横石崇の「自己紹介2.1」

リモートワーク。どうやって自分をアピールすればいいかわからない問題━━連載:横石崇の「自己紹介2.1」Vol.5

オンライン上で自分のことをどう伝えるべきかと悩んだら、「自己紹介の目的」に立ち戻ってみるといい。「自分を知り、相手との未来を築いていく」こと。その目的さえ果たせていれば、オンラインでもオフラインでも、自己紹介に正解なんてないのだ。

コロナの影響もあり、少し間が空いてしまったが、連載を再開することになった。みなさんはいかがお過ごしだっただろうか。

僕は人と対面する機会がすっかりなくなり、自己紹介をする機会もめっきり減ってしまった。ただ、今年の春から大学教員をやることになったこともあり、もっぱらオンライン授業に勤しむ日々だった。

期せずして、全国一斉にオンライン授業が始まったわけだが、僕はどこの先生よりも遠隔授業を楽しんだ一人であろう。学内からも「今期ナンバーワンの遠隔白熱教室だ」と騒がれた。学生たちに向かって遠隔で教えることがこんなにもグルーブ感を感じるものだとは思いもしなかったし、なんなら来年以降もオンライン授業専門の教員でありたいぐらいだ。ちなみに、そのコツはこちらにまとめてあるのでよかったら読んでみてほしい。

とはいえ、オンライン授業にはトラブルがつきものだ。ある授業では、講師が入室する前にZoomの参加上限数に達してしまい、授業を開始しようにも講師が入れなかった、という笑い話もある。僕の授業でもそんなトラブルはしょっちゅうあった。授業中にパソコンのカメラをオンにしてもらうと、ベッドに横たわったカップルの男女が肩を寄せ合って授業に参加してくれていることもあった。

EXILE風の彼 「大学のオンライン授業ってどんな感じなんだよ?」

BLACKPINK風の彼女 「なんかよくわからないけど、いっかい一緒に見てみてよ」

EXILE風の彼 「どれどれ、なんか冴えなそうな先生だけど見てやるか・・・こいつ、おもしろなっ!」

そんな感じかどうかはわからないが、男女が肩寄せあって、大学の授業に出席できる時代になったのは歓迎するべきことだ。なんてニューノーマルな世界。コロナは教室の壁を溶かしたわけだ。教える方にも自然と力が入る。

他にも「いつも母親と一緒に授業に参加しています」「ペットの犬が先生の声を聞くと鳴きます」なんてことも言われたりして、もはや家族やペット、親戚もろとも一族総出で楽しんでもらえるなら教師としても本望である。

そんなこんなで、オンラインを駆使していると、生徒たちからリモートネイティブ世代ならではの自己紹介や自己PRについての悩みや相談を受ける。「オンラインでどうやって自分をアピールすればいいかわからない」「オンラインだと理路整然とした話を求められて苦痛」「リアルのときのように上手くいかない」などなど。

自己紹介に決まりもなければ、正解もない。ニューノーマルというよりもノーノーマルな時代である。オンラインであれオフラインであれ、自分を知り、相手との未来を築いていくことが自己紹介の究極の目的なんだから、 TikTokよろしく、踊ってもよし、カップルや家族と一緒に挨拶してくれてもいい。

とはいえ、オンライン時代ならではの自己紹介の作法(テクニック)があるのは確かだ。先日、「プロテインひろこ」さんを紹介された。なんてノーノーマル。誰がどう見てもプロテイン愛好家であることに疑いの余地はなかろう。プロテインを検索すれば上位に出てきて、彼女はマツコ・デラックスのテレビ番組にも出演を果たした。名は体を現すという格言はまさに今の時代のためにある。

あなたもZoomの氏名欄にいつも旗を掲げられるようにリングネームを考えてみよう。それこそが究極のブランディングだ。いずれ僕の氏名も「自己紹介たかし」に改名する日も近いかもしれない。いやちょっと待て、それは逆効果だな。

さぁ、今日も、あなたの自己紹介にトキメキがありますように。 ヴィヴィデヴァヴィディヴゥ!

執筆者・横石 崇のプロフィール
横石 崇

&Co.代表取締役/「Tokyo Work Design Week」発起人・オーガナイザー

1978年、大阪市生まれ。多摩美術大学卒業。広告代理店、人材コンサルティング会社を経て、2016年に&Co., Ltd.を設立。ブランド開発や組織開発をはじめ、テレビ局、新聞社、出版社などとメディアサービスを手がけるプロジェクトプロデューサー。主な仕事に、グーグル、ソニー、アドビ、ポーラ、東急電鉄、ワイアード日本版などとプロジェクト実施多数。また、「六本木未来大学」アフタークラス講師を務めるなど、年間100以上の講演やワークショップを行う。毎年11月に開催している、国内最大規模の働き方の祭典「Tokyo Work Design Week」では、6年間で、のべ3万人を動員した。鎌倉のコレクティブオフィス「北条SANCI」支配人。著書『これからの僕らの働き方』(早川書房)、『自己紹介2.0』(KADOKAWA)がある。

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