インタビュー

どう生きたいか、は身近な人に話しにくい━━猪熊真理子の仕事は「誰もが自分らしく働ける社会」をつくること

社会人女性のための学びの場「女子未来大学」や、働き方を選択できる社会を目指す「at Will Work」など、複数のプロジェクトを手がける。パラレルに働き、年間2000枚以上の名刺を交換するという猪熊真理子に、Eightに対応した新型のドキュメントスキャナー「ScanSnap iX1500」を使ってもらった。

Eightに対応したスキャナーに、新型のドキュメントスキャナー「ScanSnap iX1500」が登場した。業務の効率化に止まらず、これからの新しい働き方を後押しするようなコンセプトが込められているという。そこでBNLでは、この新しいスキャナーのモニターとして、時間や場所にとらわれない先進的な働き方をしている猪熊真理子を選んだ。

経営にコンサルティング、教育事業からイベントでの講演まで。猪熊は、埋もれた可能性を引き出し、社会に伝えることをミッションに掲げ、全国各地を飛び回りながら数々のプロジェクトを手がけている。彼女がいま関わっているのは、5つの会社の経営だ。

ひとつは2014年に立ち上げた株式会社OMOYA。経営コンサルティングや企画マーケティング、組織開発、そして社会人女性のための学びの場「女子未来大学」に代表される女性支援事業を行っている。

さらに、働き方を選択できる社会を目指す「at Will Work」、伝統文化の価値を次世代に伝える活動を行う「全日本伝統文化後継者育成支援協会」という2つの社団法人の役員、30人ほどのIT系スタートアップ企業の取締役、そしてトレンダーズ株式会社の社外取締役も務める。

そんな彼女に新機種を一週間使ってもらったことで、ドキュメントスキャナーの、出会いの価値を高めて自由な働き方を支える新たな魅力が見えてきた。

悩みや葛藤がある女性は孤立しがち

──ひとつの事業に集中するのではなく、さまざまなプロジェクトを行っているのはなぜですか?

元々勤めていたリクルートを辞めて独立をしたときに、ひとつの事業をスケールさせる働き方と、パラレルにいろいろなプロジェクトに関わる働き方のどちらを選ぶべきかと悩んだ時期がありました。というのも、自分自身はひとつの物事を突き詰めるプロフェッショナルタイプというより、さまざまな物事に取り組むジェネラリストタイプだと思っていたのですが、周りの起業家仲間を見るとひとつの事業に集中する人が多かったからです。

とはいえ、自分にとって価値を発揮しやすいのはやはり「パラレルな働き方」でした。今年でOMOYAを創業してから5年目になりますが、複数のプロジェクトを並行して行ってきたからこそ、いまは自分らしく働くことができていると感じています。

優先順位や時間の使い方は特に決めていない、と猪熊は言う。「私はただ、社員やメンバーがそれぞれに尽力していくなかで意思決定やマネジメント、トラブル対応が必要な時に動いたり、大きい中長期プランと短期的にやるべきことのディレクションをしたりしているんです」

──女子未来大学を立ち上げた経緯は?

ファウンダーが私以外に2人いまして、構想に1年かけ、2014年11月に立ち上げました。いままで10〜70代の女性、1500人以上に来てもらっています。メインは20〜40代の、ちょうどライフイベントとキャリアがぶつかる年代の女性です。この年代の女性は、働いているなかで、「いまのままの自分で良いのだろうか」「もっとこうなりたいのに」など不安を抱えて孤立している方が多いんです。

──孤立ですか。

学生時代の友達や仕事の同僚など身近な人には、なかなか恥ずかしくて「どう生きたいか」などの深い話はしづらいわけです。そんなことを言い出したら、周りから「どうしたの?」と言われてしまう。だから、女子未来大学は「サードコミュニティ」という考え方をしています。家族がファーストコミュニティだとしたら、セカンドコミュニティは職場や社会の中で自分を実現していく場。でもセカンドコミュニティは戦うこともあるから、しんどい時がある。それに対してサードコミュニティは、ファースト、セカンドで直接的に関わることのない人たちだけど、人生の真剣なことを話し合うことができるし、相互に学び合える。見ず知らずの人や初対面の人などの、ステークホルダーではない人たちだからこそ話せる深い話ってありますよね。そんなコミュニティをつくりたくて。

埋もれている価値を社会へ放つ

──すべてのプロジェクトに共通したテーマはありますか?

関わっているプロジェクトのジャンルやフィールドはバラバラですが、やりたいことはすべて共通しています。それは、本当は可能性があるのに水面下に埋もれてしまっているものを引っ張り出して、社会に伝えていきたいということ。

例えば、女性たちの可能性を信じて彼女たちの力を引き出すこと、日本の伝統文化の価値をいまの時代に合わせて再提案すること、時代が変わっていくなかで古い働き方にとらわれなくてもいいと伝えていくこと。それらはみんな、同調圧力や昔のルールに縛られて可能性を発揮できない人や組織の力を引き出し、社会に還元することでトランジション=変革を生み出すための活動です。

最近は自分の肩書きとして「トランスフォーム・カタリスト」と言うことがあります。つまり、時代や人が変容していく時の触媒でありたいということ。私自身が変革者になるというよりも、人と人、人と社会の間に立つことで変革のサポートをすることに私はやりがいを感じるし、関係性の間にいることが自分らしいと思っていますね。

地方は小さなコミュニティが多く、「出る杭は打たれる」という思い込みが強い。猪熊自身も地方へ行き、実際に肌で感じているからこそ、自由にできない事情を理解した上で「自分らしさ」を出せる仕組みをつくることが必要だという。

──「埋もれた可能性を引き出し、伝えたい」という想いは、猪熊さんのどんな体験から生まれているのでしょうか?

