ととのう職場、自然体のキャリア

「自然体」で働けていますか?──連載:ととのう職場、自然体のキャリア VOL.1

人生100年時代のキャリアと職場をつくる活動をしている、羽渕彰博の新連載がスタート。初回のテーマは「自然体で働く」。大手人材会社に務めていた頃に得た社外での気づきが、自身の働き方の転機になったと振り返る。

初めまして、オムスビ代表の羽渕彰博です。当社は人生100年時代の個人向けキャリア支援「AM(アム)」と組織改革専門のバーチャル人事部「reborn(リボーン)」という2つのサービスを提供しています。「人生100年時代のキャリアと職場をつくる集団」と覚えていただければ幸いです。

羽渕彰博のプロフィール
羽渕彰博

株式会社オムスビ代表取締役CEO

1986年大阪府生まれ。2008年パソナキャリア入社。転職者のキャリア支援業務、自社の新卒採用業務、新規事業立ち上げに従事しつつ、アイデアを短時間で具現化する「アイデアソン・ハッカソン」のファシリテーターとしても活躍。2016年4月に独立し、リレーションシップデザインを軸とする株式会社オムスビを設立し、組織変革したい企業様向けの組織コンサルティングサービス「reborn」を提供している。

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無理をせず「自然体」で働く

人生100年時代になって、身体が健康なうちは働きつづけることが求められています。昔は多くの企業が55歳を定年としていましたが、1986年の法律改正で60歳定年が努力義務として定められ、2000年にはそれが65歳になりました。現在、政府は70歳定年制の議論をしていて、将来的には75歳まで引き上げるシナリオも検討しているようです。

「いつまで働かないといけないんだ」と思う人もいるでしょう。嫌な仕事を我慢してでも続けて、出世競争で勝ち取ったポジションのまま逃げ切れると思ったら、いきなりゴールが5年後に延ばされる。もし「働く=やりたくないこと」だったら、たまったもんじゃありませんよね。

人生100年時代の働き方で大切なキーワードは、「自然体で働く」ことだと私は考えています。つまり、無理をしないということです。まずは私が自然体で働けるようになった体験談をご紹介させてください。

スキルアップよりポジションフィット

独立する前、私は東証一部上場の人材会社で新規事業の立ち上げに携わっていました。既存の収益事業が回っている組織では、新規事業担当者は肩身が狭い思いをすることが多いのですが、もれなく私もその一人でした。

社会の変化にあわせて挑戦し、新しい収益の柱として会社に貢献しようとしていても『そんなことをやっていくらになるんだ』『俺らが稼いだ金で遊んでいる』と冷たい言葉を浴びせられます。新規事業もなかなか立ち上がらず、もがきあがいていました。

社内にいては何も状況は変わらないので、社外に出て勉強会やワークショップに参加していると転機に恵まれました。たまたま参加していたワークショップの運営者から、「今度、ファシリテーターをやってみない? 君は人前でも緊張せず明るく振る舞えるから向いてると思うんだよね」と誘われたのです。

はたして自分にファシリテーターが務まるのか。最初はいささか不安でしたが、これもいい機会だと思って挑戦してみたところ、参加者や関係者の方から大きな拍手をいただきました。その音はいまでも覚えています。もがきあがいていた時期でしたから、単純に嬉しかったのです。その後、さまざまな企業からファシリテーションの仕事をご依頼いただけるようになりました。

この体験から「場を変えると評価が変わる」ことを学びました。それまでは得意分野を伸ばすことよりも、苦手分野を克服して、新しいスキルを身につけようとしていました。でも苦手なことを克服するのは時間がかかるし、時間をかけてもあまり上達しません。いまのスキルのままでも、もっと活躍できるポジションを探した方が効率的ではないかと思うようになったのです。

400mハードル日本記録保持者の為末大さんも著作の中でこうおっしゃっています。

人間には変えられないことのほうが多い。だからこそ、変えられないままでも戦えるフィールドを探すことが重要なのだ。 僕は、これが戦略だと思っている。 戦略とは、トレードオフである。つまり、諦めとセットで考えるべきものだ。だめなものはだめ、無理なものは無理。そう認めたうえで、自分の強い部分をどのように生かして勝つかということを見極める。極端なことをいえば、勝ちたいから努力をするよりも、さしたる努力をすることなく勝ってしまうフィールドを探すほうが、間違いなく勝率は上がる。

諦める力~勝てないのは努力が足りないからじゃない』(為末大 著)

私は子どもの頃、ひどくお調子者だったので、文化祭で全校生徒の前に立って司会をしていました。その頃と変わらない感覚で、いまのファシリテーションの仕事を務められています。

これが私にとっての「自然体で働く」です。他人のやりたくないことが、誰かにとっては自然にできることかもしれません。無理して成長しなくたって、機会を通じて成長できるかもしれません。

あらためて自然体で働いていますか。あなたの自然体でいられる場はどこでしょうか。