ととのう職場、自然体のキャリア

考える仕事は遊んでいるようにしかみえない──連載:ととのう職場、自然体のキャリア VOL.9

考える時間は目には見えない「シャドウ・ワーク」。意思決定ができるのは、それまで考えていた蓄積があるから。羽渕彰博の連載、第九回。

社長が遊んでいるように見えませんか

みなさんは社長が遊んでいるように見えたことはありませんか。直接、仕事とは関係のない方と会食したり、手を動かしていないのに、さも自分がやったかのようにメディアで語っていたり。それでいて報酬は社員と比較にならないくらい高い。なんかズルいと思ったことはありませんか。僕はここだけの話、あります(笑)

期初などに社長が語る経営方針の発表も、そんな話を聴いている時間があれば1秒でも早く顧客にメールを返したいと思っていたこともありました。休憩時間になれば、スマートフォンを片手にいち早く部屋を飛び出して、廊下で仕事の電話をし始める。目の前の売り上げを追っている自分に浸っていました。

その悦に浸った顔を見かねてか、管理職の方が声をかけてくださり、このようなアドバイスをいただきました。「目の前の仕事をこなすことも重要。でも本当に結果を出したいなら全体を俯瞰できるようにならないといけないよ」と。

そのときは、その意味の重要性を理解できていませんでしたが、のちに自分も起業し、また組織開発を通じていろんな経営者の方々とお会いする機会をいただいて、そのアドバイスの意味を実感するようになりました。

考える仕事は遊んでいるようにしかみえない

いろんな経営者のタイプがいらっしゃるので、ひと括りにこうだと決めつけることはできませんが、私がお会いしてきた方々は、常にいろんなところにアンテナを張り巡らせています。いまより新しい価値が生まれる事業はできないだろうか、どのようにすれば社員が負担なく働けるだろうか。365日ずっとビジネスのチャンスやヒントを考えているといっても過言ではありません。

しかし考えている時間は、本を読んでいたり、誰かと喋っていたり、ジョギングをしていたりするので、ハタからみるとただ遊んでいるようにしかみえません。考える時間は、目には見えない「シャドウ・ワーク」です。その場で意思決定をしているようにみえますが、それまで考えていた蓄積があるからです。

ZOZOの前澤さんは週3日しか会社に来ないとメディアでご自身でもよく話されています。よって「社長、遊んでるじゃん」と思っているZOZOの社員もたくさんいるかもしれません。ぼくは前澤さんとずっと一緒にいましたが、「遊んでる」と思ったことは一度もありません。前澤さんは誰よりも事業のことを考えていましたし、たまに出てくるアイデアやアウトプットは、やはり研ぎ澄まされていました。イケていました。おそらく、いま目の前にある事業をせっせとやっていては出てこない考えやアイデアだらけでした。普通に働いてしまっていたら絶対に無理なのです。

実験思考 世の中、すべては実験』 光本勇介著

目の前にある仕事をこなして、スキルを身につけることは重要です。しかし外部環境が変わるとせっかく身につけたスキルを活かせる機会を失うリスクもあるかもしれません。定期的に「考える時間」をつくってみませんか。

執筆者・羽渕彰博のプロフィール
羽渕彰博

株式会社オムスビ代表取締役CEO

1986年大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事しつつ、アイデアを短時間で具現化する「アイデアソン・ハッカソン」のファシリテーターとしても活躍。2016年4月に独立し、リレーションシップデザインを軸とする株式会社オムスビを設立し、組織変革したい企業様向けの組織コンサルティングサービス「reborn」を提供している。

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