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露天風呂の日──いま話題の温泉地に学ぶ、「仕掛ける側」としての姿勢

今日、6月26日は露天風呂の日。「ろ(6)てん(.)ぶ(2)ろ(6)」を露天風呂と読めるというアイデアから語呂合わせで制定された。

後世に残すべき遺産、失われていく遺産

日本で最初に「露天風呂の日」の企画を始めた、湯原温泉(岡山県)をご存知だろうか。

昭和56年に「露天風呂番付」で西の横綱にランク付けされている人気スポットである。砂湯や足湯などの観光名所のほか、食や体験工房などの施設も充実している。露天風呂を中心とした豊かな文化を残そうと、6月30日(日)には、「露天風呂の日まつり」が開催される

また新潟県十日町市では観光資産を有効活用するため、市内の清津峡温泉郷の先にある清津峡渓谷トンネルを「インスタ映え」スポットとしてよみがえらせた。トンネルを抜けると四季折々の清津峡渓谷を楽しむことができ、さらに温泉を満喫できるので、旅行者たちの間で話題になっている。

このように温泉周辺には地域特有の文化や技術、食など、後世に残すべき遺産が多数存在している。しかし、地方都市では空き家が増え、少子化で若者が減り、行動範囲の限られやすい高齢者ばかりが残り、地域の活性化が叶わないままである。いまの状況が続くと、地域特有の文化は失われていく一方だ。

城崎温泉が仕掛けた地域再生のための施策

そんな中、城崎温泉で有名な兵庫県豊岡市が交流人口の増加のために、二つの施策を始めている。

一つ目は町全体を活用した独自の仕掛けだ。開湯当初より「共存共栄」という考え方があり、旅館の外で温泉や買い物、食事を楽しんでもらえるように町全体が大きな旅館のように作られている。そのため現在でも町自体が「インスタ映え」すると話題になり、ゆかたの似合う町として女子大生など若年層のグループ旅行にもよく利用されている。SNSでは女性たちがゆかたを着て散策している写真もよく見られる。

二つ目は「大交流課」の設置とアートとの融合である。大交流課は2013年に豊岡市に設置された課で、交流人口を増やすことを目的としている。その大交流課の一番の仕掛けが、赤字で閉館した「兵庫県立大会議館」をリノベーションした「城崎国際アートセンター」だ。

この取り組みがユニークなのは、応募から選ばれたアーティストや団体が無料で滞在・活動できることだ。最短3日間から最長3カ月の間、宿泊費もスタジオ使用料もタダ。その代わり、創作活動やリハーサルを市民は無料で見ることができるほか、アーティストは市内38の小中学校に出向き、授業を行ったり、市民とワークショップを行う。

世界が注目する「インスタ映え温泉」が仕掛ける逆転のアイデア集──Forbes JAPAN

このような取り組みの結果、昨年度も多くの芸術団体からの応募があり、支持を得ているという。さらに世界中の芸術団体のショーが観られるので、東京や関西などからも観光客が訪れる。

その他にも、城崎温泉でしか買えない土産品として、湊かなえの書き下ろし小説『城崎へかえる』や万城目学の『城崎裁判』などを制作。ブックカバーがタオルでできているなど温泉地らしいデザインが人気を博し、この書籍を目的に訪れるファンが増え、東京からの観光客は20%も増加しているという。

ただお客様が訪れるのを待つだけではなく、ユニークな企画を考え、魅力を創出し、「仕掛ける側」になる。これは温泉地に限らず、いまあらゆるビジネスにおいて求められている姿勢ではないだろうか。

参考サイト・資料:

「露天風呂の日」(6月26日)と「はんざき祭りの日」(8月8日)の記念日登録証授与式が岡山県真庭市の湯原温泉で行われました。|一般社団法人日本記念日協会
春待つ峡谷 清津峡トンネル再開十日町 インスタ映えで人気|新潟日報モア
世界が注目する「インスタ映え温泉」が仕掛ける逆転のアイデア集|Forbes JAPAN
城崎温泉公式サイト
「地方創生」なくして日本の未来はない。消滅可能性都市が900もあるという現実と財政破綻の恐怖|Fledge