もともとは私自身も自分のことを信じられない、価値がないんじゃないか、そんな気持ちが昔からありました。だけど私の場合は、家族が自分のことを信じてくれた。だからこそ、少しずつ自分に自信を持つことができたんです。

そうした原体験から、誰かの可能性を引き出すためには、それを信じてくれる他者の支援が欠かせないと考えるようになりました。「こういう生き方をしたい」「変わりたい」とどんなに思ったとしても、励まして、支えてくれるコミュニティがなければ、勇気をもって新しい道に踏み出すことはできないのではないかと。何かの決断に対して「それいいじゃん」と背中を押してくれる人たちとのつながりさえあれば、人は本当にしたい生き方や働き方ができるのではないか。そんな仮説をもとに日々プロジェクトを行っています。

ScanSnapを使ったクラウド管理で、出会いを無駄にしない

──これだけたくさんのプロジェクトに関わっていると、出会いも多いのでは?

そうですね。名刺交換だと年間に2000枚以上になるぐらいの出会いがあります。特に、講演やイベントでお話しした後に参加者の皆さんとご挨拶をするので、名刺はどんどん増えますね。

──管理はどうしているんですか?

名刺のクラウド管理は必須です。とはいっても以前は、スタッフに頼んで今後仕事をすることになりそうな人の名刺だけスマホで写真を撮ってもらってEightで管理していました。でも、取り込む作業が追いつかなかったり、Eightに入れていない人にも連絡をする必要が出てきたりするときはまとめた紙の名刺の束から探しださなければいけなくて。

──今回、新しいScanSnapを使ってみてどうでしたか?

名刺を取り込む手間が省けてとても便利です。分厚い名刺や正方形の名刺も問題なく読み込めますし、交換した名刺をすべてきちんと管理できます。家にもあったらすごくいいですよね。それから、タッチパネルで操作できるので、PCを使わなくてもいいし、自分専用のボタンがつくれるのも気に入っています。

猪熊が今回利用したPFUの最新スキャナー「ScanSnap iX1500」。ボディの色も新色の白で登場。Eightの他に会計関連やストレージのクラウドとの連携も可能なので、名刺だけでなく領収書の管理などにも利用できる。

──書類などの保管はどうですか。

ScanSnapは書類の保管にも利用できますね。私の仕事は、デジタルとオフラインが同時進行することがよくあるんです。役員会議などでは、紙の資料が配られることも多くて。紙の資料に目を通しながらPCでメモを取りますが、終わってからの資料の保管が大変です。だからこれまでは、そのときに使用した紙の資料はスマホで写真を撮って保管していたんです。

──ScanSnapを使えば、紙で保管しなくても良いものはデータで管理できるのですね。

はい、デジタルのメモと紙の資料を一緒に管理できます。例えばEvernoteにメモを取って、その下にスキャンした書類のデータを貼っておくとか。原稿の向きも自動で補正してくれるから安心ですし。

──Evernoteなどのストレージクラウドに送ることもできて便利ですよね。ところで、もうすぐ年賀状の季節ですが、猪熊さんは毎年たくさんの年賀状をもらうのでは? スキャンをしてデータで管理しておくと翌年が楽かもれません。

たしかに、それは楽ですね! 年賀状は毎年、いただいたものをボックスに入れて保管しています。翌年それを出してきて、出す・出さないを一枚ずつ確認する作業をして・・・けっこう大変です。

──それこそスキャンして、すべてにタグ付けすることもできますよね。送る・送らないと仕分けをするとか。

なるほど、タグをつけて管理できるのは良いですね。それから、家電などの取扱説明書も溜まりがちですが、データ化すれば断捨離にもなりそうです。あとから検索ができれば、データでも問題ないですし。

──時間を見つけて少しずつスキャンをしておけば、年末の大掃除もはかどりますね。

はい、私は電子書籍で本を読むことが多いのですが、献本などで紙の本をいただいたり、紙でしか出版されていない本を読んだりすることもあるので、紙の本もたくさん持っています。でもなかなか持ち歩けずに積読してしまいがちなので、スキャナーを使って本もデータ化ができれば、スマホで読めて良いですね。

今回の新機種でScanSnapとして初めてタッチパネルが搭載された。「これから読み込むものはすべて名刺」という設定を予めしておけば、スキャンをする前にパネルを一度タッチするだけで「名刺を領収書として読み取ってしまう」などの判別ミスも防ぐことができる。

──最後に、猪熊さんがこれからの働き方を考えるうえで、ScanSnapを利用して名刺や書類をクラウドで管理することの意義を教えてください。

いま、多くの会社がペーパーレス化していますよね。それに、フリーアドレスを実践していたり、オフィスのストレージのスペースをどんどんなくして、別の目的のスペースとして有効活用する企業も増えているので、会社の中で一人ひとりが資料を置くスペースが狭くなっているように感じています。だからこそ、これまで紙で保管していたものをクラウドで管理できれば、オフィスを効率的に使えるようになると思います。

またテレワークをしている場合、名刺や書類を会社に置いていると、必要なときに連絡ができない、書類を使えないということもあります。それらの情報をクラウドで管理することは、時間や場所にとらわれない働き方を後押しするうえでも重要ですね。

女性でも簡単に持ち運べるぐらい重さでサイズも少しコンパクトに。猪熊のように1回の名刺交換で100枚以上の名刺が溜まる場合は、家にも置いておけると名刺管理が効率化される。

ScanSnap