことはあります。</p>

<p><strong>──真ん中に近づいていく機会はあったけれど、あえて際にいることを選んだ、と。</strong></p>

<p>このままマネジャー業に時間を取られると、立ち上げた楽天大学の講座づくりができなくなって発展しなくなると感じた時に、マネジャー業に白旗を上げて。このことが「出島」的になる大きなきっかけになりました。</p>

<p><img src="/uploads/_OND0939final2.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>境界線を消しゴムで消すようにして、曖昧に</h2>

<p><strong>──楽天大学の学長として多くの出店者さんとやりとりをしてきた仲山さんから見て、際で価値ある情報交換が行われるのには、どのような条件が必要だと思いますか？</strong></p>

<p>創業から2〜3年経って、成功・失敗事例が溜まってきたタイミングで、三木谷が「楽天版のMBAをつくりたい」と言い出して。それで立ち上げたのが楽天大学です。基本的には、オンラインではなくリアルな教室に集まって、みんなでアイデアや実践談を共有するような講座をメインにしていました。中には合宿形式のものもあるのですが、ぼくは18年でおそらくトータル1年間近くは出店者さんと寝食をともにして過ごしている気がします。コミュニケーション量は相当多いです。</p>

<p>そうすると、出店者さんって本来、楽天からすれば顧客にあたる存在なんですけど、次第にそうした関係性に質的変化が起こるんですよね。単なるサービス提供者と顧客の関係を超えて、「人と人」の関係性になる。これが大事な条件だと思います。</p>

<div class="round-box fl fb gray"><p>サービス提供者と顧客の関係を超えて、「人と人」の関係性になる</p></div>

<p>最近では、出店者さんが「プロジェクトのパートナー」になることも増えました。また、自治体さんも交えたチームとして活動することもあります。例えば、岐阜県庁さんと一緒にやっていたプロジェクトがあります。地元の出店者さんとぼくとで一緒に高校へ行って、1年間かけて、お店の商品を企画し、それを売るためのページの作り方から、実際に売る方法までを学んでもらう授業です。</p>

<p>たぶん、ぼくらが集まって喋っているところを第三者が見たら、「サービス提供者とその顧客と公務員」が混ざっているようには見えないだろうなっていう、そういうノリなんです。組織と組織がコラボする時には、際を曖昧にしてかき混ぜるようにしてやるとうまくいくというのが、ぼくの実感です。</p>

<p><strong>──際を曖昧にしてかき混ぜるというのは、例えばどんなことですか？</strong></p>

<p>まずは「誰とやるか」が大事です。特に「際者」同士だと、うまくいきやすい。</p>

<p>岐阜のプロジェクトはもともと、岐阜県と楽天が包括提携を結んで、県内のEコマース事業者向けの勉強会に、ぼくが講演で伺って、県庁の担当者さんと意気投合したところから始まっているんです。その方も「際者」で。</p>

<p>本音で話せる関係になれたので、「このままだとこの勉強会は続かなくなると思う」と言って提案をしました。その講演には100人くらいが集まったんですけど、終わったらみんなそのまま帰ってしまった。そのあと懇親会に行って、みんなでワイワイしながら話をすることで熱量が高まるというのが楽天での経験としてあったので、少なくとも懇親会まであるとわかるように告知をするとか。</p>

<p>あとは、20人くらいの固定メンバーで3か月ほどの継続性のあるプログラムをやることで、コミュニティのコアになるような人を増やすことが大事だと。継続的にやることでチームづくりがしやすいので、参加者のあいだには同期として仲間意識が芽生え、プログラムが終わってからも、自主的に集まったり、情報交換をしたりするようになります。さらに、そういう人たちは熱量が高いので、大人数の勉強会の場でその熱を広めていってくれるのです。</p>

<p>こちらが何かしなくても、みんなが自主的に考えて動けるようになることを、楽天では「自走」と呼んで、重視しています。そういうことをいままでやってきているので、岐阜でもできたら......と話したら、「ぜひやりましょう」と。</p>

<p><strong>──「自走」ですか。</strong></p>

<p>ネットショップって、一人でやっていると、頑張っているつもりなのに売上が上がらなかったり言葉のキツめな苦情を受けたりして、結構辛いんです。横のつながりができると、悩みを共有できたり、自分では頑張っているつもりでいたけど全然やれていなかったとわかったりして、頑張りやすくなるんです。しかも講座としてやると、みんなが共通のフレームワーク、共通の言語をもつことになるし、だいたい異業種の人ばかりなので同業者を意識することなく実践談を披露できるから、すごく盛り上がるんです。</p>

<p>ぼくがやっているのは、このようにして、ハッキリした枠があるものを消しゴムで消して曖昧にして、重ならないかな？　混ざらないかな？　とやってみるようなことです。だから、参加した人から「大人になってこんなに何でも話せる友だちができるとは思わなかった」とか「2店舗でコラボ企画をやることにした」とか言ってもらえると、「ああ、自分の仕事はうまくいっているな」という感じがします。</p>

<p><img src="/uploads/_OND0903final2.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>「加減乗除」で強みを浮き彫りに</h2>

<p>組織と組織がコラボする上でもうひとつ大事な視点は、それぞれの強みを生かしてチームをつくるということです。</p>

<p>先ほどの岐阜県の例で言えば、あるとき担当職員さんがこう言いました。「行政の強みは、県内の中小企業に一斉に告知できる告知力や、その際の信用力、1回やると決めたら3年は続けられる継続力、あとは会場のハコがあることですね。講座の企画をつくって運営するというのは、仲山さんの強み」と。</p>

<p>なのに、行政がそういう講座をやろうとすると、企画を決めて、それをできる講師を呼んで運営して、というところまですべて自分たちでやろうとしてしまいがちです。それでは各自が強みを生かしていることにはなりません。</p>

<p>岐阜県のプロジェクトがうまくいっているのは、県庁と楽天と出店者さんとがそれぞれの強みを持ち寄って、掛け合わせることができているから。そうやって強みをうまく組み合わせるようにしてチームができると、やっている全員が楽しい。</p>

<p>しかも強みというのは、自分にとっては頑張らないでもできることで役に立てている状態なので、無理がなく、長続きもしやすいんです。</p>

<p><strong>──となると、際に立つ以前に、各自が自分の強みを確立していること、何が自分の強みなのかを認識できていることが重要になりますね。</strong></p>

<p>その通りですね。ぼくは仕事には「加減乗除」の4つのステージがあると思っていて。</p>

<p><strong>──「加減乗除」とは？</strong></p>

<p>最初は「加」のステージだから、とにかくできることを増やす。選り好みをせず、キャパオーバーになるまでやる。もちろん効率化のために工夫するのはいいけれど、それで空いたスペースにはどんどん新しいことを詰め込む。そうやってできることを増やしていくと、キャパオーバーになった頃に、ようやく自分にとって何が得意で、何が苦手なのかというのが分かる状態になります。</p>

<p>そうなったら「減」のステージです。苦手なことは人にお任せしながら、自分の強みに寄せていく。「加」が十分でない最初の段階で選り好みしていると、その段階での強みなんて大した強みではない可能性が高い。色々やってみて、石膏のベースを十分に大きくしてから、強みという名の彫刻を削り出していくイメージです。</p>

<p>そうやって強みを磨いていくと、今度は「あなたの強みがうちのプロジェクトに必要だから」といって声がかかるようになります。そうして、さまざまな人が強みを持ち寄り、強みと強みが掛け合わさって、新たな価値をつくる。これが「乗」のステージということになります。</p>

<p><strong>──先ほどの岐阜県の話は、掛け算のステージというわけですね。最後の「除」のステージというのは？</strong></p>

<p>そうやって10個、20個といくつものプロジェクトに首を突っ込むようになると、全部が中途半端に終わってしまうということになりがちです。そうならないために必要なのが、自分の強みが生きるプロジェクト以外はやらないという「除」の考え方なんです。例えば、ぼくはいま、横浜F・マリノスで、育成コーチやスクールコーチ向けにチームビルディング講座をやっていますけど、これは相手が違うだけであって、やっていることは楽天でやってきたのと同じことです。</p>

<p>それを割り算と呼ぶのは、仮にぼくの強みが「3」だとしたら、関わるプロジェクトは3の倍数だけにするということです。マリノスでやっているのは「9」というプロジェクト。楽天でやっているのは「15」のプロジェクトというように。自分の強みという共通の因数を見つけて、それ以外には首を突っ込まない。そうすると、すべての仕事はどこかで繋がっていて、同時に進む状態になるんです。こういう働き方をしているとよく、「楽天の仕事が何割で、他の仕事が何割なんですか？」という質問をされることがありますが、ぼくの中ではすべてが同時進行だから、そういう割合のような概念はないんです。</p>

<div class="round-box fr fb gray"><p>「除」を意識することで、すべての仕事はどこかで繋がっていて、同時に進む状態になる</p></div>

<p>もちろん、スポーツの世界だからこその発見とか、ここがビジネスの世界とはちょっと違ったというようなことはありますけど、それをビジネスの世界に持ち帰ると喜んでもらえます。「除」の考え方で仕事に取り組むと、そうした相乗効果も多分ありますよね。</p>

<p><strong>──いまのお話はとても重要だと感じました。というのも、最近は副業が大事だという話をよく耳にするのですが、リスク分散のためにまったく別の仕事を複数やるというのには違和感があって。そうではなくて、いまの仲山さんのお話のように、自分の強みをさまざまな形で生かすというところに、副業の本来の意義があるのでは、と。つまり、そうした話には「除」の考え方が抜け落ちている気がするのです。</strong></p>

<p>そうかもしれないですね。これは企業のCSRみたいなのにも似ていると思うんですけど。本来、いまやっている本業が本当に世の中に役立つことなのであれば、わざわざ自社の強みと関係ない社会貢献活動をする必要などないはずですし、副業にしても「本業は単にお金を稼ぐためで、副業のNPOでやりがいのあることをする」みたいな必要はないわけですよね。</p>

<p>先ほど、組織と組織がコラボするためには、際を曖昧にして混ざり合うのがいいと言ったけれども、これは個人についても言えると思うんです。本業と副業だって、本来は際が曖昧になって、互いに重なり合い、混ざり合っている方が意味があるはずです。</p>

<p><img src="/uploads/_OND0876final2.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>組織から「浮く」ことを恐れない</h2>

<p>楽天もそうだったんですけど、最初は誰のお客さんかなんて関係ない、電話に出られる奴が出ろという風に、全員ですべての仕事をするような感じで。でも組織の成長が進んで、それ以上に業務量が増えすぎると、役割を分けて、ひとつのことに専念した方が効率がいい。そうやって組織は分業化を経験していきますよね。</p>

<p>高度経済成長のときも、業務量が増えて、それをこなすために分業化が進んで境界線がはっきりしていったと思います。それで上手くいって大きくなっていった時期もあったけれど、前提となる事業環境が変わることで、境界線がくっきりしているがゆえに、各自が自分の担当範囲だけではどうにもできないといった状況が生じてくる。それが、調子のよくない大企業の一因ではないかとぼくは思っています。</p>

<p>ぼくが企業向けのチームビルディング講座でやっているのは、まさにそのようにして境界線がボールペンでくっきり書かれた中でも、プロジェクトチームのようにしてどうにかごちゃごちゃしたチームがつくれないか、というようなことなんです。そのためには役割のない、フラットなところから始まって、ああだこうだ意見を交わしながら、強みに応じて徐々に役割が決まるようにチームをつくっていくのがいいだろう、と。そこでやっていることは、異なる組織間のコラボレーションの場合と何も変わりません。</p>

<p>ただ、やはり大きな会社の中で、くっきりと分かれた部署の垣根を曖昧にするというのは簡単ではないと思います。何か新しいことをやろうと思っても、10個くらいの部署に話を通さないと「聞いてないよ」ってことになりがちです。</p>

<p><strong>──そのうちのいくつかは反対するかもしれないですし。まさに、仲山さん自身がキャリアのスタートで感じていた壁ですね。</strong></p>

<p>なのでいまは、新しいことをやるときに最初は組織の外側で立ち上げてみて、軌道に乗って、中の人から「それ、中でやろうよ」みたいに興味を持ってもらえるようになった段階で組み込むというやり方の方が、うまくいきやすいです。</p>

<p><strong>──そう考えると、もちろん組織の中にいて、いまある仕組みを回す人も必要だけれども、イノベーションが足りないと言われる現在を見れば、仲山さんのように自由に振る舞える際者が、もっといてもいいのかもしれないですね。</strong></p>

<p>結構いろんな組織に「際者」感のある人はいて、そういう人は大抵、社内では「変人」と呼ばれて浮いてるんですよね。ぼくがキワモノという言葉を使うのには、そういう「変人」という意味も込められている。あと最近思うのは、まさに「浮く」ことこそが大事なんじゃないかってことです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND0959final2.jpg" alt="" title="" /> 
<figcaption>楽天市場がここまで大きくなれたのは、多くの店長の方々が知恵を絞ってくれたお陰だという。店長同士が学び合える大学をつくった仲山は、「水面に浮いていた」からこそ実現できたともいえるだろう。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──どういうことでしょうか？</strong></p>

<p>みんな時流には乗りたいと思っているじゃないですか。でも、時流というものが川の流れのようなものだとするならば、水面に浮いていなければ、流れに乗ることなんてできないですよね。なのに多くの人は、口では時流に乗りたいと言いながら、柵（しがらみ）とか杭にしがみついて、流れないように必死になっているように見える。浮いてれば流れに乗っていけるんです。</p>

<p>しかも、仮に価値観の合う人、面白い人が各組織にいたとしても、いままでのように水中に沈んでいると、出会いにくかった。でも、組織から浮いてもOKということになれば、お互い水面から顔がポコッと出て「こんにちは」と出会いやすいはずです。つまり、自分が際者として振る舞えば、自然と別の際者とつながっていけるということです。SNSのおかげで、特に出会いやすくなっています。</p>

<p>だからぼくの周りには、そういう人が結構たくさんいて。そこからまた、新たなプロジェクトが始まったりもする。そういう境界線にとらわれないプレースタイルの仲間がもっと増えたらいいと思いますし、ボールペンで書かれた枠内で過ごさなくても生きていけるということに、もっと多くの人に気づいてもらえたらいいなと思っています。</p>
]]>
        <![CDATA[<p><aside><strong>仲山進也</strong><small>楽天株式会社楽天大学学長/仲山考材株式会社代表取締役</small>
<p>1973年北海道生まれ。慶應義塾大学法学部法律学科卒業後、シャープを経て、99年に社員約20名の楽天へ。初代ECコンサルタントであり、楽天市場の最古参スタッフ。2000年に楽天市場出店者が互いに学び合える場として、「楽天大学」を設立。Eコマースのみならず、チームづくりや理念づくりまで幅広く支援している。04年にヴィッセル神戸の経営に参画。07年に楽天で唯一のフェロー風正社員となり、08年には自らの会社である仲山考材を設立。16年より横浜F・マリノスでプロ契約スタッフ。</p></aside></p>

<p>「名刺とはアイデアであり、名刺交換はアイデアの交換である」と、昨年取材した医学博士の石川善樹は言った。</p>

<p>名刺交換が発生するのは異なる組織と組織の間にある「際」であるから、新たなアイデアが欲しいと思ったら、組織の外へと赴き、際に立つ必要があるだろう。</p>

<p>楽天の正社員でありながら自身の会社も経営し、Jリーグの横浜F・マリノスともプロ契約している仲山進也は、際に立ち続けてきた人物である。出社の義務もなければ兼業の制限もない、自由な働き方を体現する仲山は、組織の中心を目指す人が多い中にあって、「ぼくは際者（キワモノ）でありたい」と言ってはばからない。ただし、事業のイノベーションに貢献するには、際に立つだけでは事足りない。</p>

<p>楽天大学の学長として、数多くの出店者とコミュニケーションをとり続けてきた彼から、ぼくらはビジネスネットワークについて何を学べるのだろうか。組織の境界線を曖昧にしてかき混ぜる。仲山独自の成長理論「加減乗除」で強みを浮き彫りにする。そして、組織から「浮く」ことを恐れないことが大事だという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND0923final2.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「プロ契約」をしている横浜F・マリノスのオフィスで取材を行った。</figcaption></figure></p>

<h2>情報の波打ち際に立て</h2>

<p><strong>──際者を自称する仲山さんですが、どのようにしていまの「自由すぎる」ポジションを獲得したのでしょうか？</strong></p>

<p>社会人になって最初に入った会社で配属されたのは、ある事業本部の本部長室だったので、際とは縁遠く、むしろ巨大な組織の中心に近いポジションだったんです。社外の人と接することはまったくなく、仕事はすべて、社内の人とのやりとりでした。</p>

<p>組織が大きすぎると、自分の見えている範囲で良かれと思ってやったことでも、知らないところで誰かの迷惑になったりする。全体像がわからないままモヤモヤしているよりは、小さくてもいいから全体を把握できた上で仕事ができる方がいいと思っていたところ、縁があって3年目に楽天に転職しました。</p>

<p><strong>──当時の楽天はまだ20人くらいしかいなかったんですよね。</strong></p>

<p>そうです。自分は日々、まさに際に立って出店者さんたちとコミュニケーションをとる仕事をしていたんですけど、一方で中心にいる三木谷とも、あいだにひとり挟むか挟まないかくらいの距離感で仕事ができました。</p>

<p>やがて組織が大きくなると、ミーティングや社内調整のような仕事の重要性が増していきましたが、そういったことにはあまり興味を持てず、相変わらず際に立ってお客さんとのやりとりを続けていました。そうしたら、いつのまにか窓際というか、さらにはみ出て「出島」のようなポジションに立っていた、という感じです。社内との接点より、お客さんとの接点がほとんど、という状況で。</p>

<p><figure>
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<figcaption>仲山はノートに円を描いてキャリアを説明する。いちばん左の大きな円が、新卒で入社したシャープ。楽天に移ってからは、会社の規模が大きくなっても、ずっと企業の際である円の縁に居続けてきた。</figcaption>
</figure></p>

<p>さらに、2004年に三木谷がJリーグのヴィッセル神戸のオーナーになった時に、自分から手を挙げてお手伝いをすることになったのですが、1週間おきに東京と神戸を行ったり来たりする生活を続けていたら、「自分が会社にいなくても誰も困らない状態」が確立してしまいました。2007年から会社に行かなくてもいい立場になれたのも、そういう経緯があったことは大きいと思います。</p>

<p>会社の輪郭との関係性はこうやって少しずつ変わっていきました。けれども、どんな時にも自分の周りには必ず、出店者さんたちがいたことはずっと変わりません。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND0868final2.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>やがて、円の縁から離れていくきっかけになったのが、ヴィッセル神戸での仕事だったという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──かなり自覚的に際に立つことを選んできたわけですか？</strong></p>

<p>選んでいると言えるのかは分からないですけど、振り返ってみれば、最初に入ったシャープには「情報の波打ち際に行け」というフレーズがあって、ひとつの行動規範のようになっていました。変化が起こったり何か新しいものが生まれるのは波打ち際だから、組織の中心にいたのでは何も分からない、という考え方に触れて、なるほどと思ったのがあって。</p>

<p>楽天に入ってしばらくして、創業副社長の本城慎之介に勧められて読んだトム・ピーターズの『ブランド人になれ！』という本に、「お客さんと生きろ」と書いてあって、「お客さんと生きよう」と意識しました。</p>

<p>組織が大きくなるにつれて、ぼく自身も一時は現場の仕事とマネジャー業を兼務しなければならないポジションになったのですが、そこでドロップアウトして、際に居続けることを選択したことはあります。</p>

<p><strong>──真ん中に近づいていく機会はあったけれど、あえて際にいることを選んだ、と。</strong></p>

<p>このままマネジャー業に時間を取られると、立ち上げた楽天大学の講座づくりができなくなって発展しなくなると感じた時に、マネジャー業に白旗を上げて。このことが「出島」的になる大きなきっかけになりました。</p>

<p><img src="/uploads/_OND0939final2.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>境界線を消しゴムで消すようにして、曖昧に</h2>

<p><strong>──楽天大学の学長として多くの出店者さんとやりとりをしてきた仲山さんから見て、際で価値ある情報交換が行われるのには、どのような条件が必要だと思いますか？</strong></p>

<p>創業から2〜3年経って、成功・失敗事例が溜まってきたタイミングで、三木谷が「楽天版のMBAをつくりたい」と言い出して。それで立ち上げたのが楽天大学です。基本的には、オンラインではなくリアルな教室に集まって、みんなでアイデアや実践談を共有するような講座をメインにしていました。中には合宿形式のものもあるのですが、ぼくは18年でおそらくトータル1年間近くは出店者さんと寝食をともにして過ごしている気がします。コミュニケーション量は相当多いです。</p>

<p>そうすると、出店者さんって本来、楽天からすれば顧客にあたる存在なんですけど、次第にそうした関係性に質的変化が起こるんですよね。単なるサービス提供者と顧客の関係を超えて、「人と人」の関係性になる。これが大事な条件だと思います。</p>

<p>最近では、出店者さんが「プロジェクトのパートナー」になることも増えました。また、自治体さんも交えたチームとして活動することもあります。例えば、岐阜県庁さんと一緒にやっていたプロジェクトがあります。地元の出店者さんとぼくとで一緒に高校へ行って、1年間かけて、お店の商品を企画し、それを売るためのページの作り方から、実際に売る方法までを学んでもらう授業です。</p>

<p>たぶん、ぼくらが集まって喋っているところを第三者が見たら、「サービス提供者とその顧客と公務員」が混ざっているようには見えないだろうなっていう、そういうノリなんです。組織と組織がコラボする時には、際を曖昧にしてかき混ぜるようにしてやるとうまくいくというのが、ぼくの実感です。</p>

<p><strong>──際を曖昧にしてかき混ぜるというのは、例えばどんなことですか？</strong></p>

<p>まずは「誰とやるか」が大事です。特に「際者」同士だと、うまくいきやすい。</p>

<p>岐阜のプロジェクトはもともと、岐阜県と楽天が包括提携を結んで、県内のEコマース事業者向けの勉強会に、ぼくが講演で伺って、県庁の担当者さんと意気投合したところから始まっているんです。その方も「際者」で。</p>

<p>本音で話せる関係になれたので、「このままだとこの勉強会は続かなくなると思う」と言って提案をしました。その講演には100人くらいが集まったんですけど、終わったらみんなそのまま帰ってしまった。そのあと懇親会に行って、みんなでワイワイしながら話をすることで熱量が高まるというのが楽天での経験としてあったので、少なくとも懇親会まであるとわかるように告知をするとか。</p>

<p>あとは、20人くらいの固定メンバーで3か月ほどの継続性のあるプログラムをやることで、コミュニティのコアになるような人を増やすことが大事だと。継続的にやることでチームづくりがしやすいので、参加者のあいだには同期として仲間意識が芽生え、プログラムが終わってからも、自主的に集まったり、情報交換をしたりするようになります。さらに、そういう人たちは熱量が高いので、大人数の勉強会の場でその熱を広めていってくれるのです。</p>

<p>こちらが何かしなくても、みんなが自主的に考えて動けるようになることを、楽天では「自走」と呼んで、重視しています。そういうことをいままでやってきているので、岐阜でもできたら......と話したら、「ぜひやりましょう」と。</p>

<p><strong>──「自走」ですか。</strong></p>

<p>ネットショップって、一人でやっていると、頑張っているつもりなのに売上が上がらなかったり言葉のキツめな苦情を受けたりして、結構辛いんです。横のつながりができると、悩みを共有できたり、自分では頑張っているつもりでいたけど全然やれていなかったとわかったりして、頑張りやすくなるんです。しかも講座としてやると、みんなが共通のフレームワーク、共通の言語をもつことになるし、だいたい異業種の人ばかりなので同業者を意識することなく実践談を披露できるから、すごく盛り上がるんです。</p>

<p>ぼくがやっているのは、このようにして、ハッキリした枠があるものを消しゴムで消して曖昧にして、重ならないかな？　混ざらないかな？　とやってみるようなことです。だから、参加した人から「大人になってこんなに何でも話せる友だちができるとは思わなかった」とか「2店舗でコラボ企画をやることにした」とか言ってもらえると、「ああ、自分の仕事はうまくいっているな」という感じがします。</p>

<p><img src="/uploads/_OND0903final2.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>「加減乗除」で強みを浮き彫りに</h2>

<p>組織と組織がコラボする上でもうひとつ大事な視点は、それぞれの強みを生かしてチームをつくるということです。</p>

<p>先ほどの岐阜県の例で言えば、あるとき担当職員さんがこう言いました。「行政の強みは、県内の中小企業に一斉に告知できる告知力や、その際の信用力、1回やると決めたら3年は続けられる継続力、あとは会場のハコがあることですね。講座の企画をつくって運営するというのは、仲山さんの強み」と。</p>

<p>なのに、行政がそういう講座をやろうとすると、企画を決めて、それをできる講師を呼んで運営して、というところまですべて自分たちでやろうとしてしまいがちです。それでは各自が強みを生かしていることにはなりません。</p>

<p>岐阜県のプロジェクトがうまくいっているのは、県庁と楽天と出店者さんとがそれぞれの強みを持ち寄って、掛け合わせることができているから。そうやって強みをうまく組み合わせるようにしてチームができると、やっている全員が楽しい。</p>

<p>しかも強みというのは、自分にとっては頑張らないでもできることで役に立てている状態なので、無理がなく、長続きもしやすいんです。</p>

<p><strong>──となると、際に立つ以前に、各自が自分の強みを確立していること、何が自分の強みなのかを認識できていることが重要になりますね。</strong></p>

<p>その通りですね。ぼくは仕事には「加減乗除」の4つのステージがあると思っていて。</p>

<p><strong>──「加減乗除」とは？</strong></p>

<p>最初は「加」のステージだから、とにかくできることを増やす。選り好みをせず、キャパオーバーになるまでやる。もちろん効率化のために工夫するのはいいけれど、それで空いたスペースにはどんどん新しいことを詰め込む。そうやってできることを増やしていくと、キャパオーバーになった頃に、ようやく自分にとって何が得意で、何が苦手なのかというのが分かる状態になります。</p>

<p>そうなったら「減」のステージです。苦手なことは人にお任せしながら、自分の強みに寄せていく。「加」が十分でない最初の段階で選り好みしていると、その段階での強みなんて大した強みではない可能性が高い。色々やってみて、石膏のベースを十分に大きくしてから、強みという名の彫刻を削り出していくイメージです。</p>

<p>そうやって強みを磨いていくと、今度は「あなたの強みがうちのプロジェクトに必要だから」といって声がかかるようになります。そうして、さまざまな人が強みを持ち寄り、強みと強みが掛け合わさって、新たな価値をつくる。これが「乗」のステージということになります。</p>

<p><strong>──先ほどの岐阜県の話は、掛け算のステージというわけですね。最後の「除」のステージというのは？</strong></p>

<p>そうやって10個、20個といくつものプロジェクトに首を突っ込むようになると、全部が中途半端に終わってしまうということになりがちです。そうならないために必要なのが、自分の強みが生きるプロジェクト以外はやらないという「除」の考え方なんです。例えば、ぼくはいま、横浜F・マリノスで、育成コーチやスクールコーチ向けにチームビルディング講座をやっていますけど、これは相手が違うだけであって、やっていることは楽天でやってきたのと同じことです。</p>

<p>それを割り算と呼ぶのは、仮にぼくの強みが「3」だとしたら、関わるプロジェクトは3の倍数だけにするということです。マリノスでやっているのは「9」というプロジェクト。楽天でやっているのは「15」のプロジェクトというように。自分の強みという共通の因数を見つけて、それ以外には首を突っ込まない。そうすると、すべての仕事はどこかで繋がっていて、同時に進む状態になるんです。こういう働き方をしているとよく、「楽天の仕事が何割で、他の仕事が何割なんですか？」という質問をされることがありますが、ぼくの中ではすべてが同時進行だから、そういう割合のような概念はないんです。</p>

<p>もちろん、スポーツの世界だからこその発見とか、ここがビジネスの世界とはちょっと違ったというようなことはありますけど、それをビジネスの世界に持ち帰ると喜んでもらえます。「除」の考え方で仕事に取り組むと、そうした相乗効果も多分ありますよね。</p>

<p><strong>──いまのお話はとても重要だと感じました。というのも、最近は副業が大事だという話をよく耳にするのですが、リスク分散のためにまったく別の仕事を複数やるというのには違和感があって。そうではなくて、いまの仲山さんのお話のように、自分の強みをさまざまな形で生かすというところに、副業の本来の意義があるのでは、と。つまり、そうした話には「除」の考え方が抜け落ちている気がするのです。</strong></p>

<p>そうかもしれないですね。これは企業のCSRみたいなのにも似ていると思うんですけど。本来、いまやっている本業が本当に世の中に役立つことなのであれば、わざわざ自社の強みと関係ない社会貢献活動をする必要などないはずですし、副業にしても「本業は単にお金を稼ぐためで、副業のNPOでやりがいのあることをする」みたいな必要はないわけですよね。</p>

<p>先ほど、組織と組織がコラボするためには、際を曖昧にして混ざり合うのがいいと言ったけれども、これは個人についても言えると思うんです。本業と副業だって、本来は際が曖昧になって、互いに重なり合い、混ざり合っている方が意味があるはずです。</p>

<p><img src="/uploads/_OND0876final2.jpg" alt="" title="" /></p>

<h2>組織から「浮く」ことを恐れない</h2>

<p>楽天もそうだったんですけど、最初は誰のお客さんかなんて関係ない、電話に出られる奴が出ろという風に、全員ですべての仕事をするような感じで。でも組織の成長が進んで、それ以上に業務量が増えすぎると、役割を分けて、ひとつのことに専念した方が効率がいい。そうやって組織は分業化を経験していきますよね。</p>

<p>高度経済成長のときも、業務量が増えて、それをこなすために分業化が進んで境界線がはっきりしていったと思います。それで上手くいって大きくなっていった時期もあったけれど、前提となる事業環境が変わることで、境界線がくっきりしているがゆえに、各自が自分の担当範囲だけではどうにもできないといった状況が生じてくる。それが、調子のよくない大企業の一因ではないかとぼくは思っています。</p>

<p>ぼくが企業向けのチームビルディング講座でやっているのは、まさにそのようにして境界線がボールペンでくっきり書かれた中でも、プロジェクトチームのようにしてどうにかごちゃごちゃしたチームがつくれないか、というようなことなんです。そのためには役割のない、フラットなところから始まって、ああだこうだ意見を交わしながら、強みに応じて徐々に役割が決まるようにチームをつくっていくのがいいだろう、と。そこでやっていることは、異なる組織間のコラボレーションの場合と何も変わりません。</p>

<p>ただ、やはり大きな会社の中で、くっきりと分かれた部署の垣根を曖昧にするというのは簡単ではないと思います。何か新しいことをやろうと思っても、10個くらいの部署に話を通さないと「聞いてないよ」ってことになりがちです。</p>

<p><strong>──そのうちのいくつかは反対するかもしれないですし。まさに、仲山さん自身がキャリアのスタートで感じていた壁ですね。</strong></p>

<p>なのでいまは、新しいことをやるときに最初は組織の外側で立ち上げてみて、軌道に乗って、中の人から「それ、中でやろうよ」みたいに興味を持ってもらえるようになった段階で組み込むというやり方の方が、うまくいきやすいです。</p>

<p><strong>──そう考えると、もちろん組織の中にいて、いまある仕組みを回す人も必要だけれども、イノベーションが足りないと言われる現在を見れば、仲山さんのように自由に振る舞える際者が、もっといてもいいのかもしれないですね。</strong></p>

<p>結構いろんな組織に「際者」感のある人はいて、そういう人は大抵、社内では「変人」と呼ばれて浮いてるんですよね。ぼくがキワモノという言葉を使うのには、そういう「変人」という意味も込められている。あと最近思うのは、まさに「浮く」ことこそが大事なんじゃないかってことです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND0959final2.jpg" alt="" title="" /> 
<figcaption>楽天市場がここまで大きくなれたのは、多くの店長の方々が知恵を絞ってくれたお陰だという。店長同士が学び合える大学をつくった仲山は、「水面に浮いていた」からこそ実現できたともいえるだろう。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──どういうことでしょうか？</strong></p>

<p>みんな時流には乗りたいと思っているじゃないですか。でも、時流というものが川の流れのようなものだとするならば、水面に浮いていなければ、流れに乗ることなんてできないですよね。なのに多くの人は、口では時流に乗りたいと言いながら、柵（しがらみ）とか杭にしがみついて、流れないように必死になっているように見える。浮いてれば流れに乗っていけるんです。</p>

<p>しかも、仮に価値観の合う人、面白い人が各組織にいたとしても、いままでのように水中に沈んでいると、出会いにくかった。でも、組織から浮いてもOKということになれば、お互い水面から顔がポコッと出て「こんにちは」と出会いやすいはずです。つまり、自分が際者として振る舞えば、自然と別の際者とつながっていけるということです。SNSのおかげで、特に出会いやすくなっています。</p>

<p>だからぼくの周りには、そういう人が結構たくさんいて。そこからまた、新たなプロジェクトが始まったりもする。そういう境界線にとらわれないプレースタイルの仲間がもっと増えたらいいと思いますし、ボールペンで書かれた枠内で過ごさなくても生きていけるということに、もっと多くの人に気づいてもらえたらいいなと思っています。</p>
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    </content>
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    <title>7月29日（土）、南青山でトークイベント「BNL Special Sessions 2017」を開催。限定50名で一般募集を開始 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/06/bnl-special-sessions-2017.html" />
    <id>tag:bnl.media,2017://125.8790</id>

    <published>2017-06-16T04:00:00Z</published>
    <updated>2017-07-07T15:16:39Z</updated>

    <summary>早稲田大学ビジネススクールの入山章栄、One JAPANの濱松誠、ユニリーバ・ジャパンの島田由香、妙心寺春光院の川上全龍。この4名の特別ゲストを迎えて、120名規模のトークイベントを開催します。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="EVENTS INFO" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><strong>7月7日（金）23:59:99で応募を締切りました。
選ばれた方には、7月11日（火）に結果通知メールをお送りいたします。</strong></p>

<p>名刺アプリEightのインタビューメディア「BNL（Business Network Lab）」は、昨年8月にスタートして、もうすぐ1年になります。</p>

<p>年間を通して探ってきた「ビジネスネットワークとイノベーション」のテーマをさらに深掘りするために、以下4名の特別ゲストをお迎えして、また、これまで取材した人を全員招待して、南青山のイベント会場／レストラン「IDOL」にて、特別なトークイベントを開催します。</p>

<p><strong>入山章栄</strong><br>
早稲田大学ビジネススクール准教授<br>
世界の経営学の"当たり前"を日本人にわかりやすく説く、気鋭の経営学者。</p>

<p><strong>濱松誠</strong><br>
One JAPAN 共同発起人・代表<br>
「横と斜めのつながり」で大企業に風穴を空ける、30代の変革者。</p>

<p><strong>島田由香</strong><br>
ユニリーバ・ジャパン・ホールディングス　取締役 人事総務本部長<br>
先進的な人事制度でイノベーションの土台を築く、注目の女性経営者。</p>

<p><strong>川上全龍</strong><br>
妙心寺春光院副住職／マインドフルネス講師<br>
世界中からトップエリートが集い、英語ができてビジネスも語れる人気の禅僧。</p>

<p>一見まったく異なる世界にいるように見えますが、彼ら4人の共通項は、ビジネスネットワークを活用して困難を乗り越え、イノベーションを生み出すことに挑戦し続けていることです。各トークセッションは公開インタビュー形式で、予定調和なプレゼンテーションは行いません。ひとり35分ずつのセッションに分けて、Business Insider Japan統括編集長の浜田敬子さんと、BNL編集長の丸山裕貴とで交互に聞き手を務めます。</p>

<p>トークだけではなく、参加者同士の交流も演出して、イノベーションにつながる出会いの場をつくります。Eightの「オンライン名刺交換」機能を使って、会場で一斉に名刺交換をしたり、他のイベントでは体験できない、さまざまな仕掛けをご用意しています。</p>

<p>会場の装飾・演出は、ウェディング業界の既成概念に挑戦する「CRAZY WEDDING」で知られる株式会社CRAZYにお願いをしています。トークも、交流も、これまでのビジネスイベントとは、ひと味もふた味も違う、特別な体験ができる1日となることでしょう。</p>

<p>人数に限りはございますが、一部抽選にてEightユーザー限定で一般募集を受け付けます。下記、応募条件を満たしたうえで、お申し込みください。</p>

<h2>当日、Eightで交流を促進するための5つの応募条件</h2>

<p>・Eightにアカウントを登録している。<br>
・最新バージョンのアプリをインストールしている。<br>
・Eightのプロフィールで、顔写真、キャリアサマリ、性別・生年月日を入力している。<br>
・フィードにコンテンツを投稿したことがある。<br>
・名刺を20枚以上Eightに登録している。</p>
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    <title>正解を探すな。まずは苦労を語れ。経営学者・宇田川元一が説く、組織を変える「語り」の力 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/05/udagawa.html" />
    <id>tag:bnl.media,2017://125.8773</id>

    <published>2017-05-31T00:57:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:08:34Z</updated>

    <summary>仕事で正解を探すのは、失敗したくないという感情が働いているため。それよりも信じられるものを見つけて、できることから実践してみて、その苦労を語ることから始めよう。苦労のないところからイノベーションは生まれない。それは、「語り」の中から生まれる。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="出会いからアイデアを生み出す" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="組織開発" label="組織開発" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営学" label="経営学" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/39573583282">宇田川元一</a></strong><small>埼玉大学大学院人文社会科学研究科准教授</small>
<p>1977年東京都生まれ。2000年立教大学経済学部卒業。02年同大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。06年明治大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得。 06年早稲田大学アジア太平洋研究センター助手、07年長崎大学経済学部講師、准教授、10年西南学院大学商学部准教授を経て、16年より現職。 専門は、経営戦略論、組織論。 主に欧州を中心とするOrganization StudiesやCritical Management Studiesの領域で、ナラティヴ・アプローチを理論的な基盤として、イノベーティブで協働的な組織のあり方とその実践について研究を行っている。07年度経営学史学会賞（論文部門奨励賞）受賞。</p></aside></p>

<h3>"武器"で問題は解消できない</h3>

<p>あるMBAの受講生に、宇田川元一は「なんでMBAを学ぶことにしたの？」と聞いてみた。</p>

<p>すると、「いまの上司に任せていたら会社はうまくいかない。MBAを取ったんだから、わたしの方が正しいことを証明したいんです」と返されて、とてもショックを受けたという。その学生は自分の会社を変えるための「武器（＝正解）」を求めていた。それでは問題の核心には触れられないと、宇田川は指摘する。</p>

<p>「本当の問題は上司と自分との間でうまく接点が見つけられないこと。いろんな武器を集めても、根本的な問題の解消にはつながりません」</p>

<p>これは決してMBAの受講生に限った問題ではない。「成功する7つの法則」といった類いのわかりやすい"武器"を並べたビジネス書や経済誌の特集はたくさんある。そうしたコンテンツが必ずしも悪いわけではないが、読み手がその中に正解を求める心理状況はよくないという。</p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>法則を教える「あっち側」と、自分の日常との間には大きな断絶がある</p>
</div>

<p>「多くの人は会社の中で困っていることに対して、なんらかの答えを探してしまうんです。いわゆるManagement Guru（経営の権威）と呼ばれる人たちの本はよく売れますし、講演会は大変人気がありますが、それによって実際に組織が変わっている実感はほとんどありません。つまり、あっち側（法則を教える側）の世界と、自分の仕事の日常とがつながらない。両者の間には大きな断絶があるように思うのです」</p>

<p>BNLでは、これまでビジネスネットワークを活用して活躍している人たちの話をお届けしてきた。前提として彼らの話に共通しているのは、イノベーションを生み出すには、多様なアイデアをもつ外部の人に会って話すことに価値があるというものだ。</p>

<div class="link-box"><a href="/2016/12/2016bnlreview.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_OND8858-1094.jpg');" class="img"></div>
<div class="info"><strong>「だったらこうしてみたら？」で面白いビジネスの芽が育つ。2016年Business Network Lab特別総集編</strong></div></a>
</div>

<p>しかし、改めて考えてみると自分の会社に戻って何かを変えられる状況でなければ、わざわざ外に出向く意欲も削がれる。そこで今回は、イノベーションを阻害する組織の問題について、経営学の視点から考えてみたい。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8874final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「正解を探すのは、失敗しないようにするためなんです」</figcaption></figure></p>

<h3>正解を探すより、信じること</h3>

<p>ある会社で社員のモチベーションが低いことが明らかな場合、「〇〇をすればモチベーションが上がる」という法則があるとする。いっけん普遍的な正解のように思えるかもしれないが、実際のところはひとつの参照点に過ぎないと宇田川は語る。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>法則はひとつの参照点に過ぎない。いまの自分の状況とイコールであることは証明できない</p>
</div>

<p>「科学が基本的に目指すところは『y=ax+b』といった、なるべくシンプルな方程式・法則で世界を説明することです。ただし、個々の状況とイコールであることは証明できません」</p>

<p>法則が導き出された状況と、いまの自分の会社の状況がイコールであることを証明するのは難しい。自分の会社にとっての正解を探し続けることよりも、とりあえずその法則を道標に実践してみよう。そこから何か糸口が見えてくることだってあるかもしれない。そう宇田川は助言する。</p>

<p>信じて実践する重要性を説いているのは宇田川だけではない。彼は、ミシガン大学の教授、カール E. ワイクが1980年代の論文に記している、雪山で遭難したハンガリー軍偵察隊の生還ストーリーを例に挙げる。</p>

<blockquote>
  <p>それは、スイスでの軍事機動演習のときに起こったある出来事である。ハンガリー軍の小隊の若い中尉は、アルプス山脈で偵察隊を凍てついた荒野へ送り出した。その直後に雪が降りはじめた。降雪は2日間つづいた。その間、偵察隊は戻ってこなかった。中尉は、自分の部下を死に追いやったのではないかと思い悩んだ。ところが、3日目になって偵察隊は帰ってきた。隊はどこにいたのだろうか。どうやって道をみつけたのだろうか。彼らがいうには、「われわれは迷ったとわかって、もうこれで終りかと思いました。そのとき隊員の1人がポケットに地図をみつけました。おかげで冷静になれました。われわれは野営し、吹雪に耐えました。それからその地図を手がかりに帰り道をみつけだしました。それでここに着いたわけです。」中尉は、この命の恩人となった地図を手にとってじっくりとながめた。驚いたことに、その地図はアルプスの地図でなく、ピレネーの地図であった。(『戦略の代替物』カール E. ワイク）</p>
</blockquote>

<p>「まずは信じるものをつくることが大事。ひとつ拠り所となるものがつくれたら、それを媒介にして、次の世界が初めて見えてくる。これはそういう話なんです」</p>

<p>何か面白い話を聞いたとき、それを信じて自分の仕事に取り入れてみる。その話は違う会社の「地図」かもしれないが、その地図の観点から自分の会社を見てみると、何か新しい気づきが得られるかもしれない。</p>

<p>「自分に許されている範囲って意外と広いんです。裁量の範囲でできることをちょっとずつやってみる。そうすると何かが起きて次に活かせる。会社の外で何かいい話を聞いたり、いい考え方を知ったりしたら、それを参照点にして仕事のやり方をちょっと変えてみる。それだけで、世界は少しだけれども確実に、変わるんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8826final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「メタファーはよく談話の装飾に過ぎないと思われている。しかし、その重要性ははるかに大きなものである。メタファーの使用は、考え方やものの見方なのであり、それらは我々の一般的な世界の理解の仕方に広く行き渡っている」（ガレス・モーガン）</figcaption></figure></p>

<h3>メタファーは次のメタファーをつくる</h3>

<p>雪山のストーリーを用いて実践の重要性を説いたワイクと同時期に、ガレス・モーガン（ヨーク大学特別研究教授）は、メタファー（隠喩）と組織分析の関係を考察した書籍『Images of Organization』を1986年に出版し、ベストセラーとなった。宇田川によると、1990年代に欧州で最も引用された文献なのだという。</p>

<p>「メタファーというのは言語的な活動のひとつですけれども、われわれが日常的に経験する出来事は、言語的な働きを抜きにしてはあり得ない。そうであるならば、言葉が変わることで組織も変わる。それが80年代半ばくらいから段々と明らかになってきたのです」</p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>言葉が変わることで組織も変わる。以前は見えなかった課題や可能性が芽生えてくる</p>
</div>

<p>その後、ほかの研究者らによって「カウンターメタファー」の存在が提示された。あるメタファーが表現されることによって、別のメタファー（カウンターメタファー）が対応して出てくるというものだ。</p>

<p>例えば企業がリストラをする時には、「剪定」といったメタファーで語られることが多い。「すっきりさせる」、「枝葉を切り落とす」といったものもある。しかし、そのうち「枯れ木」や「切りすぎてしまった」といったカウンターメタファーが登場する。それは、剪定などのメタファーがなければ表現できなかったものだ。</p>

<p>「何か現象を起こすときには、言語的な何かを通じて語ろうとするわけです。実際に何かをやっていくと、以前は見えなかった課題や可能性が芽生えてくる。それを続けていくと、また別のものが見えてくる。どうやらこの連鎖が起きているのではないか、ということが最近の研究でわかってきたのです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8903final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「経営学は実践の学問です。参照できることはあっても、個別の状況に対して正解を与えるものではありません。そのため、苦労することが大事だと教えてくれるのが経営学の使命だとわたしは思います」</figcaption></figure></p>

<h3>語る、そして苦労する</h3>

<p>法則を教える「あっち側」と、自分たちの日常の間の「断絶」を埋めるために、どのような方法をとればいいのだろうか。宇田川は、対話を促すことで組織の問題を解消に導く手法、「ナラティヴ・アプローチ」を推奨する。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="/2017/05/2017firsthalf-bnlreview.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/IMG_4761-10942.jpg">
<div class="info"><strong>フジテレビの低迷からイノベーションについて学べること。2017年上半期 BNL特別総集編</strong> <date>2017.5.25</date></div>

<p></a></div></p>

<p>「正解を探す行為は、失敗しないようにする意識が働いているものです。ある会社で成功したことを一般法則にして、自分の会社に移植しようとしている。でも会社によってコンテキストが異なるので、そう簡単に移植できるわけがないんです。当然失敗して、苦労するわけです。そのとき、なるべく失敗しないようにたくさん知識を集めても無駄が増えるだけ。まず失敗を恐れずに自分にできることからやってみる。そこに苦労があれば、その苦労を語ることから始めてはどうかと思うのです」</p>

<p>いい話を聞いたが、自分の会社ではどう適用すればいいかよくわからなくて困っている。そのように語ることで、自分の苦労に気づく。「苦労はあっていい」と宇田川は言う。「それをないものにしようとするから一歩も進まない。言葉にすることで、新しい言葉が見つかる。結局のところ、組織とは、そうやって語ることからしか変わることはできないのです」</p>
]]>
        <![CDATA[<p><aside><strong>宇田川元一</strong><small>埼玉大学大学院人文社会科学研究科准教授</small>
<p>1977年東京都生まれ。2000年立教大学経済学部卒業。02年同大学大学院経済学研究科博士前期課程修了。06年明治大学大学院経営学研究科博士後期課程単位取得。 06年早稲田大学アジア太平洋研究センター助手、07年長崎大学経済学部講師、准教授、10年西南学院大学商学部准教授を経て、16年より現職。 専門は、経営戦略論、組織論。 主に欧州を中心とするOrganization StudiesやCritical Management Studiesの領域で、ナラティヴ・アプローチを理論的な基盤として、イノベーティブで協働的な組織のあり方とその実践について研究を行っている。07年度経営学史学会賞（論文部門奨励賞）受賞。</p></aside></p>

<h3>"武器"で問題は解消できない</h3>

<p>あるMBAの受講生に、宇田川元一は「なんでMBAを学ぶことにしたの？」と聞いてみた。</p>

<p>すると、「いまの上司に任せていたら会社はうまくいかない。MBAを取ったんだから、わたしの方が正しいことを証明したいんです」と返されて、とてもショックを受けたという。その学生は自分の会社を変えるための「武器（＝正解）」を求めていた。それでは問題の核心には触れられないと、宇田川は指摘する。</p>

<p>「本当の問題は上司と自分との間でうまく接点が見つけられないこと。いろんな武器を集めても、根本的な問題の解消にはつながりません」</p>

<p>これは決してMBAの受講生に限った問題ではない。「成功する7つの法則」といった類いのわかりやすい"武器"を並べたビジネス書や経済誌の特集はたくさんある。そうしたコンテンツが必ずしも悪いわけではないが、読み手がその中に正解を求める心理状況はよくないという。</p>

<p>「多くの人は会社の中で困っていることに対して、なんらかの答えを探してしまうんです。いわゆるManagement Guru（経営の権威）と呼ばれる人たちの本はよく売れますし、講演会は大変人気がありますが、それによって実際に組織が変わっている実感はほとんどありません。つまり、あっち側（法則を教える側）の世界と、自分の仕事の日常とがつながらない。両者の間には大きな断絶があるように思うのです」</p>

<p>BNLでは、これまでビジネスネットワークを活用して活躍している人たちの話をお届けしてきた。前提として彼らの話に共通しているのは、イノベーションを生み出すには、多様なアイデアをもつ外部の人に会って話すことに価値があるというものだ。</p>

<p>しかし、改めて考えてみると自分の会社に戻って何かを変えられる状況でなければ、わざわざ外に出向く意欲も削がれる。そこで今回は、イノベーションを阻害する組織の問題について、経営学の視点から考えてみたい。</p>

<h3>正解を探すより、信じること</h3>

<p>ある会社で社員のモチベーションが低いことが明らかな場合、「〇〇をすればモチベーションが上がる」という法則があるとする。いっけん普遍的な正解のように思えるかもしれないが、実際のところはひとつの参照点に過ぎないと宇田川は語る。</p>

<p>「科学が基本的に目指すところは『y=ax+b』といった、なるべくシンプルな方程式・法則で世界を説明することです。ただし、個々の状況とイコールであることは証明できません」</p>

<p>法則が導き出された状況と、いまの自分の会社の状況がイコールであることを証明するのは難しい。自分の会社にとっての正解を探し続けることよりも、とりあえずその法則を道標に実践してみよう。そこから何か糸口が見えてくることだってあるかもしれない。そう宇田川は助言する。</p>

<p>信じて実践する重要性を説いているのは宇田川だけではない。彼は、ミシガン大学の教授、カール E. ワイクが1980年代の論文に記している、雪山で遭難したハンガリー軍偵察隊の生還ストーリーを例に挙げる。</p>

<blockquote>
  <p>それは、スイスでの軍事機動演習のときに起こったある出来事である。ハンガリー軍の小隊の若い中尉は、アルプス山脈で偵察隊を凍てついた荒野へ送り出した。その直後に雪が降りはじめた。降雪は2日間つづいた。その間、偵察隊は戻ってこなかった。中尉は、自分の部下を死に追いやったのではないかと思い悩んだ。ところが、3日目になって偵察隊は帰ってきた。隊はどこにいたのだろうか。どうやって道をみつけたのだろうか。彼らがいうには、「われわれは迷ったとわかって、もうこれで終りかと思いました。そのとき隊員の1人がポケットに地図をみつけました。おかげで冷静になれました。われわれは野営し、吹雪に耐えました。それからその地図を手がかりに帰り道をみつけだしました。それでここに着いたわけです。」中尉は、この命の恩人となった地図を手にとってじっくりとながめた。驚いたことに、その地図はアルプスの地図でなく、ピレネーの地図であった。(『戦略の代替物』カール E. ワイク）</p>
</blockquote>

<p>「まずは信じるものをつくることが大事。ひとつ拠り所となるものがつくれたら、それを媒介にして、次の世界が初めて見えてくる。これはそういう話なんです」</p>

<p>何か面白い話を聞いたとき、それを信じて自分の仕事に取り入れてみる。その話は違う会社の「地図」かもしれないが、その地図の観点から自分の会社を見てみると、何か新しい気づきが得られるかもしれない。</p>

<p>「自分に許されている範囲って意外と広いんです。裁量の範囲でできることをちょっとずつやってみる。そうすると何かが起きて次に活かせる。会社の外で何かいい話を聞いたり、いい考え方を知ったりしたら、それを参照点にして仕事のやり方をちょっと変えてみる。それだけで、世界は少しだけれども確実に、変わるんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8826final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「メタファーはよく談話の装飾に過ぎないと思われている。しかし、その重要性ははるかに大きなものである。メタファーの使用は、考え方やものの見方なのであり、それらは我々の一般的な世界の理解の仕方に広く行き渡っている」（ガレス・モーガン）</figcaption></figure></p>

<h3>メタファーは次のメタファーをつくる</h3>

<p>雪山のストーリーを用いて実践の重要性を説いたワイクと同時期に、ガレス・モーガン（ヨーク大学特別研究教授）は、メタファー（隠喩）と組織分析の関係を考察した書籍『Images of Organization』を1986年に出版し、ベストセラーとなった。宇田川によると、1990年代に欧州で最も引用された文献なのだという。</p>

<p>「メタファーというのは言語的な活動のひとつですけれども、われわれが日常的に経験する出来事は、言語的な働きを抜きにしてはあり得ない。そうであるならば、言葉が変わることで組織も変わる。それが80年代半ばくらいから段々と明らかになってきたのです」</p>

<p>その後、ほかの研究者らによって「カウンターメタファー」の存在が提示された。あるメタファーが表現されることによって、別のメタファー（カウンターメタファー）が対応して出てくるというものだ。</p>

<p>例えば企業がリストラをする時には、「剪定」といったメタファーで語られることが多い。「すっきりさせる」、「枝葉を切り落とす」といったものもある。しかし、そのうち「枯れ木」や「切りすぎてしまった」といったカウンターメタファーが登場する。それは、剪定などのメタファーがなければ表現できなかったものだ。</p>

<p>「何か現象を起こすときには、言語的な何かを通じて語ろうとするわけです。実際に何かをやっていくと、以前は見えなかった課題や可能性が芽生えてくる。それを続けていくと、また別のものが見えてくる。どうやらこの連鎖が起きているのではないか、ということが最近の研究でわかってきたのです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8903final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「経営学は実践の学問です。参照できることはあっても、個別の状況に対して正解を与えるものではありません。そのため、苦労することが大事だと教えてくれるのが経営学の使命だとわたしは思います」</figcaption></figure></p>

<h3>語る、そして苦労する</h3>

<p>法則を教える「あっち側」と、自分たちの日常の間の「断絶」を埋めるために、どのような方法をとればいいのだろうか。宇田川は、対話を促すことで組織の問題を解消に導く手法、「ナラティヴ・アプローチ」を推奨する。</p>

<p>「正解を探す行為は、失敗しないようにする意識が働いているものです。ある会社で成功したことを一般法則にして、自分の会社に移植しようとしている。でも会社によってコンテキストが異なるので、そう簡単に移植できるわけがないんです。当然失敗して、苦労するわけです。そのとき、なるべく失敗しないようにたくさん知識を集めても無駄が増えるだけ。まず失敗を恐れずに自分にできることからやってみる。そこに苦労があれば、その苦労を語ることから始めてはどうかと思うのです」</p>

<p>いい話を聞いたが、自分の会社ではどう適用すればいいかよくわからなくて困っている。そのように語ることで、自分の苦労に気づく。「苦労はあっていい」と宇田川は言う。「それをないものにしようとするから一歩も進まない。言葉にすることで、新しい言葉が見つかる。結局のところ、組織とは、そうやって語ることからしか変わることはできないのです」</p>
]]>
    </content>
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<entry>
    <title>フジテレビの低迷からイノベーションについて学べること。2017年上半期 BNL特別総集編 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/05/2017firsthalf-bnlreview.html" />
    <id>tag:bnl.media,2017://125.8271</id>

    <published>2017-05-25T01:45:00Z</published>
    <updated>2020-01-06T07:50:49Z</updated>

    <summary>過去の成功体験にとらわれると、どんな企業でも低迷するリスクはある。ではぼくらは何を心がけるべきか？　弊誌編集長が2017年1〜5月の記事の要点をつなぎ考察する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="コラム" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="オープンイノベーション" label="オープンイノベーション" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="弱いつながりの強さ" label="弱いつながりの強さ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営学" label="経営学" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><figure><figcaption>取材した禅僧からのアドバイスは、「バイアス」を外すこと。妙心寺春光院の庭園にて。撮影：福森クニヒロ</figcaption></figure></p>

<p>フジテレビの社長と会長退任の報道を受けて、雑誌『経済界』のウェブサイトに<a href="http://net.keizaikai.co.jp/archives/25374">「ついに会長職を退任 フジテレビと日枝久の30年」</a>という記事が掲載された。業績低迷の要因について、次のように考察している。</p>

<blockquote>
  <p>民放三番手だったフジテレビが三冠王の常連となったのは、鹿内春雄氏の号令のもと、俗悪と言われようとも徹底して視聴者受けする番組づくりを貫いたからだ。深夜に実験的な番組づくりをするなど、とにかく挑戦的だった。フジテレビなら面白いことができると、若い放送作家や制作会社が集まり、それがさらなる刺激的な番組につながった。</p>

<p>今はその対極にある。過去の成功体験が大き過ぎるためか、焼き直しのような番組ばかりが並んでいる。「フジテレビに企画を持っていっても採用されない。だから面白い企画であればあるほど、まずは他局にもっていく」という放送作家の言葉が、今のフジテレビの状況を何より雄弁に物語っている。</p>
</blockquote>

<p>もちろんフジテレビの低迷には、ほかにもさまざまな要因が重なっているはずだが、ビジネスネットワークの観点から見れば、上記の指摘は問題の核心を突いている。昨年末に公開した<a href="https://bnl.media/2016/12/2016bnlreview.html">2016年BNL特別総集編</a>のメッセージを持ち出せば、「だったらこうしてみたら？」という意見が、フジテレビに集まらなくなったということだろう。</p>

<blockquote>
  <p>猫も杓子も"イノベーション"と語る昨今だが、この5ヶ月で取材したイノベーター20人の話を聞いた限りでは、シュンペーターの「新結合」の理論を持ち出すまでもなく、イノベーションの本質は知と知の組み合わせであり、アイデアの交換であることは明らかだ。そのほとんどがビジネスの世界では名刺交換から始まり、「だったらこうしてみたら？」といったコミュニケーションから生まれている。</p>

<p>記事：<a href="https://bnl.media/2016/12/2016bnlreview.html">「だったらこうしてみたら？」で面白いビジネスの芽が育つ。2016年BNL特別総集編</a></p>
</blockquote>

<h2>企業はどうしても「知の探索」を怠ってしまう</h2>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_L2A8476final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>入山章栄（早稲田大学ビジネススクール准教授）は、2012年に『世界の経営学者はいま何を考えているのか』（英治出版）、15年に『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』（日経BP）を出版。経営書としては異例のベストセラーになった。撮影：西田香織</figcaption></figure></p>

<p>「イノベーションの本質は知と知の組み合わせである」というシュンペーターの理論は、2012年に出版されベストセラーとなった『世界の経営学者はいま何を考えているのか』でも紹介されている。著者の入山章栄によると、組織はどうしても新しいアイデアを探すことよりも、既存のアイデアを深める方に傾倒しがちだという。</p>

<blockquote>
  <p>なるべく人や企業はさまざまな知の組み合わせを「探索」し、試せた方が新しいアイデアは生まれやすい。一方、それを企業の中で「深化」できなければアイデア倒れとなってしまう。入山は、探索と深化はどちらもバランスよく取り組むことが重要なのだが、どうしても組織には「探索を怠ってしまう傾向」が備わっているという。</p>

<p>（中略）</p>

<p>そこで、これからイノベーションを目指す企業は、「知の深化」は継続しながら、新たに「知の探索」を推し進めるための組織体制の変更や、ルールづくりが求められるという。</p>

<p>記事：<a href="/2017/05/iriyama.html">弱いつながりの強さ：早稲田大学ビジネススクール准教授・入山章栄が解説する、世界標準の人脈術</a></p>
</blockquote>

<p>しかし、「だったらこうしてみたら？」と社外の人から言われても、それがなかなか実施できないのが会社組織というもの。特に組織の規模が大きくなると、知の探索を積極的に行わない限り、これまでの成功体験が足かせとなり、新しいことに挑戦しづらくなる。外部のアイデアを社内で活用できなければ、そのうち周りも愛想を尽かして、ほかの会社に案を持っていくようになる。まさにフジテレビが辿ってきた道である。</p>

<p>そうした状況を変えるきっかけをつくるために、スタートアップの力を借りてイノベーションの実現を目指す、いわゆる「オープンイノベーション」の推進に取り組む企業が最近増えている。</p>

<h2>大企業の新規事業創出には、「出島」作戦が有効</h2>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_OND2754final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>\QUANTUMは5月1日に、初の海外現地法人「QUANTUM\GLOBAL Inc.」を設立。\QUANTUMでStartup Studio事業責任者を務める井上裕太が代表取締役兼CEOに就任している。撮影：小野田陽一</figcaption></figure></p>

<p>2016年4月に株式会社TBWA\HAKUHODOより分社、独立した\QUANTUMは、「業種・業態が異なる複数の大企業や大企業とスタートアップ企業等、従来は交わることのなかった同志が共創し、新しい製品・サービス・事業・企業体を連続的に生み出す『Startup Studio』」と表明している。同社の井上裕太は、企業の共創を支援する取り組みに大きな可能性を見出しているという。</p>

<blockquote>
  <p>ぼくは長い間、コンサルタントとして大企業の新規事業開発に携わってきました。その中で、大企業の中にも熱いパッションを持った人がいるのに、それが十分に発揮できずに苦しんでいる様子をたくさん目にしてきました。</p>

<p>実際に調査してユーザーのニーズがあることは分かっている。マーケットの規模的にも十分にインパクトがありそうだ。にもかかわらず、それをやると意思決定するのに何度も経営会議を通さなければならなかったり、PLをもっと精緻にしろだとか、フリーキャッシュフローの見立てが甘いだとか、本質的でないことに阻まれて、なかなか形にできないでいる。そこをうまく突破できさえすれば、日本企業からはもっといろんな事業が出てくるんじゃないか、と思うのです。</p>

<p>一方ではベンチャー企業も、例えばブランドや信頼がないことを理由に苦しんでいます。こちらもまた、リソースさえ揃えばもっと大きなインパクトを出せるはずです。</p>

<p>そう考えたら、両者を結びつけるとか、両者の中にわれわれが入って足りない部分を補えれば、われわれだけでやるよりずっと大きなことができるのではないか、というのが\QUANTUMを立ち上げた発想です。</p>
</blockquote>

<p>井上は、この問題を解決するために、企業の中にいわば「出島」のような場所をつくる。そこでは会社の制約を受けずに社員が自由にやりたいことに挑戦できる。</p>

<blockquote>
  <p>いまの日本企業って、それこそ鎖国時代と同じくらいガチガチに縛られているところがあるので。だから「みんなで出島をつくろう」と言っているんです。さっきのプログラムもそうだし、\QUANTUM自体が出島のようなものでもありますよね。出島をつくると、これまでのルールから解放され、みんな急に動き出すという実感はものすごくあります。</p>

<p>記事：<a href="/2017/02/quantum-inoue.html">こうすれば大企業の新規事業はうまくいく──\QUANTUM井上裕太が体現する「チェンジ・エージェント」としての生き方</a></p>
</blockquote>

<h2>オープンイノベーションについて、もっとオープンになるべき</h2>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_L2A0740final1094.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>社内の新規事業起案プログラム「0to1」に採択され、17年2月に正式リリースしたオープンイノベーションプラットフォーム「eiicon」。その起案者である中村亜由子は、なんと産休・育休中に考案したのだという。撮影：西田香織</figcaption></figure></p>

<p>インテリジェンスの中村亜由子は、まずは対外的に告知できて、企業同士が双方向にコミュニケーションできる場所が必要だと考え、オープンイノベーションを支援する新規事業「eiicon」を立ち上げた。職業紹介事業者の視点から見れば、いまのオープンイノベーションの状況は、転職が日本で広まり始めたころと、よく似ているという。</p>

<blockquote>
  <p>問題の2つめは、対外的に発信するスキームを持たないままに始めていることです。経産省が公表しているデータによれば、オープンイノベーションを推進することを意思決定している企業のうち、実に83%がそのことを対外的に告知していないのです。</p>

<p>これは、弊社が長年取り組んできた転職に置き換えて考えれば、ありえない話です。採用ページもなければ、求人広告も出していない。けれども人は欲しいと言っているようなものですから。つまり、出会えないのは、出会いを求めていることを相手が知らないからではないか、ということです。</p>

<p>記事：<a href="https://bnl.media/2017/03/eiicon-nakamura.html">来週どの企業の人と会うべき？　eiiconファウンダー中村亜由子が語る共創につながる出会いの条件</a></p>
</blockquote>

<h2>生活者の「本音」から新しいアイデアを探ろう</h2>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_L2A2170final1094.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>坂田直樹は、2011年にBlabo!を創業。1万4000人を超える生活者がプランナーとして活躍する日本最大の共創プラットフォームを運営している。撮影：西田香織</figcaption></figure></p>

<p>企業同士の知と知の交換だけではなく、企業とユーザーを直接つなぐことで、生活者の視点を開発の現場に届けて、新商品の開発に活かそうという取り組みもある。共創プラットフォーム「Blabo!」の坂田直樹は、生活者の本音が引き出せる場所を企業に提供することに、イノベーションの可能性を見出している。</p>

<blockquote>
  <p>いつも同じメンバーだけで話していると発想は限られてきますし、ユーザーと直接会って話を聞く機会は実は少ないので、どうしてもズレが生じる。こうしたズレがあるまま商品開発を進めた結果、できあがった商品が棚に並んでも全然売れないということが現実に起きていました。</p>

<p>そうした経験を通して、生活者と作り手がいかにズレなく商品を開発できるかという問題意識が芽生えていったのです。</p>

<p>（中略）</p>

<p>オープンイノベーションやコ・クリエーションが一過性のバズワードにならないためには、継続的に活用できる仕組みを構築する必要があります。そう考えて、企業と生活者がフラットに会話し、生活者の「本音」を聞き出し、商品開発に活かすためのプラットフォーム「Blabo!」をつくりました。</p>

<p>記事：<a href="https://bnl.media/2017/04/blabo-sakata.html">顧客の「本音」を引き出し、問題解決につなげる──マーケター坂田直樹がBlabo!で磨きあげた、問いの技法</a></p>
</blockquote>

<h2>バイアスを外す心がけから始めよう</h2>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/IMG_4744final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>川上全龍（妙心寺春光院・副住職）は、世界中から座禅体験に訪れるグローバル企業のエグゼクティブやビジネススクールの学生たちを相手に、バイアスの外して自己認知力を磨く方法を日々指導している。撮影：福森クニヒロ</figcaption></figure></p>

<p>新規事業の実験ができる「出島」をつくる、\QUANTUM。大企業とスタートアップがオープンに双方向で話せる場所をつくる、eiicon。ユーザーの視点を新商品開発に活かす、Blabo!。</p>

<p>企業がこうした新たな取り組みに参加して成果を生み出すためには、これまでの成功体験にもとづく固定概念をいかに外せるかが大きく問われることになる。そこで、『世界中のトップエリートが集う禅の教室』 （角川書店）の著者で、妙心寺春光院副住職の川上全龍に、「固定概念＝バイアス」に縛られないために心がけるべきことを教わった。</p>

<blockquote>
  <p>最近の企業はいろんな新しい事業をやっていて、「え、この企業がこんなことまでやっているの！？」と思う機会が増えてきました。「何をやってもいい部署」をつくっている企業が増えているからだと思います。予算はないけれど、「これは面白い！」というものがあったらお金を出すから頑張れ、みたいな（笑）。</p>

<p>おそらくそういう部署が多く新設されている理由は、従来の固定概念から脱却する必要性を経営者が感じているからでしょう。例えば、自動車メーカーを例にあげると、「クルマが人に与える影響って何だろう？」と改めて考えてみるのです。A地点からB地点へ移動するだけではなく、車内を快適な空間にして、心を落ち着かせる方法はないか。あるいは逆に、運転する人に興奮を与えるものとして考えてみてもいいでしょう。そういう問いを生み出すには、やはり従来の「クルマ屋」のバイアスに縛られた考え方では無理なのです。</p>

<p>記事：<a href="/2017/03/kawakami.html">バイアスを外して「自己認知力」を磨こう──妙心寺春光院・川上全龍が説く、禅の哲学</a></p>
</blockquote>

<h2>グラフィックレコーディングで議論を整理する方法も</h2>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/_26A9742final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>清水淳子（Tokyo Graphic Recorder ／ Yahoo! JAPAN UXデザイナー）は、会議やイベントのグラフィックレコードをノートに記録して、会社の仲間に共有している。撮影：荻原楽太郎</figcaption></figure></p>

<p>バイアスを外して多様なアイデアを議論するために、「グラフィックレコーディング」のような新たな伝達手段も開発されている。</p>

<blockquote>
  <p>グラフィックを表現ではなく、伝達手段のひとつとして扱える人がもっと世の中に増えることで、業界や職種、部署の壁を越えた多様なコミュニケーションが生まれると感じています。また難しい問題に直面した際に、思考停止して、会議の内容を理解できないまま過ごしてしまうようなことも減るのではないでしょうか。多様な価値観や知識の交換を思う存分できる社会になることを願っています。</p>

<p>記事：<a href="/2017/05/junko-shimizu.html">多様なメンバーの議論を可視化する「グラフィックレコーディング」のすすめ</a></p>
</blockquote>

<h2>組織を変えるには、まず一人ひとりが変わるべき</h2>

<p>名刺交換をしてビジネスネットワークを広げることに何の意味があるのか？　なぜ人間は貴重な時間を割いて、事業の目的も内容も異なる企業で働いている人と意見交換をするのだろうか？</p>

<p>これらの問いをBNLの取材を通して探っていくと、異なる知と知の交換をするためであり、企業に新しい知を取り込んでイノベーションを起こすため、というのが大方の見解がであることがわかった。つまり、入山章栄の言葉を借りれば「知の探索」を推進するためである。</p>

<p>いきなり組織の体制やルールを変えるのは難しいが、組織とは一人ひとりの人間がつくるものでもある。まずは各個人が「自己認知力」を磨き、バイアスを外して物ごとを捉えられるようになり、個人レベルで「知の探索」を進めることから取り組むべきではないだろうか。Eightがビジネスネットワークとしてユーザーに提供できる価値も、きっとその延長線上にあるはずだ。</p>
]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>多様なメンバーの議論を可視化する「グラフィックレコーディング」のすすめ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/05/junko-shimizu.html" />
    <id>tag:bnl.media,2017://125.8254</id>

    <published>2017-05-22T01:27:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:09:53Z</updated>

    <summary>議論の内容を図や絵を用いてリアルタイムで一枚の紙に描き出し、記録する手法として注目される「グラフィックレコーディング」。2013年からTokyo Graphic Recorderとして活動している清水淳子が、あなたの会社の会議にも取り入れるべき理由を説く。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="出会いからアイデアを生み出す" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
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    <category term="デザイン" label="デザイン" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>清水淳子</strong><small>Tokyo Graphic Recorder ／ Yahoo! JAPAN UXデザイナー</small>
<p>多摩美術大学情報デザイン学科卒業後、Web制作会社でデザイナーに。2012年WATER DESIGN入社。ジャンルを超えた横断的な事業開発や商品流通を生むためのビジネスデザインに携わる中で議論の可視化に興味を持つ。2013年<a href="http://tokyo-graphic-recorder.com/" target="_blank" rel="nofollow">Tokyo Graphic Recorder</a>として活動開始。同年、Yahoo! JAPAN入社。UXデザイナーとしてアプリ開発に携わる。またグラフィックレコーディング黒帯として社内の会議の議論の可視化を行う。2017年 東京藝術大学美術研究科 情報設計室に入学。議論の可視化に関しての研究と実践を続ける。</p></aside></p>

<p>もしかしたらあなたも何かのトークイベントの会場で見かけたことがあるかもしれない。壁際に立って壇上の会話に耳を傾けながら、模造紙に何やら絵を描いている人たちを。</p>

<p>彼ら「グラフィックレコーダー」の仕事は、議論の内容を聴きながら、ひと目でわかるようなグラフィックをその場で描き出すこと。そのグラフィックは、参加者の理解促進につながり、イベント後の対話が活性化されるなどの効果がある。また参加者はグラフィックを写真に収めてSNSに上げることが多いので、その場にいなかった人にも内容を共有でき、イベントの宣伝効果にもつながる。そのような効果を求めて、最近は多くの会場で見かけるようになった。</p>

<p>今回取材したのは、この仕事を日本に広めた第一人者、清水淳子である。現在彼女はTokyo Graphic Recorderとして、さまざまな議論の現場に出向きグラフィックレコーディングを実践・研究している。またYahoo! JAPANで、エンジニア、デザイナー、データサイエンティストなど、多様なメンバーで構成される議論の可視化を行っている。</p>

<p>前回取材した早稲田大学ビジネススクールの入山章栄は、「イノベーションは、知と知の交換からしか生まれない。これは海外の経営学ではもはや常識だ。ダイバーシティも結局はイノベーションを生むための経営戦略だ」という。</p>

<div class="link-box"><a href="/2017/05/iriyama.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_L2A8466-1094.jpg');" class="img"></div>
<div class="info"><strong>弱いつながりの強さ：早稲田大学ビジネススクール准教授・入山章栄が解説する、世界標準の人脈術</strong></div></a>
</div>

<p>だが、実際に多様な知の交換を実現すべく、さまざまな立場や専門のメンバーを集めると、それぞれの先入観が壁となって、議論は激しいぶつかり合いになることも多い。清水は、そのような多様なメンバーで構成された議論の場での衝突を解決できる手段のひとつとして、グラフィックレコードを薦める。</p>

<p>もっと多くの人にグラフィックレコードを日々の中で使って欲しい。そして、日本中で行われている会議を、もっと建設的な議論が行える場にしていきたい。書籍出版の背景には、そのような思いがあるという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A9654final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4802510284" target="_blank" rel="nofollow">Graphic Recorder──議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書</a>』（ビー・エヌ・エヌ新社）。今年の1月に出版。清水が初めてグラフィックレコーディングのノウハウを一冊にまとめた入門書。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──2013年からグラフィックレコーダーとして活動されていますが、あらためて、グラフィックレコードとは？</strong></p>

<p>グラフィックレコードとは、人々の対話や議論の内容を整理して、リアルタイムでグラフィックに落とし込む表現手法です。トークイベントの壁際で大きな紙に描いているイメージが強いかもしれませんが、使用できる場はトークイベントだけではありません。音声情報をグラフィックで記録していく手法なので、生活の中のさまざまな場面で活用できます。例えば、1対1の部下の相談に乗ったり、友だちと電話で話した内容を記録するために使ったりしてもいいんです。</p>

<p><strong>──会議でグラフィックレコードを使うと、どのような効果があるのでしょう？</strong></p>

<p>言葉だけで整理する会議では、ときにメンバー同士の理解に齟齬が生まれることがあります。グラフィックレコーダーが入ることで、「いま何をテーマに話しているのか」や、「自分の認識は合っているのか」といった問いに対する共通認識を各メンバーが追いやすくなります。また、会議に参加できなかった人が後で見ても、議論された内容が伝わりやすくなります。</p>

<p><strong>──確かに文字の議事録よりも一覧性があって、参加者は共通の認識のもとで、活発な議論が展開できそうですね。</strong></p>

<p>特に参加者の意見を広く集めて、なにか新しいアイデアを生みだすことを目的にした会議では、意見の衝突を越えて、参加者同士がいい刺激を与えあう関係にたどりつく必要があります。その点、グラフィックレコードがあると、対個人ではなく、対議論としての思考に切り替えられるので効果的です。</p>

<p><strong>──対議論とは？</strong></p>

<p>例えば、A案とB案について議論をしているとき、上司がA案のいいところを主張して、B案の欠点ばかりを話し、ほかの社員も上司の発言に対して、反論やほかの意見を言いだしづらい雰囲気があったとします。そうした「なにを言っているか」よりも「誰が言っているか」になりがちな会議において、グラフィックによって発言そのものと発言者を切り分けて記録することで、冷静な思考を促すことができます。</p>

<p>このケースでは、A案のいいところとB案の欠点について記述したマトリックス型のグラフィックを描くことで、B案のいいところやA案の欠点がまだ議題にあがっていないことが判明します。このように議論の様子を構造化することで、建設的な議論へと移行できるようになります。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A9710final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Yahoo! JAPANには、「黒帯制度」というものがある。その認定条件は「ある分野に突出したスキルを持っているその分野の第一人者」。清水はグラフィックレコーディングの黒帯として認定を受けて、社内外で活動している。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──うまく活用できれば、その場でなんとなく流されて決まりそうな議論の方向性を変える力も生まれるわけですね。</strong></p>

<p>会議では、途中でなにか気になる点があったとしても「自分が聞き取れていないだけかも」とか、「他の人は理解していることかも」などと思ってしまい、質問や確認をしないまま進んでしまう場合があります。けれども、グラフィックで議論を可視化していくと、ボードに描かれていないことは未確認事項という共通認識が生まれるので、確認や質問の発言がしやすくなるという効果もあります。</p>

<p><strong>──議論の様子をマトリックスや位置関係の図式を使って構造化するのは、初心者には意外と難しいような気がします。どういった訓練が必要ですか？</strong></p>

<p>使う図式は小学校や中学校でも習うレベルのものばかりですが、会話の状況を理解して最適なものを選ぶ練習は必要です。グラフィックレコードのワークショップでは、基本は5W1Hにもとづいて会話の内容を把握し、構造化する方法を教えています。その基本的な技法をつかんだら、あとは練習を繰り返して自分なりの手法を確立することです。最初は小さな情報をあつかってグラフィックへの翻訳を練習することをすすめています。</p>

<p><strong>──グラフィックレコーダーの理解度や能力によって、描かれるグラフィックに違いが現れるように感じます。</strong></p>

<p>当たり前ですが、グラフィックレコーダーは機械ではないので、会話のすべての内容を正確に抜け漏れなく記録することはできません。聞き手であるレコーダーが聞き取りや、書き取りの能力やスピードに依存します。</p>

<p><strong>──そうすると、ときには聞き間違いとか読み間違いされたグラフィックが描かれることはありませんか？</strong></p>

<p>ときにはあるかもしれませんが、大事なのはその場で参加者にその齟齬が伝わることです。本人の発言と少し違った意図のグラフィックが描かれたときには、「ここは少し違う」と伝えることで、ほかのメンバーにとっても理解が深まるきっかけになります。逆に、レコーダーが正しく認知できなかったということは、発言者の内容が理解しにくかったり、解釈がいろいろある話題だったりします。このように、発話者が発言の内容をあらためて説明したり、聞き手がそれぞれの解釈を確認するきっかけが生まれることこそ、グラフィックレコードの収穫のひとつです。</p>

<p><strong>──グラフィックレコードが、どんなに難しい議論でも解決できる万能の杖だ、と勘違いする人がいるような気もします。</strong></p>

<p>たしかに、議論を可視化すれば、課題解決への可能性は高まりますが、「どんな課題でも」というのは不可能です。ちょっとした議論だったら、グラフィックレコーディングするだけでも、解決への糸口が見つかるかもしれませんが、複雑なステークホルダーが多様な問題を抱えているような議論では、単純な可視化だけでは到底解決できません。その際は、どのような課題を解決したいかを発起人と話し合い、どんな可視化が必要なのかを事前にしっかりと設計する必要があります。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A9621final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>多様な思考を集めることで新しいものが生まれる可能性は高まるが、衝突する可能性も高まる。グラフィックレコーダーが会議に参加することで、多様性を重んじたうえで合意形成を促す触媒になれるという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──ほかにも、グラフィックレコードを通じて取り組んでいることはありますか？</strong></p>

<p>イベントでは、ゲストの発話の記録だけでなく、会場に集まった参加者の声を集めるデザインを研究しています。例えば、最近は参加者にシールを配り、グラフィックレコードを見ながら、面白いと思ったことに「赤」を、もっと意見を聞いてみたいと思ったことに「青」を貼ってもらい、参加者の意見を可視化するような取り組みが定番になってきました。それによって、会議やイベント運営者が参加者に聞いて欲しかったことや伝えたかったことが可視化されて、その場で新たな対話が生まれるきっかけにもなります。</p>

<p><strong>──会の目的によって、あつかい方を変えることができるのですね。</strong></p>

<p>そうですね。どうしても大きな紙にゲストの話をまとめる、という部分に注目してしまいますが、会の目的に対してどんなグラフィックが必要なのか、あるいは、どんな風に機能させるべきか、などと考えて、議論の空間自体をデザインしていくことが、いちばん面白いところのようにも感じます。</p>

<p>近年、グラフィックレコードを取り入れたいと考えるイベント運営者や会議に導入したいという企業も増えてきました。けれども、「なぜ使うのか、どう使うのか」をきちんと考えて依頼するクライアントは、残念ながらまだ少ないのが現状です。そんな時は、グラフィックレコーダーと会の主催者との間で、「グラフィックレコーディングを行うことによって、どんなコミュニケーションを解決したいのか」を事前に話し合っておくと、効果的なグラフィックになると思います。</p>

<p>開催する会議やイベントは知識を共有するものなのか、あるいはディスカッションを促すものなのか。参加者の属性はどのような人たちか。来たときと帰るときにどのようなマインドチェンジを起こしたいのか。仮に誰かに「今日は何のためにグラフィックレコーディングをしているのか」と質問されても答えられるような意味や意義を立てておくといいでしょう。表層的なテクニックや手法に踊らされることなく、しっかりと目的を設定して、コミュニケーションプランニングをすることも、グラフィックレコーダーの大切なスキルのひとつです。</p>

<p><strong>──そうした意識を持つことは、組織内のコミュニケーションの活性化にも役立ちそうですね。</strong></p>

<p>日常のチームメンバーの意思疎通を助けるツールにもなります。大げさなイベントや会議でもなく、例えば、飲み会で知り合った外部の人から聞いた最先端で概念的な話があったとしましょう。これを言葉だけで伝えてもなかなか理解してはもらえませんが、グラフィックで記録して、チームメンバーに見せながら言葉で補足しながら説明すれば、わかりやすく伝えることができます。また、それがきっかけになって、さまざまなアイデアが生まれることも魅力的です。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A9629final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>清水は、参加した会議やイベントのグラフィックレコードをこのようにノートに記録している。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──絵がうまくない人が、いちからグラフィックレコードを習得するには、どうすれば？</strong></p>

<p>よく聞かれるのですが、時間をじっくりかけて描くリアルな絵が、特別上手である必要はありません。むしろ大事なのは、ものごとを記号化して、すばやくシンプルな線で「アイコン」として描けるようになることです。これは文字と同様に、ある程度ルールがあるので、練習すれば誰でもできるようになります。</p>

<p>同じ文字でも、表現が「小説」と「議事録」ではまったく異なるように、グラフィックの表現にも2種類あります。会社員であれば誰もが議事録を書くことができますが、そこに小説のような表現力は求められませんよね。それと同じで、情報伝達としてのグラフィックは、技法を習得し、練習を繰り返すことで誰でも描けるようになれるものです。</p>

<p>だけど、表現力が問われるグラフィックと情報伝達を目的としたグラフィックの違いについて、美術大学やデザイン系の学校を出た人以外は、ほとんど教育を受けていません。グラフィックレコードは議論が構造化され可視化されることで新たな対話が生まれる、スマートな情報伝達手法のひとつです。情報伝達としてのグラフィックの可能性を、もっと追求して広めていきたいと思っています。</p>

<p><strong>──今後、多くの人がグラフィックレコードを職場で活用するようになると、どのような効果が生まれると期待していますか？</strong></p>

<p>グラフィックを表現ではなく、伝達手段のひとつとして扱える人がもっと世の中に増えることで、業界や職種、部署の壁を越えた多様なコミュニケーションが生まれると感じています。また難しい問題に直面した際に、思考停止して、会議の内容を理解できないまま過ごしてしまうようなことも減るのではないでしょうか。多様な価値観や知識の交換を思う存分できる社会になることを願っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A9742final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>著書のあとがきに、今回の取材でも垣間見られた彼女の根底にある思いが綴られていた。「生活の中心には様々な種類の齟齬があります。非効率で勘違いと間違いだらけの不器用なやりとり、嫌気がさすこともあるけれど、予測もコピーもできない人間同士の思考や関係性こそが、新しいものを生むための鍵だとも信じています」</figcaption>
</figure></p>
]]>
        <![CDATA[<p><aside><strong>清水淳子</strong><small>Tokyo Graphic Recorder ／ Yahoo! JAPAN UXデザイナー</small>
<p>多摩美術大学情報デザイン学科卒業後、Web制作会社でデザイナーに。2012年WATER DESIGN入社。ジャンルを超えた横断的な事業開発や商品流通を生むためのビジネスデザインに携わる中で議論の可視化に興味を持つ。2013年Tokyo Graphic Recorderとして活動開始。同年、Yahoo! JAPAN入社。UXデザイナーとしてアプリ開発に携わる。またグラフィックレコーディング黒帯として社内の会議の議論の可視化を行う。2017年 東京藝術大学美術研究科 情報設計室に入学。議論の可視化に関しての研究と実践を続ける。</p></aside></p>

<p>もしかしたらあなたも何かのトークイベントの会場で見かけたことがあるかもしれない。壁際に立って壇上の会話に耳を傾けながら、模造紙に何やら絵を描いている人たちを。</p>

<p>彼ら「グラフィックレコーダー」の仕事は、議論の内容を聴きながら、ひと目でわかるようなグラフィックをその場で描き出すこと。そのグラフィックは、参加者の理解促進につながり、イベント後の対話が活性化されるなどの効果がある。また参加者はグラフィックを写真に収めてSNSに上げることが多いので、その場にいなかった人にも内容を共有でき、イベントの宣伝効果にもつながる。そのような効果を求めて、最近は多くの会場で見かけるようになった。</p>

<p>今回取材したのは、この仕事を日本に広めた第一人者、清水淳子である。現在彼女はTokyo Graphic Recorderとして、さまざまな議論の現場に出向きグラフィックレコーディングを実践・研究している。またYahoo! JAPANで、エンジニア、デザイナー、データサイエンティストなど、多様なメンバーで構成される議論の可視化を行っている。</p>

<p>前回取材した早稲田大学ビジネススクールの入山章栄は、「イノベーションは、知と知の交換からしか生まれない。これは海外の経営学ではもはや常識だ。ダイバーシティも結局はイノベーションを生むための経営戦略だ」という。</p>

<p>だが、実際に多様な知の交換を実現すべく、さまざまな立場や専門のメンバーを集めると、それぞれの先入観が壁となって、議論は激しいぶつかり合いになることも多い。清水は、そのような多様なメンバーで構成された議論の場での衝突を解決できる手段のひとつとして、グラフィックレコードを薦める。</p>

<p>もっと多くの人にグラフィックレコードを日々の中で使って欲しい。そして、日本中で行われている会議を、もっと建設的な議論が行える場にしていきたい。書籍出版の背景には、そのような思いがあるという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A9654final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>『Graphic Recorder──議論を可視化するグラフィックレコーディングの教科書』（ビー・エヌ・エヌ新社）。今年の1月に出版。清水が初めてグラフィックレコーディングのノウハウを一冊にまとめた入門書。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──2013年からグラフィックレコーダーとして活動されていますが、あらためて、グラフィックレコードとは？</strong></p>

<p>グラフィックレコードとは、人々の対話や議論の内容を整理して、リアルタイムでグラフィックに落とし込む表現手法です。トークイベントの壁際で大きな紙に描いているイメージが強いかもしれませんが、使用できる場はトークイベントだけではありません。音声情報をグラフィックで記録していく手法なので、生活の中のさまざまな場面で活用できます。例えば、1対1の部下の相談に乗ったり、友だちと電話で話した内容を記録するために使ったりしてもいいんです。</p>

<p><strong>──会議でグラフィックレコードを使うと、どのような効果があるのでしょう？</strong></p>

<p>言葉だけで整理する会議では、ときにメンバー同士の理解に齟齬が生まれることがあります。グラフィックレコーダーが入ることで、「いま何をテーマに話しているのか」や、「自分の認識は合っているのか」といった問いに対する共通認識を各メンバーが追いやすくなります。また、会議に参加できなかった人が後で見ても、議論された内容が伝わりやすくなります。</p>

<p><strong>──確かに文字の議事録よりも一覧性があって、参加者は共通の認識のもとで、活発な議論が展開できそうですね。</strong></p>

<p>特に参加者の意見を広く集めて、なにか新しいアイデアを生みだすことを目的にした会議では、意見の衝突を越えて、参加者同士がいい刺激を与えあう関係にたどりつく必要があります。その点、グラフィックレコードがあると、対個人ではなく、対議論としての思考に切り替えられるので効果的です。</p>

<p><strong>──対議論とは？</strong></p>

<p>例えば、A案とB案について議論をしているとき、上司がA案のいいところを主張して、B案の欠点ばかりを話し、ほかの社員も上司の発言に対して、反論やほかの意見を言いだしづらい雰囲気があったとします。そうした「なにを言っているか」よりも「誰が言っているか」になりがちな会議において、グラフィックによって発言そのものと発言者を切り分けて記録することで、冷静な思考を促すことができます。</p>

<p>このケースでは、A案のいいところとB案の欠点について記述したマトリックス型のグラフィックを描くことで、B案のいいところやA案の欠点がまだ議題にあがっていないことが判明します。このように議論の様子を構造化することで、建設的な議論へと移行できるようになります。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A9710final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Yahoo! JAPANには、「黒帯制度」というものがある。その認定条件は「ある分野に突出したスキルを持っているその分野の第一人者」。清水はグラフィックレコーディングの黒帯として認定を受けて、社内外で活動している。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──うまく活用できれば、その場でなんとなく流されて決まりそうな議論の方向性を変える力も生まれるわけですね。</strong></p>

<p>会議では、途中でなにか気になる点があったとしても「自分が聞き取れていないだけかも」とか、「他の人は理解していることかも」などと思ってしまい、質問や確認をしないまま進んでしまう場合があります。けれども、グラフィックで議論を可視化していくと、ボードに描かれていないことは未確認事項という共通認識が生まれるので、確認や質問の発言がしやすくなるという効果もあります。</p>

<p><strong>──議論の様子をマトリックスや位置関係の図式を使って構造化するのは、初心者には意外と難しいような気がします。どういった訓練が必要ですか？</strong></p>

<p>使う図式は小学校や中学校でも習うレベルのものばかりですが、会話の状況を理解して最適なものを選ぶ練習は必要です。グラフィックレコードのワークショップでは、基本は5W1Hにもとづいて会話の内容を把握し、構造化する方法を教えています。その基本的な技法をつかんだら、あとは練習を繰り返して自分なりの手法を確立することです。最初は小さな情報をあつかってグラフィックへの翻訳を練習することをすすめています。</p>

<p><strong>──グラフィックレコーダーの理解度や能力によって、描かれるグラフィックに違いが現れるように感じます。</strong></p>

<p>当たり前ですが、グラフィックレコーダーは機械ではないので、会話のすべての内容を正確に抜け漏れなく記録することはできません。聞き手であるレコーダーが聞き取りや、書き取りの能力やスピードに依存します。</p>

<p><strong>──そうすると、ときには聞き間違いとか読み間違いされたグラフィックが描かれることはありませんか？</strong></p>

<p>ときにはあるかもしれませんが、大事なのはその場で参加者にその齟齬が伝わることです。本人の発言と少し違った意図のグラフィックが描かれたときには、「ここは少し違う」と伝えることで、ほかのメンバーにとっても理解が深まるきっかけになります。逆に、レコーダーが正しく認知できなかったということは、発言者の内容が理解しにくかったり、解釈がいろいろある話題だったりします。このように、発話者が発言の内容をあらためて説明したり、聞き手がそれぞれの解釈を確認するきっかけが生まれることこそ、グラフィックレコードの収穫のひとつです。</p>

<p><strong>──グラフィックレコードが、どんなに難しい議論でも解決できる万能の杖だ、と勘違いする人がいるような気もします。</strong></p>

<p>たしかに、議論を可視化すれば、課題解決への可能性は高まりますが、「どんな課題でも」というのは不可能です。ちょっとした議論だったら、グラフィックレコーディングするだけでも、解決への糸口が見つかるかもしれませんが、複雑なステークホルダーが多様な問題を抱えているような議論では、単純な可視化だけでは到底解決できません。その際は、どのような課題を解決したいかを発起人と話し合い、どんな可視化が必要なのかを事前にしっかりと設計する必要があります。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A9621final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>多様な思考を集めることで新しいものが生まれる可能性は高まるが、衝突する可能性も高まる。グラフィックレコーダーが会議に参加することで、多様性を重んじたうえで合意形成を促す触媒になれるという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──ほかにも、グラフィックレコードを通じて取り組んでいることはありますか？</strong></p>

<p>イベントでは、ゲストの発話の記録だけでなく、会場に集まった参加者の声を集めるデザインを研究しています。例えば、最近は参加者にシールを配り、グラフィックレコードを見ながら、面白いと思ったことに「赤」を、もっと意見を聞いてみたいと思ったことに「青」を貼ってもらい、参加者の意見を可視化するような取り組みが定番になってきました。それによって、会議やイベント運営者が参加者に聞いて欲しかったことや伝えたかったことが可視化されて、その場で新たな対話が生まれるきっかけにもなります。</p>

<p><strong>──会の目的によって、あつかい方を変えることができるのですね。</strong></p>

<p>そうですね。どうしても大きな紙にゲストの話をまとめる、という部分に注目してしまいますが、会の目的に対してどんなグラフィックが必要なのか、あるいは、どんな風に機能させるべきか、などと考えて、議論の空間自体をデザインしていくことが、いちばん面白いところのようにも感じます。</p>

<p>近年、グラフィックレコードを取り入れたいと考えるイベント運営者や会議に導入したいという企業も増えてきました。けれども、「なぜ使うのか、どう使うのか」をきちんと考えて依頼するクライアントは、残念ながらまだ少ないのが現状です。そんな時は、グラフィックレコーダーと会の主催者との間で、「グラフィックレコーディングを行うことによって、どんなコミュニケーションを解決したいのか」を事前に話し合っておくと、効果的なグラフィックになると思います。</p>

<p>開催する会議やイベントは知識を共有するものなのか、あるいはディスカッションを促すものなのか。参加者の属性はどのような人たちか。来たときと帰るときにどのようなマインドチェンジを起こしたいのか。仮に誰かに「今日は何のためにグラフィックレコーディングをしているのか」と質問されても答えられるような意味や意義を立てておくといいでしょう。表層的なテクニックや手法に踊らされることなく、しっかりと目的を設定して、コミュニケーションプランニングをすることも、グラフィックレコーダーの大切なスキルのひとつです。</p>

<p><strong>──そうした意識を持つことは、組織内のコミュニケーションの活性化にも役立ちそうですね。</strong></p>

<p>日常のチームメンバーの意思疎通を助けるツールにもなります。大げさなイベントや会議でもなく、例えば、飲み会で知り合った外部の人から聞いた最先端で概念的な話があったとしましょう。これを言葉だけで伝えてもなかなか理解してはもらえませんが、グラフィックで記録して、チームメンバーに見せながら言葉で補足しながら説明すれば、わかりやすく伝えることができます。また、それがきっかけになって、さまざまなアイデアが生まれることも魅力的です。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A9629final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>清水は、参加した会議やイベントのグラフィックレコードをこのようにノートに記録している。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──絵がうまくない人が、いちからグラフィックレコードを習得するには、どうすれば？</strong></p>

<p>よく聞かれるのですが、時間をじっくりかけて描くリアルな絵が、特別上手である必要はありません。むしろ大事なのは、ものごとを記号化して、すばやくシンプルな線で「アイコン」として描けるようになることです。これは文字と同様に、ある程度ルールがあるので、練習すれば誰でもできるようになります。</p>

<p>同じ文字でも、表現が「小説」と「議事録」ではまったく異なるように、グラフィックの表現にも2種類あります。会社員であれば誰もが議事録を書くことができますが、そこに小説のような表現力は求められませんよね。それと同じで、情報伝達としてのグラフィックは、技法を習得し、練習を繰り返すことで誰でも描けるようになれるものです。</p>

<p>だけど、表現力が問われるグラフィックと情報伝達を目的としたグラフィックの違いについて、美術大学やデザイン系の学校を出た人以外は、ほとんど教育を受けていません。グラフィックレコードは議論が構造化され可視化されることで新たな対話が生まれる、スマートな情報伝達手法のひとつです。情報伝達としてのグラフィックの可能性を、もっと追求して広めていきたいと思っています。</p>

<p><strong>──今後、多くの人がグラフィックレコードを職場で活用するようになると、どのような効果が生まれると期待していますか？</strong></p>

<p>グラフィックを表現ではなく、伝達手段のひとつとして扱える人がもっと世の中に増えることで、業界や職種、部署の壁を越えた多様なコミュニケーションが生まれると感じています。また難しい問題に直面した際に、思考停止して、会議の内容を理解できないまま過ごしてしまうようなことも減るのではないでしょうか。多様な価値観や知識の交換を思う存分できる社会になることを願っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_26A9742final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>著書のあとがきに、今回の取材でも垣間見られた彼女の根底にある思いが綴られていた。「生活の中心には様々な種類の齟齬があります。非効率で勘違いと間違いだらけの不器用なやりとり、嫌気がさすこともあるけれど、予測もコピーもできない人間同士の思考や関係性こそが、新しいものを生むための鍵だとも信じています」</figcaption>
</figure></p>
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    </content>
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    <title>グーグルやアップルにAppsFlyerの真似はできない。いまアプリに解析専門のサービスが求められる理由 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/05/appsflyer.html" />
    <id>tag:bnl.media,2017://125.8258</id>

    <published>2017-05-17T12:28:00Z</published>
    <updated>2020-03-23T03:02:29Z</updated>

    <summary>イスラエル発、世界最大のマーケットシェアを誇る、モバイル広告のアトリビューション分析サービス「AppsFlyer（アップスフライヤー）」。現在Eightで採用募集を行っているカントリーマネジャーを直撃。今後、日本でさらなるシェア拡大を狙うビジョンに迫る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>大坪直哉</strong><small>AppsFlyer 日本カントリーマネジャー</small>
<p>大学卒業後、舞台俳優の道へ。33歳の時に検索連動型広告の大手、米Overtureに入社。2011年4月より2年間、ビジネス・ブレークスルー大学大学院に通い、MBAを取得。12年には仏Criteoに転職し、アジア太平洋地域担当ディレクターとしてシェア拡大に貢献する。15年8月よりAppsFlyerの日本カントリーマネジャーに就任。</p></aside></p>

<p>日本のモバイルトラッキングツールを巡る勢力図が、いままさに変わろうとしている。</p>

<p>モバイルトラッキングツールとは、モバイルアプリがどの広告を経由してインストールされたのかを測定するためのツールだ。企業とユーザーの接点としてのモバイルアプリの重要性が高まるのに合わせて、プロモーションを効果的に行うための測定ツールの重要性も、日に日に高まってきている。</p>

<p>日本市場におけるモバイルトラッキングツールは、代理店企業が提供する国産プロダクトが長くシェアを独占してきた。そこに2015年秋から本格参入してきたのが、イスラエルに本社をもつAppsFlyer（アップスフライヤー）である。</p>

<p>グローバル市場でトップシェアを誇る同社は、日本でもすでに3割のシェアを獲得。いまなお右肩上がりの成長を続けているという。</p>

<p>AppsFlyerの日本におけるカントリーマネジャーを務めるのは、大坪直哉。かつて在籍したOvertureでは検索連動型広告を、Criteoではリターゲティング広告を、それぞれ日本ではまだ知られていなかった時代にいち早く手掛け、アドテク業界を牽引してきたキーマンのひとりだ。</p>

<p>そんな大坪によれば、この業界には大きな事業成長の可能性があるだけでなく、グーグルやアップルといったテック界の巨人たちでさえ、参入したくても参入できない特殊性があるのだという。</p>

<p>大坪の目に映るモバイルトラッキングツールの可能性とはいかなるもので、AppsFlyerはそこでどのような役回りを演じようというのか。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8475final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>AppsFlyerのCEO、オレン・カニエルから全幅の信頼を得ている大坪は、「日本の代表として、いろいろ自由にやって欲しい」と国内の事業を任されているという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──イスラエルの会社ということであまり馴染みがないのですが、AppsFlyerの概要から教えてください。</strong></p>

<p>最初に、ぼくらが扱っているモバイルトラッキングツールの業界全体の話をすると、最近になってアプリのトラッキングというところに企業の注目が集まっています。</p>

<p>なぜかといえば、まず一般的なユーザーがスマホを使う時間を100とした時に、80をアプリに使う時代になってきている。企業のマーケターはユーザーとの接点を探していると思うのですが、それがもうモバイルWebではなく、アプリになってきているわけです。</p>

<p>だから多くの企業がアプリマーケティングをやろうとするのですが、アプリにはWebとは違って、インストールという作法があります。効率的にインストールしてもらうためには、ユーザーがどこの広告を経由してインストールしたのか、どういうクリエイティブを出した時にインストールにつながったのかを全部測る必要があります。そのためにあるのが、モバイルトラッキングツールです。</p>

<p>こうしたモバイルトラッキングツールのグローバルマーケットの中で、AppsFlyerは昨年末時点で6割を超えるシェアを持っています。現在ではその数字がもっと伸びているはずです。</p>

<p><strong>──圧倒的ですね。他の主要なプレーヤーも国外の企業ですか？</strong></p>

<p>そうですね。グローバルのトラフィックから見ると、日本のマーケットは相対的に小さいので。</p>

<p>日本にフォーカスして考えると、サイバーエージェントの子会社のCyberZが出している「F.O.X」と、アドウェイズの「PartyTrack」というドミナントなものが、長く市場を二分してきました。</p>

<p>ただ、これらはどちらも広告代理店が出しているツールです。野球に例えるなら、選手が審判も兼任してしまっているような状態です。</p>

<p><strong>──どういうことでしょう？</strong></p>

<p>計測ツールは審判のようなものです。メディアや代理店がやっているパフォーマンスをニュートラルな立場からチェックして、どのメディアがインストール数を稼いでいるかとか、どのクリエイティブが効果の出ている良いクリエイティブなのかといった、ストライク/ボール、アウト/セーフを判断する。</p>

<p>一方で代理店やメディアは選手だから、パフォーマンスを見せる立場です。その選手が自分でボールを投げておきながら、「ストライク！」と判定してしまうというのはどうなのか、ということです。</p>

<p>そういう声はクライアント企業の間にも昔からありましたが、これまでは代替するソリューションがありませんでした。そこにぼくらのようなニュートラルなツールが海外から入ってきて、急速に受け入れられ始めているというのが、日本市場の現在の状況です。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8466final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>グローバルで圧倒的なシェアを獲得している彼らの日本への参入は、IT・広告業界に衝撃をもたらしている。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──日本でも順調にシェアを伸ばしている？</strong></p>

<p>2015年の10月に日本にオフィスを開いたのですが、その時点ではまだ誰もAppsFlyerを知らないような状態でした。それが昨年1年間で、シェア30%というところまで伸びています。おそらくさらに1年後くらいには、グローバルのマーケットと同程度の数字になっていくと思います。</p>

<p>というのも、ぼくは以前Overtureという会社にいたのですが、その頃は、日本ではまだ誰も検索連動型広告なんて知らなかった。それが2、3年後には、日本でも検索広告なんて当たり前というふうになりました。</p>

<p>そのあとに入ったCriteoという会社ではリターゲティング、パフォーマンスバナーを扱っていたのですが、それもだいたい2、3年くらいかけて日本にトレンドが来ました。海外で起こっていることが3年後くらいに日本でも起こるというのが、この業界の傾向と言えるのではないかと思います。</p>

<p><strong>──Overture、Criteoと長く広告業界にいる大坪さんから見て、モバイルトラッキングツールを扱うことの面白さってどこにあると思いますか？</strong></p>

<p>大きく3つあると思っています。1つは、先ほど申し上げた通りアプリマーケティングの重要度が増していますから、市場自体が毎年大きくなっています。</p>

<p>2つめは、参入障壁がものすごく高いことです。グローバルな市場で見ると、計測ツールを扱うメジャーな会社はかつて6社程度あったのですが、いまでは淘汰されて、実質的にAppsFlyerを含めた2強になっています。</p>

<p>そこに新たに入ってこようと思うと、それはもう大変です。計測ツールというからにはフェイスブックやグーグルといったメジャーなメディアで効果を計測できなければ話にならないのですが、そうしたプレイヤーとパートナーになるのが、まず非常に難しい。</p>

<p>パイは右肩上がりに大きくなる。その中で離脱していくプレーヤーを尻目に、残った限られた会社でそれを分ければいいというのが、この業界の構造です。こんな業界、他にないですよね？</p>

<p>とはいえ、インターネット業界ではこのような状況で我が世の春を謳歌していたら、フェイスブックとかグーグルとかアマゾンとかがやってきて、「はいどいてどいて〜、今日からここはぼくらの街ですよ〜（笑）」と言ってすべて持っていってしまうということがよくありますよね？</p>

<p>ところが、そうした巨人たちも参入したくてもできないというのが、3つめのポイントなんです。</p>

<p><strong>──巨人たちが参入できないのはどうしてですか？</strong></p>

<p>さっきの審判－選手問題を思い出してください。フェイスブックもグーグルもアマゾンもアップルも、みんな広告をメインにやっている選手なんですよ。ということは審判になれないわけです。</p>

<p>いや、やろうとすることはできます。でも、自分で広告をやっておいて「その効果はこうですよ」とやったら、みんな「それって本当？」となってしまう。</p>

<p>グーグルも「Firebase」というのを出して、一時期盛り上がったのですが、いまでは計測ツールとしてではなく、主にプッシュ通知の機能を提供するツールとして使われるに止まっています。</p>

<p>なので巨人たちも、いまでは審判業務は審判専業のところに任せましょう、となっているのです。</p>

<p>もちろん参入障壁の高さと求められる精度の高さというのは比例するので、プロダクトのレベルを維持できればという条件付きではありますが、以上のような理由から、すごく魅力的な業界だと思いますね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8530final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>iPhoneケースは「Candy Crush」。「顧客なんですか？」と聞くと、「いや、ずっと恋い焦がれているクライアントです（笑）」。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──確かにそういう気がしてきました。でもそこでお聞きしたいのは、なぜAppsFlyerだけがライバルとの競争に勝ち残れたのかということです。</strong></p>

<p>プロダクトですね、いちばんは。うちにしかできないことがたくさんあるので。例えば、アプリがアンインストールされた数が分かるのもAppsFlyerだけです。</p>

<p>アプリにはインストールという作法があれば、アンインストールという作法もある。でもそれまではこれが分からなかったものだから、メディアの価値は入り口だけで評価されていたんです。</p>

<p>2つのメディアをインストール数だけで比較すると、当然インストール数が多いメディアにバジェットを回そうということになりますが、アンインストール数も加味して考えれば、残存ユーザー数は逆のメディアの方が多かった、ということもありえます。</p>

<p>クリエイティブ単位でもアンインストール数が計測できるので、以前よりもずっときめ細かなアプローチでユーザーリテンションを図ることができるようになりました。</p>

<p>いま挙げたのはごく一例であって、こういうことが他にもいっぱいある。他社さんよりだいたい2年くらい先を行くことができていると自負しています。</p>

<p><strong>──なぜそれが実現できるのでしょう？　単純に開発力なのか......。</strong></p>

<p>うちのプロダクトがいいというのには、視点がまったくブレていないというところが大きい気がしますね。</p>

<p>というのも、ぼくらのミッションの最上位にくるのは、「お客さまの成功がぼくらの成功である」というもので、すべてはそこが軸になっている。一つひとつのコンセプトや機能はすべて、「お客さまのイシューを解決する」という根本的なポリシーから派生したものです。</p>

<p>だからクライアントの声を元に、困ったことがあれば解決しましょうというアプローチでどんどん機能を作っていくことができるわけです。最近リリースした「Data Locker」という、クライアントがローデータを貯めておけるサービスはその一例で、日本のゲーム会社のgumiさんのお声が元になってできました。</p>

<p><strong>──現場からのフィードバックをうまく開発につなげるための仕組みのようなものもあるのですか？</strong></p>

<p>組織のあり方がすごくフラットなのがその要因かと思います。CEOと全メンバーとの距離がめちゃくちゃ近いんです。</p>

<p>例えばオープンオフィスという時間が設けられていて、誰でも彼のオフィススペースへ行って何を言ってもいいということになっていたり、Slackで直接彼にメッセージを送ることができたり。違うと思うことがあったら、CEOが相手であっても違うと言っていいというカルチャーもあります。</p>

<p>ぼく自身もお客さまの声を吸い上げて、それをCEOに会った時に直接伝えることができる。「日本でビジネスを大成功させるための条件を一つだけ挙げるとしたら？」「代理店対応です」「分かった」みたいに、ちゃんと一人ひとりの声に耳を傾けてくれるプロセスがあるというのは、うちのいいところですね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8497final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>代理店カルチャーは日本だけではない。韓国やアメリカの東海岸でも状況は似ている。そこで、大坪は本社に代理店対策を要請。それによって代理店向けの機能開発が進み、いまでは本社に専任の担当者もいるという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──なるほど。一方で、先ほど少し触れていただいたような日本というマーケットの特殊性を考えると、グローバルな戦略とは違う、何か特別なやり方をする必要もありますよね？</strong></p>

<p>そのために考えていることは大きく2点あります。</p>

<p>1つは日本では代理店カルチャーというか、海外と違って代理店の果たす役割というのがすごく大きいと思うのです。海外のそれとは全く違う。実際、AppsFlyerとクライアントとの間に代理店さまが入るケースが多いです。</p>

<p>なので、いかに代理店の方々が使いやすい環境を準備できるのか。クライアント視点で言うと、代理店を使っても成果をタイムリーに理解できる仕組みを作ることが重要だと思っています。</p>

<p>もう1点は、中国とかインドとか、人口の多いマーケットではユーザー獲得にフォーカスしている企業が多いのに比べ、日本の場合はマーケットが成熟しているので、ユーザー獲得に加えリテンションにもフォーカスしたいクライアントが多い。</p>

<p>しかしそうした時に、リテンションに関する考え方が各国によって違うケースがあるので、日本のマーケットに合った形でリテンション施策ができるようなプロダクト・機能開発を促進していきたいとも思っています。</p>

<p><strong>──そういった日本のマーケットならではのニーズをうまく汲み取って機能改善を加速する上で、どういう人がチームに加わったらいいと考えていますか？</strong></p>

<p>1つは代理店側にいたことのある人ですね。実際、この5月から入社したのも以前代理店にいた人間で、代理店だったらどういう情報が欲しいのかとか、クライアントとの板挟みになってこういうことに困っているだとか、代理店の視点を持ち合わせています。ぼく自身、代理店で働いた経験がないので、彼のような人から学べるところは多いと感じています。</p>

<p>もう1つは、現状うちのチームにはどちらかというとメディア側にいた人間が多いので、クライアント側にいた人が加わると、さらによくなると思います。例えばゲーム業界だったり、旅行系のクライアントだったり、プロモーションに関わっていた人が入ってくると、ぼくの知らないディープなレベルでその業界の特徴をフィードバックしてくれたり、クライアントのニーズをより深く理解できると考えています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8491final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>欧米に本社がある米Overture、仏Criteoは本国の意向が最優先される中央集権的なところが多少あったが、イスラエルのAppsFlyerの企業文化は、とてもフラットで、グローバルの全メンバーの距離がかなり近く感じられるという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──では、そうしたチームで日本での普及を推進していったとして、その先にどういう世界を作っていきたいというお考えがあれば教えてください。</strong></p>

<p>日本での売り上げのレベルはグローバルレベルで見るとまだまだ小さいので、当面はなるべく早く他のマーケットに追いつき、追い越したいというのがあります。そしてその先には、アプリを作る人、アプリに関わる人たちから「相談事はAppsFlyer」みたいに思ってもらえるような立ち位置になれたらすごくいいなと思います。</p>

<p>というのも、ぼくらの立場って、カオスマップとも言われるいろんなプレーヤーがひしめくアドテク業界の表面上にはいなくて、もっと俯瞰するような場所から、ニュートラルな視点で彼らを評価するものなんです。</p>

<p>いまはまだ、アプリ開発といえばデベロッパーが主人公で、ぼくらの業界はそこまで認知もリスペクトもされていないと思うのですが、そういうニュートラルな立場だからこそ生み出せる価値もあると思うので、そこをきちんと評価していただいた上で、頼られる存在になれたらいいなと思っています。</p>

<p>もちろんそれにはすごく時間がかかると思いますが、中国ではもうシェアが7〜8割もあって、そういう立ち位置になりつつあるのかな、とも思うので。</p>

<p><strong>──中国でそんなに先行できたのには、何か理由があるのですか？</strong></p>

<p>どこよりも早くマーケットに入ったからというのがあると思いますが、もう一つには、イスラエル人と中国人のメンタリティが合っていたのではないか、と。</p>

<p><strong>──というと？</strong></p>

<p>日本人って石橋を叩いて渡るところがあると思うんですが、イスラエル人、中国人は「まずやってみる」。それで、失敗したらその時に考えるというところがあると思うんです。</p>

<p>関連して、先日中国を訪れた際に面白い光景を目にしました。中国でいま、どこでも乗り捨てていいバイクシェアリングのビジネスが流行っているのをご存知ですか？</p>

