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ビジネスネットワーク活用の裏ワザ

「期待のマネジメント」はしていますか? 働き方の祭典・TWDWオーガナイザー、横石崇が勧めるネットワーク術

働き方の未来をつくる7日間「Tokyo Work Design Week(TWDW)」を毎年11月にオーガナイズしている横石崇。クリエイティブ&メディア業界の企業へのコンサルティング等も手掛ける彼の仕事に対する向き合い方から、「3つのビジネスネットワークの裏ワザ」を紹介する。

Eightユーザーのつながる技術を探る「ビジネスネットワークの裏ワザ」

名刺をEightに取り込むだけではもったいない。あなたのビジネスネットワークをもっと効果的に活用できれば、仕事の課題に対して新たな解決の糸口が見つかるかもしれない。

つながりを生かして、ひとりの力では実現できないことを達成していく人たちには、きっと新人研修では教えてくれないビジネスネットワーク活用の“裏ワザ”があるはずだ。

注目のEightユーザーを取材する企画「ビジネスネットワークの裏ワザ」。今回は、多様な働き方のかたちを考える働き方のフェスティバルイベント「Tokyo Work Design Week(通称:TWDW)」を主催する横石崇が登場する。

Tokyo Work Design Weekとは

2013年に初開催され、以降毎年11月の「勤労感謝の日」にあわせて、渋谷の街を中心に7日間にわたって開催する国内初の"働き方の祭典"。20代、30代のこれからの新しい働き方やビジネスの未来をつくる機会を提供している。横石は「働き方の"フェス"」とも呼び、多様なゲストとともにさまざまな「働く」のかたちを考えるための趣向を凝らしている。

「一般的な働き方のイベントは転職や起業などのテーマが決まっているため、参加者も自分が気になっているテーマ以外のことに目を向けません。しかし、働き方が多様になっている現在、自分に合う働き方や新たな発見をするためには、まずは多くの働き方を知らなければいけません。"フェス"と呼んでいるのは、多様なテーマを織り交ぜることで、偶然の出会いを生み出すきっかけになればと考えているからです」

2011年の震災を経て、多くの人が自身の働き方を見つめ直すようになった。そんななか、横石は色んな働き方を知るためのイベント企画を東急電鉄に打診し、TWDWが生まれた。

裏ワザ1. 自分のプロジェクトをきっかけに、憧れの人に会いに行く

横石は、日々フットワーク軽く、さまざまなクリエイターやビジネスリーダーと会っている。しかし、ただ目的もなく会いに行くのではなく、その根底にはTWDWがある。どんなゲストを呼ぶといいかを常に考えていて、登壇してほしい人が実際に話しているイベントに直接足を運び、会いに行っている。TWDWがきっかけで、『ワーク・シフト』の著者、リンダ・グラットンとも面会を果たしたという。

「ぼくの場合アウトプットがイベントなので、実際に会ってどのような話し方や雰囲気、空気感を持っているのかを見ています。TWDWで伝えたいのは多様な働き方であって、転職や起業を勧めているわけではありません。従来の枠を超えた働き方の実践をしている人との出会いをつくるために、文字だけでは分からないその人となりをきちんと知ることを大切にしています」

TWDWでも、登壇するゲストの組みあわせを練ることで、参加者に対して新たな文脈のある出会いをつくり出そうとしている。横石自身にとっても、TWDWをきっかけにさまざまな人との出会いが生まれ、そこからネットワークが広がっているのだ。

「TWDWを名刺代わりに、普通では会えない人とも直接会って話すことができ、さらにイベントの打診もできます。プロジェクトをきっかけに積極的に憧れの人にも会いに行き、つながりをつくり、それをTWDWに還元する。さまざまな出会いの機会をつくることこそ、自分にとってもTWDWにとっても価値になっています」

関連記事:「憧れの人には会いに行かない。名刺は渡す文脈が大事」日本仕事百貨・ナカムラケンタが勧める人脈術

「TWDWは、実際に働き方を変えようとしている参加者たちが主役。横石個人の色が出ては意味がありません。なので、TWDWの"オーガナイザー"という場づくりの立場を名乗っています」

裏ワザ2. 「他者が主役」の視点を持つ

横石は学生時代、多摩美術大学で「キュレーション」を学んでいた。学芸員にはならなかったが、広告の仕事も、いまやっている仕事もどこか通じるものがあるという。

「自分はクリエイターになれないと分かっているからこそ、何かをつくれる人を後ろからサポートしたい。裏側から彼らをサポートし、価値を最大化していくお手伝いをすることこそ、自分の役割だと思うのです」

