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いきなり活躍する新人の行動パターンを解明。人材育成の米国ベストセラー『ルーキー・スマート』

成功のヒントは経験でもスキルでもなく「ルーキーの思考と行動」に隠されていた。世界のトップリーダーたちがこぞって実践する、衰えない働き方「ルーキー・スマート」を紹介する。

もう経験では勝負できない時代──BNL編集部の選定理由

この本の「豊富な経験はむしろ弊害になり得る」という言葉に、ドキっとさせられた。情報量の増加、ビジネスの加速化により、経験がものをいう考えはもう古くなり、いまは「経験」よりも「新しい学び」が必要だという。ベテラン層には耳の痛い話かもしれないが。

著者で、人材教育の第一人者であるリズ・ワイズマンは、NewsPicksのインタビュー記事で、学び続けることの大切さについて語り、その中でPayPalやテスラ・モーターズなど、創業もしくは参画した企業を次々を成功に導いた起業家イーロン・マスクの例をあげている。

イーロン・マスクは、常に"なぜ"を問う人物です。彼こそ、既にある「答え」ではなく、新しい「問い」を投げかけられるリーダーの1人だと言えるでしょう。

マスクは究極の独学家で、小学生のときすでに、百科事典を全巻読破し、12歳でプログラミングを独習してしまいました。そしてペンシルベニア大学では物理学とビジネスを専攻し、それと同時に宇宙工学、電気工学、自動車工学を、独学で習得してしまいました。

彼が連続起業家として成功できたのは、彼が「連続学習家」だったからにほかなりません。

【独占】経験豊富なベテランこそ危険。これからはルーキーの時代(NewsPicks/有料会員限定)

新人がベテランよりも大きな成果を上げることがある。その新人ならではの思考や行動を、この本ではルーキー・スマートと呼び、新人に限らず、すべてのビジネスマンが身につけるべき能力だという。学び続けることも、ルーキー・スマートだ。イーロン・マスクは、このルーキー・スマートの素養がある。だから輝き続けられるのだ。

しかし、学ぶ姿勢を保ち続けることは、決してたやすくない。そこで注目したいのが、第7章にある「非快適ゾーンに足を踏み入れる」という方法だ。

学ぼうと意気込むよりも、学ばざるを得ない環境に身をおいた方がいい。環境から得るモチベーションは、内面から持ち上がるモチベーションよりずっと強力であるという。居心地の良い場所にいても、それ以上の成長は見込めない。自ら厳しい環境に足を踏み入れることで、ルーキー・スマートが発揮されるのだ。

これは、環境だけでなく、人との出会いにも同じことが期待できる。今まで関わりを持たなかった人と敢えてビジネスをする、積極的に出会いコミュニケーションを取ることも、刺激になり、新しい学びに繋がるだろう。これまでのたくさんの出会いを振り返り、新しい出会いも大切にしたい。

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要約者レビュー

会社に入りたての頃、苦しいことも多かったものの、一生懸命仕事に取り組み、毎日が充実していた。それにひきかえ、今はただ惰性で仕事をしているだけ。そんな現状にやるせなさを抱えているベテランは多いのではないだろうか。

こうしたマンネリと決別するためのカギは、「ルーキー・スマート」という能力にある。ルーキーといえど、必ずしも新人の専売特許ではない。ベテラン層を含め、誰でも活力あふれるルーキーであり続けることが可能だ。人材育成の第一人者である著者は、経験の浅いルーキー特有の能力、ルーキー・スマートについて分析し、それを誰もが身に付けられるような方法を指南する。ルーキー・スマートの真髄は、過去の栄光やプライド、経歴を捨て、まっさらな状態で新たに学ぶ姿勢にあるという。

人間は経験から学ぶ生き物であり、その経験を捨てることは難しい。経験から成功の果実を得てきた者にとってはなおさらだ。しかし、情報化の急速な進展により、「知識をもっていること」の価値は下がる一方だ。過去の経験にしがみついていては、これからの社会を生き抜くことは厳しいだろう。著者はルーキーのように思考し、行動することが不可欠だと語っている。