<p>最初は1社が始めたのですが、それがうまくいったということで、真似をする会社がどんどん出てきて。いまでは一部の業者が、競合のタイヤに穴を開けてパンクをさせて、オペレーションができなくしてしまうところまで加熱しているんです。</p>

<p><strong>──めちゃくちゃですね。</strong></p>

<p>そうなんです。でも、最初にこのビジネスを始めた会社はこういう事態を受けて、空気を必要としない、パンクレスタイヤを開発することに成功したんですよ！</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8531final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>最近、中国に出張した際に見かけたバイクシェアリングの"穴空きタイヤ"。競合が仕掛けるパンク対策として導入されたものだ。</figcaption>
</figure></p>

<p>これを見てぼくは、コンフリクトとか摩擦とか、そういうところからイノベーションは生まれるんだな、と改めて気づかされました。日本ってそれと比べると平和で、なかなかそういうイシューが顕在化しないのではないかと思うんです。</p>

<p>乗り捨てのサービスをやるなんてアイデアが出たら、駅前の整理はどうするんだとか、社会全体の幸せとかすぐにそういう出る杭は打つ的な議論が始まって、ユーザーのイシューをまず解決するってことにはならない。</p>

<p>中国はどちらかというと、「そこが問題ならまず解決しようぜ！」的なところがあるので、イスラエルの「考える前に走れ」的なカルチャーとすごく相性がいいと思うんです。</p>

<p><strong>──それはまさに、先ほどお話いただいたAppsFlyerの組織としての強みとも合致しますね。お客さまのイシューから考えて、失敗してもいいからまずやってみる。また、フラットな組織だからこそそれをスピーディーに機能改善につなげられるという......。</strong></p>

<p>そうですね。だからそういう失敗を許容できるカルチャーを日本のチームでも作っていきたいし、日本という国全体にそういう文化を作っていきたい。</p>

<p>日本っていまは失敗できない、したらおしまい的な、どこか閉塞的なところがあって。それって多分、教育によるところが大きくて、徐々にそれは変わってきているとは思うのですが、そうしたものを加速させられるエバンジェリストのようになれればなと思っています。</p>

<p><strong>──AppsFlyerが成功してみせることで、その体現者になる？</strong></p>

<p>それもありますし、サービスを通じてということもありますね。うちのサービスを使えば、Aという施策もBという施策もニュートラルに効果を測ることができるので、挑戦した数だけ次の成功につながるフィードバックが得られるわけです。だからこそサービスを磨いていくことを通じて、「失敗を恐れずどんどんやってみましょうよ」と背中を押すようなことができるのではないかな、と思っています。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=4UaQl7jVy6o
<figcaption>年初の全社集会の様子。過去2年間で収益は500%成長。12のグローバルオフィスで従業員数は40人から240人へ拡大した。1月17日に発表された5600万ドルのシリーズC資金調達の話に、大坪含め、みな喜びの声をあげている。</figcaption>
<figure></p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>弱いつながりの強さ：早稲田大学ビジネススクール准教授・入山章栄が解説する、世界標準の人脈術 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/05/iriyama.html" />
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    <published>2017-05-01T02:30:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:10:03Z</updated>

    <summary>いま世界の経営学ではソーシャルネットワーク研究が盛んに行われている。属人的な人脈術はもう古い。気鋭の経営学者・入山章栄が、最先端の理論をもとに解説する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="出会いからアイデアを生み出す" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネスネットワーク" label="ビジネスネットワーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="弱いつながりの強さ" label="弱いつながりの強さ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営学" label="経営学" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>入山章栄</strong><small>早稲田大学ビジネススクール准教授</small>
<p>1996年慶應義塾大学経済学部卒業。98年同大学大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所を経て、米ピッツバーグ大学経営大学院博士課程に進学。2008年に同大学院より博士号を取得。同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクールのアシスタント・プロフェッサーに就任。2013年から現職。</p></aside></p>

<p>誤解を恐れずに言うと、入山章栄は経営の世界における池上彰のような存在になりつつある。</p>

<p>2012年に『世界の経営学者はいま何を考えているのか』を出版し、経営書としては異例のベストセラーに。15年には『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』を発売し、ハーバード・ビジネス・レビュー（以下、HBR）の読者が選ぶベスト経営書2016の第1位を受賞している。HBRでは毎号、長期連載「世界標準の経営理論」を執筆しているほか、NewspicksやForbes Japan、Bizzineなどでも対談の連載を受け持つ、いま大人気の経営学者だ。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4822279324/" target="_blank"><img src="/uploads/iriyama-book1.jpg" width="150">
<div class="info"><strong>『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』</strong>
<p>2015年に日経BP社より出版。いま世界の経営学者は、どのような理論をベースに研究しているのか。世界最先端の知を、日本のビジネスパーソンに向けて分かりやすく解説している。</p>
</div></a>
</div>

<p>彼の人気の秘密は、「これはもう海外の経営学では常識なんです」という、いわば"入山節"にある。世界の経営学者の間ではすでに常識だが、日本のビジネスパーソンにはあまり知られていない理論を、明快でわかりやすく解説してくれる。</p>

<p>例えば、大企業の若手有志団体のプラットフォーム「One JAPAN」のイベントで登壇した際には、次のように語った。</p>

<p>「いま日本で最も求められているのはイノベーションです。ただ海外も同じ課題を抱えています。世界中の経営学者が、企業のイノベーションについて日々研究していて、毎年新しい成果が生まれています。とはいえ、その根本にある本質はずっと変わりません。イノベーションは、既存の知と知の新しい組み合わせから生まれるというもので、これはもう海外のイノベーション研究では常識なんです」</p>

<p>これは「イノベーションの父」とも呼ばれる経済学者ジョセフ・シュンペーターが「New Combination（新結合）」として80年以上も前に提示した概念で、現在でも多くの経営学の論文で同じような考えが用いられている。今回の取材で注目するソーシャルネットワーク研究も例外ではない。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8476final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>経営学で、いまソーシャルネットワークはとても大きな研究分野だという。「日本人が知らないだけで海外では数多くの研究が行われていて、『Social Networks』というタイトルの学術誌まで存在するくらいです」</figcaption>
</figure></p>

<h3>ネットワーク理論の基本は「弱いつながりの強さ」</h3>

<p>いま経営学で最も引用されているネットワーク理論は、スタンフォード大学の社会学者でありながら、ノーベル経済学賞受賞の呼び声が高いほど、ビジネス研究の世界に多大な影響を与えている人物、マーク・グラノベッターが1973年に論文で発表した「弱い紐帯の強さ（The strength of weak ties）」である。</p>

<p>入山は、その理論について解説したHBRの連載（第27回）で、「学術的に確立された絶対的な定義・基準があるわけではない」とした上で、一般に「強いつながり」とは、接触回数が多い、一緒にいる時間が長い、情報交換の頻度が多い、心理的に近い、血縁関係にある、といったような関係を指し、その逆が「弱いつながり」にあたると記している。</p>

<p>つながりの強いネットワークでは、いろんな人から同じ情報を得ることになり、情報流通の無駄が多い。逆につながりが弱ければ、多様な情報を効率良く入手できるという。</p>

<p>「弱いつながりをたくさん持っている人は、普通は手に入らない情報をたくさん入手できます。イノベーションは既存の知と知の組み合わせで起こるため、弱いつながりを多く持っている人の方が基本的にイノベーティブなんです。これも、世界の経営学研究では多くの研究者が同意するところです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8503final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>名刺でつながるEightなら、イノベーションのもととなる「弱いつながり」を広げるビジネスネットワークがつくれるという。</figcaption>
</figure></p>

<h3>人間は似た者同士でつながりやすく、SNSはそれを助長している</h3>

<p>「弱いつながりの強さ」の他にもうひとつ、ソーシャルネットワーク研究の中心的な概念に「ホモフィリー」というものがある。端的に言えば、「人間は似た者同士でつながりやすい傾向にある」という考えだ。その歴史は古く、1950年代から社会学の分野で研究されていたのだが、近年、盛んに経営学のネットワーク研究にも応用されている。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/03/kawakami.html/">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/20170327170544-26fe3ee4e29325a9201a6814138ded5d3a7db7b5.jpg">
<div class="info"><strong>バイアスを外して「自己認知力」を磨こう──妙心寺春光院・川上全龍が説く、禅の哲学</strong> <date>2017.03.31</date></div>

<p></a></div></p>

<p>「人間には認知のバイアスがあるので、ホモフィリーによって似たような人とつながってしまい、さらにそれを助長するようなアルゴリズムがFacebook等のSNSにあるため、世の中みんな同じような考えを思っているのではないかと勘違いしやすいのです。昨年多くのアメリカ人が『ドナルド・トランプは絶対勝てない』と思い込んでいた要因のひとつもそれかもしれません」</p>

<p>Facebookは友だちの上限が5,000人に設定されていることからもわかるように、そもそもの設計思想が「弱いつながり」を促すものではない。一方、Eightは名刺交換をすればつながるネットワークであり、ホモフィリーの影響を受けにくい特性があると入山は期待を寄せる。</p>

<p>「Eightでは名刺交換をしただけでつながるので、弱いつながりが生まれやすいはずです。もちろんビジネスでは近い領域で取引をする人ですが、その中には思想や価値観が異なる人もいるはずです。そういう意味において、Eightは極めてニュートラルなソーシャルネットワークになる可能性があると思います」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8522final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4862761097" target="_blank">世界の経営学者はいま何を考えているのか</a>』（英治出版）。前職のニューヨーク州立大学に在籍していた2012年に出版。経営学の本としては異例の5万部を突破し、ベストセラーになった。</figcaption>
</figure></p>

<h3>イノベーションは「知の探索と深化」で決まる</h3>

<p>入山はよく「知の探索と深化」の概念を使って日本の企業にイノベーションが足りない要因を解説する。</p>

<p>この概念は、米スタンフォード大学の著名な経営学者ジェームズ・マーチが1991年に発表した論文をもとにしたものだ。「Exploration（知の探索）」と「Exploitation（知の深化）」のバランスがとれた「両利きの経営」を行う重要性について記している。</p>

<p>先ほどのシュンペーターの「新結合」も示唆するように、なるべく人や企業はさまざまな知の組み合わせを「探索」し、試せた方が新しいアイデアは生まれやすい。一方、それを企業の中で「深化」できなければアイデア倒れとなってしまう。入山は、探索と深化はどちらもバランスよく取り組むことが重要なのだが、どうしても組織には「探索を怠ってしまう傾向」が備わっているという。</p>

<blockquote>
  <p>毎年の予算を立てないといけない企業が目先の収益を高めるには、いま業績のあがっている分野の知を「深化」させることのほうがはるかに効率いいからです。他方で「知の探索」は手間やコストがかかるわりに、収益には結びつくかどうかが不確実で、敬遠されがちになります。この企業の知の深化への傾斜は、短期的な効率性という意味ではいいのですが、結果として知の範囲が狭まり、企業の中長期的なイノベーションが停滞するのです。<br>
──『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』より</p>
</blockquote>

<p>そこで、これからイノベーションを目指す企業は、「知の深化」は継続しながら、新たに「知の探索」を推し進めるための組織体制の変更や、ルールづくりが求められるという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8510final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「とてもありがたいことに、最近は『あの人に会いたい！』とお願いすると、メディアが対談を実現してくれるんです。この恩恵を活かして、メディアの対談ではなるべく普段会えないような人や接点の少ない分野を選ぶようにしています」</figcaption>
</figure></p>

<h3>副業もダイバーシティも「人が動いて新しくつながる」施策</h3>

<p>2016年の夏以降、政府主導の「働き方改革」の文脈に沿って、組織体制やルールを改める企業が目立つ。</p>

<p>取材した日の夜、入山はLIXILの前副社長・八木洋介氏と食事に行く約束をしていた。八木氏は、社内のダイバーシティを推進した先駆者のひとりとして知られている。ほかに注目している経営者として、副業を解禁したロート製薬のCEO・山田邦雄氏や、週休3日制を打ち出したヤフージャパンのCEO・宮坂学氏などを例に挙げた。</p>

<p>「それぞれ異なる文脈で語られていますが、彼らが行っていることの本質は同じだとぼくは思います。すべてイノベーションのために『人が動いて新しくつながる』施策なんです」</p>

<p>副業や週休3日制は、人を会社から出して「外部の知」に触れてもらう施策。逆に、社内に多様な外部の知を取り込む施策も実施するべきで、それがダイバーシティを大事にした中途採用となる。</p>

<p>入山によると、日本企業にイノベーションが足りない大きな要因のひとつは、新卒一括採用や終身雇用制によって、同じ人がずっと同じところにいる仕組みだという。</p>

<p>「日本式経営では、根本的にイノベーションは起きないんです。もちろん良い面もありますが、いまイノベーションが足りていないのであれば、やるべきは真逆のこと。目の前の知ではなく、遠くの知を見て、それと自分の知を組み合わせることです。知は人間が持っているものです。イノベーションは知と知の組み合わせからしか生まれないことが経営学では証明されているので、結局、人が動いて新しくつながるしかないんですよ」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8530final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「ぼくの周りは本当に紹介が多いですね。お互いいつも誰か紹介したい人がいるんです」</figcaption>
</figure></p>

<h3>人に紹介したくなる人の特徴は「バウンダリー・スパナー」</h3>

<p>個人が動いて新しい人とつながる時には、「弱いつながりの強さ」理論にもとづき、なるべく関係性の遠い人に会うと良いのだが、そもそも遠くにはどんな人がいるのかもわからないし、信頼できる人を見極めるのも難しい。そこで効果的なのは、信頼できるつながりの遠い人を「紹介」してもらうことだ。実際、入山の周りではかなり頻繁に行われているという。</p>

<p>ただし、「誰にどういった人を紹介してもらおうか？」と考えるよりも、大事なのは多様な価値観を受け入れる姿勢を持つことだと指摘する。「多くの人は自分のことは考えないで、外の人を探そうとするから駄目なんです。わたしのことを棚に上げて言えば、まずは自分の魅力を高めて、誰もが『紹介したくなる人』になるべきです」。</p>

<div class="round-box fl fb blue"><a href="https://bnl.media/2016/08/ishikawa.html/">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_MG_2384-1094.jpg">
<div class="info"><strong>「いいアイデアの9割は社外から集まる。では明日は誰と会うべきか？」石川善樹が説く、ビジネスネットワークの法則</strong> <date>2016.08.10</date></div>

<p></a></div></p>

<p>入山が人に紹介したくなる条件を満たす人とは、「平たく言うと『信頼される力』を持っている人」だという。</p>

<p>「紹介したくなる人の特徴は、その人自身に魅力があり、物事を打算で考えない人。そして、多様な価値観を受け入れられる人です。自分と価値観が違っていてもいいから、『あーそういう価値観持っているのか、面白いね』とか『ぼくとは違うけど、そういう考え方ってあるんですね』というふうに、ちゃんと受け入れることができて、さらにそれを楽しむことができるといいでしょう」</p>

<p>そのようにして、多様な価値観を受け入れながら、組織や部門の「境界を超える人」を経営学では、「バウンダリー・スパナー（Boundary Spanner）」と呼ぶ。ハーバード・ビジネススクールの教授、マイケル・タッシュマンが1977年に発表した論文で広まった概念で、近年も研究は盛んに行われている。例えば、2008年に設立されたアップルの社内研修プログラム「Apple University」で、スティーブ・ジョブズの命を受けて初代学長を務める社会学者ジョエル・ポドルニーは、就任前の06年にバウンダリー・スパナーに関する論文を発表している。</p>

<p>多様な価値観を受け入れることができ、所属する領域に留まらず、外部の世界と「弱いつながり」を広げていける人。今後そのような人が増えれば、日本の企業からもイノベーションが生まれることだろう。そのベースにある経営理論の有効性は、世界の経営学の間ですでにコンセンサスがとれていることなのだから。</p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="5011105000953"></div>
]]>
        <![CDATA[<p><aside><strong>入山章栄</strong><small>早稲田大学ビジネススクール准教授</small>
<p>1996年慶應義塾大学経済学部卒業。98年同大学大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所を経て、米ピッツバーグ大学経営大学院博士課程に進学。2008年に同大学院より博士号を取得。同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクールのアシスタント・プロフェッサーに就任。2013年から現職。</p></aside></p>

<p>誤解を恐れずに言うと、入山章栄は経営の世界における池上彰のような存在になりつつある。</p>

<p>2012年に『世界の経営学者はいま何を考えているのか』を出版し、経営書としては異例のベストセラーに。15年には『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』を発売し、ハーバード・ビジネス・レビュー（以下、HBR）の読者が選ぶベスト経営書2016の第1位を受賞している。HBRでは毎号、長期連載「世界標準の経営理論」を執筆しているほか、NewspicksやForbes Japan、Bizzineなどでも対談の連載を受け持つ、いま大人気の経営学者だ。</p>

<p>彼の人気の秘密は、「これはもう海外の経営学では常識なんです」という、いわば"入山節"にある。世界の経営学者の間ではすでに常識だが、日本のビジネスパーソンにはあまり知られていない理論を、明快でわかりやすく解説してくれる。</p>

<p>例えば、大企業の若手有志団体のプラットフォーム「One JAPAN」のイベントで登壇した際には、次のように語った。</p>

<p>「いま日本で最も求められているのはイノベーションです。ただ海外も同じ課題を抱えています。世界中の経営学者が、企業のイノベーションについて日々研究していて、毎年新しい成果が生まれています。とはいえ、その根本にある本質はずっと変わりません。イノベーションは、既存の知と既存の知の新しい組み合わせから生まれるというもので、これはもう海外のイノベーション研究では常識なんです」</p>

<p>これは「イノベーションの父」とも呼ばれる経済学者ジョセフ・シュンペーターが「New Combination（新結合）」として80年以上も前に提示した概念で、現在でも多くの経営学の論文で同じような考えが用いられている。今回の取材で注目するソーシャルネットワーク研究も例外ではない。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8476final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>経営学で、いまソーシャルネットワークはとても大きな研究分野だという。「日本人が知らないだけで海外では数多くの研究が行われていて、『Social Networks』というタイトルの学術誌まで存在するくらいです」</figcaption>
</figure></p>

<h3>ネットワーク理論の基本は「弱いつながりの強さ」</h3>

<p>いま経営学で最も引用されているネットワーク理論は、スタンフォード大学の社会学者でありながら、ノーベル経済学賞受賞の呼び声が高いほど、ビジネス研究の世界に多大な影響を与えている人物、マーク・グラノベッターが1973年に論文で発表した「弱い紐帯の強さ（The strength of weak ties）」である。</p>

<p>入山は、その理論について解説したHBRの連載（第27回）で、「学術的に確立された絶対的な定義・基準があるわけではない」とした上で、一般に「強いつながり」とは、接触回数が多い、一緒にいる時間が長い、情報交換の頻度が多い、心理的に近い、血縁関係にある、といったような関係を指し、その逆が「弱いつながり」にあたると記している。</p>

<p>つながりの強いネットワークでは、いろんな人から同じ情報を得ることになり、情報流通の無駄が多い。逆につながりが弱ければ、多様な情報を効率良く入手できるという。</p>

<p>「弱いつながりをたくさん持っている人は、普通は手に入らない情報をたくさん入手できます。イノベーションは既存知と既存知の組み合わせで起こるため、弱いつながりを多く持っている人の方が基本的にイノベーティブなんです。これも、世界の経営学研究では多くの研究者が同意するところです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8503final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>名刺でつながるEightなら、イノベーションのもととなる「弱いつながり」を広げるビジネスネットワークがつくれるという。</figcaption>
</figure></p>

<h3>人間は似た者同士でつながりやすく、SNSはそれを助長している</h3>

<p>「弱いつながりの強さ」の他にもうひとつ、ソーシャルネットワーク研究の中心的な概念に「ホモフィリー」というものがある。端的に言えば、「人間は似た者同士でつながりやすい傾向にある」という考えだ。その歴史は古く、1950年代から社会学の分野で研究されていたのだが、近年、盛んに経営学のネットワーク研究にも応用されている。</p>

<p>「人間には認知のバイアスがあるので、ホモフィリーによって似たような人とつながってしまい、さらにそれを助長するようなアルゴリズムがFacebook等のSNSにあるため、世の中みんな同じような考えを思っているのではないかと勘違いしやすいのです。昨年多くのアメリカ人が『ドナルド・トランプは絶対勝てない』と思い込んでいた要因のひとつもそれかもしれません」</p>

<p>Facebookは友だちの上限が5,000人に設定されていることからもわかるように、そもそもの設計思想が「弱いつながり」を促すものではない。一方、Eightは名刺交換をすればつながるネットワークであり、ホモフィリーの影響を受けにくい特性があると入山は期待を寄せる。</p>

<p>「Eightでは名刺交換をしただけでつながるので、弱いつながりが生まれやすいはずです。もちろんビジネスでは近い領域で取引をする人ですが、その中には思想や価値観が異なる人もいるはずです。そういう意味において、Eightは極めてニュートラルなソーシャルネットワークになる可能性があると思います」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8522final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>『世界の経営学者はいま何を考えているのか』（英治出版）。前職のニューヨーク州立大学に在籍していた2012年に出版。経営学の本としては異例の5万部を突破し、ベストセラーになった。</figcaption>
</figure></p>

<h3>イノベーションは「知の探索と深化」で決まる</h3>

<p>入山はよく「知の探索と深化」の概念を使って日本の企業にイノベーションが足りない要因を解説する。</p>

<p>この概念は、米スタンフォード大学の著名な経営学者ジェームズ・マーチが1991年に発表した論文をもとにしたものだ。「Exploration（知の探索）」と「Exploitation（知の深化）」のバランスがとれた「両利きの経営」を行う重要性について記している。</p>

<p>先ほどのシュンペーターの「新結合」も示唆するように、なるべく人や企業はさまざまな知の組み合わせを「探索」し、試せた方が新しいアイデアは生まれやすい。一方、それを企業の中で「深化」できなければアイデア倒れとなってしまう。入山は、探索と深化はどちらもバランスよく取り組むことが重要なのだが、どうしても組織には「探索を怠ってしまう傾向」が備わっているという。</p>

<blockquote>
  <p>毎年の予算を立てないといけない企業が目先の収益を高めるには、いま業績のあがっている分野の知を「深化」させることのほうがはるかに効率いいからです。他方で「知の探索」は手間やコストがかかるわりに、収益には結びつくかどうかが不確実で、敬遠されがちになります。この企業の知の深化への傾斜は、短期的な効率性という意味ではいいのですが、結果として知の範囲が狭まり、企業の中長期的なイノベーションが停滞するのです。<br>
──『ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学』より</p>
</blockquote>

<p>そこで、これからイノベーションを目指す企業は、「知の深化」は継続しながら、新たに「知の探索」を推し進めるための組織体制の変更や、ルールづくりが求められるという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8510final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「とてもありがたいことに、最近は『あの人に会いたい！』とお願いすると、メディアが対談を実現してくれるんです。この恩恵を活かして、メディアの対談ではなるべく普段会えないような人や接点の少ない分野を選ぶようにしています」</figcaption>
</figure></p>

<h3>副業もダイバーシティも「人が動いて新しくつながる」施策</h3>

<p>2016年の夏以降、政府主導の「働き方改革」の文脈に沿って、組織体制やルールを改める企業が目立つ。</p>

<p>取材した日の夜、入山はLIXILの前副社長・八木洋介氏と食事に行く約束をしていた。八木氏は、社内のダイバーシティを推進した先駆者のひとりとして知られている。ほかに注目している経営者として、副業を解禁したロート製薬のCEO・山田邦雄氏や、週休3日制を打ち出したヤフージャパンのCEO・宮坂学氏などを例に挙げた。</p>

<p>「それぞれ異なる文脈で語られていますが、彼らが行っていることの本質は同じだとぼくは思います。すべてイノベーションのために『人が動いて新しくつながる』施策なんです」</p>

<p>副業や週休3日制は、人を会社から出して「外部の知」に触れてもらう施策。逆に、社内に多様な外部の知を取り込む施策も実施するべきで、それがダイバーシティを大事にした中途採用となる。</p>

<p>入山によると、日本企業にイノベーションが足りない大きな要因のひとつは、新卒一括採用や終身雇用制によって、同じ人がずっと同じところにいる仕組みだという。</p>

<p>「日本式経営では、根本的にイノベーションは起きないんです。もちろん良い面もありますが、いまイノベーションが足りていないのであれば、やるべきは真逆のこと。目の前の知ではなく、遠くの知を見て、それと自分の知を組み合わせることです。知は人間が持っているものです。イノベーションは知と知の組み合わせからしか生まれないことが経営学では証明されているので、結局、人が動いて新しくつながるしかないんですよ」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8530final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「ぼくの周りは本当に紹介が多いですね。お互いいつも誰か紹介したい人がいるんです」</figcaption>
</figure></p>

<h3>人に紹介したくなる人の特徴は「バウンダリー・スパナー」</h3>

<p>個人が動いて新しい人とつながる時には、「弱いつながりの強さ」理論にもとづき、なるべく関係性の遠い人に会うと良いのだが、そもそも遠くにはどんな人がいるのかもわからないし、信頼できる人を見極めるのも難しい。そこで効果的なのは、信頼できるつながりの遠い人を「紹介」してもらうことだ。実際、入山の周りではかなり頻繁に行われているという。</p>

<p>ただし、「誰にどういった人を紹介してもらおうか？」と考えるよりも、大事なのは多様な価値観を受け入れる姿勢を持つことだと指摘する。「多くの人は自分のことは考えないで、外の人を探そうとするから駄目なんです。わたしのことを棚に上げて言えば、まずは自分の魅力を高めて、誰もが『紹介したくなる人』になるべきです」。</p>

<p>入山が人に紹介したくなる条件を満たす人とは、「平たく言うと『信頼される力』を持っている人」だという。</p>

<p>「紹介したくなる人の特徴は、その人自身に魅力があり、物事を打算で考えない人。そして、多様な価値観を受け入れられる人です。自分と価値観が違っていてもいいから、『あーそういう価値観持っているのか、面白いね』とか『ぼくとは違うけど、そういう考え方ってあるんですね』というふうに、ちゃんと受け入れることができて、さらにそれを楽しむことができるといいでしょう」</p>

<p>そのようにして、多様な価値観を受け入れながら、組織や部門の「境界を超える人」を経営学では、「バウンダリー・スパナー（Boundary Spanner）」と呼ぶ。ハーバード・ビジネススクールの教授、マイケル・タッシュマンが1977年に発表した論文で広まった概念で、近年も研究は盛んに行われている。例えば、2008年に設立されたアップルの社内研修プログラム「Apple University」で、スティーブ・ジョブズの命を受けて初代学長を務める社会学者ジョエル・ポドルニーは、就任前の06年にバウンダリー・スパナーに関する論文を発表している。</p>

<p>多様な価値観を受け入れることができ、所属する領域に留まらず、外部の世界と「弱いつながり」を広げていける人。今後そのような人が増えれば、日本の企業からもイノベーションが生まれることだろう。そのベースにある経営理論の有効性は、世界の経営学の間ですでにコンセンサスがとれていることなのだから。</p>
]]>
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>四重苦の金融はいま、どの業界よりもデジタルが進んでいる──アクセンチュア執行役員・中野将志 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/04/accenture-vol1.html" />
    <id>tag:bnl.media,2017://125.8223</id>

    <published>2017-04-19T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-03-23T03:03:13Z</updated>

    <summary>20年以上、アクセンチュアで金融業界の変革に携わってきた中野将志を直撃。先進的なデジタルテクノロジーを導入する取り組みは、金融が他のどの業界よりも先を行っている。「Change」を好む人にとって、いま金融のコンサルティングは圧倒的に面白いという。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="企業のいま" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="sponsored" label="Sponsored" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>中野将志</strong><small>アクセンチュア　執行役員 金融サービス本部 統括本部長</small>
<p>1995年新卒入社。金融機関のシステム開発、テクノロジーコンサルティングを経験し、2000年に戦略グループへ異動。金融業界の事業戦略や海外展開の支援、M&amp;A戦略などに携わる。ビジネスとテクノロジー双方への深い見識と経験があり、多数の大手金融機関に変革をもたらしてきた。05年よりマネジング・ディレクター、13年より金融サービス本部 統括本部長（執行役員）。</p></aside></p>

<p>日本の金融業界は、いま「四重苦」に陥っている。</p>

<p>国内の金融市場はもはや拡大を期待できるフェーズになく、それどころか異業種の参入により、既存の金融機関は縄張りを侵されているというのが現実だ。つまり生き残るには、世界に打って出るしかない。</p>

<p>ところがグローバルな金融市場は、頻発するテロへの対策などの文脈でどんどんと規制が強化されている。そのため、各金融機関の規制対応にかかるコストは増大する一方だ。なおかつ日本の金融機関には、バブル崩壊以降、若い社員を積極採用してこなかったという問題もある。つまり、人が絶対的に足りない（あるいは近い将来に足りなくなる）というリスクを抱えている。</p>

<p>しかし、アクセンチュアで20年以上にわたって国内外の金融業界を見てきた中野将志によると、この四重苦があるからこそ、いま金融は先進的なデジタルテクノロジーの開発が、あらゆる業界の中で最も進んでいるという。</p>

<p>「日本の金融機関はいま、非常に面白い時期にある」とまで言う彼の目には、いったいどのような可能性が映っているのだろうか。企業の変革を担うコンサルタントとして、どこに面白さを見出しているのか。</p>

<p>常に「Change」を求めるアティチュードに、その答えはあった。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2017/08/accenture-vol2.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_L2A4565final1094.jpg');" class="img"></div>
<div class="info"><strong>第2回：自動車メーカーのライバルはファストフード店に!?　間近に迫るIoTの大波をアクセンチュア・丹羽雅彦が解説</strong>
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</div></a>
</div>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2017/12/accenture-vol3.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_L2A37812_2.jpg');" class="img"></div>
<div class="info"><strong>第3回：「明後日からの逆算」で明日をつくる経営のススメ──アクセンチュア・中村健太郎</strong>
<p>Sponsored by Accenture</p>
</div></a>
</div>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4805final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>経済の縮小、規制の強化、人手不足、異業種の参入。金融業にはこの四重苦があるからこそ、どこよりも変革のニーズがある。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──日本の金融業界ではいま、何が起きているのでしょうか。</strong></p>

<p>最近になって、「テクノロジーを使って何か新しいことをやらなければいけない」とさかんに言われる背景には、大きく4つの要因があります。</p>

<p>まず、日本というマーケットでこのまま成長し続けることは難しくなってきています。人口は減るし、経済が成長しているわけでもない。企業の設備投資もそんなにない。だからビジネスを拡大しようと思ったら、海外に出ていかなければならないタイミングにきているということです。</p>

<p>一方で、金融機関への規制はどんどん厳しくなってきています。グローバルで見てもそうだし、国内は一部には緩やかにという動きがあるものの、基本的には金融庁の金融機関に対する姿勢は厳しい。そのため、規制に対する取り組みの負荷も大きくなってきているんです。</p>

<p>しかし、日本の金融機関はバブル以降、リーマン・ショックの影響などもあり、社員をあまり採用してこなかったという問題があります。年齢構成のピラミッドは40代以下が少ないいびつな形になっているため、シニア層のリタイア後を見据えて、生産性を高めるための手を打たなければ立ちいかなくなる状況にあります。</p>

<p>さらに、楽天やグーグル、アマゾンといった異業種が決済周りを中心に金融ビジネスに参入する動きがあり、自分たちの市場が侵され始めているという要因もある。</p>

<p>こうした「四重苦」ともいえる状況に置かれるなかで、生産性を上げなければならないのはもちろんですが、異業種を積極的に取り込むなどして、新しいテクノロジーを使ったビジネス展開を模索する動きが出てきているというのが、いま金融業界で起きていることです。</p>

<p>業界全体としてまさにトランスフォームしようとしているタイミングなので、そういう変化を楽しめる人からすれば、非常に面白い時期にあると言えるでしょう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4843final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>人工知能の導入も、金融の世界ではすでにアイデアフェーズに入ってきているという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──具体的にはテクノロジーをどう活用できますか。</strong></p>

<p>やるべきことは、いろいろあります。</p>

<p>例えば、金融機関が迫られているグローバルな規制対応の一つに、アンチマネーロンダリングがあります。ある国で口座を開設しようとした人や、その送金先が信頼に足りるかどうかを調べるのは、社内外のさまざまなデータを照合する非常に手間のかかる作業です。</p>

<p>この作業はこれまで人が行ってきましたが、これを「Robotic Process Automation（RPA）」の技術で代替するという動きが世界中で進んでいます。さらにデータを照合するというプロセスだけではなく、その先にある判断の部分に人工知能を取り入れようというアイデアもあります。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AD%E3%83%9C%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%83%E3%82%AF%E3%83%BB%E3%83%97%E3%83%AD%E3%82%BB%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%88%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3" target="_blank">
<div class="info"><strong>Robotic Process Automation（RPA）</strong>
<p>認知技術（ルールエンジン・機械学習・人工知能等）を活用した、主にホワイトカラー業務の効率化・自動化の取組み。（ウィキペディア）</p>
</div></a>
</div>

<p><strong>──現時点でどれくらい実現しているのですか。</strong></p>

<p>RPAの活用は、世界レベルで見ればかなり進んでいます。最も進んでいるのは欧州で、日本はそれより2年ほど遅れているでしょうか。</p>

<p>なぜ欧州の方が進んでいるかと言えば、グローバルバンクという意味では日本の金融機関よりも欧州の方がランクは上なので、その分、厳しい規制に対応する必要性に切実に迫られていたからです。</p>

<p>欧州の金融機関が、こうした「誰でもできるけれど手間のかかる作業」をロボットにより代替するという発想で動いていたのに対し、日本の金融機関は一足とびに、コールセンターへのディープラーニングの活用などAIを使ってスーパーマンをつくる発想で動いていました。そうした発想の違いが、短期的な成果の差として表れたと表現することもできるでしょう。</p>

<p>その後、日本の金融機関もグローバルにビジネスを展開するようになり、規制対策としてロボットの活用は随分と進んでいます。先ほども触れたように、日本には欧州の金融機関にはない社員不足という問題がありますから、「ビジネスを進展させるのは必要性である」という観点から考えれば、今後日本がこの分野で欧州を逆転する可能性も十分あるでしょう。</p>

<p><strong>──ロボット活用という点で、他の業界と比べて金融業界はどういうフェーズにあるのでしょうか。</strong></p>

<p>国内の業界で比べると、金融業界はかなり進んでいる方だと思います。実際、アクセンチュアで扱っているプロジェクトを見渡しても、RPAに関する案件は圧倒的に金融業界に多いです。</p>

<p>それだけ、生産性を高めないといけないという必要性に迫られているということでしょう。いわゆる産業用ロボットのようなものは他業界にもありますが、ホワイトカラーのデスクトップの仕事をロボットで代替するというのは、金融業界の業務により多くのニーズがあります。</p>

<p>おそらく、金融業界から始まったものが他の業界へと広まっていくというのが、大きな流れの向きではないでしょうか。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4870final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>アクセンチュアでは企業経営の変革に携わる機会が多い。「Change」を好む人には打ってつけの場所だ。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──それは金融業界で働く面白さのひとつと言えそうですが、となると、そうした変革を担える人材は現状、金融業界の中にしかいない？</strong></p>

<p>金融機関の中にもいませんよ。なぜなら、企業活動には現在進行形で動いている事業を回す「Run」と、次の成長のためにそれを大きく変革する「Change」の両方が必要ですが、各企業が大きな変革を迫られるタイミングというのは、10年に1度あるかないかです。つまり、企業の中で働く人は、Runのスペシャリストであって、Changeに関しては素人である可能性が高いんです。</p>

<p>その点、われわれコンサルタントはつねにどこかの企業のChangeの現場にいるわけですから、Changeのスペシャリストであるということができます。</p>

<p>加えて、現在のビジネス環境の変化のスピードを考えると、何か新しいビジネスをつくる際にはテクノロジーと業務の両方を理解しているジェネラリストの必要性が高まっています。その点においても、ぼくらのような外部のコンサルタントには優位性があると考えています。</p>

<p><strong>──中野さん自身もテクノロジーに精通している？</strong></p>

<p>もちろん細かいレベルまで深掘りしていけば技術的な知識にキリはないですが、わたし自身も元々はSEとしてキャリアをスタートしました。それから業務コンサルをやり、戦略コンサルをやって、現在のポジションにいます。そういう意味ではぼくもジェネラリスト。アクセンチュアにはそうした人間が揃っているのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4874final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>アクセンチュアには、大きく分けて5つの部門がある。中野が所属する、特定の産業・業界を担当するコンサルティングの他に、産業・業界を横断する、ストラテジー、デジタル、テクノロジー、オペレーションズが設けられている。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──なぜそういう人材が揃っているのでしょうか。</strong></p>

<p>それは会社としての成り立ちに由来しています。元々はアンダーセンコンサルティングという名称でしたが、世の中にさまざまあるオープンソリューションの中からお客様の課題に対してどのソリューションが一番いいのかを提案する、ITコンサルティングというマーケットを最初につくったのが弊社です。</p>

<p>そこから長くビジネスを続けていくうちに、コンサルだけでなく実際にシステムを作るところも担うようになり、現在の「テクノロジー」部門ができました。さらに、その手前にあるビジネス課題を考えるところからやる部門としてできたのが戦略コンサルの「ストラテジー」、運用するところまでを担う部門としてできたのがアウトソーシング事業を担う「オペレーションズ」です。</p>

<p>エンド・トゥ・エンドの幅広い人材が育ちやすいというのは、アクセンチュアがこのような成り立ちできているからこその強みだろうと思います。</p>

<p><strong>──元々そうした興りだったにせよ、時代の流れとともにコンサルティングという仕事を再定義する必要性に迫られた局面もあったのでは？</strong></p>

<p>当然あったと思います。20年以上前でいえば、コンサルタントはいわゆる方法論だけで食えていた時代がありました。しかしいまの時代、そんなものは本屋に行けばいくらでも手に入ります。</p>

<p>では、この時代に求められているコンサルティングとはどんなものなのか。それはビジネスの実装をとことん助けられるか、ビジネスのアイデアを論理的に考えられるかにあると思っています。</p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>いま求められているコンサルティングは、実装をとことん助けられるか、アイデアを論理的に考えられるかにある</p>
</div>

<p>さらに、どんなにいい機能だったとしてもインターフェースがダサかったら使ってもらえないという現実がありますから、コンサルティングとはいままでそれほど親和性のなかった、デザインのような領域まで含めて求められてきている。すべてが融合しないとビジネスが成立しない時代になってきているんです。</p>

<p>アクセンチュアはそのことを認めて、自社の組織にそれを取り入れるということをずっとやってきました。そのための買収もするし、そのための人材育成もする、というように。そうしたことが源泉となっているからこそ、お客様企業の社員一人ひとりの行動が変わるところまで、Changeにとことんコミットできるのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4807final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>顧客に対してだけでなく、社内の変革にも積極的な企業文化があり、数年に1回、世界規模で大組織変更が行われる。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──そうした仕事に異業種から転職するとしたら、どんな素養が必要ですか。</strong></p>

<p>何かを変えたいという人、そして効果を出すところまでとことん付き合いたいというマインドセットを持った人は当然向いていると言えます。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>新しいものを吸収して自分自身もChangeできることが求められる</p>
</div>

<p>ただし、効果を出すためにはお客様企業を変えるだけでなく、自分自身も絶えず変わる必要があります。特定の技術だけしかやりませんというのでは、お客様に対して最適なソリューションを提供することなど望むべくもないですから。</p>

<p>古臭くなったものを捨てて、新しいものをどんどん吸収することで自分自身もChangeできることが、ベーシックに求められるでしょう。</p>

<p><strong>──とはいえ、日常的にはコンサルティングという仕事自体のRunがあるわけで、その中で実際にアップデートし続けるのは難しいことではないですか？</strong></p>

<p>もちろんおっしゃる通りですが、アクセンチュアでは4年に1回くらいの頻度で世界規模の大組織変更があります。これはぼくなりの解釈ですが、そのことにより既得権益をぶっ壊し、全員が新しく自分自身の強みや客観的市場価値、そしてキャリアを考え直さないといけない状況を意図的に作り出しているのではないでしょうか。そしてそれを続けてきたことこそが、アクセンチュアのしぶとさの源泉なのではないかとぼくは思っています。</p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>Changeを楽しめる人なら、どんな業界から来ても活躍できる</p>
</div>

<p><strong>──その結果、一時的に生産性が下がることもあり得る？</strong></p>

<p>あると思いますよ。それでも、新しいものが生まれる可能性はそっちの方があるはずですから。アクセンチュアは、そのようにして環境自体がChangeすることすらも楽しめる人なら、あとは一定以上のスペックさえあれば、どんな業界から来たとしても活躍できる場所のある会社だと言えるでしょう。</p>

<p>そして、環境自体がそのように大きく変わるということは、同時にそんな中にあって、自分はどこにいるべきなのか、どう変わるべきなのか、どういうキャリアを歩むのか、どういう価値を提供していきたいのかといったことは、常に考えざるを得ない。そうした個人のプリファレンスをすごく重視するというのも、この会社の特徴だと思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A4888final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>変革が好き。だからこそ中野にとって、金融はいま圧倒的に面白いのだ。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──では、中野さん自身にとってのあるべき場所、提供していきたい価値とは？</strong></p>

<p>ぼくは入社以来ずっと金融がらみの仕事をしてきました。入社したのはちょうど金融ビッグバンの起きた直後で、金融手数料の自由化が始まり、外資も入ってきて、業界自体がそれまでの護送船団方式の時代から大きく変わろうとしている時期でした。</p>

<p>同時に、日本はそれまで製造業が強く、金融業界はそれと比べて遅れているとも言われていました。ぼくが金融業にフォーカスして仕事をやってきたのには、こうした遅れているものが世界で通用するものへと変わることに貢献したいという思いがあったからです。</p>

<p>そのモチベーションはいまも変わりません。今後も金融機関が海外で戦っていくためのビジネスのサポートをしていきたいし、先進的なテクノロジーを使って新しいビジネスをつくることに貢献していきたい。いや、新しいビジネスをつくることに関しては支援するだけでなく、一人称で臨みたいとさえ思っています。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>マインドフルネスは「人のネットワーク」で広まった──Search Inside Yourself認定講師・荻野淳也 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/04/ogino.html" />
    <id>tag:bnl.media,2017://125.8227</id>

    <published>2017-04-14T00:45:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:23:33Z</updated>

    <summary>2007年にグーグルで始まったマインドフルネス研修「Search Inside Yourself（SIY）」。日本人の中でいち早く注目し、国内でSIYを広めてきた第一人者に訊く、トレンドの舞台裏。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="キャリアストーリー" label="キャリアストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ビジネスと思想" label="ビジネスと思想" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="マインドフルネス" label="マインドフルネス" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/39577259892">荻野淳也</a></strong><small>一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート代表理事</small>
<p>グーグルで生まれた脳科学とマインドフルネスの能力開発メソッド「Search Inside Yourself（SIY）」の認定講師であり、日本でSIYプログラムを初めて開催。リーダーシップ開発、組織開発の分野で、上場企業からベンチャー企業までを対象に、コンサルティング、エグゼクティブコーチングに従事。外資系コンサルティング会社勤務後、スタートアップ企業のIPO担当や、ヨガスタジオの取締役を経て、現職。マインドフルネスの手法を用いて、組織リーダーの変容を支援し、会社や社会の変革を図っている。</p></aside></p>

<p>2007年に日本のビジネスパーソン向けに瞑想やヨガを教える事業を立ち上げた荻野淳也は、ある日、グーグルで開発されたマインドフルネス研修プログラム「Search Inside Yourself（SIY）」を広めることを目的とした組織のCEOと出会った。</p>

<p>その後、2013年に日本の企業へSIYの導入を支援する組織を設立し、国内でマインドフルネスの認知を広める活動を続けてきた。</p>

<p>Googleトレンドで「マインドフルネス」と調べると、16年6月ごろから日本で検索数が急上昇している。約10年越しの努力が、ようやく実りつつあるようだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/mindfulness-jp.png" alt="" title="" />
<figcaption>過去3年間、日本で「マインドフルネス」が検索された数の推移。</figcaption>
</figure></p>

<p>なぜこのタイミングで、日本で話題になり始めたのか？　そもそもアメリカではいつごろから、どのようにして発展したのか？</p>

<p>その舞台裏では、人と人が出会うべくして出会う、ビジネスネットワークのストーリーがあった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2381final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>日本でSIYを広める組織を立ち上げた荻野のもとに、ある日、NHKのディレクターが訪ねてきた。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──書店に行くと「マインドフルネス」をテーマにした棚ができていたり、Googleトレンドで検索したら、昨年の6月頃に急に検索数が増えていたり、最近日本で一気に注目度が上がっているように感じるのですが？</strong></p>

<p>昨年6月のGoogleトレンドのスパイクは、おそらくNHKスペシャルのシリーズ「キラーストレス」でマインドフルネスが紹介された影響ですね。</p>

<p>2015年の5月あたりに、NHKのあるディレクターから、「マインドフルネスをNスペでやりたいので、ご協力お願いします！」と連絡がきたのです。大学の頃からバックパッカーとしてタイやビルマのお寺によく行っていたという方で、禅やマインドフルネスに関心があって、ぼくの連絡先を見つけたそうです。ただ、さすがにNスペのハードルは高いようで、企画はなかなか通らず、結局別の企画で「ストレス」をテーマにした特集の一部として紹介される形で16年6月に放送されました。</p>

<p>その後、例のディレクターから「サイエンスZERO」でマインドフルネスを科学的に解明する回をつくることになった、という連絡が入りまして、Nスペから2ヶ月後の8月に放送されました。凄い反響があったようで、すでに3,4回は再放送されています。サイエンスZEROで、視聴者の反響がここまで大きかった回は初めてだったそうです。</p>

<p><strong>──テレビから火が点いたのですね。荻野さんは、いつ頃からマインドフルネスに注目されていたのですか？</strong></p>

<p>マインドフルネスらしきものに出会ったのは、約10年前ですね。</p>

<p><strong>──ちなみに『Search Inside Yourself』がアメリカで出版されたのはいつですか？</strong></p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4862762271" target="_blank"><img src="/uploads/siybook5.jpg" width="120"><div class="info"><strong>『Search Inside Yourself 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法』</strong><p>Google発、世界のビジネスリーダーが実践する能力開発プログラム、Search Inside Yourself Leadership Institute（SIYLI）の会長、チャディ・メン・タンが執筆。</p>
</div></a>
</div>

<p>グーグルの社内で「Search Inside Yourself」という能力開発プログラムが始まったのが2007年。やがてオープンソースにしようという流れとなり、2012年に書籍が発売され、それを世界中に広めることを目的とした組織「<a href="https://siyli.org/">Search Inside Yourself Leadership Institute（SIYLI）</a>」が設立されて、SAP、フォード、フェイスブックなどの企業で、次々と導入されていきました。</p>

<p><strong>──では荻野さんは、ほぼ初期の頃から注目されていたわけですね！　このタイミングで日本で広まり始めているのは、どのような要因が考えられるのでしょうか。</strong></p>

<p>やはりアメリカで数多くのグローバル企業が実践しているという事実は大きいと思います。あと、日本はこの半年くらいで健康経営や働き方改革といったテーマに対する注目度が高まっています。集中力アップや生産性の向上、リーダシップ、ストレス解消といった切り口で、マインドフルネスが注目され始めたという側面もあるでしょう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2332final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>コーチングの世界に身を置く人たちの間では、グーグルのSIYは有名で、みんな気になっていたという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──ビジネスの世界におけるマインドフルネスのムーブメントは、最初グーグルから始まったという認識で正しいのでしょうか。</strong></p>

<p>ほぼそう言っていいと思いますね。もちろん、さまざまな企業のエグゼクティブたちが、瞑想を個人的に実践していたという歴史は脈々とあるのですが、やはりグーグルが社内でプログラムを開発して成果を上げた影響は大きいと思います。</p>

<p>ただ、それ以前からマインドフルネスはアカデミックな世界でも真面目に研究されて一定の成果が出てきていたという事実もあります。例えば、スタンフォード大学のケリー・マクゴニガルはご存知ですか？</p>

<div class="round-box fl fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/01/kelly.html">
<h4>関連記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/KellyMcGonigal2013-1094.jpg">
<div class="info"><strong>スタンフォード大ケリー・マクゴニガルが語る、ストレスを力に変える仕事の選び方</strong> <date>2017.01.25（水）</date></div>

<p></a></div></p>

<p><strong>──はい、実は最近インタビューさせていただく機会があったのです。</strong></p>

<p>そうなんですね。彼女が2015年に出版した最新刊『The Upside of Stress（邦訳版：<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4479794964" target="_blank">スタンフォードのストレスを力に変える教科書</a>）』は、結局マインドフルネスをベースに書かれたものなんです。スタンフォード大学薬学部の中に「<a href="http://ccare.stanford.edu/" target="_blank">CCARE</a>（思いやりと利他主義の研究教育センター）」という機関がありまして、彼女は2009年から主幹教諭・コンサルタントとして所属しています。そこで、思いやりを養うトレーニングを科学的に研究し、9週間の研修プログラムを開発しています。</p>

<p>また、ハーバード大学で最も人気の講義を担当し、史上最も多くの受講者を集めた心理学博士、タル・ベン・シャハーもポジティブ心理学の文脈で、マインドフルネスを主要テーマのひとつとして扱っています。彼が出版した本もアメリカでベストセラーになりました。日本では『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4479305165/" target="_blank">ハーバードの人生を変える授業</a>』というタイトルで出版されています。</p>

<p><strong>──そうした書籍がアメリカでベストセラーになっていることも、企業が導入について検討する後押しになっているはずですね。大学の研究はグーグルでSIYのプログラムが始まる前からされていたわけですか？</strong></p>

<p>いちばん最初は、60〜70年代のカウンタカルチャーの時代まで遡ります。ヒッピー・ムーブメントの一潮流として禅がアメリカの文化に溶け込んでいった経緯があるのです。例えば、アメリカに渡った禅僧の鈴木俊隆が、当時カウンターカルチャーを象徴する存在だった野外音楽フェス「ウッドストック」でスピーチを行いました。そうした活動に触れて、禅に影響を受けて瞑想を実践する人たちの輪が広がっていきました。のちに彼らが世界的に有名な研究者や企業経営者として社会で活躍するようになって、瞑想の効能が脳科学的にも実証されたのです。そして「マインドフルネス」という言葉とともに、2000年以降、再び盛り上がっていきました。</p>

<p><strong>──さまざまな領域で瞑想の研究が進み、論文も多く発表されてきた過程を経て、グーグルのエンジニアだったチャディ・メン・タンが社内で実践できる瞑想プログラムを開発したわけですね。</strong></p>

<p>大事なことは、ぱっとグーグルが始めて急に世の中に広まったのではなく、それ以前から脈々と実践している人たちがいたという事実です。よく日本の仏教界から「アメリカのマインドフルネスというものは考えが浅い」という批判を受けるのですが、実は30年や40年、毎日瞑想を実践してきた人たちが研究を行い、その結果をもとにビジネスの世界にまで広がったのです。そのことに、もっと目を向けるべきだと思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2362final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>カウンターカルチャーの時代から、瞑想を実践する人たちはアメリカで脈々と続いていた。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──荻野さんは、チャディ・メン・タンにお会いされたことはありますか？</strong></p>

<p>はい、もう何度も。</p>

<p><strong>──彼はこういう人だからSIYを開発できた、という特長は何かありますか？</strong></p>

<p>メンさんは107番目のグーグルの社員で、初期の検索エンジンのアルゴリズムをつくっていた人なので、要は天才エンジニアなんです。グーグルが上場してビリオネアになって、「じゃあこれからどうしようか？」と言って、ある日ランチを食べた後にグーグルのキャンパスを散歩していたらしいんですよ。そうしたら「世界平和の礎を自分が生きている間につくりあげる」というビジョンが下りてきたのだそうです。</p>

<p>グーグルの創業メンバーに近いので、いろんな「人のネットワーク」が使えるわけです。EQの概念を広めたダニエル・ゴールドマンに直接コンタクトできたり、ベトナムの偉大な禅僧であるティク・ナット・ハンをオフィスに呼んで、講演をお願いしたりしていたようです。</p>

<p><strong>──ビジネスネットワークを活用して、プログラムを開発したわけですね。</strong></p>

<p>ほかにも、カウンターカルチャー時代に活躍した瞑想の指導者、ミラバイ・ブッシュにもコンタクトをとって、具体的なプログラム構成のアドバイスをもらっていたそうです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2361final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>本のイラストのように、人を喜ばせることが好きな性格も、次々と偉大な師が彼を支援してきた理由のひとつだ。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──彼らを惹きつける魅力は、メンさんのどういったところにあるのでしょうか？</strong></p>

<p>もちろん、メンさんの世界平和というビジョンの高さに惹かれるところもありますが、もうひとつはユーモアだと思います。『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140817100" target="_blank">JOY ON DEMAND</a>』に挿入されているイラストを見れば伝わると思うのですが、10秒に1回くらいジョークを連発するような、とても陽気な人なんです。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/02/nhk-matsushima.html">
<h4>関連記事</h4>
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<div class="info"><strong>時代を切り取る次のビッグアイデアは、PUBLICな領域から生まれる──NHK出版・松島倫明の仕事術</strong> <date>2017.02.09（木）</date></div>

<p></a></div></p>

<p>この本は、NHK出版の松島倫明さんに編集いただいたものですが、ぼくは企画が持ち上がった段階から関わっていました。ただ、ぼくたちが翻訳版をプロデュースしたいとメンさんに申し出た時に「それなら、ひとつだけ条件がある！」と言われたのです。「今回はイラストをちゃんと入れてくれる出版社にしてくれ」とね（笑）。</p>

<p><strong>──それが唯一の条件だったのですね（笑）。</strong></p>

<p>実は1作目の『Search Inside Yourself』を出版した英治出版の時も、ぼくが出版社を見つけるところから手伝っているのですが、英治出版のご担当にいろいろと検討、考慮はいただいたのですが、合理的な判断から、最終的にイラストをすべて省いたのです。日本でターゲットとする読者には内容とイラストがそぐわないというのが彼らの見解でした。それで仕上がった本をメンさんに渡したら、「なんでイラストが入ってないんだ！」とかなり落ち込んでしまいました。その時に初めて、それほどのこだわりがあるイラストだったのかということを理解したのですが（笑）。</p>

<p>そのようにユニークで憎めないキャラクターだから、SIYを開発し始めた時も、ついつい助けてあげたくなるような感じで多くの人を惹きつけたのだと思います。</p>

<p><strong>──荻野さんは、どのような経緯でSIYに関わることになったのでしょうか。</strong></p>

<p>スタートアップ企業で働いていて心身共に疲弊していた頃、ある日、友人に誘われてヨガを体験して魅了されたのです。結局そのヨガスタジオに転職することになり、その後2007年末に独立して、同僚のヨガインストラクターとともに、ビジネスパーソン向けに瞑想やヨガを教える事業を立ち上げました。</p>

<p>でも、当初はなかなか思うようには広まらなかったのです。外資系のトップにお会いして、直接ご提案すると関心を持っていただける方もいましたが、日系企業の方々には、その良さがほとんど伝わりませんでした。</p>

<p>より効果的な伝え方を模索していた時に、瞑想を実践する同じコーチング仲間で、たまに情報交換していた木蔵シャフェ君子から、「アメリカで経営者に瞑想を指導しているエグゼクティブ・コーチを知っているから会いに行こうよ！」と誘われたのです。それが、いまSIYLIのCEOを務めているマーク・レッサーさんとの出会いにつながりました。</p>

<p>マークさんはもともと禅のお坊さんなのですが、MBAを取って起業に成功した人なんです。当時、経営者に対して瞑想のトレーナーをやっていると聞いていたので会いに行ったのですが、「実は半年くらい前にSIYLIのCEOに就任したところで、現在はこのプログラムを世界中に広めていくことに100%注力している」という話を聞かされたのです。</p>

<p><strong>──お会いした時に初めてCEOに就任されていたことを知ったわけですか？</strong></p>

<p>そうなんです。「それってもしかして噂に聞いていたグーグルの瞑想プログラムですか？」と聞いたら「そうだ」という話で、それならむしろ好都合だと思いまして、その場で「ぜひ日本でSIYを広めるお手伝いをさせてください！」と頼み込んだのです。その場でマークさんの手帳を開いてもらって、「来年の秋のこの日にプログラムを開催するから予定空けてください！」と言って約束してきたんです。</p>

<p><strong>──すごいですね！ いきなりその場で決めてきたんですか？</strong></p>

<p>もう後先考えず、とりあえず手帳に予定を書き込んでもらって、帰国しました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2367final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>荻野は帰国後、仲間を集めて組織を立ち上げ、マークとの約束通り、1年後の秋にのべ300人を動員し、Search Inside Yourself関連のイベントを日本で初開催した。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──帰国後は、どのようにして仲間を集めたのですか？</strong></p>

<p>マークさんとのミーティングの帰り道、木蔵と車の中で「これはもう組織をつくるしかないですね」という話をしました。「ただ、もうひとりくらい中心的なメンバーが必要ですよね」という話もしていたのです。それで、成田に着いてスカイライナーに乗っていたら、タイミングのいいことに、また別のコーチング仲間の吉田典生から、「書籍『Search Inside Yourself』を使ったワークショップを開催するので、淳也さんよかったら来ませんか？」と、イベントへの招待が届いたのです。</p>

<p><strong>──凄いタイミングですね！（笑）</strong></p>

<p>そのイベントは予定が合わなくて残念ながら参加できなかったのですが、後日会って、マークさんとの約束の話をして、彼を誘うことに成功しました。そういうふうに偶然に偶然が重なって、いまに至る感じです（笑）。</p>

<p><strong>──でも木蔵さんにしても、吉田さんにしても、日ごろから情報交換をしていたから偶然のタイミングが重なったわけですよね。</strong></p>

<p>そうですね、木蔵は、普段アメリカに住んでいるので、日本に一時帰国する時に会って情報交換していました。吉田とも、年に2,3回は会っていました。実はコーチをやっていて、長年瞑想もやっているという人は意外と少ないものなんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2450final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>鎌倉で9月にマインドフルネスと禅をテーマにしたグローバルフォーラム「<a href="http://zen20.jp/" target="_blank">Zen 2.0</a>」の開催を予定している。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──まだ日本でマインドフルネスは広がり始めたばかりですが、この先どうなっていってほしいと思いますか？</strong></p>

<p>いまぼくたちは、日本でマインドフルネスをセルフコンディショニングのツールの一種としてお伝えしています。集中力を高めて、生産性を向上できるものであると。そしてリーダーシップやウェルビーイングを高める効果もあるというような伝え方をしているわけです。ただし、本来のマインドフルネスは、そんなに小さな話ではないのです。</p>

<p><strong>──どういうことでしょう？</strong></p>

<p>マインドフルネスは、個人のコンディショニングに留まらず、会社や社会のカルチャーを変えるほどの大きな可能性をもつ考え方です。</p>

<div class="round-box fl fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/03/kawakami.html">
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<p></a></div></p>

<p>毎年発表されている、「働きがいのある職場」というランキングがあります。そこで数年前に発表された研究で、従業員と経営層の「信頼」が高い組織は、継続的な収益を上げているという結果が出ています。</p>

<p>信頼を築くためには、上司も部下もお互いにオープンであることが大事です。オープンであるためには、自分自身のことに気づいていること、つまりマインドフルネスが大事になってきます。そういう流れに必ずなってくるはずです。</p>

<p>そのため、「マインドフルネスは、ちゃんと会社の業績にもつながっていくものだ」ということを、ぼくたちは日本でもこれから証明していかなければなりません。</p>
]]>
        <![CDATA[<p><aside><strong>荻野淳也</strong><small>一般社団法人マインドフルリーダーシップインスティテュート代表理事</small>
<p>グーグルで生まれた脳科学とマインドフルネスの能力開発メソッド「Search Inside Yourself（SIY）」の認定講師であり、日本でSIYプログラムを初めて開催。リーダーシップ開発、組織開発の分野で、上場企業からベンチャー企業までを対象に、コンサルティング、エグゼクティブコーチングに従事。外資系コンサルティング会社勤務後、スタートアップ企業のIPO担当や、ヨガスタジオの取締役を経て、現職。マインドフルネスの手法を用いて、組織リーダーの変容を支援し、会社や社会の変革を図っている。</p></aside></p>

<p>2007年に日本のビジネスパーソン向けに瞑想やヨガを教える事業を立ち上げた荻野淳也は、ある日、グーグルで開発されたマインドフルネス研修プログラム「Search Inside Yourself（SIY）」を広めることを目的とした組織のCEOと出会った。</p>

<p>その後、2013年に日本の企業へSIYの導入を支援する組織を設立し、国内でマインドフルネスの認知を広める活動を続けてきた。</p>

<p>Googleトレンドで「マインドフルネス」と調べると、16年6月ごろから日本で検索数が急上昇している。約10年越しの努力が、ようやく実りつつあるようだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/mindfulness-jp.png" alt="" title="" />
<figcaption>過去3年間、日本で「マインドフルネス」が検索された数の推移。</figcaption>
</figure></p>

<p>なぜこのタイミングで、日本で話題になり始めたのか？　そもそもアメリカではいつごろから、どのようにして発展したのか？</p>

<p>その舞台裏では、人と人が出会うべくして出会う、ビジネスネットワークのストーリーがあった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2381final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>日本でSIYを広める組織を立ち上げた荻野のもとに、ある日、NHKのディレクターが訪ねてきた。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──書店に行くと「マインドフルネス」をテーマにした棚ができていたり、Googleトレンドで検索したら、昨年の6月頃に急に検索数が増えていたり、最近日本で一気に注目度が上がっているように感じるのですが？</strong></p>

<p>昨年6月のGoogleトレンドのスパイクは、おそらくNHKスペシャルのシリーズ「キラーストレス」でマインドフルネスが紹介された影響ですね。</p>

<p>2015年の5月あたりに、NHKのあるディレクターから、「マインドフルネスをNスペでやりたいので、ご協力お願いします！」と連絡がきたのです。大学の頃からバックパッカーとしてタイやビルマのお寺によく行っていたという方で、禅やマインドフルネスに関心があって、ぼくの連絡先を見つけたそうです。ただ、さすがにNスペのハードルは高いようで、企画はなかなか通らず、結局別の企画で「ストレス」をテーマにした特集の一部として紹介される形で16年6月に放送されました。</p>

<p>その後、例のディレクターから「サイエンスZERO」でマインドフルネスを科学的に解明する回をつくることになった、という連絡が入りまして、Nスペから2ヶ月後の8月に放送されました。凄い反響があったようで、すでに3,4回は再放送されています。サイエンスZEROで、視聴者の反響がここまで大きかった回は初めてだったそうです。</p>

<p><strong>──テレビから火が点いたのですね。荻野さんは、いつ頃からマインドフルネスに注目されていたのですか？</strong></p>

<p>マインドフルネスらしきものに出会ったのは、約10年前ですね。</p>

<p><strong>──ちなみに『Search Inside Yourself』がアメリカで出版されたのはいつですか？</strong></p>

<p>グーグルの社内で「Search Inside Yourself」という能力開発プログラムが始まったのが2007年。やがてオープンソースにしようという流れとなり、2012年に書籍が発売され、それを世界中に広めることを目的とした組織「Search Inside Yourself Leadership Institute（SIYLI）」が設立されて、SAP、フォード、フェイスブックなどの企業で、次々と導入されていきました。</p>

<p><strong>──では荻野さんは、ほぼ初期の頃から注目されていたわけですね！　このタイミングで日本で広まり始めているのは、どのような要因が考えられるのでしょうか。</strong></p>

<p>やはりアメリカで数多くのグローバル企業が実践しているという事実は大きいと思います。あと、日本はこの半年くらいで健康経営や働き方改革といったテーマに対する注目度が高まっています。集中力アップや生産性の向上、リーダシップ、ストレス解消といった切り口で、マインドフルネスが注目され始めたという側面もあるでしょう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2332final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>コーチングの世界に身を置く人たちの間では、グーグルのSIYは有名で、みんな気になっていたという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──ビジネスの世界におけるマインドフルネスのムーブメントは、最初グーグルから始まったという認識で正しいのでしょうか。</strong></p>

<p>ほぼそう言っていいと思いますね。もちろん、さまざまな企業のエグゼクティブたちが、瞑想を個人的に実践していたという歴史は脈々とあるのですが、やはりグーグルが社内でプログラムを開発して成果を上げた影響は大きいと思います。</p>

<p>ただ、それ以前からマインドフルネスはアカデミックな世界でも真面目に研究されて一定の成果が出てきていたという事実もあります。例えば、スタンフォード大学のケリー・マクゴニガルはご存知ですか？</p>

<p><strong>──はい、実は最近インタビューさせていただく機会があったのです。</strong></p>

<p>そうなんですね。彼女が2015年に出版した最新刊『The Upside of Stress（邦訳版：スタンフォードのストレスを力に変える教科書）』は、結局マインドフルネスをベースに書かれたものなんです。スタンフォード大学薬学部の中に「CCARE（思いやりと利他主義の研究教育センター）」という機関がありまして、彼女は2009年から主幹教諭・コンサルタントとして所属しています。そこで、思いやりを養うトレーニングを科学的に研究し、9週間の研修プログラムを開発しています。</p>

<p>また、ハーバード大学で最も人気の講義を担当し、史上最も多くの受講者を集めた心理学博士、タル・ベン・シャハーもポジティブ心理学の文脈で、マインドフルネスを主要テーマのひとつとして扱っています。彼が出版した本もアメリカでベストセラーになりました。日本では『ハーバードの人生を変える授業』というタイトルで出版されています。</p>

<p><strong>──そうした書籍がアメリカでベストセラーになっていることも、企業が導入について検討する後押しになっているはずですね。大学の研究はグーグルでSIYのプログラムが始まる前からされていたわけですか？</strong></p>

<p>いちばん最初は、60〜70年代のカウンタカルチャーの時代まで遡ります。ヒッピー・ムーブメントの一潮流として禅がアメリカの文化に溶け込んでいった経緯があるのです。例えば、アメリカに渡った禅僧の鈴木俊隆が、当時カウンターカルチャーを象徴する存在だった野外音楽フェス「ウッドストック」でスピーチを行いました。そうした活動に触れて、禅に影響を受けて瞑想を実践する人たちの輪が広がっていきました。のちに彼らが世界的に有名な研究者や企業経営者として社会で活躍するようになって、瞑想の効能が脳科学的にも実証されたのです。そして「マインドフルネス」という言葉とともに、2000年以降、再び盛り上がっていきました。</p>

<p><strong>──さまざまな領域で瞑想の研究が進み、論文も多く発表されてきた過程を経て、グーグルのエンジニアだったチャディ・メン・タンが社内で実践できる瞑想プログラムを開発したわけですね。</strong></p>

<p>大事なことは、ぱっとグーグルが始めて急に世の中に広まったのではなく、それ以前から脈々と実践している人たちがいたという事実です。よく日本の仏教界から「アメリカのマインドフルネスというものは考えが浅い」という批判を受けるのですが、実は30年や40年、毎日瞑想を実践してきた人たちが研究を行い、その結果をもとにビジネスの世界にまで広がったのです。そのことに、もっと目を向けるべきだと思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2362final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>カウンターカルチャーの時代から、瞑想を実践する人たちはアメリカで脈々と続いていた。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──荻野さんは、チャディ・メン・タンにお会いされたことはありますか？</strong></p>

<p>はい、もう何度も。</p>

<p><strong>──彼はこういう人だからSIYを開発できた、という特長は何かありますか？</strong></p>

<p>メンさんは107番目のグーグルの社員で、初期の検索エンジンのアルゴリズムをつくっていた人なので、要は天才エンジニアなんです。グーグルが上場してビリオネアになって、「じゃあこれからどうしようか？」と言って、ある日ランチを食べた後にグーグルのキャンパスを散歩していたらしいんですよ。そうしたら「世界平和の礎を自分が生きている間につくりあげる」というビジョンが下りてきたのだそうです。</p>

<p>グーグルの創業メンバーに近いので、いろんな「人のネットワーク」が使えるわけです。EQの概念を広めたダニエル・ゴールドマンに直接コンタクトできたり、ベトナムの偉大な禅僧であるティク・ナット・ハンをオフィスに呼んで、講演をお願いしたりしていたようです。</p>

<p><strong>──ビジネスネットワークを活用して、プログラムを開発したわけですね。</strong></p>

<p>ほかにも、カウンターカルチャー時代に活躍した瞑想の指導者、ミラバイ・ブッシュにもコンタクトをとって、具体的なプログラム構成のアドバイスをもらっていたそうです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2361final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>本のイラストのように、人を喜ばせることが好きな性格も、次々と偉大な師が彼を支援してきた理由のひとつだ。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──彼らを惹きつける魅力は、メンさんのどういったところにあるのでしょうか？</strong></p>

<p>もちろん、メンさんの世界平和というビジョンの高さに惹かれるところもありますが、もうひとつはユーモアだと思います。『JOY ON DEMAND』に挿入されているイラストを見れば伝わると思うのですが、10秒に1回くらいジョークを連発するような、とても陽気な人なんです。</p>

<p>この本は、NHK出版の松島倫明さんに編集いただいたものですが、ぼくは企画が持ち上がった段階から関わっていました。ただ、ぼくたちが翻訳版をプロデュースしたいとメンさんに申し出た時に「それなら、ひとつだけ条件がある！」と言われたのです。「今回はイラストをちゃんと入れてくれる出版社にしてくれ」とね（笑）。</p>

<p><strong>──それが唯一の条件だったのですね（笑）。</strong></p>

<p>実は1作目の『Search Inside Yourself』を出版した英治出版の時も、ぼくが出版社を見つけるところから手伝っているのですが、英治出版のご担当にいろいろと検討、考慮はいただいたのですが、合理的な判断から、最終的にイラストをすべて省いたのです。日本でターゲットとする読者には内容とイラストがそぐわないというのが彼らの見解でした。それで仕上がった本をメンさんに渡したら、「なんでイラストが入ってないんだ！」とかなり落ち込んでしまいました。その時に初めて、それほどのこだわりがあるイラストだったのかということを理解したのですが（笑）。</p>

<p>そのようにユニークで憎めないキャラクターだから、SIYを開発し始めた時も、ついつい助けてあげたくなるような感じで多くの人を惹きつけたのだと思います。</p>

<p><strong>──荻野さんは、どのような経緯でSIYに関わることになったのでしょうか。</strong></p>

<p>スタートアップ企業で働いていて心身共に疲弊していた頃、ある日、友人に誘われてヨガを体験して魅了されたのです。結局そのヨガスタジオに転職することになり、その後2007年末に独立して、同僚のヨガインストラクターとともに、ビジネスパーソン向けに瞑想やヨガを教える事業を立ち上げました。</p>

<p>でも、当初はなかなか思うようには広まらなかったのです。外資系のトップにお会いして、直接ご提案すると関心を持っていただける方もいましたが、日系企業の方々には、その良さがほとんど伝わりませんでした。</p>

<p>より効果的な伝え方を模索していた時に、瞑想を実践する同じコーチング仲間で、たまに情報交換していた木蔵シャフェ君子から、「アメリカで経営者に瞑想を指導しているエグゼクティブ・コーチを知っているから会いに行こうよ！」と誘われたのです。それが、いまSIYLIのCEOを務めているマーク・レッサーさんとの出会いにつながりました。</p>

<p>マークさんはもともと禅のお坊さんなのですが、MBAを取って起業に成功した人なんです。当時、経営者に対して瞑想のトレーナーをやっていると聞いていたので会いに行ったのですが、「実は半年くらい前にSIYLIのCEOに就任したところで、現在はこのプログラムを世界中に広めていくことに100%注力している」という話を聞かされたのです。</p>

<p><strong>──お会いした時に初めてCEOに就任されていたことを知ったわけですか？</strong></p>

<p>そうなんです。「それってもしかして噂に聞いていたグーグルの瞑想プログラムですか？」と聞いたら「そうだ」という話で、それならむしろ好都合だと思いまして、その場で「ぜひ日本でSIYを広めるお手伝いをさせてください！」と頼み込んだのです。その場でマークさんの手帳を開いてもらって、「来年の秋のこの日にプログラムを開催するから予定空けてください！」と言って約束してきたんです。</p>

<p><strong>──すごいですね！ いきなりその場で決めてきたんですか？</strong></p>

<p>もう後先考えず、とりあえず手帳に予定を書き込んでもらって、帰国しました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2367final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>荻野は帰国後、仲間を集めて組織を立ち上げ、マークとの約束通り、1年後の秋にのべ300人を動員し、Search Inside Yourself関連のイベントを日本で初開催した。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──帰国後は、どのようにして仲間を集めたのですか？</strong></p>

<p>マークさんとのミーティングの帰り道、木蔵と車の中で「これはもう組織をつくるしかないですね」という話をしました。「ただ、もうひとりくらい中心的なメンバーが必要ですよね」という話もしていたのです。それで、成田に着いてスカイライナーに乗っていたら、タイミングのいいことに、また別のコーチング仲間の吉田典生から、「書籍『Search Inside Yourself』を使ったワークショップを開催するので、淳也さんよかったら来ませんか？」と、イベントへの招待が届いたのです。</p>

<p><strong>──凄いタイミングですね！（笑）</strong></p>

<p>そのイベントは予定が合わなくて残念ながら参加できなかったのですが、後日会って、マークさんとの約束の話をして、彼を誘うことに成功しました。そういうふうに偶然に偶然が重なって、いまに至る感じです（笑）。</p>

<p><strong>──でも木蔵さんにしても、吉田さんにしても、日ごろから情報交換をしていたから偶然のタイミングが重なったわけですよね。</strong></p>

<p>そうですね、木蔵は、普段アメリカに住んでいるので、日本に一時帰国する時に会って情報交換していました。吉田とも、年に2,3回は会っていました。実はコーチをやっていて、長年瞑想もやっているという人は意外と少ないものなんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2450final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>鎌倉で9月にマインドフルネスと禅をテーマにしたグローバルフォーラム「Zen 2.0」の開催を予定している。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──まだ日本でマインドフルネスは広がり始めたばかりですが、この先どうなっていってほしいと思いますか？</strong></p>

<p>いまぼくたちは、日本でマインドフルネスをセルフコンディショニングのツールの一種としてお伝えしています。集中力を高めて、生産性を向上できるものであると。そしてリーダーシップやウェルビーイングを高める効果もあるというような伝え方をしているわけです。ただし、本来のマインドフルネスは、そんなに小さな話ではないのです。</p>

<p><strong>──どういうことでしょう？</strong></p>

<p>マインドフルネスは、個人のコンディショニングに留まらず、会社や社会のカルチャーを変えるほどの大きな可能性をもつ考え方です。</p>

<p>毎年発表されている、「働きがいのある職場」というランキングがあります。そこで数年前に発表された研究で、従業員と経営層の「信頼」が高い組織は、継続的な収益を上げているという結果が出ています。</p>

<p>信頼を築くためには、上司も部下もお互いにオープンであることが大事です。オープンであるためには、自分自身のことに気づいていること、つまりマインドフルネスが大事になってきます。そういう流れに必ずなってくるはずです。</p>

<p>そのため、「マインドフルネスは、ちゃんと会社の業績にもつながっていくものだ」ということを、ぼくたちは日本でもこれから証明していかなければなりません。</p>
]]>
    </content>
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<entry>
    <title>顧客の「本音」を引き出し、問題解決につなげる──マーケター坂田直樹がBlabo!で磨きあげた、問いの技法 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/04/blabo-sakata.html" />
    <id>tag:bnl.media,2017://125.8215</id>

    <published>2017-04-06T06:18:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:10:14Z</updated>

    <summary>共創プラットフォーム「Blabo!」は、多くの企業や地方自治体をクライアントにかかえ、ユーザーから優れたアイデアを集めて新商品開発の提案を行う。彼らはいかにして生活者の「本音」を引き出すことに成功しているのか。創業から6年かけて磨き上げた「問いのデザイン」の秘密に迫る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="出会いからアイデアを生み出す" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="オープンイノベーション" label="オープンイノベーション" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/17158704042">坂田直樹</a></strong><small>株式会社Blabo代表取締役CEO/ マーケター</small>
<p>ユニリーバ・ジャパンのマーケティング部門にて商品開発に従事。その後、株式会社エニグモにて新規事業を立ち上げ、2011年に株式会社Blaboを創業。生活者のアイデアを取り入れた商品開発を行う日本最大の共創プラットフォームBlabo!を運営。Blabo!では1万4000人を超える生活者がプランナーとして活躍しており、キリンビールや三井不動産、ハウス食品などの大手企業から経済産業省、神奈川県、鳥取県などの行政機関まで、幅広いクライアントが採用している。 鳥取県プロジェクトが全国知事会先進政策大賞を受賞。2015年度グッドデザイン賞など受賞歴多数。「クローズアップ現代」(NHK)、「ニュースJAPAN」(フジテレビ)などメディア出演も多い。著書に『問題解決ドリル──世界一シンプルな思考トレーニング』（ダイヤモンド社）などがある。</p></aside></p>

<p><strong>人と人が出会い、知の交換が行われ、面白いアイデアが湧き、新しいビジネスが生まれる。</strong></p>

<p>言葉にすると簡単だが、実際にやろうとすると多くの困難がある。例えば、相性の良い組み合わせの人たちが奇跡的に出会えたとしても、そこに適切な問いがなければ面白いアイデアは生まれにくい。また、出てきたアイデアが面白いかどうかを判断するのも難しい。そのアイデアに多くのリソースを使う経営判断を伴う場合はなおさらだ。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/03/eiicon-nakamura.html">
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<div class="info"><strong>来週どの企業の人と会うべき？　eiiconファウンダー中村亜由子が語る共創につながる出会いの条件</strong> <date>2017.03.23</date></div></a>
</div>

<p>特にメーカーの製品開発の現場では、一度製品をつくって発売してみないとユーザーのニーズがあるか判断できないところがあった。作り手である企業がどんなにいいモノをつくったと思っていても、使い手である生活者が欲しいモノとの間にズレがあれば、その商品が成功を収めることは難しい。このズレを解消するのに、いっそ生活者に何が欲しいかを発売前に直接聞いてしまうのは、有効な手段かもしれない。</p>

<p>しかし、ここにひとつの問題が生じる。せっかく直接つながった生活者は、はたして企業に対して「本音」で話してくれているのだろうか、というものだ。</p>

<p>共創プラットフォーム「<a href="https://bla.bo/" target="_blank">Blabo!</a>」で、坂田直樹はこの問題と正面から向き合ってきた。彼らが目指しているのは、もっと生活者の「本音」を流通させて、それによって企業と生活者の溝を埋め、「ズレのない商品」で世の中をあふれさせることだという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2059final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>社内だけでは視野が狭くなる。消費財メーカーのマーケティング部署での自身の経験が直接起業のきっかけになったという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──Blaboが創業した2011年時点の日本では、いまほど共創の必要性は注目されていなかったように思います。なぜ事業を立ち上げたのでしょうか？</strong></p>

<p>自分は新卒で外資系の消費財メーカーに入り、マーケティングという立場から商品開発に携わっていました。そこで感じていたのは、社内でミーティングばかりしていると、どうしても視野が狭くなってしまうということです。</p>

<p>いつも同じメンバーだけで話していると発想は限られてきますし、ユーザーと直接会って話を聞く機会は実は少ないので、どうしてもズレが生じる。こうしたズレがあるまま商品開発を進めた結果、できあがった商品が棚に並んでも全然売れないということが現実に起きていました。</p>

<p>そうした経験を通して、生活者と作り手がいかにズレなく商品を開発できるかという問題意識が芽生えていったのです。</p>

<p>リサーチの手法としても、当時の日本ではアンケート調査やマジックミラー越しのグループインタビュー程度しか行われていませんでした。わたし自身は、そもそもそうした調査を調査会社を挟んでしか行えないことにも疑問を感じていました。自社の商品を使ってくれているユーザーと、調査会社経由で、たまにしか会えないこと自体、おかしいのではと感じていました。本来であれば、社内のメンバーだけでユーザーの気持ちを想像しながら商品開発を行うより、いつでも気軽にユーザーに聞けたらいいはずです。</p>

<p>アメリカではP&amp;Gが、2000年代に「<a href="http://www.pgconnectdevelop.com/" target="_blank">Connect + Develop</a>」と掲げて、ユーザーと直接つながる試みを実践していました。こうした考えを早く日本にも広めなくては、という危機感が募っていったのです。</p>

<p><strong>──マーケティングの手法や考え方で日本は遅れていたんですね。</strong></p>

<p>とはいえ、生活者と直接つながることでズレのない商品をつくるというのは、もともとマーケティングの王道であって、特別なことではありません。</p>

<p>日本でも、八百屋さんが直接主婦とやりとりし、そこで得られたフィードバックを仕入れに活かす、ということを普通に行っていたわけです。それがマス・マーケティングの時代になって、CMを使ったり調査会社経由でリサーチするのが当たり前になったことで、両者の間に溝ができてしまいました。</p>

<p>だけど、いまはソーシャルメディアの時代になり、誰もがフラットに自分の意見を言えるようになって、現実に作り手と使い手の境界線はなくなってきていますよね。かつて八百屋さんが当たり前のやっていたように、作り手と使い手が再び直接つながるという、当然の流れがあると思っています。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>コ・クリエーションが一過性のバズワードにならないためには、仕組みをつくる必要がある</p>
</div>

<p>ただ、オープンイノベーションやコ・クリエーションが一過性のバズワードにならないためには、継続的に活用できる仕組みを構築する必要があります。そう考えて、企業と生活者がフラットに会話し、生活者の「本音」を聞き出し、商品開発に活かすためのプラットフォーム「Blabo!」をつくりました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2149final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>バイアスを外して、企業の強みとユーザー（消費者）の本音に共通する部分を探ることが大切だという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──従来のリサーチ手法はどこに問題があったのでしょうか？</strong></p>

<p>1つは、バイアスの問題です。従来のアンケート調査では、企業はあらかじめ自分たちが持っている仮説を裏付けるような声しか集めることができませんでした。いまでもユーザーの本音を発見するためにではなく、社内を説得するための材料を揃えるためだけのために利用している企業もあります。</p>

<p>それでは答えが予定調和に収まってしまって、想定外の視点やインスピレーションは得られない。商品開発を行う際に、本来必要なのは、社内では生まれなかった予定不調和な発見のはずです。</p>

<p>フラットに本音を引き出すためには、質問の立て方が大事になる。われわれはそれを「問いのデザイン」と呼んでいます。</p>

<p>まず、あまりに具体的すぎる問いは一部の人しか答えられませんから、多くの人にフラットに考えてもらうには、余白のある問いである必要があります。一方で、広がりがありすぎて漠然とした問いでは、答えづらい。また企業側も、集まった回答から具体的な商品に結びつけることが難しくなってしまいます。</p>

<p>つまり、生活者が自由に発想でき、それが企業に新しい視点をもたらし、さらに実際に商品化につながる具体性も持つような、絶妙な粒度を持った問いをデザインすることが、重要になります。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>生活者が自由に発想でき、企業に新しい視点をもたらし、さらに商品化につながる具体性も必要</p>
</div>

<p><strong>──非常に難しいことのように思うのですが、ポイントはどこにありますか？</strong></p>

<p>Blabo!ではこれまでに、編集者とエンジニアが連携しながら1000個以上の問いをつくることを通じて、技法を磨き続けてきました。この質問の精度は、システムを導入した企業が使ってくれればくれるほど高まっていくようになっています。どのような問いだったら、思わず本音をぽろりと言ってくれるのかをデータを分析しています。</p>

<p>また、アプリのユーザーインターフェイスも工夫しています。例えば生活者の不満とそれに対する解決策をセットで集めています。</p>

<p>具体的に説明すると、ハウス食品さんがBlabo!で集めた消費者の声を元に商品化したシチューがあります。メーカーの課題は「カレーや鍋は人気なのに、どうしてクリームシチューを食べる人が減っているのだろうか」という少しぼんやりしたものでした。もちろんいろんな調査はしてきていましたが、核心を突く原因がわかっていない状態でした。</p>

<p>そんな中で「シチューに対する不満を教えて」と聞くと、たしかにさまざまな声が集まるのですが、具体的にどのような商品を作ればその不満を解消できるのかまでは分かりません。逆に「どういう商品だったら欲しい？」という質問に対しても回答は集まるものの、解決すべきポイントがどこにあるのかまでは判然としません。</p>

<p>ところがそれをセットで質問すると、途端に回答のクオリティが上がるのです。「シチューにまつわるモヤモヤを大募集！　いったいどんなモヤモヤで、どうすれば解決できる？」といった具合に質問すると、質の高い回答が返ってきました。</p>

<p>企業側が聞きたいことと、生活者が抱えているモヤモヤが重なったところに、新しくて、それでいてちゃんと形になるようなアイデアがあります。問いをつくる上では、その「重なり」が重要であると考えています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2095final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>ハウス食品とBlabo!のコラボレーションにより、ご飯に合うレシピが付いた、Blabo!印のシチューが誕生。2016年9月から全国のスーパーで販売されている。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──いま挙げていただいた例は、思っていたよりも粒度の荒い質問でした。</strong></p>

<p>それは最初の問いの目的が、シチューが食べられていない要因を広く集めることにあるからです。</p>

<p>そこから少しずつ具体性のある質問を重ねていき、解決策につながりそうなポイントがどこにあるか見当がついたところで仮説を立て、さらに別の問いを投げかけて、核心へと迫っていきます。つまり、問いが一種のファシリテーションになっているのです。</p>

<p><strong>──となると、質問者にはどこに深掘りすべきポイントがあるのかを見極める能力が求められることになりますね。</strong></p>

<p>たしかに、可能性のあるものをちゃんと選んで実現していくのが、これからのマーケターの役割です。その意味では、目利きができなくては今後、作り手としては厳しくなっていくだろうと思います。</p>

<p>ただ、その点においてBlabo!に価値があるのは、質問に対していち生活者が回答して終わりではなく、チャットのようなインターフェースの中で、企業の担当者や他の生活者も交えてリアルタイムでディスカッションができることです。いわば、オンラインで企画会議をすることができます。</p>

<p>オフラインの会議においてもそうですが、いい質問に対しては必ず議論が巻き起こるものです。ということは、多くの人が参加して議論が盛り上がっているところにこそ、深掘りすべき鉱脈があると考えることができます。</p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>誰かひとりの天才から凄いアイデアを得ることを目指しているわけではない</p>
</div>

<p>ここで重要なのは、誰かひとりの天才から凄いアイデアを得ることを目指しているわけではないということです。「何かこの辺にチャンスがありそうだ」「問題はこの辺りにあるのかもしれない」というのが分かることにこそ、こうした集合知の価値があるのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2074final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>これまでに実現した他の人気のアイデアには、神奈川県が商品化した「<a href="https://bla.bo/products/5" target="_blank">赤ちゃん用の防災用品</a>」や、Oisixが商品化した「<a href="https://bla.bo/products/7" target="_blank">共働き夫婦のための料理キット</a>」などがある。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──ところで、Blabo!に参加する生活者はなぜ回答してくれているのでしょうか。金銭やポイントといったインセンティブを設定していないようですが。</strong></p>

<p>それこそが、従来のリサーチ手法が抱えていた問題の2つめです。質問に回答してもらうのに、金銭的なインセンティブは逆効果だと考えています。</p>

<p>というのも、アンケート調査で1問回答するごとに1円もらえるというふうに設定してしまうと、生活者からすれば、内容が適当でも大量に回答した方が得ということになりますよね？　それでは、本音を引き出してズレのない商品をつくるという、本来の目的を達成することはできません。</p>

<p>これは「働く」という行為についてよく言われることと同じではないでしょうか。金銭を目的に働いていると、働くモチベーションには早晩、限界がくると言われています。そうではなく、自己実現や世の中に対して価値を提供することに一生懸命になっていたら、給料はそのような行為に対して結果的に支払われるというのが、本来の「働く」ということであるはずです。</p>

<p>もちろん、Blabo!にまったくインセンティブがないということではないですよ。商品が実現したり、いいアイデアと認められたりしたら、その商品が送られてくるようになっています。</p>

<p>本当にその商品なりサービスなりのファンであれば、「もっとこうなったら便利なのに」「ここが変わればもっと友達に広めるのに」という思いが自然と湧き起きるはずです。そうした声に企業の担当者がちゃんと耳を傾けてくれて、場合によってはそれが本当に実現するとなったら、そのこと自体が回答する十分な動機になるのではないかと思っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2090final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4478100853" target="_blank">『問題解決ドリル──世界一シンプルな思考トレーニング』</a>坂田直樹著。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンはどのようにしてV字回復させたのか?　「JR東日本」が発見した鉄道事業以外の自社の大きな可能性とは? など、具体的な事例をもとに問題解決力を身につけられる。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──Blabo!を続けてきた6年間で、企業や生活者の意識に変化を感じていますか？</strong></p>

<p>そうですね。わたし自身、昨年『問題解決ドリル』というユーザーインサイトをどう発見するかをテーマとした書籍を書きましたが、10年前であれば、CMの作り方についての本を書いていたかもしれません。</p>

<p>こうした事実ひとつとっても、世の中の需要が変化してきていると感じます。企業にいるマーケターの興味関心が、いかに本音を発見できるのかというところに向いてきているということです。メーカーは、メーカーですからモノは作れるんです。だけど、最大の課題は、「顧客が本当に何を求めているか」がわかりづらくなったことなんです。ただ新商品を作ればいい時代ではなくなったというマーケターの危機意識が、そうした変化を促しているのでしょう。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>最大の課題は、「顧客が本当に何を求めているか」がわかりづらくなったこと</p>
</div>

<p>一方のユーザー側にとっても、好きなブランドの企業担当者と直接話しながら商品開発に関わっていくというのは、すでに普通のことになっていますよね。Blabo!でも大企業の商品から地域の特産品まで50個以上の商品がユーザーイノベーションで生まれています。</p>

<p>アルビン・トフラーはかつて「プロシューマーの時代」という言葉を使って、作り手と使い手の一体化を予言しましたが、もはやそんな特別な言葉は必要ないくらいに当たり前のことになっています。最近では、「NHKスペシャル」が番組の<a href="https://bla.bo/teams/nhk-special" target="_blank">企画会議</a>をBlabo!と共同で開始しました。商品開発だけではなく、テレビ番組をはじめとしたメディアのコンテンツ作りにも、視聴者や読者が参加する時代になりつつあります。</p>

<p>その背景にはもちろん、ソーシャルメディアの普及やデバイスの進化があります。企業のマーケターが質問を投げたら、すぐに生活者のスマートフォンにプッシュ通知がきて、即座にそれに回答する。すでにそういう感覚になってきているということです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2148final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>生活者の本音を流通させる最適なかたちを求めて。坂田の挑戦は続く。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──これからも、Blabo!もいまある形とは変わってきますね。</strong></p>

<p>Blabo!でやっているのは、これまで流通していなかった生活者の本音というものを流通させることであって、その点においては今後も変わりません。</p>

<p>現状では、メーカーのお客様相談センターにわざわざ連絡しているような人は一部です。普通に生活している99%の人は、普通に満足していたら、わざわざ電話なんてしないので、普通の人の本音はわかりませんでした。</p>

<p>本音が流通してこなかったのにはいくつかの要因がありますが、パッケージ化されていなかったことも要因のひとつと考えています。</p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>本音が流通してこなかった要因のひとつは、パッケージ化されていなかったこと</p>
</div>

<p>スーパーマーケットの価値がどこにあるのか考えてみると、理解しやすいかしれません。スーパーではさまざまな生産者が納品する商品を統一した規格、統一した価格でパッケージ化しているからこそ、消費者が買いやすいのです。つぶやきもかつては流通しないものでしたが、ツイッターが140文字のパッケージにしたことで、流通するようになりました。Blabo!がやっているのも同様のこと。本音というものをちょうどいい形にフォーマット化することで、流通させる試みなのです。</p>

<p>ただ、流通させるためのちょうどいい形というのは、時代とともに変わっていくものだと思っています。だから今後も、われわれの挑戦は終わりません。その時々のテクノロジーを使って、ひたすら時代とズレない形を追求していくつもりでいます。</p>
]]>
        <![CDATA[<p><aside><strong>坂田直樹</strong><small>株式会社Blabo代表取締役CEO/ マーケター</small>
<p>ユニリーバ・ジャパンのマーケティング部門にて商品開発に従事。その後、株式会社エニグモにて新規事業を立ち上げ、2011年に株式会社Blaboを創業。生活者のアイデアを取り入れた商品開発を行う日本最大の共創プラットフォームBlabo!を運営。Blabo!では1万4000人を超える生活者がプランナーとして活躍しており、キリンビールや三井不動産、ハウス食品などの大手企業から経済産業省、神奈川県、鳥取県などの行政機関まで、幅広いクライアントが採用している。 鳥取県プロジェクトが全国知事会先進政策大賞を受賞。2015年度グッドデザイン賞など受賞歴多数。「クローズアップ現代」(NHK)、「ニュースJAPAN」(フジテレビ)などメディア出演も多い。著書に『問題解決ドリル──世界一シンプルな思考トレーニング』（ダイヤモンド社）などがある。</p></aside></p>

<p><strong>人と人が出会い、知の交換が行われ、面白いアイデアが湧き、新しいビジネスが生まれる。</strong></p>

<p>言葉にすると簡単だが、実際にやろうとすると多くの困難がある。例えば、相性の良い組み合わせの人たちが奇跡的に出会えたとしても、そこに適切な問いがなければ面白いアイデアは生まれにくい。また、出てきたアイデアが面白いかどうかを判断するのも難しい。そのアイデアに多くのリソースを使う経営判断を伴う場合はなおさらだ。</p>

<p>特にメーカーの製品開発の現場では、一度製品をつくって発売してみないとユーザーのニーズがあるか判断できないところがあった。作り手である企業がどんなにいいモノをつくったと思っていても、使い手である生活者が欲しいモノとの間にズレがあれば、その商品が成功を収めることは難しい。このズレを解消するのに、いっそ生活者に何が欲しいかを発売前に直接聞いてしまうのは、有効な手段かもしれない。</p>

<p>しかし、ここにひとつの問題が生じる。せっかく直接つながった生活者は、はたして企業に対して「本音」で話してくれているのだろうか、というものだ。</p>

<p>共創プラットフォーム「Blabo!」で、坂田直樹はこの問題と正面から向き合ってきた。彼らが目指しているのは、もっと生活者の「本音」を流通させて、それによって企業と生活者の溝を埋め、「ズレのない商品」で世の中をあふれさせることだという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2059final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>社内だけでは視野が狭くなる。消費財メーカーのマーケティング部署での自身の経験が直接起業のきっかけになったという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──Blaboが創業した2011年時点の日本では、いまほど共創の必要性は注目されていなかったように思います。なぜ事業を立ち上げたのでしょうか？</strong></p>

<p>自分は新卒で外資系の消費財メーカーに入り、マーケティングという立場から商品開発に携わっていました。そこで感じていたのは、社内でミーティングばかりしていると、どうしても視野が狭くなってしまうということです。</p>

<p>いつも同じメンバーだけで話していると発想は限られてきますし、ユーザーと直接会って話を聞く機会は実は少ないので、どうしてもズレが生じる。こうしたズレがあるまま商品開発を進めた結果、できあがった商品が棚に並んでも全然売れないということが現実に起きていました。</p>

<p>そうした経験を通して、生活者と作り手がいかにズレなく商品を開発できるかという問題意識が芽生えていったのです。</p>

<p>リサーチの手法としても、当時の日本ではアンケート調査やマジックミラー越しのグループインタビュー程度しか行われていませんでした。わたし自身は、そもそもそうした調査を調査会社を挟んでしか行えないことにも疑問を感じていました。自社の商品を使ってくれているユーザーと、調査会社経由で、たまにしか会えないこと自体、おかしいのではと感じていました。本来であれば、社内のメンバーだけでユーザーの気持ちを想像しながら商品開発を行うより、いつでも気軽にユーザーに聞けたらいいはずです。</p>

<p>アメリカではP&amp;Gが、2000年代に「Connect + Develop」と掲げて、ユーザーと直接つながる試みを実践していました。こうした考えを早く日本にも広めなくては、という危機感が募っていったのです。</p>

<p><strong>──マーケティングの手法や考え方で日本は遅れていたんですね。</strong></p>

<p>とはいえ、生活者と直接つながることでズレのない商品をつくるというのは、もともとマーケティングの王道であって、特別なことではありません。</p>

<p>日本でも、八百屋さんが直接主婦とやりとりし、そこで得られたフィードバックを仕入れに活かす、ということを普通に行っていたわけです。それがマス・マーケティングの時代になって、CMを使ったり調査会社経由でリサーチするのが当たり前になったことで、両者の間に溝ができてしまいました。</p>

<p>だけど、いまはソーシャルメディアの時代になり、誰もがフラットに自分の意見を言えるようになって、現実に作り手と使い手の境界線はなくなってきていますよね。かつて八百屋さんが当たり前のやっていたように、作り手と使い手が再び直接つながるという、当然の流れがあると思っています。</p>

<p>ただ、オープンイノベーションやコ・クリエーションが一過性のバズワードにならないためには、継続的に活用できる仕組みを構築する必要があります。そう考えて、企業と生活者がフラットに会話し、生活者の「本音」を聞き出し、商品開発に活かすためのプラットフォーム「Blabo!」をつくりました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2149final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>バイアスを外して、企業の強みとユーザー（消費者）の本音に共通する部分を探ることが大切だという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──従来のリサーチ手法はどこに問題があったのでしょうか？</strong></p>

<p>1つは、バイアスの問題です。従来のアンケート調査では、企業はあらかじめ自分たちが持っている仮説を裏付けるような声しか集めることができませんでした。いまでもユーザーの本音を発見するためにではなく、社内を説得するための材料を揃えるためだけのために利用している企業もあります。</p>

<p>それでは答えが予定調和に収まってしまって、想定外の視点やインスピレーションは得られない。商品開発を行う際に、本来必要なのは、社内では生まれなかった予定不調和な発見のはずです。</p>

<p>フラットに本音を引き出すためには、質問の立て方が大事になる。われわれはそれを「問いのデザイン」と呼んでいます。</p>

<p>まず、あまりに具体的すぎる問いは一部の人しか答えられませんから、多くの人にフラットに考えてもらうには、余白のある問いである必要があります。一方で、広がりがありすぎて漠然とした問いでは、答えづらい。また企業側も、集まった回答から具体的な商品に結びつけることが難しくなってしまいます。</p>

<p>つまり、生活者が自由に発想でき、それが企業に新しい視点をもたらし、さらに実際に商品化につながる具体性も持つような、絶妙な粒度を持った問いをデザインすることが、重要になります。</p>

<p><strong>──非常に難しいことのように思うのですが、ポイントはどこにありますか？</strong></p>

<p>Blabo!ではこれまでに、編集者とエンジニアが連携しながら1000個以上の問いをつくることを通じて、技法を磨き続けてきました。この質問の精度は、システムを導入した企業が使ってくれればくれるほど高まっていくようになっています。どのような問いだったら、思わず本音をぽろりと言ってくれるのかをデータを分析しています。</p>

<p>また、アプリのユーザーインターフェイスも工夫しています。例えば生活者の不満とそれに対する解決策をセットで集めています。</p>

<p>具体的に説明すると、ハウス食品さんがBlabo!で集めた消費者の声を元に商品化したシチューがあります。メーカーの課題は「カレーや鍋は人気なのに、どうしてクリームシチューを食べる人が減っているのだろうか」という少しぼんやりしたものでした。もちろんいろんな調査はしてきていましたが、核心を突く原因がわかっていない状態でした。</p>

<p>そんな中で「シチューに対する不満を教えて」と聞くと、たしかにさまざまな声が集まるのですが、具体的にどのような商品を作ればその不満を解消できるのかまでは分かりません。逆に「どういう商品だったら欲しい？」という質問に対しても回答は集まるものの、解決すべきポイントがどこにあるのかまでは判然としません。</p>

<p>ところがそれをセットで質問すると、途端に回答のクオリティが上がるのです。「シチューにまつわるモヤモヤを大募集！　いったいどんなモヤモヤで、どうすれば解決できる？」といった具合に質問すると、質の高い回答が返ってきました。</p>

<p>企業側が聞きたいことと、生活者が抱えているモヤモヤが重なったところに、新しくて、それでいてちゃんと形になるようなアイデアがあります。問いをつくる上では、その「重なり」が重要であると考えています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2095final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>ハウス食品とBlabo!のコラボレーションにより、ご飯に合うレシピが付いた、Blabo!印のシチューが誕生。2016年9月から全国のスーパーで販売されている。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──いま挙げていただいた例は、思っていたよりも粒度の荒い質問でした。</strong></p>

<p>それは最初の問いの目的が、シチューが食べられていない要因を広く集めることにあるからです。</p>

<p>そこから少しずつ具体性のある質問を重ねていき、解決策につながりそうなポイントがどこにあるか見当がついたところで仮説を立て、さらに別の問いを投げかけて、核心へと迫っていきます。つまり、問いが一種のファシリテーションになっているのです。</p>

<p><strong>──となると、質問者にはどこに深掘りすべきポイントがあるのかを見極める能力が求められることになりますね。</strong></p>

<p>たしかに、可能性のあるものをちゃんと選んで実現していくのが、これからのマーケターの役割です。その意味では、目利きができなくては今後、作り手としては厳しくなっていくだろうと思います。</p>

<p>ただ、その点においてBlabo!に価値があるのは、質問に対していち生活者が回答して終わりではなく、チャットのようなインターフェースの中で、企業の担当者や他の生活者も交えてリアルタイムでディスカッションができることです。いわば、オンラインで企画会議をすることができます。</p>

<p>オフラインの会議においてもそうですが、いい質問に対しては必ず議論が巻き起こるものです。ということは、多くの人が参加して議論が盛り上がっているところにこそ、深掘りすべき鉱脈があると考えることができます。</p>

<p>ここで重要なのは、誰かひとりの天才から凄いアイデアを得ることを目指しているわけではないということです。「何かこの辺にチャンスがありそうだ」「問題はこの辺りにあるのかもしれない」というのが分かることにこそ、こうした集合知の価値があるのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2074final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>これまでに実現した他の人気のアイデアには、神奈川県が商品化した「赤ちゃん用の防災用品」や、Oisixが商品化した「共働き夫婦のための料理キット」などがある。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──ところで、Blabo!に参加する生活者はなぜ回答してくれているのでしょうか。金銭やポイントといったインセンティブを設定していないようですが。</strong></p>

<p>それこそが、従来のリサーチ手法が抱えていた問題の2つめです。質問に回答してもらうのに、金銭的なインセンティブは逆効果だと考えています。</p>

<p>というのも、アンケート調査で1問回答するごとに1円もらえるというふうに設定してしまうと、生活者からすれば、内容が適当でも大量に回答した方が得ということになりますよね？　それでは、本音を引き出してズレのない商品をつくるという、本来の目的を達成することはできません。</p>

<p>これは「働く」という行為についてよく言われることと同じではないでしょうか。金銭を目的に働いていると、働くモチベーションには早晩、限界がくると言われています。そうではなく、自己実現や世の中に対して価値を提供することに一生懸命になっていたら、給料はそのような行為に対して結果的に支払われるというのが、本来の「働く」ということであるはずです。</p>

<p>もちろん、Blabo!にまったくインセンティブがないということではないですよ。商品が実現したり、いいアイデアと認められたりしたら、その商品が送られてくるようになっています。</p>

<p>本当にその商品なりサービスなりのファンであれば、「もっとこうなったら便利なのに」「ここが変わればもっと友達に広めるのに」という思いが自然と湧き起きるはずです。そうした声に企業の担当者がちゃんと耳を傾けてくれて、場合によってはそれが本当に実現するとなったら、そのこと自体が回答する十分な動機になるのではないかと思っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2090final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>『問題解決ドリル──世界一シンプルな思考トレーニング』坂田直樹著。ユニバーサル・スタジオ・ジャパンはどのようにしてV字回復させたのか?　「JR東日本」が発見した鉄道事業以外の自社の大きな可能性とは? など、具体的な事例をもとに問題解決力を身につけられる。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──Blabo!を続けてきた6年間で、企業や生活者の意識に変化を感じていますか？</strong></p>

<p>そうですね。わたし自身、昨年『問題解決ドリル』というユーザーインサイトをどう発見するかをテーマとした書籍を書きましたが、10年前であれば、CMの作り方についての本を書いていたかもしれません。</p>

<p>こうした事実ひとつとっても、世の中の需要が変化してきていると感じます。企業にいるマーケターの興味関心が、いかに本音を発見できるのかというところに向いてきているということです。メーカーは、メーカーですからモノは作れるんです。だけど、最大の課題は、「顧客が本当に何を求めているか」がわかりづらくなったことなんです。ただ新商品を作ればいい時代ではなくなったというマーケターの危機意識が、そうした変化を促しているのでしょう。</p>

<p>一方のユーザー側にとっても、好きなブランドの企業担当者と直接話しながら商品開発に関わっていくというのは、すでに普通のことになっていますよね。Blabo!でも大企業の商品から地域の特産品まで50個以上の商品がユーザーイノベーションで生まれています。</p>

<p>アルビン・トフラーはかつて「プロシューマーの時代」という言葉を使って、作り手と使い手の一体化を予言しましたが、もはやそんな特別な言葉は必要ないくらいに当たり前のことになっています。最近では、「NHKスペシャル」が番組の企画会議をBlabo!と共同で開始しました。商品開発だけではなく、テレビ番組をはじめとしたメディアのコンテンツ作りにも、視聴者や読者が参加する時代になりつつあります。</p>

<p>その背景にはもちろん、ソーシャルメディアの普及やデバイスの進化があります。企業のマーケターが質問を投げたら、すぐに生活者のスマートフォンにプッシュ通知がきて、即座にそれに回答する。すでにそういう感覚になってきているということです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A2148final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>生活者の本音を流通させる最適なかたちを求めて。坂田の挑戦は続く。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──これからも、Blabo!もいまある形とは変わってきますね。</strong></p>

<p>Blabo!でやっているのは、これまで流通していなかった生活者の本音というものを流通させることであって、その点においては今後も変わりません。</p>

<p>現状では、メーカーのお客様相談センターにわざわざ連絡しているような人は一部です。普通に生活している99%の人は、普通に満足していたら、わざわざ電話なんてしないので、普通の人の本音はわかりませんでした。</p>

<p>本音が流通してこなかったのにはいくつかの要因がありますが、パッケージ化されていなかったことも要因のひとつと考えています。</p>

<p>スーパーマーケットの価値がどこにあるのか考えてみると、理解しやすいかしれません。スーパーではさまざまな生産者が納品する商品を統一した規格、統一した価格でパッケージ化しているからこそ、消費者が買いやすいのです。つぶやきもかつては流通しないものでしたが、ツイッターが140文字のパッケージにしたことで、流通するようになりました。Blabo!がやっているのも同様のこと。本音というものをちょうどいい形にフォーマット化することで、流通させる試みなのです。</p>

<p>ただ、流通させるためのちょうどいい形というのは、時代とともに変わっていくものだと思っています。だから今後も、われわれの挑戦は終わりません。その時々のテクノロジーを使って、ひたすら時代とズレない形を追求していくつもりでいます。</p>
]]>
    </content>
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    <title>バイアスを外して「自己認知力」を磨こう──妙心寺春光院・川上全龍が説く、禅の哲学 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2017-03-30T22:50:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:23:15Z</updated>

    <summary>人間は「固定概念＝バイアス」によって無駄を省き、効率を求める性質がある。それを禅では外すように教える。いまビジネスの世界は、禅の哲学に注目すべき時かもしれない。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="これからの転職" label="これからの転職" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="オープンイノベーション" label="オープンイノベーション" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ビジネスと思想" label="ビジネスと思想" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="マインドフルネス" label="マインドフルネス" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
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        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/39618946675">川上全龍</a></strong> <small>妙心寺春光院副住職、マインドフルネス講師</small>
<p>2004年米国アリゾナ州立大学・宗教学科卒業。06年に春光院にて訪日観光客を対象に英語での座禅会をはじめる。08年より米日財団日米リーダーシップ・プログラムのメンバー。12年よりトヨタ自動車にておもてなし研修の講師を務める。現在ではハーバード、MITなどのビジネススクールの学生、グローバル企業のCEOを含む年5000人に禅の指導を行うほか、春光院での同性婚支援など、LGBT問題にも取り組む。メガネ型ウェアラブルデバイス「JINS MEME」のアプリ「ZEN」の監修や、マインドフルネス・アプリ「MYALO」の開発にも携わる。著書に『世界中のトップエリートが集う禅の教室』（KADOKAWA/角川書店）。</p></aside></p>

<p>NHK出版（現『WIRED』日本版編集長）の松島倫明は、過去のBNLによるインタビューの中で、最近の日本企業は思想が欠けていると指摘した。</p>

<blockquote>
  <p>カウンターカルチャーとデジタルカルチャーをつなぐ象徴的な存在だったスティーブ・ジョブズこそ亡くなってしまいましたが、現在のシリコンバレーのエスタブリッシュメントは『Whole Earth Catalog』以降の西海岸的エートスを体現しています。グーグルにしてもフェイスブックにしても、巨大な営利企業である一方でその背景には、テクノロジーによって人間が個として持っているパワーを十全に発揮できることこそが正義だという価値観があります。</p>

<p>翻訳書をやっていると、彼らの強さはそうした思想がブレないことにあると感じます。そして翻って、日本のテクノロジー企業が弱いのもそこだと感じます。単にビジネスとして儲かるからとか、技術的に新しいからというだけでなく、テクノロジーは人間を人間たらしめるためのツールとしてある、というブレない思想こそが重要なのではないかと思います。</p>
</blockquote>

<div class="link-box">
<a href="https://bnl.media/2017/02/nhk-matsushima.html"> 
<div style="background-image:url(https://bnl.media/uploads/20170321122126-5f34fb8db9dc52f3c18119677fc9c6df9619f4cb.jpg);" class="img">
</div>

<div class="info"><strong>時代を切り取る次のビッグアイデアは、PUBLICな領域から生まれる──松島倫明の仕事術</strong>
</div></a>
</div>

<p>スティーブ・ジョブズも禅を好み、よく瞑想をしていたことで知られるが、最近の海外の経営者や名門大学のビジネススクールに通う学生たちは、京都の妙心寺・春光院という場所に集い、座禅体験をしているという。</p>

<p>いま日本でも働き方の多様性にまつわる議論が広がり、あらためて自分の仕事を問い直す機会が増えている。ずっと定年まで同じ会社にいるのではなく、転職や独立する人の数も増え始めている。</p>

<p>自分だけではなく、他者との関わりについて考える機会も増えている。社外のビジネスネットワークを活用したオープンイノベーションによって、企業の中で新規事業を起こす人も、最近よく聞くようになった。</p>

<p>それらの過程では、いま一度、人間というものを捉えなおし、他者との関係性や、企業や社会の思想について思考を巡らす場面も増えてくることだろう。</p>

<p>日本人はどうしても宗教色のあるものに抵抗があるが、もしかしたら、いまこそわたしたちは禅の思想を学び直すべき時なのかもしれない。その問いの答えを確かめるべく、京都にある日本最大の禅寺、妙心寺の門をくぐった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_4923final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>妙心寺春光院の正門。座禅体験を目的に世界中から人が集まる。この日も取材の前後に外国人が訪れていた。</figcaption></figure></p>

<h2>昔は人類みんな東洋的だった</h2>

<p><strong>──本日は「禅の思想からビジネスは何を学べるか」。そのヒントを求めて参りました。いま日本のビジネスはもっと思想的な面を学ぶべきでないかと考えているのです。</strong></p>

<p>日本人は思想的な面について、意外と子どものころからきちんと教育を受けていないなと、わたしも最近思うところがあります。特に「哲学」が欠落していると思うのです。</p>

<p><strong>──どういうことでしょう？</strong></p>

<p>例えばフランスでは、さすが啓蒙思想発祥の国だけあって、小学生のころから「人生とは？」とか「幸せってなに？」とか、生徒に哲学的な問いを投げかけるそうです。一方、日本では「形式から学べ」と言われて、まず形から入り、ルーティンを積み重ねていくなかで、自分自身で答えを探し求めるように教わります。しかし、いまの日本人は勘違いしているようです。</p>

<p><strong>──勘違いとは？</strong></p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4478910189" target="_blank"><img src="/uploads/geographybook3.jpg" width="150">
<div class="info"><strong>『木を見る西洋人 森を見る東洋人』</strong><p>リチャード・E・ニスベット（ミシガン大学心理学教授）著。東洋人と西洋人のものの見方・考え方が文化によっていかに違うのかを科学的に解明した注目の書。</p>
</div></a>
</div>

<p>漠然とした全体から入って徐々に中へと攻めていく昔の日本のやり方が、どうも失われているように感じるのです。西洋と東洋の違いで、よく言われるのは、「西洋人は木を見る。東洋人は森を見る」という話です。西洋では、森があって、木があって、動物がいて...というふうに、一つひとつの要素を細かく分析することで、全体を理解しようとするのですが、東洋は逆だと理解されています。</p>

<p><strong>──そのようにわたしも理解しています。</strong></p>

<p>それが最近ミシガン大学のリチャード・ニスベット教授の本や論文を読んでいて、新しい気づきを得たのです。もともと人類はみんな東洋的な「森を見る」思考法だったそうなのです。</p>

<p><strong>──え、人類全体が東洋的だった！？</strong></p>

<p>どうやらそうらしいのです。なぜ西洋人がある時から分類化する習慣がついて、現代のような科学的なアプローチを得意とするようになったかというと、ギリシャ哲学者たちが発展させたからだ、というのが定説なのだそうです。</p>

