ととのう職場、自然体のキャリア

仕事ができない人は辞めてもらうべきか、否か──連載:ととのう職場、自然体のキャリア VOL.18

優秀な人だけを集めた組織が成長するとは限らない。「仕事ができない人」にも大切な役割があるのだから。羽渕彰博の連載、第十八回。

様々な要因で人は仕事ができなくなる

仕事ができない人は辞めてもらうべきか、否か。この問いは、それぞれの会社が持つ価値観で分かれるのかもしれません。私も組織づくりのお手伝いをさせていただく中で、この問いに向き合うことがよくあります。

「仕事ができない」にはいろいろなパターンがあり、要因もさまざまです。例えば、もともとの能力が原因で仕事ができないタイプ。得意な部分と不得意な部分が極端に分かれるので、不得意な部分で何度もミスをしてしまい、信頼関係を失いがちです。かくいう僕がそのタイプ。極端に事務作業が苦手なので、パートナーに委託することで成り立っています。(パートナーに感謝!)

子育てなど家庭の事情で、働きたいけど時間が足りなくて、仕事ができなくなってしまうタイプも当てはまります。女性で優秀な方が多いので、仕事を頼まれやすいのですが、仕事に時間を割けない状態にフラストレーションを感じてしまう傾向にあります。

自分がそうだという人もいれば、誰かを思い浮かべる人もいるかもしれません。それでは改めて問いますが、仕事ができない人は辞めてもらうべきでしょうか。

組織づくりの観点から見ると、立派な仕事をしているのではないか

仕事ができない人が辞めて優秀な社員だけで成果を追求すれば、利益が上がり、人件費は減ります。これは一見、良い結果のように見えますが、本当にそれで良いのでしょうか。組織づくりの観点から見ると、仕事ができない人の中には、組織づくりには欠かせない立派な仕事をしている人がいます。

例えば「組織内に心理的安全性をつくる」という仕事。社員の中には、常に成果を出さなければならないというプレッシャーと闘っている方もいらっしゃいます。責任感が強い方ほど、「仕事ができない人だ」と思われることに恐怖を感じる傾向があります。

もし仕事ができない人が辞めさせられる組織であれば、プレッシャーや責任感はより強くなるでしょう。責任感が強いことは大切ですが、強すぎると部下に厳しくあたったり、新しいことに挑戦することができなくなったりします。体調も崩しくやすくなる。体調を崩した途端に、自分が何よりも恐れていた「仕事ができない人」になってしまうので、自尊心までも失ってしまう可能性もあります。

そんなときにどうでしょう。隣で考えられないようなポンコツをしでかしているのに、テヘペロってしている同僚がいたら。腹が立つこともあると思いますが、ポンコツぶりがおもしろくて、組織の空気がゆるくなる瞬間があります。

また環境が原因で「仕事ができない」状態の人には、働きやすいポジションを確保すれば良い。安心して働くことさえできれば、本来の実力が発揮され、より一層の成果につながるはずです。

もちろん仕事ができない人ばかりが集まってしまうと会社は傾きますが、組織づくりの観点から見ると、その存在にも大きな価値があるのです。

仕事ができない人は辞めてもらうべきか、否か。あなたの職場はいかがでしょうか。


執筆者・羽渕彰博のプロフィール
羽渕彰博

株式会社オムスビ代表取締役CEO

1986年大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事しつつ、アイデアを短時間で具現化する「アイデアソン・ハッカソン」のファシリテーターとしても活躍。2016年4月に独立し、リレーションシップデザインを軸とする株式会社オムスビを設立し、組織変革したい企業様向けの組織コンサルティングサービス「reborn」を提供している。

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