ルーキー・スマートを身につけるメソッドは、大規模なアンケートやインタビュー調査のデータに裏打ちされた、再現性の高いものである。これを体得しない手はない。現状に停滞感を感じている方や、職場を活力あふれる場に変えたいと願う方にこそ、ぜひ手に取ってほしい一冊だ。


本書の要点

── 要点1 ──
ルーキーのほうがベテランよりも大きな成果をあげることがある。それは無邪気さと大胆さを胸に学び続け、多くの人の知識を活用する力、「ルーキー・スマート」を発揮するからだ。

── 要点2 ──
 年齢や経験を問わず、誰でもルーキーであり続けることが可能だ。永遠のルーキーの資質は、好奇心、謙虚さ、遊び心、そして計画性である。

── 要点3 ──
ルーキー・スマートには、バックパッカー、狩猟採集民、ファイアウォーカー、開拓者という4つのモードがある。

── 要点4──
過去の知識にとらわれず、自分の快適なエリアから飛び出すことがルーキーでいるための秘訣だ。


なぜルーキーはときにベテランよりも優秀なのか

Photo:"Pride" by JGauthier DELECROIX - 郭天(CC BY-NC-ND 2.0)

ルーキーの強み

新しいことに初めて挑戦したとき、なぜか最もうまくいく場合が多い。ルーキーのほうがベテランよりも大きな成果をあげるときだ。経験がない未熟なルーキーはなぜ成功できるのだろうか。

それは、「知らない」ことのほうが「知っている」ことよりも、時に優れている場合があるからだといえる。しかし、それは必ずしもルーキーのほうが「新しいアイデアをもっている」ということを意味しない。斬新なアイデアはルーキーの絶対的な強みではない。ルーキーには別の強みがある。

まず、ルーキーは物事に対する先入観がない。経験がないため、先輩や専門家からの助言を熱心に求めるうえに慎重である。上司などの関係者にこまめに進捗を報告し、意見を聞く。

こうしたルーキーの性質が成功を呼び寄せる。しかし、これは会社に入社したばかりの「ルーキー」の特権ではない。ルーキーの思考パターンとスキルを身に付ければ、ベテラン層も含めて誰でも活力に満ちたルーキーであり続けることができる。ひいては、最高のパフォーマンスを発揮し、たゆまず成長し続けるキャリアを築けるのだ。

変化する環境と、苦境に立たされるベテラン

社会の状況はめまぐるしく変化している。その中で、ベテランは今まで以上に厳しい状況に立たされている。具体的には次の3つの変化の影響を受けている。

第一は「情報の大量化」だ。インターネットが手軽に使えることにより、私たちは毎日大量の情報を浴びている。増え続ける膨大なデータからいかにして知識と洞察、そして知恵を引き出せるかが課題になっている。

第二に「仕事のサイクルの加速」がある。自動化される仕事が増え、生産性を向上させるツールが広まるにつれ、同じ時間で処理する量を増やすことが求められている。昔では考えられない速さで新たな仕事が登場している。それに応じて、学習のサイクルも加速させなければならない。

第三は「知識の短命化」である。新しい発見がなされるペースも、知識が古くなるペースも加速する一方だ。また、人材の流動化により、企業に蓄積される知識の量も減っている。「知識がある」ということは以前ほど価値をもたなくなった。

これからの時代に重要なのは、他の人の知識をうまく活用する力だ。「知は力なり」というモットーはもはや古い。これからは「学びを求めよ」という精神が欠かせない。


ルーキーの力

Photo: "Bold Peak, Alaska" by Paxson Woelber(CC BY-NC-ND 2.0)

ベテランの弱点

人は経験を積むにつれて、活用できる手段のレパートリーを増やしていく。また、ベテランの「鋭い直感」は、豊富な経験というデータベースのもとに生まれる。よって、これまでスキルを習得するには長い時間が必要だと考えられてきた。

確かに音楽やスポーツなど、精密な身体の動きが必要な分野では訓練量が大きな差を生む。しかし、その他のほとんどの職種では、スキルの習得は20時間もあれば十分だということが、最近の研究からわかっている。