<p><strong>──なるほど。</strong></p>

<p>昔の人は木を見ることもできたし、一歩引いて森を見ることもできた。でも、いまはどちらも満足にできなくなってしまった。そこで、わたしはいま「注意の柔軟性」について関心を持っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_4744final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>お坊さんから「バイアスを外せ」と言われると、どこか新しい響きを感じる。</figcaption>
</figure></p>

<h2>「バイアス」と禅の深い関係</h2>

<p><strong>──注意の柔軟性とは？</strong></p>

<p>マインドフルネスとは結局、自分の注意をどこに向けるか、というものなんです。たまには木を見てたまには森を見る。両方ができる柔軟性が求められます。同様に禅も柔軟性を強調します。ぼくは最近「バイアス」という言葉を使っています。柔軟性とは、自分のバイアスをどれだけ外せるかということなんです。</p>

<p><strong>──バイアスと禅はどう関わりがあるのでしょう？</strong></p>

<p>人間がいちばん好むものは「恒常性」です。落ち着きや安らぎを与えてくれるからです。それを守るために、人間はいろんな物事に対して「世の中はこうだ」という概念をつくります。それがバイアスになるのです。概念をつくれば、カオスや秩序のないものから自分を守り、時間とエネルギーを節約できます。無秩序はとにかく多くのエネルギーを使います。脳自体が人間の1日のエネルギー消費量の18%〜25%を使いますから、それをなんとか削減しようとするわけです。</p>

<p><strong>──脳を消費量で計算する発想は面白いですね。</strong></p>

<div class="round-box gray fr fb">
<p>人間はいろんな概念をつくりだして、自分を「自動操縦モード」に入れるようにしている</p>
</div>

<p>過去1万年の人類の歴史を振り返ってみると、狩猟に頼っていた時期が長いことがわかります。飯なんていつでも食べられる状況ではありませんでした。食べられる時に食べて、エネルギーをセーブしておかないと生き残れない。だからいろんな概念をつくりだして、自分をいわば「自動操縦モード」に入れるようにしているのです。</p>

<p><strong>──概念をつくって「省エネ」していたということですね。</strong></p>

<p>宗教の修行は「階段を登りつめていく」イメージがあるかと思います。でも禅は目標に向かって登っていると、途中で階段を崩されるのです。「登りつめる＝バイアスがどんどんかかっていく」ということなので、そのバイアスを取り外さないと駄目だ、という発想からきています。「禅はこうだ」とか「座禅はこうやるべき」とか言う人はバイアスがかかっているので、「それはすでに禅ではない」と言われてしまいます。だから常に自分をオープンにして、周りの状況がどういうものかを客観的に把握できるように修行をします。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_4584final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>禅に絶対はない。別に椅子に座っても問題ない。「座禅はこうやるべき」と言い始めた時点でバイアスがかかってしまうから。</figcaption>
</figure></p>

<h2>転職でバイアスを外す</h2>

<p><strong>──最近は定年までずっと同じ会社にいたいと思う人は減っていて、転職者数は年々増加傾向にあります。SNSでは、個人の関心事や意見を発信しやすい時代でもありますが、バイアスを強めることにもつながると思うのです。転職は、仕事のバイアスを外す助けにはなるのでしょうか。</strong></p>

<p>ソーシャルメディアとか、自分のカテゴリとか、そういう枠に入るのはとても居心地がいいのです。カテゴライズされて、こういう人間だと相手に思わせることで、相手の動きも読みやすくなります。しかし、同じことをやり続けていると、ずっと同じバイアスがかかっている状態になります。しかも最近のソーシャルメディアで怖いのは、カスタマイズされた情報ばかり入ってくることです。</p>

<div class="round-box gray fl fb">
<p>転職で一度自分のバイアスを崩して、わざとカオスな状態に身を置くのは良いこと</p>
</div>

<p>スタンフォード大学のマイケル・コジンスキーというビッグデータ解析の研究者によると、Facebookでたった68回分のいいね！を分析するだけで、その人の肌の色を95%の確率で当てられるそうです。さらに150回分のいいね！で、その人の両親のことまで大体わかるというのです。</p>

<p>そういう分析をもとに、自分に合った情報が送られてくるようになる。そうすると、気づかないうちに、どんどん自分のバイアスが強くなります。だからこそ、転職などで一度自分のバイアスを崩して、わざとカオスな状態に身を置くのは良いことでしょう。</p>

<p><strong>──バイアスを崩すためにも、たまには転職するのも良いことなんですね。</strong></p>

<p>でもまだ日本人はあまり慣れていないようです。自分の固定概念を外していくのが禅の考え方なのに、アイデンティティをつくって、「わたしはこういう会社の者だからこういうもの」と、自分で自分を束縛しているようにも見えます。注意の柔軟性が欠けていると、表面的なところでバイアスをかけてしまう。バイアスはさっき言ったように、エネルギーと時間をセーブするものなので、気をつけていないとバイアスを使ってどんどん楽をしようとして、視野が狭まってしまいます。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_4664final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>この写真のファイルサイズは212KB。つまり1696キロビットに換算されるので、1秒間の人間の注意力の約13倍もある計算だ。</figcaption></figure></p>

<h2>人間の情報処理性能は126ビット／秒</h2>

<p><strong>──自分で自分の視野を狭くしてしまうのは、もったいないですね。</strong></p>

<p>仏教の説話をひとつご紹介しましょう。3人の盲目の人間が象を説明しようとします。ひとりは象の尻尾を触っていて、もうひとりは牙を、もうひとりは耳を触っています。尻尾を触っている人は、象というのはクネクネして毛で覆われている生き物だと言う。耳を触っている人は、「いや、象は平らだよ」と言う。牙を触っている人は、「大理石みたいにツルツルしていて堅いものだ」と言うわけです。バイアスがかかっている人は、いち部分しか見えていないから、それが象の全体だと勘違いしまうのです。</p>

<p><strong>──3人とも視野が狭いわけですね。</strong></p>

<div class="round-box gray fr fb">
<p>人間の注意は非常に限られた資源なのです</p>
</div>

<p>人間には「認知の限界」があります。「フロー」の研究で有名なミハイ・チクセントミハイが、人間の注意をデータ化した研究を発表しています。中枢神経の情報処理能力をバイナリーディジットに変換すると、1秒間に最大でも126ビットしか注意を向けられないことがわかりました。さらに、このように会話をしている時は、周囲の環境や自分の身体にも意識を向けるので、毎秒40ビットくらいしか相手の声を拾うのに使えていないのです。人間の注意というものは、非常に限定されている資源なのです。</p>

<p><strong>──人間の注意をデータ量に換算する視点、面白いです。</strong></p>

<p>最近のデジタル写真は小さくても数百キロバイト（1バイト＝8ビット）はあります。つまり、人間は写真のような世界はまったく知覚できていないということです。ほんとに一部の情報のみを切り取って視ているのです。それに、もともと持っている概念を加えて、目の前の現実はこういうものなんだと、いわば嘘の現実をつくっています。</p>

<p>自分は本当に世界の一部しか見れていない。そのバイアスを意識することは重要です。禅の極意ってそこだと思うんですよ。自分がどういうバイアスを使っているかに気づき、そのバイアスを外して、本当の「象」という動物の全体像を捉えるのです。</p>

<p><strong>──「注意の柔軟性」と最初仰っていたのは、そういう意味なんですね。</strong></p>

<p>その通りです。世の中を理解しようした時に、いまは細分化していって一つひとつの要素を検証して、良い悪いを判断するところがあります。でもアリストテレスも指摘していたと思うのですが、分解して全部を足すと全体の説明になるかというと、ならない。それは古代ギリシャの時代からわかっていることなのです。いまの科学はニュートン力学をベースにゼロかイチか、という考えですが、一度壁にぶち当たったから量子力学がでてきた。だから量子力学は、わりと禅の発想に近いのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_4575final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>アメリカの大学で宗教学を専攻した川上は英語も堪能で、お寺を訪れた外国人観光客を相手に、日々禅の思想を説いている。</figcaption>
</figure></p>

<h2>アメリカでマインドフルネスが流行った理由</h2>

<p><strong>──アメリカのテック企業が、マインドフルネスや禅に興味を持つようになった理由も、ニュートン力学が壁にぶち当たったからなのでしょうか。</strong></p>

<p>結局デジタルの世界は、ゼロかイチかの世界ですからね。人間の行動をニュートニアンなアプローチで理解しようとして突き詰めていくと、プラグマティズム（実用主義）に行き着きます。良いか悪いかに分けて、良い選択、良い選択、良い選択とずっと突き詰めていけば、何か良いところに行くんじゃないか、というのが基本的なプラグマティズムの考え方です。</p>

<div class="round-box gray fl fb">
<p>もう一度「人間って何だろう？」とか、「世の中ってどういうふうに動いてるんだろう？」と考えるようになった</p>
</div>

<p>しかし、プラグマティズムは2000年代くらいからうまくいかなくなってきて、その傾向は08年のリーマンショックで如実になり、アメリカはパニックに陥いりました。「何か根本的に考え方を変えるべきでは？」「自分たちは過去100年間何をしていたんだ？」と省みた時に、もう一度「人間って何だろう？」とか、「世の中ってどういうふうに動いてるんだろう？」と考えるようになった。それがいまマインドフルネスや禅に多くのアメリカ人が興味を持つようになった根本的な理由だと思います。</p>

<p><strong>──アメリカ人は一度思想のレベルで行き詰まりを感じたわけですね。</strong></p>

<p>キリスト教は善か悪かという二元論の世界観なので、彼らにとって禅はとても新鮮に感じるはずです。でも実際、完全に善か悪かの世界は存在しないわけであって、良い悪いの判断なんて個人的なものだし一時的なものです。その意味においては、最近の日本におけるマインドフルネスの動きをみていると少し怖いと思うのが、「マインドフルネスいいですよ！」と言っている人がいることです。</p>

<p><strong>──確かに「いいですよ」という声、最近よく耳にするようになりました。</strong></p>

<p>マインドフルネスは科学をベースに組み立てられています。科学は、いろんなアングルから検証し直す、懐疑主義の性質があります。しかし、いまのマインドフルネスの動きは、ポジティブなバイアスが相当かかっています。研修会社などの立場からすると、良いと言わないとビジネスが成り立たない面もあるかと思いますが、科学者までが良いと言ってしまっては問題です。データはニュートラルなものであるべきで、「こういう結果が出ました！」と言われたら、「長期的な研究に直したときにも本当に正しいと言えるだろうか？」といった懐疑的なアプローチは必要です。</p>

<p><strong>──マインドフルネス自体がバイアスに縛られてしまっては本末転倒ですね。</strong></p>

<p>マインドフルネスは、ストレス緩和などの効能に注目されがちですが、根本的にはバイアスを外すという考え方です。それを外して自分の考え方のベースがどこにあるかを常に見据えられることが求められます。もう少し宗教的な角度から言うと、そこから自分というものをなくしてしまうという話になるのですが、そこがマインドフルネスと禅の異なるところですね。</p>

<p><strong>──自分をなくしてしまう、というと？</strong></p>

<p>「フロー」を提唱したチクセントミハイと、道教の始祖である莊子の発想にも実は似たような違いがあるのです。没頭することによって満足感を覚えて、自分というものを見出すというのがフローだとすると、莊子の場合は没頭することによって自分の存在をなくして、自分と周りが融け合うという発想なのです。この莊子の考え方は禅にもあると思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_4761final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>春光院は公道から離れているため、とても静かで、鳥の鳴き声が心地よく響いていた。</figcaption>
</figure></p>

<h2>企業と個人のゴールを「融け合わせる」方法</h2>

<p><strong>──「融け合う」という言葉には、とても禅的なイメージがあります。自由と不自由の概念を超越しているような。</strong></p>

<p>たぶん本当の自由って人間は耐えられないと思うんです。重圧がかかるし、不安になるし。まあ、それをなくすために自分をなくすというのが禅だと思うんですけど（笑）。でも「自分をなくすことは実践的に可能なんだろうか？」と考えた時に、たぶん無理というのが、わたしのコンセプトです。そんなことをお坊さんが言ったら怒られると思いますが（笑）。</p>

<p><strong>──企業の目標と個人の目標はズレが生じやすいものです。「もっと自分のやりたいことを追求する自由が欲しい！」という声もあったりします。企業と個人のゴールを融け合わせる良い方法は、何かありますか？</strong></p>

<p>最近の企業はいろんな新しい事業をやっていて、「え、この企業がこんなことまでやっているの！？」と思う機会が増えてきました。「何をやってもいい部署」をつくっている企業が増えているからだと思います。予算はないけれど、「これは面白い！」というものがあったらお金を出すから頑張れ、みたいな（笑）。</p>

<p><strong>──確かに新規事業担当の部署は、最近よく見かけますね。</strong></p>

<p>おそらくそういう部署が多く新設されている理由は、従来の固定概念から脱却する必要性を経営者が感じているからでしょう。例えば、自動車メーカーを例にあげると、「クルマが人に与える影響って何だろう？」と改めて考えてみるのです。A地点からB地点へ移動するだけではなく、車内を快適な空間にして、心を落ち着かせる方法はないか。あるいは逆に、運転する人に興奮を与えるものとして考えてみてもいいでしょう。そういう問いを生み出すには、やはり従来の「クルマ屋」のバイアスに縛られた考え方では無理なのです。</p>

<p><strong>──さきほどの象の話を自動車に置き換えて考えてみたら、ということですね。</strong></p>

<div class="round-box gray fr fb">
<p>「企業として存在する意義は何？」「もう少し大きな目的があるのでは？」と改めて考えてみるべき</p>
</div>

<p>まさしくそうですね。これからは、いろんなアングルから攻めていくことが絶対に求められてきます。それによって従来の企業のイメージからズレていくこともあるかもしれません。でもそのバイアスから外れる自由さが必要だと思うのです。「企業として存在する意義は何？」「もう少し大きな目的があるのでは？」と改めて考えてみたり、会社の存続だけにこだわらず、例えば「日本をもっとこう良くしていこうよ」とか、「その次は世界をこう良くしていけたらいいよね」みたいな議論を行うべきです。</p>

<p><strong>──より深い理念のようなものが必要になりますね。</strong></p>

<p>極めて単純な話にしてしまうと、その深い理念は「みんなが幸せに生きる手伝いをしたい」ということだと思うのです。そうすると、確かに"自動車メーカー"だけれど、自動車以外のものをつくってもいい、となり得るわけです。</p>

<p><strong>──そうすると、個人のやりたいことも組織の中で追求できると？</strong></p>

<p>個人の場合もまず「これやりたい、あれやりたい」という前に、その目的は何なのかをはっきりさせることが重要です。</p>

<p><strong>──やりたいことの中に思想が必要ということですね。</strong></p>

<p>そうです。やっぱりこれから哲学の教育が必要になってくる理由はそこだと思います。大きな目標を明確にするときに、「人間や集団の存在意義ってなに？」という話になってくるからです。これっていい機会だと思うのです。「人間の幸せってなんだろう？」とか「個としての存在と団体のつながりってどういうものなんだろう？」とか、あらためて考えるいいきっかけになるでしょう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/kawakamibook720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4041032768" target="_blank">『世界中のトップエリートが集う禅の教室』</a> 川上全龍著。なぜ座禅がビジネスにつながるのか。利他を行うための共感、そしてそれを生む「自己認知力」の必要性を説き、ビジネスパーソンのために禅の教えをまとめた一冊。</figcaption>
</figure></p>

<h2>多様性の中に共感を見つける「自己認知力」</h2>

<p><strong>──著書の中で「自己認知力」という言葉を使われていました。</strong></p>

<p>自己認知力がいちばんわかりやすいのは、「これ好き、これ嫌い」と言う時です。感情は脳だけでなく体全体で感じるもの。体が刺激を受けるレシーバーになっていて、そこを経由して入ってきた刺激を脳で処理し、嬉しさや怒りを感じるのです。マインドフルネスの言葉で自己認知を表すと「セルフアウェアネス」になります。感情が起こる前に、体の反応で気づけるようになるので、例えばいきなり激昂するのではなくて、怒りの感情が起き始めた時にあえて注意を他に向けて心を安定させたのちに、対応できるようになります。</p>

<p>もうひとつ、本の中では書いていなかったことは、「その時のバイアスをチェックしてみよう」ということなんです。</p>

<p><strong>──どういうことですか？</strong></p>

<p>「好き」と思った理由は何かということです。自分はどういうバイアスで見ているから好きなのか、あるいは嫌いなのか。とにかくその感情が出てきた理由を問うこと。自己認知力を突き詰めていけば、そこにたどり着きます。</p>

<p><strong>──仕事において自己認知力を突き詰めていくと、他者との関わりも入ってくると思うのですが？</strong></p>

<p>違う企業文化を持っているところと一緒に仕事はしにくいものです。いまは社内の多様性も大事だと言われています。でも多様性のあるチームには、ウマが合わない人もいてしんどい時もあるでしょう。でもそのしんどさの先に気づかなければ、クリエイティブなことはできないしイノベーションも生まれない、というのがいまの考え方なわけですよね。</p>

<p><strong>──そうですね。大企業とベンチャーのオープンイノベーションが必要だとか、そういう話も最近よく聞くようになりました。</strong></p>

<div class="round-box gray fr fb">
<p>多様性は生きづらい世界。でもそこを乗り越えない限り、イノベーションは生まれない</p>
</div>

<p>自分のバイアスに気づいてから、相手のバイアスにも気づく。自分が象の尻尾を触っている人なのか、牙を触っている人なのか、耳を触っている人なのかに気づくこと。それができないと全体像が見えなくて、新しい発想も生まれません。「多様性のあるオフィス」や「異業種のコラボ」って、結局違うバイアスでぶつかり合って、うまくいかないことが多い。ぶつかった時こそ、自分のバイアスを意識してみてください。相手がどういう部分の利点を見ているのか。相手はこう言っているけど、それはどういうベースで判断を下しているのか。反射的に良い悪いを判断せず、まずはそこから入っていくことです。多様性って生きづらい世界です。ストレスもたまります。でもそこを乗り越えない限り、イノベーションは生まれません。</p>

<p><strong>──多様性の中に、共感できるポイントをどう見つけていくか、ということですね。</strong></p>

<p>お互いのバイアスを認識したら、自分たちのゴールはどこか、という問いに戻るのです。「このプロジェクトを始めた理由は？」「本当は何がしたい？」「どういうインパクトを社会に伝えたい？」</p>

<p>インパクトの伝え方に対する考え方が違うから、あるいは違う現実やデータを見ているからぶつかりあうわけで、うまく全体が見えるようになれば、結束していけるはずです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_4891final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>マインドフルネスの研究に関心を寄せており、日本国内初のマインドフルネス・アプリ「<a href="https://myalo-app.com/LP/">MYALO</a>」の開発にも協力している。</figcaption>
</figure></p>

<h2>何かをしたいと思うことがバイアスになる</h2>

<p><strong>──川上さんにとっての思想的なレベルでのゴールは何ですか？</strong></p>

<p>日本だけに限ると、いちばん先に置いているゴールは日本の幸福度ランキング53位（2016年）を10位以内に入れることです。世界的には、海外から来てもらった人たちに少しでも幸せになってもらいたい。「こういう考え方ができれば、明日からちょっと人生が楽になるかも」と思ってもらえたら嬉しいですね。</p>

<p><strong>──英語で禅の哲学について出版したり、海外に積極的に情報発信しようとは思わないのですか？</strong></p>

<p>逆に普段（座禅体験を通して）英語で教えることが多いので、もっと日本語でも教える機会を増やしたいと思っているくらいです。マインドフルネスが海外で注目されていますが、禅の発想や仏教の学識に関しても、意外と海外の方が進んでいたりします。日本は、仏教のさまざまな宗派の大学がありますが、それぞれ自分の宗派が中心になるので、学者として第三者の目線で書いたつもりでも、どうしてもバイアスがかかってしまうのです。一方で海外の学者は、完全なる第三者の目線で書けます。</p>

<p>最近は、もう少し日本の学校とか企業向けに何かやってみてもいいかなと思っています。</p>

<p><strong>──やはり教育に興味が向かっているのですね。</strong></p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4862762271" target="_blank"><img src="/uploads/siybook5.jpg" width="150"><div class="info"><strong>『Search Inside Yourself 仕事と人生を飛躍させるグーグルのマインドフルネス実践法』</strong><p>Google発、世界のビジネスリーダーが実践する能力開発プログラム、Search Inside Yourself Leadership Institute（SIYLI）の会長、チャディ・メン・タンが執筆。</p>
</div></a>
</div>

<p>昨年SIY（Search Inside Yourself）の5ヶ月間のプログラムを修了して、教えられるようにもなっています。ただ、マインドフルネスに関して客観視したドライなデータをもう少し見てみたいと思って、最近は海外の心理学者や脳科学者と組んだりしています。そういう人たちと組むと、今度はまた哲学に興味が戻ってくることもあるのです。その行ったり来たりの面白さというか、ドライに行ったり、ウェットな世界に戻ってきたりする感じの柔軟性を磨くように意識していますね。</p>

<p>わたしの最終的な目標ということで言えば、自分の発想が10年後、20年後、30年後、さらに100年、200年と残るか残らないかはわからないですけれど、「この時代にコイツこういうこと言ってたんだな」「意外といいじゃん！」と思われるようになりたい。その人が何となく心が楽になるお手伝いができればと思うのです。だから何をしたいとか、本書いて自分の考えを世界中に広めたいとか、そう思った段階でもうバイアスがかかってしまうのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_4446final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>腕にはApple Watch、メガネは自らアプリの監修に携わったJINS MEME。禅とテクノロジー。これも柔軟性といえるのだろう。</figcaption>
</figure></p>

<h2>柔軟性から生まれるイノベーティブな出会い</h2>

<p><strong>──やはり大事なのは「柔軟性」ですね。</strong></p>

<div class="round-box gray fl fb">
<p>15年前から、自分で何かをやろうと考えること自体やめた</p>
</div>

<p>「絶対にこうだ」という思考は避けたい。それをサポートする本や研究データばかり集めて読んでしまって自分のバイアスを強めてしまうので。科学の本を読んでいて、思いがけず禅とリンクする時の方が面白い。例えば、フローの本を読んでいて、莊子の話とリンクして、それが禅とマインドフルネス、西洋と東洋の相違点に気づいた時もそうでした。</p>

<p>実は15年くらい前から、自分で何かをやろうと考えること自体をやめたのです。知り合いに「これやってみたら？」と言われたことだけをやることにしています。</p>

<p><strong>──どうしてですか！？</strong></p>

<p>やりたいと思ったことに対して、「自分は絶対こういうことをやりたい！」と思った段階で、かなり強いバイアスがかかっています。自分にはそんな能力がないのに、無理にやろうとして失敗する可能性も高くなってしまいます。</p>

<p>「あの人と仕事したいです！」と言う人は、すでに確実に自分のバイアスがかかっているし、「あの人はきっとこういうことを言ってくれて手伝ってくれる」というふうに考えてしまって、たとえ何かを一緒に実現できたとしても、「当初の想定通りのことしかできなくて、なんかつまらなかったね」という結果に終わってしまう。</p>

<p>そうではなくて、何となく周りの人に「こういうことをやりたいんだけど、でも何をやったらいいかはわからないや」と適当に投げておくと、「こういう知識を持った人なら知っているよ...」と紹介してくれたりして、だんだん人が集まってくるのです。</p>

<p><strong>──実際にそれでうまくいっているのですか？</strong></p>

<p>わたしが「JINS MEME」のアプリ「ZEN」の監修に関わったのも、開発統括の井上一鷹さんにお会いしたきっかけはそういうところから来ています。いま一緒に企業向けの研修をしている予防医学研究者の石川善樹さんと出会ったのも、元グーグルの山本康正さんにお会いした時に、「瞑想に興味持っている科学者って日本にいます？」みたいな話をしたら、ご紹介いただいたのです。だから何となく自分のやりたいことや興味あることをボヤッと周りの人に投げておいて、そこから生まれる出会いを大事にする方がバイアスがかからないし、よりイノベーティブな出会いが生まれやすいと思います。</p>
]]>
        <![CDATA[<p><aside><strong>川上全龍</strong> <small>妙心寺春光院副住職、マインドフルネス講師</small>
<p>2004年米国アリゾナ州立大学・宗教学科卒業。06年に春光院にて訪日観光客を対象に英語での座禅会をはじめる。08年より米日財団日米リーダーシップ・プログラムのメンバー。12年よりトヨタ自動車にておもてなし研修の講師を務める。現在ではハーバード、MITなどのビジネススクールの学生、グローバル企業のCEOを含む年5000人に禅の指導を行うほか、春光院での同性婚支援など、LGBT問題にも取り組む。メガネ型ウェアラブルデバイス「JINS MEME」のアプリ「ZEN」の監修や、マインドフルネス・アプリ「MYALO」の開発にも携わる。著書に『世界中のトップエリートが集う禅の教室』（KADOKAWA/角川書店）。</p></aside></p>

<p>NHK出版の松島倫明は弊誌のインタビューで、最近の日本の企業は思想が欠けていると指摘した。</p>

<blockquote>
  <p>カウンターカルチャーとデジタルカルチャーをつなぐ象徴的な存在だったスティーブ・ジョブズこそ亡くなってしまいましたが、現在のシリコンバレーのエスタブリッシュメントは『Whole Earth Catalog』以降の西海岸的エートスを体現しています。グーグルにしてもフェイスブックにしても、巨大な営利企業である一方でその背景には、テクノロジーによって人間が個として持っているパワーを十全に発揮できることこそが正義だという価値観があります。</p>

<p>翻訳書をやっていると、彼らの強さはそうした思想がブレないことにあると感じます。そして翻って、日本のテクノロジー企業が弱いのもそこだと感じます。単にビジネスとして儲かるからとか、技術的に新しいからというだけでなく、テクノロジーは人間を人間たらしめるためのツールとしてある、というブレない思想こそが重要なのではないかと思います。</p>
</blockquote>

<p>スティーブ・ジョブズも禅を好み、よく瞑想をしていたことで知られるが、最近の海外の経営者や名門大学のビジネススクールに通う学生たちは、京都の妙心寺・春光院という場所に集い、座禅体験をしているという。</p>

<p>いま日本でも働き方の多様性にまつわる議論が広がり、あらためて自分の仕事を問い直す機会が増えている。ずっと定年まで同じ会社にいるのではなく、転職や独立する人の数も増え始めている。</p>

<p>自分だけではなく、他者との関わりについて考える機会も増えている。社外のビジネスネットワークを活用したオープンイノベーションによって、企業の中で新規事業を起こす人も、最近よく聞くようになった。</p>

<p>それらの過程では、いま一度、人間というものを捉えなおし、他者との関係性や、企業や社会の思想について思考を巡らす場面も増えてくることだろう。</p>

<p>日本人はどうしても宗教色のあるものに抵抗があるが、もしかしたら、いまこそぼくらは禅の思想を学び直すべき時なのかもしれない。その問いの答えを確かめるべく、京都にある日本最大の禅寺、妙心寺の門をくぐった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_4923final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>妙心寺春光院の正門。座禅体験を目的に世界中から人が集まる。この日も取材の前後に外国人が訪れていた。</figcaption></figure></p>

<h2>昔は人類みんな東洋的だった</h2>

<p><strong>──わたしは最近思うところがあって、いま日本のビジネスはもっと思想的な面を学ぶべきでないかと考えているのです。本日は「禅の思想からビジネスは何を学べるか」。そのヒントを求めて参りました。</strong></p>

<p>日本人は思想的な面について、意外と子どものころからきちんと教育を受けていないなと、わたしも最近思うところがあります。特に「哲学」が欠落していると思うのです。</p>

<p><strong>──どういうことでしょう？</strong></p>

<p>例えばフランスでは、さすが啓蒙思想発祥の国だけあって、小学生のころから「人生とは？」とか「幸せってなに？」とか、生徒に哲学的な問いを投げかけるそうです。一方、日本では「形式から学べ」と言われて、まず形から入り、ルーティンを積み重ねていくなかで、自分自身で答えを探し求めるように教わります。しかし、いまの日本人は勘違いしているようです。</p>

<p><strong>──勘違いとは？</strong></p>

<p>漠然とした全体から入って徐々に中へと攻めていく昔の日本のやり方が、どうも失われているように感じるのです。西洋と東洋の違いで、よく言われるのは、「西洋人は木を見る。東洋人は森を見る」という話です。西洋では、森があって、木があって、動物がいて...というふうに、一つひとつの要素を細かく分析することで、全体を理解しようとするのですが、東洋は逆だと理解されています。</p>

<p><strong>──そのようにわたしも理解しています。</strong></p>

<p>それが最近ミシガン大学のリチャード・ニスベット教授の本や論文を読んでいて、新しい気づきを得たのです。もともと人類はみんな東洋的な「森を見る」思考法だったそうなのです。</p>

<p><strong>──え、人類全体が東洋的だった！？</strong></p>

<p>どうやらそうらしいのです。なぜ西洋人がある時から分類化する習慣がついて、現代のような科学的なアプローチを得意とするようになったかというと、ギリシャ哲学者たちが発展させたからだ、というのが定説なのだそうです。</p>

<p><strong>──なるほど。</strong></p>

<p>昔の人は木を見ることもできたし、一歩引いて森を見ることもできた。でも、いまはどちらも満足にできなくなってしまった。そこで、わたしはいま「注意の柔軟性」について関心を持っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_4744final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>お坊さんから「バイアスを外せ」と言われると、どこか新しい響きを感じる。</figcaption>
</figure></p>

<h2>「バイアス」と禅の深い関係</h2>

<p><strong>──注意の柔軟性とは？</strong></p>

<p>マインドフルネスとは結局、自分の注意をどこに向けるか、というものなんです。たまには木を見てたまには森を見る。両方ができる柔軟性が求められます。同様に禅も柔軟性を強調します。ぼくは最近「バイアス」という言葉を使っています。柔軟性とは、自分のバイアスをどれだけ外せるかということなんです。</p>

<p><strong>──バイアスと禅はどう関わりがあるのでしょう？</strong></p>

<p>人間がいちばん好むものは「恒常性」です。落ち着きや安らぎを与えてくれるからです。それを守るために、人間はいろんな物事に対して「世の中はこうだ」という概念をつくります。それがバイアスになるのです。概念をつくれば、カオスや秩序のないものから自分を守り、時間とエネルギーを節約できます。無秩序はとにかく多くのエネルギーを使います。脳自体が人間の1日のエネルギー消費量の18%〜25%を使いますから、それをなんとか削減しようとするわけです。</p>

<p><strong>──脳を消費量で計算する発想は面白いですね。</strong></p>

<p>過去1万年の人類の歴史を振り返ってみると、狩猟に頼っていた時期が長いことがわかります。飯なんていつでも食べられる状況ではありませんでした。食べられる時に食べて、エネルギーをセーブしておかないと生き残れない。だからいろんな概念をつくりだして、自分をいわば「自動操縦モード」に入れるようにしているのです。</p>

<p><strong>──概念をつくって「省エネ」していたということですね。</strong></p>

<p>宗教の修行は「階段を登りつめていく」イメージがあるかと思います。でも禅は目標に向かって登っていると、途中で階段を崩されるのです。「登りつめる＝バイアスがどんどんかかっていく」ということなので、そのバイアスを取り外さないと駄目だ、という発想からきています。「禅はこうだ」とか「座禅はこうやるべき」とか言う人はバイアスがかかっているので、「それはすでに禅ではない」と言われてしまいます。だから常に自分をオープンにして、周りの状況がどういうものかを客観的に把握できるように修行をします。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_4584final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>禅に絶対はない。別に椅子に座っても問題ない。「座禅はこうやるべき」と言い始めた時点でバイアスがかかってしまうから。</figcaption>
</figure></p>

<h2>転職でバイアスを外す</h2>

<p><strong>──最近は定年までずっと同じ会社にいたいと思う人は減っていて、転職者数は年々増加傾向にあります。SNSでは、個人の関心事や意見を発信しやすい時代でもありますが、バイアスを強めることにもつながると思うのです。転職は、仕事のバイアスを外す助けにはなるのでしょうか。</strong></p>

<p>ソーシャルメディアとか、自分のカテゴリとか、そういう枠に入るのはとても居心地がいいのです。カテゴライズされて、こういう人間だと相手に思わせることで、相手の動きも読みやすくなります。しかし、同じことをやり続けていると、ずっと同じバイアスがかかっている状態になります。しかも最近のソーシャルメディアで怖いのは、カスタマイズされた情報ばかり入ってくることです。</p>

<p>スタンフォード大学のマイケル・コジンスキーというビッグデータ解析の研究者によると、Facebookでたった68回分のいいね！を分析するだけで、その人の肌の色が95%の確率で当てられるそうです。さらに150回分のいいね！で、その人の両親のことまで大体わかるというのです。</p>

<p>そういう分析をもとに、自分に合った情報が送られてくるようになる。そうすると、気づかないうちに、どんどん自分のバイアスが強くなります。だからこそ、転職などで一度自分のバイアスを崩して、わざとカオスな状態に身を置くのは良いことでしょう。</p>

<p><strong>──バイアスを崩すためにも、たまには転職するのも良いことなんですね。</strong></p>

<p>でもまだ日本人はあまり慣れていないようです。自分の固定概念を外していくのが禅の考え方なのに、アイデンティティをつくって、「わたしはこういう会社の者だからこういうもの」と、自分で自分を束縛しているようにも見えます。注意の柔軟性が欠けていると、表面的なところでバイアスをかけてしまう。バイアスはさっき言ったように、エネルギーと時間をセーブするものなので、気をつけていないとバイアスを使ってどんどん楽をしようとして、視点が狭まってしまいます。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_4664final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>この写真のファイルサイズは212KB。つまり1696キロビットに換算されるので、1秒間の人間の注意力の約13倍もある計算だ。</figcaption></figure></p>

<h2>人間の情報処理性能は126ビット／秒</h2>

<p><strong>──自分で自分の視野を狭くしてしまうのは、もったいないですね。</strong></p>

<p>仏教の説話をひとつご紹介しましょう。3人の盲目の人間が象を説明しようとします。ひとりは象の尻尾を触っていて、もうひとりは牙を、もうひとりは耳を触っています。尻尾を触っている人は、象というのはクネクネして毛で覆われている生き物だと言う。耳を触っている人は、「いや、象は平らだよ」と言う。牙を触っている人は、「大理石みたいにツルツルしていて堅いものだ」と言うわけです。バイアスがかかっている人は、いち部分しか見えていないから、それが象の全体だと勘違いしまうのです。</p>

<p><strong>──3人とも視野が狭いわけですね。</strong></p>

<p>人間には「認知の限界」があります。「フロー」の研究で有名なミハイ・チクセントミハイが、人間の注意をデータ化した研究を発表しています。中枢神経の情報処理性能をバイナリーディジットに変換すると、1秒間に最大でも126ビットしか注意を向けられないことがわかりました。さらに、このように会話をしている時は、周囲の環境や自分の身体にも意識を向けるので、毎秒40ビットくらいしか相手の声を拾うのに使えていないのです。人間の注意というものは、非常に限定されている資源なのです。</p>

<p><strong>──人間の注意をデータ量に換算する視点、面白いです。</strong></p>

<p>最近のデジタル写真は小さくても数百キロバイト（1バイト＝8ビット）はあります。つまり、人間は写真のような世界はまったく知覚できていないということです。ほんとに一部の情報のみを切り取って視ているのです。それに、もともと持っている概念を加えて、目の前の現実はこういうものなんだと、いわば嘘の現実をつくっています。</p>

<p>自分は本当に世界の一部しか見れていない。そのバイアスを意識することは重要です。禅の極意ってそこだと思うんですよ。自分がどういうバイアスを使っているかに気づき、そのバイアスを外して、本当の「象」という動物の全体像を捉えるのです。</p>

<p><strong>──「注意の柔軟性」と最初仰っていたのは、そういう意味なんですね。</strong></p>

<p>その通りです。世の中を理解しようした時に、いまは細分化していって一つひとつの要素を検証して、良い悪いを判断するところがあります。でもアリストテレスも指摘していたと思うのですが、分解して全部を足すと全体の説明になるかというと、ならない。それは古代ギリシャの時代からわかっていることなのです。いまの科学はニュートン力学をベースにゼロかイチか、という考えですが、一度壁にぶち当たったから量子力学がでてきた。だから量子力学は、わりと禅の発想に近いのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_4575final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>アメリカの大学で宗教学を専攻した川上は英語も堪能で、お寺を訪れた外国人観光客を相手に、日々禅の思想を説いている。</figcaption>
</figure></p>

<h2>アメリカでマインドフルネスが流行った理由</h2>

<p><strong>──アメリカのテック企業が、マインドフルネスや禅に興味を持つようになった理由も、ニュートン力学が壁にぶち当たったからなのでしょうか。</strong></p>

<p>結局デジタルの世界は、ゼロかイチかの世界ですからね。人間の行動をニュートニアンなアプローチで理解しようとして突き詰めていくと、プラグマティズム（実用主義）に行き着きます。良いか悪いかに分けて、良い選択、良い選択、良い選択とずっと突き詰めていけば、何か良いところに行くんじゃないか、というのが基本的なプラグマティズムの考え方です。</p>

<p>しかし、プラグマティズムは2000年代くらいからうまくいかなくなってきて、その傾向は08年のリーマンショックで如実となり、アメリカはパニックに陥いりました。「何か根本的に考え方を変えるべきでは？」「自分たちは過去100年間何をしていたんだ？」と省みた時に、もう一度「人間って何だろう？」とか、「世の中ってどういうふうに動いてるんだろう？」と考えるようになった。それがいまマインドフルネスや禅に多くのアメリカ人が興味を持つようになった根本的な理由だと思います。</p>

<p><strong>──アメリカ人は一度思想のレベルで行き詰まりを感じたわけですね。</strong></p>

<p>キリスト教は善か悪かという二元論の世界観なので、彼らにとって禅はとても新鮮に感じるはずです。でも実際、完全に善か悪かの世界は存在しないわけであって、良い悪いの判断なんて個人的なものだし一時的なものです。その意味においては、最近の日本におけるマインドフルネスの動きをみていると少し怖いと思うのが、「マインドフルネスいいですよ！」と言っている人がいることです。</p>

<p><strong>──確かに「いいですよ」という声、最近よく耳にするようになりました。</strong></p>

<p>マインドフルネスは科学をベースに組み立てられています。科学は、いろんなアングルから検証し直す、懐疑主義の性質があります。しかし、いまのマインドフルネスの動きは、ポジティブなバイアスが相当かかっています。研修会社などの立場からすると、良いと言わないとビジネスが成り立たない面もあるかと思いますが、科学者までが良いと言ってしまっては問題です。データはニュートラルなものであるべきで、「こういう結果が出ました！」と言われたら、「長期的な研究に直したときにも本当に正しいと言えるだろうか？」といった懐疑的なアプローチは必要です。</p>

<p><strong>──マインドフルネス自体がバイアスに縛られてしまっては本末転倒ですね。</strong></p>

<p>マインドフルネスは、ストレス緩和などの効能に注目されがちですが、根本的にはバイアスを外すという考え方です。それを外して自分の考え方のベースがどこにあるかを常に見据えられることが求められます。もう少し宗教的な角度から言うと、そこから自分というものをなくしてしまうという話になるのですが、そこがマインドフルネスと禅の異なるところですね。</p>

<p><strong>──自分をなくしてしまう、というと？</strong></p>

<p>「フロー」を提唱したチクセントミハイと、道教の始祖である莊子の発想にも実は似たような違いがあるのです。没頭することによって満足感を覚えて、自分というものを見出すというのがフローだとすると、莊子の場合は没頭することによって自分の存在をなくして、自分と周りが融け合うという発想なのです。この莊子の考え方は禅にもあると思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_4761final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>春光院は公道から離れているため、とても静かで、鳥の鳴き声が心地よく響いていた。</figcaption>
</figure></p>

<h2>企業と個人のゴールを「融け合わせる」方法</h2>

<p><strong>──「融け合う」という言葉には、とても禅的なイメージがあります。自由と不自由の概念を超越しているような。</strong></p>

<p>たぶん本当の自由って人間は耐えられないと思うんです。重圧がかかるし、不安になるし。まあ、それをなくすために自分をなくすというのが禅だと思うんですけど（笑）。でも「自分をなくすことは実践的に可能なんだろうか？」と考えた時に、たぶん無理というのが、わたしのコンセプトです。そんなことをお坊さんが言ったら怒られると思いますが（笑）。</p>

<p><strong>──企業の目標と個人の目標はズレが生じやすいものです。「もっと自分のやりたいことを追求する自由が欲しい！」という声もあったりします。企業と個人のゴールを融け合わせる良い方法は、何かありますか？</strong></p>

<p>最近の企業はいろんな新しい事業をやっていて、「え、この企業がこんなことまでやっているの！？」と思う機会が増えてきました。「何をやってもいい部署」をつくっている企業が増えているからだと思います。予算はないけれど、「これは面白い！」というものがあったらお金を出すから頑張れ、みたいな（笑）。</p>

<p><strong>──確かに新規事業担当の部署は、最近よく見かけますね。</strong></p>

<p>おそらくそういう部署が多く新設されている理由は、従来の固定概念から脱却する必要性を経営者が感じているからでしょう。例えば、自動車メーカーを例にあげると、「クルマが人に与える影響って何だろう？」と改めて考えてみるのです。A地点からB地点へ移動するだけではなく、車内を快適な空間にして、心を落ち着かせる方法はないか。あるいは逆に、運転する人に興奮を与えるものとして考えてみてもいいでしょう。そういう問いを生み出すには、やはり従来の「クルマ屋」のバイアスに縛られた考え方では無理なのです。</p>

<p><strong>──さきほどの象の話を自動車に置き換えて考えてみたら、ということですね。</strong></p>

<p>まさしくそうですね。これからは、いろんなアングルから攻めていくことが絶対に求められてきます。それによって従来の企業のイメージからズレていくこともあるかもしれません。でもそのバイアスから外れる自由さがいま必要だと思うのです。「企業として存在する意義は何？」「もう少し大きな目的があるのでは？」と改めて考えてみたり、会社の存続だけにこだわらず、例えば「日本をもっとこう良くしていこうよ」とか、「その次は世界をこう良くしていけたらいいよね」みたいな議論を行うべきです。</p>

<p><strong>──より深い理念のようなものが必要になりますね。</strong></p>

<p>極めて単純な話にしてしまうと、その深い理念は「みんなが幸せに生きる手伝いをしたい」ということだと思うのです。そうすると、確かに"自動車メーカー"だけれど、自動車以外のものをつくってもいい、となり得るわけです。</p>

<p><strong>──そうすると、個人のやりたいことも組織の中で追求できると？</strong></p>

<p>個人の場合もまず「これやりたい、あれやりたい」という前に、その目的は何なのかをはっきりさせることが重要です。</p>

<p><strong>──やりたいことの中に思想が必要ということですね。</strong></p>

<p>そうです。やっぱりこれから哲学の教育が必要になってくる理由はそこだと思います。大きな目標を明確にするときに、「人間や集団の存在意義ってなに？」という話になってくるからです。これっていい機会だと思うのです。「人間の幸せってなんだろう？」とか「個としての存在と団体のつながりってどういうものなんだろう？」とか、あらためて考えるいいきっかけになるでしょう。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/kawakamibook720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>『世界中のトップエリートが集う禅の教室』川上全龍著。なぜ座禅がビジネスにつながるのか。利他を行うための共感、そしてそれを生む「自己認知力」の必要性を説き、ビジネスパーソンのために禅の教えをまとめた一冊。</figcaption>
</figure></p>

<h2>多様性の中に共感を見つける「自己認知力」</h2>

<p><strong>──著書の中で「自己認知力」という言葉を使われていました。</strong></p>

<p>自己認知力がいちばんわかりやすいのは、「これ好き、これ嫌い」と言う時です。感情は脳だけでなく体全体で感じるもの。体が刺激を受けるレシーバーになっていて、そこを経由して入ってきた刺激を脳で処理し、嬉しさや怒りを感じるのです。マインドフルネスの言葉で自己認知を表すと「セルフアウェアネス」になります。感情が起こる前に、体の反応で気づけるようになるので、例えばいきなり激昂するのではなくて、怒りの感情が起き始めた時にあえて注意を他に向けて心を安定させたのちに、対応できるようになります。</p>

<p>もうひとつ、本の中では書いていなかったことは、「その時のバイアスをチェックしてみよう」ということなんです。</p>

<p><strong>──どういうことですか？</strong></p>

<p>「好き」と思った理由は何かということです。自分はどういうバイアスで見ているから好きなのか、あるいは嫌いなのか。とにかくその感情が出てきた理由を問うこと。自己認知力は突き詰めていけば、そこにたどり着きます。</p>

<p><strong>──仕事において自己認知力を突き詰めていくと、他者との関わりも入ってくると思うのですが？</strong></p>

<p>違う企業文化を持っているところと一緒に仕事はしにくいものです。いまは社内の多様性も大事だと言われています。でも多様性のあるチームは、ウマが合わない人もいてしんどい時もあるでしょう。でもそのしんどさの先に気づかなければ、クリエイティブなことはできないしイノベーションも生まれない、というのがいまの考え方なわけですよね。</p>

<p><strong>──そうですね。大企業とベンチャーのオープンイノベーションが必要だとか、そういう話も最近よく聞くようになりました。</strong></p>

<p>自分のバイアスに気づいてから、相手のバイアスにも気づく。自分が象の尻尾を触っている人なのか、牙を触っている人なのか、耳を触っている人なのかに気づくこと。それができないと全体像が見えなくて、新しい発想も生まれません。「多様性のあるオフィス」や「異業種のコラボ」って、結局違うバイアスでぶつかり合って、うまくいかないことが多い。ぶつかった時こそ、自分のバイアスを意識してみてください。相手がどういう部分の利点を見ているのか。相手はこう言っているけど、それはどういうベースで判断を下しているのか。反射的に良い悪いを判断せず、まずはそこから入っていくことです。多様性って生きづらい世界です。ストレスもたまります。でもそこを乗り越えない限り、イノベーションは生まれません。</p>

<p><strong>──多様性の中に、共感できるポイントをどう見つけていくか、ということですね。</strong></p>

<p>お互いのバイアスを認識したら、自分たちのゴールはどこか、という問いに戻るのです。「このプロジェクトを始めた理由は？」「本当は何がしたい？」「どういうインパクトを社会に伝えたい？」</p>

<p>インパクトの伝え方に対する考え方が違うから、あるいは違う現実やデータを見ているからぶつかりあうわけで、うまく全体が見えるようになれば、結束していけるはずです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_4891final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>マインドフルネスの研究に関心を寄せており、日本国内初のマインドフルネス・アプリ「MYALO」の開発にも協力している。</figcaption>
</figure></p>

<h2>何かをしたいと思うことがバイアスになる</h2>

<p><strong>──川上さんにとっての思想的なレベルでのゴールは何ですか？</strong></p>

<p>日本だけに限ると、いちばん先に置いているゴールは日本の幸福度ランキング53位（2016年）を10位以内に入れることです。世界的には、海外から来てもらった人たちに少しでも幸せになってもらいたい。「こういう考え方ができれば、明日からちょっと人生が楽になるかも」と思ってもらえたら嬉しいですね。</p>

<p><strong>──英語で禅の哲学について出版したり、海外に積極的に情報発信しようとは思わないのですか？</strong></p>

<p>逆に普段（座禅体験を通して）英語で教えることが多いので、もっと日本語でも教える機会を増やしたいと思っているくらいです。マインドフルネスが海外で注目されていますが、禅の発想や仏教の学識に関しても、意外と海外の方が進んでいたりします。日本は、仏教のさまざまな宗派の大学がありますが、それぞれ自分の宗派が中心になるので、学者として第三者の目線で書いたつもりでも、どうしてもバイアスがかかってしまうのです。一方で海外の学者は、完全なる第三者の目線で書けます。</p>

<p>最近わたしは、もう少し日本の学校とか企業向けに何かやってみてもいいかなと思っています。</p>

<p><strong>──やはり教育に興味が向かっているのですね。</strong></p>

<p>昨年SIY（Search Inside Yourself）の5ヶ月間のプログラムを修了して、教えられるようにもなっています。ただ、マインドフルネスに関して客観視したドライなデータをもう少し見てみたいと思って、最近は海外の心理学者や脳科学者と組んだりしています。そういう人たちと組むと、今度はまた哲学に興味が戻ってくることもあるのです。その行ったり来たりの面白さというか、ドライに行ったり、ウェットな世界に戻ってきたりする感じの柔軟性を磨くように意識していますね。</p>

<p>わたしの最終的な目標ということで言えば、自分の発想が10年後、20年後、30年後、さらに100年、200年と残るか残らないかはわからないですけれど、「この時代にコイツこういうこと言ってたんだな」「意外といいじゃん！」と思えるようになりたい。その人が何となく心が楽になるお手伝いができればと思うのです。だから何をしたいとか、本書いて自分の考えを世界中に広めたいとか、そう思った段階でもうバイアスがかかってしまうのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_4446final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>腕にはApple Watch、メガネは自らアプリの監修に携わったJINS MEME。禅とテクノロジー。これも柔軟性といえるのだろう。</figcaption>
</figure></p>

<h2>柔軟性から生まれるイノベーティブな出会い</h2>

<p><strong>──やはり大事なのは「柔軟性」ですね。</strong></p>

<p>「絶対にこうだ」という思考は避けたい。それをサポートする本や研究データばかり集めて読んでしまって自分のバイアスを強めてしまうので。科学の本を読んでいて、思いがけず禅とリンクする時の方が面白い。例えば、フローの本を読んでいて、莊子の話とリンクして、それが禅とマインドフルネス、西洋と東洋の相違点に気づいた時もそうでした。</p>

<p>実は15年くらい前から、自分で何かをやろうと考えること自体をやめたのです。知り合いに「これやってみたら？」と言われたことだけをやることにしています。</p>

<p><strong>──どうしてですか！？</strong></p>

<p>やりたいと思ったことに対して、「自分は絶対こういうことをやりたい！」と思った段階で、かなり強いバイアスがかかっています。自分にはそんな能力がないのに、無理にやろうとして失敗する可能性も高くなってしまいます。</p>

<p>「あの人と仕事したいです！」と言う人は、すでに確実に自分のバイアスがかかっているし、「あの人はきっとこういうことを言ってくれて手伝ってくれる」というふうに考えてしまって、たとえ何かを一緒に実現できたとしても、「当初の想定通りのことしかできなくて、なんかつまらかったね」という結果に終わってしまう。</p>

<p>そうではなくて、何となく周りの人に「こういうことをやりたいんだけど、でも何をやったらいいかはわからないや」と適当に投げておくと、「こういう知識持った人なら知っているよ...」と紹介してくれたりして、だんだん人が集まってくるのです。</p>

<p><strong>──実際にそれでうまくいっているのですか？</strong></p>

<p>わたしが「JINS MEME」のアプリ「ZEN」の監修に関わったのも、開発統括の井上一鷹さんにお会いした経緯はそういうところから来ています。いま一緒に企業向けの研修をしている予防医学研究者の石川善樹さんと出会ったのも、元グーグルの山本康正さんにお会いした時に、「瞑想に興味持っている科学者って日本にいます？」みたいな話をしたら、ご紹介いただいたのです。だから何となく自分のやりたいことや興味あることをボヤッと周りの人に投げておいて、そこから生まれる出会いを大事にする方がバイアスがかからないし、よりイノベーティブな出会いが生まれやすいと思います。</p>
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    </content>
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    <title>来週どの企業の人と会うべき？　eiiconファウンダー中村亜由子が語る共創につながる出会いの条件 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2017-03-23T07:34:22Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:10:28Z</updated>

    <summary>オープンイノベーションプラットフォーム「eiicon」は、総合人材サービス、パーソルグループのインテリジェンスの新規事業としてこの2月にリリースされた。ファウンダーの中村亜由子は、日本のビジネスマッチングの現況について改善の余地は多分にあると主張する。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
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        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/37378448122">中村亜由子</a></strong><small>インテリジェンス eiiconファウンダー</small>
<p>東京学芸大学を卒業後、2008年にインテリジェンスに入社。1年目はメディアプロデュース統括部に配属されDODAの編集に携わり、2年目に元々希望していた営業部へ異動する。産休・育休中に自ら考案したオープンイノベーションプラットフォームの新規事業案が、パーソルグループの新規事業起案プログラム「0to1」の初代採択事業として15年12月に採択され、事業責任者となる。17年2月に正式リリースを果たした。</p></aside></p>

<p>来週どの企業の人と会うべき？　まず名刺交換すべき担当者は誰？　その出会いを阻む壁は何？　どうすればその壁を越えていける？</p>

<p>それらの問いの解を求めて、この2月に企業と企業のビジネスマッチングを支援するサービス「eiicon」を立ち上げた、インテリジェンスの中村亜由子を取材した。</p>

<p>&#8220;オープンイノベーション&#8221;の必要性が叫ばれるようになって久しいが、どんな共創関係もまず出会わないことには始まらない。例えば、大企業が自社で新たな事業を立ち上げるのに、ある技術さえあればコストを大幅に削減できることが分かっているとする。そうした技術を持った外部のスタートアップがいるのなら、ぜひ提携したいと考えるだろう。だが、肝心のパートナー企業はどうやって見つければいいのか。</p>

<p>インターネットで検索したところで、最先端の技術を持った企業がピンポイントで見つかることなど稀だ。だから企業の担当者は、イベントを行脚して名刺交換を繰り返すことになる。しかし、それではあまりに非効率だし、足で稼ぐのにも限界がある。</p>

<p>この問題を解こうというのがeiiconだ。中村によれば、Eightが働く個人をつないで新たなビジネスチャンスを生み出そうとするのと同様に、eiiconは企業と企業の出会いを支援することが目的だという。中村がeiiconに込めた思いを通して、共創につながる質のいい出会いの条件とは何かを探る。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0687final720.jpg">
<figcaption>「eiicon」は、Ecosystem Innovation Inspire CONtact（エコシステム・イノベーション・インスパイア・コンタクト）の頭文字を取っている。ファウンダーの中村亜由子は、産休・育休中に事業案を練り上げたという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──日本企業のオープンイノベーションに関する現状をどう見ていますか？</strong></p>

<p>CCCさんや東急電鉄さんなど、先見の明がある企業はもう3、4年も前から、強烈な危機意識を持ってオープンイノベーションに取り組んでいますが、一般的にはまだこれからという企業がほとんどです。大企業が社内にオープンイノベーション戦略室をつくったとか、社長直轄の特命を受けて担当課長になったというような話はよく聞くものの、実際にはまだ何もやっていないというのが現状ではないでしょうか。</p>

<p>できていない、やっていない理由としてここ数年よく耳にするのが、そもそも最適なパートナー企業と出会えない、探せないという声です。そしてわたしが考えるに、出会えないというのには、こうした企業自身がいくつかの問題を抱えていることがあると思います。</p>

<p><strong>──その問題とは？</strong></p>

<p>1つは、オープンイノベーションに取り組む目的が明確になっていないことです。非常に「らしい」話なのですが、日本企業には周りがやりだすと、つられてやり始める傾向があります。こうした企業はブームに乗ってとりあえずやってみているだけだから、ふわっとした見切り発車になっている。それでは何も始まらないというのは当然です。</p>

<p>問題の2つめは、対外的に発信するスキームを持たないままに始めていることです。経産省が公表しているデータによれば、オープンイノベーションを推進することを意思決定している企業のうち、実に83%（「オープン・イノベーション等に係る企業の意思決定プロセスと意識に関するアンケート調査結果」※対象：日本国内の上場企業、時価総額 50億円以上の2,883社〈2015年現在〉〈経済産業省調べ〉）がそのことを対外的に告知していないのです。</p>

<p>これは、弊社が長年取り組んできた転職に置き換えて考えれば、ありえない話です。採用ページもなければ、求人広告も出していない。けれども人は欲しいと言っているようなものですから。つまり、出会えないのは、出会いを求めていることを相手が知らないからではないか、ということです。</p>

<p>さらに、こうした企業自身の問題に加えて、オープンイノベーション市場にはこれまで、企業同士が双方向にコミュニケーションできる場がなかったという問題があります。</p>

<p><strong>──というと？</strong></p>

<p>企業同士の出会いを後押ししようというプレイヤー自体はこれまでもいたのですが、基本的にはどれも、エージェント型のビジネスモデルでした。こうしたプレイヤーは大企業やスタートアップのデータベースを持っていますが、それを非公開にしています。クライアント企業からパートナー探しのオーダーをもらったら、エージェントが自社のデータベースを参照してピックアップするのです。</p>

<p>紹介してもらうのには当然、お金がかかります。そしてお金を払ったとしても、必ずしも満足いく相手と出会えるとは限らない。徹底して満足する相手と出会いたいと思ったら、別の相手を紹介してもらうのにさらにお金を払うことになります。</p>

<p>それが嫌なら、企業は自分で提携相手を探さなければならなくなりますが、当然それは困難を極めます。スタートアップからすれば、仮に提携したい大企業があったとしても、その中の誰が担当者なのかが分からずにたらい回しにされるストレスがありました。逆に大企業側からすれば、必要な最新技術というのはWebで検索するくらいですんなり出てくるものではありませんから、イベントを行脚して、ひたすら名刺交換することを強いられていたのです。</p>

<p>わたしたちeiiconがやろうとしているのは、まさにこうしたイベントで行われていたような双方向のコミュニケーションの場をWeb上につくることです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0674final720.jpg">
<figcaption>ネイルの文字に注目！</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──具体的にはどんな仕組みで？</strong></p>

<p>登録企業はマイページでやりたい事業内容や保有するリソースを明記します。eiiconは完全にオープンなプラットフォームなので、それを誰でも閲覧でき、気になったら直接メッセージを送れます。閲覧する側もマイページを持っているので、どんな企業が自社に興味を持ってアクセスしてきたのかも分かるというわけです。そうやってコンタクトを取り、実際に会い、お互いのやりたいことが一致して首尾よく提携に至ったとしても、一切利用料は発生しません。</p>

<p><strong>──なぜ無料であることにこだわるのでしょうか？</strong></p>

<p>それには、わたしがこのサービスを考案した動機が関係しています。わたしの親戚は地方で鋳造の工場を展開する中小企業を営んでいます。そのため、中小企業の経営や交流にまつわる話を聞く機会が多分にありました。そして、その中に提携先やパートナーを探す中小企業の話も多くありました。例えば、仲介してくれる地方銀行に多額のお金を払ってゴルフコンペをする、みたいなことですね。わたしはそれを見て、すごく不毛だと感じていたのです。</p>

<p>Webサービスであればもっと効率的に、かつ地理的な条件に縛られることなく、全国からいい条件のパートナーを探すことができるはずだと考えました。これが、eiiconを着想したきっかけです。つまり、ターゲットとして想定しているのは、こういった中小の製造業者の方々なのです。</p>

<p>全国にはイノベーションにつながるような技術力を持った中小企業がたくさんいます。ただ、そうした人たちは必ずしもITリテラシーが高いわけではないですから、いきなり有料のWebサービスでは絶対に使ってもらえないだろうと考えました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0589final720.jpg">
<figcaption>ローンチ前は不安でいっぱいだったが、いざ始めてみると多くの出会いが生まれ、心配は杞憂に終わったという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──ローンチから約2週間ということですが（取材は3月10日に行った）、利用状況は？</strong></p>

<p>これまでにないサービスなのでネガティブなシナリオも考えていたのですが、思っていたよりずっと出足がいいです。登録社数は現在約800社。そのうち約1割がいわゆる大企業です。先ほど申し上げたようにeiiconは完全オープンなプラットフォームですから、わたしたちの関与しないところでコンタクトが数十件発生していて、実際に面談調整が行われた例もすでにあります。</p>

<p><strong>──滑り出しとしては順調なようですね。ただ、こういったものは会うだけで終わっては意味がないわけですよね？　イノベーションにつながる「質のいい出会い」の条件をどう考えていますか？</strong></p>

<p>1つは、提携する企業同士のビジョンが合致していることです。投資家とスタートアップの関係であれば、市場が伸びそうかどうか、リターンが期待できそうかという単純な基準でもマッチングは成立するでしょう。しかし、企業というのはそれぞれ、何らかの社会課題を解決するために存在しているものです。提携しようという企業間で、何の課題を解決しようとしているのかというビジョンが合っていないと、足並みはずれていってしまいます。</p>

<p>もう1つは、抱えた課題と、それに対する解決策がマッチしていることです。eiiconであればこうした点について、お互いの掲載ページを見たり、メッセージのやりとりをしたりすることで、事前にすり合わせることができます。その上で実際に会うことで、本当にマッチしているのかを確認できる。この「あらかじめすり合わせておく」というところが重要だと考えています。</p>

<p>オープンイノベーションは、本当にそれが自社のビジョンに沿うもので、かつ社外のリソースを使わないと実現できないものでなければ、成功にはつながりません。ところが日本の企業の中には、先ほども触れたように、ブームだからとりあえずやってみたというところも少なくない。実際、企業によってはマイページの項目を書いている途中で、「本当にオープンイノベーションに取り組む必要があるのだろうか？」と筆が止まってしまうところもあるようなんです。</p>

<p><strong>──確たる目的なく取り組むのでは、いい出会いなど望むべくもないということですね。逆に、理想的な形でオープンイノベーションに取り組んでいる例として、中村さんがイメージするのはどんな企業ですか？</strong></p>

<p>周りの人たちがこぞって「P&amp;Gさんがすごい」と言うので、調べてみました。そして、調べれば調べるほどそのすごさを実感することになりました。</p>

<p>P&amp;Gさんがすごいのは、会社のウイークポイントをWeb上で誰でもが見られる形で晒していることです。普通に考えれば、自社の弱みは晒したくないものであるはずですが、すべてを晒すことで得られるメリットの方が大きいということが腹落ちしているのでしょう。オープンイノベーションが手法として社内で確立していることの表れだと思います。</p>

<p>eiiconのマイページにある「一緒に何をしたいか」という項目も、言い換えれば自社に足りない部分を告白しているようなものです。当初は「何ができないか」という項目名にしたかったくらいで。周りの拒否反応が大きかったので断念したのですが、本当にそこが重要だと感じています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0676final720.jpg">
<figcaption>いまの国内のオープンイノベーションの状況は、昔のクローズドな人材紹介業のやり方に近い。だからこそ、人材サービスの知見が活かせるのではないか、と中村は考えている。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──弱みも含めて自分をパブリックな領域に晒すことで得られるメリットがあるというのは、企業も同じということですね。ただ、拒否反応を示す企業も多そうです。</strong></p>

<p>もちろん、チャレンジングな試みだということは承知しています。わたしたちが目指しているのはゲームチェンジャーになることですから。最初に触れたように、オープンイノベーション市場にはこれまでクローズドな仕組みしかありませんでした。そこにいきなりオープンな仕組みを出したわけですから、最初は拒否反応があって当然です。</p>

<p>ただ、これは転職の概念が日本社会に浸透していった過程と似ているとも思っています。</p>

<p>転職も、アメリカから黒船のようにしてヘッドハンターが入ってきた当時は、「日本は終身雇用の社会だから、誰も転職なんてしない」と言われていました。しかし、日本にもプロのヘッドハンターが現れ、そこから人材紹介のようなクローズドな仕組みができ、さらには求人広告を出してやりとりするオープンな仕組みへと進んでいった。いまではダイレクトリクルーティングで直にやりとりするまでになっています。</p>

<p><strong>──まさに御社が経験してきた道程ということですね。では、どうやって企業が持つ古い意識を変えていきますか？</strong></p>

<p>事例の積み重ねしかないと思っています。行列のできる店に並ぶというのが日本の国民性だとすれば、声の大きな人が「美味しい」と言えば、追随する企業は必ず出てきます。だからまずは、オープンイノベーションの実績を多くつくりたいと思っています。</p>

<p>いまの日本は相当な危機に置かれています。どういうデータを取っても今後は労働力が減っていくのは確実です。にもかかわらず、新しい市場を育てるための投資額はアメリカや中国と比べてずっと小さいものです。</p>

<p>でも、想像力のない人にいくら「危機感を持って」と言ったとしても、リアルに危機を想像してもらうのは難しいでしょう。だからまずは実例をつくり、追随する企業を後押しする。そうやって無理やりにでも、取り残された企業が危機に陥るような状況をつくり出すことだと思っています。</p>

<p>もちろんeiiconだけで、すべてが解決できるとは思っていませんよ。現状eiiconでできることと言えば、ただ会うことだけですから。ただ、現状はそのただ会うだけにも多くのお金がかかっていたし、実現できていなかった。だから「まずは会おうよ」というのが、わたしたちが発信したいメッセージなのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0695final720.jpg">
<figcaption>まずは事例を積み重ねること。そこから少しずつ日本を変えていきたい。</figcaption>
</figure></p>
]]>
        <![CDATA[<p><aside><strong>中村亜由子</strong><small>インテリジェンス eiiconファウンダー</small>
<p>東京学芸大学を卒業後、2008年にインテリジェンスに入社。1年目はメディアプロデュース統括部に配属されDODAの編集に携わり、2年目に元々希望していた営業部へ異動する。産休・育休中に自ら考案したオープンイノベーションプラットフォームの新規事業案が、パーソルグループの新規事業起案プログラム「0to1」の初代採択事業として15年12月に採択され、事業責任者となる。17年2月に正式リリースを果たした。</p></aside></p>

<p>来週どの企業の人と会うべき？　まず名刺交換すべき担当者は誰？　その出会いを阻む壁は何？　どうすればその壁を越えていける？</p>

<p>それらの問いの解を求めて、この2月に企業と企業のビジネスマッチングを支援するサービス「eiicon」を立ち上げた、インテリジェンスの中村亜由子を取材した。</p>

<p>&#8220;オープンイノベーション&#8221;の必要性が叫ばれるようになって久しいが、どんな共創関係もまず出会わないことには始まらない。例えば、大企業が自社で新たな事業を立ち上げるのに、ある技術さえあればコストを大幅に削減できることが分かっているとする。そうした技術を持った外部のスタートアップがいるのなら、ぜひ提携したいと考えるだろう。だが、肝心のパートナー企業はどうやって見つければいいのか。</p>

<p>インターネットで検索したところで、最先端の技術を持った企業がピンポイントで見つかることなど稀だ。だから企業の担当者は、イベントを行脚して名刺交換を繰り返すことになる。しかし、それではあまりに非効率だし、足で稼ぐのにも限界がある。</p>

<p>この問題を解こうというのがeiiconだ。中村によれば、Eightが働く個人をつないで新たなビジネスチャンスを生み出そうとするのと同様に、eiiconは企業と企業の出会いを支援することが目的だという。中村がeiiconに込めた思いを通して、共創につながる質のいい出会いの条件とは何かを探る。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0687final720.jpg">
<figcaption>「eiicon」は、Ecosystem Innovation Inspire CONtact（エコシステム・イノベーション・インスパイア・コンタクト）の頭文字を取っている。ファウンダーの中村亜由子は、産休・育休中に事業案を練り上げたという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──日本企業のオープンイノベーションに関する現状をどう見ていますか？</strong></p>

<p>CCCさんや東急電鉄さんなど、先見の明がある企業はもう3、4年も前から、強烈な危機意識を持ってオープンイノベーションに取り組んでいますが、一般的にはまだこれからという企業がほとんどです。大企業が社内にオープンイノベーション戦略室をつくったとか、社長直轄の特命を受けて担当課長になったというような話はよく聞くものの、実際にはまだ何もやっていないというのが現状ではないでしょうか。</p>

<p>できていない、やっていない理由としてここ数年よく耳にするのが、そもそも最適なパートナー企業と出会えない、探せないという声です。そしてわたしが考えるに、出会えないというのには、こうした企業自身がいくつかの問題を抱えていることがあると思います。</p>

<p><strong>──その問題とは？</strong></p>

<p>1つは、オープンイノベーションに取り組む目的が明確になっていないことです。非常に「らしい」話なのですが、日本企業には周りがやりだすと、つられてやり始める傾向があります。こうした企業はブームに乗ってとりあえずやってみているだけだから、ふわっとした見切り発車になっている。それでは何も始まらないというのは当然です。</p>

<p>問題の2つめは、対外的に発信するスキームを持たないままに始めていることです。経産省が公表しているデータによれば、オープンイノベーションを推進することを意思決定している企業のうち、実に83%（「オープン・イノベーション等に係る企業の意思決定プロセスと意識に関するアンケート調査結果」※対象：日本国内の上場企業、時価総額 50億円以上の2,883社〈2015年現在〉〈経済産業省調べ〉）がそのことを対外的に告知していないのです。</p>

<p>これは、弊社が長年取り組んできた転職に置き換えて考えれば、ありえない話です。採用ページもなければ、求人広告も出していない。けれども人は欲しいと言っているようなものですから。つまり、出会えないのは、出会いを求めていることを相手が知らないからではないか、ということです。</p>

<p>さらに、こうした企業自身の問題に加えて、オープンイノベーション市場にはこれまで、企業同士が双方向にコミュニケーションできる場がなかったという問題があります。</p>

<p><strong>──というと？</strong></p>

<p>企業同士の出会いを後押ししようというプレイヤー自体はこれまでもいたのですが、基本的にはどれも、エージェント型のビジネスモデルでした。こうしたプレイヤーは大企業やスタートアップのデータベースを持っていますが、それを非公開にしています。クライアント企業からパートナー探しのオーダーをもらったら、エージェントが自社のデータベースを参照してピックアップするのです。</p>

<p>紹介してもらうのには当然、お金がかかります。そしてお金を払ったとしても、必ずしも満足いく相手と出会えるとは限らない。徹底して満足する相手と出会いたいと思ったら、別の相手を紹介してもらうのにさらにお金を払うことになります。</p>

<p>それが嫌なら、企業は自分で提携相手を探さなければならなくなりますが、当然それは困難を極めます。スタートアップからすれば、仮に提携したい大企業があったとしても、その中の誰が担当者なのかが分からずにたらい回しにされるストレスがありました。逆に大企業側からすれば、必要な最新技術というのはWebで検索するくらいですんなり出てくるものではありませんから、イベントを行脚して、ひたすら名刺交換することを強いられていたのです。</p>

<p>わたしたちeiiconがやろうとしているのは、まさにこうしたイベントで行われていたような双方向のコミュニケーションの場をWeb上につくることです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0674final720.jpg">
<figcaption>ネイルの文字に注目！</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──具体的にはどんな仕組みで？</strong></p>

<p>登録企業はマイページでやりたい事業内容や保有するリソースを明記します。eiiconは完全にオープンなプラットフォームなので、それを誰でも閲覧でき、気になったら直接メッセージを送れます。閲覧する側もマイページを持っているので、どんな企業が自社に興味を持ってアクセスしてきたのかも分かるというわけです。そうやってコンタクトを取り、実際に会い、お互いのやりたいことが一致して首尾よく提携に至ったとしても、一切利用料は発生しません。</p>

<p><strong>──なぜ無料であることにこだわるのでしょうか？</strong></p>

<p>それには、わたしがこのサービスを考案した動機が関係しています。わたしの親戚は地方で鋳造の工場を展開する中小企業を営んでいます。そのため、中小企業の経営や交流にまつわる話を聞く機会が多分にありました。そして、その中に提携先やパートナーを探す中小企業の話も多くありました。例えば、仲介してくれる地方銀行に多額のお金を払ってゴルフコンペをする、みたいなことですね。わたしはそれを見て、すごく不毛だと感じていたのです。</p>

<p>Webサービスであればもっと効率的に、かつ地理的な条件に縛られることなく、全国からいい条件のパートナーを探すことができるはずだと考えました。これが、eiiconを着想したきっかけです。つまり、ターゲットとして想定しているのは、こういった中小の製造業者の方々なのです。</p>

<p>全国にはイノベーションにつながるような技術力を持った中小企業がたくさんいます。ただ、そうした人たちは必ずしもITリテラシーが高いわけではないですから、いきなり有料のWebサービスでは絶対に使ってもらえないだろうと考えました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0589final720.jpg">
<figcaption>ローンチ前は不安でいっぱいだったが、いざ始めてみると多くの出会いが生まれ、心配は杞憂に終わったという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──ローンチから約2週間ということですが（取材は3月10日に行った）、利用状況は？</strong></p>

<p>これまでにないサービスなのでネガティブなシナリオも考えていたのですが、思っていたよりずっと出足がいいです。登録社数は現在約800社。そのうち約1割がいわゆる大企業です。先ほど申し上げたようにeiiconは完全オープンなプラットフォームですから、わたしたちの関与しないところでコンタクトが数十件発生していて、実際に面談調整が行われた例もすでにあります。</p>

<p><strong>──滑り出しとしては順調なようですね。ただ、こういったものは会うだけで終わっては意味がないわけですよね？　イノベーションにつながる「質のいい出会い」の条件をどう考えていますか？</strong></p>

<p>1つは、提携する企業同士のビジョンが合致していることです。投資家とスタートアップの関係であれば、市場が伸びそうかどうか、リターンが期待できそうかという単純な基準でもマッチングは成立するでしょう。しかし、企業というのはそれぞれ、何らかの社会課題を解決するために存在しているものです。提携しようという企業間で、何の課題を解決しようとしているのかというビジョンが合っていないと、足並みはずれていってしまいます。</p>

<p>もう1つは、抱えた課題と、それに対する解決策がマッチしていることです。eiiconであればこうした点について、お互いの掲載ページを見たり、メッセージのやりとりをしたりすることで、事前にすり合わせることができます。その上で実際に会うことで、本当にマッチしているのかを確認できる。この「あらかじめすり合わせておく」というところが重要だと考えています。</p>

<p>オープンイノベーションは、本当にそれが自社のビジョンに沿うもので、かつ社外のリソースを使わないと実現できないものでなければ、成功にはつながりません。ところが日本の企業の中には、先ほども触れたように、ブームだからとりあえずやってみたというところも少なくない。実際、企業によってはマイページの項目を書いている途中で、「本当にオープンイノベーションに取り組む必要があるのだろうか？」と筆が止まってしまうところもあるようなんです。</p>

<p><strong>──確たる目的なく取り組むのでは、いい出会いなど望むべくもないということですね。逆に、理想的な形でオープンイノベーションに取り組んでいる例として、中村さんがイメージするのはどんな企業ですか？</strong></p>

<p>周りの人たちがこぞって「P&amp;Gさんがすごい」と言うので、調べてみました。そして、調べれば調べるほどそのすごさを実感することになりました。</p>

<p>P&amp;Gさんがすごいのは、会社のウイークポイントをWeb上で誰でもが見られる形で晒していることです。普通に考えれば、自社の弱みは晒したくないものであるはずですが、すべてを晒すことで得られるメリットの方が大きいということが腹落ちしているのでしょう。オープンイノベーションが手法として社内で確立していることの表れだと思います。</p>

<p>eiiconのマイページにある「一緒に何をしたいか」という項目も、言い換えれば自社に足りない部分を告白しているようなものです。当初は「何ができないか」という項目名にしたかったくらいで。周りの拒否反応が大きかったので断念したのですが、本当にそこが重要だと感じています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A0676final720.jpg">
<figcaption>いまの国内のオープンイノベーションの状況は、昔のクローズドな人材紹介業のやり方に近い。だからこそ、人材サービスの知見が活かせるのではないか、と中村は考えている。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──弱みも含めて自分をパブリックな領域に晒すことで得られるメリットがあるというのは、企業も同じということですね。ただ、拒否反応を示す企業も多そうです。</strong></p>

<p>もちろん、チャレンジングな試みだということは承知しています。わたしたちが目指しているのはゲームチェンジャーになることですから。最初に触れたように、オープンイノベーション市場にはこれまでクローズドな仕組みしかありませんでした。そこにいきなりオープンな仕組みを出したわけですから、最初は拒否反応があって当然です。</p>

<p>ただ、これは転職の概念が日本社会に浸透していった過程と似ているとも思っています。</p>

<p>転職も、アメリカから黒船のようにしてヘッドハンターが入ってきた当時は、「日本は終身雇用の社会だから、誰も転職なんてしない」と言われていました。しかし、日本にもプロのヘッドハンターが現れ、そこから人材紹介のようなクローズドな仕組みができ、さらには求人広告を出してやりとりするオープンな仕組みへと進んでいった。いまではダイレクトリクルーティングで直にやりとりするまでになっています。</p>

<p><strong>──まさに御社が経験してきた道程ということですね。では、どうやって企業が持つ古い意識を変えていきますか？</strong></p>

<p>事例の積み重ねしかないと思っています。行列のできる店に並ぶというのが日本の国民性だとすれば、声の大きな人が「美味しい」と言えば、追随する企業は必ず出てきます。だからまずは、オープンイノベーションの実績を多くつくりたいと思っています。</p>

<p>いまの日本は相当な危機に置かれています。どういうデータを取っても今後は労働力が減っていくのは確実です。にもかかわらず、新しい市場を育てるための投資額はアメリカや中国と比べてずっと小さいものです。</p>

<p>でも、想像力のない人にいくら「危機感を持って」と言ったとしても、リアルに危機を想像してもらうのは難しいでしょう。だからまずは実例をつくり、追随する企業を後押しする。そうやって無理やりにでも、取り残された企業が危機に陥るような状況をつくり出すことだと思っています。</p>

<p>もちろんeiiconだけで、すべてが解決できるとは思っていませんよ。現状eiiconでできることと言えば、ただ会うことだけですから。ただ、現状はそのただ会うだけにも多くのお金がかかっていたし、実現できていなかった。だから「まずは会おうよ」というのが、わたしたちが発信したいメッセージなのです。</p>

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<img src="/uploads/_L2A0695final720.jpg">
<figcaption>まずは事例を積み重ねること。そこから少しずつ日本を変えていきたい。</figcaption>
</figure></p>
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    <title>これからの企業は「人間性」が問われる──松島倫明が語った世界の針路 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <id>tag:contents.8card.net,2017:/blog//17.7797</id>

    <published>2017-03-09T08:53:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:28:43Z</updated>

    <summary>ゲストに松島倫明氏（当時NHK出版編集長、2018年6月より『WIRED』日本版編集長）を迎え、2月28日に第5回「Eight Fireside Chat」が開催された。グーグルが共に取り組む、人工知能とマインドフルネスの関連性など、注目のメッセージをダイジェストでお届けする。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="イベント" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネスと思想" label="ビジネスと思想" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="マインドフルネス" label="マインドフルネス" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="編集者" label="編集者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/39604308050">松島倫明</a></strong><small>前NHK出版 放送・学芸図書編集部 編集長</small>
<p>主に海外翻訳書の版権取得・編集・プロモーションなどを幅広く行う。手がけたタイトルに、デジタル社会のパラダイムシフトを捉えたベストセラー『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140814047/">FREE</a>』『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140814543/">SHARE</a>』『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140815760/">MAKERS</a>』『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/414081697X/">シンギュラリティは近い[エッセンス版]</a>』のほか、2015年ビジネス書大賞受賞の『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/B00NQ3QONK/">ZERO to ONE</a>』や『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140816872/">限界費用ゼロ社会</a>』、Amazon.comベストブックにも選ばれた『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140817046/">〈インターネット〉の次に来るもの</a>』がある一方、世界的ベストセラー『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140814144/">BORN TO RUN 走るために生まれた</a>』の邦訳版を手がけてミニマリスト系ランナーとなり、いまは地元の山をサンダルで走っている。『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140813539/">脳を鍛えるには運動しかない！</a>』『<a href="">EAT＆RUN</a>』『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140816619/">GO WILD 野生の体を取り戻せ！</a>』『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140816775/">マインドフル・ワーク</a>』『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140817100/">JOY ON DEMAND</a>』など身体性に根ざした一連のタイトルで、新しいライフスタイルの可能性を提示している。2018年6月より、『WIRED』日本版編集長に就任。</p></aside></p>

<p>Business Network Lab（BNL）が主催する「Eight Fireside Chat」は、各界の第一線で活躍するゲストを招き、これからのビジネスネットワークについて語るトークイベントだ。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/02/nhk-matsushima.html">
<h4>前回のインタビュー</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/20170321122126-5f34fb8db9dc52f3c18119677fc9c6df9619f4cb.jpg">
<div class="info"><strong>時代を切り取る次のビッグアイデアは、PUBLICな領域から生まれる──NHK出版・松島倫明の仕事術</strong> <date>2017.02.09（木）</date></div>

<p></a></div></p>

<p>BNLが行った前回のインタビューで松島は、60年代後半の高度資本主義社会に対するカウンターカルチャーに端を発した、「テクノロジーによって、人間が個として持っているパワーを十全に発揮できることこそが正義だという価値観」が、現在のシリコンバレーの企業にまで一気通貫で受け継がれていることに触れた。</p>

<p>さらには松島自身もまた、学生時代からそうした思想に強い影響を受けており、編集者として手がけた翻訳書の数々は、デジタルテクノロジーを扱った『FREE』や『SHARE』にしても、フィジカルなテーマを扱った『BORN TO RUN』や『GO WILD』にしても、「人間性回帰」の下に等価に並べられるものであると語った。</p>

<p>前回のインタビューが現在から60年代へと過去を遡るものだったとすれば、今回試みるのは、現在から続く未来を眺望することだ。松島は今回のイベントの中で、「デジタルテクノロジーによって社会がどうなっていくかの筋道はおおよそ見えてきた。いまもっともアツいテーマは再び、人間性の側にある」と語った。</p>

<p>松島の目には、社会はこの先どんな筋道を辿っていくと映っているのか。そこで再び人間性が問われるとはどういう意味か。これが今回のトークの主たるテーマである。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8716final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>BNLのインタビュー記事はこちら。＜<a href="https://bnl.media/2017/170209_1.html">時代を切り取る次のビッグアイデアは、PUBLICな領域から生まれる──NHK出版・松島倫明の仕事術</a>＞</figcaption>
</figure></p>

<h3>働く必要のない社会が本当にやってくる</h3>

<p>働き方の未来はどうなるのか。会場からの質問でそう問いかけられた松島が取り上げた1冊が、ジェレミー・リフキンの『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140816872/">限界費用ゼロ社会</a>』だった。</p>

<p>「『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140814047/">FREE</a>』とか『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140814543/">SHARE</a>』をやっていた時から思っていたことですが、非貨幣経済圏が広がっていくというのはもう見えていることのように思います。貨幣経済というのがお金を媒介に何かをやりとりすることだとすると、そうではなく、社会関係資本、信頼関係とか思いやりとかを媒介にしてつながっていく経済というものが、おそらくこれからどんどん広がっていくのではないでしょうか。</p>

<p>デジタルになるものは基本、コピーするコストがタダ。かつこれからは、AIのパワーもある種、無尽蔵に使えるようになっていく。そうしたら、データに置き換えられるものは原理的にはどんどん無料でできていきます。かつてはさすがに物理的なモノに関しては当てはまらないと思えたのですが、『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140815760/">MAKERS</a>』が描いたように、いまやモノもデータにできてしまう。そうやって非貨幣経済が広がると、お金を稼げない代わりに、あまり使わなくてもいい社会がやってくるはずです。</p>

<p>ベーシックインカムが広がればなんとなく生活できるようになって、仕事は特殊な技能を持った人だけがやって、あとはAIやロボットがやるようになる。そういう社会が、ぼくらが生きている間に普通にくるのではないかと思います。そうすると、いままで仕事を生きがいにしていた人は、人間は何のために生きているのかとか、何にやりがいを感じるのかといったことを問われることになる。</p>

<p>稼ぐために働くという領域がますます減っていくわけですから、例えば『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140816775/">マインドフル・ワーク</a>』でもマインドフルカンパニーのひとつとして取り上げられているパタゴニアの創始者・イヴォン・シュイナードがかねてから主張しているように、仕事というものの社会におけるレイヤーがひとつ上がって、社会を良くするとか、人のためになることをするとか、利他的なことをすることとして捉えなおさざるを得ない。人のために何かをするというのは、ものすごく脳が幸せを感じる行為であることが科学的に分かっていますが、そのことにどんどん気付いていく社会がやってくるのではないかと思います」</p>

<p><figure>
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<figcaption>松島氏の洞察に富んだ話に、会場はどんどん引き込まれていった。</figcaption>
</figure></p>

<h3>《強いシンギュラリティ》と《弱いシンギュラリティ》の間で</h3>

<p>デジタルテクノロジーによってもたらされる未来は、レイ・カーツワイルが『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/414081697X/">シンギュラリティは近い</a>』で書いた《強いシンギュラリティ》と、ケヴィン・ケリーが『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140817046/">〈インターネット〉の次に来るもの</a>』の中で言う《弱いシンギュラリティ》の間のどこかに落ち着くだろう、と松島は言う。どういうことだろうか。</p>

<p>「いわゆる《シンギュラリティ》というのは、2045年に人工知能が人類を凌駕する時代がやってくる、その技術的特異点のことです。ある生物が自分より頭のいい生物なり知能なりを一度でも作れたら、作り出された知能はさらに頭のいい知能を作れることになる。そうすると、その瞬間から雪崩を打つように知能は上がっていくことになります。</p>

<p>そうなった時にその人工知能がぼくらを見ると、いまぼくらが蟻を見ているのと同じような、ちっぽけな存在として人間が見えるはず。そういう社会になるかもしれないというのが、ダークな意味でのシンギュラリティのシナリオです。</p>

<p>ただし、現在グーグルという世界最高の環境で人工知能の研究をしているカーツワイルは、本当にそういうダークな世の中になると思っているわけではありません。なぜ悲観的にならないで済むのかといえば、ぼくら人間には選択の余地があるからです。逆にいうと、どういう社会をつくりたいのか、どういうAIを周りに置いておきたいのかというのを、ぼくらの側が主体的に決めなければならない。</p>

<p>幸せとは何かを定義するのはなかなか難しいことですが、だからこそ、『ぼくらのウェルビーイングにどうテクノロジーを資するか』というのが、いまいちばん熱いテーマであるように思います」</p>

<p><figure>
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<figcaption>同じ登壇者に興味を持った参加者同士で会話を楽しめるのも、このイベントの魅力のひとつ。</figcaption>
</figure></p>

<h3>キーワードはCompassion</h3>

<p>かたやデジタルテクノロジーの最先端で人工知能研究に携わるカーツワイルと、東洋的思想に起源を持つマインドフルネスを西欧に広めるきっかけをつくった『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140817100/">JOY ON DEMAND</a>』の著者、チャディー・メン・タンとが、同じグーグルに籍を置いたことは示唆に富んでいる。</p>

<p>「カーツワイルが人工知能を研究しているというのも、それが人間社会のためになると考えているからだと思います。グーグルがもともと取り組んでいた、人類の全知識を集めて検索できるようにするということにしてもそうですが、要するにやっていることは『個人が十全に能力を発揮するためのツールを作る』という意味では同じです。</p>

<p>一方で、チャディー・メン・タンがグーグルで『Search Inside Yourself』というマインドフルネスをベースにしたメソッドを開発したのは、もちろん、それによって社員が充足感を感じたり、集中力やクリエイティビティを発揮したりすることを目指したからだし、その方が会社としても業績につながるからいいわけです。</p>

<p>ただ、例えばチャディー・メン・タンが新著で言っているのは、瞑想を突き詰めていくと、単にストレスが減るとか集中力が高まるというだけでなく、自己のメタ認知の先に他人との関係性やさらには社会や世界とのつながりまでが見えてくる。Compassion（＝共感力、思いやり）や利他の心、慈悲の心が養えることがいまや科学的にも分かっているのです。Compassionは、今年開催されたマインドフルネスの祭典『<a href="http://www.wisdom2summit.com/">Wisdom 2.0</a>』でもひとつのキーワードになっています」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8737final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>前回に続き、「<a href="http://crazykitchen.jp/">CRAZY KITCHEN</a>」による、名刺をテーマにした創作料理を提供した。</figcaption>
</figure></p>

<p>「グーグルやフェイスブックといったグローバルなテクノロジー企業には、そうした思想がプロダクトやサービス設計のレベルでも組み込まれています。</p>

<p>彼らが作っているのはいわば世界規模のインフラなので、ユーザーに寄り添い、あらゆるレイヤーで共感を喚起するような設計思想がないとスケールしないし、長続きしないと分かっているんです。</p>

<p>例えばフェイスブックのCEOマーク・ザッカーバーグは、『人と人とをつなげることによって、世界平和を実現したい』みたいな発言をします。いち企業が世界平和を語るのは一見すると不思議に思えるけれど、昔は政府や地方自治体が道路や橋を作ることで隣村同士がつながるみたいなことがあったとすると、いま人をつなげるインフラを作っているのは、現実にシリコンバレーのいち私企業なんです。国がやることだとかつては思っていたことの相当程度を、いまや彼らがやっている。貧困撲滅のために何十億ドルを使ったりする。その意味では、彼らはすでに『パブリック』な存在であると言えるでしょう。</p>

<p>こういう現実に対して、『でもザッカーバーグは選挙で選ばれたわけじゃないのに』と言って批判する人がいる。じゃあトランプの方が良かったのか。民主主義で選ぶのが正解なの？　という問いに、いまぼくらはまさに直面しているのだと思います。マインドフルネス的な価値観、あるいは『人間に資するテクノロジー』を標榜するシリコンバレーの思想は、もしかしたら国よりも大きくなって、ぼくらの生活に影響を与えていくようになるのではないかと思います。</p>

<p>テクノロジーはまるで進化の必然のように、これからもどんどん広がっていく。デジタルってそれこそ限界費用ゼロなんで、内発的なドライブが常にかかるわけです。そうすると後に残される問いは、テクノロジーがさらに広がった世界で、人間側は何を求めるのかということだけ。ぼくらは日々、そのことを問われているのかなと思います」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8739final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>懇親会では参加者同士で、紙の名刺交換に代えてEightでオンライン名刺交換を行った。</figcaption>
</figure></p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>「界隈性」が新ビジネスを育てる──コワーキングスペースFINOLAB・蓮村俊彰の共同プロジェクト成功論 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/03/finolab-hasumura.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2017:/blog//17.7794</id>

    <published>2017-03-03T06:55:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:10:51Z</updated>

    <summary>2017年2月にリニューアルオープンした「FINOLAB」は、金融（ファイナンス）とテクノロジーを組み合わせた「FinTech」に取り組む企業のための注目のコワーキングスペースだ。電通・蓮村俊彰が語る設立ストーリーから、ビジネスにおける「界隈性」の可能性を探る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="出会いからアイデアを生み出す" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/39255403131">蓮村俊彰</a></strong><small>電通 ビジネス・クリエーション・センター</small>
<p>学生時代にカメラマン業で法人化（起業）。約40カ国を取材。その後、社会的影響力のある組織でソーシャルビジネスを興したく電通に入社。電通主導のビジネスの新規開発に取り組む傍ら、空港民営化などのPFIコンセッション入札事業構想アドバイザリ業務などのPRE/PFIコンサルティング、新規商業施設開発事業構想コンサルなどに従事。 事業開発例として、2013年日本初のクラウドファンディングによるマスメディア放送「LISTENERS'POWER PROGRAM」事業を構想、立ち上げに参画。2016年日本初のFinTech産業拠点The FinTech Center of Tokyo 「FINOLAB」の事業を構想・設立に参画。現在も運営チームとして日々活動中。</p></aside></p>

<p>2017年1月、電通報に<a href="http://dentsu-ho.com/articles/4854">21世紀のイノベーションに必要な「界隈性」</a>、という記事が掲載された。</p>

<p>執筆者は電通ビジネス・クリエーション・センターの蓮村俊彰だ。彼は、2016年に金融とデジタルテクノロジーをかけ合わせた「FinTech」という世界的なスタートアップの潮流を日本でも広めたいと考え、大手町にシェアオフィス「FINOLAB（フィノラボ）」を設立する構想を立てた人物のひとりだ。</p>

<p>「界隈性」のシンプルな例は学生にとっての学生街だ、と彼は記している。</p>

<blockquote>
  <p>「今どこそこで飲んでいるから、おまえも来いよ」と友人に呼ばれて向かうと、呼び出してきた親しい友人もいれば、それほど親しくない顔見知りもいて、中には知らない学生もいる。たまたまその場に居合わせただけの人も一緒に騒いでいる。</p>

<p>しかし、そんな知らない人も、その日から友達になり、今度みんなで遊びに行く約束をする。こうしてコミュニティーやネットワークが広がってゆく。そんなコミュニティーのより所としての「たまり場」が、点ではなく面として街に散在し、機能している状態が「界隈性（かいわいせい）がある」状態なのだと思います。</p>

<p>（<a href="http://dentsu-ho.com/articles/4854">21世紀のイノベーションに必要な「界隈性」</a>より抜粋）</p>
</blockquote>

<p>日本でFinTechを盛り上げていくためには、イベントでたまに顔を合わせるだけでは足りず、界隈性のある「たまり場」をつくり、もっと日常的に交わる機会から生まれる「有機的な交流」を促す必要があると彼は考えた。</p>

<p>決して真新しい概念ではないが、その言葉には説得力がある。なぜならFINOLAB設立の経緯自体も有機的な交流から生まれたものだからだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8336final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>周りに聞かれたくない電話をする時に入る場所として、電話ボックスが設置されている。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──年初の電通報の記事が出てから、わたしの周りの編集・広告・マーケティングの人たちと話していると、「界隈性」がたまに話題にのぼるようになりました。</strong></p>

<p>そうなんですね。界隈性という言葉自体はすごく昔からあるもので、電通報で書かせていただいたことで、いままでご存知でなかった方にも知っていただく機会が広がったのかもしれません。</p>

<p><strong>──もともと建築業界でよく使われる言葉なんですよね？</strong></p>

<p>そうですね。建築家の方が不動産会社にプロポーザルを出す時に、「界隈性を重視する」という言葉が書かれていないことの方が珍しいくらいです（笑）。</p>

<p><strong>──蓮村さんの記事をきっかけに、もう少し広いビジネスの領域でも扱われる言葉になりつつあるのではないかと思います。</strong></p>

<p>そう仰っていただけると嬉しいです。概念として、いま「界隈性」という言葉が面白いと仰っていただいていますけれども、名前がちょっと変わっただけで、その重要性は、例えば渋谷に「ビットバレー」をつくろうとされた先輩諸兄の頃から共有されています。それをFINOLABは金融街でやろうとしているという話で、アナロジーとしてはそんなに新しいものではないと思っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8319final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>2017年2月にリニューアルオープンしたばかりだが、オフィスの個室はすでに満室になりかけていて、早くも増築する計画が立っているという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──「FINOLAB」は、最近リニューアルオープンしたそうですね。</strong></p>

<p>はい。最初は1年後に取り壊す予定だったビルに、仮の場所としてつくったのですが、その正式オープンが2016年の2月1日でした。その1年後に現在のこちらのビルに移りまして、今年の2月1日に正式リニューアルオープンしたばかりです。</p>

<p><strong>──当初はどういうかたちで始まったのですか？</strong></p>

<p>三菱地所、電通国際情報サービス、電通の3社で運営しているのですが、電通に所属するわたしの視点から立ち上げの経緯を説明しますね。</p>

<p><strong>──はい、お願いします。</strong></p>

<p>まずは電通国際情報サービス（以下、ISID）のメンバーとわたしの出会いから始まります。</p>

<p>ISIDは電通のグループ企業ではありますが、単独で東証一部に上場していまして、電通とは異なる事業基盤をもつ会社です。特にFINOLABを一緒にやっているISIDの金融ソリューション事業部と電通の間に人的交流はほとんどなく、もともとわたしも知り合いはひとりもいませんでした。</p>

<p>当時わたしは電通でクラウドファンディングの新規事業立ち上げに関わっていました。そのころ電通報WEB刊にISID金融ソリューション事業部の方がクラウドファンディングやFinTechの特集記事を寄稿していたので、著者の連絡先を調べて「あなたに会いたい！」と&#8220;ナンパ&#8221;したところ、会ってくれたのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8265final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>蓮村は、電通の社内で新規事業のアイデアを募集するコンテストに、クラウドファンディングの企画を応募した。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──蓮村さんの&#8220;ナンパ&#8221;から始まったんですね！</strong></p>

<p>そのころすでにISIDは「FIBC」というFinTechのビジネスコンテストを運営していたので、国内のFinTechのネットワークは築けていました。しかし、如何せん年に1回のイベントでは、次の年まで再び会うことはほとんどありません。仮に会いたくなったとしても、わざわざアポをとる必要があるからです。</p>

<p>ある日飲みの席でISIDの方々とお話していると、「毎日一緒にいられるような部室のような場所が欲しいんだけど、電通さんどこかいい場所ないかな？」という相談をいただいたのです。「ただ電通本社のある汐留というよりは、やはり丸の内の金融街がいいですよね」なんていう話をしていました。そうすると、非常に幸運なことにわたしの隣の席に座っていた部長が三菱地所さんのお仕事をさせていただいていたのです。</p>

<p><strong>──なるほど、そうやって3社がつながるわけですか。</strong></p>

<p>しかも部長からタイミングの良いことに「お前、SFC（慶應大学湘南藤沢キャンパス）出てるんならベンチャーとか、そういうの詳しいんだろう？　丸の内・大手町エリアに、活きのいい若者を集める良い方法なんかないかな？」と相談を受けたのです。そこで、数日前にISIDの人たちと飲み会の席で交わした話を思い出しまして、企画をつくってみることになりました。</p>

<p><strong>──それはタイミング良かったですね。</strong></p>

<p>ISIDと電通とで、三菱地所さんに「こういうことやってみませんか？」と提案しに行ったところ、「やりましょう！」ということになりました。3社の合意が取れてからの進展は早かったです。2015年の夏ごろ提案しに行って、年末にはもうFINOLABの施設ができました。</p>

<p><strong>──早いですね！ 参加企業も多く集まったのでしょうか？</strong></p>

<p>当初、参加企業数は1年で10社くらい集まることを目標にしていたのですが、蓋を開けてみれば1年で40社も興味を持って来てくださいました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8357final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>入り口には、会員の企業ロゴが一覧で掲示されている。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──こうしてお話を伺っていると、まさに「界隈性」からFINOLABは生まれたんですね。</strong></p>

<p>改めて振り返るとそうですね。同じ電通グループなのに、コミュニケーションがほとんど存在しなかったISIDをわたしがナンパしたところから始まりました。電通は汐留で、ISIDは品川にオフィスがあって、両社の間には少し距離があるのですが、品川で打ち合わせをしたり、新橋で飲んだりして、密にコミュニケーションをとるように心がけていました。</p>

<p>隣に座っていた部長も、すごく自分に目をかけてくれていてコミュニケーションがとれていたのです。そうでなければ、三菱地所の相談はされなかったことでしょう。</p>

<p>これは大企業でよく起きていることでしょうけれど、社内の断絶、縦割り、部内コミュニケーション不足といったものが、まさに界隈性が欠落して新しいイノベーションが起きない原因のひとつになっているのではないか、という気はします。</p>

<p><strong>──電通報の記事では、「有機的な交流」という言葉も使われていますね。</strong></p>

<p>記事の中で、有機的な人間関係を築くためには、個人の顔で、ほぼ毎日会っているような関係じゃないと築けない、といったようなことを書いたと思います。それって実は職場の人間関係と近い話なのです。FINOLABの会員の方々には、職場の同僚、先輩、後輩の人間関係と同じようなものを、違う会社の人とこの場所を使って築いて欲しいと願っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/content_kaiwaisei02_02.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>電通報の記事<a href="http://dentsu-ho.com/articles/4909">「界隈性は、イノベーションのゆりかご」</a>より。(図作成：電通報)</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──電通報の記事で掲載された図解では、毎月と毎日の間にFINOLABとして「目指すべき領域」があるようですね？</strong></p>

<p>職場や学校だと、毎日絶対会わなければいけないという義務が発生して、有機的な交流の悪い側面が出てくることもあります。でもFINOLABは別に毎日来なくてもいいんです。週に1回だけ来るのでもいいんです。そうやって会員の皆さんが自発的に自由に集まれる場というのが、いまわたしの中ではひとつの理想としてあります。</p>

<p><strong>──毎日会うのと、年1回程度会う。その中間にあるような機会はこれまでなかったのでしょうか？</strong></p>

<p>イベントとしてはありますよ。例えば、一般社団法人FinTech協会の前身となった「FinTech Meetup」は毎月開催され、コミュニティとしては大きな規模に広がっています。自分もFinTech協会の会員なので、よく参加していました。でもやっぱり固定の場所がないと、Meetupでお会いした方にわざわざ会う時間をつくっていただく必要がありました。</p>

<p><strong>──「界隈性」を生み出していくために、何か個人レベルで意識してできることはありますか？</strong></p>

<p>まず自分で動かないとダメでしょうね。FINOLABはFinTechスタートアップ会員を公募していません。紹介ベースが原則です。日本のFinTechコミュニティで積極的に活動していれば、FINOLABを紹介して下さる業界の有識者の方々の誰かに必ず巡り合うはずなので、そのような方法にしています。</p>

<p>どうしても組織は大きくなるとガバナンスをとらなければいけないので、官僚機構が生まれざるを得ないとは思うのですが、官僚的になっていく組織に所属する個人は、意識的に違う部署やグループ会社の知らない人に突然ナンパして「飲みに行こうよ！」と誘ってみたりされてもいいですし、その方が面白いことができると思います。</p>

<p>FINOLABのメンターを担ってくださっているFinTech業界の有識者団体「FINOVATORS」の代表理事、増島雅和弁護士との出会いも、クラウドファンディングのセミナーで登壇されていた増島先生に、わたしが飛び込んでいき、ご挨拶させていただいたのがきっかけです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8309final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>大手町という場所柄、多くのメンターがすぐ近くで働いていることもFINOLABの大きな強みになっているという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──これからのFinTechの展望は？</strong></p>

<p>FinTechはいろんな領域があるので、一括りでは語れないですけれど、自分がやってきたクラウドファンディングの話で言うと、資本主義の仕組みみたいなものが変わるのではないかと思っています。</p>

<p>ソーシャルメディアが流行り始めた頃から言われている話ですけれども、もう新しく事業を立ち上げたい人が、いわゆる投資家に、別に頭を下げて出資してもらわなくても、その人がやりたいことが社会から共感を集める価値のあることだったら、一般の人から必要なリソースは集まってくるような時代になりつつあります。</p>

<p>そうすると、資本と呼ばれているものの性格や相対的な価値はおそらく下がっていき、資本家の利殖の手段という側面がなくても、新たな事業を立ち上げられるようになっていくと思うのです。生活共同組合みたいな仕組みがワールドワイドでICTの力で回るような、そういう世界が、すべての産業では起きないかもしれないですけれど、結構たくさんの産業で起きていくのではないかと思っています。FinTechの中でも特に話題のブロックチェーン技術も、そんな新しい社会経済を支える技術的裏付けになりそうな期待があります。</p>

<p>基本的に企業は上場すると、株主の利益を最大化するためにどれだけROIを上げるかという話になってくるのですけれども、生活共同組合みたいな団体は、「出資者＝顧客＝一般生活者」であり、その人たちが共生する社会の利益を最大限に考えるインセンティブ構造になるので、基本的にはソーシャルグッドを追求します。そのためグローバルでクラウドファンディングなどの仕組みを通して資金や経営資源を調達したら、グローバルに社会貢献し続けないと怒られてしまうので、従来のように場合によって社会利益と相反することもある株主利益を追求するあまり、世の中にソーシャルバッドなことを行うインセンティブはより少なくなっていくと思います。</p>

<p>近年「資本主義はもう限界だ」なんていう言説も多いですが、それに対してFinTechが何か具体的な方法論を提示できるような日がひょっとしたらやってくるのかなと、個人的には期待しています。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>こうすれば大企業の新規事業はうまくいく──\QUANTUM井上裕太が体現する「チェンジ・エージェント」としての生き方 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/02/quantum-inoue.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2017:/blog//17.7787</id>

    <published>2017-02-24T03:42:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:11:09Z</updated>

    <summary>マッキンゼーでキャリアをスタートし、長く日米企業の新規事業創出のコンサルティングに携わってきた井上裕太。オープンイノベーションで日本の企業の事業開発を加速させるべく、シリコンバレーで定着している「Startup Studio」という事業形態を国内の企業環境に合わせて展開する。そのプロジェクトに込めた想いを、彼のキャリアからひも解く。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="出会いからアイデアを生み出す" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/6216598015">井上裕太</a></strong>　<small>\QUANTUM Startup Studio 事業責任者　General Manager</small>
<p>慶應義塾大学卒業後、マッキンゼーで日米欧の顧客への経営コンサルティングに従事。被災した若者のリーダーシップ育成支援を行う財団法人の創設・経営を経て、独立。日米で航空・教育・人材・デジタルマーケティング・不動産等の新事業創出支援、スタートアップの経営支援を実施。文部科学省のプロジェクト・オフィサーとして官民協働海外留学支援制度の立ち上げにも参画。現在は、\QUANTUMでオープンイノベーションによって事業開発を加速させるStartup Studio事業の責任者を務める。</p></aside></p>

<p>&#8220;スタートアップをつくるスタートアップ&#8221;とも呼ばれる組織形態「Startup Studio」が、数年前からシリコンバレーで注目を集めている。</p>

<p>エンジニアリング、デザイン、事業開発、マーケティングなどの新規事業を立ち上げ、育てるために必要なすべての機能を備えていることが特徴で、そのリソースを駆使することで新しいスタートアップを生み出したり、投資先の事業を成長させたりすることを目指す。</p>

<p>このStartup Studioのアプローチを日本に持ち込み、大企業のイノベーション促進にも活用しようというのが「<a href="https://www.quantum.ne.jp/">\QUANTUM</a>」の試みだ。2015年には、アクセラレーターという立場から、NTT西日本とスタートアップ企業の共創を促進させるビジネスコンテストを支援。16年には共同事業者として、パナソニックによる新技術の商品化を推し進め、世界最大のクリエイティブ・ビジネス・フェスティバル「SXSW」への出展を果たすなど、着実に成果を積み上げている。</p>

<p>Startup Studio事業の責任者を務める井上裕太は、マッキンゼー出身のコンサルタントとして日米の企業で長く新規事業創出の支援を行ってきた人物である。ビジネスネットワークを活用し、企業の変革を促す「チェンジ・エージェント」としての\QUANTUMの活動に込めた想いを、井上自身の歩んできたキャリアからひも解く。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND2835final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>国内で「Startup Studio」という組織形態はまだあまり見られないが、井上は大企業で新規事業を生み出す、日本ならではの展開の可能性を見出した。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──まだ日本では聞き慣れない、Startup Studioとは？</strong></p>

<p>一般的に世界でStartup Studioと言った時に意味するのは、VC（ベンチャーキャピタル）のいち形態のようなものです。アメリカではベンチャー企業をいかに生み出すか、という仕組みが時代によってどんどん変わってきています。</p>

<p>その昔はひとつの企業を立ち上げるために、非常に多くの資金が必要な時代がありましたが、2000年代初頭から、極論でいえばひとりでもアプリがつくれるようになりました。それにともない、多くのベンチャー企業に少額投資して、それが多産多死にならないようにシードアクセラレーターが育成する、という仕組みが増えていきました。</p>

<p>AirbnbやDropboxを見るとこの仕組みはうまくいっているようにも見えますが、成功例はごくひと握りです。最近では揺り戻しのように、1社あたりの投資額を増やして、立ち上げから成長するところまで、時にはハンズオンと言われるような形を超えて、VC側が中に入り込んでつくっていく、という流れが生じています。これが一般的な意味でのStartup Studioです。</p>

<p><strong>──\QUANTUMが掲げる「Startup Studio」は、何が違うのでしょうか。</strong></p>

<p>仕組み自体は一般的なStartup Studioと似ていますが、それをベンチャーに限らず、大企業が新規事業を生み出す場面にも生かそう、という思想でやっています。また、必ずしも投資をしてリターンを得るというビジネスモデルにこだわらず、フィー型やレベニューシェア型なども組み合わせて事業を展開しています。</p>

<p>大企業もベンチャー企業も、新規事業をつくりたいと思った時にはそれぞれ足りないリソースがあります。そういうものをすべてまとめて用意したり、両者をつなげたりするだけではなく、時にはわれわれ自身が中に入り込んで一緒につくっていきます。</p>

<p>われわれが果たす役割は案件によって変わります。フルでやる場合には、アイデアを出して事業計画を作るところから始まり、プロトタイプを作ってユーザーテストを行い、どうローンチするかを考え、実際に発売して成長させていくところまで一緒に実施していきます。事業主体の一員としてJV（ジョイントベンチャー）を設立する、あるいは、経営者を派遣するところまで踏み込むケースも少なくありません。</p>

<p>\QUANTUMにはエンジニアリング、デザイン、事業開発、マーケティングなど、バックグラウンドの異なるさまざまなメンバーが揃っているので、パートナー側の状況に応じて足りない役割をこちら側が担い、チームを組成できます。</p>

<p><strong>──\QUANTUMが入ることで、大企業の新規事業創出にはどのようなメリットがありますか。</strong></p>

<p>会社の中の人だけで挑戦する場合と比べて、3つのメリットがあると考えています。</p>

<p>すべてのプロセスを大企業の中でやるとなると、非常に多くの時間がかかります。アイデアひとつ、事業計画ひとつ通すのにもいくつもの経営会議を通さなければなりません。大企業のブランドを使って世の中に出すためには、クオリティチェックにさらに2年以上かかったりもします。われわれが間に入ることで、こうしたボトルネックを乗り越えて、時間をグッと短縮できます。これが、1点目のメリットです。</p>

<p>例えば、一昨年から昨年にかけてあるパートナーと進めた新事業をつくるプロジェクトがあります。アイデアと事業案をつくるところからわれわれが入って進めたのですが、通常であればその後の流れは、アンケートをとって、コンサルティングファームに頼んで事業計画書をつくり、半年後の経営会議にかけて、ようやく実行するかどうかを決める、といったプロセスになるはずです。しかしそれでは遅すぎますよね？</p>

<p>そこで、\QUANTUM名義でとりあえずプロトタイプをつくり、ユーザーやパートナー候補と対話することができるトレードショーに出展する、という提案をしました。費用も弊社が持ちます。パートナーとしてはローリスクなので意思決定がしやすくなりました。現地で得たフィードバックをもとに、その後の事業開発を進めていくことができました。</p>

<p>2点目のメリットは、足りない知見を補えることです。先ほどのパートナーの例で言えば、彼らはハードウエアをつくり続けてきた人たちなので、ハードウエアをどう作ればいいか、どうマーケティングすればいいか、ということには長けていますが、そこにソフトウエアが関わってきたり、さらにサービスとして設計することにまでなると、社内の知見だけでは足りません。</p>

<p>\QUANTUMには先ほども触れたように、さまざまなバックグラウンドの人間が揃っていますので、足りないものをその場その場で補いながら進められます。</p>

<p>3点目は、例えば冷蔵庫をずっとつくり続けてきた人が、生鮮食品の配送サービスもやろう、となったとしても、どのように意思決定すればいいか分からず、最初の一歩が踏み出せなくなります。そういう時に「パートナーとして事業にコミットする事業主体者がすでにいる」という事実が、意思決定を後押ししてくれるところがあると思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND2863final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>企業の中で眠る起業家たちへ。「Be A Founder（起業家であれ）」。このプロジェクトにかける井上の想いが、\QUANTUMのエントランスで表現されている。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──とはいえ大企業とベンチャーを組み合わせること、あるいはそこに\QUANTUMが入ることによって、新たに生まれる問題や難しさもありますよね？</strong></p>

<p>もちろん山ほどあります。細かいところで言えば、大企業はいわばベンチャーの作法的なものが分かっていないことが多いので、「とりあえずもう1回ミーティングしてもらってもいいですか？」「こういう資料も作ってもらっていいですか？」「もうひとり役員と会ってもらっていいですか？」などとなりがちです。</p>

<p>ベンチャーからすれば貴重な経営リソースを割くことになるのですが、大企業側にはそうしたことへのコスト意識が希薄なのです。だからぼくらが間に入って、そうした問題を一つひとつ解いていくことになります。</p>

<p>もっと根本的な問題は、そもそもなんのためのオープンイノベーションなのかが曖昧な場合が多いことです。上司にオープンイノベーションをやれと言われたからとか、オープンイノベーション室長という役職になってしまったのでとか、冗談みたいな話が結構多いのです。</p>

<p>提携はあくまで事業を進めるため、ボトルネックを越えるためのものでなければなりません。こうした意図のない単なる提携には意味がないと思っています。</p>

<p><strong>──そうした難しさを乗り越えるために意識してやっていること、挟んでいるプロセスはありますか？</strong></p>

<p>いちばん大事なステップは、経営課題が何であるかを最初の段階で明らかにすることです。そのやり方には、議論する中でこちらが把握すればいいケースもあれば、一緒に研ぎ澄ませていく必要がある場合もあります。経営課題が明らかになって初めて、本当にベンチャーと提携するのがいいのか、あるいは、われわれが入って実証実験をしていくのがいいのか、ということが描けるようになります。</p>

<p>逆に言えば、その先にある、どうやってベンチャーを連れてくるのかとか、どうマッチングするのかとか、そこからどう成果につなげていくのかは、目的さえはっきりしていればなんとかなるものです。</p>

<p>例えばベンチャーに提携を持ちかける際にも、なんとなく「提携しませんか？」よりも、「こちらはAが欲しいです。代わりにBを提供できます」という言い方ができた方が圧倒的にスムーズに行きますからね。</p>

