ととのう職場、自然体のキャリア

強みではなく、弱みでつながる──連載:ととのう職場、自然体のキャリア VOL.2

弱みを開示すれば、チームはもっと強くなれる。人生100年時代のキャリアと職場をつくる活動をしている、羽渕彰博の連載、第二回が公開。

フリーになっても自由にはなれない

フリーになると、自由になると思う方も多いと思います。確かにいつ、どこで、誰と仕事をしても自由です。しかし自由と引き換えに全て自分のことを自分でやらないといけません。例えば、会社員時代は天引きされていた税金も、税務署に行って納める必要があります。最初はそんな知識・経験を持っていないと思うことの連続です。

また思っている以上に一人でできることは限られています。例えば、私はワークショップのファシリテーションのお仕事をさせていただくことがありますが、自分一人ではワークショップは開催できません。受付、音響、運営スタッフのみなさん全員で協力しあうことで成立しています。

得意なことを生かして自由に仕事ができると思っていましたが、フリーになるということは会社員時代以上に苦手なことも全部自分でやらないといけないということでした。やったことのないことや苦手なことには時間もかかってしまいますから、得意なことをする時間が限られてしまいます。

そこから私が学んだことは、人が自由になるためには、お互いを助け合う組織がいるということです。組織から外れた人間が、組織を求めるなんておかしい話ではありますが、失ってから気づくこともあります。「自分たちが自然体でいられる組織をつくりたい」という気持ちが、弊社の事業である組織改革コンサルティングにつながっていきます。

弱さでつながり、助け合えるチームへ

弊社が組織改革をさせていただくときは、まず社員一人ひとりにヒアリングし、社員の価値観を尊重します。たとえ会社から評価されていない方がいても、まずはその人の声を聞いて認めます。従業員の前に一人の人間なので、自分が認められていないと感じると、まずは自分が認めてもらうことに関心がいってしまって、コトに向かえません。

大半の人が「自分の弱さを隠す」ことに時間とエネルギーを費やしている。まわりの人から見える自分の印象を操作し、なるべく優秀に見せようとする。駆け引きをし、欠点を隠し、不安を隠し、限界を隠す。自分を隠すことにいそしんでいるのだ。

──『なぜ弱さを見せあえる組織が強いのか ― すべての人が自己変革に取り組む「発達指向型組織」をつくる』(ロバート・キーガン, リサ・ラスコウ・レイヒー, 中土井僚, 池村千秋 著)

「腹が減っては戦はできぬ」ということわざがあるとおり、自分が充たされて初めて、他者のためにはたらくことができます。そのためにはその人の強みだけでなく、弱みも受け入れて、苦手なことは誰かが助けられるようにチームを組んでいきます。

あなたが苦手でやりたくないことが、みんなもやりたくないこととは限りません。例えば私でいうと、経費精算のような細かい事務作業が苦手なんですが、細かい作業を延々とするのが好きな方もいらっしゃいます。逆に人と交渉するのが苦手な方がいらっしゃったら、代わりに得意な自分が交渉します。お互いの苦手を引き取るようなことをすれば、どんどん仕事は進みます。

自分の弱みをさらけ出して、手放すことができるようになってくると、無理なく自然体ではたらくことができます。逆に不得意なことを自分がやってしまうと、時間もかかるし成果のレベルも低くなってしまうので、組織に迷惑がかかってしまいます。

みなさん、自分一人で抱え込んでいませんか。全部の平均点をクリアしないと認められないと思っていませんか。思い切って自分の弱みを開示して、お互いを助け合う組織をつくっていけば、もっと働きやすい職場をつくれるはずです。

執筆者・羽渕彰博のプロフィール
羽渕彰博

株式会社オムスビ代表取締役CEO

1986年大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事しつつ、アイデアを短時間で具現化する「アイデアソン・ハッカソン」のファシリテーターとしても活躍。2016年4月に独立し、リレーションシップデザインを軸とする株式会社オムスビを設立し、組織変革したい企業様向けの組織コンサルティングサービス「reborn」を提供している。

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