知識が豊富な人ほど学習しなくなるケースは多い。知識があるだけに、新しい可能性に目がいかず、守りに入ってしまう。さらに、経験豊富な人はフィードバックを求めない傾向にある。これまでの経験から、「大丈夫だろう」と勝手に判断するケースが増えるのだ。

このように、豊富な経験をもっていることは、これまで考えられていたほど大きなメリットはなく、むしろ弊害のほうが大きい場合すらある。

「スキルは20時間で習得できる」という研究結果を発表したジョシュ・カウフマンによるプレゼンテーション。

ルーキー・スマートの4つのモード

ルーキーのときによく示す思考や行動はパターン化できる。これを著者は「ルーキー・スマート」と名づけた。ルーキー・スマートには次の4つのモードがある。

(1)バックパッカーモード

ルーキーにはたいてい失うものがない。したがって、身軽に新しい可能性を試せる。既存の成功パターンにはまり込まず、目の前の現実に適した新しいやり方を模索することができる。

(2)狩猟採集民モード

ルーキーは右も左もわからないため、周りの状況を理解しようと神経を研ぎ澄ませる。周囲にアドバイスを求め、できるだけたくさんの情報を集めようと努力する。著者の調査によると、ルーキーはベテランに比べて平均5倍の数の専門家に接触しているという。その結果、課題に対処するためのアイデアや資源を多く得られる。

(3)ファイアウォーカーモード

ルーキーは自信がないため慎重に物事を進める。その一方、知識の不足を補うために素早く行動する。その慎重かつ俊敏な対応は、火の上を歩く修行者(ファイアウォーカー)さながらである。

(4)開拓者モード

地図のない土地を進まなければならないルーキーは、状況に応じて柔軟に対応する能力が求められる。また、潤沢な資源がないので、物事をできるだけシンプルにとらえ、最も重要なニーズを満たすことに集中する。こうして新しい領域を自分のものにし、力強く前進し続けるという特徴をもつ。

これらのモードは人を分類するためのものではない。ひとりの人が複数のモードをもつ場合もあれば、その時々の状況に合わせて、いずれかのモードに入ったり、そこから脱したりすることもある。 ルーキー・スマートは、年齢や経験で決まるわけではない。その人の精神状態に左右されるのである。よって、経験を積んだベテランであっても、ルーキーの思考パターンを身につけることは十分可能だ。


永遠のルーキーになるために

Photo: "MDV_6423" by Melvin Dave Vivas(CC BY-NC-ND 2.0)

ルーキーの思考様式を取り戻す3つの方法

永遠のルーキーの資質は、好奇心、謙虚さ、遊び心、そして計画性である。ベテランがルーキーらしさを取り戻すにはどうしたらいいか。「抜本的に自分を変える」といった大それたプロセスはいらない。必要なのは、「ルーキーの思考様式を取り戻す」というささやかな変化だけだ。そのためには、次の3つの方法を試すとよい。

クビになることを恐れず行動する : 失うものが何もなかったルーキーの頃のように、あれこれ考えすぎず、直感的に正しいと思うことをしてみよう。クビになるのが怖いなら、「もしクビになってもいいなら何をしたいか」を考え、具体的な行動をリストアップするのも手だ。そのアイデアに対する支持を組織内で集めてから一歩を踏み出せばよい。

決まったひな形を捨てる : プレゼンテーションをする際、以前作ったひな型に落とし込むだけになっていないだろうか。自分の行動を型にはめるアンチョコやひな型は捨てたほうがよい。そのほうが自分の思考を毎回最新のものにアップデートできるだろう。

アマチュアと仕事をする : 経験豊富な仲間たちではなく、ルーキーと仕事をしてみよう。そしてルーキーがどのように仕事をするのかを観察し、彼らから学ぶのである。組織の管理職にある人は特に、末端にいる人やルーキーと話す機会を増やすとよい。アマチュアたちのアイデアや活力に大いに刺激を受けるだろう。

停滞感から抜け出す方法

ギャラップ社の世論調査によると、アメリカの働き手の70%は仕事が嫌い、もしくはまったくやる気を感じていないという。また、強い仕事上のストレスを感じていると答えた人は63%に達している。ストレスの原因は何なのか。