<p>もうひとつ大事にしていることを挙げるとするなら、小さな成功を細かく積み重ねることです。提携は必ずしもすぐに大きなインパクトが出るわけではないので、放っておくと社内のモメンタムがどんどん落ちていってしまいます。プレスリリースを出すとか、プロトタイプを作るとか、目に見えて示せるものを出すということも意識してやっています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND2884final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>\QUANTUMには、ひと通りのものづくりはできる人員と設備が揃っている。それぞれが異なる専門性を持っているため、案件ごとに最適なチームを結成して取り組んでいる。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──一方で、それだけの知見とリソースがあれば\QUANTUMとして独自に新規事業をやることも可能だと思うんです。そもそもなぜいまのような活動をやろうと思ったんですか？</strong></p>

<p>根本には、日本企業の持っているポテンシャルを本当はもっと活かせるのではないかという想いがあります。</p>

<p>ぼくは長い間、コンサルタントとして大企業の新規事業開発に携わってきました。その中で、大企業の中にも熱いパッションを持った人がいるのに、それが十分に発揮できずに苦しんでいる様子をたくさん目にしてきました。</p>

<p>実際に調査してユーザーのニーズがあることは分かっている。マーケットの規模的にも十分にインパクトがありそうだ。にもかかわらず、それをやると意思決定するのに何度も経営会議を通さなければならなかったり、PLをもっと精緻にしろだとか、フリーキャッシュフローの見立てが甘いだとか、本質的でないことに阻まれて、なかなか形にできないでいる。そこをうまく突破できさえすれば、日本企業からはもっといろんな事業が出てくるんじゃないか、と思うのです。</p>

<p>一方ではベンチャー企業も、例えばブランドや信頼がないことを理由に苦しんでいます。こちらもまた、リソースさえ揃えばもっと大きなインパクトを出せるはずです。</p>

<p>そう考えたら、両者を結びつけるとか、両者の中にわれわれが入って足りない部分を補えれば、われわれだけでやるよりずっと大きなことができるのではないか、というのが\QUANTUMを立ち上げた発想です。</p>

<p><strong>──井上さんの中でそうした問題意識が芽生えたのはいつ頃のことですか？</strong></p>

<p>ぼくはもともとマッキンゼーという会社でコンサルタントをやっていたのですが、東日本大震災がきっかけとなって辞め、2011年に被災地の子供のリーダーシップ育成を支援する財団を立ち上げました。その活動の中で接した子供たちが大きな志を持って頑張っているのに刺激を受けて、ぼく自身ずっと胸に秘めていた「シリコンバレーに行く」という想いを実行に移そうと、2012年に個人事業主になりました。</p>

<p>フィールドマネージメントというコンサルティング会社等にお世話になりながら、日米を行き来して企業の新規事業開発のコンサルティングをやりつつ、その過程では『WIRED』の北米特派員を任されて、現地のテックイベントなどを取材したりするようになりました。さっき言ったような問題意識が芽生えたのは、ちょうどこの時期です。</p>

<p>かたや、シリコンバレーのカフェで出会った起業家志望のスタンフォードの学生が、2年後には上場寸前まで漕ぎ着けたということをニュースで耳にする。一方でその2年間をかけて手伝っていた日本企業では、事業と直接関係のない人を説得するのに追われて、いまだに事業化することさえできていない。このままやっていては日本はまずいことになるという危機感が募っていきました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND2754final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>WIREDの記事がきっかけとなり、井上はTBWA\HAKUHODOの新規事業開発の相談を受けることに。そこで企画・提案したStartup Studioの原型となる案を自らリードするべく同社にジョイン。いち部署として始まったものが分社化し、いまの\QUANTUMがある。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──何度かのキャリアチェンジを経て、現在の活動につながる問題意識を深めていったということでしょうか。仕事を変える際には、常にご自身の中に課題意識があったということですか？</strong></p>

<p>何かしらの思いがあったことは確かですが、最初から自分の中でハッキリとした形になっていたわけではないと思います。</p>

<p>というのも、例えばコンサルをやっていた時に地震が起きて、何かできることはないかと思っていたら、人づてでそうした仲間とつながることができ、財団を立ち上げることになりました。その後も明確に転職しようと思っていたわけではないけれど、その時おぼろげに思っていることはあって。そうした時にたまたまチャンスが来たという感じでしたね。</p>

<p>財団を実際にやり始めてからも、最初はフルタイムでやるつもりなんて全然なくて。やっていくうちにそれがめちゃくちゃ大事な事業だということに気づいていったというのが本当のところです。</p>

<p>自分では明示的に方向性を定めることができていなくても、ぼんやりとでも課題意識を抱えている人であれば、何かきっかけさえあれば飛び込むことができますよね。誰かに言われて初めて、自分はこういう活躍の仕方もあるんじゃないかと気付く人というのは、ぼく以外にも案外多いような気がします。</p>

<p><strong>──スキルの面で、いまにつながる武器のようなものを確立できたと思えたのはいつ頃ですか？</strong></p>

<p>ちゃんと課題を整理する方法とか、ストーリー仕立てにすることで経営者の意思決定を後押しできるとかいった基礎的なスキルは、最初に入ったコンサルティング会社での4年半で学んだことです。それがあるおかげで、どんな状況においても何かしらの価値を提供できるだろうという、根拠のない自信のようなものが出来上がったと思います。</p>

<p>一方で、自分の得意技のようなものって、ひとつの組織の中に居続けていては気付けないものじゃないですか。それに気付くことができたのは、コンサルティング会社から出て、たまたまお手伝いをしたいくつかのNPOの人たちに言われたことがきっかけでした。</p>

<p>こちらからすれば当たり前のことをしているに過ぎないのだけれど、ごちゃごちゃした会議の中に入って話を聞きながら、その内容を整理して、ストーリーとしてまとめたら「やることがこんなにハッキリしたのは初めてだ！」とめちゃくちゃ感謝されて。そうした経験を重ねる中で、もしかしたらファシリテーションや、組織をある方向にグッと変える時にその「チェンジ・エージェント」の役割を担うことは、自分の得意技なのかもしれないなと思うようになっていきました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND2905final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>日本の大企業はまるで鎖国状態だという。企業の変革を促す「チェンジ・エージェント」に求められる期待は大きい。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──「チェンジ・エージェント」というのはまさに\QUANTUMの活動に通じる話ですね。3年間活動を続けてきて、大企業のあり方も変わってきているというのを感じますか？</strong></p>

<p>変わってきていますし、変えられるものなんだなという手応えもあります。</p>

<p>例えばあるプロジェクトでタッグを組んでいる方は、既存のやり方や本来の職務を乗り越える仕事の仕方をするので、社内で「問題児」と称されることもあるらしいんですが、「そういう問題児のようなアクションができるのは、\QUANTUMと一緒に仕事をする中で、どうすれば事業が前に進み、価値として企業に返ってくるのかを学べたからだ」と言ってくれています。</p>

<p>事業をつくる上ではそういった社内起業家精神、コーポレートアントレプレナーシップが不可欠だと思うのですが、\QUANTUMの活動を続けていくと、そうしたものを持った人がどんどん増えていくのを実感します。最初は一緒にプロジェクトを進めた部署の人だけがそうした「問題児」だったのに、その仕事ぶりを見た隣の部署の人にまで伝播していくのが分かるんです。</p>

<p><strong>──実はそういう思いがある人は大企業の中にもいっぱいいて、ボトルネックがあってあきらめていただけだった、ということ？</strong></p>

<p>そういうことだと思います。しかも、その「山ほどいる」という幅は、われわれが思っている以上に広い。</p>

<p>例えば、あるパートナーと一緒に進めている別の事例で、社内起業家育成のプログラムがあります。このプログラムを通じて社内で事業案を募集すると、普段工場で制服を着て品質管理をやっているおばちゃんからも、事業案が出てきたりするんです。「実はいま親の介護をしていて、それがものすごく大変なんだ。それはこういうものがあれば全部解決できる。だから作りたいんだ」みたいな感じで。企画部としてもびっくりですよね。ビジネスサイドにいる血気盛んな若い人たちから出てくるものだと思い込んでいるから。</p>

<p>その方なんかはもうユーザーそのものなんで、ユーザーの課題のど真ん中に答えていく。しかもパッションがあるんで、本当に起業家みたいなんですよ。「すでに〇〇人にヒアリングしてあります！」「専門家の先生も連れてきました！」「プロトタイプも自分で作ってみたんですけど！」みたいな感じで。</p>

<p>こういう人はたくさんいると思うんですけど、それが目に見える形になったのは、このプログラムを始めたからですよね。われわれはこうしたプログラムのことを「出島」と呼んでいます。</p>

<p><strong>──「出島」って長崎の、ですか？</strong></p>

<p>そうです。鎖国時代も出島だけは違うルールで運営されていて、色々なことがOKだったじゃないですか。だからこそそこを経由して色々な知識が入って、イノベーションが生まれていったと思っていて。</p>

<p>いまの日本企業って、それこそ鎖国時代と同じくらいガチガチに縛られているところがあるので。だから「みんなで出島をつくろう」と言っているんです。さっきのプログラムもそうだし、\QUANTUM自体が出島のようなものでもありますよね。出島をつくると、これまでのルールから解放され、みんな急に動き出すという実感はものすごくあります。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND2849final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>日本をもっと良くしたい。そのためには、人がもっと自由に移動できることが重要だという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──面白いですね。そうした\QUANTUMの活動の先に、究極的には世の中がどうなっていったらいいと考えていますか？</strong></p>

<p>もっと多くの人が、いろんな組織を自由に行き来できるようになったらいいなと思っています。</p>

<p>さっきの出島の例もそうだし、ぼく自身がいまのような問題意識を持てたり、自分の強みに気付けたりしたのも、会社を出ていろんな組織を行き来したからです。個人事業主時代には文科省の中で働いていたこともありますし、大企業の中にも、ベンチャーの中にも行きました。そうやって自由に行き来できるようになったら、もっと活躍できる人がいっぱいいるし、閉塞感も減ると思います。</p>

<p>例えば大企業にいた人が行政に行ったらできることがあるし、ベンチャーにいた人がNPOに行ったらできることがある。セクターをまたぐと、あるところでは急に自分の価値が上がることがあって。それをみんながやったら、お互いにすごくいいことが起こると思います。なので、いい意味でもっともっとグチャグチャな世の中になっていったらいいなと思いますね。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>モノで人の心は動く──ソニー新規事業創出部・藤田修二が語る、デジタル以後の社内起業 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/02/sony-fujita.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2017:/blog//17.7779</id>

    <published>2017-02-16T07:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:11:32Z</updated>

    <summary>視覚と聴覚に訴えかけて人の心を動かすエンターテイメントは、デジタル・テクノロジーによって変わった。では「嗅覚」はどうだろうか？　化学と香りの研究をベースに、パーソナルアロマディフューザーの製品化に成功したソニーの開発者、藤田修二が見出したのは、社内外のビジネスネットワークを味方につける「モノの力」だった。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="出会いからアイデアを生み出す" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/39605426055">藤田修二</a></strong><small>ソニー（株） 新規事業創出部　OE事業室 統括課長／AROMASTICプロジェクトリーダー</small>
<p>東京大学大学院卒。博士（理学）。大学の研究室では、分子生物学や基礎医学に関するバイオの研究に従事。2009年にソニーに入社し、市販のジュースなどに含まれるブドウ糖で発電する酵素触媒燃料電池の研究に携わる。本業の研究の合間に、同部署の仲間とともに香りデバイスの開発をスタートしたが、2012年から1年間、社内留学制度でハーバード大学へ行くことになり企画は中断する。帰国後は、神奈川県厚木市の先端マテリアル研究所でカメラやロボットで応用が期待される素子や、医療向け製品の研究を担当。2015年に、新規事業創出プログラム（Seed Acceleration Program、SAP）へ、パーソナルアロマディフューザーの企画書を提出し、選考を突破。ソニー本社の新規事業創出部へ移り、プロジェクトリーダーとして、2016年10月に「AROMASTIC」の製品化を実現。感覚を解き放つ香りの可能性をいかし、&#8220;香りのエンタテインメント&#8221;を目指して活動中。</p></aside></p>

<p>Business Network Labのインタビューシリーズ「ビジネスネットワークのものさし」は、こんな問いを掲げてスタートした。</p>

<blockquote>
  <p>自分のビジネスネットワークを効果的に活用している人は、</p>

<p>「名刺の枚数」という&#8220;ものさし&#8221;だけで、</p>

<p>引き出しに眠る名刺の束を数えて満足してはいないはずだ。</p>

<p>彼らはいったいどんな&#8220;ものさし&#8221;を持っているのだろうか。</p>
</blockquote>

<p>今回登場してもらうのは、ソニー新規事業創出部の統括課長、藤田修二。</p>

<p>ソニーは、これまで世界最先端のデジタル・テクノロジーを用いて、時代を先取りするエンターテイメントを世に提供し、多くの人の心を動かしてきた。</p>

<p>しかし、もはや人の心を動かす新製品は最近ぱっと思いつくものがないという印象を抱く人も現れ始めた。人をわくわくさせるものを生み出すハードルの高さはソニーの開発者としていちばん実感していた、と藤田は話す。そこで彼は考えた。ソニーのお家芸は、エンターテイメントで人の心を動かすこと。そこにもう一度立ち戻り、聴覚と視覚の次は、「嗅覚」に狙いを定めた。技術はデジタルではなく、化学で攻める。</p>

<p>ソニーの新規事業創出プログラム「Seed Acceleration Program（SAP）」を通じて、ハーバード大で磨き上げた先端化学のスキルと、自社で開発した3Dプリンター、そして、社内外のビジネスネットワークを上手く活用して、2016年10月にパーソナルアロマディフューザー「<a href="http://scentents.jp/aromastic/">AROMASTIC（アロマスティック）</a>」の製品化を実現した。</p>

<p>ウォークマンがかつて音楽を持ち運び可能なものとし、人々のライフスタイルを変えたように、AROMASTICは香りを持ち運ぶことで新しいライフスタイルを提案する。そのインパクトのあるコンセプトに注目が集まり、発売時、多くのメディアが取り上げている。ソニーのような大企業で、ひとりの開発者の名前がメディアに大きく取り上げられることは稀である。</p>

<p>そんな藤田のビジネスネットワークの"ものさし"は、モノを介することで生まれる「人の心の動き」だ。AROMASTICを世に送り出す過程において、藤田はたびたび、モノが人の心を動かすことの威力を実感したという。それは、ソニーが創業以来追求してきた「ソニーらしさ」そのものでもある。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_9770722final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>AROMASTIC開発のために香りの知識を習得した藤田は、アロマテラピー検定1級を取得している。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──AROMASTICのアイデアは、どこから生まれたのでしょう？</strong></p>

<p>SAPにAROMASTICのアイデアを提案するより前に、業務外でVRのコンテンツに香りを組み込む研究をしていました。研究を始めたきっかけは2つあります。ひとつは社内のヘッドマウントディスプレイ（HMD）開発者との会話、もうひとつは業務として携わっていた別の開発を通じて得られた経験です。</p>

<p>HMD以前にも3Dテレビというものがありました。左右の目に違う画像を見せることで立体的に見せるという原理はどちらも一緒ですが、3Dテレビでは2つの画像が微妙に重なってしまうのに対して、HMDであれば完全に別にすることができます。それが高い没入感やワクワク感につながっているという話をVRの開発者から聞き、人の心はちょっとした違いで大きく動くものなのだということを知りました。</p>

<p>では、その「ちょっとした違い」とは何なのか。当時わたしはジュースを注ぐことで発電する電池という未来を感じさせる電池を開発していました。その仕組みを言葉で説明することももちろんできるのですが、展示会などで実演することで得られる反響は、単に説明したのとは比べ物にならないくらい大きなものでした。</p>

<p>ここには、「実演してみせること」と「化学反応」という2つの意味でモノが介在しています。デジタルなテクノロジーでさまざまなことができる時代になったいまでも、リアルなモノが介在することが人の心を動かす可能性がある。そうした発想からスタートしてたどり着いたのが、香りを扱うことでした。なぜなら、嗅覚というのは視覚などの他の刺激と違い、デジタルに変換されない物質的なシグナルだからです。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=xhoy06ZLOfg
<figcaption>AROMASTICのプロモーションビデオ。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──当初VRの研究として始まったものが、なぜAROMASTICの「香りを持ち運ぶ」形になったのですか？</strong></p>

<p>わたし自身が留学することになり、仲間との業務外の研究が続けられなくなったという事情もありましたが、それ以上にVRのコンテンツを作るのには非常にコストがかかるため、こだわりたかった「形にしてちゃんと届ける」ことのハードルが高いと感じたからです。</p>

<p>留学を終えて帰国すると、社内でSAPのプログラムが立ち上がっていました。応募するにあたって改めて考え直したところ、香りはそれだけで人々の生活に浸透しており、映像や音楽と組み合わせるまでもなく、ひとつのコンテンツとして成立していることに気付くことができました。とはいえ、最終的に香りだけで勝負できると確信を持てたのは、プロトタイプを作ってみてからです。</p>

<p>同僚の女性に試してもらうと、驚きと喜びの反応が返ってきました。さらによくよく聞いてみると、従来の携帯用アロマ製品に対しては、使うのに手間がかかったり、持ち運んでいる時に壊れやすかったりと、色々と不満を抱えていることも分かりました。であれば、香りをもっと気軽に自由に使うというコンセプトを喜んでくれる人は結構いそうだと思うことができました。</p>

<p><strong>──藤田さんは最終製品として「形にする」ということにすごくこだわりをお持ちのようです。ある意味、研究者らしくないとも感じるのですが。</strong></p>

<p>そうかもしれません。研究は、続けようと思えばいつまででも続けられてしまう性質のものです。ただ、企業の研究所における基礎研究は、製品を作る部門からすれば、世の中に多くある選択肢のひとつでしかないという側面もあります。そう考えると、研究者とはいえ形にして世の中に出すことにこだわる仕事の仕方もあるのではないか、というのがわたしの考えです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_9677final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「AROMASTIC」の製品名は「STICK」のKではなく、Cで終わる形にすることで、形容詞的な何にでもかかる語感を表現している。「どんなシチュエーションでもどんな人でも、きっと役立てることがあるのではないか」という、藤田の思いが込められている。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──そう考えるようになったきっかけは？</strong></p>

<p>きっかけは、大学院に進む際に指導教官から贈られた利根川進先生の言葉です。利根川先生は「重要なテーマでもそうでないテーマでも研究をやるからには一生を費やすほどの大変な時間がかかる。どうせやるなら重要なことをやりなさい」ということを言っておられます。この言葉を受けてわたしは、どうせやるのであれば、人の生活を変えるようなインパクトのあることをやるべきだ、と考えるようになりました。</p>

<p>このことは、わたしがソニーに入社した動機であるとも言えます。</p>

<p><strong>──というと？</strong></p>

<p>ソニーは一貫して一般消費者向けの製品で勝負し続けている会社です。多様な嗜好が存在する一般消費者向けの領域は難しい分野ですが、そこに対して「モノを通じて新しいライフスタイルを提案する」という挑戦をし続けているところがカッコいいと感じました。</p>

<p>入社してしばらくはデバイスの研究開発に携わることになったので、そうした初心を忘れかけたこともありましたが、留学先のアメリカでそれを思い出させてくれる出来事がありました。ソニーの名前はアメリカでもよく知られていますから、興味を持って最近ソニーは何を出しているのか、と聞かれます。そこで「スマートフォンのイメージセンサ」と答えると、あまり芳しい反応は返ってきませんでした。</p>

<p>イメージセンサの技術レベルがいかに高くても、ソニーのブランドはやはり、最終製品で一般消費者を相手に勝負し続けたことで確立されているのだと改めて認識させられることになりました。翻って、わたしたちがソニーでやるべきことは、そうした部分でお客様の期待に応えることではないか。そういう思いを強くして帰国したことが、SAPに応募することにもつながったと思います。</p>

<p><strong>──研究だけをやっていた時と比べて、必要な仕事の量も幅も増えたのではないですか？</strong></p>

<p>それはおっしゃる通りです。商品を出して終わりではないので、それを多くの人にどう認知してもらうかというマーケティング的なことも、1年後にどう使われていてほしいかというブランディング的なことも毎日考えています。考えているだけでなく、商談に行って掛け率の話をしたり、特許申請の具体的なところまで踏み込んだりと、かなり細かい仕事もやっています。</p>

<p>どれも研究所時代にはありえなかったことです。煩わしくないんですか？とよく聞かれますが、自分の中では不思議と違和感がないんです。おそらく、モノを形にして届けるという目的から考えると、本来はすべてのプロセスがつながっているものだと考えているからだと思います。もちろん、大企業において実際にそのすべてを経験できるというのは非常に稀なケースであり、恵まれている話だとも思いますが。</p>

<p><strong>──形にすることが人の心を動かすということを、AROMASTICのプロジェクトを通じて藤田さん自身が感じる場面がありましたか？</strong></p>

<p>例えば、今回香り成分を提供してくれているのは英国の伝統的なオーガニックコスメ会社であるニールズヤードレメディーズですが、元々は何のつながりもなく、お客様サポートに1通のメールを送るところから始まりました。運良く英国本国の代表や日本法人の社長とお会いすることができ、ほぼ即決で協力してもらえることになったんですが、あとから聞いたところによると、こちらの熱意や本気度が伝わったことが決め手になったようです。</p>

<p>プレゼンには基板ムキ出しのプロトタイプを持っていきました。そして、最初にそれを作った時にわたし自身が感じた可能性をそのまま伝えました。いまにして思えば、モノが介在しているからこそ伝わった熱というものがあったのかもしれません。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_9693final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>インタビューは、ソニー本社の1FにあるSAPのスペース「クリエイティブラウンジ」で行った。ブラックボードや3Dプリンターに囲まれて、新しいものづくりのアイデアを刺激する空間が広がっている。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──実際にAROMASTICを世の中に出した後の反応という意味ではいかがですか？</strong></p>

<p>人のつながりが急拡大し、名刺の数も増えました。自分はもともと社交的なタイプではないですが、モノを出すと向こうからドアをノックしてもらうことができます。このことは、もちろんそこからビジネスが広がるという意味でもあるのですが、一方ではお客様と直接つながれることの価値も感じています。</p>

<p>先日は抗がん剤治療を続けているお客様とお話しする機会があり、それまでは治療が苦痛でしかなかったのだけれど、AROMASTICを使うことで前向きになれるようになったと言っていただきました。モノがお客様の心を動かしたという話でもありますし、そういう話を聞くとこちらとしても勇気がもらえます。こうした出会いも、モノを介していることの威力なのではないかと感じています。</p>

<p><strong>──AROMASTICに限らず、最近になってソニーからまた新しいモノが次々生まれている印象を受けます。中にいて感じる変化や、背景として考えられることはありますか？</strong></p>

<p>やはりSAPというプログラムの存在が大きいと思います。もちろんこれまでにもさまざまなかたちで新規事業創出を推し進めるための取り組みはありましたが、いずれも「形にする」というところまでたどり着くのが難しかったのではと想像しています。</p>

<p>SAPがそれらと最も違うのは、既存の事業領域にとらわれないビジネスアイディアの事業化を目指していることと、オーディションを通ると、提案者がオーナーとなってプロジェクトを進める&#8220;実際に組織図上に存在する&#8221;組織を持てるところです。オーナーシップがないと、研究所から発案したとしても結局はどこかの事業部に引き取ってもらわなければならないし、事業部側もメーンの事業をやりながらのことなので、どうしても本腰を入れることが難しい。その点でSAPという制度が果たしている部分は大きいと感じます。</p>

<p><strong>──そういった仕組みが機能するには一方で一人ひとりのマインドセットやカルチャーも大切になってきそうですが？</strong></p>

<p>おっしゃる通りだと思います。しかしその点で言えば、新しいモノを作ることをよしとするDNAのようなものがソニーにはあります。先ほどわたし自身がソニーに入社した動機をお話ししましたが、新しいモノを生み出し、人々のライフスタイルを変えるという部分に惹かれているのは、ソニーで働く人に共通したところであるような気がします。</p>

<p>SAPに応募する際にプロトタイプを制作していた時も、本来の業務は別にあったわけですから、業務外のことであっても新しいものを生み出すことに理解のある上司の存在なしには、成り立たなかったと思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/IMG_9585final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「カスタマーを満足させるためのモノをこしらえようか、というのは人間の心の問題だと思う」。ソニーの創業者のひとり、井深大が残したこの言葉が、「香りを通して人の心にアプローチしたい」と考える、藤田のものづくりの思想に生きている。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──そうしたDNAの他にも、モノを作る上でソニーであることの強みを感じることがありますか？</strong></p>

<p>ギフトショーなどでベンチャーの人と交流すると、やはりものづくりの部分で苦労しているのだと感じます。その点、大企業には製造メーカーとしてのパワー、ノウハウ、そして人がいることが大きいと思います。</p>

<p>AROMASTICのプロジェクトでは、3Dプリントによる量産装置をゼロから作るという、ソニーとしても前代未聞のやり方を試みています。当初は工場の人たちからも現実的ではないと反対されたのですが、相当にハードなスケジュールだったにも関わらず、最終的にはなんとか形にしてくれました。つくづく、ソニーにはものづくりのプロフェッショナルが揃っていると感じます。</p>

<p>わたし自身、仲間からはよく、みんなができないと思って逡巡している間に勝手にスタスタ歩き出してしまうタイプのリーダーだと評されます。そのことが結果的にチームの推進力になっているというのですが、わたしが「できないかもしれない」と思うまでもなく歩き始めてしまう背景には、そうしたものづくりのプロに対する信頼があるような気がします。</p>

<p><strong>──そうしたものづくりのプロフェッショナルに囲まれて、香りで人々のライフスタイルを変える取り組みは今後、どう進んでいきそうですか？</strong></p>

<p>ソニーはエンターテインメントの会社と言われますが、わたしはエンタメを「楽しい」だけでなく、喜怒哀楽の情動すべてを指す言葉として捉えています。つまり、テクノロジーを使って喜怒哀楽すべての面で人の心を動かし、新しいライフスタイルを提案するというのがソニーらしいと思っています。</p>

<p>その点で、香りには大きな可能性があると思っています。なぜなら、嗅覚は「情動脳」と呼ばれる大脳辺縁系につながっていて、大脳皮質の処理なしに本能的に喜怒哀楽に直接作用する唯一の感覚器官だからです。この数十年で世の中は効率化が進みました。それ自体は正しいことだと思っていますが、一方で例えば「ストレス社会」という言葉は、まったく手付かずの状態で40年前と変わらず残っています。</p>

<p>ちょっとしたことでそうしたところを改善できたら、それが大きな幸せにつながるかもしれません。香りとテクノロジーにより、そういうことに真面目にアプローチしていきたいと考えています。 </p>
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    </content>
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    <title>2月28日（火）、NHK出版編集長・松島倫明をゲストにトークイベント「Eight Fireside Chat」開催 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/02/fc-vol5.html" />
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    <published>2017-02-09T06:11:00Z</published>
    <updated>2017-03-31T15:07:04Z</updated>

    <summary>BNLで取材した人を招き、毎月開催しているトークイベント。今月のゲストはNHK出版で主に海外翻訳書の編集を手がける松島倫明。グーグルやフェイスブックなど、シリコンバレーの企業の根本にある「思想」を学ぶ。先着45名。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
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        <category term="2月の特集" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BNL Fireside Chat" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="EVENTS INFO" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>Business Network Labで取材した人をゲストに招き、編集長の丸山が1対1で質問を投げかけるトークイベントシリーズ「<a href="https://bnl.media/eight-fireside-chat.html">Eight Fireside Chat</a>」。</p>

<p>第5回はNHK出版の編集長、松島倫明氏をゲストに迎え、2月28日（火）の夜に開催する。</p>

<h3>シリコンバレーの「思想」を学ぶ</h3>

<p>クリス・アンダーソン（『WIRED』前編集長）のベストセラー『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140814047/">FREE―〈無料〉からお金を生みだす新戦略</a>』を始め、レイ・カーツワイル（現グーグル開発責任者）の『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/414081697X/">シンギュラリティは近い</a>』や、ピーター・ティール（ペイパル共同創業者／投資家）の『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/B00NQ3QONK/">ZERO to ONE―君はゼロから何を生み出せるか</a>』、ケヴィン・ケリー（『WIRED』初代編集長）の『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140817046/">〈インターネット〉の次に来るもの</a>』など、松島は翻訳書を通して、デジタルテクノロジーが世界にもたらすパラダイムシフトを日本に紹介してきた。</p>

<p>一方で、ジョン J.レイティ（ハーバード大学医学大学院准教授）の『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140816619/">GO WILD 野生の体を取り戻せ! ―科学が教えるトレイルラン、低炭水化物食、マインドフルネス</a>』や、クリストファー・マクドゥーガル（『Men's Health』エディター）の『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140814144/">BORN TO RUN 走るために生まれた──ウルトラランナーVS人類最強の&#8220;走る民族&#8221;</a>』など、身体や自然をテーマとしたタイトルも手がけている。</p>

<p>一見、接点はないようにも思えるが、松島によると、実は密接なつながりがあるという。世界のデジタル・テクノロジーの発展の歴史は、どこを切り取っても、根本には「人間回帰」の思想が流れている。彼はその文脈に沿って翻訳する本を選んできた。</p>

<h3>「マインドフルネス」を日本ではどう受け入れるべきか</h3>

<p>この数年、松島は、デジタル・テクノロジーと人間回帰の思想が重なるテーマの書籍を2冊出版している。ひとつは「グーグルやフェイスブックも始めている！」と、アメリカの多くのIT企業が瞑想を取り入れている実態をリポートする『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140816775/">マインドフル・ワーク 「瞑想の脳科学」があなたの働き方を変える</a>』。もうひとつは、グーグル社内で瞑想を流行らせたチャディー・メン・タンの新刊『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140817100/">たった一呼吸から幸せになるマインドフルネス JOY ON DEMAND</a>』である。</p>

<p>彼がこうした本に興味を持ったきっかけは、最近の脳科学の研究により、瞑想はトレイルランニングと似たような効果が期待できることがわかってきたことだ。このアメリカの新しいムーブメントを日本に紹介することで、単に最先端のデジタル・テクノロジーを追い求めるだけではなく、その根本にある思想も一緒に取り入れてほしい、というのが、どうやら松島の思いとしてあるようだ。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2017/02/nhk-matsushima.html">
<h4>インタビュー記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/20170321122126-5f34fb8db9dc52f3c18119677fc9c6df9619f4cb.jpg">
<div class="info"><strong>時代を切り取る次のビッグアイデアは、PUBLICな領域から生まれる──NHK出版・松島倫明の仕事術</strong> <date>2017.02.09（木）</date></div>

<p></a></div></p>

<p>Business Network Labで公開したインタビュー記事では、翻訳書の編集者としての仕事術を余すところなく紹介している。ただ松島の深い思考の道筋を辿るには、1時間のインタビューでは足りなかった。</p>

<p>改めてじっくりと彼の思考に対峙してみたい。Eightユーザーの皆さまと共にさまざまな質問を彼に投げかけてみたい。そのような思いから、第5回「Eight Fireside Chat」のゲストとして、お招きする運びとなった。</p>

<h3>「Eightでつながる」体験ができる懇親会も</h3>

<p>トーク後の懇親会では、イベントのテーマにあわせてオーダーメイドでつくる「<a href="http://crazykitchen.jp/">CRAZY KITCHEN</a>」の料理をご提供する。</p>

<p>また、参加者同士、互いに業界・業種は違えど、同じゲストに興味を持って集まったからこそ生まれる貴重な出会いのきっかけを、Eightの<a href="https://bnl.media/2016/160311.html">オンライン名刺交換機能</a>を使って演出する。</p>

<p>直接松島氏とお話して、また多くの参加者とつながり、ビジネスの新たな機会を探ってみよう。先着45名。ご応募はお早めに！</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8892final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>毎回Eightでオンライン名刺交換をすることで、さまざまな新しい出会いが生まれている。</figcaption>
</figure></p>
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    </content>
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    <title>時代を切り取る次のビッグアイデアは、PUBLICな領域から生まれる──松島倫明の仕事術 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2017-02-09T06:08:40Z</published>
    <updated>2020-01-07T05:23:08Z</updated>

    <summary>デジタル社会のパラダイムシフトを捉えた『FREE』『SHARE』『MAKERS』『シンギュラリティは近い』や、身体性に根ざした新しいライフスタイルを提案する『BORN TO RUN』『GO WILD』『マインドフル・ワーク』など、注目の翻訳書をNHK出版で手がけ、2018年6月より『WIRED』日本版の編集長に就任した、松島倫明の思考に迫る。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="編集者" label="編集者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/39604308050">松島倫明</a></strong><small>前NHK出版 放送・学芸図書編集部 編集長</small>
<p>主に海外翻訳書の版権取得・編集・プロモーションなどを幅広く行う。手がけたタイトルに、デジタル社会のパラダイムシフトを捉えたベストセラー『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140814047/">FREE</a>』『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140814543/">SHARE</a>』『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140815760/">MAKERS</a>』『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/414081697X/">シンギュラリティは近い[エッセンス版]</a>』のほか、2015年ビジネス書大賞受賞の『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/B00NQ3QONK/">ZERO to ONE</a>』や『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140816872/">限界費用ゼロ社会</a>』、Amazon.comベストブックにも選ばれた『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140817046/">〈インターネット〉の次に来るもの</a>』がある一方、世界的ベストセラー『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140814144/">BORN TO RUN 走るために生まれた</a>』の邦訳版を手がけてミニマリスト系ランナーとなり、いまは地元の山をサンダルで走っている。『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140813539/">脳を鍛えるには運動しかない！</a>』『<a href="">EAT＆RUN</a>』『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140816619/">GO WILD 野生の体を取り戻せ！</a>』『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140816775/">マインドフル・ワーク</a>』『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140817100/">JOY ON DEMAND</a>』など身体性に根ざした一連のタイトルで、新しいライフスタイルの可能性を提示している。2018年6月より、『WIRED』日本版編集長に就任。</p></aside></p>

<p>BNLのインタビューシリーズ「ビジネスネットワークのものさし」は、こんな問いを掲げてスタートした。</p>

<blockquote>
  <p>自分のビジネスネットワークを効果的に活用している人は、</p>

<p>「名刺の枚数」という&#8220;ものさし&#8221;だけで、</p>

<p>引き出しに眠る名刺の束を数えて満足してはいないはずだ。</p>

<p>彼らはいったいどんな&#8220;ものさし&#8221;を持っているのだろうか。</p>
</blockquote>

<p>今回登場してもらうのは、NHK出版の編集者、松島倫明。</p>

<p>彼は書籍編集者として、主に海外からの翻訳書を手がけている。ベストセラーになったクリス・アンダーソンの『FREE』から『SHARE』、『PUBLIC』と続く共有経済について論じた3部作をはじめ、デジタル時代のパラダイムシフトとなるような印象的な仕事が多い一方で、『BORN TO RUN』、『GO WILD』、『JOY ON DEMAND』などの作品を通じて、トレイルランニングやマインドフルネスをライフスタイルに取り入れることの意義を説く。</p>

<p>松島にとっての&#8220;ものさし&#8221;は、『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140815132/">PUBLIC―開かれたネットの価値を最大化せよ</a>』の中でジェフ・ジャービスが論じた、プライベートでもない、かといって仕事のプロフェッショナルの領域でもない、パブリックと呼ぶべき共有地のような場所にある。いくつものレイヤーが折り重なったパブリックに自らを開くことが、次のビッグアイデアの着想を呼び込むという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9792final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140814047/">FREE 〈無料〉からお金を生みだす新戦略</a>』は、『WIRED』US版前編集長クリス・アンダーソンによる世界的ベストセラー。発売と同時にインターネットで無料配布が行われ、注目を集めた。
</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──松島さんは、手がけた本に書かれていることをよく実践されています。フリーミアムについて論じた『FREE』は、発売時にネットで無料配布して話題を呼びました。ほかにも、トレイルランニングのキャンプに参加したり、鎌倉に移住したり。しかも、そうしたライフスタイルをSNSで発信することにも積極的です。</strong></p>

<p>編集者とひと口に言っても、翻訳編集者の仕事はかなり特殊です。いわゆる編集業務以前に、どのコンテンツを日本に持ってくるかを見定める部分が、業績という意味ではパフォーマンスの5割くらいを決めます。そして、そのコンテンツをどうやって日本で出していくのか、つまり日本での文脈づくりも非常に重要になります。なぜなら、ただ単に海外から持ってきただけでは、日本の読者からすれば何の文脈もないぶつ切りのコンテンツになってしまう。その著者のことも知らなければ、海外でどのような文脈でこの本が読まれているのかということも分からないからです。</p>

<p>文脈づくりというのは、タイトルや装丁はもちろん、イベントなどのプロモーション、さらには自分自身も含めてそのコンテンツをどう受取り、実践するかだと思っています。『FREE』の無料配布はそれがうまくいった例ですし、『BORN TO RUN』に出会って、自然の中を走るのであればもはや東京ではないだろうと思い、鎌倉へ移住することにしました。</p>

<p>そうやって自分のライフスタイルを発信することは、将来の読者がその本を読む文脈を日本でつくっていくことであると同時に、わたし自身にとっての次の仕事への文脈にもなっています。実践し、発信することが新たな出会いや着想を呼び込み、次の関心へと自分をドライブさせてくれるのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9769final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>ネットの記事はすぐに忘れてしまう。書籍だって細かな内容までは覚えていない。でもタイトルや表紙を見れば、読んだ時の濃厚な記憶が蘇ってくる。いまの時代に本が持つ他にはない価値がそこにある、というのが松島の考えだ。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──文脈をつくることを意識するようになった、きっかけは何かありますか？</strong></p>

<p>原点はやはり、2009年から毎年１冊ずつ出した『FREE』『SHARE』『PUBLIC』の3部作ですね。『FREE』を出すまでは、わたし自身、Twitterのアカウントを持ってはいても、使うことはありませんでした。しかし、『FREE』のプロモーションを通じて、SNSの破壊力をまさに肌で感じることができました。そこには人のつながりによって生まれるいわゆる信用経済や、その後にシェアリング・エコノミーと呼ばれるようなものの萌芽が感じられました。</p>

<p>では、そういった世界について書かれた本はないか。そう思って探して出会ったのが『SHARE』です。ただ、いまでこそシェアリング・エコノミーはマスメディアで取り上げられるまでになりましたが、当時はそうしたものがすぐに日本に根付くのは難しいように思えました。そして、根付くためのポイントは、テクノロジーよりも、むしろ人間側のマインドにあるようにも感じられました。そのことが『PUBLIC』の刊行につながっていったのです。</p>

<p>『PUBLIC』は3冊の中ではあまり売れなかったのですが、ビジネスネットワークを考える上では、いまでも非常に重要な1冊だと思います。プライベートでもない、かといって仕事のプロフェッショナルの領域でもない、コモンズ（共有地）のような領域の重要性について書かれているのがこの『PUBLIC』という本なのですが、そこから生まれるコミュニケーションや仕事の破壊力のすごさを、わたし自身、いま身をもって体感しています。</p>

<p><strong>──というと？</strong></p>

<p>例えば、『BORN TO RUN』を刊行したことでSNSを通じてたくさんのランナーコミュニティと知り合い、たくさんの仲間ができました。一緒に海外のトレイルレースに出たり、ランのイベントを企画したり、海外の事例を取材して日本に紹介したりするんですが、それはもう、『BORN TO RUN』の延長でありながら、それだけじゃない、いわばPUBLICに開かれた活動を続けているわけです。</p>

<p>また、鎌倉に移住したのは『ZERO to ONE』を刊行した直後だったので、IT系スタートアップの方々に興味があって地元の「<a href="http://kamacon.com/">カマコン</a>」という、いまで言うシヴィックテックのはしりのようなグループの仲間に入れてもらったんです。そうすると、単にITだけじゃない地元ならではつながりというのがそこに横断的に生まれていて、例えばカマコンからスピンオフした、鎌倉の禅文化を世界に発信する「<a href="http://zen20.jp/">ZEN2.0</a>」といったプロジェクトにも参画しています。</p>

<p>トレイルランもカマコンも、わたしにとって仕事ではありませんが、そこから派生するさまざまな中から、たくさんの仕事が生まれます。ビジネスはビジネス、プライベートはプライベートと区切るより、その間の領域にいくつものレイヤーが重なって、ごちゃ混ぜになっていた方が面白い。そういう場をいかに確保するかが大事だと感じています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9830final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>書籍は出版後にその本を取り巻くネットワークが価値になる。読者のコミュニティから次に翻訳したいテーマが見つかることも多いという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──そうした文脈づくりも手伝っているのでしょうが、松島さんの手がけた本には、読む前と読んだ後とで世界の見え方が変わるような、大きな変節点となっているものが多いような気がします。社会が変わっていっているようにも見えるし、自分自身の生き方を見直さざるを得ないような気持ちにもなるんです。</strong></p>

<p>デジタル化が進む中で、他の多くのものと同様に、本というメディアの立ち位置も変わってきていると思うんです。このネットワーク化された時代の中で、本は従来のようなスタティック（静的）なものではなくなってきている、とわたしは考えています。</p>

<p>あらゆるものがリアルタイムに流れていく時代です。だからこそ、人はその情報の流れの中に楔を打ち込みたいと考えるんだと思います。例えば、ざっくりとひとまとまりに見える情報や思索の塊について、「それってこういうことだよね」ということを、アンカリングしたいと考える。本はそのための重要なメディアになるんです。</p>

<p>なぜなら、本には装丁やタイトルがあるからです。本というメディアの不思議なところは、読者は本の何ページ目の何行目に何が書かれていたかといった細かいことを、まず覚えてはいないことです。その代わりに、装丁やタイトルが記号となって、どんなことが書いてあったかを概念として思い出すことができるし、それをさまざまなものと関連付けることができる。だから、それが共通言語となって他者とのコミュニケーションが簡単になるんです。</p>

<p>そう考えた時に、本はそれ自体としてだけ存在しているのではないことがわかります。何を知りたくてその本を読んだのかとか、読んで何を思い、読んだ後で何を考え、どう行動したのかといった、周縁の情報も含めて価値を持つ。そして、そうしたものの集合が、次に読む人の文脈にもなる。それが、わたしが本がスタティックではないと言うことの意味です。</p>

<p><strong>──周辺情報も含めて価値になるというのは、例えばSNSでシェアされるようなWebの記事も同じと言えませんか？</strong></p>

<p>確かにそうかもしれませんね。ですが、本というメディアはフローな情報と比べて、ずっと足腰の強いものです。わたしが本をつくることで目指しているのは、来週、来月に忘れられるようなものではなく、5年後、10年後に社会がどうなっていくのかというパラダイムシフトを示すことです。先ほど、読者は本の細かいところを覚えられないものだと言いましたが、だからこそなおさら、本をつくる上では「ビッグアイデア」といえるテーマにこだわりたいと思っています。また、それは翻訳書が得意とする、いわば翻訳書に求められる役割でもあるとも思っています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9805final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>2007年のオリジナル版は600ページ以上の超大作。当時、日本で「シンギュラリティ」という言葉はほとんど知られていなかったため、原書のタイトルのままでは、売れる気がしなかったという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──5年後、10年後を見据えた本をつくることと、ビジネスとをつなげるのには難しさがありそうです。</strong></p>

<p>もちろん、そのすべてがうまくいくわけではありません。5年後、10年後を見据えているからこそ、翻訳書は早振りしがちなんです。『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/414081697X/">シンギュラリティは近い</a>』はその典型でした。いまでこそ、「シンギュラリティ」という言葉が話題に上るようになったし、著者のレイ・カーツワイルもシンギュラリティ大学を立ち上げ、グーグルで人工知能の研究をするなどスポットライトを浴びていますが、刊行した2007年は「シンギュラリティ」を日本語で検索しても、まったく引っかからない時代でした。原題そのままでは誰も読まないだろうと思って『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140811676/">ポスト・ヒューマン誕生</a>』という邦題にしたのですが、当時はカルト的な人気の域を超えませんでした。</p>

<p>「手がけた本をいろんなところで見るから、さぞ売れてるんでしょう」とよく言われるんですが、『FREE』以外は爆発的なベストセラーというわけではありません。ビジネス的にいちばん美味しいのはレイトマジョリティーと呼ばれる一番分厚い層を捉えることですが、いい意味でも悪い意味でもわたしにはそこの能力はないんだと思っています。</p>

<p>ただ、部数では測れない価値もあると思っています。バーっと売れて読み捨てられて、3年後に振り返ったら恥ずかしく思うような本を作るよりは、時代を変えたとか、時代を捉えたひとつのキーワードのような本を作りたいと思って、日々取り組んでいます。</p>

<p><strong>──それにしても松島さんの仕事の幅は広いと感じます。一方にはデジタルの文脈があり、もう一方にはフィジカルの文脈がある。しかし同時に、そこには共通した何かがあるようにも感じられるから不思議です。</strong></p>

<p>最近、わたしの仕事の起点として挙げることが多いのが『Whole Earth Catalog』です。1960年代後半から70年代にかけてヒッピーのバイブルになった本ですが、そこにあるのは、「人間の自然回帰」とか「人間性回帰」の思想です。戦後の高度資本主義社会の中で起こる大量生産・大量消費、さらには一人ひとりがそうした社会を回すピースとして教育されていたことに対するカウンターとして、もう一度「ひとりの人間としての個を取り戻さなければならない」という思想が根底に流れています。</p>

<p>『Whole Earth Catalog』はカタログなので、色々なものが並列に紹介されています。キャンプ用品やDIYのやり方のようなものもあれば、最新の物理学の理論や、禅やメディテーション、ヨガなども載っていました。それらはすべて「個を取り戻す」という共通の目的のためにあるものです。そしてその中のひとつとして、デジタルテクノロジーもあります。コンピュータはそれまでひとつの部屋くらいある巨大なもので、それを使えるのは政府機関や一部の大企業に限られていましたが、それを個人が自分の能力を発揮するためのツールにしたのがパーソナル・コンピュータ、というわけです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A9775final720.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>アメリカで生まれたデジタルテクノロジーの根本には、人間性回帰の思想があるという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──年齢的には松島さん自身は『Whole Earth Catalog』の世代ではないですよね？</strong></p>

<p>わたし自身は1993年に創刊した『WIRED』を通じてそうした思想の影響を受けました。当時の大学の卒業論文のタイトルは「DIGITAL LOVE &amp; PEACE」というもので、カウンターカルチャーや当時の学生運動がデジタルテクノロジーと思想的にどうつながっているかを論じました。</p>

<p>けっきょく、『Whole Earth Catalog』の思想は一気通貫で2010年代までつながっているんです。昨年刊行した『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4140817046/">〈インターネット〉の次に来るもの―未来を決める12の法則</a>』の著者ケヴィン・ケリーは『WIRED』の創刊編集長ですが、『Whole Earth Catalog』の編集を手伝っていました。デジタルテクノロジーを扱った『FREE』や『SHARE』と、フィジカルなテーマを扱った『BORN TO RUN』や『GO WILD』は、わたしの中では『Whole Earth Catalog』のように等価に並べていいものなのです。</p>

<p><strong>──松島さんが手がけた本が、『Whole Earth Catalog』のような、ひとつの思想にもとづいたカタログになっている？</strong></p>

<p>そうなっているといいなと思っています。実際に、デジタル系の本もフィジカル系の本も、手掛けた本を両方読んでいただいている方がわたしの周りにも多くて、そうした方は得てして自分の中ではそれぞれ違う文脈で買ったと思っているのですが、ひとりの人が両方手に取っているということ自体、やはりその人の中でも両者はつながっている証しだと思います。</p>

<p>インターネットが登場し、SNSによって人々がつながり、誰もが発信できるようになったことで、当時『WIRED』が見ていた世界がものすごく現実化してきていると感じます。カウンターカルチャーとデジタルカルチャーをつなぐ象徴的な存在だったスティーブ・ジョブズこそ亡くなってしまいましたが、現在のシリコンバレーのエスタブリッシュメントは『Whole Earth Catalog』以降の西海岸的エートスを体現しています。グーグルにしてもフェイスブックにしても、巨大な営利企業である一方でその背景には、テクノロジーによって人間が個として持っているパワーを十全に発揮できることこそが正義だという価値観があります。</p>

<p>翻訳書をやっていると、彼らの強さはそうした思想がブレないことにあると感じます。そして翻って、日本のテクノロジー企業が弱いのもそこだと感じます。単にビジネスとして儲かるからとか、技術的に新しいからというだけでなく、テクノロジーは人間を人間たらしめるためのツールとしてある、というブレない思想こそが重要なのではないかと思います。</p>

<p><img src="/uploads/_L2A9810final720.jpg" alt="" title="" /></p>
]]>
        
    </content>
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    <title>CRAZY WEDDING・森山和彦が語った、「情熱×ロジック」で既成概念を覆す事業哲学 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2017-02-01T01:19:00Z</published>
    <updated>2017-04-03T06:33:03Z</updated>

    <summary>1月24日（火）、CRAZY代表・森山和彦をゲストに迎え、Business Network Labのトークイベント、第4回となる「Eight Fireside Chat」が開催された。完全オーダーメイドウェディングで業界の既成概念を覆した彼は&#8220;CRAZY流&#8221;の哲学を抽出し、次なる事業構想を語った。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="EVENTS INFO" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/39587443608">森山和彦</a></strong><small>株式会社CRAZY代表取締役社長</small><p>1982年生まれ。中央大学卒業後、人材コンサルティング会社に入社。経営コンサルタントとしてトップセールスを記録。6年間の勤務を経て独立し、妻の山川咲とともに2012年7月に株式会社CRAZYの前身であるUNITEDSTYLEを創業。主な事業は完全オーダーメイドコンセプトウェディングサービス「CRAZY WEDDING」。2016年5月29日にCRAZY WEDDINGのプロデューサーを務めていた山川咲が"ウェディング業界の革命児"として「情熱大陸」で特集され大きな注目を集める。代表の森山は年間250件を超えるウェディング事業の経験を活かし、昨年、法人向けのクリエイティブサービス「CRAZY CREATIVE AGENCY」を立ち上げた。CRAZY社は今後数多くの事業立ち上げに挑戦し、最終的には2000社100万人の雇用を生み出すことを宣言している。</p></aside></p>

<p>名刺アプリ「Eight」のメディア、Business Network Lab（BNL）が主催する「<a href="https://bnl.media/eight-fireside-chat.html">Eight Fireside Chat</a>」は、各界の第一線で活躍するゲストを招き、これからのビジネスネットワークについて語るトークイベントだ。</p>

<p>森山が代表を務める<a href="http://www.crazy.co.jp/">CRAZY</a>社は、完全オーダーメイドウェディングで注目を集めた。「CRAZY WEDDING」が成し遂げたのは、「結婚式の&#8220;式場&#8221;からの解放」と言えるだろう。2015年にはオーダーメイドのケータリングサービスを提供する「<a href="http://crazykitchen.jp/">CRAZY KITCHEN</a>」を、昨年7月には法人向けイベントサービス「<a href="http://www.crazyordie.com/cca">CRAZY CREATIVE AGENCY</a>」を立ち上げた。ほかにも、旅、教育、ホテルなどの事業を準備中だという。いよいよCRAZYのコンセプトとノウハウが多角的に展開されつつあるのだが、共通するのは「リアルの接点」をいかにクリエイティブに設計し、演出するかということだ。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2016/11/crazy-wedding-moriyama.html">
<h4>インタビュー記事</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/_OND4203final1094.jpg">
<div class="info"><strong>「CRAZY WEDDING」森山和彦の仕事は、"楽しい"の連鎖をつくること</strong>
<date>2016.11.25（金）</date></div>

<p></a></div></p>

<p>ウェディングにしろ、ケータリングにしろ、イベントにしろ、CRAZYが手がけるプロジェクトはすべてが一点もの。「普通の事はしない」という森山の仕事術は、BNLのインタビューでも存分に語られている。</p>

<p>定員いっぱいの参加者を前にしてのEight Fireside Chatでは、さらに一歩踏み込み、森山の思考の源泉に触れる内容となった。</p>

<p>この日のホストであるBNL編集長・丸山裕貴の呼び込みに、笑顔で会場に姿を現した森山。CRAZY WEDDING立ち上げのきっかけは、妻であり、共同経営者である山川咲との協働作業だったという。</p>

<p>「もともとは彼女が『ウェディングをやりたい』と言っていたんですね。ぼくの興味は会社経営そのものにありました。ぼくの関心と、彼女のウェディングへの情熱とが組み合わさって、事業になっていったのです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8776final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>観客の最前列には、妻の山川咲も参加していた。</figcaption>
</figure></p>

<p>世の中にウェディングプランナーはたくさんいるし、独立している人もいる。しかしその多くは結婚式場と連携して仕事をしている。「式場」を持たない「完全オーダーメイド」は不可能だと業界では言われてきた。森山も山川も、ウェディング業界での経験があったわけではない。そんな彼らが成功を収めることができたのはなぜなのか。「業界の商慣習や過去の成功事例にとらわれなかったからでは？」という丸山の問いかけに、森山はこう答えた。</p>

<p>「よく『既成概念を覆す』と言いますが、それにはふたつ必要だと思っています。ひとつは、『こうしたい』という子ども心。少し堅い言い方をすると『本質的な衝動』です。ある人はそれを情熱と言い、ある人は夢と言いますが、これがない限り何も起こらない。では、情熱があれば何でもできるかといえば、それはNOです。ふたつ目に必要なのは知識です。ビジネスの知識や経験があるからこそはじめて化学反応が起こり、着想する。ロジックとハート、両方必要なんです」</p>

<p>CRAZY流ロジックの一例を挙げれば、「何をもって&#8220;コンテンツ&#8221;とするか」の発想がある。例えば、一般的な結婚式場にもある「撮影プラン」。1ポーズいくら、アルバムを作成すれば追加でいくら、というようにメニューが決まっている。そこでは誰が撮影するかは問題とされない。しかし森山は、「ぼくらはアルバムという商品は売っていません。カメラマンという&#8220;人&#8221;を売っています。人にお金をかけている」と言う。つまり、クリエイターに、より多くの対価が渡る仕組みをつくったのだ。それによってプロフェッショナルなクリエイターとのコラボが可能になり、「こんな式にしたい」というお客様の願いを叶えることにつながる。</p>

<p>ウェディングで積み上げた知見を生かして立ち上げたのがCRAZY CREATIVE AGENCYである。ここでも森山の発想は、一般的なイベントプロデュースの概念を覆す。たとえば、ある会社の○周年記念パーティーを企画するとする。そこで「コンテンツ」と言ったとき、「式次第」を指すと思う人が多いのではないだろうか。誰が挨拶をして、ゲストは誰で、どんな食事が出て、どんな出し物があって......。それももちろん大事なのだが、それ以前に、「主催者がちゃんと思いを持っているかどうか。それがなければ火がつきにくい」と森山は言う。</p>

<p>「日々大量の情報を消費して生きているぼくらは、命のリアリティーが欠けてしまいやすい。どんなパーティーに参加しても、主催者の思いを感じられなければ、『はいはい、知ってる、こんな感じね』と思われて終わり。だから、創業者なり社長なり、&#8220;人&#8221;を感じるということが、企業のパーティーにおいてはものすごく大事なんです」。ここでもコンテンツは「人」だ。</p>

<p>トークが熱を帯び、40分ほど過ぎたころ、「ここで一度ブレイキングをしましょうか」と森山が提案した。「3分ぐらい時間をとって、隣の人と話してみませんか？」と言う。丸山も「そうですね」と応じ、会場はしばし雑談の時間に。</p>

<p><figure><img src="/uploads/_L2A8791final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>業界は違えど、同じ登壇者に興味関心がある人が集まっている。観客同士の新たな出会いも、このイベントでは貴重なコンテンツだ。</figcaption>
</figure></p>

<p>トーク再開後、森山はこう切り出した。「今日のコンテンツはぼくと丸山さんだと思うんですね。でも、本来は隣の人もコンテンツだとぼくは思うんです。だけど多くの人は、許可がなければそのコンテンツを活用しない。ぼくはいつもそんな暗黙のフォーマットを崩して楽しいほうに持って行きたいなと思っているので、こんな提案をさせてもらいました」</p>

<p>「みなさんが楽しそうでなければ、ぼくはまったく楽しくないんです。ぼくの中で&#8220;楽しい&#8221;というのは、ぼくが楽しむことではなく、まわりの人たちもみんなが楽しんでいること。この場が全体的にいい感じだということです」。予定になかったブレイクタイムに、参加者は、「リアルの接点」を楽しくしたいという森山の思いの一端を体感したのではないだろうか。</p>

<p>しかし、森山の言う「いい感じ」は数値化も言語化もしにくい。こと「事業」においては、ハードルになりはしないのだろうか。「それはCRAZYの企業文化になっていますか。どうやって伝えているんですか」という丸山の問いから、話題は働き方、生き方へと移っていった。</p>

<p>「言葉だけで伝えるのは難しいですが、それ以外にも、間接的な方法はたくさんあります」と森山は答えた。「オフィス環境もそうですし、毎朝朝礼をしたり、みんなでランチを食べたり、合宿をしたりなど、仕組みで伝えています。非生産的だと感じる人もいるかもしれませんが、要は人間関係なんです。人間関係が良ければ仕事が楽しいということはすでに研究で明らかにされている。それならば、人間関係を構築する時間を取らないほうが非生産的です。人間関係が良いので、セクショナリズム（縄張り意識）がない。将来的にはもっとも生産的だと思います」</p>

<p>既成概念にとらわれない自由な社風というCRAZYのイメージと、「毎朝決められた時間に出社する」ことは一見矛盾するようにも思える。「朝礼なんて嫌だ、もっと自由に働きたい、という声はないんですか」という丸山の問いに、森山は「人間は、制限がないと自由を感じられないんです」と応じた。</p>

<p>「高度経済成長期にはみんなが同じように8時に出社することが良いとされました。社会が成熟して、多様性が尊ばれるようになると、みんな同じであることに幸せを感じられなくなる。そうしてフレックスタイム制が浸透した。それが現在です。ただ、そうすると今度は『みんなが同じ時間に来るのはダメ』になるんです。でもちょっと待ってくれ、と。それ自体が固定観念になっていませんか？　と思うんです。いまのCRAZYでは、一定の経験を積むと出社時間が自由になったり、または家庭の事情によって働き方が選べたりはしますが、ベースは集まることを大切にしています。大事なのは組み合わせとバランスです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8748final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>ゲストによるプレゼンテーションは一切ない。参加者とともに、90分間、さまざまな角度から話を引き出し続けるからこそ、ここでしか生まれない新たな気づきが得られる。</figcaption>
</figure></p>

<p>トークは後半にさしかかり、CRAZYの新しい事業展開へ。丸山が「『2000社、100万人の雇用』『10名20社のマーベリックカンパニー』ということを発信していますが」と水を向けると、CRAZYが構想しているいくつもの事業が、森山の口から熱を込めて説明されていった。</p>

<p>「人間らしく暮らしを豊かにすることも、事業を激しく成長させてガンガンやることも、両方やりたいんです。どちらかではなく、二極のあいだを行ったり来たりする。</p>

<p>起業してみて最近つくづく思うのは、起業は偏見から始まるということです。『これ、絶対違う。もっと自由にできるはずだ』という思いは、既存の勢力からすれば偏見なんです。ある意味世界が狭いからできること。でも、起業して、この豊かなものをより大きく広げていこうと思ったときに、世界を知ることがすごく大事だなと思うようになった。世界を知るということは、いろんな人の気持ちを理解するということです。経営者としてはそれが成長につながる。ただ、そのときに、『世の中そんなもんだよね』という考えに染まってはいけないと思う。成長と純粋さ、両方大事にしたい」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8799.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Eightユーザーの参加者は、青森や愛知など、日本全国からこの日のために集まった。
</figcaption>
</figure></p>

<p>質疑応答では、参加者からこんな質問が投げかけられた。「ひとつの事業を実現するまでに、いくつくらい、他の事業アイデアを捨てていますか」。この質問に森山はこう答えた。</p>

<p>「ビジネスのアイデアは、何個かは捨てていると思います。ぼくは『2000社、100万人』というような大きなことがやりたかったので、マーケットサイズがあるかどうかということもちゃんと考えていました。ただ、ニッチでもいいと思うんです。5人の会社だって十分にすごいことです。自分はこれをやりたいという情熱のほうが資産です。ただ、まったく経験のない分野で起業するのは時間がかかるので、何かしらの強みが生かせるほうがいいとは思います」</p>

<p>次に、「わたしはアイデアを考えるときにどうしてもついググってしまったり、何かと何かの組み合わせになってしまいます。アイデアを考えるときのリソースはどんなところにありますか」という質問には、こう答えた。</p>

<p>「いろんな情報を、価値判断せずに、頭の中においてある感じです。そうすると、お風呂に入っているときとかにふっとアイデアが出てきたり。ただ、自分のことをクリエイティブで新しい人間だとは思っていないですよ。新しいことが価値なのではなく、『ここまでやるのか』ということが、ぼくは価値だと思っているんです。何か新しいこと、クリエイティブなことをやらなくてはいけないということそのものが、じつは固定観念だと思う。いま楽しく思えること、いま幸せに思えることをどんどん出していくことが大事で、消耗している時間を減らしたほうがいい。そういう意味では、クリエイティブな生き方というのは『動く』ということなんじゃないかなと思います」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8892final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>懇親会では、恒例のEightで名刺交換を実施。初めて使うという人も多い出会いの機能に、会場は大いに盛り上がった。</figcaption>
</figure></p>

<p>トーク終了後の懇親会ではCRAZY KITCHENによるケータリング料理が振る舞われた。プランナーが「Eightをイメージした」という料理は全部で5種類。全国の産地直送の食材を使った、目にも楽しい料理が運ばれてくると、参加者から「わあ」と歓声が上がった。意外性のあるレシピに参加者は舌鼓を打ち、懇親会も盛り上がる。2017年最初のEight Fireside Chatは盛会のうちに幕を閉じた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_L2A8877final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Eightにちなんで、メニュー名の書かれた名刺を模した紙の上に、料理が提供された。</figcaption>
</figure></p>
]]>
        
    </content>
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    <title>社会の&#8220;へり&#8221;を見つけておけば、転職は怖くない──スマートニュース松浦茂樹が変わり続けられる理由 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/01/matsuura.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2017:/blog//17.7737</id>

    <published>2017-01-18T01:08:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T04:58:29Z</updated>

    <summary>スマートニュースのメディアコミュニケーションディレクター松浦茂樹は、これまでにもポータルサイト「livedoor」のディレクター、『WIRED』日本版のウェブサイトの立ち上げ、そしてハフィントンポスト日本版の初代編集長と、時代を形づくったメディアを転々とし、そのいずれでも重要なポジションを歴任してきた。松浦がひとつところに留まることなく転職を繰り返してきた背景には、どのようなキャリア戦略があったのか。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="ストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="これからの転職" label="これからの転職" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="キャリアストーリー" label="キャリアストーリー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="編集者" label="編集者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/shigekixs">松浦茂樹</a></strong><small>1974年生。東京理科大学工学部経営工学科卒業後、大手自動車会社の宇宙開発事業部にて人工衛星のシステムエンジニアとしてキャリアスタート。その後、IT関係のさまざまな職を経験し、2004年にライブドアに入社。ポータルサイト「livedoor」のトップページディレクターなどを担当した後、ポータル統括シニアマネージャーに就任。ポータル事業全般のディレクションや、新規メディアのプロデュースなどを行う。11年6月より、コンデナスト・デジタル（現コンデナスト・ジャパン）へ移り、『WIRED』日本版のウェブサイト立ち上げ担当。12年4月よりグリーに転職して「GREE ニュース」を主に統括。13年3月に「ハフィントンポスト」日本版の編集長に就任。約1年半で1,300万ユニークユーザを誇る媒体に拡大。14年9月からは、スマートニュースでメディアコミュニケーション ディレクターを担当。</p></aside></p>

<h3>期間ではなくミッションで考える</h3>

<p>2013年3月に「ハフィントンポスト」日本版の初代編集長に就任すると、約1年半で1300万UUを誇る媒体に成長させることに成功。しかし、松浦はそのポジションに安住することなく、14年9月にはあっさりとスマートニュースに転職する。</p>

<p>それ以前のキャリアを振り返ってみても、ポータルサイト「livedoor」の統括シニアマネージャーとしてライブドアの経営再生に寄与して以降、時代を形づくってきたメディアを転々としてきた。</p>

<p>11年6月にライブドアからコンデナスト・ジャパンへ移籍し、『WIRED』日本版のウェブサイト立ち上げを担当。そうかと思うと、その9か月後にはグリーへと移り、「GREE ニュース」を統括する立場になっている。</p>

<p>松浦がひとつのところに留まることなく転職を繰り返してきた背景には、どのようなキャリア戦略があったのか。1年半、9か月という在籍期間の短さがたびたび強調されるが、「期間は問題ではない」と松浦は言う。</p>

<p>「期間ではなく、ミッションで考えているからです。ハフィントンポストの時には日本版を立ち上げ、軌道に乗せることまでがミッションでした。そして軌道に乗ったと判断する目安を月間1000万UUに置いていました。当初それには2年くらいは掛かるだろうと見積もっていたのですが、予想以上に短い約1年で達成することができたのです」</p>

<p>次のミッションが同じ会社内で連続的に発生する場合もあれば、どこか別の会社から声が掛かる場合もある。前者であれば7年間を過ごしたライブドア時代のようにそのまま同じ会社に居続けることになるし、後者であれば転職ということになる。</p>

<p>「期間は問題ではない」というのはそういう意味だ。</p>

<p><img src="/uploads/IMG_9441final720.jpg" alt="" title="" /></p>

<h3>正しい行き先を指し示す直感は、客観によって磨かれる</h3>

<p>結果として松浦は11年にライブドアを辞め、一足先に転職していた同社の上司・田端信太郎の誘いに乗るかたちでコンデナスト・ジャパンへと移った。そこにはもちろん転職せずにライブドアに居続け、新たなミッションに携わるという選択肢もあった。</p>

<p>自分が次に取り組むべきミッションがどこにあるかを知るには、どうすればいいのか。松浦は「最終的には直感を信じるしかない」と言う。直感と言われると身もふたもないが、もちろん話には続きがある。</p>

<p>「転職とは環境、つまり空間を変える行為です。空間というからにはそこには必ず『へり』があります。自分にとっての『へり』がなんであるか、言い換えるなら自分にとっての『楽しさ』を定義できていれば、次にどこへ行くべきかは自ずと分かるものです」</p>

<p>例えばコンデナスト・ジャパンからグリーへと転職することを選んだのは、スマートフォンがものすごい勢いで伸びている時代の空気を肌で感じ、いまやらないわけにはいかないという思いに駆られたからだ。当時のコンデナストでは、それをやるのに最適な環境とは言えなかった。そこが松浦の言う「へり」だったということだ。</p>

<p>「『へり』がどこにあるかを知るには、つまり直感を磨くには、人と会ってコミュニケーションを重ねるしかないと思います。それも、同じ空間にいる人とだけやりとりしていても距離感が同じだから意味がありません。空間の外へ出て人と会い、自分を客観視する必要があります。『へり』がどこにあるかは、そうすることで初めて分かります。だからビジネスネットワークが重要なのです」</p>

<p>コミュニケーションというからには、一方的に情報を受け取るだけでなく、自分からも提供できるものがなければならない。すると、しっかりとした実績とスキルを積み上げ、それに自覚的であることが前提になる。</p>

<p>「しっかりとした実績を積み上げ、組織の内外で誠実な人間関係を日頃から積み重ねていけば、自分が飛びつくべきミッションは往々にして向こうからやってくるものです。そして自分にとっての『へり』を常に意識している者であれば、あとはそれに飛びつくだけということになります」</p>

<p>だから松浦は、転職に際していつも即決だった。改めて迷うことなど何ひとつなかったのだ。</p>

<p><img src="/uploads/IMG_9507final720.jpg" alt="" title="" /></p>

<h3>変化することでしか得られない楽しさがある</h3>

<p>松浦が大学卒業後に最初に働き始めたのは、現在携わっているメディアの仕事とはなんの関係もない、大手自動車会社の宇宙開発事業部だった。そこで人工衛星開発のシステムエンジニアとして働いて1年ほど経ったある日、事業譲渡により職場そのものがなくなるという経験をした。</p>

<p>「社会人1年目にして、仕事というのは当たり前にあるものではなく、自分では思ってもみなかったことでなくなるものなんだということを知りました。それからはどうすれば食いっぱぐれないかを考え、ネットワークエンジニア、システムアドミニストレータ、システム営業など、泥水をすすってでも学ぶ時期と位置付けて、さまざまな仕事を経験しました」</p>

<p>そうやって身につけた数々のスキルが生きるかたちとなり、30歳になる年にライブドアに「潜り込むことに成功した」と松浦。このライブドア入社が、働くことが生き延びるためにあった20代と、自分にとってのミッションを追求し始めた30歳以降のキャリアの転換点と言えるかもしれない。</p>

<p>しかし一方で、松浦のキャリアにはライブドア入社以前から変わらぬ哲学が貫かれている。それは「動くことこそが生きることである」というものだ。</p>

<p>「動物は進化するものです。立ち止まることは生物的には死を意味します。だからキャリアを考える上でも、変化し、動き続けることが大事になると思っています。もちろん転職にはリスクが伴うから、恐怖がゼロということはありません。でもぼくにとって、変化がもたらすワクワク感は恐怖を上回るんです」</p>

<p>その原点は働き始めるよりももっと前、北海道で過ごした高校生時代にある。</p>

<p>札幌で生まれ、小中高とずっと変わらない環境で過ごしてきた。周りにいる友人は当たり前のようにそのまま北海道大学に進むことを目指していたが、そのままレールに乗るのが正しいのだろうかと疑問を感じていたという。</p>

<p>「人生を変えたい。そのためには環境を変えるしかない。そう思って大学受験を機に、右も左も分からないまま上京しました。ある意味、自分のキャリアはあの時スタートしたんです」</p>

<p>環境を変えることで、人生はいかようにも楽しいものに変えられる──。その後の松浦の歩みは、高校生時代に抱いたその考えの正しさを裏付けるものになったと言えるだろう。</p>

<p><img src="/uploads/IMG_9596final720.jpg" alt="" title="" /></p>
]]>
        
    </content>
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    <title>予防医学研究者・石川善樹が考える、人生100年時代のキャリア論 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2017/01/ishikawa-career.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2017:/blog//17.7734</id>

    <published>2017-01-13T01:25:55Z</published>
    <updated>2020-03-23T03:04:15Z</updated>

    <summary>長寿化が進み、100歳まで生きることが当たり前の時代になりつつある。20年学び、40年働き、20年休むという、人生80年を前提とした親世代の人生モデルはもはや成立しなくなってきている。これからを生きる人たちはどのようにキャリアを築けばいいのか。ビジネスパーソン対象の講演や、企業のアドバイザーも務める石川善樹が綴る、これからのキャリア論。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="知恵と技術" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="これからの転職" label="これからの転職" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
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        <![CDATA[<h3>人生は長い。本気を出すのは50歳からでいい</h3>

<p>ある時、ふと疑問に思ったんです。みんな、自分は何歳まで生きると考えているんだろうか、と。</p>

<p>さっそく周りの人に聞いてみると、驚くべきことが分かりました。</p>

<p>たいていの人は「80歳くらい」と答えるのです。</p>

<p>当たり前ですが、この見積もりは甘すぎます。2016年9月時点で、日本の100歳以上の人口は過去最高の6万5000人超。2050年には100万人を超えるとも言われています。さらに言えば、最近産まれた日本の子どもたちは、平均寿命が107歳になるという推計も出されています。</p>

<p>なんというか、これからは100歳まで生きることを大前提として、人生設計を考える時代なのです。人生が80年だった親世代にとっては、20年学び、定年まで同じ会社で40年働き、引退後は死ぬまで20年休むというのが当たり前のモデルでした。しかしこれからはそれが通用しない。つまり、これまでの常識が非常識になるのです。</p>

<p>となると、面白いことが考えられます。ひとつの思考実験として、次のような問いを考えてみましょう。</p>

<p>「はたして自分は、長い人生のどの時期に輝くのか？」</p>

<p>例えば、考えやすくするために、人生を0歳〜25歳、25歳〜50歳、50歳〜75歳、75歳〜100歳の4つのパートに分けてみましょう。あなたがスポーツ選手であれば、0歳〜25歳ということになるでしょう。引退してからやりたいことをやるというのであれば、75歳〜100歳ということになります。</p>

<p>しかし仕事で輝きたいのであれば、多くの人にとってそれは真ん中の2つの時期のどちらかということになります。そしておそらく、漠然と25歳〜50歳で輝こうと考えている人が多いのではないでしょうか。</p>

<p>ただ残念なことに、ほとんどの人にとってそれは無理な話です。なぜなら、会社の駒として働くというのであれば別ですが、自分が本当にやりたいことをやるのであれば、そのために必要なスキルや経験、人脈といったものを、そんな若いうちにすべて揃えることなど普通は不可能だからです。もしそれができたとしたら、それは相当に幸運な人になるでしょう。</p>

<p>必然的に、多くの人が仕事で一番輝けるのは、50歳から75歳までの時期ということになります。そうだとすれば、キャリア・人生設計もそれを念頭に置いてすべきと考えられます。</p>

<p>そもそも、自分がやりたいこと、つまり人生の意味を見つけること自体が難しい時代になっています。松下幸之助が「与えられた仕事を天職と思え」と言ったように、昔であれば、最初に入った会社に尽くすことこそが人生の意義でした。大会社の重役だったということを一生の誇りとして死んでいけた時代があったのです。</p>

<p>しかし、時代は変わりました。会社の寿命も短くなってきているので、1社に勤め上げるということ自体が難しい。</p>

<p>どちらかといえば、いまは会社というより業界が人生の意味を与えてくれています。例えばエンジニアという職業に就いている人を見ても、彼らは会社ではなく業界にコミットし、業界内で影響力や発言力を持つことで、自尊心を高めているように映ります。しかしこれもまた、移り変わりが激しい。これからは複数の業界に軸足を置かなければやっていけなくなるでしょう。</p>

<p>それを象徴するように、『WIRED』日本版編集長の若林さんが、最近こんなことを言っていました。</p>

<p>「これからはひとつに依存する時代ではない。では、依存の反対は何か？　ぼくはそれは自立ではなく、たくさんへの依存だと思う」</p>

<p>いずれにせよ、これからの時代は、会社も業界も生きる意味を与えてくれない。するといよいよ、自分と向き合わざるを得なくなります。自分の人生の意味は、自分自身で見つけなければならない時代になったのです。自分で納得できる人生の意味を見つけるのは簡単ではありません。30歳や40歳では到底見つけられないでしょう。その意味でも、輝くのはやはり50歳からと考えるのが、妥当といえます。</p>

<p><img src="/uploads/yokoyama_089-1-720.jpg" alt="" title="" /></p>

<h3>転職しまくって5つの専門分野を身につけろ</h3>

<p>やりたいことというのは、白馬の王子さまのように待っていれば向こうから来てくれるものではありません。ではどうすればいいのか。50歳までは力を蓄えるための修行の期間と思って、なるべく色々なことを試すしかないでしょう。</p>

<p>ちなみに学問の世界では、50歳までに胸を張って得意だと言える専門分野を5つ持つことが求められる時代になっています。1つや2つでは弱い。5個くらい併せ持つことで、ようやくこれこそが自分のオリジナルだと言えるものが見えてくる。おそらくこれは、ビジネスの世界でも同じかもしれません。そのためには、最低でも3、4回は転職する必要があるということになるでしょう。</p>

<p>では、どんなところに転職すればいいのか。一つの考え方として、下の図が参考になるかもしれません。</p>

<p><img src="/uploads/ishikawa-graph.jpg" alt="" title="" /></p>

<p>縦軸はスキル、横軸に分野をとった時に、分野もスキルも同じところで何回転職しても意味がありません。最終的にはスキルも分野も違うD社という領域をどれだけ味わえるかが、自分の幅を広げます。</p>

<p>とはいえ、最初から分野もジャンルも違うところへ行ってもパフォーマンスを発揮することは難しいでしょう。そう考えると、1、2回目の転職は「求められるスキルは同じだが分野が違うB社」か「分野は同じだが求められるスキルが違うC社」へ転職するのがいいということになります。</p>

<p>そうやって自分がそれまでやってこなかった領域に飛び出すことが、自分はどこでもやっていけるという自信につながります。逆に苦手なことに挑戦してこなかった人には、本当の意味での自信は芽生えません。コンサルティングを仕事にする人に自信を持った人が多いというのは、それだけ色々な領域やスキルを渡り歩く経験をしているからだと思います。</p>

<p>会社内でジョブローテーションをするというのにも同じ意味合いがあります。しかし、それはあくまで終身雇用を前提とした制度で、いまや会社の寿命よりも職業寿命の方が長くなったのは、先ほども触れた通りです。その中でいくら動いても、そこはかとない不安は拭えないままでしょう。</p>

<p><img src="/uploads/yokoyama_H1_18-19-720.jpg" alt="" title="" /></p>

<h3>「大局観」で後悔のない転職を</h3>

<p>いまいる場所を飛び出して、苦手なことに挑戦するのには勇気がいります。一方で、いまの若い人は敷かれたレールが見えた瞬間、その先を歩くのが嫌になってしまうところがあるようにも見えます。自分の人生、本当にこれでいいのか、と。たしかに、予測とズレがまったくないというのは退屈なことです。</p>

<p>安定をとるのか、変化を求めるのか。このジレンマを解く鍵は、大局観を持つことにあります。というのも、ひとつの会社にとどまるというのは、短期的に見ればたしかに安全な道ですが、中長期的に見たら、その先は行き止まり。1社にとどまるのは逆に危ないというのが、いまの時代です。</p>

<p>大局観を持って人生を眺めれば、実は色々な領域を経験しておくことこそがリスク分散になり、本当の意味での安全な道になります。同時に、短期的に見れば変化していることにもなるから、変化を好む大脳新皮質の欲求も満たされるというわけです。</p>

<p>同じ転職でも大局観を持って行わなければ、後で振り返った時には、自分は一体何に人生を費やしていたのかと後悔することになるでしょう。だからこそ、スキルと分野のマトリックスで自分の人生を俯瞰することが大事になります。</p>

<p>とはいえ、必ずしもそれは、明確な目標から逆算した計画的なものである必要はないと思います。いまの自分にとってのB社、C社とは何か。そういう視点を持つだけで、次にすべきことが見えてくるはずです。</p>

<p>自分が何度も転職している間にひとつのことを磨いている人を横目で見たら、焦る気持ちになるのもよく分かります。しかし、安心してください。その人は50歳までの人です。目の前のことに役立つかどうかという視点で無駄を省くのは、短期的には効果的ですが、中長期で見たら視野が狭すぎるということになるでしょう。</p>

<p><img src="/uploads/yokoyama_092-720.jpg" alt="" title="" /></p>

<h3>立ち返るべき母港を確立することが最初の一歩</h3>

<p>大局観を持つ、つまりいつ輝くのかという視点を持つことは、どんなスキルを身につけるべきかという話にもつながっていくでしょう。というのも、いま活躍したいのであれば、いま流行っていることをやれば近道です。しかし、いま流行っているということはすなわち、早晩廃れるということです。一時期セクシーだともてはやされたデータサイエンティストという職業も、その後ライブラリが充実したことで、一瞬でコモディティ化してしまいました。</p>

<p>そう考えると、流行に流されるよりは、人間の本質に迫るような普遍的なスキルの方がいいかもしれません。どんな仕事をするにしても、わたしたちが相手にしているのは、常に人間だからです。例えばマーケティングやマネジメントといった人間を扱うスキルは、今後も必要性が消えないように思えます。</p>

<p>しかし極論してしまえば、身につけるスキルはなんでもいいとも言えます。何を選ぶか以上に、選んだものをちゃんと掘り下げて、自分のものにできることの方がよっぽど大切だからです。気軽に転職して色々な経験を積むことが大事だと言いましたが、そうするには前提があります。最初に与えられた領域で、まずは圧倒的な成果を残すことです。</p>

<p>きつい言い方になりますが、いま置かれた状況でさえ目立てない人に、そこから外へ出て、一体何ができるでしょう。自分の型と呼べるようなものを確立した人だけが、他へ移ることができます。確固たる型のある人は、移った先で仮に失敗したとしても、元いた場所へ立ち返ることができるからです。</p>

<p>だからまずは、一刻も早く母港と呼べる場所をつくること。そしてそこから大海原へと打って出ること。そうやって50歳までに5つの専門分野を持ち、自分なりの人生の生きる意味を見つける。そこからようやく輝く時期が始まります。輝くのは50歳からというのは、言い換えれば、本気を出すのは50歳からでいいということです。そう考えたら、気負うことなく色々な挑戦ができるのではないでしょうか。 </p>
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    <title>1月24日（火）、CRAZY WEDDING・森山和彦をゲストにトークイベント「Eight Fireside Chat」開催 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2017-01-12T02:12:00Z</published>
    <updated>2017-03-30T07:50:37Z</updated>

    <summary>Business Network Labで取材した人をゲストに招き、編集長の丸山...</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="12-1月の特集" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BNL Fireside Chat" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="EVENTS INFO" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
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        <![CDATA[<p>Business Network Labで取材した人をゲストに招き、編集長の丸山が1対1で質問を投げかけるトークイベントシリーズ「<a href="https://contents.8card.net/blog/eight-fireside-chat.html">Eight Fireside Chat</a>」。</p>

<p>第4回は完全オーダーメイドコンセプトウェディングサービスで業界の変革に挑む「<a href="http://www.crazy.co.jp/">CRAZY</a>」の創業者、森山和彦氏をゲストに迎え、1月24日（火）の夜に開催する。</p>

<h3>固定観念にとらわれない仕事の秘訣を探る</h3>

<p>2012年に開始した「<a href="https://www.crazywedding.jp/">CRAZY WEDDING</a>」は、昨年5月にテレビ番組「<a href="http://www.mbs.jp/jounetsu/2016/05_29.shtml">情熱大陸</a>」で特集されるなど、業界を超えて大きな注目を集めている。</p>

<p>当初、事業構想はどこから生まれたのか。どのような仕組みで、何が業界の中で革新的だったのか。いかにして年間250件を越える案件を手がけるまでに成長できたのか。</p>

<p>森山和彦の創業ストーリーから、世の中の固定概念や業界の商慣習などにとらわれず、新たなスタイルを創造する仕事の秘訣を探る。</p>

<h3>イベントをもっと楽しくする方法を学ぶ</h3>

<p>CRAZYは、創業当初よりウェディング事業のみを行うつもりは毛頭なかった。彼らは「創業10年で20社の"マーベリック・カンパニー"（飛び抜けた会社）を輩出する」と宣言し、着々と手を広げている。そのひとつが昨年開始した法人向けのイベント企画サービス「<a href="http://crazyordie.com/cca">CRAZY CREATIVE AGENCY</a>」だ。</p>

<p>毎年250を超えるイベントをゼロベースから企画、制作、装飾、運営、広報まで一気通貫で手がける彼らのノウハウは、いま企業のイベントにも求められているという。</p>

<p>サービスのサイトでは「予定調和は売りません」というキャッチコピーを掲げ、こう問いかける。「暗闇から映像がフェードイン。終了と共に司会が話し出す。そこからはじまる予定調和のオンパレード。いつからイベントはフォーマットとなってしまったのだろう」</p>

<p>もし自分の会社のサービスに消費者やユーザーとの「リアルな接点」が足りていないように感じていれば、きっと森山氏が語るメッセージはどこか響くものがあるだろう。</p>

<p>詳しくはインタビュー記事で：<a href="https://contents.8card.net/blog/2016/161125.html">「CRAZY WEDDING」森山和彦の仕事は、"楽しい"の連鎖をつくること</a></p>

<p>懇親会で提供される料理は、もうひとつの新事業、「<a href="http://crazykitchen.jp/">CRAZY KITCHEN</a>」が担当する。Eightの世界観を表現したオーダーメイドの料理にも、ぜひ期待してほしい。先着45名なので、ご応募はお早めに！</p>
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    <title>「だったらこうしてみたら？」で面白いビジネスの芽が育つ。2016年BNL特別総集編 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/12/2016bnlreview.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7729</id>

    <published>2016-12-28T04:55:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:17:31Z</updated>

    <summary>BNLでは、2016年8月より毎週注目のEightユーザーの取材記事を掲載してきた。本年最終週は、弊誌編集長がこれまでの記事の要点をつなぎ考察する、特別総集編をお届けする。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="社外のつながりの活かし方" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネスネットワーク" label="ビジネスネットワーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
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        <![CDATA[<p><figure><figcaption>PHOTOGRAPH BY YOICHI ONODA</figcaption></figure></p>

<h3>ロンブー淳と&#8220;リアル下町ロケット&#8221;</h3>

<p>2016年10月7日（金）17:00、ヘアメイクを終えたばかりの田村淳が、番組収録前の楽屋でインタビューに応じた。</p>

<p>芸能人が名刺交換をしている場面は、あまり想像できないかもしれないが、彼の場合は特別だ。渡した名刺をその場で撮影して、「Eightは、ぼくがばらまいた夢をつないでくれる役目を果たしてくれるようになるんだろうな、と思って、いま名刺をすべてここに入れるようにしている」と語った。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_5431.jpg" alt="" title="" /> 
<figcaption>PHOTOGRAPH BY KAORI NISHIDA</figcaption>
</figure></p>

<p>結婚式をプロデュースする会社の立ち上げに関わったり、自らテレビ局を開設したり、2016年の淳は、これまでの仕事の枠を越えた活動が注目された。そのきっかけは、北海道でロケットを開発している植松努との出会いにあるという。</p>

<blockquote>
  <p>植松（努）社長に会った時に、『夢はたくさん持ちなさい』と言われたんです。小学校の時って、なんとなく空気で夢はひとつだと決まっていますよね。ぼくは作文に何個も夢を描いてひとつに絞りなさいと言われたクチなので（笑）、植松社長が夢はいくつもあってもいいし、明日肉食べたいというのもロケット飛ばしたいというのも夢だって言うのを聞いて、いいなと思ったのです。</p>

<p>植松社長は、「夢を考えたらできるだけ多くの人にしゃべりなさい」とも言っていました。そこでぼくは「ウエディングをやりたい！」とか、「テレビ局をやりたい！」とか、テレビが息苦しくなってきたから「テレビ以外のメディアで何かやりたい！」とか、夢をどんどん口に出すようにしたのです。</p>

<p>記事：<a href="https://bnl.media/2016/10/atsushi.html">ロンブー淳のビジネスネットワーク論。「ぼくのたくさんの『夢』を、きっとEightはつないでくれる」</a></p>
</blockquote>

<p>ロンブー淳に影響を与えた植松努は、父が経営していた北海道の町工場、植松電機に入社後、「<a href="http://uematsudenki.com/%E7%A0%94%E7%A9%B6%E7%B4%B9%E4%BB%8B/camui%E5%9E%8B%E3%83%8F%E3%82%A4%E3%83%96%E3%83%AA%E3%83%83%E3%83%89%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88/">CAMUI型ハイブリッドロケット</a>」の開発に成功し、&#8220;リアル下町ロケット&#8221;として注目されている人物だ。2014年7月に開催されたTEDxSapporoでの講演の様子は、YouTubeで230万回以上の再生数を記録している。</p>

<p>https://www.youtube.com/watch?v=gBumdOWWMhY</p>

<p>自分の夢について誰かに話した時に、相手が「どーせ無理だ」と言うか、「だったらこうしてみたら？」と言うかで大きな違いが生まれる、と植松氏は語る。</p>

<blockquote>
  <p>自分の夢をしゃべった時、「いや、それ無理だわ」なんて言われたら元気なんかなくなります。</p>

<p>でも、「だったらこうしてみたら？」「こないだ本屋にこんな本あったよ」「こないだテレビでこんな番組やってたよ」と言われたら、もっと元気が沸くじゃないですか、その方が絶対楽しいです。</p>

<p>だからお互いに夢を喋って、お互いに「だったらこうしてみたら？」と言い合っていたら、全員の夢が叶ってしまいます。だからぜひ「だったらこうしてみたら？」を流行らしていきたいと思います。</p>

<p>講演の書き起こし：<a href="http://logmi.jp/25655">「どうせ無理」は、ラクしたいから　宇宙へ挑む男が語る、自信の育て方・奪い方</a></p>
</blockquote>

<h3>自分の軸をベースに新領域をくっつける</h3>

<p>「だったらこうしてみたら？」は、相手に新しいことに挑戦する知恵と勇気を与える言葉だ。</p>

<p>日本中のアスリートの体調管理をサポートしたいと考えた元サッカー日本代表の鈴木啓太は、排便記録アプリ「ウンログ」の制作者と出会い、「だったらこうしてみたら？」という助言をもらった。昨年10月に自ら会社を興し、アスリート向けの腸内フローラ解析事業に挑戦している。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND8583final.jpg">
<figcaption>PHOTOGRAPH BY YOICHI ONODA</figcaption>
</figure></p>

<p>いかにしてサッカーとはかけ離れた分野のアイデアを、自分の得意な領域に引き寄せることができたのか、と問うと、「サッカーの枠から一度離れて客観的に見て、ほかの種目を強くする可能性も含めて考えた」と彼は答えた。</p>

<p>ポイントは、自分の軸をいつも意識して見失わないことだという。</p>

<blockquote>
  <p>「『自分の負けないところは何なんだろう？』といつも考えておくのです。逆に言えば、自分のまったく畑違いなところに挑戦しても、ほかの人たちに負けてしまいます。『自分の軸はこれだ！』というものがひとつあれば、それをベースにして、いろんなところから『これはくっつけられるかな？』と考えるわけです」</p>

<p>記事：<a href="https://bnl.media/2016/08/keita-suzuki.html">元サッカー日本代表・鈴木啓太CEOが語る、ビジネスアイデアを引き寄せる技術</a></p>
</blockquote>

<h3>誰に夢を語るべきか</h3>

<p>もちろん自分の夢を語って、意見を求める相手は誰でもいいわけではない。</p>

<p>植松氏は「ロケットをつくたい」という夢を学校の先生に話した時に、「どーせ無理だ」と言われた経験から学んだことがあるという。</p>

<blockquote>
  <p>「皆さんは自分が宇宙開発できると思っていますか？　宇宙なんてよっぽど頭が良くないと凄くお金がかかると思い込んでいませんか？　国家事業だと思っていませんか？　誰がそれを教えてくれました？　こんなこと教えてくれるのは、やったことがない人なんです。やったことがない人が適当なやらない言い訳を教えてくれるんです」</p>

<p>講演の書き起こし：<a href="http://logmi.jp/25655">「どうせ無理」は、ラクしたいから　宇宙へ挑む男が語る、自信の育て方・奪い方</a></p>
</blockquote>

<p>ではいったい誰に夢を語るべきなのか。</p>

<h3>社外の人に語るべき</h3>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_2283final.jpg">
<figcaption>PHOTOGRAPH BY KAORI NISHIDA</figcaption>
</figure></p>

<p>予防医学研究者の石川善樹は、社内の人よりも、社外の人に相談すべきだと教えてくれた。</p>

<blockquote>
  <p>自分ひとりで考えていても何も生まれない。限られたリソースは社外の人と会ってアイデアを集めることに使うべき。それが現代科学が解明した、「最も優れたアイデアが生まれる法則」なのだ。</p>

<p>記事：<a href="https://bnl.media/2016/08/ishikawa.html">「いいアイデアの9割は社外から集まる。では明日は誰と会うべきか？」石川善樹が説く、ビジネスネットワークの法則</a> </p>
</blockquote>

<h3>広い視野をもつ人を仲間に</h3>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND2802final.jpg">
<figcaption>PHOTOGRAPH BY YOICHI ONODA</figcaption></figure></p>

<p>「社外の人」という条件だけでは、対象範囲が広すぎる。</p>

<p>所属する会社や業界よりも広い視野をもつ人を仲間に増やすべき、と教えてくれたのは、ハフィントンポスト日本版編集長の竹下隆一郎だ。</p>

<p>ハフィントンポストは、積極的にビデオチャットによる取材を行っている。世界の裏側にいる人とも、部屋から一歩も出られない人とも話せるようになった。そんな時代だからこそ「誰と話すか」が大切になるという。</p>

<blockquote>
  <p>「どれだけテクノロジーが発達しても人間は人間の声に振り向く。たとえ人工知能（AI）が『明日この人に会うべきだ、店も予約した』と言っても、それをキャンセルしても会いたいと思える人がいる。それが人間の強さだと思うので、両方が共存する社会であってほしいと思います。そして、そう思える人をいかにたくさん、いろんな場所に持っているかが、自分にとってのネットワークの価値ではないでしょうか」</p>

<p>記事：<a href="https://bnl.media/2016/09/takeshita.html">ハフポスト編集長・竹下隆一郎が「Eight Fireside Chat」で語った、広い視野をもつ仲間を増やすススメ</a></p>
</blockquote>

<h3>受け身では何も始まらない</h3>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND5719h.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>PHOTOGRAPH BY YOICHI ONODA</figcaption></figure>
</figure></p>

<p>会いたい、一緒に仕事をしてみたい、と強く思える人が見つかったら、次はどうするべきか。受け身では何も始まらないと教えてくれたのは、朝日新聞社の浜田敬子だ。</p>

<p>AERAの編集長を務めていた時に、秋元康や鈴木敏夫、小山薫堂などに1号限りの特別編集長をお願いして実現した実績をもつ彼女からは、目当ての人と仕事をする企画のコツを伝授してもらった。</p>

<blockquote>
  <p>「人脈って何のためにあるかというと、いい仕事をつくるためですよね。ただ闇雲に数を増やすのではなくて、一つひとつ仕事に落とし込むことで「人脈を可視化」していかなければ意味がないと思うのです。</p>

<p>『この人と知り合ってよかった、この人と仕事したい』って思える人に出会えたら、それを媒体のためにいい企画にどうやって落とし込んでいくかを一生懸命考え出します。</p>

<p>そこでいい仕事ができれば、また新しい人と知り合えて、そこからさらに新しい企画が生まれて、媒体の力も強まる。人脈もどんどん可視化されていく。その繰り返しで仕事のフィールドが少しずつ広がっていくイメージで、結果的に面白い企画が生まれる連鎖がつくれると思うんです」</p>

<p>記事：<a href="https://bnl.media/2016/08/aera-hamada.html">「人脈は数ではない」AERA前編集長・浜田敬子に訊く、"濃い"ビジネスネットワークをつくる企画力</a></p>
</blockquote>

<h3>転職して半年経った人に会うといい</h3>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_2356final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>PHOTOGRAPH BY KAORI NISHIDA</figcaption></figure></p>

<p>会いにくい人ほど、まだ自分の知らない情報を持っている可能性が高いため、得られるアイデアの質も高いはずだ。しかし、そもそも会える機会がほとんどない。会いたい、一緒に仕事がしたいと思う人ほど、なかなか接点がなくて会いにくい人である場合が多いのはそのためだ。</p>

<p>石川善樹が勧める方法は、転職後半年くらい経った人に会いに行くことだという。</p>

<blockquote>
  <p>「結局会いやすい人の中から会うべき人を探すというのが現実的な判断になるのですが、条件が揃えば、そういう人の中でもアイデアの質が急上昇するタイミングがあるのです。</p>

<p>例えば、『転職しました！』という報告はよく届きますが、『転職して半年が経ちました！』という報告はほとんど聞いたことがないですよね。転職した直後だとまだアイデアの質はほとんど変わっていませんが、半年も経てば新しい会社のアイデアを集約して話せるようになっているはずです。そのため、転職して半年後のタイミングにこそ、積極的に会いに行くべきなのです」</p>

<p>記事：<a href="https://bnl.media/2016/08/ishikawa.html">「いいアイデアの9割は社外から集まる。では明日は誰と会うべきか？」石川善樹が説く、ビジネスネットワークの法則</a></p>
</blockquote>

<h3>人脈の"エレベーター"で上層階へ</h3>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND9018final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>PHOTOGRAPH BY YOICHI ONODA</figcaption></figure></p>

<p>一方、Takramの田川欣哉は人脈をエレベーターにたとえて、"上層階へ"連れて行ってもらうことで、これまで会えなかった人に会う方法を教えてくれた。</p>

<blockquote>
  <p>3階で仕事をしていると、たまに8階から3階に降りてくる人がいるんです。そういう人と運良く出会うことができ、かつ、その人のお眼鏡にかなうと「お前おもしろいから、俺と一緒に8階に来い」と言われる。そして一緒に付いて行くと、8階には自分が見たこともない人たちが生きているわけです。「すげー、こんな仕事をしている人たちがいるんだ」とか思ってドキドキハラハラするわけです。</p>

<p>記事：<a href="https://bnl.media/2016/11/takram-tagawa.html">Takramのデザインエンジニア・田川欣哉が語る、上流の仕事術とビジネスネットワークの「エレベーター理論」</a></p>
</blockquote>

<h3>2つの問いに集約できる</h3>

<p>ほかに取材した、<a href="https://bnl.media/2016/09/sasaki.html">『伝え方が9割』の著者・佐々木圭一</a>、<a href="https://bnl.media/2016/10/ischool-yokota.html">東京大学i.schoolの横田幸信</a>、<a href="https://bnl.media/2016/11/crazy-wedding-moriyama.html">CRAZY WEDDINGの森山和彦</a>、<a href="https://bnl.media/2016/12/one-japan.html">One JAPANの濱松誠</a>、<a href="https://bnl.media/2016/12/tbs-moriyama.html">トーマツベンチャーサポートの森山大器</a>に対しても、以下の共通の問いをもとに話を聞いた。</p>

<blockquote>
  <p>自分のビジネスネットワークを効果的に活用している人は、</p>

<p>「名刺の枚数」という&#8220;ものさし&#8221;だけで、</p>

<p>引き出しに眠る名刺の束を数えて満足してはいないはずだ。</p>

<p>彼らはいったいどんな&#8220;ものさし&#8221;を持っているのだろうか。</p>
</blockquote>

<p>彼らの話を整理すると、「ビジネスネットワークのものさし」は、大きく分けて次の2つの問いに集約できる。</p>

<ol start='1'>
<li>これまで名刺交換してきた人の中で、いまもう一度会うべき人は誰か</li>
<li>その人に会って何を話すべきか</li>
</ol>

<p><strong>1について：</strong> 社外の人、なかなか会えない人、転職して半年経った人、組織・業界の枠を超えて広い視野をもつ人、エレベーターで上層階に連れて行ってくれそうな人など、さまざまな考えがあったものの、要するに「自分にはない知をもっている人」、あるいは「自分にはない知をもっている人を紹介してくれそうな人」ということだ。</p>

<p><strong>2について：</strong>自分にはない知をもつ人に会えた時には、相手と一緒に実現できる企画を考えるべきだ。知と知の組み合わせの相性が良ければ、面白いアイデアが生まれ、新しい事業やプロジェクトの立ち上げにつながることもあるだろう。</p>

<h3>「だったらこうしてみたら？」と、アイデアを交換してみよう</h3>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_2545.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>PHOTOGRAPH BY KAORI NISHIDA</figcaption></figure></p>

<p>猫も杓子も&#8220;イノベーション&#8221;と語る昨今だが、この5ヶ月で取材したイノベーター20人の話を聞いた限りでは、シュンペーターの「新結合」の理論を持ち出すまでもなく、イノベーションの本質は知と知の組み合わせであり、アイデアの交換であることは明らかだ。そのほとんどがビジネスの世界では名刺交換から始まり、「だったらこうしてみたら？」といったコミュニケーションから生まれている。</p>

<p>2015〜16年に、Eightは名刺管理の機能に加えて、名刺交換した人とつながり、コミュニケーションを促す機能を追加して、ビジネスネットワークとしての進化を図ってきた。</p>

<p>名刺交換をした場では何も閃きは起きなかったとしても、Eightでつながることで、その後も相手の知と自分の知が組み合わさるきっかけは生まれやすくなったはずだ。</p>

<p>2017年に向けては、さらにビジネスネットワークの価値を高めるべく、新機能の開発を行っている。「だったらこうしてみたら？」というコミュニケーションが、Eightユーザーの間で少しでも増えることを期待して。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>トーマツベンチャーサポートの森山大器が説く、イノベーションが加速する「補完関係」の見つけ方 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/12/tbs-moriyama.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7723</id>

    <published>2016-12-26T00:48:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:17:28Z</updated>

    <summary>森山大器の仕事は、大企業、ベンチャー、官公庁の3者をつなぐことで、組織の新陳代謝を促し、激しい時代の変化に対応するべく、イノベーションを加速させること。異なる思考をもつ人や企業をつなげる上で彼が実践しているのは、「補完関係」を見つける方法論だ。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="社外のつながりの活かし方" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=26197509101&amp;person_id=26197509101&amp;page_kind=profile">森山大器</a></strong><small>トーマツベンチャーサポート経営企画統括</small>
<p>佐賀県生まれ。東京大学・大学院で物理工学を専攻。新卒で経営コンサルティングファームのボストン・コンサルティング・グループに入社し、5年間勤務。その後、米国シカゴのデザインスクール（IIT Institute of Design）に留学し、最先端のイノベーションの方法論を学ぶ。現在はトーマツベンチャーサポートにて経営企画統括を担当。</p></aside></p>

<p>Business Network Labのインタビューシリーズ「<a href="https://bnl.media/cat1046.html">ビジネスネットワークのものさし</a>」は、こんな問いを掲げてスタートした。</p>

<blockquote>
  <p>自分のビジネスネットワークを効果的に活用している人は、</p>

<p>「名刺の枚数」という&#8220;ものさし&#8221;だけで、</p>

<p>引き出しに眠る名刺の束を数えて満足してはいないはずだ。</p>

<p>彼らはいったいどんな&#8220;ものさし&#8221;を持っているのだろうか。</p>
</blockquote>

<p>今回登場するのは、<a href="https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/about-deloitte/articles/tvs/tvs.html">トーマツベンチャーサポート</a>（以下、TVS）で経営企画統括を務める、森山大器。</p>

<p>TVSは監査法人を母体とする広範なビジネスネットワークを活用して、大企業、ベンチャー、官公庁の3者をつなぎ、イノベーションを加速させるべく、さまざまな支援に取り組んでいる。なかでも森山は、「ベンチャー×大企業」、「ベンチャー×官公庁」といった、異分野の"かけ算"を実現して、日本でイノベーションが生まれやすい土壌をつくろうとしている。異分野の人や企業をつなぐというのは、なかなか一筋縄ではいかないものだが、森山はいかにして行っているのか。</p>

<p>彼のビジネスネットワークの"ものさし"は、「補完関係」を見つける、という米国デザインスクール仕込みの方法論だ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_2505final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「分野、立場が変われば"言語"が変わります。言語が変われば使う"道具"も変わってきます」</figcaption>
</figure></p>

<h3>イノベーションの理解度は企業によって差がある</h3>

<p>「日本では大企業とベンチャーの距離がまだまだ遠い」と森山は言う。アメリカではベンチャーの約8割が大企業に買収されているが、日本ではまだ事例は少ない。</p>

<p>「日本のイノベーションエコシステムが進化するためには、ベンチャー企業の出口としてIPOだけでなくセルアウト（事業会社への売却）というオプションが増えることが重要です。しかしながら、ベンチャーの意識の変化に対して日本の大企業側の動きはすぐには変わらないため、ベンチャー企業のセルアウトを増やすには海外の事業会社への売却を狙うのもひとつの手です。そのような考えから、現在ではベンチャー企業の海外での顧客開発に加え、海外へのセルアウトの支援にも力を入れています」</p>

<p>メディア、不動産、通信、電鉄など、オープンイノベーションに対して前向きな企業も近年増えている一方で、まだまだ閉鎖的な企業も多いという。そこで森山は、企業によってオープンイノベーションに対する理解やリテラシーが異なることを意識したコミュニケーションを大事にしているという。</p>

<p>「企業ごとのオープンイノベーションの進行度に応じて、提案のアプローチを変えています。オープンイノベーションはあくまで手段でしかないので、目が外に向いていない企業にベンチャーとの協業の話をしても『なぜ外と組む必要があるのか？』という話になって、なかなか進まない。そのような企業に対しては、まずは社内でチャレンジングな新規事業を創りましょう、という提案をします」</p>

<p>新規事業というと、技術に強みをもつ企業は改善レベルの目標設定をしがちだが、「2020年までに完全自動運転を実現する」というような高い目標を掲げた場合には、既存の事業や製品の延長線では難しくなるという。</p>

<p>「自社内だけでは実現が難しい非連続なことにチャレンジしようと思った時に初めて、外にも目を向けるようになり、結果としてオープンイノベーションという手段の検討に進みます。もちろん、すでにオープンイノベーションの理解がある企業には、目標を達成するために必要な具体的なベンチャー協業の提案を行います」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/nedopitch700.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>技術ベンチャーと大企業との事業提携を生み出すことを目的とした「NEDOピッチ」を<a href="https://www.joic.jp/index.htm">オープンイノベーション協議会（JOIC）</a>とともに企画・運営している。世界に通用する技術をビジネスという形で活かすためのマッチングの場だ。（写真提供：JOIC）</figcaption>
</figure></p>

<h3>かけ算の基本は「補完関係」</h3>

<p>「イノベーションは一部の天才がするアートではなく、体系化によって学び教えられるはず」</p>

<p>東京大学・大学院で物理工学を専攻していた森山は、技術を人に届ける有力な手段としてのビジネスを学ぶために、新卒で経営コンサルティング会社に入社した。その後、イリノイ工科大学のデザインスクールにて、人のもつアイデアや創造性をいかに発揮するか、といったイノベーション創出の方法論を研究した。</p>

<p>「なぜその事業を創るのか（Why）、誰の笑顔が見たいのか（Who）、ありたい姿と現状のギャップを埋めるためのプロダクトは何か（What）、事業を持続可能にするためにどのようなビジネスモデルや組織づくりをするべきか（How）。この4つが事業が事業であるために必要な要素です」</p>

<p>この4つの要素が存在し互いに整合していることが重要ではあるものの、大企業の中では製品開発担当はWhatを、営業担当はWhoを、経営企画担当はHowを考えるという分業体制になっている。対して、ベンチャーはすべての要素をひとり、もしくは少人数で担う必要がある。しかし、すべてをひとりで網羅できるスーパーマンは滅多におらず、起業家によってビジョナリー型、技術者アナリスト型、営業デザイナー型に分類できるという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_2584final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Why、How、What、Whoを縦軸に、ビジョナリー型、技術者アナリスト型、営業デザイナー型を横軸にチャートをつくると、それぞれ異なる問いをもって仕事をしていることがわかる。</figcaption>
</figure></p>

<p>「例えば、スティーブ・ジョブズはビジョナリー型に分類できます。絶対的な世界観はありますが、彼がプロダクトを作れるわけではありません。技術者アナリスト型はプロダクトがいかに面白いか、営業デザイナー型は顧客にとっての必要性やユーザビリティなどに意識が偏りがちです。これらの思考の癖を把握し、自分に足りないところを補完するための、チームビルディングをするべきなのです」</p>

<p>自分の思考の癖を把握していないと、ついつい似た者同士でつながりがちになる。自分と異なるタイプと手を組み、組織としてすべての領域をカバーできる、補完関係のある人材を配置しなければ、イノベーションは実現しにくいという。</p>

<p>「例えば、行動観察を起点としたイノベーションプロセスでは、一般的にWho、Why、What、Howの順番で考えていきますが、このプロセスの過程では思考の抽象度が大きく上下します。デザイナーは顧客目線に立って利用場面のことを具体的に考え、経営コンサルはさまざまなフレームワークをつくる。人によって得意とする思考の抽象度が異なるため、プロセスが進み、抽象度が大きく変化するところで摩擦が起きてしまうのです。このことを理解した上で、どのようなコミュニケーション上の工夫をするかについてチーム内で向き合っていくことが必要です」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_2595final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>イノベーションのプロセスでは、思考の抽象度が大きく変化する（☆の箇所）。そこでは特に、相手の思考の癖を意識してコミュニケーションをとることが大事だという。</figcaption>
</figure></p>

<p>オープンイノベーションを実現するためには、個人だけでなく、組織の思考の癖を意識することも重要となる。森山は大企業とベンチャーをつなぐ時にも、補完関係を意識しているという。互いの思考の違いを明確にすることで、これまで交わることのなかった企業同士がつながるきっかけを生み出している。</p>

<h3>イノベーションには3つの種類がある</h3>

<p>イノベーションを生むプロセスと、個々の思考の癖を理解すること。それを理論として体系化して、イノベーションの手法を再現性のあるものにすること。もしそれが実現できれば、社会に与えるインパクトは大きいだろう、と森山は話す。</p>

<p>「かつて、経営学もアートと呼ばれた時代がありました。それが次第に体系化され、いまでは多くのビジネスパーソンが理解できるものとなりました。わたしにしかできないイノベーションの支援はアートでしかありませんが、イノベーションを体系化することで、組織全体で取り組むことができるようになります」</p>

<p>経営学も、いまではストラテジーやマーケティングなど、より具体的な専門分野として要素分解され、それぞれの領域において、より深い洞察が生まれてきた。しかし、いま"イノベーション"と表現されるものは、立場によって捉え方にズレが生じている、と森山は指摘する。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_2612final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「イノベーションの種類は、大きく分けるとビジネスモデル、プロダクト、ユーザーエクスペリエンスの3つに分類できます。日本では、技術革新がイノベーションと捉えられていますが、それはプロダクトイノベーションを指しているにすぎません。本来はこれら3つを総称してイノベーションを指しているのです」</figcaption>
</figure></p>

<p>自社の強みはプロダクトにあるのか、ビジネスモデルにあるのか。大企業とベンチャーが協業する時においても、それぞれの補完関係をもとにマッチングすることで、互いの得意分野を活かすことができる。</p>

<p>「枠を提示することで、互いを理解しやすくなります。補完関係のかけ算でどのような価値が生まれるかを考えなければならないのです。例えば、プロダクトが強い大企業とユーザーエクスペリエンスが強いベンチャーが組むことで、新たな価値が生まれます。逆に、技術ベンチャーに対して技術が得意な企業をマッチングさせようといった場合など、互いの補完関係が見出しづらいと実現は難しくなります」</p>

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<div class="link-box"><a href="">
<div style="background-image:url(/uploads/20170328173830-f1cab9c9ac0c49445e02ef261b1a92d15a54e8d3.jpg);" class="img"></div>
<div class="info"><strong>『起業家とつくった起業の教科書』</strong><p>森山のイノベーションの体系化の理論を含めた、起業に関するノウハウをまとめた書籍。2016年12月17日発売</p></div></a></div>
</div>

<p>補完関係をもとに、常に組織を刷新していくことがこれからの企業には求められている、と森山は指摘する。なぜなら技術が普及するスピードは年々短くなっているため、自社の強みだったものが数年後には時代遅れになるかもしれないからだ。</p>

<p>「新陳代謝のインターバルが短くなっています。企業はひとつの技術や製品で長年安泰でいられる時代ではもはやなくなってきています。かつて、イノベーションは一部の人たちだけのものでした。しかし、これからはあらゆる企業が、あらゆる分野で、当たり前のものとして捉えていかなければならない時代です。新陳代謝を自社内で起こすことが難しくなるなか、補完関係にある企業や人とのつながりから、新しい新陳代謝を起こすこと、それこそ、イノベーションを絶えず起こし続けなければいけないのです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_2618final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>森山のイノベーションの体系化の理論を含めた、起業に関するノウハウをまとめた書籍『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4822235874">起業家とつくった起業の教科書</a>』が、12月17日に発売されている。</figcaption>
</figure></p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>「いま大企業の若手は、会社を超えてつながるべき」One JAPAN発起人・パナソニック濱松誠の&#8220;オングラ&#8221;な挑戦 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/12/one-japan.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7718</id>

    <published>2016-12-15T02:38:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:17:15Z</updated>

    <summary>自社の看板を背負って表舞台で活動する（=&quot;オングラ&quot;な）大企業の若手社員が、チームをつくって数十社集まると何が生まれるだろうか。大企業が保有する豊富なリソースに着目して、閉塞感が漂う日本に新風を吹き込む、濱松誠の新たなチャレンジに迫る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="社外のつながりの活かし方" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=30864041101&amp;person_id=30864041101&amp;page_kind=profile">濱松誠</a></strong><small>パナソニック 人材戦略部／パス株式会社出向／One Panasonic発起人・代表／One JAPAN 共同発起人・代表</small>
<p>1982年京都府生まれ。大学卒業後、2006年松下電器産業（現パナソニック）に入社。海外コンシューマー営業、インド事業推進を経て、2012年に社内公募で本社人事へ異動、パナソニックグループにおける人材戦略の立案や人事諸制度の設計・運営を担当。2016年3月からパナソニックとしては初のベンチャー出向社員としてパス株式会社に勤務。一方、入社した年に社内のネットワーク作りを目的として内定者懇親会を企画し、翌年以降も継続。それを発展させる形で、2012年に有志の会「One Panasonic」を立ち上げ、「人・組織・風土」の活性化や、社内外を巻き込んだオープンイノベーションに取り組んでいる。2016年9月、大企業の同世代で同じ課題意識を持つ者たちと有志団体「One JAPAN」を設立。</p></aside></p>

<p>Business Network Labのインタビューシリーズ「<a href="https://bnl.media/cat1046.html">ビジネスネットワークのものさし</a>」は、こんな問いを掲げてスタートした。</p>

<blockquote>
  <p>自分のビジネスネットワークを効果的に活用している人は、</p>

<p>「名刺の枚数」という&#8220;ものさし&#8221;だけで、</p>

<p>引き出しに眠る名刺の束を数えて満足してはいないはずだ。</p>

<p>彼らはいったいどんな&#8220;ものさし&#8221;を持っているのだろうか。</p>
</blockquote>

<p>パナソニック、NTTグループ、トヨタ自動車、富士ゼロックス、JR東日本、日本郵便、ベネッセホールディングス、朝日新聞...。さまざまな業種の大企業の若手社員がつながったら、いったい何が生まれるだろうか。</p>

