ととのう職場、自然体のキャリア

仕事を楽しみたいなら、石を拾え──連載:ととのう職場、自然体のキャリア VOL.15

何気ない日常の中で、おもしろい出来事はないかと意識してみよう。「ありきたりにあるもの」から見出した価値にこそ、ビジネスのヒントが隠されているかもしれない。羽渕彰博の連載、第十五回。

石拾いが「商売」になる!?

砂浜で友人家族とバーベキューをしていたら、子供がビーチグラスを拾う遊びを始めました。ビーチグラスとは、波に揉まれて曇りガラスのようになった、半透明のガラス片のことです。子供たちは、緑や透明や茶色の美しいビーチグラスを集めて楽しんでいました。

友人家族いわく、集めたビーチグラスはフリマアプリや水族館に売ることもできるそうです。海の近くに住んでいる子供たちは、ビーチグラスを拾って仕入れ0円でお小遣いが稼げるかもしれません。

ここで、「石拾い」をビジネスにされている方のことを思い出しました。青森のインバウンド事業で、11月の寒いときに海岸で石拾いをするツアーを販売されている方です。

聞くところによると、石拾いツアーの参加費はウン万円もするのに、ちゃんと応募が集まったそうです。どうやら青森では「津軽錦石」というレアな石が拾えるそうで、石マニアの方にとってはたまらないのだとか。石の世界は奥が深いですね。

こうして「石拾い」業界の一端を知るうちに、ふと、「石拾い」は商売の基本なのではないか、という考えが浮かびました。もしかすると僕も、すでに「石拾い」業界の人間なのかもしれない、と。

「情報」だって石ころである

僕は「石拾い」の本質を「価値がないとされているありきたりものから、価値を見出すこと」と定義しました。しかしその価値は人によって様々で、「無料でもいらない」という人もいれば、「ウン万円でも欲しい」という方もいらっしゃいます。つまり、価値を見出し、価値を感じる人のもとに届けることができれば商売になるのです。

では、現在における「ありきたりなもの」とは何でしょうか。例えば、そのひとつに「情報」があります。米IDCの調査によると2020年には1年間に流れる情報量が40ゼタバイトと予測されています。ゼタは10の21乗、1ゼタバイトは「世界中の砂浜の砂粒の数」といわれているので、膨大な量ですね。

私がBNLで書いている記事は、プールや美容師や石拾いなど、普段の何気ない暮らしにまつわる「情報」を集めて編集したものです。これはまさに「石拾い」的と言えるのではないでしょうか。

それに、私のメインの仕事である組織づくりにおいても、組織づくりにまつわる情報や、組織づくりで得られた事実を基に、構造化して、新しいクライアントパートナーに価値を提供しています。知識を扱うナレッジワーカーも、プロの石拾い、通称「石拾イスト」といえるのかもしれません。ないものねだりではなく、あるものを活かして「仕事」にしているのです。

僕は「石拾イスト」になってから、常におもしろい出来事や新しい発見がないかと意識をしながら暮らしています。何気ない日常をおもしろがれるか、そして言語化できるかが「石拾イスト」になれる鍵です。

これを読んでくださった方が、何気ない日常の中から、おもしろい「石」を拾えたら嬉しいなと思います。