ブランドのつくり方

インパクトコンテンツで、企業のイメージを引き上げる━━ブランドのつくり方Step6:コンテンツ整理

通常のビジネスだけを続けていても他社と差別化ができないときは、インパクトのある新しいコンテンツが必要だ。小池精米店はブランドコンセプトを体現する新商品を開発し、企業全体のイメージアップを実現した。

顧客とのコミュニケーション設計によってブランドは認知され始めました。Step6では、小池さんのブランディングのもう一つの成功ポイント「事業コンテンツの整理」をご紹介します。

コンテンツに独自性があれば伸ばせばよいだけですが、お米の場合は、通常のビジネスだけでは他社との差別化が難しい。そこでまず、小池精米店の事業を①売り上げや利益をつくる「メインコンテンツ」②売り上げや利益をサポートする「サブコンテンツ」③今までの価値観を変える「インパクトコンテンツ」の三つに分類しました。

このように分類すると③のインパクトコンテンツが小池精米店には不足していることが浮き彫りになりました。そこで、まずはどんなコンテンツなら小池さんの「想い」と生産者の思いをつなげられるのかを考え、ブランドコンセプトを体現するような商品開発を行いました。

こうして新たに開発されたのが、小池精米店の理念を体現した商品「あ、さ、ひ、ま、つ、光」。商品名は「あきたこまち」の「あ」、「ササニシキ」の「さ」、「ひとめぼれ」の「ひ」、「まっしぐら」の「ま」、「つや姫」の「つ」、「こしひかり」の「光」と、お米の品種名から一文字ずつ取りました。

ちょうどこの頃は、震災の影響で東北のお米が売れにくくなっていたので、東北を応援するという意味もあって「朝日を待つ光になる」という希望に満ちたネーミングに決定しました。一見、お米であることがわからないような、日の出をモチーフにしたグラデーションカラーのパッケージに、東北6県、6品種をセットにした食べ比べを楽しめるギフトです。

写真提供:ビスポーク

「あ、さ、ひ、ま、つ、光」は、「ぐるなび」の「秘書が選ぶ手みやげ」コーナーに選ばれるなど、話題性のある商品となり、世界的に最も権威のあるデザイン賞の一つといわれるドイツのiFデザイン賞、ベルギーに本部を置くpentawardsでダブル受賞をし、世界からの注目も集めました。そしてこの商品開発をきっかけに、2018年には小池精米店の年間売上額は過去最高となり、ブランディングをスタートした時点から約2倍に伸びたのです。

インパクトコンテンツは、すぐに利益につながるものではありません。しかしメインコンテンツ・サブコンテンツだけでは差別化が難しい。だからこそ企業イメージを引き上げてメイン、サブコンテンツの評価向上につなげ、利益の増加へと貢献するインパクトコンテンツが必要なのです。

写真提供:ビスポーク

現在、小池さんはJA会報誌「地上」の連載でブランディングについて寄稿されるなど、さながらブランドの専門家です。自分の「想い」と事業のつながりをしっかり語れるようになることで、ブランドの浸透はより加速します。小池さんがここまで一貫して行動し続けられるのは、ブランドコンセプトがご自身発の言葉だったからでしょう。

私たちは社名にもあるように、「Be spoke(対話)」を大切にしています。Step1で行った「想い」の掘り下げの段階で対話を重ねることにより、小池さんから言葉を引き出すことができました。小池さんはブランディングを通して「自分の立ち位置が明確になった」と言います。ブランドコンセプトはいまでも、小池さんにとって立ち戻る指針になっています。