<p>今回登場するのは、大企業ではたらく30代の社員を中心とした有志団体「One Japan」の共同発起人、濱松誠（33歳）。</p>

<p>30代は大企業ではまだまだ若手と見なされ、自ら事業を動かすのは難しい。だが自社の看板を背負って、会社の枠を越えて横でつながれば、何かを変える力になれるかもしれない。</p>

<p>濱松が掲げるビジネスネットワークの&#8220;ものさし&#8221;は、大企業が保有する豊富な資産と、人のつながりがもたらすイノベーションの可能性を信じて、&#8220;オングラ&#8221;で活動する、気概のある大企業の若手リーダーたちだ。</p>

<hr />

<p><img src="/uploads/_MG_1387final.jpg" alt="" title="" /></p>

<p><strong>──One JAPANの話に入る前に、濱松さんは、パナソニックの若手団体「One Panasonic」の発起人でもありますが、それはどのような活動をする団体なのでしょうか。</strong></p>

<p>One Panasonicは、パナソニックの若手社員を中心とする有志のグループです。2012年3月に立ち上げました。簡単に言うと、社内に「縦・横・斜めのネットワーク」を築いていくチームです。なかでも特に縦と斜めに力を入れています。</p>

<p><strong>──縦と斜め？</strong></p>

<p>大企業は同期が多いので横はまだつながりやすい。でも社長や役員、それから新入社員や内定者（縦）、他部署の先輩や後輩（斜め）は距離が遠いんです。</p>

<p><strong>──なるほど、特に「斜め」は接点が少ないイメージはありますね。</strong></p>

<p>どんな仕事でも、熱い思いと志を持って夢を実現していこう、現状を変革して新しいことに挑戦しよう、と思ったら、チームワークやネットワーキングがやはり重要になりますよね。</p>

<p>でも、「人と人がつながって面白いものが生まれた」という話って、いつもベンチャーか外資か、フリーランスのクリエイターから発信されると思いません？</p>

<p><strong>──確かに、そういう傾向はある気がします。</strong></p>

<p>ぼくはそれが嫌で。嫌というか何故か悔しくて（笑）。300人のベンチャー企業と、何万人も社員がいるような大企業は、やはり違います。300人でも全員を認識するのは難しいのに、パナソニックのようにグループ全体で25万人もいたら、もうわけがわかりません。会ったことのない人なんてたくさんいます。他部署の人間と積極的につながろうと思っても、いろんな「組織の壁」が立ちはだかります。だけど、「大企業だから無理」「組織が縦割りだからできない」と諦めるのが嫌なんです。</p>

<p>大企業の最大かつ唯一とも言える強みは、「有形無形の豊富なリソース」です。リソースしかない、と言ってもいい。そして、そのリソースの中でも最大の資産は「人」です。それを活かさずして、なんの大企業かと。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_1438final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>人材、技術、ブランド、歴史、信頼、お金。濱松はこの6つを大企業の資産として挙げる。一見当たり前のように聞こえるが、意外にも大企業の中の人たちは、この強みを自覚できていないと彼は指摘する。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──現在One Panasonicのメンバーは何人くらいですか。</strong></p>

<p>厳密にメンバーを定義しているわけではありませんが、何らかのかたちで参加した人が2000人ほどですね。</p>

<p>もともとは、2006年、ぼくが入社1年目のときに内定者懇親会を企画したことが始まりです。毎年数十人ずつ参加者が増えていき、ゆるやかなネットワークができていきました。2012年にグループ会社3社が合併することになり、それを機会にOne Panasonicとしてスタートしました。One Panasonicの目的は、組織の壁を超えて個人をつなげて、①「一歩踏み出す」社員をつくること、②オープンイノベーションを実現することです。</p>

<p><strong>──そのつながりが、いち企業の取り組みを超えて、One JAPANへと広がっていったのは、どのような経緯だったのでしょうか。</strong></p>

<p>One Panasonicを立ち上げたあと、社外の動きとして、ふたつのことが起こりました。</p>

<p>ひとつは、「こんなことをやっている知り合いがいるんですよ、紹介させてもらえませんか」と言われることが増えてきた。それで知り合ったのが、例えば、富士ゼロックスで「秘密結社わるだ組」という活動を行っている大川陽介さんや、NTTグループの横串活動「O－DEN（オデン）」を主宰しているNTT東日本の山本将裕さんです。話していると「大企業あるある」で盛り上がるんですが、それだけではなく、世の中の捉え方にすごく同時代、同年代を感じたんですね。「一緒だな、こういうことだよな」、と。そのときから何か一緒にできたらなというのはありました。</p>

<p>もうひとつは、「One Panasonicの話を聞いて、ぼくもやろうと思いました」と言って、実際に行動を起こし、自分の会社で有志団体をつくる人が出てきたことです。</p>

<p>このふたつの流れが合わさって、26社が参加する「One JAPAN」がつくられていきました。</p>

<p>大企業の中で変革に挑戦するのは、簡単ではありません。ぼくはいま33歳で、世の中では決して若くはないと思いますが、現実として大手では若手とみなされます。現実的に考えれば、そんな若手に7,8兆円規模の会社を変えられるわけがない。そう言って多くの人が諦めて、辞めていったり、染まっていったりするんですが、組織の中にとどまったまま、なんとか変えてやろうと思っている個人は確実にいます。コレクティブインパクトを出すためにも、その人たちをつなげていかないといけないと思うんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_1344final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>ひとりの若手社員がどれだけ発言しても、無駄に終わってしまう。だから各社、社内で面白いメンバーを集めて「個人ではなくチームで頑張りましょう」と言って声をかけていったのだという。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──大きい組織の中にも熱のある「個」はいるんだけれども、分散して見えづらいので、それを集めて見えるようにしましょう、と。</strong></p>

<p>そうです。そして、もうひとつのぼくらの活動のポイントは「オングラ（オングラウンド、地上）」であることです。オーバーグラウンドでもいいんだけど、要するに「アングラ（アンダーグラウンド、地下活動）」ではないということです。</p>

<p>会社公認でなければ、自主的な勉強会や交流活動をしている人たちはけっこういると思うんです。ただ、それでは会社を動かすような影響力は持てないのではないかと、ぼくは思うんですね。</p>

<p>小さなことのように聞こえるかもしれませんが、One JAPANの特徴のひとつは、チームでの参加を必須としており、みんな自分が所属する会社の看板を背負って、表に出てきているということです。「NTTの〇〇さん」「富士ゼロックスの〇〇さん」、ぼくも「パナソニックの濱松さん」です。これがいままではなかなか言えなかった。</p>

<p><strong>──確かに、自分が大企業のいち社員だったら躊躇するかもしれません。「おおっぴらに会社の名前を出して、怒られないかな」とか。「広報部の許可を取らないといけないけど、通らないだろうなあ。面倒だしなあ」と思って、やる前に諦めるかもしれません。</strong></p>

<p>設立総会を開催して以降、メディアに取り上げていただくことも増えて、先日はある経済誌の取材を受けたんですが、その記事に参加各社のロゴを載せたいということになったんです。でも、会社としては、One JAPANという有志の活動を紹介する記事にオフィシャルのロゴを使わせていいのかどうか、という判断になりますよね。</p>

<p>その取材の前の代表者会議のとき、ぼくは各社のメンバーに「突破してきてほしい」と言いました。つまり、こういう理由でOne JAPANの活動に必要だからロゴを使わせてほしいと広報に掛け合ってくれ、と。</p>

<p>結果、半数以上の会社が使用許可を出してくれました。認められなかったところもあります。でもそれでいいんです。みんなが広報と関係をもって、「やっていいのかなと思ったけど、意外と大丈夫だった」「うちはやっぱり厳しかったな」、といったような反応でした。そういう経験をすることが第一歩なんです。それが空気を破る、空気をつくることになっていくと思うんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_1405final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>大企業の中で何かを変えようと思っている若者がいても、ひとりではほとんど何もできない。「熱量をもった人たちの源泉がない」。濱松がつくりたいのはその源泉だという。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──逆に言えば、これまではそれすらも怖くてやらなかったということですね。</strong></p>

<p>その通りです。One JAPANは30歳前後の若手ばかり120人でスタートしました。「烏合の衆だ」「何ができるんだ」と言う人もいます。ですが、10年後、15年後に、この熱を持った人間が200人になり、500人になり、千人、1万人になるかもしれない。日本全体の働く人たちの数から見れば圧倒的に少ないです。でも、その千人や1万人が有機的につながったら、めちゃめちゃおもしろいんじゃないかなと思うんです。</p>

<p><strong>──その有機的なつながりによって実現したいことは、どんなことでしょうか。</strong></p>

<p>将来的には、日本流のビジネス・エコシステムをつくることにつながっていけばいいなと思っています。もちろん、いまはまだそのもっと手前の段階です。これまでイノベーションはベンチャーが担うとなぜか思われてきた。大企業にはできないと。でもぼくたちはその空気を変えたい。大企業だけでというつもりはありませんが、ベンチャーでも大企業でもできる。それを実現したいんです。</p>

<p>もちろん大企業の中で閉じるのではなく、ベンチャーやソーシャルセクター、アカデミアやアートの人たち、いろんなカルチャーや価値観と混ざり合う、そのハブのひとつにOne JAPANがなれたらいいなと思っています。</p>

<p><strong>──One JAPANのような、大企業の若手社員による団体は日本では初めてだと思いますが、海外にはあるんですか。</strong></p>

<p>あります。グローバルイントレプレナーカンファレンス。企業内起業家の存在は海外でもやはり同じで、国際的な会議も開かれています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_1459final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「でも若手ばかりだと意思決定権ないでしょ」。そういう指摘に対しては、「上司を説得すればいい」、そして「10年後の世界を見てほしい」と言う。実際にいま、ミドルマネジメント層を巻き込むための施策やアドバイザリー・ボードのようなものをつくり、支援者を増やしているところだ。会社を越えたつながりは、必ず将来活きる時が来るという。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──日本でも働き方が多様化したと言われ、企業や独立が奨励される面がありますが、でもまだまだ安定した大企業に入社して、会社員として働く生き方を選択する人が多い。そこを無視してはいけないということですね。</strong></p>

<p>はい。働き方の多様化について止めるつもりも減速させるつもりも一切ありません。どちらかというと、ぼくたちが実践して後押ししようと考えているぐらいです。加えて、いまの20代30代は、自分のことや会社のことだけでなく、広く社会の問題を解決していこうという意識を持っている人が多い。</p>

<p>いま、週休2日制を採用している会社が多いですが、週休2日はパナソニックの創業者の松下幸之助が米国から持ってきて、自社に取り入れたものなんです。でも、週休1日が当たり前の時代には「絶対できるわけがない」と言われていた。実際に他社に波及するまでに何年もかかりました。</p>

<p>ぼくらは、One JAPANという母体で、会社という垣根を超えてゆるやかにつながることで、「ぼくもこんな働き方がしたいな」「〇〇社さんのやり方、うちでも取り入れよう」、そんなふうに、多様性や選択肢を生み出すことができるかもしれない。思ったり言ったりするだけではなく、実践・行動していくんです。</p>

<p>世の中はつくっていくものです。「どうせできない」と文句を言っていても、未来はやってきません。人間には孤独に勝たなければいけない局面もありますが、やはり人と人とのつながりが、新しいものやおもしろいものを生む。ぼくはそう信じています。</p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>石川善樹が「BNL Fireside Chat」で語った、新しいアイデアを生む、3つのつながりの法則 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/12/fcreport-vol3.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7711</id>

    <published>2016-12-08T02:30:00Z</published>
    <updated>2018-10-25T10:31:28Z</updated>

    <summary>11月21日、予防医学研究者の石川善樹をゲストに迎えたEightのトークイベントを「Tokyo Work Design Week」のスペシャルコラボプログラムとして渋谷ヒカリエで開催した。2時間のトークのうち、最も注目を集めた3つのビジネスネットワークの法則を紹介。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="11月の特集" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BNL Fireside Chat" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="EVENTS INFO" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>名刺アプリ「Eight」のメディア、Business Network Labが主催する「BNL Fireside Chat」は、各界の第一線で活躍するゲストを招き、これからのビジネスネットワークについて語るトークイベントだ。</p>

<p>第3回は、&#8220;働き方の祭典&#8221;「Tokyo Work Design Week」のスペシャルコラボプログラムとして、渋谷ヒカリエでの開催となった。</p>

<p>ゲストは『疲れない脳をつくる生活習慣』や『友だちの数で寿命はきまる』、『最後のダイエット』等の著者であり、ビジネスパーソン対象の講演や、企業のアドバイザーまで務める予防医学研究者の石川善樹。</p>

<p>自身の生い立ちから、これまでのキャリア、人生100年設計の考え方まで、トークの内容は多岐に及んだが、本稿では「新しいアイデアを生むビジネスネットワークの法則」に焦点を絞ってレポートする。</p>

<h3>法則1. 基本は3人で笑うこと</h3>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_1556final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>ビジネスの出会いの質を高めるには、Y氏ともZ氏ともつながっているX氏が、まだつながっていない2人を紹介して、3人で笑うことから交流を始めると効果的だと説く。詳細は過去の<a href="https://bnl.media/2016/08/ishikawa.html">インタビュー記事</a>で。</figcaption>
</figure></p>

<p>動物のつながりの技術は「毛づくろい」だと石川は語る。毛づくろいをすることで脳内物質エンドルフィンが放出されて仲良くなれる。</p>

<p>毛づくろいは1対1でしかできないが、人類はより多くの人とつながれる技術を習得していると彼は説く。笑い、歌と踊り、そして物語と宗教だ。笑いは3人までが限界で、4人以上になると取り残される人がでるという。それを突破できるのが「歌と踊り」の力であり、「物語と宗教」はさらに多くのつながりを生む。</p>

<p>しかし、つながりは単に多ければ良いわけでもない。人間は興味関心が近しい人とつながりやすいため、油断しているとどこかで聞いたことのあるようなアイデアばかり耳に入ってくるようになる。</p>

<p>「例えば、トランプ次期米大統領の誕生を喜ぶ人が、あなたのSNSのタイムラインにどれほどいたでしょうか。全然いなかったという人のネットワークは多様性に乏しく、出会いの質が悪いということになります」</p>

<p>だがジレンマもある。自分にはない新しいアイデアを持っている人は、会いにくいことが多い。そこで石川は、通常トレードオフになる「その人が持つアイデアの新しさ」と「その人の会いやすさ」を、ちょうどいいバランスで実現する数式を導き出した。</p>

<h3>法則2. 「会うべき度」の高い人を探すこと</h3>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_1643final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>一見複雑に見えるが、考え方としては非常にシンプルな数式だという。</figcaption>
</figure></p>

<p>この「会うべき度」の数式を実装した未来のネットワークサービスを石川は「ヒトナビ」と呼んでいる。ヒトナビは、まるでカーナビのように明日誰に会えば優れたアイデアを得られるかを教えてくれる空想のサービスだ。</p>

<p>「いまぼくらは、SNSがつくり出した"つながりの大海"を彷徨っているといえます。なぜなら、羅針盤を持たずに海に出てしまったからです。『ヒトナビ』はSNS時代の羅針盤を目指してつくっています。社会に実装されれば、すごいことが起きると思いますよ。『トランプ大統領、よっしゃー！』という人もまわりに増えるはずです」</p>

<p>ヒトナビがなくても、普段なかなか会えないような人と話す機会に巡り合うこともあるかもしれない。その時、いったい何を話せば新しいアイデアを交換できるのだろうか。石川は研究者の基本である「問い」の重要性について語った。</p>

<h3>法則3. 万人が関心をもつ「問い」を語ること</h3>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_1545final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>石川がホワイトボードに描いた図をノートに写したり、写真に収める人も多く見受けられた。</figcaption>
</figure></p>

<p>人はそれぞれ自分が働く領域における特有の「問い」を持っている。</p>

<p>例えば経営者は、「何やってるの？　それ儲かるの？　それはスケールできるの？」という3つの問いを投げかけることが多い。一方、政治家は「それは政治に何ができますか？」という質問が好きだ。</p>

<p>だが石川はいろんな人と会う中で、なかには共通の問いがあることに気づいた。それに対する自分なりのアイデアを持っておくと、どの業界の人とも話ができるようになるという。</p>

<p>その共通の問いは「いまどういう時代か」というものだ。自分の専門分野にもとづいて、いまの時代を語ることができれば、壁が取っ払われてお互いのアイデアを語り合えるようになる。同様に「人類とは何か」という問いも、深い洞察を持っていれば効果的だという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_1630final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>ときに笑いも誘う熱量あふれるトークで、石川は120分間、観客を飽きさせなかった。</figcaption>
</figure></p>

<h3>答えではなく問いでつながろう</h3>

<p>相手がどのような問いを持っているかに着目すれば、どういう人とつながるべきかまでわかるようになってくる。会場から投げかけられた「相性が良いだろうと思って紹介したら意外と話が合わない時があるが、どうすればミスマッチを減らすことができるのか」という質問に対して、石川は次のように答えた。</p>

<p>「研究の世界でよく言われるのは、『専門性は違ってていい。むしろ違っていた方がいい。ただ問いは共通であるべきだ』ということです。お互いどういう問いをもって生きているのか。そこが共通していれば話は合うと思います。アイデアはその人の問いに対する『答え』です。アイデアレベルだと一見似ているようでも、よく話を聞いてみると『問い』が違っていることもあります。だから相手の答えではなく問いに注目するべきです」</p>

<p>例えば石川が今年の1月から11ヶ月間、ずっと問い続けてきたことは「考えるとは何か」というもの。試行錯誤の末、最近ようやく納得できる答えにたどり着いたという。しかし、その答えは迂闊に人に話したくはないそうだ。</p>

<p>「多くの人は考えることが仕事になっているはずです。だから迂闊に人から聞いてはいけないと思うんです。何よりぼくの答えはあくまでひとつの答えでしかない。ぜひ、みなさんも"考えるとは何か？"を考えてみて、ディスカッションさせてください！（笑）」</p>
]]>
        
    </content>
</entry>

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    <title>「ミーハー心で行動し、熱量をもった個人とつながること」分野を越境するプロデューサー・西村真里子の仕事術 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/11/nishimura.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7704</id>

    <published>2016-11-30T02:31:33Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:22:51Z</updated>

    <summary>貪欲な好奇心をもとに、異なる領域のプロフェッショナル同士をつなぎ、最高のステージを演出する。デザインとマーケティングの力をもとに、分野を越境した新たな価値をつくり出すHEART CATCH代表、西村真里子の「ビジネスネットワークの裏ワザ」を探る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="ビジネスネットワーク活用の裏ワザ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="クリエイター" label="クリエイター" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="デザイン" label="デザイン" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=1574687005&amp;person_id=1574687005&amp;page_kind=profile">西村真里子</a></strong><small>株式会社HEART CATCH代表/プロデューサー</small>
<p>国際基督教大学(ICU)卒。エンジニアとしてキャリアをスタートし、その後外資系企業のフィールドマーケティングマネージャー、デジタルクリエイティブ会社のプロデューサーを経て2014年にHEART CATCHを設立。 テクノロジー×デザイン×マーケティングを強みにプロデュース業や編集、ベンチャー向けのメンターを行う。Mistletoeフェロー。日本テレビ「SENSORS」編集長。</p></aside></p>

<h3>Eightユーザーのつながる技術を探る「ビジネスネットワークの裏ワザ」</h3>

<p>名刺をEightに取り込むだけではもったいない。あなたのビジネスネットワークをもっと効果的に活用できれば、仕事の課題に対して新たな解決の糸口が見つかるかもしれない。つながりを生かして、ひとりの力では実現できないことを達成していく人たちには、きっと新人研修では教えてくれないビジネスネットワーク活用の"裏ワザ"があるはずだ。</p>

<p>注目のEightユーザーを取材する企画「ビジネスネットワークの裏ワザ」。今回は、スタートアップのためのデザインとマーケティングのメンタリングプログラムなどを主催するなど、さまざまな領域同士をつなぎコラボレーションを生み出している<a href="http://heartcatch.me/">HEART CATCH</a>代表の西村真里子が登場する。</p>

<hr />

<h3>仕事のプロセスを楽しむことが「HEART CATCH」となる</h3>

<p>「いかにして仕事を楽しくするか。アウトプットだけでなく、そのプロセスも楽しくしたい」。西村はそんな考えを、日々巡らせているという。</p>

<p>IBM、アドビシステムズ、バスキュールと、テクノロジーやデザイン、マーケティングの領域を渡り歩き、組織のなかでさまざまなプロジェクトに携わってきた。そんな彼女が、なぜ自身の会社であるHEART CATCHを立ち上げたのか。</p>

<p>「いまやインターネットがあればどこでも仕事ができる環境にあります。新しい働き方、仕事のあり方を模索するなかで、組織内ではなく自分自身で実践し新たな道をつくってみたいと考えたことがきっかけです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND3146final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>2016年、NEDO（国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構）の技術ベンチャーに対してデザインとマーケティングの視点をもとにしたプレゼンテーションを支援する活動も行っている。</figcaption>
</figure></p>

<p>バスキュール時代に、テレビとソーシャルメディアを融合させたテレビ企画をつくったことがきっかけで、日本テレビが運営するクリエイティブ、テクノロジー、ムーブメントをさまざまな視点で紹介するウェブメディア「<a href="http://www.sensors.jp/">SENSORS</a>」の編集長を務めている。また、スタートアップのためのデザインとマーケティングのメンタリングプログラム「<a href="http://events.heartcatch.me/">HEART CATCH 2015</a>」を実施するなど、異なる領域の分野のプロフェッショナル同士をつなぎ新たな価値を社会に生み出すための場をつくりだしている。</p>

<p>「わたし自身が、エンジニア、マーケッター、プロデューサー、大企業とベンチャーなど、職種や領域を越境してきました。その根底には、世の中に対して新たな価値や体験を提供するために自分ができることは何かを考え行動すること。そして、自分の価値をひとつの会社・組織に固定しないこと。自分自身が仕事をしていて楽しいと思えることと向き合うこと。そして、大事にしていることとして、仕事のプロセスを楽しくすることで良いアウトプットが生まると信じています。そうした環境をより多くの人たちにも提供していければ」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND3039final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>オープンイノベーションが重要視される現在、「デザイナーやアーティストと協業したい！」という企業の声は、以前よりも増しているという。</figcaption>
</figure></p>

<h3>裏ワザ1.　可能性を引き出す「舞台」をつくること</h3>

<p>西村の原点は、学生時代に読んだサン=テグジュペリの『人間の土地』だという。</p>

<p>「パイロットであり作家でもあるサン=テグジュペリの『人間の土地』に"虐殺されたモーツァルト"という言葉がでてきます。人々は誰もが才能を持っているのに、成長するにつれて周囲の環境に押し殺される人が多い。組織や社会に埋もれるのではなく、まずは飛び込んでみてやってみようとする意思が大事。同時に、人の才能を活かすために自分ができることは何かを考えるようになりました」</p>

<p>幼少期から百科事典や工具に囲まれた生活を送っていたことから、ものをつくることの楽しさに目覚めた。「ステージに立つことはいつでもできるけど、空間を彩ることは大学でしかできない」という考えから、大学に入ると舞台照明に携わるようになる。</p>

<p>「最高の演者が集まるところで、面白いステージをいかに演出するか。自分自身がそうしたステージを観たいと思っているし、観客にも最高の体験を届けたい。その思いがいまの仕事にもつながっています」</p>

<p>他者の能力を最大限引き出すためにできることは何か。人が持つ才能を信じ、仕事を通じて才能を発揮するための環境をデザインすること。西村はそうした思いでこれまで仕事をしてきたという。</p>

<p>編集長であるSENSORSでは、テレビとウェブの担当者が同じテーブルにつき、現在起きている最先端のテクノロジーについて議論を交わし、それぞれの文脈にあった形で情報発信やリアルイベントを展開している。テレビとウェブそれぞれの良さを理解している西村だからこそ、それぞれの媒体に最適化された形で情報や体験を届ける設えが可能だ。それを支えるのも、テレビのプロとウェブのプロが集い、互いの知見を活かすマネジメントできる西村ならではといえる。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND2974final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>日々さまざまな領域の第一線で活躍する人と出会い、SENSORSなどの媒体でインタビューなどを行っている西村。国内外を問わず各地を飛び回っている。</figcaption>
</figure></p>

<h3>裏ワザ2.　徹底してミーハーであれ</h3>

<p>領域を越えたさまざまな人と出会うために必要な要素はなにか。西村は「徹底してミーハーであれ」と語る。</p>

<p>「第一線で活躍している人たちは、見えている視野が広い。そこには多くの学びがあり、知的欲求が満たされていく。なので、会いたい人に積極的に会いに行き、そこから次のビジネスの種を見つけにいきます。ただ会うだけでなく、そこから自分がどんな学びを得たのか、積極的にSNSで発信することも忘れない。もちろん、会う前には事前にその人の考えを勉強し、かつ、その人が興味を持ちそうな話題を提供できるようにしています。いざお会いしたときにも、さまざまな話題を投げてみて、そこから『西村は何か面白そうな人間だ』と思ってもらえたら、と思っています。その根底には、出会いを大切にしたいのと、自分との出会いが少しでも価値あるものになれば、という思いがあるからです」</p>

<p>会いたいという気持ちに純粋に向き合う秘訣は、その人を心の底から好きだと思うこと、と西村は話す。相手に対して心の底から興味を持つことで、出会いにおける振舞いも変わってくる。こうした一つひとつの小さなきっかけを大事にすることが、ビジネスネットワークを築いていくのだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND3001final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「どこにいるか、ではなく何に夢中になっているか」。その人の持つ熱量が、他者を引き寄せる力になるという。</figcaption>
</figure></p>

<h3>裏ワザ3.　熱量のある個人とつながること</h3>

<p>さまざまな人との出会いを経てくるなかで、今後、組織や企業という枠組みを越えて熱量のある個人同士のつながりが価値になってくる時代が来ると西村は考えるようになった。生き方、働き方がシフトしている現代において、量子的な動きがこれからのイノベーションを生み出す種となるという。</p>

<p>「ニューヨークMoMAシニアキュレーターのパオラ・アントネッリが提唱した、既存概念では結び付けられなかったモノをつなげる『量子デザイン』という考え方は、領域を越境しふたつの物事とつなげる"IN BETWEEN"という概念と作品によって説明されていました。この考え方は、個人のキャリア構築にも通じる話です。いまや、個人がひとつの領域に留まるのではなく、異なる領域を越えながらも、揺るぎないエンパワーされた個人が原子核を飛び回る電子のように活発に活動すればするほど、その人自身の周囲に新たな熱量を持った人たちが集まってきます。それによって、個人がより活躍し、進化する環境が生まれてくるようになるはずです。そんな環境をデザインする仕事を目指しています」</p>

<p>自身も既存のキャリアプランでは結びつかない職種や企業を渡り歩いてきた。そのなかで大事にしてきたのは、自分自身の興味や知的好奇心に素直になり、行動していくことだった。</p>

<p>「HEART CATCH 2015」を立ち上げたのも、スタートアップにデザインとマーケティングの重要性を知ってもらい、いままでにはない新たな形のスタートアップ支援のあり方を模索したことで生まれた企画だ。</p>

<p>「ゼロから自身で立ち上げた企画。だからこそ企画に賭ける思いを伝えたことで、60名以上ものメンターがプロジェクトに参加してくれました。意思を持った60名が集まったこと、互いに思いを共有したことで、さまざまなプロジェクトが生まれるようになりました」</p>

<p>西村は次なる企画に向けて動き出している。企画の種は世の中に対するフラストレーションを見つけること。世の中にある課題だからこそ自身も熱量を持ちやすい。同時に問題意識を共有し、強い思いを持った個人がつながることで、領域を越えた新たな価値が生まれようとしている。</p>

<p>ミーハーであること、熱量を持った個人同士がつながること。西村のようにあらゆるものごとに純粋に真摯に向き合うシンプルな姿勢が、時に多くの人を動かす原動力となり、強固なビジネスネットワークが築き上げられるのだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND3091final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「HEART CATCH 2015がきっかけとなり、NEDOのデザインフェローの依頼にもつながりました。わたしのようなミーハーがアカデミックな領域にもつながり始めてきたんです。今後はいままでにない新しい企業のあり方、新しい学校のあり方が模索していきたいですね」</figcaption>
</figure></p>
]]>
        
    </content>
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    <title>「CRAZY WEDDING」森山和彦の仕事は、&#8220;楽しい&#8221;の連鎖をつくること - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/11/crazy-wedding-moriyama.html" />
    <id>tag:bnl.media,2016://125.8151</id>

    <published>2016-11-25T02:33:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:17:02Z</updated>

    <summary>完全オーダーメイド・コンセプトウェディングサービスで業界に変革をもたらした「CRAZY WEDDING」。最近、彼らのもとには企業からもビジネスの相談が持ち込まれるようになり、法人向けの新事業を立ち上がった。その求心力の源泉はどこにあるのか。&quot;楽しい&quot;がすべてをドライブしていると語る、代表・森山和彦の仕事術に迫る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="社外のつながりの活かし方" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=8842487016&amp;person_id=8842487016&amp;page_kind=profile">森山和彦</a></strong><small>株式会社CRAZY代表取締役社長</small>
<p>1982年生まれ。中央大学卒業後、人材コンサルティング会社に入社。経営コンサルタントとしてトップセールスを記録。6年間の勤務を経て独立し、妻の山川咲とともに2012年7月に株式会社CRAZYの前身であるUNITEDSTYLEを創業。主な事業は完全オーダーメイドコンセプトウェディングサービス「CRAZY WEDDING」。2016年5月29日にCRAZY WEDDINGのプロデューサーを務めていた山川咲が&#8220;ウェディング業界の革命児&#8221;として「情熱大陸」で特集され大きな注目を集める。代表の森山は年間250件を超えるウェディング事業の経験を活かし、今月、法人向けのクリエイティブサービス「CRAZY CREATIVE AGENCY」を立ち上げた。CRAZY社は今後数多くの事業立ち上げに挑戦し、最終的には2000社100万人の雇用を生み出すことを宣言している。</p></aside></p>

<p>Business Network Labのインタビューシリーズ「ビジネスネットワークのものさし」は、こんな問いを掲げてスタートした。</p>

<blockquote>
  <p>自分のビジネスネットワークを効果的に活用している人は、</p>

<p>「名刺の枚数」という&#8220;ものさし&#8221;だけで、</p>

<p>引き出しに眠る名刺の束を数えて満足してはいないはずだ。</p>

<p>彼らはいったいどんな&#8220;ものさし&#8221;を持っているのだろうか。</p>
</blockquote>

<p>今回は、革新的なウェディングプロデュース事業で注目を集める「<a href="http://www.crazy.co.jp/">CRAZY</a>」代表、森山和彦の思考を探る。</p>

<p>2012年に立ち上げた完全オーダーメイドコンセプトウェディングサービス「<a href="https://www.crazywedding.jp/">CRAZY WEDDING</a>」は、5月にテレビ番組「情熱大陸」でも特集されるなど、業界を超えて今年大きな話題を呼んでいる。</p>

<p>森山にとっての&#8220;ものさし&#8221;は、「楽しい」を共有できる人たち＝ファンだ。ファンになってもらえるとCRAZYの名前は広がり、ビジネスの引き合いも増える。そのチャンスを見逃すことなく、森山は自ら客先へと通い、とにかく「楽しい！」と思えるような企画を提案する。</p>

<p>一度でも彼の話を聞けば、本当に何か一緒に面白いことができそうな気になってくるから不思議なものだ。その頭の中はどのような思考になっているのか。CRAZYを率いる頭脳が語る、成功モデルに迫る。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND4041final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「いまあらゆるビジネスに『リアルな接点』が足りていない」。ウェディング事業の経験を活かして、今度は企業を相手に新たな挑戦に踏み出した。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──ウェディングプロデュース事業で知られるCRAZYですが、最近新しい事業を始められたそうですね。どういったものなのでしょうか。</strong></p>

<p>CRAZY WEDDINGの技術を応用した「<a href="http://crazyordie.com/cca">CRAZY CREATIVE AGENCY</a>」という、法人向けのサービスです。ぼくらはウェディングでコンセプトから空間デザイン、当日の進行内容まで、ゼロベースで全部つくって、他にはない一体感を生むということをずっとやってきたわけです。そのノウハウを活かして、法人向けにイベントを設計します。</p>

<p><strong>──そのニーズはどこから？</strong></p>

<p>例えばちょうど今日、広告代理店の人が遊びに来ていて、「広告業界の中ですごい人って誰ですか？」と聞いてみたら、博報堂ケトルの嶋浩一郎さんの名前が挙がりました。彼のすごいところは「広告業界の枠組みを変えたことだ」とその方から教わりました。これまではメディアのプランニングだけで十分だったのですが、いまは最終的な「消費者との接点」まで設計することが重要になっているそうです。CRAZYはまさにその「リアルな接点」をずっと極めてきた会社です。</p>

<p><strong>──そこでどうしてCRAZYの力が必要になるのでしょう？</strong></p>

<p>広告代理店の中でも、イベントってそもそも儲かる部署ではないのです。業者扱いのところが多くて、あまりクリエイティブではない。だからイベントって進化していないんです。まず真っ暗になって映像流して...ってなるでしょ。</p>

<p><strong>──たしかに、大体そこから始まりますね。</strong></p>

<p>つまり一般的なパッケージはウェディングだけでなく、企業のイベントにも存在しているということです。例えば多くの主催者はプレゼンテーションとか映像とかだけで企業のメッセージを伝えようしています。その人たちには「空気で伝えようと思ったことはありますか？」と問いたいですね。</p>

<p><strong>──「空気」ですか？</strong></p>

<p>いわゆるイベントの雰囲気、流れている空気感の設計ということです。例えばクリエイティブな空気って存在するんです。その商品が好きだっていう空気も。その空間の中に感謝という空気が溢れている時もあります。</p>

<p><strong>──なるほど。完全オリジナルウェディングを手がけるCRAZYなら、「空気で伝える」技術があるわけですね。</strong></p>

<p>その通りです。世界にひとつしかない、たったふたりを題材にして、そのふたりのことが空気で伝わるかたちで表現するのがCRAZY WEDDINGのやり方です。装飾から椅子の座り心地まで、一つひとつ丁寧に考えてベストなものを選んでいます。その実績を見込んで、最近CRAZYには「ソフト面」の相談が多く集まっています。</p>

<p><strong>──「ソフト面」って何ですか？</strong></p>

<p>例えばこのオフィスを「ハード面」だけで捉えたら、ただの快適なオフィスです。でもここになぜ年間何百人も外部の方が見学にいらっしゃるんですが、それは「自分たちでつくった」というソフト面があるからだと思います。ソフトは面白さや意外性、企画性によって生まれるものです。このオフィスのフローリングは、ハード面だけで見ると4,000枚ほど敷かれています。でも実は社員一人ひとりが磨いていたりと、社員が語ることができるコンテンツがあるのです。ソフト面がなければ、他社のフローリングとさほど差別化できず、見学に訪れる価値の大部分を失ってしまいます。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND4098final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>CRAZYのオフィスは、両国駅から10分ほど歩いた住宅地の中に突如現る4階建ての建物だ。受付の代わりに、1階には訪問者をもてなすカフェを運営している。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──「ソフト」をやることで、他と同じでないものができると？</strong></p>

<p>そうです。</p>

<p><strong>──それが価値になる？</strong></p>

<p>価値になります。</p>

<p><strong>──それがいまいろんなところで足りていないと？</strong></p>

<p>まったく足りていないし、ものすごく大きなニーズを感じています。例えば、イベントを開催するという大きな枠組みはありますが、ただ開催するだけだと期待以上の効果は得られません。</p>

<p><strong>──何でですか？</strong></p>

<p>いまは一人ひとりが日々受け取る情報量が増えているため、発信された情報は瞬間的に消費されてしまいます。消費されないためには記憶にいかに残るかを工夫しなければならない。例えば、頭の中に「おっ！」っていう空白をつくるという方法があります。</p>

<p><strong>──「空白をつくる」とは？</strong></p>

<p>人間は基本的に自分の経験にもとづいて物事を判断します。経験による映像を頭の中に投影するのです。人の話は意識の半分くらいで聞いています。だからまったくわからない話をすると、いままでの経験で理解できなくなるので、相手の意識に空白が生まれるのです。</p>

<p><img src="/uploads/_OND4073.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>オフィスを移転した時、業者に頼ることなく、なるべく自分たちで内装をつくることを掲げ、フローリングから壁のペンキ塗りまで、スタッフ総動員で仕上げたという。</h6>

<p><strong>──「空白」というのがまだよくわからない。わざわざ難しく話すというわけでもないですよね？</strong></p>

<p>違います。例えば、いまインタビューされている状況で、仮に「インタビューって意味なくない？」とわたしが言えば、あなたの頭に空白が生まれますよね（笑）。</p>

<p><strong>──なるほど（笑）。「え、どういうこと？」って聞き返したくなりますね。</strong></p>

<p>それを意図的にやる、というよりは「ぼくはぼくだから」という独自の世界観がいつもあるような感じです。誰かの言語で話そうっていう感覚や、社会的な枠組みがどうこうという感覚ではないんです。むしろ関係ないとすら思っています。だからぼくが話すと相手に空白が生まれるのです。</p>

<p><strong>──それだと相手に何も理解してもらえないのでは？</strong></p>

<p>結構そんなことなくて、意外に共感してもらえて、結局わかってもらえることが多いのです。感覚としては、みんな普通の話、普通の毎日に飽きてるんだと思うんです。で、相手に空白ができると、もっと理解したいという欲求が生まれて、相手が理解しようと努力するようになるのだと思います。</p>

<p><strong>──いままさにぼくがやっていることですね（笑）</strong></p>

<p>その通り（笑）。ぼくは常に新しい世界が知りたい。だからいつも必死に学んでいます。真剣に「新しい世界をつくるんだ。ぼくはできると思っていますよ」と、人に話すわけです。そして「こういう方法なんですけど...」とぼくなりの方法論を話す。すると「それ新しい！　面白い！」っていう反応が返ってきたりします。</p>

<p><strong>──そうやってこれまでCRAZYの事業を進めてきたわけですね。</strong></p>

<p>はい、その熱量の積み重ねによっていまがある、という感覚です。何か素晴らしいことがやりたいという思いがあって、それをまわりにシェアしている感じです。そうすると、必ず大事な場面でチャンスが巡ってくるのです。</p>

<p><strong>──例えばどんなチャンスですか？</strong></p>

<p>誰かが助けてくれて、使えなかった場所が使えるようになったり。SNSで発信したら偶然新規の案件につながったり...。でも頑張って"ネットワーク"をつくったり、「人のつながりを大事にしよう！」などと特別に意識しているわけではありません。自分がまわりに対して丁寧に誠実に生きることを大事にしているのです。自分の思いがあって、自分の仕事に責任を持っていて、全部の仕事に全力で取り組めば、必ず人は集まってきます。なぜかというと、その全力がクレイジーで、それが差別化になるくらいやるからです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND4109final.jpg" alt="" title="" />
<figcapture>社員は現在約65人。美大から新卒で入ってきて会場の装飾づくりに励む人もいれば、自らCRAZYの結婚式をお客さんとして体験して、まったく異なる業界から転職してきた人たちもいる。</figcapture>
<figure></p>

<p><strong>──「差別化」は森山さんの中で特に大事にされている言葉のようですね。</strong></p>

<p>物事は違う視点で見た方が価値は高まるものです。予測値と結果の差が生まれるからです。差がないものに特別な価値は無いと思います。人は差に対してお金を払うのです。</p>

<p><strong>──その「差」をこれから立ち上げる事業でもつくっていきたいと？</strong></p>

<p>差を生み出すために、CRAZYでは「自由」であることを大事にしています。社会からはみ出ればはみ出るほど、差ができていく。そしてそれが次の商品になるんです。</p>

<p><strong>──CRAZYでは、今後数百もの事業を立ち上げるとか、何万人の雇用を生み出すとか、とてつもない数値目標を掲げているじゃないですか。</strong></p>

<p>はい、してますね（笑）</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/1_vision_49-ID-bab70234-3e24-42c1-cc45-301dff823263.png" alt="" title="" />
<figcapture>創業から掲げているビジョンは、"豊かな生態系をつくる"こと。そのために2,000社100万人の雇用を生み出す。その第一歩として、まず創業10年で20社の"マーベリック・カンパニー"（飛び抜けた会社）を輩出する、と<a href="http://www.crazyordie.com/vision">CRAZY 2.0というウェブサイト</a>で宣言している。</figcapture>
</figure></p>

<p><strong>──あれにはどのような意図があるのでしょう？</strong></p>

<p>単純に「もっと人間らしく生きられたらいいな」と思っているのです。</p>

<p><strong>──「人間らしく」とは？</strong></p>

<p>人間は「社会的動物」だと思っています。例えば、いま日本人の社会的役割を考えた場合に、会社で働くことに対するネガティブな文脈が存在しています。会社員は自由ではないと。社畜とかブラック企業とか、会社と人が分離していると思います。ぼくは「もっと人が人として生きていく社会ってあるんじゃないの？」っていうオルタナティブな提案をしたい。</p>

<p><strong>──そういう考え方で望めば、多くの事業がつくれるのですか？</strong></p>

<p>人間らしい生き方がしたいという人たちは、いま増えているように感じています。彼らは経済成長だけでは駄目。社会貢献だけでも違う。その真ん中がいいんです。第3の解を求めているのです。会社を大きくしなければいけないと思って事業をするのか、自分の人生をかけて事業をするのかは別です。これからCRAZYが立ち上げる事業は、一つひとつは小さくてもいい。10人とかで十分です。でも彼らには志がある。楽しんでいる。それでいいんです。それを2000社つくりたい。</p>

<p><strong>──「2000社」はとても挑戦的な数字ですね。いま準備しているものだと、どのようなものがありますか？</strong></p>

<p>例えば、WHEREっていう旅の会社があります。近々大学の事業も始めます。ホテルもやります。教育事業もいま準備を進めています。</p>

<p><strong>──すごい！ どんどん出てきますね。</strong></p>

<p>スタッフは誰もがそれぞれの人生において、世の中に伝えたいメッセージをもっています。だから機会があればどんどんやっていきます。すぐに投資を回収することを考えている会社ではないし、全体としてうまくいけばいいと思っています。でもぼくたちの強みであるリアルな接点のノウハウは、さまざまな事業に応用できます。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND4166final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>CRAZYではすでにケータリング事業「CRAZY KITCHEN」も運営している。</figcapture>
<figure></p>

<p><strong>──ウェディング事業の技術を、これから次々と横展開していくわけですね。</strong></p>

<p>個人として、そこに人生をかけるほどの熱量をもってやりたい人たちがいる。それが事業をやるかどうかの経営判断の大事なポイントになります。例えば人材派遣の事業もこれから立ち上げようとしています。</p>

<p><strong>──人材派遣ですか？</strong></p>

<p>実はいまCRAZY WEDDINGの結婚式の運営を手伝ってくれている「キャスト」と呼んでいる人たちをわれわれは全国で数百人抱えているのですが、そのうち約半数の人は、平日別の仕事をしているんです。</p>

<p><strong>──せっかく休みの日なのに働いているのですか？</strong></p>

<p>そう、面白いでしょ。でもみんなお金のためではなくて、楽しいからやっているんです。普通に平日たくさん稼いでいる広告代理店の人とかもいますよ。</p>

<p><strong>──本当に好きでやっていらっしゃるのですね。</strong></p>

<p>これからはその人たちを数人のユニットにして、企業のイベントで活躍してもらう事業を立ち上げようと思っています。一生に1回しかない結婚式で毎回企画内容が違うものを何度も経験してきた人たちですから、現場の状況に応じて臨機応変に動ける高度な技術を持っています。その人たちが企業の周年イベントやお店とかのオープニングイベントに派遣されると、客際がとても強くなります。現場の雰囲気まで変える力を持っているのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND4033final.jpg" alt="" title="" />
<figcapture>CRAZYの社員はお互いの距離感が近い傾向がある。打ち合わせスペースのフローリングの板の長さを普通より短くするなど、オフィスの設計段階から意識して設計している効果もあるようだ。</figcapture>
<figure></p>

<p><strong>──やはりCRAZYでは「楽しい」を非常に大事にされていますよね。</strong></p>

<p>新しい事業を立ち上げるときに、それが巨大なビジネスになるかという次元の話はほとんどしていません。「楽しい」っていうことは、少なくともまずは自分が顧客の一人で、その時点で一定のマーケットがあるはずなんです。それだけで「はい、OK！」って感じです。</p>

<p><strong>──え、社長としての経営判断はそれだけでGOサインが出るわけですか。</strong></p>

<p>もちろん他の要素もあります（笑）。でも、その事業の市場規模が1億だろうが10億だろうが別に関係ないんですよ。1億でもそれが1000社あれば、1000億ですから。</p>

<p><strong>──そこまでいけばもう大企業ですね。</strong></p>

<p>でも「社員をマネジメントをしてやる」という考え方では、それほどの数はつくれません。「雇われている」という既存の概念が嫌いなんです。もちろん基本的な起業のルールや、CRAZYの文化は共有します。でもあとはそれぞれの事業を個人として人生かけてやりたいという人がいるので、その人たちがやりたいようにやってもらいたい。きっとコアはCRAZYの文化で、普通の事はしないという前提があるので、それが可能になるのかなと。</p>

<p><strong>──マネジメントしていないとなると、代表の森山さんは普段何をされているのですか？</strong></p>

<p>「情熱大陸」ではお金の管理をする人として紹介されていましたけれど、実際は違います（笑）。面白いことをやるのがぼくの仕事です。今日もお客さんのところに行ってプレゼンしてきました。結局、皆さんの感想は「楽しいっすね！」というものでした。これがリアルな接点、ソフトの力です。CRAZYの源泉です。だってぼくと話していて楽しくないのに、本番のイベントが楽しくなるはずがないでしょ（笑）。だからぼくの仕事は、引き合いがあったときに楽しい提案をしに行くことですね。</p>

<p><strong>──それで他と違うものができれば、また差別化できて引き合いが増える。</strong></p>

<p>違うだけでは駄目です。意味合いとか熱量とか、いろんなものがそこに含まれていることが重要です。そうすると何よりもやっている人たちが楽しい。楽しいっていうのは結局いろいろ含んでいるからすごい大事なんです。またやりたくなるし、次も早く回るようになります。</p>

<p><strong>──楽しければ人もどんどん巻き込まれていきますしね。</strong></p>

<p>そうそう、それで気づいたら採用されていたりもするわけ。そうやってこれまで上手くまわってきたんです。</p>

<p><strong>──やっぱり、CRAZYの源泉には「楽しい」がありますね。</strong></p>

<p>ぼくはやっぱり楽しいことをやるのが得意だし、やりたいタイプなんです。</p>
]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>ハフポスト編集長・竹下隆一郎が「Eight Fireside Chat」で語った、広い視野をもつ仲間を増やすススメ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/11/fcreport-vol2.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7483</id>

    <published>2016-11-16T02:32:00Z</published>
    <updated>2019-05-17T07:07:31Z</updated>

    <summary>11月4日（金）、EightのオフィスでBusiness Network Labのトークイベントが開催された。ゲストはハフィントンポスト日本版の編集長、竹下隆一郎。広い視野をもち、自社の利益を超えた価値を大事にしている人を「仲間」にするべきだと語った。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="10月の特集" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BNL Fireside Chat" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="EVENTS INFO" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネスネットワーク" label="ビジネスネットワーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="編集者" label="編集者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>11月4日（金）、第2回となる「Eight Fireside Chat」が青山にあるSansan社内のイベントスペース「Garden」にて開催された。</p>

<p>Business Network Lab（BNラボ）が主催するFireside Chatは、各界の第一線で活躍するゲストを招き、BNラボのインタビュアーが聞き手となって、これからのビジネスネットワークのあり方について話すトークセッションだ。</p>

<p>第2回のゲストは、ハフィントン・ポスト・ジャパン編集長、竹下隆一郎。彼は朝日新聞の記者として、Twitterを使った選挙の世論分析プロジェクト「ビリオメディア」立ち上げや、R&amp;Dや新規事業を展開する「メディアラボ」に関わった。2016年5月にハフィントン・ポスト・ジャパン編集長に就任。ソーシャルメディア時代にふさわしいメディアのあり方をいち早く捉え、実践している。BNラボのインタビュー連載「ビジネスネットワークのものさし」にも登場した。</p>

<div class="link-box"><a href="/2016/09/takeshita.html">
<div style="background-image: url('/uploads/_MG_0866-1094.jpg');" class="img"></div>
<div class="info"><strong>あなたの人脈の7割は偏っている」ハフィントンポスト日本版編集長・竹下隆一郎に学ぶ、視野を広げる技術</strong></div></a>
</div>

<p>連載では、「人脈の7割は偏っている」という事実を認識した上で、デジタルな時代だからこそ人間の「声」を大事にしよう、と語った。BNラボ編集長丸山裕貴がインタビュアーを務めた今回のFireside Chatでは、ハフポスト編集長として体験した人との出会いなど、メディア人ならずとも示唆に富む事例が語られた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND2802final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>5月に編集長に就任してまず取り組んだことは、「会話が生まれる記事」をつくること。</figcaption>
</figure></p>

<p>竹下が編集長を務める「<a href="http://www.huffingtonpost.jp/">ハフィントン・ポスト・ジャパン（The Huffington Post Japan）</a>」は、2013年5月にサービスが開始された。元の「The Huffington Post」は2005年にアリアナ・ハフィントンによって設立され、現在はアメリカ以外では、日本をはじめ15カ国・地域で展開されている。</p>

<p>メディアとしてのハフィントン・ポストの特徴は、レポーターやニュースエディターのほかに、1000人を超える多彩なブロガーがいることだ。掲載される記事は、速報性の高いニュースもあれば、専門家による論説、有名無名を問わないユニークな書き手によるコラムなど、バリエーションに富む。</p>

<p>竹下がメディアを運営するにあたって大事にしていることは、「ハフィントン・ポストの記事をもとにして会話が生まれること」だと言う。</p>

<p>就任してすぐ、「<a href="http://www.huffingtonpost.jp/ryan-takeshita/post_11919_b_10094814.html">飲み会やめる　そしたら、人生変わる気がする</a>」という記事を書いた。転職前後の数え切れない飲み会の誘いを「試しに8割ぐらい断ってみた」という自らの体験をもとに、「働き方と飲み会」について考えるものだ。最後に、「みなさんはどう思いますか？」と、ツイッターのハッシュタグつきで投げかけた。</p>

<p>「そうしたら、子育て中のお母さんから『どうしても飲み会に行けないのに、飲み会で物事が決まるのはフェアじゃない』という意見が出たり、新入社員から『飲み会だと上司とも話しやすく、自分の企画を訴えるいい機会だからぜひ必要だ』という声が出てきたり、さまざまな会話が生まれたんです。そこからさらに取材を深めて記事にし、イベントまで開催しました」</p>

<p>メディアがフラットな立場でユーザーからのフィードバックを積極的に取り込み、議論を盛り上げていくスタイルは、情報が一方通行で流れるオールドメディアのやり方とはまったく異なる。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND2856final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>参加者から集めた事前アンケートでは、これからのメディアの役割や、人脈とビジネスの視野を広げる技術を学びたい、といった声が多かった。</figcaption>
</figure></p>

<p>「はじめはハフポストの社員も"引いて"いた」というこのスタイルを竹下が自らやってみせたのは、朝日新聞時代からの問題意識があった。新聞でも、ワークライフバランスや女性の働き方などの議論を広げたいと、あの手この手で記事をつくっていた。しかし、生活者にとって切実なイシューのはずなのに、なぜか議論が一部の人たちにとどまり、本当に声を聞きたい人たちにまで広がっていかない。</p>

<p>「やはり会話を生み出すためには、日常の言葉で記事を書かないといけないと思ったんです。『飲み会やめよう。どう思う？』。この2つの言葉だけで会話が生まれて、活発に議論される。そのやり方でなら、医療制度改革や、『リベラルってなんだろう』といったもう少し堅いテーマでも、議論を呼び起こすことができる」</p>

<p>竹下は、新聞やテレビが「市民の声」の名の下に「新橋のサラリーマン」に街頭インタビューを行うことに疑問を持っていたと言う。彼らはある意味「特権階級」だ。本当に声を聞くべきは、さまざまな理由で外に出られない人ではないのか？　竹下は「飲み会やめる」の取材で、0歳児の子育て中のお母さんにインタビューをした。乳飲み子を育てている母親は外出もままならない。アポイントは子どもが寝静まったあとの夜11時、スカイプで会話をした。</p>

<p>「お母さんでなくても、お父さんだって子育てをしていれば外には出かけられませんよね。あるいは障害を持っている方。そういう人たちの声をメディアは拾い上げてこなかったんです。メディアは東京に集中していますから、地方の人の声も十分には取り上げてこなかった。でも、フェイスブックとスカイプを通じて、インタビューできる人が増えました」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND2900final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>テクノロジーを活用して成長してきたハフポスト。その編集長はいま、メディアの未来をどう捉えているのか。</figcaption>
</figure></p>

<h2>誰とでも話せるようになった。だからこそ「誰と話すか」が大切になる。</h2>

<p>テクノロジーによって人は、誰とでも話せるようになった。だからこそ「誰と話すか」が大切になる。弱い人、声の小さい人、社会の片隅にいる人。そんな人たちを見落としていませんか。竹下が語るハフポスト編集長としての実践からは、そんなメッセージが感じられた。</p>

<p>ただ、ウエブメディアはまだメインストリームとは言い難い。視聴者数の多いテレビは今も強いアジェンダ・セッティング（議題設定効果）の力を持っている。丸山の「テレビの後追いをしているという批判もありますよね」という問いかけに竹下は首肯しながらも、「しかし今年からその潮目は変わった」と言う。</p>

<p>「『保育園落ちた日本死ね！！！』というブログが話題になりましたよね。ブログで発信された声が国会で取り上げられ、日本の中枢で議論された。これは大きな出来事だったと思います。今後、ネット発の議論がどんどん出てくると思う」</p>

<p>これからの時代、メディア同士は「敵ではなく、協働していく相手」だと竹下は言う。ハフポスト発の議論をテレビの視点で特集してもらい、その反応をハフポストにフィードバックする。あるいは、ハフポストのブロガーの発信力をテレビ制作に生かしてもらう。メディアの垣根を超えたプロジェクトは単なる理想ではなく、十分に現実的だ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND3000final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>メディアの垣根を超えるという話から、話題はビジネスネットワークを広げる考え方へ。</figcaption>
</figure></p>

<h2>所属する会社や業界よりも、広い視野を持っている人を「仲間」にすべき。</h2>

<p>「人脈は、人を排除するものではないと思うんですね。お互いに潰しあっても仕方がないじゃないですか。大事なのはいかに仲間をつくるか。ビジネスネットワークを広げるとは、仲間を増やすことだと思っています」</p>

<p>竹下にとっての「仲間」は、「その人が所属する会社や業界よりも、広い視野を持っている人」だ。</p>

<p>「もちろん自社の利益は重要ですが、それを超えた価値を大事にしている人とは、何か一緒にやりたいと強く思います。特に若い人たちの中には面白いことをやりたい、世の中にインパクトを与えたいという人が増えている気がするんです」</p>

<p>竹下は、テクノロジーの時代だからこそ、人間同士のネットワークが大切だという。しかしそれは単なる懐古趣味ではない。竹下はもうすこし先の未来を見ている。人工知能（AI）と人間が共存する未来だ。アメリカでは、ニュースをAIに書かせることはすでに実施されており、日本でも最近、中部経済新聞にAI記者が書いた記事が掲載され話題を呼んだ。米Amazonは2014年、AIによって顧客の購買行動を予測し、注文する前に発送する技術（anticipatory shipping）の特許を取得した（サービスは検討中）。</p>

<p>「でも、Amazonのレコメンドの精度がどれだけ上がったとしても、自分の好きな人の『この本、すごくおもしろいよ』の一言が、人間にはいちばん響くと思うんです。どれだけテクノロジーが発達しても人間は人間の声に振り向く。たとえAIが『明日この人に会うべきだ、店も予約した』と言っても、それをキャンセルしても会いたいと思える人がいる。それが人間の強さだと思うので、両方が共存する社会であってほしいと思います。そして、そう思える人をいかにたくさん、いろんな場所に持っているかが、自分にとってのネットワークの価値ではないでしょうか」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND2989final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>熱心にメモをとっている人も多く、後半の30分間は、会場からひっきりなしに手が挙がった。</figcaption>
</figure></p>

<h2>個人がたとえ組織から離れても生きていける社会が理想だと思う。</h2>

<p>質疑応答では、こんな質問が投げかけられた。「どういう人とだったら、長く付き合っていけると判断されますか」。</p>

<p>竹下は「海外旅行へ行ったときに、連絡をしたくなる人がすごく大事だと思います」と答えた。</p>

<p>「この人にこの感動を伝えたいなと思う人ですね。場所を変えると人間の脳は働き方が変わります。いつもと違う場所に行ったときにパッと思い浮かぶ人は、何か自分の中で引っかかりのある人だと思います」</p>

<p>また、こんな質問も上がった。「誰にとってもそれぞれビジネスという目的があってネットワークをつくろうと考えるものだと思うが、言論人としてネットワークの目的をどう考えているか」。</p>

<p>この質問に竹下は、「言論人と言うとおこがましいですが」と前置きした上で、こう答えた。</p>

<p>「わたしは個人の力を信じています。大きな力に負けないでいかに日本人が個として生きていけるかということを大事にしています。ネットワークに興味があるのも、単に人脈を広げたいとかいいビジネスリーダーになりたいというよりは、個人がたとえ組織から離れても生きていける社会が理想だと思うからです。そういう社会を実現したいと思って一生懸命発信しているつもりです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND3043final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>トーク終了後は、約1時間の懇親会が設けられた。Eightアプリでの名刺交換をきっかけに会話が盛り上がる姿もあちこちで見られた。</figcaption>
</figure></p>
]]>
        
    </content>
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    <title>「信頼はタグ付けとインプットから生まれる」コラボラボ横田響子が実践するマッチング術 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2016-11-09T05:25:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:22:49Z</updated>

    <summary>女性ならでの視点から新規事業や新商品を生み出す。女性起業家の活躍が注目される背景に、女性社長のネットワークをもとにした事業支援を行う横田響子の存在は大きい。1900社を超える女性社長コミュニティ「女性社長.net」を運営する彼女の「ビジネスネットワークの裏ワザ」を探る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="ビジネスネットワーク活用の裏ワザ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネスネットワーク" label="ビジネスネットワーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=39575846171&amp;person_id=39575846171&amp;page_kind=profile">横田響子</a></strong><small>株式会社コラボラボ代表取締役</small>
<p>1976年オーストラリア生。お茶の水女子大学卒業後、'99年株式会社リクルート入社。6年間人材部門を中心に営業、新規事業および事業企画を経験後、退社。2006年株式会社コラボラボ設立。現在、1900社を超える女性社長コミュニティをサポートしながら女性社長を紹介する「女性社長.net」、女性社長300名が集結するイベント「J300」を企画運営。大手企業を中心とした新規事業の立ち上げ、販促支援など多数プロジェクト運営。内閣府・男女共同参画連携会議議員、内閣府「国・行政のあり方を考える懇談会」メンバー、行政改革歳出改革ワーキンググループ委員、男女共同参画重点方針専門調査会委員　など。書籍に「女性社長が日本を救う！」（マガジンハウス発行）</p></aside></p>

<h3>Eightユーザーのつながる技術を探る「ビジネスネットワークの裏ワザ」</h3>

<p>名刺をEightに取り込むだけではもったいない。あなたのビジネスネットワークをもっと効果的に活用できれば、仕事の課題に対して新たな解決の糸口が見つかるかもしれない。つながりを生かして、ひとりの力では実現できないことを達成していく人たちには、きっと新人研修では教えてくれないビジネスネットワーク活用の"裏ワザ"があるはずだ。</p>

<p>注目のEightユーザーを取材する企画「ビジネスネットワークの裏ワザ」。今回は1900社を超える女性社長コミュニティづくりや、女性社長のネットワークをもとに大企業の新規事業やイノベーションを推進する、株式会社コラボラボ代表の横田響子が登場する。</p>

<h3>女性社長が活躍する世の中を目指して</h3>

<p>「女性起業家を支援し、女性が活躍する世の中にしたい」と考えた横田は、リクルートを退社後、1年間で200人の女性社長と会うことを決意した。2年目を向かえ、約400人近くの女性社長と出会うなかで、一般的なビジネスパーソンと女性社長の違いや、女性社長ならではの特性が見えてきたという。</p>

<p>「キャリアなしに独立した人、コミュニケーションの取り方や経営に対する向き合い方など、多様な価値観や起業の背景を持つ女性社長はたくさんいます。けれども、そうした人たちが資金難や人脈不足を理由にチャンスを逃している人も多いんです。そうした彼女たちを支援し、事業が継続できるための情報提供やネットワークづくりのためのコミュニティをつくろうと考えました」</p>

<p>2008年に女性社長コミュニティをサポートしながら女性社長を紹介する「<a href="http://joseishacho.net/">女性社長.net</a>」を設立。いまでは、1900社を超える女性社長たちが集まる場にまで成長した。2009年から女性社長約300人を集めた「J300」というイベントを開催。日本全国の女性社長同士のビジネスネットワークを広げている。また女性が活躍できるための政策提言を行うなど、女性経営者の活躍推進の旗振り役として、政府の有識者会議などで積極的に声をあげている存在でもある。</p>

<p><img src="/uploads/_MG_8943final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>2016年9月からスタートした、フェイスブック社による女性起業家支援プログラムの日本のパートナーとして女性社長.netが企画運営を担当。SNSのビジネス活用や企業全般に対するマーケティング・セミナーを実施していくという。</h6>

<h3>裏ワザ1.　相手を「タグ付け」して、つながりの可能性を広げていく</h3>

<p>「女性社長.net」は、登録制、女性社長限定のクローズドコミュニティだ。創業補助金の情報や申請のアドバイス、企業からの案件相談などを会員向けに発信している。相互に貢献し合うコミュニティを通じて、女性社長同士が互いに成長しあう場づくりを意識している。</p>

<p>日々多くの女性社長やビジネスマンと出会うなかで、横田は独自の手法で相手の特徴を把握するようになったという。</p>

<p>「初対面の人と会ったときには、その人の強みや興味関心、出身地やいま何を求めているかを引き出し、自分の中でタグ付けしておきます。その人のタグ付けが増えれば増えるほど、次につながるご縁をつくりやすいですからね」</p>

<p>コラボラボのもとには、日々さまざまな企業から相談や紹介の案件が舞い込んでくる。そうした自分に来た案件に対して、女性社長のコミュニティ内に投げかけ、仕事につなげる紹介も積極的に行っている。投げかけに対して、情報に適切な回答をしてくるかどうかで、それぞれの特徴やPRポイントが明確になってくる。また、日々のやりとりの積み重ねから、その人の仕事の仕方も見えてくる。コミュニティに投げつつも、自分の頭の中にあるタグに引っかかる人に対して個別打診するなど、タグをきっかけに積極的につながりをつくっている。</p>

<p>「相手のことを知る大きなポイントは、一緒に仕事をすること。その時に気をつけていることは、いままで仕事をつないだことがない人にもできるだけ紹介すること。日々の対話をきっかけにその人のことを知り、タグを増やしながら情報をアップデートしていくことを心がけています」</p>

<p>常に相手の最新の状態を把握しようと心がけている横田は、その膨大なデータベースを通じたマッチングに定評があるという。横田ならではのネットワーク把握術とマッチングの精度を通じた信頼の積み重ねによって、いまや大企業だけでなく行政からも仕事の相談が舞い込むようになった。</p>

<p><img src="/uploads/_MG_9022final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>「世の中には、自分が知らないだけで面白い人はたくさんいます。可能性を潰さないよう、思い込みをせずに常に新しい人との出会いに奔走しています」</h6>

<h3>裏ワザ2.　インプットを増やし、相手との会話の接点をつくり出す　</h3>

<p>タグを増やすためには、絶対的なインプットの量が必要だと横田は話す。その際に意識していることは、自分の得意領域だけでなく、これまで見たことも聞いたこともないさまざまな分野にも興味関心を向けること。そこから相手との共通の話題が生まれ、相手を知るきっかけになるという。</p>

<p>「多種多様なインプットを増やすことで、色んな情報が自分のもとに入ってきます。その情報が会話のきっかけになります。相手の関心事に近いもので会話できないと、コミュニケーションは生まれませんからね。また、NewsPicksでは自分が興味関心が高い分野の記事にコメントをするだけでなく、ビジネスパーソンの関心が高い分野や新しいITツールなどについても記事を読み、意見をコメントとしてアウトプットを試みています。自分の意見を出したうえで、立場によって異なる他の専門家や一般ユーザーの解説・意見・感想を通じ、自分の理解度をはかったり相対的立ち位置を把握することを意識して取り入れています」</p>

<p>さまざまなコミュニティでインプットや発言を行っている横田。政府の有識者会議や事業仕分けなどの会議に参加することも、有効なインプットが入るひとつの機会であり、横田にとってはすべてが新たな情報との出会いだという。自身の知識欲に素直になり、知らない世界を知るものほど楽しいものはない、と話す。</p>

<p>「タグが相手に対してのインプットであれば、そのタグを生み出すために自分の知識や経験を豊かにするインプットも重要なんです。そこから見えてきた情報が、次なる紹介やマッチングに生きてくるのです」</p>

<p><img src="/uploads/_MG_9052final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>インプットをもとに相手との情報の接点をつくり出すこと。相手の特徴やタグをもとに、フラットにゼロベースな観点でその人興味関心や潜在的な意識を想像すること。そうした想像力が、横田なりのマッチングの妙を生み出す原点となっている。</h6>

<h3>裏ワザ3.　チャンスを見極め、「ここぞ」というときに人に頼る</h3>

<p>コミュニティづくりやマッチングだけでなく、横田自身も大きな挑戦の場に何度も踏み出している。2009年から開催しているJ300は、まさに横田自身が大きなチャレンジに挑んだ取り組みのひとつでもある。</p>

<p>「2009年当時は、リーマンショック後で日本全体が停滞していました。だからこそ女性社長が300人集まるという、いままでにないイベントを企画することで、日本全体が元気になるきっかけになれば、と思ったんです」</p>

<p>誰も実現したことがない企画。「こうなったらいい」と思う世界観を描き、そこに現実を追いつかせるようなチャレンジが横田を駆り出していく。そうした自身の大きなチャレンジに、これまでの自身の信頼があるから周囲も快く協力してくれる。結果、これまで横浜市長の林文子さん、竹中平蔵さん、秋元康さんをはじめ実力派女性起業家の協力を得てきた。</p>

<p>「自分自身のチャンスを見定め、ここぞ！と勝負するときにいかに人に頼ることができるか。それまでの自分自身の振舞いの積み重ねで、チャンスを活かせるかどうかが変わってきます。人へ何かを頼むときは、時と場合をきちんと見極めていくからこそ意味がでてくるんです」</p>

<p><img src="/uploads/_MG_9116final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>オフィスには、過去にJ300に登壇したゲストらの色紙が飾られている。女性経営者に対する応援は、日本社会の新たな活力となることを横田は信じている。</h6>

<p>2009年に開催したJ300を皮切りに、2回目、3回目と会を重ねるごとにイベントの規模も周囲の注目も増してきた。5年目からは、内閣府と協力しながら、上場企業と女性経営者をつなぐマッチング事業に力をいれるようになる。</p>

<p>都内だけでなく、地方開催を軸に日本全国の女性社長を後押しするイベントへと成長したJ300。10拠点を超える女性起業家との協業で地方の女性起業家発掘に、さらに、大企業と女性社長がマッチングするためのビジネスネットワークの場となっている。実際、鉄道会社とIT女性起業家のサービス提携や大手メーカーの新事業開発につながっている。そのきっかけも、横田の最初のチャレンジがあったからこそと言える。</p>

<p>女性社長のチャンスを広げ、新たなチャレンジを後押しすることを目的に横田は活動してきた。次なる展開として、女性起業や女性社長のみならず、大企業もチャレンジする社会になるための仕掛けを考えているという。</p>

<p>「大企業もこれまで以上に新たなチャレンジに積極的になってもらいたいですね。組織を超えた協業が大事。社名の通り、会社としてどれだけのコラボを生み出していけるか。女性社長のチャンスだけでなく、大企業や日本社会全体でこれまで以上に面白いことが生まれる世の中にしていきたいですね」</p>

<p>日本社会全体の新たな可能性を見据えている横田。女性社長の背中を支え、時にチャレンジをあと押しする縁の下の力持ちである。そこで生まれたビジネスネットワークの積み重ねが、次なるイノベーションを生み出す種となっているのだ。</p>

<p><img src="/uploads/_MG_9088final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>「政府の有識者会議でも、まだまだ女性起業家の活躍やこれからの働き方を支援する声は小さい。自分がやらないといけない、という義務感もありやっています。ベンチャー全体が新陳代謝を起こすエンジンとなるために、自分ができることはできるだけやっていきたいですね」</h6>

<p><address>文／<a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=21443165063&amp;person_id=21443165063&amp;page_kind=profile">江口晋太朗</a>　撮影／<a href="http://www.shinybamboo.com/" target="_blank" rel="nofollow">西田香織</a></address></p>
]]>
        
    </content>
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    <title>Takramのデザインエンジニア・田川欣哉が語る、上流の仕事術とビジネスネットワークの「エレベーター理論」 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/11/takram-tagawa.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7465</id>

    <published>2016-11-02T02:40:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:16:55Z</updated>

    <summary>世のビジネスパーソンはほぼ全員「階数制限付エレベーター」に乗っていると、田川欣哉は言う。日本における「デザインエンジニア」の第一人者による、平面ではなく立体的にとらえるビジネスネットワーク論を紹介。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="社外のつながりの活かし方" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="クリエイター" label="クリエイター" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="デザイン" label="デザイン" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=119&amp;person_id=119&amp;page_kind=profile">田川欣哉</a></strong><small>デザインエンジニア／Takram代表</small>
<p>1999年東京大学機械情報工学科卒業。2001年英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アートにて修士課程（Industrial Design Engineering）修了。LEADING EDGE DESIGNを経てTakramを共同設立。デザインエンジニアリングという新しい手法で、ソフトウェアからハードウェアまで幅広い製品のデザインと設計を手掛ける。主なプロジェクトに、トヨタ自動車「NS4」のUI設計、日本政府のビッグデータビジュアライゼーションシステム「RESAS 地域経済分析システム」のプロトタイピング、NHK Eテレ「ミミクリーズ」のアートディレクションなどがある。日本語入力機器「tagtype」はニューヨーク近代美術館のパーマネントコレクションに選定されている。内閣府クールジャパン戦略推進会議委員。2015年より英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アートにて客員教授を兼務。</p></aside></p>

<p>Business Network Labのインタビューシリーズ「ビジネスネットワークのものさし」は、こんな問いを掲げてスタートした。</p>

<blockquote>
  <p>自分のビジネスネットワークを効果的に活用している人は、</p>

<p>「名刺の枚数」という"ものさし"だけで、</p>

<p>引き出しに眠る名刺の束を数えて満足してはいないはずだ。</p>

<p>彼らはいったいどんな"ものさし"を持っているのだろうか。</p>
</blockquote>

<p>デザインとエンジニアリングの両分野に精通する「デザインエンジニア」を中核に、多様なプロフェッショナルが集うクリエイティブ・イノベーション・ファーム「<a href="http://ja.takram.com/">Takram</a>」の代表、田川欣哉。</p>

<p>クライアントの構想をプロトタイプで可視化することで、企画段階からイメージをすり合わせ（田川は「ベクトルを揃える」と表現）、新規プロジェクトの推進力を増幅させる「上流のデザイン」を得意としている。</p>

<p>その手法をよりよく生かすための試行錯誤を重ねてきた田川のビジネスネットワークのものさしは、「エレベーター」だ。</p>

<hr />

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND8837final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>クライアントに対しては、まず「偉大なる素人性」を持って接し、いったん物事が進み始めると「偉大なる玄人性」を持って取り組むことが大事だという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──Takramのプロジェクトは一般の商品・サービスからコンセプチュアルな作品まで多様です。最近、政府が主導する<a href="http://ja.takram.com/projects/resas-prototype/" target="_blank" rel="nofollow">「RESAS地域経済分析システム」のプロトタイプ</a>を手がけられました。これはどんな経緯で？</strong></p>

<p>きっかけは仕事でお世話になっている方からの紹介です。その方からの紹介を通じて、プロジェクトのメンバーの方々がTakramを訪ねていらっしゃいました。ただ、最初からこういうものをつくってほしいという具体的な依頼があったわけではなく、進め方も含めて相談に乗って欲しいというような状況でした。</p>

<p>この「RESASプロトタイプ」は、データビジュアライゼーション（データの可視化）というアプローチを活用したものです。国家スケールの経済ビッグデータを表示するシステムとしては世界でも最大級のもので、ごく限られた人しか挑んでいない未踏領域の仕事です。そのような意味でも、今回取り組んだ「RESASプロトタイプ」は、Takramにとっても大きなチャレンジでした。</p>

<p>最初のミーティングでわれわれからお伝えしたのは、「ぼくらも、この時点ではどのようなソフトウェアに仕上げればよいのか、その具体的な仕様やデザインについてはわかりません」ということでした。</p>

<p><strong>──そうなんですか!?　「できますよ」と言って引き受けるのかと思っていました。</strong></p>

<p>ぼくらも初めてみるデータなんですから（笑）。たった30分ほどのミーティングで「こういうデザインにすべきです」とは言えません。ただ、どういうステップを踏んで進めていけば、短期間で何らかのかたちに落とし込むことができるかというプロセス、つまりプロトタイピングの進め方については分かります、とお話ししたんです。</p>

<p>ぼくらが手がけたのはRESASのプロトタイプで、現在運用されている商用版のRESASの実装は別の会社が担当しました。一部は<a href="https://resas.go.jp/" target="_blank" rel="nofollow">一般にも公開されています</a>ので誰でも見ることができます。例えばある都市から別の都市へ、どうお金と人が動いているかをすべてトラッキングできるようになっていたりします。これをまずプロトタイプとしてつくっていきました。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=ttAJ7HQJvqg
<figcaption>Takramが制作した「RESAS地域経済分析システム」のプロトタイプ。自動車メーカーの取引構造がビジュアライズされている。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──パッと見て直感的にわかりますね。これだったら自分に必要なデータを探すことも楽になりそうです。見ているだけでもおもしろいです。</strong></p>

<p>世の中にないものをつくることがぼくらの仕事だと思っています。前例のないもの、誰もやったことのないものをつくること。そういった新事業は生存率が1割を切るような世界ですが、その確率を5割以上にあげて、軌道に乗せるのがぼくらの仕事です。</p>

<p>それをテクノロジーとデザインを駆使しながらサポートしていくのが、Takramの仕事です。</p>

<p><strong>──なるほど。いろんな相手をサポートするから、Takramのプロジェクトは多様で、「そんなことまでできるの?!」というものが多いのですね。</strong></p>

<p>例えばいまだと、ispaceという宇宙ベンチャーが中心となって進めている「HAKUTO」というプロジェクトは面白いですよ。グーグルが主催する「Google Lunar XPRIZE」という月面探査レースに参加しているのですが、月面を走らせる車として開発しているのが月面探査ローバーです。</p>

<p>レースのミッションは、ロボット探査機を打ち上げて月面に着陸させ、そこから500メートル走らせて、高精細の画像のデータを送ることで、それを最初に達成したチームに2000万ドル=約21億円が与えられるんです。</p>

<p><strong>──21億円！</strong></p>

<p>打ち上げだけでも10億円以上かかるから、開発費も全部合わせると、たとえ1位になっても全然足りないんですけどね（笑）。ぼくらはサポートカンパニーとして参加していて、このローバーの外装デザインはTakramが担当しています。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/watch?v=o5TsPA7ChQM
<figcaption>Google Lunar XPRIZEに挑戦する、民間月面探査チーム「HAKUTO」のローバーのフライトモデル（実際に宇宙に打ち上げるモデル）。Takramが意匠コンセプト立案・スタイリングを担当した。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──なぜTakramが参加することになったんですか。</strong></p>

<p>Takramのメンバーに牛込陽介というデザイナー・テクノロジストがいるのですが、彼がispaceのメンバーのひとりと友人だったんです。ispaceでフライトモデルのデザインをしなきゃということになり、「牛込くんのところでやれないかなあ」と持ちかけられて、「宇宙おもしろいじゃん、やってみようぜ」と引き受けた。そんな感じでスタートはカジュアルだったのに、途中からどんどん話が大きくなっていったんですが（笑）。</p>

<p>これは本当におもしろいプロジェクトです。宇宙空間での熱対策とか、軽量化のための構造や素材とか、Takramのメンバーたちは常にispaceのエンジニアたちとディープな議論を重ねてデザインを進めています。</p>

<p><strong>──エンジニアだけではできないものですか？</strong></p>

<p>最新のテクノロジーはかっこよくあってほしいじゃないですか。アプリのユーザーインターフェイスをデザイナーが手がけるのと同じで、エンジニアだけでつくっていては、洗練された形にはなかなか到達しません。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND8835final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>誰もやったことないもの、世の中にないものをつくる。それがTakramのアイデンティティだ。新たな挑戦には失敗が付き物だが、プロトタイプを早めにつくることで精度を高めている。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──プロダクト自体がかっこよくて夢を感じられるものでないと、サポートする人やスポンサーもこれほど集まらないかもしれないですね。</strong></p>

<p>デザインの役割でとても大切なことは、ビジョンをつくってしまう能力です。いや、ビジョンをつくると言うと嘘になるな。経営者やリーダーの頭の中にあるビジョンを、外に出して、形にして見せてあげることができるのです。</p>

<p>それが仮にプロトタイプであったとしても、モノができた瞬間に、人間の思考のピントが合い始めるのです。プロジェクトに関わる人が100人や200人もいたとしても、モノがバンッと出てくることによって、「あ、そっちなんだ」とベクトルが揃う。</p>

<p>そして、それをハイスピードでやることも大事です。人の思いの熱量が高いうちにプロトタイプを見せていくことで、関係するすべての人の視線を一気に同じ方向に向かせる。ベクトルがバラバラだと打ち消しあうのが、ひとつの方向を向くことによって推進力が増すんです。一人ひとりの投入するエネルギーは同じでも、全体のアウトプットが何十倍にもなる。</p>

<p>というのが、プロジェクトの「上流」における、デザインのパワフルなところです。スタートを切らせる力がある。</p>

<p>もうすこし下っていくと、ユーザー向けの商品化や量産化といった、つくり込みの世界になってきて、それはまた別のデザインの効能なんですね。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND8858final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「ぼくらは水のようなもの」だと田川は言う。「緑の絵の具と混ざれば緑の水に、赤と混ざれば赤の水に。結果だけでは同じ人たちがやっているようには見えないけど、どんな色でも取り込んできれいにする存在でありたい」</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──「上流」という言葉がありましたが、一般にはやはりつくり込みの部分で仕事をしている人が多くて、上流に関わるようになるのもなかなかできることではないと思うんです。ビジネスでは意思決定権を持つ人と話せとはよく言われることですが、トップのビジョンを聞けるようになるにはどうしたらよいのか、と。</strong></p>

<p>それこそネットワークかもしれないですね。ぼくらは最初から経営者層の人たちと話ができたわけではないんですよ。地べたの仕事もたくさんやりました。ただ、ネットワークという意味でもやはりプロトタイプがぼくらを次に連れて行ってくれた気がします。</p>

<p>プロトタイプというモノが、クライアントの社内を一人歩きしていくのです。何かの拍子に上の人の目に留まって、「これをつくった人を呼んできなさい」と呼ばれて行き、徐々に上の人たちと話せるようになっていく、というパターンが多かった気がします。</p>

<p>いまは、そうですね、ハブタイプと言われる方々はやはり世間には多くいらっしゃるので、そのような方々を通じて人とのつながりが広がっていくということはありますね。でも、ビジネスネットワークの話でいうと、ぼくは、ハブよりもエレベーター理論をという捉え方を持っていて。</p>

<p><strong>──エレベーターですか？</strong></p>

<p>聞きたいですか？</p>

<p><strong>──はい、教えてください（笑）。</strong></p>

<p>例えば、60階建ての高層ビルがあるとするじゃないですか。各フロアには人が動いています。初めてそのビルを訪れて、受付をすると、カードを渡されます。そのカードには「1階から3階」と書いてあります。そのカードで行き来できるのは3階まで。そしてビルの中を上に行ったり下に行ったりして仕事をしているうちに、顔見知りが増えたり、評判が出てきたりする。</p>

<p>3階まで行くと、そこには、3階から8階までのエレベーターがあるんです。それで、3階で仕事をしていると、たまに8階から3階に降りてくる人がいるんです。そういう人と運良く出会うことができ、かつ、その人のお眼鏡にかなうと「お前おもしろいから、俺と一緒に8階に来い」と言われる。そして一緒に付いて行くと、8階には自分が見たこともない人たちが生きているわけです。「すげー、こんな仕事をしている人たちがいるんだ」とか思ってドキドキハラハラするわけです。そのうちその人に「俺のカードを1枚分けてやるから自由に行き来しろ」と言われる。それを使って今度は３階から8階を行ったり来たりして仕事しているうちに、徐々にその環境に馴染んできて、今度は、20階から降りてきた人に発見される......。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND9018final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>いまでも年に2人くらいは、さらに上の階へ連れていってくれる人に出会うという。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──なるほど。その繰り返しで、最上階まで行けるかもしれない。</strong></p>

<p>そう。何が言いたいかというと、1階から3階までのパスしか持っていない人は、個人的な努力だけでは50階には行けないということです。上の階へ行けるようになるのは、誰かがあなたの手を引っ張って連れて行ってくれることが必要で、そこは基本的に他力なんです。世の中で活躍しているビジネスパーソンはほぼそうなんじゃないかな。いままで会えなかったような人たちと会い、冷や汗をかきながらもやっているうちに馴染んできて、次のレイヤーの人と話す準備ができる。</p>

<p><strong>──各レイヤーのいちばん上の階で、がんばっていい仕事をしなければいけないということもありますよね。声をかけてもらえるように。</strong></p>

<p>おもしろいなとか、信頼できるとか、その人が「こいつを上に連れて行こう」と思うことであればなんでもいいと思うんですけどね。</p>

<p>だから、ハブタイプというと水平方向のネットワークをイメージしますが、エレベーターで移動している人たちは垂直方向にもネットワークを持っている。ビジネスネットワークという意味ではそちらを意識するといいかなとぼくは思います。</p>

<p><strong>──まさに、ビジネスネットワークをビジュアライズしてくださったような感じがします。</strong></p>

<p>そんなことを言うと人間関係をヒエラルキーで捉えているようで嫌われてしまいそうですが（笑）、ビジネスネットワークという意味では、エレベーターのイメージを持っていると、人との付き合い方が変わるのではないかなと思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND8962final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Takramは、<a href="http://ja.takram.com/projects/eight/" target="_blank" rel="nofollow">初期のEightのユーザーインタフェース</a>を手がけた。またブランドに統一感を与えるために、ロゴマークやウェブサイト・プロモーションビデオの制作にも携わっていた。</figcaption>
</figure></p>
]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>石川善樹、「最も優れたアイデアが生まれる法則」を語る。11/21（月）「Eight Fireside Chat Vol.3」開催 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/10/fcvol3.html" />
    <id>tag:bnl.media,2016://125.8152</id>

    <published>2016-10-31T09:10:00Z</published>
    <updated>2017-03-30T01:27:40Z</updated>

    <summary>名刺交換とはアイデアの交換である、と石川善樹は言う。では明日誰と会えば優れたアイデアが得られるのか？　その問いに答えてくれるツールはまだ存在しない。その可能性について石川が最新の研究結果を語る。今回は定員を100名に拡大し、「Tokyo Work Design Week」のスペシャルコラボプログラムとして、渋谷ヒカリエで開催。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BNL Fireside Chat" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="EVENTS INFO" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>石川善樹</strong><small>予防医学研究者／Campus for H共同創業者／Habitech研究所長</small><p>1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士（医学）取得。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとした学際的研究に従事。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、マーケティング、データ解析等。講演や、雑誌、テレビへの出演も多数。NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーター。著書に『疲れない脳をつくる生活習慣』（プレジデント社）、『最後のダイエット』、『友だちの数で寿命はきまる』（ともにマガジンハウス社）、『健康学習のすすめ』（日本ヘルスサイエンスセンター）がある。</p></aside></p>

<p>Business Network Labで取材した人をゲストに招き、編集長の丸山が1対1で質問を投げかけるトークイベントシリーズ「<a href="https://contents.8card.net/blog/eight-fireside-chat.html">Eight Fireside Chat</a>」。</p>

<p>第3回は予防医学研究者でありながら、ビジネスパーソン対象の講演や、企業のアドバイザーまで務める石川善樹をゲストに迎え、11月21日（月）の夜に開催する。</p>

<hr />

<h3>Eight Fireside Chat with Yoshiki Ishikawa</h3>

<p><strong>日時</strong><br>
2016年11月21日（月）19:00 開場 19:30開始</p>

<p><strong>会場</strong><br>
渋谷ヒカリエ８階コート（東京都渋谷区渋谷2-21-1）</p>

<p><strong>お申し込み</strong><br>
イベントは終了しました。<br>
<a href="http://twdw20161121.peatix.com/">
<img src="/uploads/twdw-eight2016.jpg" alt="" title="" /></a></p>

<h6><a href="http://twdw20161121.peatix.com/">http://twdw20161121.peatix.com</a></h6>

<hr />

<h3>「名刺とはアイデアであり、名刺交換はアイデアの交換である」</h3>

<p>石川はこのように述べた上で、ではいいアイデアを集めるために明日誰と会うべきか、と問う。</p>

<p>アイデアの交換は「社内」と「社外」の２つに分類できると彼は言う。いずれも大切なように感じてしまうが、海外でとある論文の発表以降、これまでの常識が覆り、"アイデアの交換は、ほぼ社外の人とするものを指すべきだ"という洞察を得たという。</p>

<p><img src="https://contents.8card.net/uploads/_MG_2251final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6><strong>詳しくはこちらの記事で：</strong><a href="https://contents.8card.net/blog/2016/160810.html">「いいアイデアの9割は社外から集まる。では明日は誰と会うべきか？」石川善樹が説く、ビジネスネットワークの法則</a></h6>

<h3>「9割のリソースで社外からアイデアを集めましょう。社内の議論は残り1割で十分です」</h3>

<p>自分ひとりで考えていても何も生まれない。限られたリソースは社外の人と会ってアイデアを集めることに使うべき。それが現代科学が解明した「最も優れたアイデアが生まれる法則」だと彼は述べる。</p>

<p>ただし、闇雲に社外の人に会いに行くのは非効率だ。SNSがこれほど普及した時代でも、明日誰と会えば優れたアイデアが得られるかはわからない。</p>

<h3>「明日どの5人と会ってアイデアを得るべきか？　その問いに答えてくれるアプリはまだ存在しません」</h3>

<p>きっと未来ではカーナビのような機械が、明日会うべき人を教えてくれるような世の中になるだろうと石川は構想している。いわば「ヒトナビ」のようなものが流行り、アイデアの流れが最適化された社会ができていくだろう、というのだ。</p>

<p>Fireside Chatでは、その議論をさらに深掘りし、「ヒトナビ」が実現する未来社会を見据えて、ビジネスネットワークの新たな可能性を探る。</p>

<p>今回は渋谷ヒカリエに会場を移して、働き方の祭典「<a href="http://twdw.jp/">Tokyo Work Design Week（TWDW）2016</a>」のスペシャルコラボプログラムとして実現。参加者の定員も100名に拡大する。</p>

<hr />

<h2>Eight Fireside Chat with Yoshiki Ishikawa</h2>

<p><strong>日時</strong><br>
2016年11月21日（月）<br>
19:00 開場・受付開始<br>
19:30 Fireside Chat 開演<br>
21:15 終了　※時間は前後する場合がございます。</p>

<p><strong>場所</strong><br>
渋谷ヒカリエ８階コート（東京都渋谷区渋谷2-21-1）</p>

<p><strong>参加費</strong><br>
¥3,000</p>

<p><strong>定員</strong><br>
100名（先着順）</p>

<p><strong>登壇者</strong></p>

<p><strong>石川善樹</strong><br>
予防医学研究者／Campus for H共同創業者／Habitech研究所長</p>

<p><strong>丸山裕貴</strong><br>
Sansan株式会社 Eight事業部 コンテンツストラテジスト／Business Network Lab編集長</p>

<p><strong>お申し込み</strong><br>
イベントは終了しました。<br>
<a href="http://twdw20161121.peatix.com/">http://twdw20161121.peatix.com</a></p>
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    <title>「自分にしかできない店づくりで信頼を築く」カフェプロデューサー石渡康嗣の指名を受ける仕事術 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/10/ishiwatari.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7461</id>

    <published>2016-10-26T07:51:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:22:46Z</updated>

    <summary>世の中には知人からの紹介だけで、話題を集める仕事を次々と実現していく人がいるものだ。ブルーボトルコーヒーやダンデライオン・チョコレートの日本展開を任された石渡康嗣もそのひとり。得意とする仕事にこだわり、それを実現するためのチームを育成する、敏腕カフェプロデューサーの「ビジネスネットワークの裏ワザ」を探る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="ビジネスネットワーク活用の裏ワザ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="飲食" label="飲食" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=794137004&amp;person_id=794137004&amp;page_kind=profile">石渡康嗣</a></strong><small>WAT代表取締役</small>
<p>1973年京都生まれ。2004年「futsalcafe KEL」、10年「CAFE;HAUS」、12年「Bar Fill Up」などの大小様々なカフェ・バーの企画運営に携わる。13年「株式会社WAT」を設立。15年清澄白河「Blue Bottle Coffee」や、16年蔵前「Dandelion Chocolate」のプロデュース・マネジメントにより、米西海岸のクラフトなブランドの新しい日本展開のあり方を示しながら、茅ヶ崎「CAFE POE」、大崎「cafe &amp; hall ours」など地域に必要なコミュニティ・カフェを運営する。</p></aside></p>

<h3>Eightユーザーのつながる技術を探る「ビジネスネットワークの裏ワザ」</h3>

<p>名刺をEightに取り込むだけではもったいない。あなたのビジネスネットワークをもっと効果的に活用できれば、仕事の課題に対して新たな解決の糸口が見つかるかもしれない。つながりを生かして、ひとりの力では実現できないことを達成していく人たちには、きっと新人研修では教えてくれないビジネスネットワーク活用の"裏ワザ"があるはずだ。</p>

<p>注目のEightユーザーを取材する企画「ビジネスネットワークの裏ワザ」。今回は飲食店のプロデュース・マネジメントを手掛ける株式会社WAT代表の石渡康嗣が登場する。</p>

<hr />

<h3>石渡が考える"カフェ"のあり方</h3>

<p>サードウェーブコーヒーを一躍日本に広めた<a href="https://bluebottlecoffee.jp/" target="_blank" rel="nofollow">ブルーボトルコーヒー</a>や、「Bean to Bar」という哲学をもとにクラフトチョコレートを展開する<a href="https://dandelionchocolate.jp/" target="_blank" rel="nofollow">ダンデライオン・チョコレート</a>。これらのブランドの日本展開の際に活躍したのが、飲食店のプロデュースを手がける石渡康嗣だ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND5058final.jpg">
<figcaption>世界各地を巡って食の豊かさを学んだ。京都で喫茶店を経営していた母親の影響も受けているという。</figcaption></figure></p>

<p>京都で生まれ育った石渡は、大学在学中に世界を放浪したのちに、24歳でNECに入社した。その後、退職してスターバックスに勤め、カフェの勉強をした後、友人と起業することに。2004年に東陽町のfutsalcafe KELなどの設立に関わった。</p>

<p>その後「W's Company」にて豊洲「<a href="http://cafehaus.jp/" target="_blank" rel="nofollow">CAFE;HAUS</a>」の店舗開発に携わるなかで、次第に街づくりや地域との関わり、街におけるカフェのあり方へと考えをシフトさせていった。</p>

<p>「カフェが貢献できることは人の会話を生み出すことです。自分にとってのカフェは、不特定多数の人が来るのではなく、その地域に暮らす・住む人たちにとっての居心地の良い場所だと考えています。この街に何が必要か。必要な要因を分析しながら最適な場を提供しています」</p>

<p>2014年に飲食店のプロデュース・マネジメント事業を行う「WAT」を設立。15年に清澄白河にある倉庫を改修したブルーボトルコーヒーをオープンさせた。16年にはダンデライオン・チョコレートをプロデュースし、現在は店舗開発とマネージメントに携わりながら「地域に根づいたカフェづくり」を実践している。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND4946final.jpg">
<figcaption>コミュニティ・カフェにおける重要な要素は「バランス」だ。飲み物、料理、音楽、空間。あらゆる要素を石渡はバランスよく計算している。ただそれを声高にアピールすることはない。お客さん自身に良さに気づいてもらうことが大切なのだという。</figcaption></figure></p>

<h3>裏ワザ1. 自分にしかできない仕事を問い続ける</h3>

<p>長年カフェ運営など現場を預かる仕事が多かった石渡は、他者と深い信頼関係を築きながら仕事を進めるようになったという。</p>

<p>「クライアントが依頼だけして『後はよろしく』みたいな形は受けません。一緒になって汗を流し、より良いものを互いにつくり上げようとする人と仕事をしたいと考えています。仕事に対して真摯に向き合う姿勢。そうやって仕事を通じて他者との関係性をつくり上げてきました」</p>

<p>石渡が依頼を受ける仕事は、ほぼすべて知人やその紹介によるものだ。彼の得意とするカフェづくりを理解している人から依頼された方が双方満足のいく結果になりやすい。だからこそ石渡は「ご縁を大切にする」考えを第一に仕事をしているという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND4980final.jpg">
<figcaption>蔵前にある倉庫を改修したダンデライオン・チョコレート。カカオ豆の産地からチョコレート・バー（板チョコ）になるまでの製造工程すべてにこだわり、小ロット生産する「Bean to Bar」の考えにファンも多い。2号店が伊勢市に12月頃オープン予定だ。</figcaption></figure></p>

<p>飲食業の難しさを人一倍知っている石渡だからこそ、WATで飲食店を運営委託する際はクライアントとの二人三脚に気を使っている。いつも意識しているのは「ゴールに立ち戻る」ことだという。</p>

<p>「売上第一な飲食店であれば、ぼくが携わる必要はありません。飲食で利益を上げることにかけてはぼくより優秀な人はいますし、違うところに頼んでくださいとはっきりお伝えします。ぼくにできることは、コミュニティを形成する飲食店として、その地域に貢献する場所をつくること。クライアントに対しても、最初にゴール設定を求め、常にその原点に立ち戻りながら、地域のお客さんが求めているものは何かを考えます」</p>

<p>相手がいかに本気でその事業と向き合おうとしているのか。本質的な仕事のなかで、自分が関わるべき仕事かどうかをじっくり検討した上で、成果以上のものを生み出そうと努力する。その姿勢をもとに確固たる信頼関係ができているからこそ、石渡と関わった人たちの多くがパートナーとして彼を指名し続けるのだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND5123final.jpg">
<figcaption>例えば何もない場所にカフェをつくり、価値が小さなところに売上だけではない新たな価値をつくり上げる。そういった脚光があたらないものに脚光を当て、そこに営みや商いが生まれるようなシステムを、石渡は飲食を通して生み出していきたいという。
</figcaption></figure></p>

<h3>裏ワザ2.　チームビルディングで人の能力を引き上げる</h3>

<p>「カフェという業態は人がすべて」と話す石渡。品質の良いサービスを提供するために、WATでは社員を積極的に登用しているという。</p>

<p>「飲食店の現場は、バリスタであればコーヒーをおいしく淹れる、空間であれば最適な音楽をかける、料理であれば素材を生かした調理ができる、オペレーションは予約管理業務など効率的な業務を遂行できるなど、適切な運営には専門的なスキルは欠かせません。彼らが何年一緒に働いてくれるかはわからないですが、WATにいる期間がその人にとってのよいキャリアパスとなるための教育や雇用方法、報酬体系の確立は、常に優先順位が高いことと捉えています」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND5211final.jpg">
<figcaption>コーヒーならまだしも、チョコレートをカカオ豆からつくった経験のある人はなかなかいないものだ。だからこそ、ダンデライオン・チョコレートでは人材育成に力を入れている。</figcaption></figure></p>

<p>日本ではとかく人事は軽視されがちだ。そうではなく、ポジティブに積極的にチームビルディングを考える部署の必要性と、それらを通じた人材育成や人材登用の重要性を石渡は説く。</p>

<p>「東京は飲食店だらけで優秀な人は引く手数多。待遇や将来性を考えると、カフェにいい人材は集まりにくいんです。けれども、これからいい人材になる人を見抜き、育てることはできます。必要な人材を自分たちで育て、チームをつくり上げていくこと。これはつまり、人のプロデュースにもつながっていくと思います」</p>

<p>組織内のチームビルディングだけでなく、体外的なチームビルディングにも石渡は力を入れている。飲食店をひとつつくるためには、設計、施工、リクルーティング、近隣関係者に対するコミュニケーション、そしてクライアントなど、さまざまな立場の人間が関わる。そのステークホルダーはすべての現場において変化する。</p>

<p>立場の違う人たちとタッグを組んで生まれた空間のひとつが、下北沢の高架下空間にできた「<a href="http://s-cage.com/" target="_blank" rel="nofollow">下北沢ケージ</a>」だ。京王電鉄の高架下にある空間に、東京R不動産など不動産再生プロデュースを手がける株式会社スピークと、クリエイティブ制作などを手がける株式会社東京ピストルらとともに、イベントスペースと飲食店舗を運営している。</p>

<p>「スピーク<a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=603349004&amp;person_id=603349004&amp;page_kind=profile">林（厚見）</a>さんの仕事の進め方や東京ピストル<a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=30635714107&amp;person_id=30635714107&amp;page_kind=profile">草彅（洋平）</a>さんの人の巻き込み方など、自分にはないものを持った人たちと仕事をする中で学べたこともたくさんありました。これまで、WAT主体でカフェを運営することが多かったのですが、今度はカフェも含めた空間やコミュニティづくりにおいて、複数のチームをまとめ上げることで、新たな価値を生み出す可能性があると思います」</p>

<p>最近、よく考えているのは「自分は片棒を担ぐのが仕事」という意識だという。自分自身で何かを表現するのではなく、何かをやりたい人たちとタッグを組み、その人たちのクリエイティビティが120％発揮されるための設えをどうプロデュースするか。「下北沢ケージ」においても、飲食という立場ながらスピークや東京ピストルの能力が発揮されるために必要な飲食や空間設計を考えたという。</p>

<p>組織内ではチーム内の人材を成長させ、組織外ではパートナーの能力を引き出すための場を設える。カフェだけでなく、人材や組織そのものをプロデュースすることで、仕事の成果がより良いものへと生まれていく。確固たる信頼関係を築き上げたパートナーたちと、彼は今日も新たな価値づくりのための空間設計に挑んでいる。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND5054final.jpg">
<figcaption>常に本質的なものをつくりだしていきたいと話す。「石渡が不在でもWATが自律的に動き始めたら、別組織で新しいものづくりに挑戦したい」と今後の目標についても語ってくれた。</figcaption></figure></p>
]]>
        
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    <title>ロンブー淳のビジネスネットワーク論。「ぼくのたくさんの『夢』を、きっとEightはつないでくれる」 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2016-10-19T01:20:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:16:52Z</updated>

    <summary>名刺交換をする機会の少ない芸能界にEightユーザーはほとんどいない。だが田村淳は例外だ。数多くの「やりたいこと＝夢」を持ち、芸能界の外の人とも積極的につながり、どうにかして実現できないものかと日々挑戦している。普段バラエティ番組では見ることのできない、彼のビジネスに対する思考の一端に触れる。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="社外のつながりの活かし方" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネスネットワーク" label="ビジネスネットワーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
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        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/p/26338772105">田村淳</a></strong><small>お笑い芸人</small>
<p>1973年、山口県生まれ。1993年、田村亮とお笑いコンビ・ロンドンブーツ1号2号を結成。コンビとしてお笑いライブやテレビバラエティで活躍する一方、個人でもテレビ、ラジオの番組MCを多数務める。2008年にスタートしたラジオ番組「田村淳のNewsClub」では社会情報系番組のパーソナリティーに挑戦、政治家、企業経営者、ジャーナリストなど多彩なゲストを迎えている。ツイッターやツイキャスを利用した個人企画「淳の休日」を立ち上げるなど新しいメディアを積極的に取り入れ、2015年からはLINE LIVEの公式チャンネルで「アツシメーカー」を配信中。2016年3月、「結婚式を贈る」をコンセプトにした会社DEFanniversaryを立ち上げた（代表は松村佳依）。ビジュアル系バンドjealkbや、趣味の城や歴史の知識をいかした企画など、多彩に活動する。</p></aside></p>

<p>田村淳は、テレビを中心に人気タレントとして活躍しながらも、常に新しいこと、やりたいことに挑戦する姿勢を貫いてきた。</p>

<p>「自分のやりたいことがテレビではできない」とわかれば、彼は躊躇なくインターネットの新しい技術を使って自前で番組を配信する。やりたいと思ったら自分で決断してどんどん進めていくので、事務所に怒られることもあるらしい。だがそれでも行動をやめない田村の原動力は「なんでダメなの？」という素朴かつ根源的な問いだ。タブーをつくらず自分の頭で考える。それはビジネスにおけるイノベーションの精神と、どこか通じるものでもある。</p>

<p>迅速果敢な実行力で、芸能界にとどまらない独自のネットワークを築く彼が、最も大事にしている人付き合いの基準は「一歩を踏み出している人」だ。そういう人は「成功しているか、していないかに関わらずリスペクトする」という。その一歩を踏み出すために大事な「たくさんの夢を持つ力」と「夢を実現に導く人とつながる力」について、話を聞いた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_5431final2.jpg">
<figcaption>筆者が名刺を渡したら、その場でパシャ。すぐにEightでつながった。</figcaption></figure></p>

<p><strong>──淳さんは、BNL編集長の丸山にEightで名刺交換リクエストを出してくださって、そこから取材の申し込みをさせていただいたのが、このインタビューのきっかけになりました。</strong></p>

<p>Sansan（Eightの開発元）の社長とテレビの仕事でご一緒したことがあって、彼の人柄とかをわかっているから、社員の人とつながってもそんな大きな事件にはならないだろうと思ってリクエストしたんだと思います。それで「取材したい」と言ってきてくれたから、ちゃんと受けようと思いました。</p>

<p><strong>──淳さんがテレビやインターネットでつくるコンテンツには「人と人のつながり」を生み出したり、楽しんだりするものが多いと思うんです。例えば「淳の休日」の「マスクdeお見合い」のように。そこで、淳さんに「ビジネスネットワークをどう生かすか」をテーマにお話をうかがいたいと思いました。それにしても、こんなにカジュアルにつながってしまって大丈夫なのでしょうか。</strong></p>

<p>自分が有名人であることや、相手が有名人かどうかということはあまり考えません。人と人としてのつながりのほうが長く付き合えるし、より深く付き合える。そうなるかどうかは、名刺の情報だけではわからない。だから、極力会って話すことを大事にしています。</p>

<p><strong>──今年（2016年）の8月に、シリコンバレーの情報サイト「LOGSTAR（ログスタ）」の企画で、現地へ旅に行かれていましたね。</strong></p>

<p>それこそEightで知り合った人がLOGSTARにいて、LOGSTARの人とうちのマネージャーがつながって、取材兼夏休みみたいな感じで連れて行ってもらったんです。</p>

<p>昔のマネージャーが、夏休みに旅行に行ってきますと言ってシリコンバレーに遊びに行ったんですよ。で、帰ってきてすぐによしもとを辞めたんです。その時から、シリコンバレーに何があるんだろうとずっと思っていました。最先端技術が集まるとか、大きなITの会社がいっぱいあるというイメージはありましたが、でも行かないとわからないから、とりあえず飛び込んでみよう、と。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_5488final2.jpg">
<figcaption>たまに「エンジェル投資家ですか？ 」と聞かれることもあるそうだが、そんなに綺麗なものではないという。「面白いアイデアを実現しようとしている人がいて、もしお金に困っていたら応援できる範囲でそこに預けているだけです。それで大きくなったら自分にとっても嬉しいので」</figcaption></figure></p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>帰りたくない、このままシリコンバレーに残って何かやってみたいと思いました。</p>
</div>

<p><strong>──フェイスブックやグーグルだけでなく、WHILLやDrivemodeなど、日本人が立ち上げた企業も訪問されていました。そこで出会う人たちはどんな印象でしたか。</strong></p>

<p>シリコンバレーで起業している人はみんな、リスペクトできる人ばかりでしたね。成功していても、まだ成功していなくても、一歩踏み出している時点ですごいとぼくは思うので。来年、来月、どうなるかわからないけど、夢を追いかけている人が多いなと思いました。</p>

<p>同時に、日本の働き方がいかに時代に合っていないかを強く感じました。自分がいま所属している事務所のことを考えても、考え方や取り組みが相当遅れているんだなと。帰りたくない、このままシリコンバレーに残って何かやってみたいと思いました。</p>

<p><strong>──淳さんにそこまで言わせるものとは、何だったのでしょう。</strong></p>

<p>いままでになかったものを自分たちの力で生み出して、不自由が当たり前だったことを、便利が当たり前の世の中に変えていく、という考え方ですね。例えばDrivemodeはクルマとスマホを結びつけようとしているんですけど、ぼくは、あの狭い運転席のスペースの中で、カーナビはカーナビ、ハンドルはハンドル、スピードメーターはスピードメーターとしか認識してなかったんですよ。でも彼らはスマホやアプリを使って、運転することそのものを変えようとしているんですよね。それは全然、想像もしなかったようなことでした。自分にないものが脳みその中にある人はやはり刺激があるので、この人たちとだったら面白い仕事ができそうだなと思ったんです。</p>

<p><strong>──淳さんのこれまでの活動にも、いままでやったことのないことだからやってみようよ、という精神を感じます。シリコンバレーの人たちの考え方には共感されるのではないですか。</strong></p>

<p>そうですね。会議室で考えるのがすごく嫌いで、行動しないと失敗も成功もわからないからとりあえず動こうよということを人生において大切にしているので、まずやってみようという人とはとても話が合います。シリコンバレーの人も、すごく早かったですね。</p>

<p><strong>──早いというのは、具体的にはどういうことですか。</strong></p>

<p>大きい会社でも会議室で打ち合わせしている人が少ないんですよ。みんな歩きながらミーティングする。わざと散歩コースみたいなのを会社の中につくって。フェイスブックの人には、「トップから末端まで大きな部屋に集まって、あたかもみんなの意見が集約されたと見せるような会議よりも、本当に必要な2〜3人が歩きながら話して決定して、それを他の人に伝えるほうが決定が早くて効率的で、責任が誰にあるかわかるから、そっちのほうがいい」と言っていました。</p>

<p><strong>──責任のありかがちゃんとしてないことが日本の組織の問題点と言われることも多いですね。</strong></p>

<p>責任はあるでしょうけど、なすり付け合いするからダメなんだよね（笑）。トップダウンの仕事しかしていない会社は滅びるだろうなということは、シリコンバレーに行って思いました。生き生きとして伸びている会社って、トップに圧倒的なカリスマがあるんだけど、その人の言うことにみんなが黙って従うんじゃなくて、その人にどんどん意見を言う人を雇っているところだと思う。</p>

<p>トップの責任って、社員が「ぼくはこの会社のためにこんなことをやりたい」と言うことに「それいいね、やろう」と決めることであって、社員一人ひとりのやりたいことを決めることではないんですよね。やりたいことは現場の人間がどんどん出していって、その判別をトップがするというのが、いい仕組みだなと思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_5478final2.jpg">
<figcaption>社員一人ひとりが自分のやりたいことを言う。それがシリコンバレーの強さの秘訣。ダメと言われると、「何とかやれるようにはできないものか」と考える淳には、きっと居心地のいい環境だ。</figcaption></figure></p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>やりたいことが出てこないというのは、結局、仕事をしていないのと一緒だと思います。</p>
</div>

<p><strong>──そうすると、現場の人間としては、やりたいことがどんどん出てくることが重要ですよね。でも、自分のやりたいことってなんだろう、というところでつまづく人も多いような気がします。</strong></p>

<p>ぼくは芸能の仕事をしているから、コンテンツを通じてどんなことを伝えたいかを、いつも考えています。じゃあそれがテレビでできるか、テレビでできなければ実験する場をネットで探そうか、と考えるんですね。ネットで成功したコンテンツを見て、テレビの制作者と「テレビでも実現させよう」と話す場面も増えてきました。そうやって面白いコンテンツをどんどん仕掛けていきたいです。</p>

<p>一人ひとりの「やりたいこと」は仕事によって変わってくると思います。ぼくがSansanに就職していたら、あるいはグーグルで働いていたら、たぶんやりたいことは違っているでしょう。やりたいことが出てこないというのは、結局、仕事をしていないのと一緒だと思います。</p>

<p><strong>──厳しいお言葉ですね。</strong></p>

<p>もちろん「生きていくのに必要な分、与えられた仕事をするだけでいいです」というのもひとつの生き方なので、それを選ぶ人がいても全然いいとは思います。でも、成功したい、世の中に対して発言する力を持ちたい、というのであれば、やはり何かを犠牲にしなければ手に入れることはできない。それはシリコンバレーで強く感じたことです。明るく仕事をしているけれど、アウトプットが足りなかったら給料を払ってもらえないというリスクを背負いながら生きている。そこがまた日本とは違うなと思いました。</p>

<p><strong>──リスクも桁違いに大きいですよね、きっと。</strong></p>

<p>確かにリスクは桁違いですが、同時に報酬も全然違うので健全ですよね。ぼくは歯車という言葉が嫌いなんです。歯車になると言うと会社をすごく支えているようだけど、ずっと歯車のままでは会社は大きくならない。職人の世界はまた別だと思いますが、普通に大学に入って、会社員になって、という人生だと、会社に入るという目標を達成した後に何を頑張るのかわからなくなっている人は多いと思います。目標がないことがいちばん不幸だなと。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_5517final2.jpg">
<figcaption>多種多量な仕事をこなす淳に、時間の使い方についてアドバイスを求めると、「人それぞれだから、自分の生き方のマニュアルは自分でしかつくれない」と返答。恋愛と一緒で、ビジネスもマニュアル本に頼っているようでは、自分の生き方ややりたいことを見失ってしまうという。</figcaption></figure></p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>Eightは、ぼくがばらまいた夢をつないでくれる役目を果たしてくれるようになるんだろうな、と思っています。</p>
</div>

<p><strong>──それはすごく大きな夢でなくてもいいですか。</strong></p>

<p>はい。以前、植松電機の植松（努）社長に会った時に、「夢はたくさん持ちなさい」と言われたんです。小学校の時って、なんとなく空気で夢はひとつだと決まっていますよね。ぼくは作文に何個も夢を描いてひとつに絞りなさいと言われたクチなので（笑）、植松社長が夢はいくつもあってもいいし、明日肉食べたいというのもロケット飛ばしたいというのも夢だって言うのを聞いて、いいなと思ったのです。植松社長は、「夢を考えたらできるだけ多くの人にしゃべりなさい」とも言っていました。そこでぼくは「ウエディングをやりたい！」とか、「テレビ局をやりたい！」とか、テレビが息苦しくなってきたから「テレビ以外のメディアで何かやりたい！」とか、夢をどんどん口に出すようにしたのです。</p>

<p><strong>──それが、DEFanniversary（結婚式をプロデュースする会社）の立ち上げや、CS放送での「TVatsushi」の実現につながっていくんですね。</strong></p>

<p>どこかでぼくがそう言ったことを聞いた人が寄ってきてくれるのです。Eightは、ぼくがばらまいた夢をつないでくれる役目を果たしてくれるようになるんだろうな、と思って、いま名刺をすべてここに入れるようにしているのです。</p>

<p><strong>──なるほど、そういうことだったんですね。確かに、Eightで人とつながることでアウトプットが実現可能なものに近づくと言えるかもしれません。ひとりで達成できる夢って、そんなにないですものね。</strong></p>

<p>そうなんですよね。当然、ひとりの力で生きていくのは無理だし、ひとりの力で起業するのも無理だし。それにやっぱり夢はみんなで追いかけたほうが楽しいし。書道家とかピアニストだったら別かもしれないですけど......。</p>

<p><strong>──確かに。芸術活動は個人かもしれません。</strong></p>

<p>それでも、それを広める人がいたほうがいいですよね。ぼくは芸術家にも広報が必要だと考えるほうなので。うん、夢とつながりは、たくさん持ったほうがいいと思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_5466final2.jpg">
<figcaption>取材をした新番組収録前の楽屋に、よしもとのマネージャーはいなかった。現場には必要ないと考えた淳自身の指示によるものだ。芸能人だが、「田村淳」という個人商店を経営しているような気分だとも。</figcaption></figure></p>
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    </content>
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    <title>11月4日（金）、「Eight Fireside Chat Vol.2」開催。ゲストはハフィントンポスト編集長・竹下隆一郎 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2016-10-18T01:36:00Z</published>
    <updated>2017-03-30T11:19:13Z</updated>

