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ファーストペイデー(初任給の日)──歴史とともに変化する賃金の形

4月25日は「ファーストペイデー(初任給の日)」。多くの新入社員が、初めての給料を受け取る日となることに因む。

「サラリー(salary・給料)」は、古代ローマ時代に給料として渡されていた「サラ(sal・塩)」に由来するという説があるように、賃金の形は歴史とともに変化してきた。

未曾有の犯罪が、給与の銀行振り込みを促進

いまでは当たり前となった「給与振り込み」だが、昭和の中頃まで、給料袋に入れた現金の手渡しが一般的であった。

現在の振り込みの形式が普及したきっかけは、1968年に起きた「三億円事件」。工場で働く従業員のボーナスにあたる現金約3億円が、白バイに扮した犯人に輸送車ごと持ち去られた。鮮やかな犯行手口は当時の世間に大きなショックを与え、以後、安全な銀行振り込みが広まっていった。事件当時の大卒初任給は3万600円。この金額からも、事件のインパクトの大きさが窺い知れる。

いよいよ給与支払いに電子マネー解禁

昨年末、政府は電子マネーによる給与支払いを解禁する方針を固めた。解禁となれば、銀行口座を通さずに専用のプリペイドカードやスマートフォンの決済アプリに直接送金できるようになる。銀行口座の開設が難しい外国人への支払いや、賃金格差がある層の救済、そして電子マネーの活性化による経済効果が期待されている。

この方針決定に尽力したのは、DoremingホールディングCEOの高崎義一氏だった。同社のサービス「Doreming」は、出退勤記録と給与管理のシステムを連動させて賃金をキャッシュレスで前払いできるというもので、世界から注目されている。

日本における、給与支払い電子マネー解禁のメリットについて、高崎CEOは昨年6月に首相官邸で説明する機会があった。その日のことを振り返り、解禁が発表された日に以下のコメントがコーポレートサイトに掲載された。

デジタルマネーでの給与支給が実現されれば、給与支給時に所得税や社会保険料、消費税も自動徴収できること、払っている人と払ってない人がいるのは不公平であること、現金が減れば犯罪も減ることをお話しました。

また、人材不足解消の担い手となる外国人労働者の方々に対しても、銀行口座を持たなくてもスムーズな給与支払いが行えることで、労働者に優しい職場環境の構築にも寄与することをお話しました。

安倍総理や麻生財務大臣、菅官房長官、高木厚生労働副大臣に提案したところ、みなさん口を揃えてご賛同いただき、「ぜひ実現させよう」と言って頂きました。

Doreming公式サイト:2018/10:デジタルマネーでの給与支給来年にも解禁へ(2018/10/25日経報道より)

その時に配布された資料が首相官邸ホームページに掲載されているので紹介しよう。

P.1 出典:第35回国家戦略特区諮問会議 提出資料「携帯電話の電子財布に賃金をデジタルで支払いを可能とする規制緩和」(PDF)
P.2 出典:第35回国家戦略特区諮問会議 提出資料「携帯電話の電子財布に賃金をデジタルで支払いを可能とする規制緩和」(PDF)
P.3 出典:第35回国家戦略特区諮問会議 提出資料「携帯電話の電子財布に賃金をデジタルで支払いを可能とする規制緩和」(PDF)
P.4 出典:第35回国家戦略特区諮問会議 提出資料「携帯電話の電子財布に賃金をデジタルで支払いを可能とする規制緩和」(PDF)

政府は今年度中の電子マネーでの給与支払い解禁を目指しているが、電子マネーの口座に賃金が溜まるようになったとしても、それを使う機会が少ないままではなかなか広まらないだろう。

一般社団法人キャッシュレス推進協議会は、4月26日(金)のプレミアムフライデーより、翌日から始まる10連休において、「キャッシュレス・ウィーク」と題し、幅広いキャンペーンの展開を行うと発表している。期間中は、大手キャッシュレス決済各社や導入企業など、40社以上がキャンペーンを展開。電子マネーでの支払いでクーポンが発行されたり、ポイントがお得に溜まったりするほか、東京・大阪・広島で開催される「肉フェス」「餃子フェス」では、iD決済が可能になる。ゴールデンウィークは銀行ATMの手数料が割高なこともあり、多くの人にとって電子マネーの利便性を感じられる機会となりそうだ。

最近では紙幣刷新が話題になったが、暮らしの中で現金を目にする機会は少しずつ減っていき、また新たな通貨の価値が生まれるのかもしれない。

参考文献

政府、給与支払いに電子マネー解禁へ (Sankeibiz, 2018.12.17掲載)
第35回国家戦略特区諮問会議 提出資料「携帯電話の電子財布に賃金をデジタルで支払いを可能とする規制緩和」(PDF)
ドレミング株式会社 ニュースリリース デジタルマネーでの給与支給来年にも解禁へ(2018/10/25日経報道より)
一般社団法人キャッシュレス推進協議会「会員企業・団体によるキャンペーン詳細」(PDF)