ブランドのつくり方

根底にある「想い」を言語化する━━ブランドのつくり方Step3:ブランドコンセプト作成

小池精米店にしかない強みを見つけたら、それをもとに経営戦略キーワードを設定する。この戦略キーワードが、ブランドづくりの核となる「ブランドコンセプト」へとつながっていく。

Step2で引き出した自社だけの強みをもとに、Step3ではまず、戦略キーワードを作ります。これは、後に経営理念、行動指針、そしてブランドコンセプトにつながるので、とても大切な言葉です。

戦略キーワードを作る

小池精米店の場合、一つ目のキーワードとして掲げているのは「産地直米」という造語です。産地に足を運んで生産者に会った上で納得したお米を仕入れる。それを大事にしていくという意味です。二つ目は「生産者と生活者(顧客)の架け橋になる」で、三つ目が「お米を楽しく」です。

この三つ目は新しい視点でした。お米は生活の中であまりにも"当たり前のもの"になっています。だからこそ「お米を楽しく」は、精米店として今までにないポジションを築ける可能性を感じました。

さらに、この三つの戦略キーワードを「経営理念」「行動指針」「ブランドコンセプト」へと展開します。

ブランドコンセプトは「立ち戻る場所」

経営理念は「"産地直米"で、日本の食生活を応援するために」に設定。行動指針は、先につくった三つの戦略キーワードを盛り込むことで、より具体的になりました。そして、ブランドコンセプトは「産地直米、お米を楽しく。」です。

このブランドコンセプトは、顧客との約束であり、小池精米店の「想い」の集約でもあります。そして、今後事業を進めていく上でのモチベーションや推進力に大きな影響を与える重要なポイントです。ブランドコンセプトは小池さん自身が軸をぶらさないための"立ち戻る場所"にもなるからです。私たちがこれまで、いかに「想い」を掘り下げられるか、納得できる言葉を見つけられるかに重点を置いて取り組んできたのは、この言葉を導き出すためでした。

この約束を守り続けることで、小池精米店といったら「お米を楽しくしてくれるお米屋」というブランドイメージが定着し、顧客が「お米で何か世の中にない取り組みをしたい。」と思った時に、企業名を想起することにつながります。

さらに、ブランドコンセプトをより具体的に捉えるために文章も作りました。これが「ブランドステートメント」。お客さまや社会に対する、ブランドからの宣誓文のようなものです。

ちなみに、起点となる「想い」に焦点を当てず、利益重視でブランディングを進めた事業の場合、常に「利益の大小」が判断軸になるため、事業の一貫性を持てなくなります。また一度事業の軸がぶれると、その修正は容易ではありません。多くの経営資源を投入し、ようやく「ゼロベースに戻す」ということもよくある失敗例です。

「そもそもの想い」を言語化したブランドコンセプトは、たとえ方向性に迷ったり、軸がぶれそうになったりしても、立ち戻り方向性を定められる「経営判断のよりどころ」になるのです。

Top Photo: "Rice field" by Shigemi.J (CC BY-NC 2.0)