    <summary>初回好評につき、第2回開催決定。変化の激しい世界の中で、次に狙うべき&quot;的&quot;をいかにとらえるか。今年5月に編集長に就任した竹下隆一郎をゲストに招き、「動く的」に素早く狙いを定める彼のビジネスネットワーク活用術を学ぶ。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="10月の特集" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BNL Fireside Chat" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="EVENTS INFO" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h2>人脈とビジネスの視野を広げる技術を学ぶ</h2>

<p>Business Network Labで取材した人をゲストに招くトークイベントシリーズ「<a href="https://bnl.media/eight-fireside-chat.html">Eight Fireside Chat</a>」。</p>

<p>初回のAERA前編集長・浜田敬子に続き、第2回はゲストに<a href="http://www.huffingtonpost.jp/" target="_blank" rel="nofollow">ハフィントンポスト日本版</a>の編集長、竹下隆一郎を迎え、11月4日（金）の夜に開催する。</p>

<p>変化の激しい世界の中で、ビジネスで次に狙うべき"的"をいかに捉えるか？</p>

<p>今年朝日新聞社を退職し、36歳で"ハフポスト"の編集長となった竹下は、視野を広く持ち、動く的にすばやく狙いを定めるためにこそ、ビジネスネットワークはあるという。当日はインタビュー記事で紹介した彼のネットワーク活用術を中心に、Business Network Lab編集長の丸山が1対1で質問を投げかけていく。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2016/09/takeshita.html"><div style="background-image:url(https://bnl.media/uploads/_MG_0866-1094.jpg);" class="img"></div><div class="info"><strong>「あなたの人脈の7割は偏っている」ハフィントンポスト日本版編集長・竹下隆一郎に学ぶ、視野を広げる技術</strong></div></a></div>

<h3>「どんな人でも、人脈の7割は偏っているもの。それが世界のすべてだと思ってしまう」（竹下）</h3>

<p>日々ネットで読むニュースが興味関心のあるものに偏ってしまうように、これまで名刺交換をしてきた相手も、その7割は自分が関わっている業界や、興味・関心のある分野の人で固まってしまう傾向があると竹下は指摘する。</p>

<p>広い視野を持つためには偏った人脈を耕す努力が必要になるという。イベントでは人脈の偏りを解消できる、より具体的な方法論を訊く予定だ。</p>

<h3>「いまの時代は、テーマを深める訓練よりも、動く"的"を見る訓練をしたほうがいい」（竹下）</h3>

<p>竹下はインタビューの中でネット時代に必要な「動く的」を捉える技術についても語った。いつも同じような情報源から入手していては報道が偏ってしまうため、日ごろから「動く的」を捉える工夫をしているという。</p>

<p>Webメディアの編集者だけでなく、あらゆる職種の人にとって、動く的を捉える技術はこれから重要なスキルのひとつとなるだろう。いまメディアの第一線で活躍する編集者から学べる、この貴重な機会をお見逃しなく。</p>

<p>第1回に続き、スイスのデザイン家具メーカー「Vitra」の協力により、特別なステージ空間を演出する。トーク後の懇親会では、ゲストのアドバイスをさっそく実践して、参加者同士、新しいビジネスネットワークを築いてみよう。</p>

<hr />

<p><img src="https://bnl.media/uploads/_MG_3805final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6><strong>第1回の様子はこちら：</strong><a href="https://bnl.media/2016/161007.html">AERA前編集長・浜田敬子が「Eight Fireside Chat」で語った、読者目線ビジネス・雑談企画術・おせっかいの勧め</a></h6>
]]>
        
    </content>
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    <title>地域課題をエンジニアのネットワークで解決。Code for Japan・関治之のコミュニティづくり、3つの裏ワザ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/10/seki.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7447</id>

    <published>2016-10-13T01:15:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:22:30Z</updated>

    <summary>市民参加型のコミュニティ運営を通じて、地域の課題を解決するアイデアを考え、テクノロジーを活用して公共サービスの開発を行う「Code for Japan」。自身もエンジニアとして日々コードを書き続けている代表の関治之から、エンジニアならではの視点で「3つのビジネスネットワークの裏ワザ」を紹介する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="ビジネスネットワーク活用の裏ワザ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="テクノロジー" label="テクノロジー" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=3203006010&amp;person_id=3203006010&amp;page_kind=profile">関治之</a></strong><small>一般社団法人Code for Japan 代表理事</small>
<p>2011年3月、東日本大震災発生のわずか4時間後に震災情報収集サイト「sinsai.info」を立ち上げる。被災地での情報ボランティア活動をきっかけに、住民コミュニティとテクノロジーの力で地域課題を解決する「シビックテック」の可能性を感じ、2013年10月に一般社団法人コード・フォー・ジャパンを設立、代表理事を務める。位置情報を使ったシステム開発会社、合同会社Georepublic Japan社、企業向けのハッカソンなどのオープンイノベーションを推進する株式会社HackCampの代表も務める。</p></aside></p>

<h3>Eightユーザーのつながる技術を探る「ビジネスネットワークの裏ワザ」</h3>

<p>名刺をEightに取り込むだけではもったいない。あなたのビジネスネットワークをもっと効果的に活用できれば、仕事の課題に対して新たな解決の糸口が見つかるかもしれない。つながりを生かして、ひとりの力では実現できないことを達成していく人たちには、きっと新人研修では教えてくれないビジネスネットワーク活用の"裏ワザ"があるはずだ。</p>

<p>注目のEightユーザーを取材する企画「ビジネスネットワークの裏ワザ」。今回は、市民が主体となってテクノロジーを活用し、地域の課題解決を進める「<a href="http://code4japan.org/" target="_blank" rel="nofollow">Code for Japan</a>」の関治之が登場する。</p>

<hr />

<h3>立ち上げのきっかけは東日本大震災</h3>

<p>テクノロジーを軸に市民の地域課題解決を促進するためのコミュニティづくりをしているCode for Japanでは、デザイナーやエンジニアと市民とが集まり、地域の課題解決に向けたアプリ開発やアイデアソン、ハッカソンなどを行っている。</p>

<p>また、企業内で働いているエンジニアやデザイナーらを行政内部に一定期間派遣し、公共サービスの開発やデザインを推し進める「フェローシップ」プログラムを提供するなど、テクノロジーと公共セクターを結びつける活動も行っている。</p>

<p>いまでは、「Code for ◯◯」と名付けられた団体が全国各地で活動しており、各地のデザイナーやエンジニアたちが、地域課題のためのアイデアや情報共有を行うネットワークが広がっている。こうした動きが生まれた要因として、東日本大震災は大きな出来事だったと関は話す。</p>

<p>「震災を受け、多くのエンジニアたちが技術を使って社会に対して貢献しようとする動きが起きました。わたしも仲間とともに『<a href="http://www.sinsai.info/" target="_blank" rel="nofollow">sinsai.info</a>』というサイトを立ち上げ、被災地での情報ボランティア活動を行いました。こうした経験を踏まえて、テクノロジーがこれまで以上に地域の課題解決を促すツールとなれる社会となるために、Code for Japanを立ち上げようと考えたのです」</p>

<p><img src="/uploads/code4japan05.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>2014年、Code for Japanのフェローシッププログラムを福島県浪江町で実施。東日本大震災で被災し避難生活を余儀なくされた市民に対して、タブレットの配布とそれに伴うアプリケーション開発のための住民参加型ワークショップを行った。 Photo by Code for Japan</h6>

<h3>裏ワザ1.　既存のコミュニティに貢献する</h3>

<p>いまでこそCode for Japanを始め、さまざまな組織をまとめあげている関だが、もともとはエンジニアで、何かを主催するような立場ではなかったという。</p>

<p>システムインテグレーターやスポーツのポータルサイトの立ち上げなどを経て、位置情報が人々の生活に関わり、役に立つことを実感してきたことから、それらを実践する場として携帯電話向けの位置連動広告を展開するシリウステクノロジーズに転職。同時に、その頃から次第にオープンソースの考え方に触れてきた。</p>

<p>「当時は高価なシステムやサーバーを購入し、OSをインストールしたりしていたものが、オープンソースの無料のソフトウェアが広がっていた時代でした。『何でこれが無料なんだ？』と興味を持ち、次第にオープンソースのコミュニティに参加するようになりました」</p>

<p>オープンソースのコミュニティに参加するようになり、これまでの社内だけのつながりから社外のつながりが次第に生まれてきたと関は話す。仕事ではなく趣味のコミュニティだからこそ、自身のスキルアップにつながる面白さに、次第にのめり込むようになったという。</p>

<p>「道路地図などの地理情報データを誰でも利用できるよう、フリーの地理情報データを作成することを目的とした『<a href="https://openstreetmap.jp/" target="_blank" rel="nofollow">OpenStreetMap Japan</a>』など、いくつかのコミュニティに参加していました。コミュニティ内で新しい技術を互いに教えあったりしながら、技術やスキルを高め合う経験が新鮮でしたね」</p>

<p>いきなり何かを始めるのではなく、すでに動いているコミュニティのいち参加者として楽しむこと。コミュニティの中心にいる人の手伝いをすることで、さまざまな情報も入ってきやすくなる。これらの経験が、後のコミュニティづくりやCode for Japanなどの組織づくりにとても参考になったという。</p>

<p><img src="/uploads/_OND5592final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>海外の技術をフォローするために、勉強会や技術書の輪読会などに積極的に参加していた。その人のつながりや経験は、現在のさまざまな活動に生きている。</h6>

<h3>裏ワザ2.　わかりやすい旗を立て、小さなことから始める</h3>

<p>コミュニティのいち参加者からオーガナイザーとして動き始めたのは、位置情報技術に関するイベント「<a href="http://geomediasummit.jp/" target="_blank" rel="nofollow">ジオメディアサミット</a>」を立ち上げた時だ。</p>

<p>「位置情報がビジネスとして摸索されていた時に、位置情報好きな人たちを集めて飲み会を企画したのです。そうしたら、30人以上も人が集まる大規模な会になったんです。そこから派生して、勉強会などを行うようになりました」</p>

<p>きっかけはちょっとした集まり。そこから次第に勉強会やセミナー、最終的にはジオメディアサミットというカンファレンスの開催へとコミュニティは大きくなってきた。</p>

<p>「ジオメディアサミットでは、登壇者も主催者もみんなボランティア。みんなでジオメディアを広げていこうという意思を共有しながら、中立な立場としてコミュニティをつくってきました。金銭的なリターンはないけれども、人とのつながりやイベントを通じた学びや楽しさが評判を呼び、開催するたびに『参加して良かった』と言っていただくようになりました」</p>

<p>2008年からスタートしたジオメディアサミットは、いまでは年に2回の大きなイベントを開催するまでとなった。「最初から大きな場をつくろうとしたわけではなく、まずはできるところから」と話す関は、エンジニアならではの視点を持ってコミュニティを運営している。</p>

<p>「短い開発期間で、フィードバックをもとに改善を繰り返すアジャイル開発のように、まずは小さく始めて、そこから色んな人たちを巻き込みながらコミュニティを大きくしていくことを心がけています」</p>

<p>大事なのは、自分なりの旗を立ててまずは一歩を踏み出すこと。Code for Japanを立ち上げるときも、初めに発足準備会を立ち上げ、団体設立に興味のある人たちを集めた。そこから、どのような組織形態にするか、どのような運営体制で進めていくかを互いに議論しながら進めていったという。</p>

<p>「何かを始めるときには、準備会やキックオフイベントなどを企画して『こんなことをやりたい！』と伝えること。そこからアイデアや新たなつながりが生まれます。もちろん調整やコーディネートなどは大変かもしれませんが、それによってコミュニティが生まれ、目的を共有した人たちで前に進みやすくなります」</p>

<p><img src="/uploads/_OND5503final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>オープンソースの概念でもある「伽藍とバザール」は、コミュニティ運営にも通じるという。「設計者がすべてを決めるのではなく、小さく始めて、参加者の意見やアイデアを受け入れることで発展していくのです」</h6>

<h3>裏ワザ3.　業界をつくる意識で動くこと</h3>

<p>ジオメディアサミットもCode for Japanも、コミュニティづくりの裏には、「業界をつくろう」とする意図があるという。</p>

<p>「いまでこそ位置情報はポピュラーですが、ジオメディアサミットを立ち上げた頃はまだまだプレイヤーが少なかったんです。けれども、先んじてこうした取り組みをすることで、国内でのネットワークやコミュニティが形成され、業界が誕生することで仕事にもつながっていく。ビジネスが生まれるだけでなく、世の中として必要な役割が生まれ、社会にインパクトを与えることもできます」</p>

<p>Code for Japanが立ち上がったことで、「シビックテック」というキーワードが日本でも広がりを見せ始め、テクノロジーが地域課題や社会課題解決のための大きなツールである、という認識が広がっていった。</p>

<p>コミュニティづくりをただの趣味で終わらせることなく、「業界」というひとつの産業や分野として確立させることで、その分野の第一人者として牽引することができる。そうした活動によって「新たなビジネスネットワークが構築される」と関は話す。</p>

<p>現在、関が仲間と設立した「<a href="http://www.hackcamp.jp/" target="_blank" rel="nofollow">HackCamp</a>」も、近年の大企業らのオープンイノベーションを促進するために行われているハッカソンを、ただのイベントで終わらせるのではなくイノベーション促進のためのフレームに落とし込むことを目的に活動しているという。</p>

<p><img src="/uploads/_OND5533final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>「HackCamp」では、自分たちで新たな形のハッカソンの事例をつくり、そこに興味を持つ企業とつながりをつくりながら導入につなげ、大企業の課題解決のサポートを行っている。</h6>

<p>「ハッカソンが一般化するにつれて、イベント自体の開催は増えたが、それをきちんと製品や大企業の社内の意識改革やイノベーションにつなげなければ意味がありません。ハッカソンを企画するにしても、事前の社会の合意形成や、ハッカソン後をどのように見据えるかなど、期待値の設定や大きなフレームの中にどうハッカソンを位置づけるかを事前に考えておく必要があります。ハッカソンという文化を醸成し、企業のオープンイノベーションがより促進されるための仕掛けをしていきたいと考えています」</p>

<p>コミュニティを「業界」づくりのためのひとつのきっかけとし、常に自身が旗振りとなってきた関の活動は、コミュニティ内におけるファシリテーションを行うと同時に、時代に求められる新たな価値づくりのためのファシリテーションでもある。</p>

<p>関の活動は、始めの一歩は小さいかもしれないが、次第に大きな時代のうねりとなっていくだろう。</p>

<p><img src="/uploads/_OND5575final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>「ジオメディアサミットもCode for Japanも、時代の流れとして必要なものだと自分自身も感じました。なぜ自分がやるべきか、やり続けたいかを常に自問自答しながら、ある程度やりきる覚悟を持って取り組んでいきたいと考えています。業界とビジネスが生まれることで、少しでも社会の課題解決が進んでほしいと願っています」</h6>
]]>
        
    </content>
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    <title>AERA前編集長・浜田敬子が「Eight Fireside Chat」で語った、読者目線ビジネス・雑談企画術・おせっかいの勧め - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/10/fc-vol1-report.html" />
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    <published>2016-10-07T02:23:00Z</published>
    <updated>2019-05-17T07:07:31Z</updated>

    <summary>9月30日（金）、Eightを開発している青山のオフィスで、Business Network Lab初のトークイベントが開催された。初回の記事で取材した浜田敬子が、90分間に渡って語ったトークの内容をダイジェストでお届けする。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="9月の特集" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BNL Fireside Chat" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="EVENTS INFO" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネスネットワーク" label="ビジネスネットワーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><p>開場前。壇上にはスイスのデザイン家具メーカーVitra社の協力により、椅子とローテーブルが用意されている。Eightの白い立体ロゴは、このイベントのために特注で制作されたものだ。</p></aside></p>

<p>9月30日（金）、Business Network Lab（BNラボ）主催のトークセッションシリーズ「Eight Fireside Chat」が、青山にあるSansan社内のイベントスペース「Garden」にて開催された。</p>

<p>Fireside Chatは、BNラボでインタビューした人をゲストに招き、BNラボの編集長が聞き手となって、これからのビジネスネットワークのあり方について話すトークセッションだ。</p>

<p>第1回目のゲストは、AERA前編集長で、現在は朝日新聞総合プロデュース室プロデューサーを務める浜田敬子。彼女はAERA編集部時代、作詞家・プロデューサーの秋元康やスタジオジブリ代表の鈴木敏夫らを招聘しての「AERA特別編集長号」や、NewsPicksなど他媒体とのコラボ企画、企業とのコラボムックの立ち上げなど、ビジネスネットワークを生かした企画を数多く仕掛けた実績を持つ。8月にスタートしたBNラボのインタビュー企画「<a href="https://bnl.media/cat1046.html">ビジネスネットワークのものさし</a>」の第1回にも登場している。</p>

<div class="link-box"><a>
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/_OND5830-1094.jpg');" class="img"></div>
<div class="info"><strong>「人脈は数ではない」AERA前編集長・浜田敬子に訊く、"濃い"ビジネスネットワークをつくる企画力</strong></div></a>
</div>

<p>取材時には「企画力で"濃い"ビジネスネットワークをつくる」ヒントが語られたが、Fireside Chat形式の今回は、具体的な体験談を交え、より刺激的なトークとなった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_3825final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>物事を読者目線で捉える編集者のスキルは、いかに企業の課題解決に使えるか。浜田がAERA時代に手がけた企業ムックに、そのヒントがあった。</figcaption>
</figure></p>

<h3>これからは企業も「読者目線」を意識すべき</h3>

<p>浜田は、2014年4月から2年間AERAの編集長を務めたあと、現在は朝日新聞社に新設された総合プロデュース室のプロデューサーとして、さまざまは社会課題の解決につながるような事業を、企業とともに進めていく仕事に従事している。</p>

<p>課題として持ち込まれることが多いテーマは、女性活躍や子育て支援のような、働く人たちの生活に直接関わる問題から、地方創生や東京五輪に向けてのコンテンツ開発など幅広い。また企業の採用活動やブランディングにつながるコンテンツの提案を求められることも多い。</p>

<p>「AERA時代の経験はいまの仕事につながっているか」という丸山の問いに、浜田は「企業が何を望んでいるか、ニーズを汲み取って、取材・ヒアリングをして、編集者として第三者的な視点でコンテンツをつくった経験は、確実に現在の仕事に生きている」と答えた。</p>

<p>浜田は、AERA編集部に在籍していた頃、住友商事の企業ムックを手がけた経験を語った。通常、メディアによる企業取材ではエース級社員1〜数名にインタビューをする形が多いが、それはある意味、企業側が読者や消費者に「こう見られたい」という一面でもある。しかし、浜田は「読者が見たい」企画にこだわった。</p>

<p>このムックは商業出版物でありながら、採用ツールとして活用したいという意図があった。であれば、商社を志望する学生たちは、その企業の「素顔」を見たいと思うはず。そこで、選ばれた社員だけを載せるのではなく、ある年次入社の社員約80名全員の入社以来の全職歴を載せる「入社10年目全社員の記録」という企画を提案した。制作の労力はかかるが、学生にとっては自分のキャリアイメージを描くための重要な情報となる。他にも、採用ツールとしてみれば型破りな企画を提案した。</p>

<p>メディアの強みはこの「読者目線」だと浜田は言う。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_3855final2.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>見る人にとって本当に面白いか、役に立つか。それがいつも浜田が企画を考える起点となる。</figcaption>
</figure></p>

<p>「AERAをつくっている時に常に考えていたことは、どうやったら面白くなるか、400円近くを払ってもらう価値を創れるか、社会的に話題になるか、ということです。たとえクライアントであっても、『見る人にとってあまり面白くないのでは』と思えば、はっきりとそう言います」</p>

<p>ただ、メディアの力を活用できる企業は多くない。「さまざまな事情で、自分たちでコンテンツをつくり、発信しなければならない場合、どんなところに気をつければ良いか」という丸山からの問いに、浜田は、「広報などだけで考えるのではなく、社内の他部署を巻き込むこと」だと答えた。</p>

<p>「複数の視点で見るほうが、『うちの会社は実はこういうふうに見えてたんだ』という気づきがあります。できればユーザーの声が聞けるといいですね。それが難しかったら、少なくとも社内ヒアリングは絶対にしたほうがいい」</p>

<p>BNラボのインタビュー記事の中でも触れていた「企画力」も、メディアの強みであると浜田は言う。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_3923final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>AERAの優秀な編集者は、よく取材の雑談の中から次の企画のアイデアを拾ってきていたという。</figcaption>
</figure></p>

<h3>「雑談」から次の企画の種が見つかる</h3>

<p>「AERAの時に編集部員に言っていたことは、『取材の際、準備した質問が終わって、ノートを閉じてから、その人と雑談をしてほしい』ということでした。相手がリラックスしたときに話す何気ない一言にこそ、個人としての本音があるから、と。むしろそういう脇道だけど面白いことが、次の企画に結びつくんです」</p>

<p>雑談のポイントは、「何らかの共通項を見つけること」だと浜田は言う。NewsPicksの現編集長である佐々木紀彦が、東洋経済オンライン編集長時代にAERAと共催した働く女性向けのキャリアシンポジウムも、ランチをして話すうちに、互いにビジネスパーソンを読者に持つメディアとして、「働く女性向けのコンテンツや情報発信ができないか」という共通課題を持っていることがわかり、そこからシンポジウムというアイデアにつながっていったという。この時は、意気投合してから約3カ月で実現にこぎつけた。</p>

<p>アイデアで終わらせないコツはやはり「巻き込み力」。外部とコラボするためには、社内の支持が欠かせない。佐々木と会ってすぐに、互いの営業チームを引き合わせ、編集だけでなく営業も巻き込んでプロジェクト化したという。</p>

<p>「仕事を一緒にやるとその絆は濃くなります。ネットワークを濃いものにするには、相手と本気で仕事をするしかないんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_3960final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>トークの後半では、ビジネスネットワーク活用の具体的なアドバイスを聞くことができ、多くの参加者が熱心にメモを取っていた。</figcaption>
</figure></p>

<h3>"おせっかい"は積極的に</h3>

<p>その後、話題はウェブサイト「ほぼ日刊イトイ新聞」とのコラボ企画「40歳は、惑う。」のきっかけとなった糸井重里の言葉や、秋元康にAERAの特別編集長を依頼するために書いた熱い手紙、大特集企画で培った「0.5歩先を読む」企画術などへと移り、ここでしか聞けない話が満載でトークは進んでいった。</p>

<p>プロデューサーとなった現在、浜田は人と人をつなぐ役割を果たすことも多くなっていると言う。最近では、リクルートの子育て支援プロジェクト「iction!」のプロジェクトリーダーを務めた小安美和と、地球環境との共栄をコンセプトにした事業創生で注目を集め始めている「re:terra」代表の<a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=10868033029&amp;person_id=10868033029&amp;page_kind=profile">渡邊さやか</a>の出会いの場を演出した。</p>

<p>「でも、わたしがやったことは、それぞれにメールを書いて、CCを入れて送るという、それだけなんです。言ってみればちょっとしたおせっかい。特殊な技術が必要なことじゃない。それによって、何か新しいプロジェクトが生まれて自分も嬉しいだけでなく、結果的に自分の人脈も錆つかないんですよね。ネットワークの引き出しが錆つかないように、時々開け閉めして、いざというときに思い出せるようにしておくことが重要かもしれません」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_3913final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>90分間、緊張感を保ちながらも、時々会場から笑い声が上がるようなリラックスした雰囲気でトークは進んだ。</figcaption>
</figure></p>

<p>質疑応答では、参加者からこんな質問が投げかけられた。<strong>「ビジネスネットワークを錆びつかせないために、日ごろから気をつけていることがありますか」</strong>。</p>

<p>浜田は、「メンテナンスをする発想だと大変だと思います」と答えた。</p>

<p>「ビジネスネットワークには濃淡がある。わたし自身、実際に会うのは1年に1度程度という人が多いです。ただ、この人とは相性が合う、リスペクトできると思う人とは、きっとまた一緒に仕事をするチャンスが訪れます。『関係をつないでおかなきゃ』とそれに追われるのは本質的ではありません。それよりも、自分の本業に力を尽くしてチャンスが巡ってきた時に、本気で濃く付き合えばいいのではないでしょうか」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_3842final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>登壇者との距離が近く、参加者からの質問の時間も盛り上がった。</figcaption>
</figure></p>

<p>また、<strong>「紹介される人になるためにどうすればよいか」</strong>という質問には、「自分が持っているリソースが何かを認識することが大切では」と答えた。</p>

<p>「わたしの話を聞いて、朝日新聞やAERAなどのメディアというリソースを持っているからできることですよねと思われる方もいらっしゃるかもしれません。でも、必ずそれぞれがもっているリソースはあると思うんです。自社や自分が持っているリソースの良いところ、得意なことは何だろう、それを相手とどう掛け合わせるとお互いにプラスになるだろう。そう考えれば、きっとネットワークは広がっていくのではないでしょうか」</p>

<p>トーク終了後は懇親会へ。会場のセッティングを変え、ドリンクや軽食が用意された。約1時間、参加者同士の交流も活発に行われた。Eightアプリで名刺交換をする参加者も。22時、2時間半に及ぶセッションは参加者の熱気を残しながら幕を閉じた。Eight Fireside Chatは、今後も回を重ねていく予定だ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_3979final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>参加者は全員Eightユーザーなので、懇親会では紙の名刺を交換する代わりに、その場にいる人同士で直接Eightでつながることができる新機能を使ってみた。</figcaption>
</figure></p>
]]>
        
    </content>
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    <title>イノベーションの学校、東大i.schoolの横田幸信が説く、優れたアイデアが生まれるネットワークの力 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7437</id>

    <published>2016-10-05T06:28:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:16:26Z</updated>

    <summary>理系出身の横田幸信は「&#8220;人脈&#8221;なんてやましいものだ」と思っていたが、i.schoolでビジネスネットワークの価値に気づいたという。それはシリコンバレーで学んだ大学OBの人脈とも異なる、人間中心のイノベーションを生み出すクリエイティブなつながりの力だ。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="社外のつながりの活かし方" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="デザイン" label="デザイン" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="ビジネスネットワーク" label="ビジネスネットワーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=25292184106&amp;person_id=25292184106&amp;page_kind=profile">横田幸信</a></strong><small>東京大学i.schoolディレクター／i.lab, Inc. マネージング・ディレクター</small>
<p>1980年、長崎県生まれ。九大院理学府修士課程修了後、野村総合研究所に入社。経営コンサルティング業務に携わる。その後、東京大学先端科学技術研究センター技術補佐員、東大院工学系研究科博士課程中退を経て、東京大学i.schoolディレクターに。2011年にi.schoolディレクター陣によって創業されたイノベーションコンサルティング企業i.lab, Inc. のマネージング・ディレクターも務める。イノベーションの実践活動と科学・工学的観点からのコンサルティング事業及び研究活動を行っている。著書に『INNOVATION PATH　成果を出すイノベーション・プロジェクトの進め方』（日経BP社）。</p></aside></p>

<p>Business Network Labのインタビューシリーズ「ビジネスネットワークのものさし」は、こんな問いを掲げてスタートした。</p>

<blockquote>
  <p>自分のビジネスネットワークを効果的に活用している人は、</p>

<p>「名刺の枚数」という"ものさし"だけで、</p>

<p>引き出しに眠る名刺の束を数えて満足してはいないはずだ。</p>

<p>彼らはいったいどんな&#8220;ものさし&#8221;を持っているのだろうか。</p>
</blockquote>

<p>今回話を聞くのは、<a href="http://ischool.t.u-tokyo.ac.jp/" target="_blank" rel="nofollow">東京大学i.school</a>で「人間中心イノベーション」の研究・教育に携わる横田幸信だ。</p>

<p>i.schoolの研究を実社会に役立てるべく、企業と実践的なプロジェクトを行うコンサルティングファーム「<a href="http://ilab-inc.jp/" target="_blank" rel="nofollow">i.lab</a>」を2011年に設立。マネージングディレクターとして、さまざまな企業と実践的なプロジェクトを行っている。今年の7月には、これまでの研究成果や実践方法をまとめた『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4822235785/" target="_blank" rel="nofollow">INNOVATION PATH</a>』を上梓した。</p>

<p>横田は、「ネットワーク＝人脈という考えが変わってきた」という。「ある人とつながることで社会的ラベリングがなされ、信用を得られる」というのはビジネスネットワークの一面でしかない。「新しいネットワークの力を感じる」という。</p>

<p>例えば、知り合いの何気ない一言で、新しいユーザー体験に気づくことがある。それがクリエイティブなアイデアに結びついたり、課題解決につながったりすることもある。そこにあるのは、その人の「人間性」ともいうべき知性への信頼だ。そんな信頼できる知性を持った人との関係こそが、意義あるネットワークと言えるかもしれない。「人間中心」の視点で見れば、新しいビジネスネットワークのかたちが見えてくるはずだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_2069final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>横田の新刊『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4822235785/" target="_blank" rel="nofollow">INNOVATION PATH</a>』では、三菱重工グループやLIXILなど、i.labのクライアントの具体的な事例を用いて、イノベーションのマネジメント手法が解説されている。</figcaption></figure></p>

<p><br></p>

<h2>"人脈"なんて、やましいものだと思っていました。</h2>

<p><br></p>

<p><strong>──研究とビジネスの領域にまたがって活動されている中で、ビジネスネットワークについて、どのように捉えていますか。</strong></p>

<p>わたしは大学院まで物理の研究をしていましたので、人との関係が価値を生むというマインドセットは20代中盤まではありませんでした。むしろ、そのような考えはやましいものであると考えていました。</p>

<p>しかし、九州大学を卒業する直前に、大学の教育プログラムでシリコンバレーに行く機会がありまして、1週間ほどの滞在の間にさんざん言われたことが、「とにかくネットワークが大事！」ということでした。</p>

<p>例えばシリコンバレーで起業しようとするなら、起業チームの中にスタンフォードかUCバークレーの卒業生がいなければダメだ。なぜならその大学の同窓生がベンチャーキャピタルにもいるし、大企業にもいるし、法律の専門家にもいる。そのネットワークが活用できなければ生き残れないんだ、と。中心メンバーでなくてもいいが、そういう人間をひとりでもチームに入れておかない時点でビジネスセンスが疑われる、とまで言われました。</p>

<p><strong>──学生にとっては強烈な体験だったでしょうね。</strong></p>

<p>洗礼を浴びた感じでした。ただ、その時は、「でもぼくは理系だし、研究者だから&#8220;コネ&#8221;なんて必要ないよね」と思っていたんです。</p>

<p><strong>──大学卒業後は、野村総研に入社されていますね。</strong></p>

<p>少年の頃から、先端技術をいかに世の中に意味のある形で届けるかということに興味があったので、まずはビジネスを学ぼうと思ったわけです。その時も、コンサルタントは人間力が大事だとか、人脈を培っておくと将来的にもビジネスの役に立つとは、先輩たちから聞いていたのですが、クライアントと人脈がつながるということに、まったくイメージがわきませんでした。</p>

<p><strong>──ではどこで、ビジネスネットワークの価値に気づいたのでしょうか。</strong></p>

<p>i.schoolに関わるようになってからです。i.school創設者で、現在エグゼクティブ・ディレクターを務めている<a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=10778560028&amp;person_id=10778560028&amp;page_kind=profile">堀井秀之</a>先生と、共同創設者の田村大さんと出会ったことが、わたしの考え方を大きく変えました。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_2061final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>2009年に設立されたi.schoolは、主に東京大学学生がイノベーションの起こし方を学ぶための教育プログラムだ。横田は2013年より、初代の田村大からディレクター職を継いでいる。</figcaption></figure></p>

<p><br></p>

<h2>自ら面白いことをやって、そこから人間関係が始まる。そういうネットワークが自分にとっては意味のあることです。</h2>

<p><br></p>

<p><strong>──i.schoolにはどのようなきっかけで参加されたのですか。</strong></p>

<p>ビジネスを続けるにしても、もう少し技術のことを理解しておきたいと思い、野村総研を辞めて、東大大学院の工学系研究科に入りました。ビジネスのバックグラウンドは生かしたかったので、副専攻的にいろいろ学んでいたうちのひとつがi.schoolでした。はじめは学生として参加していたのです。</p>

<p>i.schoolでは「innotalk（イノトーク）」という、ゲストを招いてイノベーションについて話してもらうイベントを開催しているのですが、当時そこにタクラム・デザイン・エンジニアリング代表の<a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=129075&amp;person_id=129075&amp;page_kind=profile">田川欣哉</a>さんや、IDEO副社長のトム・ケリーが講演に来たりしました。彼らは、イノベーションを牽引する人物として、ビジネスの世界では有名人です。学生から見れば憧れの対象となるような人たちが普通にやってきて、直接話すことができる。そのことに知的興奮を覚えましたし、人と会うことは楽しくて刺激的だと思えるようになりました。それをすべて実現していたのは、ディレクター（当時）の田村大さんの個人的なネットワークでした。</p>

<p><strong>──いまの横田さんの役職にあたる方ですね。</strong></p>

<p>田村さんと知り合ってから、強固なビジネスネットワークを持つことの凄さを目の当たりにしたのです。彼との出会いが、自分の中の何かを目覚めさせた感覚がありました。</p>

<p>ただそうは言っても、人付き合いは得意ではないので、急に自分から飛び込んでいくようなことはできません。いまわたしが大事にしているのは、「自ら面白いことをやっている状況をつくる」ことです。それを面白いと思ってくれる人がコンタクトしてくれて、そこから新たな人間関係が始まる。そういうネットワークが自分にとっては意味のあることです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_2104final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>ディレクターに就任した年に、横田は「イノベーションのプロセス」について、<a href="http://tedxutokyo.com/speaker/yukinobu-yokota" target="_blank" rel="nofollow">「TEDxTodai2013」で17分間の講演を行っている</a>。</figcaption></figure></p>

<p><br></p>

<h2>技術中心でなく、人間中心で考えるから気づけることがある。</h2>

<p><br></p>

<p><strong>──横田さんは著書の中で、日本ではこれまで技術革新という訳語に表れているように、技術偏重のイノベーションが行われてきたが、これからは「人間中心のイノベーション」にもっと目を向けるべきだ、と書かれていますね。</strong></p>

<p>いまトレンドになっている技術に自動運転があります。自動車メーカー各社が研究・開発を行っていますが、その発想は、いかに安全・安心に自動運転を実現するかということです。しかし、わたしが興味があるのは、自動運転が普及したあとに、どのような新しいサービスやビジネスがありうるかということなんです。</p>

<p>一例を挙げてみますね。今日、わたしは、都心からここ（i.labのオフィス）まで、タクシーに乗って帰ってきました。これが、自動運転が普及して、タクシーがスマホのアプリで呼べるようになったとします。アプリを操作して、タクシーがやってきますよね。乗って、移動して、目的地に着いたら降ります。タクシーは自動運転で車庫へ帰るか、次のお客さんのところへ向かうでしょう。じゃあ、わたしが自家用車を持っているとします。アプリで呼んで、乗って、移動して、降りる。車は自宅に帰っていきます。では、シェアカーだったら？　レンタカーだったら？</p>

<p><strong>──あ、そうか！　人間の行動としては同じですね。</strong></p>

<p>そうですよね。スマホを操作して、車を呼んで、乗って帰るという、ユーザーの体験は同じなんです。</p>

<p>自動運転技術によって生じる本質的な変化とは、ユーザーから見た時に、タクシーや自家用車、シェアカー、レンタカーといった区別がなくなるかもしれない、ということです。じゃあそうなったとしたら、どういうことが可能になるのか。それが、わたしが関心を持って取り組んでいることです。それは技術中心でなく、人間中心で考えるから気づけることだと思うのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_2063final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>人間中心のイノベーションを生み出す現場には、ポストイットは必須だ。クライアントの情報があるので撮影できなかったが、四方の壁にはぎっしりとポストイットが貼られていた。</figcaption></figure></p>

<p><br></p>

<h2>数百人のマーケティング調査より、自分の主観的な感覚を重視します。</h2>

<p><br></p>

<p><strong>──その「人間中心」といった時の「人間」というのは、どんな人をイメージしていますか。</strong></p>

<p>まずは自分自身です。少し前に、『スラムドックミリオネア』という映画がありましたよね。</p>

<p><strong>──はい。インドのスラム街で生まれ育った男の子が、正答数に応じて賞金が与えられるクイズ番組に出場し、次々に正解していって、「ミリオネア（百万長者）」になるストーリーでした。</strong></p>

<p>あの、貧しくて何も持たない男の子がなぜクイズに正解できたかというと、過去に体験したことが、たまたまクイズとリンクしていたからです。もちろんドラマ上の設定ですが、カンニングなどの手口で答えを得るわけでなく、自分が体験したことの記憶がうわーっと蘇ってきて、そこから正解を導き出した。</p>

<p>実はわたし自身、その感覚を覚えることがとても多いんです。数百人にマーケティング調査をした結果よりも、自分が食べた時はこうだった、自分が見た時はこう感じたというような、ある意味主観的な体験から有用な情報を抽出するということは、かなりやっています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_2081final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>自分が信頼している人が、いま何に関心を持っているのか。彼らがSNSで発信する情報にはいつも注目しているという。</figcaption></figure></p>

<p><br></p>

<h2>未知のものに対してもイマジネーションを働かせて、適切にフィードバックをくれる人たちの意見が重要です。</h2>

<p><br></p>

<p><strong>──それは、これまでの体験の多寡によって精度が変わりませんか。つまり、いろんなことを体験している人のほうが有利になりませんか。</strong></p>

<p>それよりも、日々ものごとに対してどれくらいの興味・関心を持って暮らしてきたか、ということの方が大事です。同じ情報に触れていても、引き出せるものが変わるからです。</p>

<p>新しい製品やサービスを検討する時には必ずユーザーインタビューを行うのですが、まだ存在しないものを対象にインタビューする時には、「誰に聞くか」を適切に見極める必要があります。人間にとって見たことも聞いたこともないものについてフィードバックをするのは、大変難しいからです。</p>

<p>特に未知のものに対してイマジネーションを働かせて、適切にフィードバックをくれる人たちの意見が重要になってきます。必ずしも専門性の高い人とは限りません。その人が持っている知性、人格そのものと言ってもいいかもしれませんが、それに信頼を置いているという感覚です。そういう人たちのネットワークが、いまの自分のクリエイティビティに役立っていることを強く感じています。</p>

<p><strong>──肩書きや職業によるものではなく、生き方そのものによって育まれる知性ということですね。</strong></p>

<p>シリコンバレーで洗礼を受けた時のネットワークというのは、ある人と仲がいいということによって社会的なラベリングがされ、他の人への信用につながるという意味でのネットワークでした。</p>

<p>でも最近わたしが感じるのは、その人が新しいできごとに対してどういう認識を持っているか、どんな反応を示すのか、SNSなどでどういう情報を発信しているかという情報が、自分にとって非常に大事になってきているということです。明らかに10年前にシリコンバレーで聞いたネットワークの重要性とは違う意味で、ネットワークが大事だということを感じています。</p>
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    <title>「期待のマネジメント」はしていますか？　働き方の祭典・TWDWオーガナイザー、横石崇が勧めるネットワーク術 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2016-09-28T01:12:29Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:22:24Z</updated>

    <summary>働き方の未来をつくる7日間「Tokyo Work Design Week（TWDW）」を毎年11月にオーガナイズしている横石崇。クリエイティブ&amp;メディア業界の企業へのコンサルティング等も手掛ける彼の仕事に対する向き合い方から、「3つのビジネスネットワークの裏ワザ」を紹介する。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
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        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="ビジネスネットワーク活用の裏ワザ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネスネットワーク" label="ビジネスネットワーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
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        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=1483719007&amp;person_id=1483719007&amp;page_kind=profile">横石崇</a></strong><small>＆Co. クリエイティブプロデューサー</small>
<p>多摩美術大学卒業後、デジタル領域中心のプロデュース業務を経て、2008年よりクリエイティブエージェンシー「TUGBOAT」グループにて、XBRANDの立ち上げに関わる。12年に「BENCH」を設立し、クリエイティブ業界の人材プロデュース事業を展開。13年から「Tokyo Work Design Week」を主催。16年5月に、新会社「＆Co.」を設立し、クリエイティブ&amp;メディア業界の企業を中心に、コンサルティングやワークショップ・イベントの企画制作等、自身のビジネスネットワークを活用して、さまざまなプロジェクトを手掛けている。</p></aside></p>

<h3>Eightユーザーのつながる技術を探る「ビジネスネットワークの裏ワザ」</h3>

<p>名刺をEightに取り込むだけではもったいない。あなたのビジネスネットワークをもっと効果的に活用できれば、仕事の課題に対して新たな解決の糸口が見つかるかもしれない。</p>

<p>つながりを生かして、ひとりの力では実現できないことを達成していく人たちには、きっと新人研修では教えてくれないビジネスネットワーク活用の&#8220;裏ワザ&#8221;があるはずだ。</p>

<p>注目のEightユーザーを取材する企画「<a href="https://bnl.media/cat1054.html">ビジネスネットワークの裏ワザ</a>」。今回は、多様な働き方のかたちを考える働き方のフェスティバルイベント「<a href="http://www.twdw.jp/" target="_blank" rel="nofollow">Tokyo Work Design Week</a>（通称：TWDW）」を主催する横石崇が登場する。</p>

<h3>Tokyo Work Design Weekとは</h3>

<p>2013年に初開催され、以降毎年11月の「勤労感謝の日」にあわせて、渋谷の街を中心に７日間にわたって開催する国内初の"働き方の祭典"。20代、30代のこれからの新しい働き方やビジネスの未来をつくる機会を提供している。横石は「働き方の"フェス"」とも呼び、多様なゲストとともにさまざまな「働く」のかたちを考えるための趣向を凝らしている。</p>

<p>「一般的な働き方のイベントは転職や起業などのテーマが決まっているため、参加者も自分が気になっているテーマ以外のことに目を向けません。しかし、働き方が多様になっている現在、自分に合う働き方や新たな発見をするためには、まずは多くの働き方を知らなければいけません。"フェス"と呼んでいるのは、多様なテーマを織り交ぜることで、偶然の出会いを生み出すきっかけになればと考えているからです」</p>

<p><img src="/uploads/_OND2852final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>2011年の震災を経て、多くの人が自身の働き方を見つめ直すようになった。そんななか、横石は色んな働き方を知るためのイベント企画を東急電鉄に打診し、TWDWが生まれた。</h6>

<h3>裏ワザ1. 自分のプロジェクトをきっかけに、憧れの人に会いに行く</h3>

<p>横石は、日々フットワーク軽く、さまざまなクリエイターやビジネスリーダーと会っている。しかし、ただ目的もなく会いに行くのではなく、その根底にはTWDWがある。どんなゲストを呼ぶといいかを常に考えていて、登壇してほしい人が実際に話しているイベントに直接足を運び、会いに行っている。TWDWがきっかけで、『ワーク・シフト』の著者、リンダ・グラットンとも面会を果たしたという。</p>

<p>「ぼくの場合アウトプットがイベントなので、実際に会ってどのような話し方や雰囲気、空気感を持っているのかを見ています。TWDWで伝えたいのは多様な働き方であって、転職や起業を勧めているわけではありません。従来の枠を超えた働き方の実践をしている人との出会いをつくるために、文字だけでは分からないその人となりをきちんと知ることを大切にしています」</p>

<p>TWDWでも、登壇するゲストの組みあわせを練ることで、参加者に対して新たな文脈のある出会いをつくり出そうとしている。横石自身にとっても、TWDWをきっかけにさまざまな人との出会いが生まれ、そこからネットワークが広がっているのだ。</p>

<p>「TWDWを名刺代わりに、普通では会えない人とも直接会って話すことができ、さらにイベントの打診もできます。プロジェクトをきっかけに積極的に憧れの人にも会いに行き、つながりをつくり、それをTWDWに還元する。さまざまな出会いの機会をつくることこそ、自分にとってもTWDWにとっても価値になっています」</p>

<p><strong>関連記事：</strong><a href="https://bnl.media/2016/160914.html">「憧れの人には会いに行かない。名刺は渡す文脈が大事」日本仕事百貨・ナカムラケンタが勧める人脈術</a></p>

<p><img src="/uploads/_OND2920final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>「TWDWは、実際に働き方を変えようとしている参加者たちが主役。横石個人の色が出ては意味がありません。なので、TWDWの"オーガナイザー"という場づくりの立場を名乗っています」</h6>

<h3>裏ワザ2. 「他者が主役」の視点を持つ</h3>

<p>横石は学生時代、多摩美術大学で「キュレーション」を学んでいた。学芸員にはならなかったが、広告の仕事も、いまやっている仕事もどこか通じるものがあるという。</p>

<p>「自分はクリエイターになれないと分かっているからこそ、何かをつくれる人を後ろからサポートしたい。裏側から彼らをサポートし、価値を最大化していくお手伝いをすることこそ、自分の役割だと思うのです」</p>

<p>前職の会社名「ベンチ」の名前の由来にもあるように、フィールドプレイヤーでなく、黒子な存在として常に誰かの裏側で支えていることに自身の価値を見出している。新会社の「&amp;Co.」も、企業や個人に寄り添いながら、常にプロジェクトや事業のサポート役をする横石の考えが現れている。</p>

<p>「＆Co.は企業の課題解決がメインです。事業だけでなく、ブランディングや人材など、さまざまな課題を解決するためのプロジェクトチームに参画しています。しかし、どれだけぼくらがアイデアを出したとしても、主役は企業の中の人です。その人たちの思いや熱意をいかにしてかたちにするか。&amp;Co.という名前の通り、主体に寄り添いながら彼らの思いや願いなど実現したいことを、ともに育んでいくための、コーディネートやファシリテーションを行っています」</p>

<p><strong>関連記事：</strong><a href="https://bnl.media/2016/160817.html">「誰が何を知っているかを把握しておこう」横浜コミュニティデザイン・ラボの杉浦裕樹が語る"黒子"の仕事術</a></p>

<p><img src="/uploads/_OND3047final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>横石の名刺の裏面。「&amp; Co.」という企業名には、彼の仕事の哲学が端的に表現されている。</h6>

<p>企業や個人の課題を解決する媒介者としての&amp;Co.。TWDWも、参加者に多様な働き方を知るための媒介者でもある。誰かの後ろを支えることで、新たな一歩を踏み出しやすくしている様子が伺える。</p>

<p><br></p>

<h2>チームづくりは、ジャズセッションのようなもの。余白をつくり、対話を通じてつくり手の色を混ぜて、新たな色を生み出す</h2>

<p><br></p>

<p>横石が手掛ける仕事の多くは、プロジェクトごとにチームを構成する。その際にも、周囲のクリエイターたちと組みながら、彼らの知恵や技術、経験をうまくコーディネートする。</p>

<p>「チームづくりは、まさにジャズセッションのようなものです。余白をつくり、対話を通じてつくり手の色を混ぜて、新たな色を生み出す。さまざまなジャンルの人たちと、仕事を通じて文脈のあるつながりによって、いままでにない価値を生み出す場が生まれるのです」</p>

<p><img src="/uploads/_OND2926final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>「いまの時代、新たなリーダーシップのかたちが求められています。『こっちだ』と指示するのではなく、それぞれに自発的なアクションがどう創発されるかを、仕事でもTWDWでも意識しています」</h6>

<h3>裏ワザ3. 期待されたら150%で返す</h3>

<p>企業のサポートと言っても、関わり方は多様だ。あるときはコンサルティング、あるときは企画制作、ときにはイベントの司会など。ビジネスのかたちが決まっておらず、収入源も分散されており、いくつもの肩書きが横石にはある。正直言えば、ウェブ上だけでは横石の仕事を把握することは難しい。</p>

<p>「傍から見ていて、何をやっているのかわかりづらいですよね（笑）。なので、TWDWなどのイベントに参加してもらったり、直接会って話したりすることで、ぼくの考えや仕事の仕方を知ってもらっています」と横石は話す。</p>

<p>横石に舞い込んでくる仕事の多くは、他者からの紹介だ。紹介は横石に対して何かしらを期待されている証拠であり、その期待に応えたいという想いが彼を動かす原動力となっている。</p>

<p>「仕事に対して素直で向かい合いたいし、常に期待されていることの150％でお返ししたい。当たり前の話だけど、それがいちばん難しい。期待以上の結果を出すことで、次の仕事につながっていく。そこから『横石だったら何かやってくれそう』と期待される循環が生まれるのです」</p>

<p><br></p>

<h2>どこかに呼ばれる存在であり続けるために、何ができるかを考えています</h2>

<p><br></p>

<p>常に期待を上回る結果を出していくことで、空間設計・演出や学校づくりなど、時にはいままでやったことのない仕事が来ることもある。それを自身の学びや体験のチャンスだと捉え、常に努力を惜しまない。</p>

<p>「横石に会いたい、横石にこの人を紹介したい、といかに思ってもらえるか。何かのイベントや集まりに真っ先に呼びたいと思ってもらうことで、出会いの精度は上がり、コストはぐっと下がります。常にどこかに呼ばれる存在であり続けるために、何ができるかを考えています」</p>

<p>人の期待に応え続けることで、紹介や出会いの機会をつくり出す。会ってみたい、紹介したいと思ってもらえ、そこから期待を超えた成果を出し続けること。「期待のマネジメント」こそ、横石のネットワークづくりの最大の武器なのだ。</p>

<p><img src="/uploads/_OND2940final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>横石は「この人はこういう人」とステレオタイプで見られるのが嫌だという。だから、複数のプロジェクトを通じて、多面的な自分が周囲に認知されていき、それによって、思いがけない出会いやつながりが生まれてくる働き方を望んでいる。</h6>

<p><address>文／<a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=21443165063&amp;person_id=21443165063&amp;page_kind=profile">江口晋太朗</a>　撮影／<a href="http://yoichionoda.com/" target="_blank" rel="nofollow">小野田陽一</address></p>
]]>
        
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    <title>「あなたの人脈の7割は偏っている」ハフィントンポスト日本版編集長・竹下隆一郎に学ぶ、視野を広げる技術 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2016-09-21T01:05:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:16:12Z</updated>

    <summary>日々ネットで読むニュースが、興味関心のあるものに偏ってしまうように、一人ひとりのビジネスネットワークも似た分野に偏りがちだ。変化の激しい世界において、広い視野と柔軟な思考を備えるために、竹下は周囲の声に注目し、偏った人脈を耕すべきだという。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="社外のつながりの活かし方" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
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    <category term="編集者" label="編集者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
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        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=39563405032&amp;person_id=39563405032&amp;page_kind=profile">竹下隆一郎</a></strong><small>ハフィントンポスト日本版 編集長</small>
<p>1979年生まれ。慶應義塾大法学部政治学科卒。2002年に朝日新聞社に入社。経済部でTwitterを使った選挙の世論分析プロジェクト「ビリオメディア」の中心メンバーとなったほか、金融庁や流通業界なども取材。その後、14年～15年のスタンフォード大客員研究員を経て、朝日新聞社のR&amp;Dや新規事業を展開する「メディアラボ」で、ビジネス開発に携わり、朝日新聞社のクラウドファンディング・サイト「A-port」の事業立案や、自然言語処理や機械学習の技術を報道に応用するための東北大の乾・岡崎研究室との調査や研究にも関わる。16年4月末に朝日新聞社を退職し、5月よりハフィントンポスト日本版の編集長に就任。</p></aside></p>

<p>Business Network Labのインタビューシリーズ「<a href="https://bnl.media/cat1046.html">ビジネスネットワークのものさし</a>」は、こんな問いを掲げてスタートした。</p>

<blockquote>
  <p>自分のビジネスネットワークを効果的に活用している人は、</p>

<p>「名刺の枚数」という&#8220;ものさし&#8221;だけで、</p>

<p>引き出しに眠る名刺の束を数えて満足してはいないはずだ。</p>

<p>彼らはいったいどんな&#8220;ものさし&#8221;を持っているのだろうか。</p>
</blockquote>

<p>今回このテーマに新たな視点をもたらしてくれるのは、ハフィントンポスト日本版編集長の竹下隆一郎だ。</p>

<p>「どんな人でも、ビジネスネットワークの7割は偏っている」。その前提から始めよう、と竹下は言う。ウェブメディアの情報が、各人の興味関心によって偏ってしまうのと同様に、これまで名刺交換してきた相手も、その7割は自分が関わっている業界や、興味・関心のある分野の人で、固まってしまう傾向があるという。</p>

<p>変化の激しい世界の中で、ビジネスで次に狙うべき&#8220;的&#8221;はどこにあるのか。視野を広く持ち、動く的にすばやく狙いを定めるためにこそ、ビジネスネットワークはある。だから意識的に人脈を耕し、彼らの声に耳を傾けるべきだという。朝日新聞社を退職し、36歳で&#8220;ハフポスト&#8221;の編集長となった竹下に、「人脈のフィルターバブル」を脱するビジネスネットワーク活用法を学ぶ。</p>

<hr />

<p><img src="/uploads/_MG_0793final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>メディアの本来の意味は媒体、つまり橋渡しをするもの。竹下が手がけてきたプロジェクトは、人と人とをつなぐ要素が本来的に含まれていた。</h6>

<p><strong>──竹下さんは、前職の朝日新聞社で、ソーシャルメディアを駆使して取材・分析を行う「<a href="http://www.asahi.com/special/billiomedia/" target="_blank" rel="nofollow">ビリオメディア</a>」や、新規事業を開発する「<a href="http://www.asahi.com/shimbun/medialab/" target="_blank" rel="nofollow">メディアラボ</a>」など、先駆的なプロジェクトに関わってこられました。それには、人的なネットワークが欠かせなかったのではないかと思います。</strong></p>

<p>どんな人を知っているかは、取材の幅を広げたり、多様なテーマへの関心につながったりしますので、人脈は意識的に築くようにしてきました。</p>

<p><strong>──それは新聞記者として働き始めた当初からですか。</strong></p>

<p>そうです。例えば佐賀総局に勤務していたときのことですが、佐賀はえびす像が日本一多くて、400体以上もあるんですね。その一つひとつを訪ねるという企画で取材したのですが、記者ひとりが行っても面白くない。そこで、十数名ほどのネットワークをつくって、その人たちに週1度ずつ取材に行ってもらい、それを記事にする、ということを行いました。書籍化もしました。</p>

<p><strong>──どのようなメンバーがいたのでしょうか。</strong></p>

<p>地元の政治家や経営者、自営業者や主婦の方もいらっしゃいました。そういう人たちを取材対象者としてだけ見るのではなく、チームになってもらうことで、わたしひとりでは取材できなかったようなものを、つくることができました。</p>

<p><strong>──その人たちはどのようにして集めたのですか。紙面で募集したりとか？</strong></p>

<p>総局長のネットワークを元に、地元の名士と呼ばれる方に話したら自然と集まったという感じでしたね。わたしは募集というのがあまり好きではなくて。プロジェクトの性格によっては、ランダムに集められた人たちよりも、誰かを起点にして集まった人たちのほうが、パワフルだと思うんです。</p>

<p><br></p>

<h2>「どんな人でも、人脈の7割は偏っているもの。それが世界のすべてだと思ってしまう」</h2>

<p><br></p>

<p><strong>──いまは採用活動でも、インターネットで広く募ることが多いと思うのですが、竹下さんのやり方はどちらかというと古いタイプの、クチコミに近い感覚に思えます。</strong></p>

<p>そうですね。でも、結局すべてのネットサービスはクチコミだと思うんですよ。FacebookやTwitterも、いかにも全世界に発信しているように見えますが、実際はウィークタイズ（弱い絆）をもとにしているサービスです。そこに価値があることは、古今東西、変わりません。ネットで募集すれば全世界に届くというのは幻想だと思います。</p>

<p><strong>──実は一人ひとりのネットワークは狭いわけですね。</strong></p>

<p>どんな人でも、人脈の7割は偏っているものです。例えば、過去に交換した名刺を並べてみると、7割は自分が関わっている業界や、興味・関心のある分野の人だと思います。そして、その7割が世界のすべてだと思ってしまうのです。</p>

<p>このことをウェブメディアの世界では「フィルターバブル」問題と呼んでいます。日々インターネットでさまざまな世界を見ているようでいて、実際は自分の友だちやフォローしている人など、いつも決まった人たちの投稿を見ているだけなのです。選挙のときに、「A候補が人気だと思っていたのに、蓋を開けてみたら落選していた」というのはよく起こる現象です。「メディアが偏った報道をするからだ」と批判する人も多いですが、実はその人自身が見ている世界の偏りによって起こるギャップなのです。</p>

<p><br></p>

<h2>「ハフポストは『昼の世界』にどんどん進出していきたい。これまで誰も聞いたことがなかったような人の声を聞いてみたい」</h2>

<p><br></p>

<p><strong>──これはわたしの肌感覚でしかないのですが、ここ数ヶ月の間にSNSでハフィントンポストの記事を見かける機会が増えたような気がします。編集長に就任されてから、意図的に記事を増やしていたりしますか。</strong></p>

<p>それはあります。特に国際ニュース、政治のニュースを増やしています。例えば評論家の宇野常寛さんや社会学者の濱野智史さんが指摘するように、日本を「昼の世界」と「夜の世界」で分けると、ネットはやはり「夜の世界」、「裏社会」だったと思うんですね。マニアックなユーザーに向けてサブカルチャーを発信していた部分がある。そこを変えて、「昼の世界」、「表社会」にどんどん進出していきたい。そうすると昼や夜の区別なく豊かな社会が生まれると思うんです。だからあえて硬派なニュースを増やしています。</p>

<p><strong>──インターネットそのものに「7割対3割」の偏りがあるとしたら、社会のメインストリームこそがネットに足りないものだった、と。</strong></p>

<p>ネット論客と呼ばれるような発言者の顔ぶれにも、どんどん新しい人を入れていきたいです。ハフィントンポストの特徴は1000人以上の多彩なブロガーです。これまで誰も聞いたことがなかったような人の声を発信したいですね。</p>

<p><img src="/uploads/_MG_0790final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>ハフポストUK（英国）版では、キャサリン妃をゲスト編集者としてお招きして一緒に企画を練っている。「日本でも同じようなことができたら」と言う。</h6>

<p><br></p>

<h2>「いまの時代は、テーマを深める訓練よりも、動く&#8220;的&#8221;を見る訓練をしたほうがいい」</h2>

<p><br></p>

<p><strong>──竹下さんがこれまでに手がけられた記事やプロジェクトなどを見ると、関心の領域が幅広いですよね。これまでの新聞記者やライターのイメージは、「政治記者」とか「映画ライター」のように、ある分野に精通していることに価値が置かれていたと思いますが、竹下さんは従来のメディアとは違うフレームで動いているように見えます。例えば、取材テーマや関心領域はどのように見つけているのですか。</strong></p>

<p>従来型のメディアの発想は、まずテーマを定めて、編集長が大きな編集方針を打ち出し、各パートを記者や編集者が担う、というやり方です。でも、ネット時代になって、&#8220;的&#8221;が動いていると思うんですよ。</p>

<p>例えば冷戦時代には保守か革新かといった的しかなかった。その的に収まりきらない問題や人物が出てきているのが、いまです。それならば、テーマを深める訓練よりも、動く的を見る訓練をしたほうがいい。</p>

<p>だから、わたしがやっていることはスポーツに近いかもしれないですね。動いている的を、いかに見つけ出して、狙いを定めて打っていくか。</p>

<p><strong>──編集長が大きな編集方針を打ち出さないとなると、ハフィントンポストのエディターやレポーターのみなさんとは、どのように？</strong></p>

<p>日々ディスカッションすることによって、動く的に対応しています。布陣が毎日変わる感じです。サッカーのフォーメーションのように。</p>

<p>サッカーの監督は、いったん選手がフィールドに出て行ったら、何もできません。それと同じで、わたしは何もできないんです。あるいはしてはいけないと思っています。試合中はフィールドに出て行った選手たちを信じるしかないのですが、ハーフタイムでベンチに戻ってきたときは、かなり意識してコミュニケーションします。どうしてこういう記事を書いたのかということは、一人ひとりとよく話しますし、自分の思いは雑談の中でも積極的に伝えようとしています。</p>

<p><strong>──メールで伝えることもできそうですが。</strong></p>

<p>やはり、最も人を活性化するのは会話です。文字のやりとりは、非常に硬直化したシステムだと思います。メールにしても、ものすごく考えて文章を書いて送っても、相手がそれを読んで、返事がくるまでの間にいろんなことが変化していて、ダイナミックさが失われるのです。</p>

<p><strong>──何事も「動く」ことを前提で考えるべきなのですね。</strong></p>

<p>名刺にしてもそうです。誰かが千枚の名刺を使い切るまでに、転職や起業などでその人が違う職業に就いている可能性が十分考えられる時代です。その流動性はいままでの日本にはありませんでした。少し肩書きが変わることはあったでしょうが、10年20年ほぼ変わらない名刺を使い続けるのが当たり前でした。でも、そうではない時代になってきているのです。</p>

<p><br></p>

<h2>「文字や映像や手垢がついたスローガンより、誰かの『声』の方が振り向く原動力になる」</h2>

<p><br></p>

<p><img src="/uploads/_MG_0814final.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>動く&#8220;的&#8221;を見るためには、ビジネスネットワークを常にリフレッシュしていないと、そもそも的が視野に入ってこないものだという。</h6>

<p><strong>──肩書きが通用しないとなると、次に誰とつながればいいかを見つけ、偏りがちな人脈を耕し、視野を広く持つには、何を頼りにすればいいのでしょうか。</strong></p>

<p>まず、面白いことを発信している人に注目することです。今日の話のテーマのひとつは「動く」ということだと思うのですが、みんな動き続けているし、そのスピードは増しています。そのときに、唯一動かないものは、人の名前です。肩書きにとらわれていると見えなくなることがありますから、「名前とその人がいま何を発言しているか」はとても大事にしています。</p>

<p>視野を広く持てるかどうかも、まわりの人の影響が大きいと思います。動き続けている&#8220;的&#8221;がいまどこにあるのか、ただキョロキョロ見回していても見つけられないけれど、自分の知っている誰かの声が聞こえれば、そっちをパッと見れる。文字や映像や手垢がついたスローガンより、誰かの「声」の方が振り向く原動力になるのです。</p>

<p><address>文／<a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=12861369036&amp;person_id=12861369036&amp;page_kind=profile">長瀬千雅</a>  撮影／<a href="http://www.shinybamboo.com/" target="_blank" rel="nofollow">西田香織</a></address></p>
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    <title>9月30日（金）、トークイベント「Eight Fireside Chat」初開催。ゲストはAERA前編集長・浜田敬子 - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <published>2016-09-15T00:42:00Z</published>
    <updated>2017-04-01T14:42:00Z</updated>

    <summary>人との出会いから新しいビジネスは生まれるが、名刺交換をしただけでは何も生まれない。浜田敬子はいかにして、出会いをビジネスにつなげるのか。90分間の談話を通して、彼女のビジネスネットワーク活用術を紐解く。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="9月の特集" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="BNL Fireside Chat" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
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        <![CDATA[<p><aside><p><a href="https://bnl.media/2016/08/aera-hamada.html">BNLの取材</a>では、「人脈は数ではない。&#8220;濃さ&#8221;で決まる」と語り、濃い関係づくりに欠かせない、企画のつくり方を紹介した。</p></aside></p>

<p>9月30日（金）、Eightの新メディア「<a href="https://bnl.media/">Business Network Lab</a>（以下、BNラボ）」主催のトークイベントを開催する。</p>

<p><a href="https://bnl.media/2016/08/aera-hamada.html">BNラボの初回の記事</a>で取材した、AERA前編集長・浜田敬子をゲストにお招きし、ビジネスネットワーク活用術を紐解く。</p>

<p>取材で浜田は「あの人と一緒に仕事がしてみたい！」という人がいたときに、ただ名刺交換をしただけでは何も実現できないと語った。相手をその気にさせる企画をつくって提案することで、初めてプロジェクトは前に転がり始めるという。</p>

<p>2014年4月から今年の3月までAERAで編集長を務め、Yahoo!ニュースとの共同企画「みんなのリアル～1億人総検証」や、NewsPicksとの共同特集「ニッポンから課長が消える？」など、従来の紙のメディアの枠を超えて、デジタルメディアとの注目のコラボプロジェクトを実現した。編集長退任後は、5月に朝日新聞社に新設された部門横断型の組織「総合プロデュース室」のプロデューサーとして、企業と朝日新聞社のメディア事業を組み合わせたプロジェクトを推進している。</p>

<p>イベントは、BNラボのインタビュアーが1対1でゲストに質問を投げかける「Fireside Chat」形式で談話を行う。また、スイスのデザイン家具メーカー「Vitra」とのコラボにより、特別なステージ空間を演出する。</p>

<p>トーク後の懇親会では、ゲストのアドバイスをさっそく実践して、参加者同士、&#8220;濃い&#8221;ビジネスネットワークを築いてみよう。</p>
]]>
        
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    <title>「憧れの人には会いに行かない。名刺は渡す文脈が大事」日本仕事百貨・ナカムラケンタが勧める人脈術 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/09/nakamura.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7416</id>

    <published>2016-09-14T02:27:26Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:22:16Z</updated>

    <summary>生きるように働く人のための求人サイト「日本仕事百貨」を運営し、さまざまな&quot;働く&quot;のかたちを取り上げることで、仕事と人の出会いのきっかけをつくってきたナカムラケンタ。今年4月に清澄白河に「しごとバー」をオープンした背景にある考えから、3つの「ビジネスネットワークの裏ワザ」を紐解く。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="ビジネスネットワーク活用の裏ワザ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネスネットワーク" label="ビジネスネットワーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=165402&amp;person_id=165402&amp;page_kind=profile">ナカムラ ケンタ</a></strong><small>株式会社シゴトヒト代表取締役</small>
<p>2008年に求人サイト「日本仕事百貨」をオープン。生き方・働き方を考える本のレーベル「シゴトヒト文庫」や、さまざまな職業の人がバーテンダーとなる「しごとバー」の企画・運営など、&#8220;仕事&#8221;をテーマにさまざまなサービスを提供している。</p></aside></p>

<h3>Eightユーザーのつながる技術を探る「ビジネスネットワークの裏ワザ」</h3>

<p>名刺をEightに取り込むだけではもったいない。あなたのビジネスネットワークをもっと効果的に活用できれば、仕事の課題に対して新たな解決の糸口が見つかるかもしれない。</p>

<p>つながりを生かして、ひとりの力では実現できないことを達成していく人たちには、きっと新人研修では教えてくれないビジネスネットワーク活用の&#8220;裏ワザ&#8221;があるはずだ。それを探るため、Eightユーザーを取材する企画「<a href="https://bnl.media/cat1054.html">ビジネスネットワークの裏ワザ</a>」をスタートさせた。</p>

<p>今回は、世の中のさまざまな生き方・働き方を知れる場を提供するナカムラケンタを東京・清澄白河のリトルトーキョーに訪ねた。</p>

<p>ナカムラが手がける求人サイト「<a href="http://shigoto100.com/" target="_blank" rel="nofollow">日本仕事百貨</a>」には、多種多様な求人情報が掲載されている。地域の課題解決に取り組む団体や新たな農業のあり方に挑戦している人、伝統産業を支える職人。それぞれの働き手の思いやこれまでの経緯、現場の具体的な事例や苦労話などが綴られている。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_0153final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「これまで求人を掲載させていただいた人たちは、自分なりの生き方を模索したり世の中を良くしたいと思って行動したりしている人たちばかりです。取材に行くたびに、色んな学びがあります」</figcaption>
</figure></p>

<p>「日本仕事百貨に求人を掲載したい！」と日々問い合わせがくるが、内容によっては載せても求人がこない可能性があることを説明して、クライアントの期待と現実のギャップを埋めるコミュニケーションを心がけているという。総じてクライアントの満足度は高く、営業することはなく、口コミによって広がってきた。</p>

<p>「営業にリソースを割いて、結果として求人コンテンツの質が落ちてしまっては意味がありません。掲載させていただいたクライアントに対して、良い出会いをつくることを心がけています。満足していただければ、またご依頼いただけますし、日本仕事百貨に合ったクライアントさんをご紹介いただけるんですよ」</p>

<h3>裏ワザ1. 「文脈のある場」をつくる</h3>

<p>現地に足を運び、取材をし、文章にして求人のコンテンツをつくるだけでなく、さまざまな生き方・働き方をしている人たちが1日バーテンダーとしてカウンターに立ち、お酒を飲みながら話をする「しごとバー」という企画も行っている。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_0219final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>ナカムラの会社が入っている清澄白河のオフィスビルの1階のスペースで、「しごとバー」が夜な夜な開催されている。近くには「ブルーボトルコーヒー」もあって、最近話題のエリアだ。</figcaption>
</figure></p>

<p>学生時代に建築を専攻していたこともあり、「良い場所はどうやったらできるのか」を常に考えていたという。</p>

<p>「どんなに著名な建築家の建物だとしても、そこに普段いる人の顔や振舞いでその空間の良さが決まってしまいます。つまり、空間よりもそこにいる人が重要なんです。そこで、人と人との出会いをつくる求人サイトを始めました。次第に、求人の記事だけでなく実際にリアルな空間で会って話す場をつくることで、よりその人たちの考えが伝わるのでは、と考えました」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_0201final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>しごとバーでは、仕事の話だけでなく、プライベートな話、時にはお客さんの話にも耳を傾ける。ゲストだけでなく、お客さん同士も共通の話題でつながりが生まれることも。</figcaption>
</figure></p>

<p>毎回違ったゲストが1日バーテンダーでカウンターに立つ。一方的に話すのではなく、お酒を片手に互いの会話を楽しむ。いわば、スナックのような空間だ。参加者は、その日のゲストに会いたくて訪れているので、共通の「文脈」がある。だから、初対面でも仲良くなりやすいのだという。</p>

<p>「インターネットが発展してきたことで、リアルの価値が再認識されてきています。しごとバーは、リアルな場所の役割が明確になってきた時代だからこそ、インターネットではできない人と人とのつながり方を生む場なのです」</p>

<h3>裏ワザ2. むやみやたらにつながらない</h3>

<p>「文脈」の考え方は、ナカムラ自身のビジネスネットワーク術にも通じている。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_0180final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「名刺を交換してEightでつながったときも、互いに興味や共通の話題、すぐさま相手の名前や仕事の内容が思い浮かぶ関係性があることが大切だと思います」</figcaption>
</figure></p>

<p>一般的に、仕事のつながりを増やすために異業種交流会などの場に行き、名刺交換をする人は多いかもしれない。しかし、ナカムラはそうした交流の場に行っても意味がないと話す。</p>

<p>「人とのつながりは数ではありません。名刺は枚数ではなく、相手と自分とのつながりの濃さや関係性こそが大切です」</p>

<p>人の紹介や共通の話題で出会うなど、その人との関係性があってこそつながりは生きてくる。名刺交換をすることが目的ではなく、名刺を交換したその出会いをどう大切にするか。それこそがナカムラが大切にしている考えだ。</p>

<p>「憧れの人に、わざわざ会いにいくようなことはしません。名刺交換だけをしに行っても意味はなくて、それよりもその人との出会いの文脈があれば互いに印象に残るはず。出会いのタイミングはおのずと出てくるし、そのほうがより自然なはずです。ご縁を大切にして、本当に名刺を渡すタイミングで名刺を渡せばいいと思います」</p>

<h3>裏ワザ3. 自身のプロジェクトを立てる</h3>

<p>ナカムラが日本仕事百貨を立ち上げた大きな理由は、「色んな仕事や働き方を共有したい」という思いからだった。かつて会社員として働いていたときに、自身のロールモデルと出会ったことで独立する勇気をもらえたという。そうした自身の経験から、さまざまな生き方・働き方を知るための機会を提供することの価値に気づいたのだ。</p>

<p>「当時のぼくは、世の中のことについて何も知りませんでした。サラリーマンをしていると、普段出会う人も社内だけになりがち。そうではなく、&#8220;こんなやり方があるのか&#8221;、&#8220;もしかしたら、自分もこんなことができるかもしれない&#8221;と考える機会を通じて、本当に自分がやりたいことが見えてくるはずなんです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_0229final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>ナカムラは、「日本仕事百貨」や「しごとバー」だけでなく、本のレーベル「シゴトヒト文庫」や、映画の自主上映サービス「ポップコーン」など、さまざまなビジネスプロジェクトを立ち上げている。</figcaption>
</figure></p>

<p>ロールモデルと出会い、そこから自分の一歩を踏み出す。自分の生き方に正直になれる働き方を見出すこと。そこから、自分の思いを言葉にするボキャブラリーを増やすことで、その人らしい生き方・働き方が形になってくる。日本仕事百貨が掲げる「生きるように働く人の仕事探し」には、多様な生き方、働き方を知ることで、自身の進む道が見えてくる場である。</p>

<p>「自分のやりたいことが見えてきたら、会社員ではなく一個人としてのつながりに意味がでてきます。そうしたら、企業の名刺ではなく個人の名刺を持つことですね。自身でプロジェクトを立ち上げ、そのプロジェクトについて自分の言葉で語ることができれば、そこから新たな道や出会いが生まれてきます」</p>

<p>近い将来、いまある仕事がなくなるかもしれない。時には、時代とともに新しい仕事が生まれてくるかもしれない。そうしたとき、自分自身がどういった人生を送るのか。どんな働き方をするのか。自分自身といかに向き合っていくかが今後問われてくるはずだ。</p>

<p>ナカムラが取り組むさまざまな事業は、人とのつながり方だけでなく、そうした人が自己と向き合うための機会と場とつながりをデザインしている仕事といえる。</p>

<p><img src="/uploads/_MG_0255final.jpg" alt="" title="" /></p>

<div class="hidden corporate-info" data-corporate-number="1010401084326"></div>
]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>「自分の技術はすべて惜しみなく公開すべき」ベストセラー『伝え方が9割』を記したコピーライター・佐々木圭一の教え - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/09/sasaki.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7409</id>

    <published>2016-09-07T01:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:16:05Z</updated>

    <summary>シリーズ85万部のベストセラー『伝え方が9割』の著者・佐々木圭一が、自身の経験にもとづき、いま自分が求めている情報が自然と集まり、これまで接点のなかった人にも出会えるようになる、明日から実践可能なビジネスメソッドを明かす。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="社外のつながりの活かし方" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=21298516071&amp;person_id=21298516071&amp;page_kind=profile">佐々木圭一</a></strong><small>コピーライター／作詞家／株式会社ウゴカス代表／上智大学非常勤講師</small>
<p>1972年生まれ。上智大学理工学部機械工学科卒業、同大学院理工学専攻修士課程修了。1997年博報堂入社。2005年〜07年、アップル社の広告で知られるクリエイター、リー・クロウのもと米国TBWA＼Chiat＼Dayでクリエイティブに従事。日本人初、米国の広告賞「One Show Design」でゴールドを獲得（Mr.Children）。カンヌ国際クリエイティヴアワードにて、計6つのライオンを獲得、Ad Festでゴールド賞を２つ獲得するなど、合計55のアワードを入賞受賞。郷ひろみ・Chemistryの作詞家として、アルバムオリコン1位を2度獲得。2014年、クリエイティヴブティック「ウゴカス」を設立。著書に『伝え方が９割』『伝え方が９割 2』（ともにダイヤモンド社）がある。</p></aside></p>

<p>Business Network Labのインタビューシリーズ「<a href="https://bnl.media/cat1046.html">ビジネスネットワークのものさし</a>」は、こんな問いを掲げてスタートした。</p>

<blockquote>
  <p>自分のビジネスネットワークを効果的に活用している人は、</p>

<p>「名刺の枚数」という"ものさし"だけで、</p>

<p>引き出しに眠る名刺の束を数えて満足してはいないはずだ。</p>

<p>彼らはいったいどんな"ものさし"を持っているのだろうか。</p>
</blockquote>

<p>今回このテーマに新たな視点をもたらしてくれるのは、コピーライターの佐々木圭一だ。</p>

<p>2013年に刊行された『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4478017212" target="_blank" rel="nofollow">伝え方が9割</a>』は、とかく精神論に傾きがちなコミュニケーションの課題解決を、誰もがいますぐ使える実践的な手法に落としこみ、シリーズ85万部を超えるベストセラーとなっている。</p>

<p>本を出して以降、初対面の相手には「『伝え方が９割』の佐々木さん」と紹介されることが増え、ビジネスの出会いも「激変した」という。その体験談が物語るのは、自分のとっておきの技術をどれだけ多くの人に広めたか、という人間心理の裏をかく"ものさし"だ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_8856final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>この1作目は2013年3月に発売された。昨年4月に続編も出版されているので、書店で見かけた覚えのある人も多いのではないだろうか。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──「伝え方の技術」は、コピーライターにとってみればいわば企業秘密。『伝え方が9割』は秘伝のレシピを公開するようなものだと思います。そのような本をなぜ出版しようと思ったのでしょうか。</strong></p>

<p>実は、『伝え方が9割』を出版する前、とてもブルーな気持ちになりました。この本では、ぼくが持っているコピーライティングの技術のなかでも、最も有効な部分を、何ひとつ隠すことなく書いています。しかも、単に方法論を書くのではなく、レシピ（手順書）に落としこむことで、誰でも真似できるようにしています。</p>

<p>それだけに、いざ本になるというときになって、少し怖くなったんですね。ぼくが17年かけて見つけてきた伝え方の技術が、たった1500円で売られてしまう。みんながその技術を知ってしまったら、ぼく自身に仕事がこなくなるんじゃないか。やっぱり出すべきではないのではないか、と思い悩みました。</p>

<p>それでもなぜこの本を書いたかというと、ぼく自身、もともと伝えることが苦手だったという経緯があるからです。</p>

<p>小学生のころから転校が多くて、各地域の話し方や遊び方に慣れることができず、すでにできている友だち同士のグループに入るのも難しくて苦労した経験があります。</p>

<p>大学では機械工学を学びましたが、人とコミュニケーションをするより、機械と一緒にいるほうが楽でした。機械はプログラミングをすればその通りに動いてくれる。その関係はぼくにとって快適でした。</p>

<p>でも就職活動を始めて、自分はどんな人間になりたいかと考えたときに、本当は人と関わりたいことに気づいたのです。好きな相手にうまく気持ちを伝えられなかったり、友だちのためを思って言ったつもりなのに逆に怒らせてしまったり。そんな苦い経験をたくさんしました。かたや、そういうことを自然に、上手にしてしまう人がいる。「この差はなんなんだ」と考えました。正直うらやましかったし、そういう人に少しでも近づきたいと思いました。それで、コミュニケーションの業界に行こうと決めて、広告会社に入社したのです。</p>

<p><strong>──はじめからコピーライターを志望されたのですか。</strong></p>

<p>いいえ、理系だったので、市場調査や分析などの数字に関わることならできるかもしれないと思っていたくらいで、コピーライターの部署への配属は予想していませんでした。</p>

<p><strong>──まだ扱いに慣れていない「言葉」を使うプロ集団に、いきなり配属されたわけですね。</strong></p>

<p>入社直後は、上司のもとで毎日コピーを書き続けました。ただ、自分が指名を受けた仕事ではなく、上司が参加したプロジェクトの仕事を振られて、それをやり続ける日々でした。</p>

<p><strong>──果てしなく毎日宿題がある、みたいな感じでしょうか。</strong></p>

<p>例えばケーキをつくるのであれば、「ケーキ、完成！」で終わりですが、コピーには終わりがありません。1000本でも1万本でも、書こうと思えばいくらでも書けるのです。</p>

<p><strong>──『伝え方が9割』のまえがきに、1日に400〜500案のコピーを書いて、書いても書いても捨てられたと記されています。「自分には才能がない」と思い悩む日々は本当に辛かった、とも。</strong></p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>「仕事がなくなるかも」と不安になるほど、すべてをさらけ出すべきだ、と心に決めた</p>
</div>

<p>そんなぼくでも、伝え方の技術を知り、身につけることができるという経験をしたわけです。でも、ぼくが17年かけて苦心して見つけたものを、一から経験しろというのでは、膨大な時間と労力がかかります。だから本を書くときには、料理のレシピのように、「この手順でやれば誰でもできる」というものにしなければ意味がない。「仕事がなくなるかも」と不安になるほど、すべてをさらけ出すべきだ、と心に決めたのです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_8849final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「<a href="https://www.ugokasu.co.jp/" target="_blank" rel="nofollow">ウゴカス</a>」のオフィスの窓際には、カンヌ国際クリエイティヴアワードで受賞した6つのライオンが飾られている。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──佐々木さんの会社「ウゴカス」が掲げる「心が動いたとき、人は動く」というコンセプトにも通じると思うのですが、言葉で人間を動かそうとするとき、プログラムで機械を動かすこととの違いは、入力と出力のあいだに「心」という、なんとも不思議なものが挟まっていることだと思うんです。「心が動く」ということに対して、佐々木さんはどうしてここまで考え抜くことができるのでしょうか。</strong></p>

<p>広告の仕事を20年やってきて、さまざまなコピーを書いてきましたが、いま、ぼくが興味があるのは、単にイメージを言葉にすることではなく、そのモノがきちんと売れるということです。</p>

<p>どうすれば人がおもしろいと思うか、人を驚かせることができるかということについてのチャレンジはやりつくしたという自負もあり、そこで得た法則もあります。いまは、それだけでなく、人がモノを買いたくなるというところまで仕事として責任を持ちたいと、より強く思うようになりました。</p>

<p>日本の企業は、製品でもサービスでも、非常にこまやかに気の利いた、良質なモノをつくることを得意としています。だけど、「つくって終わり」という部分も多い。たしかに、いいモノさえつくっていれば売れた時代はありました。しかし、いまは「伝える」までやらなければモノは売れません。よさが伝わっていないから広く普及していないというのは、売り主が困るだけではなく、消費者の側からしても、いいモノを手に入れる機会を失っているということだから、もったいないことなんです。</p>

<p><strong>──だから、佐々木さんの「伝え方の技術」は、自分がどういう行動をしたらどういう結果が生まれるかということに、非常に意識的なんですね。</strong></p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>ただ素敵な文章を書くだけなら日記でいい。相手のアクションに結びつくようにしたい</p>
</div>

<p>ただ素敵な文章を書いてもしょうがないでしょう？ という気持ちはあります。それだったら日記でいい。でも、人に読んでもらう文章を書くのであれば、何かしら相手のアクションに結びつくようにしたい。根底にその考えがあるから、『伝え方が9割』でも、ただ自分の言いたいことを書くのではなく、それによって相手が反応したくなる、動きたくなるような言葉をつくるためにはどうしたらいいだろう、ということを意識して書いています。</p>

<p><strong>──実際に『伝え方が９割』は、ベストセラーになり、何十万人もの人が「伝え方の技術」を手にしました。本を出されたことによる変化はありましたか。</strong></p>

<p>すごく変わりました。激変と言ってもいいでしょう。人との出会いが圧倒的に変わりました。著名な経営者やタレントのような、以前はほとんど接点がなかった人たちとお会いする機会が増えました。名刺をいただかなくても、相手が何者かがわかる場面は多くなりましたね。</p>

<p><strong>──本が名刺の代わりになって、相手から見ても「佐々木さんが何者か」が伝わりやすくなったのでは？</strong></p>

<p>そうかもしれないですね。本当は「コピーライターの佐々木」なのですが、「『伝え方が9割』の佐々木」と言ったほうが相手にとってわかりやすい。コミュニケーションの入り口が広がったので、「コピーライターの佐々木」を知ってくださる方も、とても多くなったと実感しています。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_8852final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>名刺の束の横には、書籍の内容を記した名刺サイズの「超携帯版」が置かれていた。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──いまも「伝え方の技術」を考え続けていらっしゃいますか。</strong></p>

<p>はい。昨年、『<a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4478028389" target="_blank" rel="nofollow">伝え方が9割 2</a>』を出すことができたのですが、第3章の「『強いコトバ』をつくる技術」では、『伝え方が9割』で書いた5つに、新たに3つの技術を加えて、合計で8つの技術を公開することができました。</p>

<p><strong>──その新しい3つは、1冊目と2冊目のあいだに思いついたものですか。</strong></p>

<p>いいえ、ぼくの中では以前から持っていたものです。ただ、技術として、誰でも簡単に使える方法にまでブレイクダウンするのが難しかった。このとおりにやれば誰でもできるというものにしたいと思っていましたから、1冊目の段階ではそれが5つだったということですね。レシピ化されていない技術は、実はまだまだあります。</p>

<p>それに、ぼくが公開した技術以外にも、技術は探すことができると思うんです。「こんな方法もあるよ」というものが発見できる可能性をぼくは否定しません。そういうものを見つける人が現れたら、すごいですよね。</p>

<p><strong>──本当ですね。もしかしたら、誰でも何かしら「自分の技術」を持っていると言うこともできるかもしれません。</strong></p>

<p>そうですね。</p>

<p><strong>──たとえば、人との出会いが広がるなかで、「この人の持っている技術はすごい。これをレシピとしてみんなに公開したらいいのに」と思うようなことはありますか。</strong></p>

<p>やはり経営者の方は、経験でも考え方でも、すごいなと思う方がたくさんいらっしゃいます。話をしているだけでとても勉強になる。そういうことが本になってたくさんの人に共有されるようになったらいいのではないかなと思うことはよくありますね。</p>

<p><strong>──佐々木さんにとって、「伝え方の技術」は「これを書いたら仕事がなくなるのでは」と悩むほどの秘伝中の秘伝だった。でも、自分から公開したからこそ、新しい出会いが増えた。それ以外にも、受け取るものが増えたという実感はありますか。</strong></p>

<p>ぼくは、毎日の生活のなかで「伝え方の事例」を非常に意識して探しているのですが、人から教えてもらうことが圧倒的に増えましたね。友だちが『あそこのレンタルビデオ店の貼り紙がすごくおもしろくて』と教えてくれたり、クライアントの方が『この本にこんなことが書かれていましたよ』と伝えてくれたり。そういうおもしろい事例がたくさんぼくのところに集まってくるようになったんです。きっと、『これ、佐々木さんに教えたら喜ぶだろう』と思ってくださるのでしょうね。</p>

<p><strong>──わあ、それはうれしいですね。</strong></p>

<p>うれしいですね。</p>

<p><strong>──楽しいことを共有できるようになるということですものね。本を出す前にはブルーになったとおっしゃっていましたが、いまとなってみれば。</strong></p>

<p>本当に、自分がまずはじめに、持っているものを隠さずにすべて出したことが、とてもよかったんだなと思います。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_8836final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「何をすれば人は喜ぶか？」を考えることが多いという佐々木は、相手のことを一言で表現するキャッチコピーをプレゼントすることもあるという。「お金はかかりませんが、それなりの時間はかかります。つまり、その人のことを考えた時間をプレゼントしているのです」</figcaption>
</figure></p>

<hr />

<p>コピーライターとしての秘伝の技術を公開することで、佐々木さんの環境は「激変した」。しかしそれは、事前に危惧していたようなネガティブな変化ではなく、ビジネスネットワークを活性化し、自分自身を次のステージへと進めてくれる前向きなものだった。</p>

<p>さて、自分には何か人に与えられる技術があるだろうか。あの人とどんな喜びを共有することができるだろうか。そんな気持ちでEightを立ち上げてみると、これまでとは違うアイデアが浮かぶかもしれない。</p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>元サッカー日本代表・鈴木啓太CEOが語る、ビジネスアイデアを引き寄せる技術 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/08/keita-suzuki.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7400</id>

    <published>2016-08-31T00:59:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:15:57Z</updated>

    <summary>サッカーに限らず日本中のアスリートの体調管理をサポートしたいと考えた鈴木啓太は、2015年10月に起業し、腸内フローラの解析事業を立ち上げた。その過程では、サッカーで身につけた、外部からアイデアを引き寄せるテクニックが発揮されていた。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="社外のつながりの活かし方" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="スポーツ" label="スポーツ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="経営者" label="経営者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=33379757107&amp;person_id=33379757107&amp;page_kind=profile">鈴木啓太</a></strong><small>AuB代表取締役／元Jリーガー・元日本代表</small>
<p>静岡県静岡市出身。高校卒業後、2000年に浦和レッドダイヤモンズに入団。海外クラブチームからのオファーも断り、15年末に引退を発表するまで一度もチームを離れることはなかった。15年10月にAuB株式会社（本社・岡山）を設立。アスリートの体調管理とパフォーマンス向上をサポートするサービスの提供を目指し、腸内フローラの解析事業に着手している。選手時代には一切名刺交換をしたことはなかったが、経営者となり名刺交換の機会も増えてきたので、16年1月からEightを利用している。</p></aside></p>

<p>Eightブログで2016年8月からスタートしたインタビューシリーズ、「<a href="https://bnl.media/business-insights/scale/">ビジネスネットワークのものさし</a>」では、以下の問いを掲げ、Eightを活用して第一線で活躍するビジネスパーソンを取材する。</p>

<blockquote>
  <p>自分のビジネスネットワークを効果的に活用している人は、</p>

<p>「名刺の枚数」という&#8220;ものさし&#8221;だけで、</p>

<p>引き出しに眠る名刺の束を数えて満足してはいないはずだ。</p>

<p>彼らはいったいどんな&#8220;ものさし&#8221;を持っているのだろうか。</p>
</blockquote>

<p><a href="https://bnl.media/2016/08/aera-hamada.html">シリーズ初回</a>で取材した浜田敬子（AERA前編集長）は、企画力を磨いて相手と一緒にできる仕事をつくることで、つながりを濃くしていくことが重要だと語った。</p>

<p><a href="https://bnl.media/2016/08/ishikawa.html">第2回</a>では、『疲れない脳をつくる生活習慣』、『友だちの数で寿命はきまる』、『最後のダイエット』等の著書で知られる気鋭の研究者、石川善樹を取材。社内のメンバーだけでアイデアを創造するのは時間の無駄であり、9割のリソースを使って社外にアイデアを探しに行くべきだと話した。</p>

<p>第3回となる本記事では、昨年末に引退した元サッカー日本代表の鈴木啓太が登場する。</p>

<p>「自分はこれから何を成すべきか？」。その問いを持つすべてのEightユーザーに向けて、&#8220;浦和の男&#8221;がサッカー仕込みのビジネステクニックを語る。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND8604final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「プロサッカー選手になったとき、いつ辞めてもいいと思えるまで頑張ろうと決めていました」と鈴木は選手時代の心境を語った。「途中、辞めようと思ったタイミングが何度かあったなかで、昨シーズンに辞めることにしたわけです」</figcaption>
</figure></p>

<h3>起業の原点は選手時代の体調不良</h3>

<p>昨年引退した元プロサッカー選手の鈴木啓太が今年、腸内フローラ（腸内細菌叢）の解析事業を行う会社「<a href="http://aub.co.jp/" target="_blank" rel="nofollow">AuB</a>」を設立した。</p>

<p>一見突飛な行動に映るかもしれない。実際、ネットでは「鈴木啓太の知名度を利用しようと思った誰かに騙されたのだろう」とか「大企業も研究している分野だから素人では敵わないのでは」など否定的なコメントも、ちらほら目につく。しかし、鈴木の選手時代の出来事と起業の経緯を知れば、その行動にも納得がいく。</p>

<p>「自分は下手くそなプレイヤーだった」と鈴木は話すが、"水を運ぶ人"とイビチャ・オシム監督に名付けられ、キャプテンとして監督が率いた日本代表の全20試合に出場。オシムジャパンの戦略に不可欠な存在だった。浦和レッズのチームメイトからの信頼も厚く、レッズのチームキャプテンを3年連続で務めた時期もあった。</p>

<p>しかし、体調不良に悩まされることも多かった。特にワールドカップへの出場機会を逃した経験は、いまの起業の原点となった出来事だ。浦和レッズは、アジアのトップクラブチームが競うAFCチャンピオンズリーグ2007で優勝し、日本で開催されたFIFAクラブワールドカップ2007にも出場した。鈴木は、レッズと日本代表を掛け持ちする超過密日程をこなしていた。しかも彼のプレイスタイルは誰よりも走ることなので、身体の疲労はピークに達していた。08年4月に疲労は限界を超え、ある日急に体調を崩して1週間入院した。そのとき、体重は10kgも痩せたという。2年後、ワールドカップの開催地である南アフリカに向かう飛行機に、鈴木の姿はなかった。</p>

<p>「過密日程が続けば、コンディションは崩れていくものですが、自分の身体がいまどういう状態なのかを自ら理解している選手は意外と少ないものです。大抵はドクターやトレーナーに任せて安心しきって、ただ言われたことをやっているだけというのが実情です」</p>

<p>選手生命をかけた大事な時期に体調を崩してしまった鈴木は、ほかの選手には同じような思いをさせたくないという理由から、一人ひとりの体調管理に対する意識を変える事業を行いたいと考えるようになった。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND8676final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>鈴木は30歳のころから若手のサッカー選手を育てる事業を行っていた。「セカンドキャリアをどうするか」と考えた期間はなく、引退する前から事業の構想はスタートしていたという。</figcaption>
</figure></p>

<h3>アスリートの意識を変えたい</h3>

<p>例えば、チーム全員に毎日尿検査を課し、結果の伝え方を少し工夫するだけで、選手の意識を変えるきっかけにはなるという。</p>

<p>「尿検査は毎日続けられて、選手のパフォーマンスに影響を与える身体の水分量を把握できます。自分の結果だけを見ていても効果は薄いかもしれませんが、仮にチーム全員が日々検査を実施して、ロッカールームに結果が掲示されたらどうでしょう？」</p>

<p>水分量が足りていない選手には赤線が引かれて、もっと水を飲むよう警告される。最初は警告を受けてから水を飲むが、そのうち赤線が引かれないように日ごろから気をつけて水分補給を行うようになり、一人ひとりの意識が変わっていく。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>選手の意識を変えることができれば、スポーツ界全体のベースアップにつながる</p>
</div>

<p>「選手の体調管理に対する意識が変わり、常に100%の力を発揮できるようになれば、個々の競技力が向上し、日本のスポーツ界全体のベースアップにもつながると思うのです」</p>

<p>鈴木はそのような意識レベルの変化を生み出すような事業をつくりたいと考え、昨年10月に「<a href="http://aub.co.jp/" target="_blank" rel="nofollow">AuB</a>」を立ち上げた。サービス提供に向けて準備を進めている腸内フローラ解析事業は、定期的な排便検査を通して、選手の意識を変えられるようなサービスに仕上げることを目標としており、現役のアスリートに協力してもらいながら現在研究を進めているという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND8700final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Jリーガーになったときチームから名刺の束を渡されたが、先輩から「名刺を配っているようじゃ駄目だ。顔が名刺になるように頑張れ」と言われたため、机の奥底にしまっていたという。Eightは引退後、今年の1月から使い始めている。</figcaption>
</figure></p>

<h3>「軸」があればアイデアは引き寄せられる</h3>

<p>2015年夏、まだ選手として自分の身体のコンディショニングに気を使っていたころ、排便記録アプリ「ウンログ」をつくった<a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=12724926023&amp;person_id=12724926023&amp;page_kind=profile">田口敬</a>と会う機会があった。</p>

<p>「ぼくは選手時代に行っていたコンディショニングは『腸内細菌の管理』というよりは『お腹の状態を整える』というくらいのものでしたが、ウンログのことは知っていました。ある日、たまたま代表の田口さんを知っているという方とお会いしまして、『ぜひ会わせて欲しい！』と伝えたのです」</p>

<p>ウンログの話を詳しく聞いたところ、その技術はアスリートの体調管理のサポートにも使えるのではないかと考え、AuBの設立に至る。</p>

<p>だが、ここでひとつ疑問が生じる。鈴木は、いかにしてサッカーとはかけ離れた分野のアイデアを、自分の得意な領域に引き寄せることができたのか。その問いに端を発して、鈴木のサッカー仕込みのビジネステクニックが徐々に明かになっていく。</p>

<p>「ほかの選手も、ぼくと同じように日本のサッカーを強くしたいといった思いはあると思います」と鈴木は言う。「ただぼくはサッカーの枠から一度離れて客観的に見て、ほかの種目を強くする可能性も含めて考えてみたいと思うのです」</p>

<p>以前取材した石川善樹は、<a href="https://bnl.media/2016/160810.html">「新しいビジネスアイデアを得るためには9割のリソースで社外に目を向けるべきだ」と語った</a>。一度自分が所属している世界の外にも目を向けるという考え方が鈴木にあったからこそ、貴重なビジネスパートナーとの出会いを引き寄せ、彼のアイデアをもとに馴染みのあるスポーツの領域で新事業を構想でき、起業という道が拓けたのではないだろうか。鈴木にそう問いかけると、「おそらくこれから話す考えが、今日いちばん大事だと思う」と前置きして、選手時代に学んだ極意を教えてくれた。</p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>「自分の軸はこれだ！」というものがひとつあれば、それをベースにして、いろんなところから「これはくっつけられるかな？」と考えるわけです</p>
</div>

<p>「大事なのは、自分の軸をいつも意識して見失わないことです。『自分の負けないところは何なんだろう？』といつも考えておくのです。逆に言えば、自分のまったく畑違いなところに挑戦しても、ほかの人たちに負けてしまいます。『自分の軸はこれだ！』というものがひとつあれば、それをベースにして、いろんなところから『これはくっつけられるかな？』と考えるわけです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND8583final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「もしかしたらサッカーじゃなくて水泳をやっていたらオリンピックに出れていた選手もいるかもしれない。それっていまの日本のスポーツ界の改善すべき点のひとつだと思うのです」（鈴木）</figcaption>
</figure></p>

<h3>スポーツ界全体のボランチになる</h3>

<p>鈴木にとっての軸は、サッカー選手のころから一切ブレていない。</p>

<p>「AuBの事業について考えるとき、ぼくは『サッカーに置き換えたらどうだろう？』とよく思考します。サッカーは点を取る選手もいれば守る選手もいて、ぼくみたいにボールを触りたくないやつもいます（笑）。でも相手に勝利するという目標は一緒です。ぼくはチームが勝つためだったら、たとえ脚光を浴びなくても、人のためにハードワークして、ほかの人の倍は走ってやろうと思っていましたし、それこそが自分の価値だと信じていました。それをオシム監督は評価してくれて、&#8220;水を運ぶ人&#8221;という言葉にしてくれました。それが自分の軸です」</p>

<p>経営者になっても、基本的には同じ考え方をしていると鈴木は続ける。</p>

<p>「AuBの事業によって、アスリートが、オリンピックやワールドカップなど、自分が特に力を出したいという大会で100%の力を発揮できて、観る人に感動を生んでほしい。プレイスタイルとも一緒なんですが、彼らのために&#8220;水を運ぶ人&#8221;になれるだけで、ぼくは嬉しいのです」</p>

<p>「つまり、スポーツ界全体のボランチ的なポジションをやりたいということか？」と問うと、その通りだと深く頷いた。</p>

<p>鈴木は、一見まったく馴染みのない世界に両足で飛び出したかのような印象を受けるが、片足の軸は選手時代から一切ブレていない。むしろ、サッカー選手の中でも特に骨太な軸を持っていたからこそ、サッカー界の外にも視野を広げることができ、引退後も注目を集める新たな挑戦をスタートできているのではないだろうか。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_OND8698final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>腸内細菌の事業は、選手の意識を変えるために有効だと思える、ひとつの手段に過ぎないという。「行きたいところはあるけど先は真っ暗で、ちょっと光が差して道がここにあるなと思えた。でもその先はまだ暗闇で、本当に辿り着けるのかどうかはわからないといった感じです」</figcaption>
</figure></p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>経理がなぜ営業より売れるのか？　ビジネスマッチングの達人・福田宗就がEightの裏ワザを公開 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/08/fukuda.html" />
    <id>tag:bnl.media,2016://125.8154</id>

    <published>2016-08-24T01:03:57Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:22:04Z</updated>

    <summary>営業の教育は一切受けたことがない。それなのに営業の誰よりも販売実績を上げている。福田宗就は「ビジネスマッチング」を極めれば、みんなが自分の代わりに営業してくれて、自分のところに有益な情報が集まるようになるという。そのとっておきの裏ワザを公開する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="ビジネスネットワーク活用の裏ワザ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="営業の知恵" label="営業の知恵" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=27969624101&amp;person_id=27969624101&amp;page_kind=profile">福田宗就</a></strong><small>スペース・ソルバ株式会社 管理部長／ビジネスマッチングのスペシャリスト</small>
<p>1997年、筑波大学修士課程(MBA)卒業。流通業や教育業を経て、2002年、スペース・ソルバ株式会社入社。管理業務全般を統括、03年会社がIPOを目指すにあたり、新規事業企画室長や内部監査室長に就任、内部管理体制構築、関係会社整備、M&amp;A、資本政策、監査・証券会社対応等の幅広い業務に従事。06年、内部監査室長就任。08年、取締役に就任。管理業務以外に営業活動による豊富な人脈を活かしたマッチング、経営支援等も行う。経産省後援の日本最大級起業家支援サイトのアドバイザーとして匿名起業相談「エキスパートQ＆A」で11年～13年度、15年度総合ランキング1位。</p></aside></p>

<h3>Eightユーザーのつながる技術を探る「ビジネスネットワークの裏ワザ」</h3>

<p>名刺をEightに取り込むだけではもったいない。あなたのビジネスネットワークをもっと効果的に活用できれば、仕事の課題に対して新たな解決の糸口が見つかるかもしれない。</p>

<p>つながりを活かして、ひとりの力では実現できないことを達成していく人たちには、きっと新人研修では教えてくれないビジネスネットワーク活用の&#8220;裏ワザ&#8221;があるはずだ。それを探るため、Eightユーザーを取材する新企画、「<a href="https://contents.8card.net/blog/cat1054.html">ビジネスネットワークの裏ワザ</a>」をスタート。</p>

<p><a href="https://bnl.media/2016/08/sugiura.html">第1回で取材した横浜コミュニティデザイン・ラボの杉浦裕樹</a>は、コミュニティ運営の視点から4つの裏ワザを教えてくれた。第2回は、ビジネスマッチングのスペシャリスト、<a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=27969624101&amp;person_id=27969624101&amp;page_kind=profile">福田宗就</a>を都内の勤務先のオフィスに訪ねた。</p>

<hr />

<h3>裏ワザ1. 自社プロダクトを売り込まない</h3>

<p>営業の経験はゼロ。担当部署は管理部門。それにも関わらず福田宗就は、自分のビジネスネットワークを活用し、社内の営業担当の誰よりも高い受注実績を上げている。</p>

<p>3億円もかかるITシステムを販売するために、彼は独自の営業スタイルを積み上げ、営業よりも稼げるようになった。そればかりでなく、本業とは別に4年間で1000件以上のビジネスマッチングを実現している。しかし、当初は門前払いされる日々が続いたという。</p>

<p>「当たり前ですが、『社長、来月から弊社の3億円のシステムを導入してください！』と言っても、ほとんど決まることはありません。むしろ出入り禁止になってしまいます（笑）。そこでどうすれば大企業の社長にアプローチできるのか、試行錯誤しました」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_1707_final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「最近では『スパナの会社知りませんか？』といった問い合わせまで来るようになりました（笑）」</figcaption>
</figure></p>

<p>福田は、最初に相手に会ったときは、自社の話は一切しない。ほとんど自分が何者かも明かさないまま、とにかく相手がいま課題に思っていることを聞くのだという。</p>

<p>「『この人には、あの人を会わせたらどうだろうか？』とか、『あの会社の人を紹介すれば課題を解決できるのではないか？』などと思考を巡らせます」</p>

<p>例えば、相続に困っていたら、「おすすめの税理士を紹介します！」とか。あるいは「〇〇社を買収できたらいいのにな」と言っていたら、「M&amp;Aに強い会社を10社紹介できますが、いかがですか？」と持ちかける。そうやって人と人、企業と企業をつなげることによって、次第に自分のところに多くの情報が集まるようになるのだという。</p>

<p>そのうち、相手も次第に福田の仕事が気になり始めて、「福田さんって、ビジネスマッチングの会社をやっているのですか？」と聞いてくるようになる。そこで初めて福田は「実は3億円のITシステムを売っているのです」と持ちかけるのだ。相手に人や企業を紹介し、深い関係をつくっていれば、出入り禁止にはならず、IT環境で困っている会社を紹介してもらえることも多いという。</p>

<h3>裏ワザ2. みんなに代わりに営業してもらう</h3>

<p>ひとりで1社ずつ営業して開拓していては限界がある。それを加速度的に広げていくために、福田はEightを活用している。</p>

<p>「例えば名刺交換をしたときに、わたしの特徴をEightのメモ欄に記入してください、とお願いしています。"マッチングの達人、実務すごくわかる、会社たくさん知っている、資金調達できる、モデルを紹介できる"などのように、自分の特徴をEightのメモ欄に書いてもらっているのです」</p>

<p>そうしておくと、例えば何か困ったことがあったときにEightで検索したら、福田の名前がヒットするようになる。</p>

<p>「そうやって、どんどん案件がわたしのところに集まってくるのです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_1775_final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「福田はこういう人間だ」というキーワードをEightに入れてもらうことで、アポイントがたくさんとれるようになったという。</figcaption>
</figure></p>

<h3>裏ワザ3. Eightの「メモ」を使いこなす</h3>

<p>最後に福田は、ほかに誰もやっていないであろう、とっておきのEight活用術を教えてくれた。</p>

<p>会った人全員について、事細かくメモを残すことだ。</p>

<p>福田は業界問わず、これまで名刺交換をしたほぼ全員の情報を詳しくEightのメモ欄に記入している。どこで会って何をしている人で、どういうことに困っているのか、誰を紹介すると喜びそうかといった気づきから、家族構成や出身校まで、会話した内容を細かく記録している。</p>

<p>大変な作業であり、なかなか誰もが簡単に真似できる裏ワザではない。だが、それを面倒だと思わずにやり切った先に喜びを感じることがあるのだという。</p>

<p>「メモを参考にしてマッチングをすると、紹介する人とされる人の両者に喜んでもらえます。『福田さん、ありがとうございました。相手と気が合いましたし、新しい仕事にもつながりました』というように感謝されます。そこにビジネスマッチングの喜びがあるのです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_1750_final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Eightの取材チームも、ここまでぎっしりと相手のことをメモ欄に書いている人は初めてみた。</figcaption>
</figure></p>
]]>
        
    </content>
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    <title>「誰が何を知っているかを把握しておこう」横浜コミュニティデザイン・ラボの杉浦裕樹が語る&#8220;黒子&#8221;の仕事術 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/08/sugiura.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7375</id>

    <published>2016-08-17T06:00:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:21:55Z</updated>

    <summary>業種や専門分野、世代の壁を超えて、多種多様な人々をつなぎながらプロジェクトを成功させるには、いったい何が求められるのか。横浜で次々と注目の地域プロジェクトを立ち上げる影の仕掛け人・杉浦裕樹が、ビジネスネットワークを活用する4つの&#8220;裏ワザ&#8221;を伝授する。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
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        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="ビジネスネットワーク活用の裏ワザ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=20524987066&amp;person_id=20524987066&amp;page_kind=profile">杉浦裕樹</a></strong><small>NPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボ 代表理事／ヨコハマ経済新聞 編集長</small><p>舞台監督として国内外で音楽・ダンス等の現場制作を経験後、2000年に開設されたローカルニュースサイト「シブヤ経済新聞」に注目し、自ら地域コミュニティを再構築するためのプロジェクトを立ち上げようと決意。親戚の実家など、もともと縁のあった横浜に移住し、03年にNPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボを設立。翌年にはローカルニュースサイト「ヨコハマ経済新聞」を開設し、編集長を務める。11年にシェアオフィス「さくらWORKS＜関内＞」をオープンし、活動の拠点にしている。また13年には同ビル内の一室を改装し、市民包摂型ものづくり工房「FabLab Kannai」の運営を開始。14年には横浜市内の地域課題を市民参加型で解決していくウェブサイト「LOCAL GOOD YOKOHAMA」を開設するなど、注目のローカルコミュニティプロジェクトを次々と生み出している。</p></aside></p>

<h3>Eightユーザーのつながる技術を探る「ビジネスネットワークの裏ワザ」</h3>

<p>名刺をEightに取り込むだけではもったいない。あなたのビジネスネットワークをもっと効果的に活用できれば、仕事の課題に対して新たな解決の糸口が見つかるかもしれない。</p>

<p>つながりを活かして、ひとりの力では実現できないことを達成していく人たちには、きっと新人研修では教えてくれないビジネスネットワーク活用の&#8220;裏ワザ&#8221;があるはずだ。それを探るため、Eightユーザーを取材する新企画、「ビジネスネットワークの裏ワザ」をスタート。</p>

<p>第1回は、ローカルコミュニティ運営のプロフェッショナル、杉浦裕樹を横浜のシェアオフィスに訪ねた。</p>

<hr />

<h3>裏ワザ1. ローカルニュースサイトを立ち上げる</h3>

<p>地域コミュニティの課題解決は、一筋縄ではいかない。</p>

<p>地元の企業や生活者の意見を汲み取るだけでなく、行政や大企業も含めて、また業種や世代の壁を超えて、さまざまな人を巻き込み、プロデュースしていく必要があるからだ。横浜で活動する杉浦裕樹は、まさにその分野におけるパイオニアだ。</p>

<p>杉浦は、2003年にNPO法人横浜コミュニティデザイン・ラボを設立し、翌年には、ラボの事業のひとつとしてローカルニュースサイト「<a href="http://www.hamakei.com/" target="_blank" rel="nofollow">ヨコハマ経済新聞（以下、ハマ経）</a>」を開設。00年に開設された「シブヤ経済新聞」を起点とした「みんなの経済新聞ネットワーク」の地域展開のきっかけを生み出した。</p>

<p>「ちょうどブログやSNSが流行りだした頃でした。ローカルメディアを軸に、市民参加が生まれるきっかけを仕掛けていくことができるかもしれない。地域の情報をキャッチし、ハマ経で記事にしていけば、誰かのアクションのきっかけにつながるだろうと考えたのです」</p>

<p>それから12年以上運営しているハマ経は、いまでは1万本以上の記事のデータベースがある。取材した商店やベンチャー企業、NPOや行政のつながりが、そのまま自身のビジネスネットワークになり、コミュニティデザインの活動を支えているという。</p>

<p>「メディアがあることで、いろんな人に出会えたり、さまざまな情報が入ってきたりします。一度取材をして関係をつくれば、継続した情報のやりとりを行うこともできます。そこから新しいプロジェクトの種が生まれる好循環ができています」</p>

<p><img src="/uploads/_MG_3227-700.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>横浜コミュニティデザイン・ラボは、「街にいる人たちが持つ可能性を引き出し、人と人がつながることで地域のコミュニティづくりと課題解決を実現する」というミッションを抱いているという。</h6>

<p>東日本大震災の影響もあり、2011年以降、多くの人が自分の住む地域（＝ローカル）に目を向け始めた。地域の課題解決を行政に一方的に頼るのではなく、自分たちでできる範囲で、自ら街を良くしていく仕組みを求める声も広がってきた。</p>

<p>そこで横浜コミュニティデザイン・ラボは、アクセンチュアのCSRチームの支援を受け、横浜市政策局や横浜市立大学とも連携し、2014年に横浜市内の地域課題を市民参加型で解決していくウェブサイト「<a href="http://yokohama.localgood.jp/" target="_blank" rel="nofollow">LOCAL GOOD YOKOHAMA</a>」を開設した。</p>

<p>地域の価値ある取り組みを伝えるニュース機能や地域情報の「見える化」機能のほか、自分の暮らす地域の課題を投稿すると、それが共通の地図に表示され、地域の課題が可視化されるという仕組みを備える。さらに、地域の課題に取り組むプロジェクトを後押しするためのクラウドファンディング機能とスキルマッチング機能も実装し、ミッションに賛同する市民の力だけで資金が調達できるプラットフォームになっている。</p>

<p>ほかにも、シェアオフィス「さくらWORKS＜関内＞」や、ものづくり工房「FabLab Kannai」など、<a href="http://yokohamalab.jp/project-list/" target="_blank" rel="nofollow">さまざまな地域の課題解決に取り組むプロジェクト</a>を生み出している。</p>

<p><img src="/uploads/_MG_3256_700.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>「舞台監督をずっとやっていたせいか、全体を見ながら、すべてがうまくいくための調整をすることが習慣になっているのです」（杉浦）</h6>

<h3>裏ワザ2. &#8220;黒子&#8221;のように気を配る</h3>

<p>杉浦は、自身がプレイヤーとなるよりも、さまざまなプレイヤーを盛り立てたり支援したりする、「地域の&#8220;黒子&#8221;のような存在でありたい」という。</p>

<p>金銭的な価値ではなく、地域の課題を解決することをミッションに掲げるからには、その思いを形にし、実現させていくためのプロデュース能力が運営者には求められるのだが、その点に関して杉浦は適任だ。なぜなら、もともと舞台監督をしていたことがあり、多種多様な人々が関わるプロジェクトにおいて、人々の間に起きる摩擦や不協和音を冷静に見つめ、プロジェクトのゴールを見据えたコミュニケーションのあり方を知り、そのために動くことに長けているからだ。</p>

<p>舞台監督とは、「AAA （Access All Area）パス」を持ち、すべての装置や設備の場所に出入りでき、現場が滞りなく動いているかどうかを微細に確認する役割を担う人を指す。そうした裏方気質な立ち振舞いが、「いまでも身体に染みついている」と杉浦は語る。</p>

<p>「舞台監督は、周囲に気を配りながら、みんなが快適に過ごすための場を整える役割を担っています。特定の分野のスペシャリストたちを尊敬しているからこそ、その才能やスキルを十二分に発揮するための設えをすることができるのです」</p>

<p>こうした考え方は、舞台の現場だけでなく、地域資源のマネジメントにもつながっているという。</p>

<p>「地域で活動している団体や企業のことをより多くの人に知ってもらうことで、仲間が増えて事業やプロジェクトが継続できたりすれば、それ以上に嬉しいことはありません」</p>