前職の会社名「ベンチ」の名前の由来にもあるように、フィールドプレイヤーでなく、黒子な存在として常に誰かの裏側で支えていることに自身の価値を見出している。新会社の「&Co.」も、企業や個人に寄り添いながら、常にプロジェクトや事業のサポート役をする横石の考えが現れている。

「&Co.は企業の課題解決がメインです。事業だけでなく、ブランディングや人材など、さまざまな課題を解決するためのプロジェクトチームに参画しています。しかし、どれだけぼくらがアイデアを出したとしても、主役は企業の中の人です。その人たちの思いや熱意をいかにしてかたちにするか。&Co.という名前の通り、主体に寄り添いながら彼らの思いや願いなど実現したいことを、ともに育んでいくための、コーディネートやファシリテーションを行っています」

関連記事:「誰が何を知っているかを把握しておこう」横浜コミュニティデザイン・ラボの杉浦裕樹が語る"黒子"の仕事術

横石の名刺の裏面。「& Co.」という企業名には、彼の仕事の哲学が端的に表現されている。

企業や個人の課題を解決する媒介者としての&Co.。TWDWも、参加者に多様な働き方を知るための媒介者でもある。誰かの後ろを支えることで、新たな一歩を踏み出しやすくしている様子が伺える。


チームづくりは、ジャズセッションのようなもの。余白をつくり、対話を通じてつくり手の色を混ぜて、新たな色を生み出す


横石が手掛ける仕事の多くは、プロジェクトごとにチームを構成する。その際にも、周囲のクリエイターたちと組みながら、彼らの知恵や技術、経験をうまくコーディネートする。

「チームづくりは、まさにジャズセッションのようなものです。余白をつくり、対話を通じてつくり手の色を混ぜて、新たな色を生み出す。さまざまなジャンルの人たちと、仕事を通じて文脈のあるつながりによって、いままでにない価値を生み出す場が生まれるのです」

「いまの時代、新たなリーダーシップのかたちが求められています。『こっちだ』と指示するのではなく、それぞれに自発的なアクションがどう創発されるかを、仕事でもTWDWでも意識しています」

裏ワザ3. 期待されたら150%で返す

企業のサポートと言っても、関わり方は多様だ。あるときはコンサルティング、あるときは企画制作、ときにはイベントの司会など。ビジネスのかたちが決まっておらず、収入源も分散されており、いくつもの肩書きが横石にはある。正直言えば、ウェブ上だけでは横石の仕事を把握することは難しい。

「傍から見ていて、何をやっているのかわかりづらいですよね(笑)。なので、TWDWなどのイベントに参加してもらったり、直接会って話したりすることで、ぼくの考えや仕事の仕方を知ってもらっています」と横石は話す。

横石に舞い込んでくる仕事の多くは、他者からの紹介だ。紹介は横石に対して何かしらを期待されている証拠であり、その期待に応えたいという想いが彼を動かす原動力となっている。

「仕事に対して素直で向かい合いたいし、常に期待されていることの150%でお返ししたい。当たり前の話だけど、それがいちばん難しい。期待以上の結果を出すことで、次の仕事につながっていく。そこから『横石だったら何かやってくれそう』と期待される循環が生まれるのです」


どこかに呼ばれる存在であり続けるために、何ができるかを考えています


常に期待を上回る結果を出していくことで、空間設計・演出や学校づくりなど、時にはいままでやったことのない仕事が来ることもある。それを自身の学びや体験のチャンスだと捉え、常に努力を惜しまない。

「横石に会いたい、横石にこの人を紹介したい、といかに思ってもらえるか。何かのイベントや集まりに真っ先に呼びたいと思ってもらうことで、出会いの精度は上がり、コストはぐっと下がります。常にどこかに呼ばれる存在であり続けるために、何ができるかを考えています」

人の期待に応え続けることで、紹介や出会いの機会をつくり出す。会ってみたい、紹介したいと思ってもらえ、そこから期待を超えた成果を出し続けること。「期待のマネジメント」こそ、横石のネットワークづくりの最大の武器なのだ。

横石は「この人はこういう人」とステレオタイプで見られるのが嫌だという。だから、複数のプロジェクトを通じて、多面的な自分が周囲に認知されていき、それによって、思いがけない出会いやつながりが生まれてくる働き方を望んでいる。

文/江口晋太朗 撮影/小野田陽一