調査の結果、仕事量に対して挑戦しがいのある課題が少ないことが原因であることが明らかになった。課題が困難であればあるほど、仕事に対する満足感は高まるという。

人は停滞に陥ると退屈を感じ、時に後ろ向きの精神状態に陥ってしまう。そのような状況から脱するための最良の方法は、より難しい課題に挑戦することだ。そのためには次の3つの戦略が有効となる。

1つ目は「思考パターンを変える戦略」である。「自分は正しい」という考えを捨て、何でも一から学ぶ気持ちになってみる。「知らないこと」をリストアップする、またはチームのメンバーに「知らない」ということを公表するのもよい。「自分には知識がない」と認識することから新しい挑戦は始まる。

2つ目は「環境を変える戦略」だ。自分が「快適ではない」と思う環境にあえて身を置こう。例えばまったく知らない分野のプロジェクトに携わったり、自分が苦手なことに挑戦したりする。自分が安心できるエリアから一歩足を踏み出すことが重要だ。

3つ目は「適切なスペースを選択する戦略」である。大きすぎる目標に挑戦して失敗すると、その経験がトラウマとなって新たな挑戦に二の足を踏んでしまう。小さなことから着実に進めていくのがよい。


組織やチームを若返らせる

Photo: "Coachella" by Thomas Hawk(CC BY-NC-ND 2.0)

組織やチームにルーキーらしさを取り戻す方法

組織やチームがある程度の実績を上げて、年月を経ると、新たな挑戦をやめ、活気がなくなってくる。過去に積み重ねた知識に依存する組織は、変化に対応できなくなってしまう。そうした組織やチームがルーキーらしさを取り戻すには、どうすればいいのか。

まずは、人材マネジメントのあり方を再考するとよい。採用では、経験よりも学習する速さを基準に行う。ルーキーの資質である、好奇心、謙虚さ、遊び心、計画性に着目する。そして、変化に富んだ環境を意識して整えるのも有効だ。具体的には部署内の昇進だけでなく他部署へも人事異動を行う、一定期間でマネージャーを必ず異動させるといった方法が挙げられる。

次に、ルーキーに発言権を与えるのも、ルーキーの力を発揮させるのに役立つ。一般的に、経験が乏しいルーキーの発言は軽んじられがちだ。しかし、経験が浅いルーキーだからこそ独創的なアイデアが生まれることも多い。組織の末端のスタッフを戦略プランニングのメンバーに加えれば、新しいアイデアが出る可能性が増す。さらには、ベテラン幹部が率先して「ルーキー」の体験をし、お手本を示すのも有効である。

著者たちの調査によると、最も高い成果をあげるルーキーは新しい分野に挑むベテラン幹部だという。ベテラン幹部がルーキーの立場で仕事に臨めば、組織全体に好影響が出るようになり、ルーキー体質の組織へと生まれ変わることができるだろう。

過去にとらわれずに進む

新しい挑戦は苦難を伴う。しかし、自分にとって快適なエリアから一歩外へと踏み出さなければ成長はない。勇気をもって挑戦すれば、自分の快適なエリアは広がっていく。

人は物事を完全に習得したあとではなく、難しいことを習得しようとしているときに最高の成果をあげる。新しいことを学び、困難に立ち向かう過程で創造的なエネルギーを活用するからだ。

ルーキー・スマートとは、過去に学んだことを捨て、新たに学びなおすことをためらわない思考と行動のあり方を指す。それはもって生まれた才能などではなく、誰でも身に付けられるものだ。これからの時代は、常に新しいことを学び続ける「ルーキー」だけが成功できるといえる。


一読のすすめ

本書は新人のような若々しい思考を取り戻し、維持するための指南書である。要約ではそのノウハウの一部を紹介したが、ルーキー・スマートを活用し、成功を収めているロールモデルの実例も本書に数多く記されている。これらを読む中で、より「ルーキー・スマート」への理解を深められるはずだ。仕事のマンネリを打破し、部署やチームの力を高めたい方にうってつけの一冊である。

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