<p>一方で舞台の仕事にはない挑戦も地域のマネジメントには求められるという。</p>

<p>「舞台はひとつの現場ですべてが完結しますが、街はそれまでの地域の歴史の積み重ねを意識しなければなりません。意識すべき時間軸がより長いわけです。そこに住む人たちそれぞれに生活があり、多様な価値観や美学もある中で、どうしたらお互いが共生できるか。それを常に考えています」</p>

<p><img src="/uploads/_MG_3246-700.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>杉浦の活動の拠点でもある、横浜市関内にあるシェアオフィス「さくらWORKS＜関内＞」は、イベントスペースとしても使われており、地域コミュニティの交流の場になっている。</h6>

<h3>裏ワザ3. 相手からの連絡は見過ごさない</h3>

<p>日々、多種多様な人々と出会い、つながりを生み出している杉浦にとって、連絡先を把握し、いつでもコンタクトが取れる状態にしておくことは活動の生命線だ。相手に連絡する際も、共通の話題や次へとつながるきっかけを意識したコミュニケーションをいつも心がけているという。</p>

<p>「NPOはミッションベースで動いている組織なので、人々に共感してもらえるか、興味を持ってもらえるか、あるいは相手にとって価値ある情報やつながりを提供できるかによって、存在価値が図られるものだと思います。そのため、会った相手からメールやメッセージが届いたときは必ずお返事するように心がけています。1日に100件以上のメッセージが飛び交うので遅れることもしばしばで申し訳ないのですが、何かしらわれわれの活動に興味を持って、わたしに連絡するために時間を割いてくれた人たちとのつながりは、とても大切だと思っています」</p>

<p><img src="/uploads/_MG_3220-700.jpg" alt="" title="" /></p>

<h6>「他者と関係性を築く行為は時間がかかるもので、一朝一夕で成果がでるものではありません。何年もかけながら、普段のちょっとしたやりとりの積み重ねが&#8220;見えない価値&#8221;になっていくのです」（杉浦）</h6>

<h3>裏ワザ4. 「誰が何を知っているか」を把握しておく</h3>

<p>新たなプロジェクトの企画を立案するときは、積極的に周囲に相談しながら企画をつくり上げていくという。そのとき、「誰が何を知っているか」を把握しておくことが大事になってくる。だからこそ、つながりのある人たちが最近どんなことに興味や関心や持っているかを知るために、日頃から、こまめにコミュニケーションをとっておくことが重要だという。</p>

<p>つながっている人のビジネスの近況を知ることができるEightのフィードも、杉浦の視点から捉えれば、多様な価値観を持つ人々の近況や仕事を知って、新しい仕事をつくる源泉になる。</p>

<p>「つながり」という目に見えないものだからこそ、常に気配りをしながら良好な人間関係を築くための手間を惜しまない。どんなに忙しくても、その日に出会った人の名刺は、必ずその日のうちにEightに登録しているのは、そのためだ。杉浦が語るビジネスネットワークのマネジメントは、誰もが容易につながる時代だからこそ、求められる考え方なのかもしれない。</p>

<p><address>文／<a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=21443165063&amp;person_id=21443165063&amp;page_kind=profile">江口晋太朗</a>　撮影／<a href="http://www.shinybamboo.com/" target="_blank" rel="nofollow">西田香織</a></address></p>
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    <title>「いいアイデアの9割は社外から集まる。では明日は誰と会うべきか？」石川善樹が説く、ビジネスネットワークの法則 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/08/ishikawa.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7380</id>

    <published>2016-08-10T00:20:56Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:16:35Z</updated>

    <summary>社内でトライ・アンド・エラーを繰り返すのは時間の無駄で、社外のアイデアを拾いに行く方が明らかに効率的だという研究結果がある。では明日からいったい誰に会いに行くべきか。名刺の本質と未来を研究する石川善樹が、人脈を活かした最新のアイデア発想法を語る。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="社外のつながりの活かし方" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネスネットワーク" label="ビジネスネットワーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=29181270105&amp;person_id=29181270105&amp;page_kind=profile">石川善樹</a></strong><small>予防医学研究者／Campus for H共同創業者／Habitech研究所長</small>
<p>1981年、広島県生まれ。東京大学医学部健康科学科卒業、ハーバード大学公衆衛生大学院修了後、自治医科大学で博士（医学）取得。「人がより良く生きるとは何か」をテーマとした学際的研究に従事。専門分野は、予防医学、行動科学、計算創造学、マーケティング、データ解析等。講演や、雑誌、テレビへの出演も多数。NHK「NEWS WEB」第3期ネットナビゲーター。著書に『疲れない脳をつくる生活習慣』（プレジデント社）、『最後のダイエット』、『友だちの数で寿命はきまる』（ともにマガジンハウス社）、『健康学習のすすめ』（日本ヘルスサイエンスセンター）がある。
</p></aside></p>

<p>Eightブログで2016年8月からスタートしたインタビューシリーズ、「ビジネスネットワークのものさし」では、以下の問いを掲げ、Eightを活用して第一線で活躍するビジネスパーソンを取材する。</p>

<blockquote>
  <p>自分のビジネスネットワークを効果的に活用している人は、</p>

<p>「名刺の枚数」という&#8220;ものさし&#8221;だけで、</p>

<p>引き出しに眠る名刺の束を数えて満足してはいないはずだ。</p>

<p>彼らはいったいどんな&#8221;ものさし&#8221;を持っているのだろうか。</p>
</blockquote>

<p>シリーズ初回で取材した浜田敬子（AERA前編集長）は、企画力を磨いて相手と一緒にできる仕事をつくることで、つながりを濃くしていくことが重要だと語った。（<a href="https://bnl.media/2016/08/aera-hamada.html">第1回の記事はこちら</a>）</p>

<p>第2回となる本記事では、『疲れない脳をつくる生活習慣』、『友だちの数で寿命はきまる』、『最後のダイエット』等の著書で知られる、予防医学研究者・<a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=29181270105&amp;person_id=29181270105&amp;page_kind=profile">石川善樹</a>の思考に迫る。</p>

<p>彼の研究は、最近はビジネスの世界にも広がりを見せており、企業内研修の講師としても活躍している。なかでもいま論文の執筆を準備しているほど注目しているのが、ビジネスネットワークの研究だ。</p>

<p>石川は、<a href="http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2989663/" target="_blank" rel="nofollow">2010年に科学雑誌『Science』に掲載されたソーシャルラーニングの研究</a>を紹介し、社内のメンバーだけでアイデアを創造するのは時間の無駄であり、9割のリソースを使って社外にアイデアを探しに行くべきだという。ただし、闇雲に社外の人に会いに行くのは非効率であり、「得られるアイデアの質と会いやすさのジレンマ」を理解して、「禁じられたトライアド」という社会学の理論を知ることで、効率よくアイデアを交換することができるという。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_2341final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>予防医学研究者でありながら、ビジネスパーソン対象の講演や、企業のアドバイザーまで務める石川善樹。彼に「いったい何の仕事をしている人なのか？」と問うと、「本質と未来を考える仕事」だと言う。</figcaption>
</figure></p>

<h3>クルマをつくる意味って何ですか</h3>

<p>「トヨタって何してる会社ですか？」</p>

<p>これは以前&#8221;トヨタの偉い人&#8221;に会ったときの石川善樹の問いだ。</p>

<p>「クルマをつくっています」</p>

<p>当然このような回答が返ってくる。そこで彼はさらに突っ込んで訊いた。</p>

<p>「ではクルマをつくる意味って何なんですか？」</p>

<p>すると、トヨタの人は答えに詰まったという。</p>

<p>トヨタと聞けば、どんな仕事をしているかはだいたい想像がつく。「でもそれは本当にわかったと言えるのか？」と石川は疑問を呈する。「現代においてクルマをつくる意味を答えられなければ、たとえトヨタの人であっても、その人の仕事を理解したとは言えないと思うのです」</p>

<p>特に「クルマ」という誰もがイメージしやすい分類パターンに当てはまる仕事は、なんとなく理解した気になってしまう。しかし、クルマの本質とその未来を考えている人は、ほとんどいないのが現状ではないだろうか。</p>

<p>人々が無意識のうちにパターン化してしまっている物事の本質と未来を考えること。それが研究者・石川善樹の仕事だ。</p>

<p>「人の脳は怠け者なので、すぐに物事をパターン化する傾向があります。しかも無意識で行うので本人は気づきにくいのです」</p>

<p>石川にしてみれば、Eightユーザーにとっての「名刺」も、トヨタの人にとっての「クルマ」と同様、なんとなく理解した気になっているものだという。</p>

<h3>名刺交換＝アイデアの交換</h3>

<p>「名刺」とは何か？</p>

<p>改めてそう問われると、ほとんどの人は答えに詰まるだろう。多くの人にとって名刺とは会社から支給されるもので、当たり前の存在であり、あまり深く考えることはないからだ。石川の答えはこうだ。</p>

<p>「名刺とはアイデアであり、名刺交換はアイデアの交換なのです」</p>

<p>いったいどういうことかと問うと、次の図を描いて説明してくれた。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_2251final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「基本的にぼくら研究者は、すぐ方程式にしたがります。つまり、左辺と右辺が等しいと言いたい人たちなんです（笑）」（石川）</figcaption>
</figure></p>

<p>「名刺を渡すときって会話をしますよね。ただ、その当人同士が話している内容というのは、実は個人のアイデアではなく、お互いが所属する会社の上司や同僚の意見を集約した、会社を代表するアイデアなのです」</p>

<p>もちろんアイデアの交換は、名刺交換をする社外の人とだけするものではない。社内で同僚とアイデアを出し合うこともある。コミュニティの外にアイデアを取りに行くか、あるいはコミュニティの中でアイデアを創り出すか。大きく分けるとアイデアの交換は、このどちらかに分類できるという。</p>

<p>ただし石川は、<a href="http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC2989663/" target="_blank" rel="nofollow">2010年に『Science』誌に掲載されたソーシャルラーニングの論文</a>を読み、アイデアの交換はほぼ社外の人とするものを指すべきだという洞察を得たという。</p>

<p>「ある意味、これまでの常識を覆した研究だったのですが、自分たちでトライ＆エラーするよりも、ほとんどのエネルギーを使って外にアイデアを取り入ったほうが、生存戦略としては正しいと出たのです」</p>

<p>自分ひとりで考えていても何も生まれない。限られたリソースは社外の人と会ってアイデアを集めることに使うべき。それが現代科学が解明した、「最も優れたアイデアが生まれる法則」なのだ。ただし、闇雲に社外の人と会ってアイデアを集めてくればいいというわけでもない。人間には「150人の壁」というものがあるからだ。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_2266final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>Eightユーザーの平均は10名刺交換／月だが、アイデアの流れの速さとしては、50名刺交換／月くらいが理想だという。</figcaption>
</figure></p>

<h3>150人、それが人間の脳の限界</h3>

<p>人間がきちんと関係を維持できる人数は、だいたい150人までと決まっている。</p>

<p>動物の群れのサイズは、脳全体に占める大脳新皮質の割合によって決まっているからだ。これを「ダンバー数」という。地球上の生き物の中で、最大の大脳新皮質をもつ人間の数値は最も大きい。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>「関係を維持できるのは150人。<br>親しくやり取りできるのは5人。<br>それが脳の限界です</p>
</div>

<p>ダンバー数で有名な数値は、関係を維持できる150人だが、親しくやり取りできる人数に条件を絞れば、5人くらいが脳の限界だという。（正確には、親しくやり取りできる人数は2〜5人のバラつきがあると報告されている。<a href="http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC1634986/" target="_blank" rel="nofollow">研究はこちら</a>）</p>

<p>「人間の脳の大きさは変わっていないのに、人々は都市に集結し、SNSで簡単に多くの人と関係が保てるようになりました」と石川は言う。「つまり現代人は、脳が許容できる限界を超えてメンテナンスすべき人が増えている状況にあるのです」</p>

<p>Facebookの登場以来、つながれる人の数は桁違いに増えている。いままでは連絡が途絶えたら自然と切れていた関係も、いまでは足し算で増え続けている。だが、Facebookでコメントしたり「いいね！」したりメッセージを送るなど、日常的に交流している人数は意外と少ないはずだ。その証拠に、2012年にFacebookで2,000人の友人がいるWIRED.comのライターが、<a href="http://wired.jp/2012/03/07/dunbars-number-facebook/">ダンバー数（150人）の反証を試みたが無残にも失敗している。</a></p>

<p><img src="/uploads/_MG_2283final.jpg" alt="" title="" /></p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>明日どの5人と会ってアイデアを得るべきか？<br>その問いに答えてくれるアプリはまだ存在しません</p>
</div>

<p>「SNSで多くの人をフォローして、いろんな人と話がしたいという欲求は、すでに過去のものになりつつあります」と石川は言う。「いまは出会いの量よりも質の時代に入ってきています。いま自分は誰と会うべきかという問いの答えを求めるようになってきているのです」</p>

<p>明日どの5人と会ってアイデアを得るべきか？　今年はどの150人と関係を維持するべきか？　昨日得た情報を誰にシェアしたらいいのか？　それらの問いに答えてくれるアプリはまだ存在しない。</p>

<p>「その問いに答えることが、本質的にはEightが目指すべきところかと思います」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_2313final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>「もしビル・ゲイツや安倍総理と会えたら、絶対面白いアイデアが得られるはず。でもほとんど会える機会はないわけです」</figcaption>
</figure></p>

<h3>会いやすさとアイデアの質のジレンマ</h3>

<p>さて、ここからがいよいよ本題だ。</p>

<p>Eightが明日ランチすべき人をおすすめしてくれるような機能が追加されるのは、まだしばらく先の話になりそうだが、今日から始められるビジネスネットワークの活用法がある。それは「得られるアイデアの質と会いやすさのジレンマ」を頭に入れておくことだという。</p>

<p>「会いやすい人とはすでに頻繁に会っているため、また改めて会ったところで得られるアイデアの質は低いものです。逆に会いにくい人ほど、まだ自分の知らない情報を持っている可能性が高いため、得られるアイデアの質も高いはずですが、そもそも会える機会がほとんどありません」</p>

<p>このジレンマを突破する方法として石川が提案するのは、会いやすい人の中から得られるアイデアの質が急激に上昇するタイミングを見極めることだという。</p>

<p>「結局会いやすい人の中から会うべき人を探すというのが現実的な判断になるのですが、条件が揃えば、そういう人の中でもアイデアの質が急上昇するタイミングがあるのです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_2356final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>この図を描けば、世の中のだいたいのことは説明できてしまうという。</figcaption>
</figure></p>

<p>「例えば、『転職しました！』という報告はよく届きますが、『転職して半年が経ちました！』という報告はほとんど聞いたことがないですよね。転職した直後だとまだアイデアの質はほとんど変わっていませんが、半年も経てば新しい会社のアイデアを集約して話せるようになっているはずです。そのため、転職して半年後のタイミングにこそ、積極的に会いに行くべきなのです」</p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>転職したばかりの人ではなく、<br>転職して半年経った人に会いに行くべき</p>
</div>

<p>アイデアの質が急上昇するタイミングは、他にもある。</p>

<p>「禁じられたトライアド（Forbidden Triad）」と呼ばれる社会学の学説に当てはまる場合だ。</p>

<p>「AさんがBさんのこともCさんのこともよく知っている場合、理論的にはBさんとCさんがつながっていないのはあり得ない、という学説があります。でも現実の人間のコミュニティではこういうことはよくあります。『え、まだそこつながってなかったの？』と言うときです。情報をシェアするという意味では、ここを閉じてあげるのがいちばん効率がいいわけで、このような人間関係を見つけたら、率先して3人でランチするべきなのです」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_2311final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>スタンフォード大学の社会学者マーク・グラノヴェッター博士が1973年に発表し、社会学に大きな影響を与えた論文「弱い紐帯の強み（The strength of weak ties）」 で論じられている「Forbidden Triad」説も、アイデアの質を高めるヒントになるという。</figcaption>
</figure></p>

<h3>カーナビならぬ「ヒューマンナビ」</h3>

<p>最終的には、カーナビのように機械が会うべき人を紹介してくれる、いわば「ヒューマンナビ」ようなものが流行って、アイデアの流れが最適化された社会ができていく。そのように石川は予測しているという。</p>

<p>「ヒューマンナビに『今日はこの人と会いましょう』と提案される日常は、そう遠くない未来に当然のように訪れるでしょう。現時点では、そんなことを機械に言われてもほとんどの人がまだ信用できないはずです。ただカーナビも最初は多くの人が反発しましたが、いまやタクシードライバーですら当たり前のように使っています。提案の精度が上がれば、人間というものは一瞬でテクノロジーに従うことに慣れる生き物です。ヒューマンナビのようなサービスが社会に実装されていくのは、もう少し先の話になるかと思いますが、Eightなら実現できるのではないかとわたしは期待しています」</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/_MG_2242final.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>石川が所長を務める<a href="http://habitech.jp/" target="_blank" rel="nofollow">Habitech研究所</a>の電脳クリエーター・出雲翔が開発した、Eightユーザーの転職の流れを分析したネットワーク図（非公開）。石川のようにネットワーク図を読み取る力がない限り、まだほとんど役に立つものではないが、「ヒューマンナビ」の実現に向けた第一歩とも言えるかもしれない。</figcaption>
</figure></p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>「人脈は数ではない」AERA前編集長・浜田敬子に訊く、濃いビジネスネットワークをつくる企画力 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/08/aera-hamada.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7359</id>

    <published>2016-08-04T01:40:00Z</published>
    <updated>2020-01-07T06:15:35Z</updated>

    <summary>人脈の価値は数ではなく、「濃さ」で決まる。濃い関係づくりに欠かせないのが、いい企画を練って一緒に仕事をすることだ。編集長を退き、新部署でメディアと企業の新しいビジネスを推進する浜田敬子が、その注目のビジネスネットワーク活用法を公開。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="BUSINESS INSIGHTS" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="社外のつながりの活かし方" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    <category term="ビジネスネットワーク" label="ビジネスネットワーク" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    <category term="編集者" label="編集者" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#tag" />
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong><a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=27759526101&amp;person_id=27759526101&amp;page_kind=profile">浜田敬子</a></strong><small>朝日新聞社 総合プロデュース室プロデューサー/AERA前編集長</small>
<p>1989年朝日新聞社入社。前橋、仙台支局、週刊朝日編集部を経て99年からAERA編集部。女性の生き方・働き方や雇用問題、国際ニュースなどを担当する。副編集長、編集長代理を経て2014年4月から同編集長。 2016年5月から朝日新聞社総合プロデュース室プロデューサーに。朝日新聞社の新たなメディアビジネス構築を担当する。 現在、テレビ朝日「羽鳥慎一のモーニングショー」の水曜レギュラーコメンテーターも務める。</p></aside></p>

<p>本記事から始まるインタビューシリーズ、「ビジネスネットワークのものさし」では、以下の問いを掲げ、Eightを活用して第一線で活躍するビジネスパーソンを取材する。</p>

<blockquote>
  <p>自分のビジネスネットワークを効果的に活用している人は、</p>

<p>「名刺の枚数」という&#8221;ものさし&#8221;だけで、</p>

<p>引き出しに眠る名刺の束を数えて満足してはいないはずだ。</p>

<p>彼らはいったいどんな&#8221;ものさし&#8221;を持っているのだろうか。</p>
</blockquote>

<p>インタビュー候補として真っ先に名前が挙がったのが、<a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=27759526101&amp;person_id=27759526101&amp;page_kind=profile">浜田敬子</a>だった。</p>

<p>2014年4月からAERA編集長に就任した彼女は、ネットでニュースを読む時代における週刊誌のあり方を追求し、積極的に誌面改革を行い、ひとつの成功例を世に示した。さらに、Yahoo!ニュースとの共同企画「みんなのリアル～1億人総検証」や、NewsPicksとのメディアタイアップなど、従来の紙のメディアの枠を超えて、デジタルメディアとのコラボプロジェクトも実現した。</p>

<p>それらの実績が評価され、16年5月からは朝日新聞社総合プロデュース室のプロデューサーとして新たな挑戦を始めている。その仕事は、同社の全リソースを活用して企業にメディアソリューションを提案するというもので、いわば自分のビジネスネットワークを最大限に活用できる舞台に上がったようなものだ。</p>

<p>彼女のEightのアカウントには、3000枚以上の名刺がすでに登録されているが、ビジネスネットワークは&#8220;数のものさし&#8221;で測るのではなく、「濃さ」で測るべきだと語る。ビジネスにおいて人間関係を濃くするコツは、とにかく一緒に仕事をしたい人に会って企画を練り、実際に仕事をつくって人脈を可視化していくことだという。</p>

<p>その編集スキルを活かした注目のビジネスネットワーク活用術を、Eightユーザーのために語ってくれた。</p>

<p><img src="/uploads/_OND5719-720.jpg" alt="" title="" /></p>

<p><strong>──AERAで編集長をされていた頃は、Eightをどのように活用していましたか。</strong></p>

<p>編集部全体の人脈を広げるという意味でも、なるべく多くの方と名刺交換するのが編集長の仕事のひとつだと思っていました。</p>

<p>「こういう面白い人がいたよ」とか、「貴方がいま取材しているテーマに、この人がいいと思うよ」とか、積極的に会った人を編集部員に紹介するよう、心がけていました。</p>

<p>例えば、「この企業取材したいんですが、浜田さん誰か知り合いいませんか？」と相談されたときに、「あっ！このあいだ名刺交換した人がいるよ」と、Eightでパッと検索したりして。</p>

<p><strong>──編集長だと、たくさん名刺交換する機会があったのでは？</strong></p>

<p>編集長になる前までは、1年間でだいたい500〜600枚ぐらいだったのですが、編集長代理になったくらいから格段に増えました。編集長をしていた2年間で、約2,500枚の名刺を配りました。同じ数だけ相手からもいただいているので、もうEightがないと整理しきれなかったですね。</p>

<p>名刺には携帯番号やメールアドレスが書いてあるので、「編集長の立場で名刺を広く配るのは大丈夫か」という意見もありました。</p>

<p>でもわたしはなるべく多くの人と名刺交換した方がいいと思っていました。いつ、どんな取材でどんな人にお世話になるかわからないし、わたしの場合は編集長という立場で名刺交換をしているので、わたしだけの人脈ではなくAERA編集部の人脈を広げるためだと思っていたからです。</p>

<p><strong>──編集長としてビジネスネットワークを広げる上で心がけていたことは？</strong></p>

<p>外からいただいた取材や講演など、AERAのためになると思ったお仕事は基本断らない。それだけは意識していました。AERAにとって販促・営業の機会になると同時に、人脈を広げるチャンスにもなるからです。</p>

<p>編集長を退いたいまでも、自分が経験したことや取材で培ったことが誰かのお役に立てるならば、そんなに嬉しいことはないと思っているので進んでお受けしています。</p>

<p><strong>──例えばどんな感じのものですか？</strong></p>

<p>女性活躍や働き方改革といった社会課題に関するイベントの登壇依頼が多いですね。最近は「女性管理職向けの研修の講師を」という企業内研修の相談もよく受けます。</p>

<p>そうした研修の合間に人事の方から、「グローバル人材を求めているけど、なかなか採用で困っているんですよね」といった話を聞いたことを覚えていて、後にグローバル人材をテーマに特集を組んだこともあります。担当の編集部員にはそのときの人事の方の話をし、「この企業に取材行ってみたら？」というように紹介していました。</p>

<p>さらに最近は同時に企画の立て方、情報の整理の仕方といった編集に関するテーマの依頼も受けるようになりました。まさにこういった人脈の中で聞いた話をどう企画に結びつけるか、といったテーマを話すこともあります。</p>

<p><img src="/uploads/_OND5661-720.jpg" alt="" title="" /></p>

<p><strong>──浜田さんのビジネスネットワークの価値は、単につながりの数で測れるものではないと思うのですが？</strong></p>

<p>数ではなくて、「濃さ」だと思います。</p>

<p>ビジネスの人間関係を濃くするには、やっぱり一緒に仕事をするしかないと思います。会っただけで終わるのではなかなか人脈にはならないんですね。</p>

<p>Eightに入っている3000人と均等に付き合えているかというとそんなことはなくて、「この人といつか仕事してみたい」と思った人とは何らかのチャンスをつかんで、再び会いに行くようにしています。</p>

<p><strong>──浜田さんの場合、例えばどんな方と仕事をしてみたいと思うのですか？</strong></p>

<p>AERAにいたとき、「2大仕事をしたい仕事人」と思った人がいてそのひとりがコルクの佐渡島庸平さんでした。</p>

<p>佐渡島さんは、AERAで連載してくださっている漫画家の安野モヨコさんのエージェントでもあるので、「一度ご挨拶に」と連絡して会いに行きました。</p>

<p>もともと&#8220;ご挨拶&#8221;というのは口実で（笑）、佐渡島さんが今後何をやろうとしているのかを聞きたいという意図がありましたので、「わたしはこれからAERAでこんなことを仕掛けようと思っています。その中で何か一緒に新しいことをしませんか 」と言って、いくつかアイデアを話し合いました。その後、半年くらい経った頃に彼の方から突然電話がきました。</p>

<p>「リクルートが、これから『受験サプリ（現スタディサプリ）』の新しいキャンペーンをやるのですが、AERAとして企画を提案したらどうですか？。　ぼく来週リクルート行くから、浜田さんも一緒に行きませんか？」って。</p>

<p>結果的に、AERAで大型の広告キャンペーンを受注させていただき、『たった一度の人生を変える勉強をしよう』という藤原和博先生の本を制作するメディアミックス的なキャンペーンも実現しました。</p>

<p><figure>
https://www.youtube.com/embed/wxaOVSpBYgM
<figcaption>コルク代表の佐渡島庸平。かつては、『モーニング』誌の編集者として『ドラゴン桜』や『宇宙兄弟』などの大ヒット漫画を手がけた編集者。「より勉強に興味を持ってもらうための仕掛けつくりを担ってほしい」と、藤原和博に誘われて、受験サプリ（現スタディサプリ）の企画メンバーに加入したと<a href="https://newspicks.com/news/1041266/body?ref=user_519645" target="_blank" rel=nofollow;>NewsPicksで報じれている</a>。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──「2大仕事をしたい仕事人」のもう一角は？</strong></p>

<p>NewsPicksの<a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=9690034015&amp;person_id=9690034015&amp;page_kind=profile">佐々木紀彦</a>さんです。</p>

<p>初めてお会いしたのは、佐々木さんがまだ「東洋経済オンライン」の編集長だったときです。当時リニューアルした東洋経済オンラインがすごく面白いと思って、わたしがつくった『天職』という秋元康さんと鈴木おさむさんの対談本を取り上げてほしくて、編集部の問い合わせにメールを送ったのです。すると、現場の担当の方から連絡があったので、本を持って編集部に行きました。</p>

<p>そのとき、「最近東洋経済オンライン、とても面白くなりましたよね。一度、佐々木編集長をご紹介いただけませんか？」と伝えたところ、一緒にご飯を食べることになり、「一緒にイベントやりましょう！」という話になって、働く女性のためのイベントを開催しました。</p>

<p>その後、佐々木さんが移られた先のNewsPicksでも、「また何か面白いことをやれたらいいですよね」と話していた中から、NewsPicksとAERAの共同企画「ニッポンから課長が消える？」が生まれたんです。</p>

<p><figure>
<img src="/uploads/DSC_56627002.jpg" alt="" title="" />
<figcaption>ネットメディアと紙メディアのコラボとして注目を集めた<a href="http://www.uzabase.com/press/aeraxnewspicks/" target="_blank" rel="nofollow">NewsPicksとAERAの共同企画「ニッポンから課長が消える？」</a>。「何度かAERAの編集部員の何人かはNewsPicksに行って編集会議を開いたり、あちらのメンバーがAERAに来てみんなで原稿を読んだりして、編集部同士も交流したことで、AERA部員はデジタル媒体のことが少し学べたと思っています」と浜田は振り返る。</figcaption>
</figure></p>

<p><strong>──いい企画を立てれば、相手と一緒に仕事ができて、濃いつながりもつくれる。NewsPicksのお話を聞いて、企画力の大切さを改めて感じました。</strong></p>

<p>そういった講演依頼も最近はいただくようになりました。例えば「企画力って鍛えるにはどうしたらいいですか？」とか。</p>

<p><strong>──例えばNewsPicksとコラボしたときは、お互いの思惑がある中で、どのようにして企画にまとめたのですか？</strong></p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>一緒に何か仕事をしたいと思ったときは、本気でその人とその人の会社のことを考えます</p>
</div>

<p>一緒に何か仕事をしたいと思ったときは、どのようなことを2社でやったらお互いにとってメリットになり、面白い企画になるか、本気でその人とその人の会社のことを考えます。もちろん、自分の会社にとってもプラスになるかどうかも考えます。</p>

<p>AERAとしては、より多くの人にリーチできるNewsPicksに特集を載せることで、もっと多くの人にAERAのことを知ってもらえるという目的がありました。逆にNewsPicksは当時、まだ編集部員の数が少なかったので、オリジナルコンテンツを、AERA編集部がつくったコンテンツで補えます。</p>

<p>どうやったらお互いの強みと弱みを補完し合い、効果を最大化できるかを突き詰めていけば、それがいい企画になると思うのです。</p>

<p><img src="/uploads/_OND5703-720.jpg" alt="" title="" /></p>

<p><strong>──総合プロデュース室は、浜田さんの企画力とビジネスネットワークを活かせる新たな舞台だと思いますが、具体的な仕事内容は？</strong></p>

<p>従来の新聞広告は広告のスペースを売っていましたが、これからはクライアントの課題やニーズに合わせてプロダクトの形を変えていくべきではないか。そのような考えのもと、朝日新聞社が保有するさまざまな商品を柔軟に組み合わせることによって、適切に企業側のニーズに答えていこうと、5月に総合プロデュース室が立ち上げられました。</p>

<p>いま例えば、「うちの企業のブランディングを手伝って欲しい」とか、「女性活躍を熱心に進めているのだが、社内外にうまく発信できていない」といったご相談に対して、朝日新聞社としてお手伝いできることを企画としてご提案しています。</p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>いままでは報道という形でやってきましたが、企業とのコラボレーションによっても、何かできることがあるかもしれない</p>
</div>

<p><strong>──どのような企業から相談を受けることが多いですか？</strong></p>

<p>いまは、もともとAERA時代に知っていた企業が中心です。「今度こういう仕事に就くので、一度ご挨拶に伺えますか？」と言って、お話をしているうちにいろんな課題をお聞きすることが多いです。</p>

<p>中でも女性活躍や働き方改革など社会課題を解決したいというものは新聞社にとっても取り組むべき大きな命題です。いままではそれを報道という形でやってきましたが、企業とのコラボレーションによっても、新聞社として報道とは違う形で何かできることがあるかもしれないと思っています。</p>

<p><strong>──社内のどのようなリソースを組み合わせて企画をつくることが多いですか？</strong></p>

<p>朝日新聞社は、新聞や雑誌だけでなく、デジタルメディアもありますし、最近はイベントも開催しています。また、カスタム出版の部署を活用することもあります。</p>

<p>商品を組み合わせるというのは、いろんな人のアイデアの組み合わせを考えるということでもあります。わたしは企画を立てますが、それを実現するには、社内のいろんな人たちの力を結集しなくてはなりません。営業の担当と考えたり、デジタルの担当に相談したりすることも多いです。</p>

<p>朝日新聞社のリソースだけでは完結しないときもあります。例えば、「やっぱり動画が必要だよね」となったら、外部で動画をつくれる制作会社の知人に声をかけるなど、社内外の人の知恵を集めて「ユニット」をつくっていくイメージです。</p>

<p><img src="/uploads/_OND5620-720.jpg" alt="" title="" /></p>

<p><strong>──社外の人もチームにいれる理由は？</strong></p>

<p>いまの時代は社外の知恵も取り込まないと、新しいことはできないからです。逆に何か新しいことにチャレンジすれば、新しい人と知り合えて、それがまた人脈になっていくものです。</p>

<div class="round-box fr fb gray">
<p>新しいことにチャレンジすれば、新しい人と知り合えて、それが人脈になる</p>
</div>

<p>先ほど話した動画が制作できる知人も、AERA時代、新しいことにチャレンジしたことがきっかけで知り合い、信頼するようになった人です。</p>

<p>AERAがYahoo!ニュース用にオリジナルコンテンツを制作して提供し、「みんなのリアル～1億人総検証」というコーナーをつくりました。いまでも続いています。そのときYahoo!ニュースで声をかけてくださったのは、もともとドワンゴでニコニコ動画のチームにいた方で、「ニコ生×AERA」という番組をやっていたときのスタッフの方です。</p>

<p>それもたまたまあるニコ生の番組にAERAの記者が出演したときに、わたしが付き添いで行って、「ニコ生でAERAの番組を創りたい」と話したことを、その方が「面白いからやろう！」って言ってくださって、月1で生放送番組を放送するようになったのです。その後、彼がYahoo!ニュースに移ると「また何かやりませんか？」と声をかけてくれたんです。結果、トントン拍子でコラボ企画案が決まりました。</p>

<p>多くの人にリーチできるプラットホームであるYahoo!ニュースに、AERAのコンテンツを出せるという魅力も当然ありましたが、動画とテキストを組み合わせたオリジナルコンテンツをつくろうということで、古田清悟さんという東北新社のディレクターがアサインされていたことが決定打となりました。</p>

<p>古田さんもやはり、以前から「いつか一緒に仕事をしてみたい」と思っていた人でした。NewsPicksのシンポジウムにたまたま彼が登壇していて、先進的なテクロノジーと融合させた番組をつくっていたから、名前を覚えていたのです。その古田さんが動画制作のチームにいると聞かされて、「絶対やる！」って返答しました。</p>

<p>そのとき初めて動画制作会社と仕事をしましたが、古田さんが撮った映像はとてもクオリティーが高いものでした。一度でも一緒に仕事をすると、「この人と仕事をするとこんな面白いことができるんだ」と思えて、強い絆が生まれます。</p>

<p>いまも動画制作の提案が必要になれば、古田さんに真っ先に相談しています。</p>

<p><strong>──濃いビジネスネットワークは、互いにいい企画を練るところから始まるのですね。</strong></p>

<p>人脈って何のためにあるかというと、いい仕事をつくるためですよね。ただ闇雲に数を増やすのではなくて、一つひとつ仕事に落とし込むことで「人脈を可視化」していかなければ意味がないと思うのです。</p>

<p>「この人と知り合ってよかった、この人と仕事したい」って思える人に出会えたら、それを媒体のためにいい企画にどうやって落とし込んでいくかを一生懸命考え出します。</p>

<div class="round-box fl fb gray">
<p>ただ闇雲に人脈の数を増やすのでは意味がない。それを仕事に落とし込むことで、『人脈を可視化』していくべき</p>
</div>

<p>そこでいい仕事ができれば、また新しい人と知り合えて、そこからさらに新しい企画が生まれて、媒体の力も強まる。人脈もどんどん可視化されていく。その繰り返しで仕事のフィールドが少しずつ広がっていくイメージで、結果的に面白い企画が生まれる連鎖がつくれると思うんです。</p>

<p><img src="/uploads/_OND5702-720.jpg" alt="" title="" /></p>

<p><strong>──濃いビジネスネットワークをつくれている人と、そうでない人では仕事のパフォーマンスに大きな差が生まれそうですね。</strong></p>

<p>「人脈格差」って単に数ではないと思います。いい仕事をしているなあと思う人は本当に困ったときに助けてくれる人がいるか、本当にやりたい仕事のために集まってくれる人がいると思います。そういう意味で、人脈が&#8221;濃い人&#8221;と&#8221;薄い人&#8221;では大きな差があると思います。</p>

<p><strong>──いまは&#8221;薄い&#8221;けど、これから&#8221;濃く&#8221;していきたいと思う人たちに向けて、何かアドバイスをいただけますか？</strong></p>

<p>人から与えられたチャンスを自分のものにするのが第一歩。まずは人から与えられたチャンスを活かしてやってみると、一緒にやった会社の人に知り合いができて、何かあったら次も一緒にできるかもしれません。後は、やっぱり「この人と仕事やってみたい！」って強く思うことですね。</p>

<p><strong>──浜田さんの「2大仕事をしたい仕事人」のように、ということですね？</strong></p>

<p>何か強い動機がないと、なかなか濃いつながりってつくれないと思うんですよ。単に異業種交流会やネットワーキングパーティーに行って、「名刺の数を集めます！」って言うだけでは。</p>

<p>会いたい人の情報を少し追ってみたら、セミナーの講師をやっていたりするので、直に会いに行って名刺交換できるチャンスは誰にでもあるんです。</p>

<p><strong>──相手はすでに自分より活躍している方が多いと思いますが、やはりギブするものがないと駄目でしょうか。</strong></p>

<p>自分からギブできるものが思い当たらなくても、「何か一緒に仕事できませんか？」ではなくて、例えば、「こういう課題を自分（自社）は抱えていて、御社の事業と組み合わせることによって、ここを助けてもらえませんか？」というように話すといいのではないでしょうか？</p>

<p>ちなみにAERAの編集長時代、特別編集長という１号限りの編集長を秋元康さんやジブリの鈴木敏夫さん、放送作家・脚本家の<a href="https://8card.net/f/profile/dCcm6kWZ?identifier=24133026089&amp;person_id=24133026089&amp;page_kind=profile">小山薫堂</a>さんなどに引き受けていただきました。そのとき、なぜ引き受けていただきたいのか、どんな雑誌を一緒につくりたいのか、想いを直筆の手紙で伝え、お願いしました。最後は熱意があるのみだと信じています。</p>
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    </content>
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    <title>「スマートすぎる名刺交換」PRムービー、2日間で再生回数100万回突破！ メイキングオブ映像公開 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/05/pr2100.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7330</id>

    <published>2016-05-20T11:10:39Z</published>
    <updated>2017-03-21T04:27:50Z</updated>

    <summary>名刺交換PRムービーのメイキングオブ映像を公開しました。本編ではカットした幻の16人バージョンのシーンも収録。 </summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>5月17日（火）に公開した『Eight』のPRムービーは、Facebookを中心に話題になり、わずか2日間で100万回以上の再生回数を記録しました。</p>

<p>EightのFacebookページの投稿には、1万以上のいいね！がつき、8,000人を超えるFacebookユーザーが、友だちに動画をシェアしました。コメント欄には「CMクリエイティブ大賞をあげたい」「ありえないけど、面白いw」「着地で『なるほどね〜』ってなる笑　素晴らしい！！」など、好意的なメッセージが数多く寄せられています。</p>

<p>中国のSNS「Weibo」では、4万回以上動画がリポストされ、「この動画は100点満点！」「ぼくらはこれには当分追いつけない」など、クオリティを絶賛するコメントが多く集まっています。</p>

<p>これらの反響を受けて、5月20日（金）にメイキングオブ映像（監督：久保田誠）を公開しました。</p>

<p>https://www.youtube.com/embed/Ezyt7Yd3oAQ</p>

<h2>メイキングオブ映像で垣間見る撮影の裏側</h2>

<p><img src="/uploads/008.jpg" alt="008.jpg" title="" /></p>

<h3>振付家業air:manが手掛けるインパクト抜群の振付アクション</h3>

<p>「名刺の受け渡しの各工程を踊りのようにインパクトのある表現で見せたい」という制作サイドのリクエストに応えて、「神経衰弱をしながら、同時にパズルを解くような感覚で作りました」と語る、振付稼業air:manの主宰・杉谷一隆を中心に、全8パターンの名刺交換アクションを開発しました。</p>

<p><img src="/uploads/006.jpg" alt="006.jpg" title="" /></p>

<h3>複雑かつ緻密なフォーメーション習得に求められるハードな条件</h3>

<p>キャストの動きは一見ランダムですが、9人なら他の8人と、20人なら他の19人と最低1回は触れ合い、確実に名刺の受け渡しができるよう、複雑かつ緻密なフォーメーションを組んでいます（映像は、一部編集されています）。最難関の20人バージョンの撮影にあたり、事前に行われた全体練習は、本番数日前の2時間と、本番当日の2時間の合計4時間。これに、本番当日のカメラアングル変更にともない、その場で振付師による微調整が加わり、キャストの皆さんには心身ともに臨機応変な対応と、高い集中力が求められました。</p>

<p><img src="/uploads/013800.jpg" alt="013800.jpg" title="" /></p>

<h3>撮影開始から5時間...こだわり抜いた最難関の20人バージョン</h3>

<p>20人バージョンは基本的に、一連のアクションをワンテイクで収録。集団の動きが模様や柄のように見える俯瞰の撮影では、立ち位置がほんの少しズレただけでも美しさに欠け、名刺の受け渡しや動き出しのタイミングが一拍遅れるたびに、一からやり直しました。ようやく監督からOKが出たのは、リハーサル開始から数えて約5時間後。その瞬間、キャストの皆さんはハイタッチをしたり、ハグをしたりして、お互いの労をねぎらい、体の中から自然と湧き上がる達成感と喜びを大いに味わっていました。</p>

<p><img src="/uploads/015.jpg" alt="015.jpg" title="" /></p>

<h3>フォーメーション8連発はEightの魅力を伝える壮大な前フリ</h3>

<p>100人と同時に名刺交換を行うクライマックスのシーン。サークルの中央に進み出た一人のキャストが、画面にEightのロゴが表示されたスマートフォンを掲げた直後、周りの99人が取り出したスマートフォンの画面にも次々とEightのロゴが表示されます。まるでドミノ倒しのように、見ていて気持ちいい場面ですが、実はこれは収録した映像を逆再生（リバース）したもの。本番ではキャストが上から下へスマートフォンを振り下ろすシーンを撮影しており、これによって、システマチックな動作とシンクロ性がより強調される効果を狙いました。</p>

<p>本編の詳細はこちら。
<a href="https://bnl.media/2016/160517.html">「名刺は、こうなる。」：紙の名刺がなくなる世界を描いた、Eight PRムービーを公開</a></p>
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    <title>「名刺は、こうなる。」：紙の名刺がなくなる世界を描いた、Eight PRムービーを公開 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/05/eight-pr.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7325</id>

    <published>2016-05-17T01:30:00Z</published>
    <updated>2017-05-16T02:40:38Z</updated>

    <summary>コンセプトは&quot;スマートすぎる名刺交換&quot;。ダンサーたちが流麗な名刺交換アクションを披露し、最後は前代未聞の100人で一斉交換に挑みます。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>&#8220;スマートすぎる名刺交換&#8221;をコンセプトに、Eightの名刺交換機能を訴求する3分間のPRムービーを5月17日（火）11:00に公開しました。</p>

<p><a href="https://www.facebook.com/Eight.33inc/videos/1170694366282299/">https://www.facebook.com/Eight.33inc/videos/1170694366282299/</a>(Facebook)
<a href="https://youtu.be/gpM_rnQBCr0">https://youtu.be/gpM_rnQBCr0</a>(YouTube)</p>

<p>動画はまず、一般的な2人の名刺交換からはじまり、その後3人、4人、5人、6人、9人、20人と増えていきます。</p>

<p>人数の増加にともなって、複雑化しつつも、システマチックな動きを損なうことなく、バレエのような流麗なアクションや、マジックのような仕かけとともにテンポよく進行し、スマートかつ美しい名刺交換の表現に挑みつづけます。</p>

<p>人数が100人になったクライマックスのシーンでは、全員が紙の名刺の代わりにスマートフォンを取り出し、一斉にEightで名刺交換を行います。</p>

<div style="position: relative; padding-bottom: 56.25%; padding-top: 30px; height: 0; overflow: hidden;">https://www.youtube.com/embed/gpM_rnQBCr0</iframe></div>

<h2>世界を席巻したOK GOのMV制作メンバーらが集結</h2>

<p>2011年カンヌ広告祭金賞に輝いたNTTドコモのWebCM『<a href="https://youtu.be/C_CDLBTJD4M">森の木琴</a>』や、OK GOのミュージックビデオ『<a href="https://youtu.be/u1ZB_rGFyeU" target="_blank">I Won&#8217;t Let You Down</a>』などを手がけ、世界的に注目を集めるクリエイティブ・ディレクター・原野守弘を起用し、豪華な制作メンバーが集まりました。</p>

<p>世界三大広告賞を受賞したユニクロの『<a href="http://www.uniqlo.jp/uniqlock/" target="_blank">UNIQLOCK</a>』や、全国の教育現場で使用されている著書『<a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4487807964" target="_blank">振付稼業air:manの踊る教科書</a>』（東京書籍）で知られる<a href="http://www.furitsukekagyou-airman.com/" target="_blank">振付稼業air:man</a>が、華麗な名刺交換アクションを創作。</p>

<h2>「名刺は、こうなる。」に込められたメッセージ</h2>

<p><img src="/uploads/018.jpg" alt="018.jpg" title="" /></p>

<p>名刺は世界中で使われているビジネスにおける出会いの証ですが、ずっと紙のままで進化していません。Eightは、いままで紙として埋もれていた一期一会の出会いを、本当に価値あるものに変えていきます。</p>

<p>スマートフォンによる名刺管理の仕組みを確立し、2015年に100万人を突破したEightは、各々が名刺をためて整理するだけでなく、名刺に代わる「あなたのビジネスネットワーク」として、ユーザー同士のつながりを深めるソーシャル機能の充実を図り、UIデザインも一新しました。</p>

<p>2016年3月には、スマートフォンを介して直接つながることができる名刺交換機能を実装し、従来の紙の名刺交換のあり方を問い直す、新たな試みに挑戦しています。</p>

<p>紙の名刺にいつまでも縛られている時代ではない。名刺が変われば、ビジネスはよりスマートになる。そのようなメッセージを、「名刺は、こうなる。」というキャッチコピーに込めて、PRムービーをつくりました。</p>

<p><figure><img src="/uploads/eighttoppage800.png" alt="eighttoppage800.png" title="" /><figcaption>動画の公開に合わせて、Eightのログインページのデザインもリニューアルしました。　<a href="https://8card.net">https://8card.net</a></figcaption></figure></p>

<h2>「Eightで名刺交換」、実施イベント募集中</h2>

<p>Eightは、4月にイベント管理サービス「Peatix」と組み、イベントの懇親会で紙の名刺の代わりに「Eightで名刺交換」を実施する協賛キャンペーンを立ち上げました。</p>

<p>初対面の参加者が多いイベントでも、「Eightで名刺交換」を実施することで、活発な交流を促すことができます。イベントの主催を予定されている方は、ぜひご応募お待ちしております。</p>

<p>イベント協賛の詳細： <a href="http://services.peatix.com/eight/">http://services.peatix.com/eight/</a></p>

<p>オンライン名刺交換機能について： <a href="/2016/03/-new-exchange.html">https://bnl.media/2016/03/-new-exchange.html</a></p>

<p>PRムービーのプレスリリース：<a href="https://db.tt/Ow4Cj4rG">https://db.tt/Ow4Cj4rG</a></p>
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    </content>
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    <title>アプリのプロフィール編集画面が新しくなりました - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/04/post-32.html" />
    <id>tag:bnl.media,2016://125.8155</id>

    <published>2016-04-28T03:55:23Z</published>
    <updated>2017-03-21T05:52:38Z</updated>

    <summary>デザインを一新して、より簡単にプロフィールを編集できるようになりました。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="アップデートしました" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h6>Eight用のカバー写真を撮影してみましょう。</h6>

<p>iOS／Androidアプリ版で、プロフィールをより簡単に編集できるようになりました。</p>

<h2>プロフィール編集画面のデザインを一新</h2>

<p><img src="/uploads/profile_setting_oshirase.png" alt="profile<em>setting</em>oshirase.png" title="" /></p>

<p>すべての項目をまとめて更新でき、項目ごとの公開範囲も設定できます。<br />「さらに詳しく」のページでは、具体的な記載例などを紹介しています。</p>

<h2>プロフィールページから直接編集も可能に</h2>

<p><img src="/uploads/profile_oshirase.png" alt="profile_oshirase.png" title="" /></p>

<p>自分のプロフィールページの表示を確認しながら、写真や編集アイコンをタップすることで、各項目ごとに内容を更新できるようになりました。</p>

<h2>全項目を入力してネットワークを広げよう</h2>

<p>プロフィールページの内容を充実させておくことで、名刺交換をしてEightでつながった相手に対して、名刺だけでは伝わらない情報も届けられるようになります。</p>

<p>また、プロフィールページを公開して各項目の公開範囲を設定することで、新たなつながりの機会が増え、ビジネスネットワークを広げられるきっかけにもなります。</p>

<p>関連記事：<a href="https://contents.8card.net/blog/2016/160215.html" target="_blank">プロフィールページで「名刺以上の自分」を表現しよう</a></p>
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    </content>
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    <title>Eightの「シェアボタン」をリリースしました：日経ビジネスオンライン、EventRegist、PR Tableが先行導入 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/04/post-31.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7314</id>

    <published>2016-04-26T03:14:09Z</published>
    <updated>2017-03-21T04:41:07Z</updated>

    <summary>直接外部サイトのページから、Eightのフィードに記事のリンクを投稿できます。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="アップデートしました" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h6>4月26日にリニューアルした<a href="http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/opinion/15/221102/121500126/" target="_blank">日経ビジネスオンライン</a>。過去記事にもすべてシェアボタンが実装されています。</h6>

<p>Eightのフィードに、直接外部サイトのページからリンクを投稿できる「シェアボタン」を4月26日にリリースしました。</p>

<p>ボタン設置の公募を開始するとともに、日経ビジネスオンライン、EventRegist、PR Tableへの先行導入を発表します。</p>

<h2>シェアボタンをリリースした背景</h2>

<p>これまでも記事ページのURLをコピーしてEightに投稿することは可能でしたが、記事ページから直接投稿できるシェアボタンによって、さらに容易にEightの「つながっている人」に記事を共有できるようになりました。</p>

<p>2015年にリニューアルしたEightは、「フィード」と「プロフィール」機能を追加し、従来の「名刺管理アプリ」としての使い方に加えて、ユーザー間のつながりを深める「ビジネスSNS」としての利用法を推奨しています。ビジネスニュースをより簡単にシェアできることで、さらなるコミュニケーションの促進に期待しています。</p>

<p>関連記事： <a href="https://bnl.media/2016/160226.html">Eightを「ビジネスのコミュニケーション」に活用しよう</a></p>

<h2>リニューアルに合わせて「日経ビジネスオンライン」が導入</h2>

<p>4月26日にサイトをリニューアルした<a href="http://business.nikkeibp.co.jp/" target="_blank">日経ビジネスオンライン</a>が、メディアとして初の設置先となります。シェアボタンはサイト上のすべての記事に設置され、より簡単に記事のタイトルやサマリをEightに投稿できるようになりました。</p>

<p>導入を決定した経緯として、日経ビジネスオンライン編集長・池田信太朗は次のように述べています。</p>

<blockquote>
  <p>「日経ビジネスオンラインは、4月26日にリニューアルを実施しました。むやみにページビューを追うのではなく、経済・経営誌サイトとして国内最大規模の200万人を超える会員の『満足度』を最大化することを狙いとしています。Eightがターゲットとする、生産性向上に熱心で新しいツール導入に積極的な企業内ユーザー像は、日経ビジネスオンラインがターゲットとする、新しく確かな経済・経営情報を求めてビジネスに生す読者像、会員像と重なります。フェイスブックやツイッターなどとの連携に期待するのはサイトへの流入の『量』ですが、今回の連携に期待するのは、会員の皆様とより深いエンゲージメントを結ぶことで、読者体験の『質』を向上させることです」</p>
</blockquote>

<h2>EventRegistが、全イベントページに導入可能に</h2>

<p>EventRegistが、すべてのイベントページにEightのシェアボタンを設置可能な状態にしました。導入を決定した経緯として、イベントレジスト株式会社　代表取締役/CEOのヒラヤマコウスケは次にように述べています。</p>

<blockquote>
  <p>「EventRegistはビジネスイベントの参加申込を受け付けるプラットフォームとして、様々なイベントや展示会・セミナーでご利用いただいています。EventRegistで作成されたイベント情報が、Eightのフィードで共有されることで、一度名刺交換をしてつながった人を通して新たなイベントの存在を発見したり、イベントで再会できる機会が増えることを期待しています」</p>
</blockquote>

<h2>PR Tableが各「ストーリー」に設置</h2>

<p><a href="https://www.pr-table.com/Sansan/stories/31" target="_blank">PR Table</a>は、会社・団体の「ストーリー」各ページにEightのシェアボタンを設置しました。これまで名刺交換をした人々に投稿がシェアされるEightのフィードは、会社・団体情報の発信先としても効果的です。</p>

<p>導入を決定した経緯として、PR Table編集長・菅原弘暁は次のように述べています。</p>

<blockquote>
  <p>「PR Tableがつくるストーリーは、就職や投資、ビジネス連携など、会社・団体を選ぶ意思決定に貢献するものです。ビジネスマンがこれまで名刺交換をしてつながった人々に、簡単にストーリーを届けられる、その投稿がシェアされていくEightの仕組みは、当社事業の特性と非常に相性が良いと考えています」</p>
</blockquote>

<h2>設置先サイトの公募を開始</h2>

<p>シェアボタンは、Sansanが許可したメディアのみ設置可能です。設置をご希望の際は、以下のフォームよりご応募ください。</p>

<p><a href="https://contents.8card.net/share-button-entry.html">https://contents.8card.net/share-button-entry.html</a></p>

<h2>シェアボタン設置で得られるメディアのメリット</h2>

<p>特にビジネス系のメディアは、シェアボタンを設置することで以下のような効果を期待できます。</p>

<h4>記事がプライベートな投稿に埋もれない</h4>

<p>ビジネス用途に特化しているEightでは、投稿が友人のプライベートな近況アップデートによって埋もれてしまうことはありません。</p>

<h4>ビジネスの情報を求めている時に読んでもらえる</h4>

<p>Eightは平日の昼間のアクセスが最も多く、ビジネスに関する情報を求めているユーザーが多いので、滞在時間や他のSNSへのシェア、ユーザー1人あたりの記事閲覧数の増加など、高いエンゲージメントを期待できます。</p>

<h4>新規読者の開拓に繋がりやすい</h4>

<p>同じ職場の人や取引先の担当者など、ビジネスにおいて共通の関心を持つユーザーから記事がシェアされるため、メディアに対して興味を持ってもらえる機会が増えます。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>ビジネスの関係は『友だち』ではない！　新社会人向け「ビジネスネットワーク」活用術 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/04/4.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7305</id>

    <published>2016-04-25T02:00:00Z</published>
    <updated>2017-03-21T08:37:55Z</updated>

    <summary>Sansan株式会社の日比谷尚武（Eightエヴァンジェリスト）が、新社会人へ向け「ビジネスネットワーク」活用術を伝授します。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="コラム" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>4月1日に入社した新社会人は、そろそろ先輩と一緒に取引先に出向いて名刺交換をするようになる頃でしょう。 <br />
名刺交換のマナーは研修で教わったとしても、その後の「ビジネスネットワークの活用法」までは教わっていないはず。 <br />
下の5つのアドバイスを参考にして、効果的にビジネスのつながりを広げていきましょう。</p>

<h2>Advice1：名刺交換だけで満足してはいけない</h2>

<p>入社後のビジネスマナー研修で名刺交換の講座を受けた方も多いと思いますが、マナーはできて当たり前のものです。それより、交換した名刺をどう活用していけるかで差はつきます。  </p>

<p>そこでEightの出番です。Eightは、名刺に代わる「あなたのビジネスネットワーク」です。交換した名刺を取り込み、
お互いEightでつながることができれば、直接会わなくてもビジネスの近況や名刺情報の変更などを確認できます。 <br />
会社で"初名刺"を受け取ったら、早速Eightをインストールして自分の名刺を登録しましょう。</p>

<p>参考記事：<a href="https://bnl.media/2016/160208.html">初めてのEight。名刺管理機能、ご利用の手引き【2016年最新版】</a></p>

<h2>Advice2：ビジネスの関係は"友だち"ではない</h2>

<p>なぜそこまでして、ビジネスネットワークの活用を意識する必要があるのか？  </p>

<p>どこに新しいビジネスアイデアの種が埋もれているかわからないからです。</p>

<p>学生までと社会に出てからとでは、人付き合いの仕方は変えていくべきです。 <br />
学生の頃は趣味が同じだったり、気の合う友だちと一緒にいることが多かったはずですが、それではビジネスにおいてはあまり良い結果は得られないでしょう。 <br />
幅広い分野の人々と付き合っていきながら、想定を超えた新しいビジネスの機会を探り続けることが求められるのです。</p>

<h3>Advice 3：相手のことを知って次につなげよう</h3>

<p>Eightのエヴァンジェリストであり、「コネクタ」というつながりのプロでもある<a href="https://8card.net/p/naotake.hibiya">日比谷尚武</a>は次のように語ります。</p>

<p>「ビジネスの世界では、相手の困っていることや興味があることを知ることが重要です。相手に役立ちそうなことがあったら積極的に送ってあげましょう。 <br />
ただ相手が困っていることに対して、必ずしもすべて自分が最適解を見出す必要はありません。その人を助けられる知り合いを紹介するだけでも十分なのです」  </p>

<h2>Advice 4：軽重判断はしないこと</h2>

<p>打ち合わせで一回だけ会ったことがある人や、イベントで数分だけ立ち話をした人など、
相手のことがまだほとんどわからない関係の人の名刺もこれから増えていきます。ただし、軽重判断は禁物だと日比谷は言います。</p>

<p>「一度しか会ったことのない人とも、またどこでつながるかわかりません。何かあった時に思い出して連絡できるように、ほんの少ししか話したことのない人でも、交換した名刺はきちんと整理しておくことが重要です」</p>

<h2>Advice 5：Eightのプロフィールページを充実させよう</p></h2>

<p>EightをビジネスSNSとして上手に活用すれば、名刺交換からはじまるビジネス上のつながりをさらに深め、広げていくことができます。</p>

<p>まずは顔写真や仕事内容などを登録して、プロフィールを充実させましょう。まだ社会人経験がないので「キャリアサマリ」の入力は困るかもしれませんが、自己紹介をする場所として考えて、大学で研究したことなどを記載してもいいでしょう。 <br />
詳しくは、以下のブログ記事を参考にしてみてください。</p>

<p>参考記事：<a href="https://bnl.media/2016/160215.html">「名刺以上の自分」を表現しよう。ビジネスプロフィール、6つの編集ポイント</a></p>

<p>※本記事は入社式前日の3月30日に、日本経済新聞 電子版、株式会社オールアバウト、Sansan株式会社の3社共催で実施された「新社会人向けセミナー」に登壇した、日比谷尚武（Eightエヴァンジェリスト）の発表内容をもとにまとめました。</p>
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    <title>Eightで投稿を「シェア」して、ビジネスのつながりを広げよう - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/04/eight-907.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7283</id>

    <published>2016-04-04T15:01:58Z</published>
    <updated>2017-03-21T04:42:16Z</updated>

    <summary>iOS／Androidアプリ版でも、フィードに表示される投稿を「シェア」できるようになりました。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="アップデートしました" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>これまでウェブ版のみ先行して実装していましたが、アプリでもご利用いただけるようになりました。</p>

<h2>「シェア」の使い方</h2>

<h3>1. 投稿の右下の「シェア」を押してください。</h3>

<p><img src="/uploads/fe9ab47c6eb939374c10358292d3b5cb10584cb1.png" alt="fe9ab47c6eb939374c10358292d3b5cb10584cb1.png" title="" /></p>

<h3>2. あなたの「つながっている人」に向けてコメントを書きましょう。</h3>

<p><img src="/uploads/4507b5132a96ba63b6ed36e86b2a93e4c29a7251.png" alt="4507b5132a96ba63b6ed36e86b2a93e4c29a7251.png" title="" /></p>

<h3>3. 自分の投稿をシェアしてくれた人を確認できます。まだつながっていない知人を見かけたら「追加」しましょう。</h3>

<p><img src="/uploads/2cf12b7bc6aa8872ae9e6fcca5c84d192d9fbdc4.png" alt="2cf12b7bc6aa8872ae9e6fcca5c84d192d9fbdc4.png" title="" /></p>

<h2>「シェア」で新しいビジネスの出会いを</h2>

<p>2015年にユーザー数100万人を超えたEightは、各々が名刺をためて整理するだけでなく、 ユーザー間のつながりを深める「ビジネスSNS」への変化を志向し、 顔写真や職歴を登録できる「プロフィール」と、ビジネスの近況をポストできる「フィード」を実装しました。 <br />
当初フィードに表示される投稿は、「つながっている人」がポストしたものに限られていましたが、 「つながっている人のつながっている人」の投稿もシェアによって表示されるようになりました。   </p>

<p>投稿者からしてみれば、シェアされた投稿がきっかけとなり、新しいビジネスの出会いにつながる可能性も広がります。</p>

<p>イベント告知やプロジェクトメンバーの募集など、あなたの「つながっている人」にも共有したい投稿を見かけたら、 ぜひ使ってみてください。</p>
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    </content>
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    <title>スマホで名刺交換、もう紙はいらない！ Eight、新機能「オンライン名刺交換」をリリース - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/03/-new-exchange.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7265</id>

    <published>2016-03-11T07:51:19Z</published>
    <updated>2017-03-21T08:39:04Z</updated>

    <summary>スマートフォンで名刺交換ができる新機能「オンライン名刺交換」を、Eightの最新バージョンに実装しました。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="アップデートしました" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>Eightユーザー同士であれば、紙の名刺を使わず、スマートフォンだけでつながれるようになります。 <br />
目的や状況に応じて、次の３つの手段から選択してください。</p>

<h2>手段１： 近くのEightユーザーを無線で探す</h2>

<p><img src="/uploads/newkiji_img01.png" alt="newkiji_img01.png" title="" /></p>

<p>超音波やBluetooth、Wi-Fiなどを組み合わせた近接通信技術（<a href="http://googledevjp.blogspot.jp/2015/09/nearby-api.html" target="_blank">Nearby API™</a>）を利用して、近くにいるEightユーザーを検出。 <br />
画面をタッチするだけでオンライン名刺交換ができます。</p>

<p><img src="/uploads/nearby02.png" alt="nearby02.png" title="" /></p>

<p>1対1のみならず、複数のユーザー間でも交換できます（iPhone、Androidフォンともに対応）。 <br />
大人数の打ち合わせや、交流会で大勢と名刺交換するときにご活用ください。</p>

<h2>手段2： 目の前の相手とはQRコードで</h2>

<p><img src="/uploads/nearby03.png" alt="nearby03.png" title="" /></p>

<p>どちらか一方が相手のQRコードを読み取ることで、出会ったその場でEightでつながれます。 <br />
紙の名刺を交換する必要はなくなり、Eightに取り込むために名刺を撮影する手間を省くことができます。</p>

<h2>手段3： Eightユーザー以外にはメールを</h2>

<p><img src="/uploads/nearby04.png" alt="nearby04.png" title="" /></p>

<p>相手がEightユーザーでない場合は、自分の名刺情報をメールで送信できます。 <br />
プロフィールページに職歴や外部リンクなどの追加情報を記載して、紙の名刺には載せきれない情報を相手に伝えることができるようになります。</p>

<h2>名刺交換はオンラインの時代へ</h2>

<p>Eightは従来の紙による名刺交換のあり方を問い直し、スマホによる新たな体験を提供します。 <br />
将来的にはオンライン名刺交換をすると、瞬時に相互のプロフィールから学歴や職歴などの共通点をお知らせするなど、さらにビジネスコミュニケーションを促進する機能を開発予定です。  </p>
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    <title>Eightを「ビジネスのコミュニケーション」に活用しよう - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/02/how-communication.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7259</id>

    <published>2016-02-26T04:50:46Z</published>
    <updated>2017-03-21T08:39:47Z</updated>

    <summary>様々なSNSがある中、Eightは「ビジネス専用SNS」を提供いたします。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eight Tips" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>利用者が100万人を突破した</span>名刺管理アプリ Eightは、そのネットワークを活かし、いまでは"名刺管理"の領域に留まらず、「ビジネス専用SNS」として利用されています。  </p>

<p>食事や旅行、子どもやペットの写真などが並ぶSNSとは異なり、Eightでは「ビジネスに活用すること」がユーザー間で共通の認識となっています。</p>

<p>そのため、サービス・商品のリリースやイベントの告知、仕事の相談など、ビジネスにまつわる情報をEightに投稿したときに、他のSNSと比べて、よりポジティブな反応が得られることでしょう。</p>

<hr />

<h2>つながりを築く、Eight流コミュニケーション術</h2>

<p>Eightには、2種類のコミュニケーション手段があります。ひとつは、1対複数のコミュニケーションを実現する「フィード」。もうひとつは、1対1で行う「メッセージ」です。  </p>

<h2>「フィード」の力を最大限に活かす4つの使い方</h2>

<p>他の多くのSNSと同様、Eightでも「フィード」を使って自分の近況を報告できます。ただし、ビジネス専用SNSのため、Eightのフィードには「ビジネス関連の情報」を投稿するようにしましょう。</p>

<p>アプリ版・Web版ともに「仕事の近況を報告しよう」をタップもしくはクリックして、投稿。その際、画像やURLリンクを追加することもできます。</p>

<p><img src="/uploads/blog17.png" alt="blog17.png" title="" /></p>

<p><img src="/uploads/blog18.png" alt="blog18.png" title="" /></p>

<p>では、「フィード」には、具体的にどのような内容を投稿すれば良いのでしょうか？　ここからは、「フィード」の力を最大限に活かす4つの使い方をご紹介します。</p>

<p><a href="#point01">使い方 1：名刺の変更</a></p>

<p><a href="#point02">使い方 2：活動の告知</a></p>

<p><a href="#point03">使い方 3：課題の相談</a></p>

<p><a href="#point04">使い方 4：ノウハウの共有</a></p>  

<hr />

<h2>使い方 1：名刺の変更</h2>

<p>Eightでは、昇進や転職などによって「名刺の変更」が生じた際、新しい名刺をアップロードすれば、常にプロフィールを最新に保つことができます。つまり、過去に名刺交換をし、すでにEightでつながっている人たち全員に「所属先の変更」を一斉に、しかも簡単に（新しい名刺をアップロードするだけ）伝えることができるのです。  </p>

<p>例えば、転職をした場合、前職で培ったつながりがリセットされてしまうことも考えられます。しかし、Eightでプロフィールを最新に保つようにしておけば、所属先が変わったとしても、一度つながった人とは永続的につながり続けることができるのです。  </p>

<p>新しい名刺をアップロードすると「フィード」に自動投稿されますが、このとき、任意でコメントを記載することもできます。「転職の経緯」や「今後の抱負」など、自分の言葉でコメントを付け加えると良いでしょう。つながっている人たちから新たな門出を応援してもらえるかもしれません。  </p>

<p>新しい名刺のアップロードはアプリから登録できます。</p>

<p><img src="/uploads/blog19.png" alt="blog19.png" title="" /></p>

<p>あなたの「プロフィール」ページ内にある「プロフィール名刺を追加」をタップします。</p>

<p><img src="/uploads/blog20.png" alt="blog20.png" title="" /></p>

<p>「最新のプロフィール名刺を追加」をタップし、最新の名刺を撮影します。</p>

<p><img src="/uploads/blog21.png" alt="blog21.png" title="" /></p>

<p>最新の名刺を撮影後、「利用開始日」を選択し、右上にある「登録」をタップすれば完了です。</p>

<p><img src="/uploads/blog22.png" alt="blog22.png" title="" /></p>

<p>このとき、「コメントを追加」する」をタップし、コメントを記載すれば、最新の名刺のデータ化完了と同時にフィードに投稿されます。</p>

<p>「名刺の変更」は、Eight活用における基本中の基本です。常に最新のプロフィールを保つようにしましょう。</p>

<hr />

<h1>使い方 2：活動の告知</h1>

<p>「活動の告知」とは、新サービス・商品のリリースやセミナー・イベントの開催などです。</p>

<p><img src="/uploads/blog23.png" alt="blog23.png" title="" /></p>

<p>例） <br />
「このたび、中小企業様のマーケティング課題を解決する新サービスが誕生しました！」</p>

<p><img src="/uploads/blog24.png" alt="blog24.png" title="" /></p>

<p>「来月、プレゼンテーションスキルを高めるセミナーを開催します！」</p>

<p>Eightユーザーは、「最先端のビジネス情報を求めている層」です。つまり、ターゲットが自ずと絞られている分、メルマガなどで無作為に告知するよりも良い効果を得られる可能性が高いと言えます。また、過去に名刺交換をした「あなた」からの告知であれば、より親近感を持って読んでもらえることでしょう。</p>

<hr />

<h1>使い方 3：課題の相談</h1>

<p>あなたが抱えている「課題」は、他の人にとっての「ビジネスチャンス」に化けることもあります。Eightで課題を相談すれば、誰かが思わぬ解決策を提示してくれるかもしれません。</p>

<p><img src="/uploads/blog25.png" alt="blog25.png" title="" /></p>

<p>例） <br />
「社内で顧客管理の負荷が大きな負担となっています。どなたか何か良いソリューションをご存知ないでしょうか？」</p>

<p>「課題の相談」においても、「1対複数」という「フィード」の特性を存分に活かすことができます。というのも、「1対1」となると、「問い合わせ→ヒアリング→提案・見積」といったように、どうしてもフォーマルな形式となるため、軽い気持ちではなかなか相談できません。しかし、「フィード」を使って相談すれば、あくまでコミュニケーションの延長線上で、送り手と受け手がライトに情報交換を行うことができるのです。</p>

<p>実際、「こんなソリューションを探しているので情報をください」とフィードに書き込んだところ、1時間もしないうちに数件の回答があった<a href="https://contents.8card.net/usecase/iimuro.html">事例</a>もあります。</p>

<p>また、採用課題についても相談してみましょう。</p>

<p><img src="/uploads/blog26.png" alt="blog26.png" title="" /></p>

<p>例） <br />
「このたび、インターネット広告事業を新たに設立する運びとなりました！ これに伴い、アカウントプランナーとコンテンツディレクターを募集することになったのですが、どなたか良い方をご存知ないでしょうか？ 現在、フリーランスでご活躍の方も歓迎です！」</p>

<p>人材の採用に「人と人とのビジネス上の個人的なつながり」を活用すれば、採用候補者の質や信頼性を確保し、採用のマッチング精度を高めることもできるでしょう。</p>

<hr />

<h1>使い方 4：ノウハウの共有</p></h1>

<p><a href="#point03">使い方 3：課題の相談</a>とは反対に、あなたの持つノウハウが誰かを助けることもあります。ノウハウを積極的に開示・共有することで、新たなビジネスが生まれるきっかけになるかもしれません。</p>

<p><img src="/uploads/blog27.png" alt="blog27.png" title="" /></p>

<p>例） <br />
「昨日、『BtoBマーケティングの最新動向』をリサーチ。我ながら、よくできました。興味がある方は、企画書をお送りいたしますので、ご一報ください」</p>

<p>このようにノウハウを開示・共有すれば、「その道の専門家」として広く周知させることもできます。いわゆる「ブランディング」効果にもつながるでしょう。</p>

<hr />

<h1>「メッセージ」を使ってライトなコミュニケーションを</h1>

<p>Eightには、1対1で行う「メッセージ」機能もあります。</p>

<p><img src="/uploads/blog28.png" alt="blog28.png" title="" /></p>

<p><img src="/uploads/blog29.png" alt="blog29.png" title="" /></p>

<p>堅苦しいメールに代わるライトなコミュニケーション手段として活用しましょう。</p>

<hr />

<h1>Eightでコミュニケーションを続けることで、つながりは築かれる</h1>

<p>名刺交換をしただけでは、その関係性が深化することはありません。毎日のように顔を合わせ、言葉を交わし合うことが理想ですが、リアルの世界でそれは不可能です。</p>

<p>名刺交換をきっかけにEightでつながり、そして、「フィード」を使って自分の活動を知らせたり、相手の投稿に「いいね！」や「コメント」をしたりする、ちょっとしたコミュニケーションを継続することで、「つながり」という「財産」は築かれていくのです。  </p>

<p>Eightは、いわば「ビジネスの話題が集まる社交場」。コミュニケーションを通して、せっかく名刺交換をして知り合った人たちと絆を深め、信頼関係を構築しましょう。 </p>
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    </content>
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    <title>プロフィールページで「名刺以上の自分」を表現しよう - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/02/how-to-profile.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2016:/blog//17.7246</id>

    <published>2016-02-15T00:00:00Z</published>
    <updated>2017-03-21T09:02:42Z</updated>

    <summary>Eightではあなたの強みや専門分野など細かく記すことができます。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eight Tips" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>名刺をデータ化するだけにとどまっていませんか？</p>

<p>EightをビジネスSNSとして上手に活用すれば、名刺交換からはじまるビジネス上のつながりをさらに深め、広げていくことができます。</p>

<p>Eightでは、名刺だけでは伝わらない、あなたの強みや専門分野を伝えられるプロフィール機能があります。Eightのプロフィールはインターネット上に公開できるため、メールの署名や名刺などに専用URLを記載すれば、オンライン名刺として活用することができます。</p>

<p>Eightにあなたの名刺を登録したら、6つのポイントに沿ってプロフィールを充実させましょう！</p>

<hr />

<h3>まずはプロフィールページ編集画面へ</h3>

<h4>Step1：プロフィールページを表示する</h4>

<p>【アプリ版・Web版】 <br>
トップページで自分の名前をタップ・クリックすれば、プロフィール画面に移ります。</p>

<h4>Step 2：プロフィールページの内容を編集する</h4>

<p>【アプリ版】<br>
「プロフィールを編集する」をタップ。</p>

<p>【Web版】<br />
各項目にカーソルを合わせたときに表示される<img alt="how_prof_edit_icon01.png" src="/uploads/how_prof_edit_icon01.png" class="mt-image-none" style="margin: 0 3px; vertical-align: middle;" />をクリックして編集できます。</p>

<p>以下、それぞれの項目についてご紹介します。</p>

<hr />

<h2>Point 1<br>名前の次に目立つ「仕事内容」は必須項目</h2>

<p>名刺には所属部署やチーム名が記載されていることがよくありますが、それだけでは仕事内容まではなかなか伝わりません。時間が経てば、「この人、何の仕事をしているんだっけ？」と、忘れられてしまう可能性もあります。</p>

<p><img src="/uploads/how_prof_img01.png" alt="" title="" /></p>

<p>この一行で、自分の仕事内容を端的に伝えてみましょう。（25文字以内）</p>

<p>例）<br>
名刺記載の情報：イベント事業部（所属部署）<br />↓<br />「Eight」の仕事内容欄：ファッション業界向けWeb連動イベントの企画・運営</p>

<p>この文言は、プロフィールページの名前の下の目立つ位置に表示されるため、あなたが「どんな仕事に携わっている人なのか」「何が得意な人なのか」といったことが瞬時に伝わる言葉を選びましょう。</p>

<hr />

<h2>Point 2<br>過去の名刺で「職歴」を簡単作成</h2>

<p>いまの名刺だけでなく、過去の名刺もプロフィールページに載せることができます。もし手元に残っているものがあれば、登録しておきましょう。</p>

<p><img src="/uploads/how_prof_img02.png" alt="" title="" /></p>

<p>過去の名刺は、アプリからのみ登録できます。まず、自分のプロフィールページ内にある「プロフィール名刺を追加」をタップします。</p>

<p>「過去のプロフィール名刺を追加」をタップし、名刺を撮影します。</p>

<p><img src="/uploads/how_prof_img03.png" alt="" title="" /></p>

<p>撮影後、「利用開始日」「利用終了日」を選択し、右上にある「登録」をタップしてください。データ入力完了後、プロフィールページに表示されます。</p>

<hr />

<h2>Point 3<br>足りない情報は「キャリアサマリ」で</h2>

<p>名刺に記載されている情報だけでは、情報量に限りがあります。職歴をつくった後は、「キャリアサマリ」を登録しましょう。ここでは、自由記入方式で、あなたのキャリア（業務内容や実績など）を具体的に表現することができます。</p>

<h4>キャリアサマリ記載例（1）</h4>

<p>これまでに携わった業務内容やプロジェクト、その成果などを詳細な文章で記載するパターンです。</p>

<p><img src="/uploads/how_prof_img05.png" alt="" title="" /></p>

<h4>キャリアサマリ記載例（2）</h4>

<p>ビジネスにおける受賞歴や資格を時系列で記載するパターンです。</p>

<p><img src="/uploads/how_prof_img06.png" alt="" title="" /></p>

<h4>キャリアサマリ記載例（3）</h4>

<p>時系列に沿って業務内容や実績を記載するパターンです。ボランティアなどの課外活動について記載するのも良いでしょう。</p>

<p>上記を参考に「キャリアサマリ」を登録すれば、「職歴」と合わさって、あなたの強みや専門分野をさらに効果的にアピールできます。</p>

<h4>キャリアサマリNG例</h4>

<p>「キャリアサマリ」を登録する際、「職歴」に表示される情報と同一の内容にならないように注意してください。</p>

<p><img src="/uploads/how_prof_img07.png" alt="" title="" /></p>

<p>こちらのような内容の「キャリアサマリ」では、「職歴」を補完することはできません。「職歴」（過去の名刺情報）だけでは伝わらない、あなたの強みや専門分野を具体的に伝えることが「キャリアサマリ」の役割です。</p>

<hr />

<h2>Point 4<br>「顔写真」で思い出してもらおう</h2>

<p>名刺交換をして時間が経ってしまうと、「どんな人だったっけ？」と顔を思い出せないことがよくあります。そうならないためにも、「顔写真」を登録しておきましょう。また、常に「顔写真」を表示させておくことで、見る人に親近感をもってもらいやすくなるという効果も期待できます。</p>

<p><img src="/uploads/how_prof_img08.png" alt="" title="" /></p>

<p>Web版では、保存された画像を取り込むことができます。なお、画像のサイズは300×300にトリミング＆リサイズされ、表示箇所に応じてリサイズされます。</p>

<p><img src="/uploads/how_prof_img09.png" alt="" title="" /></p>

<p>アプリ版では自撮りも可能です。</p>

<p>「顔写真」には、「すぐに顔を思い出してもらう」「忘れられないように常に表示しておく」といった目的があります。そのため、キャラクターやアイコンは極力避け、あなたの顔写真（もしくは似顔絵）を登録するようにしましょう。</p>

<p>Facebookと連携すれば、Facebookのプロフィール画像をEightの「顔写真」として取り込み、使用することもできます。</p>

<hr />

<h2>Point 5<br>「カバー写真」で差をつけよう</h2>

<p>プロフィールページを開いたとき、文字より先に印象が伝わる「カバー写真」。</p>

<p>ほかのSNSでもお馴染みの機能ですが、Eightはビジネスに特化したSNSなので、あなたの仕事内容をイメージさせるような写真を選ぶといいでしょう。</p>

<p><img src="/uploads/how_prof_img10.png" alt="" title="" /></p>

<p>写真はアプリ版からのみ変更可能です。サイズは760 px×475 pxです。</p>

<hr />

<h2>Point 6<br>もっと知りたい人のために「リンク」を</h2>

<p>ブログや取材された記事のURLを3つまで登録できます。この「リンク」についても「カバー写真」同様、あなたの仕事内容に関連するリンクを登録することをおすすめします。</p>

<p><img src="/uploads/how_prof_img11.png" alt="" title="" /></p>

<p>「リンク」はWeb版から登録することができます。あなたのプロフィールページ内にある「基本情報」にカーソルを合わせたときに表示される<img alt="how_prof_edit_icon01.png" src="/uploads/how_prof_edit_icon01.png" class="mt-image-none" style="margin: 0 3px; vertical-align: middle;" />をクリックすれば、「名刺情報の編集」画面が表示されます。</p>

<p><img src="/uploads/how_prof_img12.png" alt="" title="" /></p>

<p>「リンク」は、「名刺情報の編集」画面内の最下部にあります。「タイトル」「アドレス」を記入し、「保存」をクリックすれば登録完了です。なお、右上にある「追加」をクリックすれば、記入欄の数が増えます（「リンク」は最大3つまで登録可能）。</p>

<hr />

<h2>公開用のURLで、どこでも使える「ビジネスプロフィール」へ</h2>

<p>これまでお伝えしてきた手順で「プロフィール」を充実させると、あなたの「ビジネスプロフィール」が完成します。最後に、それをさらに効果的に役立てる活用法をご紹介します。</p>

<p>Eightで作成した「ビジネスプロフィール」は、あなたの好きなURLを取得のうえ、インターネット上に公開することができます（ここで一般公開される情報は、公開範囲に「一般公開」を選択した情報のみです）。</p>

<p>「プロフィールURL」はWeb版から登録することができます。あなたの「プロフィール」ページ内にある「基本情報」にカーソルを合わせたときに表示される<img alt="how_prof_show_icon01.png" src="/uploads/how_prof_show_icon01.png" class="mt-image-none" style="margin: 0 3px; vertical-align: middle;" />をクリックすれば、「名刺情報の編集」画面が表示されます。</p>

<p><img src="/uploads/how_prof_img15.png" alt="" title="" /></p>

<p>「プロフィールURL」は、「名刺情報の編集」画面内の中段下にあります。「https://8card.net/p/」以下の文字列を自由に設定できます。欄内に記入し、「保存」をクリックすれば登録完了です。</p>

<p>登録したURLをメールの署名に記載したり、名刺に印刷したりすれば、あなたのビジネス用のプロフィールサイトとして利用できます。Eightの「ビジネスプロフィール」を見てもらうだけで、初対面の人にもあなたの強みや専門分野を的確に、そして、スピーディーに伝えることができるのです。</p>

<p>Eightでつくる「ビジネスプロフィール」は、あなたのビジネスを発展させるうえで欠かせない、強力なマーケティングツールとなるでしょう。</p>

<hr />

<h2>すべての情報を公開するのは気が引ける...そんなときは</h2>

<p>さまざまな事情から「すべての情報を公開するのは、ちょっと......」とためらう人もいるかもしれません。「Eight」では、あなたの「プロフィール」ページ内のすべての情報を項目ごとに公開設定することができます。</p>

<p>公開範囲は、「一般公開」「Eightユーザー」「つながっているユーザー」の3種類。例えば、「会社名やキャリアサマリは誰に見てもらっても構わないけど、携帯電話番号は一般公開したくない」といったことも可能です。</p>

<p><img src="/uploads/how_prof_img13.png" alt="" title="" /></p>

<p>各項目の公開設定はWeb版からできます。各項目にカーソルを合わせたときに表示されるをクリックし、「一般公開」「Eightユーザー」「つながっているユーザー」から選んでください。</p>
]]>
        
    </content>
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    <title>初めてのEight：ご利用の手引き - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2016/02/how-card.html" />
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    <published>2016-02-08T01:38:53Z</published>
    <updated>2018-12-27T10:14:26Z</updated>

    <summary>初めて利用する人や、もっと名刺のつながりをビジネスに役立てたい人へ。名刺管理の方法から、「フィード」や「メッセージ」を使ったコミュニケーションの方法まで、Eightの基本的な使い方をご紹介します。（2018年3月に更新）</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eight Tips" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><a id="index"></a></p>

<h2><a href="#index"><a href="#index">目次</a></a></h2>

<p style="margin-bottom:-30px;"><a href="#anchor0">0．Eightとは</a></p>

<p><li style="text-indent:1em"><a href="#shinkitouroku">新規登録</a> </li></p>

<p style="margin-bottom:-30px;"><a href="#anchor1">1．名刺管理を始める</a></p>

<p><li style="text-indent:1em"><a href="#torikomu">名刺を取り込む</a></li>
<li style="text-indent:1em"><a href="#narabikae">「並び替え」</a>
<li style="text-indent:1em"> <a href="#label">「ラベル」</a> 
<li style="text-indent:1em"><a href="#memo">「メモ」</a></li>
<li style="text-indent:1em"><a href="#kensaku">検索機能</a></li> </p>

<p style="margin-bottom:-30px;"><a href="#anchor2">2．つながりを深め、広げるため4つの機能</a></p>

<p><li style="text-indent:1em"><a href="#profile">プロフィール</a></li>
<li style="text-indent:1em"><a href="#online">オンライン名刺交換</a></li>
<li style="text-indent:1em"><a href="#feed">フィード</a>
<li style="text-indent:1em"><a href="#message">メッセージ</a></li></p>

<hr />

<p><a id="anchor0"></a></p>

<h2>０．<a href="#anchor0">Eightとは</a></h2>

<p>Eightは、名刺を起点とした国内最大のビジネスネットワークです。名刺を正確にデータ化して、スマートフォンアプリで管理できます。電話番号やメールアドレス、住所などの名刺情報をすぐに活用できるため、より効率的にビジネスを進められます。</p>

<p>相手もEightを使っていたら、異動や昇進などで相手の名刺が更新された場合に、リアルタイムで情報を受けとれます。チャット形式で気軽にやりとりできる「メッセージ」や、ビジネスの情報を交換できる「フィード」を利用し、つながっている人とコミュニケーションができます。</p>

<p><a id="shinkitouroku"></a></p>

<p>新規登録がお済みでない方は、<a href="https://8card.net/">こちら</a>の紹介ページからインストールしてください。</p>

<hr />

<p><a id="anchor1"></a></p>

<h2>１．<a href="#anchor1">名刺管理を始める</a></h2>

<h3><a id="torikomu"></a><p style="margin-bottom:-30px;"><a href="#torikomu">名刺を取り込む</a></p></h3>

<p>まずは名刺交換した相手の名刺を、アプリで撮影してEightに取り込む方法をご紹介します。</p>

<p>名刺を撮影する方法は「クイックスキャン」と「連続スキャン」の2種類あります。ご利用シーンに合わせて使い分けてください。</p>

<p>ホーム画面の「＋」ボタンをタップしたら、名刺を撮影する画面が表示されます。</p>

<p><strong>クイックスキャン</strong></p>

<p><img alt="quickscan.png" src="/uploads/quickscan.png" width="330" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>

<p>すぐに名刺情報を利用したい場合は、クイックスキャンがおすすめです。相手がEightを使っていたら、その場でつながります。連絡先へのアクセスに加え、プロフィールの確認や、メッセージのやりとりができます。</p>

<p>クイックスキャンなら、名刺をまとめて撮影することも可能です。利用方法については、<a href="https://eight.zendesk.com/hc/ja/articles/360000574555">こちら</a>のヘルプをご覧ください。</p>

<p><strong>連続スキャン</strong> <br />
撮影した名刺をまとめて登録したい場合は、連続スキャンを使うと便利です。利用方法については、<a href="https://eight.zendesk.com/hc/ja/articles/204139760">こちら</a>のヘルプをご覧ください。</p>

<p><strong>大量の名刺をまとめてスキャンする方法</strong> <br />
手に負えないくらい名刺が溜まっている場合は、Eight専用スキャナーを使って、名刺を毎分60枚で取り込めます。スキャナーは、全国各地のカフェやコワーキングスペースに設置しています。<a href="https://contents.8card.net/dokodemo_scan/coworking/">こちら</a>のページから職場の近くにあるスキャンスポットを探してみてください。</p>

<p>Eight専用スキャナーは、誰でも無料でご利用いただけます。無料のスキャナー連携アプリEight scanをインストールして、名刺を一気に取り込みましょう。</p>

<p>新しくEightに登録したユーザーなら、Eightの事務局に名刺を郵送するだけで、名刺を代理で取り込むサービスも提供しています。Eightへの新規登録が完了している方は、<a href="https://contents.8card.net/starter_pack/">こちら</a>の紹介ページで詳細を確認のうえお申し込みください。</p>

<hr />

<h2>登録した名刺情報を活用するには</h2>

<p>名刺情報を活用するために、まずは名刺を整理しましょう。名刺の整理に役立つ3つの機能「<a href="#narabikae">並び替え</a>」「<a href="#label">ラベル</a>」「<a href="#memo">メモ</a>」をご紹介します。</p>

<h3><a id="narabikae"></a><p style="margin-bottom:-30px;"><a href="#narabikae">並び替え</a></p></h3>

<p style="margin-bottom:-30px;"> 登録した名刺は、以下の順番に並び替えて表示させることができます。</p>

<p><li style="text-indent:1em">交換月順 </li>
<li style="text-indent:1em">会社名順 </li>
<li style="text-indent:1em">名前順</li>  </p>

<p>【アプリ版】 <br />
１．登録した名刺は、アプリ画面下の「ネットワーク」タブをタップすると表示されます。 <br />
２．並び替えを行うには、画面左上（Android版では右上）にある「 ↓ 」アイコンをタップします。</p>

<p><img alt="how_card_img06.png" src="/uploads/how_card_img06.png" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>

<p>3．希望する並び順をタップして完了です。</p>

<p>【Web版】 <br />
1．トップページにて「あなたのネットワーク」をクリックします。<br>
2．画面右上のプルダウンから、希望する並び順を選択します。</p>

<p><img alt="how_card_pc_img01.png" src="/uploads/how_card_pc_img01.png" width="540" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" />  </p>

<h3><a id="label"></a><p style="margin-bottom:-30px;"><a href="#label">ラベル</a></p></h3>

<p>ラベルを活用して、名刺を整理しましょう。相手との関係性、出会った場所、職種などで分類することで、より名刺を見つけやすくなります。</p>

<p>利用方法は、ご利用の端末によって異なります。<br>
【<a href="#iOS">iPhoneアプリ版</a>】  【<a href="#android">Androidアプリ版</a>】  【<a href="#web">Web版</a>】</p>

<p><a id="iOS"></a>
<a href="#iOS">【iPhoneアプリ版】</a> <br />
利用方法については以下の記事をご確認ください。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/01/eight-tips-vol2.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/eight_tips_label_main.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>名前や会社名を忘れても、キーワードで名刺を探し出せる「ラベル」と「メモ」の活用術</strong></div></a></div>

<p><a id="android"></a>
<a href="#android">【Androidアプリ版】</a> <br />
1．「ネットワーク」タブをタップします。 <br />
2．画面右上の 「↓」 アイコンをタップします。</p>

<p><img alt="how_card_android_img01.png" src="/uploads/how_card_android_img01.png" width="375" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>

<p>3．「ラベル作成」をタップしてラベルを作成します。</p>

<p><img alt="how_card_android_img02.png" src="/uploads/how_card_android_img02.png" width="375" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>

<p>4．名刺をひもづけたいラベルをタップします。<br>
5．画面右下の「ラベル追加」ボタンをタップします。<br>
6．ラベルを付けたい名刺を選択し、「完了」 をタップして完成です。</p>

<p><a id="web"></a><br>
<a href="#web">【Web版】</a><br>
1．トップページにて「ラベルを作成」をクリックします。<br>
2．「ラベル名」を入力し、「作成する」をクリックしてください。</p>

<p><img alt="how_card_pc_img02.png" src="/uploads/how_card_pc_img02.png" width="540" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>

<p>3．作成したラベルは、「あなたのネットワーク」下層に表示されます。<br>
4．ラベルを付けたい名刺のチェックボックスにチェックを入れると、上部に「ラベル」ボタンが表示されます。「ラベル」ボタンをクリックして、希望するラベルを設定できます。</p>

<p><img alt="how_card_pc_img03.png" src="/uploads/how_card_pc_img03.png" width="540" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>

<p><a id="memo"></a></p>

<h1><a href="#memo">メモ</a></h1>

<p>名刺ごとに「メモ」を付けることができます。名刺交換時の印象や、その日の商談内容を記録しておくことで相手のことをより鮮明に記憶できます。メモは他人には公開されず、自分だけが閲覧することができ、複数設定可能です。</p>

<p>【アプリ版】<br>
1．「ネットワーク」タブをタップし、メモを付けたい名刺を選択します。<br>
2．「名刺情報」をタップし、画面下方にある「メモ」を選択します。</p>

<p><img alt="how_card_img13.png" src="/uploads/how_card_img13.png" width="375" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>

<p>3．「メモを追加」からメモを入力し、「完了」をタップすれば完成です。</p>

<p>【Web版】<br>
1．「あなたのネットワーク」から、メモを付けたい名刺をクリックすると、名刺管理画面が表示されます。<br>
2．「メモ」をクリックした際に表示される「＋」をクリックします。 <br />
3．内容を入力し、「保存」をクリックすれば、完了です。</p>

<p><img alt="how_card_pc_img05.png" src="/uploads/how_card_pc_img05.png" width="540" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" />  </p>

<p id="index" style="text-indent:1em"><a href="#index">Page Top</a></p>

<hr />

<p><a id="kensaku"></a></p>

<h2><p style="margin-bottom:-30px;"><a href="#kensaku">  会社名や部署名でも探せる検索機能</a></p></h2>

<p style="margin-bottom:-30px;">Eightには、たくさんの名刺から必要なものを抽出するための検索機能があります。検索対象は、以下の5種類です。</p>

<p><li style="text-indent:1em">氏名 </li>
<li style="text-indent:1em">会社名 </li>
<li style="text-indent:1em">部署名 </li>
<li style="text-indent:1em">役職名 </li>
<li style="text-indent:1em">emailアドレス</li></p>

<p><font size="-1">※アプリ版では「メモ」も検索可能</font></p>

<p>【アプリ版】<br>
トップページにて、画面右上にある「虫眼鏡マーク」をタップすると検索窓が表示されます。<br>
検索条件を入力し、検索してください。<br>
<figure><img src="/uploads/how_card_img15.png" alt="" title="" /></figure></p>

<p>【Web版】<br>
トップページ上部の検索窓に検索条件を入力し、検索してください。<br></p>

<p id="index" style="text-indent:1em"><a href="#index">Page Top</a></p>

<hr />

<p><a id="anchor2"></a></p>

<h2>2．<a href="#anchor2">つながりを深め、広げるため4つの機能</a></h2>

<p style="margin-bottom:-30px;">名刺をデータ化するだけにとどまっていませんか？EightはビジネスSNSとして、ビジネスシーンで役立つ以下の機能を搭載しています。</p>

<p><li style="text-indent:1em"><a href="#profile">プロフィール</a></li>
<li style="text-indent:1em"><a href="#online">オンライン名刺交換</a></li>
<li style="text-indent:1em"><a href="#feed">フィード</a></li>
<li style="text-indent:1em"><a href="#message">メッセージ</a></li></p>

<hr />

<p><a id="profile"></a></p>

<p><strong>「プロフィール」で名刺以上の自分を表現</strong> <br />
Eightでは、名刺だけでは伝わらない、あなたの強みや専門分野を伝えられるプロフィール機能があります。インターネットに公開できるため、メールの署名や名刺などに専用URLを記載すれば、オンライン名刺としても活用できます。</p>

<p><strong>「キャリアサマリ」を登録</strong> <br />
職歴や資格を含め、あなたが過去にやったことや、いまやっていることを、自由記入方式で表現できます。互いの距離を縮める話題として伝えてみましょう。キャリアサマリの書き方については、以下の記事をご覧ください。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/04/eight-tips-vol6.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/Tips_career_summary.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>キャリアサマリで「なぜやるのか？」を伝え、会話のきっかけをつくろう</strong></div></a></div>

<p><strong>名刺の変更</strong> <br />
自分の新しい名刺をアップロードすると、Eightでつながっている人たちに一斉に伝えることができます。</p>

<p>名刺の変更はアプリから行います。</p>

<p>1．「プロフィール」ページの編集ボタンをタップします。 <br />
<img alt="https://bnl.media/uploads/how_card_img18.png" src="https://bnl.media/uploads/how_card_img18.png" width="375" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>

<p>2．「最新のプロフィール名刺を追加」をタップし、最新の名刺を撮影します。</p>

<p>3．最新の名刺を撮影後、「利用開始日」を選択し、右上にある「登録」をタップすれば完了です。このとき、コメントを記載すれば、最新の名刺の更新と同時にフィードに投稿されます。Eightユーザー以外の名刺の宛先にも更新通知メールを送信できます。</p>

<p><strong>過去の名刺で「職歴」を簡単作成</strong> <br />
プロフィール名刺の編集画面から、過去の名刺を職歴として登録できます。<br>
もし手元に残っている名刺があれば、登録しておきましょう。  </p>

<p><font size="-1">※ プロフィールのヘルプページは<a href="https://eight.zendesk.com/hc/ja/categories/360000068455">こちら</a></font></p>

<p id="index" style="text-indent:1em"><a href="#index">Page Top</a></p>

<p><hr>
<a id="online"></a></p>

<h2><a href="#online">オンライン名刺交換</a>でつながりを広げよう</h2>

<p>紙の名刺を使わない、オンライン名刺交換の機能のご紹介です。</p>

<p>超音波やBluetooth、Wi-Fiなどを組み合わせた近接通信技術（Nearby API™）を利用して、近くにいるEightユーザーを検出。1対1のみならず、複数のユーザー間で、画面をタッチするだけで名刺交換ができます。 </p>

<p>1．アプリトップ画面の下部にある「プロフィール」タブをタップします。 <br />
2．「名刺交換」ボタンをタップします。</p>

<p><img alt="how_card_img25.png" src="/uploads/IMG_0394%20copy.jpg" width="375" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>

<p>3．「近くのユーザと名刺交換」をタップします。</p>

<p><img alt="how_card_img25.png" src="/uploads/IMG_0395%20copy.jpg" width="375" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></p>

<p>QRコードを読み取り、その場で名刺交換をすることも可能です。 「検索して追加」でユーザーを検索し、名刺交換リクエストを送ることもできます。<br></p>

<p id="index" style="text-indent:1em"><a href="#index">Page Top</a></p>

<p><hr></hr>
<a id="feed"></a><h2><a href="#feed">「フィード」</a>をビジネスの掲示板として活用しよう</h2></p>

<p>Eightでつながっている人のフィードに投稿を配信できます。ビジネスニュースの感想や、イベントの告知、新しいチームメンバーの募集などの発信に最適です。</p>

<p>メディアに掲載された記事をシェアする時、「企業タグ」を使うと直接つながっていない人にもコメントを届けられます。「企業タグ」の利用方法については以下の記事をご覧ください。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/01/eight-tips-vol1.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/eight_tips_companytag_main.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>ビジネスニュースを、その関係者に広める「企業タグ」の使い方</strong></div></a></div>

<h3>日経電子版との連携</h3>

<p>日経電子版に接続すると、つながっている人の会社のニュースを、毎朝フィードで受けとれます。利用方法については以下の記事をご覧ください。</p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/03/eight-tips-vol4.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/20180305_nikkei.jpg');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>打ち合わせ前のアイスブレイクに。取引先のニュースを受けとり、会話を膨らませましょう</strong></div></a></div>

<p id="index" style="text-indent:1em"><a href="#index">Page Top</a></p>

<p><a id="message"></a></p>

<h2>「<a href="#message">メッセージ</a>」を使ってライトなコミュニケーションを</h2>

<p>Eightには、つながった相手と気軽にやり取りできる「メッセージ」機能があります。 <br />
<figure><img src="/uploads/how_card_img05%20%281%29.png" alt="" title="" /><div style="text-align: center;"><figcaption>アプリ版では定型文を挿入し、すぐに送信することもできます。</figcaption></div></figure>
「グループルーム」を利用すると、複数人の方とやり取りできます。 <br />
知人の紹介や社外の方との打ち合わせ後のコミュニケーションにご活用ください。  </p>

<p><figure><img src="/uploads/how_card_pc_img07.png" alt="" title="" /></figure></p>

<div class="link-box"><a href="https://bnl.media/2018/02/eight-tips-vol3.html">
<div style="background-image: url('https://bnl.media/uploads/groupmessage_1.png');" class="img"></div>

<div class="info"><strong>打ち合わせ後の連絡や、知り合いの紹介に。メールではなく「グループルーム」を使ってみませんか？</strong></div></a></div>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>「Eightのフィード活用ですぐにほしい情報を手に入れる」飯室淳史（GEヘルスケア） - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2015/12/iimuro.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2015:/blog//17.7356</id>

    <published>2015-12-07T11:22:25Z</published>
    <updated>2017-04-05T06:22:32Z</updated>

    <summary>GEヘルスケア グローバル デジタル・ウエブリーダーの飯室淳史さんに、Eightの名刺管理に加えてニュースフィードをビジネスに活用する方法を伺いました。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="ユーザー活用事例" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>飯室淳史</strong><small>GEヘルスケア・ジャパン株式会社</small>
<p>GEヘルスケア・ジャパンでライフサイエンスのグローバル デジタル・ウエブをリード。名城大学大学院薬学修士課程を修了後、ファルマシア・ジャパン株式会社に入社。1997年英国アマシャムによる買収後は営業リーダー、2004年GEヘルスケアによる買収後は営業統括責任者、アジア担当マーケティングマネージャーに就任。2014年には執行役員に名を連ね、2015年夏から全世界のデジタルマーケティング戦略を統括する立場に。バイオテクノロジーについての豊富な知識や、営業とマーケティングを行き来するビジネスリーダーの経験から講演を引き受けることも多い。ITツールを駆使しながらも、常にリアルな関係構築を心がけている。</p></aside></p>

<h2>名刺データを修正するため、週末数時間を費やしていた</h2>

<p><strong>──現在は、どのくらい名刺をお持ちなんですか。</strong></p>

<p>Eightには直近10年くらいの名刺データを入れていて、2,400枚近くになります。すべてスマートフォンで撮影したものです。</p>

<p>名刺交換をするのはお客様である製薬企業や大学教授、パートナーのＩＴ系企業の方が多いです。最近は講演やレクチャーが増えたので、そのときは数十枚の名刺をいただくことがあります。それも自分で撮影して入れていますね。</p>

<p><strong>──Eightを使う前はどんな方法で名刺を管理されていたんですか。</strong></p>

<p>他社の名刺アプリを使っていたのですが文字認識の精度が低く、よく間違いがありました。仕方がないので週末に数時間かけて一つ一つ修正していました。だんだんデータのメンテナンスが目的になってきて「何のために名刺を取り込んでいるのだろう」とわからなくなってしまいました。</p>

<p>その点、Eightは撮影して送信するだけでほぼ間違いがないので、一気に楽になりましたね。修正しないですむというのが一番ありがたいです。あの時間は本当に不毛だと思っていましたから。</p>

<p><strong>──先ほども名刺交換してすぐに撮影されていましたね。</strong></p>

<p>営業や面談で名刺交換した際、相手に一言断ってすぐ撮影することがあります。記憶が新しいうちにラベルやメモを入力できますし、撮っていると「それは何ですか」という話になって「名刺管理に便利なアプリなんです」と紹介すると盛り上がるんですよ。情報管理に興味がある方だとその日に登録してくれて、Eight内でつながることができます。そこで軽くメッセージをやり取りすると相手も親近感を持ってくれるようです。</p>

<h2>ビジネス前提の関係だから、できる相談がある</h2>

<p><strong>──情報を蓄積する機能だけでなく、フィードも活用して情報を集められたと聞きました。</strong></p>

<p>デジタルマーケティングの世界では、自社開発よりいろんなソフトやサービスを組み合わせる戦略が主流です。ただ、どう組み合わせるか、何が良いのかという情報は探さなければいけません。いままではこちらが何をしたいのか企画書を作成して、知り合いのツテをたどって聞き出したりしていました。でもそれでは誰に送るか考えなければいけないし、時間がかかります。また企業対企業のヒアリングとなるとビジネス上のしがらみが出てきます。その悩みを解消できるのがEightのフィードだと思ったんです。</p>

<p>取引先のうち200人ほどEightでつながっているのを思い出して、ほんの試しで「こんなソリューションを探しているので情報をください」とフィードに書き込んだところ、1時間もしないうちに数件の回答があって驚きました。</p>

<p><strong>──それは早いですね！</strong></p>

<p>もちろんフィードでオープンにできる範囲は限られるので、回答をくださった方には直接会って詳しく伺いました。この結果に満足したのでもう一度別件をフィードに投稿したところ、こちらでも回答が得られました。</p>

<p>リアルの関係を構築するためにフィード機能はちょうどいいと感じます。仕事名刺を交換してEightに登録するということは、「仕事の話をしていい」と相手から許可をもらっているのと同じではないでしょうか。そこで相手のビジネスにもつながりそうな案件紹介や相談をすれば、積極的な方から反応が来ます。人を探して企画書を送る手間が省けるし、面識のある人からの信頼できる情報が向こうから来るわけです。相手にとっても話が早く、ビジネススピードが上がるのでどちらにもメリットがあります。</p>

<h2>会う前の名刺交換が相手との距離を縮める</h2>

<p><strong>──リアルな関係のためにツールを使うのですね。</strong></p>

<p>そうですね。ビジネスは結局、知り合い同士で進めていることが多くないですか？そのほうが早くて確かです。どんなツールを使おうとも、私たちが求めるのはやっぱりリアルな関係と成果ですから。</p>

<p>初めてお会いする方を事前にEightで探してメッセージを送り、ご挨拶しておくこともありますよ。ぐっと距離が近づき、その後のやりとりもスムーズになります。</p>

<p>だからこそEightは、仕事で会った人とより深い関係を構築できるツールに育ってほしいですね。ビジネスに特化した尖ったサービスを期待しています。</p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>プロフィールページが作成できるようになった新バージョンをリリースしました - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2015/12/post-30.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2015:/blog//17.7205</id>

    <published>2015-12-07T11:00:00Z</published>
    <updated>2017-03-18T13:02:09Z</updated>

    <summary>新しいバージョンからEightであなた専用のプロフィールページを作成できるようになりました。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="アップデートしました" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><img src="/uploads/main_s.png" alt="main_s.pngpng" title="" /></p>

<p>合わせてPC版Eightも画面をリニューアルし、フィード機能が搭載されました。 <br />
今回のバージョンアップについてご紹介します。 </p>

<p><strong>●プロフィールページについて</strong> <br />
プロフィールページを活用することで、名刺だけでは伝えられないあなたのビジネスステータスを詳しく伝えることができます。  </p>

<p><strong>・詳しいビジネスステータスを登録</strong> <br />
名刺情報に加え、仕事内容やキャリアサマリをプロフィールとして登録できるようになりました。</p>

<p><img src="/uploads/blog14.png" alt="blog14.png" title="" /></p>

<p><strong>・プロフィールを公開して活用</strong> <br />
プロフィールURLは公開できるため、メールの署名などに入れてオンライン名刺としても活用できます。 <br />
また、公開範囲はプロフィールの項目ごとに詳細に設定できます。</p>

<p><img src="/uploads/blog15.png" alt="blog15.png" title="" /></p>

<p><strong>●PC版Eightにフィード機能を搭載</strong> <br />
PC版にもフィード画面が搭載されました。 <br />
PCでの操作なので文字が入力しやすく、投稿やコメントがしやすくなりました。 <br />
ビジネスコミュニケーションの場としてフィードを活用しましょう。</p>

<p><img src="/uploads/blog16.png" alt="blog16.png" title="" /></p>

<p>プロフィールページを上手に活用すれば、名刺交換からはじまるビジネス上のつながりをさらに深め、広げていくことができます。 <br />
詳しい編集方法は、以下のブログ記事をご参照ください。</p>

<p><a href="https://bnl.media/2016/160215.html">プロフィールページで「名刺以上の自分」を表現しよう</a></p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>2年連続！Google Play が発表する「2015 年ベストアプリ」の1つにEightが選ばれました - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2015/12/2google-play-2015-1eight.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2015:/blog//17.7204</id>

    <published>2015-12-04T05:38:27Z</published>
    <updated>2017-03-18T13:02:09Z</updated>

    <summary>Eightが「2015 年ベストアプリ」の1つに選ばれました。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><img src="/uploads/blog_tit_bestapp3.png" alt="blog<em>tit</em>bestapp3.png" title="" /></p>

<p>Google Play が発表する「2015 年ベストアプリ」の1つにEightが選ばれました。
2014年に行き続き、2年連続での選出になります。</p>

<p>「2015 年ベストアプリ」は、今年日本で人気を集めたアプリやゲーム、書籍、映画およびテレビ番組を紹介する「ベスト オブ 2015」のアプリ部門です。</p>

<p>今回の選出は日々Eightをご利用頂いている皆さまのおかげです。
本当にありがとうございます。</p>

<p>2016年もさらなる改善・進化を続けて参りますので、どうぞよろしくお願いします。</p>

<p>■詳細はこちらでご覧いただけます【Google Japan Blog】</p>

<p><a href="http://googlejapan.blogspot.jp/2015/12/google-play-2015/" target="_blank">Google Play「ベスト オブ 2015」を発表しました</a></p>
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    <title>Eightのフィードを利用してビジネスネットワークを活用しよう - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2015/10/eight-906.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2015:/blog//17.7163</id>

    <published>2015-10-08T03:04:41Z</published>
    <updated>2017-10-04T12:22:55Z</updated>

    <summary>Eightのフィードでビジネスの近況を投稿しよう

</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="アップデートしました" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>フィードはビジネスネットワーク活用のきっかけとなるユーザー同士のコミュニケーションが生まれやすい場所であり、いまEightで最も力をいれて開発している機能です。<br></p>

<p>食事や旅行、子どもやペットの写真などが並ぶ他社のSNSとは異なり、Eightは「ビジネスに活用すること」がユーザー間で共通の認識となっています。<br></p>

<p>そのため、サービス・商品のリリースやイベントの告知、仕事の相談、ビジネス誌の記事など、仕事にまつわる情報をEightに投稿したときに、他のSNSと比べて、よりポジティブな反応が得られることでしょう。<br></p>

<p>ここでは、フィードの投稿例をご紹介します。</p>

<h3>ビジネス活動の告知</h3>

<p>イベントやセミナーの開催情報や、自社リリース情報をお知らせすることができます。<br></p>

<p><img alt="いべんと.png" src="/uploads/076a63c2241e0a87ba84344348c4dbe9f364ab28.png" width="300" class="mt-image-none" style="" /><img alt="rerease.png" src="/uploads/rerease.png" width="300" class="mt-image-none" style="" /></p>

<h3>ビジネス課題の相談</h3>

<p>仕事で困っている課題を問いかけ、解決のヒントを募ることができます。
<img alt="募集.png" src="/uploads/c9a52b2f858deb849860ef3652d3d8b101417089.png" width="300" class="mt-image-none" style="" /></p>

<h3>情報共有</h3>

<p>自分が持っている情報や、メディア掲載情報を共有できます。
<img alt="シェア.png" src="/uploads/c71e24b88d0b6746a8e172e11c523c4554b5c458.png" width="300" class="mt-image-none" style="" /><img alt="掲載.png" src="/uploads/431462644399fc8ad3ac9390a3212a0089b859b7.png" width="300"  class="mt-image-none" style="" /></p>
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    <title>Eightが日経電子版と連携！知り合いのニュースを自動でチェック - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2015/09/eight-905.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2015:/blog//17.7107</id>

    <published>2015-09-30T11:31:08Z</published>
    <updated>2017-12-08T03:28:35Z</updated>

    <summary>Eightが日経電子版と連携し、知り合い企業に関するニュースが読めるようになりました。 </summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="アップデートしました" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h3>知り合いに関するニュースを通勤時にチェック</h3>

<p>毎朝、お知り合いに関連するニュースが、日経電子版に掲載されてないかを自動でチェックし、あなたのフィードへお届けします。</p>

<h3>訪問前に会話のきっかけをチェック</h3>

<p>名刺詳細の会社名から関連するニュース記事を表示。バックナンバー含めて関連記事を一覧で確認できます。</p>

<hr />

<p>※記事を閲覧するには日経IDとの連携が必要です。記事の閲覧範囲は日経電子版の会員種別（有料会員／無料登録会員）に準じます。 <br />
※ニュース配信の対象となる企業は現段階では上場企業に限定されています。</p>
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    <title>Eightの「どこでもスキャン」計画、新たにホテルJALシティ羽田 東京でも利用可能に - BNL（Business Network Lab）</title>
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    <id>tag:contents.8card.net,2015:/blog//17.7078</id>

    <published>2015-08-11T02:00:30Z</published>
    <updated>2016-11-02T07:19:11Z</updated>

    <summary>ホテルJALシティ羽田 東京に、 名刺管理アプリEight専用スキャナ『ScanSnap for Eight』設置</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p></p>
<p><span>■</span>ホテルJALシティ羽田 東京と、オリックス運営のレンタルオフィス「クロスオフィス」に設置拡大</p>
<p>Eightでは2015年4月より、ScanSnap for Eightを全国のコワーキングスペースや銀座ルノアールグループ、AppBank Storeの一部店舗に設置しています。このたび新たにホテルJALシティ羽田 東京と、オリックス運営のレンタルオフィス「クロスオフィス」都内4店舗にも設置しました。費用は各店舗の利用料のみで、無料でスキャナを使えます。カフェや外出先、出張時の隙間時間に、いつでもどこでも名刺をまとめてスピーディーにデータ化できます。</p>
<p><br />■施設情報</p>
<p><span style="line-height: 1.62;">・ホテルJALシティ羽田 URL：http://www.haneda.jalcity.co.jp</span></p>
<p><span style="line-height: 1.62;">・クロスオフィス URL：http://www.crossoffice.jp</span></p>
<p><span style="line-height: 1.62;">　設置店舗：クロスオフィス渋谷、クロスオフィス渋谷メディオ、クロスオフィス内幸町、クロスオフィス三田<br /><br /><br /></span></p>
<p><strong><span style="line-height: 1.62;">* どこでもスキャンサービス詳細／設置スポット一覧検索： https://contents.8card.net/dokodemo_scan/</span></strong></p>
<p><span style="line-height: 1.62;">*</span><span style="line-height: 1.62;">ご利用には専用アプリ　Eight scan　が必要です。</span></p>
<p></p>
<p></p>]]>
        
    </content>
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    <title>Eightの新バージョンをリリースいたしました。 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2015/07/eight-904.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2015:/blog//17.7057</id>

    <published>2015-07-22T01:00:00Z</published>
    <updated>2017-03-21T09:08:55Z</updated>

    <summary>名刺管理の機能はそのままに、新たにフィード機能を追加しました。つながった相手の異動情報が見やすく表示され、「いいね」やコメントも送れるようになりました。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="アップデートしました" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h2>7月22日（水）Eightの新バージョンをリリースいたしました。</h2>

<p>名刺管理の機能はそのままに、新たにフィード機能を追加しました。つながった相手の異動情報が見やすく表示され、「いいね」やコメントも送れるようになりました。</p>

<h2>■ニュースフィード機能について</h2>

<p>新バージョンにはフィード機能が搭載されました。例えばAさんが昇進して自分の名刺を更新すると、その情報がEightでつながっているお知り合いのBさんのフィードに流れます。Bさんはこのニュースにいいね！やコメントをつけることができ、Aさん本人とAさんとつながりのある人がそれを閲覧できます。</p>

<p><img src="/uploads/20150721120124.png" alt="20150721120124.png" title="" /></p>

<h2>■今後のEightの展開：名刺を入口にしたビジネスソーシャルネットワークへ。</h2>

<p>今回の新バージョンを機にEightは「Your business network」をコンセプトに、従来の名刺管理アプリを超えたビジネスソーシャルネットワークとして、名刺をビジネスのつながりとして活用する新しいユーザ体験を提供して参ります。今後は、紙の名刺を撮影する手間を省くため、Eightユーザの中からお知り合いを検索して追加するリコメンド機能の強化や、スマートフォン同士をタッチして名刺交換ができる機能の強化も行ってまいります。</p>
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    </content>
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    <title>EightがＭＭ総研大賞2015にて話題賞を受賞しました - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2015/06/2015.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2015:/blog//17.7006</id>

    <published>2015-06-18T04:00:00Z</published>
    <updated>2017-03-21T09:10:20Z</updated>

    <summary>ＭＭ総研大賞2015にて話題賞を受賞しました。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>Eightが「ＭＭ総研大賞2015」にて話題賞を受賞しました。</p>

<p><aside><strong>■MM総研大賞2015について </strong><small>
「MM総研大賞」は、ICT分野の市場、産業の発展を促すきっかけとなることを目的に、株式会社MM総研（本社：東京都港区、代表取締役所長：中島 洋）が2004年に創設した表彰制度で、今回が12回目になります。優れたICT技術で積極的に新商品、新市場の開拓に取り組んでいる企業を表彰するものです。</p></aside></p>

<p>「話題賞」は、ICT産業に大きなインパクトを与え、大きな話題を集めた製品・サービスを対象とします。 <br />
14年度の話題性などに加え、今後のICT業界全体への影響度の大きさも評価基準となります。 <br />
個人消費者およびビジネスユーザーを対象としたインターネットアンケート(1,500件)を基に選出された製品・サービスに関し、外部有識者を含む審査委員会が、「話題性」や「今後のICT業界への影響度」などを選考基準に、「話題賞」を選定しました。</p>

<p><a href="http://www.m2ri.jp/newsreleases/main.php?id=010120150615500" target="＿blank">（MM総研ニュースリリースより）</a></p>
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    <title>Eightの「どこでもスキャン」サービスが全国約1000カ所に拡大 〜AppBank Store、銀座ルノアール、全国のコワーキングスペースにPFU社開発の名刺専用スキャナ『ScanSnap for Eight』設置〜 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2015/04/post-29.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2015:/blog//17.6885</id>

    <published>2015-04-22T15:00:00Z</published>
    <updated>2017-03-21T09:11:52Z</updated>

    <summary>Eightの「どこでもスキャン」サービスが全国約1000カ所に拡大しました。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>都内のAppBank Storeや銀座ルノアールグループの喫茶店、全国のコワーキングスペースで、無料でスキャナを使って名刺をEightに取り込めるサービスを開始しました。 <br />
またこのサービス提供にあたり、専用スキャナ『ScanSnap for Eight（PFU社製：非売品）』を開発しました。</p>

<h3>【Eightの「どこでもスキャン」サービスについて】</h3>

<p>Eightでは「大量に溜まった名刺の撮影が大変」というユーザーの要望もあり、2014年３月より「たまった名刺を手間なく、手軽に、Eightに取込む環境を提供する」ことをコンセプトに、アプリの枠を超えてリアルな場に名刺スキャンスポットを設置する「どこでもスキャン」サービスを開始しました。 <br />
カメラのキタムラ」「アクセア」などでの店舗預かりスキャン、派遣型スキャンサービス「スキャンマン」と提携した訪問型・郵送型など幅広い方法を提供しています。</p>

<h3>【ScanSnap for Eight（非売品）について】</h3>

<p>Eightで名刺をスキャンするために新たに開発された、PFU社製のドキュメントスキャナです。名刺を一気に高速スキャンし、Wi-Fi接続でダイレクトにスマホからEightに取り込みます。 <br />
※ご利用にはEightのユーザ登録及び専用スマホアプリ『Eight scan（iOS/Android、無料）』のダウンロードが必要です。</p>

<h3>【AppBank Store、銀座ルノアール、全国のコワーキングスペースでEightに高速名刺スキャン。</h3>

<p>全国約1000カ所から、GPSで近隣のスキャンスポットを検索できるように】
ScanSnap for Eightを全国のコワーキングスペースや銀座ルノアールグループ都内約80店舗、AppBank Store関東4店舗・関西1店舗に設置します。 <br />
費用は各店舗の利用料のみで、無料でスキャナを使えます。 <br />
カフェや外出先の隙間時間に、いつでもどこでも名刺をまとめてスピーディーにデータ化できるようになります。 <br />
ScanSnap for Eightはビジネスパーソンの利用するシェアオフィスや交通機関やビジネスホテル、ショップ、カフェなどに順次設置拡大していく予定です。  </p>

<p>また、このたびのサービス拡大に伴い、既存の提携先を含めた全国約1000カ所のスキャンスポットを検索できる新機能をリリースしました。 <br />
スマホやPCでEightのサービスサイトにアクセスすると、GPSで今いる場所の近隣のスポットが表示されます。 <br />
<a href="https://contents.8card.net/dokodemo_scan/">・どこでもスキャンサービス詳細／設置スポット一覧検索</a></p>

<h3>【Eight scan（スマホ版）について】　価格：無料（スキャナは別売）</h3>

<p>■iPhoneアプリ <br />
・対応OS：iOS7.0 以降 <br />
・名称：Eight scan - 専用スキャナーから名刺を簡単登録（無料ビジネスカテゴリ）</p>

<h6>App Store URL : <a href="https://itunes.apple.com/jp/app/eight-scan-zhuan-yongsukyanakara/id969424853" target="_blank">https://itunes.apple.com/jp/app/eight-scan-zhuan-yongsukyanakara/id969424853</a></p></h6>

<p>■Androidアプリ <br />
・対応OS：Android 4.0.3 以降 <br />
・名称：Eight scan - 専用スキャナーから名刺を簡単登録（無料ビジネスカテゴリ）</p>

<h6>Google Play URL : <a href="https://play.google.com/store/apps/details?id=net.eightcard.scansnap" target="_blank">https://play.google.com/store/apps/details?id=net.eightcard.scansnap</a></p></h6>

<h3>【サービスご利用に関するお問い合わせ先】</h3>

<p>・銀座ルノアールグループの店舗ではEight及びどこでもスキャンサービスについてのお問い合わせは対応しておりません。 <br />
ご利用に関してはEightまでお問い合わせください。 <br />
お問い合わせ窓口：dokodemoscan@8card.net <br />
・ScanSnap for Eight設置をご希望の企業様はお気軽に<a href="https://contents.8card.net/dokodemo_scan/page/inquiry.html" target="_blank">[専用フォーム]</a>よりお問い合わせください。</p>
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    <title>ラジオDJのDJ TAROさんに「ScanSnap iX100」でのEightへの名刺登録についてコメントいただきました。 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2015/03/scansnapix100-uservoice2.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2015:/blog//17.5764</id>

    <published>2015-03-18T01:00:00Z</published>
    <updated>2018-01-25T08:11:20Z</updated>

    <summary>『Eight』専用のスキャナ連携PCソフト「Eight scan」β版が、PFU...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="アップデートしました" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="ユーザー活用事例" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>『Eight』専用のスキャナ連携PCソフト「Eight scan」β版が、PFU社製パーソナルドキュメントスキャナ「ScanSnap」シリーズ「iX100」および「SV600」に対応しました。</p>

<p>この対応のきっかけとなった、J-WAVEなどでラジオDJとして活躍するDJ TAROさんに「ScanSnap iX100」でのEightへの名刺登録について、コメントをいただきました。</p>

<p><aside><strong>DJ TARO</strong><small>Radio &amp; Club DJ</small>
<p>
YouTube Live と連動したラジオ番組、J-WAVE Hello WorldなどMC/DJとして活躍し 25年を超えるDJキャリアと幅広い音楽知識・センス、そしてマイクパフォーマンスを生かし、 常にフロアーを沸かせるCLUB DJとしての評価も高い。 サウンドプロデューサーとして、ダンスミュージックを中心に数多くのREMIXを手掛けている。 ガジェット、音楽アプリ・映像機材に造詣が深く、2010年4月には ラジオとUSTREAMで日本で初のiPadでのDJ PLAYを成功させる。
</p></aside></p>

<p><strong>──iX100×Eightのおすすめポイントを教えてください！</strong></p>

<p>仕事柄毎日数多くの方にお会いするので名刺の整理は必須です。常に移動しながら行動していることが多いので コンパクトかつワイヤレス環境でスキャンが出来るiX100を購入しました。iX100は横並列で複数の名刺を同時にスキャンしても１枚１枚きちんと読み取ってくれるので優秀です。買った当初はEight scanに対応してなくて正直『残念』だったんですけどそのことをつぶやいたらEightの担当の方が『対応を検討してくれる』という嬉しいお言葉を頂きました！ 今では手放せない環境です。</p>

<p><strong>──今後Eightに期待することは？</strong></p>

<p>選んだラベルに名刺をスキャン出来たらいいなと思います。</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2015/03/scansnapix100-uservoice1.html">
<h4>関連記事：ユーザーの声</h4>
<img src="https://bnl.media/uploads/user_img_smaller.jpg">
<div class="info"><strong>NewsPicks/SPEEDAを運営する株式会社ユーザベースの山田聖裕さんに「ScanSnap iX100」でのEightへの名刺登録を体験していただきました。</strong> <date>2015.03.10</date></div></a></div>
]]>
        
    </content>
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    <title>Eightの新バージョンv6.1 をリリースしました - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2015/03/eightv61.html" />
    <id>tag:bnl.media,2015://125.8159</id>

    <published>2015-03-16T05:39:19Z</published>
    <updated>2017-03-21T09:13:18Z</updated>

    <summary> Eightの新バージョンv6.1 をリリースしました。 新バージョンにて追加さ...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="アップデートしました" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><!--StartFragment--></p>
<p><span>Eight</span><span>の新バージョン</span><span>v6.1 </span><span>をリ</span><span>リースしました。</span></p>
<p><span>新バージョンにて追加された機能についてお知らせします。</span></p>
<p>　</p>
<p>　</p>
<p></p>
<p><span>■</span><span>名刺</span><span>を追加する方法が増えました。</span></p>
<p><span>従来の名刺を撮影する方法に加え、</span><span>Eight</span><span>を使っている知り合いを検索し名刺帳に追加できるようになりました。これにより、相手の名刺が無い場合や、データ入力の時間を待たずに名刺を追加できます。</span></p>
<p>　</p>
<p><span></span><span>【利用手順】（アプリから実施してください）</span></p>
<p><span><span>1. ホームに表示される「＋</span><span>」ボタンをタップ</span></span></p>
<p><span>2. 「</span><span>Eight</span><span>から追加」ボタンをタップ</span></p>
<p><span>3. </span><span>Eight</span><span>を使っている知り合いを検索</span></p>
<p><span>4. 追加したい対象のユーザーの隣に表示される「追加」ボタンをタップ</span></p>
<p><span>（追加時に相手に名刺交換のリクエストが送付されます）</span></p>
<p><span></span><span>追加</span><span>した</span><span>名刺</span><span>は、名刺帳</span><span>に</span><span>表示され</span><span>、</span><span>相手が名刺交換リクエストを承認すると名刺記載のすべての情報が閲覧可能になります。</span></p>
<p>　</p>
<p>　</p>
<p></p>
<p><span>■</span><span>知り合い以外</span><span>の名刺交換リクエストの受信を制限する機能の追加</span></p>
<p><span>あなたの仕事で使うメールアドレスを知らない人からの、名刺交換リクエストを制限できます。</span></p>
<p>　</p>
<p><span>【利用手順】<span>（アプリから実施してください）</span></span></p>
<p><span>1. </span><span>メニューから「設定・その他」をタップ</span></p>
<p><span>2. 「</span><span>名刺交換リクエストの受信設定」をタップ</span></p>
<p><span>3. </span><span style="line-height: 1.62;">「知り合いのみ」をタップ</span></p>
<p>　</p>
<p><span>Eight</span><span>では名刺を自身のビジネスネットワークに変えることをコンセプトに</span><span>サービスを提供してきました。</span><br /><span>今後も</span><span>ユーザー</span><span>の皆様</span><span>が</span><span>、</span><span>より</span><span>簡単に自身のビジネスネットワークを管理する為の機能拡張を行ってまいります。</span></p>
<p><span>今後とも</span><span>Eight</span><span>をよろしくお願いいたします。</span></p>
<p>　</p>
<p><!--EndFragment--></p>]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>NewsPicks/SPEEDAを運営する株式会社ユーザベースの山田聖裕さんに「ScanSnap iX100」でのEightへの名刺登録を体験していただきました。 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2015/03/scansnapix100-uservoice1.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2015:/blog//17.5763</id>

    <published>2015-03-10T01:00:00Z</published>
    <updated>2018-01-25T08:10:45Z</updated>

    <summary>『Eight』専用のスキャナ連携PCソフト「Eight scan」β版が、PFU...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="アップデートしました" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="ユーザー活用事例" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>『Eight』専用のスキャナ連携PCソフト「Eight scan」β版が、PFU社製パーソナルドキュメントスキャナ「ScanSnap」シリーズ「iX100」および「SV600」に対応しました。</p>

<p>この対応に先立ち、NewsPicks/SPEEDAを運営する株式会社ユーザベースの山田聖裕さんに「ScanSnap iX100」でのEightへの名刺登録を体験していただきました。</p>

<p><aside><strong>山田聖裕</strong><small>株式会社ユーザベース マーケティング クリエイティブ&amp;コミュニケーションチーム</small>
<p>
1982年福岡生まれ。2005年に株式会社はてなに入社。2015年、経済情報プラットフォーム「SPEEDA」と、経済情報に特化したニュース共有サービス「NewsPicks」を提供している株式会社ユーザベースに参画。同社にてマーケティング・PRを担当。
</p></aside></p>

<p><strong>──iX100×Eightのおすすめポイントを教えてください！</strong></p>

<p>iX100はとてもコンパクトで場所も取らないため、自宅や職場で愛用しています。これまではEightのiOSアプリで名刺を撮影していましたが、画質が粗かったり、名刺1枚撮影するたびにシャッター音が鳴ったりする点が気になっていました。iX100を使うと高解像度かつスピーディにスキャンしてくれるので、今回のiX100対応はとても嬉しいです。</p>

<p><figure>
<img src="https://bnl.media/uploads/user_img3.jpg"</figure></p>

<p><strong>──Eightの活用術・活用シーンを教えてください！</strong></p>

<p>お会いした方の名刺をすべてEightに登録しています。打ち合わせのあと、必ずEight登録するようにしているので記録漏れがありませんし、お会いした時期も振り返ることができます。</p>

<p>また登録している方であれば、名刺情報が変わることで転職されたことを知ることができます。Eightを使い始めたことで、これまでの自分の人脈を効率よく整理・検索・活用できるようになったのが嬉しいですね。</p>

<p><strong>──今後Eightに期待することは？</strong></p>

<p>名刺データのダウンロード機能がほしいとずっと思っていましたが、先日開始された「<a href="https://eight.zendesk.com/hc/ja/articles/210513526-Eight%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%9F%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%81%AE%E7%99%BB%E9%8C%B2%E6%96%B9%E6%B3%95">Eightプレミアム</a>」で対応されたので、機能的な要望はほぼなくなりました。今後はもっとたくさんの方が使うようになってくれると嬉しいです。期待しています！</p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2015/03/scansnapix100-uservoice2.html">
<h4>関連記事：ユーザーの声</h4>
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]]>
        
    </content>
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    <title>Eightのスキャナ連携ソフト「Eight scan」が、世界最速スキャナ「ScanSnap iX100」に対応。短時間で名刺を取り込めるように - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2015/03/150310.html.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2015:/blog//17.5736</id>

    <published>2015-03-10T01:00:00Z</published>
    <updated>2018-01-25T08:13:07Z</updated>

    <summary>「Eight scan」が、PFU社製「ScanSnap」シリーズ「iX100」と「SV600」に対応しました！</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>Eightのスキャナ連携ソフト「Eight scan β版」が、PFU社製スキャナ「ScanSnap」シリーズ「iX100」と「SV600」に対応しました。</p>

<p>Eight scanは、スキャナを使って名刺を登録できる、PC用のソフトウェアです。Webから無料でダウンロードでき、PCにインストールするだけでご利用いただけます。</p>

<p><font size="-2">※ 現在はPFU社製パーソナルドキュメントスキャナ「ScanSnap」シリーズにのみ対応しています。</font><br/>
<font size="-2">※ <a href="https://eight.zendesk.com/hc/ja/articles/210513526-Eight%E3%83%97%E3%83%AC%E3%83%9F%E3%82%A2%E3%83%A0%E3%81%AE%E7%99%BB%E9%8C%B2%E6%96%B9%E6%B3%95">Eightプレミアムユーザー</a>限定でご利用いただけます。</font></p>

<h2>「ScanSnap iX100」で、外出先でも名刺を高速スキャン</h2>

<p>対応した2機種のうち、特に「iX100」はバッテリーとWi-Fiを搭載し、PC・スマホ・タブレットにコードレスで接続できる、<strong>世界最速・最軽量</strong>のモバイルスキャナです。(※)</p>

<p><strong>2枚同時に</strong>高速でスキャンでき、名刺の取り込み時間が短縮されます。 <br />
簡単に持ち運べるので、リモートワークの方も、カフェやコワーキングスペースで空いた時間に作業できます。</p>

<p><font size="-2">※ バッテリー・Wi-Fi搭載A4シートフィードスキャナーにおいて、PFU調べ（2017年3月1日現在）</font></p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://bnl.media/2015/03/scansnapix100-uservoice1.html">
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<h2>「Eight scan β版」について</h2>

<p><strong>価格</strong> <br />
無料（スキャナは別売）</p>

<p><strong>対応 ScanSnap Manager</strong> <br />
ScanSnap Manager V5.1以降 (Windows) / ScanSnap Manager V3.2 (Mac専用) <br />
(動作確認機種：ScanSnap iX500 / iX100 / SV600)</p>

<p><strong>対応OS</strong> <br />
Windows：Windows 7 / Windows 8 / Windows 8.1 / Windows 10 (.NET Framework 3.5) <br />
Mac：Mac OS v10.10 Yosemite / OS X v10.11 El Capitan / macOS v10.12 Sierra</p>

<p>ダウンロードは<a href="https://contents.8card.net/dokodemo_scan/page/eightscan_dl.html">こちら</a>。</p>

<p><font size="-2">※ Eight scanのご利用には、名刺アプリEightへの<a href="https://8card.net">ユーザー登録</a>が必要です。</font><br/>
<font size="-2">※ ScanSnapの詳細に関しては<a href="http://scansnap.fujitsu.com/jp/">こちら</a>をご覧ください。</font></p>

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    <title>「Eightプレミアム」の提供を開始 ～名刺データのダウンロード、全項目データ化、優先データ化が可能に～ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2015/02/eight-902.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2015:/blog//17.5597</id>

    <published>2015-02-16T02:43:18Z</published>
    <updated>2019-09-30T03:02:58Z</updated>

    <summary>名刺情報のダウンロードなどが可能になる「Eightプレミアム」の提供を2015年2月より開始しました。</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="アップデートしました" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>※Eightプレミアムへの登録方法や疑問点については下記ヘルプをご覧下さい。</p>

<h5><a href= "https://eight.zendesk.com/hc/ja/articles/210513526/" target="_blank">■ Eightプレミアムの登録方法について</a> &nbsp;&nbsp;&nbsp;　 <a href= "https://eight.zendesk.com/hc/ja/sections/200730040/" target="_blank">■Eightプレミアムへの疑問点について</a></h5>

<p><br/>
これまで完全無料で全ての機能を提供していましたが、このたびリリースする新機能「Eightプレミアム」により、ユーザのみなさんから特に要望の高かった名刺情報をよりビジネスに活用いただくための機能を有料でオプション提供します。
データ入力項目の充実とスピードアップによりEightがより使いやすくなるほか、登録した名刺情報をダウンロードすることで年賀状の送付や営業リストの作成、メール一斉配信など活用の幅が大きく広がります。</p>

<h2>「Eightプレミアム」の詳細</h2>

<h3>■料金：月額480円または年額4,800円</h3>

<p>※購入時の金額は各アプリストアの為替レートにより変動する場合があります。</p>

<h3>■購入方法：EightのiPhone・Androidアプリからアプリ内課金で購入</h3>

<h3>■3つのプレミアム特典</h3>

<h4>1:自由に名刺データをダウンロード</h4>

<p>登録した名刺データを何度でも件数無制限でCSV形式ダウンロードできます。
ダウンロードしたデータは年賀状の宛名印刷やメールマガジンの配信、営業リストの作成、万が一のバックアップ等多様な利用が可能です。
<br/>※ダウンロードはPC版Eightから行います。 </p>

<h4>2:優先入力でデータ化スピードアップ</h4>

<p>通常ユーザに優先して約1/3のスピードで名刺データを入力します。
名刺交換した人へのお礼メールを速やかに手間なくEightから送ることができます。</p>

<h4>3:全項目をデータ入力</h4>

<p>名刺の表に記載された全項目をデータ入力の対象にします。
Eightにおける全項目とは会社名、氏名、電話番号、メールアドレス、部署・役職、郵便番号、住所、FAX番号、携帯電話番号、WebサイトURLです。 <br />
※無料でご利用の場合、データ入力の混み具合により入力項目の制限を行う場合があります。 <br />
※網羅性・正確性を保証するものではありません。空欄になることや、データに誤りが生じることがあります。</p>

<h2>過去の名刺も再入力するキャンペーン実施中</h2>

<p>プレミアムサービスでは、過去に登録した名刺データを入力し直すサービスを実施しています。（通常は1枚につき30円かかりますが、無料で実施中です） <br />
入力し直しにお申込み等は必要ございません。プレミアムにご登録いただければ、自動で入力し直しが始まります。 <br />
※過去に登録した名刺データの入力し直しは、「部署」「役職」「郵便番号」「住所」がすべて空である名刺を対象にしております。</p>
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    <title>カメラのキタムラ全国900店舗でEightの名刺スキャン代行サービスを開始 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2015/01/900eight.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2015:/blog//17.4722</id>

    <published>2015-01-19T01:00:02Z</published>
    <updated>2017-03-21T09:15:46Z</updated>

    <summary>「カメラのキタムラ」と提携して提供するEight専用の店舗預かり型名刺スキャン代行サービスの取り扱い店舗を、1月19日より全店900店舗で全国展開します。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h3>【名刺スキャン代行サービスについて】　</h3>

<p>「名刺スキャン代行サービス」は、ユーザーが名刺を店鋪に預けると、キタムラが店舗のスキャナを使い名刺のスキャン作業を代行するものです。
仕事でたまった名刺が一度に整理され、相手方の検索や連絡が手間なく簡単に行えるようになります</p>

<p>本サービスはキタムラ東京／日本橋店で2014年8月に開始した実験提供に続き、10月より展開した全国旗艦店でもご好評いただいた結果を受けこのたび全店900店舗に展開するもので、47都道府県全てで名刺スキャン代行サービスをご利用いただけるようになります。</p>

<h3>【サービス内容詳細】</h3>

<p>■名称 <br />
カメラのキタムラ　Eight 名刺スキャン代行サービス</p>

<p>■サービス内容 <br />
・スキャナを利用したEightへの名刺登録代行サービス <br />
利用者から名刺を預かり、Eightに取り込むためスキャン作業を代行します。 <br />
サービス料金（税抜き）は名刺300枚迄一律1800円で、以降１枚につき6円にて取込みます。</p>

<p>■実施店鋪 <br />
全国のカメラのキタムラ900店舗 <br />
※店舗の地図や詳細情報はカメラのキタムラWebサイトにてご確認いただけます。 <br />
<a href="http://sss.kitamura.jp/index.html" target="_blank">http://sss.kitamura.jp/index.html</a></p>

<h3>【提携の背景】</h3>

<p>Eightが行った独自調査では「名刺管理の必要性を感じるが、アプリを利用し続けていない」「名刺管理アプリは、毎回の撮影が面倒」という声も多く、より簡単に名刺を取込む体験が名刺管理アプリ普及の鍵の１つだと考えました。 <br />
そこで2014年３月より「たまった名刺を手間無く、手軽に、Eightに取込む環境を提供する」ことをコンセプトに、コワーキングスペースへのスキャナ設置、訪問型、郵送型など幅広い方法でどこでも簡単に名刺をEightに取り込める「どこでもスキャン計画」を開始。 <br />
 コワーキングスペースで取込まれた名刺は25万枚を超え、日々多くのユーザーに利用いただいています。  </p>

<p>「どこでもスキャン計画」公式サイト： <a href="https://contents.8card.net/dokodemo_scan/" target="_blank">https://contents.8card.net/dokodemo_scan/</a></p></p>
]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>Google Play 「2014年ベストアプリ」の受賞を記念し、プレゼントキャンペーンを実施！ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2014/12/post-28.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2014:/blog//17.4675</id>

    <published>2014-12-11T01:00:00Z</published>
    <updated>2014-12-29T02:49:34Z</updated>

    <summary>　 Eight がGoogle Play の「2014年ベストアプリ」を受賞した...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>　</p>
<p>Eight がGoogle Play の「2014年ベストアプリ」を受賞したことを記念し、Eightユーザを対象に抽選でScanSnapをプレゼントするキャンペーンを実施します。</p>
<p><br />今回の受賞は、Eightを周囲に広めてくださったみなさまのおかげです。<br />感謝の印として、Eight対応スキャナScanSnap iX500を抽選で3名様にプレゼントします。</p>
<p><span style="line-height: 1.62;"> </span></p>
<p style="font-style: bold;"><strong>■ScanSnap iX500とは？</strong></p>
<p>Eightに対応したスキャナで、1,000枚の名刺も瞬時に取り込める最強ツールです。<br />製品紹介ページはこちら<br /><span style="font-size: 1.1em; line-height: 1.8em;"><a href="http://scansnap.fujitsu.com/jp/product/ix500/" target="_blank">http://scansnap.fujitsu.com/jp/product/ix500/</a></span></p>
<p><span style="line-height: 1.62;"> </span></p>
<p><strong>■応募方法</strong></p>
<p><span>EightのiPhoneアプリ・Androidアプリからご応募いただけます。</span><br /><span>メニュー画面内「運営からのお知らせ」をご確認ください。</span></p>
<p><br />▼アプリのダウンロードはこちら<span>▼</span><br />下記のリンクでAppStore, GooglePlayにアクセスするか、「Eight」で検索してください。</p>
<p>AppStore:<a href="https://itunes.apple.com/jp/app/ming-ci-guan-liapurieight/id444423637?mt=8"> https://itunes.apple.com/jp/app/ming-ci-guan-liapurieight/id444423637?mt=8</a><br />GooglePlay: <a href="https://play.google.com/store/apps/details?id=net.eightcard">https://play.google.com/store/apps/details?id=net.eightcard</a></p>
<p><span> </span></p>
<p><strong> </strong></p>
<p style="font-style: bold;"><strong>■応募要項</strong></p>
<p>キャンペーンへの応募について、詳細は以下をご確認ください。<br />・応募期間： 2014年12月11日～12月25日迄</p>
<p></p>
<p>・賞品： ScanSnap iX500 3台</p>
<p>・当選資格：Eightユーザーであること</p>
<p>・当選発表<br />抽選後、当選された方には、Eightにご登録されているメールアドレス宛にご連絡いたします。<br />当選、落選についてのお問い合わせには回答できません。予めご了承ください。</p>
<p><span style="line-height: 1.62;"> </span></p>
<p><span style="line-height: 1.62;"> </span></p>]]>
        
    </content>
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    <title>Google Play が発表する「2014 年ベストアプリ」の1つにEightが選ばれました - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2014/12/google-play-2014-1eight.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2014:/blog//17.4669</id>

    <published>2014-12-04T10:57:26Z</published>
    <updated>2017-03-21T09:17:28Z</updated>

    <summary>EightがGoogle Play が発表する「2014 年ベストアプリ」の1つに選ばれました。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>｢2014 年ベストアプリ」は、今年日本で人気を集めたアプリやゲーム、書籍、映画およびテレビ番組を紹介する企画「ベスト オブ 2014」のアプリ部門です。
アプリ部門では、「SmartNews」「iQON」「マネーフォワード」など合計30アプリが選出されています。
2014年、たくさんのご支援をいただきありがとうございました。<br />今後も改善をすすめてまいります。2015年以降もどうぞよろしくお願いいたします</p>

<h4>■詳細はこちらでご覧いただけます【Google Japan Blog】</h4>

<p><a href="http://googlejapan.blogspot.jp/2014/12/google-play-2014.html" target="_blank"><span>Google Play ベスト オブ 2014 を発表しました</a></p>

<h4>■Eight</h4>

<p><a href="https://8card.net">Eight トップページ</a></p></p>
]]>
        
    </content>
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    <title>Eightがカメラのキタムラと本格提携！ 名刺スキャン代行サービスを23店舗に拡大 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2014/10/eight-900.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2014:/blog//17.4623</id>

    <published>2014-10-30T04:42:49Z</published>
    <updated>2017-03-21T09:18:32Z</updated>

    <summary>「カメラのキタムラ」と提携して提供するEight専用の店舗預かり型名刺スキャン代行サービスの取り扱い店舗を、10月30日より23店舗に拡大します。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<h3>【どこでもスキャン計画について】</h3>

<p>Eightでは、2014年４月に当社が行った「ビジネスパーソンの名刺管理アプリに対する意識調査」の結果から、より簡単に名刺を取込むことが名刺管理アプリ普及の鍵であることを認識しました。 <br />
そこで、「たまった名刺を手間無く、手軽に、Eightに取込む環境を提供する」ことをコンセプトに、コワーキングスペースへのスキャナ設置、訪問型、郵送型など幅広い方法でどこでも簡単に名刺をEightに取り込める環境作りを推進していく「どこでもスキャン計画」を開始しました。 <br />
コワーキングスペースにて取込まれた名刺は25万枚を超え、日々多くのユーザーに利用いただいています。</p>

<p>「どこでもスキャン計画」公式サイト： <a href="https://contents.8card.net/dokodemo_scan/" target="_blank">https://contents.8card.net/dokodemo_scan/</a></p></p>

<h3>【名刺スキャン代行サービスについて】　</h3>

<p>「名刺スキャン代行サービス」は、ユーザーが名刺を店鋪に預けると、カメラの販売・プリントサービスを行う「カメラのキタムラ」が名刺のスキャン作業を代行するものです。仕事でたまった名刺が一度に整理され、相手方の検索や連絡が手間なく簡単に行えるようになります。 <br />
2014年8月よりカメラのキタムラ東京／日本橋店で行った名刺スキャン代行サービス実験提供の好評を受けて、今回23店舗に拡大します。2015年度には全国900店舗での展開を目指します。 <br />
また、カメラのキタムラではスマートフォン販売時に希望者を対象にアプリのプリインストールサービスを実施していますが、このたびおすすめ無料アプリのメニューにEightが追加されました。</p>

<h3>【サービス内容詳細】</h3>

<p>■名称 <br />
カメラのキタムラ　Eight 名刺スキャン代行サービス</p>

<p>■サービス内容 <br />
・スキャナを利用したEightへの名刺登録代行サービス <br />
利用者から名刺を預かり、Eightに取り込むためスキャン作業を代行します。 <br />
サービス料金（税込み）は名刺300枚迄一律1800円で、以降１枚につき6円にて取込み実施します。  </p>

<p>■実施店鋪 <br />
東京／錦糸町店、東京／日本橋店、東京／玉川高島屋店、東京／赤坂店、新宿／西口店、東京／東京駅グランルーフフロント店、東京／羽村店、町田／鶴川店、多摩／多摩センター店、東京／渋谷店、藤沢／湘南台店、埼玉／坂戸店、藤枝／田沼店、浜松／柳通り店、大阪／梅田中古買取センター、大阪／あべのキューズモール店、大阪／なんばＣＩＴＹ店、高松／高松南店、博多／アミュエスト店、福岡／天神店、福岡／天神プリント館、那覇／新都心店、沖縄／北谷店</p>

<p>以上23店舗（順次拡大予定）
※店舗の地図や詳細情報はカメラのキタムラWebサイトにてご確認いただけます。 <br />
<a href="http://www.kitamura-print.com/data_conversion/business_card/" target="_blank">http://www.kitamura-print.com/data<em>conversion/business</em>card/</a></p>

<p><img src="/uploads/blog3.png" alt="blog3.png" title="" /></p>
]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>サービス名「Eight」の由来とは？ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2014/10/eight-49.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2014:/blog//17.4619</id>

    <published>2014-10-24T10:36:15Z</published>
    <updated>2017-03-21T09:19:06Z</updated>

    <summary>Eightの由来についてご説明いたします。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="コラム" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>2012年にサービスがスタートした名刺管理アプリEightですが、その名前の由来はずっと公開されないままでした。（ご説明する場がなかっただけ・・・） <br />
ご質問をいただくことも増えてきましたので、改めて「Eight」の由来をご紹介します。 <br />
理由は諸説あります！  </p>

<h3>1. 海外でも認知されやすい</h3>

<p>Eightはサービス開始当初から海外展開を視野に入れてきました。 <br />
そこで、いかにも日本的な名前ではなく、英語圏でも受け入れられる名前にしようと考え、どこでも馴染みがあるであろう数字を選びました。 <br />
中でも「8」は縁起がいい数字として選ばれました。  </p>

<h3>2. 無限大 [∞]に成長するサービス</h3>

<p>「8」は横向きにすると∞（無限大）に見えます。 <br />
無限大に大きく成長し、拡大し続けるサービスであるよう、願いを込めています。  </p>

<h3>3. 名刺交換してる腕の形</span><br />名刺交換を視覚的に捉えた命名でもあります。</h3>

<p>名刺交換をする時は、お互いに両手で名刺を差し出す形になると思います。 <br />
その名刺交換の場面を天井から見ると・・・「8」の形になります。 <br />
他にも、運営会社の社名に由来するという説もあります。 <br />
運営会社はSansan株式会社といいますが、数字にすると「33」、さらに片方をひっくり返してくっつけると「8」になります。  </p>

<p>おかげさまで、リリース以来Eightは成長を続けています。無限大に、海外に向かっても成長を続けていけるよう、引き続きサービスの改善に努めていきます。</p>
]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>名刺管理アプリEightの『どこでもスキャン計画-店舗スキャン編』 アクセアと共同で提供する店頭預かり型・名刺スキャンサービスの対応店舗を6カ所拡大し、計8店舗で提供開始。 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2014/09/eight--68.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2014:/blog//17.4587</id>

    <published>2014-09-04T05:48:43Z</published>
    <updated>2017-03-21T08:35:47Z</updated>

    <summary>2012年2月にサービスを開始した、名刺管理アプリEight は昨年ユーザー数5...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>2012年2月にサービスを開始した、名刺管理アプリEight は昨年ユーザー数50万人を突破。現在では日々約10万枚以上の名刺が撮影・データ化され、名刺管理の決定版として多くのビジネスパーソンが利用しているサービスに成長しました。</p>
<p class="ParaAttribute7"> </p>
<p class="ParaAttribute7">2014年3月17日からは、たまった名刺を手間無く、手軽にEight に取込む環境を提供することをコンセプトに「どこでもスキャン計画」を開始。現在まで首都圏を中心に22 ヶ所のコワーキングスペースや、シェアオフィスなどにEight専用高速スキャナを設置し、ユーザーが自身で簡単にEightに名刺を取込める環境を整備してきました。</p>
<p class="ParaAttribute7">　</p>
<p class="ParaAttribute7">本取組みの一環として、6月12日からは全国23店舗にてプリントショップを展開するアクセアと提携し、 自身で名刺を取込む時間がないビジネスパーソンでも店頭に名刺を持ち込むだけでEightに取込めるサービスも、新宿南口店、汐留シティセンター店にて開始しました。以来、2店舗で提供してきたサービスですが、同社でのスキャンサービスの満足度が高くリピート利用するユーザーもいることをうけ、追加で渋谷・赤坂見附・田町・大手町・横浜・梅田の6店舗でも展開することとなりました。</p>
<p class="ParaAttribute7"> </p>
<p class="ParaAttribute7"><b>【サービス利用イメージ】</b></p>
<p class="ParaAttribute7"><b> </b></p>
<p class="ParaAttribute7"><b><a href="/uploads/accea_riyou.png"><img alt="accea_riyou.png" src="/assets_c/2014/09/accea_riyou-thumb-900x427-7058.png" width="900" height="427" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a><br /></b></p>
<p class="ParaAttribute7">【サービス内容詳細】<br /> ■名称：アクセア　Eight 名刺スキャンサービス<br /> <br /> ■サービス内容：<br /> ・スキャナを利用したEightへの名刺登録代行サービス<br /> 利用者から名刺を預かり、Eightに取り込むためスキャン作業を代行します。<br /> <br /> ・取込み前の名刺の上下、表裏の整理を行う名刺整理サービス（オプション）<br /> 名刺の上下、表裏の整理など、スキャン前の準備作業を代行します。<br /> Eightでは、スキャナで取込まれた名刺の上下反転は自動で行いません、また名刺の表面のみがデータ化対象となります。そのため、利用者は、名刺を預ける前に名刺の上下、表裏を整理しておく必要があります。本サービスは、名刺の上下、表裏の整理作業を代行するもので、オプション利用金が発生します。</p>
<p class="ParaAttribute7"><br /> ■追加実施店舗：<b><br /> </b>渋谷店（並木橋）<br /> <a href="http://www.accea.co.jp/map/shibuyamap.html">http://www.accea.co.jp/map/shibuyamap.html</a><span style="text-decoration: underline;"></span></p>
<p class="ParaAttribute7"><br /> 赤坂見附店<br /> <a href="http://www.accea.co.jp/map/akasakamitsuke.html">http://www.accea.co.jp/map/akasakamitsuke.html</a></p>
<p class="ParaAttribute7"> </p>
<p class="ParaAttribute7">田町店</p>
<p class="ParaAttribute7"><a href="http://www.accea.co.jp/map/tamachimap.html">http://www.accea.co.jp/map/tamachimap.html</a></p>
<p class="ParaAttribute7"> </p>
<p class="ParaAttribute7">大手町店</p>
<p class="ParaAttribute7"><a href="http://www.accea.co.jp/map/otemachi.html">http://www.accea.co.jp/map/otemachi.html</a></p>
<p class="ParaAttribute7"> </p>
<p class="ParaAttribute7">横浜ランドマークタワー店</p>
<p class="ParaAttribute7"><a href="http://www.accea.co.jp/map/yokohamalm.html">http://www.accea.co.jp/map/yokohamalm.html</a></p>
<p class="ParaAttribute7"> </p>
<p class="ParaAttribute7">梅田店</p>
<p class="ParaAttribute7"><a href="http://www.accea.co.jp/map/umeda.html">http://www.accea.co.jp/map/umeda.html</a></p>
<p class="ParaAttribute7"><br /> <br /> ■金額：（税抜き）<br /> ・名刺登録代行サービス料金<br /> 名刺500枚迄一律2900円　以降1枚につき5円にて取込み実施<br /> ・名刺整理サービス（オプション）<br /> 名刺500枚迄一律1500円　以降1枚につき3円にて整理<br /> <br /> なお、本サービスを利用した場合でもEightは無料で利用することが可能です。<br /> <br /> 【今後の取り組みについて】</p>
<p class="ParaAttribute7">Eightでは、名刺管理アプリ利用の一番の障壁を"名刺の取込み作業"であると定義し、ユーザーがどこでも、簡単に名刺を取込む環境の普及に努めていきます。今後2年間でアクセアやその他の提携パートナーによる名刺スキャンサービス店舗を初めとして、ビジネスマンが立ち寄るカフェ等、全国2万カ所を目標にEight専用高速スキャナを配置してまいります。<b><br /></b></p>]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>Eightがカメラのキタムラと提携！ 全国900カ所を視野に店舗預かり型の名刺取込み代行サービスの展開を開始 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2014/08/kitamura.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2014:/blog//17.4541</id>

    <published>2014-08-13T05:58:18Z</published>
    <updated>2017-03-21T08:35:47Z</updated>

    <summary>　 Eightの「どこでもスキャン計画」の新展開として、全国900箇所にてカメラ...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>　</p>
<p>Eightの「どこでもスキャン計画」の新展開として、全国900箇所にてカメラの販売・プリントサービスを行う「カメラのキタムラ」と提携し、Eight専用の店舗預かり型・名刺スキャン代行サービスを開始します。</p>
<p><span style="line-height: 1.62;">　</span></p>
<p>Eightでは、2014年４月に当社が行った「ビジネスパーソンの名刺管理アプリに対する意識調査」の結果から、より簡単に名刺を取込むことが名刺管理アプリ普及の鍵であることを認識しました。<br /> そこで、「たまった名刺を手間無く、手軽に、Eightに取込む環境を提供する」ことをコンセプトに、コワーキングスペースへのスキャナ設置、訪問型、郵送型など幅広い方法でどこでも簡単に名刺をEightに取り込める環境作りを推進していく「どこでもスキャン計画」を開始しました。<br /> コワーキングスペースにて取込まれた名刺は25万枚を超え、日々多くのユーザーに利用いただいています</p>
<p>　</p>
<p>「どこでもスキャン計画」公式サイト： <span><a href="https://contents.8card.net/dokodemo_scan/" target="_blank">https://contents.8card.net/dokodemo_scan/</a></span></p>
<p>　</p>
<p>　</p>
<p>【実施概要】<br />「カメラのキタムラ」との提携では、店鋪預かり型の名刺スキャン代行サービスを実現します。ユーザーが名刺を店鋪に預けると、カメラのキタムラが名刺のスキャン作業を代行します。３日以内には名刺は返却可能となり、データはEightに取り込まれます。</p>
<p>これまで首都圏のみで展開していた名刺取込み代行サービスを、全国900カ所の店舗網を保持するカメラのキタムラと共同提供することで、日本全国で名刺をスキャンする環境を提供できると見込んでいます。<br /> 当初は、8月中旬からカメラのキタムラ日本橋店での実験提供を行い、9月以降順次主要都市に実施店鋪を拡大する予定です。</p>
<p>　</p>
<p>　</p>
<p>【今後の取り組みについて】<br /> Eightでは、名刺管理アプリ利用の一番の障壁を"名刺の取込み作業"であると定義し、ユーザーがどこでも、簡単に名刺を取込む環境の普及につとめます。<br /> 今回のカメラのキタムラの900店舗全てでの名刺取込み代行サービスの提供をはじめとし、今後２年以内に全国２万カ所にEight専用の名刺取込みスキャナを配置してまいります。<br /> 計画初年にあたる2014年は5,000カ所の設置完了をめざし、ビジネスパーソンが立ち寄るカフェや貸し会議室等に専用のスキャナを設置する予定です。また、アンバサダー制度を制定しユーザーのオフィス、飲食店等への専用スキャナの配布・展開を行うことを計画しております。</p>
<p>　</p>
<p>　</p>
<p>【サービス内容詳細】<br /> ■名称：<br /> カメラのキタムラ　Eight 名刺スキャン代行サービス<br /><br /> ■サービス内容：<br /> ・スキャナを利用したEightへの名刺登録代行サービス<br /> ・利用者から名刺を預かり、Eightに取り込むためスキャン作業を代行します。<br /> <br /> ■実施店鋪： <br /> ・2014年８月13日：<br /> カメラのキタムラ　東京・日本橋店<br /> 〒103-0022 東京都中央区日本橋室町４－２－１０<br /> TEL：03-3270-1051<br /><br /> ・2014年９月以降：<br /> 順次、主要都市実施店舗を拡大予定<br /><br /> ■金額：（税抜き）<br /> ・名刺登録代行サービス料金<br /> ・名刺300枚迄一律1800円。以降１枚につき6円にて取込み実施<br /><br /><br /><a href="/uploads/howto.png"><img alt="howto.png" src="/assets_c/2014/08/howto-thumb-800xauto-6904.png" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a> </p>
<p></p>
<p></p>
<p></p>
<p></p>
<p></p>
<p></p>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>名刺管理アプリEightの『どこでもスキャン計画』が日本5大都市に拡大！ 〜札幌・仙台・名古屋・大阪・福岡でも高速スキャナで名刺取込みが可能に〜 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2014/07/eight5-1.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2014:/blog//17.4512</id>

    <published>2014-07-30T04:03:30Z</published>
    <updated>2017-03-18T12:58:51Z</updated>

    <summary>2012年2月にサービスを開始した、名刺管理アプリEight は昨年ユーザー数5...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
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        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p class="ParaAttribute7">2012年2月にサービスを開始した、名刺管理アプリEight は昨年ユーザー数50万人を突破。現在では日々約10万枚の名刺が撮影・データ化され、名刺管理の決定版として多くのビジネスパーソンが利用しているサービスに成長しました。</p>
<p class="ParaAttribute7"> </p>
<p class="ParaAttribute7">2014年3月17日からは、たまった名刺を手間無く、手軽に、Eight に取込む環境を提供することをコンセプトに「どこでもスキャン計画」を開始。現在まで首都圏を中心に12 ヶ所のコワーキングスペースや、シェアオフィスなどにEight専用高速スキャナを設置しました。ユーザーは、スペースの利用料金を払うだけで、名刺をスキャンし、簡単にEightに取込むことができるようになりました。開催より多くのユーザーに利用され、コワーキングスペースで取込まれた名刺は累計25万枚に上ります。</p>
<p class="ParaAttribute7" align="right"> </p>
<p class="ParaAttribute7">今回、スキャナ設置の要望の声が多かった、札幌・仙台・名古屋・大阪・福岡に拠点を増やすことを皮切りに、日本全国でEightに簡単に名刺を取込める環境を整備します。これにより、名刺管理アプリ利用者の半数以上が抱える「毎回名刺を撮影するのが大変」（*）という課題を解決し、Eightを利用しやすい環境の拡大に努めます。</p>
<p class="ParaAttribute7"><b> </b></p>
<p class="ParaAttribute7"><b> </b></p>
<p class="ParaAttribute7"><b>【新規拠点一覧】</b></p>
<p class="ParaAttribute7"><b>■札幌</b></p>
<p class="ParaAttribute7"><b>・スキャンスペース（ </b><a href="http://jiguru.jp/"><b>http://jiguru.jp/</b></a><b> </b><b>）</b></p>
<p class="ParaAttribute7">電話番号：050-1328-2266</p>
<p class="ParaAttribute7">住所：北海道札幌市中央区南一条東6丁目2-12　松浦ビル307</p>
<p class="ParaAttribute7">最寄り駅：地下鉄東西線 バスセンター前駅  10番出口 徒歩20秒</p>
<p class="ParaAttribute7"><b> </b></p>
<p class="ParaAttribute7"><b>■仙台</b></p>
<p class="ParaAttribute7"><b>・ソシラボ（ </b><a href="http://socilabo.com/"><b>http://socilabo.com/</b></a><b> </b><b>）</b></p>
<p class="ParaAttribute7">電話番号：022-797-2551</p>
<p class="ParaAttribute7">住所：宮城県仙台市青葉区一番町2丁目2-8  IKIビル10F</p>
<p class="ParaAttribute7">最寄り駅：あおば通駅徒歩5分</p>
<p class="ParaAttribute7"><b> </b></p>
<p class="ParaAttribute7"><b>■名古屋</b></p>
<p class="ParaAttribute7"><b>・MYCAFE 名古屋駅前店（ </b><a href="http://www.nagoya-mycafe.com/"><b>http://www.nagoya-mycafe.com/</b></a><b> </b><b>）</b></p>
<p class="ParaAttribute7">電話番号：052-414-7752</p>
<p class="ParaAttribute7">住所：愛知県名古屋市中村区名駅4-26-10 名駅ファーストビル6F</p>
<p class="ParaAttribute7">最寄り駅：名古屋駅徒歩8分</p>
<p class="ParaAttribute7"><b> </b></p>
<p class="ParaAttribute7"><b>■大阪</b></p>
<p class="ParaAttribute7"><b>・D-SPOT-COM（ </b><b><a href="http://www.d-group.co.jp/d-spot-com/">http://www.d-group.co.jp/d-spot-com/</a></b><b> </b><b>）</b></p>
<p class="ParaAttribute7">電話番号：0120-982-696</p>
<p class="ParaAttribute7">住所：大阪市中央区南久宝寺町3-2-7  第一住建 南久宝寺町ビル  9階</p>
<p class="ParaAttribute7">最寄り駅：本町駅12番出口徒歩5分</p>
<p class="ParaAttribute7"><b> </b></p>
<p class="ParaAttribute7"><b>■福岡</b></p>
<p class="ParaAttribute7"><b>・ヨカラボ天神（ </b><a href="http://yokalab.jp/"><b>http://yokalab.jp/</b></a><b> </b><b>）</b></p>
<p class="ParaAttribute7">電話番号：092-781-5111</p>
<p class="ParaAttribute7">住所：福岡市中央区舞鶴1-1-1 小財ビル4F,5F（受付5F）</p>
<p class="ParaAttribute7">最寄り駅：福岡市地下鉄空港線「天神駅」出口から徒歩1分</p>
<p class="ParaAttribute7"><b> </b></p>
<p class="ParaAttribute7"><b> </b></p>
<p class="ParaAttribute7"><b>【今後の展望】</b></p>
<p class="ParaAttribute7">Eightではスキャナを設置するコワーキングスペースやシェアオフィスを、2014年中に全国50ヶ所に拡大していく予定です。同計画に賛同いただける施設を募集しており、募集要項を「どこでもスキャン計画」のホームページにて掲載しております。</p>
<p class="ParaAttribute7">「どこでもスキャン計画・コワーキング編」</p>
<p class="ParaAttribute7">（ <a href="https://contents.8card.net/dokodemo_scan/coworking/">https://contents.8card.net/dokodemo_scan/coworking/</a>）</p>
<p class="ParaAttribute7"> </p>
<p class="ParaAttribute7">（*）2014年3月、ビジネスマンの名刺管理アプリに関する意識調査を目的とし、全国のビジネスマン415名を対象に実施した「ビジネスマンの名刺管理アプリ意識調査 」で56.3%のビジネスマンが毎回名刺を撮影するのが大変と回答</p>
<p>URL： <a href="https://bnl.media/2014/140430.html">https://bnl.media/2014/140430.html</a></p>
<p class="ParaAttribute7"> </p>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>株式会社ＭＭ総研のサイトにてEightが紹介されました - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2014/07/eight-47.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2014:/blog//17.4491</id>

    <published>2014-07-07T09:28:57Z</published>
    <updated>2018-06-15T10:58:01Z</updated>

    <summary>株式会社ＭＭ総研のサイトにて、メールソフトとの連携機能が紹介されました。 　 　...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><span style="line-height: 1.62;"><br />株式会社ＭＭ総研のサイトにて、メールソフトとの連携機能が紹介されました。</span></p>
<p>　</p>
<p></p>
<p>　</p>
<p></p>
<p></p>
<p>　</p>
<p></p>
<p>■記事全文はこちらでご覧いただけます【株式会社ＭＭ総研】</p>
<p><a href="http://www.m2ri.jp/topics/main.php?id=020120140707700" target="_blank"><span>【ベンチャー】Sansan、個人向け名刺管理アプリEightとメールソフトの連携を強化</span></a><a href="http://www.m2ri.jp/topics/main.php?id=020120140707700"><br /></a></p>
<p></p>
<p>　</p>
<p>■Eight<a href="https://8card.net">サービスサイト</a></p>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>50万人が使う名刺管理アプリEightがメールソフトとの連携を強化  〜アドレスをクリックするだけで宛先の企業名、氏名をメール文面に自動挿入〜 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2014/07/50eight.html" />
    <id>tag:bnl.media,2014://125.8164</id>

    <published>2014-07-03T02:03:00Z</published>
    <updated>2017-03-21T09:26:59Z</updated>

    <summary>2012 年 2 月にサービスを開始した、名刺管理アプリ Eight は昨年ユー...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="アップデートしました" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>2012 年 2 月にサービスを開始した、名刺管理アプリ Eight は昨年ユーザー数 50 万人を突破。現在で<br />は日々約 10 万枚以上の名刺が撮影・データ化され、名刺管理アプリの決定版として多くのビジネスパ<br />ーソンが利用しているサービスに成長してきました。さらに現在ではスマートフォンでの利用にとどまら<br />ず、多くのユーザーが Eight をパソコンから利用するケースが増え、外出中のみならず幅広いシーンに<br />て利用されております。 <br /> <br />更に本日 2014 年 7 月 3 日より、PC 版 Eight と Outlook、Thunderbird などのメールクライアントとの連<br />携機能をリリースし、アドレスをクリックするだけでメールアドレスの自動設定や企業名、氏名等をメー<br />ル文面に予め挿入する機能を実現します。挿入する項目は、事前に会社名、部署名、役職名、氏名か<br />ら任意で設定が可能です。この機能を利用する事によりユーザーは紙の名刺からメールに必要な項目<br />を入力する必要がなくなり、毎回のメール作成の手間を減らすことができます。 <br /> <br />Eight では今後もスマートフォンアプリの機能実装だけでなく、PC 版においても機能強化を行い、より広<br />いビジネスシーンにてご利用頂けるサービスを目指します。<br /><br /><br /></p>
<p>【機能詳細】 <br />■対応メールソフトの種類 <br />--Outlook 2007, Thunderbird, Apple Mail など (UTF-8) <br />--Outlook XP, 2003, 2010, Becky! など (Shift-JIS) <br />--Lotus Notes など (ISO-2022-JP) <br />--Gmail, Google Apps <br />--その他メールソフト <br /> <br />■設定可能な挿入項目 <br />--会社名 <br />--部署名 <br />--役職名 <br />--名前 <br /> <br />■独自の署名設定 <br />Eight からメールソフトを起動する場合の署名を独自に設定することが可能です。</p>
<p><br /><br /><br /><span style="line-height: 1.62;">【設定手順】 </span></p>
<p><br />1.ページ上部の「今すぐ設定」をクリック</p>
<p><a href="/blog/uploads/picture1-1.png"><img alt="picture1-1.png" src="/blog/assets_c/2014/07/picture1-1-thumb-600xauto-6625.png" width="600" height="200" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p>2.使用するメールソフトを選択</p>
<p><a href="/blog/uploads/picture2.png"><img alt="picture2.png" src="/blog/assets_c/2014/07/picture2-thumb-600xauto-6626.png" width="600" height="425" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>
<p>3.メール生成時に自動挿入する内容を選択</p>
<p><a href="/blog/uploads/picture3.png"><img alt="picture3.png" src="/blog/assets_c/2014/07/picture3-thumb-600xauto-6629.png" width="600" height="422" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" /></a></p>]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>【事例紹介】お知り合いのオフィス移転をきっかけにメッセージを送る - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2014/06/post-27.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2014:/blog//17.4456</id>

    <published>2014-06-26T07:27:32Z</published>
    <updated>2014-06-26T08:22:21Z</updated>

    <summary>Eight運営者の一人に起こった、Eightのメッセージに関するエピソードをご紹...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><span style="line-height: 1.62;">Eight運営者の一人に起こった、Eightのメッセージに関するエピソードをご紹介します。</span></p>
<p>　</p>
<p><span>今年の3月、弊社がオフィスを表参道に移転してしばらくすると、もともと知り合いだった表参道の焼き鳥屋さんから</span><br /><span>「ご近所にいらっしゃったそうですね。ぜひ遊びに来てください！」</span><br /> <span>というEightのメッセージが届きました。</span></p>
<p><span> </span></p>
<p><span>送信者の焼き鳥屋さんとは、以前イベントでお会いして名刺を交換した後、Eightでつながっていたそうです。</span><br /><span>このEight事業部のメンバーは、オフィスの住所変更にともない名刺が新しくなったため、Eightで「最新のプロフィール名刺」を更新していました。</span><br /><span>名刺のデータ化が完了するとつながった相手に住所変更のお知らせが配信されます。</span></p>
<p><span>その住所変更通知を焼き鳥屋さんが見てご近所になったことに気付き、早速メッセージを送ってくださったそうです。</span></p>
<p><span> </span></p>
<p><span>Eightのメッセージをビジネスに活用していただいている！と社内で盛り上がり、次のEight事業部の歓送迎会をそのお店で開かせていただきました。</span></p>
<p><span style="line-height: 1.62;"> </span></p>
<p><span style="line-height: 1.62;">みなさんもEightメッセージを活用し、Eightユーザーのお知り合いと気軽に連絡をとってみてはいかがでしょうか？</span></p>]]>
        
    </content>
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    <title>スケジュール調整アプリ「Cu-hacker」と連携しました - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2014/06/cu-hacker.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2014:/blog//17.4444</id>

    <published>2014-06-19T01:17:37Z</published>
    <updated>2017-03-21T08:35:47Z</updated>

    <summary>　 Eightが、ビジネスの面倒なスケジュール調整を10倍速くするサービス「Cu...</summary>
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        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>　</p>
<p>Eightが、ビジネスの面倒なスケジュール調整を10倍速くするサービス「Cu-hacker」と連携しました。</p>
<p></p>
<p>　</p>
<p>Cu-hackerは、面倒なスケジュール調整をスマホで簡単にできるアプリです。</p>
<p>カレンダーの空き時間をタップするだけで日時をテキストにしてコピーすることができ、メールやLINE、Facebookに貼り付けて送信できます。</p>
<p>今回の連携で、Cu-hackerアプリからEightを立ちあげ、Eightメッセージでもスムーズにスケジュール調整ができるようになりました。</p>
<p></p>
<p>　</p>
<p>　</p>
<p>【使い方】</p>
<p>Cu-hackerのカレンダー表示で候補日時をタップしたら、Eightアイコンをタップするだけ。<br />テキスト化された候補日時がクリップボードにコピーされた状態で、Eightが立ち上がります。</p>
<p>　</p>
<p>あとは調整したい相手の名刺からメッセージを開き、候補日時をペーストしてください。</p>
<p></p>
<p>　</p>
<p><img alt="20140617165238.png" src="/assets_c/2014/06/20140617165238-thumb-autox585-6558.png" width="270" height="479" class="mt-image-right" style="float: center; margin: 0 0 20px 20px;" /></p>
<p></p>
<p></p>]]>
        
    </content>
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    <title>名刺管理アプリEightでついに名刺交換が可能に！ 新たな名刺交換のスタイルを提案 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2014/06/eight-44.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2014:/blog//17.4408</id>

    <published>2014-06-05T02:27:19Z</published>
    <updated>2017-03-21T08:36:26Z</updated>

    <summary>2012 年2月にサービスを開始した、名刺管理アプリEight は昨年ユーザー数...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p align="left">2012 年2月にサービスを開始した、名刺管理アプリEight は昨年ユーザー数 50 万人を突破。現在では日々約10万枚の名刺が撮影・データ化され、名刺管理の決定版として多くのビジネスパーソンが利用しているサービスに成長しました。</p>
<p align="left"> </p>
<p align="left">今回リリースする機能を使えばEightに入っている自分の名刺データを簡単に相手に送りあうことができるので、受け取った名刺を毎回撮影する手間をかけずに名刺を管理・活用することができます。</p>
<p align="left">弊社が実施した「ビジネスマンの名刺管理アプリ意識調査 」（*1）では56.3%の名刺管理アプリ利用者から毎回名刺を撮影するのが大変と回答しています。この課題を解決してアプリによる名刺管理を推進し、名刺管理アプリの決定版を目指します。</p>
<p align="left"> </p>
<p align="left">本と電子書籍や、お金と電子マネーなどアナログとデジタルが状況によって使い分けられ共存しているように、名刺交換においても時代にあった新たなスタイルを提案し、より多くの人がビジネスの出会いを資産に変えることのできるよう、サービスの成長に努めます。</p>
<p align="left"> </p>
<p align="left"> </p>
<p align="left">（*1 ）2014年3月、ビジネスマンの名刺管理アプリに関する意識調査を目的とし、全国のビジネスマン415名を対象に実施。</p>
<p align="left">URL：<a href="http://www.dreamnews.jp/press/0000092380/">http://www.dreamnews.jp/press/0000092380/</a></p>
<p align="left"> </p>
<p align="left"> </p>
<p align="left">■名刺交換（*2）のイメージ</p>
<p align="left">・iPhoneでの利用手順</p>
<p><b> </b></p>
<p>　　　　　（送信側）</p>
<p>　　　　　　　1. ホーム画面右上のアイコンをタップ　　　　　　　　　2. 送信先を選択</p>
<p>　　　　　　　　<a href="/assets_c/2014/06/iphone1-thumb-autox408-6419.png"><img alt="iphone1.pngのサムネイル画像" src="/assets_c/2014/06/iphone1-thumb-autox408-6419-thumb-230x408-6421.png" width="230" height="408" class="mt-image-none" /></a>　　　　　　　　　<a href="/assets_c/2014/06/iphone2-thumb-autox408-6422.png"><img alt="iphone2.pngのサムネイル画像" src="/assets_c/2014/06/iphone2-thumb-autox408-6422-thumb-230x408-6424.png" width="230" height="408" class="mt-image-none" /></a></p>
<p><a href="/uploads/iphone2.png"> </a></p>
<p>　　　　　（受信側）</p>
<p>　　　　　　　　3. 画面右下のinfoアイコンをタップ　　　　　　　　　4. 名刺情報を確認し「開く」をタップ</p>
<p>　　　　　　　　<a href="/uploads/iphone3.png"><img alt="iphone3.png" src="/assets_c/2014/06/iphone3-thumb-autox408-6427.png" width="230" height="408" class="mt-image-none" /></a>　　　　　　　　　<a href="/uploads/iphone4.png"><img alt="iphone4.png" src="/assets_c/2014/06/iphone4-thumb-autox408-6429.png" width="230" height="408" class="mt-image-none" /></a></p>
<p><br /><br /></p>
<p align="left">・Androidでの利用手順</p>
<p align="left"> </p>
<p align="left">　　　　　　（送信側）</p>
<p align="left">　　　　　　　　1. 名刺送信をタップ　　　　　　　　　　　　　　　　2. 相手のスマホにタッチ</p>
<p align="left">　　　　　　　　<a href="/uploads/android1.png"><img alt="android1.png" src="/assets_c/2014/06/android1-thumb-autox408-6431.png" width="230" height="408" class="mt-image-none" /></a>　　　　　　　　　<a href="/uploads/android2.png"><img alt="android2.png" src="/assets_c/2014/06/android2-thumb-autox408-6433.png" width="230" height="408" class="mt-image-none" /></a></p>
<p align="left"><br /><br /></p>
<p align="left">　　　　（受信側）</p>
<p align="left">　　　　　　相手の名刺を確認し「受け取る」をタップ</p>
<p align="left"> </p>
<p align="left"> </p>
<p align="left">（*2）iPhoneはAirdrop対応端末、AndroidはNFC対応端末のみ名刺交換可能。また現時点ではiPhoneとAndroidでの名刺交換はできません。</p>]]>
        
    </content>
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    <title>Eightの【どこでもスキャン計画】、横浜、幕張、さいたま、熊本にエリアを拡大し全国展開を開始！ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2014/05/eight-43.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2014:/blog//17.4333</id>

    <published>2014-05-29T04:03:00Z</published>
    <updated>2016-11-02T07:19:13Z</updated>

    <summary>2012年2月にサービスを開始した、名刺管理アプリEight は昨年ユーザー数5...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p class="ParaAttribute7">2012年2月にサービスを開始した、名刺管理アプリEight は昨年ユーザー数50万人を突破。現在では日々約10万枚の名刺が撮影・データ化され、名刺管理の決定版として多くのビジネスパーソンが利用しているサービスに成長しました。</p>
<p class="ParaAttribute7"> </p>
<p class="ParaAttribute7">2014年3月17日からは、たまった名刺を手間無く、手軽に、Eight に取込む環境を提供することをコンセプトに「どこでもスキャン計画」を開始し、現在まで都内８ヶ所のコワーキングスペースや、シェアオフィスにEight専用高速スキャナを設置しております。今回、初めて東京以外の、横浜・幕張・さいたま・熊本にエリアを拡大し、全国展開を開始いたします。</p>
<p class="ParaAttribute7"> </p>
<p class="ParaAttribute7">本サービスの全国展開によって、名刺管理アプリ利用者の半数以上が抱える「毎回名刺を撮影するのが大変」（*）という課題を解決し、アプリによる名刺管理をしやすい環境を広めることで、より多くの人が"ビジネスの出会いを資産に変える" ことができるよう努めます。</p>
<p class="ParaAttribute7"> </p>
<p class="ParaAttribute7">（*）2014年3月、ビジネスマンの名刺管理アプリに関する意識調査を目的とし、全国のビジネスマン415名を対象に実施した「ビジネスマンの名刺管理アプリ意識調査 」で56.3%のビジネスマンが毎回名刺を撮影するのが大変と回答</p>
<p class="ParaAttribute7">URL： <a href="http://www.dreamnews.jp/press/0000092380/">http://www.dreamnews.jp/press/0000092380/</a></p>
<p class="ParaAttribute7"> </p>
<p class="ParaAttribute7"> </p>
<p class="ParaAttribute7">【新規拠点一覧】</p>
<p class="ParaAttribute7">・横浜ビジネスポート（ <a href="http://www.mtg-mbp.co.jp/office_yokohama/">http://www.mtg-mbp.co.jp/office_yokohama/</a> ）</p>
<p class="ParaAttribute7">電話番号：045-227-4230</p>
<p class="ParaAttribute7">住所：神奈川県横浜市中区日本大通7日本大通7ビル 4Ｆ</p>
<p class="ParaAttribute7">最寄り駅：日本大通り駅徒歩2分</p>
<p class="ParaAttribute7"> </p>
<p class="ParaAttribute7">・幕張ビジネスポート（ <a href="http://www.mtg-mbp.co.jp/office_makuhari/">http://www.mtg-mbp.co.jp/office_makuhari/</a> ）</p>
<p class="ParaAttribute7">電話番号：043-296-2341</p>
<p class="ParaAttribute7">住所：千葉県千葉市美浜区中瀬1-3幕張テクノガーデンCB棟3階</p>
<p class="ParaAttribute7">最寄り駅：海浜幕張駅徒歩2分</p>
<p class="ParaAttribute7"> </p>
<p class="ParaAttribute7">・7F（ <a href="http://office7f.com/">http://office7f.com/</a> ）</p>
<p class="ParaAttribute7">電話番号：048-729-5197</p>
<p class="ParaAttribute7">住所：埼玉県さいたま市大宮区宮町1-5 銀座ビル7F</p>
<p class="ParaAttribute7">最寄り駅：大宮駅東口徒歩1分</p>
<p class="ParaAttribute7"> </p>
<p class="ParaAttribute7">・クロッカスコワーキングスペース（ <a href="http://mama-shigoto.net/">http://mama-shigoto.net/</a> ）</p>
<p class="ParaAttribute7">電話番号：096-221-1517</p>
<p class="ParaAttribute7">住所：熊本県熊本市中央区出水7丁目9-7 103号</p>
<p class="ParaAttribute7"> </p>
<p class="ParaAttribute7"> </p>
<p class="ParaAttribute7">【今後の展望】</p>
<p class="ParaAttribute7">Eightでは2014年中にスキャナ設置拠点を全国50ヶ所に拡大していく予定です。同計画に賛同するコワーキングスペースや、シェアオフィス等も募集しており、募集要項を「どこでもスキャン計画」のホームページにて掲載しております。</p>
<p class="ParaAttribute7"> </p>
<p class="ParaAttribute7">「どこでもスキャン計画・コワーキング編」</p>
<p class="ParaAttribute7">（ <a href="https://contents.8card.net/dokodemo_scan/coworking/">https://contents.8card.net/dokodemo_scan/coworking/</a>）</p>]]>
        
    </content>
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    <title>PC版の機能拡張のお知らせ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2014/04/pc-1.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2014:/blog//17.4272</id>

    <published>2014-04-23T04:00:34Z</published>
    <updated>2014-04-23T02:45:09Z</updated>

    <summary>PC版Eightにメッセージとニュース通知機能が追加されました。 これにより、業...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="アップデートしました" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>PC版Eightにメッセージとニュース通知機能が追加されました。</p>
<p><br /><br /></p>
<p>これにより、業務中などでもリアルタイムなコミュニケーションがとれるようになりました。</p>
<p>「転職・異動情報の通知をきっかけに、メッセージ機能を使って連絡する」 という利用方法など、名刺を基点としたコミュニケーションを体験していただきたいと思います。</p>
<p><br /><br /></p>
<p>今後も「ビジネスのつながりを資産に変える」というコンセプトのもと、名刺を基点としたコミュニケーションを促進していきます。</p>]]>
        
    </content>
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    <title>Eight の【どこでもスキャン計画】、春の新生活に向けて対象店鋪を都内８カ所に拡大 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2014/04/eight-910.html" />
    <id>tag:bnl.media,2014://125.8167</id>

    <published>2014-04-09T05:10:52Z</published>
    <updated>2017-03-21T09:31:25Z</updated>

    <summary>　2012 年2月にサービスを開始した、名刺管理アプリEight は昨年ユーザー...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="どこでもスキャン計画" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>　2012 年2月にサービスを開始した、名刺管理アプリEight は昨年ユーザー数 50 万人を突破。現在では1日7万枚以上の名刺が撮影・データ化され、名刺管理の決定版として多くのビジネスパーソンが利用しているサービスに成長しました。 <br /><br />　2014 年3月 17 日からは、たまった名刺を手間無く、手軽に、Eight に取込む環境を提供することをコンセプトに<strong>「<a href="https://contents.8card.net/dokodemo_scan/" target="_blank">どこでもスキャン計画</a>」</strong>を開始。渋谷のコワーキングスペース・訪問型スキャン代行サービス・郵送型スキャン代行サービスを提供するパートナーの協力のもと、高速スキャナを用いて、どこでも簡単に名刺を Eight に取り込める環境作りを推進してまいりました。</p>
<p>　特にコワーキングスペースでの名刺取込みについては、利用者アンケートにて、98.3%もの方が今後も使いたいと回答し、「わざわざ休日にスキャンをするために渋谷まで来ている」という声もあり、需要の高さを感じております。 <br /><br /><br />　そこでこのたび既存 5 拠点での継続実施、並びに3拠点増設を行い、<strong>計8カ所での設置に拡大</strong>することを決定しました。増設場所についても、銀座、日本橋、お台場と利用者が都内どこにいてもスキャン可能となるよう、幅広い地域に拡大いたしました。</p>
<p><br />　Eight では今後も<strong>「<a href="https://contents.8card.net/dokodemo_scan/" target="_blank">どこでもスキャン計画</a>」</strong>を通し、ユーザーがより簡単に名刺をスキャンし、スムーズに名刺を管理できる仕組みを整備して参ります。2014 年中全国 50 カ所以上の展開を目標としており、 計画に参加を希望するパートナーを募集しております。 <br /><br /><br /> <strong>【増設店舗について】</strong>50 音順 <br /> 名称　Clip ニホンバシ （<a href="http://www.clip-tokyo.com/" target="_blank">http://www.clip-tokyo.com/</a>）<br />住所　東京都中央区日本橋室町 3 丁目 3-3 CMビル 6F<br />最寄り駅　東京メトロ銀座線「三越前」駅 徒歩1分<br /> 電話番号　03-6316-3130<br /> 運営会社　三井不動産株式会社 <br /> 開始日　4月 16 日より提供開始 <br /><br /><br /> 名称　beez 銀座店 （<a href="http://beez.co/ginza/" target="_blank">http://beez.co/ginza/</a>）<br /> 住所　東京都中央区銀座 2-4-19 <br /> 最寄り駅　有楽町線「銀座一丁目」駅 徒歩2分 電話番号 03-5579-9678<br /> 運営会社　株式会社ビーズ<br /> 開始日　4月9日より利用可能 <br /> <br /><br />名称　コワーキングスペース MONO（<a href="http://mono.jpn.com/" target="_blank">http://mono.jpn.com/</a>）<br />住所　東京都 江東区青海 2-5-10 テレコムセンター東棟 14 階<br />最寄り駅　ゆりかもめ「テレコムセンター」駅直結<br /> 電話番号　03-6426-0955<br /> 運営会社　後藤建築事務所株式会社<br /> 開始日　4月9日より提供開始 <br /> <br /><br /><strong>【継続実施拠点について】</strong><br /> 以下5拠点は本年3月 31 日までだった提供期限を、9月 30 日まで延長して実施します。 <br /> <br />●渋谷<br /> -LightningSpot（<a href="http://lightningspot.com/" target="_blank">http://lightningspot.com/</a>）<br /> -Connecting the Dots（<a href="http://dots.bz/" target="_blank">http://dots.bz/</a>）<br /> -beez 渋谷店（<a href="http://beez.co/shibuya/" target="_blank">http://beez.co/shibuya/</a>）<br /> -JELLY JELLY CAFE （<a href="http://jellyjellycafe.com/" target="_blank">http://jellyjellycafe.com/</a>） <br /> <br />●天王洲アイル<br /> -Samurai Startup Island（<a href="http://www.samurai-startupisland.asia/" target="_blank">http://www.samurai-startupisland.asia/</a>）</p>
<p></p>
<p>■本件についての問合せ先<br /> Sansan 株式会社 Eight 事業部 担当:日比谷（ヒビヤ）<br /> TEL:03-6821-0033 FAX:03-5211-4478<br />メール: pr_eight@8card.net</p>]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>ブログにてEightのデータ化について紹介されました - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2014/04/eight-38.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2014:/blog//17.4216</id>

    <published>2014-04-03T13:45:23Z</published>
    <updated>2018-06-15T10:58:48Z</updated>

    <summary>Eightユーザーさんの「みやしまブログ」にてEightのデータ化について紹介さ...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><span style="line-height: 1.62;"><br />Eightユーザーさんの「みやしまブログ」にてEightのデータ化について紹介されました。</span></p>
<p>　</p>
<p>Eight広報がお渡しした、クッキーでできた名刺をEightに登録いただきました。割れてしまった状態だったようですが、人手で入力するため無事データ化された、とのレポートです。</p>
<p></p>
<p>　</p>
<p></p>
<p></p>
<p>　</p>
<p></p>
<p>■ブログ記事全文はこちらでご覧いただけます【みやしまブログ】<br /><a href="http://akiko0523.com/blog/2014/04/03/eight_sugoi/"><span>名刺管理アプリ「Eight」がすごかったお話</span></a><a href="http://akiko0523.com/blog/2014/04/03/eight_sugoi/"><br /></a></p>
<p></p>
<p>　</p>
<p>■Eight<a href="https://8card.net">サービスサイト</a></p>]]>
        
    </content>
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<entry>
    <title>Eightの【どこでもスキャン計画】がスタート。パートナーと共同で、たまった名刺を手軽にEightに取込むサービスを展開します - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2014/03/eighteight-1.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2014:/blog//17.4140</id>

    <published>2014-03-18T04:00:00Z</published>
    <updated>2016-11-02T07:19:13Z</updated>

    <summary>　Eightは、2014年３月18日より、「たまった名刺をデータ化、名刺管理サー...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
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        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="どこでもスキャン計画" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>　Eightは、2014年３月18日より、「たまった名刺をデータ化、名刺管理サービスEightのどこでもスキャン計画」をスタートします。コワーキングスペースへのスキャナ設置、訪問型、郵送型など幅広い方法で名刺スキャンの環境を提供し、ユーザ体験の向上を目指します。</p>
<p><br /><br /></p>
<p>2012年２月にサービスを開始した、名刺管理アプリEightは昨年ユーザー数50万人を突破。現在では１日７万枚以上の名刺が撮影・データ化され、名刺管理の決定版として多くのビジネスパーソンが利用しているサービスに成長しました。<br /><br /> 　今回開始する「どこでもスキャン計画」はサービスを提供する中でユーザーのみなさま から寄せられた、「名刺が多すぎて１枚ずつ撮影するのは大変」という意見よりヒントを得て実施する計画です。サービス開始時より多く寄せられた意見です が、2014年に入り同様の意見が届く回数は２倍近くに増加しました。これは、サービスを本格的に利用したいユーザーが増えた現れであると受けとめ、みな さまの声に応えるべく今回の計画を実施することになりました。<br /><br /> <strong><br /><br /></strong> <strong>■どこでもスキャン計画について</strong><br /> 　どこでもスキャン計画は、「たまった名刺を手間無く、手軽に、Eightに取込む環境を提供する」ことをコンセプトとして展開します。<br /> 　コワーキングスペース・訪問型スキャン代行サービス・郵送型スキャン代行サービスを提供するパートナーの協力のもと、高速スキャナを用い て、どこでも簡単に名刺をEightに取り込める環境作りを推進していきます。本計画で提供されるサービスを利用する場合でも、Eightは継続して無料 で利用可能。スキャン代行の代金をパートナー各社に支払うだけで、ユーザーは面倒な名刺撮影から解放されます。なお、当計画は期間限定のキャンペーンでは なく、常態的に利用できるサービスとして提供されます。<br /> <strong><br /></strong> 　　<a href="https://contents.8card.net/dokodemo_scan/" target="_blank"><strong>どこでもスキャン計画 公式サイト：https://contents.8card.net/dokodemo_scan/</strong></a><br /> <strong><br /><br /></strong> <strong>【コワーキングスペース】</strong><strong> </strong><br />渋谷 の人気コワーキングスペース４拠点と協力しEight専用PC・高速スキャナを設置しています。名刺を持参し、設置してあるスキャナを使うと、まとめて大 量の名刺をデータ化することができます。本コワーキングスペースでの名刺スキャン企画は昨年から試験的に取り組んでおり、利用者の94.8%の人がまた利 用したいと回答しています。（http://www.dreamnews.jp/press/0000086456/）<br /> <strong><br /><br /></strong> <strong>【訪問型スキャン代行サービス】 </strong><br /> 日本初の訪問型スキャン代行サービスの協力を得て、どこでも、いつでも名刺をデータ化することができるようになりました。オフィスや自宅、名刺を保管してある所に時間を指定するとスキャンスタッフが訪問し、名刺をEightに登録します。<br /> <strong><br /></strong> <br /><strong>【郵送型スキャン代行サービス】</strong><br /> 名刺を郵送するだけでEightに名刺が取込まれデータ化することができます。Webから申し込みをすると、専用の名刺取り込みパックが送付され、名刺を詰め込んで返送するだけで、名刺をEightに登録します。<br /> <strong><br /><br /></strong> <strong>■今後の予定</strong><br /> どこでもスキャン計画では、2014年中に全国50カ所以上の展開を目標としており、全国規模でのスキャン場所の充実を目指します。既に渋谷以外の都内のコワーキングスペース、並びに全国主要都市のコワーキングスペースへの展開計画がすすんでおりますが、更に協力を頂けるコワーキングスペースを募集しております。なおコワーキングスペース以外にも同計画に協力可能なパートナーを募集しております。</p>
<p><br /><br /></p>
<p><strong>■本件についての問合せ先</strong><br /> Sansan株式会社　Eight事業部　担当：日比谷（ヒビヤ）<br /> <strong>TEL：03-6821-0033 FAX：03-5211-4478 メール: pr_eight@8card.net</strong></p>]]>
        
    </content>
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    <title>【アプリアップデートのお知らせ】名刺登録時のリクエストメール送信について - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2014/01/post-19.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2014:/blog//17.4017</id>

    <published>2014-01-05T23:00:00Z</published>
    <updated>2014-02-14T06:14:35Z</updated>

    <summary>　 いつもEightをご利用いただきありがとうございます。Eightアプリをアッ...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="アップデートしました" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>　</p>
<p>いつもEightをご利用いただきありがとうございます。<br />Eightアプリをアップデートしましたのでご案内します。</p>
<p>　</p>
<hr />
<p>Eightは「名刺をビジネスのつながりに変える」をコンセプトにしており、登録した名刺のうちEightユーザーでない方に対して、 "名刺交換のリクエストメール"を送信する機能があります。</p>
<p>旧バージョンでは、リクエストメールの送信が標準でオンになっていましたが、間違えてメールを送信してしまうという声もあり、 今回のアップデートでデフォルトの送信設定をオフにいたしました。オンにする場合には、設定メニューから変更できます。</p>
<p>なお、"名刺交換のリクエストメール"は"招待メール"に名称が変わります。</p>
<p>　</p>]]>
        
    </content>
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    <title>Eight、利用者数50万人&amp;登録名刺枚数1000万枚を突破!! - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2013/12/eight1000.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2013:/blog//17.3998</id>

    <published>2013-12-19T01:00:00Z</published>
    <updated>2017-03-18T13:02:07Z</updated>

    <summary>　Sansan株式会社　(本社：東京都千代田区、代表取締役社長　寺田親弘　以下：...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
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        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>　Sansan株式会社　(本社：東京都千代田区、代表取締役社長　寺田親弘　以下：Sansan）は、名刺管理アプリ「Eight(エイト)」の利用者数が、2013年12月16日時点で50万人を突破したことを発表します。</p>
<hr />
<p><br /><strong>　</strong>Eightは「名刺をビジネスのつながりに変える」をコンセプトとした新しい名刺管理アプリです。<br />　スマートフォンのカメラで撮影するだけで、名刺の情報が正確にデータ化されます。保存された名刺情報はスマートフォンやPC により、どこからでもアクセスできるので、必要な時に相手にすぐ連絡できるようになります。Eightを使えば、交換したその名刺が、ビジネスで活用できる"つながり"に変わります。</p>
<p></p>
<p><img alt="Eight50million.png" src="/uploads/Eight50million.png" class="mt-image-center" style="text-align: center; display: block; margin: 0 auto 20px;" height="390" width="560" /></p>
<p><br />　Eightは、2012年2月28日のリリース以降多くの方に利用され、 このたび、利用者数が50万人を突破し、登録された名刺が1000万枚を突破したことを発表いたします。<br /><br /></p>
<p>　今後は、機能拡充や各種キャンペンの展開により一層の普及を目指すとともに、提供する価値の向上に努めてまいります。</p>
<p><br /><br /></p>]]>
        
    </content>
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    <title>メッセージ機能リリースのお知らせ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2013/11/post-17.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2013:/blog//17.3930</id>

    <published>2013-11-21T03:37:14Z</published>
    <updated>2017-03-18T13:02:07Z</updated>

    <summary>　 Eightのアプリで、メッセージのやりとりができるようになりました。 　 　...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="アップデートしました" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>　</p>
<p>Eightのアプリで<span style="line-height: 1.62;">、メッセージのやりとりができるようになりました。</span></p>
<p>　</p>
<p>　</p>
<p>メッセージ機能は、Eightでつながった(名刺交換した)ユーザー同士で、チャットのような短いメッセージをやりとりできる機能です。<br />メッセージを受信すると、アプリからのnotificationとしてリアルタイムでメッセージが表示され、スピーディーにコミュニケーションを取ることができます。</p>
<p><br />　</p>
<p>電話やメールより気軽に、リアルタイムで。</p>
<p>ビジネスにおける新しいコミュニケーション手段として、ぜひご活用ください。</p>
<p></p>
<p><br />　</p>
<p>★メッセージ機能は最新版の<span style="line-height: 1.62;">iPhoneアプリとAndroidアプリで</span><span style="line-height: 1.62;">ご利用いただけます。</span></p>
<p>アプリストアにて「Eight」で検索いただくか、下記のリンクからダウンロードしてください。</p>
<p>AppStore: <a href="https://itunes.apple.com/jp/app/ming-ci-guan-liapurieight/id444423637?mt=8">https://itunes.apple.com/jp/app/ming-ci-guan-liapurieight/id444423637?mt=8</a></p>
<p>GooglePlay: <a href="https://play.google.com/store/apps/details?id=net.eightcard">https://play.google.com/store/apps/details?id=net.eightcard</a><strong style="font-size: 1.4em; line-height: 1.2;"> </strong></p>
<p style="margin: 40px 0 0 0;"><strong style="font-size: 1.4em; line-height: 1.62;">■メッセージ機能の使い方</strong></p>
<p style="margin: 40px 0 0 0;">メッセージは、名刺の詳細画面かニュースの画面から送ることができます。</p>
<div class="clearfix" style="line-height: 1.8em; margin: 10px 0 0 0;">
<p><img alt="eight_msg_icon.png" src="/uploads/eight_msg_icon.png" width="280" height="280" class="mt-image-right" style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" /><br /> <strong>1. 名刺の詳細画面から</strong></p>
<p>Eightでつながった相手であれば、名刺の詳細画面の右上にメッセージのアイコンが表示されます。<br />タップしてメッセージを送りましょう。<br /><br /></p>
<p><span style="line-height: 1.62;"> </span></p>
</div>
<div class="clearfix" style="line-height: 1.8em; margin: 10px 0 0 0;">
<p><strong><img alt="eight_msg_news.png" src="/uploads/eight_msg_news.png" width="280" height="280" class="mt-image-right" style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" />2. ニュースの画面から</strong></p>
<p>Eightでつながったお知り合いの名刺情報が変わるとニュースが届きます。</p>
<p>このニュース画面に表示されるメッセージボタンから送信いただけます。</p>
<p>　</p>
<p>昇進祝いのメッセージなどを送ってみましょう。</p>
<p>　</p>
</div>
<div>
<p></p>
<a name="stores"><p>★メッセージ機能は最新版の<span>iPhoneアプリとAndroidアプリで</span><span>ご利用いただけます。</span></p></a>
<p>アプリストアにて「Eight」で検索いただくか、下記のリンクからダウンロードしてください。</p>
<p>AppStore: <a href="https://itunes.apple.com/jp/app/ming-ci-guan-liapurieight/id444423637?mt=8">https://itunes.apple.com/jp/app/ming-ci-guan-liapurieight/id444423637?mt=8</a></p>
<p>GooglePlay: <a href="https://play.google.com/store/apps/details?id=net.eightcard">https://play.google.com/store/apps/details?id=net.eightcard</a><strong> </strong></p>
</div>]]>
        
    </content>
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    <title>0.5秒も惜しいからEightを使い始めた──レバレッジコンサルティング・本田直之の活用術 - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2013/09/eight805eight.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2013:/blog//17.3832</id>

    <published>2013-09-24T00:05:00Z</published>
    <updated>2017-04-05T06:56:06Z</updated>

    <summary>『あたらしい働き方』を上梓された本田直之さん。『あたらしい働き方』の中で弊社Sansanについて取りあげてくださったご縁で、これまで『レバレッジ人脈術』等の書籍で人脈の大切さを語っている本田さんにお話を伺いました。</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="ユーザー活用事例" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><aside><strong>本田直之</strong><small>レバレッジコンサルティング株式会社代表取締役社長兼CEO</small>
<p>シティバンクなどの外資系企業を経て､バックスグループの経営に参画し､常務取締役としてJASDAQへの上場に導く｡現在は､日米のベンチャｰ企業への投資事業を行うと同時に､少ない労力で多くの成果をあげるためのレバレッジマネジメントのアドバイスを行っている｡著書に、レバレッジシリーズをはじめ、25万部を越えるベストセラーとなった『Less is More　自由に生きるために、幸せについて考えてみた。』『パーソナル・マーケティング』『あたらしい働き方』などがあり、著書は累計200万部を突破。韓国、台湾、中国で翻訳版も発売されている。</p></aside></p>

<h2>名刺管理はしないで捨てる。「やってもムダ」とあきらめていた</h2>

<p><strong>──著書『レバレッジ人脈術』のなかで「名刺管理はしないで捨てる」と書いてありましたね。</strong></p>

<p>そうなんです。実は今までいろんな方法を試したのですが、ダメだったんです。スキャンをとるのは面倒だし、時間がかかりすぎるし、OCRの読み込みも正確でもないし。特に正確性の問題。名刺の取り込みでは、97%が正確でも、3%が違っていたらダメだと思うんです。</p>

<p><strong>──間違っているところを探して修正するのも面倒ですしね。</strong></p>

<p>そう。Eightはビジネスパートナーが興奮して勧めるし、Sansanさんを取材をさせてもらったから使ってみましたが、最初は懐疑的でした。でも使ってみたらEightは写真を撮れば良いだけだから非常に楽。しかも正確。データを手入力していると知って驚きました。</p>

<p>ぼくが必要な名刺の情報は名前、会社名、役職名とメールアドレス。住所は必要ありません。Eightでは一度写真を撮ってしまえば、ぼくが必要な情報はすべて入力してもらえます。</p>

<p><strong>──受け取った名刺はすべてEightに取り込んでいますか？　『レバレッジ人脈術』に、名刺はメディア関係者、金融機関等、特定の職業の人のみとっておいて山にして管理していると書いてありましたが。</strong></p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="https://www.amazon.co.jp/dp/4478002754" target="_blank"><img src="/uploads/201308_Honda_leverage.jpg" width="150">
<div class="info"><strong>『レバレッジ人脈術』</strong>
<p>本田直之著。「人脈づくりこそ最強の投資」と主張する本田直之がその人脈術を公開。最小の労力で関わった人のすべてが最大の成果を生むという『レバレッジ人脈術』の具体的な方法が紹介されている。</p>
</div>

<p></a></div></p>

<p>いまももらったもの全部をEightに入力している訳ではないです。メールアドレスやFacebookだけで十分な人もいますし、ぼくもそうですが名刺を持ち歩かない人もいますし。</p>

<p>ただ、メディア関係者など、部署名や肩書きが変わりやすい人の場合はメールアドレスだけになると困ることがあります。Facebookも基本的には親しい人だけと繋がっていますし。また、海外の人、たとえば著名なシェフに取材することがありますが、Facebookは完全にプライベート利用にしていたり、Facebookをやっていない方もいます。</p>

<p>そういったとき、連絡先がメールだけになるとよくわからなくなってしまうので、Eightに取り込みます。出会う人が多いので、Facebookと連動して顔がわかるのも、Eightが気に入っているところに一つです。</p>

<p><strong>──Eightを使いこなしていらっしゃいますね。本田さんはラベル付けの機能を使っていると伺いましたが、どんなラベル付けをしていますか？</strong></p>

<p>全部の名刺につけているわけではないですが使っています。「メディア」「飲食」「海外（国別）」などのラベルの他に、講演先を整理するための「地域」ラベル、「ワイン関係者」ラベルなどで分類しています。また、海外での取材はカメラマンを手配することがありますが、そのための「PHOTO」ラベルもあります。</p>

<h2>時間効率を考えてもEightは許容範囲</h2>

<p><strong>──著著『あたらしい働き方』のなかで、今後のあたらしい働き方をするために必要なスキルの一つとして「時間効率がハイレベル」ということがありました。この点、Eightはどうですか？</strong></p>

<div class="round-box fr fb blue"><a href="http://www.amazon.co.jp/dp/4478023808" target="_blank"><img src="/uploads/201308_Honda_workstyle_.jpg" width="150">
<div class="info"><strong>『あたらしい働き方』</strong>
<p>本田直之著。パタゴニア、ザッポス、エバーノート等のアメリカの企業や、Plan ・do・see、 ワークスコーポレーション、Sansanなどの日本の先進企業20社あまりを取材。いま世界で生まれつつある「古い価値観や常識に縛られない新しい働き方」とは何なのか、また今後どんな働き方をしていくべきかを探った書籍。</p>
</div>

<p></a></div></p>

<p>名刺をもらったらすぐに写真を撮って管理できるので、効率的ですね。写真を撮ったらその場で名刺をお返しすることもあります。捨てる手間が省けますし、印刷にお金がかかっていそうな高級な名刺だった場合にはすぐに捨ててしまったら申し訳ないですし。経営者の友達も、同じようにEightに取り込んだら返していましたよ。非常にスムーズにデータ化ができて手間が省けるのが良いですね。</p>

<p>こういうサービスは、少しでも面倒だと思われるようなものだったら使われなくなってしまうと思います。0.5秒でも時間がかかったらダメ。秘書でもいれば別かもしれないけれど、自分にとってはiPhoneが秘書。めんどくさいものはできないです。</p>

<p><strong>──Eightで他にほしい機能はありますか？</strong></p>

<p>有料でもよいのでラベル付けを一括でできるような機能があればいいですね。こういうのがあると、使い勝手が良くなりますね。今、ぼくの名刺管理はEight一本なので、どんどん使い勝手が良くなるとうれしいです。</p>

<hr />

<h2>本田さんの人脈術まとめ</h2>

<ul>
<li>・メディア関係者など、部署名や肩書きが変わりやすい人やFacebookでつながれない人はEightで名刺を管理</li>
<li>・名刺は用途や交換した機会別に分類して管理</li>
<li>・名刺のデータ化は、会ったその場でEightで撮影。その場で、名刺を返してしまう場合もあり</li>
<li>・良い仲間を作っていく上で、何かの会を主催するということが大切</li>
</ul>
]]>
        
    </content>
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    <title>一時的なデータ化項目変更のお知らせ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2013/07/post.html" />
    <id>tag:bnl.media,2013://125.8176</id>

    <published>2013-07-01T08:14:52Z</published>
    <updated>2017-03-26T13:16:08Z</updated>

    <summary>いつもEightをご利用いただきありがとうございます。　 6/24(月)のリニュ...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>いつもEightをご利用いただきありがとうございます。　</p>
<p>6/24(月)のリニューアル以降、新規ユーザー登録及びそれに伴う名刺の登録枚数が急激に増加しており、結果として一部の名刺において、データ化までに長い時間を要するケースが発生しております。　</p>
<p>就いては、一時的にデータ化項目を変更し、データ化速度を改善いたします。変更後のデータ化対象は以下の通りです。</p>
<h2>■プロフィール名刺</h2>
<p>引き続き名刺記載の全項目をデータ化をいたします。　</p>
<h2>■プロフィール名刺以外の名刺</h2>
<p>データ化項目は以下の4項目に一時的に変更します。</p>
<ul>
<li>・氏名</li>
<li>・会社名</li>
<li>・メールアドレス</li>
<li>・電話番号</li>
</ul>
<p><br />※状況が改善次第、全項目入力に戻します。また、その際には、今回4項目で入力した名刺についても、あわせて全項目で入力し直す予定です。</p>
<p>ご不便をおかけしますが、ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。</p>
<p>　</p>]]>
        
    </content>
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    <title>メンテナンスに伴うサーバー停止のお知らせ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2013/06/post-13.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2013:/blog//17.3560</id>

    <published>2013-06-28T01:29:05Z</published>
    <updated>2013-07-05T02:11:54Z</updated>

    <summary>いつもEightをご利用いただきありがとうございます。 この度、メンテナンスのた...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
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        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>いつもEightをご利用いただきありがとうございます。</p>
<p></p>
<p>この度、メンテナンスのため下記の日時でEightのサーバーを停止させていただきます。</p>
<p>　</p>
<p></p>
<p>■停止日時</p>
<h2><span style="color: #000080;">2013年6月29日(土) AM2:00～AM5:00</span></h2>
<p></p>
<p></p>
<p>　</p>
<p>サーバーメンテナンス中もスマートフォンアプリから名刺の参照は可能ですが、アプリでの名刺の追加・編集機能や、Web版はご利用いただけません。</p>
<p><br />ユーザーの皆様にはご迷惑をおかけいたしますが、ご理解いただきますようよろしくお願い申し上げます。<br />今後ともEightをよろしくお願いいたします。</p>
<p></p>]]>
        
    </content>
</entry>

<entry>
    <title>名刺管理アプリEightが使いやすく生まれ変わりました - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2013/06/eight-14.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2013:/blog//17.3318</id>

    <published>2013-06-23T16:00:00Z</published>
    <updated>2017-03-18T13:02:06Z</updated>

    <summary> 6月24日(月)に、使いやすくなった新しいEightをリリースいたしました。 ...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="アップデートしました" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<div style="font-size: 1.2em;">
<p>6月24日(月)に、使いやすくなった新しいEightをリリースいたしました。<br /> </p>
<p><br />新バージョンのコンセプトは</p>
<h3><br /><span style="color: #1376bf; font-size: 1.5em;"><strong>名刺を「ためる」アプリから名刺を「使う」アプリへ</strong></span></h3>
<p><br />これは、2012年2月28日のリリース以来、ユーザーの皆様からいただいたご要望を整理する中で至ったコンセプトです。</p>
<p><br />いただいたご意見を整理すると、名刺を撮影してデータ化・蓄積する面にはご満足いただいているものの、登録して情報を活用する場面において物足りなさを感じていることを知ることができました。</p>
<p>そこで今回、皆様の声を反映し、「使う」名刺管理アプリとしての新しいEightを作り上げました。</p>
<p></p>
<p><br />このコンセプトに基づき、名刺を使うために不足していた機能を強化し、使う際にさらに便利で心地よい機能を追加しています。</p>
<p></p>
<p>それでは、皆様のご要望が反映された新しいEightについて詳しくご紹介いたします。</p>
<p></p>
<p><br />★新バージョンのダウンロードは、AppStore または GooglePlay でどうぞ。<br />「Eight」で検索いただくか、下記のリンクをご利用ください。</p>
<p>AppStore: <a href="https://itunes.apple.com/jp/app/ming-ci-guan-liapurieight/id444423637?mt=8">https://itunes.apple.com/jp/app/ming-ci-guan-liapurieight/id444423637?mt=8</a></p>
<p>GooglePlay: <a href="https://play.google.com/store/apps/details?id=net.eightcard">https://play.google.com/store/apps/details?id=net.eightcard</a></p>
</div>
<p style="font-size: 1.4em; font-style: bold; margin: 40px 0 0 0;"><strong>■新しいEightの特長</strong></p>
<div class="clearfix" style="font-size: 1.2em; line-height: 1.8em; margin: 10px 0 0 0;">
<p style="font-style: bold;"><img alt="release624_blog_item.png" src="/uploads/release624_blog_item.png" width="280" height="280" class="mt-image-right" style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" /><br /> <strong>1. 名刺の全項目をデータ化</strong></p>
<p>今後は、住所や携帯番号など、名刺の情報を"すべて"データ化します。<br />部門の電話番号などの連絡先もデータ化されるため、誰にでもEightから連絡できるようになります。<br /><br /></p>
<p><span style="line-height: 1.62;"> </span></p>
</div>
<div class="clearfix" style="font-size: 1.2em; line-height: 1.8em; margin: 10px 0 0 0;">
<p><img alt="release624_blog_reception.png" src="/uploads/release624_blog_reception.png" width="280" height="280" class="mt-image-right" style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" /><strong> 2. オフラインでも使える</strong></p>
<p>電波の届かない場所でもEightを利用できるようになりました。<br />外出中、地下鉄で急いで名刺情報を確認したい時にも、電波を気にせずご利用いただけます。<br />※最新の情報を利用するために、定期的に「サーバーと同期」されるようになります。</p>
</div>
<div class="clearfix" style="font-size: 1.2em; line-height: 1.8em; margin: 10px 0 0 0;">
<p><img alt="release624_blog_comdetail.png" src="/uploads/release624_blog_comdetail.png" width="280" height="280" class="mt-image-right" style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" /><strong>3. 名刺に業種、業態の情報をプラス</strong></p>
<p>「人材紹介」や「広告代理事業」など会社の業種や業態を表すキーワードを自動で補完します。交流会などで一度にたくさん名刺を交換した時、誰がどんな会社の人だったか思い出せないときも、Eightがあれば安心です。<br />名刺をEightに登録さえしておけば、キーワードを見て確認することができます。</p>
</div>
<div class="clearfix" style="font-size: 1.2em; line-height: 1.8em; margin: 0 0 0 0;">
<p><strong></strong><span style="font-size: 1.2em; line-height: 1.8em;"></span></p>
<br />
<div class="clearfix">
<p><img alt="release624_blog_top.png" src="/uploads/release624_blog_top.png" width="280" height="300" class="mt-image-right" style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" /><strong>4. お好みの画像をカバー写真として設定</strong></p>
<p>お好きな写真をEight<span style="line-height: 1.62;">アプリのTOPやプロフィール名刺の背景として設定できるようになりました。</span></p>
<p>Eightでつながる(名刺を交換する)と、名刺の背景画面として相手のカバー写真を見ることができます。</p>
<p>Eightをお気に入りの見た目でお楽しみください。</p>
</div>
<div class="clearfix">
<p><img alt="release624_blog_search01.png" src="/uploads/release624_blog_search01.png" width="280" height="280" class="mt-image-right" style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" /><strong>5. インデックス検索で素早く名刺を確認</strong></p>
<p>名刺の一覧画面には、右端に頭文字のインデックスが表示されます。</p>
<p>会社名・氏名・名刺交換日での表示順切り替えも簡単です。</p>
<p>文字を打ち込んで検索することもなく、素早くお探しの名刺を確認することができます。</p>
<p></p>
</div>
<div class="clearfix">
<p><img alt="release624_blog_label.png" src="/uploads/release624_blog_label.png" width="280" height="300" class="mt-image-right" style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" /><strong>6. ラベルで名刺を<strong>探しやすくグルーピング</strong></strong></p>
<p>ラベル(旧タグ)は、名刺をグルーピングして管理するのに便利です。</p>
<p>新バージョンではスマートフォンアプリでもラベルを管理できるので、いつでも名刺を整理して、探しやすい状態に保つことができます。</p>
<p>例えば名刺を交換したイベント名などでラベリングしておくと便利です。</p>
<p></p>
</div>
<div class="clearfix">
<p><strong><img alt="release624_blog_search02.png" src="/uploads/release624_blog_search02.png" width="280" height="280" class="mt-image-right" style="float: right; margin: 0 0 20px 20px;" />7. 充実の検索機能</strong></p>
<p>検索機能が進化し、名刺が見つけやすくなりました。</p>
<p>新バージョンでは、会社名、氏名、部署名、役職名、emailアドレスが検索の対象になっています。</p>
<p>会社名も氏名も思い出せないときでも、部署名などを頼りに名刺を見つけ出すことができます。</p>
</div>
</div>
<div class="clearfix" style="font-size: 1.2em; line-height: 1.8em; margin: 10px 0 0 0;">
<p><img alt="release624_blog_PC.png" src="/uploads/release624_blog_PC.png" width="450" height="400" class="mt-image-right" style="float: right; margin: 0 0 20px 0;" /><strong>8. web版のデザインも一新</strong></p>
<p>web版のデザインも使いやすく変わりました。</p>
<p>外出先でもデスクでも、快適に名刺を管理し、活用することができます。</p>
<p></p>
</div>
<div class="clearfix" style="font-size: 1.2em; line-height: 1.8em; margin: 10px 0 0 0;">
<p>名刺をデータ化して「ためる」だけではなく、連絡を取る時などに「使う」ためのアプリとして、ぜひ新しくなったEightをご活用ください。</p>
<p><br />★新バージョンのダウンロードは、AppStore または GooglePlay でどうぞ。<br />「Eight」で検索するか、下記のリンクをご利用ください。</p>
<p>AppStore:<a href="https://itunes.apple.com/jp/app/ming-ci-guan-liapurieight/id444423637?mt=8"> https://itunes.apple.com/jp/app/ming-ci-guan-liapurieight/id444423637?mt=8</a></p>
<p>GooglePlay: <a href="https://play.google.com/store/apps/details?id=net.eightcard">https://play.google.com/store/apps/details?id=net.eightcard</a></p>
<p></p>
<p><br />★新しい機能・デザインについて、率直なご意見をいただけると幸いです。<br />投稿先は<a href="https://8card.net/voices">こちら</a></p>
</div>]]>
        
    </content>
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    <title>Eightの新バージョンリリースのお知らせ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2013/06/eight-912.html" />
    <id>tag:bnl.media,2013://125.8179</id>

    <published>2013-06-19T01:05:50Z</published>
    <updated>2017-03-21T09:45:37Z</updated>

    <summary> 来る6月24日(月)にEightの新しいバージョンをリリースいたします。 この...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="アップデートしました" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<div style="font-size: 1.2em; line-height: 1.8em;">
<p><br />来る6月24日(月)にEightの新しいバージョンをリリースいたします。</p>
<p></p>
<p><span>このブログでは新しいバージョンの開発コンセプト、ならびにアップデートにともなうサービス停止についてお知らせします。</span></p>
<br />
<h2 style="font-size: 1.4em; font-style: bold; margin: 40px 0 0 0;">■新バージョンのコンセプト</h2>
<p><br /><span style="color: #1376bf; font-size: 1.5em;"><strong>名刺を「ためる」アプリから名刺を「使う」アプリへ</strong></span></p>
<p></p>
<p>2012年2月28日のリリースから約<span style="line-height: 1.62;">1年半が経ち、おかげさまでユーザー数は20万人を突破しました。</span></p>
<p><span style="line-height: 1.62;"><span>この間、Eightの機能やデザインについて、たくさんのフィードバックを頂くこともできました。</span><br /><span>ご協力くださった皆様、誠にありがとうございます。</span></span></p>
<p></p>
<p><span style="line-height: 1.62;"><span>いただいた意見を整理すると、名刺を撮影してデータ化・蓄積する面にはご満足いただいているものの、</span><br /><span>登録した情報を活用する場面において物足りなさを感じていることを知ることができました。</span><br /><br /><span>そこで今回皆様の声を反映し、「使う」名刺管理アプリとしての新しいEightを作り上げました。</span><br /><span>進化したEightに、ぜひご期待ください。</span></span></p>
<br />
<p style="font-size: 1.4em; font-style: bold; margin: 40px 0 0 0;">■サービス停止予定期間</p>
<p><span style="line-height: 1.62;"><br />サービスのアップデートにともない、下記の期間はサービスを停止させていただきます。</span></p>
<h3 align="center"><br /><span style="color: #1376bf; font-size: 1.7em;"><strong>6/22(土)0:00 - 6/24(月)7:00　　　　　</strong></span></h3>
<p></p>
<p><strong><span style="line-height: 1.62;"><br /><br /><br />※注意事項</span></strong></p>
<p><span style="line-height: 1.62;">上記の期間中は、スマートフォンアプリもWebアプリもご利用いただけません。</span></p>
<p><span style="line-height: 1.62;">また、サービスが停止する直前に、撮影したままサーバーに送信していない状態の画像は、新バージョンにて利用することができません。サービス停止期間までにサーバーへの送信を完了させていただきますようお願い申し上げます。</span></p>
</div>]]>
        
    </content>
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    <title>新リンク機能リリースのお知らせ - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2013/01/post-11.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2013:/blog//17.2705</id>

    <published>2013-01-16T01:00:00Z</published>
    <updated>2017-03-18T13:02:06Z</updated>

    <summary>1月22日(火)に新リンク機能をリリース致しますので、ご案内申し上げます。Eig...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
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        <category term="アップデートしました" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p>1月22日(火)に新リンク機能をリリース致しますので、ご案内申し上げます。<br /><br />Eightは「つなげて育つ名刺帳」をコンセプトとしております。<br />この新機能は、Eightのコンセプトを、より具体化するものであり、育つ（＝リンクする）名刺帳のメリットを皆様に体感頂ければ幸いです。<br /><br /><br />＜リンクについて＞<br /><br />（現行機能）<br />他のEightユーザーがあなたの名刺を取込むと、リンクのリクエストが届きます。リクエストを承諾するとリンクし、あなたの名刺帳に相手の名刺が登録されます。<br /><br />（新機能）<br />他のEightユーザーがあなたの名刺を取込むと、自動的にリンクしあなたの名刺帳に相手の名刺が登録されます。<br /><br /><br /><a href="/uploads/20130115135848.png"></a><img alt="新リンク機能.png" src="/uploads/20130115191028.png" class="mt-image-none" /></p><br />
<p></p>
<p>名刺交換した相手があなたの名刺をEightに登録した場合、現行の機能ではあなたにリクエストが届き、そのリクエストを承認することで相手の名刺が追加されていました。</p>
<p></p>
<p></p>
<p>今回の新機能リリースにより、あなたが何も作業をしなくても、出会った相手の名刺があなたの名刺帳に追加されることになります。</p>
<p></p><br />
<p>※1 新リンク機能リリースにあわせて、既存の承認待ちとなっているリクエストについても上記条件を満たすものはリンクします。</p>
<p>※2 リンクを解除したい場合は登録した名刺を削除してください。</p>
<p><br /><br /></p>
<p>本機能は、一度面識ができた相手の名刺管理をより手間なく実現するためのものです。</p>
<p>誰かが登録したあなたの名刺が、あなたのプロフィール名刺と異なる名刺であるとシステムで判断した場合、あなたの承認なくリンクすることはありません。</p>
<p></p>
<p></p>
<p>また、相手が既にEightユーザーの場合に限り提供される機能であり、ユーザーでない相手へのリクエストメールとは関係ございません。</p>
<p></p><br /><br />
<p><img alt="リンクしない場合.png" src="/uploads/20130115191140.png" class="mt-image-none" /></p>
<p><br /><br /></p>
<p></p>
<p>育つ名刺帳のEightを、今後ともよろしくお願いいたします。</p>]]>
        
    </content>
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    <title>スキャナ連携ソフト「Eight scan」のβ版を無償で提供開始しました - BNL（Business Network Lab）</title>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="https://bnl.media/2012/09/2012/120925.html.html" />
    <id>tag:contents.8card.net,2012:/blog//17.983</id>

    <published>2012-09-25T01:58:00Z</published>
    <updated>2017-03-18T13:02:05Z</updated>

    <summary>Eight scanの最新版はこちら 最新版は、Eightが実施する「どこでもス...</summary>
    <author>
        <name>Business Network Lab</name>
        <uri>https://bnl.media/</uri>
    </author>
    
        <category term="Eightのお知らせ" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
        <category term="アップデートしました" scheme="http://www.sixapart.com/ns/types#category" />
    
    
    <content type="html" xml:lang="ja" xml:base="https://bnl.media/">
        <![CDATA[<p><span size="6" style="font-size: 300%;"><strong><big><a href="https://contents.8card.net/dokodemo_scan/page/eightscan.html" target="_blank">Eight scanの最新版はこちら</a></big></strong></span></p>
<p>最新版は、Eightが実施する「どこでもスキャン計画」のサイトから取得いただけます。 どこでもスキャン計画は「手元の名刺が多すぎて、1枚ずつスマホで撮影するのは大変」という声に応えるため立ち上がった計画で、手間なくたくさんの名刺をEightに取り込む方法を紹介しています。</p>
<p><br /><br /><br /></p>
<center>
<p><img alt="Eight Scan _blog_rev.png" class="mt-image-none" src="/uploads/Eight%20Scan%20_blog_rev.png" /></p>
</center>
<p></p>
<hr />
<p></p>
<p><strong><big>スキャナを利用して名刺をEightに登録できる連携ソフト「Eight scan」 のβ版を、本日より無償で提供開始いたしました。<br /><br /></big></strong></p>
<p align="left"></p>
<p align="left">▽無償ダウンロードは下記URLからどうぞ▽</p>
<p><ins><a href="https://8card.net/scanners">https://8card.net/scanners</a></ins></p>
<p></p>
<p></p>
<h3 style="color: red;"><span style="font-size: 110%;">*「Eight scan」β版 のダウンロード・ご利用には、名刺管理アプリEightへのユーザー登録が必要です。</span></h3>
<p>まだ登録がお済みでない方は、 <ins><a href="https://8card.net/registration">こちら</a></ins> からお願いいたします。</p>
<p></p>
<p></p>
<p></p>
<h3><big>■<strong>「Eight scan」β版について</strong></big></h3>
<p>Eight scanはご利用のパソコンにインストールすることで、スキャナからEightに名刺を登録できるソフトウェアです。</p>
<p></p>
<p>登録された名刺はスマートフォンから撮影した名刺同様、オペレータの手入力によって正確にデータ化され、Eightのスマートフォンアプリ、PC版からアクセスできます。</p>
<p></p>
<p>Eight scanの登場によりユーザーは名刺の登録にかかる手間を大幅に削減することが可能となり、より簡単に自身のビジネスネットワークを管理、活用することが可能になります。</p>
<p></p>
<p></p>
<p></p>
<h3><big>■</big><strong><big>「Eight scan」β版 システム要件</big>　　　</strong></h3>
<p align="left">　Eight scanのβ版は現在PFU社製ScanSnapでの利用のみサポートしています。</p>
<p align="left">下記の要件をご確認いただいた上でご利用ください。</p>
<p align="left"></p>
<p align="left">-対応 ScanSnap Manager</p>
<p align="left">ScanSnap Manager V5.1以降（Windows）/ ScanSnap Manager V3.2（Mac専用）</p>
<p align="left">（動作確認機種：ScanSnap S1500, S500,iX500）</p>
<p align="left">-対応OS</p>
<p align="left">Windows：Windows XP SP2/Windows Vista/7(.NET Framework2.0以上)</p>
<p>Mac：Mac OS X v10.6 Snow Leopard/v10.7 Lion/v10.8 Mountain Lion</p>
<p></p>
<p></p>
<p></p>
<p>ぜひダウンロードいただき、ご活用ください！</p>
<p></p>
<p align="left">▽無償ダウンロードはこちらから▽</p>
<p><a href="https://8card.net/scanners">https://8card.net/scanners</a></p>
<p></p>]]>
        
    </content>
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